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勇者「魔王が勇者一族に呪いを掛けたけど治った」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岐阜県)
:2011/07/30(土) 12:06:37.65 ID:3H0afLp90
前スレの荒らしはほぼ俺。
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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]: ID:???
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【グラブル】ガイゼンボーガ「吾輩の、騎空団の一員としての日常」 @ 2025/07/28(月) 19:56:02.26 ID:1M+emLR40
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753700161/
パンティ「ガーターベルト大丈夫かー」ストッキング「血が止まらないわー」 @ 2025/07/26(土) 02:27:49.65 ID:OmgbeFOdO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753464469/
うんち @ 2025/07/25(金) 23:18:36.55 ID:tsEvWZe2o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753453115/
天龍「イキスギィ!イクイク!ンアーッ!枕がデカすぎる!」加賀「やめなさい」 @ 2025/07/25(金) 19:40:58.85 ID:LGalAgLLo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1753440058/
(安価&コンマ)コードギアス 薄明の者 @ 2025/07/23(水) 22:31:03.79 ID:7O97aVFy0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753277463/
ご褒美にはチョコレート @ 2025/07/23(水) 21:57:52.36 ID:DdkKPHpQ0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753275471/
ビーノどっさりパック @ 2025/07/23(水) 20:04:42.82 ID:dVhNYsSZ0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753268681/
コナン「博士からメールが来たぞ」 @ 2025/07/23(水) 00:53:42.50 ID:QmEFnDwEO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753199622/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/07/30(土) 12:18:05.62 ID:gzHuAmSq0
実は俺も
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/07/30(土) 12:19:26.70 ID:7EXsUF7SO
>>1
乙
ごめん実は俺も…
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 12:22:38.99 ID:tQakW22IO
−−−−−−−−ここまで俺の自演−−−−−−−−
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/30(土) 12:23:54.83 ID:On4uhYcfo
−−−−−−−−ここからは俺の自演−−−−−−−−
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
:2011/07/30(土) 13:08:46.48 ID:xpQS+ODAO
ここまで童貞
7 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 14:30:11.73 ID:3H0afLp9o
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
心眼族の村→多腕族の村
孫「とまれ!」
勇者「・・・どうした?」
孫「・・・森の魔物だ。」
勇者「蜘蛛か。」
孫「そうだ。まだ子供だけど、卵はもう産める大きさだ。」
孫「まだ時期ではないのに・・・。」
勇者「どうするんだ?」
孫「この距離なら俺の弓でなんとかなる。」
ス・・・
ギリギリギリギリ・・・
勇者「俺の目にもまだ見えないんだけどな。」
孫「―――。」
ズバン!
孫「あたった。急所だ。死んだ。」
ダ!
勇者「あ!おい!」
孫「そこでまってろ!!子蜘蛛を散らすから殺してくる!」
ダダダダ・・・
勇者「・・・大丈夫か?」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
蜘蛛「・・・」
カサ・・・ガサ・・・
孫「・・・ふぅ。」
勇者「・・・おお、ずいぶんでかいな。」
孫「来たか。これが森の魔物だ。」
勇者「・・・子蜘蛛も大量にいるな。全部死んでいるが。」
勇者「一発で死ぬものか?」
孫「心臓を射抜けば足は動かなくなる。そのうち死ぬ。」
勇者「へぇ。」
勇者(これだけでかい奴を殺すのに一矢だけ。子蜘蛛は刺さっているところがばらばらだが、腹ではあるな。弓の技術は流石だ。)
孫「・・・いくぞ。こいつは放って置けば動物が処理する。」
勇者「この蜘蛛はたくさんいるのか?」
孫「あぁ。といっても時期が決まっているんだ。まだまだのはずなのに・・・。」
勇者「・・・解体してみたいな。ちょっとまっててくれ。」
孫「・・・なんだと?」
勇者「解体してみる。」
シャキン!
孫「なんでそんな事を?」
勇者「敵だからな。情報は、大量にあったほうがいい。とりあえず頭をとって無力化するか・・・。」
孫「・・・。」
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/30(土) 14:53:30.36 ID:TFncgA8Xo
ワクワク
9 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 14:57:56.28 ID:3H0afLp9o
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「・・・ふむ。ほとんどでかい蜘蛛かな。」
勇者(神経が発達している。普通の蜘蛛には無い臓器が複数。)
勇者(心臓はかなり厳重に守られているな・・・。骨とゴムのような筋肉で3重に覆われている。隙間を通して矢を当てるとは。針に矢を通すような物だ。)
勇者「・・・魔力臓器と心臓が一体化している。」
勇者(これはかなり独特だな。どういった進化を・・・)
孫「・・・おい。もういいだろう。」
勇者「ん?あぁそうだな。沢によってから、多腕族の村へ行こう。」
孫「わかった。・・・お前は変わり者だな。」
勇者「俺も心眼があればあんな事はしなくてもいいんだがな。」
勇者「あぁそうだ。お前は村付近で待ってろよ。」
孫「・・・わかった。」
勇者「約束は破るなよ。」
孫「・・・・・・。」
勇者「返事。」
孫「・・・・・・わかった。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
多腕族の村〜門〜
準長「・・・。」
勇者「やぁ。」
準長「・・・お前か。何しに来た。」
勇者「つれないな。何かあったのか?」
準長「お前には関係ない。」
勇者「俺は客人だろう?教えてくれ。」
準長「・・・長老が蜘蛛憑きになった。」
勇者「蜘蛛憑き?」
準長「卵を体内に入れられた。・・・もうそろそろ、殺される。」
勇者「なに!?なぜだ!?」
準長「孵化した後に、内臓を食われる。地獄の苦しみだ。心臓だけ残され、次に脳みそを食われる。」
準長「その際、暴れる。そのときは、普段は出せないような力をだして暴れる。それを、防ぐためだ。」
勇者「なんともならないのか?」
準長「・・・我等では、なんともならん。」
勇者「・・・長老に会いたい。通してくれ。」
勇者(体内に卵、か。)
準長「・・・いいだろう。俺たちが戦った闘技場だ。行ってくれ。」
10 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 15:27:52.33 ID:3H0afLp9o
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
多腕族の村〜闘技場〜
長「・・・・・・。」
妹「・・・・・・。」
長老「ほっ、悲しそうな顔しおって。いい加減やめんか。我等は多腕族、油断したものが悪いのよ。自然の摂理よ。」
長「・・・まだまだ、長生きできたでは在りませんか。」
長老「しょーがなかろーう。連れをなくして、娘もなくして、儂一人で生きさらばえてきた。それがそもそもおかしかったのよ。」
妹「・・・なんで!!なんでお母さんと一緒で蜘蛛なの!?」
長老「・・・わるかったのう。」
妹「・・・・・・謝らないでよぉ・・・・・・!」
勇者「・・・。」
ザッザ!
長「・・・お前は。」
妹「・・・・・・。」
長老「・・・ほ。怪我は好調のようですの。」
勇者「・・・あなたはどうしました?昨日に比べ、言葉に覇気がない。」
勇者(右腕が、いびつに膨れて真っ青。肩付近がきつく縛られている。)
長老「ほっほっほ、この通りでの。儂はそろそろ死ななきゃいかん。」
勇者「聞けば卵を体内に植えつけられたそうですね。どこにですか?」
長「・・・腰の右側だ。」
勇者「・・・随分小さな穴だ。」
長老「あやつら、卵を飛ばす事ができてのう。時期ではないと、油断していた。」
勇者「・・・その腕は?」
長老「その後、驚いているうちにかまれてしまってのう。もう、感覚もない・・・。」
長老「・・・ふぅ。・・・嫌じゃのう。焼が回るとはこの事よ。」
勇者「・・・村の外へ行きましょう。」
長「なに?」
長老「?」
妹「・・・。」
勇者「私の友人が、外にいます。彼なら・・・」
長老「たわけ。その友人とは心眼族じゃろう。他族の力など借りぬ。」
長「・・・。」
妹「・・・。」
勇者「生きたくはないのですか?」
長老「・・・我等は、儂はな、他族を相手取って戦ってきたのよ。」
長老「殺して、殺された。そんな相手にに助けられるなど、誇りがゆるさんのよ。」
勇者「どうしても、駄目ですか?」
長老「だめじゃのう・・・。そんな事になろうものなら、舌噛み切ってしぬわい・・・。」
長「・・・長老の言うとおりだ。我等は対等なのだ。殺されても、殺しても、不満はない。戦士として本望であれるなら、それでいい。」
勇者「・・・蜘蛛で死ぬのは本望なのか?」
長老「助けられるよりかはいくらかの・・・。」
11 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 15:58:25.95 ID:3H0afLp9o
勇者「・・・そうですか。」
スク・・・
勇者「―――はっ!」
ドス!
妹「・・・!」
長「!何をしやがるてめぇ!!」
勇者「気絶させただけだ。騒ぐな。」
長「こぉぉのやろぉぉぉ!!生きて帰れると・・・!」
妹「やぁぁ!!」
ドカン!
長「ぐぼ!な、なにしやがる娘!」
妹「早くいけぇ!」
長「て、てめぇ!何してるかわかって・・・」
妹「わかるわけ無いだろ!もう嫌だ!なんでおじいちゃんまで死ななきゃいけないんだ!」
勇者「・・・。」
ガバ!
ザザザ!
長「く!そこをどけ!」
妹「何でだよ!まだ助かる可能性があるのに見殺しにするなんて!!そんなのが戦士の誇りなのか!!」
長「そういうことじゃねえ!助ける相手が問題・・・」
妹「そんなのどうでもいい!生きてくれていた方が、良いに決まってる!!」
――――――――――――――――――――――――
多腕族の村〜広場〜
勇者「・・・。」
ダダダダダ・・・
勇者「!」
ズドン!
門番「どこへ連れて行く気だ。」
勇者「外。」
ダン!
門番「うぉ!」
ダダダダダ・・・
門番「長老がさらわれた!皆追えぇぇぇ!」
――――――――――――――――――――――――
門
勇者「・・・?」
勇者(準長がいない・・・?)
ダダダダダ・・・
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
孫「!」
勇者「・・・ゲホ・・・・・・」
ダダダダダダ・・・
孫「な、なにしてるんだ!?運動は控えろって・・・」
勇者「もう少し離れるぞ。」
ダダダダダダダ・・・
孫「あ、待て!」
ダン!
孫「そいつだれだよ!多腕族だろ!?」
勇者「後で話す。」
12 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 16:20:54.80 ID:3H0afLp9o
――――――――――――――――――――――――
蜘蛛の死骸前
勇者「ここでいい。」
孫「!」
ザザ!
孫「説明しろ!」
勇者「この人のなかに蜘蛛の卵がある。助けてやってくれ。」
孫「は、はぁ!?」
勇者「俺にはどこにあるかわからん。心眼族にしか出来ない。」
孫「お、俺ができるわけないだろ。せめてじいちゃんに・・・!!」
孫「ちょっと待て!もう孵化しかけてるじゃないか!」
勇者「孵化してからじゃ駄目なのか?」
孫「孵化したときに出る毒が問題なんだ!時間を掛けて脳みそを腐らせる!」
勇者「・・・卵を傷つける事はできないのか。」
孫「蜘蛛の卵を割らずに刺すなんて高度な針技術、俺にはない!出来るのはじいちゃんくらいだ!」
勇者「時間がないんだろ?」
孫「で、でも!俺にはできな・・・」
勇者「甘えるな。今出来るのはお前だけだ。」
孫「!」
勇者「頼む。助けてやってくれ。」
孫「・・・くそ!」
ザラ!
孫「・・・蜘蛛の卵の数は・・・」
ズドン!
準長「・・・。」
孫「!」
勇者「俺が相手をする。集中しろ。」
準長「・・・何をする気だ。」
勇者「蜘蛛の卵を取り出す。」
準長「・・・・・・なぜだ?」
勇者「助けたいからだ。」
準長「・・・お前は、もう我等の村へ入れない。お前は外に出る方法を聞きに来たんだろう?」
準長「もう聞けない。」
勇者「そうだな。」
準長「目的を履き違えたか。」
勇者「優先順位の問題だ。」
準長「・・・そうか。」
勇者「まだなにかあるか?」
準長「・・・・・・爺ちゃんは、助かるのか?」
勇者「さぁな。可能性はある。」
準長「・・・。」
孫「・・・。」
トス、トス、トス。
孫「・・・・・・。固定終わり・・・太い針で・・・・・・。」
13 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 16:21:21.17 ID:3H0afLp9o
ちょっときゅうけい
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 16:29:56.21 ID:jvA8YyMvo
ごゆっくり
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/30(土) 16:33:12.87 ID:TFncgA8Xo
ハラハラドキドキ
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
:2011/07/30(土) 16:33:40.69 ID:WTQacujI0
+(0゚・∀・) + ワクテカ +
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 19:12:17.77 ID:DjHZOj0SO
106「ユミ…ユミナラトクイナノニ」
106「ワタシニハ…ハリノギジュツガアリマセーン」
106「ハリヲオシエテクダサイ ハリーアーップ!!!」
妹「やぁぁ!!」
ドカン!
106「グボ!ナ、ナニシヤガル、ムスメ……
・エクスクラメーションマークは2つまで
・三点リーダーは、2つ続けて使おうね
文章が引き締まるよ☆
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 19:16:31.53 ID:RxkQPSzOo
前スレくらい貼れカス
勇者「魔王が勇者一族に呪いを掛けたらしい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309360054/
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/07/30(土) 19:17:08.75 ID:2dN4Mv9Wo
痛々しい
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 19:17:34.43 ID:jvA8YyMvo
>>17
>>17
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2011/07/30(土) 19:19:36.53 ID:pOKCKgKeo
最近のもしもしって不快な釣りしかしねえーのな
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 19:23:07.18 ID:DjHZOj0SO
自治厨にも評論厨にも反応しなくなりゃいいと思うぜ
23 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 19:25:04.95 ID:3H0afLp9o
勇者「・・・む。」
準長「どうした。」
勇者「蜘蛛が来ている。」
準長「なに?」
勇者「ここまでこられると厄介だ。退治してくる。」
ダン!
準長「!・・・俺を、放っておくのか。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
蜘蛛「キシャァァァァ!!」
勇者「おお、叫んだ。虫なのに。」
蜘蛛「ガチガチガチ!」
出糸突起《ブシュァァァァ!》
勇者「へぇ、糸をそのまま飛ばせるのか。」
タン
スカ
勇者「大きさはさっきの蜘蛛より小さいな。」
シュピン!
蜘蛛「ガチガチ!ガチガチ!」
ザザ、ザザザザ!
勇者「流石にすばやい動きだ。顎を鳴らすのは威嚇なのかな。」
蜘蛛「キシャァァァァ!」
ザザザザザッ!!
勇者「馬乗りにする気か?体重を利用させてもらうぞ。」
ダン!
ズバン!
蜘蛛「キシャァァァ!!」
勇者「単純な動きだ。・・・しかし随分弾力のある皮。体重を利用しなければ切れないかな。」
蜘蛛「グ、ググ。グゲ。」
勇者「?」
蜘蛛「グゲ!」
口《ブチュ!》
勇者「うお!」
ダン!
ビチャチャ!
勇者(毒液か!)
蜘蛛「グゲ!グゲ!」
口《ブチュチュチュ!》
ビチャビチャビチャ!
勇者(ばら撒いている?)
蜘蛛「キシャァァァァ!」
ザザザザザピチャザザピチャ
勇者「足に毒液をつけているのか。」
蜘蛛「ガチガチガチ!」
ブンブン!
スカスカ
勇者「ふっ!」
ギャリン!
24 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 19:51:29.06 ID:3H0afLp9o
勇者「足は硬いな。」
蜘蛛「ガチガチガチガチ」
出糸突起《ブシュゥゥゥ!》
スカ
勇者「・・・糸、か。」
勇者(よし、利用させてもおう。棒切れで・・・。)
シュカン
ダン!ダダダダ・・・
ガシ!
勇者「よし。」
蜘蛛「きしゃぁぁぁ!!!」
出糸突起《ブシャァァァ!》
ベチャ!
グルグルグルグル・・・。
勇者(自分の糸に絡んでもらおうかな。)
蜘蛛「ガチガチガチガチ!」
ザザザザ・・・
勇者「―――」
ダン!
ザザべちゃ!!
蜘蛛「ぎゅあ!?」
勇者「―――」
ダダダダダ・・・・
ベチャベチャベチャベチャ・・・
勇者「・・・これで足全部まとめてやった。」
蜘蛛「ギュァァァァァ!」
勇者「顎で噛み切る気か?」
ベチャ!
ベチャベチャ!
蜘蛛「・・・・・・!!」
勇者「これでそんな事はできないな。・・・・・・もう少し念入りに動けなくしておこうかな。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
死骸前
勇者「・・・。」
ダダダダ!
孫「・・・・・・。」
準長「・・・すごいな心眼族は。もうすでに2個取り除いたぞ。」
勇者「やれば出来るじゃないか。」
孫「・・・でも、駄目だ。最後の1個が、どうしても・・・!」
孫「決断が出来ない!このまま刺しても、引っ張りあげれないかもしれない!」
勇者「・・・。」
勇者(大きい穴を開けて、他の針で卵くらいの大きさに固定。そして細い針で引っ張りあげているのか。)
勇者「・・・それしか方法がないのか?」
孫「・・・、多分!」
25 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 20:22:20.64 ID:3H0afLp9o
勇者「・・・刺せ。それしかないなら、それしかできない。」
孫「で、でも!まだ何か方法があるかも!」
勇者「逡巡する時間はあるのか?」
孫「!・・・、無い。」
勇者「行け。お前が自分を信じきれない分、俺がお前を信じてやる。」
孫「・・・・・・。」
勇者「すごい弓の腕じゃないか。集中力がずば抜けている証拠だ。」
勇者「お前なら出来る。」
孫「・・・俺なら・・・・・・。」
孫「―――」
――――――
――――ズリュ
孫「で、できた・・・!」
卵《・・・パキ》
勇者「孵化し始めているぞ!」
準長「・・・!」
ブオン!
卵《パチュ》
孫「・・・これで全部取れた・・・・・。で、できた。よかった。」
準長「・・・助かったのか?」
孫「あ、あぁ。これでこのお爺さんに卵は無い。もう、脳みそが壊れる事もない。けど・・・」
スポスポ・・・
勇者「腕は、もうだめか。」
孫「うん・・・。」
準長「それでもいい!命さえ在れば、それで!」
孫「・・・今すぐ、腕を切らなきゃ。」
トストストストス
孫「蜘蛛の毒は骨までいく。そろそろ、肩の骨に移り始める。」
孫「急がなきゃ。手伝ってくれ。」
勇者(口調が変わったな。一皮剥けたか。)
準長「どうすればいい!」
孫「腕を、落とす。その後急いで針で止血する。」
孫「今やらなければいけない。けど、俺には腕を落とす力がないから・・・。」
準長「俺がやる!切ればいいのか!?」
孫「肩の骨を一回はずしてから切る。」
トン!
孫「これで何があっても起きない。よいしょ・・・」
グイ!
孫「この方向へ腕を一気にまげて。その後に・・・」
―――――――
――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
26 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 20:46:29.02 ID:3H0afLp9o
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
準長「本当に、ありがとう。これで、妹も泣かずにすむ。」
勇者「ははは、あの子も泣くことがあるのか。」
準長「あぁ。あの子は泣き虫なんだ。強がってはいるが、寂しがりやだ。」
準長「心眼族のお前。ありがとう。この恩はいつか、必ず。」
孫「・・・いいよ。別に。」
準長「ハハハ、お前は恥ずかしがりやのようだな。」
準長「・・・また会おう。」
ドス、ドス、ドス・・・
孫「・・・別に族が違ったって、何も違わないんだな。」
勇者「だろうな。同じ人間だ。根っこは同じだ。」
勇者「さて、向こうにな、蜘蛛を生け捕りにしてある。」
孫「なに!?」
勇者「糸でぐるぐる巻きにしてある。たぶん動いていないはずだ。俺では殺すのに時間がかかりすぎるし短剣も消耗してしまう。」
勇者「・・・どうするかは、お前に任せる。」
――――――――――――――――――――――――
蜘蛛「・・・。」
勇者「おとなしくなったな。」
孫「死んでいるんじゃないのか?息ができないだろう。」
勇者「書肺は巻いていないから息はできる。心眼で視てみればわかるんじゃないか?」
孫「・・・確かに生きてる。でも、だめだ。今日は集中しすぎて、もう視れない。」
勇者「トドメを刺してあげてくれないか?」
孫「・・・・・・お前がやれ。それが筋だ。」
勇者「・・・。」
孫「ど、どうした?」
勇者「いや、ちょっとうれしくてな。」
孫「ゆ、弓は貸してやる。ほら早く!」
勇者「ありがとう。」
勇者「スゥゥゥ・・・」
ギリギリギリギリギリ・・・
勇者(構造は覚えている。この方向から射抜けるはず。)
ダスン!!
蜘蛛「!!!・・・」
孫「流石だな。教えていないのに、急所を射抜けるなんて。」
勇者「だてに解剖していない。」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
:2011/07/30(土) 21:10:52.53 ID:csBXQc7Do
面白い
28 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 21:24:38.56 ID:3H0afLp9o
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
心眼族の村
勇者「・・・げほ。」
孫「・・・。」
老人「全く・・・動いてはいけないと言いましたのに。」
老人「お前もじゃ馬鹿孫。なぜ止めなんだ。」
トン、トントン
孫「・・・ごめんじいちゃん。」
老人「・・・。」
孫「な、なに?」
老人「・・・なにかあったんですか?」
勇者「ははは。男の子はちょっと目を離した隙に育つものなんですよ。」
孫「・・・。」
老人「・・・ほぉー。」
老人「なにか寂しさを覚えますなぁ。そういえば息子もいつのまにかでかくなっておりました。」
勇者「ふふふ、次はどうなるか楽しみでしょうね。」
老人「全くですな。」
孫「・・・。」
孫「あの、爺ちゃん?」
老人「なんじゃい。」
孫「針の手入れ、教えてくれないか?」
老人「・・・・・・。」
孫「な、なに?」
老人「・・・・・・わしゃ涙がでそうじゃ。」
孫「な、なんで?」
老人「なんでもないわ。お客人の治療が終われば教えてやる。それまで待ってろ。」
29 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 21:25:58.40 ID:3H0afLp9o
おh。fぉw
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 21:31:09.20 ID:Q2zPnD+DO
it terrer
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 21:49:44.70 ID:a3cCr5nDO
ん?風呂か?いってら
32 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 23:20:32.58 ID:3H0afLp9o
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
夢
女商人「勇者さま!!」
ガバ!
勇者「ゲフ。」
女商人「一体何があったんですか!?ず、ずっと心配してたんですよ!?」
勇者「わ、悪かったな。ちょっといろいろあって」
1106「ゆーしゃー」
1107「ゆーしゃー」
ガババ!
勇者「おっと。」
両方「あったかーい。」
女戦士「実際なにがあったんだ?魔物にでも襲われたか?」
女魔法「怪我は大丈夫?」
女僧侶「あぁ、夢じゃなければ回復してさしあげたいですのに・・・。」
勇者「え、えーとだな。とりあえず俺には今魔力がないから回復魔法は聞かないぞ?」
女商人「それはいいから何があったか教えてくださいよぅ!」
勇者「あぁ、ん。えーと・・・」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女商人「え、えーと?遠くまで見れる人と腕が4本ある人たち?」
女戦士「へー。世の中面白いなー。そんな奴らがいるなんて。」
女僧侶「勇者様って頑丈ですよね。頭を地面に打ち付けられても怪我ですむんですから。」
女魔法「・・・すごくややこしい事になってるね。」
勇者「そうだなー。心眼族の長とも完全に信頼関係を結べたわけじゃないし、多腕族の村には俺は誘拐犯で通ってるだろうからなぁ。」
勇者「でも内部の複数の人間と繋がりが持てているしそこまで悲観する状況じゃないさ。」
女魔法「でもその蜘蛛不思議。ただ大きくなっただけなら自分の重さでつぶれちゃう。」
勇者「そうだよな。なにか理由がありそうだ。心臓と魔力臓器が合わさっていたし。」
1106「スー・・・スー・・・」
1107「スー・・・スー・・・」
女戦士「あーしかし安心したぜ。大した事無くてよかった。」
女僧侶「運がよかっただけです!1番最初に心眼族の方たちと接触していなかったら気胸を治すことが出来なかったかもしれないんですよ!?」
女魔法「勇者悪運は強い。」
女商人「骨は大丈夫なのですか?」
勇者「あぁ、強い運動をしなければ悪化はしないそうだ。今日怒られたけどな。」
勇者「それより皆はどうなんだ?予定だったらもう砂漠前の村についてるだろう?」
女戦士「あぁ、もうついたぜ。今皆宿屋にいる。」
女商人「明日予定では兵士長さん達と合流します。」
女僧侶「ヒトヤさんにはローブ着せて無理やり押し込みました。しっぽが見えそうでハラハラしましたわ。」
女魔法「ひと達は帽子被せればわからないから楽。」
勇者「問題の砂漠はどうだ?」
女戦士「それが不思議でな。その村は砂漠と隣接してるんだけどよ、全く寒くないんだ。」
女僧侶「ただ一歩踏み入れば急に寒くなりました。あれは不自然ですね。」
女魔法「あれで天気も変わらないから、すごく不思議。」
女商人「今回は本当に大変そうです。気を引き締めなきゃいけません。」
33 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 23:22:17.31 ID:3H0afLp9o
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
夢
女商人「勇者さま!!」
ガバ!
勇者「ゲフ。」
女商人「一体何があったんですか!?ず、ずっと心配してたんですよ!?」
勇者「わ、悪かったな。ちょっといろいろあって」
1106「ゆーしゃー」
1107「ゆーしゃー」
ガババ!
勇者「おっと。」
両方「あったかーい。」
女戦士「実際なにがあったんだ?魔物にでも襲われたか?」
女魔法「怪我は大丈夫?」
女僧侶「あぁ、夢じゃなければ回復してさしあげたいですのに・・・。」
勇者「え、えーとだな。とりあえず俺には今魔力がないから回復魔法は聞かないぞ?」
女商人「それはいいから何があったか教えてくださいよぅ!」
勇者「あぁ、ん。えーと・・・」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女商人「え、えーと?遠くまで見れる人と腕が4本ある人たち?」
女戦士「へー。世の中面白いなー。そんな奴らがいるなんて。」
女僧侶「勇者様って頑丈ですよね。頭を地面に打ち付けられても怪我ですむんですから。」
女魔法「・・・すごくややこしい事になってるね。」
勇者「そうだなー。心眼族の長とも完全に信頼関係を結べたわけじゃないし、多腕族の村には俺は誘拐犯で通ってるだろうからなぁ。」
勇者「でも内部の複数の人間と繋がりが持てているしそこまで悲観する状況じゃないさ。」
女魔法「でもその蜘蛛不思議。ただ大きくなっただけなら自分の重さでつぶれちゃう。」
勇者「そうだよな。なにか理由がありそうだ。心臓と魔力臓器が合わさっていたし。」
1106「スー・・・スー・・・」
1107「スー・・・スー・・・」
女戦士「あーしかし安心したぜ。大した事無くてよかった。」
女僧侶「運がよかっただけです!1番最初に心眼族の方たちと接触していなかったら気胸を治すことが出来なかったかもしれないんですよ!?」
女魔法「勇者悪運は強い。」
女商人「骨は大丈夫なのですか?」
勇者「あぁ、強い運動をしなければ悪化はしないそうだ。今日怒られたけどな。」
勇者「それより皆はどうなんだ?予定だったらもう砂漠前の村についてるだろう?」
女戦士「あぁ、もうついたぜ。今皆宿屋にいる。」
女商人「明日予定では兵士長さん達と合流します。」
女僧侶「ヒトヤさんにはローブ着せて無理やり押し込みました。しっぽが見えそうでハラハラしましたわ。」
女魔法「ひと達は帽子被せればわからないから楽。」
勇者「問題の砂漠はどうだ?」
女戦士「それが不思議でな。その村は砂漠と隣接してるんだけどよ、全く寒くないんだ。」
女僧侶「ただ一歩踏み入れば急に寒くなりました。あれは不自然ですね。」
女魔法「あれで天気も変わらないから、すごく不思議。」
女商人「今回は本当に大変そうです。気を引き締めなきゃいけません。」
34 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 23:24:42.58 ID:3H0afLp9o
ごめんねるおやすみ
35 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/30(土) 23:25:42.92 ID:3H0afLp9o
ごめんねるおやすみ
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/30(土) 23:27:49.85 ID:/G3cf2kBo
おうねろおやすみ
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/07/30(土) 23:29:22.17 ID:X0t9jOYVo
どうぞおやすみ
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/30(土) 23:48:12.10 ID:Yq8qxObDO
おもしれぇ
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/07/30(土) 23:54:54.58 ID:M6/kQSzSo
おやすみー(´・ω・` )
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/07/30(土) 23:56:46.38 ID:elS8bJsAO
おっつ!
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 00:11:59.68 ID:dH4QkEZEo
乙
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/31(日) 00:26:55.35 ID:KYOrklowo
乙乙
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/31(日) 00:27:24.86 ID:KYOrklowo
乙乙
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/31(日) 00:27:59.29 ID:KYOrklowo
乙乙
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 00:37:51.43 ID:WX9mW8hSO
お休み乙
今日は板が重いみたいだな
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
()
[!status sage]:2011/07/31(日) 01:46:00.32 ID:9+OAhJNDo
>>35
乙!
現在のサーバのご機嫌:さよ・・・う・・な・・ら・・(LA:4.90478515625)
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/07/31(日) 14:51:04.12 ID:Vwj+kIsXo
>>22
前スレでボコボコに叩かれた奴が携帯でまた書き込んだのか
868 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/07/25(月) 21:58:16.77 ID:vYjOfQhjo
エクスクラメーションマーク多用はちょっと間抜けっぽく見える
気をつけた方がいい 他の部分は好きなんだが戦闘シーンがな……
エクスクラメーションは原則二つまで あと三点リーダとかもあるが
あまりうるさく言うと怒られそうだからな
でもその辺ふまえてもらえればもっと良くなると思うんだ。
少しでも参考にしてもらえれば幸いだ。長文失礼
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 15:00:07.98 ID:8JOQj6vSO
前スレで叩いた奴が、不快な釣りをしているだけです
叩かれた奴はさすがにもうこのスレでは評論家気取りで書き込みしないだろ。
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/07/31(日) 16:37:29.95 ID:gb/JgC0G0
そんなの無視して作者待とうぜ
50 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/31(日) 20:51:28.83 ID:KtF1C2fZo
勇者「ふーむ、大変だな。」
女戦士「いやいや、大変なのはお前。」
女僧侶「そうですよ。入る方法がない孤立している島ですよ?」
女魔法「・・・。」
女商人「どんな方法で出ればいいのか想像も付きませんよう。」
勇者「そうだな。転送術でも使えれば出る事は出来るんだが・・・。」
女魔法「・・・魔力がない。」
勇者「だな。人間の魔力じゃぁ足りないな。転送術なんて本来高位の魔術師が数人係で1人を飛ばすものだしな。」
女僧侶「おまけに位置がかなり限定されているうえに、一日に1回だけしか使えないすごく燃費の悪いものですし。」
女戦士「それ意味無いだろう。」
女商人「技術確立しかできていないんですよね。魔力の効率化がまだまだ進んでいないとか聞きましたけど・・・。」
女魔法「・・・推定必要魔力量が多すぎるから、1人じゃ結局無理だと思う。」
勇者「転移魔法で出るのは絶望的だな・・・・・・。」
女魔法「・・・魔力を何かから奪ったら?」
勇者「それも絶望的かなぁ。この島にいるのはほぼ魔力なしの人達だけだし、魔物もでかい蜘蛛だけだし。」
女戦士「魔力臓器を集めたらどうだ?それじゃだめか?」
女僧侶「魔力臓器は生命活動が絶たれると魔力の産生が止まりますから・・・。」
女商人「生きた状態で集める必要があるんですね。」
勇者「それに今は魔力視が使えないから詳しい事はわからないが、魔力臓器が心臓と複合していた。生け捕りにしても、うまく使えないかもしれない。」
女魔法「・・・・・・そもそも勇者、転送術の発動条件知ってる?」
勇者「知らない。」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「魔法は知ってるか?」
女魔法「・・・・・・知らない。」
女戦士「どっちも知らないじゃないか!」
女僧侶「まぁまぁ、転送術なんて辞書一冊に相当する条件知識が必要ですから、知らなくてもしょうがないですよ。」
女商人「条件ってなんですか?」
女魔法「・・・・・・魔法は魔法素子を分化させるだけじゃ単純魔法しか使えない。高位の魔法を使うには魔力素子の分化量、濃度、魔力での魔方陣生成、複数の属性分化、及び指定場所の選定、情報さらに」
女商人「え?」
勇者「んーそうだな。例えば鉄鉱石があるよな。これを剣にするためには火にくべたり叩いたり伸ばしたり研いだりする必要がある。これが魔力操作の部分。普段使う魔法だ。」
勇者「かたや銀鉱石から聖銀の剣を作ろうとしたら、金属精製、魔力の練りこみ、使用する聖水の純度指定とか難しい条件が付属してくる。これが高位魔法にあたる。。」
女商人「・・・?」
女僧侶「魔法の例えに魔力が必要なものを出してもわかりづらいですよ。鉄を例えにだすなら鋼がいいですよ。」
勇者「あーそうかな。鋼は鉄を主成分にした合金だろ?鉄を鋼にするにはだな、まだまだ鍛えていく必要があるだろう?鍛鉄を製鋼するには高い温度を維持しつづけて中に入っている不純物を燃焼させ・・・」
女商人「???」
女魔法「よーするに難しいって事だろ?」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「まぁ、そうだな。」
女商人「・・・安いものを高く売るには苦労するという事でしょうか?」
勇者「そうだな。そういう事だ。大変なんだいろいろ。」
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/31(日) 21:02:44.30 ID:kzUQkbWP0
前スレ途中まで読んだが、面白い。
だが1108はイラネ。
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/07/31(日) 21:09:13.51 ID:teWwOE6AO
女商人「???」
女魔法「よーするに難しいって事だろ?」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「まぁ、そうだな。」
なんかわらたwwwwwwww
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 21:13:15.67 ID:NW+A28kDO
勇者側の男臭い話しが大好きだ
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/07/31(日) 21:13:26.73 ID:JeTSo6jAo
戦士じゃね?ww
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/07/31(日) 21:22:41.39 ID:Q7qflIii0
戦士の言葉が魔法にうつったwwwwwwwwww
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/31(日) 21:26:01.22 ID:KgMYPtsDO
うむ。ヒトヤはいらん
57 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/31(日) 21:33:33.06 ID:KtF1C2fZo
女魔法「・・・それに才能も必要。魔力素子の分化には人によってしやすさに傾向がある。」
女商人「・・・?」
勇者「火の魔法しか使えない。風の魔法しか使えない。そういった個人差の事だ。」
女商人「あー・・・。」
女僧侶「今は混乱していますから新しい情報を与えないでください。」
女戦士「・・・。」
頬《プニプニ》
1106「・・・うー。」
女僧侶「ほら、何をしているんですか!起きてしまうでしょう?」
女戦士「退屈なんだよ!そんな魔法の話なんてどうでもいい!」
女商人「で、でももしかしたら島を出る方法を思いつくかも・・・。」
女戦士「勇者が泳げばいいだろ!」
女僧侶「無茶を言わないでください!」
女戦士「えーい!勇者!現実では怪我してるから素振りが出来ないだろ!?見てやるからここでやれ!」
勇者「・・・意味あるのか?」
女戦士「大事なのはイメージだ!夢の中で出せるなら現実でも出せる!人間根性だ!」
勇者「・・・そうかもな。とりあえずひとむ達をどかすのを手伝ってくれないか?」
女戦士「・・・そっとな。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女戦士「えーとだな。とりあえず一回集中して素振りをしてくれ。」
勇者「すぅ・・・。」
勇者「―――!!」
―――キン!
女戦士「おーすごいな、音が後から聞こえるくらいにはなっているじゃないか。」
勇者「いやぁ、この後どうすればいいのかわからなくて。原理がわからないと努力の方向が・・・」
女戦士「天才は違うねぇ。私は修行時代そんな事を考える暇なんてなかったよ。ただがむしゃらに剣を振ってた。」
勇者「む・・・。」
女戦士「でもまぁ、努力の仕方なんて人それぞれか。今見た感じだとなぁ、そろそろだと思うんだが・・・。」
女戦士「出来ない、から、出来るになるには何かな、確信が必要なんだ。」
勇者「確信?」
女戦士「ただ剣を振っていると、ふとこうすればいい、とわくんだ。これは私の感覚だけど、お父様も言っていた。」
女戦士「あの感覚は、確信としか呼べない。って。ただ出来るようになるにはそれぞれの道があるとも言っていた。」
女戦士「その確信を得るには自分を追い込まないといけないのは一緒みたいだけどな。努力した向こうに落ちている物だってさ。」
勇者「・・・うーん。」
女戦士「ま、勇者はまだまだだけどな。ほら素振り素振り。」
勇者「すぅー・・・」
勇者「フッフッフッフッフ・・・」
ヒンヒンヒンヒンヒン・・・
女戦士「もっと早く。腕振ってるだけじゃないか」
勇者「・・・・・・!」
ヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・・
女戦士「まだいけるだろ?どうせ夢だ。倒れるくらい限界だせ。」
58 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/31(日) 22:13:38.47 ID:KtF1C2fZo
女戦士「・・・・・・!」
勇者「・・・・・。」
女商人「勇者さますごいなぁ・・・。」
女僧侶「本当に早いですよね。」
1106「すーすー」
1107「すーすー」
女魔法「・・・。」
女商人「嵐島かぁ・・・。ずーっと風で覆われているらしいですけど、止まったりはしないんでしょうか?」
女僧侶「ずっと観測されているわけじゃないようですけど、そういった記録は今まで一回もないそうですよ。」
女魔法「・・・船が沈むくらいの風が起き続けてるなんて変。」
女商人「天気が変といえば私たちが入る砂漠も変ですよね。ずーっと天気はいいらしいですし。」
女僧侶「あれだけの急激な温度変化はおかしいですよね。なにか力が働いているのかもしれませんね。」
女魔法「・・・でも魔力はそこまで感じなかった。」
女僧侶「だとすると・・・前にあった魔力霧という奴かもしれませんね。」
女魔法「・・・・・・でもあれは単純魔法しか起きないし、あそこまで広い範囲に影響を及ぼすのはすごい量の総体魔力量になるよ。」
女商人「・・・さっきの話ですけど、条件がそろえば、できるんじゃないですか?」
女魔法「・・・・・・そんな広い範囲に長年魔力が全く同じ形であり続けるなんて、不自然の極み。」
女魔法「・・・・・・誰かが、魔力を操作し続けているなら、ありえるかもしれないけど。」
女僧侶「伝承では、嵐島も、極寒砂漠もずっと前から存在しています。人が3回生きれる程度には。」
女商人「そんな人間はいないですよねぇ。魔道の始祖だって、100年で死んでしまったらしいですし。」
女魔法「・・・大量の魔力を持っていて、人間より長生き・・・。」
女僧侶「・・・・・・魔王か、神ならばあるいは、出来るかもしれませんね。」
女魔法「もしそうならなんの為だろう?」
女商人「なにか隠したいものがあるんじゃないですか?」
女僧侶「例えば?」
女商人「うーん・・・弱点とか?ですかね?」
女魔法「・・・・・・。」
女商人「あ、ありえませんか?」
女僧侶「・・・確かに隠したいもの、といったらそういった類かもしれませんね。」
女魔法「自分への脅威になるもの・・・?」
女商人「で、でも。隠したいんだったら、なんでもないところにおいておくとか、自分の近くでいいじゃないですか。守りを厳重にしたらここにあるって言ってるような物じゃ・・・。」
女僧侶「うーん・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・閉じ込めている?」
女商人「え?」
女魔法「隠しているんじゃなくて、閉じ込めていると考えると、大量の魔力を使ってわざわざ隔離している意味が通る。」
女商人「生き物って事ですか?で、でも、邪魔なら消しちゃえばいいじゃないですか。わざわざ残しておく意味は・・・。」
女魔法「鋭い刃物は、自分も切る。」
女商人「え?」
女僧侶「要は、包丁ですよ。下手な人が使うと、指を切ってしまうでしょう?」
女魔法「何かに使いたい、けど、もしかしたら自分に害が及ぶかもしれない。」
女魔法「そんな、何かかな。」
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
:2011/07/31(日) 22:26:19.08 ID:plGiLaQR0
面白い
60 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/07/31(日) 22:26:19.78 ID:KtF1C2fZo
寝る。
>>50
の女魔法が言ってる戦士っぽいセリフは女戦士の。盛大にミスったFax。
おやすみ。
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/07/31(日) 22:28:17.40 ID:oMXCRSkTo
おやす
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/31(日) 22:39:50.99 ID:BAjxRZi/o
面白い
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 00:16:11.81 ID:pjocHKfDO
乙でした!
神も魔王もよからぬ事色々してそうだからあの島には何があるやら…
早く勇者も合流してほしいな
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/01(月) 00:20:36.48 ID:QoIDKma3o
つか神の存在はなんとなく理解できたが魔王の存在はよく判らん
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/01(月) 00:20:43.84 ID:TgqGwd9bo
乙した
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 08:45:21.84 ID:zRImHqIIO
魔王の具体的な悪事が書かれてないし
そもそも勇者が魔王を倒しに行く理由も書かれてないしな。
魔王はなんなんだろうな。
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2011/08/01(月) 10:45:39.33 ID:WMgzsEdW0
乙!続き待ってる
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 11:19:41.20 ID:5EiUSraIO
お前らもっと感想書いてやれよ作者は寂しがり屋だぞ。
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 12:08:07.53 ID:11bOUScvo
孫は俺の婿
俺男だけど
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 12:15:18.73 ID:HL2EeGWIO
いつから孫が男だと錯覚していた?
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 12:16:08.34 ID:SHNREJgSO
勇者の作る料理が美味しそう
俺にも作ってくれー!
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/08/01(月) 12:21:17.75 ID:DHd55urJo
>>71
昆虫・・・
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 12:24:38.78 ID:1DpjMxyTP
孫 正義
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/08/01(月) 12:44:21.07 ID:YAQ9DrTAO
>>73
まご せいぎ?
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 16:08:25.64 ID:NzeQXaBIO
魔法銃だとか魔法素子だとかなんかファンタジー魔法を
科学的解釈に落とし込んでの応用が面白いな。
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/01(月) 16:28:09.02 ID:BNSB4+Q5o
そういえばここ3スレ目か
まだまだ続いてほしいぜ
77 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/01(月) 17:55:52.57 ID:aUS1fi1no
帰ったかく
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 18:34:16.38 ID:2LAh7r0SO
おかえり!
別所に誤爆した…ハズカシー
79 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/01(月) 19:11:04.38 ID:aUS1fi1no
女商人「・・・うーん。でも、あくまで神や魔王がやっているとしたら、っていう仮定ですよね。」
女僧侶「そうですね。私たちが全ての事象を把握しているわけではありませんからね。」
女魔法「・・・・・・でもそういう可能性があるかもって勇者に伝えておくね。」
タッタッタッタッ・・・・・・
女商人「魔法さんは勇者さまが好きなんでしょうか。」
女僧侶「あの子は、親が居ないですから・・・。勇者様に対して特別な感情を抱いても、仕方ないですね。」
女商人「うーん・・・。」
女僧侶「大丈夫ですよ。勇者様は、複数の女性と付き合う事を良しとする人ではありませんから。」
女商人「そうなんでしょうけど・・・。でも、ですね。魔法さんに限った話じゃないんですけど・・・。」
女僧侶「・・・。」
女商人「僧侶さんは、それでいいんですか?」
女僧侶「・・・・・・私は、もう結婚相手は決まっていますから。」
女商人「それで、いいんですか?」
女僧侶「私はもう、子供の頃に諦めてしまいました。」
女僧侶「だから、いいんです。」
女商人「何を、諦めたんですか?」
女僧侶「大人時代の自由を。」
女商人「・・・・・・悲しいですよ。」
女僧侶「いいんです、それで。」
女商人「・・・。」
女僧侶「・・・・・・しょうがないですね。」
女商人「?」
女僧侶「私にとってはですね。今は夏なんですよ。」
女商人「・・・。」
女僧侶「私は今楽しんでいます。でも夏が終われば、秋が来ます。」
女商人「・・・・・・。」
女僧侶「はしゃいでいい時期は、終わるんです。」
女商人「・・・・・・。」
女僧侶「ですから、身を引くのではなく、ただ居なくなるだけです。」
女僧侶「気にする必要は、ないのですよ。」
女商人「・・・・・・秋だって、楽しいですよ。はしゃいでいいはずです。」
女僧侶「そういうわけにもいかないのですよ。大人は、冬を乗り切るために働かなくてはいけません。」
女商人「・・・・・・。」
女僧侶「納得できませんか?」
女商人「・・・はい。」
女僧侶「・・・・・・ちょっと、やさしすぎますね。」
女商人「・・・ごめんなさい。」
女僧侶「謝らないで。悲しくなります。」
女商人「・・・・・・すいません。」
80 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/01(月) 19:42:12.18 ID:aUS1fi1no
女僧侶「・・・それにですね、商人さんそういったことを心配している場合じゃないですよ?なんていったって相手は勇者様なんですから。」
女商人「え?」
女僧侶「勇者様は見るからに押しに弱いでしょう?依存してくる人に寛容ですし。」
女商人「い、いいことでは?優しいという事ですよね?」
女僧侶「恋愛事情において優しいというのは身を滅ぼしますよ?たとえばですね。」
女僧侶「あなたが居ないと私は死んでしまう!」
女商人「!」
女僧侶「、という間違った感情を持った人が居た場合、勇者様はその優しさで傍に居ます。間違いなく。」
女商人「あ、あ〜・・・。」
女僧侶「ありありと想像できるでしょう?恐らく勇者様はその人が自立できるまで傍にいるでしょうね。」
女商人「・・・・・・。」
女僧侶「そんなに長い間一緒に居続けたら間違いなく正しい感情で恋を実らせますよ?」
女僧侶「そんな状況になってしまったら勇者様も断れないかもしれませんね。優しいですから。」
女商人「こ、断るときは断りますよ!」
女僧侶「そのときが来るまでわかりませんよ。こればかりは。」
女商人「ううう・・・・・・。」
女僧侶「ですからほら、今のうちに絆を深めてきてください。ほら早く。」
女商人「わ、わかりました。勇者さまー!!」
タッタッタッタッ・・・・・・
女僧侶「うふふ、純情ですね。」
女僧侶「・・・ただ、2人とも不用意に優しすぎるんですよね・・・・・・。」
1106「・・・・・・。」
1107「・・・・・・。」
女僧侶「あ、起こしちゃった?ごめんね。」
1106「・・・・・・大丈夫。勇者がきっとなんとかしてくれるの。」
1107「だって勇者優しいもん。」
女僧侶「・・・。そう、ですかね。」
両方「そうなの。」
女僧侶「そう、ですよね・・・。勇者様、ですもんね。」
女僧侶「一番、信頼できますもの、ね。」
1106「そうなの。」
1107「勇者なの。」
女僧侶「・・・・・・私、もう起きますね。」
1106「明日で最後なの。」
1107「だから先に言っておくね。」
両方「また夢で。」
女僧侶「えぇ。また夢で。」
――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
81 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/01(月) 19:43:23.21 ID:aUS1fi1no
ちょっと休憩。人の心理描写って難しい。
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/08/01(月) 19:59:13.59 ID:m4uhLEoko
さてハーレムるかならぬか
たのしみだ
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 20:10:25.61 ID:pjocHKfDO
ゆっくり!
勇者は複数と付き合うのを良しとしないって言ってたからハーレムは……
けじめはきっちりしそうだし、商人の事大事に思ってそうだし
何かいつまでも旅が終わらなきゃ良いのになあ
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 20:28:55.70 ID:sOZv2H2SO
自己犠牲の精神を持った人間はさ、自分の持ち物や、大切なヒトにも犠牲を強いちゃうんだよね
苦しんでいる他人の望みを叶えるために、自分の望みや理解しあえてるヒトとの関係進展を後回しにしちゃうんだよね
だから商人が積極的になるしかないんだ
頑張れ、商人!
85 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/01(月) 22:12:51.52 ID:aUS1fi1no
――――――――――――――――――――――――
砂漠前の村 〜宿〜
女僧侶「・・・・・・。」
女僧侶「・・・・・・まだ、日は昇っていませんね。」
1108「なんだ、もう起きたのか。」
女僧侶「おはようございます。・・・それはこちらのセリフです。なんでもう起きているんですか?」
1108「寝付けない時だってあらぁな。」
女僧侶「・・・そうですね。」
1108「・・・・・・どうだ?そろそろ夢が嫌になってきたんじゃないか?」
女僧侶「どういう意味ですか?」
1108「そのまんまの意味だ。嘘が付けない空間ってのは、疲れるだろう。」
1108「秘密にすることは出来るってのが唯一の救いだな。まぁひとむたちにはその秘密さえ持てないけどよ。」
女僧侶「・・・・・・。」
1108「能天気なあいつや、嘘をつくより秘密をもつあいつや、脳筋のあいつは平気だろうけどな、」
1108「お前は違うな。あの空間では辛いだろ。」
女僧侶「・・・そんなこと、ありません・・・・・・。」
1108「ハッ!嘘をつくときは、俯かない方がいいぜ。バレる。」
女僧侶「・・・あなたは、随分確信を持って人を決め付けますね。」
1108「孤児って言ったろうが。人を見抜く目を付けなきゃぁ不条理をつかんじまう。まぁ、結局施設に入れられたけどよ。」
女僧侶「・・・・・・果たしてそうでしょうか。あなたが人を見抜く目を付けた理由は、孤児という理由だけとは思えません。」
1108「勝手に思ってろ。」
女僧侶「ヒトヤさんは、ひとちゃん達の事はすごく真面目ですよね。どういった関係なんですか?」
1108「材料仲間だ。」
女僧侶「それだけですか?」
1108「それだけだ。」
女僧侶「嘘をつくときは人の目を見たほうがいいですよ。ばれますから。」
1108「・・・ハッ。まぁンなことはどうでもいい。どうせそろそろ別れんだからよ。」
女僧侶「・・・・・・そうかもしれないですね。あなたは、これからも夢には遊びに来ないのでしょうし。」
女僧侶「残念ですよ。」
1108「気が向いたら行ってやる。」
女僧侶「・・・そうですか。楽しみにしています。」
1108「はーぁ。寝るかぁ。」
女僧侶「寝れなかったのではないのですか?」
1108「寝れない夜は朝に眠くなるもんだろ。」
女僧侶「そうですか。おやすみなさい。」
1108「・・・。」
女僧侶(・・・・・・。結局私は、逃げているだけなのかもしれない。)
86 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/01(月) 22:37:30.78 ID:aUS1fi1no
――――――――――――――――――――――――
朝
女魔法「・・・。」
ムクリ
女僧侶「おはようございます。」
女魔法「おはよう・・・。」
女僧侶「勇者様なんて言っていました?」
女魔法「・・・なるほどって。神への脅威になりそうなものは確かにありそうだって。」
女僧侶「結構的を射ていたんですかねぇ。」
女魔法「かもしれない。まだわからないけど、今日はとりあえず多腕族と交流をはかってみるっていってた。」
女僧侶「うーん。大丈夫でしょうか・・・。」
女魔法「きっと大丈夫。知り合いからゆっくり聞いてみるっていってたから。」
女僧侶「そうですか。本当、大変ですよね、勇者さま。」
女魔法「うん。・・・今日でひと達とおわかれかぁ。」
女僧侶「寂しくなりますね。」
女魔法「うん・・・。」
女僧侶「そういえばひとちゃん達まだ起きていないんですね。どうしたんですか?」
女魔法「勇者と遊んでる。」
女僧侶「そうですか。でもそろそろ起きなくてはいけませんね。」
女僧侶「すぅぅぅ・・・。」
女魔法「あ、ひと達起こしてから。」
女僧侶「あ、そうですわね。またびっくりさせてしまう所でした。」
87 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/01(月) 22:38:23.30 ID:aUS1fi1no
ごめん寝る。心理描写中心にするとただでさえ筆が鈍るのに従兄弟が怖くてさらに進まない。ごめん。
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 22:47:19.45 ID:SHNREJgSO
>>87
乙
毎度面白いぞ
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/01(月) 22:52:28.01 ID:O2SVU40AO
乙乙
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/08/01(月) 23:07:40.11 ID:+h86NFwgo
これ3スレめなの?
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/01(月) 23:12:27.69 ID:x+keGi1to
乙
自分のペースで進めてくれ
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 23:32:14.58 ID:2LAh7r0SO
乙ですお
夢空間では嘘つけない設定すっかり忘れてたわwwww
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/01(月) 23:35:57.11 ID:2LAh7r0SO
乙ですお
夢空間では嘘つけない設定すっかり忘れてたわwwww
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/02(火) 05:00:48.81 ID:S+5771xzo
乙した
僧侶も頑張れ!
ハーレムっていうか、魔王倒したら、皆で
仲良く楽しく暮らしてほしい
95 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/02(火) 08:15:51.53 ID:TmMAX2tIO
作品内時間ってどれだけたってるんだ?
一週間位?
96 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/03(水) 12:33:11.31 ID:WO4H8FmIO
やっと追いついた!
素晴らしく面白いから完結までwktk見守らせていただく
なんという良SSスレ
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/08/03(水) 14:30:35.03 ID:cRJiRUiX0
>>95
たぶん・・・いや、もっとながぞ
一番最初のスレの1レス目が06/27(月)だから・・・一ヶ月・・・だと・・・?
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/03(水) 14:43:56.89 ID:KhDSkLn4o
作品内だろ
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/08/03(水) 14:44:00.12 ID:cRJiRUiX0
今気づいたけど、作品内って物語のなかでってこと?
だったらスマン。
100 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/03(水) 22:58:33.97 ID:MiQxKdrIO
グズ村で一泊
山村までで一泊
山村で2泊
港までで2泊
港で三泊?
機械港までで1泊
機械港で3泊
嵐島で4泊目か?
これであってる?
女戦士に真空切り教えてもらって一週間くらいか。他作品だとそろそろ覚える頃かな。
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/04(木) 16:42:03.29 ID:qqlVDI10o
+
+
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワク
oノ ∧つ⊂ +
( (0゜・∀・) テカテカ
∪(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/08/04(木) 17:11:02.61 ID:kDi1L2pvo
+
+
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワク
oノ ∧つ⊂ +
( (0゜・∀・) テカテカ
∪(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/04(木) 17:42:40.00 ID:5vAHxFv3o
+ + + + +
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ +
(0゚・∀・) (0゚・∀・) (0゚・∀・) ワクワクテカテカ +
oノ∧つ⊂) ∧つ⊂) ∧つ⊂) + +
. ∧_∧ ( (0゚・∀・) (0゚・∀・) (0゚・∀・) + +
( ;´Д`) oノ∧つ⊂)∧つ⊂) ∧つ⊂) + ∧_∧ +
-=≡ / ヽ ( (0゚・∀・)(0゚・∀・)(0゚・∀・) ワクワクテカテカ (0゚・∀・) ワクワク
. /| | |. | oノ∧つ⊂) ∧つ⊂) ∧つ⊂) oノ∧つ⊂)
-=≡ /. \ヽ/\\_( (0゚・∀・) (0゚・∀・) (0゚・∀・) + ( (0゚・∀・) テカテカ
/ ヽ⌒)==ヽ_)=∧つ⊂) ∧つ⊂) ∧つ⊂) ∧_∧ oノ∧つ⊂) +
-= / /⌒\.\ || ||(0゚・∀・)(0゚・∀・)(0゚・∀・)ワクワクテカテカ( ´・ω・) (0゚・∀・) ワクワクテカテカ
/ / > )| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| /ヽ○==○ (0゚∪ ∪ +
/ / / / .|______________| -=≡ / ||_ ||_ と__)__)
し' (_つ  ̄(_)) ̄ (.)) ̄ ̄ ̄ ̄ (_)) ̄(.)) ̄ し' ̄(_)) ̄ ̄ ̄ ̄(_)) ̄(_))
104 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/04(木) 21:09:14.60 ID:vnjTfFQDO
女魔法たんかわいい
番外編で女魔法と勇者のきゃっきゃうふふ書いてくれないかな
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/04(木) 21:47:59.00 ID:14f3LtnSO
早く来ないかなー
従兄弟達に苦戦してるんかな
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/08/05(金) 13:13:21.64 ID:T7LjEVpI0
最近こねーな・・・毎日楽しみにしてるのだが・・・
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/08/05(金) 13:47:11.56 ID:sdRqlSLG0
ここの勇者と商人ちゃんの行く末をみとどけるまで[
ピーーー
]ない
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/08/05(金) 14:38:09.89 ID:IKrSgoKHo
いくら時間かかってもいいからちゃんと終わって欲しいな
気長に待ってます
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/05(金) 17:49:26.54 ID:A1AxkbmIO
VIPからの減速っぷりが切ない
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/05(金) 19:10:46.73 ID:krLUynAAO
適当に埋められて無理やり終わるよりよっぽどいいよ
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/05(金) 19:26:21.43 ID:g7+8/RIDO
まぁ月刊誌だと思えば、待つのはそんなに苦ではない
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/05(金) 20:18:12.60 ID:il0Ns+dro
テスト期間中だろ
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/06(土) 14:41:40.12 ID:uEdoqe2DO
夏休み中じゃね
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/06(土) 17:06:19.01 ID:7OnGYT070
従兄弟に苦戦しすぎだろwwwwwwwwww
ゆっくり頑張てねー
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/06(土) 17:22:33.23 ID:CYkUpQYSO
従姉妹に拘束・調教され中だったりして
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/06(土) 18:07:45.93 ID:rlvrxOM/0
>>115
我々のぎょうかいでは(ry
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/06(土) 19:02:44.45 ID:+XZ/UD7DO
勇者「冒険の書が完結しない」
続きくるまでの暇つぶしに読んでみそ
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/07(日) 13:20:32.62 ID:PldYq4AIO
>>117
j// /\ヽ∨//∠ヽ. \\. \
_/ ∠≠ニ二ニ≧=<´ ヘ. ', ヘ\ヽ.
_ -‐ ´/ , -‐´、_, '⌒`^ 、 \::\ } l ヽヘ ヽ}
 ̄ フ´, / 丶\::V| | Vl
//./ `Vヽl | ヽ ' .
/ ,イ/ Y/, ヽ.\ /
|/ / | ∨ヘ. ト、 \_ / し 馬
/ / / l: / l ∨i 、 |  ̄ / な 鹿
l│ / イ ,イ. l ト、ヽ / | :l :| | l l い に
| | l_メ、」_,;./l L l V ∧ / :|/ ハ. ト、 | で
| ト. |.____ ヽ l´ヽ{ _⊥イ イ / / / l/⌒ヽ .| く
| | ヽ | 、i┘::::i \ | r┬┬‐┬ァ V ,∧. ,' ´ | れ
レ ヽ! ゝ- ' \l i,.┘:::::iノ / ,/〉│ :| { | る
-──-- 、 7/l/l/ 、 `'ー‐ ' ∠≠r'ノ:jノ :| | ∠. ! ?
知 ヽ λ `i`ァー-- 、 /l/l/l ∧‐'.:|:::| ハ ', `ヽ
っ そ l `、 レ' ', ,/| ::| :|:::| ./ ヽ_> ` ' ー-
.て の l ` = 、 '、 ノ ,.イ∧'|:l.:/l:::|´
る く | `>-r =ニi´、.,_`::: |:| { |:::l
わ ら ,フ _,.イ´ヽ.7 / /:\;八:V:ノ
よ い l /7:::::! ○O'´ /::::::::/ヽ.
! ! | / /:::::::レ'/ムヽ. /::::::::/ ヽ.
l / ,':::::::::::!/ ハ:::::`´:::::::::::;' ',
ゴメンよ、もう読んだんだ…
119 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/07(日) 17:44:50.62 ID:MzZgfoCDO
同じくななばつたんで読んで知ってたり
あれも面白かったな
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/07(日) 21:40:51.54 ID:tGVidONIO
>>117
どこ?
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/07(日) 21:44:08.61 ID:0XRLELoIO
少しは検索するなり、ひとつ前のレス読むなりしろよ…
122 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2011/08/07(日) 22:35:48.37 ID:nKYy0KIxo
ゆとりにそれが出来ると思ってんのか
123 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/07(日) 22:36:53.16 ID:hfK54iZzo
>>120
これはひどい
124 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/08/07(日) 22:40:23.29 ID:ASF+G5HFo
ハーレムかハーレムじゃないか迷ってたりして
ハーレムが好きだから
ハーレムでないとしたら精算というか落とし前というかきっちりして欲しいところ
125 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/07(日) 22:55:07.68 ID:3j+/xTZXo
曖昧なままでもいいかも
126 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/08(月) 12:28:43.55 ID:Ue1ieaEFo
誰と誰がくっつくのくっつかないだの、ハーレムだハーレムじゃないだとかくっそどうでもいいと思っているのは俺だけか?
正直なんでも恋愛方面にもってく恋愛至上主義は滅びろ
127 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/08(月) 12:34:29.17 ID:Ee3zaK+Ko
ストーリー上描かれてるのに恋愛至上主義っていうのはおかしいだろ
外野がうるさすぎるとは思うが
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/08/08(月) 16:22:59.55 ID:LId4cqqq0
お前ら楽しみに待つのはいいがもう少しだけ静かにしようぜ
129 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/08/08(月) 23:38:00.69 ID:QZBqqbeh0
>>1
が最後に来たのはちょうど一週間前・・・
そろそろ従兄弟が帰ってもいい頃
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/08/08(月) 23:38:41.78 ID:QZBqqbeh0
>>1
が最後に来たのはちょうど一週間前・・・
そろそろ従兄弟が帰ってもいい頃
131 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/09(火) 13:40:46.05 ID:iSeR6ax+o
――――――――――――――――――――――――
昼前―服屋―
女僧侶「・・・・・・。」
女商人「これとかどうでしょう。」
女僧侶「・・・可愛いですね。二人によく似合いそうです。」
女戦士「・・・・・・へこみすぎだろ。そんなに別れるのがつらいか。」
女僧侶「・・・・・・えぇ、そうかもしれません。」
女魔法「・・・・・・。」
女商人「ほ、ほら。アクセサリー早く選びましょ?兵士長さん達も今日くらいは休んでいくでしょうし。」
女僧侶「・・・そうですね。いまはリボンを付けていますから、なにか別のものを・・・」
女店員「あらー。お客さんなにさがしてるのー?」
女商人「あ、頭飾りを探しています。」
女店員「そうなのー?じゃぁやっぱりこれじゃないかしらー。特産よー。」
女僧侶「・・・鎖?」
女店員「そー。踊り子の頭飾りよー。今なら飾り布もつけるわよー。」
女魔法「・・・。」
女僧侶「・・・可愛いですね。」
女店員「だれかのお土産かしらー?さっきリボンっていってたわねー。子供かしらー。」
女戦士「あぁそうだ。こんぐらいの背の子だ。」
女店員「髪の毛の色はー?目の色はー?」
女商人「金髪金目です。」
女店員「どっちも金なんてゴージャスねぇー。煌びやかな鎖がいいかしらねー。」
女店員「耳に穴はあるー?無いわよねー子供だしー。イヤリングでー・・・」
女店員「その子たちは首細いかしらー?」
女魔法「・・・・・・私と同じくらい。」
女店員「あらー。置物かと思ったわー。よくみたらかわいいわねー。あなたも買うー?」
女魔法「・・・いらない。」
女店員「気を悪くしたのならごめんねー。お姉さん思ったこと全部いっちゃうからー。」
女店員「帽子とったらー?顔がよく見えないわよー?」
女魔法「・・・いい。」
女店員「紺色の髪の毛なんてかわいいわねぇー。もったいないわぁ。伸ばしたらもっと綺麗になるのにー。」
女魔法「・・・。」
女店員「あなたアクセサリー全然つけてないじゃないー。もったいないわー。こんなに可愛いのにー。」
女魔法「・・・・・・。」
女店員「服もローブで地味だしー。派手になる必要はないけどつまらないわー。」
女魔法「・・・・・・・・・・・・。」
女店員「あらー?靴は少しいいものはいてるのねー?かわいいわー。」
女店員「長旅なのかしらねー。丈夫そうだしー。なおかつかわいいわー。これを買った人はセンスがいいのねー。」
女店員「おしゃれは足元からよねー。お化粧させてみたいなー?だめ?」
女魔法「・・・だめ。」
女店員「やっぱりそうよねー。ごめんねー?変な事聞いて。えーとなんの話だったかしらー?」
女僧侶「・・・・・・お土産の話です。」
女店員「あーそうだったわねー。どうせならー全身ねー。安くしてあげるわー。」
132 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/08/09(火) 13:45:21.95 ID:sA961iN10
キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
133 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/09(火) 13:49:50.42 ID:CbTIRX7Yo
えんだあああああああああああ!!!!!
134 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 13:58:53.63 ID:02eh1vbzo
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
135 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/09(火) 14:15:09.80 ID:iSeR6ax+o
――――――――――――――――――――――――
宿
女戦士「・・・あーあれだ。買い物の時には何も言わなかったが・・・。」
女戦士「おかしいだろ。」
女僧侶「・・・なにがですか?」
1106「あうー」くるくる
1107「えうー」くるくる
女戦士「この光景に違和感を覚えないのはある意味怖いけどよ。こいつら男だぞ。」
女僧侶「可愛いからいいではないですか。」
女戦士「そういう問題じゃないだろ。前の服を買うときには女だと思ってたからしょうがないとして、今回は違うだろ。」
女僧侶「可愛いという3文字の前には何者も立ち得ないのですよ。」
女戦士「・・・変な大人に育ったらどうするんだ。」
女僧侶「私が貰いますから大丈夫です。」
女戦士「・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・。」
飾り布《チャリ・・・》
女商人「つけないんですか?」
女魔法「・・・うん。」
女商人「可愛いではないですか。きっと似合いますよ?」
女魔法「・・・・・・。」
女商人「ほら、喉に巻くのが一般的みたいですよ。つけてみましょ?手伝いますから。」
女魔法「・・・・・・。」
女商人「ほら、可愛いじゃないですか。」
女魔法「・・・はずして。」
女商人「え?」
女魔法「つけたくない。」
女商人「・・・わかりました。」
女僧侶「・・・ごはんにしましょうか。」
女戦士「そうだな。もう昼過ぎだしな。ひと達も腹へってるだろ。」
1106「あうー」ぱたぱた
1107「えうー」ぱたぱた
1106「あう」パシパシ
1107「えう」パシパシ
1108「ぐ・・・。や、やめろ。もう少しやさしく起こせ。手切るぞ。」
女商人「ごめんなさい、差し出がましい真似をしました。」
女魔法「・・・・・・ううん。いいの。ごめんね。」
136 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/09(火) 15:04:20.68 ID:iSeR6ax+o
1106「あおー」くるくる
1107「えおー」くるくる
1108「・・・・・・おかしいだろ。」
女僧侶「なにがでしょう。」
1108「こいつらの格好がだ。」
1106「あう?」ピタ
1107「えう?」ピタ
女僧侶「いったいどこが?」
1108「男がなんで踊り子のかっこしてんだ。」
女僧侶「踊り子は別に女性限定の職業ではないですよ。」
1108「いや、なんで女物の服を来てんだ。」
女僧侶「似合うからですが?」
1108「いやいやなんで男が」
女戦士「ヒトヤ、諦めろ。」
1108「・・・・・・。」
女僧侶「さ、早く食べましょう。買って来てありますから。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女戦士「はー。さて。必要なもの買いに行くかー。」
女商人「そうですね。買うかどうかは置いておいて情報収集くらいしておきましょう。」
女魔法「ワーム貸し出ししてるお店あったよ。」
女商人「本当ですか?よくわかりましたね。いってみましょう。」
女戦士「どうした僧侶?いかないのか?」
女僧侶「・・・私、少し休んでます。」
女商人「どうしたんですか?疲れました?」
女僧侶「・・・みたいですね。疲れが溜まってしまったようです。」
女魔法「・・・。」
女戦士「そうかそうか。じゃぁゆっくり休んでろ。3人でいってくる。」
1106「あうー」
1107「えうー」
女魔法「・・・一緒に来たい?」
1106「あう」
1107「えう」
女戦士「その格好はさすがに寒いぞ。着替えてからな。帽子はしっかりかぶれよ。」
――――――――――――――――――――――――
1108「がー・・・。がー・・・。」
女戦士「じゃぁ行ってくる。」
女商人「いってきます。」
女魔法「・・・。」
1106「あー」
1107「あー」
女僧侶「いってらっしゃいませ。」
扉《バタン》
女僧侶「・・・ふぅ。」
トサっ
137 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/08/09(火) 15:21:45.50 ID:R4NTkxR6o
か、わ、い、い
…三文字?
138 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/08/09(火) 15:37:45.19 ID:/f7TNmSvo
漢字でしょ
139 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/08/09(火) 15:51:11.62 ID:R4NTkxR6o
いやそういう時ってひらがなで数えるでしょうに
140 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/09(火) 15:54:48.69 ID:iSeR6ax+o
女僧侶「・・・・・・わからなくなっちゃったな。」
女僧侶(あの日、家を飛び出したのは、最後のわがままのつもりだった。けど・・・)
女僧侶(逃げていただけなのかな。少しでも、家を離れて居たかったのかな。)
女僧侶(考えないようにしていたけれど・・・私は、勇者様の事をどう思っているのだろう。)
女僧侶(私には許婚がいる。お父さんも、お母さんも、私のためと考えて人を探してきてくれた。)
女僧侶(彼のことは嫌いではない。でも・・・好きにもなれなかった。)
女僧侶(なんで、勇者様の旅についてきたのだろう。)
女僧侶(誰でもよかったのかな。ただ、目の前に急に道ができたから、進んでしまっただけなのかな。)
女僧侶(あの時は、顔さえ見えなくて。ただ、傷を引きずりながら歩くのが、不憫に見えた。)
女僧侶(憐れみ、だったのかな。放っておけなかった・・・のかな。)
女僧侶(あの時勇者様は商人さんと2人で旅をしていた。回復を行えるのが勇者さまだけだったから、ついていってしまったのかな。)
女僧侶(それだけで、ついていくのはおかしいよね。きっと、家から離れたかった。私の理由を勇者様を利用して押し通した。)
女僧侶(勇者様もやさしいから、簡単に受け入れてくれた。私は、勇者様の優しさを利用した。)
女僧侶(・・・酷い女。)
女僧侶(そのあとも、結局癒す事なんてできなかった。私はただ居るだけの存在だった。)
女僧侶(私が居るせいで、勇者様も一人の時間が増えてしまった。戦闘能力の無い私を守るため、商人さんが私についてるようになった。)
女僧侶(今なら、魔法さんや戦士さんも居るから、けして無駄ではないけれど、私は、必要なかった。)
女僧侶「・・・・・・私は、なぜこの旅についてきてしまったのだろう。」
女僧侶(船の上で、勇者様と夫婦の真似事をしたのは、本当に勇者様を慰める為だけだった?私の、願望でもあった?)
女僧侶(・・・・・・私は、これからも商人さんを、応援する事ができるだろうか。)
女僧侶(いつまで、自分をだまし続けるのだろう。)
女僧侶(きっともう無理。もう、自覚してしまったから。きっかけは夢の中での商人さんとの会話。)
女僧侶(・・・私は、勇者様が好き。)
女僧侶(でもそれは許されない。許したくは無い。商人さんを裏切ってしまう。)
女僧侶(お父さんも、お母さんも、彼だって、裏切ってしまう。勇者様に対しても、裏切りになる。)
女僧侶(皆好きだもの。私には出来ない。)
女僧侶(・・・・・・私はこれ以上、勇者様の旅についていってはいけないのかもしれない。)
女僧侶「・・・・・・ぐす。何も、考えたくない。」
バタン
1108「・・・・・・。」
141 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 15:56:32.04 ID:k2C4UrzIO
>>139
おまえの中ではな
142 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/09(火) 15:56:36.42 ID:iSeR6ax+o
きゅうけい。テストが2つの意味で終わったりバイトだったりSECONDだったりでこれなかった。ごめんご。
143 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/08/09(火) 16:18:41.72 ID:R4NTkxR6o
間違いじゃないかなってとこ指摘しただけなのにすぐこれか
144 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 16:29:13.51 ID:oqyy2/wDO
いちおつ!
145 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/08/09(火) 16:30:01.23 ID:5OcV8N0+o
>>143
無駄レスで埋めんじゃねえ
お前の1回目以外のレスは無駄だ
146 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 17:09:36.67 ID:2zNWu2AG0
>>143
そうだねーごめんねー(棒
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 17:12:41.22 ID:Wz28Cmb9o
>>145
五十歩百歩
148 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鳥取県)
[sage]:2011/08/09(火) 17:51:04.79 ID:DWu6N4WY0
もうやめてください
泣いている子だっているんですよ
149 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 17:54:02.17 ID:+LzYqLLIO
/)
///)
/,.=゙''"/
/ i f ,.r='"-‐'つ____ こまけぇこたぁいいんだよ!!
/ / _,.-‐'~/⌒ ⌒\
/ ,i ,二ニ⊃( ●). (●)\
/ ノ il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
,イ「ト、 ,!,!| |r┬-| |
/ iトヾヽ_/ィ"\ `ー'´ /
おまいら一緒に楽しもうよ!
150 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 19:48:51.49 ID:HW9Q6TNSO
うおーきてた乙!!
wktkしすぎてハゲるとこだったぜ
151 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/08/09(火) 20:02:11.77 ID:OxHUUcrAO
ここにくるということは話を楽しみにしているのはかわりないんだからケンカはよそうよ
にしても久しぶりだな〜、wktk
152 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 20:06:09.72 ID:Dp/k8ULSO
>>1
の今日までの出来事を本編ストーリー風に
153 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/09(火) 20:11:55.09 ID:iSeR6ax+o
――――――――――――――――――――――――
ワーム屋「いらっしゃい・・・。」
女商人「あ、あのー砂漠を渡りたいんですけど・・・。」
ワーム屋「・・・この時期にわたるなんて、怖いもの知らずなひとたちだ・・・・・・。」
女戦士「?なんかあるのか?」
ワーム屋「季節はもう冬に入りかけている・・・・・・。冬の砂漠は誰にも渡れない・・・・・・。」
女魔法「まだ冬じゃない。」
ワーム屋「詭弁というやつだね・・・・・・。危険な事には変わりないけど、まだぎりぎり渡れるかもね・・・・・・。」
女商人「え、えーと。明日か明後日に渡りたいんです。なにか砂漠を渡るために準備するものとかありますか?」
ワーム屋「・・・・・・ここに来てる以上ワームを借りたいのだろうね・・・・・・。」
ワーム屋「・・・・・・君たちは。虫は食べれるかな・・・・・・?」
女商人「え?い、いきなりなんですか?」
女戦士「食おうと思えば食えるができるだけ食べたくないな。」
女魔法「・・・食べたくない。」
ワーム屋「・・・・・・砂漠はね・・・不思議な事に体の水分が奪われていくんだ・・・・・・。」
ワーム屋「水分補給は絶対必要なんだけどね・・・・・・。水筒を持っていっても凍ってしまう・・・・・・。」
ワーム屋「こっちおいで・・・・・・ワームを前に説明しよう・・・・・・。」
ガタ!カタ・・・カタ・・・
女戦士「杖?足が悪いのか?」
ワーム屋「・・・・・・ワームを馴らす事が出来るようになったのは最近でね・・・・・・。」
カタ・・・カタ・・・
ワーム屋「・・・・・・とっても苦労したのさ・・・・・・。おかげで馴致に成功したらとてもうれしかったが・・・・・・」
カタ・・・カタ・・・
女魔法「・・・。」
ワーム屋「馴致したかに見えても実は出来ていないなんて事もたくさんあったんだ・・・・・・。」
カタ・・・カタ・・・
女商人「ま、まさか・・・・・・。」
ワーム屋「・・・・・・僕は元研究者でね・・・・・・。魔物味方化プロジェクトっていう研究をしてたんだ・・・・・・。」
女戦魔商「!」
ワーム屋「そのプロジェクトの一環である魔物の馴致の担当責任者だったんだ・・・・・・。」
ワーム屋「その過程でね・・・足を食べられちゃったのさ。」
女商人「・・・・・・。」
ワーム屋「腿の辺りまで右足が無くてね・・・・・・。棒をつけてるけど歩きにくいから杖は必要なのさ・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・危なくないのか?」
ワーム屋「何事も可能性は0じゃないよ・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・なんでワームなの?」
ワーム屋「頭が余りよくないからさ・・・・・・。人の話は理解しないし、単純な食欲だけしかない種族だろう・・・・・・?」
ワーム屋「魔物と動物は違うからね・・・・・・。魔物は基本的に人に敵意を持つ物なのさ・・・・・・。」
ワーム屋「だけどワームは・・・・・・、敵意を持たない・・・・・・。単純性魔物で、体が大きくて、力があって、強い。だから選ばれたんだ・・・。」
ワーム屋「よいしょっと・・・・・・。」
ガチャン!ギギギィィ・・・・・・
ワーム屋「頭がいい奴は・・・・・・例外なく人間を襲う・・・・・・。だから選択肢は・・・・・・限られていた・・・・・・。」
ワーム屋「いつかは頭がいい奴も馴致する予定だったけど・・・・・・、単純性魔物の馴致だけでももう150年はたった・・・・・・。」
ワーム屋「僕は8代目の担当者さ・・・・・・。8年前に馴致に成功した・・・・・・。あの時ほど、うれしかった日はないな・・・・・・。」
ワーム屋「でもまぁ・・・・・・分かれていたもう一つのプロジェクトも成功したらしくて、お払い箱になってしまったけど・・・・・・。」
154 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 20:45:18.78 ID:TTZ8FWCDO
おっ来てたか!テスト乙
僧侶かなり微妙な立場だ…
もう今まで通りにはできないな
155 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 21:19:49.48 ID:YwFGcdbDO
僧侶×1108とかだけはまじ勘弁してくれよ
156 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
[sage]:2011/08/09(火) 21:26:20.00 ID:fuBa2tEAO
そうなった時はそっとスレを閉じればいい
157 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/09(火) 21:28:27.19 ID:FD1gl73k0
ヒトヤとかまじ誰得や!
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 21:34:01.10 ID:q7nusSBFo
何度も言うけどハーレムエンドにしないと認めないからな
わかったな糞
>>1
159 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 21:37:23.60 ID:pOxWjkHFo
はい
160 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/09(火) 21:37:43.10 ID:CbTIRX7Yo
乙
お前らの意見とか関係ないだろ
黙ってろ
161 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/09(火) 21:43:28.28 ID:dKlmHJ6R0
ハーレム厨はSSスレの癌
162 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/09(火) 21:48:13.09 ID:iSeR6ax+o
女商人「・・・・・・もうひとつのプロジェクトって・・・?」
ワーム屋「聞かないほうがいいね・・・・・・。」
ワーム屋「・・・さぁ、この扉の先がワームの厩舎だ・・・・・・。」
ガチャン!
――――――――――――――――――――――――
女戦士「!で、でか!!」
女商人「う、独特のにおいが・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・。」
ワーム「・・・・・・。」
ワーム屋「ワームは・・・・・・音を出さない。指示に応える事もしない・・・・・・。」
ワーム屋「さて・・・・・・砂漠は水分補給が必須だと言ったね・・・・・・。」
ワーム屋「でも水は凍ってしまうから持ち込めない・・・・・・。だから・・・・・・。」
ワーム屋「こいつのよだれを飲む必要がある・・・・・・。」
女商人「・・・・・・え?」
女戦士「ま、まじで?」
女魔法「・・・・・・。」
ワーム屋「・・・・・・99.9%は、水分だ・・・・・・。残りの0.1%は・・・・・・別のもの・・・・・・。おかげで凍りずらい・・・・・・。」
女商人「え、えーとですね。ワームの馴致をする前はどうやって砂漠を渡っていたんですか?」
ワーム屋「季節は夏限定で・・・・・・燃料を持ち込み・・・・・・魔法を使って火を焚いた・・・・・・。」
ワーム屋「砂漠には・・・・・・寒さに適応するため・・・・・・地下にもぐりこんだ虫が居る・・・・・・。」
ワーム屋「夏には・・・・・・地表近くに出てくるから・・・・・・捕まえて食べていたのさ・・・・・・。人間は・・・食物から40%ほど水分を摂取している・・・・・・。」
ワーム屋「この砂漠は・・・・・・もう数千年前からあるようで・・・・・・生物もこの特殊な環境に適応している・・・・・・。」
ワーム屋「件の虫は・・・・・・水分を体内にためる事ができる・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・どっちにしても虫はくっついてくるんだな。」
ワーム屋「・・・・・・選択肢なんてない・・・・・・。冬には・・・・・・虫は地下にもぐりこんでしまう・・・・・・。」
ワーム屋「・・・・・・砂漠を越えるためには・・・・・・我慢しなきゃ・・・ね・・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・絶対に凍らないの?」
ワーム屋「絶対ではないね・・・・・・夏くらいの気温だったら・・・・・・水筒に入れることも可能だけれど・・・・・・冬は・・・・・・暴力的な寒さ・・・・・・。」
ワーム屋「今の時期・・・・・・冬に片足突っ込んでいるような時期だ・・・・・・。本格的な冬に比べれば全然だけど・・・・・・夏に比べれば格段に寒い・・・・・・。」
ワーム屋「今なら・・・凍ってしまうだろうね・・・・・・。」
ワーム屋「ワームを利用して渡るのならね・・・・・・大量の毛布を買っておいたほうがいいよ・・・・・・。それと・・・・・・魔力ゆたんぽ・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・へんな名前だな。」
ワーム屋「この名前にセンスは皆無だと思うけどね・・・・・・。魔力でうごく湯たんぽさ・・・・・・。」
ワーム屋「君たちのパーティには・・・・・・魔法使いが居るみたいだし・・・・・・持っていっても問題ないだろうね・・・・・・」
女商人「食べ物は何がいいですか?」
ワーム屋「砂漠は広い・・・・・・。ワームを使っても・・・・・・5日は必要だ・・・・・・。」
ワーム屋「とにかく・・・・・・燃費のいい食べ物を持って言ったほうがいい・・・・・・。味なんて度外視しないと・・・・・・死んじゃうかもね・・・。」
ワーム屋「・・・・・・油の多い・・・・・・肉がいいだろうね・・・・・・。油というのは・・・・・・冷えると固まってしまうから・・・・・・舌触りは最悪だけれど・・・・・・温めればなんとか食べれる・・・。」
ワーム屋「あと・・・・・・この村には・・・・・・すごく硬いパンがある・・・・・・。硬いという事は・・・・・・それだけ圧縮されているということ・・・・・・。燃費はなかなかだよ・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・最初に言ってた、体の水分が奪われるって・・・どういうこと?」
ワーム屋「原理は不明だけれど・・・・・・体の水分がどんどん減っていくのさ・・・・・・。」
ワーム屋「人間、一日に2500mlくらい水を摂取しなければいけないが・・・・・・、砂漠では1日3000mlは必須・・・・・・。」
ワーム屋「食物の水分が少なくなりがちだから・・・・・・コップ10杯は・・・一日に飲む必要があるだろうね・・・・・・。」
女戦士「えーと、4人パーティだから一日40杯必要で・・・・・・5日だから・・・・会わせて200杯?」
女商人「そ、そんな大量の水ワームさんだけから取れるんですか?」
ワーム屋「・・・・・・ワームは・・・・・・夜に狩をする・・・・・・。」
ワーム屋「このワームは・・・・・・この砂漠に適応した固有種・・・・・・水分を大量に溜め込む事ができる・・・・・・。」
ワーム屋「君たちが借りる予定だと言うのなら・・・・・・今から大量にえさを与えて・・・・・・水分を溜め込ませる・・・・・・。だから・・・だいじょうぶ・・・。」
163 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/08/09(火) 22:26:18.84 ID:pCoqOp9Uo
>>158
だまれごみ
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/09(火) 22:31:50.94 ID:M0MBd87mo
安心しろ。ハーレムにしたら俺が許さないから。
神
>>1
ならしっかり纏めてくれる。
165 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/08/09(火) 22:41:05.51 ID:DOBhm02AO
取り敢えず、読み手が物語を私物化すんな
好きなように書いてもらうのが一番だ
166 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/09(火) 23:21:21.35 ID:g//p2+QAO
外野うるさすぎワロタ
167 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/09(火) 23:32:44.38 ID:iSeR6ax+o
女魔法「・・・それでも、一日8000mlは多すぎる。本当に大丈夫?」
ワーム屋「・・・・・・このワームはね・・・・・・土を食べるワームなのさ・・・・・・。」
女戦士「土を?」
ワーム屋「土だけで生きているわけではないけれど・・・・・・深い場所の湿った土を食べて・・・・・・水を摂取するのさ・・・・・・。」
ワーム屋「・・・・・・難しい話になるけれど・・・・・・代謝水というものも・・・・・・関係してくる・・・。」
ワーム屋「ワームは体内に燃費のいい油を溜め込むけど・・・油というものは水を生み出すんだ・・・・・・。」
女戦士「?油が水?なにいってんだ?」
ワーム屋「・・・まぁ、わからないだろうね・・・・・・。」
ワーム屋「なにごともそうだけれど・・・・・・信じるか信じないかは・・・君たちが決める事だ・・・・・・。」
ワーム屋「決心がついたら・・・、またおいで・・・・・・。準備は進めておこう・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・ねぇ、さっきのプロジェクトの話だけど・・・・・・」
ワーム屋「なんだい・・・?」
女魔法「始まった理由はなんなの?」
ワーム屋「・・・・・・魔王さ・・・。魔王の領域が日に日に広がっていたらしくてね・・・周辺諸国が・・・・・・共同研究という形ではじめた・・・・・・。」
ワーム屋「魔王は・・・・・・今も居るらしいけど・・・・・・昔に比べたらだいぶ大人しくしているようだね・・・・・・。」
ワーム屋「・・・・・・魔王は強すぎた・・・・・・。人間では勝てない・・・・・・。だから、魔物に目をつけた・・・・・・。」
ワーム屋「魔王を倒すための研究だったが・・・・・・時間が足り無すぎた。結局勇者という存在が魔王を封印したらしいけど・・・・・・」
ワーム屋「また復活した時にその時の勇者は既に居ないはず・・・・・・研究は続行されて・・・今に至るのさ・・・。」
女戦士「・・・・・・随分ぺらぺら喋りやがるな。」
ワーム屋「ふふふ・・・・・・もう一つの研究は極秘扱いだけれど・・・・・・僕がやってた研究は極秘ってわけじゃないからね・・・・・・。」
ワーム屋「まぁ結局・・・魔王は復活したわけだけど・・・・・・大人しくしているようだし・・・・・・必要なかったのかもね・・・・・・。」
女商人「・・・・・・。必要なものは・・・魔力湯たんぽ、硬いパン、油の多い肉、毛布・・・そういえばテントは必要ないのですか?」
ワーム屋「ワームにそりを引かせる・・・・・・そのそりは・・・・・・上にテントを張れる・・・。砂嵐や・・・・・・ワームの引く時の風に負けないような・・・テントの杭が必要・・・・・・。」
女戦士「風避けそりにつけないのか?」
ワーム屋「重いからね・・・・・・。もっと軽い素材があれば・・・・・・それも可能だろうけどね・・・・・・」
女商人「お酒があったほうがいいと言われましたけど・・・必要でしょうか?」
ワーム屋「・・・・・・緊急時に・・・あったら便利だけれど・・・・・・この時期にワームからはぐれたら・・・・・・結局死んでしまうよ・・・・・・。」
ワーム屋「アルコールは・・・・・・体温を高めるけれど・・・・・・水分を体外に出す作用があるから・・・・・・水分摂取としては・・・・・・お勧めできないな・・・。」
女商人「うーん・・・武器屋さんから聞いた話と結構違いますね・・・。」
ワーム屋「・・・きっと、夏用の装備を聞いたんだね・・・。それか・・・・・・情報が古いのかな・・・・・・。」
ワーム屋「ワームが馴致できてから・・・・・・必要なものもだいぶ変わったからね・・・・・・。」
ワーム屋「・・・・・・もういいかな・・・・・・。わからない事があったら・・・・・・また来てね・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
ワーム屋前道
1106「あー」
1107「うー」
女戦士「おう、待たせたな。」
女魔法「・・・・・・どうするの?」
女商人「他の人にも聞いてみてどんな装備が必要か確認します。道具屋さんとか回っていきましょう。」
女戦士「・・・・・・しかし僧侶、なんか様子がおかしかったな。」
女魔法「・・・うん。服屋で騒いでなかった。」
女商人「疲れたと言ってましたけど・・・・・・。」
1106「・・・うー・・・・・・。」
1107「・・・あー・・・・・・。」
女戦士「心配だなー。あいつは溜め込むからなー。」
女魔法「・・・・・・うん。」
女戦士「なにか悪い事してしまったでしょうか・・・・・・。」
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/10(水) 00:44:32.95 ID:KmOBRjqDO
この話し読んでるとTRPGやってる気分になる
結構好みの設定だわさ
とりあえずあんま無理すんなよ
169 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/10(水) 00:48:43.62 ID:QLM+FHdJo
宿〜受付〜
扉《ガチャ》
兵士長「よう。」
連「遅い。」
光「・・・久しぶりですね。」
火「・・・。」
女商人「あ、ひさしぶりです。」
女魔法「・・・。」
女戦士「おーお前達か。いつ着いたんだ?」
兵士長「30分くらい前だな。」
1106「あー。」
1107「あー。」
火「!!」
兵士長「おーガキ共。まーだその服きてんのか。ガッハッハッハ」
光「・・・あ、あれ?男の子じゃありませんの?」
火「・・・!・・・・・・!」
女戦士「あー、これはな。私たちのもう一人の仲間の趣味だ。」
女魔法「・・・・・・可愛いでしょ?」
光「ま、まぁそうね。でもなんで女の子の格好を・・・・・・」
火「・・・・・・・・・・・・。」
女商人「えーと・・・。触ってもいいですよ?」
火「ほ、ほんと?」
女商人「え、えぇ。こっちおいでひとちゃん達。」
1106「あー。」
1107「うー。」
火「・・・か、かわいい・・・・・・。」
ガバ
1106「うぅ」
1107「えぅ」
女商人「あ、帽子は取らないようにしてくださいね。」
光「ま、まぁまぁね。確かに可愛いけど、私はそ、そんな趣味は・・・」
1106「あー」
1107「うー」
光「あぁ・・・!むりだわ!可愛すぎる!」
ガバ
1106「あー!」
1107「うー!」
兵士長「がははははは!早すぎだてめぇら!ここまでスピーディに落ちるとは思わなかったぜ!」
連「なんであんたらそんなにフレンドリーなの?」
170 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/10(水) 01:17:00.76 ID:QLM+FHdJo
女戦士「いやーもう敵じゃねぇし。」
女魔法「殺す気はなかったから。」
女商人「過去は過去ですから。」
兵士長「わざわざ敵を作る必要はないからな。」
火「かわいい・・・。」
光「あぁ、ほっぺたやわらかい・・・!」
連「そこの馬鹿二人いい加減にしろ!」
火「・・・・・・。」
光「あー温かいわー。」
連「聞けよ!!」
兵士長「お前はまざらないのか?」
連「可愛いけどそんなにならないよ!」
1106「うー!」
1107「あー!」
連「あぁもう!苦しがってるよ!離してあげろよ!」
女商人「この様子だったら大事にしてくれそうですね。」
女戦士「まー可愛さは折り紙つきだからな。どうしても守りたくなるな。」
連「はー。先が思いやられるよ。」
兵士長「さーてと。今日は泊まっていって明日早朝で出発するぞ。部屋の番号は5。今から自由行動開始。以上解散。」
火光連「了解。」
女戦士「・・・きちっとしてんな。軍隊かよ。」
兵士長「俺らは魔力が使えない団体だからよ。この三人のぞいて。団結しなきゃぁ魔力がある奴らに勝てねぇんだ。」
光「さーひとちゃん達私たちの部屋にいきましょうねー。遊びましょうねー。」
火「・・・私も。連はどうするの?」
連「・・・私はぶらぶらしてるよ。4人で遊んでろ。」
兵士長「俺もぶらつくかねー。」
女戦士「・・・なんとなく不安だから私も一緒に遊ぶよ。」
光「失礼な!なにもしませんよ!なにも!」
火「・・・・・・。」
女商人「・・・私はもう少し情報を集めてきますね。日暮れには戻ってきます。」
女魔法「・・・私は自室に行く。僧侶心配。」
兵士長「なんかあったのか?」
女商人「ちょっと様子がおかしくて・・・。」
兵士長「ふーん。」
171 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/10(水) 01:18:41.88 ID:QLM+FHdJo
寝る。BGMマグノイアとカサブランカ
172 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/08/10(水) 01:21:15.47 ID:KqvWII96o
乙乙
ショタコンが多いのか二人が凄まじいのか
173 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/10(水) 01:26:32.25 ID:0t7MYt9IO
乙
可愛いは正義
174 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/10(水) 01:38:51.37 ID:4OO+1124o
乙
175 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/10(水) 03:41:43.39 ID:g3Iq4J9Jo
乙
そう、可愛ければなんだって許される
人類の敵、ゴキだって擬人化すればイケるのだから
176 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
:2011/08/10(水) 05:23:12.46 ID:FkJ11ikd0
>>175
…ふぅ
177 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
[sage]:2011/08/10(水) 07:13:35.00 ID:rEepInBAO
>>175
そんなバカな
178 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/10(水) 09:14:09.60 ID:ez6wfpiZo
乙した
僧侶心配だー!
179 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 13:29:47.97 ID:97mq2YtTo
――――――――――――――――――――――――
宿〜自室〜
扉《ガチャン》
女魔法「・・・。」
女僧侶「すぅ・・・。すぅ・・・。」
女魔法「・・・涙の後・・・・・・。」
1108「おい。」
女魔法「・・・・・・なに?」
1108「ヒトム達はどこだ。」
女魔法「・・・・・・なんで?」
1108「なんでもいいだろうが。お前が帰ってきたって事はあいつらも帰ってきたんだろ。」
女魔法「・・・・・・今は、研究所の魔法銃被験者の2人と、戦士と一緒にいる。」
1108「なんだ、俺のお仲間の所か。場所は?」
女魔法「5。」
1108「ありがとよ。」
スタスタスタ・・・
女魔法「まって。」
1108「あん?」
女魔法「・・・僧侶、どうしたの?」
1108「直接聞け。日の浅い俺じゃぁわからねぇよ。」
扉《ガチャン》
女魔法「まって。」
1108「なんだよ。」
女魔法「・・・ローブ着て行って。」
1108「・・・・・・めんどくせぇ。」
180 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 13:41:29.52 ID:UoGMOMBDO
来てた!
僧侶もだけど他の2人どうするんだろうな
181 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/11(木) 13:50:26.17 ID:rtLil05vo
キター*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
182 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 14:35:34.73 ID:97mq2YtTo
――――――――――――――――――――――――
嵐島〜心眼族の村近く〜
勇者「そろそろ日暮れか。」
孫「そうだな。・・・・・・明日の予定はどうするんだ?」
勇者「・・・村は他にもあるんだよな?」
孫「・・・・・・ある。」
勇者「いくつだ?」
孫「・・・2つ。」
勇者「その村も別々の族なのか?」
孫「うん。」
勇者「なんて名前の族なんだ?」
孫「装足族と有翼族。」
勇者「・・・装足族っていうのはどんな族なんだ?」
孫「すごく早い足を持ってる。それとどんなに軽いものにでも乗れる。足が付いていれば手を使わずにぶら下がれる。あと目がいいらしい。」
勇者「軽い物にのれる?」
孫「落下している落ち葉とか、細い枝とか、そんなものだって足場にすることができる。一瞬だけど、その状態から飛ぶ事もできる。」
勇者「へぇ・・・厄介そうだな。」
孫「・・・有翼族は空を飛ぶ事ができる。それと有翼族の間で火花みたいなものを飛ばしあってるらしい。」
勇者「飛ぶだけってわけじゃないのか・・・・・・。どっちの村の方が近い?」
孫「・・・装足族だけど、できればやめたほうがいい。」
勇者「どういうことだ?」
孫「自分たちの縄張りに入った奴を許さない。入ったの見つかったら見敵必殺っていいながら追いかけてくる。」
孫「あいつらは足が速い上に音が全くしなくてどれだけ近づかれてるかもわからない。小刀を使う。」
勇者「足が速いか・・・。俺とどっちが速い?」
孫「怪我してなければお前だと思うけど・・・。」
勇者「なるほど・・・治ってからの方がいいのかな。しかしそこまで長く居るわけにもいけないしな。有翼族の村はどれくらい遠いんだ?」
孫「・・・・・・有翼族は、どこにいるかわからない。」
勇者「?どういうことだ?」
孫「何年か前に、蜘蛛が大繁殖した時期があって、それ以降見つかっていない。」
勇者「絶滅したのか?」
孫「かもしれない・・・。」
勇者「・・・・・・この森全部を探すのは少し辛いか。どこらへんに居るとか前の村の位置とかはわからないか?」
孫「前の村はもうなにも残っていない。全部土に還った。今居る場所も見当も付かない。」
勇者「・・・・・・選択肢が装足族しかないじゃないか。」
孫「・・・・・・うん。もういいじゃないか。村に関わらないで方法を探せば。」
勇者「・・・取っ掛かりさえも未だにつかめない。もっと情報がほしい。」
孫「・・・・・・。」
勇者「はー。今日はもう休むか。飯にしよう。」
孫「・・・・・・あの女はどうするんだ?」
勇者「一緒に食う。」
孫「・・・・・・そういうことじゃなくて。」
183 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 14:47:46.19 ID:97mq2YtTo
勇者「偏見を持つなよ。同じ人間だろう。」
孫「・・・・・・全く近づいてこないし、話したのもありがとうだけだし。」
孫「仲良くなる方法なんてしらないし・・・。」
勇者「そういう時は、一緒にご飯でも食べればいい。俺はあまりそういった経験はないけどな。」
孫「・・・・・・ウサギでも取ってくる。」
勇者「じゃーたのんだ。俺はあの子と一緒に草でも摘んでるよ。」
孫「・・・・・・似てる気がする。」
ダッ!
勇者「?・・・まぁいいか。」
スタスタスタ
妹「・・・・・・あいつは?」
勇者「ウサギを取りにいった。」
妹「・・・・・・そっか。」
勇者「飯の準備をするぞ。手伝ってくれ。」
妹「・・・・・・やだ。」
勇者「・・・・・・へこんでるな。」
妹「当たり前だ・・・。家族と会えなくなったんだぞ・・・・・・。」
妹「・・・・・・もう兄者とも親父ともじいちゃんとも堂々と会えない。」
勇者「・・・・・・いつかまた村に戻れる日が来る。それに、お前が処罰されたおかげで爺ちゃんも心置きなく生きていける。」
勇者「自分を犠牲にしてつかんだ未来だ。爺ちゃんと会える可能性は増えた。」
勇者「もう少しがんばるだけでいい。」
妹「・・・・・・。」
勇者「さ、飯にしよう。俺が作る。手伝ってくれ。」
妹「・・・うん。」
184 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 15:19:29.70 ID:97mq2YtTo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
宿〜兵士長たちの部屋〜
扉《コンコン》
兵士長「はいんぞー。」
扉《ガチャン》
兵士長「・・・・・・。」
1106「あー。」くるくる
1107「あー。」くるくる
光「早く閉めてくれます?」
兵士長「・・・・・・。」
扉《ガチャ》
女戦士「複雑な顔してんなー。」
女魔法「・・・・・・。」
火「・・・・・・。」
兵士長「あー。なんだ。やりすぎじゃねぇか?」
光「なんかもうどうでもよくなったわ。」
火「・・・・・・。」
兵士長「・・・・・・あー。ほんとに男かこいつら?」
火「・・・うん。」
光「男の子だったわ。」
兵士長「・・・・・・そろそろ飯だぞ。お前らも手伝え。宿屋の台所借りてるからよ。」
火「・・・・・・わかった。」
光「焦らなくても明日からはずっと一緒だし、まぁいいわ。」
女魔法「・・・僧侶、ご飯いらないって。」
兵士長「・・・・・・飯は食わせとけよ。くわねぇと気分が落ち込むからな。」
女戦士「言っておく。・・・今日を境にひと達と飯が食えなくなるって言うのに、どうしたのかね。」
女魔法「・・・・・・。」
光「・・・恋の悩みかしら。」
女魔法「・・・・・・。」
女戦士「恋、ねぇ。根拠は?」
光「勘に決まってるでしょう?」
兵士長「そういや勇者の野郎はどこだ?」
女戦士「あー、勇者は諸事情あって別行動中だ。」
兵士長「どこいったんだ?」
女魔法「・・・・・・嵐島」
光「嵐島?」
火「・・・?」
兵士長「はぁ?どうやってだ。」
女戦士「・・・・・・魔王の転送術で。」
兵士長「冗談か?」
女戦士「冗談だったらよかったんだけどよ・・・・・・。」
女魔法「今はどうやって出るか方法を探してる。」
185 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 15:47:46.37 ID:97mq2YtTo
光「嵐島ってなにかしら?」
火「・・・。」
兵士長「あー、飯作りながら教えてやる。いくぞ。」
女戦士「お前が作るのか?」
兵士長「こいつらは飯なんて作ったことねぇんだよ。ガキの頃からあそこにいたからな。」
兵士長「連はなかなか筋がいいぜ。火はまぁまぁだけどこいつはからっきしだな。」
光「こ!これからうまくなるのよ!まだ一週間もたってないじゃない!」
火「・・・・・・無理。」
光「あんたはたまに喋ったかと思えばなんでそういったことしか言わないのよ!」
兵士長「ほれ、さっさといくぞ。あー飯は俺らの部屋で食うからよ、下にベッドの布でもひいといてくれ。」
兵士長「あとガキ共。そんな格好で飯は食うなよ。着替えておけ。」
1106「うー」
1107「あー」
光「えーいいじゃない。可愛い。」
火「・・・・・・。」
兵士長「ほれはやく出ろ!あんな格好でいたら腹壊すわ!」
扉《ガチャン、バタン》
女戦士「・・・はー。なんとなーく不安だ。」
女魔法「ちょっとわかる・・・・・・。」
1106「あー?」
1107「うー?」
女戦士「・・・・・・ちょっと自室に行ってくるよ。ひと達頼む。」
女魔法「・・・わかった。いってらっしゃい。」
1106「あー」
1107「あー」
女戦士「・・・なにがあったんだ・・・。」
扉《ガチャン、バタン》
女魔法「・・・着替えようか。」
1106「うー」
1107「あー」
――――――――――――――――――――――――
自室
扉《ガチャン、バタン》
女僧侶「・・・・・・。」
女戦士「起きてるか?」
女僧侶「・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・なにがあったんだ?」
女僧侶「・・・・・・。」
女戦士「私たちに、いえない事か?」
女僧侶「・・・・・・。」
女僧侶「・・・・・・戦士さん。」
女戦士「・・・なんだ?」
女僧侶「勇者様の事。・・・どう思います?」
女戦士「どう、ねぇ?・・・考えた事も無い。」
女僧侶「・・・・・・なんで、この旅についてきたんでしたっけ。」
女僧侶(私は、なんで・・・。)
女戦士「忘れたか?私は最初勇者の敵だった。退魔の力さえない奴が勇者を名乗るな!って意味無く突っかかってたろ?」
女戦士「今考えれば馬鹿すぎるな。勇者ってのは勇者の生まれの国の称号の一つで条件が一致したら授けられる物なのに。」
186 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 16:47:03.87 ID:97mq2YtTo
女戦士「その上意味合い的にも勘違いしてたしなぁ。魔物の敵が勇者だと思ってた。ならば勇者は私の一族の誰かであるべきだ!ってな。」
女戦士「今はちゃんと理解してるつもりだし、勇者にふさわしい称号だと思ってるけどな。」
女戦士「私が付いてきた理由は勇者に認めさせるためだな。今はただ付いてってるだけだけど。」
女僧侶「・・・・・・なぜ、今付いてきているのですか?」
女戦士「勇者が好きだからだ。」
女僧侶「・・・・・・あなたはさっき考えた事も無いといいませんでしたか?」
女戦士「考えなくてもわかる。私の好きが恋愛感情の好きかはわからないけどな。」
女僧侶「・・・・・・友達として好きだと?」
女戦士「友達・・・ねぇ?あいつはなーなんかなーそういった物じゃないんだよな。」
女戦士「そもそもなぁ、あいつとまともに話せるようになったの最近だしな。勇者の行動からあいつの存在は理解したけどよ。」
女戦士「私はあいつとな、同じ行動をしてるだけで安心できるんだ。なんていうかな。あいつは王で、私は騎士。みたいなもんだよ。」
女戦士「なんかな、あいつには全幅の信頼をよせれるんだ。騎士が自分の上の奴に言う言葉があるだろ?」
女僧侶「・・・・・・了解した、私の道よ。ですか?」
女戦士「私からあいつへの感情はまさにそれだな。あいつは私の道だ。」
女僧侶「・・・・・・戦士さんは、勇者様の事を、信頼に足る指標であり、そういった意味で好きだと?」
女戦士「難しそうな言い方をしなくても、あいつが好き、でいいんだ。私はな。それで、いい。」
女僧侶「・・・・・・すっきりしてるんですね。」
女僧侶(私とは、好きの意味が違う。)
女戦士「お前は?勇者の事どう思ってる?」
女僧侶「・・・・・・。」
女戦士「・・・あー。ちょっと無神経だったな。悪かった。」
女僧侶「・・・いえ。少し、自分の気持ちが整理できました。」
女戦士「・・・・・・私は、子供の頃から男に囲まれてて、子供も私しか生まれなくて、男みたいに育ったから、お前の悩みに答をだせない。」
女戦士「・・・・・・それでも、同じ女だ。」
女僧侶「・・・はい。」
女戦士「皆と飯を食う気分でもないだろ。後にでも持ってくるから食べろよ。」
女戦士「じゃーまた夜な。」
扉《ガチャンバタン》
女僧侶「・・・私は、無理かなぁ。なんで、勇者様なんだろう。」
女僧侶(・・・魔法さんは、どうなんだろう。勇者様の事を、どう思っているのだろう。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
兵士長の部屋
女戦士「・・・野菜がこんなに焦げてるのは初めて見たぜ。」
光「・・・。」
兵士長「いやーわりいな。ちょっと目を離したらこうなっててよ。それは俺が食うからほかの食ってくれ。」
女魔法「・・・」
モグモグ・・・
火「・・・・・・あーん。」
1106「あー」
連「ほら、服を汚さないように食べな。」
1107「うー。」
女商人「・・・面倒見がいいですね。」
兵士長「そういや小僧はどこいった。」
187 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 17:10:45.90 ID:GEv3EQ/DO
ろ、road?
188 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/11(木) 17:14:57.26 ID:xD8fOGyFo
あ、あえて掛けたのかもしれんぞ!
189 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 17:30:22.84 ID:97mq2YtTo
女商人「部屋には居ませんでしたし・・・どこかに隠れているんでしょうか。」
女戦士「あいつは屋根の上が好きそうだな。なんとなく。」
兵士長「馬鹿って事か。明日からある程度一緒だっつうのに足並みそろえねぇ奴だな。」
火「・・・・・・。」
連「ひとやって奴も被験者なんだよね。」
兵士長「あぁそうだ。俺が見たレポートではファイアリザードの亜人間体限定の準成功品扱い。番号は1108。被験者間の通称ヒトヤ。」
兵士長「れっきとした被験者だ。もうちょっと詳しく知りたいか?」
女戦士「・・・飯のあとにな。あんまりあそこは思い出したくない。」
兵士長「そうか。」
光「わ、私も食べるわ。」
兵士長「別に無理する必要はねぇよ。」
光「いいのよ!私も食べるの!」
兵士長「へいへい。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女商人「ご馳走様でした。」
兵士長「お粗末さん。ちょっとタバコ吸ってくる。洗い物しといてくれ。」
扉《ガチャ、バタン》
光「あぁ、苦かった。」
火「・・・自業自得」
女戦士「なかなかだな。僧侶の飯のほうが美味いけどよ。」
連「はー。少し休んでから片づけしよ。」
女魔法「・・・。」
1106「あー。」
1107「あー。」
女戦士「・・・なー。お前らさ。人好きになった事ある?」
光「・・・いきなりなに?」
火「・・・・・・。」
連「私は無いけど・・・火はあるよね?」
火「・・・・・・。」
女戦士「お、まじで?私はなった事なくてさ、どんな気持ちなのかわからなくてよ。教えてくれないか?」
火「・・・・・・人に言う事じゃない。」
女戦士「いいじゃないか、ちょうど男も・・・二人ほど居るけど気にならないだろ。」
1106「?」
1107「?」
火「・・・・・・・・・・・・あなたたちには言いたくない。」
女魔法「・・・なんで?」
連「あんたたちのパーティに居るからだよね。」
火「!」
女商人「え?ひとちゃん達ですか?」
光「違うわよ・・・。あなたたちのパーティにまともな男なんて一人しか居ないじゃない。今は居ないけど・・・。」
火「な、なんでいうの・・・。」
連「面白いから」
光「日ごろの恨み」
女戦士「ま、まじで?え?接触あったっけ?」
190 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/11(木) 17:56:18.43 ID:Tuo3l3Mq0
呪い男とリサードマンどっちだ?
191 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 18:03:35.85 ID:97mq2YtTo
火「・・・・・・。」
連「もういっちゃえよ。ここまでばらしたら言ったも同然なんだし。」
光「そうよ。ここで言わないのはおかしいわ。」
女魔法「・・・・・・研究所で?」
火「・・・・・・うん。」
女戦士「あの時は確か顔は包帯でぐるぐる巻きでほぼ見えないよな?好きになる要素なんてあるか?」
女商人「そ、その言い方は酷いですよ。ってえ?勇者さまなんですか?え?」
女魔法「・・・理由は?」
火「・・・・・・胸を触られた。」
女商人「・・・え?」
連「それがきっかけで忘れられなくなって今すっごく気になってるんだってさ。」
光「いつ聞いてもへんな理由だわ。」
女戦士「は、はーん。え?それだけか?」
女魔法「・・・・・・。」
火「・・・後は、彼の目が、気になって。それに、短い時間の中で最良の方法を見つけ出した洞察力に、それにすぐ行動を移す判断力とか・・・」
火「・・・殺そうと思えば、殺せたのに・・・・・・。」
女商人「・・・・・・。」
火「な、なに?」
女商人「い、いえ。なん、でも、ないです。・・・・・・。」
女戦士「なるほど・・・やさしさに惹かれたか?」
女魔法「・・・・・・勇者はやさしい。それはわかる・・・・・・。」
連「だからさーちょっと最近浮かれ気味だったんだよね。面と向かって会えるってさ。」
光「幻想だってさっさとわかってくれると思っていたのだけれど、その勇者さんは今ここにいないし。」
火「・・・・・・。」
女戦士「あー、それは残念だったな。私たちも会いたいんだけどな。夢の中でしか・・・あー。」
女魔法「・・・はぁ。」
火「私も、ひと達と会えたから、夢で会える。」
連「あーそうだね。夢の中ってどんな所なんだろう。私も行って見たいなー。」
光「嘘がつけないってどんな感覚なのかしら。」
女商人「だ、だめです!」
火「・・・なぜ?」
女商人「そ、その!勇者さまは!い、忙しいんです!」
火「・・・別に今日じゃなくてもいい。」
女商人「あの、その!だめなものはだめです!」
女戦士「諦めろ商人。会うのは止められないだろ。」
女魔法「・・・・・・信じていればそれでいい。」
女商人「う、う〜!でも、でもですね!勇者さまはやさしいんですよ!?」
女戦士「お前が何を言いたいかはわかるけど、それもまぁ仕方が無いだろ。」
火「・・・まだ、ちゃんとお話した事もない。」
女戦士「な?まだちゃんとした感情じゃないから大丈夫だって。多分。」
女商人「うぅ・・・。すいません。興奮してしまいました。」
連「・・・あの子も好きみたいね。」
光「・・・そうね。ライパルね。」
女魔法「何話してるの?」
192 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 18:09:05.39 ID:97mq2YtTo
ちょっときゅうけ
>>187-188
Yes,My lordをもじっただけですー。そんな勘違いなわけねぇじゃん。FAXFAX
戦士は地位に付くのじゃなく心に付くという意味合いを深めたかったからわざわざもじってつくっただけですー。
もとの意味はちゃんとしらべましたー。ブリタニスが使ってる事くらいしってますしおすし。
元は俺が中学の頃の勘違いが元です。イエスマイロードと音だけきいて「私の道?かっけー」とか思っただけですすいません。
意味はしってる。もともと侯爵以下の呼びかけに使われるってあれだよね。知ってる知ってる。知ってるっていってんだろ!
193 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 18:15:48.50 ID:9Fm+EhMIO
>>192
もちつけwwwwww
>>1
の作品は面白くて楽しみに楽しみに楽しみにしてるんだず
ハーレムとかどうでもよくて勇者の行く末が気になってしまう
194 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 18:25:51.16 ID:QrarCwnDO
ぁゃιぃ…
195 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 18:55:38.71 ID:B60e5CzIO
>>1
がここまで出て来たの初めてじゃないか?ww
196 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 19:45:15.29 ID:pq8oDJYSO
>>192
乙!いつも楽しみにしてる
なんか珍しく風呂云々報告以外に書いてるけどいいことでもあったかwwwwww
197 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 19:52:48.32 ID:UoGMOMBDO
乙です
>>1
のリアクションに久々にすげー笑ったwwwwwwww
商人はライバル多くて大変だな
マジ頑張れ
198 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/11(木) 20:10:08.91 ID:vLlbEHuDO
俺…実は一番はじめから楽しみに毎日進んでないか見てるんだ。
影ながら応援してる
199 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 20:24:19.90 ID:BddEXt1DO
勇者が盗られるんじゃないかと気が気でない商人がイイ
200 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/08/11(木) 20:54:13.74 ID:y0Vt/h6Ro
取られるっつーか皆のものじゃん
201 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 21:01:23.11 ID:D7cWVZ6IO
ハーレムはやめてください
商人に幸せになってほしい
202 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 22:29:10.87 ID:97mq2YtTo
光「なんでもないわよ?」
連「それより君は勇者の事どう思ってるの?」
女魔法「・・・好きだよ。」
光「ライバル2人目だわ。」
連「どこが好きなの?」
女魔法「!・・・」
連「ど、どうしたの?」
女魔法「・・・・・・前にも同じ事聞かれた事がある。」
光「誰に?」
連「聞いてもわかるわけないでしょ。」
女魔法「・・・ひとみ」
女戦士「・・・。」
女商人「・・・。」
1106「・・・うー。」
1107「・・・うー。」
光「な、なに?この空気。」
連「・・・いいから。この話題はおしまい。」
火「・・・ねぇ。もっと勇者さんのお話聞かせて?」
女商人「え!?えー・・・とですね。」
女戦士「勇者の話なー。・・・あいつは実はむっつりじゃないかって話はあるな。」
女魔法「・・・。」
火「どういうこと・・・?」
女戦士「いやー一回だけだったかな。私たち僧侶含めて4人で寝てた時にだな。いつのまにか部屋に入ってた事があるんだよな。」
女魔法「・・・あったね。なんで来てたんだろうね。」
女商人「そ、そんな事ありましたっけ?」
女戦士「あったよ。そのとき一騒動あったけど商人は寝てたな。」
女魔法「・・・寝起き悪すぎ。」
連「・・・それは、仕方が無いんじゃない?」
女商人「そ、そうですよ。勇者さまずっとひとりなんですから!寂しくなってつい覗き見する事だってありますよ!」
女戦士「覗きっていえば風呂入ってるところを見られたこともあったなー。見られたときつい立っちまったかばっちりだったな。」
火「え?」
光「・・・それは・・・・・・。」
女商人「あ、あれは!ウッドキングの魔方陣の所為じゃないですか!」
女魔法「・・・でも恥ずかしかった。」
女商人「それは・・・そうですけど・・・・・・。」
火「そ、そういう話じゃなくて・・・・・・。もっと、いい話を・・・。」
女戦士「理想ばっかりおっちゃだめだぜー?」
女魔法「・・・・・・勇者は気が利く。」
女戦士「あーそうだな。あいつはだいぶ遠くに居るくせに私たちの状態をよく把握してるんだよな。」
光「例えば?」
女魔法「・・・わたしが疲れても、それを察して休憩を取ってくれたりする。」
女商人「あとはジュースをくれる事もありますよね。」
女戦士「あーあれな。木の実しぼったりとか蜂蜜入ってたりとかほんとよくあんなの即興で作れるなってくらいうまいな。」
連「料理得意なの?」
女戦士「直接食べた事は無いけどたぶん大得意だな。」
女商人「すごくおいしいですよ。食べたのはずっとまえですけど・・・」
―――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
203 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/08/11(木) 22:42:44.04 ID:P5vB2dh2o
>>192
かわいいよペロペロ
204 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 22:51:26.63 ID:p1YvEsEDO
ハーレムエンドにしろとは言わないが、他のキャラとくっつけるのだけはやめてくれっ
205 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/11(木) 22:55:41.37 ID:jzGhLgQAO
願望書く奴いらね
206 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 22:58:21.87 ID:97mq2YtTo
――――――――――――――――――――――――
1106「すー・・・すー・・・。」
1107「すー・・・すー・・・。」
火「・・・・・・。」
連「・・・なんてゆーか・・・。」
光「壮絶ねぇ・・・ちょっと甘く見てたわ・・・。」
女戦士「まったくだよ。あの呪いは本当にえげつない。」
女商人「普通の人だったら自殺してるか他人に無意味な悪意を持って当然ですよ。本来人の味方の勇者が敵になるような呪いです。」
女魔法「・・・なのに、勇者は、やさしい。」
火「・・・・・・可哀想な、人なのね・・・。」
連「でもおかしくない?普通だったら母親に殺されたりそもそも子供さえ作れないでしょ?どうやって生まれたのさ。」
女商人「・・・そこは聞いていないんです・・・。」
光「・・・それは聞きづらいわよね・・・。」
女商人「はい・・・。いつか、聞く機会がくれば、聞いてみたいですけど・・・・・・。」
女魔法「・・・もう寝よ?ひと達もねちゃってるよ。」
女戦士「あ、本当だな。・・・というか兵士長タバコを吸いに言ったっきり戻ってこないな。」
連「あー!洗い物してない!ほら二人とも!さっさと洗いに行くよ!」
光「寝顔が・・・・!」
火「もうちょっと聞いていたい・・・。」
連「だめ!ほらお皿もって!」
女商人「あ、皿洗いくらいなら手伝います。」
連「いーよ!その子たちベッドに運んであげて!今日で最後なんだから一緒に寝たいでしょ?」
女戦士「・・・そうだな。そうさせてもらうか。」
女商人「あ、ありがとうございます。」
連「ほら!早く!明日は早朝出発だよ!ちゃんと寝なきゃ!」
光「急かさないで・・・!」
火「・・・・・・また明日、ね。」
扉《ガチャン・・・・・・バタン》
女戦士「ふぁぁぁ。さて、ひとたち運ぶかぁ。」
女魔法「・・・念力魔法」
ふぉぉ・・・・・・
女戦士「おー便利だな。」
女魔法「結構集中力使うから、ゆっくりね。」
女商人「あ、扉開けますね。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
207 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/11(木) 23:03:40.20 ID:oBr0CI4SO
ガールズトーク花盛りじゃのう
208 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/11(木) 23:10:23.86 ID:QtZ8RuNSO
気持ちはわかるけど、作者に願望を強要するなんて子供じゃないんだからさ
209 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/11(木) 23:53:00.46 ID:97mq2YtTo
宿屋〜屋根の上〜
1108「・・・ガー。・・・ガー。」
兵士長「はぁぁ〜あっと・・・。」
1108「・・・ガッ・・・・・・ぐ・・・・・・」
ムク
兵士長「よぉー。トカゲ小僧。」
1108「・・・なんだ。なんかようか。」
兵士長「てめぇなんでこんなところにいんだ。明日から俺らと一緒なんだぞ。」
1108「・・・・・・チッ。」
兵士長「あの空間でしっかりいったろ。守るってよ。安心しろ。」
1108「ハッ!あの空間は無欠ってわけじゃねぇ。嘘はつけねぇが秘密は守れる。」
兵士長「いーやそんな事はないな。」
1108「はぁ?」
兵士長「被験者番号1106及び1107。インキュバスの亜人間体限定の準成功品、被験者間の通称ひとむ、ひとな
成功品の条件とは外れているため成功品扱いは出来ないが、画期的な実験に耐え抜いた賞賛すべき固体。
幽体として存在する半エレメントであるインキュバスと魂結合を成功させた。インキュバスの持っている能力を全て行使することができる。
インキュバスの影響か現実世界で角が生える。2体で1体のインキュバスと結合。結果魂がつながっている。
その上で魔物の持っている人間への敵対心、捕食願望を発言させない。仮定として子供だから精神発達が未熟であり、まだ発言させていないだけかもしれない。
行使できる能力。人間の夢といわれる概念への侵入。及び操作。夢の中での秘密を看破する能力。人間の魂の捕食。
夢の中ではほとんどの人間が無抵抗に近い状態へ変容する。・・・っとこの先はどうでもいいな。」
1108「・・・てめぇ、被験者別レポートを読んだのか・・・!」
兵士長「おう。敵になる可能性があるやつのは全部よんだ。しかしこいつらほぼ最強に近いな。条件さえそろえば相手を殺せる。」
兵士長「まーそんな相手になんの対策も施さないわけはねぇけどな。お前ら実験された奴ら全員睡眠に弱い。」
1108「・・・・・・それも亜人間体までだけだけどな。魔物へ変容したらもうきかねぇ。」
兵士長「まぁな・・・。ガキ共が俺らに懐いてるって事は後ろ暗い事は無いってことだ。お前も秘密がもてないなんて、そんくらい知ってただろう?」
1108「・・・。」
兵士長「無意味な嘘をつくのはやめろ。」
1108「・・・うざってぇやつだな。結局なにがいいてぇんだ。」
兵士長「ただの挨拶だよ。明日からよろしくーってな。」
1108「・・・け。ふざけろ。俺はひとむ達がついてくっていうからくっついてくだけだ。よろしくやる必要はねぇ。」
兵士長「・・・わっかんねぇか?てめぇのその身勝手な行動でガキ共が危険にさらされる確立が高くなるってよ。」
1108「・・・。」
兵士長「まったくふざけた跳ねっ返り野郎だ。明日から覚悟しとけ。俺の家族になるんだ。礼儀を叩き込んでやる。」
1108「出来るもんならやってみろよ・・・!俺のレポートも読んだんだろう・・・!?」
1108「今からやるかぁ!?あぁ!?」
兵士長「キレてんじゃねぇ糞ガキ!!」
兵士長「わかんねぇか!?てめぇがここで俺と争ったらあのガキ共はどうなるか!」
兵士長「どこのだれともしらねぇそこらの人間に預けられるか!砂漠についてって辛い思いをするかってよ!」
兵士長「下手したら死ぬぞ!!」
1108「・・・くそが!俺は短気なんだよ!キレさせるような事いってんじゃねぇぞ!」
兵士長「・・・レポート読んだかって?あぁ読んだよ!」
兵士長「番号1108!通称ヒトヤ!
