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ザレゴトマジカル〜戯言遣いと幻想殺し - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/17(木) 22:41:19.18 ID:uihTyTvw0





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君はどんな事も忘れないのかい?へぇ、それは残酷だね。

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【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 @ 2024/04/27(土) 14:14:26.69 ID:Wh98iXQp0
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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2 : ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/17(木) 22:42:06.14 ID:uihTyTvw0
「夢を抱くことによって人間は人間と呼べるんだ」

これは彼が僕に口癖のように言っていた言葉。
恐らく彼は人間と他の動物との決定的な相違点は言語を使用することでもなく、技術を開発することでもなく、夢を持つことだと言いたいのだろう。
夢、とは言ったが当然それは睡眠時に起こる体験現象の事ではなく将来の夢や希望、それに期待といった事を指している。確か彼はよくそれを幻想と表していた気がする。
その考えに僕は同意はできなかったし、かといって否定もしなかった。ありていに言えばどうでもよかったからだ。
そんな僕の考えを聞くたびに彼は苦笑いしながら決まって「まぁお前はそうだろうさ」と失礼な事を言っていた。
しかし、彼はそんなメルヘンチックな持論を持ちながらも、他人の幻想を殺している。それもかなりの数を。
僕は彼がこの話を始めると必ずと言っていいほどそこを指摘するが、これも決まって「それはそれだ」と棚に上げてしまう。
この事も正直どうでもいいと感じている僕はそれ以上むやみに彼に追求することは無かった。

「つまり、君は人殺しと同じなんだね」

「否定はしねぇよ、人殺し」

「僕は人殺しなんかしたことがないさ」

「嘘つけ」

「まぁね」

これも決まって成される会話。
彼は自覚しているし、僕は堕落している。
お互いに青い少女を起点とし、基点とし、機転としている者だからこその会話だとも言える。
それも、それは終点の無い物語だと言うことも同じだった。

「でも、君と僕とは違うんだよね。根本的に」

「ああ、鏡写しですらねぇよ。抜本的に」

彼は主役で、僕は観客。正反対でも、間逆でも、同義でもない存在。消して交わらない平行線。
僕は舞台に立つことはできない。物語関わる事はしてはいけない。
彼は舞台から降りることができない。物語から外れることができない。

「そろそろ幕が上がるんじゃないかい?ヒーローさん」

「それならとっとと舞台から降りろよ、傍観者」

これで僕たちは会話を止めなければならない。
また一つ物語が始まるのだから。
それは喜劇か悲劇かそれとも両方か、そんなことは僕の知ったことではないけれど彼はまた物語の主役になるのだろう。
それならば、僕はただその流れに身を任せて流れるだけだ。

「それじゃ、幻想殺し」

僕は無理やり微笑んだ。

「じゃあな、戯言遣い」

彼は、笑わなかった。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 22:44:09.67 ID:jFC8cm0AO
まさかの音速で続編投下
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 22:44:23.90 ID:bAD0LsIDO
ん、もう始まるのか

ワクテカ
5 : ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/17(木) 22:45:31.41 ID:uihTyTvw0
戯言×禁書のクロスオーバーです。

戯言遣い目線で禁書の原作を進めていくつもりです。


ちなみに前作
球磨川『学園都市?』
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294924694/
球磨川『学園都市?』2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1296271913/

それでは、今日はこの辺りで。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/17(木) 22:49:36.85 ID:4uuEir3AO
球磨川のラストに書き込めなかったorz
こっちも全力で支援するぜい!

因みに前作の質問とかはしたらマズイ?
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 22:50:50.09 ID:cXYjHObxo
はえぇよ
びっくりした
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 22:57:30.60 ID:COvHQddKo
前作が終わって余韻に浸って、次回作までの間どうしようかな
なんて思いながら、更新したら1番上にあって吹いたwwwwwwww
9 :前スレ1000取っちまってたorz ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/17(木) 23:06:13.69 ID:uihTyTvw0
とりあえずやる気がある内に立てれば、書くしかなくなるから立てました。
次回はいつになるか分からないと言ったな?あれは嘘d(ry

小ネタ程度に前作の番外編もこちらに落とすつもりです。
まぁまったく別のSSなんで自重しろと言われたら止めますが。

それでは次の投下は来週中になると思いますので、よろしくお願いいたしますorz
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 23:22:07.13 ID:oiKVf1zmo
球磨川が終ってホッと一息つけなくて笑ったw

支援だ!
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 23:25:04.31 ID:wSm5drmDO
番外編ぜひ書いてくれ
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 23:40:08.50 ID:8qn3APTJ0
ちょw2秒できりかえやがったwwwww
新スレ乙ー
番外編について?>>1はほしがりだな
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 23:40:43.34 ID:9Wn6futAO
乙出来なかったと落ち込んでたのにまさかの音速投下に盛大に吹いた
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/18(金) 00:03:31.90 ID:1zldy2oZ0
前作終わったと思ってたらすぐに新作きてたwwww
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 00:11:29.51 ID:/qkceajWo
ktkr
今作も誤字脱字に気をつけてがんばって下さいな
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 00:16:53.17 ID:hSMwzjFDO
早速新作乙です

>僕は舞台に立つことはできない。物語関わる事はしてはいけない。


いきなり過負荷発動か…
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 00:25:55.76 ID:CgfrJwubo
はええよびっくりしたわ
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 00:55:23.47 ID:YucYJM0AO
最近は西尾ssが熱いな
戯言キョンもいい感じだし、零崎キョンも始まるし
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 01:59:32.56 ID:Vay26iAFo
スレたて乙

誰かが勝手にたてたのかとオモタwwwwww
期待してます、番外編も
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 02:50:15.76 ID:54Me8hQQ0
番外編ぜひお願いします
その間にがんばって戯言?読むから
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 02:53:09.62 ID:p3rlta6AO
誤字脱字がない>>1なんて…
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 03:11:26.75 ID:43l0l2xAO
前作完結&スレ立て>>1乙!

この上条さんは人識みたいだな
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/18(金) 06:32:51.11 ID:XOF+0iJD0
>>16
いーくんが過負荷?
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 07:59:39.14 ID:0XWXBOtSO
>>16
カタコトマジカルだな
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/18(金) 16:19:46.69 ID:hCkRWHAno
まだクビシメロマンチストまでしか読んでないんだけど大丈夫かな?
とりあえず乙
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 17:04:34.46 ID:hSMwzjFDO
>>24不覚にもカタコトのいーたん想像してわらた


   / ̄\
  |  ^o^ | < けっさくだな
   \_/
   _| |_
  |     |
         / ̄\
        |     | < いいえ それは ざれごとです
         \_/
         _| |_
        |     |
27 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/18(金) 22:56:43.54 ID:HMhMGvLy0
お疲れさまです。前作の番外編を1レスだけ投下します。
これで完全に前作は終了です。

その後に、今作の人物紹介を投下して今日は終了です。
28 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/18(金) 23:04:47.64 ID:HMhMGvLy0
球磨川『学園都市?』

番外編




学園都市と呼ばれていた科学都市は繁栄を誇っていた当時の面影などはなく、現在は戦争の影響でビルは崩れ、道は荒れ、秩序のない世界となっている。

戦争。

学園都市統括理事長アレイスターの【計画】の破綻により世界中の各勢力が来襲し、争いが始まった。

科学兵器、魔術、超能力の戦いは地獄と表現しても間違いではないものとなり、次々と人々は倒れていった。

学園都市側は一方通行を初めとした超能力者を主力とし、なし崩しではあるが戦争に勝利を納めることができたが、

損失は膨大で、学生達は以前のような生活が送れるはずもなく、多くの学生は現在、親元で生活をしている。

一部の能力者や置き去りの子供達の行方は不明であり、各国の軍に回収されたのではないかと噂されているが、真偽は闇の中だ。

現在、学園都市に在住しているのは、武装したスキルアウトと、行き場のない子供達。

そして子供達を守る為に自ら学園都市に残った一部の能力者達だけである。

そこには、戦火の中で無能力者でありながら謎の能力を駆使し貢献した青髪の少年も残っている。

なお、幻想殺しの少年は戦争終結と共に姿を消した。

一方通行は戦い続ける。

自身を変えたヒーローを待つように、そして甦った彼女達に謝罪ができなかった事を悔い、懺悔するように、今日もその手を血で濡らす。

御坂美琴は待ち続ける。

きっとあのツンツン頭の少年なら、この惨状をどうにかできるのではないか、ひょっこり現れて何時ものように困難に立ち向かうのではないかと、祈るように待ち続ける。

青髪の少年は考え続ける。

どうして親友の異変に気がつかなかったのか、どうしてあの時の約束を守れなかったのか、どの世界にもない結末に希望がないかと、ただひたすらに考え続ける。

それが、叶わぬ思いにも関わらず。

過負荷に落ちた少年をただひたすらに待ち続ける。




29 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/18(金) 23:10:27.01 ID:HMhMGvLy0



ザレゴトマジカル〜戯言遣いと幻想殺し〜


登場人物紹介


上条当麻 【無能力者】

御坂美琴 【超能力者】

月詠小萌 【教師】

インデックス 【禁書目録】

ステイル=マグヌス【魔術師】

神裂火織 【魔術師】

僕 【語り部】
30 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/18(金) 23:14:50.81 ID:HMhMGvLy0
中途半端ですがこれで終了です。
来週頭には本編投下する予定です。

誤字脱字気を付けますorz

>>25
ベースは禁書なので大丈夫ですよ〜。なるべく戯言知らない人でも読めるように頑張りますので。
ちなみにいーちゃんはサイコロジカル後のいーちゃんを予定しています。

それでは、また来週。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 23:18:44.85 ID:4fJl53s5o
>>30
このSSのために
サイコロジカルまで読み終わったぜ
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/18(金) 23:19:01.86 ID:8jeKBEiAO
乙!
徹底的に救いがないな……


戯言シリーズ買い直したし切り替えて新作wwktkしてまってるぜ!
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 23:40:45.35 ID:z2gGvKtmo
登場人物紹介が戯言っぽいな
この説明足らず感が
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 23:44:17.44 ID:u45ALwzqo
戯言遣いは僕じゃなくてぼくがいいな
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 00:22:56.34 ID:wOQLMFEAO
>>18
零崎キョンkwsk
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 00:33:43.36 ID:D9IpwBQDo
>>35
2/22前後にスレが建てられる
キョンが零崎になる話
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 00:59:03.53 ID:wOQLMFEAO
>>36
トンクス!
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 01:18:13.04 ID:nH6WVxMAO
前作はヤバいほどインソムニアさんが空気だったから今度こそがんばって欲しいものだ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 01:33:23.48 ID:uFVtl01DO
>>34がもう言ってるけど、いーちゃんの一人称はひらがなで“ぼく”だよ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 07:33:33.80 ID:k5LjsfVAO
>>39
人物紹介のときはぼくで、文中は僕じゃなかったっけ?
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 08:07:27.44 ID:uFVtl01DO
>>40
文中もぼくだよ
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 13:52:34.54 ID:pwzI0HgDO
クビキリサイクル読んでないんだけど読まなくても大丈夫かな?
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 14:03:32.72 ID:SkhnicCxo
読んでなくても大丈夫らしいけどそれとクビシメロマンチスト読めばぼくこといーちゃんのキャラは分かるぞ
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/19(土) 14:22:02.24 ID:k5LjsfVAO
サイコロまでとヒトクイ以降で若干いーちゃんのキャラが違う気がする
俺だけかな?
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 17:02:10.22 ID:voOxDas/o
完結から次回作までが速すぎてこの神の目にも云々
何を言っているのか以下ポルナレフ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 17:54:10.48 ID:Wo25Q6PY0
>>44
それとも今僕がシャブやってるからかな?
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 18:10:22.35 ID:KU7SeAyAO
人間味が増したからじゃないの
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 00:28:36.19 ID:KXhOZ64Yo
戯言シリーズはいーちゃんの成長の物語だから
49 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/02/20(日) 02:01:20.16 ID:tXb8y70z0
すいません。さっそくいーちゃんの一人称でミスをしてしまいましたorz
なので修正版の人物紹介をば

ちなみに戯言サイドの時系列はもう完全無視。
サイコロ上巻を紛失してしまったので確認できませんでした。
確か夏くらいでしたよね?

禁書、戯言の原作と睨めっこしながら投下していきます。

――――――――――――――――――――――――――

登場人物紹介


上条当麻―――――――――――――無能力者

御坂美琴―――――――――――――超能力者

月詠小萌―――――――――――――教師


ステイル=マグヌス――――――――魔術師

神裂火織―――――――――――――魔術師

インデックス―――――――――――禁書目録


ぼく―――――――――――――――語り部

哀川潤――――――――――――――人類最強の請負人
50 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:02:37.25 ID:tXb8y70z0





七日目(1)―――――――幻想殺し

登場人物
インデックス 魔術師・禁書目録




51 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:03:15.24 ID:tXb8y70z0





殺せ殺せよ殺しなさい



52 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:04:14.34 ID:tXb8y70z0


ぼくが学園都市に来て七日目となる朝は、
夏休み初日らしく晴れ渡る空に浮かぶ太陽によって尋常じゃないほどに熱された室内から始まった。
普段からあまり冷房を使用しないぼくでも流石に滅入るほどの熱さであり、
備え付けのエアコンを作動しようと枕元にあったリモコンを操作するも反応は無く、
気だるい体を無理やり起こし、手動で作動させようとするが、これまた反応無し。

つまり、故障していた。

「…………」

心頭滅却すれば火もまた涼し、という言葉があるが、生憎とぼくは我慢強い人間ではないため、
さっさとベランダへ続く掃きだし窓を開け空気を入れ替える。
その時、隣の部屋のベランダになにやら白い物体が引っ掛かっていたように見えたが、
きっと布団だろうと部屋に戻り、これまた備え付けのベッドに腰を下ろす。

あまり部屋の中に物を置くのを好まないぼくは、必要最低限の家電製品や、取り外しの出来ないもの意外は初日に撤去しており、
そのため、現在はとても殺風景な部屋となっている。
その分、実に風通しがいい。
ベランダから入り込む風で、滲んでいた汗も引き、幾らか爽やかな気持ちになったかと思えば、
所詮は自然風。あっという間に熱風へと代わり再び額に汗が浮き上がる。

そんなわけで、最悪の目覚めである。

未だに思考が正常に機能していないので、まずどうしてぼくが普段住んでいる京都の骨董アパートではなく、
学園都市という科学都市の学生寮、それも高校の指定寮で目を覚ましたのかを思い返してみた。
53 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:05:01.74 ID:tXb8y70z0


「ちょっと学園都市で探し物をしてくれ」とまるで近くのコンビニへお使いを頼むように哀川さんは
ノックもせずにぼくの住んでいる骨董アパートのドアをぶち破り(文字通りぶち破った。弁償はしてもらえたが)
姫ちゃんの件を運んできた時のように、にこやかな笑顔でそう言い放つと、ぼくのTシャツの襟をつかみそのまま鞄のように持ち上げ、
そのまま肩に架け、そのまま部屋から出て、そのまま駐車場に留まっていた真っ赤なコブラの後部座席に投げ捨てられたのだ。

まぁ前回のようにスタンガンを使用されなかっただけでもマシな方だろう。

そして「いーたん、明日から高校一年生だから」と助手席に置かれていただろう
学生服と学生証(偽装)と冒頭にあった“探し物”の写真を渡された。というより投げつけられた。

ぼくはその写真を一瞥すると、どうせ着替えさせられるであろうと予想し学生服を手にとり、後部座席で着替えを始めた。
また女子生徒用の物ではないかと内心ヒヤヒヤしていたが、今回は普通に男子生徒用の制服だった。

「お、いーたん何も言ってないのに着替えるたぁ良い心掛けじゃねぇか。それによく似合ってるぞ《瞬間記憶能力者、ただし記憶喪失。みたいなっ!》」

「……この場合、その素敵比喩は馬鹿にしているだけでしょうよ」

それでも、何も言わずに着替えるあたり、奴隷根性が身に付いているのかもしれない。
いやだなぁ。

「いやいや、本当に似合ってるって。いーたん童顔だからなー、思ってたより全然高校一年生だわ」

「全然高校一年生っていう表現が全然理解できないんですが」

相川さんはぼくの言葉にニヒヒと邪悪な微笑を浮かべながらコブラのキーを回す。
相変わらず、この車はモンスターだなと思わせる排気音と揺れを感じながら着替えを終え助手席に移動し、シートベルトを装着する
54 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:05:41.53 ID:tXb8y70z0
「それで、今回ぼくはどこに連れて行かれるんですか?哀川さん」

頭の後ろに手を回し、心底面倒くさそうに言い放ってみる。

「あたしのことは名字で呼ぶな。あたしを名字で呼ぶのは敵だけだ……ってお前あたしにこの台詞言わせたいだけじゃねえのか?」

どこぞの委員長の気持ちが分かった気がするなぁ、と何処か遠い目をしながらもぼくへのチョップは忘れない。

「……で、どうなんですか。潤さん」

叩かれた額を押さえながら、車を発進させる為にギアを掴む哀川さんへと再度質問を投げ掛ける。
その質問に返答は無く、哀川さんは車を発進させ、駐車場を出て、国道に出る頃にようやく口を開いた。

「だから初めから言ってるだろ?学園都市だよ、が・く・え・ん・と・し」

「ああ、あの兵庫県にある」

「あそこも確かに学園都市だけどな……一応言っておくけど面白くねぇぞ」

あう。
だが確かに自覚はあった。

「東京の西にある馬鹿でかい都市だよ。その名の通り学生が人口の大半を占める場所で、
機密、防衛、規模から見れば、一つの国と言っても過言ではないね。つーか、いーたん本当に知らねぇの?」

「聞いたことくらいはあるような気がしますけど……」

はっきり言って知らない。しかし日本という国にそういった国家レベルの自治区があるとは、いかにもきな臭い。
55 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:06:35.41 ID:tXb8y70z0
「とにかく、そこのとある高校に編入して、潜入して、その写真に写る探し物を回収するんだよ」

「はぁ……」

曖昧な返事を返してぼくは先ほど渡された写真を取り出す。

「でも、これを探すってのは、なかなか骨が折れますよ」

「大丈夫だ。期間は腐るほどあるし、ソレも腐るほどある」

「へぇ……」

もはやぼくのスケジュールなどガン無視である。それが哀川さんらしいといえば、これ以上なく、らしい。
ぼくは、哀川さんの言葉に若干ではあるが、この写真に写る探し物に興味が湧き、少しその学園都市なる場所に思いを馳せてみる。
戯言だけどね。

「でも、何であいか……潤さんが直接行かないんです?」

「ちょっと別の依頼と被っちゃってなぁ……長期になりそうなこの依頼と平行してやる訳にはいかなくて……」

「それで、ぼくを利用すると」

「ひっでーな。利用なんて言うなよ。持ちつ持たれつ縺れつつ……ようは助け合いだよ、助け合い」

こんな一方的な助け合いもないと思うが、それを口に出すことはしないでおこう。
なんか哀川さんの表情はにこやかだけど、依頼の話に触れたら若干不機嫌になってるし。
それなりの付き合いを経て、多少の感情なら読めるようになってきたぼくである。特に怒りには敏感だ。
56 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:07:10.31 ID:tXb8y70z0
「わかりましたよ。どうせもう手続きも済ましてるんでしょう?それなら戯言遣いは流れ流され働きましょう」

「お、さっすがいーたん!お礼は千賀ひかりの声帯模写でのマニアックプレイでいいかな?」

「おいやめろ」

強い口調で静止したぼくに「相変わらずこの手の冗談が通じない奴だな」とウインカーを点滅させる哀川さん。
気が付けばもう高速の乗り口だった。

「そういえば、東京なんですよね、そこ」

「ああ。片道三時間ってとこかなぁ」

「いや、どんだけ飛ばすつもりなんですか」

「あたしが走れば一時間で到着するけどな」

「それは無理でしょう……いや、無理ですよね?」

この人なら実際にやりかねないから、たちが悪い。

「それじゃ、めくるめく超能力の世界へ言ってみようか」

料金所を通過し、本線に乗るやいなやアクセルペダルをベタ踏みし、哀川さんは楽しそうにそう言った。

哀川潤。
真っ赤な人類最強の請負人は、ハードボイルド映画の主役のような、ニヒルな笑みを浮かべていた。

57 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:07:49.01 ID:tXb8y70z0


そんな事情でこの学園都市にやってきたぼくは、流れるように編入手続きを済ませ(本人確認が必要な書類だけは残っていた)
流れるように寮へと引越し、流れるように転校生として紹介され、流れるように七日間を過ごしたのである。

「夏休み一週間前に転校生なんて可笑しな話だろ」

回想が終了し、色々と突っ込みたい所はあるものの、とりあえずそう呟いておいた。
とにかく一週間、ぼくはこの学園都市の技術レベルに驚きながらもなんとかこうして生きている。

いや、別に脱出不可能な孤島に居るわけでも、連続通り魔殺人の犯人に合ったわけでも、
狂った研究施設に居るわけでもないので、生きていて当然なわけなのだが。

自動で町を清掃するロボットや、実用レベルで使われている巨大風車の数々や、
的中率百パーセントの天気予報にも驚いたが、それよりも驚いたのが超能力の存在だった。

超能力。

それはテレビで見かけるスプーン曲げや、伏せられたトランプの数字を当てるというお馴染みのものから、
発火能力、瞬間移動、水流操作、電撃使い、などなど、フィクションの世界でしか見たことのないものまで、この学園都市の学生は使用できる。
というか学校の授業の中に、開発という物騒なものが混じっている辺り、決してあの研究所と変わりは無いのかもしれない

だが全員が能力を使えるわけでもないらしく、その多くは無能力者という分類に分けらており、身体検査と呼ばれる調査によってその強度が判明するらしい。
レベルは0から5までの五段階で評価され、レベル5までいくと軍隊と渡り合えるほどの強度になるそうだ。

ちなみにぼくも手続きの際に検査を受けたが結果は見事に無能力者だった。
58 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:08:32.50 ID:tXb8y70z0
実際に隣人であり、クラスメイトとなった上条くんに学園都市の案内をしてもらっている時にその内の一人と遭遇したことがある。
レベル5の電撃使い。
その姿こそ可愛らしい女子中学生だったが、うん。これ以上の説明は止めておこう。
思い出すだけでも身震いしてしまう。

そんな訳で、ようやくこの町に慣れてきたぼくだけど、一向に探し物を見つけ出すことが出来ていなかった。
いや、それに限りなく近いものなら見つけたのだが、あの時の哀川さんから受けた説明を参考にすると、どうやら違うらしい。

「さて、どうしようか」

そんなことを呟いてみる。

夏休みといえど、この町に引っ越してきたばかりのぼくは出歩こうとも思わないし、かといって遊びに行くような友人もいない。
なので、絶賛暇人である。

エイトクイーンでもやろうかと、目蓋を下ろすがいかんせん暑さのせいで集中が出来ない。いや、元より集中力があるわけではないのだけれども。
と、暇を持て余した戯言遣いの遊びを展開しようとした時、隣の部屋から「あれぇぇえええええええええええええええええ!?」という絶叫が聞こえてきた。
なにやらまた、上条くんが不幸に見舞われたのだろう。

彼に出会ってから一週間だがその間にも様々な不幸体質っぷりを見せ付けてくれた。

鳥にフンを引っ掛けられたり、不良に絡まれたり(こちらではスキルアウトと呼ぶらしい)
財布を落としたり、自動販売機にお金だけを飲み込まれたり、前述した少女に追い掛け回されたりと、
散々な生活を送っている。
59 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:09:09.67 ID:tXb8y70z0
ぼくは数秒考えてから様子を見に行くことにし、立ち上がり、玄関を出て、直ぐ隣の部屋のドアをノックもなしに開く。
開いてからノックをし忘れたことに気が付くがもう遅い。

というか、もう終わっていた。

リビングまでの扉は全て開放されており、ぼくの目には余すとこなく惨状が飛び込んできた。

「あぁ!いーさん!これは違う!五階だ!いや誤解なんだ!止めて!普段より死んだ目で死んだ魚を見るような目は止めて!
ちょ、ちょっと携帯を取り出して何をやってるんでせう?警備員?警備員へ通報するつもりなのか!?止めろ!止めてくれぇぇえええ!!」

必死になって弁解をする上条くんだったが、残念ながら言い逃れは出来ないだろう。

「だって、上条くん。その目の前で仁王立ちしているのは……」

「だからこれはですね……」

そんな混乱状態の上条くんを他所に、それは未だにドヤ顔で仁王立ちを続けている、
まるで彫刻のような白い肌のそれは――

全裸の青髪の少女だった。
60 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 02:17:17.31 ID:tXb8y70z0
今日はこれで終わりです。
口調ってこんな感じでしたっけ?
とにかくちゃんと原作読み返しながらこれからやっていきたいと思います。


言葉遊び?なにそれ
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 02:21:35.17 ID:if9gIZXdo

たまたま見に来たら本編始まってた
修正前の人物紹介にいないからまさか出ないのかと思ったけどいきなり哀川さん出てて嬉しい
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 06:44:12.69 ID:yBJG/H1DO

再構成もの?
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/20(日) 07:15:54.16 ID:pwr6nuzAO

面白いが、いーちゃんに関して一つ言わさせてくれ


な ぜ 女 装 を さ せ な か っ た
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 08:41:42.62 ID:VzALWNNDO
いーちゃんは基本目上の人間以外は下の名前で呼んでるし、
当麻くんって呼ばせるべきじゃね?
いや違和感ぱないけどさ

内容は超期待してます

後姫ちゃんが出ると嬉しいな!
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 10:20:12.96 ID:U5M7gOUko
やっぱおもしろいな

しかしこれは時間かかりそうだな
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 10:58:00.98 ID:k/l/uohAO
>>64
>>いや違和感ぱないけどさ

すげー違和感感じてるじゃねえか……
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 10:59:42.12 ID:AGk/r8GS0
>>66
金田一のトリックみたいなことを…
俺はツッこまねーぞ!
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 11:44:00.51 ID:m18oBYFAO
>>63
サイコロジカル後って髪切ってなかったっけ?
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 11:50:23.28 ID:mhr0NS6AO
>>57
レベル0からレベル5って六段階じゃね?
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 13:27:48.53 ID:VzALWNNDO
>>66
いや、いーちゃん側は問題ないんだよ
問題は上条さん側
男に当麻くんって呼ばれる上条さんって違和感すごくね?
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 13:35:39.87 ID:/a/oLlkDO
>>69
不吉だから4は無いんだよ、多分
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 14:49:41.40 ID:if9gIZXdo
年齢詐称してるから合わせてるんじゃね
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/20(日) 17:24:16.77 ID:pwr6nuzAO
女装できて尚且つ高1で通る顔立ちか……

あわきんがアップを始めました
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 18:01:30.97 ID:WvowL6RP0
>>73
ショタにも色々あってだな・・・
わかりやすく言うとロックマン派か熱斗派かなんだよ
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 18:31:11.90 ID:RBDvj4qAO
インなんとかさんってアニメだと青髪だけど原作じゃ銀髪って描写だった希ガス
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 18:50:24.49 ID:TFvvl0pDO
支援するしかないよね。戯れ言だけど。
77 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/20(日) 19:41:57.13 ID:0ZyPqOk70
>>64
上条さんの呼び名はこれでいくつもりです。
玖渚的な意味で。

>>75
確かに禁書原作では白髪というか銀髪設定ですが、このssでは青髪設定です。
僕様ちゃん的な意味で。

戯言知らない方にも分かるように上野二つはいずれ作中で説明はしますので。


そして五段階の下りは完全にミスです。すいません。
誤字もあるので気を付けますorz


それでは今日は23時頃までには投下したいと思います。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/20(日) 20:10:02.32 ID:pwr6nuzAO
待ってるぜ
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 20:14:36.98 ID:VzALWNNDO
>>77
>>64
> 上条さんの呼び名はこれでいくつもりです。
> 玖渚的な意味で。

納得した
野暮な突っ込みしてすまんかった
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/20(日) 23:35:34.48 ID:AGk/r8GS0
>>74
わかりやすすぎる
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/20(日) 23:55:17.47 ID:MCL5PhJW0
いつでもドゾー
82 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 00:17:46.83 ID:FZHgYO1i0
遅くなりましたが、これより投下します。
83 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/02/21(月) 00:18:38.05 ID:FZHgYO1i0


「へぇ、それで君はベランダに引っ掛かっていたのか」とぼく。

「そうなんだよ!あなたはこの人と違って話が分かる人かも」と青髪の少女。

「それにしても魔術……ねぇ。超能力だけでも驚きなのにそんなものまで用意されてるとは。流石は学園都市」とぼく。

「いや、魔術は違うんだけど……」と上条くん。

あの惨劇から数分が経ち、ぼく達は上条家のリビングに円を描くようにして座り三人がそんな話をしていた。

上条くんの右手の力によって布地に戻ってしまった修道服を、安全ピンで何とか修復し(上条君はアイアンメイデンと称していた)
着用した少女からいきさつを聞き、ぼくは「一応信じている」という、そんなリアクションをとってみた。
すると自分の言っていることを信じてもらえたことが嬉しいのか、現在少女は満面の笑みを浮かべながら「魔術結社」だの「十万三千冊の魔道書」だのと説明をしている。
ちらりと上条くんへ視線を移せば深い深い溜息をついている、ちなみに彼の体の数箇所には少女の歯形がくっきりと残っていた。

「そうだ、いーさん。上条さんは補習に行かにゃならんのですよ」

わいわいと話す少女と、それをただ聞き流しているぼくの会話に割り入って上条くんがそう言った。
あぁ、確かに上条くんは成績や出席日数が芳しくなかったな。
通っている大学をしょっちゅう休んでいるぼくに心配されたくもないだろうが。

「あの先生?」

「あの先生」

たった一言で会話を終了させるぼく達についていけない少女は小さく首をかしげているが、説明するほどのことではないのでそれについては触れないでおいた。
あの、なんというか。容姿から、性格まで独特な特徴をもつ先生が、ぼくはどうも苦手だった。
おはようからおやすみまで生徒へ気をかけているのもぼくと上条くんの担任教諭、月詠小萌先生。

「っと……これ以上ここに居たら遅れちゃうな。どうする、まだここに居るか?」

「あの……私も行くよ」

立ち上がる上条くんに次いで少女も立ち上がる。修道服にくまなく刺された安全ピンが一斉に揺れ動く様子はとてもシュールだ。
84 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 00:19:43.83 ID:FZHgYO1i0
「べつにもうちょっと休んでてもいいんだぞ?インデックス」

上条くんが少し真面目な表情の少女を気遣うようにそう言った。

インデックス。

それが彼女の名前らしい。いや、どう考えても偽りのそれだが、とりあえずここはそう呼んでおこう。
とにかくこのインデックスちゃんは何者かに追われているそうだ。
その相手が少数なのか、大人数なのかは分からないが「連中」といっているので複数人はいるのだと思う。
だからこそ余りここに長居はしたくないのだろう。

当然、こんな眉唾モノの話など徹底的に現実的にリアリストなぼくは信じることはないのだろうが、
事故頻発性体質並びに優秀変質者誘引体質のトラブルメイカーと称されるぼくと、
不幸頻発性体質並びに優秀厄介事誘引体質の超絶不幸少年と称される上条くんが呼び寄せてしまった彼女に、何もないはずがない。
実際にベランダに引っ掛かっていたのは事実だし、学園都市の人間ではないし、なにより異能の力で作られた修道服に身を包んでいるのだ。

認めたくはないが、インデックスちゃんは確実に何かしらの事情を有しているということを、ぼくは理解してしまった。
恐らく、彼女の話した内容は事実だと。

「まぁそう慌てずに、もうちょっとお喋りしようよ」

だから、ぼくは彼女を引きとめた。
なんでこんなことをしたのかは分からない。

可哀相だと同情しているのか。
不幸な少女だと哀れんでいるのか。
なにかしてやりたいと使命に燃えているのか。

それとも単純に彼女が青い髪だからなのか。

そんなことは、ぼくには分からなかった。
85 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 00:22:29.55 ID:FZHgYO1i0
「……いい。出てく」

ほんの一瞬であるが、何かにすがり尽きたそうな目をぼくに向けた後、すぐに無邪気な笑みを浮かべ玄関へと向かっていった。
普通ならそのままさようならだが、なぜだか今日に限って往生際の悪いぼくは素直に帰す気にはなれない。
やれやれ、こんな手は使いたくはなかったんだけどな。

「ぼくの部屋の冷蔵庫には沢山の食べ物があるよ」

ピタリ、とまるでインデックスちゃんだけ時間が停止したように動きが止まる。
なるほど、上条くんから痛んだ冷蔵庫の食材を全て食べきったという情報は正しいようだ。
たぶん。インデックスちゃんは、食べ物に目がない。

「そうだな、偶然にも手に入った最高級の牛肉(哀川さんの置き土産)もそのままだし、京都名物八橋(みいこさんからの仕送り)もある。
それに名古屋名物ういろう(姫ちゃんから返却されたお土産)も残りがあるし、昨日買ったアイスもそのままだったな。しょうがないあれは
ぼく一人でどうにかできる量じゃないから、今日の夜あたりに上条くんの部屋でパーティーをしようか。ほら隣の住人もお誘いあわせの上で
って感じにしてさ」

ゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえてくると同時にまるで地震のような腹の虫を鳴かせるインデックスちゃん。
ここまでくれば落ちたも同然だ。

「本当はインデックスちゃんと一緒に食べようかと思ったけど、行っちゃうならしかたないよね。上条くん、夜にここで」

「ちょーーーーーーーーっとまってほしいかも!!」

ぼくの言葉を完全に遮ってインデックスちゃんがリビングへと戻ってきた。いやダイブしてきたと表したほうが正しい。
まるでブラックバス並みに食いつきの良いこの娘に呆れながらも、よくここまで逃げて来られたものだと感心した。
警戒心無さ過ぎるだろう。

「確かにもう行くとは言ったけど、よくよく考えればそこまで焦る必要はないのかも!急がば回れ、腹が減っては戦ができぬっていう
言葉もこの国が発祥なんだよ!だから郷に入っては郷に従えの精神に則ってあなたの家にお邪魔するんだよ!」

こうして、こんな寸劇の後に、
誰かこのシスターに親しき仲にも礼儀ありという言葉を教えてやってくれ、という呟きを残して上条くんは補習へと向かい、
ぼくら二人はぼくの部屋で朝っぱらから焼肉パーティーを催すこととなった。
86 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 00:29:28.22 ID:FZHgYO1i0
ちょい休憩します
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 00:44:34.94 ID:tEavIu6eo
さすがインデックスさん
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 00:47:56.79 ID:UShiEmszo
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 01:09:34.50 ID:yG+xYW5Mo
序盤のシリアス入りかけの部分をこうしてしまうとは・・・

これが戯言使いの力か・・・
いや否ロインの力か・・・
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 01:12:18.54 ID:a3Y0i/uT0
凄く面白い!
続き楽しみ!!
91 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 01:37:32.40 ID:vszu+gxA0


「それじゃあ、話を聞かせてもらおうかな」

テーブルの上で幾重にも積み重なっていた食器の最後一枚を洗い終え、ぼくはベッドに腰を下ろしテーブルを挟んで床に座るインデックスちゃんへと問いかける。
来客用の食器など、ろくに揃えていないぼくだったがまさか全てフル出動させる時が来るとは思っても居なかった。
ちなみにインデックスちゃんは本当にぼくの冷蔵庫の中身を空にし、とても幸せそうな光悦の表情を浮かべている。
さて、事が終わったら上条くんに教えてもらったスーパーに行かないといけないな。

「ええと、でもさっき話したことで私の事情は話しきっちゃったよ」

口元をティッシュで拭きながらインデックスちゃんは「これ以上何を話すのかな?」と言いたげに首を傾げる。

「ああ、ごめんね。ぼくが聞きたいのはそんなことじゃない」

そんなこと、と自身の抱える事情を表されたことに苛立ちを感じたのか、眉間に皴を寄せ、頬に空気を溜め込み膨らませるインデックスちゃん。
恐らくは起こっているのだろうが、残念ながら全くもって迫力が無い。リスみたいだし。

ぼくは本棚の上に置いていたシャープペンをとると、一冊のノートを取り出しメモを書く体勢をとる。
カチカチとシャープペンの頭をノックする音だけが、室内に木霊する。

「ぼくが聞きたいのは君のことだ」

彼女が抱える事情ではなく、彼女自身の事。

「君が追われていることや、魔術師がどうとか、歩く教会が壊れただとかはぼくの興味の対象外でね。それよりも君自身の事を聞いてみたいんだ。
まぁ話したくなければ無理に聞こうとはしないけどもね」

シャープペンの頭を押したまま芯を押し戻し、また二回、頭をノックする。

カチカチ。トン。
カチカチ。トン。
カチカチ。トン。

今、この部屋には規則的に流れる不規則なリズムだけが響いている。
92 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 01:38:27.22 ID:vszu+gxA0
なんでこんな事をしているのかというと、言ってしまえば雰囲気作りのためだ。
狭い室内で一対一、それも初対面の人間という状況下、人間が抱えるストレスはかなりのもので、さらに聞かれたくない事を訊ねられたら尚更。
そしてぼくは追い討ちをかけるためにシャープペンの芯を出したり、戻したりしている。
こういった相手の動作一つで「話さなくてもいい」という言葉を聞いたとしても「話さなくてはならない」という気持ちに陥らせることが出来るのである。
無言の重圧、強迫な脅迫。

「それに当たってメモを取らさしてもらうけど、いいね」

ぼくの言葉にコクリと頷く。
これで、彼女は全てを話してくれるだろう。

「生まれは?」

「ロンドンらしい。さらに言えば聖ジョージ大聖堂の中で育ってきたらしいんだよ」

「君の名前は?」

「インデックス」

「本名?」

「たぶん、違うかも」

「自分の名前なのに分からない?」

「うん。記憶が無いから」

「……記憶が無い」

「こっちに来た時……一年前より以前の記憶がなくなっちゃてるからね」

「だから、曖昧な返事なのか」

「路地裏で目を覚ました時は、なにも分からなくて。それでも魔術師とか禁書目録だとかが頭の中を回ってて……」

その時の状況を思い出したのだろう。
インデックスちゃんは笑顔を浮かべているが、それはぼくにでさえ嘘であると見抜けるほど雑なものだった。
93 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 01:40:14.39 ID:vszu+gxA0
「そっか。誕生日とかも?」

「分からないんだよ」

ノートにビッシリと埋まるくらい質問をしようと思っていたのだが、どうも尋問をしているようで気が進まなくなり、
記憶喪失で誕生日すら分からない、と大きく見開きで殴り書いてノートを閉じた。

「うん。じゃあこれで質問は終わり」

ぼくはそう言うとベッドへ倒れ天井を見つめるようにする。
今となっては食料を全滅させてまでこんなことをした理由が分からない。
そのままチラリと彼女を見ると、ぼくと同じように天井を眺めていた。

「天井の柄が少し違うんだね」

「え?」

突然、そんなことを言い放つインデックスちゃんに思わず聞き返してしまう。

「あの人とあなたの部屋の天井の柄が、微妙に違うんだよ」

「へぇ、気が付かなかったな。記憶力がいいんだね」

それにしても、無駄に凝った作りだな。
普通こういうのはパターンを同じにして材料費なんかを浮かすもんじゃないのだろうか。

「なら、私はもう行くね」

ぼくがこのマンションの建築した業者について考えを巡らせていると、インデックスちゃんは立ち上がり言った。
その言葉には今度こそさよならというニュアンスが含まれている。

「教会まで行くんだろ?追われてるのならぼくが送って行ってやろうか。放っておけないよ」

少し、社交辞令的な物言いになってしまったが、ぼくは玄関へ向かう彼女へと言葉を投げ掛けた。
そして彼女から返ってきた言葉。

「……じゃあ。私と一緒に地獄のそこまでついてきてくれる?」

それは暗に、こっちへ来るなという事を示した、拒絶の言葉だった。
94 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 01:41:09.74 ID:vszu+gxA0
同じように笑顔を浮かべるインデックスちゃんだけども、浮かべているつもりなのだろうけども、そこからは諦めしか伝わってこなかった。
この世に絶望するでもなく、非難するわけでもなく、ただ諦めている。
記憶が無く、何者か分からないものに追い掛け回され、ただひたすらに彷徨い続ける子羊のように生きる彼女にとって、一年という時間は
全てを諦めるのには長すぎた時間なのだろう。
強者の知識だけを持った子羊は、ただひたすらに献身的に逃げ惑う役目を全うするだけだ。

不受理を、不合理を、不安を、悲しみを、苦しみを、苛立ちも、みっともなさも全て受け入れて。
また彼女は不確定な人生を演じていくのだろう。
もはや神に仕えるシスターどころか、ただの道化だ。

ぼくの周りにはいない種類の彼女。
ぼくの周りにはいられない種類の彼女。
ぼくの周りには居てはいけない種類の彼女。

だから、ぼくはこう言った。

「地獄の底までと言ったけれど、ぼくにとっては生きていることが既に地獄だからね。きっと君が言う地獄の底というのはぼくにとっての楽園さ」

目を丸くするインデックスちゃん。
理解が出来ないという感じだ。

「君が本当について来て欲しくなければはっきりと拒むといい。さっきみたいな言葉を選択するとぼくは喜んで付いて行っちゃうだろうね」

「……あなたは変わってるね」

「ベランダに引っ掛かっていた暴食シスターよりはマシだぜ」

ぼくがそう言うとインデックスちゃんは「それもそうかも」と楽しそうにケラケラと笑い、真っ直ぐぼくを見つめた。
緑色のまるで宝石のような光を放つその両目は、いささかぼくには眩し過ぎる。

そして、彼女はゆっくりと口を開いた。
その答えは余りにも予想通りで、余りにも予測通りで少し拍子抜けだったけれでも、ぼくはそれに従うことにした。

だいたい、ぼくが誰かを助けようなどと思うこと自体が間違いで、ぼくが誰かを救えるなどと勘違いすること自体が罪だ。
それに彼女が隣の部屋に忘れていったであろうフードの存在が、きっと彼と彼女を引き合わせるだろう。
だからぼくはその時、力になれることなどはない。
せいぜい事の顛末を語ることぐらいだろう。

ぼくはそこまで考えて、壊れていたエアコンのことを思い出し修理を頼むことにした。
携帯電話で学生寮の管理業者へコールをしているなか、ぼくは小さく呟いた。

「戯言だけどね」
95 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 01:45:20.38 ID:vszu+gxA0
これ今日は終わりです。
いやぁ再構成ものは難しいですね。いーちゃん動かすの難しい。
口調とか大丈夫だろうか。

それじゃ、また明日来ますねー
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 01:47:28.40 ID:a3Y0i/uT0
おつです!
明日も楽しみだ
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 02:02:47.04 ID:DoouKrOPo
この中二臭さ
間違いなく西尾維新
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 02:09:45.32 ID:07JKeG9AO

なんという西尾

これはステイルとの戦いに期待だな
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 02:12:56.65 ID:gzbhz88A0
乙ー
ったく、こんな夜中まで起きてた甲斐があったぜ
もっとも、今日はオールだろうけど
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 06:44:37.70 ID:6y/e1SVDo
未だかつてここまで西尾維新を忠実に再現した作品が存在しただろうか
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 17:09:11.11 ID:07JKeG9AO
なぜだろう。インさんが死ぬ予感しかしないのは
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 18:07:02.34 ID:DoouKrOPo
禁書のキャラは大体戯言で死にそうだよね
103 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 21:09:39.44 ID:ar2tQLPc0
お疲れさまです。
今から書き溜めていきますので日付が変わる頃には投下できるかと。


それにしてもめだかの副会長戦終わるの早すぎワロタ
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 21:31:12.73 ID:07JKeG9AO
まっとるよー

しかし不慮の事故とはなんだったのか
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 22:10:47.00 ID:6zjPSp9do
まってますぜ

つーかアレでいいなら投げ飛ばせばよかっただろ
改心オチかと思ったら
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 22:23:45.62 ID:00V2/sF00
過負荷発動させないようにな

日之影応援隊の中にどうみても学園生活を乱すような奴が
混じってるがありゅなんだ?
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 22:27:45.84 ID:agyaBM6l0
>>104
まさか、ベクトル操作……?
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 22:33:08.83 ID:00V2/sF00
「ありゅなんだ?」キリッ
俺が発動してた...orz
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 22:33:49.06 ID:jphgMAWDO
不良を全員排除する学校もつまらんだろ。
たぶん仲間とつるむぐらいの不良なんじゃないかな。
110 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 23:05:26.46 ID:Rv4kuMNQ0
お疲れさまです。少し体調が芳しくないのでかなり少量の投下になります。
111 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 23:06:49.39 ID:Rv4kuMNQ0




七日目(2)―――――――超電磁砲

登場人物
御坂美琴 超能力者




112 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 23:07:30.49 ID:Rv4kuMNQ0
0

風が無いなら電気で風車を回せばいいじゃない


113 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 23:08:18.17 ID:Rv4kuMNQ0
1


現在の人類、特に先進国に必要不可欠なものといえば電気である。
生きていく溜めには電気が必要で、発電をするために様々な資源を消費して生きている。
蛍光灯も、エアコンも、パソコンも、テレビも電気があっての物である。
仮に今ここで電気が無くなればどうなるだろう。
信号は消え、工場のラインは停止し、電子上で行われている取引は全滅、そして町からは灯りが消える。
本来夜行性ではない人間が時間を気にせず日が沈んでも行動ができるのは電気の恩恵によるもので、
それが無くなれば人々の生活レベルは大昔の頃まで落ち込み、発展は止まるだろう。
つまり電気は偉大であり、電気が無ければ生きてはいけないのだ。

「これだけ持ち上げれば好かったかな」

「何か言った?」

「いえ、何も」

朝の公園のベンチにぼくは腰掛けていた。

朝の爽やかな公園に設置されているベンチに座り、ぼくが電気の有り難さを実感していると、横に座る栗色の髪の女子中学生が缶ジュースを片手にぼくを睨んでいた。
ちなみに銘柄は恐るべきことに「イチゴおでん」である。
そして、彼女が発する威圧感に思わず敬語になってしまうぼく、大学一回生(現在は高一)。

「全く、アンタが居るからあのバカも一緒に居ると思ったじゃないの」

「あのバカって?」

彼女と遭遇した時に一緒に居た人物を思い返してみると、「あのバカ」とは恐らくは上条くんのを指しているのだろうが、
あえて分からないフリをしてみる。
するとどうだろう。みるみる内に顔が紅潮していくので照れているのだろうかと思ったがどうやら違う。

「あのバカはあのバカよ!ツンツン頭のムカつく右手のあのバカのことよ!」

怒っていた。そりゃあもう無茶苦茶怒っていた。
確かに初対面の時も上条くんに何かを言われて同じように激昂してたっけ。
いったい彼はこの娘にどんな恨みを抱かれているのだろうか。
よし、ここは一つ彼女を嗜めて上条くんの代わりに高感度を上げておいてやろう。

「まぁ、人のことをそんなに馬鹿にするもんじゃないよ。真琴ちゃん」
114 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 23:09:33.53 ID:Rv4kuMNQ0
「…………」

おや、どうして無言でぼくを睨みつけているんだ?
彼女はあれか、キレやすい最近の若者というヤツなのだろうか。

「おいおい、真琴ちゃん。少し気に入らないことを言われただけで怒るなんて忍耐力が足りないんじゃないかい?カルシウムはちゃん
 と取った方がいいぜ。ちなみにぼくはムサシノ牛乳がお勧めだ」

「…………」

ふむ。どうやら怒りは収まらないようだ。フルフルと震えている辺り、むしろ悪化したとも言える。
今の話の流れでぼくに過失があるとは到底思えないが、何かしら彼女の神経に触れてしまうワードでも言ってしまったのだろう。

「それに、上条くんから聞いたけど、君の通う中学校はかなりのお嬢様学校らしいじゃないか。折り目正しく、慎ましく、お上品って
 のがお嬢様の条件だとぼくは思うね。ああ、かといって孤島に住んで金にモノを言わせて天才を呼びつけるようなお嬢様なら付き合
 いを考えるけど、君は違う。なんたって学園都市に七人しか居ない超能力者の第三位なんだろ?」

嗜めて駄目なら褒めてやればきっと分かってくれるだろう。古今東西、古くから押して駄目なら引いてみろ、ってよく聞くし。

「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
 …………………………………………………………………………………………………………………………………………………
 …………………………………………………………………………………………………………………………………………………」

あれ、ついに漏電し始めたぞ。
バチバチと前髪の辺りで青白い小さな光が瞬いている。

「な……」

ようやく彼女が何かを口にしたので、ぼくは名前を呼んで先を促す。

「どうしたの?御沢真琴ちゃん?」

そこで、稲妻が降り注いだ。
115 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 23:10:57.18 ID:Rv4kuMNQ0
「名前が間違ってんのよ!アンタはぁぁぁあああああああああ!!」

雄叫び(女の子だが)をあげながら無数の稲妻をぼくに降り注がせる彼女のおかげで、稲妻を避けるために転がりながらもようやく過失に気が付いた。
そうか、名前が間違っていたのか。

「えっと、真琴じゃないなら……尊ちゃん?」

「漢字が違う!!美琴よ美琴!!さらに言わせてもらえば名字も御沢じゃなくて御坂よ!!」

ご丁寧に間違いを修正してくれる美琴ちゃんだが、攻撃の手は休まない。
この電撃が直撃すれば、正直洒落にならないぞ。

「あーごめん。ぼくは記憶力が良い方じゃないんでね。というかその物騒な電撃を止めてくれないかな」

「っは!」

そこでようやく電撃の雨が止む。上条くんにするようにされては命が幾らあっても足りやしない。
ぼくは彼と違い正真正銘の無能なんだから。

「ご、ごめんなさい……」

電撃を無効化できないぼくに対して攻撃したことに罪悪感を感じたのか、少し焦りながら謝罪する美琴ちゃん。
ぼくの周りの地面が何箇所か焼け焦げて煙を上げている。おい、そんな威力で電撃を放ってたのかよ。

「いや、いいんだよ。誰にだって間違いはあるさ」

服に着いた汚れを払いながら立ち上がり、気にしないで欲しいと美琴ちゃんに告げる。

「あれ?なんで私が悪いみたいな雰囲気になってんの?」

「過ぎたことは気にするもんじゃあない。人間は次を見て生きるから人間なんだぜ」

「……やっぱりアンタもアイツと同じね」

「むかつく」と学園都市が誇る最強の電撃使い、レベル5の第三位である御坂美琴はそう呟きながら再びベンチへ腰を下ろした。
116 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/02/21(月) 23:12:56.88 ID:Rv4kuMNQ0
以上です。

いーちゃんがなんか違う。
西尾文体難しい。
話が進まない。
頭が痛い。

寝ます。
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 23:16:30.00 ID:6zjPSp9do

おやすみなさい
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 23:42:53.89 ID:gzbhz88A0

無理は禁物
オレのいちもt[ブーンブン釈迦ブブンブンブンwwwww]
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 23:48:53.00 ID:17GdMYI1o
うまそうだろ?俺の豚骨[らめぇぇっ!]ん
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 01:33:15.66 ID:oYemgShDO
面白いな
更新も速いし
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 01:51:59.04 ID:i7nHUikY0
「いつまでも俺の過負荷をギってるんじゃあねぇーーーッ!おれは攻め!きさまは受けだ!!」
「おまえが受けだ!球磨川ッ!おまえがこの教室にいれば『大嘘憑き』を何に使おうと もう何も問題はないッ!」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 04:44:42.69 ID:0vnVY608o
「安心院さんだ…二度と間違えるな!私の事は安心院さんと呼べ!安心院副会長でも安心淫さんでもないッ!」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 05:09:59.06 ID:i7nHUikY0
「マヌケが…思い知るがいい………「オールフィクション」の真の能力は…まさに!「世界を終わらせる」能力だということを!」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 09:44:50.86 ID:IjOSALEDO
夢の世界に入ってきた時点で『大嘘憑き』を無かったことにした
やれやれ、さすがの球磨川くんも夢の中では自由には動けないってとこか・・・
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 12:30:44.20 ID:oX8ZfwSpo
何でジョジョネタ祭りになってんだ
前スレからの伝統?
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 12:40:49.98 ID:XxgamxFIo
戯言シリーズはジョジョネタが多い
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 12:43:51.35 ID:VXRbN/iIO
きてた
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 12:52:22.09 ID:nSq9/ThDO
>>1の過負荷は時折顔を見せてるが、いつもより大人しいな
ハイロウを付けられるようになったのか?
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 13:44:06.13 ID:H6slq7qAO
戯言的に言えば>>1は「謝る文豪」って感じの二つ名だな。
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 15:15:32.90 ID:PoTaUg8J0
しばらくこないと思ってたのにもう続編が始まっているとは・・
恐れ入ります【誤字脱字】さん。
131 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 15:23:20.80 ID:sj8Cpjs60
体調不良で休みを頂いたのでこっそり投下
132 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 15:25:51.33 ID:sj8Cpjs60


さて、どうしてぼくが美琴ちゃんとこうして公園のベンチで談笑(?)しているのかというと、特に面白い理由などは無い。
今朝の騒動の後、エアコンの修理が午後になるという管理業者の言葉を聞いてあのサウナのような部屋には居られないと思い散歩にでたところ、
美琴ちゃんから話しかけてきたのである。
ちなみに第一声は「アイツはどこに居るの」だった。

だからぼくは電気の有り難味について考察していたわけだし、彼女の凶暴さはファーストコンタクトの時点で充分過ぎるほど把握していたので
ああやって下手に出ていたのだけれども。

「あれを下手に出ていた、って言うのなら、アンタは一度中学校からやり直したほうがいいわよ」

「それはあれかい?遠まわりにぼくを馬鹿にしているのかな」

「近道で馬鹿にしてるのよ」

落ち着きを取り戻した美琴ちゃんと再び会話を進める。こうしている分には普通の中学生に見えるんだけど、実際は人間発電機だもんな。

「で、あのバカその一は一緒じゃないのね。その二さん?」

「苑丹さん?そんな名前の知り合いは居ないけど、ひょっとして近くに居るのかな?」

「……はぁ。そう言えばアンタの名前も知らないのよね」

そう言えば一方的に美琴ちゃんの情報を聞いただけで、自己紹介などはしてはいなかった。

「好きに呼んでくれればいい。《いーちゃん》、《いーたん》、《いっくん》、《いの字》、《いーさん》、《いのすけ》、《師匠》、
 《無為式》、《お友達》それに《戯言遣い》に《詐欺師》かな。まだもう少し呼び名は有るけど……ここは省略しよう」

「本名らしきものが一つもないんだけど」

「ぼくは他人に自分の名前を教えたことが一度しかなくてね。いっそそれを誇りに思ってるんだ。それにぼくを本名で呼んだ人間は三人しか、
 いや三人もいたけど、例外なく生きてはいない」
133 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 15:26:50.97 ID:sj8Cpjs60
「生きてない……?」

「そう、生きてはいない。というか有り体に言えば死んだよ」

「……随分と冷静に言うのね」

「言ったろう?人間は次を見るから人間なんだって」

だから、ぼくは人間じゃないのかもしれないが。
美琴ちゃんはまるで値踏みをするようにじろじろとぼくを観察している。

「ふぅん。じゃあ私もアンタの事は《いーさん》って呼ぶわ。呼ぶ機会があればだけどね」

「《あのバカその二》っていう呼称じゃなければ、どんな呼び名でも構わないさ。それに君とはこれからも何度か顔を合わせることになるだろうしね」

「そうね、学園都市は広いけど、各学区自体は狭いから」

「いや、ぼくが言ってるのはそういう意味じゃないんだけどね……ま、いいや。上条くんは一緒じゃないよ、補習だのなんだので今頃は学校さ」

きっと青髪のクラスメイトも居るのだろう。二人そろって小萌先生を困らせている姿が用意に想像できた。
134 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 15:27:39.53 ID:sj8Cpjs60
「ほんっとうに、バカだったのね……」

空を仰ぎ、溜息混じりにそう呟く美琴ちゃんは、哀れみの表情を浮かべていた。

「それじゃ、アンタは一人で何してたのよ」

「ただの散歩だよ。まだこっちに来て日が浅いからね。それに何故かエアコンが壊れてて、涼しい場所を探してたところさ」

「えっ……」

ビクっと体を振るわせる美琴ちゃん。

「いや、昨日の夜に停電があったらしくてね、その時にどうやらエアコンだけ壊れちゃったみたいなんだ」

ちなみに上条くんの部屋の電子機器はほぼ全てが全滅したそうだ。

「は、はははは。そ、そう停電ねぇーそれは、ふ、不幸じゃないの……」

声が上ずっている。どうかしたのだろうか。

「あぁーそういえばこれから黒子……後輩と病院に行かなくちゃ行けないんだった!そうだすっかり忘れてたなぁ!!それじゃ、いーさん。私はもう行くわ!」

それだけを言い残すと彼女は勢いよく立ち上がり、飲み干したジュースの空き缶を語め箱へ投げ入れ、あっという間に走り去ってしまった。
その後姿を眺めながら、ぼくは今度美琴ちゃんに会ったら、あることを忠告してやろうと心に決めた。
仮にも彼女はお嬢様で、超能力者なのだ。

カエル柄の短パンは、止めておいたほうが良いだろう
135 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 15:31:37.56 ID:sj8Cpjs60
とりあえず七日目(2)終了です。
また書き溜めて夜ごろ投下します。
次はいよいよ魔術師登場予定。なんど構想してもノイズ君扱いしかできないので、考えて書いてきます。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 15:34:39.43 ID:68R71WnAO
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 15:41:21.32 ID:lgUkZiYb0
そんな忠告したらまた美琴さん放電しちゃう
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 15:49:55.10 ID:hYLNKySQo
なんかこの世界では上条さんが立てるはずのフラグをいーちゃんが全部攫っていってしまいそうな予感が
そうなると上条さんは本当にただの不幸男に・・・
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 16:04:57.83 ID:dQUgA23Lo
どんなに幸せでも不幸だーしかいわないんだから
むしろ本気で不幸になればいいよww
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 16:19:48.21 ID:8PdcNJgDO
いや本当に最悪なのは無為式でヒロインが死んじゃう事だ。
戯言でも人識くんがフラグたてた相手をことごとく……
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 17:08:32.10 ID:IjOSALEDO
真琴っちゃんとか軍師さんみたいに軽くしにそうだな
今回は球磨川の旦那はいないわけだし死んだら…
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 19:01:09.61 ID:H6slq7qAO
俺はステイルが不憫な目にあいそうな予感しかしねぇ
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 19:47:19.54 ID:qQzHrNUN0
>>1よ、遠まわりに は仕様なんだな・・?
ステイルは安定のかませだが、西尾の性格なら使わないだろうな 憶測だけど
遠回しにどうこう言ってるわけじゃないぜ?
144 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 20:03:35.15 ID:sj8Cpjs60
>>143
遠まわりは使用です。

さて全く書き溜めが溜まっていかないので恐らくは10時過ぎに投下となります。
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 21:29:37.08 ID:bHPkoCNqo
おいあんた!真琴とか何ふざけた名前間違いして…
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 21:32:20.42 ID:H6slq7qAO
打ち切り漫画のネタはご遠慮下さい
147 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 21:37:42.37 ID:2KzH+myV0





七日目(3)―――――――魔女狩りの王

登場人物
ステイル=マグヌス 魔術師






148 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 21:38:57.90 ID:2KzH+myV0



妬いて焼けて死ね

149 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 21:39:57.06 ID:2KzH+myV0



