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剣心「零崎を始めるでござる」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 05:06:35.85 ID:J8mzbhI+o
第零幕――零崎剣識の人間浪漫

今から約140年前。
黒船来航から始まった「幕末」の動乱期。
渦中であった京都に、「人斬り抜刀斎」と呼ばれる志士が居た。

修羅さながらに人を斬り
その血刀……いや、ここで血刀を出すのは正しくないだろう。
彼は確かに血刀を以って、新時代を切り開いた。
しかし、それは歴史的事実を見れば――の話である。
いや、客観的、論理的、史実的に考えれば彼は血刀を持ったのであろう。
だがそれは全て回りの勝手な推測でしかない。
これを「人斬り抜刀斎」本人に言えば、彼は古風な口調で。
「確かに、最初と最後はそうでござった」
とでも言うに違いない。
最初と最後――スタートとゴールは血刀を持った。
結果、新時代を切り開いた。
「けど、拙者があの動乱を生き残れたのは……やっぱり」
家族のおかげでござるよ。
そんな戯言を本気にしている、そういう男なのだ。
スタートしてからゴールするまで挫けなかったのは、血刀を持ったからじゃない――血統を守ったから。
血で繋がるのではなく、流血で繋がる家族がいたから。

これは、「幕末」を生き残り、「明治」を流浪した――零崎のお話。
その名は零崎剣識、またの名を――
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「ただのクマです、通して下さい」デスガイド「よし通れ」 @ 2025/07/01(火) 01:46:57.85 ID:AZqAU1up0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751302017/

速水奏「プロデューサーさんにスカウトされた話」 @ 2025/06/30(月) 23:35:01.77 ID:EyxvIr6M0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751294101/

invest in reverberations dull fallout hoopla @ 2025/06/29(日) 12:49:23.56 ID:fSRAeK0bo
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テスト @ 2025/06/29(日) 01:16:24.52 ID:VUhgeNEw0
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おトイレ @ 2025/06/29(日) 01:03:06.12 ID:YzFWZ2ToO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1751126586/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part7 @ 2025/06/28(土) 18:43:24.71 ID:5y5+uScJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751103804/

頼む! @ 2025/06/28(土) 02:14:21.86 ID:wTso3bhIO
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頼む!見逃してくれ! @ 2025/06/28(土) 02:12:47.45 ID:t/vvooNwo
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/22(金) 05:08:32.59 ID:J8mzbhI+o





第壱幕――緋村剣心の不生不殺




3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/22(金) 05:09:23.49 ID:J8mzbhI+o


0
「人を斬って悪いと思わないの?」
「気持ち悪いとは思ってる」

4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/22(金) 05:10:24.76 ID:J8mzbhI+o
1
「人斬り抜刀斎!」

明治十一年、東京の下町。
帳は下りきり、満月が世界を照らし出す中、二つの影が対峙していた。
片方の青い影――青い胴着に身を包んだ少女は、手に持つ木刀をもうひとつの影へ突きつけている。
先ほど叫んだからか、それとも宿敵を見つけ打ち震えているのであろうか少々息が乱れている。
そして木刀を突きつけられた――赤い影は。

「おろ」

何がなんだかわからない、とでも言いたげな表情で困惑していた。
「とぼけるんじゃないわよ、こんな夜中に廃刀令を無視して刀を持ち歩く人間はただひとりよ」
そう、赤い影――朱の長髪、女性にも見えるような中性的な顔にある場違いな紅の十字傷、センスがいいとはいえない赤い着物。
赤で塗り固められた男の腰には鞘に納められた刀があった。
少女が言うように明治十一年は廃刀令が如かれ、現代でもそのルールは銃刀法違反という形で残っている。
そういった違反行為を行う人物、まして今は夜である。
男は徹底的に不審者であった。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/22(金) 05:11:10.92 ID:J8mzbhI+o
「辻斬り凶行も今夜で終いよ、覚悟!」
少女が飛び掛る。
こうして一文に纏め簡易に表すと男女の微笑ましい光景を想像させるが、その実は違う。
少女は木刀を用いて、男へ攻撃を繰り出したのだ。
その技は喉仏を狙った突き。
完成されたフォームとスピードから繰り出される攻撃が男を襲う。
しかし、その攻撃は届かなかった。
男は後ろへジャンプすることで突きをかわしたのである。
(なんですって!?)
少女は驚愕する。
避けたことにではない。
勿論、それだって驚くことである、少女はこれでも道場の師範代。
そのクラスの攻撃を避けるなんていうのはやはり常人ではないのだ。
だが、それよりも、なによりも、目の前で驚くべきことがおきている。
いや、起こりつつある。
まるで事故を起こした時のように、死につつあるように、目の前がスローモーションになっていく。
目の前の男が、男が。