身体能力が成人男性の凡そ2.7倍!刃のような鱗に覆われ防御力も高い!
ブレス能力を会得!量産品として優れた性能をもつ!」
兵士長「こんなところはどうでもいい!大事なのはここ!
機械港付近にて双子と一緒に捕獲!歳の差は2歳程度であったが配合時の影響により体が肥大化!
結果体格に双子と大きな違いが現出!それが理由で精神異常をきたす!」
210 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/12(金) 00:23:40.91 ID:frL7ysgNo
兵士長「てめぇは!ヒト達の兄貴だろうが!!」
1108「・・・!」
兵士長「それがぁ!なんだその体たらくは!!てめぇ!ヒト達を守れなかった事で他人に当たってるだけじゃねぇか!!」
1108「・・・そんな保障がどこにある!!俺は!ヒト達と本当に兄弟かさえもわからねぇ!精神だけじゃねぇ!記憶さえ曖昧だ!」
1108「てめぇに俺の気持ちなんて理解できねぇ!気が付けばヒトじゃなくなって!強い喪失感しか感じなくて!」
1108「あぁそうだよ!!俺はヒトム達を慰み者にしてるだけだよ!!自分のためだけに!あいつらに兄貴面してるだけだ!」
1108「俺の体を見ろ!!俺は!人じゃねぇんだ!!!あいつらとのつながりさえ!!もうねぇんだ!!」
兵士長「てめぇの目はぁ!!!金色じゃねぇか!!」
1108「!!」
兵士長「繋がりがないだぁ!?俺の気持ちが理解できるわけねぇだぁ!?全部てめぇが目をそむけてるだけだ!!」
兵士長「ガキ共に聞いた事あるのか!?俺はお前の兄貴なのかってよ!」
1108「・・・!」
兵士長「この臆病者がぁ!てめぇは結局!目をそむけてるだけだ!!自分の感情を押し通してるだけだ!!」
兵士長「そりゃそうだ!!実際の歳は10歳くらいなんだからよ!!そんなん当然なんだよ!!」
1108「・・・だからなんだってんだ・・・!俺は!!あいつらを守らなきゃいけねぇんだよ!ガキじゃいられねぇんだよぉぉぉ!!!」
ダン!
兵士長「・・・こんのばかやろうがぁぁぁ!!!」
ズゴン!
1108「!」
ズダン!ドサ!
兵士長「ぐぅ!」
ブシュゥ!
兵士長「さっきから何回同じ事言わせんだ!てめぇは結局ガキ共守れてねぇんだよ!危険にさらしてるだけだ!!」
兵士長「身の丈にあってねぇ!!いいか!何かを守るときにはな!!」
1108「・・・。」
兵士長「冷静さが大事なんだよ!覚えとけ糞ガキ!!」
1108「・・・くそ。そんなことはわかってんだよ・・・!でもな!俺は出来が悪くてよ!」
1108「人間のへの敵対心は全部押さえ込めねぇんだよぉぉ!」
兵士長「知るかぁ!甘えんじゃねぇ!!」
1108「な・・・!」
兵士長「てめぇの問題はてめぇで解決しやがれスカポンタン!」
1108「・・・!俺が・・・俺が何回!」
1108「何回!暴れたと思ってやがる!!」
1108「いつ自分であいつら殺すかわかったもんじゃねぇ!それでも!あいつらを守りてぇんだ!!」
1108「わかってんだよ!!俺のわがままなんだよ!それが結局あいつら危険にさらしてんだ!」
1108「俺は!本当はあいつらと一緒にいちゃいけねぇんだ!!」
兵士長「そんな事はねぇ!」
1108「・・・何を根拠に・・・!」
兵士長「あいつらは、お前についていってるじゃねぇか!」
1108「・・・。」
兵士長「あいつはお前を信頼してるんだ!だったらお前もあいつら信頼してやれやぁ!!」
1108「・・・。くそ、勝手な事いってんじゃねぇぞ・・・。俺が・・・!どんだけ・・・!」
兵士長「全く・・・不器用な奴が・・・・・・!」
兵士長「てめぇが暴れたときは!安心しろ!俺たちがとめてやる!」
1108「・・・!」
兵士長「家族は!ぜってぇに守る!信用できねぇってんなら・・・!」
兵士長「なんどでもぶんなぐってやる!!」
211 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/12(金) 00:50:16.38 ID:frL7ysgNo
1108「・・・くそが。信用できるわけねぇだろ・・・。」
兵士長「・・・まったくもって当たり前の事だそんなことはな。日を重ねて信頼も積み重ねるもんだ。」
兵士長「とりあえずは、そのひねくれた口調を直してやる。口調がなおりゃぁ性格も少しはましになる。」
1108「・・・直す訳ねぇだろばーか。」
兵士長「は!なかなか楽しみだ。明日から覚悟しとけ。」
1108「・・・さっさと手治して来い。」
兵士長「・・・そうするわ。明日ははぇえぞ。さっさと寝ておけよ。」
バッ・・・
1108「・・・くそ。いてぇ・・・・・・。」
ゴロン・・・
――――――――――――――――――――――――
兵士長の部屋
扉《ガチャン、バタン》
連「おつかれー。」
光「まぁ、ずいぶんひねくれた子のようね。」
火「・・・手、だいじょうぶ?」
兵士長「まぁったく、いてぇぜ。血とまんねー。」
連「無茶するよねー。回復魔法が聞かないのにさ。」
兵士長「うっせぇ・・・。さっさと薬草よこせ。」
火「・・・・・・。」
光「こっち来て。包帯巻いてあげる。」
兵士長「いいよやめろ。てめぇがやると手がだるまになっちまう。包帯の無駄だ。」
光「ひ、人が善意でやってあげようってのにその言い草!?」
連「・・・私がやるよ。」
兵士長「はー。明日から仕事が増えるぜ。」
連「まもってやるんでしょー。まったく殴る必要なんて無いのに・・・・・・。」
兵士長「流れ上必要だったんだ。いいじゃねぇか。」
光「よくないわよ。必要だったら死ぬの?」
兵士長「必要だったらな。そんな事そうそうねぇから安心しろ。。」
火「・・・死なれると、少し困る。」
兵士長「・・・そうかよ。」
212 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/12(金) 01:03:36.89 ID:s9Q6ZDyDo
ひとやたんのおぱんちゅくんかくんかしたいお
213 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/12(金) 01:10:11.64 ID:frL7ysgNo
・・・ねる。おやす
214 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/12(金) 01:13:04.30 ID:IOCFUGz/o
乙かれーしょん
215 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/12(金) 02:51:57.93 ID:Mf8UndlVo
乙
魔法銃の女の子達は片手に銃が縫い付けられてるわけだから家事出来るのか?
だから不器用なの?
216 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鳥取県)
[sage]:2011/08/12(金) 08:36:24.48 ID:VP5kSY540
はい
217 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/08/12(金) 09:49:38.84 ID:+viVY1Epo
オッツー
片手だけってめっちゃ大変だよな
片手銃で料理してたらなんかうけるけど
218 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/12(金) 16:06:13.60 ID:ruFJ2ZyDO
乙
勇者は商人とはくっついてほしくないな
最近の商人は調子にのってる気がする
勇者は商人のものじゃない
219 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/08/12(金) 16:18:05.10 ID:PkCGqDYwo
>>218
なに言ってんだこいつ
220 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/12(金) 16:43:01.41 ID:F64VpYofo
>>218
僧侶さん落ち着いてください
221 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/08/12(金) 16:46:41.21 ID:zoeGCVJio
>>218
早く冷房入れろ、手遅れになるぞ
222 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/08/12(金) 17:28:28.79 ID:LVNLDMQCo
妹は勇者と兄とにくっついてほしいようです
223 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/12(金) 17:29:42.38 ID:2eOi8wS2o
>>218
直接言わなくても結婚の約束したんだから勇者は商人のものでも差し支えないだろ
224 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/08/12(金) 21:45:58.38 ID:EglhWD2X0
>>218
大丈夫、
>>1
なら勇者と商人をくっ付ける
225 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/08/12(金) 22:08:45.64 ID:LVNLDMQCo
誰とくっつかどうのこうのでばらばらあるから
あとあとガタガタなるかもしれないし
その件に関してどうなるか言っといたほうがいいんじゃない?
226 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/08/12(金) 22:14:15.83 ID:h8Lwgctco
>>225
えっ?
227 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/12(金) 22:21:19.48 ID:lSL8HqZw0
いっそ独り身したらいいんじゃないかな?
228 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/08/12(金) 22:22:56.06 ID:vydP/WIAO
まじもう黙れよお前ら
229 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/12(金) 22:48:06.47 ID:XajYQZuAO
これが夏です
230 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/12(金) 23:38:21.49 ID:A2Fmk63Xo
更新来たかと喜んだら、夏かよ!
231 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/12(金) 23:49:41.33 ID:isWi7fAIO
口を開けばカップリングってお前らそれしか見てないのかよ。
恋愛物でも読んでろよ。このSSは勇者がいかに苦労するかってのが主軸だろうが。
232 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/08/13(土) 00:17:10.91 ID:B5Lnam+4o
嵐島ってどのくらいの高さまで風起きてるのかな?
それともドーム状?
233 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/13(土) 00:21:36.80 ID:le9BPQwHo
>>232
ラピュタみたいなのイメージしてた。
234 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/13(土) 01:05:20.68 ID:feRdFNE40
戦士いいな戦士
兵士長とトカゲの熱い展開良かったぜ。
勇者の行動全般も好きだ
毎回GJだぜ
235 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2011/08/13(土) 02:25:03.00 ID:cu52fD9c0
兵士長かっけぇなって思っててスカポンタンでクスッときてしまったのは俺だけでいい
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/13(土) 08:01:02.56 ID:1PRnMoJIO
>>218
あ!このもしもしあいつじゃね?
237 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/13(土) 14:02:23.33 ID:LEkus4qDO
商人だの僧侶だのハーレムだの、うるせぇな
勇者は俺のだっつってんだろ
238 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/08/13(土) 14:05:45.37 ID:zU7LL7X5o
ステキ
239 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/13(土) 16:31:11.56 ID:u+PTnybbo
僧侶頑張れ
240 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/08/15(月) 21:05:02.85 ID:cwEm24XAo
勇者を僕にください
241 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/16(火) 00:16:38.29 ID:3adRJ/3IO
従兄弟長いな
242 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/16(火) 21:58:50.68 ID:Bsek/MiDO
お盆過ぎたから従兄弟は帰ったかな?
243 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/17(水) 02:09:30.82 ID:pPGNPuPxo
むしろお盆に従姉妹の家にいってんじゃね?
244 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:50:39.87 ID:ZtUMopXDo
――――――――――――――――――――――――
宿〜自室〜少し前
扉《ガチャ・・・》
女僧侶「・・・。」
女戦士「寝てるか・・・。」
女魔法「・・・・・・早く入って。」
女商人「・・・テーブルの上においておけば気づきますかね。」
女戦士「たぶんな。夕飯食べてないし、腹すかして夜起きるだろう。」
女魔法「・・・それはないよ。戦士じゃないもの。」
女戦士「・・・冗談だよ。」
スゥ―――
ベッド《ギシ・・・》
1106「すぅ・・・。すぅ・・・。」
1107「すぅ・・・。すぅ・・・。」
女魔法「・・・・・・。」
女戦士「どうしたじっとみて。惚れたか?」
女魔法「違う。」
ドサ
女魔法「おやすみ。」
女戦士「おやすみ。私も寝るかな・・・。」
女商人「明日はひとちゃん達の見送りですから、早めに起きませんとね。・・・おきれるかなぁ。」
女戦士「大丈夫だろう。多分。」
女商人「根拠が多分だけだと・・・。」
女戦士「・・・商人はさー。勇者のどこが好きなんだ?」
女僧侶「・・・。」
女魔法「・・・。」
女商人「え?い、いきなりなんですか?」
女戦士「告白しただろ?私たちのパーティの中で一番勇者と長く居るのもお前だし。」
女戦士「どこ好きになったのかなーって思ってな。」
女商人「・・・今日は随分その話題振りますね?」
女戦士「興味があるんだよ。私はそういった感情を持った事ないからな。」
女商人「・・・・・・好きになった理由ですか。・・・・・・考えた事が・・・。」
女戦士「なにい?なんの理由も無いのに好きになったのか?」
女商人「そういうわけでは・・・。ただ・・・いつの間にか好きになっていて。」
女戦士「はー。あいつってそういった好かれ方が多い気がするな。」
女商人「え?他にも誰かいるんですか?」
女戦士「え、えーと。わたしとか?」
女商人「え!?」
女戦士「でかい声を出すな。起きちゃうぞ。」
女商人「あ、すみません・・・。」
女商人「ででででもどういうことですか?」
女戦士「そのままの意味だ。あ、勘違いするなよ?好きといってもキスしたいとか結婚したいとかそういった事じゃないからよ。」
245 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:52:14.19 ID:ZtUMopXDo
女商人「ち、ちがうんですか?」
女戦士「大いに違うね。さっきも言ったろ。私はそういった感情が持ったことが無いって。」
女戦士「私から勇者への気持ちは、信頼できるって言う意味だ。えーと・・・信頼に足る指標であり、そういった意味で好き・・なんだ。」
女商人「・・・好きにも色々あるんですね・・・。」
女戦士「そうだな。食べ物が好き、青空が好き、人が好き。」
女戦士「色々あって当然だろうな。」
女僧侶「・・・。」
女商人「・・・私は、皆さんに話したことはないですけど・・・・・・。」
女戦士「うん?」
女商人「・・・・・・過去を、知らないんです。」
女戦士「・・・?」
女商人「・・・気が付いたら、物を売り買いしながら旅をしていました。勇者さまと会う、2年くらい前。」
女戦士「・・・記憶喪失か?」
女商人「・・・わかりません。もしかしたら、本当にないのかも。」
女戦士「そんなわけないだろ。」
女商人「・・・わかりませんよ。それも。」
女戦士「・・・。」
女商人「え、えとですね。それで勇者様とは森の分岐路でばったり会ったんですけど、すごく驚いていまして。」
女戦士「・・・そうだろうな。」
女商人「なんとなく付いていって、なんとなく今ここに居るんですけど・・・いつ好きになったかは分からないです。」
女戦士「・・・ちょっとまて。出会ってからなんとなくでずっとココにいるのか?」
女商人「辛い思いもしましたけど、放って置けませんでしたし・・・。あ、好きだって気づいたのは、迷子になった日ですよ。あくまで気づいたのはですけど。」
女商人「・・・勇者様と一緒にいると、安心できますし・・・理由は、それくらいしか・・・・・・。」
女戦士「・・・すごいな。勇者って女を引き付ける呪いにでもかかってるんじゃないか?」
女商人「・・・勇者様のいい所ってすごく伝えにくいです。」
女戦士「確かにそうだな。私も信頼できるとしか言えないしな。どこがって聞かれると・・・・・・。」
女魔法「・・・優しいから、でいい。」
女戦士「聞いてたか。まぁ、確かにそれでいいかな。あいつの殆どはそれで説明が終わる。」
女商人「勇者さまを説明すると・・・優しくて、強くて・・・」
女戦士「悲惨な過去を背負った優しい人。って所か?演劇にでてきそうだな。」
女魔法「・・・・・・ぴったり。」
女商人「あ、あまりにもそれは・・・。」
女戦士「酷い過去を背負ってるのに、それを人に語ろうともせず、ただ、救う。」
女魔法「・・・。」
女戦士「・・・なんだこれ、考えれば考えるほど出来すぎだぞ。絵本の勇者じゃないか。」
女商人「じ、実際勇者ですし・・・。」
女戦士「魔王を倒した代の勇者と今の代の勇者が同じって明らかにおかしいだろう。」
246 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(秋田県)
[sage]:2011/08/17(水) 02:52:18.52 ID:mR1HMrtfo
きた〜
247 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:52:50.58 ID:ZtUMopXDo
女魔法「・・・寝ないの?」
女戦士「いいじゃないかちょっとくらい。」
女商人「わ、私は寝ます。起きれないのは嫌ですから。」
女戦士「わかった。じゃー魔法付き合ってくれ。」
女魔法「・・・。」
女戦士「魔法は勇者好きか?」
女魔法「・・・好き。」
女戦士「なんでだ?」
女魔法「・・・・・・私を、叱ってくれたから。」
女戦士「・・・?またよく分からない理由だな。」
女魔法「勇者に会うまで、私は怒られてばかりだった。」
女魔法「叱ってくれたのは、勇者が初めて。・・・呪いのせいで、言われたときはイライラしただけだったけど・・・。」
女魔法「・・・私を思ってくれたのは、勇者が初めて。」
女僧侶(・・・父親として好き?)
女戦士「・・・へぇ。いい話だな。確かになー。お前には勇者がよく会いに来てたな。」
女魔法「・・・あの時は色々酷い事を言った。それでも、私の前に来てくれた。」
女魔法「だから好き。」
女戦士「最初はなんでわざわざ来てるか分からなかったけど、あれって魔法の感情をこじ開ける為だったんだろ?僧侶に聞いた。」
女魔法「・・・うん。あの時私は・・・何も感じなかったから。・・・でも、勇者を前にすると、イライラして・・・。」
女戦士「呪いって地味に役に立ってるよな。男には無敗だし、魔力霧の時も呪いのおかげで見つかったし。」
女魔法「魔力霧の時は、呪いが無ければあんな事にもならなかったと思うけど・・・。」
女僧侶(呪いが無ければ魔法さんの感情を元に戻すのも、もっと時間がかかったかもしれない。)
女僧侶(・・・・・・辛かったろうな。)
女魔法「・・・もう寝よ?商人も寝れないみたいだよ?」
女商人「っ!」
女戦士「・・・そうだな。いい加減寝るか。」
――――――――
―――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女商人「すぅ・・・。すぅ・・・。」
女魔法「・・・スー。・・・スー。」
女戦士「ぐぅ・・・。ぐぅ・・・。」
1106「すー・・・。すー・・・。」
1107「すー・・・。すー・・・。」
女僧侶「・・・・・・。」
女僧侶(寝れない・・・。)
女僧侶「・・・・・・。」
スクッ
女僧侶「・・・・・・サンドイッチ。」
女僧侶(お茶も用意してある・・・。食欲無いな・・・。)
女僧侶(・・・・・・でも、食べなきゃ。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女僧侶「・・・。」
女僧侶(・・・・・・今居なくなると、ひとちゃん達を邪魔しちゃうかな。)
女僧侶(・・・明日の夜に、出て行こう。・・・今は、寝よう。眠くなくても。)
248 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:54:13.78 ID:ZtUMopXDo
――――――
―――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
夢
女僧侶「・・・夢?なぜ?」
1106「おはよー。」
1107「おはよー。」
女僧侶「・・・おはよう。どうしたの?私だけ呼んだみたいだけど・・・。」
1106「こっちきて。」ガシ
1107「きて。」ガシ
女僧侶「え?え?」
グイ
1106「・・・。」
1107「・・・。」
スタスタスタ・・・
女僧侶「ど、どうしたの?どこに行くの?」
1106「私達じゃ、僧侶は助けれないの。」
1107「だからお願いしたの。」
女僧侶「た、たすけるって・・・。そ、それに、お願いって一体誰に?」
1106「私達僧侶好き。」
1107「一緒に居たい。」
女僧侶「え?」
1106「でもこのままじゃ会えなくなるの。」
1107「そんな気がするの。」
女僧侶「・・・・・・。」
1106「でも、きっとあの人ならできる」
1107「だってあの人だもん。」
女僧侶「・・・だ、だれ?」
1106「言っちゃだめって言われたの。」
1107「言ったら逃げちゃうって言われたの。」
両方「ヒトヤお兄ちゃんに。」
女僧侶「・・・ひとやさんが?」
249 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:54:45.71 ID:ZtUMopXDo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
誰かの夢
1106「私達はここまで。」
1107「もういくね。」
女僧侶「え?」
1106「待ってれば来てくれる。」
1107「あの人は来てくれる人。」
1106「じゃーね。」
1107「またね。」
女僧侶「・・・あの人って、ま、まさか・・・。」
女僧侶(も、もしそうなら、だめ今あっては・・・。)
?「・・・。」
スタスタスタスタ・・・
女僧侶「っ!」
ビクッ!
女僧侶「ゆ、うしゃ、さま・・・?」
勇者「・・・悩んでいるみたいだけど、どうしたんだ?」
女僧侶「な、なんで。」
勇者「ヒトヤがな。なんとかしろと。」
女僧侶「ひとやさんが・・・?」
勇者「俺でよければ話を聞く。」
女僧侶「・・・・・・。」
女僧侶(・・・何を、話せばいいの?)
勇者「・・・。」
女僧侶「・・・・・・。」
女僧侶(話せない。話しては、いけない。)
勇者「・・・・・・こういうときは、となりに座るべきかな。」
スタスタスタ・・・
女僧侶「え・・・?」
勇者「最近は夢の中に慣れてきたんだ。イスとかだせるくらいには。」
ドサ
女僧侶「・・・。」
勇者「座って。」
女僧侶「だ、だめです。私は・・・そこには・・・。」
女僧侶(勇者様の隣に、いてはいけない。)
勇者「・・・。」
ガシ
女僧侶「あ・・・。」
グイ!
とさっ
勇者「・・・俺のパーティに居たくないか?」
女僧侶「そ、そんな、わけ、ありま、せん・・・・・・。」
女僧侶(わ、わたしは、ずっと一緒に・・・)
女僧侶(な、何を考えているの?それは、だめ。)
勇者「でも、悩んでるんだろ?それは本音だろうけど、何かあるんだろう?」
250 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:55:41.02 ID:ZtUMopXDo
女僧侶「・・・・・・。」
女僧侶(だ、だめ。考えてはいけない!)
勇者「言ってくれ僧侶。俺たちは、仲間だ。」
女僧侶「!!・・・。」
勇者「・・・。」
女僧侶(・・・だめ・・・・・・!)
女僧侶「や、やさしくしないで、ください。グス・・・。」
勇者「・・・。」
女僧侶「わ、わたしは、私がこのパーティに居たら、いつかばらばらになってしまいます・・・!」
女僧侶(もう、抑えれない。)
勇者「・・・。」
女僧侶「私の気持ちは・・・!あっちゃいけないんです!私・・・わたし!皆好きだもの!」
女僧侶(もう私は!)
女僧侶「勇者さまとずっと一緒に居たいです!でも!私の気持ちはあってはいけないんです!」
女僧侶(嘘をつけない!)
女僧侶「皆を!裏切ってしまうから!」
女僧侶(もう止められない!)
女僧侶「わ、わた!わたしはぁ!」
女僧侶(私は!)
女僧侶「あなたが好きなんです・・・!」
勇者「!・・・・・・。」
女僧侶「う、うぅ・・・!」
ポタ、ポタポタ
女僧侶「うぅぅぅ!!」
ポロポロポロ
女僧侶「いっちゃった・・・!もう・・・。もう・・・!いちゃいけない・・・!」
ガタン!!
勇者「待った。」
ガタ!
女僧侶「は、はなしてぇ!わた、わたしは!もう!ここにいたくないんです!!」
女僧侶「わたしは!ずっと嘘をついてきました!でも!ここでは自分にさえ嘘がつけない!」
女僧侶「もう!もう!私は我慢できないんです!」
勇者「・・・僧侶は、俺が好き・・・か。」
女僧侶「わたしは!商人さんが好きです!あなたも好きです!だから、だから!ここに居てはいけないんです!!」
女僧侶「わたしがいれば!いつかきっと商人さんと対立してしまいます!そしたら!このパーティはばらばらになってしまう!」
女僧侶「だから!だめなんです!わたしは!皆が好きだもの!」
女僧侶「できるなら!ずっと嘘をついていたかった!そうすれば!皆とずっと一緒にいられた!」
女僧侶「でも・・・!もういっちゃったもん・・・!わかっちゃった・・・わたしは、もう、嘘がつけない・・・!」
女僧侶「だから・・・わたしはもう、ここにいてはいけないんです・・・。」
勇者「・・・・・・勝手な事を。」
女僧侶「もう、だめです・・・。手を、離して・・・、おねがい・・・!」
勇者「・・・僧侶は、俺が好きなのか?」
女僧侶「!・・・・・・言わないで・・・。」
勇者「俺と、どんな風になりたい?」
女僧侶「・・・・・・聞かないで・・・!」
251 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:57:06.68 ID:ZtUMopXDo
勇者「・・・僧侶、ごめん。」
女僧侶「・・・えっ?」
グイっ
だきっ
勇者「・・・・・・。」
女僧侶「ゆうしゃ、さま?な、なに、を。」
勇者「俺と、どうしていたい?」
女僧侶「・・・!」
女僧侶「・・・わ、わたしは・・・!」
女僧侶「わたしは・・・!」
女僧侶「わたしはぁ!」
女僧侶「・・・ゆうしゃさまと!ずっと一緒に居たい・・・!!」
女僧侶「ずっと!いたい!となりに!あなたがいてほしい!!」
勇者「・・・俺だけか?」
女僧侶「え・・・?」
勇者「・・・そこにひと達がいちゃだめか?」
女僧侶「・・・・・・グス。」
勇者「どうだ?」
女僧侶「・・・・・・い」
勇者「・・・。」
女僧侶「・・・いて・・・!ほしいです・・・!」
勇者「魔法は?」
女僧侶「いたいです・・・!一緒に・・・買い物したい・・・!」
勇者「戦士は?」
女僧侶「居たいです・・・!一緒に、話していたい!」
勇者「・・・商人は?」
女僧侶「放って置けない!あの人は!見てて不安です!」
勇者「ひとやも放っておけないだろう?」
女僧侶「同じくらい!あの、子!なんで寂しそうな目をしているんですか!?」
女僧侶「あの金色の目を見ていると・・・!私まで寂しく・・・・・・!」
勇者「・・・俺も、な。すごく、寂しかったんだ。」
女僧侶「・・・?・・・グス」
勇者「本当に・・・寂しかった。今まで、何度思った。」
勇者「俺が殴ったあの子と、話してみたかった。」
女僧侶「・・・。」
勇者「お母さんと、ずっと暮らして居たかった。」
女僧侶「・・・・・・。」
勇者「お父さんと、面と向かって会いたかった。」
女僧侶「・・・・・・。」
252 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:57:46.77 ID:ZtUMopXDo
勇者「俺は、いや。・・・俺も、皆が好きだ。商人も、僧侶も、戦士も、魔法も、ひとむ、ひとな、ひとやだって。」
勇者「ひとみも・・・いっしょに居てほしかった・・・。できるなら、皆で一緒に居たかった。」
女僧侶「・・・ゆうしゃ、さま。」
勇者「僧侶は、皆が好きなんだろう?一緒にいたいんだろう?」
女僧侶「・・・・・・はい。」
勇者「だったら、一緒に居ればいい。俺は今、その為に足掻いてる。みんなと又会う為に。」
勇者「僧侶。聞かせてくれ。」
女僧侶「・・・。」
勇者「一緒に居たくない奴は、いるか?」
女僧侶「・・・わ、わたし・・・、私!」
女僧侶「皆と!一緒にいたいです!」
勇者「そのみんなの中で、僧侶が一番一緒に居たい奴は?」
女僧侶「・・・勇者、さまです・・・。」
勇者「二番目は?」
女僧侶「・・・・・・選べないです・・・!皆、と。一緒にいたいんです・・・!」
勇者「じゃぁ、居ればいい。それなら出来る。」
女僧侶「・・・・・・!で、でも!こ、このさき!例えば!勇者様と商人が結婚したとして!」
女僧侶「私は祝福できる自信がありません!にくくて、憎くてしょうがないかもしれないです!」
勇者「大丈夫だ。」
女僧侶「!」
勇者「僧侶だもんな。俺と一緒で、欲張りだもんな。」
勇者「俺は、僧侶を信じてる。僧侶は俺と一緒だ。」
女僧侶「・・・うぅ!」
勇者「俺は、僧侶に居てほしい。」
女僧侶「ううう!わ、わたしは!私を!信じれないのに!勇者さまは!私を信じるのですか!?」
勇者「あぁ。」
女僧侶「ぅう!」
女僧侶「ううううう!」
女僧侶「うわぁぁぁん!」
ガバ!ギュウゥゥゥ・・・
勇者「・・・。」
女僧侶「ああああぁぁぁぁ・・・あああぁぁぁぁぁん」
女僧侶「ご!ごめんなさい!ゆ、ゆうしゃ、さま!わ、わたし、を!ゆるしてください!」
女僧侶「わ、わたしは!いっしょにいたいです!ゆうしゃさまだけじゃなくて!みんなといたいんです!」
女僧侶「いっしょに!いさせてください!勇者さま!」
女僧侶「うわぁぁぁぁぁぁ・・・・」
勇者「・・・・・・。」
女僧侶「うぅ!ヒック!うぅ!」
勇者「・・・俺は」
女僧侶「う、うぅぅ!グス!ううう!うあぁぁぁぁぁ・・・・!」
勇者「・・・・・・最低な男だな。」
女僧侶「ああぁぁぁぁぁん!ああああぁぁぁぁぁ・・・・」
253 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:58:36.17 ID:ZtUMopXDo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「・・・・・・。」
女僧侶「・・・・・・。」
勇者「・・・落ち着いたか?」
女僧侶「・・・はい。」
勇者「・・・俺の、パーティに居たくないか?」
女僧侶「・・・いえ。魔法さん、まだまだ問題を抱えていますし、」
女僧侶「戦士さんは、いい友達ですし、」
女僧侶「商人さんは・・・ちょっと優しすぎますから。」
勇者「・・・・・・そうか。」
女僧侶「・・・はい。」
勇者「・・・悪かった。辛い、立場だったな。」
女僧侶「・・・・・・それは、勇者様のほうですよ。私のは、ただのわがままです。」
勇者「・・・・・・。」
女僧侶「・・・なにより、ですね。」
勇者「ん?」
女僧侶「あなたが放っておけないんです。」
勇者「俺か・・・。」
女僧侶「はい。あなたは、やさしすぎますから。」
勇者「気を使わせて、悪いな。」
女僧侶「水臭いですね。頼ってもらえる事のうれしさ。あなたならわかるでしょう?」
勇者「・・・。」
女僧侶「頼ってください。私、あなたと一緒にいますから。」
勇者「・・・本当に、すまない。」
女僧侶「・・・次謝ったら、怒っちゃいますよ?」
勇者「む・・・。」
女僧侶「ふふふ、私気づきました。」
勇者「?」
女僧侶「愛って、ひとつじゃないんですね。」
勇者「・・・・・・。」
女僧侶「よく考えれば、当たり前の事。お父さんやお母さんは、ずっと教えてくれていた。」
勇者「・・・。」
女僧侶「戦士さんがですね。言ってたんです。」
女僧侶「勇者は、私の道だ。って。」
勇者「・・・それは、騎士の言葉じゃないか。俺はそんな器じゃ・・・。」
女僧侶「あなたが自分を信じていなくても、戦士さんは信じているんです。」
女僧侶「あなたが言ってくれた事と、一緒。」
勇者「・・・。」
254 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:59:08.43 ID:ZtUMopXDo
女僧侶「戦士さんは、あなたを愛してます。でも、結婚したいという愛ではない。」
女僧侶「私の愛も、ただ、居たいだけ。」
女僧侶「あなたの愛と、きっと同じ。」
勇者「・・・。」
女僧侶「私、自分が信じれなくても、あなたなら信じられる。」
勇者「・・・。」
女僧侶「あぁ。って、答えてくれた。それだけで、私は十分。」
女僧侶「変ですよね。自分が信じれなくても、自分の信じてる人が、自分を信じてるって言うだけで。」
女僧侶「自分が、信じれるんです。」
勇者「・・・・・・僧侶。」
女僧侶「だから私は大丈夫。例えあなたに子供が生まれたって。私は愛せる。自信がある。」
女僧侶「だって、あなたの信じる私だもの。」
勇者「・・・・・・。」
女僧侶「・・・ですから、勇者様。」
女僧侶「何を、悩んでいるんですか?」
勇者「!」
勇者「・・・はは。ばれてたか。」
女僧侶「それはもう。バレバレです。」
女僧侶「私の秘密を聞いたんですから、あなたの悩みくらい教えてください。」
勇者「・・・そうだな。言わないとな。」
勇者「・・・・・・俺は。」
勇者「・・・すぅ・・・」
女僧侶「・・・。」
勇者「はぁ・・・。」
勇者「俺はな、不安なんだ。」
女僧侶「・・・。」
勇者「皆が好きだ。そういった。」
勇者「・・・俺は、商人と結婚の約束をした。」
勇者「・・・・・・キスまでした。それでも。」
勇者「特別視する事ができない。」
女僧侶「・・・。」
勇者「興味がもてないわけじゃない。嫌いなわけでもない。ただ・・・。」
勇者「例えば、僧侶から先に告白されたとしても、俺は受けていただろう。」
勇者「俺は軽いのか?友達?恋人?その差が、わからない。」
勇者「商人に感じる気持ちは、皆に感じる気持ちとは確かに違う。違うんだ。だが、」
勇者「特別なわけではない。」
女僧侶「・・・。」
勇者「怖いんだ。俺は、人間か?俺から他人への気持ちはまるで、ペットを扱うかのような気持ちに感じる。」
勇者「なぜだ?商人は俺と普通に接する事が出来た唯一の存在で、一緒に居た時間ならお母さんの次に長い。」
勇者「なのに、特別視できない。他人と、ほとんど一緒なんだ。」
勇者「・・・怖い。不安だ。俺は、なんなんだ?」
255 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 02:59:46.20 ID:ZtUMopXDo
女僧侶「・・・勇者様。簡単な事ですよ。」
勇者「・・・なに?」
女僧侶「勇者様は、皆が好きなんです。それだけです。」
勇者「・・・だが、普通は・・・。」
女僧侶「勇者様は、商人さんを、恋人だと思っていないんじゃないんです。」
勇者「・・・。」
女僧侶「皆が、恋人なんです。」
勇者「・・・・・・俺は随分軽い人間なんだな。」
女僧侶「・・・んーなんといったらいいのでしょう。勇者様は、知り合った人全てを身を盾にして守る事ができる。」
女僧侶「本当、勇者なんですよね。根っからの極悪人には冷酷だったりもしますけど。」
女僧侶「少しでも事情があるなら、チャンスを与える人なんですよね。」
勇者「・・・・・・。だが、もう使えない。それでも、俺はそういった人間を殺すだろうな。」
女僧侶「信念がある。それでいいんです。あなたは、よく知りもしない私をかばってくれたじゃありませんか。」
女僧侶「それで、いいんです。」
勇者「・・・・・・信念か。だが、それでは、商人に申し訳がたたない。」
女僧侶「それも、信念ですよね。勇者様、けして私を好きだと言ってくれませんでしたし。」
勇者「・・・・・・すま」
女僧侶「怒りますよ?」
勇者「・・・。」
女僧侶「勇者様、商人さんにもう好きって言っちゃいましたからね。使う相手は一人だけって決めちゃってるんですよね。」
女僧侶「これも信念ですよね。」
勇者「・・・俺は、複数の人と付き合うとか結婚とか、そういったことは相手への侮辱になる気がするんだ。」
女僧侶「その考えは、すばらしいと思いますよ。相手の事を大事に扱っています。」
女僧侶「ただ勇者様やさしすぎますから・・・。他人から迫られたってきっと断りませんよね。結果的に粗末に扱ってる事になるんですよね。相対的な問題とでもいいますか。」
勇者「・・・・・・俺なんかを好きになってくれたのに、断るなんてな。」
女僧侶「自分への卑下は相手への侮辱になりますよ?」
勇者「・・・・・・。」
女僧侶「好きな人は一人にしたくて、でも皆と一緒に居たくて。」
勇者「・・・・・・。」
女僧侶「難しい問題ですねぇ。欲張りなのがいけないんですよね。切り捨てる範囲をもっと広くするべきなんでしょうけど・・・。」
勇者「・・・切り捨てる、か。」
女僧侶「信念を捨てるのはやめてくださいね。それが一番多くの人を悲しませます。勇者様の結婚相手は一人でいいんです。」
勇者「・・・むむ。」
女僧侶「そもそも信念なんてそうそう捨てれませんしね。自分の身を切り捨てるようなものです。信念に背くというのは、つらいですよ〜?」
女僧侶「ほぼ別人になってしまいますもの。それはいやですよ私。」
勇者「・・・。」
256 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 03:00:33.38 ID:ZtUMopXDo
女僧侶「話が広がっちゃいましたね。整理しましょう。」
女僧侶「勇者様は商人さんの事が好き。でも他の皆も好き。告白を受けた身であるのに、それはあまりに商人さんが不憫。」
女僧侶「・・・でも私はこれでいい気がするな。勇者様、商人さんをないがしろにしているわけじゃありませんもの。」
勇者「・・・そうか?」
女僧侶「はい。ちゃんと気遣って、個人として扱って、十分ですよ。結婚したという特別な立場に商人さんは唯一立てる人なんです。」
勇者「・・・商人の事は好きだ。そこは自信を持っていえる。でも商人だけ特別というわけじゃない。」
女僧侶「十分特別なんですって。商人さんはあなたに一番気遣ってもらえる位置にいるんですよ。」
女僧侶「皆が恋人の勇者様にとってとてもひいきしてもらえる立場ですよ。」
勇者「・・・それはあくまで立場じゃないか。心の問題じゃない。」
女僧侶「・・・・・・わかりました。そこまで言うのでしたら・・・」
女僧侶「勇者様は皆の物、という事でどうでしょう。」
勇者「・・・どういうことだ?」
女僧侶「つまり、勇者様の気持ちを一切考えない方法です。」
勇者「・・・?」
女僧侶「例え商人さんが好きだと勇者様がいっても、周りの人は気にせず勇者様にくっついていればいいんですよ。」
女僧侶「商人さんはよく知った人が相手なら嫉妬しませんからね。限度はあるでしょうけど。」
勇者「・・・・・・それはさらに商人が不憫じゃないか?」
女僧侶「不憫だと思うなら大事にしてあげてください。」
勇者「・・・投げやりだな。」
女僧侶「いいんですよそのくらいで。人との付き合い方をガチガチにする必要なんて無いんです。」
女僧侶「勇者様は、商人さんを中心にしてるんです。最後帰る場所は商人さんなんです。」
勇者「・・・・・・んー。」
女僧侶「勇者様の愛は、すごくさっぱりしてるんですよ。勇者様は、一緒に居て当然という人を重視してるんです。」
女僧侶「だから、特別ではないと思ってしまう。でもですね、勇者様が周りの人と一緒にいても別にいいと言ってくれる人なんて、」
女僧侶「実はすごく珍しいんですよ?だから商人さんは相応しいんですよ。」
女僧侶「勇者様の恋人と、世間一般の恋人とでは違うんですよ。その相違が勇者様の悩みの種になっているんですね。」
勇者「・・・。」
女僧侶「ピンときませんか?」
勇者「・・・少しな。恋人か。恋人と友人の相違・・・。」
女僧侶「・・・商人さんってすごいんですよ?ライバルになる可能性がある私をですね、」
勇者「・・・。」
女僧侶「蹴落とすわけでもなく、背中を押してきたんですよね。商人さんは本当にやさしいです。」
女僧侶「・・・私じゃきっとそうはいかないなぁ。背中を押す事なんて、きっと出来ない。」
勇者「・・・・・・。」
女僧侶「商人さんは確かに放っておけないです。だけど、あの人のやさしさは、信頼できます。」
女僧侶「あなたと一緒です。」
女僧侶「いいじゃないですか、商人さんが最初だったからという理由で。私には関係ないんですよそんな理由。」
女僧侶「一緒に居たいなら、一緒にいればいいんです。」
勇者「・・・なるほど、それが皆の物っていう事か。」
女僧侶「えぇ。皆平等に勇者様を所有していればいいんです。商人さんだけがちょっと特別であれば、勇者様の信念にも背きませんね。」
勇者「う〜ん・・・。」
257 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 03:01:08.44 ID:ZtUMopXDo
女僧侶「でもこの方法はですね、勇者様と商人さんが結婚しているという前提条件が必須ですよ?」
女僧侶「じゃないと私が結婚したいって言う人もでちゃうかもしれませんからね。」
勇者「・・・・・・それはつまり」
女僧侶「早く勇者様から告白しちゃってください。」
勇者「・・・あっけらかんと。」
女僧侶「私はそれでいいですもの。勇者様と商人さんと、皆と居れれば。」
勇者「ふぅむ・・・。」
女僧侶「あなたを好きになってはいけない理由は何個かありましたけど、その理由全てが私の好きを邪魔する理由になりえませんでした。」
女僧侶「あなたとこうしているだけで幸せです。」
勇者「家の事は?僧侶の家は名家と聞いているが。」
女僧侶「私の家は血筋を重要視していませんから。お母様ももと孤児のようですし。」
勇者「・・・・・・すごいな。」
女僧侶「大事なのは心です。相続に必要な条件は、心だけです。」
女僧侶「血で心は決まりません。」
勇者「・・・いい考え方だな。」
女僧侶「許婚さんが少し可哀想ですけどね。今の私は結婚する気が全くありませんから。そのうち家に手紙でも出します。」
勇者「・・・・・・許婚がいたのか?」
女僧侶「言ってませんでしたか?居ますよ。勇者様の旅についてきたのも、両親が彼をおしつけ始めたのがきっかけの一つです。」
女僧侶「ちなみに一番の理由は勇者様が放っておけないからです。結局あなたには何も出来なかった上に迷惑を掛け通しでしたけど。」
勇者「そんな事はない。あの頃は俺も人と付き合うのに慣れきっていなかったからな。商人にはいつも寂しい想いをさせていた。」
勇者「僧侶が来てくれてから商人が俺の前でもよく笑うようになってくれた。それに聖域魔法もしいてくれていたじゃないか。」
勇者「俺が聖域魔法を覚えれたのは僧侶のおかげだぞ。」
女僧侶「そうだったんですか?勇者様が聖域魔法を覚えたとき少し寂しさを覚えたものですけど・・・私がきっかけで覚えたんですね。」
勇者「あぁ。だいぶ時間がかかったけどな。魔法の条件を一つずつ解き明かしていくのはなかなか楽しかった。」
女僧侶「勇者様が覚えたのは魔法さんが入ってから少したってからでしたか?5人になってから一回商人さんがあなたを探して迷子になった時は使えませんでしたし。」
勇者「ハハハ、あの直後だな。それの2〜3日後だ。」
女僧侶「夜の森でいきなり飛び出すのはあの人だけですね。魔法さんが入ってからますますあなたは一人の時間が増えましたし、放っておけなかったのでしょう。」
勇者「一人なのは別にいいんだがな。すぐ、会えるなら。」
女僧侶「もう少しでずっと一緒に居れますよ。現実でもこうしてお話が出来る事、楽しみにしてます。」
勇者「俺もだ。皆と話すことが本当に楽しみだ。」
女僧侶「・・・今日の分の夢全部私に使っちゃいましたね。皆に悪いです。」
勇者「たまにはいいさ。いつか戦士や魔法とも二人きりで話してみたいな。特に魔法。あいつは今大丈夫か?」
女僧侶「もう昔のように一人でこもったりはしませんよ。口数も少しずつ増えてきました。ただ・・・」
勇者「ただ?」
女僧侶「装飾品をつけようとしません。自分を着飾る事を嫌っています。」
勇者「そういえば・・・ローブ、帽子、杖。全部変わっていないな・・・。」
258 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 03:01:54.23 ID:ZtUMopXDo
女僧侶「えぇ、私たちのパーティに加入してから一切変わっていません。あの子を使って着せ替えして遊んだりもしますけど、買う事は拒否しますし・・・。」
女僧侶「でもですね、靴だけは履いてくれてますよ。それに勇者様の送ったペンダントも。」
勇者「へぇ・・・。」
女僧侶「あの靴は、私が選んだものですが・・・勇者様が買うように言ったのがもとです。」
女僧侶「・・・あの子は、勇者様に特別な感情を抱いています。」
勇者「俺に?」
女僧侶「えぇ・・・。今日戦士さんと話していたのを盗み聞きしましたけど・・・叱ってくれたのは勇者様が最初だから好き。といってましたよ。
女僧侶「父親の様に感じているのかもしれません。あの子には勇者様が必要なんです。」
勇者「俺、か・・・。」
女僧侶「魔法さんが特別な環境に居たのはなんとなくわかります。そこから救ったのはあなたです。魔法さんに感情を戻したのもあなたです。」
女僧侶「あの子に関しては・・・私では解決する事ができません。」
勇者「悲しそうな顔をしないでくれ。・・・そうだな。面と向かって会って、一緒に買い物でも行くべきかもな。港でやっておくべきだったか。」
女僧侶「長い時間が必要ですよ。なにかの行動を起こせば解決できるような今回みたいな単純な問題ではなさそうです。」
勇者「・・・幸せになってほしいな。あの子は、ひと達と同じような境遇だしな。」
女僧侶「・・・一体どういった環境で育ったのですか?私たちは何も聞いていませんよ。」
勇者「・・・しまった。ぽろっと言ってしまったな。この事に関しては俺の口で言うべき事じゃない。」
勇者「まってやってくれ。」
女僧侶「あなたがそう言うならそうします。」
女僧侶「・・・・・・はぁー、少し疲れました。今日でひとちゃん達とお別れだというのに。」
スクッ
勇者「泣いたり話したり叫んだり抱きついたり色々していたからな。」
スクッ
女僧侶「でもあなたに寄りかかれていたので少しは元気がでました。ひとちゃん達を見ていつかやりたいなって思っていたんですよ。」
勇者「ははは、俺の体でよければいつでも貸す。」
女僧侶「今度は膝枕お願いしますね。商人さんの話を聞いていてうらやましかったんです。」
勇者「・・・すこし恥ずかしいな。」
女僧侶「いつか私もしてあげますから。」
勇者「さらに恥ずかしいな。」
女僧侶「・・・あなたの顔も、いつか絶対治します。その笑顔がいつでも見れるように。」
勇者「・・・・・・あぁ、頼むよ。」
女僧侶「・・・では、また。」
勇者「あぁ。これからも俺のそばに居てくれ。」
女僧侶「はい。」
―――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
259 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/17(水) 03:02:20.66 ID:ZtUMopXDo
書置き初めてしたよ。多分2度としない。おやすみ
260 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/17(水) 03:07:54.19 ID:CqHk5yBCo
おつおつ
261 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/08/17(水) 03:09:26.19 ID:gjXnVfyTo
おつお
262 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/17(水) 04:25:46.24 ID:aqBbvG/to
もつかー
263 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/17(水) 06:59:11.54 ID:jm3v+eD2o
仕事行く前に見たらキテター
264 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/17(水) 07:31:00.40 ID:CXln9awIO
すげぇ楽しいC
265 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/17(水) 07:44:33.29 ID:UIDeYPToo
乙
だいぶ更新したな
一気に読めると嬉しい
266 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/08/17(水) 08:06:46.17 ID:b0NttA4AO
お疲れ様いつもありがとう
267 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/17(水) 08:51:43.98 ID:9xHSMnDr0
更新乙
楽しかった
268 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/17(水) 10:15:32.85 ID:KWhUiZkzo
おつ
269 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
[sage]:2011/08/17(水) 11:21:49.98 ID:LBy6u4MAO
おつおつ!楽しみに待ってたぜぇ!
270 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/08/17(水) 11:50:08.36 ID:qL39V6qXo
商人が不安要素になってしまうかもしれないのか
がんばれ勇者、信じてる
271 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/17(水) 18:44:17.16 ID:RC/6zuPr0
糞商人ざまあwwwwwwwwwwwwwwwwww
さすが
>>1
!やってくれるぜ!
272 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/08/17(水) 20:38:17.18 ID:UGQvruPqo
>>271
落着けよ、なんか辛いことあったか?
273 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2011/08/17(水) 21:32:13.15 ID:nMAdKDuIo
多分送り盆で帰り忘れたと思われ
274 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/17(水) 21:57:58.36 ID:Wjl6YYmEo
乙した
ここまでちゃんと書いてくれたら、ハーレム?でも納得
275 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/17(水) 22:57:54.80 ID:JtbpGKVDo
女僧侶が悪女にしか見えない
276 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2011/08/17(水) 23:19:12.55 ID:udJ7kcDGo
そうか?
流石
>>1
。続きが気になるぜww
277 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/17(水) 23:20:20.54 ID:+nAPg4rDO
>>1
乙
確かに好きって線引きが微妙だよなぁ
今までは呪いがあったから商人贔屓出来たけど
これからは(一時的に?)呪いが無くなったから
皆して勇者に近付き放題だもんなー
個人的には複雑だ
278 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/17(水) 23:55:23.11 ID:7gJNyNR/0
愛人ポジションを巧みな話術で手に入れた女僧侶ちゃんマジかわいい
279 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/08/18(木) 00:24:20.76 ID:j/42fQ68o
俺も勇者に近づきたいな///
280 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 00:29:53.91 ID:HBs4avVSO
>>1
乙ー
なんか複雑だがそこがいい
281 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/18(木) 00:38:00.94 ID:ztK+P0r+o
今回ので僧侶がすごく好きになった。
僧侶はもちろん魔法、戦士、火も頑張れ!
商人も頑張れ!
282 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/08/18(木) 00:42:21.23 ID:75Qho7CHo
誰もいないようなのでヒトムヒトナたんセットでいただいて行きますね
283 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 00:51:46.25 ID:U5gPxd+Yo
漫画とかでよくある頭の中の天使と悪魔みたいな感じで再生された
勇者「俺は商人のことを愛しているのかわからない。商人だけを特別視できない」
悪魔「勇者様はみんなのことを愛してるんですよー」
悪魔「みんなと付き合っちゃえばいいじゃないですかー」
勇者「し、しかしそれは倫理的に」
悪魔「勇者様は普通の人とは違うんです。そんなこと気にしなくていいです。」
勇者「でも商人はどう思うか…」
悪魔「大丈夫ですよー」
悪魔「あの娘頭弱いから結婚しとけば満足しますよー」
284 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/08/18(木) 01:13:18.82 ID:FwtaXxvuo
おい天使がいないぞ
285 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 01:20:48.75 ID:36rh1Yr1o
天使「いいぞもっとやれ」
286 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/08/18(木) 09:47:25.10 ID:rxO0Zey2o
勇者はやくみんなに
会えるといいね…(´・ω・` )
>>279
落ち着けよおっさん
287 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/18(木) 10:28:12.61 ID:4NxnvN4Co
乙
中々臭くて素晴らしいSSだ
288 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/18(木) 21:16:58.41 ID:B6nfveDwo
――――――――――――――――――――――――
女僧侶「・・・。」
女僧侶(・・・朝。)
ムクリ
女僧侶「・・・はー。清々しいな・・・。」
女僧侶(私は別にここにいたっていい。)
女僧侶(愛は、結婚とか、その事だけじゃない。)
女僧侶(ただ、居たい。そういった愛もある。)
女僧侶(戦士さんは勇者様が好き。)
女僧侶(魔法さんも勇者様が好き。)
女僧侶(私も好き。)
女僧侶(ただ、それだけの事だった。)
女僧侶「・・・・・・。」
スタン
女僧侶(ひとやさんが居ない・・・?どこへ。)
窓《ガチャン》
女僧侶「!」
1108「・・・ちっ、起きてやがったか。」
女僧侶「・・・なぜ窓から?」
1108「どうだっていいだろ。俺は寝るぞ。」
女僧侶「・・・今寝たって、すぐに起きる事になりますよ。」
1108「どぉーだっていいだろが。俺の自由だんなもん。」
女僧侶「・・・それもそうですね。では寝る前に一言。」
1108「あぁ?」
女僧侶「・・・ありがとうございました。」
1108「・・・チィ。言いやがったのか。口止め忘れてたぜ。」
女僧侶「気遣いできるんですね。」
1108「・・・まぁな。」
女僧侶「?素直ですね。」
1108「うっせ。寝る。話しかけんな。」
どさ
女僧侶「おやすみなさい。」
1108「・・・・・・糞。」
女僧侶「・・・ふふ。」
女僧侶「・・・窓閉めなきゃ。」
スタスタスタ
女僧侶「・・・。」
ヒュォォォ・・・・・・
女僧侶「朝日、かぁ。」
女僧侶(なんて清々しい。)
女僧侶(月のない、夜が明けた。そんな気分。)
女僧侶「・・・がんばろーっと。」
女僧侶(とりあえず、迷惑掛けた分、朝ごはんをがんばろう。)
女僧侶(勇者様と同じくらいの腕を目指そう。いつか食べたいなぁ。)
女僧侶(・・・そのうち食べれるよね。だって、あなたですもの。)
289 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/18(木) 21:42:57.06 ID:B6nfveDwo
――――――――――――――――――――――――
夢
勇者「・・・ふー。よかった。迷いは晴れたようだ。」
1106「ゆーしゃー。」
1107「ゆーしゃー。」
タタタタタタ・・・
ガババ
勇者「おっと。」
1106「ありがとー。」
1107「ありがとー。」
勇者「ハハハ、お礼を言うのはこっちだ。」
1106「いいの。私達何もできなかったから。」
1107「手伝ってもらう事も私達が言った訳じゃないから。」
勇者「遠い位置に居る俺が僧侶に会えたのはひと達のおかげだ。本当にありがとう。」
1106「それしかできないから。」
1107「何を思っているか分かっても、何を言えばいいかわからないから。」
勇者「そのうち分かるようになるさ。・・・そうそう。」
勇者「ひとやに伝えておいてくれ。ありがとうって。」
1106「言っておくの。」
1107「言っておくの。」
勇者「・・・あいつに助けられるのは2回目か。ひと達の時、今回。2度も、俺の傍から居なくなるのを止めてくれた。」
1106「お兄ちゃんやさしいの。」
1107「黙り続けられるほど気も長くないの。」
勇者「ハハハ!お人よしなのか。兵士長と気が合いそうだな。」
1106「ちょっと似てるの。」
1107「結構似てるの。」
勇者「・・・ひとやも少し心配だな。何を抱えているか分からないが・・・・・・。」
1106「・・・お兄ちゃんは、すごく不安みたいなの。」
1107「私達のお兄ちゃんじゃないって、近くに居たくないって。」
両方「そう思ってるの。」
1106「お兄ちゃんあまり夢に来ないの。」
1107「ここが嫌いみたいなの。」
1106「だから想いを伝える事も出来なくて、」
1107「ありがとうって言う事も出来ないの。」
勇者「・・・むりやりつれてくればいいじゃないか。」
1106「・・・ここが嫌いみたいだから、悪いの。」
1107「無理矢理はよくないの。可哀想なの。」
勇者「いいんだそういう時は無理矢理で。」
1106「・・・お兄ちゃん、自分の姿が嫌いなの。」
1107「でも自分の昔も忘れちゃったから、戻る事ができないの。」
1106「私達は戻れるのに、」
1107「自分は戻れない。」
1106「不安。」
1107「不安。」
1106「夢に来ると、そう思うみたいなの。」
1107「だから可哀想なの。」
勇者「・・・記憶が無いのか。」
1106「全部ってわけじゃないの。」
1107「でも自分の事は全部なの。」
勇者「・・・それでも、伝えるべきだと思うが・・・どうしても夢では駄目か?」
290 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/18(木) 22:25:52.89 ID:B6nfveDwo
1106「嫌なの。」
1107「可哀想なの。」
勇者「なら、手紙を書けばいい。」
1106「・・・私達文字書けないの。」
1107「・・・私達文字読めないの。」
勇者「少しずつ勉強するしかないな。兵士長達に教えてもらえばいい。」
1106「・・・。」
1107「・・・。」
勇者「俺の家には本もあるしな。行くのにどれくらい時間がかかるか分からないが・・・。」
勇者「大丈夫だ。こんなに喋れるんだ。一度覚えてしまえば自由に使えるようになる。着く前に覚えてしまえるさ。」
1106「・・・頑張ってみるの。」
1107「・・・そうするの。」
勇者「あぁ。ひと達なら大丈夫だ。夢で会いに来てくれれば俺も教える事ができる。」
勇者「さ、そろそろ起きよう。今日で現実では皆とお別れだろう?」
勇者「顔を見せてあげるといい。」
1106「わかったー。」
1107「わかったー。」
勇者「俺も起きる。今日からまた別の村に行かなくちゃいけない。」
1106「がんばってね。」
1107「私達もがんばるの。」
1106「あくしゅ。」
1107「あくしゅ。」
勇者「あぁ、頑張ってくる。」
ギュッギュッ
1106「じゃーねー。」
1107「またねー。」
勇者「また、な。」
――――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
嵐島
勇者「・・・」
むくり
妹「スゥー・・・。スゥー・・・。」
勇者(・・・・・・焚き火を挟んで向こうだったような。)
勇者(・・・まぁいいか。)
孫「・・・おい。」
勇者「・・・今日は静かだな?」
孫「その子がいるから・・・、いやそれよりも。」
孫「俺と勝負しろ。」
勇者「・・・かけっこでいいか?」
孫「あぁ。いつもの場所だ。」
勇者「・・・今日は往復にしよう。」
孫「・・・・・・なんでだ?」
勇者「途中で目を覚ましたら心細いだろう。すぐ戻ってくるように。」
孫「・・・・・・・・・・・・わかった。いいぞ。」
勇者「今日も手加減しないからな。」
孫「・・・望むところだ。」
勇者「合図は任せるよ。いこう。」
291 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/18(木) 23:32:56.45 ID:B6nfveDwo
妹「・・・ん・・・・・・。」
むくり
孫「!」
勇者「・・・。」
妹「・・・あれ。・・・・・・。」
勇者「おはよう。」
妹「・・・おはよう。」
勇者「・・・。」
トストス
孫「あ、お、おはよう。」
妹「・・・・・・。」
妹「・・・朝、はやいんだな。」
孫「・・・。」
勇者「・・・そうか?いつもより遅いくらいだが。」
妹「・・・。」
勇者「ちょっと走ってくるよ。待っててくれ。」
妹「・・・胸、大丈夫なのか?」
孫「あ、あぁ。肺の穴は完全にふさがったし、骨も叩いたりしなければ大丈夫だって。」
妹「・・・。」
孫「・・・・・・。」
勇者(・・・・・・ちょっと酷いな。)
勇者「あー。ちゃんと受け答えしてやってくれ。」
妹「・・・うるさい。」
勇者「・・・はぁ。」
孫「は、早く勝負だ。始めるぞ。」
勇者「あぁ。いつもの場所にしよう。」
妹「・・・競争するのか?」
勇者「そうだ。」
妹「・・・・・・あたしもする。」
孫「え?」
勇者「いいぞ。・・・じゃぁ今日は軽く流すかな。」
妹「手加減するな。」
勇者「場所が分からないだろう?蜘蛛も出るしな。」
勇者「孫もそれでいいだろう?」
孫「・・・しょうがないな。」
妹「蜘蛛くらい、あたし一人で倒せる!」
勇者「・・・まぁ、君の足が俺より速ければ手加減なんてしないさ。」
孫「・・・・・・。」
妹「わかった。絶対勝つ!」
勇者「道はずっとまっすぐだ。海に出るまで。そろそろはじめるぞ。孫、合図。」
孫「・・・用意、」
妹「軟弱な奴に負けるか!」
孫「はじめ!!」
292 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/08/18(木) 23:33:27.62 ID:B6nfveDwo
寝る。最近は意欲がわかない。
293 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/18(木) 23:35:30.49 ID:ouoIHO2io
乙
打ち切りだけは勘弁な!
294 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/08/18(木) 23:39:24.58 ID:rxO0Zey2o
かきたいときくればいいさ(´・ω・` )
295 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
:2011/08/18(木) 23:39:53.95 ID:D5TOcqb80
>>292
乙、毎日楽しみにしてる、がんばれよ!
296 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:40:46.59 ID:Arnmjskfo
週1でも月1でも完結すればそれでいいのよ
完結しないと怒るけど
297 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:48:07.30 ID:tgkgLR1SO
同じくだーよ
楽しみに、でも気を長〜くして次回を待つさね
今回も乙&ありがたう
298 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/18(木) 23:54:18.72 ID:duAH7D2DO
毎日何回もチェックしてるなんて言えない///
そんな俺も応援している
299 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 01:20:36.13 ID:FHd1y4u6o
「ら」抜き言葉が気になるな
300 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/19(金) 01:26:07.08 ID:vILy8+ejo
無理せずに。書きたくなったら書いてくりゃれ
乙した
僧侶が元気になってよかったよかった
301 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/08/19(金) 03:07:16.90 ID:GuGMC+Soo
おっつ
302 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 08:42:16.84 ID:fppp3b7so
>>292
ストレスか疲れか、リア充足りないかだ
意欲少しでも湧いたら書いとくれ
303 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 11:56:52.00 ID:lrXZOpNIO
>>292
飽きてしまったのか
また、やる気がでたら書いてくれ
304 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 15:19:04.98 ID:kTC2+PjIO
vipだったらもっと叩かれるだろうに・・・
305 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 15:49:30.34 ID:5BbB5EsIO
>>304
VIPじゃないならここ
306 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/19(金) 16:55:36.86 ID:i77NrW1AO
意欲がわかないだけで書かないとは書いてないのにこの空気
307 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 17:37:19.75 ID:dbKYjMDIO
モチベーションばっかりは、周りは叱咤激励するしかないからなー
VIPならスレ落とす、S速なら待つ
場所が違うからやり方違うだけで、こちらは待つしかないさ
>>1
乙///
308 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/19(金) 21:22:02.44 ID:48BqIdcS0
打ち切られないなら1ヶ月でも1年でも待ち続けるさね
>>1
おつん がんばってね!
309 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2011/08/19(金) 22:29:42.92 ID:n9Ua94Byo
>>292
プレッシャーをかける訳じゃないが、話の構成がかなり上手いと思うぞ。
読みやすいし、面白い。
たまには足を休めることも必要さね
待ってるから、休んで〜〜
310 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
:2011/08/20(土) 00:35:25.45 ID:TKkZZNWl0
伏線多すぎて大変そう
311 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/08/20(土) 03:54:48.74 ID:Dzx12woAO
おつおつ
312 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/20(土) 09:31:45.60 ID:cbtFfylEo
つおつお
313 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/20(土) 11:20:56.83 ID:AjmQ7ghF0
リア充したいなぁ
勇者物のRPGの世界に入りたい。
314 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岐阜県)
[sage]:2011/08/20(土) 11:30:01.36 ID:VdTmg+1bo
この勇者は20年ほど孤独だけどそれでもいいのか?
呪い治っても結局仲間達と会えてないしこれからもなにがあるかわかんないぞ
315 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/20(土) 11:32:38.54 ID:V2Y71byco
頑張れよ村人A
316 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/20(土) 23:39:36.07 ID:0s8z7FsIO
この勇者はヴァッシュ・ザ・スタンピードみたいな奴って事でいいの?
317 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/21(日) 23:48:43.47 ID:f4wfoEIDO
どこを同じとするかにもよるけど、苦労具合だったら
人間台風は苦労のほとんどが人災
勇者の苦労は魔王の呪いだからちと違うかなと
人間離れした身体能力と人の良さは一緒かな?
318 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/23(火) 01:01:55.14 ID:IKlMvUmDO
あれ?勇者&孫と妹っていつ合流したんだ?
319 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/23(火) 05:23:36.78 ID:44gn2xCGo
>>318
聞く前に読め。
さすれば道は開かれん。
320 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/23(火) 08:22:12.74 ID:tmhIP7wDO
おお! でんせつの ゆうしゃに ひかりあれ!
321 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/24(水) 10:04:37.46 ID:ieYiJRiIO
ああ、ワクテカ
322 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/08/25(木) 15:44:49.07 ID:eyW2X8fK0
お前らもう少し落ち着いて待てよ。
323 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/08/28(日) 02:58:56.02 ID:sBVu6xJro
そろそろ続き読みたいよおおおおおおおお
324 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/08/28(日) 02:59:36.08 ID:sBVu6xJro
そろそろ続き読みたいよおおおおおおおお
325 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/08/28(日) 10:56:59.27 ID:hBiXkZSAO
わたしまーつーわ
326 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/08/28(日) 10:59:25.34 ID:aCRy5L48o
いつまでもまーつーわ
327 :
お前ら暇だなwww
[sage]:2011/08/28(日) 14:04:27.28 ID:N2/o5/c8o
たとえ
>>1
が 振り向いてくれなくても〜
328 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/28(日) 20:30:38.81 ID:F+wVQdZDO
まつわ〜まつわ〜まつわ〜
329 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/29(月) 23:30:21.04 ID:iSU6Bx+IO
実際そんなに面白いか?
330 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2011/08/29(月) 23:37:13.84 ID:mqU8qF/to
面白くなけりゃこんなに待たん
331 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/30(火) 02:32:30.57 ID:4DMjDEJko
面白い
332 :
黒心の闇の帝王様
:2011/08/30(火) 14:40:43.62 ID:OkGeNntI0
魔王「?」
姫「お願いしますっ!魔王様、勇者様に勝てるのは、アナタ様以外いませんっ!助けて下さいっ!」
魔王「え〜、俺様は魔王様なんだぜ?人間界のゲームじゃラスボスじゃね?なんで?」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
333 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/30(火) 18:32:35.02 ID:RUuDZdNE0
前スレの後ろのほう見れない
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
334 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage ]:2011/08/30(火) 22:15:08.55 ID:afTCozz70
まだですかー?;;
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
335 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/31(水) 17:01:04.22 ID:RS2lGdbIO
まだ2週間だ!まだ行ける!まだ行ける!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
336 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/08/31(水) 19:24:10.20 ID:G0sGhoL80
まだかなー
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
337 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/08/31(水) 19:24:40.33 ID:G0sGhoL80
まだかなー
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
338 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(茨城県)
:2011/08/31(水) 20:39:39.41 ID:PIUXm/WH0
続き早く頼む
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
339 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/31(水) 20:51:12.78 ID:GPfPiEOIO
下うざったいな何時消えるんだ?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
340 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/31(水) 20:57:34.16 ID:h8RtSZrEo
ここで言うなよ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
341 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/31(水) 21:46:11.30 ID:HCY2Eudro
伸びてると思ったらお前らか
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
342 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/01(木) 01:40:52.90 ID:6CB+suaQ0
ボッホッホ!ヽ( ´з`)ノボッホッホ!!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
343 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/01(木) 02:09:36.62 ID:vBVNPO4IO
このスレは作者居なくても賑やかだな。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
344 :
名無しNIPPER
[sage]:2011/09/01(木) 12:18:55.18 ID:fnHlSdVAO
まだー?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
345 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(茨城県)
:2011/09/01(木) 18:21:54.44 ID:igQVDCCR0
まーだー?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
346 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/01(木) 18:42:08.50 ID:nPTwyKGeo
まだーとか言ってる馬鹿はSS速報に向いてないから諦めてどっかいったほうがいいと思うよ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
347 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/02(金) 08:44:45.62 ID:Jx885FjIO
ゆっくり待とうぜ
楽しいのはオレも同感だがなC
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
348 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/03(土) 23:21:31.44 ID:0+l1haDqo
待てなさ過ぎだろおまえら……
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
349 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/06(火) 01:01:15.66 ID:3lCeRzJZ0
とりあえず待ってるんだぜアピール
350 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/09/06(火) 02:10:31.85 ID:a4iOd5AGo
じつはおれも待ってるんだぜアピール
351 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/06(火) 09:45:09.99 ID:fHQ5NLzDo
もうこなくていいです
352 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/09/06(火) 12:31:56.84 ID:3FsmwAIjo
ワクテカしてまってます
353 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/09/07(水) 19:27:44.75 ID:NLTjZOC4o
かむばっく
354 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/07(水) 23:01:41.64 ID:7ZH1It3DO
ゆっくり待とうぜ→その後続きが投下されることはなかった
何度このパターン見たことか…
ほんと辛抱いいよなおまいら
355 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/07(水) 23:03:57.79 ID:TUeezJAPo
>>354
俺は20回ぐらいかな
356 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/08(木) 06:36:50.72 ID:hc1rIYzto
2ヶ月待ち続けて復活したすれを見たことあるから希望はある
357 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/09(金) 08:14:46.08 ID:Japr4JDIO
>>354
同意、だがまだ一ヶ月立ってないからもう少し静かに待とう
358 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
:2011/09/09(金) 23:03:27.97 ID:XYMFeBGp0
生存確認だけでも頼む
359 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 12:38:59.20 ID:UFD7uviGo
>>358
生存確認とか…キモい
360 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 12:39:28.99 ID:UFD7uviGo
>>358
生存確認とか…キモい
361 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 12:39:58.25 ID:UFD7uviGo
>>358
生存確認とか…キモい
362 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 12:40:28.35 ID:UFD7uviGo
>>358
生存確認とか…キモい
363 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 12:40:57.21 ID:UFD7uviGo
>>358
生存確認とか…キモい
364 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 12:41:27.25 ID:UFD7uviGo
>>358
生存確認とか…キモい
365 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 12:41:38.41 ID:xosSGxg4o
同じことを何回も書いてる方がきもい
366 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 12:45:52.09 ID:hUeJkqbao
ルール改正で生存確認ないとそこまでもたんしな
ここの仕様もろくに分かってないのに生存確認どうとか言ってる奴はしばらくROMってろよ
367 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 15:51:56.65 ID:5b/D65RIO
間違えて連投してるのかと思いきや、ちゃんと間隔空けてる辺りに狂気を感じるなw
368 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 18:48:29.55 ID:SFm7/Ffbo
伸びてると思ったら基地外か
369 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/09/10(土) 22:02:49.28 ID:Kgj6rBlmo
>>364
きっちがい
370 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/11(日) 00:58:07.69 ID:X1oDGTKH0
わりといまさらな感じだけど勇者がスレタイを言ってるのが
クールな感じとギャップがあって面白いな、とりあえず期待し
て待ってるぜ、勇者がピンチな状況でも決して諦めない
かんじが大好きだぜ
371 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/15(木) 08:13:00.67 ID:7Cr23ttIO
つC
372 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/20(火) 00:26:51.41 ID:P/8NYHp9o
ワクワク
373 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/09/22(木) 07:41:13.28 ID:VJUglCvjo
まだあきらめない
374 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2011/09/23(金) 13:37:00.20 ID:IMWK0mA9o
黙して待とうぜ
375 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/23(金) 14:40:21.25 ID:g+OqlbwIO
黙祷
376 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/09/23(金) 18:22:51.25 ID://ehYbcao
寡黙待ちC
377 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage ]:2011/09/27(火) 13:28:47.37 ID:Ppj8S2710
( ´゜ω゜`)ショボーン
378 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/27(火) 16:02:43.08 ID:5OwBRI7Ro
(`・ω・´)シャキーン
379 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/29(木) 00:59:53.03 ID:n+5wZm+X0
埋めるか
380 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/29(木) 07:30:32.88 ID:zHiylhDIO
作者さんよう
意欲がわかないってんなら、たまに「まだ意欲がわかない」って呟いてくれよう
スレ落ちイヤだ
381 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/29(木) 17:42:07.55 ID:VZj1NEBKo
生きてるのかな
382 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2011/09/29(木) 21:24:39.66 ID:4h7WC54ao
(´・ω・`) 休息は必要だお
383 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:03:09.20 ID:eDxrFXP+o
――――――――――――――――――――――――
妹「ハッハッハッハ・・・!」
孫「・・・・・・・!」
ザザザザザザザ・・・・
勇者(足の速さはだいたい同じくらいか?極端に差があったらどうしようかと考えていたが、都合がいいな。)
勇者(・・・しかし蜘蛛、か。村の中には入ってこないらしいが、危ないな。)
勇者(このかけっこも、今日が最後だな。なんとか言い含めなくては・・・。)
――――――――――――――――――――――――
目印地点
勇者「日が昇ってしまったな。しかしここから見る風景はいつ見ても素晴らしいな。」
妹「はぁっ!はぁっ!・・・っげほ!」
孫「ハッ・・・はぁ!はぁ!」
勇者「ほら、水だ。水筒は一つしかないから、交互に飲んでくれ。」
孫「お、おれは、いい・・・はぁ・・・はぁ・・・」
妹「わ、私もいらない・・・!」
勇者「そうか。まぁここにおいておく。飲みたくなったら飲め。」
勇者「なにか取ってくる。休んでてくれ。」
ダンっ!
妹「く、くそ!ハァ!化け物かよ!」
孫「・・・ふぅ・・・・ふぅ・・・。」
妹「・・・はぁ!・・・はぁ!」
孫「・・・・・・ふぅ。」
妹「・・・はぁ!・・・はぁ!」
孫「・・・・・・。」
妹「・・・っげほ!はぁ!・・・はぁ!」
孫「・・・意地を張らずに水飲んだら?」
妹「・・・お前に気を使ってもらうほど弱くない!はぁ!っはぁ!」
孫「あいつと競争したのは今日が初めてだろ?俺は何回も競争してるから慣れたけど君はまだ・・・」
妹「だから!気を使うな!うざいぞ!っげほ!」
孫「・・・その言い方は酷いんじゃないかな。」
妹「ウザイって言ってるだろぉ!!」
孫「・・・・・・。」
妹「はぁっ!はっ!はぁ!」
孫「俺の何がそんなに気に食わない?」
妹「! ・・・。」
妹「・・・全部だ。・・・はぁ。・・・はぁ。」
384 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:03:34.65 ID:eDxrFXP+o
孫「俺に軟弱な奴っていってたね。俺はそんなに軟弱に見える?」
妹「見える。私の兄者はもっとたくましい。・・・・・・はぁ。」
孫「・・・体の大きさは関係ないと思うんだけどな。」
妹「・・・どういう意味だ。兄者を木偶の坊とでも言う気か!」
孫「そういうわけじゃないよ。君たちは勇者に負けているじゃないか。俺よりも体が小さいあいつに、多腕族は負けてしまった。」
妹「う、うるさい!今回負けたのは・・・!・・・〜〜〜。」
孫「俺は見ていたわけじゃないからどういった勝ち方をしたか知らないけど・・・。」
妹「・・・・・・。」
孫「勝ったのは勇者で、俺じゃない。だけど、体の大きさはあいつより俺のほうが大きい。」
孫「もちろん俺はあいつに勝てない。かけっこもそうだし、本気で戦いを挑んでも負けた。」
孫「俺が君の兄に勝てるかはわからないけど・・・」
孫「強さには、いろんな種類が在るんだ。俺を軟弱だと決め付けるのは、早い。」
妹「・・・〜〜〜。」
ズザッ
孫「水、飲む?」
水筒《ちゃぽん》
妹「・・・・・・もらう。」
水筒《ちゃぷ》
妹「・・・・・・。」
妹「・・・私の兄者はな、本当に強いんだ。」
孫「・・・。」
妹「親父にも勝って、族で一番強いんだ・・・。」
妹「兄者が負けるなんて、思っても見なかった・・・・・・。」
孫「・・・。」
妹「・・・・・・お前なんて、勝てるものか・・・。」
勇者「・・・・・・。」
勇者(入りずらい。)
勇者(妹は孫の事を認め始めているみたいだが、言葉だけでは限界がある。・・・しかし孫は勝負では間違いなくあの子に負ける。)
勇者(相撲、喧嘩、模擬戦。孫の武器は弓だけだ。殺し合いじゃなければ弓は使えない。鏃をとってもあの威力では骨折する。)
勇者(弓の腕前は素晴らしいが、完璧に認めさせるにはやはり力比べで勝たせる必要があるだろうな。・・・・・・そうだ。)
妹「・・・そういえば兄者が最初の勝負に横槍を入れられたって言ってたな。矢で武器を弾かれたって言ってたけど、あれはお前か?」
孫「うん。」
妹「・・・どうやって当てたんだ?兄者は姿は見えなかったと言っていたが。」
孫「心眼族は、遠くを見れるから。」
妹「見えると当てるは違うだろう?私も弓を習ったけど最初は近くの的さえ当たらなかったぞ。」
孫「・・・集中が大事なんだ。弓を射る時は、自分を弓にする。」
妹「・・・?」
孫「引いて、撃つ。弓はそれしかしない。自分も、それしかする必要はない。」
孫「じいちゃんがそう言ってた。・・・それにあの時は射線がきっちり取れてたから。」
385 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:04:43.91 ID:eDxrFXP+o
ガサ
妹「!」ビクン!
孫「・・・おかえり。」
勇者「ただいま。仲良くしてたみたいだな。」
妹「だっだれが!」
勇者「ほら」
ポイポイポイポイ
妹「うわ!」
パシパシパシパシ!
勇者「さすが。腕が四つあると便利そうだな。」
ドサッ!
勇者「はい、孫の分だ。」
孫「ありがとう。」
妹「わ、私はべつに仲良くしてたわけじゃ!」
勇者「ほらもういっこ」
ヒュン!
妹「わ!」
バシン!
勇者「・・・さて、孫、かけっこも今日が最後だ。」
孫「なんだいきなり?どうしてだ?」
勇者「危ないからだ。体力を消耗しきるし、蜘蛛がでる位置まで移動してしまうからな。」
孫「・・・・・・。」
勇者「この場所も、安全じゃないしな。朝この場所に移動するのはもうやめだ。直接向かう。」
妹「聞けよ!私は!」
勇者「よく食べるな。」
ヒュン!
妹「いい加減にしろ!」
バシン!
勇者「なんだ?一人じゃ食べられないか?」
妹「ふっ!ふざけるな!!バ、バカにしやがって!!」
勇者「そうそう、妹は俺についてくるなよ。拠点で待ってろな。危ないし。」
妹「嫌だ!付いていく!!」
勇者「あのなぁ。装足族に会いに行くんだぞ。俺はよく知らないが執拗な族らしいじゃないか。自分だけじゃなく多腕族まで巻き込むぞ。」
妹「ぐっ・・・!でも!お前だって行くじゃないか!つけられたら心眼族に迷惑が掛かるだろ!?一緒だ!」
勇者「だからな、俺の拠点を心眼族の村から移そうと思うんだ。」
妹「え?」
386 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:05:15.61 ID:eDxrFXP+o
勇者「っと、その前に孫。」
孫「なんだ?」
勇者「俺を監視する役目はお前に切り替わったと考えていいのか?初日以来ずっと監視されていないが。」
孫「・・・おまえと初めて競争をした時、帰る途中に俺が監視を引き継ぐという名目でやめさせた。」
孫「だがずっと報告はしていないから・・・諦めたんじゃないか?」
勇者「ふむ・・・。」
勇者(その時期にやめるのは不自然だと思うが・・・。)
孫「・・・。」
きょろきょろ
孫「・・・今見てみたがやはり監視はされていない。」
妹「心眼族に見える距離の個人差はないのか?」
孫「あるけど・・・。」
妹「だったらそう言い切れないだろ?」
勇者「・・・まぁいい。俺が多腕族に行く時に制止される事もなかった。ある程度自由にしても大丈夫だろう。」
勇者「話を戻すが、いい場所しらないか?蜘蛛が来ない場所ならどこでもいい。」
妹「・・・。」
孫「・・・・・・一つだけ知ってる。」
妹「!」
勇者「おっ、どこだ?」
妹「まさか・・・。」
孫「俺たちが祭壇って呼んでいる場所だ。あそこに蜘蛛はやってこない。」
妹「やっぱりか!あそこは神聖な場所!生贄以外が入っていい場所じゃ・・・!」
孫「でも俺はあそこくらいしかしらない。他にいい場所はある?」
娘「・・・ない、けど・・・・・・。」
勇者「祭壇、ねぇ。どんな場所だ?」
孫「説明が難しいな。直接行ったほうが分かると思う。」
勇者「そうか、食べ終わったら行こう。」
妹「わ、私はこんなに食べれない!」
勇者「俺の分も全部投げてしまったから3つほど返してくれ。」
妹「だったら最初から投げるな!」
――――――
――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
387 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:06:04.35 ID:eDxrFXP+o
祭壇少し前
孫「ん?」
妹「?」
勇者「どうした?」
孫「祭壇に誰かいる・・・。寝ている?」
勇者「なに?どんな人物だ?」
妹「この時期に祭壇なんて・・・。」
孫「ちょっとまって。集中する。」
孫「・・・・・・――――――」
孫「―――子供だ。けど・・・なんだ?何も視えない。」
勇者「?どういう意味だ?」
孫「・・・心眼族なら目が。多腕族なら腕、装足族なら足に、特徴があるんだ。けど神殿に倒れている子供は・・・」
勇者「何も視えない、か。なるほど。急ぐぞ。」
孫「あぁ。」
妹「・・・・・・気が進まないな。」
――――――――――――――――――――――――
祭壇
ザザザザザ・・・ダン!ダダダダ・・・
勇者(落ち葉の下に石畳?石を積んだ神殿といった趣だ。入り口らしき所は木に覆われているな。)
勇者「孫!その子供はどこだ!」
孫「右にある木の根の裏側!」
妹「よく見えるな!」
―――ザザ!
勇者「・・・!孫!水をくれ!」
孫「どうした?」
パシ
勇者「衰弱している!木の実を取ってきてくれ!できるだけ甘いもの!」
孫「わかった!」
妹「わ、私はどうすればいい?」
勇者「火を焚いてくれ!体温が低い!」
妹「わ、わかった!」
勇者「君!起きろ!」
?「・・・・・・・・・・・・?」
パチ
勇者「意識はあるな!口は渇くか!?」
?「・・・。」
フルフル・・・
勇者「・・・最近何か食べているか!?」
?「・・・。」
フルフル・・・
勇者(体内の栄養素が足りていない状態!熱量も足りていない!)
勇者(察するに消化管と胃が機能低下を起こしている!)
388 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:06:47.83 ID:eDxrFXP+o
勇者「・・・急に食べ物を与えるわけにはいかない・・・!」
?「・・・」
孫「取ってきたぞ!」
勇者「よし!」
パシン!
シャリシャリ
孫「なにしてるんだ?」
勇者「できるだけ消化しやすくするんだ!いきなり固形物を与えると胃が衝撃を起こす!」
勇者「本当は煮込みたい所だが・・・!」
妹「火焚けたよ!」
勇者「よし、そっちに運ぶ!手伝ってくれ!運んだら二人で心眼族の村へいって調理器具を取ってきてくれ!軟膏も!」
―――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
焚き火《パチ・・・パチン!》
?「・・・・・・―――。」
孫「どうだ?」
勇者「できるだけの事はした。恐らく回復すると思うが・・・病気になったら危ないな。」
妹「・・・この子、なんでこんな所に?」
勇者「さぁな。・・・足がぼろぼろだし、服も土汚れが目立つ。長い間森を彷徨っていたみたいだが・・・。」
孫「・・・・・・改めて見てみたけど、やっぱりなにもない。勇者と同じだ。」
妹「どの族でも無いって事か?」
孫「・・・わからない。」
勇者「・・・・・・? そういえば、この子は服を着ている・・・。」
孫「どうした?」
勇者「いや、孫や妹は毛皮を加工した物を着ているのに、この子は服を着ているから・・・。」
妹「そういえば勇者と同じような物を着てるね?」
勇者「・・・考えてもわからないな。この子が起きるまで、待つとしよう。」
孫「・・・今日はどうするんだ?」
勇者「看病してるさ。開いた時間はお前たちに必要な事教える時間にする。」
妹「必要な事?」
勇者「看病の方法だ。明日はこのあたりの地形を調べて、夕暮れに装足族に会いに行くからな。」
孫「つまり俺たちは留守番か。」
389 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:07:17.36 ID:eDxrFXP+o
妹「わ、私もか!?」
勇者「当たり前だ。地形の調査は一人の方が捗る。」
妹「つまり邪魔って言いたいのか!?」
勇者「あぁ。」
妹「な、な、な・・・!」
勇者「冗談だ。この子は女の子の様だし近くにいてやるのは女の子の方がいいだろう。同姓のほうが安心できるはずだ。」
妹「〜〜〜っっっ!」
勇者「すまん、悪かった。・・・冗談はこれからは言わないようにしよう。」
妹「一発殴らせろ!!」
勇者「後でな。今は静かにしてくれ。」
妹「ぐっ・・・・・・!」
孫「・・・なんで夕暮れに向かうんだ?」
勇者「足が速くても、見えなければ危ないだろう?俺は地形を完全に覚える事ができるから、ある程度暗くても全力が出せる。」
勇者「暗いほうが俺には有利なんだ。あくまで逃げる場合だけだが。」
孫「でも、前も言ったがあいつらは目がいいらしい。暗闇でも自由に動いてくるかも。」
勇者「・・・そういえばそうだったか。だったら明日は全て調査にまわして純粋に足の勝負をしたほうが分はあるか・・・?」
妹「どっちにしたって分はない!お前は一人だけどあいつらは何人もいるんだぞ!?」
勇者「・・・そうだな。せめて、一回魔法が使えれば何とかなるんだが・・・・・・。」
孫「・・・?」
妹「なんだまほうって?」
勇者「あぁ、悪い。こっちの話だ。無いものねだりしても仕方が無い。」
勇者「・・・突破口、か。相対してみないとどんな相手かも分からないからな。事前情報だけでどこまでやれるか・・・。」
孫「・・・・・・。」
妹「ん〜・・・・・・。」
勇者「・・・村の正確な位置はわかるか?」
孫「分かる。けど・・・中まではしっかり分からない。」
勇者「なんでだ?」
孫「燃えない木の中は3つめの眼でも視れないんだ。それに少し遠すぎる。しっかりと判別ができない。」
勇者「・・・ふむ。」
孫「・・・今みても、縄張りを見回ってる。二人一組で回ってるみたいだ。」
勇者「・・・・・・。」
孫「・・・前見たときより見回りの範囲が狭くなってる気がする。」
勇者「蜘蛛対策かもな。・・・そういえば蜘蛛を退治する時の定石とかはあるのか?」
390 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:08:30.61 ID:eDxrFXP+o
妹「そりゃあるよ。他族を除けばあいつらが一番危ない存在だからな。」
妹「例えば私達多腕族の場合は、蜘蛛が出る時期には三人一組で行動するのが基本で、一人は蜘蛛用の大きな鉈を持つんだ。」
妹「距離が遠い場合は弓で遠くから撃って殺せなくても弱らせる、必要なら近づいて殺す。」
妹「でもあいつらは隠れるのがうまいから不意に近づかれる事があるんだけど・・・」
妹「そういうときは、蜘蛛用の鉈で格闘戦だ。足は硬いから頭とか腹を狙う。足でも付け根を打てればちぎるくらいはできる。」
勇者「へぇ。どのくらい大きい鉈なんだ?」
妹「こいつくらい。」
孫「お、俺?」
勇者「・・・それはまた、随分でかいな。材料はなんだ?」
妹「蜘蛛だ。蜘蛛の殻を蜘蛛の骨を使ってつないで作ってる。」
妹「成熟した蜘蛛なら1匹で2刀は作れる。」
妹「でも重すぎて、多腕族でさえ並の奴には扱えないくらいだ。」
勇者「へぇ・・・。心眼族はどうだ?やはり遠くから弓矢でか?」
孫「あ、あぁ。そうだ。蜘蛛が出る時期は二人一組で行動するのが基本で、遠くから急所を狙って弓を撃つ。」
孫「でも弓の当てれる距離は個人差が顕著にでるし、集中するときは周りの状況が見えなくなる。」
孫「だから一人は監視役一人は弓役みたいに分かれることが多い。あまりに集中すると疲れて3つめの眼は使えなくなる事もあるし。」
孫「危ないときは撃ち損じた時だ。蜘蛛は射線を辿って近づいてくる。警戒するから、体をぶれさせて当てにくくしてくる。」
孫「遠ければ蜘蛛を中心に円を描くように逃げればいいんだけど、近い場合は・・・応戦する事になる。」
孫「これはあくまで避けられないときで、普通は蜘蛛を見つけたら道を迂回したりする。」
勇者「・・・ふむ。装足族はどうやると思う?」
孫「・・・・・・足が速いから、全速力で逃げだすと思う。」
妹「あいつらは弓も上手いらしいし距離を取りながら応戦するんじゃないか?」
孫「蜘蛛と戦ってるところは視た事ないからわかんないな・・・。」
勇者「弓?弓を使うのか?」
孫「・・・・・・言い忘れてた。一部の奴だけ使うみたいだ。俺も弓を使うから分かるけど・・・走りながら弓を撃つのは難しい。だから数は多くない・・・はず。」
勇者「・・・ふむ。」
孫「足場に不自由しないし、俺ら心眼族より多角的に攻撃ができると思う。待ち伏せも得意みたいで、予想も出来ないところに隠れてたりするみたいだ。」
妹「・・・走りながら弓を撃つのってそんなに難しいのか?」
勇者「ものすご〜く難しい。」
孫「試してみる?短弓貸してあげるよ。」
妹「・・・・・・やってみる。」
391 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:09:01.79 ID:eDxrFXP+o
孫「その位置から、まっすぐ走りながら目の前の木に向かって撃ってみて。」
妹「・・・・・・。」
ギリギリギリ・・・
妹「随分弱い弓なんだな。」
孫「多腕族にはさすがに力じゃ負けるよ。」
妹「よし!」
ダッ
ダダダダダダ・・・
ヒュン!
スカ
バスン!
妹「・・・外れた。」
ザザ!
孫「難しいでしょ?走ると照準がすごくずれるし、弓に加える力もぶれる。」
妹「・・・うん。」
孫「俺も標的が近くないとこれは当てられない。」
妹「コツとかはあるのか?」
孫「俺なりだけどコツはあるよ。走るときに自分の〜・・・」
妹「・・・・・・」
勇者「・・・。」
勇者(なんだ?予想以上に仲がいいな。恒例の勝負事を相撲に誘導して、孫に俺の技を教えようかと思っていたが・・・)
勇者(そんな事をする必要さえも無いくらいに見える。準長が孫に関して何か言ったのかもしれないな。)
勇者(しかし・・・走りながら弓、か。)
勇者(走りながら撃つのは高等技術だ。上下左右への照準のぶれと足の運動による腕の筋肉への影響。)
勇者(走るのにも集中しなくてはいけない。木の根、段差等に足をひっかけないよう注意する必要がある。)
勇者(これらの問題を無くす方法・・・・・・。)
勇者(ただでさえ足が速いらしい装足族は影響が数倍になるだろう。なんの対策もしなければ、相当のセンスが必要になる。)
勇者(静止したまま動く方法なんて、無いだろうしな。何かに乗ったとしても、相当慣れが必要のはず・・・。)
ドカン!
勇者「!」
ドサン
妹「・・・・・・。」
孫「いっつ・・・い、いきなりなにを?」
妹「こ!ここここっちのセリフだバカ!」
孫「?」
妹「なななに勝手に体に触ってんだお前ぇ!!」
孫「そ、それは姿勢を正そうと・・・」
妹「次触ったら2本の腕で一発なぐるからな!!絶対だぞ!!」
孫「ご、ごめん。」
妹「う〜〜・・・///!」
ザッザッザ・・・ドサッ!
勇者「・・・・・・。」
勇者(あのこは何かあると膝を抱えて座るんだな。)
孫「いてて・・・。」
フラフラ・・・
392 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:09:30.31 ID:eDxrFXP+o
勇者「孫、見せてみろ。」
孫「頭がくらくらする・・・。」
トサン
勇者「・・・いい音がした割には歯も折れてないし口の中も切ってない。うまいこと殴ってくれたみたいだな。どこ触ったんだ?」
孫「腰を・・・」
勇者「今度から一声掛けろよ。」
孫「・・・・・・そうする。」
妹「掛けたって許すもんか!!もうするなよ!!」
勇者「顔真っ赤で涙を貯めながら言うほどの事じゃないと思うけどな・・・。」
妹「うるさい!!お前らに女の気持ちなんてわかるか!」
孫「・・・。」
勇者「それを言われるとなぁ。・・・そういえば孫は同年代の女の知り合いはいないのか?」
孫「・・・同じくらいの知り合いはいない。小さい子供なら何人か知っているけど・・・。」
孫「・・・でも。」
チラ
妹「・・・・・・。」
勇者「?」
孫「いや、なんでもない。」
勇者「そうか。・・・・・・さて、いい加減に教えるぞ。妹、こっち来てくれ。」
妹「・・・・・・。」
勇者「大事な事だ。不貞腐れてるんじゃない。」
妹「わ、わかったよ・・・・・・。」
ズリズリ・・・
勇者「さて、今この子は簡単に言えば体の中の水が足りない状態だ。栄養もな。それの影響でおなかが下っていて食べ物も上手く摂る事ができない状態で〜〜・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
孫「・・・?」
妹「・・・・・・・・・・・・。・・・?」
勇者「・・・・・・・。」
――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
393 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:09:57.41 ID:eDxrFXP+o
勇者「わかったか?重要なのは時間を掛ける事。ゆっくりゆっくりと体の調子を戻す必要がある。」
孫「わかった。」
妹「わかったよ。」
勇者「心配なのは足の傷だ・・・。ここから病気になる可能性がある。こんなに衰弱した状態で病気になってしまったら、死ぬ確立がかなり高くなる。」
妹「防げないのか?」
勇者「傷口を洗って、軟膏をつけてから洗った俺の服を撒きつけてあるが・・・これ以上は何もできないだろう。」
勇者「こればかりはただ祈るしかない。」
妹「・・・・・・できるのは布を小まめに洗ってあげるくらい、か。」
勇者「あぁ、そのくらいしかない。」
孫「・・・大丈夫だ。あの軟膏は爺ちゃんが作った物だ。ちょっとした切り傷なら一日で治る。」
勇者「そうだ。きっと大丈夫だ。・・・あぁそうだ。水をあげる時は白湯にしてやってくれ。俺たちが平気でもこの子はだめかもしれない。」
孫「わかった。じゃぁ、今のうちに沸かしておいたほうがいいな。冷めるのに時間が掛かる。」
妹「そうだな。それと、いつ起きてもいいように勇者が作ったやつ水筒に入れておこう。」
勇者「・・・。」
勇者(自然と自分で考えて行動が起こせるなら心配する必要はないかな。意思疎通もしてるし基礎は教えたから大丈夫だろう。)
勇者(安心して任せられるな。)
勇者「・・・・・・さて。教えれる事は教えたし早めだが今日の夕食を作るかな。昼抜いてるしな。」
孫「手伝うよ。」
妹「私もやる。」
勇者「・・・そうか。」
勇者(妙に意欲的だな。)
勇者「あ、妹はこの子の体を拭いてあげてくれないか。今日はゆっくり作るから、丁寧にな。」
妹「わかった。・・・このぼろっきれ使っていいか?」
勇者「いいぞ。もうそうなったら着る事も出来ないからな。」
孫「・・・気になってたんだが何で膝枕してるんだ?」
勇者「枕の替わりになるものを持ってないからだ。」
孫「・・・そうか。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
394 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:11:09.54 ID:eDxrFXP+o
孫「相変わらず美味いな。」
妹「・・・なんでこんなに美味いんだ?」
勇者「無駄に褒めるな。」
?「――――――・・・。」
パチ
焚き火《メラメラメラ・・・》
?「・・・・・・」
パクパク
妹「・・・・・・。」
孫「変わってるな、男なのに。」
勇者「ずっと一人身だったからな。趣味の一つでもある。本当は塩でもほしいんだが・・・。」
孫「塩はすごく貴重だ。そんなに頻繁に使えるものじゃない」
勇者「まぁ、蜂蜜で我慢するさ。」
?「・・・・・・・・・・・・。」
グッ・・・
勇者「!」
勇者「起きたか!」
孫「起きたのか?」
妹「・・・・・・よかった。」
勇者「よし、君の体を起こすぞ。―――っと。」
勇者「さ、コレはさっき君に飲ませた物だ。一口ずつ、口に含ませてうがいするようにゆっくり飲むんだ。焦らないようにな。」
?「・・・。」
勇者「ゆっくりな・・・。」
――
――――
――――――
勇者「今回はこのくらいにしておこうな。君の体は弱っているから、ゆっくり、ゆっくり戻していかなきゃいけない。」
勇者「さ、眠るといい。明日の朝には、自力で体を起こせるくらいにはなる。体、横にするよ。」
?「・・・。」
ギュ・・・
勇者「・・・このままがいいかい?じゃぁ、おやすみ。」
?「・・・・・・。」
――――――スゥ
孫「・・・。」
妹「・・・。」
勇者「・・・ふー。とりあえず安心だ。起きなかったらどうしようかと思ってた。」
孫「・・・随分手馴れてるな?」
勇者「初めてやったけどなこんな事。」
妹「・・・お前はお母さんみたいだな。」
勇者「そうか?・・・確かに、母親は今みたいな事をするのかもな。」
395 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:11:35.60 ID:eDxrFXP+o
妹「・・・?」
孫「・・・・・・。」
勇者「・・・はは。しかし、」
?「―――」
勇者「人の体温は、本当に心地いいな。」
妹「・・・お前、もしかして」
孫「勇者、結局明日はどうするんだ?」
勇者「ん?明日は地形調査にとどめる。次の日にお願いしにいってみるさ。」
妹「・・・・・・。」
孫「そうか。気をつけろよ。容赦がないからな。」
勇者「あぁ。・・・そうだお前、今日は帰るのはやめておけ。遠くが見えるといっても、蜘蛛に会う確立は無いわけじゃない。」
勇者「それと・・・これからは最低でも2人で行動するようにな。」
孫「わかった。」
勇者「・・・・・・今日はもう寝る。なにかあったら・・・起こしてくれ・・・・・・。」
勇者「・・・・・・」
孫「・・・寝るのずいぶん早いな。」
妹「もう寝たのか?寝つきがいいなこいつ。」
孫「旅してるらしいから、慣れてるんだろうね。」
妹「・・・お前さ、気になるんだけどなんで私とこいつで口調が違うんだ?」
孫「・・・・・・なんでだろうね。意識してるわけじゃないんだけど。直そうか?」
妹「いや・・・そのままで、いい。」
孫「そっか。」
妹「・・・・・・・・・・・・お前さ。」
孫「なに?」
妹「・・・・・・なんでもない。あたしも寝る。」
孫「おやすみ。」
妹「・・・・・・・・・・・・ミ。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
396 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:12:11.81 ID:eDxrFXP+o
夢
1106「勇者おはよー」
1107「おはよー」
勇者「・・・あぁ、おはよう。どうだ?兵士長達とは問題ないか?」
1106「無いよ。」
1107「いつもより歩いたから、少し疲れたの。」
勇者「そうか。まぁ、ある程度は自分で歩かなきゃな。家に着くまで結構長いけど、頑張るんだぞ。」
1106「わかったー。」
1107「勇者も頑張ってね。」
勇者「あぁ。頑張ってまた会いに行くよ。」
1106「それでねー、今日お客さん連れてきたの」
1107「お客さんー。」
勇者「お客さん?誰だ?」
1106「・・・連れて来るね。」
1107「恥ずかしがりやなの。」
タタタタタタ・・・
勇者「・・・・・・恥ずかしがり屋・・・?商人は今さら隠れる必要はないから・・・誰だ?」
火「あ・・・、や、やめて。ひっぱらないで・・・!」
トタトタトタ
勇者「・・・・・・!」
火「やっ・・・!」
トサンッ!
1106「フードもとって。」
1107「顔みせて。」
火「あっ・・・!」
ズル
火「あ・・・。」
勇者「・・・・・・。」
火「・・・・・・。」
両方「頑張ってね。」
タタタタタタ・・・・・・
火「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
火「・・・・・・っ・・・」
勇者「・・・・・・。」
火「・・・!・・・・・・。」
勇者「・・・。」
火「・・・・・・。」
397 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:12:37.42 ID:eDxrFXP+o
勇者「・・・・・・久しぶり、かな。体は大丈夫か?」
火「あ・・・・・・。大丈夫・・・。」
勇者「そっか。よかった。」
火「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
火「あ、あの・・・。」
勇者「?」
火「・・・あの時は、ごめんなさい・・・・・・。」
勇者「謝る事じゃない。仕方が無い事だったし、どっちもさして怪我はしなかった。」
勇者「それでよかった。」
火「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
火「・・・・・・そんな顔、してたのね。」
勇者「・・・あの時は包帯を巻いてたから、分からなかっただろうね。まぁ、取っても見れた物じゃなかったが。」
火「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
火「・・・・・・あなたは、料理が好きなの?」
勇者「あぁ。小さい頃に、習ってね。いつかその人に食べさせたくて続けて、そのまま趣味になったんだ。」
火「図書館に居た人・・・?」
勇者「そう。俺に言葉を教えてくれた人だ。・・・商人たちから聞いてたみたいだね。」
火「・・・・・・その人は今どこに?」
勇者「・・・・・・ここに、いる。」
胸《ドン》
火「・・・・・・?」
勇者「俺にも、居てくれるのか分からないけど、ね。」
火「・・・・・・聞いちゃ、いけなかった?」
勇者「そんなことはないよ。」
火「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
火「・・・・・・あなたにとって、その人はどんな人だったの?」
勇者「・・・お母さん。」
火「・・・お母さん、かぁ。」
勇者「・・・。」
火「・・・。」
火「・・・・・・私のお母さんは、私を売ったらしいの。」
勇者「・・・・・・。」
火「あの研究所は、一定以上の研究成果を残したら自分のレポートを閲覧していいルールがあって・・・。」
火「・・・・・そこにそう書いてあったわ。」
勇者「・・・・・・そうか。」
398 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:13:10.41 ID:eDxrFXP+o
火「兵士長が、研究所は壊滅したって言ってて、・・・238研究長も恐らく死んだって言ってた。」
勇者「・・・。」
火「・・・・・・でもあの人は死なない、死ねない。・・・・・・そう言ってたの。」
火「・・・・・・あの人が、どこに行ったか・・・・・・。あなたは、知らない・・・?」
勇者「・・・・・・神の下へ送った。」
火「・・・え?」
勇者「・・・・・・転真魔術って知ってるか?」
火「・・・。」
フルフル
勇者「当てたものを、神と言われる存在に転送する魔法なんだ。送られてきた魂や肉体を神がどうするかは知らないが・・・」
勇者「当たったら目の前から消滅する。」
火「・・・。」
勇者「転真属性の魔力が必要なんだが、その魔力の特性が魂の封印で、俺が選んだ魂なら封じ込めて所持する事が出来るが・・・」
勇者「・・・・・・238は、送った。」
火「・・・・・・そっか。」
勇者「・・・・・・。」
火「・・・・・・・・・・・・そっかぁ・・・・・・。もう、実験される人も居なくなるのね。」
火「・・・・・・よかった。」
勇者「・・・・・・なぜ、悲しそうな顔を・・・?」
火「・・・そう、見える?」
勇者「・・・・・・。」
コクン
火「・・・・・・あそこは、酷かった。」
火「薬物投与、機械改造、ストレス耐性実験、意図的な回路燃焼。」
火「そういった実験が、毎日繰り返されて・・・苦痛が毎日続いて・・・・・・。」
火「・・・さっき、一定以上の研究成果で自分のレポートが見れるって言ったけど・・・・・・。」
火「見れる理由は、一定以上の研究品はあの人の管轄になるからなの。権限が与えられるの。」
火「・・・研究長は、自分の管轄だけだけど、精神衛生に気を使う人で、」
火「・・・・・・貴重な成功品をすり潰すような真似はしないっていってて・・・」
火「・・・・・・・・・位も与えてくれて・・・・・・」
勇者「・・・・・・。」
火「・・・・・・・・・・・・お父さんみたいだった。」
勇者「・・・・・・知らなかったよ。」
火「・・・・・・ごめんなさい。責めているわけじゃない。あの時より、今のほうがとてもいい・・・・・・けど・・・。」
火「・・・・・・実験が無くなったわけでもない。苦痛が消えるわけでもなかった。私達が過去受けた実験も研究長の指示だった。」
火「・・・・・・よくわからない。・・・・・・会いたいわけじゃない。感謝しているわけじゃない。なのに、私は、あの人に会えないと思うと、少し、悲しい・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
火「・・・よく、わからない・・・・・・。」
399 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:13:55.74 ID:eDxrFXP+o
――――――――――――――――――――――――
夢の狭間
1106「・・・」
1007「・・・」
商人「・・・・・・」
光「・・・・・・」
連「・・・・・・初めて聞いた。」
光「そうね。・・・私達には言う事でも、ないものね。」
商人「・・・あの。」
光「・・・・・・なに?」
商人「・・・・・・どんな、人だったんですか。その、人。」
連「・・・あいつは人じゃないよ。」
商人「え?」
光「この子達と同じ、実験品だったらしいわ。」
商人「・・・え?」
連「あんな奴、いなければよかったんだ。」
商人「・・・・・・。」
光「・・・そうね。いなければ、私達はこうならなかったものね。」
右手≪ガチャン≫
商人「・・・・・・。」
連「火の言ってることも分かる。」
連「人じゃない扱いを受けてたのが急に、奴隷程度には扱われるようになった。天国とまではいかなくても、嬉しかったの覚えてる。」
商人「・・・・・・。」
連「だからと言って、感謝なんてするわけない。私たちがこんな体になったのも、この子達がこんな風になってしまったのも、」
連「全部あいつの所為だ。死んでよかった。」
光「・・・・・・でも、私たちは全員」
連「でもじゃない!あいつは悪魔だ!あいつの所為で・・・!・・・・・・くそっ。」
連「畜生・・・・・・あたしが、殺したかった。」
商人「・・・・・・。」
光「・・・・・・私達、いえ、研究品全員。孤児とか、そういったものだったらしいわ。」
商人「・・・・・・。」
光「今は知らないけど、機械港付近には、孤児院なんてもの無くて。・・・そういった子供が大人になる事は少ない。
外は、強い魔物がいるしね。子供には、太刀打ちできない位には・・・。」
連「・・・・・・。」
光「私が研究品にされたのは、5歳の時だった。だから、あまり覚えていないのだけど・・・。」
光「レポートを見る限りでは、私は飢餓状態で、死にかけだったらしいわ。」
連「そんなもの!信用できない!」
光「・・・・・・そうね。あれは、嘘だったのかもしれない。」
光「私達に、少しでも逃げれないように、拾ってくれてありがとうって、感謝の念を植え付けるのが目的だったのかも知れない。」
光「・・・でも、そんなことはしなくても、見張りはいつも厳重で、逃げ出す隙間なんてなかったけどね・・・。」
連「・・・・・・くそ、ここは嫌な場所だ。嘘が吐けないのが、こんなにきついなんて・・・・・・。」
連「・・・あいつは悪魔だ、いやな野郎だ・・・・・・。でも、火の言ってる事を否定できない・・・・・・。」
連「・・・・・・あたしは、あいつを何処かで・・・・・・感謝してるとでも言うのか。」
光「・・・・・・否定できないのって、大変ね。自分の知らなかった気持ちまで、知れてしまう。」
400 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:18:57.72 ID:eDxrFXP+o
商人「・・・・・・ひとちゃん達も、その人の事しってるんですか?」
1106「しってる。」
1107「しってる。」
両方「不死鳥のおじちゃんなの。」
商人「不死鳥?」
1106「うん」
1107「そーなの」
光「・・・・・・もう、100年近くも生きていたらしいわ。」
商人「え!?」
連「・・・魔王が封印されるちょっと前に研究所に来たらしいから、そんなもん。見た目は20歳くらいだったけど。」
商人「そ、そんな事があるんですか?」
光「本当かはわからないわ。けど、なにされても死ねないって言ってた。」
光「強いストレスは進化の元ではあるけれど、多くの場合はただの毒。」
光「僕はどうがんばっても耐えれてしまうから進化しただけ。」
連「・・・・・・君たちは魔力臓器の強化に成功した数少ない成功品。それをわざわざ使い捨てる意味はない。」
連「これを言われた時に・・・・・・ボッコボコに殴ってやったの。でもあいつは傷一つなくて、殴った私の方が痛かった。」
商人「・・・自動回復魔法でしょうか・・・?」
光「あれは、そんなものじゃないわね。銃で殴っていたし、骨が砕ける音もしたもの。自動回復魔法では、追いつかないわ。」
光「もし例えるなら・・・自動再生術かしらね。」
商人「自動再生術・・・。」
連「・・・・・・商人は魔法詳しい?」
商人「い、いえ。全然・・・。」
連「回復魔法と再生術は、似てるようで全然違うの。回復魔法は治癒力で、再生術は改造みたいなもの。」
光「回復魔法の特徴に、相手の魔力が必要というのがあるけれど、再生術は自分の魔力だけでいい。」
連「そして、治すものさえなくてもいい。」
商人「治すものが・・・なくていい?」
連「回復魔法は、腕があれば、腕を治せる。再生術式は、背中からだって腕をはやす事が出来る。」
光「今の例はあくまで、極端な話よ。回復魔法だって深くえぐれてしまった傷を治すのには時間がかかる。」
連「再生術式だって、背中から腕をはやすなんて今のところできる人間はいない。もともとあった腕を生やす。それくらいならできるらしいけど。」
商人「・・・・・・再生術。」
光「夢のある話ならいいのだけれど、現実はそうもいかないみたい。再生術は、魔力を大量に必要とするの。」
連「それだけだったらまだいいんだけど、どうしようもない壁が一つある。」
商人「壁?」
401 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:19:34.61 ID:eDxrFXP+o
光「魔法はね、才能が必要なの。難しい話になるけれど、魔力分化というものがあってね?」
光「火魔法を使うには、火の魔力が必要で、雷魔法を使うには、雷の魔力が必要なの。」
連「魔力は人間の体から湧き出るものだけど、この魔力属性は生まれた時から決まってる。」
連「例えば、私達は一人一人使える魔法属性は一つしかないの。私は物質属性。」
光「私は光属性。火は火属性。」
光「人はそれぞれ自分の属性を持っている物。これは、変える事ができないの。勇者の話で転真属性って出たでしょ?あれもそうね。」
連「それで、再生術だけど、再生術を使うには再生属性が必要なの。」
光「これを持って生まれてくる人間は、とても少ないのよ。」
連「何百年に一人だってさ。わらっちゃうよね。」
商人「・・・・・・。」
連「ま、普通は一人2〜3属性を持ってるけどね。私達が特別なんだよね。」
光「もともと私たちも複数の属性を持っていたのだけれど、改造で一つの属性に絞ったらしいわ。」
連「物質属性と光属性はめずらしいから、実用に足る分化量とかは度外視して決めたらしい。火は、珍しい属性は持っていなかったから一番馴染んでる属性で選んだんだって。」
商人「・・・・・・。」
連「・・・・・・あいつのおかげで、いろんな知識は付いた。そこだけは、認めてやる。」
光「勉強が、ただひとつの娯楽だったわね。今思えば、そういう風に仕向けられていた気がするけど。」
連「・・・人って不思議だ。」
商人「?」
連「ひどい目に会わされてるのに、そのうち慣れて、ひどい奴しかいないのに、ちょっと良い奴に惹かれて。」
連「・・・・・・自分の気持ちにすら、納得できない。」
商人「・・・・・・。」
連「・・・・・・ここにいると、もやもやするよ。」
1106「・・・・・・。」
1107「・・・・・・。」
光「連。」
連「あ・・・、ごめんね。ひと達。」
1106「・・・いいの。」
1107「どうしても、嫌いな人はいるの。」
連「・・・・・・ごめんね。」
1106「・・・・・・。」
1107「・・・・・・。」
商人「・・・・・・私、戻りますね。」
光「・・・いいの?勇者に会いたいんでしょ?」
商人「・・・・・・よくないですけど・・・。今日は、いいです・・・。」
402 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:20:08.93 ID:eDxrFXP+o
連「・・・・・・もし、あたし達の境遇に同情してるなら、今すぐ会いに行って。」
連「あたし達の境遇は確かに酷いよ。だけど、だからこそ、条件は対等であってほしい。」
連「・・・・・・じゃないと、惨め過ぎる。」
光「・・・・・・。」
商人「・・・・・・。」
光「・・・黙ってないで、ほら。乱入してきなさい。」
商人「で、でも・・・・・・。」
光「連の言うとおりよ。私達は、強いの。」
光「今まで不幸だった分、幸福になるのよ。」
光「普通じゃなかった分、普通で居たいの。」
商人「・・・・・・。」
1106「おねーちゃん。いこ?」グィ
1107「勇者に会いに。」グィ
商人「あっ・・・。」
1106「お姉ちゃんやさしいねぇ。」
1107「勇者と同じなの。」
1106「でもね、ヤサシサはツカイカタを間違えると、人を傷つけるんだって。」
1107「お姉ちゃんが身を引いても、喜ばないの。喜べないの。」
商人「・・・・・・。」
1106「火のお姉ちゃんも、勇者を独り占めしたいって思ってるわけじゃないの。」
1107「商人のお姉ちゃんもそうでしょう?私達もそうなの。」
1106「勇者も、みんなと居たいっていつも思ってるの。」
1107「それと、商人を大事にしたいとも、思ってるの。」
商人「・・・そうなんですか?」
1106「うん。勇者悩んでるけど・・・」
1107「私達には分かってるの。」
1106「勇者は、皆と居たいの。」
1107「だから、商人も居なきゃいけないの。」
商人「・・・・・・。」
連「・・・行ってきなよ。火に気を使う必要なんてないんだから。」
光「そうよ。勇者も、火も、あなたが居なくなるのでは喜べないわ。」
商人「・・・・・・。」
1106「ね?いこ?」
1107「皆幸せがいいの。」
商人「・・・皆さん。」
商人「ありがとう・・・ございます。」
タッタッタッタッタッ・・・
403 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/30(金) 18:20:25.20 ID:N6PyZNVho
来たけどもう全然覚えてねえ
少し前から読み返すか
404 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/09/30(金) 18:21:03.96 ID:LUStFb8xo
|柱|ω・`) おかえり
405 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:21:43.97 ID:eDxrFXP+o
連「・・・なんだろねー。あの子ほっておけないね。」
光「会ってまだ2日3日しか経って無いけど、確かに気になるわね。」
連「やさしいけど、危うい優しさだし。」
光「自己犠牲が前提なんて、悲しい子だわ。」
連「・・・あの子が1番最初に勇者と会ったのは、運命な気がするなー。」
光「そおねぇ。あの性格だと、最初じゃなければ一緒にいれない気がするわ。」
連「・・・・・・そういえばさ。」
光「なに?」
連「あんた兵士長好きなの?」
光「っっっな!?なな、いきなりなによ!」
連「なにあわててるのさ。図星?」
光「・・・!卑怯よ!わざわざこの空間で!」
連「あはは。やっぱりそうなんだね。ヒューヒュー」
光「あ、あなたはどうなのよ!好きな人!いないの!?」
連「いないよ。そんな人。」
光「あ、う・・・・・・っ!」
連「あてが外れた?残念だったね。」
光「ひ、一人くらいいないの?気になる人とか。」
連「なにそれ。好きな人は何人もいるのが普通なの?兵士長以外に好きな人いるとか?」
光「い!いいないわよそんな人!」
連「あははは。光をからかうの結構楽しいね。初めて知ったよ。」
光「つ、次からは許さないからね!」
連「はいはい。・・・でもそっかぁ、だったらせめて料理は上手くならなくちゃね?」
光「っ・・・・・・。そ、そうね。・・・分かってはいるのだけれどね。」
連「すっごい下手だものね。右手が使えないとかそういうレベルじゃない。」
光「う、うるさいわよ。そのうち、上手くなるの。」
連「そのうちね。一体どれだけ掛かるのかな。」
光「そんなに掛からないわよ!!」
――――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
406 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/09/30(金) 18:24:24.97 ID:eDxrFXP+o
今までごめんご。休みの間ずっと休んでた。もう学校始まってる。
投下はこれからたぶn書き溜めが主になると思う。量的に言えばたぶん前のがおおい。
407 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/30(金) 18:31:23.95 ID:Vq4H8QcIO
おかえりんこ
408 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/30(金) 19:16:06.41 ID:pO14sHJSO
おかえり
気長に続き待ってるからさ、無理して壊れたりだけはせんといてなー
409 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/30(金) 20:20:04.10 ID:9+ADX98eo
おかえり
ペースが遅くても気にしないさ
410 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/09/30(金) 21:50:42.91 ID:xThroG8yo
乙かえり
なあに気長に待つだけさ
411 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/30(金) 22:45:50.59 ID:OtPtMEtj0
待ってた
412 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/01(土) 00:11:35.99 ID:/slHVO/DO
待ってて良かった
413 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/01(土) 01:14:27.66 ID:glI/RIXr0
やった投下されてた
日々の楽しさが増えたありがとう
414 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2011/10/01(土) 09:28:57.05 ID:bXXWPTTI0
乙
待つよーずっと待つよー
415 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2011/10/01(土) 11:39:45.75 ID:og0YRHIbo
おかえりー
これから読んでくる
416 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2011/10/01(土) 11:43:54.46 ID:clIv/vXso
乙
気長に待ってるから無理専用にな ノ
417 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/01(土) 12:01:48.99 ID:+El/Hxh50
乙
418 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/10/01(土) 13:07:01.74 ID:zLZD3wxIo
待ってた!!
419 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/10/01(土) 19:58:04.35 ID:ja6/Myxdo
待ってた
これからも気長に待つ
420 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/10/02(日) 09:38:36.87 ID:LEGQhoyw0
わたしまーつーわ いつまでもまーつーわ
421 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/02(日) 10:52:24.52 ID:toJCK8Xa0
>>420
JASLACのほうから来た者ですが・・・
422 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/02(日) 20:01:59.35 ID:vYSn/4TIO
この偽物め!
423 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/03(月) 16:09:42.81 ID:MPHBrKeDO
更新ありがとー
424 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/03(月) 17:52:30.45 ID:K9a8/DYIO
まっ、待ってなんかいないんだからね///
投下したんだから読んであげるわ!!
425 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage saga]:2011/10/04(火) 09:32:12.84 ID:Ajw/9Dwo0
乙です。
更新、感謝です。
426 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage ]:2011/10/05(水) 18:18:04.96 ID:V6Gg1zhZ0
乙です。
待ってましたぁー!!
427 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/10/06(木) 09:14:52.93 ID:kvFEgKBYo
いつもいつも楽しみ♪
428 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage]:2011/10/10(月) 23:35:51.04 ID:mBIGJKTAO
おおぅ、来てたのか!
気長に待ってるから、あなたのペースで頑張ってください!
429 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/10(月) 23:35:55.06 ID:r121KV750
更新確認チラリズム
430 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/12(水) 18:33:50.03 ID:WWSB2BPFo
ワクワク
431 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage ]:2011/10/15(土) 20:25:17.87 ID:mcRkC+8t0
まだー?(´・ω・`)
432 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/19(水) 16:53:37.45 ID:2qJPZ3dTo
ドキドキ
433 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/10/22(土) 04:48:19.48 ID:bjjlf++Bo
はぁ・・・
434 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/10/22(土) 11:20:21.07 ID:wmuICtVPo
( ?t?)?!
435 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/10/31(月) 00:14:49.26 ID:6HgAF16fo
そろそろたのんますわぁ
436 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/31(月) 21:28:20.23 ID:wfJhg40vo
ワクワク
437 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(長野県)
[sage]:2011/11/01(火) 22:22:33.21 ID:AcjSSQGUo
もう少し静かに待ってみる
サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:
http://vs302.vip2ch.com/
438 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(宮城県)
[sage]:2011/11/03(木) 22:49:38.96 ID:pIViu8poo
下のこれなんなの
439 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage ]:2011/11/04(金) 20:22:32.00 ID:sqz+ELOO0
既に最後の投下から一か月以上たっているわけだが
440 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/05(土) 15:42:31.72 ID:9LoS7VwIO
三ヶ月以内には来るさC
441 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(東京都)
:2011/11/09(水) 23:31:32.03 ID:S3kfG4Ec0
よし追いついた
おもしろいので続きに期待
442 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(埼玉県)
[sage]:2011/11/12(土) 01:49:15.49 ID:1mtb4ygTo
他で見てたスレが落ちたばっかだから不安になっちゃう
443 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(埼玉県)
[sage]:2011/11/12(土) 14:45:50.80 ID:7yDHdFSC0
期待
444 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/12(土) 19:10:31.26 ID:6tbDEBKDo
期待
445 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/18(金) 09:15:11.04 ID:EzdomaKDO
すごく面白い。神は結局"何"だったんだろう……
ゆっくりでいいのでぜひ続けてもらいたい。
446 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/18(金) 23:04:25.49 ID:ox/uSZwIO
だろ?
