魔法少女 全てはあなた次第【安価】
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379: ◆m3eT9sbstgM1[saga]
2023/07/09(日) 21:06:02.41 ID:etD9Unh4O

 
 冬は、その日、人生ではじめて早退した。
 廊下を全裸で歩く冬を周りの同級生は心配したが、冬が妊娠していることについて、何も言わなかった。
 
 また、制服もマタニティに直されていた。
 
 はじめて着るマタニティなのに、元々そうであったかのように、するすると着れた。
 
 具合が悪いから早退します、と担任に告げると、担任は、進藤さんも赤ちゃんが大事な時期ですし、お大事にね、と送り出す。
 
 誰もが、冬の妊娠を当然のことと受け入れていた。
 
 ただ、早退する際、一人のクラスメイトに、妊娠したいか? と尋ねると、クラスメイトは真っ赤になって、何言ってるの! 私たちには早いわ! 進藤さんったら! と慌てていた。
 
 女子高生が妊娠するのは非常識なこと、という常識は変わっていない。ただ、女子高生の冬が妊娠しているのが異常なのに、誰も気づかない。
 
 冬は、大きなお腹を抱えて、自宅に戻る。
 
 女中が冬の早退を心配していたが、大きく膨れた腹に、小学生の時から知っているはずの冬がある日妊娠している異常に、女中も気づかなかった。
 
 奥様がお呼びです、との呼び出しに、体調が悪い、と断った。
 
 その日、冬は大きなお腹を抱え、一人、泣いた。
 
 両親が死んでから、祖母に引き取られ、厳格に育てられてきた。
 
 自分は才能と呼べる物はなく、努力し続けてきた。
 
 なのに、一時の快楽に溺れ、その快楽を恋と勘違いした結果がこれだ。
 
 冬は、漠然とした不安を抱え、一瞬、机の上にある文房具、カッターナイフが目に映る。
 
 しかし、それを刺して自分も、お腹の子もろとも、心中を図る勇気が、なかった。
 


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