489: ◆M0wTTx2gAU[saga]
2025/07/22(火) 17:37:48.29 ID:H6qNHYoPO
わあーーーーーーっ!
自分とは骨格が違う。筋肉が違う。能力が違う。俺が今向かい合っている狼男はそんな相手だった。
「秒殺してしまえ!」
「いいやなぶり殺しよ〜」
闘技場の観客どもが期待してるのはこいつが俺をどう殺すかだ。俺は知っている。世間じゃ俺達ゴブリンは下級魔物、狼男は中級魔物って呼ばれてる。
「ふはぁ!どうぶっ殺して欲しい」
「ゴガ。げっ。てめ!を……殺してやル!」
それはつまり生まれながらに格下ってことだ。さらに俺は言語に障害かあった。性格も跳ねっ返り。魔王軍で下級魔物が生きていくには上にゴマをするしかない。俺はそれもできない落ちこぼれだった。こうやって生け贄として闘技場に駆り出されるほどにだ。
「ぐがあっ死ねヤ!」
「ゴブリン風情が何を息巻いている〜!」
安い剣と盾を与えられ、俺はやぶれかぶれで2m近い狼男に飛びかかる。こちとら130cmちょっとだ。なんだこれはクソが!
それから俺は死に物狂いで暴れまわった。結果はどうせ決まってるが、この狼野郎の今後の生活においてハンデになるような傷を付け、俺の顔を生涯忘れ無いようにしてやりたかったからだ。……それはそうと、俺はこんな時にも関わらず自分がこんな捨て鉢な性格になっちまった理由を考えていた。
やはりあれだ。兄貴が勇者に殺されてからだ。言っちゃなんだが兄貴がカスだった。上には従順で弟の俺や手下には横暴。理由もなく殴られたし飯もぶんどられた。それでも今思えば一族の情か、生きるのが下手な俺が死なないように立ち回っていたようだ。
兄貴が先に死ななければ俺は兄貴の横暴にグチグチと裏で文句を言い、どこかのタイミングで人間どもに殺されて終わっていた筈だ。だがなんの因果か兄貴が先に死に俺が生き残った。
「ゲガガッ!死ネクソ!」
「なんだこいつちょこまかと……っ」
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