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草加×マギカ - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 14:52:10.21 ID:6+BUdz9c0
まどか×マギカと仮面ライダーのクロスSSです

両作品とも原作改変、設定、キャラ崩壊しているパラレル物です
このSSには残酷な描写が含んでいます
投稿ペースは遅めですがマイペースで書いていきたいです
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(安価&コンマ)鉄血に狼の男が(機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ) part2 @ 2025/06/22(日) 22:47:53.63 ID:xiq+pvxz0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1750600073/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:08:31.92 ID:A9RjOWcxo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421311/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:07:56.06 ID:9l741hD4o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421275/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:07:18.78 ID:XCIH42NJo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421238/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:06:42.32 ID:sMr/Yf+to
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421202/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:06:05.72 ID:A9RjOWcxo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421165/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:05:29.13 ID:9l741hD4o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421128/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:04:47.30 ID:XCIH42NJo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421087/

2 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 14:53:13.47 ID:6+BUdz9c0
夕方頃、不気味な笑みを浮かべた男はあるCDショップに立っていた。
その男の名は草加雅人
彼は偶然を装い、ある女子中学生を待っているのだ。

草加が待ち続けているとCDショップの入口から二人の女子が入ると草加の邪悪な笑みが深みを増す。
ピンク髪でツインテールをした少女、鹿目まどかを待っていたのだ。
ついでに言えばその隣にいる青髪でショートの少女である美樹さやかは
草加にとってどうでもよい存在である、むしろ邪魔と言ってもよいだろう

「やあ、まどかちゃん お買い物かい?奇遇だね」
「こんにちは、草加さんもですか?」

ドス黒い内面性を完全に隠し爽やかな好青年の表情を見せる草加にまどかも笑顔で挨拶を交わす。
まどかとは近所に住む気の良い大学生として両親にも好印象でとてもよく馴染んでいる。

(このまま順調に行けばまどかは俺の物になるだろう)

「まどかちゃん、勉強は順調かな?もし分からない所が有ればいつでも教えてあげるよ」
「いえいえ……そんなご迷惑、……!?草加さんすいません!さやかちゃんは先に帰ってて!」
「え?ちょっとまどかぁ!?」

突然、店から出て走り出すまどか
その必死な表情に何か様子がおかしいと感じた草加は後を追う事にした。
3 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 14:54:05.96 ID:6+BUdz9c0
まどかの後を追う草加
端から見ればストーカーとストーカーから逃げる女子中学生の構図である。
立ち入り禁止にされている一通りの無い裏道の奥で何か変な生き物を抱き抱えてるまどかを発見した。

「草加さん!見てこの子酷い怪我をしてる……」
「たしかに、早めに手当てをした方がいいね」

こんな不気味な生き物はどうでもいいがまどかの好感度を上げる為に心配する振りをする。

「そいつから離れて」

黒髪の少女が現れ二人の元へと向かってくる。

「駄目だよ!ひどいことしないで!」
「君は誰なのかな?」
「貴方には関係の無い話よ、下がりなさい」
「よくないな……その態度は……」

草加がまどかの前まで歩き、立ち塞がるように黒髪の少女を見下ろす。

「あの娘が嫌がっているじゃないか、これ以上しつこく付きまとうなら俺が相手になるけど…」

黒髪の少女は無表情のまま左手に付いてる盾に触れた所で
白い煙が黒髪の少女に吹き掛けられ怯んだ。

「まどか、こっち!」

声のした方向には消火器を持ったさやかがいた。

(こんな奴でも少しは役に立つんだな、三原よりは度胸があるな)

と草加が珍しくさやかを評価したのだった。
4 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 14:55:01.61 ID:6+BUdz9c0
「なによあいつ!今度はコスプレし通り魔かよ!」
「知り合いなのか?」
「う……うん、今日私達のクラスに転校してきた人なの…」
「……そうか」

(よく状況は掴めないが俺やまどかの邪魔になるなら排除するだけだ)

「あ…あれ?非常口は!?」

さやかが叫ぶ
三人は走っている内に知らず知らず不気味な空間に迷い込んでいたのだ。
そこで異形の怪物が姿を表す。

(こいつらはオルフェノクじゃない…噂に聞く未確認生命体か?全て片付けたと聞いたが)

考えていても仕方がない。
まどかには知らせずに済みたかったが目の前の敵は排除しなければ守る事が出来ない。

草加が携帯を取り出し数字を入力すると電子音声が流れ

「変身!」

言葉と共に携帯を腰に付けられたベルトに装着すると草加の体が黄色い光に包まれ
草加の姿が仮面ライダーカイザへと変化した。

「く……草加さん?」「まどか……君を驚かせる事になって済まない、だけど君を騙すつもりは無かった
 そうだ、この戦いが終わったら一緒にAGITOに食事に行こう 俺の驕りだ」
「……それって死亡フラグだよ」

異形の怪物達が一斉にカイザに襲い掛かる

「君は邪魔なんだよ」

振り向き様に怪物を数体切り裂き、二丁の銃で次々と敵を撃ち抜き道が開けた隙に
一際大きな怪物の元まで走り飛ぶと足から黄色いエネルギー体を放出し動きを封じると

「でぃぃぃやぁぁああああ!!!」

両足を前に出しドロップキックの形でエネルギー体の中に入り怪物を貫く。

「フッフッフッフ……」

異形の怪物を圧倒的強さで一方的に葬る勝利者の余韻を楽しむように笑いながら
残る小さな怪物を一体一体止めを刺していく。

「草加さん後ろ!」
「ん?」

ゴルドスマッシュを受けて消滅寸前の怪物が最後の気力を振り絞りカイザの背後に迫っていた。
全く気付いていなかったカイザは即座に反応が出来ず怪物が攻撃を仕掛けたその時

「ティロ・フィナーレ!」

轟音と共に怪物の体に大穴が空き粉々に破壊された。

「危ない所だったわね、でももう大丈夫」

声のした方を振り返るとまどかとさやかより少し年上なのかと思わせる大人びた少女が立っていた。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/02(土) 14:56:43.15 ID:pU7Fx+oAO
おい草加はやめろwww
6 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 14:58:14.06 ID:6+BUdz9c0
黄色い衣装に身を包んだ謎の少女の介入により怪物は滅ぼされ不気味な空間が消失していった。

「暁美さん?」

いつの間にか近くまで来ていた転校生、暁美ほむらはまどかを見下ろす。

「魔女は「また君か、子供はそろそろ帰った方がいいんじゃないかな?」

黄色い服の少女の台詞を遮るように草加が鋭い視線を向けながらほむらに言葉をぶつける。

「私は用があるのは」
「分からないのかな?これ以上付きまとうなら容赦はしないと言ってるんだけど」

敵意を押し殺したような低い声でほむらを脅すように語りかける草加

「俺も君みたいな子供を傷付けるような真似はしたくない、ここは手を引いてほしいな」
まどかに近づく怪しげな存在に敵意を抱く草加
草加の言葉を聞いて沈黙するほむら
貴重な台詞を取られ落ち込む少女
険悪な空気に緊張し、ただ見ているしか出来ないまどかとさやか
傷だらけのまま放置されてるマスコット

そんな膠着状態が続いたがほむらは諦めたのか、その場から立ち去ると

「もう大丈夫だよ、まどかちゃん」

草加は爽やかな作り笑顔を見せてまどかの元へと向かう。

「どうもありがとう!僕の名前はキュウべぇ!」

ニコッと口を動かさないまま満面の笑みで喋る不思議な生き物、凄く不気味だ。

「あなたが私を呼んだの?」
「そうだよ 鹿目まどか、それと美樹さやか」
「なんで私達の名前を?」

(あのガキも怪しかったがこの淫獣もそれ以上に怪しいな、人外は信用出来ないのばかりだからな)

草加はキュウべぇに不信感を抱いている様子
「そうだ二人にお願いがあるんだ」

この後に続く台詞から草加はキュウべぇに対して不信感から敵意へと変わって行くのだった。

「まどか さやか、僕と契約して魔法少女になってほしいんだ!」

この出会いから魔法少女と仮面ライダーとの凄惨な殺し合いが始まるとは
今はまだ誰も予想していなかった。
7 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 14:59:26.31 ID:6+BUdz9c0
その後もキュゥべぇが催促を続く草加の怒りのボルテージが徐々に上がりつつあったので
マミの発案の元、草加も同伴のみ『魔法少女体験コース』を二人に経験してもらい
自己判断で魔法少女になるかを決める事で両者を納得させるのだった。

夜の帰り道
最近は行方不明者も多く物騒なので草加が二人を家まで送る事になった。

「二人とも魔法少女になるのはやめておいた方がいい
 悪の怪人と戦った俺には判る、善良な人間を言葉巧みに騙して裏切る奴だっているんだ」

草加は語りかける。
かつて知り合いに人間との共存を望んだ怪人がいた事を
だがそれは相手を騙す為の嘘で社長になり地位を得た途端に人間を裏切り
恋人を人質に取るという卑劣な罠を仕掛け人間を殺害した事を
だから怪人は決して信用してはならない、奴等は平然と騙し裏切るからと

「草加さん…そんな辛い事が……」
「大変だったんスね…草加さん…」

二人は草加の話を信じたようで心を打たれていた。

「じゃあまた明日ね」
家の近くまで送った所で草加は二人と別れる。

「草加さんは凄いな〜これこそ正義の味方だよねー」

さやかはライダーに変身して魔女と戦った草加に惹かれすっかり信用しきったようだ。

「私達が魔法少女になるのを本気で反対してたのだって
 きっと危険な目に会わせたくなったからだと思うのよ〜」
「う……うん、やっぱりそうだよね」
「そうだ!まどかは草加さんと付き合っちゃいなよ!彼は独り身だから今がチャンスだよ」
「え?ええー!?そんなの無理だよ!私なんか頭もよくないし運動苦手だし全然釣り合わないよ
 さやかちゃんこそ仮面ライダーに憧れてるんだしお似合いなんじゃないかなぁ」
「嫌だなぁ、私のはあくまで憧れで、それに……う君がいるし……」
「え?」
「いやいやいや!何でもないって!」

そんな女子らしいほのぼのムードを漂わせてた頃、草加は
8 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:00:15.00 ID:6+BUdz9c0
キィィィン キィィィン

耳障りな音がした方向へ振り返るとガラスに写る男の姿があった。

草加が後ろを振り向くがガラスが写っていた場所には誰もいない。

「俺と契約しろ」

ガラスに写る男が話しかけてくる
幽霊か鏡の中の世界の住人か
そんなメルヘンやファンタジーじゃ…魔法少女と喋るマスコットがいるから不思議じゃないか。

「魔法少女になれ…とでも言うのかな?」
「そんな趣味があるのか?仮面ライダーになれと言っているのだ」
「……必要無いな」
「お前の大切な少女を守るにはお前の持つライダーの力だけでは不足している」
「どういう意味だ?」
「いずれ分かる、力が必要になった時にまた来よう」

その言葉を最後に男はガラスの中から消えた。

(今日はおかしな事ばかり起きるな、だが誰が立ち塞がろうとも、まどかは渡さない)

数々の奇妙な現象を目の当たりにした所で草加の野心は消えない。
草加は録画したAチャンネルを早くチェックするべく急いで自宅へと帰った。
9 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:05:25.74 ID:6+BUdz9c0
次の日の放課後

まどか、さやか、マミ、草加の四人はレストランAGITOに集合した。

余談だがこのお店のオーナーシェフは年齢こそ若いが料理の腕は本物で
しかも陽気な笑顔と人懐っこい人柄でマダムのハートを鷲掴みにし
地元の名スポットとして雑誌にも紹介される程である。

「それじゃ、魔法少女体験コース第一段、張り切って行ってみましょうか 準備はいい?」
「準備になってるかどうかわからないけど」

マミの発言を聞いて、さやかは待ってました!と言わんばかりに袋から物を取り出した。

「持ってきましたー!」

それは金属バットだった。
さやかが掲げるように持っていたので他の客に注目されて草加は内心イラついた。
気を静めようとコーヒーを口に含んで一息付く。
コーヒーに関しても普通に美味しく、とても満足出来る味である。

「所でさ、まどかは何か持ってきた?」
「…えっと、私は……」

まどかが出したのは変身した自分の衣装を事細かく描いたノートである。
一言で言えば黒歴史ノートだ。

「とりあえず衣装だけでも考えておこうと思って…」
「ま、まあ外見は大事だよね」

フォローしながら草加は改めて思う。
こんな茶目っ気もあるまどかは可愛いと。


「この辺りにはいないわね」

魔女探しへと向かった一行だったが都合良く魔女がすぐ見つからないので
具体的にどんな場所に魔女が現れやすいのかマミが語りながら地道に探していた。
そうしている内にソウルジェムに反応が起きる。

「かなり強い魔翌力の波動ね、近いかも…」

戦闘経験豊富な草加を除いて二人に緊張が走る。

「間違いない、ここよ」

着いた先は廃ビルだった。
マミを先頭に中へと入っていくと辺りが犬カレー空間へと変貌していった。

「こ…これは!」
10 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:06:20.36 ID:6+BUdz9c0
辺り一面には沢山の水槽が横並び
中にはもずくのような海藻入りの液体に浸かった人間が入っている。

「こいつらは?」
「魔女に捕まった人達ね、早く助けないと命が危ないわ」

草加の質問にマミが答えると水槽から人間を引っ張り出す。

「あのもずくから生命エネルギーを吸いとられているわ!皆も水槽から出してあげて!」
「わかったマミさん!う〜ん…よいっしょ!」
「さて、こんな所かな」

水槽に入っていた人間を全員救出し、この先へ進もうとすると。

「………エース……」
「ニゴリ……エース……」

助けた人間達が虚ろな目で四人を見て呟く。

「ニゴリエースハオレノモノダ!」

訳のわからない言語を叫びながら突然、草加の胸元に掴みかかる。
常人とは思えない力だ。

「くっ……どけぇッ!!」
「ウワアアアアアアア!!」

草加がみぞおちに蹴りを放ち、相手は恐怖に顔を歪ませながら吹き飛ばされる。

「草加さん!大丈夫ですか?」
「ああ……」
「草加さん、彼らは魔女に操られているだけなの!だから手を出さないで!」
「じゃあどうすれば?」
「とにかく魔女を見つけ出して倒すのよ!だから走って!」
「ニゴリエースハオレノモノダー!」

マミは黄色いテープを構築し、背後から追ってこないように道を遮る。

「この先に魔女がいるわ!」

魔女の波動が一番大きい部屋を見つけ扉を開けると
中は今までより広々としており、その空間の真ん中で巨大な生物が見下ろしていた。

全身が青く孔雀を模したような羽根を広げ、もずくのような触手が多数蠢いてかなりグロテスクな容姿だ。
11 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:07:19.43 ID:6+BUdz9c0
「こんなのと戦うんですか?」

まどかは不安そうな視線でマミを見つめる。

「大丈夫、負けないから」

マミは余裕の表情を崩さない。

「俺もいるさ……変身!」

草加がまどかを安心させようと肩に手を乗せるセクハラ行為をした後にカイザに変身した。

マミの身体からマスケット銃が次々と生えるように出現し一発ずつ魔女に撃ち込む。
カイザも手数は劣る物の二丁の武器を構え連射して支援する。

「グォオオオオオ!!」

魔女の雄叫びと共に身体から青い球体が複数発射されマミに向かって降り注ぎ爆発を起こす。

「マミさん!」
「心配しないで♪」

上に飛ぶ事で直撃を避けたマミは空中でマスケット銃を構築し数発撃ち放つ。

「グォォォォ……」

空中で自由の利かないマミにもずくのような触手が絡みつく。

「しまっ……」
「でやぁ!」

カイザが触手を切り落としマミの拘束を解く。

「ありがとう、助かったわ」
「……フン」
「じゃあ、そろそろ決めようかしら」

マミが巨大な銃を構築し目標に向け狙いを定める。
その動作に大技が来ると気付いた魔女が警戒しマミに攻撃を放とうと構える。

「フッ……」

魔女のマークから外れたカイザは魔女の愚行を嘲笑うようにブレイガンから光線を放つ。

「グォ!?」
「ティロ・フィナーレ!」

光線が黄色い網状に変化し拘束された魔女は身動き取れないまま直撃を受ける。

「はあッ!」

さらに追撃のカイザスラッシュを受け魔女は消滅。
犬カレー空間も消えていった。

「やったあ!」
「す…すごい……」

まどかとさやかは初タッグとは思えない程の連携プレーを目の当たりにして感激していた。
12 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:08:11.63 ID:6+BUdz9c0
「これは一体何かな?」

魔女が消滅する際に落とした玉をカイザが拾い上げる。

「これはグリーフシード、魔女の卵よ」

マミが説明するには魔法少女が魔翌力を維持するのに必要な物らしい。

「ならそれは君が持っていた方が都合がいい」
「うふふ……ありがとう」

草加が持っていても何の役に立ちそうにも無いのでマミに渡す。

「じゃあ今日はこれで帰りましょうか」
「いやあ、もうくたくただよ〜」
「帰りは俺が送って…」

草加がふと薄汚れた鏡に目をやると蟹のような姿の怪物が写っていた。

(なにかヤバい)

草加がそう悟った瞬間。

「キシャアアア!!」「危ない!」

咄嗟に走った草加がまどかを抱き寄せ、鏡から飛び出した蟹型モンスターの攻撃を回避した。

スタスタスタ……
その攻撃が合図のように足音が近付き、ついにその姿を現した。

それは鏡から襲ってきた、モンスター同様の金色のボディ。
蟹を模したデザインの仮面ライダーだった。

「………………」

無言のままデッキからカードを取り出す蟹のライダー
ライダーバトルは既に始まっていた。
13 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:09:48.61 ID:6+BUdz9c0
「貴様ァ……」

草加の憎しみを込めた視線を蟹ライダーに向ける。
マミ、さやかならともかくまどかに危害を加えた事には絶対に許せなかった。

「変身!」

絶対に殺してやる。
カイザへと姿を変えた草加は殺意全開で蟹ライダーへと駆けた。

『ストライクベント』

蟹ライダーはカードをバイザーに差し込みセットするとバイザーから電子音声が流れ
ハサミ型の武器が出現し蟹ライダーの右腕に装着した。

ガキィィンッ!

カイザブレイガンとシザースピンチが衝突し火花をあげる。

「草加さん!」

マミがマスケット銃を構築し蟹ライダーに撃ち続ける。

「………………」

怯んだ蟹ライダーは無言のまま鏡の中へ入り姿を消した。

(クソッ……逃がしたか!)

敵ライダーを殺害出来ずイラついたカイザは舌打ちしながら変身を解いた。

「皆、大丈夫か?」

変身を解いた草加の表情は普段の作り笑顔に戻っていた。

「は…はい!大丈夫です!」
「マミさんと草加さんは最高です!」
「……あのライダーは一体何者なのかしら?」

魔女や魔法少女とは別の異質の存在。
鏡の中から出入りする謎のライダーをマミは知らない。

「それはよく分からないが早くここを出た方がいいだろう」

次に何処で襲われるか分からない。
一行は廃ビルから離れる為に移動した。

「ちょっとお聞きしたい事があるんですが」

廃ビルから出た入口の辺りで刑事手帳を見せた男に話しかけられる。

「この辺りで爆発音が響いていると通報がありまして……」

男の名は須藤雅史という刑事で、通報を聞き現場まで駆けつけてきたらしい。

「所で君達はどうしてこんな人気の無い所に?」
「そ……それは……」

須藤の質問に対して言葉が詰まる三人の少女達。
14 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:10:24.05 ID:6+BUdz9c0
「俺達もその爆発音が聞こえたのでこのビル内に入ったのですが、人が倒れているのを発見したので救急車を呼ぼうと…」

堂々とした態度で迷い無く話を続ける草加さん、演技はお手の物である。

「何、人が倒れている?すぐ救急車を呼びましょう!今夜はもう遅い、事情聴衆は後日改めてという形で」

須藤が急ぎ救急車を呼ばせ魔女の被害者達は全員無事に保護された。
ごく一部だがパズルのピースを飲み込んだり恐怖心が抜けず怯え続ける後遺症持ちもいたが時間が解決してくれるだろう。

魔法少女体験コース一行の四人は再び連絡を取れるよう名前と住所と連絡先を須藤に伝え解散した。


次の日も魔法少女体験コースの続きということで町内パトロールを行っていた。

「ぐぎゃああああああ!!」

攻撃を受け爆散する魔女
マミとカイザの連携プレーの前では相手が魔女も敵無しである。

「二人とも流石っス!」

舎弟オーラ全開で二人を讃えるさやか

「なんというか、草加さんは周りに合わせて上手く立ち回ってる感じですよね〜」
「そうね、草加さんと一緒だと私も凄い戦いやすくて助かってるわ」

今までの草加の戦いを見てきて少女達は一つ分かった
それは戦闘に関しては仲間との協調性が高いことだ。

「たった一人で全てを背負い戦うのも正義のヒーローとしては立派だけど
 一人で出来る事は限られているし同じ意思を持つ仲間達の力を伸ばすように戦うのも大事なんだよ」

草加の本性を知れば気持ち悪いと言いたくなる臭い台詞を吐く。
利用出来る者は例え憎くても最大限に利用するのが草加の性分であり
それがどこぞのトランプライダーのように味方を妨害せずに連携を取れる大きな要因なのだが

「か、かっこいいです!草加さんは凄いな〜憧れちゃうな〜」

さやかは尊敬の眼差しで草加を見つめている。

「だから巴君も辛い時は遠慮無く俺に頼るといい、君は一人じゃない 俺達がついているからね」
「一人……じゃない……? そうね、ありがとう♪」

マミはそんな草加の言葉を聞いて安心したようにニコリと笑った。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/02(土) 15:10:37.76 ID:SHp+5zXo0
まどか×特撮スレからこっちに来たのかwwww
支援
16 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:11:44.55 ID:6+BUdz9c0
暗くなってきたので今日はこれでお開きとする。
警戒していたが今日は昨日襲ってきた蟹のライダーは出現する事は無かった。


「君は一人じゃない……か」

三人と別れたマミは草加がかけてくれた言葉を思い出しながら歩く。
今まで一人孤独で戦ってきたマミにとってとても心地よい言葉なのだ。

「巴 マミさん」
「昨日の刑事さん?」

背後から須藤刑事に名を呼ばれマミが振り返る。

「実は一つ、貴女に用があって来たんですよ」
「私に?」
「ええ…貴女の体が欲しくてね」

キイイイイン キイイイイン

「シャアアアアア!!」
「いや…」

ビルのガラスからボルキャンサーが出現しマミが短い悲鳴と共に鏡の中へと連れ去られる。

「もっとも体を欲しがっているのは私ではありませんが」

既に言葉の届かない鏡の向こうへと連れ去られたマミにそう一言告げる。
須藤がガラスにデッキを向けるとベルトが腰に装着される。

「変身!」

その言葉の後にデッキをベルトにセットすると昨日の廃ビルで襲い掛かった蟹のライダーである。
仮面ライダーシザースへと姿を変え鏡の中の世界へと移動した。

同時刻

「大変だ!マミが昨日のライダーに襲われて危険なんだ!」

草加、まどか、さやかの三人にキュゥべぇは無表情でマミのピンチを伝えていた。


「くっ……この!」

マミはすぐにマスケット銃を生み出しボルキャンサーに放つ、その隙にボルキャンサーから距離を取った。

「そろそろ観念したらどうです?」

シザースがゆっくりとマミに近付いてくる。

「なぜ刑事さんがこんな事を?」
「私のモンスターを強くする為ですよ、先ほどは不覚を取りましたが今回はそうはいきません
 この『ミラーワールド』なら私が有利!それに今は貴女一人が相手です」

シザースは待っていたのだ、自分が有利に戦える状況に持ち込むのを
魔法少女の魔翌力を取り込めば更に強くなれる!
魔女や魔法少女は一般人を食わせるよりも遥かに効率よく強化が出来る便利な存在なのだ。
17 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:12:14.93 ID:6+BUdz9c0
「……君の目的は一体何なのかな?」
「え!?」

シザースが驚き振り返る。
そこにはもう一人のライダーが立っていた。

時間をちょっとタイムベントして
ガラスに写るミラーワールドの中でマミがモンスターに襲われているのを発見した三人だったが
助けに行く手段が無くまどかとさやかは困惑するのみだった。

「はやくマミさんを助けないと」
「こうなったらこのバットで」
「それが君の願いかい?」

キュゥべぇがまた営業を始めた。

「君が望むなら叶えてあげられるよ」
「よせッ!」

草加が止めに入る、だが優しいまどかの事だ。
このままではマミを助ける為に契約する可能性が高い。
自分が戦えればそれでいい、だが鏡の中に入る方法などは分からないのだ。

(……なんだ?)

考え込んでいる草加は何者かの視線を感じ振り返ると
前に出会ったガラスの男が見つめていた。

「……あの娘を助けたいか?……契約して仮面ライダーになれば鏡の中の世界へ入れるようになる……」

男は草加にだけ聞こえるよう低く静かに語りかける。

「……貴様は誰だ?」
「……そんな事はどうでもいい……お前の大切な女が魔法少女になってもいいと言うなら好きにしろ……」

草加にとって目の前にいる男はとても信用出来そうに無い。
だが愛する者を死地に向かわせるのは阻止しなければならない。

「……良いだろう、俺がまどかの分まで背負って戦う!」
「……ではこれを使って変身しろ……」

そうして男は草加にデッキを託したのだった。

「君達二人が契約する必要は無い」
「僕と契約して、もぎゅ?」
「え?草加さん」
「でもあの中には……」
「心配するな」

草加はキュゥべぇを踏みつけながらデッキをガラスに向け変身したのだった。
18 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:12:51.06 ID:6+BUdz9c0
そして今に至る。

「目的ですか?私はライダーの頂点を極めたいんですよ!」

ククク、と笑いながら夢を話す若者のように熱く語る。

「仮面の力を手にしたら何でも出来るのですよ!」

須藤はライダーになり顔を覆い隠す事で逆に本性を剥き出しにされていった。
己の欲望のまま戦い続けるその姿はまるで本能のままに襲いかかるモンスターだ。

「癖になるんですよ……いずれ貴方も私のようになる」
「君と一緒にしないでほしいなぁ」

草加はシザースを真似てデッキからカードを取り出しバイザーに差し込む。

『ソードベント』

上空から剣を受け止めシザースに斬りかかる。

ポキッ

「なっ!?」
「そりゃ!」

シザースは剣が折れ動揺を見せる草加を殴り飛ばす。

「驚きましたね、まさかブランク体で私に挑むとは」
「なんだと!?」
「モンスターと契約しないと力を発揮しないんですよ、取り扱い説明書に書いてあるでしょ」

よく見るとデッキに紙が挟まっていた。
大急ぎで変身した草加には気づかなくてもしょうがない。

「まあ私は楽して勝利を得られるからそれでいいですけどね」

ブーン

その時、上空に何かが飛んでいる。
二人は見上げるとエイ型のモンスターが空を飛んでいた。

「ふーん、モンスターと契約か」
「なぜこんな都合の悪い時に!?させませんよ!」

契約を妨害しようとしたシザースの元に大量の砲撃が降り注ぐ。

「どわぁ!?」
「今よ!」

契約のカードをモンスターに向けるとカラーがブラックからモンスターと同じピンクの色へと変化した。

どこぞの会長ならこう言うだろう
HappyBirthday!!新しいライダーの誕生だ!!と
19 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:13:49.94 ID:6+BUdz9c0
『スウィングベント』

草加が変身した仮面ライダーライアはパワーこそ低めだが
装着者のセンスが高ければ強大な力を発揮するトリッキーなライダーである。

鞭を使いシザースに攻撃を浴びせるが装甲を貫く事は出来ず致命傷は与えられない。

『ストライクベント』

武器を装着したシザースが近接戦を仕掛ける。
鞭で直接を打撃を与えても効果が薄いと考えたライアは鞭を足に引っ掛け転倒させる。

「フッフッフ……」

シザースが起き上がる前に鞭を首に巻き付け引き寄せる。

「ぐ……がああ!!」

ライアは鞭の両端を持ち首をへし折るつもりで全力で引っ張る。

「ハハハ……」

シザースは意識が持って行かれる前に必死にカードを挿入する。

『アドベント』

「草加さん危ない!」
「くっ……」

ボルキャンサーの支援を避けたライアだったが首に巻き付けた鞭での拘束を解いてしまう。

「はぁはぁ……えげつない戦い方をする人ですね……だが終わりです」

シザースは首を絞められた際にライアの口元から苦しむ者を嘲笑う声が聞こえ恐怖を感じていた。

『ファイナルベント』

恐怖を振り払うように切札をバイザーに挿入するとボルキャンサーが背後に立ち
シザースを上空へと打ち上げる。

『ファイナルベント』

シザースが大技を放とうとしているのを感じ取ったライアも同じカードを使いエビルダイバーを呼ぶ。

上空に飛び体を丸め空中で回転し特攻するシザースと
エビルダイバーの上に乗り特攻するライアが衝突し爆発を起こす。

「ぐぁ……」

大ダメージを受けて地面に落ちうめき声をあげるライアに対し

「これで一人減りましたね」

無傷のまま立っているシザース。

シザースのファイナルベントであるシザースアタックは予備動作の段階で
ナイトの飛翔斬を打ち破った最強のファイナルベントである。
それに対し契約したばかりでモンスターを強化していないライアでは太刀打ち出来る筈が無いのだ。
20 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:14:26.71 ID:6+BUdz9c0
「では止めと行きましょうか」

これでライアが[ピーーー]ば事実上、私が主人公になれる!
次からタイトルは『刑事ライダーまさし☆シザース』となって私は活躍するのです!
全国1万人のシザースファンの皆様、期待しててください!
蝙蝠や蛇のライダーが現れようとも……もう、何も怖くない!

「草加さん!」
「ぬわー!」

妄想中の隙だらけなシザースに砲弾が直撃する。

「……そうでしたねまだもう一人いましたね……」

マミが巨大な銃を出現させシザースに表情を向ける。

オーノー!シザースはゲキレツダメージで動けない!

『ガードベント』

避けられないのなら防げばいい、シェルディフェンスを装着し待ち構える。

『コピーベント』

「え?」

起き上がったライアはマミと同じ巨大な銃を出現させた。

「ら……ライダー以外のコピーは卑怯じゃ……」
「君は卑怯もらっきょうも大好物なんじゃないかな?」
「それって装着者がちが」
「ティロ・フィナーレ!!」
「………………」
「だああああああ!!」

マミは高らかに名乗りながら
ライアは無言で撃ち放ちシザースを吹き飛ばす。

「ぐ……ぐう……どうやら時間のようですね……」

ライアとシザースのボディはまるで蒸発するように粒子を漏らしている。

「ところで何で貴女は平気なんですか?」
「私?平気じゃないわよ、さっきから体がダルいし」
「俺が説明しよう」

草加にデッキを渡した男が現れる。

「魔法少女は魔翌力を常に消費してミラーワールドに存続する事が出来る、説明は終わりだ」

男は帰った。

「把握しました、ではまた」

シザースがミラーワールドから退却しライアもマミと共に脱出した。
21 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:15:21.62 ID:6+BUdz9c0
「マミさん!大丈夫ですか?」
「ええ♪草加さんに助けてもらったわ♪」
「はあ〜よかったぁ〜」

喜びを分かち合っていた少女達だったが草加の表情は晴れない。

「まだ安心は出来ない、俺は辺りを調べるから君達はここから動かず待っていてくれ」

そう言い終わると草加は急いで走り出した。
辺りを見渡しながら走っていると案の定にいた。
ふらつきながら歩いている男を

「はあ…はあ…どうやら私一人では手に終えない相手のようですね……」

須藤は息を切らしながら逃げるように歩き続ける。

「仕方ありません、こうなれば高見沢さんと手を組んで……」
「何をそんなに慌ててるのかなぁ?」
「ひ!?」

須藤の目の前にはカイザに変身した草加がいた。
須藤の首を片手で持ち上げメキメキと締め上げる。

「どうした?変身して抵抗しないのかな?」

先ほど取り扱い説明書を流し読みして草加はある事に気付いた。
それはミラーワールドに侵入出来るライダーシステムは
一度変身が解除された場合はある程度時間を置かない限り再度変身を行えないと言う事
つまり今の須藤はシザースに変身出来る術を持たないのだ。

龍騎世界のライダーだけなら時間制限が来たら戦いは中断されていただろう。
だがカイザギアを持つ草加はそんな圧倒的優位な状況を決して見逃さない。

「ゆ……ゆるし……」
「許して欲しいのか?」

草加の手が緩み須藤が地べたに落とされる。

「約束しろ!二度と俺達四人に手を出さないと、約束するなら俺はお前を殺さない」
「は、はい!約束します!二度と絶対に襲いません!」
「そうか……ならさっさと行け!」
「ありがとうございます!このご恩は一生忘れません!!」

頭を下げて逃げながら須藤は内心ほくそ笑んだ。
絶対絶命だと思いきや相手が意外と甘い男だと言う事に
今に見ていろ、次会うときは必ずリベンジしてやる。

そう思いながら須藤は走る、だが
22 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:15:57.96 ID:6+BUdz9c0
キイイイイン

「う、うわああああ!!」

エビルダイバーが飛びかかり須藤はミラーワールドへと引きずり込まれた。

「……こ、殺さないって言ったのに……嘘、つき……が、あああああ!!」
「嘘は付いて無いさ、殺したのは『俺』じゃないからな」

(だれが助けるかよ、まどかに危害を加えるような人間は皆、邪魔なんだよ)

人間が怪物に捕食されるという常人なら目を背けたくなるような光景を
草加は嗜虐心に満ちた笑みで眺めてから帰った。

今日はヴィクトリカちゃんでも眺めて癒されようと考える草加であった。
23 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:17:46.40 ID:6+BUdz9c0
人を襲い命を奪う魔女と呼ばれる怪物達が人知れず存在する世界
願いを叶える事で魔女と戦う宿命を背負った魔法少女達

そんな彼女達の存在を世間は知らない。
ニュースを見ても事故だの自殺だのウルフアンデッドがバイク窃盗の罪で逮捕されただの
今日もイマジン刑事達が事件を解決してお手柄だの
警察署で謎の爆発が起き、凶悪犯の浅倉威が脱走しただの
そんな内容ばかりで魔女の事は何も語られていないのだ。

だが政府の中には彼女達の存在を知り、魔女達と対抗するべく特殊武装組織が密かに設立されていた。
その組織の名は『ZECT』
ZECTは魔女達と対抗するべく魔法少女達とは別の対抗戦力としてマスクドライダーシステムを開発し
ライダーシステムとは別の部署で研究が行われている
超能力開発研究所にて育成された超能力達が魔女の存在を感知し実戦部隊シャドウによって魔女を殲滅しているのだ。


交通や情報規制をして人払いをし一般人のいなくなった道路内で黒いスーツの兵隊、ゼクトルーパーが待機している中

「今日、夜の22時35分、この場所に魔女が現れるか……」

シャドウの隊長である大和が呟く。

ゴゴゴゴゴゴ……

指定された時間になると共に周りの景色が歪み現実世界から
犬カレー空間と呼ばれる薄気味悪い空間へと変化する。

「行きましょう!大和隊長!」
「よし!突入するぞ!」
「「変身!」」

大和は副隊長である織田と共にマスクドライダーシステムを使い変身する。

銅色のライダーへと姿を変えた大和と銀色のライダーへと姿を変えた織田を先頭に奥へと進み
ゼクトルーパー達も後へと続いた。
24 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:18:31.15 ID:6+BUdz9c0
「ゼクトルーパー隊は使い魔を殲滅しろ!魔女は俺と織田が叩く!」

魔女を発見した大和はすぐさま部下に指示を与え、魔女と相対する。

「「クロックアップ!」」

二人の発言と共に電子音声が流れ二体のライダーが目にも止まらぬ速さで魔女を撹乱し

『『ライダービート』』

二つの強力な斬撃を受け魔女は消滅し元の空間へ戻った。

「皆よくやったぞ!今日の任務はこれで完了だ!」
「隊長!」
「隊長!」
「隊長!」

ゼクトルーパー隊が歓喜の声をあげて大和に集まる。
部下からの信頼は熱いようだ。

「大和隊長……」

戦いが終わり、基地に帰る途中で織田が語りかける、かなり真剣な顔つきだ。

「大和隊長は例の計画について何も思わないのですか?」
「あれか……」

それはマスクドライダー計画とは別のライダーシステムの事である。

超能力開発研究所で深海理沙が企画した超能力者の力を利用したライダーであり
圧倒的破壊力を持つ重火器を使い敵の動きを予測し戦う強力なライダーだと言う。

スピードを重点に置いたマスクドライダーとは真逆のライダーだ。

だが欠点としてライダーの装着者と連動している超能力を死に至らしめるほど負荷のかかる非人道的な兵器であり
正義感の強い織田はそれを快く思っていなかった。

「戦う覚悟を持った装着者はまだいい、だが超能力者はまだ若い子供達ばかりじゃないか!」
「お前の言いたい事は分かる、だが一刻も早く戦力を増強させなければならないのだよ」

超能力者達による予知の的中率はどんどん正確になってきている。
だからおそらく、その予知は間違っていないのだろう。
そう遠くない未来に現れると予知された強大な厄災

「ワルプルギスを倒す為にはな……」

大和はZECTの誇りにかけてワルプルギスを倒すと誓った。
たとえその魂が燃え尽きようとも
25 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:19:14.85 ID:6+BUdz9c0
「ZECTの皆様、我が高見沢グループへようこそ!」

高見沢が所有するビルに招待されたZECTの幹部達は広い室内にて高見沢社長が笑顔で幹部達を受け入れる。

ここではZECTでもごく一部しか知らされていないような情報の共有を行われているのだ。
ZECTは高見沢グループに多額の資金援助を受けており
その研究成果による情報提供を代価として受け取っているのだ。

「つまり魔女は魔法少女から出来ると?」

「はい、拉致した魔法少女が魔女に変化する所を記録に取ってある、間違いありません」

書類を見た高見沢の問いに対しZECT幹部の一人である三島は淡々と告げながら映像を映すと
台の上に手足を拘束され身動きの取れない少女と白衣を着た数人の研究者の映像が流れる。

「……お願い……お家に帰してぇ……もう痛いの嫌なの……」

泣きながら懇願する少女の言葉など耳に貸さず
研究者の男達はただ黙々と人体やソウルジェムを弄くり、反応を確かめていくのみだった。

「ぐ!?……ぐぅぅぅ……ああああああ!!!!」

少女の様子が急変する共に完全に絶望に染まったソウルジェムが暴走を始める。

「に、逃げろー!」
「ここは一体何処なんだ!?」
「ひ……ひいいいい!!」

研究者達の悲鳴と共に映像は途絶える。

「ほう、それは貴重な情報をありがとう……所で」

高見沢が本題を切り出す。

「もし、また魔法少女を手に入れた時は生きた状態で我が社まで連れてきてほしい
 もちろん、タダとは言いません、連れてきて頂ければ相応の報酬を支払います」
「分かりました、手に入り次第連絡しましょう」

笑顔で話す高見沢に三島はまるで感情が欠落しているように事務的に答える。
26 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:19:57.98 ID:6+BUdz9c0
「今日は忙しい所、来て頂きありがとうございます」

会談が終わり幹部の護衛として付き添っていたシャドウの隊員と共に帰ろうとすると

「お前は……神崎!?」
「え?」

シャドウの隊員の顔を見て驚く高見沢

「いや…知り合いと顔がそっくりで見間違えてね、済まない」

ZECT幹部が立ち去って一人になった高見沢は椅子に座り一息付く。
あの神崎そっくりの男にも驚いたが三島も、あの弁護士の秘書によく似ている。
……そんな事はどうでもいい……肝心なのは魔法少女だ。

もしZECTが魔法少女を生け捕りにすれば労せずして魔法少女の力を手に入れられる。
金さえ有れば魔法少女は買えるのだ。

「ククク……金は命より重い……!」

ZECTは知らない。
高見沢がライダーバトルに参加している事を。


「……隊長から降格されてしまった……だがまだ挽回は出来る!」

ZECT隊員でありザビー装着者である影山は隊長の座を大和に取られ現在は魔法少女の保護を任されていた。

「俺は矢車とは違う……ザビーは俺が一番上手く扱えるんだ!」

ザビーの資格を剥奪されクビになった矢車のようにはならないと影山は誓う。

「〜〜♪」

笑顔でたい焼きを頬張りながら歩く赤毛の少女、佐倉杏子
間違いない、情報の通り彼女は魔法少女だ。

「おいお前!」
「なにさ?もしかしてナンパとか?」
「ちがう!お前は魔法少女だろ?俺は魔法少女達を保護している者だ
 けっして悪いようにはしない、大人しく来てもらおうか」
「なにそれ?つまり誘拐って訳?」
「違う違う、俺は保護する為に」
「あんたさ〜なんか信用出来ないんだよね〜魔法少女なら他当たってくれる?」

一向に誘いに応じない杏子に影山はイラつく。
殺さなければ傷つけても良いと三島さんに言われている。
ならば実力行使しかない。
27 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:21:04.76 ID:6+BUdz9c0
「仕方がない、無理矢理にでも来てもらうぞ、変身!」

影山が蜂型のマスクドライダー、ザビーへと変身する。

「やっぱりあんた、信用出来ない奴じゃん」

杏子が魔法少女服へと変化し槍を出現させる。

「うるさい!お前が素直に従わないからだ!」

影山がボクシングの構えで魔法少女を狙いパンチを繰り出す。

「当たんないよ♪」

杏子が驚異的な跳躍力で軽々とザビーを飛び越え攻撃を避ける。

「ちっ…ちょこまかと、だが速さなら!」

スピード勝負ならマスクドライダーの方が圧倒的に有利。

「キャストオフ!」

電子音声と共に外装が射出されマスクドフォームからライダーフォームへと変化する。

「クロックアップ!」
「ぐぅ……!?」

圧倒的速さで動くザビーの前に杏子は全く対応出来ずに攻撃を受け続けた。

「これで俺に勝てない事が分かっただろ?もう降参しろ!」
「はっ!だれが降参するかよバーカ!」

せっかく温情をかけて手加減してやったのにその態度とは……。
影山は完全に頭にきていた。

「お前という奴は!」
「今だ!」

杏子がまるで祈りを込めるように念じると赤い結界が出現しザビーの動きを完全に封じた。

「おい!出せーッ!」
「あんたはそこに暮らすのがお似合いさ、じゃあね〜♪」

ザビーを結界に閉じ込めたまま杏子は飛び去って行った。

「やれやれ、これで鬱陶しい奴から離れられたよ……ん?魔女で鬱憤を晴らしちゃお♪」

魔女の気配を感じた杏子は早速現場へと向かった。
28 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:22:06.89 ID:6+BUdz9c0
「あいつ……俺を馬鹿にしやがって……」

結界を無理矢理こじ開け脱出に成功したザビーは必死で杏子を追い続けた。
すると魔女の巣を見つけた杏子が中へと入って行くのを見かける。

魔法少女を捕らえ魔女も仕留めれば三島さんも俺を評価してくれる!

そんな野心を胸に秘めザビーも魔女の巣へと入った。

奥で魔女と戦う杏子、今は自分の存在に気付いていない。
なら奇襲を仕掛けるチャンスだ、自分を馬鹿にしたあの女に仕返しが出来る。

今までの屈辱を晴らすべくクロックアップで杏子の背後に周り、殴り付けようと近付いた。

ブーン

愛想を尽かしたザビーゼクターが影山の元を離れ変身が解除される。

「嘘ー!?げぶっ」
「あんたいつの間に?」

影山は変身が解けたショックでバランスを崩してコケる。
しかも魔女の目の前で

「ギャオオオオ!!」
「うわあー!殺される!」

情けなく悲鳴を出す影山
ドシュッ!

「グギャアアアア!!」

槍に貫かれて魔女は消滅した。

「あんた何やってんのさ?」
「え……えっと……あ、ザビーゼクター!」

影山が指を差した先には杏子のそばで飛び回るザビーゼクターがいた。

杏子は不思議そうに指で突っつくとザビーゼクターは嬉しそうに杏子に頬張りしてくる。

「へぇ〜こいつ結構かわいいじゃん♪あたしのペットにしてやるよ」
「そ、そんな……俺のザビーゼクター返してくれよぉ」

半泣き状態で杏子の太ももにすがりつく影山。

「あーうざい!引っ付くな!」
「ぴぎゃんっ!」
「じゃあ行くか、ザビー♪」

影山を残して立ち去る杏子

「……俺はどうすればいいんだ……?ザビーの資格が無くなったら俺は……」

ザビーの資格を魔法少女に奪われた影山はどんな顔をしてZECTに帰ればいいのか
いくら考えても分からず呆然とするしか無かった。
29 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 15:24:50.25 ID:6+BUdz9c0
続きは夜に投下します
>>15
規制でPCでの書き込みが出来なくなったので
投下場所を変えました
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/02(土) 15:32:36.37 ID:hjU5JMPyo
乙またライダー×まぎかスレが増えて嬉しい

乾巧って奴も出てくるのかなぁ?
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/02(土) 15:40:11.64 ID:SHp+5zXo0
>>29
何だって!?それは本当かい!?
まったく……これだから乾巧は……

乙でした
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/02(土) 18:30:50.71 ID:pU7Fx+oAO
Aチャンネル、ヴィクトリカ、最高です!辺りでいちいち吹くんだがwww
33 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:41:54.63 ID:6+BUdz9c0
では続きを投下します
34 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:43:49.65 ID:6+BUdz9c0
「お前は、もうここに来なくていい」

三島が冷淡に告げる。

「そんな……俺を見捨てないでください三島さん!お願いします三島さん!三島さん!!」
「つまみ出せ」
「三島さーん!!」


魔法少女捕獲任務に失敗しただけでなくザビーゼクターも奪われる失態。
ZECTにとって今の影山に全く価値が無く、お払い箱にされてしまう結末になった。

「だせーな影山の奴ww」
「ザビーの装着者になった途端に調子こくからこうなるんだよww」
「俺は前から影山の事が気にくわなかったんだよねーww」

かつての部下だったシャドウの隊員達にも馬鹿にされ笑われる始末。
部下は影山を心から慕っていた訳ではなくザビーの装着者だから仕方なく従っていただけなのだ。
もう影山には仲間と呼べる存在は無く一人ぼっちであった。

「俺って……ホントにバカ……」

もし影山が魔法少女だったら魔女化しているほど絶望していた。

「……お前、俺と一緒に地獄へ落ちようぜ……」
「あんたは……!?」

絶望した影山の前に一人の男が現れた。


その頃、主人公サイドでは

「く、草加さん!病院に魔女が!」

魔女が現れたと聞いて草加は急ぎサイドバッシャーに乗り走り出す。

「ここね」

病院へと集まった草加とマミとまどかの三人は
先に中へと入ったさやかとキュゥべぇの元へ合流する為に魔女の巣へ入った。

奥へと進む途中、背後から足音が響き渡り三人は振り向くと

「君は……」
「暁美さん……」
「言った筈よね?もう二度と会いたくないって」

暁美ほむらが三人の後を追ってきたのだ。
マミとほむらの仲は険悪なようだ、まあどうでもいいけど。

「今回の獲物は私が狩る、あなた達は手を退いて」
「そうもいかないわ、三樹さんとキュゥべぇを迎えに行かないと」
「その二人の安全は私が保証するわ」
「信用すると思って?」

これがギャグ漫画ならマミとほむらの視線の間に火花が散っていただろう。
そんな雰囲気を醸し出していた。
35 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:44:22.22 ID:6+BUdz9c0
「……!?」

黄色いテープがほむらの体に絡み付き拘束される。

「もちろん怪我させるつもりは無いけど、あんまり暴れたら保証しかねるわ」
「今度の魔女はこれまでとは訳が違う!」

これまで無表情だったほむらが珍しく動揺を見せる。

「行こうか」
「そうね♪」
「は、はい…」

これまでの魔女とは訳が違う……か、負ける気はしないが一応警戒しておくか。
そう思いながら草加は歩いた。

身動きの取れないほむらを置いて魔女の元へ向かう三人。

「マミさん」
「なあに?」

向かう途中で二人の会話を聞く草加さん

(長台詞なので原作部分の会話はカットされました)

(なに!?)

草加は動揺した。
なんと、まどかは魔法少女になりたいと気持ちを傾けていたのだ。
それはまずい事だ、草加はまどかに争いの無い平和な暮らしをしてほしいからだ。

(俺が上手く誘導して心変りを促さなければ!)