超能力とは量子力学を能力者が発現させる理論としており、《自分だけの現実(パーソナルリアリティ)》を能力者が観測することで
本来はありえない現象を実現させることである。
また、これには演算能力が不可欠であり、能力者レベルが上位になれば、それに比例し演算能力も高くなるということである。
ちなみに、理論上「能力は一人につき一つまで」となっている。

以上が涼しみながら図書館にてぼくが改めて学んだ超能力についてだった。
いや、これ以外にもAIM拡散力場がどうとか、原石がどうとか読んだ論文には記載されていたが、興味が湧かなかったので余り覚えていない。

図書館で一通り調べものを済ませた頃には丁度良い時間で、日が傾いて数時間で《完全下校時間》を迎えようとしていた。
ぼくはバスに乗り学生寮に向かう途中に冷蔵庫の中身が空になっていることを思い出し、一つ手前のバス停で下車して、
スーパーに寄って約一週間分の食材を購入をした。
再びバスに乗ろうかと思ったが、バスを待つ時間を考えると歩いて帰るのもそう大差なかった為、のんびり人が少なくなった道を歩いた。

しばらくして学生寮に到着しオートロックを解除しエレベーターに乗り込みボタンを押せば、
ガタガタと幾分搭乗者を不安にさせる音をたてながらドアが閉まり、上昇を始める。
ぼくはこの時「今日の夕食はどうしようか」とか「そういえば探し物もしなくちゃいけないな」などと考えていて、
だから七階に到着しまたも不吉な音をたてながら開くドアを潜り、エレベーターから直線に伸びる通路の奥、具体的に言えばぼくか上条くん、
またはその隣人の土御門元春くんの部屋の前にドラム缶が三つ置いてあることに気が付くのが遅れてしまったのだ。

違う。正確に言えばそれはドラム缶ではなく、ドラム缶という愛称で親しまれている清掃ロボットだ。
150 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 21:40:39.74 ID:2KzH+myV0
ドラム缶(清掃ロボットだと仰々しいのでぼくもこう呼ぶことにする)は何かにぶつかり後退しながらも、
三体が交代しながらも《何か》を回収しようと躍起になっている。
いや、ロボットがいちいちゴミに苛立ちを覚えるはずが無いので、この行為は只単にプログラムに則って、決められた役割を遂行するための動きだ。
そこにドラム缶の意思はない。

上条くん曰くこのドラム缶は「地面に付着したガムでさえ素通りで取り除く」そうなので、これほどまでに時間がかかり、
なおかつ三台を要しても取れないゴミなどはそうそう無い筈なので、これは少し異常事態だなと思った。

そこまで考えを巡らすのに時間がかかったので、結論に至る頃にはぼくの部屋の前、つまりドラム缶の集会所までかなり近づいており、
自然とその《ゴミ》の正体が目に飛び込んで来た。

それはゴミというには余りにも白く、綺麗で、その姿にぼくは見覚えが会った。
ドラム缶にゴミと認識されているのは、正しくはソレではなく、彼女の背中から滴り、通路に水溜りを形成する程の尋常じゃない量の血だった、

吸い込む、
血が流れる、
吸い込む、
血が流れる。

この行為をまさに機械的にドラム缶は繰り返していた。


気を失っているインデックスちゃんを無視しながら。
151 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 21:41:20.20 ID:2KzH+myV0
とりあえず、ぼくは彼女に群がるドラム缶を引き剥がそうとするが、なかなかの重量で適わない。
それならば、とぼくはインデックスちゃんを動かそうと両腕を彼女に回し抱きかかえて持ち上げようとした。

「へぇ、それだけの血を見ても驚かないのか」

立ち上がろうとした瞬間、背後から声がかかる。上条くんでも、元春くんでもない声の主は十中八九でこの《厄介事》を持ち込んだ人物なのだろう。

「もう見飽きるほど見てきたからね。所詮血液なんて絵の具の赤色と変わりはないだろう。赤い液体。それだけさ」

ぼくはインデックスちゃんを持ち上げて振り返る。

「そうだね、血は赤いだけ。さて僕は赤色が好きなんだけど、君はどうだい?」

そこには男が立っていた。いや顔立ちを見るに男の子と表したほうが適切な年齢なのだろう。恐らくはインデックスちゃんと同じ十四、五ほどで、
だからその分、二メートルを超える長身と、まるで血のような、燃える炎のような赤い髪がどこまでも異質に演出し、両手の指全てにはめられた銀のリング、
耳に連なるピアス、そして右目まぶたの下に刻まれたバーコードの刺青がさらにそれを際立たせる。
ぼくは一瞬で悟る。

コイツが魔術師だと。

「赤、赤、赤……ねぇ。確かに赤色は好きかな、ある人の影響でね。いっそ脅迫と表したほうが適切かも知れないけど」

ぼくがあの人類最強を思い浮かべている内にドラム缶は綺麗に床を掃除し、赤髪の少年の脇を潜り抜けて消えていった。
それを確認してぼくはインデックスちゃんを再び通路の奥に寝かせる。

「その人と僕は仲良くなれそうだよ。赤色好きに悪い人間は居ないってね」

「たしかに悪い人ではないよ。ただまぁ性格に難有りだけど。それに君とは友達になってくれないんじゃないかな」
152 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 21:43:05.25 ID:2KzH+myV0
「どうしてだい」

「血まみれの女の子を前に助けを呼ばない人間が大嫌いなんだよ、あの人は」

「それなら、君も同じじゃないか」

「ぼくはこれから救急車を呼ぶところだったんだよ」

「そうかい」

ぼくは魔術師を観察する。
武器のような物は持っていないようだが、いかんせんぼくの常識外の世界に居る人間だ。
それこそ美琴ちゃんのように手ぶらで気軽に電撃なんかを放たれてしまってはぼくは即あの世行きだ。

「それとも、魔術師だから杖がないと術が使えないのかな?」

「はは、君は小説の読みすぎだよ。あんな気軽に使えたら僕達魔術師も苦労しないさ」

自分が魔術師だとあっさり肯定するあたり、ある程度、いやかなりぼく達について情報をもっているのだろう。
魔術師はすっとインデックスちゃんを指差した。

「ソレを回収したいんだけど、素直に渡してくれないかな」

それはお願いではなく命令。
ぼくがインデックスちゃんにしたように、場の雰囲気は完全に彼が掌握していた。
通常の人間なら「はい」と答えるしかないのだろうが、生憎とぼくは空気を読むのが苦手な人種だ。
153 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 21:43:50.28 ID:2KzH+myV0
「この傷は君が?」

あえて回答はせずに質問を返す。魔術師はやれやれと首を振って口を開いた。

「僕じゃあない。一緒に居た神裂……あぁソイツも魔術師なんだけど、それがやったんだ。全く、なんで歩く教会の力が失われていたんだろうね」

なるほど、この傷は彼らにとっても予想外の出来事だったのだろう。
しかし回収するとまるで彼女を物のように扱っている割にはひどく気を掛けているように感じる。

「別にソレ自体に価値はないさ。でも死んでしまって十万三千冊の魔道書が無くなっちゃったら困るだろう?」

「……だから鍵である彼女に気を使ってるわけか」

ぼくの言葉に呆けた魔術師は、小さく声を漏らしながら笑った。

「鍵?ははは。そうか、うん。ソレはそこまで深く説明しなかったんだね。懸命だよ、実に正しい判断だ。全ての情報を与えてしまったら殺すという
 選択肢しか残らないものな。わかった、ソレとお別れする前に一つだけ君の勘違いを訂正してあげるよ」

ぼくは彼女――インデックスちゃんが魔道書を所持しているというのはあくまで比喩表現であり、実際は何かしらの情報や、鍵を持っているだけだと思っていた。
例えば魔道書が保管されている場所を知っているのが彼女だけだったり、その場所の扉を開く鍵を持っていたりと。
そういう意味での「魔道書をもっている」という発言だと思っていたのだが、実際は違うらしい。

魔術師は一本の煙草を口に銜え、睨みつけるだけで着火させ、大きく吸い込んで煙を吐いてから言った。
154 :/1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 21:44:49.60 ID:2KzH+myV0










「十万三千冊の魔道書は、ソレの記憶の中にあるのさ」








155 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 21:51:14.00 ID:2KzH+myV0
とりあえず終了です。
できれば夜中にもう一回投下しに来たいです。
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 21:55:10.03 ID:bHPkoCNqo
乙乙
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 22:02:08.60 ID:9+WM1viDO

かませじゃないステイルくんはみれるのだろうか
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 22:32:54.40 ID:vQSpWQMDO
さすがステイルさんかませ臭ぱない
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 22:34:06.07 ID:qQzHrNUN0
ステイルでない(キリッ とか言ってた自分が恥ずかしいのでせめてかませじゃないことを祈るばかり
160 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/22(火) 23:18:53.00 ID:2KzH+myV0
今日はもう投下できそうにないですorz


161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:29:00.88 ID:H6slq7qAO
乙です

しかしステイルさんマジ噛ませ臭
戯言で煙に巻かれて終了じゃね?
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 23:29:26.97 ID:9dI5VQtDO
了解
お疲れー
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 00:11:58.08 ID:U8f/ZL7f0
>>1乙です
ごゆっくりお休みください
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 00:19:53.96 ID:Q89uOGJAO
面白いが、タイトル格好つけすぎてて気持ち悪い
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 00:21:54.97 ID:L6aUulKAO

「赤色」「最強」は共通してんのに哀川さんとステイルじゃ大分違うよな…
ステイルの最強は魔法名に入ってるってことね
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 00:42:14.13 ID:Sy0WXMD1o
ステイルは相手が悪かった。

イノケンとかすごい魔法のはずなのに…
14歳なのに…
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 01:02:20.24 ID:EWeMJV5Zo
>>164
西尾に言え
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 01:47:19.59 ID:Zogeph4j0
>>164
西尾作品は初めてかい?力抜けよ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 01:51:06.55 ID:u78JenqU0
>>168
テメー巨人小笠原だな
すいませんアンユーファッス
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 10:07:56.18 ID:ExeuhunAO
禁書より戯言の方がよっぽど厨二だからな〜
タイトルが厨二全開になるのは仕様
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 10:13:52.83 ID:vQmFlOyAO
まさか>>1も内容じゃなくタイトルを否定されるとは思わなかったろうな
なんで>>164はこのスレ開いたの?
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 10:50:51.61 ID:zWYdaT0AO
このssを読むために図書館で戯言シリーズを全部借りてきた
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 11:14:36.10 ID:wPDTmsvDO
>>172
買っていたら英雄だった
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 11:19:26.16 ID:Tz+Ol/iAO
西尾に貢献しすぎだろこの>>1wwwwwwwwww
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 11:46:56.24 ID:t+LpRcvIO
よろしい、次は人間シリーズだ
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 12:36:19.84 ID:PxdoLeS7o
ニンギョウガニンギョウも忘れずにな
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 13:00:43.10 ID:vQmFlOyAO
おっと物語シリーズを外すんじゃねえよ
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 13:09:55.43 ID:ut174hUIO
>>172
図書館にラノベ置いてあるとかマジうわやまだわ
179 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/23(水) 15:45:57.09 ID:vXiVhvdn0
不意打ちで投下します
180 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/23(水) 16:00:37.91 ID:eZSUM2D+0
十万三千冊の魔道書はインデックスちゃんの記憶の中にある。
赤髪の魔術師が言ったその言葉は「十万三千冊の魔道書を全て記憶している」という意味だ。
魔道書がどのくらいの厚みで、一ページ辺り何文字書かれているのかは魔術など知らないぼくから見れば皆目検討もつかないが、
まさかライトノベル程の厚みではないだろうし、例えそうだったとしても十万三千冊も記憶するとなれば膨大な量になる。
当然、記憶力に致命的な欠如があるぼくは十万三千冊どころか、顔見知りの名前さえ覚えれないのだけど。
しかし、全て記憶しているとなるとインデックスちゃんは。

「完全記憶能力……か」

「ご名答。つまりソレ自身が鍵であり、保管庫であり、魔道書だという訳さ。一冊だけでも常人を廃人にしてしまうという
 魔道書――それを十万冊以上所持しているというのは、いや、本当に脅威だよ」

世界にとっても、その子にとってもね。と付け加える魔術師。
なるほど、それだけの記憶力があるなら上条くんとぼくの部屋の天井の違いに気がつくなんて事は朝飯前か。
いや、あれは確か朝食後だったっけ。

「……で、大人しくソレを渡してくれると助かるんだけどね」

再び右手の指輪をギラリと光らせて彼女を指差す魔術師。

「選択肢は二つだけ。渡して生き延びるか、抗って死ぬか。君は賢明そうだからどちらを選択するなんて分かっているだろう?」

つまらなさそうに、本当につまならさそうに魔術師は煙草の最後の一口を吸い、床に吐き捨てた。

「生憎だけどぼくはオチコボレでね、どっちが正しい判断なのかなんて分かりやしない。でも君の発言を訂正しようか、
 こういった選択肢には選ばないっていう選択もあるのさ。それだけじゃない、今君は自分が優位な位置に立っていて
 ぼくに交渉――いや脅迫をしていると思っていそうだけど、それは間違っている」

魔術師は目を細める。
181 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/23(水) 16:01:58.37 ID:eZSUM2D+0
「何が言いたい……」

今までの余裕のある物言いが無くなる。

「コレは君達にとって大事な物なんだろ?傷を負わせて慌てて回収するほどの。大切なのは十万三千冊の魔道書なのか、コレ自体
 なのかは分からないけど、生きて回収しなければならない。違うかい」

この魔術師は一度だけインデックスちゃんをソレとは言わずその子と言った。言葉の綾か、それとも只の間違いか知らないが、
「生きている禁書目録を回収する」というのが大前提のはずである。
それならばさらにもう一つの選択肢があるじゃないか。

「っは、その通りだよ。生きたまま回収して、やるべきことがあるんだ。だから出血多量で死んでしまう前にさっさと渡すんだな。Fortis931!」

右手に炎の剣を生み出し、こちらへ向けて牽制する、牽制しようとしている。
既に勝利を確信したような表情を浮かべ、ジリジリと歩み寄る。

「……本名はステイル=マグヌスというんだけどね、僕達魔術師は真名を名乗ってはいけないそうなんだ。古い魔術師じゃあないから理解できない
 けどね。この場合、魔法名……さっき名乗った名前が重要でね。魔術を使う合図のようなものなんだ。いや、この場合は――殺し名、かな?」

ニヤリと口元を歪める魔術師。
自信に満ち溢れたその態度が、ぼくにはどうしても理解できなかった。
その炎剣も、巨体も、ピアスも、指輪も、刺青も、表情も、その存在ですら。

「はぁ……ステイルくん。格好良く炎を出したのはいいけれど、それでぼくをどうするつもりなんだい?ぼくはまだ最後まで台詞を言って
 いないのに、焦って手の内を晒すなんてのは三下、かませ犬のすることだよ。いいかい、落ち着いてよく聞きな」

焦らないぼくを不気味に感じたのか、歩みを止める魔術師。
実に、滑稽だ。
くだらない、茶番だ。

「君達にとってコレは重要かもしれない、世界にとって脅威かもしれない。でも、そんなことはぼくはどうでもいい。関係ないともいえる。
 さて、四つ目の選択肢だ。コレを渡す、コレを渡さない、選ばない――最後の一つは、もう分かってるよね?君がこれ以上近づくというのなら」

「っ……」

吐き捨てるように、言い放つ。
182 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/23(水) 16:03:35.58 ID:eZSUM2D+0










「ぼくは、インデックスちゃんを、殺す」











183 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/23(水) 16:04:33.54 ID:eZSUM2D+0
沈黙が、流れる。
魔術師はその右手に炎を宿らせたまま体を震わしている。

「できないだろう!?そんなことは!!」

ついに叫びだしてしまう魔術師。
やれやれ、ここまで簡単に策に嵌ると逆に疑わしく感じる。
ぼくは策師ではないので、そう簡単に次の策は考えられないから、これが彼の演技ではないことを祈ろう。

「できるさ。最初に言ったように血など見飽きてるんだ。それにインデックスちゃんには食材を全滅させられた恨みもあるしね」

息を吸うように、殺すことが出来る。

「君がどれだけ絶対的な魔術を持っていたとしても、目的を達成するには意味が無いようだね。全く、ここまで言わなくちゃ分からないのかな」

再び、インデックスちゃんを持ち上げ、ぼくはゆっくりと魔術師へ歩み寄る。

「Fortis931、だっけ?本当に君は赤いだけの道化だ。最強ですら、強者ですらない」

とんだ紛い物だ。あの人類最強の足元にも、いや視界に入ることすらできないだろう。

「邪魔だ」

まるで街灯のように光る魔術師の横を、愉快なオブジェのように固まった魔術師の横を通り過ぎて、ぼくはエレベーターへと向かう。
振り向くことはしない、立ち止まることなどしない。
とりあえず、病院へ向かおうとエレベーターのボタンを押そうと膝でインデックスちゃんを支え、指を伸ばすが、既にエレベーターは上昇を始めていた。
七階へ向けて止まることなく昇り続けて、電子レンジのような音と共にドアが開く。

そこに立っていたのは言うまでもないだろう。
こんな不幸な状況に出くわしてしまうのは彼しかいない。

「やあ、上条くん」

ぼくの言葉に上条当麻は首を傾げるだけだった。
184 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/23(水) 16:05:26.90 ID:eZSUM2D+0


「うお!?いーさんどうしたんだよ!!インデックスを抱きかかえて……それに後ろにいらっしゃるのは発火能力者さんでせうか?なんなんですかこの修羅場
 は!ああもう、不幸だーって……ん?怪我してるのか……」

エレベーターを降り一息で今の現状を分かりやすく説明してくれた上条くんは、ぼくの手に抱えられているインデックスちゃんを見て、表情を硬くする。

「魔術師ってやつか……?」

そして、奥に居る魔術師を睨み付ける。

「いや、それはもうどうでもいいよ。それより病院だ。ご覧の通りぼくは手が塞がっていてね」

「あ、ああ……でもインデックスは学園都市の人間じゃないんだ。だから病院に連れて行くのはまずいぜ」

そうか、ここが学園都市だということをすっかり忘れていた、IDが無ければ不法侵入者扱いされて治療など受けれないだろう。

「とりあえず外に行こうぜ、いーさ」

上条くんが言い切るのを待たず、それはぼく達の間を通る炎によってかき消された。

「ふ、ふふふふ。ここまで侮辱されたのは初めてだよ……いいさ、君がそれを殺すというなら、その前に僕が君達を殺す」

ゆらりと身を翻して、マントを揺らす魔術師は小さく呻く様に呟いていた。

「世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ」

それはまるで呪詛のようで。

「それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり。
 それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり。
 その名は炎、その役は剣。」

それはまるで自分を責めるような口調で。

「顕現せよ、我が身を食らいて力と為せ――――」

それはまるで助けを求めるような弱弱しさで。

「魔女狩りの王(イノケンティウス)――」

炎の悪魔を呼び寄せた。
185 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/23(水) 16:08:28.96 ID:eZSUM2D+0
以上です。ステイルさんを活躍させるの難しいね。
しかし、いーちゃんっぽくならないぜ。
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 16:13:37.74 ID:7c01pNAxo
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 16:21:03.57 ID:vQmFlOyAO
ステイルさん……
駄目だ、もう活躍するビジョンが見えねぇ……

それにさりげなく伏線張ってたんだな、天井の下りとか
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 16:48:49.98 ID:bJY+mp0DO
天丼に見えた

ステイルさん噛ませ過ぎる乙
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 16:55:49.88 ID:bKcnBrVPo
十分いーちゃんっぽいけどな
まぁ無双にならなければいいんじゃね
結構失敗したり時々抜けてたりするのがいーちゃんだし
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 17:35:41.62 ID:9rFyEsp70
もうステイルくんには殴られて回転して気絶するという役割しか残っていないんだよ
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 18:56:32.38 ID:izVPaLYa0
ジャガられるという道も
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 19:31:23.61 ID:pyjYNBu70
ステイルさんマジヘタレ…
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 20:43:50.46 ID:67RlxSz70
きっとどんでん返しがあるんだろう
と思ったけど魔女狩りがどんでん返しの役割なのか?
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 21:02:36.58 ID:Zogeph4j0
被害者を人質に取るとか、鬼作さんを思い出すなwww
確かに数ある西尾作品の主人公の中でも、これをやれるのは戯言使いさんだけだわwwww
他の奴らは無視して無双な刀語・人間シリーズタイプか、ひっくり返ってもそんな発想でてこないアリアドネさん・善吉ちゃんタイプの二択だろうし
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 21:49:53.30 ID:izVPaLYa0
西尾作品はなんだかんだ主人公大抵いいやつなんだよね
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 22:01:15.58 ID:ahZd4y9v0
流石いーちゃん、上条さんとは全く反対のベクトルで説得力があるぜ
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 22:49:23.08 ID:L6aUulKAO
助けに行った人質をまずいこと知られたからって殺っちゃった創貴くんもいるぞ
創貴だったらどうするかね、りすかシリーズは一番魔導書に価値ありそうな世界だし
(というか魔導書が存在する世界だし)
魔法使いは何度も相手にしてるしりすかは水だから火のステイルとは相性いいだろうし…
って脱線したな、すまん
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 23:05:09.20 ID:blxF4pFMo
おっつん
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:02:54.14 ID:7jS3dFGAO
主人公は串中君と創貴君以外は大体良い奴
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:03:24.49 ID:7jS3dFGAO
主人公は串中君と創貴君以外は大体良い奴
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:04:01.09 ID:7jS3dFGAO
主人公は串中君と創貴君以外は大体良い奴
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:09:12.52 ID:7jS3dFGAO
すまん、激しくミスった……
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:53:07.35 ID:QmxJjpxAO
まぁ大事なことだよ。
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 01:42:44.88 ID:3cETFqBAO
戯言シリーズ読み終わるまでこのssは放置するわ

やっとサイコロジカル上まで読めた・・・
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 04:21:06.36 ID:GVPs1ptq0
挿絵置いておきますね
http://nullpo.vip2ch.com/dl.php?f=ga1200.jpg
>>83
前作といい、西尾キャラの動かし方うめぇ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/24(木) 04:24:17.47 ID:wiMWfQUAO
>>205
ウメェwww
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 04:27:36.10 ID:1DeDsYzgo
なんかもう全員かわいいな
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 07:39:27.63 ID:dnF5dFAIO
>>205
GJ!

うますぎわろちw
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 08:59:44.77 ID:AS0kg7/Go
>>205
gjすぐる
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 14:47:27.65 ID:EzPEF+070
>>205
ボロボロにけなしてやろうかと思ってたら上手すぎワロタwwwwww
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 19:28:58.31 ID:zTIQEiu+o
>>205
予想外にうめぇ
なんかかわいい
212 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/24(木) 19:50:27.67 ID:/T6F9/l+0
>>205
光速で保存した。
いや、マジでありがとうございます。
投稿者冥利に限るというかなんというか……

そして肝心の投下ができるか、わからないというこの体たらく
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/24(木) 19:58:24.20 ID:wiMWfQUAO
いいぜ>>1が投下できないっていうなら
そのふざけた幻想を
殺して解して並べて揃えて
晒してやんよ
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/24(木) 22:58:14.92 ID:orJ2gGKT0
>>212それは今日投下できるか怪しいということか?
それともしばらく難しいということか?
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 23:32:16.37 ID:zd9uDM8O0
>>214
文脈的に前者だろ
後者ならしばらく書きだめとかそんな感じに言うだろうし
216 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/25(金) 01:45:55.63 ID:xoSAI1CB0
仕事が終わりました。
休憩中にちょこちょこ書いたんですが、たった二レス分しかないことに絶望しました。
とりあえずそれだけでも落とします。
217 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/25(金) 01:46:27.25 ID:xoSAI1CB0
魔女狩りの王。そう呼ばれた炎の巨人は真っ直ぐにぼく達を見据えていた。
その姿は宛ら裁きを下す閻魔の様で、生け贄を待つ悪魔のようで、それはぼく達にとって少しまずい展開だった。

ぼくが魔術師を言葉だけで征し、戦闘を避けた理由はたった一つ。戦いで適うはずが無いから。
ぼくにはあの《誰でもない彼女》のような知識も無ければ、《人類最強》のように強くは無いし、
《策師》のように策は練れず、《曲弦師》のような意図も無い。あるのは一つ《戯言》だけだ。

「おい!いーさん!!先にインデックスを連れて下に降りてくれ」

上条くんの叫びが木霊する。彼は真っ直ぐに魔女狩りの王を見つめ、睨み付け、右手を握り締めていた。
幻想殺し。彼の右手に宿るのは異能の力を全て、例外なく殺す異能の力。

「あのデカブツをどうにかできるのは俺だけだ!だから先に行け」

確かに、魔術師に対抗できるのは上条くんだけで、偶然この場にやって来たことはまさに不幸中の幸いともとれる。
だが。
だが、それこそが。
上条くんがこの場に来てしまったことが。
一番の間違いなのだ。

魔術師は気がつかないだろうが、彼が来たことによってインデックスちゃんを殺すという《第四の選択肢》は消えてしまっている。
もとより殺すつもりなどは無かったが、最悪、演出のために彼女の首筋にナイフを宛がう事くらいはするつもりだった。
しかし、「目の前の困った人間を見逃せない」という行動理念を持った上条くんの前でそんなことをしてみろ。
間違いなく敵は魔術師だけではなくなる。
事前に打ち合わせが出来れば別なのだろうが、そんな時間は無いし、上条くんにそこまでの演技力は期待できない。

「魔女狩りの王(イノケンティウス)!!まずはその狂言師からだ!」

思考を巡らすぼくに魔女狩りの王は襲い掛かる。両手はインデックスちゃんを抱えていて塞がっているし、この狭い通路では避ける事もままならない。
ぼくはなすがまま魔女狩りの王の攻撃を受けるはずだった。
しかし。

「させるか……っよ!!」

迫り来る魔女狩りの王は上条くんの右拳で粉砕された。
安堵の表情を浮かべている上条くんを見るからに、魔術に幻想殺しの効果はあるのかという懸念があったのだろう。
218 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/25(金) 01:47:26.41 ID:xoSAI1CB0
確かに、魔術師でさえ「絶対に怪我をしない」という前提の下、攻撃を仕掛けられるほどの修道服――歩く教会を破壊したのは幻想殺しだ。
それならば、この魔術を打ち消せない訳が無い。
事実、魔女狩りの王はゆらゆらと体を散らせ、拡散していく。

「なにやら奇怪な能力を使うようだが、安心するにはまだ早いんじゃないかな」

魔女狩りの王(とっておき)を破壊されたというのに、歪な笑みを浮かべる魔術師は最初に出会ったときの様に余裕の色が見える。
恐らく、ぼくと上条くんの間を抜けた攻撃で、ぼくがインデックスちゃんを殺すつもりが無いと判断したのだろう。
しかし、正体不明の能力者である上条くんを前にしてその姿勢を崩さないことに疑問を覚えた。
「魔術は小説の中の魔術師のように気軽に使えない」と魔術師本人が言ったことを鵜呑みにするのなら、コレだけの魔術を使用するのには、
相応の下準備が必要になってくるはずである。
それを簡単に打ち消されてしまったというのに、「追い詰めたよ」と言わんばかりの表情。
そして、四散した炎が再び集まりだして人型を形成し始めた時、ようやくぼくはその意味を理解した。

「……元に戻っていく?」

まるでビデオの逆再生の如く集結する炎は、徐々にその姿を巨大に、禍々しく形を変え、何事も無かったかのように元に戻ったのである。

「ゾンビみたいな奴だな!コレじゃキリがないぞ!」

上条くんも同じように再生した魔女狩りの王を殴りつけ、粉砕するが、これも同じようにまた元に戻るだけだった。
魔術師がこの魔術を使用したまま自由に動けるかどうかは分からないが、そんな万が一の可能性に掛けて行動するほどぼくは愚かではない。
これでは上条くんにこの場を任せたとしても術者である魔術師がぼくを追ってくる可能性がある。
エレベーターは最初の炎で故障したのか、ドアが開いたきり閉まらないので、逃げるにしても階段を使用しなければならない。
小柄な女の子とはいえ、人を一人抱えて七階から脱出することなど不可能に近い。

一方塞り。
一面楚歌。
胸火の陣。

退路が真後ろにあるというのに、そこへ向かえば死が待っているなんて笑えないにも程がある。
つまり、なんとしても目の前の炎の巨人を攻略しなければ活路は――

ない。
219 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/25(金) 01:49:45.91 ID:xoSAI1CB0
以上です。
だめだ、戦闘シーンになるとますます『らしさ』がなくなるorz
某スレを見て勉強します。
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 01:53:35.43 ID:MLVQKiheo
おつう
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 01:59:52.46 ID:Pg1IvbwAo
おつおつ
222 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/25(金) 02:08:21.14 ID:xoSAI1CB0
すいません、訂正です。
>>217の【魔術師は気がつかないだろうが】を『なかったこと』にしてくださいm(__)m
>>218でいきなり矛盾してしまうのでorz
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/25(金) 02:22:44.79 ID:PXHdIaoAO
まさかの投下

224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 09:01:09.32 ID:XO+v9j6DO
新たな過負荷「設定破綻」だな
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 10:29:30.49 ID:DLe+/9f7o
二つも過負荷を持っていたなんて・・・!
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 10:50:27.24 ID:wCj9Z67DO
1の過負荷はスレの中で成長…否!マイナス成長をしているッ!!
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/25(金) 12:12:15.72 ID:08wwQrlS0
バカな...デュアルスキルだと!
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 13:02:45.88 ID:RiGLCF9ho
設定破綻こそ>>1の始まりの過負荷だったんだな
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/25(金) 13:18:40.47 ID:9FS9seCn0
もう許してやれwwwwww
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/25(金) 15:22:56.19 ID:PXHdIaoAO
1「そろそろ返してくれないかなぁ。僕の始まりの過負荷」

安心院「断る」


こんなやり取りがあって投下が遅れたんですねわかりますん
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 19:19:15.07 ID:XO+v9j6DO
>>1は死ぬたびに安心院さんに会えるのか
爆発しろ
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 20:14:39.20 ID:FMvOd3Aao
>>231
爆発したら会えるじゃないか、それとも会わせたいのか?
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 20:28:52.82 ID:wCj9Z67DO
『それでは皆さんご唱和下さい』

『it's all fiction!!』
234 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/25(金) 22:16:45.77 ID:xoSAI1CB0
爆発は、しない。

さて、今から書き溜めますので0時頃投下できたらなと思います。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 22:28:47.95 ID:/ee//po70
>>1期待してるぞ
俺はこのSSについていくために買ってきたクビキリサイクルを読んで待つぜ
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/26(土) 00:43:55.28 ID:edI2bMdAO
まだかな
237 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/26(土) 00:53:44.11 ID:cr3GgQjN0
魔術師との睨み合いが続く。だが、こちらの分が悪いことは明白だ。人質作戦も看破され、逃亡も適わず、戦うことは自殺行為ときた。
いや、残された選択肢が無いことはないが、これは少し考えさせられるもので、それを即決で選べないことが歯痒い。
まったく、ぼくらしくもない。きっとインデックスちゃんさえこの場に居なければ、いや守るべき対象がインデックスちゃんでなければ、
この局面から脱出し恐らく何食わぬ顔でマクドナルドにでも行っているのだろうに。
彼女は余りにも、共通点が多すぎる。余りにも、彼女は似すぎている。
ちらりと脳内に浮かぶのはインデックスちゃんとは違う青髪の少女、玖渚友の姿。サヴァンと呼ばれる壊れた存在。
またぼくは、やり直そうと足掻いているのか。

「――ルーン」

突如、声が聞こえた。
ぼくでも、上条くんでも、ましてや魔術師の声ではないソレはぼくが抱えている少女が発したものだった。

「『神秘』『秘密』を指し示す二四の文字にして、ゲルマン民族より二世紀から使われる魔術言語で、古代英語のルーツとされます」

それはまるで合成音声のように機械的で、無機質で、無感情な《音》だった。
少なくとも食べ物一つで一喜一憂し、誇らしげに魔術について語った彼女から発せられているとは思えないほど、淡々とした口調だった。
通路に居る全員が動きを止める。魔女狩りの王でさえも。

「――『魔女狩りの王』を攻撃しても意味はありません。壁、床、天井。辺りに刻んだ『ルーンの刻印』を消さない限り、何度でも蘇ります」

彼女の表情は全ての人間らしさを排除したかのようなもので、まるで出来の良い人形のようだが、背中からぼくの手に掛けて滴る血液がそれを否定する。

「インデックス……だよな?」

恐る恐るといった面持ちで上条くんが、ソレに声を掛ける。

「はい。詳細な自己紹介は省略しますが、私は禁書目録そのものです。さて確認が取れましたらルーン魔術の説明に戻します。魔女狩りの王は言わば
 水面に移る月――いくら偽者を切り刻んだとしても本物の月は破壊できません。本物を破壊したくば、本物に刃を向けなければ」

「走れ上条くん!」

ぼくは彼女――というよりまるで魔術説明装置のようになったインデックスちゃんの言葉を遮り上条くんへ叫ぶ。

「匂いは元から断てってことだろう、『ルーン』とやらを破壊すればこの魔術を止められる」

困惑する上条くんに簡単に説明し「ルーンを破壊しろ」と伝える。少し躊躇ったが、彼は走って階段を降りていった。
238 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/26(土) 00:54:26.57 ID:cr3GgQjN0
「後を追え!魔女狩りの王!!」

慌てて魔術師は魔女狩りの王に上条くんの後を追わせるように手すりから下の階へと降ろした。
その姿を見て、ぼくは少し口元を吊り上げる。
願っても無い、僥倖だ。

「その慌てようだと、『ルーン』とか言う魔術の根源はこの学生寮の何処かにあるみたいだね」

『ルーン』がここではなく、そう、例えば遠く離れた場所に刻まれているのなら上条くんを追う必要は無い。
ゆっくりぼくを始末してインデックスちゃんを回収すればいいだけの話だ。
だが、魔術師はそれをせず、魔女狩りの王に上条くんを追わせた。すなわち近くに『ルーン』があるということを証明している。

「そうだ。ルーンはこの建物内にある。だけど全てを無効化させるのは無理だと思うよ。僕が魔女狩りの王に彼を追わせたのはただの保険さ」

言って、魔術師は炎剣を生み出す。

「百を越すルーンが刻まれた紙を剥がすのには、いったい何時間かかるだろうね」

「…………」

なるほど、消滅させることができても時間がかかるということか。
確かに魔術は気軽に使えないと言ったわけだ。
直ぐに『ルーン』を消滅させて上条くんが再び戻ってくるというのが理想だが、それが適わないのならそれで構わない。
ぼくは、ぼくのやり方で魔術師をどうにかするとしよう。

「……最後に一つ交渉してもいいかな」

「交渉?っは!笑わせるね。今更君にどんなカードが残ってるというんだい?言っておくけどソレを殺すなんていうのは無しだよ。そんな気がないのは
 もう分かっているんだから。それともアレか?命乞いでもするつもりなのかな」

「その通り」

そう、命乞いだ。
みっともなく、醜態をさらしても、この場は見逃してもらおう。
239 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/26(土) 00:55:33.63 ID:cr3GgQjN0
「ふざけるな!そんな要求が通ると思ってるのか!」

「通るさ」

無理でも、理が無くとも、通させてもらう。一方通行の道だとしても。強引に命乞いをさせてもらう。
ぼくはポケットから折りたたみ式の携帯電話を取り出すと画面を開き魔術師に向けてかざす。

「コイツは現在通話中だ。相手の名前はきっと君でも聞いたことがあるだろう。学園都市に侵入するなら一番警戒しなければならない部類の人間さ」

「超能力者か……」

「そう、超能力者。ぼくは学園都市最強のレベル5の第三位、御坂美琴ちゃんと知り合いでね、ついこの間電話番号を交換したんだ。
 ……で超能力者を知っているんだ。だったらその力もある程度は調べているんじゃないのかな?」

軍隊と戦えるほどの力を持つという超能力者を敵に回すことは、良しとしないだろう。

「……そんなハッタリに騙されると思うのかい」

「嘘だと思うならその炎の剣でぼくを殺すといい。だけどその場合はそれ相応のリスクを負うことになるけどね」

当然のことだが、美琴ちゃんと通話しているなど嘘だ。
こんな見え見えの嘘に引っかかる人間など、それこそ警戒心皆無のインデックスちゃんぐらいだろう。
この携帯電話は通話中だが、ポケットから取り出したとき、気がつけれない様にある相手にかけただけで、相手は美琴ちゃんではない。
だいたいぼくは彼女の電話番号など知らない。
だが、それだけでいい。少しだけ魔術師の猜疑心を煽る事さえ出来れば、ぼくの背後に御坂美琴の幻想を見せれれば、それで充分だ。
万が一の可能性を考えさせれば、張子の虎であろうと脅威に見せることができるのだから。

今朝、美琴ちゃんと偶然出会い、間違って覚えていた名前を訂正されて助かった。
御沢真琴なんて言ってしまったら、本当に死んでいる所だ。

「勿論、インデックスちゃんも見逃せとは言わない。君に渡そう」

「……信じられないね」

「上条くんが居たからさ。彼の前でこんな事を言ってしまえば反対されるのが目に見えてたからね。だから安心したぐらいさ」

これで思う存分、話すことが出来る。
ぼくはインデックスちゃんをゆっくりと床に寝かせ、一歩後退する。

「君は目的を達成できて、ぼくは命を拾うことが出来る。両者にはメリットしかないぜ」
240 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/26(土) 00:56:41.11 ID:cr3GgQjN0
魔術師は黙ってインデックスちゃんへ歩み寄る。その行為は交渉成立を示していたが「ちょっと待った」とぼくはそれを静止する。
まだ何かあるのかと不機嫌な表情を浮かべてぼくを睨む。

「まずは、ぼく達の身の安全を保障してくれ。その炎剣を消し、上条くんを追う魔女狩りの王も閉まってくれないか」

「そうしたら、反撃してくるんじゃないのか?」

もっともな意見だ。
だからぼくは両手を後頭部で組み、抵抗の意が無いことを示す。

「これでいいだろう?上条くんには後から伝えておくよ。負けちゃいました、ごめんなさいって」

「チッ……」

舌打ちを鳴らしながらも炎剣を消し「これでいいだろう」と急かす魔術師に「ああ、それでいい」と伝えさらに一歩下がる。
それで、いい。

「これはただの質問なんだけど」

「何だ……」

「魔術ってのはさっきの詠唱っていうのかな?ああ言った言葉を紡がなきゃ使えないのかい?」

「そうだよ。なんだい、君は魔術師にでもなりたいのかい」

「いや、御免だね」

「本当に、君はなんなんだ」と疲れたように呟いて魔術師は一歩、また一歩とインデックスちゃんに歩み寄る。
そして、彼女を抱えようと手を伸ばした瞬間、けたたましいサイレンの音が鳴り響いた。
これは防火装置が作動した時の音だ。その刹那、雨が降り注ぐ。いや、天井のある通路に雨は降らない。
正しくはスプリンクラーから噴出した消化用の水が降り注いだのだ。

「なっ……!」

突然の出来事に天井を仰ぐ魔術師の隙をついてぼくは思い切りわき腹へと回し蹴りを叩き込む。
無防備だった魔術師は一メートルほど吹き飛んで倒れたが、直ぐに鬼のような形相で立ち上がった。

「こんなちっぽけな水で僕の炎が消せると思ったか!!」
241 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/26(土) 00:59:40.04 ID:cr3GgQjN0
「思ってねえよ」

魔術師の咆哮に答えたのはぼくではない。
背後の気配に振り向けば、ぼくと同じようにずぶ濡れになった上条くんがそこに立っていた。

「ルーンを刻むってインデックスが言ったから、彫刻刀かなんかで彫ってあると思ったけど実際はただの紙切れにマジックでヘンテコな文字が書かれてただけ」

ゆらりと不適な笑みを浮かべながら魔術師へ近づく上条くん。

「人様の部屋の前にペタペタと何枚も張りやがって。こんな方法でしか消せなかったじゃねーか。まぁ、確かにあの枚数を張ろうと思えば簡素な造りになっても
 しょうがねえか。でも、せめてインクは油性を使ったほうがいいぜ。あぁいーさんありがとな。おかげで炎に邪魔されなくてすんだよ」

ヒラヒラと携帯電話をぼくに見せる上条くん。
そう、ぼくは彼に電話をかけていた。

「っく!魔女狩りの王!!」

「邪魔だ」

魔術師は再度魔女狩りの王を顕現させるが、上条くんの右手によって粉砕される。そしてそれは、もう再生することは無かった。

「この右手は不便だよ。幻想殺しなんて大層な呼び方してるけどさ」

一歩、前に進む。

「不幸になるし、異能の力以外には何にも役に立ちやしねぇ」

また一歩、前に進む。

「でもよ」

上条当麻は魔術師の眼前に立つ。

「い、いのけんてぃうす、イノケンティウス、魔女狩りの王ゥ!!」

もはや、煙一つ出せやしない。
本当に、滑稽な姿だ。
本当に、茶番だった。

「だけど、この右手は便利だ。なんせ目の前のクソ野郎を思う存分ぶん殴ることが出来るんだからな」

不便と便利を併せ持つその右手で拳を握り、上条くんは思い切り魔術師の顔面へと振りぬいた。
竹とんぼのように回転し、後頭部から金属の手すりに激突する魔術師の様を見て、ぼくは上条くんとは喧嘩をしないでおこうと、心に誓った。
242 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/26(土) 01:00:39.13 ID:cr3GgQjN0
今日は以上です。
ステイルさんはやはり格が違った。いくら考えてもこの落ちにしかならなかったです。
しかし、禁書原作のトレースでしかなかったステイル戦。いーちゃんらしい振る舞いを意識してgdgdになるばかり。
心理戦とかマジで無理。これから先の伏線張るつもりでしたが、思うようにいきませんでした。

無駄に長くなった気がしますが、次回からようやく原作と違う動きが出来る!……と思います。

あと、これ以上マイナスにならないように気をつけます。


それじゃ、また明日とか。
243 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/26(土) 01:05:38.51 ID:cr3GgQjN0
あ、詠唱が必要って言わせたのに、吸血殺しの紅十字って言わせてなかったでござるorz
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 01:20:06.94 ID:8CVVztYDO
これも……>>1の過負荷なのか……?
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/26(土) 01:44:14.82 ID:edI2bMdAO

やはりステイルはステイルか……
俺は十分いーちゃんっぼいと思うぜ
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/26(土) 01:53:39.61 ID:DRx2Me+i0
さぁ後は殴られて回転して気絶するだけだ
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/26(土) 02:41:47.17 ID:wKRIe4CAO

戯言だけどね


いやマジで乙です
原作から離れる展開楽しみ
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 02:48:55.18 ID:JrDX0w8AO
いったい何人死ぬ……
いや、何人生きていられるんだろうか……
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 04:20:00.82 ID:tHIFXcgB0
ノベルズ 買ったけど
西尾文庫の方がいいのか?
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 04:29:11.86 ID:8oKzlewIO
>>249
文庫の利点はイラストが1ページ多いのとしおりがついてるのぐらい
内容は一緒だからどっちでもいいよ
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 04:32:29.19 ID:tHIFXcgB0
ありがとう
クビツリまで買ったから次どうするか迷ってんだ
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/26(土) 15:01:21.78 ID:5vm7pCRw0
どんどん過負荷が増えていく>>1であった
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 15:05:48.95 ID:aPUxRWD2o
1京2858兆0519億6763万3865個の過負荷を持つ>>1
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 17:07:44.07 ID:GG/Mn08l0
心理戦期待してたのにぃぃ!
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/26(土) 17:50:08.22 ID:edI2bMdAO
力まかせな禁書勢に心理戦は難しいだろ
ステイルだし
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 18:10:52.62 ID:DbX451SAO
まぁ再構成になると話動かすのもむずいわなぁ乙乙
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 21:11:05.47 ID:Jn+km2aDO
>>253
プラスどこいった
258 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/26(土) 23:51:56.84 ID:cr3GgQjN0
すいません、今日はちょっと投下できませんorz
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 00:06:21.05 ID:sdCH9ChHo
あしたになったよ!
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 00:20:35.79 ID:tF39zdiAo
さあさあお書きなさい
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/27(日) 15:19:16.29 ID:b3wrD5Zu0
しかし>>1は前作早めに終わらせられてよかったな
今週めだか酷いぞ(設定的な意味で)
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 16:10:09.87 ID:aP5Gt1KDO
括弧つけるのやめちゃったしな
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 16:23:22.99 ID:NRt3qamHo
別にひどいとは思わなかったな
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/27(日) 18:34:32.05 ID:WrNlPbXAO
俺の中では球磨川のピークはこの>>1の前作から原作初登場時までになってる
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 19:00:25.08 ID:TePv5gfDO
俺は球磨川さんがどんどん好きになってる。
綺麗な球磨川さん主役のSS読みたいな。
汚い部分あっての球磨川さんだけど主役っぽい部分だけ抜き出したら球磨川さんすごいぞ。
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 19:59:17.76 ID:mgw0qBWAO
なんでネタバレしてんの…?
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 20:06:27.78 ID:o3Fx7idio
今週のクマーのかっこよさはガチ
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 20:14:11.39 ID:b9H9darIO
ジャンプもう売ってたのか
269 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/27(日) 22:38:42.71 ID:L3ayDPV50





七日目(4)―――――――戯言遣い

登場人物
月詠小萌 教師






270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/27(日) 22:38:51.85 ID:YYWuLVZAO
ネタバレしてるやつなんなの? 頭おかしいの?
271 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/27(日) 22:39:35.91 ID:L3ayDPV50


無知の知は恥

272 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/27(日) 23:06:24.35 ID:L3ayDPV50
1

防火装置を作動させてしまったことで、警備員(アンチスキル)が学生寮にやって来てしまうことを懸念したぼくは、
上条くんにインデックスちゃんを任せ、恐らく行われるであろう事情聴取に対応するため一人で学生寮に残っていた。
どこの世界(学園都市も日本なのだけれど)でも治安維持組織というのは対応が早いらしく、上条くんが行ってから十分も経たない内に
警備員数人が緊張した面持ちで七階通路へと到着した。
その内のある女性がぼくの顔を見るなり険しい表情を緩めて口を開く。

「通報を受けた先がこの学生寮だからまさかかと思ったけど、やっぱり≪いー≫じゃん」

「お疲れ様です、黄泉川先生。やっぱりって……どういうことですか?」

「まー、何となくじゃん。それより火事じゃないじゃん?」

「いえ、誤ってボタンを押してしまいまして。だからこうして誤報だったと伝えるために待っていたわけで」

「ふーん」

ぼくのことを≪いー≫と、どこか中国人の様な呼び方をする女性はぼくや上条くんの高校の先生で、こうして警備員も職務としている。
彼女はぼくの言葉に相槌を打ちながらキョロキョロと辺りを見渡す。いや、観察しているといった感じか。

「ま、お前がそう言うならきっとそうじゃん。じゃ問題なしって事で帰ってもいいじゃんか?」

「はい。申し訳ありませんでした」

頭を下げて謝罪する。
彼女は「じゃあもう戻るじゃん」と同僚に声をかけている。
頭を上げると彼女を最後尾にして警備員達は元来た道を引き返していた。

「ああ、それといー」

「なんでしょうか」

曲がり角を曲がった彼女は、ひょこりと顔だけをそこから出すようにして声をかけてきた。
そして到着した時のように険しい表情を浮かべると「火遊びは程々にするじゃん」と言い残し、今度こそ去って行った。

なんというか、隙の無い女性だな。
273 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/27(日) 23:33:57.02 ID:L3ayDPV50
「さて」

手すりにもたれ掛り外を眺め、警備員の車が学生寮の前から走り去ったのを確認すると一息ついて自室の玄関を開ける。
余計な物が無いぼくの部屋の奥、詳しく説明すればカーテンの前に大きな異物が転がっている。
それは物ではなく、人間。そう、赤髪の魔術師。ステイル=マグヌスだ。
どうして彼がぼくの部屋にいるのかと言えば、上条くんに殴り飛ばされて気を失った彼をこのまま放置しておくのは不味いという判断を
一瞬で下し、縄で縛りあげて叩き込んだからだ。
ちなみに現在の彼は気を取り戻しており、胡坐の姿勢でぼくを睨みつけている。

「気分はどうだい?ステイルくん」

ぼくはベッドへ腰かける。

「最低だね。君の声も、君の姿も、この現状も、全部が僕の気分を害するよ。なにより煙草が吸えないし」

「生憎だけど、この部屋は禁煙なんだ。それに、ぼくは未成年の喫煙には反対派だし」

「――僕は何も話さないよ」

話の流れを遮ってステイルくんは、変わらない目つきのまま言い放つ。

「警備員に見つかると厄介だったからこの部屋に入れただけで、別に尋問なんてするつもりはないよ」

ただ餌にはするつもりだけれど。
不機嫌なステイルくんを眺めていると、ポケットに入れている携帯電話が震え着信を知らせたので、取り出して確認をすると、一通の
メールが届いていた。送信者は上条くん。
三行に纏められた文面を読み、携帯電話をポケットに戻さずベッドの端へ放り投げた。

「よかったね。インデックスちゃんは助かるみたいだよ」

「…………」

ステイルくんに反応は無いけど、ぼくの言葉に幾分か安心したようで少し表情が緩む。
が、次のぼくの顔で一層、眉をしかめることになる。

「魔術を使うそうだ。インデックスちゃんの指示でね」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/27(日) 23:53:21.92 ID:zw2KrAnE0
戯言使いシリーズ書ける西尾が
なぜめだかはアレなのか
275 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/02/28(月) 00:02:15.95 ID:Jv9ACfq/0
上条くんからのメールには魔術でインデックスちゃんの傷を癒す為に小萌先生の家へ向かうと記載されていた。
なんで小萌先生の家なのかは分からないが、どうやら治療の目処は立ったらしい。

「……あの子は魔術を使えないはずだ」

ステイルくんがボソリと消えてしまいそうなくらい小さく呟いた声を、ぼくは聞き逃さなかった。
それはきっと本心からの言葉だろう。二回目だ。インデックスちゃんの事を「ソレ」と呼ばず、一人の少女として呼んだのは。

「本当に凄いよ。超能力しかり、魔術しかり。こんな力が同じ世界にあるなんて。あの傷なんて即日入院コースなのに魔術一つで
 気軽に治せるなんて」

「気軽なんかじゃないさ。魔術を使うにはそれなりの努力は必要だからね」

「質問に答えてくれるんだ」

「間違った認識は持たれたくないからね」

「そうかい。でも魔術ってのも才能だったり血筋だったりが重要そうに思えるけど」

超能力と同列に考えるのなら、個人の才能で力の優劣がつきそうな気もする。
同じカリキュラムで、同じ薬品を投与されていても、クラスメイトの中で能力レベルに差が生まれていることは、
魔術でも同じなのではないのだろうか。
それに血筋も関係ありそうだ。

「才能は否定しないが、血筋はそれほど関係はない」

「やっぱり君は小説の読み過ぎだよ」と首を横に振るステイルくん。

「才能がすべからく子へと受け継がれるのならそうなるんだろうけど……そうだな、この国の例えると、プロ野球選手の子供は例外なく
 プロ野球選手になれるか?なろうとするか?答えはノーだ。才能は受け継がれず、仮に受け継がれたとしても、その子が親と同じ道を
 選ぶ可能性は決して多い割合ではない。だから血筋ってのは魔術的に余り重要視されないね。まぁ貧富の差や身分の違いを示すことぐ
 らいじゃないかな」

なるほど、フィクションの世界のように魔術師の子は魔術師に、勇者の子は勇者にならないのか。
悪は善にもなるし、逆もまたしかり。
そういった所はなんらぼくの現実と変わりはない。
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 00:34:44.94 ID:IrmGWbLAO
そもそも西尾作品はジャンプ向けじゃない気が
めだかは無理にジャンプの作風に合わせてる感じがする
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 01:06:06.59 ID:cIDMMCzFo
>>276
だって主人公の殆どが搦め手を使うんだもん
特殊なのは七花ぐらいじゃね?
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/28(月) 02:20:24.45 ID:NcqDecSc0
ザ・ワールド
スレは止まる
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 03:25:51.24 ID:8y/U61Sfo
そして時は動き出す
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 03:26:28.69 ID:8y/U61Sfo
そして時は動き出す
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 03:27:19.75 ID:8y/U61Sfo
そして時は動き出す
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 03:27:48.29 ID:8y/U61Sfo
なんかすまん
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 05:28:14.87 ID:z/+SI9bAO
せめて作品の話しようぜ
雑談しかないじゃないか
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 07:39:41.08 ID:7GasVIl2o
稀に秀逸過ぎて出る筈のコメントが出てこない現象が起きるのは
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 09:37:59.65 ID:hT0BXadAO
それは恋だよ
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 15:37:59.85 ID:AqB/NGeAO
大したことじゃなくて申し訳ないが

インデックスの服→歩く教会
玖渚の異名の一つ→歩く逆鱗

という類似点があることに気づいた
まあ異名と装備じゃ全然違うんだけどね
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 18:52:10.89 ID:j6QoqnSCo
鎌池×西尾だと互いの個性食い合ってしまうんだなと感じた
意外と相性悪いみたいだねこの2人の作品
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/28(月) 19:10:32.92 ID:z/+SI9bAO
こってりなラーメンとあっさりなラーメンみたいな感じか
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 19:11:28.30 ID:wKEy4o0Xo
一人称主観文と三人称主観分という致命的な違いがあるので違和感はどうしても出る
台詞で自分語りするのと字の分で自分語りするのとじゃ違いがよく分かるだろう
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/28(月) 19:34:51.29 ID:sxD8+Bp00
アジム・ナッジーミさんェ
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 22:48:15.67 ID:ERn5daUDO
なんかラストは安心院軍団(異常、特別、普通、球磨川に匹敵する過負荷)VSめだか・球磨川連合軍になりそうと思った。
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 22:54:42.82 ID:0697fFfio
めだかの話はめだかスレでいいやん
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/28(月) 23:34:29.09 ID:Exr0udiX0
全くだ。日曜の3時に平気でネタバレするボケもいるし
このスレの読者はなんでこんなに頭が残念な子が他と比べて多いんだ
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 23:48:11.13 ID:XDEygELgo
西尾好き≠めだかファン
ということが分からんのだろう
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 00:33:39.72 ID:JALeZfxuo
>>293
ネタバレ[ピーーー]とか構うからいけないとわからない頭の悪いやつがいるから
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 22:20:58.75 ID:KEaOswdAO
い…>>1は……なぜ来ない…
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 23:24:50.88 ID:aKAoIgct0
たまにそんな時があってもよくね?
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 18:16:18.63 ID:VksY1kOAO
悪くな…い…
299 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/02(水) 18:54:22.40 ID:4uEWdKn00
お疲れ様です。
前回はぶつ切りになってしまい申し訳ありませんでした。
昨日までネット環境の無い出張に出ていたので報告もできず、悶々としておりました。

それでは書き溜めてから投下します。
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 21:37:40.29 ID:Sami6l+AO
来たな!
301 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/02(水) 22:19:17.42 ID:4uEWdKn00
「ところで」とぼくはベッドから立ち上がり、ステイルくんの目の前に移動する。

「君は――いや君達はどうしてインデックスちゃんを追っているんだ?」

「……尋問はしないと言ったばかりじゃないか」

「尋問じゃあない。これはただの質問」

「ふん。答えるつもりはないね」

彼は視線をぼくから外すことなく見上げている。それはとても強い意志が籠っているように感じ、同時にやはり簡単には事情を
教えてくれないかと少し落胆する。
落胆を覚えるほど彼女の情報を知りたいのか、ぼくは。
本当にらしくない。

もとより期間限定で滞在している学園都市だ。探し物が見つかればそれでお役御免の身なのに、どうしてここまで彼女に固執する
のだろうか。認めたくはないが――考えたくもないが、ぼくは彼女に気をかけている。それは事実だ。
だけど、どうしてもその理由がハッキリとしない、鮮明ではない、明解ではない、解答がない。
いや、答えはきっとでている。
玖渚とダブらして彼女を見ているのだろう。ただそれをぼくが認めたくないだけで。

甘い。今のぼくにはその言葉が似合うだろう。
優しいじゃなく、甘いだけ。

「逆に質問しよう。どうして君はアレにそこまで関わろうとする?」

まるでぼくの心を見透かしたように、ステイルくんは問う。

「別に、ただの好奇心だよ。そこに深い理由はない」

なるべく冷静に言ったつもりだったが、ステイルくんは「嘘だね」と口元を小さく歪め嘲笑する。

「知り合って間もない少女――それに背景を持たない記憶喪失の少女一人の肩を持つ理由などないだろう。ましてや此処、学園都市
 で≪魔術師≫なんていう非科学な事を言う人間を信じる者など何処にいる」

「ここにいるさ」

「それは実際に魔術を見たからだろう。君の前に僕が現われなかったら、アレの言葉を信じなかっただろ?」
302 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/02(水) 22:20:01.27 ID:4uEWdKn00
その言葉に思わず笑いそうになる。
彼女を信じる、信じない以前の問題だ。
僕は人の言を信じる事など知らない。知ろうともしていない。
知りたいとも思わない。

「だけど君はぼくの前に現れた。これは変えようのない事実だし、抗いようのない運命だと思うよ。きっと」

「詭弁を……よくもまぁベラベラと喋れるものだ」

「これがぼくだからね」

「……まぁなんだっていいさ。僕はアレについて喋るつもりもないし、これ以上喋ることもない」

ふん、と鼻息を鳴らし目を伏せて黙り込むステイルくん。一見、さっきまでと同じ態度に見えるが少し違う。
いや、彼自身が変わったのではなく、この部屋を取り巻く雰囲気が変化した。
異様なまでの圧力を感じる。

「喋らなければ殺すと脅したら?」

「一緒さ。喋るつもりはないし、喋ることもない――当然、殺されるつもりもない!」

瞬間、彼の背後の窓が爆発したかのように割れ破片が室内へと飛び散る。
夜風がカーテンを揺らし、共に先ほど感じた圧力――ぼくに対する敵意を部屋の中へと招き入れる。

「一体何をしているのですか?座禅を組むような姿勢で……仏教徒にでも目覚めました?」

そこには長い髪をポニーテールに括り、Tシャツに片方の裾を根元までぶった切ったジーンズ、 腰のウエスタンベルトには
二メートルを超えるであろう刀を差すという余りにも奇抜な女性が立っていた。
それも、抜刀の姿勢で。
303 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/02(水) 22:20:46.04 ID:4uEWdKn00
「そんな訳がないだろう、神裂。軽口はいいからこの縄をどうにかしてくれないか」

ステイルくんがそう言うと、ハラリと彼を拘束していた縄が解ける。否、解けたのではない、切られたのだ。
神裂と呼ばれた女性(恐らくは年上)の抜刀によるものだろうか、刀を抜く瞬間は見えなかったがこの場で縄を切る刃物など
彼女の腰に差された刀しかない。
戦慄するほどのスピードだ。
飛天御剣流の伝承者かよ。

突然の出来事にぼくの思考回路が混乱を起こす。
ステイルくんを餌にしてもう一人の魔術師をおびき寄せると言う作戦だったが、これはいくらなんでもクレイジー過ぎるだろ。

「少年。部屋の窓を破壊してしまった事は謝罪します。窓の件はステイルを監禁していた事と差し引き零にしてください。
 それではこれで失礼します」

神裂さんは礼儀正しい女性のようで(窓をぶち破った時点で礼儀もなにもないが)最敬礼でぼくに頭を下げる。

「……苦学生には死活問題なんだ。修理代ぐらいは置いていって欲しいね」

「申し訳ありませんが、禁書目録の元へ行かなければなりませんので」

頭を下げながらも、顔だけをぼくに向け、淡々と事務的な口調で述べる神裂さん。
その目にはステイルくんと同じ何か強い意志が込められているように見える。
でも、そんなことはどうでもいい。彼女達の意思が強かろうが弱かろうが、確立していようが拡散していようが、どちらも同じく
どうでもいい。

