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上条亡き後の『平和』世界 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/24(日) 14:10:20.85 ID:ZfrxAHqx0
・初SSです
・更新は遅いかもしれません
・自分の妄想が炸裂することが度々あります(笑)
・物語の舞台は新約です
・個人的に好きなヒロインは五和と佐天さんですかねー
・中の人ネタ、他作品のキャラも出るかもしれません
・ギャグとシリアス成分、両方あると思います
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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]: ID:???
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。
【艦これ安価】今更始める艦隊これくしょん @ 2024/06/16(日) 01:31:28.92 ID:YTWH798x0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1718469080/
レズ娘 @ 2024/06/15(土) 22:32:10.86 ID:mxHt+n8To
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1718458330/
レズ娘 @ 2024/06/15(土) 22:14:17.20 ID:Rl3fvy0Co
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1718457257/
君が元気でいられる為に! @ 2024/06/15(土) 21:30:06.05 ID:+VRYXBt+O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1718454606/
ちょっと眠いかも @ 2024/06/15(土) 10:24:10.33 ID:9agpDsvoO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1718414650/
バカ @ 2024/06/14(金) 21:03:40.47 ID:+rRfRWn00
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1718366620/
グランアレグリア「安価とコンマでトゥインクル・シリーズを走りきる」『オリトレ』 @ 2024/06/14(金) 20:52:38.13 ID:AtfPHltc0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1718365958/
だれでも抱けるキミが好き @ 2024/06/14(金) 00:25:58.93 ID:cg+rfMJvo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1718292358/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/24(日) 14:11:19.81 ID:ZfrxAHqx0
では投下します
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/24(日) 14:21:16.11 ID:ZfrxAHqx0
10月30日
全世界を震撼させ、全人類に恐怖を振りまいた、第三次世界大戦は終結した。
遥かなる極寒の戦場。
そこは数多くの主人公達が己の信念の為、もしくは大切な人のセカイを守る為に戦った。
しかし、戦いも過去として離れて行き、勝ち星を納めた主人公達は近づく未来に足を進めた。
ただ、1人を除いて……
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/24(日) 14:27:38.20 ID:ZfrxAHqx0
大戦終結により、全世界に安息の日々が訪れた。
しかし、大戦における最大の功労者である、とある少年の軌跡を知る者は、あまりにも少なかった。
ほとんどの人類は少年によって世界が救われたことなど知る由もない。
不幸な少年は、人々の記憶にとどまることなく、忘却の彼方へ去って行くのであった。
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/24(日) 14:36:39.34 ID:ZfrxAHqx0
ロンドンの聖ジョージ大聖堂
この場所は本大戦において、重要な『見えない拠点』としての機能を所持していた。
自動書記モードの、禁書目録という少女によって、半壊状態となっている……
だが、未だに芸術的歴史的な価値を見出す存在感を有していた。
その姿は、大戦の勝利者の一員であるイギリス聖教の雄姿を具体化しているようだ。
しかし、内部では、とても勝利を治めた凱旋者としての雰囲気は無かった。
むしろ、お通夜に似た堪え難い空気と沈黙によって満たされている。
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/24(日) 14:42:15.31 ID:ZfrxAHqx0
「とうまはどこ?」
重苦しい沈黙を破り、不幸な少年によって救い出された少女の声が辺りに響く。
恐ろしく単純な質問に答えられる者は、誰もいなかった。
少女は、もう一度周囲の人間を見回した後、再び訪ねる。
「とうまはどこ?」
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/24(日) 15:10:55.44 ID:ZfrxAHqx0
わずかな沈黙の後、炎の魔術師ステイル=マグヌスは事務的に答える。
しかし、真の感情を押し殺しているのは明白な口調だった。
「すでに捜索隊は派遣されている。そろそろ、現地で本格的な活動を行うだろう」
「そうさく…たい? ねえ、どういうこと!? とうまはどこなの!」
少女からの質問に魔術師は感情を剥き出しにして答える。
「ああ、アイツならな――――――」
「おい、ステイル!」
同じイギリス聖教のシェリー=クロムウェルが顔色を変えて、口を挟んだ。
今、少女に本当のことを教えてしまったら………!
しかし、ステイルは、その言葉を無視するかのように、腹の底から力を込めて言い放つ。
「よく聞くんだ! 君の意識が戻った直後に、大天使ミーシャ=クロイツェフが復活した。
そしてアイツは順調に降下していた『ベツレヘムの星』の進路を強引に変更して、北極海で大天使と激突した。
大天使の反応は消失し、『ベツレヘムの星』も完全崩壊した。
その結果………………アイツは行方不明だ……」
怒声には、真実を伝えなければならない悔しさ。
そして、少女を悲しませてしまうことが分かる無念さが形となって表れていた。
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/24(日) 15:22:39.28 ID:ZfrxAHqx0
「そ…んな………」ガクッ
少女はショックのあまり、体から力が抜けて膝をついてしまった。
再び長い沈黙が場を支配する。
誰もが、この沈黙に終止符を打つ方法が見出せなかった。
少女は、ステイルの服をつかみながら言う。
「とうまは戻って来るよね…? 私に『必ず戻る』って言ったんだもん……」
今度こそ、ステイルは答えることが出来なかった。
それは、その場にいる全員に当てはまっていた。
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/24(日) 15:30:13.85 ID:ZfrxAHqx0
今大戦において勝者の側に立つことの出来たイギリス清教であったが、勝利の代償は、あまりにも大きかった。
いや、取り返しのつかないほどの大きな代償とでも言うべきだったか……
これまでに様々な戦いで活躍した『歴戦の尖兵』である少年の死。
そのことは、確実にイギリス清教全体の戦力低下に直結していた。
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/24(日) 15:31:22.96 ID:ZfrxAHqx0
とりあえずこのくらいで終わりにしておきます。
次回の更新はいつだろうなあ……
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 15:34:52.31 ID:moVQpfmDO
乙
期待
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/24(日) 15:36:55.97 ID:I3OuwXD80
期待してみる
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 15:41:37.72 ID:F3nLS9Iuo
期待ですたい
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/24(日) 15:53:12.80 ID:MvIGPOePo
期待する
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/07/24(日) 15:56:56.21 ID:ZQDNYJsF0
期待するたい
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/07/24(日) 16:43:43.01 ID:HBMHWKAg0
これは期待
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/24(日) 17:21:17.52 ID:X7nAHYxw0
期待。にゃあ
2巻発売近くにこういうのを読めるとは、やったね!
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/07/24(日) 18:00:41.30 ID:IbLb3asH0
おお、期待だ
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/07/24(日) 18:03:01.09 ID:/o/XkdOIo
期待
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/24(日) 18:21:34.87 ID:7eqkBBMF0
第一の回答ですが、
期待してます、頑張ってください
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 19:38:54.41 ID:+wJeXwzs0
こういうシリアス展開いいね
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 20:11:01.62 ID:evp8C6S60
第一の質問ですが、
鬱展開とか無いよね?無いよね!?
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 20:19:51.37 ID:5L6EXdp5o
佐天はサブキャラであってヒロインじゃない‥‥‥
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 20:58:50.36 ID:V1+kC8VIO
おお期待するぜ
上条さんは死亡確定?
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/24(日) 21:39:35.95 ID:HBMHWKAg0
>>23
まあそうだけど言ってやるな
>>24
中の人ネタって書いてあるんだから死んではいないだろう…たぶん
>>1
超電磁砲組は出てこないよね?
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/25(月) 08:28:20.36 ID:Ec6owAU90
コメントありがとうございます
では投下します
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/25(月) 08:46:57.12 ID:Ec6owAU90
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一方、ロシアの大地には自らの苦悩を乗り越えた最強の超能力者がいた。
彼は学園都市の『闇』と完全に決別するべく、行動を起こしていた。
打ち止めと番外個体を回収する任務を帯びている学園都市回収部隊別働隊の目的阻止。
それが、真っ先に一方通行が行ったことであった。
学園都市の『闇』所属の回収隊に対し、学園都市最強の怪物。
勝敗など歴然としている。事態の決着にかかった時間は、5分とかからなかった。
どこまでも広がる雪原のとある場所から、いくつもの黒煙が立ち昇っている。
一方通行の猛攻、というより一方的な殲滅戦によって破壊しつくされた戦車や駆動鎧など、学園都市の新鋭兵器が鋼鉄の骸となっているのだ。
時々、吹き上がる炎は戦場独特の臭いを発する。
大戦は終結したのに、新たに戦場の臭いを形成するなど、皮肉以外の何物でもなかった。
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/25(月) 08:56:18.01 ID:Ec6owAU90
「ひ、ひい……! く、くるなあッ!!」
「さァてと、おとなしくそのガキを渡してもらおうかァ」
かろうじて、駆動鎧から脱出することが出来た研究員は、打ち止めという少女を人質にしてなんとか助かろうとしている。
それは全く無意味な行動であった。ましてや一方通行の前においては…
最強の能力を持つ少年は、狂気の笑みを浮き出しつつ、足元の小石を蹴った。
ベクトルが操作されて、石は常識では、ありえない速度と精度で射出された。
直後、研究員の顎に鈍い音が響いた。不気味な悲鳴と共に研究員は倒れこむ。
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/25(月) 09:10:45.38 ID:Ec6owAU90
危険は取り除かれた。少女は解放されて一方通行の元に走って来る。
「もう、あと少し早く助けに来て欲しかったって、ミサカはミサカはあなたに不満をぶつけてみたり」
「オマエ、病み上がりなァンだから、もう少しおとなしくしていたらどォだ……」
(全く、相変わらず人様を困らせるのが好きなガキだなァ…)
開口一番、不満を言われて少々凹む第一位であった。
「くくくッ! 大事なお姫様に、ねぎらいではなくイヤミを言われたときの第一位の表情って、永久保存した方がよくね?
と思いつつ、ミサカは、ちゃっかりそこいらの研究員から奪ったデジカメで撮影しちゃうんだZE!!」
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/25(月) 09:28:03.87 ID:Ec6owAU90
「ブン殴られてェのかァ?」
「いやー、そんなのジョーダンだし。勝手にブチ切れないでくれる?」
番外個体の精神攻撃に、ため息をつきたくなる第一位であった。
「そもそもオマエどこにいたンだ…?」
「戦場の隅っこで死んだふり」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
どこか遠い場所
「踏みつぶされてしまえッッッ!!!!!!」
「何言ってんだ、クウェンサー?」
!?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
番外個体の答えに一方通行は、しばし呆れた。
そして
(そンじゃ、あのイマイマしい街へ『闇』を叩き潰しに戻るとするかァ)
打ち止めを救い出すことが出来た第一位は次に起こすべき行動を思案する。
『悪党』の道から決別する勇気を新たに得た一方通行。
彼には今後も様々な苦難が待ち受けているのかもしれない。
だが、今この瞬間としては、『凱旋者』に相応しい雄姿があった。
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/25(月) 09:28:55.62 ID:Ec6owAU90
じゃあこのへんでさいなら
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/25(月) 10:18:19.68 ID:ZrR9jr8r0
一方通行は『闇』を潰しても、『悪党』は辞めないんじゃないかな?
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/25(月) 10:22:55.67 ID:rb9YXT+No
>>32
悪にも正義にも拘らない事にした
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/25(月) 12:09:30.50 ID:ZrR9jr8r0
>>33
いやそれはおかしい
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/07/25(月) 12:50:40.06 ID:De+2LwfX0
>>34
いやそれであってるんじゃねえの
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/07/25(月) 13:54:13.99 ID:B7E2E1Z6o
ここでまさかのオブジェクト
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/25(月) 14:01:04.48 ID:95RNMGsJ0
ageんな氏ね
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/25(月) 16:22:59.90 ID:orYje2rA0
歴戦の尖兵でなんか笑った
乙
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/25(月) 17:44:04.48 ID:De+2LwfX0
>>32
お前原作読んでねえだろ
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/25(月) 19:34:54.21 ID:T9WeAcUDO
ブ・ク・マ・か・く・て・い・ね
41 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
[sage]:2011/07/26(火) 00:06:48.74 ID:HopaJw+i0
>>39
ごめん新約まだ読んでない
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/26(火) 00:08:03.37 ID:HopaJw+i0
ごめん間違えた、ホントごめん
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/27(水) 12:02:35.94 ID:FV7F6qRM0
では、投下するぞー
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/27(水) 12:15:15.12 ID:FV7F6qRM0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
北極海のとある沿岸にある小さな漁港
海一面が流氷に覆われている。その光景は半ば幻想的なものであった。
しかし、風景画に、そのまま採用出来そうな絶景も、第三位の少女の目には映らない。
彼女は今、海岸線にへたり込んでしまっている。
完全なる無気力状態であり、別の言い方をするならば、目が死んでいる。
原因は彼女の手にぼんやりと乗せられている、小さな合成樹脂の塊にあった。
常盤台中学が誇る『最強無敵』の電撃姫である御坂美琴は、テレビにとある少年が映っているのを見た。
あの馬鹿がゲコ太ストラップをズボンのポケットにぶら下げているのを見て、ツンツン頭の少年がロシアにいると確信。
ハイジャックという大それた真似までして、ロシアにやって来たのだ。
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/27(水) 12:26:12.82 ID:FV7F6qRM0
だが、結局のところ、美琴は目的を達成することが出来なかった。
ついでのレベルで核ミサイルの発射を阻止したものの、本来の目的である『少年の救出』は失敗した。
あの少年は自ら、美琴の救いの手を振り払ったのである。
超能力者という強大な立場からして、これほど自分の無力さを呪ったのは、『あの実験』以来であった。
「お姉様、少し休んでください。とミサカは同様の悲しみに胸をえぐられつつ、あえて申します」
「………………」コクン
美琴は、10777号の言葉にわずかに反応しただけだった。
今、彼女の心は、無力感と喪失感と絶望感以外のものが存在しなかった。
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/27(水) 12:40:54.23 ID:FV7F6qRM0
遠くからヘリコプターの爆音が聞こえる。
第三次世界大戦が終結したことは、あの少年を追う為に、地上に降り立った時に判明している。
学園都市の部隊が大戦終結によって兵力を引き上げているのか……と美琴は、ぼんやりと思っていた。
自らの瞳に映るセカイが、とても異質なモノに感じた。
かけがえのない何かが、欠けているように思える……。
キィィィィィィィィィィィィィィィィィィンッ!!
(―――――――――――――ッ!?)
全く突然、何の前触れも無いまま、『それ』はやって来た。
頭の中をかき乱す、恐ろしく不快な雑音、そして頭が割れそうなほどの激痛。
美琴は、『それ』の正体を知っている。随分前に同じような経験をしたことがあるからだ。
(キャパシティ……ダウン…………ッ!!??)
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/27(水) 12:58:15.79 ID:FV7F6qRM0
痛みをこらえながら、周囲を見渡すと、10777号も全く同様のダメージを受けているようだ。
その時、視界の端に映ったモノに彼女は全てを理解した。
明らかに特殊隊員と判別出来る黒ずくめの隊員達が雪上車に乗って、接近して来る。
そして、車上に載せられているのは、忘れかけていた、全ての能力者にとってイマイマしい装置、キャパシティダウンであった。
(そ…んな…! 私の行動は……全て…学園都市に……ばれている…という………こと…!?)
だが、事態は周辺の状況を十分に散策するほど、のんびりしたものではなかった。
黒ずくめの隊員達が接近して来る。
本来の美琴であれば、その程度の敵など軽くあしらっていただろう。
何しろ彼女はレベル5の超能力者だ。
実際に、ロシアにおいて200人規模の一個中隊相手に一方的な暴れっぷりを見せた。
そもそも学園都市製の爆撃機をハイジャックするときは、同じような黒ずくめの男達を余裕で倒していた。
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/27(水) 13:13:59.84 ID:FV7F6qRM0
「……ぐ……ぁ………」バチッ
気絶しそうな激痛の中で美琴は能力を行使しようとあがく。
相手がプロの特殊隊員であろうともレベル5の少女との戦力差は圧倒的だ。
例えるなら、駆逐艦と戦艦ぐらいの絶対的な差がある。
本来であれば負けるはずがないのだ。
しかし、いかに戦艦といえども戦闘・航行不能状態であれば、複数の駆逐艦から砲雷撃を集中豪雨のごとく喰らって、滅多撃ちにされて沈むであろう。
今の美琴の状態は、まさにそれだった。
結局のところ、彼女の抵抗は無駄なあがきに過ぎなかったのだろう。
以前、同じようにキャパシティダウンを使われたとき、
1度目は、スキルアウトの少年が助けてくれた。
2度目は、同じ常盤台中学のレベル4の少女が助けてくれた。
3度目は、今は親友である、レベル0の少女が助けてくれた。
レベル5といえども、単独では危機に立ち向かえない。
そんなありふれた事実に、哀れな第三位は最後まで気づくことが出来なかった。
ダッダダダダダァァァァァァァン!!