「マミ!!」
「は、はい!?」

思わず大声を出してマミを呼ぶ草加、素が出てきているので顔が怖い。

「俺達はコンビだ!俺がずっと君の傍にいてやる!もう孤独な思いは二度とさせない!」
「ほ……本当に……?」
「ああ、約束しよう!辛い時はいつでも俺が君を助けてやる!」

そんな熱意のある草加の言葉を聞いてマミの目は涙で緩んでいた。

「そしてまどか!!」
「はい!?」
「君が戦う必要は無い!君を大切に思う大事な家族や仲間がいる事を絶対に忘れるな!」
「わ、分かりました!」

血走った目で見つめる草加の熱意の言葉にまどかは圧倒されていた。

(……ふう、これでまどかも軽々しく魔法少女になりたいと言わなくなるだろう)

草加は冷静になるべく一度深呼吸し興奮状態を抑える。
36 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:44:53.77 ID:6+BUdz9c0
「グリーフシードが動きはじめた、孵化が始まる!」

淫獣が思念を送り三人の脳内へ語りかけると共に魔女の使い魔らしき雑魚がうようよと出現する。
丁度良いタイミングだった。

マミと草加が変身し使い魔に先手を仕掛ける。

(私、まだドキドキしてる)

マミは草加の熱い想いを聞いて胸の鼓動が今だ収まらないでいた。

(体が軽い、こんな幸せな気持ちで戦えるなんて初めて)

まるで踊るように体を回転させながらマスケット銃を構築し使い魔を撃ち抜く。

(もう何も怖くない)

注射器のような足場でポージングを取り

(私、一人ぼっちじゃないもの)

カイザと共に使い魔を殲滅した。

「お待たせ」

三人はさやかと淫獣の元に合流した。

「気をつけて!出てくるよ!」

┣¨┣¨┣¨┣¨ドドド

現れたのはサンリオのマスコットにいそうなヌイグルミ型の魔女だった。

「せっかくの所、悪いけど一気に決めさせて……もらうわよ!」

魔女に速攻で仕掛けるマミに対しカイザは魔女やその周りを警戒していた。

(杞憂なら、後でほむらを小馬鹿にすれば良し、何かが有るならすぐ対応すれば良い)

「ティロ・フィナーレ!!」

マミお得意の必殺技により魔女の体を撃ち抜く。

「やったぁ!!」

さやかが喜びの声をあげマミが微笑む。
誰もがマミの勝利を確信しただろう。

「ぶほぁ!!」

その時、ヌイグルミのように小さい魔女の口から巨大な恵方巻き型の魔女が吐き出された。

それこそが魔女シャルロッテの本体なのだ。
37 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:45:28.93 ID:6+BUdz9c0
魔女を倒したと完全に信じきっていたマミは何が起きたのか判断出来ずに
ただ立っている事しか出来なかった。

マミを捕食するべく魔女の大きな口が開かれる。

ズキュンッズキュンッ

カイザブレイガンからレーザーが放たれ魔女が怯む

(なるほど、倒したと思い込ませて不意打ちを仕掛ける初見殺しの戦法か、だが種さえバレれば……)

対処法さえ分かれば勝てない敵では無いとカイザは推定した。

「しっかりしろマミ!」
「……ハッ!」

カイザの声を聞きマミは我に返りマスケット銃で反撃に出る。

魔女がマミの銃撃を受けている隙にカイザはカイザポインターにエネルギーを注入。

「止めを指すぞ!」
「はい!」

魔女に円錐型のエネルギー体が突き刺さり

「でぃぃぃやぁあああ!!」
「ティロ・フィナーレ!!」

両サイドからの同時攻撃を受けて、魔女シャルロッテは完全に消滅した。

「こんどこそ……勝ったのかしら?」
「ああ、グリーフシードが落ちている間違いない」

調子の良いエビルダイバーがシャルロッテの魂を勝手に食べてる傍でグリーフシードが転がっていた。

「……そう、はあ……」
「大丈夫か?」
「ええ……ただ、ちょっと怖かっただけで……」

魔女に捕食されそうになった時に本気で死を感じていたのだ。
恐怖心を紛らわせようと震えた手で紅茶に口を付ける。

「そうか、済まない君にこんな怖い思いをさせてしまって…」
「ううん…いいの……私、草加さんが助けてくれた時、とても嬉しかったから……」
「何を言っている、俺達はコンビだろ、助け合うのは当然さ」
「そうよね、うん……私達はコンビだもんね……」

嬉しそうに涙を流すマミ
38 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:46:08.47 ID:6+BUdz9c0
この女は完全に俺を信用しているようだ。
俺が頼めばまどかを魔法少女にさせないよう助力してくれるだろう。

マミに対しそんな下心を隠しながらまどかの元へと向かうカイザ

キイイイイン!

前に聞いた耳鳴りと共にガシャンとティーカップが割れる音が響いた。

「まどかちゃん?」

カイザが見上げるとまどかとさやかは恐怖に凍り付いた表情で一言も声が出せないでいる。

不思議に思ったカイザが二人の視線の先にある者を見ると……

「グシュ……グシュ……ズズズ……」

背後から出現したボルキャンサーに奇襲され、捕食されたマミの姿があった。

その大きなハサミでマミの華奢な体をガッチリと掴み、逃げられないよう固定され
頭部は鼻から上が丸ごと食いちぎられ、清楚で可愛らしかった表情は見るも無惨に変わっていた。

一瞬で食われたのか、マミは悲鳴一つ出す暇もなく絶命したのだ。
シャルロッテによる奇襲を受けたマミは草加によって命を救われたが
皮肉にも須藤を殺害した草加を狙うボルキャンサーの巻き添えを受けて命を落とす形となってしまった。

ボリボリと音を出しながらボルキャンサーは残った頭部を貪り続けている。
39 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:46:46.19 ID:6+BUdz9c0
「……貴様ァ!!」

怪物に対しての憎しみが吹き出したカイザがボルキャンサーに斬撃を繰り出す。

「キシャアアア!!」

食事の妨害をされたボルキャンサーもイラついたのか身体中から砲身を出現させカイザに放つ。

「この銃は!?」

巴マミのソウルジェムを取り込み強化されたボルキャンサーが手に入れた力である。

「シャアア!」

ズ┣¨┣¨┣¨┣¨ドドド!!

正に数射ち当たると言ったようにでたらめに撃ちまくる。

そんな素人の弾幕の命中率はたかが知れている。
カイザは易々と弾幕を潜り抜ける。

「きゃあ!」
「しまった!」

恐怖で動けないまどかとさやかの存在を失念していた。

砲弾の何発かはまどか達の方へと飛んでいく。

「早く僕と契約して魔法少女になるんだ!」

こんな時にも淫獣は魔法少女の催促をしている、地獄へ落ちろ!

「その必要は無いわ」

弾幕の雨からまどか達を救ったのは暁美ほむらだった。

ほむらはほむスピナーからGM-01スコーピオンを取り出し構える。

鉄球を粉砕する威力がある弾丸に魔翌力を付加しボルキャンサーに被弾させていく。

「ギギギ……」
「そりゃあ!」

更にカイザのグランインパクトがボルキャンサーに直撃

吹き飛んだボルキャンサーはたまらずミラーワールドへと逃げ込んだ。

(あの助言と言い先ほどまどかを庇った動きと言い暁美ほむらという小娘は使えるかもしれないな)

「君は暁美ほむらと言ったかな?」
「そうよ、何か用?」
「俺はあの怪物を追う、その間にまどかを守っていてほしい」
「言われなくてもそのつもりよ」

無愛想な奴だな、と思いながらも素早くカイザからライアへと姿を変えミラーワールドへと侵入する。
40 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:47:55.71 ID:6+BUdz9c0
「…………くっ」

マミの凄惨な亡骸を見てほむらは苦虫を噛んだような表情を見せ、目をそらした。


「さて、奴は何処にいるのかな?」

ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

ミラーワールドに侵入したライアを待ち構えていたかのように弾幕を放つボルキャンサー
「ふん、下手くそが」

ボルキャンサーはマミの必殺技である巨大な銃を召喚し

「キシャ・シャシャーシャ!!」

ティロ・フィナーレをライアに撃ち出す。
だが理性の無いモンスターに精密射撃は上手く扱えないようでライアの横へと飛んでいくだけであった。

『コピーベント』

「……こう狙え」

ライアも同じ武器をコピーしボルキャンサーに直撃させる。

『ファイナルベント』

「じゃあ終わりにさせて貰おうかな」

ハイドベノンがボルキャンサーを切り裂き爆散しエビルダイバーが捕食する。

「ん?これは……」

その時、不思議な事が起こった!
ライアの体から力がみなぎってくるのだ。
試しに力を解放しようとライアは両腕を広げ念じた。

するとピンク色のボディが黄色に変化しマスケット銃が構築された。

「……これが魔法少女の力という物なのかな……」

気を静め魔翌力の解放を抑えるとボディが元のピンク色に戻った。

(なかなか便利だな、せいぜい利用させてもらうとしようか巴マミ……君の力をね)
41 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:48:36.91 ID:6+BUdz9c0
新たな力を手に入れた事に対しライアは内心ほくそ笑みながらミラーワールドから出ていった。

「マミさん……マミさん……!」
「う……うう……」

マミの死に涙を流すまどかとさやか

「目に焼き付けておきなさい、魔法少女になるというのはそういう事よ」
「俺が悪いんだ……」

誰にも気付かれぬようこっそり使用していた目薬をポケットにしまいながら草加は涙を流していた。

「俺がもっと周りを注意していればマミは死ななかったかもしれない、済まない……俺の責任だ……」
「ち、違うよ……草加さんは一生懸命頑張ってたよ……」
「そうだよ……草加さんは何も悪くない……」

草加を必死で慰めるまどかとさやか

仲間の死に涙を流す優しい俺を見て、まどかはますます俺に惚れ直すだろう。

そんな野心をひた隠しにし草加はひたすらマミに謝罪の言葉を吐きながら涙を流した。
42 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:50:33.64 ID:6+BUdz9c0
魔女やミラモンとの戦いを終え自宅に帰った草加は録画したアニメを見ながら考え事をしていた。

ボルキャンサーに襲われ仲間である魔法少女、巴マミが命を落とした件についてである。
ライダーデッキと共に渡された取り扱い説明書のミラーモンスターの項では
ミラーモンスターは契約者の命を奪ったライダーを襲う習性があると書かれていた。

つまりボルキャンサーの狙いは草加であり巴マミの死因は間接的に草加が関与しているのだと知る。
だからと言って草加がマミに罪悪感を感じるつもりは毛頭無かった。
草加にとってマミは利用価値が有るか無いか程度しか想っていないからだ。

マミの喪失による戦力ダウンは有ったが自身が強化されたのでどうってことはない。だが

(もし狙われたのがまどかだったら……)

それを考えただけでもゾッとする。
今回は狙われたのがマミだったから良かった物の
まどかが襲われていたら草加の生きる希望が失われる所だったのだ。

これからはライダーと共に契約モンスターからの奇襲も警戒をする必要がある。
鏡から鳴り響く耳鳴りのような音をより用心する方針を固め草加は改めて決意する。

まどかを守る為に他のライダー達を殺害しライダーバトルで生き残ると。

草加はその決意を胸に秘めながらアニメに映るトオルちゃんを見てニヤついた後に就寝した。
43 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:51:51.89 ID:6+BUdz9c0
次の日

巴マミが捕食されていく様を直に見てしまったまどかは
魔法少女になる決心は完全に消失していた。

一人の魔法少女の死はそれほどまどかの心に強烈なトラウマを残したのだ。

放課後、まどかはマミの家へと寄る。
頭では分かっている、それでも心の中では巴マミが出迎えてくれる事を微かに信じたかったのかもしれない。

玄関に入るが笑顔を向けて歓迎してくれる姿はやはり無かった。

かつて魔法少女を夢見て書き記した黒歴史ノートを
魔法少女の未練を断ち切るようにテーブルの上に載せる。

怖くて魔法少女になりたくない。
そんな自分の臆病さをマミに詫びながら部屋を出ていき

「………………」
「ほむら……ちゃん」

その帰り道にまどかは暁美ほむらと出会った。


同時刻
さやかは上條の入院している病院へお見舞いにきたが普段と様子がおかしかった。

上條は医者にバイオリンは諦めろと言われたのだ。
奇跡か魔法でも起きない限り治らない腕は治らない真実を知って荒れている上條。

「あるよ!……奇跡も魔法も」

病室の窓で待っていました!と言わんばかりのタイミングで
真っ赤な眼光を光らせる淫獣の姿があった。
44 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:52:43.88 ID:6+BUdz9c0
「さて……どうするかな」

今日は一人にしてほしい、そう言ったまどかの心情を察し草加は一人、市街地へと歩いていた。

ライダーはモンスターを強くする為に怪物を狩るのだと言う。
それならこちらも同じように狩りをすれば良い。
そうすればその内、同業者と遭遇するだろうから。

キィィィィン

「いた……」

モンスターの気配を感じ取った草加は口元を歪ませながら目的地へと急ぐ。

気配の強い建物に着くと草加がライアのデッキを反射物に向け変身しミラーワールドへと侵入する。

「グギャ?」
「グギャギャー」

ライダーの存在に気付いたニ体のゲルニュートが臨戦体制に移る。

『スウィングベント』

バシィンッ!

「ギャアアア!!」

モンスターが悲鳴をあげながら地べたを転がり回る。
マミの魔翌力を吸収した事で武器の威力が増強されているのだ。

「フッフッフッ」

バシィン!バシィン!

「グギャアアア!!」

鞭を振るう度に聞こえるモンスターの悲鳴が心地良いのか。
ライアは楽しむように鞭を振るい続ける。

「ギギッ!」

もう一体の方は仲間が一方的に痛め付けられる光景に恐怖を感じたのか逃げ出そうとするが

「逃がさん……」

黄色く変化したライアが生み出したマスケット銃を向ける。

ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

「ギャアアアア!!」
激しい銃声が鳴り響くと共に何発も被弾したゲルニュートは爆散。

「……次はお前だ」

そしてライアの傍で倒れているゲルニュートの頭部に銃口を向ける。
45 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:54:04.20 ID:6+BUdz9c0
「ギギ……」

逃げたくても何度も鞭を打たれたゲルニュートは体を動かす事が出来ない。

ズドン…と銃声が鳴った後にエビルダイバーがニ体のモンスターの魂を捕食した。


コツコツコツ……

「お前は……ライダーか……」

足音がした方を振り向くと白いライダーがライアへ向かってきていた。
どうやら戦うの気のようだ。

ライアはモンスターとの勝利の興奮が収まらないまま迎え撃った。

白い仮面ライダー、ファムは相手が遠距離特化のライダーだと踏んで接近戦を挑む。

「はぁっ!」
「……ふん」

ファムはサーベル型のブランバイザーを使い、ライアに突きを繰り出す。
だがライアの装着者である草加はフェンシング部の主将であり
ファムの突きは軽々と避けられ、カウンターに放たれた手刀によって
ブランバイザーを弾かれ丸腰となったファムに至近距離からマスケット銃で撃ち抜く。

「ぐっ……くうう……」
「フフフ……」

うつぶせに倒れるファムを見下ろしながらライアは笑みを浮かべた。

(俺は強い!この調子ならライダーバトルでも生き残れる!)

自分の強さがライダーバトルに十分通用すると確信したライアはファムに止めをさそうと銃口を向ける。

ドン!

響く銃声
だがライアはまだ撃っていない、なら今の銃声はどこから?

「ぐはぁ!」

その疑問に気付く前にライアの体が吹き飛ばされた。

「霧島!大丈夫か?」

ライアは声をした方へ顔を向けると、そこには緑の仮面ライダーゾルダが立っていた
46 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:54:30.76 ID:6+BUdz9c0
ゾルダの両手には巨大バズーカ砲、ギガランチャーの砲身から硝煙が出ている。
横槍を入れてきたのはゾルダなのだとライアは気付く。

「貴様ァ……!」
「余計な事を!」

ライアだけでなく助けてもらったファムも何故か怒っている。

「ねえ霧島、今回は君に大事な用があってきたのよ、だから戦いが終わったら一度お話しようよ」
「お前と話す事なんてない!」
「俺から逃げられると思ってるのかなぁ?」

ライアの砲撃に対しゾルダもマグナバイザーで反撃しながらファムに交渉を続ける。

「もしかしたら君のお姉さんを生き返らせられるかもしれないんだよ」
「何ッ!?」

「だから少しの間だけで良いからちょっと付き合ってよ」
「……本当だろうな」
「ああ、だから信用してよ」

ゾルダの言葉にファムは関心を見せる。
お姉ちゃんを生き返らせる。
ファムのその願いが叶うかもしれない。
もし嘘だったら騙した報いを与えれば良い。

「いいだろう、まずは話だけ聞いてやる」
「理解が早くて助かるよ」
「君達はお喋りをしている余裕があるのかなぁ?」

ライアの周りには数十本ものマスケット銃が浮かび上がり一斉掃射され
砲撃の雨がゾルダとファムの二人を襲った。
「きゃあ!」
「どわああ!」

ゾルダがファムと交渉しながらのマグナバイザーによる反撃はライアにとって不十分な攻撃であり
大技を繰り出す為の時間がたっぷり有ったのだ。

吹き飛ばされ大きなダメージを負ったゾルダとファム。

『ファイナルベント』

その隙をライアは見逃さない。
47 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:55:20.83 ID:6+BUdz9c0
エビルダイバーへと乗ったライアはゾルダとファムの両方に当たる直線上へと飛び回り特攻をかける。

『アドベンド』

ファムがカードをバイザーに差し込みブランウイングが現れライアに突風を放つ。

「ぐぉっ!?」

突風に煽られライアはバランスを崩しエビルダイバーから落ち
突風で軌道を無理矢理変えられハイドベノンが不発に終わる。

『ファイナルベント』

「……ッ!?」

お返しとばかりにファムもファイナルベントを使いウィングスラッシャーを持ち身構える。

突風で吹き飛ばされ空中で身動きの取れないライアも報復とばかりにカードをバイザーに差し込む。

『アドベンド』
「あぅ……!」

ファムの斬撃がライアに届く前にエビルダイバーの妨害を受けてしまう。
これでファムとライアはお互いの切札を喪失した事になる。
だがライアには巴マミが残した力を持っている。

「フフフ……惜しかったねぇ……」

嫌味ったらしくファムを挑発するライア。

(おい、北岡)
(なんだい?)
(私が時間を稼ぐ、その隙にアレを出す準備をしろ)
(OK、巻き込まれないように気をつけてよ)
「何をヒソヒソ話してるのかな?」

ライアの砲撃が二人を襲う。

『ガードベント』

ゾルダは後方へ下がりファムはブランシールドを召喚し純白の羽を周囲に撒き散らす。
48 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:57:15.63 ID:6+BUdz9c0
「なんだ?」

ライアの周りにも羽が舞い散り視界が遮られる。

「はぁ!」
「ちっ……」

周囲の羽に同化し姿を眩ましたファムによる奇襲を受ける。

「小細工か……」

ライアは紙一重で避け続ける。

(……このままではじり貧だ……)

ファムの攻撃を避けながらライアは魔翌力を増幅させ大技の準備を始める。
周囲の羽を吹き飛ばし姿を露にしたファムを狙い撃つ為だ。
だが、そんなライアの企みを実行する前に羽が消失した。
頃合いを見計らいファムはミラーワールドから抜け出したのだ。

そんなファムの代わりに巨大な牛型のモンスター、マグナギガが遠くに立っている。

「はい、おしまい」

これはまずい!
モンスターの武装を見て悟ったライアは全速力で離脱しようとするが既に遅い。

『ファイナルベント』

マグナギガから放たれるミサイル、バルカン、ビームなど数々の砲撃がライアを襲い
周囲に大爆発を巻き起こしゾルダは満足そうに撤退した。


「さあ、お姉ちゃんを生き返らせる方法を教えろ!」
「ちょっと待ってよ、今から案内するからさ」

ミラーワールドから出た霧島は約束を果たさせるべく北岡の車に乗り込み移動していた。

「もしもし高見沢さん?はい北岡です、はい……はい例の……今からそちらに伺います、ではまた……」

電話をかけた北岡は秘書の吾郎を高見沢グループへ向かわせるよう指示し霧島と共に車で移動した。


そしてエンドオブワールドを受けたライアは

「糞が……」

生きていた。
威力の割りにライダーを仕留め切れない事に定評のあるファイナルベントだった事と
巴マミのソウルジェムを取り込んだ事で僅かばかりに防御力が増加したのが幸運だったのだ。

「……あの緑のライダー……次は殺してやる……」

ゾルダの妨害のせいでファムを殺害出来なかった事に草加は怒りを燃やながらミラーワールドから撤退した。
49 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 21:59:39.22 ID:6+BUdz9c0
「ほむらちゃん、ちゃんと話せばお友達になれそうなのに
 どうしてマミさんとは喧嘩になっちゃったのかな…」

草加がファムやゾルダと戦っていた頃、まどかはほむらと別れ帰路を歩いていた。

「あれ?仁美ちゃん…」

街中を歩く人波の中でまどかの友達である仁美の姿を見かけた。

「仁美ちゃ〜ん。今日はお稽古事…あ」

たくさんのお稽古を掛け持ちしてる仁美がこの時間帯で町を歩いていることに
疑問を感じたまどかは仁美に近づくと仁美の異変に気づく。

「あれ…あの時の人と同じ」

魔女に操られた人間の首筋には特有の痣が付けられている。
仁美の首筋に(^U^)の模様をした痣を見つけたまどかは
今の仁美は魔女に操られているのだと悟った。

「仁美ちゃん。ね、仁美ちゃんってば」
「やあ、鹿目さん、御機嫌よう♪」

まどかの声を聞いて振り向いた仁美の顔は不気味なほど強烈な笑みを発していた。

「ど、どうしちゃったの?ねえ、どこ行こうとしてたの?」
「どこって、それは…フォーティーン様のいる、ここよりもずっといい場所、ですわ」
「どうしよう…これってまさか…」
「ああ、そうだ。鹿目さんもぜひご一緒にフォーティーン様の元へ行きましょう
 ええそうですわ、それが素晴らしいですわ」
「どうしよう…そうだ草加さんに」

仁美はこれから魔女のいる所へ行こうとしているのだと知り
まどかは携帯で草加と連絡を取る事にした。

「はあはあ……どうした?まどかちゃん……」

草加の名誉の為にフォローするがまどかの声を聞いた草加が欲情しているのではなく
ゾルダのエンドオブワールドを受けて負傷した草加が息切れしているせいである。

「く、く、草加さん、魔女が!」
「何!?今向かう、場所は?」

負傷していてもまどかの為ならと体に鞭を打ち、起き上がる草加
これこそまどかに対する草加の愛の力である。歪みまくった愛であるが

「どうしたの?行かないの?」
「きゃっ!」

ニコニコ笑いながらまどかの腕を引っ張る仁美

「駄目だよ!そこに行ったら仁美ちゃんが危ない!」
「危ない?…もしかして私の事を心配してくれるの?」
50 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:00:17.67 ID:6+BUdz9c0
まどかの腕を引っ張ていた仁美がその言葉を聞いて手を離す。
もしかしたら話が通じるのかもしれない。

「当然だよ!だって私たち友達だもん!」
「友達か…いい台詞ね、感動的だわ」

(やった、わかってくれた!)

仁美が自分の言葉を信じてくれた事に安心したまどかは仁美に近づく。

「だが無意味ね」 ドゴッ!
「うぐ……なん…で……?」

魔女による束縛はそう容易く解ける物ではなかった。
腹パンされ意識を失ったまどかは仁美に担がれて連れ去られてしまうのだった。

「まどか?まどかー!?」

途中で返事が消えた事でまどかの身に何かが起きたのだと気づいた草加は
魔女のいそうな場所へと手当たり次第探す為サイドバッシャーに乗り走らせた。


「………近いな」

魔女を探していた黒い服を着た長身の男がまどかの携帯を見つけ拾い上げる。

「……行くぞ」

男はまどかが連れ去られた方角へと向かって歩いた。
ガラスに映る蝙蝠の化物も男の後を追うように。
51 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:01:00.01 ID:6+BUdz9c0
「…う、ううん……ここは…?」

目を覚ましたまどかは辺りを見渡すとそこは暗く薄汚い廃ビルの中で
十数人の人達が集まっていた。
全員(^U^)の模様が首筋についており魔女に操られている。

「ようこそ、おいでくださいました!」

仁美が笑顔でまどかを迎え入れる。

「申し訳ございません、このような場所で、ではこれから
 フォーティーン様の為に儀式を行います、皆様拍手を!!」

周りの人達もニコニコ笑いながらパチパチと拍手を送った。
儀式が始まったのか部屋の真ん中にバケツが置かれ洗剤の容器が運ばれて行った。
一つ目の容器の液体をバケツに投入され、二つ目の容器を開けようとした時
まどかは思い出す、混ぜれば有毒ガスが発生する事を

「ダメ…それはダメっ!」
「邪魔をしてはいけません。あれは神聖な儀式ですのよ」
「だって、あれ、危ないんだよ?ここにいる人達、みんな死んじゃうよ!」
「そう。私達はこれからみんなで、フォーティーン様の治める素晴らしい世界へ旅に出ますの」
「放してっ!!」

まどかは仁美の手を振り払い、バケツを掴んで近くにある窓へと放り込んだ。

「そぉい!」 ガシャン!

窓ガラスをぶち破り屋外へと投げられたバケツは丁度真下にいた
二人組みの一人の男の頭にスッポリと入り、中身の洗剤が男の全身を濡らした。

「兄貴!大丈夫?…凄い洗剤臭いけど……」
「笑え…笑えよ……どうせ俺なんか……」
52 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:01:28.45 ID:6+BUdz9c0
そんな事実を知らず、まどかはニコニコ笑う人達から必死に逃げていた。

「…ど、どうしようっ…どうしようっ」

ボイラー室を見つけたまどかは部屋の中に入り鍵を閉める。

「どうした?開けないのか?」 ドンドン!
「後悔するぞ、儀式の邪魔をした事を」 ドンドン!

(誰か、助けて…)

まどかはボイラー室の中で震えて誰かに助けを求めるしか出来ない。
数秒後にドアのノック音が途絶えると室内が犬カレー空間へと変容する。

「や、やだっ…こんな…」

ゴキブリ型の黒い使い魔達がまどかに迫りくる。

「いやだっ、助けてっ…誰かあぁぁ!」

囲まれ逃げ場を失ったまどかの眼前まで使い魔の魔の手が伸びてきたその時。

「とぉぉぉぉりゃああああ!!!」

斬撃を受けた使い魔達が次々と消滅する。
使い魔を倒した人間には見覚えがあった、それはまどかにとって親友の

「さやかちゃん!?」

美樹さやかが駆けつけてきたのだ。
53 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:02:02.34 ID:6+BUdz9c0
魔法少女となったさやかは剣を振るい周囲の使い魔を切り消滅させた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

「これが魔女ね!」

上空から巨大な邪神の魔女が現れ、その禍々しい姿を見せる。
これこそが先ほど仁美が話した魔女、フォーティーンなのだ。

「うおおおおおお!」

さやかは地面を強く蹴り、魔女目掛けて特攻を仕掛ける。

「シャアアアアアア!!」

だが魔女の持つ巨大な剣による一撃でさやかは叩き落され
墜落したさやかは背中を強打する。

「いててて…」
「さやかちゃん!」
「く……この…!」

さやかの背後には倒したはずの使い魔達が迫っていた。
まどかの声を聞いて気づいたさやかは素早く反撃し
魔女の雷撃を避けながら使い魔を蹴散らす。

「くそう……キリがない…」
「こいつが魔女か」
「だ、誰!?」

二人の前に黒い仮面ライダー、ナイトが使い魔を切りながら現れる。

「魔女を狩りに来たライダーだ、下がっていろ」

『ソードベント』

電子音声と共に出現した槍を振るい魔女へと向かう

「ガアアアアアア!!」

魔女の雷撃を避けながらナイトはカードをバイザーにセットする。

『アドベント』

「グウウウウ!?」

蝙蝠型モンスター、ダークウィングが魔女に襲い掛かり
腕を二本切り落とす。
54 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:02:40.21 ID:6+BUdz9c0
「てやああああ!」

さやかは増殖し続ける使い魔を一心不乱に倒していた。

「あれは?」

昆布を捻ったような置物から使い魔がどんどん増殖している

「そこだぁ!」

捻れ昆布を切り落とすと消滅し使い魔の増殖は止まった。
……と思いきや捻れ昆布が復活しまた使い魔を生み続ける。

「もうー!なんなのよー!」
「うるさいぞ、騒ぐな!」

『ナスティベント』
「ギャアアア!」

ダークウィングから超音波が発せられ魔女が怯み動きが止まる。

『ファイナルベント』

ダークウィングがナイトの背中に装着し上空へと飛ぶと
姿をドリル状に変えきりもみ回転しながら急降下し
魔女の体を突き刺し貫通し爆散する。

「お、終わった…」

魔女が倒された事で使い魔達の増殖も止まり犬カレー空間が消滅する。

「キィwwキィwwキィwwキィwwキィwwキィwwキィwwキィwwキィww」

魔女と大量の使い魔の魂を独り占め出来るからか
ダークウィングがご機嫌で魂を貪っていた。
55 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:03:16.84 ID:6+BUdz9c0
「いやーゴメンゴメン。危機一髪ってとこだったね」
「さやかちゃん…その格好」

まどかが悲しそうな目で見る、魔法少女になったさやかの姿を見て

「ん?あー、んーまあ何、心境の変化って言うのかな?」
「でも……あ!?」
「…………」

二人の前にほむらが現れ厳しい目で見つめる。

「おいお前」

そこに割って入ってナイトがまどかの傍まで歩き携帯を見せる。

「落し物だ」
「あ、はい、ありがとうございます!」
「それとお前」

ナイトがさやかの法へ向くと先ほど倒した魔女からグリーフシードを投げ渡した。

「俺には必要無いからな、お前が持っておけ」
「あ…ありがとう」
「あのう…」
「何だ?」
「仮面ライダー…なんですよね?だから私達を助けてくれたんですよね…?」

シザースの一件でまどかは仮面ライダーに対する認識があまりよくない物へと変わっていた。
だからこそ問いたかった、シザースは稀な例で仮面ライダーは正義の味方だと確証出来る様に。
だがまどかの望んだ答えは返ってこなかった。

「助けた?勘違いするな、俺は魔女を倒しに来ただけだ
 魔法少女だか何だか知らないが死にたくなければライダーを善人だと思うな」

そう言い残しナイトは去っていった。

「彼の言うとおりよ、ライダーは危険な存在…信用してはいけない」

ほむらもライダーに対し否定的な発言をし去る。

「あの転校生、相変わらず嫌な奴!草加さんのような立派なライダーがいるのに〜!」
「ほむらちゃん……」

仮面ライダーは正義のヒーローだと信じたい。
だけどほむらの言うことも嘘だとは思えない。
まどかはどちらが正しいのか未だ答えを見つけられずにいた。
56 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:06:15.77 ID:6+BUdz9c0
夕日が沈み、ネオンの光が夜の街を明るく照らす。
その街中のとあるゲームセンターにて白熱したバトルを見せる男女がいた。

『KO!』
「チョロイチョロイ♪」

さきほどゲームにて勝利を手にしたのは赤髪のポニーテールの少女、佐倉 杏子

「あ〜ん!おっしい〜」
「頑張ってー、芝浦く〜ん♪」

その対戦相手の名は芝浦 淳
沢山の女子をはべらせハーレム状態を築いている羨ましい男だ。

「まだ一勝一敗でしょ?次で決めてやるよ」
「キャー!余裕の勝利宣言、カッコイイ!」

世の男共から見ればリア充市ね!と言いたくなるウザさ

「あ……悪いね、もう小銭切らしたから帰らせてもらうよ」
「あんた貧乏人なわけww?しょうがないなあ〜」

芝浦は帰ろうとした杏子を呼び止め、掌にある数枚の100円玉を見せびらかす。

「『芝浦様ありがとうございます』と頭下げて礼を言うならあげてもいいよww」
「芝浦君、やっさしい〜♪」

(うぜえ……)

ゲラゲラ笑いながら小馬鹿にしてくる芝浦に対し杏子は怒りのボルテージが上がっていく。

「どうしたの?もしかして小銭無いのは逃げる為の嘘だったとかww?」
「…人をおちょくってるとぶっ飛ばすぞ」
「なにマジギレしてんのwwww?やっぱり図星かwwww」
「てめえ!」

怒りを露にした杏子が殴りかからんとする勢いで芝浦の胸元を掴み鋭い眼光を向ける。

チャリンチャリン

芝浦の体を揺らした事でゲーム機器の台に置かれた大量の小銭が床にばら撒かれた。
57 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:06:50.84 ID:6+BUdz9c0
「あーあ、拾ってよぉ気が利かないな〜」
「……ちっ、しょうがないな」

先に手を上げたのは自分だ。
だから杏子は渋々、小銭を拾うことにした。
その様子を見ている芝浦は無防備な杏子の背中に蹴りを入れる。

ドンッ!

「いてっ!!てめえ!!」
「はははwwwwwwこんな貧乏臭いガキは無視して行こうぜ〜」
「そうよね〜♪行きましょ行きましょ♪」
「キャハハハ!」
「ふん、だっさい娘」

(こ、こいつらぁ……)

取り巻きの女達に好き放題言われてしまう杏子
これがギャグ漫画なら体から憎しみの炎が燃え盛っていただろう
この憎しみを抑えるべく足元に落ちている100円を全て回収した後
お菓子を大量買いするのだった。

「クソッ!クソッ!」

杏子の好物である(0H0)のマークが付いたお菓子、ムッキーを
ポキポキと音を鳴らしながら食べるがなかなか怒りが収まらない。

「マミの奴がくたばったと聞いたから来てやったのに既に新米がこの街にいるわ
 ゲーセンにムカつく男がいるわ、踏んだり蹴ったりだよ、こういう時は…」

魔女を探して八つ当たりをしよう。
魔女退治は良い、イライラがすっきり消える。
善は急げ、イライラを解消させる為に早速魔女を探しに行くのだった
58 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:08:51.90 ID:6+BUdz9c0
「じゃあね芝浦君♪」
「また遊びましょう〜」
「おう、気を付けて帰れよ、さてと」

取り巻きの女達と別れた芝浦は携帯を取り出す。

「俺俺、芝浦だけど狩りに行こうぜ〜」

連絡をして待ち合わせ場所に指定した喫茶店で芝浦はコーヒーを飲みながら待っていると

「よう芝浦、待った?」
「いや、こっちも来たばかりさ、さあ行こうぜ佐野」

佐野 満が待ち合わせ場所に現れ行動を共にした。

「じゃあ皆、魔女を探してきてよ」
「ギャギャギャ!」

佐野がゼール軍団に指示を出すと一体のギガゼールが頷き全員が
ミラーワールドの奥深くへと散っていった。

「相変わらずお前のモンスターは便利だな、沢山いるしさ」
「……意外とそうでも無いんだよね…」

感心する芝浦に対し佐野の表情は暗い。

「最初にどのモンスターと契約しようか迷ってた時にゼール達が来て
 『一体一体は弱いけど沢山の仲間がいてお買い得ですよ〜』と
 ボディーランゲージで必死に売り込んできたから契約したんだけど」

(なんか佐野みたいな性格のモンスターだなww)

「数が多い分あいつらの餌代が物凄いんだよ…
 モンスターや魔女を倒しても倒しても空腹を訴えてきてさ…
 特に餌を確保出来なかった日は俺が飯食ってる所を鏡の向こうで沢山のゼール達が
 羨ましそうにじいっと見てきてさ、よだれとかだらだら出してるのよ…
 弁当じゃなく俺の方を見てさ、すげえ食いにくかったよ、あの時は…」

「へえ、あんたも一応苦労してるんだ」
59 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:09:40.97 ID:6+BUdz9c0
(そんなに切羽詰ってるならモンスターや魔女だけでなく人間も襲えばいいのに
 こういう非情になりきれない性格の奴は長生き出来ないタイプだな
 まあこいつがいつ、くたばってもどうでもいいけどね)

「ギャーギャー!ギィーギィー!」
「魔女を発見した?だけど先を越されている?」
「よく理解出来るなww」
「もう慣れてるから」

一体のメガゼールが戻ってきてボディーランゲージで佐野に語りかける。

「どんなライダーが戦ってるのか気になるし行ってみようぜ」
「そうだね、行こう!」

メガゼールに案内されながら芝浦と佐野は魔女の巣へと向かった。

「お、ここか入るぜ」
「魔女の中の空間はキモくてどうも慣れないよ…」
「こんなのダンジョンとでも思えば平気じゃんww早く行くぞ〜」

辺りをキョロキョロ見ながら慎重に歩く佐野を急かして芝浦はどんどん前へ行く。

「ボス階発見!突入〜!」
「ちょ…芝浦、置いてかないで」

魔女と戦っているのはどんなライダーなのか
芝浦は興味心身で魔女のいる部屋に侵入し佐野も後に続いた。

「フォーーーーーーーーーーーー!!!」

甲高い鳴き声を出しながらヤギの姿を模した魔女から光弾が放たれる。
それを回避しているのは二人の予想していた仮面ライダーではなく

「そりゃあ!」
「フォ!?」

赤い衣装に身を包んだ魔法少女であった。
60 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:10:09.66 ID:6+BUdz9c0
「あれって、もしかして…」
「高見沢さんが言ってた『魔法少女』って奴か、へぇー本当にいるんだぁ」

高見沢と手を組んだ際に教えてもらった魔法少女と呼ばれる戦士達
今まで実物を見ていなかった二人にとってはそのような存在がいることに
いまいち信憑性が沸かず半信半疑だったのだ。

「フォォォォォォォォ!!!」

魔女がブーメラン型の刃物を魔法少女に向け撃ち出す。

「これでおしまい!」

槍でブーメランを叩き落し魔女を真っ二つに両断すると
甲高い悲鳴と共に魔女は消滅する。

「あんた、魔法少女なんだろ?…ってお前!?」

魔女を倒した魔法少女に興味が沸き、近づいた芝浦は驚く。

「そうだけど、私になんか用?…ってあんた!?」

話しかけられ振り返った魔法少女も同じように驚く。

「ゲーセンにいた、あの貧乏臭いガキじゃんww」
「ゲーセンにいた、あのムカつく奴!」
「え、何々?二人とも知り合いなの?」

対し馬鹿にしたような態度を見せる芝浦に対し睨みを効かせる杏子

「さっき寄ってたゲーセンでね、でお前さ〜魔法少女ってことは戦えるんだろ?」
「当たり前じゃん」
「じゃあ俺と戦おうぜ」
「あんた正気?ただの人間が私に勝てる訳無いじゃん」
「ただの人間?そうでも無いんだよねww」

魔法少女が一般人に遅れを取ることはあり得ないと余裕の表情を見せる杏子
だが芝浦がポケットから出したデッキをかざし姿を変えることで
余裕を見せていた表情が険しくなる。

「あんた……」
「驚いた?ww特別な力なら俺も持ってるんだよね〜wwじゃあゲームの続きと行こうぜ」

芝浦がサイ型の仮面ライダー、ガイへと変身し杏子と対峙する。
61 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:10:59.83 ID:6+BUdz9c0
「ちょっと芝浦!あの娘ははライダーじゃなくて魔法少女だから襲わなくても…」
「高見沢さんも言ってたじゃん、魔法少女は倒しても構わないって
 それに魔法少女を相手にするなんてなかなか味わえない経験で面白いでしょww」
「でも…まだあの娘は子供だし殺し合いなんて…」
「なに言ってんの?殺し合いに大人も子供も関係無いでしょ?
 いいから下がってよ、タイマン勝負だから手は出さないでよ」

まだ少女と呼べる相手と殺し合う事に抵抗があるのか
佐野は止めようとするが芝浦は意に介さない。

「仕方ねえ、降りかかる火の粉は払わなくちゃな!」

杏子も槍をガイに向け臨戦態勢に入る。

『ストライクベント』

メタルホーンを装着したガイの突きと杏子の槍が衝突し火花を散らす。
ガイの腕力は龍騎ライダーの中でも相当高く、一度の衝突で杏子は押し負け
後方まで吹き飛ばされる。

(馬鹿力め…)

近接戦は不利だと踏んだ杏子は追撃をかけるガイの攻撃を避けながら距離を取り
中距離からガイに仕掛ける。

「槍が伸びた!?ぐうっ!」

槍の間合いの変化に対応出来ず一撃が入る。

「芝浦!あの娘の持つ武器は蛇轍槍みたいな槍だから気を付けろ!」
「蛇轍槍ってなんだよ?」

蛇轍槍(じゃてつそう) 如意棍槍(にょいこんそう)とも呼ばれ、槍術極意といわれる。
室町時代後期、希代の槍の達人といわれた辺見鉄山(へんみてつざん)によって考案された
中国の十節棍に改良を加えた変幻自在の仕掛槍。鉄山没後、多くの武芸者達がこれを極めようとしたが
その操作性の難しさ故に習得し得た者はいないという。

民明書房刊
戦国武芸者往来より
62 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:11:58.63 ID:6+BUdz9c0
「と言う武器に似てるんだよ」
「つまり、かなりトリッキーな攻撃をしてくる槍ってことか」

武器の性質を理解した所で槍の長いリーチを生かした攻撃になかなか対処できず
ガイは防戦一方であった。

「どうしたどうした?今なら『許してください杏子様』と言えば見逃してあげてもいいよ」
「勝った気になるのはまだ早いんじゃないかな?」

『アドベント』

「…!?」

ガラスの中から現れたサイ型のモンスター、メタルゲラスの奇襲を受け
杏子の横腹に角が深々と刺さり口内に血の味が充満する。

「てめえ…タイマンって言っておいて……」
「これは格ゲーで言う『ストライカー』みたいなものさ」

『ファイナルベント』

杏子が動けなくなった隙を狙いガイは止めを狙った。
ガイを乗せたメタルゲラスが猛スピードで杏子目掛けて突進する。

「やめろォーー!!」

杏子とガイの間に割って入った新たなライダーによって
ガイのヘビープレッシャー(AP5000)は弾かれた。
63 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:12:27.55 ID:6+BUdz9c0
「あとちょっとでクリアだったのに…何邪魔してくれてんの?」
「こんなこと、見過ごせる訳無いだろ!」
「もしかしておたく正義の味方気取りな訳?うざいなぁ」
「な…!?正義の味方とかじゃなくて人として当然の事を…」

「まあプレイスタイルは人それぞれだけどこっちのゲームだけは邪魔しないでよ」
「ゲームってお前…」
「ライダーバトルも魔法少女狩りも俺にとってはゲームと同じなんだよね」
「人が死ぬんだぞ!それがゲームなんて絶対間違ってる!」
「今のうちに…」

ガイが乱入したライダーと揉めてる内に杏子は跳躍力を生かし素早く戦線を離脱した。

「あらら…逃げられちゃった、もう萎えたから帰るわ」
「待てよ!まだ話が」
「行こうぜ佐野〜」
「ああ、今行くよ」
「あんたもあいつと同じ考えなのか?」

ライダーが佐野を呼び止める、その言葉は真剣だ。

「……俺達はそういう争いをしているんだ、これも仕方ない事なんだ」

そう言って佐野は去った。

「いくら願いが大事だからってこんな殺し合いをするなんておかしいよ……」

悲しみに暮れながら立ち去ろうとした時、アスファルトに付着する血痕に気づく。

「そういえばあの娘、怪我を!」

杏子の血痕を発見したライダーは少女の無事を祈りながら後を追った。
64 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:13:05.70 ID:6+BUdz9c0
「あ〜あとちょっとだったのにな〜」
「また次を狙えばいいよ」

芝浦は口惜しそうに愚痴を零しながら帰りを歩いていた。

ゴツンッ!

芝浦の肩に黒い怪人の体が当たり、衝撃で怪人が道の隅にあるゴミ箱に激突する。

「ぐ……ぐぐぐ……」
「だっせえwwwwwwww」
「逃げるぞ芝浦!ごめんなさーい!!」
「ちょっとひっぱんなよ」

腰の低い佐野は謝りながら芝浦の手を引っ張り逃げ出した。

「……なんて惨めなんだ……」

黒い怪人は一時期、誰にも負けない最強の悪の組織を夢見て目指していたが
忌々しい刑事達に邪魔され仲間は全員捕まり自分だけおめおめと逃げ出してきたのだ。
夢というのは呪いと同じだ、呪いを解くには夢を叶えなければならない。
だが途中で挫折した人間はずっと呪われたままなんだ。

なぜこんな壮大な夢をもってしまったのだろう?
夢さえなければこんな苦しい思いはしなくて済んだのに
夢なんて寝て見る物だけで満足していればよかったんだ
いまさらこんなことに気づくなんて
65 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:13:36.80 ID:6+BUdz9c0
「俺は…本当に馬鹿だ……」

「ねえ兄貴、こんな所にも俺達と同じ闇に堕ちた人がいるよ」
「そうだな相棒、おいお前」

二人組みの男が怪人に近づき語りかける。

「……俺に何のようだ?」
「お前…俺の弟になれ」
「なんだと?」
「お前の目を見れば分かる、光を掴もうとして痛いしっぺ返しを受けたんだろ?
 俺達もお前と同じだ、光を求めるな、地べたを這いずり回って闇の中で生きていくんだ
 それが俺達ろくでなしが生きる道なんだ」

この男の言うことは頭では理解出来ないが心でなんとなく伝わってくる。
そんな凄みを感じさせられる。

「俺は前科持ちだがいいのか?」
「関係ない…お前の名は?」
「俺は、ネガタロスだ」

それが地獄兄弟とネガタロスとの出会いだった。
66 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:14:23.43 ID:6+BUdz9c0
「いてて、あのサイ野郎め…」

ライダー達から逃げ延びた杏子はビルの壁に持たれ休息を取っていた。
ソウルジェムがもたらす魔翌力で傷を塞いだが体力は激しく消耗していたのだ。

「おい!大丈夫か!?」

さきほど乱入したライダーが現れる。
疲れていたとはいえここまで接近を許してしまうとは
杏子は素早く槍を構築しライダーに切っ先を向ける。

「よせ!俺は誰とも戦う気は無い!」
「どうだか、油断させておいて不意打ちを仕掛けてくるかもしれないしね」

その言葉を聞いたライダーは変身を解除し青年の姿を見せると両手を高く上げる。

「ほら、俺は絶対に君を襲ったりしないから」
「あんた……この状態で槍をぶっ刺したら終わりだよ?」
「え?マジ?お願いやめてー!」
「ぷぷ…アハハハハ!分かったよ、あんたを信じるよ」
「何も笑わなくても…でも信じてくれてありがとう」

本気でビビる青年にやる気がそがれたのか、杏子は槍を消し警戒を解いた。

「そうだ!早く病院にいかないと!」
「いや、もう治ってるからって持ち上げるな!」

青年は杏子をお姫様だっこで持ち上げながら病院に向かおうとするが
杏子がジタバタ暴れ、降ろせざるを得なくなった。

「治ってるってこんなに血が付いてるじゃないか!」

青年の言うとおり攻撃を受けた横腹の部分の衣装に血が大量に付いている。
67 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:14:59.19 ID:6+BUdz9c0
「ほら、なんとも無いだろう」

杏子が服をめくり攻撃を受けた箇所を見せる。
そこには傷一つ無い綺麗な素肌が見えている。

「あれ?おかしいな…こんなに早く傷が治るなんて」
「もう!あまりじろじろ見るなこの変態めッ!」 バシッ!