しかし、魔術師というのは後先考えずに行動をする生き物なのだろうか。
こうしてぼくの目の前に現れて、堂々と目標を回収するなど馬鹿正直に告げる愚直な行動をとるなど、ぼくの思い通りに事を運ばせる
ことになるという事を、恐らく全く、これっぽっちも考えていない。
素直に彼女の元に辿りつかせるものか。

さて、そろそろ二人に社会の常というものを教えてやろう。
交渉は、情報を与え過ぎた方が負けるということを。
304 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/02(水) 22:21:13.62 ID:4uEWdKn00
「だったら、修理代の代わりにインデックスちゃんの情報を貰おうか」

ぼくはステイルくんの時の様に、ベッドから携帯電話を拾い上げ二人へ向ける。

「要求を呑まなければ彼女の居場所に警備員を出動させる。なに、それでも構わないというのなら特攻すればいいよ。でも君達は内密で
 この学園都市に来ているんだろう?だったらなるべく目立つ行動は避けた方がいいんじゃないかな」

もし警備員相手に戦いを始めれば事が表に出てくる事は避けられない。
最悪の場合、今度こそレベル5の超能力者が出張ってくる可能性も出てくるだろう。

この道は避けて通れない。
他の道は裂けて通れない。

「それとも君達は瞬間移動ができるのかな?携帯電話の電波よりも早く、駆けつける警備員よりも速く彼女の元に辿りつけるとでも?
 それは無理だろう。もしそんな事が出来るならいちいち彼女に傷を負わせてまで動きを止める必要はないはずだ」

「貴方に情報を与えてから通報されれば同じ事じゃないですか?それに今ここで貴方の口を封じる事も可能です」

神裂さんは再び抜刀の構えを取る。

「別にそれでも構わないさ。殺してくれると言うなら殺してくれ。ぼくは生きる事にいい加減疲れているから。ただし、その
 場合はインデックスちゃんと一緒にいる上条くんが通報すると思うけどね」

両手を挙げ万歳の状態でぼくは話す。

「あと五分後までにぼくから連絡が無ければ、通報しろと指示を出してある」

言って不敵に笑って見せる。
305 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/02(水) 22:22:26.86 ID:4uEWdKn00
「……貴方は狂ってます。この状況下でなんでそこまで余裕を見せているのですか」

「狂っているから狂っている。正常じゃないから異常。ぼくはぼくだからこうなんだ」

その姿は余裕を見せているように映っているだろうが、実際は神裂さんのプレッシャーで背中に汗が滲んでいる。
心臓の鼓動も幾らか速くなっている。
ギリギリの状況は変わっていない。そもそも、上条くんにそんな指示は出していない。
虚勢。嘘だ。

重ね重ね、らしくない。
ここまでのリスクなど犯す必要など皆無のはずなのに。
他人の言葉より、自分自身を信じていないぼくなのに。
どうしてここまでするのだろうか。

「……わかりました」

諦めたように、いやあの顔は呆れているのだろう。神裂さんは姿勢を崩し綺麗な直立で溜息をついた。
「神裂!」とステイルくんが納得のいかないように叫ぶが「そもそも貴方がしくじるからいけないのでしょう」と言いたげな目線を
向け、大人しく黙り込む。
それでもぼくを睨み続けるのは止めないが。

「時間もないのです。簡単ですがお話をしましょう」

立ちすくむ三人の隙間を縫うように、相変わらず風が吹きぬけているなか、魔術師神裂は語り出した。
どうしてインデックスちゃんを追っているのか、その理由を。

どうしようもないくらい、滑稽な理由を。
306 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/02(水) 22:28:57.61 ID:4uEWdKn00
とりあえず休憩します、が、とてつもなく眠いのでこのまま落ちる可能性が大です。
いーちゃんらしくないと思うところがあれば、ぜひアドバイスお願いします。

>>287
正直、僕のレベルじゃこのネタは速すぎたと反省しています。
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 22:54:34.59 ID:Sami6l+AO
乙です
1レスの量が多いから楽しい

ちょっといの字に自信ありすぎな感じがするような無いような
あんま違和感ないけど
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 23:33:18.11 ID:hYI/sVqAO


戯言の時系列無視とはあるが
ネコソギ以降のいーちゃんって解釈でいいかな?
無為式は狐さんが言ってたような気が…

あと違和感っていうわけではないんだけど
原作戯言は読者には途中経過をハッキリさせないのに
実はいーちゃんは全部気付いてましたみたいな
言い回しが多いからそのせいかなぁとちょっと思った
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 23:40:28.56 ID:1Huk8Rxso

いーちゃんの表面取り繕ってる感じがいい
>>308
無為式はクビツリでもう出てたよ
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 23:51:15.18 ID:keJZxtyGo
おつおつ
>>1のレベルうんぬんの話じゃなく作品の根幹からして毛並みが違うんだから鎌池作品と西尾作品の相性が悪くて当然
気にする必要ないと思うけどな
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 00:30:03.08 ID:a7CywZDAO
俺はいーちゃんのキャラも戯言と禁書の持ち味にも余り違和感を感じないぜ

キョン「戯言だけどな」の作者もそうだけど、西尾クロス作品にはハズレが少ないから嬉しい
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 03:25:07.25 ID:H1m8nXWAO
いーちゃんは脳の構造を知っているのだろうか……
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 03:56:18.77 ID:66EfZREZo
いーちゃんは高学歴だけど必要ないことはすぐ忘れちゃうからどうだろう、わからんな・・・
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 04:14:16.43 ID:V132Tic0o
確かにいーちゃんは忘れてそうだなwwwwww

まあ、電話で潤さんとか玖渚とかに聞きゃ一発だろ
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 04:31:07.62 ID:Jf10eAh+o
玖渚の例があるから大丈夫っしょ
確か玖渚って完全記憶能力あったよね?記憶が曖昧だ
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 07:45:09.26 ID:a7CywZDAO
>>315
デジカメ並みの精度で記憶できるらしいけど、一度記憶したら忘れないって描写は無かったような気が
でも神裂から理由を聞いて滑稽って感じてるから知ってるんじゃないか?
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 15:59:34.87 ID:RUfnlxEG0
オレは勝利もしてないのに!・・・・・未だ何もしてないのに!顔を剥いだあの時のままに俺の過負荷を返さないこの女にはだんだんガマンならなくって来た・・・・
無敵なのはこの球磨川だッ!『オールフィクション』はは何でも可能なのだッ!
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 16:38:04.42 ID:2nL6hCDIO
玖渚はたぶん完全記憶能力者だったと思うんだけど、俺は完全記憶能力者じゃないからどこにその記述があったか忘れた
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 16:45:10.45 ID:NDZBoAoJo
たしかサイコロジカルあたりに描写あったはず
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 22:26:22.77 ID:vwYp+QhAO
>>309
そうだったかスマン
うろ覚えでレスするもんじゃないな…
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 22:59:25.62 ID:7P6cCdE10
サイコロ以後ヒトクイ以前って一番面倒くさい時期だよな
色々あって吹っ切れたヒトクイ後ならワンチャン王道展開もあるかもだけど
クビシメ〜ヒトクイの間のいーちゃんはマジで関わった後には敵味方自分も含めてペンペン草も残らない全自動迷惑散布機構だし
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:18:50.76 ID:M47Mmtj/o
>>321
確かにwwww
あの頃のいーちゃんはもっとも迷惑な存在だったな
そして>>321、もしくは>>321の周りが格ゲーに準ずることがわかった。
323 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/04(金) 00:36:35.61 ID:FG3L/mbP0
投下します。
遅くなって申し訳
324 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/04(金) 00:38:04.96 ID:FG3L/mbP0
2

神裂さんからインデックスちゃんを狙う理由を聞き出したぼくは、ある提案を彼女達に持ちかけた。
渋々ではあったがぼくからの情報を聞き二人は承諾をしてくれた。期限付きではあるが、それは事情を考えると仕方が無い。
ついでに窓ガラスの料金も負担してくれることに決定した。実にめでたい。
そして、相変わらず不機嫌なままのステイルくんと納得のいかないような表情の神裂さん達が去った後、ぼくは完全下校時間など過ぎきっている
学園都市の夜道を一人で歩いている。
目的地は言わずもがな。上条くんとインデックスちゃんが居る場所だ。
歩いて二十分ほどだろうか、特に問題も無く無事に目的地に到着することが出来た。

「やっぱり素敵な場所だよな……」

ぼくが京都で借りている骨董アパートにも引けを取らないほどの佇まいを見せる木造二階建てのアパートを見上げながら、そう呟いてみた。
余談ではあるが、どうしてぼくがこの超ボロイ木造アパートの場所――すなわち担任の月詠小萌先生の住所を知っているのかというと、転校初日の帰り道に
やたらハイテンションな青髪のクラスメイトが紹介してくれたからだ。
しかしどうして彼はそんなことを知っていたのだろうか。

そんなことを考えながら一室ずつ表紙を確認して回る。一階にはそれらしき名前が無かったので二階へと上がる。
ボロボロになった階段がギシギシと嫌な音を立て、不安感を煽られながらも登頂し同じように表札を見る。
そして二階の通路の一番奥の部屋を確認したところでようやく「つくよみこもえ」とひらがなで書かれた可愛らしい文字を発見した。
確かにあの容姿ならこの表札は納得が出来るが、実年齢を考えると笑えない。精神年齢も幼いのだろうか。

「失礼します」

やたらと頑丈な素材でできている扉をノックもせずに開き部屋の置くまで歩く。
そこにはパジャマに着替え布団の中で眠るインデックスちゃんと、胡坐をかいてそれを眺める上条くんが居た。
意外と綺麗な部屋だなと思ったが、すぐにその考えは無理やり部屋の隅に固められたビールの空き缶の群れに否定される。
なるほど、意外と小萌先生はだらしがない女性のようだ。というか煙草も嗜むのかよ、あの容姿で。

「どうやら無事なようだね」

「ああ。いーさんも無事でよかったよ。インデックスの治療には小萌先生にやってもらった。今は寝ているだけさ」

少し辛そうな顔で眠るインデックスちゃんを眺めながら、ぼくは上条くんの隣へ座る。

「で、合法ロリ先生はどうしたの?」

自分の右手を眺めながら何か考えているような上条くんに聞いた。

「買出し。食料とか医療品とか。俺が行くって言ったのに『最近は連続通り魔事件があって物騒ですからねー。ここは大人な先生がいきます』なんつって
 聞かなかったからさ」

「通り魔?」

少し前に聞いたことがある単語に反応してしまった。
今頃あの人間失格は国内には居ないだろうから、単純に別の人間が犯人なのだろうけど。
ぼくの言葉に上条くんは「なんだ、知らないのか?」と首を傾げてから説明をしてくれた。

「ここ最近、学園都市内で連続して殺人事件が起こってるんだよ。被害者に共通点は学生だということ。凶器は鈍器のような物で撲殺。一向に犯人は見つからない。
 って結構話題になってるんだぜ?被害者は確か五人だったか……」

「へえ」

「そんなに驚かないんだな」
325 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/04(金) 00:38:48.67 ID:FG3L/mbP0
「テレビの向こうでしか起こらないような出来事を聞いて、いちいち驚いてたらキリがないぜ」

「ま、そうだよな。明日は我が身って言葉もあるけど、実際、自分が殺されるなんて思えねぇ」

「その通り」

実際にはその事件の倍以上の人間を殺した事件を知っているし、なんならその犯人と面識もあるのだけれど、ここは黙っていたほうがいいだろう。
アイツが特殊なだけで、きっとその通り魔事件の犯人は近いうちに逮捕されると思う。学園都市の警備員は無能ではない。有能とは言わないが。

上条くんの言った通り、例え身近でそんな事件が起きていたとしても「自分は大丈夫だ」と思えてしまうのが人間だ。
せいぜい少し足早に帰宅したり、路地裏なんかを避けて通るくらいの注意しかしない。
自分は人生を全うできると、そんな淡い幻想を抱いている。

「それで、いーさんはどうやって後始末したんだ?」

「あの後もう一人の魔術師がやってきてね。その人は赤髪の魔術師……ステイルくんって言うんだけど、ステイルくんより聞き分けが良くてね。見逃すだけじゃなくて
 インデックスちゃんが知らない様な情報も教えてくれたよ」

「インデックスが知らない情報?」

「ああ、君は補習に行っていたから知らないんだっけ。実は彼女は記憶喪失なんだ」

とりあえず事前知識として彼女が記憶喪失だということや、完全記憶能力者だということ等を伝える。
ううん、と納得のいかないような唸りをあげる上条くんだった。

「それで、どうしてコイツが追われていたんだ?魔道書は本命じゃないんだろ?」

「うん。当然魔道書の確保も目的の一つなんだけど、それ以外にもう一つ本命の目的が彼らにはあった。奇しくもステイルくんが言った
 『目標は禁書目録そのもの』という台詞は間違いではなかったんだ」

「ごめん。話が見えてこない」

あえて遠回しに話すぼくに煮え切らないような表情を浮かべる上条くん。

「当然だ。さて、ここで彼らの事情にスポットを当てよう。目的はインデックスちゃん自身の《保護》。回収ではなくこの保護っていうのがポイントなんだ。
 いいかい上条くん。彼らがインデックスちゃんの敵であるならばわざわざ保護なんて表しはしない。彼らはインデックスちゃんを守るために追っていたんだ」

「守る……?」
326 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/04(金) 00:39:33.09 ID:FG3L/mbP0
「そう、守る」

ぼくはそう言って目線を上条くんからインデックスちゃんへと移す。相変わらず苦しそうだ。

「彼らが所属している組織は、インデックスちゃんと同じ――つまり味方なんだ」

「っな……」と驚く上条くん。
ぼくは続ける。

「見方を変えれば確かにそれらしい伏線は幾つかあった。安定しない彼女の呼び方や、知りすぎなほど知っていた彼女の情報。傷を負わせてしまったことでの焦り、
 なにより歩く教会によって安全が確保されている彼女に、不毛な攻撃を仕掛け続けていたこと。そうだろう?攻撃が通用しないならさっさと力ずくで拘束してし
 まえばいい。聞いたところあの修道服には力を上げる効果はないらしいし」

「…………あえて敵の振りをしていたってことか?」

「正解だ。記憶が無い彼女に味方だと近づいたところで怪しまれるに決まっている。それならばいっそ敵として振舞えば彼女の警戒心も上がり一石二鳥だ」

恐らくぼく達に警戒心を抱かなかったのは学園都市の人間だったからだろう。魔術など知らない存在に自分が抱える魔道書の価値など分かりはしないと。
値踏みの上での関係。成立しないことが前提の会話。そこに信頼や警戒心など生まれるはずもない。
初めから、彼女はぼく達と関わりを持つきなどなかったのだろう。フードを取りに戻ったのもそれの現われ。

よく考えればおかしな話だ。世界の脅威となる存在をたった二人だけで確保しようなど。

「楽だからね、インデックスちゃんにとっても、なにより彼らにとっても」

ゴッっと地面を殴りつける音が響く。
上条くんが右拳を思い切り畳へ叩きつけたのだ。
その表情は怒りのそれだ。それ以外にはどんな感情も混じっていない。

「ふざけるな……!どうしてコイツがそんな目にあわなけりゃいけないんだよ!!」

「禁書目録だから」

「だからってコイツが苦しむ理由にはならねぇだろうが!コイツはただの女の子だぞ!俺らと変わりの無い人間だ!馬鹿みたいに食って、馬鹿みたいに噛み付いてきて
 笑って、落ち込む人間だ!記憶が無いならその分時間をかけて信頼を築き上げればそれで済む問題だろ!?」

上条くんは冷たく言い放つぼくにまるで殴り掛かりそうな勢いで怒鳴る。かみ締めた歯からはギリギリと音が鳴っている。
本当に、この子は優しい人間だ。
優しくて、正直で、愚直で。
ぼくとは似ても似つかない。

「そうだね。それが出来ればこんなことにはならなかっただろうさ」
327 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/04(金) 00:40:11.79 ID:FG3L/mbP0
「は?」

「だから出来ないんだ。一から始める事が、コンテニューができないんだ」

そう、これこそが彼らが彼女を追う理由。追わなければならない理由。
守る、理由。

「完全記憶能力の話に戻そう。これの意味は分かるよね?」

コクリと頷く上条くん。

「オーケー。実は人間は忘れることによって生きている。パソコンのハードディスクと同じで脳の許容量が決められているんだ。詳しい数字は分からないけど。
 普通の人間なら自動で要らない情報は消去されていくけど、完全記憶能力者はそれが出来ない。実はこの能力は付加価値のようで欠陥なんだよ」

許容量を超える情報が脳に詰め込まれれば、当然パンクする。

「つまり、脳が情報という掛かる負荷に耐え切れず、彼女は近いうちに死んでしまう。十万三千冊という膨大な魔道書を覚えている限りね」

昨日の晩御飯のメニューを忘れない。ぼく達の顔を忘れない。道端の石の形も忘れない。すれ違う人の顔も忘れない。飛び込んでくる音も忘れない。
敵に追われる恐怖も忘れない。一人きりという孤独も忘れない。頼るものが無い悲しみも忘れない。理不尽な運命を呪った事も忘れない。
元凶である魔道書でさえ忘れない。忘れられない。

「彼らが彼女を追う理由はそこだ」

大切な仲間を守るため、大事な友人を守るため。
あの魔術師達は動いていた。

「どういう……」

上条くんにもぼくの言わんとしている事が理解できたのだろう。視線が泳ぎ動揺している。

「完全記憶能力を持つインデックスちゃんが、一年前からの記憶が無いなんておかしな話だろ?怪我をしたわけでも、病気を患っていたわけでもない。
 それでいて魔術的な知識だけはもっていた。忘れられない彼女が、必要の無い記憶を持たない。これこそが最大の鍵だったんだ。」

簡単な話だ。自分で忘れられないのなら、誰かに操作してもらえればいい。
それこそパソコンのハードディスクの中を整理するかのごとく。

少し呼吸が荒くなっている上条くんに、ぼくはそのまま感情を込めず言い放つ。

「そう……彼らがインデックスちゃんを追い、保護する理由――」
328 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/04(金) 00:40:47.35 ID:FG3L/mbP0











「彼女の記憶を消すためなんだ」









329 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/04(金) 00:41:19.34 ID:FG3L/mbP0
とりあえず、今日はここまでです。
やっと第一巻の終わりが見えてきてマジ安心院さん。

色々重要な内容だったので書き溜めるのに時間が掛かってしまいました。



それでは、また明日とか。
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 00:54:00.93 ID:j/4KZdEAO
乙です

これは人織登場フラグなのか…!?
しかし、いーちゃん完全記憶について詳しくないのね
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 01:55:34.29 ID:oqgwKfeDO
まぁ青いのには限界とか無さそうだし記憶し過ぎで死ぬとか思わなかったのかもね
殺人鬼vs殺人鬼とか胸熱展開だな

乙です
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 02:04:58.45 ID:oCAhsuIDO
殺人鬼=人識なら撲殺じゃなくて刺殺じゃないか?
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 02:17:42.55 ID:oqgwKfeDO
いやだから撲殺の殺人鬼にいーさんたち襲われてからの人織さん助太刀展開って話だろ
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 02:23:07.97 ID:Wj81jF4DO
撲殺ってことで一瞬釘バットが思い浮かんだけどこれは流石に無いよな
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 02:28:36.03 ID:pXK/lQnAO
愚神礼賛

禁書っぽい字面ではあるが……
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 08:48:15.14 ID:j/4KZdEAO
>>334
俺は佐天さんかと思った
アニレーと>>1の前作的な意味で
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 15:54:51.08 ID:4Uo1BJ2z0
前作の青ピ戦以降はガチだったよな
今作もきたい
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 21:20:23.07 ID:l5zaPhJAO
請負人のいーちゃんならもう少し積極的に動きそうな気も
339 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/05(土) 00:00:38.57 ID:MZLLZcM10
今日は投下できませんorz
とりあえず明日の投下では一応インデックスの話は終わらせるつもりですので。

しかし、西尾ss増えてきたな……
嬉しいけど怖いっす。
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 06:40:53.17 ID:jc4TvgYAO
前作と比較すると物凄く過沿ってるな
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 10:54:06.76 ID:ofnMEPxAO
球磨川インパクトあるからな
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 13:19:58.44 ID:bXiTH/mko
現状原作どおり進んでるからだろう
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 14:22:36.47 ID:xz3tHJ0AO
ジャンプは読む人が多いからな…
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 21:00:06.17 ID:jxjULd0n0
お疲れ様です。
書き溜めてから投下します。
345 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/05(土) 21:01:17.38 ID:jxjULd0n0
ああああああ酉とsage忘れてたorz
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 21:17:29.61 ID:lqrn3X9u0
一番長生きの人かと思ったが、彼が殴ると撲殺じゃ済まないな
と思ったが、バットはまごころんにあべしされてたな
と思ったが、時系列がサイコロだからまだバリバリ現役、下手すりゃ二十人目の地獄さんも生きてる頃だな
と思ったが、いーちゃんがぐっちゃんに遭遇しちゃったら穏便にすむ訳ないな

何気に戯言・人間シリーズでは一番好きなキャラなんだけどなー、きしきー
347 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/05(土) 21:35:56.90 ID:jxjULd0n0
ぼくの言葉に上条くんは固まっていた。何を言っていいのか分からない。そんな表情を浮かべながら。

「どう思う?」

このままでは話が進まないので促すように聞いてみる。そう、ぼくの話はまだ終わっちゃいない。
ここまではあくまでステイルくんや神裂さんの説明をそのまま話しただけで、本当に伝えたかった話は別にある。
生物学等に以上に疎い魔術側の人間じゃなく、ぼくしか、いや科学側の人間でしかこの矛盾点には気がつけないのだから。

「どう思うって……手の打ちようがないじゃねぇか」

「おいおい、本気でそう言ってるのかい?彼らの説明は矛盾だらけじゃないか」

そこまで言って上条くんの学校における成績が下から数えたほうが早いことに気がつく。
うん。これはぼくの失態だ。
聞き手の粗相は言い手の粗相。他人を自分と勘違いしちゃいけない。
幼子と話すときは同じ目線になってやるのが基本だ。

「なんか失礼なこと考えてないか」

「いや、別に」

バレた。
ぼくは彼のことを鈍感だと思っていたが、その考えは改めなきゃいけないかもしれない。
「とにかく」とぼくは咳払いをして説明を始める。

「さっき人間の脳は忘れることで、要領を確保していると言ったけれど、本当は人間は忘れられないんだよ。
ぼくだって上条くんだってそうだ。思い出せないだけで、脳には記憶されているんだよ。上条くんは定期的に記憶を消しているのかい?」

ブンブンと首を横に振り否定する上条くん。

「だよね。ぼくもそんな事はしたことがない」

第一、そんなことをしなければならないのなら、人類は誕生して一年で絶滅だ。

「でも、完全記憶能力者の場合は別なんじゃないのか?」

まるっきり的外れの質問にぼくも同じように首を横に振り、ため息を吐く。
348 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/05(土) 21:38:00.32 ID:jxjULd0n0
「だったら君はどこで完全記憶能力の存在を知った?まさか論文からとは言わないよね」

「そりゃぁ、テレビで……って、あぁ!」

そこで気がついた様だ。
一番大きな矛盾に。

「その完全記憶能力者は何歳だった?」

完全記憶能力という言葉が存在する限り、その能力を持つ者も必ず存在する。
目の前で眠る少女、インデックスちゃんだけの能力ではない。
だったら、普通に生活している完全記憶能力者は長く生きていることができないはずだ。

「もっとミクロな論点ならまだまだ指摘するべき箇所は無数にあるんだけどね。今回は割愛しよう。
 これで分かっただろう?いかに彼らが滑稽な行動をしていたのかは」

魔術師達もこの事実を教えてあげた途端、上条くんの様に青ざめていた。
つまり彼らも踊らされていたのだ。

「彼らが疑問に思わなかったのには理由があってね。インデックスちゃんはきっかり一年毎に体調を崩すそうなんだ。
 だから鵜呑みにしちゃったんだろうね」

起こるはずのない事態が起こったことによって、ふざけた理論を受け入れてしまったのだろう。
記憶など、消す必要は何処にもないというのに。

「でも、それなら何で一年毎に調子が悪くなるんだよ」

その質問は最もだ。
彼女が命を脅かせる事例など何処にもないにも関わらず、彼女は苦しんできた。

「さぁ?彼らもそこまでは流石に想像できなかった――いや、したくなかったんだろう。ぼくはある程度予測はついているけど」

ステイルくん達に嘘の情報を教えた人物。
ステイルくん達にインデックスちゃんの《回収》を命じた人物。

ぼくはゆっくりと口を開く。

「彼らの組織のトップが、何かやってんじゃないかな?」
349 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/05(土) 21:55:29.69 ID:jxjULd0n0
4

今日が終わり、明日を向かえる時間にぼくは学生寮への帰路を歩いていた。
怒り散らす上条くんを嗜め、インデックスちゃんの看病をお願いし、一足早くぼくだけ帰宅させてもらうことにしたのだ。
あのままアパートに居座っていてはいずれ小萌先生とかち合ってしまうだろうし(ぼくはどうもあの人が苦手だ)少し気になる事があったので、
玖渚に電話でもしようかと思ったのも退散した理由。
ぼくが完全記憶能力についての知識が多少なりともあったのは、その玖渚のおかげだった。
彼女も完全記憶能力の持ち主で、なんどもそれが発揮されたのを目撃している。

例外なく、玖渚は覚えている。
異例なく、玖渚は記憶している。

自身が見てきた、体験した、その全てを。

だから、インデックスちゃんは、玖渚と比べれば幸せなのかもしれない。
覚えていて辛いだけの記憶を、持たなくてもいいのだから。

いや、彼女達に幸福や不幸などという概念は存在しないだろう。

本当に、戯言だ。

「…………」

やれやれと頭を掻いたぼくはそこで背後に気配を感じる。
あの時、ぼくの部屋で神裂さんが放っていた敵意とは違うモノが、背中をぞわりと撫でる感覚。
これの招待をぼくは知っている。

殺意。

京都連続通り魔事件の犯人から浴びせられたような鋭い殺意ほどではないが、
巫女子ちゃんの事件の時にむいみちゃんから向けられたような殺意ほどではないが、
これは明らかにぼくを殺そうとする気配だ。

最近通り魔事件が起こっている、と上条くんから聞いたばかりの言葉が再生される。
確か被害者は五人で、その全ての死因が撲殺。

悟られないように周りを観察するが、この時間だ。当然、通りには人っ子一人居やしない。
350 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/05(土) 22:17:33.49 ID:jxjULd0n0
零崎のようにあえて殺意を隠していないわけではないだろう。
尾行のスキルも合格点をあげられるようなものでもない。
しかし、だからといってここは学園都市だ。能力を使用されて襲われた日には即刻速攻死亡決定である。

気持ち足早に歩を進め、路地裏へと右折する。
そして右折した瞬間、ダッシュした。

地理などまるっきり分からないが、とにかく相手との距離を取ろうと思っての行動だ。
幸いビルが多い学園都市では逃げ道に困ることはない。

息を切らしながら何度目かの角を曲がったとき、座り込む二つの人影を発見した。
その姿を確認したぼくは少し疑問を覚える。

この時間、この場所で黙って座り込む人間などいるのだろうか、と。

ウォーミングアップなしの全力疾走で少しぶれる視界が安定し始めて、ようやくぼくはその姿の全貌を捉えることができた。

「……!」

ぼくの手前側に座るの人間。いや人間だった物の正体。
尋常じゃない量の血液を頭から垂れ流し、その整った顔を真っ赤に染めた女の子だった。
なにかで思い切り頭を割られたのだろう。右の眼球が垂れ下がっており、琴切れて力を失った下顎が外れんばかりに下がっている。
もたれ掛かるビルの壁には彼女のものと思われる血飛沫の跡。
どうみても、死んでいた。

ぼくはそのまま、あと一人の姿を確認しようと彼女を跨ぎ奥へと進む。
そこにはやはり同じように顔面を血で濡らした女の子の死体があった。高校生ぐらいに見えた先の彼女よりも二周りほど幼い少女だった。
買い物帰りに襲われたのだろうか、その脇には中身が散乱したレジ袋が落ちている。

そのレジ袋は上条くんが愛用し、ぼくにも教えてくれた二十四時間営業のスーパーのロゴがプリントされており、
散らばった中身は三人分の夕食に使えそうな食材と、風邪薬や栄養剤を初めとする衣料品のパックだった。

高校生の少女と違い、まるで眠ったように目を閉じたまま動かない少女を、ぼくは知っていた。
ピンクのワンピースの彼女は、実はぼくよりも年上で、ビールだってタバコだって吸う大人だ。
転校初日に初めて校内でぼくと喋った人だ。
常に生徒のことを気にかけている、皆の人気者だった先生だ。
そして、さっきまでぼくが居たアパートの一室の住人だ。
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 22:18:24.65 ID:lqrn3X9u0
なん…だと……?
352 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/05(土) 22:19:24.48 ID:jxjULd0n0
ぼくの

  目の前で

月 

 詠

    小
  
  萌



        
       死んでいた。
353 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/05(土) 22:20:25.71 ID:jxjULd0n0
ちょっと、野暮用で席を外します。
ひょっとしたら今日はこれで終わりかも。

ただ明日は休みなので一杯投下できます。

それではー。
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 22:24:06.87 ID:bXiTH/mko


これまた急展開だな
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 22:25:35.23 ID:9BP0ZBZIO
やりやがった!
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 22:45:27.22 ID:jc4TvgYAO
登場人物が小萌先生だったから、これはないと思ったのにぃぃぃぃいい!!

前作といい、>>1はどれだけ俺を苦しめれば気が済むんだよ……
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 23:22:31.22 ID:nRpiIWQAO
まさか小萌てんてーが死ぬはずはない…
死んでると思っただけで実は息があるんだろ? そうなんだろ?
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 23:40:36.79 ID:iz8cbr4io
――と思っていたが 違った
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 23:43:52.01 ID:H9cq+T/go
そんな幻想二秒で切り替えしてやりますよ
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 23:45:43.08 ID:MRLo1q75o
さすがいーちゃんだ
・・・この調子だと他にも死人が出そうでこええわ
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 02:08:23.97 ID:RD8F0lkUo
姫神とか絶対死ぬキャラだよな
いや、むしろ死ななきゃおかしいキャラだな
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 02:11:25.31 ID:xGhqTHtAO
>>361
(出番的な意味で)死にます
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 02:52:04.16 ID:8909gCgAO
小萌えキャラ殺しってか
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 07:49:19.28 ID:OTZTmh0DO
小萌てんてーいーちゃんの本名言っちゃったんでね
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 13:03:24.35 ID:abqQvwFN0
大嘘憑きで十分だろう……却本作りって何ができるんだ?
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 13:05:21.76 ID:WDSzKygAO
いーちゃんと親密な関係になると大抵死ぬよね
巫女子ちゃんとか一姫ちゃんとか策士の子とか
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 15:26:14.90 ID:G8fj6CnX0
つまり上条さんも・・・ゴクリ
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 17:38:12.77 ID:83Vs9Jr3o
今読んでるんだけど、どうやら俺が結婚したいと思った子は死ぬ運命にあるらしい
レアアイテムをラスボスや隠しボス戦でも勿体無くて使えないタイプの俺にはどうも理解出来ない
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 17:54:23.29 ID:RJVuIxDAO
1ちゃんはまだか…
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/06(日) 19:16:48.25 ID:fF0+SdDx0
>>365
死ね。なんで人が言ってることを理解できないかなー田舎のガキは頭が猿並なのか?
ここはネタバレするところじゃないんだよ前にも何回も言われてんだろうが消えろボケ

>>1もこういう輩に注意くらいしてくれ。こんな奴らに見てもらってるなんて下手に出なくていいから
一部の読者に注意でも中傷でもいくらしたってこっちは読ませてもらってる立場なのは変わらないし
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 19:20:08.24 ID:8IJO/0jOo
そもそもここでめだかの話するのが完全にスレチ
必要ならスレ立ててやるからそっちでやれ
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 19:30:45.10 ID:m/XQDOpDO
あぁ、まだ発売日じゃなかったのか
ブックメーカー位でキレる人の方が荒らしにしか見えない
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 19:37:35.99 ID:HdK5bSrAO
>>370が気持ち悪すぎておぞけがする
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 19:53:10.37 ID:wP4gmxMlo
>>372-373
おいあんた!!ふざけたこと言ってんじゃ…
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 19:53:56.27 ID:FsucdcqL0
>>352
http://nullpo.vip2ch.com/dl.php?f=ga1350.jpg
小萌先生が血みどろなわけじゃなかったのねよかった!
挿絵はちょいグロ注意
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 19:56:04.90 ID:UiJcBelMo
やめろ>>374っちゃん!
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/06(日) 19:56:16.65 ID:fF0+SdDx0
ID変えて必死で自演か。いや、前にネタバレしたことのある別の糞猿かな
ネタバレ野郎は金輪際書き込むんじゃねーよ気持ち悪い
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 19:58:32.51 ID:UiJcBelMo
いやマジレスすると携帯ではID変更できない

末尾が
DOでドコモ携帯
AOでau携帯
SOでソフバン携帯

豆な
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 20:10:05.31 ID:O2LzI1fYo
ID変更はやろうと思えば出来るけど、元に戻せないから単発になる
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 20:13:54.13 ID:m/XQDOpDO
>>378
PCとケータイ使い分けて(ryって言いたいのでは?
末尾0が何言ってんのって感じだけど

水曜→バレ開始
金曜→発売日
月曜→来週号発売寸前

位の感覚で行かないと2chではやってけませんよ

さーて、こんな話題2秒で切り返して1を待ちますよ
…どうしたんすか みんな?
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 20:16:14.77 ID:zAjO84HVo
>>375
おっつー
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/06(日) 20:25:10.25 ID:fF0+SdDx0
>>380
何言ってんだお前
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 20:28:29.41 ID:EcFO5TVRo
>>375
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 20:49:48.93 ID:66viKZR+o
>>380
帰れや
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 20:51:53.78 ID:gIrVF2mAO
ネタバレには専用スレがあるのにな
[ピーーー]ばいいのに

>>375
乙だよ
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 20:52:33.33 ID:Nra8H8Uno
まぁここでネタバレする奴はカスだろ
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 20:54:56.99 ID:8glIb9yho
カスなんて言ったらカスに失礼だろ
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 20:59:49.34 ID:Jem0M/I7o
喧嘩するな
めだかの話もするな
無駄に煽るな
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 21:08:20.98 ID:zAjO84HVo
>>384-387
お前等みたいな馬鹿が釣れるからバレが来るんだろ…少しは学習してくれ…

スルーコピペ貼っときますね
真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してしまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 21:29:09.26 ID:Nra8H8Uno
バレの場合はスルーしてたら容認してると勘違いされて話題にバレの内容とか普通に入ってきそうだけど、スルーでいいのか
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 21:31:26.08 ID:CDLeEeFDo
勝手に騒ぐから相手がつけあがるんだよ。

内容とかバラされても見なかったことにしてスルーし続ければ相手も騒がなくなるよ
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 21:31:32.26 ID:zAjO84HVo
構うよりはマシ
水曜深夜とかにバレもってきてるわけでもないし
平和に行こうぜ
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 21:33:06.87 ID:83Vs9Jr3o
謳ってろ
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 21:47:40.72 ID:gIrVF2mAO
悪かった
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 22:40:10.41 ID:VShZMv200
みんなぁ…おおおおちちゅけぇ…
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 22:58:12.84 ID:aPN7FyVSO
てか田舎だと日曜発売も普通にあるんだよね。
俺んとこ普通に日曜に出るし…。
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 22:59:28.25 ID:HdK5bSrAO
ネタバレみたところで所詮内容なんかわからんのにな
漫画を文章表せるわけないんだから
まったくどーでもいいことでいつまでモメてるつもりなんだか
僕から見れば全員平等にただのくだらねーカスだってのに(>>1は除く)
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 23:13:54.77 ID:VZtiHZrbo
>>1が統率とってくれないと延々続くだろうなこれ
399 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/06(日) 23:26:35.97 ID:e4mjq5fz0
用事で遅くなりました。

みんな、落ち着いてくれ。

ネタバレやめだかの深い話は該当スレでやってください。
もしネタバレを見つけてしまっても紳士的にスルーしてください。

そして>>375
超ありがとうございます。

今から書き溜めます。大量投下はできるか、わかりませんorz
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 23:29:24.25 ID:9koHPPZjo


(ΘоΘ)(ΘоΘ)(ΘоΘ)(ΘоΘ)(ΘоΘ)俺たちもうめだかの話するのやめます
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 23:45:22.81 ID:zAjO84HVo
            ....-─:::::.....、
         ...:´:::::::::::::::::::::::::::::::`...
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      ハ::::ハ              j:::i::::::::ハ
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      ハ::::::ヽ    ´ ̄ ̄`   イ::ハ:ハ::::::ハ
      ト V:::::::::\        /i:::::ハ:ハ:iヘ:::ヘ
       {  V\::::i ヽ   /  {:::ハ  ハ::ハ
        V ヽ V:!    ̄      !:/   /:/ ヽ
        V     ノ           V    //
        V  /          V   //
      /⌒V/            ゝ //‐┐
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 00:02:29.40 ID:XqAsDxADO
やっと追いついた……

なーんかこのいーちゃん違和感あるなーと思って見てたら、神裂さん登場の所で理由が分かった

ここのいーちゃん笑うからだ。原作だとラストのラストくらいしかまともに笑わないのに

まあそれは置いといて、今回は何人死ぬのか期待
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 10:12:00.65 ID:g8x98UAAO
予告したけど>>1は来なかったな、珍しい
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 10:15:39.25 ID:rwuSsJ8d0
犠牲になったのだ・・・
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 11:49:17.34 ID:dnKWKqOAO
>>403
前作でも寝落ちあったぞwwww
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 23:02:06.05 ID:MAW1vu/h0
あったねww
前作から来てる人多いんだな
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 08:18:59.52 ID:zh5UfP5Fo
普通は前作から来てるだろう
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 11:35:20.90 ID:anp0hCI+o
オレめだか知らないからこっからだよ
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 14:16:13.87 ID:P+HOKWd70
これも過負荷だよ
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 16:26:00.35 ID:EzT8so0AO
なかなか来ないな
総合に天丼の短編来てたけど
411 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 18:23:36.06 ID:bhLr+X9R0
遅れました。諸事情で投下できませんでしたが、とりあえず復活です。

まずは前回書き溜めた分だけ投下します。
412 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 18:25:15.76 ID:bhLr+X9R0
5

これで四人目だ。

また、ぼくの、名前を、呼んだ、人間が、死んだ。

転校初日、彼女はハッキリとぼくの名前を呼んだ。書類に書いてあったので呼ぶのは当然だ。
だから、ぼくは彼女を避けていた。苦手だった。
人の居場所へ何の躊躇も無く入り込もうとする彼女が、本当に苦手だった。

ドクン、と心臓が鼓動する。そしてしゃがみ込んで彼女に手を伸ばそうとした瞬間。

「……っ!」

再び剥き出しの殺意がぼくの背中を撫でる。
追いつかれた、気取られた、気付かれていた、迫られていた。振り向けばきっとこの惨劇の犯人が立っているだろう。
少しづつ歩み寄ってきているのか、カラカラと何かを引きずる音がビル壁に反響し空へと抜ける。
ぼくは差し伸べた手を引っ込めて、後ろに居る殺人鬼に背を向けたまま立ち上がる。

同時だった。立ち上がったぼくの後頭部目掛けて、持っていたであろう金属バットを振り下ろしたのは。
紙一重で右に体をずらしそれを回避し、左足を軸に回し蹴りを繰り出す。手応え、いや足応えはあった。
どこに当たったのかは分からないが、殺人鬼は怯んでいる。それでも尚、凶器を離さないのは流石といったところだ。

真っ黒なライダースーツにフルフェイスのヘルメット。殺人鬼は、以外にも小柄だった。それも女性。
若干の丸みを帯びた身体がそれを示している。

怯んでいて、女性だからといって追撃はしない。何度も言うがここは学園都市だ。ぼくの足りない常識を二つも三つも飛び越えている非常識で非日常の世界。
例えバットを奪い取ったところで、まだ能力で攻撃をされる可能性が大いにあり得る。

この場でぼくが取るべき最適な行動。それはやはり逃亡だった。

二つの死体をそのままにぼくは殺人気の居る方向とは逆に思い切り地面を蹴り走り出した。
先ほどの逃走劇で単純な足の速さならぼくの方が勝っている。このまま路地裏を走り続ければ逃げ出せることが出来るだろう。

逃げるのは、得意だ。現実からでも、理想からでも、なんにでもそれは言える。

何度、角を曲がり続けただろう。幾ら走っても大通りには出ない。
まるで迷宮だ。回り続ける回廊だ。

そして少しの期待と共に曲がった先には、金属バットを持った殺人鬼が待ち受けていた。
413 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 18:26:33.91 ID:bhLr+X9R0
「っく!」

ぼくは踵を返し来た道を引き返す。そして、再び走り抜けた先に、漆黒の殺人鬼は立っていた。
まるで瞬間移動でもしているかのように、こちらの行動を追跡されているかのように。
当たり前のように立っていた。

恐らくは何らかの能力によるものだろう。だがそれが分かったところで打開策は無い。
どうやら此処が彼女にとっての狩場なのかもしれない。とすれば逃げ続けるのは得策ではない。

戦うしか――ないのか。

「……?」

臨戦態勢を取り、向き合うぼくに対し、彼女は何故か首を横に振る。
立ち向かおうとしているぼくに呆れている訳ではない。これは、納得がいかない時にする仕草だ。
何が不満なのか、それとも不安なのか。
とにかく彼女の意識がぼくから外れている今がチャンスだと、ぼくは一歩前に踏み出す。

その時。

「おォ!クッソ退屈な実験が終わったと思ったら、こんなところで愉快な催し物が開かれてるじゃねェか」

楽しそうな声が聞こえた。
それは当然ぼくの声ではないし、目の前の殺人鬼が発したものでもない。
ぼくは背後から聞こえた声に、振り向いた。

「なんだァ?さっさと殺しあってくれや。俺は観客だと思って気にしなくていいからよォ」

そこには一人の中性的な顔立ちの少年、いや少女かもしれない。一人称が俺なのでここは少年と呼ぶことにするが、とにかくその少年は異様だった。
白髪で、その素肌も同じようにどこまでも白い。白と黒のボーダーのシャツにまるで血の様に真っ赤な両目。
細い体付きとは裏腹に、滲み出る雰囲気は並みのそれではない。
そして何より、目の前のこの状況を見て「自分は観客だ」と言える思考が異質だ。

「っ……」

殺人鬼が、引いている。
突如現れた少年に対して、明らかに恐怖を感じていた。

そして、一歩後ずさるとそのまま、逃げ出した。
414 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 18:27:16.93 ID:bhLr+X9R0
「なンだ、なンだよ、なンなンですかァ?人の顔見るなり獲物をそのままに逃げ出すなんてよォ。それじゃ人なんて殺せやしねェってンだ」

露骨につまらなさそうな表情を浮かべ、頭を掻きながら一歩ぼくに近寄る少年。

「助かったよ」

その少年にぼくは礼を言う。

「ッハ!「助かったよ」ってそンな面してねェぞお前。むしろ「余計なことをしやがって」って言いたげだぜ?」

「そんなことはないさ」

「だったら怯えて震えて泣いて命乞いでもしてろよ……ン、あぁそういう意味か。なるほどなるほどォ……オメェなかなか面白ェじゃねェか」

少年はカカカと今度は愉快そうに笑う。

「人を殺さずに済んで「助かった」。そういう意味だろ?」

「とんでもない、ぼくは人を殺さない主義でね」

「殺さないっつう事は殺せる人間だって事だ」

「好きに解釈してくれ。とにかくぼくは警備員に通報しなくちゃならないんだ」

あの二人が居た場所などもう分からないが、一応通報はしといたほうがいいだろう。
いらぬ疑いを掛けられても面倒だ。

「あン?さっき道端に転がってた肉片はお前がやったンじゃねェのか?」

ぼくの言葉に意外そうに少年は言った。

「ぼくじゃない、さっきのライダースーツの殺人鬼だよ。知らないのかい?連続通り魔」

「おいおい、あの三下金属バットマンが犯人なのかよ」

「学園都市も末だなァ」と少年は空を見上げる。
ぼくも同じように空を仰げば、そこには少年と同じように真っ白な月が浮かんでいた。
415 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 18:28:09.69 ID:bhLr+X9R0
「通報は別にしなくてもいいぜ。俺が後始末を頼ンどいたからなァ」

少年の言葉に空から、視線を戻す。
後始末?それはどういう意味なのだろうか。

「まァ俺がやってる実験のついでにな……いちいち波風立たされて実験に遅れが出たら困るンだ。路地裏って結構使うンだよ」

「…………」

なるほど、彼の言っている実験とは表ざたに出来るものではないのか。しかし、死人を二人なかったことにするなんて出来るのは相当な後ろ盾だろう。
どこの世界でも表があれば裏がある。光が当たれば影もできる。
この場合、裏とは大規模な組織か、学園都市そのものか。

「それで、だ」

少年は首を左右に振り、歪に口元を歪めぼくを睨む。

「ちょっと俺と遊ンでくれねェかな?」

ぼく等を取り巻く空気が変わった。
神裂さんや殺人鬼が放った敵意や殺意によって変わったという比喩ではない。
本当に、大気の流れが変わった。

「普通の人間、って訳じゃねェンだろ?」

突風。
いきなりぼくの身体が吹っ飛ばされた。強風だとかそんなチャチなレベルではない。これはもはや風の塊だ。

「っぐ……」

そのままビルの壁に叩きつけられて、ずるずると地面へ座り込んでしまう。
呼吸が出来ない、背中が焼けるように痛む。
風力使いという能力だろうか、いずれによさっきの金属バットよりタチが悪い。
見えない凶器なんて。

追撃に身を構えようとするが、身体が言うことを利かない。
手足が痺れて、視界が歪む。

頭を、打ったか。
416 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 18:29:24.91 ID:bhLr+X9R0
「ァア……?」

だが、攻撃は続かない。
かろうじて見える少年の表情は先のそれと同じ、どこかつまらなさそうなものだ。

「おいおい、まさかそれで終わりなのかよ?」

少年は首を傾げ溜息を吐く。

「あ……生憎、ぼくは、無能力者でね……」

声が上手く紡げない。切れ切れの行きと共に、かすれた声をひねり出す。
その姿に今度こそ愛想を尽かしたように肩を落とし、少年は何も言わず踵を返す。

ぼくはそれを眺めているだけしか出来なかったが、少年がお別れの挨拶のように右手をヒラヒラと振っていた。

「…………」

そして八つ当たりのようにビルの壁をそのまま殴りつけた瞬間、ぼくの頭上にあったであろう配水管の部品が落下し、そのまま頭に直撃した。

今度こそ途切れようとする意識の中、少年の姿は見えなくなった。
彼は風力使いではない。
そんなことを思いながら、ぼくの意識はそこで途切れた。
417 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 18:31:14.50 ID:bhLr+X9R0
とりあえず以上です。らしくない。イロイロと。

書き溜めてまた来ますねー。

改めて読んでくれている人に感謝と謝罪をorz
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 18:38:37.75 ID:EzT8so0AO
乙!
ここで一方さん登場か……
胸熱展開連発でやばい
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 19:09:50.88 ID:BXEmyVYDO
超乙通行
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 20:33:50.84 ID:ko+270FIO
あれ?
いーちゃんって自分の個人情報、友に頼んで消してなかったっけ?
俺の思い違いならスマソ
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 22:30:27.68 ID:CTV1q+XIO
>>420
学園都市に入るためのチェックは厳しいんや

もう何度不正に侵入されてるかわからないけど
厳しいん・・・や・・・うぅ
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 22:43:11.53 ID:HnHFxP3mo
実際はザルってレベルじゃないけどな
423 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 22:49:21.48 ID:ct6cDJ1w0
>>420
あああああああ、そうでしたっけ!?完全に忘れてましたorz
とりあえずこのssではこんな設定でってことにしてください……

それでは投下します。
424 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 22:51:21.82 ID:ct6cDJ1w0





十三日目(1)―――――――自動書記

登場人物
神裂火織 魔術師






425 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 22:52:15.58 ID:ct6cDJ1w0
0

倫理的に、論理的に、物理的に、抽象的に、不愉快だ。

426 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 22:53:05.92 ID:ct6cDJ1w0
1

目を覚ましたら、そこは病院だった。ただしいつもお世話になっている病院ではなく、全く知らない所なのだけれど。
とりあえず身体を起こし、両手を天井に向けて伸びをする。うん。切り替え完了。
頭に手を添えてみると包帯が巻かれており、他の部位も怪我をしてるんじゃないかと一通り確認してみるが、目立った外傷は無かった。
ベッドの脇に掛けられていたぼくの服(綺麗になっているので洗濯されたのだろう)のポケットから携帯電話を取り出す。
あの程度の衝撃だ。寝ていたとしてもせいぜい二日程度だろう。魔術師達との約束の期限まではまだまだあるはずだ。
そんなことを考えながら携帯電話を開く。

七月二十七日と表示されていた。

「………………………へ?」

思わず間抜けな声を漏らしてしまう。
いやいや、おかしいだろ。頭を打って気絶しただけで大方一週間も眠り続けるなんて。確かにこの慣れない街に疲れを覚えていたのは事実だし、
久しぶりの全力疾走で身体が痛みを訴えてるのも間違いは無い。だからといって、これは。
眠りすぎだ。
ぼくはあれか、眠り姫なのか。そうなると今回ぼくはこうして目覚めたのには、誰かが口付けをしてくれたことになる。
いったい誰だろう。本命哀川さん、次点インデックスちゃん、大穴美琴ちゃん、ダークホース神裂さん。
その時、ぼくのベットを囲んでいたカーテンの向こうに人影が居るのをぼくは見逃さなかった。
きっとこのカーテンの向こうの彼女がぼくを目覚めさせてくれたに違いない。
期待に満ち溢れる鼓動を抑えながら、ぼくはゆっくりとカーテンを開ける。

「ッ……起きたか」

そこには人類最強の赤色も、純真無垢な青白も、強気な美琴ちゃんも、過激な格好の神裂さんも居なかった。
変わりにいたのは、真っ黒なマントに身を包んだ赤髪の魔術師、バーコードバトラーくんだった。

「お前かよ!」

全身全霊の力を込めて叫ぶ。
畜生、こんな屈辱は初めてだ。ぺスパの事をラッタッタと呼称されたときよりも、ぼくを侮辱している。
ここはお前の来るべき場所ではない、即刻立ち去ってもらいたい。
そして神裂さんと交代してリテイクを要求する。
427 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 22:53:45.50 ID:ct6cDJ1w0
「おい、ここは病院だぞ。静かにしないか」

バーコードバトラーくんは不機嫌そうに、いや実際に不機嫌なんだろうけど眉間に力を込める。

「いい加減突っ込むぞ、僕の名前はバーコードバトラーなんかじゃない。ステイルだ」

「失礼、噛みました」

「違う、わざとだ……」

「噛みま死ね」

「やっぱりワザとじゃないか!!」

とまぁ、もはや通例となっている儀式(なぜだか身体が勝手に動いた。これが神の意思か?)を済ませ、冗談はこれでお終い。

「それでスネークくん、どうしたのかな」

「おい、お前そんなキャラだったか?」

「キャラクター設定なんか簡単に変わっていくのが世の中の常なんだよ。お前もはや誰だよって突っ込みたくなるような漫画のキャラとか居るだろ?
 普通の人間が売りだった筈のキャラが人を抱えて壁走りしたり、相手の視界を覗けたりしてね。公式設定でもこうやって矛盾や驚くような展開があるんだ、
 それこそ二次創作の世界なんてキャラ崩壊の嵐だよ。戯言だけどね」

「ただの言い訳にしか聞こえないんだが……」

胸の前で十字を切り窓から空を仰ぎ、尊き神に向かって祈りを捧げる不良神父。
さて、冗談は本当にここまでにしよう。

「で、なんで君がぼくの病室に居るんだ?まさかお見舞いとは言わないだろうね」

「お見舞いさ。さっき菊の花を買ってきた。どこに飾ればいい?」

嫌がらせだった。

「……日本の常識をもう一度学ぶことをお勧めするよ」

「冗談だよ。菊はさっき燃やしておいた」

おい、本当に買ってきてたのかよ。
428 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 22:54:34.86 ID:ct6cDJ1w0
閑話休題。

「ぼくが異常に眠り続けていたのは、君の仕業だろ?」

六日間も眠り続けた現状と、目の前に居るステイルくんが居る状況を照らし合わせると、なんらかの魔術でぼくを眠らしていたのだろう。
その理由もある程度の察しがつく。
これ以上、余計な真似をするなという警告だ。

「そこまで気が付いてくれると助かるね。説明の手間が省ける」

「リミットまで科学側からインデックスちゃんをどうにかできる方法を見つけるまでは、自由にしてくれるんじゃなかったのかな」

それがあの時ぼくの部屋で交わした約束だった。
魔術側からでは彼女の異変をどうにかできない。ならば科学側からならどうだろうか。医術の発展と共に人間の脳の解析もかなり進んでいると聞く。
ましてやここは外界と科学力の差が二十年はあるといわれている学園都市だ。
それならば、何か抜け道はあるかもしれない。

「ふん。その意見には反論はしない。だが、君が関わるとどうしても良くないことが起こる気がするんだ」

ぼくが関わると事が上手く運ばない。
それは自覚している。

「不本意ながらあの異能を打ち消す右手の少年に協力を仰いだよ。彼はよく奔走してくれた。しかし、解決策は見つからなかったようだ」

上条くんがこの場に居ないということは、今も走り回っているのだろう。
そして彼がそうやって動いているということは、あの少年の言うとおり小萌先生の死は伝わっていない。
知っていたらぼくを無理やり叩き起こしてまでも事情を聞きだそうとするから。

「そうかい。だったら今日でインデックスちゃんの記憶を消さないと駄目なんだね」

「ああ、その為に神裂が動いている。儀式は今日の深夜にあの少年の部屋で行うことにした」

「せめて最後くらいはあの子の近くに居させてやる」と首を横に振る。
恐らく神裂さんに強く押し切られたのだろう。ステイルくんは上条くんが同席することに納得も賛成もしていないようだ。

「ならぼくも一緒にさせてくれないか」

「……驚いた。可能性が残されていない事に執着するような人間ではないと思っていたんだけど」
429 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 22:55:50.76 ID:ct6cDJ1w0
「別に、ここまで突っ込んだ首だ。切ろうが絞めようが吊ろうがどうだっていい」

「まぁいいだろう。神裂からも言われているしね」

「最後くらいはあの少年の意志を優先してください」と似てもいない神裂さんの物まねで伝えるステイルくん。
それは有り難い。願ってもない僥倖だ。

「君達に与える時間は十分間だ。儀式は明日の午前零時丁度に行う。十分過ぎたら問答無用で外に出て行ってもらうことにするよ」

「了解」

ぼくが頷くとステイルくんはさっさと病室から出て行った。
一人残された病室の中でぼくは考える。それはインデックスちゃんの事だけではない。

あの連続通り魔の犯人のこと。
あの白い少年のこと。

本当に有り難い。よくも此処までぼくを流してくれたものだ。

ぼくはベットから降りると病院服から着替えてその足でナースセンターへと向かう。そこで主治医との面会を取り付けて指定された部屋へと向かう。
そこで待っていた蛙に良く似た医師に「退院します」と告げると「うん?分かったよ」と返事が返ってきたのでそのまま病院を後にする。
もとより異常は無かったのだろう。少なくとも医学的には。

外に出ると夏の眩しい日差しが真上からぼくを照らしつける。病院内との温度差で一瞬でシャツには汗が滲み、急いでバス停へと向かう。
幸いにもバスが停留していたのでそのまま乗り込み、学生寮へと向かった。

バスに揺られながら今夜行われる儀式とやらに思いを馳せる。

ずっと続く記憶の消去。
それが彼女の為と思っている彼ら。
これまで通りが一番だと思って苦しみ続ける彼ら。
そしてまた一年の地獄に身を投じる彼女。

これは、傑作だ。

君が居ると事が上手く運ばないとステイルくんは言った。
それならば、ぼくはその通りに動こう。

これまでも、そしてこれからも続こうとする茶番を。

殺してバラして並べて揃えて――
430 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 22:56:26.21 ID:ct6cDJ1w0









「晒しにいこう」









431 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/08(火) 22:59:26.92 ID:ct6cDJ1w0
以上、終了。

うわああああああ全然キャラがらしくならないいいいいいいいいいいいいいい
一方さんの口調も間違えてるしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
いーちゃんが前向きすぎるorz


どこがらしくないとか、設定矛盾はどんどん突っ込んでください。
お願いしますm(__)m

それではまた明日。
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 23:09:11.07 ID:anp0hCI+o


気になったらこっちから言うからわざわざ一々卑屈にならんでいいよ
あんまりやり過ぎると「そんなことないよー」って言って欲しいように見えるぞ
面白いんだから、周りから指摘入るまでは細かいこと無視して堂々としときな
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 23:48:34.86 ID:EzT8so0AO

文中でいーちゃんが言ってるじゃないか。設定矛盾は憑き物だって

>>432の言う通り自信もって投下してりゃいいと思うよ
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 23:53:44.26 ID:hYqHSNZAO

一方通行とのやりとりはクビシメの人識思い出した
いーちゃんは無能力者どころか人類最弱なんだぜ!
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 03:13:12.75 ID:8pwIhtu0o
運命の赤い糸すら打ち消せる設定のキャラが、行く先々でフラグを立ててきたり
公式設定ですらこんな以下省略
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 03:54:30.01 ID:+tXL9tRIO
逆に考えるんだ右手があるからこの程度で済んでいると考えるんだ
右手がなかったらたぶん歩くだけで道行く女性が妊娠するレベル
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 12:22:37.91 ID:mktyZTPDO
>>1の始まりの過負荷は設定破綻じゃなく設定矛盾だったか
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 12:55:54.81 ID:UWZg58pmo
平衡戦場で情報が隠されてない世界を適用したんじゃね?
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 13:06:05.87 ID:O+Xrto3DO
ベスパ?
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 13:08:05.72 ID:JJOB244AO
間違えたんだろ
441 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/09(水) 16:11:30.49 ID:+5LJBXhx0
いろいろ間違えてますね。申し訳ないです。

それじゃ、とりあえず投下します。
442 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/09(水) 16:12:45.09 ID:+5LJBXhx0
2

学生寮の殺風景なぼくの部屋に上条くんと二人で、ステイルくん達の呼び出しがあるのを待っている。
今頃隣の上条くんの部屋では記憶消去の儀式の準備が進められているだろう。
合流したのはつい先ほどで、どうやらこの時間まで上条くんは走り回っていたらしい。
結果として彼が何も言わずにこの部屋で座っているということは、やはりインデックスちゃんを治す手段は見つからなかったのだろう。
ぼくはそれを察し、何も口にはしない。テレビもラジオも時計すらもないこの部屋では、この沈黙を破ることができず、ただ時間が流れるのを待つしかできなかった。
それは死刑執行の時間なのか、それとも柵からの釈放なのか。分からないけれど。

