70: ◆GARzbuxPIs[saga]
2026/08/08(土) 11:22:14.43 ID:ZbGrhn5mO
17 冒険者の集団
リア「⋯⋯ん?」
ふと、冒険者達が集まっていることに気づく。数は二十か三十かほど。皆視線は同じ方向を向いており、彼らの背中で見えないが向こうの何かを見ているようだった。ギルド以外で彼らが集まっているのも珍しい。
何か事件だろうか。少年は気になって近くで見物してみることに。
リア「何かあったんですか?」
冒険者男「ん? おお、あれ見ろよ」
声をかけると長身のガタイがいい冒険者が体を横に、人垣に少しすき間を空けてくれる。
見えたのはいたって普通な薬屋。ガラス張りのお店は中の様子がはっきりと見え、お客さんが店員さんと話している。
リア「⋯⋯? あのお店が何か?」
冒険者女「勇者だよ勇者。見えるだろう?」
リア「え、勇者?」
勇者。予言により選ばれた人間であり、現在ギルドの中で一番の実力を持つパーティのリーダーだ。魔王討伐こそ成していないものの、各地で残した偉業の数々は人々に語り継がれ、まさに生きた伝説。同業の冒険者、住民達の憧れである。
この街を拠点にしていると聞いていたが、その姿は神出鬼没。リアも街に帰ってから見かけることすらなかった。毎日モンスターの討伐や魔王の捜索で忙しくしているらしい。
そんな彼がふらっと街の薬屋に。人の注目を集めても仕方ない。
リア「勇者⋯⋯あ。もしかして、あの人?」
よく見れば店員と話している男性は腰に立派な剣を差している。年は20代後半ほどか。すらっとした長身に着古した厚そうなジャケットとシャツにズボン、革のブーツ、手袋、いかにもな冒険者風ファッション。実用性と安価さを優先した服装はリアとよく似ている。
爽やかな青年、といった雰囲気の整った顔立ちで、手入れしていないのが丸わかりなぼさっとした白い髪が目立つ。
リア「⋯⋯なんかイメージと違うような」
気のいいお兄さん、って見た目で世界を救う力を持つ勇者だとはとても見えない。
冒険者男「確かにな。だが実力は本物さ。あいつが戦ってるところを見たことあるぜ」
冒険者男2「ああ、モンスターごと山を斬り裂いたって聞いたぞ」
わいわいと冒険者が噂話。ほぇー、と口を半開きで感心しながら聞いていると、店にスタスタと歩いていく女性が現れる。長い黒髪の、鋭い目をした細身の女性だ。手に細長い――鞘に納まった剣のようなものを持ち、素早くしかし綺麗に歩く身のこなし。勇者目当てに集まった冒険者の視線は彼女に向けられる。
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