【ミリマスR-18】レッドゾーンに突入した桜守歌織さんに主導権を握られる話
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レッドゾーンの貴婦人 1/12
[sage saga]
2021/02/05(金) 23:48:54.65 ID:nTxHuiUj0
正月のイベントが一通り終わったと思ったら、慌ただしくバレンタインイベントの準備が世の中では進んでいる。二月を目前にして、4 Luxuryの新曲”RED ZONE”のリリースも近づいていた。
一年中体も心も休まる暇が無いのだが、仕事がひっきりなしに続くのは、それはそれで嬉しい忙しさだった。予定外の大きな支出が発生することこそあれど、トータルの業績はおおむね好調、765プロダクションの経営は黒字続きなのだから。
ようやく工事の終わった、真新しいグラビアスタジオの中。まだ使い始めて一ヶ月も経っていないそこで、やや重たいまぶたを擦りながら、俺はカメラのシャッターを切り続けていた。もう二十分程は経っただろうか。他の仕事で一人だけ遅れてしまった歌織さんの、キービジュアルに使用する写真の仮撮影が進行中だ。
仮撮影のカメラマンは俺一人だ。時計の針はあと二時間もしない内に日付を改めてしまう。そんな時間だからもう劇場に残っている者もいない。クロマキー合成のためのグリーンバックが目に眩しい。車で歌織さんを送っていく前に、カフェイン錠剤の一つでも服用しておいた方がいいかもしれない。
「……よし、歌織さん、一旦写真の確認をしましょう」
カメラの前でポーズを取っていた、レースクイーン姿の彼女へ呼びかけて、パソコンの方へ移動するよう促した。
まだ内部の整理が十分でない関係で、ノートパソコンは薄暗い倉庫スペースの片隅のデスクの上だ。レフ板をはじめとした撮影機材がしまわれているコンテナの近くには、大道具の一種として使うことになる、仮眠室から運んできたベッドもある。
画像処理用のアプリを立ち上げて、グリーンバックの写真をキービジュアルの仮画像と合成する。緑に慣れきっていた目に、真っ赤な車と真っ赤な衣装が鮮やかに飛び込んできて、思わず感嘆の声があがった。
「いいじゃないですか。ゴージャスな感じ出てますよ」
「そうですか? ……ふふっ、よかったです」
「これ、他の三人の写真も重ねてみましょう。車の実物がここに無いから、実際の撮影はもうちょっと違う画になる予定ですけど」
「まあ……四人並ぶと派手ですね。ちょっと恥ずかしいですが、セクシーな雰囲気も……」
「セクシー……確かに、それは」
風花はグラビア撮影のオファーが多く回ってくるから、露出の高い衣装には嫌々ながらも本人が慣れていて、よく馴染んでいる。麗花はそういった服装を気にしているのかいないのか分からないが、とにかく臆することなく堂々とした佇まいで、スタイルの良さがよく出ている。このみさんも(本人に言ったらプリプリ怒るだろうが)珍しく本人のアピール通りのお色気が醸し出されている。
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