銃声が鳴り響き、少女の体に複数の麻酔弾が撃ち込まれた。
この瞬間、御坂美琴にとっての第三次世界大戦は終焉を迎えた。
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/27(水) 13:14:47.26 ID:FV7F6qRM0
今日はここまで
新約2巻が待ち遠しいなあ
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/27(水) 14:35:08.05 ID:6jCETTHP0
乙
ここでは如何にも学園都市らしいやり方で回収されてるけど、
原作では御坂はどんな風にして学園都市に戻ったんだろうね
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
:2011/07/27(水) 14:38:53.46 ID:fems20X60
>>1
、あと15日だからガンバ
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/07/27(水) 19:02:11.78 ID:yL4oz7mu0
>>50
またハイジャックしたんじゃね?
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/07/27(水) 20:47:44.67 ID:3fpVexXAO
乙
みな あまり下手な考察をし スレの空気を悪くしないようにな
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage!status]:2011/07/28(木) 15:16:47.94 ID:qnO7a6YZo
乙なんだよ
現在のサーバのご機嫌:むむむ。ちょっと混んできました。(LA:1.14111328125)
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/28(木) 23:26:58.17 ID:MrgSJQc50
ふむ、投下するか
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/07/28(木) 23:35:28.79 ID:ci2wasBH0
おっ来たか
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/28(木) 23:38:32.79 ID:MrgSJQc50
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
学園都市のとある司令室
ここは、今大戦においてロシアにおける学園都市の軍隊及び特殊部隊に指示を下していた所だ。
そこでは、勝利の喜びに包まれていた。
しかし、そんな雰囲気も『とある報告』によって空の彼方に吹き飛んでしまった。
暗澹たる状況の中で新たな報告が入った。
『こちら、T部隊。第三位は無事に「回収」しました』
その瞬間、部屋の空気が、かなり明るいものとなった。
そこにいた誰もが、ほっとしたような表情を浮かべている。
「こちら司令部。そのまま学園都市に帰還せよ」
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/28(木) 23:54:22.61 ID:MrgSJQc50
『了解。そういえば第一位と第四位の回収は終わったのでしょうか?』
その問いに研究員は顔色も曇らせた。
「残念だが、N班(第一位回収部隊)とK班(第四位回収部隊)は、しくじった……」
『しくじった。ですって?』
通信の向こう側から信じられないような声が入る。
「N班とK班は両者とも目的に失敗した。現在、両部隊共に通信が途絶している」
『そんな…! 第一位はともかく、第四位は半ば死に体のはずでは?』
「どうもよくわからんのだ。浜面仕上の場合は現地住民を味方につけていることが、上空からの観測によって確認されているが…」
『………やはり、キャパシティダウンを装備したのが我々の部隊だけだったのが失敗だったのでしょうか……』
「その散策は後でよい。浜面仕上の抹殺と第四位の『回収』は、すでに他の班が行動を起こしているので問題ない」
『わかりました………。ではこれよりわが班は帰国します』
通信が切れた。再び室内に沈黙が戻る。
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/29(金) 00:14:21.07 ID:frc4LzGU0
数十分後、新しく通信が入った。
研究員は、その位置を確認する。
位置からして、他の班が第四位の『回収』に成功したのだろうと思っていた。
「こちら司令部。第四位の回収には成功したか?」
『ヘイまいどこちらクソレストラン………ご予約で?』
「は……?」
『いよー、アンタが学園都市の大物ってことでいいんだな?』
「キ、キサマ誰だ!?」
『んー? 第四位を倒したことのある「ただのレベル0」だが、それがどうした』
「は、浜面仕上だと…!? そんな…回収隊はどうなった……!」
『さてと、面倒なコトは苦手なんでね。単刀直入に言おう。「交渉」がしたい』
「は? キサマ、自分がどういう位置関係にいるのかわかっているのか?」
『「素養格付」。面白いモンが手に入ったんだが、どうしたものかね』
「!!!」
『では言おう。こちらの条件は、数人ほど身の安全を保障しろ。それだけだ』
司令室にいる全員の表情が凍りついた。
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/29(金) 00:16:54.18 ID:frc4LzGU0
短いけどこのへんで
浜面のセリフに1箇所ほどおかしい部分があるんだが…
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/29(金) 00:25:52.26 ID:tEd+NWxA0
サンジさん! サンジさんじゃないっすか!!
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/07/29(金) 00:27:25.26 ID:HLavxG5AO
浜面の特技は蹴り技か
眉毛がぐるぐるしてるんだな
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/30(土) 16:08:31.34 ID:TA36nPIW0
投下するかなー
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/30(土) 16:23:08.29 ID:TA36nPIW0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
11月1日
ロシア側から正式に終戦宣言が出されて、一夜が明けた。
この日、第三次世界大戦の最激戦区を渡り歩いて来た主人公達は、次々にその雄姿を翻しつつ学園都市に帰還を果たした。
まず、一方通行が打ち止めと番外個体と共に凱旋して来た。
学園都市最強の超能力者は『悪党』→『義賊』と進化を遂げていた。
彼は学園都市の『闇』を解体することに成功したのだ。
そんな一方通行は気まずそうに黄泉川宅のドアを開けた。
ガチャッ
「戻ったぜェ、黄泉川ァ」
バンッ
「こんの、アホたれが、人様を心配させるんじゃ、ないじゃんっ!」
玄関のドアを開けた一方通行にまず起こったことは、最大威力での平手打ちであった。
「全く帰って来るのが遅いじゃん」ギュッ
そして、そのすぐ後に本気で抱き締められた。
平手打ちにしろ抱き締めるにしても学園都市最強の怪物に対してこうした『人間らしい扱い』をできる人物は、この街でも稀なのだろう。
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/30(土) 16:33:44.70 ID:TA36nPIW0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
同じ頃、『かませのモブ』→『第3の主人公』→『世紀末帝王HAMADURA』と大進化を遂げた浜面仕上はどうであったか。
彼は、八人目(予定)の少女と第四位の少女と共に白昼堂々と学園都市に帰還して来た。
(戻って来たか学園都市に。それにしても『素養格付』なんてモンは恐ろしいな……。
あの連中が、ここまで素直に交渉に応じるなんてな…………)
浜面は手の中にある切手四分の一ほどのサイズのチップを難しい表情で見る。
「はまづら、どうしたの?」
隣を歩く『恋人』である滝壺理后が聞いてくる。
それに対して、少年は感慨深い口調で言う。
「……生き残っちまったなぁ第三次世界大戦」
「はまづら……」
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/30(土) 16:54:56.98 ID:TA36nPIW0
直後に浜面は気の緩みからか、心の中で思っていたことをそのまま口にしてしまった。
「はぁ…(アイテムの)みんながバニースーツを着たらどうなるんだろうなぁ……」
1秒後、浜面は己の失敗(死亡フラグ)に気付いたが遅かった。
急いで横を見ると『恋人』がドン引きしている。
「ちっ違う! こんなタイミングでバニーなんて絶対におかしい! 俺は、その、なんだ……」
「…はーまづらぁ……」ピキッ
ビクッ! として、浜面が声のした方向を震えながら見ると、恐怖の第四位が君臨していた。
「む、麦野……!」
「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」ドバーッ
「ちょ! 戦争は終わったのに……! 不幸だあああああああああああああっ!!」
どっかの誰かさんの決め台詞をパクっていることも知らず浜面は叫んだ。
この瞬間、『世紀末帝王HAMADURA』は『ドリンクバー往復係の少年』への左遷が決定した。
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/30(土) 16:55:29.67 ID:TA36nPIW0
またあとで来ます
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/31(日) 04:55:46.79 ID:Nc+O2TB+0
では投下します
といっても今回分はキャラに対する自分なりの考察をグダグダと書き連ねるだけですかねー
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/31(日) 05:14:35.44 ID:Nc+O2TB+0
それぞれ、戦果を挙げて戦場からの帰還を果たした主人公達であったが、その人数は『3人』から『2人』へ減っていた。
もちろん、一方通行と浜面仕上も、今では立派な主人公である。
だが、最も歴戦の主人公である上条当麻が欠けているのは、寒々とした光景であった。
歴史上に類似の例を求めるなら、真珠湾を空襲した栄光の空母6隻のうち、ミッドウェー海戦で一挙に「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」を失い、
残った正規空母が「翔鶴」と「瑞鶴」だけという有様に近いのかもしれない。
皮肉なことに、ミッドウェー海戦後に生き残ったのは「翔鶴」と「瑞鶴」の『2隻』。
そして、第三次世界大戦後に学園都市に戻ってきた主人公は一方通行と浜面仕上の『2人』。
数字的にも戦力的にもこの2例は似ている可能性があった。
唯一の救いはミッドウェー海戦後の連合艦隊はアメリカという超大国相手に破滅への道筋を辿ったに対し、主人公達は大戦を生き残ったことだろう。
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/31(日) 05:24:56.82 ID:Nc+O2TB+0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
さて、学園都市に『凱旋』を果たした2人の主人公と比べて、『強制送還』されることとなった第三位は、いかなる形で戻って来たか。
御坂美琴は、特殊部隊によって気絶させられた後、輸送機によって学園都市に戻された。
美琴を『回収』した輸送機が第二十三学区の空港に客陸したのは、まだ夜の明けていない時刻だった。
一方通行と浜面仕上は、その時にはまだ帰還していなかった。
そのことは美琴が、いかに今大戦において蚊帳の外だったのかを象徴しているかのようだった。
別に彼女の行動が全くの無意味というわけではなかった。
何しろ美琴は核ミサイルの発射を止めるという大戦果(笑)を挙げたのだから。
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/31(日) 05:40:28.20 ID:Nc+O2TB+0
しかし、本来のやるべきことである上条当麻の救出には、果たしてどれほどの意味があったのであろうか。
あくまで結果論だが、確かに美琴はあの少年を襲撃する予定である特殊部隊を倒した。
だが、仮に特殊部隊が美琴の攻撃を受けずにロシアに出向いていたとしても、彼らがあの少年を補足することは出来なかったであろう。
時間軸の関係から特殊部隊がロシアに到着する頃には、すでにあの少年は標高3000メートルに君臨する『ベツレヘムの星』にいたのだから。
結局、悲しいことだが美琴の行動は、ほとんど無駄であったということになる。
挙句の果てに、美琴は学園都市の特殊部隊に『回収』されるという醜態を見せてしまった。
しょせん、主人公達よりも生きていたセカイのスケールが遥かに小さかった第三位に大戦の激戦区は荷が重すぎたのだ。
今の美琴の心境はナポレオンのロシア遠征よりも厳しい寒さに覆われているのかもしれない。
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/07/31(日) 05:44:25.75 ID:Nc+O2TB+0
とりあえずこの辺で
少しオリジナルのことを酷評し過ぎたかなぁ……
新約2巻で上条さんが見る超電磁砲地獄とは?
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/31(日) 06:11:34.01 ID:orABPWGH0
>>72
乙 そうなのか?
新約1巻では、やつれた目録さんも幻想殺しを待っている描写があるが…
で、このSSでは如何に。
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 09:46:00.77 ID:cj3+Zq6IO
正直今回の話はここまで美琴sageする描写をする必要あったのかと思う
こんなん美琴アンチの人しか喜ばんと思うんだが…
> 何しろ美琴は核ミサイルの発射を止めるという大戦果(笑)を挙げたのだから。
(笑)があるだけでここまでイラッとする文章になるのは少しだけ日本語スゲーとは思ったw
まあわざわざ入れる意味があったのかどうかは別だけど
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 11:04:02.67 ID:+Eeckf+o0
考察についてはひとそれぞれだけど、(笑)は不必要じゃないか?
別に他二人も戦争止めるためにロシアに行ったわけじゃないんだし
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(栃木県)
[sage]:2011/07/31(日) 11:05:49.56 ID:Oog7/Mk+o
アンチがSS書くとこうなります
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 15:10:44.52 ID:jCZuFnUMo
勝手に序盤でアンチ認定するのはよそうぜただの荒らしになるから
ただ空母語りが痛かったぜよ‥‥‥
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 19:41:04.14 ID:HLGyx2qDO
>>1
も酷評し過ぎたと言ってるしもう良いじゃん。
これ以上は荒れるぞ
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/01(月) 15:22:19.74 ID:O998UJx/0
投下するのである
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/01(月) 15:32:15.41 ID:O998UJx/0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
舞台は移り変わり、学園都市から数千キロメートル離れた北極海沿岸
第三次世界大戦の主戦場から少し外れている所だが、ここには数多くの魔術師が集結していた。
ローマ正教とロシア成教、そしてイギリス清教。
先日まで大規模な魔術戦を展開していた彼らだが、今回の目的は全く違う。
大戦終結の立役者で、現在は北極海に消えた、とある少年の行方を捜索する。
その目的だけに、数百名もの魔術師が動員された。
中でも最大の人数を北極海沿岸に投入したのは、あの少年との繋がりが深いイギリス清教であった。
大戦末期にロシアの平原で『黄金の腕』からの救助を行った部隊が、距離の関係もあってそのまま派遣されたのだ。
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/01(月) 15:42:03.87 ID:O998UJx/0
その部隊は新生天草式十字凄教徒と元アニェーゼ部隊で占められていた。
彼らの中には、明らかに負傷している者が何人もいる。
大戦中、常に最前線で敵魔術勢力と交戦し、消耗したからだ。
本来ならば、戦力回復の為に本国へ一時帰還してもよかった。
だが、彼らはあえて捜索隊に加わることを望んだ。
誰もがあの少年に恩義を感じていたからだ。
そして、あの少年の捜索が開始された。
他の魔術師達が陸海空から捜索している中で、天草式は、お得意の潜水術式で海中を移動していた。
こういう場合、海戦がお家芸の彼らが活躍出来るであろう。
ところが、実際の状況は、いささか違いようであった。
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/01(月) 15:56:12.37 ID:O998UJx/0
ミシッ ミシッ
『きょ、教皇代理! 外殻が氷結してヒビが入っているっすよ!』
「チッ、そっちも同じか! おい香焼、強度を上げる術式をかけるのよな」
『ダメです。このままではッ! 外殻がもたな――――――』
バキンッ!
『――――うわあああああッ!!』
「お、おい大丈夫か!?」
通信用の霊装からすさまじい音が響き、建宮斎字は思わず大声で呼びかけた。
『だ、大丈夫っす…。強度を上げる術式が間に合ったすよ。ただ……』
「ただ…、どうしたのよな………?」
『海水をかなりかぶってしまったので一度浮上す―――』
ズドンッ!
