173: ◆GARzbuxPIs[saga]
2026/08/18(火) 07:10:10.65 ID:QUILMCtbO
連れてこられたのは三階の上。彼女が戦いの最中に降りてきた階だった。その一室にリアは案内され入る。おそらく他の冒険者らと同じ彼女のパーティに割り当てられた部屋だろう。
まったく同じ作り、家具の配置の部屋を眺めつつ促されて椅子に座る。
シル「えっと、それで」
長めのもみあげをくるくると落ち着かない様子で弄り、向かいに座った少女が口を開く。青い瞳がリアを真っ直ぐ見つめる。はにかんだ笑みを浮かべたシルは右手の指先を自分の頬に当て、自信なさ気に問いかけた。
シル「覚えてる? 私のこと」
リア「⋯⋯? すみません、全然心当たりがなくて」
シル「やっぱり⋯⋯」
がくっと肩を落とす。どうやら彼女と知り合いだったらしい。だがリアの記憶にこんな美少女との出会いは憶えがない。
シル「私も精霊っていうのと、戦い方と、名前を呼んだ時の反応で確信したけど⋯⋯昔のことだからなぁ」
ぽそぽそと呟いている少女。彼女を見つめながら必死に記憶を遡っていると、リアはふと思い出す。幼い頃の約束。一人の少女と過ごした日々の記憶は薄れてしまっていたが、特徴的な青い髪はなんとなく覚えていた。
そして彼女の言動。合わせて考えてみれば、出る結論はこれだけだった。
リア「まさか、あの子⋯⋯? 小さい頃一緒にいた」
シル「え、思い出したっ? ――って、まさか名前も覚えてなかったの?」
顔を上げ、輝いた目を向けていた少女だが、すぐジトッとした目になってしまう。
探していた人物が目の前に。そう確信すると不思議なもので、10年ほどの年月を経てぼやけていた記憶が少し鮮明になった。シルという名前も聞き覚えがある――ような気がした。ただの思い込みかもしれないが。
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