【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【7頁目】
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691: ◆QhFDI08WfRWv[saga]
2022/10/02(日) 22:38:27.73 ID:Dj7FRa1nO
白い衣装は病院で良く良く見かける看護婦のもので、見えた灯りは懐中電灯のようだった。
時間も時間のため、巡回をしているだけだろうと、千景はほっと胸を撫でおろす。
ホラーゲームの廃病院とでも考えたからだろうか。
どうしてだか、その姿を見るまで背筋が凍る感覚を覚えてしまったからだ。
勇者として情けない。まるで、底知れない恐怖を味わってこびり付いたトラウマのような悪寒。
その足音は少しずつ、千景の方へ向かってくる。
千景は陽乃とその精霊である九尾と違い、人を化かす力を持ち得ていない。
光を当てられれば姿が露わになってしまう。
息を潜めれば回避できるかもしれない。
そう思って口に手を当てて呼吸を止めた千景のすぐ隣を歩いていく看護師は、千景に目もくれずに歩いていく。
見つからなくてよかったと思う反面、
巡回としてそんな節穴で良いのかと看護師の背中を見送ってから、また陽乃の病室を――。
「――あら」
頭の中に直接響くような声がすぐ真後ろから聞こえ、千景はとっさに飛びのいて壁に背中をぶつける。
その痛みに呻きながらも、どうにか声の主を見上げると、先ほどの看護婦が千景を見下ろしていた。
「消灯時間は過ぎていますよ? えぇと……」
看護婦は千景をまっすぐ見つめて、暗がりの中で思案するようなそぶりを見せて「郡さん」と呟く。
「郡千景さん。ですよね? 病室はこちらではありませんよ」
千景「そう、だったかしら。暗くて迷……」
千景は迷ってしまった。と、安易な嘘をつこうとして言葉を飲み込む。
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