『――――ひいいいいいいッ!!』
先ほどと異なる音が響き、建宮は何事かと思った。
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/01(月) 15:57:31.53 ID:O998UJx/0
まとあとで来ます
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/08/01(月) 21:05:13.20 ID:5bEUrOCn0
待ってる
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/01(月) 23:31:41.04 ID:O998UJx/0
再開します
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/01(月) 23:50:26.38 ID:O998UJx/0
その疑問は、幸か不幸かわからないが、すぐに氷解することになった。
『浮上? 何言っているんですか、時は一刻を争うんですよ。もし今度弱音を吐いたら海中に叩き込みますよ?』
「いっ、五和ちゃーん?」
霊装から恐ろしいほど平淡な声が聞こえてくる。
同時に建宮は向こうの状況がわかって、ガクガクと震える羽目になった。
現在、天草式は2人1組となって小型のボートに同乗。
術式をかけたボートを『可潜艇』とした上で、あの少年の行方を海中から捜索している。
そして、天草式の中でも年少者である香焼と組んでいるのは……
「香焼よ、ちと尋ねるが今の音は、もしかして五和の奴が……」ヒソヒソ
『はい、たぶん教皇代理の想像通りっす……………………。
五和がギャアギャア騒ぐオレのことを睨み付けると同時に槍をぶっ放してきたっす………』ヒソヒソ
「まあ、五和なら上条当麻に対して人一倍強い思い入れがあるのよな。
あのアックア戦の時と同じような状態だろうな……」ヒソヒソ
『ええ、まさに今の五和のコトを一言で表すなら大火災を起こした石油化学コン―――』ヒソヒソ
『建宮さん、うるさいですから――――――ちょっと黙って探してもらえます?』
突然、建宮と香焼の会話に少女の声が割り込んで来た。
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/02(火) 00:13:00.57 ID:Rp2fH/lP0
その声は、全ての感情を消した、そっけない声だった。
だが、逆に機械のような冷徹さで満ちている。
それゆえ、言葉がそのまま見えない刃となっており声を聞いた者、全てを震え上がらせた。
「じゃ、じゃあ捜索に戻るので香焼、後はよろしくなのよな」ヒソヒソ
『待って下さい! なんでオレが、あんなスーパーバイオレンスモードの五和に最後まで付き合わなければならないんすか!?』
建宮が音速で会話を終了させようとしているのを察知して、香焼は恐怖と絶望を混同した断末魔の叫び声を上げた。
「がんばるのよな。恋する乙女は世界最強の軍隊よりも恐ろしいのよ」ヒソヒソ
『切らないで! ここで切られたら再びあの緊張感の中に放り込まれるっす!!』
「ありがとう香焼。君の勇姿は忘れないのよな。勇敢なる香焼少年に敬礼―――――ッ!」
『教皇代理! 縁起でもないことしないでええええええええッ!!』
「Amen(アーメン)」
『ちょ、五和さん!? なんでオレの肩を掴むんすか――――――やめてえええええッ!!
海軍用船上槍(フリウリスピア)だけは、いやだあああああああああああああッ!!!』
ブツッ!
不気味な音と共に通信が切れた。
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/02(火) 00:24:56.55 ID:Rp2fH/lP0
その後、香焼は上条当麻捜索隊の拠点に戻った。
その時、彼がこの世の終わりのような顔をしていたのは誰の証言をとっても間違いないところだった。
そして、拠点に戻った香焼が、真っ先にしたことは、怒りにまかせて建宮斎字の股間を蹴り上げることだった。
このたった一発で、哀れな教皇代理は生涯でも数え切れるほどの痛みと共にノックダウンした。
もっとも、天草式の他の面々が心配しているのは、恐怖の体験をした香焼やヲトコの大事な急所に直撃を受けた建宮など、
――――――ではなく、とある少年に恋する乙女(伊達や酔狂ではなく、ガチで彼のためなら死んでも良いレベル)のことであった。
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/02(火) 00:27:44.34 ID:Rp2fH/lP0
では、この辺りで
恋する乙女、五和の心境やいかに?
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/03(水) 19:58:58.18 ID:Tj7MDaYi0
投下しますねー
今回から超電磁砲組が出てきます
彼女達の立ち位置は『科学で無知な子供達』です
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/03(水) 20:10:17.78 ID:Tj7MDaYi0
11月2日
東京西部に位置する学園都市では、まもなく秋から冬へと季節が変遷しようとしていた。
一面の紅葉にあふれる第七学区のとある公園で1人の少女が、すっかり夏とは雰囲気が変わった木々の様子を眺めている。
そんな中学生ぐらいの少女の背後からニヤニヤしながら近づいて来る1つの人影があった。
少女は、後ろから迫って来る存在に気付かない。
突然、その人影は少女の真後ろに到達すると同時に―――、
バサッ
明らかに手慣れた様子で、少女のスカートを思い切りめくった、
「ふーむ、初春の今日のパンツは水玉かー」
「キャアアアアアッ! 何するんですか佐天さんッ!!」
「いやー、だってここんところ第三次世界大戦とか何やらで、非日常だったよねー。
こ・れ・は、日常に戻る為に通らなければならない道なのさー」(キリッ
「そんなの絶対ありえません!」
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/03(水) 20:21:08.55 ID:Tj7MDaYi0
「あー、ついでに大戦が無事に終了した記念☆―――のことも兼ねているよー」
「そもそも日常って何ですかッ!? ネコの阪本さんがしゃべったり、ツンデレが対象に向かってバズーカ放つとか、まともじゃありませんッ!」
「初春……それってアニメの………」
「それ以上踏み込んだら負けです。あと毎度毎度スカートめくるのは断固やめて下さい」
「相変わらず初春は固いねー」アハハ
「佐天さんのバカ……」ボソッ
「そーいやー、初春や白井さんって大変だったんだって?」
「そうなんですよ。何しろ街中の警備員の人達が、あちこちで引き抜かれてしまいましてね…。
風紀委員が警備員の仕事を一部、肩代わりしなければならなかったんです……」
「へー、こっちは学校が臨時休校でさー、毎日テレビに釘付けだったよー」
「いいですよね佐天さんは、相変わらず暇そうで。私は過労死寸前ですよ」
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/03(水) 20:36:34.89 ID:Tj7MDaYi0
「クエスチョン! 一か月ぐらい前に第177支部で『暇人速報』を仕事の合間に見ていた不届き者な風紀委員は誰でしょうか?」二ヤリ
「ぐほっ! な、な、な、何のことですか……?」ビクッ
「えっとー、誰だったかなー? あたしの知っている人のはずなんだけどー、何かもう少しで思い出せそうなのに思い出せないんだよなー」(棒読み)
「思い出せないなら、なんで確信した目付きで私を見るんですか……」
「謎は全て解けた! 犯人は必ずあたしが捕まえるわ、『ジッチャンの名にかけて!』 なーんてねー、冗談だよー」クックックッ
「うぅ…そんなセリフを言う佐天さんが痛いし、こんな佐天さんに追い詰められている私なんてもっと痛い…………」ドボーン
「ちょっとー、いくらなんでも落ち込み過ぎだZE!」
「言葉の語尾から明らかに悪意が感じられるんですが……」
「悪意? この前、トリプルバトルで『ダークホール』使って3体同時に眠らせるという極悪非道なやり方を行使した初春んはいわれたくないなー」
「ナンノコトデスカ?」(真顔)
(ダメだ、こりゃ……)
そんなこんなで初春と佐天の世間話は続いた。
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/03(水) 20:44:22.08 ID:Tj7MDaYi0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
同時刻、石川県のとある旅館にて
「ハックション!」
「緒花ちゃん、カゼでもひいたの?」
「いやいや、どっか遠くで私となこちによく似た人たちが話しているような気がするんだよね」
「えっと…世界は広いんだし、そういう人もいるかもね(もしかして電波系…?)」
「そうかもしれませんな、ウム!」
アレ? コノフタリノコエ、ドコカデキイタコトガアルヨウナ……
95 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/03(水) 20:47:29.42 ID:Tj7MDaYi0
ではここいらで
最後のあたりは気にしないように
96 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/03(水) 22:33:38.35 ID:9EeMEocDO
だったらなぜその場面を描いたのかと
あ、このレスは気にしないように
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
:2011/08/04(木) 16:45:50.30 ID:YJ9XWNOAO
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/04(木) 17:14:05.21 ID:8uVxdxV/o
特定のキャラを異常に下げたり別作品や実在するサイトをいきなり出したり酷い作者だな
これ以上続けて恥かく前にやめたほうがいいだろ
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/04(木) 17:58:20.57 ID:m3gJ8mvr0
いいぞもっとやれ
100 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/08/04(木) 21:18:59.75 ID:58xXOC6D0
俺ははっきりいってどうでもいい
いいぞもっとやれ
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/08/04(木) 21:32:28.65 ID:YJ9XWNOAO
つまんね
スレ主何歳?
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
:2011/08/05(金) 17:17:02.06 ID:GKECv2ca0
なるほどね
いろはの2人は中の人が同じということか
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/08/05(金) 20:30:27.35 ID:rr6a0blw0
てかなぜ佐天と初春だしたんだ?いらなくね?
104 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/08/05(金) 23:44:53.82 ID:kLfWXJZAO
乙
俺は面白い試みだと思うぜ。今後どうなるかだな
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/10(水) 17:17:35.49 ID:eoWtBfOg0
不味いですねー
『光の処刑』の調整に失敗して、『睡魔』を上位にしてしまいましたねー
おかげでここ数日、意識が飛んでいましたよ
※本当は熊本に旅行へ行っていたり、SPや新約2巻を読んでいました(あと、夏の課題が…)
更新が遅れて申し訳ありません
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/10(水) 17:19:05.39 ID:eoWtBfOg0
では投下しますかねー
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/10(水) 17:31:13.01 ID:eoWtBfOg0
今日も学園都市は平和だ。
第三次世界大戦とか何やら色々あったけれど、あたしの日常は変わらない。
というのが大戦終了後、佐天涙子(ごく普通の中学生)の本音であった。
どこからか、スカート捲りが趣味で、容姿端麗のうえ、外伝のモブとは思えないほどの大出世を遂げていて、どこが『普通の中学生』なんだ?
というツッコミがあるかもしれない。だが、そういうことはスルーしておこう…
皆同じだ。戦争といっても、どうせテレビ画面で展開されているニュースと同類だ。
だから学園都市の学生達は過去(戦争)に背を向けて、未来(平和)に足を進める。
彼らは知らない。彼らのセカイ(日常)は1人の少年によって死守されたことを。
人間は残酷だ。知らなければ、たとえそれが全世界を救った人物でも、讃えることも感動することも出来ないのだから。
それは、佐天涙子とて例外では無かった。
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/10(水) 17:50:16.07 ID:eoWtBfOg0
話を戻そう。佐天涙子は初春飾利と共に第七学区のとある公園を歩いていた。
「―――♪絡まった運命も 変えていけるから 総てはこの手の中に在る!
―――♪誰にも負けない能力(チカラ)が 身体(ココ)に無いなら 暇人(ヒマジン)なんて 壊してしまえばいい」
「ちょっと待って下さい! 最後辺りは確か『暇人(ヒマジン)』ではなく『幻想(イマジン)』のはずでは!?」
「えー、別に一文字ぐらい違っているけど別にいいんじゃないのー」
「嫌味ですよねっ! 絶対にあのことを突っついていますよねっ!!」
「さあ何のことかなー? ああ、初春が見ていた暇人そ――――おっとこれ以上は言ったらいけなかったっけ」
「やっぱり……(ヒドイですよ…佐天さん……)」
「まっとりあえず、そんなコトはどうでもいいよー」
「どうでもいいんですかいっ!?」
「初春……口調がなんだか荒くない?」
「誰のせいだと思っているんですか…」プクー
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/10(水) 18:09:25.96 ID:eoWtBfOg0
「そういえばさー、10月30日は突然昼が夜に変わったり、黄金色に染まった空が出現したりと意味不明なコトのオンパレードだったよねー」
「佐天さん、あんなオカルトなモノを掘り出して何が楽しいんですか?
ここは科学の結晶、学園都市ですよ。そのうち解明されるに決まっているでしょう」
「お前は言うことが大人だなー。少しはオカルトとか神秘性を考えたらー?」
「まあ、確かにその方が面白いかもしれないですけど、ありえないですよ」
「ですよねー」
「あのー佐天さん……」
「どうしたの初春?」
「あそこのベンチに座っている茶髪の人って御坂さんじゃないでしょうか?」
佐天は、初春が指差した方向に顔を向ける。
「ふむ、確かに御坂さんだねー。よし、ちょっとイタズラしちゃおうかなー」
「……そういう感情を持つのはよくないのでは?」
「別にー、両目を抑えて『だーれだ?』ぐらいだけど」
「レッツ・ゴーです。佐天さん」ニヤッ
「オッ! 初春の口元が笑みに包まれていますなー」クスクス
「でも、御坂さんの体からは常に電磁波が出ていて死角が無かったような……」
「つまんないなー。仕方無い、フツーに挨拶していきますか」
「いやいや、なぜ最初からその結論に達しないので?」
「細かいコトは気にすんなー!」
「…………………………」
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/10(水) 18:23:52.33 ID:eoWtBfOg0
そういうことで佐天と初春は御坂美琴らしき人物に近づいた。
「こんにちはー御坂さん、今日は紅葉がきれいですねー」
ベンチに座っている少女は、佐天の声に鈍く反応し、こちら側を向いた。
「………………あぁ……佐天さんに………初春さんか…………」
だが、その言葉は2人の耳には届かなかった。
2人の中学生コンビは絶句していたのだ。
名門常盤台中学が誇る最強無敵の電駅姫。
一般人である佐天と初春からすれば限りなく理想に近い人物。
そんな彼女がこの世のものとは思えない表情をしている。
焦点の合っていない目は死んだ魚とよく似た目付きだった。
その目の下には、寝ていないことが推測出来る大きなくまがあった。
これらを象徴するかのように表情全体が『絶望』の2文字を現出していた。
どうひかえめに見ても、まともではない精神状態であることがわかる。
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/10(水) 18:30:44.80 ID:eoWtBfOg0
「………どうしたの?」
御坂美琴は生気皆無の声で尋ねて来る。
「い、いやー今日はいい天気ですねー」
物凄く気まずそうに佐天はしゃべった。
「……………そうね」
返事はして来たものの、全く感情が入っていない。
いつもの力強さなど宇宙の彼方に消し飛んでしまっているようだ。
「じゃ、じゃあさようならー」サササッ
「御坂さん、また今度………」サササッ
佐天と初春はその場における重圧感満載の空気に耐え切れず、逃げるようにしてその場を去った。
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/10(水) 18:47:26.70 ID:eoWtBfOg0
ある程度離れた所で初春の方から切り出して来た。
「……御坂さん、一体全体何があったんでしょうか…」
「うん…あの様子だと普通じゃないね……。精神の支柱が折れてしまった感じだな………」
「でも、御坂さんのような高位能力者の人は、精神的に物凄く強いはずです。
ましてやレベル5である御坂さんですから、どうしてあんなことになるんでしょうか…?」
「つまり、御坂さんはレベル5として『自分だけの現実』という形で自分の精神の制御法を熟知していた。
にも拘らず、それらを根本から粉砕するほどの圧倒的な何かがあったということだよね……」
「そんなの、あるはずが……」
「いや、もしかしたらあるかも…」
「それは何でしょうか?」
「わからん」
と言いつつ、佐天としては別のことを考えていた。
(もしかして、御坂さん……ウワサの彼氏と『失恋』でもしたのかな…?)