しえーん
447 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/18(金) 23:24:48.76 ID:4OfGohiRo
はっきり言うぞ
3カ月いないってのは
>>1
の書きこみがなければってことだ
作者=
>>1
じゃないここでは
>>1
が書いてる限り作者がこなくても落ちることはない
448 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
:2011/11/19(土) 09:28:20.11 ID:8X08Ud8jo
あげ
449 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:13:45.56 ID:b0dXERq7o
――――――――――――――――――――――――
同日 昼〜宿屋〜
女僧侶「・・・寂しいですねぇ。」
女魔法「・・・・・・そうだね。」
女戦士「3人減っただけなのに静かに感じるな。」
女商人「甘えん坊でしたものね。」
女戦士「あー次はいつ会えるのかねー。」
女僧侶「夢で会えますよ。今日の夜は火さんと勇者様の仲人の予定ですから、明日の夜。すぐですよ。」
女商人「そ、その言い方は・・・・・・。」
女僧侶「冗談ですよー。」
女戦士「まーそれはそうだけどよー。」
女戦士「手紙みたいに日を重ねる内にこなくなるんじゃないか?私文通なんていつもそんな感じで・・・」
女魔法「・・・それとこれとは違う。」
女商人「で、ですよ!大丈夫です!な、なんでしたら私今日約束しておきますから!」
女戦士「今日?あれ?商人も会うのか?」
女魔法「・・・邪魔しにいくの?」
女商人「ちっ!ちがいますよぅ!!連さんと光さんが誘ってくれてですね!不安なら一緒に見ようって!」
女戦士「なるほどねー。あいつらも私達に似ていい性格してるじゃないか。」
女僧侶「えぇ。本当ですね。」
女商人「わ、私がいうのもなんですけどね!覗き見が大好きだったりするところなんてそっくりですよ!」
女魔法「だって楽しい。」
女戦士「そうだそうだ!楽しいんだから悪い事じゃない!」
女僧侶「商人さんも大好きみたいですしねぇ?」
女商人「わ!私は違いますもん!た、ただ不安なだけで・・・!」
女僧侶「私達も同じ事ですよー。商人さんと勇者様の仲がすごく心配で・・・。」
女戦士「心配しすぎていても立っても居られないんだ。だから自然に足が向かってしまうわけだな。ついでに耳をすましてるだけだ。」
女魔法「そう。ドアの前に立ってるだけ。」
女商人「し、しらじらしぃですね!!」
女戦士「何を言う!3割くらいは本心だぞ!」
女魔法「本当に心配してるよ?」
女僧侶「そうですよ。早く安心させてください?わざわざ身を引いてあげたのですから。」
女戦士「そうだそうだ!・・・って、え?」
女商人「え?」
女戦士「え?そうなの?」
女魔法「・・・・・・。」
女僧侶「あ、勘違いしないでくださいね。勇者様が好きなのは別に変わっていませんから。」
女商人「え!?」
女戦士「あ、やっぱりそうだったのか?それで?身を引いたってのは?」
女僧侶「私は愛の本質に気づいたんですよ。私は、勇者様の隣に居れるなら、それでいいんです。」
女商人「えっ!え!?」
女魔法「・・・・・・?」
女戦士「・・・・・・あー。つまり、どういうことだ?」
女僧侶「商人さんと勇者様はお似合いという事ですよ。私はお二方のそばに居たい。」
女僧侶「それだけの事だったのですよ。どちらかといえば勇者様よりですけど。」
450 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:15:04.70 ID:b0dXERq7o
女戦士「・・・つまり、友達で十分って事か。」
女僧侶「そうですねぇ。端的に言うならそういうことかと。」
女魔法「・・・・・・友達以上恋人未満?」
女僧侶「ふふっ、そういうことです。私の幸せは、そこにあったんです。」
女商人「・・・・・・・・・・・・。」
女戦士「昨日か?勇者にあってたのは?」
女僧侶「えぇ。ひとちゃん達が急にきて、むりやり。勇者様とお話してたら、すっきりしちゃいましたよ。」
女戦士「そりゃーよかったな。安心したぜ、なんかフラっと居なくなっちまいそうだったからなぁ。」
女魔法「・・・・・・今度からは相談してね?」
女僧侶「ふふっ、そうします。一人で悩んでいてすいません。」
女戦士「・・・どうした?商人。黙りこくって。」
女商人「い、いえ。や、やっぱり。勇者さまの事、好きだったんだなって・・・・・・。」
女僧侶「当たり前ですよ。好きでなければ、こんな所まで付いてきていません。」
女戦士「・・・そうだな。私も、好きだからこそ、未だに居るんだしな。」
女魔法「私は・・・・・・選択肢は無かった。・・・・・・けど、後悔してない。」
女商人「・・・・・・。」
女僧侶「商人さんも、そうでしょう?勇者様の事大好きですものね?」
女商人「・・・・・・はい。」
女戦士「・・・うわ〜!あっちいなおい!」
女商人「はい?」
女僧侶「幸せそうな顔で『・・・・・・はい。』ですって!!」
女商人「え!?」
女戦士「いやーコレはもう勇者にさっさとくっついてもらうしかないな!!」
女僧侶「えぇ!思い合う二人を邪魔する物なんてなにもないですしね!」
女商人「え!?え!?そ、それをいうなら!あなた達だって勇者さまの事、好きだって!」
女戦士「昨日言ったろ?勇者は私の道!いわば主君!絶対に信じられる私の指標!」
女戦士「そういう意味で好きなんだ!商人とは違うぜ!」
女僧侶「私の好きはいわゆる男と女の好きとは違いますもの。しいて言うなら友人愛を強くした様なもの。」
女僧侶「結婚したいは、私にとってずれているんですよ。」
女魔法「私は今は好きっていってないよ。」
女商人「う、うー!皆さん卑怯ですよぅ!」
女戦士「はーはっは何とでも言えー!油断するほうが悪いぜ!」
女僧侶「あぁいつみてもかわいらしい顔ですわ。私は攻める性質なのでしょうか。」
女魔法「顔あかいー」
女商人「う、うぅぅー!!」
女僧侶「ほらほら、機嫌直してください。明日出発する為の準備を続けないといけないんですから。」
女戦士「そうだなー。いい加減再開しないとな。ほらほら冷めろ冷めろ。」
女商人「そ、そんないきなり気分替えれませんよぅ!」
451 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:15:38.61 ID:b0dXERq7o
女魔法「明日は何が必要なの?」
女商人「ううぅぅぅ・・・。え、えっと、横断に五日ほどかかるようですからその分の食料と、あととうがらしをつけたお酒と・・・・・・」
女戦士「なんだそりゃ、面白い酒だな。っていうかあいつに酒はやめとけって言われてなかったか?」
女商人「味は酷いようです・・・。それはそうなんですけど、やっぱりもしかしたらって考えると怖いですから、少しでも生存確率を上げれるように・・・」
女僧侶「さ、続きは買い物しながらでいいでしょう。商人さんが決めた事はいつも正しいですから。」
女魔法「・・・そだね。いこうか。」
女戦士「あーあー、五日かぁ。体が鈍りそうだなー。」
女商人「うぅ・・・・・・」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
嵐島 次の日 夜明け
勇者「・・・・・・。」
パチ
勇者「・・・・・・。」
勇者(・・・・・・朝か。)
?「・・・スゥ ・・・スゥ」
勇者(・・・寝息を立てるくらいには回復したか。体温も昨日よりは上がっているな。よかった。)
勇者「・・・・・・」キョロキョロ
孫「・・・・・・」
妹「クー…… クー・・・・・・」
勇者「・・・・・・。」
勇者(・・・孫の寝顔を見るのはこれが始めてか?普段はあまり感じないが、顔立ちはまだまだ幼いな)
勇者(妹も、この前見たような不安は少なくなっているかな。島を出る前に問題を解決してあげなければ。)
?「・・・スゥ ・・・スゥ」
勇者(・・・この子の寝顔は、ずいぶん儚いな。寝息を立てていなければ、まるで死んでいるかのよう。)
勇者(寝顔、か。以前の俺が見れる唯一の生きている人の歪んでいない顔。)
勇者(・・・死んでも、見れる顔。死、か。)
勇者(・・・・・・238は、悪だと考えていた。いや、決めつけ、考えないようにしていた。)
勇者(あいつも元は被害者だった。話を聞く限り、まともな神経をしてた頃もあり、他の被験者を逃がした事もあった。)
勇者(・・・・・・俺は、利己主義者だな。自分に価値の無いものを、切り捨て続けてきた。)
勇者(・・・・・・そう。いらないものを、切り捨てていたんだ。他の為などじゃなかった。)
勇者(ただの自己満足、か・・・・・・。)
勇者(お父さんからもらったこの称号は、俺には相応しくないな・・・・・・。)
勇者「・・・ふぅー。」
勇者「・・・・・・素振りをしなくちゃな。」
勇者(皆と普通に話せるようになってから、独り言が増えた。)
勇者(前から何回も言われているな。俺は、さびしがり屋なんだ。)
勇者(返ってこなくても、つい、声を出してしまうのか。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
452 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:16:07.22 ID:b0dXERq7o
祭壇外れ
勇者「ッフッフッフッフッフッフッフッフッフ・・・・・・」
ヒンヒンヒンヒンヒンヒンヒンヒンヒンヒンヒン―――
勇者(・・・・・・斬撃を飛ばす事が、ただ剣を振っているだけで出来るのだろうか。)
勇者(極限の先にある何か。戦士いわく確信。しかし俺は体の疲れを感じない。)
勇者(・・・・・・わからん。極限とはなんだ。一日中走っても疲れない俺に、その確信は拾えるのだろうか。)
勇者「スゥ――――――」
――――――――――――
勇者「―――――――――ッッッ!!!」
――――――――――――
――――――――――――ヒィィィ……ン
勇者(・・・・・・いくら振っても疲れない。5千振っても、湿る程度しか汗をかかない。。)
勇者(だからこそ、図書館であれだけの武器の扱いを学べたんだ。あの時はその異常さに気がつかなかった。)
勇者(・・・・・・そういえば、お母さんはこの俺の異常を、当たり前のように扱っていた。)
勇者(今じゃその理由も聞けないか。・・・疲労、疲労か・・・。)
勇者(疲労・・・超々自硬化魔法を限界まで使った時は疲労があったな。)
勇者(体が麻痺して起きようとした時には体が動かなかった。・・・あれは疲労ではないか。)
勇者(・・・・・・イメージが沸かないな。出来るという確信が出てこない。)
勇者(・・・・・・本当に俺にできるのか・・・?)
勇者(・・・霧が俺の足元を包んでいるかのような気分だ。自分の立ち位置を錯覚させているよう。)
勇者(今更、自我同一性が歪んできた。俺はなんだ。お父さんの意向を受け、俺の目的を果たすために、魔王へ会いにいっているのではないのか。)
勇者(お父さんの意向が、俺の中で歪んで利己欲となり、足元を隠す。出足を鈍らせる。)
勇者(・・・思考がぐじゃぐじゃだ。話を無駄に広げてしまう。よくわからん。一度頭を冷やそう。)
――――――――――――――――――――――――
<<ザバー
――――――――――――――――――――――――
祭壇
孫「・・・おはよう。」
妹「おはよー」
勇者「あぁ、おはよう。・・・起きてたか。」
妹「あれだけ空気裂く音が聞こえてれば眼を覚ますのは普通だよ。」
勇者「・・・そうか、それはすまなかった。」
妹「いや、別にそれはいいんだけどさ、そのー。それよりさ、あの、そのー、あのー・・・・・・。」
孫「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・」
鍋≪フツフツフツ・・・・・・≫
勇者「味見か?」
妹「!そ、そう。昨日勇者に聞いたからさ、その。つ、作ってみたんだけど・・・・・・。」
妹「うまく出来たか心配で・・・・・・。」
453 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:16:35.96 ID:b0dXERq7o
勇者「自分で味見はしていないのか?」
妹「怖くて・・・。」
孫「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・材料は?」
勇者(調味料が無いから、そこまでひどい味になる事はないだろう。あとは毒物の心配を・・・)
妹「えっと、木の実と水。それと蜂蜜を・・・。」
勇者「まともそうだな。どれ・・・・・・」
スタスタスタ・・・
勇者「もらうな。」
妹「う、うん。」
ズズ・・・
勇者「・・・・・・」
勇者(・・・うまい。少し甘みが強すぎるが、これなら許容範囲内だ。)
勇者(木の実も教えたとおり甘い物を選んでいるし、切り方も消化しやすいように小さい。)
勇者(食べた感じ焦げてもいない。火力もちょうどいい。及第点は軽く超えてるな。これくらいの物を作れるなら心配もない。)
妹「ど、どう・・・かな。」
勇者「・・・・・・。」
右手≪チョイチョイ≫
妹「え?」
勇者「こっちおいで」
妹「な、なんかだめだった?」
タタン
勇者「十分美味いぞ」
孫「・・・。」ピク
頭≪ナデナデ≫
妹「あっ・・・・・・。」
孫「・・・・・・。」
勇者「いい感じじゃないか。俺が昨日教えたこともちゃんと実践できているし、味付けもよしだ。」
妹「ほ、本当か?」」
勇者「本当だとも。ほら、自分で食べてみるといい。」
妹「・・・。」
ズズ・・・
妹「よ、よかった・・・・・・。」
ヘタ・・・
勇者「ど、どうした?へたりこんで。そんなに心配だったのか?」
妹「う、うん・・・。昔、一回だけ料理した事があったんだけど・・・」
勇者「ふむ。」
妹「材料に毒キノコが混じってたみたいで・・・・・・」
勇者「・・・・・・。」
妹「兄者と親父を大変な目にあわせたんだ。おじいちゃんが何とかしてくれたけど・・・・・・。」
454 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:17:02.09 ID:b0dXERq7o
勇者「・・・・・・ちなみにその時は何歳だった?」
妹「えと、7年くらい前だから・・・9歳、かな・・・。」
勇者「・・・まぁ、材料から集めるなら最低限の知識は無いとな。」
勇者(生きていられる程度の毒でよかった。きのこの中には本当にえげつないものもあるからな。)
妹「・・・あれ以来料理が怖くて・・・・・・。」
勇者「・・・・・・まぁ人間、失敗くらいするさ。運よく重大な事に繋がらなかったのだし、失敗を教訓に同じこと、似たようなことを起こさないよう勤めればいいさ。」
妹「そ、そうだな。はぁ。本当によかった。はー安心した。」
勇者「はははは、そんなに心配だったか。ほら、孫もこっちに来い。味見してみろ。」
妹「え?」
孫「・・・・・・わかった。」
スタンッ
妹「え。」
勇者「大丈夫だ。心配するな。」
妹「あ、う、あー・・・うん。」
孫「・・・・・・」
スタスタスタ・・・
妹「・・・・・・。」
孫「・・・・・・。」
スッ
妹「・・・・・・・・・・・・!」
孫「・・・」
スゥ・・・
妹「だっだめだー!」
孫「!?」
勇者「!?」
妹「たぁ!」
ドカン!
孫「がっ!?」
ドサッ!カラン
妹「お、おまえはやっぱりたべるな!だめ!禁止!」
勇者「ど、どうしたいきなり。」
孫「・・・な、なんで?」
妹「なっ!なんだっていいだろー!!とにかく駄目だ!ダメ!」
勇者(・・・・・・顔真っ赤。この二人の関係はよくわからんな。)
孫「・・・・・・?」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
455 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:17:28.80 ID:b0dXERq7o
昼前
勇者「よし。準備完了だ。」
孫「・・・・・・気をつけろよ。あいつらは隠密行動が得意だ。後ろ、とられないようにな。」
妹「太い枝の裏側に張り付いてたりもするらしいからな、よく回り見ろよ。」
勇者「あぁ。できるだけ気をつける・・・。あぁそうだ、孫。たとえ俺が追っかけられていても弓で射ったりするなよ。」
孫「・・・・・・・・・・・・わかった。」
勇者「妹、射ろうとしたら殴って止めてくれ。」
妹「わかった。気絶させてでも止めるよ。」
勇者「頼んだよ・・・・・・お。」
孫「どうした?」
妹「?・・・あ。起きたのか?」
?「・・・・・・。」
勇者「おはよう。君の体はひとまず安心だ。」
勇者「俺はちょっと出かけてくる。君は安静にするようにな。」
?「・・・・・・。」パクパク・・・
勇者「大丈夫だ。安全もこの二人が保障してくれる。心配しなくても大丈夫だ。またな。」
ダンッ!ザザザザザ・・・・・・
?「・・・・・・。」
孫「・・・ほら、横になって。今、ご飯を持ってくる。」
妹「飯終わったら体拭いてあげるよ。もちろんこいつはどっか行かすから安心していい。」
?「・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
ススススス・・・・・・
勇者「・・・・・・」
勇者(・・・このあたりには太い木が多いな。おかげで他の場所に比べて道は複雑じゃない。)
勇者(もし、俺が装足族のような足を持っているなら・・・・・・)
勇者(不意を突かれる事をできるだけ少なくする為に、木の上から監視する。)
勇者(蜘蛛はかなりでかい。体重もかなりある。木の上にはいけないだろう。)
勇者(若い蜘蛛なら上れるかもしれないな。だからこそ2人一組で常にお互いの死角を監視しているか。)
勇者(待ち伏せに対応するために、枝先を渡っている可能性が高い。)
勇者(木と木の間隔もそれほど広くない、少し開けていても木から木へと移る事も、装足族なら可能か?)
勇者(とりあえず村前まで行ってみるか・・・・・・。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
456 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:17:59.14 ID:b0dXERq7o
装足族村前 昼過ぎ
勇者「・・・・・・。」
勇者(・・・なんてでかい木だ。この中に村があるのか。)
勇者(入り口の前には立てないな。見張りに見つかる。)
勇者(ふむ、とりあえず巡回には一回も会わずにこれたな。俺の視界に入る事も無かった。俺が立てた仮説はあっていたか。)
勇者(・・・・・・祭壇からここまでの走り方は覚えた。あとは、見つかった時ように撒く道を見なくては・・・・・・)
村《ブオオオオオオオオ・・・・・・!ブオオオオオオオオ・・・・・・!》
勇者「!」
勇者(なんだ!?村から!?見つかったか?とりあえず木の根元落ち葉の下へ!)
ザザ!ザザザザ・・・・・・ザン
勇者「・・・・・・」
勇者(薄く落ち葉を被せて見えなくする。ちょうど葉の仮面をかぶっているしわからないだろう。)
勇者(少し様子を・・・?)
ズザザザザザザザザザザザ
爺「カー・コヘ・・マシ・・タかー!!若ー!!わーカー・・・・・・」
ザザザザザザザザザザザザザ・・・・・・
勇者「・・・・・・。」
勇者(元気なお爺さんだ。・・・察するに世話してる人が逃げ出してしまったようだが・・・本当に足が速いな。)
勇者(・・・・・・・・・・・・爺さん以外出てこないな?)
勇者(・・・今日はもうやめておくか。これが何かしら影響を及ぼすかもしれない。見つかっては行けないこの状況では不確定すぎる。)
ガサ、サラサラサラ
勇者「・・・」
・・・サク・・・・・・サク・・・・・・
勇者(人は居ない、今のうちにある程度はなれなければ、とりあえずこの木を迂回して・・・)
・・・・・・サク
勇者「・・・。」
青年「・・・。」
青年「・・・!き、君はだれだ!僕の村の者じゃないな!?」
バッ!
勇者「・・・!!」
ズダッ!!ズザザザザザ・・・・・・!!!
勇者(見つかった!!大急ぎで祭壇までに撒かなくては!)
《ピュィィィィィィィィィ!
勇者(笛の音!ほぼ間違いなく人を呼ぶ合図!大急ぎで逃げる!)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
ズザザザザザザザ
勇者(・・・追ってくる音がしない?)
チラ
青年「・・・・・・」
勇者「・・・!」
勇者(追ってきている!同じ速さで!まったくの無音!)
勇者(なるほどコレは恐ろしいな!さて、他の装足族に見つかる前に監視圏から離脱しなくては。)
勇者「・・・すぅぅぅ・・・・・・。」
勇者(・・・全力で逃げる!!!)
457 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:18:24.88 ID:b0dXERq7o
ズザザザザザザザザザザザザザ・・・・
青年「!?くっ!」
勇者(よし、全力なら俺のほうが少しだけ速い。これなら・・・)
ズザ!!
ズザ!!
青年「・・・。」
勇者(む!方向転換をすると追いつかれる!俺の方は曲がるときに少し遅くなってしまうからか。)
勇者(全くの減速なしで方向転換可能とはすごいな。最大速力は俺が上でも場所が森では追いつかれてしまうかもしれんな。)
勇者「なぁ君!俺はこの島を出たいんだが何か方法を知らないか!?」
青年「・・・・・・。」
勇者(無視。この状況では無理か。)
青年「・・・・・・すぅ。」
指≪すっ≫
勇者(場所を知らせる気か!いかん止めなければ。・・・よし。)
枝《バキ!》
青年「!」
勇者「・・・」
ズザザザザザ
枝《ボキ!バキ!》
勇者(3つに分けて・・・)
青年「・・・・・・」
勇者「あたるなよ?」
青年「!」
ポイ
ズガン!!
ドカ!
バキン!
青年「ぐあっ!!」
勇者(よし!速いのは足だけ!高速で手を動かす事は出来ん!眼で追いついてもこのスピードには対応できないようだな!)
勇者(しかし足を狙った枝は完全に砕けたな。足だけ頑丈か。)
青年「ぐっ!くそ!!」
勇者「突破口発見だ。」
勇者(いつでも指笛を妨害できるように枝や石を拾っておくか。)
勇者(・・・しかし足が頑丈という事は気軽に足止めができないな。気絶するまで石を投げては友好的な関係を築けなくなりそうだし・・・)
?「・・・カー・・・」
勇者(む?)
爺「若ー!!探しましたぞぉぉぉぉ!!」
青年「・・・・・・。」
勇者(別方向から合流!?いったいどうやって!)
爺「侵入者ですな!応援を呼びましょうぞ!」
勇者「ちょっと待ってくれお爺さん!俺は別にあなたたちに危害を加えようとしたわけじゃ・・・」
458 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:18:59.20 ID:b0dXERq7o
爺「たわけがぁ!!我らが縄張りに入った事、神の元に送られた後も永久に後悔するがいい糞ガキ!!」
勇者「・・・口が悪い爺さんだな・・・・・・。」
勇者「島を出て行く方法をしらないか!それさえ分かれば俺は大人しく出て行くぞ!」
爺「よろしい!教えてやろう!その方法はたった一つ!」
勇者「・・・・・・。」
爺「儂の弓に貫かれて神の元へ送られる事だけよぉ!!」
ヒュパ!
ギリギリギリギリ!
勇者「予想してた。しかし弓か、どれだけの命中率を・・・」
爺「―――」
ヒュッ
勇者(・・・跳ん、だ・・・!!)
勇者(これが装足族の弓の打ち方か!)
勇者(跳んでる間は静止している!腕へのぶれも無い!だから、命中率が!)
ズダ!
ズバンッ!
勇者「うぉっ・・・!」
青年「・・・・・・。」
勇者(保てると言う事か・・・!弓を撃たれると方向転換が必要だ!つまりそれは間を縮められる事を意味する!)
爺「ひー!老体には堪えます!追いつくだけで精一杯じゃ!お前一体何者!装足族に足の速さで勝つなどとは!」
勇者「俺はこの島の人間じゃない!だからここから出たいだけだ!」
爺「たーわーけー!!水にさえ立てる装足族が越えられぬ海をおぬしゃどうやってこえてきたというのか!!」
勇者「瞬間移動みたいな物だ!あなたたちが言っている神のような存在にここに飛ばされてきたんだ!」
爺「嘘八百を並べおって!粛清してくれるわぁ!!」
勇者(俺がしていた想像の装足族とだいぶ違うぞ。こんなに口が悪いとは思わなかった。)
勇者(しかしまいった。直線が続けば俺は引き離せる。しかし直線ではあの爺さんが弓を使ってくる)
勇者(つまり俺は直線や曲がり角であの青年に距離を縮められてしまう。べつに追いつかれてもなんとかなるかもしれんが・・・)
勇者(このスピードで投げ飛ばしたらどうなる?守られてるのは足だけ。こんなスピードでどこかに叩きつけられたら、頭なんて熟れた木の実のようなものだ。)
勇者(あまり怪我させたくなかったが・・・・・・、仕方が無い。俺も妨害を積極的にやらせてもらおう。)
勇者「これから俺はあなたたちを妨害するぞ!怪我しても恨むなよ!」
爺「こんくそがきゃぁ!若に傷ぅつけたら神の下に送った後も追いかけて身が擦り切れるまで射ったらぁ!!」
勇者「・・・・・・それに関しては手遅れだな。」
青年「・・・・・・。」
指≪すっ≫
勇者「・・・・・・」
ヒュヒュ!
バシ!ドカ!
青年「ぐっ!」
爺「わわわ若ーー!!きさんなんちゅぁことゃぁあああああああ!!!」
勇者「・・・怖い爺さんだ。」
勇者(一つはじいたな。複数で妨害しないと止められないか。)
459 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:19:33.32 ID:b0dXERq7o
爺「殺す!殺す!!ぜぇえったいころぉぉぉぉす!!!!」
ヒュパ!
ギリリリィ!
ズダッ!
ズバン!!
青年「ぐっ!」
バシバシ!
爺「ぐぬぁ!!」
ドカッ!
勇者(弓をよける瞬間に妨害すれば飛んでいる以上よけられまい。)
爺「えっだぁぁぁあ!!!きぃしゃぁぁぁぁ!!こぉろぉぉぉぁああああああああああああああ」
勇者「・・・・・・角でも生えてるんじゃないかあの爺さん。」
勇者「・・・む。」
勇者(川か。飛ぶしかないか。)
ズダン!
ズダン!ズザザザザザザザザ・・・
青年「・・・・・・。」
爺「ま・ち・や・が・・・・・・」
勇者「!」
くしゃ
くしゃ
くしゃ
くしゃ
スタ・・・
ドヒュン!
爺「れぇぇぇぇえええええええ!」
勇者「!」
勇者(落ちている途中の葉を足場替わりに!孫が言っていた事だが、目の当りにすると信じられん!)
勇者(・・・・・・妨害に使えるか・・・?)
勇者(時間をだいぶロスするが、試してみるか!)
勇者「・・・・・・。」
スパン!ガサァァァァ!
勇者(落ち葉を大量に巻き上げる!そして方向転換!)
青年「ぐ!」
ヒュッ!
爺「小癪な!!」
ヒュッ!
勇者(飛び越えるしか無いようだな!あのまま突っ込めば足裏に落ち葉があたり、ひっかかる!)
勇者(それを防ぐには飛び越えるしかない!)
勇者(俺は直角に曲がれるがあっちはそうはいかない!少しだが差がひらいた!)
勇者(だがこれもあまりに距離が開くとできないな。)
勇者(・・・さて、どうやって撒くか。俺には2つの手段がある。)
勇者(一つ、俺の体力を生かして走りまくる。あの爺さんは『老体には堪える』といった。)
勇者(つまり肉体的疲労があるのだろう。確証があるわけではないが試す程度の価値はある。)
勇者(二つ、落ち葉をさっきより大量に巻き上げ隠れる。うまく撒かれたと勘違いしてくれればいいが・・・・・・。)
勇者(リスクが高いし、今すぐ使える距離でもない。最後の手段か。)
勇者(近接を挑むという手段もあるが・・・・・・あまりやりたくない。最後の最後だな。)
勇者(もし爺さんのように別方向からの奇襲や待ち伏せがあった場合はするしかない。)
460 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:19:59.78 ID:b0dXERq7o
勇者(妨害手段もあるしな。追いつかれる可能性は低い・・・が、時間をかけるのは良くない。)
勇者(対策される可能性が高いしな。なにかないかな・・・・・・。)
爺「まさか、装足族に追いつけん奴が存在するとは!若ぁ!どうしますかぁ!」
青年「・・・・・・。」
爺「わかり申したぁ!」
勇者(・・・・・・何も言っていなかったぞ?)
勇者(・・・妨害を増やして少しずつでも離れておこう。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
長「・・・・・・。」
門番「・・・・・・元気がありませんな。」
準長「・・・妹がいないからな。」
門番「仕方が無い事ですな・・・長である以上の責務ですから。」
準長「・・・長である以上、処罰を与えなければいけなかった。例えそれが娘でも。」
門番「私にはまだ子供はいませんが、同じ状況になれば間違いなく躊躇するでしょう。素晴らしい決断力です。心中お察しします。」
準長「・・・たしかにさびしいのだろう。自分の子供をその手で断ずる必要が出、それを躊躇せず行った。気にやんでいるだろう。」
準長「・・・・・・だがきっと嬉しくもあるだろうな。」
門番「なんですと?もしそうなら、なぜ?」
準長「あの子は、母が死んでから、俺や、父に依存していた。」
準長「俺はその場にいなかったが、妹はじいちゃ・・・長老を助ける為に父に逆らった。」
門番「・・・・・・依存していた存在に逆らった、と。いうなれば巣立ったという事ですかな。」
準長「そうだ。だからこそ、この処罰はその巣立ちの証。そこに寂しさも覚え、嬉しさも覚え・・・・・・。」
門番「・・・よくそこまでわかりますな。」
準長「・・・・・・俺も、同じ気持ちだからな。」
門番「・・・・・・なるほど。帰ってくるのが楽しみ、ですか?」
準長「あぁ。妹が帰ってくるとき、いったいどうなっているのか。今から楽しみで仕方」
ドヒュウ!!
ドヒュドヒュゥ!!
準長「・・・!」
門番「な、なんだ!?今のは・・・装足族か!」
準長「いや・・・元客人だ。もう二人は装足族だろうが。」
門番「よ、よくわかりましたな。私には影しか・・・・・・。」
準長「相変わらず苦労しているようだ。」
門番「・・・あいつとも奇妙な関係ですなぁ。恩人ではありますが、我らの誇りの敵とは。」
準長「そうだな。皆、少なからず恩義を感じている。だからこそ、追手を出す事を提案するものが居なかったのだろう。」
長「・・・・・・おい!てめぇら気ぃ抜いてんじゃねぇ!いいかげん進むぞ!」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
461 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:20:26.40 ID:b0dXERq7o
ザザァァ・・・・・・ン
ザザァァ・・・・・・ン
ズダダダダダダダダダダダ・・・・・・!
爺「待たんかいくそがきゃぁぁぁぁぁ!!ゼェ、ゼェ!」
青年「・・・ハッ・・・ハッ・・・。」
勇者(岩場でも平然とついてくる。悪路にも慣れているんだな。)
勇者(もう夕方か・・・相変わらずここは眺めがいい。)
勇者(そろそろあの場所だ。あそこなら俺も少しは面白い動きができる。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
ズザザザザザザザザザザ・・・・・・!
勇者「・・・よし、ここだ!」
ズダ!
ズダ!
ズダン!
ズダ!
ズダン!
ズサァァ!ザザザザザザザ・・・・・・
青年「・・・ゼェ・・・ゼェ!すごいな・・・ゼェ!」
爺「ハッ・・・ハッ・・・圧巻ですなこれは・・・!!」
勇者(ここは俺が孫とかけっこしていた場所!木々の位置などは覚えている!)
勇者(この三次元の動き、どこまで追える!?少しでも俺を見失えば、差は大きく開くぞ!)
爺「だが・・・!」
青年「・・・・・・!」
スッ
スッ
スタン!ドヒュゥ!
勇者「うお・・・!」
勇者(普通に追いかけてきた!)
爺「はん!他族を相手取るならまだしも、こんなこと装足族は子供の頃からやっとるわぁ!ゲハー!」
勇者(な、なるほど。子供もこの速さなのか。たしかにあの足があれば子供の追いかけっこがこの領域になりそうだ。)
勇者(しかしどうするか。ここを頼りにしていたのに、この場所は木々の間隔がさっきより狭い。少しずつ差が縮められている。)
勇者(そろそろ開けた場所にでる。そこでもっと差をあけなければ・・・)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
462 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:20:56.43 ID:b0dXERq7o
爺「ひぃー!じ、じいにはそろそろきっついですじゃぁーー!」
青年「ゼェ!ゼェ!」
爺「そ、そうですな!差は縮まっております!もう少しですなぁ!ぶはーー!」
勇者(もうすこしか。間を広げなくては。)
勇者「・・・ふっ!」
スパン!ガサァァァァァ!
青年「!」
シュラ
爺「よっしゃぁぁぁぁ!」
スッ
青年「―――」
クシャ
シャ
シャ
シャ
シャ
ドヒュウ!
青年「―――」
勇者「うお!!」
勇者(巻き上げた木の葉を、階段を上るように!)
勇者(接敵された・・・!手に小刀を持っている!)
ヒュンヒュンヒュン!
スカスカスカ
勇者(この子が俺を足止めし・・・!)
爺「―――」
勇者(爺さんが弓で俺を狙う!くそ!逆手に取られた!)
シュラン!
青年「―――」
ヒュヒュヒュ!
ガギ!キン!ギャリン!
勇者「くっ!」
勇者(左手がふさがれ・・・!)
爺「―――!」
ズバン!
勇者(このルートは俺の胸にあたる
左手のナイフで防げば当たる瞬間の隙を狙っているこの子にやられる
ガントレットは左手はじくことはできない
身を捩じれば急所は外せるしかしそれでは追いつかれる)
ガキキキン!バシ!ザシュゥ!
青年「!」
爺「なんと!若の小剣を防ぎながら飛んでくる矢を握るとは離れ技を・・・・・・!」
勇者「っつ!」
ドカン!
青年「ぐは!!」
スタン!
爺「わ、若!!」
463 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:21:34.88 ID:b0dXERq7o
勇者「・・・・・・!」
ドヒュン!
ズザザザザザザザザザ・・・・・・
青年「・・・・・・!」
爺「わ、わか!しかしそれは!」
青年「・・・・・・。」
爺「わ、わかりもうした。どうか、お気をつけて。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
ザザザザザザ・・・
勇者「・・・・・・。」
勇者(諦めてくれたか・・・・・・。矢を掴むなんて初めてやった。手の肉がえぐれてしまった。)
勇者(足跡がつかないように木の上を通るか・・・・・・。念のため、すぐに帰らずにすこし遠回りしてから帰ろう。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇〜夜〜
勇者「・・・・・・?」
勇者(誰も居ない・・・?何かあったのか?)
カツ・・・カツ・・・
勇者(・・・・・・)
勇者(焚き火のスス。・・・まだ熱が残っているな。なのに使用した薪がない。)
勇者(つまり、ここに居た痕跡を急いで消した、ということか。)
勇者(理由は何かから隠れる為だろう。痕跡を消す余裕はあったらしいからな。)
勇者(気づいたのは孫。隠れる余裕を持って気づけるのはあいつしかありえん。)
勇者(・・・そして孫が注意して見るものと言えば・・・・・・俺、か。つまり・・・・・・)
勇者「・・・・・・つけられていたのか。」
シュッ
ガキン!
青年「・・・・・・。」
勇者「後ろから腎臓をねらって突きとは。怖い事をするな。」
青年「・・・君のお仲間はどこへいったんだい?」
勇者「仲間?俺はひとりぼっちだ。仲間になってくれるような人とはこの島ではまだ会った事が無い。」
青年「・・・・・・うん。確かに、仲間になってくれそうな人はいなそうだ。だけど・・・・・・」
青年「君はなぜ僕の接近に気が付いた?地面が落ち葉なら装足族でも多少は音はなるよ。だけど、ここは石畳。」
青年「音なんて、立たないよ?」
勇者「・・・・・・殺気を知っているか?野生に近い暮らしをしているとそれに気づく事ができるようになるぞ。こんど試してみるといい。」
青年「そんなまやかし、信じられないね。君はこの場所の不自然さに気づいたのだろう?」
勇者「別にまやかしじゃないんだが・・・。ちなみに根拠は?」
青年「・・・そこのススは、焚き火の跡だね?」
勇者「・・・これは俺が朝使っていた後だ。」
青年「燃やした薪はどこへ行ったんだい?」
勇者「ここを使用している痕跡を万が一にも見つかりたくなかった。だから隠した。」
青年「万が一にも気をつけていたのにススの事は忘れていたのかい?」
勇者「落ち葉で隠していたんだがな。風でも吹いてしまったんだろう。」
青年「・・・ふふ。確かに君はこの島の者ではないようだね。」
464 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:22:15.10 ID:b0dXERq7o
勇者「?」
勇者(しくじったか?)
青年「確信したよ。君にはお仲間が居る。その自信は、知らないからこそ出てくる自信だ。」
青年「あぁそう、根拠はね。君が薪を拾うといった行動を一切してない事だ。」
青年「本当に一人なら、そういった行動を取る必要があるだろう?あれだけ走り回ってご飯を食べなくていいというのも信じられないしね。」
勇者「・・・疲れたからさっさと寝たかっただけだ。」
青年「はは、君に近づいたとき汗を一滴もかいてなかったじゃないか。息切れも無かったしね。信じられないけどこの目で見ているからね。」
青年「そうそう、話の続きだけどね。この場所はね、我らが神への供物を届ける聖なる神殿なんだ。」
勇者「それがなんだ?」
青年「我らが神は風神。この場所は神の保護により、一切風が吹かない場所なんだよ。」
勇者「・・・不思議な事を言うな。風神の保護があるから、風が吹かない?普通は逆だと思うぞ。」
勇者(どういうことだ?それが本当ならば、なぜここだけ風が吹かない?)
青年「そんな事は知らないよ。でもね、供物を届けるときは蝋燭をたてるんだけど、ここでは燃えきるんだよ。」
青年「この意味が分かるかい?他の場所ではそうは行かないよ。」
勇者「・・・なるほど。確かに蝋燭がついている間は、風が吹かない事になるな。」
勇者(蝋燭?多腕族の特産じゃないのか?いやそんな事より、他の場所では風が吹くのに、ここでは吹かない。つまり・・・)
青年「ハハハ、詭弁だねぇ。結構好きだよそういったお話は。」
勇者「お褒めに預かり光栄だな、若。」
勇者(・・・・・・ここは、台風の目か。外の嵐のちょうど真ん中。)
青年「ふふ、冗談も言えるんだね。」
勇者「確かに風が吹かない事は知らなかった。だが何だって言うんだ?動物が通ったのかもしれないぞ?」
青年「・・・・・・足跡、見える?そんなに頻繁に動物が通るなら、足跡が残っててもおかしくは無いよ。近くに沢もあるからね。」
勇者「・・・・・・そうか?これだけ落ち葉があれば、付かないかもしれんぞ?」
青年「必死だね。そんなにお仲間の事を知らせたくないのかな?皮肉だけど、その態度が仲間の存在を知らせているんだよ。」
青年「もし君が本当に一人なら、この話題にそんなに時間を割かないよ。さっさと次に移るさ。」
青年「不自然さ。お仲間が大事だからこそ、万が一にも悟らせたくない。だからこそ、必死で否定する。」
青年「君の自然さは驚嘆するけどね、態度以外から何も悟らせてくれない。」
勇者「・・・・・・鼻高々と講釈を垂れているのが気に食わないだけさ。」
青年「ふふ、ご清聴ありがとうございました。」
青年「さ・・・て、君のお仲間は、心眼族なんだねぇ。君も気づいていない追っ手に気づくなんて、彼らしかありえないよ。」
勇者(特定されてしまったか・・・・・・。多腕族のようにならなければいいが。)
青年「・・・まぁ、別にどうでもいいけどね。今居ないなら追う理由も無い。」
勇者「長く話した割には扱いがぞんざいだな?」
青年「大事なのは君だけだからね。」
勇者「それはありがたいな。俺を大事だと言ってくれるのは外の仲間くらいだ。」
青年「あははは、うんうん君は大事さ。とぉーってもね。」
青年「君とお話してると楽しいよ。ほんと。でもね、僕らの領域、侵した事は・・・・・・」
勇者「・・・・・・。」
勇者(来る。)
465 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:22:36.43 ID:b0dXERq7o
青年「犯した者の血でしか贖えないんだよね!!」
ガキン!
ガキン!
ガガキン!
青年「ハハハハ!君の首を切り取り!祭壇に捧げよう!」
ドヒュン!
ガガガガ!
ガリ!ギャリ!
ヒヒヒン!
キキキン!
ドヒュ!
青年「アハハハハハハハ!大事さ!なんていったって君の血しか意味がなさないのだから!」
勇者「一滴くらいならあげてもいいぞ。」
勇者(・・・足の速さは同じくらいだが、手の速さは俺の方が上。)
青年「あはは!残念だけど、君の全てが必要なんだ!」
勇者「プロポーズか?」
青年「アハハハハハ!受けてくれるかな!?」
ドヒュン!
ガキン!
ドヒュ!
ガキン!
勇者(言動から察するに、トリッキーな事が得意そうだ。)
勇者「悪いが受ける事はできないな。そっちの趣味はない。」
青年「ふふ!僕もないよ!しかし、君!僕の小剣に対抗できるなんて!ほんと君は楽しいな!」
ガリン!
ガリン!
勇者(・・・・・・剣の軌道に変化を付けられると困るな。)
勇者「・・・対抗?間違えているぞ。」
青年「なにがどう間違えているのかな!?」
ドヒュ!
ギャリギャリン!
ガギン!ガギン!ガギン!
ヒュ!
スカ!
ガキィン!
勇者(なんとか怒らそう。そして・・・・・・)
勇者「合わせてやっているんだよ。俺が、お前に。」
青年「戯言を!」
ドヒュ!
ガガガガガガガガガガ・・・!
勇者「遅いぞ。この程度か?」
青年「ハハっ!強がりを!」
ガリン!
青年「―――」
ヒュ―――
シャリン!
466 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:23:02.99 ID:b0dXERq7o
勇者「・・・ふぅ。いい加減にしろ。俺はいつまでお前を気遣わなければ行けないんだ?」
青年「何・・・!」
勇者「俺は、お前に、怪我をさせない様、いつまで丁重に扱わなければいけないんだ?」
青年「・・・!」
青年「・・・っ・・・フフッ!これを見ても・・・!」
ドヒュ!
ドヒュ!
ドヒュ!
青年「減らず口が叩けるかい!?」
勇者「お、奥の手か?人の意識に入り込むような、独特な足取りだ。なれていなければ複数に見えるのかもな。」
青年「見たことがあるとでも!?」
勇者「無い。だが・・・・・・」
シュラン
青年「!!」
勇者「お前にナイフはいらないようだ。」
勇者(・・・・・・ここまでやれば、攻撃も単調になるだろう。後は来る方向さえ分かればいい。)
青年「・・・・・・無礼るな!!!!!!」
ヒュォオ!
-----------------------―――――――――――
勇者「―――」
スカ
青年「!!!」
勇者「―――」
ガシ!
青年「ッ!」
ドヒュ・・・
グィ
―――――――――――-----------------------
ズダァン!
青年「がぁぁ!」
勇者「最後の蹴りはヒヤリとしたぞ。格闘術の方が向いているんじゃないか?」
青年「っっが、あ!」
勇者「君はまだ幼いな。あんな言葉で怒るのは、その証のようなモノだ。」
スポ
青年「あ・・・っ!!かえ、せ!」
勇者「立てるようになってから言え。」
青年「それは、僕の!」
勇者「大事な物か?安心しろ、ただ預かっているだけだ。そのうち返す。」
勇者「ふぅ・・・・・・」
勇者(あーあぶなかった。俺の土俵とは言え刃物に素手は怖いな。勢いを殺すために投げる直前に溜める必要があったし。抵抗は想像していたが、怖かった。)
勇者(だがこれで力の差を思い知らせただろう。俺には挑む気にはならないくらいには・・・・・・)
467 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:23:33.09 ID:b0dXERq7o
青年「ぐは!くそ!変え、せ!!」
ヨロ!
勇者「おっと」
ドサァ!
青年「ぐ・・・!」
勇者「わかったわかった返すよ。でも君は俺に負けたんだから、抵抗するなよ。」
カタン
パシ!
青年「グッ・・・!」
勇者「・・・・・・。」
水筒《チャプ》
勇者「・・・」グビっ
勇者「ほら、水だ。毒見はしといたぞ。」
ぽい
パシ
青年「く、くそ・・・!」
バシャバシャ!
勇者「少しは痛みが引いたか?」
青年「〜〜っき、君のあの技は一体なんだ!転ぶのに慣れている僕が全く受身を取れなかったぞ!」
勇者「あーあれは、武術というものなんだが、投げられるのに慣れてないと受身なんて取れない。転ぶと投げられるの受身の取り方は違うからな。受け売りだが。」
勇者「さて、さっきは答えてくれなかったが、この島を出る方法を知らないか?」
青年「いってて・・・・・・。し、知らないよ。知っていたら、僕はここには居ない。」
勇者「? 君も出たいのか?この島から?」
青年「・・・・・・昔の話。今は出る気はないよ。」
勇者「そうか。他、外に出る事につながりそうな情報は知らないか?」
青年「うー・・・・・・そうだな。情報でもなんでもないけど、僕は有翼族が怪しいと思っている。」
勇者「有翼族?」
青年「あぁ。彼らは空を飛べるらしいからね。もし、外に出ることに成功した人たちがいるなら、僕らか、彼らしかいないと思う。」
勇者「ふむ?」
青年「だけど装足族が外に出たという話は聞かない。だったら後は可能性があるのは、彼らだけ。」
勇者「なるほど、消去法か、希望的観測だらけだが。」
青年「言うとおりだね。すでに推測じゃない。妄想だ。でも・・・」
勇者「それしか可能性は無いか。」
青年「そ。」
勇者「だが問題の有翼族だが、もう居ないそうじゃないか?」
青年「うーん・・・・・・いないわけじゃない、と思うんだ。」
勇者「?」
青年「・・・・・・。」
ジロジロ
勇者「??」
468 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:24:06.57 ID:b0dXERq7o
青年「君は確かにこの島の者じゃない。それは推測できたけど、確信がほしいな。なにかない?」
勇者「・・・なぜだ?」
青年「こっちにも事情があるの。万が一でも君が他族であってはいけないんだ。」
勇者「そうか。・・・・・・そうだな。例えばこの右腕の石を見たことがあるか?」
青年「んー?・・・!!・・・・・・なんだい、これ。なんて、綺麗な石・・・。まるで、空を抜き出したかのような・・・」
勇者「これは俺が仲間から貰ったものだ。とても高級で、希少なもので、作るのに苦労する石だ。」
勇者「だが、俺にとってそれは副次的な価値だ。もともとこの石は仲間が身につけていた物なんだが・・・。」
勇者「これを持っていると、傍に居てくれる気がするんだ。その仲間は、強がりだけど、実際強いんだ。」
――――――――――――――――――――――――
テントの中
女僧侶「へっくしょ!」
女商人「!」
女戦士「ど、どうした?風邪か?」
女僧侶「い、いえ、寒いからかと思います・・・?」
――――――――――――――――――――――――
勇者「つまりこれは俺の外への繋がりの一つだ。この島には恐らく無い物だしな。」
青年「なるほどなるほど。うらやましいな。大事な繋がり、か。」
勇者「あぁ。他にも例えばこのブローチ。これは手作りの品だ。聡い子がいてね。その子がくれたんだ。」
――――――――――――――――――――――――
女魔法「ックシ」
女商人「だ、大丈夫ですか?」
女魔法「・・・だいじょぶ。」ズズ
――――――――――――――――――――――――
青年「君の子かい?」
勇者「ハッハッハ!いや違う。たまに勘違いしそうになるけどな。血のつながりはない。」
勇者「だが心は確かに繋がっている。」
青年「へぇ。・・・親馬鹿そうだね君は。」
勇者「かもしれないな。だがあの子は本当にいい子だぞ?」
青年「その腕の無駄に目立つ物も贈り物かい?それとも君の趣味?」
勇者「はは、これも贈り物だ。これをくれたのは不器用な友人でな。」
――――――――――――――――――――――――
女戦士「ハックショい!!」
女僧侶「きゃっ!は、はなを飛ばさないでください!」
女戦士「わ、わりい。しかしなんだ急に。・・・・・・」
――――――――――――――――――――――――
勇者「自分の愛用品をそのままくれたんだ。こんなに目立つのは、常に全面に立つ決意を表しているからだ。敵と切り結び、殿を務める、その決意だ。」
青年「へぇ、いいねその考え。仲間を守る役目なんだね。・・・見たところそれで最後かな?」
勇者「・・・・・・あと一つ、ある。このガントレットの下に、大事な証が。」
青年「へぇ、どんなの?」
勇者「・・・・・・。」
ガチャ、ガチャ、ガチャン!
―――スッ
青年「腕輪かな?そんなに綺麗なものじゃないけど、装足族にもあるね。」
勇者「これは・・・・・・結婚の証だ。といっても、妙な状況になっているんだが。」
青年「結婚!・・・へぇ。ちなみにどんな状況?」
469 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:24:33.20 ID:b0dXERq7o
勇者「・・・これを貰った時、安全祈願だと嘘をつかれた。その後いろいろあって、意味は伝わったんだが、まだちゃんと約束していないんだ。」
青年「証を貰ったのに約束していない。本当に妙だね。」
勇者「これをくれた人は・・・恥ずかしがりやでな、見ていて微笑ましい人なんだ。」
――――――――――――――――――――――――
女商人「はっくしょっ!」
女戦士「予想通りだな!」
女僧侶「くしゃみをまじまじと見るなんてはじめての経験です!」
女魔法「商人だいじょうぶ?」
女商人「うぅ・・・これで全員くしゃみしましたね・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
青年「・・・・・・。」
勇者「どうした?」
青年「いやね・・・・・・君の眼は、ずいぶん表情豊かだな、と思ってね。」
勇者「・・・そうか?」
青年「うん。眼だけでこんなに感情が伝わってくるのは、久しぶりかな。」
青年「君の目は、慈愛の眼だよ。見ていると落ち着けるし、無条件で信じてみたくなる。」
勇者「・・・・・・。」
ガチャン!ガチャ、チャ
青年「あぁ、いいね。君の話は興味が尽きないな。聞いてるだけで時間が過ぎちゃうよ。」
青年「君の小剣も見せてくれないかい?この島にはなさそうだけど。」
勇者「そろそろそっちの話を聞かせてくれ。」
青年「あぁ、うん。そだね。そうしようか。」
青年「んー・・・・・・僕はね。有翼族と装足族の混血なんだ。」
勇者「!」
青年「ここでの他族の混血は禁忌みたいなものさ。掟で決まっているわけではないけど、掟を破らなきゃ出来ない存在だからね。」
勇者「・・・そうだな。だが、子供に罪は無いはずだ。」
青年「そだね。爺やもそういってくれてる。でも、大概の人は親の罪を子供にも感じるものさ。」
青年「それでね、有翼族は蜘蛛の大量発生で絶滅したといわれているんだけど、それは僕が生まれる前の出来事なんだ。」
青年「つまり、まだ数名は生き残ってる可能性がある。それに・・・・・・。」
勇者「・・・どうした?」
青年「・・・いや、こっちの話は主観的だし希望的すぎる。判断の参考にもならないかもしれない。」
青年「どうする?聞く?」
勇者「今はどんな情報でもほしい。是非、教えてくれないか?」
青年「・・・・・・僕は有翼族の混血といったね?」
勇者「ふむ。」
青年「でも僕には翼はない。じゃぁなぜ僕は混血だと考えたと思う?」
勇者「・・・・・・」
勇者(孫の話での有翼族は・・・、さっきの追いかけっこの時・・・。)
勇者「・・・・・・テレパシーか?」
青年「ご明察。すごいな君は。そう、君の推測の通り、有翼族には喋らずとも疎通ができる能力があったんだ。」
青年「このテレパシー、受け取り側にもなにか条件が必要みたいでね。僕の意思を受け取る事ができるのは装足族では爺やだけなんだけど・・・」
青年「僕にもきっと、受け取ることができると思うんだ。そして誰かの意思を受け取った気がする時があるんだ。」
青年「思って気がするなんて、さっきもいったけど推測でもなんでもない、妄想だよ。」
470 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:25:07.40 ID:b0dXERq7o
青年「それで、君はどうする?このいかれを信じる?」
勇者「あぁ、信じる。」
青年「・・・・・・すっごいねぇ君は。さっきまで殺そうとしてた相手を、そう簡単に信じるのかい?」
勇者「君は、俺の目を慈愛の目だと言ってくれたな。」
青年「あぁ、言ったね。」
勇者「君の顔は、随分寂しそうだ。」
青年「・・・。」
勇者「なにか、手助けしてほしいかのような・・・・・・そんな顔だ。」
青年「・・・それが僕を信じれる理由にどうなるのかな。」
勇者「・・・・・・。」
青年「・・・・・・参ったな。君には勝てる気がしないや。」
青年「はぁ・・・・・・ここからは本当の話。僕はね・・・親を探してみたいんだ。」
勇者「・・・・・・。」
青年「物心付いたときには、どっちも居なくてね。どうも母親の方が装足族らしいんだけど・・・」
青年「・・・・・・きっと、有翼族の父親と、幸せに暮らしていると思うんだ。村では、他族との交流は許されないから・・・。」
勇者「・・・・・・。」
青年「・・・・・・・・・・・・わかってるんだけどね。そんな可能性なんて、無いに等しいことくらい。」
青年「・・・でも、せめて生きてて欲しいんだよね・・・・・・。」
勇者「・・・そうか。」
青年「・・・・・・君は聞き上手だねぇ。なんで、話す気が無かった事まで、話しちゃうんだろ。」
青年「ごめんね。今の話を聞いたら分かると思うけど、有翼族が怪しいなんて話、半分はこじつけなんだ。」
青年「・・・・・・君はお人よしみたいだから、利用しようとおもって。ごめん。」
勇者「それでもよかった。結局俺には信じるしかないし、それに、」
青年「?」
勇者「人に頼られるのは、うれしいからな。」
青年「・・・。」
青年「は、はははは。君はキザだなぁ。僕、男なのにときめいちゃったよ。」
勇者「・・・そうか。」
青年「気をつけなよ?あんまりそういった言葉を吐かないようにね。相手が勘違いしちゃうよ?」
勇者「・・・・・・気を付けよう。」
青年「あーあ・・・・・・。名残惜しいけど、僕は帰るよ。爺やが心配する。」
勇者「そうか。」
青年「・・・さようなら。」
勇者「またな。」
青年「・・・・・・君はほんと、お人よしだな。」
青年「・・・。」
ドヒュ!
471 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:25:38.84 ID:b0dXERq7o
・・・ピタ
勇者「?」
青年「あぁそうそう!明日たぶん一人でどこかの誰かが来るからさ!お仲間と歓迎してやってよ!」
勇者「・・・わかった!そいつに伝えてくれ!昼くらいに来いってな!」
青年「伝えておくよ!たくさんのお土産をもって行って来いってね!」
ドヒュゥ!
勇者「・・・寂しがりやで恥ずかしがりやなのかな。」
勇者「さっ・・・て、明日は何を作ろうかな。塩がないと大変だからな。お菓子にでもするかな。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
夢
1106「おはよー」
1107「おはよー」
勇者「あぁ、おはよう。今日で二日目か?調子はどうだ。」
1106「みんなやさしー」
1107「いいひとー」
勇者「そっか、それはよかったな。」
1106「ねーゆうしゃ、文字教えてー」
1107「おしえてー」
勇者「はは、いいぞ。何か知ってる文字はあるか?」
1107「えっとね・・・」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「・・・そういえば今日は商人たちは来ないのか?」
1106「勉強終わってから呼ぶの。」
1107「私達が勉強してるのは秘密なの。」
勇者「なるほど・・・っと。うん今日はこんなところか。何かに書いて渡せたらいいんだけどな。」
1106「いいの。私達記憶力いいの」
1107「だいたいの事は覚えてるの」
勇者「そうなのか?だったらすぐ文字を使えるようになるな。」
1106「ほめて。」
1107「ほめてほめて。」
勇者「はは、いい子だ。」
ナデナデ
1106「えへへ。」
1107「えへへ。」
両方「呼んで来るね!」
勇者「あぁいってらっしゃい。」
勇者「・・・・・・。」
勇者「秘密、か。手紙でも書いて驚かせるつもりなのかもな。」
勇者「・・・・・・あの子達が文字を書けるようになれば、ひとやもすっきりするだろうな。」
勇者「いい方向に向かっている。俺が心配する事でもなかったか。」
勇者「・・・・・・。」
勇者「恋人、か。」
472 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:26:01.11 ID:b0dXERq7o
――――――――――――――――――――――――
同日 砂漠前の村 朝
鶏「コッコッコッコッ・・・・・・」
宿屋《おきてくださぁぁぁぁぁい!!!!
鶏「コケー!」
――――――――――――――――――――――――
宿屋
女僧侶「ほら!早く!今日出発ですよ!出発予定時刻はもうそろそろなんですから!朝ごはん食べる時間なくなりますよ!!」
女魔法「・・・はぁ〜、おはよ。」
女僧侶「おはようございます。ほら、顔洗ってきてください。」
女商人「・・・うぅ〜〜・・・・・・。」
女戦士「・・・ぐー・・・ぐー・・・・・・」
女僧侶「くっ、最近耐性が付いてきましたね・・・!」
女魔法「・・・いい加減魔法使ったら?」
女僧侶「駄目です。これは勝負のようなものです。意地と意地のぶつかり合いです。」
女魔法「・・・二人はそう思ってないと思うよ?」
女僧侶「己との戦いに負けたような気がするじゃありませんか。」
女魔法「・・・ふーん。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
ワーム屋
ワーム屋「おはよう・・・、待ってたよ。準備は・・・・・・できた、かな?」
女商人「すぅ・・・すぅ・・・。」
女僧侶「商人さん!起きてください!」
女商人「はっ・・・。あ、すいません、なんでしょう・・・・・・。」
ワーム屋「・・・・・・準備は万端かい・・・?」
女商人「え、えぇ。だい、じょぶ、です・・・・・・。すぅ・・・」
ワーム屋「・・・・・・・・・。じゃぁ、付いてきて。砂漠の入り口にもうワームが待ってる。」
女商人「すぅ・・・すぅ・・・。」
ワーム屋「・・・・・・。」
女戦士「・・・悪いな。朝が弱くてよ。」
ワーム屋「・・・よく寝るのはいいけど・・・水は定期的に飲ませる様に、ね。・・・とにかく、ひまだから・・・忘れがち・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
砂漠入り口前
ワーム「・・・・・・。」
女僧侶「こ、これがワームですか・・・・・・。大きい、ですね。」
ワーム屋「さて・・・・・・そのそりにテント張ってくれるかな・・・・・・?」
女戦士「わかった。ほら商人。テント。」
女商人「・・・あ・・・はい・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
473 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:26:28.87 ID:b0dXERq7o
――――――――――――――――――――――――
ワーム屋「うん・・・・・・上々だ・・・・・・。」
ワーム屋「・・・そう、君たち・・・金属の物を付けているなら・・・全部はずしておくんだね・・・・・・」
女戦士「なんでだ?」
ワーム屋「・・・凍傷に掛かる・・・・・・。冷えた金属に触らないように、注意して、ね・・・・・・。」
ワーム屋「いいね・・・欠損した体は・・・・・・回復できないんだからね・・・・・・。」
女戦士「わかった。ほら僧侶。イヤリングとれ。」
女僧侶「わかりました。ほら商人さん。寝てもいいですけど腕輪は取りましょう。」
女商人「あ・・・はい・・・・・・。」
ワーム屋「さて・・・最後の確認。」
ワーム屋「・・・・・・砂漠に入って何が起こっても、もうそれは君たちの責任だ・・・・・・。」
ワーム屋「それに・・・同意できるなら・・・・・・お金頂戴・・・。」
女商人「・・・はい。これが代金です。」
ワーム屋「受け取ったよ・・・・・・。ん、ぴったりあるね・・・・・・。」
ワーム屋「じゃぁ、これは僕からのサービスだ・・・・・・。」
女戦士「・・・なんだそれ。」
ワーム屋「君たちの人数分の水筒が入ってる・・・。・・・・・・テントの中でのみな。」
女商人「・・・貰います・・・・・・。」
ワーム屋「さぁ・・・テントに入って。ワームが動き出したら、できるだけ出ないようにね・・・・・・。」
女商人「・・・・・・。」
女僧侶「あ、あの・・・まだ説明を受けてないんですが・・・・・・。」
ワーム屋「そのかばんの中に・・・・・・紙が入ってる・・・・・・困ったらそれ読んで・・・・・・」
ワーム屋「ほら・・・ワームが焦れる・・・・・・。入って・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
ワーム屋「・・・魔力回路発動鍵詠唱開始」
――――――――――――――――――――――――
女魔法「・・・あれは」
女戦士「どうした?」
女魔法「・・・・・・なんでもない。」
女戦士「気になるな、教えろよ。」
女魔法「・・・何かの、魔方陣みたいななにかに、魔力を流してる。」
女戦士「それがどうした?」
女魔法「・・・・・・ワームに、なにか人為的な改造がしてあるみたい。」
女戦士「・・・なるほど。ちょっと気分が悪いな。」
――――――――――――――――――――――――
ワーム屋「詠唱完了・・・いってらっしゃい。帰ってきてね・・・・・・。」
ワーム「・・・・・・。」
ズズズズ・・・ズゴォォォォ・・・
――――――――――――――――――――――――
474 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:26:54.97 ID:b0dXERq7o
フォッ
女戦士「お・・・入ったな。」
女僧侶「明確に違いが分かりますね・・・うぅさっそく寒く・・・・・・。」
女魔法「・・・魔力湯たんぽ、魔力こめておいた。使って。」
女僧侶「これは、固まっていた方がよさそうですね・・・・・・。」
女戦士「そうだな、熱を最大限逃がさないように密集しとこう。商人寝てるしその近くでいいだろ。」
女僧侶「・・・あ、大き目の毛布もあるんですね。ちょうどいいですねみんなで羽織りましょう。」
女魔法「ふぅー・・・。」
女戦士「どうした?」
女魔法「息が白い。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
40分後
女戦士「・・・・・・ひまだ。」
女僧侶「・・・・・・暇ですね。」
女魔法「・・・・・・。」
女商人「・・・すぅ。・・・すぅ。」
女戦士「・・・暇だぞ。」
女僧侶「・・・・・・暇ですね。」
女魔法「・・・・・・。」
女僧侶「・・・あの。」
女戦士「なんだ?」
女僧侶「・・・妙に喉が渇きませんか?」
女戦士「あぁ・・・そういえば。」
女魔法「・・・・・・ここは、水分が奪われるらしい。」
女僧侶「そ、そうなのですか?」
女戦士「あ、そういえばそんな事言ってたな・・・・・・。水飲んでおいたほうがいいな。」
女僧侶「そうですね、さっき貰った水筒を・・・・・。」
女戦士「あ、メモくれないか?確認してみる。」
女僧侶「? 珍しいですね?貴方がそういったことをするなんて。」
女戦士「暇だからな。」
女僧侶「なるほど。・・・はい。水筒とメモです。」
女戦士「ありがとよ。どらどら・・・あぁうん。そう書いてあるな。1時間に一回は水を飲めってさ。」
女僧侶「そのくらい口頭で伝えてくれてもよろしいですのに・・・。」
女僧侶「はい、魔法さん。」
女魔法「・・・・・・ありがとう。」
女僧侶「・・・」
水筒《キュポ》
475 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:27:28.22 ID:b0dXERq7o
女戦士「・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・。」
女僧侶「・・・どうしました?」
女戦士「なんでもない。」
女魔法「・・・ふぁぁ・・・ぁ。」
女僧侶「?」
女戦士「ほら、商人いい加減おきろ。水飲めよ。おい、起きろって。」
女魔法「・・・ねむい。」
女僧侶「早起きしましたからね。次の時間に起こしてあげますから寝てていいですよ。」
女魔法「ん・・・。でも起きてる。」
女僧侶「そうですか・・・・・・。」
水筒《チャプ》
グビ
女僧侶「・・・?」
女戦士「おーい。おきろー。」
女魔法「どうしたの?」
女僧侶「い、いえ。少し・・・なんでしょうか。硬い、というか・・・」
女僧侶「普段飲んでいる水とは違いますね・・・?」
女戦士「あー凍りにくい特別製だってよ。気にせず飲んでいいぞ。」
女僧侶「そうなのですか?・・・まぁ味が悪いというわけでもありませんし、気にするほどでもないですね。」
女戦士「・・・大丈夫そうだな。」
女魔法「・・・・・・。」
女僧侶「? なにがです?」
女戦士「商人がそろそろおきそうだって事。ほんと寝起き悪いなこいつ・・・。」
女僧侶「毎朝私がどれだけ苦労しているかわかりましたか?」
女戦士「知ったところで起きれるわけでもないけどな。」
女僧侶「・・・・・・まぁ寝起きの悪さは諦めましたけど、開き直られるのは悲しいですね。」
女魔法「・・・っ!」
グビ!
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
3時間後
女商人「・・・・・・。」
女戦士「精神が病むなこれは。」
女僧侶「お尻が痛くなりそうです・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・。」
女僧侶「・・・。」
紙《ピラ》
女戦士「ん?読むのか?」
女僧侶「えぇ・・・。・・・あまりに暇ですから暇つぶしに・・・って、え?」
女戦士「どうした?」
476 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:28:03.48 ID:b0dXERq7o
女僧侶「あの・・・ワームからの水の取り方って書いてあるんですけど・・・・・・」
女戦士「それが?」
女僧侶「・・・これ、よだれ・・・ですよね?」
女戦士「おう、そうだぞ?」
女僧侶「・・・・・・さっき飲んだのは・・・。」
女戦士「お察しの通りだ。」
女僧侶「・・・・・・・・・・・・。」
女戦士「諦めろ。必要な事だ。」
女僧侶「ひ、ひとことくらい添えてくれたっていいじゃありませんか!!」
女戦士「言わないほうがすんなりいくと思ってよ。」
女僧侶「ひ、ひどい・・・・・・。」
女戦士「諦めろ。定期的に飲まなきゃ死んじまうんだから。」
女僧侶「・・・さっきひそひそしていたのは、私を実験台にしていたからですね・・・?」
女戦士「何のことだ?私達だって飲んだだろう?」
女僧侶「私が飲んだの確認していましたよね・・・!?」
女戦士「おう。」
女僧侶「ひとでなし!!」
女戦士「ふっふ・・・油断するのが悪いのさ!」
女僧侶「まさかそんな・・・確かに水の準備が不十分かなと思っていましたけどそんな・・・・・・。」
女戦士「そろそろ飲まないとな〜。ほらほら飲め。」
女僧侶「・・・・・・」
女戦士「過ぎた事だ諦めろ。もうお前の体の中をめぐってるよ。」
女僧侶「い、いやな言い方しないでくれます?」
女戦士「んっんっんっ・・・」グビグビグビ・・・
女僧侶「・・・貴方はたくましいですね。」
女戦士「いやー実際飲んでみるまでどんな酷い味なのかと思ってたんだけどな。思ってたより全然だからよ。」
女戦士「泥水より全然ましだ。」
女魔法「・・・泥水のんでたの?」
女戦士「おう。長期行軍訓練の時にな。本当ならそれなりに綺麗な川だったんだけど、いやー運悪く大雨の後でなぁ。」
女戦士「川が氾濫してて、まぁ渡ったんだけど水補給予定地をずらさなきゃいけなかったし、そこの水を飲む必要が出てな。」
女戦士「喉は相当渇いてたけど、美味く感じなかったよ。」
女魔法「・・・すごいね。」
女戦士「そーいう生水飲む場合はな、一回ぐつぐつ沸騰させるから、毒が入ってなけりゃ平気だ。」
女戦士「そのうちお前らもそういう必要性が出てくるって。今のうちになれておけよ。」
女僧侶「できれば勘弁願いたいですね・・・・・・。でも戦士さん、虫は食べれないんですよね?色々な訓練を経験しているのなら、食べれそうなものですが・・・。」
477 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:29:09.14 ID:b0dXERq7o
女戦士「あー・・・。お父様が偏食家でな・・・自称美食家なんだけど・・・・・・ちょっとトラウマが・・・・・。」
女魔法「どんなの?」
女戦士「・・・まぁ、ミミズとかナメクジとか・・・・・・」
女僧侶「あ、もうよろしいですよ。」
女戦士「・・・・・・あれは・・・うん・・・・・・。」
女魔法「・・・聞かないほうがよかった?」
女戦士「いや?別に、ただ思い出すのがつらいってだけだし・・・・・・。」
女僧侶「相当嫌な思いをしたんですね・・・・・・。」
女戦士「ま、まぁいいじゃないかこの話は。必要になったら・・・・・・うん、食べるしか、無いんだし・・・・・・。」
女僧侶「・・・それもそうですね。いつもわがまま言えるわけではありませんしね・・・・・・。」
女魔法「・・・商人、起きて。水飲まないと死んじゃうよ。起きて。」
女商人「うーん・・・・・・。」
女戦士「・・・こいつ放っておいたら一日中寝るんじゃないのか?」
女僧侶「否定できませんね・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
昼
女僧侶「・・・。」
紙《ピラ》
女戦士「ん?また読むのか?」
女僧侶「さっきは途中で読むのやめてしまいましたからね・・・・・・。」
女戦士「暇人だな・・・・・・。」
女僧侶「あなたもね・・・。」
女魔法「・・・戦士大きいね?」
女戦士「ん?背か?まぁ確かに女じゃでかい方かな。体のでかさは戦士には重要な事だからな。大きく生まれてよかったよ。」
女魔法「ちがくて、胸。」
女僧侶「ぶっ!」
女魔法「・・・僧侶汚い。」
女僧侶「す、すいません。あまりの事に驚いてしまいました。」
女戦士「どうした?いきなり。」
女魔法「・・・いつもは胸当てしてて、小さいから。」
女戦士「何回も一緒に風呂入ってたんだからもっと前から知ってたろ?なんで今更?」
女魔法「・・・暇つぶし。」
女戦士「そうか。まぁ、なんでもいいか。そうだなー・・・・・・。」
女僧侶「・・・・・・。」
胸《ガシッ!》
女僧侶「きゃっ!ちょ、ちょっと!?」
478 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:29:36.07 ID:b0dXERq7o
女僧侶「や、やめ!揉まないでください!」
女戦士「うーん確かに私のほうが大きいか?」
女僧侶「はぁ・・・はぁ・・・いきなり何をするんですか!」
女戦士「ん?大きさ比べだ。別に女同士だし気にするなよ。」
女僧侶「ひ、一言添えてください!」
女戦士「言ったらやらせてくれそうになかったからな。」
女僧侶「く・・・確かに否定はしませんが・・・・・・。れ、礼儀というものを知ってください。」
女戦士「ありがとーございました。」
女僧侶「くぅ・・・・・・。」
女魔法「さわっていい?」
女僧侶「っ!」
バッ!
女戦士「別にいいぞ?」
女魔法「・・・」
胸《フニフニ》
女魔法「やわらかい。」
女戦士「本当は無いほうがいいんだけどな。胸当てで固定しないと動きづらいんだ。」
女魔法「大きいとうれしいんじゃないの?」
女戦士「私は戦士だから・・・。本当は男に生まれるべきだったからな。」
女魔法「戦士十分強いのに・・・。」
女戦士「胸がなければ、男だったら、もしかしたら。」
女戦士「もっと強かったかもしれなかった。」
女戦士「大きければ嬉しい、というのは私の家系には当てはまらないな。」
女戦士「魔物には人間より優れた体を持った奴もたくさんいる。」
女戦士「そういう奴に勝つために、常に鍛えて最高の強さを保って、技術を上乗せしてないといけないんだ。」
女戦士「じゃなければいつか手からこぼれるものが出るからな。」
女僧侶「・・・。」
女魔法「・・・。」
女戦士「・・・安心しろ。お前たちは私がこぼれてでも、守るからよ。」
女僧侶「ふざけないで下さい。自分の命を軽んずるなんて、私達に対しての侮辱ですよ。」
女戦士「・・・まぁ、僧侶は役職柄自分を優先しなきゃいけない事もあるし分からないかもな。」
女僧侶「・・・?」
女戦士「守るっていうのはな、他人の命より自分の命を下に置くって事なんだ。」
女戦士「私が騎士ではなく戦士と名乗ってるのは、魔物と戦う事に特化しているからだ。」
女戦士「家系の特性である、魔を断ち切る能力のおかげで他の人間より攻撃能力が高い、」
女戦士「だから攻められる前に攻める。殺される前に殺せる。つまりだな、騎士より命を捨てなきゃいけないんだ。」
女戦士「だからこそ、生き残る事もある。命を軽んずるのは、戦士や騎士には、大事な事なんだ。」
女僧侶「・・・悲しいですよそれは。」
女戦士「そうだな。私もお父様を見ていてそう思ったことがある。」
479 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:30:16.38 ID:b0dXERq7o
女魔法「・・・ねぇ。戦士は、自分を人より下にしてるんだよね?」
女戦士「そうだ。さっきも言ったけど、だからこそ人を守れる。」
女魔法「だったら・・・戦士の事私の上に置いておくね。」
女戦士「・・・。」
女魔法「そうすれば、戦士の事守れる。」
女戦士「・・・ははは。」
女魔法「?」
女戦士「嬉しいな。私が小さい頃に出した答えと一緒だ。」
女魔法「そうなの?」
女戦士「あぁ。・・・そうだな。私が私の命を低く扱うなら、誰かが私の事を高く扱ってくれればいいんだ。」
女戦士「でも・・・いや。言わないでおくか。お父様も、私がこれを言った時はこんな気持ちだったんだな。」
女僧侶「・・・気になりますよ?」
女戦士「水を差したくないんだ。魔法の気持ちにさ。」
女魔法「・・・だいじょうぶ。私は後ろから守れる。」
女戦士「・・・んー。ほんと魔法は頭がいいな。私は子供の頃気づかなかったのにな。」
女戦士「でもそうだな。あくまで後ろから、な。前に出てくるなよ。」
女魔法「・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・そうだな。確かに、私が魔法の立場だったらそんな言い付け守りたくないな。」
女魔法「・・・ん。」
女僧侶「・・・通じ合ってますね。」
女戦士「ふふっ。相手の考えが簡単に通じてくれるのは嬉しいな。それが自分の守るべき物だなんて、な。」
女戦士「あーあ。考えてみれば初めてかな。私が守る、かー。」
女僧侶「ウフフ。戦士さんが入ったばかりの頃は勇者様につっかかってましたねー。」
女戦士「言うなよ。今思い出すと恥ずかしいんだから。ほんとアホだった。」
女僧侶「数ヶ月でここまで変わるものなんですねー。」
女戦士「大事なのはきっかけだな。可愛い子には旅をさせよってのは、本当なんだろうな。」
女僧侶「自分が可愛い子だと?」
女戦士「おー。私はかわいいだろー?」
女僧侶「ふふ、えぇ随分可愛げはありますねぇ。」
女戦士「もっとほめてー。」
女僧侶「頭なでてあげましょうか?」
女戦士「あはは。なでられた事なんて、覚えているのは一回だけだな。」
女僧侶「いいこいいこ〜」
女戦士「ハハハ、くすぐったくともなんともない。ほらおかえしおかえし。」
女僧侶「ふふ、確かにそうですね。なぜでしょうねぇ、子供の頃は嬉しく思ったものですが・・・・・・。」
480 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:30:41.44 ID:b0dXERq7o
女魔法「・・・・・・。」
女僧侶「っきゃ!」
女魔法「・・・戦士のが大きいね?」
女僧侶「ね、狙ってましたね!?」
女魔法「えへへ。」
女戦士「あははは。いいぞ、もっとやってやれ。」
女僧侶「まったく魔法さんまで。戦士さんに毒されるのは困りますよ?」
女魔法「・・・・・・。」
女商人「・・・んぅ・・・」
女魔法「・・・ちっちゃい。」
女戦士「ブフっっっっ!ク・・・・!」
女僧侶「ちょ、ちょっと、な、何笑っているんですか・・・!」
女戦士「い、いや・・・っ!だ、だってよっっっ・・・!不意を突かれたっていうかよ・・・!」
女戦士「と、というか僧侶も人のこと言えないけどな・・・っ」
女僧侶「は、はいはい、この話題はここまで!商人さんに悪いですよ!」
女戦士「・・・はー。笑いたくても笑えないのは辛いな。」
女魔法「・・・私もそのうち大きくなるかなぁ。」
女戦士「どうだろうな。こればっかりは大きくなってみないとな。」
女魔法「んー・・・・・・。」
女戦士「そろそろ腹が減ったな。飯にしようぜ。」
女僧侶「そうですね、そうしましょう。といっても保存食みたいな物ばかりですが・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
夕方
女戦士「うーりうり」
女商人「や、やふぇてくふぁふぁい!」
女戦士「なんていってっかわからねーなー、ほーれ。」
女商人「うぅー!」
女僧侶「ほら、魔法さんも体を多少は動かしてください。」
女魔法「なんで?」
女僧侶「紙に書いてあったのですが、長時間同じ体制で居続けると最悪死ぬ可能性があるそうです。」
女僧侶「狭い場所に押し込まれてる状態では気を付けないといけない、だそうですって。」
女魔法「へぇ。」
女戦士「っと、そういえば水が減ってきたな。どうやって入れればいいんだ?」
女僧侶「えっとですね・・・・・・。夜になれば勝手に止まるそうですから、その間に開けて並べれば勝手に入れてくれるそうです。」
女戦士「その瞬間を逃しちゃだめか。」
女僧侶「一応チャンスは2回ほどあるようです。朝、狩から帰ってきて少しの間なら入れてくれるようですよ。」
――――――――――――――――――――――――
481 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:31:07.37 ID:b0dXERq7o
――――――――――――――――――――――――
夜
女戦士「商人はさー。勇者のどこが好きなの?」
女商人「えっ!で、ですから、その、優しいところが・・・・・・。」
女戦士「それは前も聞いたよ。ほら、なんか具体的にさ。」
女商人「え、えっとその。・・・ほら!私が迷子になった時とかにですね!」
女戦士「あぁ、商人はそのまま寝て勇者が寝ずに火の番しててくれた話か?」
女商人「うっ!」
女戦士「あ、そういえば勇者と夜通し二人きりだったりしたこともあったよな。」
女商人「あ、え、えぇ。ウッドキングの時の話ですよね。」
女戦士「それでそのとき何したんだ?」
女商人「えぅ!な、なにも・・・できなかったです・・・・・・。」
女戦士「本当か?」
女商人「ほんとうです・・・・・・。」
女戦士「ん?そういえば勇者を夢の世界で助けたときに商人って勇者にキ」
女商人「わー!わー!」
女僧侶「うふふ、大丈夫ですよ。ちゃんと見ていましたから。」
女魔法「うん。」
女商人「うぅ!」
女魔法「かおあかい。」
女商人「ううう・・・。」
女僧侶「・・・そういえばあの時は勇者様の記憶を呼び覚ましていたんですよね?」
女魔法「・・・そう。ひと達はそういってた。勇者が自分を思い出すから神の束縛から抜け出せる。」
女僧侶「という事はですね。商人さんと勇者様はその時既にキスを交わしてい」
女商人「わーーーーーーー!」
女戦士「な、なに!どういうことだ商人!」
女魔法「・・・・・・機械港で顔赤くして戻ってきたとき?」
女商人「うううう!!無理です!無理!」
女戦士「いえよー商人。なんだ私達の知らないところで色々やってんじゃないか。」
女商人「なにもしてません!何も!!」
女戦士「ネタは上がってんだ!言っちまえ!どこまでした!?キスだけか!?もっと行ってたりするのか!?」
女商人「もっとってなんですか!してません!出来ませんよぅ!」
女戦士「むぅ・・・でもキスはしたんだろ?」
女商人「う・・・。」
女僧侶「・・・黙るって事はそうなんですね。」
女魔法「顔あかいよ?」
女商人「うぅぅぅ・・・。」
女戦士「言っちまえよ、楽になれるぞ。これほんと、私の家系は嘘をつかないぞ。」
女商人「そ、それはないです・・・・・・。」
女僧侶「ないですねぇ。」
女魔法「・・・。」
482 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:31:33.16 ID:b0dXERq7o
女戦士「な、なんだよ!嘘ってより冗談だろー!しゃれだよそんくらい分かれ!」
女僧侶「はいはい、貴方の事は置いておいて、」
女戦士「ひどくないか?」
女僧侶「それで?どんな感想を抱きました?私は殿方とそういった事をした事無いので、興味があるんですよ。」
女商人「そ、そんな、感想っていったって、ですね。その、頭が真っ白になってしまったというか、ですね。」
女僧侶「ではどちらからしたのですか?やはり勇者様ですか?」
女商人「う・・・はぃ・・・・・・。」
女戦士「うっひょー!」
女僧侶「お黙りに!・・・それで?どんな状況だったのですか?」
女商人「そ、そこまではさすがに恥ずかしいですよぅ・・・。」
女僧侶「いいじゃありませんか。旅の恥は掻き捨てとも言いますよ?」
女商人「そ、それは今の状況には当てはまらないかと・・・・・・。」
女僧侶「じれったいですねぇ。求めたのは商人さんですか?」
女商人「いや、あの・・・ですね。その・・・。」
女僧侶「さ、さ。早く。一体どんな気持ちだったかをですね」
女僧侶「へっくしょ!」
女商人「!」
女戦士「ど、どうした?風邪か?」
女僧侶「い、いえ、寒いからかと思います・・・?」
女僧侶「は、話を止めてすいませんね。さ、続きを。」
女商人「・・・い、いや。ほら。もうそんないいじゃないですか。ね?」
女僧侶「駄目ですって。ほら話してくださいよ。商人さんから求めた所までしか聞いていないのですから。」
女商人「求めてません!」
女魔法「・・・?」
女商人「ど、どうしましたー?魔法さん。」
女僧侶「話をそらそうとしても無駄ですよ?」
女魔法「なんでもな」
女魔法「ックシ」
女商人「だ、大丈夫ですか?」
女魔法「・・・だいじょぶ。」ズズ
女戦士「なんだ?急に二人してくしゃみなんてさ。」
女僧侶「うーん・・・寒いからでしょうか・・・。」
女魔法「・・・少し寒い。」
女戦士「そうか?私は平気だけど・・・」
女商人「わ、私も少し寒いです。」
女戦士「ハックショい!!」
女僧侶「きゃっ!は、はなを飛ばさないでください!」
女戦士「わ、わりい。しかしなんだ急に。・・・・・・」
483 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:32:03.53 ID:b0dXERq7o
女魔法「・・・次は商人?」
女商人「え?」
女僧侶「そうですねぇ。残ってるのはもう商人さんだけですね。」
女戦士「ほらこい。来るぞ。」
女商人「き、きませんよ!そんなに見つめないで」
女商人「はっくしょっ!」
女戦士「予想通りだな!」
女僧侶「くしゃみをまじまじと見るなんてはじめての経験です!」
女魔法「商人だいじょうぶ?」
女商人「うぅ・・・これで全員くしゃみしましたね・・・・・・。」
女戦士「ふしぎだなー。いきなりくしゃみが出るなんて。そろって風邪ひいたか?」
女僧侶「違いますよ。夕方よりも寒くなってきてる気がしますから、きっとその所為ですよ。」
女魔法「・・・僧侶もっとよって。」
女僧侶「はいはい。」
女戦士「商人もこいよ。風邪引くぞ。」
女商人「うぅ・・・はい。」
ズズゥゥ・・・ン
女戦士「お?とまったな。どれどれ水筒の水飲み干しちまうか」
女僧侶「そうですね。満杯にして明日に備えましょう。」
女戦士「よーしじゃんけんだ。負けた奴水汲みな。」
女僧侶「あ、最初ですし私が行きますよ。あと一人付いてきてください。」
女戦士「じゃ、負けたやつな。」
――――――――――――――――――――――――
484 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:32:33.14 ID:b0dXERq7o
――――――――――――――――――――――――
夢
女商人「勇者さま!」
女僧侶「お早うございます。」
女戦士「久しぶりだな我が道よ!」
女魔法「おはよー」
勇者「おはようみんな。どうだ砂漠は、問題なさそうか?」
女戦士「お〜い勇者、無視するなよ。」
女商人「えっとですね、思ったより寒くないです。」
女僧侶「油断はいけませんよ?メモには中心部に行くほど寒くなると書いてありましたから、まだまだですよ。」
女魔法「・・・今日は遅かったね?なんで?」
女戦士「おーい。」
勇者「ん?夢に呼ばれた時間がか?・・・それは秘密だ。」
女商人「え?」
女僧侶「な、なぜですか?」
女魔法「・・・。」
勇者「ぜんぶ秘密だ。俺は知ってるがいってはいけないんだ。」
女戦士「・・・。」
女商人「え、えーと。い、いいじゃないですか!教えてくださいよ!」
女僧侶「そうですよ、気になりますよ。ひとちゃん達が何かしてるんですか?」
勇者「秘密だ。」
女魔法「・・・。」
女戦士「お〜いゆうしゃぁ〜無視するなよ〜。」
ガバァ!
女商人「!!」
女僧侶「ちょ、ちょっと!」
女魔法「・・・。」
勇者「うお!い、いきなりなんだ!」
女戦士「はははどうした、うれしくてびっくりしたか!」
勇者「・・・確かにびっくりしたな。どうした?なにかあったか?」
女戦士「お前らが無視するからだろー!なんだよお前ら!本心言っただけじゃないか!」
勇者「なんとなく触れたら厄介な事になりそうだと思ってな・・・。」
女戦士「なんだとこのやろー!ぎゅ〜!」
勇者「うお!」
女戦士「いやー今日はとにかく暇だったよ。何もすることがなかった。だからふざけてみただけだ。」
女商人「さ、さんざん私をいじっておいて・・・・・・。」
勇者「俺もからかう気か?」
女戦士「なんのことやら!しょうがないだろ退屈なものは退屈だ!商人は昨日あってたんだろ?いいじゃないか!今日くらいべたべたさせろ!」
女商人「うっ!いや、でも、そのですね!」
女戦士「魔法こっちこい!」
485 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:33:16.51 ID:b0dXERq7o
女魔法「・・・えへへ。」
だきっ
女商人「・・・うぅ。」
女僧侶「では私も。」
女戦士「駄目だ!僧侶はそっち側だ!お前は一日独占したんだからな!」
女僧侶「なんですか?その理由。まぁ別にいいですけどね、確かに独占させていただきましたし。」
女戦士「しあわせそーな顔しやがって!あっちいけ!」
女商人「わ、わたしはゆーしゃさま独占していません!!」
女戦士「だめー、商人はだめー。」
女魔法「えへへー。」
ぎゅー
女商人「ぅぅうううー!!!」
勇者「・・・・・・。」
女戦士「どうしたー勇者?私の体が柔らかくてびっくりしたかー?」
女商人「!!っそ、そそそうなんですかゆうしゃさま!!!」
勇者「・・・からかわれてるだけだ、落ち着け商人。」
女商人「お、おちつけませんよう!!わ、わたしも!わたしも!」
女戦士「だめー、まだだめー。」
女商人「ううううー!!」
女魔法「・・・・・・。」
女戦士「でー実際の所どうだ?勇者。私の体は硬いか?ん?どうだ?」
女商人「・・・・・・。」
じぃー
勇者「・・・鍛えてるとは思えないほど柔らかいな。」
女商人「・・・うううぅぅぅ・・・・・・。」
女戦士「だぁろー?男じゃこうは行かないぜ。ほらほら楽しめ楽しめ。」
勇者「・・・あのなぁ。」
女僧侶「相変わらず下品ですね・・・・・・。」
女商人「うぅー!!もういいじゃないですか!」
女戦士「だめー商人はだめー。」
女商人「ぅうーーー!!!お小遣い減らしますよ!!」
女戦士「むっ!そうきたか!そうだな・・・上げてくれるんだったら渡してもいいぜ!」
女商人「えっ!じゃ、じゃぁ・・・いや駄目です!それとこれとは話が別です!」
女戦士「なにー!?先に言い出したの・・・・・・!」
女商人「・・・!・・・・・・!」
女商戦《ギャーギャー
勇者「ははは・・・いつもこんな感じか?」
女僧侶「えぇ、まぁ、だいたいこの構図になりますね。」
勇者「いいな、にぎやかで。」
486 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:33:41.84 ID:b0dXERq7o
女魔法「・・・。」
女魔法「・・・・・・ねぇ。」
勇者「ん、どうした?」
女魔法「・・・・・・私の体は?」
勇者「」
女戦士「・・・・・・。」
女僧侶「・・・・・・。」
女商人「戦士さんみたいに・・・・・・え?」
女魔法「・・・・・・わすれて!!」
ボフ!ぎゅー
勇者「あ・・・あー・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・。」チラ
女僧侶「・・・・・・。」チラ
女戦士「さぁーて!私はもういいや!存分に楽しんだぜー!」
女僧侶「当たり前です!ほら!さっさと行きますよ!」
女商人「え、えっ?」
女戦士「私はひと達と遊んでくるぜ!お前らも気が向いたら来いよ!」
女僧侶「あ、商人さん。すいませんがこっち来て下さい。」
女商人「そ、そんな・・・!い、いえ。わかり・・・たくないですけど。そっちいきます・・・・・・。」
トボトボ・・・
勇者「・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・。」
ギュー
勇者「・・・どうした急に?」
女魔法「・・・忘れて。」
勇者「・・・あー・・・・・・。」
勇者「・・・・・・ははは。なんて返したらいいかわかんないな。」
女魔法「!!!・・・・・・。」
ギュゥー
勇者「・・・でも、そうだな。ちょっとうれしいかな。」
女魔法「・・・・・・」
勇者「魔法は自分が気になったんだろう?」
女魔法「・・・。」
ギュ
勇者「それは大事な事だ。人が人を経由して自分を気にするのは当然の事だ。」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「・・・魔法はもっとわがまま言っていいんだぞ?」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「俺は・・・魔法にもっと自分を出せるようになってほしい。あそこから抜け出したのに、まだ自分を閉じ込めないでほしい。」
女魔法「・・・・・・。」
487 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:34:10.34 ID:b0dXERq7o
勇者「・・・さっきの質問だけど・・・魔法の体はな、少し硬いかな。まだ子供だし、たくさん食べる子でもないしな。」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「・・・でもな、とても温かい。俺にはこの温もりが、なによりも価値がある。」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「・・・よいしょ、少し離れて。」
グィ
女魔法「・・・?」
すっ
勇者「・・・・・・。」
ドサっ、
グイッ!
女魔法「・・・・・・。」
ポスッ
勇者「はは、ぴったりだな。・・・こうしてると、とても落ち着く。」
勇者「・・・・・・俺は、人のぬくもりが一番欲しい。今まで、温かいといえば焚き火くらいだった。」
勇者「その頃は、人のぬくもりに違いがあるなんて知らなかった。知ることが出来なかった。」
勇者「・・・だから、こうして現実ではないとはいえ、仲間の近くに入れることは、今は何より嬉しい。」
女魔法「・・・ゆうしゃは、」
勇者「ん?」
女魔法「・・・・・・私の体が柔らかいほうがうれしい?」
勇者「どっちでもうれしい。どちらでも、魔法が体温を感じれるくらい近くに居てくれる事が、とてもうれしい。」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「硬い、柔らかいは、俺にとって重要じゃない。」
女魔法「・・・・・・そっか。」
勇者「そうだ。」
女魔法「・・・・・・。」
女魔法「・・・ゆうしゃは、」
勇者「ん?」
女魔法「・・・・・・私が居るだけでいいの?」
勇者「・・・俺はそれさえ不可能な人間だった。それ以上を望むのは、欲張りだと思う。」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・ゆうしゃ。」
勇者「ん?」
女魔法「・・・私は、」
女魔法「・・・・・・勇者に欲張ってほしいな。」
勇者「・・・!・・・。」
女魔法「・・・ねぇゆうしゃ。」
勇者「・・・なんだ?」
488 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:34:37.68 ID:b0dXERq7o
女魔法「・・・・・・私が自分を出せるようになったら」
女魔法「・・・・・・もっと欲張ってくれる?」
勇者「・・・・・・。」
勇者「・・・それは、・・・・・・」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「父親、として・・・・・・か?」
女魔法「ん・・・・・・それでもいいや。」
勇者「・・・・・・。」
女魔法「・・・私が普通になれたら、勇者。」
勇者「・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・その後は、ずっとそばにいてね。」
勇者「・・・ん。わかった。」
女魔法「・・・もういっこわがまま言っていい?」
勇者「・・・なんだ?」
女魔法「・・・・・・今日は、一緒に寝よ。」
勇者「・・・・・・わかった。夢の中だけど、そうしようか。」
ドサッ
女魔法「・・・・・・はじめて、一緒にねるね。」
勇者「・・・そうだな。」
女魔法「勇者、あったかい・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・」
女魔法「・・・・・・スー。・・・・・・スー。」
勇者「・・・・・・。」
勇者「・・・俺は・・・・・・。」
勇者「・・・・・・自分が、腹立たしい。俺は、屑だな。」
勇者「・・・くそ。」
――――――――――――――――――――――――
489 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:35:09.17 ID:b0dXERq7o
女戦士「いやーしかし予想外だった。まさかああなるとは。」
女僧侶「全くですよね。これがあの子の心にいいきっかけになってくれるといいんですけど。」
女商人「・・・・・・。」
いじいじ
女戦士「・・・どうした商人。いや分かるけどさ。」
女僧侶「今回はすいませんでした。本当に予想外で・・・・・・。」
女商人「・・・いいんです。魔法さんは勇者さま大好きですし・・・、寂しいと感じていますから・・・・・・。」
女戦士「・・・いや、・・・悪かった。ちゃんと後で変わるつもりだったんだ。」
女商人「・・・・・・。」
いじいじ
女戦士「・・・・・・いや、ほんと悪かった。だから地面いじるのやめてくれ。」
女商人「・・・・・・。」
いじいじ
女戦士「・・・・・・。」
女商人「・・・なんか最近勇者さまと離れていってる気がします。」
女僧侶「・・・・・・。」
女商人「・・・・・・わたしってなんなんでしょ・・・・・・。」
女戦士「こら」
ビス!
女商人「いたっ!」
女戦士「お前な、今の勇者が聞いたら泣くぞ。いや泣きはしないだろうけど・・・・・・。」
女商人「・・・すいません、失言でした・・・・・・。」
女戦士「・・・昨日はどうだったんだ?あの3人組が居ても、勇者とは会ったんだろ?」
女商人「・・・・・・はい、3人で楽しくおしゃべりしていました・・・・・・。」
女戦士「・・・確かにあいつら3人の境遇は酷いさ。でもだからってお前が遠慮する理由にはならないだろ?」
女商人「・・・・・・。」
女僧侶「うかうかしてると、取られちゃいますよ?」
女商人「・・・そうですよね・・・・・・。」
女商人「わたしは、努力しないと、駄目ですよね・・・・・・。」
女戦士「コラ」
ビス!
女商人「・・・・・・。」
女戦士「そのセリフも、たぶん泣くぞ。」
女商人「・・・・・・。」
女僧侶「・・・・・・。」
女商人「・・・わたし、一緒にいた時間なら、一番なのに・・・・・・。」
女商人「・・・・・・わかってるんですけどね、勇者さま、誰でも受け入れちゃうって・・・・・・。」
女商人「・・・でも、寂しいですよぅ・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・。」
女僧侶「・・・・・・。」
490 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:35:33.58 ID:b0dXERq7o
女戦士「そんなにうじうじするくらいなら、他人に気を使ったりするな。」
女戦士「勇者が欲しいんなら、もっと積極的になれ。」
女商人「・・・・・・すいません。」
女戦士「ッ・・・・・・。」
女商人「・・・・・・・・・今日は、魔法さんが一歩踏み込んだ大事な日です。」
女商人「邪魔できません。私は・・・・・・明日でいいです。」
女商人「おやすみなさい・・・・・・。」
・・・フッ
女僧侶「・・・ふぅ。」
女戦士「・・・・・・うかつだった。」
女僧侶「本当ですね・・・・・・。」
女戦士「・・・最近は調子に乗りすぎてたか?」
女僧侶「勇者様と触れ合えるなんて、少し前は出来なかった事です。仕方ないですよ。皆心に溜めたままだったんですから。」
女戦士「・・・でも、勇者の傍に商人の居場所が無くなってる。」
女戦士「ただでさえ、あいつは引く癖がある。勇者が元に戻った以上、あいつは勇者の傍に居ていい理由がなくなっちまう・・・のか?」
女僧侶「そうですね、前までは仕方が無いからと言い訳できたわけです。今では、自分の代わりがたくさんいると、そう思ってるのでしょうか。」
女戦士「・・・そんな事無いのにな。商人が居なくなったら、勇者はどうなるっていうんだ。」
女僧侶「・・・・・・商人さんが居なくなるのは私、悲しいです。」
女戦士「私だってそうだ。あいつは勇者の傍に居なきゃおかしい。」
女僧侶「商人さんが勇者様の心を繋いでいてくれたから、私達はここまでついてこれたんです。」
女僧侶「一番の献身者が、一番損をするのは間違っていますよね・・・。」
女戦士「・・・といっても、これは勇者と商人の問題か。」
女僧侶「・・・・・・出せるのは口まで、ですね・・・。はやく勇者様が迎えに来て上げないと、商人さん手遅れになっちゃいます。」
女戦士「勇者は、商人の事どう思ってるんだ?」
女僧侶「・・・一緒に居たいと、思ってるはずです。でもこれは・・・」
女戦士「他の奴と一緒、か。特別視できない、ってか。」
女僧侶「・・・・・・どうすれば、いいんでしょう。」
女戦士「・・・わっかんね。私は、こういう事はわからん。」
女僧侶「勇者様も、悩みの渦中でしょう。自分の気持ちが、自分の理屈と合ってくれない。」
女僧侶「どう、折り合いつけるか決めるのに、いつまでかかるんでしょうか・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・。」
女僧侶「・・・私の場合は、勇者様が手ほどきしてくれました。おかげで落ち着いて自分の気持ちが整理できました。」
女僧侶「・・・商人さんの敵となりえる私達じゃ、出来ない、ですかね・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・そうだな。当分、会わないほうがいいかもしれない。」
女僧侶「勇者様にですか?」
女戦士「あぁ。考える時間が必要だろ。」
女僧侶「・・・そうですね。私の事、魔法さんの事・・・・・・、自分の気持ちを考える暇は、無いかもしれませんね。」
女戦士「・・・僧侶の事はもう解決しただろ?魔法とはどう折り合いつけたか・・・・・・。」
女僧侶「・・・・・・一緒に居ない、なんて事はありえませんから・・・・・・。」
女戦士「結局、負担が増えたって事か。」
491 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:36:24.33 ID:b0dXERq7o
女僧侶「えぇ・・・。勇者様は、他人との関係が重なるほど、商人さんとの関係が希薄になります・・・・・・。」
女戦士「そうか、だから・・・僧侶との関係も今は重荷になるのか・・・・・・。」
女僧侶「・・・すいません。」
女戦士「謝るな。お前も悩んだだろ。苦しんだんだから、それでいいはずだ。」
女僧侶「・・・でも、商人さんが不憫すぎます・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・商人の事でまた悩めばいいだろ。今やるべきは謝る事じゃない。」
女僧侶「・・・そう、ですね。少しでも解決してあげないと・・・・・・。」
女戦士「そうだ。私達が今やるべきは、商人への支援だ。・・・といってもできるのは勇者に会わないくらいなんだけどな・・・・・・。」
女僧侶「・・・なにか、うかつに商人さん焚きつけれない雰囲気になってしまいましたね。」
女戦士「あぁぁーどうすればいいんだ!わからねー!放っておけばいい方向に改善するか!?」
女僧侶「・・・・・・不安なのは、このまま商人さんが諦めてしまう事、です。もしかしたら・・・居なくなってしまうかも・・・・・・。」
女戦士「商人が、パーティから抜ける?あ、ありえないだろ。」
女僧侶「わかりませんよ。居るだけで辛いとなってしまうと・・・その時人がどんな行動を取るかなんて・・・・・・。」
女僧侶「・・・私も、このパーティを抜ける事を決めていましたから・・・・・・。」
女戦士「・・・そうだったのか。・・・・・・。いや、でもあと4日はある。砂漠では離れる事なんてできないし・・・。」
女僧侶「・・・自分の意思で、勇者様の傍に居続ける決心をしてくれれば・・・・・・。」
女戦士「・・・・・・中途半端な位置だと商人は辛い、か。想いが報われない、か・・・・・・。」
女僧侶「・・・好意を向けている人に、好意を返してもらえないのは、悲しい、んでしょうね・・・・・・。」
女戦士「それは・・・経験があるな。お母様が、死ぬ前に・・・・・・。そうか、あんな感じ、か。」
女戦士「・・・勇者にとっての一番は、商人であるべき、だよな。じゃないと、商人が不憫すぎる。」
女僧侶「・・・・・・勇者様は、結婚まで約束はしています。でも、大事なのは、気持ち、ですから・・・・・・。」
女僧侶「気持ちが固まらなければ、勇者様は躊躇するでしょうね。」
女戦士「今は、答を出すときじゃない。この旅が終わったときに決める事だ、けど・・・」
女僧侶「それまで待てないかも、知れません。」
女戦士「・・・勇者と商人を二人きりにすれば解決するか?」
女僧侶「・・・勇者様にとって、商人さんは身近すぎるかもしれません。」
女僧侶「勇者様が悩んでいるこの状況で、会わせるのは、危ないかも・・・・・・。」
女戦士「でも・・・止めるほうが危ないだろ。」
女僧侶「・・・・・・ですね。」
女戦士「・・・くそう。どうすれば・・・・・・。」
女僧侶「・・・すいませんが、私おきますね。そろそろ確認してみないと、危ないかもしれません。」
女戦士「あ・・・そうか。もうそんなに経ったのか。」
女僧侶「では、おやすみなさい。」
女戦士「ん、おやすみ。私も普通に寝るか・・・・・・。」
女僧侶「・・・そういえばひとちゃん達はどうしたのでしょうね。勇者様と夢を繋いではくれたみたいですけど、会ってませんし・・・。」
女戦士「・・・飽きられたかなぁ。」
女僧侶「それはないですよ。・・・多分。」
女戦士「だよな。大丈夫・・・だよな。」
―――――――
―――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――
492 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2011/11/24(木) 20:42:42.40 ID:b0dXERq7o
いや、あの。すいませんでした。
予想以上に学校が忙しくて書く暇がなかなかなかった。
レポートの多さにも慣れてきたしきっと今度こそ恐らく多分なんとか定期的に書ける・・・とおもう。
うん・・・・・・。
正直2ヶ月放置してまだ定期的に見てくれるのは驚き。自分ではそこまで価値があるように思えない。
あと気づいたけど俺は何かに別の事を追われていないと書くことが出来ないみたい。休みになるとむしろやらない。
冬休みとかも宿題ありそうだし、多分書けるんじゃないかな。うん。
・・・もともとは八月くらいまでに終わらせるつもりだったんだけど俺は無駄に要素を詰め込みすぎて消化するのに時間が掛かりそう。
まぁ、一旦これは忘れてもらって思い出したら探してみるみたいなスタンスで見たい人は見てて。
始めた以上終わらせはするから。
うん・・・・・・。多分。
493 :
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(長屋)
[sage]:2011/11/24(木) 20:58:59.63 ID:T/jofXULo
宿題やってるといつの間にか掃除するようなもんだな
494 :
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(三重県)
[sage]:2011/11/24(木) 20:59:32.35 ID:b1Mtxszto
乙なのcar
495 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/24(木) 21:16:09.73 ID:2jYNp8Yzo
乙乙
496 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(長屋)
[sage]:2011/11/24(木) 21:17:07.73 ID:GOBmJz9no
乙ー
497 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/24(木) 21:18:51.35 ID:bk8HiJa4o
おつおつ
498 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/24(木) 21:51:13.29 ID:1zBv//ASO
おつ(´ω`)おつ
なんでこの人の喋りは「・・・」がこんなに多いんだろう…て、ワーム屋さんの口調なんてすっかり忘れちまってたww
続きも気長に待ってるよ(・∀・)ノ~
499 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/24(木) 22:54:04.92 ID:ewqLJSDU0
まってた!(^з^)-☆
500 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/24(木) 23:05:20.26 ID:78Odf5nQo
乙
ぶっちゃけ完結さえしてくれれば、数年がかりでもいいくらいよ
変に焦ってプレッシャー感じて、途中で投げちゃうのが一番怖いから、気楽に気長にお願いしやす
501 :
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[sage]:2011/11/25(金) 00:05:48.81 ID:TZILJD83o
おつ
おもしろかったよ
待ってたかいがあった
急がなくていいから書きたいこと全部書いてほしいな
502 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(東京都)
[sage]:2011/11/25(金) 00:41:03.42 ID:Y5alsUiTo
乙
追い詰められた時は俺が夢に出てきてやるから安心してかけよ!!
503 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(長野県)
[sage]:2011/11/25(金) 03:44:45.61 ID:IN/i7OXCo
やめろww
野郎が夢に出たら書けるものも書けなくなるジャマイカwwwwwwww
>>1の話の構成はうまいな!
ずっと読んでいても飽きない。特に心理描写がうまい。
うらやましい限りだwwww
期待して待ってるよ〜
504 :
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(愛媛県)
:2011/11/25(金) 03:59:30.10 ID:kzgFySfCo
いやー良かった更新きてたー
まじ待ってるから頑張ってくれよな
505 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/25(金) 10:54:19.88 ID:5oaBdDfIO
何こんなにいたのお前ら
506 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/25(金) 11:07:14.57 ID:MUfmENHIO
一人の書き込みにつき、10人は居る
507 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/25(金) 11:52:41.85 ID:H/0z8vJIO
ごきぶりみたいだな
508 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/25(金) 12:28:35.86 ID:X493NUZDO
俺はゴキブリじゃないが、おつー
509 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(埼玉県)
[sage]:2011/11/25(金) 13:31:09.94 ID:kHVH3Kt2o
来てたー!
完結の意識表明が嬉しい
自分のペースて頑張って〜
勝手に支援してるから
510 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/25(金) 14:39:40.21 ID:D584LmWBo
いつも定期で見守ってるんだぜ
俺たちにとってすごく価値のあるSSだから完結までしっかり張り付いてるつもりC
511 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
[sage]:2011/11/25(金) 16:14:09.55 ID:KLI0SIRjo
きてた
おつ
512 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/25(金) 18:51:17.29 ID:qnxIOusIO
一回目→一ヶ月
二回目→二ヶ月
次は三ヶ月後か
513 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/25(金) 22:54:25.18 ID:wehVYNhDO
>>1
更新乙。
こんな面白いssを価値が解らないなんて自分で言わないで。すごく面白いと思うから自信持ってください。これからも気長に舞ってます。
514 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/25(金) 23:03:33.38 ID:iZjSwCJ8o
おつかれ
515 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/25(金) 23:31:52.65 ID:ozNZN7YPo
仮に三ヶ月後になったとしても、
続きが楽しみだから待ってるよー
516 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(石川県)
[sage]:2011/11/26(土) 07:08:49.27 ID:ACFMs7v2o
乙よー
517 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/26(土) 21:57:37.00 ID:eViWG1tWo
最初から読み返した
やっぱりあんた最高だ
完結まで応援するスレだC
518 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/27(日) 02:52:22.36 ID:wYDa+BoSO
乙
これだけ急に沸いてきたってことはそれだけ見てる人がいるってことだ
無理しない程度に頑張れよ
519 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(宮崎県)
[sage]:2011/11/27(日) 03:58:07.39 ID:DMOxyQAD0
きてたのか乙
ってかゴキブリみたいにでてきたな
520 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/27(日) 07:06:44.14 ID:hmHlbFjQo
美味いからこその群生wwww
521 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/27(日) 15:11:25.25 ID:aKLX5+SDO
つまり寒くなるにつれてレスが減るわけか……
522 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/27(日) 16:25:29.11 ID:hmHlbFjQo
屋内は暖かいぜwwwwww
523 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(神奈川県)
[sage]:2011/11/29(火) 07:14:32.36 ID:NYr8u8dCo
気づかなかったー!
自分のペースでゆっくり書いてくれ
524 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(東京都)
:2011/12/01(木) 01:15:38.86 ID:MS3Qz8yL0
乙 ゴキブリ言われたけどまた待ってるよ
525 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/01(木) 13:20:26.78 ID:t6XIiw5ro
ゴキでもおれでも待ってるよ
526 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/01(木) 17:57:09.30 ID:EdaSZt1DO
アシダカ軍曹がアップを始めたようです。
待ってるよ〜ノシ
527 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(愛知県)
:2011/12/01(木) 18:56:00.79 ID:jIcoRdER0
お前ら楽しみなのは分かるけどもう少し静かにしようずwww
528 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(神奈川県)
[sage]:2011/12/01(木) 19:06:20.21 ID:zoKMltAoo
>>527
死ぬまでROMってろ
529 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/03(土) 21:12:33.68 ID:DE7zlC36o
久々に覗いたら来てた!!
530 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/12/07(水) 00:46:30.53 ID:cUz0fnsJ0
久しぶりすぎてどんな感じで終わったか忘れてて入り込めないかと思ったら
全然そんなことなかった乙です
531 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/13(火) 20:11:50.34 ID:UDW/tGUa0
ブクマはしてたんだが全然来てなかった
読んだぜ続き楽しみにしてる
532 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/20(火) 14:30:47.25 ID:XQI8pq9AO
久しぶりに覗いたらいつの間にか作者が降臨していた
楽しんで読んでるんで、作者の好きなペースで続けてくれ
いくらでも待てるから
533 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/23(金) 08:44:16.14 ID:928SPbD9o
だがそろそろ書いてくれよ
534 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/23(金) 23:26:45.47 ID:TaU26zx6o
ようお前ら、メリクリ
535 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/24(土) 11:52:41.98 ID:Ct6gU2fTo
メリクリ
リア充してっか?
536 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/24(土) 22:21:43.08 ID:lIEJMtkSO
お前らメリクリ
投げ出しさえしなければいくらでも待つぜ
537 :
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/25(日) 12:09:44.13 ID:mg1jE8O3o
今日こそ本当のメリクリ
538 :
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)
[sage]:2012/01/01(日) 13:17:55.36 ID:FmJ6M4fDO
あけおめ
なかなかこないなー。
ゆっくり待とうか。
539 :
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)
[sage]:2012/01/02(月) 01:25:48.43 ID:m1JEoVeSo
あけおめ〜
540 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/09(月) 22:34:04.74 ID:fs7W7LzSO
いつまでも松さ
541 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/10(火) 08:16:06.13 ID:sgmjeoQIO
おれもおれも
542 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2012/01/11(水) 08:41:50.39 ID:IB3v2N27o
俺が死ぬまでに終わらせてくれるんだろうな
543 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2012/01/11(水) 20:40:12.36 ID:4XT/w8A9o
なんという長編SS
544 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/13(金) 10:01:48.99 ID:En7KJJo9P
こりゃもう終わったな
545 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/13(金) 12:51:50.10 ID:cGk5zdPIO
オレはまだまだ待ってるぜ
S速で2ヶ月なんてザラだろwwww
作者見たら生存報告だけは頼むよ
546 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2012/01/13(金) 19:39:55.52 ID:r7As2/i1o
作者はプラベが忙しいんだ。
焦らず待ってろよ
547 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/20(金) 07:53:33.47 ID:CwnUZ+QIO
いつも定期的に覗いてるんだぜ!
548 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:23:19.03 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
極寒砂漠テント内 日の出少し前
女僧侶「・・・・・・」パチ
ムクリ
女僧侶「・・・ッゲホ。」
女僧侶「・・・・・・・・・く・・・・・・。」
女僧侶「・・・。」ガタガタガタガタ
女戦士「・・・・・・」
女商人「・・・・・・」
女魔法「・・・・・・」
女僧侶「ッゲホ!ゲホ!・・・・・・寝息を立てていない・・・っ」
女僧侶「お、起きてください。早く。ゲホ!死んじゃいますよ。」
女戦士「・・・う・・・・・・。」ユサユサ
女僧侶「早く!起きて・・・!げほ!」
女戦士「・・・」
ムク
女戦士「・・・・・・ゲホっ!・・・・・・!」
女僧侶「こ、声がでませんか?お水、です。飲んでください。」
女戦士「・・・・・・。」
水筒≪ジャボ、ゴボゴボゴボ≫
女僧侶「お二人、も起きてくださぃッゲホ!ゲホゲホッゲホ!」
――――――――――――――――――――――――
549 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:23:44.55 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
日の出少し後
ワーム「・・・・・・」
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・
――――――――――――――――――――――――
女戦士「すぅー・・・はぁー・・・すぅー・・・はぁー・・・」
女商人「・・・・・・ううう・・・」ガタガタガタガタ
女魔法「・・・・・・。」
女僧侶「あ、甘く見ていましたね。寝ていた時間は4時間程度でしたのに・・・・・・。」
女戦士「もう少し寝ていたら起きれなくなってたかもしれないな・・・。」
女僧侶「一応早めに起きるように心がけておいて助かりましたね。し、しかし、」
女僧侶「この寒さはどうにかならないのでしょうか。4人よって毛布をかぶってこれでは・・・ちょっと耐えれる気がしません。」
女戦士「・・・寝た後は体温が下がり気味だからな。なかなか上がってくれないし、こういう時は運動したほうがいい。」
女商人「で、でも、ここは狭いですし、外寒すぎますよぅ。どうするんですか?」
女戦士「は、走り回るだけが運動じゃない。狭い場所でできる体操がある。時間をかけて体全体をほぐすやつ。今から手順を教えるからやるぞ。」
女商人「わ、わかりました。」
女僧侶「了解です。」
女戦士「まずは体の端、手の指足の指からな。このくらいの速さで開け閉めを繰り返すんだ。見えないだろうけど、足の指もしっかり開くんだぞ。」
女商人「握ったり開いたりするだけなんですか?」
女僧侶「か、簡単な、動きです、ね。」
女戦士「狭い場所でやれる物にはやっぱり限度があるからな。だけど即効性がないだけで、時間をかければちゃんと効果はでるぞ。」
女魔法「・・・・・・」
女戦士「魔法。ゆたんぽは後でいい。今はこれをやれ。」
女魔法「・・・でも、」
女戦士「この程度の寒さでは人は死なない。だがそれもちゃんと対策する事が前提だ。」
女戦士「直接的な暖房は効果があるように思えるが、体の内部に届くのには時間がかかる。」
女戦士「まずは中から。暖房はそれからでいい。」
女魔法「・・・わかった。」
――――――――――――――――――――――――
550 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:24:22.16 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
女戦士「・・・これで終わりだ。」
女僧侶「け、結構疲れますね。」
女商人「でもおかげであまり寒くないです。」
女魔法「・・・。」
女戦士「もし今ので靴下や下着が濡れているなら変えとけよ。本当なら寝る前にやる事だけど、用心しとこう。」
女商人「私は大丈夫です。」
女僧侶「私も平気です。」
女魔法「・・・だいじょぶ。」
女戦士「そうか。よし、じゃぁ朝飯食いながら反省会兼作戦会議やるぞ。」
女商人「わ、わかりました。何食べますか?」
女戦士「・・・あー、全部の食糧を見せてくれ。それを分けてできるだけ腹に詰め込む事にしたい。」
女僧侶「な、なぜですか?用意した食糧は渡航用5日分+予備2日分と各自持っている非常食分ありますから、三日ほどは余剰があるのでしょう?」
女僧侶「さすがに食べきれないのでは?」
女戦士「そうも言ってられないかもしれないからな。ちょっと甘く見すぎてた。体の中の体温を上げるには飯がなきゃだめだ。」
女戦士「非常食まで手を付けなくても、用意した食糧は全部食べる事にして、この環境に備えたい。」
女商人「はい、これで全部です。」
鞄≪ドサドサドサ!≫
女僧侶「やっぱり多いですね・・・。」
女戦士「・・・・・・。商人、魔法、大体でいいから分けてくれ。」
女商人「は、はい。」
女魔法「わかった。」
女戦士「それで今朝の原因だけど、水分補給を怠った事、でいいよな?」
女僧侶「はい。起きた時の喉の渇き、体のだるさはおそらくその所為かと。」
女戦士「メモに一時間毎に水分補給しろって書いてあったんだからそうするべきだったな。」
女僧侶「ですがその通りに行動するとなると寝れないという事になりますよ?確かに後4日くらいなら起き続けることはできるでしょうが・・・。」
女戦士「寒さっていうのは予想以上に体力を消費する。体力が低下すると体温も低くなるし、これからどれだけ過酷な状況になるかもわからない。」
女僧侶「ですが、寝るとなるとさっき言った通り一時間毎の水分補給が完全にはできなくなりますよ。」
女戦士「そうだけどなー。・・・寝る事が危ないというのもそうだしな。起きてる時と寝てる時ではやっぱり体温にだいぶ差が出る。」
女僧侶「寝る事の問題点は体温低下と定期的な水分補給が不可、の二つでしょうか。」
女僧侶「この二つの要素を犠牲にして寝る事を優先すると、考えられる影響は、軽度なら、今朝の様な体のだるさ、頭痛、口渇感、でしょうか。」
女戦士「寒さだけでいうなら、これから中心に近づくにつれてどんどん強くなるらしいしな。もしかしたら、水を奪う現象も強くなるかもしれない。」
女僧侶「重度だと、問答無用で死にますね・・・・・・。寒さだけならまだしも、水を奪うなんて・・・。」
女僧侶「・・・やはり、寝ない方がいいのではないでしょうか。寝ない事の問題点は体力の低下だけでしょう?4日程度なら、耐えれると思います。」
女戦士「・・・・・・いや、さっきも言ったけど、体力の低下は、そのまま体温の低下を招く。」
女戦士「どこまで寒くなるかわからないこの状況で、寝ないのは得策ではない、と思う。」
女僧侶「・・・・・・では、どこを妥協しましょうか?。」
女戦士「んー・・・。」
551 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:24:59.60 ID:jd3clNu6o
女商人「あ、あの。簡単にですけど分け終わりましたよ。残り四日、食事回数一日3回と考え12回分の食事に分けました。食糧の分類も正確ではないですけど均等に分けてあります。」
女戦士「お、ありがとう。んー・・・・・・。」ガサゴソ
女僧侶「・・・。」
女戦士「・・・こっちに分けた奴は今日と明日の6回分。残りはあさってからの6回、ってする。」
女戦士「個別に分けておいてくれ。」
女商人「わかりました。・・・今日明日食べる方が多いんですね?」
女魔法「・・・・・・多い。」
女戦士「あぁ、うん。あとで話すけど、そっちの方がいいとおもう。まだ確定じゃないけどな。」
女戦士「あと魔法、今回は無理矢理にでも腹に詰めてもらうからな。お前は食が細めだからつらいだろうけどな。」
女魔法「・・・。」
女戦士「よし、じゃぁ食べながら話しあうぞ。やっぱり、寝るのは外せない、と思う。だが寝すぎはよくないし〜〜〜〜・・・・・・。」
女僧侶「・・・・・。・・・・・・・・・・。」
女商人「・・・。」
女魔法「・・・・・・」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女商人「おなかが苦しいです・・・・・・。」
女僧侶「き、きついですねぇ。」
女魔法「・・・。」モグモグ・・・
女戦士「・・・よし、寝る人数は一人、時間は1時間の繰り返しで一人一日合計6時間寝る方法を取る。そして明日昼まで繰り返して、夕方から夜が明けるまで起きる、って事でいいか?」
女僧侶「了解です・・・。」
女商人「わかりました・・・。」
女戦士「それで、夜の水汲み役だけど、これは私がする。」
女僧侶「いいのですか?」
女戦士「おう。この中じゃ一番鍛えてるからな。どのくらいの寒さになるかわからないけど、やらなきゃいけない事だし、」
女戦士「たぶん私が一番確実だ。」
女商人「わかりました・・・ではお願いします。」
女戦士「ん。それで・・・」
女魔法「待って。」
女僧侶「?」
女商人「?」
女戦士「どうした?」
女魔法「・・・水汲みは私がやる。」
女商僧「え?」
女戦士「・・・なんでだ?」
女魔法「私は魔法が使える。外に出ても、火を使って暖が取れる。」
女僧侶「な、なるほど。」
女戦士「・・・あー。だけど、何があるかわからん。魔法一人は駄目だ。私も一緒に行くぞ。」
女魔法「でも、二人も外に出ると共有体温が一気に下がる。」
552 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:25:58.54 ID:jd3clNu6o
女戦士「・・・?」
女魔法「・・・今私達は、一つに固まって、体温を共有してる。水汲みに行くとその役の体温が急激に下がる事が予想できる。」
女魔法「一人なら、3人の共有体温で温めなおすことも容易。だけど、二人だと共有体温が下がりすぎて、温めなおすのに時間と体温を使いすぎる可能性がある。」
女魔法「テントの中では火の魔法が使えない。外から熱を与える方法は、この湯たんぽだけ。」
女魔法「最低気温が未確定だけど、用心はしておくべき。」
女戦士「む・・・だけど、なにがあるかもわからない。魔法だけだと対応できないかもしれないだろ。」
女戦士「このペンダントじゃ、何かが起こってからしかわからないし。・・・たしかに明日の寒さがどれだけになるかはわからないけどよ。」
女戦士「最低限のリスク回避に、ペア行動は必要だ。私は不安だ。」
女魔法「・・・じゃぁ、今日の夜だけ、ついてきて。」
女戦士「・・・つまりそれは・・・テストしろ、って事か?」
女魔法「そう。今日は私を監視して、任せれると思ったなら、明日は一人で行かせて。」
女戦士「・・・別にお前が信じれないって訳じゃない。」
女魔法「・・・・・・戦士は、皆を守らなきゃいけないから、私に自分の手が届かない事をさせたくないんだよね。」
女魔法「自分の役目が守れないかも知れないから。」
女戦士「・・・。」
女魔法「でも、私昨日いったよ。戦士も守るって。それは私の役目。」
女戦士「ん・・・いやでも・・・・・・。」
女魔法「・・・。」
女戦士「あー・・・・・・・・・。」
頭≪ポリポリポリ≫
女戦士「んー・・・・・・・・・・・・っ。」
頭≪ボリボリボリ≫
女戦士「・・・あーーーっ、わかったよ!水汲みは魔法に任す!」
頭≪ガリッ!≫
女戦士「でもそれは今日の結果と明日の気温を私が確かめてからな!二人外に出たら体温が下がりすぎるかどうか、最終的にはそれが分かってから決めるからな!いいな!?」
女魔法「ん。わかった。」
女戦士「・・・でー、あー話戻すぞ。明日の事、いや明後日のことか。夜が明けてからの寝る順番だけど、これはその時に決める。いいか?」
女僧侶「わかりました。」
女商人「了解です。」
女魔法「ん。」
女戦士「ほかなんか気になる事あるか?」
女僧侶「あたしは特に・・・。」
女商人「私もです。」
女魔法「・・・。」
女戦士「よし、じゃぁ今から作戦開始。おやすみー。」
女商人「おやすみなさい。」
――――――――――――――――――――――――
553 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:26:24.30 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
嵐島 夜明け前
勇者「・・・。」パチ
勇者「・・・・・・。」むく
勇者「・・・ふぅ。」
勇者(・・・夜を重ねるたびに、自分へのイラつきが増してくる。)
勇者(酷く自己嫌悪だ。俺はいったい、商人をどうしたいというんだ。)
勇者(・・・皆一緒に居れたらいい。商人は、その中の一人。)
勇者(所詮、俺はその程度の価値しか感じていないと・・・?)