「時間だ」

インターホンも鳴らさずステイルくんが玄関を開き、短くそう呟いた。
ぼくたちはそれに答えることはせず黙って立ち上がり、黙って部屋を出て、黙って隣の部屋へと移動した。
玄関の向こうでは神裂さんが立っていて、ぼく達を見るなり会釈をして入れ替わりで出て行った。
その奥では魔方陣とでも言えばいいのか、奇妙な図形や見たこともない装飾で飾られた部屋の中央でインデックスちゃんが仰向けに寝かされていた。
ぼくが最後に見たときよりも苦しそうな表情を浮かべながら。

チラリと上条くんに目を向ける。歯を食いしばり怒っていた。
それはきっとこの現状に、彼女の運命に、外にいる魔術師に、なにより何もできない自分自身に向けられているのだろう。
彼は右手を握り締めている。異能の力なら全てを殺すことのできる、幻想殺しを。目の前の現実に立ち向かえない、無力な右手を。

何も言わないままぼく達はインデックスちゃんの横に座り、顔を眺める。息を切らし、汗が滲んでいる。本当に辛そうだ。
上条くんは言葉を捜しているのか、何も喋らない。それもそうだ。この場面でぼく達が何と声をかければいいのだろう。
なにを言っても手遅れで、なにを言っても自己満足で、なにを言っても偽善で、なにを言っても戯言だ。

「と……う……ま……」

喋ったのはインデックスちゃんだった。眼に涙を溜めながら、無理に作った笑顔をぼく達に向ける。
とても、悲しそうな笑顔だ。
443 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/09(水) 16:13:15.21 ID:+5LJBXhx0
「インデックス!」

上条くんが、叫ぶ。それでも言葉が続かない。

「とうまも……あなたも……ごめんなさい」

彼女の言葉は、謝罪だった。
後悔でも、懺悔でも、希望でも、お礼でもなく、謝罪。
「ごめんなさい」と彼女は最後まで、助けてくれとは言わなかった。記憶を失いたくないと望まなかった。
ただ、ぼく達を巻き込んでしまったことに対して謝っていた。

「そんな事……言うなよ!」

そう叫んだのは、上条くんだった。

「そんな言葉は聞きたくねぇんだよ!頼むから……頼むから諦めたようなこと言わないでくれよ!」

彼女の口からそんな言葉を聞いてしまえば、ぼく達も諦めざる終えない。
まだロスタイムは残っているのだから。

「ぼく達は君の意思が知りたいんだ。このまま記憶を失くしても――亡くしてもいいと言うなら止めはしない。だけど、まだ諦めてないんだろ?」

涙が、無理に作った笑顔がその証拠だった。
その言葉を聞いたインデックスちゃんはその両目から涙を零し、泣いた。

「わ、忘れたくないよぉ……とうま達のことを、忘れたくないんだよぉ……」

もう笑顔はなかった。ボロボロと涙を零し、口を開いて嗚咽を吐く姿は禁書目録という役割を演じるものでもない。今の彼女は、ただ年相応の女の子だ。
記憶を無くし、頼れる物など居なく、全てが敵に見えるこの世界で一年間生きた彼女は、恐らく、初めて他人に縋った。

「……て」

糸のように細い希望を、追うことに決めた。

「助けて……」

生きたいと、願った。
444 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/09(水) 16:17:31.63 ID:+5LJBXhx0
その時、ぼくは彼女の口内に、何かを発見した。それはこの部屋に刻まれた陣と似た、奇妙な図形。
確信した。あれが彼女を苦しめる元だと。

過度の記憶により脳がパンクする可能性を否定したぼくは、上条くんに言ったようにステイルくん達が所属する組織のトップか誰かが魔術を施し、一年周期で
彼女が苦しむようにしているのではないかと、交渉の際、神裂さんに尋ねていた。
当然、彼女は否定したが、とりあえず探ってくれることはお願いした。その結果、記憶消去を選択したということは見つからなかったのだろう。
それも仕方がない。口の中にあるなど、誰も思わないだろう。

「上条くん、右手をインデックスちゃんの口の中に」

一瞬ぼくの言葉に戸惑ったような上条くんだったが、すぐに意図を察してくれたのか右手を彼女の口の中へと滑らせる。
同時に何かが割れるような音がした。
そして、上条くんが壁際まで吹き飛ばされる。

「警告――、禁書目録の首輪、その破壊を確認。再生――失敗。首輪の再生は不可能。『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します」

この声には聞き覚えがあった。ステイルくんと戦ったあの時、ぼく達にルーンの存在を教えてくれた声。
機械的で、無感情で、ただ用意されたテキストを読み上げているだけのような声。
ビクン、とソレは体を震わせ起き上がる。いや、浮かび上がった。
あの白い少年の様に赤い眼で、否。その緑色の瞳に血のような赤い魔法陣を浮かべて、ぼく達を見下ろしている。

清掃ロボットと同じように決められた任務を遂行するように。
決められたプログラム通りに動くように。
ただ目の前の侵入者を排除するためだけの存在だ。

悪意も、敵意も、殺意も、狂気も、そこには存在しない。

それが、そうだから、そう動くだけ。

助けてほしいと願った彼女は、弱弱しい彼女は、インデックスちゃんは、もう――

人には見えなかった。
445 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/09(水) 16:18:47.71 ID:+5LJBXhx0
とりあえず以上です。
続きは夜にでも。
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 18:40:28.81 ID:GdVqK+IAO
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 19:34:13.16 ID:ur1OyXal0

ペース早い濃い面白い熱い
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 20:40:02.58 ID:JJOB244AO


インさんがヒロインしてるな
449 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/09(水) 23:08:56.82 ID:RndLcf4c0
書き溜めてたら、用事が発生したので切りの良いところまで投下します。
450 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/09(水) 23:10:04.47 ID:RndLcf4c0
3

「――侵入者個人に対して最も有効な魔術の組み込みに成功しました。これより特定魔術『聖ジョージの聖域』を発動、侵入者を破壊します」

「     。    」ともはや言語ではない何かを歌うインデックスちゃん。いや禁書目録か。それに呼応するように両目に浮かぶ魔法陣が一気に
拡大し、彼女の目の前に現れる。半円部分が重なり合い、その部分から閃光が走り、黒い雷のようなものを四方に散らす。
そのまま空間に亀裂が走る。その奥も同じように黒い闇。どこか獣の匂いも漂ってくる。

「は」

上条くんが小さく笑う。
そしてそれは小さくなることは無く、どんどん大きくなる。口を開き大きく吼えるように笑う。

「あはははははははははははははははははははははははははははは!!」

それは恐怖に気が触れた訳ではない、開き直り笑っているわけではない。
歓喜の咆哮。それが一番の表現だろう。上条くんは喜んでいるのだ。

直感的に理解したのだろう、本能的に感じたのだろう。
アレが、禁書目録を守る魔術だと。
インデックスちゃんを苦しめる元凶だと。
それを壊せば、助けれるだろうと。

無力だと感じていた右手を強く握り締める。異能を殺す、幻想殺しを硬く握る。
そして、駆けた。四メートル。彼女までの距離だ。手を伸ばせば届く、距離だ。

同時に亀裂が、開いた。
そこから何かが覗き込んでいる感覚を覚えた瞬間、光の柱が上条くんへと襲い掛かる。

とっさに右手をかざし打ち消す上条くんだったが、光の柱は消えることは無く、徐々に右手を侵食していく。
幻想殺しの消化スピードを上回る勢いで、光の柱は吐き出され続ける。

ぼくは隙を突いて禁書目録の懐へと潜り込む。光の柱の熱量で前髪が焦げるが、そんなことは問題ではない。
彼女の足を払い、光の柱の照準を強制的に上条くんから、ベランダへとずらす。ガラスを粉砕して光の柱は夜の学園都市の空へと伸びていく。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

叫びながら上条くんは跳躍する。

四メートル。
三メートル。
二メートル。
一メートル。
451 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/09(水) 23:10:47.74 ID:RndLcf4c0
誰かが部屋へと入ってきた気配がした。ステイルくん達だろうか。
だが、もう遅い。もう物語りは終わりへと向かっている。

「この世界が、神様の作ったシステムの通りに動いているってんなら――」

脇役はもう登場しなくてもいい。ぼくのような観客も引き下がらなければならない。
今、世界が求めているのは苦しみからの開放を望むヒロインと、ヒロインを救える力を持つ主人公だけ。

禁書目録がぐるりと首を上条くんへ回し、照準を合わせようとする。
聖域への侵入者を消し去ろうと。

だが、それはもう遅い。
もう彼の手の届く範囲だ。差し伸べられた手は、とってやるのが常識だ。
どこの世界でも変わらない。例え此処が学園都市だとしても。

「――まずは、その幻想を打ち殺す!!」

そして、上条くんは右手を振り抜いた。
右手は、その先にある亀裂を生み出していた魔法陣を、あっさりと、殺した。
くだらない茶番に終焉を、続くはずの悪夢に死を。
障子紙を破るように、あっさりと幻想殺しはもたらした。

「――警、こく。最終……章。第、零――……・『首輪』、致命的な破壊……再生、不可……消」

もう機械は動かない。プログラムは展開しない。
電波の入らないラジオのように、途切れ途切れの言葉を紡ぎ、禁書目録は沈黙した。

「――――!」

天使の羽が舞い降りる中、ぼんやりと彼らを眺めていると、どこからか叫び声が聞こえる。これは、神裂さんだろうか。
野暮な声を出すなよ。今、ヒーローがヒロインに手を差し伸べようとしているのだから。

「その羽は、先ほどの一撃と同じ破壊力を秘めています!避けて――」

丁度良い演出だと思っていた羽が、上条くんと、インデックスちゃんの頭に触れる。
鈍器で殴られたような音が響き、上条くん達を殺した。

それだというのに、二人は何処か、笑っているように、ぼくは見えた。

この夜、上条当麻と、インデックスは『死んだ』。
452 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/09(水) 23:11:55.69 ID:RndLcf4c0
以上、たった2レスorz

明日マタ来ます。
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 23:20:44.95 ID:H0QVL80So

これは・・・。
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 00:04:59.09 ID:AexgqKOAO
乙でェす

これは実際に死んだ訳じゃないんだよな!?そうだよな!?
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 00:07:52.80 ID:w0I0Vp7z0
本人は何一つ悪くないのに、奴の周りでは常に人が死ぬ
さすが双識兄さんの法則の唯一の例外、向かうところ皆殺しだぜ
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 00:14:35.89 ID:oQCdAnhio
その存在自体が悪なんじゃない?
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 00:26:31.37 ID:lL/CYT0V0
前回は割りと王道展開だったけど今回は尽く予想を裏切ってくれるなwwwwww
期待してるぜ
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 02:43:11.23 ID:nxwH4mkAO

ああもうワクワクするな
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 07:45:16.62 ID:rkh7atGe0
死んだぁあああああああああああああああwwwwwwwwwwww
マジかww
ワクワクが・・・
460 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/10(木) 20:11:25.95 ID:rvbw3ok20
お疲れさまです
これより投下します
461 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/10(木) 20:13:33.91 ID:rvbw3ok20





十四日目(1)―――――――記憶破壊

登場人物
ぼく 語り部






462 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/10(木) 20:16:10.38 ID:rvbw3ok20
0

変わりたいと思う気持ちは、自殺だよね

463 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/10(木) 20:21:34.51 ID:rvbw3ok20
1

人間の人格を形成しているのは経験だ。言い換えれば思い出、置き換えるなら記憶。この世に生まれから今までの間に経験した物事によって価値観が作られ、
判断基準が生まれ、性格が決まる。勿論、長い人生だ。その中で変わることはある。だが、代わることはない。
思い出せない出来事が、人格の奥底に影響していたり、思い出したくもないトラウマが、人生の根源に影響を与える。
人間は日々成長している。そんな言葉を耳にしたことがあるが、残念ながらぼくのように成長どころか落ちていっている人間も居るし、全く変わらない人間も居る。
十万三千冊の魔道書を記憶している彼女くらいだろう。一年ごとに生まれ変わっていたのは。まるで不死鳥のごとく、姿はそのままでも、身体を形成する細胞が
同じだとしても、記憶を消され続けていた彼女は、間違いなく代わっている。
それは、あの幻想殺しの少年にも言えることだ。彼もまた『死んで』生まれ変わったのだ。
記憶を焼き尽くされ、自分が何者かも分からない。らしい。
語尾が曖昧になってしまうのは申し訳ないが、『彼らの記憶が消えてしまった』という話は第三者から聞いたので、ひとつ許容していただきたい。
まぁそれも医者からの言葉なのでほぼ間違いないとは思うのだが。

結局、あの《茶番》が終結した時、無事に立っていたのは、ぼくとステイルくんと神裂さんの三人で、主軸の二人は羽の攻撃によって意識を失っていた。
回復魔術とやらで治すものだろうと思っていたが、どうやらあの二人はその類には疎く、実行できなかった。それに当麻くんの右手の件もあったので、大人しく病院
へと連れて行った。魔術師達はインデックスちゃんを病院に連れて行くことに猛反対をしたが「じゃあこのまま放置しようか」と言ったら黙ってくれたので、
救急車を呼び、ぼくが入院していた病院へと搬送してもらった。
あの時、インデックスちゃんが自動書記(神裂さんに教えてもらった、彼女の覚醒モードの名前)で回復魔術を施すようにしなかったあたり、彼女の首輪は
完全に壊されたのだろう。幻想殺しによって、塵も残らず、殺されたのだろう。
余談ではあるがぼくも診断をしてもらった。これはまぁ、予想通りの異常無しだった。

という訳で、ぼくはその病院のとある病室の前に突っ立っている。
別に話すことなど無いし、これといって用事は無いのだけれど、迂闊にもステイルくんから伝言を預かってしまったので、それを伝えるために此処に居る。
まずは、インデックスちゃんの部屋から訪ねる事にしよう。

ノックを二回して、中からの返事を待ち、「どうぞー」と明るい声が聞こえてきたので入室をする。
そこには病室のベットから上半身だけを起こし、なにやら本を読んでいるインデックスちゃんが待っていた。

「えっと、どちら様?」

その言葉が、医者の診断の裏づけをする。
やはり、ぼくのことなど、覚えてはいないか。

「始めまして。ぼくは君の身内の代理人でね、言伝を受け取っているんだ」

ぼくの自己紹介に一瞬顔をしかめる。しかし、直ぐに笑顔に戻り「わざわざありがとう」と手を振ってベッドの脇のパイプ椅子に腰掛けるよう促したが、
ぼくは「いや、すぐに終わるから」と着席はしなかった。長居するつもりは特に無いし。
464 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/10(木) 20:22:23.37 ID:rvbw3ok20
「私の身内って、誰なのかな?」

首を傾げて疑問を投げ掛けるインデックスちゃん。
余り興味を持っていないように見える。

「遠い外国に仕事で住んでるんだ。少なからず因縁……まぁ縁があったぼくが狩り出されたんだよ」

インデックスちゃんはまたも興味が無い風に「ふぅん」と呟いた。

「じゃあその伝言を教えてほしいかも」

ぼくは一瞬、正直に伝えるか迷い、口を開く。

「君と身内の方は観光でこの学園都市にやってきていてね、そこで君は事故にあったんだ。それで記憶が曖昧になっちゃって入院してるんだけど、身内の方が
 急用で母国に戻らないといけなかったんだ。それで、退院したらぼくの所で預かってほしいってお願いされた」

それはあながち、嘘ではない。記憶喪失(医者が言うには破壊らしいが)の診断を聞いた魔術師二人はその場で組織のトップに連絡し、即刻帰国を命じられた。
組織側としては《首輪が破壊された経緯》が知りたいだろうし、不法に侵入している駒をそのまま置いておく訳にもいかなかったのだろう。
なにより、十万三千冊の魔道書を忘れてしまったかもしれないインデックスちゃんの優先順位はそこまで高く無くなったというのが、一番の理由だろう。
去り際に魔術師達は脅迫めいたお願い事をぼくにした。それは魔術の知識を未だに覚えているのかの確認と、自分達が自由に動けるまでインデックスちゃんを
保護すること。この二点だった。ぼくは首を横に振って断りたかったが、神裂さんの血走った目がそれをさせてはくれなかった。
完全に人切り抜刀斎だ。

「わかった」

意外にも、この無茶な提案に二つ返事で承諾したインデックスちゃん。正直、断られることを期待していたのに。
自分から言い出した手前、「ふざけるな、なんでお前を養わなきゃならんのだ」と言えるはずもなく、溜め息を吐いて首を縦に振る、

「オーケー。それじゃあ退院のめどがついたらまた此処に来るよ」

それだけを言い残して立ち去ろうとするぼくの背中に声が掛かる。

「ありがとう」

それはどんな意味なのだろうか。引き取ってくれることへのお礼なのか、それとも彼女の何処かに残るあの時の残響から来た言葉なのか。
ぼくには、分からない。
仮に無意識のうちに、自分を救ってくれてありがとうと言う言葉がでたのなら、それは全くお門違いだ。その言葉を受け取っていい人間は一人しか居ない。

ぼくは、結局一言も言葉を返さず、病室を後にした。
465 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/10(木) 20:23:19.83 ID:rvbw3ok20
2

「どうぞ」と、ノックの後に扉の向こうから声が聞こえた。ぼくは何も言わずに入室し、何も言わずにパイプ椅子へ着席した。

「おぉ、いーさん。お見舞いに来てくれたのか?わざわざありがとうな」

ぼくの顔を見るなり、屈託の無い笑顔を浮かべて感謝する上条くん。

「記憶が無くなったんじゃないのかい?」

「ん?あぁ。それなら心配無用だ。結局は魔術のダメージから来る記憶喪失なんだろ。だったらこの右手を頭に添えれば一発で効果は消えるって訳だ」

上条君は右手をヒラヒラと自慢げに揺らす。

「だからそんな暗い顔するなよ」

「生憎、これがスタンダードなぼくの表情なんだ」

どうして彼は、こんなにも陽気なんだろうか。

「そっか。退院したら飯でも食いに行こうぜ。病院食は味気ないんだよ」

どうして彼は、演じているのだろうか。

「上条くん……」

どうして彼は、こんなにも滑稽な嘘をつくのだろうか

「記憶が戻ったって、嘘だろ?」

「…………」

空気が、凍る。

「そ、そんなことない――」

「だったら君の誕生日を教えてくれ。なんなら通っている高校の名前でもいい。どうした?早くしてくれよ」

彼の言葉を遮り、一方的に喋り倒す。
466 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/10(木) 20:24:09.17 ID:rvbw3ok20
「大方、魔術師から手紙でも来てて、それを参考にこんな三文芝居を打っているんだろ?止めろよ、茶番は幕を下ろしたんだ」

上条くんは、答えない。

「右手で触れれば記憶が戻る?へぇ。それなら隣の病室に居る彼女の記憶も元通りにしないのかよ」

インデックスちゃんは、記憶を失ったままだった。彼の言っていることが真実なら、彼が記憶を取り戻しているのなら、まず此処には居ないだろう。

「終わったんだ、消えたんだ、壊れたんだ。バッドエンドで幕を下ろしたんだ。無理やりハッピーエンドに繋ごうとするんじゃねぇよ」

これは偽善ですらない。ただの偽者だ。

「お前は、今までの上条くんじゃ、ないんだ」

言って、ポケットに入っていた手紙をベッドの彼に渡す。
そして、そのまま立ち上がり、退室しようとする。

「それじゃ、《当麻くん》」

何か彼が言っていたような気がするが、無視して病室を出る。
そこで待っていたのは入院時の担当医であり、彼らの診断もした蛙顔の医師が立っていた。

「なにもそこまで言わなくて良いんじゃないかな?」

どこかバツの悪そうな表情を浮かべ、薄くなっている頭を掻く。

「ぼくは嘘を吐かれるのが一番嫌いなんですよ」

「嘘だね?」

「はい」

即答した。

「彼も、君のことを思って演技をしていたんだと思うよ?彼に診断結果を言ったときなんて言ったと思う?」

真っ直ぐぼくを見据えて蛙顔の医師は口を開く。

「『案外、俺はまだ覚えてるのかもしれません』ってね?僕は医師だ。そんなことはないと言った。すると彼は笑って言ったんだよ?
 『心にでも思い出が残ってるんでしょうよ』と」
467 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/10(木) 20:24:50.35 ID:rvbw3ok20
「…………」

その言葉を聞いて黙り込む。なるほど、彼がそんなことを言ったのか。間違いない。完全に上条くんは代わった。
ぼくはそのまま蛙顔の意思の横を通り過ぎ、エレベーターに乗り込む。
また背中超しに声を掛けられるかと思ったが、そんなことは無かった。

ぼくを思って演技した。
よかれと思って記憶が戻ったと偽った。

インデックスちゃんの元に訪れることも無く。
ただそれだけを練習し、すごしていた。

やはり、傑作ではない。
この物語は茶番でも、戯言にすら成り得ない。

登場人物の全員が、全て役回りを間違えている。
観客のぼくには分かってしまう。

エレベーターが一階に到着する時、ぼくは部屋に置いたノートの存在を思い出していた。
インデックスちゃんに対し、質問と答えをメモに残そうとした、あのノート。

なんて書いたのだろう。確か、『誕生日も何もかもわからない』とか書いていた気がする。

だったら、最後くらいはあの二人に言葉を送ろう。
せっかく生まれ変わったのだから。

残念ながら、助からなかったのだから。

病院の出口から外に出て、相変わらず真夏日を記録している暑さの中、ぼくが呟いた言葉はアイスのように溶けて言った。
468 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/10(木) 20:25:33.04 ID:rvbw3ok20










「誕生日、おめでとう」










469 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/10(木) 20:29:11.05 ID:rvbw3ok20
異常、終了。
0段落は人間関係から抜粋しました。

まだ終わりではない。赤い人がアップを開始しました。
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 20:33:08.33 ID:UjKfYRXKo

赤い人がどうひっくり返すのか気になる
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 20:39:21.72 ID:dse0yXAoo
>>1
異常終了とはうまいこと言う
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 20:51:53.21 ID:AexgqKOAO


なんだろう面白いんだけど上手い例えが見つからない
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 21:00:13.60 ID:ZaaLPOiN0


だが>>463の『それに当麻くんの右手の件もあったので、』の当麻くんはわざと?
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 22:04:14.13 ID:CNoekW9DO
乙だぜ


>>473
代わってしまったから『当麻くん』なんだろうな
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 22:36:23.38 ID:w0I0Vp7z0
誰よりも率先して病院のお世話になるはずのいーさんがピンピンしててお見舞いに来る側ってのもある意味驚きだが
良く考えたらこの時期に彼の記憶が飛んだとか言いだしたら、世界が終るかそれに準ずる騒動が巻き起こるな
死線の蒼的な意味で
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 23:51:52.88 ID:ICAxoS2t0
ほんのりネタバレ注意

却本作りの効果が>>1の考えた過負荷と被ってんだけど
どういうことなの・・・
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 00:08:22.72 ID:hloaKsrlo
>>469
赤の人期待乙
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 01:25:20.02 ID:UfEXkhOAO
>>476
過負荷……青ピの平衡戦場あたりか?
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 02:05:04.47 ID:/TVu+A6So
ステイル
赤い人もアップを始めました
でもすぐにダウンしました
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/11(金) 02:49:16.86 ID:/5EVIdSAO
え?
赤い人来てこのSS終わりなの?
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 07:59:15.09 ID:iPZJtBLIO
まさか、この>>1が大好きな一方通行さんをあれだけの為に出すと思うか?

きっと次は姫神飛ばして、実験編だろ
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/11(金) 17:51:02.98 ID:3S6fVKcS0
>>476
はい死ねー
ほんのり(笑)ネタバレ注意(爆)
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 19:01:09.31 ID:4jhvfknyo
んあ?
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
484 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/11(金) 20:23:36.84 ID:T7qDWW9N0
投下します、が少ししたら東北に飛ぶので中途半端です。
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 20:25:08.79 ID:dO8J8fi6o
今東北に飛ぶってどういうことだ、死ぬなよ
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
486 : ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/11(金) 20:25:21.86 ID:T7qDWW9N0




後日談――――――――――完結丁寧

登場人物
哀川潤  人類最強の請負人






地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
487 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/11(金) 20:27:06.66 ID:T7qDWW9N0
0

お終い。
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
488 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/11(金) 20:27:57.89 ID:T7qDWW9N0
1

八月八日の正午。相も変わらず飽き足らず、この学園都市は夏真っ盛りだ。ただまぁ冷房の効いている部屋には特に関係のないことで、冷房の使いすぎで地球温暖化が進む
という事もぼくには関係のないことだ。つい最近ぼくの部屋で生活を始めたインデックスちゃんのリクエストで設定温度は十六度。暑いどころか寒い。
だが彼女が帰って来た時に少しでも暑ければ構わず噛みつかれてしまうだろう。なのでぼくはこの真夏に寒さに震えてなければならない。
そんな彼女も今は外出中である。たまたまぼくが午前中に外出していた時に当麻くんからのお誘いを受けて今は本屋に買い物に出かけているらしい。
ちなみにその連絡は当麻くんからメールで送られており、内容は絵文字も世間話もなしに用件だけを書いた簡素なものだった。どうやら嫌われてしまったようだ。
それでいい。なんならインデックスちゃんもそのまま引き取って貰いたい位だ。彼女の食欲はぼくの想像を遥かに上回っており、このままでは生活が厳しくなる。

結局、あの後からぼくと当麻くんは会話をしていない。いや、顔を合わせたら挨拶ぐらいはするのだが、立ち止まってお喋りをすることなどはなくなった。
ましてや、学園都市の案内など、してもらえる訳もなく、こうして絶賛暇人中のぼくである。

する事もないので土御門君から借りた『完全版!メイド全集』なる本を読んでいる。なかなか彼とは気が合うようで、この本も面白い。
ただ派閥争いとでも言えばいいのか、一言でメイドを愛する者と言ってもカテゴリーは様々で、その辺りを一度じっくりと話し合わなければならないと最近は思っている。

「このメイド服はあかりさんに似合うだろうなー」とか、「こっちはみいこさんだな」なんて考えている内にインターフォンが鳴り、来客を知らせる。
はて、いったい誰だろうか。当麻くんとインデックスちゃんは外出中だし、土御門君も何やら外に出ている。残るは土御門君の妹さんくらいだろう(彼女はたまに
料理を振舞ってくれる)と思い、特に警戒することなく玄関扉を開く。
その瞬間、一番の可能性を持った人物を忘れていたことに気が着いたが、時既に遅し。

「よう」

ああ、インターフォンを鳴らすなんていう常識的な行動で、無意識的にリストからこの人を取り除いていたのか、ぼくは。
無言でぼくはその人を観察する。
とりあえず、赤い。爪先から頭の天辺まで赤い。もうこれでもかと言う位、赤い。
こんなにも赤い人は世界に一人しか居ないだろう。

「どうも、哀川さん」

「あたしの事は名前で呼ぶな、名前で呼ぶのは敵だけだ」

そんなお決まりの会話と共に、ぼくに鉄拳を下ろす。もうお分かりだろう。
ぼくの目の前には、ご存知、人類最強の請負人。哀川潤がにこやかで邪悪な笑みを浮かべて立っていた。
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489 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/11(金) 20:28:55.51 ID:T7qDWW9N0
2

哀川さんを取り合えず部屋の中に招き入れると「なんだこの部屋は、ペンギンでも飼ってんのか?」と至極全うな突込みを入れた後、エアコンの電源を切ろうと
リモコンを探した。しかしリモコンという奴はゲームの中のお姫様よろしくしょっちゅう行方不明になるのは承知の事実だろう。実際、この何もない部屋の中で
もそのスキルを如何なく発揮し、姿を暗ましていた。哀川さんは二秒ほど部屋をぐるりと見渡してリモコンの不在を確認すると躊躇なくエアコン本体にチョップを
叩き込んだ。斜め四十五度の見本のようなチョップである。ただそれは壊れた電気製品にすべき行動で、正常に作動しているエアコンにすべき行動ではなかった。
結果として、ぼくの部屋のエアコンは二度目の死を迎えることになった。

「しかし暑ぃなー。いーたんエアコン点けないのかよ?」

「心頭滅却すれば日もまた涼し、ですよ。扇風機で我慢してください」

おい、ついさっきアンタがぶっ壊しただろう、という突っ込みは入れない。なぜなら怖いから。
哀川さんもその辺りは承知しているらしく、大人しく扇風機を稼動させた。
赤い髪をなびかせながら、扇風機に向かって「あー」と声を発している。おい、首振り設定にしろ。せめて。

「で、今日はなんの用があって来たんですか?」

例の探し物の件ではないだろう。あれに関しては全くもって見つかっていない。
そうなれば、もうインデックスちゃんの件しか残っていないのだが、あえて尋ねてみる。

「決まってんだろ。あのシスターの事だよ」

「相変わらず、何でも知ってますね」

不適な笑みを浮かべる哀川さん。

「何でも知ってるさ。知ってることならな。つーか知り合いが魔術関係に強くてな。たまたま聞いたんだよ。た・ま・た・ま」

この人の人脈はどこまで広がっているのだろうか。

「はぁ……感服しますよ。で、今回も勿論ぼくの行動に対しての不満ですか?」

本当に話を終わらせるのが好きな人だ。

「まぁな。不満ってゆうか疑問だな。おい、いーたん。実は今回は良くやったと思ってるんだ。なんせ魔術だぜ?思いっきり常識の範疇から外れている出来事だ。
 幻想殺しっつうジョーカーを持っていたとしても、よくハッピーエンドまで持っていけたよ」

「お褒めに預かり、光栄ですね」
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490 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/11(金) 20:30:08.78 ID:T7qDWW9N0
「調子に乗るな、馬鹿。いいか、問題はなんでわざわざ《バッドエンドに持っていったのか》ってことだ」

「そんな事は無いですよ。なるべくしてなった。そもそもぼくはハッピーエンドになっただなんて一回も思っていませんよ」

ただ、一人の少女の首輪が外れただけ。

「ハッピーさ。誰も怪我無く、記憶が残り、首輪を外すっていう百点満点とまではいかないけど、少なくともギリ合格点だったんだぜ?」

「…………」

だった、というのは過去形だ。
すなわち、最終的にはバッドになったと言う事。

「怪我はした、でも首輪が外せた。それに記憶も《一人》だけ失うだけで済んだんだろ。これはローラ――言ってしまえばお前が相手取った魔術師達のトップから
 聞いたんだけどな。禁書目録の首輪が壊れた後に、なんらかの魔術が発動したらしいんだ」

「……驚いた。遠隔でそんなことの把握が出来るんですね」

「魔術はご都合主義だからな」と前置きを置いて哀川さんは続ける。

「それならもっと驚いた顔をしろよ。いつまで観客気分で居るんだ主人公。あれだけ物語に関わっておいて――引っ掻き回しておいて傍観者気取りは止めろよ」

「ぼくは何もしてませんよ」

「だろうな。お前は何もしていない。でも野次を飛ばしたんだろう?」

ぼくは、思い返す。あの時、当麻くんとインデックスちゃんが倒れた時の事を。

「筋無しドラマに要らぬ知恵を吹き込むんじゃねえよ。まぁ、インデックスたんの事を思って言ったことなんだろうけどな」

「別に、強制した訳じゃないです」

「場の雰囲気で言葉の強さなんざ変わるだろうが」

それはインデックスちゃんに尋問をした時。ステイルくんがぼくに脅迫をして来た時。
雰囲気で、空気で人間は言葉に従ってしまう。
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491 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/11(金) 20:33:03.54 ID:T7qDWW9N0
とりあえずここまでです。
西日本に住んでるので一日かけて東北に行きます。
それでは、取り急ぎますが、失礼します

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492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/11(金) 20:35:25.44 ID:/5EVIdSAO


物語も>>1の安否も気になる……
人道支援かわからないけど無理するなよ
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493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 20:52:22.09 ID:GiiPlXc0o


……何やってる人なんだ?
請負人か
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494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 22:58:33.57 ID:nYH6UONDO

というか>>1はどうやってこっちに来るつもりだ?
電車も飛行機も動かないし、自動車も危険だぞ。
気をつけてな
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495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 00:05:46.49 ID:A0vh0ZIVo
>>494
こっちってwwwwww
お前さんもSS見てる場合じゃないんじゃね?
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496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 00:13:52.41 ID:BK9wL1IDO
そういや、ちょうで1が書き込んだ時間辺りに山口から部隊が出発したとかニュースでやってたな。まさかその一員なのか?
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497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 00:17:41.05 ID:huWIdDhZo

気を付けろよ
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498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 00:53:03.82 ID:YpvJ+aaAO
しかしいーちゃん何をやらかしたんだろ?
ハッピーエンドをバッドエンドにって相当だろ
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499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 16:43:28.25 ID:RDzidCpm0
今思ったんだけどさ、いーちゃんと球磨川って凄く似てないか?
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 18:38:36.43 ID:ukER765AO
>>499
当然だろ
きれいな球磨川
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 19:05:38.43 ID:cBGCRgAOo
俺も読んでてちょくちょく球磨川とダブるんだよね

やっぱ、こいつらにてるわ
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 20:50:09.83 ID:CBrHJnA+0
こっちまだ余震続いてるんだが…
大丈夫か?
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 21:18:32.34 ID:YpvJ+aaAO
今日>>1は来るかな?
504 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/13(日) 01:48:40.20 ID:iGqhdSuX0
何もできず帰ってきました。とりあえず物資だけ支援して。

それでは、書き溜めて一巻分は今日終わらせたいと思います。
505 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/13(日) 02:19:48.26 ID:iGqhdSuX0

「確かにそれで足枷は外せる。追っていた魔術師二人組みもある程度救われるだろう。なにせ文字通り零からやり直せるんだからな」

「なかなか良い話じゃないですか」

「記憶を消さなければな。記憶消去の術式を発動させたんだろ?冥土帰しのオッサンが言うには幻想殺しが《記憶破壊》でインデックスたんは《記憶喪失》。結果は
 同じでも、意味が違ってくるよな?だいたい頭に衝撃を受けて記憶喪失ってだけで古いテンプレみたいなギャグを二人同時にされてたまるかってんだ。そうなれば
 後はサルでも分かる。インデックスたんは意図的に記憶を消されたってな」

それは今までと同じように。
何度も繰り返された記憶消去。

「ほーんと、傑作だ」と哀川さんは、あの人間失格の声色を真似し笑い声を上げるが、表情は真面目なままだった。

「で、どうしてそんな事を示唆したんだよ」

「特に理由はありませんけど……そうですね。しいて言うならば『やり直したかった』。」

「やり直すってお前、こんな事がやり直しになる訳ないだろう。って……ん、ああ。そういう事か。なるほど。いーたんにしては珍しく独りよがりな行動したんだな」

「人間は何時だって独りよがりですよ。そこに同意があるか、反発があるかの違いで」

彼らは同意した。ただそれだけだ。

「だから、インデックスちゃんの記憶を消した。十万三千冊の魔道書ごと消すのが理想なんでしょうが、いかんせん彼らの魔術はひどく限定的で、思い出は消せても、
 知識は消せなかったみたいですね」

「それも、お前の思い道りってか」

「とんでもない。ぼくが今まで思い通りに事を運んだことがありますか?何時だって失敗して、何時だって言い訳ばかり。今回だって本当に思い通りになったのなら、
 インデックスちゃんはこの部屋に居候などしてませんよ」

恐らく、隣の部屋に住んでいただろう。
それが理想だった。

「言っておくけど、玖渚ちんとインデックスたんは違うぜ?」

それは、一番聞かれたくない言葉だった。
ぼくは精一杯の虚勢で、一生懸命な嘘を吐き出す。

「重々承知しています。そもそもインデックスちゃんは、もう普通の女の子ですよ。ちょっと魔術の知識が人より十万三千倍ある、完全記憶能力者の、普通の女の子です」

そんなぼくの言葉に「だったらいいけどな」と興味の無さそうな呟きを言って、哀川さんは話す。

「あと一つは、上条当麻の事だ。なんで病院であんな態度をとったんだ?表面上だけでもお友達ってのをやってたんじゃねぇの?」

「それに関しては簡単な理由です。いかにも人間らしい、ぼくらしからぬ理由」

一息、間を置いて口を開く。

「ムカついたから」
506 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/13(日) 02:44:50.80 ID:iGqhdSuX0
「不満でした。不愉快でした。なんて例えたら良いんでしょうか――」

「読みかけの小説を捨てられた感じ――か」

「そんな感じですね。もっと言えば後書きでキャラ設定を矛盾させる解説が記載されていた感じです」

彼は演じようとしていた。物語の主軸を変えようとしてまでも。以前の上条当麻に戻ろうとしていた。
そんなことは断じてあってはならない。

「そうしていれば、みんなまとめてやり直せたというのに」

インデックスちゃんも、ステイルくんも、神裂さんも、上条くんも、そしてひょっとしたらぼくでさえも。
唯一無二の、リセットボタンを押せたかもしれないのに。ゲームのように。本来、人生には無いコマンドを選択できた。

「……ま、結果は変えられりゃしない。勿論、代えも用意できない。終わった話は終わったまま。加執、修正は創作の世界だけでしかできないからな。
 今回は大目に見てやるよ。バッドエンドでも限りなくノーマルエンドに近い終わりだ」

そう言って、哀川さんは立ち上がる。

「それじゃ、行くかな」

「もう出られるんですか?まだお茶も出してないのに」

「出す気なんてねぇだろ」

というか茶葉すらないので、出しようが無い。哀川さんも気にしては無いだろうけど。

「探し物は順調か?」

「概ね難航してますね。多少ですが手がかりは見つけましたけど」

「んー。ならオーケーだ。見つけ次第あたしに連絡してくれ」

「了解です」

玄関先でこんな会話を交わす。
そしてドアノブを掴み扉を開いて哀川さんは振り返る。

「そういやぁ、いーたん。お前よくインデックスちゃんと同棲できるよな。いやこの場合はよくインデックスちゃんの了承を得たって意味だぞ」

「さぁ、どこかでぼくの事を覚えてたんじゃないですか?人当たりの良い好青年だって」

「茶化すなよ。だいたい記憶喪失ならそんなことは覚えてるはずないだろうが」

ぼくは哀川さんの言葉で、当麻くんが蛙顔の医師に言った言葉を思い出した。
怒られて、チョップを喰らうのは目に見えているが、試しに言ってみようか。

「案外、覚えてるかもしれませんよ?」

ぼくの言葉に哀川さんは察したのか、溜息を吐きやれやれと首を横に振って「どこにだよ」と言ってくれた。
やっぱりこの人は役者だな。占領役者だ。

ぼくは感情を込めず、言い放つ。
507 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/13(日) 02:45:22.47 ID:iGqhdSuX0











「心に、じゃないですか」










508 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/13(日) 02:47:28.26 ID:iGqhdSuX0






[index memory]

【BAD END?】




509 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/13(日) 02:49:38.67 ID:iGqhdSuX0
とりあえず、急ぎ足で終了。
もう気づいているかもしれませんが、いーちゃんと哀川さんが喋ってる間に上条さん達は三沢塾の事件に巻き込まれています。
なので次回はオリジナル話の殺人鬼編です。

それでは、登場人物紹介だけ落として、今日は終わります。
510 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/13(日) 02:54:44.77 ID:iGqhdSuX0

登場人物紹介


ぼく―――――――――――――――語り部。



御坂美琴―――――――――――――超電磁砲。

白井黒子―――――――――――――風紀委員。

初春飾利―――――――――――――風紀委員。

佐天涙子―――――――――――――無能力者。



玖渚友――――――――――――――技術屋。

上条当麻―――――――――――――幻想殺し。

インデックス―――――――――――完全記憶能力者。



???――――――――――――――殺人鬼。
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 02:55:24.11 ID:9ejAZO1Ko

>>殺人鬼編
火野さんがアップを始めて勘違いと気づいて恥ずかしそうにしてたぞ
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 03:05:37.62 ID:DysB4GLAO

無事でよかった!

後日談もいい感じにどんでん返しがあって面白かったぜ。
登場人物に超電磁砲組と玖渚がいて俺得の予感
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 03:27:10.22 ID:8wK8oC7Zo
東北乙
つか何の仕事してれば今東北行くんだ?
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 07:18:17.57 ID:ZTsubxKso
自衛隊とかじゃね?

とりあえず乙です
続きを楽しみに待ってます。

普通なら原作とかのベースがないオリ話だと不安になるけど、>>1の場合、前作の例があるから期待が不安を凌駕してるぜ
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 11:48:26.23 ID:JgZHMh1DO
被災地支援中の自衛隊員が西尾SS書くのかwwwwww
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 13:08:36.36 ID:+gX+40GAO
あんまり詮索するのはやめとこうぜ
まあ無事で良かった、そして乙
次も楽しみにしてる
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 14:44:56.45 ID:KLyoMKkJ0
>>500
人識といーちゃんが鏡合わせだとすると
球磨川といーちゃんは同じ席の向かい側だな
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 20:54:51.49 ID:8pJke6iAO
ヘタ錬はメンタル弱いからいーちゃんとは相性悪いだろうな
519 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 00:59:17.83 ID:ly71ibF40
お疲れ様です。

東北の件ですが、会社で支援しに行くことになって行っただけで、自衛隊ではありません。なので物資の支給だけしかできませんでした。
被災された皆様は本当に大変だとは思いますが、頑張ってください。
一般支援者の公募が始まれば、また支援にいくと思います。

投下しようとしたら書き溜めが三レス分消えましたorz
少量ですが投下します。
520 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 01:00:00.60 ID:ly71ibF40





霧濃―――――――――(無能)

登場人物
佐天涙子―――――――無能力者




521 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 01:00:55.37 ID:ly71ibF40

0

平等にするには自身が上がるか、他人を落とすかだ。
522 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 01:01:47.61 ID:ly71ibF40
1

哀川さんが去っていった後に学生寮の管理業者に再びエアコンが壊れた旨を連絡し、たっぷりと嫌味を言われた後、昼過ぎにぼくは少し遅めの昼食をとろうと外出していた。
別に冷蔵庫の中には食材はあるのだけれど、どうも料理をしようとする気分ではなかったので、こうしてウロウロとしている訳だ。まぁ料理といっても素麺を茹でるだけで、
特に凝っている訳ではないのだけれど。
歩きながら飲食店を物色していると、マクドナルドが目に付いた。

「…………」

どうも嫌な予感がする。具体的に言えば巫女装束に身を包んだ電波的な発言をする影の薄い少女と出会ったりとか、それによってまた厄介事に巻き込まれていくとか。
とにかく、却下だ。近くにあるアイスクリームの移動販売車には長い列が並んでいるが、アイスでは流石に昼飯にはなりえない。

という訳で、無難に少し歩いた先にあったファミレスをチョイスした。お昼時を過ぎているにも関わらず座席はお喋りをする学生で溢れていたが、幸いにも六人掛けテーブル
が空いていたので、店員に案内してもらった。着席して本日のランチセットというのを注文し、セルフサービスの水を汲む為にまた立ち上がり、汲んですぐに着席する。
水を飲みながら料理が来るのを待ち、最近の【夕方になってもランチが適用される】という現象について思いを馳せていたら、先ほど案内してくれた店員から声が掛かる。
どうやら、相席をしてもらいたいそうだ。
「ふざけるな、ぼくは一人で食事がしたいんだ」と怒鳴ろうかと思ったが、ファミレスの六人掛けのテーブルを一人で使用している客などぼく意外に居なかったので、大人し
く了承した。申し訳なさそうにドリンクバーの割引券をくれた店員だったが、生憎ぼくはこれまでドリンクバーを頼んだことが無い人間だった。
奥に詰めて座るべきか、それとも通路に立って相席する人たちを待って通路側に座ろうか悩んでいたら、相席相手の中学生らしき四人組みがやってきて挨拶もそこそこにぼく
を端に追いやり着席してしまった。
そこで何故か座らない中学生の一人を連れの少女達が不思議そうに眺めていたので、ぼくもその子を見る。そこには泣く子も黙る超能力者、御坂美琴ちゃんが頬を引きつらせ
ながら制服姿で突っ立っていた。

「やあ、美琴ちゃん」

ここは年上らしく挨拶をしておこうと思い、右手を軽く挙げて声をかける。何か反応しようとした美琴ちゃんの言葉を遮り、連れの少女三人が思い思いの発言をする。

まず始めに喋ったのがぼくの隣に座った長い黒髪に花のヘアピンを着けた少女で、「御坂さんの知り合いですか?」と活発な声を上げ、続いてぼくの対面に座りこの面子で一
番小柄で美琴ちゃんと同じ制服を着たツインテールの女の子が「お姉さま!これはどういったことですの!?」とどこか憔悴し、最後にツインテールの子の隣に座った大きな
花飾りを頭に乗っけた少女が、まるで飴玉を転がしたような甘い声で「ひょっとしてかれし」と目を輝かせてなにやら言いかけたところ、ツインテールの子が口を塞いだ。

そんなやり取りに美琴ちゃんは呆れたように首を横に振りながら、溜め息を吐く。
どうやらこの手の騒動には慣れているようで、もういい加減にしてくれ、といった感じに見えた。

そしていつもの様に毅然とした表情を浮かべると、ぼくを睨み付けながら指を指して口を開く。

「別にちょっとした顔見知りよ。知り合いですらないわ。佐天さん、初春さんもその期待に満ちた瞳は止めてよ。で、黒子。アンタはさりげなくコイツに爪楊枝を転移しよう
とするな。つかアンタもアンタよ。なに一人ファミレスなんて寂しいことやってんの?」

ずいぶんな言われ様だ。美琴ちゃんはそう言って場を収めると花飾りの少女に席を詰めるようにお願いし、通路側へ着席した。
ぼくは一刻も早くこの場から立ち去りたかったけれど、通路側に座ってはいないし、最悪のタイミングで注文した料理が運ばれてきたので適わなかった。
523 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 01:02:40.82 ID:ly71ibF40
畜生。こんなことなら大人しくマクドナルドに行けばよかった。

「ささ!料理が冷めないうちにどうぞ食べてください!」

満面の笑みで持ってこられた料理を食べるように促す黒髪ヘアピンの少女。まるで自分が作ったかのような物言いだ。

「…………そんなに見られると食べにくいんだけど」

見られていた。それはもう美琴ちゃんを除く三人が三人ともぼくを見ていた。まるで観察するように。ってツインテールの子からは殺気を感じるんだけど。
心底嫌そうに言ったつもりだったが、隣に座る黒髪ヘアピンの少女はそれすらも気にした様子も無く、あるいはわざとスルーしたのかもしれないが「気にしないで下さい」
とぼくの要求をあっさり覆した。まったく悪びれた様子が無い。
この子はどこか巫女子ちゃんに似てるなぁ。明るくて活発な所とか、人の話を聞かないところとか、人の話を聞かないところとか。

ぼくは諦めてハンバーグランチ(定価五百円)にナイフとフォークを伸ばし食べることにした。味は値段相応のものだったが、特にグルメでもないぼくにとっては気にするほ
どでもない。そこで少しあの島にいる料理人のことを思い出したが、完璧に顔や名前を忘れていた。覚えているのはでたらめに美味しかった料理のことだけである。
ぼくが黙々と文字通り食事を勧めている間に美琴ちゃん達は店員を呼びなにやら注文をしていた。ケーキセットか。いかにも女の子らしい。

「アンタ。今日もあの馬鹿と一緒じゃないのね」

今度は美琴ちゃんが訊いてきた。
友達と会話をしていればいいものを、なんでこっちに話を振るんだ。

「四六時中一緒に居る訳じゃないさ」

「ま、それもそうね」

それだけを確認するとぼくから目線を外し興味の無さそうに頬杖をつく美琴ちゃん。それとは対照的にまだぼくへと熱烈な視線を送り続けるツインテールの少女。
ぼく、なにかしたか?と考えていると、意思を読まれたかのようにその少女が口を開く。

「つかぬ事をお聞きしますが、お姉さまとはどういったご関係で?」

お嬢様口調で話す少女。そういえば美琴ちゃんの通う学校はお嬢様学校だったっけ。同じ制服を着ている彼女もまたお嬢様なのだろう。

「たいした関係じゃないよ。《いーさん》《美琴ちゃん》と呼び合って、まだ手も繋いだことが無いし、道で会えば数時間お喋りするぐらいで」

ぼくの言葉に顔面を赤く染めるツインテール少女と美琴ちゃん。
その横で花飾りの少女がどこか遠い目をしながら「プラスチックな関係なんですねぇ」とトリップして、その発言を聞いたぼくの隣の少女が「そんな曲げたらすぐ折れるよう
な関係は嫌だよ。それを言うならプラトニックね」と律儀に突っ込みを入れていた。
524 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 01:05:18.88 ID:ly71ibF40
終わりです。
明日はもう少し早い時間に投下できるようにします。

そしてお察しかもしれませんが、姫神さんはスルーします。
上条さん側は原作通りにすすんでる設定です。
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 01:14:20.45 ID:+b2EvXdAO
乙age

今作の佐天さんはどんなキャラなのんだろか
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 01:14:53.21 ID:DMdNICRFo
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 01:15:38.62 ID:5cPxYyWKo

いーちゃん関わったら姫神は死にそうだしねしかたないしかたない
……バックノズルで死ぬかもしれないけど
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 01:17:31.98 ID:bgY4hETRo
>>1さんは立派だな
俺も何かしたいけど何をすればいいのやら・・・
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 02:06:56.83 ID:5h/DB66P0
このお花畑さん、ジグザグ使えそうだな
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 04:29:21.93 ID:XW36I9LB0
>>517

? よく分からん
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 08:46:33.69 ID:RXzrHoiDO
相変わらずの誤字脱字で安心した乙
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 10:06:27.16 ID:nI4BNLSyo
4人組の内何人が生き残るのかとか思うと怖いわぁ
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 11:16:13.25 ID:I+8sgJdAO
脚本作りってさ…
佐天さんの…
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 11:38:05.66 ID:+b2EvXdAO
不慮の事故→狂痛回廊
却本作り→公平構成

1.たまたま被った
2.西尾が参考にした
3.実は>>1が西尾だった

好きなのをどうぞ
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 13:01:39.43 ID:y2YPZV3yo
4.>>1が安心院さん
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 13:03:54.23 ID:2WPA5/LNo
3一択
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 13:15:08.06 ID:ju3F0+7go
>>1の始まりの過負荷説に一票
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 13:31:25.35 ID:4JbX+js60
>>534
ふたつ被ってきたからなww
まぁエンカウンターは即死でも発動できるようだが
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 15:19:17.29 ID:w2bgjtyAO
>>521の「自分が上がる」が正、「他人を落とす」が負って感じか
正→ 完全、人類最終、七実の見稽古(七実の性格はともかく)、カービィ等
負→ 却本作り、公平構成

「他人の能力を自分も使えるようになる」を過負荷にすると
「自分も他人も能力を使えなくなる」になるってことか
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 15:48:33.11 ID:XW36I9LB0
ごめん、カービィに吹いたwwww
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 17:00:12.97 ID:cp1eoshLo
盛大にネタバレしてくれたな
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 17:02:24.20 ID:I+8sgJdAO
>>538
まったく一緒ではないよな
不慮の事故は感覚以外も移せるし、移す対象も選べる
脚本作りは発動条件が違う

でも発想は一緒だなwwwwww
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 17:21:53.28 ID:TBYOHpN+0
>>541
いいからジャンプ読め
544 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 18:53:06.32 ID:au06SmJa0
投下します。
545 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 18:53:23.72 ID:au06SmJa0
「お、お、おおおおおお姉さまあああああああ!!く、黒子という……この黒子という最高で最良で最大で最愛なるわたくしというパートナー――いえ伴侶というものが居な
 がらも、このような死んだ魚のような目をした没個性的で無特徴な幸薄そうなこの殿方とお、お、お、おおおおお付き合いなさってるとでも言うのですか?駄目、駄目です
 の黒子。決してお付き合いなさっているなどと不遜な発言は控えるべきでしてよ。そう、何もこの殿方がお姉さまとお付き合いしていると決まったわけではないですの。
 つまり本当に顔見知りという可能性のほうが高いまま!ぐふ、グフフフフフフフ。そうと決まれば早速この爪楊枝を転移してやりましょう。この白井黒子。正々堂々真っ向
 から不意を討って見せますわ。わたくしの能力ならそれが可能。さて、どこにぶち込んでやりましょうか?眼球?舌?肝臓?腎臓?脳髄?あぁそれだけでは足りませんわね。
 その全てに、余すことなく転移してやりますの。思えば露払いなど甘い気持ち、緩い心構えでしたわ。お姉さまという類まれなる神々しき唯一至高の存在。常盤台が誇る最
 強無敵の電撃姫、学園都市に七人しか居ないレベル5の第三位。御坂美琴お姉さまを守ろうとするわたくしは鬼の心で守らなければならなかったのですわ。露どころか雹を
 も払って差し上げます!お姉さま!!」

「………………」

突如立ち上がり熱弁したツインテールの少女に、ぼくを含めファミレス内に居た全ての人間が沈黙した。というかぼくの身を脅かす発言が出ていた気がするけど、大丈夫だろうか。

「…………くろこ?」

「どうなさいましたお姉さま?」

キラキラと目を輝かして振り向くツインテール少女とは対照的に、美琴ちゃんの目は、死んでいた。
これから起こるだろう事態は、ぼくでも分かる。惨劇を想像したぼくは心の中で合唱し、ツインテール少女の冥福を祈った。
それと同時に閃光が走り、ツインテール少女が立っていたその跡には黒く漕げた物体だけが残っており、そのまま崩れ落ちた。

「お……姉さ、ま……」

かろうじて意識が残っていた。なんというか、これさえも美琴ちゃん達には日常の一部分なのだろうか。そうであるなら、どれだけ危険なんだ、この中学生共は。

「さ、さーて!気を取り直して自己紹介といきましょうかー!」

消し炭と化した友人を放って置いたまま、隣のヘアピンの少女が声高らかに宣言する。その声で周りの客達も自分の会話へと戻っていった。
「それじゃあ言いだしっぺのあたしからいきますねー」と弾ける笑顔を浮かべてぼくと向き合うように姿勢を直し、ヘアピン少女の自己紹介が始まった。
正直、このテンションにはついていけないので勘弁してほしい限りではあるが、喋り始めた彼女は止まらない。

「名前は佐天涙子って言います!涙の子って書いて《るいこ》って読むんですよー!趣味と特技はスカート捲り!あ、でも初春専門ですけどね。能力強度はレベル0。
 無能力者っです!よろしく!」

そう言って涙子ちゃんは右手をぼくに差し出した。ぼくは躊躇いながらもそれに答え握手をし「よろしく」と最高に気の利かない相槌を打った。
それはそうと、無能力者か。というか趣味と特技がスカート捲りってどうなんだ。これも最近の中学生には当たり前の光景なのか?