実際のところ、御坂美琴を襲った悲劇は『失恋』よりも格段に凄まじいものであった。
だが、佐天の予想が『だいたい合っている』というのは否定出来ないだろう。
『女のカン』とは恐ろしいものだ。
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/10(水) 18:59:04.37 ID:eoWtBfOg0
では今日はここまで
佐天と初春いらなくね? と思っている人がいるようなので、彼女達を出した理由について説明します
上条さん不在の世界は基本的に『平和』なので小競り合いはあるかもしれませんが大規模な争乱というのは発生しません
ほら、鎌池先生もどこかで言っていたように上条さんの不幸は周りを巻き込みますし…
こうなると『平和』には日常を謳歌している人物が必要ですよね
そこに超電磁砲組という『科学で無知な子供達』を当て嵌めてみようと思いました
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 12:31:17.78 ID:cmWmhRAx0
乙
所謂、騒乱と平和の対比ですね
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/08/15(月) 03:01:39.79 ID:0zTP7KiAO
乙。スレタイ通り、上条さんが本当に死んじゃった世界かー
遺体とか、アレイスター辺りが、こっそり回収してそうだなww
こういうスレを俺は待っていたぜ
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/15(月) 12:04:04.93 ID:RjN1+W57o
超期待
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/15(月) 12:45:09.90 ID:PAPosGFDO
要は上条ちゃんいない作品の方が良いおっwwwwwwwww
って誤解されやすいSSだな
とりあえず上条ちゃん嫌いです///なのは理解した
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/16(火) 16:42:47.59 ID:+eGhypn00
新約2巻の滝壺が怖い……
では投下します
119 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/16(火) 17:02:03.77 ID:+eGhypn00
かつて、とある少年を中心として魔術サイドと科学サイドの両面から脅威と見なされた1つの勢力があった。
『上条勢力』
活動した期間は、わずかに3か月程度であったが、数々の抗争に参加した。
そしてその都度、必ず戦果を上げて戻って来るという縦横無尽ぶりを敵味方に見せつけた。
どうしようもない欠点もあった。
参加した抗争のほぼ全てが大激戦となり、戦果は上げて来るものの、必ずと言っていいほど大損害を受けている。
だが犠牲も無しに結果を得るというのは虫の良い考えであろう。
その意味で言えば、上条当麻の闘志は、度重なる戦いで味方及び己に大損害を強い、最後には彼らを破滅寸前まで追い込んだものの、結果的には勝利を導いたことになる。
そんな上条勢力が最後にして、最大の戦果を上げたのが、第三次世界大戦だった。
大戦において上条当麻は、神の右席最後の1人、右方のフィアンマと交戦。
大戦の元凶を撃破し、さらに大天使をも倒したことで、全世界は救われた。
しかし、その代償は上条当麻の『死』であった。
これにより中心人物を失った上条勢力は、事実上崩壊した。
結局、全世界を救ったことが、同勢力の最後の花道となったのである。
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/16(火) 17:26:07.92 ID:+eGhypn00
そして、11月2日現在では、北極海において、とある少年を慕う有志達(元上条勢力の中で魔術側に所属する大半の者)が、あの少年の捜索に加わっていた。
だが、不幸な少年は消失後も未だに神様から見放されているようであった。
「シスター・ルチア、いくらなんでも寒すぎますッ!!」ブルブル
元アニェーゼ部隊でも年下の方であるアンジェレネは、捜索2日目の開始早々に悲鳴を上げた。
「ガチガチ、神に仕える者が寒さぐらいどうだというのですッ!」プルプル
「言っているそばから、寒いのをがまんしている口調が見え見えなんですけど!?」ガタガタ
「黙りなさいッ! しかし今回ばかりは、あなたの主張もよくわかる気がします」カタカタ
「わかってくれましたか………」カタカタ
「だからと言って、上条当麻の捜索をやめるわけにはいきませんッ!!」ブルルッ
「それでも―――ッ! 前日との気温差が30℃というのは、いくらなんでも無茶苦茶ですよッ!!」ガチガチ
アンジェレネのうめき声に呼応するかのようにリーダーのアニェーゼ=サンクティスが全てを纏めるようにして不満を言い放つ。
「だいたい、捜索開始を待っていたかのように大寒波(暴風付き)来襲とかイカれてやがりますッ!
気温が零下37℃とかふざけているんですかッ!!」
全てはアニェーゼの言葉通りであった。
突然の異常気象で気温が急降下、『不幸』なことに大暴雪風がやってきたのである。
それはまるで神様が、あの少年の捜索を妨害しているとも思えるほどだった。
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/16(火) 17:42:00.66 ID:+eGhypn00
「寒い……」「凍死しそう……」「ガチガチ…」「冬将軍め……!」「教会に戻ってポケモンやりたいな…」「温暖なアドリア海が懐かしい…」「これって詰んでない?」
と、元アニェーゼ部隊の面々が、寒さに対して考え付く限りの悪口雑言と呪詛の文句(ちょっと待て修道女)を怒鳴り散らしていた時、通信用の霊装から男の声が響いた。
『おいシスター・アニェーゼ、聞こえるか?』
「ああ、建宮斎字ですか。聞きましたよ、昨日は随分と痛い目にあったそうで」クスクス
『ドSシスターのお前さんにだけは言われたくないんだが……』
「何か言いました? 変なコト言うと北極海に叩き込んでやりますよ?」
『それと似たようなセリフを昨日、五和のやつが言っていた気がするのよな……』
「はい?」
『とりあえずだな、そっちの部隊の様子はどうよ?』
「マズイですね……昨晩からの大寒波で凍傷になった者が多数です」
『こちらも似たようなモンだ。このままでは――――――――』
122 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/16(火) 18:16:15.67 ID:+eGhypn00
「このままでは?」
『八甲田山になりかねん』
「なんですか、ハッコ―ダサンって?」
『ああ、日本人にしかわからんネタだったな…。八甲田山というのは日本のとある山の名前でな世界でも有数の豪雪地帯なのよ』
「ふーん、それが何か?」
『八甲田雪中行軍遭難事件といって1902年1月に日本陸軍第8師団の歩兵第5連隊が冬季訓練中に遭難した事件があったのよな。
シスター・アニェーゼ、ここで問題だが、この事件に合った第5連隊210名の内、どのくらい生き残ったと思う?』
「さあ、3分の2ぐらいですか…?」
『フフフ、お前さん御目出度い奴だな。残念ながら大ハズレだ。この遭難事件で生き残ったのは210名中たったの11名なのよ』
「そんなに…!!」
『ついでに言っておくが、この事件を題材とした映画「八甲田山」はかなりの名作なのよな』
「ついでの部分が完全に筆者のウンチクと化しているようですが……」
『さ、さあ何のこと――――――』
突然、新生天草式と元アニェーゼ部隊、それぞれのリーダー(もしくは代理)の会話に割り込んで来た者がいた。
『教皇代理! 緊急の報告がありますッ!!』
『野母崎か、どうしたのよな?』
『上条当麻が…………発見された……そうです…』
『なんだと……!!?』
「「「本当なんですか……!?」」」
その報告を聞いた者、全員が顔色を変えた。
123 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/16(火) 18:18:15.77 ID:+eGhypn00
今日はここまで
新約3巻の舞台はハワイかあ
ダメだ…ハワイ=真珠湾という式がどうしても浮かんでしまう……
124 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/16(火) 19:23:48.93 ID:E1l53gxDO
乙
みつ……かった…だと
ハワイ→アロハー→土御門って考えも出来るのよな
125 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/16(火) 20:39:47.93 ID:4QdhLRMzo
乙。見つかっただと…!
既に遺体となっていたなら、話は大きく変わるけど、
普通に生きてたなら、どう原作と変えるか…!
後、ポケモンやりたいワロタ
126 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
:2011/08/17(水) 00:37:39.80 ID:wfT5i/0A0
みつ……かった…だと
127 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/17(水) 01:08:31.69 ID:Q100m/Oz0
み………見つかったァーーー!
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/08/17(水) 01:16:44.61 ID:nXLR2pfRo
見つかった…のか…?
129 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/17(水) 10:26:56.33 ID:T+gZKEqDO
みつかった……だと
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/18(木) 01:21:29.44 ID:dHN9zUFmo
おっと俺はブリーチスレにきてしまったみたいだ
131 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 05:06:29.06 ID:l4+ynDEDO
許せ
>>130
ェ……ここは禁書スレだってばよ!!
132 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 13:28:55.72 ID:/b0jFntfo
>>131
うるさいから黙っとけ
133 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/08/18(木) 22:02:32.74 ID:fLfDg6ux0
あまり強い言葉を使うなよ
134 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:27:48.06 ID:/b0jFntfo
>>133
イラッときてやってしまった。
今では後悔している。
出来るなら、謝りたい。
135 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 12:58:31.84 ID:AOYBF5aNo
(;^ω^)
136 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/19(金) 17:53:07.02 ID:HSmp8zG/0
秋からのアニメ開始は絶望的か……禁書ファンにとって氷河時代だぜ………
投下しましょうかねー
137 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/19(金) 18:03:12.16 ID:HSmp8zG/0
彼女が『それ』を見つけたのは、本当に偶然だった。
とある少年を捜す為に派遣された捜索隊をあざ笑うかのように、ロシアの地に大寒波が来襲した11月2日。
何の気まぐれか分からないが、『偶然の女神』が彼女に微笑んだ。
ただし、よりによって『それ』を見つけたのが、恋する乙女であったことに悪意を感じる。
恋する乙女こと五和は、この日も夜が明ける前から探照灯を灯して、あの少年の捜索に当たっていた。
そして、コンビを組んでいるのは香焼――――――ではなく、
「五和、少しは休んだらどう?」
天草式の少女、浦上は疲労の顔色を滲ませている五和を心配するように言った。
「私は…大丈夫です………」
五和は相変わらず、そっけない声で答える。
138 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/19(金) 18:11:05.29 ID:HSmp8zG/0
(あなたの気持ちも分からなくはないけど、もう限界でしょ……)
浦上は、恋する乙女の執念にため息をついた。
(昨日、五和と組んだ香焼は、ノイローゼ気味になって脱落してしまったし………。
よりによってなんでこの私が、こんな状態の五和と組まされたのよ…………)
脱落した香焼に代わって、五和と(無理矢理)組まされた少女は、その命令を出した教皇代理(キレた香焼に股間を蹴られて行動不能状態)のことを呪った。
139 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/19(金) 18:22:25.81 ID:HSmp8zG/0
浦上がそんなことを考えていた時、五和は探照灯によって照らし出されたものの中に、違和感を覚える『それ』を見つけていた。
(あれは……?)
五和の目に映ったのは、海中にある氷の塊――――――氷山であった。
氷山自体が問題なのではない。問題のは氷山の中に閉じ込められている『それ』だ。
もっと詳しく見るために、彼女は氷山へと『可潜艇』を近づかせる。
(……………………ッ!!!)
五和が見つけた『それ』は、茶色の縞模様の布切れだった。
彼女には、その布切れに見覚えがある。
そう、あの少年がロシアに向かう時に身に着けていたのは、『茶色の縞模様が特徴であるマフラー』だった!!
140 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/19(金) 18:28:07.55 ID:HSmp8zG/0
(まさか………………!!!)
五和は、氷山のあちこちを探照灯で照らし出す。
そして―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。
「あ……ぁ………」
五和の判断能力が粉々に吹っ飛んだ。
「どうしたの……?」
五和の奇妙な声に、浦上は怪訝そうに尋ねる。
恋する乙女は答えない。
「………うぁ……」
代わりに震える声と共に、氷山のとある場所を指し示した。
141 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/19(金) 18:37:00.37 ID:HSmp8zG/0
「……え?」
顔色に疑問を浮かべつつ、浦上は、五和が指差した方向を見る。
氷山の中に、何かの影が見える。
『それ』は、人間の形をしていた。
『それ』は、高校生ぐらいの体格をしていた。
『それ』は、ツンツン頭?が特徴的だった。
(あれは―――――――ッ!!)
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」
氷山に閉じ込められているモノの正体に浦上が気付いた瞬間――――――――――。
恋する乙女である五和の絶叫が響き渡った。
142 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/19(金) 18:39:44.70 ID:HSmp8zG/0
ではこの辺りで
はぁ……夏休みもあとわずかだ………
143 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 18:48:53.79 ID:aFUT4qmR0
乙!
五和に微笑んだのが、女神なのか悪魔なのかまだわからないな
144 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/19(金) 19:23:39.49 ID:AOYBF5aNo
乙。これはもう…
これで生きてたら、人間ではない
145 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 19:27:46.29 ID:aXw3dI9DO
右手が生えてきたんだし
かなりナメック>人間だろ
146 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2011/08/19(金) 19:40:58.75 ID:5TpKX5tn0
デモリションマンみたいに数十年後にアレイ☆が解凍するんだろ
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/08/19(金) 20:10:10.08 ID:8X9VSWcAO
冬眠状態で生きてるかもしれん
148 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/08/19(金) 20:23:57.40 ID:mnKSFFV2o
>>146
編み物が得意な上条さんカワユス
149 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 20:32:17.47 ID:JHLsPNTSO
とりあえず乙
150 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/08/19(金) 21:24:42.19 ID:4JoFP4fG0
食費が足りないから冬眠か…
151 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
[sage]:2011/08/20(土) 11:56:40.49 ID:0wCzG32Ho
>>1
乙ー
>>150
インデックスの食費を捻出するためなら上条はやるよな
152 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/20(土) 15:41:17.59 ID:8TUPHH32o
中条さん…
153 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/21(日) 22:26:39.36 ID:3/sYGbdIO
生命保険で食費捻出とかやりすぎだろ…
154 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/23(火) 23:58:57.34 ID:o/Nrt+C30
投下します
155 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/24(水) 00:02:49.56 ID:EjtWvOG00
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
11月3日(文化の日)
日数が経過するごとに第三次世界大戦は、確実に『過去』となっていく…
これは歴史的観点から見た場合、あまりにも単純過ぎることであろう。
まあ、そんなことはどうでもいい。
とりあえずここは、とある街のとある少女達の『日常』を見るとしよう。
156 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/24(水) 00:17:40.87 ID:EjtWvOG00
学園都市第七学区のセブンズミストでは3人の少女が会話を交わしていた。
「それで白井さん、御坂さんに一体何があったんですか?」
佐天涙子は、最も気にしていることを真っ先に尋ねた。
「それが…よくわからないんですの……。10月30日、風紀委員に駆り出されていた間に部屋からいなくなりましたの。
翌朝戻って来たのですが…その時の表情は正視できるものでは無かったですわ………」
常盤台中学の大能力者、白井黒子は、目にハンカチを当てつつ、言った。
「御坂さんからは、何か話してくれましたか?」
頭の内も外も花畑となっている少女、初春飾利は、同僚に質問する。
「戻られた時に問い詰めるつもりでしたが…運悪く寮監にお姉様が不在であることが発覚いたしまして………。
世にも恐ろしい罰則を受けましたの……。その後に尋ねましたが…あの表情のまま何も話してくれませんの……」
157 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/24(水) 00:24:25.17 ID:EjtWvOG00
「ということは、御坂さんも罰則を…?」
(コラ初春、失礼なことを聞くな!)ヒソヒソ
「お姉様の場合、寮監から厳重注意を受けましたが、あまりにも尋常ではない御様子でして……。
その為か、あの鬼も寮監でさえも何か気の毒に思ったのか、驚くほど短時間で説教を終わらせたんですの…」
「ええー、あの恐怖の寮監さんがー!?」
「でも、確かに納得出来る部分がありますよ。あの様子では……」
「はい、それで―――――――」
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/24(水) 00:27:30.58 ID:Lnt5uMNJ0
いい展開だなぁ
159 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/24(水) 00:34:53.74 ID:EjtWvOG00
白井が話を続けようとしたときだった。
「ほう、『鬼の寮監』か。随分と言ってくれるものだな、白井」
突然、白井の背後から声がした。
そして、その声は白井自身―――――というよりは常盤台学生寮に住んでいる学生全員が圧倒的な恐怖の記憶と共に刻まれているものであった。
その声を耳にした途端、夏でもないのに、白井のありとあらゆるところから冷や汗が噴き出した。
同時に、己の意識とは別に、歯がカチカチと鳴り出した。
ギ ギ ギィ
白井は、ぎこちなく、声がした方向に震えながら顔を向けた。
(りょ……寮監―――――――――!!!)カチカチ
「まったく…本人の後ろで人の悪口を言うとはな。とても残念に思うぞ」
160 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(山陽)
[sage]:2011/08/24(水) 00:42:55.24 ID:lUKNi68AO
原作もこんな展開だったらな
原作は再開も軽かったし微妙だったな…
161 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/24(水) 00:44:48.35 ID:EjtWvOG00
「ご…御機嫌麗しゅう寮監様……」ガタガタ
(う、初春、あれって……)ヒソヒソ ガクガク
(はい…白井さん詰みましたね……)ヒソヒソ ブルブル
「白井!」
「は、は、はいですの!」
「必要以上に脅えることはないぞ? 今の君は寮の規則を破っているわけではないのでな」
そう言うと、勝てる気がしない恐怖の結集体もとい寮監は、去って行った。
束の間、3人の少女は沈黙に包まれていた。
「いやー、首の皮一枚で繋がりましたねー」
「本当、こちらも心臓が止まりそうでしたよ…」
「……………………………………」←自分が無事でいるのが信じられない心境
162 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/24(水) 00:54:39.09 ID:EjtWvOG00
「もしもーし、白井さーん?」
「はっ! 意識が数秒ほど断絶していましたわ……」
「白井さんが、寮監さんから罰を受けていた方が面白かったのに」ボソッ
「初春! 今何か言いましたか?」
「いえ、何も言っていませんけど」(真顔)
(初春…黒いなぁ……)
「とりあえず話戻しますけど、御坂さんがああなってしまった原因って何だと思います?」
佐天は話題をリセットした。
「わからないですの……お姉様のことなら誰よりも深く広く細かく存じているはずなのに…」
「私もわからないですね……」
「あ! もしかしたら……!!」
「「もしかしたら?」」
163 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/24(水) 01:06:01.68 ID:EjtWvOG00
「ウワサの彼氏と失恋したのでは?」
「おおー! 御坂さんは恋する乙女ってことですか」
「多分そうだと――――――――――」
「きいいいいいいいいいいいいいいいい!! そんなこと絶対ありえませんわあああああああ!!
