過去ログ - 【泣いたり笑ったり】能力者スレ【できなくさせてやる】
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以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage saga]
2014/01/06(月) 22:41:42.48 ID:sHndcw8Z0
【櫻の国。とある山の奥地――――妖怪達が住む村がある何て噂されるその場所】
【花が散っていても尚見事な櫻の木の下で胡座を?くのは山伏の服を纏った少女…………否、少年であろうか】
【背に生えた漆黒の翼をゆったりと広げ、手には酒の入った一升瓶。謂わば、烏天狗が其処にいる訳だけれど】
「冬、かぁ…………うーん…………冬、かぁ
冬ねぇ…………」
【頬杖を突きながら、ただ冬、冬と呟くその姿】
【――――時折思い出したかの様に酒を呷るけれど、一口喉の奥に流したならば再び冬と呟くだけ】
【……一応は、この村の長。ならば当然重大な何かに悩んでいるのだろう――――と、妖怪達は思って居たが】
「このままじゃ美人な人達の湯浴みを覗き見出来なくなっちゃうなぁ…………
いや、冬には露天という事は分かるけれど…………でも態々こんな山奥に、それに妖怪が居るなんて人間達に噂されちゃってるとなれば更に人が…………
ん?ああ、良い所に来たね。こっちこっち!!」
【――――悩んでいたのは、冬が訪れ雪が積もれば人間達の湯浴みが覗き見できなくなるという何とも不埒な其れ】
【見守っていた妖怪達も呆れたのか、それぞれが溜息を吐きながら解散して…………少女とも少年とも見える天狗が、其処に残された】
【そんな妖怪達の気持ちを知る由も無く、この絶望的な状況を打開すべく思案していたが】
【…………もし、この場に誰かが訪れたならば。ふと気付いた様子でそちらを見遣って、やがてはチョイチョイと手招きをする事だろうか】
【月明かりと、其れを反射させる雪とで明るく照らされた森の中】
【枝々から垂れる氷柱や、凍った葉などが幻想的な景色を作り出していて】
【――――夏には夏の。冬には冬の妖が活発になる、なんて言うけれど…………今宵其処に居る妖は、そのどちらにも属さず】
【まだ足跡の無かった雪に、さくりさくりと自分だけの足跡を作って歩を進める姿が一つ】
【巫女装束に、特徴的な狐の尾と耳。所謂、妖狐と呼ばれる存在であるけれど】
【その妖気を辿ってか、真っ白な雪に刻まれた足跡を辿ってか。――――それとも、首に下げた翡翠の首飾りから発せられる神聖を感じ取ってか】
【何にしたって、白景色の中に浮かぶ紅白のその姿を見るのはそう難しくも無い】
「感謝状…………やっぱり、お姉ちゃん宛て…………ですよね…………
戻っていたなら…………少し位、顔を見せてくれても…………」
【大切そうに抱えるその書面は、果たしてどの様な意味合いがあるのかは分からないけれど】
【少女の零した姉に関わる事だけは確かか。元より困った様に、或いは自信なさげにハの字に曲げられていた眉が一層角度を増して】
【小さな吐息を漏らしたならば、その紙をさも大切そうに抱き留める事だろう】
「…………お姉ちゃんが居ない分…………私が、しっかり…………しなくてはいませんね…………
成長した、って言って貰える様に…………もっと、ちゃんと…………」
【まるで自分に言い聞かせるかの様な呟き。――――夜空を見上げたその最中】
【――――この場に訪れた新たな存在に気付いたか、一度ピクリと耳が動き。何処か不安げな表情を浮かべて、其方へと視線を移すけれど】
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