次に口を開いたのはスカート捲りという単語に異様に反応した花飾りの少女だった。顔を赤らめて照れているのだろう。つまり彼女が涙子ちゃんの言う初春という子か。
546 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 18:54:00.68 ID:au06SmJa0
「えっと、始めまして初春飾利と言います。風紀委員(ジャッジメント)に所属しています。よろしくお願いします」

緊張しているのか、しどろもどろに話す飾利ちゃん。ん、というか風紀委員って確か警備員と同じ自治組織だよな。失礼だが飾利ちゃんは腕が立つようには思えない。
いや、だからといって能力が強大なのかもしれないが。

「へぇ、風紀委員なんだ。それじゃあ上のランクの能力者なのかい?」

社交辞令的に、訊いてみる。すると飾利ちゃんは首を横に振り「そんな大した能力は持っていないですよ」と否定する。

「定温保存(サーマルハンド)って言いまして、触れたものの温度を一定に保つだけの能力です。レベル1ですし」

少し落ち込んだように話す飾利ちゃんに涙子ちゃんからフォローの声が上がる。

「でもでも、初春はすっごい情報処理能力が高いんですよ!風紀委員にもそれで合格したらしいですし!」

「佐天さん!止めてくださいよぉ」

まるで自分のことのように誇らしげに話す涙子ちゃんに、飾利ちゃんはどこか照れくさそうにしている。
情報処理能力、ね。

「そうですの。腕立て伏せも出来ない初春が合格できたのはそれのおかげですわ」

「白井さんまでー」

いつの間にやら復活していたツインテールの少女。
そして彼女はキッとぼくを睨み付けて口を開く。

「申し遅れました。わたくし常盤台中学一年生、白井黒子と申します。初春と同じ風紀委員に所属しておりますわ。能力は空間移動(テレポート)、強度はレベル4ですの」

この子が風紀委員で大丈夫なのだろうかと不安に思ってしまう。ついさっきこのファミレスの風紀を乱したばかりだし、ぼくに爪楊枝をぶち込もうとしてたぞ。
黒子ちゃんはそういうとテーブルに身を乗り出し、品定めするようにぼくを見つめこう言った。

「お姉さまに手を出したら……殺しますわよ」

最高の、笑顔だった。
ぼくが黙って頷くと満足したように彼女も頷き、身を引いた。
全く、どうしてぼくはこうも厄介な人間と関わってしまうのだろうか。

一通り自己紹介が終わり、ぼくに目線が集まる。美琴ちゃんの自己紹介は割愛されたらしい。
547 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 18:54:36.81 ID:au06SmJa0
ぼくは以前に美琴ちゃんに対してした自己紹介と同じ口上をし、同じように本名について聞かれ、同じように流した。深く突っ込まれるかと思っていたが、そこは現役中学生。
空気を読むのは皆得意なようだ。
自己紹介が終わるころに美琴ちゃん達が注文したケーキセットが到着し、ぼくのランチは完全に冷めてしまっていた。

「それで、能力はお持ちですの?」

硬くなったハンバーグを砕いていると黒子ちゃんがショートケーキを起用にフォークで切りながら尋ねてきた。

「無能力者だよ。レベル0の役立たずって感じかな」

「ずいぶんと卑屈になりますわね」

「冷め切ったハンバーグを食べてみるといい。その気持ちがきっと理解できるよ」

フォークで指したハンバーグを黒子ちゃんにかざし、そう言うと「結構ですわ」と言って自分のケーキを口に運んだ。

「それにしても、こんな時期に学園都市に転校するなんて変わってますね」

「そうだよね。何か特別な事情でもあるんですか?」

飾利ちゃんと涙子ちゃんがどこか期待に目を輝かせながら質問をする。

「……実はこの学園都市の科学力をもってしても解明できない能力を使えるんだ。それは全てをなかったことにできる能力」

「そ、そんな能力があるんですか……」

「ああ、この能力はコントロールが利かないんだ。だからうっかり飾利ちゃんの存在をなかったことにしてしまうかもしれない」

「や、止めてくださいよぉ!」

ぼくが右手を飾利ちゃんにかざした所で、美琴ちゃんから声がかかった。

「嘘吐いてんじゃないわよ。さっきアンタ能力を持ってないって言ったばかりじゃない。初春さんも、佐天さんもコイツの虚言に乗らないの」

「『これがぼくの能力、大嘘憑き』」

「なんか虫唾が走ったから止めてくれない?」

美琴ちゃんは冗談がお嫌いなようだった。
548 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/14(月) 19:06:30.33 ID:au06SmJa0
少し外出しますので、一旦終わります。
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 19:18:41.60 ID:+b2EvXdAO


黒子wwwww
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 20:18:43.17 ID:w2bgjtyAO

大嘘憑きやめろww
いーちゃんが言うと洒落にならねえwwwwww
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 20:30:21.67 ID:vSyWiBIi0
きれいな球磨川
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 20:46:10.78 ID:ju3F0+7go
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 21:35:09.66 ID:JlwUfmoIO
あれ、案外いーちゃんが持っててもしっくりきた
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 21:52:29.42 ID:PvJv5Qhko

黒子が子荻ちゃんみたいになってるwwwwww
555 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 01:32:13.37 ID:ozj55xs90
遅くなりましたが、続きを投下します。
556 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 01:33:28.93 ID:ozj55xs90
「ただの冗談だよ。戯言だ。美琴ちゃんの言う通り、ぼくは無能力者で、なにもできない」

「う、嘘だったんですか、よかったー」

肩を竦めネタ晴らしをするぼくに、どこか安心そうな表情を浮かべる涙子ちゃん。

「い、いやぁ、そんな能力が使える人だったら緊張するじゃないですか」

「漫画の世界じゃあるまいし、そんなチート染みた能力は使えるわけ無いよ」

「でも、ここは学園都市です」

「そうだった」

非日常を日常に、非常識を常識に、非現実を現実に。それが学園都市だ。
超能力でできなかったっとしても魔術ならなかったことにすることが出来るのだろうか?今度インデックスちゃんに聞いてみよう。

「ん?」

そこであることに気が付く。

「涙子ちゃん。怪我してるの?」

半袖のTシャツを着ている涙子ちゃんだったが、袖口からガーゼを押さえるテープが見えた。右腕の、肩に近い位置。そこが妙に膨らんでいる。

「え?いやー気が付かれちゃいましたか。長袖を着て来れば良かったなぁ。失敗、失敗」

演技っぽく自分の右拳でコツンと頭を叩き、舌をだしておどけてみせる涙子ちゃん。

「佐天さん、大丈夫なの?」

「どうなさいましたの?」

一斉に皆が心配の声をかける。
たははー、と頬を指先で掻きながら涙子ちゃんは言う。

「たいした事じゃないですよ。ちょっとした打撲です。ドジっちゃって」

どこかバツの悪そうな表情だった。
557 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 01:34:03.16 ID:ozj55xs90
「ならよかったけど……」と安心する美琴ちゃん。ずいぶんと友達思いなようだ。その優しさを少しでもぼくや当麻くんに向けてくれれば、親しみやすいのに。
黒子ちゃんはそんな美琴ちゃんを見て「わたくしも怪我をすれば……」と呟きながら額をテーブルに打ちつけ始め、それを飾利ちゃんが嗜める。
なんとなく、この子たちの役回りが分かった気がする。

「さ!重たくなった空気を吹き飛ばすために都市伝説コーナー始めるよー!」

涙子ちゃんはそう言いながらポケットをまさぐり、携帯電話を取り出して、一つのサイトを表示させる。
画面にはいかにもらしい背景で、赤文字で『学園都市伝説』というサイト名が表示されていた。
涙子ちゃんは慣れた手つきで操作すると不敵な笑みを浮かべて「今が旬の都市伝説はですね」と携帯電話をテーブルの中央に壊れんばかりの勢いで叩きつける。
ぼくはそこに表示された文字を読み上げる。

「連続通り魔殺人……」

「そう、連続通り魔です。七月二十日で被害はピタリと止まったんですけどね。その数なんと五人!手がかりなどは一切無く、容疑者はそのまま姿を暗ましたという事件」

少し自慢気に話す涙子ちゃん。不謹慎だと思わなかったと言えば嘘になるが、所詮この程度の認識だろう。殺されたのは他人なのだから。
それはテレビの中のフィクションと同じレベルでしか、認識できないのだから。

「……風紀委員でも、捜索を続けているのですが一向に手がかりが掴めませんの」

「監視カメラの死角を狙っているのか、ログにも姿が残っていません」

風紀委員の二人が肩を落とし、残念そうに呟く。
そうか、二人にとっては捕まえるべき対象だ。都市伝説なんていう不確定な情報よりも確か情報を仕入れているだろう。
それなのに、捕まえることが出来ていない。この箱庭のような学園都市で。それはつまり未だに犯人は潜伏しているということ。

「私を襲ってくれれば、一発で退治してあげるのに」

とどこか悔しそうな表情を浮かべる美琴ちゃん。

「その事件は少し興味があるな。よかったら詳しい話しを教えてくれないか?」

ぼくは涙子ちゃんにそう言った。風紀委員の二人に聞いても教えてくれないだろうと踏んでの言葉だ。都市伝説だといっても火の無いところに煙は立たないという。
その程度の情報なら黒子ちゃんたちも咎めはしないだろう。

「いいですよ。それにしても意外ですね興味を持つなんて。てっきり『興味ないね』ってクールに切り捨てられるかと思ってたのに」

いったい涙子ちゃんはぼくをどんなキャラだと思っているのだろう。
558 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 01:34:39.34 ID:ozj55xs90
興味がない訳が無い。なんせぼくは一度その犯人に殺されかかっているのだから。
だから。
聞く義務が、聞ける権利が、
ぼくにはある。

「えっとですねこのサイトによると凶器はバッドか木刀。死因はそれによる撲殺。犯人は身長二メートルを超える長身で、むちゃくちゃガタイの良い男。それによって肉体操
 作系の能力者じゃないかと予測されています。さっき初春も言ったけど、監視カメラに移らない事から違う能力者って線も囁かれています。ちなみに被害者は学生という箇
 所以外には共通点は無し。年齢も、所属学校も、能力も、すべてバラバラらしいです」

既に知っている情報も、知っている情報とは違う情報も、知らなかった情報も、そこにはあった。風紀委員の二人は相変わらず黙ったままである。

「被害者のリストとかあったりする?」

「あ、はい。報道されていた者をまとめた簡単なものですけど」

そう言うとまた携帯電話を操作して画面を切り替える。
再びテーブルに置かれた携帯電話の画面を全員が覗き込んだ。


学園都市連続通り魔殺人事件被害者一覧


・七月十五日死亡 関  数耶  中学生  発火能力レベル2

・七月十六日死亡 各務 科原  高校生  水流操作レベル1

・七月十七日死亡 小牧 奈箕湖 中学生  念動力 レベル3

・七月十八日死亡 多賀 小架  中学生  空力使いレベル2

・七月十九日死亡 宝塚 守   高校生  発火能力レベル3


※能力は書庫(バンク)から抜粋
559 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 01:35:29.93 ID:ozj55xs90
「なんというか。凄いね」

「でしょう?この短期間に五人も」

ぼくが驚いたのはそこではなく、能力者相手に殺人を行ってきていることについてだった。この表を見る限りでは共通点がもう一つある。それは全員がなんらかの能力を保持
していることだった。まぁ能力者の割合が無能力者に比べて低いと言えども学園都市だ。偶然能力者に被害が偏ったのだろう。そして当たり前だが七月二十日に殺されたはず
の二人の名前が無い。つまりあの少年の言う通り、死体は秘密裏に処分され、辻褄合わせが行われたのだろう。失踪か、あるいはもっと違う理由付けをされているのかもしれ
ない。教師という立場の彼女は、この共通点からは外れているので、やはり殺害現場を目撃してしまって殺されたのだろう。

「レベル3の能力者も被害にあっているって事はやっぱり高位能力者が犯人なのかな……」

美琴ちゃんがボソリと呟く。

「そうかもしれないね。詳しくは分からないけど、能力レベルってかなり戦力差がでるんだろう?それならレベル4以上の能力者、低くてもレベル3だろうね」

「許せないわね……」

それは能力者の頂点に立つ美琴ちゃんだからこそ思うところがあるのだろうか。歯を食いしばり悔しそうに呟いた。
ぼくは表を眺めながら考えを巡らしていた。ここから犯人に繋がる糸口がある気がした。これ以外になにか共通点がないか観察していた。

未遂とはいえ、ぼくは狙われた身だ。少しぐらいの反抗をしなければ納得がいかない。

「はい、終わりですわ」

パンパンと両手を合わせ、携帯電話を持ち上げたのは黒子ちゃんだった。

「犯行が行われなくなったと言っても、犯人はまだ確保できていませんの。これ以上無下に首を突っ込もうとしないでくださいまし。いーさん、お姉さま」

真面目な表情で言う、黒子ちゃん。それは風紀委員としての警告だった。

「そうですよ。警備員と風紀委員にお任せください」

ドン、と物足りない胸を叩きながら飾利ちゃんも続く。

「佐天さんも、あんまり余計なことを言わないで下さいね」と飾利ちゃんはにこやかな笑顔を涙子ちゃんに向けて言い放つ。友達に危険な思いをさせたくないのだろう。

「はぁい」

涙子ちゃんも、それを汲み取って、素直に頷いた。
560 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 01:36:54.18 ID:ozj55xs90
これで終わりです。
クビシメっぽい雰囲気目指して頑張ります。

それではまた明日とか。
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 01:56:07.00 ID:NG2qU3Nho
クビシメって……もう碌な予感がしない
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 02:27:26.96 ID:GSHcrtUG0
>>550
>>551
>>553

>>517だからな
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 07:35:55.31 ID:cjkrNUhSO



クビシメ…。誰が生き残るんでしょうね…。
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 08:56:04.85 ID:oQKlO+3DO
この御琴さんは死ぬ気しかしない

というか4人の内何人が生き残れるのか…
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 10:15:02.40 ID:WZ2jAyJDO
いーちゃん×超電磁砲か
美琴が佐天さん利用して連続殺人のssを思い出す
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/15(火) 10:15:13.89 ID:dF8iTv9AO


さぁミステリっぽくなってきました
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 10:57:11.81 ID:UMgi69WI0


クビシメとか・・・絶対何人か死ぬよねこれ
共通点は今のところ佐天さんが少々テンションが巫女子ちゃんに似てる程度だけど
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 11:27:55.55 ID:b88yueSAO

クビシメのおかげですごい不穏な空気だな
最悪全滅も覚悟しておくか
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 15:20:17.73 ID:NlOVopKBo

釘バットじゃないんだな
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 15:28:08.22 ID:dF8iTv9AO
前作じゃ佐天さんは愚伸礼賛使ってたけどな
571 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/03/15(火) 20:29:14.65 ID:OPp2DJ4f0
クビシメはやっぱり面白いね。
それじゃ、投下します。
572 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 20:30:35.23 ID:OPp2DJ4f0
2

そこから先は別段語るまでも無い会話が続いていた。どのアーティストが好きだとか、ある学区にクレープ屋ができたから行ってみようだとか、本当に年相応の会話が繰り広
げられているだけだった。ランチも食べ終わったぼくとしてはいい加減お別れをしたいのだが、涙子ちゃんに頑なに拒まれて(しかも「行かないでください」など明言はしな
い。このムスメかなりやり手だ)しまい、入店から二時間十五分も経過した今現在。ぼくはまだファミレス内に居るのだった。
あろうことかドリンクバーの割引券を使う破目になるとは。いやはや、恐るべき女子中学生。

「ん?あぁ!白井さん!もう時間ですぅ!」

ふと店内に掲げられていた時計に目をやった飾利ちゃんが慌てふためきながら黒子ちゃんの背中をバシバシと叩く。その衝撃で黒子ちゃんの飲んでいた紅茶(三杯目)がカッ
プから漏れ、テーブルに雫が落ちる。「いちいち叩かないで下さいまし!」と怒る黒子ちゃんをよそに美琴ちゃんはオレンジジュース(四杯目)をすすり、涙子ちゃんはコー
ラ(四杯目)が注がれたグラスをゆらゆらと回し、飾利ちゃんは立ち上がってミルクティー(十四杯目)を飲み干すと黒子ちゃんを引っ張る。
ぼくはそれを二杯目の水を飲みながら眺めていた。

「風紀委員の仕事ー?」と涙子ちゃんはどこか不満気に呟く。

「そうですの。冒頭に話した件ですわ」

黒子ちゃんはうんざりした様子で立ち上がりそう言った。
それは連続通り魔事件に対する何かなのだろう。恐らくは会議か、パトロールか。

「それでは、お姉様、佐天さん、いーさん。ごきげんよう」

そういい残すと、黒子ちゃんと飾利ちゃんはこの場から消える。空間移動というやつだろうか、便利な能力だ。
テーブルの上には、しっかりと自分達が注文した分のお金が置かれていた。

「忙しいわねぇ……あの子たちは」

息を吐き出して美琴ちゃんは伸びをする。

「で、これからどうするー?解散でもいいし、どっか遊びに行くでもいいしさ」

「うーん、かと言ってめぼしい所はないんですよねぇ……」

美琴ちゃんの提案になにやら思案する涙子ちゃん、少しして「今日は帰りましょうか」とまた満面の笑みで言った。

「オッケー。んじゃ会計して出ましょうか」

「了解です」

「……………」

ようやく開放された。ぼくはそう思いながら会計を済ませ、外に出た。既に日は傾き始めており、いかにファミレス内に長く居たのかを物語っている。
573 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 20:31:27.23 ID:OPp2DJ4f0
「それじゃ、私こっちだから。アンタ、ちゃんと佐天さんを送ってかなきゃ駄目だから」

さらっと面倒くさいことを口走る美琴ちゃんを止める。

「何言ってるんだよ。だいたい涙子ちゃんだって初対面の男に送っていってもらうほうが嫌だろう?」

同意を求めるために涙子ちゃんへと顔を向ける。すると「い、いえ。そんなことは……ない、です」などと言葉に詰まりながらもそう言った。
はあ、たぶん美琴ちゃんに言われたから社交辞令的な返事なのだろうが、そう言った肯定を第三者の前でしてしまえば実行するしかないという社会の常をまだ分かっていない。
その辺りはやはり中学生か。

美琴ちゃんはそれを確認すると口元をニヤリと歪め、嫌らしい笑みを浮かべる。

「んじゃ、しっかりエスコートするのよー」

そしてそのまま手を振りながら去っていく美琴ちゃん。取り残されたぼく達は数秒沈黙した後、歩き始めた。それはぼくの住む学生寮とは反対の方向だったが、恐らくは涙子
ちゃんの住居があるのだろう。ぼくは涙子ちゃんの三歩後ろをついて歩く。
しばらくはお互いに黙っていた。ぼくは沈黙が嫌いではないし、一年分はあのファミレスで語らされたと思うので別に今話題を出そうとも思わない。
涙子ちゃんも同じ事を考えているのか何度か後ろを振り向いては前を向き、進んでいく。

ビルの谷間に夕日が落ち、ぼく達の影を伸ばす。もう直に完全下校時刻を迎えるのだろう。
学生寮に戻ったら、きっとインデックスちゃんも戻ってきているだろうし、それに合わせて大量の食事を作らなきゃいけないと思うと、このまま歩いて何処かへ行ってしまい
たくなる。どこまでも歩いても、行き着く先は現実だというのは分かっているけれど。

「ねぇ、いーさん」

唐突に涙子ちゃんが口を開く。歩くスピードを緩めぼくと並ぶ。

「自分が、他人より劣っているって自覚したこと、ありますか?」

そう言って、笑う。

――自分が欠陥製品だと思ったこと、ないかな。

それは聞いたことがある言葉だった。自分が他人より劣っている自覚。世界から取り残されているような錯覚。
圧倒的に、足りない、自分。
嫉妬でも、怒りでも、不満でもなく。

ただ、足りない。
574 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 20:32:01.75 ID:OPp2DJ4f0
「この学園都市は、残酷ですよ。冷徹だと言い換えてもいいかもしれません。決められた規定に沿ってランクが決まり、無能だと突きつけられる。テストの点ではないんです、
 学校の成績ではないんです。ここは、能力を学ぶ場所ですから。それが全て。機械的に、規則的に、平等に分ける」

外の世界では気が付かなくて済む事実を、教えられる場所、と彼女は続ける。

「平等の先が不平等だなんて、笑えますよね。勿論、御坂さんのように例外は居ますけど」

美琴ちゃんは、元々レベル1だったそうだ。それが今ではレベル5の超能力者。

「……例外だなんて。そんなことはないだろう」

思ってもいないことを、言ってみる。

「例外ですよ」

それは、あっさりと切り伏せられた。

「例外中の例外。異常と言い表してもいいんじゃないですか?たしかにあたしはそこまでの努力はしていませんけど、御坂さんに劣らないほど努力をしてもなお、無能力者の
 ままでいる人間は、学園都市には腐るほど居ます。腐るほど、腐っています」

学園都市に七人しか居ない、超能力者。

「レベル0とレベル1では、やはり違うんですよ」

そこで涙子ちゃんは、再び笑ってみせる。どこか、遠いところを見るように。

「……幻想御手(レベルアッパー)って知ってますか?」

ぼくは聞き覚えのない単語に、首を横に振る。

「簡単に言えば、能力のレベルを上げるシステムです。勿論、不法なシステムで認められていた物ではありません」

ドーピング剤のような物なのだろう。使用者のレベルを底上げする。

「あたし、それを使ったんですよ」

それは、意外な告白だった。
575 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 20:32:45.03 ID:OPp2DJ4f0
少なくとも、美琴ちゃんや黒子ちゃん達とは普通の会話をしているように思えた。高位の能力者に囲まれながらも、楽しそうに笑っていたように見えた。
でも、それは演技だったのだろうか。いや、違う。どちらも彼女だ。友人と話すのは楽しい反面、心のどこかで劣等感を抱く。
そんなこと、誰が責められるのか。

「それで、結果は意識不明。最後は御坂さん達が大本のシステムを破壊して解決してくれましたけど」

それは、どれだけ辛い事なのだろうか。
追い求めた能力者に、その幻想を壊されたのは、どれだけ、辛い事だったのか。ぼくには分からない。

純粋に、肩を並べたかっただけなのに。
単純に、並んで歩きたかっただけなのに。
切実に、同じ立ち位置に立ちたかっただけなのに。

それすらも、許されることはなかった。

「助けてくれて嬉しかった、でも、その時はっきりと気が付いたんです。『自分は劣っている』って。いや実際はもっと前から知っていた。初めて身体検査の結果表を見たあ
 の時から。それでも気が付かない振りをしていたのかも」

自分を偽り、誤魔化し生きる。

「……って、いきなり変な話をしてごめんなさい」

涙子ちゃんは小走りでぼくの前に移動すると、両足をそろえて深々と頭を下げた。

「なんだかいーさんには話したくなっちゃって」

「別に謝る事じゃあないさ。面白い話だったよ」

それは、本心だった。
涙子ちゃんはフフ、と中学生らしい笑みを零すと、両手を広げ後ろ向きに歩きながら一回転する。脇に並ぶ、風車のように。

「案外、あたし達は似た物どうしかもしれませんね」

楽しそうに笑う涙子ちゃんを、ビルの隙間から漏れるオレンジ色の日差しが照らしていた。
ぼくは回答に困り、数秒黙ったまま歩いて、とりあえず頷いておくことにした。

「ああ、きっとそうかもね」
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/15(火) 20:36:56.36 ID:dF8iTv9AO
この佐天さんまさか……
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/03/15(火) 21:16:41.98 ID:tCRfW7CA0
「この街の子どもたちはいつまでも俯いているほどヤワじゃない」みたいな〆だったけど
……みんながみんなそう在れる筈もない、のかな
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/15(火) 21:36:56.24 ID:rn9TetRb0
似た者同士…違うな!
俺はスーパーサイヤ人だ!
579 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 21:46:18.76 ID:09BrjfFf0
3

涙子ちゃんを送っていった後、ぼくは寄り道もせずに真っ直ぐ家路についた。意外なことにインデックスちゃんは帰ってきておらず、当然だが当麻くんも不在だった。
ぼくは部屋に入るなりベッドに倒れこみ目蓋を下ろす。
昼食をとりに出掛けただけなのに、ひどく疲れている。もうこのまま夕飯も食べずに眠ってしまいたいぐらいだった。
ゆっくりと意識が沈んでいくのを実感しながら横になっていると、突如インターフォンが鳴り響く。
インデックスちゃんだろうか。いや、彼女はインターフォンを鳴らすなど常識的な人間ではない。一番無難な線は当麻くんだ。一応誘った手前、彼女の管理人であるぼくに一
言挨拶をしに来た、と考えるのが自然だ。

「……いや、よく考えろ」

こうやって油断して扉を開いた結果が、哀川さんとのご対面だったじゃないか。哀川さんがまたぼくの元を訪れる可能性は限りなく零に近いが、絶対ではない。
この世に絶対など、絶対ないのだ。

ぼくは一応チェーンロックをかけてから、扉を開く。

「おっすー!いーさん。ボクやでー。貴方の街の歩く愛情こと、ボクやでー」

扉を閉じた。

うん、何もぼくは見ていない。長身で青髪にピアスをつけて、怪しい関西弁の男など居なかったんだ。
今こうしている間にも「ちょ、おま!なにすんのー!開けてー」となにやら喚く声が聞こえる気がするが、間違いなく幻聴だ。幻だ。疲れてるんだ、ぼくは。

「開けてーな!いーさん!!ボク今日寝る場所あらへんのよ!」

「今は夏だからきっと公園でも充分に一夜を明かせるさ」

未だ聞こえる幻聴に返事をする、ぼく。

「カミやんも、つっちーも留守で頼めるのはいーさんしか居ないんよ!お願いですから泊めてくださいぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいい!!」

「近所迷惑だから少し黙れ」

あーあー、認めましょう。ぼくの部屋の前にはクラスメイトの青髪ピアスくん(通称)が居る。
認めたくないけど、現実だ。

「で、どうしてここに居るんだ。君は確か下宿してるんだろ?」
580 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 21:46:55.84 ID:09BrjfFf0
記憶が確かならパン屋に下宿しているはずだ。目的はそこの女子店員の制服。
このままでは埒が明かないと思い、しかたなくではあるが、チェーンを外し、扉を開け青髪くんを招き入れる。

「おお!いーさん、サンキュー!!」

扉を開けた瞬間、靴を脱ぎ捨てズカズカと室内へと入り込む青髪くん。なんというか、遠慮というものがないのだろうか。
青髪くんはそのまま部屋の中の物色を始める。だが、そこはぼくの部屋だ。探す場所など数えるほども無いし、彼が期待しているような物など一つも無い。
だから焦る必要も無いのだ。

だが、ぼくは彼を甘く見ていたようだった。

「……いーさん」

ちょうど洗面台を観察していた青髪くんが、急激に声のトーンを落として話すので、ぼくは肩を落として彼の後ろへと寄る。

「これ……なんや……」

彼の顔に、笑顔はもう無い。その右手には一本の歯ブラシが持たれていた。

「ただの歯ブラシだけど?」

「ただの歯ブラシ……ねぇ……だったら何でもう一個歯ブラシが用意されとるんや……」

ゆらり、と振り向く。
彼は、
泣いていた。

「この学生寮は一人一部屋やったよなぁ。それなのに何で余分に歯ブラシがあるん。それにこの抜け落ちた一本の髪の毛。これ……いーさんの髪じゃないやろ?いーさんの毛
 はこんな長くないし、ましてやこんな色してへん。外人さんかぁ……ええなぁ。ひょっとして昼間にカミやんが連れてたシスターさんか?ほぉう。なるほど、これは調査の
 必要あり、やね。このフラグ体質野郎が。えーえー気が付いておりました、ワタクシ。転校初日から女子生徒がいーさんに向ける熱いまなざしにな。これが、現実かいな。
 世知辛いねぇ……」

どこぞの迷探偵も真っ青の、迷いようだった。というか、迷いすぎて返って真っ直ぐに見える。
後半に至っては、もう何を言っているのか理解できない。

「……身辺調査はそれぐらいにしてもらえると、助かるな」

ぼくは歯ブラシを奪い取ると、元の位置に戻し、青髪くんを半ば引っ張り出すような形で洗面所からリビングへと移動する。

「……それで、どうしてここに来たんだ?」
581 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/15(火) 21:49:07.61 ID:09BrjfFf0
途中で寝てしまった。とりあえず今日はここまでです。
それにしても、佐天さんの扱い方がまとまらねえぜ……
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/03/15(火) 21:55:27.20 ID:GSHcrtUG0

スレによって結構印象変わるよな佐天さん
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/15(火) 22:00:23.11 ID:8dEGA8mc0

黒子だけは何も知らずに生き残りそうな気もする。
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 23:15:17.21 ID:oQKlO+3DO

しかしこのsatinさん死ぬ気しかしない
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/16(水) 00:29:14.63 ID:j8FYyeAAO
さちんさん…?
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/16(水) 01:38:13.27 ID:1TEhjynQ0
さてん
さてぃーん
さーてぃーん

あとは分かるな?
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/16(水) 02:11:26.34 ID:kbEqWDDfo
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/16(水) 07:20:05.15 ID:SJE7ccvAO
間違いなく佐天さんがはんn……うわなにをするや
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/16(水) 09:08:12.15 ID:j8FYyeAAO
>>585
なんかエロい
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/03/16(水) 16:12:14.81 ID:NPp+T2/AO
クビシメ的には死ぬポジションだよな。佐天さん。
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/16(水) 16:52:28.93 ID:OLpl0KzIO
さちんちん…?
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/03/16(水) 17:28:26.65 ID:kuz43LlPo
そちん?
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/16(水) 20:27:06.53 ID:UhnF/BMDO
satinって単語あるみたいだな
超初見だけど

sat・in /stn|‐tn/

━【名詞】【不可算名詞】
しゅす(織), サテン 《表面がなめらかで光沢のある絹織物; cf. sateen》.

━【形容詞】
(比較なし) しゅすの(ような), なめらかな,光沢のある.
[産地であった中国福建省の海港の名から; 【形容詞】 satiny]
594 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/16(水) 23:45:36.59 ID:yhEP5jsJ0
お疲れさまです。
申し訳ありませんが、今日は投下できませんm(__)m

暇潰しに通り魔殺人の犯人当てでもどうぞwwww
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/16(水) 23:46:48.96 ID:xfAneiWKo
犯人は私だ
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/16(水) 23:51:21.91 ID:MRNJAg1Wo
いやあいつだ
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/16(水) 23:58:17.50 ID:SJE7ccvAO
いや、僕だ


さておき乙
つうことは既に伏線張ってるってことか……
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/17(木) 00:03:40.69 ID:ZsD8LKT+0
懐かしいな、ザレゴト。
人識と出夢が好きだったな。出てこないかなぁ。
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 00:08:54.26 ID:hdFLZhwSO
satin
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 00:44:08.23 ID:fPisjI41o
初春ワンチャン
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/03/17(木) 01:07:00.75 ID:ypEK+Fre0
俺が、俺たちが犯人だ!!


とまあ冗談は置いといて犯人が4人の中にいるなら佐天1択なんだよなぁ・・・
だがそれもあざといな
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 01:11:23.03 ID:yiPyYIqgo
この四人組でこの手の事件の犯人にされやすい度でいえば

佐天>=美琴>>初春>黒子

かな、なんとなくだけど
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 01:39:47.47 ID:EkcgB3Ot0
ここまで怪しいと餌撒かれたら逆に佐天さんが犯人だったらびびるわww
4人組限定なら初春が犯人だろうけど4人組以外なら青pかな。
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/17(木) 01:56:30.10 ID:as8n96tAO
いーちゃんは相変わらず年下キラーだな

質問ですが神裂火織さんじゅうはっさいは年下にカウントされますか?
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/17(木) 02:08:18.74 ID:xSjEujJAO
神裂火織さんじゅうはっさいはじゅうはっさいでありさんじゅうはっさいでもあるのでカウントされま

…記述はここで途切れている
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 13:11:23.68 ID:JmRDifPDO
バットを使う点に注目すれば、さてんさん。
大男だという点に注目すれば、青ピ。
だが俺はあえて姫神と予想。
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/17(木) 18:22:13.60 ID:P0MJB8ZAO
登場人物に青ピはいない代わりに名前不明の殺人鬼がいる

……あとは、わかるな
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 18:23:14.85 ID:jqXMzdIco
私だって言ってるだろ!!
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 19:58:09.00 ID:zqNK3xLz0
青ピは絶対違うと思
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/03/17(木) 20:45:50.62 ID:fkcnEuEAO
>>609
えない?
611 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/18(金) 00:27:57.31 ID:R4bBjenh0
犯人当てとか調子のって申し訳ありません。
それではごく僅かですが投下します。
612 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/18(金) 00:28:34.42 ID:R4bBjenh0

「人探ししてたらこんな時間になってしもうて、下宿先に入れてもらえんのや」

青髪くんはベッドに腰を下ろし、言った。
ぼくは彼とテーブルを挟んで床に座る。

「誰を探して?」

「小萌先生」

即答だった。幾らかその名前に驚いたが冷静を装い「ふぅん」と相槌を打つ。
その姿に彼の細い目は、しっかりとぼくを見据えている。
まるで、獲物を狩る狼の様に。

「どうして探してるんだい?」

「いやなぁ、近々補習があるハズなんやけど、その連絡がまぁーったく来ないんよ。だからや」

「学校に連絡は?」

「今日したよ。んなら黄泉川先生が『小萌先生は昨日急な用事が入ったから、補習は延期じゃん』って教えてくれた」

彼女は七月二十日の深夜に死んでいるはずだ。だから昨日急な用事が入ったとは嘘で、それがあの少年の言っていた後始末というヤツなのだろう。
しかし、ずさんな対応にも程がある。ぼくは声をあげて言ってしまった。

「どうして」と。

言ってしまって失言に気がつく。彼の態度に油断をしてしまっていたのか、それとも、彼の対応に気圧されてしまったのかは、ぼくにも分からない。
そして青髪くんはその言葉を逃さなかった。

「どうして……どうしてやろうなぁ。んじゃあ、いーさんはどうしてそう思ったん?」

口元は緩めているのに、両腕で上半身を支えるようにベッドに座っているというのに、彼の醸し出す雰囲気はただ事ではない。
あのおどけた態度も、策略の内か。
まるで清流のように穏やかな表情を貫いている青髪くんだが、その眼はさながら、あの請負人のようだ。

彼には、隙が、
無い。
613 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/18(金) 00:29:38.87 ID:R4bBjenh0
「……あかんなぁ、いーさん。あかんで。簡単に隙を見せてもうたら。そこは『どうして』じゃなくて『そうなんだ』って答えるところやろ」

彼はひらひらと右手を振る。

「……理由。知ってるんやな」

その言葉は質問ではない。強制だ。

「さぁ、君が何を言っているのかが理解できないね」

「とぼけるなや」

青髪くんは身を乗り出す。もう口元は緩んでいない。

「とぼけてなんかいないさ。小萌先生の用事なんて知ったこっちゃ無い。唯一知っているといえば七月の二十日に彼女を見たね」

「ぼくが見たのは、それが最後だ」と付け加えると、青髪くんは姿勢を戻し、顎に手を沿えなにやら数秒思案した後に立ち上がる。

「そおか。それが最後か」

「ああ、それで最後さ」

ぼくを見下ろす青髪くんと、青髪くんを見上げるぼく。
沈黙が場を支配する。

一時間、いや実際は数秒も経っていないだろう。この沈黙は青髪くんの言葉によって破られた。

「ああ、いーさん。そう言えば泊まるアテあったわ。いやぁうっかりしとったわぁ。んじゃ、ボクはもう行くなぁ」

「なんだよ。せっかく男同士水入らずで腹を割って恥ずかしい告白大会でもしようかと思っていたのに」

ぼくの言葉に「それは魅力的やなぁ」と表情を緩めると、そのまま部屋を出て行ってしまった。

別れの言葉は、無かった。
614 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/18(金) 00:31:59.80 ID:R4bBjenh0





0と1の世界―――――――――(レート1の世界)

登場人物
初春飾利―――――――風紀委員




615 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/18(金) 00:33:01.18 ID:R4bBjenh0
駄目だ。頭痛いっす。

明日、体調が良ければ来ます。
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/18(金) 00:35:32.30 ID:5pI0cC9zo
おっつー

青髪は殺人を知ってて復讐のために犯人探しをしてた落ち期待
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/18(金) 01:01:47.92 ID:UdrJ2LK80
乙です
格好いいなあ青ピ
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/18(金) 01:26:00.59 ID:z0e6rzFJo
他スレの所為で青ピが激強キャラにしか見えねぇwwwwww
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/18(金) 01:50:52.15 ID:Zlq3S9EAO

お大事にな
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/18(金) 05:11:37.61 ID:dg5jVYEH0
>>610
とでも?
621 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/19(土) 01:36:02.84 ID:1SoyOtsB0
こんな時間に投下します
622 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/19(土) 01:36:29.73 ID:1SoyOtsB0
0

機械は嘘を吐けないの。

623 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/19(土) 01:37:16.30 ID:1SoyOtsB0
1

この学園都市では外界との交流を持たないことになっている。一番の理由は能力開発なのだろうが、それに匹敵するのが科学技術だ。
「外の世界と二十年は開きがある」とまで言われる技術レベルは、実際に体験してみて痛感した。
警備、清掃などはロボットが自動で行い、風力発電も実用レベルで稼動中だ。
他にも様々な最新技術(というかむしろSFの世界だ)があるが、その中でも群を抜いて注目されるのが人工衛星「おりひめ1号」に搭載された、
超高度並列演算処理器(アブソリュートシミュレーター)、通称「樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)」だろう。その性能をぼくのような学生が
身近で感じれるのは天気予報だ。驚くべきことに分子レベルまで解析し、もはや予言とも言える天気予報を知らしてくれる。その的中率は十割。
それさえも本来の用途から余った時間で演算しているというのだから、いやはや、もう驚くしかない。
天気予報といえば、哀川さんも得意らしい。本人曰く「そんなもんは風で分かる」だそうだ。こちらも、もう驚くしかない。

その他にも携帯電話も外界とは一線を引くものがあって、あのファミレスで美琴ちゃん達と連絡先を交換した時も驚かれたのには、カルチャーショックを受けた。
皆物珍しげにぼくの携帯電話を弄繰り回し、黒子ちゃんに至っては「前世代の遺物ですの」だとかなんとか言って目を丸くしていた。失礼な奴め。
それにしても、美琴ちゃんの趣味は何というか、その、独特だった。カエル型の携帯電話など、一体彼女以外の、どの層を狙って製造されたのだろう。

そんな学園都市だからこそ、治安維持にも技術は余すとこなく使われている。先述した警備ロボをはじめ、指紋だけでなく声帯ロックまである研究所の出入り口。
無数の監視カメラが町中を監視し、その最新技術を駆使した「化学兵器」で武装した治安部隊《警備員(アンチスキル)》も日夜パトロールを続けている。
外界との隔たりの為に巨大な壁で敷地内を囲い、数箇所ある出入り口には厳重な警備体制が敷かれ、空中からの進入には対空兵器まであるという。

学生や、子供を預ける親にとっては安心となる材料かもしれないが、ぼくにはそうは思えなかった。

――まるで大きな箱庭。

記憶を無くす前に、当麻くんがポツリとそんなことを言っていた気がする。そして、ぼくもそれに同意している。

無数の監視カメラが監視しているのは不審者ではなく、学生であり。
聳え立つ高い壁は進入を防ぐものではなく、脱出を拒むものであり。
訓練された警備員は、反乱を企てた能力者を抑制するものではないのだろうか。

コインに表があれば、裏があるように。
どんな組織にも表と裏が、必ずある。

光が当たれば影ができるように。
火を焚けば、煙が立ち上がるように。

それが例え企業であろうと、国であろうと――学園都市であろうと、例外ではないのだろう。
624 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/19(土) 01:38:12.48 ID:1SoyOtsB0
だからこそ、箱庭だ。
ひどく限定的なコミュニティ。
内部に居るからこそ、敷地の広大さに目を眩ませがちになるが、これはもはや牢獄に近い。

いや、学園都市なのだから「研究施設」と表したほうが適切だろうか。
あの白い少年も「実験」を夜な夜な行っているのだから。

投薬をし、
脳をいじくり、
催眠をかけ、

じっくりと、





開発をする。

考えてみれば、実験用のマウスと大差無い扱いを受けている。
レベルなど、優良な実験体か否かの判別でしかないだろう。
それに一喜一憂をし、コンプレックスを抱く。

ひょっとしたら、マウスよりも人間のほうが扱いやすいのかもしれない。

他人と違う能力を持ちたい。
上のレベルへと上がりたい。

その前向きな理由によって、学園都市の人々は自らその身体を差し出している。

本当に、戯言だ。

0(何も無い)の人間と。
1(何か有る)の人間。

どちらが優秀で、劣っているかなど、このさい関係など無いのに。
625 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/19(土) 01:38:57.00 ID:1SoyOtsB0

「いーさん。お茶をどうぞ」

目の前に出されていた資料に一通り目を通し、そんな考え事をしていると飾利ちゃんから声がかかり、テーブルの上にコーヒーが置かれる。

「ああ、ありがとう」

ぼくはそれをブラックのまま口に運び、カップを少し傾ける。

今、ぼくがのんびりと学園都市の資料を読んで、優雅にコーヒーをすすっている場所は風紀委員第177支部の詰め所だ。ぼくの部屋ではない。
ぼく以外には飾利ちゃんが居るし、奥には黒子ちゃんだって居る。それは何も間違いではない。なぜなら彼女達は風紀委員なのだから。
そう、この場合イレギュラーなのは、ぼくだ。

風紀委員とは警備員の他に唯一ある治安維持組織。学生のみで構成されているため、警備員ほど危険な職務はしないが不審者や、違法者の取調べもする。
つまり、ぼくは取り調べの為にこの支部に居るのだった。

「それにしても、朝から申し訳ありません」

「飾利ちゃんが気にすることじゃないよ。これは職務なんだろ?」

飾利ちゃんはぼくの言葉に微笑みながら「そうですね」と言ってテーブルを挟んで向こう側のソファーに腰掛ける。
ぼく達の会話を聞いていたのか、姿は見えないが奥から黒子ちゃんの声が聞こえてきた。

「いーさんの言う通りですわよ、初春。いーさんがここに居るのはそれ相応の理由があるんですから、当然ですの」

その言葉には、どこか棘があった。やはり朝方彼女と遭遇したときに、黒子ちゃんのツインテールを掴んでハーレーごっこをしたのがいけなかったのだろうか。
いや、普段のぼくならそんなことするキャラじゃないんだけど、あの時は何故か身体が勝手に動いたんだ。本当に。

「スキルアウトに絡まれてる学生が居ると初春から連絡を受けて現場に向かってみれば、まさか貴方でしたとは」

黒子ちゃんの声は、どこか低いトーンだった。肩をすくめて首を横に振っているような、そんな仕草をしているのかもしれない。
無理もない。先ほど見た彼女のデスクには山になった書類が鎮座しており、その全てが本日提出の始末書だという。因みに、ぼくの件でもう一枚追加されていた。

どうやら風紀委員の活動内容は非常に狭い範囲内らしく、ちょっとしたことで越権行為とみなされ、始末書を書かなければならないらしい。
変にリアルな学生組織だ。

飾利ちゃんは四苦八苦する黒子ちゃんを見てニヤニヤと笑っていた。どうやら彼女は黒子ちゃんに対してはそれなりの対応をするようだ。
626 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/19(土) 01:39:26.01 ID:1SoyOtsB0
「それにしても凄いね」

「何がですか?」

ぼくの言葉に片手に持っていたカップを置き、首をかしげる飾利ちゃん。

「飾利ちゃんがぼくを見つけてくれたんだろ?」

探し物をしている途中、路地裏で不良たちに絡まれてから、黒子ちゃんが現場に到着するまでは五分もかからなかった。

「通報を受けたのが早かったからですよ。その情報と監視カメラを検索して照らし合わせれば場所なんて特定するのは簡単です」

どこか照れながらも、少し自慢げにそう話す飾利ちゃん。
昔、どこかで謙遜と謙虚の違いを聞いたが、恐らくは前者だろう。

「いや、それでも凄いと思うよ。的確な処置があってこそだ。だからもっと誇ってもいいんじゃないかな」

ぼくがそう言うと「いやぁ、へへ、あふぅ……」などとよく分からない呟きをしながら、身体をモジモジとさせる。
面白い娘だなぁ、と感心していたら奥からげんなりした表情を浮かべた黒子ちゃんが現れる。
本当に小柄な女の子だ。この子が不良たちを一瞬で鎮圧したのが嘘のように、華奢だ。

「ふん。あの程度の連中なら相手にもなりませんの」

自慢げに言い放った彼女は「なるほど。始末書のほうが厄介なんだね」というぼくの言葉に再び肩を落とし、ため息を吐く。

「まぁ黒子ちゃんの能力も凄いけど、飾利ちゃんのスキルも凄いと思うぜ。さっきチラッと見させてもらったけど、それだけで感じるくらいは」

まぁパソコンに余り詳しくないので、どのレベルで凄いのかは皆目見当もつかないが、一般的なレベルと照らし合わせても軽く凌いでしまうだろう。

「それで中学一年生だからなぁ。元々興味があったの?」

ただ会話を続けるために聞いたのだが、黒子ちゃんも興味があるようで「そういえば聞いたことありませんわね」と言いながら飾利ちゃんの隣へ腰を下ろす。
どうやら始末書は一時お預けのようだ。

「えっと、昔は全く興味が無かったんですけど……ある事件がきっかけで勉強するようになりました」

節目がちに話す彼女が続けた言葉は、ぼくを驚かすには十分すぎるほどのものだった。

「数年前にあったサイバーテロ事件って覚えていますか?」
627 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/19(土) 01:40:59.10 ID:1SoyOtsB0
ここまでです。

それじゃあ、また明日とか
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/19(土) 01:46:17.17 ID:eRR9/LX1o

たまたま見に来たら更新してて微妙に嬉しい
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/19(土) 01:56:16.71 ID:KlNIo7OAO


ここで玖渚か…
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/19(土) 02:52:06.76 ID:6Sbfb2cAO

ハーレーごっこで吹いた
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/19(土) 12:57:12.24 ID:g1gWOswDO
いろいろうめぇなぁ
クロスものはこうじゃないとね
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/03/20(日) 04:10:34.82 ID:7+mkunk7o
な、なんだと昼から今までまったくカキコがなかっただと・・・
珍しいな、
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/20(日) 04:53:06.15 ID:amXKXRKso
むしろ雑談が凄いのが異常なのでは?
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/03/20(日) 06:51:15.31 ID:7+mkunk7o
>>633
今までが異常だったんだな
だが俺はその今までのスレを愛していた。

そう、それこそが俺の【異常】
デンジャラスラバー
【異常性癖】だ!!

書きたかっだけ

635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/20(日) 07:06:30.93 ID:amXKXRKso
あっちでノーマライズリキッドでも飲んでてください
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/03/20(日) 09:48:24.08 ID:rYVDOAMJ0
二度と戻ってくるなよ邪魔で気持ち悪いから
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/20(日) 18:26:39.55 ID:UzXi4owAO
まだー?
638 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/21(月) 00:48:28.55 ID:XEOGybbE0
お疲れさまです。
申し訳ありませんが、今日も投下できませんorz


このssには関係ないけど、新訳を読む暇がねぇ……。
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/21(月) 07:11:40.38 ID:zysVyw4AO
おつおつ
ゆっくり更新してね
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/21(月) 09:15:12.52 ID:wuH5V2xAO
新薬はちょっとアレだから読まなくてもいいんじゃ……
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/21(月) 10:03:24.46 ID:lVtZ4F4SO
>>640
人によって感じかたは違うと思うが、俺も同意だ。
あれは禁書ではない、ロボット系の何かだ。
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/03/21(月) 15:27:45.89 ID:622kkovH0
新約を読んでどう思うかは人それぞれだが、結構新しい情報も出ているし読んだ方がいいんじゃないかな。
まあ1巻は準備みたいなモンだろうし次に期待。

ゆっくり更新してください
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/21(月) 15:35:27.34 ID:g40HejZt0
別にロボット系になろうとなんだろうといいんだけど
避けただけでTPOわきまえ太郎があんなにビビったのには引いた
644 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 20:15:06.67 ID:bSOxKKvj0
ご無沙汰ですが投下します。新約は色々と……
645 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 20:16:00.05 ID:bSOxKKvj0
飾利ちゃんの言うサイバーテロ事件というのは、ひょっとしなくてもあの事件だろう。
そしてその事件の概要を語るには、ついにと言うか、やはりと言うべきか、玖渚について説明しなければならない。

玖渚友。
サヴァンと呼ばれる異端の少女。青髪。完全記憶能力者。風呂嫌い。技術屋。うにー。
と、彼女についてふと思い付いただけの単語を羅列したところで、何の説明になっていないのは重々承知だけれど、
いかんせん玖渚については多く語りたくないというのが正直な意見だ。

観念してこの玖渚友――不覚にもインデックスちゃんを重ねて見てしまった少女を手っ取り早く、簡潔に、たった二文字で表すとするならば《天才》と言うのが
最も正しい表現だろう。特に情報工学と機械工学についてはスペシャリストで、あの陸の孤島に鎮座しているまるで牢屋のような研究所のセキュリティシステムも、
作成したのは玖渚だ。

さて、どうしてこの十代の小娘が飾利ちゃんの言うサイバーテロ事件と関係があるのかと言えば、答えは簡単だ。
事件を起こした《チーム》のリーダーこそ、玖渚なのだから。

目的を持たず、意思を表明せず、ネット社会に風よりも速く現れ、林よりも静かに動き、火よりも激しく破壊し、山をも粉砕するほどの勢いで暴れまわった《チーム》は
しなかったことがないぐらいに、何でもした。

それがサイバーテロ事件の曖昧すぎる全貌。結局、彼らの目的は明かされること無く、一度も表さなかった姿を消した。

飾利ちゃんがその事件を知っているということは、《チーム》の行動エリアに学園都市もエントリーされていたのだろうか。
そして事件と言うくらいなので、少なからず実害も発生したのだろう。
外界との技術差が天と地ほどあるこの学園都市に被害をもたらしたということは、つまり《チーム》の技術レベルは学園都市をも凌ぐということになる。
いや、ひょっとしたら他の例と同じように、《チーム》が現れたからこそ、技術レベルが上がったのかもしれない。

とにかく、飾利ちゃんの情報処理能力と、《チーム》が起こしたサイバーテロ事件には何らかの関係があるということ、らしい。
まさか飾利ちゃんが《チーム》の一員だったとは言うまい。もし仮にそうだったとしたら、ぼくは即効この場から逃げ出すぞ。
以前に一人だけ《チーム》の一員と合ったことがあるが、どうしようもなく厄介な存在だった。

「そのサイバーテロの犯人達がなんだか格好良く見えたんです」

風紀委員のくせに何を言っているんでしょうね、と飾利ちゃんは間に挟む。

「目的も言わずに現れて、好き勝手に暴れて、気の向くままに退散する。その、なんていうかその奔放さに」

「憧れた?」

ぼくの言葉にゆっくりと頷く飾利ちゃん。

「きっと今よりも私は子供だったんでしょう。今は犯人達のしたことは許せないと思っていますし、もしまた現れたのなら私が捕まえて見せます」

その目には、どこか強い意志が宿っているように見えた。
646 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 20:16:38.00 ID:bSOxKKvj0

「始めは憧れだったかもしれませんが、悪は悪です。私のスキルがここまで伸びた理由が彼らだとしても、捕まえるべき対象です。
 それが、風紀委員として私が出来ることですから」

「……立派だね」

飾利ちゃんの話に黒子ちゃんがゆっくりと頷く。これが彼女達――風紀委員としての誇りであり、働き続ける理由なのだろう。
悪は必ず裁かれる。裁かれるというのは、裁く人間が居るということ。

それでも。
それでも、その裁くべき悪が守るべき善だったらどうするのだろうか。

正義の反対は必ずしも悪ではない。むしろ純粋な悪意などは稀だ。
正義の反対は別の正義であり、信念を貫く先には、別の信念が立ちふさがっている。

それに気が付いても尚、己が正義だと言い張れる人間は、最早、正義でもなんでもないただのエゴイストに過ぎない。

「こんな立派な子達に守られていると思うと、安心だ」

「顔がそうは言ってませんわよ」

黒子ちゃんがじろりとこちらを睨む。まだ今朝の一件を引きずっているのだろうか。それならそのチョッパーハンドルのような髪型は控えるべきだと思う。
思わず掴んで跨ってアクセルをふかしたくなってしまう。

「ふかすのは嘘だけで十分ですの!!」

ツインテールを逆立たせ、フシャー!っと威嚇音を鳴らす黒子ちゃん。

「まぁそう怒るなよ、黒子ダビッドソン」

「そうですよ。白井=ハーレー=黒子さん。始末書が残っているんですからさっさとご自分のデスクにタンデムしてくださいよ」

飾利ちゃんが満面の笑みを浮かべて被せてくる。この子、本当に黒子ちゃんを弄るときは楽しそうな顔するよな。何か恨みでもあるのだろうか。
黒子ちゃんはブツブツと何かを呟きながら、始末書の山を崩すべく立ち上がった。

「それじゃあ、もういいだろう?」

そして、ぼくもそれに続く。

「ええ、調書も取りましたし、問題ありませんの」

「長い間、お疲れさまでした」

別れの言葉を言う二人に軽く手を挙げて、ぼくは呑み掛けのコーヒーをそのままに、詰め所を後にした。
外に出て空を見上げると、飛行船が午後振る雨をぼくに知らせてくれる。傘など持っていないぼくは急いで帰ることを心に決めた。

全く。便利な場所だ。
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/22(火) 20:22:34.52 ID:eegBae1AO
キタァアアアア!
648 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 21:08:43.49 ID:gpHjgKQ/0
2

風紀委員の詰め所から学生寮へと戻り、そこで本来外出した目的を思い出して「不幸だ」と当麻くんのように呟いた後、空腹で部屋の隅っこに座り込みながらガチガチと
歯を鳴らすインデックスちゃんに素麺を茹でて恵んでやり、ぼくはまた外出することにした。
目的地へ向かう途中で玖渚に用件があることも思い出し、道を歩きながら携帯電話を取り出してコールする。

「どもー!いーちゃんお電話ありがっとーう!!僕様ちゃんだよー!!」

一コール目で出やがった。

「あれー?いーちゃんって今学園都市に居るんだよねー?だったら気をつけなきゃいけないよ!そこから外部への電波は傍受されてるからさ!きゃはははははは!
 でもでもでもでも、それってとっても無意味だよん。無意味無意味無味無臭!僕様ちゃんといーちゃんの電波は誰にだって妨害されないんだからねー!!安心し
 てお喋りできるよーん!」

何というか、久しぶりにここまで極端なキャラと喋った気がする。いや、まだぼくは一言も発していないんだけれど。

「お土産は常盤台中学の制服でいいか?」

「うん!って言いたいところだけど駄目ー。だって僕様ちゃん常盤台の制服持ってるもん!そだねーここは頂点上機か霧ヶ丘女学院をチョイスして頂きたいっ!
 なんつってー!もう持ってるからいいよー!僕様ちゃんは思わぬいーちゃんからの電話で十分満足だっぜ!!ん?というかいーちゃんまた女装してるのかい!?
 これはビックリ!驚天動地だね!常盤台とはまたまた王道を行くじゃないかぁ!ああ写メりたいデジカメりたい一眼レフたい!」

「ちょ、友。少し落ち着いてくれよ」

コイツはさんま師匠の弟子かなにかなのか。そういえば明石家さんまが一日で喋る量を換算したら中編小説一冊分になるという話を聞いたことがある。
あの人ならやりかねないと不思議と思ってしまえるあたり、冗談にならない。

「お前が昔《悪さ》してた時って、足が付いたことあるか?」

少し声のトーンを落とす。

「ん?あぁ皆と一緒にはっちゃけてたときだね!勿論見つかったわけ無いじゃん!……でも、あ!そういや一回僕様ちゃん当てにメールが来たことがあるよ」

「メール?」

「差出人不明!タイトル無し!本文にはたった一言「頑張ってください」ってねー!きゃはははははははは!さっちゃんがそれを見つけた瞬間パソコンごとぶっ壊しちゃった
 から逆探できなかったんだよね。まぁ復旧させてしたんだけだけど!驚く無かれ!なんと送信先は」
649 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 21:09:19.43 ID:gpHjgKQ/0

言葉を溜める玖渚に一抹の不安が過ぎる。さっきのさっきで話が出来すぎやしないだろうか。

「まさか、学園都市からなんて言うんじゃないよな」

「およ?いーちゃん凄い!何で分かったの?なになに?学園都市で能力に目覚めちゃったの?右手翳して『さいこめとりー!!』って?」

そのまさかだった。ケラケラと電話越しに笑い続ける玖渚。

「茶化すなよ。ただ単にこっちでそのメールを送った人物に会っただけだよ」

「へぇー。じゃあ、いーちゃんお花畑見ちゃったんだ!」

「ああ、咲き誇ってたよ」

どうやら玖渚は個人の特定まで済ましていたようで、飾利ちゃんの特徴までしっかりと把握していた。
さすが《チーム》の元リーダー。あざとい、さすがリーダーあざとい。

「ま、そんなことはどうでもいいんだ。大事の前の小事ですらないよ」

「大事なのは僕様ちゃんだけって?」

「……とにかく、少し頼まれごとをして欲しいんだけど、忙しいか?」

「忙しくは無いよん!だからノープログレム!僕様ちゃんは何をすればいいのかな?学園都市の機密へクラック?研究内容の横流し?それとも――」

玖渚は相変わらず楽しそうな声で、言った。

「――また、通り魔事件のことかな?」

本当に、玖渚は話が分かる奴だ。何も言わずとも要求に答えてくれる。
ぼく達の間に余計な言葉は要らない。余計な情報は必要ない。

ぼくは少しだけあの青髪の少年を真似て目を細める。

「その通り」

そして、ニヒルを気取ってそう言い放った。
650 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 21:16:41.41 ID:HymMQn750





比較―――――――――(美学)

登場人物
白井黒子―――――――風紀委員




651 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 21:17:40.71 ID:HymMQn750
0

消すと壊すの何が違うの。

652 :VIPPERに変わりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 21:43:56.03 ID:UbNY2uvDO
……終わり?
653 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 21:44:41.79 ID:jZ1QWGn+0
1

「収穫無しか」

用事を済ませふらふらと行く当ても無く学園都市をさ迷い歩いているぼくは、誰に言うわけでもなくそう呟いた。
その呟き通りに、わざわざ夏休みだというのに学校に顔を出したが、欲しい情報は得られなかった。せいぜい青髪くんのあの言葉がやはりブラフだと判明したくらいで。
それだけならまだ良かったのに、黄泉川先生に捕まってこの間の火災報知機の件について根掘り葉掘り聞かれる羽目となり、余計に疲れただけだ。
というか、後半はただの愚痴だった。自分が受け持つ優等生ばかりのクラスに不満こそ無いが、面白くも無いのだという。その発言は教師としてどうなのだろうかと
思わなかったといえば嘘になるが、下手な事を言ってしまえば話が長引くだろうと思い、ひたすら黙って頷いていた。
それにしても散々自分で話しておいて「完全下校時間だから帰る様に」はいささか横暴すぎるのではないのだろうか。

日が沈みだす学園都市。ぼくは気が付けばあの路地裏へ到着していた。

「…………」

当然ながら、そこには二つの死体はおろか血痕一つも残ってはいない。その点で言えば白い少年の言う「後始末」は完璧だと言えよう。

そっとしゃがみ込み、彼女が持たれかかっていた壁へと手を伸ばす。何かあったわけでもないし、感傷に浸っているわけでもない。
ただなんとなく、そうしただけだ。

どうして彼女は殺されたのだろうか。あの金属バットで頭を割られて、死んでしまったのだろうか。
きっと彼女の死が公になれば悲しむ人間は沢山居るのだろう。それだけ、彼女は愛されていたし、その分他人を愛していた。
たった一週間足らずの付き合いだが、ぼくにはそれが痛いほど分かってしまう。それは別にぼくが彼女に共感したわけではない。

ぼくにはあんな生き方は出来ないだろう。
ぼくにはあんなすごし方は耐えられないだろう。

全く別の人間だからこそ、痛いほど違いを理解してしまう。自分が足りていないことを、感じてしまう。

もし、彼女ではなくぼくが死んでいたのならどうなっていたのだろう。
世界に必要とされている彼女ではなく、ぼくだったら。

ひょっとしたら、インデックスちゃんはちゃんとした形で救済されていたのかもしれない。通り魔殺人事件の犯人も捕まったかもしれない。

でもそれは絶対に起こりえない現実で、ここまで時が進んでしまえば、もう換えは効かない訳で。

「……戯言だ」

本当に、ぼくは何がしたいのだろう。この学園都市に何を求めているのだろうか。
654 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 22:12:12.27 ID:dsHf32bY0
「オイ、そこのお前」

そこで声が掛かる。

「お前だよ、お前。こんな路地裏でボーっとしちゃってる幸薄そうなお前だよ」

「ギャハ!幸薄ってそのまんまじゃねーか!」

「ホント、不幸だねぇ。これからお金を巻き上げらるんだから、さ」

最初に掛かった声とは別に、四つの声が聞こえる。顔を上げればそこにはいかにも柄の悪いスキルアウトの集団が醜悪な笑みを浮かべてぼくを見下ろしていた。

「うっわ、本当に個性の無い面してやがる」

「逆に個性的だなぁ」

ゲラゲラと笑うスキルアウトをぼくはただ見つめていた。どうやらぼくは絡まれているらしい。朝に引き続きなんとも不幸な事態だ。こういうのは当麻くんの専売特許じゃ
なかったのか。とそんなことを思いながらスキルアウト達から目を逸らし、辺りを見渡す。人影は零。当然だ、ここは路地裏なのだから。

「……君達は能力者か何かなのかな?」

「あ?んなわけねぇだろ」

その言葉を聞いて、ぼくはポケットへ手を突っ込む。

「そうかい、なら安心だ」

「おい、勝手なまねを」

ぼくと一番近い位置に居たスキルアウトが何か言葉を言い切る前にポケットから手を抜いて、また戻す。一瞬のタイムラグの後、彼のシャツの右袖に亀裂が入る。
その光景を見たスキルアウトが怯むのを、ぼくは見逃さない。

「学園都市のレベル5って知ってるだろ?それの第六位ってどんな能力か聞いた事あるかい?」

じり、と一歩前に足を踏み出す。それに合わせて、まるで反発しあう磁石のように一歩後ずさるスキルアウト。
そこで、ぼくは口を開く。これで彼らは威圧されてお終いだ。

「ジャッジメントですの!」
655 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 22:13:50.34 ID:dsHf32bY0
個人的にキリのいいトコで休憩します。
久しぶりに書き溜めずに投下したらすごい疲れたっす。
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 22:20:05.83 ID:/KyX0tIJo
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/22(火) 22:24:00.55 ID:wA7eUiDPo
あれ?「ですの!」って言ってるのって…
まぁいいや乙
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/22(火) 22:24:57.95 ID:eExIQX5eo

学校の名前なんだけど
長点上機
ながてんじょうき
だったと思うぜ。
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/22(火) 22:39:36.79 ID:iIzDRKUao
曲弦糸、じゃないよな多分
つーかですのまで含めて決め台詞だと勘違いしてるのかよwwwwwwww
660 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 23:24:18.37 ID:AVaTdouF0
一つ説明をしておこうと思う。ぼくがポケットから取り出したのはなんでもない、ただのナイフで、それを一瞬出し入れして一人の袖口を切った。
ここでポイントになるのがナイフを見られないように一連の動作を行う、という所だ。これは後々にぼくが言う台詞の伏線となる重要な位置づけで、
逆に言えばそれが成功すれば後は簡単にスキルアウト達を追い払うことが出来る。

さあ、そうなると疑問点が一つ発生する。それはキメ台詞だ。ぼくはナイフを見られないように袖口を切ることに成功し、「レベル5の第六位は自分」というニュアンスを
含めた言葉を彼らに放った。これは何度も話しているけれど、ぼくは正真正銘の無能力者で、電撃を放つことも空間移動することもできない。つまり嘘だ。
当たり前だが、こんなことを普通に言っては信じられない。しかし、目の前の男がポケットから手を抜いただけで袖口が切れるという事実を目のあたりにした彼らは、
少なからず「もしかして第六位?」という思考が生まれてくる。

