26: ◆QH2PRMfrMo[saga]
2021/04/05(月) 04:27:42.68 ID:BX1K6Fyk0
時刻は朝七時、僕は忙しなく登校の準備を行っていた。
進級初日の始業式であるこの日、遅刻をしない様最善の準備は済ませた筈だった。
しかし、その準備は目覚ましの故障という最悪の事態で無駄となってしまった。
「ほら、兄さんこれ!教科書忘れてるよ!!」
「っと、すまん!」
慌てて玄関から出ようとした僕に、妹のマリンが焦りながら鞄を渡してくれた。
思えば、今日何とかギリギリ準備が間に合ったのもマリンのおかげだ。
中々布団から出ようとしない僕を根気強く起こしてくれた事は本当に感謝しかない。
「助かった!いってきます!」
「はいはい、気を付けてねー」
ひらひらと手を振りながら見送ってくれるマリン。
実の所、マリンと俺は血は繋がっていない。義理の兄妹と言うやつだ。
国の一般兵である父が、他国との戦争中に戦争孤児となったマリンを連れて帰って来た。
このご時世、よくある話ではあるがマリン本人はその事を知らない。
成人を迎えたら話そうと、物心ついた頃に両親と決めている。
「さて、僕の登校をより確実にする為だ。」
「仕方ないから魔法を使うとするか!」
この世の全ての人間は、魔力と固有の魔法を与えられ生まれる。
個人差はあれど、皆その力を最大限活用しながら生活している。
僕の魔法は【運命操作】。聞こえはいいが、あまり多用出来る物ではない。
ど派手に炎や氷なんかが飛び出す訳でもないが、この状況に限っては一番の有効策かもしれない。
「...【運命操作】!!」
瞬間、僕の背後から強烈な追い風が吹き始める。
これならば、僕の様な肥満体系でも楽に走ることが出来る。
本当ならもっといい幸運を起こせばいいのだが、幸運には不運が付き物である。
風に乗せられ、何かが僕の頭に落ちてきた。
「あちゃぁ...今回はこれか...」
頭上に手をやると、白く粘つく何かが髪の毛に引っ付いていた。
どうやら鳥の糞が「運悪く」落ちてきたらしい。
これが僕の魔法の欠点。名付けるなら【天国と地獄】。
呼び寄せた幸運の規模によって、それ相応の不運が襲い掛かって来るのだ。
今回ならば、木箱や刃物等の危険物では無かったので不幸中の幸いと言えるだろう。
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