横腹を異性の男性にまじまじと見られるのは杏子でも流石に恥ずかしかったらしい。
顔を赤くしながら青年の顔を叩く。

「いたたた…変態は酷過ぎるよ、俺の名は真司、城戸真司だからな」
「あたしは佐倉杏子よ、じゃあそろそろ行くよ、縁があったらまた会えるかもね」
「あ、待って杏子ちゃん!お願いがあるんだ」
「なんだい?」
「もう誰かと殺しあったりするのはやめてほしい
 話し合えば俺達みたいに和解だって出来るはずなんだ」

「…相手から仕掛けてきたらどうするんだ?大人しく命を差し出せば良いのか?」
「そうじゃないけど……何か他に方法はあると思うんだ!だから出来る限り殺さないでほしい」

「……一応考えておくよ、またね真司」

立ち去っていく杏子の背中を見送りながらも真司は悩んだ。
自分にライダーや魔法少女達との争いを止められるのか否か。
そんな事はいくら考えても一向に答えは見つからない。
だけど真司は行動する、この凄惨な殺し合いを止めるために
それが真司の願いだからだ。
68 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:16:09.41 ID:6+BUdz9c0
魔女に操られた仁美によってまどかは拉致されたが
美樹さやかと仮面ライダーナイトの活躍により、まどかや仁美達は救出され
連絡が通じた事で草加もまどかの無事を知り安心し、まどかを家まで送り夜が明けた。

後日、仁美は警察の事情徴集やら病院での精密検査やらで
夜遅くまで付き合わされ寝不足で学校に来ていた。
余談だが肉体に異常は見られなかったが魔女に操られた副作用で
言語が時々、ニーサン口調になるらしい。
それだけ前回戦った魔女の力は大きかったのだろう。

「さてと、じゃあ私はそろそろ行かないと」
「ん?何か用事があるの?」
「まあ、ちょっとね」


さやかは下校中にまどかと別れ病院へ向かう、上條に会うために
上條の状態は以前と比べとても良くなっていた。
奇跡でも起きない限り治らないと言われた腕が
まるで事故など初めから無かったとおもえるぐらい完全に治っているからだ。
そんな上條の様子を見てさやかは幸福で胸が一杯だった。

「恭介、ちょっと外の空気吸いに行こう」
「屋上なんかに何の用?」
「いいからいいから」


さやかに屋上まで連れて来られた上條の目の前には
家族や医師達が集まっており拍手でを送ってくれた。

「皆!?」
「本当のお祝いは退院してからなんだけど、足より先に手が治っちゃったしね」


上條のパパさんからヴァイオリンを渡された上條は
入院中に何度も夢見たヴァイオリンを弾き美しい音色を響きかした。

(マミさん、あたしの願い、叶ったよ)


さやかは上條の演奏を聞きながら今は亡き先輩を想っていた。

「ふぅん…。あれがこの街の新しい魔法少女ねぇ…」

その様子を離れたビルで眺める佐倉杏子の姿があった。
69 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:16:59.06 ID:6+BUdz9c0
「さやかちゃんを守ってほしい?」
「はい、図々しいお願いなのは分かってるけど私じゃ何の役にも立たないから…」

まどかは草加に頭を下げてお願いする。
ほむらは「美樹さやかのことは諦めて」と言っていたが
それでもさやかの事が心配なまどかは草加にも頼み込んでいたのだ。

「任せてくれ、さやかちゃんの事は俺がしっかり守るさ
 それと自分を卑下しないでほしい、まどかちゃんが俺の事を必要としてくれるだけで
 戦える力を十分に貰っているからね、だから決して役立たずなんかじゃないさ」
「草加さん…」

不安で一杯だったまどかに笑顔が戻る。
優しいまどかの性格を考えて
それだけさやかの事が心配だったのだろうと草加は把握出来た。

さやかの魔法少女化は予想外だったが話を聞いた限り
まどかの契約に否定的なようだし自分を信用しきっている戦力が増え
こちらの都合の良い展開になってきている。
最悪の場合、さやかが命を落としてもソウルジェムさえ回収出来れば
自らの強化に役立つから損失は少ない。

用心するべきは二人が見たコウモリのライダーだ。
話を聞く限り魔女に襲われたところを助けてくれたらしいが
シザースのように騙まし討ちを仕掛けてくる可能性もある
警戒するに越した事は無いだろう。

草加はまどかに優しく微笑みながらも脳内では冷静に策を巡らしていた。
全てはまどかと二人っきりで添い遂げる野望を叶えるために
その為ならライダーバトルだろうが淫獣の押し売りだろうが全部叩き潰すだけだ。
70 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:17:35.56 ID:6+BUdz9c0
「……ふう」

さやかは鏡の前で写る自分の顔を見つめながら気合を入れていた。

「緊張しているのかい?」
「まあね。一つ間違えたらお陀仏なわけだし」

淫獣を肩に乗せ、さやかは魔女を捜索する為パトロールに出かけた。

「やあ」
「まどか?それに草加さん?」
「さやかちゃん、これから、その…」

マンションから出たさやかを待っていたまどかと草加の姿があった。

「そ、悪い魔女を探してパトロール。これも正義の味方の勤めだからね」
「それなら俺も同行させてほしい、一緒に魔女を倒そう」
「頼りにしてます先輩!新米魔法少女でまだ至らない点も多々ありますが
 ビシビシっと指摘してください!」

草加の言葉から元気を貰ったさやかは嬉しそうに草加の手を握り
目を輝かせて喜んでいた。

(まどか以外の女に手を触れてほしくないんだけどなぁ、後でティッシュで手を拭いておくか)

その後、まどかも同行を志願し三人で町のパトロールへと向かった。

「ここだ」

一通りの少ない路地裏でソウルジェムが反応する。
空間が変化し辺り一面、様々な食材の風景が映し出される。

「この結界は、多分魔女じゃなくて使い魔のものだね」
「楽に越した事ないよ。こちとらまだ初心者なんだし」

「オマエガツクッタリョウリハブタノエサァアアア!!」

緑の体色をした使い魔が奇声を上げながら走っていた。
71 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:18:11.53 ID:6+BUdz9c0
「あれが」
「逃げるよ!」
「任せて!」

さやかが魔法少女へと変身し、大量の剣を精製し使い魔に投げ付ける。
だが剣が使い魔に突き刺さる寸前に妨害が入り使い魔を逃してしまう。

「ちょっとちょっと。何やってんのさ、アンタたち」

佐倉杏子がさやかの前に立ちはだかる。
さやかは使い魔を追うべく走るが
杏子の槍がさやかの喉元に突きつけられ動きを止められる。

「見てわかんないの?ありゃ魔女じゃなくて使い魔だよ。グリーフシードを持ってるわけないじゃん」
「だって、あれほっといたら誰かが殺されるのよ?」
「だからさぁ、4〜5人ばかり食って魔女になるまで待てっての。そうすりゃちゃんと
 グリーフシードも孕むんだからさアンタ、卵産む前の鶏シメてどうすんのさ」
「な…。魔女に襲われる人たちを…あんた、見殺しにするって言うの?」

さやかの魔法少女として戦う理由を真っ向から否定する杏子
そんな杏子の行動方針に反感を抱き、さやかは杏子に斬りかかった。

「あんたみたいな奴がいるから、マミさんは…!!」
「ウゼェ、超ウゼェ!」

ついにさやかと杏子の殺し合いが始まった。

「草加さん!」
「任せろ!さやかちゃんは俺が守る、変身!」

草加がライアへと変身し魔翌力を使い黄色のライアになり
マスケット銃を精製し杏子の背中へと狙いを定める。
72 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:19:05.74 ID:6+BUdz9c0
赤髪のガキの態度を見る限り協力関係を結ぶのは難しいだろう。
それならソウルジェムをモンスターに捕食させ更に強化を図るべきだ。
例え殺した所でさやかを守る為という大義名分が有れば
自分の正当性を証明するのに十分だ。

さやかに気を取られている隙を突き、ライアのマスケット銃による銃撃が杏子に降りかかるが
寸前でライアの殺気に気付いた杏子は上空に飛び上がり銃弾を回避する。

「チッ…」
「その銃!?なんでてめえがマミの銃を使ってるんだよ!」
「君が知る必要は無いなぁ」

ライアはマスケット銃を何度も精製し撃ちまくるが杏子の動きは素早く
なかなか命中させることが出来ない。

『スウィングベント』

武器を鞭に切り替え接近戦を仕掛けるライア

「でえええええええええい!!」

さらにさやかの攻撃も加わり最初は優勢だった杏子も
ライアとさやかの二人がかりではそうも行かず窮地に陥っていた。

「どうしたのかなぁ?ずいぶん生意気な口を叩いてたようだけど案外、大した事無いんだな」
「…てめえ!」

草加に挑発され怒りを露にする杏子、だがそれは草加の罠だった。
これでいい、戦いが不利になり自らの敗北を認められたら
せっかくソウルジェムを手に入れられる機会が失ってしまいかねんからだ。

重要なのは殺さなければ戦いを止められなかったと二人に認識させること
だから相手の闘争意欲を萎えさせては駄目なのだ。
さあ攻めて来い、確実に息の根を止めてやる。
73 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:19:55.84 ID:6+BUdz9c0
「杏子ちゃん危ない!」

声の主により杏子は横に突き飛ばされライアのエビルウィップが
妨害した物の体へと命中した。

「いだだだー!」
「真司…?お前また来たのかよ」
「君は一体何なのかなぁ?」

仮面ライダー龍騎が乱入した事で闘争が無理矢理中断され
ライアは憎しみを込めたような低い声を出し龍騎と相対する。

「俺は…戦いを止めようとして…」
「邪魔するなー!」
「君…魔法少女だろ?なんで魔法少女同士で争いなんかしてるんだよ?」

さやかの攻撃を避けながら龍騎は問う。

「あいつに妨害されて使い魔に逃げられたんだ!使い魔を人間に襲わせる為だけに!」
「使い魔って、あの緑の奴?それなら俺がさっき倒したけど」
「はあ?何勝手な事してくれてるわけ?」
「それより杏子ちゃん、使い魔を逃がしたってのは本当かよ?どうしてそんなことを…」

「やれやれ、いいかい?私達魔法少女は魔女から落とすグリーフシードで
 ソウルジェムの穢れを落とさないと魔翌力を行使出来なくなって戦えなくなるのさ
 だから使い魔を倒しても魔翌力が消費されるだけで損だし魔女になるまで
 成長させてから倒してグリーフシードを集めたほうが効率が良いって事さ」

「えっと……つまりグリルシーフードが沢山必要って意味でしょ?もしかしてそれってこれ?」

そう言うと龍騎が懐からグリーフシードを取り出した。しかも多数。

「これあげるから、他人を犠牲にするなんて考えはもうやめてくれよな!分かったか?」
「しょうがないな分かったよ、それにしてもあんた…一体どれだけの魔女を倒してきたんだよ…」
「うーん、よく覚えてない」

龍騎は魔女が人を襲う様を見てからはモンスター同様に魔女退治にも励んでおり
その結果、大量にグリーフシードを入手していたのだ。
74 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:20:33.47 ID:6+BUdz9c0
「じゃあ杏子ちゃん、はい」
「なんだよそれ?」

龍騎が杏子に小指を向ける。

「約束だからな、だから指きりげんまんするぞ」
「嫌だよ、そんな恥ずかしい真似出来るかよ」
「いいから、やるぞー」
「手を引っ張るな!」

そんな杏子の抵抗むなしく無理矢理龍騎と指きりさせられてしまう。

(まったく、こいつが絡むと調子が狂っちゃうよ)

「じゃあ君も杏子ちゃんはもう他人を犠牲にしないと約束したからもう戦ったりしないでくれよ!」
「わ、分かったわよ」

さやかは龍騎のノリにおされ思わず頷いてしまう。

「じゃあ二人で握手だ、仲直りの握手」

「え?」
「はあ?」

二人ともかなりの抵抗感があったが握手をしない限り龍騎が引き下がらないという
気迫がムンムンと伝わってきており仕方なく握手をするのだった。

「やっぱりお互い話し合えば協力出来るんだよ、それが人間なんだ」
「はあ…よかったぁ」

龍騎は自分の努力が実り争いを止められた事実が嬉しく
握手している二人を見て笑顔になっていた。
まどかもほっと胸を撫で下ろす。

「三文芝居はそれぐらいにしてもらおうかな」

ライアのマスケット銃が龍騎の眉間に向けられる。

「さやかちゃん!あいつの言うことに耳を貸すな、奴は綺麗事を並べて俺達が油断した所で襲ってくる算段なんだよ」
「違う!俺は本当に戦いを止めたいんだ!」
「どうだかなぁ?言葉だけなら何とでも嘘を吐けるしなぁ」
75 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:21:20.57 ID:6+BUdz9c0
龍騎のせいで作戦が台無しにされライアはご立腹だった。
その怒りも有るが、ライダーバトルは最後の一人になるまで殺し合うルールで有り
他のライダーを容易く信じる事が出来ないのだ。

そんなライアの言葉を聞いた龍騎は言葉以外の証明が必要だと考え
迷わずベルトからデッキを抜いた。

「俺はあんた達と戦うつもりは無い!」

(何を考えている?自分が撃たれないとでも思い込んでいるのか?)

目の前で生身を晒した真司の行動に戸惑いを隠せないライア

「もうやめて草加さん!あの人の言ってる事は本当だよ!」

まどかの言葉を聞きライアはマスケット銃を消した。
自らの危険を顧みず生身を晒した龍騎を殺害したとあっては
今まで演じてきた『優しくて頼りがいのある素敵な草加さん』のイメージが崩れてしまう。
だから今のライアは龍騎を[ピーーー]事が出来ないのだ。

「あんたさぁ…」
「え?」
「迂闊に生身晒してんじゃねぇー!死にたいのかーー!」
「ぎゃあああ!!」

杏子のハイキックが真司の尻に直撃し悶絶する。
少女の肉体とは言え、魔法少女体になった杏子の身体能力は常人を凌駕しており
生身を晒せば常人と変わらない真司がハイキックを受ければ当然、物凄く痛いのだ。

「真司はさあ学習能力ってのは無いわけ?あいつが撃っていたらあんた死んでたよ」
「いてて…だってそうでもしないと信じてもらえそうに無かったからさ…」
「疑って悪かった、俺もあの娘達を守る為に君が敵かどうか見極める必要があったんだ
 そのせいで君を不快にさせてしまったが、どうか許してほしい」

龍騎を殺害するのは無理だと考えたライアは方針を変更し
龍騎を味方に付ける作戦に切り替えた。
76 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:21:56.78 ID:6+BUdz9c0
「いやいや頭を上げてください、いきなり信用なんて出来るはず無いですもんね
 それに二人を守る為に取った行動なんだから立派ですよ」
「だけど、あの娘は信用出来るのかな?約束とは言っても所詮口約束
 簡単に破るかもしれないだろ?約束を守る保障が無い」

見た所、龍騎は頭で考えるより体が先に動く馬鹿で単細胞なお人好しなんだろう
それならば利用しやすいし、生かす価値はある。
だが赤髪のガキは好戦的で狡猾な部分があると伺える。
恐らく利用するのは難しいだろう、ならば敵対させて潰す機会を待った方がいい
そうライアは考える。

「そう言うあんたも信用出来ないけどね、胡散臭いんだよあんたは」
「それはどういう意味かなぁ?」
「大丈夫だよ、杏子ちゃんは口が悪いし、マナーも悪いし、常に何か食べてるけど
 本当はとっても優しい娘なんだって俺知ってるから!」
「はぁ?私が優しい訳ないじゃん」
「俺がライダーの変身を解いた時、怒ってくれたじゃないか
 それって俺の事を心配してくれたからじゃないのか?」
「……あんたがあまりにも愚直だから見てられなかっただけさ」

「それにこの前、野良猫達に餌あげてる所も見たぞ、めっちゃ懐かれてたじゃんか
 『たくさん食べて強い子になるんだぞ〜』とか言ってて凄い微笑ましくてさ」
「おまえ……余計な事は言うなーー!この馬鹿真司ーーー!!」
「うぎゃああああ!!」

杏子の二度目のハイキックが真司の尻に直撃した。

「……だから杏子ちゃんを信じてあげてほしい」
「分かったよ君がそこまで言うなら信じよう」
「ありがとう!」
「俺の名は草加雅人、俺達はお互い仲良くなれそうだ、今後ともよろしく」
城戸真司って言います。一緒にライダーバトルを止める為にがんばりましょう!」
「もちろんだ。城戸のような良いライダーと出会えてとても心強いよ」

こうして草加雅人と城戸真司は握手を交わし協力関係を結ぶ事になった
77 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:22:49.59 ID:6+BUdz9c0
「フフフ…素晴らしい友情劇ですね、感動しました」

白いタキシードを着た屈強な男が拍手をしながら近づいてくる。

「私の名は黒崎一誠、ZECTの命によりザビーゼクターの回収と
 魔法少女の確保の為にやってきました」

どこぞのオサレな死神漫画に出てきそうな名前の男は青い薔薇を手に持ちながら
用件を手短に話した。

「抵抗したければどうぞ、ただし相応の痛みは覚悟してもらいますが」

男は別次元から出現したカブティックゼクターを装着し
空手の構えに似た独特の変身ポーズを取る。

「変身!」
『HENSHIN』

電子音声と共に姿が変化し、コーカサスオオカブトをモチーフにしたライダー
仮面ライダーコーカサスへと変身した。

「薔薇は常に強き者を見つめています、薔薇が私を見つめ続ける限り負けることはありません」

「なに…あいつ…?」
「ザビーだと?ちっ…それは私の物だ、絶対渡さないからな」
「あんたが何者なのか知らないけど杏子ちゃん達を狙っているなら、そうはさせない!」
「気を付けろ城戸!奴はヤバイ!」

コーカサスの強さは並大抵では無い。
戦わずしても分かるほど、それだけコーカサスから発せられる覇気が凄まじいのだ。

「まどか、あいつは危険だ!だから僕と契約を!」
「その必要は無いわ」

どさくさにまぎれて勧誘してくる淫獣を止めるように暁美ほむらは現れた。
78 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:26:30.90 ID:6+BUdz9c0
「ほう…魔法少女がもう一人現れるとは好都合です、三人も捕らえればZECTの幹部達もお喜びになるでしょう」
「………………」

ほむらは無言でコーカサスを警戒するように見つめている。

「……どうやら貴女はマスクドライダーシステムの知識をお持ちのようですね」

マスクドライダーのみが扱う事が出来る高速移動方法、クロックアップ
その発動スイッチを見つめるほむらの視線でコーカサスは感づいた。
コーカサスの問いに対し、ほむらは沈黙を続ける。

「フフフ…知っていた所で対処法が有るとは思えませんが、では闘りましょうか」

ズドン!ズドン!
ほむらの背後から銃弾が発射されコーカサスに降り注ぐ。

「一対一なんて綺麗事を言う暇は無い、俺達全員で始末するぞ」

ライアが銃口をコーカサスに向けながら言い放つ。

「城戸!ライダーと争いたくない気持ちもあるだろうが奴を止めなければ彼女達が危ない
 覚悟を決めるんだ!そうしなければ守りたい者を守れないぞ!」
「やるしか…ないのかよ……」
「草加さん、私も戦います!」
「しょうがないな〜、だけどザビーを持つ私を狙うって言うなら戦うしかないよね!」

ライア、龍騎、さやか、杏子がほむらの傍に立ちコーカサスと対峙する。
79 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:27:26.63 ID:6+BUdz9c0
「貴方達、彼はそこいらのライダーとは訳が違う、ここは私に任せて逃げなさい」
「そんなこと出来るかよ!君一人が危険な目に会うのを見過ごすなんて…」
「私は大丈夫、だから…」
(城戸真司、あなたは相変わらず自分よりも他人の事を…)

ほむらは龍騎仁対し僅かに苛立った表情を見せる。

「五人がかりですか良いでしょう、せいぜい楽しませてください」

「確かこの先には兄貴が使っていた豆腐屋が…」
「俺の作る地獄の豆腐料理を楽しみにしていろ」
「地獄三兄弟の結成祝いに兄貴自らが料理を振舞ってくれるとは嬉しいぜ」

戦いの場に水を挿すように三人組の男が路地裏に入ってきた。

「お、お前はあの時の!?」
「ん?誰かと思えば私にザビーをくれたヘタレじゃん」
「お前…今、俺の相棒を笑ったなぁ?ああ!?」

怒りを見せる影山を馬鹿にして笑う杏子、だがそれが矢車の逆鱗に触れたようだ。

「おやおや、君達はZECTのお払い箱になった二人ではありませんか
 今は貴方達に構っている暇はありません、早々に立ち去りなさい」
「今、俺の兄貴達を笑ったなぁ?てめえ、タダで済むと思うなよ」

コーカサスの言葉に今度はネガタロスがキレた。

『Henshin』
『Henshin』
『NegaForm』

「「「変身!」」」

矢車がアクセサリーに影山が鎖にネガタロスがライダーパスにそれぞれ口付けをして変身し
矢車が仮面ライダーキックホッパーに
影山が仮面ライダーパンチホッパーに
ネガタロスが仮面ライダーネガ電王へと姿を変えた。
80 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:28:18.29 ID:6+BUdz9c0
「仕方の無い人達ですね、どうしても戦いたいのならお相手しましょう」

「眩しいんだよ!」
「気取りやがって!」
「ド阿呆が」

攻撃を仕掛ける三人のライダーを迎え撃つコーカサス
キックホッパーの足技とパンチホッパーの拳とネガ電王の斬撃が同時に繰り出されるが
コーカサスの素早いフットワークで攻撃を紙一重に避け
そこからすかさずカウンターによる打撃を打ち込み相手を怯ませ人数による差を埋めていた。

『FULL CHARGE』
『RIDER KICK』
『RIDER PUNCH』

三方向から三人のライダーによる必殺技が放たれる。
小手先の攻撃ならともかくエネルギーをチャージして放たれた技の前には
防御は無意味、回避しようにも囲まれて避ける暇すら与えない。

『HYPER CLOCK UP』

「あああああああああ!!」
「兄貴ィーーーーーー!!」
「劇場版ボス同士なのにこの扱いの差はぁああ!?」

電子音声と共にコーカサスの姿が消え、標的を失った事により
それぞれの必殺技による同士討ちが起こり
その衝撃で三人は遠くまで吹き飛ばされ退場するのだった。

「さて、邪魔者も消えたようですしメインディッシュと行きましょうか」

姿を消し攻撃を避けたコーカサスが5人の近くに出現し薔薇を向ける。
81 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:29:32.35 ID:6+BUdz9c0
「先ほどの戦いを見て勝ち目が無いと悟ったのなら投降する事をおススメします
 貴女達、魔法少女は手足を引き千切った位では簡単に死なないことを私は知ってます
 弱者を一方的に拷問する美しくない戦い方は好みませんが
 大人しくさせる為なら私は手段を選ばないつもりですので」

「彼の言う事を聞いては駄目よ、連れ去られたらどの道生きて帰れないわ」
「…強情な娘ですね、では動けなくしてから拉致させていただきましょう」
「うおおおおおおお!!」

ほむらに近づくコーカサスを食い止めるように龍騎が走りドラグセイバーで斬りかかる。
コーカサスはバックステップで軽々と回避した。

「どうしても、あの娘達を連れていくと言うなら俺は戦わなくちゃいけないと思う!」
「言い忘れてました。ライダーに関しては生け捕る必要が無いので
 私の邪魔をするならば遠慮無く始末させてもらいます」

ス┣¨┣¨┣¨┣¨!!

「くっ…」
「城戸!奇襲を仕掛けるなら黙ってやるべきだ」

コーカサスの死角に移動していたライアの砲撃により数発被弾させた。

「小癪な真似を、そんな攻撃で!!」
「ごふ…」

さやかが背後から斬りかかるもあっさり回避されカウンターの正拳突きが鳩尾に刺さる。

「てめえ!」
「力を持とうが所詮子供ですね」

杏子の槍捌きもフットワークを生かした移動方で避けながら接近し殴り飛ばす。

コーカサスはマスクドライダーの中でもトップクラスの性能を持ち他のライダーを凌駕している。
だがコーカサスの真の強さはゼクターの性能では無い。
その装着者の圧倒的経験である。

ZECTに入る前の黒崎一誠は一流の格闘家として肉体を毎日鍛え続け
自分以上に体格の大きい海外のプロのファイター達を相手に常勝を重ねたのだ。
そんな彼がマスクドライダーと呼ばれる肉体を強化するスーツを身に纏い
世間の裏側で更に高次元の戦いが行われている事実を知り
彼は更なる自分の可能性を求めるために格闘技界から身を退いた。
82 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:30:22.56 ID:6+BUdz9c0
そんな黒崎一誠にとって魔翌力を使い身体能力を増強させた魔法少女達に遅れを取る筈が無かった。
パワーを増そうがスピードを上げようが動きそのものが素人なのだから
どのタイミングから仕掛けてどの辺りを狙っているのか、動きが正直過ぎて簡単に見切れてしまう。
本能のままに襲う魔女相手ならそれでもいいだろう。
だが身体能力以外にも高度な技術を覚えなければ勝ち残れない格闘技界隈で
常勝を続けた黒崎の技量に対抗するには足りない……!圧倒的に足りない……!!

「うわああ!」
「ぐうううっ!」

それは龍騎とライアにも言える。
ジャーナリストと大学生の二人の攻撃も見切られて当たらない。
ほむらも隙を付いて銃撃を行うが動きが素早く周りの味方を遮蔽物に利用し
なかなか積極的に攻められない。

「そんなにザビーが欲しければ呼んでやるよ!」

痺れを切らした杏子がライダーブレスを付けた腕を掲げると
どこからか現れたザビーゼクターがブレスに装着される。

「変身!」

『HENSHIN』

「いくよザビー!」
「ライダーに変身しましたか、少しは楽しませてくださいよ」

マスクドフォームになった杏子が槍を構築しコーカサスに仕掛ける。

「杏子、キャストオフを」
「…わかったよ!キャストオフ!」

『Cast off』
『Cahnge wasp』

「おー!すげー!」

杏子はほむらの指示の通りにキャストオフを発動させると
電子音声と共に装甲が弾け飛びザビーがライダーフォームへと切り替わった。

「後はクロックアップすれば貴女は勝てるわ、他の皆は離れて!」
「見せてあげましょう!私のライダーの真の能力を!」

ザビーのクロックアップに対抗しコーカサスはハイパークロックアップを発動させようと
ハイバーゼクターに手を伸ばす。
その瞬間に轟音と共にコーカサスの体に強力な衝撃と熱が襲ってきた。
衝撃によって吹き飛ばされた体は宙を浮き自由が利かない。
何が起こったのかコーカサスは理解出来なかった。

相手が何か仕掛けていたとすれば動きを見て十分に対応出来る。
何の前触れも無く目の前で爆発が起きた。
そう答えるしか出来ない突然の出来事なのだ。
83 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:32:07.00 ID:6+BUdz9c0
『Clock Up』
「しまっ」

コーカサスが言いかけた瞬間にザビーのクロックアップが始まった。
吹き飛ばされたコーカサスは超スローモーション映像のようにゆっくり下降している。

「あのイレギュラーが言っていた勝てるというのはこういうことか
 一方的にいたぶるようで悪いけど私は容赦しない。ライダースティング!」

『RIDER STING』

ザビーの針がコーカサスの胸部装甲を貫き、致命傷を与える。
スーツ越しから肉がズブズブと刺さっていく嫌な感触が伝わる。

『Clock Over』

クロックアップが解除され時間の流れが元に戻る。

「あ、あれ?」
「何が起きたんだ?」
「たしかいきなり爆発して…」

クロックアップし高速移動が可能になったザビーがコーカサスを撃破した事に気付ず
突然の周囲の変化に戸惑う。

「このままでは終わらん!」
「なっ!?」

突然起き上がった瀕死のコーカサスが死にかけの体に鞭を打ち
自らの胸元に刺さったザビーの腕を掴みながらゼクターにエネルギーを注入する。

「ライダー…キック……」

『Rider Kick』

「うわあああ!!」

コーカサスのライダーキックがザビーに直撃し変身が解除され
離れたザビーゼクターをコーカサスが掴み取った。
84 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:32:58.12 ID:6+BUdz9c0
ザビーが吹き飛んだ反動で胸に刺さった針が勢いよく抜け
コーカサスの胸元から血が大量に零れ落ちる。

「ザビー…ゼクターだけでも回収させて…もらいましょうか」

『FINAL VENT』

状況はよく分からないが瀕死のコーカサスをわざわざ見逃す必要は無い
危険人物は殺せる時に確実に[ピーーー]べきだ
勝機を確信したライアがハイドベノンで止めを狙う。

『Hyper Clock Up』

再びコーカサスがハイパークロックアップを発動する。
戦う為ではなく逃走する為に、屈辱的だが今はもう戦える時ではない

『Hyper Clock Over』

「くそ!逃がしたか…いや……追いつけるかもしれない」

ハイドベノンを外し毒づくライアだがコーカサスの胸元からこぼれた血の跡を発見し内心にやつく。

「もういいだろ?あいつはもう深手を負ってるんだ、これ以上は」
「城戸、もし奴が回復して再び襲ってきた時に、次も勝てる保障はあるのか?無いだろ?
 これは守る為の戦いなんだ、奴が生きていれば次こそ守りきれるか分からない」
「いたた…」
「杏子ちゃん大丈夫?」

コーカサスが瀕死の状態だった事でライダーキックの威力も大分軽減され
杏子が致命傷を追う事はなかったのだ。

「とにかく城戸は皆と一緒に待っていてくれ、奴は俺がどうにかする」
「草加さん私も!」
「大丈夫だ、さやかちゃんは城戸達と一緒に周りを警戒しながら待っていてくれ」
「…わかった」
85 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:33:24.39 ID:6+BUdz9c0
「困りますね、君達が彼を殺してしまったら都合が悪いんですよ」

コーカサスを追おうとしたライアに立ち塞がるように新たなライダーが現れた。
それはサメをモチーフにした水色の仮面ライダーアビスである。

「誰なのかなぁ?君は」
「いずれ分かる事です、今は貴方達と戦う気はありませんが
 どうしても彼を追うのでしたら私がお相手しましょう」

どうするべきか草加は悩んでいた。
人数ではこちらが上だがコーカサスとの戦いで疲労が溜まっている。
今がチャンスだが奴の様子を察するに人数の差を埋める強さを持っている可能性もある。

「ついでに言うなら暁美ほむら、私は君の能力を知っている、戦う目的もね」
「……!?」
「なので私と戦うとしても彼のように上手く行くと思わないことです
 戦う相手を間違えると大切な人も守れなくなりますよ、クク…」
「ひっ……」

アビスに鋭い眼光を向けられまどかの背筋が凍りつく。

「ちっ、ここは退こう」
「聡明な決断で助かります、これで不要な戦いは避けられました」

アビスがまどかに視線を向けた事にライアは不安を過ぎった。
ライアはまどかを守る為に戦っている事をアビスは知っているのではないのかと
だからこそ『大切な人』の言葉と共にアビスはまどかを見つめたように思えた。
今アビスと戦えばまどかを狙う危険性が高いと考え
ライアはコーカサスの追撃を諦めるしか無かった。
86 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:33:58.01 ID:6+BUdz9c0
「ではさようなら、いずれは戦場で」

アビスが立ち去り、激しかった戦いは終わった。
皆それぞれ変身を解除しお互いの無事を確かめ合った。

「そういえばさぁ、あの金ぴかはいつの間に倒したの?」
「それは俺も気になるなぁ」
「俺も俺も!」

「あ〜クロックアップっていう高速移動を使ったのさだから皆が気付かない内に倒せた訳
 それよりも、その前の爆発が気になるよ、あれはあんた達がやったのかい?」

杏子の問いに対し一同は首を横に振る。
コーカサスに気付かれずに爆発物を使う術など持っていないのだ。

「もしかして、君!」
「なに?」

GX-05をほむスピナーに戻し一人立ち去ろうとしているほむらに城戸は声をかける。

「あの時、爆発を起こして俺達を助けてくれたのは君なんだろ?ありがとな」
「知らないわ」
「その前だって杏子ちゃんにアドバイス送ってたし」
「私の事は放っておいて」
「あ、ちょっと君!、いたっ」
「あなたは…」

話を切り上げて先へ行こうとするほむらを呼び止めようとした城戸はつまづく
そんな城戸の足元にほむらはしゃがみ、靴紐を結んであげた。

「相変わらず靴紐を結んでいないのね」

そう言い残し暁美ほむらは去った。
87 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:36:05.63 ID:6+BUdz9c0
戦いが終わり、真司や杏子と知り合った草加達一行はお互いをよく知る為に
喫茶店『花鶏』に集まり一緒に食事会をすることになった。

「お前は…」
「え?私?」
「知り合いなの?蓮」

花鶏のウェイターとして働いている秋山蓮がさやかの顔を見つめる。

「ああ、魔女を退治した時に見かけた魔法少女だ」
「なんだよ蓮、知り合いなら言ってくれればいいのに」
「もしかして、あの黒いライダー!?」
「あの時は助けてくれて、ありがとうございます!」
「俺は魔女を倒しに行っただけだ、助けたつもりは無い」

(まどかとさやかを助けたライダーというのはこいつか)

礼を言うまどかを邪険に扱うツンデレっぷりを見せる蓮を見て
草加は利用出来そうか算段を企てていた。
城戸とつるんでいる所を見ればお人好しな部類なのだろう。
殺し合いに否定的な好青年の顔をしていれば敵視はされないはず。

「君が秋山蓮だね。俺の名は草加雅人、二人をを助けてくれた事に対して
 俺からも礼を言わせてほしい、お互いライダーバトルを止めるために協力し合おう」
「お前もライダーか?だったら俺達は敵だな、俺はライダーバトルを止めるつもりは無い」

蓮は笑顔で握手を求める草加を拒否した。

「どういう意味かな?」
「俺には叶えなければならない願いがあるからだ。邪魔をするならお前を倒すだけだ」
「ならなぜ君は城戸と協力しているのかな?」
「あいつは俺に7万の借金をしているからな、それを返す前に死んでもらったら困る」
「ちょっ!蓮、お前!借りたのは3万だろ!」

(借金だと?ふざけているのか、それとも俺と同じように城戸を利用する為の適当な理由付けなのか
 どっちにしろ一枚岩で信頼し合っている関係じゃなさそうだな
 だが魔法少女を狙わなかったり本心を隠さずに語る辺りはまだ甘いようだな)

「それよりもさぁ、私はあんたの事が気になるんだけど
 なんであんたが巴マミの魔法を使っているのか話してもらうよ」
「お前…魔法少女をモンスターの餌にしたのか?」
「え?どういうことだよ連?」

杏子の言葉を聞き、蓮は草加に敵意を向ける。

(このクソガキめ、余計な事を…演技は疲れるんだよ)

「違うの!草加さんは!」
「いいんだ、まどかちゃん あの娘は俺が殺したような者なんだから…」

草加を庇うまどかの言葉を遮るように
悲しむそぶりを見せながら草加は過去を語り始めた。
88 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:36:37.65 ID:6+BUdz9c0
魔女と戦っている中、巴マミと出会った事を
マミと共に魔女退治に励んでいた事を
シザースに襲われ、マミを助ける為に草加がライアに変身し撃退した事を
魔女退治の後に現れたモンスターの奇襲でマミの命が奪われた事を
マミのソウルジェムを捕食したモンスターの魂を食らいマミの力を授かった事

「許されるなんて思ってはいない、だけどこの力の持ち主である巴マミの意思を次ぎ
 代わりに町の平和を守る為に力を行使する事こそが俺の出来る唯一の償いだと考え
 モンスターや魔女達と戦ってきたんだ、これ以上大切な人達を失って後悔はしたくないから…」

草加の熱弁を聞いて、まどかとさやかと真司の三人は心を打たれたのか涙を流している。

「草加ぁ…やっぱりあんたは良い奴だよ〜!」

(くっつくな城戸、気持ち悪いな)

「その割には、あんたは私に対しても容赦無かった様に見えるけど〜」

杏子が疑いの視線を向ける。
草加と直に戦った杏子は草加が善人のように思えないのだ。

「それは、さやかちゃんとの殺し合いを止める為に仕方なく戦うしかなかったんだ
 もちろん、君の命も奪うつもりは無かった」
「なんだが怪しいね〜、あんたが変身してるライダーの名前はなんて言うんだい?」
「ライアだけどそれが何か」
「やっぱり嘘吐きじゃないか」
「杏子!あんたいい加減に…」
「いいんだ、さやかちゃん 俺も最初は城戸を疑ったんだ、お互いよく知り合えば
 そんな疑いもすぐ消えるはずさ」

(杏子と言うガキ、いちいち突っかかってきてかわいげの無い奴だな
 邪魔になるようなら気を見計らい処理する必要がありそうかな)

「俺も草加を信用出来ないという点に関しては、このガキと同意だ」
「ガキって言うな」

蓮も草加に対して否定的な態度を取り続けた。

「おい蓮!そんなこと言ったら草加さんがかわいそうだろ!」
「大丈夫だよ城戸、君達に信頼してもらえるように俺は行動で示せば良いだけだからね」

(蓮も杏子も邪魔だなぁ、だがまだ迂闊に動く事は出来ない
 まだまだ敵は多いんだ、それらを全て排除するまでの我慢だ)

草加にとって自分の思い通りにならない者は全て邪魔な存在として見ており
それらを排除する為には何を利用しようが手段は選ばない。
89 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:37:40.36 ID:6+BUdz9c0
「じゃあさ、これからスーパーに食材買いに行くから」
「私も行きます」
「なら俺も付き合おう」
「私もー」
「お菓子〜」

真司、草加、まどか、さやか、杏子の五人がスーパーへ向かった。

「コレとコレと…あとコレも」
「城戸は一体何を作るのかなぁ?」
「餃子だよ、俺は餃子には自信があるんだよね〜」
「へえー、城戸さんって意外と料理出来るんですねー」
「ウェヒヒww楽しみだなぁ」

「おーい、これもこれも」

杏子が沢山のお菓子をかごに放り込む。

「杏子!あんたねえ、お菓子を買いに来たんじゃ」
「まあいいじゃないか、お菓子ぐらい、おっと一番大事な物を忘れていた」
「そうそう、これは買っておかないと」

真司と草加は栄養ドリンクコーナーからオロナミンCを持ち出し
わざわざ皆の視界に映るような持ち方をしながらかごに入れた。

「なんで二人ともそんなアピールするように入れてるんですか?」
「さやかちゃん!そこは俺達ライダー達の事情だから触れないでほしい!」
「気にしないでも大丈夫だから、ね?」
「う…うん、分かった…」

さやかは何となく理解した。
自分が今言った突っ込みは彼らにとって『タブー!』なのだと

「マンビキヨー!オッペケペンムッキー!」

おばちゃんの声と共にバイトの少年が走り出す。
どうやら万引きが起こったらしい、なぜかオロナミンCだけを盗んで

「俺も追うぞ!」
「私も行く」
「君達はここで待っているんだ」
「はい!」
「いってら〜」

正義感の強い真司とさやかに、まどかの前でかっこいい所を見せたい草加も追いかける。
まどかと杏子はそんな三人の様子を見守っていた。
だが、すぐに三人は戻ってきた。

「あれ?どうしたの?」
「…もう捕まってた」

さやかが指を向けた先にはガラの悪い男とイマジンに因縁を付けられ泣きじゃくる万引き犯がいた。

「てめえのせいで兄貴が俺達の為に用意してくれた豆腐がこぼれちまっただろうが!ああ!?」
「お前にも地獄を見せてやろうか!?」
「ヒィイイイイイイイイイ!!すみませんでした!許してください!」
「笑えよ……どうせ俺なんか……」
90 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:38:22.20 ID:6+BUdz9c0
コーカサスとの戦いを終えた地獄兄弟+1は気を取り直し
豆腐を買いに行き、その帰り道に万引き犯とぶつかり
矢車の手に持っていた豆腐が落下してしまったのだ。

「もう事件は解決したようだし早く清算済ませて行こうか」
「…そうですね」
「な〜にやってんだがあいつら」

5人は花鶏に戻ると皆で食事会の準備が始まった。
それと同時に草加の戦いも始まっていた。
料理は女がする物、それは間違った考えである。
男も料理が出来なければ立派な親になれない。
まどかの家庭を見ればそれは一目瞭然の事

草加雅人はずっと一人暮らしをしていた経験上、料理には自信がある。
ここは美味しい料理を振る舞い、出来る男をアピールする事で
まどかのハートを鷲掴みにする作戦を企んでいるのだ。

だからこそ草加は自ら率先していくつもの料理を作り上げ
次々とテーブルに並べた。
この料理を食べればまどかは…

(注)草加の脳内です

まどか「美味しい!」
草加「君の為なら毎日でも作ってあげるよ」
まどか「ふつつか者ですが、私と結婚してください!草加さんの味噌汁を毎日飲みたいです」
草加「じゃあすぐにでも結婚しよう」
まどか「はい!喜んで!」
草加「今日は記念すべき新婚初夜だね」
まどか「あの…初めてだから…優しくお願いします……」

このシチュを目指すために料理を勉強しまくったのだ、上手く行くはずだ。

「フッフッフ…」

妄想に浸る草加はまるで悪魔のような笑みを浮かべていた。
そして準備も整い全員がテーブルに着いた所で食事の時間が始まった。

「美味しい!」
「本当だ、めちゃ美味いですよ!」

そうだろうそうだろう、これでまどかは俺に惚れ直したな。
まどかとさやかの声を聞いて作戦が上手く行ったと踏んだ草加は
喜びを隠しながらまどかの方を振り向いた。

「凄く美味しいです!、この餃子」
「でしょでしょ〜皆、美味いって言ってくれるんだよね〜」
「出来ればレシピ教えてくれませんか?」
「もちろんオッケーだよ、コツさえ分かれば意外と簡単だから」
91 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:39:08.76 ID:6+BUdz9c0
まどか達が絶賛していたのは草加の料理ではなく
真司の作った餃子だった。
照れくさそうに笑う真司とは裏腹に草加は放心状態であった。

「おいおい、いくら何でも餃子一つに騒ぎ過ぎだろ〜」
「なんだよ、そういう杏子ちゃんが一番餃子食べてるじゃないか」
「それは…食べ物を粗末にしたら勿体無いからだよ」
「相変わらず素直じゃないんだから杏子ちゃんは」
「うっせーよ馬鹿真司!」

「ねえ僕の台詞とご飯は?」
「君のご飯は台所の三角コーナーの中に入っているからそれを食べろ、台詞は必要無いだろ」
「なんで草加はそんな僕に冷たいんだい?訳がわからないよ」

騒がしくも楽しい食事会は終了し、片付けを終えた草加はまどか達を家まで送り自宅へ向かった。

キィィィィン!

「草加雅人、お前は俺の妹にあったようだな……」

ミラーワールド越しから神崎士郎の姿が映し出された。

「ああ、彼女は君の妹なのか、それがどうかしたのかな?」
「一つ忠告しておく、俺の妹に手を出そうとしたらお前の命は無いと思え」
「は?」
「美人だからな、優衣は……こんな気立ての良い妹は滅多にいない
 だから悪い男達に狙われないように時々様子を見に行ってるのだ」

どうやら神崎士郎は重度のシスコンのようだ。
それで独り身の俺を警戒したのだろう。

「心配するな、俺には既に彼女がいる」
「彼女?まさかお前が女子中学生と一緒にいるのは…」
「それは君が気にする必要は無いんじゃないかな?」

どうやら草加雅人は重度のロリコンのようだ。
そう神崎士郎は判断した。

「ならばこれ以上話す事は無い」

神崎士郎の姿が消えるのを見届け、草加は再び自宅へ向け歩き出した。
帰ったら買ったばかりの格闘ゲームでもしよう。

(待っててね、俺のプラチナちゃん)
92 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:40:16.50 ID:6+BUdz9c0
その頃、高見沢グループ本社の中では

「お…お姉ちゃん…?お姉ちゃん!」

仮面ライダーファムの装着者である霧島美穂は
目の前にいる死んだはずの姉と感動の再開を果たし涙を流していた。

その近くでは高見沢が姉を蘇生した医者達を労っている。

「死者の蘇生を成功させるとは流石の技術力ですね」
「遺体の損傷も低く、死後の管理もしっかりされていたおかげです」
「やはり君達を拾って正解だったよ、おかげでライダーの願いを一つ叶える事が出来た」
「社長が私達のような『怪物』を保護してくださったおかげです」
「そう畏まるな、君達は保護するのに値する力を持っているのだ、誇ってもいい」
「恐縮です」

少し時間を巻き戻し
ライアとの戦いを終えた霧島は北岡と共に高見沢グループ本社に向かっていた。
目的地に到着し社員の案内された部屋で霧島達は高見沢と顔を合わせた。

「私が君のお姉さんを生き返らせましょう、ただし条件がありますが」
「そんな事が本当に出来るのか証明出来る物はあるのか?」
「そうですね…お望みなら誰か適当な人を殺して蘇らせてもいいですが」
「そこまでしなくていい!もしお姉ちゃんが生き返らなければお前を[ピーーー]だけだ」
「いいでしょう、では私からの条件はこれです」

@ 高見沢がライダーバトルで優勝するまで手を結ぶ事
  霧島はデッキと契約モンスターを処分することで生きて脱落させる
A 霧島が裏切る可能性を考慮し、蘇らせた姉は高見沢グループの監視下で預けられる。

「私が裏切るとでも?」
「無いとは思いますが欲が絡むと人はどこまでも残酷になれますからね
 あくまでも保険のような物だと思ってください お姉さんにはVIP待遇で悪いようにはしません」

霧島は結婚詐欺で沢山の男を騙すしたたかな女だ。
それなら善意で蘇らせると言うよりも己の欲望を素直に話した方が
不要な警戒は避けられると高見沢は考えた
93 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:40:53.18 ID:6+BUdz9c0
「それならいい、その代わり私からの条件も一つ受け入れてもらうぞ、浅倉威だけは私の手で[ピーーー]」
「いいでしょう、私が勝ち残るなら誰が誰を倒そうと関係有りませんからね」

そうして高見沢と霧島の契約は結ばれた。

現在に戻り
そして仮面ライダーベルデの装着者である高見沢逸郎の下に

仮面ライダーファムの装着者、霧島美穂
仮面ライダーゾルダの装着者、北岡秀一
仮面ライダーガイの装着者、芝浦淳
仮面ライダーインペラーの装着者、佐野満
仮面ライダータイガの装着者、東條悟
合計6人のライダーが終結していた。

「よくぞ集まってくれました皆さん、私たちはライダーバトルを行う言わば敵同士ですが
 皆さんもお気づきの通り、ライダーバトルを止めようなどと無粋な行動を取る
 厄介なライダー、龍騎を退場させる為に、ここは一時共闘という形を取ろうではありませんか」

「ねえ高見沢さん、一人のライダー相手に6人がかりはちょっと大げさ過ぎじゃない?」

「一人だけだったらな、だが龍騎と協力関係にあるナイトが妨害する可能性はある
 一応、彼もこちら側に付くよう交渉中だが、それと最近新たなライダーと接触した話も出ている
 3人のライダーを同時に相手をする可能性も考えれば、これ位の数を揃えるのは妥当だろう」
「さすが社長!俺の頭じゃ絶対に思いつかない作戦ですよ、凄いな〜憧れるな〜」
「佐野は相変わらず媚売ってんだなwwww」
「俺としてもライダーバトルが無くなったら困る訳だし、その案に乗りますよ」
「私は浅倉をこの手で殺せるなら何でもいいわ」
(個人の復讐のことしか考えられない彼女は英雄には程遠いね)

「では皆さん、手を結ぶという事でよろしいですね
 作戦の内容や日時など細かな話は後日と言う形で今日は解散しましょう」

龍騎達は気が付かない、自分達を狙うベルデ達の存在を
そしてベルデ達も気が付かない、誰が勝とうがライダーバトルに未来など無いことを
94 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:43:41.42 ID:6+BUdz9c0
青空一色の爽やかな背景、そこには大量のセーラー服がはためいていた。
一見すると天気の良い日に洗濯物を干している風景を思わせるがそうではない。
空間そのものが委員長の魔女『パトリシア』が作り出した結界なのである。

その魔女が身に纏うセーラー服のスカートの中から大量の机や椅子が射出され
結界へ入り込んだ侵入者へ攻撃していた。
パトリシアは自らが張り巡らした糸を足場に上空へ陣取り続けているために
接近するのは容易な事ではない。

だが相手も糸を吐き、それをパトリシアの糸に引っ掛けよじ登り徐々に接近していた。
机や椅子が体に直撃しても意に介さず、使い魔は返り討ちにして捕食した。

射程圏内に入ったところで糸を直接、パトリシアに向け吐き出し動きを束縛すると
魔女に向かいダイブして体にしがみつき、のしかかった反動で糸が切れ
二体は地面まで真っ逆さまに落下した。

轟音と共に地面に叩きつけられたパトリシアは必死に抵抗するが体を糸に包まれたうえに
相手に馬乗りにされ身動き一つ取れないでいる。

グチュリ

パトリシアの体に鋭い牙が突き刺さる。
声にならない悲鳴をあげ逃げようとするが相手の押さえつける力を跳ね除けられず抵抗は徒労に終わった。
噛み付かれた箇所からジュルジュルと体液を啜り取られ初めは抵抗していたパトリシアも
すぐに動かなくなり土色のように肌が変色し食い尽くされてしまった。
『しぼりカス』になったパトリシアを吐き捨て消滅していく魔女結界から立ち去るべく
ミラーワールドへ帰っていった。

弱肉強食の争いの中、ライダーや魔法少女に狩られることも無く
多数の使い魔や魔女との生存競争で生き残ってきたミラーモンスターもいる。
先ほどのパトリシアとの戦いで勝利し喰らい尽くした『ディスパイダー』のように

ミラーワールドの中でディスパイダーは本能で悟っていた。
近しいうちに自分は進化すると
さらに強力な存在になれると
人間より遥かに栄養価の高い魔女達をより多く捕食出来ると

それを確信しながら鏡の向こう側で新たな獲物を求めて徘徊するのであった。
喰らった魔女達の分まで絶望を振りまき続けるように
95 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:45:29.16 ID:6+BUdz9c0
その頃、城戸と蓮と草加とさやかはモンスターとの戦いを終え休息を取るべく花鶏へと帰っていた。
だが迎えてくれたのは優衣でもまどかでも無かった。

「お帰り」

仮面ライダーガイの装着者、芝浦淳である。

「お前…」
「何のようだ?」
「そろそろゲームの勝利者でも決めようと思ってさ、いつまでもチンタラと戦っててもだるいっしょ」
「断る、この人数を相手にするんだ。何か罠を仕掛けてそうだしなぁ」
「ふうん、いいの?誰かいないのに気付かない?」

「…優衣!」
「まどか!!」

花鶏で店番をしている優衣とお手伝いをしているまどかの二人の姿が見当たらない。

「あんたねえ!どういうつもりよ!」
「ここまでやってあげないと、オタクらは[ピーーー]気にならないでしょ?」
「貴様ッ!!まどかをどうしたァ!返答次第では貴様を速攻で[ピーーー]!」

激怒した草加は芝浦に掴みかかり物凄い形相で睨み付ける。

「心配しなくても、二人に危害は加えてないさ 戦う気が出たなら返してやるから付いてきなよ」

草加の腕をうっとおしそうに払い服の皺を直しながら芝浦は四人を案内した。
そこには高級車の中で眠らされている優衣とまどかの姿があった。

「優衣ちゃん!まどかちゃん!」
「俺の言ったとおりでしょ?じゃあやろうぜ」
「あんたは絶対に許さない!」
「ちょっとまってよ、あんたはミラーワールドに入れないでしょ、だから引っ込んでてよ」

さやかに向かって しっしっと追い出すような手振りを見せる芝浦
龍騎ライダーは本来、ミラーワールドで戦うもの、
他者の手を借りない限り中に入る事の出来ない魔法少女は介入することが出来ない。

「君はまどかちゃん達を守ってくれ、奴は俺が倒す」
「草加さん…」
「へぇ〜余裕あるじゃん、まあ俺も負ける気しないけどねww」

「変身」×4

それぞれがライダーへ変身しミラーワールドへ入っていく
まどかを危険な目に合わせたガイは確実に[ピーーー]。
そんな殺意に心を焦がしながらライアは戦場へ立った。
96 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:46:28.14 ID:6+BUdz9c0
「じゃあ死んでもらおうかなぁ」

ズキュンズキュン!