そこを考慮するならばぼくがキメ顔で言うべき台詞は、どこぞのキラ様のように死亡フラグを振りまきつつ不適に「ぼくが第六位だ」という選択肢しか存在しない。
実際にぼくはそう言ったつもりだった。いや、確かに言ったんだ。

それでも場に轟いたのは「ジャッジメントですの!」という何処か気の抜けてしまうような台詞だ。ぼくの言った文面と全く脈略がない。
だいたい、いつからぼくはこんな年老いた女性の声になってしまったのだろうか。ひょっとしたらあの時黄泉川先生に出されたお茶に何か入っていたのではないか。

とまあ、そんなことを一瞬考えたが、すぐに却下する。そうだ、そんな可能性よりもっと高いのは第三者が来るということである。

それに朝も全く同じ台詞を聞いた。正直「ジャッジメントですの!」というキメ台詞はどうかと思いながら彼女のツインテールを掴んでハーレーごっこをしたのだが、
いやまさか一日に二回も聞くとは思わなかった。

ぼくとスキルアウト達は同時に声のした方角へ顔を向ける。そしてその姿を確認したぼくは肩を竦めて首を振る。

「なんですの?いーさん。ご不満な点がございましたら後でゆっくりと訊いてさし上げますわ」

「……また取調べかぁ」

常盤台中学の制服で身を飾り、右腕に着けた緑を基調とした腕章を見せ付けるように左手で引っ張る一人の少女は毅然とした表情でこちらを睨みつける。
その腕章に描かれたシンボルにスキルアウト達も一瞬ではあるが怯んでしまう。

風紀委員。

学園都市治安維持組織の一つ。

「取調べられたくないのなら、こんな路地裏をうろつかないでくださいまし」

「善処するよ」

ぼくの返答に少女は――ぼくのキメ台詞を奪い去っていた黒子ちゃんはやれやれと首を振った。
661 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/22(火) 23:25:54.02 ID:AVaTdouF0
なんだよこの展開……ごめんなさい酔っぱらって書くもんじゃないですね。
眠気もヤバイんで今日はこれくらいで……orz
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/22(火) 23:29:44.12 ID:iIzDRKUao

なんだババア声か
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/22(火) 23:44:24.01 ID:eegBae1AO
乙!
なんというミスリードwwww
いやぁ黒子が弄られ可愛い
玖渚も可愛い
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/23(水) 00:43:10.66 ID:JK5ssrYAO

玖渚流石wwww
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/23(水) 02:39:33.02 ID:R3SlughRo
久しぶりにハイテンションな玖渚見たな
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 13:57:45.60 ID:kn9/J6zDO
黒子が完全にしとしとぴっちゃんと同じ扱いだなwwwwww
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/23(水) 22:59:15.79 ID:TLWTbX2AO
果たして何人がこの先生きのるのか……


零崎期待
668 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/24(木) 00:18:14.57 ID:x4h5SyDv0
投下します。
669 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/24(木) 00:19:21.72 ID:x4h5SyDv0
スキルアウト達は困惑していた。不穏な挙動をするぼくと、風紀委員の黒子ちゃんの登場。この二点で彼らの戦意は綺麗になくなっていたのだろう。
彼らは唾を吐き捨てて暴言も吐きながら路地裏の奥へと消えていった。

「いーさん、わざとトラブルに巻き込まれてるんじゃ?」

ゆっくりと構えを解いて、ジト目でこちらを見つめる黒子ちゃん。

「そんなわけないだろう。ぼくはできれば無人島でゆっくりと暮らしたいタイプの人間だ」

「言い換えれば、他人と一切関わりたくないと?」

「否定はしないよ」

「好きに解釈させていただきますわ」

一歩一歩踏みしめるようにぼくに近づき、黒子ちゃんは文字通り目と鼻の先に立つ。
ぼくは身長が高いほうではないが黒子ちゃんはそれよりも小さいため、視界に移るのはご自慢のツインテールだけだ。

「朝に続いて助かったよ。それにしても随分と早かったね」

「偶然ですわ。最終の警邏中に初春から近くで学生が絡まれていると連絡を受けて駆けつけただけですの。まさかいーさんだったとは塵ほども思いませんでしたの」

「そりゃ運がいい」

こんな時間に警邏というのはやはり通り魔事件の影響なのだろうか。

「警備員と風紀委員だけではこの街の治安を完全に治めることは、悔しいですが不可能ですの」

「犯罪が起こらない街なんか無いだろう。もしそんな街があったとしても、ぼくはそこに住むのはごめんだね」

そんな場所に個人の意思などは存在しないだろう。
黒子ちゃんはぼくの言葉に「そうですわね」と頷いて三歩下がった位置へ空間移動で移動する。

「学生ばかりのこの学園都市では、外界に比べて圧倒的に犯罪が多いですの。その代わりに更生する人間も多いですわ」

「ま、若い頃なんてそんなものだろうさ」

過ちを犯して、過ちに気付き、正しい道を歩みだす。何が間違いで、何が悪いかだなんて、体験してからではないと気が付けないのだから。
それに気が付かないふりをして、諦めたように振舞うのはきっと少数だろう。はたして、ぼくはどちらの人間なのだろうか。
670 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/24(木) 00:19:52.85 ID:x4h5SyDv0

「……わたくし今日はこれで直帰ですの」

「お疲れ様。それじゃあ、バイバイ」

ぼくはそう言って彼女の横を通り過ぎ、路地裏を抜けようとする。

「これで直帰ですの」

「…………」

しかし回り込まれてしまった。
回れ右をして、もう一度。

「直帰ですの」

「……はぁ」

この子は何が言いたいのだろうか。

「あらあら、いーさん。こんな物騒な時間帯にか弱き一般女子中学生をそのまま一人で帰らせるおつもりなのでしょうか」

「その文には幾つか間違いがあるから訂正してやろう。一つ、物騒な時間帯ってまだ日も沈んでいない。二つ、君は風紀委員だ。そして三つ、君はぼくより強い」

どこが『か弱き一般女子中学生』だ。詰め所で「あの程度の連中なら五分で黙らせることができますの」とか言ってたじゃないか。
本当に黒子ちゃんの言いたいことが分からない。いや、分かっているけど分かりたくない。

「夕暮れ時に路地裏に立つ二人の男女。男性は女性よりも年上で最近は物騒な事件も起こっている……このシチュで考え付く結論は一つしかないでしょうに」

黒子ちゃんは目を薄く細めて、微笑んだ。なんだろう、微笑んでいるのに全く微笑ましくない。
むしろ策略を感じる。

どうにかして断ろうと考えていたら、黒子ちゃんからとんでもない発言が飛び出す。

「佐天さんは嬉しそうにいーさんに送っていってもらった事をお話していただきましたわ」

その言葉に、ぼくの拒否権は根こそぎ奪われてしまった。
671 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/24(木) 00:20:31.98 ID:x4h5SyDv0
2

「それで、通り魔事件については進展があった?」

「第一声がそれとは……ムードも何もありませんわね」

ぼくと黒子ちゃんは並んで歩いていた。ここがどの道なのか、それ以前に何学区なのかすら分からないけれど、黒子ちゃんの案内なので迷うことは無いだろう。
でも、帰りはどうすればいいのだろうか。この時間にバスは動いていないし、学園都市でタクシーを見かけるのも非常に稀だ。

「進展は……まぁありませんわ。むしろ後退したと言ってもいいでしょう」

「後退?」

「ええ、実は昨夜にも一人犠牲者がでていますの」

それは知らなかった。テレビも見ないし、新聞も取っていないぼくだが通り魔事件に関しての情報はなるべく得るようにしていたのだけれど。

「通り魔事件の犯人ではないかもしれませんが」

「どういうこと?」

ぼくの質問に少し躊躇った黒子ちゃんは「まぁこの位ならかまいませんわ」と一人で納得してから口を開く。

「殺害方法、被害者の特徴が今までの事件とは違いましたの」

「なるほど。一概に同一犯だと言えないって訳だ」

「その通りですの。ですがそんなことは犯人の気紛れで変わる事など充分にありえますから」

黒子ちゃんは頷く。五人目の事件と六人目の事件(正確には八人目だが)には日数がかなり空いている。
そこに別の殺害方法と共通点から外れた被害者が発生すれば現場は混乱するだろう。だから前進でもなく、横這いでもなく、後退。

「きっと別人でしょうが」

しっかりと前を見据えて話す黒子ちゃん。

「何でそう思う?」
672 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/24(木) 00:21:05.23 ID:x4h5SyDv0
ぼくの言葉に黒子ちゃんは目を伏せて数秒黙った後「風紀委員としての勘ですわ」と理屈もへったくれもない言葉を言い放った。
風紀委員の勘か。彼女はそう言ったけれどぼくには何か隠しているように聞こえた。
きっとそれを訊いた所で「一般人は巻き込ませんの」と切り捨てられるだろうからしないが、黒子ちゃんは何か事件の核に触っているのかもしれない。
そして、それを言わないということは風紀委員の捜査で分かったことではなく、彼女だけが把握した情報なのだろう。

あえて、隠している。

「いーさん」

ふと、声が掛かる。呼ばれて顔を向ければ黒子ちゃんもこちらを見ていた。
なんとなく、涙子ちゃんを送っていった時とダブってしまう。

「佐天さんとは、何を話して帰りましたの?」

思考を見透かされたようで一瞬驚いたが、ぼくはあの時の会話を思い出し正直に伝えることにした。
きっとこれが黒子ちゃんの目的なのだろう。

「自分が他人に比べて劣っているって思ったこと無いかな?」

「はい?」

「涙子ちゃんがぼくに言った言葉だよ。劣等感の告白をされた」

「…………」

黒子ちゃんは黙って手を顎に添えて考え込む。まるで探偵のように。
何かを推理する。

「それにこうも言ってたかな。『あたしといーさんは似たもの同士かもしれませんね』って」

「随分と好意を持たれていますわね」

「好意?馬鹿なことを言うなよ。厚意だね。厚かましい意思だ」

思い返して、考えてみる。彼女とぼくは似ていない。『自分は欠陥品だ』と自覚していた智恵ちゃんにすら似ても居ない。
足りないと、及ばないのでは全く違う。それこそ無能力者と能力者ぐらいには。0と1では比較にすらなりやしない。

「言ってみれば差別だね。ぼくは別に差別はいけないだとか言うつもりは無いけど、それを自覚しない人間は好みではないね」
673 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/24(木) 00:21:36.79 ID:x4h5SyDv0
心のどこかで彼女はぼくを見下しているのだろう。勿論、自覚は無い。自分以下を求める心。それは別に悪いことではない。人間である以上、それは当然のことだ。
劣っている自分より、下に居るのは足りない人間しか居ない。圧倒的に欠落したぼくぐらいしか。

「それを少し勘違いしちゃっているだけだ」

勘違い。これは誰かにも言った記憶がある。自分の感情など、とどのつまり理解できない。
好きも嫌いも、喜びも悲しみも、怒りも楽しみも、どれも曖昧で確定することなど出来やしない。

「……そう、なのかもしれませんわね」

てっきり友人を侮辱されて怒るのかと思っていたが、黒子ちゃんはどこか悲しい表情を浮かべてぼくの言葉を肯定する。

「尊敬も嫉妬も、切望も強奪も、願望と殺意も、同じかもしれませんわね」

黒子ちゃんはそこで一息吐き出して、空間移動でぼくの前に現れる。そこでお互い足を止めた。

「ここまでで結構ですわ、いーさん」

「もう到着したの?」

辺りを見るに学生寮の様な建物は見受けられない。
黒子ちゃんはフンと鼻を鳴らして胸を張る。

「わたくしは風紀委員で大能力者ですの。一般人にこれ以上送ってもらう訳にはいきませんわ」

先ほどとは反対方向の発言をする黒子ちゃんは、深々と頭を下げて「ありがとうございました」とお礼を言い顔を上げる。
その姿勢はとても整っており、誰が見てもお嬢様の風格を醸し出していた。これはきっと彼女なりの美学なのだろう。

「できれば今度からは風紀委員としてではなく、友人としてお会いしたいですわね。お姉様もきっとそう望んでいるはずですし。不本意ですが」

「ぼくも美琴ちゃんとは余り会いたくないな。電撃を飛ばされるのはもう勘弁だ。それに君からも警告を受けているしね」

「分かっていれば結構ですの」と黒子ちゃんは満足そうに微笑んで――今度こそ微笑ましい笑みを浮かべて再度頭を下げ、そのまま空間移動で姿を消した。
ぼくは彼女が居た場所を少し見つめ続けた後、踵を返して元来た道を戻ることにした。地理に関しては不安ではあるが、まあなんとかなるだろう。

少し歩けば日は完全に沈み、学園都市に明かりが灯る。ぼくは路地裏は避けるようにして、人の少ない大通りを歩く。
学生寮に帰ればまたインデックスちゃんに何かを恵まなければならない。元春くんの妹さんが夕飯にご招待していてくれないかなぁと淡い期待を抱きつつコンビニで
おにぎりを数個購入して帰路に着いた。ぼくは次に黒子ちゃんに会ったら詳しく事情を聞こうと思っていた。
674 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/24(木) 00:22:15.75 ID:x4h5SyDv0








ぼくは、彼女に二度と会うことが無いということなど、思いもせずに。







675 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/24(木) 00:22:48.66 ID:x4h5SyDv0
とりあえず、今日はこれで終わりです。
ようやく殺人鬼編も動きが出てきましたね。犯人ばればれな気がしますが。

一応落ちは決めているのですが、いかんせん話が上手く進めれませんorz
まだまだ妹達編まで遠い。


とても切りの悪いところでの更新が続きますが、寛大な心で読んでやってください。


それでは、また明日とか。
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 00:33:42.84 ID:hdnlrlgDO

ですよねーとしか言いようがない展開。
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/24(木) 00:34:49.16 ID:AY9/X1fAO
最後に鳥肌
黒子……
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 00:38:03.94 ID:OpBul0N1o

つまり残骸編までは行かないって事かぁ・・・
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 00:54:32.29 ID:G8gwafTWo
まさかの黒子かぁ・・・
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/24(木) 01:27:45.98 ID:cHlMe0vAO

無為式マジ半端ねぇ……
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 08:54:26.54 ID:904PwXRDO
真琴っちゃんより先に黒子が死ぬとは…
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/24(木) 14:16:07.28 ID:nzUWUlcW0
黒子は生き残るかとおもってたわ…
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/24(木) 17:27:38.96 ID:AY9/X1fAO
流石に推理で雑談は不味いかな?
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 18:36:30.95 ID:bxErdYMto
だめだろそりゃ
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/24(木) 21:47:11.40 ID:m4eBLp9AO
戯言知らない俺は未だに誰が犯人だか検討も付かないわ
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/03/24(木) 21:57:08.20 ID:oiK8kPEI0
戯言全部読んだ俺も未だに誰が犯人だか検討も付かないわ
しかしいーちゃんの無為式は相変わらず絶好調ですね
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 22:16:42.99 ID:hdnlrlgDO
いーちゃん視点だからまだマシに見えるが、人間シリーズみたいに相手側から見たらマジ鬼畜人間にしか見えない
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 23:23:02.44 ID:904PwXRDO
傍目から見たら知り合いが殺されても気にせず日常を続ける野郎だからな…
禁書キャラは戯言キャラとは逆で人死にですごい動揺しそう
689 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/25(金) 00:18:35.87 ID:i1n2DXHu0
お疲れさまです。これより投下します。
今回、書庫について独自設定があるような感じです。

>>678
残骸及びあわきんについては妹達編で触れる予定です。

犯人当ては解っても控えていただけると助かります。
690 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/25(金) 00:19:43.37 ID:i1n2DXHu0





学園と死―――――――――(学園都市)

登場人物
御坂美琴 超能力者




691 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/25(金) 00:20:37.28 ID:i1n2DXHu0

O

ずっとずっと友達だよね。

692 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/25(金) 00:21:07.03 ID:i1n2DXHu0


ぼくが黒子ちゃんの死を知ったのは、黒子ちゃんと別れてから約十二時間が経過した午前七時頃。ぼくの部屋を訪れた美琴ちゃんによって叩き起こされたときだ。
その時インデックスちゃんは運良くユニットバスで眠っていたので(彼女が来てからベットとユニットバスを交代で寝床にしている)美琴ちゃんに要らぬ誤解はされなかった。
もの凄い剣幕で、まるでぼくが犯人だと言わんばかりの勢いで昨日交わした会話や出来事を訪ねてきたので、ぼくは涙子ちゃんのくだりだけを省略して、彼女に説明した。
そこで美琴ちゃんはぼくが冷静すぎるのではないかと憤慨していたが、仕方が無いだろう。
興奮する彼女を抑えるために「余りにも唐突過ぎて状況が把握できない」と嘘を吐いた。
本当はこうなることがある程度予測できていたし、こんな事態になるんではないだろうかと、根拠の無い自信もぼくにはあった。

黒子ちゃんを真似れば『勘』なのだけれど。

何処か納得のいかない様子の美琴ちゃんだったが、何か分かったら連絡をするようにと言い残してぼくの部屋を飛び出していった。
きっと黒子ちゃんの死を知ってからずっとあんな調子なのだろう。寝ずに学園都市中を飛び回っていてもおかしくは無い。

黒子ちゃんにとって美琴ちゃんがとても大事な存在だったように。
美琴ちゃんにとっても、黒子ちゃんはとても大事な存在だったろう。

だから彼女は、黒子ちゃんの命を奪った犯人は許せない。例えそれが誰であろうと。
誰であろうと、殺してやりたいと思うほど、許せないだろう。

美琴ちゃんによれば昨日の午後八時過ぎ、路地裏で黒子ちゃんが遺体で発見されたと彼女達が住む寮の管理人から、ルームメイトである美琴ちゃんへ知らされたそうだ。
死因は、やはりというべきか撲殺。
特に抵抗した様子は無く、何発も頭を叩かれて死んでいたそうだ。

空間移動などする間もなく。演算などできる余裕もなく。
彼女は、殺された。

死亡推定時刻はぼくと別れてからまもなくといった時間で、それを参考にすれば近いうちにぼくの元に警備員が事情聴取にやってくるだろう。
そんなことに時間を消費するのだけは、避けたかった。

「インデックスちゃん」

ぼくがそう呼ぶとひょっこりと風呂場から顔を覗かせるパジャマ姿のシスター。
寝起きの為か、その長い髪はあちこちが跳ねていて、両目はまだ眠りたいと意思表示のために半分閉じかかっている。
693 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/25(金) 00:22:00.00 ID:i1n2DXHu0
「さっきの雷みたいな女の子はもう行った?」

彼女にしては珍しく空気を読んで隠れていたなと思っていたのだが、どうやら単純に美琴ちゃんに恐怖していただけらしい。
それにしても雷みたいとは、的を得たことを言う。

「ああ、もう行ったよ。それに伴ってぼくは少し外出するから君は当麻くんの部屋にでも遊びに行ってくれ」

そう言って彼の部屋の鍵をインデックスちゃんに渡す。どうしてぼくが合鍵を持っているのかといえば、単純に鍵を盗んで型を取っただけに過ぎない。

「うー。またもやしは嫌なんだよ……」

他人の家に押しかけることに罪悪感は無いようだが、出される料理に不満はあるようだ。どれだけ図々しいのだろう、この暴食シスターは。
ぼくが当麻くんに罪悪感を感じてしまったので、財布から福沢諭吉さんを一体召還して、インデックスちゃんの生贄に捧げる。
これだけすれば、多少の無理も当麻くんはきいてくれるだろう。
金の切れ目が縁の切れ目になるのであれば、金から結ばれる縁があってもいいじゃないか。

「それってとっても嫌な縁かも」

「ビジネスライクな取引だと言ってほしいね」

会社などの取引など、お金が全てだ。

「信用取引って言葉が在った気がするんだけど」

確かに存在するが、結局のところそれもお金が付いて回っているので、彼女が思っているほどクリーンな言葉ではない。
ぼくは会話が脱線することを恐れとりあえず首を振って間を置いてから彼女が握り締める一万円札を指差す。

「それじゃ、そのお金で当麻くんと食事してくれ。それと知らない人がぼくの家に来ていても話しかけちゃいけないよ。勿論、見つかっても駄目だ」

ぼくの忠告に黙って頷いて、再び寝床へ戻っていくインデックスちゃん。バタバタと音がするので修道服にでも着替えているのだろう。

ぼくは彼女の着替えを待たずに部屋を出た。
目的地は決まっている。やるべきことも、決まっていた。

「さぁ、つまんなくなってきやがった」

夏休み中日の今日は、見事に曇り空だった。
694 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/25(金) 00:23:07.71 ID:i1n2DXHu0
2

ぼくが目指した場所は風紀委員第一七七支部の詰め所――ではなく涙子ちゃんの住む学生寮だった。
詰め所の方も後から寄るつもりだが、この時間に行っても取り合ってくれないだろうと思い、先にこちらの用事を済ませるためだ。
涙子ちゃんには予め連絡をしたので、問題は無いだろう。本音を言えばアポを取るのではなく、何号室に住んでいるのか忘れてしまったから聞いただけなんだけど。

バスに乗って学生寮へと到着したぼくは特に躊躇することなく涙子ちゃんの部屋のインターホンを鳴らす。
「はーい」という声と共にパタパタと歩く音がしてから扉が開いた。

「早かったですね」

現れたのは当然だが涙子ちゃんだった。どこかへ出掛けるつもりだったのだろうか、服装はどうみても部屋着ではなく余所行きの物に見える。

「バスを使ったからね。急に押しかけてゴメン。どこか出掛けるつもりだった?」

彼女の服に目をやると、何処か満足そうな笑みを浮かべて「これが普通です」と言って腰に両手を当てて胸を張る。
玄関先でそれだけの会話を交わすと涙子ちゃんは「どうぞ」と言ってぼくを中に招き入れてくれた。

通されたワンルームは綺麗に片付けられており、本棚にはアイドル歌手らしき人物が特集された雑誌が幾つか並べられていた。
いかにも、女の子らしい部屋だ。

「それで用件は……って一つしかないですよね」

座布団を用意してその上に座るよう促した涙子ちゃんは、パソコンが置かれた机の前にあった椅子に背もたれが前に来るように腰掛ける。

「白井さんの……ことですか」

「ああ。それを知っているって事は美琴ちゃんが来たんだね」

「ええ、五時くらいですかね。連絡も無く突然」

その時の様子を思い返しているのか、少し苦笑いをする。

「本当に驚きましたよ。まさか白井さんが……」

「本当にね。それでぼくは涙子ちゃんに聞きたいことがあるんだ」

目を伏せて呟く彼女にぼくは矢継ぎ早に質問をする。
695 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/25(金) 00:23:40.83 ID:i1n2DXHu0
「黒子ちゃんは誰かに恨まれるようなことあったかな?」

その質問に涙子ちゃんは眉を顰めたように見えたが、直ぐに首を振って「無いと思います」と否定した。

「風紀委員として捕まえた相手から恨まれることはあったかもしれませんが、白井さんは理由も無しに恨まれる人じゃないと思います」

「ふうん」

理由もなしに、か。

「だいたいこれって通り魔が犯人なんじゃないんですか?それなら動機なんてないでしょう?」

「確かに犯人は通り魔だと思う。でもだからといって動機が無いとは限らない」

「ど、どういう……」

うろたえる涙子ちゃんにぼくは通り魔殺人の被害者一覧を印刷した紙を無造作に床に広げる。

「これは涙子ちゃんに見せてもらった被害者一覧だ。共通点は覚えているかな?」

「え、っと。学生と能力者でしたっけ」

少し考えてから口にする涙子ちゃん。

「そう。さらに昨日殺された黒子ちゃんも漏れなく共通点に該当する」

常盤台中学生で空間移動の能力者。

「でも、それ以外にもう一つ共通点があるんだ」

「……っえ?」

ぼくの言葉に涙子ちゃんは紙を拾い上げて食い入るように見つめるが、分からないと首を傾げる。

「……精神干渉系の能力者が、居ないんだよ」

「あ」
696 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/25(金) 00:24:21.55 ID:i1n2DXHu0
そう、玖渚がぼくに言った「さいこめとりー」を始め、洗脳、テレパス等といった精神に干渉する能力者が一人も存在しない。

「でも、それは偶然じゃ……」

「そうだね、偶然かもしれない。偶然、非力な学生ばかり被害に合った。偶然、能力者ばかり殺された。偶然、精神干渉系の能力者は居なかった」

そして偶然、路地裏を全員が歩いていた。
ぼくがスキルアウトに絡まれたように、人目のつかない路地裏ばかりで殺害された。

「黒子ちゃんは例外として、レベル4以上の能力者が居なかったのも偶然かな?ぼくは犯人が獲物を選んでいるようにしか感じないんだけど」

書庫(バンク)という学生の能力データが記載されたデータベースが存在する。これはある程度なら一般人も閲覧が可能なため被害者の情報を事前に知る事だってできる。
それが例えぼくでも、涙子ちゃんでも。

「…………」

涙子ちゃんは手に持った紙を震わせている。何かに脅えているように、何かに気が付いてしまったように。
ぼくは続ける。

「そうなった場合、別に能力レベルは関係ないんじゃないかな。例えば後ろから不意打ちで――」

ドン、とぼくは床に拳を叩き落す。その振動で驚いたのか大きく涙子ちゃんが身体を揺らす。

「無能力者は能力者に勝てないっていう前提を取っ払えば、別の道は簡単に現れてくるよ」

高位能力者が犯人ならこんな小細工はしないだろう。それにそういった存在は満たされている。
能力者として成功した自身に。開発に成功したという自信に。
なんら不満は持たないだろう。

だからこの場合。

「無能力者による、能力者狩りなんじゃないかな」

「…………」

そう考えたほうが自然だ。
能力者に嫉妬し、能力を渇望し、学園都市のシステムに反抗し犯行に及んでしまったのではないかと。
不満を募らせて、凶行に走ってしまっても、おかしくはない。
697 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/03/25(金) 00:25:02.28 ID:i1n2DXHu0
幻想御手(レベルアッパー)事件という事例を取ってみてもそうだろう。あの事件の場合は低能力者も含まれていたが動機は皆同じようなものだ。

『能力への憧れ』

この一言に尽きる。

「で、でもそれは全部仮定でしょう?」

「うん。そうだね。全部ぼくの想像に過ぎないけど、あながち間違った意見でもないと思うよ」

玖渚に頼んだ件と、これから風紀委員支部に向い、調べ者をすればある程度裏づけは取れるだろう。
だからその前にここに来ておきたかった。

「さて、もう一つだけ質問がしたかったんだ」

「……なんですか?」

睨みつけるようにぼくを見る涙子ちゃんは手に持った紙を投げ捨て、椅子を回転させ背もたれに深く持たれかかる。

「涙子ちゃんは、人を殺そうと思ったことあるかな?」

ぼくの質問に涙子ちゃんは拍子抜けだと言わんばかりに目を丸くさせて、短く笑ってから答える。

「それは生きているのなら誰もが一度は思うでしょう。あたしだって例外じゃありませんよ」

「その通りだ。ぼくだってそう思う」

それだけ聞いて、ぼくは立ち上がり「ありがとう。もう帰るよ」と言って返答も待たずに玄関へ向かう。
ドアノブに手をかけたところで振り返り、未だ椅子に座る涙子ちゃんを見据えてこう言った。

「腕の怪我は、もう大丈夫?」

青髪くんの様に含みを持たせた言い分に涙子ちゃんは目を見開いて驚いたが、直ぐに笑顔になりグルグルと腕を回す。

「もう完治しましたよ」

「それはよかった」

ぼくはそう言い残し、涙子ちゃんの部屋を後にした。
698 :1 ◆d.DwwZfFCo :2011/03/25(金) 00:27:54.03 ID:i1n2DXHu0
終わりです。露骨過ぎたかも。

これから投下前はageるようにしますねー。


gdgd感がヤバイですが、いつもコメント感謝しております。
それでは、また明日。
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/25(金) 00:37:34.34 ID:aCmyIwEAO
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/25(金) 00:37:44.53 ID:EALxWbYAO


これは……うわ、インデックス編から伏線張ってたのかよ
やべぇ、読み返してくる
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 00:43:32.51 ID:Sa75Xyryo

実にクビシメ風だ
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 00:49:35.67 ID:t/3F2leDO

Satinさん…
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/03/25(金) 00:56:08.39 ID:VmaN8rFWo

これは確かにクビシメだな
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 01:03:17.18 ID:LxsN+DZH0

>>1の過負荷かもしれんが
×的を得る ○的を射る、な
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/25(金) 03:31:38.49 ID:53I3zug1o
犯人は内臓潰しの横須賀に違いない
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/25(金) 04:28:00.93 ID:E4X/LcnD0
能力潰しの
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/26(土) 00:16:07.40 ID:SbUzvT0AO
いやいや火野さんだろ

よく考えたら前作でも黒子死亡してんだな……
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/26(土) 00:32:57.13 ID:lgaaWdu7o
前作は一応死んでないはず
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 10:50:28.49 ID:0dklZQOUo
『死んだことを無かった事にしただけだよ』
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 13:13:10.82 ID:XHBGbTuDO
やっぱり西尾原作でツインテールは死亡フラグなのか・・・
711 :1 ◆d.DwwZfFCo :2011/03/26(土) 22:29:51.02 ID:V/u9Kl/Z0
文法の間違いや誤字脱字や語彙が貧弱なのは僕が馬鹿だから。
地の文が少なくなってきているのは気のせい。

それでは投下します。
712 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/26(土) 22:30:34.77 ID:V/u9Kl/Z0
2

「あれ?」

涙子ちゃんと分かれてから、ぼくは風起委員一七七支部の詰め所に来ていた。目的は黒子ちゃんが集めた通り魔事件の資料を借りること。
だが、どうも飾利ちゃんを初めとする風紀委員の面々は出払っているらしく入り口には電子ロックが掛けられている。
試しにでたらめな解除ナンバーを押してみるが、開くはずが無かった。

「ちょっと、アンタ」

どうしようかと腕を組んでいたら背後から声が掛かり、振り向くとそこにはぼくと同じように腕組みをした美琴ちゃんが立っていた。

「こんな所でなにしてんのよ」

刺々しい言葉を投げつけてくる美琴ちゃん。

「君と同じだよ。通り魔の犯人を見つけようと思ってね」

「っは!アンタと一緒にしないで欲しいわね!私が探してんのは黒子をあんな目に遭わせた人間よ!」

「一緒じゃないか。黒子ちゃんを殺したのも通り魔だぜ?」

「……っ」

ぼくの言葉に歯を食いしばる美琴ちゃんは、一体どの単語に反応したのだろうか。通り魔と同一犯だったことか、殺したという言葉か。

「でも、生憎と留守みたいだから改めて出直す――」

肩を竦めるぼくの脇を通り抜け、電子ロックの基盤に手を添える。バチっと電気が走ったかと思えば基盤にはロック解除を知らせる青いランプが点灯した。
どうやら電撃使い最強の名は戦闘だけで決まったわけではないらしい。応用力に優れた能力だ。

感心するぼくを置いて、とっとと美琴ちゃんは入室してしまったのでそれに続くことにした。
室内は当然ながら、無人。

ぼくは始末書がそのままになっている黒子ちゃんのデスクに近づくと、手当たりしだい書類を手にとって確認する。
デスク上に無ければ引き出しを開け、そこにも無ければパソコンを起動させてフォルダを次々と開けていく。

そして。
713 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/26(土) 22:31:15.03 ID:V/u9Kl/Z0
「見つけた」

黒子プライベートとタイトルを付けられたフォルダの中に溢れんばかりに保存されている美琴ちゃんの画像ファイルに埋もれるようにして、メモ帳のアイコンが一つ。
ぼくは躊躇することなくそれを開くと、内容を確認し印刷する。
勝手に備品を弄繰り回しているが、緊急事態ということで勘弁して欲しい。

「それがアンタの欲しがってた資料なの?」

「ああ、これで五割は正解に近づいた」

美琴ちゃんは「そんな物が?」と言った疑問の表情を浮かべながらそっと黒子ちゃんのデスクに手を置く。
ぼくは印刷された一枚のA4用紙を折りたたむとポケットに詰め込む。それと同時に携帯電話が震えたので取り出して確認する。
着信しているは玖渚の番号だった。
ぼくは美琴ちゃんに断りを入れると通話を開始する。

「いーちゃん、頼まれた件はフリーアドレスに送っておいたから!!それじゃあ僕様ちゃんは俄然に非常に忙しくなったんでバイビー!」

「おい、友……」

前回とは対照的に一言も会話を交わす前に通話が終了してしまった、ぼくは溜め息をひとつ吐くと、再び黒子ちゃんのパソコンを動かしメールの確認をする。
貼り付けファイルには動画があり、本文には学園都市の守護神(ゴールキーパー)からハットトリックを決めてやったというよく分からない文が書かれていた。

「守護神って……誰からのメールなのよ」

「天才から――って守護神ってなんだよ、強い能力者のこと?」

ファイルを落としている時間に美琴ちゃんから守護神とやらの概要を聞き、そこでまた一歩事件の核心に迫ることが出来た。
幾らなんでも、出来すぎなシナリオじゃないだろうか。

学園都市のセキュリティを守る、凄腕の技術者。それが守護神らしい。
玖渚からのメールを見る限りでは、思い切りゴールを決められたみたいだけど、相手が悪かった。中学生がプロにサッカーの試合を挑むようなものだ。

そんなやり取りをしている間に動画のダウンロードは完了し、映像が流れ出す。
ぼくと美琴ちゃんは会話を中断し、食い入るように画面を見つめた。
714 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/26(土) 22:32:04.40 ID:V/u9Kl/Z0
そこにはぼくが思ったとおりの映像が流れており、美琴ちゃんもその意味に気が付いたらしい。

「コレって……」

「うん。ぼくが襲われていたときの映像だね」

それは七月二十日の深夜、あの路地裏での映像だった。壁にもたれかかる二つの死体。それに手を伸ばししゃがみ込むぼく。そして、フルフェイスの通り魔。
バットを振りかぶりぼくを襲おうとする通り魔に、ぼくの蹴りが直撃する。丁度、通り魔から見て右腕の、肩に近い位置。
怯む通り魔、逃走するぼく。
映像はご丁寧にぼくの無様な逃走シーンを全ての防犯カメラを駆使して様々なアングルから撮影したものが流れている。
玖渚の趣味だろうか。それならば、悪趣味だ。

そして通り魔の不振な挙動の後に、白い少年が登場する場面。
そこでぼくは映像を切った。

「もう一個動画があるけど、これも似たような物だろうから、省略するね」

本当はこちらの映像のほうが重要なのだが、美琴ちゃんにはコレだけで全て伝わったと思うので割愛しよう。
美琴ちゃんが血眼になって探している黒子ちゃんを《殺した犯人》の正体。

ぼくはパソコンの電源を落とし、立ち上がる。

この事件にトリックなど必要ない。密室でもなければ容疑者は学園都市全ての人間だ。
そして、ぼくが言ったように通り魔ではない。確実な悪意の元に行われた、計画的な犯行だ。

能力者への報復。
的違いな復習。
信念無き、殺戮。

思えば、あの時にファミレスで会ってしまった時に気が付くべきだった。誰が満席のファミレスに入ろうと言ったのかを。
知らないぼくと相席を希望したのは、誰だったのだろう。

殺し損ねたぼくと相席を希望したのは、誰だったのだろう。
715 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/26(土) 22:32:45.18 ID:V/u9Kl/Z0

「…………ねぇ」

震える声で、美琴ちゃんが尋ねる。
その表情は悲しんでいるようで、怒っているようで、泣いているようで。
現状が理解できていないのだろう。現実を理解したくないのだろう。

「なんで……」

震える声で、身体で、心で

「なんで黒子は……」

懸命に意識を繋ぎとめている。

「なんで黒子は《あの子》に殺されたの……?」

ぼくは黒子ちゃんの言葉を思い出す。

――随分と好意を持たれていますわね

それが、動機なのだろう。
だから、黒子ちゃんは例外なんだ。通り魔は黒子ちゃんがどんな人間でも殺したはずだ。

好意も善意も尊敬も希望も誠意も全て変わり。
嫌悪に悪意に軽蔑に絶望に殺意に全て代わり。

自分の感情が分からなくなって、気が付けば足が動いて、気が付けば腕を振り下ろしていたのだろう。
気が付けば、殺していたのだろう。

黒子ちゃんはきっと犯人が彼女だと分かっていた。それなのに、彼女に殺された。
風紀委員で大能力者な彼女が《何の抵抗をすることなく無く殺された》。

美琴ちゃんは、ついに、泣き出して、口を開く。
716 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/26(土) 22:33:22.33 ID:V/u9Kl/Z0










「なんで佐天さんは、黒子を殺したの……?」









717 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/26(土) 22:33:56.95 ID:V/u9Kl/Z0









ぼくは躊躇うことなく、口を開く。










718 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/26(土) 22:34:26.81 ID:V/u9Kl/Z0











「勘違い」










719 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/26(土) 22:34:59.79 ID:V/u9Kl/Z0
やっぱり佐天さんが黒子を殺した犯人だと判明して、取り合えず終了です。

それでは、また明日とか。
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/26(土) 23:11:11.28 ID:NM+SUBmAO

今更だけど容赦ねえな……
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/26(土) 23:44:16.12 ID:SbUzvT0AO
伏線ぱねぇ…
でもまだ終わりじゃないんだろ?
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 02:48:18.10 ID:j+n1PblOo
クビシメだぁ・・・
あとは誰がアイツに当てはまるかか・・・
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/03/27(日) 04:55:53.99 ID:PNQJ78jfo

わかっていても、つらいものはつらいんだね
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 15:37:40.03 ID:8G6tg7/IO
そして奴が出て来るのか、、、
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/28(月) 08:00:27.67 ID:vnalTNkAO
追い付いた
なんか今までにない禁書SSだな
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 08:54:17.71 ID:gDVTuvbko
まぁどの作品も戯言混ぜたらこんな感じになるだろうなー
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 09:17:33.95 ID:uHn2b11a0
戯言ベースならクロス先は禁書である必要なんてのもぶっちゃけ皆無(ry
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/28(月) 10:05:58.38 ID:vnalTNkAO
>727
それを言ったら二次創作、特にクロスは全部当てはまるだろうよwwwww

まぁ普通に面白いから気にならないけどな
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/28(月) 12:00:10.25 ID:mRcmojFro
禁書ベースの後で戯言ベースやってんだからクロス先も重要だろうよ
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 13:11:52.07 ID:P5G/NZNvo
無双したいがためにわざわざ必要の無いクロスをして禁書キャラを出汁にするクズ書き手も多いからなぁ
億泰ジョジョのとかヘルシングのとか王土さんのとか見てて反吐がでたわ
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/28(月) 13:53:55.65 ID:uBkMFhjAO
>>730
王土さんの能力の拡大解釈はあったけど、割りとどっちのキャラも立ててたように感じたけどな
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 13:58:07.94 ID:BhyvSvUvo
自分も>>730のは楽しめたクチ
ヘルシングのクロスは複数あるんで俺が読んだのとは違うかもだけどね
酷いのになると禁書キャラ全員殺して「禁書キャラはガチの殺し合いに慣れてないからこうなる」と不思議な捨て台詞吐いてく書き手もいたし・・・
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 16:05:21.11 ID:egvagw5N0
>>730
もしかしてそれ全部セ●テープの作品じゃねーのか
あいつは禁書が好きでクロスしてたんじゃなくクロス先の作品を引き立てるために禁書を当て馬にしてただけだぞ

あれは書いてたのも悪かったが周囲のギャラリーもジョジョ厨や反禁書派が多かったってのも原因だった
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 16:13:55.47 ID:T9p2Fuwlo
まぁとりあえず他所の話はスレチな
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 17:11:15.47 ID:rej4V3xDO
トランセンドスレッド、話題や流れが住人の予想を超越する超攻撃型スレ
そんなにスレッドをここでやりてぇ
って感じっスか?

他スレ叩きはいい加減スレチっスよ?
そんなん二秒で切り返して下さいよ
736 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 18:52:23.08 ID:CAdILkG50
他作品の批判は控えていただけると幸いです。その、王土さんのは僕も影響受けてますし。

しかし球磨川さんも、いーちゃんも無双してる気がするので、見直しながら書いていきます。


それでは、書き溜めてから投下します。
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 19:26:54.77 ID:rej4V3xDO
来たか

王土さんのは面白かったな
738 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/03/28(月) 20:20:38.61 ID:ldWUQfmK0
3

その後の展開は、やはりというか、当然というか、修羅場だった。
涙子ちゃんの所へ行くと聞かない美琴ちゃんを「ここからは警備員の仕事だ」と言い聞かせ「嫌よ」と断られる。この繰り返し。
勿論ぼくは通報などするつもりはないが、今美琴ちゃんに勝手に動かれては困るので止むなしだ。どちらが折れるかの我慢比べ。

「復讐するつもりだろ?そんなことをしても黒子ちゃんは喜ばないよ」

結局この言葉が決定打となり、ぼくは美琴ちゃんを寮へと帰すことに成功した。
我ながら姑息な言葉だったと思う。喜ぶも何も、死者は何も感じないし、語ることなど無い。

戯言だ。

「さて」

誰も居なくなった風紀委員一七七支部の詰め所でぼくは黒子ちゃんの椅子に腰掛け腕を組む。
美琴ちゃんが一人で帰って行ったので電子ロックは掛けれない。なので、どうしようかと思案している訳だ。
まあ鍵を開けたままでも構わないのだが、これから先の行動を考えるのには丁度いい時間なのでくつろがさせてもらおう。

何と無しにパソコンを起動させてメモがあったフォルダを開いて画像を見てみる。
黒子ちゃんのことだろうからきっと美琴ちゃんの写真ばかりだろうと思っていたのだが、そこに在ったのはあの時ファミレスに来たメンバーで写った写真データばかりだった。
ファミレス内でお喋りをする涙子ちゃんと美琴ちゃん。眠っている飾利ちゃんに悪戯をしようとする涙子ちゃん。美琴ちゃんと黒子ちゃんのツーショット。
そして四人の集合写真。

そんな仲の好さを象徴する写真ばかりが保存されていた。本当に仲の良い友達だったのだろう。

「…………」

ぼくはある程度の写真を見た後に、その内の一枚を印刷してポケットに入れる。そして電子ロックをそのままに詰め所を後にして涙子ちゃんの家へと向かって歩く。
ぼくから彼女にかける言葉など決まっていたし、とるべき行動も考えている。美琴ちゃんにはそれが終わった後に思う存分話し合いをしてもらおう。

涙子ちゃんの家までなかなかの距離があるのでバスを使おうか、歩いて向かおうが迷っていた。
と、そこで。

「あー!あなた何してるの!?」

聞き覚えのある声が聞こえた。ぼくは出来れば幻聴だと信じたかったが現実は甘くない。いつだって。
739 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 20:21:31.96 ID:ldWUQfmK0

「……君こそ何をしてるんだよ。インデックスちゃん」

目を向けた先には安全ピンで不恰好に繕われた修道服に身を包んだインデックスちゃんが居た。それも当麻くんを連れて。
よりによってこのタイミングでインデックスちゃんと遭遇するなんて不幸以外の何物でもない。
彼女は何かとぼくの行動に突っ込んでくるから厄介だ。いや、彼女一人だけならまだしも、今回は当麻くんも一緒だ。彼もまた面倒見が良い良すぎる。

「とうまと一緒にあなたを探してたんだよ!」

なぜか誇らしげに胸を張るインデックスちゃん。

「いや、いーさんの家に警備員が来てたからさ……」

対照的にどこかバツの悪そうな表情で頭を掻きながら言う当麻くん。そりゃあそうだ。ぼく達は絶賛敬遠中の間柄なのだから。
そういえばこうやって面と向かって話すのはあの病院以来かもしれない。

「ん……」

さてどうしようか。誤魔化すのが一番だろうけどこういった話には異常に察しの良い当麻くんのことだ。少しでも不信感を抱いたらまた首を突っ込んでくるだろう。
別にそれは問題ないのだが、んー、さて。

「一万円」

「は?」

「一万円、インデックスちゃんに渡したんだけど、もう使っちゃった?」

こんな場合は話を逸らすに限る。

「一万円、イチマンエン、いちまんえん……あ、ああ。一万円ねぇ。確かに受け取ったよ。うん。受け取った」

「良かった。インデックスちゃんが落としてしまわないか心配だったんだ」

「それが、とうまがおと……ムグっ!」

「なーにを言ってるんです?インデックスさん。金は命より重いという座右の銘を掲げる上条さんが、ま、まさか諭吉さんを路上に置き去りにする訳が無いじゃないですか」

何か言おうとするインデックスちゃんの口を塞ぎ汗を垂らしながら弁明をする当麻くん。なるほど、落としたのか。
740 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 20:22:23.85 ID:ldWUQfmK0
「ま、いいさ。君に渡したお金だし」

「いや、上条さんは落としてなんか……」

そこで我慢できなくなったインデックスちゃんが当麻くんの手を噛み、開放される。
ぼくはその寸劇を眺めて、落ち着いたところを見計らって口を開く。

「それじゃ、ぼくは用事があるから」

「あ、ああ。立ち止まらせて悪かったな」

噛まれた手を振りながら当麻くんは言う。

「あ!そうだ!」

今度こそ別れようと歩き出した瞬間、インデックスちゃんが叫びをあげる。

「あおがみがあなたの事を探してたかも!」

「青髪くんが?」

ぼくは当麻くんに目を向け確認を取る。

「そういえば、そうだったな。朝方家を出て直ぐにアイツに聞かれたよ『いーさんはどこや』って」

「ちょっと、こないだのあおがみと様子が違ったかも」

「そうかぁ?」

恐らく完全記憶能力を持つインデックスちゃんだから気がつけた違いだろう。
何が違うのかと言われても回答に困るだろうが、人間は少なからず雰囲気を変えて生きている。きっとインデックスちゃんはそこに違和感を感じた。

「ふうん。ま、会ったら用件を聞いておくよ。……ああ、その前に一つ当麻くんに聞いてもいいかな?」

それは、彼女にしたものと同じ質問。

「人を殺そうと思ったこと――あるかな?」

当麻くんは苦笑いしながら即答する。

「わからねえよ」
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/28(月) 20:22:53.49 ID:uBkMFhjAO
がんばれ
742 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 20:23:19.56 ID:ldWUQfmK0
ちょっと外出します。
また日付が変わる頃に投下します。
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/03/28(月) 20:32:01.00 ID:Vb5JI5wWo
待ってるぜ
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/28(月) 20:33:23.17 ID:x8a47SSAO
やっぱこの作品いいな

いま張り付いてる中でも一番好きだ
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 21:04:24.52 ID:cnMMPM4DO
いーちゃんと狐さん無双は仕方ないと思うけどね。
いるだけで周りが狂ったり、因果律からはじき出されてたり、終わらせたりと人間っていうより悪魔だもんな
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/28(月) 21:49:14.04 ID:J7efJxnI0
>>730
これだから禁書厨は
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 22:29:11.05 ID:yHwZDDAV0
いいね、「わからねえよ」。
いーちゃんに対してはしっかりと真実を出さざるを得ない、いいね
748 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/03/28(月) 22:53:52.89 ID:WI4imu730
少し早いですが投下します。
749 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/03/28(月) 22:54:29.87 ID:WI4imu730






感知外―――――――――(勘違い)

登場人物
??? 殺人鬼




750 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 22:55:08.42 ID:WI4imu730
1

ぼくはノックもせずゆっくりと扉を開けて室内へ足を踏み入れる。まず真っ先に気が付いたのは異様なまでに暗い室内だ。
外はまだ明るい時間帯だというのに、この部屋には一切の光が無い。照明も灯されず、カーテンは引いてある。
暗い、暗い、闇。
気を抜けばその中に溶けていってしまいそうで、思考が全て止まってしまいそうで。
全てを遮断される。

一瞬躊躇したが、ここまで来て引くわけには行かない。
ぼくは靴も脱がずに一歩足を踏み入れる。

視覚の次は臭覚に伝わる。これは、血の匂い。何度も嗅いだ事のある、あの真っ赤な液体。見慣れた死を連想させる液体。
心臓が強く締め付けられる錯覚を覚える。視界が揺れ、倒れそうになる。
胸の辺りを右手で握り締めて、何とか倒れまいと足元を強く踏みしめる。まだ、大丈夫。

少し慣れた目で足元を確認してみれば割れた食器だろうか、鋭利な物体が無数散乱していた。
血は見えない。

一歩、一歩、前に進む。
彼女と会話した部屋に入れば大事に本棚に陳列されていた雑誌がビリビリに破られ至る所へ撒かれており、その奥に座り込む一つの人影。
少し目を細めて確認すると、それは彼女が通う中学校の制服だと把握する。彼女の友人が一度だけ着ていたのを見たことがある。オーソドックスなセーラー服だ。

ゴン。

そこでぼくは何かを蹴ってしまう。ゴロゴロとフローリングの上を転がるボールの様なものはゆっくりと人影に向かって進む。
それはまるで元の位置に戻ろうとするように。必死に元に戻ろうとするように。
ゴロゴロと、転がっていく。

左右に揺れながら進む姿は、それがボールのように綺麗な球体でないことを示している。
やっと、血溜りが確認できる。

そして、それは人影のちょうど膝の位置で停止した。

「…………」

ぼくは、そこで、それと、目が、合った。

転がったボールの正体。
751 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 22:56:01.00 ID:WI4imu730
   初

      春

 飾
   
   利

        の
 
    首
     だ
  っ
     た。
752 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 22:56:47.90 ID:WI4imu730
頭に大きな花飾りを乗せたまま、目を閉じている彼女の顔は、眠っていると言われれば信じてしまいそうなほど穏やかなものだった。
首と胴体が切り離されていなければ。

甘い声で話す彼女。
悪は許せないと言った彼女。
《チーム》に憧れた彼女。

あの力強い目は、二度と開かれること無く、頑なに閉じられている。

遅かった。
あの時、風紀委員支部に誰も居なかったことで気が付くべきだった。

飾利ちゃんは、涙子ちゃんのもとへ向かっているということを。

とにかく、さすがに警備員へ連絡をしなければならないと思い携帯電話を取り出し番号をプッシュしようとする。

「っぐあぁ!」

突然右手に鈍痛が走り、携帯電話をどこかへ飛ばしてしまう。一瞬思考が追いつかなくなるが一度息を吐き出して考える。これは、殴られたのだ。
ぼくは殴れらた方角から距離を取り、狭い室内の角へ背中をつける。
殴られた右手を見てみれば不自然なほどに甲が膨らんでいる。試しに触っているが感覚が無い。
折れた、か。

少なくともヒビは入っただろう。これで右手は使い物にならない。が、ぼくは無理やり拳を握り締めると両手を胸の前に挙げて臨戦態勢をとる。
そして目の前に居る犯人へと話しかけた。

「……金属バットは人には向けちゃいけませんって習わなかったのか」

もう彼女はフルフェイスのヘルメットなどつけていない。自慢の長い黒髪を存分にさらけ出し、うんとオシャレをした服装でぼくの前に立っている。
ただ変わらずにあるのは、右手に持たれた金属バットだけだ。八人の命を奪った、鈍い凶器だけだ。

「あはは、生憎ですがあたしってコレを人以外に使ったこと無いんですよねー」

ケラケラと笑顔を見せる。あの時ファミレスで見せた笑顔と同じで、無邪気で、明るい、無垢なもの。
ただそれが、今は不気味に写る。

「そうかい。本当に君は愚か者だ」

ぼくの言葉に佐天涙子は、笑顔を消した。
753 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 22:57:35.41 ID:WI4imu730
「愚か者で何が悪い!」

バットを思い切りフローリングへ叩きつける。衝撃で床がへこむ。

「そうやって人を見下して、劣等性を蔑んで、いい加減ムカつくんですよ!」

それは、誰に向けた言葉なのだろうか。
決壊したダムの様に、彼女の口から吐き出される。

「幻想御手を使って何が悪い!能力開発の投薬と何の違いがあるんですか!」

もはや、言葉が繋がっていない。

「何が能力者だ!あんな奴ら少し痛い思いをしたら何も出来ないくせに!!」

「あたしは正しい!無能力者の代表で、代理で、皆の気持ちを代弁してやっただけなんだ!!」

ああそうか。
涙子ちゃんは、もう――

「あたしにはそれができたんだ!無能なんかじゃ、欠陥品なんかじゃ――ない!」

壊れている。表と裏が混じって、取り返しが付かない。
感情が分からないんじゃない。感情が一つしかない。

喜びも、悲しみも、怒りも、憂いも、憤りも、楽しみも。何も感じない。
彼女を動かしているのは、殺意でしかない。

能力者に、学園都市に対する、殺意でしか。

「自惚れるなよ」

だから、ぼくはそう言い放つ。

「君なんかが欠陥品を名乗るなよ。虫唾が走る」

「な……!」
754 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 22:58:05.29 ID:WI4imu730
「君はぼくと似ているって言ったよね。冗談じゃない、君はただのオチコボレで、劣等生だ」

似ても似つかない。

「ぼくからしてみれば子供が妬んでいる様にしか見えないね。自分は与えられている立場だというのに、それを全く理解していない」

「違う!あたしは何も……!」

「結局、君は何がしたかったんだ?たった二桁にも届かない人間を殺して学園都市が変わるとでも思ったのか?」

変わるわけが無い。それだけでシステムが変わるのならば、世界はもっと素晴らしいものになっているだろう。

「黒子ちゃんも殺して、飾利ちゃんも殺す。はあ、君達は友達じゃなかったのかい?」

――優先順位の問題だよ

涙子ちゃんと同じように、友人を殺めた彼女の言葉を思い浮かべる。
本当に、戯言だ。
涙子ちゃんも彼女と同じで、前提を間違えている。

「あ、あたしは初春を殺してない!全部、全部お前が居たから――」

「やれやれ、責任転嫁かよ。ま、ぼくのせいってのは否定しないけどさ……いい加減にしろ、人殺し」

ぼくの言葉にビクっと身体を震わせる涙子ちゃん。

「能力者の六人は、まあいい。黒子ちゃんと、飾利ちゃんもこの場合はおいて置こう。ただしなんで小萌先生を殺したんだ」

どの共通点にも当てはまらない、彼女。殺される理由などなかった彼女。

「っは」と涙子ちゃんは短く笑う、口元を歪めて、醜く笑う。

「そんなもの、目撃されたからに決まっているでしょう?見られたら、バレるじゃないですか?だから殺した」

悪びれる様子も無く、言い放つ。
ぼくは肩を竦めて首を振り「そうか」とだけ呟く。
755 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 22:58:32.20 ID:WI4imu730
「それで、ぼくをどうするつもり?」

「決まってるでしょう?殺すんですよ」

そして、一閃。ぼくの頭に金属バット振りぬかれる。鈍い衝撃が伝わり、意識が揺れる。摩擦で切れたのだろうか、生暖かい血液がぼくの額を濡らす。
だが、倒れない。倒れてやらない。

「ど、どうして避けないんですか!?」

殴ったというのに困惑している。

「ぼくを、殺したいんだろ、う?だったら殺せよ」

舌が上手く回らない。思考が上手く纏まらない。
こんな様じゃ、戯言遣いは名乗れないかもしれないが、目の前の殺人者を止める事ぐらいはできる。

「だけど、ぼくは能力者じゃない。それどころか君以下の人間だ」

左目に血が入る。

「君は、ぼくを、殺す、理由が、あるのか――」

もう一つ、今回の事件の被害者から共通点を出すとすれば『佐天涙子より優れている人間』だということ。
それは能力面であり、役職であり、様々だがそれは同じことだった。
小萌先生ですら、それに該当してしまう。教師という一歩上に立つ存在。

「うう」

そんな理由は、無いだろう。少なくとも、殺人を犯し始めの彼女には、無かっただろう。
だが。

「ううぅうぅあぁあぁぁぁああああああああああああ!!」

今の彼女には、理由など必要は無かった。
邪魔になれば殺し。不利益なれば殺し。億劫に思えば殺し。苛立ちを覚えれば殺し。悲しんだら殺し。

殺したくなれば、殺す。
756 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 22:59:02.09 ID:WI4imu730
ぼくは再び金属バットで殴られるのだろうと思った。今度こそは意識が飛んでしまうかもしれない。下手したらそのまま死んでしまうかもしれない。
ただ、それもぼくはどうでもよかった。このまま死んでしまえば死んでしまうだけだし、意識を失ったら死ぬまで殴られるだろう。
行き着く先は、どれも一緒だ。どんな選択肢を選んだところで、どんなルートを進んだところで、エンドは決まっている。
ぼくは目を閉じない。ひたすらに金属バットの矛先を見つめる。あとはそれが振り下ろされるのを待つだけだった。

「なにやっとるんや」

だが、一向にバットが空を切る音が聞こえない。変わりに聞こえてきたのは聞いた事のある胡散臭い関西弁。
同時に、金属バットが胡瓜みたいに輪切りになって地面に落ちる。

ぼくと涙子ちゃんは同時に声の主へと目を向ける。

「わざと殴られるなんて、いーさんはアレか?マゾか?攻撃を受ける理由が無いんなら避けんかい」

青髪に耳にピアスを着けた長身の少年は相変わらず胡散臭い関西弁と、それにも劣らない胡散臭い笑顔を浮かべながら右手をこちらに向けている。

「な!」

「あーあー。君はちょっと眠っといてや。ボクぁいーさんと話があるでな」

右手の人差し指と中指をクイっと挙げた瞬間、涙子ちゃんの視線が虚ろになりその場に崩れ落ちた。

「この子は裁かれる所で裁かれた後、ボクがお話しに行くからとりあえず放置で。警備員にも通報したから早う逃げるで」

カハハと笑いながらぼくの返答を待たずさっさと踵を返し退室しようとする彼にぼくは慌てて声を掛ける。

「話ってなんだよ」

ぼくの言葉に振り向いて、笑顔のまま言い放つ。
笑顔だというのに、視線は鋭く、冷たかった。

「いいから来いや、戯言遣い。いや、この場合は欠陥製品が正しいか?」

ぼくをあの人間失格のように呼んで、青髪くんは部屋から出て行ってしまった。

なるほど、そういうことか。
ぼくはその一言で全てを理解し――この事件の全てを理解してしまい、彼の後をついて部屋をでた。

飾利ちゃんの死体と、涙子ちゃんを置いたまま。
757 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 23:03:16.30 ID:WI4imu730
何の脈略もなしに初春が死んで、急に青ピが現れて終了です。
クロス作品の良さが出るように考えてこれからも投下していきますねー

そして0段落忘れてたのでここに追加。

―――――――――――――――――

0

理由が無ければ行動は起こらない。
原因が無ければ結果は出てこない。

―――――――――――――――――――――


ではまた。
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 23:06:07.31 ID:cnMMPM4DO
まさかの曲弦?
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 23:06:34.89 ID:LyhSYJwSO
乙。

この話の青ピにも何か能力があるのか…?
それか変装した請負人か。
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県) :2011/03/28(月) 23:08:58.92 ID:jvSoQpMQo
人識の変装とかは・・・ないな
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 23:09:31.58 ID:T9p2Fuwlo
まあクロスってのはどっちかが人身御供というか生贄というか
どう足掻いても公平な扱いにはできないからある程度は仕方ないんじゃ
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/28(月) 23:09:49.35 ID:vnalTNkAO
乙。

あれ?なんか違和感が……
いや文体とかじゃなくてだけど
763 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/28(月) 23:13:27.29 ID:WI4imu730
一応、次回からは解決回になると思われ。

>>762
それが僕の考えた違和感なら嬉しい。
誤字脱字ならヘコム。
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 23:13:59.67 ID:yHwZDDAV0
曲弦ぽいけどそれするとサテンサンがバラバラに・・・
糸でクビシメて圧迫して気絶とか?

