490: ◆M0wTTx2gAU[saga]
2025/07/22(火) 18:14:10.24 ID:ZZ1ZqYXzO
全ては偶然。勇者パーティーの前に捨てゴマとして並べられた俺達に、大柄な体格で大剣を携えた勇者レンが向かって来て、そこからは嵐に見舞われたような惨状だった。情けなく気絶していた俺が目を覚ませば、同胞の死体の山。その中にしっかり兄貴も首と胴体がお別れした姿で混ざっていた。
「おいおい狼男の目玉つぶしやがったぞあいつ」
「ぐがはあっ!?う、嘘だろ……!」
「死ネよやぁあ゛!」
感慨など無い。俺にとっては目の上のたんこぶが消えただけで、魔王軍にとっては代わりの効く兵隊が死んだだけだ。団長様のように墓なんてつくってもらえる筈もない。だから俺は最後の情として、荒野に兄貴の死体を埋めて石を積み重ねた雑な墓を作ってやった。軽く蹴れば壊せるような墓だが、自分の命もやベーのに死んだ兄貴のためにこれ以上構っていられなかった。だが俺は結局上手く立ち回れずこんなところで見世物として命を落とす!
「ぎは……げは……はあ、はあ」
「お、俺が…………ゴブリン……なんぞに」
『おいおいなんと!狼男の腹をかっさばきゴブリンの勝利だぁ!』
「まじかぁ〜〜!」
「ギ?……ギ?ごぎ。オデ…………勝ヂ?」
なんか俺は勝っていた。目の前ではせめて手傷を負わせてやろうと思っていた狼男が事切れている。緑の身体に返り血を浴び、真っ赤な姿から俺はこの日以来レッドゴブリンと呼ばれるようになった。
☆☆
死にたいやつなどいる筈もない。俺は闘技場で戦うことが日常となっていた。組まれるカードは明らかに俺を『噛ませ』の位置に置いたもの。襲いかかるのはミノタウロスやハーピィといった中級の魔物達。死に物狂いでない日は無かった。翌日の殺し合いに怯え震えながら眠り、必死に戦う。全身に生傷が増え、気づけば俺は10連勝していた。
『も、もはや疑う余地はない。レッドゴブリンの強さは本物だ〜』
「ぜえ、ぜえ。ぎは……死んダ……?」
目の前で横たわる大柄な魔物どもを、俺はすぐにでも起き上がってくるんじゃないかと恐れている。それはいつの間にか名前になぞられて与えられた全身真っ赤な鎧を身に付けるようになってからも変わらない。だが奴らは立ってこなかった。
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