「お」

背後の壁に、頭をぶつけた。
「……あっけない……これがあの人斬り抜刀斎?」
気合を入れた自分が馬鹿みたいだ。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/22(金) 05:11:41.66 ID:J8mzbhI+o
「流浪人」
倒れた男が呟いた。
「は?」
少女は言葉の意味が分からず聞き返す。
「拙者は流浪人、あてのない旅の剣客でござるよ」
男は顔を少女に向けて言葉を放つ。
「……」
その言葉を聞いて、少女の中にある嫌な予想が浮かぶ。
「今さっきこの町に着いたばかりなのに辻斬りと言われても何のことやら――」
少女の顔が男の身に纏う着物と同じ色、赤に染まっていく。
つまりは、勘違いだったのだ。
「じゃ……じゃあ腰の刀はどう説明する気?剣客だからって帯刀は許されないわよ!」
「いや、これは……」
と、腰の刀を渡し、その刀身を見せる。
「何これ……逆刃刀?」
そう、男の持つ刀は逆刃刀――峰と刃を通常とは逆にしてある刀。
人を斬ることが寧ろ困難になってしまう凶器。
何より、男の持つ物には刃こぼれ一つどころか血の匂いも、脂も、曇りも全くない。
新品同様、まるで模造刀のようなものだった。
それを見れば人を殺していないことは明らかに分かった。
「じゃあ、あなたは本当にただの……」
「そ、流浪人」
少女は自分の勘違いを恥じるとともに、ある疑問が湧いてくる。
「でもなんでわざわざこんな使えない刀を――」
突如、笛の音が少女の声を遮る。
「警察の呼笛!今度こそ……!!」
手に持つ逆刃刀を投げ捨て、一目散に走り出す。
男は投げ出された逆刃刀をどうにか受け止める。
闇の中、青は消え去り、赤だけが取り残された。
「――……どうやら、拙者の知らない所で事が生じている様でござるな」
赤は闇に映えた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/22(金) 05:13:23.10 ID:J8mzbhI+o
今回の投下終了。

零崎×るろ剣です。

ご覧の通り地の文オンパ。

不定期ですが、これからよろしくお願いします。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/07/22(金) 05:19:25.24 ID:sYq4FhjAO
嫌いじゃないぜ
こういうの
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 06:57:44.11 ID:HD2YEdpDO
クロスオーバーというのも悪くない
悪くない
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 07:02:42.29 ID:OtxeLzJDO

これは期待
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 09:19:56.34 ID:zQm3GdMDO
おいおい傑作だな
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/07/22(金) 10:18:58.69 ID:GQTbe8DAO
当然アタシの出番は有るんだろうな、いーたんあーんど零崎くんよお!!
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 10:37:33.95 ID:I0lPud2DO
じゅんさんまだ生まれてなくね
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 12:09:40.05 ID:4PQL8RiDO
零崎一賊ってそんなに歴史古くないから
明治だと創設前後じゃないかな。
他の零崎はオリキャラか戯言キャラがもし明治にいたらか。
期待している。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 12:25:42.87 ID:GQTbe8DAO
零識零識と零識機織(人識両親にして最初の零崎)が産まれていたとは思えないな
つー訳でIFものだと勝手に推測

