【安価とコンマ】剣と魔法の世界で姫と結ばれたい9
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334: ◆gEU9La026k[saga]
2021/09/08(水) 22:33:54.80 ID:1nri1opT0
――
傍から見れば、微笑ましい光景にも映るのかもしれない。
「……だっこ」
子供のようにせがむ少女と、返事は返さずに望み通り抱き上げる青年。
体格差と風貌から、兄妹のように見えなくもない二人。
だが、その実態は全くの別物。
「……ぎゅって、してください」
「……ああ」
求めるは妖精姫。
応じるは傭兵。
明らかに身分の釣り合わない二人が、薄暗い部屋の中で面と向きあって腕を絡めている。
しかし姫が篭絡されたのかと言えば、答えは否だ。
「もっと、もっと……」
「リーチェ……」
丸め込まれ、折れたのは傭兵。
この関係を持ちだしたのは、他でもない妖精姫の方であった。
「ん……ジークさん、温かい……生きてます……」
「……俺は、生きる。何があってもだ」
抱き合い、しかしそのまましばらくは動かない。
お互いの身体を密着させ、その体温を分かち合うだけだ。
……彼女は、この姿勢を気に入っていた。
「ん……」
「……」
おずおずと舌先を見せれば、それは唇で柔らかく食まれる。
やがて唇はゆっくりと動き、お互いのそれが軽く触れ合った。
激しさはない、軽い口付け。それでも、リーチェには堪らない幸福であった。
「んぁ……」
きっと、自分の顔はだらしなく蕩けているのだろうとわかる。
だから、部屋の灯りはおとして誰も近寄らない部屋を選んでいる。
こんな姿は、誰にも見せられない。森国の姫にあるまじき姿だ。
だからこそ、お互いにくっつき顔を合わせ……
彼にだけ、この姿を見せることができる。
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