168: ◆M0wTTx2gAU[saga]
2025/02/12(水) 17:44:46.22 ID:ONlq7jwe0
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エメラは控え室で眼を覚ました。身体が痛むが、これはあの武装した小柄な冒険者が斬ったものだと理解している。メアが自分の身体を使って地下闘技場で稼いでいたのは知っていたので、ここがどこなのかも分かっていた。
エメラ「……っう…」
スライムが居なくなり身体の主導権が戻っている。子宮から発生していた精神が壊れるほどのおぞましい快感ももう感じない。自分は助かったのだと実感した。
首を動かして横を見ると、ルノがローブを羽織ったイシュテナに泣いて謝っている姿が見えた。
ルノ「私なんてことを……も、申し訳ございませんでした」
イシュテナ「謝らないでください。ルノ様のお陰で時間を稼ぎ、レーン様のお力でエメラ様を助け出すことができたのですから。私も闘いを生業にするもの。覚悟はできておりましたし」
ルノ「んう〜〜〜〜っ」
エメラ「う……イシュテナ。そちらの方は?」
イシュテナ「!勇者様」
二人が意識を取り戻したエメラに近づく。意識は確かであること、もう操られてはいないことを言うと、初めてイシュテナは喜びの涙を流した。
イシュテナ「んばぁあ〜〜〜〜よがっだ〜〜」
ルノ「グス。私は紅蓮の女勇者パーティのルノです。本当に良かった」
エメラ「リラのパーティのスカウトの方ですね!こちらこそなんとお礼を申し上げたら良いか。感謝いたします。ん……」
イシュテナ「ズズズッ…う、動いてはダメです。回復魔法で大事にはなっていないとはいえ深手なのですから」
エメラ「私を助けてくれた小柄な戦士はどちらへ」
イシュテナ「レーン様は、少し席を外しております。ズズズッ。すぐに戻ってこられるかと」
エメラ「そうですか。神に感謝する前に、貴女達に私は感謝しなくてはなりません。私が一人でソロモン72柱を討伐しに行ったばかりにご迷惑を」
イシュテナ「エメラ様そういえばなぜ単体で。それに、アップル王国の領地の悪魔だったそうではないですか。」
エメラ「それは……(神が世界を護るために産み落とした聖獣が囚われているという甘言に乗せられたなんて、流石に言えない)………全ての民を幸せにする使命を持つ私にとって国境なんて関係ないから、ですよ」
ルノ「立派だぁ〜」
イシュテナ「ズズズッご自身のお体のことも労ってくださいませ」
エメラはこれまでの人生。孤児院で誉められ、教会で誉められ、訓練所で誉められ、貴族に誉められ、王族に誉められる度に自分の中の自尊心と承認欲求が満たされるのを感じ、その度に強烈な至福を味わっていた。彼女の人生は承認欲求を満たすための人生と言って良い。いつしか彼女は神の化身と対面し、人々のために尽くしてきた自分のことを肯定して貰いたいのだ。なんならそれは勇者としての使命より上なのだ。
エメラ(はーーあ。でも今回こんなことなって、色んな人やイシュテナにも迷惑かけちゃったし…また1から出直しだわね。)
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