ライアがガイへ迫ろうとしたと同時に背後から銃弾を受けてよろめいた。

「く……誰だ!」
「よう、久しぶり」

それは以前に戦った緑の銃使いライダー、ゾルダだ。

「うわあ!」

何者かの攻撃を受け殴り飛ばされる龍騎
2…3…4…5…6…よく見ると6体のライダーに包囲されていた。
初めから仕組まれていた罠だったのだ。
人質を取り誘き出された所で袋叩きにする為の

「ぐうう!」

ガイとインペラーとタイガの同時攻撃を受けうずくまる龍騎をガイが見下ろす。

「これで一人撃破っと♪」
「待て!お前がやれ お前の手でトドメを刺すんだ」

ベルデが指定したのはナイトだった。
ナイトは沈黙を保ったまま龍騎に刃を向ける。

「お…おいマジかよ!?嘘だろ……こんなこと」
「信用出来ないのはお前の方だったな 秋山ァ!」

ライダーバトルで勝ち残り恵理を救う。
その一心でナイトは命を賭けて今まで戦ってきた。
戦いを否定する事は恵理に対する自分の想いも全て否定する事になる
そんな事をすれば自分が自分を許せなくなる。
自分は決して退く事は出来ない。
いずれは龍騎も倒さなければならない
今、その時がやってきたのだ。
だから迷う必要など無いんだ。
龍騎を倒し迷いを完全に切り捨てるんだ。

「悪く思うな!」
「うわあああああああ!!」
97 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:47:20.38 ID:6+BUdz9c0
ナイトの剣が龍騎の喉元に突き刺さる寸前で止まった。
出来なかった…
龍騎を城戸を[ピーーー]と覚悟を決めたはずなのに体が言う事を聞かなかった。

「やはりな、貴様も所詮甘ちゃんだった訳か、ならば[ピーーー]!」

ベルデのヨーヨーが無防備なナイトの体に直撃しよろめく。

「やめろ!」
「ふん、足掻きやがって」

龍騎のドラグセイバーがベルデが繰り出した追撃のヨーヨーを切り払う。

「お前達、ここは任せるぞ。俺は外に出る」
「おっけえ〜」
「大船に乗ったつもりで任せてくださいよ。社長」

ガイやインペラーに見送られながらベルデはミラーワールドから帰っていった。

「はあっ!」
「それ!」
「クソが……」

ファムの斬撃ととゾルダの銃撃を避けながらライアは防戦一方で戦っていた。
人数の差も有り、このままではジリ貧だ。
だがミラーワールドで戦っている以上、時間制限がある。
タイムリミットが近づき、全員が脱出し変身が解けた瞬間が狙い目だ。
草加にはライアのデッキ以外にもカイザギアを所有している。
カイザに変身すれば生身になった奴らなど何人相手にしようが俺の圧倒的優位は変わらない。
シザースのように生身の人間を殺せばいいだけの話だ。

だから耐える
今は危険を冒して勝負する必要など無い。
ひたすら守りに徹して時間を稼げばいい。

「この!」
「フン…」

そんなライアの消極的な戦いに痺れを切らし深追いをしたファムの攻撃を避けつつ
至近距離からマスケット銃を撃ち込み怯ませる。
だが追撃はしない
ゾルダが常にファムを援護しているからだ。
下手に前に出てゾルダの砲撃が直撃すれば大きなダメージを受ける危険性がある。
こちらからは決して攻めない。

ライアはそんな戦いを続ける事で測らずして
龍騎とナイトの負担を減らしていた。
ライアがゾルダとファムの二人を相手にする事で
龍騎とナイトはガイ、インペラー、タイガの三人だけに集中して戦えば良いからだ。
だが劣勢な事には変わりない

ガイのメタルホーンをナイトのウイングランサーで受け止め
その隙に横からインペラーがガゼルスタッブでナイトを突き飛ばす。
止めを刺そうとタイガのデストクローが迫るが割って入った龍騎が食い止める。
今度はタイガに身動きを封じられた龍騎にガイとインペラーが襲いかかる。

龍騎とナイトがカバーし合うが徐々にダメージは蓄積されていく。

「さやかちゃん!さやかちゃん!!しっかりしてよ!さやかちゃん!!」

その時、まどかの声がミラーワールド越しから聞こえてきた。
声の聞こえた方へ振り返るとミラーワールドの外では
涙を流しながらさやかの名を呼ぶまとかと
血まみれで倒れているさやかの姿
そして血が滴り落ちるウイングランサーを手に持ち
二人を見下ろしている仮面ライダーナイトがいた。
98 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:48:47.84 ID:6+BUdz9c0
『COPY VENT』

ベルデはミラーワールドから出る前にカードの能力によりナイトの姿に化けていた。
そして何食わぬ顔でさやかの元へ向かっていった。

「秋山さん!」
「…………」

ナイトが無事に戻ってきた事にさやかは安心したように笑顔を見せながらナイトに近づいた。
自分の正体に気付いていない、そんなさやかの体をウイングランサーで貫いた。
年端のいかない少女を高見沢は戸惑いも躊躇も無く、あっさりと突き刺したのだ。

「な…んで……?」
「ククク…」
「さやかちゃん!!」

眠りから目を覚ましたまどかは不運にもそんなショッキングな光景を目の前で見てしまう。

「お願い!目を開けてよ!さやかちゃん!!」
「ピーピーピーピー喚くな!やかましい!」
「あうっ……うう……」
「まどかちゃん!」

泣き叫ぶまどかにイラついたベルデはまどかの顔を叩き黙らせる。
まどかの声を聞いて目が覚めた優衣がまどかに駆け寄る。

「お前も起きていたか、おい!もう人質に価値は無い、処分しろ」
「は!」
「さて、俺はこいつのソウルジェムを頂くとするか」

ベルデの指示と共に黒服の男達がまどかと優衣に迫りくる。

「高見沢様のご命令なんだ、悪く思うなよ」
「動くなよ、動くと余計痛いぞ」
「はあはあ……優衣たんかあいいよ……はあはあ……」
「俺はまどかちゃん派だな。ペロペロしたいおペロペロ」
「お前ら、空気嫁よ」

「やだ…嫌だよう…助けて…」
「それが君の願いかい?僕と契約すれば、この状況から助かる事が出来るよ」

まとかの目の前にキュゥべえが現れ、また魔法少女の催促を始めた。

「キャアアアアアアアアアアアアシャベッタアアアアアアアアア!!」
「何なんだ、この淫獣らしき生物は?」
「か…かわええ……!」
「おいおいマジかよ…すげえ趣味してんなお前」

「その必要は無いわ」

暁美ほむらが上空から降り立ち、黒服の男達に立ち塞がった。

「ほむらちゃん!?私達を助けに?」
「……私だけじゃない」
「え?」

ほむらが指を向けた先にはベルデに斬りかかる佐倉杏子の姿があった。

「てめえ!」
「はん!お友達の敵討ちにきたのか?だが魔法少女が何人か現れた所で俺に勝てると思うな」

「変身」×10

ベルデが指を鳴らすと同時に黒服の男達は
腰に巻かれたベルト『スマートバックル』のロゴ部分を下げ
ライオトルーパーに変身した。

「我等は」
「高見沢様直属の」
「ライオトルーパー隊!」
「今こそ」
「高見沢様にご恩をお返しする時!」
「魔法少女共!」
「覚悟しろ!」
「俺達の連携プレーを」
「目に焼き付けて死ぬが」
「いい!!」

「とうっ!」×10

10体のライオトルーパーが同時に飛び上がり、ほむらに襲いかかる。
99 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:49:28.96 ID:6+BUdz9c0
ほむらを囲むような陣形で同時に仕掛ける空中殺法
ライオトルーパーは量産型であり、一体辺りの性能は高くないが
連携を駆使した戦術を使い敵を倒すのが彼らの戦法だ。

だがライオトルーパーのアクセレイガンが突き刺さる前に
ほむらの姿が忽然と姿を消えたのだ。

『解除シマス』

「うわああああああ!!」
「い…いやだ……母さん!」

ライオ達が気付かぬうちに背後へ回ったほむらが装備した
GX-05ケルベロスのガトリンクが火を噴き
二体のライオを灰へ変えた。

「な…いつの間に!?」
「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
 俺達は上空からほむらに攻撃をしたと思ったら背後から攻撃されていた
 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
 俺も何をされたのかわからなかった
 頭がどうにかなりそうだった…
 催眠術だとか超スピードだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」
「うろたえるんじゃあないッ!ライオトルーパー隊はうろたえないッ!」

恐怖を振り払うようにライオ達はほむらに迫るが
まるで瞬間移動をしたかのように姿を消し
一体、また一体と倒され続け、ライオ達の人数は5人になった。


ほむらがライオ隊の相手をしている中、杏子はまた別のオルフェノクに襲われていた。

「高見沢様に逆らうとは愚かな娘ですね」
「ちっ…増援かよ…」

眼鏡をかけ紳士的な口調で話しかける男の名は琢磨 逸郎
彼はオルフェノクの中でも上級と呼ばれるほどに強大な力を持ったオルフェノクである。

「高見沢様、ここは私目にお任せください」
「ソウルジェムは破壊しないように可愛がってやれよ」
「はい、それでは…」

琢磨の顔に不気味な模様が浮かび上がると
肉体が灰色をした異形の怪物、センチピードオルフェノクへと変化していった。

「相手にならないと思いますがせいぜい足掻いてください」
「なめんじゃねえー!!」


琢磨が杏子の足止めをしている内にベルデはさやかに向かっていった。
さやかのソウルジェムをモンスターに食わせ強化させるために。

「く……」

さやかの傍まで近づいた所で、さやかは体を起こしベルデを睨んだ。

「ほう、常人なら既に死んでいる程のダメージを与えたが流石は
 魔法少女と言ったところか、起き上がろうがどの道 貴様は終わりだがな」
「あんたみたいな卑怯者には絶対負けない!」

さやかは剣を構築して構え、ベルデに特攻を仕掛けた。
100 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:50:23.27 ID:6+BUdz9c0
「まどかぁ!」

まどかの顔を叩くベルデの姿を見てライアは叫んだ。
時間稼ぎをするつもりだったが、このままではまどかの命は危ない
どうにか隙を見つけて素早くミラーワールドから脱出しなければ…

「オタクさぁ、もしかしてロリコン?」
「!?」

そんなライアの姿を見てガイは疑問の言葉を口に出した。

「その反応、やっぱりロリコンだよwwwwwwうわあ超キモイんだけどwwwwww」
「ちょっと芝浦、それは言いすぎじゃ……ぷぷっ」

ゲラゲラ笑うガイに釣られてインペラーも思わず噴出してしまう。

「あんな少女に欲情するとは女の敵だな」
「その性癖は英雄として…いや人としても問題あるかも」
「警察のお世話になった時は俺が弁護人にでもなってあげようか?」

ファム、タイガ、ゾルダにも冷ややかな視線を向けられる。

「……貴様らぁ……」
「ねえねえwwwwww皆に白い目で見られてどんな気持ち?ねえどんな気持ち?wwwwww」
「お前……死にたいらしいな……望み通りにしてやる!」
「落ち着けよ草加!」
「邪魔だぁ!」
「うわっ」
「ロリコンライダーが怒ったwwwwww」

怒りに我を忘れた草加が止めに入った龍騎を突き飛ばし
笑い続けるガイに迫る。

「俺も仲間に入れろぉ!」
「ぐおお!?」

突如、横槍が入りライアは強烈な攻撃を受け、地べたに這い蹲らされる。

「祭りの場所はここかぁ?」

凶悪な殺人犯、浅倉威が装着した紫のライダー
仮面ライダー王蛇が乱入した。
101 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:52:20.56 ID:6+BUdz9c0
続きは書き次第投下したいと思います
…もしかして『しね』と書き込む事が出来ない仕様?
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/02(土) 22:54:35.81 ID:qrLV+KsJo
会長からのプレゼントだ!


つ「メ欄に(saga)を入れる」



ともあれ乙マミ
途中まで流し読みしてたらいきなり新作パート入ってたからびっくりしたwwwwwwww
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage saga]:2011/07/02(土) 22:55:09.47 ID:Oqzsp6Bko
(乙パン)

メ欄に「sage」に加えて「saga」をつければよかったはず


「死ね」
104 : ◆nihwMyGNc6 [sage]:2011/07/02(土) 22:57:36.50 ID:6+BUdz9c0
>>102-103
トンクス
この板ではそんな仕様があったのか
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/07/02(土) 23:33:38.43 ID:wJuRti8eo
>>101
(0M0)目欄にsaga sageと書くんだ!
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/03(日) 00:40:55.04 ID:WMc3Pgz/0
乙だ乙だ

何か北岡先生が嫌いそうなゴチャゴチャした戦いになってきたなぁ
そしてまさかの琢磨君登場。この様子だとまだヘタれて無いみたいだけど………

それにしても芝浦ウッゼェwwwwww
次回には、無事に『おうじゃのたて』になって退場する事になるのかな?
そしてさやかは地味に強いベルデに敵うんだろうか…

続きに期待
107 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/08(金) 13:41:51.78 ID:vmN3Mwkh0
書けたので投下します
108 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/08(金) 13:42:18.19 ID:vmN3Mwkh0
「浅倉ぁああ!!!」

ファムは王蛇の装着者の名を叫びながら駆ける。
王蛇の装着者、浅倉威はファムの姉を殺した憎き男
しかも動機はイライラしたから、そんなくだらない理由で殺されたのだ
許せなかった。
浅倉だけは自分の手で復讐をしなければ気が済まない。

「霧島……美穂……ああ、思い出したぜ……俺が殺した女の妹か…」

「お姉ちゃんの仇!!」

「お前の姉の悲鳴はなかなか心地良かったぜ…おかげで大分スッキリした……」

「あんただけは絶対に許さない!!」

ファムのウイングスラッシャーと王蛇のベノサーベルが衝突し火花をあげる。
ファムが果敢に攻めるが王蛇はその怪力で易々と斬撃を受け止める。

『SHOOT VENT』

ズドン!

「ああ…!?」

ゾルダのギガランチャーが王蛇に直撃し吹き飛ばす。

「大丈夫か、霧島?」

「余計な手出しをするな!浅倉は私が倒すんだ!」

ガチャガチャガチャ!

弾を装填する銃の音が鳴り響く
ファムとゾルダが王蛇に釘付けになりノーマークになったライアは
数十丁ものマスケット銃を準備する事が出来た。
発射の準備の音でライダー達は気付いたようだがもう襲い

「皆まとめて消えてもらおうかな」

ズドドドドドドドドドドドドドド!!!!

全てのマスケット銃が火を吹き、大量の弾幕がライアを除くライダー達に降り注いだ。
その瞬間、野生的本能で危険を察知した王蛇は動いた。
タイガやインペラーと共に龍騎やナイトと戦い
ライアの砲撃に気付いていなかったガイに向かって

弾幕が着弾し爆音と共に激しい爆発が起こり
巻き込まれたライダー達は宙に放り飛ばされ、地面や壁に叩きつけられる。

「…さて」

他のライダーが動き出す気配が無い内にライアはすぐさまミラーワールドから脱出した。
今なら他のライダーの生死を確認しトドメを刺す事も容易だろうが
草加にとってもっとも優先するべきはまどかの命を守る事だ。
ミラーワールドの外でカメレオン野郎に襲われているまどかと早く合流しなければ
109 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/08(金) 13:43:20.92 ID:vmN3Mwkh0
ライアが去り、荒れ果てたミラーワールドの中で仁王立ちをするようにガイは佇んでいる。
よく見るとガイの背後には王蛇の姿があった。
王蛇はガイの背後から体を掴み、砲撃から防ぐ盾として無理矢理立たされていたのだ。

「フン、逃げたか」

王蛇はライアが攻撃をするだけして去った事に不満を感じながらガイを投げ捨てた。

「お…お前……よくも俺を盾に……」

「近くにいたお前が悪い」

「くっそぉ……!!」

ガイが王蛇に殴りかかるがライアの砲撃で大ダメージを受けたガイでは
王蛇に太刀打ちする事が出来ずカウンターを食らったガイは殴り飛ばされる。

「これで終わりだ…」

「あ……ああ……」

『FINAL VENT』

ベノスネイカーの出現と共に王蛇は助走し、背後のベノスネイカーに向かって背面ジャンプを行い
ベノスネイカーの酸を受けた王蛇は弾き飛ばされるように空中からガイに迫った。

『ADVENT』

電子音声と共にゼール軍団が王蛇に迫り
ベノクラッシュの直撃を受けた三体のゼールが爆散した事で軌道がずれ
ガイへ当たらずに通り過ぎる。

「芝浦ー!生きてるか!?」

「佐野……?」

「よくも邪魔してくれたなァ……イライラさせやがってッ!!」

「あわわわわ……」

怒りを剥き出しにしてインペラーに迫る王蛇
インペラーはその怒気を含んだ禍々しい殺意に怯える。

『ADVENT』

「奴を食い殺せ!」

王蛇の言葉を理解したようにベノスネイカーがインペラーに襲いかかる。

『CONFINE VENT』

「ああ!?」

「これで貸し借りは無しな」

ガイの特殊カードと共にベノスネイカーの姿が消える。

「どこを見ている?お前の相手は私だ!」

ベノスネイカーの消失に動揺する暇も無くファムが王蛇に斬りかかる。

「はっ!……次から次へと……」

王蛇は決して優位とは言えない戦況の中でもにやついていた。
110 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/08(金) 13:44:03.89 ID:vmN3Mwkh0
「君達まで逃がしちゃったらこっちの面目が立たないのよ。だから悪く思わないでよね」

「…………」

龍騎とナイトはゾルダとタイガに足止めを食らっていた。
しかし今度は二対二になっている為、一方的な戦いにはなっていない

(城戸、俺が二人をかく乱させる、その間に脱出しろ)

(蓮を見捨てて行けるかよ!)

(安心しろ、俺も隙を見てすぐ行く)

(…約束だからな……)

(俺もお前から貸した金を返してもらうまで死ぬつもりは無い)

『TRICK VENT』

分身のカードを使ったナイトが5人に増え、ゾルダとタイガを取り囲む。

「城戸!」

「しゃあっ!」

ナイトの声と共に龍騎はミラーワールドの外へと走る。
龍騎に銃口を向けるゾルダだが

「させん!」

ナイトの槍にはばかられ、龍騎は無事にミラーワールドから脱出し
あとはナイトが脱出するだけだ。

だがミラーワールドの中で彼らの戦いは派手すぎた。
一箇所に多くのライダーと契約モンスターが集中し戦った影響で
厄介なモンスターの目に行き届いてしまった。

ライダー達の戦場を目の当たりにし捕食する為に近づいていった。
そして獲物を得るべく狩りが始まる。

プシュウウウウウウウウウ!!

「くっ……!何なの?」

大量の糸がファムの体に巻きつき縛り上げる。
巨大なクモ型のミラーモンスター『ディスパイダー』は主に女性を餌にし喰らってきた。
ライダーバトルの中で唯一の女性ライダーであるファムを優先し襲ったのだ。

「モンスター風情が邪魔をするな!」

『ADVENT』

ファムがブランウイングを召喚しディスパイダーに仕掛ける。
ブランウイングの翼の切れ味は鋭く糸を切り裂いて拘束を解く為に

『FREEZE VENT』

ブランウイングの翼が糸を切断する寸前に動きが停止した。
特殊カードによってブランウイングの体が氷漬けになったせいである。

「嘘…?そんな……っ!?」

『FINAL VENT』

ファムは別のカードをバイザーにセットするも契約モンスターは凍り漬けにされたままであり
全く意味を成さなかった。

「……やだ……放せ……!!いやああああああああ!!!!」

ファムの体に巻きつけられた糸が強い力で引っ張られる。
必死に体を揺らし暴れるファムであるが、抵抗の努力もむなしく
ゆっくりとディスパイダーの口元まで引っ張られていく。
111 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/08(金) 13:45:19.28 ID:vmN3Mwkh0
「霧島ッ!」

ゾルダの銃撃がディスパイダーに命中するが装甲が厚く
動きを封じる事が出来ない。

「ねえ…北岡さん……」

ガシュッ!

「くっ……何の真似だ?」

タイガがデストバイザーを振るいゾルダに斬り付ける。
突然裏切り、不意打ちを受けたゾルダはよろめきながらも起き上がろうとする。

「死んでよ。僕が英雄として強くなる為に」

『FINAL VENT』

ガリガリガリガリガリガリガリ!!!!

「ぐああああああ……!!」

電子音声と共に現れたデストワイルダーがゾルダを掴み
地面に擦り付け火花を撒き散らしならタイガのいる方向へ引きずっていく。

ズキュン!ズキュン!ズキュン!

マグナバイザーをデストワイルダーに向けゾルダは引き金を引くと
デストワイルダーがよろけ、何とか離れる事に成功するが
引きずられたダメージは浅くなかった。

「……もうちょっとだったのに」

「くっ……最近の若い奴は何考えてるんだか分からないよ……」


「――――――――――――――――――ッッッ!!!!!」


耳をつんざくような断末魔の悲鳴が響き渡った。
ディスパイダーの牙がジタバタ動くファムの両足を噛み砕いたのだ。

「痛いッ!痛いッ!お姉ちゃん助けて!!お姉ちゃん!!!」

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

生涯初めて味わう、想像を絶する激痛に襲われ
ファムは血を吐きながら助けを求め続けた。

「だ……ズ………げ………お……ね゛……ぐぼっ……」

ゴリゴリと下半身が噛み砕かれ、ゴボゴボと血を吐き続け
美しい純白のスーツが自身の血に染まり、グロテスクな風貌を晒していた。
次第に悲鳴が聞こえなくなり、ファムの生命活動は完全に停止した。
112 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/08(金) 13:46:12.58 ID:vmN3Mwkh0
ファムのデッキが噛み砕かれ、変身が解除され
血まみれの女性、霧島美穂の姿に戻る。

ファムが食われる姿を目の当たりにし
恐怖のあまり身動き一つ取れなかったインペラーは黙って見ている事しか出来なかった。

霧島の目は自分の身に起きた惨状を驚くように見開き
口は必死に悲鳴をあげ続けていたからか限界まで大きく開いていた。
肌は自身の血により真っ赤に染まり、美しかった生前の見る影もなくなっていた。
そんな生気の失った霧島の瞳の視線が何故かインペラーと合ったような気がした。
そして語りかけてくる声が聞こえた。

『お前もいずれこうなるさ』

「うわああああああ!!嫌だッ!俺は食われたくない!!」

霧島は死んでいる。
だから今聞こえた声は幻聴に決まっている。
だがインペラーの不安定な精神はそれが理解出来ず恐慌状態に陥りパニックになる。

こんな場所に一秒とも長くいたくない
食われる!逃げなきゃ食われる!

「佐野〜、お前大丈夫かよ?」

「逃げようよ芝浦!!早く!早く!!」

「いたたたたた!まだダメージがががが!!」

インペラーが必死にガイの腕を引っ張りながらミラーワールドから出て行った。

「くっ……」

「霧島…」

「本当は僕がトドメを刺したかったんだけどしょうがないかな」

ナイトは霧島の死体に視線をそらし
ゾルダは霧島を死なせた事に罪悪感を感じ
タイガは霧島を自分の手で殺せなかった事に不満を感じた。

「どうしたぁ?まだ祭りはこれからだろう?」

シュウウウウウウウ……

王蛇を除くライダー達のスーツが蒸発していく。
ミラーワールドの中で存在出来る時間制限が迫ってきたのだ。

「ちっ……つまらねえ……」

自分以外が生身になってしまえば戦いがつまらなくなってしまう
浅倉は戦いその物を楽しむ戦闘狂である。
草加と違いライダーになれない状態の相手など眼中に無いのだ。

これ以上は戦えず、ライダーバトルは中断するしかない。
4人のライダーはミラーワールドから立ち去り、外へ脱出した。


仮面ライダーファム、死亡
残るライダーは―――あと12人
113 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/08(金) 13:47:51.83 ID:vmN3Mwkh0
投下終了
今回はちょっとだけグロい表現だったかも
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 13:57:24.21 ID:9monUrEIO
ありゃ? 蟹さんが先にお亡くなりになったから11じゃ?
115 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/08(金) 14:01:45.84 ID:vmN3Mwkh0
>>114
アビスも入れて14ライダーなので
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/09(土) 00:16:55.98 ID:hPQefjeA0
投下乙

おお……芝浦が佐野に助けてもらってる。おうじゃの盾は回避……出来てないけど、死なずには済んだか
それにしても、意外なのはファムが脱落した事だぜ。もう少し長生きすると思っていたし
そして、草加さんがマミさんの一斉射撃でエンドオブザワールドやってたのにふいたwwww
117 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/14(木) 19:56:39.72 ID:bD1J58Zh0
「こんのぉおおおおお!!!」

ブオン!

さやかは自らが精製した剣を両手でしっかり握り締め、ベルデに向かって剣を振るった。

「鈍い!」

「あう……!」

回復力の高い魔法少女であるさやかと言えども
胸を槍で貫かれたダメージはすぐに回復は出来ず
深手を負ったさやかの動きは鈍く、剣はベルデを切り裂く事が出来ない。

斬撃の隙を付いて放ったベルデの蹴りがさやかの体を吹き飛ばす。
すぐに体制を立て直し起き上がろうとするさやか

そんな様子を見てベルデは魔法少女の身体能力は想像以上に高いと考えを改める。
あれだけのダメージを受けて動けるとは、タフさはライダー以上だと
ライダーと違い生身が剥き出しなのだから
見た感じで強度が低めだと予想していたのは、こちらの誤算だ。
だがその程度の誤差がどうなるというのだ?
ベルデはさやかが起き上がる前にカードを一枚バイザーに差し込んだ。

『CLEAR VENT』

「なに!?」

さやかの目の前でベルデの姿が消失する。
カードの効力によりベルデの身を保護色で包み込まれ。他者の視界から身を隠したのだ。

『HOLD VENT』

さらにカードを使用したベルデは
バイオグリーザの眼を模したヨーヨー『バイオワインダー』を装備する。

相手が打たれ強いのなら徹底的に痛めつけて動けなくしてから必殺の一撃を叩き込めばよい。
そうベルデは結論した。

「逃げたの…?それとも……」

さやかは警戒しながら辺りを見渡す。
そんなさやかの背後へ回ったベルデがバイオワインダーを飛ばす。

「がはっ……」

バイオワインダーがさやかの背中に直撃し背骨に亀裂が走る。
ヨーヨーを武器にしているのを見て分かるとおり
剣や槍と比べ殺傷力は低い。
しかしリーチが長く相手の攻撃の届かない遠距離からの攻撃が可能である。

「こそこそ逃げてないで出てきなさいよ!」

さやかは攻撃された方角へ走り剣をがむしゃらに振るうが空を切り裂くだけだった。

(ククク…猪武者め……所詮おつむの小さいガキか…)

ベルデはさやかを内心、ほくそ笑みながら続けて攻撃をしさやかの左膝に命中させる。

ビキィ…

左膝の皿が砕け、さやかは苦悶の声をあげながら地面に片膝を付く。
この攻撃によってさやかの動きは封じられてしまう。
だがベルデの一切の容赦の無い攻撃はこれで終わらない。

「ううっ!!」

バイオワインダーがさやかの額に直撃した。
割れた額から血しぶきが上がる。

剣を杖代わりにバランスを取り、立っているのがやっと
ここまで攻撃を受けても心が折れないのはさやかの正義感が高い故なのだろう。
118 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/14(木) 19:57:48.32 ID:bD1J58Zh0
さて…そろそろカードの効力が切れる頃か
肉で出来たサンドバックに等しいさやかを痛めつけるのも気分が良いが
十分ダメージは与えた。そろそろトドメを刺してやらねば

『FINAL VENT』

電子音声と共にベルデは上空へ飛び上がる。
ミラーワールドから現れたバイオグリーザの舌が
空中で逆さになったベルデの両足を縛り
振り子の要領で勢いを付け、さやかに向かって特攻した。

さやかは額から流れ出る血のせいで視界が悪く気付いていない。
逆さ釣りになったベルデがさやかの命を刈り取らんと近づいている事を


「さやかァァ!! どけぇぇぇぇぇ!!!!」


ドン!!


杏子の声が聞こえると同時にさやかの体が強い力で突き飛ばされた。

「いたた……なにするのよ!杏…………子………?」

さやかの眼前には信じられない光景が映っていた。
ベルデが杏子の体を掴んだまま空中で何度も何度も回転し
遠心力を生かしパイルドライバーのような格好で
杏子の頭部を地面に激突させたのだ。

ぐちゅ

柔らかい物が潰れる嫌な音がさやかの耳から聞こえた。

「ハァーッハッハッハッハ!! ハッハッハッハ!!」

ベルデの高笑いが響き渡る。
魔法少女を仕留めた達成感もあるが何より可笑しかった。
死にかけの他人を庇って自らの命を落とした魔法少女の愚かしさに
社会もライダーバトルも他人を蹴落として生き残るのがルール
友情ごっこなど愚行の極みだ!

頭部を中心に血溜りを作っていく杏子の体を見て
ベルデは笑わずにはいられなかった。

(らしくねえ……どうして、私は……こんな真似……したんだろ?………)

さやかを助けた事に一番驚いていたのは杏子自身だった。
ベルデに襲われているさやかの姿を見て杏子は無意識に体が動いたのだ。
食物連鎖の法則に従って弱者を見捨てて生きてきた杏子が
他の魔法少女を庇って下手を打つなんて以前ならありえない事だ。

朦朧とした意識の中で自分自身の過去の記憶が次々と蘇ってくる。
これが走馬灯というものか。
魔法少女になり皆が父の言葉に耳を傾けるようになり
教会に大量の信者が集まった。
自分が魔法少女である事が父にバレたのが原因で
杏子を残し家族は全員心中した。
その後も杏子は魔法少女として魔女と戦い続けた。

仮面ライダーと呼ばれる魔法少女とは異なる力を持った人間の存在を知り
その中で馬鹿でお人よしなライダー城戸真司と出会い…

(……!?)

そうか、あの馬鹿真司のせいでこんな馬鹿な真似をしちゃったのか
想像以上に自分は城戸真司に影響を受けていたのだ。

(お前が原因かよ……ちくしょう……恨むぜ………馬鹿真司………)

だけど不思議と嫌な気分じゃないな。
これも私がしたいように行動した結果だ。
私にとっちゃ上出来だろ……なあ真司
119 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/14(木) 19:59:26.51 ID:bD1J58Zh0
「まどかァーー!!」

ミラーワールドから抜け出し、変身が解除された草加は
まどかの安否を確かめるべく駆け出した。

「チッ……使えん奴らだ」

包囲網を抜け出した草加を見てベルデは、人数で勝っているのにも関わらず
足止めもロクにこなせないライダー達の不甲斐無さに幻滅し毒を吐く。

「貴様!?」

草加はベルデの足元で倒れている少女の姿を発見した。
しかも、頭部からおびただしいほど出血しており
助かるような傷ではない事は素人目でも理解出来た。
まさか……もうまどかは……既に殺されてしまったのでは…
そんな不安が草加の脳内に駆け巡る。
草加は倒れている少女の顔を覗き込む。

(……殺られたのは杏子の方だったか)

草加は内心で、ほっと胸をなでおろした。
杏子は草加に反抗的な態度ばかり取る都合の悪い存在だった。
死んだ所で不都合は無い。むしろ好都合だ

そんな事よりまどかだ
ベルデの近くにいないのなら、まどかは何処に?

「お久しぶりですね…」

まどかの安否を確認する暇も無く、草加の元に鞭が振るわれる。

「……な〜んだ 生きてきたのか。もうとっくにくたばってるのかと思ったけど」

寸前の所で回避した草加は、鞭を振るった怪人センチビートオルフェノクへ軽口を叩く

「スマートブレイン倒産後は人間の振りをして生きていたんですよ
 ですが、もうそんな惨めな生き方をする必要は無くなりました高見沢様のおかげでね」

「なんだと!?」

「私だけではありません、高見沢様の恩恵により少しずつではありますが
 オルフェノクの数は増え続けているのですよ」

「そんな馬鹿な!!」

憎しみの対象であるオルフェノクが目の前のライダーにより再び繁栄しようとしている。
そんな事実を聞いた草加はベルデを噛み付かんばかりの形相で睨みつける。

「オルフェノクの持つ強大な力と死者すら蘇らせる圧倒的な技術力
 それを捨ててしまうのは、あまりにも勿体無いとは思わないかね?
 その力を有効活用すれば、この日本いや世界の国々を支配出来る程の
 強大な権力を手に入れられると私は考えているのだよ」

高見沢はライダー達と同盟を組んでいるが所詮、一時的な関係であり
最終的には倒すべき敵である事には変わりない。
そこで高見沢はオルフェノクを私兵としてライダーバトルに利用する事を考えた。

自身の財力や権力に物を言わせ情報規制によって警察やマスコミを黙らせ
命を助ける事を条件にオルフェノク達を従わせ
実質、スマートブレインは高見沢グループに吸収される形になった。

「貴方の苦労も無意味だったんですよ」

「だったら何度でも滅ぼしてやる!」

変身が解除されたばかりでライアのデッキは使用不能
だが草加にはカイザギアがある

『Standing By』

「変身!!」

『Complete』

草加は仮面ライダーカイザに変身し、センチビートオルフェノクに攻撃を仕掛ける。

「そんな事はさせませんよ!工事現場で井上さんにいびられる毎日なんてもう沢山なんです!」
120 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/14(木) 20:01:21.62 ID:bD1J58Zh0
「杏子……どうしてあんたが私を庇ったのよ?……」

自分が生きる為なら弱者を犠牲にする。
それが杏子の信条であり、それを理由に使い魔を逃がしもした。
非情なやり方に怒りを覚えたさやかは杏子と殺し合いもした。
そんな杏子が負傷した私を庇い致命傷を負った。
杏子が何を想い行動に出たのか分からない
話しかけても杏子は答えない、答えられない。

ベルデのファイナルベント『デスバニッシュ』はAPこそ高くないが
そのダメージは人間の頭部にダイレクトに与えるえげつない攻撃であり
技の数値以上に殺傷力が高い。
とあるライダーバトルではデスバニッシュをまともに食らったライダーは
全員命を落としたほどである。

「杏子ちゃん……?杏子ちゃん!!」

ミラーワールドから脱出し変身の解けた城戸が杏子に駆け寄った。

「また出てきたか!ミラーワールドの中で何か起きたのか?」

こうも包囲網を抜けられてくるのを見てベルデは
ミラーワールドに予期せぬトラブルでもあったのかと推測する。

「なんでだよ…?なんで杏子ちゃんを殺したんだよ!?」

「殺した?違うな、まだ死んじゃない。魔法少女はソウルジェムを砕かない限りは死なないんだよ」

「なんだよそれ?」

「無知な奴め……魔法少女を生み出した張本人には聞いていなかったのか?」

「どういうことよ?…」

「それになぁ…お前たちが散々倒してきた魔女はな、元は魔法少女の成れの果てだ
 魔女を倒すという事は遅かれ早かれ、このガキ共も始末する事になるんだ」

「嘘よ……そんなの嘘に決まってるわ!キュゥべえ!」

「呼んだ?」

ひょっこりと姿を現す淫獣キュゥべえ

「あいつの言っていたこと…全部本当なの?」

「うん…否定はしないね」

無表情であっさりと認めるキュゥべえ
そして今さら、魔法少女になった場合はどんな肉体にされるか具体的に話し続けた。

「何よそれ!それじゃ私達、ゾンビにされたようなものじゃない…」

「はあ…君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする
 訳が分からないよ。どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい?」

「それじゃあ、あんまりだろ!!元の体に戻してやれよ!!」

「それは無理だよ、一度魔法少女になったら契約破棄は不可能さ」

城戸がQBに言いかかるが一度契約してしまえばQB自身でも取り消す事は不可能であり
いくら城戸が魔法少女を庇う感動的な良い台詞を言ようが無意味である。
121 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/14(木) 20:04:02.64 ID:bD1J58Zh0
「ククク…カカカカカッ!!!つまり魔法少女というのはアレか?
 自分の都合の良い解釈をしたまま契約書もまともに読まずにサインしたアホという訳か」

「―――!!」

魔法少女達を愚弄するベルデにさやかは憎しみの視線を向けた。

「なんだその目は?願いという餌の付いた釣り針にまんまと引っかかり
 不都合が有れば、知らなかった聞いてなかったと後から不満をこぼす
 お前達は一つ大きな勘違いをしている。この獣の件だけではない
 世間というものは とどのつまり 肝心なことは 何一つ答えたりしない
 住専問題における大蔵省 銀行 薬害問題における厚生省
 分かりやすい例を挙げるなら、お前達の記憶にも新しいだろう
 津波の影響で起きた原発事故における某電力会社
 連中は 何か肝心なことに答えてきたか…?
 答えちゃいないだろうが…!
 これは企業だから 省庁だから魔法少女の契約だからってことじゃなく
 個人でもそうなのだ  大人は質問に答えたりしない
 それが基本だ お前たちはその基本をはきちがえているから
 こんな獣に良い様に利用されているのだ!
 ロクに社会の厳しさも知らないガキが背丈に合わない望みを叶えようとした末路だ!」

「珍しい人だね。真実を聞いて否定的な発言をしないなんて
 そのついでにお願いなんだけどさ。あまり不用意に魔法少女を殺さないでくれるかな?
 彼女達はエネルギーを効率良く集めるのに必要な存在なんだ」

「エネルギー?それは知らない情報だな。話してもらおう」

「全ては、この宇宙の寿命を伸ばすためなんだ。君はエントロピーっていう言葉を知ってるかい?」

QBはベルデに魔法少女を増やし続ける理由を語った。
ベルデは頭が良く話を理解してくれると踏んだからだ。

「なるほど、エネルギーを集める為に魔法少女のソウルジェムをグリーフシードにする必要があるという事か」

「君は話が速い!じゃあ魔法少女は殺さずに」

「下の下、以下だな」

グチャ

ベルデはQBのボディを容赦無く踏み潰した。

「獣風情が地球人を家畜扱いとはナメられたものだなぁ」

高見沢はこの年齢でこれだけの地位まで上り詰めてこられたのは
様々な手段で他者を利用し蹴落とす狡猾さを持っていたからである。
人を利用するのに長けていると言う事は逆に利用しようとしている人達の心理を読み取る力もあり
QB自身に悪意が無かったとしても、魔法少女システムその物に対する悪意は簡単に読み取れた。

仲間入り?QBを作った連中はどんな存在かは知らんが友好的関係は取れるはずが無い。絶対に
QBの話が嘘か誠か分からんが自分の手を汚さず他の星を牧場として利用する連中などこちらから願い下げだ。
QBの屍骸をグリグリと踏み続け満足した所でベルデはさやかを見つめる。
122 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/14(木) 20:08:26.62 ID:bD1J58Zh0
「感謝しろ、魔女として人を襲う前に正義の魔法少女として生涯を終わらせてやる」

「さやかちゃん逃げて!」

城戸の声が聞こえるがさやかは動けない。
ベルデとQBの言葉を聞いたさやかは何が正しいのか思考出来なくなってしまっていたからだ。

カシャッ!

さやかとベルデの間に割り込むように赤い鎖で出来た結界が構築される。

「杏子ちゃん!」

「何!?この状態でまだ動けるのか?」

「……………」

杏子は虚ろな瞳でフラフラとした足取りでベルデに近づき
周囲を取り囲むように結界を構築した。

「さやか……今まで酷い事言ってごめんな……」

「……杏子?」

「閉じ込めたつもりか?馬鹿め!」

「ごはっ……」

ベルデに殴られ続けながらも周囲の結界を何重にも重ね合わせ
外部から二人の姿が完全に見えなくなるほど覆い隠した。

「これで私とあんた……二人っきりだね……」

杏子が作り出した結界は外側からではなく内側からの爆風を外に逃がさない為のシェルター
杏子はリボンを解き祈るように両手を合わせると
杏子を中心に魔力が圧縮されるように集まり激しい光を輝かせていた。

「まさか貴様!自爆する気か!?やめろォォォ!!」

「つれない事を言うなよ……一人ぼっちは寂しいだろ?」

さやか…………真司………さよなら…………

杏子の意図に気付き、ソウルジェムを握りつぶそうとベルデが手を伸ばした瞬間に
結界の中で爆発が起こった。
123 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/14(木) 20:16:30.20 ID:bD1J58Zh0
投下終了です
一応言っておきますが
この物語はフィクションであり、実在する個人、団体等とは一切関係ございません
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/14(木) 23:15:53.46 ID:ruygtLq/o
利根g……いや、何でもない



クロス物にしちゃ珍しく、滞りなくキャラが消えていくなぁ
順番は多少違うけど
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/15(金) 09:14:30.82 ID:h2Np1FDX0
Oh...自爆とかベルデ生存フラグ・・・
やっぱああゆう外道の悪役はいいもんだ
少なくともベルデはガイよりは後に倒されてもらいたいね。地位的に
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/07/15(金) 11:10:15.93 ID:Bv0KJemAO
このベルデの外道っぷりはもはやすがすがしさすら感じる
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/15(金) 13:42:54.22 ID:Dx4El9TU0
乙です

ベルデの悪役っぷりが良いですねぇ
そしてあんこちゃん……井上脚本的にさやか覚醒フラグが来たかな?

所で、この世界ではたっくん何してるんだろう?
ひょっとして、既に死んでる?
128 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/15(金) 15:03:29.21 ID:+jFRvnXC0
>>127
このSSの舞台となってる世界は
ほむらと神崎が何度も時間をループし続けて歪んでるので本来の正史からかけ離れました。
元の歴史に戻すのは現状不可で時を戻せば戻すほど悪化します
だから乾巧は死んでいるのかもしれないし、元から存在していないのかも

あと蟹刑事はまどか以上に生き残れる可能性が絶望的に低いです
別の世界線では、さやかの死で発狂したマミに射殺されたり
地下鉄で須藤を驚かせようとしたゆまに後ろから押されて轢死しています
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/15(金) 15:59:29.75 ID:Dx4El9TU0
<地下鉄で須藤を驚かせようとしたゆまに後ろから押されて轢死しています

ちょwwwwwゆま何してんのwwww
130 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/26(火) 15:47:06.98 ID:SYKIKjji0
ほむらは火器を駆使しライオトルーパー隊を次々と撃破していき初めは優勢であった。
だが魔法少女が想像以上の強さを持っていると気付いたライオ達は援軍を要請し
数に物を言わせ、ほむらの体力が徐々に消耗していた。

「ウボァー」

「ライオFーッ!!おのれよくもライオFを!」

「ぬわーーーーー!!」

「今度はライオHがやられた!くそう、あいつはいい奴だったのに!」

(数が多すぎる……)

なかなか決着が付かず、ほむらの顔に焦りが見えてきた。

「ヒャッハー!」

「のりこめー^^」

「きゃあ!」

まどかの悲鳴がほむらの耳に届く。
ほむらが数体のライオに気を取られている間に
二体のライオが優衣とまどかの命を狙いに言ったのだ。

(させない!)ガシ

まどかを助けようと動き、完全に無防備になったほむらの背中を
上空から物凄いスピードで迫った何者かによって羽交い絞めにされた。

「なっ!?いつの間に…」

(注)日本語吹き替え板です。
「上空でのドライブを楽しませてやるぜ、お嬢さん」

ほむらの背後を捉えた白きライダー、その名も仮面ライダーサイガ
天のベルト、サイガドライバーを装着し変身するライダーである。

「きた!メインライダーきた!」

「これで勝つる!」

「315(サイガ)は315(サイコー)です!」

「サイガ!サイガ!サイガ!サイガ!」

ライオ隊達の歓声を浴びながらサイガは大空高く飛び上がった。

(この状態じゃ能力は使えない!)

