32:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:37:05.55 ID:8Bqh101l0
目の前に兎の首が落ちていた。
「ヒッ……」
と声を上げて怯えて硬直する。
33:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:37:58.23 ID:8Bqh101l0
胴体から袈裟斬りに分断されたモノが、突っ立っていた。
床に転がった上半身と、下半身がゆらゆらと揺れながら立っているのが見える。
下半身の切断面から、ピュ、ピュ、と血液のような液体が断続的に噴き上がっていた。
震え上がった少女の前で、ゆらりと揺れたぬいぐるみの下半身が倒れる。
34:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:38:48.71 ID:8Bqh101l0
ところどころコードと、肉の塊のようなブヨブヨしたものが覗いている。
ぬいぐるみの胸に当たる部分の肉が、心臓の鼓動のように脈動していた。
それが徐々にゆっくりとなっていき、そして止まる。
あたりに浅黒い血の池が広がった。
35:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:39:49.22 ID:8Bqh101l0
……生き物……?
これは生き物だったのだろうか。
しかし確かに肉は動いていた。
飛び散っているのも血のようだ。
36:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:40:39.16 ID:8Bqh101l0
そこで少女は、天井の白熱電灯に照らされた壁を見て息を止めた。
何か巨大な肉食獣の爪で薙いだように、壁一面に無数の切り傷がついていたのだ。
石造りのそれに、おびただしい数の抉り傷がついている。
兎は、それにやられたようだ。
37:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:41:26.59 ID:8Bqh101l0
男の子の声だった。
血で濡れたベッドの上に、小さな猫がゆらりと現れちょこんと立っていた。
今まではいなかったのに、まるで蜃気楼のように現れたのだった。
そして猫は、にやりと口の端を歪めていびつに笑って見せた。
38:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:44:09.49 ID:8Bqh101l0
「君が殺したんだ。そのラビットをね」
猫の方から声が聞こえる。
混乱した顔をした少女に、猫は続けた。
39:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:45:08.22 ID:8Bqh101l0
「あなた……が、喋っているの?」
恐る恐る問いかけると、ラフィは頷いて前足で頭を掻いた。
「うん。うん、そうだよ。僕のことがわからないかな、アリス」
40:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:46:06.46 ID:8Bqh101l0
……名前……?
私は、何という名前なのだろう。
思い出せない。
それ以前に、今はいつで……。
41:1 ◆58jPV91aG.[saga]
2021/07/19(月) 19:47:02.58 ID:8Bqh101l0
「あ……あれ……?」
混乱している風なアリスを目を細めて見て、ラフィは大きく欠伸をした。
「今度の君は、いろいろと障害が起こってそうだね。ラビリンスのシステムも、いい加減ガタが来てるから仕方ないのかな」
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