斉藤一と西東天の邂逅とか
沖田総司が零崎双識とか(薄野掃除とか名乗ってもそれはそれで有り)
シノモリアオシ(漢字忘れた)が青識とか(墓森か拭森でもいいな)
刃衛の「人斬りは所詮死ぬまで人斬り」って台詞の「人斬り」に「コロシナ」ってルビが振ってあるんだろ

期待せざるを得ない
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 15:01:10.94 ID:4PQL8RiDO
人識の両親が最初の零崎って情報あったけ?
たしか人識みたいな異端な零崎はあんまり長くない零崎の歴史でも人識の両親ぐらいだって文は覚えてるけど。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 16:28:46.44 ID:590l23VIO
お前らネタ潰しに余念がないな
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/22(金) 18:55:54.64 ID:wBVb4X8AO
>>16
最初の零崎は零崎零識

人識の両親は家賊(兄妹)同士でのいわば近親相姦で人識を成した故の異端


だったよね?
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/07/22(金) 19:01:03.30 ID:KCFrVFKOo
冒頭がすげぇ西尾っぽいぜ、期待
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 19:37:12.58 ID:pykD4MkIO
>>1乙っちゃ
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 23:01:33.32 ID:+qxPAxN8o
こいつは傑作になる気しかしない
激しく支援
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/23(土) 16:14:45.73 ID:yfI4phZK0
>>15
きめぇ
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 22:12:12.73 ID:wkE7dHjKo
2
そこは戦場だった。
いや、もちろんそれは比喩でしかない。
しかし、この状況をほかにどう表せばいいのだろうか。
指が舞い、耳が飛び、命が落ちるこの惨劇を。
「弱い!!」
顔を隠した大男が叫び、駆けつける警官達を次々と切り伏せる。
「弱い弱い弱い弱い!!」
体躯から繰り出される一撃は防御を行うにはあまりにも重く、避けるにはあまりにも速い。
どう贔屓目に見ても対等とはいえない一方的な人斬りが、月の下で豪快に行われていた。
「うぬら弱すぎるわぁ!!」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/27(水) 22:16:13.44 ID:wkE7dHjKo
人を斬るというのはこんなにも易々と行われることなのか。
そんな風に警官隊の一人、葦柾は目の前の光景をまるで夢のようだと言った。
甘美に浸った夢ではなく、覚めて欲しい悪夢。
無論、覚めないから悪夢なのだが。
同僚が次々薙ぎ払われていく。
萩原に西条そして紫木、三人が六個になって九つに裂かれて十二コマへ崩れた。
足が竦む、手が震える、瞳が虚ろう。
歯はいつまでたっても音楽を奏でるのを止めないし、心臓はそれに心地よい合の手を入れる。
怖い、ただ怖い。
目の前の人斬りが、強く恐ろしく怖い。
強すぎる、この強さはまさに……話に聞く、あの――
「……抜刀斎……」
その手に握る刀すら零れそうになったその瞬間。
一陣の青が駆け抜けた。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 22:17:13.55 ID:wkE7dHjKo
「そこまでよ抜刀斎!!」
力強い声とともに木刀が大男を狙う。
大男は乱暴に刀を振り、木刀ごと少女を弾き飛ばす。
少女は土煙を上げながらも衝撃を殺し、壁に激突する。
「う!!」
右肩に熱。
見ると赤い線が一つ、激突した際の傷である。
「これじゃあ……」
刀が振れない。
握るのだって相当な苦痛を伴う。
戦いの上で重要なことは怪我をしないことである。
人間は生きるだけなら非常に丈夫だ。
だが戦う上でも同じとは限らない。
戦場での怪我とは、死である。
将棋の駒が傷ついても動きは変わらないが、兵は傷つくと変わるのだ。
駒に代わりはあるが、自身の代わりは無い。
即ち、この時の少女は死んだも同然であり――実際。
「……これで終いだ」
目前には確実な死が迫っていた。
刀という、とても美しい凶器の形で。
ゆっくりとゆっくりと。
まるで事故を起こした時のように、死につつあるように、目の前がスローモーションになっていく。
本日二回目、今回は間違いなく死につつあるようだ。
青は目を見開き、死を――刀と地が接吻を交わした。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 22:17:39.27 ID:wkE7dHjKo
それは即ち、
攻撃は外れたということである。
「ったく、無茶する御仁でござる」
赤が、青を所謂「お姫様抱っこ」という形で抱え跳んでいた。
「流浪――」
人と少女が言おうとしたところで。
ごきん。と、嫌な音が響く。
直後、赤は地面にへたり。
「股関節脱臼……」
「どーしてあなたはもう――!!」
どうにも締まらない命の恩人だった。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 22:18:23.12 ID:wkE7dHjKo
「――ふん」
その光景を大男は面白くなさそうに見つめ。
「我は抜刀斎!」
「『神谷活心流』緋村抜刀斎!!」
「人呼んで――」
「『人斬り抜刀斎』!!!」
そう叫び、大男は闇に消えた。
「待て!」
青い少女はそれを止めようとするが。
「待った」
赤に、文字通り後ろ髪を引き止められた。
「痛いわよ馬鹿っ!」
木刀を一発頭に喰らいながらも、赤は青を諭す。
「手負いでの深追いは命取りでござるよ」
死んでいるのだから。
「相手は流儀を名乗っているのだからあせらずとも――」
そこまで言ったところで、青の様子に気付く。
その身体は震えていた、寒いわけではない、怖いわけではない、泣いているわけでもない、喜んでいるわけでもない。
それはたとえるなら「赤」の感情。
怒り。
青は叫んだ。
赤い赤い赤い感情を隠そうともせず。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 22:18:54.05 ID:wkE7dHjKo