勇者(あの娘は、俺のそばにいてくれて、みんなを繋ぎ止めてくれて、俺の心だって、戻してくれた。)
勇者(なのに、俺は商人の事を、周りより少しだけでも、愛せないと言うのか?)
勇者(クソ・・・・・・。なんて、ひどい奴だ。)
勇者「・・・・・・素振りするか。」
勇者(最近は、逃げることが増えたな。考えないように、したいのか。)
勇者「・・・む?」
勇者(皆の様子がおかしい・・・。大分弱っている?夢では元気だったのに・・・。)
勇者(・・・・・・僧侶が起きた。・・・戦士も起こされたみたいだな。対策をすぐ打つだろうから、恐らく大丈夫だ。)
勇者「・・・大丈夫、だ。」
?「・・・・・・。」ジー
勇者「・・・ん?あ、あぁおはよう、起きたのか。」
?「・・・おはようございます。」
勇者「うん。調子はどうだい?頭が痛い、腹痛がする、喉が渇く、胸やけがする、体がだるい、」
勇者「今いった症状はないかい?それ以外にも、体の調子が悪いところはないかい?」
?「え?えっと・・・なにもないでございます。」
勇者(嘘だな。)
勇者「本当かい?」
?「はい。」
勇者「・・・本当かい?」
?「はい。」
勇者「・・・・・・本当かい?」
?「は、はい。」
勇者「・・・・・・・・・・・・。」
?「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
?「・・・・・・・・・す、すこし頭が痛いでございます。」
勇者「そっか。体はだるくないかい?」
?「だ、だるいです。あ、ございます。」
勇者「・・・足、どうだい?」
?「少し、だけ。」
勇者「・・・そっか。」
勇者(だいぶ痛そうだ。だが、痛いと言う事は怪我が治りかけであるという事でもある。明日には治るな。)
勇者(それに怪我より破傷風が心配だ。潜伏期間は3日から一か月。魔法が使えれば、即治療も可能だが・・・)
勇者(今の俺には魔力がない。神の束縛から抜け出した影響のようだが・・・・・・。)
554 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:26:51.07 ID:jd3clNu6o
勇者(・・・・・・影響?ふむ?)
勇者(前の俺の状態は、もともと神と俺の間にパイプがあり、そこに無理やり魔王がパイプを繋げた様な状態だった。)
勇者(魔王に無理やり魔力をねじ込まれ、そのパイプの圧力が高まり、結果断裂した・・・わけだ。)
勇者(つまり今の俺は素の状態。なのに魔力がない。・・・つまり俺は、魔力無人間だったのか?魔力回路が焼き切れたわけでも無いようだしな。)
勇者(って、そもそもこの島にいる人たちは魔力がないな。魔力視が使えないとしっかりした事は言えないが・・・。)
勇者「・・・・・・。」
勇者(・・・俺が神に選ばれた理由はなんだったんだ?与えられた知識の中には、俺の出生などが一切含まれていなかった。)
?「・・・・・・。」
?「あ、あのう。どうしたんでございますか?」
勇者「あ、いや、なんでもない。少し考え事がね。ところで、」
?「・・・?」
勇者「・・・あー、君はなんて呼べばいい?昨日はまだ寝ていたから聞けていなかったな。」
?「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・?」
勇者(・・・言いにくいのか?)
?「わたし、は・・・・・・。」
?「・・・わたし、は・・・っ。ぐすっ」
勇者「ど、どうしたんだい?」
勇者(泣かれた!?)
?「〜〜〜〜す、すいまっせん、な、なんで、ひっくない、です。ぐす。」
ボロボロボロ
勇者「あー・・・・・・。」
勇者(聞いてはいけなかったかな。いや、自然な事のはず。)
?「う〜〜〜、ヒック、ヒック、す、すいま、せん。す、すぐ、う〜ぇ・・・」
勇者(・・・。)
スタスタスタ
?「・・・?」
頭≪なでなで≫
?「う〜〜〜・・・・・・」
勇者「・・・」
ドサッ!
ガシ、ぐい
?「ひぅっ?」
とさっ
勇者「・・・・・・。」
勇者(人は暖かいな。こうして体温を感じれる時が一番落ち着く。)
?「う・・・うえぇぇぇぇ・・・・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
?「ううぅぅぅぅ・・・ひっぐ・・・うえぇぇ・・・・・・」
頭≪なでなで≫
勇者(なんで泣かれたのだろうか。)
勇者(名前が引き金になるような過去がなにかあるのか?・・・最近出会う人間はなにかを抱えている人達ばかりだな。)
?「うううぅぅぅぅ・・・・・・」
勇者(そういえば出会えるようになったの最近だったか。そういう人達ばかりだ。)
――――――――――――――――――――――――
555 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:27:45.94 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
夜明け後
?「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
?「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
勇者(人が泣いている時に何をすればいいのかわからないな。)
勇者(俺は当たり障りのないこの位置に立つ事しか出来ない。・・・気の利いた言葉でもかけるべきなのだろうが。)
勇者(・・・少し弱弱しいが、皆もひと段落したようだな。よかった。)
?「・・・」
勇者「・・・」
?「・・・・・・。」
勇者「・・・」
?「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
?「・・・・・・何も、」
勇者「?」
?「聞かないんですか・・・?」
勇者「・・・君がなんであったって、」
?「・・・」
勇者「君が何を抱えていたって、」
勇者「君は君だ。大事な事はそこだと俺は思う。」
勇者「言いたくない事、言わなきゃいけない事。」
勇者「人それぞれ、だと思う。」
?「・・・。」
勇者「自分が何をするかは、自分で決めないとね。」
?「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
?「・・・名前、呼ばれたくないです。」
?「・・・・・・。」
556 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:28:21.41 ID:jd3clNu6o
勇者「・・・・・・。」
?「・・・わたしの事は、好きに呼んでください。」
勇者「好きに、か。・・・俺はそういうの苦手なんだけどな。」
?「あなたに決めてもらいたいです。」
勇者「んー、じゃぁ・・・・・・迷子って呼ばせてもらおうかな。」
?「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
勇者「はは、気に入らなかったかな。」
迷子「い、いえ!かわいいとおもいますです!」
勇者「ははは。それで迷子。肩がつっぱったり、腕が引きつるとか、腿が動かしにくいとか、・・・喉が狭くなった等感じるか?」
迷子「い、いえ。なにもないでございますよ。」
勇者「本当か?これはとても大事な事だ。嘘は絶対につかないでくれ。」
迷子「え、えぇ。本当でます。」
勇者「・・・そっか。よかった。今俺が言ったような症状を、ほんの少しでも感じたらすぐに教えてくれ。」
迷子「わ、わかりました。」
勇者「・・・。」
迷子「?」
勇者「・・・後は、話したくなったら、教えてくれ。」
迷子「・・・・・・。」
勇者「さてと、素振りをしてくるかな。」
迷子「あ、すいませんです、ジャマしちゃってたですね。」
勇者「はは、気にしなくていい。」
迷子「・・・。」
勇者「離れた場所でやるから、君は寝ていていいぞ。」
迷子「・・・・・・。」
服≪ギュ≫
勇者「・・・。」
迷子「・・・。」
勇者「・・・。」
迷子「・・・。」
勇者「・・・よっと。」
迷子「あっ」
勇者「・・・ここだと2人を起こしてしまうからな。」
勇者(もう起こしてしまったかもしれないが。)
スタスタスタスタ
迷子「・・・。」
557 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:28:42.22 ID:jd3clNu6o
勇者「君は軽いな。俺の知り合いより軽い。」
迷子「知り合い?」
勇者「あぁ。魔法というんだが、背は君より頭ひとつ大きいくらいかな。頭がいい子でね。」
勇者「そういえば、あの子を抱っこした事は一回もなかったかな。おんぶなら何回かしたが。」
迷子「・・・。」
勇者「ははは、そもそもおんぶさえできるようになったのは最近だった。そう何回もしていないな。」
迷子「・・・?」
勇者「人と触れ合う度に思うが、やはり他人の温もりは心地がいい。焚火や、毛布の暖かさとは根本的に違う。」
勇者「体温というものは、心地いい。」
迷子「・・・・・・。」
勇者「体温と言えば、君を抱いて寝たときは不安になったよ。」
迷子「え?」
勇者「温度は感じていたんだけど、とても低くてね。」
勇者「元気になってくれてよかった。」
迷子「・・・・・・。」
勇者「さて、と。ここでやる。降ろすよ。」
迷子「・・・あ、ありがとうございます。」
勇者「ははは、おあいこだ。」
迷子「?」
勇者「誰かが傍にいてくれるのはうれしいんだ。・・・すぅー・・・・・・」
勇者「―――」
迷子「・・・っ。」
勇者「フッフッフッフッフッフッフッフッフッ・・・・・・」
ヒンヒンヒンヒンヒンヒンヒンヒンヒンヒン・・・・・・
――――――――――――――――――――――――
558 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:29:16.09 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
勇者「フッ!・・・スゥ―――――――っ。」
勇者「ッッッ!!!」
―――キィン!!
迷子「!」
勇者「―――フゥ――――――・・・。」
勇者(・・・もう少しだけ早くできそうだ。とりあえず、飛ばすことはおいておこう。今はもっと速さを・・・。)
迷子「す、すごい!音が後から・・・あっ、す、すごいです。ど、どうやってたんですか!?」
勇者「ははは、ありがとう。特別な事はなにもやってないよ。ただ振っていただけだ。」
迷子「もう一回!もう一回見せて!」
勇者「はは、一回だけな。・・・・・・スゥ――――――」
勇者(――――――)
勇者「ッッ!」
―――スヒィィィ――――――・・・・・・ン
勇者(む?)
迷子「すごい!まるで風を切り裂いているような音がしたです!」
勇者「・・・。」
勇者(明らかに音の感じが違ったな?)
ヒン!ヒン!
迷子「・・・?」
勇者「・・・・・・。」
勇者(・・・少し脱力していたか?たしかにこの子のおかげで和んでいたが・・・。)
迷子「・・・・・・あの、どうしたんですか?」
勇者「あ、いや。・・・いつもと違った音がしたからね。それだけだよ。」
迷子「その短剣、すごい綺麗ですよね?見せて!見せてください。」
勇者「いいよ。間違って足の上に落としたりしないようにね。刃にもさわらないように。はい。」
迷子「あ、ありがとうございます。・・・重いですね。」
勇者「刃が君の指先から肘くらいまではあるからね。」
迷子「・・・これ、見たことない物でできてます。・・・こんなにピカピカしてる短剣なんて・・・・・・」
勇者「あぁ、この島には製鉄技術がないようだからね。それは金属というもので作ってある。」
迷子「きんぞく?」
勇者「石の仲間かな。石の中には少しだけこういう物が含まれている。それをたくさん集めて、強い火にかけて、叩いて。」
勇者「それの繰り返しで作った物だ。骨より丈夫で、石より切れる。この島の骨鉈より、このナイフのほうが強い。」
迷子「へぇー・・・。」
勇者「・・・少し顔を洗ってくるよ。ナイフ返して。」
迷子「あ、はい。」
ガサガサガサ・・・
迷子「・・・・・・。」
勇者(いきなり口調が戻った。やはり無理して敬語を喋っていたんだな。・・・しかし女の子なのに武器が好きなのか?)
勇者(祭壇の裏手なら蜘蛛もやってこないだろう。でも出来るだけ早くもどらないとな。寂しがるだろうし。)
勇者(・・・さてと、昼にはなにを作ろうか。蜂蜜と・・・芋でもとるか。麦や米があればさらにいいんだが・・・)
――――――――――――――――――――――――
559 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:29:59.77 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
祭壇
勇者「お、おはよう。」
妹「おはよー。勇者と一緒にいたんだな。よかった。」
孫「・・・おはよう。」
迷子「お、おはようございますです。」
孫「・・・・・・君、なま」
頭≪バカン!≫
孫「がっ!?」
勇者「・・・。」
迷子「・・・?」
妹「ははは、それでさ」
孫「な、なにを」
妹「静かにしてろよにぶちん。でさ、今日の朝ごはんだけど、私に作らせてくれないか?」
孫「・・・?」
勇者「・・・・・・あぁ、別に良いぞ。」
勇者(・・・妹はさっき起きていたようだな。孫はなかなかに鈍いようだ。)
妹「やった。じゃぁさ、作り方教えてくれよ。」
勇者「わかった。何が作りたいんだ?」
妹「その子が食べれるやつ。」
迷子「え?」
勇者「ふむ。・・・まだまだ肉は無理だしな。かといって蛋白質を取らないのも・・・・・・。」
勇者「そういえば君はご飯はどれぐらい食べていなかったんだ?症状から水は取っていたのはわかるが。」
迷子「え、えっと、覚えてないでございます、すいませんです・・・。」
勇者「いや、しょうがないさ。意識が朦朧としてれば時間の感覚くらい鈍る。じゃぁ・・・一番最後に食べたものは思い出せるか?」
迷子「・・・・・・落ちてた木の実を、食べたと思いますです。」
勇者「そっかそっか。・・・やはり蛋白質は必要だろうな。」
妹「そうなのか?」
孫「・・・」
勇者「昨日話したな。この子は長い間食べ物を食べていなくて、水だけ補給した症状が出ていると。」
勇者「最後に食べたものが木の実だ。蛋白質は虫や肉に多いが、この子が木に隠れている虫やウサギをとれるとは思えない。これを裏付ける証言だな。」
勇者「だから長らくそういった物は食べていない、と推定できる。」
妹「ふーん。」
孫「・・・。」
勇者「もし食べていたとしても定期的に食べれていないならやはり蛋白質が足りていないしな。結局食べさせる必要がある。」
迷子「へ、へぇー。」
勇者「さてと・・・君は虫は食べれるかい?」
迷子「は、はい!食べれるです!」
勇者「そっか、よかった。肉より虫のほうが消化はしやすいからな。二人とも材料を集めにいくぞ。蜂の子をゆでて食べよう。」
妹「・・・それじゃなにもすることないじゃないか。」
勇者「もうひとつ作るから、そっちを手伝ってくれ。」
孫「何を作るんだ?」
勇者「ひみつだ。まぁきっとうまくいくさ。」
孫「?」
勇者「おんぶするよ。腕伸ばして。」
迷子「あっはい!」
――――――――――――――――――――――――
560 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:30:28.34 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
地面≪ザクッザクッザクッ≫
勇者「・・・・・・。」
迷子「あ、あの、なにやってるんでございますか?」
勇者「ん?芋を掘ってるのさ」
迷子「い、いも?」
勇者「うん。今狙ってるのはとても細長い物でね。折れやすい芋なんだけど、独特な触感があるんだ。生でも食べれる数少ない芋だ。」
迷子「へぇー。」
勇者「周りの土をある程度ほった後に少しずつ取り出さないと簡単に折れる。もうそろそろ、よっと・・・」
勇者「うん、とれた。立派だ。」
迷子「木の根っこみたいなんでございますね。」
勇者「そうだね、一見根に見える形だ。だけど上に生えてる草からこれが芋だっていうのがわかるのさ。」
勇者「本来は坂で取るほうが楽なんだけどね。この島は坂がほぼないし、あまり祭壇から離れすぎるのも問題だ。苦労はするがこうやって棒で掘るしかないな。」
勇者「・・・あと2本くらい必要か。できれば米か麦も欲しいんだが・・・。」
迷子「・・・米。」
勇者「米があるともうすこしおいしくなるんだ。まぁ手間がかなり増えちゃうんだけどね。」
迷子「・・・・・・。」
勇者「・・・どうしたんだい?」
迷子「い、妹さん達は何をやってるんですか?」
勇者「ん?蜂の巣を取ってるんだ。そのために葉っぱを燻してるんだな。」
勇者「煙で蜂を弱らしてからじゃないと危なくて取れない。」
迷子「・・・孫さん棒を集めてるんですけどあれは?」
勇者「あれは俺が頼んだんだ。燃えない木の細い枝を集めてくれって。あとは薪か。」
迷子「へぇー、そうなんでございますか。」
勇者「・・・ございますを付けるのはやめた方がいいかな。」
迷子「え?」
勇者「君の敬語はところどころおかしい。」
迷子「え?え?」
勇者「でもおかしいところは大体ございますを付けるときだけだから使わないようにしてみるといい。」
迷子「わ、わかりました、です。」
勇者「・・・まぁゆっくりでいいか。」
迷子「?」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
561 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:30:55.71 ID:jd3clNu6o
祭壇
勇者「やはり芋虫は茹でたのがうまいな。」
妹「焼いたほうが好きかなー、あたしは。」
孫「俺は揚げたほうが好きだな。」
迷子「揚げる?」
孫「う、うん。・・・たくさんの油で茹でるって感じかな。さくさくしててうまい。」
迷子「へぇ・・・?」
妹「それ頻繁に出来るのは心眼族だけだよね。油なんてどこから取ってくるんだ?」
孫「燃えない木の種から取るんだ。取る所は見たことないけど・・・」
妹「そんなに取れるのか?」
孫「う、うん。」
勇者「油か・・・あると肉を鍋で焼けるな。」
妹「あ、そういうの食べた事ある。使ったのは脂だったけど、なんかこう、汁がいっぱいでおいしいよな。」
勇者「そうだな。直火よりは中の肉汁が出にくいからな。」
迷子「・・・・・・。」
勇者「君はまだまだ肉はだめかな。」
迷子「えぅっ!な、なんでわかったんですか?」
勇者「はは、君は結構食いしん坊みたいだな。良いことだ。」
迷子「っ!」
勇者「さてと・・・そろそろ作るか。」
妹「そうそう、さっきから気になってたんだけど、その根っこなんだ?」
勇者「これは芋だ。生で食えるぞ。」
孫「・・・それで何を作るんだ?」
勇者「饅頭をつくる。」
孫「・・・?」
妹「饅頭?」
迷子「?」
勇者「調理道具の中に、すり鉢があった。これをつかってすりおろし、蜂蜜とまぜる。そしてそのあと丸めて蒸す。」
勇者「それだけの簡単な料理だ。まぁ下準備がなかなかに大変だが・・・。」
562 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:31:32.70 ID:jd3clNu6o
勇者「では手伝ってもらうかな。孫、蜂の巣をざるにはさんで振り回してきてくれ。」
孫「蜂蜜だけにするのか?・・・やってくる。」
勇者「ん、頼んだ。」
妹「あたしは?」
勇者「この芋をすりつぶしてもらう。」
妹「わかった。・・・これこのままやればいいのか?」
勇者「いや、皮を剥いてくれ。お菓子でなければ剥かなくてもいいんだが、今回は剥く。」
妹「じゃぁ水場で剥いてくるね。」
勇者「あぁ、頼んだよ。」
勇者「さて、君にも手伝ってもらうかな。」
迷子「え?」
勇者「鍋はあるんだけど蒸し器はなくてね。だから手作りしなきゃいけない。」
迷子「ど、どうやって?」
勇者「ここに燃えない枝がある。これをつかって目の大きいざるを作る。鍋の大きさにあわせてふちにひっかかるくらいの大きさに。」
勇者「そしてそのあとに俺が木を削って蓋を作る。これは即席でつくるからそこまで時間はかからない。」
勇者「組み合わせれば蒸し器の完成だ。ざるに乗せるときは葉でも使えばいい。」
迷子「な、なるほど。」
勇者「さ、あんでいこう。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
妹「お?何してるんだ?」
勇者「ざるを作ってる。」
迷子「作ってます。」
妹「へー。・・・・・・2人で作ってて大丈夫なのか?」
勇者「半分ずつ作って最後に余らせた部分を編みこむんだ。」
迷子「はい。そうです。」
妹「そんな作り方するんだな。よっと」
とさっ
妹「よし。」
ゴリゴリゴリゴリ
妹「うわなんだこれ、なんか球みたいになったぞ。」
勇者「そういう芋なんだ。粘りが強くて簡単には離れない。」
妹「へー・・・。」
迷子「・・・・・・。」
563 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:32:22.78 ID:jd3clNu6o
勇者「しかし意外だったな。」
妹「なにが?」
勇者「多腕族が陶器の技術を持っていた事がだ。俺が村で出されたスープを飲んでいた時は木の器だった。」
妹「あぁ・・・おばさんは木が好きな人だから。家の道具はわざわざ自分で作ってる人なんだよ。」
勇者「そうなのか。そういえばお礼も言ってなかったな・・・。」
妹「そのうち会えると思うよ。昨日兄者に会ったとき聞いたけど村は驚くほど変わらないって言ってたし。」
勇者「そういえば昨日走り回っている時にちらりとだがお前の兄と父を見かけたよ。門番もいたな。兄はかなり大きい鉈を持っていた。」
迷子「・・・。」
妹「あぁ、蜘蛛鉈だな。この前あたしが喋ってた蜘蛛用の鉈だよ。兄貴のは特別で、重さがほかの蜘蛛鉈の倍あるやつなんだけどね。」
勇者「ほぉ・・・。持った事がないからどれだけ重いのかわからないがすごいな。俺が見た物は特別大きかったのか。」
妹「あ、でも長さは変わらないよ。変わってるのは厚みだけ。重みに耐えれる様に柄も太くなってるけど。」
勇者「なるほど、長くするとそれだけ負担が倍増するからな。攻撃力だけ高めたのか。」
妹「そうなんだよ。あたしの兄者はすごいぞ!村にはいろんな腕試しがあるんだけど、その中に丸太斬りってのがあってさ、」
妹「蜘蛛鉈用の腕試しなんだ。丸太を倒して3本重ねた物に蜘蛛鉈を振り下ろすんだけど、」
妹「普通なら一本の半分もいかないんだ。1本斬れるようになったら蜘蛛鉈を授けられて蜘蛛狩りに選ばれるんだけどさ、」
妹「兄者は3本斬っちゃったんだよ!蜘蛛鉈に亀裂が入っちゃうくらい威力があったんだからな。」
勇者「丸太を3本とは、すごいな。どれぐらいの太さの丸太だ?」
妹「あたし三人分くらいかな。ちなみに親父が2本でじいちゃんが若いころは2本半だってさ。」
勇者「ふむ、なかなかの太さだ。ちなみに妹はどのくらいだ?」
妹「え?」
勇者「あそこにある蜘蛛鉈はお前のだろう?今の話を聞けば蜘蛛鉈が貰うには最低でも一本は斬れなければいけない。」
妹「・・・。」
勇者「・・・・・・あー。あれはもしかして隠していたのか?」
妹「・・・うん。よく気づいたな。」
勇者「いや、悪かった。そうとは知らず。」
妹「いや・・・別にいいよ。あれはそのうち言わなきゃと思ってたし。」
妹「・・・あたしは蜘蛛鉈を振ったことが一回もないんだ。」
勇者「そうなのか?」
妹「うん・・・。まだ成人してないから、腕試しはできないんだ。」
勇者「ふむ、何歳で成人だ?」
妹「18。」
勇者「まだまだじゃないか。準長はなんでお前に?」
妹「わかんないよ。聞いても答えてくれなかったし。」
勇者「・・・・・・そうなのか。」
妹「・・・。」
564 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:32:53.78 ID:jd3clNu6o
勇者「まぁ、深い意味はないかもしれないな。もしもの時のための自衛の手段、それだけかもな。」
勇者(蜘蛛鉈を使い戦うのは蜘蛛。蜘蛛鉈を振るという事は蜘蛛と戦う事を意味する。・・・肉親であるならそんな危険な事はさせたくないだろうな。)
妹「うーん・・・。」
勇者「後で触らしてもらってもいいか?」
妹「あ、あぁ。いいよ。」
勇者「・・・しかし、君は手先が器用だね。」
迷子「えっ!!そ、そそんなことないですよ!」
勇者「はは、そんなことあるじゃないか。俺の2倍は進んでる。」
迷子「あのっ、これは、そのっ」
妹「・・・はは、素直にありがとうって言いなよ。すごいんだからさ。」
迷子「・・・あ、あり、ありがとう、ございます、です。」
妹「はは!かわいいな。」
頭≪ワシワシ≫
迷子「えぅ・・・っ」
勇者「ははは、じゃぁこっちのほうも君に任せようかな。頼んだよ。」
迷子「わ、わかりましたです。」
妹「どこか行くのか?」
勇者「孫の様子を見てくる。そのあとに蓋を作る。木くずが大量にでるからここじゃぁな。」
迷子「・・・。」
妹「そっか、いってらっしゃい。」
勇者「ん、いってくる。」
スタスタスタ
迷子「あ・・・。」
妹「・・・・・・。」
迷子「・・・。」
妹「・・・残念そうだねー?」
迷子「っ!」
565 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:33:18.36 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇〜昼前〜
勇者「よし、後は放っておけばできる。」
孫「魚はまだ少しかかりそうだ。」
妹「結構楽しかったなー。こんなの初めて作ったよ。」
迷子「・・・。」ジー
勇者「お菓子に気を取られすぎていたな。昼ごはんの事をすっかり忘れていた。」
妹「はは、まぁいいじゃん。この子はまだ肉は食べれないんだからさ。」
勇者「そうだな。まぁ明日の体調によっては試してみるのも悪くない。食べるにしても鳥からだけどな。」
迷子「すいませんです、私のために・・・。」
孫「気にしなくていい。子供を助けるのは当然だ。」
妹「そうそう。掟で決まってる事だし。」
勇者「?」
迷子「おきて、ですか?」
孫「・・・知らないのか?」
迷子「う、す、すいませんです・・・。」
勇者「俺も知らないな。お前ら2人は別々の族なのに掟を共有しているのか?」
妹「共有っていうか・・・全部の族に同じ掟が伝わってるんだよ。」
妹「それが本当かどうかは知らなかったけど、確かに村には攻め込んでこなかったみたいだし。」
妹「・・・・・・村に侵入してきたのはお前が初めてだし。」
勇者「そうだったのか?」
妹「あ、あくまであたしが生まれてからの話だけど。」
孫「・・・掟は恥とされる事が決められていて、例えば戦士が休む場所に攻め込むことは恥とされている。」
勇者「ふむ?」
孫「他には・・・子供は先、先を潰すことは恥。とか、かな。こんな風に恥がたくさんあって、最後には恥は死。で終わってる。」
孫「つまり、これらを破った物には死の制裁を与えなければいけない。とされてる。」
妹「でも、制裁しなければ恥とはされていない。絶対じゃあないんだよね。」
勇者「なるほどな。・・・それを習ったのは何歳くらいだ?」
孫「・・・覚えていない。」
妹「あたしも。物心つく前から言われてたのかな?」
勇者「・・・なるほど。」
勇者(この島の住民であるならば、この子くらいの年でも知っていて当然なくらいの常識なのか。)
勇者(・・・ならば知らない理由は、この島の住民ではないから、か?・・・飛躍しすぎだな。親が教えていなかっただけの可能性がある。)
勇者(この子が来ている布の服も、装足族が布の服を着ていたから特別なものでもないしな。もしかしたらと思っていたが、やはり可能性は薄いか。)
566 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/28(土) 22:33:22.89 ID:/aezzgISO
おひさ!
567 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:33:44.98 ID:jd3clNu6o
勇者「ま、そんな事はどうでもいい。知らない事だってあり得る。」
勇者(この話題はこの子が避けようとしている話題に関係がある。するべきじゃないな。)
妹「そうだね。あー早く焼けないかなー。」
孫「・・・もう少しかな。」
勇者「便利だなその眼は。俺も欲しい。」
孫「あ、あげることはできない。」
妹「あはは、本当便利だよね。どれくらいなのか一目でわかるんだから。」
迷子「・・・・・・。」ジー
孫「・・・ん?」
勇者「どうした?」
孫「いや、昨日の奴が来たみたいだ。」
妹「あの足が速い奴?」
孫「うん。あっちから来る、みたいだね。」
勇者「そうかそうか、魚を多めに焼いておいてよかった。」
孫「・・・なにか荷物が多いな。来た。そこの枝に・・・」
妹「乗ったね。手振ってる。」
ヒュン
青年「・・・ゆーうしゃぁ〜〜!!!」
ドヒュゥ!
勇者「ちょ」
ズガン!
勇者「ゲフ」
孫「!」
妹「!」
迷子「!」
青年「会いたかったよ〜!」
ぎゅぅー!
勇者「い、いきなり体当たりをかましてくるとは、予想がつかなかった。」
青年「ははは!いいじゃないか!怪我がなければさ!僕はもう大急ぎで来たんだよ!」
妹「は、はやいなぁ。」
孫「・・・・・・。」
568 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:34:27.50 ID:jd3clNu6o
青年「っと!どうも初めまして!何処かの誰かだよ!よろしく!」
孫「ど、どこかの誰か?」
妹「・・・?」
青年「そうさ!詮索しないでくれると助かるかな!」
妹「・・・んー。」
勇者「はは、まぁ、そういう事だ。彼が今日のお客人だ。」
青年「これからよろしくねー!少しの間お邪魔するよー!」
孫「・・・。」
妹「・・・・・・うん、まぁ、よろしくな。」
迷子「よ、よろしくおねがいしますです・・・。」
青年「うっひょー!何この子かわいー!」
ヒュゥ!
迷子「え」
ガバ!
迷子「いっ・・・!」
青年「あっと・・・ごめんね、足怪我してるんだね。」
迷子「だ、だいじょうぶ、です。」
青年「お詫びに抱っこしていてあげるよー。」
迷子「え?い、いえ?大丈夫です、よ?」
青年「遠慮しないでー!いやーあったかいねー!」
迷子「・・・?」
勇者「ははは・・・また賑やかになりそうだな。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
青年「おっ!お魚焼いてるんだね!いいねー心眼族が焼いたお魚はおいしいと聞いているよ!」
勇者「そうなのか?」
孫「・・・初めて聞いた。」
迷子「そ、そうなんですか?」
妹「そうだね、料理が上手いのは心眼族とは聞いたことはあるかな。」
青年「そう!そうさ!心眼族はそのすべてを見通すといわれる第三の眼により料理の火の通り具合がまるっとお見通しという寸法さ!」
青年「とくに得意なのが焼き魚!第三の眼でおいしい魚を選び、卓越した弓の技術により殺したその魚は最高の鮮度が保たれその眼は最適な火加減を知らせ、焼きあがるその瞬間を見逃さない!」
569 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:35:05.81 ID:jd3clNu6o
青年「楽しみだよぉー!見たところわざわざ僕の分も用意してくれているようだし!いやー来てよかったよ!」
勇者「・・・ほぉー。」
孫「あ、あまり期待するなよ。お、俺は家事なんて全然やらないんだからな。」
青年「おや、そうなのかい?ふふふ、でもいいさ!心眼族の焼き魚は僕の村・・・!おっとなんでもないよ!気にしないで!」
青年「お仲間との間で噂になっているのさ!いーい土産話になりそうだよ!子供というのは常に外の情報を欲しがっていてね!若様―って聞きに来るのさ!」
勇者「はは、そうなのか。慕われているんだな。・・・しかしそうか、そんなに噂になっているのか。俺も気になってきた。」
勇者(さっきからちょくちょく情報を小出ししているな。恐らくわざとか。立場的に情報の出し方を選択しなければいけないのかな。)
孫「お、お前まで何を言い出すんだよ。前食べなかったか?というかお前のほうが上手いだろ?」
妹「はは、私も楽しみだなー。まだか?」
孫「あっ・・・・・・。あぁうん。も、もうちょっと、かな。」
青年「ふふふ!楽しみだなぁ!ねぇ君!」
迷子「えっ!?は、はい、楽しみでございます!?」
青年「いやーいいねー!きみ!あははははは!」
迷子「っ?」
勇者(・・・おせっかい焼きかな。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
青年「いやー!さすがの心眼族じゃぁないか!パリっと中ふっくら脂たっぷりってねぇ!」
青年「おいしかったよー!」
勇者「確かにな。美味かったよ。」
妹「ほんとだなー。毎日食べたいくらいだよ。」
孫「う・・・・・・。」
妹「ははは、赤くなってやんの。」
孫「・・・〜〜〜。」
青年「ねー?美味しかったよねぇ?」
迷子「はいっ?!はい、お、おいしかったです!」
青年「ふふー、いい子いい子!」
迷子「うぅ。」
青年「それとなんだろねー?なにか・・・甘い匂いするよねー。その・・・なにかなーこれ。鍋みたいだけど。」
勇者「あぁ、それは俺が即席で作った蒸し器という調理器具だ。」
妹「湯気を利用して火を通すんだってさ。」
青年「へー。・・・なるほどねー。気密性の高い容器を被せて下でお湯を沸かしているんだね。」
青年「これで火は通るのかい?」
570 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:35:49.90 ID:jd3clNu6o
勇者「蒸気は馬鹿に出来ないぞ?蒸気は圧力が高まると最高温度も高くなる性質があるから、湯の温度も超えることも有るんだからな。」
青年「へー?・・・でもこれはそこまで圧力が高まっていないような気がするけど?」
勇者「はは、まぁ料理にはそこまで高い温度は必要ないからな。この蒸気の漏れ方からすると9・・・湯より低い程度だな。」
青年「あぁそうなんだ。でもこんな調理方法は始めた見たよ。面白いね。」
勇者「・・・・・・もう少しか。この調理法は安易に蓋を取ってはいけないからタイミングが難しい。」
青年「だったら我らが心眼族様の出番じゃないか!さぁー見ておくれ!」
孫「い、いや・・・これは見えないよ。」
妹「え?」
青年「え?なんでだい?」
孫「・・・燃えない木は見通せないんだ。」
勇者「そうなのか?初耳だな。」
孫「そういえば言ってなかったかな。」
青年「へー。第三の眼も万能じゃないんだねぇ。そういえば君は気づいていないみたいだしね。」
孫「え?な、なにがだ?」
青年「秘密さ!ひーみーつ!」
妹「・・・。」
迷子「?」
孫「?」
勇者「・・・まぁ、そろそろ出来るはずだ。開けるぞ。」
勇者(秘密?いったいなんだろうな。)
青年「うわーい!早く開けておくれよ!」
妹「あたしも見たいな。」
孫「・・・。」
青年「さ、君もこっちへ来るといい!」
迷子「は、はい!?」
青年「膝と背中に手を回せば痛くないよね!」
迷子「あ、ありがとう、です。」
勇者「あまり覗き込むな。やけどするぞ。」
妹「あ、ごめん。」
迷子「す、すいません・・・。」
蓋≪がぱぁ≫
孫「うわ、すごい蒸気だな。」
勇者「・・・うん、よさそうだ。火は通っているだろうな。」
青年「うわー熱そうだねぇ。これはそのまま食べればいいのかい?」
勇者「まてまて、俺が味見してからだ。」
青年「えー?君が作ってくれたものだもの。おいしくなくても食べるよー?」
勇者「それは嬉しいができれば自信を持って食べてもらいたいんだ。味見は義務みたいな物だ。」
妹「・・・。」
青年「そういう物かい?じゃぁ冷めないうちにどうぞ。僕も冷めない内に食べたいからね。」
571 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:36:11.67 ID:jd3clNu6o
勇者「はは、言われなくてもな。どれ。」ガブ
勇者「・・・。」
勇者(うわ美味い。しっとりと吸いつくような感触。一口目の蜂蜜の直接的な甘さと風味は強い衝撃を受けるな。)
勇者(とても原始的な、だからこその直接的な美味さ、材料と調理方法が限られるからこその味と言えるか。)
勇者「・・・・・・。」
勇者(これは、久しぶりに納得出来る美味いものが作れたな。レパートリーに加えてもよさそうな・・・。)
青年「どうだい?おいしいのかな?」
勇者「・・・。問題はなさそうだ。食べてみてくれ。熱いから気を付けてな。」
青年「うわーい!じゃぁいただきまーす!ってあっちぃ!」
青年「き、きみよくこんなの持てるねぇ!やけどするかと思ったよ!」
勇者「それは慣れだな。料理していると熱にはなれる。」
妹「・・・・・・!うわあ・・・・・・なんだこれ・・・・・・。」
青年「あ!君は多腕族なんだね!うらやましい!」
勇者「口に合わなかったか?」
勇者(饅頭が浮いている。・・・見えない腕は熱を感じないのか。前戦ったときも痛みを感じていなかったようだしな。)
妹「いや、おいしすぎて・・・・・・。すごいなこれ。」
青年「うらやましいなぁ。僕も早く食べたいけど冷めるのを待つしかないかな・・・。」
孫「・・・うわ、うま・・・・・・。」
青年「・・・あーそっか。持てなければ別の物を使えばいいだけじゃぁないか。」
青年「・・・・・・君結構ずっこいねぇ。」
孫「え?い、いや、真似すればいいだけじゃないか。」
青年「そうするよー。」
どひゅぅ!
勇者「・・・お前はもう少し他人を思いやれないとな。」
勇者(あの子を抱えたまま走って行ってしまった。)
孫「え?」
妹「ほんとだよ。お前は他人の気持ちがわからないんだな。いきなり腰触ってきたり・・・。」
孫「ま、まだ根にもってるの?」
妹「当たり前だろー!二度とするなよ!」
572 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:36:43.17 ID:jd3clNu6o
ドヒュゥ!
青年「ただいまー!とう!」
饅頭≪ブス≫
青年「はい、どうぞ!」
迷子「・・・・・・!!」
青年「あれ?どうしたんだい?」
孫「お前・・・。」
勇者「はは、慣れていないのにあんなスピードで運ばれたら怖いに決まっているだろう。」
青年「ああ!ごめんねー!子供たちにやるみたいに走っちゃったよ!」
迷子「だ、だいじょ、ぶです。うぅ・・・。」
青年「とりあえずこれを食べるんだ!」
迷子「あ、ありがとうです。」
青年「僕も僕もー。」
饅頭≪ブス≫
迷子「・・・美味しい!」
青年「・・・・・・。」
勇者「そっかそれはよかった。まだまだあるから好きに食べてくれ。」
迷子「はいっ!」
青年「・・・君はすごいねぇ。」
勇者「どうしたいきなり。」
青年「素直に思っただけさ。」
勇者「そうか。」
――――――――――――――――――――――――
573 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:37:13.06 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
祭壇―昼過ぎ―
青年「いやー食べた食べた。おいしかったねー。」
迷子「はい!本当においしかったです!」
青年「ははは、べたべただねぇ。」
ゴシゴシ
迷子「あぅ、す、すいません。」
妹「ほんと、おいしかったな。」
孫「・・・うん。美味かった。」
勇者「そういってくれると作った甲斐があった。」
青年「甘い物は木にたくさんなってるからわざわざ作り直したりしないからね。新鮮だったよ。」
青年「作るのは苦労したのかい?」
勇者「いや、手伝ってもらったからそこまで苦労はしていないかな。一番大変だったのは材料調達だ。」
迷子「すごく深くまで掘っていたですよね。」
勇者「うん。俺の半分強かな。そのくらい掘らないと折れてしまうからね。」
孫「そ、そんなのを3本も採ってたのか。」
妹「あたし達が蜂の巣取ってる間によくできたな。」
迷子「すごいはやかったですよ。木の棒使ってるのにあっという間に掘ってました。」
青年「君は多才だねぇ。料理もできて穴を掘る事も出来て足が速くて強いなんて。」
妹「穴を掘るって。それは才能なのか?」
青年「ははは、そうさ、才能さ。どんな行動にも才というのは関係しているさ。」
勇者「そう煽てるな。何も出ないぞ。」
青年「いーや。美味しい夜ご飯位は出そうだね。」
迷子「・・・!」
勇者「ははは!そうだな。その位なら作ってもいいか。だが今日は肉や魚はもう出ないぞ。」
青年「え?なんでだい?」
勇者「その子の体調の為だ。夜は臓器の動きが鈍るから、消化が容易な物の方がいい。」
勇者「だから、果物の粥でも作るさ。」
青年「君の場合はそれだけでも美味しそうだからすごいねぇ。」
妹「実際美味いよ。あたしが作った物とは雲泥の差なんだよね。材料は同じなのになー。」
青年「そうなのかい?」
迷子「え!?な、なにがですか?」
青年「多腕族のこの子と葉っぱ仮面のこの人が作った物はそんなに味に差があるのかい?」
勇者(葉っぱ仮面・・・。)
迷子「・・・え!?そ、そんな、その。ど!どっちもおいしかったでございますよ!」
妹「ははは、そんなわけないじゃん。いーよ正直に言いなよ。怒らないからさ。」
迷子「えぅ・・・。」
574 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:37:40.85 ID:jd3clNu6o
青年「ほらね。お姉さんもこう言ってくれているのだから、君の主観においての味覚で判断するにどちらの果物粥の方が美味しかったのか僕に教えておくれよ。」
迷子「ぅ・・・その・・・・・・。・・・葉っぱさんの方が美味しかったです・・・。」
孫「・・・。」
勇者(葉っぱさん・・・。)
青年「そうなのかー。いやー不思議なものだねぇ。材料が同じなのに味に優劣がつくなんて。」
妹「作り方だって真似したのになー。明日もあたしに作らせてよ。」
勇者「いいぞ。」
妹「きっと明日は同じ味を出してやる。」
勇者「はは、楽しみにしておこう。」
青年「僕は今日の夜が楽しみだよ。皆に認められてる味が楽しめるなんてねぇ。今日は得しっぱなしだ。」
青年「だから君たちにお礼をしなければ。」
勇者「お礼?」
青年「そうさ。と言っても、もとはお土産だからそこまで大したものは無いのだけれどね。」
鞄≪ガサゴソ≫
青年「まずは、これだ!じゃーん!」
孫「・・・。」
妹「袋?」
青年「そう、袋!大事なのは中さ!心眼族君には丸わかりだろうけどね!」
青年「さぁ開けてみるがいいさ!この手のひらに収まる程度の袋にはいったい何が!」
袋≪シュル≫
妹「・・・これは・・・。」
勇者「塩じゃないか。」
迷子「え!?」
妹「しお!?本当か!?うわーすごい、こんなに!しかも私の村の物より小さくて白い!」
青年「ふふふ!やはり塩は君たちには貴重だったんだね!」
孫「・・・たとえ、お前が装足族だとしても貴重な事は変わらないはずだろ。」
青年「なんのことやら!だけどそうだね、貴重な物をこれだけ勝手に持ち出せるならきっと高い地位にいる人なんだろうね!」
妹「え?お前、もしかして呪術師?」
青年「僕は僕さ!じゅじゅちゅ・・・っ!呪術師などでは絶対にないと断言できるよ!」
勇者(噛んだ。)
青年「というか今の話は装足族だったらーって話!僕には関係ないよ!」
妹「いや、それはすごく無茶・・・」
青年「詮索しないでくれると嬉しいなー!」
妹「・・・それで?お土産はこれだけなの?」
青年「ふふふ!よくぞ聞いてくれたよ!一番貴重なお土産はそれだから、あとは小粒ばかりだね!」
青年「正直な所、葉っぱのお仲間が何人いてどんな人がいるかはほぼわからなかったから葉っぱに集中しちゃってるんだけどね。」
勇者(葉っぱ・・・。)
575 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:38:08.07 ID:jd3clNu6o
青年「まぁ後の物はさっさと行こうかな。」
鞄≪ガサガサガサ≫
勇者(・・・ん?布紐が見えたような。)
青年「はい!葉っぱ用に上着もってきたよ!僕のところの一般的な男用だけどね!」
勇者「おおありがとう。助かるよ。」
青年「それと、右手だして!」
勇者「なぜだ?」
青年「あんなことしておいて平気なはずないだろー!いいから出して!」
孫「?」
妹「あんな事?」
勇者「あぁ、確かに少しえぐれているが、まぁ、洗ったし平気だ。別にこのままでも・・・。」
青年「良いから出してと行ったはずだよ。」
勇者「・・・。」
青年「指の腹無くなっているじゃないか!これで平気って、やせ我慢得意だね。」
妹「うわなんだこれ。何したんだお前。」
孫「腹どころか関節の上下も削れてるじゃないか・・・。」
迷子「・・・ひっ。こ、こんなので朝素振りしてたんですか?」
勇者「そこまで痛くない。傷なんて慣れっこだ。」
青年「この葉っぱはね、昨日、飛んでくる矢を右手でつかんだのさ。」
迷子「え!?」
妹「はぁ?そ、そんなん多腕族でもそうそうできないぞ。」
孫「矢を掴む・・・?お前は短剣で普通に叩き落とせたはずだろ?」
勇者「人には事情というものがある。あの時はこれしか思いつかなかったんだ。」
青年「矢を掴むなんて、装足族の足の速さで腕を動かさなければ無理さ。ほんと君は化け物だねぇ。」
勇者「あまり頑丈ではないがな。手袋がなければもっとひどかっただろう。」
青年「はい!これでおわり!とゆう事でばばーん!お土産第3番目は秘伝の塗り薬と包帯の一式でした!」
勇者「・・・ふむ?ずいぶん薄い布だな。そこまで違和感がない。」
青年「ふふふ、包帯も秘伝なのさ!製造方法は秘密!」
青年「あとはまぁ・・・ばらまき用の小物のお土産だね。数がわからなかったからたくさん持ってきたんだけど・・・。」
青年「はい!頭につける羽飾りだよ!僕みたいに鉢巻きに差し込んで使うのさ!」
青年「鉢巻きは好みが分かれるから見えづらい羽飾り用のわっかも持ってきたよ。これはみんなにあげるよー。」
妹「頭飾りかー。・・・そういえばおばさんが似たようなの付けてたな。」
青年「君にはこの色が似あいそうだねぇ。つけてあげようか?」
妹「あ、いいよ。私の村では着飾るのは同性しかやっちゃダメなんだ。例外はあるけれど・・・。」
青年「そうなのかい?・・・じゃぁはい。あげるから、気になるならつけてみて。」
妹「ありがとう。・・・・・・な、なんか恥ずかしいなぁ。」
青年「似合ってるよ!いいねぇ!ね?」
迷子「は、はい!キレイですよ!」
576 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:38:40.71 ID:jd3clNu6o
妹「あはは・・・ありがとう。・・・・・・な、なぁ。ど、どうかな。」
孫「・・・・・・。」
肩≪トントン≫
勇者(・・・・・・。)
孫「え?あっ、お、俺か。」
妹「い、いや、その、お、お前ら2人にきいたんだ、けど・・・。」
孫「あ・・・う、うん。すごく似合ってる、と思う。うん。」
妹「そ、そうか?そうか。そっか。よかった。うん。」
迷子「・・・?」
背中≪トントン≫
勇者〈どうした?〉ヒソヒソ
青年〈二人はできてるのかい?〉ヒソヒソ
勇者〈見ての通りまだまだだな。〉ヒソヒソ
青年〈なるほどね。まだまだ発展途上なのだね。〉ヒソヒソ
孫「な、なにを話してるんだ?」
妹「っ!」
勇者「なんでもない。」
青年「軽く相談事さ。」
孫「・・・?」
妹「・・・っ」
青年「さっ!君には・・・鉢巻きが似合いそうだなぁ!つけてみるかい!?そうするか!」
迷子「え?」
青年「やっぱり赤と白のこれだよねぇ!羽は君には2本より一本の方があいそうだ!」
迷子「そ、そうですか?」
青年「うん!結び方はやっぱり大きな蝶結びだね!うんうん似合ってるよ!でも何か物足りないなぁ。」
妹「・・・あ、あのさ。」
青年「なんだい?」
妹「多腕族用の化粧泥があるんだけど、使う?」
青年「いいのかい?ぜひ使わせて・・・・・・、いや。」
青年「君がやってくれるかい?」
妹「え?」
青年「多腕族の化粧品を使うならやはり多腕族のしきたりに従うべきだと思うんだよね。」
妹「・・・。」
青年「泥ってことは水がいるよねぇ。一緒に行こうか。行こう行こう!」
妹「あ、う、うん。わかった。」
577 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:39:06.73 ID:jd3clNu6o
青年「あ、葉っぱ!さっきの話、お願いね!」
勇者「・・・あぁ。わかった。」
勇者(?)
青年「朝焼けの虹は是非大事な人に贈るべきだからさ。頼んだよ。」
迷子「?」
妹「?」
孫「?」
勇者「・・・そうだな。大事な人に是非贈りたい物だ。前向きに検討するさ。」
勇者(あさやけ・・・にじ・・・贈る・・・だいじ・・・。そしてさっきの話、か。)
青年「そう!だいじな、ね!もしまだ羽が欲しかったら勝手にあさってくれていいよ!ただほかの物はまじまじと見ないでね!」
青年「待たせたねぇ。じゃ出発―!」
迷子「うぅ、は、恥ずかしいです。」
妹「怪我してるんだから仕方ないよ。いいじゃない抱っこくらいさ。」
迷子「ち、ちがくて・・・。」
ガサガサガサ・・・
孫「・・・さっきのはどういう意味だ?」
勇者「・・・なぁ。妹の何か物足りなくないか?」
孫「え、え?な、何がだ?」
勇者「羽飾りが、だ。数は一本だったがもう何本かあったほうが似合うと思わないか?」
孫「そ、そうか?」
勇者「あぁ。お前もそう思うだろう?」
孫「え、あ、う、うん。・・・そうだな。うん。」
勇者「だよな。で、だ。何色がいい?」
孫「え?」
勇者「贈る羽の色だよ。お前があの子に贈る用の羽。」
孫「・・・は!?」
勇者「俺の個人的おすすめとしてはやはり赤色の物が・・・。」
鞄≪ガサゴソ≫
勇者(・・・む?白色の羽が妙に大量にあるな。そして鉢巻より明らかに長い白い布紐・・・。)
孫「ちょ、ちょおちょっとまて!お、おれが?あ、あい、あの子に!?」
勇者「ふむ。」
孫「お、おくりもの!?」
578 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:39:41.28 ID:jd3clNu6o
勇者「・・・」
勇者(贈り物は敷居が高いか。)
勇者「いや厳密に言うなら、贈り物、とは違うな。もとは他人の物だからな。」
勇者「ただお勧めするだけだ。この色のがもう一本あったほうがいいんじゃないか、とな。」
孫「いや、そ、そんな!お、おれは別に・・・!」
勇者「ん?さっきもう少し多いほうがいいって言ってたじゃないか。」
孫「あ、あれはお前が・・・!」
勇者「俺は確かに聞いたぞ。そうだな、ってな。」
孫「う・・っ!」
勇者「ほら、一本だけでいいから選んでみろ。結構細かく色が分かれていて選び甲斐があるぞ。」
孫「いや・・・でも・・・!」
勇者「あの子の髪色は綺麗な栗色だ。派手な色はあまり似合わないと思うだろう?」
孫「・・・。」
勇者「だから俺はこの辺りの色がいいと思う。お前はどれがいいと思う?」
孫「・・・お、おれ、は・・・。」
孫「・・・・・・。」
勇者「ほら、俺が選んだこの中から一本選ぶだけだ。簡単だろ。」
孫「く・・・。」
勇者「早く選べ。ほら。」
孫「い、一本目と同じ色のこれがいい、と、思う。」
勇者「そうかそうか。じゃぁ持っておけ。」
孫「お、おれ、が・・・。」
勇者「選んだだけだ。そしてお勧めするだけだ。」
孫「そ、そうだよな。贈り物、じゃない。うん。」
勇者(どう考えても贈り物だ。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
579 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:40:08.94 ID:jd3clNu6o
勇者「帰ってきたぞ。」
孫「っ!」
妹「うぅぅ・・・。」
迷子「だ、大丈夫。可愛いもん。」
妹「あ、あたしは別に・・・。」
青年「おまたせー。」
勇者「・・・。」
孫「・・・っ。」
勇者(・・・妹が化粧してきてるじゃないか。化粧というより模様だが。)
勇者(・・・・・・ん?自分でつけたのか?)
妹「な、なんだよ。」
孫「い、いや・・・べ、別に、なんでも・・・。」
妹「な、なんだよ!あ、あたしなんてどうでもいいって言うのか!」
孫「い、いやそういう意味じゃなくて」
妹「じゃ、じゃぁ!」
青年「はいはい、君は少し静かにしてなよ。」
妹「っ・・・。」
孫「・・・・・・。」
勇者「・・・孫。」
孫「や、やっぱりやめと」
勇者「孫。」
孫「うっ・・・」
勇者「・・・。」
孫「・・・っ。」
孫「っ!あ、あの・・・。頭の、羽。」
妹「?」
孫「こ、この色の奴が、も、もう一本あると・・・・・・!」
孫「・・・!」
孫「・・・・・・・・・・・・!」
勇者(詰まった。しかしなんだ。船での出来事を思い出すな。)
580 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:40:35.28 ID:jd3clNu6o
妹「・・・・・・。」
背中≪ツンツン≫
妹「っ。」
青年「・・・。」
妹「あ、あたしに・・・?」
孫「う、・・・・・・うん。」
妹「そ、っそそっか。あ。ありがとう。」
勇者(確かにこういう関係を見ていると焚き付けたくなるな。戦士や僧侶の気持ちが少し理解できる。)
勇者(しかし妹が妙に素直だな。何か言われたか?)
妹「あ、あああのさ。こ、こここれ。こ、この羽さ。」
勇者(む?いつの間に羽を・・・。)
青年「・・・・・・」ニコニコ
妹「お、おまえにやるよ。ほ、ほら。」
孫「え?あ・・・・・・ありがとう。」
妹「う、うん。・・・。」
孫「・・・。」
妹「〜〜〜」
孫「〜〜〜」
勇者(もう少し見ていたいがもう限界だろうな。今にも妹の手が出そうだ。)
勇者「ずいぶんおめかししたな。」
妹「! こ、こここれは、こいつが!」
勇者「君もずいぶんかわいらしくなった。」
迷子「ほ、ほんとですか?」
勇者「うん本当だ。これは妹がやったのか?」
妹「う、うん、そう。」
勇者「なかなかいい感性をしているな。」
青年「そうだろう?いやーなかなかだよねぇ。化粧慣れしていないとどうしても塗りたくりがちなんだけどね、この子は控えめでさ。」
青年「君もいい感性してるじゃないか。」
孫「え、え?」
青年「この夕焼けのような羽はほんとこの子にぴったりさ。髪の色と対立せず、主張しすぎず、1本より2本の色の広さにより髪色がよく映える。」
青年「なかなかだよ。さすが心眼族は見る目があるね。」
孫「う、それは、こいつが」
勇者「だろう?一発でこれが良いって選んだんだ。」
孫「な、なにを」
青年「そうなのかい?すごいねぇ流石は心眼族じゃないか。」
孫「・・・。」
581 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:41:05.94 ID:jd3clNu6o
勇者(選んだのは青年。決めさせたのは俺。だが決めたのは孫。そしてどう思おうが贈ったのも孫。)
勇者(・・・搦め手が得意のようだな。)
孫「そ、それより、こ、この青色の羽が、すごく、かっこいい。こ、こっちのほうが・・・。」
妹「・・・あ、ありがと・・・・・・。」
迷子「あ、つけてあげる!しゃがんで!」
妹「あ、ありがとう。」
勇者「それで?お土産はもうこれで終わりか?」
青年「うんそうだね。心眼族がいるっていうのは知ってたから、矢用の羽をたくさん持ってきてあるくらいかな。」
青年「あ、もちろん飾り用とは別だからね。」
勇者「確かに白い羽が妙に多かったな。なるほどな。」
青年「さて、と。それで、葉っぱは一体これからどうするつもりなんだい?僕は手伝うつもりで来たんだけど。」
勇者「・・・そうだな。選択肢がもう一つしかないからな。有翼族の村を探す。」
迷子「・・・!」
青年「うんうんなるほどね。それで今日の予定は?」
勇者「・・・できれば跡地まで行ってみたいな。」
青年「あそこは望み薄かな。壊滅して既に十数年たってる。」
青年「僕も足を運んだことがあるけど、もう廃墟すらない。見込みはないよ。」
勇者「だが、燃えない木の中は特別なのだろう?」
青年「・・・!」
孫「たしかにあの中だと物が腐りにくい。」
妹「そうなのか?」
孫「え?あっ、う、うん。・・・。」
妹「あっ・・・。」
勇者「あぁ、心眼族の村の書庫を見せてもらったときに、こいつのおじいさんがそういっていた。」
勇者「本の状態もすごく古い物だった。ずっとあの中に保存していたというのなら、数十年は立っているはず。」
勇者「だから、有翼族の村跡地に行き、木の中を調べたい。」
青年「なるほどね。・・・それで?何人で行くんだい?」
勇者「そうだな・・・。」
孫「か、監視は必要だろ?俺はついていくぞ。」
青年「この中だと正確な場所を知っているのは僕だけかな。僕も必要だろうねぇ。」
妹「・・・。」
迷子「・・・。」
勇者「木の中を調べるとなると、大きい破壊力が必要になるかもしれない。」
勇者「・・・妹を連れて行きたい。」
妹「・・・!」
迷子「じゃ、じゃぁわたし一人でお留守番ですね。」
582 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:41:37.03 ID:jd3clNu6o
勇者「それは駄目。何があるかわからない。」
孫「・・・どうするんだ?」
勇者「孫、お前が残ってくれ。」
孫「! いやだ!ついていく!」
勇者「駄目だ。今回は必ずしもお前は必要ない。」
孫「何!」
勇者「それに、この子を守るのはおそらくお前が一番安心だ。」
孫「・・・!」
勇者「この子を連れて行くのは危険すぎる。かといって一人でおいていくことはできない。」
勇者「もし何らかの異常が起こる場合、お前なら起こる前に視る事ができるかもしれない。」
勇者「脅威が外から近づいてきたとしても、お前の弓なら近づく前に対処できるかもしれない。」
勇者「お前が一番適している。」
孫「・・・。」
勇者「頼む。守っていてくれ。」
孫「・・・お前らはどうするんだ。どうやって蜘蛛を見つける。あいつらは待つのも得意だぞ。」
勇者「妹背負って木の上を通る。俺は装足族と違って枝の先は乗れないが、先行してもらって木の裏に蜘蛛がいないかを確認してもらう。」
勇者「図体が大きいから木に登ればどこから見てもはみ出すし、小さければ動きが遅い。そして狩をするなら獲物の通り易い下で待つはず。」
勇者「確かに完全に安全ではないが、危険性はぐっとへる。」
孫「・・・・・・それなら、いい。わかった。」
勇者「ありがとう。」
青年「じゃぁさっそく行こうか。木の中まで調べるとなると時間がかかりそうだ。急がないと。」
勇者「あぁ。妹をおんぶしてやってくれ。俺はあれを持っていく。」
青年「あれ?」
勇者「あぁ。」
孫「・・・・・・。」
妹「な、なぁ。勇者は別にお前が駄目だって言ってるわけじゃ・・・。」
孫「・・・わかってる。仮宿でも、あいつにとっては帰る場所だ。大事なところだ。」
孫「守ってやるんだ・・・。」
妹「・・・そっか。」
迷子「すいません・・・私がいなければ・・・。」
孫「い、いや。君の所為じゃない。仕方ないことだし、その」
妹「そうそう、こいつは結構抜けてるからさ、ちゃんと見てあげてくれな。」
孫「・・・。」
迷子「う、うん!わかった!だから、か、帰ってきてね!」
妹「うん。大丈夫だよ。あの二人は逃げ足は速そうだし、お守りもあるから。」
――――――――――――――――――――――――
583 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:42:31.38 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
森
青年「・・・。」
スッ スッ スッ
妹「う、うわ、う、」
青年「ごめんねーもう少し我慢してね。」
スッ スッ スッ
妹「う、うん、うわ。」
勇者「ふっふっふっ・・・」
ガサ! ガササ!! ガサン!
青年「なかなかじゃないか勇者!枝の先はそう簡単に渡れる物じゃないよ!」
勇者「お前のおかげだ!」
勇者(先ってほど先でもないし、明らかに太い枝を乗り継いでいる。)
青年「少し休憩しようかー?」
勇者「平気だ!このまま一気にいける!」
青年「りょうかーい!」
青年「・・・しかし君たち葉っぱ隊は受け入れ能力高いねぇ。」
妹「え?」
青年「僕が何者であるかなんて昨日の時点でわかってるはずなのにね。他族の間では装足族は評判悪いと聞くよ。」
妹「お、おま、は、違う、っと。うわ!違うんだろ!」
青年「そうだけどねー。でももしそんな評判の奴がいきなり来たらもっと余所余所しくなると思うんだけどなー。」
妹「・・・っ、だ、だとしたら、あい、つの所為、だろね!」
青年「葉っぱかい?・・・確かにあの人は独特だよねぇ。なんか信じちゃうんだよな。」
妹「知らない、うち、に!うわ!えい、きょうされてるのかな!」
青年「確かに2〜3日一緒にいただけで変わっちゃいそうだねぇ。むっ」
青年「止まって!」
勇者「何!?」
メキャ!
勇者「うぉ!」
枝≪ガシ!≫
メキメキメキメキ・・・
妹「勇者!!」
勇者「おうおう・・・・・・。なんとか落ちずにすんだ。」
勇者(よく俺が乗ったら折れるとわかったな。足の感知力も高いようだ。)
妹「よ、よかった・・・。」
青年「ごめんねー。細い枝に乗っちゃったよ。」
勇者「いや、蜘蛛じゃなくてよかった。」
584 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:43:02.01 ID:jd3clNu6o
青年「戻れるかい?」
勇者「・・・地面に一回下りないと無理かな。」
妹「待った。お前さ、枝にぶら下がれる?」
青年「ん?楽勝さ。よっと。」
クリン!
妹「うわわ!こ、蝙蝠みたいにぶら下がれるってのは本当だったんだな!」
青年「それで、この体勢からどうするんだい?」
妹「よいしょ・・・。」
ガサガサ!
勇者「うぉ!見えない腕か」
妹「投げるぞ。」
勇者「あ、あっちにしてくれ。」
妹「えぃ!」
ブオン!
ヒュ
ズダン!
勇者「よし!」
青年「す、すごい力だねぇ。」
妹「う、気持ちわる・・・。は、はやく戻って・・・。」
青年「はいよっと。」
ブォン・・・ブォン!
妹「うわ!」
スタン!
妹「さ、逆さ釣りはきついなー。お前は平気なのか?」
青年「まぁねー。かくれんぼで2時間3時間は平気でやってたね。」
妹「す、すごいな。」
青年「はっぱー!平気かい!?」
勇者「平気だ!あとどのぐらいだ!?」
青年「もうちょいさ!」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
585 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:43:36.48 ID:jd3clNu6o
森の一部
青年「ついた。ここら一帯がそうだよ。」
妹「え?ここ?」
勇者「・・・これは・・・。」
青年「いったろう?廃墟すらないってさ。」
勇者「・・・骨が折れそうだ。」
妹「ど、どうするんだ?こんなところで。た、ただの森じゃないか。」
勇者「燃えない木を探す。見つけたら中に入れないか探ってみる。その繰り返しか。」
青年「ここからは一層注意しないとね・・・。比較的、見通しはいいけどさ。」
勇者「・・・だいたい、村の中心に木があるようだ。心眼と多腕の村ではそういう配置だった。」
青年「・・・。だとすると、ちょっと外れたあそこのでっかーい木、になるかなぁ・・・。」
妹「あれかぁ・・・。うわぁ・・・・・・。」
勇者「・・・有翼族は空を飛べるらしいな。上の方が怪しいか。」
青年「上に登れるような枝はないよ。行けるのは僕くらいだね。」
勇者「・・・一人で行動するのは危ないのだが・・・・・・。」
青年「確かにね。」
妹「で、でもさ。ここが村の跡地だっていうんなら、蜘蛛は入ってこないんじゃないのか?」
青年「たしかにそうかもね。」
勇者「・・・だが、見なくなった時期と蜘蛛が大発生した時期は重なるのだろう?」
青年「そうなんだ。ただの偶然ならいいけど、もし蜘蛛が入れるようになったから、壊滅したのだとすれば・・・。」
勇者「蜘蛛の危険性はある。」
青年「ただまぁ、今は本来蜘蛛がでる時期じゃないし目撃はされるようになったとはいえ例年の比でもない。」
青年「出にくい、のは確実かな。ここが蜘蛛の巣窟にでもなってない限りは。」
妹「で、でもさ。蜘蛛の巣は糸が貼ってあるはずだろ?ここには見当たんないし、巣じゃないんじゃないか?」
青年「何事もそうだけど、必ず、なんて言葉はそうそうないよ。」
勇者「そうだ。用心はしておくべきだ。」
妹「そ、そっか・・・。」
青年「しかし、やっぱりあの子が一緒だとしても、つれてくるべきだったんじゃないかい?」
青年「進む速さはだいぶ遅くなるとはいえ、彼の眼は便利だし。」
勇者「・・・いや、迷子は、あそこから動かしたくない。」
青年「なぜだい?」
勇者「勘、か。あそこから動かしたくないというより、ここに連れてきたくなかった。」
妹「な、なんでだ?」
青年「・・・・・・まさか。」
586 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:45:47.22 ID:jd3clNu6o
勇者「まだわからん。あの子は孫によればなんの特徴もない。だが、何か過去を抱えているのは確かだ。」
勇者「負担をかけたくない。」
青年「・・・・・・帰ったら試してみようかな・・・。」
妹「?」
青年「それで?この木をどうするんだい?」
妹「ち、近くでみるとますます大きいな。」
勇者「・・・つるが巻き付いているな。」
青年「上る気かい?」
勇者「そうしてみよう。」
妹「あ、あたしは木登りはあまり得意じゃないけど、2本腕よりはましだと思う。自分で上るよ。」
青年「そうかい?じゃぁお願い。・・・ゆっくり行こうか。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
頂上付近
勇者「・・・しかし、蜘蛛は小粒なのも多いのだろう?」
青年「うん?」
勇者「蜘蛛の卵を見たことがあるが、小指の先ほどもなかった。生まれたばかりの蜘蛛が死んだ物をみたことがあるが、そこまで大きくはなかった。」
勇者「あれだけ小さい卵なら、生まれたばかりであればこういったつるの裏側にもいそうなものだ。」
青年「ふむ。そうだねぇ。確かに絶対とは言えないけど・・・。」
青年「蜘蛛はねぇ、ある程度の大きさになるまでは糸を張って暮らすんだよ。」
勇者「そうなのか?」
青年「そう。・・・蜘蛛を育ててるのを見たことがあるけど、ちゃんと普通に蜘蛛してるんだよね。」
妹「く、蜘蛛を育てる!?」
青年「そう。糸を目的としてね。もちろんある程度大きくなったら殺す。残酷なようだけれど、子蜘蛛のうちなら足をちぎるのも簡単だ。」
勇者「なるほど・・・・・・。」
青年「・・・正直、あれは好きじゃないなぁ。おかげで軽い服を着れるのだけれど、その元が、あの達磨だもの。」
青年「卵から育てれば、卵を持つことはない。だから、ある程度はだけど安全にそだてれる。」
妹「・・・・・・。」
青年「・・・幹の太さ的に、これより上に入口があるのは考えにくいかな。」
勇者「ふむ。」
青年「ちょっと一週走ってくるよ。」
ドヒュゥ!
ヒュン!
青年「ぐるりと見回ってみたけど、それらしき穴は開いていないね。」
妹「は、はやいな。」
勇者「上から見下ろしても穴は開いていなかったか。」
青年「うん。」
妹「どうするんだ?」
勇者「お前の出番だな。」
587 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:46:13.43 ID:jd3clNu6o
妹「え?あたし?ど、どこ壊せばいいんだよ。それに足場がないとうまく振れないぞ。」
青年「・・・さっき上ったときに探ってみたけど、たしかに空洞があるみたいだね。」
勇者「その空洞があった高さで幹を一周すれば、どこが薄くなっているかわかるか?」
青年「うん。わかると思うよ。」
勇者「・・・夜になる前に探索を終えたい。急ごう。」
妹「・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「どうだ?」
青年「・・・大きい空洞があるのは確かみたいだけど、どこも分厚いかな。」
勇者「・・・・・・ふむ。この位置に部屋があると過程して、だとするなら上か下かに通路があるはずだ。」
勇者「有翼族ならリスク回避のために入り口は高いところに設置しているだろう。」
青年「自然の穴を利用した場合は?」
勇者「この木の事はあまり知らないが、洞というものは普通上下には伸びないものだ。まして中心にいきなり穴が開くなんて事はない。」
勇者「厚さにそこまで差がないのなら、その空洞は中心に近いところにあるという事。本来ありえない。」
勇者「だから、ここの穴は人工的に作ったはずだ。人工的に作ったのならば、そこに至る為の道があるはずだ。」
勇者「有翼族が穴を開けたのならば、自分たち以外がそうそう入ってこれない場所に入り口をつくる。つまり高い場所だ。そしておそらくつたう事が出来る枝などがない場所。」
勇者「しかし例外というものはある。だからまずこの空洞の上下を探ってからにしよう。」
青年「了解。まずは上からにしようかな。」
妹「・・・お前って頭いいよね。」
勇者「よく本を読んでいたからな。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
青年「・・・ここかな。」
勇者「ふむ。予想通り近くに足場がない。」
妹「ど、どうするんだ?」
勇者「どれ。」
木の幹≪ガッ!ガッ!≫
勇者「うーん分厚そうだ。俺では壊す事ができないだろうな。」
青年「・・・。ちょっと背中に乗ってみてくれるかい?」
妹「う、うんわかった。よいしょっと」
青年「あいたたたた!」
妹「う、うわ!だいじょぶか!?」
青年「いてて・・・。だ、だめだねぇ。人を背負ってこの体勢だと腰が痛いよ。しゃがみなら何とか耐えれそうだけど、その武器の振り回しに耐えれる気がしないなぁ。」
妹「あたしは4本じゃないとしっかり振れないし・・・。」
青年「どうしようねぇ。ここが元入り口なのは可能性高いけど、入る手段がないね。」
588 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:46:55.30 ID:jd3clNu6o
勇者「・・・どのぐらい跳べる?」
青年「・・・・・・そうだねぇ。この位置に着地するとなると・・・。」
青年「あのあたりの木の枝からなら、人一人とその武器くらいなら背負って跳べるかな。」
勇者「できると思うか?」
青年「やるしかないんでしょ?」
妹「な、なんの話だ?」
青年「君を背負ってあそこからここに跳んでくるっていう話だよ。」
妹「え!?できるのかそんなこと!?」
勇者「問題はタイミングだな。うまく着地する瞬間に勢いを殺さずに蜘蛛鉈を振り下ろさなければいけない。」
青年「まぁ僕の足なら何回でも耐えれるよ。繰り返しやればいつかはうまくいくさ。」
妹「む、無茶だろ!腰痛めるぞ!」
青年「着地と同時にしゃがむからきっと大丈夫さ。僕がそのでっかい鉈を振り回せれば一番なんだけど、そんな腕力ないし。」
勇者「可能性が今はそれしか思いつかない。」
妹「あ、あたしの力が足りないかもしれないだろ?」
勇者「この重さのものをそれなりに早く振れれば壊せるはずだ。」
妹「う、うーん・・・。」
青年「文句は後で聞くよ。とりあえずあそこまでの道を確保しようか。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
妹「うわたっかぁ・・・。」
青年「このくらいの高さだと頭から落ちちゃうと死んじゃうかな。」
妹「は、初めて蜘蛛鉈振るのがこれなんて・・・。」
青年「僕は数回飛び降りてみるよ。妹ちゃんも今のうちに素振りしておきな。」
青年「・・・っ!」
ドヒュゥ!
妹「うわわ・・・本当に跳んで行った。」
妹「・・・うーん。」
ブォン!ブォン!
妹「・・・・・・聞いてたほど重くないなぁ。」
ドヒュウ!
青年「うん。問題なさそうだよ。一回でいいや。準備できたかい?」
妹「あ、う、うん。とりあえずやってみる。」
――――――――――――――――――――――――
589 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:47:26.52 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
ヒュォォオオオ!!
ズガァァァン!!
青年「っと!できたじゃないか!」
妹「ははは、やった!高いところから飛び降りるのって結構楽しいな!」
勇者「二人ともありがとう。一回でできるとはすごいな。・・・ここは階段のようだな。」
青年「例の部屋は下だね。すぐ入るかい?」
勇者「あぁ、そうしてみよう。」
妹「明かりつけないと・・・。」
勇者「蝋燭ならあるが、火種がないな。」
青年「あれ?火打石もってないのかい?」
勇者「持ってないな。」
青年「それは知らなかったな。今僕持ってるからこれで火をつけようか。」
妹「なんだそれ?」
青年「この石は強く打ち付けると火花を散らしてくれるのさ。」
妹「へぇ。」
勇者「うまくついてくれるだろうが。」
青年「装足族が作った蝋燭なら火がつきやすくしてあるんだけどねぇ。」
妹「紐解いてつければ?」
勇者「なるほど、それなら火が着きやすいな。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
有翼族村跡地 大樹の洞
カツ・・・カツ・・・カツ・・・
勇者「・・・む。」
青年「行き止まりだね?」
妹「え、えーここまできて?」
壁≪コンコン≫
勇者「・・・恐らくこの先は空洞だな。」
青年「また壊すかい?」
勇者「そうしよう。」
妹「せ、狭すぎる。うまくいけるかな・・・。」
勇者「そういう時は突け。」
青年「少し離れようか。」
――――――――――――――――――――――――
590 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:47:59.87 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
バガン!
ガコォン
妹「いけた!」
勇者「まった。俺が先に入る。」
スタスタスタ
勇者「・・・む。止まれ。」
青年「どうしたんだい?」
妹「な、なに?」
勇者「・・・死体がある。」
妹「え!?」
青年「・・・君は入らないほうがいいかな。」
妹「う、うん。わかった。」
勇者「・・・乾いているな。しかし保存状態がかなりいい。」
青年「・・・死因は餓死かな?」
勇者「・・・・・・いや、餓死なら糞尿が撒き散らされているはずだ。異臭もそこまでしない。心臓が止まったか、毒か・・・。」
勇者「自己消化すらしていないな。不思議な物だ。」
青年「自己消化?」
勇者「死体は放って置けば崩れてしまう。理由は複数あるがそういうものだ。それが起きていない。」
妹「お、お前ら冷静だな。」
青年「焦りは失敗の元さ。損傷が少ない死体だし、ちょっと悪いけど何が起こったか推察しやすいしね。」
勇者「慣れだな。死体は数回見ている。俺が前見たものはこれよりひどかった。」
妹「す、すごいな・・・。」
青年「まー崩れていないというのはこの木の所為かな?」
勇者「そうだろうな。死因はわからないが・・・。」
勇者「・・・よく見たら、今壊したのは扉のようにみえるな。木が生長してはまり込んでしまったのか。・・・ひっかき傷もなし。閉じ込められたわけではなさそうだ。」
青年「・・・中は本棚が少しだね。よく見たら食料もあるや。」
勇者「余っているから、死因は餓死ではないな。外見に傷がないから、出血多量というわけでもないか。」
青年「・・・マナー本ばかりだねぇ。」
勇者「全部持ち帰ってみるか。」
青年「いやいや、量が多すぎるよ。中身見て、少しだけにしておきなよ。」
勇者「・・・確かに現実的ではないな。うーむ・・・」
青年「・・・・・・やっぱり中身もマナー本だねぇ。どれだけ礼儀を重視していたんだろ。」
勇者「子供用敬語指南・・・・・・要約すると です と ます と ございます があれば何とかなると書いてあるな。」
青年「いくらなんでも適当だねそれ・・・。」
勇者「・・・・・・む、子供用冒険譚か。どれ・・・。」
青年「マナー本ははじこうかな。・・・。」
勇者「・・・・・・ふむ、動物と話し合える人物が、森の生き物の助けを借りて悪者をやっつける、といった本か。」
勇者「ほかにも児童書が多いな。情感多彩な族だったようだ。」
青年「こっちは・・・これも児童書だね。空に高く上がりすぎた若者は、神の怒りに触れ翼をもがれ地に叩き付けられた。」
青年「・・・たぶん、この島から出ようとした人の末路を本にしたんだろうねぇ。」
勇者「・・・ふむ、大半が役立ちそうにないな。全部が全部古いしな。」
青年「まだ下があるかもね。ちょっと探してみようかな。」
妹「な、なぁ。死体放って置くのか?」
591 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:48:25.84 ID:jd3clNu6o
勇者「・・・それもそうだな。外に埋めにいくか。」
青年「ここは安全みたいだし2人でいってきなよ。僕はもう少し探しておく。」
勇者「ふむ。」
勇者(かなりの年数封じられていたようだし、生き物は生きていられないか。この死体が仮に蜘蛛に寄生された結果としても、かじられた後もないから未だに生きている事はありえない。)
勇者「・・・では頼んだ。だが限られた空間では」
青年「火を使い続けると倒れちゃうんでしょ。大丈夫だよ蝋燭の火程度じゃ少し位は平気さ。それにちょっとでも不調を感じたらすぐでるさ。」
勇者「そうか。くれぐれも気をつけて。」
青年「君もね。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
妹「蜘蛛鉈で地面掘るなんて・・・。」
勇者「悪いな。」
妹「いや、いいけどさ。」
勇者「しかしずいぶん軽々と振り回すな。」
妹「うーん・・・。持ったのは初めてだけど、多分軽く作ってあるんじゃないかな。」
勇者「兄の老婆心か。」
妹「兄なのに?はは、面白いな。」
勇者(そういうつもりでは・・・。)
妹「・・・このくらいの深さでいいかな。」
勇者「あぁ。埋めよう。」
トサッ
ザクッザクッザクッ・・・
妹「・・・・・・この人、何歳で死んだのかな。」
勇者「わからん。今は覆っているが、顔は干からびていて年は判別できない。だが、背から察するに大人ではある。髪が長いから、女だろうか。」
勇者「わかるのはそんなところか。この村になんらかの異常が起こった事を示す存在だ。」
妹「・・・ていうことはさ。」
勇者「・・・。」
妹「ここに住んでた村の人も、生きてないんだよね・・・。」
勇者「それはまだ断定できない。この綺麗な死体は、たまたま逃げ遅れただけとも取れる。」
勇者「どこか別の場所で生きている事は否定できないな。」
妹「・・・そっか。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
有翼族村跡地 大樹の洞
勇者「どうだ?」
青年「んー・・・無さそうだね。少なくとも、この部屋にはほかに道は無さそうだ。」
妹「うわ、たくさんあるな。どれどれ・・・あっ」
本≪バサバサバサ≫
妹「あ、あー・・・。」
勇者「注意して扱え。物によっては簡単に崩れるぞ。」
妹「ご、ごめん。戻すよ。・・・・・・あれ?」
勇者「どうした?」
妹「いや、こっちの本とこっちの本比べたらこっちの方が新しいなと思って。」
592 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:49:01.68 ID:jd3clNu6o
勇者「マナー本と児童書・・・。確かに児童書のほうが新しいな。よく見れば材質も違う。」
本棚≪ガタガタガタ≫
勇者「・・・この中間くらいの古さの本はないな。」
青年「それがどうしたんだい?」
勇者「有翼族には製紙技術と製本技術が最近まであった事の証明になる。しかも娯楽に利用されるほどだ、かなり身近な存在であった事が推測できる。」
青年「なるほどね。・・・風の噂では装足族の村でも本を作る技術はないそうだよ。」
妹「多腕族の村にも本ってあったのかなぁ・・・。」
勇者(そして材質が違うということは製紙技術が一度失われた事を示唆している可能性がある。確定ではないから伝えても仕方がないが。)
勇者(他族の状況、本があるのにそれを作る技術がないという状況から考えても信憑性は0ではない。)
青年「しかしどうするんだい?もう手がかりはここしかないんだろう?他に部屋がないか探ってみるかい?」
妹「ここは村の図書館だったってだけかも。長の家がどこかにあるだろうし探してみてもいいんじゃない?」
勇者「・・・」
勇者(この児童書はどこかで作られていたはず。児童書毎に別の作者がいるようだ。)
勇者(だとしたら、作成場所は各自の家のはず。家はもう残っていない。)
勇者(民族の特徴として、情報媒体があるのならば、何かが起こった場合情報を残そうとするはず。歴史書、日記、またはそれに類するもの・・・。)
勇者(・・・あの死体、そういえばなぜここに?何かしらから隠れるつもりでここに来たのだろうか?)
勇者(ここは保存食置き場兼本置き場。明かりが必須の為憩いの場、とは言いがたいが本好きな人間ならば通っていておかしくはない。)
勇者(・・・死が避けられない状況であるのならば、自分の好きな場所で死にたい・・・・・・。)
勇者(突拍子がないな。隠れる、死に場所を選んだ。後は発狂してここへ意味もなく逃げ込んだ、くらいか。)
勇者(理由、理由・・・。紙に情報を記した場合、長く残すにはこういった場所におく必要がある。外では腐ってしまう。記したのなら残す事まで考えるはず・・・。)
勇者「うーむ・・・・・・。」
青年「何か思いついたかい?」
妹「考え事長いなお前。」
勇者「あの死体、何がしたかったのか、と考えていた。」
青年「・・・ふむ。」
妹「ここは行き止まりだし、逃げてきたんじゃないよね。」
青年「どうだろうね。何かに追われているのなら、こういう所に隠れてもおかしくないよ。」
青年「でも、人が死を思うとき、安らげる場所でせめて逝きたいと考えるのは不自然な事じゃない。死に場所を選んだ可能性もあるね。」
青年「まぁ、毒を掛けられて・・・逃げ込んだこの場所で死んでしまった、が一番しっくり来るかなぁ。」
勇者「・・・どこかに本が落ちていないか?」
妹「? なんで?」
勇者「もし、死に場所を選んだのなら、最後に読みたい本があったかもしれない。」
勇者「その本に何か書いてあるかも知れないと思ってな。」
青年「・・・さっき歩き回ったときには見つからなかったなぁ。」
妹「うーん。でも、ただ隠れていただけかもしれないのに。」キョロキョロ
青年「かもね。でも、可能性としては一応あるわけだし、探してみても損ではないよ。」
勇者(・・・そこまで広くない。もし落ちていたらすぐ見つかるはず。見つからないのは、何かが邪魔をしているから。)
勇者「・・・。」
スタスタ
ガラン!
勇者「あった。」
青年「壊した扉の下か。」
妹「よく気づいたな。」
593 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:49:38.29 ID:jd3clNu6o
本≪パラパラ≫
勇者「・・・神に関する本だな。古い。」
青年「だけど、あの人が死んでいた場所から少し離れてるねぇ。死ぬ前に読んでいたなら近くに落ちていてもおかしくないはずだけど・・・。」
妹「投げたんじゃない?」
青年「投げるほど好きでもない本をわざわざ死ぬ前に読まないと思うけどね。」
勇者(・・・この島の風をつかさどる存在、神。風の力により人を裂くのは造作もない事。私たちを見守ってくださる。)
勇者(神の庇護の元、生きていれば恵まれた生活を約束される。この場所は飢える事はない。)
勇者(神はこの場所に他の者が入ってこれぬように風で覆う。同時に我等も出ることは出来ない。)
パラパラパラ・・・
勇者(神に関する事・・・後は・・・宗教みたいな物だな。恥の心得・・・孫の言っていた事も乗って・・・)
(贄とは最大の名誉。強き者が選ばれる。)
勇者「!」
勇者(なに・・・!生贄は名誉?・・・つまり、この島では、押し付けあっているのではなく、選ばれる為に選択肢を潰し合っている、というのか?)
勇者「・・・。」
(選ばれし族はその先永遠を許される。神の肉体への転生が許される。選ばれる為に恥を持つな。)
(他族を使い力を示せ。他族より我等は強いと力を示せ。)
(先をつぶす事は恥。他族の先を取り込み己の先へ。)
(守るべき場所を攻めるは恥。己の力が足りぬと示すと同義。森の中、己の力を最大に気高く戦え。)
勇者(・・・戦いを推奨するかのような物ばかりだ。他族を取り込む事も推奨されている。)
勇者(・・・・・・魔法の話・・・何かを閉じ込めるための・・・。この島には、間違いなく何かある。)
青年「なにか書いてあったかい?」
妹「そろそろ帰らないと日が暮れるよ。」
勇者「・・・他族は敵、か。」
青年「・・・・・・それは恥の本かい?言っておくけど、僕はその恥全てを信じているわけじゃないよ。」
青年「少なくとも、僕は他族を恥とは思ってはいないさ。」
妹「あー・・・。あたしも、別にお前らがいちゃいけない奴らなんて思ってないよ。」
勇者「・・・そうか。それは、よかった。」
勇者(知ってる事と信じる事は別か。・・・。)
勇者「・・・生贄は、いったいどれぐらいの周期で選ばれるんだ?」
妹「わからない。」
青年「うんわからないね。だいたい人が5度死ぬ位だって聞いてるけど・・・。」
勇者「前選ばれたのは?」
青年「もう、ずーっと前だね。選ばれた族は確か・・・」
妹「壁族だよ。」
勇者「壁族?」
青年「そうそう壁族。強かったらしいね。壁を作ったり、その壁を飛ばす事ができたりしたそうだよ。」
勇者「・・・。」
青年「といっても、今はもういないけどね。神の元で永遠を賜り、幸せに暮らしているって話だけど。」
勇者(・・・滅んでいるのか。生贄に選ばれた族は、滅ぼされるのか?)
勇者「・・・神、か。この島には間違いなく何か居るな。」
妹「・・・今日はもう帰ろ。2人が待ってるしさ。」
勇者「あぁ。そうするか。」
――――――――――――――――――――――――
594 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:50:07.59 ID:jd3clNu6o
――――――――――――――――――――――――
祭壇〜日没前〜
迷子「おかえりなさい!!」
妹「ただいまー。」
青年「いい子でいたかい?」
迷子「うん!今日はずっと矢を作ってたの!」
妹「大丈夫か?手切ってない?」
迷子「平気!」
青年「・・・たくさん作ったね。鏃はついていないけど・・・。」
孫「鏃は今、石を砕いて作っている。寝るまでには全部に付けれる。」
青年「そっかそっか。・・・うーん羽の切り方が独特だなぁ。」
孫「・・・あいつは?」
青年「近くで果物取ってるってさ。」
孫「そうか。」
青年「・・・見えないのかい?」
孫「鏃の為の石を拾うのには集中力がいるんだ。今日はもう遠くまでは見えない。」
青年「見るのは疲れるのか。けっこう制約が多いんだね。」
孫「なにか収穫はあったのか?」
青年「何冊か本持って帰ってきたよ。勇者は何かを確信したみたいだね。」
孫「・・・そろそろあいつともお別れになるのかな。」
青年「どうだろうね。得た確信がここを出る方法だとは限らないし。」
孫「だけど、いつまでも出ていかない訳じゃない。あいつには仲間がいる。」
孫「時間は掛かったとしても、あいつは出て行こうとするだろうな。」
青年「・・・君は早く勇者と分かれたいのかい?」
孫「・・・もう少し一緒に居たいかな。」
青年「素直だね君。」
孫「うるさい。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
日没後
焚火≪パチパチ・・・パチ・・・≫
青年「うんうん、おいしかったよ。流石だねぇ。」
孫「まさか塩を入れるなんて・・・。」
妹「ほんとだよ、びっくりした。」
迷子「でもすっごくおいしかったです!」
勇者「はは、ありがとう。」
青年「それで?明日の予定は?」
595 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:52:07.75 ID:jd3clNu6o
勇者「・・・ふむ。まだ考え中だ。」
勇者(神・・・同一の物だろうか。話を聞く限り神とはただの超巨大エレメンタルである可能性が高い。ならば同等とは言わずとも同じような存在がいると考えられる。)
勇者(この島に大規模な嵐を発生させ、それを何百年と維持し続けられるほどの高い魔力。・・・エレメンタルといえど可能だろうか?)
勇者(・・・どうしても避けられない相手ではあるが、いきなり突っ込むのも・・・。)
勇者「・・・生贄とはどう送るんだ?」
青年「なぜそんなことを聞くんだい?」
勇者「この島の神に会いたい。」
孫「それは・・・無理だ。」
勇者「なぜ?」
妹「だって神様は私たちと違う所に居るんだもの。」
勇者「違うところ?」
青年「所謂あの世さ。爺やに言われただろう?神の元へ送ってやるってさ。」
勇者「なるほど。生きて会う事は出来ないと?」
青年「そういう事だね。」
勇者(・・・。)
青年「まぁー神に会う事はあきらめなよ。死んだら元も子もないんだから。」
勇者「ではこの祭壇はどう使うんだ?」
青年「うーん。厳密に言うと知らないな。」
勇者「何?」
青年「いやね。やり方は知ってるんだ。12本の火を用意して、6本ずつ並行にならべて、その真ん中に一本の松明を立てて。」
青年「それで生贄はその松明の前に立つんだ。周りには同族が並んで、音を奏でて、待ち続ける。」
青年「蝋燭が燃え尽きたら、生贄が松明を祭壇に向かって倒す。それで終わり。」
勇者「・・・生贄はどうなるんだそれで。」
青年「知らないさ。この先の方法は知らない。きっと何かしら起きるんだろうね。」
勇者「というかお前、昨日ここでは蝋燭が燃え尽きると・・・。」
青年「言ったっけ?ごっめーん。」
孫「・・・。」
妹「お前・・・。」
勇者(カマを掛けられていたのか・・・。)
青年「いや、でもやり方に蝋燭が燃え尽きたらってあるだろ?嘘じゃないよ。」
勇者「・・・まぁいい。今日試してみればいいんだからな。」
勇者「しかし、だとするとどうするべきか。」
勇者(怪しいのは孫のお爺さんの家、この祭壇、それくらいか・・・。)
孫「・・・。」
妹「わからないなぁ。祖先でも抜けようとした人たちはたくさん居るみたいだけど、失敗してるみたいだし。」
青年「そうだねぇ。抜け出ようとした人たちは結構な数居るはずだけど、その人たちが皆失敗してるんだ。そんな簡単に抜け出せるわけないよね。」
勇者「・・・神について何か知らないか?」
青年「こだわるね。神にも縋るって思いかな。」
妹「会ったことないしなぁ。」
孫「死んでみるまでわからない。だけど、皆信じてる。死んだ時後悔しないように。」
妹「そだね。死んだ後まで後悔なんてしたくない。」
勇者「はー・・・。どうするべきか。うーん。」
勇者(何かを隠している爺さんに会いに行くのが一番有力か。)
596 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:52:34.01 ID:jd3clNu6o
青年「まぁまぁ余り悩まないで。といっても無理だろうけど・・・。」
妹「あせらずゆっくり考えようよ。焦ってもいい考えはでてこないだろ。」
勇者「そうかもしれんな・・・・・・。」
勇者(会った所ではぐらかされるだろうな・・・。武器で脅したところで話してくれるとも思えん。あまりやりたくもない。)
孫「・・・君は人が戦う所が好きだったな。」
迷子「えぅっ!?い、いきなりなに!?」
勇者「・・・?」
孫「勇者、立て。抜いて構えろ。」
青年「・・・。」
妹「ど、どうしたんだよ。何するつもりだ?」
勇者「なんでだ?」
迷子「えっえっ?」
孫「ただの喧嘩だ。前やったみたいにやるだけだ。今回は鏃もついていないから、前より安全だ。」
勇者(・・・俺がやったみたいに、暴れさせてすっきりさせようと?)
勇者「・・・ははは、なるほど。だがあれだと俺が攻める事ができないじゃないか。」
孫「む・・・。」
勇者「・・・そうだな。せっかくの申し出だ。相撲でもやるか。」
孫「す、相撲か・・・。」
妹「怖気ついたか?」
孫「い、いや・・・。いや!やる、やってやる!」
勇者「ふふふふ・・・手加減しないぞ。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
スッテーーーーン
孫「・・・・・・。」
青年「葉っぱの勝ちー。」
妹「弱いなお前。」
孫「う、うるさい。」
迷子「す、すごいですね!一回転しましたよ!どうやったんですか?!」
勇者「ふふふふ・・・秘密だ。」
迷子「教えて!教えて!」
勇者「足が治ったら教えて上げよう。」
迷子「絶対!絶対ね!」
勇者「あぁ。約束だ。」
妹「よーし!今度はあたしだ!」
勇者「兄の雪辱戦か?」
妹「そういえばその貸しがあったな!返してもらうぞ!」
勇者「増えるだけだな。」
妹「あははは!いっくぞー!」
勇者「よしかかって来い。」
597 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:53:14.50 ID:jd3clNu6o
妹「おりゃー!」
勇者(四本腕に捕まれたら引っこ抜かれてしまうな。捕まれないように体低くして足引っ掛けるか。)
勇者「よっと。」
ガッ!
妹「うわぁ!」
ザン!
ズザ!
妹「あっぶないな!」
勇者「さすが。」
迷子「すごい!顔から落ちそうだったのに回って戻ったよ!なんで!?」
青年「きっと見えない腕だろうねぇ。どうなんだい心眼族君。」
孫「そのとおりだ。頭から落ちそうな所を腕で逆立ちのように支えて一回転した。」
妹「今のは見たことあるぞ!あたしをなめるなよ!」
勇者「そうかそうか。よし、じゃぁ組み合ってみるか?」
妹「なめるなよって」
ガシ!
妹「いぃぃ?!」
カクン
ドサ!
勇者「尻餅ついたな。俺の勝ち。」
妹「え、えー?」
青年「・・・なんだい今の?」
迷子「な、なんで!?」
孫「・・・。」
妹「納得いかない!もう一回だ!」
勇者「ははは。いいぞ。」
妹「おりゃー!」
スポーン!
妹「うわあぁぁーー・・・」
ドサァ≫
勇者「ははは、俺の方が先に地面に背中がついたな。負けだ。」
青年「・・・・・・。」
迷子「す、すごいとんでっちゃった。」
孫「だからやりたくなかったんだ。勝てる訳ないから・・・。」
妹「いっててて・・・。な、なにが起こったんだ?」
ガサガサガサ・・・
青年「おかえり。はっぱに後ろに倒れながらおなか蹴られてとんでったのさ。」
迷子「だ、だいじょうぶ?けがしてない?」
妹「う、うん。平気。受身とったから。」
孫「・・・次お前いけ。」
青年「え?僕?」
妹「そうだ。お前もやれよ。」
青年「えー・・・取っ組み合いは苦手なんだけどなー。」
迷子「みたい!見せて!!」
青年「うーん・・・。そうだ。」
ドヒュゥ!
迷子「うわ!」
598 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:53:42.05 ID:jd3clNu6o
ドヒュウ!
青年「ただいま。葉っぱ、枝取ってきたから模擬戦やろうよ。」
勇者「模擬戦か、いいぞ。取り決めは?」
青年「急所にどんな軽くでも一撃当てたら勝ち。自己申告ね。」
勇者「わかった。好きに始めてくれ。」
青年「ほいっ」
枝≪ぽい≫
勇者「ん。」
枝≪ガシ!≫
青年「ふふふふ・・・心眼族君!よーく見てその子に解説してあげるんだよ!」
孫「・・・口が追いついたら。」
青年「よーし!迷子ちゃん!合図お願い!」
迷子「わかった!よーい・・・」
青年「・・・。」
勇者「・・・。」
迷子「はじめ!」
青年「ふっ!」
ヒュォォ!
勇者「・・・。」
ズダン!
青年「ふっ!」
ヒュ!スパァ!
勇者「・・・。」
スタン
ペシッ!
孫「あ。」
妹「え?」
迷子「え?・・・も、もうおわったの?」
青年「・・・。」
勇者「・・・自己申告制だろう?」
青年「・・・ふ、うふ、うふふふふふ・・・・・・」
青年「あ、あたってないもんねー!」
ドヒュ!
勇者「そういう事にしておこうか。」
迷子「え?で、でも今手首に・・・。」
妹「まぁ・・・恥ずかしいのはわかるけどさ。なぁ、今どういう動きしてたんだ?」
孫「始まった瞬間にあいつが2回地面を蹴って勇者に突きを仕掛けた。勇者はあいつが突いてきた方とは逆に少し跳んで体ひねってすかした後に手首に当てた。」
孫「それだけ。」
599 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:54:14.16 ID:jd3clNu6o
青年「・・・よーし・・・・・・。」
勇者「はやく来い。」
青年「はぁ!」
ドヒュゥ!
ドヒュ!
スタン
ヒュヒュヒュ!
カッカッ
ドヒュ!ビュン!
ズダ!
ヒュヒュヒュ
ズダン!
青年「うわ!」
ドヒュ!
勇者「・・・。」
ズダンズダン!
ヒュォォォ!!
迷子「う、うわぁ・・・すごい。」
妹「なにしてるのか全くわかんない・・・。」
孫「・・・あいつが大体仕掛けてる。地面を細かく蹴って足止めたり動きながらだったり緩急をつけて切りつけようとしてるけど全部外れてるか止められてる。」
孫「初速で言うならあいつのほうが早いみたいだ。でも勇者はすごく巧くて、体をひねって少ない動きで対応してる。」
迷子「すごいおめめ!」
孫「おめめ・・・。」
孫「あ。」
パシィン!
青年「・・・。」
勇者「・・・。」
妹「て、手で枝を挟んでる・・・。」
迷子「す、すごい早いのに・・・。あれ?葉っぱさんの枝は?」
孫「・・・。」
青年「・・・離してくれないかな。」
勇者「もう少し待て。」
スコン
青年「・・・え?」
勇者「ふふ・・・。」
妹「え、枝が降って来た。」
迷子「え、えぇー。」
勇者「頭は急所でいいよな?」
青年「・・・・・・くっ・・・。参りました。」
勇者「ふー。勝った勝った。」
青年「くそお・・・。」
600 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:54:41.03 ID:jd3clNu6o
妹「ど、どういう事だよ!」
孫「手で突きを受ける前に枝を上に投げておいた。それだけだよ。」
迷子「あ、あそこで止まるってわかってたの!?」
孫「そうなるね。」
妹「あ、ありえない・・・。」
勇者「これで晴れて全員に勝ったな。」
孫「ま、まだだ!俺だけ得意な事で戦ってない!!」
孫「お前の弓の腕はまだ見ていない!一回位やってみせろ!」
勇者「・・・では、3回的撃ちな。」
――――――――――――――――――――――――
勇者「負けた。」
青年「4回も延長戦したねー。」
孫「くっそぉ、なにか嬉しくない。」
妹「決定的な力の差があるから・・・。釈然としないよね。」
迷子「な、なんでどっちもあたるの・・・。」
孫「やっぱりだめだ!俺も模擬戦をやる!」
勇者「いいぞ。」
青年「はい枝。」
孫「あ、ありがとう。」
勇者「・・・。」
スタスタスタ
勇者「よし来い。」
孫「うぉぉぉ!」
ブン!
スカ
スパン!
孫「痛!」
青年「・・・あーあー。動きがむちゃくちゃだねぇ。」
妹「あいつ弓以外からっきしだな。」
迷子「で、でもすごいですよね。あんな遠くにぴったしあてるんだもん。」
孫「やぁ!」
スカ!
パシン!
孫「いっ!」
勇者「・・・それじゃぁいくらやっても勝てないぞ。」
601 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:55:16.02 ID:jd3clNu6o
孫「くっそぉぉー!!」
ブンブン
スカスカ
勇者「・・・ほら脇を閉めろ。」
スパン!
孫「い!」
勇者「あごも引け、足の先は相手と垂直に。」
パンパン!
孫「ウッ!」
勇者「そっちの手はなんだ。使わないなら後ろに隠せ。」
パシン!
孫「いっ!くそ!」
ブオン!
勇者「むやみに振るな。次が遅れる。」
パシン!
孫「いた!」
勇者「ナイフの基本は突きだ。振る時は相手の攻撃にあわせるときと逆手だけ。」
ドス!
孫「ゲフ!」
勇者「体を開くな。突きやすい。」
ドス!
孫「グッ!くそ!」
ヒュ!
スパン!
孫「っつぅ!」
勇者「振る場合は今のように合わせる時だけだ。」
青年「・・・順手の訓練だね。なかなか鬼だね。」
迷子「じゅんて?」
妹「うん。逆手と順手があるんだけど、こんな感じで普通に持つ事を順手って言うんだ。」
迷子「へぇー。」
青年「順手は攻める持ち方だね。こんな風に逆手で持つより遠くに届くからあてやすいんだ。」
妹「でもあれ普段勇者が使ってる技じゃないよね。」
青年「勇者はよく動くからだろうね。蜘蛛みたいに大きい奴相手と戦うことを想定してるみたい。」
青年「今教えてるのは基本だね。姿勢制御と、体重移動と、体の動かし方かな。」
勇者「ほらほら。」
ヒュ!ヒュ!
孫「くぅ!」
ガッ!ガン!
勇者「防御は巧いな。さすがは心眼族か。」
孫「くそ!」
ヒュ!
ガツ!
勇者「よし。今度は逆手に持て。」
孫「・・・。」
勇者「防いでみろ。」
ヒュヒュヒュヒュ!
孫「うわ!」
ガッガッドス!スカ
青年「流石だねあの子。次どこに来るか分かってる。でも騙しに弱いようだね。」
迷子「葉っぱさん早いのに防げてる。」
妹「何回かあたってるけど。」
602 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:56:00.69 ID:jd3clNu6o
――――――
―――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
孫「ぜぇ!ぜぇ!」
勇者「終わり。俺が言ったこと出来るだけ覚えておけよ。」
妹「お疲れ様。大丈夫?」
青年「ははは、あざだらけだね。」
孫「く、くそぉ・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・。」
迷子「葉っぱさん強いですね!」
勇者「ありがとう。」
迷子「あれ?汗かいてないんですか?」
勇者「あぁ、うん。あれくらいじゃかかないね。」
迷子「・・・そういえばなんで葉っぱさんは葉っぱをつけてるんですか?」
勇者「ん?それは」
妹「恥ずかしがりやなんだよ。」
孫「そ、そうだ。ぜぇ・・・ぜぇ・・・。」
勇者「・・・。」
青年「・・・」
迷子「そうなの?そうなんですか?」
孫「そうだよ・・・ふぅ。」
妹「そうだよ。そうだよな。な!」
肩≪ガシ≫
妹〈見せたら夢に出てくるからやめてあげて。〉ボソボソ
勇者〈出てきたのか?〉ボソボソ
妹〈いいからそうだっていえ。〉ボソボソ
勇者(隠してもしょうがない事だとおもうのだが・・・。)
勇者「・・・確かに俺は恥ずかしがりやだな。」
迷子「そうなんですか・・・。」
青年「とりゃ。」
パシっ!
勇者「あ」
妹「あ」
迷子「・・・ひっ。」
勇者(結構傷つくな・・・。)
青年「あぁ・・・だから隠してたのか。」
孫「お、おまえな・・・。」
青年「ごめんね、気になっちゃった。」
妹「・・・はぁー。」
勇者「・・・まぁ、本当の理由はこういう事だね。俺の顔は半分溶けているんだ。」
迷子「ご、ごめんなさい。」
勇者「謝る必要はないけどね。聞かれたら見せるようにしている事だし。」
勇者「・・・いいかげん葉を返してくれ。ずっと見せるものでもない。」
青年「ごめん破っちゃった。」
603 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:56:34.13 ID:jd3clNu6o
妹「お、ま、え、なー・・・。」
勇者「・・・まぁ破れたならしょうがないな。この辺りにあれくらい大きい葉はあったか・・・。」
孫「ない。」
勇者「そうか、それは困ったな・・・。どうするか。」
青年「そのままでもいいんじゃないかい?」
勇者「見てて不快だろう。」
青年「・・・まぁ確かに迷子ちゃんにはきついかな。」
勇者「・・・・・・仕方がないか。明日探しに行くとして今日は少し離れて寝る事にしよう。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
深夜
蝋燭≪・・・≫
勇者「・・・・・・。」
本≪パラ・・・≫
(若者は飛び出した。「この空の果てには何かあるはずだ。私はそれが知りたいだけだ。」そういって、見えない翼を広げ木々の間を縫い飛んでいく。)
(木の編み天井を潜り抜け、煌々と満ちた月。頭から光を浴び、上へ上へと目指し飛ぶ。)
(「あぁ、なんと優しい光であろうか。」心の中の何処かが満ちていく。しかし胸の穴から零れ落ち、その心は満ちることは無い。)
(月が歪み出す。「愚かな羽の若者よ。お前の隣は死しかない。」若者は答える。「そのとおり。だから私は止まるわけにはいかぬのだ。」)
(風は笑う。「愚かな若者よ。世界の外に何がある。」若者は答えた。「外の世界が。」)
(森が笑う。「愚かな若者よ。お前の胸に何も無い。」若者は答えた。「夢は失っていない。」)
(大地さえ笑う。しかし何も聞こえない。若者は大地に向かい・・・)
(哀れな若者。愚かな若者。村の老の話も聞かず、神の宿の話も聞かぬ。気づけば大地に帰っていた。)
(残ったものは骨と肉。むしりとられた翼はついには戻らず、ただ母が泣くばかり。)
(哀れな若者。外の世界を目指し飛び、最後は神の元へ辿り着く。)
(外の世界は死後の世界。愚かな若者は辿り着いた。世界の外へ。)
勇者「・・・。」
本≪パタン≫
勇者(・・・船も浮かばず、風に押し返され、波に押し返され、空に上がれば羽が無くなる、か。)
勇者(ただの悲伝だったな。・・・。)
勇者(あの恥の本にあった走り書き・・・。一体どういう意味だろうか。)
勇者(神はいた。庇護は無かった。・・・・・・神に存在を肯定している。)
勇者(庇護は無かった・・・。つまり、守られているのでは無かった・・・?)
勇者(この児童書では、最終的には恐らく神が手を下している。支配から抜け出そうとしている物には容赦しない・・・。)
勇者(結局手がかりはなし、か。)
勇者(明日はいったいどうするべきか・・・。心眼族の村に行くべきだろうか。話してくれるならいいのだが・・・。)
迷子「あ、あの・・・。」
勇者「ん?どうしたんだい?・・・足は大丈夫なのかい?」
迷子「あ、歩けるくらいには大丈夫です。あ、あの、それよりも。」
迷子「さ、さっきはすいませんでした。」
勇者「あぁ、別にいいよ。顔に何かつけていれば気になるのは当然だ。」
迷子「ち、違くて、こわがっちゃったから・・・。」
勇者「仕方が無いさ。見た事がなければ驚くのも無理はない。謝ってくれてありがとう。」
迷子「・・・・・・。」
勇者「もう寝るといい。君はしっかり休まなきゃだめだよ。」
迷子「あ、あの、何読んでたんですか?」
勇者「ん?有翼族の村の跡地から見つけてきた本だよ。児童書と恥の本さ。」
勇者「読んで見るかい?」
迷子「は、はい。」
トテトテ、とさっ
迷子「・・・。」
本≪パラ・・・≫
604 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:57:29.31 ID:jd3clNu6o
迷子「よ、読めない・・・。」
勇者「はは、じゃぁ読んであげよう。・・・青々とした木々、差し込む太陽の光。そびえる・・・」
迷子「あ、あの・・・。」
勇者「ん?」
迷子「あ、足に座ってもいいですか?」
勇者「・・・いいよ。おいで。」
迷子「は、はい!」
トサッ!
勇者(・・・足の上というより股の間だな。)
迷子「あったかい・・・。」
勇者「・・・そびえるは巨大な神の木。映る影は人の物。しかし影に翼は映らない。見えぬ翼は彼のもの。」
勇者「木々に掛からず空の上。枝の作る網天井をするりするりと飛びぬける。彼は村一の速き翼を持ち、・・・・・・」
――――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
迷子「ヒック・・・ヒック・・・」
勇者「愚かな若者は辿り着いた。世界の外へ。」
本≪パタン≫
勇者「終わり。」
迷子「な、なんで最後に彼は飛んでいっちゃったの?ヒック、ヒック・・・。」
勇者「・・・彼は後ろには引けなかったんだ。彼の夢に付き合い、恋人が死に、父が食われた。その人たちには背しか見せてはいけなかった。」
勇者「たとえ神からの忠告を受けていたとしても、彼はそれでも残りの可能性にかけるしかなかった。死が待っていたとしても渦中に飛び込まなければ行かなかった。」
迷子「可哀想だよぅ・・・ヒック・・・ズズ・・・。」
勇者「君は優しいね。」
頭≪なでなで≫
迷子「この人のお母さん、こ、これからどうしたんだろう。グス」
勇者「さぁ、一体どうしたのだろうね。悲しくて悲しくて・・・一体どうすればいいのか、悩んでいるかもしれないな。」
迷子「うぇ〜・・・お母さん・・・ヒック・・・。」
勇者「・・・。」
勇者(・・・母親か。この子の母親は、一体どこへ行ってしまったのだろうか。)
605 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/01/28(土) 22:59:36.77 ID:jd3clNu6o
割とごめんなさい。気になるなら悪いけど待っててください。一日で95kb消費するのは大変なので一日50kb位に抑えたい。
606 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/28(土) 23:32:29.97 ID:xSXaefJBo
大量投下乙
607 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/28(土) 23:57:11.83 ID:YT6prfybo
キテタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ !
608 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/29(日) 00:27:12.66 ID:nyEIln3SO
ちょこちょこで良いよ〜
一度があまりに多いと読む方も大変だしww
609 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/29(日) 01:05:14.54 ID:iwfJUojDo
余裕で待つわ乙ー
610 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/29(日) 01:16:36.00 ID:T8IR7lqSO
大量にきてた!!!!乙!
読んでて夢中になるな
611 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2012/01/29(日) 01:54:30.85 ID:ST0vN1eto
乙!
相変わらず話の構成がうまいじゃないかww
プライベートはもう忙しくないのかい?
投下できなくてもたまには顔出すとみんなが安心するよ
612 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/29(日) 06:49:40.78 ID:jJ0AhMBOo
大量にきてた!
嬉しい!!!
613 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/01/29(日) 10:55:15.79 ID:0s+sKouyo
このSSの御飯は食べたくなって困る
614 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/29(日) 12:11:37.49 ID:H0BedmnIO
舞ってたぜ!!おつんぽ
615 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/30(月) 02:58:49.56 ID:k+sDT1iZ0
待ってた!待ってた!!続きが気になって仕方ないぜ
616 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
:2012/01/31(火) 16:17:45.16 ID:CJPwRajZo
失踪してないだけでもまじで嬉しいなー!!頑張ってくれ
617 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/02/01(水) 23:03:10.90 ID:0wOKw829o
良いものだ
618 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/02(木) 05:59:08.89 ID:RkWcZ1Zwo
こうふんした
619 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/02(木) 08:15:23.87 ID:veQS4PkIO
95kbとか50kbとか
>>1
の都合でいいから気楽に投下しておくれやす
620 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/03(金) 22:45:34.06 ID:0TBgWQpDO
久々にきたけどやっぱり面白い!
遅くなってもいいから完結してほしいなぁ
621 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/05(日) 13:54:25.31 ID:9AuhM+Koo
残りの45kbは何処に…
622 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/05(日) 15:10:36.52 ID:DW9vwa+5o
今まで一投下で95kbのボリュームだったけど、今後は一投下を50kb位のボリュームに抑えたいってことだろ
つまり残りの45kbはその次の投下になるってことだな
623 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/02/05(日) 17:10:58.42 ID:6Ry7PzRuo
ここは500k制限ないの?
624 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/05(日) 17:48:33.91 ID:DW9vwa+5o
SS速報には500k制限無い
猿よけ不要
625 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/02/06(月) 22:55:52.87 ID:/xXwummDO
乙!
626 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/02/07(火) 22:21:22.72 ID:1yXFWigSO
相変わらず面白い乙なのよ!
627 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/15(水) 21:52:32.08 ID:Yoz5MrOMo
まったりと待ってるから頑張れ
>>1
628 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/16(木) 07:05:52.60 ID:J+qsKsdIO
同意
629 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/02/17(金) 21:16:18.72 ID:6XX5vdH/o
おぉきてた
なんかすげえよコレ
630 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/17(金) 22:00:20.85 ID:eg5ac/zJo
それも同意
631 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/02/23(木) 06:59:19.10 ID:MQXfwh/DO
俺も同意
632 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/02/28(火) 10:46:45.70 ID:Dwp9cX9DO
期待
633 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:18:25.15 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
夢
1106「おはよー。」
1107「おはよー。」
勇者「・・・ん、おはよう。」
1106「文字教えて。」
1107「教えて。」
勇者「いいぞ。昨日の復習からな。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「・・・そういえば、皆は来ないのか?どうも今は交代しながら寝ているようだが。」
1106「うん。一時間はここだと短いの。」
1107「それに今は会わない方がいいみたいなの。」
勇者「会わない方がいいみたい?」
1106「秘密。」
1107「教えない。」
勇者「・・・そうか。ここだと俺が何を聞こうとしているかすぐばれてしまうな。」
1106「ねーこれでいい?」
勇者「ん?」
1107「見せて。・・・これ『あ』だよ。『お』はこう。こっちも違うよ。」
1106「『め』?」
1107「『ぬ』。」
1106「『そ』?」
1107「『を』。」
勇者「・・・ふふ。」
1107「『ちしすせそ たさつてと』」
1106「さとちが違うの。」
1107「あれ?」
勇者「・・・覚えるのが早いな二人とも。」
634 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:19:00.03 ID:4JeG5lWQo
1106「まだ間違えが多いの。」
1107「そうなの。」
勇者「二日目で基礎は大体できているのだから十分だと思うぞ。もうそろそろ普通に文章も書けるようになるだろう。」
1106「そうかなぁ。」
1107「ほんと?」
勇者「あぁ。ひとたちは頭が良い。」
頭≪なでなで≫
頭≪なでなで≫
1106「えへへへ」
1107「えへへへ」
勇者「・・・さて、ひと達は普通に喋れているのだから必要ない気もするが、文章の基本的な決まりを教えていくぞ。」
両方「はーい」
勇者「まず・・・そうだな。『今日はいい天気』と『今日もいい天気』。この短文の違いを・・・・・・」
――――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「あとは・・・そうだな。子供向けの本を読むのが一番いいな。」
1106「本?」
1107「子供向け?」
勇者「あぁ。知識は順序良く覚えないと使うときに間違いが出るからな。簡単な物から慣れていくべきだ。誰かに絵本をねだるといい。」
勇者「そういえば・・・ひと達が文字の勉強をしているのは誰が知っているんだ?」
1106「ゆうしゃとおじちゃんだけ。」
1107「だけ。」
勇者「おじちゃん・・・兵士長か。」
1106「ぶつぶつ言いながら教えてくれるの。」
1107「口悪いけど優しいの。」
勇者「そうなのか。ははは、いいおじさんになりそうだな。」
勇者「・・・そろそろ起きるか。素振りしないとな。」
1106「まって!」
勇者「ん?」
1107「あくしゅ!」
勇者「あぁ、うん。・・・はい、握手。」
ぎゅっ
ぎゅっ
1106「・・・この手の暖かさは、いつも変わらない。」
1107「・・・また、いつか会えた時には、この手で撫でてね。」
勇者「・・・どうした、いきなり。」
両方「・・・わかんない。」
勇者「・・・・・・よっと」
がばっ
両方「うわっ」
勇者「うん、いつか絶対会おうな。」
1106「・・・うんっ」ぎゅっ
1107「約束ね!」ぎゅっ
635 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:19:39.57 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
嵐島〜夜明け後〜
勇者「・・・・・・。」
ムクッ
勇者「・・・スゥー・・・・・・。」
勇者「ふぅ。」
キョロキョロ
勇者「・・・。」
勇者(・・・・・・孫と妹が火の近くで寝ているな。あいつは・・・木の枝に横になっている。)
ゾワッ
勇者(・・・あの子がいない!)
がば!
勇者「まさか・・・!」
勇者(他人の動きに俺が気付けないなんて・・・!そうか!夢の中では外に注意が向きづらいのか!)
勇者「どこだぁー!!迷子ぉー!!」
ビクっ
孫「!」
妹「な、なに!?」
青年「・・・ん?」
勇者「・・・!」
勇者(そうだ!孫に弓で叩かれて起こされた時も、俺は気付けなかった!迂闊だった!)
勇者(可能性の見落とし!くそ!)
チラ
勇者「・・・蝋燭が消えている。」
勇者(という事は、あの子がこの近くを通ったという事!あの話が事実ならそのはず!)
妹「・・・あの子がいない!」
孫「っ!・・・っ。」
キョロキョロ
636 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:20:06.54 ID:4JeG5lWQo
ドヒュ!
青年「どうしたんだい!?」
勇者「迷子がいない。」
青年「っ!いったいどこへ!?」
勇者「わからない。だから探すぞ。」
青年「ほ、方角もわからないのにかい!?」
勇者「・・・あの子は昨日俺と一緒に寝ていた。焚火とこの蝋燭の間。」
勇者「蝋燭をみろ。途中で消えている。あの子が横を通った時に消えた可能性が高い。あの子が出かけるとして、間違いなく夜明け後。夜は暗すぎる。」
勇者「つまり30分も立っていないはず。そして方角は・・・」
勇者「十中八九この方向だ。この方向から痕跡を探す。」
青年「・・・30分前ならまだ何か残っているかも!」
ドヒュ!
孫「勇者!」
勇者「孫、見えないか?」
孫「・・・だめだ、見えない。見えない木の後ろ側にいるか、俺の眼の範囲外みたいだ。」
勇者「この方向に見えない木はあるか?」
孫「・・・ある。木を無視してまっすぐ進んだ場所に。」
妹「勇者!急がないと!蜘蛛に食べられちゃうよ!」
勇者「焦るな。残された情報を冷静に分析しろ。焦っても急いだことにはならない。」
勇者「どうだ!何か残っていたか!?」
青年「落ち葉を棒で引きずったかのような不自然な乱れが残ってる!足が短くないとこの痕跡は残らない!多分あの子の物だ!」
勇者「たどるぞ!孫、乗れ。」
孫「わ、わかった。」
妹「あ、あたしは?」
ドヒュゥ
青年「僕が背負う。急ごう!」
637 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:20:32.24 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
森
ザザザザザザザザザ・・・
孫「方角があっているのならあの木の向こう側にいるはず!超えたら一回止まってくれ!」
勇者「わかった。」
ザザッ!
勇者「落ち葉が途切れているが、追うことは可能か?」
青年「・・・落ち葉の他にも草が折れていた。何かが通った時に踏まれたらこうなる。動物の通り道なら、糞が落ちているはず。だけどさっきから見られない。」
青年「あの子の可能性が高い。」
妹「ど、どう?見える?」
孫「まって・・・あの子結構足が速いみたい・・・!」
孫「な、なんだ、あれ!」
勇者「どうした!」
孫「わ、わからない!あんなでかい生き物見たことない!た、たぶん蜘蛛だ!」
孫「・・・!下ろせ!」
バッ
孫「勇者!走れ!まっすぐ!」
スタ
勇者「!」
ズダン!
ビュオォォォォ・・・!
孫「お前も!下ろして少しでも早く!」
青年「わ、わかった!」バッ
ドヒュゥ!
ドサ
妹「いてっ!」
孫「っ!」
ヒュパッ!ギリギリギリギリギリ・・・!
妹「ど、どうしたんだ!?弓なんて構えて!」
孫「この周りを監視して!俺は今前しか見えない!」
妹「わ、わかった!でもちゃんと説明しろ!」
638 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:21:18.60 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
ズダダダダダ・・・!
勇者(見たことのないような大きな蜘蛛、孫の焦り方。)
勇者(・・・大きな脅威に近づいている、もしくはもう会っている。)
勇者「すぅー・・・」
勇者「っっっ!!!」
ビュォオオオオオ!
勇者(急げ!一秒でも早く!)
青年「・・・くっ!早いなぁ!!」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
大蜘蛛「・・・ガチガチ、ガチガチガチガチ。」
迷子「そ、そんな・・・。そんなのってぇ・・・!」
迷子「うぇぇ〜〜〜。おがぁさぁーん!」
大蜘蛛「ガチガチガチガチガチ」
蜘蛛≪ゾロゾロ・・・≫
大蜘蛛「・・・ギシャァァァァァ!」
ビュォォォオオオオオオオオオ
ふわっ・・・ガシ!
迷子「ひゃい」
勇者「・・・。」
ズダン!
ビュオオオオオオオ!!
蜘蛛「キシャァァァァ!!」
蜘蛛「ガチガチガチガチガチ」
蜘蛛「キシャァァァァァ!!」
大蜘蛛「・・・。」
――――――――――――――――――――――――
639 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:21:45.04 ID:4JeG5lWQo
迷子「う〜〜うぇぇ〜〜〜。」
ギュゥゥ
勇者(追ってくるな。大体が俺が前見た位の大きさ。)
勇者(足は孫たちよりは早い。早めに撒かないと孫たちに被害が及ぶ。)
青年「あっ!勇者!」
ドヒュッ!
