余剰の月

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774 ：以下、名無しにかわりましてA雑民がお送りします(フォン・ブラウン) [sage]：2022/12/05(月) 23:10:14.99 ID:p392G8NT0

重心は、戦闘行動を自らの意志で実行する主体者(*1)の、実際の行動における目的意識(*2)の方向に対して、もっとも重要な要素を持つ地点にある

*1 指揮官が必ずしも主体者に該当するわけではなく、一揆や暴動においては一般大衆が主体者となる
　 また銃後の戦争を指導する議会が主体である場合もある
*2 明示されている目的ではなく、行動の主体者が実際に可能であると考え、目指している目的

戦闘行動は3つの軸によって成り立つ
ただし、この3つの軸が必ずしもすべて存在しているとは限らない
1つ目が戦闘行動の目的を決定し戦略・作戦・戦術を立案する目的軸であり、
2つ目が目的のために主体者により実際に行動を実行する実行軸であり、
3つ目が行動実行のため必要な前提条件を用意し支援軸である

目的軸は戦闘行動の指導者により決定される戦闘の目的を示すものではなく、戦闘を行う主体者によって実際に求められる目的意識のことである
目的軸は敵対者には隠蔽されるが、これを暴露したとき戦闘行動の大半が理解され、戦闘行動への対応は遥かに容易となる
実行軸・支援軸はすべて、この目的軸の達成のためにある
実行軸は実際に行動を行う主体であり、目的軸によって定められた方向に向かって進んでいく具体的戦力である
この実行軸により主体者の直接の所在と目的意識の方向が理解される
実行軸とは主体者により制御され、支援軸によりその実行可能性を手にし、目的を遂行する、具体的な実力を有した、戦場において実際に影響力を行使する戦力である
支援軸とは戦闘行動の実施に必要な諸条件を解決し、行動のための準備をするものであり、また、戦闘行動を円滑に進めるため、直接攻撃を含むあらゆるアプローチを実施するものである
支援軸の範囲を見極めることにより、実行軸が明瞭に理解される
支援軸による行動は常に実行軸を意識してこれに集中して、実施されるものであり、主体的に戦場に影響力を行使するものではない

重心はこの3つの軸のうちどれかに属する
そして、この3つの軸を理解することにより重心がどこにあるかも理解される


1.重心は如何なる地点に存在すると言えるだろうか？
重心はもっとも大きくリソースが割かれている地点にあるとは限らない
重心は策源地にあるとは限らない
重心は作戦行動のための要衝にあるとは限らない
重心は直接に影響を与えられる位置にあるとは限らない
重心は通信能力・電子的空間・諜報活動などにより得られる情報分野の中にある場合もある
重心はその戦争を指導する一個人の中にある場合もある
重心は精神的・心理的領域に存在する場合もある、大義やイデオロギーあるいは戦争理論、慣習の中に存在することもある
重心はあらゆる地点に存在する可能性があり、それらの要素の中において最も重要ものが重心となる

2.同程度の重要性を持つ地点が二つ以上あるとき、重心はどこに存在すると言えるだろうか？
重心とは行動を実行する為に欠かすことの出来ない要素を持つ地点である
その地点の重要度が同程度であれば、その地点の持つ重要度の比重は、行動の主体者の意識によって左右される
別個の物事を全く同じように意識することは有り得ない
より強く意識されている地点が、危険にさらされたとき、より強い反応を引き起こす
強い反応を引き起こすということは、全体に対してより大きな影響力を与えられる地点であり、そこがもっとも重要な地点、重心となる

3.相手が意識していない重心についてどのように考えるべきか？
重心は意識の有無に関わらず実際の行動に対して、もっとも大きな影響を与える地点である
意識の有無は重要度の評価の一助とはなるが、意識されてないからと言って、重心の意味が失われることはない

4.重心は複数あるか？また、重心は流動的なものと言えるか？
重心とは力の均衡が崩れ、他より、多くの力が集中している地点のことである
重心はより強く力が集中している地点であり、戦闘行動の基底としてより大きな影響力を持つ地点である
状況が展開していくと、重心を基底として戦闘行動が実施されてゆく
このため、重心の影響力は時間とともに増々、大きくなっていく
はじめ、重要性を持つ地点の重要度に大きな差がなかったとしても、次第にその差は大きくなっていく
重心は1つしか無いといえる
重心はその影響力を増大させていくものであり、影響力が増大すればするほど、その地点は容易に動かすことのできないものとなっていく
重心とは戦闘行動の基底であり、戦闘行動全体を支配するものである
重心は流動的に動くものではないと言える
※要検証のこと