お姉様があんな類人猿に惚れるはずがああああああああああああああああああああああああああ!!?」
「し、白井さん!?」
「落ち着いて下さい、店の迷惑です!」
「お姉様のパートナーは、このわたくし白井黒子だけですのっ!! クゥヲロスッ!! あの類人猿は、わたくしがこの手でトドメを――――――――――ッ!!!」
その後、初春と佐天は、白井をなだめるのにかなりの労力を使うこととなった。
平和だ。今日も『科学で無知な子供達』は、仮初めの『平和(日常)』を過ごしている。
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/24(水) 01:09:47.98 ID:EjtWvOG00
では、とりあえずこの辺りで
次回、遂に『あの人』が登場します
165 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/24(水) 01:19:48.53 ID:1VAbIbyDO
乙!
もはや「あの人」が誰なのか考えないようにしたww
今か今かと待ち悶えだもんww
166 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/24(水) 01:42:54.29 ID:bNQSvcjDO
縦Dさんクルー?
167 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(藤枝)
[sage]:2011/08/24(水) 10:15:41.20 ID:DI0cZ6hl0
>>1
乙。なんかすごい題名だから見てみたらめちゃくちゃ気になる内容なんだけど!?
次の投下を楽しみにしています。
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/24(水) 23:28:18.45 ID:K67NqF+qo
乙
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/29(月) 15:20:54.78 ID:qZgHh/u+0
投下します
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/29(月) 15:25:37.11 ID:qZgHh/u+0
同時刻、窓のないビル
その内部の不可思議な部屋において、2つの人影が話し合っていた。
「―――で、アレイスター。大戦終結早々に呼び出して何の用だ?」
金髪にサングラスが特徴である少年が話を切り出した。
「ふむ、少々困ったことが起こったようだ」
巨大なガラスの容器の中で逆さまに浮かぶ『人間』は、無表情のままつぶやく。
171 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/29(月) 15:35:36.29 ID:qZgHh/u+0
「……上条当麻のことか。お前のことだから、どうせ回収済みなんだろう」
「残念ながら違うな。よりによって、私の手元から離れるとは」
「ほう、随分とあっさり、失敗を認めるのか……。逆に怖いぞ」
「そうだな…他人の言葉を借りるとしたら、『失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した』とでもするべきなのかね?」
「………………そのセリフ、作品自体が違うぞ……」
「おや、おかしいかね? 私としても日本の(ヲタク)文化は愛好しているつもりなのだが」
「ちょっと待てアレイスター、お前はシリアス要員で、ギャグ性は皆無のはずだ!」
172 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/08/29(月) 15:41:15.63 ID:nTK/GQoAO
来てた!!
173 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/29(月) 15:42:41.07 ID:qZgHh/u+0
「たまには脱線してみたいものだが、まずいかね?」
「…………………………………おい」
「さて、本題だ。土御門元春、少し確認してもらいたいものがある」
「大戦終結の爪痕か? あんなものはとっくに葬られ――――」
「北極海において、上条当麻が発見されたそうだ」
「なんだとッ!!?」
「ごらんのとおり、私はここから自由に動けないのでね。君が本当かどうか見て来たまえ」
174 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/29(月) 15:49:40.05 ID:qZgHh/u+0
「『右手』だけでも、『回収』するつもりか、アレイスター!!」
「ふむ、『立っている者は親でも使え』という言葉があるが、果たしてどうだろうな。
私としては『死んだ』者まで使うつもりはないな。もっとも『生きて』いれば話は変わって来るかもしれないが」
「ちくしょうが……」
土御門は捨て台詞を残して去って行った。
自分以外、誰もいなくなった部屋において、学園都市統括理事長は、ひとりごとをつぶやく。
「さて、果たして『幻想殺し』は『死んだ』宿主に未だ宿っているんかね」
175 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/29(月) 15:53:02.12 ID:qZgHh/u+0
短いですがこの辺りで
今月の超電磁砲、神回でしたね
176 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/08/29(月) 15:55:08.72 ID:nTK/GQoAO
>>1
乙!!
次回の更新楽しみにしてるぞ!!ノシ
177 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(藤枝)
[sage]:2011/08/29(月) 17:24:26.44 ID:j6wXaBzZ0
>>1
乙!!次回更新楽しみにしているよ!!
>>175
なんだって!?今日読みに行かねば!!
178 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/29(月) 18:40:08.92 ID:5Pn0XwRto
>>174
最後のセリフ「いるんかね」で吹いた
179 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/29(月) 19:21:31.29 ID:tl92PEkGo
乙でした
180 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/30(火) 18:24:03.43 ID:VVjfoB0T0
すんませーん、最後の所は「いるんかね」ではなく「いるのかね」でした…(汗)
では投下します
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
181 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/30(火) 18:32:09.82 ID:VVjfoB0T0
上条当麻捜索隊の拠点は、一種の虚脱状態に陥っていた。
そんな中、とある小屋において、捜索隊の各リーダー達が集合した。
ローマ正教側の代表とロシア成教側の代表、そして元アニェーゼ部隊のリーダー、アニェーゼ=サンクティスは、共に椅子に腰を下ろしたままうなだれている。
一言も発する気力がないらしく、じっと押し黙っている。
新生天草式の教皇代理、建宮斎字は、腕組みをしたまま両眼を閉じている。
一見すると眠っているように見えるが、そうではないことは、右手の人差し指で左腕を軽くつき続けていることで分かる。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
182 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/30(火) 18:36:32.53 ID:VVjfoB0T0
「まことに残念であるが、我々の目的は終わったのよな」
気まずい沈黙を破って、建宮が口を開いた。
この場にいる1人として、結論を下さなければならないという責任を感じたようだった。
「大戦終結から間も無いうちから、上条当麻の救出に奔走した諸君らの苦心を無にするのは心苦しいが………」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
183 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/30(火) 18:46:02.77 ID:VVjfoB0T0
北極海に消えた少年を天草式の少女、五和が発見したのは、昨日の夜明け直後だった。
あの少年が、氷山に閉じ込められた形で見つかったことは即座に全部隊へ報告された。
そして、あっという間に救助作業が始まった。
――――――が、ここからが難題であった。あの少年を閉じ込めている氷山の強度が並大抵のものではなかったのだ。
おそらく、大天使が消失した時に放出された膨大なエネルギーが冷気となって、非常に『硬い』氷山になったのだろうと推測される。
その為、捜索隊は氷山を掘り進めるのに多大な苦労を強いられた。
炎の術式は勿論のこと、電熱を利用した術式や、氷の融解術式まで動員して掘り進めた。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
184 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/30(火) 18:56:09.78 ID:VVjfoB0T0
まる一日にも及んだ作業で、捜索隊は粗方の魔翌力を消耗しつくしてしまった。
その代わりになんとか、あの少年を氷山の外に運び出すことに成功したのである。
生死など、わざわざ確認するまでも無かった。
少年の体は芯まで凍りつき、ぬくもりなど、その欠片すら皆無だった。
氷山に閉じ込められていた少年の姿は壮烈であった。
生命の灯が吹き消えてもなお、右手を振りかざしており、目の前にいたであろう大敵、大天使と戦っているようだった。
おそらく、大天使を倒した時の、そっくりそのままの状態で氷漬けになったのだろう。
そんな激烈とも悲壮ともとれる姿に、心を突き動かされなかった者は、いなかった。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
185 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/30(火) 19:00:10.58 ID:VVjfoB0T0
その場を長い長い沈黙が支配する。
「香焼、五和のやつはどうしたのよな……?」
沈黙をわずかに破って、建宮はとなりにひかえている少年、香焼に尋ねた。
「安置所っす……」
「そうか…………………」
建宮は達観した口調で、つぶやいた。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
186 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/30(火) 19:11:00.53 ID:VVjfoB0T0
それでは、この辺で
超電磁砲は大覇星祭か……裏方で上条さんやステイル達が、オリアナの姉さんにボコられていた時、彼女達は何していたんでしょうね?
気になるなぁ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
187 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(藤枝)
[sage]:2011/08/30(火) 19:14:56.78 ID:4PHxQBn40
>>1
乙!!かなり緊迫した状況になってきたね。
>>186
見たいんだ・・・・俺も見たいんだ。でも、時間がないんだ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
188 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/08/30(火) 19:18:40.73 ID:NKwB1agio
乙
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
189 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/08/30(火) 19:20:17.96 ID:4XjZP1YAO
>>1
乙
そして上条...。゚(゚´ω`゚)゚。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
190 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/31(水) 17:15:43.23 ID:2r/jC3h/0
投下するぞー
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/31(水) 17:25:36.45 ID:2r/jC3h/0
建宮斎字やアニェーゼ=サンクティスらが捜索隊の引き揚げと、その他諸々において議論を展開していた頃――――――。
1人の少女は、動かなくなった少年のそばで、絶望と言う名の、奈落の谷の底の底の底の底の底の底で、ただ泣いていた。
(………上条………さん……)ギュッ
五和は自分の手に持っている布切れを握り締めた。
その布切れは、あの少年がロシアに向かう時に身に着けていたマフラーの一部であったものだった。
なぜがその一部分だけが、強い力で引き千切られており、マフラー自体は周辺を捜しても見つからなかった。
五和が、その布切れを握り締めていたのは、とある理由があった。
特別な事情があったからだ。
その理由は何なのか? 時計の針をあの少年がロシアに向かう直前に戻してみよう。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
192 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/31(水) 17:34:41.54 ID:2r/jC3h/0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
10月19日のロンドン、バッキンガム宮殿
宮殿のとある場所で若い男女が話し合っていた。
「上条さん、やっぱりロシアに行くんですか……」
「ああ、フィアンマの野郎をぶん殴って、インデックスを助けないといけない」
少年は、少女に背を向けて、ロシアへの一歩を踏み出そうとした。
「待って下さい!」
「ん? どうしたんだ、五和?」
「ロシアは寒いですから……迷惑かもしれませんけど、このマフラーを持って行って下さい」サッ
少女が少年に差し出したのは『茶色の縞模様が特徴であるマフラー』だった。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
193 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/31(水) 17:41:20.25 ID:2r/jC3h/0
「サンキュー、これはわざわざお前が買って来てくれたのか」
「い、いえ、それは私の手作――――――」ボソッ
「おー、ちょっと大きめだけど、このくらいがちょうどいいかもな!」
「そ…それは良かった…です」
「それじゃあな、フィアンマのクソ野郎を殴り倒して帰って来る」
少年は再び、少女に背を向けて、ロシアへの一歩を踏み出した。
「上条さん、どうか御無事で……!」
少女の呼びかけに、少年は一度だけ後ろを振り向いて言った。
「ああ、戻って来るさ。『必ず』な!」
それが、上条当麻と五和が交わした最後の会話となった……
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
194 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/31(水) 17:49:35.71 ID:2r/jC3h/0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(上条さん……あの時の言葉……少しだけ………ウソでしたよ………………)
絶え間なく流れる涙をふくことも出来ず、五和は少年の頬に手を当てた。
冷たかった………。生前のぬくもりなど一切無く少年は凍り付いていた……
ポタポタッ
熱い液体が少年の顔に降り注ぐが、それもつかの間で、すぐに周囲の寒さによって凍り付いてしまう。
(………………………………………………………)
少女は涙ながらに、少年の顔に自分の顔を近づける。
そのまま、少年の唇に、自分の唇を重ねた。
感触は、ただ冷たく、明確な『死の味』がした。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
195 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/31(水) 17:52:29.38 ID:2r/jC3h/0
ではこの辺りで
上条さんがロシアにいた時に身に着けていたマフラーが、五和の手編みだったというのは自分の勝手な解釈です
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
196 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(藤枝)
[sage]:2011/08/31(水) 18:37:57.72 ID:6vnrKyf00
>>1
乙。よろしいねよろしいね。もっと続けてちょ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
197 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/01(木) 09:50:40.00 ID:EYYvYoTAo
乙んつん
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
198 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/01(木) 22:19:01.87 ID:vfOMwFa+0
俺得だな……五和もっとやれ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
199 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/09/01(木) 23:07:38.49 ID:Ot5Vs16yo
乙・・・アレイスターと美琴インデックス、学校と父ちゃん母ちゃんがどう動くか気になる
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
200 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/07(水) 17:52:48.25 ID:c3GcktzFo
金田一少年のジェイソン回を思い出した
乙
201 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/08(木) 15:19:48.24 ID:ERapYLvi0
新学期は色々あって大変なのよ
というわけで投下するのよな
202 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/09/08(木) 15:21:42.04 ID:ZKlHLGJAO
待ってたぞ!!
203 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/08(木) 15:27:10.61 ID:ERapYLvi0
11月4日
ロシアの平原を異様な集団が長い長い行列を形成し、移動していた。
彼らの表情は暗い。
というより、失望感と徒労感のオーラを凄まじい勢いで周囲に拡散していると述べた方が正しいだろう。
史実に類似の例を求めるなら、冬将軍に敗れた、ナポレオンのロシア遠征か独ソ戦に近いものがあるかもしれない。
十字教三大勢力の連合による上条当麻捜索隊が引き上げているのだ。
案内役のロシア成教が先頭と殿を固めて、イギリス清教とローマ正教が中央を占めている。
204 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/08(木) 15:36:44.14 ID:ERapYLvi0
「……………、」
悲しみに包まれた捜索隊を小高い丘から見つめている、1人の男がいた。
右肩から先を失った、今大戦の暗躍者、右方のフィアンマだった。
「傷の具合はどうかね?」
背後から声が聞こえる。
その声に対し、フィアンマは振り向きもせずに言った。
「大方良くなった。アンタの医者としての腕は確かのようだな」
「……右腕が切断されてから数日しか経過していないのに、すでに動けるまで回復した君の体は一体どうなっているんだ?」
全身ツギハギだらけの男は、いささか呆れた声を出した。
205 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/08(木) 15:46:56.05 ID:ERapYLvi0
「さあな、こっちが知りたいもんだよ、ドクター」
「………ま、いいだろう。さて治療代の方だが――――――」
「それには及ばない。こんなものでどうかね」
突然、医者の後ろに、黒いスーツケースを持った金髪の男が現れた。
パカッ
男はスーツケースを開けた。
「50万ドルあります。ドクター、これで足りるでしょうか?」
「……ふむ、よかろう」
世界的な名医の一人にして、モグリの医者である男は、スーツケースを受け取ると去って行った。
206 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/08(木) 15:53:54.35 ID:ERapYLvi0
「―――――で、俺様を助けた理由は何なんだ?」
しばらくしてから、フィアンマは金髪の男――――――オッレルスに尋ねた。
「君の見てきたもの、君の考えをいくつか聞こうと思ってね」
「……お前の質問に答える前に1つだけ教えて欲しいことがある」
「何だ?」
「どういう手段を使って、『あの医者』を引っ張ってきたんだ?」
「近くの町にいたのをたまたま見かけただけだ」
「いいのか? 他作品のキャラなんだが……」
「『作者の趣味』もしくは『世界戦が移動した』と言えば、どうにでもなるだろ?」
「………………………………」
207 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/08(木) 16:06:45.81 ID:ERapYLvi0
「君の質問には答えた。今度はこちらが聞く番だ」
「それで、記念すべき質問第一号は何だ?」
「『最強の聖人』について、どう思う?」
その単語に、フィアンマはわずかに表情を歪めた。
「悪夢だろうな……」
「おや、全世界を混乱させた君にしては随分と控えめな答えだな」
「何とでも言え。魔術世界の常識―――――とまではいかないだろうが、『あれ』の知名度はなかなかのものだろうが」
「君だったら勝てたかね?」
「いい勝負にはなったかもしれんが、仮に勝ったところで相打ちに近い形になって、弱体化したところをそこいらの雑魚に狩られるのがオチだ」
「『封印』を解くという発想はあったのかい?」
「そもそも『あれ』の『封印』を解いたら、事態の深刻さは『面倒』というレベルの話では収まらん。リスクが大き過ぎる」
「……君はとりあえずまともな思考回路をしているようだな、安心したよ」
「逆に聞くが、お前だったら勝てるのか?」
その質問に対し、魔人になるはずだった男は、こう言った。
「決まっている。『ごく普通の魔翌力だけで魔人の力を行使する者』と殴り合って無事に済むはずがないだろう?」
208 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/08(木) 16:09:25.86 ID:ERapYLvi0
今日はここまで
え? 『あの医者』が誰だって?