ほむらはサイガから離れようと抵抗するもガッチリとホールドされ外す事が出来ない。
しかも羽交い絞めにされた状態では盾に手が届かず武器も取り出せなかった。

1000……2000……3000……4000……

高度5000mまで上昇したサイガは今度は真下に向かって急下降した
その速度は時速800k以上
高所からの猛スピードにほむらの意識は手放しかけるが必死に耐える…耐える!!
サイガ自身が地面に激突しないギリギリの位置でほむらの背中を押し
アスファルトが粉砕されるほどの衝撃でほむらの体を地面に叩き付けた。

日本語略
「どうだい?そこらのジェットコースターより刺激的だろ?」

「ぐ……」

日本語略
「まだ起き上がれるんだ。ならもっと楽しませてくれよ」

サイガがほむらに迫ったその時、爆発音が響き渡った。
131 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/26(火) 15:49:28.15 ID:SYKIKjji0
爆発音と共に、音の発生地にあった赤い鎖の結界が消滅し
煙幕の中からふらつく影が一つ見えた。

「……くそが……ぐふ!」ガシャン

それは仮面ライダーベルデだった。
ダメージを受け過ぎたスーツがガラスの割れる音と共に消滅し
装着者である高見沢の姿が露になり地に崩れ落ちた。

「杏子は?杏子はどこ!?」

さやかが辺りを見回しても杏子の姿が無かった。

「あのガキは自爆して消えたよ……流石にこの俺も一瞬、死を覚悟させられたよ…ククッ」

「杏子が……?あんたのせいで……!!」

「俺のせいだと?違うな、お前のせいだ。お前が弱かったからあのガキはくたばったんだ!」

「よくも杏子を!!」

「ふん…」

「きゃ!」

高見沢は斬りかかろうと動いたさやかに向かって
青い炎の弾を撃ち出し後方に吹き飛ばした。

「変身が解除された俺が相手なら勝てると思ったか?馬鹿め!」

「高見沢さん、お お 王蛇が!」

「悪いね〜、乱入者のせいで作戦が上手く行かなかったよ」

ミラーワールドから抜け出た佐野と芝浦が高見沢の元へ合流した。

「簡単にあいつらが脱出できたのはそういう事か…」

王蛇の装着者、浅倉威は野生の肉食獣のような凶暴な男である。
そんな奴を上手くてなづけるのは不可能だと判断し放置した。
奴に限ってはライダーバトルを止めるべく動くのはありえない。
だから龍騎達を優先に狙いを定めた。
いくら凶暴だろうが単独行動しているライダーなど脅威ではない。
その考えが裏目に出たとは…先に王蛇を殺害しておくべきだったか。

「社会不適合者のクズめが…おい佐野、あのベルトを持って来い」

「はい!」

高見沢の命令を聞いた佐野は走り出し、車の中にあるアタッシュケースの中から
指示されたベルトを持って高見沢に渡した。

「ごくろう、変身!」

『Standing by』

白い光のラインが高見沢の体を包み姿を変えていく。

『Complete』

「その姿は!?」

カイザはセンチビートオルフェノクと戦いながら高見沢が変身した姿を見て驚く。
高見沢が仮面ライダーデルタに変身したその姿に

「知らなかったのかね?スマートブレイン崩壊後、我々がデルタギアを回収した事を」

「貴様ぁ……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

「ん?」

上空から聞こえるエンジン音に気付き、カイザは上を見上げた。
すると上空からカイザに向かって急降下するサイガと目が合う。

「ぐわあああああ!!」

落下スピードを利用したサイガの必殺キック『コバルトスマッシュ』を受け
蹴り飛ばされたカイザの体は火花を散らしながらベルトが外れ変身が解除された。
132 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/26(火) 15:50:17.20 ID:SYKIKjji0
日本語略
「所詮、人間はオルフェノクに勝てない」

倒れた草加にゆっくり歩み寄るサイガ


「終わりだ…チェック!」

「う…あああ……」

デルタムーバーから射出された三角錐のポイント弾がさやかの体を捕捉し
ジャンプしたデルタが飛び蹴りの体勢を取り、身動きの取れないさやかに迫った。

「や、やだ…」

「邪魔だ!」

乱入した黒いライダーがさやかを蹴り飛ばし、デルタのルシファーズハンマーが不発に終わった。

「あんた…私を助けに?」

「勘違いするな、俺は高見沢を潰すために来ただけだ、邪魔だからどっか行け」

「…………」

黒いライダー、オルタナティブの無愛想な物言いにさやかは不機嫌になったが
助けてもらったのは事実なので渋々離れる事にした。

「何者だ?」

「通りすがりの擬似ライダーだ、覚えておけ」

『ACCELE VENT』

「ぐおおお!?」

オルタナティブの姿が消えた瞬間、デルタの体に何度も斬撃を浴びせ吹き飛ばす。
133 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/26(火) 15:51:22.65 ID:SYKIKjji0
「ぐ……ぐぐぐ……おのれぇ……」

倒れこんだデルタはなかなか起き上がれる事が出来ない。
それはオルタナティブの攻撃が凄まじかったからではない。
杏子の自爆で受けたダメージが大きかったからだ。
ライダースーツを着ていたとはいえ、あの爆発に巻き込まれたのだ。
常人だったら既に死んでいる威力である。

「高見沢様!変身を解除して、この場はお下がりください。あとは私が戦います」

「……よかろう、デルタギアは君に貸そう、お前達も帰るぞ」

「了解しました!それにしても高見沢様のタフガイっぷりは凄いな〜憧れるな〜」

「ねーねー、今度俺にもデルタって奴貸してくれよ」

「駄目だ、これはお前達には使いこなせん、それに貸した物が帰ってくる保障が無い」

「大丈夫大丈夫、死ぬまで借りるだけだぜ」

「芝浦…それは借りるとは言わんぞ」

高見沢はデルタギアを琢磨に任せ、佐野、芝浦と共に戦場から離れた。

(ついに私がデルタギアを手にする日が来ました!ひゃっほーいッ!!)

「変身」

『Standing by』

『Complete』

琢磨は念願のデルタに変身でき、ハイテンションでデルタムーバーを取り出した。

「ファイア!」

デルタムーバーから光線を次々と撃ち放つデルタに対し

『ADVENT』

サイコローグを呼び出し、モンスターとライダーの同時攻撃を仕掛けるオルタナティブ

「スリー、エイト、ツー、ワン!」

(負けませんよ、私はデルタの正装着者になるんです!)

ゴオオオオオオオ!!

「なんだこれは?うわっ!」

二体からの攻撃を避けながら耐えるデルタの元へ巨大なマシンがオルタナティブを押しのけながら飛んでくる。
マシンの名は『ジェットスライガー』それをデルタが乗り移ると
機体を操作しオルタナティブにぶつけるように機体を旋回させた。

「だったらこっちも!」

『WHEEL VENT』

カードをバイザーにセットするとサイコローグの体が変形し
バイク形態、サイコローダーとなり、オルタナティブを乗せジェットスライガーの体当たりを回避した。

『FINAL VENT』

「うおおおおおおおおおおおお!!」

オルタナティブを乗せたサイコローダーがコマのようにスピン回転をして
デルタの乗るジェットスライガー目掛けて突進していく。

「そんな小さなバイクで、この機体に勝てると思っているんですかー!?」

デルタも全速前進でジェットスライガーを走らせ、オルタナティブに突っ込んでいく。
サイコローダーとジェットスライガー、二つの機体が正面衝突し激しい爆風と衝撃音が響き渡った。
134 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/26(火) 15:53:30.42 ID:SYKIKjji0
さやかの元へオルタナティブが現れた頃

「オウ!」

草加に迫ったサイガを切りつけ退けるライダーの姿があった。

「貴様は?」

「話は彼らとの戦いを終わらせてからにしましょう」

オルタナティブ・ゼロがサイガと対峙しながら答える。

日本語略
「何人現れようが結果は変わらないさ」

ズドドドドドドドド!!

上空へ飛んだサイガは旋回しながらエネルギー弾を大量に撃ち出しゼロに浴びせ続けた。
エネルギー弾如きではライダーは仕留め切れないだろう。
だが大量に撃ったエネルギー弾の影響でゼロの周りに砂埃が舞い上がり視界を狭めている。
それがサイガの狙いだ。
サイガはスピードを最大にまで高めると死角となっている位置からゼロに向かってコバルトスマッシュを放った。

「すみませんねぇ」

日本語略
「何!?」

死角から放たれたサイガの攻撃を紙一重で避けるとカウンターに放ったゼロの斬撃が
サイガに直撃し地面に叩き落される。

「離れた所で貴方の戦っている姿を見学させてもらったんですよ」

日本語略
「俺の戦いを見ただけで避けられるなんて、これが見切りという業か」

ドゴォオオオン!!

「なぜだーーーーーーー!?」

オルタナティブのファイナルベント『デッドエンド』を受け
ジェットスライガーは粉々に破壊され、爆風を受けたデルタが吹き飛ばされた。
その衝撃でデルタギアが外れ、変身が解除される。

「まさかジェットスライガーを破壊するなんて…」

起き上がった琢磨がデルタギアを探し見つけるが、既に別の物の手に渡っていた。

「貴方は!?」

「お前のベルトは貰う…」

デルタギアを拾った草加は早速、装着しデルタへ姿を変えた。
135 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/26(火) 15:54:55.69 ID:SYKIKjji0

(ヤバイ!これは高見沢様から借りたベルト、盗られたと知れたら私の身が!)

「私のデルタギア返してください!」

琢磨がオルフェノク化しデルタに迫る。

「ファイア!」

ズキュンズキュンズキュン

「うわあ!」

デルタの放った光線がセンチビートオルフェノクを怯ませ

「チェック!」

『Exceed Charge』

「ひっ」

「でいやあああああああああ!!」

隙を見せた瞬間を狙いデルタがルシファーズハンマーを放った。

「いやだー!死にたくない!私は生き延びるんです!」

琢磨の生に執着する一心で体を捻り直撃を避け、胸を掠める程度の損傷に抑える。

「い……痛い……グスッ…グスッ……うう…」

「逃がすか!」

スドドドド!

「ちいっ…」

日本語略
「今回は撤退させてもらうよ」ガシ

「痛いよ……とっても痛いよ……グスッ」

よろよろと逃げている琢磨を回収しながらサイガは飛び去って行った。
敵が撤退していくのを見た草加はカイザギアも回収し変身を解除した。

「草加さん」

「まどかちゃん!良かった…よく無事でいたね」

まどかと優衣の二人が合流し草加の顔に笑みが戻る。

「はい、ほむらちゃんと黒いライダーが助けてくれたから」

「黒い?あの人達の事かなぁ?」

草加がオルタナコンビを指すが、まどかは首を横に振る。

「違うの、城戸さんのライダーを黒くしたような姿で…」

(黒い龍騎?そんなライダーとまだあった事無いな)

「すみませんが少しお話をさせてよろしいですか?」

「ええ、俺も君達の事を知りたい」

変身を解除したオルタナコンビの一人が話しかける。
彼らは何者か知りたかった草加もそれに同意した。

「私も貴方達と同じライダーバトルを止めようと考えている者です
 お互い協力出来ると考えた私達は、貴方達を助けようと向かったのです」

「そうですか それは心強い。だけどどうして俺達がここで襲われていると分かったのかな?」

「それはですね」

「香川先生〜、高見沢と組んでるライダーを一人減らせました♪」

「よくやりましたね東條くん、君ならきっと素晴らしい英雄になれるでしょう」

「へへへ♪僕もそう思います♪」
136 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/26(火) 15:55:36.74 ID:SYKIKjji0
「この東條くんがスパイの役目を行い高見沢の行動を私達に教えてくれたんですよ」

「ちょっと待ってよ!だったらもっと早く助けに来れたんじゃないの?杏子が死なずに済んだんじゃないの?」

「杏子ちゃんが……死んだ?」

杏子の死を聞いてまどかはショックを受ける。

「あの赤い魔法少女ですか。それは済まない事をしたと思っています。
 ですが慎重に行動しなくてはいけない立場である事を理解していただきたい。
 なにせ高見沢の戦力はあまりにも強大で下手をすれば全滅する可能性もあるのです」

「なによそれ?そんな理由で杏子が……杏子がぁ……うう…」

「さやかちゃん…」

「今すぐ私達と手を結べとは言いません。日を改めて、今度は私の研究室でゆっくり話し合いましょう」

「そうですね。今は戦いの消耗が激しいですからね」

香川が研究室の住所や連絡先を伝えると三人はその場から立ち去っていた。

草加はふと疑問に思った。
ライダーバトルを止めようと考えている人がいれば城戸は大喜びで食いつくんじゃないのかと
そう言えば城戸は今何をしているのかと探していると、杏子が自爆した爆心地で立ち尽くしていた。

「杏子ちゃん……」

城戸の目は真っ赤になり涙を流し続けていた。
近くにいる蓮は城戸にかける言葉が見つからず、黙っている。

「許せない……殺してやる……」

「さやか…ちゃん…?」

「高見沢はあたしの手で殺してやる!」

あんな悪党は生きて良い筈が無い。
あいつがいる限り、悲しむ人達はどんどん増えていくんだ。
絶対に後悔させてやる!
法律が裁けないのなら私が裁いてやる!
さやかの瞳に憎しみが宿り殺意を燃やしていた。

(さて、どうしようかな?)

草加は手に持つデルタギアの使い道を考えていた。
ライアデッキとカイザギアの二つを持つ草加には不要の物だ。
城戸や蓮は…既に持ってるデッキだけで戦力として十分だろう。
それにライダーバトルに乗り気になる危険性もある。

それ以外では暁美ほむらは…駄目だ。敵では無いようだが胡散臭い。
何を考えているのか分からないし、そもそもこのガキは好きになれない。
鹿目まどかは…問題外、彼女を戦わせるわけにはいかない。

それなら……こいつなら良さそうだな
俺の事を信じ切っているから裏切る心配は無いし、もともと大して強くのないガキだ。
デルタギアの力を与えれば、少しは俺の役に立つのかもしれない。

草加は憎しみに心を囚われている少女を見つめ、ほくそ笑んだ。
137 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/26(火) 16:04:23.30 ID:SYKIKjji0
投下終了
オーガは開発済みだけど装着出来そうなキャラを用意してなかったので欠番です
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/26(火) 16:14:33.87 ID:dhAfaswoo
乙カレー空間


……たっくん(鹿目じゃない方)って死んじゃったんだっけ?
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 16:39:31.13 ID:B3dJbL3ro

日本語略でいいの?日本語訳じゃなくて?
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 16:47:14.96 ID:wevRpcPIO
乙乙

>>138
>>128
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/26(火) 17:38:52.71 ID:dhAfaswoo
>>140
オゥ、thx
オーガ装着者が見つかったと思ったんだが
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/07/26(火) 18:07:06.78 ID:pVykUfo40

歩く不幸フラグこと葦原さんはでますか?
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/26(火) 20:38:34.43 ID:rG9lXGgU0
やっぱどのSSでもさやかはかわんねぇな
かえりうちフラグビンビンだ
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/26(火) 20:58:03.28 ID:a1NauDBAO
草加でジパングSSだと思ってワクテカしたこのテンションをどうしてくれる
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 21:40:59.15 ID:MkFyPEwI0
毎度毎度展開が予想できねーぜ。乙でした。

杏子ちゃんオル…いやなんでもない
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 22:10:49.65 ID:+3SzeIQN0
投下乙

さやかデルタ爆誕の可能性が出て来たな
なんかさやかちゃんは木場さんルートに行きそうで怖い
147 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/07/26(火) 23:58:24.66 ID:SYKIKjji0
>>139
あー…次からそう書きます
>>142
今更だけどライダーキャラをあまり増やすと、まどマギ勢が空気になりそうなので
これ以上のライダーは多分出ないかな
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) :2011/07/27(水) 13:57:23.92 ID:1EQwifQ20
じゃあ三原は出ないのか・・・
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/27(水) 15:20:51.73 ID:5d0Wf/YIO
三原ならアルバイトに行ってるよ
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) :2011/07/27(水) 16:02:37.13 ID:1EQwifQ20
さやかがデルタとか最悪すぎるだろ
ヘタすりゃ徳本みたいになるぞ
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/27(水) 18:16:28.93 ID:Nt+EDD1Vo
>>148
三原ならさっき家に帰ったよ
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/07(日) 00:00:30.72 ID:zZe8H3Jbo
今読んだ

真司と杏子のコンビが好きだっただけに残念
そういや真司はこの中じゃ唯一元主人公だな、ラスト目前で死ぬんだろうけど

そしてやっぱ高見沢先生は一流だよなー
153 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/07(日) 04:26:08.90 ID:1iiMxXQc0
>>152
龍騎勢の悪役は浅倉やリュウガの人気が高いから目立たないけど
高見沢も十分過ぎるほど凶悪な悪役していると個人的に思ってます
では投下します
154 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/07(日) 04:27:01.75 ID:1iiMxXQc0
ここは高見沢グループ所有の高層ビル
その社長室にて高見沢が険しい顔をしていた。

「貴様は一人もライダーを殺せずにデルタギアを奪われてきたと言うのか!?この役立たずがッ!!」 バンッ!

「ひっ」

怒りを込めた声で罵る高見沢の言葉と共に机を叩く音に驚き
琢磨はビクッと体を震わせ涙目になっていた。

「俺は有能な奴は人間だろうがオルフェノクだろうが差別せずに評価するが
 無能な奴は容赦無く切り捨てる。わかったか?」

「は、はい!」

「今回は見逃してやる。だが次にまた失態を犯したら、お前の居場所は無くなると覚えておけ!」

「はい!!」

「じゃあ行け」

「失礼しました!」

デルタギアを奪われた失態から散々叱られ続け
やっと社長室から出られた琢磨、その瞳からは涙がこぼれる。

「グス…グス…井上さんのいびりからやっと解放されたのに、またこんな扱い…」

涙を流しながら廊下を歩いていると佐野、芝浦、北岡の三人と出会った。
彼らも高見沢と今後の戦いについての話を進めるためだ。

「琢磨さん大丈夫ですか?」

「いい年こいたおっさんが泣くなよwww」

「ほっといてください!それと私はおっさんじゃありません!><」

「こらこら、二人とも廊下で喋ってないでさっさと行こうよ。高見沢さんを待たせたらまずいでしょ?」

「ああ!そうだそうだ早く行かないとー」

「じゃあな、琢磨〜って指しゃぶるなよwww」

「もう見ないでください!><」

泣いてる琢磨の仕草が面白いのか、芝浦にからかわれて更に凹む琢磨
ヘタレているがこれでも上級オルフェノクである琢磨は人間から見れば
恐れられ敵視されるのが普通なのだが
彼らはオルフェノク以上の怪物であるミラーモンスターを使役し
ライダーとしての力を保持しているからか

正体を明かされた琢磨に対し特に差別する事も無く
弄られキャラとして皆に軽く見られているのだ。
はたしてそれが本人にとって幸福なのか不幸なのか分からないが

「うう……私がオーガに変身出来ればきっと過去の栄光を取り戻せるはず……」

ポンッ

琢磨の肩に手を乗せニコリと笑うこの男はサイガの装着者のレオである。

「あなたもそう思いますか?」

泣きっ面だった琢磨の顔に笑顔が戻る。

日本語訳
「君じゃオーガには絶対に変身出来ない。身の程を知るべきだ」

「そこまで言わなくても…うわああああああああん!!><」

日本語訳
「だけど君専用に高出力のライオが開発中だから……ってあれ?」

レオが気付いた時には既に琢磨が走り去っていた。
155 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/07(日) 04:27:36.74 ID:1iiMxXQc0
「つまり東條が裏切ったのが原因で霧島がモンスターに殺されたと」

「はい、間違いありません」

「助けようにも俺達は王蛇を相手にするので手一杯だったんだよね〜」

「前から変な奴とは思ってたけど、まさかいきなり裏切って奇襲してくるなんてね。何考えてるのやら」

高見沢のいる社長室へ入った佐野、芝浦、北岡はミラーワールドの中で起こった出来事を高見沢に話していた。

「霧島め…せっかく姉を蘇生してやったのにもうくたばるとは、役に立たん女だ
 ……裏切り者の東條の始末は早急に済ませたい所だが
 俺達の邪魔をしに現れたライダーの事もある。
 奴らの正体を探る間は浅倉威を始末する」

「それは名案だね。あいつに付きまとわれてこっちも迷惑してるのよ」

「俺は別にいいぜ〜」

「いや〜高見沢さんの作戦は相変わらず素晴らしいですねー!凄いな〜憧れるな〜」

「浅倉の居場所を見つけ次第、追って連絡する。今日はここまでにしましょう」

話し合いが終わり、芝浦と北岡が去った後

「あの〜高見沢さん」

「どうしたのかね、佐野君?」

「今後の戦いは魔法少女を無視してライダーのみを狙うのはどうでしょうか〜?
 あれだけの兵力を持つ高見沢さんならライダーバトルはもう既に優勝は確定してますし
 あんな子供なんて相手にしても高見沢さんの貴重な時間を無駄にするだけですよ」

「お前は俺の戦い方に不服を感じているようだな」

「いえいえ!滅相もありません。ただ魔法少女なんて高見沢様自らが
 お相手するほどの価値があるとは思えただけで出過ぎた真似をして済みませんでした!」

「佐野君、現在は君の父親が経営する会社と我が社は友好的な関係を結んでいるが
 その関係を息子である君のせいで壊したくは無いだろ?
 そろそろ親孝行して君を勘当した父親を見返してやりなさい」

「そ…そうですよね!いやあ俺なんかの心配もしてくれるなんて懐が広いな〜
 俺も将来は高見沢様みたいな社長になりたいですよ〜
 ではお先に失礼します!」バタン!

「気を付けて帰りたまえよ……ふん ケツの青いガキめ」

こんな人の上に立つだけの才能も知識も無い若造が社長になった所で
周りの幹部達に体のよい人形として利用されるのがオチだ。
それに魔法少女に同情を見せつつも長い物に巻かれる事しか出来ない佐野は
善人にも悪人にも成りきれず、現代社会でもライダーバトルでも勝ち残れないだろう

高見沢は佐野に対し、そんな厳しい評価を付けるのだった。
156 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/07(日) 04:28:32.85 ID:1iiMxXQc0
「さて、今日はこんな所かな」

花鶏の前でサイドバッシャーをピカピカに磨いた草加は満足げな表情を見せる。
多数のライダーに襲われたが何とか激戦から生き残った草加は
その後、花鶏の空き部屋を借りて住む事になった。

理由は二つ有る。
一つ目は城戸や蓮と共闘するのに、お互いの距離が近い方が都合が良いからだ。
そしてもう一つ、これは一番重要な事だ。それは……

「草加さん、おはようございます」

天使のように愛らしい声が草加の耳元から脳内へ染み込むように届いた。

「やあおはよう まどかちゃん」

そう もう一つは、まどかが花鶏へ頻繁に顔を出すからだ。
さやかとも一緒だが、来ても来なくても別にどうでもいいが
上辺を取り繕うために適当に心配する振りをしておく。

「さやかちゃん。辛い事になったが、何かあればいつでも相談に乗るから無理はしないでくれ」

「大丈夫です。もう平気です」

「そうか。それならいいんだけど」

「なんなら、まどかが契約してさやかの体を、ぎゅぴ!?」

会話中のどさくさに契約を押し売りしようとしたキュゥべえが草加に蹴り飛ばされ壁に激突する。

「大丈夫か!?すまない。食器を持っていたせいで足元にいる君が見えなかったんだ…
 怪我をしているかもしれない。救急箱のある部屋まで急いで運ばなくては」ヒョイ

「なんともモガモガ…」

草加はキュゥべえの口を塞いだ状態で拾い上げ、まどか達から離れた個室へ運んだ。
キュゥべえの治療をする為では無い。
まどかには決して見せる事が無かった草加の心の仮面を外す為である。

「君はいつになったら俺達の前から姿を消してくれるのかなぁ?」

「え?」

今の草加の顔はまどかの前で見せていた優しくて頼りになる好青年とは程遠く
卑屈で残忍な歪んだ笑顔、通称デビルスマイルになっている。

「分からないのかな?まどかを魔法少女にされると都合が悪いんだよ」

「前から気になってたけど地球上の人口は数十億もいるのに
 なんで君はそこまで一固体に過ぎないあの少女にこだわるんだい?」

「君には関係の無い話だ。他のガキが魔法少女になろうが構わないし邪魔するつもりもない
 ただし、君がまどかに契約を迫るのをやめないのなら徹底的に妨害させてもらう」

「妨害?言っておくけど僕を殺そうとしても無駄だよ。
 それにそれだけの素質があるあの娘を捨てておくなんて全宇宙規模の損害だよ」

「ちっ さっさと消えればいいものを、しょうがないなぁ…」
157 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/07(日) 04:30:10.97 ID:1iiMxXQc0
草加はポケットから短く折られたカッターの刃を取り出し
それを自分の二の腕へと持っていき、すうっと息を吸い込み

「やめろ!!!やめるんだキュゥべえーーッ!!!!」

草加が叫ぶのと同時にカッターの刃で自分の腕を三回縦に切りつけ
爪で引っかかれたような傷を付けた。

「どうした草加!?」

「何があった?」

草加の声を聞きつけた真司、蓮、まどか、さやか、優衣の五人が部屋へと入ってくる。

「まどかちゃんに魔法少女の契約を求めるのをやめるように頼んだら
 いきなりキュゥべえが飛び掛ってきて……」

傷ついた腕を見えるように押さえながら苦しむ表情を見せる草加

「俺はまどかちゃんに戦士としての宿命を背負わせたくなかったんだ!
 マミちゃんや杏子ちゃんのような犠牲者をこれ以上増やしたくなかったんだッ!!」

間髪入れずに今度はお人好しの同情を買うように感情を込めて草加は訴えた。

「僕は何もやってないよ」

無表情で真実を語るQB、だが既にその言葉は誰にも届かない。

「あんたねえ…草加さんになんてことしてんのよ!!」

「酷すぎるよキュゥべえ…」

「草加!すぐに手当てしてやるからな」

「ありがとう、城戸…」

人間の感情を理解出来ない、理解しようともしないQBに信頼など集まるはずも無い。
そんなQBが草加が嘘を付いていると皆に納得させるのはなお更無理な話だ。
証拠となるカッターもQBが草加への視線を逸らした時に
部屋のどこかに隠してしまい発見するのはもう不可能だろう。

「どうやら僕は皆に歓迎されて無いらしいから去る事にするよ」

草加の策略により孤立したQBは花鶏から出て行った。
その様子を見ていた草加は誰にも知られないように、にやついていた。

(ほんと、お人良しばかりで助かるよ。まどかは誰にも渡さない…)

笑顔の時も怯えてる時も魅了して放さない愛らしい顔
見つめられただけで元気をくれる、その優しい瞳
甘い香りのするサラサラの髪
美しく澄み切った声
抱きしめただけで折れてしまいそうな華奢な腰
今は控えめだが、まだまだ成長しそうな胸
脆くて傷つきやすいが、純粋無垢で優しい心

全て俺の物だ。まどかは俺だけ見ていればいい

ライダーバトルという嵐のような凄まじい状況の中で
草加のエゴは人知れず輝いていた。
158 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/07(日) 04:32:16.44 ID:1iiMxXQc0
ライダーバトルの数だけ様々な戦いがある。
装着者が違う、敵対関係が変わっている、命を落とす順が違っている等。
だが何度見ても見飽きない。ライダー達が命を燃やし、奪い合う様は儚く美しい。
激しい戦いの末に生き残り、昇華させた命の灯火を
自らの手で消し去る瞬間の快楽は性行為を遥かに凌駕する心地よさだ。

仮面ライダーアビスは闘争を望んでいる。
彼らにはもっと強くなってもらわねばつまらない。
死線を潜り抜け、強大な戦士へと成長してから叩き潰す。
王蛇を祭りの場所へ案内し戦闘経験を積ませたのも、その為だ。

「ライダーや魔法少女達…もっと強くなりなさい。私の目的のために……」

キィィィン キィィィン

「準備運動にもならないでしょうが遊んであげますか」

ミラーワールドの中に入ったアビスを中心に
数体のモンスターが囲むように近づいてくる。
こんな危険な状況でもアビスは余裕の態度を崩さない。

『SWORD VENT』

「シャアアア!」

モンスター達が一斉に襲いかかる。
アビスが剣を振るい次々と切り裂き爆散した。

「グオオオオオオオオオオ!!!」

咆哮と共に強大なモンスターが上空からアビスの前に振ってきた。
仮面ライダーファムを捕食したモンスター、ディスパイダーである。

「大物が釣れましたか」

ディスパイダーの巨大な足がアビスに向かって振り降ろされた。

ザシュッ

「ギャアアアアアアア!!」

「そんな単調な攻撃では私に当てる事は出来ませんよ」

振り下ろされた足をアビスセイバーで切り落とした。

「ギギギギ……ゴロズ……ライダー………ゴロズ…」

「……ほう、ミラーモンスターが喋るとは興味深い」

「ジネエエエエエ!!」

大量の糸がアビスに振りかかるが上空へ跳び、回避する。
更に追撃で射出された針をアビスセイバーで弾き落とす。

『FINAL VENT』

洪水でも起こったように、どこからともなく水が大量に流れ
辺り一帯が浸水した状態に変化した。
それと同時に契約モンスターであるアビスハンマーとアビススラッシュが融合し
ホオジロザメ型モンスター、アビソドンになった。

「ギギギ!?」

足元が水浸しになり驚いたディスパイダーが高層ビルに飛び移る。
上空へ飛んだアビソドンがエネルギー弾を撃ち放ち
被弾したディスパイダーが高層ビルから落下した所を狙い
アビソドンがディスパイダーの半身に食らい付きアビスに向かって飛んでいく。

「はああああッ!!!」

ジャンプしたアビスによるライダーキックがディスパイダーに直撃し
アビソドンが噛み付いていない方の半身を蹴り飛ばし爆発を起こす。

「待ちなさい!!」

アビスの一喝によりディスパイダーの魂を食らおうとしたアビソドンの動きが止まる。

「言葉を話すミラーモンスターは今まで見た事有りません
 おそらくこの世界の影響で生まれたイレギュラーでしょう
 生かしておけば何か面白い事が起きるかもしれません」
159 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/07(日) 04:33:46.95 ID:1iiMxXQc0
ディスパイダーの魂を見送ったアビスの背後から金色の光が刺し込み羽が舞い散っている。
姿を見なくても気配だけでアビスは理解出来た。
背後にいる者の正体を

「オーディンですね。初めまして、私の名はアビスです 以後お見知りおきを」

「貴様は何者だ?」

「フフフ…私はライダーバトルの参加者の一人に過ぎませんよ」

「貴様を参加させた覚えは無い」

「そんな些細な事はさほど重要では無いでしょう
 私は貴方のライダーバトルを止めるつもりは無いのでご心配なく」

『SWORD VENT』

「不確定要素は早めに排除する。消えろアビス!」

「フフフ……ハハハハハ!!私と戦うつもりですか、面白い!
 モンスター相手では物足りなかった所なんですよ」

金色の羽を舞い散らせながらオーディンの姿が一瞬で消え
アビスの背後に出現したオーディンの持つゴルトセイバーが振り下ろされる。

「はあああああッ!」

素早く振り返ったアビスのカウンターの斬撃を受けオーディンの胸部装甲に傷が付く。

「貴様、初めて私と戦う動きではないな」

「私のようなイレギュラーの一つや二つ、今更驚く事でもないでしょう?」

「……この世界の事をどこまで知っている?」

「私は神ではありません。なので全て推測の域でしか語れませんが
 本来のこの世界は魔女や魔法少女は存在していなかったと言う事と
 今ほど多数のライダーもいなかったと言う事ぐらいでしょうか」

「そうか、これ以上は貴様に用は無い」

オーディンがデッキからファイナルベントのカードを取り出す。

「一つ忠告をしておきましょう。私は貴方がライダーバトルを起こした目的を知っています
 私と敵対するつもりでしたら、その目的を叶える可能性が遠ざかると理解して頂きたい
 貴方としても、その能力の使用は出来る限り控えておきたいでしょう?」

「!?……貴様が妙な真似をしたら容赦はしないぞ」

「貴方が敵に回らない限り私は貴方の味方ですよ」

その忠告を最後にオーディンの姿が消えた。

闘争の無くなったこの舞台に用は無い。
アビスもミラーワールドから現実世界へと戻っていった。
そして誰もいなくなったこの舞台で新たな役者が誕生した。

「……ゴノママデハズマザンゾ…」

復活したディスパイダーがディスパイダー・リボーンへと進化し
ライダー達への憎悪を燃やし続けていた。
160 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/07(日) 04:46:40.50 ID:1iiMxXQc0
投下終了
登場人物が死ぬテンポが速すぎたかもしれないとちょい後悔
マミさんもあんこもいないけど
ライダーではお約束なギャグ回はいつか入れる予定です
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage saga]:2011/08/07(日) 09:11:51.19 ID:IkJONIhUo
おつ


やっぱり草加さんは一流だよなー(迫真)
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/08/07(日) 09:13:37.91 ID:pRjEOwLeo
ウヴァさん? ウヴァさんじゃないか!
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/07(日) 15:58:56.68 ID:P5Xvp4Zmo
乙おー


アビスラッシャーじゃなかったでしたっけ、アビスの第二契約モンスターの彼は
んでもって……つぇぇ!鮫さんつえぇ!お前誰だよ!鎌田じゃねぇだろ!
164 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/08(月) 06:59:00.83 ID:3BJONPkA0
>>163
あー、ディケイドwikiのアビスの項目を見ながら書いていたので
ファイナルベントの解説に書いてあるアビスラッシュに釣られちゃいました
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/08(月) 20:01:11.86 ID:0CSBpDV6o
草加さんは揺るぎねえなぁ……ww
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage ]:2011/08/08(月) 20:07:19.09 ID:LTFTUWZj0
鎌田はあれでもカテゴリーキング
相手が悪かっただけだよ……
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage ]:2011/08/08(月) 20:07:48.02 ID:LTFTUWZj0
鎌田はあれでもカテゴリーキング
相手が悪かっただけだよ……
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) :2011/08/08(月) 22:28:29.09 ID:1snu9nEAO
すげえ、QBをこんな形で追い込むとは草加さん マジパネェwwww

しかし、草加は敵に回したくないけど、かといって味方にもしたくない本当に困ったライダーだなぁwwwwww
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/11(木) 20:27:20.81 ID:vrKEhPV4o
面白い
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) :2011/08/13(土) 09:22:02.04 ID:k54mp+T20
>>「まどかちゃんに魔法少女の契約を求めるのをやめるように頼んだら
 いきなりキュゥべえが飛び掛ってきて……」

ようやくこの台詞が聞けたwwwwwwいいぞもっとやれ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) :2011/08/13(土) 12:20:45.48 ID:k54mp+T20
>>草加は敵に回したくないけど、かといって味方にもしたくない

ああ、すげー分かるそれ
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/08/13(土) 13:23:39.58 ID:ry0imcHP0
おつ
おもろいです
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 22:23:16.20 ID:CBQCEeMB0
鎌田はもやし曰く強すぎるらしいから
これくらいがちょうどいい
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) :2011/08/15(月) 17:02:45.06 ID:jjuvOldG0
アビスの正体はおりこなのかな
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 19:18:10.94 ID:7ngW49TSO
乙。一気に読ませて貰いました。とっても面白かったです。
プラチナたんは中の人繋がりか(笑)。
176 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:03:15.03 ID:yjFQd1Nf0
―見滝原大学―

そこで教授を務めている香川と、大学生の仲村と東條の三人が利用している研究室にて
草加、城戸、秋山のライダー勢とさやか、ほむらの魔法少女達が呼び出された。

「ミラーワールドを閉じる方法を知っているって本当なんですか?」

「ええ、本当ですよ城戸さん ですがその前にやるべき事があります
 …それは高見沢を始末することです」

「……え?」

「彼の持つ力はあまりにも大きい、それは直接戦った貴方達も理解しているはずです
 早めに対処しなければ、ミラーワールドを閉じる事も困難になるでしょう」

「だからって殺さなくても…」

「城戸…、奴に話し合いが通用しないのは分かっているはずだ
 俺達がライダーバトルを止める事を知っていたからこそ襲ってきたんだからな」

「それは分かってるけど」

「俺は反対だ」

「おい蓮!」

研究室から出て行こうとする蓮
それを城戸が引き止める。

「俺はライダーバトルで絶対に勝ち残らなければならない、絶対に……」

「蓮……」

蓮には蓮で誰にも譲れない願いがある。
その頑な信念を蓮の言動から感じ取った城戸はこれ以上何も言えなくなった。

「疑っている訳じゃないけどミラーワールドを閉じる方法を先に教えて欲しいな」

「それは高見沢の始末を終えた後にお答えしましょう」

「なぜ今答えられないのかな?」

「ミラーワールドを閉じるには正に英雄的行為が必要なんですよ」

「英雄?」

「例えば10人の命と一人の命、どちらかだけを救えるとすれば、どちらを救いますか?」

「……10人の命かな」

「そうです、多くを助けるために一つを犠牲に出来る勇気を持つ者が真の英雄です」

「………………」

草加と香川の会話を聞いたほむらの顔が若干険しくなる。
まるで何か嫌な者を思い出したかのような、そんな表情で

「高見沢との戦いもそれと同じです もし戦いに生き残り、その勇気が認められた場合
 私達は貴方達に全てをお話しましょう」

「まあ、俺達としても高見沢は放置出来ない存在だ その案には乗らせてもらおう
 …で、具体的な策はあるのかな?」
177 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:04:19.40 ID:yjFQd1Nf0
「ミラーワールドを経由しこちらから奇襲を仕掛けて、迅速に高見沢の命を奪う
 つまり暗殺です、これがもっとも有効な手段でしょう
 総力では向こうが上ですが高見沢がいなくなれば、彼らも共闘する理由が消え
 空中分解するでしょう、そうなれば放置しても問題ありません
 高見沢一人さえ倒せれば我々の勝利です」

「なるほどね、ミラーワールドからならオルフェノクの妨害を受けずに近づけるからな」

高見沢一人を殺すだけで良い。
抵抗も無く会話に参加している草加と比べ城戸の表情は暗い。
悪人といえでも殺してよい人間なんていない。
城戸はそういう男なのだ。

「無理に参加する必要はありませんよ 英雄的行為は誰にでも行える事ではありませんからね
 ミラーワールドを閉じるのは我々だけでも十分です」

「……ごめん」

「では我々4人で…」

「待ってください!あたしも…戦います」

「さやかちゃん!?」

「これはライダー達の問題だ!お前のようなガキには関係ない」

さやかの前に立った仲村が威圧しながら反対する。
それに負けずさやかも仲村をギロリと睨みつけ抗議した。

「どうしても高見沢を殺らなきゃあたしの気が済まないのよ!
 あたしを庇って死んだ杏子の仇を取らないと!」

「諦めなさい美樹さやか、ライダーを倒してもグリーフシードは手に入らないし
 魔力を無駄に浪費するだけよ」

「あんたには関係ないでしょ!」

ほむらが無表情で注意するがさやかにとっては火に油を注ぐ行為にしかならない。

「あなたの熱意は伝わりました 共に高見沢を倒しましょう」

「香川先生!」

「仲村君、彼女の身を案じる君の気持ちも分かりますが
 彼女は自分の意思を変えるつもりは無く我々が折れるしかないでしょう」

「べ 別に俺はあいつの心配なんてしていない!!」

「実行は○日の×時に行います 場所は△△△に集合です お忘れ無きように」

作戦会議が終わりライダーと魔法少女達は大学を後にした

(なんであの子は、僕の事をちらちらと睨んできたのかな?)

終始無言だった東條は、ほむらに敵視されてるような視線を感じ不思議に思っていた。
178 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:04:57.67 ID:yjFQd1Nf0
―見滝原にある河原―

「おお……」

浅倉威は焚き火で焼いたトカゲの丸焼きを食らっていた。
悪食な浅倉にとってはゲテモノ料理でも喜んで食べてしまうのである。

『SHOOT VENT』

「ん?」

ズドン!ズドン!

電子音声と共に砲撃が放たれ、野生的感で危険を察知した浅倉が
回避行動を取りギリギリの所で直撃を免れる。

「ちっ…お前……!」

「避けられたか、相変わらずしぶといね君は」

浅倉の目の前にはギガキャノンを装備したゾルダが立っている。
いや、よく見ればガイとインペラーも浅倉を囲むように立っていた。

「あんたがいるとさぁ邪魔なんだよね〜だからさっさと消えてもらうよ
 それにあんた見てるとなんか嫌な予感がするしさ」

「芝浦も?俺もそうなんだよ、と言うわけで悪く思わないでくださいね先輩♪」

「それに関しちゃ同感だね こんな凶暴な奴がいると吾郎ちゃんの身も危ないよ」

彼ら三人は高見沢の指示もあるが個人的に浅倉に対して危機感を持っており
妙に殺る気になっていた。

「はあ…三人がかりか 面白い……変身!」

『SWORD VENT』

川に向けデッキをかざし王蛇に変身しベノサーベルを召喚する。

ズドン!ズドン!ズドン!

「ハァハハハハハ!!」

ゾルダの砲撃を楽しそうに避けながら迫りくる王蛇

『STRIKE VENT』
『SPIN VENT』

メタルホーンを装着したガイとガゼルスタッブを装着したインペラーが同時に仕掛ける。

「ハァアアーッッ!」

「うぐっ!」

二人の攻撃に対し王蛇はベノサーベルで受け止め、力任せに押し返し
ひるんだガイのボディに切りつける。

「ソゥラッ!!」

「がは!」

さらに王蛇の強烈な蹴りがインペラーの鳩尾にヒットしダウンした。

「やれやれ……本当に人間なのか疑問に感じるよ全く」

「ハッハッハ……もっとだ!…もっと楽しませろォ!!……あん?」

ゾルダと王蛇の攻防を繰り広げている中で王蛇がもう一人のライダーの存在を確認した。
オレンジの視線で見つめているそのライダーが徐々に自分達の元へ近づいてくる。
王蛇はそのライダーを知らない
だがライダーから発せられる憎しみがプレッシャーとして発せられ
王蛇自身の体に突き刺さるように伝わってくる。

そんな心地良い刺激を与えてくれるライダーの登場に
王蛇は仮面の下で満面の笑みになっていた。
179 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:06:22.00 ID:yjFQd1Nf0
見滝原大学を出た頃
草加は人気の少ない河原にさやかを呼び出していた。

「なんですか草加さん?話って……もしかして草加さんもあたしが戦うのが反対なんですか?」

「いやそうじゃない…今のままのさやかちゃんでは高見沢に勝つのは難しい
 だからこれを渡そうと思ったんだ」

ケースからデルタギアを出しさやかに見せる。

「これは?」

「これを使えば俺と同じようにライダーに変身できる 受け取るか否かは君の自由だ」

「……使わせてください!悔しいけど今のあたしじゃ高見沢にきっと勝てないから……」

直に戦ったさやかだからこそ高見沢の強さは理解していた。
生半可な覚悟では高見沢を討てない。
非情に徹し何が何でも勝たなければならない
それだけの信念が必要だという事を

「そうか なら変身の仕方や戦い方を教えよう
 使い方を知らなければベルトの力を発揮出来ないからね」

「ありがとうございます 草加さん」

「礼はいいよ 俺も杏子ちゃんの仇は取りたいからね」

草加にとって意外だったのが、さやかは杏子の死にたいして強いショックを受けていた事だ。
生前は一度殺し合いに発展するほどの衝突をしたというのに
魔法少女同士、親近感でも感じたのだろうか
まあ、さやかが死んだ同族を良く想うがどうでもいいんだけど

「まずは変身の仕方だ このベルトを腰に巻いて……」

変身方法を一通り教えてもらったさやかは一度、実際に変身してみる事にした。

『Standing by』

「変身!」

『Complete』

さやかの体が青い光のラインに包まれ仮面ライダーデルタに変身した。
その瞬間、さやかの体内で電気が流れるような刺激が全身に伝わり
精神が高揚し体中から力が沸騰するように湧き出てくるような感覚を覚えた。

(勝てる!!これだけの力が有れば高見沢だって倒せる!!)

デルタに変身し身体能力が格段に増強されたさやかの精神は
ハイテンションとなり、誰と戦ってももう何も怖くないと思えるほどに
自信に満ち溢れていた。

「大丈夫かな?さやかちゃん」

「はい!すごく気分がいいです!」

「そうかそれなら」

ズドン!ズドン!

離れた場所で砲撃の響く音が草加とさやかの耳に届いた。

「草加さん!?」

「戦闘か、行ってみようか」

「はい!」

草加と変身を解いたさやかが音のする方へ近づいて見ると
王蛇がゾルダ、ガイ、インペラーの三体を相手にしている所を発見した。

(丁度良い、あいつらが潰し合って残った方を襲えば一気にライダーを減らせる)

草加は戦っている四人を見てそんなせこい作戦をすぐ思いついた。
ライアの装着者である草加も王蛇を見て何故か嫌な予感を持っており
王蛇の早期脱落は願ってもない物である。
180 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:08:33.17 ID:yjFQd1Nf0
「さやかちゃん、まずは様子を見て」

『Standing by』

「え?」

「変身」

「Complete」

草加が止めに入るよりも早く、さやかはデルタに変身していた。
高見沢の仲間であるライダー達を見た途端に憎しみが増幅し
闘争本能に火が付いたのだ。
それだけ今のさやかちゃんは押せ押せモードなのだ。

「な…なんだ?」

プレッシャーを感じたインペラーが振り返ると
拳を強く握り締めたデルタがすぐ傍まで迫っていた。

「うおおおおりゃあああああ!!!」

「そげぶ!!」

デルタの拳がインペラーの顔面にめり込むよう直撃し
殴り飛ばされたインペラーが川に落ちる。

「あんた達がぁ…あんた達のせいで杏子はぁああ!!」

「なんだこいつ!?」

剣を二つ構築したデルタが二刀流の構えで
ガイに向かってがむしゃらに剣を振り切りまくる。

「ちいっ……」

メタルホーンでガードし続けるも防ぎきれずにダメージを受けたガイは
体勢を整えるべく一度、後退する。

「逃がすかぁああッッ!!」

「俺も仲間に入れろォ!」

王蛇が振り下ろしたベノサーベルをデルタが剣で受け止め硬直した所を
デルタの腹部に王蛇が蹴りを放ちデルタを地に伏せさせる。

「あんたも高見沢の仲間なの?」

「違うなァ 俺は俺だけの味方だ」

「あんたはどんな願いを叶える為にライダーになったの?」

「ごちゃごちゃとうるさい奴だ 叶えたい願いなんて無い
 戦えればそれでいい だからお前も俺と戦えッ!」

「……やっぱりあんたも高見沢達と同じ敵だ!!」

「ハハハ……その意気だ!もっと俺を楽しませろ!」

王蛇とデルタがぶつかり合っている間に
河原の上に位置する車道でゾルダは避難していた。

「こういうゴチャゴチャした戦いは好きじゃない」

召喚したマグナギガの後ろに位置しデルタと王蛇に狙いを向けた。

ギュウイイイイイン!!

「ちょっと何なのコレ!?」

マグナギガを超える大きさのロボットがゾルダに向かって走ってくる。
そのロボットの名はサイドバッシャー、上に乗るライアが操作している
可変機能が付いたハイテクバイクである。

「いててて……酷い目にあった 川に落ちたのが夏場で良かった…」

川から這い上がったインペラー、だが川から出るのに夢中で
サイドバッシャーの存在に気付かない。
181 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:10:11.45 ID:yjFQd1Nf0
「ひでぶ!」

サイドバッシャーと衝突したインペラーは再び川に落ちた。

「……ふん」

右腕のフォトンバルカンを撃ちながらサイドバッシャーの巨体が飛び上がり
マグナギガを殴りつけ、ゾルダごと吹き飛ばした。

「この……ぐっ げほっ!げほっ!」

起き上がったゾルダがマグナバイザーをライアに向けようとするが
急に咳き込み、胸を押さえながら倒れこんだ。

「どうしたのかなぁ?もしかして病気か?」

ライアが話しかけてもゾルダの呼吸が荒いままで返事一つ出来ない。
それでライアは確信した。
これは演技ではなく本気で苦しんでいる。
やはり病を煩っているのだと

「はははははは!! じゃあ今ここで死んでもらおうかな」

『SWING VENT』

あえてライアは殺傷力の低い攻撃で攻める事にした。
ゾルダには以前、煮え湯を飲まされた経験のあるライアにとっては
すぐに命を奪うにはあまりにも味気無いと考えたのだ。

ビュン バシィ!

「ぐううっ!」

まるで奴隷をいたぶる行為のようにライアは倒れているゾルダに鞭を振るう。

ビュンビュン バシバシィ!