そして何や青ピもくさいなあ・・・、続きが気になるわあ!!! 
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/28(月) 23:15:49.87 ID:4uzGZeWAO
自分の好きな作品のキャラが理不尽に死ぬのが
イヤな気持ちもわからんでもないが
あくまで二次創作だしなぁ
それに何よりこの理不尽さが戯言っぽくて良いと思う
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 23:22:18.75 ID:lyzjClVVo
クロス先:クロス元の優劣比率は6:4か7:3くらいがいいとは言われてんね
世界観や舞台を借りる側が座布団を譲ると平和ではある

特にバトルでの勝敗やキャラの生死に関わる部分は不平不満も出やすいし
前作の球磨川に関してはその辺の調整がちょっとアレだったとは思う
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 23:28:44.45 ID:T9p2Fuwlo
いやでもそんなに謙虚だと「お前何しに来たんだよwwww」ってならなくもない
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/28(月) 23:34:58.72 ID:y8JTZmbKo
キャラクター自体にそんなに思い入れというか肩入れをしない主義の俺は
片方の無双だろうがなんだろうが話が面白ければおk


違和感っていうのは、戯言読んでる人には分かりやすい感じであそこかな?
クビシメって言ってたし……
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 23:38:27.93 ID:cnMMPM4DO
曲弦は元々捕縛術だからな。
気絶ぐらいわけないだろ。
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 23:50:54.86 ID:rej4V3xDO
乙だぜ

今回のセリフのせいで青ピのビジュアル鍋島さんとミックスされちまったじゃねぇか
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 23:57:37.10 ID:onA+J20IO
両方共SSでしか知らなくて読んでるワタクシをアピール
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 00:18:05.33 ID:LKkNCjO00
>>1乙、やっぱおもしろいわこれ
眠ってる顔の首春と目があった、ていうのはまあいいか。揚げ足取りみたいですまんこ。
ほぼ撲殺だけど初春だけは首チョンパかあ。
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/29(火) 00:38:19.73 ID:nfEvISAAO

妹達編に入る前に美琴が再起不能になってしまいそうだ
何事もなかったような顔してたらそれはそれで怖いし
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 00:46:55.18 ID:FqeaDZZDO
すげー関係ないんだけどさ

人間シリーズってどういう順番で買えばいいん?
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 00:51:14.42 ID:UEumWZQco
刊行順でいいんじゃん?
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/29(火) 01:25:15.76 ID:XznGSO/AO
おつおつ

さてんさんは金属バットでどうやって初春の首を切ったんだ?
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/29(火) 03:03:39.81 ID:SoX8RjPO0
前作の球磨川は『』つけてる全盛期仕様だったから
ストーリー台無しになっちゃうのはしょうがないんじゃないか

結末がハッピーでもバッドでも、言いようの無い読後感を残す文章ってのは
個人的にはすごいと思ったけど
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/29(火) 10:25:30.50 ID:t5kJs5zAO
ああ、結末が分かってしまった……

ぱねぇ……
779 :名無しNIPPER [sage]:2011/03/29(火) 15:36:16.86 ID:fPV+7aFDO
チートキャラのいる作品とのクロスだとある程度そのキャラの無双になるのは仕方ないんじゃない?させない為にやたらと制限とかかけまくってもそこまでしてその作品でクロスさせる意味あんの?って感じになるし。
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/29(火) 19:14:05.60 ID:n16Rknt/0
言ってることは正論だけどこうやってコテにもならないようなものを付ける人ってふしぎね
781 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/03/29(火) 19:19:18.45 ID:s0lF8+vM0
それでは、書き溜めずに投下していきます。
とりあえず、この章は終わらせたい。
782 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/03/29(火) 19:20:30.84 ID:s0lF8+vM0
2

「さ、解決編やで」

涙子ちゃんの住む学生寮前。青髪くんはぼくが姿を見せるとそう言って目的地も告げずに歩き出した。
これからどこへ行くのか、なんて分かりきってはいるのだけれど。
ぼくは黙って後に続く。まだお昼時をなのでそれなりに人通りが多い。誰も、この学生寮の中に死体があるとは思っていないだろう。

「解決も何も、たまたま犯人と面識があっただけで特に言うことはないよ」

「解決編やで」

「…………」

どうやら譲る気はないらしい。仕方がないけどさっき助けてくれた借りを忘れるほどぼくは薄情者ではないので白状することにしよう。
なんて、ぼくは情が薄いどころか存在しないのに。

「いつからあの子を犯人やと思っとったん」

「気にかけたのは最初からだよ。ファミレスで腕を怪我してると知ったときだ。それで半分この子が犯人だろうなぁってぼんやりと」

犯行がストップしていたのはただ単に怪我のせいだろう。利き腕が全快でなければバットは振るえない。
そしてその帰り道にぼくと交わした会話は恐らく値踏みのようなものだったのだろう。ぼくを殺すべきか、否かの判断をするための。

「それ前提で色々動いてる内に黒子ちゃんが殺されて、確信した。ただ証拠がなかったから、知り合いに頼んだ防犯カメラの映像待ちだったんだけど」

玖渚の仕事が速かったおかげでああして涙子ちゃんの家に押し掛けることができた訳だ。まあ飾利ちゃんの死は予想外だったけど。

「んー意外と行き当たりばったりなんやね。もしあの子が犯人じゃなかったらどうするつもりやったん?」

「だったらあの部屋に不釣合いな金属バットで野球でもしてたさ」

「なんやそれ」と青髪くんは興が殺がれた様に頭の上で両手を組み、口笛を吹く。

「でも、殺された空間移動の風紀委員ちゃんとあの子は友達だったんやろ?何で殺したんや?」

その答えは既に決まっている。

「勘違い」

「おいおい、超電磁砲には通用したかも知れんけど、それって意味不明やで」

この男はいったいどこまで知っているのだろう。
あの時、詰め所に居たのはぼくと美琴ちゃんだけだったのに。
783 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/03/29(火) 19:24:52.17 ID:s0lF8+vM0

「勘違いさ。あの子はどうもぼくの事を好いてたみたいでね」

「羨ましい話やわ」

「最後まで聞けよ。いいか、通り魔なんて馬鹿なことをする女の子がまともな精神だと思うか?」

むしろここまでよく発狂せずに居られたものだ。
美琴ちゃん達の友達で、いられたものだ。

「狂ってたんだよ、彼女は」

「ふうん」

そこで静寂が流れる。

「今度はぼくから質問していいかな?」

「まあ、いいやろ。ここまで教えてもらったからなぁ」

ヒラヒラと手を振りながら答える青髪くん。

「金属バットを輪切りにしたり、涙子ちゃんの気を失わせたのって君の能力か?」

「正解。隠しとるけどこれでもレベル5の第六位やからね」

あっさり重要な台詞を吐きやがった。

「え?誰が?」

「ボクが」

ケラケラと笑いながらポケットに手を突っ込んで一枚の紙を取り出す。
そしてそれを宙に放り投げると、一瞬の内に細切れとなって風に流され飛んでいった。

「風力使い。カマイタチ起こしたり、真空にして酸素奪ったり、逆に酸素濃度濃くしたり、二酸化炭素の割合多くしたりできるんやで」

なるほど、それの応用で涙子ちゃんの意識を奪ったのか。いや、ぜんぜん納得いかないけど。色々と。

「でも何でレベル5がウチの学校に居るんだよ」

確か、ぼくが通う高校のレベルは当麻くんを見ていただければ分かるようにそこまで高くない。
というか、青髪くんも補習受けてたような。
784 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/29(火) 19:40:58.50 ID:s0lF8+vM0
「そんなん簡単や小萌先生が居たからなぁ」

どうやら普段から彼女に向けていた好意は(行為といってもいい)偽りではなく、本物だったようだ。
だから、ここまでしたのだろう。

「酔狂だね」

「褒めんといて、照れるやん」

一言も褒めてないのだが。

「それじゃ次の質問」

「ええ!?もっと小萌先生トークしようやあ!!」

「却下」

話が前に進まないだろう。その話は夏休み明けにぼくが居なくなった学校で存分に元春くんにでも語ってほしい。
切にそう思う。
ぼくはブツブツと文句を呟く青髪くんを無視して質問を投げかける。

「君は、零崎と知り合いなのか――」

これは一番知りたかった事。ぼくを《欠陥製品》と呼ぶ人間はアイツぐらいだろう。
だから、青髪くんはアイツと面識がある筈だ。それもごく最近。

「零崎と知り合いかって、そりゃあ幅広な質問やな。誰のことを指しとるんや?零崎ってのは一賊や。ちゃんと名前を教えてくれなアカンで」

「……零崎人識」

おどけるように、道化のように青髪くんは振舞う。

「ああ、人識クンね。あ、ボクがクン付けで呼んどったんは黙っといてね。一応年上やから。んで人識クンの事は勿論しっとるで。メル友やもんボク等」

とんだメル友が居たものだ。

「いーさんが転向してきた時に、人識クンと似てるなぁって思ってメールしたら『あの欠陥製品ね』って教えてくれたんや」

「ま、そうだろうね」

アイツ余計なことを言ってやいないだろうな。
いや、哀川さんに情報を与えてしまったのだからこれくらいはしょうがない気がするが。

785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 19:43:27.66 ID:D3KeeDxDO
おしゃれガンバリストさんに、メル友……だと!?
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/29(火) 19:44:22.80 ID:bnhdiw0qo
メル友が出来たのって、僕初めて
787 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/29(火) 20:05:31.22 ID:s0lF8+vM0
「人間失格に言われたくないけど……で、どうしてメル友になったんだよ」

「簡単や。だってボク零崎やもん」

「…………」

また爆弾発言が飛び出した。その零崎ってのが何を示しているのかは分からないが、哀川さん曰く「零崎を名乗る奴はヤバイ」とのこと。
どうしてそんなヤバイ奴が学園都市で普通に学生をやってるんだよ。それもレベル5って。

「まあ正しくは零崎やった、やな。今は普通の超能力者や。零崎ってのは血の繋がりやなく流血で繋がるからな、ボクみたいなオチコボレは勘当らしいわ。嘘やけど」

「普通の超能力者ってなんだよ……言ってる意味は分からないけど、とりあえず君は危険ってことでいい?」

そのまま右にフェードアウトする。

「物理的距離を開けんといて!心の距離を遠ざけんといて!大丈夫、だいじょーぶ!こっちおいでぇ!よしよし」

犬を懐かせるごとく、中腰でパンパンと手拍子を打ってきやがった。
周りの目が痛いので大人しく彼の隣に戻る。なんというか、そろそろ疲れてきたぞ。

「と、とにかく今は大丈夫やから」

「……不本意ながら信じよう」

話が進まない。いい加減にしなくては。

「君が零崎と知り合いなのは分かった。それじゃあぼくが高校生じゃないってのも知ってるんだな」

「え?そうなん?」

墓穴をパワーシャベルで掘ってしまった。
なんだよ、アイツは一体ぼくの何を話したんだよ。

「京都で遊んで、一緒にカラオケ行って、そのまま女の子ん家に押し掛けた仲やろ?」

「違う。いや、間違いはないけど間違いだ」

「それで、いーさんの家で一夜を共にした……」

「どことなくベーコンレタスなニュアンスで言うんじゃねえよ」

お前はどこのバスケが得意な後輩だ。出てくる物語を間違えないでほしい。
788 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/29(火) 20:19:51.52 ID:s0lF8+vM0
「冗談はこれからとして」

「これからって言うな。まるでこれまでが本気だったみたいじゃないか」

「え、違うん?」

「断じて違う」

おい。なんでそんな露骨に残念そうな表情を浮かべるんだよ。
だめだ、このままではぼくのキャラが崩壊してしまう。

「嘘うそ。怒らんといて。ちゃんと知ってるで、京都で同じような事件に巻き込まれたんは……いや違うな」

そこで一呼吸置いて。

「巻き込んだんやっけ」

「否定はしないよ」

今回と同じ、仲良し四人組が殺し殺されたあの事件。
そして、今回もどうやら結末は同じらしい。

「なあいーさん。学園都市の暗部って知ってるか?」

「いや、知らないな」

唐突に話題を変えて、ああ。別に変わっていないか。

「簡単にいやぁ表沙汰に出来ん物事の処理をしたりするとこでな」

表沙汰に出来ない物事の処理。きっとそれは人間も処理するのだろう。
裏の組織など、そんなものだ。

「ボクはそこの一員なんや」

「一体君はどれだけ衝撃発言をすれば気が済むんだ。超能力者だったり、零崎と知り合いだったり、暗部ってのに所属してたりって流石に信じきれないぜ」

「嘘つけ。もう気がついとるんやろ?」

「さあ何のことやら」

大げさに首を振って答えてみる。
確かにぼくは青髪くんがそのような組織に属していることにはある程度予測がついていたし、それによって彼が何をしなければならなかったのかも分かっていた。
今回の、事件の、後始末。
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 20:30:34.79 ID:AZGQ9pODO
零崎だった…だと…
零崎時の名前が気になるんですの
790 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/29(火) 20:40:41.83 ID:s0lF8+vM0

青髪くんが金属バットを輪切りにした時点で、いや当麻くんから青髪くんがぼくを探していたと聞いたときから分かってしまっていた。

「黒子ちゃんから聞いたんだけど、涙子ちゃんが殺した被害者以外に一人通り魔に遭ったらしい」

その被害者は学生でも、能力者でもなく研究員だったそうだ。筋ジストロフィーの解明に携わっていたという研究員。
死因は撲殺ではなく、斬殺。刃物の様なもので体中を切り刻まれて死んでいたそうだ。

「あ、それボク」

あっさりと、それを肯定する。

「小萌先生の後始末をした人間か?」

「そや。でも上からそれ以上は首を突っ込むな言われて泣く泣く手を引いて、実行犯を探しとったんや。丁度そんな指令も出てたしな」

「それで、涙子ちゃんに行き着いたと」

「そうそう。ボクはそういう推理とか苦手やから全部いーさん頼みやってん。上も詳しいこと教えてくれんし」

「そりゃあ、上層部の人も分からなかったんだろ……ってあれ?」

青髪くんの目的地はぼくの住む学生寮で、そこで本格的な答えあわせでもしようとしてたのだろう。それは別に、いい。
予想できていたことだし、断る理由もないからここまで歩いてきた。
だからぼくが間抜けな声を発してしまったのはその事ではなく、学生寮に異変を感じたからだった。
いや、性格には学生寮の前の道路。

「うわぁ……」

青髪くんも同じようにため息混じりに絶望の声を漏らす。ということは、彼もアレが意味することを知っているのだろう。
路上駐車禁止の看板の真下に堂々と駐車された、真っ赤なオープンカー。
見直すことなく、それはコブラだった。

「潤さん来てんのかぁ……」

青髪くんが呟く。そうコブラがある所にその人あり。または事件のある所に哀川潤あり。それか哀川潤の居る所に事件あり、か。
とにかく、人類最強の請負人はまたしてもぼくの前に現れるのだろう。
今頃ぼくの部屋で直ったエアコンをつけてインデックスちゃんと戯れているかもしれない。

帰りたくねぇ。

「あ、ボク下宿先の手伝いせなあかんかったわー。んじゃボク帰るなぁ!」

「おい待てよ」
791 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/29(火) 20:54:27.99 ID:s0lF8+vM0
このまま帰るのは構わないが、質問がひとつだけ残っていた。

「なんや、ボクって潤さんに見つかったらマズイんやで」

「一体何をしでかしたんだよ」

まぁ、哀川さんを名前で呼ぶあたり《敵》ではないのだろうけど。

「色々とな。で、まだ用件があるん?」

その場で駆け足をしながらせかす青髪くん。
なんだかその姿がとても可笑しく感じてしまう。

「いや、ひとつだけ質問が……確認が残ってた」

もうこの答えも分かりきってはいるが、念のためだ。
学園都市の暗部とやらに所属している彼。そして事件への介入を認められた彼。
ひたすらにぼくを使い、おいしい所だけ持っていった青髪くんだったが、ひとつだけアクションを起こしている。

彼もその確認の内容は分かっているのだろう。細い目をさらに細め、口元を吊り上げシニカルに笑った。
皮肉めいたその笑みは、やはりどこかあの真っ赤な請負人を髣髴とさせる。

「君だろ?」

「さあ、何のことか分からんな。主語はしっかり言ってや」

その場駆け足を止めてぼくと向き合う。

「飾利ちゃんを、殺したのは、君だろ?」

これまでの死体とは違い、飾利ちゃんは首を切られて死んでいた。
涙子ちゃんが使用していたのは金属バット。それでは人体の切断は不可能だ。
あの、綺麗に切られた切り口は鋭利な刃物か、先ほど彼がぼくに見せたカマイタチによるものしかない。

だから、涙子ちゃんが言った事は正しかった。

――初春はあたしが殺したんじゃない

どうして彼が彼女を殺したなんて理由は、もう説明しなくてもいいだろう。

青髪くんは笑みを浮かべたまま言い放つ。悪びれることなく、言葉を発する。

「その通り」
792 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/29(火) 20:55:52.38 ID:s0lF8+vM0



もうええか?

ああ、十分だ

それじゃ、またな

うん。またね


793 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/29(火) 20:58:44.67 ID:s0lF8+vM0
これで今日はおしまいです。
次回はやっぱり赤い人の出番。上条さんやインさんは出るかまだ決めかねております。

今回青髪さんに独自設定でまくりですが、許してください。
こんな結末しか用意できませんでした。

零崎一賊に関しても突っ込むところはあるかと思いますが、こまけえこたぁの精神で読んでください。


それでは、次回、殺人鬼編終了です。
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 21:02:57.09 ID:UEumWZQco
なん・・だと・・?
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/29(火) 21:05:31.72 ID:ApKAiTUAO
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 21:18:59.47 ID:RCR96ZSCo
乙!

頭の悪い俺に誰か解説ぷりーず
なんで青髪は初春殺したの?
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/29(火) 21:20:38.84 ID:8Kg+PB370

いや、>>1は青ピ好きだなぁ…
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/29(火) 21:27:49.85 ID:t5kJs5zAO
乙!

上で全部分かったとか言ってまったく違ってた、恥ずかちい
>>1の書く青ピはいつもカッコいいな
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/29(火) 21:47:19.43 ID:nfEvISAAO

第六位で暗部で零崎とか、土御門もびっくりだなこの青ピはww
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 23:00:33.31 ID:QCLCCjqFo
>>777
バレスレに来てたけど次週で球磨川株が上場廃止になるよ
西尾真骨頂の過負荷「竜頭蛇尾」を久々に見た
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/29(火) 23:13:57.07 ID:yUAz0EkAO
スルーする
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 23:22:42.61 ID:AZGQ9pODO
都合の悪いことはスルスルスルーだね
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 23:23:16.87 ID:AZGQ9pODO
都合の悪いことはスルスルスルーだね
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 23:24:19.70 ID:AZGQ9pODO
都合の悪いことはスルスルスルーだね
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/29(火) 23:40:33.47 ID:yUAz0EkAO
おちつけ
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 23:49:50.34 ID:XocCFcTyo
ホラー漫画見た後だからやめろ怖い

1は青髪好きなんだなー
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/30(水) 00:57:17.69 ID:x2yhFIYAO
>>796
潤さん登場だし次回で解説あんじゃね?
まぁ散々はってる伏線か単純な理由かってとこじゃね
あくまで個人的な予測に過ぎないけど
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 01:24:11.98 ID:/pnBGCFQ0
次回でさらに言い表しようの無いような感覚になれることを期待

青ピの兄貴かっこいいっす
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/30(水) 13:21:45.95 ID:A7wbq1DU0
>>800
おい
おい

竜頭蛇尾は割といつもじゃね?
次週をワクワクさせるような引き→次週冒頭から え・・・?展開なんてざらじゃんめだか
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 13:32:29.88 ID:6MgVTDHko
めだかの話やバレは該当スレでやれって>>1からお達し出てるのに何で繰り返すかね
わざとなのかこれは
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/30(水) 16:21:34.03 ID:A7wbq1DU0
It's All Fictionかーらーのー江迎が2秒でやってくれましたはなんというかすごく裏切られた気分になった
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/30(水) 22:11:30.35 ID:9YSnlfZio
原作読んでないからよくわからないんだけど
戯言遣いの戯言ってどういう効果があるの?
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/30(水) 22:31:08.22 ID:EL0cTtN0o
>>812
特に効果はない。ただの戯言。
                                          イフナッシングイズバッド
ただし相手の劣等感を刺激して物事をうまく進めなくさせる過負荷《なるようにならない最悪》を持つ
いーちゃんが使うことでその効果を引き上げているような気がする。
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/30(水) 22:32:04.44 ID:kfkG5X6Do
子荻ちゃん曰く≪無為式≫
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/30(水) 23:06:51.32 ID:9YSnlfZio
>>813
ありがとうございます
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/31(木) 00:05:03.08 ID:kj1cRXmEo
いーちゃんの戯言は簡単に説明すると「心をかき乱す」だけで別に特殊能力とかじゃない
ていうかいーちゃんは関るだけで周りの精神が乱されて予定がことごとく壊れていくっていう迷惑体質
(この体質っていうか性質のことを無為式って呼ぶらしい)
仲良くすると駄目だってんで敵に回ったら、関っただけでアウトだから敵対組織が勝手に自滅したりする
817 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/03/31(木) 00:27:42.58 ID:yhG+GQhAO
お疲れ様です。急な出張で携帯から更新です。

戯言知らない人も読んでると思うと、凄く嬉しい。

では、投下します。
818 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/31(木) 00:31:09.43 ID:yhG+GQhAO





狂反射―――――――――(共犯者)

登場人物
哀川潤 人類最強の請負人



819 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/31(木) 00:32:47.70 ID:yhG+GQhAO

0

固定概念は、捨てた方がいい。


820 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/31(木) 00:37:12.09 ID:yhG+GQhAO
1

この場合、恐る恐るという表現が一番正しいのだろう。ぼくは目の前の扉を開くことをひどく躊躇している。
その扉に触れれば高圧電流が流れてくるんではないかと錯覚してしまうほど、躊躇っている。
自分の家へ続く、玄関だというのに。

「おう、いーたん。待ってたぞ」

待たれていた。

学生寮の前にコブラが停まっていたのだから当たり前だが、やはり哀川さんはぼくの部屋に勝手に上がりくつろいでいた。
予想外なのは一人だけという事だけ。
インデックスちゃんや当麻くんはどうしたのだろうか。

「インデックスたんは隣の部屋に居るぞ」

「勝手に人の思考を読まないで下さいよ。ひょっとして能力者じゃないんですか?」

本物の第一位がどの位なのかは知らないけれど、この人がレベル5の第一位だと言われても信じてしまうだろう。

「あたしはレベルなんてモンには囚われねぇよ。ただの読心術だ。特技だよ、特技。つーかこれから話す内容は聞かれたくないだろ?」

「別に、構いませんよ」

ぼくの態度に「可愛くねーな」と口を尖らせる哀川さんはぼくに手招きをして目の前に座るよう、促す。
なんだろう。自室だというのに全く落ち着かない。むしろ緊張する。

哀川さんが言った「これから話す内容」とは間違いなく通り魔事件の事だろうけど、本当に聞かれても構わないと思っている。
殺人事件に関わっていたことを知られたところで、それに対した行動を知られたところで、特に拘るわけでもないし。
例え、嫌われたとしても、別に困るわけでもない。

「さっき佐天涙子が捕まったってよ。どっかの誰かさんのおかげで自殺一歩手前だったそうだ」

「へぇ」

そうか。捕まったのか。

「リアクションが薄いなぁ……」

「遅かれ早かれ捕まっていたでしょうから。むしろ中学生一人の犯行がどうして今まで解決されなかったのか不思議なくらいですよ」

そこで、哀川さんの目付きが変わる。
821 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/31(木) 00:37:51.49 ID:yhG+GQhAO
「なぁいーたん。あの零崎もどきにすら看破された真実をあたしが見抜けねーとでも思ってんのか?」

「…………」

「普通の通り魔事件くれぇなら警備員が直ぐに解決するに決まってんだろ。そこまで無能じゃねえんだよ、アイツ等は」

「有能だとは思えませんけど」

「揚げ足をとるんじゃねえよ。……いーたんはこの学園都市をどう捉える?」

それは、能力開発をしている街――という概要を訊いているのではない。

「巧い例えは出来ませんが……そうですね、巨大な実験室といった所でしょうか」

無数の監視カメラによって記録され、はては人工衛星からも監視される。
学生は自身の開発に精を出し、研究員がそれを記す。

「ま、あながち間違っちゃいないだろう。それじゃあ、どうやって佐天涙子は今まで犯行を重ねてきた?」

書庫で自分が殺害できる能力者を検索し、その人物の後をつけ、人目が無くなった瞬間に金属バットで殴打した。
合計で八人。未遂だがぼくを含めれば九人。

「八人ってのは結構な人数だ。多少の計画性は見られても、たかが中学生の小娘が監視カメラの死角をついて八人も殺せると思うか?」

「能力者ならまだしもな」と哀川さんは付け足す。

「それでも、時間をかけて調べれば可能でしょう」

「一日一殺のハイペースの中か?そりゃあ随分と苦しい弁解だな。仮にそれほどの準備をしたとして、学園都市全ての監視カメラを把握できる訳じゃあない。そんな事は不可能だ」

「まぁ、そうですね」

「百歩譲って佐天が死角を把握している場所でターゲットを見つけたとしよう」

予め殺すつもりでいた能力者が涙子ちゃんの狩り場にやって来たとして。
そんな偶然がやって来たとして。

「なんで被害者すら監視カメラに写らねえんだろうな?」

哀川さんはその情報はどこで聞いたのだろうか。
確か都市伝説サイトにもそう記載されていたので、そこから知ったのかもしれない。

「普通に生活していて監視カメラの存在なんか気にしてない奴が、わざわざ死角に移動してくれたのか?」

まるで殺してくれと言うように。
まるで誘われたかのように。
822 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/31(木) 00:38:18.92 ID:yhG+GQhAO
「確かに、こんな簡単な事に気が付かなかった警備員は有能ではないかもしれないな。でも、ま。しょうがないか」

そこで一度両手を天井に向けて伸びをする哀川さん。

「身内から送られた映像に細工がしてあるなんて、夢にも思わないだろうから」

「……参りましたよ。そこまで言われたら誤魔化す気も無くなります」

そう。それこそが今回の事件で涙子ちゃんが捕まらなかった理由。
そもそもの前提として犯人が一人だとしていたら、この答えには絶対に辿り着かない。
捜査側。この場合、警備員や風紀委員に内通者がいて初めて八人もの人間を殺めることが可能になる。

「で、この事にはいつ気が付いてたんだ?」

「強いて言うなら「監視カメラに何も写っていない」っていう情報を聞いた時には複数犯だとは思いました」

ぼくは涙子ちゃんを疑っていたから、より速くそこに辿り着けた。

「それに、涙子ちゃんに襲われた時、彼女の挙動がおかしかったんです」

彼女はぼくを殺そうとした時、首を横に振ったり、白い少年を見て驚いていた。
それは涙子ちゃんと共犯者の意見に食い違いが起きたり、白い少年の情報を聞いて驚いたのだろう。
殺人事件を闇に葬れるほどの後ろ楯をもつ少年は実験をしていると言った。
それがどのような実験かは解らないが、恐らく彼は高位能力者なのだろう。

「で、止めに玖渚からの動画」

「それが物的証拠か」

ぼくは頷く。

玖渚に送ってもらった、あの二つの動画は同じ日に同じ場所で撮影されたものだ。
一つは美琴ちゃんと観た内容。そしてもう一つには恐らく何も写っていないだろう。

「何も写っていない一つは警備員から拝借した動画。そしてもう一つは風紀委員から拝借した動画。そうなれば、内通者は風紀委員の誰かということになる」

哀川さんは黙っている。
ぼくは続ける。

「風紀委員で、ぼくに監視カメラには何も写っていないというの情報を教え、尚且つ学園都市の情報網を掌握できる程のスキルを持った人間は一人しか居ません」

それは、学園都市の守護神。
学園都市の情報を司る伝説のハッカー。

「佐天涙子の共犯者。それは――」
823 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/03/31(木) 00:39:18.25 ID:yhG+GQhAO







「初春飾利しか居ないでしょう」








824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/31(木) 00:41:32.71 ID:yhG+GQhAO
色々突っ込みどころがあると思いますが、とりあえず以上です。
巧いこと伏線回収できたかな?まだ少し残ってるけど。

殺人鬼編はもう少し続きます。

それでは、また。
825 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage]:2011/03/31(木) 00:42:36.87 ID:yhG+GQhAO
酉忘れ失礼しました。
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 00:44:48.60 ID:cOoSus/so
おつおつ
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/31(木) 00:46:22.61 ID:iFT0vPfjo
西尾っぽいてんかいになってきたぞぉ
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/31(木) 00:52:54.00 ID:ILM92GZAO
いーちゃんの戯言は他人の心をかき乱すってわけじゃないよ
そういう風にも使えるってだけで色んな意味で使ってる


ともあれ>>1
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 00:54:52.61 ID:kjXwEekz0
最初はなんで初春まで?って思ってたけど
よーく考えたらたしかに初春が共犯者の可能性はしっかりあったんだね
青髪はだから始末したのね

乙です
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/31(木) 01:23:02.34 ID:zQPpGrJAO

超電磁砲組四人のうち二人は被害者で二人は犯人か…
つくづくとんでもないSSだな
勿論良い意味で
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 01:23:30.87 ID:Y9WaDKLC0
俺の佐天さんが犯人なわけないやい!花が犯人なんだろ!!

佐天さん犯人だったー、疑ってごめんね初春ー

二人で通り魔だと・・・、\(^0^)/←今ここ
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/31(木) 01:28:16.91 ID:kj1cRXmEo

まだ何かありそうだと疑ってる俺
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 07:47:42.22 ID:oOWR7geDO
これで妹達編入るって超電磁メンバー全滅の未来しか見えない
セロリさんとビリビリは大丈夫だといいのだけれど
乙です
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/31(木) 19:06:58.70 ID:g2Upy60O0
打ち止めが即死にそう
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 20:03:47.27 ID:hiLrQyfDO
友達も後輩もいなくなって、一人ぼっちのレベル5……
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/31(木) 20:08:37.40 ID:a1nCmMmg0
でも、これから妹できるんだぜ。
クローンだけど。
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 20:15:54.99 ID:stKgdsZ6o
クローンが殺し合いとかしてたら一通さん発狂しそう
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 20:18:16.35 ID:HMSGHkNno
>>835

御坂「はぁ…今日もトイレで昼食かぁ…」 【便所メ4】 (432)

かがみ「もうぼっちでもいい」 その24 (211)

マミ「友達がほしいわ…」 2 (905)

担任「それじゃあ二人一組作ってー」 鈴「」 (266)
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/31(木) 20:38:15.48 ID:g2Upy60O0
そのレスが何狙ってんのかわかんない><
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 22:29:55.46 ID:SPI+cgkpo
全員ぼっちキャラ
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 23:07:48.83 ID:stKgdsZ6o
だから?
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 23:51:44.65 ID:3HDTWj5jo
ここには戯言と禁書以外のネタは持ってくるなと何度言えば
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/04/01(金) 00:04:33.56 ID:0yaK+zk5o
つい戯言全巻買ってしまった、>>1めやりおるな
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 08:41:00.87 ID:zVGFFgRDO
戯言クロスだと主要メンバーがすごいつまらない理由で死にそうだから怖い
学園都市第一位で物理攻撃無効とかネタ振りにしか見えない
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/01(金) 09:48:13.99 ID:XZn2VX7jo
上条さんに殴られて演算忘れて着地点に尖った石があったりして死亡なんてのも十二分に有り得る世界だ
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 10:00:01.08 ID:sdf96KKDO
セロリさん打ち止めに殺されるまであるでぇ
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/01(金) 15:17:05.91 ID:Co2bN4GAO
>>846
打ち止め「ミサカを助けて救われると思ったの?ってミサカはミサカはあなたの胸にナイフを突き立ててみたり」


>>1ならやりかねんな
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/01(金) 16:28:47.73 ID:vUU0K6MAO
まあまあそのへんで
849 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/02(土) 00:22:25.75 ID:bChFSf8f0
お疲れさまです。エイプリルネタを考えていたら遅くなりました。
そして気がついたら四月二日になっており、書いたデータを消すこととなり本末転倒な結末を迎えました。

では、殺人鬼編、終了です。
850 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/02(土) 00:23:14.92 ID:bChFSf8f0

「さらに言えば、飾利ちゃんはぼくを監視してましたし」

スキルアウトに二度絡まれたあの日。駆け付けた人物こそ黒子ちゃんだったが、ぼくの位置を指示したのは飾利ちゃんだ。
一度目はまだ分かるが、二度目はどうだ。回りを見渡しても誰もいない路地裏だというのに黒子ちゃんは「通報を受けて」やって来たと言った。
あんな迅速な対応がとれるのなら、この街に犯罪は発生しないだろう。
そこを見ても、彼女が学園都市中の監視カメラを掌握していることが分かる。

「全く、優秀な風紀委員ですよ」

「それはスキルだけの話じゃないってことか?」

どうやら哀川さんは飾利ちゃんがこの事件に荷担した動機すら、把握しているようだ。
本当、この人には敵わないな。

ぼくはポケットから折り畳んだ一枚の紙を取り出すと、ガラステーブルの上に広げる。

「これは黒子ちゃんの持ってた資料なんですけど」

あの時にパソコンから印刷した紙。これには通り魔事件の被害者の名前、能力名、死亡日時の他に補足文が記されている。
それは被害者達が過去に犯した罪の経歴。もちろんそこまで重大な犯罪を犯したわけではないが。
これが一般人には分からない最後の共通点で、飾利ちゃんの動機。

「悪の芽は早めに摘んどけってか?」

「いくら親友の為とはいえ、理由も無しに人殺しの片棒を担ぐわけがないですから」

正義感が強い飾利ちゃんのことだ、初めはきっと反対したのだろう。
いや、もしかすると強い正義感故に喜んで賛成したかもしれない。

正義はいつだって弱者の味方で。
正義はいつだって悪役の敵なのだから。

「それは佐天にも言えることだろうよ。初春飾利が話を持ちかけたのかもしれないぜ?どっちでもいいけどな」

もう終わったことだと言わんばかりに詰まらなさそうな表情を浮かべて、哀川さんは前髪を弄りながらベットの上に移動する。
ぼくのベットだと言うのに、ゴロゴロと転がって布団と戯れている姿がキャラと全然一致していない。
それにしても真っ赤なスーツを着たままだけど、シワとかは気にしないのだろうか。

「気に入らねえなあ」

哀川さんは、呟く。
851 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/02(土) 00:24:47.45 ID:bChFSf8f0
「無能が嫌なら超能力者にでも挑めば良かったじゃねえか、悪を懲らしめたければテメェが出張れば良いじゃねえかよ」

ああ、そういえばそういう人だったっけ。

「どんな大層な理由をつけても、やってるこたあ普通の通り魔と変わりがねえ。無能力者が殺せるレベルを選択して、準備を整えて行動するって、どうなんだ?」

「……返答に困るんですけど」

「人を殺す度胸があんならもっと別の事に向けろよって思うぜ、あたしは。少なくとも今回の事件に関しては八つ当たりとしか思えねえ」

「八つ当たり?」

おうむ返しするぼくに「おう」と答えて、哀川さんは続ける。

「虐められっ子が虐められっ子を虐めるようなもんだ。ったく、ジャイアンに単騎で立ち向かったのび太くんから学ばなかったのかよ」

「分かりやすい例えですね」

「映画も含め長編のドラえもんシリーズは素晴らしいからな」

それには同意するが、今掘り下げるべき話題ではないのでスルーすることにしよう。
ちなみにぼくはやはり旧ドラえもんが素晴らしいと思う。
現在のドラえもんを否定する訳ではないが、やはりテレビ版のジャイアンとスネ夫は虐めっ子だからこそ、劇場版で映えるのだ。

「そういう奴はどれだけ失敗しても、成長はしねえんだ。誤った信念を貫く奴もな」

「…………」

それなら信念を持たず、成長しないぼくはどうなっていくのだろう。

「飾利ちゃんはどうして涙子ちゃんの家に行ったんでしょうね」

「分かり切ったことを人に聞くなよ」

確かに、その通りだ。

「……恐らくは涙子ちゃんを殺しに行った」

「そんなところだろ」

きっと黒子ちゃんの死は飾利ちゃんにとってイレギュラーだったんだと思う。
今となっては確かめる術はないが、涙子ちゃんの独断で行われた殺害なのかもしれない。
だから、同じ正義を守る仲間を殺した涙子ちゃんを始末しに行った。

結果は青髪くんによって、逆に始末されてしまったのだけれど。
852 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/02(土) 00:25:16.46 ID:bChFSf8f0
「話は変わりますけど、青髪くんと知り合いなんですか?」

青髪くんは哀川さんの事を名前で呼んでいたし、哀川さんは青髪くんのことを零崎もどきと表していた。
その時点で知り合いなのは確定だが、いったいどういう関係なのかが気になっていた。

「あ?」

睨まれた。しかも寝転がった姿勢のまま。
聞いてはいけないことだったのだろうか。もしそうなら非常に不味いぞ。文字通り逆鱗に触れてしまったことになる。
ビクビクしながら制裁が来るだろうと待ち構えるが一向に拳は飛んでこない。どうやらセーフみたいだ。

「まあ弟子みたいなもんだったよ、アイツは。途中で零崎に成っちまったり、学園都市に連れてかれたりで破門にした」

「弟子って……意外ですね」

「面倒を見てやったってのが正しいがな」

哀川さんのイメージとしては知り合いは沢山居るが、仲間は居ないという感じだ。弟子の存在なんて考えたこともなかった。
零崎を名乗り、超能力者で、暗部に所属し、哀川さんの弟子とは。属性を含みすぎだろ、あの子。
逆にキャラが立たなくなるイメージしかしない。

「しっかし、アイツが学園都市の暗部ねえ……今度会ったら説教だな」

神妙な口調で話す哀川さんだが、顔が笑っている。が、これは久しぶりの再会に喜んでいる表情じゃない。
青髪くんが恐れていたのはこの事だったのか。
哀川さんから逃げ切れるわけ無いと思うが、逃げろ、青髪くん。この邪悪な笑みは危険だ。

「ということは、暫くはこっちに居るんですか?」

「そうだな。抱えてた仕事も終わったし、探し物関連はあたしも参加してやるよ。もう一個こっちで回収する物もあるしな」

もとはアンタの仕事だろ、とは言わない。というか言えるわけがない。
ぼくだって説教は受けたくない。

「さて、そろそろ出ていくわ」

ベッドから飛び起きて首を左右に曲げて音をならしながら哀川さんはそう言った。

「いーたん、これからが本番だぜ?くれぐれもビリビリ娘から目を離すなよ。今回で一番の被害者はアイツだからな」

「分かってますよ、これから彼女が中心となって動くことになるでしょうから」

哀川さんはぼくの言葉に口元を釣り上げ、シニカルに笑って部屋から出ていった。
当然、別れの言葉は、無い。
853 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/02(土) 00:25:48.73 ID:bChFSf8f0
一人になった部屋でぼくはポケットから一枚の写真を取り出して、眺めてみる。
そこには仲の良い中学生四人組が思い思いのポーズをとって写っている。
涙子ちゃん、飾利ちゃん、黒子ちゃん、美琴ちゃん。
全員が笑顔で、本当に幸せそうな顔をしている。どこから見ても、誰が見てもこの子達は親友同士だ。
この笑顔に偽りなどはないだろう。お互いがお互いを信頼し合い、助け合い過ごしてきたのだろう。
仲間の痛みは自分の痛みで。
自分の痛みは仲間の痛みで。
共に笑い、泣き、怒り、悲しみ、憤り、落ち込み、舞い上がり、恋をすることが出来た。

だけど、その程度だった。本当の意味での信頼は、そこには無かった。あるのは間違った関係だけ。

殺意を募らせ能力者を殺すことが正しいと勘違いした涙子ちゃん。
それを汲み取り、犯罪無くす為に涙子ちゃんに荷担した飾利ちゃん。
親友が犯人だと気付いて尚、何もせず、あげく親友に殺された黒子ちゃん。
圧倒的に優秀な人間でありながらも、なにも気がつかなかった美琴ちゃん。

全てのピースが誤って嵌められてたというのに、完成したと思っていた四人。
歪に、不正に、型どられた人間関係。
全ての前提が、間違っていたこの一連の出来事。

もう修正する事は出来ない。
もう生成する事は出来ない。
もう修復する事は出来ない。
もう復元する事は出来ない。

もう、元には戻らない。
なかったことには、出来ない。
854 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/02(土) 00:26:22.52 ID:bChFSf8f0
どうして青髪くんは飾利ちゃんだけを殺したのか。どうして実行犯である涙子ちゃんを生かしたのか。
そして、どうしてぼくを殺さないのか。

そんなことは、今さら語ることでもないだろう。これ以上、ぼくが語ったところで蛇足にしかならないのは目に見えている。
もう舞台の幕は降りてしまっている。あの赤い請負人によって徹底的に終わらされてしまった物語。
殺した彼女と、殺された彼女と、殺し殺された彼女と、結果しか知らない彼女。
果たして誰が一番幸福なのだろうか。

その時、隣の部屋から絶叫が聞こえてきた。きっとまた当麻くんがインデックスちゃんに噛み付かれたのだろう。
ぼくは溜め息をついて写真を机に置いて立ち上がり、同居人がしてしまった蛮行を詫びる為に冷蔵庫からある程度の食材を取り出して隣の部屋に向かうとしよう。
そこで一緒にご飯でも食べながら今回の事件について話してみよう。もう終わった話ではあるが、食事の肴くらいにはなるかもしれない。

ぼくは適当に食材を見繕い、一度部屋を出て、通路に食材を置いくと再び部屋の中に戻る。
そして机の上に置いていた写真を拾い上げると、クシャクシャに丸めてゴミ箱に捨てて、今度こそ部屋を後にする。

それにしても、散々な事件だった。今のぼくには達成感も充実感もなく、ただ疲れている。
こんな時はなんて言えば良かったんだっけ、とぼくはそれに適した言葉を隣の住民はいつも口走っているのを思い出す。

ぼくはこれまでの全てと、これからの出来事に思いを馳せながら呟いた。

「不幸だ」
855 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/02(土) 00:30:37.50 ID:bChFSf8f0
細かい伏線を回収しきれず、終了です。
今回は色々とやり過ぎた感があり、反省しております。うん、クロスって難しいね。
クビシメを目指したらこんな結果だよ。
犯人は実は一人ではないっていうのが最大の見せ場だったんですが、如何でしたか?

さて、次回からは最終章(予定)です。妹達編です。
また登場人物だけ落としていきますね。

長くなると思いますがお付き合いよろしくお願いします。
856 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/02(土) 00:45:04.98 ID:bChFSf8f0


登場人物紹介


ぼく―――――――――――語り部。


一方通行―――――――――超能力者。

垣根帝督―――――――――超能力者。

御坂美琴―――――――――超能力者。

麦野沈利―――――――――超能力者。

青髪ピアス――――――――超能力者。

結標淡希―――――――――大能力者。

ミサカ――――――――――――妹達。

哀川潤―――――――――――請負人。


上条当麻―――――――――無能力者。


――――――――――――――――――

予定通りに行く気がしねえorz


殺人鬼編で疑問に思ったとこや、矛盾があったらぜひ教えてください。
ではまた。
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/04/02(土) 00:50:13.39 ID:b+tenDdvo
>>1(゚д゚ )乙
登場人物がやけに豪華
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 01:02:15.06 ID:v9clhaeFo


どうして青髪が初春だけ殺したのか今だ読み取れない俺は文盲
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/02(土) 01:04:24.56 ID:bXb6dFmAO
おお、来てた。乙です
そして登場人物やべぇwwwww


設定とか伏線とかは凄く面白いんだけど、投下のテンポを変えてほしいかも
毎日更新は嬉しいけど、切りがいい投下だと尚嬉しい
今回のオチもまとめて落とせばインパクトはもっと強かったと思うよ

まぁ俺個人の意見だけど
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/02(土) 01:05:10.96 ID:bXb6dFmAO
ageてた。すまんこ
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/02(土) 01:05:50.17 ID:8YqUpSfTo

聞きたい事って言うか確認したいことあるんだけど
>>750のいーちゃんに違和感感じたんだけど、何かの伏線だった?
それとも普通に血の匂いで気持ち悪くなってただけ?
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/02(土) 01:13:18.40 ID:X9bIQlkAO

青ピにさらに設定が増えただと…
そしてこの妹達編の登場人物…
色々凄過ぎて何から触れればいいのかわからん
初春の動機は《チーム》のサイバーテロについて話したくだりが伏線みたいなものだったのかな
まとまりなくてすまん、本当にこのSSは衝撃的で上手いこと感想が言えない…
いや、自分の表現力が不足してるだけなんだけどな

ともあれもう一回>>1乙!
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 01:26:10.60 ID:GQ23NyRA0

打ち止めちゃんは出そうにないか…。出そうにないか……
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 01:28:59.56 ID:S/3pliMxo
乙乙
正直殺人鬼編始まった時は全滅ENDも覚悟してたが美琴さん生き残っちゃったか
ある意味全滅よりも辛いかも知れんなぁww
美琴不在での妹達編もそれはそれで面白そうではあった
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/02(土) 01:29:51.58 ID:UsmRSmwko
超能力者全滅する気しかしねえ・・・
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) :2011/04/02(土) 04:42:59.94 ID:7Ot2NG+AO
いーちゃんが学園都市に来ちまったからアレイスターの計画とやらも最早どうなるかわからんね。
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 05:11:24.85 ID:vrmqOSCPo
それでも、一方さんなら!
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/04/02(土) 06:30:50.58 ID:63xvgjvAO
超能力者がかませで終わる気しかしないwwwwwwww
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 07:53:29.97 ID:OavlxGGDO
一通さん毒殺とかそんなしょぼい死に方しそう…

乙です
870 :名無しNIPPER [sage]:2011/04/02(土) 11:12:24.14 ID:mjofZLIDO
なんか登場人物達に原作以上の死亡フラグがたってるな…
871 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/02(土) 22:29:02.29 ID:6zWaOdfL0
お疲れさまです。ちょっと構想練り直してるので、今日は投下なしです。
レスだけ返しておきますねー。

>>858
一応理由があるんですが、あえて書かずにご想像にお任せしますスタイルで貫こうかなと。
「意味わかんねぇ」ってレスばかりならいずれ書きます。

>>859
心がけます。もっと量を増やして投下しますね。

>>861
青髪の能力の伏線……にするつもりだったけど投げ出しました。

>>862
一応、初春は正義感が強すぎるってのを匂わすための会話です。
気づかれて嬉しい。


それと妹達編の登場人物ですがもっと増えるかもなので。打ち止めとか天井ちゃんとか絹旗とか浜面とか……
まとめきれる気がしないので、変更が必ずある。


それでは、出きる限り早く投下しに来たいです
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/03(日) 00:25:29.30 ID:kHpc0/KAO
>>1は青ピも好きだけど天井ちゃんも好きだよな
続き楽しみに待ってます
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/03(日) 00:51:51.06 ID:jjPRmS+ao
>>871
やっぱり青ピの能力だったか
空気濃度がどうとかって奴だよな?
納得したわ
端折った伏線についてとか語りたくなかったろうにゴメンな、ありがとう
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/03(日) 12:31:43.25 ID:szwW3fCAO
一人称でそんだけの人数を描写するのは大変だろうけど頑張ってくれ

つーか花物語読んだらかなり>>1は西尾的な思考を把握してるって思った
やっぱ凄いね
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/04/03(日) 17:11:11.67 ID:2Q5HRvnAO
正直、花物語それほど面白くなかった
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/04/03(日) 17:18:21.21 ID:dM2b2BdWo
ネタバレは禁止な
877 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/03(日) 22:17:40.21 ID:Cl1ZGNL00
お疲れ様です。導入部だけの短い投下ですが、ご了承ください。

では、投下します。
878 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/03(日) 22:18:48.89 ID:Cl1ZGNL00





エピローグ





879 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/03(日) 22:19:21.56 ID:Cl1ZGNL00

0

さようなら

880 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/03(日) 22:19:52.20 ID:Cl1ZGNL00

1

人間が永遠に生き続ける――ひらたく言えば不老不死のような存在というのは、当然ながら現段階で人類は確認できていない。
それは別に人間に限ったことではなく、生物であれば例外なく死を迎える。これは確定だ。例外などは存在しない。
首を切られなくとも、首を絞められなくとも、首を吊られなくとも、鈍器で殴打されなくとも、時が経てば勝手に死んでしまう。
生きているということは、死に向かうということであり。死ぬということは、生きているということ。
つまり仮に不老不死という不可思議でぼくには理解不能な存在が、この世界に存在しているとしても――それはもはや生き物とは呼べないだろう。

――別の、何か。

例え人の形をしていても、例え人の振る舞いをしていても、どれだけ人に模していても、結局は人間に限りになく近い物でしかなく、人間ではない。
人の形と書いて、人形。そう、人形だ。

神と呼ばれる存在が居る。いや、ぼくは実際に居るとは信じてはいないのだけれど、少なくとも神と呼ばれる《人よりも上位の存在》を信じている人は、居る。
思えばそういった大多数の人々が思い浮かべる神というのは、人の姿であることが多い。
ぼくは宗教関係に明るくはないので詳しい説明は出来ないのだが、別に神の姿は信仰するものによってまちまちで、
それこそ獣のような姿をしている神も存在しているらしいので、先の発言には差別的な発想も含まれている。そこはご了承を頂きたい。
神に仕える修道女と同居しているというのに、ぼくは神どころか、自分をも信じていない無神論者ならぬ無自分論者なのだから。

だがしかし、『神は人の姿をしている』という意見はあながち外れてはいない気がする。
それは神だけではなく、悪魔や物の怪の類と呼ばれる想像上の存在も人の成立ちをしている場合が多い。あとは――天使とか。

そこでぼくは考える。信じてもいないのに神について考察をする。
つまるところ神のような《人ではないモノ》は結局、人間によって生み出された存在なのではないだろうか、と。
都合の良い存在、ご都合主義、全知全能、人を超えしモノ。
それらは現実というあまりにも過酷な世界を生きる人間が拠り所にする希望なのだろうと。

幻想なのだろうと。
ぼくは、考える。

理不尽を、不義理を、不受理を、不幸を、一心に受け止めてくれる、存在。一方通行の感情を無償で受け止めてくれる、幻想。
ぼくは別にそれが悪いことだと思わないし、しょうがないことだと認めることも出来る。

だけど、自分がそれに縋ろうなどとは、思わない。

抱く期待は裏切られ。
望む希望は淡く消え。
強く現実は聳え立ち。
想う幻想は殺される。

それを知っている。知ってしまっている。
881 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/03(日) 22:20:17.69 ID:Cl1ZGNL00

無駄な期待は抱かない。
無碍な希望は望まない。
無常な現実は抗わない。
無理な幻想は生まない。

これまでぼくはそう生きてきたし、これからもそうやって生きていくのだろう。

全てのベクトルを操作できない。この世に存在しない物質など生み出せない。発電することも出来ない。原子を崩すこともできない。大気を掌握することもできない。
物質を移転させることもできない。見たものを全て記憶できない。人類最強でもない。無数の世界を器用に歩き渡れない。何かを守ろうとも思わない。

――全ての異能を殺せる訳でもない。

この都市にやって来てぼくが知った人々は何かを持っていたし、目的も持っていた。ぼくと対照的に。

だから、ぼくはあの存在にひどく興味を持ってしまった。
あの時、作為的な出会いを果たした一人の少女――正確には一万近いの少女達に共感めいたものを感じてしまった。
人によって生み出された、人ならざるモノ。彼女達はそんな存在だというのに、神と呼ばれる存在と同じような誕生理由があるというのに、死に向かって生きていた。
定められた、死。
悲しむことも、怒ることも、楽しむことも、笑うことも、そして生きることさえも許されない、彼女達。
たった一つの目的の為に殺されていく、彼女達。

彼女達は自分の事を『人形』と表現し、生み出した研究者達もそれを認めていた。
だったら、ぼくはどうなのだろう。目的もなく、死に向かって歩いていくぼくは彼女達よりも人ではないのかもしれない。

ぼくとしては珍しく、物事をぼかして表現するぼくとしては本当に珍しく、予めこの物語の結末を言っておこうと思う。
彼女達を巡る――そして幻想殺しを巡るこの騒動はバッドエンドで幕を下ろす。
誰の思い描いた結末とも違う、ある意味で拍子抜けとも思える結末。

無敵を目指す一方通行。
頂点を盗ろうとする未元物質。
全てを終わらせる超電磁砲。
意思など持たぬ原子崩し。

そして幻想殺しと戯言遣い。

きっと語り終える頃にはまた違う物語が彼らを取り巻いているのだろうけど、ぼくはもうそこには居ないのだろうけど、バッドエンドは確実だけど――
ひょっとしたら、ハッピーエンドなのかも知れない。
882 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/03(日) 22:20:43.21 ID:Cl1ZGNL00






「戯言だけどね」






883 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/03(日) 22:23:08.10 ID:Cl1ZGNL00
終わりです。少し物語シリーズ的な語りだし。

ではまた近いうちに。
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 22:24:17.54 ID:0mMMZR6ho
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/03(日) 23:33:48.17 ID:szwW3fCAO

ワクワクがヤバい

>全てを終わらせる超電磁砲。
この一文で不安もヤバい
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 00:17:43.10 ID:EDDWfQuDo
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/04(月) 13:37:47.58 ID:8rEJdsKAO

バッドエンドって言われた…
でもその後の「戯言だけどね」で何を信じていいかわからないww
もう何エンドでもとにかく楽しみ
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/04/04(月) 23:35:47.75 ID:wLGmn9eK0
やっと追いついたぜ。
禁書でミステリっぽいのって始めて見たわ。期待。

それと

>だがしかし、『神は人の姿をしている』という意見はあながち外れてはいない気がする。
>それは神だけではなく、悪魔や物の怪の類と呼ばれる想像上の存在も人の成立ちをしている場合が多い。あとは――天使とか。

人工天使さんの登場フラグですねわかります。
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 00:42:29.01 ID:5j2JIWNk0
>>888
ageんなks
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/05(火) 00:59:54.89 ID:XVJQRtVro
このスレで久しぶりに戯言読みたくなって
匂宮出夢との関係読んだら狐さんがカッコよすぎた
でも時系列的にこのSSには登場出来ないんだよなぁ……
891 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/07(木) 00:36:12.29 ID:DZibQhQm0
お疲れ様です。ちょこちょこ溜めたつもりでしたがまったく書き溜めが無い。
それでも、投下します。多分4レスくらい。
892 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/07(木) 00:37:32.18 ID:DZibQhQm0

2

「暑い……」

「暑いんだよ……」

「暑いね……」

そんな呟きが漏れる八月二十日の正午、とある公園。ぼくとインデックスちゃん、それに当麻くんでベンチに腰掛けながら項垂れている。
今日も夏休みらしく快晴の真夏日。アスファルトは陽炎に揺れ、道行く人々はタオルやハンカチで汗を拭い、冷房目的で飲食店は一杯。
どうしてこんな暑い日にわざわざ外出しているのかというと、あれ、なんでだっけ?どうも暑さで思考が回っていない。

「まさかエアコンが壊れるとは……不幸だ」

「それも二部屋同時になんだよ……」

二人の呟きに「ああそうだ」と思い出す。こんな状況になったのはぼくと当麻くんの部屋のエアコンが同じタイミングで故障してしまったからだ。
当麻くんの部屋はとにかく、ぼくの部屋のエアコンはこれで三度目の故障で、修理を依頼するために電話した管理業者の人も電話口で露骨に嫌味を言っていた。
仕返しなのだろうか(何に対する仕返しなのかは分からない)、直ぐには修理できないとのことで仕方なくこうして外出したのだけれど。

因みに、当麻くんの部屋のエアコンは午後に修理するようだ。

「どの店も満席ってどんな確立なんだよ」とうんざり言い放ってみる。

外出してから入る店全てが満室で、冷房の効いた空間に留まる事ができなかったぼく達は仕方がなくこうして公園に居る。
図書館やらそういった施設に行けばいいだろうと思うが、残念ながらそこまで歩く元気もなくギブアップしてしまったのだ。
それにしても、ファミレス、ファーストフード店、果ては大衆向けではない店も全滅だとは、これも当麻くんの不幸体質の賜物なのか。

「これも全部その右手のせいだな。いっそ切り落とそうか?」

「それならあの魔術がお勧めかも。痛みを感じることなく終わらせてくれるんだよ」

「でも魔術なら右手に効かないだろうから、神裂さんでも呼ぼうか?あの刀ならそれこそ一瞬だろうし」

「名案かも!」

そんな会話をしているぼくと携帯電話を取り出したインデックスちゃん(こないだ買い与えた)の間を割って当麻くんが叫ぶ。
893 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/07(木) 00:38:00.91 ID:DZibQhQm0

「なに物騒なこと言ってるんでせうか!?そりゃあ確かに上条さんの不幸のせいかも知れないけども!ファミレスで待合の紙に記入忘れをしたのは俺だけれども!」

「俺の明暗を分ける会話は止めてくれ」と右手切断案を却下する。残念だ。
あと、別にそこまで巧くないよ、名案と明暗。

「言葉遊びっていうより言葉に遊ばれているかも」

「なかなか的を射た発言をするじゃないか、インデックスちゃん。そう、ぼく達は言葉に遊ばれているんだ。日本語なんて特にね。だから誤字脱字っていう言葉も生まれるし、
 文法の間違いも生じる。だいたい違う漢字で同じ読みだなんて反則もいい所だ。それによって変換ミスが多発する。これは文明がもたらした弊害だね。いっそ障害と言ってもいい。
 おまけに最近は新しい単語が続々と生まれてくる。若者が小難しい古書を読めないと同じように、年配の人間はネットの流行語が多用されるSSなんて読めないだろう。
 つまり言語は進化とは言わないけれど、日々変わっているんだ」

「何か見えない意思を感じるんだけど……」

「戯言だよ」

それはきっと気のせいだろうと当麻くんの突込みをスルーする。インデックスちゃんの発言も、スルーする。
いろいろと自重して欲しい。

「話を戻そう」

閑話休題。それはさておき。とりあえず。

「飲食店は満席、図書館は遠い、かと言って冷やかしで何時間も粘れる店はないし、土御門姉妹も外出中で、こうやってぼく達は肌を焼いているんだけど……」

「このまま熱中症で倒れれば病院に搬送されるのかなぁ……病院の中は涼しいかも……」

「インデックス。それだけは止めろ」

虚ろな目(暑さによる)でそんな呟きを漏らすインデックスちゃん。それだけは本当に止めて欲しい。入院費はぼくが出すことになるだろうし、そもそも学園都市に正規で
滞在している訳ではないので、厄介なことになるのは目に見えている。面倒事は御免だ。
894 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/07(木) 00:38:29.50 ID:DZibQhQm0