青年「その子無事かい?!」
勇者「あぁ。毒を掛けられたような事も無いようだ。外傷も擦り傷程度。」
青年「よかった!て、ていうかいったいなんだいあれ!?」
勇者「蜘蛛だな。かなりデカい。」
青年「あ、あんな大きさの蜘蛛なんている物なのかい?」
勇者「少なくともアイツ1匹はいる様だな。」
青年「・・・で、でかいのは来ないけど、普通のが追ってきてるね。」
勇者「あぁ。早めに撒かないといけない。あの速さは孫たちでは追いつかれる。」
青年「・・・じゃぁ勇者、二手に分かれよう。君は迂回してから祭壇に帰りなよ。」
青年「僕は撒いてからあの子たちに伝えに行く。」
勇者「・・・撒けるか?」
青年「任せといて。蜘蛛どころか君にも通れない場所を通るよ。じゃ、またね。」
ヒュッ
勇者(・・・足の速さで言うなら申し分ないしあの能力があれば恐らく大丈夫だろう。)
勇者(危険度で言うのなら俺の方が上かもしれん。脅威と直接相手取る必要がある。逃げるに易いのは広い場所、しかし撒くに易いのは狭い場所。)
勇者(あまりに迂回しすぎると待ち伏せの可能性が出る。しかしまっすぐ戻れば孫たちと鉢合わせ。必要な事は・・・)
勇者(・・・速さを緩めないで孫たちの少し後に祭壇につくよう距離を調整し、待ち伏せされない様な経路を通る、か。その間に蜘蛛を撒く必要もある。)
勇者(祭壇には来ないとの話だが獲物がいる場合はどうかわからんしな。保険はかけておこう。)
勇者(しかし・・・)
勇者「あの大きさは・・・。」
勇者(いくらなんでも大きすぎる。伝説の竜族、丘の土人形、沼蛭・・・それらの名前しか伝わっていないお伽噺。)
勇者(そういった人間の想像をそのまま具現化したかのような規格外の大きさ。あれを倒すには・・・。)
勇者(火を放つ訳にもいかない。あの足の太さではちぎるのも容易ではない。毒液も大きさに比例して大量に吐くだろう。糸も太そうだ。)
勇者(矢を射った所で心臓にも届かないだろう。そもそも刺さるかも怪しい。虫の眼は堅いし蜘蛛は目も大量にある。)
勇者(・・・あいつが蜘蛛の頭ならば、倒さなければ平穏は訪れない、かな。)
迷子「ぐすっ・・・ぐす・・・。」
勇者「・・・。」
ぎゅ
勇者(・・・また失う所だった。)
640 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:22:12.51 ID:4JeG5lWQo
―――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇
孫「・・・ふぅ・・・。」
キョロキョロ
孫「大丈夫だ。追ってきていない。・・・あいつもすぐ来る。」
妹「・・・。」
青年「・・・ふー。」
ズザ!
勇者「・・・・・・。」
青年「おかえり。」
妹「よ、よかった。大丈夫?怪我してない?」
勇者「・・・あぁ。俺もこの子も目立った外傷はない。」
妹「そっか、よかった・・・。」
孫「・・・どうした?」
勇者「いや、どうしたものか、とな。」
孫「・・・。」
青年「はい、新しい葉っぱ。穴はあけておいたよ。」
勇者「あぁ・・・ありがとう。」
迷子「・・・。」
青年「・・・この子どうしたんだい?」
勇者「疲れているんだろう。ずっとしがみついていたし、速さを緩める余裕も無かったしな。」
青年「そっか。それは大変だったね。」
勇者(・・・。)
妹「言いたい事はあるけど・・・・・・、とりあえず無事でよかった。ほら、少しやすも?」
迷子「・・・うん。」
孫「おい。」
勇者「ん?」
孫「・・・蜘蛛だったのか?あれは。」
青年「蜘蛛だったよ、間違いなくね。」
孫「・・・。」
勇者「・・・あの子が休んでいる間に、俺達が見た事を話しておこうか。」
641 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:23:32.80 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「・・・確かに、蜘蛛だった。恐ろしい大きさだった。」
青年「僕も見たよ。少し遠くからだったからしっかり見れていないんだけど・・・」
妹「・・・。」
孫「・・・。」
勇者「例えるなら・・・そうだな。この前言った有翼族の村跡地、俺たちが中に入ったあの木。高さはあの木の半分くらいだ。」
妹「え?」
勇者「横幅は・・・例える物が思いつかないな。足の太さも尋常じゃない。付け根の太さで、俺が3人分くらいか。身長で、な。」
青年「大きめの蜘蛛っているじゃない?そいつの何十倍も大きかったよ。」
孫「そ、そんなでかい奴そこまで成長するのに何年掛かるっていうんだ。その間誰も気かないなんて・・・」
青年「確かにねぇ。あそこまでデカければ何処かが気付いていると思うんだけどな。」
勇者「半分ほど地面に埋もれていた。あいつはずっと地面の中にいたようだ。」
青年「ずーっと地面の中にいたから気付かれなかったって事かい?でもさ、あの蜘蛛だってご飯は食べなきゃ死んじゃうだろうし、それについてはどう考えるんだい?」
勇者「そうだな。蜘蛛というのは飢餓に強い種でもあるんだが・・・」
勇者「流石にあの大きさではただ生きているだけで大量の食糧を必要とするだろう。」
勇者「アイツがずっと動かないでいたのならば・・・ほかの蜘蛛が餌を運んでいたのだろうな。」
青年「・・・蟻みたいだねぇ。」
勇者(そう、大きければ大きいだけ食糧が必要で、動きは緩慢となる。そして一番の問題は・・・自重に耐えれなくなる。という事。)
勇者(虫型の魔物も軽いやつが多く、大きさも身長で言うならば人間の半分ほど。芋虫のような形が多い。軽いからもろい。)
勇者(虫の性能は小ささに因るものだ。性能をそのままに大きくなるなど・・・)
勇者(まだまだ俺にも分からない事が多い。判断の材料になるものは、蜘蛛を解体した時の情報と、普通の蜘蛛の構造か。)
青年「まぁーあんなやつ放って置けばいいよね。動かないんだからさ。」
孫「そ、そうだ。わざわざ殺す必要もない。」
勇者「・・・。」
妹「・・・。」
青年「・・・そうでもない?」
孫「え?」
勇者「・・・それも一つの選択だ。触らぬ神に崇り無し、ともいう。」
勇者(この中では、目の前で脅威を感じたのは妹だけだ。)
勇者「だが・・・例えばそいつが大本だったらどうする。お前たちの家族、友人、同族。蜘蛛に喰われたという話も珍しくはないのだろう?」
勇者(通常ならば、あいつの存在を知ったとしてもこれまで通り生きていこうとするだろう。)
青年「・・・確かにね。」
孫「・・・。」
勇者「あいつを生かすだけで、大量の食い物がいる。あいつの為に蜘蛛の狩りが大規模化している可能性が高い。」
勇者(しかし目の前で被害を被った人間はそういった意見を肯定できない。それは死を肯定する事に繋がるから。)
勇者「そして・・・その餌を集める兵隊。あいつ自ら産んでいる可能性もある。」
妹「・・・。」
642 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:24:11.22 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
スタ スタ スタ
ドサ
勇者「・・・。」
妹「・・・・・・。」
勇者「・・・。」
妹「・・・。」
勇者「・・・別にな、」
妹「?」
勇者「当然の事だぞ。脅威を取り除いておきたいというその気持ちは。」
勇者「大切な人を守りたいというその気持ちは、あって当然だ。然るべきだ。」
妹「・・・。」
勇者「時には犠牲を強いる事もあるだろう。だが、己を犠牲にしてでも、大切な人を守りたいというその気持ちは、大事な事のはず。」
勇者「その望む未来を掴む為に強大な敵を打倒す必要が出たとして、その敵がどんなに絶望的で有ったとしても、」
勇者「足掻くべきだ。自分の限界を追い求め、最大限の手を講じ、もしそれが通じなかったとしても、」
勇者「諦めるわけにはいかないのだから。」
勇者「それほどの価値が有るはずだろう。」
妹「・・・うん。・・・でも、さ。」
妹「・・・あたしの我儘だよね。誰でも死にたくないのはあたりまえだし・・・。」
妹「イラついちゃったから、臆病者とか言っちゃったけど・・・当然だよねあれ・・・。」
妹「何日か一緒にいただけだけどさ・・・いろんな奴いるよね・・・。手を出したくない奴だって居て当然だよね・・・。」
妹「死にたくないもん・・・死んじゃったらもう一緒に居れない・・・。」
妹「それは誰でも嫌だよね・・・。」
勇者(・・・二つの気持ちは死んでほしくない、という一つの思いによるもの。)
勇者(死んでほしくない、だからあの蜘蛛を見逃す事が出来ない。死んでほしくない、だから巻き込む事が出来ない。)
勇者(一人で行く理由に繋がる。)
勇者「・・・・・・一人では行くなよ。」
妹「・・・え?」
勇者「一人で行くのは裏切りになる。もし一人で行って、君を失ったら、皆は心に傷を負うだろう。」
勇者「あいつが死んだのは自分の所為だと、己が不甲斐なかった為に死なせてしまったと。」
妹「・・・。」
勇者「・・・・・・もう全員、忘れることは出来ない経験を手にしている。」
勇者「楽しさという記憶は、胸に押される焼印に近いだろう。一生忘れることは出来ない。忘れるには、さらにその上から押すしかない。」
勇者「・・・その印を奪われる痛さは、お前は小さい頃に経験しているだろう?」
妹「っ。・・・・・知ってたんだ。」
勇者「あぁ。おばさんからな。」
妹「・・・・・・言わなかったけどさ・・・。あたし小さい頃あいつに会ってるんだよね。」
勇者「・・・。」
妹「・・・心眼族って、優しい方だから、迷子の子供が居たらその族の里の近くまで送るんだよね。」
妹「会った事があるのは蜘蛛の時期でさ、見つかったのは夜で、一晩一緒に居ただけなんだけど・・・」
妹「見つけてくれたのあいつで・・・もうあんまりなに話したかなんて覚えてないけどさ・・・・・・。」
妹「あんまり寂しくなかったんだ・・・。」
勇者「・・・。」
妹「・・・あいつが使ってる短弓さ、あたしが会った頃から使ってるみたいで・・・。」
妹「だからわかったんだけどさ・・・。」
妹「・・・・・・何言ってんだろあたし・・・。」
643 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:24:43.40 ID:4JeG5lWQo
勇者「・・・。」
勇者(母親の死で連想したから、今この話をしたのだろう。だという事は、母親が死んだ直後に会ったのか?)
勇者「・・・・・・そろそろ、話してもらおうかな。」
妹「?」
勇者「起きて。」
トントン
迷子「っっ!」
勇者「・・・一人で行って欲しくなかったな。なんで一人で行ってしまったんだい?」
迷子「・・・。」
迷子「・・・・・・」
迷子「・・・ぐすっ、ぐすっ」
迷子「・・・・・・お母さんがね、一人でいきなさいってね、言ったの。」
勇者「・・・。」
石≪カラ≫
ヒュッ
――――――――――――――――――――――――
カツッ!カツン
青年「!」
孫「!」
勇者「・・・。」
――――――――――――――――――――――――
青年「・・・。」
孫「・・・。」
迷子「お母さんねぇ、あそこでねぇ、おっきなくもにねぇ、のられらがらねぇ」
迷子「わっわたしならだいじょうぶって、だいじょうぶっていってねぇ・・・!」
迷子「わたしのなまえよびながらぁはやくいきなさいってぇ・・・!」
迷子「おかあさんにあいたくてねぇ・・・!でもおかあさんもういなくてぇ・・・!」
迷子「もうかみさまのところいっちゃったってぇ・・・!もっとおっきなくもがねぇ・・!いってねぇ・・・!」
迷子「うええぇぇぇ〜〜〜おがぁーさぁ〜ん・・・も、もう、あ、あえないのぉ、おかあさんもういないんだってぇ!」
迷子「うぇぇ〜〜!!うええぇぇぇぇ・・・・・・!」
妹「・・・」
孫「・・・っ」
青年「・・・。」
勇者「・・・。」
スクッ
スタ スタ スタ スタ・・・
孫「・・・。」
青年「・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
644 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:25:09.00 ID:4JeG5lWQo
勇者「・・・お前達が提案した対応は、あの子の存在を肯定するという事だ。」
孫「・・・。」
青年「・・・。」
勇者「お前たちはさっきまで知らなかった事だが、妹の存在を肯定する事にもなる。」
勇者「・・・間接的にだが、お前たちの存在もな。」
勇者「お前達二人の意見はもっともだ。他人の為に命をすり減らす、いや、落とすなど、愚の骨頂だろう。」
勇者「あの大きい蜘蛛の存在を同族達に周知させ、一層の注意を呼びかけ、その影に怯えながら生きる。」
勇者「そういう意見もあって然るべきだ。だが・・・」
勇者「俺はあの子の存在を肯定したくない。」
勇者「孫。お前は言ったな。命は危険だけど、放って置けばいいって。」
孫「・・・。」
勇者「お前のお爺さんが目の前で喰われたとして、お前はまだその意見を貫けるか?」
孫「・・・。」
勇者「間違いではない。間違いではないが・・・」
勇者「あの子の言うとおり臆病者の考え方だ。」
孫「う・・・。」
勇者「お前もだ。戦う必要がない。果たして本当にそうなのか?」
青年「・・・。」
勇者「お前の村には、お前を慕う子供たちがいるのだろう?それだけじゃない。お前が、もし、あの子と兄妹であったとしたならば」
青年「っ!」
勇者「お前は言えるのかあの子に。放って置けばいいよね、と。」
青年「・・・で、でも、さ。でも、間違いではないだろう?」
勇者「・・・。」
青年「アイツに挑むのは、命を天秤にかけるようなものでしょう・・・!?僕たちはさ、普通の蜘蛛一匹にだって3人以上でしか挑まないんだよ?」
青年「あんなデカいの、何百人いたって無理ってものだろう!?桁が違うんだよ!僕たちの攻撃はあいつにとって風が吹くようなものさ!」
青年「仮にあいつに手を出すとしてさ!いったい何人死ぬんだ!!死んだ奴らの子供たちはあの子と同じ感情を抱くじゃないか!!」
青年「僕は若くても、そのくらいの気持ちはわかるぞ!あの子は気の毒だと思うし!できればあの蜘蛛には居なくなってほしいさ!」
青年「でも、手の届かないものに手を伸ばさないのは、当然じゃないか!それだけの存在じゃないか!」
青年「同情だけで死ねっていうのか!!」
645 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:25:58.18 ID:4JeG5lWQo
勇者「・・・そうだな。圧倒的な力の前に、自分が何も成せ無い様な矮小な存在に感じることは普通だろう。」
青年「・・・。」
勇者「だが、果たして本当にそうか?何も出来ないか?お前はそこまで矮小か?」
勇者「自分の可能性を潰しているだけじゃないのか?」
青年「・・・。」
勇者「風が吹いたようなもの?それは何を想定している?剣撃か?射撃か?」
勇者「お前が考えているものは凡そ普通の蜘蛛にやるものか、普通の蜘蛛にすらやらない手段じゃないか?」
勇者「十分に検討せず、挑みたくないから問題の先送りをしているだけじゃないか?」
勇者「挑む、挑まないを選ぶその前に、何も考えないのはやめろ。臆病風に吹かれては、他人の事さえ考える余裕が無くなるぞ。」
孫「あ・・・。」
青年「・・・。」
青年「・・・・・・で、でもさ。確かに僕が早々に検討を打ち切ったのは認めるけどさ。」
青年「とっかかりさえ見えないんだよ。一体どうすればいいかも全く思いつかない。」
勇者「分からないなら聞いてみればいい。少なくとも、ここには5人いる。」
勇者「それから決めても遅くないだろう?」
青年「・・・。」
勇者「・・・もし、挑む気になれなかったとしても、手を切る事だけはしないでくれ。」
スクッ
スタ スタ スタ・・・
青年「・・・・・・くそ、僕だってね、何年家族を探したと・・・。」
青年「あの子が僕の姉妹だって・・・?そんな可能性毛ほども無いじゃないか・・・・・・。」
青年「髪の色だって違うし・・・目の色も違う・・・。」
孫「・・・。」
青年「・・・いやになってくるなぁ・・・。僕はなんて、矮小な存在だろう・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
迷子「うえぇぇ〜・・・!うええぇぇぇ〜・・・!」
妹「・・・。」
頭≪ナデナデ・・・≫
勇者「・・・・・・。」
妹「・・・ありがとね。」
勇者「何もしてないぞ俺は。」
妹「そっかな・・・。」
勇者「あぁ。」
妹「・・・そっか。」
勇者「・・・。」
妹「・・・。」
妹「・・・あいつらもさ、家族、いないんだよね。」
勇者「・・・あぁ。どちらも、父と母がいない。」
妹「・・・だとしたらさぁ、私恵まれてる方だよね・・・?」
勇者「・・・。」
妹「親父いるしさ、兄者もいるしさ、じいちゃん生きてるし。」
妹「・・・あたしって我儘だよね。」
勇者「肉親を失いたくない気持ちが我儘であると?」
妹「・・・・・・。」
646 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:26:19.56 ID:4JeG5lWQo
勇者「他人の状況に振り回されるな。お前が吐き出した臆病者という言葉、あれはお前にとって許せない事をあの二人が言ったからだろう。」
勇者「確かに肉親の数では君は一番上だ。だからといって、これ以上肉親が減ってほしいというわけでもないだろう。」
勇者「あの二人もそうだ。肉親がこれ以上減っていいわけがないだろう。あるいは、肉親と同等な人たちが減っていいわけないだろう。」
勇者「君はその子を失えるか?」
迷子「うええぇぇ〜〜・・・。うううぅぅぅ・・・。」
妹「・・・お前ってさ、実は一番関係無いよね。なんでそこまで必死なの?」
妹「あの大きい蜘蛛はお前の目的とは全くと言っていいほど無関係だし、この島出るの諦めたわけでもないしさ。その割には後回しにしたりもするし・・・。」
妹「いつか居なくなるつもりなのに・・・なんでそこまで・・・。」
勇者「・・・・・・そうだな。俺はさびしがり屋だからな。」
勇者「お前たちが一人でも欠けると、俺は寂しい。」
勇者「それだけだ。」
妹「・・・・・・病的だね。」
勇者「みたいだな。」
妹「・・・あの、さ。ちょっと付き合ってもらっていい?」
勇者「どうした?」
妹「一回家に帰りたい。」
勇者「・・・わかった。送ろう。」
妹「ありがとう。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
ザザザザザザ・・・
妹「・・・あいつより乗り心地いいな。」
勇者「そうか?それはよかった。」
勇者(装足族の走り方は独特だ。普通より上下運動が激しいのだろうな。)
迷子「・・・。」
妹「・・・。」
勇者「・・・。」
ザザザザザザ・・・
迷子「・・・」
妹「・・・・・・これからさ、ちょっと悪い事しに行くんだ。」
勇者「そうなのか?」
妹「うん。村にとって大事な物を泥棒しに行く。」
勇者「それはまた・・・多腕族にとって大事ならとてもデカいんだろうな。」
妹「どうだろ・・・あたしは見た事ないし・・・。」
ザザザザザザ・・・
647 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:26:47.54 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
多腕族の村 〜大樹の隠し通路〜
勇者「・・・。」
カツ カツ カツ・・・
妹「・・・。」
カツ カツ カツ
迷子「・・・?グス」
勇者「・・・行き止まりか?」
妹「・・・んーん。たぶん、この先。」
勇者「どうするんだ?」
(・・・この壁、何度も殴ったような跡があるな。)
妹「ちょっと離れてて。」
勇者「・・・。」
スッ
妹「・・・。」
ゴッゴッ
妹「・・・ねぇ。集中する時ってどうすればいいのかな。」
勇者「人それぞれだ。俺がいつもやっているのは、深呼吸だな。」
妹「・・・。」
妹「・・・・・・すぅ〜〜〜。」
妹「・・・・・・はぁ〜〜〜。」
妹「・・・・・・。」
ザッ
妹「・・・ェイヤァァアアアアアアアア!!!!」
メゴ バゴォァァアアアン!!
迷子「っ!!」
勇者「・・・っ!」
勇者(でかい声だ。)
妹「・・・よしっ。いそご。今の誰かに聞かれたかも。」
勇者「あ、あぁ。」
迷子「・・・ヒック」
648 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:27:21.17 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
多腕族の村外
ドスドスドスドス
勇者「・・・くっ、速さが出ない。」
妹「降りようか?」
勇者「いや、大丈夫だ。しかし、規格外の大きさだなその斧は。」
妹「うん・・・。でもあまり重くないよ?」
勇者「俺は持てないだろうな。背負っていても落としそうだ。」
勇者「・・・む。」
迷子「?」
妹「どうしたの?」
ヒュッ
ズドン!
迷子「!」
準長「・・・。」
妹「あ、兄者・・・。」
準長「・・・驚いたな。お前が家族以外の男に肌を触れさせるなんて。」
勇者(たしかに孫に対しては殴っていたな。)
妹「べ、別にいいじゃん。あたしの勝手。」
長「いーや、父ちゃん悲しいね。」
妹「お、おやじ!?」
長「まぁ〜ったくまたテメェかよ。次々と問題・・・ん?」
迷子「・・・。」
長「・・・どしたぁ嬢ちゃん。そんなに目ぇ赤くして。」
迷子「・・・。」
勇者「・・・。」
長老「・・・なるほどのう・・・・・・。」
門番「・・・。」
妹「じ、じいちゃん!よ、よかった。生きてたんだな!」
長老「ふん、不本意ながらのう。まぁせっかくだからの、もうちょい生きようと思うとった所よ。」
長老「心配かけて悪かったの。」
妹「そんな・・・生きててくれてよかった。すぐ追い出されたから見てる事も出来なかったから。」
長老「うんうん、優しい子だのう。まったくお前はいい子じゃて。儂が臥せっていた時も泣いて悲しんでくれた。」
長老「娘を思い出すよ。連れの若い頃と同じ髪色じゃしの。」
長「・・・。」
長老「ほんと、お前は儂の数少ない宝じゃて。大事に大事に育ててきたつもりよ。」
準長「・・・。」
長老「そんな儂の大事のお宝を・・・」
妹「?」
勇者「・・・。」
長老「キタネェ手ぇでさわりゃぁやがって・・・!」
迷子「っ!」
勇者「・・・ふぅ。」
妹「え、えー。」
門番「長老よ、興奮なさらなぬ様に。まだ全快ではないのですから。」
649 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:28:01.07 ID:4JeG5lWQo
準長「・・・それに、今回の問題はその事じゃありません。」
長「そうですぜお義父さん。正直腸煮えくり返る思いだが、飲み込まんといけません。」
長老「わかぁっとるわいそんなもん!」
勇者「・・・。」
妹「・・・?」
迷子「・・・。」
長「どうします?予定通りと行きますかい?それとも・・・」
準長「私はそちらの方に賛成したい。」
長老「・・・おっかしぃのぉー。貯めにためとった怒りがどっかいってしもうた。」
門番「では、どのように?」
長老「そんなもん決めるのはこいつよ。儂では無いわい。」
長「分かりました、好きにさせてもらいますぜ。おい娘!降りろ。」
妹「・・・わかった。」
ドスン!
準長「・・・安心しろ。禁を破った事に関しては不問だ。その蜘蛛狩りに挑むには成人しなければいけないという事も、不問にしよう。」
妹「・・・。」
長「・・・・・・た、ただぁし!その蜘蛛狩りを黙って持っていくのだけはいけねぇ!」
長「それはなぁ!我らが多腕族の宝!大樹の成長と共に高く、高く上がっていくよう捧げられた神物よ!」
長「ずっとずっと大昔!我らの村を超えるような大きな魔物が出た時に、そいつをぶっ殺した時の物よ!!」
長「それは!我らが力の証!!古の勇者の力を鼓舞する我らが誇り!」
長「それを持っていくのなら!!」
長「力ぁ示して貰わねぇとなぁ!!!」
グォォォ・・・
ズゴォン!
妹「・・・っ!」
長「どうしたぁ!!怖気づいてんじゃねぇぞ!!」
妹「お、親父とやるのか!?」
長老「そうよ。力じゃぁまだまだ村一番よ。ちなみにそれもって逃げる事は叶わんぞ。」
勇者「・・・確かにな。これを持っていては速さが出ない。矢を避けることもできないな。」
妹「勇者・・・。」
勇者「だが、お前一人とこの子なら抱えて逃げれる。いつでも諦めていいぞ。」
妹「・・・。」
長「今決めろ!やるか!降りるか!!」
妹「・・・。」
妹「・・・わかった。やるよ。」
長老「ふん。覇気がないのう。」
準長「取り決めは?」
長「んなもんこの面子の中で俺がやるっつったら一つだけよ。」
準長「分かりました。妹よ、そこに立て。」
妹「・・・ん。」
スタスタ
勇者「・・・。」
勇者(体格が全然違うな。どんな勝負かわからないが普通だったらあの子が絶対に不利。)
準長「おい、お前とその子。こっちにこい。」
650 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:28:25.25 ID:4JeG5lWQo
勇者「・・・。」
スタスタスタスタスタ・・・
ガッ!ガシィ!
勇者「痛たた・・・」
迷子「・・・っ!」
妹「! な、なにすんだよ!」
長「ただの保険だ。お前が逃げないようにな。」
妹「あたしは逃げない!さっきやるって誓った!」
準長「だとすれば気にする必要もない。お前が勝てばよい話。だろう?」
妹「・・・!」
長老「・・・組め。」
妹「・・・。」
ガシ
長「・・・。」
ガシ
勇者「ばれてたんだな?」
準長「あそこまでデカい声と音がしたら誰でも気付くだろう。」
勇者「これから何をするんだ?」
準長「・・・・・・ただの押し合いだ。」
勇者「へぇ。ちなみに、あのでかい斧はお前は見た事あるのか?」
準長「一度も無い。無論、爺ちゃんも、親父もな。」
勇者「だとしたら、勝負はもう決まっているな。」
迷子「・・・?」
準長「そうだ、これはただの形だけの儀式。」
勇者「・・・親馬鹿だなお前たちは。」
準長「うるさい。俺も聞きたい事がある。・・・あの子がアレを持っていくのは、その子が原因なのか?」
迷子「?」
勇者「いや?ここにいる奴全員じゃないか?原因があるとしたらだが。」
準長「・・・いつのまにそこまで?」
勇者「出会いというのは怖いという事だな。良くも悪くも人を変える。」
651 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:28:59.35 ID:4JeG5lWQo
長「おいおめぇほんとに分かってんのか。それ持ってくっていう意味がよ。」
妹「知らないよ・・・。必要だと思ったから取りに来たんだ。」
長「・・・けっ。なんだかな・・・・・・。」
妹「・・・。」
長老「・・・3つ経て4つ目の合図で開始。では行くぞ。」
長老「3!!!」
妹「すぅ〜〜〜・・・。」
長老「2!!!」
妹「はぁ〜〜〜・・・。」
長老「1!!!」
妹「・・・。」
長「・・・。」
長老「始めぇい!!」
妹「ェェエイヤァァァアアアアアア!!!!!!」
長「ヌェァァァアアアアアアアアアア!!!!!!」
―――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
652 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:29:48.61 ID:4JeG5lWQo
長「・・・いでぇ。」
準長「持っていかれてしまいましたね。」
長「たぁ〜くよ。いつの間にか成長しやがって・・・。」
長老「まさか村一番の豪傑が女とはのう。それもまだ成人しとらん餓鬼とは。」
門番「・・・しかし、あの蜘蛛狩りはあんな形してたんですなぁ。」
準長「あんなもの振り回せる気がしないな・・・・・・。」
長「扱えりゃぁ重さと遠心力が相まってどんなもんでもちぎれるだろうよ。」
長老「扱えれば、の。あいつが扱えるとはまだ決まっておらん。」
準長「しかし捧げて以来でしょう?あの部屋を開けることが出来た者は。」
長老「・・・まぁの。儂も何回挑んだかわからんよ。」
長「俺だってなぁ、何回も挑んだぜ?それなのに凹みもしねぇ。」
準長「俺も無理だった。」
門番「私も。」
長老「恐ろしいほどの才よの。あのほっそい腕にどれだけの力が込められているのやら。」
準長「見えない方に秘密があるのかもしれませんなぁ。」
長「心配なのはアイツの体重だ。あいつ小せえから武器に振り回されちまうだろうなぁ。」
門番「我らができるのは、自信を与えるだけですか。」
長老「それと不安を無くす事だけじゃの。」
準長「・・・何に挑むのか知らないが、なかなかいい顔だった。」
長「なんでこう餓鬼って親の知らねぇ所で成長すっかね。つまんねーぜ。」
長老「女の癖してのう。しかしあの子は結局何も話さず行ってしまったの。」
準長「あの子が我らに何も話せないと判断したのです。我らはそれらを信じないといけません。」
門番「それが戦士の礼儀、ですね。」
長「多くは目で語れってな。」
長老「目といえば・・・あの子泣き腫らしとったのう。」
長「泣き落としって奴ですかねぇ。」
653 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:30:15.09 ID:4JeG5lWQo
門番「あの子が原因の一端なのでしょうね。」
準長「・・・いや、あいつの話では、ここにいる全員が一端を握っていると。」
長「どういうこった?」
準長「・・・さぁ。」
長老「・・・くっさいのう〜。血の匂いがするのう。」
門番「どういう事ですか?」
長老「あの糞餓鬼我らを守ろうとしとるっちゅー事よ。」
長「なんですとぉ?」
準長「・・・。」
長老「大きな力の使い方を誤るような育て方はしとらんつもりよ。なれば使う理由は一つだけじゃろ。」
長「て、てぇことは俺らの力がおよばねぇ様なでけぇ敵とやりあうつもりって事ですかい!?う、うぉぉー!じ、じっとしてらんねぇ!」
長「帰んぞてめぇら!長老!さっさと戦の準備よ!」
長老「・・・お前まだまだ餓鬼じゃの。口で信じる信じるいってもその程度かい。」
長「ですがよぉ!戦場には送ると決めましたが死地には送るつもりは毛頭なかったんですよ!は、はやく連れ戻さねぇと死んじまうかも・・・!」
準長「落ち着いてください父上。あの子が我らに話すべきではないと考えたのですよ。なれば我らが手助けしても邪魔になるだけです。」
長「だぁーっつったって心配なもんはそうだろうが!まさか蜘蛛狩り持ってかれるとは思ってもいなかったしよ!俺はてっきり仲間に見せびらかすもんかと・・・。」
門番「・・・・・・。」
長老「3番手も飽きれておるぞ。まったく長の威厳でいうならてめぇの餓鬼の方が上じゃのう。」
長「ですがよぉー!」
長老「ま、確かに気持ちは分かるがの。儂も娘無くしたときは後悔したもの。お前にも殴られたしのう。」
長老「今はお前が長なんじゃから好きにすればいいじゃろ。ほれさっさと帰るぞ。」
門番「負ぶりますよ。」
長老「たわけぇ!わしゃ平気じゃ!怪我人だからとなめるんじゃないわい!!」
準長「まだ熱が引いていないでしょう。怪我人は怪我人なのですから無理してもらっては困ります。」
長老「うっさいわいハナタレ!わしゃ平気だといっとる!」
654 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:32:16.28 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇〜昼過ぎ〜
ゴオオォ・・・!
妹「エエェイヤァァァァアアアアアア!」
ブオオオ!
妹「うわ!」
ズガァァン!
妹「いたたた・・・・・・」
勇者「振るのに時間が掛かる上に空振りすると大きく隙が出来るな。」
妹「そ、それにっ、ふぅっ!」
ズゴォォ・・・ゴゴゴ・・・
妹「構えてると全然動けない・・・。」
勇者「重さが先に集まっているからな。どうしても重心が武器に寄る。動く為に足を上げると重心に引っ張られバランスが崩れる。」
勇者「すり足なら動けると思うぞ。」
妹「で、でもこんなゆっくりじゃどうしようもならないよね。」
勇者「・・・そうだな。慣れないと難しいんだが・・・・・・。」
妹「?」
勇者「蜘蛛鉈借りるぞ。ふっ!」
グオオ!
勇者「い、いいか。お前は腰を入れずとも腕力のみで持てる力がある。おかげで振り回せるわけだが・・・。」
勇者「見ておけ。これからこれを構えたまま走る。」
勇者「・・・!」
ダンダンダンダンダンダン・・・!
勇者「ふっ!」
ダン!
妹「す、すごいな。」
勇者「今の俺の走り方で気付いた事はあるか?」
妹「え?う、うーん・・・最初足あげた時コケそうだった。」
勇者「そうだ。それはつまりバランスが崩れ一定方向に倒れようとした、という事だ。」
勇者「俺がやったのは意図した方向にバランスを崩した、という事だ。わかるか?」
妹「・・・?」
勇者「片足を上げる。」
勇者「意図した方向に武器を傾ける。」
ユラ
ダン!
勇者「足を踏み出す。腰を入れ・・・」
勇者「また片足をあげる。」
ユラ
ダン!
勇者「例えば転ぶとき、前に倒れるのがわかっていれば手で支える事ができる。」
勇者「倒れるタイミングがわかれば、足で支える事が出来る。」
妹「・・・あ、そっか。それの繰り返しなんだ。」
勇者「しかしこれは、武器の重さに耐えられる足の頑丈さが必要だ。重すぎる装備は負担も重い。」
勇者「その・・・蜘蛛狩りといったか、デカい斧ではおそらく出来ないだろうな。」
妹「じゃぁ意味ないじゃん。せっかく持ってきたのになぁ・・・。」
勇者(普通は振り回すだけでも相当な負担が出るがな。体の頑丈さは流石か。)
655 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:32:51.68 ID:4JeG5lWQo
ドヒュゥ!
青年「・・・いったい何が起きたんだい?」
孫「で、でか・・・。」
勇者「おかえり。どこ行ってたんだ?」
妹「・・・!」
青年「この子が家に帰りたいって言ってたから連れて行ってたのさ。」
勇者「お前も?」
孫「う、うん。取りあえず、じいちゃんには話しておこうと思って。」
妹「お、お前!な、なんで・・・!」
孫「え?な、なに?」
青年「そろそろ降りてもらっていいかな?」
孫「あ、悪い。」
スタン
妹「お、お前そいつはなっ!」
勇者「・・・?」
孫「?」
青年「・・・。」
孫「こいつがどうかしたの?」
妹「し、知らない!馬鹿!」
ズガンズガンズガン・・・
勇者「何か秘密があるのか?」
青年「・・・君ってたまに察し悪いねぇ。」
勇者「?」
孫「あの子は?」
勇者「寝ている。」
青年「・・・この祭壇回りの木が軒並み折られてるのはあれでやったんだよね?」
勇者「あぁ。刃を手でなぞっても斬れないが振り回していると極端に切れ味があがるな。面白い物だ。」
青年「・・・まぁいいや。おなかすいたよ。何か作って。」
勇者「そうだな。もう昼を回っているし、何か作るか。」
656 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:33:21.21 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
焚火≪メラメラ・・・メラ・・・≫
青年「・・・葉っぱにくるんだだけだけど燃やして大丈夫なのかい?」
孫「数枚重ねていれば中に火が通るくらいには持つ。」
青年「へぇ。」
勇者「さて・・・と。座れ。」
勇者「まず、情報を整理するぞ。」
勇者「大きさは今朝言った通りだが・・・そうだな。絵で表すとこの程度か。」
炭≪ガリガリガリ≫
勇者「そして俺が見た時点では埋まっていた事から・・・この程度の大きさだと予想できる。」
炭≪ガリガリ≫
青年「・・・まぁこんな物だったかな。僕の記憶とも一致するよ。」
勇者「そして・・・足の太さ。しっかりと見れたわけではないが、凡そ俺の3倍だった・・・はず。」
炭≪ガリガリ≫
孫「・・・うん。そんなものかな。」
勇者「そして・・・あの蜘蛛狩りという斧の大きさが・・・大体このくらいという事になる。」
炭≪ガリガリガリ≫
妹「・・・あれ。結構小さいんだな・・・。」
勇者「全体で比べるとな。足の厚さと比べるならば2/3程度の大きさだ。」
青年「だからといって通用するわけじゃないけどね。」
勇者「いや、俺の知り合いにこれくらいなら壊せる人がいる。」
青年「えぇ・・・。」
勇者「そしてこの大きい蜘蛛の周りには蜘蛛が居た。こいつらもかなり危険な要素だ。」
勇者「・・・それとだな、迷子の言ってくれたことを覚えているか?」
妹「・・・?」
孫「・・・。」
青年「・・・もっと大きな蜘蛛が言ってた、かな。」
妹「? それが・・・え?」
勇者「推測の域は出ないが、あの子は蜘蛛と話すことが出来るようだ。」
孫「・・・。」
青年「でも僕の言葉は受け取ってくれないんだよな・・・。僕は蜘蛛ともお話なんて出来ないし。」
勇者「使えるようになったのが今朝かもしれんぞ。問題が起きてから今までは話す余裕も無かったしな。」
青年「そっか・・・。・・・で?それが何か関係あるのかい?」
勇者「・・・俺は蜘蛛と話す事ができない。だからあの子の気持ちもわからない。」
勇者「話すことが出来る相手を殺される事は、どういった気持ちなのだろうと思ってな・・・。」
青年「・・・君はまた迷わせるような事を。あのさ、今はそういった事度外視してないと死ぬよ。敵の気持ちまで考えてる余裕ないんだからね。」
勇者「・・・そうだな。悪かった。」
勇者「・・・さて、こいつを殺すならば、どういった手段をとるべきだと思う?どんな意見でも言ってくれ。検討し合おう。」
657 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:34:01.46 ID:4JeG5lWQo
孫「・・・。」
青年「・・・。」
妹「ぶっ叩く。」
勇者「ふむ。どうやって?」
妹「えーと・・・。」
勇者「・・・そうだな。お前らは普通の蜘蛛に対してどういった戦い方をする?」
孫「遠くから弓で。」
妹「・・・弓で撃ってから叩く。」
青年「不意打ちして上から体重を乗せて腹を突く。」
勇者「ふむ。それはどうだ?通じると思うか?」
孫「・・・急所には届かないだろうな。」
妹「他の蜘蛛の相手をしてる間に殺されちゃうかな・・・。」
青年「刺さったとしても、短刀の長さじゃな・・・。」
勇者「ではどうすれば通じるようになる?」
孫「・・・・・・。」
妹「・・・頑張って他の蜘蛛を蹴散らす。」
青年「・・・・・・あー。もっとでっかい武器を使う、かな・・・。」
勇者「ではそれを行う上での問題点は?」
妹「・・・。」
青年「そんな武器は僕は持てない。そんな武器は・・・見た事がなかった。」
勇者「それの解決策は?」
青年「他の人に持って貰う。」
勇者「これで一つ対抗策が見えてきたな。」
青年「でもさ、あの武器確かに大きいけど・・・あの蜘蛛に比べたら全然だよ。おなかに全部埋め込むほど刺したとしても内臓まで届かないと思うな。」
勇者「だったら別の場所を狙えばいい。他狙うと有効な部位はあるか?」
青年「・・・君最初っから想定してるでしょ。足の付け根。」
勇者「まぁな。足の付け根ならば、うまくやればちぎるくらいならできるかもしれない。」
青年「でも、蜘蛛って足が8本もあるんだよ。足がちぎれると仮定して、不意打ちで1本くらいならノーリスクで行くとしてさ。」
青年「1本ちぎったとしてもあんま効果無い気がするんだよね・・・。」
658 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:34:33.25 ID:4JeG5lWQo
勇者「それがそうでもない。蜘蛛、あの大蜘蛛に似た種類が小さい奴でもいるんだがな。」
勇者「8本の脚でバランスよく立っているんだ。それにより素早く動けるわけだが・・・」
勇者「それはあくまで虫の小ささがあってこそなんだ。あいつが大きくなれた理由は不明だが体重が軽いのならばそれだけもろいし、」
勇者「あれだけデカくなるには足の負担が極端にデカくなる。一本でも大きく動きは制限できるだろう。」
青年「ふーん・・・。」
勇者(通常なら森の魔物程度の蜘蛛の大きさでも自重が問題になり立つことなどできないがな。なんらかの作用が働いていることは明白だ。)
勇者(しかしその作用は万能ではないはず。万能ならば足がもっと退化していてもおかしくはない。いや、退化していなければおかしい。)
青年「でも決定打に欠けるなぁ・・・。足を全部ちぎったとしても殺しきれないような気がするよ。」
孫「・・・蜘蛛の弱点は心臓以外にないのか?」
勇者「小さい蜘蛛なら心当たりがあるが・・・。どうだ?何か知らないか?」
青年「・・・そだね、肺かな。」
妹「肺?」
青年「うん。腹の付け根の下あたりにあるんだけどね。ここふさがったら死んじゃうんじゃないかなぁ。」
孫「塞ぐ・・・どうやって?」
青年「うーん・・・でっかい丸太・・・とか、かな。」
勇者「動きを止めればトドメとしてその肺を狙えるな。」
妹「むしろさ、最初っからそこ狙っちゃだめかな?」
勇者「んー・・・あいつが立っている場合は高くて手がでないだろう。中途半端に攻撃を加えても・・・」
勇者「・・・。」
勇者(・・・植物油は引火点が高いから難しいか?いや、ランプに使えるくらいだ、検討してみる価値は・・・。)
青年「何か思いついた?」
勇者「ふむ。あれだけデカければ書肺気門もデカいだろう。そこに油を入れて引火させればと思ってな。」
孫「・・・火か。」
勇者「落ち葉が多いから火事になるかもしれん。やめておいた方が無難か。」
妹「あーそっか・・・。」
659 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:35:01.90 ID:4JeG5lWQo
青年「・・・いや、いい方法だと思うよ。要はさ、肺を使えなくすればいいんだよね。」
青年「水飲むとき咽ると苦しいでしょ?ちょっとした量でもさ、肺に直接入れる訳だし結構痛手を与えられるんじゃない?」
孫「・・・それも決定打にはならないな。」
青年「だねぇ。」
勇者「だが弱らせることは出来る。」
青年「あいつが動けなくなるくらい弱らせられないと殺せないけどね。」
勇者「・・・毒、という手段もある。」
妹「毒?あいつらには聞かないんじゃないの?」
勇者「アイツらが使う毒は効かないだろうが、その他の毒ならば効果はあるだろう。絶対とは言えんが。」
青年「でもあいつでっかいよー?ちょっとした量じゃ効果すら出ないと思うよ。」
勇者「そうだな。目算だが大体人の3000倍から5000倍の量が必要になる。だが・・・使う毒による。」
青年「どんな毒使う気?」
勇者「ツタウルシ、を知っているか?」
妹「知らないなぁ。」
勇者「森を歩いていたらいつの間にか強烈にかゆくなったりなどした事はないか?」
孫「それは・・・ある。」
青年「それを使うのかい?」
勇者「あぁ。内臓の痒さ、炎症はかなり辛い。しかもこの毒は付着した部分に効果を及ぼす。大きさなどはある程度無関係で働いてくれる。」
勇者「大問題として・・・効くかわからん。」
青年「・・・それは大問題だね。」
妹「え?で、でも人間に聞くなら蜘蛛にも聞くんじゃないの?」
勇者「難しい話だが・・・ウルシ類による痒みは自己免疫疾患であってだな、免疫がその抗原に過剰反応して起きる作用で」
青年「要点話して。」
勇者「あぁ、悪い。・・・要するに人間が苦手な物が蜘蛛も苦手であるとは限らない、という事だ。」
勇者「だが、もともと植物の毒素は虫に効くものが多い。ウルシも例外ではなく、その証拠としてウルシは虫食いがほぼ無い。」
660 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:35:23.43 ID:4JeG5lWQo
青年「他に有効そうな毒ってないの?」
勇者「・・・そうだな・・・・・・除虫菊なども通常有効なのだが・・・やはりこれは体の大きさが問題となるな。」
青年「こっちが使える手段はあのでっかい斧と弓矢だけ・・・。」
勇者「弓矢にツボを括り付けて飛ばせば大量の毒を飛ばすことが出来るだろう。」
青年「でも結局有効打になってないよね。さっきから動きを制限するような物ばかりだ。」
勇者「あとは・・・脳を狙う、という手段もある。」
孫「脳?」
勇者「あぁ。あの蜘蛛が喋れるというのはかなり驚いたが、それはつまり一つの脳に機能が集中していることを示す。」
勇者「損傷を与えることが出来れば、うまくいけば死ぬと思うが・・・。」
青年「無理だね。ただでさえ分厚い殻を割ってその奥にある物を狙うなんて。」
孫「俺もそう思う。蜘蛛の頭は固い。普通の蜘蛛でさえ弓矢で頭は狙わない。」
勇者「確かに現実的ではない・・・。」
勇者(戦士が居ればな・・・。あのくらいの足の太さなら輪切りにできるだろうし腹の皮を切り開いて内臓を損傷させる事もできるだろうが・・・。)
勇者(無い物ねだりだな。)
青年「葉っぱって人相手ならすごく強いけどこういうのは苦手なんだねぇ。」
勇者「・・・確かに人なら簡単だな。一太刀で死んでくれる相手だ。頑丈な奴が相手だと俺の攻撃力のなさが問題になる。」
孫「そ、その分速さで攪乱できるじゃないか。お前の速さは特別だ。」
妹「それに頭いいしさ。対抗策がぽんぽん出てきてるし。」
青年「全部有効打にはなってないけどね。」
勇者「・・・・・・大きさが問題だ。あそこまで大きい奴相手に小さい攻撃を重ねても・・・」
勇者「・・・大きい攻撃・・・・・・。」
孫「なにか思いついたか?」
勇者「あぁ。木だ。木を倒して使えばいい。」
妹「木?」
勇者「有翼族にあったあの巨大な木。アレを一定方向に倒れるよう傷を入れ、デカい蜘蛛をおびき寄せてから倒して当てる。」
青年「・・・あんなでっかい蜘蛛自分から動いてくれるかな?」
勇者「命の危機を感じれば動かざるを得まい。俺たちがあいつにどれだけ不快な思いをさせるかが重要だ。」
青年「・・・なるほどねぇ。今まで出した案全部が重要になってくるね?」
勇者「あぁ。足を1.2本ちぎるのはあいつの機動力を削ぐ上で重要だ。これだけであいつが動けなくなってくれれば御の字。殺しやすくなる。」
勇者「もし動いたとしても書肺に直接毒物を入れる事で空気を取り込みづらくし機動力を落とすことが可能。」
勇者「そして・・・誘導して木を倒す方法を用いて頭を狙う。という流れが出来た。」
661 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:35:50.37 ID:4JeG5lWQo
青年「それも決定打になりえなかったら?」
勇者「なりえなくとも動きを大幅に制限できるだろう。動けなくなった間に足を切断する事を念頭に置いて行動すれば殺しやすくなる。」
青年「で?木を倒せること前提に話してるけど、どうやって倒すつもり?」
勇者「あの斧を使う。」
妹「で、できるかなぁ・・・。」
勇者「そこらの木の太さでは枝と変わらん。あれくらいならば丁度いいくらいだ。」
青年「・・・ふー。準備期間はどのくらい使うの?今日入れて2日くらい?」
勇者「早ければ早いほどいい。敵が予想出来ない速さで攻めれば最初の攻撃の成功率が大きく上がる。」
妹「まさか・・・今日中?」
勇者「それは流石に無理だろう。毒物の調達、道具の調整、必要な動きの予行、木への細工。これらを日が暮れるまでにやるには少々きつい。」
勇者「そういえば・・・お前は夜目が効くのか?」
青年「効くよ?君を夜になっても追いかけれてたでしょ?」
勇者「・・・通常あの種類の蜘蛛は目が弱いが・・・・・・」
妹「で、でもあたしは夜だと全く目が効かないんだけど・・・。」
勇者「俺もそこまで効かんな。」
青年「・・・嘘だ。絶対嘘だ。夜なのにするする木の上に登ってたじゃないか。」
勇者「嘘じゃない。地形を記憶するのが得意なだけだ。今回のように地形を調べる余裕がない場合はうまく走れなくなる。」
青年「記憶って・・・ずっとここにいる僕でさえ村の周り以外覚えていないのに・・・。」
孫「こいつは俺たちとは違う。化け物だ。」
青年「・・・それだと夜に仕掛けるのは無理だね。」
勇者「夜明けと同時にやるべきだな。」
青年「・・・・・・大まかな流れ決めておかないとね。」
勇者「ふむ。そうだな。」
662 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:36:17.00 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「まず俺が囮になり蜘蛛の気を引いた後、青年と妹が木から飛び降り蜘蛛の足の付け根を狙い切る。すぐ離脱。」
勇者「その時の衝撃により隙が出来たら孫が毒物を射る。俺が走って孫を回収。」
勇者「その後攻撃を加えながら指定の場所に誘導。見計らって木を倒す。」
勇者「殺しきれなかったら更に足を狙い動けなくしたのちに肺を塞いで殺す。もしくは心臓、主動脈を狙う。」
孫「・・・結構形にはなってるな。」
青年「でもかなり問題があるよね。最後の木を倒す時、どうやって僕たちは見計らえばいいんだい?」
青年「どうも耳があるようだし、大声で合わせるとばれるよね。」
勇者「あれだけデカいと倒れるのも時間が掛かるしな。何とかして気をそらさなくては。」
妹「て、ていうか他の蜘蛛をどうするかも考えてないじゃん。」
青年「それはまぁ・・・足の速さを生かして逃げるしか・・・。」
妹「考えなしじゃないか!」
勇者「俺たちが移動する場合は木を伝えばいい。これである程度蜘蛛から逃げられる。」
孫「・・・たしかに普通の蜘蛛はあまり木の上に登らない。」
青年「登っても幹に近いところだけだしね。僕たちは飛ばしてくる毒と糸に気を付けて逃げればいい。」
勇者「俺たちは眼があるから待ち伏せは看破できる。」
青年「・・・卵を飛ばしてきても、僕たちは目さえ効けば堅い足と見えない腕で防ぐ事が出来る。」
勇者「そういえば卵を飛ばしてくるんだったか。・・・俺たちは避けるしかないな。」
青年「多分遠距離攻撃ではこの卵が一番厄介だよ。当たれば死が決定するのは毒もそうだけど、飛来物の中では固形だから一番早い。」
勇者「ガントレットとナイフで一応防ぐ事は出来るが・・・一度に二つだけか。」
孫「体に埋め込まれただけなら俺がなんとかする。割れさえしなければ、何とかなるはずだ。」
青年「・・・出来るのかい?そんな事。」
妹「出来るよ。あたしの爺ちゃん蜘蛛憑きになったけどさ、こいつが助けてくれたんだ。」
勇者「あぁ。一部だが見ていた。初めてなのに素晴らしい手際だったよ。」
孫「う・・・。」
青年「それはそれは・・・すごいねぇ。」
孫「ででも、毒はどうしようもない。う、腕とか足なら体に回る前に切ってしまえばなんとかなるけど・・・。」
勇者「数滴でも人を殺せるだけの強さを持ち、尚且つ皮膚透過性まであるとは・・・恐ろしいものだ。」
青年「・・・合図、かぁ。爺やなら僕から送れるんだけど、爺やから送ることは出来ないからなぁ・・・。」
青年「それに古い人だしな。他族と協力なんて死んでも嫌っていいそうだし・・・。」
勇者「弓矢で合図を送ろう。」
妹「矢で?」
勇者「あぁ。指定の場所に色つきの羽を付けた矢で撃てば簡易的な合図になる。」
青年「それで十分かな。そこまで正確性の必要な事じゃないし。」
青年「・・・しかしこれ、全員が全員死ぬ可能性があるねぇ。」
勇者「死ぬわけないだろう。生きるために行くのだから。」
青年「・・・・・・君は強いね。」
孫「・・・早く行動しよう。やる事や確認しておく事が結構ある。」
勇者「そうだな。そろそろ蒸しあがっただろう、起こしてきてくれ。」
妹「わかった。」
663 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:36:44.09 ID:4JeG5lWQo
―――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇〜遅めの昼食後〜
青年「グッ・・・!」
妹「だ、だいじょうぶか?」
青年「へ、へいき、では無いかな。荷物、運ぶのは、得意だけど、こんな重いものは初めてだよ・・・!」
妹「う、動ける?」
青年「ちょっとまってね・・・。ふぅー・・・ふぅー・・・。」
青年「・・・っ!!!」
ドヒュウ!
ビタ!
ドヒュウ!
青年「だ、だめだ・・・方向転換に時間が必要だ・・・!」
妹「す、すごいな全く速さが落ちてないぞ!」
青年「そ、そこはね。つ、次は木登りの練習でもしてみようか・・・!」
青年「僕が木に足を掛けたら上る方向に斧の先を向けてもらっていいかい?」
妹「え?どういう事?」
青年「僕が走ってる間は常に斧を真上に向けていてほしいって事っ。」
妹「わ、わかった。」
青年「とりあえずやってみようかっ!」
ドヒュ!
ヒュ!
妹「えぃ!」
グラァ
妹「うわ!?」
ガクン!
青年「あいたたたたたここしがぬけるぅぅぅうううう」
妹「うわわわ」
ポイ
ズガァン!
青年「ひー・・・。」
妹「だ、だいじょうぶか?」
青年「れ、れんしゅうがひつようだねぇ・・・。」
ズザッ!
勇者「ツボもらってきたぞ。すり鉢もな。」
孫「油もたくさんもらえた。」
青年「そ、そっかぁ・・・それはよかったねぇ・・・。じゃ、さっそくいこうかぁ・・・。」
妹「・・・あの子は大丈夫だった?」
孫「うん・・・爺ちゃんが見ていてくれるって。」
青年「あ、あのこが子供でよかったねぇ・・・。」
妹「・・・大丈夫かなぁ。」
孫「爺ちゃんは子供には優しいから・・・。」
664 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:37:14.66 ID:4JeG5lWQo
妹「違くて、あの子家族がいなくなっちゃった事理解したばっかりだからさ・・・。」
青年「親が死ぬなんて珍しくないけどね。僕の知り合いにも何人かいるよ。」
孫「・・・。」
妹「たしかにいつかは来る事だけどさ・・・あの子あんなに小さいのに・・・。」
勇者「心配するのはいいが、今は一緒に居ることは出来ない。とりあえず、忘れておけ。出足が鈍るぞ。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
有翼族村跡地
孫「・・・・・・これを倒すのか?」
勇者「あぁ。さてと・・・炭は大量に持ってきたが、足りるかな。」
青年「ゼー・・・ゼー・・・。」
妹「だ、大丈夫か?」
青年「な、なぁーに・・・明日、は、これ以上走り回るんだからなんてことないさ・・・。」
孫「うん、周りに蜘蛛はいない。大丈夫だ。」
勇者「よし、情報伝達を防ぐために蜘蛛を見つけたら逃がすなよ。」
勇者「さて・・・あの大蜘蛛を引っ張ってきたとして、最短ルートは・・・。」
勇者「・・・。」
炭≪ガリガリガリガリガリ・・・≫
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「俺が書いた所を少しずつ削って行ってくれ。俺は毒物を調達してくる。」
青年「いってらっしゃい。」
孫「一人で大丈夫か?」
勇者「ここの監視は必要だ。それに毒物は扱いが難しい。ウルシなど触れたらカブレるからな。一人でいいよ。」
妹「よーし!一撃で足持っていけるように練習だ!」
青年「待って、僕の背に乗ってからやってね。どのぐらい負荷がかかるか知っておきたいからさ。」
妹「わかった。よーし・・・」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
海沿い
ザザァァァ・・・ン
ザザァァァ・・・ン
勇者「・・・。」
勇者(これは・・・タバコか。かなりの量だ。たしかこれも殺虫剤として使われていたな。)
勇者(確か虫にとって興奮剤のような物だったか・・・?虫系の魔物に少量使用して暴れだしたとか・・・。)
勇者(興奮させるのは今回の作戦において重要だ。それだけ顧みずについてきてくれる可能性が高い。他の蜘蛛の話を聞かなくなる可能性もある。)
勇者(持っていこう。しかし問題のツタウルシだがどうやって持っていけば・・・ガントレットで掴んでその後よく洗うしかないか。)
勇者(あいつの腰が不安だ。湿布の材料も持っていこう。)
665 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:38:02.64 ID:4JeG5lWQo
妹「違くて、あの子家族がいなくなっちゃった事理解したばっかりだからさ・・・。」
青年「親が死ぬなんて珍しくないけどね。僕の知り合いにも何人かいるよ。」
孫「・・・。」
妹「たしかにいつかは来る事だけどさ・・・あの子あんなに小さいのに・・・。」
勇者「心配するのはいいが、今は一緒に居ることは出来ない。とりあえず、忘れておけ。出足が鈍るぞ。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
有翼族村跡地
孫「・・・・・・これを倒すのか?」
勇者「あぁ。さてと・・・炭は大量に持ってきたが、足りるかな。」
青年「ゼー・・・ゼー・・・。」
妹「だ、大丈夫か?」
青年「な、なぁーに・・・明日、は、これ以上走り回るんだからなんてことないさ・・・。」
孫「うん、周りに蜘蛛はいない。大丈夫だ。」
勇者「よし、情報伝達を防ぐために蜘蛛を見つけたら逃がすなよ。」
勇者「さて・・・あの大蜘蛛を引っ張ってきたとして、最短ルートは・・・。」
勇者「・・・。」
炭≪ガリガリガリガリガリ・・・≫
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「俺が書いた所を少しずつ削って行ってくれ。俺は毒物を調達してくる。」
青年「いってらっしゃい。」
孫「一人で大丈夫か?」
勇者「ここの監視は必要だ。それに毒物は扱いが難しい。ウルシなど触れたらカブレるからな。一人でいいよ。」
妹「よーし!一撃で足持っていけるように練習だ!」
青年「待って、僕の背に乗ってからやってね。どのぐらい負荷がかかるか知っておきたいからさ。」
妹「わかった。よーし・・・」
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海沿い
ザザァァァ・・・ン
ザザァァァ・・・ン
勇者「・・・。」
勇者(これは・・・タバコか。かなりの量だ。たしかこれも殺虫剤として使われていたな。)
勇者(確か虫にとって興奮剤のような物だったか・・・?虫系の魔物に少量使用して暴れだしたとか・・・。)
勇者(興奮させるのは今回の作戦において重要だ。それだけ顧みずについてきてくれる可能性が高い。他の蜘蛛の話を聞かなくなる可能性もある。)
勇者(持っていこう。しかし問題のツタウルシだがどうやって持っていけば・・・ガントレットで掴んでその後よく洗うしかないか。)
勇者(あいつの腰が不安だ。湿布の材料も持っていこう。)
666 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:38:46.79 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
有翼族村跡地
メギャァア!
妹「もうちょい早く!」
青年「ゼー!ゼー!わ、わかったよ!」
妹「ェエイヤァァアアアアアアア!!!」
青年「ぐっ・・・!」
ギュオ!
ズギャァァアアアア!
勇者「・・・予定より早いな。」
妹「あ、おかえりー!!」
青年「ゼー!お、おかえり。ゼー!」
勇者「孫は?」
妹「矢に石を括り付けて練習するってさ。」
勇者「そうか。」
勇者(蜘蛛の傍を通る可能性もある。足音を消す方法を教えて置いた方がいいかもしれん。)
青年「そ、それ、すごい量だねぇ。ゼー!全部毒草かい?ゼー!ゼー!」
勇者「あぁ。これから俺は毒薬の調整に入る。出来るだけ近づくなよ。」
勇者「あぁそうだ。お前のカバンの中にあった長い布紐、もらっていいか?」
青年「え!?な、なんでだい!?」
勇者「? 余裕が有ったら木をつなぎ合わせて簡易的な卵を防ぐ物でも作ろうと思ってな。なにか不都合があったか?」
青年「い、いやー別にないけどさー・・・。」
妹「そ、それってまさか・・・。」
勇者「そうか、まぁしょうがない、木のツルで代用する。無理言ってすまなかった。」
青年「い、いや!待って!使ってくれて構わないよ!うん!」
勇者「そうか?悪いな。遠慮なく使わせてもらう。時間に余裕があったらだが。」
スタスタスタスタスタ・・・
妹「い、いいのか?その布紐って・・・」
青年「しょ、しょうがないよー必要そうだし。恥ずかしいけど、今着けてるものもあるし、だ、大丈夫だよ。うん。」
妹「で、でも今汗でぐしょぐしょじゃ・・・。」
青年「う、うーんどうしようねぇ・・・。」
667 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:39:19.65 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
すり鉢≪ゴリゴリゴリゴリゴリ・・・≫
油≪トポポポポ≫
勇者「・・・。」
すり鉢≪ゴリゴリゴリゴリゴリ・・・≫
勇者(ウルシの毒素は水に溶けない。油が一番都合がいい。油は乾きにくいし肺に入れれば長い間呼吸を妨げてくれるだろう。)
勇者(タバコは逆に毒素が水に溶ける。噛み煙草などはそれを利用しているからな。ただ、油とは馴染んでくれないから、使うとしたらウルシより先に入れなければ・・・)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
心眼族の村 〜角突きの家〜
老人「・・・。」
スルスルスルスル・・・
迷子「・・・。」
老人「水で洗うからね、少ししみるよ。我慢できるかな?」
迷子「・・・。」
コクン
老人「いい子だねぇ。後で葡萄あげようね。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
有翼族村跡地 日暮れ
青年「ぜぇ!ぜぇ!」
妹「ェエイヤァァアアアア!!!」
青年「フッ!」
グォォォオオオ!
ゴガァァァァアアン!!!
妹「はぁ!はぁ!」
青年「ゼェー・・・ゼェー・・・」
妹「こ、これでだいじょうぶかなぁ、はぁ、はぁ。」
青年「そ、そだねぇ、ゼェー・・・。あとはあのつっかえを取れば倒れてくれると思うよ・・・ゼェー・・・。」
青年「もうだめ。疲れた。休まして・・・。ぜぇー・・・。」
妹「あたしもー・・・はぁ、はぁ。」
勇者「二人ともお疲れ様。」
青年「はっぱぁ・・・これでいいかな・・・?」
勇者「・・・あぁ。十分だ。所定の時まで倒れてくれない事を祈ろう。」
勇者「ほら、甘い木の実と水だ。」
妹「た、たすかる。」
青年「とりあえずあの馬鹿でかい武器を振るのはなれたよ。あとはあれを持った状態での移動だけだね・・・。はぁー・・・。」
勇者「少し休んだら祭壇に戻るぞ。毒薬はもう調整した。他細かい事は向こうでやる。」
青年「あ、まだ布紐つかってないんだね?ぜぇ・・・」
勇者「あぁ。紐自体も向こうに置きっぱなしだしな。・・・飯を食べた後にでも作るかな。」
青年「そっかそっか。・・・はぁ・・・。」
668 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:40:19.92 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
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祭壇
焚火≪パチパチパチ・・・≫
勇者「予定は明朝。夜明けすぐだ。夜明け前に静かに近づいて光源が確保できたら事を起こす。」
フライパン≪ドジャァァァァ!!≫
勇者「・・・なるほど、土鍋に近いな。熱が通りにくいから火加減調整を一歩早く・・・」
青年「うわぁいいにおい・・・。」
妹「お腹減ってきた・・・。」
勇者「そろそろ魚を焼き始めてくれ。」
孫「わかった。」
青年「すごい量の胡椒だねぇ。からそうだ。」
勇者「ああ。すごくからいぞ。ただその分精がついてくれる。疲れもふっとぶ。」
妹「なぁなぁ、入れるのってこれでいいのか?」
勇者「あぁ。ついでに蜂の子も入れてくれ。肉の内側にな。火を通しすぎると味が落ちるからな。」
妹「わかった。あとは葉っぱで巻いて火に入れればいいんだよね。簡単だな。」
勇者「酒がほしいな・・・。まぁいいか。野獣の肉の癖もおいしさの一つだ。」
青年「火が多くてあっついねぇ・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「焼けた。これで最後だ、食べようか。」
青年「うわぁーおいしそうだねぇ。」
孫「量多すぎないか?」
妹「食べ切れるかなぁ。」
勇者「はは、残すなよ。」
葉≪ガサガサガサガサ≫
青年「なにしてるんだい?」
勇者「あの子に届けてくる。悲しがるだろうからな。」
孫「え?だ、だいじょうぶか?もう真っ暗だぞ?」
勇者「道は記憶している。蜘蛛の通りずらい所を通る。出来るだけ急ぐ。松明もある。」
勇者「多分大丈夫だ。冷めないうちに届けてくる。先に食べてていいぞ。じゃぁな。」
ズダ!ダダダダダダ・・・
青年「料理の説明して欲しかったんだけどな・・・。」
妹「あたしが代わりにするよ。えーと、これがウサギの胡椒ステーキ。こっちが若い芭蕉実の蒸し焼き、鳥の香料焼き、焼き魚、虫の串焼きで・・・」
孫「それは料理名じゃない?」
妹「う、うるさい!な、何が入ってるかは見ればわかるだろ!」
669 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:40:57.49 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
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心眼族の村〜角突きの家〜
勇者「失礼します。」
老人「おや、これはお客人。頼まれたものは出来ていますよ。」
勇者「あぁ、ありがとうございます。料理を作ったので持ってきました。あの子は?」
老人「奥にいますよ。この村は子供に寛容とはいえ他族は他族。外に出すわけにはいきませんからね。」
勇者「なるほど。・・・あなたの分も作ってあります。友人が塩を持ってきてくれまして、普段食べれない味かと思います。」
老人「塩!ほう、御交友の輪も広がったようでよかったですな。思えばあいつも平然と他族に負ぶさっておりました。」
勇者「私は向こうで食べますのでどうぞお二人で食べてください。」
老人「いえお客人。失礼ながら私の分はいりません。どうぞあの子と一緒に食べていってあげてください。」
勇者「ですが・・・」
老人「あの子の親は私ではないのです。貴方もそうですが、必要なのは貴方であると思いますよ。」
老人「さ、どうぞ。あの子がいますので。」
――――――――――――――――――――――――
迷子「・・・あ・・・・・・。」
勇者「ご飯作ったから持ってきたよ。」
迷子「ありがとうです・・・。」
勇者(元気がない・・・仕方がない事だが・・・。)
勇者(俺もお母さんが居なくなったとき数日放心していたな。)
老人「お客人。私は少々用事がありますので留守番をお願いしたいのですが、よろしいですか?」
勇者「・・・そうですね、少しなら平気です。」
老人「ではお願いします。一刻程度で戻ってこれるはずですので。お嬢ちゃんもご飯は食べるようにね。」
スタスタスタ・・・
勇者「・・・食べようか。」
迷子「・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
迷子「けほっけほっ・・・」
勇者「はい、お水。」
迷子「・・・・・・。」
迷子「・・・こ、これからいです・・・・・・。」
勇者「それは兎の胡椒ステーキだね。上に乗ってる粒々全部が胡椒だから、気を付けて食べなよ。」
迷子「・・・けほっけほっ。」
勇者「・・・こっちの芭蕉実の蒸し焼きも一緒に食べるといい。塩も何も入れてないから淡泊な味だけど辛さを抑えてくれる。」
迷子「・・・・・・。」
勇者(今の気分では何を食べても砂の味だろうか。食欲も本来ないのかもしれない。だがこの子の体には栄養が必要だ。)
勇者(味付けを極端に辛くしたり、食欲がわいてくれるような匂いにしたり、一応工夫はしているが・・・)
勇者(気分が落ち込んでいる時には無意味かな・・・。)
迷子「・・・・・・これ、お昼にも食べたですよね。」
勇者「うん。鳥の香草焼きだね。味付けを少し変えてあるけどね。」
勇者(大葉を増やして少々行者葫も入れてある。隠し味に蜂蜜。塩の裏に甘さがあり全体的な味を引き立ている。)
勇者(・・・俺の好みの味だが、この子には苦手だったかな。)
迷子「・・・・・・このお魚って・・・。」
勇者「あぁ。孫が焼いてくれた物だ。塩を振ったのは俺だけどね。」
勇者(焼くのは俺より上手いかもしれん。魚の大きさに左右される事だが毎回ぴたりと合わせる。)
迷子「・・・。」
670 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:41:30.51 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
迷子「・・・ぐー・・・・・・。・・・ぐー・・・・・・。」
勇者「・・・。」
勇者(本当ならば、一緒に居てあげるべきなのだろう。あの蜘蛛を殺すことは、この子と一緒に居る事より大事な事だろうか。)
勇者(・・・だが、殺さなければ、俺が居なくなった後に大きな不安を残すことになる。蜘蛛が居なければ・・・)
勇者(・・・。)
老人「・・・眠りましたか。」
勇者「えぇ。おかえりなさい。では、私はこれで戻ります。この子の寝床はどこでしょうか。」
老人「どうせあやつは居ないのですから、あやつの寝床を使おうかと思っています。」
勇者「どこでしょうか。」
老人「そちらの部屋です。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
心眼族〜角付きの家 外〜
老人「・・・。」
勇者「では、失礼します。あの子をよろしくお願いします。」
老人「あぁ、お客人。少々お待ちを。」
勇者「なんでしょうか?」
老人「この弓を、あやつに渡してもらえますかな。」
勇者「・・・短弓、でしょうか。」
勇者(この素材は・・・あの蜘蛛狩りと同じ物、か?)
老人「蜘蛛狩りと言われるこの村に伝わる弓です。大きさこそ短弓ですが、威力は私たちが作る長弓より高いと言われています。」
勇者「・・・言われている?」
老人「弦を引いてみるといいでしょう。理由がお分かりになるかと。」
勇者「・・・む。」
勇者(固い。)
勇者「・・・すぅー・・・」
勇者「・・・フッ!!!」
勇者「――――――っ!!」
勇者「・・・か、固い、ですね。」
勇者(1oも動かん・・・。)
老人「この村には引ける人物は一人たりともいないでしょうな。今ではこの弓の存在を知る者は呪術師と村長である私だけとなります。」
勇者「この弓は使えるのですか?」
老人「大昔、この弓を使い魔物を退治した勇者の伝説が残されています。何分古い話で、口伝でしか伝わっておりませんが。」
老人「本当かどうかも分からないお伽噺・・・ですがお守りくらいにはなるでしょう。」
勇者「・・・わかりました。渡しておきます。」
老人「えぇ、お願いします。この矢も、おねがいします。」
勇者「・・・この弓専用の矢ですか。」
老人「えぇ。この3本しか数がありません。木で作った矢では弓に負けて飛ばす前に折れてしまうそうです。」
老人「結局この弓が使えないのであれば意味がないのですが・・・木の矢よりは威力があるでしょう。」
671 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:43:05.24 ID:4JeG5lWQo
勇者「・・・。」
老人「あの馬鹿孫が、あなたと出会ってから、妙に素直になりました。弓以外に価値を見出して、人を思いやれるようになり始めています。」
老人「あなたとの出会いが、この事態を招いたとも言えますが、きっと神の試練なのでしょうな。」
老人「これを乗り越えれば、きっと・・・他族との交流が復活するでしょう。それも前のような不完全な形ではなく、完全な形で。」
老人「そうなるのはだいぶ後になるでしょうが・・・老い先短い私の楽しみが一つ増えました。」
勇者(自分の孫を、死地に送るのは、この島特有の宗教観により悪い事ではないと・・・いう事だろうか。)
勇者(手向けが使えるかわからない弓・・・。不十分な気がする。しかしだいぶ特別な物ではある。)
勇者(孫が今回の事をどこまで話したのか知らないが・・・この老人は知りすぎている気がする。そして自分が知っていることを隠しているような・・・。)
老人「どうしました?」
勇者(・・・)
勇者「いえ、何でもありません。分かりました。一緒に渡しておきます。」
勇者「・・・では、失礼します。」
ザッ!ザザザザザ・・・
老人「・・・神が用意した試練を島の外の者が先導して乗り越える。」
老人「神の予定帳には載っていない予定。・・・特異点の先導者。」
老人「いつか神が解放される時がくるのかもしれない・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇
青年「おかえり。遅かったね。」
妹「もうだいぶ冷めちゃってるけど・・・。」
孫「何を話してたんだ?」
勇者「ただいま。冷めてても食べるよ。・・・あの子と一緒に居たから遅くなった。」
672 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:45:03.34 ID:4JeG5lWQo
勇者「孫。これ、お前の爺さんから。」
孫「え?・・・短弓?と矢?」
勇者「引けるか?」
孫「・・・・・・無理そう。」
妹「貸して。」
孫「はい。」
妹「・・・ぐっ」
妹「・・・」
妹「すぅー・・・・はぁー・・・」
妹「ふぅぅぅぅぅぅ!!!」
妹「だ、だめだ。まったく動かない。なんだこれ・・・。」
青年「多腕族でも無理な弓なんてあるんだね。」
妹「やってみる?」
青年「・・・やらないけど貸して。」
青年「かった・・・。 ? なんかこれ君の蜘蛛狩りと似てるね。」
妹「え?・・・そうかな。」
青年「うん。ほら、この彫ってある模様とかさ。」
妹「ほんとだ。よく見てるな。」
孫「・・・あれ。この二つよく見ると中になにかある・・・。」
青年「? そうなのかい?」
孫「うん。なんか球が・・・。」
妹「同じ奴が作ったのかな。」
孫「かもしれない・・・なんだろう、上手く見れないな・・・。」
青年「共通点は球だけかい?」
孫「・・・外側にあるような模様が、中にもたくさんある・・・のかな。細かすぎて良く分からない。」
妹「どっちもものすごい堅いよね。どうやって作ったんだろ。」
青年「蜘蛛の素材でもないし、石でもない。木でもないし・・・。」
青年「あ、葉っぱ。」
勇者「ん?」
青年「君の短剣見せてよ。」
勇者「いいぞ。刃には触れるなよ。」
青年「・・・・・・これは少し似てるかな。」
妹「でもこっちの二つは全然光ってないぞ。」
孫「触った感じもちょっと違う。」
青年「あくまでちょっとね。」
キン!
青年「ほら、叩いた音とかさ。」
キンキン!
673 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:45:36.17 ID:4JeG5lWQo
妹「そうだね。似てる。」
孫「うん・・・。」
勇者「・・・っ。その短剣は金属で作られている。金属というのは複数種あって、それらを複合させた合金と言われる種類もある。組み合わせは星の数ほど、とはいわないが大量にあるぞ。」
孫「もう食べ終わったのか?」
勇者「あぁ。早食いは旅には必要な技術だ。」
勇者(食い貯めもな。)
青年「という事はこれは金属って奴で作られたって考えていいのかい?」
勇者「どうだろうな。この光沢のなさは粘土を焼いたものに似ているしな。」
妹「え?でもこんなに固くないよ。落としたら割れちゃうし。」
勇者「加工の仕方によってはもっと固くすることができるらしい。素材も同じとは限らないしな。」
勇者「さて、俺は簡単な防具を作る。材料は心眼族に頼んで作ってもらった。紐、使わせてもらうな。」
青年「あ、う、うん。いいよ。」
孫「どんなの作るつもりなんだ?」
勇者「板をつなぎ合わせた単純な物だ。胴回りと腿あたりに紐を巻いて着る型を作るつもりだから胴回りと腿回りの長さを測らせてもらうな。」
妹「え!?」
青年「そ、それはもちろん、僕もだよね?」
勇者「? あたりまえだ。お前は腿はいいとして胴回りはつけた方がいい。」
妹「や、やだよ!測らせるなんて恥ずかしい!」
勇者「だがつけておいたほうがいい。毒の飛沫なども運が良ければ防げる。」
妹「じ、じゃ、自分で測らせてよせめて!」
勇者「直接測った方が作りやすそうなんだが・・・まぁ仕方がないな。とりあえずこいつの測るから測り方覚えておいてくれ。」
孫「え?」
勇者「なんだ。まさかお前まで嫌だという気か。」
孫「え、いや別に測られるのはいいんだけど・・・見られながらってのは・・・。」
勇者「・・・仕方がない。俺が自分のを測るからそれを見て覚えてくれ。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「わかったな。それぞれの胴回りの太さと腰の周りの太さを炭で書いてくれ。少しきつめにな。」
勇者「服の上から着る事を想定しているから服の上から測っていいぞ。」
勇者「この布紐は一本だから順々に測るしかない。まずお前から測れ。」
孫「あ、うん。わかった。」
妹「・・・。」
青年「・・・。」
孫「・・・あ、あっち向いててくれない?」
妹「あ、ご、ごめん。」
青年「少し離れてようか。」
勇者(・・・そんなに恥ずかしい事だろうか。)
674 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:46:03.27 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「ほら、次はお前達だ。どっちが先でもいい。」
妹「あ・・・。お、お前見てるのか?」
勇者「・・・・・・見られるのも嫌なのか。」
妹「あ、うん。まぁ・・・。」
勇者「・・・。」
勇者(布紐には余裕がなさそうだから不具合が起きると困るんだが・・・。)
勇者「どうしても駄目か。」
妹「う、ど、どうしてもって訳じゃないんだけど・・・。」
勇者「・・・よくわからん。何が恥ずかしいんだ。」
妹「な、なにって言われると困るけど・・・。何となく・・・。」
勇者(男に見られるのが嫌というわけでもないようだが・・・。青年いるしな。)
青年「葉っぱはそんなに見ていたいの?」
勇者「紐の長さがぎりぎりかもしれないから不具合が出ない様にしたいんだ。」
青年「こんなに長いのに?」
勇者「強度を考えて重ねて使いたい。目算で大体必要な長さはわかるが正確ではないからな。」
青年「・・・。」
勇者「・・・ふぅ。わかった。2人を信じよう。さっき教えたとおりに測ってくれよ。」
スタスタスタスタ・・・
勇者(あの二人中がいいな。なんだかんだでコンビとして優れているし普通か?)
勇者(あの子に好意を抱いていそうな孫は少しかわいそうかな。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「よし、これで全員の長さがわかった。朝までには間に合うだろうから休んでていいぞ。」
青年「朝までにって・・・寝ないつもり?」
勇者「予定通りにいけば少し寝れる。大丈夫だ。」
勇者「あぁそうだ。お前腰は痛くないか?」
青年「え、え?いきなりなんだい?」
勇者「いや、装足族の事はよく知らないのだが、丈夫なのは足だけだとしたら、武器を振る時の負担で腰を痛めているかと思ってな。」
勇者(有翼族村の跡地に行った時も腰の心配をしていたしな。)
青年「あぁ、うん。確かに少し辛いかな・・・。でも休んでれば治るよ。」
勇者「万全を期すために湿布を作っておいた。貼っておくといい。」
青年「そうなのかい?それはありがたいね。」
勇者「よし、こっち来て座ってくれ。」
青年「え?」
勇者「貼ってやる。」
青年「え!?」
勇者「一人では貼りづらいだろう。ほら座れ。」
青年「い、いや、大丈夫だよ。一人でできるって。」
勇者「いいから早く座れ。俺はこの後も予定があるんだ。」
青年「う・・・。」
675 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:46:38.06 ID:4JeG5lWQo
勇者「・・・。」
勇者(・・・さっきから嫌がられるな。俺は嫌われているのだろうか。)
勇者(・・・・・・確かに嫌われる様な事はしているか。そうだとしても仕方がない、か。)
勇者「・・・俺に触られるのは嫌か?」
青年「え・・・?」
勇者「いや、さっき測ろうとした時も拒まれたからな。・・・確かに俺はあまりいい人間ではないな。」
青年「いや、別に・・・。」
勇者「この葉っぱに包んである中のぬるぬるしている物がそうだ。長い葉っぱで巻いて固定するといい。」
勇者「だが一人ではうまく出来ないだろうから、あの二人のどちらかに頼んでやってもらってくれ。それと出来るだけ早めに。」
勇者「無理言って悪かった。行っていいぞ。」
勇者(あまり関わらない方がいいかもしれない。俺が嫌いだとして未だにここに居てくれるのはあの3人が好きだからだろう。)
勇者(俺はいつか・・・ここから居なくなるからな。不純物である俺が居なくなれば上手く行くだろう。)
勇者(出来るだけ早くここから居なくなった方がいいな。俺が長くいれば居るほど関係が不安定になるかもしれん。)
青年「・・・・・・呆れた。君って被害妄想激しいんだね。」
勇者「・・・?」
青年「別に君の事が嫌いって訳じゃなくてただ恥ずかしいってだけじゃない。なんでそういう思考するかな・・・。」
勇者「・・・不快にさせたなら悪かった。人付き合いなど、少し前まで出来なかったからな。よくわからん。」
勇者(直接触れ合った男の友人なんて孫が初めてだしな。)
青年「・・・・・・フー。分かったよ、触らせてあげるよ。だけど何も言わないでね。」
勇者「嫌なら別に・・・」
青年「君が、嫌いって訳じゃない事を、示してるだけだからね。」
青年「・・・まったく。人に地肌触られるなんて全然経験ないのに・・・」
ドサッ
勇者「・・・?」
グィっ
青年「ほら、これくらいたくし上げればいいかい?」
勇者「あ、あぁ。・・・。」
勇者「・・・。」
勇者(この辺りか。)
ピト
青年「ひゃっ!」
青年「は、貼るなら言ってよ!」
勇者「あ、悪い。何も言うなと言われたからな。」
青年「そういう意味じゃなくてさ・・・。」
勇者「葉を巻くぞ。よっと。」
青年「・・・っ。」
青年「終わった?」
勇者「あぁ。戻していいぞ。」
青年「・・・。」
勇者「しかし・・・随分肌が白いな。」
青年「っ!き、君は・・・。」
勇者「? 悪い、気に障ったか?」
青年「・・・別に。君って実は察し悪いね。」
勇者「・・・?」
青年「それとも僕が悪いのかな・・・。爺やのいう事聞いておけばよかったかも・・・。」
勇者「?」
676 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:47:04.13 ID:4JeG5lWQo
青年「はぁ。何でも無い。・・・それ作るの手伝うよ。」
勇者「いいのか?」
青年「明日の作戦は君が大事なんだから君が万全じゃないと困るんだよ。君の判断力は僕たちより頭一つ抜け出てるんだから。」
青年「頑張ってね司令塔。」
勇者「・・・少し意外だ。お前が一番明日参加する利が無いのに、やる気になってくれている。」
青年「君が言ったんでしょ。あの子に、放って置けばいいって言えるのかってさ。」
青年「おまけに兄妹なんて言ってくれてさ。僕の過去利用して、逃げ道塞いでおいて、どの口で言うんだい?」
勇者「・・・悪かった。」
青年「許してあげる。実際その可能性もあるにはあるし・・・あの子を放って置きたくもないしね。」
青年「でも責任は取ってね。僕の気持ち弄んだんだから。」
勇者「あぁ。明日は絶対成功させ、全員生かす。」
青年「で?どう作るの?」
勇者「あぁ。まずこの板をそこに書いてある長さにそって枚数を決める。穴をあけ、一枚一枚つなげていく。あとは個人に合わせて板のつなぎ方を変える。最後に裏に葉を張り付ける。」
勇者「流れは今言った感じだ。じゃぁやるか。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
青年「こ、これ結構大変だねぇ・・・。」
勇者「そうだな。個人によっての調整は本当に大変だ。やってみて分かったが慣れも必要だしな。」
青年「・・・あの二人はさっきから何してるんだい?」
勇者「足音を消す歩行方法を練習しているみたいだな。仲がいいものだ。」
青年「多腕族は排他的って聞いてたんだけど、そうでもないのかなー。」
勇者「力が全てといった感じの族だからな。自分が認めさえすれば別に問題はないようだ。」
勇者(腕力だけで言うのならあの子が一番であるようだしな。)
青年「それにしたって仲良くなる状況なんてあんまり無いと思うけどね。だって殺し合いして勝ってどっちも生きてて尚且つ勝った方が仲良くしようって言わないと成り立たないじゃない。」
勇者「・・・。」
青年「本気で殺し合いしたらどっちかが生きてる事はあんまりないしね。特に多腕族は一撃必殺が有名だし。殺しきれなかったらトドメを指すのが流儀だろうし。」
勇者(俺は運が良かったな・・・一回目は手加減されていたし、2回目はあまり力の入ってない攻撃だったし。)
青年「・・・考えれば考えるほどあの子がここに居るのが不自然だなぁ。いったいどんな手使ったんだい?」
勇者「あの子は多腕族の村から追放されているんだ。あの子の兄から俺が頼まれて預かっている。」
青年「追放って・・・何やったの?」
勇者「・・・元から話せば・・・まぁ、大体はお前が言っていた事を俺がやったんだが・・・。」
青年「・・・。具体的にどんな感じで?」
勇者「村に乗り込んで・・・一回負けて、もう一回行って、勝った。」
青年「・・・無茶するね君。多腕族は容赦ないって聞くよ?一回目でよく殺されなかったね。」
勇者「たまたま門番していた男がどうも多腕族にしては優しい方だったようでな。確かにトドメは刺されかけたが孫の援護もあって逃げ切れた。」
青年「・・・ん?でもあの子がいるのはおかしくない?君が勝ったならそこで話は終わりでしょ?追放された理由は?」
勇者「その後なんとか友好関係を結んで、次の日もう一回行ったんだがそこの長老が蜘蛛憑きになっていてな。死を待つとかふざけた事を言っていたから無理やり外に連れ出そうとした時にあの子が協力してくれた。」
勇者「それが原因だな。」
青年「つまり君が原因なんだね。」
勇者「まぁな。」
677 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:47:32.84 ID:4JeG5lWQo
青年「・・・悪びれないねぇ。」
勇者「可能性を提示したのにそれに乗らず周りの人間を悲しませながら死のうとしていた事が納得いかなかったからな。」
勇者「多腕族のこだわりが重要ならば、無関係である俺が無理矢理助ければ、諦めもつくだろうしな。」
青年「・・・・・・君って我儘なんだね。」
勇者「む・・・。そうか?」
青年「今の話聞いた限りじゃ君全く関係ないのに自分の我を押し通しただけじゃないか。」
勇者「・・・そうだな。」
青年「・・・そういえば今回の騒動もそんな感じだね。君の我を押し通した結果がこれかな。」
勇者「今回は妹が納得できないだろうと思ったんだ。このままではこのパーティが分裂してしまいそうでもあったからなんとか繋ぎ止めようとしたんだ。」
青年「君、自分後回しにしすぎじゃない?この大蜘蛛騒動だって全く関係ないよ。むしろこれ僕達側の問題だし。」
青年「といっても外にでる手掛かりは今0なんだろうけどさ。君ほんとこの騒動終わったらどうするつもりだい?」
勇者「・・・心眼族の長に聞いてみるつもりだ。」
青年「今迷子ちゃん預かってくれてるお爺さん?なんで?一番最初にあった人なんでしょ?」
勇者「少し不自然なところがある。・・・残っている手掛かりはこれだけだ。」
青年「・・・君の主観かぁ。」
勇者「打つ手が無くなったら、海に飛び込んで泳ぐしかないな。」
青年「それはやめてほしいな。君が死んじゃうとちょっと悲しいや。」
勇者「・・・。」
青年「なに?」
勇者「いや・・・。少し、嬉しかっただけだ。」
勇者(他人に必要だと言ってもらえるのは、なぜこんなに嬉しいのだろうか。いってしまえばそれだけなのに。)
青年「・・・君変わってるね。友人に死んでほしい人なんていないと思うけど。」
勇者「そうだな。俺も、お前達には生きていてほしい。できるなら、ずっと仲良くいてほしい。」
勇者「出来る事なら、皆が皆、幸せに生きていてほしい。」
青年「・・・。」
勇者「皆、は無茶なんだけどな、残念ながら。」
青年「・・・君って、危なっかしいね。」
勇者「? 危なっかしい?」
青年「なんとなく、ね。そう思っただけ。」
678 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:48:06.17 ID:4JeG5lWQo
妹「何してるんだ?」
青年「葉っぱが言ってた木の防具を作ってるところだよ。そっちこそ何してたんだい?」
孫「足音消す歩き方を練習してた。」
勇者「成果は?」
孫「下が落ち葉じゃなければ大丈夫だ。」
妹「・・・あたしは・・・・・・。」
青年「君は基本僕の背中に乗るから大丈夫だと思うけどね。」
青年「ていうか君たちも手伝ってよ。結構大変なんだよこれ。」
妹「あ、わかった。」
孫「ん。」
―――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
妹「出来た!!」
青年「やっとできたねー。」
孫「・・・。」
勇者「微調整も済んだし、これでいいだろう。すまなかったな手伝ってもらって。」
勇者「さて、明日夜明けと同時に始める訳だが、準備は万端か?」
青年「問題ないかな。君が居ない間に練習して感じは掴んだし。」
妹「木登りは問題ない!あとは威力だけど、あれだけ練習したし。」
孫「・・・おそらく問題ない、かな。」
勇者「そうか。じゃ、もう寝ていいぞ。明日は早起きするからな。」
青年「君はまだ寝ないのかい?」
勇者「素振りしてから寝る。数は少なめにしておく。」
679 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:48:36.70 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇〜夜明け前〜
勇者「・・・。」
ムク
勇者(・・・ひと達が来なかったな。気を利かせてくれたのだろうか。そういえば俺が多腕族の村で寝ていた時も来なかったな。)
勇者(そろそろ起こさなくては・・・。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
妹「く、暗いなぁ・・・。」
青年「・・・ん。なんとか見れる。」
孫「・・・。」
勇者「今からなら歩いて進んでも夜明け前に着けるはずだ。用意は済んでるな。では行くぞ。」
青年「あ、君は僕の背にのりな。」
妹「? なんで?」
青年「それ持ってると足音すごいからね君。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇→大蜘蛛の住処
ザッザッザッザッ・・・
勇者「・・・。」
青年「君見えてるのかい?」
勇者「全くと言っていいほど見えん。月明かりも差し込んでくれないから完全に記憶が頼りだ。」
青年「・・・僕もこの道は走ってたけど全然覚えてないよ。」
妹「ちょ、ちょっと怖いな・・・。」
孫「・・・・・・止まれ。」
勇者「どうした?」
孫「・・・蜘蛛の糸が、木と木の間に貼られている。」
勇者「・・・・・・受信糸だな。触れた場合蜘蛛に存在を気付かれる糸だ。」
勇者「昨日は無かったはずだが・・・。」
青年「僕たちを警戒してるのかな。」
妹「え?き、奇襲できないのか?」
青年「どうだろうね。」
勇者「周りに蜘蛛はいるのか?」
孫「居ない。隠れる場所もなさそうだ。」
勇者「・・・かなり遠くからでも感知できるようだな。」
青年「一日立ってるわけだし・・・見張りがいるみたいだね。」
勇者(・・・)
青年「どうする?奇襲出来ないとなると初撃の成功率かなり下がっちゃうけど?」
妹「う、うーん。一週間後とかにずらすべきかなぁ。」
勇者「この糸は利用できる。」
妹「え?」
孫「?」
青年「・・・どういう風に?」
680 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:49:13.71 ID:4JeG5lWQo
勇者「この糸の配置を把握して弓などで遠くから切れば見張りの蜘蛛を散らす事が出来る。」
勇者「考えようによっては、奇襲案より安全かもしれん。遠くに誘導できるわけだからな。」
勇者「・・・把握するためには時間が必要になるな・・・・・・。」
青年「どうするんだい?」
勇者「・・・孫。遠くからこの糸は見ることが出来るか?」
孫「・・・無理、だと思う。」
勇者「ではこれならどうだ?」
ザスッ!
勇者「これの様に地面に突き立てた木の棒なら見れないか?」
孫「・・・・・・なんとか。」
青年「なるほどね。この棒を打てば糸に触るように細工して回るつもりかい?」
勇者「・・・一方向に一つずつがいいだろう。不自然にならないように3から4方角程度・・・」
勇者「・・・・・・よし、細工しよう。だがまず目標点についてからだ。その後、青年と孫のコンビで所定の位置から切れそうな糸を探してもらう。」
青年「でもさ、もしかしたら一匹だけ確認の為にいって、異常がなければ戻るとかされるかもよ?」
勇者「その時は、確認しに行った蜘蛛を撃ってもらう。」
孫「・・・いや、それだと弓の軌道を確認されるかもしれない。確かに俺含めて心眼族は遠くから蜘蛛を狙い打てるけど・・・。」
勇者「お前達心眼族が蜘蛛を狙う場合は急所を狙える位置からしか狙わない。つまり蜘蛛の真ん前からだ。」
勇者「蜘蛛は目が弱い。その代り触肢と言われるもので空気の振動をとらえる。触肢の近くを飛ばないと正確な軌道を確認は出来ないだろう。」
勇者「といっても、ある程度限定されてしまうがな。仲間をおびき寄せる程度にはなるだろう。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
孫「・・・また糸。2本。1本目を跨いだら踏むようになってる。」
妹「く、蜘蛛って頭いいんだな。」
青年「・・・これは厄介だねぇ・・・。」
勇者「もしかしたら木の上も貼られているかもしれないな。予定より到着が遅くなるかもしれん・・・。」
青年「どうするんだい?これ以上進んだら蜘蛛が直接警戒してる所も出るだろうし、喋ることが出来なくなるよ?」
勇者「・・・もしかしたら交代するかもしれんから、無闇に殺すわけにいかない。」
青年「君は見えないんだろう?喋れなくなったらどうやって蜘蛛の糸を超えるんだい?」
勇者(夜明けを待っては今度は蜘蛛の目に引っかかる。孫が居れば超えれるかもしれないが・・・。)
勇者「・・・この中で俺だけが超えられない。仕方がないから俺を置いていけ。」
孫「えっ。」
妹「え、えー。それは・・・」
青年「・・・向こうについたらこの子置いて君を迎えに来ればいいのかな?」
勇者「・・・・・・・・・。」
勇者(向こうについたらすぐにでも糸を探しに行って欲しい。俺に構っている時間は・・・。)
孫「・・・俺が負ぶればいいんじゃないか?」
勇者「今俺が持っている毒壺などをまとめて持てるか?」
孫「・・・頑張れば・・・。」
青年「・・・糸を超える時だけ乗ればいいんじゃないかい?それなら疲れるのは最低限だし。」
勇者「・・・試してみるか。」
妹「ひっつまづいたりするなよ。」
681 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:49:53.18 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
孫〈・・・蜘蛛がいる。ここから先は喋らない方がいい。〉ボソボソ
青年〈わかったよ。さっき教えた手信号でどこに糸があるか教えてね。〉ボソボソ
勇者〈待て、俺を乗せている場合足音が出てしまうだろう。何か工夫しなければ。〉ボソボソ
青年〈・・・どうするんだい?〉ボソボソ
勇者〈枝を投げて反対方向に誘導する。その間に糸を超えて音を消して歩く。〉ボソボソ
勇者〈糸を前に来てから枝を投げろ。いいな。〉ボソボソ
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
大蜘蛛の住処 近くの樹上
勇者〈俺はここでいい。ここなら直ぐに行動を起こせる。〉ボソボソ
勇者〈妹を木の高い場所においたらすぐ糸を探しに行ってくれ。蜘蛛を散らして俺がすぐ動く。俺に気を取られている間に第一、二肢を狙ってくれ。無理そうだったら別の足でもいい。〉ボソボソ
勇者〈一人でいるときに何か問題が起きたらすぐ何らかの手段で知らせろ。蜘蛛狩りを投げるとかな。飛んでいく。〉ボソボソ
勇者〈始める前に誘導する方向は確認しておけよ。俺が率先して誘導するが、お前たちの方を向く可能性もある。〉ボソボソ
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
ヒュッ
青年〈仕掛け終わったよ。夜が明ける前に何とかなったね。始まるから、準備してね。〉ボソボソ
勇者〈わかった。いいな、絶対に蜘蛛の前には出るなよ。〉ボソボソ
青年〈わかってるよ。攻撃したら後ろに回りながら横に逃げるんでしょ。じゃ、またね。〉ボソボソ
ヒュッ
勇者「・・・・・・。」
勇者(よく考えなくても、無茶な事だ。俺の我儘だけで、こんな命の危険を伴うような事をさせていいのか?)
勇者(いい訳がない。あいつらが欠けてほしくないから、永遠に居なくなるかもしれない綱渡りをさせる。)
勇者(どう考えても不合理。やらない方がいい事。)
勇者(だが・・・あの子の存在を肯定する事は、俺には・・・・・・)
勇者(・・・夜明けだな。森に光が入り始めた。このくらいなら見える。)
勇者(む。)
蜘蛛「・・・!」
蜘蛛「・・・??」
蜘蛛「ガチガチガチガチ」
蜘蛛「ガチガチ」
ザザザザザザザザ・・・
勇者(反応したな。遠くで同時に異常を察知。少し待ってから行動を起こす。)
ヒュッ!!
682 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:50:28.42 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
ザッ!!
勇者(大蜘蛛は穴の中にいる。まず引っ張りださなければ。)
勇者「・・・聞こえているだろう。俺の声の判別がつくかは分からないが・・・。」
勇者「お前を殺しに来た。」
ヒュッ
―――ガシャァン
勇者「早く出てこい。」
勇者(ウルシ毒だ。これで反応したら、この毒素が有効だと証明される。)
大蜘蛛「・・・・・・ぐ、ぐげ」
大蜘蛛「ギャアアァァァァァ!!」
ドプッ!
勇者「!」
ザッ!
バシャァ!
勇者(やはりすごい量の毒だな!気化したものが口に入るかもしれん。息を止めておくか。)
ズゴゴゴゴゴ!
ズガァ!ズガン!
ズガガガガガガ
ドゴォォォオ!
大蜘蛛「ギシャァァァァァァァ!!!」
勇者「っ!」
勇者(改めて見るとありえんデカさだ!!)
大蜘蛛「ギシャァァァァァ!!」
ゴシゴシゴシゴシ
勇者(無駄だ。一度反応したらもう耐えるしかない。)
大蜘蛛「ギィィィィ!!」
グォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・
勇者「っ。」
ザッ!
ズガァァァァアアアアアアアアン!!
勇者(第一肢を振り上げた!なかなかの迫力だ!)
勇者「フッ!」
勇者(そろそろ飛び降りてくるはずだ!より一層俺に注意を向けるために、攻撃を仕掛ける!)
ダン!ガン!
勇者(振り下ろした第一肢を起点に目に飛ぶ!)
ヒュオ!
ギャリィィ!!
勇者(人間で例えるなら、木の棘が目に刺さったくらいか!しかし流石虫の目!堅いものだ!)
683 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:50:54.26 ID:4JeG5lWQo
大蜘蛛「ギィ!」
ダッ!
ズザァ!
大蜘蛛「ギィィィィイイイイイイ!!!」
妹「・・・・・・ァァァアアアアアアアアアアアア!」
青年「っ!」
ズガァアアアア!!!
大蜘蛛「ギャアアアアアアア!!?」
ヒュッ!
スッ
ビュォォォォオオオ
妹「駄目だ!切れてない!」
青年「ものすごいヒビ入ってるけどね!もう一回!」
大蜘蛛「ギュア!?」キョロキョロ
勇者(触肢が有る前方しか対応できないようだな!後ろから攻められた第二肢に何をされたかわかっていない!)
ヒュ!
ガシャン
大蜘蛛「!」
大蜘蛛「ギシャァアアアアア!!」
ズガンズガンズガンズガン!
勇者(暴れだしたな!一瞬で畳みかけられて慌てているのだろう!)
勇者(・・・一本しか飛んできていない。射線が取れないのか?)
勇者(触肢は敏感だ、俺に気を向かす為に一発入れておいてから孫の元へ!)
ヒュッ!
大蜘蛛「!」
グォ!
勇者「っ!」
ガチィィ!
勇者「くぉっ!」
勇者(あ、危ない!噛みつかれる所だ!)
ギャリン!
ズガ!
大蜘蛛「ギシィィィィ・・・!」
ズザ!ダダダダダダ!
勇者(前面から攻めるのは危なすぎるか。しかしそれだけ注意を向けてくれるという事でもある。狙い目。)
大蜘蛛「ギシャァァアアアアア!」
ズガン!
ズガン!
ズガン!
ズガン!
勇者(そうだ!そのまま追ってこい!)
684 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:51:26.67 ID:4JeG5lWQo
ズガンズガンズガン・・・
妹「イヤァァァアアアアアアア!!!」
青年「・・・っ!」
大蜘蛛「ギシィ!」
ズガガガ!!
グオオォォォ!!
勇者「!」
勇者(合わせられた!声で大体の位置を!)
青年「やば・・・!」
妹「ひるむなぁああアアアアアアアアアアアアア!!!」
青年「!」
メギャ
ブチブチブチブチ
ブチィィィィ!!
大蜘蛛「ぎゃぁぁぁあああ!!?」
ヒュ!
ガシャン
勇者「うぉぉ!」
勇者(ち、ちぎった!!第二肢!しかもすごい瞬間に毒ねじ込んだな!)
勇者(いかん見惚れている場合じゃない。早めに回収しなければ。)
ズダッ!
ビチャビチャビチャ・・・!
ドヒュ!
青年「き、肝が冷えたよ!」
妹「大丈夫!?血かかってない!?」
青年「君が斧を傘にしてくれたから大丈夫!君こそ手は!?」
妹「平気!」
蜘蛛狩り≪・・・≫
大蜘蛛「ギャアアアアアア!!」
青年「ハァ、これであいつは僕たちを狙って・・・!」
出糸突起≪ブシュアアアアアアア!≫
ズゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!
メギメギメギメギィ!
青年「あっぶない!真後ろに回ったら糸か・・・!フゥ!フゥ!」
妹「木が軒並み倒れたぞ!!すっごい威力だな!」
蜘蛛「ギシャァァァァァ!」
ズガガガガガガ!
ドヒュ!
青年「正面に捉えさせるわけないじゃないか!図体デカくても足で勝てると思うなよ!ハァ!」
685 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:53:17.10 ID:4JeG5lWQo
妹「けどどうしよう!あたしたち小回りは効かないから誘導は・・・!」
青年「僕達は取りあえず逃げてればいいの!葉っぱが引き付けてくれるまで逃げて隠れてればそれで・・・!」
ズザザザザザ!
蜘蛛「キシャァァァァ!!」
妹「もう・・・!」
青年「飛ぶよ!」
ヒュォ!
蜘蛛「グゲ!?」
ドヒュ!
妹「く、蜘蛛踏みつけるなんて度胸あるな!」
青年「周り監視して!蜘蛛見つけたら方向お願いね!ハァ、ハァ、木の陰に隠れながら円に逃げるよ!!」
――――――――――――――――――――――――
孫「・・・よし、入った。あと二つ。」
孫「・・・・・・こっちに背を向けられたら肺が狙えない・・・。」
孫「・・・。」
ヒュパ!
ギリリリ!ズバン!!
ギリリリ!ズバン!
ズバン!ズバン!
孫「・・・外した。」
ザザッ!
勇者「乗れ!」
孫「蜘蛛が戻ってきてる。4匹狙って1匹外した。こっち来る。毒残り2個。」
勇者「毒は俺が持つ!これから本格的にこっちに誘導する!狙う場所は肺と触肢!それと目だ!」
孫「わかった。」
勇者「優先的にあっちの方の蜘蛛を殺してくれ!いくぞ!」
孫「わかった。」
ズダン!
スダ!
ズダダダダダ!
ズガン!! ズガン!! ズガン!! ズガン!!
メギィ!バギィ!
孫「木が棒っきれみたいに・・・!」
勇者「今大蜘蛛はあっちに気を取られている!その隙に毒を入れるぞ!」
孫「真下に入るつもりか!?」
勇者「そうだ!その後触肢方向へ駆け抜ける!その時に触肢を狙え!」
孫「アイツが伏せただけで俺たち潰されちゃうじゃないか!なんでそんな無茶を!」
勇者「囮はそういう役だ!あっちより殺しやすい位置を維持してあっちより殺したいと思わせ続けるのが役割!」
勇者「俺の足に任せろ!お前ら一人たりとも殺させるものか!」
孫「〜〜!毒貸せ!準備しておく!」
勇者「よし!」
686 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:53:57.94 ID:4JeG5lWQo
ズガン ズガン ズガン! ズガン!!
勇者(直進の速さが目に見えて遅い!これから先は対策されるだろうがこれだけ機動力が落ちてくれれば・・・!)
勇者「入るぞ!」
ズガン! ズガン! ズガン! ズガン!
孫「・・・ぶれるな・・・!」
勇者「射線は取れているか!?」
孫「この位置なら撃てる・・・けど!入れる自信はない!」
勇者「狙いを定めておけ!これから一瞬だが動きながら姿勢を安定させる!」
孫「わかった!」
ギリギリギリギリ・・・!
勇者「行くぞ!」
ズダン!
――――――
ズバン!
ガシャン
ズザ!ズダダダダダ!
孫「よし!もう一発行ける!」
勇者「やめておけ!恐らくすぐ・・・!」
グォオオオオオオ・・・!
孫「うわわわわわ!押しつぶされる!」
ズゴゴゴゴゴ!!
――――――――――――――――――――――――
青年「なんだ!?こけたのか!?」
妹「わかんない!!って前!」
青年「!」
蜘蛛「グゲ!グゲ!」
ブチュ!
ヒュ!
ビチャ!
妹「エイヤアアアアア!」
ズグチャア!
青年「ぜー!ぜー!危ない!」
蜘蛛狩り≪・・・・・・≫
妹「・・・?」
青年「大蜘蛛が起き上がる!誘導地点までちょっと方向ずれてるから今のうちに・・・?」
青年「どうしたんだい!?ぜぇ!」
妹「あ、ごめんなんでもない!行こう!止まってたら小さい奴らに囲まれちゃう!」
青年「りょーかい!」
ドヒュゥ!
687 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:54:24.38 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
孫「し、死ぬかと思った!!なんて無茶するんだよ!!」
勇者「無茶じゃない!これだけデカければ体にできる隙間もデカいだけだ!計算づくだ!」
孫「だったら一言言ってくれ!」
勇者「喋ってる暇はない!口閉じろ!」
ズダ!ダダダダダ・・・!
ズゴゴゴゴゴ・・・ズガ、ズガン!
勇者(起き上がり始めた。これだけ図体がデカければ体節の隙間もデカい。人ひとり入る隙間は出来る。)
勇者「ほら今だ!毒を入れろ!」
孫「うう!」
ギリギリギリ
ズバン!
ガシャン!
ダダダダ!
勇者「次は触肢を狙え!」
孫「まったく〜!」
ズバズバズバズバズバズバン!!
ガリドスドスガリガリガリ!
大蜘蛛「!!グギャァ!?」
勇者「よし!」
ザザ!
孫「なんでわざわざ大蜘蛛の目の前で止まる!!」
勇者「あいつに俺たちは生きていることを教えているだけだ!」
勇者「いいから早く打て!目か触肢!」
孫「お前と一緒にいると命がいくつあっても足りない!」
ズバンズバンズバンズバンズバンズバン
ズバンズバンズバンズバンズバンズバン
勇者「聞こえるか大蜘蛛!!胸が苦しいだろう!!それは俺たちが原因だ!!」
勇者「ハハハハ!弱い物だ!どれだけ長く生きようと!どれだけ図体がデカかろうと!!」
勇者「お前は俺たちに及ばない!!ハーハハハハハハハ!!」
孫「っ!」
勇者「アーハッハハハハハハハ!」
ズダン!ズダダダダ!
孫「お、お前・・・!」
勇者「お前も笑っておけ。そちらの方がイラつくだろう。」
688 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:54:53.32 ID:4JeG5lWQo
大蜘蛛「・・・?グゲ!?グギ!グギ!?」
大蜘蛛「グゴ!!グゲ!!ゴボボ!!」
ビチャビチャビチャビチャビチャビチャ
ドジュゥゥゥ!
ズザ!
孫「うわなんだ!?」
勇者「・・・あれは消化液だな。毒液とは出てる場所が違う。下の草が溶けている。」
勇者「予想以上に効果があったかもな。どうもあの蜘蛛はタバコが苦手のようだ。」
孫「え?たしか興奮する毒だったよな?」
勇者「説明はしないがそうだ。興奮しすぎるとああいった反応がでる。」
勇者「普通に興奮もするがな。」
大蜘蛛「グギ・・・」
第二肢継ぎ目≪ブシュ!ブシュゥウ!≫
大蜘蛛「グギギギ・・・」
大蜘蛛「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ズダ!
勇者「木の陰に逃げるぞ。この位置からなら恐らく俺たちが逃げ込むのが見えるだろう。」
ズダダダダダダダ・・・!
孫「待ち伏せ2!」
勇者「迂回する。」
ズダッ!
孫「くっ!」
ギリギリ・・・
ズバン!
孫「だ、駄目だ。走りながら遠くを狙撃するのは・・・!」
孫「当てるのが精いっぱいだ!」
勇者「それでいい。向こうから気をそらせれればいい。」
ガサ!ズダ!
ガサガサガサ!
孫「・・・?大蜘蛛が動かないぞ!」
勇者「なに?それは困るな。早く所定の位置まで連れて行かなければ・・・。」
ズダダダダダ・・・
蜘蛛「キシャアアア!」
孫「飛べ!」
勇者「っ。」
ズダ!
ズバン!
蜘蛛「グゲ!」
ビチャビチャ
ズダ!ダダダダダ
勇者「掛かってないか?」
孫「大丈夫だ!」
ズゴオオン!!!!!!
孫「ッッッ!!!」
孫「全力!!!まっすぐ!!!」
勇者「っ!!!」
ズゴゴゴゴォォォォオオオオオンンンンン・・・・・・
689 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:55:27.44 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
青年「ぜー!ぜー!起き上がり始めた!!」
妹「これからどうする!?」
青年「木の上に登ってチャンスを待つ!僕たちは完全にあいつから隠れておいて隙を狙って不意打ちするしかない!」
青年「距離取りたいから少しの間地面走るよ!ぜー!ぜー!」
ドヒュ!
ビタッ
ドヒュ!
ビタッ
青年「ゼー!ゼー!」
妹「くそ!木が多い!」
青年「蜘蛛が木の裏に隠れててもこれじゃぁわからないな・・・!ぜぇ!」
ドヒュ!
ピタッ
ドヒュ!
ヒュ ダスン!!
蜘蛛「ギュアア!」
青年「っ!」
ビタ!
妹「エエェイ!!」
ビュオオオオ
ドグチャア!!
蜘蛛狩り≪・・・≫
青年「あ、危ない危ない!今のは助かったなぁ。ゼー!」
妹「そろそろ上に上がってもいいんじゃない!」
青年「そうしようかぁ。ゼー!木の間隔が狭くて通れない所多いしねぇ。ゼー!」
ドヒュ
ガサガサガサ!
ガサン!
青年「最初っからこうすればよかった!木の真上なら障害物も蜘蛛もいないんだから!」
妹「木の上なんて初めてでたや!」
青年「大蜘蛛もそれなりに見えるね!葉っぱの話じゃ目は弱いって話だし僕たちは見えてないかな・・・!?」
ズゴオオン!!!!!!
妹「と、跳んだぁ!?」
ズゴゴゴゴォォォォオオオオオンンンンン・・・・・・
青年「葉っぱ!!」
ドヒュ!
妹「え!?」
690 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:56:10.57 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「グッ・・・!」
勇者「ガハっ!ガハっ!」
勇者(潰されこそしなかったものの・・・!風圧で吹き飛ばされた・・・!!)
勇者「グハ!」
ヨロ・・・
勇者「・・・ぐっ!」
勇者(孫は・・・?)
孫「・・・ぐぅ。」
蜘蛛「ギィィ!」
ヒュッ!
ズゴン!
勇者「!!」
勇者(馬乗りに!毒牙を刺す気か!)
孫「ぐ・・・!うわ!」
勇者「―――っ」
シュカン
ビュン!
ズガン!!
蜘蛛「ギャアアアア!!」
ズダン!
ガシ!
グォォォ
ズゴァアン!
蜘蛛「ぎゅああ!?」
孫「ぐ・・・!」
ギリ!ズバン!
ダズン!
蜘蛛「ギュア!!」
勇者「ふぅ・・・!ふぅ・・・!」
ズボッ!
孫「く、蜘蛛を投げるなんて・・・!」
勇者「焦ったぞ!直接毒を入れようとしてくれて助かった。吐かれていたらどうしようもなかった。」
ドヒュウ!
青年「葉っぱ!!」
ガバ!
勇者「ゲフ」
青年「良かった!潰れてなかったんだね!」
勇者「あ、あぁ。し、しかしどうした。なぜこっちに・・・」
妹「こいつ急に走り出しちゃって・・・。」
青年「だ、だって矢が飛んできた方向に蜘蛛が跳んでたからさ・・・。はぁ、はぁ。」
勇者「というか悠長に話している暇はない。すぐ動くぞ。大蜘蛛も見えないから急いで・・・」
孫「糸が来る!!」
勇者「!」
ズダ!
青年「!」
ドヒュ!
妹「!」
ズゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
691 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:56:44.24 ID:4JeG5lWQo
勇者「くおお!すごい威力だ!!すでに糸の域じゃない!」
孫「でも範囲は狭いな!」
青年「葉っぱ!平気かい!?」
勇者「俺の心配をするな!早く行け!」
勇者「背中に乗れ!あっちが背を向けているんだったらこっちに向かせなければ!」
勇者(跳びあがってからの押しつぶしに時間かけての糸。相当興奮している。)
勇者(しかし危なっかしいとはいえ結構順調だ。こっちに振り向かせ追いかけるように仕向ければもうすぐだ。)
大蜘蛛「ギャアアアアアアアアアアアア!!」
ズガン!! ズガン!! ズガン!! ズガン!!
勇者「うぉ!」
ズダ!
ダダダダダ・・・
勇者「後ろ向きのまま突進してきた!」
孫「・・・!やばい!!」
勇者「どうした!?」
孫「蜘蛛が大量に集まってきてる!!」
勇者「・・・今のうちに撃てる奴全部に矢を撃っておけ!急所でなくていい!」
孫「ぜ、ぜんぶ相手にするつもりか!?」
勇者「囮だからな!」
孫「わ、わかったよ・・・!」
――――――――――――――――――――――――
青年「葉っぱ!平気かい!?」
勇者「俺の心配をするな!早く行け!」
妹「あいつらなら大丈夫だよ!あたしたちは最後の詰めなんだからぼさっとしてるわけにはいかないよ!」
青年「う・・・そ、そだね。ごめん。」
妹「さっ!早く木の上に登って・・・!?」
ズガン!! ズガン!! ズガン!! ズガン!!
青年「うわ!」
ドヒュ!
妹「止まって!」
ビタ!
青年「なぜ!?」
妹「迎え撃つ!!」
青年「えぇ!?」
妹「来たよ!!いくよぉぉお!!」
青年「し、しかたないなぁ!」
グォオオオオオ
妹「ェェエエエイヤァァアアアアアアア!!!」
オオオオオオオオオオ!!!
青年「フゥッ!!」
ズゴ
ズガァアアアアアアアアア!
大蜘蛛「ギシャァア!?」
ズデェェン・・・!!!
妹「ははは!コカしてやった!」
青年「あぁもう!逃げるよ!!」
ドヒュ!
692 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:57:30.80 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
ズバンズバンズバンズバンズバン!
孫「――――――っ!」
ズバンズバンズバンズバンズバンズバン!
孫「〜〜〜〜〜〜ッ!!」
孫「7匹逃した!こっち来る!」
勇者「大蜘蛛はあっちに向かっていった。ちょうどいい。いったん引き付け役を変わってもらう。」
孫「俺たちは蜘蛛掃除か!?」
勇者「あぁ。向こうに蜘蛛は行ってないな?」
孫「そういう奴は優先的に倒したから大丈夫!そろそろ来るぞ!どう殺す!?」
勇者「背中に乗れ。俺が射線を取るから、お前は撃つことだけに集中していろ。」
孫「わかった!!」
――――――――――――――――――――――――
大蜘蛛「グギャアアアアア!」
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!
メギメギバギメギバキャボキンドギャガリガリガリメギャギャギャギャ
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
ガゴォォン!ガラガラ!ゴロン!
青年「肢での前薙ぎもおっそろしいなぁ!!木が木端みたいに飛んでくるよ!」
妹「な、なんであいつこっちにくんの!?」
青年「君が手を出したからでしょ!!ゼー!ゼー!」
妹「あいつらどうしたんだろう!?」
青年「忙しいのかもね!いったんあいつを引き受けるよ!!ゼー!」
妹「だ、大丈夫!?」
青年「へいきさ!ぜぇ!木の上なら何とかなる!ゼェー!」
693 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:57:56.68 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
ズバンズバンズバンズバンズバン!
孫「――――――っ!」
ズバンズバンズバンズバンズバンズバン!
孫「〜〜〜〜〜〜ッ!!」
孫「7匹逃した!こっち来る!」
勇者「大蜘蛛はあっちに向かっていった。ちょうどいい。いったん引き付け役を変わってもらう。」
孫「俺たちは蜘蛛掃除か!?」
勇者「あぁ。向こうに蜘蛛は行ってないな?」
孫「そういう奴は優先的に倒したから大丈夫!そろそろ来るぞ!どう殺す!?」
勇者「背中に乗れ。俺が射線を取るから、お前は撃つことだけに集中していろ。」
孫「わかった!!」
――――――――――――――――――――――――
大蜘蛛「グギャアアアアア!」
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!
メギメギバギメギバキャボキンドギャガリガリガリメギャギャギャギャ
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
ガゴォォン!ガラガラ!ゴロン!
青年「肢での前薙ぎもおっそろしいなぁ!!木が木端みたいに飛んでくるよ!」
妹「な、なんであいつこっちにくんの!?」
青年「君が手を出したからでしょ!!ゼー!ゼー!」
妹「あいつらどうしたんだろう!?」
青年「忙しいのかもね!いったんあいつを引き受けるよ!!ゼー!」
妹「だ、大丈夫!?」
青年「へいきさ!ぜぇ!木の上なら何とかなる!ゼェー!」
694 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:58:30.42 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
蜘蛛「キシャアアアアアアア!!」
出糸突起≪ブシュウウウウウウ!!≫
蜘蛛「キシャアアアアアアアアアアア!!」
出糸突起≪ブシュウウウウウウ!!≫
蜘蛛「ぐげ!ぐげ!」
ブチュ!ブチュ!
勇者(後退駄目だ飛沫が来る前進)
ズダ!
スカ スカ スカ
ズガッ!
蜘蛛「ギィ!」
ズダ!ダダダダズザ!
勇者「撃て!」
ズバズバズバン!
ドス!
蜘蛛「ギュア!」
ズガン!
蜘蛛「ギィィ!!」
ギャリン
蜘蛛「ガチガチガチ!」
ズダ!ズダダダダ!
勇者「大蜘蛛の位置は!?」
孫「・・・予定の位置の結構近く!そろそろ引き受けないと!」
勇者(・・・蜘蛛5匹を相手しながら大蜘蛛の相手か、なかなかに無茶だな。)
勇者「よし、隙が有ったら蜘蛛を狙ってくれ。いくぞ。」
695 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:59:02.40 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
蜘蛛「キシャアアアアアアア!!」
出糸突起≪ブシュウウウウウウ!!≫
蜘蛛「キシャアアアアアアアアアアア!!」
出糸突起≪ブシュウウウウウウ!!≫
蜘蛛「ぐげ!ぐげ!」
ブチュ!ブチュ!
勇者(後退駄目だ飛沫が来る前進)
ズダ!
スカ スカ スカ
ズガッ!
蜘蛛「ギィ!」
ズダ!ダダダダズザ!
勇者「撃て!」
ズバズバズバン!
ドス!
蜘蛛「ギュア!」
ズガン!
蜘蛛「ギィィ!!」
ギャリン
蜘蛛「ガチガチガチ!」
ズダ!ズダダダダ!
勇者「大蜘蛛の位置は!?」
孫「・・・予定の位置の結構近く!そろそろ引き受けないと!」
勇者(・・・蜘蛛5匹を相手しながら大蜘蛛の相手か、なかなかに無茶だな。)
勇者「よし、隙が有ったら蜘蛛を狙ってくれ。いくぞ。」
696 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 17:59:33.35 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
大蜘蛛「ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
青年「ははは!はぁ!相当怒ってるね!ゼェ!ゼェ!誘導しやすくて助かるよ!ゼェ!ゼェ!」
妹「あとちょっとで着くけどさ!アイツら来てくれないとあの木に行けないよ!」
青年「そろそろ来るはずさ!ゼェ!ゼェ!」
勇者「狙え!!」
孫「ふっ!!」
ズバンズバンズバンズバンズバン!!
大蜘蛛「ギギィィィィイイイイイイイイイイイ!!!」
青年「ほらね!ゼェ!ゼエ!」
妹「よ、よし!今のうちに下に降りてつっかえの位置に・・・!」
迷子「おねえちゃん!!」
青年「!!?? な、なんで君がここにって飛んでる!?」
妹「ななんで!?」
迷子「だ、だって起きたらおっきな音がしててしんぱいで・・・!」
青年「あぁもう!ここは危ないから飛べるならそのままおうちに・・・!」
大蜘蛛「ギヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ズゴオオォォ!!
妹「跳・・・!」
ドヒュ!!
メキメキメキ・・・!
青年「ぐぅぅ!!」
ガバ!
迷子「わっ」
ズゴ
ズルゥウ!
大蜘蛛「っ!!」
ズガガガガガガ
大蜘蛛「ギイイイイイイイイ!!」
ガガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン・・・・・・
697 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:00:30.05 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
大蜘蛛「ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
青年「ははは!はぁ!相当怒ってるね!ゼェ!ゼェ!誘導しやすくて助かるよ!ゼェ!ゼェ!」
妹「あとちょっとで着くけどさ!アイツら来てくれないとあの木に行けないよ!」
青年「そろそろ来るはずさ!ゼェ!ゼェ!」
勇者「狙え!!」
孫「ふっ!!」
ズバンズバンズバンズバンズバン!!
大蜘蛛「ギギィィィィイイイイイイイイイイイ!!!」
青年「ほらね!ゼェ!ゼエ!」
妹「よ、よし!今のうちに下に降りてつっかえの位置に・・・!」
迷子「おねえちゃん!!」
青年「!!?? な、なんで君がここにって飛んでる!?」
妹「ななんで!?」
迷子「だ、だって起きたらおっきな音がしててしんぱいで・・・!」
青年「あぁもう!ここは危ないから飛べるならそのままおうちに・・・!」
大蜘蛛「ギヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ズゴオオォォ!!
妹「跳・・・!」
ドヒュ!!