「ぐぅああああ!!」

「フッフッフッフッ」

無抵抗のゾルダに向かって振るわれる鞭と共に耳に届く苦痛の声に
ライアの嗜虐心が満たされ更に鞭を振るう手に力が入る。

「ぐ……ぐう……」

力を振り絞り、マグナバイザーに手を伸ばすゾルダ
その手をライアは思いっきり踏みつけた。

「がぁああ……」

「よくないなぁ そういう無駄な足掻きは」

ぐりぐりとゾルダの手を踏みつけながら見下ろすライア
更に鞭を振ろうとするライアの背中に強い衝撃を受け
車道から河原まで坂から転げ落ちる。

「先生!!乗ってください!!」

吾郎が運転する車にライアは撥ねられたのだ。

「ご……吾郎ちゃん?……」

吾郎がゾルダの体を起こし助手席に運ぶと
急いで運転席に戻りアクセルを踏んで走った。

「きっさまぁ……逃がすかッ!」

サイドバッシャーに乗り込んだライアがマスケット銃で発砲しながら追いかける。
吾郎の操縦テクニックでジグザグに走りながら避けるが
車体に次々と穴が開き、乗っている二人にいつ当たってもおかしくない状況である。

「うお!?」

サイドバッシャーが傾き横転してライアが投げ出される。
その隙に吾郎がアクセルを強く踏み
ライアの追跡から振り切り去っていった。
182 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:11:04.39 ID:yjFQd1Nf0
「ひでぶ!」

サイドバッシャーと衝突したインペラーは再び川に落ちた。

「……ふん」

右腕のフォトンバルカンを撃ちながらサイドバッシャーの巨体が飛び上がり
マグナギガを殴りつけ、ゾルダごと吹き飛ばした。

「この……ぐっ げほっ!げほっ!」

起き上がったゾルダがマグナバイザーをライアに向けようとするが
急に咳き込み、胸を押さえながら倒れこんだ。

「どうしたのかなぁ?もしかして病気か?」

ライアが話しかけてもゾルダの呼吸が荒いままで返事一つ出来ない。
それでライアは確信した。
これは演技ではなく本気で苦しんでいる。
やはり病を煩っているのだと

「はははははは!! じゃあ今ここで死んでもらおうかな」

『SWING VENT』

あえてライアは殺傷力の低い攻撃で攻める事にした。
ゾルダには以前、煮え湯を飲まされた経験のあるライアにとっては
すぐに命を奪うにはあまりにも味気無いと考えたのだ。

ビュン バシィ!

「ぐううっ!」

まるで奴隷をいたぶる行為のようにライアは倒れているゾルダに鞭を振るう。

ビュンビュン バシバシィ!

「ぐぅああああ!!」

「フッフッフッフッ」

無抵抗のゾルダに向かって振るわれる鞭と共に耳に届く苦痛の声に
ライアの嗜虐心が満たされ更に鞭を振るう手に力が入る。

「ぐ……ぐう……」

力を振り絞り、マグナバイザーに手を伸ばすゾルダ
その手をライアは思いっきり踏みつけた。

「がぁああ……」

「よくないなぁ そういう無駄な足掻きは」

ぐりぐりとゾルダの手を踏みつけながら見下ろすライア
更に鞭を振ろうとするライアの背中に強い衝撃を受け
車道から河原まで坂から転げ落ちる。

「先生!!乗ってください!!」

吾郎が運転する車にライアは撥ねられたのだ。

「ご……吾郎ちゃん?……」

吾郎がゾルダの体を起こし助手席に運ぶと
急いで運転席に戻りアクセルを踏んで走った。

「きっさまぁ……逃がすかッ!」

サイドバッシャーに乗り込んだライアがマスケット銃で発砲しながら追いかける。
吾郎の操縦テクニックでジグザグに走りながら避けるが
車体に次々と穴が開き、乗っている二人にいつ当たってもおかしくない状況である。

「うお!?」

サイドバッシャーが傾き横転してライアが投げ出される。
その隙に吾郎がアクセルを強く踏み
ライアの追跡から振り切り去っていった。
183 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:12:28.59 ID:yjFQd1Nf0
「くそっ!!」

サイドバッシャーが倒れる寸前でライアは発見した。
メタルゲラスがサイドバッシャーの右足部分に体当たりをしているのを
ガイが妨害したせいでライダーを殺害するチャンスを潰されたのだ。

「あと一歩と言う所でいつも邪魔が入る……不愉快だ」

ライアは怒りが収まらないままサイドバッシャーをバイク形態に戻して
さやかの元へと走った。

「ハァアアアアアッハァ!!」

「うりゃあああああああ!!」

戦いを楽しむように笑いながらデルタを殴りつける王蛇に
憎しみを込めた怒声を出しながら殴り返すデルタ
そんな喧嘩のような殴り合いを数十発は続けていた。

二人に蓄積しているダメージは相当高くも
片や痛みを快楽として楽しんでいる王蛇や
闘争本能が刺激され歯止めが利かなく
痛覚その物をシャットダウンし痛みを感じないデルタは止まる気配を見せない。

「ハアアッ!」

「くっ…!?」

王蛇の蹴りがデルタの膝に直撃した途端、本人の意思とは無関係に
膝が震えて、無理矢理起こそうとしてもなかなか立ち上がれない。
痛みを消した事で苦痛で動けなくなるデメリットは消えたが
痛みに鈍感になることで動きが鈍くなる短所もあるのだ。

『FINAL VENT』

「ハァハハハハッ!!」

召喚したベノスネーカーと王蛇が共にデルタへ迫りくる。
ジャンプした王蛇がベノスネーカーの酸を背に受け
デルタに向かってバタ足キックを繰り出した。

「うあああああああッ!!」

回避が不可だと判断したデルタが両腕をクロスしてガードの姿勢に入る。
その上から王蛇が連続で1…2…3…4…5…6…合計6発のキックを浴びせデルタを弾き飛ばした。
衝撃でデルタギアが外れ変身が解除される。

「ほう……これを使って変身したのか」

デルタに興味を持った王蛇がデルタギアに近づく。

「あたしのデルタにぃぃ触るなぁああああッ!!!」

「何だ…!?」

さやかの右腕から赤い電流がバチバチと激しく音を鳴らし
電流を飛ばして王蛇の体を吹き飛ばした。
さらに黄色のリボンが体に巻きつき王蛇を拘束する。

「フフフ……」

ゾルダを仕留めきれずに戻ってきたライアが、これを期にと
マミがほむらを拘束するのに使った技を真似たのだ。

「じゃあ一気に決めさせてもらおうかな」

巨大な銃を構築して王蛇に向ける
マミの必殺技であるティロ・フィナーレを放つ為に

「グググ…ウガァアアアアアアッ!!」
184 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:13:33.65 ID:yjFQd1Nf0
ブチブチブチブチ!!

王蛇は馬鹿力に物を言わせ、強引にリボンを引き千切って拘束を破り
一枚のカードをすぐさまバイザーにセットする。

『STEAL VENT』

「なっ!?」

ライアのデッキから一枚のカードが強制的に射出され
王蛇の元へ飛んで行き、王蛇は手に入れたカードを早速使用した。

『COPY VENT』

ライアの構築した銃をコピーし、ライアと同じように王蛇も銃口を向ける。
巨大な銃が二つ出現したこの状況でライアはデジャブを感じていた。
過去にシザースを相手にした時にライアも同じようにマミから銃をコピーした事を。

あの時はお互いに協力し一つの敵を狙い撃ったが今回は違う。
お互い敵同士で銃を向け合っている。

「邪魔なんだよ!」

「ハッハッハ……」

ライアと王蛇が同時に引き金を引き二つの銃が火を噴いた。

「ぐうううう……!」

ティロ・フィナーレが直撃し、大爆発と共に吹き飛んだライアが必死に体を起こし
バイクまで移動した。

「さやかちゃん!早く乗るんだ!」

「は……はい!」

魔力で強化したデルタを装着しているとはいえ
ベノクラッシュを受けたさやかの体もボドボドになっている。
これ以上の戦闘は不可能だと判断したライアは変身を解除し
さやかをサイドカーに乗せての離脱を決心した。

(さやかの強さは俺の予想を超えていた……これも魔法少女の力が関係しているのかな
 だけど性格が暴走しがちになっている うまく先導しコントロールする必要があるようだ)

デルタに変身しての初陣にしては、良い戦績を果たしている。
あとは俺自身がさやかを上手く利用すればライダーバトルで十分役立ってくれるだろう。
さやかにデルタという力を渡し、杏子の仇を取れるチャンスを与えたのだ。
せいぜい俺の為に働いてくれよ。

草加はそんな野心を企みながら、高見沢襲撃の前に
録画して溜め撮りしていたアニメをそろそろチェックしようと考えていた。

(湯音ちゃんも可愛かったが、やはりアリスちゃんが一番可愛いな)

その頃、サイドカーに乗っているさやかは未だ戦いの興奮を抑えられないでいた。

(もう人間じゃないとか、魔女達は皆、元魔法少女だとかでウジウジしていた自分が馬鹿みたい
 だってあたしはこれだけの力を手に入れたんだ!魔法少女で仮面ライダーなんて正に敵無しじゃない!
 今のあたしなら正義の味方としてどんな悪でもやっつけられる
 他の魔法少女達には出来なかった事を成し遂げて見せるんだから!
 だから見ててね杏子……見滝原の平和を守るあたしの姿を……)

デルタの力はさやかに希望をもたらした。
魔法少女に成り立ての新人だった頃のさやかは
他の魔法少女やライダーとの実力の違いに自分の無力さを感じていた。

そこでデルタに変身し他のライダー達と互角以上の強さを発揮した事で
自分に自信が持てたのだ。
デモンズスレートによる作用で好戦的になったさやかは
変身前と比べネガティブな思考に陥る事が無くなり
ソウルジェムが濁りにくい体質になっていたのだ。

(デルタになれて良かった……もう後悔なんて無い……
 その証拠に正義の為にもう戦いたくなっているあたしがいるんだもの)
185 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:14:44.42 ID:yjFQd1Nf0
ミラーワールドの中で斬り合う二人のライダー
ナイトとオーディンがいた。

全てのライダーを倒し恵理を救うために戦っていた蓮の意思が
真司によって揺らぎ苦悩している時に
オーディンの姿を見かけ、自分の迷いを断つために蓮は戦いを挑んだのだ。

だがオーディンの圧倒的スペックの前にナイトは手も足も出ず
一方的に押されていた。

「ぐは……」

「無駄だ……お前では私を倒す事は出来ん……」

ゴルトセイバーの斬撃を受けたナイトが倒れる。
オーディンはトドメを刺すべくゆっくりとナイトに近づいた。

「これで終わりだ」

(恵理……恵理……恵理………恵理……!!)

走馬灯のように恵理との思い出が次々と蘇ってくる。
その時、ナイトの体に力がみなぎり
全ての力を振り絞ってウイングランサーを握り締め
オーディンの胸元を突き、貫いた。

「ぐあああああ!!………見事だ……フフフ……私に勝った褒美だ……それを使い…戦え……戦え……」

粒子となって消え行くオーディンがナイトに一枚のカードを手渡した。
『SURVIVE』と書かれている疾風のカードを

「はあ……はあ……恵理………」

ミラーワールドから出た蓮は想い人の名を呼びながらフラフラと歩き続けた。


その頃、ライアの追跡から逃れた北岡と吾郎は自宅に向かい車を走らせていた。

〜〜♪〜〜♪♪

「先生、お電話です」

「ああ……今出るよ……ごほっ!ごほごほっ!!」

「先生?」

「……ごふっ!!」

「先生!先生!!」

北岡の口から粘っこい大量の血を吐き出しスーツを真っ赤に染め上げた。
ガクリと倒れた北岡は意識を失い、吾郎がいくら叫んでも全く反応が無い。

「早く病院に!!無事でいてください先生!!」

吾郎は北岡の安否を祈りながら病院に向かって急いで車を走らせた。
186 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:15:16.74 ID:yjFQd1Nf0
「北岡さん出ないな〜 まあいっか」

芝浦が携帯で北岡に電話をかけるが一向に繋がらない

「もしかしてやられたっぽい?」

「一応、俺のモンスターを支援に向かわせたけど死んだ所で特に気にする必要は無いっしょ」

「それもそうだけど……ごほっごほっ!」

「大丈夫か〜?」

胸を押さえながら咳き込む佐野

「………ぶえっくしょい!!」

「ちょっと唾かかったぞ 汚いな〜 風邪引いた?」

「そうかも……二回も川に落ちたし……」

「お前の服びちょびちょだしなw もう先に帰れよー」

「ずず〜……うん、そうするよ…はぁっくしょい!!」

体調の優れない佐野をさっさと帰し、北岡と連絡を取れない状況なので
芝浦も自宅に帰還することにした。


そしてライアのティロ・フィナーレの直撃を受けた王蛇は

「なかなか楽しめる戦いだった……おかげでイライラがすっかり消えた」

ゾルダ、ガイ、インペラーと戦い
更にデルタやライアと連戦した密度の濃い戦いを堪能した事で
充実した一日を過ごすことが出来て浅倉は満足げに笑っていた。
187 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/17(水) 10:18:57.83 ID:yjFQd1Nf0
投下終了

劇中では使用されてないけど設定上は持ってるっぽいので
王蛇にスチールベントを使わせました。
他ライダーの設定を見てみると
インペラーのスチールベントやタイガのリターンベントなど
設定上だけのカードを所持しているっぽいですが
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/17(水) 11:32:30.07 ID:e6VJBDDeo
乙彼様ですた



ミラーワールドは入った所からじゃないと出られない設定……ま、良いか
ギャグ回だと消えてたし
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/17(水) 21:12:16.98 ID:NtKkHB8do
>>188
それはブランク体だけじゃないの?
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/17(水) 21:12:58.46 ID:NtKkHB8do
>>188
それはブランク体だけじゃないの?
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/17(水) 21:13:30.02 ID:NtKkHB8do
>>188
それはブランク体だけじゃないの?
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) [sage]:2011/08/17(水) 21:31:38.55 ID:EAFWL2dmo
どいつがワームだ?
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/17(水) 22:43:09.22 ID:e6VJBDDeo
>>192
\トリックベント/
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/08/17(水) 23:56:07.77 ID:hEYWG18+o
デルタは
変身!→スタンディングバーイ→コンプリート
じゃなかったっけ
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/17(水) 23:56:50.66 ID:e6VJBDDeo
おもちゃの仕様ならスイッチ入れるだけでも……ゲフンゲフン
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) :2011/08/18(木) 09:11:29.91 ID:hBVoMnXS0

これで確信した。やっぱりデルタは三原じゃないと!
197 : ◆nihwMyGNc6 [sage saga]:2011/08/18(木) 11:54:34.71 ID:iaTe+nXQ0
>>188
その設定は途中で無かった事になってるっぽいので、問題無いと自己解釈しました
ミラーワールドを移動手段として利用していたバーコードもいたし

>>194
次からそう書きますね
198 :!ninja :2011/08/18(木) 18:40:29.35 ID:eVhcMMApo
いいね!
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/09/12(月) 19:24:35.81 ID:ZIojSREI0
さて明日こそ更新はあるのだろうか
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/13(火) 16:45:03.75 ID:LKARabn6o
今日はカイザの日!!
201 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/09/13(火) 17:15:20.87 ID:ihrYjK3I0
めでたい日なので投下します
202 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/09/13(火) 17:16:41.42 ID:ihrYjK3I0
―見滝原市にある病院にて―

吾郎は吐血で意識を失った北岡を乗せ病院へ連れて行き
北岡の容態の悪さを見た医者はすぐさま緊急オペを開いた。
『手術中』と書かれたランプが点灯する。

(先生、どうか…死なないで……)

吾郎が手術室の入り口で神に祈るように念じながら待ち続けた。

ガシャン

ランプが消えるのを見て吾郎は立ち上がる。
手術室の扉が開かれ、医者が出てきた。

「せ、先生は!?」

必死の形相で医者の肩を掴みながら吾郎は問いただす。

「……我々も全力で手を尽くしましたが残念ながら…」

医者の話を全て聞く前に吾郎の体から力が抜け、床にへ垂れ込む。

「そんな……先生……先生……うわああああああああ!!」

吾郎は泣いた。
目が枯れんばかりに泣いた。
その後、吾郎はある決心をし病院から出て行った。
北岡の持つゾルダのデッキを手にして。


―高見沢ビル―

「なるほど、奴は神崎士郎の研究に関わっていたのか」

手渡された資料を読んでいく内に高見沢の顔に笑みがこぼれる。
資料には裏切り者の東條と、それに組みする黒いライダー達の詳細が細かく書かれていた。
社会においての情報の重要性は他のライダー以上に理解している。

高見沢の求める力とは何も暴力だけではない。
この世の中を支配するには経済力や社会的地位や情報網においてでも
全て他者より優れるほどのあらゆる力を求めていた。

「それでハッキングは成功したか?」

高見沢の傍で得意げな顔をしながらキーボードをいじる芝浦がいた。
彼は自称天才ハッカーであり、自作ゲームで人を操る芸当をこなせる程の腕であり
その実力を高見沢は買っていた。

「もう…ちょっとで……よし出来た」

最後に芝浦がエンターキーを押すとロックが解除され
香川の極秘研究データの載ったページが開かれた。

「よくやったぞ芝浦…」

「俺の腕にかかれば、このぐらい楽勝だって♪」

香川の研究データを覗いて分かった事
それは黒いライダーが神崎に手渡されたデッキによる物ではなく
香川自らが作り出したデッキにより変身した擬似ライダーであることだ
その名はオルタナティブで現在は二つのデッキが開発済みらしい。

(ククク……これはいい、奴の技術力を利用すればミラーワールドに侵入出来るライダーを
 大量生産し、それを我が私兵として使役出来るかもしれん)

「あー高見沢さん、ちょっと見てほしいんだけど……」

「なんだ?」

芝浦がPC画面を指す、その中にはオルタナティブの装着者の一人である
仲村が立ち上げた自サイトが映っており、今日更新された内容にこう書かれていた。

『明日の晩、仲間達とカメレオン野郎に奇襲開始だ!皆応援よろしくな><b』

「「………………………」」

「もしかしてあいつらって……」

「馬鹿なのかも知れんな」
203 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/09/13(火) 17:18:01.41 ID:ihrYjK3I0
「高見沢様、お食事の用意が出来ました」

「うむ、ご苦労」

コック達により高見沢の席へ次々と料理が運ばれてきた。
中でも目立つのは400gは有る、この分厚いステーキ
それをフォークを突き刺しナイフで切ると、見た目に比べ肉が柔らかく肉汁があふれ出す
切った肉を口に持っていき、ゆっくりと噛みながら濃厚な味を楽しみ
飲み物は高級な赤ワインで喉を潤した。

「モニュ……モニュ……なかなかの味だ」

料理の出来に満足した高見沢は更にステーキを追加し続けて
400gのステーキを10枚完食した。

ドンドンドン!

丁度食事が終えた時、慌てる様にドアをノックする者が現れた。

「高見沢様!お願いです力を貸してください!」

「その声は北岡の秘書か、なんだ騒々しい 落ち着いて話せ」

「実は先生が……」

北岡の秘書、吾郎は王蛇やライアとの戦いで北岡の容態が悪化し命を落とした事を伝えると高見沢の表情が険しくなる。
協力関係を結んでいる北岡が死んだ事に悔やんでいるのではない。
三人がかりで仕掛けながらも王蛇一人殺せなかったその不甲斐なさに苛立っているからだ。

(使えねぇ雑魚だな北岡ァ……所詮口だけ達者な男だった訳か)

「それで力を貸して欲しいというのはどういう事かね?」

「先生を…生き返らせてほしいんです」

「北岡を?だが手を組んでいるとは言えタダでという訳には行かないな」

「お金はあまり持ってないっすけど、俺!出来る事なら何でもやりますから!」

その言葉と共に手に持っているゾルダのデッキに力が入る。
真剣な眼差しで見つめる吾郎の目を見れば、彼にとって北岡はとても大切な人物だという事が分かる。

(奴がゾルダに変身して戦えば戦力が増えるだろうが実戦経験が少ないゾルダでは
 人を一人生き返らせるだけの働きを見せるかは微妙だな)

「おいお前!北岡を生き返らせる為なら何でもすると言ったな?その言葉に偽りは無いな?」

「はい!先生が生き返るなら何だってします!」

「それが人間を捨てる事になろうともか?」

「……それでも構いません!」

吾郎の返事を聞いて高見沢の顔に笑みがこぼれる。
これなら北岡以上の働きは期待しても良いだろう。

「君の熱意は伝わったよ。我がグループの技術力で北岡の蘇生をしてやろう」

「高見沢様……本当にありがとうございます!」

「では北岡を蘇らせる間は君は私達と共に戦う事になるんだが
 その前に君に施すべき手術を受けてもらう」

「手術……ですか?」

「肉体を強化する為の手術だよ、せっかく北岡を生き返らせても肝心の君が戦死すれば元も子も無いからね
 君が死んだら北岡も今の君と同じように悲しい想いをするだろう
 私としてもそんな悲しい末路は避けたいからな」

北岡と吾郎の身を案じるように話す高見沢
だがそれは吾郎を都合良く利用する為の罠だった。
204 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/09/13(火) 17:18:50.75 ID:ihrYjK3I0
「高見沢様、お食事の用意が出来ました」

「うむ、ご苦労」

コック達により高見沢の席へ次々と料理が運ばれてきた。
中でも目立つのは400gは有る、この分厚いステーキ
それをフォークを突き刺しナイフで切ると、見た目に比べ肉が柔らかく肉汁があふれ出す
切った肉を口に持っていき、ゆっくりと噛みながら濃厚な味を楽しみ
飲み物は高級な赤ワインで喉を潤した。

「モニュ……モニュ……なかなかの味だ」

料理の出来に満足した高見沢は更にステーキを追加し続けて
400gのステーキを10枚完食した。

ドンドンドン!

丁度食事が終えた時、慌てる様にドアをノックする者が現れた。

「高見沢様!お願いです力を貸してください!」

「その声は北岡の秘書か、なんだ騒々しい 落ち着いて話せ」

「実は先生が……」

北岡の秘書、吾郎は王蛇やライアとの戦いで北岡の容態が悪化し命を落とした事を伝えると高見沢の表情が険しくなる。
協力関係を結んでいる北岡が死んだ事に悔やんでいるのではない。
三人がかりで仕掛けながらも王蛇一人殺せなかったその不甲斐なさに苛立っているからだ。

(使えねぇ雑魚だな北岡ァ……所詮口だけ達者な男だった訳か)

「それで力を貸して欲しいというのはどういう事かね?」

「先生を…生き返らせてほしいんです」

「北岡を?だが手を組んでいるとは言えタダでという訳には行かないな」

「お金はあまり持ってないっすけど、俺!出来る事なら何でもやりますから!」

その言葉と共に手に持っているゾルダのデッキに力が入る。
真剣な眼差しで見つめる吾郎の目を見れば、彼にとって北岡はとても大切な人物だという事が分かる。

(奴がゾルダに変身して戦えば戦力が増えるだろうが実戦経験が少ないゾルダでは
 人を一人生き返らせるだけの働きを見せるかは微妙だな)

「おいお前!北岡を生き返らせる為なら何でもすると言ったな?その言葉に偽りは無いな?」

「はい!先生が生き返るなら何だってします!」

「それが人間を捨てる事になろうともか?」

「……それでも構いません!」

吾郎の返事を聞いて高見沢の顔に笑みがこぼれる。
これなら北岡以上の働きは期待しても良いだろう。

「君の熱意は伝わったよ。我がグループの技術力で北岡の蘇生をしてやろう」

「高見沢様……本当にありがとうございます!」

「では北岡を蘇らせる間は君は私達と共に戦う事になるんだが
 その前に君に施すべき手術を受けてもらう」

「手術……ですか?」

「肉体を強化する為の手術だよ、せっかく北岡を生き返らせても肝心の君が戦死すれば元も子も無いからね
 君が死んだら北岡も今の君と同じように悲しい想いをするだろう
 私としてもそんな悲しい末路は避けたいからな」

北岡と吾郎の身を案じるように話す高見沢
だがそれは吾郎を都合良く利用する為の罠だった。
205 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/09/13(火) 17:19:38.20 ID:ihrYjK3I0
――花鶏――

「これでさやかちゃんのソウルジェムの濁りは無くなったね」

「……ごめんなさい草加さん、あたしが先走ったせいで」

「良いんだよ さやかちゃんがデルタでの戦闘を経験しただけでも十分見返りを得ているしね」

王蛇との戦闘が終えた草加とさやかは花鶏で休息を取っていた
濁ったソウルジェムはグリーフシードを使い浄化済みである。

「もうこのグリーフシードは使えないですね」

「そうか、それなら……」

「やあ」

QBが窓からひょこっと顔を出している。
草加の卑劣な策にはまったQBは花鶏から出禁を食らっているので入れないのだ。

「グリーフシードなら僕が回収するよ〜」

QBが話しかけるが草加はスルーし
グリーフシードを窓ガラスに映るエビルダイバーに向け放り投げた。

パクッ!

「あっ!」

「ニタァ…」

グリーフシードを口でキャッチし満足そうに浮遊するエビルダイバー
草加は顎を上げ挑発的に見下ろした いわゆるシャフト角度で
QBをデビルスマイルで見つめていた。

「わけが分からないよ」

エネルギーの回収が出来ないと分かったQBはそそくさと花鶏から去った。


その頃、まどかは近所のスーパーで花鶏の買出しに行っていた優衣のお手伝いをしていた。

「いつもお手伝いしてくれてありがとね、花鶏に着いたら何かデザート作ってあげる」

「えへへ♪楽しみだなぁ」

キィィィィン!

「危ない離れて!」

「きゃっ!……優衣さん?優衣さん!」

帰り道に通り過ぎるお店のガラスから鳴る音を聞き取った優衣はまどかを
ガラスから離れるように押し退けるのと同時に優衣の体に糸が巻きつき
ミラーワールドへ引きずり込まれる。

「まどかちゃん!大丈夫?怪我は無い?」

偶然近くを通りかかっていた城戸がガラスから鳴る音を聞き駆けつけ
そこで尻餅をついてガラスの方を見るまどかと出会った。

「優衣さんが……あの中に……」

指を差す先には巨大なクモの怪物に襲われている優衣の姿があった。

「優衣ちゃん!……変身!」

龍騎に変身した城戸はミラーワールドへ侵入し優衣の元へ急いだ。
206 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/09/13(火) 17:20:16.58 ID:ihrYjK3I0
「ディスパイダー リターン!」

「いや……こないで……」

アビスに倒されたディスパイダーはディスパイダー・リボーンに進化し能力が強化され
無駄にハイテンションで人間狩りをしていた。
本当は二人まとめて連れて行く予定だったが優衣の機転によりまどかは捕まらずに助かったのである。

「ギギギギ〜 痛ミハ一瞬ダ ダカラ抵抗スルナ〜」

「…………………」

「ドウシタ?恐怖デ声ガ出ナクナッタカ?」

急に無言になった優衣がディスパイダーに向け指を差し何やら呪文のような言葉をつぶやいた。

「ギギ!? 体ガ動カナイ……ソレニ頭モ痛イ……」

不思議な事に優衣の呪文を聞いたディスパイダーは体の自由が利かず苦しみだす。

「猪口才ナ真似ヲーーッ!!」

「あっ……」

前足一本のみに精神を集中し強引に動かし優衣を突き飛ばすと
優衣は意識を失いディスパイダーの拘束が解かれる。

『SWORD VENT』

「優衣ちゃんから離れろー!」

ドラグセイバーで斬りかかる龍騎に対しディスパイダーは前足で受け止め
逆に弾き返し龍騎を突き飛ばす。

「テメエハライダーカ!俺二倒サレル事ヲ光栄二思ウンダナァ」

「ミラーモンスターなのに喋れるのかよ!?」

「メイドノ土産二教エテヤロウ、俺ノ名ハディスパイダー・リボーン
 闇ノ中ニ生マレシ最強ノミラーモンスターデアリ、イズレ『キング』ニナル者ダ!」

「よく分かんないけど優衣ちゃんはあんたに渡さないからな!」

『STRIKE VENT』

「やあーーー!!」

ドラグレッダーの口から放たれる火球がディスパイダーに迫る。
それを前足を横に振る事で火球があらぬ方向へと弾き飛ばした。

「なんだよこいつ……」

「ギギギギw 一ツ言ッテオク 俺ハ、カーナーリー強イ!クライナッ!」

「うわっ…糸がくっついて……」

ディスパイダーの糸が龍騎に絡みつき徐々に引っ張られる。

『STRIKE VENT』

龍騎に取って聞きなれない低い電子音声と共に火球がディスパイダーに迫る。
ドラグレッダーが放った赤い火球とは違い、青い火球である。
ディスパイダーは先程と同じように前足で弾き飛ばす。

「ギギ?……足ガ石化シテ……?」

火球に触れた部分の足が石化し動かなくなっていた。

「あれ?糸が砕けて、これで外せる!」

火球を前足で払った時に糸が燃え移り石化し、粘着力の失った糸は簡単に外れるように変化していた。

「オ前ハ…リュウガッ!!」

ディスパイダーの睨みつける先には龍騎と殆ど同じ姿をした黒きライダー
仮面ライダーリュウガの姿があった。
207 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/09/13(火) 17:20:49.93 ID:ihrYjK3I0
「龍騎……奴は俺が何とかする……お前は優衣を連れて帰れ」

「え……あんたは一体?」

「いずれ知る事になる、今は優衣を助ける事が先決だ」

「誰だか分からないけどありがとう!絶対に死ぬなよ!」

「………………」

優衣を抱えた龍騎はリュウガに見送られながらミラーワールドから脱出した。
そんな様子を見てディスパイダーは激怒した。

「ナゼ邪魔ヲシタ?リュウガァ!!」

「愚か者め、俺達の本来の使命を忘れたか?優衣は俺達の創造主だ、手を出す事は許さん
 それと龍騎にも手を出すな、あいつは俺の物になる男だからだ」

「チ……気持チ悪インダヨ、オ前ダケ脆弱ナ人間ノ姿ヲシヤガッテ」

「調子に乗るなディスパイダー、人語を覚え進化したようだがふざけが過ぎれば貴様を処刑する事も厭わないぞ」

「ギギギ……俺ヲ甘クミルナァ……俺ハ…俺ハ今二……」

「グオオオオオオオオオオオオオ!!」

ディスパイダーの反抗的な態度に堪忍袋の緒が切れたドラグブラッガーが
「今にどうなるというのだ!?」と言わんばかりの唸り声を上げながら
鋭い眼光でディスパイダーを睨んだ。

「ギ……ギギ……」

ドラグブラッガーの眼光にビビッたディスパイダーは逃げるように
リュウガの前から去っていった。




その頃、優衣を救出した城戸はまどかと共に花鶏へ向かい
ベッドへ寝かせ回復を待っていた

「う……うん……」

「あ!城戸さん 優衣さんが目が覚ましました!」

「はあ……よかったぁ…」

「城戸くん……それにまどかちゃんも……」

「体、どこか調子悪い所ありませんか?」

「うん……大丈夫、全然平気よ」

ミラーワールドの中に一度入った優衣だったが特に体に異常は見受けられなかった。

「なあ城戸、ちょっと二人だけで話したい事があるんだけどいいかな?」

「ああ…分かった じゃあ優衣ちゃん俺行くから」

城戸は草加に呼ばれ、まどかや優衣に聞かれない場所へ移動した。
208 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/09/13(火) 17:21:45.83 ID:ihrYjK3I0
「それで何?話って」

「ライダーバトルの事さ、城戸はライダーバトルを止めるつもりでいるんだよね」

「ああ!そりゃあもちろん!」

「俺も城戸と同じライダーバトルを止めたいと願っている
 だけど城戸は戦いの重みを受け止める事が出来ないんじゃないかな」

「……?どういうこと?」

「例えばだ 城戸がライダーバトルで殺意が無かったとはいえ誰かの命を奪ってしまったとするよ
 そうしたら城戸は罪の意識に悩まされて壊れてしまう危険性があるということさ、分かるかな?」

「……うん」

「俺は誰かを死なせても自分で割り切って考えて受け止める事が出来る
 そもそも自分の手を一切汚さずに望む物を手に入れられるような戦いだとは
 俺は思っていない、大なり小なり罪は背負わなければ争いは止められないんだとね」

「自分の手を汚さずに望む物は手に入らない……か」

「美樹さやかはベルデ達と戦うつもりなのは知っているか?」

「え……?」

「あの娘は杏子ちゃんの仇を討つ為に戦うつもりなんだ
 残念だけど、説得しても復讐を止めるつもりは無いようだ」

「そんな……」

「心配するな、俺はあの娘に人殺しはさせるつもりは無い
 俺達ならともかく、あの娘はまだ中学生だ 人殺しの罪を背負うにはあまりにも若すぎる
 だから俺が代わりに杏子ちゃんの仇を取り、さやかちゃんに罪は背負わせないつもりさ」

「草加…」

「城戸……君はとても優しい人間だ、俺のように罪を背負う必要なんて無い
 ライダーバトルを止めたい君の願いは俺が受け継ぐ
 モンスターや魔女だけに専念する戦いも有りじゃないかな」

「………………」

「一応、香川達と合流する日時と場所を教えるけど後はどうするか自分で決めるといい」


そして夜9時、指定された公園の中で彼ら達は集まった。
香川、仲村、東條の大学組みに草加、さやか、それに城戸と蓮の姿も

「城戸君、君は戦いに参加しない筈だったのでは?」

「俺…分かったんだ 自分の手を汚さずにライダーバトルを止めるなんて出来ないんだって
 戦う事が罪なら俺が代わりに背負うって決めたんだ」

「それは良い心掛けですね」

城戸の返答に香川は納得した表情を見せる。

(……計画通り!)

草加は人知れずデビルスマイルを浮かべていた。
城戸のようなお人よしが、さやかが戦場に行くのを黙って見過ごせる筈が無い。
戦場に行くのを止められないなら城戸が自己犠牲の精神で自ら戦いに出向くだろう。
さやかに人殺しをさせない以上、前よりは好戦的に働くだろうし
俺が焚きつけた甲斐が有ったというものだ。

「それで貴方も来ない筈では?」

香川が蓮にも城戸と同じように来た理由を尋ねる。
それは草加も気になっていた所だ。
城戸の時とは違い策を使ってなどいないのだから

「勘違いするな、俺はお前達の仲間になったつもりは無い
 他のライダー達を倒すのに都合が良いから利用するだけだ」

「そうですか、まあ我々の邪魔をしなければ構いませんが…」

公園の近くにあるビルへ向かい全員が「変身!」と発言するのと共にそれぞれ
龍騎、ナイト、ライア、デルタ、タイガ、オルタナティブ、オルタナティブゼロへ変身し
デルタだけライアに引っ張られる形で全員がミラーワールドへ入り
ライドシューターへ乗り込み高見沢のいるビルへ突入した。
209 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/09/13(火) 17:23:40.82 ID:ihrYjK3I0
投下終了です
投下が久々なせいでトリをド忘れしちゃいましたが本人です
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) [sage]:2011/09/13(火) 19:58:04.68 ID:zqizux71o
カーイザ!!カーイザ!!

乙です
面白いなあ…!!
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/13(火) 20:26:22.59 ID:K8oZZZNho
乙です!
今日は913の日だったか、忘れてた
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/17(土) 07:39:06.23 ID:DCspDeDSO
乙。投下再開か!!!嬉しいな。
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/09/20(火) 14:07:41.24 ID:BqHslY8y0
なんという夜神月ばりの策士ぶりwwww
草加の前ではQBすらかすんでみえるwwww
しかし味方で敵側以上に邪悪にみえるライダーって、草加はある意味斬新な存在だったんだな…
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/25(日) 01:15:50.42 ID:YXy8MoiAO
まだー?
215 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/02(日) 12:46:15.14 ID:Vl9BGVUp0
――まどか邸――

「ほむ……ほむ……」(アンパンを咀嚼する音)

暁美ほむらはまどかの住む自宅周辺でストーカー じゃなくて張り込みをしていた。
アンパンをかじりながら双眼鏡でまどかの部屋を覗き込む。
けっして邪な考えで覗いているわけではない。
まどかを魔法少女にさせたがっているQBがそう簡単に引き下がるはずが無い。
QBがいつ行動しても対処出来るように常に見張る必要がある。
そう、だからこれはほむらの性癖とは一切関係の無いこと。

(……現れたわねインキュベーター!)

ほむらの予想は的中した。
まどかの部屋に近づくQBの姿を捉えたほむらはすぐさま行動に出た。


「ねえ、まど」

「その必要は無いわ」 ズドンズドンッ!

「速っ!?」

「キュゥべえにほむらちゃん!?」

QBに声をかけられたまどかが振り向くと
必死に逃げ惑うQBとそれを追いかけながら銃を乱射するほむらの姿が見えた。

「まどかに話しかけただけで発砲するのはいくらなんでも理不尽なんじゃー!?」

「あなたには言われたくないわ」 ズドン!

「ぷぎゅ!」

前足を撃ち抜かれたQBは転倒し動きが止まる。
追い付いたほむらはQBを見下ろす形で立ちながら睨み付けた。

キィィィィン!

「そんな粗暴な行動は感心しませんね 近頃の魔法少女はやんちゃで困る」

窓ガラスから水色のボディの仮面ライダー、アビスが現れ
QBへの攻撃を妨害するように立ち塞がる。
ほむらは急ぎ距離を取り、拳銃の標準をアビスへ向ける。

「警戒しなくても良いですよ、私達は話をしに来たのです 戦うつもりはありません」

「信用出来ると思って?それに私は話すつもりなんてない」

「それは残念ですね 私にとって貴女は大変興味のある存在で是非とも色々聞いておきたい事があるんですが
 それならまずはあの娘からお話でもしましょうか!」

「!?」

アビスが向けた視線の先には鹿目まどかがいた。
心配になったまどかはほむらの後を付いて行ったのだ。

「あの……私……」

「まどか!来ては駄目!」

「鹿目まどか、貴女に一つ忠告をしておきましょう 貴女の大切なお友達が今戦場へ向かっています
 お仲間のライダーも何人かご一緒のようですが恐らく無事では済まないでしょうね」

「さやかちゃんが!?」

「あいつの言う事に耳を貸す必要は無い!」

「皆さんは貴女には知られないよう秘密にしていたのです よほど貴女に心配をかけたくなかったのでしょうね
 美しい友情愛……とても素敵な事です 一生大切にするべき友と呼べるでしょう」
216 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/02(日) 12:46:52.50 ID:Vl9BGVUp0
ほむらの言葉にアビスは意に介さず、むしろその焦燥としたほむらの表情を
サディスティックに楽しむような面すら伺えた。

「彼らとしては自分達が戦う事で大切な人を守れるなら、それはそれで満足できるでしょう
 ですが鹿目まどか、貴女はそれで良いのですか? 自分の知らない所で大切な友が死んで行くのを耐えられますか?」

ズドン!

「ほむらちゃん!」

「あいつもキュゥべえと同じで貴女を魔法少女にさせようとしているのよ」

アビスに向け銃弾が放たれるが、立っている位置を少しずらして軽々と回避する。

「勘違いしないでください、私は彼女に魔法少女になるよう強要はしていません、あくまで選択肢を与えているだけです
 それに有無を言わさず彼女に魔法少女に成る権利を与えないのは些か可哀想ではありませんか
 もし自分が魔法少女になれなかったせいで大切な友の命を救えなかったと知ったら一生消えない苦痛を残す事になりますよ」

「……何を言ようとも私はまどかを魔法少女には絶対にさせない」

「まどか自身の意思を無視してでも魔法少女にはさせない…という事ですか
 クク……ククク……その一念が貴女をそこまで強くさせたのでしょうか?
 やはり貴女は私の知っている貴女とは違う 暁美ほむら、今の貴女は『何週目』の貴女なのですか?」

「!?」

『何週目』この言葉を聞いたほむらは同様を隠せないでいた。
あのライダーは明らかに自分の能力を知っている。
奴は危険だ、今まで出会ったどのライダーよりも
自分の中の本能が全力で警告する。

「欲望こそが力!人の本質!進化!
 欲望が大きければ大きいほど人は強くなれる!
 貴女は私や神崎士郎のように自分の目的の為なら他者を犠牲にするのも厭わない
 だからこそそれだけの力を得られたのですね」

アビスを殺すしか無いと決心したほむらが左腕に装着された盾に手を伸ばす。
それと同時に動いたアビスの左手がほむらの喉を掴み、右手で盾を掴み能力の発動を封じた。

「ぐ……!?」

「以前伝えた筈ですよ、私は貴女の能力を知っていると!」

「やめて!お願い……ほむらちゃんを離して!」

「……そうですね 私は戦いに来た訳ではありませんし、不必要な争いは避けるべきでしょう
 ですが彼女は私を殺そうとしました、不本意ですが自衛の為に彼女を生かしておく訳にはいきません
 どうしても止めたければ貴女が力ずくで私を止めることです」

「駄目……あいつの言いなりになっちゃ……」

「黙りなさい!今は鹿目まどかとお話しているのです!
 さあ選ぶのは貴女の自由ですよ、魔法少女となりこの女を救う事で戦いの道を選ぶか
 彼女を見捨てる事で普通の人間として生きるか、例え見捨てたとしても私は責めませんよ
 自分の為に生きるのが人なのですからね」

「ぐ……うう……うう……」

ほむらの瞳から涙がこぼれ落ちた。
まどかを魔法少女にさせないように今まで戦ってきたのに
今は自分のせいでまどかが魔法少女に契約するかもしれない。
それじゃあ何の為に戦ったのか分からない
結局私はまどかに守られてばかりの弱い存在なの?

「私は……魔法少女に……」

まどかの言葉を聞いてアビスは仮面の下で笑みを浮かべた。

「ククク……良き英断ですよ」

「駄目……まどかぁ………」
217 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/02(日) 12:47:47.59 ID:Vl9BGVUp0
キィィィィィン!

ガラスから響き渡る音と同時にアビスに向けられる殺意。
敵の出現を本能的に察したアビスはほむらを突き飛ばしバックステップでその場を離れると
先程までアビスの立っていた場所に炎が着弾し燃え盛った。

「この青い炎…リュウガですね」

「……………………」

無言で立ち尽くすリュウガ
彼はこれから戦う相手とおしゃべりをする気は毛頭無かった。

「アビス、お前はここで退場してもらう」

金色の羽を舞い散らせながらオーディンが現れ、無口なリュウガの代わりに死刑宣告を言い渡した。

「私が退場?その決断をした理由を是非聞かせてほしいですね」

「お前の存在や行動が不穏過ぎる、生かしておけば確実に障害になるのは明白だ」

「フフ…それはそれは、酷い言いがかりですね 私はただ強者と戦いたいだけですよ」

アビスは今、リュウガやオーディンに視線を向けている。
能力を使うなら今がチャンス
ほむらは左手の盾に手を触れ能力を発動しまどかの手を掴んだ。

カチッ

「!?」

アビスが振り返るとそこにいたはずの、まどかとほむらの姿が消えていた。

「逃げられてしまいましたか…まあ良いでしょう また次の機会にでも会いに行けば済む事です」

「次は無い…お前はここで消えるのだ!」

「フフフ……ハハハハハハッ!!」

「何がおかしい……?」

「笑いたくもなりますよ、まさか貴方達、たった二人で私に勝てると本気で思い込んでいるその愚かさがッ!
 なら味合わせてあげましょう!!その程度の戦力で私に挑んだ報いというものをッ!!」

今まで見せていたアビスの余裕の笑みが消え闘争本能を剥き出しにして動く。
アビスを中心に発せられる覇気がリュウガの体を突き刺すように伝わり全身から冷や汗が出てくる。

「グオオオオオオオオオッ!!」

ドラグブラッカーもその覇気に押されたのかリュウガに警告の意味を込めて吠える。

「シャアアッ!」

アビスがリュウガの傍まで一気に駆け寄り、右手を抜き手の構えを取りリュウガの胸元へ向け突いた。

(左に回避……駄目だ避け切れない……)

アビスの右手がリュウガの右肩を掠め鮮血が飛び散る。
掠っただけでこのダメージ、攻撃をまともに食らえば死んでいただろう。
回避したリュウガへ向けアビスは追撃を入れようとした背後にオーディンが出現。
ゴルトセイバーを振るいアビスを斬り付ける。

「オーディン、貴方の動きは正確です、それ故読みやすいんですよ 捕えたァ!!」

アビスが左肘で斬撃を受け止めオーディンの腕を掴む。
動きを封じたオーディンに向け勢いよく突いた右手の手刀がボディを貫く。

「ぐ…がああああああああああッ!!」

「ハッハッハッハ!!もっとです!もっと私を楽しませてください!!
 わたしに戦いを挑んだのです この程度で終わらせないでくださいねッ!」

苦しみもがきながらオーディンは爆散。
その様子をアビスは心から楽しみながらリュウガを見つめる。
218 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/02(日) 12:48:35.87 ID:Vl9BGVUp0
全ての時間が停止した世界でほむらはまどかの手を取り走っていた。
アビスの魔の手からまどかを遠ざける為に

「ハアハア……ここまでくれば安心ね……」

「ほむらちゃん……私は……」

「お願い、私の身に何があっても絶対に魔法少女になんかならないで……お願いだから……」

「でも皆が傷ついてるのに自分だけ見ているだけなんて出来ないよ…」

「まどか……貴女は優しすぎる、あいつらはそんな貴女の優しさを利用しようとしてるのよ」

「それでも……私は人の役に立ちたい……」

「とにかく絶対に魔法少女にはならないで、魔法少女にならなくても貴女を必要としている人は沢山いる事を忘れないで」

そう言い残し、ほむらは立ち去る。
そして再びアビスのいる元へ向かっていった。

(奴はまどかの優しさを利用して契約させようとした。よりによって私をだしにして!
 絶対に許さない!あいつが生きている限りまどかは常に危険に晒されるッ!)

普段はクールに徹しているほむらの感情が顔に現れるほど感情的になっていた。
アビスはQBと同じくまどかを魔法少女にさせようと企んでいる。
絶対に生かしてはおけない存在だ。

アビスから役2キロほど離れたビルの屋上に到着すると戦闘準備に取り掛かった。
正面から戦っても分が悪いと踏んだほむらは遠距離からチャンスを狙っているのだ。


『SWORD VENT』

ドラグセイバーを持ち構えるリュウガに対し
アビスは武器を持たずに攻撃が来るのを待っているような姿勢で近づいてくる。

「どうしました?貴方一人では立ち向かう勇気も出ませんか?」

「……………一人じゃない……」

リュウガが呟くと同時に金色の輝きを放つライダーが次々と出現する。

「そうでしたね、私の知るオーディンも何度も復活していましたね
 ……ですが流石にこの数は想定外ですよ」

アビスの周りには12体のオーディンが立ち並んでいた。

「戦力を出し惜しみする余裕が無さそうだからな」

「私の強さを認め全戦力を投入したと言うことですか
 ならば私もその敬意に答え、数々の戦いで得てきた力をお見せしましょうッ!」

アビスから青い輝きが放たれるのと同時に水色のボディが青色に変化した。

「この光は!?」

ほむらにとって見覚えのある輝きだった、なぜならそれは美樹さやかの…

「ハァァアアアッ!」

剣を構築しながらアビスがオーディンの集団へ向け特攻する。
攻撃を出す暇も与えずにオーディン達が四方八方からゴルトセイバーの斬撃をアビスに与え体中に傷を付けるも一瞬で回復していく。

「これでは無意味に時間を浪費するだけでつまらないですね、ならば!」

今度はアビスが赤く輝き、ボディが真紅の色へと染まっていく。
この輝きもほむらは知っていた、これは佐倉杏子の…

「フン……ハアッ!」

アビスのスピードが上がりオーディンの攻撃を回避しながら
長いリーチを生かした攻撃で多数の相手を翻弄していた。

「これではジリ貧だ、リュウガは下がっていろ!」

「分かった……」

リュウガが下がるのと同時に全てのオーディンが一枚のカードを取り出し挿入した。
219 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/02(日) 12:49:13.25 ID:Vl9BGVUp0
『FINAL VENT』

『FINAL VENT』

『FINAL VENT』

(以下略)

12体のゴルトフェニックスがオーディン達の元へ飛んでいきエターナルカオスの発動準備を始めた。

「面白いッ!正面から討ち破って差し上げましょう!!」

『FINAL VENT』

アビスは両足に魔力を集中させデッキと同じ模様を地面に浮かび上がると
アビソドンと共に空高く飛び上がり、水力を利用しオーディンに向け蹴り放った。

「はあああああああッ!」

「終わりだ!!」

CM後

「ぬおおおおおおッ!」

アビスダイブを正面から受けた6体のオーディンが消滅し、横側から攻撃したオーディン6体は半死半生のダメージで生き長らえていた。

「フフフ……なかなか良い攻撃でしたがあと一歩足りませんでしたね」

アビスのボディからは到る所に亀裂が走っており与えたダメージの大きさは見て取れる。
それでも平然としていられるのは装着者自身が人並み外れたタフさを持っているから
死にかけのオーディンを食らっても詰まらない、次の相手は…
アビスはリュウガに狙いを定めると槍を構えながらニタリと笑った。

パキィン!

