【安価】続・ハーレムシミュレーター 第二部【R-18】
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330: ◆WEXKq961xY[saga]
2021/01/12(火) 21:03:57.89 ID:xoDhRlzY0
「…顔を上げろ」

「…」

「主の命であるぞ。こちらを向け」

「…はい」

 のそのそと、こちらを向く少女。この寒い中全裸でいるのは相当に堪えるようで、青い顔でカタカタ震えている。これでは、話すどころではない。

「悪い、一旦上がろう」

「えー、寒いよ」

「ティエンファンや、お父様の言葉であるぞ」

 ユィーキに促されて、ティエンファンは渋々湯船を出た。

…

「…はい、これで温まってください」

「…」

 ツクヨミの差し出した湯呑を、恐る恐る受け取る少女。アスラは椅子に座ったまま、ツバキを一回り小さくしたようなこの巫女服の少女に、尋ねた。

「君は、誰だ?」

「ツバキ」

「娘。我が王は寛大だが、程があるぞ」

 すると少女は、しばらく逡巡して…やがて、答えた。

「…ザクロ」

「ザクロ、か。ツバキとはどういう関係? 姉妹か?」

 ザクロは、こくんと頷いた。

「そうか。ツバキは向こうでどうしてる?」

「姉は、貴方様との間に生まれた子の母として、教育に専念しております」

「それを聞いて安心した。…で、何で君は、わざわざツバキとしてここに来た? 妹なら、最初から妹として来たら良いだろ」

 するとザクロは、ぎっと目を細めた。ツバキとそっくりな彼女であるが、姉とは明らかに違う点に気付いた。ザクロは、姉よりずっと若いのに、眉間には深い皺が刻まれている。まるで、生まれたときから、何かをずっと睨みつけていたかのように。

「…我らの巫の跡取りには、ツバキしかおりませねば。わたくしは、ツバキの代用。何かあった時の代役として作られてきました」

「…」

 アスラは溜め息を吐いた。それから、ツクヨミに目を向けた。
 島国の、こういった不可解な風習には、全く嫌気が差す。冗長で、無意味で、そのくせ傲慢で、いたずらに人を傷付けるばかりだ。ツクヨミは、そっぽを向いた。
 ザクロが、更に続ける。

「姉の不手際を取り戻すため、わたくしはキヌエ様と共にこの領に参りました。ですが、貴方様と会う機会は無く、更にはキヌエ様は処刑されてしまい、途方に暮れておりました。そんな折、温泉で貴方様を見かけましたので、夢中で近付かせていただいた次第でございます」

「…キヌエか」

 アスラは、唸るように言った。
 大陸に遅れを取った島国が、後宮での勢いを得るために遣わした外道。結局、彼女の工作はすぐに明るみに出て、2人の娘の命を失い、島国の信用を更に失っただけに終わった。

「今は、何も関わりは無いんだな?」

「勿論です。わたくしがツバキとして振る舞わねばならぬことを知っているのが、あの方だけでした。ここで更に貴方様の不興を買えば、姉妹ともども斬られていたでしょう…」

「分かった、分かった」

 遮るように手を振って、溜め息を吐いた。


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