メキメキメキ・・・!
青年「ぐぅぅ!!」
ガバ!
迷子「わっ」
ズゴ
ズルゥウ!
大蜘蛛「っ!!」
ズガガガガガガ
大蜘蛛「ギイイイイイイイイ!!」
ガガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン・・・・・・
698 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:01:33.02 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「・・・ぐは・・・!」
勇者(こ、こけられるとは予想外だった・・・!)
ズキン!
勇者「ぐっ!」
勇者(・・・!)
蜘蛛「カアアァア・・・」
孫「!!!」
ギリギリギリ!!
勇者(後ろに蜘蛛!あいつどこを狙って・・・!)
迷子「・・・」
蜘蛛「カアア・・・」
勇者「!!!!?」
勇者(なんであの子まで!!??)
妹「・・・」
青年「・・・」
蜘蛛「ぐ」
――――――――――――‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
(孫の後ろに蜘蛛噛みつき 迷子気絶蜘蛛噛みつき 妹青年気絶蜘蛛毒吐き)
(孫は弓で妹達の蜘蛛を狙っている自分無視)(噛みつき後毒注入)
(状況打破には一度に2撃遠距離必須手持ちナイフ1)
(ナイフを投げる訳には・・・)
(投げる・・・)
(・・・・・・っ!!)
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐――――――――――――
勇者「――――――!!!」
―――ヒュラヒュラ
ドシュ!! ドシュ!!
蜘蛛「ギヤア!?」
蜘蛛「ギギギィ!?」
ズバン!ダズン!
蜘蛛「ぐご」
勇者(確信!なるほど、確かにこれは・・・!)
699 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:01:54.19 ID:4JeG5lWQo
グルン!
ガキィ!
蜘蛛「カアアア!?」
勇者「こんなに固い物は齧った事無かったか・・・!?」
勇者(俺の後ろにもいる事は知っていた!)
ボタボタボタ・・・
ズバンズバンズバン
ドスン!ダズン!ダスン!
蜘蛛「ギャアアアアア!!」
勇者「よくやってくれた!」
ブン!ビチャ!
勇者(俺が少しの時間を稼いだ間に3匹とも一撃で殺してくれた!土壇場の集中力が素晴らしい!)
孫「これからどうする!?あいつが起き上がるぞ!」
勇者「お前は青年を運べ。俺は妹と迷子を運ぶ。」
孫「持てるのか!?」
勇者「起きろ。」
パシパシ!
妹「う・・・?」
青年「起きてるよ・・・。」
勇者「妹、乗れ。急いでここから逃げる。」
妹「え、えっと・・・。」
青年「考えるのは後にしなよ・・・・・・。」
妹「わ、わかった。」
ズン
ズキン!!
勇者「ぐっ・・・。」
勇者(やはりヒビが広がっているか・・・。)
孫「お、起きれるか?」
青年「ちょっと無理・・・。」
勇者「急げ。」
孫「わ、わかった。」
勇者「走るぞ。蜘蛛が居ない道を教えてくれ。」
孫「わ、わかった。」
ドスンドスンドスンドスンドスン・・・
大蜘蛛「ギィィ・・・ゲボ」
バチャバチャ
大蜘蛛「ギギギギ・・・」
ズル・・・ズガン!ズガン!
グオオオオオオ・・・・・・
大蜘蛛「ギィ・・・ギィ・・・。」
グラァ・・・グラァ・・・
700 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:02:42.85 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
孫「く!俺たちを追っていた蜘蛛の残りがまだ追ってきてる!」
妹「え!?どのぐらい!?」
孫「1匹!」
勇者「どれぐらいで来る。撃てるか?」
孫「・・・もう追いつかれる!明らかに俺の弓を警戒してる!」
青年「・・・・・・どーするんだい?」
妹「あ、あたしが残る!」
青年「君のその武器は足が速くないと怖くないよ・・・。」
勇者「俺も残る。この子を頼む。」
青年「君はその子の足になれるのかい・・・?」
勇者「足にはなれんが一匹ならなんとかなる。」
青年「そ・・・。」
孫「どこに行けばいいんだ!?」
勇者「とりあえず逃げ続けろ。絶対に安全だと言える場所を見つけたらそこに隠せ。」
勇者「頼んだ。」
孫「・・・わかった。」
ザザザザザ!
勇者「降りろ。」
ドスン!
妹「どうするんだ?」
ガシ!
妹「ななななに!?」
勇者「俺の振ろうとしている軌道に合わせてくれ。」
妹「え!?」
勇者「深呼吸しろ。」
妹「うぇ!?う、うん。すぅーーー・・・」
妹「はぁーーー・・・。」
勇者「行くぞ!―――っ」
妹「エエイヤアアアアアアアアアアアアアア!!!」
勇者「――――――――――――――――っっ!!!」
ヒュゴオオオオオオオオオオオオオ!!!!
ズバン!!!!!!
ズキン!!
勇者「・・・っ。」
蜘蛛「・・・!?」
ドチャァ!
701 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:03:08.41 ID:4JeG5lWQo
妹「うわわわわわ、木ごと切れた!な、何したんだお前!?」
勇者「真空斬りという技だ・・・。近接武器ならば大概応用が利く。」
妹「こ、これさえあればさ!遠くからでもつっかえ取れるかも!」
勇者「いや、吹き飛ばす力はほぼない。斬るだけだ。」
妹「じゃ、じゃぁ大蜘蛛に・・・!」
勇者「これを背負いながらでは追いつかれる。無理だ。」
妹「うぅ・・・。」
勇者「乗れ。」
ドスン!
ズキン!!
勇者(っ・・・。)
妹「こ、これからどうするんだ?」
勇者「・・・お前を所定の位置に置いた後に俺が大蜘蛛を引き寄せる。」
妹「ひ、一人でやる気か!?」
勇者「そうなるだろうな。あいつらはもう戻ってこれないだろう。」
妹「あ、危ないよ!」
勇者「それはお前も同じだ。お前がいる位置に蜘蛛が来ないとは限らない。」
妹「で、でも・・・。」
勇者「蜘蛛が来たら俺を無視して逃げろよ。お前一人ではおそらく毒を掛けられて終わりだ。」
妹「・・・。」
勇者「いくぞ。」
ドスンドスンドスンドスンドスンドスン・・・
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
朝過ぎ昼前
勇者(・・・だいぶ太陽が昇ったな。)
大蜘蛛「ギイ・・・!!ギイ・・・!!」
ズガン!
ズガン!
勇者「ふぅ・・・。」
大蜘蛛「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
ズガガガガガガガガガ!!!
ズダン!!
勇者(地面を削りながらの前薙ぎ口元に居ればあたらん。)
大蜘蛛「グギゲ!!」
ドボオ
勇者(毒垂れ流し、さらに奥、体の下へ。)
ズダン!
バシャバシャバシャ!!
勇者(気門を狙う。)
勇者「―――っ!!」
――――――ヒュランヒュラン
ザシュザシュ!!
勇者「・・・。」
勇者(集弾性が少し悪いか。まだまだ練習が必要だな。)
勇者(前に出ながら触肢を中心に狙っていく。)
702 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:03:36.11 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
孫「ゼェ!ゼェ!ゼェ!」
ザザザザザザザ・・・
孫「ゼェ!ゼェ!ぜえ!」
青年「・・・大丈夫かい?」
孫「なんてこと!ゼエ!ゼエ!」
青年「・・・この辺りでいいよ。置いていってくれて大丈夫。」
孫「駄目だ!ゼェ!ゼェ!」
青年「でも君の足じゃぁ祭壇まで辿り着くまでに終わっちゃうよ・・・?この辺りなら君の足でも何とか所定の位置に間に合うと思うけど・・・。」
孫「まだまだ蜘蛛がいる場所なんだ!ぜぇ!ぜぇ!こ、これでも必死に道選んでるんだからな!ゼェ!」
青年「・・・よっと。」
ズル
孫「あっ!」
ドサ!
青年「いててて・・・。」
孫「なにしてるんだよ!ゼェ!ゼェ!こ、この子持ってるからお前しっかり掴めないんだからちゃんと乗っててくれよ!」
青年「・・・・・・。」
迷子「わぅっ!?」
孫「うわっ!?お、起きたの?どうしたの急に?」
迷子「だ、だってぇ・・・!」
青年「・・・。」
迷子「ご、ごめんなさい・・・。」
孫「・・・!こ、この火花って・・・!」
青年「・・・そっか、君には見えるんだね・・・・・・。」
孫「お、お前達、有翼族だったのか!?い、いや、お前は、装足族・・・!?」
青年「お察しのとーり僕は混血さ・・・・・・。その子は純血だけどね・・・。さてと・・・」
青年「よっと・・・。」
ヨロヨロ・・・
青年「ほら、僕なら、平気さ。一人なら、走れる。」
青年「君も一人で飛べるだろう・・・?」
迷子「う・・・うん。」
ブワァア!!
孫「は、羽が・・・!」
703 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:04:15.25 ID:4JeG5lWQo
青年「・・・ふ、二人とも、動けるでしょ?君が運ぶ理由はもう無い・・・。」
青年「どっちに逃げたらいいか、教えてくれるかい?僕たちは大人しく帰る事にするよ・・・。」
孫「で、でもお前、腰が・・・。」
青年「誰かが死ぬより、ましだと思わない?大丈夫だよ、葉っぱがさ、くれた薬つけてるから、さ。」
孫「・・・・・・。」
青年「ほら、僕たちはどっちに向かえばいいんだい・・・?」
孫「・・・あっち。」
青年「分かったよ・・・。ほら、君は戻りな・・・。」
孫「・・・無理するなよ!」
ザザ!!
青年「・・・・・・。」
迷子「だ、だいじょうぶ・・・?」
青年「平気、さ・・・。まったく危ない事して・・・・・・。」
迷子「ご、ごめんなさい・・・。」
青年「・・・木の上にでたい。登るの、手伝ってくれるかい・・・?」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
大蜘蛛「ギシャアアアアアアアア!!」
ズガン! ズガン!
勇者「・・・。」
蜘蛛「キィ!」
蜘蛛「キシャア!!」
ブシュウウウウウウウウウウウウウ
ブシュウウウウウウウウウウウウウ
勇者「っ。」
ダン!
蜘蛛「ぐ」
勇者「―――っ!」
―――ヒュラン
ズバン!!
蜘蛛「グゴ!」
ズダン!
ズダ!ドガ!
蜘蛛「ギィ!!」
勇者(何発も撃つより一発の方が威力が高いな。)
ズダダダダ・・・
704 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:04:54.95 ID:4JeG5lWQo
蜘蛛「キシャアアアア!」
蜘蛛「キシャアアアア!」
蜘蛛「ガチガチガチ!」
バッバッバッ!!
ズダン!
勇者(3体同時飛び掛かり。加速して抜ける。)
蜘蛛「グゲ」
蜘蛛「グゲ」
ブチュ!ブチュ!
勇者「っ!」
勇者(読まれていた!出口付近に毒を!)
勇者(飛び込んで身をねじれば・・・!)
ドサドサドサ
びちゃびちゃびちゃ!
ドサ!ムク!ダン!
ダダダダダ・・・
勇者「くっ!」
勇者(毒がついてしまった・・・外しておこう。)
ブチ!ガコォン!
勇者「・・・。」
勇者(よし、ほかの部位にはついていないな。運がいい。)
蜘蛛「キシャアアアアアアアアア!!」
大蜘蛛「グフ!グフ!」
ズガン! ズガン! ズガン! ズガン!
勇者「げほっ!げほっ!」
勇者(あいつら普通の蜘蛛は俺たちの追い掛けっこには追いつけない・・・だがその分溜まる。)
勇者(所定の位置への足止め中にはどんどん蜘蛛がやってくるという事。すでにこの時点で12匹ほど追い越している。)
勇者(このままでは足止め中には大蜘蛛と20匹程度の蜘蛛を同時に相手にしなければいけなくなる。)
勇者(合図は位置を考えると俺が全力でナイフを投げなければ不可能。ナイフ無しで足止めか。)
勇者(一人で足止めは確かにきつい。木が倒れきるまで気付かないわけもない。なにか・・・対策を・・・。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
足止め地点付近
大蜘蛛「グゲャアアアアア!!!グゲャアアアアア!!!」
蜘蛛「グゲ!グゲ!」
ブチュ!
勇者「っ。」
ダン!
ビチャ!
勇者(蜘蛛が数を生かして毒を地面に敷き詰めたら俺は動けなくなる・・・。)
勇者(合図はもう少し近くなければ送れないな。)
ヒュヒュヒュヒュ
ドスドスドスドス!
蜘蛛「ミギャア!」
勇者「!」
孫「ゼェ!!ゼェ!!ゼェ!!」
勇者「2人の安全は確保できたのか!?」
孫「前見ろ!ここに来るまでの蜘蛛は全部俺が引き付けてきた!ゼェ!」
勇者「っ!乗れ!」
705 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:05:35.70 ID:4JeG5lWQo
孫「これからものすごい数の蜘蛛が来るぞ!」
勇者「ここから合図送れるか!?」
孫「蜘蛛が壁になっていて無理だ!もう少し進んでから!ほら来たぞ!!」
蜘蛛「キシャアアア!!」
蜘蛛「ギィィ」
蜘蛛「ガチガチガチガチ」
勇者(孫の足では蜘蛛に追いつかれる。引き付けてきた、という事は弓でおびき出したという事か。)
勇者「・・・。」
勇者(数が20匹どころではなくなったか・・・!)
孫「所詮数が多くても一度に攻撃してくる数には限りがある!!ゼエ!」
孫「お前なら避けれる!ゼェ!ゼェ!」
勇者「軽く言ってくれる・・・!」
勇者「だがその通りだ!!」
ズダン!!!
――――――――――――――――――――――――
有翼族の村 大樹の根本
妹「・・・蜘蛛来ないな。」
ドヒュウ!!
青年「・・・無事みたいだね。」
妹「お!おまえ!大丈夫なのか!?」
青年「ふふ。まだまだ行けるさ・・・。」
妹「そ、そっか!よかった!あの子は?」
青年「今頃空飛んでるんじゃないかな・・・。」
――――――――――――――――――――――――
足止め地点
勇者「まだ撃てないのか!?」
孫「木の隙間という隙間に蜘蛛が居て射線が取れない!」
勇者「何とかして枝に登る!その時になんとかしろ!!」
勇者(蜘蛛が多すぎる!)
蜘蛛「キシャアアアアア」
蜘蛛「ぐげっぐげっ」
勇者「く・・・!」
勇者(全方位からの毒液と糸が厄介!避けるだけで精一杯だ・・・!)
大蜘蛛「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
グオオオオオオオオオオオオオ・・・
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!
蜘蛛「ぎい!」
蜘蛛「ガチガチガチ!」
蜘蛛「ガチガチ」
ズザザザザザザ・・・
706 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:06:21.33 ID:4JeG5lWQo
勇者(! 蜘蛛が引いた!)
孫「横なぎが来るぞ!!」
勇者「好機!」
ズダン!ズダン!ズダン!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!!!
ガゴオン!!ガランガランガラン!
ザザ!
勇者(大振りは隙が出来る!ほかの蜘蛛も避けるためにいったん離れる!)
孫「・・・!」
勇者(!? 撃たない!)
勇者「どうした!早く・・・」
孫「急いで大蜘蛛の上に登れ!!早く!!」
蜘蛛「ぐげ!」
ブチュ!
ザッ!
ビチャ!
ダダダダダダ!
勇者「な、なんでだ!?」
孫「あの子が大蜘蛛の上にいる!!」
勇者「・・・!迷子が!?」
孫「くそっ!お、おれの所為だ!しっかり見てなかったから・・・!」
勇者「どのあたりだ!」
孫「頭の後ろあたり!」
勇者(今の前薙ぎで足場にできそうな木が全部無くなってしまった!大蜘蛛の足を蹴って登るしか!)
大蜘蛛「ギヤアアアアアアアアアアアアアアアア!」
ゴオオオオ・・・
ズガアアン!!
勇者「よし!」
ズダン!
ダン!
大蜘蛛「グガアアアア・・・!」
勇者「―――っ!」
―――ヒュラン
ズバン!!
707 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:07:02.06 ID:4JeG5lWQo
大蜘蛛「ギギギャ!!」
ズダン!
ズダダダダダ!
大蜘蛛「ギシャアアアア!」
グオオオ・・・!
ガスン!!
勇者(頭の上に足が届くとは・・・!)
孫「あの子多分寝てる!さっきの前薙ぎの時の風に巻き込まれて落ちたんだと思う!」
勇者「地面から頭の上に乗るなんてどれだけふっとんだんだ!!骨折れるぞ!」
ズザン!
勇者(いた!)
孫「このこ有翼族だった!空が飛べるんだ!!」
勇者「・・・!なるほど!だからこそ蜘蛛がうようよいる中ここまで・・・!」
がば!
勇者「お前は2回も気づかなかったがなぜだ!?」
孫「全方位見れるわけじゃないんだ!円状に視界はあるけど球状にはない!」
勇者「なるほど!」
孫「どうするんだ!?ここからどうやって・・・!」
グオオオオ・・・!
ズガン!!
勇者(位置が把握しきれていないようだな。)
勇者「起きて!」
迷子「うう・・・。」
孫「・・・腕が折れてる。」
勇者「俺の声が聞こえるか!?聞こえるなら、テレパシーを送ってくれ!あっちに合図を送ってくれ!」
孫「な、なにいってるんだ!?」
勇者「2人同時に置いてきたんだろう!?あいつがこの子を放って置くはずがない!近くにいるはずだ!」
孫「・・・。」
勇者「早く!」
勇者(折れている位置は上腕骨。髄質が漏れて塞栓を起こしてしまう。早めに関節固定をして安全な所に・・・!)
孫「! 届いたみたいだ!木が倒れ始めてる!!」
勇者「ここから急いで降りる!そして今度こそ!!お前がこの子を安全な位置に送れ!!いいな!!」
孫「お、お前は!?」
勇者「足止めが必要だ!肩の関節とひじの関節を固定しろ!いいな!!」
勇者「俺の上着を切ってつかえ!いくぞ!」
ズダン!!
708 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:07:35.15 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
有翼族の村跡地 大樹の根本
蜘蛛「キイイ・・・」
青年「う・・・。」
妹「蜘蛛!」
蜘蛛「・・・キシャアアア」
青年「手負いだねぇ・・・。腹に矢が刺さってるよ。早く乗って」
妹「あ、あたし、降りたままで大丈夫!」
青年「横に振るのは無理だけど縦ならなんとかなるよ・・・。早く。」
青年「・・・ぐう・・・・・・。」
ドヒュウ!
蜘蛛「キシャアアアアア!」
ザザザザザ・・・!
妹「エエイヤアアア!!」
ブオオオ!
ガッ
蜘蛛「ギ!」
青年「っこけ・・・」
ドガン!!
青年「っっっ!!!」
妹「うっ!!」
ズガアアン!
蜘蛛「ぐギギ」
ザリザリザリ!
ズザザザザ!
妹「うっ。武器はなしちゃった・・・。」
青年「・・・」
妹「あ、おっおい!大丈夫!?」
青年「・・・ごめんちょっと無理・・・。君は・・・?」
妹「手擦りむいただけ!」
蜘蛛「キイイ・・・」
ガッガッ
むくっ
妹「ま、守らなきゃ・・・!」
青年「僕置いて逃げて・・・」
妹「絶対やだ!!」
妹「アタシが、相手だぁああああああああああ!!」
ザザザザザザ・・・!
蜘蛛「キイイ!!」
ザザ!
ブオンブオン!
妹「ヤアアア!!」
スカ!ズガン!
妹「力なら!!」
グオオオオオ!
ズゴオオオン!
蜘蛛「ぐごぼ」
ドサッドサッ
青年「・・・蜘蛛が吹き飛ぶのは初めてみたな・・・・・・。」
709 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:08:32.73 ID:4JeG5lWQo
妹「蜘蛛狩り!」
ガシ!!
蜘蛛狩り≪ブオオオオオオオオオオ!!!≫
蜘蛛狩り≪ガシャン!≫
妹「な、なに!?か、形が変わった!?」
蜘蛛「キイイイ・・・」
ガッガッ
グオオ・・・
妹「?? か、かるい!」
ブオオン!!ブオオン!!
蜘蛛「キシャアアアア!!」
ザザザザ!
妹「っ!」
ザン!
妹「イヤアア!!」
ビュオオオオオ!!
蜘蛛狩り≪ブオオォン!!≫
バチュン!
妹「う、うわ!な、なんだこれ!威力が・・・!」
青年「・・・合図、来たよ・・・・・・。」
妹「えっ!?」
青年「早くつっかえ取って・・・・・・。」
妹「わ、わかった!」
妹「ェィヤアアアアアアアアアアア!!」
ヒュドオオオオオ!!
大樹≪・・・・・・メキメキメキメキ≫
大樹≪メキメキメキメキメキメキメキ≫
青年「・・・。」
妹「お、おい!おい!気失っちゃった!は、運ばないと・・・!」
妹「片手で持てるくらいに軽い・・・?」
ザザザザ・・・!
妹「よ、よし!!早く倒す為にこっちも・・・うっ?」
フラッ・・・
妹「な、なんだろ・・・く、くらくら・・・」
妹「すーーー・・・・・・」
妹「はーーー・・・・・・」
妹「・・・エエエイヤアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
蜘蛛狩り≪ブオオォン!!≫
メギャン!!
スポン!
蜘蛛狩り≪ブオォォ・・・≫
蜘蛛狩り≪ガション≫
ズガァン!!
妹「・・・うぇ・・・・・・。蜘蛛狩り・・・血、吸うんだ・・・・・・。」
710 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:09:24.48 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
勇者「―――っ!」
――――――ヒュランヒュラン
ザシュザシュ!
大蜘蛛「グギィィィィ!!」
勇者「フッ!」
ズダ!
ビチャビチャ!
ブシュウウウ
勇者「クォっ!」
スカ
蜘蛛「グゲグゲ!」
ブチュ!
勇者「ハァ!」
ガシ!グオン!ズガァァ!
ビチャビチャ!
大蜘蛛「ギイイイイイイイイ!!」
ゴオオオオ!
勇者「フッ!」
ズダン!
ズガァン!!
勇者(糸吐き3毒吐き2突進1飛び掛かり2)
ブシュウウウウ
ブシュウウウウ
ブシュウウウウ
勇者「フッ」
スカスカスカ
蜘蛛「キィイイイイイ!!」
ザザザザ
蜘蛛「グゲ」
蜘蛛「グゲ」
ブチュブチュ
勇者(後ろから糸吐き)
ブシュウウウ!!
ズダン!
ベチャビチャビチャ
蜘蛛「ぎゅげ!」
勇者(これだけ数が多いと糸を放つとほかの蜘蛛にあたるな。毒は無効だが・・・)
蜘蛛「グゲァ!」
蜘蛛「ガチガチガチ!」
ダン!
ドサドサ!
蜘蛛「ガチガチガチ!」
蜘蛛「ガチガチガチガチ」
大蜘蛛「ぎ!?」
勇者(気付いた。蜘蛛が逃げ出し始めたな。俺を殺そうとするやつもまだいるか?)
勇者(大蜘蛛だけは逃がさん。触肢を攻撃し続けて・・・)
ヒュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――――
グチャグチャグチャグチャ――――――――――――――――――
勇者「!?」
ズガン!!
大蜘蛛「!!??」
ブチブチブチッ
大蜘蛛「グギイイイイイイイイイイ!?」
711 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:12:54.12 ID:4JeG5lWQo
ズダダダダダ・・・
勇者(・・・矢か!すごい威力だな、他の蜘蛛を殺しながらも足をちぎる寸前まで・・・!)
ヒュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――――
ヒュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――――
ズガンズガン!
大蜘蛛「グガガガガ!!!」
ブチブチブチ!ブチィ!
ズデェェ・・・ンン
ビチュ
ドス!
勇者「!?」
蜘蛛「クキャアアアア!!」
勇者(蜘蛛の卵!なるほど糸以上に早い・・・!)
勇者「―――っ!」
―――ヒュラン
ズバン!
蜘蛛「ギュイイ!」
ズダ!
ドス!
蜘蛛「ぐご」
勇者(主動脈を断った。これでこいつは時間がたてば死ぬ。)
大樹≪メキメキメキメキメキ・・・!!≫
大樹≪グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ≫
大蜘蛛「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
大樹≪ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ≫
大蜘蛛≪ブチブチブチブチブチブチ≫
大樹≪メキメキメキメキメキバキバキバキボキィ≫
大樹≪ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・ンン≫
大蜘蛛「・・・」
ワサワサワサ・・・
勇者「・・・っげほ!げほ!」
勇者(上手く行った・・・・・・。さて、他の蜘蛛が戻ってくる前に、俺も逃げなければ。矢が飛んできた方向の方が蜘蛛が少ないだろうな。)
勇者(大蜘蛛の陰に隠れて正解だったな。大樹が倒れてくる風圧も防げた。)
勇者(この蜘蛛はもう助からないだろう。千切れかけた足の出血量から考えて、こいつの体液は切れかけだ。)
勇者(もう木をどける体力も無いだろう。)
勇者「・・・」
勇者(急いで孫に会わなければ。)
ズダッ!
712 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:17:01.63 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
森の中
勇者「・・・」
勇者(なんだ・・・体がだるいな。風邪でも引いたかのような・・・・・・。)
孫「勇者!」
勇者「・・・一人か?」
孫「うん。多腕族が騒ぎを聞きつけて近くまで来てて・・・それで・・・」
勇者「すまん、その前に卵を取り出してくれないか?」
孫「! 撃たれたのか!?」
勇者「あぁ。腰のあたりだ。」
孫「・・・・・・すぐに横になれ。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
多腕族の村
青年「いたいいたいいたいいたいいたい!!!」
門番妻「大人しくすんの!!」
青年「むりむりむりしんじゃうー!!!」
門番「全くもうあぁあぁ腰がひどい状態だよ。いったい何したっていうんだい?」
青年「たっけてー!!」
勇者「・・・大丈夫か?」
青年「全然大丈夫じゃないよー!!痛くて死んじゃうよー!!」
門番妻「やぁひさしぶりだね誘拐犯さん。ほらあんたも横になりな。胸の調子見てあげるからさ!」
勇者「いや、俺は平気・・・」
門番妻「早くしな!」
勇者「・・・。」
青年「ううう・・・・・・」
門番妻「終わり!あとは長い事安静にしてれば治るよ。腰痛ってのは厄介だからねぇ。」
勇者「・・・あの子は?」
門番妻「妹ちゃんかい?それとも小っちゃい子かい?」
勇者「どちらも。」
門番妻「妹ちゃんは特に怪我無かったからね、今はお兄ちゃんと一緒にいるんじゃないかね。」
門番妻「ちっちゃい子は腕折れてたからね・・・。固定して妹ちゃんの部屋で寝てるよ。」
青年「え?あの子の腕が折れてる?なんでだい?」
門番妻「知らないよ。そこに横になってる誘拐犯にでも聞くんだね。」
青年「な、なんでなんだい?誘拐犯。」
勇者「・・・。・・・どうもあの子は俺が蜘蛛を足止めしてる間に近づいてきていたみたいでな。蜘蛛の攻撃の煽りを受けて墜落してしまったようだ。」
勇者(蜘蛛の上に落ちたのは運がよかったが・・・。)
青年「ま、またあの子は無茶をして・・・。僕は空から見張って合図してほしいって言っただけなのに・・・。」
勇者「かなり無鉄砲な性格をしているようだな。」
青年「でもよかった。落ちて腕が折れただけならさ。」
勇者「全くだ。首が折れていたかもしれん。」
713 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:17:28.96 ID:4JeG5lWQo
門番妻「はいはいお喋りは終わり。上脱いでもらうよ。」
青年「あれ?そういえば僕があげた上着どうしたんだい?」
勇者「あの子の治療に使うよう孫に渡した。」
ゴソゴソ
門番妻「あぁあぁ。前と同じ場所の骨が悪くなってるみたいだね。内出血してるよ。」
門番妻「肋骨は治療が難しくてねぇ。結局固定しとくしかないんだけどね・・・。」
門番妻「あんたはヒビだけだし固定しておく必要もないね。」
勇者「そうですか。ありがとうございます。」
ムク
門番妻「待ちな。どこ行く気だい?」
勇者「森に。」
門番妻「それは許すわけにはいかないね。安静にしてなきゃだめだよ。」
勇者「すぐ帰ってきますよ。」
門番妻「だめだよ。治療した人間としては許せないね。」
勇者「薬の材料を取ってきたいだけです。」
門番妻「言えば取ってきてあげるよ。」
勇者「見た事がない人には判別が難しい物もあります。」
門番妻「じゃーあたしもついて行こうかね。」
勇者「え?」
門番妻「薬の材料なんだろう?あたしも知って置いて損はないからね。」
勇者「・・・確かに問題はないですが・・・・・・。」
門番妻「多腕族の女なめるんじゃないよ。蜘蛛だって一ひねりさ。」
勇者(・・・孫も連れて行くか。)
714 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:18:22.82 ID:4JeG5lWQo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
多腕族の村 門
勇者「世話になった。」
青年「どーもー。」
孫「・・・。」
迷子「またね!おじいちゃん!」
妹「いってきまーす。」
準長「あぁ。また来い。ちゃんと帰ってこいよ。」
長老「おお。またのうお嬢ちゃん。」
青年「君は残らなくてもいいのかい?」
妹「蜘蛛狩り落としたままだからさ、拾ってこないと。」
勇者「君には戻ったら説教させてもらおうかな。」
迷子「うぅ・・・。ごめんなさい・・・。」
孫「・・・」
勇者「どうした?」
孫「・・・・・・」
715 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/06(火) 18:20:11.88 ID:4JeG5lWQo
風邪ひいた
ついでだから長い間書きダメしてみたけど俺には無理だとわかった。
716 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/06(火) 18:47:39.29 ID:fAYN635Vo
乙
お大事に
717 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/03/06(火) 18:54:06.17 ID:AAbgKHfLo
うおお乙
とても面白い
待つ位平気だから体調回復に専念してちょ
718 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/06(火) 19:41:45.84 ID:lAvxlkESO
おつー
読むのも結構大変だったwwゆっくり養生してくれい
719 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/06(火) 19:58:07.18 ID:sun/PX0so
大量投下おつん!!!
マジでワクテカが止まらない
養生して、暇したら書きまくっておくんろ
720 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/06(火) 20:39:28.43 ID:0pC4y2tDO
青年はもしかしてじょs
721 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2012/03/06(火) 21:12:55.19 ID:GX6CT+H3o
乙!
素晴らしいぞ。だが、体だけにはきをつけるんだ
722 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/06(火) 22:34:02.39 ID:G8BA0RFPo
乙!凄いボリューム感だったww
それと体安生しいや。
723 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/03/07(水) 00:00:22.67 ID:uGIm5BRDo
SS読んでこんなにワクワクしたの初めてだ
724 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/03/07(水) 00:10:53.23 ID:2xfjBRx2o
大量投下乙!
ところでふと思ったんだが妹の「臆病者!」の描写抜けてないか?
どうも見当たらない気がするんだが・・・
725 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
:2012/03/07(水) 00:47:57.72 ID:xr6mWyXko
長いのに中だるみしてないのはすごいと思う
726 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/07(水) 02:01:52.34 ID:6bF5W/Nwo
勇者「虫の特性として、俺たち人間などに比べれば増殖は体力の消費が少なくて済むという物がある。その分数を増やすことが出来るが、産まれたばかりの赤子はとても小さい。」
勇者「アイツが子供を産んでいる可能性は、そこまでありえない事ではないだろうな。」
勇者(しかしその経験が有るか無しかは大きすぎる問題だ。どれだけ理論で説得しようがそれは机上の空論。)
勇者(少なくともこのパーティが壊れるのは避けなければ。)
青年「・・・だからと言ってさ。挑まなければいけないというわけでもないでしょ?」
青年「あんなもの、放って置く以外に何が出来るというんだい?あいつを殺す方法なんて何もないでしょ。」
勇者「・・・。」
孫「そ、そうだ。確かにあいつがいるだけで俺たちの仲間の命は危険だけれど、立ち向かうなんてもっと危険だ。」
孫「蜘蛛にだって寿命はある。あんなにデカければあと少しで死ぬはずだ。それを待てば・・・。」
妹「・・・ふざけろよ。」
孫「!」
青年「・・・。」
妹「・・・他族なんてやっぱりこんな物か。臆病者め。」
ズザっ!ザッザッザッ・・・
勇者「・・・。」
勇者(・・・やはりこうなるか。)
青年「・・・いきなりどうしたんだい?あの子は。」
孫「・・・っ。」
勇者「・・・ふぅ。」
勇者「俺から話すべきではないのかも知れないが・・・・・・、お前たちがあの子を誤解するのも不憫だ。」
勇者「あの子は母親を蜘蛛に喰われている。」
青年「・・・。」
孫「えっ・・・?」
勇者「それも目の前で、という話だ。」
青年「・・・。」
孫「・・・・・・・。」
勇者「あの子は蜘蛛の脅威を目の前で感じ取った。あの子とお前たち二人の考えの違いはその経験の差によるものだ。」
勇者「お前達は両方いないんだったな。それに比べてあの子は片方だけだ。だが、どちらも悲しい思いをした事は変わらん。」
勇者「・・・少し、考えていてくれ。お前達二人が出した、その意見。一体どんな可能性を孕んでいるのか。」
スタ スタ スタ・・・
勇者「後で呼ぶ。」
孫「・・・。」
青年「・・・そんな事言われてもな。」
727 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/07(水) 02:02:43.07 ID:6bF5W/Nwo
>>641
と
>>642
の間抜けてましたすいませんえん
>>724
注意ありがとう
728 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/07(水) 02:05:22.61 ID:ZTL1KIJho
すっきり
補足乙
729 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/07(水) 12:26:51.10 ID:CbP+20mIO
凄く面白い
気になる点は、戦闘シーンの熱くなってきた時の擬音が脳内補完の限界で厳しい
730 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2012/03/08(木) 01:34:24.45 ID:sG+xsr910
最高に面白い これからも無理せず頑張ってください
731 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 15:51:58.98 ID:qTWGXSDKo
――――――――――――――――――――――――
祭壇
青年「さて・・・僕から聞きたい事が少しあるんだけどいいかな?」
勇者「何だ?」
青年「あ、君じゃなくてさ。迷子ちゃん。」
迷子「な、なに?」
青年「・・・君と一緒に住んでた人達って、まだいるのかな?」
迷子「・・・・・・。」
青年「僕もね、君と同じく有翼族の血を引いてるんだ。だから君と頭の中でお話しも出来る。」
青年「僕はずっとお父さんとお母さんを探してる。装足族の村にはいなかったからきっと有翼族と一緒に居るんだと思うんだ。」
青年「君が住んでいた場所ってどこだろう?」
迷子「・・・・・・おっきな蜘蛛がいた所。」
青年「大蜘蛛が居た場所?」
迷子「うん・・・。あたしとおかあさんがね、ごはん探して帰ってきたらね、おっきな穴があいててね。」
迷子「みんないなくてね。グス。、おかあさんがのぞいてたらね、くもがふってきてぇ・・・」
青年「そっかそっか。ありがとう、話してくれて。もう大丈夫だよ。」
青年「頑張ったね。」
頭≪ナデナデ≫
迷子「グス、グス。」
勇者(たまたま大蜘蛛の住処の上に居ついていた、という事なのだろうか。)
勇者(だとするならば、数年間はその場所に住んでいたはず。蜘蛛が出る周期は数年越しなのか?)
勇者(そう仮定するなら、あいつの起床と同時に蜘蛛が発生しだすと考えられる。確証はないが。)
ズガン!ズガン!ズガン!
勇者「・・・おかえり。見つかったか。」
妹「ただいま。・・・・・・ちょっといいか?」
孫「・・・。」
勇者「・・・?なんだ?」
妹「こっちきて。」
732 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 15:52:55.82 ID:qTWGXSDKo
――――――――――――――――――――――――
祭壇裏手
勇者「なんだ?」
妹「こいつ、からさ。お前に話があるらしい。」
孫「う、うん・・・・・・お前の、体の中の卵の話なんだけど・・・・・・。」
勇者「・・・。」
孫「・・・く、蜘蛛の卵って縦の衝撃には強くできてるんだけど、横の衝撃には結構簡単に割れるんだ。」
勇者「・・・。」
勇者(嫌な予感しかしないな。あの時も一針刺しただけで終わった。)
孫「卵の中には子蜘蛛が居て、撃たれてから時間が立つと出てくるんだ。」
勇者(蜘蛛の卵の特徴・・・確か内臓を食われ、脳が溶ける、という話。)
孫「そ、それで・・・。蜘蛛は生まれてから、内臓に消化液を掛けて・・・」
勇者「孫。」
孫「!」
勇者「もしそうならば、俺は今すぐ行動を開始しなければいけない。まだ死ぬと決まったわけじゃないからな。」
孫「う・・・。」
勇者「お前が言葉を濁すのもわかる。だが俺には時間がない。」
勇者「早く言ってくれ。」
孫「・・・。お、お前の・・・・・・。」
孫「・・・お前の卵は既に割れてた。」
勇者「・・・。」
勇者(っ!)
妹「・・・。」
勇者「俺はいつ死ぬ?」
孫「し、死ぬこと事態は3日後くらいだ。で、でも・・・。」
妹「狂うのは、明日か明後日、になると思う。」
勇者「そうか。」
勇者(解毒の方法は3つ。血清を打つ。毒を中和する薬剤を使う。解毒魔法を使う。)
孫「お、お前今体がだるいだろ?毒の影響なんだそれ。そのうち、頭がぼーっとしてきて・・・視界が鈍くなって・・・」
勇者(血清と解毒剤は恐らくこの島には存在しないだろう。今から用意したとしても俺が死ぬ方が早い。)
孫「・・・・・・呂律が回らなくなって・・・暴れだして・・・・・・」
勇者(一番可能性があるのは・・・解毒魔法か。解毒魔法は回復魔法と違い自分に魔力がなくとも使用できる。)
孫「・・・・・・・・・・・・心臓が止まって、死ぬ。」
勇者(問題はこの島には魔力を持つ人間が居ない。俺には今魔力がない。)
孫「ごめん。黙ってて。」
勇者「それだけこの島では致死率が高い状態なんだろう。仕方がない。だが俺は大人しく待つ気にはならない。」
勇者(解決方法は、魔力を持つ人間を見つけるか、魔力のない理由を探り改善するか、もしくはこの島を出るか。)
勇者「俺はこれからお前の爺さんに会いに行く。この事実を、あそこにいる2人も伝えてくれ。」
ズダッ!
733 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 16:11:39.59 ID:qTWGXSDKo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
心眼族の村 〜角付きの家〜
勇者「失礼します。」
老人「おや、どうなされましたお客人。」
勇者「蜘蛛の卵の毒の解毒方法をお聞きしたい。」
老人「・・・卵の解毒方法、ですか。残念ながら存じません。」
勇者「では治った、という事例などはありませんか?」
老人「この村が始まって以来無いですね。記録も残っておりませぬ。」
勇者「・・・・・・。」
老人「いきなりどうなされました。」
勇者「失礼。今、私が卵の毒に侵されていまして。」
老人「な、なんと・・・。それは・・・・・・。」
勇者「失礼ながらご老人。今一度聞きます。」
勇者「外に出る方法を本当にご存じありませんか。もしくはそれに繋がるような事をご存じありませんか。」
老人「・・・・・・。」
勇者「私のこの状況は外に出れば解決できます。お孫さんに聞いた限り、私が私でなくなるのは早くて明日だそうです。」
勇者「今から急いで外に出ればもしかしたら間に合うかもしれません。」
勇者「知っていませんか。神に会う方法を。」
老人「っ!・・・なんのことやら。」
勇者(この人には不自然な言動が多い。何かを俺に隠している。)
老人「・・・最初に言った通りですな。この島を出ていく方法は我らは存じませぬ。」
老人「神という存在も、伝承で残っている話であり、存在したとして私たちと同じ世界には居ない、という話です。」
老人「神にすがるお気持ちはわかりますが、神に出来るのは祈りを捧げるだけとなります。」
勇者「・・・港は、この島にはないんでしたね。」
老人「それも最初に言いました。ありませぬ。」
勇者「なぜあなたは港という存在を知っている。」
老人「っ!」
勇者「失礼。語尾が荒くなりました。しかし私には時間はありません。」
勇者「貴方が何を隠しているかは私は知りません。しかし何かを隠しているのは知っています。」
勇者「情報は、差し出してもらえないのなら、奪っていきます。答えていただきましょう。」
勇者「あなたはなぜ港を知っているのですか?」
734 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 16:29:48.76 ID:qTWGXSDKo
老人「・・・・・・。」
勇者「・・・・・・。」
老人「・・・確かに私は隠し事をしています。しかしそれは島から出ていく方法ではございませぬ。」
老人「知った所で、あなたにとっては無意味な事かと・・・」
勇者「それを決めるのは私です。是非教えていただきましょう。」
老人「残念ながら教えられませぬ。」
勇者「先ほど言いました。奪っていくと。私には、時間がないのです。」
勇者「喋っていただきましょう。」
シュカン!
老人「・・・なるほど、追い詰められているのですな。ちなみに、私の孫はどちらに?」
勇者「今は祭壇付近に居るかと。」
老人「・・・・・・こちらへ。」
勇者「・・・。」
老人「貴方には感謝していますよ。危害を加えるつもりは今のところありません。」
老人「地下へ降りるだけですよ。着いてきてください。」
――――――――――――――――――――――――
大樹のうろ〜蔵書室へ続く階段〜
カツ・・・カツ・・・
老人「ここを階段にそって曲がると、前に案内した蔵書室となります。」
老人「しかしここの壁はですね・・・」
ガコン!
老人「この様に扉となっています。」
勇者「・・・。」
勇者(全く気付かなかった。蔵書室に気を取られて隠し扉には気付きにくい。)
老人「これはあやつには話さないでいただけますかな。まだその時ではないのです。」
勇者「約束しましょう。」
老人「・・・・・・では行きましょう。扉を閉めていただけますか?万が一にも村の者に見られてはいけないのでね。」
勇者「・・・。」
バタン!
735 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 16:57:55.14 ID:qTWGXSDKo
――――――――――――――――――――――――
隠し扉の先
勇者「・・・。」
勇者(すごい本の量だ。こっちが本当の蔵書室か)
老人「さて・・・。なぜ港を知っているか、でしたな。」
老人「答えは簡単な事です。本に書いてあるのですよ。」
勇者「本に・・・。つまり、外の事を記した本があるという事ですか?」
老人「そういう事になりますな。」
勇者「・・・。」
勇者(外の情報が記されているというのならば、何らかの手段で情報が海を渡ってきたという事だ。繋がる可能性はある。)
老人「しかしてその本は、外からやってきたというわけではないのですよ。」
勇者「・・・。」
老人「・・・あなたの文字を書く道具がないかという質問に、私はありませんと答えました。」
老人「しかしそれは嘘です。文字を書く道具は・・・」
老人「ごらんの様にここにあります。」
勇者(羽ペンに、インク、紙。)
老人「・・・・・・私たち心眼族は、稀に天啓を得ます。」
勇者「天啓・・・。」
老人「文字が、頭の中に浮かぶのですよ。その浮かぶ情報は、大概は外の事なのです。」
老人「それを、書き記すのが私の仕事となります。」
勇者「・・・その天啓、とは、何から送られてきた物なのでしょうか。」
老人「分かりません。神か、妄想か、はたまた元々知っているのか。」
老人「昔からそうです。この本の量を見てもらえれば分かるでしょう。昔から、本を書いていたのですよ。」
勇者「・・・。」
老人「私がなぜ、外を知っているのか。ご理解頂けましたか?」
勇者「・・・・・・。」
勇者(なぜ、これを隠していたんだ?)
勇者「・・・なぜ隠したのですか?」
老人「ここには、大量の外の情報が記されています。それは、若者の気持ちを煽るのに十分すぎる物です。」
老人「村の者に知らせれば、少なからず外を目指した者が出るでしょう。村の人が減るのは望むべきでない事です。」
老人「貴方に教えなかったのは、どこの誰ともわからない怪しい人物には秘密が漏れる可能性が有るために教えない。それだけの事です。」
勇者「なのに何故、あなたは本を作るのですか?」
老人「・・・何故、でしょうな。本を書くこと、それ自体に意味を求めた日はありません。」
老人「先人から受け継がれ続けてきた義務。外の情報を記す仕事。書く理由は、そんなところでしょうか。」
736 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 17:37:27.31 ID:qTWGXSDKo
勇者「・・・。」
勇者(・・・まいった。ここが最後だったんだが・・・。)
老人「貴方に話したのは、私の孫の成長のきっかけになってくれた事への感謝、それと貴方を信じたからでもあります。」
老人「あの大蜘蛛に挑むなど・・・ありえん事です。」
勇者「・・・あなたは知っていたのですか?あの蜘蛛が居る事を。」
老人「えぇ。あの大蜘蛛は、先人が記した歴史書にも書いてあります。しかし信じていたわけではなかった。」
老人「孫から聞かされて、初めて実在を知った。そういう事になります。」
勇者「なぜそのまま行かせたのですか?」
老人「神が用意した試練だと思いました。他族と協力して大きな障害に挑むなど、もうずっとやっていない事でした。」
老人「私が過去を知っていたのは、この部屋の歴史書のおかげ。お分かりになりましたか?」
勇者「・・・。」
老人「・・・・・・今ならば、この部屋の知識を用いての返答を用意しましょう。聞きたい事などありましたらご質問を。」
勇者「・・・・・・この毒を治す方法はありますか?」
老人「毒の話ではありませんが・・・・・・歴史書の中でもかなり古い物に、病気を治したという話はあります。」
老人「生贄に捧げられる予定だった槍族の勇者は、不治の病であり、死に瀕していたが、救いが与えられた。」
老人「生贄に選ばれたのならば、もしかしたら治るかもしれません。」
勇者「・・・。」
老人「生贄を選ぶのは、神だという話です。天啓をくだされ祝福が与えられるのだと。」
勇者「・・・・・・では、この島を出る方法、または出たという話は・・・。」
老人「存じません。出たという話も、記されていません。失敗談ならば、多量にありますが・・・。」
勇者「では・・・神に会う方法は?」
老人「それも存じません。神は、私たちが死んでから行く場所にいるのだと聞きます。」
老人「なれば、死ぬしか方法は無いと、そうなります。」
勇者「・・・この島の地図は、ありませんか。」
老人「古い物ですが・・・。」
本棚≪ガサガサ≫
老人「この木の中にあって痛みも激しい。長い長い時を超えてきたのでしょうね。」
勇者「・・・。」
勇者(・・・・・・島の中心に祭壇。ぐるりと囲むように、9つの族の名前・・・。)
勇者(俺の記憶の中の地図とも位置がほぼ会っている。信憑性はある。)
老人「もう、氏族に一つは有る大樹もその地図の位置にはありません。子孫なら生えているかもしれませんが・・・。」
勇者「・・・・・・。」
老人「調子が悪そうですな。」
勇者「えぇ・・・体が、少々だるく・・・。」
老人「毒の影響ですね。そう、その毒ですが、治す事は出来ませんが効果を遅らせる事は出来ます。」
勇者「っ、本当ですか?」
老人「えぇ。薬なのですが、材料を集めるのに手間取りますので・・・今日の夜までに作っておきましょう。」
勇者「ありがとうございます。」
老人「いえいえ。また聞きたい事が出来たのならば聞いてください。」
737 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/03/08(木) 17:48:12.40 ID:EnSmj+too
wktk
738 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 18:53:03.87 ID:qTWGXSDKo
――――――――――――――――――――――――
祭壇
勇者「・・・ふぅ。」
迷子「あっ!葉っぱさん!!」
ブワッ
ガバ!
勇者「ガハ」
迷子「死んじゃうの!?葉っぱさん死んじゃうの!?」
迷子「やだ!やだよう!居なくならないでよお!」
迷子「うぇ〜・・・!」
勇者「・・・死なないよ。大丈夫。」
迷子「ほ、本当?ほんとに?」
勇者「うん、本当だ。」
迷子「ぐすっぐすっ。」
孫「・・・。」
青年「・・・おかえり葉っぱ。」
妹「おかえり。」
勇者「ただいま。少しいいか孫。」
孫「・・・・・・なんだ?」
勇者「前一度聞いたが・・・地下に行く方法を知らないか?」
孫「な、なんでだ?前聞かれた時も思ったけど・・・なにか関係があるのか?」
勇者「いや・・・少し、神と言われる存在に心当たりが会ってな。」
勇者「生贄を要求していることなどから高い知性を持っている存在だと仮定した上での質問だ。」
勇者「隠れるならば、地下が一番いい。」
孫「地下には・・・この祭壇から行けるって話だ。」
勇者「ここから?」
孫「この前こいつが言ってた生贄を送る方法をやった後・・・地下への階段が現れるって聞いた。」
孫「蝋燭じゃなくて俺たちはランプで、朝まで待つって違いはあるけど・・・。」
青年「心眼族はそこまで知っているんだね。僕は前言った事までしか知らないよ。」
妹「あたしは儀式の事さえ知らなかったな。」
勇者「・・・ふむ。」
勇者(・・・体がだるい。思考がまとまらん・・・・・・。)
妹「そ、それでさ。あたし達自分の村回って何か方法が無いか聞いてきたんだ。こいつの村には行ってないけど。」
孫「お前が行くって言ってたから意味ないかなって思って。」
勇者「そうなのか。何か方法はあったか?」
青年「気休めなら何個かあったよ。」
勇者「聞いておこう。」
妹「えっと取りあえずこれ。」
蛇「シャー!」
勇者「・・・蛇か。」
妹「これ食べると元気が出るからって・・・。」
勇者(蛇の生血などは精がつくというな。しかし寄生虫の問題もある。火は通した方が無難だが・・・。)
妹「おばさんが生では食うなって言ってたから食べ方はお前に任せるよ。」
青年「僕はこれだね。」
勇者「・・・土、か?」
青年「解毒作用があるんだってさ。本当かどうか怪しいけど。」
勇者(・・・子供の頃にそんな本を読んだことがあるな。どこかの森では動物達が解毒の為に泥を定期的に食べるとか・・・)
739 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 19:21:09.27 ID:qTWGXSDKo
青年「あと、これ。呪術師がつける腕輪。」
勇者「木で編んであるのか。」
青年「燃えない木と蜘蛛の糸と蛇の皮でできてるんだってさ。神の祝福があるとかなんとか。」
青年「これあげるよ。」
勇者「あぁ、ありがとう。」
迷子「私何もない・・・。」
勇者「別にいいさ。気持ちだけでもありがたい。」
迷子「うん。早く元気になってね。」
勇者「あぁ。」
勇者(次は何をしなければいけないか考えなくては・・・・・・。)
勇者「・・・・・・ふぅ。」
孫「お前・・・これからどうするんだ?」
勇者「・・・それを考えている。」
勇者(魔法が一番現実的だ。外に出るよりいくらかは、程度の話だが・・・。)
青年「打つ手なし、かい?」
勇者「まだ・・・一つあるが・・・・・・。」
妹「なに?」
勇者「蜘蛛から魔力を奪う。」
迷子「まりょく?」
勇者「説明は省くがあいつらには魔力臓器が有った。ならば恐らく魔力が存在している。」
勇者「その魔力を奪い使用すれば俺の毒も消すことが可能だ。」
青年「・・・。」
妹「・・・。」
勇者「・・・頭はまだおかしくなってないぞ。外の世界には普通に存在する物だ。」
勇者(・・・そうだ。外の世界にとって魔法は当たり前。外を知るあの爺さんならば魔法を知っていておかしくない。)
勇者(魔法が使える人間が居ないか聞いてみよう。)
青年「そのまりょくって奴は僕たちには無いのかい?」
勇者「どうだろうな。魔力臓器が有ったとしても魔力があるとは限らない。」
勇者(魔力無人間がいる。彼らにも魔力臓器が有るが魔力は出ていない。)
青年「あるかないか分からないなら使おうとしてみたらどうだい?もしかしたらあるかも。」
青年「あ、それともそのまりょくって奴は奪われると僕たち困るのかな?」
勇者「いや・・・魔力を奪うと言っても根源から奪うわけじゃなく、遊離魔素と言われる物を流用するだけだから問題はない。」
青年「ゆーりまそだがなんだか知らないけど問題ないなら試してくれていいよ。」
勇者「ふむ。じゃぁ俺の手が届く範囲に近づいてくれ。」
ガシッ
勇者「解毒魔法詠唱開始」
勇者「・・・・・・。」
740 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 19:54:18.29 ID:qTWGXSDKo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「・・・ダメだな。使えん。」
妹「何かさ、条件みたいのないのか?」
孫「・・・。」
勇者「そうだな。本来なら自分の魔力も少量利用して魔素誘導を行ってから他者の遊離魔素を流用するんだが・・・。」
勇者「今の俺には魔力が無い。だから魔素誘導が出来ない。しかし俺の魂源属性と奪う相手の魂源属性が一致していれば魔素誘導を行わずとも流用する事が可能で・・・。」
迷子「???」
青年「何言ってるか分からない。要点話して。」
勇者「・・・俺と相手の相性が重要なんだ。だが俺は自分の相性が分からないし、相手との相性を確かめる術もない。」
勇者「つまりやってみるまで分からない。」
孫「それは・・・蜘蛛に対してもそうなのか?」
勇者「あぁ。そうなる。しかし・・・もしかしたら蜘蛛とは何回やっても相性が悪い可能性がある。」
勇者(魔物は魂源属性が全て一緒である事が多々ある。もしくは魔物特異の属性を持っている可能性。どちらにせよ魔物とは人間より合わない可能性が高い。)
勇者「・・・説明は省こう。」
孫「だとしたら・・・蜘蛛相手に試すのはやめておけ。卵の毒は蜘蛛の毒の中ではまだ遅行性だ。口から吐く毒は死ぬまで早いぞ。」
勇者「そうだな、最後の手段か。」
勇者「・・・・・・ふぅ。」
勇者(・・・とりあえず、聞きに行くか。糸がか細いな・・・。)
勇者「・・・俺は、また心眼族の村に行ってくる。お前たちは・・・自分たちの村に戻っていいぞ。」
青年「やーだよ。」
妹「放って置けるわけないじゃん。」
勇者「・・・そうか。じゃぁ、この子の世話を頼む。」
迷子「?」
青年「わかったよ。いってらっしゃい。」
迷子「や、やだー!いっしょにいるのー!」
妹「暴れないの!腕が悪くなるでしょ!」
迷子「やぁだー!一緒に行くー!!」
孫「・・・どうするんだ?」
勇者「・・・今の俺は調子が上がらん。守れる自信がない。一人なら大丈夫だ。」
孫「・・・そうか。」
勇者「すぐ戻ってくるよ。じゃぁ、行ってくる。」
迷子「待って!まってよぉー!!」
741 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/03/08(木) 20:41:06.23 ID:M6xPZcozo
乙?
742 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 20:46:04.41 ID:qTWGXSDKo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
心眼族〜角付きの家〜 夕暮れ
老人「おや、おかえりなさい。」
勇者「どうも。質問が出来たので聞きに来ました。」
老人「ふむ。・・・人も近くに居ない様子。聞きましょう。」
勇者「魔法、という物をご存じですか?」
老人「・・・えぇ知っています。初めて会った時にはとぼけましたが・・・。」
勇者「使える人物の心当たりは有りませんか?」
老人「有りません。過去にも使えた人達は居らぬはずです。」
勇者「・・・そう、ですか。」
老人「しかして私たちは魔力という物がない代わりに外の人たちにはない能力がありますな。」
老人「私たちにはなく、外の人たちにはある。外の人たちにはなく、私たちにはある。この二つの違いは大変興味深いです。」
勇者「・・・。」
老人「・・・さて、薬、ですがそろそろ出来ますよ。あと半刻程度。どうせならゆっくりしていって下さい。」
勇者「しかし・・・」
老人「次やる事が決まっているのならば急ぐのも良いでしょう。しかし決まってなく、悩んでいるのならば。」
老人「腰を落ち着けて考えるのも重要でしょう。」
勇者「・・・。」
老人「そう、伝え忘れておりました。今作っている薬は副作用がありまして・・・」
老人「大変眠くなります。飲んでから半刻程度で強烈な眠気が襲ってくるはずです。そのおつもりで。」
勇者「・・・了解しました。」
老人「どうぞ。茶です。」
勇者「・・・頂きます。」
勇者「・・・・・・・・・・・・。」
勇者(確かに少々焦り気味だったか。落ち着いて、今の状況を整理しよう。)
勇者(蜘蛛の卵の毒。効果は、聞いた感じ神経性だ。脳神経に主に影響を及ぼす。神経毒に比べればかなり進行が緩やか。)
勇者(解毒方法は、主に3つ。血清 解毒薬 解毒魔法)
勇者(血清はどうしても注射の類が必要になる。解毒薬も、存在しない。解毒魔法は魔力が必要。)
勇者(・・・本当に3つだろうか。他に方法は・・・・・・そういえば免疫機能の強化でも対応できる。)
勇者(精を付けるだとか、自分で抗体を作るだとかか。運任せになるな。)
勇者(・・・・・・血清は時間を考えると現実的ではない。解毒薬は今から探す時間は無い。解毒魔法は魔力さえあればできるが、そもそも俺に魔力が有ったのか疑問。)
勇者(解毒魔法は他人に使ってもらう事も可能だ。しかしこの島には魔力を持つ人はいない。島を出る必要がある。)
勇者(・・・結局やる事は変わっていない。外に出る方法を探す。それが一番重要か。)
勇者(だがどうするか。手掛かりは今のところ0だ。頼みの綱であったこの爺さんも知らない。)
勇者(なにか無いか・・・。)
743 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/08(木) 20:48:25.21 ID:qTWGXSDKo
あ、すいません人がいるとか思ってなかったので勝手にご飯食べたりしてましたすいません。
相変わらずの遅筆なんで気が向いたら読んでくださいすいません。
744 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/08(木) 20:54:57.49 ID:cMTi2RYFo
乙ー
745 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/08(木) 21:11:12.32 ID:fbZlXdp0o
張り付いてるぜ!
投下ゆっくりだから邪魔しないために支援我慢していた
746 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2012/03/08(木) 21:17:59.10 ID:0DB60tUGo
ご飯はゆっくり食べてくれ。
こっちは読めるだけでありがたい
747 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2012/03/09(金) 01:30:11.96 ID:LgSseGK3o
いいぞぉ頑張ってくれ!
748 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/09(金) 07:03:51.99 ID:CXkUjv6IO
気が向いたらでは無く、投下あったらすぐ読んでますが何か?
749 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/09(金) 21:45:38.95 ID:TKp66h4Do
商人「やぁ」
750 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/10(土) 12:02:59.89 ID:tRd/M4iDO
おつ!
751 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/03/11(日) 01:42:11.92 ID:sT69xjAS0
投下されるたびに楽しみにして読んでます。乙!
752 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/11(日) 16:54:28.54 ID:94jD6IC2o
面白すぎて
753 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
:2012/03/11(日) 17:02:22.84 ID:WQ8mENK30
今日知って一気に読んだ
続き楽しみにしてます
754 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:08:51.78 ID:sOJmdqDBo
勇者「・・・。」
ズズ・・・
勇者(苦い・・・。)
勇者(・・・・・・この島から脱出するにはどうするべきか。)
勇者(この島は常に風のみの嵐に囲まれている。風の強さは通常の比ではなく、船での横断は不可。)
勇者(その昔高名な魔術師が空を飛んで侵入を試みようとしたが帰らなかった。有翼族もこの島から出る事は出来ていない。)
勇者(装足族は水の上にも立てるという話だが、あの爺さんが装足族にも越えられぬと言っていた。装足族も無理。)
勇者(この2つは風が自然的な現象ではなく人為的な仕組まれたものだという可能性を示唆している。)
勇者(この島には間違いなく何かが居る。恐らく・・・エレメンタルが。)
勇者(魔法の話・・・何かを閉じ込めている。閉じ込めているものが行っている可能性。)
勇者(恥の本と生贄を要求している事から高い知能を持っている事が推測できる。)
勇者(また、風を起こし続けている事から高い魔力を持っている事が推測できる。そして寿命が極端に長い。)
勇者(高い知能、長い寿命、大量の魔力。そして神との関連性。これらの特徴からエレメンタルが一番しっくりくる。)
勇者(・・・エレメンタルは謎が多い。色はさまざまだが発光していて、球体である。魔力の塊だと言われている。)
勇者(急に現れたり、かと思えばいきなり消えたり・・・。この島のどこにいるかは断定できないな。)
勇者(長い間隠れているのだから地下が一番都合がいいと思うのだが・・・。・・・地下、か。)
勇者(孫の話では祭壇に地下へ通じる階段が有るらしい。しかし根っこや蔦が巻き付いていて良く分からん。)
勇者(あれを取り除くのは骨が折れるだろうな・・・。妹に頼もう。)
勇者(地下・・・地下・・・。)
勇者(そういえば大蜘蛛の巣穴も地下か。あいつが番人であった可能性。知能も会話をする程度にはあったようだから、あり得るか。)
勇者(・・・とりあえずの予定は決まった。祭壇の調査はあいつらに任せて、俺は蜘蛛の巣穴の調査。)
勇者「ふぅ・・・。」
勇者(倦怠感がどんどん強くなっていく・・・。この状態で蜘蛛が大量に居るかもしれない巣穴の調査か。)
勇者(あの大蜘蛛が通れるくらいの巣穴なら広く動き回れるんだが・・・。もし小さい方の蜘蛛サイズであるなら狭い場所での戦闘になる。)
勇者「・・・・・・。」
勇者(大きな盾があれば、防ぐ事は可能か。毒液は少々粘性があるから、細かい飛沫にはならない。)
勇者(しかし狭い場所で盾は・・・毒液に合わせて飛び込めば避ける事は可能だ。しかし接敵してからの攻撃力の無さが問題になる。)
勇者「・・・・・・。」
勇者(そうだ、弓を持っていけば通路が曲がっていない限り対応できる。長弓・・・は狭い場所では無理か。しかし短弓では威力が・・・。)
755 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:09:32.44 ID:sOJmdqDBo
――――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇〜夜〜
ザッ
勇者「戻った。」
迷子「おかえりなさい!」
妹「おかえり。」
青年「おかえり〜。どうだった?」
孫「・・・。」
勇者「薬をもらってきた。症状を遅らせるだけだそうだが、自我の崩壊は1日から2日程度伸びるそうだ。」
勇者「代わりに強烈な眠気がでるらしい。飲んでから30分程度で寝てしまうそうだ。」
青年「これから飲むのかい?」
勇者「あぁ。出来るだけ早めに飲めと言われている。その前にお願いがあるんだが・・・。」
妹「なに?」
勇者「あの祭壇を調べてほしい。」
孫「・・・祭壇を?」
迷子「? なんで?」
勇者「孫が階段が出てくると言っていただろう?俺の考えでは何かがいるとしたら地下であると思う。理由は長い間隠れているから。」
勇者「生贄を何に使っているか分からないが、ただの自己満足でないのならば回収する必要がある。」
勇者「だから何かいるならここが一番怪しいはずだ。」
青年「・・・そだね。君が怪しいって思うならそうなのかもね。」
妹「それでどうすればいいの?」
勇者「まずは祭壇に巻き付いている蔦や木の根っこを取りのぞいてくれ。取り除いたら階段の様な物が無いか調べてくれ。」
勇者「頼んだ。」
青年「わかったよ。それじゃ君はさっさと薬飲んで寝てて。」
妹「けっこう根っこ太いな・・・蜘蛛鉈使お。」
迷子「アタシも手伝う!」
孫「危ないから下がってて。」
勇者「眠くなるまでは手伝う。」
青年「病人同士安静にしてよ。事故ってもらっても困るしね。」
勇者「・・・。」
青年「早く飲みなよ。」
勇者「・・・っ」
ゴクゴクゴク・・・
勇者「ぐはっ・・・。」
勇者(ま、まずい・・・。)
青年「膝枕でもしてあげようか?」
勇者「へ、平気だ。・・・やはり少しの間手伝おう。」
青年「・・・全く君は。微塵も死ぬ気配が無いね。」
勇者「そうか?」
青年「君見てると僕がアホらしく思えてくるよ。」
勇者「諦めるのが早いのなら、そうかもな。」
青年「どぉーしようも無い事なんだけどなー普通は。」
勇者「ぅっぷ。・・・この薬は腹に入った後も違和感があるな。早くやろう。俺には時間が無い。」
青年「はいはい。・・・全く落ち込……」ボソボソ
勇者「どうした?」
青年「何でも無いよ。手伝うなら手伝ってきなよ。」
756 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:10:07.56 ID:sOJmdqDBo
――――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇〜朝〜
勇者「・・・。」
パチ
勇者(・・・・・・む。”早く元気になってね”・・・?・・・ひと達か。メッセージを残す事も出来るんだな。)
グゥ〜〜・・・グゥ〜〜
勇者「・・・・・・?」
勇者(イビキ?昨日は誰もしていなかった・・・っ。)
勇者「まさか・・・!」
ガバッ
迷子「ぐぅぅぅ・・・。ぐぅぅぅ・・・。」
勇者「っ!」
勇者(イビキ・・・!喉が狭くなっている証!お、恐らく・・・破傷風!)
勇者(は、破傷風が喉から影響を出すとは・・・!い、いやもしかしたら昨日の時点で身体に異常が出ていたのか!?)
勇者(空を飛べるから、足のもつれなどに気付けなかった!?い、いや考える前に確認をしなければ!)
勇者「起きて!」
ユサユサ
迷子「ググ・・・。あ、あえ?はっは・・・?あえ?」
迷子「あ、あー・・・?あえ?」
勇者「舌が上手く動かないか!?て、手はどうだ!?開けるか!?」
迷子「え?う・・・?」
勇者(つっぱっている・・・!足もだ!・・・間違いなく、破傷風だ・・・!)
勇者(は、破傷風は治療可能だ・・・!しかしそれには解毒魔法を定期的に行う前提が必要!)
勇者(ここには魔力がない!どうしようも・・・!いや!ここにしかない薬が有るかもしれない!同じ事だ!俺が治るならこの子も治る!)
勇者(破傷風は治療が遅れ後遺症が出るという話をよく聞く・・・!今から出来る限り急がなくては・・・!)
迷子「な、なんへ?う、うごかない・・・っ。なんへ?」
勇者「・・・っ!い、今から俺がいう事を聞いてくれ。」
迷子「???」
勇者「君は病気にかかった。破傷風という病気だ。」
迷子「?」
勇者「この病気は・・・君の体に勝手に力が入ってしまう病気だ。今はまだ・・・手と足、喉、舌に症状が治まっているが・・・。」
勇者「そのうち腕、足、体、首など全身に影響が出てしまうだろう。」
迷子「・・・。」
勇者「だが、安心してくれ。俺が何とかしよう。そのうち体を動かせなくなるかもしれないが、俺がなんとかする。」
勇者「心配しなくても大丈夫だ。」
迷子「・・・・・・ヒック。ヒック・・・う、うえぇぇ〜〜」
迷子「うええぇぇ〜〜!!」
757 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:10:41.60 ID:sOJmdqDBo
青年「ど、どうしたんだい?」
妹「なんで泣いてるの?何かした?」
孫「・・・。」
迷子「うええぇぇ〜〜・・・。」
勇者「・・・破傷風にかかった。」
青年「っ!」
妹「?」
孫「っ。」
妹「・・・破傷風ってなに?」
青年「・・・・・・何でもないよ。すぐ治る病気さ。」
孫「えっ?・・・あ、あぁ。そうだ。すぐ・・・治る。」
妹「あ、そうなんだ。じゃぁなんで泣いてるの?」
青年「この病気はね、体に勝手に力が入ってしまう病気なんだ。この子の足を見てみるといい。つっぱってるだろう?」
青年「まだまだ軽い方だけど、重いと骨が折れるくらいに力が入ってしまうんだ。きっと痛いんだろうね。」
勇者「・・・俺は、もう一度爺さんに会いに行く。薬が有るかもしれない。」
勇者「不安だろうから、慰めていてあげてくれ。」
孫「・・・わかった。」
青年「あっ、ちょっといい?」
勇者「なんだ?」
青年「すぐ終わる。こっち来て。」
――――――――――――――――――――――――
青年「・・・・・・あの子は治るのかい?」
勇者「俺が魔力を使えるようになれば、治る。」
勇者(正確に言うならば一時的に症状が消える。定期的な解毒魔法が必要となる。)
青年「本当かい?あの病気は、ここじゃぁ絶対に死ぬ病気なんだよ!?」
青年「蜘蛛の毒の方がまだましさ・・・!あの病気は・・・!」
勇者「そうだ、死ぬまで苦しむ病気だ。影響が出るのは筋肉だけで、意識が朦朧とするわけでもない。眠くなるわけでもない。」
勇者「体に負荷がかかり続け、筋肉に力が入りすぎ骨を折ってしまう。背もそってしまい、背骨が折れてしまう。」
勇者「その症状以前に、あの子は喉への症状が通常より早めに出ている。窒息死の方が早いかもしれない。」
勇者「窒息し始めたら、俺が魔力を使えるようになったとしても遅い可能性がある。そこまで症状が進むと後遺症が出る可能性が・・・」
青年「もういい!!」
青年「それ以上言わないでおくれ・・・。」
勇者「・・・。」
青年「あれは悪魔の所業だよ・・・。意識がはっきりしたまま死ぬまで苦しみ続ける・・・!」
青年「なんであんな・・・あの子が・・・!」
勇者「・・・一つ約束しよう。」
青年「え?」
勇者「あの子は俺が治す。」
青年「・・・。」
勇者「お前はあの子を安心させてやってくれ。」
青年「・・・・・・。」
勇者「約束だ。」
青年「・・・・・・・・・・・・わかったよ。でも、君もだよ。絶対治しておくれよ。」
青年「約束、だからね。」
勇者「あぁ。」
758 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:11:10.40 ID:sOJmdqDBo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
心眼族 角付きの家
老人「破傷風の薬・・・ですか。」
勇者「有りませんか。」
老人「・・・・・・外には、口からではなく体に直接入れる薬があるそうですね。」
勇者「えぇ。破傷風は本来魔法が使えれば薬の必要無い病気です。しかし稀に魔力が無いだけでなく魔法を受け付けない体質の人間もいます。」
勇者「そういう人には筋弛緩剤・・・力が入らなくなる薬を入れます。しかしこれは・・・・・・。」
老人「・・・ただの延命、ですか。」
勇者「そうなります。」
老人「あの子が・・・。」
勇者「有りませんか。」
老人「残念ながら・・・延命の方法すらありません。」
勇者「針で何とかなりませんか?」
老人「・・・・・・針とは万能の薬ではありません。しかし、そうですね・・・。」
老人「私もその場に行きましょう。あいつに針を教えるいい機会でしょう。針を扱う者としての心構えもね。」
勇者「まだ私は諦めていません。あの子にも、治ると伝えてあります。」
老人「なるほど、外では治るのでしたな。針ならば、安らかに神のもとへ導けるのですが・・・。」
勇者「私は認めません。最後の最後まで足掻くべきだ。」
老人「それはあなたの理屈でしょう。確かに今回は治る可能性があるようだ。しかし死に瀕した者の気持ち、あなたにわかるとでも?」
勇者「争っている暇はありません。行くのならば行きましょう。私は急ぐ必要があります。」
――――――――――――――――――――――――
祭壇
老人「初めて入りましたよ。なるほどこんな風になっておるんですな。」
妹「だ、だれだ?」
孫「じ、じいちゃん。」
青年「え?お爺さん?」
勇者「ではお願いします。少しいいか?」
青年「なんだい?」
勇者「この祭壇には何かあったか?」
青年「僕たちが見た限り何も。」
勇者「そうか・・・。」
青年「僕たちが気付かなくても君なら何かわかるかもね。」
759 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:11:47.11 ID:sOJmdqDBo
迷子「ふぅ・・・。ふぅ・・・。」
老人「・・・ふむ。お口開けてー。」
迷子「・・・。」
老人「・・・・・・声だしてー。はいあー」
迷子「あー・・・。」
老人「なるほど症状は把握出来た。間違いなく破傷風だのう。」
老人「お前は破傷風見るのは初めてでは無かったはずじゃの。この子が通常とどこが違うかわかるか?」
孫「・・・・・・。」
老人「分からんか。この子は喉に影響が出るのが早いんじゃ。それが何を意味しているか知っとるの?」
孫「う、うん・・・。」
老人「針出せ。」
孫「は、はい。」
老人「これから針刺すよー。痛くないから大丈夫だよー。」
迷子「う、うん・・・。」
孫「・・・。」
妹「・・・。」
老人「第3の眼でよく見ておけ。」
トストストストス
迷子「ふぅ・・・?・・・あえ?」
老人「これは本来体の動きを阻害するツボだの。破傷風においては症状の緩和になる。」
老人「物事は時と場合によりその立ち位置が変わる。本来は敵に使う技だが・・・」
老人「この子の場合においては今は救いとなる。」
孫「・・・。」
妹「へー。」
老人「お嬢ちゃん楽になったかな?」
迷子「う、うん。ふおひはえ。」
老人「そうかそうか。無理に喋らなくても大丈夫だよ。少し寝るといい。」
老人「さて・・・。そこの人。」
青年「? 僕かい?」
老人「僕・・・のう。腰が悪いのでしょう?こちらへ。」
青年「平気だよ。」
老人「心眼族に嘘は通じないですな。早くこちらへ。」
760 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:12:07.34 ID:sOJmdqDBo
勇者「・・・。」
勇者(確かにそれらしき物はない。仕方がない。蜘蛛の巣穴へ行こう。急がなければ。)
勇者「孫。」
孫「な、なんだ?」
勇者「短弓を貸してくれ。」
孫「・・・いいぞ。」
勇者「ありがとう。」
青年「いっつつつ!!」
老人「いい年した大人なのだから少しは我慢してください。」
青年「そ、そんな事言ったってててて!!」
老人「これでよいでしょう。あなたの腰痛は外因によるものですから急激に痛みが引くわけじゃありませんが・・・。」
老人「少しの間このまま横になっててください。針はいじらないようにお願いします。危ないですからの。」
青年「ふぅ・・・ふぅ・・・。」
妹「だ、大丈夫?」
青年「へ、平気。」
老人「・・・お嬢さんは特に問題ないようですの。」
761 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:12:43.48 ID:sOJmdqDBo
――――――――――――――――――――――――
祭壇→大蜘蛛の住処
ズザザザザザザ・・・
勇者「・・・・・・。」
勇者(出会えた蜘蛛すべて魔力を流用できるか試しながら蜘蛛の巣穴へ。接敵するまで殺すことが出来ない。)
勇者(毒が掛かろうがなんだろうが急がなくて・・・っ!?)
ザッ!
勇者「っ。」
勇者(な、なんだ・・・!?み、皆の生命反応がどんどん弱まって・・・!?何かあったのか!?)
勇者「っ!!」
勇者(い、いかん!このままでは皆・・・!い、いや。落ち着け。俺が騒いだ所で今は何も出来ん!)
勇者(今は・・・あの子の為にただ急げ!急いで外に出る方法を!)
ズダンッ!
勇者(今は信じるしかない!)
――――――――――――――――――――――――
大蜘蛛の住処 中
勇者「ふっ!」
ダン!
スタ!ダダダダ・・・
勇者(かなりの広さと奥行きがある。蜘蛛は・・・居ない?)
勇者(奥は明かりが届かない。ランプをつけよう。・・・他の蜘蛛が居ないという事はただの巣であった可能性が高くなる。)
勇者「急げ・・・!」
ヒュオオオオオオ!!
勇者「・・・!」
勇者(かなり深い!大蜘蛛の体のサイズを考えれば当然か!)
勇者「なっ・・・!」
卵≪・・・≫
勇者「デカい!・・・しかもかなりの量だ!やはりあいつが産んでいたか!」
勇者「壁一面に・・・!」
ダダダダダ・・・!
勇者(端から端までびっしりだ!くそ、ここはハズレか!)
勇者(あれはあれで大問題だ。祭壇に帰ったら伝えておかなければ・・・!)
勇者(!? しょ、商人の・・・魂の気配が消え・・・!?)
ガッ!
勇者「ぐっ!」
ザザザ!
勇者(そ、そんな・・・そんな馬鹿な!い、いや!まだ・・・!まだ!ペンダントが外れてしまっただけかもしれない!!)
勇者(そうだ!そうに決まっている!!)
勇者(急がなくては!外に・・・!)
勇者(くそ!くそ!)
勇者(俺はまだ!商人に返しの言葉を伝えていない!)
勇者(今まで傍に居てくれた!これからだってずっと傍にいてほしい!)
勇者(居なくならないでくれ!すぐ・・・!すぐ迎えに行く!)
勇者(生きていてくれ・・・!)
762 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:13:12.75 ID:sOJmdqDBo
――――――――――――――――――――――――
大蜘蛛の住処 外
ズダッ!
勇者「!」
蜘蛛「キシャァァ!!」
蜘蛛「ガチガチガチガチ!!」
ゾロゾロ・・・
勇者「ありがたい・・・!探す手間が省けた!!」
ズダッ!
ズバズバズバン!
ドスドスドス!
蜘蛛「ギャァ!」
蜘蛛「ギィ!」
ダッ!ガシ!
勇者「解毒魔法詠唱開始・・・」
勇者「・・・次!」
ズバン!!
蜘蛛「ギィィ!」
蜘蛛「ぐげ!」
ブチュ!
勇者「フッ!」
スタン!
バシャ
勇者「解毒魔法詠唱開始・・・」
蜘蛛「ギィ!」
ブオオ!
勇者(前足で薙ぎ。しゃがめば当たらん。)
スカ!
勇者「・・・次!」
ズバン!
蜘蛛「っ!」
――――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
蜘蛛「キィィ・・・!」
勇者「死にたくないのなら動くな。」
勇者「解毒魔法詠唱開始・・・」
勇者「・・・くそ。」
ズダン!
ダダダダ・・・
勇者(返り血を浴びてしまった。だが知らん。どうせ時間が無い。)
勇者(祭壇で蜘蛛が集まる場所を聞いて次だ。)
763 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:13:40.67 ID:sOJmdqDBo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
祭壇
勇者「ハァッ!ハァッ!」
孫「お、お前・・・!その血は・・・!」
勇者「気にするな、蜘蛛の血だ。」
妹「そ、それも毒だぞ!よ、弱いけどさ!」
青年「・・・君・・・・・・。」
老人「・・・無謀ですな。自ら選択肢を狭めるとは・・・愚かだ。」
勇者「迷子の様子は・・・」
迷子「ヒューーーヒューーー」
勇者「!は、早い・・・!すでにここまで・・・!」
老人「・・・この子、感受性が異様に高いですな。今は針で眠らしています。」
老人「見てください。針で筋肉を抑制していますが・・・抑えきれずに末端が小刻みに痙攣しています。顔も強張りが取れません。」
勇者「ぐっ・・・!この子を見つけた時、栄養失調状態でした・・・!その所為かと・・・!」
老人「・・・あなたはこれからどうするのですかな。」
勇者「蜘蛛が大量に居る場所を知りませんか!?」
孫「なっ・・・!」
青年「君っ・・・!」
妹「駄目だ!もういっちゃ!」
勇者「時間が無い・・・!手をこまねいていても俺たちが死ぬだけだ・・・!」
老人「・・・知りませんな残念ながら。」
勇者「そう、ですか・・・!では失礼します。」
孫「待て!」
ヒュパ
ギリギリギリ・・・!
孫「どこ行く気だ!!」
勇者「蜘蛛を探す!」
妹「ゆ、許せるわけないだろ!!」
勇者「ではなんだ!大人しくしていろと!?ありえん!」
勇者「死を待つなど俺には出来ない!俺の邪魔をするのなら・・・!」
勇者「俺に勝ってから言え!」
孫「うぐっ・・・!」
妹「落ち着けよ!焦ったってしょうがないって言ったのはお前じゃないか!!」
勇者「ゆっくりしている暇はもうない!焦りながらでも可能性の追求をし続けなければ間に合わないかもしれない!」
勇者「今はこれしか手段がない!」
青年「・・・蜘蛛を殺して回る事がかい?」
勇者「魔法を使える可能性がそれしかない!」
764 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:14:08.22 ID:sOJmdqDBo
老人「・・・そういえばお客人。私の頼み事はどうなったのでしょうか。」
勇者「頼み事・・・?短弓ならば既に渡してあります。」
老人「それは使えたのでしょうか?」
勇者「3度矢を放ったはずです。使えたはずです。」
老人「・・・この馬鹿孫めが。」
孫「えっ?い、いきなりなに?」
老人「なんでもないわい。どうやって使ったのか気になるから見せてくれんか?」
孫「い、今はそれどころじゃ・・・。」
老人「はよせんかぁ!!」
孫「・・・っ?わ、わかったよ・・・。」
青年「・・・?」
勇者「時間が無い。失礼する。」
老人「待ちなさいお客人。少しくらいいいではないですか。」
勇者「よくありません!こうしている間にも仲間が・・・!」
孫「つっ。」
スパ
青年「・・・?なんで手を切ったんだい?」
孫「血を吸う武器なんだ。ぐっ!」
蜘蛛狩り≪キィィイイイイイイイ≫
孫「・・・!あ、あれ!?」
老人「・・・。」
妹「ど、どうした?」
孫「こ、この祭壇・・・」
老人「そろそろ手を離さんと倒れるぞ。」
孫「あ・・・。」
カラン!
蜘蛛狩り≪イイイィィィ・・・≫
勇者「・・・何か見えたのか。」
孫「・・・下に通路がある。」
勇者「何!?」
妹「えっ!?」
青年「・・・それはそれは。」
勇者「い、入り口はどこにある!?」
孫「そ、その祭壇の下、かな・・・。でもこれ、石が積み重なっててそう簡単には崩せないよ。」
勇者「蜘蛛を探して回るよりは断然・・・?」
ふら・・・
勇者「ぐっ・・・。」
妹「葉っぱ!?」
勇者「へ、平気だ。俺は、今からここを崩す。」
青年「無茶だよ。それよりさ、君の蜘蛛狩りでさ・・・」
妹「へ?あ!?そうだ!あたしが代わりに壊すからさ!少しでも休んでてよ!」
765 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 01:14:35.70 ID:sOJmdqDBo
妹「よいっしょ・・・!」
グオオオ・・・
妹「・・・。」
スパッ
蜘蛛狩り≪ブオオオオオオオオオオ!!!≫
蜘蛛狩り≪ガシャン!≫
孫「か、形が・・・!」
青年「へー・・・。」
妹「・・・エエエイヤアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
蜘蛛狩り≪ブオオォン!!≫
ズギャ
ズガアアアアアアアアア!!!
ガラン!ドガン!ドス!ゴロン!
スポ!
蜘蛛狩り≪ブオオ・・・≫
蜘蛛狩り≪ガシャン!≫
ズドォン!
妹「うー・・・二日続けてだと大変だこれ・・・。」
勇者「・・・・・・。」
勇者(うっ・・・頭が霞がかったかのような・・・うまく思考できない。)
勇者「ふぅ・・・で、では行ってくる・・・。」
孫「ま、まて!俺も・・・!」
老人「それは許さん!!行くのはお客人だけじゃ!!」
孫「な、なんでだよ!」
老人「なんでもじゃ!!」
孫「ついていくったらついていく!!」
老人「ふん!儂に反抗するなどえらくなったものじゃの!!」
孫「だ、だって・・・!」
トス
孫「あっ・・・!」
ヨロ
トサ
老人「甘い。」
孫「な、なにするんだよ爺ちゃん!」
妹「お、お爺さん何を・・・。」
老人「お客人。さっさといってくだされ。私にも事情がありましてな。あなた以外を許すわけにはいかんのです。」
勇者「・・・わかりました。では・・・」
妹「あ、ま、待てよ!」
老人「残念ながらお嬢さんも通すわけにはいかんの。この馬鹿と恋仲だとしてものぅ。」
孫「えっ!?」
妹「ななななっ!」
トス
妹「あっ!」
トサ
老人「ふふふ、甘い。」
青年「・・・お爺さんひどいね。動揺させて隙作るなんてさ。」
老人「お嬢さんは行かなくてもよいのですか?」
青年「僕は今走れないから足手まといになるもの。」
766 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2012/03/12(月) 02:00:10.88 ID:bFRJAXZvo
お嬢さん?
767 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage]:2012/03/12(月) 02:01:08.34 ID:uDeDsO78o
ん?
768 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 02:02:15.52 ID:sOJmdqDBo
――――――――――――――――――――――――
祭壇下隠し通路
ダダダダダダ・・・
勇者「ふぅ・・・ふぅ・・・」
勇者(喉が狭い・・・。呼吸がしづらい。)
勇者(頭がグラグラする・・・!)
ズザ!
勇者「これは・・・」
勇者(蜘蛛の糸?蜘蛛が居るのか!)
勇者「―――っ!」
―――ヒュラヒュラ
パツンパツン!
勇者「ふぅ・・・」
勇者(直接触れるとまとわりつかれる。早く進まなくては!)
――――――――――――――――――――――――
隠し通路先大広間
勇者「広い・・・明るい?」
勇者「・・・あれは?」
ザザザ
勇者「・・・人、か?」
?「・・・」
勇者「・・・息をしていない。」
ブォオオオオン
勇者「なんだ!?」
ブオン
緑色の球体「・・・・・・」
勇者「! エレメンタル!」
緑色の球体≪ブオン≫
『まだ試練の用意が出来ていない 来訪するには早すぎるぞ傀儡 』
勇者「も、文字が・・・。」
緑色の球体『今はもう傀儡では無かったか?聞いているぞあいつの糸から脱却した最初の人物とな』
勇者「・・・。」
緑色の球体『お前の要件は知っている 魔力を取り戻したいのだったな』
『しかし残念 お前の魂源属性と私の属性は一致しないのだよ』
『あぁ至極残念 お前の人生 魂はここで尽きるさぁさっさと帰れ』
勇者「・・・・・・何故お前は喋らない。」
769 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2012/03/12(月) 02:08:45.84 ID:5OrZWQl3o
>>766
>>767
伏線は張ってあったぜ
770 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 02:22:19.01 ID:sOJmdqDBo
緑色の球体『お前にそれを聞く余裕があるのか?早く上に戻り私の手足の魔力を奪おうと無駄なあがきをすればいい物を』
勇者「・・・お前から奪う方が早い。」
ダン!
ガッ!
緑色の球体『はははは 話を聞いていなかったのか猿 お前と私の属性は一致しない』
『つまりお前側に少量の魔力を必要とするという事 お前にその魔力は無い』
勇者「解毒魔法詠唱開始・・・」
緑色の球体『まぁ、確かに上で私の手足に無差別に試すよりは可能性が高いか?ははは有意義な時間だという事だな』
勇者「・・・くっ」
緑色の球体『?????? ??????? ????? ????? ?? ????? ?? ????? ????? ?? ??? ??????? ??????』
勇者「!」
バキン!!
勇者「・・・!な、なにをした・・・!」
勇者(こ、これは・・・!)
緑『はははは 私はなんと優しいのだろう 感謝しろよ 用意された特異点』
勇者「魔力が戻っている・・・!」
勇者「解毒魔法詠唱開始」
勇者「詠唱完了」
緑『よかったな神経変異が起きる前に解毒できて しかし上のはそろそろか?』
勇者「! また来る!」
ズダ!
緑「・・・」
――――――――――――――――――――――――
祭壇
ズダッ!
孫「あっ!」
妹「戻ってきた!」
青年「っ! どうだったんだい?葉っぱ。」
勇者「待て。」
迷子「ヒュー・・・ヒュー・・・」
勇者「解毒魔法詠唱開始」
勇者「詠唱完了」
迷子「ヒュ・・・。・・・・・・スゥ。・・・・・・スゥ。」
老人「おおお・・・!」
青年「治った・・・のかい?ほ、本当に・・・?」
孫「・・・っ。」
青年「よ、よかった・・・。本当によかった・・・!」
ズザッ
妹「?」
孫「こ、これが、魔法、か。」
老人「・・・。」
スポスポスポ・・・
771 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 02:30:43.22 ID:sOJmdqDBo
ドクン!!
勇者「ぐっ・・・?」
ドクン!!
青年「・・・はぁー。ほんともうこの子は・・・心配かけて・・・。」
(そろそろいいだろう傀儡)
勇者「な・・・っ!」
孫「・・・?どうした?」
(あぁ、また会いに来る必要は無い もうその必要はない)
勇者「・・・っ!」
(私はなんと優しいのだろうな わざわざ待ってやるのだからな)
妹「・・・?」
青年「葉っぱ・・・?」
勇者「・・・ハァっ・・・・・・!」
ズザ
老人「・・・。」
(あの腹黒がお前のような存在をみすみす手放すとは今をもって信じがたい)
勇者「・・・・・・!」
(まぁあいつはお前を繰り返し繰り返し使うために案じていたようだからな そこにつけ込んだのだろう?)
(だが安心しろ 私は甘くない そろそろ任にも飽き飽きしていた所だ )
(私のおもちゃとなってくれ)
勇者「ふ、ふざけろ・・・!だれ、が・・・!!」
(拒否権は無いがな ははは お前が私に触れた時点で勝負は決しているのだ)
772 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 02:49:40.92 ID:sOJmdqDBo
勇者「・・・っ!」
ズザ!
青年「葉っぱ!?どうしたんだい!?顔色がすごく悪いよ!?」
勇者「・・・!」
ザ・・・ザ・・・
孫「ゆ、勇者!?」
老人「近づくな。あれはもうお客人ではない。」
妹「ど、どういう・・・」
勇者「・・・ぐっ!」
(粘るな やはり高い抵抗性を持っている あたりまえか? 何百年とあいつに使われ続けたのだからな)
(だが残念 私は甘くない)
勇者「がっ・・・!」
勇者「・・・・・・ふふふふ、なかなか動かしやすいな。」
青年「は、はっぱ・・・?」
勇者「葉っぱ、なぁ?ははは確かに私は葉の色と同じような色をしているがな。」
勇者「あぁ、声を出すのはなんと久しぶりな事か。他者の体とはいえ気分がいい。」
孫「お前は誰だ!!」
ヒュパ!ギリギリギリ
勇者「はは、お前にこいつを射る勇気があるのか?死ぬぞ?なにせ人間だからな。」
妹「きゅ、急にどうしたんだこいつ!?」
老人「・・・。」
勇者「・・・ぐっ!」
ズザ!
(おっと、取り返された ふふ、陣取り合戦も悪くない)
(しかし残念 お前の運動神経は既に乗っ取った お前はもう私の傀儡 糸繰り人形)
(安心しろ お前はただの暇つぶしだ こいつらに危害を加えるつもりは無い 安心して操られていろ)
勇者「俺にはまだやる事がある・・・っ!」
(あぁ・・・お前の仲間たちに会いにいくんだろう?今は極寒砂漠に居るのだったな)
(だが残念だな あそこは私たちの仲間がいる場所だ あいつは特に意地の悪い奴だ ただで通すわけはないだろうな)
勇者「なっ・・・!」
(お?今気付いたが呪具を付けているな おうおうこれは魂繋ぎの呪いではないか まさか人間に使える奴がいるとは)
(ははは既に一人反応が消失しているじゃないか なるほど、お前が急いでいるのはこの為か)
勇者「・・・ぐ!」
(人間のこういった部分は本当に優れているな 魔法を物質に落とし込み他者の魔力を普遍的に利用する よくぞこういった狡い事を考え着くものだ)
(魔力が少ないからこその発想だな)
773 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 03:08:40.64 ID:sOJmdqDBo
トス
勇者「ぐっ!?」
ドサッ!
(おや 選定者に邪魔をされたな ははは)
孫「な、なにを!?」
老人「・・・動きを封じただけじゃて馬鹿孫。」
青年「お、お爺さん。い、いったい葉っぱはどうしたんだい?」
妹「悪霊でも乗り移ったのか!?」
老人「・・・悪霊どころではないの。」
勇者「・・・・・・。」
(さて・・・いい加減魂をいじらせてもらおう)
勇者(何を・・・!)
(お前の魂を私が動かしやすいように作り変えさせてもらうと そう伝えたのだ)
(あの腹黒がお前の魂自体には手を出さなかった理由を知っているか?お前の希少価値の問題だ)
(お前はな、あの腹黒が千年とかけて探し出した最高の魂なのだよ)
勇者(・・・?)
(まぁ、肉体が出来上がる前までに見つかってしまった物だから今の今まで転生を重ね利用し続けていたらしい)
(傀儡などそこらの人間を使えばいい物を あいつはよくわからんな)
(さて、今一度発声器官を乗っ取らせてもらおうか 詠唱が必要なのでな)
勇者「がっ・・・!」
勇者「遠隔魔力操作 魔素対消滅変換詠唱開始」
(全く人間の体は出力不足だな 詠唱に時間が掛かる)
青年「葉っぱ!」
ガバ!
勇者「もご」
(お?口を塞がれてしまったな 察しのいい人間だ しかし私もされるがままというわけではない)
ゴオオオオオオ!!
孫「突風!?」
青年「うわ!」
ヒュゥ!
ドサ!
妹「きゅ、急に風が・・・!」
勇者「・・・」
(・・・む?なんだ? 複数の魂を感じるな)
(邪魔くさい 握りつぶしてやろう)
勇者(っ!!)
(ははは お前も趣味の悪い物だな 死人の魂を持ち続けるとは)
774 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 03:36:09.72 ID:sOJmdqDBo
勇者(っっっ!!!)
(暴れるな暴れるな手元が狂う 手などないがな)
(おや これは)
ブツン!!
勇者「ガハッ!ハァ!ハァ!」
老人「・・・む?」
孫「・・・・・・。」
妹「???」
青年「は、葉っぱ?」
勇者(・・・なんだ?接続が切れた?いや、魔力は残っている・・・・・・。)
勇者「・・・ふぅ!」
青年「一体どうしたんだい君!」
孫「戻った・・・のか?」
老人「まさか・・・神の呪縛から逃れるなど・・・。」
勇者「・・・ご老人、あなたはあの存在を知っていたのですか?」
老人「・・・まだ、話せません。」
勇者「そうですか・・・。」
妹「わ、わけが分からない・・・。説明してよ!」
勇者「・・・この島の神に会ってきた。」
青年「え?」
孫「神?」
妹「えぇ?神様ってあの世にいるんじゃないの?」
勇者「この下にいた。・・・俺はもう一度会ってくる。」
青年「ちょ、ちょっと!事情は分からないけどなんかされたんでしょ!?」
勇者「あぁそうだお前・・・回復魔法小」
青年「うわなに!?あ、あれ?」
勇者「回復魔法小×2」
孫「・・・?」
妹「あれ?手の傷が・・・。」
老人「・・・す、素晴らしい。」
勇者「回復魔法小」
迷子「・・・。」
勇者「では行ってくる。」
孫「ま、待てって!なんでわざわざもう一回・・・!」
勇者「急いでこの島からでなければいけない。それにはあいつと話を付ける必要がある。」
勇者(転送術の条件を俺は知らん。転送術以外の方法が必要だ。)
勇者「あいつに触れると何らかの魔法を使用されて操られる。だからお前たちは来るな。」
青年「・・・嫌だね。今度はついていくよ。」
勇者「・・・ふぅ。」
孫「そ、そうだ!一人で行かせられるか!」
妹「わ、わけがわからないけど一人は危ないよ!」
勇者「・・・睡眠魔法矢×3」
ビュビュビュン!
青年「え?」
孫「!」
妹「ちょ」
775 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 03:58:45.74 ID:sOJmdqDBo
老人「・・・。」
勇者「4人をお願いします。」
老人「分かりました。行ってらっしゃいませ。」
――――――――――――――――――――――――
祭壇下大広間
緑「・・・」
勇者「・・・また会ったな。」
緑『全く持って腹立たしい まさかあのような奥の手を持っているとは』
勇者「・・・?奥の手?」
緑『ふん 何の用だ 私はお前にはもう用は無いのだがな』
勇者「・・・俺をこの島から出してもらおう。」
緑『お前と私はまだつながったままなのだ 好きなように魔力を使い勝手に出て行けばいいだろう』
緑『腹立たしい 無償でお前に魔力を授けたようなものではないか』
勇者「お前はなぜこの島にこもっているんだ?」
緑『そこの人形の為だ』
?「・・・」
勇者「人形?」
緑『私は腹黒に囚われているのだ そしてこの人形を作る作業を強要されている』
勇者「・・・腹黒とは・・・神でいいのか?」
緑『ふん 確かにあいつは外の人間の世界において神などと呼ばれているな』
『あぁそうだとも 白い球体の私たちの親のような存在だ』
勇者「この人はいったい・・・」
緑『伝えただろう人形だと これはお前が遠い未来に入る予定の肉体だ』
勇者「俺が?」
緑『予定だった が正しいか 伝えたなお前が最高の魂だと これはその器 最高の肉体だ』
勇者「・・・」
緑『あの馬鹿を諌めるために作られているのだよ それ以外にも人間の世界を自然な形でいじるのにも使う予定のようだ』
緑『早く帰れ』
勇者「囚われている、とはいったい?」
緑『お前私の優しさにつけ込んでいるだろう まぁいい 教えてやる』
緑『文字通りだ 私は2つの行動を封じられている そして2つの行動を強要されている』
『すなわち 発声 と 移動 魔法使用と人形作成 だ』
緑『発声と移動はわかるな 魔法使用とはつまりこの島を囲んでいる風の事』
『無理矢理魔法を使用させられているのだ 理由は私を弱らせるため 』
『出力を大幅に制限させられている上に魔力が常に放出されていてあまり自由な行動が出来ない』
緑『人形作成は少々複雑だ 要はこの行動をしなければあいつに伝わるのだ 困ったものだ』
776 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/12(月) 04:13:18.43 ID:YJ5dDyCDO
>>766-767
妹が体に触れるのを大人しく許してたしね
他にも計るときとか色々
777 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 04:32:22.85 ID:sOJmdqDBo
勇者「発声を封じられる意味は?」
緑『そんな事も分からんのか人間は』
『お前が魔法を使うとき絶対に何かをしなければならないだろう それを封じるためだ』
『魔力を動かすだけである程度の魔法は使えるが 高度な魔法には絶対に必要なのだ』
緑『まだ何か聞きたいことがあるのか人間』
勇者「・・・この島から出る方法を教えてくれ。」
緑『転送術でも大地鳴動でも水流操作でもなんでも使って出て行けばいいだろう 魔法に不可能などないのだ』
勇者「俺は条件を知らん。他の方法はないのか。」
緑『人間とは無知な物だな たかだか100年程度しか生きないのだから仕方がない事か』
緑『Знание распространения』
勇者「ぐがっ!?」
グオオオオ・・・
勇者「うあ・・・!こ、これは・・・!」
緑『さぁ転送術の条件を伝えてやったぞ あとは好きにするがいい』
勇者「・・・この座標はどこに飛ぶんだ?」
緑『さぁどこだったか 私の仲間の内の何処かだろう この島と海以外であるはずだ』
勇者「・・・ありがとう。」
緑『人間の価値観はわからんな あと一歩で私に自我を壊されていたというのに感謝とは』
『まぁいい 私の優しさに咽び泣いて喜べ』
勇者「どうせお前は俺の体に何か残しているんだろう。」
緑『ほう 察しがいいな あたりだ』
『まぁ知った所でお前にはどうにも出来ん なんらかの罠だと思え』
『お前が何らかの行動をした時に発動するぞ せいぜい怖がれ』
勇者「ではまたな。」
緑『お前の顔など2度と見たくない せいぜい節制してくれ』
――――――――――――――――――――――――
祭壇
老人「戻りましたか。」
勇者「えぇ。そしてお別れです。」
老人「もう行くのですか?」
勇者「仲間が危機に陥っています。急がなければ。」
老人「この子らにお別れも無しですかな?」
勇者「・・・眠気覚魔法 矢×4」
青年「はっ!」
孫「ぅ・・・。」
妹「あ、あれ?」
迷子「・・・?はー・・・。」
勇者「・・・お別れだ。俺はこの島を出ていく。」
青年「あっ葉っぱ!ってえ!?い、いきなりだね!」
妹「お別れって・・・え!ここ出れるのか!?」
孫「・・・・・・。」
迷子「・・・んー?」
勇者「この魔法は発動に時間が掛かる。その間受け答えは出来なくなる。」
勇者「この子は連れて行く。まだ定期的な解毒が必要だからな。」
778 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 04:51:23.32 ID:sOJmdqDBo
青年「そ、そっか・・・。お別れか。」
妹「・・・じ、実感わかないなぁ。」
勇者「孫、短弓返しておく。」
孫「・・・いいよ、やるよ。」
老人「ほっ。」
妹「え?」
勇者「いいのか?」
孫「いや・・・やっぱりそのうち返してくれ。」
青年「・・・。」
勇者「わかった。借りておく。」
勇者「君こっちにおいで。」
迷子「・・・えっと私・・・・・・。」
青年「葉っぱがここから居なくなるんだってさ。着いて行ってあげなよ。」
迷子「え?い、居なくなっちゃうの?」
妹「そう、だから着いて行ってあげて。」
迷子「・・・?わかった。」
トサ
勇者「そうだ。大蜘蛛の巣穴の奥に大量の蜘蛛の卵があった。早めに何とかしておいた方がいい。」
青年「りょーかい。近いうちに見に行くよ。」
勇者「・・・転送術式詠唱開始」
青年「さて・・・時間が掛かるんだったね。皆でお話しでもしようか。」
孫「・・・そうだな。何を話そうか。」
妹「こいつって料理上手いよね。」
青年「あぁ、そうだね。食べたのは数回だけど、ほんと全部美味しかったな。」
孫「木の実と魚を合わせたスープを作っていたが、すごくうまかった。」
青年「なにそれ?食べたこと無いなぁ。」
妹「アタシも無い。」
迷子「私も!」
孫「正直作ってる間はどうかと思ったけど食べてみたら上手いんだ。ほんとよくあんな発想ができるな。」
青年「発想ねぇ。ほんと葉っぱはそのあたりすごいよね。大蜘蛛への手段だってよく思いつくもんだなって思ってたよ。」
妹「結局本当に倒しちゃったし・・・すごいよね。」
迷子「葉っぱさんすごいよ!短剣振っても音が後から聞こえるの!」
青年「手の速さもすごいよねぇ。ほんとさ、葉っぱは人じゃないよね。」
孫「何回か競争してたけど毎回大敗してた。足の速さも尋常じゃない。」
妹「アタシも負けたなぁ。」
――――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
779 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/12(月) 04:52:50.90 ID:sOJmdqDBo
土日は人が来たりで書く暇が少ない
時間見つけて書き駄目したけどごめんなさい
なので日曜の深夜になりましたおやすみなさい
780 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/03/12(月) 05:01:40.84 ID:xvSfS0cB0
乙!
781 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2012/03/12(月) 05:02:08.76 ID:TWcWJufso
乙
782 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2012/03/12(月) 07:17:51.50 ID:bKSIGkuCo
乙!!
勇者にどんどんフラグが立っていくな・・・
783 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/12(月) 08:12:57.23 ID:ZJGtz6HIO
おつ!
なんと言うか…陳腐な表現しかできないのが悲しいが
最高に面白い
島の話それ自体に熱中して、本編を忘れるぐらい毎度面白い
784 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/03/12(月) 11:18:35.05 ID:S7A0+dvdo
乙
勇者は顔を治さないのかな?
785 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/12(月) 14:53:41.17 ID:7Px8LDvDO
おつ!
ついに島から脱出か
786 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/03/12(月) 15:41:16.61 ID:hVaXhOxLo
あれ?もしかして緑の光球さんってめちゃめちゃ優しいのか?
乙
787 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/12(月) 16:10:11.56 ID:ei/2jvlI0
話し方?から見るにグリーンさんは構って欲しかった伏もあるかと
さすがに優しいとは明言しにくいよね
乙
788 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2012/03/12(月) 22:19:42.61 ID:2DipMmxeo
乙
魔翌力回復したってことは呪いも再発するって事だな
そうしたら迷子近くに居れないんじゃまいか?
789 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/03/12(月) 22:52:31.40 ID:+TUn/XyIo
乙
魔力の呪いに関しては勇者自身じゃなく、緑のエレメント?の親のような存在が呪われてたから
供給源が変われば大丈夫なんじゃねぇの?
790 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/03/13(火) 03:57:57.79 ID:2WGfabEio
おいついたー
791 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/03/13(火) 18:29:00.20 ID:C1qN8L5co
乙乙
また嵐島の話が出たらうれしいな
あと緑ちゃんかわいい
792 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
:2012/03/13(火) 21:27:31.61 ID:l2V+vpG4o
島編終わりかー
青年・・・
793 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2012/03/13(火) 21:47:38.92 ID:YY0H58OJ0
乙
おとといの夜から見ていて、やっと追いついた。
いや〜でも非常に面白い! これからも、期待してる!
794 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:54:21.03 ID:hzmsnHkco
――――――――――――――――――――――――
ポイ
勇者(!)
迷子「わっ」
ドサ
老人「食料とその他もろもろです。お役立て下さい。」
孫「あ、あれ?じいちゃんどこ行ってたの?」
青年「ていうかそれ僕の鞄だよね。」
老人「ふむ。少々森を探っていただけじゃよ。別に構わんでしょう?」
青年「中身は構うんだけど・・・」
老人「出しておきましたよ。安心してください。」
青年「んー・・・それはそれで・・・。」
妹「お爺さん用意いいね。」
老人「伊達に長い事生きておらんの。」
迷子「お爺さんありがとう!」
老人「どういたしまして。また元気でね。」
迷子「うん!またね!」
青年「はは、またねー。」
妹「もういっちゃうのか?」
孫「・・・。」
勇者(あと13秒程度。5秒から指で合図でもするか。)
スッ
迷子「?」
青年「うわ早い早い」
妹「わわわえーとまたな!」
孫「・・・」
勇者「・・・詠唱完了 またな。」
バシュン!
青年「はは、いっちゃったー。」
妹「またな、かー。」
孫「・・・はぁ。」
老人「さてお三方、少々手伝っていただけますかな?」
妹「いいよー。」
青年「いったい何を?」
老人「なに、元通りとは言いませんがこの階段を塞がなくてはなりません。」
孫「・・・爺ちゃんは知ってたの?」
老人「まぁの。そのうち話すことも出来るかもしれん。その時を待て。」
795 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:54:48.73 ID:hzmsnHkco
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
――――――――
極寒砂漠 5日目
女戦士「はぁー・・・。ねむ・・・。」
女僧侶「だいぶ寒さも和らぎましたねー。」
女商人「そうですね。一昨日とか本当大変でした。」
女魔法「・・・。」ゴシゴシ
女僧侶「それで、予定では今日着くのですよね?」
女商人「あ、はい。夕方ごろの予定です。砂漠前の村みたいに砂漠に隣接した所があるみたいで、今日はそこに泊まる予定です。」
女戦士「この大陸の先ってあんまり情報入ってこないけど何でだ?」
女僧侶「確かに他の大陸に比べれば未開だと言われていますね。」
女魔法「・・・魔王が復活してから海の魔物が暴れだして海路が限定された。」
女戦士「へぇ?そうだったのか?」
女商人「確かにお魚とかは漁港あたりじゃないと食べれないですもんねぇ。被害を受けた港も多いですし。」
女戦士「でも私たちが通ってきた港は栄えてたけどなぁ?」
女魔法「供給は減っても需要は減らない。使える港に需要が集まって平常時より非常時の方が栄える時もある。」
女戦士「でも海路が限定されたのとこの先の情報があんまり入ってこないのと関係あるのか?」
女僧侶「いちいちこの砂漠を横断するわけにはいかないでしょう?手間も掛かりますしワームに頼らざるを得ないでしょうし。」
女戦士「あー確かに苦労したからなぁ。そっかそりゃ当たり前だよなー。」
女魔法「・・・魔王が封印されていた100年の間、この奥を開拓していたけど、急に復活して退路が立たれちゃったみたい。」
女商人「ですからねぇ、唯一の玄関口である次の村は割と栄えているみたいですよ。」
女僧侶「商人さんは情勢にはお詳しいですねぇ。」
女戦士「には、だけどな。」
女商人「まぁ、商売には必須の事項ですから。といってもこの先は情報が少なくて・・・。」
女魔法「何が需要あるんだろうね?」
女戦士「そりゃまー人間の需要第一位なんて食い物に決まってるだろ。」
女僧侶「そうとも限らないですけどね。食料がたくさんある国ではむしろ嗜好品や装飾品などの需要が高いみたいですし。」
女商人「あ、でもですね。食料のある国では塩や香辛料などの調味料が売れるんですよ。」
女僧侶「あぁなるほど。確かに需要が増えて当然ですね。」
女商人「あとは食料を確保するために森を伐採しちゃったりしてますから、器とか、薪とかの食べるための道具なども需要があります。」
女商人「といっても、需要がありすぎて、皆思いつくから安いんですけどね。キャラバン持ってる人とか大量に運ぶ手段がある人じゃないと儲けは出せないです。」
女戦士「え?じゃぁお前はどうやって儲けてたんだ?」
女商人「私は一人でしたから、貴族などや重要役職の人たち向けの需要が特に高い物を売っていました。ほら、前の絹とか枝とか。」
女商人「港で手放しちゃいましたけど、ああいうのは直接売りに行くといい値段で買ってくれる人が多いんですよね。」
女僧侶「でも、そういった特殊な需要って変化が激しいと聞きましたよ?よく狙い打てましたね?」
女商人「えっと・・・物の多さで勝負、みたいな所がありまして。需要がありそうな珍しい物を見つけたら仕入れて何種類も持って置くんです。」
女商人「偉い人は欲しい物が漠然としてる事も多くて・・・きれいな物、珍しい物、魔力がこもってる物・・・。」
女商人「後は街に着いてから聞き込みをして欲しそうな物を持っていくんです。何回も繰り返せばなんとなくわかってくるものですし・・・。」
女商人「皆で旅するようになってからは元手無しで珍しい物を多く得る機会が多くて楽になりました。その分浪費の激しさでも苦労してますけど。」
女僧侶「っ。で、でも考えてみればそうですよね。私たちの食費だけで強い魔物の素材や村の特産品を得る事が出来るんですからね。」
女魔法「一石二鳥?」
女商人「ふふ、そうですね。村を困らせている魔物をやっつけて珍しい素材を得れるだけじゃなく、感謝の品として特産品をくれる村も多いですし。」
796 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:55:10.34 ID:hzmsnHkco
女戦士「私なんてぶった切るしか出来ないからなー。金儲けは専門外だぜ。」
女魔法「私も魔法しか出来ない。」
女僧侶「私は皆さんを癒す事しか出来ないですから・・・。」
女商人「皆さんが居てくれて助かりますよ?一人の頃より全然楽しいです。」
女戦士「いやー?邪魔しちゃってすいませんね?せっかく二人きりだった所を・・・」
女商人「え?」
女僧侶「確かに私も入りたての頃はその事について悩んだ物です。お二人の仲を邪魔しているだけだなと、強く・・・。」
女商人「え、いや、そのですね?」
女魔法「・・・。」
女戦士「でーどうなんだ?二人っきりだった時は楽しかったんだろ?」
女商人「そ、それは、そうですけど・・・。」
女僧侶「うふふふ。今でも思い出しますわ。お二人のあの距離感。着かず離れず、心まで・・・」
女商人「うぅ。」
女戦士「そういえば2人抜いたらお前が一番古株だよな。出会ったばかりの頃ってどうだったんだ?」
女僧侶「そうですねぇ。あの頃は初々しくて・・・と、言いたいのですが、本当はあまり余裕が無くて。」
女僧侶「あの頃は・・・自分に無力感を感じてしまって、旅を楽しむ余裕も無かった。」
女商人「そ、そんな。本当、助かりましたよ?僧侶さんが来るまではずっと勇者様が火の番していてくれて、休む余裕が無かったですもん。」
女魔法「ずっと・・・?」
女商人「えぇ。私がするといっても睡眠魔法使われて無理矢理・・・。」
女戦士「相変わらずそういう時は強引だなー。よく倒れなかったなあいつ。」
女商人「さ、流石に一週間に一回は変わってくれましたけどね?本当、見ててハラハラしました。」
女魔法「勇者無茶。」
女僧侶「・・・商人さんが笑えなかったのは勇者様が原因だったのですね・・・・・・。」
女商人「え?」
女僧侶「いえ、何でもありませんよ?所で商人さんが一人でいた時代に設けたお金はどうしていたんですか?」
女商人「え?」
女戦士「そういえば儲け出てたんだろ?何に使ってたんだ?」
女商人「え、えーと・・・珍しい物はそれだけ高くてですね。私は仲介みたいなもので、あまり儲けは無くて、」
女商人「確かに少し溜まってましたけど、あてもなくふらふらしていたものですから使い道も無くて・・・。」
女商人「あ、そう。勇者さまと出会った時にですね、服とか防具とか新調してだいたい使っちゃいました。」
女戦士「どんだけ高いもん貢いだんだよ。いやそれとも自分に使ったのか?」
女商人「だからあまり儲けは無かったんですよう。勇者様あの頃盾さえ持ってなくて・・・」
女僧侶「買い物すら出来ない状態でしたからねぇ。その分サバイバル能力高いみたいですけど・・・。」
女商人「あ、たしかに最初の頃は食費が浮いて結構助かりましたよ。私が一緒になってからは街についたら絶対止まらなきゃいけなかったから旅の速さは落ちましたけど。」
女戦士「あぁ、そうか街に泊まる事すら出来ないもんな。人のいる場所に近づけないっていうのは本当大変だな。」
女魔法「・・・なのに揉め事が有ったら解決するなんてすごいね。」
女商人「あ、でも勇者さま街の様子はしきりに聞いてきていましたよ?」
女僧侶「そうなのですか?」
女商人「はい。私と出会う前はどうしていたかわかりませんけど・・・。」
女戦士「興味あったんだろうなー。街って物がどんなもんかさ。」
797 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:55:52.07 ID:hzmsnHkco
女僧侶「いつつ・・・」
女商人「どうしました?」
女僧侶「い、いえちょっとお尻が痛くて・・・。」
女戦士「安定感ばっちりな癖して何をいってんだ。」
女僧侶「あなたも負けてないと思いますよ?」
女魔法「大丈夫?」
女僧侶「えぇ、平気です。今日着いてしまうのですからこのくらいなら我慢できますよ。」
女商人「確かにずっと座りっぱなしですもんね。昨日一昨日は気にする余裕なかったですけど確かにちょっと痛いです。」
女戦士「私は別に尻は痛くないけど体がだるくて仕方がないなー。じっとしてる訓練なんて・・・あぁ、した事あった。」
女僧侶「確かに体がだるいのもそうですが汗が結構出ますね。不思議ですね寒くても出るなんて・・・。」
女魔法「ちょっとべたべた。」
女商人「・・・・・・。」
女戦士「どうした?勇者が気になるか?」
女商人「え、えぇ。朝すごい焦っていましたから・・・。」
女僧侶「このペンダント便利ですけどもどかしいですよね。あくまで知れるだけですから・・・。」
女魔法「・・・・・・。」
女戦士「どうしようも無いけどな。私たちはあいつが戻ってくるの信じて進むだけだ。」
女魔法「でも、勇者戻ってきた時砂漠の前だったらどうしようね?」
女僧侶「もしかしたら冬が過ぎるまで足止めされるかもしれませんね・・・。」
女商人「いったいどれぐらいで戻ってくるのでしょうか・・・・・。」
女戦士「何年も侵入を拒み続けてる島だからなぁ・・・。最近は寝る時間短くて会えないから進展あったかも分からない。」
女魔法「そういえばもう寝ないの?」
女僧侶「まぁあとちょっとでつきますし、もうそこまで寒くないですし大丈夫でしょう。」
女商人「・・・すごく不安です。」
女戦士「気にするななんて言えないけどさ、気にしすぎも良くないぞ。きっと大丈夫だ。な?」
女商人「・・・はい。」
女戦士「あぁ暇だ暇だ。じゃんけんでもしようぜ。」
女魔法「ん。じゃんけん」
女戦士「ポン」
女戦士「まけたー。ひまだーうおー。」
女僧侶「なぜ暇つぶしに数秒で終わるような事を・・・」
女戦士「じゃぁしりとりでもするか?」
女商人「またですか?」
女僧侶「商人さん、意外と強いですよね。やっぱり旅してると違うのでしょうか。」
女魔法「・・・。」
女戦士「じゃあなにしろっていうんだよー。これなら5日歩き続けてる方がまだましだぜー。」
女僧侶「そっちの方がましだと言えるのはあなたくらいですね・・・。」
798 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:56:19.53 ID:hzmsnHkco
――――――――――――――――――――――――
外
ワーム「・・・」
ゴゴゴゴゴ・・・
ズォ・・・ズドオオオオオオオオオオオン!!!!!!
ワーム「っっっ!!」
ドザアアア!!
ワーム「ごぼっ」
ドサドサドサ ドサ
女戦士「な、なん・・・!」
ビュオオオオオ!!
女戦士「風!?」
パキパキパキパキ・・・
女僧侶「大量の水蒸気が・・・!」
パキパキパキパキ・・・
女魔法「極大火炎詠唱・・・っ!」
女魔法「げほっげほっ!!」
パキパキパキパキ・・・
女商人「さ、さむ・・・い・・・・・・!」
パキパキパキパキ・・・
女戦士「・・・げほっげほっ・・・!呼吸が・・・!」
ザッザッザッ・・・!
女戦士「足場が悪すぎる・・・。走れ、ない・・・!」
パキ
女戦士「ぐっ!目、が・・・!」
女戦士「水蒸気か・・・!」
女戦士「・・・っ!」
女戦士「・・・・・・。」
女戦士「・・・」
――――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
799 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:57:00.78 ID:hzmsnHkco
――――――――――――――――――――――――
?
ドサッ!
女戦士「っ!?」
ガバッ
?「起きたのか。丈夫だな。」
女戦士「ハァー、ハァー・・・。み、緑・・・人、か?」
?「・・・。」
女僧侶「・・・」
女魔法「・・・」
女戦士「ふ、二人とも・・・!」
?「寝てるだけだ。」
女戦士「・・・・・・お前が運んでくれたのか?」
?「そうだ。」
女戦士「・・・。」
キョロキョロ
女戦士「あ、あと一人、いなかったか!?」
?「知らん。お前がこの2人に覆いかぶさっていたから一緒に連れてきた。」
女戦士「あ、あと一人いるはずだ!私を元の場所に戻してくれ!!」
?「断る。」
女戦士「な、なぜだ!」
?「上で生きていたのはお前達だけだ。無駄だ。」
女戦士「なっ・・・!」
?「来い。あいつが呼んでいる。」
女戦士「ふざけるな!!無理矢理にでも、連れて行ってもらう!!」
?「・・・・・・。」
女戦士「私の刃に切られたく無ければ・・・!」
ボオオオオ!!
女戦士「火!?植物なのに・・・!」
?「植物だから、火に弱い。勝手な理由だ。」
?「お前達動物だって、火に弱い。」
?「選べ。そこの2人を見捨てるか、ついて来るか。」
女戦士「・・・っ!た、頼む!あと一人居るはずなんだ!」
?「2回目だ。上ではお前達以外生きていなかった。」
女戦士「そんなはずはない!お前の見落としのはずだ!!」
?「煩いぞ動物。お前達を拾ってこいと言われただけ、死体まで連れてくる義理は無い。」
女戦士「死体なものか!生きているはずだ!」
?「この時期上で生き続けられる生き物など居ない。」
女戦士「だとしても!見捨てるわけにはいかない!!」
?「この2人を見捨ててでもか。」
女戦士「・・・っ!」
?「殺したって意味はない。この火はあいつが出している。」
?「死んだって止まらない。」
800 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:57:27.95 ID:hzmsnHkco
女戦士「私は・・・!」
女戦士「・・・私は・・・・・・!」
女戦士「何が死んだって守るだ・・・!」
ザッ!