「神谷活心流は――ウチの流儀よ!!」




29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 22:21:06.09 ID:wkE7dHjKo
今回の投下終了。

本作品は両パロディ元の重大なネタバレを含む可能性があります。

今更ながらご注意ください。

また登場人物の名前はすべてフィクションであり特定の人物の結末を揶揄したものではございません。

多分。
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/07/28(木) 14:38:57.82 ID:kDnm/h/AO
乙!

死亡メンバー…
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/28(木) 18:30:08.23 ID:yXLw9Ys9o
これは絶対に完結しない
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/28(木) 23:20:21.38 ID:ZF01CXpGo
3
神谷活心流。
人を活かす剣――それを思想とし、理想とする流儀。
現在、門下には師範代である神谷薫(かみや かおる)――以上、一名。
「おろ?」
赤はその掛札を見て、不思議そうに声を上げる。
あの後、赤は少女を説得し(物理的に)、少女の住処である神谷活心流剣術道場にやってきたのだ。
「そもそも小さな流儀なんだけどね」
老人に肩の傷を治療されながら、その最後の一名――神谷薫は答える。
「それでも私達門下十余人、力を合わせて頑張っていたのよ」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/28(木) 23:20:54.86 ID:ZF01CXpGo
けれど、と置いて
「二ヶ月程前――奴の辻斬りが始まって、今ではこの通り」
一人――また一人と門下を去ってしまった。
それどころか町の住民は道場に近づこうとすらしない。
「人斬り抜刀斎は明治になった今でも人々に畏怖されているのよ」
「……左様でござるか」
最強で最狂で最恐で最凶――伝説の存在。
「何の理由で神谷活心流を騙って陥れようとするのか」
「本当に抜刀斎かどうか」
「皆目わからないけど、一刻も早く奴の凶行を終わらせないことには――」
神谷活心流は――潰える。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/28(木) 23:22:03.27 ID:ZF01CXpGo
「成程そうでござったか」
「しかし、もう夜回りは止した方がいいでござるよ」
「え?」
「あの男は――薫殿よりはるかに強い」
「なっ!」
薫の頭に血が上る。
だが、赤の容赦無い言葉は続く。
「自他の力量を素直に認めるのも剣客の大事な資質」
その言葉は――
「次に闘り合えばどうなるか位自ずとわかろう?」
さながら剣のように――
「流儀の維新――いや威信なんて、命を懸ける程重いものではござらんよ」
薫の心に突き刺さる。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/28(木) 23:22:33.10 ID:ZF01CXpGo
だが。
「神谷活心流は――」
薫は立ち向かう。
「神谷活心流は――幕末の動乱を生きてきた私の父が、明治になって開いた流儀」
赤に青が立ち向かう。
「父は殺人剣をよしとせず『人を活かす剣』を志に、この十年一途に頑張ってきたわ」
もう崩れそうだ、死にそうだ。
「どもそんな父も警視庁抜刀隊の一員として半年前の西南戦争にかりだされ、自分の志と大きくかけ離れた所でこの世を去ってしまった」
けど、倒れない。
「奴は――『人斬り抜刀斎』を名乗るあの男は、父の神谷活心流の名で既に十名を超える死傷者を出している……」
それは曲げられない信念だから――
「父の残した流儀が!!」
さながら――
「活人剣を理想とする神谷活心流が殺人剣に汚されて!!」
剣のような。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/28(木) 23:22:58.41 ID:ZF01CXpGo
「たかが流浪人風情にこの悔しさはわからないわよ……」