209 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/09/08(木) 16:10:36.24 ID:Y61hO5jJo
乙
BJなんで出た
210 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(藤枝)
[sage]:2011/09/08(木) 17:58:50.01 ID:5tF518Gz0
乙だよ。
BJ⇒ビジネスジャンプですね、わかりますwwwwwwww
211 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/09/08(木) 18:43:31.61 ID:ZKlHLGJAO
ツンデレドクター登場www
212 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/08(木) 19:47:19.40 ID:ERapYLvi0
すいません、206のオッレルスのセリフは『世界戦が移動した』ではなく『世界線が移動した』でした…
213 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/12(月) 23:34:29.72 ID:4ZazQ39m0
※今回の投下分には作者(軍ヲタ)のウンチクがかなり含まれます
とまあ、そういうことで投下します
214 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/12(月) 23:49:28.20 ID:4ZazQ39m0
11月5日
イギリス清教必要悪の教会の根拠地、ロンドンの聖ジョージ大聖堂は、この日、息苦しさと痛ましい空気に包まれていた。
別に大戦の混乱に乗じて『黄金』系のとある魔術結社が攻めて来たわけではない。
また、大戦によって疲弊した人員を元気づけるため、調子に乗った最大主教が一足早いミニスカサンタコスをして、皆をドン引きさせたわけでもない。
理由はただ一つ―――――そこに、誰もがそう感じてしまうほどの姿となった『異物』というべき集団が姿を現したからだ。
むろん、それは『異物』でもなんでもなかったのだが、彼らの視点から見ればそうとしか受け取れないものだった。
異様なまでにボロボロとなった黒い修道服。
出撃した時は、新品同様に輝いていたはずなのに、今では修復不可能と思えるほどまでにガタガタに酷使された武器の数々。
まるで本日が人類史の終了ではないかと錯覚しかねないほど、絶望のどす黒いオーラを全身から放っている異常な雰囲気。
これらだけでも『異物』としての資格は充分過ぎる。
だが、最も『異物』としての存在感を有していたのは、集団が運んで来た黒い棺だった。
215 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/13(火) 00:02:18.71 ID:WIsmwapQ0
11月5日午後3時49分。ロシアに派遣されていた、あの少年の捜索隊が帰還したのだ。
第三次世界大戦、そして大寒波という死闘の日々を乗り越えて……。
黒い棺が聖堂の中央に運び込まれ、そのフタが開かれた時、誰もが悲痛なうめき声と叫び声を上げた。
白い修道服の少女は、中の遺体の顔を見るなり、泣き崩れた。
赤髪の神父は、何も言わなかったが、苦悶の表情を浮かべた。
英国女王を筆頭とする王族達の顔からは、無念さがうかがえた。
かつては骨肉の争いを繰り広げた『騎士派』の者達は、右手でそっと十字を切っていた。
216 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/13(火) 00:02:50.20 ID:WIsmwapQ0
一時中断します
217 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/13(火) 00:48:49.19 ID:WIsmwapQ0
再開します
218 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/13(火) 01:00:50.66 ID:WIsmwapQ0
しかし、誰もが少年との惜別に嘆いていた時、『清教派』のトップ、ローラ=スチュアートだけは全く違うことを考えていた。
彼女の表情からは悲痛の色が全く感じられない。
どちらかといえば、チェスにおいて大駒を失った時のような、気に食わない表情をしていた。
(上条当麻は『大天使』と相討ちになりけるか……。ま、あやつは『使いつぶしても構わぬ戦力』であったがおしいものよ)
ローラからして見れば、あの少年は確かに有力な『駒』であったが、失ったからといって、そもそも上条はイギリス清教の者ではないので、あまり痛手ではなかった。
(しかしまあ、あやつがここまで活躍するとはな……。ふむ、『力』よりも『汎用性』の方が重要なるのよ)
やがて、ローラは昔のとあることを思い出した。
(―――ほほう、『汎用性』>『力』か。本国がかつて日本に売却せしめたバトルシップと似ておるのよ。確か艦名は「コンゴウ」であったか……)
219 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/13(火) 01:11:59.95 ID:WIsmwapQ0
最大主教の言う「コンゴウ」とは、戦艦「金剛」のことだ。
戦艦「金剛」は1913年8月に英ヴィッカース社のもとで竣工した、金剛型戦艦のネームシップである。
同型艦には「榛名」「比叡」「霧島」がある。
この金剛型戦艦4隻は、太平洋戦争に参加した日本の全戦艦12隻中、最古参であった。
しかし、砲撃翌力こそ最弱であったが、速力は最高であり、機動部隊に随伴出来た為、大活躍することとなった。
艦隊決戦の為に『温存(出し渋り)』された大和型や長門型を差し置いて、最も旧弊であった金剛型が、日本の戦艦の中で最も活躍したのは皮肉なことだ。
まあ、古参であった為に、失ってもあまり惜しくなかったという考えもあったので、酷使されたというのも活躍した理由の1つなのだが……
220 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/13(火) 01:20:49.23 ID:WIsmwapQ0
だいぶ話が脱線してしまったが、最大主教の考えというのは、あの少年と「コンゴウ」が、どこか似ているということだ。
なぜ似ているのか? それは両者とも『強さ』の面では大したことがなかったが、『使いつぶしても構わぬ戦力』として気軽に投入出来たからだ。
(――――ま、結果的に見れば、上条当麻は我々イギリス清教の損害をかなり抑えた『尖兵』としては、かなり役に立ちけるのよ。せめて、彼の冥福を祈りてやるか…)
もしバレたら、その場の全員からフルボッコにされても文句を言えない(だが極めて客観的な)考えを巡らせていた最大主教は、小さくため息をついた。
221 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/13(火) 01:23:24.61 ID:WIsmwapQ0
ではこの辺りで
ちなみに前回出てきた言葉である『最強の聖人』ですが、かなり重要な伏線です
222 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
:2011/09/13(火) 01:31:49.80 ID:XIq7MZYAO
乙ぱい
223 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/13(火) 02:09:32.56 ID:OqqTt07Qo
乙
ちなみにメール欄に「saga」を入れると魔力が魔翌力に変わったりとかしなくなるぞ
224 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/09/13(火) 02:39:45.34 ID:ob/mobWg0
金剛番長か
225 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 03:02:47.10 ID:evZ57TdDO
かなり重要な伏線ですって…言ってしまって良いんですか?
226 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/09/13(火) 08:05:40.07 ID:45eE2RNAO
それすら伏線なんだよ
227 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(藤枝)
[sage]:2011/09/13(火) 17:29:09.39 ID:jkCLR/hV0
乙なんだよ。
228 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/09/15(木) 18:33:26.89 ID:cx1VAwigo
こんだけ脈絡無く思い出すとってことは金剛のロールアウトと
同じ時期に生まれたんだなローラ。
229 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/16(金) 07:48:35.78 ID:ebe91TLvo
>>228
イギリス人が金剛なんて覚えてるはずないからな…脈絡無いのは確かだな。
ただローラ生誕はもっと前なんじゃないかって気はするが。
230 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/17(土) 02:31:21.16 ID:sDXZi9nT0
>>229
アレイスターが死んだとされる時から生きてるくさいのでローラ生誕はもっと前〜同時期でもいい気がする。
史実上のアレイスターの娘もローラ言うので、同一人物だとすれば、ほぼ年代も確定できるだろ。
冥土帰しに救われて以降、すぐに日本での活動をアレイスターが開始してれば、
金剛の譲渡に裏で関わってるとか色々妄想も可能だ。
231 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/20(火) 20:31:58.03 ID:KH+t+G+o0
連休中、塔ノ岳に登って全身筋肉痛……
投下します
232 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/20(火) 20:51:35.67 ID:KH+t+G+o0
11月6日
「どういうことか説明してくれませんか……?」
一人息子を失ったとある父親は、物静かに、だが悲しみを抑えられない口調でイギリス清教の者に尋ねた。
上条刀夜からして見れば、ここ数時間の出来事が現実のものとは思えなかった。
半日前、仕事上の都合でアメリカのシカゴにいた。
そこでよくわからないうちにデューク東郷と名乗る人物と共にアメリカ最大のマフィア集団に立ち向かうことになり、ほぼ互角の争いを繰り広げていた。
その途中、突然現れた謎の集団に同行するように促されれた。
その後、空の便でイギリスに到着と同時に、最愛の妻と(なぜか)再開し、着いた所が聖ジョージ大聖堂だった。
そして、彼は一人息子と無言の対面をしたのだ。
妻の詩菜は、ここにはいない。息子と対面した時に、ショックのあまり卒倒して病院に担ぎ込まれてしまった。
今、上条刀夜は父親としての責務を果たさねばならなかった。
すなわち、息子に降りかかった出来事を全て知ることである。
233 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/20(火) 21:04:15.05 ID:KH+t+G+o0
「まず……上条当麻と我々の関係を伝えねばいけません…」
神裂と名乗った女性の口から、上条当麻との出会いが語られた。
「―――つまり息子はあなた方と協力関係にあったのですか……」
「そうです」
「そして息子は、抗争の度に数々の活躍をしたと……」
「ええ…私も上条当麻に助けられた者の一人です」
「………1つだけ明らかにしてほしいものがあります」
「なんでしょうか……?」
「息子は自ら進んで混乱の渦に飛び込んだのでしょうか…? それとも、何かしら脅迫されて仕方なく動いていたのでしょうか…?」
「それに関しては、間違いなく前者だと断言できるでしょう。彼は不幸な人を見かけると絶対に助けようとする素晴らしい信念の持ち主でしたから」
234 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage saga]:2011/09/20(火) 21:04:58.55 ID:yXkNoxBHo
また別作品が…
235 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/20(火) 21:16:27.50 ID:KH+t+G+o0
「そうですか…ならば『不幸』だと嘆いていた息子は、それで幸せだったのでしょう…それが、せめての救いです……感謝します」
「――――っ!!」
最後の言葉に神崎は心底驚いていた。怒鳴りつけられる前提で、あの少年の父親との会談に臨んだからだ。
そして、実際には感謝された。だが、むしろ怒鳴りつけられた方がよほど楽になれたかもしれなかった。
「そして、これまでの彼の功績が本国に認められました。御子息には勲章と爵位が送られます」
「……何の冗談ですか? 息子はただの高校生ですよ……!?」
上条刀夜は信じられないという表情をした。
それに対し、神裂はごく事務的な口調で告げた。
「これは、女王陛下直々の命なのです」
「…………は?」
この時点において彼は事態の大きさをほとんど呑み込めていなかった。
それ以前に、彼の頭の中の大半は一人息子を失った悲しみで占められていた。
むしろ、状況が理解できないで当然だろう。
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/20(火) 21:18:28.01 ID:KH+t+G+o0
ではこの辺りで
今週は事実上3日だから楽と言えば楽だな
237 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/09/20(火) 21:26:07.94 ID:r21sI9HAO
いちおつ
楽しみに待ってる(`・ω・´)b
238 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/09/21(水) 13:56:31.14 ID:Ays3aCZu0
乙〜
いい作品見つけたな^^
楽しみにしてるよ
239 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage saga]:2011/09/21(水) 15:39:46.18 ID:R7ZmxCIV0
乙
(^○^)
240 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(藤枝)
[sage]:2011/09/22(木) 16:35:44.91 ID:7p3v408O0
>>1
乙。刀夜がでるとはおもわなんだか。
楽しみに待ってるよ!
241 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/22(木) 23:47:24.92 ID:Us/JaixN0
台風で学校の木がポッキリと……
投下するよー
242 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/23(金) 00:02:54.96 ID:rJbd0tmr0
一方、『平和』な学園都市において、一人の少女が行動を起こそうとしていた。
(とにかく……あの馬鹿の情報を集めないと……!)
常盤台学生寮の一室でやつれた少女は1つの結論にたどり着いた。
(アイツは、あの戦争のど真ん中にいた…。絶対に何か『裏』の事情があるはず……!)
そこまで考えた時、不意に吐き気がこみ上げて来た。
情報を集めるのに最も手っ取り早い方法は学園都市の『闇』を探るのがいいだろう。
無論、御坂美琴は『闇』に対する強烈な嫌悪感を抱いている。
あんなところ、二度と近づきたいとも思わない。
しかし、他の方法が見当たらないのだ。
(けれど……!)
学園都市の『闇』へと探りを入れようとするが、その一歩が踏み出せないのだ。
あの『闇』は深く冷たく暗く残忍で、そして容赦が無い。
現実、ロシアにおいて美琴は悪夢に等しい体験をした。
忌々しい『闇』は、まんまと自分の行動を把握し、1日もしないうちに『回収』した。
美琴がこうして侵入を考慮している事自体、向こうに感づかれた時点で『妨害』が入るであろう。
いや、『妨害』というレベルでは済まないかもしれない……
243 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/23(金) 00:19:48.20 ID:rJbd0tmr0
(こんな所で立ち止まっているなんて私らしくないじゃない…! 目の前に障害があったら乗り越えるまで気が済まないタチでしょうが……!!)
一人の自分はそう考えている。
だが、『闇』の恐怖に蝕まれたもう一人の自分がいて、どうしても前に進むことを躊躇しているのだ。
矛盾している。自分の本心と実際の行動が大いに矛盾しているのだ。
このギャップは美琴のただでさえガタガタの精神をさらに追い込んで行く……
ガチャ
ドアが開かれて、ルームメイトの白井黒子が入って来た。
「お姉様、一体何を悩んでおられるので…?」
「別に……何でもないわよ……」
美琴の苦悩は完全に彼女だけのものである。
よって、何と言われようとも絶対に何も言わないと誓っていた。
「……そうですか、結局のところ、黒子には頼っていただけませんのね……」
「はあ? 何言って…いるのよ…この通り…私はピンピン――――」
「ピンピンしている状態からほど遠いですわね」
「…………………………………」
話を先回りされて美琴は口をつぐむ。
244 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/23(金) 00:34:01.19 ID:rJbd0tmr0
「…分かりました。ではこの話は置いといて、一応お伝えすることがございますの」
「何よ…?」
「もうすぐ『一端覧祭』ですの。お姉様は常盤台のエースとして何をするべきか言うまでもありませんわね?」
「…………そう言えば、そうだったわね……」
相変わらず美琴の口調は重い。何だか全てのことに疲れていた。
そして、次の瞬間、彼女の心をえぐるような言葉が白井の口から出た。
「まったく、類人猿が今のお姉様の顔を見たら逃げ出すでしょうね(フフフ、そこを見計らってお姉様をわたくしめが慰めてグヘヘヘ……)」
白井にしたら、ほんの軽い冗談のつもりだったのだろう。
いつまでも落ち込んでいるお姉様に対する、ちょっとした嫌味だ。
「…………………………」ギリッ
その時、白井が美琴の方を見ていなかったのは幸いだったのかもしれない。
これ以上、落ちないであろうと思われていた顔色がさらに悪化したからだ。
そして、この言葉がキッカケに美琴は一つの決断をした。
(…………そうよ…『闇』がなんだっていうのよ…私はアイツの行方を確かめないと……!)
美琴はこの決心をしたことをかなり長い間後悔することになる。
245 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/23(金) 00:36:09.63 ID:rJbd0tmr0
ではこの辺で
思ったけど上条刀夜という人物は動かしにくいなぁ…
246 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/09/23(金) 23:52:08.90 ID:RCLheOYE0
おッつゥ〜!!
いいねェ!いいねェ!最ッ高だねェェェ!!!!!!!
つづきまってるぜェ!
247 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(藤枝)
[sage]:2011/09/24(土) 10:26:41.01 ID:52hpaed/0
>>1
乙!!