?「諦めたか。ついてこい。」
女戦士「くそ・・・くそっ・・・!!」
女戦士「・・・・・・。」
女戦士「・・・起きろ。」
トントン
女僧侶「・・・。っ!」
ガバ
女僧侶「せ、戦士さん!?二人は!?」
女戦士「魔法はそこにいる。商人は・・・」
女僧侶「しょ、商人さんがいったいどうしたのですか!?」
女戦士「・・・残されてるみたいだ。」
女僧侶「そ、そんな!あんな所に残されていたら・・・?」
女僧侶「そ、そういえばここはどこですか!?洞窟?」
女戦士「わからん・・・、とりあえず、あいつが私たちを助けてくれたみたいだ。」
女戦士「・・・ほら起きろ。」
ペシペシ
女魔法「・・・・・・。」
パチ
女魔法「・・・。」
キョロキョロ
女魔法「・・・商人は?」
女戦士「さっきの場所に残されてるみたいだ。」
女魔法「・・・あの・・・人が助けてくれたの?」
女戦士「そう、みたいだ。」
女魔法「ねぇ。もう一人見なかった?」
?「生きていたのはお前達だけだ。」
女僧侶「えっ・・・。」
女魔法「・・・っ!」
女戦士「・・・。」
女魔法「・・・・・・私たち以外に人は倒れてなかった?」
?「見ていない。お前達の周りに人はいなかった。」
女魔法「生きていたのはって言ってたけど、どういう意味?」
?「心臓を鳴らしていたのはお前達だけだ。」
女僧侶「心臓?」
?「そうだ。」
女魔法「どのぐらいまでなら聞こえるの?」
?「心音なら500mくらいだ。」
女魔法「その外にいたんじゃないの?」
?「それはない。」
女魔法「なぜ?」
801 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:57:54.41 ID:hzmsnHkco
?「あいつは耳がいい。」
女魔法「あいつ?」
?「知りたければついてこい。」
女魔法「ねぇ。私たちの仲間がまださっきの所にいるかもしれないの。探しに行っていい?」
?「だめだ。」
女魔法「何故?」
?「あいつが呼んでる。それにもう30分は立ってる。今更急いだって同じ。」
?「急ぎたければついてこい。」
女僧侶「・・・。」
女戦士「・・・。」
女魔法「大丈夫。生きてるよ。」
女戦士「・・・そう、だよな。」
女僧侶「そ、そうですよ。そう簡単に死にませんよ。」
――――――――――――――――――――――――
洞窟? 通路
女魔法「ここはどこなの?」
?「上の下。」
女僧侶「上・・・。」
女魔法「砂漠の地下って事?」
?「そうだ。」
女魔法「ここはなんで暖かいの?」
?「あいつが居るからだ。」
女魔法「ここはなんで空気があるの?」
?「上にも空気はある。」
女魔法「あなたは植物系魔物なの?」
?「・・・魔物、とは少し違う。」
女魔法「じゃぁ何?」
?「植物人間、が近い。」
女魔法「サボテン?」
仙人掌「サボテンだ。」
女魔法「なんで私たちに針刺さってないの?」
仙人掌「しまえる。」
女魔法「名前は?」
仙人掌「ない。」
女魔法「私たちこれからどうなるの?」
仙人掌「知らない。」
女戦士「・・・。」
女僧侶「・・・。」
女魔法「どうしたの?」
仙人掌「どうもしない。」
女魔法「あ、ごめん。あなたじゃない。」
仙人掌「そう。」
802 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:58:20.67 ID:hzmsnHkco
女戦士「い、いや。冷静だと思ってよ。」
女僧侶「・・・。」
女魔法「状況を確認しておいた方がいいと思ったから。」
女僧侶「・・・商人さん、大丈夫でしょうか・・・・・・。」
女魔法「本当は今すぐ探しに行きたいけど・・・」
女戦士「それはあいつが許してくれない。」
女魔法「・・・。」
女戦士「私たちは今の所あいつに従うしかない。脅してみたけど平然と脅し返された。」
女僧侶「ね、ねぇ。お二人とも、気付いて、いますよね?」
女戦士「・・・。」
女魔法「・・・・・・うん。」
女戦士「まだ分からない。壊れてるかもしれない。」
女僧侶「そ、そうですよね。も、もしくは取れちゃっただけとか・・・。」
仙人掌「着いた。」
女戦士「・・・?行き止まりじゃないか。」
女僧侶「あなたが言っていたあいつって一体・・・」
ブォオオオオン
女魔法「・・・?」
ブオン
赤色の球体「・・・・・・」
女戦士「! な、なんだこいつ!」
女僧侶「こ、これは・・・?」
女魔法「エレメンタル・・・」
仙人掌「なんだとはひどいな。」
女戦士「え!?」
女僧侶「ど、どうしました?」
女魔法「・・・。」
仙人掌「ん?察しが悪いな。こいつの発声器官を借りてるんだ。それぐらい分かれ。」
女魔法「・・・あなたが助けるように言ってくれたの?」
仙人掌「言う、とは違うなぁ。伝えたが正しい。私は喋れないのでな。」
803 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:58:54.23 ID:hzmsnHkco
女戦士「な、なぁ。まだ上に一人いるはずなんだ。連れてきてくれないか?」
仙人掌「んー?あの周辺に倒れたのはお前達だけのはずだぞ。」
女戦士「そんな馬鹿な!私は見たぞ近くに商人が落ちてたの!」
仙人掌「そんな事言われても私は知らん。お前の勘違いではないか?」
女戦士「そんなわけないだろう!」
仙人掌「あーあー声を荒立てるな。私だってな常に砂漠全体に気を配ってるわけじゃないんだ。」
仙人掌「水蒸気爆発が起きた時にいつもより重量感のある音がしたからな。お前達を見つけたのはたまたまだ。」
女僧侶「水蒸気爆発・・・?」
仙人掌「お前達が見事にはまっていた爆発の事だ。はははは本来冬に入る時期にしか起きない。運がいいな。」
女魔法「・・・それで、なんの為に私たちを呼んだの?」
仙人掌「ん?暇だからだ。もう何億年生きたかなー何千年だったか。もう時間の概念すら曖昧だはははは。」
仙人掌「発声を封じられた所為でまともな魔法が使えなくてなー。こいつを作ってみたはいいものの出力が足りず結局まともな魔法が使えん。」
女僧侶「・・・何千年・・・・・・。」
女魔法「悪いけど、私たちはもう一人の仲間を探さなきゃいけない。もとの場所に戻して。」
仙人掌「戻ってどうする。」
女戦士「探すって言ってんだろ!」
仙人掌「無鉄砲だな。それとも救いようのない馬鹿か。己の状況すら顧みれない阿呆か。」
女戦士「なに・・・!」
仙人掌「お前達が戻った所でどうにもならない。生物は皆死ぬものだし、お前達の防寒程度では間違いなく死ぬ。」
仙人掌「戻ったとして、あわよくばお前たちの仲間が見つかったとしてその後どうする。街まで歩くか。方角も分からぬまま。」
女僧侶「そ、それは・・・。」
仙人掌「まぁいいではないか。私遊んでいけ。」
女戦士「じゃ、じゃあ!私たちを戻すのが駄目ならせめてもう一度探してきてくれ!」
仙人掌「私は別にお前達を放って置いてもいいのだが。」
女戦士「頼む!大切な仲間なんだ!」
仙人掌「そもそも私はここから動けない。だからわざわざこいつに行ってもらったのだ。こいつが見つけられなかったのなら居ないはずだ。」
女戦士「だからいるはずなんだ!私たちは4人でワームに乗っていたら爆発で振り落されたんだから!すぐ近くに落とされたはずだ!」
仙人掌「ふん。だとしたらその後に起こる風で埋まってしまったのかもしれないな。そうなったらもう見つからん。」
仙人掌「一体この上にどれだけの骨が埋まっているのか。死者に添えるのは花だけで十分だ。」
女戦士「どうしたら上に戻してくれる!?何をすればいい!?」
仙人掌「どうしても上には戻さないし、何もしなくていい。」
女戦士「だったら・・・!力で従わせる!」
ジャキン!
女僧侶「ちょ、ちょっと!」
女魔法「・・・。」
仙人掌「ははっ!やってみるか人間!いいぞ久しぶりだ!こんなバカは!」
804 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:59:20.62 ID:hzmsnHkco
仙人掌「だが普通にやれば消し炭が三つ出来るだけだ。なにか私に制限でも掛けようか。」
仙人掌「よし!私はこいつを使ってのみの魔法にとどめよう!それならばいい勝負とやらが出来るだろうな!」
女戦士「真空斬り!!」
仙人掌「真空魔法詠唱完了」
バシュン!!
女戦士「なっ・・・!」
仙人掌「はははは魔法を使う奴には詠唱が必要だからトロいとでも思っていたか?嘗めるなよ人間。」
女魔法「・・・氷冷障壁詠唱開始」
女僧侶「もうっ・・・!自動回復魔法大詠唱開始」
仙人掌「おうおう人間お得意の汎用魔法か。不便な物だなはははは。」
女戦士「退魔代4代目が奥義!!」
仙人掌「む」
女戦士「隼!!」
ピヒョオオオ!!
ガキン!
女戦士「な・・・!?」
仙人掌「こいつに攻撃する事は許さん。」
ズガ!
女戦士「ぐっ!」
ズザザ!
女魔法「詠唱完了これで熱は軽減される。」
仙人掌「お前達にも制限を掛けよう。こいつを狙う事を禁ずる。」
仙人掌「もし次こいつを狙う事が有れば容赦なく消し炭にする。」
女魔法「雷矢太」
バシュウ!
ズバン!バリバリバリバリ!
赤「・・・」
仙人掌「ふんこんな物か。やはり人間の魔法など・・・」
女僧侶「詠唱完了」
女戦士「ハアアア!!」
ズダ!
仙人掌「火山連岩詠唱完了」
ガガガガガガ!
女戦士「っ!」
ガキガキガキガキ!
ドサッ!バッ
女戦士「くっ!」
ジュウウウ!
女僧侶「回復魔法中!」
女戦士「詠唱ほぼ無しでこの威力か・・・!」
女魔法「障壁魔法物理大詠唱開始」
仙人掌「防ぐだけというのも中々だな。しかしこいつを使ってもこの実力差・・・人間は弱いな。」
女戦士「退魔代4代目が奥義!」
女戦士「隼!」
ピヒョオオオオ!
ズバン!
女戦士「連なり3代目奥義!」
女戦士「十文字!」
ズバズバ!
仙人掌「高速の突進突き・・・それだけではないな剣の幅と切れる範囲に違いが出ている。」
仙人掌「しかし私に剣撃とは人間は・・・」
シュウウウウ
805 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 01:59:48.25 ID:hzmsnHkco
赤「・・・!」
女戦士「退魔代12代目が奥義!」
赤「・・・」
ブオン
女戦士「三日月!」
スカ!
女戦士「!どこに消えた!」
仙人掌「火山連岩詠唱完了」
女魔法「詠唱完了」
ガガガガガガ!
女戦士「ぎっ!」
ガキガキガキガキガキガキ!
仙人掌「火魔法縄詠唱完了」
ボオオオオオ!!
女魔法「地面隆起魔法大詠唱開始」
女戦士「くっ・・・!」
ジュジュ
仙人掌「火山岩中詠唱完了」
ズゴン!!
女戦士「っ!」
ズバン!
ドガンドガン!
仙人掌「爆発中詠唱・・・」
女魔法「詠唱完了」
ズゴゴゴゴ!ドゴン!
女僧侶「回復魔法中!」
女戦士「ぐっ・・・!え、詠唱が早すぎる・・・!」
女僧侶「魔法さんが閉じ込めてくれました!取りあえずは・・・!」
女魔法「・・・あのサボテンさん、一歩も動かなかったね。」
女戦士「そ、そうだったか・・・?」
女僧侶「すいません攻撃が激しくて近づけませんでした。」
女戦士「しょうがない!気にするな!しかしあいつどこへ・・・!」
女魔法「まだそこにいるよ。」
女戦士「何!?み、見えないぞ!」
女魔法「うん。階層移動っていって私たちとは違う所に行けるみたい。予備詠唱Lv5MAX。」
女僧侶「ど、どうすれば・・・。」
女戦士「あのサボテンを狙うしかないか?」
女魔法「・・・それはやめた方がいいと思う。全然手加減してるみたいだし・・・。自分から制限をしてくれてるからそこをついて・・・。」
女戦士「でも今赤い奴を狙えない、それだと耐えるだけ・・・」
ズボ!
女戦士「っ!」
仙人掌「はははは驚いた。まさか私に物理で傷をつけるとは。いつの間に人間はそんな技術を身に着けたのだ?」
806 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:00:20.49 ID:hzmsnHkco
仙人掌「あぁ、まったく技の応酬などいつ以来か。本気でやれない事がもどかしいが、それでも楽しい物だな。」
女魔法「ねぇ、そのサボテンさん大事なの?」
仙人掌「んん?こいつか。まぁ私以外の知性ある存在はこいつしかいないからな。いい暇つぶしになる。」
女魔法「それだけ?」
仙人掌「なんだ。まさか人間の様に愛やら情やらを込めているとでも?」
女魔法「うん。」
仙人掌「はははは人間は愚かだな。口が利ければ己と同じような存在だと思い込む。」
女魔法「だって壊れても作り直せば済むでしょ?なんで?」
仙人掌「材料が無いだけだ。こいつが死んだら作り直すことも出来ん。」
女魔法「虫を使えばいいでしょ?地面に潜ってくるって聞いたよ。」
仙人掌「賢しいな。確かにそうだ。では私の作品を見てみるか?」
女僧侶「さ、作品?」
仙人掌「この洞窟では手狭だなぁ。ふふふふはははは」
ブオン!
女戦士「!」
赤『Вза?мна землю гуркотом сп?вати』
仙人掌「大地鳴動詠唱開始」
女魔法「! 魔力の流れを共有・・・?」
女僧侶「は、離れますよ!」
仙人掌「詠唱完了」
ズゴン!!
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・!!!!!!
女僧侶「きゃぁ!」
女戦士「うお!」
女魔法「っ!」
ドサドサドサ
ゴゴゴォォオオオオオオオオオオ!!!!
仙人掌「このくらい広ければお前達も少々は善戦できるだろうな!!」
赤『Друк рел?з』
ズゴン!ドスン!
虫「ギシ!ギシ!」
女僧侶「な、む、虫、ですか?!」
女戦士「私の陰へ!」
女魔法「・・・。」
仙人掌「さて!説明しようか!そいつはこの砂漠特有の進化を遂げた虫を元に私が作り出した」
虫「ギシィイ!!」
口≪ボオオオオオオ!!≫
女戦士「避けろ!」
ザザザ!
仙人掌「戦闘を主眼に置いた物で元々移動を激しくする種類では無かったため魔法攻撃を主体とし」
虫「ギチュギチュ!」
ブオン!
ゴゴゴオオオオオ!
女戦士「!? 火!?」
女魔法「気流魔法詠唱完了!」
ドヒュウ!
807 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:00:42.22 ID:hzmsnHkco
虫「ギシギシ」
ブオン!
仙人掌「発声器官はつけなかったがその分魔力操作に重点を置き詠唱無しで魔法を行使する事が」
ジャボン!
女僧侶「っ!」
ザッ!
バシャア!
女戦士「うおおおおお!」
ズダン!
ブオン!!
虫「ギチュ」
地面≪ズガァン!≫
女戦士「しゃらくさああああい!!」
ズバン!
虫「!?」
シュウウ!
仙人掌「無論回復魔法も可能だが今回お前達の技術によりほぼ無効化されるようだがその分攻撃に」
虫「ギシャ!」
地面≪ズガァンズガァン!≫
ドガ!
女戦士「ぐっ!」
女僧侶「ハァアア!」
ズガン!
虫「グガ」
ドサ!
女魔法「雷矢太」
バシュウ!
ズバン!
虫「ギチュア」
バリバリバリバリ!
虫「・・・」
仙人掌「む?死んでしまったか。体内に水をためる種だからな。細胞が焼けてしまったか。」
虫≪ギシギシギシ≫
女戦士「っ! 離れろ!」
ダッ!
女僧侶「っ!」
ダッ
女魔法「地面隆起魔法中詠唱完了」
地面≪ズズズズ≫
ズガァアン!
ベシャベシャベシャ!
女戦士「死ぬと爆発か・・・!」
女僧侶「皆さん大丈夫ですか!?」
女魔法「平気。」
女戦士「平気だ!」
808 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:01:16.22 ID:hzmsnHkco
仙人掌「なるほどなかなか参考になるな。では次だ!」
ズゴン!ズガン!
人骨「・・・」
女僧侶「ひ、人の骨!?」
女魔法「・・・!」
女戦士「へっ!スケルトンか!」
人骨「・・・」
仙人掌「お前達の死体だ!私が動くように作り変えた!」
人骨「・・・」
ズガ!
女戦士「フッ!」
人骨「・・・」
ヒュンヒュンヒュン!
女戦士「フッフッフッ」
ガキンガキンガキン!
女戦士「オラァ!」
ズバン!
人骨≪ガランガラン!≫
仙人掌「ほう。」
女戦士「スケルトンは崩れても戻る!だったらぶった斬っちまえば問題は無い!」
女僧侶「ふ、普通は魔法で崩すのが一般的ですけど・・・。」
女魔法「力技。」
女戦士「ちゃんと急所狙ってるよ!」
仙人掌「ハハハハじゃぁこれはどうだ!」
ズゴン!ズガン!
虫人骨「ギシギシ!」
ゴオオオオオオ!
女魔法「気流魔法!」
ビュオオオ!
虫人骨「ギシギシ」
ボオオ!ボオオ!
女僧侶「ほ、炎が剣の形に・・・!」
仙人掌「お前達人間の出力では不可能な魔力剣だ!さぁどうやって剣撃を受ける!?」
女戦士「はっ!真空斬り!」
ズバン!
虫人骨「ギシィ!」
ブシュウ!
女魔法「雷魔法横雷」
虫人骨「ギシ!」
バシュウ!
女魔法「念力魔法」
ガシ!
虫人骨「ギシギシ!」
女僧侶「ふぅ!」
ズガン!
足≪ガランガラン≫
女戦士「退魔代4代目が奥義!」
女戦士「隼!」
ピヒョオオオ!
809 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:01:43.72 ID:hzmsnHkco
ズ
バゴオオン!!
ベショベショ
ガランガラガラガラ・・・
女戦士「受けるまでも無い!」
仙人掌「はははは中々楽しいな。なるほど競い合わせるというのはいい暇つぶしになりそうだ。」
女魔法「ねぇ!なんでこんな所にずっといるの!」
仙人掌「ん?さっき言わなかったか?私はここを移動する事が出来ない。楔を打ち込まれているのだ。ここに居るのは私の意志ではない。」
女魔法「楔って!?」
仙人掌「お前たち人間ごときの限界出力では傷一つつける事は出来ない星座標固定式の転真魔術による部分封印だ。」
仙人掌「アストラル界にてあいつが施した杭が私の体を星に縫い付けている、といった方が人間にはわかりやすいか?」
女僧侶「転真魔術・・・!」
女戦士「そ、それって勇者の使ってた・・・。」
女魔法「あいつって誰!?」
仙人掌「特に名前を付けた覚えもない。さぁてまだ私が作った生き物はいるぞ。お前達どこまで耐えられるか・・・」
ズズン!!
女戦士「ま、またここ広げるつもりか!?」
女僧侶「それとも今までのより大きい物でしょうか。」
女魔法「・・・?」
仙人掌「どうした。」
赤「・・・」
仙人掌「分かった。お前も早く隠れろ。」
ゾゾゾゾ・・・
女戦士「サボテンが潜ってった・・・。」
女僧侶「何が来るんでしょうか!?」
女魔法「こっちきて。予備詠唱Lv5MAX」
赤「・・・」
ズズズ・・・・・・
ズゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!
ザザァァァァ・・・
女戦士「な、なんだぁ!?」
女僧侶「天井が割れていく・・・!」
女魔法「っ!」
810 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:02:10.79 ID:hzmsnHkco
魔王「おお居た居た。久しぶりだな赤団子。」
赤「・・・」
ゴゴオオオオ・・・
スタっ
女戦士「だ、誰だあいつ!?」
女僧侶「し、知りませんよ!」
女魔法「・・・っっ」
魔王「ハハハ相も変わらずだな。なに別段お前に予定があるというわけでもない。無論解放しに来たわけでもない。」
魔王「ここいらで土人形を見なかったか?いや、聞かなかったか?」
赤「・・・」
魔王「そうか・・・。あぁ、なに無線標識が飛んできたものでな。何分おおざっぱなモノでここいらとしか分からないんだ。」
魔王「さてもう一度聞こう。俺の性格は知っているな。」
魔王「この砂漠に人型を感知しなかったか?」
赤「・・・」
魔王「ふうむそうか。それは・・・」
魔王「カオス分化」
赤「!!!」
ゴボゴボゴボゴボ
魔王「・・・・・・随分と残念な話だなぁ?仕方がない俺は帰ると・・・」
赤「・・・っ!」
ボコボコボコボコ!!
魔王「ははは最初っから素直に教えて置けばいい物を。全くお茶目だな♪」
赤「っっ!」
バシ!ビシ!
魔王「解除」
赤「・・・っ」
ぶしゅううぅぅ・・・
魔王「全くかわいい物だな兄上?あぁ意味は分かるか?人間の二人称の一つで同じ存在から生まれた者の中でも遅れて生まれたものが・・・」
赤「・・・っ」
魔王「伝えられなくともそうするさ。回収してからな。」
魔王「・・・やぁ久しぶりだな人間!」
バッ!
女戦士「っ!」
女僧侶「だ、誰ですか!?」
女魔法「・・・・・・。」
811 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:02:37.58 ID:hzmsnHkco
魔王「誰、か。そうだな。愛の伝道者とでも伝えておこうか。」
女戦士「・・・。」
魔王「む?・・・ふむ。」
スタスタスタ
女戦士「ち、近づくな!」
ジャキ!
魔王「懐かしい・・・。魔力進化させた名残か。」
スタスタスタ
女戦士「後7歩近づいたら斬る!」
魔王「そう邪険にするなよクリスチーヌ。」
スタスタスタ
女戦士「私はそんな名前じゃない!」
魔王「そうだったか?いや最近物忘れが悪くてな。」
スタスタスタ
女戦士「・・・っ!」
魔王「・・・さて。」
魔王「どうする?」
スタ
女戦士「真空斬りぃ!!」
ズバン!
バシュウ!
魔王「・・・おいおいなんだそれは。俺がつけた能力を行使しろよ人間。」
女戦士「なに・・・!」
魔王「しかし・・・考えてみれば魔力も使用せずに疑似真空魔法を使ったと考えればそれはそれですごい事か。」
魔王「人間とはやはり楽しいな。面白い。もう一度見せてくれ。」
女戦士「貴様・・・!」
魔王「あぁ一度破られたなら使う価値などないか。では・・・」
魔王「カオス剣」
ブオン!
魔王「・・・よし。さて、どうする?」
女戦士「・・・っ!」
女僧侶「せ、戦士さんっ大丈夫ですか?す、すごい汗・・・!」
女魔法「・・・。」
魔王「一歩が踏み出せないか・・・・・・。まぁ、所詮人間。それが普通。」
魔王「しかーし私はこういう時どういった行動をすれば人間が動くか知っている。」
魔王「魔力掴み」
女魔法「あっ!」
ギュオン!
女戦士「魔法!?」
女僧侶「魔法さん!?」
812 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:03:14.52 ID:hzmsnHkco
女魔法「ぐっ・・・!念力魔法・・・!」
魔王「念力魔法か・・・。念力魔法に対抗するには念力魔法が普通か。」
魔王「残念だな。俺のは念力魔法ではない。」
女魔法「ぎぎぎ・・・っ!」
魔王「阻害」
女魔法「っ!?えっ!?」
女戦士「魔法を離せぇぇぇ!!!」
ズダッ!
ブオン!
ガキン!
魔王「そうだ。来い!見せてみろ!」
女戦士「うあああああ!!!」
ガキンガキンガキンガキン!!
ガキンガキンガキン!!
魔王「・・・。」
女戦士「退魔代2代目が奥義!!」
女戦士「弐撃一献!!」
魔王「・・・!」
ズバン!!
魔王「ほうほうほうほう。全く同時に挟み込む剣戟・・・。素晴らしい。」
女戦士「む、無傷!?」
魔王「誉めてやろう。魔力掴み」
女戦士「ぐあっ!」
魔王「いいこいいこ。」
女戦士「や、やめろ!くそ!」
魔王「いやぁ中々に楽しい。人間との触れ合いは荒んだ心を癒してくれるというものだ。」
女僧侶「ふ、二人を離して!!」
魔王「・・・ふむ?外見から察するに白団子がらみの宗教関係か?」
魔王「実物を一度も見ていない癖によく信じ込めるな。いや、何度も見ているが忘れているだけか。」
女僧侶「早く離して!」
魔王「ふむ。いいぞ。」
女魔法「っ!」
女戦士「うわっ!」
ドサ!ドサ!
魔王「確かあいつの宗教関係は人間特有の汎用魔法が得意だったな。少ない魔力をやりくりする必要があるなど涙を誘う。」
魔王「魔力回路を利用した回復魔法が最大の売りだったか。どれ。」
ズバン!
女魔法「あああっ!」
ブシュウ!
女魔法「いぎぎ・・・っっっ」
ドクドクドク
女僧侶「ま、魔法さん!か、回復魔法大!」
女魔法「ううう・・・っっ」
女僧侶「げ、外道!!」
女戦士「てめぇ・・・!!」
魔王「よく出来ました。なるほどこのパーティは中々に上等な様だな。」
813 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:04:00.64 ID:hzmsnHkco
女魔法「ふぅ・・・ふぅ・・・。」
魔王「あぁ、人間には痛みがあるんだったか。それは悪い事をしたな。」
魔王「・・・お、見つけた。」
魔王「遠隔魔力操作、転送術式」
バシュン!
女商人「・・・」
女戦士「しょ、商人!?」
女魔法「・・・っ!?」
女僧侶「商人さん!?」
魔王「おうおう目立った外傷も無し。型番は・・・あぁ、私が一番新しく作った奴だな。」
魔王「人間の生命反応消失点での機能停止実行中・・・あぁそういえばそんな機能も付けていた。」
女戦士「お、お前何を・・・!」
女僧侶「型番!?作った!?」
魔王「ん?そういえばお前達これと一緒に居たのか?はは気付かないとは相当にぶい。」
女魔法「これなんて言わないで!!」
女戦士「今すぐ返せ!そいつは私たちの仲間だ!!」
女僧侶「そうです!断じてあなたが作ったものではない!!」
魔王「・・・・・・ふむ。様子がおかしい。人間だと信じ込めるほど出来がいいわけではなかったはず・・・」
魔王「魔力透波」
魔王「・・・・・・」
女戦士「離せって言ってんだろ!」
ズダン!
ヒュオ・・・
魔王「魔力殴り」
ズガン!
女戦士「っ!?」
ザザ
女魔法「雷矢太」
バシュウ!
魔王「魔力遮断」
シュン
女魔法「!?」
魔王「・・・これは・・・・・・」
魔王「記憶は?・・・ははは。」
魔王「ハハハハハハ」
魔王「ハハハハハハハアッハハハハハハハ!!」
女戦士「!?」
女魔法「!?」
女僧侶「!?」
魔王「まさか!まさかな!微塵も想定していなかった!!」
魔王「なんてことだ!!あぁなんてことだ!楽しい!楽しいな!!」
魔王「結婚だと!?恥じらいだと!?想いだと!?」
魔王「まさかまさかだ!私は疑似ではない人間を作り出すことに成功した!!」
魔王「そうだ!これこそだ!あぁぁああああなんて嬉しい事だろうか!!」
814 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:04:27.67 ID:hzmsnHkco
魔王「おまけにこの本!人間の発想の集大成!」
ガサゴソ
魔王「ふふふ、ふふふふふふ!」
本≪パラパラパラパラ≫
魔王「なんとも単純な構造だ!無駄も多い!しかし・・・!」
魔王「この発想!面白い!」
魔王「物質を爆発で飛ばす!原始的だ!だからこそ俺にはない発想!!」
魔王「爆発の方向性を限定するために筒で多い発射物の真後ろに爆発物をはさみ爆発させる!」
魔王「こんな感じか!?」
ぐにゅううう・・・!
ズゴォォン!!
女魔法「なっ・・・!!」
魔王「あぁやはり物質は人間の方が優れているな!いい発想だ!」
魔王「単純なものだけに拡張性が高い!いいな!魔法を挟める要素が多い!」
女戦士「っ!」
バッ!ガシ!
魔王「む?」
ザザ!
女戦士「ふぅ!」
女商人「・・・」
女戦士「逃げるぞ!」
ズダッ!
女魔法「どこに!?」
女僧侶「私たちが来た道を戻るしかありません!!」
魔王「まてまてまてそれを持っていくな困る。」
本≪ペラペラペラ≫
ボヨン
女戦士「ぐっ!?」
女魔法「な、なにこれ・・・!」
女僧侶「見えない膜のような物が・・・!」
女戦士「ぶった切る!!」
ヒュ
ブオン!
ズバ!
ダッ!
ダダダダダダ・・・
魔王「うーんせっかくの研究資料が・・・。まぁゆっくり追うか。いつも飛んでいるか座っているかだからな。歩いていくのも悪くない。どうせこの先行き止まりだ。」
本≪ペラペラペラ≫
815 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:04:54.73 ID:hzmsnHkco
砂漠地下洞窟
女魔法「・・・っ」
女僧侶「魔法さん!?だ、大丈夫ですか!?」
女魔法「へ、へい・・・き・・・。」
女戦士「どうした!?」
女魔法「ちょ、ちょっと寒いだけ・・・。」
女戦士「そうかさっきあいつに背中斬られたから・・・!あたしの着ろ!」
女僧侶「血も大量に失いましたからね・・・!あの人絶対に許さない!」
女僧侶「さ、魔法さん私がおぶります!早く!」
女魔法「ありがと・・・。加速呪 ×2」
女戦士「よし行くぞ!」
女僧侶「魔法さん頑張って!」
――――――――――――――――――――――――
女戦士「くそっ!行き止りか!」
女僧侶「どうします?恐らく追ってきてますよ?」
女戦士「・・・っやるしかない!」
女僧侶「無理です!さっき手も足も出なかったのに!」
女戦士「でもこのままじゃ壁を背に戦うことになる!退路が無い状況は危険だ!」
ズズ!
女戦士「っ!」
ガシャ!
ズズズズズ
仙人掌「・・・。」
女僧侶「あ、あなたは・・・。」
仙人掌「・・・・・・大地鳴動詠唱開始」
女戦士「何をする気だ!」
仙人掌「詠唱完了」
ズゴゴゴゴ・・・!
仙人掌「着いてこい。」
女僧侶「・・・。」
女戦士「くっ・・・、行くぞ!」
816 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:05:35.88 ID:hzmsnHkco
ズゴゴゴゴゴ・・・
女戦士「こ、これどこ行くんだ!?走ってる速さと同じくらいでどんどん前開いていくけどよ!」
仙人掌「砂漠の外だ。」
女僧侶「う、後ろもしまっていくんですけど・・・これ転んだらどうなります?」
仙人掌「潰れて死ぬ。」
女魔法「・・・なんで助けてくれるの?」
仙人掌「アイツの思い通りにさせたくない。」
女戦士「・・・なんだ。感情無いのかと思ってた。」
仙人掌「・・・。」
女戦士「・・・で、でも待て。これあとどのぐらい走らなきゃいけないんだ?」
仙人掌「20分くらいだ。」
女戦士「僧侶いけるか?」
女僧侶「あ、足がもげたって走りますわ!」
仙人掌「動物は走ると足がもげるのか。」
女僧侶「例えです!」
――――――――――――――――――――――――
極寒砂漠外
女戦士「はぁ!はぁ!」
女僧侶「ぜぇーぜぇー」
仙人掌「さよならだ。」
女魔法「あ、ありがとう・・・。」
仙人掌「・・・。」
女戦士「ふぅ・・・ふぅ・・・さてこれからどうするか・・・。」
女僧侶「ぜーぜー」
女魔法「撒けたのかな?」
女戦士「ふー・・・ふー・・・あいつわざわざあの赤い奴に聞きに来てた。っていう事はあんまり正確な位置を知れないって事だろ。きっと大丈夫だ。」
バシュン!
女戦士「っ!」
魔王「パタンっと。」
本≪パタン≫
魔王「さて・・・と。」
本≪バシュン!≫
魔王「いやー悪いな。君が肩に担いでるのうちのなんだよね。今まで預かってくれてありがとう。返してくれないか?」
女戦士「ふ、ふざけろ!やなこった!」
女僧侶「わ、わたしませんよ・・・ぜぇ・・・」
女魔法「・・・っ。」
魔王「人間の仲間意識、か。うんうん何やら感銘深いな。社会に完全に溶け込んで、他者から信頼を置かれている確かな地位を確保しているとは。」
魔王「昔俺は人間の研究をしていてな。その時に情報収集の為に数体の土人形を作って人間社会に放ってみたんだ。」
魔王「でー大概は回収したと思っていたんだ。何おおざっぱな性格でな、あんまり作った数など覚えていなかったんだが・・・」
魔王「それで懐かしい無線標識を受信したから見に来たんだ。いやー驚いたものだ。まだ回収が済んでいなかった土人形が居たとは。」
817 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:05:59.29 ID:hzmsnHkco
魔王「まぁ回収してからの方が驚いたけどな。まさか人形が人間になるなど。思えばそいつは特別性だ。その所為か。」
魔王「そいつはそれなりに苦心したんだ、今の今まで忘れていたが。疑似魔力回路を作り上げ、外見は細部までこだわり人間と違いなどない。」
魔王「肌の弾力や髪の毛の艶などもな。そうだ思い出してきた何より苦労したのが食物を消化する機能だ。他の土人形はそこまでの機能は・・・」
女戦士「ぺらぺらと・・・!」
魔王「なんだ聞きたくないか。そいつは人間の経済状況を自分で考え一定量の儲けを出すために有効な資産運用を行うように設定して・・・」
女僧侶「商人さんは人間です!!断じて人形ではありません!!」
魔王「確かに今証明する手段はそいつの破壊程度しかないか。しかしそんなもったいない事は出来ないしな。」
魔王「私はこれでも人間は好きだぞ?その証拠にだな、今の今までお前達が生きている。」
女魔法「・・・。」
魔王「邪魔ならば殺せばいい。お前達の観点から例えるなら・・・そうだ、蟻を踏むようなものだ。それだけで済む話だ。」
魔王「それだけの力量の違いがあるのだ。伊達に魔王は名乗っていない。」
女戦士「魔王!?」
女僧侶「そ、そんなまさか・・・!」
女魔法「・・・勇者の敵!!」
魔王「あ、言ってしまった。まいったまいった。まぁいい。」
魔王「そのとーり私は魔王だ。魔力の王、魔法の王、私は魔力を有する存在の中での一等賞だ。」
魔王「故に魔王と名乗っている。さて、いまそっちの小っちゃい子が気になる単語を言っていたが・・・。」
魔王「・・・・・・あぁ。そうだそうだ記憶を除いたときにも平然と出ていたな。まさかまさかだ、私の土人形が白団子の兵と恋仲など。」
女戦士「お前が・・・!お前が!あいつを一人ぼっちにしていた原因!」
トサ
ガチャ!
女戦士「退魔代13代目が奥義!」
魔王「五月雨裂発!!」
ガキキキキン!
女戦士「なっ・・・?!」
女僧侶「・・・っ?!」
魔王「懐かしい・・・そうだそうだ、四方向からの高速の斬撃。あいつが編み出してからまるで猿のように・・・」
女戦士「な、なんでこの技を知ってる!?」
魔王「俺は人間として居たこともあった。その時の友人がお前のえー・・・とまぁ先祖なんだ。」
魔王「ははは思い出してきた。あいつは才能が無い才能が無い口癖のように漏らしていた。はははその所為で彼女が振り向いてくれないんだーとか・・・」
女僧侶「い、いったいあなたは・・・!」
魔王「あぁ思い出すとなかなか素晴らしい日々だった。また紛れ込んでみるのも楽しそうだ。ん?俺?」
魔王「魔王だよ。100年ほど前に神に封印されてしまったんだ。いやーあの時も楽しかった。人間と戦争ごっこをな・・・」
女魔法「戦争、ごっこ・・・。」
魔王「俺は自由奔放に楽しく暮らしていたが白団子に怒られてしまってな。あぁ思い出してきた怒られていなかった問答無用で封印された。」
魔王「まさか出会いがしらの人間が自分の肉体を犠牲にしてまで封印してくるなど思いもしなかった。全く。」
818 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:06:37.34 ID:hzmsnHkco
魔王「まぁただで封印されるのも癪であったから自爆してきたあいつの魂をたどり俺の魂と繋げてやった。」
魔王「おかげで色々することが出来て封印を解いてやった。気楽にやっていたら100年かかったけどな。」
女戦士「・・・っ。」
女僧侶「・・・っ。」
魔王「さて・・・俺はそいつを連れて帰って研究をしたいんだ。この・・・魔法銃とかいう技術も面白そうだが・・・。」
魔王「土人形が意志を持つなど本来ありえないからな。どういった経緯を辿ったかとても気になる。」
魔王「ここまで喋ったんだ。もういいだろう。連れて帰るぞー。」
魔王「転送術式」
バシュン!
女戦士「あっ!しょ、商人!!」
女僧侶「返してください!た、例え人形だとしても大切な友人です!!」
女魔法「・・・・・・。」
魔王「おおお・・・泣けてくるな。子供を持つ親の心境とはこんな感じか。いやー新鮮だ。」
魔王「・・・どれ。魔力掴み」
女僧侶「ぐっ!」
女魔法「うっ・・・!」
女戦士「離せぇ!」
ブオン!
魔王「気絶矢」
ズガアン!!
女戦士「っ」
バタっ
女僧侶「戦士さん!!」
女魔法「戦士!!」
魔王「別に死んでない。うん。この子は少なからず耐性があるな。」
ガシ
女魔法「あっ!」
女僧侶「は、離して!何をする気ですか!?」
魔王「情報伝播には魔力的な接続が必要だ。今私は魔力を極限まで圧縮して触れれるまで濃度を高めているが・・・」
魔王「経験があるだろう。私の魔力にあてられた事がな。」
女魔法「ああああ゛あ゛あ゛っ」
ガクン
女僧侶「ま、魔法さん!?魔法さん!!」
魔王「寝ているだけだ。しかし性別の情報を持つことにより私の魔力にあてられた時の反応が変わるのは面白いな。いつもなら気絶するだけなんだが・・・」
ブン!
ドザァ!
女僧侶「うぅ!」
魔王「・・・おや。この子から何か高濃度な魔力の匂いが・・・」
ゴソゴソゴソ
女魔法「・・・」
女僧侶「離しなさい!」
ズダ!
ブオン!
魔王「これは・・・」
ガキン!
女僧侶「くっ・・・!」
ズガン!
女僧侶「あぁ!」
魔王「・・・種子、か。貰っておこう。核に使える。」
魔王「ではまたな。転送術式」
バシュン!
819 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:17:27.55 ID:hzmsnHkco
女僧侶「・・・くっ・・・・・・。連れて、行かれちゃった・・・!」
女僧侶「何もっ・・・出来なかった・・・!」
バシュン!
ゴトゴトゴト
女僧侶「っ!・・・私たちの、荷物・・・・・・。」
女僧侶「うぅ・・・商人、さんっ!グスッグスッ!」
女僧侶「ふ、二人をおこさなきゃ・・・。」
――――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
バシュン!
迷子「わぁ!?」
勇者「・・・ここは・・・」
迷子「えっ!?えっ!?」
キョロキョロ
勇者「・・・俺が居た森・・・?」
迷子「まぶしい!あれ!?葉っぱの色が違う!」
勇者「・・・・・・どういう事だ?ここにエレメンタルが・・・?」
迷子「は、はっぱさんはっぱさん!ここどこ!?どこ!?」
勇者「ここは・・・俺が済んでいた森、だよ。」
迷子「はっぱさんのおうち?」
勇者「・・・おうち、とは少し違うかな・・・・・・。」
迷子「うわーすごい!あっ!見た事無い鳥!すごい!」
パタパタパタ
勇者「走り回らないで!・・・弱ったな、振り出しに戻るとは・・・。」
820 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/16(金) 02:18:50.77 ID:hzmsnHkco
悩んだぜ・・・!おやすみなさい。あ、あの遅れたお詫びというか質問とかあれば答えます。なければいいです。いつでも受け付けてます。おやすみなさい
821 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
:2012/03/16(金) 02:29:44.07 ID:JECyYG3wo
乙
822 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2012/03/16(金) 02:29:50.87 ID:kw+DipWro
まさか、こんな時間に投下とは思わなんだ
しかし、まさかの急展開だな。
いつ商人の伏線を回収するかと思ったけどwwww
質問なら、勇者の呪いについて
魔翌力あるってことは呪い復活するんでないの?
神もどきからの魔翌力じゃなければOKってこと??
823 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage]:2012/03/16(金) 02:31:15.55 ID:kw+DipWro
連続ですまん。
また…魔翌力が魔翌翌翌力に…
824 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2012/03/16(金) 02:48:56.92 ID:A2hFPVnUo
乙
商人が人形だったとは
質問、答えられたで良いんだけど今って全体の何割ぐらい進んでるの
あと、前に書いてあるかもしれないけど勇者一行の年齢と身長とか知りたい
825 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/16(金) 02:57:50.07 ID:8hz2DNfoo
おつおつ
魔王も団子なのかね〜
826 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/03/16(金) 04:46:37.01 ID:gaOn3Kio0
乙!
商人は人形だったから呪いが効かなかったってことでいいのかな?
827 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/16(金) 10:25:03.61 ID:qYDYxhGIO
激しく乙!
質問
完結の後、各エレメントと魔王の長年の争いみたいな高次のサイドストーリーとかありえる?
もしくは、魔王と人が旅した過去話とか。裏設定のそれぞれの要素が興味深い
828 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/03/17(土) 15:54:05.33 ID:on6Fv2o70
大量に投下きてたんだな乙乙!
息をのむ展開にハラハラしつつひきこまれてるぜ
829 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/18(日) 00:25:09.04 ID:AqVUAUAvo
魔王って聞いたらRPGツクール2000のパン一想像するんだけど助けて
830 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/18(日) 03:22:33.06 ID:97gRmhuVo
乙乙!
種子ってそんなものあったっけ
嵐島?に戻ることってあるのか
831 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/18(日) 20:08:10.67 ID:+3LgpgiDO
おつ!
832 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage saga]:2012/03/18(日) 20:26:12.92 ID:lZstVL7AO
>>823
メール欄にsagaで普通に投稿できる。
魔力
sageじゃなくてsagaな。
sage sagaでsageと併用も出来る。
833 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage saga]:2012/03/18(日) 20:57:55.06 ID:DAFClFJto
sagaか! すっかり忘れてた。
ありがとう
魔力
834 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:08:58.12 ID:gckC5gxYo
勇者「・・・」
勇者(待て、完全に振り出しというわけではない。あの時とは状況が違う。)
勇者(今の俺には魔王の魔力は無い。他人と会えない訳ではもうない。)
勇者(・・・・・・地理的に考えるならば、海路を行くのが手っ取り早い。しかし海の魔物が活発化している今の状況で渡航する事は出来るのだろうか?)
勇者(木材では船底に穴をあけられてしまう。・・・・・・お父さんに頼んでみるか?)
勇者(時間が無い。俺が今頼れる人物はあの人だけだ。)
勇者「迷子!行くぞ!」
迷子「えー?」
勇者「あぁ無闇に飛ぶんじゃない!俺が良いと行った時だけ飛ぶように!」
迷子「え?なんで?」
勇者「ここは君の島とは違う。飛べる人はいないし足がすごく早い人や腕がたくさんある人や遠くを見れる人は居ないんだ。」
勇者「だとしたら君が飛んでいたら皆をびっくりさせてしまうだろう?だからだ。」
迷子「わかった!」
勇者「さ、背中に乗って。走るよ。」
迷子「葉っぱさんは走っても大丈夫なの?」
勇者「今は急がないといけない。確かに驚かせてしまうがそれより大事な事がある。」
迷子「何?」
勇者「俺の友人が死んでしまうかもしれない。」
――――――――――――――――――――――――
聖なる森→西大陸聖国家
ダダダダダ・・・
勇者「・・・」
勇者(・・・ずっと住んでいた場所なのにあまり見覚えが無い。家や森から出る事は少なかったからな。)
迷子「すごい!木が無い!遠くに何か見える!」
勇者「あれは山だね。」
迷子「山?」
勇者「地面が盛り上がってるんだ。陸の上に島があるような物かな。」
迷子「へー!」
勇者「舌噛むよ。静かにね。」
迷子「うん!あっアレ何!?白い!雲!?」
勇者「あれは羊だね。確かに雲みたいにもわもわしてるね。舌噛むよ。」
勇者(そういえば間近で見た事はあったか・・・?無かった気もする。家畜のそばには大抵人がいるからな。)
迷子「どうするの?前塞いでるよ?」
勇者「跳ぶ。しっかりつかまってて。」
ズダンッ!!
迷子「うわぁー!!」
ザザァ!
頭巾「キャッ!」
勇者「・・・?」
ズダッ!
ダダダダダダ・・・
勇者(・・・なんだ。見覚えが・・・。)
迷子「すごい!もう一回!もう一回跳んで!」
勇者「駄目。舌噛むよ。」
835 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:09:46.28 ID:gckC5gxYo
――――――――――――――――――――――――
西大陸聖国家国壁第一門前
兵士「・・・」
ガタッ!
観測兵「おーい。ちょいちょい。」
兵士「どうした?魔物が現れたか?」
観測兵「んーわからん。人型。」
兵士「人型の魔物?・・・緊急事態じゃないか!今すぐ全門を閉鎖するように通達を・・・!」
観測兵「待て待て、速さ的には超加速呪を使った程度だ。」
兵士「超加速呪!?そんなもの使えるのは魔導師ぐらいのものだろう!」
観測兵「まぁたしかに。でも人に見え・・・」
兵士「この門に向ってるのか!?」
観測兵「あぁうん。こっち来てるね。」
兵士「門を閉鎖する!警戒態勢!」
観測兵「了解。度数は?」
兵士「3!」
観測兵「おっけー通達する。」
ガタガタガタ
――――――――――――――――――――――――
迷子「うわーすごいなにあれ!」
勇者「国だね。今見えてるのは国壁。遠くからしか見た事が無いから中がどうなってるか分からないが・・・。」
勇者「・・・門が閉まっていってるな。」
ズザザッ!
迷子「でっっかぁぁぁい!!すごい!」
勇者「・・・いつもなら人がいるんだが・・・何か問題が起きているのか?」
迷子「あっ!上空いてるよ!私飛ぶ!?」
勇者「駄目。・・・急ぎたいんだが・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
第1観測所
観測兵「なぁ、あれ本当に魔物?」
兵士「高度な魔法が使える一般人なんているものか!」
観測兵「高名な魔導師だったらどうすんの。責任問題になるぞ。」
兵士「国民の安全が第一だ!怪しいなら通すわけにはいかん!」
伝声管≪こちら市内第一詰所。全門閉鎖完了済み。第一外門へ応援派遣済み。素早い伝達感謝する。人型の動向を送れ。どうぞ。≫
観測兵「こちら国壁第一外門観測所。素早い対応感謝する。ただいま星は第一外門外にて立ち往生。背中に子供を背負っている。怪しい動きは特にない。どうぞ。」
伝声管≪了解。経過観察を続け、動きが有れば逐一報告を頼む。人型の装備及び特徴を送れ。どうぞ。≫
観測兵「了解。大型の武器は見受けられず。左手に・・・ガントレット。布の服装備、鎧未判明。武器携行未判明。顔を葉で覆っている。亜人系特徴見受けられず。」
観測兵「背負われている子供はワンピース着用、キョロキョロしている。特に武器携行みられず。こちら金髪。同じく亜人系特徴見受けられず。以上どうぞ。」
伝声管≪了解。おのぼりさんじゃないのか?どうぞ。≫
観測兵「ははは俺もそう思う。どう・・・」
兵士「走行時速度から超加速呪を使用した可能性あり!高度な魔法を行使できる可能性高し!危険性判別C!以上どうぞ!」
伝声管≪冗談だ。そろそろ到着するはずだ。対応を願う。どうぞ。≫
兵士「了解!これから対応する!通信完了!」
836 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:10:28.04 ID:gckC5gxYo
迷子「ねぇ?どうするの葉っぱさん。」
勇者「待つしかないかな。下手な動きしたら話がこんがらがりそうだ。」
勇者(・・・落ち着け。そうだ落ち着け。今俺は最大限急ぐしかない。向こうの事は向こうに任せるべきだ。)
勇者(・・・さっきから3人の心の動きがせわしない。不安だ。今すぐ駆けつけたい。くそ、無力だ。)
ガチャ!
迷子「あっ!穴が開いた!」
勇者(・・・確認用の小窓か。)
門≪どこから来られた!≫
勇者「・・・南から。」
門≪それは観測されている!出身地をこたえられよ!≫
勇者(そういえばどこで生まれたか知らないな・・・。)
勇者「不明だ。」
門≪・・・・・・入国目的を答えられよ!≫
勇者「・・・・・・代34王位継承者に面会に。」
門≪何を目的に!≫
勇者「助言を賜りたい。」
門≪我らは貴公が国に仇なすものではないかと疑っている!貴公の身分が判明されるまで隔離させていただく!それでもよろしいか!≫
勇者「手紙を書かせていただきたい。そうすれば私が怪しい物ではないと分かってもらえるはずです。」
門≪・・・了承した!前王はご多忙の為確認が遅れる事が予想される!その間貴公達を拘束させていただくがよいか!≫
勇者「・・・出来るだけ急いで頂きたい。」
門≪最大限努力をしよう!貴公の全面的な協力を願う!≫
迷子「待つの?」
勇者「・・・そうなるね。」
勇者(・・・・・・今ここで無理を通しても仕方がない。落ち着け。)
門≪では隔離室へご案内しよう!両手を頭の後ろで組み顎を突き出して両膝を地面につけた体制を取ってくれ!被り物も取るように!≫
迷子「・・・?こう?」
勇者「そんなに顎は突き出さなくてもいいよ。口の動きを見るためだから。」
――――――――――――――――――――――――
門横隔離室
迷子「すごい!石!あっきんぞくだ!すごい!」
兵士「はいはい大人しくねー。」
兵士「さて、照会の間にいくつか質問させていただく。」
勇者「どうぞ。」
兵士「まず君が人間であるかどうかが問題となっている。」
勇者「・・・・・・何故私が魔物だと疑われているのだろうか。」
迷子「すごい!うわーすごい!あっなにこれ!」
兵士「はいはいはい大人しくねー。」
兵士「観測所からの通達によれば『観測時走行状態であったが速度が尋常でなく、人で有るならば超加速呪を使った程度の速さであった。
通常一般人においてありえない高度な魔法である。高度な魔法を使用できる場合魔物の可能性が高い。』との事だ。」
迷子「ねぇねぇお姉さんなんで顔隠してるんですか?」
兵士「隠してるんじゃないの守ってるの。ほらほら大人しく椅子にすわってなさい。いい子だから。」
837 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:11:17.10 ID:gckC5gxYo
勇者「俺は加速呪までしか使えません。足はもともと早いのです。」
兵士「それを確かめる術は私たちには無い。」
勇者「完全に人間と外見が同じ魔物は居ないはずでは。」
兵士「確かにまだ未発見だ。しかし私達は今ある情報だけを鵜呑みにするわけにはいかない。」
迷子「ねぇねぇここどうやって作ったんですか?」
兵士「ここ?ここはねぇ石がいっぱいある所から・・・」
兵士「この子との関係は?」
勇者「この子は少々込み入った事情がありまして、今は破傷風の治療の為に私が連れていますです。」
兵士「君の子ではないのか?」
勇者「えぇ。・・・一時的に知り合いから預かっています。」
兵士「なるほど了解した。」
ガリガリガリガリ・・・
勇者「しかし私が魔物だとしたら貴方達が一番危ない状態ですが、よいのですか?」
兵士「この部屋に連れ込んだ時点で被害が出るとしたら私達2人だけで済む。扉の先にはかなり厳重な封印が施されている。」
兵士「被害が私たち二人で済むのならそれでいい話だ。定時連絡が来なければ確認の後、魔法により廃棄される。」
勇者「・・・。」
兵士「一人より二人。個人より多数。それが自然。といってもこの国が個を軽んじているわけではない。」
兵士「先ほどはああ言ったが、君達には人型魔物、それらの特徴がみられない。」
兵士「恐らく危険性は低いであろうと評価は見直され、私達が相手をしている。この国が始まって以来人間が魔物だったという話は確かに聞かない。」
ガリガリガリガリ・・・
兵士「私も個人的に貴方たちは危険でないと思う。」
ガリガリガリ
迷子「え?石切れるの?」
兵士「うん。と言っても本当に切るわけじゃないの。ちょっとだけ石に穴をあけてそこに・・・」
兵士「よく占い師が目を見ればわかるなどと言うが、純粋な子供の目なら私もわかる。」
兵士「少なくとも、あの子は危険では無い。」
勇者「・・・。」
兵士「君がどうか知らないがな。」
勇者「・・・・・・っ!」
勇者(せ、戦士が気絶した・・・!)
兵士「どうしたのだね急に。」
ガリガリガリガリ
勇者「・・・・・・い、いや・・・。」
勇者「ぐっ!」
勇者(ま、魔法まで・・・)
兵士「・・・持病でもあるのかね?慢性的な腰痛か?」
勇者「・・・・・・いや、違う。お、俺の仲間が・・・っ。」
兵士「仲間?何を言っている。」
勇者「ま、まだ確認できないのか?俺は急いでいるんだ。」
兵士「君の事情は知らないが無論確認は急いでいる。しかしここから城まではそれなりに距離が有るのでな、返事は伝声管を使うので往復する必要はないが・・・」
扉≪バタン!!≫
兵士「で、伝達!その両名を今すぐ謁見室へ通せとの事!」
兵士「了解した。・・・これが報告書だ。」
兵士「は、ハッ!」
838 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:11:45.82 ID:gckC5gxYo
――――――――――――――――――――――――
謁見室
迷子「あっすごい!ふかふか!広い!すごい!赤い!」
勇者「静かにね。」
迷子「はい!あっ!すごい!水が出てる!」
近衛兵「・・・」
近衛兵「・・・」
前王「・・・・・・。」
ザッ!
勇者「第三十一代目加護者勇者ただいま帰還致しました。」
迷子「・・・?」
近衛兵「っ?」
近衛兵「勇者だと・・・?」
前王「おお・・・。面を上げて・・・。」
勇者「・・・。」
前王「その、仮面を取ってもらえるかな・・・・・・?」
勇者「・・・。」
前王「大丈夫。報告は、受けている。前から、一度お前の顔を見てみたかった。」
勇者「・・・・・・。」
カサッ
近衛兵「・・・・・・。」
近衛兵「っ・・・。」
前王「可哀想に・・・。」
勇者「わ、私も・・・」
勇者「私もあなたの顔を、一度でいいから、見てみたかった・・・!」
勇者「お父さん・・・!」
近衛兵「なっ・・・!」
近衛兵「なにぃっ!?」
迷子「あの人、葉っぱさんのお父さん?」
勇者「はは・・・本当の父親じゃないんだけどね。俺の様な厄介者に気を掛け続けてくれた人なんだ。」
前王「私達だけで、話したい。お前達は、下がってもらえるか?」
近衛兵「りょ、了解致しました。」
近衛兵「入り口前で警備を続けます。何かあればお呼びください。」
ザッザッザッザッザッ・・・
勇者「・・・。」
前王「さぁ、近くに来い。」
勇者「はい・・・。」
前王「この・・・バカモンが!」
パシン!
迷子「わっ!」
勇者「・・・。」
前王「この・・・バカモンが!」
パシン!
迷子「わっ!」
勇者「・・・。」
839 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:12:32.72 ID:gckC5gxYo
前王「私がどれだけ、心配したと思っていた・・・!」
勇者「・・・すいません。」
前王「あのような紙一枚で、いきなり居なくなるなど・・・!」
勇者「どうしても、確かめたくて・・・。」
前王「全く・・・馬鹿者が・・・。」
迷子「あ、あのっ、葉っぱさんを怒らないで上げてください。」
前王「・・・御嬢ちゃん。悪い事をしたら、叱るというものが、親の役目なのだよ。子が道を踏み外さないように、育ててあげるのが、人が脈々と受け継いできた、義務なのだよ。」
迷子「・・・。」
前王「・・・この子はまさか・・・・・・。」
勇者「いえ、私の子ではありません。」
前王「そうか・・・やっと人並みの幸せを、享受できる様になったのかと思ったのだが・・・。」
勇者「すいませんお父さん。ずっと、あなたとお話をしたいと思っていましたが、今はそれどころではないのです。」
前王「・・・そうか。では、要件を、聞こう。」
勇者「私は今すぐ魔王の領域がある大陸へ行きたいのです。そして、私が帰ってくるまでの間この子を預かって頂きたい。」
迷子「え?」
前王「魔王の地、か・・・。」
勇者「この国が有る大陸と魔王の領域がある大陸は地図上で見れば近いでしょう?なんとか、渡りきれる船などは無いでしょうか。」
前王「・・・無理だ。その海域は特に海棲魔物が強いと、報告を受けている。機械の港の鉄の船でも、渡りきれるとは限らん。」
迷子「ま、待って葉っぱさん。わ、私置いていくの?」
勇者「そうなる。君を連れて行けるほど甘い場所じゃない。」
迷子「ヤダー!!一緒にいくー!!一人にしないでよぉ!!」
勇者「・・・。」
勇者(確かにこの子を置いていくのは忍びない。しかしだからと言って連れて行く訳には行かない。)
勇者「・・・君の為とは言わない。しかし連れて行くのは君だけじゃなく、俺や、俺の仲間にとっても危険な事なんだ。」
勇者「分かってくれとは言わない。しかし君を連れて行く事は出来ない。」
迷子「やぁだー!一緒に居るー!」
前王「おぉ、御嬢ちゃん、泣かないで。大丈夫、お父さんは少し出かけてくるだけだよ。」
勇者「っ?」
迷子「・・・お父さん?」
前王「そぉだ。君のお父さん。お父さんのお父さん、代わりと言ってはなんだが、お爺ちゃんも一緒に居てあげよう。」
迷子「・・・ぐす。」
前王「大丈夫。お父さんはちゃんと帰ってくるよ。なぁ息子よ。」
勇者「わ、私は・・・。・・・あぁ、ちゃんと帰ってくる。それまで、お爺ちゃんと一緒に居てほしい。」
前王「ねぇ。こう言っている。お父さんを信じて、あげれるかい?」
迷子「・・・お父さん・・・・・・。」
勇者(良いのだろうか。この子の本当の父親ではないのに。この子がそう呼ぶ度に思い出してしまうかもしれない。)
迷子「・・・。」
ガバ
勇者「っ。」
840 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:13:19.40 ID:gckC5gxYo
迷子「・・・うぇ〜〜・・・・・・グス」
前王「抱いてあげなさい。」
勇者「は、はい。」
ガバ
前王「お前を魔王の地に送る方法は、ある。」
勇者「っほ、本当ですか?」
前王「あぁ、本当だとも。転送術式を使えば、可能だ。」
勇者「転送術、ですか。」
前王「お前が言ったように、この大陸と、魔王の地は近い。魔王の不在の100年、その間に開拓を進めていたのは、この国なのだ。」
前王「しかし海路を使うには時間が掛かる。だから、技術開発を行い古い文献にある転送術式を、甦らせようとした。」
勇者「なるほど・・・座標が残っているのですか?」
前王「そうだ。そして私たちの国には、優秀な魔導師が複数存在している。しかしそれでも、準備に数日かかるだろう。」
勇者「お父さん、私は時間を掛ければ一人で転送術を使えます。座標を教えてください。」
前王「なんと、それは真の事か?」
勇者「はい。」
前王「では、文献の閲覧を許可させよう。せめて、その時まで一緒に居てあげるといい。」
勇者「すいません。初対面で無茶を言ってしまって・・・。」
前王「良い。子供の無茶を聞くのは、親の役目だ。」
――――――――――――――――――――――――
文献室
文官「転送術式の研究文献はこちらになります。」
勇者「ありがとうございます。」
勇者(分厚い・・・。)
文官「くれぐれも、お汚しにならぬよう、お気を付けを。」
勇者「分かりました。案内ありがとうございます。」
文官「命令ですので。すぐに紙等を持ってきます。」
迷子「・・・・・・ここすごいたくさん本あるね。」
勇者「そうだね。どれもこれも、技術を詰め込んである。」
迷子「・・・。」
勇者「・・・・・・。」
ペラ・・・ペラ・・・
勇者(・・・俺が教えられた術式とだいぶ条件に差がある。座標も形式が違う可能性があるな。世界地図で場所を確認しながら計算式を使って俺の術式に使用する座標を求めなくては。)
ドサッ!
文官「紙とペンとインクでございます。他、要件は有りますか。」
勇者「地図と、定規をください。」
文官「了解致しました。少々お待ちを。」
841 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:13:47.99 ID:gckC5gxYo
迷子「・・・さっきのお爺さん、お父さんなの?」
勇者「そうだよ。と言っても血は繋がっていないけどね。」
迷子「お父さんなのに、初めて会ったの?」
勇者「そう。今日初めて会ったんだ。」
迷子「・・・・・・?」
勇者「俺はね、・・・そうだな。少し前まで病気だったんだ。」
迷子「病気?」
勇者「そう。他の人に近づけない病気。赤ちゃんの頃からずっと、つい最近までずーっとね。」
迷子「なんで近づけないの?」
勇者「俺が他の人に近づくと、男の人だと吐いちゃって、女の人だと嫌われちゃうんだ。」
勇者「どうしようもなくてね。俺が近くに居るとその間ずっとそうなっちゃうから、人には近づけなかった。」
勇者「だから俺は、小さい頃の大部分は一人で暮らしていた。」
迷子「・・・寂しかった?」
勇者「ふふ、それがね、最初の頃は寂しいなんて思いもしなかった。だって俺しか居なかったんだ。」
勇者「俺は孤独を孤独と思わなくて、だから最初は辛くもなんともなかった。」
ガリガリガリ
迷子「・・・。」
勇者「今思い返せば、辛いと初めに思ったのはあの熊が殺された時だったのかな。」
迷子「くま?」
勇者「そう、熊。・・・こういう」
ガリガリガリ
勇者「こんな生き物なんだけどね。俺はこいつを見て育ったんだ。でも、死んじゃってね。」
勇者「あの時は、良く分からなかった。胸にむかつきを覚えて、まるで締め付けられているかの様な、息苦しさを覚えて、」
勇者「あれが、多分最初だったのかな。寂しいって思ったのは。」
勇者「そうそう、このナイフね。」
ガチャ、ゴト
勇者「取っ手の部分、その熊の骨なんだ。上から皮とか巻いてあるからわかりづらいけど。」
迷子「・・・触っていい?」
勇者「いいよ。鞘から抜くときは落とさないように気を付けてね。」
ガリガリガリガリガリ
勇者(魔力操作に円と楕円の違いがあるな。一つの円と複数の楕円により出てくる誤差は・・・)
ガリガリガリ
ドサッ!
文官「こ、これ。各転送地点の地図。あとこの大陸の地図と現魔王の大陸の開拓時点の地図。それと製図用の定規です。ほ、他御用は有りますか?」
勇者「・・・」
ペラ
勇者「十分です。ありがとうございました。」
文官「そ、それと、こちら各動物のスケッチ画です。どうぞ。」
迷子「? あ、すごい。キレイ。」
勇者「・・・わざわざありがとうございます。」
文官「い、いえ、その様な絵では正確性に欠けると感じたまででございます。」
勇者「・・・そうですか?」
勇者(似てないかな・・・。)
842 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:14:26.61 ID:gckC5gxYo
迷子「・・・これ何?」
勇者「ん?・・・それは蟻食だね。」
ガリガリガリガリ
迷子「ありくい?」
勇者「そう。蟻を食べる動物だよ。その絵に描いてあるみたいに長い口から長い舌を使って、蟻の巣から蟻をなめとるんだ。」
勇者(星座の位置を地に転写して時間周期から座標軸固定を行う方法では月日がたてばたつほど誤差が出る。俺の知っている方法は地軸から座標固定をする。この誤差の出し方は・・・)
迷子「へー。」
文官「・・・。」
勇者「・・・・・・。」
ガリガリガリガリ・・・
勇者(見られている気がする。)
迷子「あっ、これさっき見た。あれ?でも黒い・・・。」
勇者「羊だね。羊はさっき見たように真っ白なのもいればその絵みたいに黒い奴もいる。顔だけ黒くて毛は白いなんてやつもいるよ。」
勇者(こっちの研究書は無駄な経路が多いな。転写に転写を重ねて誤差がどんどん大きくなっていく。それを直す係数などややこしい事この上ない。)
迷子「へー。」
勇者「・・・・・・」
ガリガリガリガリ
文官「・・・。」
勇者(まぁ確かに転送術式を読み解ける人はそういないのだろうから珍しいか。俺も与えられた知識が無ければ読めないだろう。)
勇者(三人とも落ち着いた。深く、悲しんでいるような、そんな心情が伝わってくるが、とりあえずは命に別状はなかったようだ。)
勇者(ひとまず、安心だ。しかし・・・商人の反応が相変わらずない。一体どうしたのだろうか。)
ビリィ!!
勇者「・・・。」
文官「っ!」
迷子「どうしたの?」
勇者「・・・何でもないよ。ちょっと疲れたのかな。」
勇者(それはありえない。有り得てたまるか。)
迷子「大丈夫?」
勇者「うん。平気。心配してくれてありがとう。」
文官「・・・余計かもしれませんが、少しご休憩なさってはどうでしょうか。」
勇者「いえ、平気です。私は急がなければいけない理由があります。休んでいる暇はない。」
勇者(この数式を確かめる数式を考えなければ。)
勇者「お気遣い感謝します。」
文官「いえ。」
勇者「・・・。」
ガリガリガリガリ
843 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:15:02.83 ID:gckC5gxYo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「・・・」
ガリガリガリガリガリ
文官「・・・。」
ペラ・・・
迷子「でっかいお花・・・。」
文官「ラフレシア、ですね。このように大きな花が特徴で、色は赤色を主に、黄色、白などが斑点模様として広がります。また、この花は悪臭が有名で、その匂いは肉が腐ったよう、との事です。」
迷子「へぇー。」
文官「ラフレシアは他の植物、大凡に木ですが、根っこに寄生し、直接栄養を奪い花のみを地上に出します。なので他の植物にある枝や葉は存在しません。」
迷子「そうなんだ。お姉さん物知りだね。」
文官「私は文官ですから、知識量だけは自信があるのです。といっても、実物を見た事があるわけではないので正しいかどうかは定かではありません。」
迷子「すごいのに・・・。」
?「お〜い。私の文官よ〜い。」
文官「・・・。」
迷子「? 誰か来たよ?」
文官「・・・現王ですね。とても気さくな方で、民の信頼も一部は厚い方です。公私混同はあまり、しません。」
王「居た居た。おっと・・・あー、お前が、勇者か。」
勇者「・・・始めまして。第三十一代・・・」
王「いい。堅苦しいのは仕事だけでな。前王から話は聞かせていただいている。あの方がお前を息子と呼ぶのなら私はお前を弟と呼ばせてもらおう。」
王「無論お前は私の事を兄と呼んでもらう。いいな。」
勇者「兄、ですか。」
王「そぉーだ。無論お嬢ちゃんも呼んでくれて構わないぞ。」
迷子「おじさん?」
王「お兄さん!」
文官「王、私に何か御用では?」
王「あぁ、うむ。またいつもの様に文書仕事の手伝いをしてくれ。」
文官「・・・了解致しました。」
王「なんだ?その間は?・・・惚れたか?」
文官「貴方の頭の中には惚れた腫れたしかないのですか。」
王「冗談だ。用事があるのなら別にかまわん。」
文官「いえ、手伝います。あなたはいい加減細かい失敗を無くしてください。」
王「人には向き不向きがある。私は私で改正案など出しているだろう。あぁ兄弟、困ったことが有ったら呼べ。お嬢ちゃん、おなか減ったら私の所に来なさい。」
王「民は前王の子供、ならば私にとっての兄弟だ。遠慮なく頼れ。またゆっくり話そう。」
勇者「・・・えぇ。気遣いありがとうございます。」
王「感謝ムヨー!またな兄弟!」
文官「失礼します。またね。」
迷子「またね!」
844 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:36:37.77 ID:gckC5gxYo
>>822
勇者の呪いは魔王がそれを目的にしてかけたわけじゃなく、いろいろな工作をするために神との接続を作りその結果の2次的な効果だったという形
つまりもともと魔王の魔力は人間に対して悪影響を及ぼす。なので魔力の供給源が変われば呪いは発現しない
魔王が人間のそばに居ても影響が出ないのは圧縮力が高く人間の受容体が感知できない形になっているから、とそう設定した
>>824
最初らへんは何も考えていなかったから計画的ではないので正確性は保証できないが2/3か2/4 最近早めに展開させるよう心掛けてる
身長等細かい設定考えてない。年齢は勇者24 孫16 妹16 と決めた。青年、戦士が勇者と同じくらい、僧侶勇者より少し低め 魔法小6付近 迷子小3付近
孫≧戦士>勇者≧僧侶=青年>商人>妹>魔法>>迷子 今イメージを整理したら背の順でこんな感じ
>>826
魔王の魔力は人間にだけ聞く。商人は動物学的に人間じゃない。ちなみに土人形はゴーレムと読む
>>827
どうもありがとう。書くつもりというか妄想はしてる。本編終わったあとのあれとかその二つとか真空斬りを編み出した魔力が無い退魔の血筋とか
妄想で終わるかも
>>830
絡ませるか迷ったけど予定通りだし出した。あれウッドキングの木の実の種子。魔法は勇者からもらったものをひそかに集めてるっていう設定がある。
船で一緒にあそんだチェス板とかトランプとかもぱくってる
ご感想ありがとう正直楽しみ語る予定だった設定とか語れてないですすみませんエターならない様がんばります
845 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/03/19(月) 00:48:24.38 ID:73Np6xIbo
この話、前にVIPで書いてなかった?
846 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/19(月) 00:49:10.98 ID:gckC5gxYo
>>845
半年ほど前にvipで始めましたこんなにじかんかかってごめんなさい
847 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/03/19(月) 00:51:57.27 ID:O5/xR5Xso
なるほど、道理で見覚えがあったわけだ
勇者の呪いの件で気付いたよ、過去ログ読んできます
848 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/19(月) 07:35:42.93 ID:wK+X121IO
私もあれとかあれ2とか退魔と魔王とか読みたいです
>>844
遅ればせながら質問させていただきます
>>773
の複数の魂とは何のことですか?
後でストーリー上で説明されるなら回答不要です
読み返しても分からない感の悪さ、氏にたい
849 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/20(火) 21:27:18.15 ID:0aO95pCUo
>>848
ちょっと前までの勇者には封印する能力の応用で魂を奪う事が出来た
複数って言い方したけど2つ持ってる、一つ目は明確な言い方してない二つ目は作中で出した。今後説明するか不明、説明するはずだったのに出来てない事おおいしにたい
850 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/20(火) 21:54:27.64 ID:0aO95pCUo
――――――――――――――――――――――――
迷子「スー・・・スー・・・。」
勇者(・・・よし。計算式が出来上がった。座標変換がこれでできる。)
勇者(場所は砂漠を超えた港町。しかし・・・なんだ、送られてくる魔力の量が少ない様な・・・。)
勇者(神がやっていた方法と緑色にやられた方法では違いがあるのか。島から離れれば離れるほど送られてくる魔力量が減る・・・?)
勇者(ここでは転送術の発動に15分ほど掛かるか。時間さえかければ使える条件式だからその点は大丈夫だ。)
勇者「・・・寝てしまったか。解毒魔法詠唱開始」
勇者「詠唱完了」
勇者(お父さんにこの子を頼もう。)
――――――――――――――――――――――――
前王執務室
扉≪コンコン≫
前王「入るがよい。」
扉≪ガチャ≫
迷子「スー・・・スー・・・」
勇者「失礼します。」
前王「おお、お前か。準備は出来たのか?」
勇者「はい。発動に時間は掛かりますが飛ぶ事はできます。なのでこの子を預けに来ました。」
前王「・・・そうか。もう、行くか。」
勇者「はい。ご迷惑をおかけしました。」
前王「よい。して、何か注意事はあるか?」
勇者「はい。この子は今破傷風に掛かっています。破傷風に対して抵抗性が極端に低く朝、夜に解毒魔法が必要です。」
前王「ふむ・・・。」
勇者「そしてこの子は・・・空を飛ぶことが出来ます。」
前王「空を・・・?」
勇者「はい。無闇に空を飛ばないように注意はしましたが、気を付けてあげてください。」
前王「分かった。・・・他は?」
勇者「後々に・・・銃技術を紹介してくる傭兵集団がこの国にやってくるはずです。長は刀を持っています。秘密のお父さん、と言う合言葉を教えてありますので、会いに来た場合私の家を使えるように手引きして頂きたい。」
前王「ふむ・・・。」
勇者「その集団は魔法を使えない人間で大部分構成されていて、唯一女性3人が魔法を使用する事が出来ます。それと、一見魔物の様な人を連れているはずです。」
勇者「出来るだけ、騒ぎにしないで欲しいのです。」
前王「魔物の様な人・・・?」
勇者「・・・広げたくない話題です。話を通すのは主要な人物にだけにしてほしいのですが・・・。」
勇者「彼らは人体実験被害者です。」
前王「・・・。」
勇者「女性3人も、被害者です。よく、して上げて下さい。」
前王「了承した。」
勇者「それと・・・この木と種。この二つを資金としてお役立て下さい。この木は火にくべても燃えない木で、こちらはこの木の種となります。」
勇者「数多くお頼みしてすいません。」
前王「よい。・・・もう、行くのか?」
勇者「はい。今すぐ。」
前王「そうか・・・。」
851 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/20(火) 22:21:05.97 ID:kKT9OqODO
きた!
めっちゃ嬉しい
852 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/20(火) 22:21:32.13 ID:0aO95pCUo
前王「・・・お前、資金は有るのか?」
勇者「必要ありません。私は野に居る獣を取る事が出来ますから・・・」
前王「ばかもん。お前が行こうとしている大陸は、未知なのだぞ。」
前王「今大陸がどうなっているか、分からんのだ。持っていくがいい。」
勇者「し、しかしそこまでご迷惑は・・・」
前王「馬鹿者。お前はこの国の勇者、勇者を助けぬなどありえぬ。」
伝声管≪ガシャン≫
前王「誰か、誰か居らぬか。」
伝声管≪はっ!何か御用でしょうか!≫
前王「成人の男用の服、精製した魔力珠3つ、携帯保存食、水筒を持ってきてほしい。」
伝声管≪は、はぁ。≫
前王「急ぐ様頼む。」
伝声管≪了解しました。・・・5分で伺います。≫
伝声管≪ガシャン≫
前王「ふむ、ふむ。この国の兵は優秀であろう?」
勇者「はい。用意してない物をかき集め、持ってくるのに5分と言えるのは凄いと思います。」
前王「そうだろう、そうだろう。・・・これを持って行け。」
勇者「これは・・・」
前王「中に金貨が入っている。」
勇者「っ!そ、それは多すぎます!私ごときに金貨など・・・!」
前王「よい。向こうで貨幣が使えるかはわからぬのだ。価値が有る金を持って行け。」
勇者「っ・・・。」
前王「・・・時間が掛かるのだろう?その子をそこに寝かせ、準備を始めるがよい。」
勇者「・・・ありがとうございます。」
前王「はっは、私は子供が居らぬからなぁ。これから楽しみだ。」
勇者「では、詠唱を開始します。詠唱の間は喋る事は出来ません。」
勇者「転送術式詠唱開始」
前王「ふむ・・・。では、私は仕事の続きでもしていよう。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
扉≪コンコン≫
前王「入るがよい。」
扉≪ガチャ≫
兵士「お頼みの物、持ってまいりました。」
前王「その者の鞄に入れてやってほしい。」
兵士「ハッ!では失礼します!」
勇者「・・・」
鞄≪ガサガサガサ≫
兵士「・・・入れ終わりました!まだ何か御用でしょうか!」
前王「この事は他事無用でお願いする。」
兵士「ハッ!では失礼します!」
前王「あぁ、そうだ。近衛兵長を呼んでくれないか。」
兵士「ハッ!お急ぎでしょうか!」
前王「ふむ。ゆっくりでよい。」
兵士「ハッ!では改めて失礼します!」
853 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/20(火) 22:48:28.48 ID:0aO95pCUo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
扉≪コンコン≫
前王「入るがよい。」
扉≪ガチャ≫
近衛兵長「失礼します。何か御用でしょうか。」
前王「その子を、私の寝室へ連れて行って欲しい。」
近衛兵長「ハッ。・・・失礼ながらこの方は?」
勇者「・・・」
前王「三十一代目、勇者その人だ。」
近衛兵長「・・・なるほど。お顔を隠しているのは何故でしょうか。」
勇者「・・・」
前王「顔にひどい傷があるのだよ。」
近衛兵長「そう、ですか。今度こそしっかり顔を見れるのかと思っていたのですが・・・。」
勇者「・・・」
勇者(今度こそ・・・?)
近衛兵長「この子は?」
前王「連れ児だ。」
近衛兵長「な、なんと。まさかそのような・・・」
勇者「・・・」
勇者(その言い方では誤解されないだろうか。)
近衛兵長「了解致しました。丁重にもてなさせていただきます。」
前王「頼んだよ。」
近衛兵長「ハッ。・・・鎧を脱いでまいりますので少々お待ちください。」
扉≪ガチャン≫
前王「今の人物は、お前に手紙を届けた人だ。」
勇者「・・・」
勇者(今の人が・・・)
前王「元は、近くの村の警備兵。お前に手紙を渡して、今までもう6年となるか。」
勇者「・・・」
勇者(・・・そろそろ発動条件が満たされる。)
前王「お前は、もう忘れてしまったのかも、知れぬな。」
前王「近衛兵長には妹が一人いる。出身地の村で、家の羊飼いを継いだそうだ。」
前王「その子は、お前が」
勇者「詠唱完了。すいません、またお話しを・・・」
バシュン!
前王「・・・ふむ。帰ってくるんだぞ。私の息子。」
854 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/20(火) 23:42:13.55 ID:0aO95pCUo
――――――――――――――――――――――――
何処かの建物内
バシュン!
勇者「・・・暗いな。」
勇者(まだ陽は下りきっていないはず。だとしたらここはどこかの建物内か。)
勇者(どうするか。全く見えないから無闇に動く事は・・・)
勇者(あぁ、魔法を使えばいいだけだ。)
勇者「火魔法発火」
ボボオオ!
勇者「・・・。」
勇者(何処かの部屋内、か?視察を目的にした場所のはずだからすぐ近くに恐らく入り口が・・・)
勇者(あった。)
扉≪ガタン!≫
勇者(鍵が閉まってる。・・・これは閂だな。小さめの真空魔法で扉の隙間から切らせてもらおう。)
勇者「真空魔法小」
スパン!
扉≪ギギィィ・・・≫
勇者(・・・暗いな。しかし今度は扉の隙間から光が差し込んできている。)
扉≪ガチャ≫
勇者(こっちは開いているな。)
――――――――――――――――――――――――
転送術式用建物外
勇者「ふぅ。」
勇者(中はだいぶ埃臭かったな。さて・・・)
勇者(ペンダントで方角はわかる。急いで行こう。)
勇者(ここは丘になっているのか。下の港町が一望できるな。・・・船が一つもない。閑散としている。)
勇者(潮風の所為か木もあまりない。海に出るのは危険だ。一体どうやって生活して・・・)
勇者(・・・向こうの方に畑が見える。目が悪くなったな。何の作物か特定できない。)
ズダッ!ビュン!
――――――――――――――――――――――――
畑前
勇者「・・・これは・・・・・・」
勇者(葉から察するに芋だ。しかし・・・だいぶ荒らされているな。むねがしっかりしているから手入れはされているはず。茎が食いちぎられている事から人間の仕業ではない。)
勇者(動物か魔物か・・・。柵はついているな。壊されているわけでもないから、恐らく魔物か。)
勇者(柵を壊す必要がなく、歯がついている魔物・・・。跳躍力が高いか、空を飛べるか・・・・・・。)
勇者(追跡してみよう。ここは見通しがいいから、恐らく穴を掘りそこを寝床にしている種類が予想できる。)
勇者(地走性の魔物・・・いやだったらもう少し地面が盛り上がっていてもおかしくは無い。・・・角兎が怪しいか。他にも同じような特徴を持っている奴はいるが・・・。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
魔物「ギイイイ!!」
ドサァ!
勇者「魔法を使いながらの戦闘は久しぶりだ。少しは勘が戻った。この巣も破壊しておこう。新たな奴が棲むかもしれない。」
勇者「爆雷中詠唱開始」
勇者「詠唱完了」
ズガァァ!!
勇者(急ごう。)
ズダッ!
855 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/21(水) 00:16:33.14 ID:razxNSqlo
――――――――――――――――――――――――
夕方
勇者「・・・極寒砂漠か、超々加速呪で無理矢理突っ切ったんだったな。」
勇者(しかしこの方向に戦士たちがいる。砂漠に入らない様そって進む。)
勇者(砂漠近くの村だ。ワームを受け入れる準備がある施設の近く。砂漠の中には居ないはず。)
勇者「加速呪」
ズダッ!
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
砂漠後の村
勇者「着いた。この村にいるはず。」
ダッ!
監視「止まれ!」
勇者「な、なんだろうか。」
監視「お前は何者だ。」
勇者「何者、と言われても・・・・・・。」
監視「動くな。」
花つきの枝≪パサッパサッ≫
勇者(これは・・・確か鬼系の亜人が嫌いな花だったか。)
監視「手と耳を見せろ。」
勇者「・・・。」
監視「しっぽも無いな。翼も無し。」
監視「良し。入っていいぞ。」
勇者「っ。」
ズダッ!
――――――――――――――――――――――――
宿屋前
勇者「この建物の中か。」
扉≪ギギィィィ・・・≫
受付「いらっしゃい。悪いけど満室だよ。」
勇者「すまない。ここに3人組の女性は居ないだろうか。」
受付「3人組・・・?あぁ居たねぇ担ぎ込まれたのがさ。」
勇者「どこにいるのだろうか。」
受付「ちょっと確認してくるよ。そこでまってな。」
勇者(この建物を一周した。間違いなくここに居るはず。)
女僧侶「ゆ、勇者様!」
ガバッ!
勇者「遅くなった。一体どうした。説明してくれ。」
女僧侶「商人さんが・・・商人さんが・・・っ!」
女僧侶「魔王に連れて行かれてしまいました・・・っ!」
856 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/21(水) 00:32:06.33 ID:T/SI04v5o
????ь????‼
857 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/21(水) 00:32:53.09 ID:T/SI04v5o
リアルタイム見てる‼
858 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/21(水) 01:10:46.52 ID:razxNSqlo
――――――――――――――――――――――――
宿屋 自室
勇者「商人が・・・土人形・・・・・・。」
勇者(・・・全く予想していなかった答えだ。しかし・・・なんであろうと救うと俺は決めた。今更なんであろうと構わない。)
女戦士「・・・悪ぃ・・・守れなかった・・・・・・。」
勇者「気に、病むな。連れ去られたのだからまだ生きているはずだ。」
女戦士「・・・・・・うん・・・。」
女魔法「でも・・・魔王が何するかわかんないよ・・・・・・。」
女僧侶「研究するっていってました・・・。あんな、人と違いのない、商人さんを作れる存在が考える事なんて、わかりません・・・・・・。」
勇者「それでも、恐らく生きているはずだ。経緯が気になると言っていた。それを調べた後でも、魔王にとって商人はとても珍しいのだから、雑多に扱う事はないだろう。」
勇者「だが急ぐべきではある。場所はわかるんだな。」
女魔法「・・・ここに居るって情報渡されたけど、ほんとか分からないよ。」
勇者「十分だ。手掛かりが有れば。そうだ、3人とも大丈夫か?」
女僧侶「・・・私は、何もされてませんから平気です。」
女戦士「私も、ちょっと頭痛がして体がだるいだけだ・・・。」
女魔法「まだ気持ち悪い・・・。」
勇者「大丈夫か?ゆっくり寝ててくれ。」
女魔法「・・・うん。明日までには、治すね。」
勇者「戦士も。ゆっくり寝てくれ。」
女戦士「そうさせてもらうよ・・・。」
女僧侶「ゆ、勇者様、ご飯食べましたか?」
勇者「・・・食べてない。」
女僧侶「私、作ってきます。二人を見ていてあげて下さい。」
扉≪ガチャン≫
女戦士「・・・くそ。私って弱いな・・・。」
勇者「何を言うんだ。今まで皆を守ってきてくれたのは戦士じゃないか。お前は弱くない。」
女戦士「このパーティに甘えてた・・・。剣技の訓練だって前よりだいぶ減った・・・!敵が強いからって・・・っ!負ける理由になんてならないのに・・・!」
女戦士「畜生・・・!畜生・・・!」
勇者「今は寝てくれ。お前の役目はまだ続く。商人を助けるためにも、今は休んでくれ。」
女戦士「悔しくて、寝れる気がしない・・・。勇者、頼む・・・。確かに今は寝るべきだから、無理矢理寝かせてくれ。」
勇者「・・・睡眠魔法」
女戦士「・・・。」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「・・・寝れるか?」
女魔法「・・・一緒に居て。」
勇者「わかった。」
トサッ
女魔法「・・・・・・魔王、魔力がある中で一番だって。」
勇者「・・・。」
女魔法「私の魔法、何にも効かなかった。私の魔法、魔王に通用しないみたい・・・。」
女魔法「雷矢を放っても、届く前に消えちゃった・・・・・・。」
勇者「効かないなら、効く方法を考えよう。届かないなら、届く方法を考えよう。」
勇者「俺より詠唱が早いし、俺よりたくさんの魔法を使える。お前は必要だ。」
女魔法「・・・・・・でも私、転送術も使えない・・・」
勇者「俺のは特別だ。今判明している転送術の条件よりはるかに進んだ条件を知った。それだけだ。」
勇者「ほら、もう寝るんだ。また明日話そう。」
859 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/21(水) 01:58:09.11 ID:razxNSqlo
女魔法「・・・。」
勇者「俺はここにいる。安心しろ。」
女魔法「・・・うん。」
勇者(・・・やはりかなりショックを受けている。何も出来ず、何も効かなかった。自信は無くなってしまって当然・・・。)
勇者(魔王への対抗策・・・考えておかなければ。)
勇者(座標がわかれば転送術で飛んでいく事も可能だ。しかし辿り着いたとして、どうやって魔王を倒す?斬撃も防がれ、魔法は届かない。)
勇者(一体何をしたんだ・・・?戦士が斬れないものなどあるのか?発動した魔法を消す方法も・・・。)
勇者(発動した魔法を消すには一度組まれた魔法条件をずらせばいいはず。理論はそう。しかし実際にやるとなると・・・)
勇者(雷矢の条件。発雷魔法を魔力の桶の中に貯めて指向性を持って魔力の桶ごと飛ばす。この飛ばしてる間に消えた・・・。)
勇者(魔力の桶を壊されたのか?しかしならば中に貯められた雷は近くの物へ流れるはず。消えてしまったのだからどこかで発散されたはず・・・。)
勇者(魔力の桶を壊すには・・・一体どうすれば?条件をずらす、と言っても魔力の桶は基本中の基本。条件も2つ3つ程度。)
勇者(・・・単純であればあるほど阻害を受けにくい。どうすれば・・・・・・。)
扉≪ガチャン≫
女僧侶「どうぞ。と言ってもパンに塩漬け肉を挟んだだけですけど・・・。」
勇者「あぁ、ありがとう。パンも塩漬け肉も久しぶりだ。」
女僧侶「・・・・・・これから、どうしましょう。」
勇者「魔法が教えられた場所に行く。」
女僧侶「それは、そうですけど・・・。魔王の力は、絶大すぎます・・・・・・。」
女僧侶「今のままでは、間違いなく負けてしまいます・・・。」
勇者「そうだな・・・。俺も負けた。神から無尽蔵かと思える魔力を流されながら、自分を犠牲にしてまで殺そうとしたのに、それでもいなされてしまった。」
勇者「圧倒的に情報が足りない・・・。魔王に何が出来るのか、魔王の苦手な物、防ぐ方法、知らなければいけない事はたくさんある・・・。」
勇者「魔王をよく知る奴から話を聞ければいいんだが・・・」
女僧侶「魔王をよく知る、ですか・・・・・・。居る事は、いますけど・・・。」
勇者「赤色のエレメンタル、か・・・。」
勇者(エレメンタルと魔王の関係、か・・・。兄上、と呼んだそうだが、つまり魔王も元はエレメンタルなのか?)
勇者(しかし外見は人間だった。所々ふざけた奴だ、適当な呼称かもしれない。)
勇者(しかしエレメンタル、少なくとも赤色と何らかの関係が有るのは確かだ。しかし赤色は話を聞くどころではない。かなり性格が悪い。)
勇者(4人を襲った水蒸気爆発・・・あいつがわざと当てた可能性がある。あれだけ広い砂漠で、ピンポイントに襲う事など稀すぎる。)
勇者(当てた理由はただの暇つぶし。恐らくそれだけだ。)
勇者(深い理由などないだろう。ただ、それだけだ。)
勇者「聞きに行けば、今度こそ殺されるかもしれないな。」
女僧侶「・・・正直、もう行きたくありません。自分以外はただの玩具だとしか、見ていないような気がします・・・。」
女僧侶「でも・・・それしか突破口がないのなら、行くしか・・・。」
勇者「・・・決めるには早計だ。明日、2人が起きてから、情報を整理してこれからまずどうするか決めよう。」
勇者「今日は、僧侶も寝るんだ。明日また考えよう。」
女僧侶「・・・はい。」
860 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/21(水) 02:25:08.63 ID:razxNSqlo
勇者(・・・嵐島に戻れば、緑色から話を聞けるかもしれない。しかし、俺は座標を知らない。迂闊だった。座標を調べて置けばよかった。)
勇者(・・・離れていても緑色と話すことが出来れば・・・。)
勇者(待てよ・・・。今は俺とあいつは繋がっているんだ。何とかならないか?)
勇者(伸ばせば伸ばすほど、流れる魔力を維持に使用している感じだ。俺と管を繋げているような物なのだろう。)
勇者(・・・くそ、わからん。魔力がどこから流れ込んできているのかさえわからん。思えば俺はずっとこの状態で生きてきたんだ。常人の通常との違いなど感じ取れるはずがないか。)
勇者(どうすればいい。考えろ。・・・魔王を倒すことに繋がる情報・・・。)
勇者(分からん・・・。どうすれば・・・。)
―――――――
――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
夢
勇者「・・・。」
パチ
ムクリ
勇者「夢、か。2日ぶりか。」
1106「おはよー。」
1107「おはよー。」
勇者「・・・おはよう。2日ほど来なかったがどうしたんだ?」
1106「勇者は大事な事やってたからやめといたの。」
1107「皆交互に寝てたから入れなかったの。」
勇者「・・・そうだ。商人の夢に行けないか!?」
1106「・・・無理なの。」
1107「駄目なの。」
勇者「そう、か・・・。」
1106「商人・・・すごく強く守られてるの。」
1107「どうしても会いに行けないの。」
勇者「守られている?」
1106「すごく強い力で扉が閉まってるの。」
1107「開けてみようとしてもすごく固いの。」
勇者「・・・案内してくれ。」
1106「わかったの。」
1107「行ってみるの。」
勇者「・・・そういえば3人は?」
1106「すごく、疲れてるから今日はやめとくの。」
1107「皆、すごく悲しんでる・・・。みんな悪くないのに、自分が悪いって思ってる・・・。」
1106「仕方のない事ってたくさんあるのに、皆悲しんでる。」
1107「夢の中だけでも想いに囚われてほしくない。」
両方「だから、また明日。」
勇者「・・・そうか。」
861 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/21(水) 02:26:02.07 ID:razxNSqlo
また明日迷子小3じゃない正一くらいおやすみ
862 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/21(水) 02:45:03.96 ID:Ug3uKjF2o
乙
863 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2012/03/21(水) 02:53:55.41 ID:syuS7mGMo
乙
864 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage]:2012/03/21(水) 03:28:31.91 ID:BAIk3gD1o
おつ
865 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/21(水) 06:19:05.86 ID:fYVo6cgSO
乙(´ω`)乙
最近投下が続いてて嬉しい
866 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/21(水) 07:14:39.11 ID:FsSJNlmIO
乙
>>865
同意
867 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/21(水) 23:55:47.33 ID:razxNSqlo
――――――――――――――――――――――――
夢への扉
扉≪・・・≫
勇者「これが、商人の夢へつながる扉、か。」
1106「扉は扉、個性は出ない。」
1107「扉の奥がその人なの。」
勇者「・・・」
グッ
扉≪・・・≫
勇者「・・・びくともしない。」
1106「すごく、強い力なの。」
1107「私達でも開けられない。」
勇者「・・・。」
ガンガンガン
1106「なに、してるの?」
勇者「・・・いや、ノックしたら、出てくるんじゃないか、と、思ってな。」
勇者「一度も、誰かが居る扉を叩いた事なんてない・・・だが、どういう風に受け答えするのか、自然と想像できる。」
勇者「きっと、は〜いと言って、今開けますと言いながら開けるんだろうな。」
1107「勇者・・・。」
勇者「・・・ひと達。夢って、なんだ?」
1106「・・・夢の中は想いの中。」
1107「夢は想いなの。」
勇者「・・・想い・・・・・・。」
1106「想いが有れば、夢は出来る。」
1107「私達みたいに、人じゃなくても、夢は出来る。」
勇者「・・・。」
1106「夢が有るのは、想いが有るから。」
1107「想いが有るなら、仲良くなれる。」
勇者「・・・。」
1106「この扉は」
1107「想いの証」
1106「だから安心して。」
1107「大丈夫なの。」
勇者「・・・悪かったなひと達。俺は、疑っていたのか。」
勇者「土人形だと、想いは有るのか、不安だったのか。」
勇者「・・・必ず迎えに行く!!それまで!待っていてくれ!」
勇者「またな!商人!!」
勇者「・・・戻ろう、ひと達。話しておきたいことが有る。」
1106「・・・うん!」
1107「わかった!」
868 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/21(水) 23:56:11.19 ID:razxNSqlo
――――――――――――――――――――――――
夢
勇者「まだ船を待っているのだったな。」
1106「うん。」
1107「そう。」
勇者「これから先何か月かかるか分からないがひと達は俺の家に行く。一足先に国王に俺の家を使わせるように頼んでおいた。」
勇者「それでな、国には一人女の子がいるんだ。」
1106「女の子?」
1107「どんな子?」
勇者「長い金髪で、空を飛ぶ事が出来る子だ。ひと達より少し歳は上かな。」
1106「空を飛べるの?」
1107「私達と同じ金髪なの?」
勇者「あぁ。まだまだ先だけど、もし会ったら仲良くしてあげてくれ。あ、でも空を飛べるのは秘密だ。」
1106「分かったの。」
1107「仲良くするの。」
勇者「さて、2日開いたが、文字の勉強をしようか。」
両方「はーい。」
勇者「そうだな。最初に今日有った出来事を文章として書いてみてくれ。」
1106「今日有った」
1107「出来事?」
勇者「あぁ。もう発音と文字の関係が分かりかけているだろうからな。喋りながらでいいから文字にしてみよう。練習だ。」
両方「はーい。」
1106「えっと・・・きょう、は、りぼるばー、たいの、ひと、が・・・」
1107「うちころすぞ、って、けんか、しながら・・・」
1106「くろい、おじさん、が、あたまをひやせ、って、いいながら・・・」
1107「うみに、けって、おとして・・・」
勇者「・・・過激な生活を送ってるみたいだな。」
両方「出来た!見て見て!」
勇者「どれ・・・」
勇者「今日はリボルバー隊の人が長い髪のお姉ちゃんに付き合ってくれといってたらごめんなさいと言われて落ち込んでてもう一人の人が髪が短いお姉ちゃんにやだっていわれてて
お前は胸しかみてないから振られるんだお前だって顔しか見てないんだからダメなんだといってからなんだとこの野郎撃ち殺すぞって喧嘩しながらあぁやってみろよ糞ボケがって言って
髪が短いお姉ちゃんが部屋の前で喧嘩すんじゃないっていって追い出して面白そうだからついていったら黒いおじさんが頭を冷やせって言いながら海に蹴って落として
銃が錆びたらどうすんだ糞ハゲって言われてて脳みそ錆びさせて少しは落ち着け阿呆共って言って居なくなってちくしょーに時間は整備だと言いながらこっちきて
私たちの頭をなでながらようひと達お前ら海ん中はいんなよさみーさみーと言いながら宿屋にいきました」
勇者「・・・今日は文の繋ぎ方を教えよう。それと数字の書き方。」
1106「駄目だった?」
1107「おかしかった?」
勇者「これだと意味は通じるけど、読みにくい。でもこの書き方は仕方がないな。文字に触れる機会が少なすぎた所為だろう。」
勇者「今日は最低限の事を教えるから、兵士長や3人のお姉ちゃんに絵本をねだって読んでみるといい。そうしていれば自然と文章はキレイになる。」
勇者「さて、ひと達が書いたこの文章を読みやすくしてみよう。」
――――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
869 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/21(水) 23:56:48.80 ID:razxNSqlo
――――――――――――――――――――――――
夜明け
勇者「・・・。」
パチ
ムクリ
勇者「・・・ふぅ。」
勇者(久しぶりにシーツの上で寝たな。・・・一週間程度、か?そもそも旅をしてから布団を使って寝るなどあまり無かった。)
勇者(そもそも建物の中で寝ること自体少なかったか。家を出てからはずっと野宿だったからな。)
女魔法「・・・スー。・・・スー。」
女戦士「ぐぅ・・・。ぐぅ・・・。」
女僧侶「スゥ・・・。スゥ・・・。」
勇者「・・・。」
勇者(皆の寝顔・・・俺が2番目に見慣れた顔。しかし、4人の中で一番知っている顔だけが足りない。)
勇者(必ず、救う。待っていてくれ、商人。)
勇者(取りあえず朝飯だ。鞄の中の木の実類をさっさと食べた方がいい。しかしここの食糧事情はどうなっているのだろうか、魔王の復活により海からの食糧はほぼ取れない。)
勇者(牧畜も出来ないだろうから農産物が主体となる。やはり足りないのでは・・・。)
勇者(宿屋に泊まった事は一度しかなかったが確かキッチンが借りれるはずだったな。勝手に借りていい物か・・・)
勇者(そういえば燃料の木もタダではないはず。この辺りは平原だ、木材が少ない。そう言えば昨日僧侶が作ってくれたメニューは火を使わない簡易的な物だった。)
勇者(・・・勝手に使うのは避けた方がいいな。)
勇者(そうなると勝手を知っているのは・・・僧侶だがまだ朝は早い。昨日の今日だ急がせたくはない。)
勇者(外で素振りでもしていよう。)
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女僧侶「・・・。」
ムクリ
女僧侶「・・・あれ、勇者様は・・・・・・。」
女魔法「おはよう。」
女僧侶「あ、おはようございます。勇者様はどこへ行ったのでしょう。」
女魔法「外行ったみたい。」
女僧侶「外へ?一体何をしに・・・」
扉≪バタン≫
勇者「起きたか。おはよう。」
女魔法「おはよう。」
女僧侶「おはようございます。何処へ行っていたのですか?」
勇者「この村を見回っていた。」
女魔法「なんで?」
勇者「昨日の港町でもそうだったんだが・・・畑を荒らされていた。芋類や玉蜀黍など強い作物を育てている。ここは慢性的な食糧不足な事がうかがえる。」
勇者「茎などの齧り方や柵の破損状況などを見ていると恐らく角兎が怪しい。しかし角兎はそこまで強くない種だ。なぜされるがままなのか不思議なんだ。」
女僧侶「なるほど・・・。昨日の時点でおかしいと思っていたのですか?」
勇者「思ったのは今日の朝だ。素振りをしたくて手ごろな的を探していたら畑に出て、荒らされたアトが有ったからな。荒らされ方が昨日の港と同じようだった。」
女魔法「・・・どうするの?」
勇者「取りあえず畑の持ち主に話を聞いてみた。どうも魔王が復活した後に魔物が活発化しだして特に魔王の領域に近いこの場所は角兎さえでも危ない種になっているらしい。」
勇者「しかし昨日俺が倒した奴はそこまで強くなかった気がするんだが・・・」
女僧侶「勇者様は特別ですけどね・・・。」
870 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/22(木) 00:15:32.94 ID:7HUjMbRPo
勇者「角兎なら追うことが出来る。巣穴を見つけて駆逐しておこう。」
女僧侶「分かりました。」
女魔法「・・・いいの?」
勇者「何がだ?」
女魔法「商人、助けに行かなくても。」
勇者「無論、行く。しかし放って置くわけにもいかない。」
女魔法「・・・そっか。」
勇者「そうだ、魔法。商人が連れ去られた場所の情報は地図上でしか分からないのか?」
女魔法「うん。転送術用の座標情報は教えられてない。」
勇者「・・・そうか。わかった。取りあえず朝飯にしよう。僧侶、ついてきてくれ。俺は勝手がわからない。」
女僧侶「分かりました。そういえば勇者様は宿屋に泊まった事は一度しか無いのですね。」
勇者「あぁ。燃料等どうすればいいのか分からん。」
女僧侶「ここは燃料は有料制です。勝手に使用すると怒られますよ。」
勇者「そうなのか・・・。」
女魔法「私も行く。」
勇者「分かった。手伝ってもらおう。」
女魔法「ん。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
勇者「起きろ戦士。」
ペシペシ
女戦士「ん・・・。っうお!」
ガバ!
勇者「お前も中々寝起きが悪いな。飯が出来てる。」
女戦士「あ、あぁ・・・びっくりした・・・。・・・そういえばお前合流したんだったな。」
女僧侶「勇者様が起こすとすんなりですね。」
女魔法「いつもはもっとぐだぐだするのにね。」
女戦士「いや、だってよ。・・・いや、何でもない。」
勇者「冷めるぞ。」
女戦士「あ、うん。」
女僧侶「勇者様が作ってくれたんですよ。」
女魔法「果物とパンのスープ。」
勇者「あまり燃料は使わない方がいいようだからな。そこまで凝ってない。」
女戦士「・・・ふー。取りあえず、食うか。」
871 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/22(木) 00:46:54.84 ID:7HUjMbRPo
――――――――――――――――――――――――
勇者「さて・・・魔王の示した場所に行くには地を這って行くしかない。」
女戦士「なんでだ?お前転送術使えるんだろ?」
勇者「転送術は汎用性はあまり高くない。ちゃんとした座標を知らないとかなり危険だ。大地の高さや樹木等の障害物の有無が重要な要素になってくるからな。」
女戦士「間違えると地面に埋まったりするって事か?」
勇者「転送地点に障害物があるのならまだいい。魔法が発動しないからな。問題は高低差の誤りだ。下手をしたらかなりの高さか落っこちる事になる。」
女戦士「ふーん。大変なんだな。」
女魔法「・・・魔法は条件がたくさんあって大変。魔法の条件だけをたくさん覚える条件学士っていう仕事もある。」
女僧侶「教会にもそういった方が居ます。書物に教えを残してはいけないから、口伝で残しているそうです。」
勇者「そうなのか?俺が読んだ本には回復魔法は乗っていたぞ。」
女僧侶「それは教会にとっての異端者が書いた本でしょうね。人を救う術を広く伝えて何が悪いのか、って・・・。正直私もその点については同意します。」
女戦士「色々あるんだな・・・。」
勇者「それで、この平原を進む間は馬に頼ろうかと思う。馬の飯はありがたい事に生えているからな。」
女戦士「馬か・・・。」
女魔法「・・・。」
女僧侶「どうするんですか?確かに馬は体力のある優秀な動物ですが乗馬には経験が必要ですし・・・」
勇者「あ、いや。馬と言っても全員分用意するわけじゃない。馬車を使おうかと思う。」
女僧侶「馬車を?」
勇者「あぁ。少しは早く進めるだろう。」
女戦士「でもこの先道が整備されてるってわけじゃないんじゃないか?馬車の安定した速さは道があっての事だろ?」
勇者「道は確かに荒れ気味のようだがちゃんとある様だ。そもそもここは西大陸聖国家が開拓をしていたのだから、荷物の運搬に馬車を利用していたはず。」
勇者「十分使用できるだろう。」
女魔法「・・・それで、どうやって馬車をもらうの?」
勇者「・・・まぁ、お金を使って、かな。」
ガシャ
女戦士「なんだこれ?随分高級感のある袋だな。」
女僧侶「・・・これ、紐は蛇の皮ですし、袋も高級な布ですよ?金糸で飾りまであしらってありますし、高級感だけじゃなくとんでもなく高級では・・・。」
女魔法「・・・。」
ザシャァ!
女戦士「・・・うっへぇ。」
女僧侶「こ、これ、全部金貨ですか!?」
女魔法「・・・ピカピカ。」
勇者「俺の世話をしてくれた人が入用になるはずだから持って行けと・・・。」
女戦士「とん・・・でもない金額だぞ。具体的に言えば家が建つ。」
女僧侶「そ、それも中流の上くらいの家、ですね。」
女魔法「金色って本当に光るんだね。」
勇者「普通に机から取り出していたんだが・・・」
女戦士「そうか、お前は金なんて使えなかったからな。頭でわかってても実際どれだけすごいのか実感わかないんだろ。」
勇者「正直な・・・。それに金の価値は場所によって変わってしまうし・・・」
872 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/22(木) 00:53:30.00 ID:1GbN+g/5o
仕方ないけどもう少し王様周辺との会話が見たかったな
873 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/22(木) 01:36:58.68 ID:7HUjMbRPo
女僧侶「で、でもこれだけあれば馬車だけでなくて大量の食糧も買えますね。大変助かります、商人さんが居ないとお金の事がどうにも回せそうになくて・・・。」
女戦士「いやー、ちょっと怪しいな・・・。」
女魔法「? なんで?こんなにあるのに・・・。」
女戦士「価値が高すぎる。これじゃ相手側がつりを出せない。」
勇者「・・・なるほど、今の村の状況を考えると、価値の高い金貨より、価値の低い銅貨を数を持っていた方が使いやすいのか。」
女戦士「そうだ。私は一時期別の国の貴族が集まるような所に居た事あるけど・・・そんな経験をしてた奴がたくさんいた。」
女戦士「使いにくい金よりかは現物持っていた方がもうかるかもしれないからな。売るのを渋られるかも。もしくは割高にとられるかもな。」
勇者「だが、金の価値が保たれているのはここが最後かもしれない。この大陸を進めば進むほど金の価値が薄まるはずだ。」
勇者「この砂漠を超えれば取りあえずは金の価値が戻るのだから、ため込んでおこうとする人たちはいるだろう。しかし馬などは超える事が出来ないから、置いていくしかない。」
勇者「そういった人達を狙って馬車を手に入れよう。出来れば馬の食糧の予備を積んでおいて・・・ここの食糧はあまり買いあさりたくないしな。」
女僧侶「な、なぜですか?」
勇者「食糧が不足しているからだ。俺たちが長期間分の食糧を買ってしまうと、さらに拍車がかかるだろう。避けたい。」
女戦士「へへっ。お前私たちが困るかもしれないってのに・・・。まぁいいけどさ。私もそれは賛成。」
女魔法「私は勇者が言うならそれでいい。」
女僧侶「では買う物をまとめておきましょう。商人さんなら、すぐまとめてくれるのですが・・・。」
勇者「仕方がない。何が必要か話し合おう。」
女戦士「馬は何頭買うんだ?」
勇者「俺たち4人を引くのだから・・・理想は2頭か。俺は併走できるから、最悪一頭でも・・・。」
女僧侶「馬は2頭ですね。それで・・・馬用の食糧となると乾草ですね。これは上に布を引けばベッドの代わりにもなりますしあってもいいですよね。」
女戦士「ただ虫がなー。結構わくんだよな蚤とかがさ。」
女魔法「・・・。」
勇者「あぁ、じゃぁタバコも買おうか。」
女戦士「タバコ?なんでだ?」
勇者「あの匂いを虫が嫌がる。タバコの木の枝などを近くに置いておけば大丈夫だろう。一緒に与えないよう注意は必要だが・・・。」
女僧侶「お金は少し残して後は実用的な何かに変えておいた方がいいかもしれませんね。物々交換の方が食料を得やすいかもしれません。」
勇者「・・・実用的な物・・・・・・。刃物などはどこでも使うものだが・・・。」
女魔法「かさばる。危ない。」
女戦士「そうだなー。消耗品がいいな。」
女僧侶「消耗品、ですか。そうなると・・・服ですね。」
女魔法「・・・。」
女戦士「・・・。」
女僧侶「な、なんですかその目は。私は真面目ですよ。」
勇者「確かにいい案だと思う。服に限定しなくとも布や針など・・・生活を続ける上では服は消耗してしまうからな。食料が不足している場所では変えられないだろうが・・・。」
女戦士「食料がちゃんとある場所なら変えてくれる可能性は高いな。うっしじゃぁ布と針と糸をちょっと積んでおくか。」
女魔法「・・・雨降ってきた時に馬を守るものが必要だと思う。」
勇者「そうだな。馬用の雨避けと・・・そうだ馬車を治すための修繕道具も持っておいた方がいいな。」
女戦士「そのあたりは基本道具だなー。手入れ用のブラシとかよ。」
勇者「あとは・・・武器の手入れもこの先満足に出来るか分からない。砥石などは数を持っておこう。」
―――――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
874 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/22(木) 02:12:20.47 ID:7HUjMbRPo
――――――――――――――――――――――――
夕方
勇者「よし、では行こう。角兎の巣はちょうど進む方向にある。」
女魔法「ん。」
女戦士「私は走ってく。鍛えなおさないと。」
女僧侶「だ、大丈夫ですか?」
女戦士「平気平気これくらい訓練時代に毎日やらされてた。ついでに剣も振る。」
勇者「俺も痕跡を追わなきゃいけないから、降りている。手綱握れるか?」
女僧侶「・・・乗馬ならやっていたのですが、馬車の御者は・・・」
女魔法「握ってるだけじゃないの?」
勇者「まぁ、基本は乗馬と一緒のようだ。俺も運転した事はない。」
女僧侶「わかりました・・・やってみます。」
女戦士「私もどっちかっていうと乗馬だったからなぁ。あいつ元気かなー。」
女魔法「馬持ってたの?」
女戦士「おう。私の家は一人一頭自分の持ってるんだ。世話とかも自分ですんの。」
女魔法「へぇ。」
勇者「では行こう。取りあえず目標は角兎の巣だ。」
馬車≪ガタン、ガラガラガラ・・・≫
――――――――――――――――――――――――
魔物「ギィイイ!」
勇者「フッ」
―――ヒュラン
ズバン!
魔物「ギイッ!」
女戦士「おりゃ!」
ズバァア!!
ドサッ!
勇者「・・・ふぅ。結構数が多かったな。」
女戦士「確かに角兎程度にしては強かったな。突進力が高いし小回り聞いてるし。ていうか勇者、いつの間に真空斬り使えるようになったんだ?」
勇者「・・・2日前だ。遠くに手数が2手必要な状況が出来てしまってな。その時に閃いた。」
女戦士「天才は違うねー。私なんて半年もかかったっていうのに・・・。」
勇者「巣を壊してしまおう。爆雷中」
ズガアアン!
女戦士「さて、と・・・皮はぐのは時間掛かるし角だけでも折っていくかぁ。」
勇者「角兎の角は飲み薬に使えるらしいな。」
女戦士「眉唾だけどな。胃薬にいいんだとさ。」
875 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/22(木) 02:42:50.75 ID:7HUjMbRPo
――――――――――――――――――――――――
夜
馬「ブルルル」
ゴシゴシゴシゴシ
女戦士「もっと力入れて大丈夫だぞ。馬は皮が厚いからな。」
勇者「・・・。」
ゴシゴシゴシゴシ
女戦士「馬のブラシ掛けはすごく重要だ。馬のストレスを解消してくれるし、健康を維持するのにも重要。蚤とかも取れるし。」
勇者「結構時間が掛かるんだな。」
女戦士「まぁなぁ。ゆっくりやらなきゃダメなとこもあるし、さっさと手順は覚えておけよ。」
勇者「蹄はどうするんだ?」
女戦士「もちろん手入れするぞ。順番決めて順序良くやると馬のストレスが少ない。足あげさせて、この棒で泥とかゴミとかを掻き出す。」
女戦士「この時に足見とけよ。腫れてたり傷が有ったりしないかしっかり触って確認だ。」
女戦士「今日は水場無いから簡単でいいや。水場見つけたらしっかり洗ってやるぞ。と言っても水につけるわけじゃないけど。」
勇者「よし、全体かけ終わった。あとは?」
女戦士「櫛つかって鬣とかしっぽとかすいてやって上げてやれ。馬もおしゃれに気を使うんだぞ。」
勇者「へぇ。」
女戦士「それ終わったらもう一頭。私は口出さないから自分でやってみろよ。」
勇者「わかった。」
女戦士「これからよろしくなー。」
馬「ブルルル・・・」
――――――――――――――――――――――――
女僧侶「次はどこを目指せばいいんでしょうか。」
女戦士「前の村で聞いたら道を進んでれば取りあえず集落には着くって話だぞ。でも魔王が復活してから家を捨てて逃げようとしてる奴ばっかって事だから・・・。」
女魔法「人が残ってても少ない。」
勇者「もしくは居ない、か。次の集落に誰も居ないなら残ってる家を使わせてもらおう。」
女戦士「・・・しかしどうしような。」
女魔法「・・・。」
女僧侶「対抗策、ですか・・・。」
勇者「魔王、か。・・・ふむ。」
女戦士「確かに、刃はあいつの体に触れたはずだ。いい感じの手ごたえを感じたのに・・・無傷だった。」
女魔法「私の魔法・・・魔王に届かなかった。」
女僧侶「私は、どうすればいいのかわかりもしませんでした・・・。」
876 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/22(木) 03:09:57.32 ID:7HUjMbRPo
勇者「剣は斬れない、魔法は届かない、攻撃力は高すぎる・・・。」
女戦士「ほんと、大昔に一人で人間相手に戦争してたってのも頷ける。あれは規格外だ。」
女魔法「でも、なんとかしないと商人が・・・。」
女僧侶「突破口の一つでも、あればいいんですけど・・・。」
勇者「・・・取りあえず、魔法を当ててみよう。」
女魔法「どうやって?シュンって消えちゃったのに・・・。」
勇者「魔法が一瞬で消える理由を考えた。恐らく条件をずらされている。」
女戦士「・・・また難しい話になりそうだな。」
女僧侶「必要な事なんですから我慢してください。」
女魔法「・・・確かに魔法を阻害する魔法はある、けど・・・。その魔法と魔王が消したのだとちょっと違う。」
勇者「そうだな。話を聞く限り、桶を壊されただけじゃなさそうだ。」
女戦士「桶?」
女僧侶「恐らく射出する魔法の基礎の魔力の桶の事でしょうね。」
女戦士「魔力の桶?」
女僧侶「魔法による効果を維持する事が出来る技術です。効果を貯める事から桶を例えにだして通称魔力の桶と言うんですよ。」
女戦士「へー。」
勇者「中に貯められていた雷も一気に消えてしまったとなると・・・何かに吸収された可能性があるな。」
女魔法「雷を消すってことはそうだよね・・・。」
勇者「・・・そういえば独特な魔法を使っていたな。遠くからでも殴られたり見えない何かに掴まれたり・・・。」
女魔法「念力魔法かと思ってたんだけど・・・違うみたい。」
女僧侶「魔王・・・、魔法さんを気絶させる前に魔力を極限まで圧縮して触れるように・・・とかいってましたよ。」
勇者「魔力を圧縮して・・・?」
女魔法「・・・。」
女僧侶「嘘、だったのでしょうか。」
女戦士「アイツはふざけた奴だ。私の事良く分からない名前で呼んだり、嘘はいくつかついてるかもしれない。」
女魔法「・・・理論的には、可能。あくまで、理論的には・・・。」
勇者「そうなのか?魔力に触れても感触など何も感じないが・・・。」
女魔法「・・・魔力は、不思議な力とかじゃなくて・・・、ちゃんとした物だって説がある。」
女魔法「見えないのにある・・・空気みたいに・・・。」
女魔法「・・・すごくすごく、量が有って、尚且つ小さくまとめる事が出来るなら・・・もしかしたら触れるかも・・・。」
勇者「もしそうだと仮定して魔力の壁があるとすると・・・どうやってその壁を超えるか、に焦点が移るな。」
877 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/22(木) 03:35:50.80 ID:7HUjMbRPo
女僧侶「そういえば魔素っていう単語もありますし、実際には有るのでしょうか。」
女魔法「魔素という単語は魔力の最小単位の呼称であって物質である事を示す言葉じゃない。」
女戦士「わからん。わかりやすく言え。」
勇者「・・・そうだな、例えば、ここに石がある。」
勇者「これを、二つに割ったとする。さらに二つ。さらに、さらに。」
勇者「二つに割ることを繰り返していくと、いつかは限界が来るはず。もう、二つに分けれない、という状態に。」
勇者「その状態の事だ。物質と魔力は分けられて考えられているから魔素という呼称が出来た。」
女戦士「そんな事考えてどうするんだ?」
勇者「魔力が魔力たる大きさが有り、それを前提にした運用が出来る。まだまだ先の話のようだが・・・。」
勇者「考えてそれを解き明かそうとするのは人間のサガだと言えるな。まだまだ意味が出てくる話題じゃない。」
女僧侶「話がずれちゃいましたね。どうやってその魔力の壁を越えます?」
勇者「すごい密度だろうから、硬いし超えるのは容易ではないか・・・。」
女魔法「魔力を斬れるっていう戦士の剣でも斬れなかったし・・・。」
女戦士「私の退魔は研究者が言うには魔力回路を斬っちゃうんだと。普通は剣じゃ斬れないらしい。」
勇者「魔力回路を斬る・・・回復不能か。魔法も使えなくなる。」
女戦士「どっかの占い師は魂に傷をつける力だとか言ってた。魂とは魔力の源で傷をつけられたら大いなる星の魔力に還元されて〜とか。」
女僧侶「占い師ですか・・・。」
女戦士「怪しさ満点だった。どうするかな・・・あいつのその壁を超える方法なんて・・・。」
勇者「実は浅かっただけで魔力の壁は切れていたのかもしれないな。」
女戦士「・・・でも弐撃一献は私のお父様が考えた剣技で、かなり威力があるぞ。これより威力がある剣技なんて・・・。」
女魔法「無いなら考えるしかない。」
女戦士「無茶言ってくれるぜ。退魔の奥義は皆何年もかけて編み出してるんだぞ?そんなひょいひょい出るかよ。」
勇者「他にないのか?威力がある剣技は。」
女戦士「んー・・・そういえば威力を追求した技って一個もないな・・・。」
女僧侶「そうなんですか?12個もあるのですから一個くらい・・・」
女戦士「何でもかんでも斬れるものだから、どうやって当てるかに焦点置いてる剣技ばっかりなんだよな。もちろん鉄斬りとかは訓練しなきゃ出来ないんだけど・・・。」
女戦士「魔物は大概固い理由が魔法だからな。魔法を無効化できる能力のおかげであんまり苦を感じたこと無い。」
勇者「そうなのか・・・。」
勇者(俺が腹に居た時は無意識のうちに手加減でもしていたのだろうか。)
女僧侶「というか、魔法を無効化出来るのですか?」
女戦士「剣で切れればな。」
女魔法「初耳。」
女戦士「あれ?そうだっけ・・・。言ってなかったか。」
女戦士「詠唱が遅ければ備えれるから斬る事が出来るんだよな。矢系の魔法でもさ。あいつは詠唱早すぎるし困るな。」
878 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/22(木) 03:36:17.23 ID:7HUjMbRPo
おやすみなさい
879 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2012/03/22(木) 05:30:55.47 ID:qTMHLlNVo
乙!
次回も楽しみにしてる
無理せず余裕のある時に投下してね
880 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/22(木) 07:42:08.16 ID:vbCr1toIO
いつも乙
魔法を切る事のできる女戦士一族って凄まじいな
881 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/23(金) 01:26:10.82 ID:AVNqFcuCo
時間魔法?空間魔法?の出番だな
882 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/24(土) 15:08:24.43 ID:5eICLzBgo
魔王と嵐の島の関係はどうなんだろう
883 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2012/03/24(土) 16:49:55.12 ID:vjyqkWHuo
女商人ばっかりってのなんか悲しいねえ
884 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:12:34.65 ID:h2/dI4noo
勇者「魔法を斬れる・・・具体的にはどんな風に?」
女戦士「どんな風・・・と言われてもなぁ。」
女魔法「・・・発雷」
バシュウ!
バリバリバリ・・・
女魔法「斬ってみせて。」
勇者「・・・。」
勇者(雷球が浮いている。使用可能属性を考慮したら応用力では敵わないな。)
女戦士「いいぞ。ちょっと離れてろ。」
女僧侶「大丈夫ですか?雷ですから感電したり・・・」
女戦士「とりゃ」
シュパン!
女戦士「と、このとーりだ。」
勇者「雷まで消えてしまった・・・。」
女僧侶「すごいですねぇ。なぜ教えてくれなかったのですか?」
女戦士「使わせる前に倒すのが魔法使ってくる奴との基本だからな。でも何回かやった覚えがあるんだけどなぁ・・・。」
女魔法「戦士、・・・火魔法火炎弾」
ボォオ!
女戦士「フッ!」
バシュウ!