薫の瞳には涙が浮かんでいて――それでも決して弱さなど感じさせなかった。
赤はその瞳をじっと見つめ。
「ま」
「どの道その腕じゃ夜回りは無理でござろう?」
「あ」
そんな風に、話を切り上げた。
まるで――今までの言葉が全て戯言だったかのように。
「今は大事をとるに越したことはない」
「第壱、活人剣を志すものが自分の命すら活かせないようじゃそれこそ戯言でござる」
それに――
「亡き父上殿も、娘の命を代償にしてまで――流儀を守りたくないはずでござるよ」
「家族」とは、そういうものでござる――そう言って、赤は去った。
「さ、済みましたよ」
「あ、ありがとう喜兵衛」
喜兵衛と呼ばれたその老人は、その細く鋭い目で先ほど赤が出て行った方向を見つめる。
「薫さん、あんなのに気を許してはいけませんよ、流浪人なんて所詮人生の落伍者です」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/28(木) 23:23:27.50 ID:ZF01CXpGo





「――家族を持たぬ、人間なんですから」




38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/28(木) 23:28:21.30 ID:ZF01CXpGo
今回の投下終了。

一応原作を知らぬ方にも楽しんでいけるように努力しています。

なので「名前の振り仮名やめろ」という願いは聞き入れることができませんので、ご理解の程よろしくお願いします。

あ、喜兵衛(きへえ)のルビ忘れた。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/29(金) 04:56:57.94 ID:wIdj245go
んなことはどーでもいいんだよごみやろう
十分な書きだめしてから立てろかすやろう
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/29(金) 07:57:01.74 ID:8J3vb4MAO
>>39
流石厨房この板の存在意義も知らないんだな
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/29(金) 08:16:57.33 ID:wIdj245go
あ?ガキが噛み付いてくんなよ鬱陶しい
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/29(金) 09:01:55.26 ID:LgpbDPWBo
>>40
そんな見るからにあれなのにさわるなよ…
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/31(日) 12:53:08.46 ID:vAnQ9i+AO

これは零崎の例に漏れず逆刃刀なのに[ピーーー]のかな
楽しみだ
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 14:32:00.01 ID:kYbcpc1Fo
>>43
「不生不殺」だから半死半生じゃね?
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/23(火) 15:36:19.20 ID:z7YzEhtKo
そして時は過ぎて約20日……
>>1はまだ帰ってこない…………

待ってるー
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/06(木) 02:14:10.41 ID:M0WlzTYao
 
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 11:09:58.30 ID:qVlQS6LDO
曲識の少女趣味みたいに不殺を誓ったとかそんな感じなんかな
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 11:11:01.23 ID:qVlQS6LDO
曲識の少女趣味みたいに不殺を誓ったとかそんな感じなんかな
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