みこっちゃんがどんどんシリアスになっていく。
うぬぬ、これは続きが気になってくるね。
248 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/25(日) 13:16:04.93 ID:2vFsxRh20
先日の体育祭、BGMとして、ゆるゆりOP、シュタゲOP、けいおんOPとかが流れた……
もうダメだこの国……
投下するねー
249 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/25(日) 13:27:13.93 ID:2vFsxRh20
11月7日
窓のないビルにおいて、
「ふむ、『幻想殺し』の死亡は確実ということか」
学園都市統括理事長は面白くなさそうな口調で言った。
「ああ、この俺がこの目で見た。上条当麻は『死んだ』ぞ」
土御門元春は極めて冷静に言ったが、内心では全く違う感情だった。
(上やん……)
アレイスターの命令により、学園都市製の超高速旅客機でロンドンに飛んだ土御門がそこで見たのは、地獄絵図に等しい光景だった。
老若男女の誰も(最大主教は除く)が聖ジョージ大聖堂に安置された黒い棺の周りで嘆きに沈んでおり、凄まじい負のオーラを放っていた。
そんな彼らを横目で流しつつ、土御門は黒い棺の中で永久の眠りについたクラスメートの姿を見たのだ。
ある程度覚悟していたが、実際に現場へ行った時の悲しみは相当なものだった。
250 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/25(日) 13:38:56.07 ID:2vFsxRh20
「やれやれ困ったものだ」
普段は滅多に感情を表さないアレイスターが珍しいことに小さい小さいため息をついた。
「で、どうするつもりだ? お前の計画の『核』である『幻想殺し』は失われたぞ」
「やれやれ困った。実によろしくない展開だ」二ヤリ
「……………?」
計画が破綻したはずなのに、アレイスターは不気味な笑みを浮かべている。
そのことに土御門は違和感を覚えた。
「やむをえんな。『B.A.B.E.L』の蕾見不二子にでも頼んで『ザ・チルドレン』あたりを引き抜くとでも―――――」
「おい! お前何てことを……!!」
「冗談だ。そんなことをしたら『超能力者』の概念が崩壊してしまうのでな」
「……………………」ホッ
251 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/25(日) 13:52:09.81 ID:2vFsxRh20
「では冗談は置いといて、『M.B.I』の社長が発動した『セキレイ計画』を少々いじらせてもらうとするか」
「待て待て待て待て! さっきの冗談は『超能力』繋がりだからまだ理解できるが、あの社長とお前に接点は無いはずだぞ!?」
「いや、それがあるのだよ。意外なところにな」
「……天才と奇人は紙一重というところか………?」
「あえて否定はしないが別の側面もある。そうだな…例えるなら木原数多と春日部在住のとある5歳児の父親との関係と同じというところかな」
「………は?」
土御門はアレイスターの言ったことが最後まで分からなかった。
(冗談はこれまでにして――――――)
呆気にとられている土御門の表情を愉快に思いつつ、アレイスターは思案する。
(大戦中、ロシアに7人の内3人もいたというのは問題だな)
252 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/25(日) 14:05:26.30 ID:2vFsxRh20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
同じ頃、常盤台中学学生寮のとある一室において、
ガシャッ
何かが床に叩きつけられる音が小さく響いた。
「………………はは」
第三位の少女が乾いた声を上げた。今、部屋には彼女以外に誰もいない。
少女の足元には彼女の持ち物であるPDAが転がっている。
その画面には、こう表示されていた。
『極秘――――――「幻想殺し」の最終報告書』
『先日、「ベツレヘムの星」と共に北極海へ海没した「幻想殺し」の死亡が確認された。情報によると、捜索に当たっていたイギリス清教の者によって遺体が発見された。
その後、イギリスへ送られたとみられる。これにより、統括理事長の「計画」は大幅な手直しが――――――――――――――』
「―――――――――――――――ははははははははははははははははははははははははは」
瞳から涙をあふれさせながら少女はひたすら笑う。
虚無に満ちた悲しい笑いだった。
253 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/09/25(日) 14:08:23.81 ID:2vFsxRh20
ではここいらで
アレイスターの冗談? ああ、アイツならやりかねん……気がする
254 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/09/25(日) 14:38:40.13 ID:uc91pjvAO
おつ・゜・(つд∩)・゜・
葬儀は上条当麻に関係した人物を全て集めて聖ジョージ大聖堂で執り行ってくれい(人;ω;)
255 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/25(日) 15:58:55.78 ID:L7kqKIC70
ひwwろwwしwwww
256 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(藤枝)
[sage]:2011/09/25(日) 16:02:08.07 ID:yoY/eUBt0
>>1
おつ。
美琴が壊れてしまった・・・・・・。これは大変なことになったな。
257 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/09/25(日) 19:26:34.47 ID:dMlpPyhAO
おつ
葬式には行くからよんでくれよ?
258 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/25(日) 21:45:07.67 ID:hFUCKvN/o
他作品とリンクしすぎだろ…
まぁ乙。俺のIDに注目
259 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/09/25(日) 22:14:35.78 ID:wpcpTdWh0
乙。幻想殺しの真の力的な何かもキチンと処理してくれよ。
260 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2011/09/26(月) 04:50:28.72 ID:623zGsfvo
なんかだんだん詠矢空希なみに恥ずかしいSSになってきたな
261 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/26(月) 05:38:45.88 ID:F72pb0PIO
乙
他作品のネタは賛否分かれるだろうから少し控えたほうがいいかもしれないね
262 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/26(月) 19:46:49.36 ID:moP4KAL2o
他作品キャラ出したければ固有名詞出さずにだせば良いのかもね。
例えばデューク東郷→謎の無口な眉太の東洋人とか。まあそれなら砂皿とステファニー出せよとは思ったが。
とりあえず上条は最後まで死んだままにしてくれよ?復活して五和ENDとかいったら痛くて嗤えるからさ。
263 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/09/27(火) 21:09:05.70 ID:ihT76sOs0
ぉっつにゃ〜;;
続き投稿まってるぜ〜
264 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/01(土) 17:15:16.54 ID:cB6wplzB0
いよいよ10月ですな
秋アニメどうしたもんかね
投下するか
265 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/01(土) 17:29:21.58 ID:cB6wplzB0
11月8日
ロンドン・ヒースロー空港のとある一角は異様な集団に占拠されていた。
修道女や、教会の関係者と思われる人々が黒い棺の周囲を固めている。
本日、少年の遺体はイギリスを飛び立って、祖国への帰途につく。
その為、イギリス清教の面々は少年との永久の別れを告げるべく、空港に集まったのだ。
「この子が今大戦において、御子息の活躍で救われました」
神裂火織は白い修道服の少女を上条の両親に紹介した。
「あら…あなたは……インデックスちゃん…だったかしら…?」
上条詩菜は思い出したかのように尋ねた。
「うん…そうなんだよ……」
インデックスと呼ばれた少女は、やつれた顔を上げていった。
「一ついいかしら……あなたにとって当麻さんはどんな存在だっとの……?」
「とうまは…とても……とても…大切な人だったよ……」ポタポタッ
「そう…いい、インデックスちゃん? 女の子は泣いてもいいけど、誰も見ていない所で泣きなさい。これは私からのアドバイスよ」
「わかったかも……」ペコリ
インデックスはお辞儀をしてから後ろに下がった。
266 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/01(土) 17:36:57.48 ID:MPoho+nDO
かっこいいようでカッコよくない台詞なんかワロタ
267 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/10/01(土) 17:53:05.51 ID:vnD29WFpo
あの氷だと未だに遺体カッチコチとかありそうで怖い。
268 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/01(土) 17:57:05.95 ID:cB6wplzB0
「そして…この五和が、御子息を最初に見つけました」
続いて、神裂は二重まぶたが特徴の少女を紹介した。
ただし、その少女は病人のように表情が暗い。
「………息子を見つけてくれたことを感謝します……」
少女の様子を配慮するかのように、上条刀夜は礼を述べた。
それに対し、少女は軽く会釈しただけだった。
やがて、少年が入っている黒い棺は複数の男達によって飛行機の中に運ばれていった。
上条夫妻も飛行機の中に消えた。
ゴォォォォォォォォォォォォ
飛行機が滑走路上を動き始める。
ほぼ同時に建宮斎字を筆頭に、天草式の男たちは歌を歌い始めた。
島崎藤村の『惜別の歌』だ。
「「「―――♪遠き別れに耐えかねて この高殿にのぼるかな 悲しむなかれわが友よ 旅の衣をととのえよ」」」
選曲のあまりの古さと渋さに、対馬などの天草女性陣はドン引きしているのだが、男たちは構わずに歌い続ける。
「「「―――♪別れと言えば昔より この人の世の常なるを 流るる水をながむれば 夢はずかしき涙かな」」」
キィィィィィィィィィィィィィン
歌の二番が終わるのを待っていたかのようにして、飛行機は鋭いジェットエンジン音を鳴り響かせつつ、大空へと飛び立った。
ここで不幸な少年の物語は終わる。
だが、この物語はまだ終わらない。
少年の勇姿に魅せられた者達が、少年の不屈の闘志を受け継ぐ限り、物語は続くのだ。
269 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/10/01(土) 17:58:23.14 ID:pwTd07zAO
>>267
逆に氷が溶けて腐乱死体なんて困るわ〜。
270 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/01(土) 18:24:54.75 ID:cB6wplzB0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
数か月後、『魔術人物列伝』という大百科事典に一つの項目が付け加えられた。
・上条当麻
第三次世界大戦の最大の功労者にして、『上条勢力』の中心人物である。
わずか3か月の間に様々な抗争に参加し、その都度必ず戦果を上げている。
主な事だけでも『神の右席』の撃破、『英国クーデタ』における英雄的行為、『大天使』の撃破が挙げられる。
抗争のたびに負傷したことも多かったが、不屈の闘志で戦い続けた。
彼の人望は厚く、やがて『上条勢力』とも称するべき一大集団を形成した。
しかし、『歴戦の尖兵』とも言われた上条当麻にも遂に運命の日が訪れる。
第三次世界大戦の終盤の10月30日、『ベツレヘムの星』において、『神の右席』の最後の一人、右方のフィアンマを苦難の末、撃破した。
だが、その直後に大天使が復活し、世界の危機が再び訪れた為、上条は降下していた『ベツレヘムの星』ごと大天使に特攻した。
彼と最後まで交信していたイギリス清教の神父は脱出を促していたが、それに対し上条は寂しく笑いながらこう言ったという。
「悪いがまだやるべきことがある。それに、俺はもう疲れたよ。このへんでゆっくり休ませてもらうよ。後は頼んだ」
魔術側だけでも抗争参加回数数十回、挙げた武勲は数知れず、その挺身精神と適切な状況判断能力で活躍した一代の英雄、上条当麻はこうして散華した。
生前の功績に報いる形で、英国よりヴィクトリア十字賞、メリット勲章が授与され、一代貴族として男爵位が送られた。
271 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/01(土) 18:28:59.98 ID:cB6wplzB0
ではこのへんで
これで第一部は終わります。
第二部までの間に番外(過去)編を二回にわけて投下しようと思っています。
272 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/10/01(土) 18:51:57.23 ID:vnD29WFpo
乙
爵位とヴィクトリア十字章授与ってことはオーダー貰ったはずだから
そのうち上条騎士団ができんのかね
273 :
VIPにかわりまして統括理事会がお送りします
[sage]:2011/10/03(月) 12:59:39.11 ID:YTMyS+aR0
とある魔術の禁書目録劇場版公開決定!!!!!
更に新約とある魔術の禁書目録3巻は12月10日に発売決定!!!
劇場版の詳細は10月11日発売の電撃文庫マガジンで!
274 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/03(月) 23:56:27.22 ID:whG2jysq0
な、なんだってええええええええッ!!?
275 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2011/10/04(火) 06:08:55.28 ID:35XQNnVU0
>>274
sageろ
276 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/06(木) 09:35:41.50 ID:Mo9kZVTh0
続きはどうなったのでしょうか?
とても楽しみにしているのですが・・・
277 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/08(土) 18:56:29.50 ID:tQBCbqUl0
では番外(過去)編を投下しますが、いくつか注意事項があります
※この番外編は本編と全く関連していません
※1年ぐらい前、BWが発売された直後に勢いで書いたものです
※キャラ崩壊が凄まじいです
※普通に他作品のキャラが……
※舞台は8月初旬です
※幻想御手編の後、佐天さんがどうやって立ち直ったのか自分なりに考察してみました
全ての注意事項を読んだうえで先にどうぞ
278 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/08(土) 19:02:15.97 ID:tQBCbqUl0
8月4日
幻想御手事件から1週間になるこの日、佐天涙子はいくつかの奇跡の積み重ねで(精神面における)復活を遂げつつあった。
少なくとも客観的に見た場合、そう思えてならなかった。
1週間前まではいったん手に入れた能力を再び失って、悲哀に包まれていたが、様々な試行錯誤の末、1つの結果に辿りついていた。
そのきっかけを作ったもの、それは――――――、
279 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/08(土) 19:18:56.96 ID:tQBCbqUl0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とある学生寮
(うおりゃー喰らえ! 『せんせいのツメ』で先手必勝『こおりのつぶて』!!)
佐天がボタンをポチっと押すと手持ちのユキノオーから氷の破片が射出され、相手の青きドラゴンに直撃し、急激にHPが減っていく。
(ガブリアス撃沈! 次は……カイリュー? これは3タテ狙えるかなー?)
数分後、
(……遂に、遂に念願の100勝!)
佐天が今やっているのはわずか数週間前に発売されたばかりのとあるゲームソフトである。
この1週間、佐天がやっていたことを証明するのにぴったりの言葉がある。
『1週間家に引きこもってゲームしてたぜ!!』(談:同類の男鹿辰巳)
(今、どこか遠いところで『―――このクソニートが』『俺の1週間の結晶があぁあぁっっ!!』という声が聞こえたような…?)
ゲームを一時的に中断しつつ佐天はそう思った。
一目見ただけでは頭を抱えたくなるような光景だが、これが彼女なりの復活のやり方なのだ。
それじゃあ、能力の悩みはあまりたいしたことないんじゃないのか?
というツッコミがあるかもしれないが、あの事件が彼女に与えた傷は決して小さいものではない。
それでも彼女自身の本来の明るさはある程度取り戻したのだ。
『終わりよければ全てよし』である!
今まで佐天がやっていたのは(ポケモン)廃人共がしのぎを削るランダムマッチだ。
(それにしてもなー)ハァ
(『あの2人』は別格だった。確か名前は――――――)
佐天は自分が完敗した相手のことを思い出していた。
280 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/08(土) 19:29:02.80 ID:tQBCbqUl0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
同じ頃、とある学生寮
(はい、エルフーンさんの特性『いたずらごころ』で先制…『やどりぎのタネ』です)
すでに眠っているメタグロスに対しエルフーンが寄生木を植え付け、体力を奪う。
(えっとこのへんでランドロスさんに交代してと『じしん』で終了ですね)
パワーに定評のあるメタグロスは何もできずに叩きのめされる。
はっきり言って容赦など皆無だ。
プレーヤー(少女)は虫も殺さないのんびりとした外見をしているが、ゲームでやっていることとのギャップに無言でため息をつきたくなる。
(じゃ、そろそろ時間なのでこのくらいで……とと? この人は…!)
初春飾利は489勝目を上げた直後の対戦相手の名前が目に留まった。
初春こそ佐天が別格と評した2人の内にの1人である。
ではもう1人は? 偶然にも今、初春が戦おうとしている相手こそ、どんぴしゃりであった。
281 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/08(土) 19:38:38.20 ID:tQBCbqUl0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
同じ頃、学園都市のとある路地裏にて、1つの悲鳴が上がった。
「あああああああっ! この野郎、なんでヨノワールになんかに『こんなふざけた技』を覚えさせた!?」
浜面仕上は思わずうめいていた。
今、彼のフィールドでは地獄絵図が展開されている。
彼の主力、サザンドラは『くろいまなざし』を受けた後、『こんなふざけた技』で動きを止められて、『ドレインパンチ』で回復されまくっている有様だ。
(だ・か・ら・! なんでヨノワールなんかに『メロメロ』なんていかれた技を覚えさせたんだ? そこは普通『おにび』『いたみわけ』あたりじゃあ……)
結局、ヨノワールにメロメロになったサザンドラは冥界に誘われてしまった。
(悪魔だ……コイツ)
次のポケモン―――手持ち最後の一体―――ラプラスを全く同じ方法で葬られた浜面はそう思ったものだ。
彼の感想はあながち間違ってはいない。なぜなら――――――、
282 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/08(土) 19:55:10.20 ID:tQBCbqUl0
一時中断します
283 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2011/10/08(土) 20:22:13.49 ID:RYak1q9ho
もうわけわからんわやめてまえ
284 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/08(土) 21:09:32.06 ID:tQBCbqUl0
再開します
285 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/08(土) 21:36:26.16 ID:tQBCbqUl0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
舞島市のとある家において
(うん、こんなところだな)
浜面にメロメロという名のトラウマを植え付けた少年(現在547勝)は、今のバトルに対し平凡な感想を抱いた。
「神様、今日の朝食は血の池ナマズの串焼きですよー」ドンッ
グェェッ、ギャウァッ
「……なあ、エルシィ。なんでお前の作る料理はいつも見た目が5万倍悪い上に不気味な鳴き声がするんだ?」
「それはですね、新鮮な食材を使っているからです。はい、あーん」
「おわあっ! せめてマヨネーズをぶごおっ!?」ゲルウウッ、グゴォォォッ
「もう、にーさまったら成長期なんだからちゃんと食べないと」
「………人に無理矢理グロテスクなものを食わせたお前が言うな」
「もう、相変わらずなんだから」ブウブウ
「さてと、コイツはほっといて続きと」
「あのー、神様はなんでギャルゲーだけでなくポケモンもやるんですか?」
「何事にも例外はある!」キリッ
「はあ…」カミサマバトルツヨスギデス。ナンデアンナニワタシノタブンネヲイジメルノ?