「とりあえずジュースでも買おうか?」

少しでも火照った体を冷やそうとそんな提案を持ちかける。だが二人の表情は暗い。

「それは大変魅力的な提案なんでせうが……」

「先立つものが無いんだよ……」

「…………」

インデックスちゃんはともかく、当麻くんがお金を持っていないのはおかしい。
学園都市では能力強度ごとに額は違うが、奨学金制度が導入されており、一人暮らしが可能なぐらいのお金は自動的に懐に入ってくるはずだ。
まぁ大方財布を落としたか、キャッシュカードを飲まれてしまったのだろう。ぼくが渡した一万円も含めてこれで何回目なのだろうか。

「ま、ジュースくらいなら奢るよ」

ぼくはそう言ってベンチから立ち上がり自販機が設置してある場所まで移動する。後ろから感謝の言葉を叫ぶ声が聞こえたが缶ジュース一本ごときで喜びすぎだ。
あの二人は勧誘に弱いだろうなぁなんて思いつつ振り向かないまま手を振って答える。
公園内とはいえ自販機がある場所までは少し距離があるので、目的地に着く頃には二人の姿は見えなくなってしまう。

「さて、と……」

覚悟を決めて自販機と相対する。別段どうってことの無い自販機だが、そのラインナップが問題だ。
イチゴおでん、ヤシの実サイダー、その他複数の如何わしい銘柄の缶ジュース。どれを見ても地雷臭しかしない。
ここは比較的安牌であるヤシの実サイダーをチョイスするべきだろう。下手な冒険は命取りとなる。
ぼくは財布から千円札を取り出し、皺を伸ばして受け入れ口へ差し込むと、ガガガと不穏な音を立てながら自販機は飲み込んでいった。
それにしても随分とボロボロの自販機だ。右側なんて凹んでるし、所々焦げた痕がある。スキルアウトの連中が売り上げ目的にこじ開けようとした名残だろう。

「――って、アレ?」

ボタンを押すが、反応が無い。連打してみても無駄。試しに他のボタンも押してみるがこれもまた反応無し。
返却レバーを引いてみるもこれまたお金が吐き出されることはないし、そして金額を表示するはずのディスプレイには、何も表示されていない。
これは、つまり。

「何お金飲まれてんのよ、アンタは」
895 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/07(木) 00:38:59.32 ID:DZibQhQm0

ぼくが口にするよりも早く状況を説明してくれた声は、聞き覚えのある声。

「やあ、美琴ちゃん」

「この自販機は結構お金を吸い込んじゃうのよねー。私も昔万札をやられたわ」

常盤台中学の制服を着たレベル5の第三位、御坂美琴ちゃんは挨拶もそこそこに面倒くさそうな表情を浮かべて、ぼくを自販機の前から退く様に促す。
そしてその場でステップを踏み、二、三回、跳ねて――

「ちぇいさーーっ!」

思い切り回し蹴りを自販機に叩き込んだ。なるほど、あの凹みは美琴ちゃんによるもので、この様子なら焦げも電撃によるものなのだろう。
ぼくが感心していると自販機が缶ジュースを次々と文字通り吐き出した。なんというか取り出し口から飛び出してくる缶ジュースという光景はシュールすぎる。

「ほら、飲まれた分は出してやったわよ」

「…………」

爽やかな笑顔で缶ジュースを一本拾い上げてぼくに差し出す美琴ちゃん。この子は犯罪行為をしたことに自覚は無いのだろうか。
明らかに投入した金額より多くジュースが飛び出している。
ぼくが受け取ろうか躊躇していたら、突然自販機から警報が鳴り響く。あれだけ綺麗な回し蹴りを食らえば、当然か。

「これは逃げたほうがよさそうじゃ――」

「うるさい――」

それはぼくに向けた言葉なのか、それとも自販機に向けた言葉なのだろうか。
ぼくがこの場からさっさと逃げようと三人分のジュースを拾い上げた所で、美琴ちゃんは右手から電撃を放ち強制的に自販機を黙らせた。
なにこの中学生恐い。
896 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/07(木) 00:39:33.33 ID:DZibQhQm0

「で、暇だったりする?」

「暇といえば暇だけど、ご覧のとおり連れが居るんだ」

手に持った三本の缶ジュースを見せる。

「ふうん。一人はあのバカ?」

「うん、当麻くん。もう一人は美琴ちゃんの知らない子だよ」

「そっか」と何か言いたげな美琴ちゃん。

「思ったより、元気そうだね」

それは、あの事件についての話題。きっと美琴ちゃんがしたかったであろう会話。

「いーさんも言ってたじゃない。人間は次を見て生きていくから人間なんだって」

「そうだっけ?」

「そうよ」

そこで、沈黙が流れる。騒がしい蝉の鳴き声と、どこかで遊ぶ子供たちの笑い声が聞こえてくる。
美琴ちゃんはそんな音に不愉快そうな表情を浮かべて舌を打つ。

「佐天さんが昨日、自殺したらしいわ。どうやったかは知らないし、知りたくも無いけど」

「へえ……」

そうか、自殺か。別に驚くような報告ではないが一応そんな声を上げておく。

「あの事件に関してはもう何も聞かないわ。ある程度予測はついてるし、これ以上知ってももうどうすることもできないから」

そんな言葉とは裏腹に、美琴ちゃんはさらに眉間に皺を寄せる。
897 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/07(木) 00:40:40.92 ID:DZibQhQm0

「どうしてこうも厄介事が舞い込んでくるのかしらね。幻想御手にしても、あの事件にしても」

「…………」

「きっと悪いのは私」

そう言い切る美琴ちゃんに、何て言えばいいのか分からなかった。何時もの様に思っても居ない単語を並べて、戯言を言えば良かったのだろうが、それすら出来なかった。
とにかく口を開けてさえしまえば何か言葉が出るだろうと思い、ゆっくりと口を開く。

「お姉様?」

が、それすらも割って入ってきた声に邪魔され、適うことはなかった。
《お姉様》という呼び名で一瞬黒子ちゃんを思い出すが、彼女がここに居るはずが無い。なので常盤台の後輩かと思って顔を向けて――絶句した。

「こんなところで男性と逢引ですか、とミサカは驚きます」

「アンタこそ何してるのよ」

「外部研修中です、とミサカは言いつつお姉様の次なる言葉を予測します」

「そ、じゃあ今日も実験が行われるって訳ね」

「はい、とミサカはお姉様の質問を肯定します」

そんな会話を交わす二人の間には何か大きな壁があるように感じてしまうほど、他所他所しいものだった。
単純な先輩後輩の中ではないだろう。声を掛けてきた彼女の頭部には、女の子が着用するにはいささか無骨すぎる軍用ゴーグルが掛けられている。
それぐらいだ、美琴ちゃんと彼女を区別する特徴は。それほどまでに、目の前の二人は、同じだった。
声も、容姿も、背格好も、なるで写したかのように同じだった。

「美琴ちゃんって妹が居たんだね」

「厳密に言えば違いますが、概ね正解です、とミサカは死んだ目をした男性へと答えます」

正直、瞳にまったく生気を感じない君に言われたくは無い。

「概ね正解?っは、止めてよねそう言うのは」

短く笑って美琴ちゃんが言う。
妹ちゃんはそんな彼女をじっと見詰めている。何か言いたげですらなく、ただ、眺めているだけだ。

「おいおい、いくら不仲だからって妹をそんな風に言うもんじゃ――」

「違うのよ」

取り繕うとするぼくの言葉を遮って、美琴ちゃんは言い放つ。
悲しげに、怒っているように、自嘲的に笑いながら、言い放つ。
898 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/07(木) 00:41:19.37 ID:DZibQhQm0







「この子は私のクローンなのよ」






899 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/07(木) 00:44:55.35 ID:DZibQhQm0
とりあえず今日はここまでです。
4レスかと思ったら7レスあった。何を言ってるry

早速美琴さんの様子がおかしいですが、友人三人死んじゃってるのでしょうがない。
クローンってばらしてるし。

では、また。近いうちに。
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 00:47:09.75 ID:8uOEPU/uo
美琴さん完全ぶっ壊れ済みか
救いが無いな・・・
901 :名無しNIPPER [sage]:2011/04/07(木) 00:51:39.94 ID:YE//JeADO
乙。原作とは別方向に自暴自棄になってるな……
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/07(木) 01:03:03.06 ID:wlXOvGYo0
乙。あっさり佐天さん死んだけど全然驚かないwwwww
この美琴さんはあはぎゃは言いながら妹達殺しそう
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/07(木) 01:09:49.03 ID:1x8z2gUAO
佐天さん自殺は予測の範囲内なんだろうさ
主犯が初春だと考えればの話だけども
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/07(木) 01:15:17.14 ID:TnBRzg2eo

美琴の妙に冷めた感じが怖いな
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 01:34:51.51 ID:DE9O1yuE0
ヤサグレールガン……だと
美琴に新たな可能性を見たぜ

なんとかヤサグデレールガンになってほしいけど
>>1だからなあ、どうかなあ、だめかなあ
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 07:43:29.52 ID:Vj6ekBWDO
御琴さんから主人公オーラが無くなっとる…乙です
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/07(木) 08:18:44.46 ID:KWHj9NUAO
いの字の事だからタダでさえろくでもない実験がろくでもない結果を膿むんだろうなぁ
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/04/07(木) 08:59:28.73 ID:ApsY4Zoao
妹達はなんかゴミ扱いしてそうな美琴だなww
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 13:43:59.14 ID:mM2iW2gSo
>>144
まどかは裏設定の深さが肝の一つ

シャルロッテ一つとっても何でチーズだけは作れないかの設定や結界内のイメージが生前のヒントとリンクしてたり
魔女の名前の意味や由来、形状が暗示、暗喩してるものとかがメチャクチャ深い
考察しないと見えないけど掘り返せば今流行の薄くて浅いラノベや軽くて細いミステリなんかとは比べ物にならないよ

トリプルミーニング以上のトリックや設定をゴロゴロ仕込める虚淵玄はエロゲライターで終わらせるには惜しすぎる
910 :909 [sage]:2011/04/07(木) 13:44:44.03 ID:mM2iW2gSo
ごめんスレを思いっきり間違った
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 15:50:40.08 ID:e8Sqo5SDO
こんだけ潔くキャラがお亡くなりになるのは逆に気持ちいいな
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/07(木) 16:09:50.52 ID:tki7U+aAO
死んだのは小萌先生、佐天さん、初春、ですのか…
あと上条さんとインデックスさんも一応死んだんだよな(記憶的な意味で)

次は誰が犠牲に
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県) [sage]:2011/04/08(金) 02:33:27.58 ID:YC4TDVA+o
このままクビツリハイスクールの内容行ったら学園都市壊滅するな・・・
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/08(金) 02:44:02.21 ID:4SYV9upbo
あ、そうか
次はクビツリ……風になるのかは知らんが順番的にはそうなる可能性はあるのか


……で、その場合いーたんは女装するのかね?
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/04/08(金) 02:55:33.11 ID:ar7P5fVAO
実験って言葉からサイコロみたいになると予想
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/08(金) 08:13:25.81 ID:574GmTdp0
戯れ言シリーズは一回読むだけでお腹いっぱいになる
読み返そうなんて思わないんだよな
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/08(金) 08:20:05.47 ID:O6+5IeSAO
そうか?真相がわかった後に伏線を見つけ直すのが良くね?
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/08(金) 08:22:38.72 ID:EJ+zTZEAO
一回読むだけで相当疲れるからなぁ

無論面白いからだけど
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 08:22:55.32 ID:z7pTGjPSO
戯言シリーズな。

俺はクビシメの後味の悪さが好きで10回ぐらいは読んだけどな。
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/04/08(金) 10:14:24.43 ID:OD6SOL0m0
戯言シリーズは読み返そうとはあんまり思わんが人間シリーズは何度も読み返してる

というか美琴はロクな事にならなさそうだな
もしくはここまで行ったら最後まで生き残るのか
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/08(金) 11:14:23.28 ID:O6+5IeSAO
生き残っちゃうか
いーちゃんじゃないんだし精神が持つだろうか
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/08(金) 19:49:24.92 ID:WEF/D4IAO
戯れ言の世界で生き残るにはいーちゃんとある程度親しくなっといたほうがいいんじゃないかというのが俺の持論

少し関わった程度だと大抵死んでしまう
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/08(金) 20:02:37.13 ID:8YPik7rAO
だから上条さんとインデックスさんは無事なのか
っていうか妹達編にていとくん絡んでるSSって他にある?あるなら読みたい
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/04/08(金) 22:20:13.48 ID:99OlQRZz0
そのいーちゃんと仲良くなるってのが至難の業だよな
ヒトクイ以前は好きも嫌いも零にするよう心掛けちゃってるし
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 22:39:03.89 ID:bQtKStuNo
仲良くなっても死ぬ人は死ぬんじゃね
ソースはヒトクイでのあの娘
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/08(金) 23:26:40.08 ID:xQ0uPokAO
好感度の高さ=死亡率
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 23:28:22.58 ID:7vMQBn1N0
仲良くなるといってもただいーちゃんを慕う側じゃ駄目なんじゃないかと思った
巫女子ちゃんや《危険信号》とか見てると。
…と思ったけど崩子ちゃんみたいな例もあるしな…死ぬ死なないのフラグは本当にわかりにくい
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 00:09:04.16 ID:U2/AXTnDO
萌太くんが引き受けてくれたんじゃないかと思ってみたり
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 16:24:38.50 ID:PKQP/aNSO
いーちゃんを傷付ける(肉体的に)した人って意外と生きてるな
まあ、彼の周囲の人間に見られたら違う死亡フラグが立ちそうだが
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/09(土) 19:12:10.21 ID:JA7lIZjAO
読み返してたら気が付いたんだけど、佐天さん能力者殺してたくせに幻想御手に手を出してるんだよな
人殺しといてそれは狂ってるわ
佐天さんと初春の電話のシーンとかある意味ホラー
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 19:40:50.83 ID:nakC2Pd80
自分に欠陥があると自覚してりゃ生きてられるとか?
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 02:36:59.78 ID:WmIhd6LSO
智恵ちゃん死んだやん
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 14:04:26.89 ID:IQ9TIAme0
つか、この感じだと2スレ目突入かな
934 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/11(月) 00:44:42.07 ID:M0O4Rwpk0
お久しぶりです。少量ですが投下します。
935 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/11(月) 00:45:35.46 ID:M0O4Rwpk0
「クローン……」

「そう、クローン。聞いたことぐらいあるでしょ?」

「そりゃあ、あるけどさ」

そう言って妹ちゃんに目を向ける。美琴ちゃんと全く同じ容姿でその場に突っ立っている。

ぼくはそういった類の話に詳しいわけではないが、クローンの意味ぐらいは知っている。
確か遺伝子の情報を解析し、全く同じものを造り出す技術。
映画や漫画などではもはや使い古されたといってもいい技術だが、こうして実際に《造られたモノ》と相対するのは、当たり前だけど初めてだ。
ましてや人間のクローンだ。牛や豚などとは訳が違う。

人間が人間を造り出すなど神への冒涜であり、最大の禁忌。

「お姉様。《部外者》の方にこれ以上実験に関する情報を与えることは禁止されています、とミサカは情報漏洩を危惧します」と妹ちゃんが会話に割って入る。

「分かってるわよ。つか私も《部外者》だけどね」

「それならば安心ですが、とミサカは薄い胸を撫で下ろします」

「安心するほどむかつくわね」

そんな会話を交わす二人だが、相変わらずどこかギクシャクとしている気がする。
まあ自分のクローンと仲良くしろというほうが無茶な行いだとは思うけれど。

当然。ぼくは会話に入れない。

「それでは、ミサカは外部研修へと戻ります、とミサカはお姉様と没個性的な男性へと別れを告げます」

「さっきから君はぼくに対して辛辣だな」

「んじゃ、私も行くわ。あの馬鹿その一にもヨロシク言っておいて、その二さん」

「……わかったよ」

どうやらこの姉妹はぼくの事が嫌いらしい。それも文字通り遺伝子レベルで。
ぼくは溜め息を吐いて、反対方向に歩いていく二人のミサカを眺めながら当麻くん達が待っているベンチへと帰ろうとする。
随分と遅くなってしまったのでインデックスちゃんに噛みつかれるかも知れない。いやひょっとしたらあの二人は暑さで溶けているかも。
ぼくがそんなくだらない想像をしていると――

爆発音が、公園に轟いた。
936 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/11(月) 00:46:16.12 ID:M0O4Rwpk0

ぼくは爆発音が聞こえた方角。すなわちインデックスちゃんと当麻くんが居る場所に向けて走っていた。
すれ違う人々も同じように走ってその場から離れているということは、何かしら危険な状況が発生しているということだし、
その群れの中にあの二人が居ないので、巻き込まれている可能性も十分にある。

そして、その予想は外れてはいなかった。

ぼくが到着すると、先ほどまでの平和な光景は見事に無くなっていた。
捲り上がっている地面。舞い上がる粉塵。その場に居るのは三人。
一人は倒れている。一人は怒りで拳を震わせている。そしてもう一人は不適な笑みを浮かべながら二人を見下している。
その内、知っているのは二人。倒れているインデックスちゃんと、怒っている当麻くん。

「テメエ!いきなり何しやがる!」

「――――――。――」

当麻くんの声はなんとか聞き取れるが、もう一人の声は聞こえないが、どうやら当麻くん達が危害を加えられたらしい。
相変わらず不幸だなあ、なんて思いながら少し彼らに駆け寄ったところで、ようやくぼくの存在に気が付いてくれたようだ。

「いーさん!」

「あぁ?」

ぼくの登場にどことなく安堵したような表情を浮かべる当麻くんとは対照的に、もう一人――もう一人の少年は眉を顰めてぼくを睨む。
が、直ぐにそれを崩し、また口元を吊り上げてどこか嬉しそうな表情になる。

「お、戯言遣いじゃねぇか。こりゃぁ手間が省けて丁度いいな」

「――!」

ぼくは《戯言遣い》と呼ばれたことで警戒レベルを一気に吊り上げた。自己紹介などで自ら名乗っているので呼ばれることに対しては何も思わないが、
目の前の少年とは初対面だ。だから彼が知るはずも無い。
確かにぼくは記憶力が良い方ではないが――むしろかなり劣っているけどここまでインパクトのある人間を忘れる程ではない。
少なくともこの時点で少年の印象は不覚にも深くインプットされてしまった。二度と忘れれそうにも無い。

「まぁそんな警戒すんなよ。今日は別に殺しに来たわけじゃねぇんだ。幻想殺しもお前も、そこの白い女もな。ただちょっとうるさかったから眠ってもらったが」

「ふざけんじゃねえぞ!」
937 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/11(月) 00:46:52.68 ID:M0O4Rwpk0

「……当麻くん。少し待ってくれ」

今にも殴りかかりそうな当麻くんに声をかけ、ぼくは一歩前に出る。

「目的はインデックスちゃんか?」

可能性は低いが、彼が魔術サイドの人間ならば禁書目録としての彼女を持ち帰ることが目的なのだろう。
しかし、彼はそれを否定する。

「そんな訳の分からねぇ格好してるガキなんざどうでもいい」

そう言いながら当麻くんを指差す。
どうやら本当にインデックスちゃんが目的ではないらしい。

「ちょっと幻想殺しに協力してもらいたいことがあるんでな。それとテメェに伝言も預かってる」

「伝言……?」

「これ以上余計な真似をするな、だとよ。近く直々に呼び出しもあんじゃねぇかな」

詰まらなさそうに少年は頭を掻く。
ぼくはそんな少年を見上げたまま問う。

「それは、誰からかな」

「学園都市統括理事長」

即答だった。少年はその人物に対して良く思っていないのか歯を食いしばるようにしている。

「ま、これはそんな大した用事じゃねぇから。それで、だ。幻想殺し。少し付き合ってくれるか?断られても無理やり連れて行くけど」

「テメエ、一体何者なんだよ」

痺れを切らした当麻くんが言い放つ。
少年はまた不適な笑みを浮かべるとぼく達の前に降りて、スッと右手を上条くんへ差し出して握手を求める。
そして少年はそのまま――くすんだ金色の長い髪で、少し柄の悪い少年には不似合いな白い翼を背中に生やしたまま口を開いた。
938 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/11(月) 00:47:52.58 ID:M0O4Rwpk0







「垣根帝督。レベル5の第二位、《未元物質》の方が分かりやすいか?今後ともヨロシク」






939 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/11(月) 00:51:18.60 ID:M0O4Rwpk0
ていとくん登場で終了です。

一応今回はちゃんと禁書キャラが活躍する予定なので、そんなに死なないと思います。
そして長くなりそうなので次スレにも突入します。

ではなるべく早くこれるようにしますのでー
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/04/11(月) 00:58:22.63 ID:9JfGrIqk0
待ってるさ
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) :2011/04/11(月) 00:59:43.38 ID:IO8hpNiAO
乙ー。

そんなにとはいえ死ぬんだ。やっぱり死ぬんだ。
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 01:02:45.69 ID:WE46KEsMo
乙乙

大丈夫だ、多分いっその事死んだ方がマシって状態かもだが生き残るとかそんななんだよ、うん・・・
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/11(月) 01:02:46.86 ID:vGZZJIMxo

レベル5勢ぞろいするのかな
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/11(月) 06:51:26.35 ID:AnxpUo6AO
ていとくんがかませでないことを祈るばかり
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 07:31:33.46 ID:7MKCAV3W0
戯言読みたいけど売ってないし、金がねえ・・・・・・
せめて○ックオフに売っていればいいんだけど・・・・・
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 08:40:22.35 ID:p7p+GHdDO
ていとくん…噛ませにならなきゃいいけど…乙です
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/11(月) 17:02:31.19 ID:0u6gz4sAO

ていとくんの健闘を祈る
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/04/11(月) 17:05:11.60 ID:i7Lg9rufo
>>945
そんなアナタに文庫版
ちなみに文庫にはオリジナル栞がついてくるからオススメ
そのせいで戯言3セット今持ってる
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/13(水) 06:38:35.97 ID:jSRykmmao
まーっだかな?
950 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/13(水) 23:12:54.87 ID:DmbUs3Gx0
お久しぶりです。
投下します。
951 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/13(水) 23:13:21.82 ID:DmbUs3Gx0
3

学園都市の能力者には六段階に分けられてランク付けされているというのは以前にも話したことがあると思う。
その中でもレベル5――すなわち超能力者と呼ばれる最高位に位置する能力者は、さらに序列というものが存在する。
序列は単に戦闘能力の優劣では決められておらず、能力研究から得られる利益、すなわちどれだけ学園都市へ恩恵をもたらすかで決まる。

ぼくはその内の二人を知っている。
第三位の美琴ちゃんと、第六位の青髪くん。

二人ともその能力の全力を見たわけではないが、やはり普通の能力者とは訳が違うのだろう。
青髪くんは風を操るどころか気体の操作もできるし、美琴ちゃんはクローン体が造られるほどの利用価値がある。

それならば、この男はどうなのだろう。ホスト崩れのような格好をした、いかにもな雰囲気を醸し出すこの男は自分を第二位だと名乗った。
その容姿に不釣合いな純白の翼を背負いながら、青髪くんや美琴ちゃんよりも上の順位だと言った。

能力研究によってもたらされる利益が多いということは、それほど応用性の利く能力か、全く未知の力なのかどちらかでしかない。
戦闘能力が関係ないとはいえ、この男――垣根帝督が弱いわけが無い。少なくとも、ぼく達を見逃そうという雰囲気は全く感じられない。

「なんだよ、黙りこくって。これじゃ俺が馬鹿みてぇじゃねえか」

差し出したままだった右手は握られること無く、帝督くんはそのまま「せっかくその右手の効果を試そうと思ったのによぉ……」と呟きながら頭を掻いた。
どうやら何かしらの細工をして、幻想殺しの威力を確かめるつもりだったようだ。

「インデックスに何をした……」

当麻くんの右手は握手をするどころか、固く強く握られている。
この言葉を聞く限り、インデックスちゃんは爆発の衝撃で気を失ったわけではないらしい。

「あん?何をしたって、何かしたんだよ。ま、何だっていいじゃねぇか。その内目を覚ますからよ」

悪びれる様子も無くヒラヒラと右手を振る帝督くんに、さらに拳を強く握り締める当麻くん。
本当に殴りかかりそうだ。

「君――帝督くんは当麻くんに協力をして欲しいと言っていたね。それは、何だ」

「随分あっさりと話題を変えやがるな。それが戯言ってやつか」

「その発言こそ、戯言だな」

「違いない」
952 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/13(水) 23:14:20.77 ID:DmbUs3Gx0
「いい加減にし――」

「当麻くん」

ぼくは痺れを切らして叫びだした当麻くんの目の前に右手を出し、静止させる。

そして小声で囁く。

「いいか、ここで下手に彼の怒りを買ってしまったらそのまま仲良くあの世行きだぜ?いくらその右手が異能を打ち消すって言っても相手の能力も分からなければ意味が無い」

当麻くんは少し納得したような、そうでないような表情を浮かべる。

「幸いインデックスちゃんは本当に気を失っているだけみたいだし、ここは様子を見るんだ」

「……分かったよ」

やっぱり納得がいかない様子だが、とりあえずは落ち着いてくれたようだ。

「作戦タイム終了か?」

「ああ、充分だよ。それで、まずは君の要求を聞こうか」

この男の目的とやらが分からなければ、ぼく達はアクションをとることが出来ない。
戦うにせよ、逃げるにせよ。

ぼくの言葉にニヤリと口元を歪め、小さく笑い声を漏らし「実にシンプルな事だ」と言う帝督くん。どこかその外見とはミスマッチな仕草だ。
いや、その笑顔はどんな人間でも似合わないだろう。
狂気が、悪意が、殺意が、全て混ざり合っているような。

彼は、しっかりとぼく達を見据えてこう言った。

「――第一位を、殺すんだ」

そんな、凄惨な笑みを浮かべながら。
953 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/13(水) 23:15:23.01 ID:DmbUs3Gx0
「なっ……」

同時に、当麻くんが驚きの声を上げる。無理も無いだろう。
第一位――この場合は勿論レベル5の序列第一位のことを指しているのだろうが、その人物を目の前の第二位は躊躇うことなく「殺す」と言った。
超能力者の上位二人。一体どんな能力なのかは皆目検討も付かないが、それはきっと強大な能力なのだろう。

第二位である帝督くんが、第一位を殺害するのにどうして当麻くんに協力を仰いだなんて、一つしかない。

「おっと、勘違いするんじゃねえぞ。別にその右手が無くとも俺は第一位を殺せる」

「だったらどうして?」

第一位との戦力差を埋めるために当麻くんの右手を利用するつもりじゃないのか。

「なんつーか保険だよ。念の為って意味だ。俺は確実にあの野郎を殺さないといけない。殺せる自信はあるが、確信は無い」

だから、お前に協力を仰いだって訳さ、と今度は無邪気そうに笑うが、その笑顔もやはり彼には似つかわしくない。

「もし断ったら……どうする」

「さっきからお前ばっかり喋ってるんじゃねえよ、戯言遣い。俺は幻想殺しと交渉しに来てるんだぜ?ま、どうでもいいけどよ。
 それにしても『断ったら』って……お前、この状況でよくそんな台詞が吐けるよなぁ。感心しちまうぜ?そんなもん答えは一つしか無いだろうよ」

やれやれと首を横に振りながら、帝督くんは翼を広げて軽く羽ばたくようにしてみせる。
その直後ジェット機が滑空したかのような轟音が響き、公園に植えられている街路樹を数本根元から引きちぎられるように倒れる。
無言でその状況を満足気に眺めた後、「こうなる」と一言だけ添えて翼を閉まった。いや、消したという表現のほうが正しいだろう。

「幻想殺しには効かないかも知れないが、幾らでも殺害方法はある。知ってるか?この世は死で溢れてるんだぜ。申し訳ないな、これは交渉じゃなく、命令だ」

断る権利は無い。
ハッキリ、彼はそう言った。

否定は、死に繋がると。
ハッキリ、彼はそう表した。

「で、どうなんだよ幻想殺し。お前ここまでちゃんと話して無いだろ?対話しようぜ、対話」
954 :1 ◆d.DwwZfFCo [sage saga]:2011/04/13(水) 23:17:04.76 ID:DmbUs3Gx0
あれ?書き溜めが消えた……だと……

また溜めてきますorz
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/13(水) 23:33:15.31 ID:VwXn9iylo


待ってるよ
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/13(水) 23:45:41.37 ID:tinFTKwAO

いつもていとくんていとくん言ってるから
帝督くんってなんか新鮮だな
957 :このまま投下してきます ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/13(水) 23:57:10.32 ID:oUVngozP0
既に帝督くんはぼくの事など見てはいない。その瞳は真っ直ぐに当麻くんを捕らえている。

ぼくは当麻くんが返す答えなど完全に予測できていた。彼の性格を考えれば、おのずと答えは出てくる。

「断るに決まってるだろ」

即答だった。
迷うことなく、躊躇うことなく『第一位殺害』への協力を断った。
学園都市最強のレベル5の第二位を前にして。圧倒的な力を見せ付けられたというのに。
当麻くんは、断った。

幻想殺しを宿す右手があるから、ではない。
きっと彼はその右手が無くとも、完全なる無能力者だとしても断っていただろう。

彼は、そういう男だ。

「そーだろうな。うん。普通は断るよな。逆にここで承諾されちまったら俺が戸惑っちまうよ」

帝督くんもそこは予測していたのか、特に逆上することも無く笑っている。
あれだけの圧力をかけていたというのに、自由なものだ。

「今日は顔見せみたいなもんだ。後日訪問するわ、答えはその時。そろそろ警備員なり風紀委員なりが来るだろうからこれで退散するとするか」

派手に登場しすぎたからな、と言いながら再び翼を出現させて羽ばたかせる。
ゆっくりと帝督くんの身体が宙に浮き、最初に出会った時の様に見上げる形になってしまう。

「まてよ」と去ろうとする帝督くんを当麻くんが止める。

「答えは変わらねえよ。いつ聞かれたって協力なんてするかよ」

帝督くんはその言葉に「っは」と短く笑い、

「変わるさ。お前だって殺人鬼は見過ごせねえだろ?詳しい内容は資料を送るからそれ読んどけ。それと第三位にも気を掛けてやればお前は協力する」

例え俺が脅さなくてもな、と帝督くんは不適な笑みを浮かべて、返答も待たずに、文字通り飛んでいってしまった。

少しの間ぼく達は何も言わずに立ちすくみ、気が付けば当麻くんの部屋のエアコンの修理が終わる頃合で、日も少し傾いてきた。
残されたぼくと当麻くんは真っ白な羽が舞い落ちる中、取り合えず場所を移動することにし、インデックスちゃんを担いで公園を後にする。

完全に温くなってしまった缶ジュースをベンチの上に置き去りにして。
958 :このまま投下してきます ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/14(木) 00:14:43.82 ID:b/grOykn0

4

昼間のゴタゴタの後、ぼくは当麻くんの部屋で時間を潰しエアコンの修理が終わるのを待った。
案の定インデックスちゃんに色々と事情を聞かれたけれど、能力者同士の喧嘩に巻き込まれたと誤魔化しておいた。
彼女も彼女で物事に首を突っ込みがちなので、下手に事情を話せば何を言われるか分からない。
当然だが、ぼくと当麻くんの間でもその話題は出ていない。当たり障りの無い雑談をしていただけだ。

エアコンの修理に立会い、直ったことを確認したぼくはインデックスちゃんの世話を当麻くんに託し(なんだかペットを預ける感覚だった。飼った事無いけど)、
学生寮を出た。
向かう先は常盤台中学――の寮。
帝督くんが残した『第三位に気を掛けろ』という台詞が引っかかったので、こうして最終のバスに揺られているのだけれど。
因みに当麻くんはその言葉の意味をよく理解していないようだった。仕方が無いか。今の彼には美琴ちゃんと知り合いだったという記憶は無いのだから。
だから、気を使わなくて済んだ。

それにしても、どうしてあそこで美琴ちゃんの名前が出てくるのだろう――なんて、戯言だよな。

幸いなことに常盤台の寮はぼくの住む寮と同じ第七学区に在るらしいので(ガイドブック参照)そこまで遠出しなくても済む。
いや、例えどれだけ離れていても向かったのだけれど。

――これ以上余計な真似をするな

あの伝言が何を意味しているのかはいくら疎いぼくでも理解できる。だからといって「はい、わかりました」と言って引き下がることは出来なかった。

「らしくないな……」と呟いてみる。

本当に学園都市に来てからどうもぼくがぼくらしくない。ぼくらしさとは何か、なんて聞かれても答えることなんて出来ないのだけれど。
こんな事に自分から関わるなんて。いつものように適当に流していれば済む問題だというのに、それこそ余計な真似をしなければ。

「むしろ流されてる、か」

夏休み真っ只中の最終バスにはぼく以外の乗客は居ない。
だから独り言を言ったとしても誰も聞いていないし、尋ねられることも無い。

ゆっくりと法定速度を厳守しながら進むバスに揺られること十数分。ぼくは目的地に到着した。

「おおう……」

思わず間抜けな声が漏れてしまった。
959 : ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/14(木) 00:42:46.43 ID:MOESu+R90

お嬢様学校だからある程度は豪華な寮なのだろうと想像していたが、これは。
豪華すぎだ。
建築に明るくないぼくでもこの仕様の建物はそうそう目に掛かれないと理解できる。それほどまでに立派な寮だった。
ちょっと自分が住む寮との格差を感じてしまう。

建物に圧倒されっぱなしで目的も達成できず帰ったとなれば哀川さん辺りが盛大に笑ってくれそうだが、流石にぼくもそこまで酔狂ではない。
ここまで来たんだ。美琴ちゃんと会話ぐらいはしたいものである。

とりあえずインターホン的な物を探す為に門の辺りをウロウロ歩いてみる。

「…………」

ぼくの動きに合わせて監視カメラの首が旋回している。これは、中々のセキュリティだ。
別に悪いことをしている訳ではないのにどこか萎縮させる雰囲気を醸し出す監視カメラをどうにか意識の外に追いやり、ようやく発見したインターホンを押そうと手を伸ばす。
そこで、ある看板を見つけた。

《女子寮につき男性厳禁》

これはこれは。うん。いかにもお嬢様らしい。

ぼくは伸ばした手を引いて、回れ右をする。去り際に監視カメラにピースサインを向けてその場から離れた。
せめてもの抵抗である。

我ながら情けないなぁ。

でもインターホンを押したら、きっとぼくはとんでもない人物と遭遇していたのだろう。なぜか確信を持ってそう思えてしまう。
よし、美琴ちゃんとは偶然会うことを期待して今日は帰ろう。これは英断だ。

――と、バス停まで戻ってから気が付いた。
さっきぼくが乗ってきたバスが最終便だったことに。

「不幸だ」

そんな呟きを落としながら徒歩で学生寮まで戻ることにした。最近当麻くんの不幸が移ったような気がするのだけれど、あながち気のせいではないのかもしれないなぁ。
まだ夏なので日は沈みきってはいないが、学生寮に着く頃には完全に夜になっているだろう。
別に門限だとかそういった心配はないのだが、何となく早く戻りたい気分だったので気持ち足早に道を歩く。
途中、路地裏を眺めながら。
960 : ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/14(木) 00:56:55.41 ID:Rh34Qepe0
なんとなく意識してしまう。
既に終わってしまった事件ではあるが、犯人が二人とも死んでしまった事件ではあるが、ぼくの記憶には未だに残っている。
死んでしまった、彼女の姿を。

きっと飾利ちゃんは涙子ちゃんを殺そうとしたんだろう。だから青髪くんがそれを止めた。
飾利ちゃんを殺すという形で、それを止めた。
今となっては理由など知る由も無いが、知りたくも無いがそんなことを漠然と思う。思ってしまう。

あの路地裏からフルフェイスの殺人鬼が出てきそうで、あの白い少年が歪な笑顔を浮かべて出てきそうで。
なんとなく、意識してしまう。

そんなことを思いながら歩く人通りの無い道路に、突如車の排気音が轟く。
かなりスピードを出しているのだろう。後ろから迫ってくる音はドップラー効果を含みながら段々と大きくなっていく。
ぼくはこの時「学園都市でもこんな荒い運転をする人が居るんだ」とぼんやり考えていたので、ぼくの横を通り過ぎ五メートル先で止まったワンボックスカー
に疑問を抱くのが遅れてしまった。猛スピードで走りぬけ、急ブレーキを踏むもんだからくっきりとアスファルトにタイヤ痕が残り、ゴムが焦げた匂いが鼻を突く。

そこでようやく異質な車に警戒を覚えたぼくは冷静を装いながらその横を通り過ぎようとする。
当然、荒っぽいことになるだろうなと思いつつ。

「結局、こんな派手な登場じゃ警戒されるのがオチな訳よ」

勢い良く開かれたスライドドアからそんな呟きを言いつつ金髪の少女が降りてくる。
見るからに外人さんだ。

「いいじゃないですか、超C級映画のノリっぽくて」

続けて中学生位の小柄な少女も降りてくる。
そしてさらにもう一人、どこか独特の雰囲気を漂わせながらジャージ姿の少女(高校生くらいだろうか)ものっそりと現れる。

「南南東から信号が来てる……」

電波さんだ。文字通り、電波少女だ。

しかし、この子達の狙いはどう考えてもぼくだ。しかもやっぱり荒事になりそうな気配を持ち込んできやがった。
あーこれは当麻くん以上に不幸じゃないのか、ぼく。

「はいはい、無駄口叩いてないでさっさと目標をぶっ殺すよ」
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 01:04:28.55 ID:0EDAURf7o
モアイー!おれだー!結婚してくれー!
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/14(木) 01:05:21.42 ID:uFWxyGXAO
投下中のコメントってダメ?
963 : ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/14(木) 01:25:20.48 ID:bKC27mNt0
そして最後にそんな物騒な言葉を吐きながら、面倒臭そうに一人の女性が降りてきた所でワンボックスカーは走り去ってしまう。
どうやら、このぼくより少し年上に見える女性がリーダーのようだ。結構キツそうな性格をしていそうだなぁ。

ぼくは何も見ていないふりをしながら、彼女達を通り過ぎようとしたところで小柄な少女に右手首を掴まれる。

「何スルーしてるんですか?そこは超驚愕するところでしょう!」

「いや、驚いてるよ。あービックリしたなー驚いたー心臓止まるかと思ったー……じゃ、満足したならぼくはこれで」

「超不愉快な切り替えしです」

振り解いてそのまま歩いていこうとしたぼくだったが、少女の手はそのまま手首をホールドしたままだった。
何この子、すげえ力強い。

「絹旗はやっぱりなめられる訳よ」

「大丈夫。そんなきぬはたを応援してる」

「フレンダと滝壷さんまでー!」

どうやらぼくの腕を掴んでいる子が絹旗で、金髪の子がフレンダ、電波ジャージの子が滝壷という名前らしい。
まあ、この状況にあまり関係の無いことだけど。

それにしても、絹旗ちゃんの能力は肉体強化系なのか?さっきから抵抗してるのにビクともしない。
まるで固められてかのように、動かない。

「悪ノリしてんじゃねぇよ。さっさとコイツぶっ殺して飯でも食いにいきてえんだからよぉ」

「麦野怖い……」

フレンダちゃんに麦野と呼ばれた女性は口元を引きつかせながら三人のやり取りに苛立っていた。うん。怖いよこの人。
もっと年相応の落ち着きを見せていれば美人だというのに、実に勿体無い。まあ強気な女性は好みではあるけれど。

「テメエもテメエで妙に落ちついてんなぁ?」

「女の子に囲まれてちょっと気分が上がってるだけだよ」

「ハッ!そりゃあ随分と余裕じゃねえか。死ぬ前に良い思い出が出来てよかったな」

「……どうしてぼくが殺されるんだ」

ぼくの質問に答えずに麦野さんは顔を思い切りぼくの顔に近づけた。フレンダちゃんがなにか叫んでいる気がするが、生憎聞き取れない。
ジッとぼくを見つめる麦野さんに「何か」と声を掛けてみると、彼女はにっこりと優しい笑みを浮かべて――ぼくの右頬を思い切り殴った。

反動で転びそうになるが、掴まれた右手のせいで倒れることはできなかった。

「伝言、聞いたんだろ?テメェは忠告であり警告を無視したから殺されるんだよ!言われただろ?余計な真似すんなってよお!!」

ヒャハハハととても上品とはいえない笑い声を上げて、麦野さんは言い放つ。
頬を押さえるぼくを見下ろしながら、見下しながら、言い放つ。
964 : ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/14(木) 01:27:10.84 ID:bKC27mNt0








「レベル5の第四位。麦野沈利率いる暗部組織『アイテム』がテメエの始末を任されたんだよ」






965 : ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/14(木) 01:29:57.49 ID:bKC27mNt0
なんか唐突ですがこれで今日は終了です。
アイテム全員出したけど、多分これから空気になっていきます。麦のんだけが深く関わるだけなので。
でもモアイは活躍させたい。

それにしてもていとくんや麦のんって扱いずらいキャラですね。勿論良い意味で。
これからしばらくは禁書キャラのターンになると思います。いーちゃんマジ語り部。
赤い人も今回は物語に参加する予定です。

>>962
全然おkですよ

>>961
甘えるな

それでは、また。
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/14(木) 01:39:52.24 ID:kQXJ/rZAO
乙!

ていとくんがカッコいい…だと…

主役じゃないていとくんは三枚目かかませとが多いけど、ここなら活躍してくれそうだ

そしてアイテムから滲み出るかませ臭……
絹旗は殺さないでくれ……
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/14(木) 01:46:04.81 ID:uFWxyGXAO

>>1はモアイちゃん殺しそうだぜ

……扱いずらい…?…づ…?
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/14(木) 01:49:37.49 ID:uFWxyGXAO
いや、どっちでもいいのか
ごめん
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 08:39:03.17 ID:CkntEhvDO
アイテム全滅フラグ……
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 08:54:02.24 ID:/pHiQS7DO
赤い人が今きたらアイテム崩壊しちゃう…でも赤い人はまだまだ来ないだろうな

971 :名無しNIPPER [sage]:2011/04/14(木) 11:12:20.52 ID:81PYoqdDO
前作では麦のんは半殺しで風車に磔、ていとくんはぬっ殺されて生き返った後磔だったからなぁ…なんかその流れを踏襲しそうだな。まぁ特に思い入れもないので別に構わんが
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 12:26:50.50 ID:XpZ9TF4IO
つくづくいーちゃんと絡むと死亡フラグにしか見えないな。
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 16:05:14.84 ID:WfSUXZcIO
美琴を殺したらうるさい奴がでてきそうなのが心配
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 16:56:58.03 ID:KBwnmrAco
         し!                             _ノ
  小 上    /                              )   上 え
  学 琴    L_                             ヽ  琴  |
  生 が    /      , - 一 - 、_          , - 一 - 、_  i  !? マ
  ま 許    /      /      .:::ヽ、       /      .:::::く    ジ
  で さ    l       /, -ー- -、 .:::://:ヽ     /, -ー- -、 .:::://ヽ
  だ れ   i        i..::/\::::::::ヽ、::|i::::::|      i..::/\::::::::ヽ、::|i:::::レ ⌒Y⌒ヽ
  よ る   l      /7  .:〉::::::::: /::|::::::|     /7  .:〉::::::::: /::|::::::|
  ね の   _ゝ    / / .:::/   .:::::|:::::::|     / / .:::/   .:::::|:::::::|
   l は  「      i /  .:::::i   :::::::|:::::::|    i /  .:::::i   :::::::|:::::::|
        ヽ    i i;::::ヽ、 ,i   .:::::::|::::::::|     i i;::::ヽ、 ,i   .:::::::|::::::::|
-┐    ,√     i `''''''''´   .::::::::|::::::::|     i `''''''''´   .::::::::|::::::::|
  レ'⌒ヽ/ !      i-=三=- 、 .:::::_人__人ノ_  i-=三=- 、 .:::::::::ゝ、ノ
人_,、ノL_,iノ!      i       .:::::「      L_i       .:::::::::::i:::|
      /     i       .:::::::ノ  モ    了      .:::::::::::::i:::|
ハ キ  {      ゝ、_ /!`h:::::::::)  ア    |   「ヽ .::::/)::/:::|
ハ ャ   ヽ    r-、‐' // / |;;;;;;く    |     > / /  //;;/::.:::!
ハ ハ    > /\\// / /ヽ_:::::!   イ    (  / / //:::::::::::::::::ヽ
ハ ハ   / /!   ヽ    レ'/ ノ        >  ' ∠  -‐  ̄ノ
       {  i l    !    / フ       /     -‐ /
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/14(木) 19:09:18.03 ID:uFWxyGXAO
>>973
このスレにゃいないだろwwww
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/14(木) 19:19:49.00 ID:kQXJ/rZAO
>>1なら外野の声なんて気にせずに平然と[ピーーー]だろうさ
むしろ逆に生き残る気がするけど
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/14(木) 19:34:47.64 ID:baju16gAO
>>974
吹き出したいちごおでん返せ
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/14(木) 19:50:48.21 ID:RR6GCV0AO
死ぬ死なない以前にこっからどう動いていくのかが
ものっそい楽しみな展開だな
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/15(金) 15:21:22.65 ID:x3GrF+kAO
誰も突っ込まないがいーちゃんより年上に見られる麦のんェ…
980 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga]:2011/04/15(金) 20:21:40.22 ID:w3uvV5S60
書き溜め無しで投下するので、かなりのんびり。
では落としていきます。
981 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/15(金) 20:22:14.17 ID:w3uvV5S60
5

原子崩し。
本来『粒子』又は『波形』のどちらかの性質を状況に応じて示す電子を、 その二つの中間である『曖昧なまま』の状態に固定し、強制的に操る。
そして操った電子を白く輝く光線として放出し、絶大なる破壊を撒き散らす。
先に言ってしまえばレベル5第四位である麦野沈利の能力で、彼女が笑顔で丁寧に教えてくれた(勿論、光線は放ちっぱなし)。

現在ぼくはそれに狙われて、逃げ惑っている。
コンクリートの壁すら貫通して襲い掛かってくる光線に『どこかに身を潜める』なんていう行動は無意味で、実際にビルの陰に隠れたぼくの髪を一房持っていってしまった。
なんというバイオレンスな散髪方法だよ。

そんなこんなで、絶賛逃走中のぼくである。

「ギャハハハハ!おらおらおらぁあああ!!逃げてんじゃねえ!避けてんじゃねぇえよぉぉぉおお!!」

そしてノリノリな麦野さんであった。

……いや、こんな冷静に解説している場合じゃないんだけど。
どうもぼくには緊張感が欠けているようだ。

「逃げるに決まってるだろ」

元から戦うという選択肢は無かったけれど、ぼくは不規則に蛇行しながらとにかく逃げることに専念した。
あんな歩く戦艦ヤマトみたいな人の相手などしていられるか。幸い精密なコントロールは出来ないようだし。
それとも、制御する気が無いのか。

仲間の三人もなんか諦めて呆れた表情を浮かべてるし。

「チラチラこっち見んなよぉ!!照れちまうじゃねぇか!!ああ!?」

嘘だ。あんな嬉しそうに顔面を歪めているのに照れている筈が無い。むしろ喜んでいる。
ご飯を食べに行きたいんじゃ無かったのかよ。あの時もらったドリンクバーの割引券の余りをあげるから仲良く皆でファミレスにでも行ってほしい。

「全く、麦野はテンション上げすぎです。これは超仕事なんですが」

「同感だね……って、え?」
982 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/15(金) 20:45:47.97 ID:w3uvV5S60

「窒素ぱーんち!」

さっきまで麦野さんの隣に居たはずの絹旗ちゃんが突如ぼくの隣に現れ、殴りかかってきた。
ぎりぎりで避ける事が出来たのだが、絹旗ちゃんの拳は勢いあまってアスファルトを殴りつけ、そのまま粉砕する。

「…………」

これは力が強いとかそんなレベルじゃない。だってクレーターできてるし、殴った本人は全然痛そうじゃないし。
武威みてぇ。

「なんで避けるんですか!」

「そりゃあ避けるだろう」

この子は一体何を言っているのだろうか。あんなパンチを食らったら頭蓋骨どころか頭が砕け散ってしまう。
並走しながらそんな言葉を交わしている間にも原子崩しは飛び交っている。彼女は仲間が近くに居るというのに、関係ないのだろうか。
それにしても多勢に無勢過ぎるし、こちらは能力どころか武器すら持っていない。逃げ腰だし、丸腰だ。

「警備員も風紀委員も何してるんだよ……」

やっぱり彼らは有能ではない。今こうして一般人が派手に命を狙われているというのにどうして駆けつけて来ないんだろう。
きっと飾利ちゃんだったら直ぐにぼくの位置を感知して、黒子ちゃんが空間移動で駆けつけるだろうに。
叶わぬ戯言だけど。

「派手に騒ぎすぎましたからね。もうすぐ超到着するでしょう」

帝督くんもそうだったけど、もう少し大人しく登場してもいいんじゃないだろうか。
この場合は助かるんだけどさ。

「やっぱりファーストインパクトが超大事ですからね」

「それは暗部としてどうなんだ……」

全く暗くない。むしろ明るすぎて眩しい位だ。

「それで、警備員が来るまで逃げ切れれば君たちは帰ってくれるのかな?」

「ええ、帰りますよ。逃げ切れればですが」
983 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/15(金) 21:04:00.49 ID:w3uvV5S60
そう言いながら再び殴りかかってくる絹旗ちゃん。
今度は頭部ではなく稼動面積の少ない脇腹を狙われ、避けきれずに直撃する。

「――っが!」

大きな衝撃の後、体が宙を舞い対向車線の向こう側まで吹き飛ばされ、そのままビルの壁に背中を打ち付ける。
ずるずると地面に倒れこみ、そこで背中への痛みと、殴られた腹部の痛みをようやく感じる。

「ぁ……ぁあ……」

叫びを上げることも出来ず、情けない声が漏れる。同時、肺の空気が全て抜ける。酸素をとろうと思い切り息を吸う。が、上手く吸い込めない。
酸素が脳に回らない。立ち上がろうとするも膝が笑ってしまい適わない。視界が霞む。耳鳴りがひどい。

「――――!――」

「――。――」

数人、近づいてくるのが辛うじて分かる。きっとアイテムの連中だろう。
朦朧とする意識の中で四人の人影だけは確認できた。

「――」

「っぐがぁあ!!」

激痛。
脇腹に感じた痛みで無理やり意識が戻される。視界に入ったニヤけている麦野さんを見て蹴られたのだと理解する。
この女、どこまで人を痛めつけるのが好きなんだよ。

「なぁに勝手に眠ろうとしてるんだにゃーん?」

「やっぱり麦野は超ドSですね」

「見せ場が無かった訳よ……」

「わたしも……」
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/15(金) 21:25:44.74 ID:CURseqfAO
恒例のフルボッコ
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 21:34:39.42 ID:c/8EeBzUo
いーちゃんをフルボッコにするとかやばいぞ
死亡フラグが
986 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/15(金) 21:56:23.50 ID:w3uvV5S60
「大人しく貫かれてりゃあ、こんな思いせずにスパっとグチャっと上半身と下半身をお別れさしてジオングみてぇにしてやったのによお!」

「……あいにく、ガ、ンダムには詳しく、無くてね……」

生身では足のことを指して「あんなの飾りです」とは言えまい。

「そんなことを言って、結局元ネタ知ってるって訳よ」

「さっさと任務完了してガンダム鑑賞会の続きを超しましょうよ」

「そうねぇ……って滝壷はなんでボーっとしてんのよ」

「真上から信号がきてる……」

人の生死を握っているというのにのんびりとそんな会話をしていた彼女達だが、ジャージの少女、滝壷ちゃんの言葉に首を傾げる。
そしていち早く《乱入者》に気がついた麦野さんが「テメェら!ここから離れろ!」と叫ぶと同時に上空に向け原子崩しを放つ。
それは攻撃というよりも、むしろ防御であり、同時にそこから漏れた衝撃が麦野さんの衣服を切り裂く。

「ざぁんねん。ラッキースケベとはいかんかったか」

その直後、一人の少年が残念そうな言葉と共に垂直に落下してきた。勢い的に地面に叩きつけられ即死するほどの勢いだったが、激突寸前で勢いが死にふわりと無事に降り立った。
少年の顔を見て驚愕する麦野さんを除くアイテムの面々。
「仕事の邪魔すんじゃねえよ」と不機嫌そうに顔をしかめる麦野さんに対し、少年は「ご生憎様。これもボクの仕事やからね」と笑いながら返す。

「麦野、この超KYな男って……」

「アンタは下がってなさい。相性が悪すぎるわ」

一度ぼく達から距離を置いた絹旗ちゃんが駆け寄ってくるのを麦野さんは制止する。
その言葉に絹旗ちゃんは肉体強化の能力者ではないことを悟った。

「別にボクは四対一でもかまわんで」

「テメエごとき私一人で十分なんだよ、第六位」
987 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/15(金) 22:13:49.17 ID:w3uvV5S60
「今回ボクぁ第六位として来たんやないから、その呼び方は適切や無いなぁ」

第六位と呼ばれた少年はその髪を風に揺らしながら――その青い髪を風で揺らしながら言う。

「かと言って零崎を始めるわけにもいかんしなぁ……そもそもボクもう零崎やないし」

「テメエ何言って――」

麦野さんの声はそこで途切れる。いや届かなかったと言った方が正しいだろう。

「君の周りを真空にした――息したかったらちょいと黙っとってなぁ。君もボクと争いたくないやろ?ボクもやねん」

音は空気の振動で伝わる。それじゃあその空気が無くなれば?当然、音が届くはずも無い。
麦野さんは自分が何をされたのかを理解し、黙って頷き舌打ちをする。舌打ちの音が聞こえたということは、彼が能力を解除したのだろう。

「うん。これが一番しっくりくるなぁ」と満足げに頷いて少年はくるりとぼくに向き直る。
耳につけたピアスがキラリと光る。

「いーさん。いーさん。助けて欲しいん?」

「……別に」

ぼくの返答に少年は「可愛くないなー」とシニカルに笑った。
その笑顔はぼくが見慣れた哀川さんのそれと、よく似ている。

――まあ弟子みたいなもんだったよ、アイツは。

哀川さんの台詞を、思い出す。人類最強の請負人の言葉を、思い出す。
請負人の弟子ということは、そういうことで。
だから、彼は、そういうことで。

「じゃ、サポートしたるわ。このヤマ超えるまで」

「それなら、拒む気はしないかな」

そして赤い請負人の弟子は一層笑みを深くして、一言だけ言い放つ。

「その依頼。ボクが請け負った」

どうやら。
学園都市レベル5の第六位でありながら零崎かつ暗部所属というただの高校のクラスメイトは、請負人でもあったようだ。
988 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/15(金) 22:23:00.82 ID:w3uvV5S60
という訳で、終了。ていとくん、麦のんに続き脈略も無く青髪さん登場。
唐突過ぎたかなぁ?

あ、次スレも建てたので次からはこっちで。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1302873665/

スレタイに2って付けるの忘れてたorz
シニタイ。

残りは質問、感想書いてくれると嬉しいです。なるべく答えます。
では、もう少しこの作品にお付き合いください。
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/04/15(金) 22:34:02.60 ID:0X36WSdho
乙っす!!

やっぱ楽しいわ
これからものんびり頑張ってくれ
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 22:35:00.21 ID:c/8EeBzUo

刃牙ソースなんだが、酸素濃度が6%を下回る状態で呼吸すると意識を失うだのなんだの
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/15(金) 22:41:44.74 ID:CURseqfAO
青ピイケメンだな
>>1はなんでこんなに青ピ好きなん?

>>990
そりゃ濃度だからだろ
水のなかでもある程度平気だろ?
992 :1 ◆d.DwwZfFCo [saga sage]:2011/04/15(金) 22:45:19.26 ID:w3uvV5S60
>>990
完全に真空=息できない程度に考えてましたorz
確か昔ジャンプでこんなシーンを見た気がするので全く気にして無かったです。

>>991
なんでもないキャラを好きになる傾向があります。青ピしかり天井くンしかり。
それと、設定が細かくない分オリキャラ的な意味で動かしやすいですからねー。
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/15(金) 22:48:29.46 ID:7pBACm+0o
似たような能力で言えば黒猫の空気使いだな
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/15(金) 22:59:18.61 ID:x3GrF+kAO
乙!
通り魔編の初春が犯人だっていう伏線って作中で言われた以外に何かある?
初春が佐天さんに言った「余計な亊を言うな」って台詞が改めて見ると凄く怖い
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/15(金) 23:02:17.47 ID:zzDCNG9/o
完全な真空=気圧差でパンク死
真空に触れる=真空波(かまいたち)で切れる

確かこうなるかと
↓は参考に

酸素濃度メモ
・21%
通常、空気中の酸素濃度

・18%
頭痛など 安全の限界=連続換気が必要

・16〜14%
脈拍、呼吸数の増加、頭痛、吐き気 細かい筋肉作業がうまくいかない
精神集中に努力がいる

・12%
めまい、吐き気、 筋力低下 判断がにぶる
墜落につながる

・10%
顔面蒼白、意識不明、嘔吐、気管閉塞で窒息死

・8%
失神昏倒、7〜8分以内に死亡

・6%
瞬時に昏倒、呼吸停止6分で死亡
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/15(金) 23:04:56.84 ID:qSxoxcOso

いーちゃん以外の戯言キャラはあんまり出てこないのね
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/04/15(金) 23:04:57.57 ID:r5YqnpDbo
>>1
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/15(金) 23:18:42.96 ID:MFUc4ByAO
乙!

青ピの設定欲張り過ぎワロス
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 23:23:25.44 ID:E5EiyIODO
乙!
2スレも期待しています!
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/15(金) 23:29:36.16 ID:T6HKnh79o
1000!
1001 :1001 :Over 1000 Thread
 達 じ   |                           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
 者 ゃ   l                     | ・ な 会 多
 で あ  /                          | ・ い う. 分
 な    く      ,.'"´ ̄ ̄``丶.        | ・ と. こ 皆
___/ヽ)     /           ゙、.       ! ・ お と に
           /             ',       | ・ も が は
          ノ      _    __   !     |    う   も
         ,レ^ヽ  ∠:::::::.\ ヽ・ ヽ |     |       う
         / ,ヘ   ⌒`ト、:::.ヽ  ̄  |   _ノ           |
          l い    _,,,L・`ヽ:ル ノィノ     ̄\_____/
         ヽ       ー─-  ‘ー1
          >‐‐'.        、__,ゝ ,′
         /     ',       `二' /
          /     `丶、     /
        ノ           ``ーr‐'゙
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    厂 ー──'''"´ ̄ ,  ニ二二ニヽ\
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絹旗「とある魔法の淫書目録!」浜面「18禁じゃねぇか!」 @ 2011/04/15(金) 23:15:35.88 ID:OhbhEeYno
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ここだけ全員焼肉店(むせる) 393店舗目 @ 2011/04/15(金) 22:35:35.61 ID:Kk2MZMTLP
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ザレゴトマジカル〜戯言遣いと幻想殺し @ 2011/04/15(金) 22:21:06.03 ID:w3uvV5S60
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【避難所】VIPSPo2∞ファンタシースターポータブル2インフィニティ @ 2011/04/15(金) 22:05:20.56 ID:IpI11CE6o
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おまいら一日中何してんの? @ 2011/04/15(金) 22:01:54.31
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助けてくれ @ 2011/04/15(金) 21:45:34.92 ID:aHUnGIS50
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けいおんSS 百合雑談スレ part4 @ 2011/04/15(金) 20:58:13.57 ID:Qk1Nn3Tbo
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人類は麺類 @ 2011/04/15(金) 19:48:15.29 ID:bXcKMvnUo
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