「ぐおおッ!?」

アビスの仮面の一部が砕け、血が滴り落ちる。
右目が潰れ激痛で顔を押さえながら攻撃した相手が何者か見渡すが近くにはいない。

(効いた!ならもう一撃)

生半可な銃撃ではアビスの装甲を貫けないと悟ったほむらは対物ライフルを使い遠距離からの狙撃を行った。
その読みは辺り、魔力で強化した弾丸なら殺害する事は出来なくても
動きを一時的に封じるだけのダメージを与える事が出来た。
距離は2キロほど離れているからすぐには対応出来ないだろう
アビスの右目に着弾し苦痛で動きが鈍った所で、今度は膝へ向け撃ち放った。

「ぐがッ!」

今度は左足の膝に着弾し地にひざまずく姿勢を強いられた。

(近くにはいないという事は狙撃ですか……味な真似を!)

『STRIKE VENT』

常に沈着冷静で物事を判断していたリュウガは今なすべき事を理解している。
今はアビスに狙撃を仕掛けたのは誰か疑問に感じる時ではない。
好機を逃さず一刻も早くアビスにトドメを刺すことだ。

「グオオオオオオオオオオ!!」

ドラグブラッカーの火球がアビスに被弾し体を炎に包む。
アビスの装甲ではそれでも倒す事は出来ない、だがそれで構わない。

「か…体が……」

炎を浴びた部分が石化しアビスの動きを完全に封じた。
それがリュウガの目的である。

『FINAL VENT』

リュウガの体が浮かび上がりドラグブラッカーの炎を背に受け
アビスにドラゴンライダーキックを放った。
220 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/02(日) 12:50:07.15 ID:Vl9BGVUp0
「あ…ありえません……この私が負けるなど……」

燃え盛るアビスのボディから火花が激しく散っている。
まるでその命が消え行く線香花火のように

「この私がァアアアアアッ!!!」

怒りを含んだ断末魔と共にアビスが爆散し消滅した。

「……………………」

リュウガの体から気泡のような物が出ている。
現実世界へいる制限時間が近づいてきたのだ。
ふとリュウガは、アビスに向け攻撃が飛んできた方を見つめるがそこには誰もいない。
気にはなるが自分の目的は神崎士郎に与えられた任務を忠実にこなす事で知る必要性は無い。
そう頭を切り替えてミラーワールドへと入っていった。


「……アビスは死んだ。だけどなぜあいつが魔法少女の能力を?」

ほむらは疑問に感じていた。アビスがまるでライアのように魔法少女の力を行使していた事に。
杏子はソウルジェムごと自爆している。
それにさやかはまだ生きているのに。
明らかにソウルジェムを取り込む時期は無かったはず、それなのに何故?
真相を知っているアビスはもういない。
真実は闇の中に葬られたままである。
221 : ◆e.kHvEXe9/gu :2011/10/02(日) 12:53:22.71 ID:Vl9BGVUp0
投下終了

ネタバレ:アビスに変身して悪巧みを働いたのも全部乾巧って奴の仕業なんだ
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/02(日) 13:36:51.84 ID:9ULmnDHoo
おっつー!

たまげたネタバレだなぁ(棒)
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 16:39:12.17 ID:70M44UW10
おのれディケイド!
224 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/07(金) 14:18:00.02 ID:BPpyKwLU0
SSを書いてて不安に感じたので質問
会話文にキャラ名を載せた方が読みやすいですか?
誰が喋っているか分かり難ければ
今後は台本形式に変更するつもりですけど
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/07(金) 14:37:25.87 ID:yCztX4rS0
読んでりゃ誰がしゃべってるのか解かるよ
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) [sage]:2011/10/07(金) 21:58:10.05 ID:RlDKQTjWo
んでも、キャラ名は有った方が分かりやすいかな
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/10/08(土) 19:36:04.74 ID:tL7XEctfo
このままで良い
228 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/28(金) 15:48:48.28 ID:7ixOgjmZ0
――高見沢ビル地下駐車場――

その場所にて今日の業務を全て終えた高見沢が帰宅する為に自身が乗る車へ向かっていた。
彼の周りには黒服のスーツを来たグラサンの男が多数、護衛の為に付き添っている。
護衛の一人が車のドアを開け高見沢が乗り込もうとした時に車のガラスから鳴り響く音と共に
ガラスの中から招かれざる訪問者達が次々と姿を現す。

「集団で乗り込んで来たか……フン、なかなか思い切った事をする」

現れたのは仮面ライダー達である。
複数のライダーに奇襲を受けながらも高見沢の強気な姿勢は崩れない。

「高見沢様をお守りしろ! 変身!」

護衛達の姿がライオトルーパーへと変化していく。
その様子を見たライアが不快そうに舌打ちを鳴らした。

「貴方を相手に正面から戦うのは危険過ぎますからね」

オルタナゼロが冷静に答えるが、この場でただ一人冷静でいられない者がいる。

「お前が……お前が杏子をぉ……」

高見沢の姿を見たさやかは激しい怒りに燃えていた。
その怒りは仮面越しからでも他者に十分伝わるほどの凄まじい気迫
それはもちろん、高見沢にも伝わってきていた。

「その声は…あの時の魔法少女か、まさかデルタに変身するとはな なんと愚なガキだ」

高見沢はデルタの性質を知っていた、だからこそ今までオルフェノク以外の物に触れさせなかった。
あれは呪いのベルトだ、
非適合者が変身すればデモンズスレートの影響により精神に異常を起こし
デルタの力に魅入られた凶暴な人格になってしまう。
現在の技術でもデモンズスレートに犯された人間を治す治療法は見つかっていない。

「……いや愚かなのはてめえら全員かもな……こんな時の対処法ぐらいあるとも知らずによぉ!」 パチンッ

高見沢が指を鳴らすと同時に駐車場を照らしていた全ての照明が消え
真っ暗闇と化した空間の中に多数の者が近づいてくる足音がいたる所に響き渡る。
高見沢と入れ替わるように現れたライオトルーパー隊が周囲を取り囲む。

「ハーッハハハハ!!俺は多忙なんでねぇ、てめえらの相手はこいつらがしてやるよ」

「これは…まさか!」

「どうした?」

「このままではモンスターの力を行使する事もミラーワールドに入る事も出来ません」

「なん……だと……?」

オルタナゼロは高見沢の取った行動をいち早く理解した。
鏡とは言わば光の反射で映している物
光の反射で映せるならそれは鏡に限らず、ガラスでも水溜りでも海でも代用する事は出来る。
逆に反射する程の光が無ければ、それは鏡であろうとも物を映し出すことが出来ず
鏡としての役割を果たさなくなるのだ。

(高見沢……やはり簡単に命を取らせて貰える相手では無いですか)

ガキン!

「いだあ!」

暗闇の中から斬り付けられた龍騎が吹っ飛ばされた。

「あぅ……」

今度はデルタの背後から斬撃を浴びせられる。
暗闇の中、ここまで的確に攻撃を仕掛けられるのはおそらく
相手は暗視スコープの類を装備しているのだろう。
229 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/28(金) 15:50:00.26 ID:7ixOgjmZ0
「あんたらぁ……邪魔をするなぁぁあああ!!!」

怒りによってデルタの感情が高揚し、ソウルジェムが力強く輝く。
その青い光によってデルタの近くにいたライオ達の姿を映しだす。

「うわあああああああああ!!!」

咆哮と共に駆け抜けたデルタがライオの胸部を殴りつけると
拳から受けた衝撃で10メートル以上吹き飛び、壁に叩き付けられる。
そして動かなくなったライオの体から赤い炎が噴き出し、肉体が燃え盛りながら徐々に灰化していった。

本来のオルフェノクは死を迎えると肉体に青い炎が灯り灰になるが
デルタの攻撃で倒されたオルフェノクは赤く燃え上がり死んでいくのだ。

「なるほど……そういうことか!」

デルタに続き今度はライアがフォームチェンジで黄色く輝くと
大量のマスケット銃を構築し周囲をライオ共々、一斉掃射で攻撃した。
着弾した複数の車が轟音と共に爆発、炎上し周囲は火に囲まれる。

それがライアの狙いだった。
明かりが消えたのなら照らせばいい。
ここは駐車場、火種になる物はそこらじゅうに置いてあるじゃないか。

「感謝しますよ、皆さん反撃です!」

オルタナゼロの指示と共に反撃に出たライダー達を前に
戦闘スペックの劣るライオ達は次々と撃破され敗走していった。

「あ……ああ………」

「……………」

龍騎の前には敗れたライオが怯えながら後ずさっている。
戦いは終始、龍騎が圧倒していたが相手が恐怖に駆られた姿を見て攻撃を躊躇していた。

「た、頼む……妹の手術費を稼ぐためにまだ俺は死ねないんだ……」

「……行けよ」

「え?」

「早く行けよ!」

「……すまない……」

龍騎に頭を下げたライオは出口に向かって逃走した。

(これで良かったんだよな…)

自分の手を汚す覚悟が無ければ守りたい者も守れないと草加は言っていた。
それでも出来る限り死なせないようにする戦いだってあるはずなんだ。

「よくないなぁ、こういうのは」

「―――ッ!?草加やめろ!!」

ライオの逃走経路を塞ぐように出口の前に立っていたライアは
手に持っているマスケット銃をライオの胸元に向けて引き金を引いた。
銃弾を受け装甲を撃ち抜かれたライオは胸を押さえながら倒れた。

「さゆき……俺は………お前を助け……」

体が燃えながらもライオはその場にいない者の名を呼びながら必死に手を伸ばす。

「さ……ゆき………」

そこに差し伸べてくれる手は存在せずライオの体は完全に灰になった。

「草加ぁ!!何でお前は!」

「騙されるな城戸、奴らオルフェノクはそうやって俺達を騙そうとするのさ
 オルフェノクになった者は心まで腐っていく 人間の良心なんて持ち合わせてないんだよ」

「そんなこと!」

「いいか?俺は城戸の事を想って言ってるんだ
 城戸が罠にはめられて(首が折れる音)になる所なんて見たくないんだよ
 それより今は高見沢を倒す事に集中するんだ」
230 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/28(金) 15:50:59.55 ID:7ixOgjmZ0

「………………」

不満があるような素振りを見せた城戸だが
今優先する事は何かは理解したようで皆と共に駐車場を後にした。

(モンスター以外の相手だとつくづく使えないなぁ
 これならまださやかの方が駒としての利用価値が高いよ)

なかなか吹っ切れない城戸の甘さに草加は内心毒づいていた。
それでも馬鹿とハサミは使いようと言う
例えなかなか思い通りにいかない城戸でも利用出来る部分は利用させてもらう
全ては俺とまどかが結ばれる為に

――高見沢ビルモニター室――

「ちっ……突破しやがったか」

高見沢は不機嫌な様子で戦いの一部始終を監視カメラ越しに見ていた。

「まあいいじゃん、俺達の手で直接潰した方が面白いし〜」

「……俺は今日は遠慮したかったよ……ゲホッ!」

「こんな重要な場面で風邪引くとは駄目駄目だなあww佐野びた君はww」

「川に落とされたんだから仕方ないだろ芝えもん〜……ぶぇっくしょい!」

そんな高見沢とは対称的に芝浦は今の状況を楽しんでいた。
ライダーバトルもゲームと同じ感覚で戦っている芝浦には緊張感という物をまるで持ち合わせていない。
だがその分、殺し合いによるプレッシャーや恐怖に縛られる事も無い。
常に自分のペースを保ち続けて戦えるのが芝浦の長所でもあり短所でも有るのだ。

「行くぞお前ら、奴らとの戦いは今日で決着を付けてやる
 由良、戦うのは初めてだろうが一人の命の代価分しっかり働いてもらうぞ」

「はい……」

吾郎はコクリと頷きながら返事をした。
その手にはかつて北岡が使用していたゾルダのデッキが握られている。

「琢磨君また泣くなよ?www」

「泣きませんから!芝浦は私に構わないでください!」

「HAHAHAHAHAHA!!crybaby!」

「レオさんも笑わないでくださいッ!><」

(まったく……こいつらはもっと真面目になれんのか?)

はあ……と溜息を付きながら高見沢は
襲撃者達の逃走経路を先回りするルートを選択し迎え撃つ作戦へと行動を開始した。
ここは言わば高見沢の城であり、ライダーバトルで生き残る為に様々な研究をしている場所だ。
地理の差も戦力差もこちらが有利、奇襲を凌いだ今こそ奴らを始末する絶好の機会なのだ。

ライオ隊は返り討ちにされてる仲間達の姿を見て指揮が下がっている状態だ。
今出陣させても戦力としては役に立つまい。
それより『切り札』の事も考えて今は後方で待機させた方が利用価値がある。

「俺に歯向かった事の愚かさを教えてやる……」

襲撃する者達と迎え討つ者達
双方共、利害の一致の為に組んだこの関係は
どちらかが敗れる事により終結を迎えるだろう。
そして今夜、その戦いによる決着が付けられようとしていた。
231 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2011/10/28(金) 15:57:36.91 ID:7ixOgjmZ0
短いですが投下終了

問題無さそうなので台詞にキャラ名は付けない方針にします
それにしても数日でSS書きあげる書き手達は凄いね
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/28(金) 23:16:43.35 ID:RJYLuGZAO

しばらくだな。会いたかっぜ
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/29(土) 11:06:42.11 ID:+IFRc5S3o
おっつー!!

今更ながらサノマンとガードベントが生き残ってることにびっくり
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長野県) [sage]:2011/12/08(木) 00:34:16.29 ID:vJeDATIEo
そろそろくるかな
235 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:39:36.63 ID:2mkK0LhPo
草加さんの人引退…
236 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/01/06(金) 05:46:22.27 ID:NYjjaB2B0
「……不味いですね、奇襲が失敗した今の状況では地の利の差で我々が不利です ここは一度引くべきでしょう」

ライオ隊の襲撃を退き、移動する中でオルタナゼロはそう呟く。

「ふざけないで!あいつを…高見沢を倒すまで引くわけには行かない!」

「落ち着くのです、奴の事ですから何処かで我々を監視し罠を張っているはずです。
 それでもなお何処にいるのかも分からない高見沢を探し続けるのは無謀です」

「く……!」

「そうだよ 先生はいつだって正しい判断が出来るんだから」

「たしかに深追いは禁物だな」

オルタナゼロの意見に食い下がるデルタだったがタイガやライアの言葉もあって渋々折れた。

「ふーん…おたくら逃げるんだ〜」

意見が纏まろうとした所で、彼らの前にガイが現れた。

「お前……!」

「あーらら、何怒ってるの?ww迷子のあんた達の為にせっかく俺が道案内してあげようと思ったのにー」

「逃げる訳無いでしょう…」

「その声……あー、あんたあの青い魔法少女か デルタに変身してんだw
 たしか赤い方のはあんたを庇ってくたばったんだっけな〜」

うるさい…
杏子は自分を庇って死んだ。
指摘されたその事実が罪悪感として、さやかの心に突き刺さる。

「あいつには借りがあったし俺が殺ろうと思ったんだけどな〜
 よりによって他人を庇ってくたばるとかだっせー死に方してやんのwww」

「黙れ黙れ黙れぇええええッ!!あんたみたいな奴が杏子を馬鹿にするなあ!!」

「さやかちゃん落ち着くんだ!見え透いた挑発に乗るな」

「草加さん!だって…あいつ……」

「あ、そういえばさ〜ロリコンライダーってなんだかトランプとか武器に使って戦いそうな顔だよなwww」

「貴っ様ぁ……」

「悔しい?悔しい?www」 パン♪パン♪パン♪パン♪

「グオオン♪グオオン♪」 パン♪パン♪パン♪パン♪

「BADBOYめ……」

ガイは用意しておいたタンバリンを軽快な動きで叩いていた。
その姿をミラーワールド越しで見ていたメタルゲラスもガイを真似て器用にタンバリンを叩く。
そんな挑発を続けるガイに対してデルタやライアに続き冷静なオルタナゼロまでも不快な態度を露にする。

「あー香川先生は不良嫌いだったんだっけなー」

「ハハハwwwこの先に広いエリアがあるからそこで遊んであげるよ」

十分に煽った所でガイはそそくさとその場を後にし

「逃がさない!」

「よせ!何か罠が仕掛けてあるはず」

ライアが制止するがデルタは振り切って後を追った。

「彼女一人では危ない、私達も続きましょう」

(ちっ……感情的になりすぎだ)

ライアは不満をあくまで口に出さずに心に閉まい他の者達と共にデルタに続いていった。
237 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/01/06(金) 05:58:31.03 ID:NYjjaB2B0
ガイの後を追ってドアの向こうの先へと足を踏み入れた。

「ここは……外?」

デルタに続き他のライダーもたどり着く。
彼らの眼前には既に何度か交戦を繰り返した彼らがいた。

ガイ、インペラー、ゾルダにサイガ
それと色が今までと違う赤いライオトルーパー

「ここまでライダーが揃ったパーティーだ、派手に遊ぼうぜwww」

「ごほっごほっ… 俺って風邪引いた時によく辛い事やらされる気がする……」

「……………………」

「イッツ ア ショー・タイムッ!!」

「このリーダー専用ライオの力、見せてあげますよ」

――ライアVSゾルダ――

ドガガガガガ!!

ゾルダのマグナバイザーによる銃撃を合図に双方の激しい交戦が繰り広げられた。

「ちい!何度も俺の邪魔を!」

ライアは魔力を使い構築したマスケット銃を使いながらゾルダとの距離を徐々に縮めていく。
今までの戦い方からしてゾルダは接近戦が不得手だとライアは判断した。

『SWING VENT』

エビルウィップを装備したライアは近距離で一気に攻めかかる。

『STRIKE VENT』

「何!?」

ギガホーンを装着したゾルダの打撃が鞭を弾き返し、ライアの顔面を殴りつける。
ゾルダの正規装着者である北岡の体が病に犯されている為に
普段は近接戦では戦わないがゾルダのパンチ力はライアを上回っており
決して接近戦が弱いライダーではなかった。

そして今のゾルダは北岡の秘書である吾郎が装着者であり、近接戦も問題無くこなす事が出来る。
それを知らなかったライアは予想外の攻撃を受けてしまった。
だがそれでライアが窮地の危機に立たされた訳ではない。
確かに吾郎の肉体は健康体で丈夫だ。
だが草加と吾郎には決定的な差があった。
それはライダーバトルでの経験

「はあッ!」

「うぐ…」

殴り倒されながらもライアはエビルウィップを振るいゾルダの足に巻きつけ転倒させると
ゾルダの手に持っていたマグナバイザーを遠くへと蹴り飛ばした。
バイザーが装甲の一部になっていないライダーはバイザーを武器としてりようしやすい代わりに
バイザーを手元から離れてしまうとカードを使用出来なくなる欠点がある事を把握していた。

「フッフッフ……」

カードを使用する手段の無くなったゾルダに銃口を向け一方的に撃ち続け
膝を付いたゾルダに容赦の無い蹴りを何度も浴びせる。
するとダメージを受けすぎたゾルダのスーツが消滅し
ぼろぼろに傷ついた装着者の生身が露になる。
あとは急所に銃弾を撃ち込めばゾルダの装着者は死ぬ。

「じゃあ死んでもらおうかな」

狙いを付けマスケット銃の引き金に手を乗せる。

「う……うおおおおおおおお!!」

「何!?き、貴様ぁあああ!!」

その時、ゾルダの装着者である吾郎の身に変化が起き、ライアの体に衝撃が走る。
グリラスオルフェノクに変身した吾郎の豪腕による打撃をまともに受けたライアは
物凄い勢いで殴り飛ばされていった。
238 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/01/06(金) 06:00:43.12 ID:NYjjaB2B0
――ガイVSタイガ――

『STRIKE VENT』

ガイに狙いを定めたタイガはデストクローを装着しゆっくり歩いていく。
まるで獲物を見つけた虎のように

「俺とやる気?いいよ〜相手になってあげる」

『STRIKE VENT』

ガイもメタルホーンを装着し身構える。

「君みたいな害悪を殺すのも英雄の使命だと思ってね」

「意味わかんねっつーの そうらッ!」

先手で動いたガイがタイガに突きを繰り出す。
それをタイガのデストクローで受け止め
更にカウンターで鋭い爪を利用したなぎ払いを仕掛ける。

「おおっと!」

タイガの動作を見てからガイは後方に下がりデストクローを回避
更に一枚のカードを引き出しバイザーに挿入する。

『ADVENT』

バイザー音と共に、妙に愛着のある容姿のモンスター、メタルゲラスが出現する。

『FREEZE VENT』

タイガだけが所持する特殊カード、フリーズベントによりメタルゲラスの動きは封じられる。

「うざいカードだなぁ」

『CONFINE VENT』

今度はガイが特殊カードを使い、フリーズベントを無効化する。

ガシャン!

「何ッ!?」

その時、ゼール軍団と交戦していたオルタナゼロの足元の床に穴が空いた。
オルタナゼロの近くにいた龍騎がそれに気付き手を伸ばし腕を取るが

「香川さん!っと、うおわあああああああ!!」

落下の勢いに負け二体共々、真っ暗な穴の向こうへと堕ちていった。
239 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/01/06(金) 06:03:11.03 ID:NYjjaB2B0

「先生!」

「あんたの相手は俺だろ、よそ見してていいわけ?ほらほらぁ〜!」

「あぐっ!くそう……」

『FINAL VENT』

苦し紛れに挿入したタイガがカードを挿入し切り札が発動する。

「……ん?うわあ!!」

背後からデストワイルダーの奇襲を受けたガイは仰向けに押さえつけられると
アスファルトを擦り火花を撒き散らせ、引きずりながらタイガの元へ駆ける。

『CONFINE VENT』

「カードは一枚だけじゃ……」

「知ってるよ」

『RETURN VENT』

「失敗したならもう一回使えばいいよね」

「同じ手は食らうかよ」

『FINAL VENT』

『FINAL VENT』

二つの電子音声と共にメタルゲラスとデストワイルダーの二体が動き出した。
先ほどタイガのファイナルベントを目の当たりにし行動を予測したメタルゲラスは
ガイに迫るデストワイルダーに体当たりをして吹き飛ばす。

「あ……」

「これでゲームオーバーだ」

メタルゲラスの肩に飛び乗ったガイの特攻にタイガはデストクローを盾代わりに防御の姿勢を取る。

「ああああッ!!」

ヘビープレッシャーの衝突と共に轟音が鳴り響き、衝撃でデストクローが外れ
10m以上吹き飛ばされタイガが地面を数回転がり、やっと勢いが止まった。

「まだ生きてるのかよ……しぶといなあ………うう……」

不発に終わったとはいえ、クリスタルブレイクは引きずられただけでも相当の威力を誇り
ガイの受けたダメージも決して少ない物ではなかった。
240 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/01/06(金) 06:05:22.66 ID:NYjjaB2B0
――ナイトVSサイガ――

日本語訳
「君の事は聞いているよ、どうやら飛行能力を持つ珍しいタイプのライダーなようだね」

「………………」

日本語訳
「どちらが真の飛行ライダーか、ここで明らかにしようじゃないか」

「……黙ってろ」

日本語訳
「無口で無愛想な奴だな、だがそんな男は……」

「!?」

空高く飛翔したサイガは空中で徐々にスピードを増しながら大きく旋回し

日本語訳
「嫌いじゃないぜ!」

「うお!」

急降下と共に繰り出したサイガのキックがナイトに直撃する。
攻撃はそれだけに止まらず、ナイトの背後へ回ったサイガが羽交い絞めにすると
再び空へと上昇した。

『ADVENT』

日本語訳
「オウ!」

電子音声と共に現れたダークウイングがサイガの体を切り裂き
拘束が解け落下したナイトの背中に装着した。

「SWORD VENT」

「はあああああああ!!」

ウイングランサーを装備したナイトが咆哮と共に突きの構えで特攻し
サイガの胸部を突き刺しながら押し込み続け
窓ガラスをぶち破りながら二人のライダーはオフィスビルの中へ入った。

「ハアッ!」

体制を立て直したサイガはフライングアタッカーから光子バルカンを射出し
ナイトに弾幕を浴びせる。
241 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/01/06(金) 06:06:53.26 ID:NYjjaB2B0

『GUARD VENT』

ウイングウォールで弾幕をガードしながらサイガに向かって走り
ウイングランサーを振るい、斬りつける。
その攻撃を回避しながら腹部に取り付けられているサイガフォンに手を伸ばしスイッチを押した。

『Exceed Charge』

「HAAAAAAAAAAAA!!!」

フライングアタッカーの操縦桿が青白く発光し必殺技のサイガスラッシュが放たれる。
左からの攻撃にナイトはウイングウォールで防ぎながら体を捻り直撃を避けるが
サイガは二刀流、次は右からの攻撃が放たれウィングランサーでなんとか受け止める。

日本語訳
「終わりだ!」

左右どちらかが押し勝てばナイトの体を切り裂く事が出来る。
そう考えたサイガの両腕に力が篭もる。

「はっ!」

ナイトの腰に付けられたダークバイザーを抜き取り、サイガのボディを突き
よろめいたサイガにウイングランサーで更に突き刺した。

「クッ!」

突きの衝撃で外に投げ出されたサイガだったが
バランスを立て直す。

『NASTY VENT』

「GUOOOOOO!!」

ダークウイングに放たれた超音波をまともに受けたサイガは
苦痛によって思考が働かなくなり、再び制御不能に陥った。

『FINAL VENT』

ビルから飛び降りたナイトがダークウイングを身に纏うと
ドリルのような形に変化し墜落していくサイガめがけて急降下し、その体を貫いた。

「GYAAAAAAAAAAAA!!!」

断末魔の叫びと共にサイガの体は青く燃え盛り
激しい爆音の中で灰となって消えていった。

「ハア……ハア……俺は絶対に恵理を助ける、誰を犠牲にしようとも……」
242 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/01/06(金) 06:09:12.80 ID:NYjjaB2B0
――オルタナティブ&デルタVSインペラー&琢磨専用強化ライオ――

「はああああああ!!」

「グギャ!」

デルタの持つ剣が上から振り下ろされ、メガゼールの体が真っ二つに両断される。
出力が高い代わりに武装の少ないデルタだったが
その欠点は装着者であるさやか自身が剣を構築しているので補っている。

「そのベルトは元々高見沢様の物です、返してもらいますよ」

その言葉と共に強化ライオのアクセレイガンの斬撃が振るわれ、デルタの剣と衝突し火花を散らす。

「その高見沢は何処にいるのよ?」

「貴女がそれを知る必要はありません」

会話と同時に何度か斬撃が交差した後、二人は距離を取り、
強化ライオはアクセレイガンをガンモードに変形させ

「ファイア!」

デルタはデルタムーバーをブラスターモードに変形させ
お互い走りながらの銃撃戦へと移行した。

「だはあー!」

激しい撃ち合いの中、間抜けな声と共に吹き飛ばされたインペラーが
強化ライオへ向かって落ちていく姿がデルタの目に映った。
だが戦いに夢中の強化ライオは頭上に迫る危機に不運にも気付かずに……

「あふん!」

これまた強化ライオも間抜けな声を出しながらインペラーと衝突しアスファルトに口付けする結果となった。

「何してるんですか佐野さん!せっかく格好良く決めていたのに貴方のせいで台無しですよ!」

「すみませーん先輩!でもあいつ強くて強くて……げほっ」

「強いのは当然だ」

強化ライオとインペラーの前にオルタナティブが現れる。

「香川先生が血潮を込めて完成させたこのライダーと俺の技量と信念が合わさっているからな
 予想外の相手からの不意打ちによる一撃必殺の技を受けない限りはまず負ける事は無い!!」

「なんか妙に具体的ですね……」

「とにかくこれで終わりだ!」

ガシャン!

「なっ!?」

落とし穴の罠を受けたオルタナゼロと龍騎が地下へと落下していく様を見て動揺するオルタナティブ

((チャンス!))

その隙を突きオルタナティブへ攻撃を仕掛ける小物×2

「おりゃあ!」

だが高見沢の復讐が本命で他の事は二の次だったデルタは
オルタナゼロや龍騎の安否には気にも留めずに小物達を迎撃
それが幸いとなり、隙を付いた攻撃は失敗に終わる。
243 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/01/06(金) 06:09:57.42 ID:NYjjaB2B0

「助かったぞ、美樹!」

『ACCELE VENT』

電子音声と共にオルタナティブの姿が高速移動によって視界から消え

「あひっ!」

「ぐえっ!」

強化ライオとインペラーの体に何度も斬撃を食らわせる。

『Exceed Charge』

「がっ……!?ぐぐ……!」

負傷した強化ライオの肉体にポインターが突き刺さる。
強化ライオが必死に体を捻り拘束を解こうにも受けたダメージが大きく外せなかった。

(まさか……私は……こんな所で?……嫌だ、嫌だ……!!)

「うおおおおおりゃああああッ!!」

「ひいいいいいいいいいい!!」

高く飛び上がったデルタは片足を突き出し強化ライオに刺さったポインタへ向け急降下した。

「……ぁぁぁあああッ!!」

「きゃん!」

だが別方向から来た者に衝突したデルタはポインタに入ることなく終わる。
デルタにぶつかった者、それは先ほどまでゾルダと戦っていたライアである。

「草加さん!?」

「くそ!奴め……」

「た……助かった……」
244 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/01/06(金) 06:11:18.25 ID:NYjjaB2B0
――高見沢ビル地下――

「いててて……」

「立てますか?城戸君」

「ああ、ここは一体……」

二人が落ちた場所は暗闇に包まれており、辺りの様子は分からなかった。

『ここは俺の地下実験室だ 香川英行、君と話がしたくてここにおびき寄せた』

室内のマイクから流れる高見沢の声と同時にライトが点灯し、部屋中が明るく照らされる。
室内は10m以上の高さがある広々とした大部屋で、入り口と思わしき扉は大きく重厚で
その頑丈さは少々暴れた程度では破壊出来そうに無いのは一目見て分かるほどである。

「話とは何です?降参するのでしたらデッキを渡せしてくれれば命は取りませんが」

『降参?笑えねえ冗談だな、俺はお前が作ったライダー……たしかオルタナティブと言ったな
 その技術を俺に渡せ、もちろんタダとは言わん お前が戦いに投じた理由である願いにも協力してやろう
 必要なら金でも地位でもその他の要求でも望むなら交渉次第くれてやる
 お前の頭脳とオルタナティブにはそれだけの価値がある』

「……本当にオルタナティブの技術を渡せば私の願いを叶えるのに協力してくれるのですか?」

「香川さん!?」

『ああ…約束しよう、では早速変身を解除して』

「だが断ります」

『何ぃ!?』

「貴方の野心の高さはある意味、神崎以上に厄介です このデッキの技術を奪われては取り返しの付かない事になりますからね」

『香川、てめえには妻と息子がいたな 断るってのなら二度と会えなくなるが良いのか?』

それまでの高見沢の紳士的な声質ががらりと変わり怒気が含んでいた。
その残忍な本性こそが高見沢の素の姿なのだ。

「……構いませんよ」

「なに言ってんだよ香川さん! 自分の家族だぞッ!」

「言った筈です!奴にはオルタナティブの技術を渡せば取り返しの付かない事になると
 それに家族を失う覚悟は戦いに身を投じた時から出来ています」

「香川さん……」

『馬鹿な奴だよお前は……』

その言葉を最後に高見沢はマイクの電源を切り、携帯を手に取った。

「おいカイザ・ムラカミ、仕事だ 香川の妻と子供を殺せ」

(香川にはこの俺に歯向かった愚かさを味合わせてから殺してやる)
245 : ◆e.kHvEXe9/gu :2012/01/06(金) 06:26:46.87 ID:NYjjaB2B0
投下終了

SS執筆の途中でネトゲに手を出すものじゃないね
WizOn飽きたしSSが進まないからしばらくネトゲは自制します
だがフリーゲームはやめない
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 09:07:16.16 ID:DxUcY2azo
帰ってきたか!新年早々いいことだぜ!乙だぜ!

佐野さんが安定の小物wwwそんでカイザ死んだか。流石準主人公ナイト

さやかちゃん…死ぬなよ…
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/06(金) 09:12:30.27 ID:YN3+cLIoo
913殺しちゃあかん、死んだのは315やで



……オルフェノク体も明らかじゃないからね、しょうがないね
S.I.C.HEROSAGAならライオンだったんだけどな
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/01/07(土) 03:22:23.81 ID:LtvlF/iEo
( <::V::>) ……
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/03(金) 15:51:12.38 ID:FCwW4D+l0
――香川親子の住む住宅街――

「さて……指令が来た所だし死んでもらおうかな
 相手はガキと女、報酬の割りに簡単な仕事だ」

高見沢に雇われた殺し屋の男が悪魔のような笑みを浮かべながら香川邸に向かっていた。
二人の人間の命を奪うために

彼は今まで要人の暗殺を何度も成功させてきたプロだ。
戸締りされた家の中を家主に気付かれぬよう侵入し
悲鳴を出す暇も与えずに殺害する程度の技術も当然心得ている。

「この家だな」

近くに人がいないか、不自然に見えぬよう辺りを見回し確認する。
一人この通りに向かって歩いている男がいるだけで他は誰もいない。
男が通り過ぎた時がチャンスだ。
人気がいなくなったその時に素早く室内に侵入し事を終わらせれば仕事は完了だ。

殺し屋は通行人が通り過ぎるまで下手に動かずに待つ。
通行人の男はゆっくり歩きながら殺し屋の前を通り過ぎる。

「おい、お前…」

通行人の男が立ち止まり、振り返りながら殺し屋に話しかける。

「ん?なにかな?」

「殴らせろ」

「は?」

「てめえの面といい声といい俺をイラつかせる、だから殴らせろ」

理不尽
その一言に尽きる程の理由でこの男は因縁を付けてきた。
よく見ると男の目はまるで薬でもやってるかのような狂った瞳をしている。
ギョロ目なのもあって威圧感が半端無い。

「ハハア……いくぞ」

こちらの返事も聞かずして男が襲ってくる。
男の繰り出す拳をガードして

「ごはあッ!」

拳がガードした腕を押し退けて顔面にめり込む。
ガードが通用しない
あの男は薬の影響で異常な怪力にでもなったのか
だが今はこいつに構ってる暇は無い。
使いたくなかったがナイフに頼らざるを得ないようだ。

「誰だか知らないけど今は忙しい身なんでね、手短に終わらせてもらう」

「武器か…面白い…」

そういうと男もどこからか鉄パイプを取り出し殺し屋目掛けて振り下ろした

「ハァッ!」

「危ねえええ!!クソッ相手してられるか」

「ハッハッハ 逃がすかよ、ベノスネーカー!」

男の言葉と共にカーブミラーから蛇型のモンスターが現れ
殺し屋の逃走経路を塞ぐ。

「シャアアアアアアアアアア!!」

「なんじゃこりゃあー!?」

「さて、せいぜい楽しませてくれよ」
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/03(金) 15:52:14.35 ID:FCwW4D+l0
――高見沢ビル、一室――

「……ここは?」

複数のベッドが用意されている一室の中で北岡は目覚めた。
電灯は点いておらず
周りにいくつか設置されている電子機器の光があるだけ薄暗かった。

「お目覚めですね、ここは人体の解明を主に研究している実験室です
 私は、ここの研究者の一人で高見沢様の命により
 北岡様の蘇生を行わせていただきました」

「ちょっとまってよ 蘇生だって?それって何、もしかして俺死んだってこと?」

「はい、北岡様はライダーバトルで命を失い
 それを悲しんだ秘書が高見沢様に頼んでここに運び込んだのです
 ここまで雇い主の身を案じてくれるなんてとても良い秘書ですよね」

「吾郎ちゃんが……もしや……」

嫌な予感がする。
高見沢の性格からして善意で行動する事など絶対にあり得ない。
五郎ちゃんの俺を想う感情を利用しようと企むはずだ。

「それと蘇生を行う際に北岡様の病も完治させておきました
 正直言って病の治療の成功率は五分五分で賭けのような物でしたが
 私は一生懸命頑張って手術したので誉めてくれると嬉しいです
 あと頭もナデナデしてくれると…」

「ねえ、高見沢は今どこにいるか教えてくれない?」

「え?あ、はい ここの扉を開けて右へ真っ直ぐ進んで
 突き当たりを左へ進んでいけば大きい扉があるのでそこに高見沢様が」

「そうか、じゃあ俺は行くから」スタタタッ

「北岡様は蘇生されたばかりなのであまり激しい運動は……って行っちゃいました…」
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/03(金) 15:53:48.49 ID:FCwW4D+l0
――その頃、高見沢は――

「技術協定が結べないのならもう用は無い、アレを出して始末させろ」

「はいっ!」

研究員がパネルを操作すると龍騎やオルタナティブいる位置にある巨大な扉がゆっくりと開かれた。
それに気付いた二人のライダーは開いた扉の向こうに視線を送った。

「城戸君、注意してください 奥に何かいます」

「え?って嘘だろおおおおお!?」

「グルルルルルルルルル……」

扉の奥から猛獣のような唸り声と共に、巨大な灰色の怪物が姿を現した。

『紹介しよう 彼はエラスモテリウムオルフェノク
 我々が研究した成果の一つでお前達の相手をする者だ
 せいぜい仲良く遊ぶがいいさ』

(成果と言っても理性は完全に消え、二度と元の姿に戻れなくなった失敗作だがな
 それじゃあいくら戦闘力が増強しようが兵器としては意味がねえ…
 さて…そろそろ地上で戦ってる連中の後始末を付けに行くか)

ガチャッ

高見沢が行動に移ろうとした時
管理室の扉が開かれ、北岡が中へと入る。

「高見沢さん!あんた……何の目的があって俺を生き返らせた訳?」

「目的?同盟関係を結んでいる以上、お互い協力し合うのは当然の事ではないか」

「……俺のデッキはどうした?」

「君の秘書が持っているよ」

「吾郎ちゃんは今何処に?」

「ここだ」

高見沢が指を向けた先にあるモニターには
ライアと激しい戦闘を繰り広げるゾルダの姿が映っている。

「どうして吾郎ちゃんが戦っている!?五郎ちゃんはライダーバトルには無関係な人間だ」

「奴らが奇襲を仕掛けてきてね、それで我々が君を蘇生した恩に報いようと
 彼が自らゾルダとなって戦地に出たのだよ」

信用出来るか……!
北岡が真っ先に思い浮かんだ言葉がそれだ。
仮に吾郎ちゃん自らが志願してゾルダになったとしても
それはそうせざるを得ないように高見沢が誘導したに決まっている。

北岡は仕事の関係上、様々な悪党を見てきたが
高見沢は自分の利益の為なら平気で他人を利用し切り捨てる事が出来る。
そんな人間だと言う事は、同盟関係を結んでいる間に十分理解していた。
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/03(金) 15:54:40.13 ID:FCwW4D+l0
「話はここまでだ、俺はこれから地上にいる連中を始末しに行く
 北岡はまだ病み上がりだ、ゆっくり休んでいろ」

「俺も行かせてもらうよ 吾郎ちゃんの身が心配なんでね」

「…好きにするがいい、自分の身は自分で守れよ」

「わかってるよ」

管理室から出た高見沢と北岡はエレベーターへ乗り込み地上へ向かっていった。
エレベーターのガラス越しに映る外には様々なライダー達の戦う姿があった。

「現状は一進一退…いや、若干こちらが不利か
 ……それぐらいなら何とかなるな」

そう言うと高見沢はポケットから取り出したライダーデッキをガラスに向かって突き出す。

「変身!」パチンッ

エレベーターの扉が開くと中から仮面ライダーベルデへと変身した高見沢が姿を現す。

「吾郎ちゃん!」

ライアの攻撃を受けて変身が解除された吾郎の姿が晒され
その様子を目撃した北岡が声を荒げる。
だが北岡が驚いたのはそれだけでは無かった。
ライアに銃口を向けられた吾郎の顔に不気味な模様が浮かび上がると
吾郎の肉体が変化し灰色の怪物に変化したのだ。

「……高見沢、あんたは吾郎ちゃんに一体何をしたんだ?」

「ライダーバトルで命を落とさないよう強力な肉体を与えただけだ
 秘書を死なせたとあっては北岡に辛い思いをさせてしまう
 蘇生祝いの俺からの餞別のような物だ」

「……そうなの、それはどうも」

そこで会話を切り上げたベルデは北岡を置いて移動していった。
自分の知らない所で秘書を怪物に仕立て上げた高見沢に対し
憎しみを抱いている北岡の心情を知らぬまま
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/03(金) 15:55:43.93 ID:FCwW4D+l0
「貴様もオルフェノクだったのか、だったら尚更生かしておく訳にはいかないなぁ!」

体制を立て直したライアが前進しながらエビルウィップを振るう。
灰色の怪人、グリラスオルフェノクは眼前に迫る鞭を避けようともせず右手で受け止めた。
オルフェノク化の影響で吾郎の動体視力は格段に上昇しており
筋力もゾルダに変身していた時以上に上がっているのだ。

「何!?ぐふぁッ!」

豪腕を生かしてグリラスオルフェノクは鞭を持ったライアごと引張ると
誘い出されたライアを狙い、腕に生えた大きな爪を生かして殴りつけた。
その威力は凄まじく一撃でライアの膝が地面に付き立てなくなる。

「くっそぉ!化け物め…」

先ほどまでゾルダ相手に優勢に運んでいたライアだったが
グリラスオルフェノクの力の差の前に形勢は逆転された。

「目障りなんだよ!薄汚いオルフェノクがぁああ!!」

ライアが両腕を広げて魔力を込めると
頭上で大量のマスケット銃が精製され、全ての銃口がグリラスオルフェノクへと向けられた。

「ッ!!?」

数々のマスケット銃が浮かび上がっている光景に
危機感を察したグリラスオルフェノクは両腕を交差し防御の姿勢を取る。

「防ぎきれるかなぁ?」

全てのマスケット銃が同時に火を噴き、射出された弾幕は
グリラスオルフェノク一点に集中し降り注ぎ
凄まじい爆音が響き渡る。
その破壊力はグリラスの真後ろに存在するビルが余波で半壊しているほどである。

「やったか!?」

砂埃が晴れるとそこには息を切らしながら立つグリラスがいた。
手持ちの魔力の大半を注ぎ込んだ王子戦術では命を奪うには足りなかった。

「フン……まだ足りないか」

「…ぐぐっ……はぁはぁ……」

「もう止すんだ吾郎ちゃん!」

グリラスの苦しむ姿を見て北岡は生身のまま、反射的に飛び出した。

「せ、先生!?」

「吾郎ちゃん……君が戦う必要は無いよ、だから俺と一緒に帰ろうよ」

「……うっす」

その時、ライアの砲撃で半壊したビルに亀裂が走り、崩れた瓦礫が
北岡の頭上に落下しようとしていた。

「先生危ない!」

「おお!?助かったよ吾郎ちゃん」

速攻で反応したグリラスが瓦礫を払いのけ、危機を脱する。

(こいつらは親しい仲か、フフフ…それは好都合だ)

その様子を見たライアは一計を思いついた。
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/03(金) 15:57:15.41 ID:FCwW4D+l0
「さて……狩るか」

北岡から離れたベルデは一枚のカードを取り出しバイザーに挿入した

『CLEAR VENT』

カードの効果によりベルデの姿は闇に消えた。

(一匹ずつ順番に始末してやろう)

姿を消しながら迫りくる暗殺者の存在を知る由も無いデルタとオルタナティブは
強化ライオとインペラーに引き続き攻撃を仕掛けていた。

「そりゃそりゃそりゃそりゃーーーーッ!!」

「ヤバイ!キツイ!もう無理!死ぬ!マジで死ぬ!まず性能差でつんでる!琢磨さんヘルプ!ヘルプ!」

「出来ません!私もデルタの相手をするだけで精一杯なんです!」

「こんのおおおおお!!」

オルタナの高速攻撃が効いており戦況は優位…だが

(戦いに夢中になって、こんな無防備な背後を見せるとは
 嬉しくて思いっきり痛めつけたくなるぜ!)

両腕に装備されたヨーヨーを強く回転させた勢いで
二人のライダーを背後からヨーヨーで叩きつけるようにぶつけた。

「あれ?」

「なぜ倒れたのでしょう?」

衝撃で倒れるオルタナとデルタを見て二人はあっけに取られる。
その間にベルデは二人の傍まで移動し簡単な指示を出した。

「おい琢磨、オルタナティブは俺が殺る。その間にデルタを足止めしろ」

「高見沢様!?は、はい…了解しました!」

「佐野は俺が合図を送ったらFVを使え」

「分かりました!」

指示を受けた強化ライオは起き上がったデルタに向かい
インペラーはすぐさまFVを発動出来るように待機した。

「ほらほらぁ!」

「うぐ……」

ベルデのヨーヨーによる攻撃がオルタナに被弾する。
ダメージを受けながら反撃の機会を伺うが
ベルデの姿が見えない為に対応のしようがない。
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/03(金) 15:58:08.59 ID:FCwW4D+l0

「うわっ!」

何度も攻撃を食らい続けたオルタナはバランスを崩すと
それを見計らっていたようにヨーヨーがオルタナの周囲を旋回し
体に糸が巻き付けられていった。

「佐野、殺れ!」

『FINAL VENT』

電子音声と同時に大量のゼール軍団が回転しながらオルタナに迫る。

「う…わああああああああああ!!」

ゼール軍団の特攻が直撃する寸前に糸が巻き戻され拘束が解かれたオルタナに
次々とゼール軍団の攻撃が命中し、最後にインペラーの膝蹴りを浴びせられ
蹴り飛ばされたオルタナは身動きが取れないほどのダメージを負った。

「あ……ああ……」

瀕死になったオルタナのぼやけた視界には
自らが使っていた武器であるスラッシュダガーが空中に浮かんでいるのが見えた。
それは目の錯覚だと彼は思った。
だが刃の先が自分の喉元へ向けられていくのを見てそれは現実だと理解した。

スラッシュダガーがその姿勢のままゆっくりと上昇していき、刃が喉元から徐々に離れていく。
ある程度上昇した所でスラッシュダガーが勢いよく落下し
真下にいるオルタナの喉元に突き刺さった。

「―――ッ!!――――ッッ!!!」

手足をバタバタさせながら何かを叫ぼうとするが
声帯は完全に破壊されゴボゴボと口から血が溢れる音しか聞き取れない。

オルタナの薄れ行く意識の中で見た者は
ステルスが解除され姿を晒したベルデがまるで自分の死する姿をあざ笑うかのように
見下しながらスラッシュダガーを両腕で掴んでいる姿であった。

ビクン!ビクン!と何度か痙攣を繰り返した後、オルタナは完全に動かなくなった。
その様子を確認してからベルデはオルタナのベルトからデッキを引き抜いて
変身を強制解除させた。
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/03(金) 15:59:07.64 ID:FCwW4D+l0
「はぁーはっはっはっ!まずは一匹」

「あんたは!?高見沢ぁあああああああ!!!」

「げふっ」

「あん?中坊のガキ風情が俺を呼び捨てか」

ベルデの姿を見たデルタは殺意が剥き出しになり
強化ライオをぶっ飛ばしながら駆ける。

「杏子の…杏子の仇ィイイイイイイイ!!」

闘争本能のままに行動したデルタは足のバネを生かし飛び上がると
両腕で掴んだ剣をベルデに向かって全力で斬りつける。

「阿呆が、動きが単調なんだよ!」

斬撃を避けたベルデは、ヨーヨーをデルタの足元に放ち
糸を絡みつかせ転倒したデルタの頭部を踏み砕かんとばかりに踏みつけた。

「汚い足で…踏むんじゃないわよ」

「フン…呆れるほど頑丈な奴だ」

ベルデの足を押し退けてデルタは立ち上がる。

「…んで………いな……が……」

「あ?」

「なんであんたみたいな奴がライダーになってるのよ!?」

「はっ!ライダーになるのにお前の許可がいるのかよぉ?」

「ライダーは正義の味方が変身するヒーローなのよ!」

「それは都市伝説での話だろうが!現実は非情なんだよ」

「違う!正義のライダーは実在する!あたしは認めない…あんたみたいなライダーを!」

「別にてめえに認めて欲しくねえな」

ベルデの拳を受けてデルタが吹き飛ぶ。
外見に見合わずベルデは強かった。
身体能力自体はさやかデルタとそれほど差は無いだろう。

だが相手の弱点や有効な戦術を見極める冷静な判断力や
相手の命を奪う事に全く躊躇しない冷酷な性格による差が大きく
タイマンでは手も足も出ないでいた。

幸いにもその戦いの中、インペラーは容赦無くオルタナを殺害したベルデの戦いを見て
血の気が引き完全にブルっており
強化ライオもオルタナやデルタの攻撃で体はボドボドになっている。

そんなライオは偶然にも空中で戦う二人のライダーの姿が視界に映った
そのライダーの一人は有能な後輩オルフェノクであるレオが装着するサイガである。
サイガと戦っていた一方のライダーが体をドリルのように変形したと思うと
急降下してサイガを貫き、着地した。

「レオさん!」

サイガを殺害したライダーは強化ライオには目もくれず
ベルデやデルタのいる方角へと向かっていく。

「高見沢!」

「てめえは…秋山蓮、という事はレオはしくじったか」

「お前は俺が倒す」

「倒す…か、面白い。出来る物ならやってみな!」
257 : ◆e.kHvEXe9/gu :2012/02/03(金) 16:03:46.13 ID:FCwW4D+l0
投下終了
投下終わってから鳥忘れに気付いたので今貼りました
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/03(金) 16:29:12.11 ID:RYQC/Ngro
前回カイザとサイガ間違えてすんません。乙でした!