「『観覧車イベント』というのも理由の1つなんだが、『ナツミショック』なんて考えた奴、絶対に許さん」ボソッ
「へ…?」
(ふむ、次の相手は……コイツか! いいだろう、僕が相手だ!)
この少年と初春飾利、この2人実は因縁の相手(※ポケモンバトルで)である。
今まで何回か戦い、結果はほぼ互角。熱くなるなという方が無理だろう。
両者に共通することは、2人とも頭のどこかが(いろんな意味で)吹っ飛んでいることかもしれない。
しかもこの廃人ぶりを『落とし神』の方は多数のギャルゲーを、『守護神』の方は風紀委員の仕事と並行しつつ実現しているのだから両者ともどこか何かおかしい。
神様でも殺せる右手を持つ少年も、この2人に(ポケモンバトルで)勝てる気がしないのはなぜだろう?
『落とし神』と『守護神』が交差するとき、物語は始まる――!!(※始まりません)
286 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/08(土) 21:38:11.58 ID:tQBCbqUl0
ではこの辺で
番外編というより小ネタというかんじでしたね
287 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/10/09(日) 00:45:24.39 ID:ytAA/F4S0
>>1
あまり文句言いたくないけど、
クロスはやめてほしい。元ネタわかんねぇ
288 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(茨城県)
[sage]:2011/10/09(日) 02:36:30.51 ID:sgWF8EPNo
クロスつまらん
289 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/09(日) 02:36:43.34 ID:h/o+fTvDO
>>287
>>1
に他作品のキャラがって書いてあるから問題はないんじゃないか?
まぁ元ネタがわからないってのはわかるけど
290 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/10/09(日) 05:57:59.02 ID:tG+mk5pGo
ヨノワールってドレインパンチ使えなかったと思うんだけど
291 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/09(日) 13:30:17.63 ID:ERlVKicU0
お詫び
このたびは駄作の小ネタを投下して申し訳ありません
以後このような間違いが無いように善処いたします
292 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/09(日) 13:43:13.30 ID:ERlVKicU0
ではこれより第二部を投下します
・時系列は第一部の終わりから半年近く経っています
・ヒロイン達の行動と、とある意外な少年のその後をメインとします
・作者の好きなキャラは五和と佐天さんですよ(相変わらず)
・学園都市は『平和』です(多分…)
・映画化決定! ファンの1人として歓喜です
293 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/09(日) 13:51:27.43 ID:ERlVKicU0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
歳月というのは残酷だ。何人たりとも時の流れだけには逆らえない。
時の流れから脱することが出来るのはこの世のものでなくなった時だけだ。
今は昔、不幸な少年がこの世のものであった時の活躍を知る者は少ない。
今や少年を知る者は魔術世界の者達を除けば、ごくわずか。
少年の『死』から約半年後、学園都市のとある少年が動き出すとき、物語は始まる――!!
294 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/09(日) 14:10:26.32 ID:ERlVKicU0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
4月7日
海が燃えていた。
いや、この表現は正しくない。海上から黒煙が立ち昇っているという方が正しいだろう。
ゴオオオオオオオオオオオオオオ
群青色の大海原のとある場所に1隻のフネが完全に停止していた。
全艦を覆う大火災を起こし、欧米人から『パゴダ型マスト』と評された独特の艦橋は原型を留めているが黒く燻られている。
力の象徴である三連装三基の巨砲はもはや火を吹くことは無い。
付近には排水量として20分の1にも満たない駆逐艦が数隻あり、フネから脱出に成功した生存者を必死に救助していた。
そのフネの周りは大きく泡立ち、漏れ出した重油によってどす黒く染まっている。明らかに致命的な損害を受けていた。
それを証明するかのようにフネは徐々に傾斜を増しており、喫水線も上がっていた。
1945年4月7日14時23分。世界最大最強の戦艦は自らの主力の座を奪った航空機の攻撃により、その短い生涯を終えようとしていた。
295 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/09(日) 14:17:09.46 ID:ERlVKicU0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(なんだったんだ、あれは……)
あれから半世紀以上が経過したとある年の同じ日、学園都市第七学区のとある学生寮で1人の少年が目を覚ました。
「………、」
少年は無言で後ろを振り向く。視線の先には3日間徹夜で完成させた模型がある。
そう、夢の中で見た戦艦と全く同じ外見だ。大きさは大幅に違うが……
「……どうもよろしくない展開だな」
はっきりしてきた意識の中、眼鏡をかけつつ、彼は独り言を呟いた。
「今日から違う学校か……」ハァ
296 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/09(日) 14:35:26.41 ID:ERlVKicU0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一時間後、とある高校の二年の教室にて、3人の男女が会話をしていた。
「いやー、偶然やね。ボクらがみんな同じクラスなんて」
青く染めた髪とピアスが特徴の少年がエセ関西弁でしゃべる。
「その点は否定しない。やけにハイテンションだけど。どうしたの?」
巫女装束の似合いそうな長い黒髪の少女、姫神秋沙は尋ねる。
「そりゃあ決まっとるやろ、再びボクらの担任が子萌先生なんて! 合法ロリ最高やで!!」
「貴様、相変わらずそんなことを……少しは成長しろ」
昨年度からほとんど変わっていない青髪ピアスの様子に黒髪におでこで巨乳の少女、吹寄制理は何かをあきらめたかのようにため息をついた。
「同感。たまには現実世界に戻って来い」
「何言うとるねん? 子萌先生は立派な三次元―――――現実やで」
「ダメだコイツ…一緒に話すと頭が痛くなるわ……どうせメイドの軍団にでも包囲された夢でも見て来たのね……」
「なんでわかったんや!? もしかして『読心能力』にでも目覚めたんか…?」
(…………本当にダメだコイツ)
「全く。初めて会った時から全然変わっていない」
「いや、変わったで。特に上やんのことの後なんか――――」
青髪ピアスは途中で言葉を切らせた。地雷を踏んでしまったと後悔しているようだった。
「……、」
「……、」
彼の様子に呼応するかのように、2人の少女も表情を硬くした。
297 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/09(日) 14:56:53.30 ID:ERlVKicU0
そう、彼らにとってあの少年の話は半ばタブーそのものだった。
半年近く前に、あのことが担任から伝えられた時、クラスの誰もが耳を疑った。
誰もがそれを信じられなかった。いや、信じたくなかった。
上条当麻が第三次世界大戦中、不幸なことに『不慮の事故』に巻き込まれて『死んだ』ことを。
その時から冬休みまで、とある高校の一年七組の教室は灯が消えたかのような寂しさに包まれていた。
年が明けてから、ようやく少しずつ明るさを取り戻したが本来の雰囲気には遠かった。
「すまん、2人とも」
青髪ピアスは心底から誤った。本当だった。
あの少年のことは、さすがの彼にも大打撃を与えていた。
友人を無くしたショックで一ヶ月もの間、彼にとって生命の糧とでも言うべきアニメを全く見なかったのだ。
重症だ。クラスの他の仲間達は、そんな青髪の様子に共通の解答を出した。
ようやく、『「魔法少女」という概念を見事に粉砕したとある神アニメ』が放送されてから徐々に立ち直ったが、あのことが彼に与えたダメージは大きい。
「……今度からは気をつけなさい」
吹寄はただそれだけ言った。
「………、」
姫神は何も言わなかった。いや、言えなかった。
あの少年に命を救われた彼女(しかも本人は救われたことを自覚していた)にとって、あのことは皆以上にショックであった。
もし彼女が策士だったら、『うふふ。メインは退場した。この混乱に乗じて私の地位を上げるチャンス』などと物騒なことを考えていたかもしれない。
だが、善人である姫神にそんなことなど考え付くはずがない。あの少年からフラグを立てられた1人としてただ悲しみに染まっていたのだ。
298 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/09(日) 15:18:51.59 ID:ERlVKicU0
ガララッ
「はーい、ではホームルームを始めるのですよー。みんな席に着いて下さいなのです」
教室のドアが開き、身長135センチの女教師、月詠子萌が入って来た。
と、同時に教室のあちこちで会話をしていた新二年生達は次々に自分の席に座った。
「ではホームルームを始めるのですが、今日はその前にみなさんにうれしいお知らせがあるのです。みなさん大好きの転入生なのですよー」
「「「おおおおおおおおッ!!」」」「転入生、男かな女かな?」「ボクとしては金髪巨乳のメガネうごぉっ!?」「だまれ変態!」「いいね転入生。目立ってて。フフフ…」
「はいはーい、みなさん静かに。どうぞー、入って下さいなのです」
「……、」
教室のドアが開かれ、眼鏡を掛けた少年が入って来た。
「今日からみなさんのクラスメートになる介旅初矢さんです。仲良くしてあげてくださいねー」
「よろしく……」
少年は物静かに軽く会釈した。
299 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/10/09(日) 15:21:20.20 ID:ERlVKicU0
ではこの辺で
もうすぐ中間考査なのでしばらく間をあけます
300 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/10/09(日) 15:33:10.12 ID:j4kmeJJAO
なんか……上条さん死んだのに軽過ぎる。
それにここで爆弾魔はちょっと……
期待してたけど離れます
301 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/09(日) 16:06:43.65 ID:k6D5Eo9SO
離れます宣言、いらないよ!
302 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/10/09(日) 16:47:36.73 ID:j4kmeJJAO
>>301
スマソ...
303 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/10/09(日) 16:48:16.89 ID:j4kmeJJAO
>>301
スマソ...
304 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/10/09(日) 17:19:11.00 ID:MfHk69mHo
>少年の勇姿に魅せられた者達が、少年の不屈の闘志を受け継ぐ限り、物語は続くのだ。
第二部は爆発しか能がない介旅か。
人の役に立とうと改心しても能力的に報われにくい茨の道だな。
305 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/10/09(日) 21:27:07.99 ID:UQ2Mx/y80
グラビトン事件の犯人か
306 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)
[sage]:2011/10/13(木) 16:59:59.57 ID:dW6G9cefo
子萌ちゃうやろ…小萌やで……
307 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/10/30(日) 23:16:24.37 ID:VbIShr+Mo
まだか
308 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(神奈川県)
:2011/11/12(土) 14:59:20.17 ID:sK6bUdO90
一ヶ月以上も音信不通ですいません
最近、ZERO、はがない、ベン・トー、WORKING、イカ娘、GC、なんぞにはまっておりました
では遅くなりましたが投下します
309 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[saga]:2011/11/12(土) 15:04:26.78 ID:lGp5XD0V0
>>308
罰として未来日記にもはまれよ。
310 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(神奈川県)
:2011/11/12(土) 15:15:02.98 ID:sK6bUdO90
それより少し前、とある高校の職員室で、とある眼鏡の少年は目の前の光景に頭を抱えていた。
「―――というわけで小萌先生、このいじちゃけってるガキを元気づけてやるじゃん」
「いえーい、どーもです。介旅ちゃんよろしくなのですよー」
「おい、このイミフメイな事を言う小学生はどなたなんだ?」
「むー、先生は小学生じゃありません。運転免許も持っていますしレッキとした大人なのです」
「いやいや、箱庭学園に自称42歳(外見は12歳)の転校生がいたというのは風の便りで聞いたが、まさかそれに似たやつがいたのか…」
「何言っているんですか?」キョトン
(ダメだこりゃ……)
「まあまあ、こんな暗いやつだが直しがいのあるやつなんでよろしくじゃん」
(ひどい言われようじゃん……あれ? 口癖が……)
「―――じゃ、私は用事があるので失礼するじゃんよ」
ガラ
「それでは介旅ちゃん、教室に案内するのですー」
「……転入早々、こんな変なモンに出会うなんて………フコウだ」
「おや、どこかなつかしい?セリフですね」グスン
「へ?」
介旅には小萌がなぜ最後に少し寂しそうな顔をしたのか分からなかった。
311 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(神奈川県)
:2011/11/12(土) 15:41:22.00 ID:sK6bUdO90
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
で、新しい環境に、大して高望みしていない介旅少年は、それから2時間後、何をしていたか。
始業式も終わり、体育館から戻ってきたタイミングの教室にて、2人の少年が激論を交わしている。
ただし、その論争があまりにも末期的なのはどんなものだろうか。
「―――つまりだ。僕の中で至高のメイドは戦うメイドさんだね」
眼鏡の縁に手をかけつつ、介旅は主張する。
「何いっとるんや、初やん。メイドはんはご主人様につかえるだけでええから、戦闘スキルなんていらないで!」
青髪ピアスは即座に言い返した。
「ほう、僕のメイド論に歯向かうとはイイ度胸だ。じゃあ、オマエ好みのメイドって具体例な何だ?」
「そりゃあ勿論、高校の文化祭でやるメイド喫茶にて、同じクラスの女子達のメイド姿が1番にきまっとるやろ!」
「甘い! 三次元のメイドには限界がある。だから僕としては『紅魔館のメイド長』が1番さ」
「逆やろ! 二次元の方こそメイドはんには限界が――――」
―――――あるはずやで。と青髪ピアスが言い終える前に第三者の介入があった。
「貴様ら、いい加減にしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
変態同士の会話に耐え切れなくなった真面目型人間の吹寄制理は、カボチャより硬いおでこ――――ではなく、拳を握りしめて元凶どもに叩きつけた。
「「ぶごおおおおおおおおおおおおおおおッ!!?」」
ブローニングM2重機関銃の直撃で主翼が折れ飛んだ零戦のごとく、空中をきりきり舞いすることとなったBAKA×2。
少年達の激論は校内巨乳度ランキング第二位(※暫定)の介入により終焉を迎えた。
「ふん!」プイプイ
汚物を消毒し終えた吹寄は不機嫌そのものの状態で立ち去る。
あとに残されたのは教室の床で無様に転がる男達だった。
312 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(神奈川県)
:2011/11/12(土) 15:50:05.69 ID:sK6bUdO90
とりあえずこの辺りで
介旅初矢ですが以下のような状態です
・事件に関してですが、一応反省はしています
・ヲタクです
・捕まっている間にレベル3に成長しています
・運動神経は色々あって(黄泉川先生の指導が原因?)、結構まともになっています
・性格が多少暗めというのは相変わらず
あれ? 介旅と青ピって結構相性よくね?
313 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/12(土) 20:11:59.26 ID:/Iwb6OgJ0
介旅は正直ちょっとキツい
ていうか上条はもう出てこないの?
この調子だともう出ないのかな…
314 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/12(土) 23:35:14.37 ID:rB5C9Y6DO
乙です
いきなり馴染みまくってるな
315 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(神奈川県)
[sage]:2011/11/27(日) 00:24:40.01 ID:27aIcVI1o
爆発まち
316 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/05(月) 18:12:51.55 ID:Z4DmktxIO
待ってる
317 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/09(金) 00:00:58.28 ID:H48w1HmZo
乙
318 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
:2011/12/28(水) 09:17:24.07 ID:Xd5MpSWl0
まだー?
319 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/29(木) 02:29:34.50 ID:JNUYvI4F0
禁書の世界で『平和』はつまんね
320 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(滋賀県)
:2012/01/22(日) 14:40:18.93 ID:A/RzrK780
ここの
>>1
はスレ立てする前に渋や総合等で練習してからの方が良かったな
321 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/31(火) 09:08:09.12 ID:GD/bHJTp0
ツマンネ
137.63 KB
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