【可愛そうにね、元気くん】「進まない」【SS】
↓ 1- 覧 板 20
72:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:22:46.77 ID:JzXNw/sm0
「……ごめん」
谷間とヘソを――白磁のように艶やかな曲線美を――惜しげもなく晒す鷺沢は、俺の目をくり抜かんばかりの鉄の視線で俺を刺す。恐い……とかそれ以前に、ここまで来ていおいて申し訳ない、とは思う。
73:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:23:41.90 ID:JzXNw/sm0
……俺が確固たる意志を持って鷺沢を跳ね除ける時、一体何が俺の土台にあるのか、鷺沢はよくわかっていた。
「…………八千緑さん?」
74:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:24:17.54 ID:JzXNw/sm0
俺の性癖は――俺の生き方は、鷺沢以外の誰にも理解されない。今更普通になろうとしても無理だ。それは高校生の時にいやというほど思い知らされた。
だからこそ、自分で決めたことだけは曲げたくない。
75:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:25:01.47 ID:JzXNw/sm0
だから、普通の幸せなんて掴まなくてもいいんだ。
高校であんなことになった後でも、俺はいまだに暴力を受ける女の子が好きだ。それは変えようのない性癖だ。
そして、それと同じくらい――八千緑さんへの思いは、強く俺の中に根付いているのだ。
76:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:26:22.71 ID:JzXNw/sm0
「……誘ってくれて、楽しかったし、うれしかったよ。でも俺は……一人で埋められるし、そうしたいから」
「……幸せが目の前にあるんだよ。手を伸ばさなくていいの?」
77:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:27:01.79 ID:JzXNw/sm0
「「…………」」
火照っていた体が、少しずつ冷めていくのを感じる。
78:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:27:42.94 ID:JzXNw/sm0
「はい、チーズ」
ぱしゃり。服をはだけさせた鷺沢と顔を腫らした俺、ベッドの上でのツーショット。
79:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:28:11.06 ID:JzXNw/sm0
「んー? さきこちゃん」
さきこ。
80:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:29:05.36 ID:JzXNw/sm0
顔を伏せって本気で寝る体勢の鷺沢を尻目に、電話は鳴り続ける。呼び出し時間が切れても何度も掛けなおしてくる。数分間の葛藤の後、俺は恐る恐る通話ボタンを押した。
「……も、もしもし? せんぱい、お久しぶりで――」
81:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:30:02.54 ID:JzXNw/sm0
「すみませんすみませんすみません鷺沢が勝手に送って」
『てことはこの写真は事実なんだね今まさに君の隣で守が寝てるんだねラブホに居るんだねよろしくやったんだね?????』
82:名無しNIPPER[saga]
2021/08/14(土) 03:30:47.19 ID:JzXNw/sm0
…………ひたすら謝り倒した後、『また今度根掘り葉掘り聞きに行ってやるから首をよく洗って待ってろ! あと手も! 風邪ひくなよ!』という宣告を最後に受けて、通話は切れた。
「っ、はぁあ〜〜……」
102Res/52.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20