おう…香川さん死んでしまったかあ…てかベルデつええなおい。流石高見沢。草加との謀略対決気になるなあ。次も期待してます!!

佐野と琢磨はもう帰れよ!
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/02/03(金) 16:34:39.32 ID:H5R2h/yro
きてたー!

乙乙乙乙
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/02/03(金) 21:41:09.00 ID:FhXyPasuo
高見沢かっけぇマジかっけえ乙!
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/04(土) 18:23:04.05 ID:IK7TxJLeo
琢磨くんマジ琢磨君wwwwwwww

262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/02/20(月) 03:50:12.01 ID:Uvusa2+co
まだか
263 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/02/29(水) 10:10:25.94 ID:qqYadXve0
(魔力がだいぶ消耗している、マスケット銃はあまり使えない
 ならFVで仕留めさせてもらおうかな)

見た所、目の前にいるオルフェノクは弾幕でそれなりにダメージを受けている筈
更にあと一撃、強力な攻撃を加えれば致命傷を与えられるだろう。
ならチャンスは今だ。
あのオルフェノクが身を挺して庇う程の人間が傍にいる今が。
そう考えたライアはデッキから一枚のカードを抜き取る。

『FINAL VENT』

「はぁッ!」

ビルのガラスからエビルダイバーが出現し
その上にライアが飛び乗るとエビルダイバーと共にグリラスオルフェノクへ向け特攻する。
迫るライアの攻撃に気付いたグリラスオルフェノクが回避の姿勢を取る。

「避けるとお前の傍にいる男が死ぬ事になるぞッ!!」

「!?…先生!」

「うぉわ!」

ライアの声を聞いたグリラスオルフェノクは急ぎ自分の傍から離れるように
北岡を突き飛ばしハイドベノンの攻撃範囲から遠ざけた。

「吾郎ちゃん……?」

突き飛ばされる中で北岡が見た物は
ズシュッと肉が裂ける音と共に
ライアの特攻を受けて倒れるグリラスオルフェノクの姿であった。

隙の大きいFVは普通に使った所で避けられるかガードされるのは予想が付く。
そこでライアは北岡を利用し隙を作る策に打って出たのだ。
策は見事に成功したライアはオルフェノクの様子を見に行った。

「フッフッフ…甘いなぁ君は、まあそのおかげで俺の思い通りに勝てたんだけどね」

倒れたグリラスオルフェノクは右肩から左腹部まで大きな切り傷を負い
体の至る所から青い炎が吹き出ていた。
死が迫っているこの現象。間違いなく致命傷だ
完全な勝利を確信したライアは笑いを堪え切れないでいる。

「じょ…冗談でしょ?吾郎ちゃん……吾郎ちゃん!!」

「……チッ、うるさいなぁ」

北岡の声は勝利の余韻に浸っていたライアに不快感を与えた。

「君は何者か知らないけど、奴らの仲間なら仕留めておいた方が賢明かな」

「………………」

北岡はライアを恨めしそうに睨みつけた。

(その目、気に入らないなぁ)

「……………!?」

途中から北岡は驚愕するような目に変わる。

(俺に殺されるのが怖くなったのかな?今さら後悔しても遅いけど…!?)

そんな予測は外れだとすぐに理解する事になる。
背後の気配に気付いたライアが振り向くと
体が燃えながらもライアへ向かって歩くグリラスオルフェノクがいたからだ。
264 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/02/29(水) 10:11:16.86 ID:qqYadXve0
「貴様まだ動けて」

グリラスオルフェノクの豪腕がライアの首を掴んだ。

「グッ!?」

残り僅かな生命の全てを注ぎ込むかのように力を込めた。
ライアの首がメキメキと締め上げられる。

「ガッ……ググ……アアア!!」

ライアが手の平からマスケット銃を構築すると
グリラスオルフェノクの胸元に押し付けて引き金を引いた。
銃弾がオルフェノクの体を貫き小さな穴が開いた。
灰化が進んでいるからか肉体の強度が著しく下がっているのだろう。
だがそれでも首を絞める力は緩めない。

(消えろ……早く灰になって……消えろ!)

更にマスケット銃を構築し何度も攻撃を繰り返した。
だが何発か撃った所でマスケット銃の練成が出来なくなる。
もうマスケット銃を作るだけのエネルギーは残っていなかった。

(この俺が……こんな所で……)

ライアの意識が朦朧とし抵抗する力が抜けていく。
意識を失いかけた時、首を絞める力が消えライアは地べたに倒れた。

「げほっ!ごほっ!スゥゥ…はぁはぁ……何だ?」

ライアが咳き込みながら見上げるとグリラスオルフェノクの肩から先が無くなっていた。
腕が灰化で消滅した事により本人の意思とは関係無しに手を離していたのだ。

「ぐう……!」

灰化によって足も崩れ去りグリラスオルフェノクはバランスを崩す。
体を捻りながらも動こうとするがライアが近づき片足を上げた。

「はぁはぁ…よくもやってくれたなぁ…」

首を絞められた時に本気で死を覚悟させられたライアは憎しみを露にして
グリラスオルフェノクの頭部を踏み砕き、命を吹き消した。
これで厄介な奴が一人、完全に消す事が出来た。

(そういえば奴がいないな……逃げたか)

ライアは辺りを見渡すがオルフェノクと親しかった男がいなかった。
それは気がかりだが現状で最優先するべきなのは
他の敵と戦ってるライダー達への支援だ。
呼吸を何度か繰り返し落ち着いたライアは早速行動に取り掛かった。
265 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/02/29(水) 10:12:11.49 ID:qqYadXve0
「おー!あんたらまだ生きてたんだw」

「縁起の悪い事言わないでください、私は死ぬつもりありませんよ」

強化ライオとインペラーの元へガイがやってきた。
その足取りはややふらついており、まだダメージが残っているのだろう。

「芝浦と戦ってたのはたしか東條だっけ?あいつは殺したの?」

「いいや、良い感じに追い詰めたんだけどねー 痛み分けで終わったよ」

「そうですか、ならこの後は私達と一緒に高見沢様の援護に回りましょうか」

「ああ〜、俺もう疲れたし帰るわw」

「え?」

「それにもうカードを全部使い切ったから大して戦えないからさ」

「何を言ってるんですか!カードが一枚も無くたって本当にライダーの資格があるなら行けますよ!」

「そういう熱血なのってウザイから好きじゃないんだよねー」

「芝浦さん、時には生身でミラーモンスターに挑むほどの気概を見せるべきです」

「欧米じゃないんだから、そんな試練なんかやりたくねえしw
 俺は高見沢さんと一時的に同盟を組んでるだけだから
 琢磨と違って配下になった訳でも無いし命を捧げる程の関係じゃないんだよね」

「確かに無理強いは出来ませんが……」

「佐野はどうする?まだ残って戦うの?」

「佐野さんはまだ帰らないですよね?」

「……うーん………どうしよう……」

テンテンテンテン♪テンテンテンテン♪(キバOP風シンキングタイム)

「琢磨先輩、お先に失礼しまーす!あとは頑張ってくださいね!」

「えええええええ!?」

「いやあ俺もカード全部使っちゃってもう戦えないんで、だから悪く思わないでくださ〜い」

「よし、戦いで腹も減った所だしどっかで飯でも食いに行かね?」

「じゃあアギトはどう?それほど遠くないし美味いよ」

「おお、いいね〜」

ガイとインペラーは談笑しながらその場を去っていった。

「……どうしましょう、私一人で戦いに出てもどうにか出来るとは思えませんし
 手柄を立てないと高見沢様からお咎めを受けてしまう……」

強化ライオは疲労した肉体でどうすれば活躍出来るか
立ち去る二人を見ながら必死に考え続けていた。
266 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/02/29(水) 10:13:36.11 ID:qqYadXve0
「ハァッ!」

「遅いぜ秋山ァ! そんな動きじゃ俺を殺れねえな オラァ!」

「ぐぁッ!」

ウイングランサーを持ったナイトの突きをベルデは軽々と避け
跳躍して背後に回り飛び蹴りを浴びせる。

「どうやらレオとやりあった時の疲労が癒えてねえみたいだな
 そんな様で大口を叩くとはお笑い種だ」

「このお!」

「おっとお、危ねえ〜」

剣を精製したデルタがベルデへ向かって投げつけるが全て回避される。

「美樹、下がれ お前では無理だ」

「それは出来ないです!あいつだけは私が倒さないと!」

「なんだ 仲良く庇い合いか?フン、心配なら不要だ どの道お前らは全員」

ベルデが背後へ指を差し向ける先には
先ほどベルデによって殺害されたオルタナティブの装着者、仲村の死体があった。
その時、ビルのガラスから長い舌が伸ばされ
死体を絡め取るように巻き付くと
ミラーワールドの中へと引きずり込んでいった。

「こいつと同じようになるからなぁ!ハーハッハァ!」

「うあああああ!!」

「待て!美樹!」

「ハハハハハハハ!追いつけるものかよ」

怒りに駆られ特攻したデルタを前にベルデは逃走を図る。
移動中にバイオワインダーでビルの突起物に引っ掛けロープ代わりにする事で
トリッキーな動きで空中を飛び回りデルタの追跡から逃れた。

「よっと……じゃあ次はこいつを使って仕留めてやるか」

探し回るデルタの姿を上空で確認しながらベルデはデッキからカードを引き抜いた。

『COPY VENT』

カードの効果によりベルデの姿が変化していく。


ベルデが新たな策を講じてる間、デルタは周囲を警戒しながら移動していた。

(あいつの事よ、絶対に何か卑怯な手を使ってくるに決まってる!)

ヒュバッ

「きゃっ!」

空気を裂くような鋭い音と共に長い舌がデルタへ襲いかかる。
その舌の正体はベルデが契約したカメレオン型モンスター、バイオグリーザである。
デルタがミラーワールドへ侵入出来ないのをいい事に
長いリーチを生かして何度も襲いかかる。

「進入経路さえ防げば」

デルタのパンチでガラスが破壊されミラーワールドからの干渉を防ぐが
次は別のガラスから再び攻撃が繰り出された。
高層ビル街で戦う限り、攻撃場所はいくらでもあるのだ。

267 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/02/29(水) 10:14:43.57 ID:qqYadXve0
ガキン!

「蓮さん!?」

金属が衝突し合う音が響き、デルタが振り返ると
ナイトがデルタを庇うように立ち塞がりながら
バイオグリーザの舌をウイングランサーで弾いていた。

「ギギ!?」

ミラーワールドへ入ったナイトはバイオグリーザへ追撃を与え
何度か突きを食らうとバイオグリーザは怯み、逃げ出していく。
その様子を確認してからナイトはデルタの元へと戻った。

「あ…ありがとう」

礼を言われたナイトだが視線はデルタの方を向いておらず
警戒したように身構えている。
ナイトの視線を追って見ると遠くにはもう一人のナイトがいた。

「あ…あれ?ナイトが二人?」

思考が一時的に纏まらなくなるがデルタは思い出した。
ベルデには擬態能力がある事を
過去にナイトに擬態したベルデによって痛手を負わされた事を

デルタから離れて立っていたナイトがウイングランサーを構えてこちらへ走り出す。
その狙いはデルタへと向けられている。

「あんたが高見沢ね!」

迫ってくるナイトを迎え撃つべくデルタが動く。

「がッ……!?」

デルタの背後から鋭い衝撃が走る。
バイオグリーザの攻撃からデルタを庇ったナイトが
ウイングランサーで背後から突き刺したのだ。

「ククッ!笑いをこらえるのに苦労したぜぇ」

「うう……それじゃあ本物は……」

こちらへ向かっているナイトが本物だったんだ。
そうデルタは思い込んだ。
だがそれはすぐに間違いだったと気付く。

こちらへ到着したナイトがデルタをザクリと突き刺す。

「ぐうッ!」

「残念、このナイトも偽者だ 何度も引っ掛かるとは馬鹿は死ななければ治らないか?」

周囲から更にナイトが集まって行き、最大五人にまで増えた。
偽者は複数存在していたのだ。

「美樹!」

デルタの装着者であるさやかの名を呼ぶナイトが駆けつけてきた。
そこでデルタはようやく気付いた。
ベルデが擬態した偽者は今まで声を発していなかった事を
姿は真似出来ても声までは真似る事が出来ないのだと

「よう秋山、てめえの能力で仲間が追い詰められる気分はどうだ?」

「………………」

ナイトは無言のまま動いた。

「もう口を聞く余裕も無いか」

それに合わせて偽のナイト達も動き、ナイト同士の戦いが始まった。
268 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/02/29(水) 10:15:58.75 ID:qqYadXve0
複数のナイトが入り乱れて争う状況の中で
デルタは耳をすませて音を聞き取っていた。
誤って本物のナイトへ攻撃しないように蓮の声を聞くためだ。

(分かった!)

蓮の息遣いから本物のナイトの動きを察知したデルタは剣を精製すると
偽のナイトへ向かって投げつけた。
剣が次々とナイトへ突き刺さり、ガラスの割れるような音と共に消滅していった。
蓮が装着する本物のナイトを残して。

『FINAL VENT』

「あ……」

ベルデのデスバニッシュがデルタを捕え
空中で何度も回転を加え遠心力を駆けてからアスファルトの地面に頭部を叩きつけた。
その衝撃を受けてデルタギアは外れ
変身が解除されて装着者である美樹さやかの姿が露になる。

ナイトと戦った分身の中に擬態したベルデはいなかった。
ベルデは分身をナイトの足止めにする為の囮として利用し
ナイトと戦う振りをしながら距離を取った後に擬態を解除してFVを発動したのだ。

「うおおおッ!」

「その程度の事で怒りにかられるたぁ、お前も所詮甘ちゃんだな!」

バイオワインダーでナイトの足に引っ掛け転倒させると
ベルデはナイトの頭部へ向かってサッカーボールのように蹴りを放った。

「気負いだけでどうにかなると思ったか?馬鹿め!」

戦闘音を聞きつけてやってきたタイガは
ナイトを見下ろすベルデに向かって背後からゆっくりと近づいていき
デストバイザーをベルデの首めがけて振り下ろした。
269 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/02/29(水) 10:17:50.93 ID:qqYadXve0
(英雄は遅れてやってくる者だよね)

「バレバレだぞ」

「!?」

デストバイザーを回避したベルデはタイガの顔面に裏拳を叩き込みねじ伏せた。

「てめえも芝浦に受けたダメージが抜けてねえようだな
 くたばりぞこないの雑魚が何人束になってかかろうと無駄な足掻きだ
 諦めて大人しく殺されてろ、ん?」

ベルデはピクッピクッとさやかの手が動いている事に気付く。
その手が地面に触れるとゆっくりと上半身を動かしてから立ち上がった。

「……まだ動けたか」

さやかにデスバニッシュを食らわせた時に、首の骨はありえない角度に曲がり完全に折れ
口内や鼻腔からも出血がどくどくと流れ、普通の人間なら確実に致命傷となるダメージであった。

「あはははっ!!この程度の痛みなんて杏子が受けた痛みなんかと比べたら何でもないわよ!」

両足に力を込めたさやかはベルデに向かって全力で駆け出す。
首が折れたまま走るその光景は、まだ動ける状態と言うよりは
死体を無理矢理動かしていると表現する方が的確だろう。

その不気味とも言える行動に対しベルデはバイオワインダーで迎撃を狙う。
これが佐野や琢磨のようなヘタレであったなら驚きのあまりうろたえて、対応が遅れていただろう。
だが高見沢はそんなヘタレ共とは違う。
常に現代社会で勝ち抜いてきた高見沢は争い事に関して踏んできた場数が違うのだから
予想外の状況に対面しても、すぐさま的確に判断し行動する事が出来る。
時間にしてもほんの一瞬程度にしかかからなかっただろう。
だがその一瞬で状況は更に変化した。

「これ以上お前の好きにはさせない!」

「僕は…英雄になるんだ……」

ナイトがベルデの首にチョークスリーパーをかけて絞めると
タイガも続いてベルデの右足に抱きつき動きを封じた。

「何!?てめえらッ!!」

「うおおおおおりゃああああああああっ!!」

首の骨が折れ曲がっているせいで視界がぼやけて狙いが定まらない。
だけどベルデに攻撃を当てるチャンスはこれ以上無いかもしれない。
そう考えたさやかはこの一撃に全力を賭けて剣を突き出した。

「馬鹿な……この俺が……てめえ如きに……」

二人からの拘束を強引に振り払ったベルデは自分の体に付いているベルトを凝視した。
そこには さやかの剣がデッキの中心を貫いた状態で刺さっている。
貫かれたデッキの箇所から亀裂が走り、デッキが粉々に砕けると
変身が解除され、怒りと驚きが混ざったような表情を浮かべる高見沢の姿が露になった。
270 : ◆e.kHvEXe9/gu :2012/02/29(水) 10:22:14.57 ID:qqYadXve0
投下終了

このSSのベルデはボス補正かかってるのでスパロボ風に言えば
必中使わないと攻撃が殆ど当たりません
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 15:28:29.44 ID:DXmA1fA3o
乙でした。ようやくベルデ退場か?…さやかちゃん退場フラグもたってるけど。

吾朗ちゃん…はええよ。このシリーズは本当によく登場キャラ死ぬなあ。
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/02/29(水) 16:20:01.40 ID:T0zfZXcCo
おっつー!

このベルデ名前の後ろにSPとかV2とかついてそうなんだけど
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/03/01(木) 02:41:23.27 ID:K9Auq7e9o

久々にギャグパート見た気が
274 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/03/12(月) 16:38:23.67 ID:5nwaKLM00
――高見沢ビル地下――

「グォオオオオオオオオ!!」

「な、なんだよこれー!」

「驚いている暇はありませんよ、脱出するにはアレを排除しなければなりません」

巨大な怪物であるエラスモテリウムオルフェノクが二人のライダーを睨みつけながら迫る。
唾液を垂らしながら大きな口を開くその様は
相手を捕食するつもりなのだろう。

『SWORD VENT』

『SWORD VENT』

「城戸君、お互い離れながら戦いましょう その方が敵の狙いが散漫になります」

「分かった!」

武器を持った龍騎とオルタナゼロがオルフェノクを囲むように移動した。

「グォオオオン!!」シュパパパ

「おわあ!あぶねえ〜」

龍騎はオルフェノクの額から射出された針を剣で切り払いながら回避する。
その隙を付き、オルタナゼロは背後から仕掛ける。

『ACCELE VENT』

カードを装填すると同時にオルタナゼロのスピードが格段に上がり
オルフェノクの体に次々と斬撃を浴びせた。

「ギャオオオオオオン!!」

「はあッ!」

オルフェノクに向かって跳躍した龍騎はドラグセイバーを両手で掴み
縦に真っ直ぐ振り下ろし、オルフェノクの頭部を斬り付けた。

「グルルルルルルルル!!」

「うわっ!」

ダメージを受け怒り狂ったオルフェノクががむしゃらに振るった前足が龍騎に直撃し吹き飛ばす。
壁に衝突しながらも龍騎はデッキからカードを取り出してバイザーに挿入する。

『STRIKE VENT』

「おりゃあああ!」

「グオオ!?」

ドラグクロー・ファイヤーが直撃し
炎に包まれたオルフェノクが悶絶しながらうめき声をあげる。

「タフ過ぎるだろ…」

「だが確実に効いています 同時にFVを使いましょう」

「ああ!」

『FINAL VENT』

『FINAL VENT』

バイザー音と共にドラグレッダーが龍騎の周囲を旋回した後に上昇し
サイコローグがバイク形態に変形し走り出す。
龍騎もドラグレッダーの前方で跳躍しながら宙返りをして
オルタナゼロがサイコローダーに乗り込み回転を駆ける。
275 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/03/12(月) 16:39:15.96 ID:5nwaKLM00
「たあああああああああッ!!」

「ふんッ!!」

「グオオオオオ!!」シュパパパ

龍騎のドラゴンライダーキックとオルタナゼロのデッドエンドが
オルフェノクが射出した針を弾き飛ばしながら突き進む。
二体の必殺技が直撃すると同時に爆発したような轟音が鳴り響き
オルフェノクが吹き飛ぶと、壁に衝突し巨体が横向きに倒れた。

「はあ…はあ…どうだ?」

「グオオ……オオ……オオン…」メラメラメラ

灰化によって青い炎に包まれたオルフェノクは巨体が崩れ去り
灰の山を残して消滅した。

「では早くここから脱出しましょう、仲間達の安否が気になります」

「それなら、ドラグレッダー!」

「ギャオオオン!」ヨンダ?

「モンスターを呼んでどうするつもりですか?」

「俺達が落ちた所から戻るのが一番早いと思って」

「ふむ、それは名案です」

「じゃあドラグレッダー!俺達を上へ運んでくれ!」

「ギャオオオオン」コクコク

龍騎とオルタナゼロを乗せたドラグレッダーが飛び上がり
火の玉を吐き、天井を破壊して地上へ抜け出す事に成功したのだった。
276 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/03/12(月) 16:40:27.78 ID:5nwaKLM00
「まだよ……まだ……」

さやかの一撃によりベルデのデッキは破壊された。
だがそんなことでさやかの怒りが治まるはずが無い。
杏子の命を奪った憎むべき男である高見沢は
まだピンピンしているのだから

「今の内に……」

一歩一歩ゆっくりと歩きながら高見沢に迫る。
デスバニッシュを受けたばかりのさやかの体はまだ癒えておらず
頭がシャフト度に曲がり血涙も流れているが
この絶好の機会を逃すわけにはいかない。

「『今の内に』と言ったなぁ……それは俺がライダーに変身していない今なら……
  生身を剥き出しにした俺になら簡単に殺せると思っての発言かぁ?」

さやかの言葉に怒りを覚えた高見沢の顔に模様が浮かび上がり
肉体が灰色の怪人へと変化していく。

「粋がってんじゃねえぞ!俺の人生の半分も生きてねえクソガキがよお!!」

高見沢は由良吾郎と同じように改造手術をその身に施し
オルフェノクとしての力を得ていたのだ。
その名もクリオネオルフェノク
クリオネをモチーフにしたその姿は
他のオルフェノクと比べて透明なボディを持ち内臓がうっすらと見えている

「か…怪物……」

「怪物だぁ?ハッハッハ!そうさ 俺は怪物になったさ!
 生半可な力じゃライダーバトルに勝ち残るには不可能だからな」

「高見沢、その身を化け物に変えてまで何を願う?」

「力が欲しいんだよ 権力、財力、軍事力、ありとあらゆる面での圧倒的な力をなぁ」

「そんな願いの為にか?力なら既に十分、手にしているだろ」

「足りねえな、この程度の力では俺の中の欲望は満たされやしないのさ!
 それに蓮 俺に言わせりゃ他人を助ける為に戦うお前の願いの方がくだらねえ
 そんな甘さでライダーバトルで勝ち残れると思ってるのか?」

「もういい……分かったわよ……この男だけは絶対に殺さなければならないってね!」

「今のてめえにそんな力があるとは思えんがなぁ ハアッ!」

クリオネオルフェノクの頭部がぐにゃりと変形して内部が露出され
内側には鋭い歯が多数生え並んでいるのが見えた。
変形した頭部が触鞭へと変わりさやかに向かって振るわれる。
頭部その物が巨大な口であり武器でもあるのだ。
277 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/03/12(月) 16:41:15.78 ID:5nwaKLM00
「くうう……!」ガキン!

さやかは蝕鞭からの攻撃を剣で受け止めると
刃物が衝突し合う金属音が鳴り響いて弾き飛ばされる。

「くはあ〜やはり、保険としてオルフェノク化しておいたのは正解だったな
 この力を得てから無駄に食欲が沸く様になったが
 護身用としてはこれ以上無いほどの便利な能力だ
 以前に俺と戦ったあいつはたしか…佐倉杏子と言ったかな?」

「……………ッ!?」

「あのガキが俺を道連れに自爆しやがった時は正直、肝が冷えたぜ
 ライダーに変身していたとはいえ、オルフェノク化による肉体強化が無ければ
 命を奪われてたかもしれなかったからなぁ
 だが 所詮はガキの浅知恵、俺の知能には遠く及ばずに無駄死にしただけだったが
 フフフフ……こうも滑稽な死に様だと笑えるぜ
 ハハハ……ハァーハハハハハハ!!」

「笑うなぁああああああ!!」

美樹さやかによってベルデのデッキを破壊された損失は大きい
だから罰として出来る限り苦しませて無念の内に殺してやろう。
高見沢はそんな考えを持って煽ったのだ。

「ハハハ!ガキ同士あの世で仲良くしてなぁ!」シュルル

複数の蝕鞭がさやかに迫るその瞬間
別の鞭がクリオネオルフェノクに迫り攻撃が阻害された。

「まだオルフェノクがいたか ならさっさと始末しないとねえ」

エビルウィップを手に持ったライアがクリオネオルフェノクの前に立ち塞がる。

「草加さん!」

「ライアがここにいる という事は由良はしくじったか おっと」ガキン

「」チッ

(東條め ドサクサに紛れて不意打ちしやがって)

「そろそろおしまいかなぁ ん?」

「なんだぁ?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

地面から振動が起きているのに気付き辺りを見渡したその時
アスファルトの一部が爆発し、煙幕の中からドラグレッダーが出現し
背に乗っていた龍騎とオルタナゼロを降ろすとミラーワールドへ帰っていった。

「ギャオオオオオオン!」

「ふう…やっと出られた」

「まだ仲間達は生きているようですね」

「真司!」

「城戸か」

「先生!」

「あの実験体もくたばったか どいつもこいつも不甲斐ねえな」
278 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/03/12(月) 16:41:57.89 ID:5nwaKLM00
「これでチェックメイトと言った所かな」

龍騎とオルタナゼロが合流した事で6対1という人数差になり
圧倒的優位な状況になった
それでもクリオネオルフェノクに焦る様子は見られない。

「確かに今の状況を客観的に見れば俺が振りに見えるだろうな
 だがこれだけの戦いをしたんだ、てめえらの体力はかなり消耗しているはずだ
 加えて手持ちのカードも殆ど使っているときた
 それに加えて俺にはまだ切り札が残ってるんだぜ!」パチン

クリオネオルフェノクが指を鳴らすと同時に複数のライオトルーパーが集まる。

「今のてめえら相手なら、こいつらで十分だろう
 ライオ隊!俺は一旦引く、その間戻るまでこいつらの足止めをしろ!」

「「「「「「ハッ!!」」」」」」

「高見沢!っくぅ」

「待ちなさい 奴らの排除が先です それに貴女は肉体の損傷を受けすぎています」

「さやかちゃん下がって!後は俺達がなんとかするから!」

「真司……」

さやかが痛覚を遮断しているとはいえ、連戦による消耗や
人間なら即死するほどの攻撃を受けて肉体の負担はピークに達している。

「安心するんださやかちゃん、高見沢の言うとおり手札は消耗してしまったが俺にはこれがある」

魔力もカードも消耗したライアでの連戦は辛いが草加にはまだ変身道具を残している。
ライアのデッキを外し、元の姿に戻った草加はカイザドライバーを腰に巻き付けカイザフォンを開いた。

『9・1・3 Standing By』

「変身!」

『Complete』

草加にはカイザギアがある。
例えライアが使えなくなったとしても戦う手段は消えていない。

「高見沢様達のおかげで相手はヘトヘトだ 今なら確実にやれる!」

「おい!俺たちの目的はあくまで足止めだ 無茶はよせ」

「時間を稼ぐのはいいが、別にアレを倒してしまっても構わんのだろう?」

一体のライオが先走って突っ込んでくる中
カイザはカイザショットを右手に装着しカイザフォンのENTERキーを入力した。

『Exceed Charge』

「そらぁ!」

グランインパクトがライオに直撃し
Xの字のフォトンブラッドが浮かびだすと灰化して消滅した。

『Exceed Charge』

「はぁあああ!」

続けてカイザブレイガンからエネルギーを発射させ
二体のライオの体を拘束してから
アバンストラッシュのような構えでカイザが突進し
拘束した二体のライオを貫き灰化させる。

「今です、彼に続き攻撃を仕掛けるのです」

一瞬にして三体のライオを葬り去ったカイザの奮闘ぶりにライオ隊は怯み
その隙を見逃さなかったオルタナゼロの指示に従い、攻勢に出た。
279 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/03/12(月) 16:43:41.95 ID:5nwaKLM00
――高見沢ビル内部――

「高見沢様〜お呼びでしょうか〜?」

「ああ 今、待機している戦闘員を第三会議室に集めろ 負傷兵も問わずだ
 それとこのデッキを迅速に解析と複製をしろ」

「わっかりました〜」

高見沢は仲村の死体から奪い取ったオルタナティブのデッキを研究者に渡し
指定した第三会議室で兵士が集まるのを待った。
そして数分後…

「…12人集まったか 十分だな」

「高見沢様、私達を集めて何を?」

「それはだなぁ こうするためさ」ヒュバ

「……え?」ザクッ

オルフェノク態となった高見沢の蝕鞭が男の体を貫いた。
驚愕の表情を浮かべた男の体が石の様に固まり動かなくなる。
高見沢のオルフェノクとしての能力で
他のオルフェノクを結晶化させ捕食する事により
一時的に戦闘力を増大する事が出来る。

「高見沢様!なぜこのような事を!?」

「これを使うのさ!だが俺の肉体ではこれに耐えられない
 そこでだ、お前達全員分のエネルギーを集結させれば
 使用に耐えられるだけの力が手に入るのさ!」ヒュババババ

「…ああ……ぎゃああああああ!!」

複数の蝕鞭が次々と男達を貫き結晶化させた後
唾液を垂らしながら大口を開けて
頭から飲み込むように丸かじりにして捕食を繰り返した。

「くふう 流石に腹がきついぜ じゃあ腹ごなしに奴らを皆殺しにするか」

クリオネオルフェノクが会議室から出ると、すぐさまビルから飛び降りて
再びライダー達の下へたどり着いた。

「待たせたなぁ! 早速見せてやるよ、俺の用意した切り札をな」

『0・0・0 Standing By』

「変身!」

『Complete』

金のフォトンブラッドに包まれた地の帝王のライダー
仮面ライダーオーガに変身した。
280 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/03/12(月) 16:44:11.82 ID:5nwaKLM00
「ふん さっさと終わりにしてやるよ」

カイザブレイガンを持ってカイザはオーガに斬りかかり
その攻撃をオーガストランザーで受け止めた。

「どうした?それが全力か?はぁっ」

「ぐわぁ!」

オーガの拳を受けカイザは吹き飛ぶ。

「そう何度も不意打ちはさせるかよ!」

「っぐ!?」

背後からまた襲うとしたタイガが切り伏せられる。

「おりゃああああ!」

「何としても倒さなくては!」

「非力非力ィ!」

龍騎とオルタナゼロの同時攻撃も受け流され斬り替えされる。

『Exceed Charge』

「ぬおっ!?」

「でぃやああああああ!!」

「こんなもの…ぬるいわぁ!」

「ぐわああ!!」

ゴルドスマッシュがカイザ共々弾かれ
地面に叩きつけられると同時にカイザの変身が解除し
生身を晒された草加は凄い引きつった顔をしながらオーガから離れようともがく。

「やっぱり高見沢は私が…」

「まて、奴は俺が片を付ける」

「でも蓮さん!」

「俺を信じろ」

「う……うん……」

「ガキの前だからと格好付けるのは勝手だが出来ねえ事は口に出すもんじゃねえぜ」

「………………」スッ

ナイトが一枚のカードを取り出すと。カードを中心に周囲で突風が吹き荒れ
変化したバイザーにカードを挿入するとナイトの姿も変化していく。

『SURVIVE』

「高見沢 決着を付けよう」

「姿が変わっただと? てめえも切り札を用意していたと言う訳か」
281 : ◆e.kHvEXe9/gu :2012/03/12(月) 16:50:32.30 ID:5nwaKLM00
投下終了

吾郎ちゃんはそっくりさんがコオロギ型の怪人をやっていたので
クリラスオルフェノクになりました。
カメレオンのオルフェノクは既出なので
高見沢はクリオネのオルフェノクです。
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/12(月) 16:52:56.67 ID:J8GRTE4+o

マルチーズオルフェノクじゃなかったか……
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/12(月) 18:04:27.29 ID:4zAuulkAo


高見沢め…まだ生きるか…化物になりながら襲いくる点ではシーモアやG成体を彷彿とさせる。やっちゃって下さい草加さん!

配信された555を見て草加が綺麗で驚いた。あんなに綺麗だったのに…どうしてこうなった
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/03/12(月) 18:46:14.03 ID:3+1fdoAro

オーガ! オーガ! オーガ! オーガ!
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/03/12(月) 23:38:08.94 ID:7uE1Enc9o
高見沢がオーガとか共にトップクラスに好きなキャラとライダーじゃないか……素晴らしいっ!乙
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/03/13(火) 18:48:27.18 ID:PjO1IKao0
オーガって心底絶望したような感じが印象的だから、こんなにノリノリで戦ってるオーガが想像つかんな
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/13(火) 23:00:22.48 ID:rQA5x6Abo
おっつー!

木場「オーガに変身したのは俺だけ!」
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/03/26(月) 05:38:39.70 ID:CWqmZrfAO
トリ名忘れちゃったけど一応、生存報告

現在PCが使えない状況なのでしばらく本編の投下は出来そうにありません。
それでもネタが出来しだい携帯から何か書こうと思います
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 18:47:03.09 ID:uW50n787o
>>288
頑張れ〜

どんどん特撮クロスが消えていく…ついに龍騎単体のクロスが落ちてしまった
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/04/05(木) 03:01:18.18 ID:R79h0NKWo
村上さん芸能界復帰するみたいだな
291 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/04/19(木) 16:05:49.85 ID:3uE0EwZAO
これは、まどか達がQBと出会う前のお話
ライダーバトルや魔法少女の戦いを知る以前の日常を少し覗いてみましょう。

(まだかなぁ……まだかなぁ……)

草加雅人は路上で人を待ち続けていた。
誰かと待ち合わせでもしているのだろうか。
そうではない、彼は偶然を装って目当ての少女に近づこうとしているのだ。
その少女の名は鹿目まどか

彼女との出会いは草加がまだ虐められっ子だった頃
近所に住むまどかに助けてもらった事から始まった。
まどかの困っている人を放っておけない優しい性格は
当時、頼れる存在のいなかった草加のハートをゴルドスマッシュし
まどかに異性と母性の両方の面で愛情を求める歪んだ性癖が構築さていた。

彼は一般的に言われるストーカーと呼ぶべき存在だろう。
だが彼はいわゆる『ただしイケメンなら許される』を地で行っており
『たよりがいのある近所のお兄さん』という仮面を身に付け
自分の醜い本性をひた隠しにして生きているので
そんな非難の目を向けられた事は無かった。そして

(まどかキター!!)

目当ての少女を発見し興奮しつつも冷静を取り戻し
あくまでもさりげなく近づきはじめる。

「やあ、まどかちゃん偶然だね」

「あ、草加さん」

息を吸うように嘘を付く草加
まどかはそんな彼に疑いすらしない。

292 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/04/19(木) 16:06:45.71 ID:3uE0EwZAO
「じゃあこれから三人でショッピングに?」

「はい、今日は仁美ちゃんの稽古が休みの日だから」

「放課後に三人で一緒の下校はなかなか出来ませんから楽しみですわ〜」

「いやーさすがお嬢様、苦労してますなー」

「そうか、なら記念に俺がご飯でもおごってあげよう」
(本当はまどか以外のガキにおごるのはごめんなんだが)

これもショッピングを楽しむまどかと自然に絡む為だ。
その為に草加はそんな提案をしたのだ。

「そんな悪いですよ」

「なに遠慮する事は無いさ」
(その控えめな性格も可愛いよ……ハアハア!ペロペロしたい……)

「いいじゃんいいじゃん、人の好意は素直に受け取る物だよー
 で〜も、私達をナンパしようなんて考えたら駄目ですよ♪」

「ははは、そんなつもりは無いさ」
(おい青、鏡で自分の姿見てから発言するべきじゃないかなぁ?)

「ああ…いけませんわ!三人の女性とまとめて交際なんて不謹慎ですわ〜!」

「まどかちゃんの友達は面白く良い人達だね」
(いったい何を言ってるんだ?このわかめは)

「はい、皆私の大事な友達だから」

「嬉しい事言ってくれるねぇ〜やっぱりまどかは私のお嫁さんになれ〜!」

「キャーさやかちゃーん///」

「仲が良いね君達は」
(違う!まどかは俺の妻で母親になるんだ!)

293 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/04/19(木) 16:07:31.18 ID:3uE0EwZAO
「ねーねー、ここのお店にしない?」

さやかが指を向けた先はハンバーガーショップで
店員がプラカードを持って呼び込みをしていた。
プラカードには『ハンバーガー3個で300円』と書かれている。

「じゃあそこにしよう」
(まぁ安い方だから悪くはないな)

店内に入り注文を終えた後、席に座った草加はある話題を持ち出した。

「それで勉強の方は上手く行ってるのかな?」

「最近はちょっと難しくてあんまり……」

草加は知っていた。
まどかはあまり頭が良い方ではない事を
それをチャンスと見た草加は必死に勉強し今では全教科を教えてあげられる事も可能である。
まどかとフラグを建てる為ならどんな努力も惜しまない
そんな恐ろしいまでの執念が草加に宿っているのだ。

「そうか、分からない所があったらいつでも相談に乗るよ
 まどかちゃんの家庭には前から凄くお世話になってるからね
 俺も色々手助けがしたいんだ」
(俺的には保険体育の実技をやりたいなぁ……)

ここで家庭の話を持ち出す事により
まどかを性的に狙っていないアピールをする。
そういう小細工を草加は忘れない。

「実は私も成績はダメダメでー」

「もちろんさやかちゃんにも教えてあげるよ」
(お前に用は無いんだよ、帰れよ)

「本当ですか!?いや〜悪いですな〜」

「遠慮する必要は無いさ」
(悪いと思ってるなら空気読んでほしいな)

「アハハハ♪ハッピーセットに付いてきたこの玩具、面白いですわ〜♪」

「」
(さっきからわかめがフリーダム過ぎる…)

294 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/04/19(木) 16:08:17.01 ID:3uE0EwZAO
「さっきの外国人の店員さん日本語上手だったね」

「ああ、凡骨みたいな声だったな」

食事を終えた後、まどか達はショッピングを楽しむ予定をしていた。
そこでも草加は一計を立てている。

「そうだ、買い物なら俺が荷物を持つのを手伝ってあげるよ」

女子の買い物は量が多くて持ち運びには難儀するだろう。
そこで代わりに荷物持ちを引き受ければ違和感無くまどか達と行動を共に出来ると考えた。

「そんな事までしてもらっていいんですか?」

「俺がやりたくて言ってる事だからいいんだよ
 まどか達が仲良くショッピングを楽しめるなら俺も嬉しいしね」

「こんな気配りの出来る優しいお兄さんが近所にいてまどかは幸せ物だよ〜
 そういう所を恭介にも見習わせてあげたいよ全く」

「そう言えばさやかちゃんは最近、上条君と一緒に遊んだりしなくなったよね」

「そうなんだよ〜あいつは此処んところバイオリンの練習で忙しくてね〜
 でもバイオリンを弾いてる恭介の顔は凄く生き生きしてるから私としては嬉しいんだけどね」

「夢を追いかけてる男子は素敵ですものね」

「夢を持つのは良いことだ」
(俺はまどかを妻にするのが夢だよ)

「そうですわ!これから銀行へ行ってお金を下ろしてきますわ!」

「仁美ちゃんっていつもカードで払ってたような…」

「ええ、ですからたまには現金での買い物を楽しんでみたいのですわ〜♪」

「じゃあその間、俺達は近くで待っていようか」
(わかめの思考がいまいち理解出来ないな)

295 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/04/19(木) 16:10:12.97 ID:3uE0EwZAO
意気揚々と銀行へ入っていく仁美
その銀行で異変が起きているとも知らずに

「え〜と、このボタンを押すのかしら?」

実は仁美は銀行でお金を下ろすのが初めてなので
操作に悪戦苦闘していた。
その後ろで銃を持った怪しげな男達が押し入ってきた。

「全員動くな!お前らはネガタロス軍団(仮)の指示通りに動いてもらうぜ」

ネガタロスと呼ばれるイマジンの言葉と共に
部下達が銀行員や客達に銃口を向けた。
不運にも仁美の入った銀行で
悪の秘密結社ネガタロス軍団(仮)が銀行強盗をしにやってきたのだ。

「一流の悪は安物の衣類を着込んだり居酒屋で集会なんて開く訳にはいかねぇ
 衣類は高級な布地を使ったスーツを着込み、集会は高級な料理屋を選ぶ
 だから悪の秘密結社は大量の金が必要なんだ、分かったらさっさと金を詰め込め!」

「あの〜」

「あん?こんな時になんだ?」

「現金を下ろすには、どのボタンを押せばよろしいのですの?」

「そんなもの後回しにして大人しくしてろ!こちとら強盗中だ!」

「それは困りましたわ……今お外で友達を待たせている最中ですの」

「お前は今の立場を分かって言ってるのか?」

ピーポー!ピーポー!

「大変ですボス!サツが集まってきました
296 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/04/19(木) 16:10:55.13 ID:3uE0EwZAO
その頃、銀行の外では

「草加さん離して!早く仁美ちゃんを助けないと!」

「まどかちゃん落ち着くんだ、相手は銃を持った強盗達だ、迂闊に仕掛けるのは危険だ
 それに強盗達の目的はお金だから、下手に刺激させない方が安全なんだ」
(スマートブレインが倒産して平和ボケしたかな
 こんな事ならカイザギアを常に持ち歩いているべきだったか)

「……でも!」

ピーポー!ピーポー!

「悔しいだろうけどここは警察達に任せて俺達は仁美ちゃんの無事を祈ろう」

周囲からパトカーが次々と現れ銀行の周囲を囲み
警察達が突入しようと心見たその時

『おい警察共!!お前達がこの銀行に一歩でも侵入すれば人質達の命は無いと思え!!
 それと逃走用の車を用意しろ!!用意出来なくても人質を殺すぞ!!』
(……ほら打ち合わせ通りに言え)

『〜はい、助けて〜!で〜すわ〜!』

『もっと怖がりながら言え!あーもう…』

スピーカー越しでも分かるほどの仁美のマイペースぶりにネガタロスは頭を悩ませていた。
女、子供をメインに人質の役割を与えれば効果的だと考えたのが仇になった。

「仕方ありませんが、これでは突入出来ませんね」
(浅倉を逮捕したばかりで安心していたのに今度はネガタロスまでこの町に現れるとは
 ボルキャンサー、人目に付かないように彼らを撹乱させてください
 ご飯?ネガタロスの手下でしたら二人まで食べても構いませんよ)

ミラーワールドならともかくこんな人の多い場所だと変身して襲う訳にもいかない
自分がライダーだと悟られたくない須藤はボルキャンサーに指示を与えて
事件を手っ取り早く解決させようと企んだ。

297 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/04/19(木) 16:12:14.87 ID:3uE0EwZAO
銀行内部では人質を取った子供達のせいでネガタロスは
思いがけぬ苦戦を強いられていた。

「オラもスペーカー使いたい!オラもスペーカー使いたい!」

「それを言うならスピーカーだ!貸してやるからお前も助けを求めな」

『ほほ〜い、ア〜クショ〜ン仮面〜正義の仮面〜!ゴゴッゴーレッツゴー!』

「誰が歌っていいと言ったー!」

「次は僕にも使わせて」

「ほ〜い」

「ありがとう!じゃあ『助けてー!お兄ーちゃーん!僕はここにいるよー!』」

「それでいいんだ、こうやって人質に助けを求めさせる事によって
 我がネガタロス軍団(仮)の非情さが伝わり、恐れられていくのだ
 理解したか?お前ら……って」

「ドラス君って言いますのね素敵なお名前ですわ、お兄様のお名前は何ですの?」

「お兄ちゃんの名前はゼットオーって言うんだ
 でも今は何処にいるか探してるんだけど全然見つからないんだ」

「そうでしたの……早くお兄様に会えると良いですわね」

「うん!お兄ちゃんを見つけたら吸収して一つになるんだ!」

「一つって事は男同士でしかも兄弟で……キャーまさに禁断の愛ですわー」

「お前ら人の話しを聞かんかー!!」

「人に物を頼む時はお願いしますと言わないとダメだって母ちゃんが言ってたゾ」

「こ、このガキどもが……」
298 : ◆e.kHvEXe9/gu [sage saga]:2012/04/19(木) 16:13:06.89 ID:3uE0EwZAO
ネガタロスが人質の子供達に気を取られている中
周囲を警戒している部下の背後に張られたガラスから巨大な鋏が現れ
部下が悲鳴をあげる間もなく一瞬の内にガラスの中へ引きずり困れていき
ぐちゅぐちゅと肉を咀嚼する音を立てていたが誰の耳にも届く事は無かった。

銀行の外では警察が中に入れないまま待機状態が続いていたが
このまま何も対策を取っていない訳ではない。
警察の手にも終えないような力を持つ敵から人々を守る為に結成された組織
その名もZECTが応援へと向かっていたのだ。

銀行へ向かって走行中のZECT専用装甲車内部では
隊員であるゼクトルーパーがある愚痴を溢していた。

「あーあー、俺も仮面ライダーになりたかったってのに……コネのある奴はいいよな」

「駄目ですよ杉田君、そんなこと言ったら加賀美君だって努力したんですから」

「そりゃあそーだけどよ、つーか石田!顔が近えよ!」

ゼクトルーパーの杉田隊員はZECTが開発したライダーシステム
G3の装着者に選ばれ無かったのがお気に召さないのだ。

「諦めるのは早いぞ杉田ー!装着者としての資格が足りなくても勇気で補いばいいんだー!」

「相変わらず熱っ苦しいな〜檜山ぁ」

「無駄口はほどほどにしておけ、俺達の任務には人命がかかってる
 その重要性を常に肝に命じておくんだ」

「分かってる分かってる、相変わらずお堅いねぇ後藤さんは」

「お前達の気が緩み過ぎなんだ、目的地に到着した
 全員すぐに配置に向かうぞ!」

「よっしゃあ!キバっていくぜー!」

「ではではテンション、フォルテッシモ!」

「うおおお!!青春スイッチオーーーン!!」
299 : ◆e.kHvEXe9/gu :2012/04/19(木) 16:15:59.92 ID:3uE0EwZAO
保守代わりの番外編の投下終了

これは本編よりも過去に起きた話しなので蟹刑事がまだ生きてたりします
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/19(木) 20:05:07.30 ID:tKMTsbXeo
乙でした。

草加…年端もいかない女の子を追う残念な男に成り下がって…え?前から?

仁美が出ているのに驚いた。ネガタロス(仮)に溶け込んでてもっと驚いた。この子すげえ。

頑張って下さい!
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/23(月) 23:40:00.73 ID:FL4fRxrzo


ドラス何やってんのwwwwww
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 22:29:48.86 ID:rJ37+R6Eo
ドラス君やべえwwwwww真ジュニアもサラッと混ざってそうで困るww
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/05/20(日) 08:21:23.25 ID:jnzIjbQpo
マダー
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/06/14(木) 16:45:32.75 ID:zz6PkFt2o
落ちちゃう
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/07/10(火) 05:46:19.99 ID:KXu7q7/r0
保守
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