女戦士「どーだすごいだろう。」
女魔法「・・・。」
チョンチョン
女戦士「何してんだ?」
女魔法「高熱の魔法を斬ったのに剣に熱が移ってない。」
勇者「・・・ふむ。魔法により生み出された現象ごと消えてしまうのか。不思議だ、発動した現象は既に魔力との関係は無いのに・・・。」
女戦士「そういえばあいつ、俺がつけた能力を・・・とか言ってたな。剣で斬った時とあいつが消した時の消え方が似てるし・・・」
女戦士「私の一族はあいつに何かされたのかな・・・。」
勇者「そうなのか?」
女僧侶「えぇ・・・。もう話しましたけど、魔王は戦士さんの一族の初代と面識があるようです。」
女魔法「・・・可能性は高い。」
女戦士「・・・魔物と戦うための能力だって伝わってたんだけど・・・その大本から与えられてたなんて・・・・・・」
女戦士「皮肉にもほどがある・・・。」
女僧侶「魔王さえいなければ、人はもっと幸せに生きる事が出来るはずですのに・・・・・・。」
女魔法「・・・・・・。」
勇者(魔法も、今頃もっと笑えていたかもしれない。)
女戦士「・・・まぁいいや。この能力のおかげで13代もの間、魔物から人を守る事が出来ていたと言っても過言じゃないんだ。」
女戦士「感謝の証として、この能力で喉元に刃突き立ててやるか。」
女魔法「・・・その意気。」
女僧侶「そうですね。付けたことを後悔させてやりましょう。」
女戦士「おーう待ってろよ魔王!首洗って!」
885 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:13:01.22 ID:h2/dI4noo
勇者「・・・3人とも、もう寝るといい。慣れない馬車で疲れただろう。」
女僧侶「歩いていた時より断然マシですけどね。」
女戦士「あたしは少し動いてから寝る。」
女魔法「勇者は?」
勇者「俺は少し監視してる。聖域が有るとはいえ、魔物が活発になってるという事だし用心しておきたい。」
女戦士「じゃぁちょっと付き合え。寸止めで。」
勇者「・・・模擬か。いいぞ。」
女僧侶「こんな暗いのにですか?」
女戦士「だからやんの。魔王は闇魔法が得意って噂だから、少ない光で相手の動きを補足する練習だ。」
女魔法「・・・。」
勇者「そういえば戦士は加速呪に対応出来るんだったな。」
女戦士「あぁ、うん。まぁな。最初は慣れなかったなー。」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「どうした魔法。」
女魔法「・・・加速呪は身体能力を加速させる魔法。」
女僧侶「そうですね。あくまで身体能力だけです。初めて体験すると転ぶ人が多いとか・・・。」
女戦士「訓練時代に高速戦闘訓練とかやったなぁー。私が加速魔法を使うと周りは皆卑怯卑怯って言ってくんだよな。」
女僧侶「貴方は使わなくても他人に追いつけるのですね・・・。」
女魔法「・・・思考や知覚をも加速させる魔法が有ったら魔王の攻撃防げるね。」
勇者「・・・思考加速・・・・・・なるほど、そうだな。」
女僧侶「そういえば身体機能の強化などは大概運動能力だけですからね。」
女戦士「でももう誰かが考え着いてそうだけどな?なのに今だに無いって事は無理なんじゃないか?」
女魔法「・・・人間の脳がまだまだ分かってないから作れない・・・んだと思う。」
勇者「身体能力強化魔法は属性的に言うなら雷だからな。脳もやはり雷で動いているのだろうか。」
女魔法「その説が濃厚。けど・・・思考条件とかが解明されてない。それと筋肉とかと比べるとかなり繊細な操作が必要みたい。」
勇者「電気的な補助では思考は加速しないか・・・。」
女魔法「・・・何か無いかな・・・・・・。脳関係の知識をあまり必要としなくて思考を加速させる方法・・・・・・。」
女戦士「努力って魔法があるぜ。とりあえず前進だ。さぁ来い勇者。相手してやる。」
勇者「人と模擬なんて、これで2回目だな。そういえば戦士のちゃんとした実力は知らないな。」
女戦士「へっへー。体に刻み込んでやるよ。覚悟しとけ。」
女僧侶「抜き身でやるのですか?」
女戦士「速さは落ちるけど鞘付きでやる。それでも寸止めだ。」
勇者「今夜は月明かりも中々だ。さぁやろう。」
女戦士「合図頼んだ!」
女僧侶「では・・・はじめ!」
女戦士「フッ!」
ブオン!
勇者「―――」
スカ
女魔法「・・・脳内電気信号によると仮定・・・電気信号を加速させる方法・・・・・・。」
ブツブツブツ
886 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:13:32.30 ID:h2/dI4noo
女戦士「まてこら!」
ブンブンブン!
勇者「―――」
スカスカスカ
勇者(隙が無いな。鎧も隙間がほぼ無い。兜をしていないから上からナイフを差し込む事はできるが・・・)
女戦士「フン!」
ブォオオ!
勇者「―――」
スカ
勇者(剣の振りが上手い。次の手を常に打つ用意がしてある。避ける事は難しくないが攻める事は難しい。)
勇者(今は鞘つきだし奥義も使ってこない。抜き身なら剣の速さはもっと上だろうな。)
女戦士「ちぃ!」
ヒュオオ!
勇者(隙、だがこれは罠だな。)
勇者「フッ!」
ヒュウ
勇者(だが敢えて掛かる。)
女戦士「ていや!」
ブオン!
勇者(合わせられた。このままでは相打ちだ。)
勇者(剣の振り手に潜り込み・・・)
スタン
スカ!
女戦士「!」
勇者「―――」
ガス!
女戦士「いってー!」
女僧侶「はい、それまで。」
勇者「あ、悪い。寸止めだったな。」
女僧侶「はいはい離れてください。回復小」
女戦士「くっそー!読まれてたか!」
勇者「疲れにしても躓きにしても隙にするほど戦士は甘くないだろう。」
女戦士「お前私と模擬なんてしたこと無い癖になんでわかるんだよ!」
勇者「一緒に戦った事は何度もある。」
女戦士「戦闘中に味方気にするくらいなら敵見てろよな!」
勇者「はは、悪かった。」
女僧侶「まだ痛みますか?」
女戦士「大丈夫だ。よっしゃもう一回!」
勇者「よし。」
女僧侶「あまり無茶はしないでくださいね。」
887 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:14:02.27 ID:h2/dI4noo
――――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
夢
勇者「・・・む。」
ムクリ
1106「おはよー。」
1107「おはよー。」
勇者「・・・あぁ、おはよう。」
1106「文字教えて。」
1107「教えてー。」
勇者「あぁ、いいぞ。昨日の続きだ。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女僧侶「久しぶりですね!」
ガバ!
1106「ひさしぶりー」
1107「元気だった?」
女戦士「・・・少し、元気じゃなかったかな。」
女魔法「・・・。」
1106「しょうがないの。魔王なの。」
1107「ずーっと前に人間全員と喧嘩してたの。だから無理なの。」
女戦士「・・・だけどな、相手がなんだって負けちゃいけなかったんだ。」
女戦士「負ければ負けるだけ、奪われる。・・・今、あいつが何されてるか私達には分からない。」
女戦士「不安で、仕方がない。私の、所為だ。」
女魔法「・・・。」
1106「大丈夫なの。生きてるから。」
1107「ただ会えないだけなの。泣かないで。」
女戦士「・・・ははは。私はまだまだだ。ほんと、まだまだだ・・・。」
女僧侶「戦士さんだけの所為では無いじゃないですか。私だって、何も出来なくて・・・。」
勇者「それまでだ。誰も悪くない。過去を顧みるならば未来に生かそう。今は悲しんでも仕方がない。」
女戦士「・・・そりゃそうだ。でも、ここってなんかこう、自分の気持ちを隠せないんだよな。」
女魔法「・・・ここは嘘はつけない。平気な振りも出来ない。」
女戦士「そうなのか?・・・知らなかったな。」
女僧侶「何回も、嘘がつけないって言ってましたけどね。」
女戦士「いや、自分の気持ちの方が。」
女魔法「・・・。」
女僧侶「普通は気付くはずなんですが・・・。」
女戦士「そうなのか?」
勇者「まぁ、な。すぐ違和感を覚えるはずだ。」
1106「人によるの。」
1107「嘘を着きなれていない人はそうでもないみたい。」
女戦士「・・・単純って事か?」
女僧侶「純粋って事ですよ。」
女戦士「どう違うんだ?」
女魔法「・・・。」
勇者「・・・。」
888 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:14:32.53 ID:h2/dI4noo
女戦士「・・・私って実は前々から馬鹿にされてたのか?」
勇者「いや、馬鹿にはしていないぞ。」
女僧侶「そうですよ。ただ、一本気というか・・・。」
女魔法「単純。」
女戦士「・・・・・・お前ら・・・。」
女僧侶「馬鹿にはしていませんって!戦闘に置いての決断力等は優れていますし全てにおいて単純だとは・・・」
女戦士「ボロが出てんぞ!くそっやっぱり単純だと思ってたな!」
女僧侶「あ、いえ、ですから全てがそうだとは・・・」
勇者「ははは、いいじゃないか別に。」
女戦士「うーるーせー!私だってなぁ!色々考えてんだぞ!」
女魔法「それは知ってる。」
女戦士「お前はどっちなんだよ!」
勇者「落ち着け。誰も敵対していない。」
女戦士「うるせー!この場においてはお前ら敵だちくしょー!」
1106「てきー」
1107「てきー」
女戦士「そーだ敵だ!だから今日は私だけでひと達と遊ぶ!あっちいこーぜ!」
ガシガシ!
1106「わーい」
1107「いこー」
女戦士「じゃぁな!」
スタタタ・・・
勇者「・・・この場においては、か。」
女僧侶「フフ、ここではそれが限界なのでしょうね。」
女魔法「追い掛けないの?」
女僧侶「無論、追い掛けますよ?でもあの人は早いですからね。」
女僧侶「という事で勇者様お願いします。」
勇者「今日は追いかけっこか。それもいいな。」
ズダッ!
女魔法「私たちはどうする?」
女僧侶「ふふ、鬼なら追わなきゃいけません。ほら行きましょう。」
女魔法「・・・わかった。」
女僧侶「大丈夫、夢の中は疲れませんよ。」
889 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:15:47.18 ID:h2/dI4noo
――――――――――――――――――――――――
次の日 昼
勇者「・・・。」
タッタッタッタッ・・・
女戦士「ぜーぜー」
タッタッタッタッタッ・・・
女僧侶「戦士さん休んだらどうです?」
女戦士「まだまだ行ける・・・。」
勇者「朝から走り通しだろう。大丈夫か?」
女戦士「走り通しなのはお前もだろ、ゼーゼー・・・」
勇者「俺が乗らない方が馬が疲れないだろうと思って走ってるだけだ。」
女戦士「わ、私は訓練の為だ。くっそー昨日は負けたけど今度は負けないからな。ぜーぜー・・・。」
勇者「・・・。」
勇者(・・・鎧着こんで5時間は走っているのだから体力は十分だと思うが・・・・・・。)
女僧侶「勇者様、そろそろご飯にしませんか?」
勇者「あぁ、もう昼か。そうだな。そうしよう。」
女僧侶「ほら、戦士さん、ごはんにしましょう。」
女戦士「りょーかい。ぜーぜー・・・。」
勇者「魔法は?」
女僧侶「中で考え込んでますよ。」
――――――――――――――――――――――――
女戦士「ふー、つっかれたー。」
勇者「あまり汗をだすなよ。水は貴重だ。」
女戦士「今日の夜までには一応川に着けるんだろ?」
勇者「予定は未定だ。地図の情報も古い。魔王復活前の物だから、復活した後に何かが起きたか分からない。」
女僧侶「そうですね。もしかしたら毒性魔物の住処になってたりするかもしれませんし。」
女戦士「そういう場合は水源を遡るしかないかな。汚染されてる場所より上はキレイだ。」
女魔法「・・・・・・。」
勇者「魔法、何を考えているんだ?」
女魔法「・・・現象変換の魔法。」
女戦士「現象変換?また小難しい事を・・・。」
女僧侶「現象変換というと・・・炎を雷に、みたいな感じでしょうか?」
女魔法「そう。」
女戦士「ふーん。水に変えれれば水源とか考えなくていいな。」
女魔法「現象変換だから、水は無理。」
女戦士「どゆこと?」
勇者「あくまで現象から現象という事だろうな。」
女戦士「げんしょー?水は現象じゃないのか?」
勇者「水は物質だな。」
女戦士「火と雷は違うのか?」
女僧侶「火と雷はどちらも持てないでしょう?水は持つ事ができるし重さもあります。」
890 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:16:22.52 ID:h2/dI4noo
女戦士「ほーん。形が無い物を別の形が無い物に変える魔法って事か?」
勇者「形が無い物、だと意味合いが少し違ってくるが・・・、概ね合っている。」
女戦士「細かい事はいーんだよ。要はそういう事だろ。」
勇者「要は、エネルギー変換といった方が正しいか。」
女戦士「うるせ!なんでそんな魔法考えてんだ?」
女僧侶「そうですね。なぜですか?」
女魔法「・・・元は思考加速魔法の為。」
女僧侶「・・・?」
女戦士「?」
勇者「・・・ふむ。」
女戦士「思考加速と属性変換は何が関係あるんだ?」
女僧侶「一見関係ないように思えますが・・・。」
勇者「・・・おそらく、人間の電気信号を別の何かに変えるつもりなんだろう。」
女戦士「?」
女僧侶「・・・電気信号を・・・・・・?」
勇者「人間の体はそれ全てが電気で動いている、らしい。人間の思考の速さは電気の速さだと言っても過言ではない。」
勇者「では、思考を早くするにはどうすればいいか。恐らく、魔法は電気という現象を、電気より早い何かに変換させる事を考えているのだろう。」
勇者「理論上は、信号が電気以上に早く伝われば思考も早くなるはず。・・・いろいろ問題は出そうだが。」
女戦士「電気って雷だろ?雷より早い現象って何があるんだ?」
女僧侶「・・・そうですねぇ・・・・・・。雷より、早い・・・、音、とかでしょうか?」
勇者「音は雷より遅いぞ。人間の知覚では判断は難しいが、魔法学において音より雷の方が早いとされている。」
女戦士「じゃぁ何があるんだ?雷より早いのなんて私知らないぞ。」
女僧侶「・・・あ、光でしょうか。」
勇者「俺もそう考える。雷が落ちる事を見た事があるが、段階を経て落ちるのを確認できる。光の方が早いという事だな。」
女戦士「光ねぇ・・・。現象って他に何があるんだ?」
勇者「熱、冷気、火、雷、風、音、振動、爆発、重力、磁力、あとは金属の腐食や液体がしみわたる浸透などだろうか。」
女僧侶「現象って身近すぎて気づきにくいんですよね。」
女戦士「ふーん。色々あるんだな。」
勇者「もっとあるだろうな。まだ見つかってない物等。しかし魔法、紙などで記さなくても大丈夫なのか?」
女魔法「・・・思考だけで魔法条件を突き詰めるのは昔たくさんやってた。」
勇者「そうか・・・。しかし大変だろう。次、人の集落が有ったら紙とインクを分けてもらおう。」
女戦士「そだなー。無理はするもんじゃない。」
女僧侶「紙は無くても布が使えるので、最低限インクが有ればよいですね。」
女魔法「・・・・・・。」
女戦士「どした?」
女魔法「・・・なんでもない、ありがとう。」
勇者「・・・。」
女僧侶「さて、そろそろ行きましょう。お馬さんもご飯食べ終わったみたいですよ。」
891 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:16:48.21 ID:h2/dI4noo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
ガラガラガラガラ・・・
女戦士「上手いもんだな。」
女僧侶「そうですか?昨日は一日中手綱を握っていたので多少は慣れましたけど・・・。」
女戦士「馬も気分よく歩いてるし自然に進行方向を選んでる。ストレスがなさそうだ。」
女僧侶「別に御しているつもりもないのですが・・・。」
女戦士「久しぶりにのりてーなー。」
女僧侶「鞍なども着いてきましたし乗ってみたらどうでしょう?」
女戦士「いやー、事故起こして馬に怪我させたら大変だしやめとく。」
女僧侶「確かに草の下に何があるかわかりませんからね。」
女戦士「毒蛇とかいたら困るんだよな。走ってれば噛まれないけど、歩いてるとな。」
女僧侶「・・・しかし、ここが魔王の大陸だとは思えないほど緑豊かですね。」
女戦士「そうだなー。私はもっと荒廃してるの想像してた。荒野みたいな。」
女僧侶「私も似たような考えでしたね。自然なんてない物かと・・・。」
女戦士「まぁ魔物がいるんだからある程度の自然は必要だもんな。よくよく考えてみたら当たり前か。」
女戦士「・・・魔物は結構いるけどな。すんげぇ遠くだけど象みたいにデカいのが見える。」
女僧侶「目が悪いのが襲っては来ませんけどね。」
女戦士「あいつら草でも食べんのかな。」
女僧侶「魔物の食性って珍しいの多いですよね。虫系は木も食べちゃいますし、石なんか食べてるのもいますし。」
女戦士「スケルトンとかは何も食べないしな。どうやって動いてんだあれ。」
女僧侶「スケルトンは念力魔法主体らしいです。どうもエレメント体が本体らしいですけど・・・。」
女戦士「エレメントっていうと、あの神とか赤い奴とかといっしょか?」
女僧侶「いえ。・・・エレメンタルとエレメントって違うんですよ?」
女戦士「え?すげえ似てるのに違うのか?」
女僧侶「えぇ。エレメントは、肉体を持たない魔物、みたいな意味で使われますね。エレメンタルだと、戦士さんが言ったみたいな奴の事を言います。」
女戦士「その二つって何が違うんだ?」
女僧侶「うーん・・・。そうですね、エレメントはゴーストとも呼びますね。あとは夢魔とかもエレメントと言われたりもします。」
女僧侶「片やエレメンタルは発光、球状をしています。魔物ではない、らしいです。詳しくは知らないので違いはそれくらいしか知らないですけど・・・。」
女戦士「あぁ、エレメントって幽霊なんだな。」
女僧侶「まぁ、そうですね。」
女戦士「この道の先・・・ずーっと向こうに山が見えるけど私たちが目指してるのは山なのか?」
女僧侶「いえ、違いますよ。あの山の向こうですね。」
女戦士「馬連れて山越えするつもりか?」
女僧侶「あの山を越えても平原は続きますし・・・迂回するか山道を通るかするのでしょうね。」
女僧侶「あ、そういえばあの山は活火山らしいですよ。」
女戦士「なにぃ〜。通ってる途中に噴火したらどうすんだ。」
女僧侶「どうするんでしょうね。」
女戦士「まぁ状況によるけど荷物捨てて全速力で逃げるしかないかな。」
女僧侶「岩とかたくさんありそうですからお馬さんは大変そうですね。」
女戦士「活火山って事は付近は木とか草とかも生えてないだろうし麓は通りやすそうだな。」
892 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:17:17.61 ID:h2/dI4noo
女戦士「そういえばあいつは何してるんだ?」
女僧侶「勇者様ですか?道の石とかをどかしてるみたいですけど・・・。」
女戦士「あぁ、馬車が揺れないようにか。なんでそんな事してるんだ?」
女僧侶「それはまぁ・・・魔法さんの為でしょうね。」
女戦士「思考を邪魔しないようにってか。なんつーかさりげない割に苦労する思いやりだな。」
女僧侶「前々からそういう事ばかりやってた気もしますけどね。水筒にジュース入れたりとか、結構大変です。」
女戦士「材料集めとか考えたらな。あぁそういえば湿布とかも置いてあったりした。」
女僧侶「きっと、私たちが通る道を前もって確認したりしていたのでしょうね。」
女戦士「やってそうだな・・・。道とか全部あいつが選んでんだよな。結構すんなり通れる道ばかりだったし・・・。」
女僧侶「私は苦労した場所が結構思いつくのですけど・・・。」
女戦士「お前は体力なさすぎなんだよ。それでも難所は一日でぎりぎりだったりしたろ。」
女僧侶「山を一日で超えたりしたときは本当に疲れました。仕方がないかと思いますけど・・・。」
女戦士「山で一泊するのは危ないからなぁ。山に住む魔物は肉食とか多いし。」
女僧侶「聖域有るのですから無茶ではないのでは?」
女戦士「聖域は一定以上の魔物には効果ないだろー。山に居る魔物はたまに強いんだから眠りこけるのは危ないっての。」
女僧侶「そういえば魔物退治を頼まれた魔物は大概山とかですねぇ。平原とかはあまり強いのは・・・。」
女戦士「平原は平原で厄介なんだよなぁ・・・足が速いのばっかでさ。」
女僧侶「確かにそうですね。広い場所で怖いのは足が速い魔物ですね。」
女戦士「逃げ出すと追いつけないしな・・・。先に足を潰すしかない。」
女僧侶「大変なのはむしろ盗賊などでしょうか。そこらの魔物はあしらえる程度の強さを持ってるわけですからね。」
女戦士「あーそういえばそうだな。なんであーゆう奴らは隠れ家を魔物の住処にするのかね?」
女僧侶「あぁ・・・。聖域魔法を使える訳でもないのに、洞窟などに隠れてますよね。」
女戦士「わざわざ見張り立てたりしてな。あいつらは良く分かんね。」
女僧侶「魔物を倒して素材を取る能力があるのにわざわざ人間を狙って、本当わかりません。」
女戦士「金品奪っても穴倉じゃ使うのも大変だろうに。実はどっか別に国に別荘でも持ってるのかね。」
勇者「戦士!僧侶!魔物が道を塞いでいる!手伝ってくれ!」
女戦士「よっしゃー了解!」
女僧侶「私もですね。わかりました。魔法さん見張りお願いします。」
女魔法「・・・わかった。」
―――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
893 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:17:48.84 ID:h2/dI4noo
――――――――――――――――――――――――
夜〜川のほとり〜
女戦士「・・・あの火山って実はものすごくデカい?」
女僧侶「ぜんっぜん近づきませんね。」
勇者「あと3日は掛かるだろうな。」
女戦士「あと3日この平原か・・・。どんだけデカいんだあの火山。」
女僧侶「火山自体も超えるのは時間が掛かりそうですね・・・。火山までに集落の一つ二つないのですか?」
勇者「明日あたりに一つ目に着ける。恐らく人は居ないだろうが・・・。二つ目は火山の麓にある。」
女魔法「・・・フゥ。」
勇者「疲れたか?どうだ成果は。」
女魔法「・・・あんまりない。」
勇者「あまり根を詰めるなよ。明日は馬に乗って気分転換でもどうだ?」
女魔法「・・・馬乗ったことない。」
勇者「俺も無いが、経験者は2人もいる。」
女戦士「馬ねぇ。いいんじゃないか?馬に乗るのは結構気分がいいんだ。」
女僧侶「確かに、なんというか爽快感を得られます。目線が高くなって、風も感じやすいですし・・・。」
女戦士「練習すると馬との一体感も楽しくなってくる。違う生き物なのに、心がわかるっていうか、信頼しあえるっていうか。」
女戦士「じゃー明日は初心者2人で乗馬だな!うし!」
女僧侶「そうですね、それもいいです。」
勇者「・・・俺もか。」
女戦士「よっしゃ二人ともついてこい。馬に乗る前の準備だ。」
女魔法「準備?」
女戦士「そうだ。馬に乗るのはまたぐらかけるってだけじゃないんだからな。」
女僧侶「信頼関係が重要なんですよね。」
女戦士「そうそう。で、信頼関係を得るには毎日の手入れをしてやるのが手っ取り早い。で、今日は水場がある。」
女戦士「みっちり手入れしてやろうぜ?」
――――――――――――――――――――――――
馬「ブルルルル・・・」
女戦士「幸いこの馬達はすごく落ち着きがある。ほんとは馬って臆病なんだけど、まぁいろんなところに連れてかれる事が多かったんだろうな。」
女戦士「こういう馬は馬上戦闘に向いてる。脇道にそれたな。ほら、これもて。」
女魔法「・・・なにこれ?」
女戦士「あせこきっていう棒。さきっぽで汗を集めんの。ほら勇者水くんで来い。」
勇者「わかった。」
894 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:18:18.57 ID:h2/dI4noo
女戦士「魔法は背が小さいから、高いところは勇者に任せて低いところだけやれ。今は土台ないしな。」
女魔法「・・・念力魔法使えば大丈夫。」
女戦士「なにぃ、空飛べるのか?」
女魔法「空を飛ぶっていうか・・・腕をはやして浮かしてる感じ。」
女僧侶「それなら今日は魔法さんに任せましょう。結構疲れるんですけどね。」
勇者「僧侶も馬の手入れしてたのか?」
女僧侶「馬は賢いんですよ。週一回はしっかりブラッシングしましたし、乗る前と後には全体をブラシ掛けをするんです。じゃないと乗っても言う事を聞かなくて・・・。」
女魔法「どうするの?」
女戦士「まず水で少し濡らしてから〜〜〜・・・」
女魔法「・・・・・・?」
女僧侶「・・・。」
勇者「・・・・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女魔法「ふぅ、ふぅ・・・。」
女戦士「がんばれ。次最後だ。」
女魔法「何やるの?」
女戦士「櫛で鬣とかしっぽとかきれいにしてやる。髪の毛梳くみたいにやってみ。」
女魔法「・・・いっつも僧侶にやってもらってる。」
女戦士「私もあんまり髪の毛梳かないな。まぁいいからイメージでさ。」
馬「・・・。」ジー
女魔法「!」
女戦士「目があったら目をそらすな。馬は目で話す。お前に何か言ってるぞ。ちゃんと聞いてやれ。」
女魔法「・・・。」
馬「・・・。」プィ
女魔法「・・・・・・。」
勇者「なんて言われた?」
女魔法「・・・へたくそって言われた気がする。」
女僧侶「フフフ。ではそうなのかもしれませんね。」
女戦士「ハハハ、じゃぁ最後はしっかりやってやれ。」
馬2「・・・。」
勇者「?」
クル
馬2「・・・」プィ
勇者「・・・?」
女戦士「寂しいってさ。」
女僧侶「構ってほしそうですね。」
勇者「・・・なるほど。こっちが終わったらすぐやる。焦れるな。」
馬2「・・・。」
勇者「・・・目を合わせてくれないな。」
女戦士「ハハハハハ、恥ずかしがり屋なんだな。いるぞこういう馬。」
895 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 02:32:03.13 ID:h2/dI4noo
女魔法「・・・・・・。」
馬「・・・。」
女戦士「にらみ合いじゃないんだから普通にしてろ。」
女魔法「・・・。」
女戦士「今日もおつかれさん。明日はこいつ乗せてやってくれ。」
馬「・・・。」
女戦士「朝もブラッシングさせるからさ、な。」
馬「・・・」プィ
女魔法「・・・なんて言ってるの。」
女戦士「ちゃんとやったらだってよ。ははは落ち着きがあるっていうか図太いなこいつ。」
女魔法「・・・・・・。」
女僧侶「勇者様、ちょっと濡らしすぎですよ。風邪ひいちゃいます。」
勇者「む、そうか。悪かった。」
馬2「・・・ブルル。」
女僧侶「ふふ。手を止めないで。」
勇者「・・・・・・。」
勇者(迷子は蜘蛛と話していたが・・・絵本では動物と話せると書いてあった。もしかしたら馬とも話せるのかもしれないな。)
馬2「・・・。」
ダンッダンッダンッ!
勇者「うお、水が多かったか?」
女僧侶「いえ・・・なんでしょうね。何かほかの事考えてました?」
勇者「あ、あぁ。嵐島で出会って俺の国に置いてきたあの子の事を・・・。」
女僧侶「きっとそれですね。馬は人の考えていることがわかるそうですよ?」
勇者「なるほど・・・。」
女僧侶「今はお馬さんの事だけ考えてましょう。しっかり見てあげてください。」
勇者(考えている事を見抜かれるなんてな・・・。なるほど、面白い。)
896 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 03:00:21.78 ID:h2/dI4noo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
朝
女魔法「・・・。」
ムクリ
女魔法「・・・ふぁ・・・あ・・・。」
女戦士「ぐぅ・・・。ぐぅ・・・。」
女僧侶「スゥ・・・。スゥ・・・。」
女魔法「・・・。」ゴシゴシ
――――――――――――――――――――――――
外
スタっ
勇者「おはよう。」
女魔法「・・・おはよう。」
勇者「早起きなんだな。」
女魔法「いつもは僧侶の方が早い。それに勇者はもっと早い。」
勇者「いつも太陽が上がるくらいに目が覚めるんだ。癖みたいなものだ。」
女魔法「・・・。」
勇者「顔洗ってくるといい。」
女魔法「ん・・・。」
――――――――――――――――――――――――
勇者「・・・。」
女魔法「なにしてるの?」
勇者「あぁ、いや。風景を眺めてた。」
女魔法「・・・なんで?」
勇者「俺は旅に出るまで家か森にしかいなかったから、こういう、平原とかはあまり馴染みがないんだ。」
勇者「草が風でなびいている様。あの雄大な火山。点々と立つ木。しまいにはあののそのそと歩いている大きな魔物も、」
勇者「俺には、すごく素晴らしい風景に思える。旅に出たのはこれが目的では無かったけど、旅の間の楽しみの一つでもある。」
女魔法「・・・。」
勇者「隣、座るか?」
女魔法「うん。」
勇者「・・・。」
女魔法「・・・。」
897 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 03:21:04.77 ID:h2/dI4noo
勇者「・・・嵐島も、素晴らしい風景だった。海は大荒れなのに、雲一つないから波の一つ一つが太陽に照らされてすごく綺麗なんだ。」
女魔法「・・・。」
勇者「夕焼けの時に出来る、波に出来る陰影が、また綺麗だった。荒れ狂う海に太陽が沈む様は、なんとも言えない感動を覚えた。」
女魔法「・・・。」
勇者「・・・あそこには、大きな木も有った。本当に、大きい木が。見上げても上はどれだけ長いかもわからない。囲むのに何人必要かも分からない。」
勇者「その気に巻き付く蔦や、生えていた苔などが、重厚な雰囲気を醸し出していて一体何千年生きていたのか分からないくらいの大きさ。」
勇者「・・・大蜘蛛を殺す時に、倒してしまったのだが。あれは惜しい事をした。」
女魔法「倒しちゃったの?」
勇者「あぁ・・・。また規格外の大きさの蜘蛛が居てな。そいつを討伐する時に決め手に欠けて、今言った木をトドメに使ったんだ。」
勇者「倒れた木を見ても、まだ雄大さを感じられた。」
女魔法「・・・。」
勇者「そういえば、覚えてるか?温泉が有った山の麓の村。あそこの山の紅葉は素晴らしかったな。」
女魔法「・・・覗かれた時の村?」
勇者「あ、あれはわざとじゃないからな?」
女魔法「・・・。」
勇者「あ、あー・・・。そういえば次に立ち寄った港で俺は初めて宿屋に泊った。中は見た事無かったからなかなか新鮮だった。」
勇者「・・・本当、今思い出しても、鮮明に蘇る。」
勇者(しかし、一番身近な絵だけが、足りない。今も、後ろで寝ているはずだったのに。)
勇者「・・・。」
勇者(・・・俺は、その時傍に居れなかった。守ろうとする事さえ出来なかった。)
勇者「・・・・・・。」
勇者(俺は、大事なその時に居る事が出来ない。僧侶が悩んでいた時も、商人が連れ去られてしまったその時も。)
勇者(肝心な時に役に立たない・・・。)
女魔法「・・・。」
女魔法「勇者。」
勇者「っ。なんだ?」
女魔法「寝癖ついてる。」
勇者「む、そうか?直す癖は無いからな・・・。」
女魔法「髪梳いてあげる。」
勇者「え?」
女魔法「あっち向いてて。」
勇者「あ、あぁ。」
スッ・・・スッ・・・
女魔法「・・・。」
勇者「櫛、持ってたんだな。」
女魔法「僧侶がくれた。」
勇者「なるほど・・・。」
スッ・・・スッ・・・
勇者「・・・。」
女魔法「・・・。」
898 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 03:32:06.08 ID:h2/dI4noo
女魔法「終わり。はい。」
勇者「? ・・・あぁ。ありがとう、ここに座って。」
女魔法「ん。」
勇者「・・・。」
勇者(他人の髪を梳いた事など一度も無いな・・・。)
女魔法「・・・。」
スッ・・・スッ・・・
プチ
女魔法「・・・痛い。」
勇者「わ、悪い。」
勇者(思ったより難しいな。・・・引っかかった時には髪の毛を抑えてからやるべきか?)
スッ・・・スッ・・・
女魔法「・・・。」
勇者「・・・。」
勇者(・・・魔法は商人や僧侶に比べて癖があるな。これが癖っ毛という物なのかな。)
スッ・・・スッ・・・
勇者(俺も、癖っ毛だと言われた事があるな。梳いてもらう事は一度も無かったが・・・。)
女魔法「・・・・・・。」
勇者「・・・魔法は癖っ毛だな。」
女魔法「・・・僧侶にも言われる。」
勇者「そうなのか。はは、だが似合ってるぞ。」
女魔法「・・・っ。」
勇者「可愛らしい髪形だ。」
女魔法「・・・。」
スッ・・・スッ・・・
女魔法「・・・・・・勇者は短い方が好き?」
勇者「いや?・・・そうだな。伸ばした魔法も見て見たいかな。」
女魔法「・・・・・・そっか。」
勇者「・・・。」
女魔法「・・・。」
――――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
899 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 03:35:15.71 ID:h2/dI4noo
また風邪ひいたおやすみなさい
900 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/27(火) 04:43:40.46 ID:kOELodfDO
乙
>>1
の風邪が早く治るよう呪っておく
901 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/27(火) 07:11:13.47 ID:vvc/PZQ3o
おつ
体弱いな、無理すんな
902 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/27(火) 12:48:38.41 ID:rmbOShpIO
乙
ちゃんとパンツ履いておくれww
903 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 15:56:36.20 ID:h2/dI4noo
――――――――――――――――――――――――
昼
ガチャガチャガチャ・・・
女戦士「よっしゃ出来た!これで馬に乗れるぞ。」
馬「・・・」
馬2「ブルル・・・。」
女僧侶「今日は取りあえず馬車を引きながら乗ってみましょうね。」
勇者「馬、か。楽しみだ。」
女僧侶「勇者様は馬などには乗った事は無いのですか?」
勇者「一度も無い。平原に出る事はあまりなかったからな。」
女戦士「ほら乗れ。とりあえず乗ってから姿勢とか教えるからさ。」
女魔法「・・・。」
勇者「よっと。」
ガシャドサ!
馬2「ブルル・・・。」
女僧侶「勇者様、もう少し静かに乗りましょう。」
勇者「あ、すまない。大丈夫か?」
馬2「・・・。」
女戦士「魔法も早く乗れ。」
女魔法「足が届かない。」
女戦士「別に乗り方なんて決まってるものでもない。飛んでもいいから乗れ。」
女魔法「・・・念力魔法」
トサ
女戦士「魔法杖貸せ。」
女魔法「・・・なんで?」
女戦士「乗り方を説明する。」
女魔法「はい。」
女戦士「よし。じゃぁこの杖に耳、肩、尻、踵を合わせろ。まぁつまり一直線に姿勢を正せ。」
女魔法「・・・こう?」
女戦士「鞍の深いところに尻合わせろ。じゃないと痛いぞ。」
女魔法「・・・窮屈。」
女戦士「慣れてくるとむしろずれてる方が嫌になるぞ。姿勢が正しいと疲れとか段違いで溜まりにくい。」
女魔法「・・・。」
女僧侶「準備できました?では歩かせますね。」
車輪≪ガラン、ガラガラガラ・・・≫
女魔法「・・・・・・。」
女戦士「どうだ?」
女魔法「・・・視線が高い。」
勇者「思ったより揺れないな。」
女僧侶「でしょう?人は船や乗り物などに酔ってしまう人が多いのですけれど、馬で酔う人あまりいないんですよ。」
勇者「ふむ・・・。」
女戦士「本気で走らせると前傾姿勢にないと落っこちるけどな。馬から落ちたら最悪死ぬから気をつけろよ。」
904 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福島県)
[sage]:2012/03/27(火) 16:08:57.48 ID:WoDYD48vo
風邪大丈夫か?
905 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 16:22:59.14 ID:h2/dI4noo
ガラガラガラガラ・・・
女戦士「よし、僧侶乗れ。」
女僧侶「はい。」
女戦士「これからいつも通りの速さで引かせるぞ。」
女魔法「・・・。」
勇者「分かった。」
女戦士「こけるなよ。」
ガラガラガラガラガラ・・・
女魔法「・・・っ。」
勇者「はは、楽しいな。」
女戦士「どーよ風を感じるのは。」
女魔法「・・・。」
勇者「いつも自分で風を切っていたからな。中々新鮮だ。」
女戦士「お前は馬に乗る必要が無いくらい足が速いからなぁ。馬より早いなんてバケモンだぜ。」
勇者「戦士だって全速力で走れば馬より早いじゃないか。」
女戦士「全速力なんて5分も持つかよ。魔法はどうだ?」
女魔法「なんか・・・自分で歩いてるのと世界が違う。」
女戦士「・・・ふーん。」
勇者「世界が?」
女魔法「うん・・・。風とか、光とか、景色とか・・・。いつもと違う。」
女僧侶「うふふ、そうですか。」
勇者「なんで二人ともニヤニヤしてるんだ?」
女戦士「べっつにぃ〜?」
女僧侶「えぇ、ニヤニヤなんてしてませんよ。」
女魔法「・・・変な事言った?」
女戦士「いやいや、当然当然。」
女僧侶「その感覚は普通の事なんですよ。ただ馬の背に乗るだけで、世界の見え方は変わるんですよ。」
女戦士「馬はいいぜ〜?乗り回せると本当に気分がいい。」
勇者「ふむ・・・。」
女戦士「お前には分からないかもな。高い風景なんて何回も見てるだろうし、風を切るなんて自分の足で十分だし。」
勇者「いや、楽しいぞ。この揺れが心地いい。」
女戦士「そうか?それは良かった。どうせだもうちょい早くしてみるか。二人とも少し踏ん張って置けよ。」
ガラガラガラガララララララ・・・
勇者「おっと・・・。」
女魔法「・・・。」
女戦士「馬にとってはこれが小走りってくらいか。」
勇者「はは、揺れが大きくなってきたな。」
女戦士「縦揺れの後の横揺れに気を付けろよ。体飛ばされない様にな。」
女戦士「そうだ。魔法、馬の首触ってみ。」
女魔法「首?」
906 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 16:46:24.59 ID:h2/dI4noo
女戦士「そうそうもうちょい奥当たり。」
女魔法「・・・。」
女戦士「どうだ?」
女魔法「ドクドクしてる。」
女戦士「それが馬の鼓動だ。この鼓動は馬によって差が出るんだ。まだまだ小さいだろうけど、走りまわすと息切れだってするし汗だってかく。」
女戦士「それが普通だ、となりの誰かは知らないけどな。」
勇者「・・・さっきから何かこう、辛辣な気がするんだが気のせいか?」
女戦士「私は馬について言ってるだけだぜー。隣の誰かはどうか知らないけどな。」
勇者「・・・。」
女戦士「はは、冗談冗談。お前も触ってみろよ。」
勇者「・・・。」
勇者(・・・小さいが確かに鼓動を感じる。人間と同じくらいか・・・?)
勇者「小走りで人間と同じくらいなんだな。」
女僧侶「えぇ。平常時でだいたい40くらいですね。本気で走ると200とか行きますよ?」
勇者「そうなのか・・・。」
勇者(自分の鼓動をちゃんと数えたことは無いからすごいのかわからん。)
女戦士「ほら視線戻せ。馬は乗り手の視線の方向に走る。今は私が引いてるけどそこらへん練習しておけ。」
勇者「視線の方向に?」
女戦士「そうだ。馬は前を向いている。お前も前を向け。」
女魔法「・・・すごいね。目が見えるのかな。」
女僧侶「お馬さんは視野も広いですけど、流石に乗り手は見えませんよ。お馬さんは私たちの視線を変更したときの僅かな力や姿勢の入れ具合で進路を変更しているのですよ。」
女戦士「馬ってのは敏感だ。手綱はぐいっと引く必要はないし腹はドカッと蹴らなくていいんだ。」
女戦士「繊細で、臆病。それが馬って生き物だ。こいつらどっちも図太さがあるけど、種としてはそこに変化はない。」
女僧侶「馬は乗り手によって対応を変えるんですよ。力の入れぐらいなどの機微の違いを感じて、乗り手ごとに気を使うんです。」
女戦士「よーし。そろそろちょっとだけ全力出させてみるか?」
女戦士「鐙に踏ん張って前傾姿勢とれ!手綱は引きすぎるな足だけでバランスとれよ!腰は浮かせる勢いで保持しろ!」
女戦士「とりあえず、落ちない事だけ考えろ!行くぞ!」
女戦士「ふっ!」
グィ!
馬「ブフー!」
馬2「フー、フー。」
勇者「うお・・・!」
女魔法「・・・っ!」
パカラッパカラッパカラッパカラッ・・・・・・
女戦士「馬と併走するの結構気分がいいもんだぞ!ハー!ハー!」
女僧侶「喋らなくていいですからね!舌噛みますよ!」
歯車≪ガガガガガガガタンっ!!≫
女僧侶「キャウッ!」
ドタン!
勇者「僧侶!平気か!?」
女僧侶「へ、平気ですから前見てて・・・」
ガタン!
女僧侶「キャッ!」
907 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 17:21:01.78 ID:h2/dI4noo
女戦士「ほらほら前見ろ!おっこちんなよ!ゼーゼー!」
女魔法「・・・!」
勇者「くぉっ!」
勇者(こ、これは、結構難しいな。確かに腰を下ろすと馬の横揺れに影響を受けすぎる。必然的に腰を上げるしかない。)
勇者(縦揺れは足をバネの様にして吸収する。馬の揺れにワンテンポ遅れて揺れを受ける!)
勇者(必然的に姿勢は前傾となる、手綱は軽く引く。)
女戦士「・・・うっへぇ・・・・・・。」
勇者「フッフッフッ・・・なるほどこのリズムだな。楽しいな!」
女戦士「見事すぎて声がでねぇよ!ちくしょう多才野郎め!」
女戦士「よし止まるぞ!馬車引いてるから少しずつ緩める!」
ガラガラガラガラガラ
ガラ、ガラ、ガラ、ガラ・・・
馬「ブフー・・・ブフー・・・。」
馬2「ブルルル・・・」
女戦士「はー、はー。お疲れさん。」
女魔法「はぁっ、はぁっ・・・。」
勇者「なるほど馬に乗るのは楽しい物だな。」
女僧侶「いたた・・・。そうでしょう?勇者様は少々上手く行きすぎですけどね。」
女戦士「魔法、大丈夫か?やっぱり背が低いから無茶だったかな。」
女魔法「だ、大丈夫・・・・・・。」
女戦士「馬は全速力でずーっと走ってられる。ほら、全然疲れてないだろ。こんくらい朝飯前なんだ。」
勇者「なるほど・・・。」
女戦士「少し休憩するか。今日は一日中馬に乗って感触を覚えとくといい。」
女僧侶「いたたたた・・・。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
昼 集落
ガラガラガラガラ
勇者「着いた。ここが開拓民の中継地点の集落だ。」
女戦士「だれか残ってるのかね。」
女僧侶「可能性は低いかと・・・。ほら、見てくださいあの家。木を食べる魔物の住処になってますよ。」
勇者「・・・あれは雑食性の芋蟻だな。特徴的な巣が木からはみ出している。」
勇者「動きは鈍い。毒も無い。ただ繁殖が早く、地面の中、木材の奥など手出しがしにくい場所に居る。一匹でも繁殖が可能で、瞬く間に家を食い尽くすらしい。」
女戦士「あぁ、あいつに着かれた家はもう焼くしかないんだよな。戦闘力はないけど厄介さで言うならかなり高い。」
女僧侶「・・・という事は他の家も、もう・・・。」
女魔法「・・・まって。あの家聖水が塗布してある。」
女戦士「・・・家っていうよりあれは集団が止まる宿営所って感じだ。なるほどここは中継地点ってだけなんだな。」
女僧侶「なぜあの家だけ・・・?」
女戦士「聖水は嵩張るからなー。大量に生産できるようになったのも結構最近って話だし。」
勇者「いや、そもそも芋蟻は平原にはもともと住んでいない種だったはずだ。きっと別の目的であの家には聖水を塗布したんだろうな。」
女戦士「別の目的って?」
勇者「・・・そうだな。例えば、材料の一部に木性の魔物が紛れ込んでいたなどだろうか。」
女魔法「・・・そうなるとどうなるの?」
908 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 17:43:46.26 ID:h2/dI4noo
勇者「早い話が建物が魔物化する。魔物化した建物は中の住民ごと一夜で消えてしまい、旅人を騙す宿として夜をさまようそうだ。」
勇者「・・・お伽噺だなこれは。」
女僧侶「魔物の館の伝説ですね。大昔に粋を凝らして作らせた家が、1年たったある日に住んでいた貴族ごと消えてしまった。」
女戦士「消えるってどこに行くんだ?」
女僧侶「さぁ・・・。」
女戦士「まぁいいや、中見て見ようぜ。聖水が塗布してあるならそんな事もないだろ。」
女魔法「・・・。」
勇者「まて、一応扉は壊しておいたほうがいい。」
女戦士「なんでだ?」
勇者「今の話は無いとしても、中に他の魔物が居ないというわけでもないだろう。」
女戦士「よっしゃ。真空斬り!」
ズバン!
扉≪・・・バタン!≫
女戦士「おじゃましまーす・・・。」
女魔法「どう?」
女戦士「・・・ベッドの木組みばっかりだな。」
勇者「これで燃料が確保出来るな。」
女僧侶「周りに木が無いから最近は保存食ばかりでしたものね。」
女戦士「・・・うん、それだけだな。忘れ物もなさそうだ。」
勇者「魔法、あの巣を焼いてくれるか?今のうちに焼いておいた方が進行を食い止められる。」
女魔法「わかった。火魔法巨大円柱詠唱開始・・・」
女戦士「私たちはベッド壊して持っていくぞ。重要な燃料だ。」
女僧侶「分かりました。」
勇者「ここで昼を過ごすつもりだったが予定を変更して少し離れた場所で昼食にしよう。俺は動物を探してくる。」
女戦士「わかった。準備しとく。」
女魔法「詠唱完了」
ズゴオオオオ!!
ゴオオオオ・・・パチパチパチ・・・
女魔法「・・・。」
女戦士「地面の下にも熱が通るようにしっかりな。」
女魔法「うん。」
女僧侶「とりゃ。」
バキン!
909 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 18:13:23.87 ID:h2/dI4noo
――――――――――――――――――――――――
ジュウウウ・・・
女僧侶「旅が続くと野菜があまり取れませんよね。」
女戦士「近くに森があれば果物とかも取れるんだけどな。」
勇者「この大陸での旅は人の少なさも相まって極端に食べる機会が減りそうだ。」
女魔法「・・・。」
女僧侶「壊血病などにならなければよいのですが・・・。」
女戦士「でっかい問題だよなー。ライムとかレモンとか腐りにくい果物は欲しいぜ。」
勇者「最悪、野に生えている草を食べれば大丈夫だ。」
女僧侶「出来れば遠慮したい所ですね・・・。」
勇者「火が有ればこういうように動物の肝臓を焼いて食べる事が出来るから、恐らく大丈夫だ。焼けたぞ。」
女僧侶「内臓のお肉ってちょっと苦手なんですよね・・・。」
女戦士「まぁ臭いからな。私は全然大丈夫だぜ!」
勇者「新鮮だから、臭みはまだそこまでない。一応、野草で匂いも消してある。頑張って食べてくれ。」
女僧侶「頂きます。」
女戦士「頂きまーす。」
女魔法「頂きます。」
女魔法「・・・おいしい。」
女戦士「はっはほんとうめーな。」
女僧侶「これならなんとか食べれそうです。」
勇者「それは良かった。そろそろ肉の方も焼ける。切り分けるぞ。」
女戦士「僧侶は血の腸詰とかも駄目そうだな。」
女僧侶「え、えぇ・・・。血は特に苦手ですね。」
女魔法「血の腸詰?」
女戦士「あぁ。といっても血だけじゃないんだ。今食べてる肝臓とかと血を混ぜて詰め込んでから蒸した腸詰。」
女戦士「独特の癖が有るけど美味いんだよな。」
女僧侶「癖が有るものは慣れるととても美味しく感じると言いますね。」
女魔法「へー。」
勇者「俺はそういう加工品はあまり食べた事が無いな。パンなどはよく食べていたが・・・」
女戦士「そうなのか?」
勇者「あぁ。図書館に住んでいたころ、捧げ物としてパンが定期的に届けられていたんだ。だからパンは慣れている。たまに羊の干し肉なども混ざっていた。」
女僧侶「へぇ、干し肉というと大概は保存が目的ですよね。なぜ捧げ物に?」
勇者「どうも、そういう特別なものは近くの村が倉庫を年に一度一新する時の古い物なんだそうだ。古い物は近いうちに消費してしまう事が決まりで、その日はお祭りになるらしい。」
勇者「文通相手曰くお裾分けだそうだ。」
女魔法「文通相手?」
勇者「あぁ。捧げ物の籠の中に手紙が入っていて、籠を同じ場所に返す時に返事を返してみたことがある。それ以来その村の誰かとは文通をするようになった。」
勇者「ほら、分けれた。」
女戦士「こっちもうまいなー。」
女僧侶「勇者様の料理の腕はほんとすごいですね。塩の量がいつもぴったりです。」
女魔法「・・・誰だか分からないの?」
勇者「あぁ、分からない。自己紹介をしても、俺には分からないだろうしな。恐らく俺と同い年か小さいくらいだと思うんだが・・・。」
女戦士「なんでだ?」
勇者「文字の上達加減からなんとなくだ。」
910 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 18:52:34.57 ID:h2/dI4noo
――――――――――――――――――――――――
夕方
車輪≪ガラガラガラガラ・・・≫
女戦士「どうだ?少しは慣れたか?」
女魔法「・・・うん。ちょっとお尻痛い。」
女僧侶「まぁ初めは仕方がありませんよね。朝からずっと乗っているわけですし私でも痛くなるでしょうね。」
女戦士「明日は筋肉痛だな。」
女魔法「・・・。」
勇者「もう日が暮れるな。野営準備をしよう。」
女戦士「りょーかい。・・・あの火山に着くまであと2日かー。」
女僧侶「結構近づいた実感がありますね。昨日より大きく見えます。」
女魔法「・・・。」
女戦士「火山かぁー。溶岩魚討伐に行ったっきりかな。」
女魔法「溶岩魚?」
女戦士「溶岩で寝る足がついた魚。蜥蜴みたいな足の生え方してて、体温がかなり高い。」
女戦士「餌を探しに茂みとかをうろつくらしいんだけど、それで森が焼けたりとか結構あるらしいんだ。剣で斬りつけると溶岩が飛び散るし剣が悪くなる。体が固いから銃じゃ殺せない。」
女戦士「だから私が呼ばれた。真空斬りで3枚に卸してやった。はっはっはっ。」
勇者「・・・他には何かいなかったのか?」
女戦士「火山に住む魔物か?うーん、有名なのは、ファイアリザードとか、岩石鷲とか、ゴロゴロ岩だとか・・・」
女僧侶「なんですか、その、なにか可愛らしい名前の魔物は。」
女戦士「ゴロゴロ岩か?こいつは厄介だぞ。丸い岩みたいな形をしてる魔物で、斜面を急に転がり落ちてくる魔物だ。」
女戦士「成長が遅いから、今はもうあんまり大きいの居ないらしいけど、昔は山を通ると必ず死者が出るってくらいだったんだとよ。」
勇者「そんなに危険度が高いのになぜそんな気の抜けるような名前が・・・。」
女戦士「元は兵士たちの俗称だったらしいぞ。それが定着したらしい。」
女魔法「火、起こす?」
勇者「あぁ。頼む。なるほど、元は俗称か・・・。」
女僧侶「昼の残りのお肉を食べましょうか。」
勇者「あぁ、生肉は日持ちしないからな。」
――――――――――――――――――――――――
夜
女戦士「フッ!」
ブオンブオン!
勇者「―――」
スカスカ
女戦士「くっそーあたんねぇぇぇ!」
勇者「―――」
勇者(もう寸止めする気が一切ないな。さっきからヒヤリし通しだ。)
女戦士「あーもうだめだ!鞘付きでなんかやってられるか!」
シュラン!
女僧侶「ちょ、ちょっと!まさか抜き身でやる気ですか!?」
女戦士「いや違う違う。勇者ちょっと来い。」
勇者「なんだ?」
女戦士「ベッドの木から木刀作るぞ!振り回せるやつ!」
勇者「・・・そうだな。そっちのほうがいいか。」
911 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 19:17:35.50 ID:h2/dI4noo
女戦士「ていや!」
スパン!ガラン!
女戦士「おりゃ!」
スパン!
女戦士「ていていてい!」
スパスパスパン!ガララ・・・
女戦士「よっしゃ完成!そっちはどうだ?」
勇者「後は柄を布で巻けば完成だ。」
女戦士「ああ、私もそれやっとかないとな。」
女魔法「・・・二人とも何してるの?」
女僧侶「模擬用の武器を作ってるんだそうです。」
女戦士「鞘付きだと空を斬れなくて速さがでないんだよなー。」
勇者「俺は別段いつも通りなんだが・・・。」
女戦士「だとしたら私だけ不利だろー。よっしゃ出来た!さぁ立て勇者!成敗してくれる!」
女僧侶「勇者様を成敗してどうするのですか。ほらあっち行ってやりますよ。」
女戦士「これでもう私に負ける要素は無くなった!目に星を輝かせてやるからな!」
勇者「ははは、当てる事が出来たらな。」
勇者(余裕が無いなら、加速呪でも使うか。)
――――――――――――――――――――――――
女戦士「フッ!」
ヒュオン!
勇者「―――」
勇者(横なぎ)
スカ
女戦士「ハッハッハッ!」
ドシュドシュドシュ!
勇者(三連付き)
スカスカスカ
女戦士「ハァ!」
ダッ!ギュオオ!
勇者(踏み込みながら胴切り、しゃがむ)
フッ
スカ
女戦士「オリャ!」
ブオン!
勇者(蹴り、股下をくぐる)
スカ!
女戦士「うわ!」
勇者「―――」
勇者(ますます攻め込む隙がないな。)
912 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 19:36:50.86 ID:h2/dI4noo
女戦士「あーちくしょう!しょうがない解禁だ!」
女僧侶「?」
勇者「―――」
勇者(・・・まさか。)
女戦士「形だけだ!当たっても問題は無いから安心して当たれよ!」
女戦士「退魔代13代目が奥義!」
女僧侶「っ!ちょ、」
勇者「―――っ!」
勇者(やばい!)
ザッ
女戦士「五月雨裂発!!」
バキイ!
勇者「っ・・・。」
女戦士「あー!ぶっ壊れた!」
女僧侶「ま、まったく貴方と言う人は・・・。」
勇者「あぁ、すごくひやっとした。」
女戦士「ちくしょー!折角作ったのに!!」
勇者「どれ・・・。柄からぽっきりだな。」
女戦士「だめかー。木じゃ技に耐えられない。」
女僧侶「反省してください!いきなり技を使うなんて・・・!」
女戦士「いきなりじゃない、ちゃんと言ったぞ。」
女僧侶「貴方は後先考えなさすぎです!」
女戦士「いやいや、お前が居るからまぁ骨折れても大丈夫かなーって・・・」
女僧侶「勇者様は軽装なのですから当たったら本当に折れてしまいますよ!!」
女戦士「わ、悪かったって。」
女僧侶「まったくもぉ・・・!」
勇者「はは、大丈夫だ。当たりそうになったら止める決まりだったんだから。」
女戦士「そ、そうそう。寸止めするつもりだったって。」
女僧侶「さっきからブンブン振り切ってるじゃないですか。」
女戦士「いやいや、当たりそうになったら止めるつもりだったって。」
女僧侶「さっき安心して当たれとか言ってませんでした?」
女戦士「じょ、冗談だよ。」
女僧侶「・・・はぁ。まぁいいですよ。怪我は無いですか?木の棘とか刺さってません?」
女戦士「あぁうん平気。勇者は?」
勇者「俺も特に怪我は無い。」
女僧侶「それは良かったです。今日はもうやめましょう。少しでも早めるために日の入りから出発したほうがいいです。」
勇者「そうだな。それがいい。」
女戦士「加速呪さえなければな・・・。」
913 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 20:01:53.82 ID:h2/dI4noo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
次の日 朝
女戦士「様になってきたな。」
女魔法「・・・。」
女僧侶「魔法さんも中々に才能ありますよ。」
女魔法「・・・・・・そう?」
女戦士「あぁ。隣の誰かは気にするな。ちょっと異常だから。」
勇者「酷いな。」
女戦士「実際勇者様の速さは有り得ませんよ。一日で乗馬技術を習得するなんて・・・。」
勇者「馬には初めて乗った気がしないな。馴染む。」
女戦士「そういえば絵本の勇者も馬の扱いが上手いな。」
女僧侶「遺伝でしょうかねぇ。」
勇者「さぁ、どうだろうか。だが馬に乗っていると、気分はいい。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
昼過ぎ
魔物「ぐおー」
ズシィン!ズシィン!
グオオオ!ズガァン!
勇者「雷撃剣詠唱完了」
バリバリバリ・・・
勇者「フッ」
ドス!
魔物「ぐおー」
バリバリバリバリ!
女戦士「退魔代12代目が奥義」
女戦士「三日月!!」
ズパァァン!
魔物「ぐおー」
ズシィィン!
勇者「・・・ふぅ。象魔人は結構怖いな。」
女戦士「パンチで地面に穴が開くからなぁ。でも鈍いし当たらないだろ。」
勇者「俺はもう少し攻撃力が無いとな・・・。」
女戦士「魔法剣があるだろ?」
勇者「爆雷を使えば確かに大部分は吹き飛んでくれるが・・・。雷の聞きにくい木性や土性などには困りそうだ。」
女戦士「爆雷じゃなくて爆発使えばいいだろ?」
勇者「俺は火属性は使えない。熱属性なら使えるのだが・・・。」
女戦士「よし、象牙切って帰るか。」
勇者「あぁ、そうしよう。」
914 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 20:24:11.77 ID:h2/dI4noo
――――――――――――――――――――――――
夜
女僧侶「魔物の素材が結構集まってきましたね。」
女魔法「・・・でも、角とか牙とかばっかり。」
女戦士「皮を剥ぐと匂いがひどいし、虫もよってくるんだ。仕方がないだろ。」
勇者「確かにこの先に人がまだいると仮定して、これらを欲しがるとはあまり思えないな。」
女僧侶「そうですねぇ・・・。これらは嗜好品に近いですし。」
女戦士「でも薬になるだろ?」
女僧侶「一部はそうですね。」
女魔法「薬にする方法が分からないと意味ない。」
女戦士「あぁそっか。でももっといても損はないだろ。」
勇者「そうだな。まだ荷物には余裕がある。」
女僧侶「明日はついに火山ですね。」
女戦士「ほんとでっかいな。これが噴火するって相当やばそうだな。」
勇者「だがこの周辺を見ればわかるが灰がほとんどないだろう。ここ最近は活動をしていない。」
女魔法「噴火してれば灰だらけだもんね。」
女戦士「でもいつ噴火するか分からないんだろ?」
勇者「まぁな。記録によると30年前だとか・・・」
女僧侶「私たち誰も生まれてませんね。」
女戦士「火山ってのは気が長いよなー。何百年とか普通に掛かったりしてるし。」
女魔法「火山というより星の気が長い。」
915 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/27(火) 20:25:02.97 ID:h2/dI4noo
着かれたBGM来たるべきセカイおつかれっしたー
916 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/03/27(火) 20:28:25.33 ID:JTg+rTano
乙乙
917 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/27(火) 20:41:58.58 ID:byPkh/6SO
今日もおつ
無理はするなよー
918 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/03/27(火) 22:20:13.81 ID:/FpZEeyIo
文通相手はあの子か
919 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/27(火) 23:28:15.06 ID:tIjwpdtIO
ヴォルガノス
920 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage]:2012/03/28(水) 00:50:51.03 ID:d29Oo1OPo
来たるべきセカイって勇なまのやつか
あのゲームは本当に良いゲームだ
921 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/28(水) 03:17:14.46 ID:cir4Ewsko
おつおつ
922 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/28(水) 07:19:28.25 ID:0s+Cn6rIO
おっつん
いつも楽しい
923 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/03/28(水) 16:03:15.58 ID:rwRR9ZPio
乙
最近ペース早くて嬉しいよ
休んでもいいんじゃよ?
924 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/29(木) 01:03:36.66 ID:evwH/Lkbo
むしろリハビリにどんどん書いてもいいよ
925 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東日本)
[sage]:2012/03/30(金) 00:11:20.48 ID:vmTo3vwyo
おもしろすぎて一気読みした。
乙です。
926 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2012/03/30(金) 21:45:09.61 ID:yTazLbGMo
乙
824の質問答えてくれてありがとうございます
僧侶よりも戦士の方が年上だったとは
後、魔法がそろそろ思春期なのか
927 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:28:16.07 ID:koUd7CeAo
女僧侶「それで、明日のいつくらいに火山に入るのでしょうか。」
勇者「明日は夕方程度に火山ふもとの村に入ることが出来る。その村の状況にもよるが東へ裾沿いに少し進み、坂が比較的緩やかな場所を入山予定地としている。」
勇者「夜に入山するのは危険だから、村か入山予定地で一泊したのちに入る予定だ。だから正確には明日ではないな。」
女戦士「結構近く見えるんだけど、まだ一日掛かるのか・・・。」
女魔法「・・・そういえば砂漠を超えてから雲見ない。」
女僧侶「そういえばそうですね。火山にも雲はかかっていませんし・・・。」
勇者「この近辺に生えている雑草類も乾燥に強い種だ。砂漠並みではないにしろ雨は珍しいのかもしれないな。」
女戦士「珍しい雨かー。降られると厄介だな。」
女魔法「・・・なんで?」
女戦士「砂漠で話したろ。雨が降ると川が氾濫する。小雨とか規模が小さいなら1日、2日で落ち着くけど・・・」
女戦士「たまに来る雨は激しい事が多い。激しいと氾濫する日にちは長くなる。」
女僧侶「つまり川で水を補給する事が出来なくなるんですね。お馬さんの分も必要ですから水は頻繁に補給しなくてはいけませんし、大きい問題ですね。」
勇者「水もそうだが食料もそうだ。山を越えた後に草が生えているか分からない。火山は横断に2日掛かる。その間馬の食べ物が無い。乾燥飼料を3日ほど積んではいるが・・・」
女戦士「2頭引き馬車とはいえ食料はどうしても嵩張るからなー。乾燥っていっても草は草だし・・・。」
女僧侶「山の向こう側にお馬さんのご飯が無い場合はここで放すしかないのでしょうね。」
女魔法「・・・せっかく練習してるのに。」
女戦士「人生ままならないな。」
勇者「だから・・・明日は別行動を取りたい。」
女僧侶「別行動?」
勇者「あぁ。といっても完全にというわけじゃない。先行して様子を見てくるだけだ。」
女戦士「斥候みたいなもんか。そりゃありがたいけど・・・」
女魔法「寂しくない?」
勇者「・・・少しだけな。大丈夫だ、旅に出る前は4年ほど孤独だった。慣れている。」
女僧侶「・・・。」
女戦士「悪いな。確かにそうした方が無難だ。」
勇者「予定としては、火山横断場所の頂上付近まで行くつもりだ。そこから火山の向こうを観察して馬が生存可能か判断する。」
勇者「・・・走り通せば一日で帰ってこれるだろう。」
女戦士「明日の朝出発して明後日の朝に帰ってくるんだな。」
勇者「予定通りいけばそうだ。魔力視を使えば夜も大丈夫。3人が入山するまでには帰ってくるよう心がけはするが、間に合わなかった場合はスマナイが待っていてくれ。」
女僧侶「そのくらいは良いのですが・・・。」
女魔法「・・・私も行く?」
勇者「・・・。」
勇者(そうか、一人なら背負う事が出来るか。いや、しかし危険だ。)
勇者「大丈夫だ。少し見てくるだけだからな。」
女魔法「・・・そう。」
928 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:28:38.00 ID:koUd7CeAo
女戦士「うーし、じゃぁやるか勇者。」
勇者「わかった。やるか。」
女僧侶「木刀は作ってすぐ壊してしまいましたけどどうするのですか?」
女戦士「うーん、やっぱり鞘付きでやるしか無いな。」
勇者「奥義を使われ始めると避ける事が出来るか不安なんだが・・・。」
女戦士「私は奥義使わないとお前におっつけない。」
勇者「・・・すまないが慣れてくれ。」
女戦士「やっぱそれしかないよなー。加速呪で応戦するしかないな。」
勇者「俺も加速呪を使うしかなくなるな。」
女戦士「イタチゴッコだな。まあいいややろうやろう。」
勇者「加速呪×2」
勇者「・・・スゥ―――」
女戦士「・・・。」
女僧侶「では・・・はじめ!」
勇者「―――」
女戦士「・・・」
女僧侶「・・・?」
勇者「―――」
ジリ・・・
女戦士「・・・」
チャキ
勇者「―――」
勇者(俺が狙えるのは常に上からの首。俺に鎧を貫通させる術は無い。戦士はそこだけを警戒していればいい。)
勇者(戦士にとっては俺は速過ぎる相手。俺にあてるには呼び込みと踏み出しと剣速が必要。剣速が制限される分呼び込みを深くする必要がある。)
勇者(戦士の急所は一つだけ。呼び込みはそこに焦点が当たる。自然な形で俺を呼び込み俺に気取られないように返す必要がある。)
勇者(首を晒す呼び込みは不自然な形になってしまう。そこからどういう風に剣が返ってくるか、かなり読みやすい。だから俺は一枚上手に攻める事が出来る。)
勇者(ならばどうするか・・・。この形になる。一瞬に賭ける。遅い者が早い者に打ち勝つ場合、後の先を取る必要がある。)
勇者(動きの起こりを感じ取る。戦士にとっての武器は、あの剣の長さ。しかし俺より遅い。そのため、同時に動いたとしても相打ち程度にはなる。)
勇者(長さは長所であり短所、返しが遅れる。その遅れが有れば俺は何とかなる。無傷で勝つには、騙しを入れ剣を振らせる必要がある。)
勇者「すぅ―――」
勇者「―――」
女戦士「・・・。」
勇者(・・・良い眼光だ。つい見とれる。)
ズダッ!
ガキン!!
女戦士「・・・。」
勇者「―――」
勇者(攻撃して来ない。首当てで突きを防がれた。あの眼光、見られている。)
勇者(半端な騙しでは剣を振ってくれそうにないな。)
女戦士「・・・。」
929 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:29:09.39 ID:koUd7CeAo
勇者(にらめっこもかなり楽しいが、行かなくては。逆手で首筋を上から差し込むフリをする。)
ズダッ!!
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐―――――――――――――――
勇者「―――」
ヒュオ
女戦士「・・・」
勇者(動かない)
女戦士「・・・」
勇者(動かない 相打ち狙いか)
女戦士「・・・」
勇者(ここでは当てれない 通り過ぎる)
スッ
女戦士「・・・っ!」
ブォオ
勇者(!)
―――――――――――――――‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
女戦士「フッ!」
オオオオ!!
勇者「っ!」
ザリ!
勇者「ぐぅっ!」
女戦士「ハァ!」
ブオン!
勇者「ぐっ・・・」
スカ
女戦士「・・・くそ!読まれてたのか?!」
勇者「い、いや・・・予想外だった。そうか・・・確かに俺は相打ちは避ける選択をするな。」
女戦士「初動が遅かったか。いや、剣筋がぶれてたかな。」
女僧侶「大丈夫ですか?回復小」
勇者「あぁ、平気だ。読み負けた。」
女戦士「・・・うーんやっぱり待つのは苦手だ。私は攻めてないと上手く行かない。」
勇者「そうだな。良い眼はしていたが、馴染んでいない。」
女戦士「かといってぶんぶん振り回すのはなー。」
勇者「戦士は自分より早い相手には常に奥義で攻めているからな。通常攻撃で追い立てるのは慣れていないか。」
女戦士「お前が速すぎるんだよ。私が相手にしてきたどいつよりも速い。」
勇者「その為に鎧も着けず短剣なんだ。俺は相手の攻撃を絶対に避けなくてはいけない。」
勇者「一撃でも当たれば極度に性能が低下してしまう。一瞬ならば通常通り動けるが・・・」
女戦士「そういえば絵本の勇者は軽鎧に片手剣で腕に盾だったよな?」
勇者「はは、武器は練習用の物が一通り有ったが防具は一切なかったんだ。旅に出た先も防具を手に入れる方法は無さそうだった。だからこの形態なんだ。」
女僧侶「・・・。」
女戦士「なるほどなー。お前街には入れないからな。なんで武器は一通り有ったんだ?」
勇者「俺の国では勇者は戦う職種でもあったからな。しかし呪いの所為で他人と共戦できず、個人で魔物と戦う事は一般兵士の致死率から人道に悖るとされて、勇者は形だけの称号になってしまった。」
勇者「だから、いつでも戦う準備は形だけは整える必要があり、しかし戦わせない為に防具は支給されない。練習道具だけ支給される。」
勇者「・・・恐らく防具を支給しなかったのはお父さんの意向でもあった。だから手紙で求めた事もない。」
女戦士「ふーん。」
女僧侶「も、もういいでしょう?ほら、明日は勇者様走りっぱなしなのですから今日は休みましょう。」
女戦士「そうだな。そうしよう。うおーねるぜー。」
930 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:29:31.69 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
朝 夜明け
勇者「・・・。」
パチ
ムクリ
勇者「・・・ふぅ。」
キョロキョロ
女魔法「スー・・・。スー・・・。」
女戦士「ぐぅ・・・。ぐぅ・・・。」
女僧侶「スゥ・・・。スゥ・・・。」
勇者(全員いるな。)
勇者(・・・。)
勇者(人の寝顔を見ているのは飽きない。いや、敵意が含まれていない顔を見るのは、か。)
勇者(行くか。帰ってくればまた見れる。)
ガタガタ スタッ
ザッザッザッザッザッ・・・
女魔法「・・・・・・。」
むくり
女魔法「・・・・・・ふぁ・・・ぁ。」
ゴシゴシゴシ
女魔法「・・・。」
象牙≪ガタ≫
女魔法「・・・。」
象牙≪ズリズリズリ・・・≫
象牙≪ガタン!≫
女僧侶「!」
女僧侶「・・・。」
キョロキョロ
女魔法「・・・ごめん。起こしちゃったね。」
女僧侶「・・・あぁ、象牙を倒した音ですか。何をしているのですか?」
女魔法「・・・秘密。手伝って。重い。」
女僧侶「え、えぇ、それはいいですけど・・・。勇者様は?」
女魔法「あっち。」
女僧侶「・・・もう行ってしまったのですか。一声掛けて欲しかったですね。」
女魔法「重い。」
女僧侶「あぁ、はいはい。この象牙をどうするのですか?」
女魔法「外に出す。」
女僧侶「ではそっち持ってください。せーのっ」
象牙≪ガコオオン≫
女魔法「真空魔法中」
スパァン!
女僧侶「念力魔法は使わないのですか?」
女魔法「馬車の中は狭すぎる。」
931 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:30:02.56 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
車輪≪ガラガラガラ・・・≫
馬「ブルルル・・・」
カッポカッポカッポ・・・
女魔法「・・・。」
女戦士「ふぁ〜・・・。うーん快晴だなぁ。」
女僧侶「雲一つ無い良い天気ですものね。」
馬2「ヒヒーン!」
女魔法「・・・。」
女戦士「寂しがってんなー。」
女僧侶「ブラシ掛けなどは勇者様がやっていましたからね。」
馬2「ブフー!」
女魔法「落ち着いて。明日帰ってくるから。」
馬「ブルル・・・」
スリスリ
馬2「ブルルルル・・・」
女僧侶「何か見えます?」
女戦士「われーぜんぽうにーみちはっけんせりー。」
女僧侶「りょうかいいたしましたー。ぜんぽうにしんろをとりますー。そうだしゅへつうたつー。」
女魔法「・・・。」
女僧侶「操舵主さーん?」
女戦士「了解っていえーそうだしゅー。」
女魔法「・・・・・・了解。」
女僧侶「ぜんのりくみいんつうたつかんりょー。いじょうなしー。」
女戦士「それでどうなんだ操舵主。思考加速の魔法にいい案は出たか?」
女魔法「・・・魔法場を作り出し範囲を人間の頭程度に展開する方法を思いついた。あとは変換条件だけ。」
女戦士「それは良かった。頑張れ―。」
女魔法「・・・。」
女僧侶「お馬さんも魔法さんが考え事しているのを見抜いているみたいですよ?」
女魔法「?」
女僧侶「今お馬さんの背揺れてます?」
女魔法「・・・あんまり。」
女戦士「なんだ、ちゃんと気を使われてるじゃないか。天才騎手へ一歩近づいたな。」
女魔法「・・・。」
馬「ブルル」
カッポカッポカッポ・・・
馬2「ヒヒーン」
932 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:30:33.96 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
昼過ぎ
車輪≪ガタガタガタ・・・≫
女魔法「・・・。」
象牙≪チュィィィ・・・≫
女戦士「ごつごつした岩が増えてきたな。」
女僧侶「火山に近づいてきた影響ですね。道には落ちていませんけど。」
女戦士「この道はちょっと前までは使われてたんだから当たり前だな。勇者が言うには噴火は30年前だったって話だし。」
女僧侶「所々草が剥げてますね。もっと近づくともしかしたら草が生えて無いかも知れません・・・。」
女戦士「ちょっとでもはえてりゃいいよ。・・・お。何か見えるぞ。」
女僧侶「本当ですか?一体何が?」
女戦士「私はあいつほど目は良くないからなー。・・・多分家。色から察するに木造だな。」
女僧侶「火山の麓の集落でしょうね。やっと視認できましたか。」
女戦士「到着は推定夕方って所か。あいつの見立てはぴたりだな。」
女僧侶「道に魔物はいますか?」
女戦士「確認できる範囲では居ない。象魔人も火山に近づいてからは居ないし。」
女戦士「魔法はさっきから中でなにやってるんだ?」
女僧侶「真空魔法で象牙を削っていますね。」
女戦士「なんでそんな事してるんだ?」
女僧侶「秘密、だそうです。」
女戦士「ふーん。・・・む。」
女僧侶「どうしました?」
女戦士「魔物。後ろから。」
女僧侶「後ろから?」
女戦士「轍を付けられたみたいだ。・・・団子獣だな、戦闘用意!他に魔物は居ない!」
女僧侶「分かりました。魔法さん!聞こえましたね!」
女魔法「・・・ん。」
象牙≪ィィィィン・・・≫
杖≪ガタ≫
スタ
女戦士「よっしゃ!馬止めろ!」
女魔法「必要無い。地面隆起魔法中詠唱開始・・・」
女魔法「詠唱完了」
地面≪ズガンズガンズガン!≫
グシャァ!
魔物≪グゲ!≫
女戦士「おうおう・・・。」
女僧侶「・・・退治できました?」
女戦士「あぁ。馬止めなくていいぞ。」
女魔法「・・・真空魔法渦」
象牙≪チュィィィ・・・≫
933 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:31:00.66 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
夕方 火山麓の集落
女僧侶「日没までにはもう少し時間がありますね。」
女戦士「あぁ。・・・静かだなここ。」
女魔法「人いる?」
女僧侶「聖域が引いてありますから恐らく。一昨日寄った中継地点より大きめですね。」
女戦士「おーい!誰か居ないか!」
女魔法「・・・。」
女戦士「食料を分けてくれないか!!燃料でもいい!こっちには布とか魔物の素材がある!交換してくれ!」
女僧侶「・・・。」
女魔法「・・・。」
≪ガチャ≫
女戦士「!」
バッ!
老兵「・・・どうやら人間の様だな。剣下ろせ。」
女僧侶「あなたは・・・。」
老兵「儂以外に人は居らんぞ。お嬢ちゃん杖を向けるな。」
女魔法「・・・。」
老兵「入れ。」
スッ
女戦士「・・・。」
カチャ
――――――――――――――――――――――――
家
老兵「儂はここで留守番しとる。」
女戦士「留守番?」
老兵「あぁ。魔王が復活してから全員逃げちまって、だが管理人は必要だろう。儂がやってる。」
女魔法「なぜ?」
老兵「いつか開拓が復活した時に建物荒れ放題じゃぁ時間が掛かるだろう。儂はここを死に場所と決めた。」
老兵「死ぬまで暇だからな。ついでに管理しとる。」
女僧侶「・・・。」
老兵「あんたらなんだ?わざわざここまで来て。逃げたいなら方向逆だぞ。」
女僧侶「・・・私たちは魔王に用があってきたのです。」
老兵「はぁ?・・・あぁ、そうなのかい。随分元気みたいだな。」
女戦士「・・・それで保存食、燃料、水とかを分けてもらいたい。後紙とペンとインク。こっちには魔物の素材とか他色々ある。」
老兵「水は井戸がある、勝手にもってけ。インクとペンは有るが紙は無い。儂には必要ない持って言って構わん。飯と燃料は儂の頼みごとやってくれんなら分けてやってもいい。」
女僧侶「頼みごととは?」
老兵「草刈と狩り。あとそうだな、布が有るとか言ってたな。儂の服直してもらおうかね。あとは砥石持ってんだろ?少し寄こせ。」
老兵「・・・まぁあとは思いついたら頼む。取りあえず井戸に案内する。着いてこい。」
934 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:31:53.25 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
集落 井戸
老兵「そこが井戸だ。馬車ここに持ってきて勝手にも入れてけ。」
女戦士「爺さんは飯どうしてるんだ?」
老兵「儂の腰につけてるもんが見えんか?」
女戦士「肉しか食わないのか?」
老兵「人間飯が偏ったって早死にするだけよ。問題ない。」
女魔法「・・・。」
老兵「ついてこい。草刈してもらうぞ。」
女僧侶「何故ですか?」
老兵「お前らに持ってかれる燃料の代わりよ。」
女戦士「私が行くから二人は水を補給しておいてくれ。」
――――――――――――――――――――――――
集落 外
荷車≪ガラガラガラ≫
老兵「刈った草はこれの上に置け。」
女戦士「りょーかい。」
老兵「・・・。」
ガチ!ガチ!ガチ!
老兵「・・・」
老兵「フゥー・・・。」
女戦士「タバコかよ。ほんとに早死にするぞ。」
老兵「あんたに注意されることじゃないわな。」
女戦士「・・・。」
女戦士「・・・真空斬り!」
ズバン!
老兵「・・・ほぉ。」
女戦士「よっと・・・」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女戦士「こんぐらいでいいか?」
老兵「・・・いいんじゃないか?ほら、引いてけ。」
女戦士「りょーかい。」
荷車≪ガラガラガラガラ・・・≫
女戦士「じーさん寂しくないのか?」
老兵「もう慣れた。それに一人で暮らすにはやらなきゃいかんことが多すぎる。寂しがっとる暇はあんま無い。」
女戦士「ふーん・・・。」
老兵「今日はあんたたちのおかげで少しは楽だな。ほれさっさとしろ。」
女戦士「へーい。」
935 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:32:21.58 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
家裏
老兵「ここに持ってきた草広げて置け。」
女戦士「はいはい。」
女僧侶「お爺さん。直してもらいたい服はどちらに有るのでしょうか。」
老兵「家ん中の箪笥に入っとる。中に入ってるの全部だ。」
女僧侶「分かりました。」
女魔法「・・・戦士、私がやる。」
女戦士「そうか?じゃぁ頼む。」
女魔法「ん。念力魔法」
バサササ・・・
老兵「・・・フゥー。」
女魔法「これでいい?」
老兵「いいんじゃないか?お前ら今日泊まっていくのか?」
女戦士「もう日暮れだしそうなるだろうな。」
老兵「そうか。家ならいくつも空いてる好きに泊まってけ。狩りは明日にでもやってもらおう。」
女魔法「・・・ここって魔物来ないの?」
老兵「来ない。聖域かけとるからな。」
女戦士「え?爺さんが?」
老兵「あぁ。毎日日暮れに掛けとる。」
女戦士「へー。魔法得意なんだな。」
老兵「儂は別に得意じゃない。」
女戦士「へ?いやでもこの村の大きさに聖域しけるんだろ?得意じゃないと無理だろ。」
老兵「珠が有る。魔力さえ流せば魔法が使える奴だ。」
女戦士「あぁ・・・。そういえば商人も似たようなの持ってたな。」
女魔法「それってどこにあるの?」
老兵「教会。儂はこれから行って魔力流してくる。お前達は好きにしてろ。」
女戦士「うーっす、さぁーて、私たちは寝れる家探そうぜ。」
女魔法「ん。」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
家
女戦士「ここでいいか。ベッド3つあるしキッチンもあるし。」
女魔法「ん。」
象牙≪チュィィィィ・・・≫
女戦士「僧侶呼んでくる。」
女魔法「いってらっしゃい。」
936 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:32:50.64 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
夜
暖炉≪パチパチパチ・・・≫
女僧侶「お爺さんの服ボロボロですねぇ・・・。」
チクチクチクチク・・・
女戦士「そうなのか?まぁここに一人で住んでるんだし仕事も多いんだろうしな。」
砥石≪シュリシュリシュリ・・・≫
女魔法「・・・。」
象牙≪ィィィィィ・・・≫
女僧侶「うん。出来ました。ベッドを壊して得た木材は後2回分程度ですから、この村で燃料が確保できるとは有り難いですね。」
女戦士「燃料によっては明かりは期待できないけどな。そこの暖炉は違うけど、キッチンとか風呂とか見ると石炭を前提にしてるみたいだし。」
女僧侶「そうなのですか?よく気付きましたね。」
女戦士「私達が石炭貰ったって着火に時間掛かって上手く使えないだろな。あの爺さんが燃料として何くれるか今のうちに聞いておいた方がいい。」
女戦士「よし、手入れかんりょー。水捨ててくる。」
女僧侶「行ってらっしゃい。・・・さて、余ったお肉を焼いてしまいましょう。」
女魔法「またお肉・・・。」
女僧侶「仕方ありませんね。この大陸に居る間はお肉が主食になりそうです。それでどうです?勇者様の仮面は出来そうですか?」
女魔法「・・・。」
女僧侶「流石にそこまで形になっていると見たらわかりますよ。それでどうです?勇者様が帰ってくるまでに出来そうですか?」
女魔法「多分出来る。でもあんまり余裕無い。」
女僧侶「そうですか。飾りはつけるのですか?」
女魔法「真空魔法だとおおざっぱにしか削れない。だからつけない。」
女僧侶「では・・・歌劇などの仮面に近いのでしょうかね。」
女魔法「歌劇?」
女僧侶「えぇ。単純な作りで、つけた人の顔を隠してしまうのですよ。仮面ですから当たり前ですけど。」
女魔法「・・・これはちょっと出すよ。勇者傷が酷いのは右側だけだもん。」
女僧侶「左側も少々火傷の様な跡が残ってしまっていますけどね・・・。特におでこはひどいです。」
女魔法「だから・・・円形を3/4にしたみたいな形にするつもり。」
女僧侶「なるほど、ファントムマスクの広くなった様な形ですね。しかし勇者様の顔の形は覚えているのですか?」
女魔法「髪梳いた時に覚えた。」
女僧侶「勇者様の髪をですか?いいですね、私もやりたいです。」
女魔法「明日やったら?」
女僧侶「そうしましょうかね。よいしょっと、私お爺さんに服を返してきますね。」
937 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:33:18.29 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
ガチャ
女僧侶「お爺さん?服縫い終わりましたよ。」
老兵「おう。そこらに置いとけ。」
女僧侶「ではこちらに置いておきます。御用がおありでしたらお呼びくださいね。」
老兵「あぁ、まて。あんたら少し臭いから風呂にでも入れ。」
女僧侶「えっ!く、臭いですか?二日前水浴びはしたのですが・・・。」
老兵「あんたらが使ってる家にはボイラー付きの風呂がある。山近くの家の倉庫に石炭があるから勝手にもっていって使え。教会の裏手だ。着火はこれ使え。」
ポイ
トサ
女僧侶「あ、ありがとうございます・・・。そう言えばお爺さんが下さる燃料とは石炭なのですか?」
老兵「そんなもん持ち歩いたとてお前ら使えないだろう。やるのは練炭だ。」
女僧侶「あ、そうなのですか・・・。ではありがたく使わせて頂きますね。」
老兵「おう。明日は夜明け前に起こすぞ。寝とけ。」
女僧侶「分かりました、では失礼します。」
老兵「使い終わったら掃除はしろよ。」
――――――――――――――――――――――――
家
女戦士「まさか風呂に入れるとは思わなかったな。」
女僧侶「えぇ、大変ありがたいです。確かに石炭取れて水源があるならあっても良いですものね。」
女魔法「・・・でも井戸から水を取るの大変。」
女僧侶「それは我慢しないといけませんね。ばちが当たりますよ。」
女戦士「地下水源が有って近くに火山が有るっていうと、温泉とかもありそうだけどな。」
女僧侶「いいですねぇ温泉。ちょっと前の山村での温泉は本当に気持ちが良かったです。」
女戦士「まぁ見られたけどな。」
女僧侶「は、ハプニングとは起こりうるものですよ。というかあなたはいつまでその話を引っ張るつもりですか?」
女戦士「それで風呂はどうなんだ?準備できたのか?」
女僧侶「えぇ、もう入れますよ。という事で行ってきますね、大きさから一人ずつではないと恐らく無理ですから。」
女戦士「はいはい行ってらっしゃい。」
女魔法「・・・フー。」
仮面≪・・・。≫
女魔法「・・・。」
ザッザッザッ
女戦士「もうだいぶ出来てきたな。」
女魔法「細かいところはちょっと難しい。時間掛かりそう。」
女戦士「本当ならやすりが有るといいんだけどな。」
女魔法「取りあえず形にはなるからいい。・・・どうせすぐに必要なくなる。」
女戦士「・・・そうなるといいな。」
女魔法「なるもん。真空魔法渦」
仮面≪チュィィィィィ・・・≫
938 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:33:44.84 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
夢
連「・・・また大変なことになってんのね。」
光「神とか魔王とか変なものに好かれるのね貴方達。」
火「・・・。」
女戦士「ほんとだよ。まぁもともと勇者にくっついてきたんだからある程度は覚悟してたけど・・・。」
女僧侶「正直それ以上の事が起こりっぱなしです。」
女魔法「・・・。」
1106「こっち。」
1107「じゃぁこう。」
チェス板≪カチャカチャ≫
女戦士「今回は本当に参った。自分の力量の無さ嘆いたのは2度目だ。」
光「仕方のない事じゃない。それにまだ詰みではないと思うわ。」
連「そうだよ。勇者が言ってた通りだと思うよ?気休めとかじゃなくて私もまだ生きている可能性が高いと思うもん。」
女僧侶「・・・可能性は高いかとは思いますけど・・・無事に済む可能性も高いわけではありません。」
連「それは、そうだけど・・・。」
女戦士「魔王が調べたら棄てられる事だってあるかもしれない。いや、分かってんだけどさ。そんなこうだったらとか考えても無意味なのは。」
女戦士「でもここだと不安は出ちまうんだよな・・・。」
火「・・・仕方がない。でも、何かを研究しているというのなら、研究成果を無闇に遺棄したりしないわ。」
火「成果が出ていないというのなら、遺棄されてもおかしくは無いけれど、私達みたいに一定の成果を上げているのなら、生存率は上がる。」
火「話を聞く限り、魔王にとっての最高傑作と言っても過言ではない。そんな大事な成果をやすやすと手放したりはしない。」
火「・・・私たちの所では、逃げられちゃったみたいだけど。」
連「・・・。」
光「・・・・・・あんたはいきなり喋りだすのやめた方がいいわよ?」
火「・・・・・・。」
女戦士「・・・いや、ありがとう。気が楽になった。そっか、悪かったな。商人と同じような境遇なんだなお前ら・・・。」
連「私たちの方が問題としては単純だけどね。行っちゃえば私たちただの実験動物だったんだし。」
光「そうねぇ。確かに人形が人間になってその人形を作ったのが人間全員を相手にして戦ってたりする魔王だったりはしないわ。」
連「あ、別に自虐じゃないからね。乏してるわけでもないよ。勘違いしないでね。」
女僧侶「分かってますよ。第三者から見た見識だというのは。」
火「・・・貴方達のパーティって問題が複雑ね。勇者は神にいじられて、神と敵対関係の魔王が作った人が仲間で、その二人は決まっては居ないけど結婚してて・・・。」
女僧侶「そうですね。確かに複雑と言えます。」
女戦士「複雑っていうよりはデカい問題が関係しあってる感じだけどなー。」
1107「チェック。」
1106「むー。」
女魔法「・・・。」
939 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:35:09.04 ID:koUd7CeAo
女戦士「そういえばもう合流したんだよな?」
光「えぇ、したわよ。」
女僧侶「どうです?ひとちゃん達は馴染めそうですか?」
連「そこらへんは問題無さそうかなー。前の仕事引っ張る奴らじゃないみたいだし。」
光「もともとあいつらも差別されてた人間だしね。兵士長の決めた事にうじうじ反対する奴らでもないわ。」
女戦士「・・・あの施設でひと達の事化け物呼ばわりしてたやつがいるんだけど・・・大丈夫か?ほんとに。」
連「アイツらもともと施設の地下には来ないもん。運搬任務とかにたまに通るくらいで。魔物と人間の合成してたくらいしか情報なければそりゃー仕方がないと思うな。」
光「ひとみ・・・だったかしら?あの子が逃げ出した時の報告を聞いたのかもしれないわね。」
女僧侶「・・・どんな報告だったのですか?」
火「・・・脱走時の状況は機械港に住む出資者にお披露目に行った帰りの運搬時。檻に入れられて馬車で運搬されていた。」
火「その子は能力を一つ隠していたの。口から出す毒液には2種類あった。強烈な神経毒。もう一つは、強烈な腐食作用を持つ毒液。」
連「私たちとひとらの方は部が違うからしっかりとは知らないんだけど・・・ひとみって子はバジリスクっていうすごい強い魔物と合成されたらしいね。」
女戦士「バジリスク・・・。で、伝説の魔物じゃないか?」
女僧侶「え、えぇ。蛇系の魔物の突然変異種とされていて、あまりに強すぎる毒性は島ひとつの生態系を壊しつくし、結局自分も餓死してしまったという・・・。」
光「お伽噺とか言われているらしいけど・・・本当にあった話よ。どこかの物好きが、死体を冷凍保存していたらしいわ。」
火「・・・人を運搬しているのが港の警察組織の末端には、ばれたらいけなかったから・・・檻には布がかけられて人目につかないように運搬されていた。」
火「あそこは港だから、荷物の運搬なんて珍しくなかったし、たまに動物とかもそういった方法で運ばれるから疑う人はいなかったらしいの。」
女僧侶「・・・待ってください。警察の末端には、という事は・・・・・・。」
光「おかしい事じゃないわ。警察は結局人の組織だから、お金が要るもの。上には私腹を肥やす人が居ておかしくないわ。」
連「機械港は特にね。海棲魔物の活発化は緩い場所だった上に、機械の船で漁獲量とかもたくさんある。」
女戦士「・・・まだ、研究が続いていたりするのか?」
光「どうでしょうね。資料を燃やされて、実験場も破壊されて、力を持つ研究長も失踪してるし・・・もし再開しようとしたとしても時間が掛かる事は確かだわ。」
連「各国に出資者が居るらしいし、総責任者である機械港の奴は大損してるだろうね。そもそもお金を生み出す為の研究じゃないのだから今の形態がおかしかったんだよね。」
女僧侶「・・・最初は、魔王を倒す為、だったんですよね。」
光「そうね。最初はね。ただ魔王が封印されて少したってから、疎ましがられ始めて、何とか研究を存続させるために当時の研究長が今の形態に切り替えた。」
連「常人が使える銃の生産。失敗した実験動物の売買。銃技術はあの研究所から発生した。銃技術の利益はすごくて、こんなに儲かるのなら出資してもいい、ってなった。」
女戦士「金、か。・・・なんだかなぁ。」
火「・・・布の下でひそかに金属を腐食させて、町から離れた所で檻を壊して、周りに居た人間すべてに麻痺を振りまいて逃げ出した。」
火「魔眼って言われてる、能力。ただ、その能力は対策されていて・・・監視員の数人には効かなかった。睡眠魔法を当てられて、崖から落ちて消息を絶った。」
女魔法「・・・。」
女戦士「そこでうちの包帯に拾われたのか。運が、良かった、のかな。」
光「そのこには悪いけど、おかげで私たちは外に出れたのだから、私たちにとっては運が良かった事だと言えるわ。」
連「その子にとって、幸運だったか・・・。きっと幸運だよね。仲間を助け出せれたし、最後に、友人も出来たみたいだし・・・・・・。」
女魔法「・・・もう少し一緒に居たかったな・・・・・・。」
女僧侶「・・・この話題はもうやめましょ?別の事を話しましょう。」
光「そうね。それで、貴方達やっと念願叶って一緒に旅してるわけだけど、どう?」
女戦士「どうって言われてもな・・・。なんか自然と溶け込んでるぞ。ずっと一緒に並んで旅してたみたいに自然だ。」
女僧侶「そうですね。今いる場所は平原で、勇者様得意の香辛料さがしなどは出来ていないようですから、劇的な美味しさの料理は味わってはいませんし。」
女魔法「でも一緒に居れてうれしい。」
連「それはよかったね。なんか言ってやったら?」
火「え?・・・お、おめでとう。」
光「・・・まぁべつにあなたがそれでいいのならいいのだけれど・・・。」
940 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:35:46.85 ID:koUd7CeAo
女戦士「ははは、いい人だな。」
1107「チェックメイト。」
1106「・・・・・・。」
女魔法「・・・まだメイトじゃないよ。」
1107「え?」
1106「・・・うー?」
女僧侶「貴方がたはどうです?馴染めてます?」
連「うーん・・・馬鹿ばっかだねあいつら。」
光「貴方ら毎日のように言い寄られては蹴り返してるものね。」
火「・・・蹴っているのは連だけ。」
女戦士「言い寄られてるって・・・。付き合ってくれって?そういや兵士長もそんな事いってたな。」
連「ほんっとあいつら懲りない。君の瞳は猫目石の何倍もの鋭さがあり・・・とか誉めてるのかわけわかんない。」
光「センス無いものね皆。私的にはお風呂を覗こうとするのはやめて欲しいわ・・・。」
女僧侶「の、覗いてくるのですか?」
連「一度も見せた事無いけどね。光の銃で少しの間見えなくしてやってからは大人しくはなったけど・・・。」
火「最近はひとやに見張りしてもらってるの。たまに争ってる音が聞こえる・・・。」
女戦士「そう、ひとや。あいつはどうだ?馴染めてるか?」
光「なんだかんだで会話には応じてくれるし、あの子ひと達とあんまり離れないからいつも一緒みたいなものね。」
連「でも最近はひと達がおっさんの部屋によく行くんだけど、その時は叩き出されてるね。その間は屋根の上とかで昼寝してるみたいだけど。」
女戦士「あんまり他の兵士と話したりはしてないのか・・・。」
光「そうでもないわよ?さっき見張りしてもらってるって言ったけど、その時馬鹿なやり取りしてるもの。」
女僧侶「そうなのですか?」
連「てめーも男だろ!みたいもんは素直にみたいと言え!とか その扉の先は桃源郷に繋がるんだ!あとで飴やるからどけよ!とかね。」
光「別にみたくねーっつーの!この糞馬鹿共が!諦めろ!とか 桃源郷じゃなくて天国に送られんぞ馬鹿共!とか返してるわよ。」
女戦士「なんだかんだで馴染んでるな。もともとあいつ口悪いしちょうどよかったのかもな。」
女魔法「・・・右手の武器は水につけても大丈夫なの?」
火「・・・上がった後に火属性応用の乾燥魔法を使えば大丈夫。」
女僧侶「乾燥魔法?便利そうですね。」
火「条件教えてあげる。・・・火属性が必要だけど。」
女魔法「火なら私が使える。」
火「まずね・・・」
女魔法「・・・。」
連「その度に宿屋破壊して修繕費がかさんで仕方がないって副長が言ってる。ほんと馬鹿だよね。」
光「貴方も一回銃乱射したけどね。」
連「あ、あれは馬鹿が部屋に入ってきて・・・!」
光「はずみで銃を撃つのは危ないわよ?回復魔法効かないんだから。」
連「は、反省してるって・・・。一応外して撃ったしさ・・・。」
女戦士「あれ?お前ら銃に鍵付けれるんじゃないのか?」
光「突発的な事故が起こった時に緊急対応出来ないから外しとけってさ。」
連「鍵も各自保管してるしね。一応合鍵作ったけどさ。」
941 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:36:17.92 ID:koUd7CeAo
1107「勝った。」
1106「負けちゃった・・・。」
光「そういえばこの子達はいつの間にかチェス出来るようになったのかしら。」
女戦士「結構前に一回魔法が教えて、昨日と一昨日くらいからまた教えてたから昨日くらいじゃないか?」
連「あたし達もチェス分からないんだけどな。」
女僧侶「ルール教えましょうか?ひとちゃん達と遊べますよ。」
光「そうねぇ。初心者同士なら丁度いいかもしれないわね。是非教えてちょうだい。」
女僧侶「いいですよ。ちょっと待ってくださいね・・・。」
女戦士「チェスねー。駒の動かし方は覚えてるけど全然やってねーや。」
連「チェスセットでも買おうかな。お金使い道あんまないし・・・。」
1106「ねぇねぇ、銃のお姉ちゃん。」
1107「絵本かってー。」
光「絵本?ひと字読めるの?」
1106「読めるよ。」
1107「読めるの。」
連「・・・驚いたな。いつの間に覚えたの?」
1106「秘密。」
1107「ひみつー。」
火「・・・良いよ。明日、買いに行こうね。」
1106「やったー。」
1107「お姉ちゃんありがとー。」
女僧侶「ほら、こっち見てください。チェスはですね、6種類、片方16個、両者合わせて32個の駒を動かしあって、最終的にキングと言われる駒を取れば勝ちとなります。」
女僧侶「初期配置はこうなっています。ちなみに白が先手です。駒の動きを一個一個説明していきますね。」
連「へー。ルールは思ったより簡単なんだね。」
女僧侶「しかしこちらの情報はすべて相手に見られています。熟練者であればあるほど、相手の狙いを深く読んできますから奥深いですよ。」
女戦士「私は初期配置すら覚えてないや。」
――――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
女僧侶「つまりチェックメイト、とは次の手番に相手が何をしてこようと絶対に王を取れる、という状況なわけです。わかりました?」
光「分かったわ。」
女僧侶「とりあえず駒の動かし方、取り方とチェックとチェックメイトを覚えて置けばゲームは出来ますよ。」
女魔法「・・・僧侶、そろそろじゃない?」
女僧侶「え?あ、そうですね。そろそろ起きないといけませんね。」
連「なにか用あるの?」
女戦士「あー・・・ちょっとなー・・・。」
女僧侶「ほら、起きてください。起きますよ。では失礼しますね。また。」
女魔法「またね。」
女戦士「またなー・・・。」
連「じゃぁねー。」
光「またね。」
火「・・・ばいばい。」
1106「またねー。」
1107「またねー。」
942 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:36:45.68 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
夜明け前
女僧侶「・・・ん・・・・・・。」
女僧侶「・・・。」
ゴシゴシ
女僧侶「・・・っはぁー・・・・・・。」
女僧侶「ほら、二人とも起きてください。日は登っていませんが朝ですよ。」
ゆさゆさ・・・
女魔法「・・・ん。」
むくり
女魔法「・・・・・・おはよう・・・。」
ゴシゴシゴシ
女僧侶「はいおはようございます。ほら戦士さん。起きてください。」
女戦士「んむー・・・・・・。」
女僧侶「勇者様が起こしてくれると早いのですけどねぇ・・・。」
女魔法「・・・顔洗ってくる。」
女僧侶「はいいってらっしゃいませ。タオルはそこにありますよ。」
扉≪ガチャ≫
女魔法「・・・。」
扉≪パタン≫
女魔法「・・・寒い。」
女僧侶「夜明け前ですし、薄着で寝ましたしね。ほら、上着着ていって下さい。」
女戦士「・・・んー・・・・・・あぁ、そっかあいついねぇんだったな・・・・・・。」
女戦士「・・・くはぁ〜・・・・・・。」
ボリボリボリ
女僧侶「今日は少しだけ寝起きがいいですねぇ。」
女戦士「こんだけ早く起きるのは久しぶりだな・・・。訓練時代を思い出す。」
女僧侶「ほら、上着来てください。顔洗いに行きますよ。」
――――――――――――――――――――――――
井戸
バシャバシャ
女戦士「うー、朝はやっぱり顔洗うとさっぱりすんなぁ。」
女僧侶「井戸水は冷たいですから特に目が覚めますね。」
女魔法「・・・。」
老兵「おう、起きたか。」
女戦士「おー爺さん、早起きだな。何してたんだ?」
老兵「あんたらにやる分燃料がへる。作って置かないと後で困る。」
女魔法「練炭?どうやって作ってるの?」
老兵「乾かした草と石炭を粉にして膠と混ぜ合わせたもんを型に入れるだけよ。あとは乾かしてりゃ出来る。」
老兵「どけ、儂も顔を洗う。」
バシャバシャ
女僧侶「どうぞ、タオルです。」
老兵「ん。」
老兵「さてと・・・狩り行くぞ。馬連れて門の前でちと待ってろ。」
943 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:37:48.18 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
門前
馬「・・・。」
馬2「ブルル」
女戦士「予定通りいきゃーそろそろ勇者が返ってくる頃だな。」
女僧侶「特に問題も起きていないようですから大丈夫でしょう。」
女魔法「方角から考えてもう下山しててもおかしくない。お爺さんどこ行ったの?」
老兵「ここにおる。」
女戦士「おっと。何してたんだ?」
老兵「見張り塔から望遠鏡使って動物の群れ探して居った。ほれ、この荷車を馬につけろ。」
女戦士「はいはい。」
女魔法「どうやって狩るの?」
老兵「お嬢ちゃん長系の魔法矢撃てるか?」
女魔法「うん使えるよ。」
老兵「だったら簡単だな。矢を消費しなくて済む。」
女僧侶「何を狙うのですか?」
老兵「牛。ほれ出来たか?」
女戦士「あぁ出来た。。」
老兵「運がいいな、群れはもうちょい後に道の横断するぞ。出来るだけ近づく。ほれ荷車にのれ。」
女魔法「ん。」
老兵「お嬢さんはこんのか。」
女僧侶「私は少々用事があるので。」
老兵「じゃぁいけ。道なりに真っ直ぐ、ほれ進ませろ。」
女戦士「へーい。」
荷車≪ガタガタガタガタ・・・≫
女僧侶「いってらっしゃいませ。」
老兵「こんな速さじゃ日が暮れるわいもっと急がせろ。」
女戦士「はいはい。悪いな、乗るぞ。よっと。」
トサ!
老兵「群れの速さから横断するのはあと10分くらい後。10分の間に出来るだけ近づいとけ。」
女戦士「じゃぁしっかり捕まっとけ!」
荷車≪ガタガタガタッガタガタ≫
女魔法「・・・!」
老兵「こういうのは久しぶりだ。」
女戦士「平気そうだな爺さん!」
老兵「長距離輸送は慣れとる。」
944 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:38:39.12 ID:koUd7CeAo
老兵「そろそろ止まれ。」
女戦士「はいよー。」
ガタガタガタ・・・
老兵「・・・よし、いいだろ。お嬢ちゃんこれ貸してやる。狙いつけて3頭仕留めろ。」
女魔法「望遠鏡で?」
老兵「そうだ、降りろ。」
老兵「魔法は弓矢と違って進めば進むほど弱くなるというわけでも軌道が変化してしまうというわけでもない。ただそれ故に、まっすぐ撃たなければいかん。」
女魔法「・・・雷矢 長×2」
バシュバシュゥゥゥ・・・
老兵「今のは少し上にずれた。この距離だと少しの角度の変化で当たらなくなる。連続で放つ必要はない。角度を調整したら順次三発分詠唱すればあの群れの大きさでは十分。」
女戦士「爺さん良く分かるな。」
老兵「定期的にやっとる事だ。」
女魔法「・・・雷矢 長」
バシュゥゥゥ・・・
老兵「ヒット。続けて行け。」
女魔法「雷矢 長 ×2」
バシュバシュゥゥゥ・・・
老兵「倒れたか?」
女魔法「うん。」
老兵「回収に行くぞ。乗れ。ほれ出せ。」
――――――――――――――――――――――――
火山麓の集落
荷車≪ガラガラガラ・・・≫
女僧侶「お帰りなさい。」
女戦士「ただいまー。」
女魔法「ただいま。」
老兵「ふん、ほれ井戸のとこまで運べ。さっさと洗わんと臭くてかなわん。」
女魔法「勇者は?」
女僧侶「戻ってますよ。今は寝ています。」
女戦士「私だけで済むから戻っていいぞ。」
女魔法「ん。」
スタ
老兵「さっさと行け。」
女戦士「はいはい、焦んなって。」
荷車≪ガラガラガラガラ≫
945 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:39:09.38 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
老兵「約束の保存食だ。」
女戦士「おお、ありがと。こんなにたくさん平気か?」
老兵「ふん、材料たくさん取ってもらったんだ。平気だ。」
女僧侶「燻製肉ですね。これだけあれば5日は持ちます。」
勇者「助かるよご老人。ありがとう。」
老兵「おう、そこの木箱の中に練炭入れてある。持ってていいぞ。」
女僧侶「大丈夫ですか?こんなに。」
老兵「ここは石炭が取れる。倉庫に大量にあるから気にせんでいい。」
老兵「ほれさっさといけ。」
女魔法「またね。」
老兵「そうなったらいいな。じゃぁな。」
――――――――――――――――――――――――
集落 外
車輪≪ガラガラガラ≫
女僧侶「あのお爺さんは寂しくないのでしょうか・・・。こんな所で一人なんて・・・。」
女戦士「もう慣れたってよ。一人で生きるには仕事が多すぎてそんな暇はないんだと。」
女魔法「・・・僧侶、布使うね。」
女僧侶「あ、えぇどうぞ。」
女魔法「・・・。」
サラサラサラ
女戦士「それでどうなんだ?馬は生きれそうか?」
勇者「あぁ。火山の向こうも平原が広がっていた。何とかなるだろう。」
女僧侶「勇者様、眠いでしょう?馬車の中で寝ていて良いですよ。山に入る前に起こしますから。」
勇者「・・・すまないな。そうさせてもらう。」
女戦士「働いたんだから休む権利くらいあるだろ。ほら大人しく寝とけ。」
勇者「あぁ、ありがとう。」
とさっ
勇者「・・・。」
勇者「・・・・・・」
女魔法「・・・。」
そ〜・・・
女魔法「・・・睡眠魔法」
勇者「うっ・・・。・・・」
女魔法「・・・。」
ゴソゴソゴソゴソ・・・
女魔法「・・・。」
勇者「・・・」
仮面≪・・・≫
946 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:39:46.77 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
馬車内
勇者「・・・む・・・・・・。」
パチリ
車輪≪ガラガラガラ≫
女魔法「・・・。」
勇者「・・・」
勇者(・・・今は何時くらいだ。随分すんなり寝る事が出来た。)
勇者「・・・?」
ペタペタ
勇者(? これは・・・。)
ゴソゴソゴソ
女魔法「・・・。」
仮面≪・・・≫
勇者「・・・仮面?」
仮面≪コンコン≫
勇者「・・・材質は、象牙か?」
勇者(葉の仮面はどこへ行ったのだろうか・・・あ、ポケットに入っていた。良かった。)
勇者(時間が経過すると崩れてしまうな。そろそろ限界だし・・・保存して置きたい。)
女魔法「どうしたの?勇者。」
勇者「これ作ってくれたのは魔法か?」
女魔法「・・・なんの事?」
勇者「ありがとうな。」
女魔法「・・・・・・そっちの葉っぱがどうしたの?」
勇者「あぁ、うん。嵐島で友人にもらったものだから、捨てるのが惜しくてな。このままだと乾燥して壊れてしまう。」
勇者(・・・布で挟んで保存するしかないな。)
女魔法「本が一冊でもあれば押し花みたいに出来たのにね。」
勇者「そうだな・・・。」
ゴソゴソゴソ
ガタ
女僧侶「あ、勇者様。もう起きたのですか?」
勇者「俺はどれぐらい寝ていた?」
女僧侶「まだお昼にもなっていませんよ。ゆっくりしていてください。」
女戦士「おう、勇者。似合ってるぞ。」
勇者「そうか?ありがとう。」
女僧侶「うふふ、シンプルですけどいい造形していますね。つくりが丁寧ですし。」
勇者「はは。あぁ、とても気に入った。」
女戦士「演劇の主人公みたいだぞ。」
勇者「そうか?俺はそういったものを見た事が無いが・・・。」
女戦士「かっこいいぞ。仮面の下からちらって見える火傷の後もそれっぽい。」
勇者「化粧じゃなくて本物だけどな。いい気分だ。」
947 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:40:39.60 ID:koUd7CeAo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
昼前
勇者「ここだ。ここから入山するつもりだ。」
女戦士「・・・うん、坂も緩やかだな。これなら馬車でもなんとかなるだろ。」
勇者「この付近で少し草を刈ろう。馬の食糧を少しでも残しておきたい。」
女戦士「よーっしゃ任せろ。草刈は得意だ!」
女僧侶「どうします?少し早いですがお昼にしますか?」
勇者「あぁ、一度入山したら坂を上りきるまで休めない。しばらくの間は登り通しになる。」
女戦士「おりゃー!真空斬りー!」
ズバン!
女魔法「・・・着いたの?」
勇者「あぁ。これから昼食をとり入山する。」
女魔法「・・・・・・戦士何してるの?」
勇者「馬の食糧を節約するために今日の食べさせる分を刈ってもらってる。」
女僧侶「お爺さんが保存食くれましたから私たちが持っている古い保存食を食べちゃいましょう。」
勇者「あぁ、それがいい。」
女戦士「勇者!こんなもんでいいか!?」
勇者「あぁ!十分だ!」
女戦士「よし!集めるの手伝え!」
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
火山
車輪≪ガラガラガラ≫
勇者「少々入山時刻が遅れた。山腹で一夜過ごすつもりだったが時間が足りない。」
勇者「だから地図のこの辺り、ここは平坦な場所だ、ここで馬車を止め一夜を過ごす。次の日下山予定時刻をそのまま繰り越し夕方程度に下山完了予定にする。」
勇者「下山後は近くの川まで進んでそこでキャンプをする。これなら水の量も持ってくれる。」
勇者「・・・その後は魔法に示された地点を真っ直ぐ行く。」
女僧侶「・・・了解しました。」
女戦士「うし。」
女魔法「・・・。」
スラスラスラ
勇者「戦士。」
女戦士「どうした?」
勇者「俺は馬についてあまり詳しくない。下りは馬は平気か?」
女戦士「あぁ、馬車は確かに下り坂は苦手だ。ていうか普通は無理だ。だけど安心しろ、この馬車は降りれるようになってる。少し幅とっちゃうけどな。」
勇者「そうなのか?よく気付いたな。」
女戦士「ていうかな、そもそもこの馬車荷物運搬用なんだ。下り坂も通る事を想定した作りになってる。二頭引き前提で、横にも馬が来れる。」
女戦士「下り坂で馬車が無理な理由は、馬車が勝手に下って馬にあたっちゃうからだ。横に居れば馬車が馬にあたったりはしない。」
勇者「引きずられたりはしないか?」
女戦士「馬車が重いとするかもな。だから下りは全員歩きにしたほうがいいぞ。」
勇者「そうか、わかった。」
948 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/03/31(土) 03:42:48.65 ID:koUd7CeAo
時の足音が聞こえる。こつりこつりとゆっくりと近づいている。まだ遠い、まだ遠いと振り返るもそれは既に目の前の事だった。
具体的には学校が始まるひゃっはーねむいぜーおやすみなさい
949 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(山陽)
[sage]:2012/03/31(土) 04:23:40.10 ID:GZdYqtRAO
乙ー。
950 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/03/31(土) 04:49:06.89 ID:+6+YcXqao
真夜中に乙!
ラノベかwwwwww
951 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/31(土) 16:02:11.02 ID:/57evShSO
乙(´ω`)乙
952 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/31(土) 17:33:49.67 ID:Uo1FCPWDO
乙
953 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/03/31(土) 18:19:06.28 ID:QrbaiVPqo
くぅぅ!
乙
954 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage saga]:2012/03/31(土) 23:47:31.50 ID:ncYAcir5o
乙!!
勉強も頑張ってくれ
955 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福島県)
[sage]:2012/04/04(水) 15:22:45.72 ID:Sj85/mJto
最近更新ペースが速くてうれしいわww
956 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:33:26.91 ID:+rf5HTOoo
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
夜
勇者「はは、渋いな。」
女僧侶「そうですね。保存性だけを目的にしたのでしょうねぇ・・・。」
女魔法「・・・。」
女戦士「煙に当てすぎだな。まぁ贅沢は言ってらんないけどよ。」
女戦士「そうそう、勇者。気になったんだけど。」
勇者「なんだ?」
女戦士「お前のナイフって練習用なのか?それにしては随分鋭いよな。」
勇者「あぁ・・・、これは少々特別だな。・・・材料は聖国家の特産である様々な金属の合金となっている。神の金属を基盤に種々の金属をくみ上げて作ったナイフだそうだ。」
女僧侶「へぇ・・・。例えばどんな金属が使われているのでしょう。」
勇者「木目鋼、銀、火廣金、銅、閃亜鉛、炎錫、藍鉄・・・様々だな。」
女魔法「・・・そんなに色々くっつくの?」
勇者「通常は無理だろうな。金属には相性もあるし、組成割合、結合方法なども重要。いい加減に組み合わせても強くはならない。」
勇者「しかしこのナイフは、神の金属と言われている神光玉を溶解しそこに他の金属を合わせているらしい。多種の金属も組成を研究し、武器として性能の高い組み合わせを模索したらしい。」
女戦士「ふーん。神光玉?ってのは知らないな。なんでナイフだけそんなすごい物持ってるんだ?」
勇者「これは・・・聖国家の象徴の様な物で、戦闘用ではない。俺に送られてきた時も刀身だけだった。」
勇者「神の加護を受けた勇者と、神のもたらした金属を使用した武器、この二つが聖国家の歴史を表している。」
女僧侶「そうなのですか?どのような歴史なのでしょうか。」
勇者「聖国家の始まりは一人の人物だった。第一代目加護者創国者。非凡な人物はある日神託を受け、導かれるまま一つの短剣を見つける。大地に突き立っていたそれは夥しい数の魔物に齧りつかれていた。」
勇者「しかし傷は無く、光を失わず。その剣に誘われているからか創国者が近づいても魔物は襲ってこない。誘われるがままに剣に触れると光が巻き起こり、傍の魔物は消えてしまった。」
勇者「剣が突き刺さっていた場所は鉱脈であり、種々様々な金属が豊かに眠っていた。そこに居を構え、少しずつ大きくなっていき、聖国家になった。」
勇者「と、絵本には書いてあった。その短剣を模して作ったのがこのナイフで、神の技術に近づくための物だそうだ。」
女戦士「本物は国にあるのか?」
勇者「無い。ある魔物を撃退した時に体に埋め込まれてしまって何処かへ行ってしまったそうだ。」
女戦士「へー。さぞやすごい短剣なんだろうな。」
勇者「聖国家が国を名乗ってから凡そ1500年程度。研鑽に研鑽を重ね、歴史の集大成であるこのナイフも本物には及ばないとされている。」
勇者「一振りで空が割れ二振りで地が泣く。しかし人はどう頑張っても傷つけられない。・・・これも出典は絵本だ。」
女僧侶「歴史書には書いていないのですか?」
勇者「似たような事が書いてある。その剣正に神の物。魔物を退け人を救う。故に人は切れず。身から溢れる光にて魔物を祓い、一振りにて魔物を砂に・・・」
勇者「終始こんな感じだ。ある時亜人に奪われ使用された事があるが、人に向けられた途端光は落ち刀身もくすんでしまい武器としての体を保たなくなったとの事。」
勇者「斬る物を剣自体が選ぶ生きた剣であったともいうな。」
女戦士「お前のナイフって喋るの?」
勇者「はは、この剣は喋らないな。対象を選んで斬れなくなるといった事もない。」
957 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:34:08.44 ID:+rf5HTOoo
女魔法「喋る剣・・・。どういう構造だろう。」
女戦士「んー、それはまぁ魂が込められてるとか・・・。」
女魔法「魂が有るだけで喋れるなら犬や猫も喋れる。」
女僧侶「喋る事が出来るという事は発声する手段が存在し、尚且つ喋るために考える器官がある事を示しますね。蓄音機みたいに同じことを繰り返すだけなら不要ですけど。」
勇者「いや、伝説の短剣は喋る事が出来たわけではないからな?」
女魔法「分かってる。ただ疑問に思っただけ。」
女戦士「脳みそ持ってる剣って気持ち悪いな・・・。」
勇者「振り回したら気分を悪くしそうだな。常に脳震盪だ。」
女僧侶「実際に存在したら誰も使えないでしょうねぇ。」
女魔法「どこに脳を入れるんだろう・・・。」
女戦士「棒にして剣の芯みたいに入ってるんじゃないか?」
勇者「折れたら修復不可能になるな。」
女僧侶「大変気持ち悪いですね・・・。」
女魔法「剣が喋っても意味が無い。」
女戦士「まぁ煩わしいだけだろな。剣に使われるなんて素人だ。」
女僧侶「そういえば平等の魔剣の伝説なんてありましたね。」
女魔法「?」
女戦士「あーあったなぁそんなの。どんなんだっけ?」
勇者「お伽噺だったか。平等の魔剣と言う、誰にでも扱え誰にでも死が訪れる剣が有った。柄を握れば力があふれ、しかし離すことは叶わない。末端から魂を食われ抜け殻となった肉体は次を探す。」
女僧侶「私は誰も選ばない。私を使え。人でも人ならざる者でも、犬でも猫でも使わせる。・・・使おうとするもの全てに比類なき力を与える代わりに魂を奪う。確か、最後は火山の火口の中に落ちてしまったんですよね。」
勇者「あぁ。最後の使用者が復讐を遂げた後に溶岩の中へ投身した・・・らしい。」
女戦士「この火山の中にあったりしてなー。」
勇者「はは、かもしれないな。生き物がたどり着けない溶岩の火口の中に今でも使用者を待つ意志有る魔剣。わくわくするな。」
女魔法「・・・勇者ってお伽噺詳しいね。」
勇者「家にある本は全て読んだからな。全部覚えているわけではないが、それなりに詳しいと思うぞ。」
女戦士「家にある本ってお前ん家図書館じゃなかったか?」
女僧侶「博学にもなりますね・・・。他のお伽噺って何かあります?」
勇者「そうだな・・・。有名所では火山に住むドラゴンがあるが、知っているか?」
女魔法「知らない。」
女魔法「酒好きな赤いドラゴンの話だったっけ。火山の傍を人が通るたびに酒寄こせ寄こさねば代わりにお前を食うとか脅してくる話だろ?」
女僧侶「しかし実際は食べるなんて事はせずに無ければ無いでただ帰っていくらしいですね。」
勇者「最終的にはその話が広まって誰も酒をくれなくなったから火山に引きこもってしまったらしいな。時たま現れては要求するようになったとか。」
女魔法「ドラゴンかぁ・・・。ほんとに居るのかな。」
勇者「居たらいいな。脅すだけ脅して無ければ無いでただ帰るとは微笑ましい。」
女僧侶「本当にお酒が好きなだけなんでしょうね。最初に言われた人は本当に怖かったとは思いますけど・・・。」
女戦士「そりゃもう冷や汗だらだらだったろうな。何十倍もデカい蜥蜴に食うぞとか言われたらなー。」
勇者「大きさは武器だ、それだけで有利。殺しにくい、殺しやすい。言われたものは信じるしかなかっただろうな。」
958 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:34:46.21 ID:+rf5HTOoo
女僧侶「さぁ、もう寝ましょう。明日は道が確認できるようになったら出ますよ。」
女魔法「ん。」
女戦士「よっしゃ。一戦交えるか。」
勇者「いいぞ。」
女戦士「今日こそは捉えてやる。」
勇者「恐らく無理だ。」
女僧侶「あ、あんまり離れないで下さいよ。月明かりしかないのですからね。」
女戦士「分かってるよ。さぁいくぞー。」
勇者「よし来い。」
女僧侶「では始めー。」
――――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
朝
車輪≪ガラガラガラガラ≫
女戦士「はぁ〜・・・。」
女戦士「この山は平和だなー。」
女僧侶「不思議ですねぇ。山は強い魔物が居るはずですのに・・・。」
女魔法「・・・。」
スラスラスラスラ
勇者「俺が一足先に来た時も魔物はいなかった。おかげで走りやすい事だった。」
女戦士「どこ行ったのかねここの魔物は。」
勇者「昔から居なかったのかも知れないな。それはそれで不思議だが・・・。」
女僧侶「まぁありがたい事ですよね。時間を取られなくても済みます。」
女戦士「・・・んー、そうだな。」
女僧侶「どうしました?」
女戦士「いや、このまま漠然と進んでも魔王に勝てると思えないからさ、手こずる魔物に出てきてほしいなって思ってよ。」
勇者「・・・手こずる、か。」
女戦士「お前と毎日模擬やってるけど、やっぱり殺気は籠められない。緊張感は有るけどさ、隙見せた瞬間にいつの間にか首取られるし。」
勇者「本気でやるとどちらも相手を即死させかねないからな、殺気は微小にも籠められない。」
勇者(そもそも俺は仲間に遊び以上の態度を取りたくはない。止める場合は別だが。)
女戦士「この世界はおかしいぜ。私は魔物相手なら倒せない事なんてほぼ無かった。そしたらあれだ。手こずる奴は桁違いに強すぎる。」
女戦士「私は魔物の敵になれるって自負してる。でも、あいつは今の所相手にしたくない。」
女戦士「アイツを本気にさせたら間違いなく一瞬で殺される。アイツと対峙した時にそう思わされた。」
勇者「・・・。」
勇者(神の力により超強化された状態でも軽くあしらわれた。あの時と違うのは複数人仲間がいる事。だとしたら攻め手は意識の裏側を着く事になるだろう。)
勇者(問題はそれがあいつに通じるかどうか。魔王の魔力の壁を超える方法が無いと意味が無いかもしれない・・・。)
女僧侶「・・・攻撃力も未知数ですしね。私たちに魔法を使用してきましたけど、一瞬で気絶してしまいましたし・・・。」
女戦士「あれを防ぐ手立ては今魔法が考えてくれてる。でも、そうなると私が働けるかどうか・・・。」
女僧侶「攻撃方法も、あれしかない訳はないでしょうね。あの独特な魔法も、攻撃用に転化させてくるはず・・・。」
女戦士「結構自信があったんだけどな、いざ対峙してみると、これだ・・・。嫌になってくる・・・。」
勇者「自信は無くすな。一歩を躊躇するようになる。」
女戦士「分かってる。私に出来る事なんて限られてる。だったらそれをするしかない。」
959 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:34:57.54 ID:+rf5HTOoo
女僧侶「・・・私はどうしましょうね。この中で一番戦闘が苦手です。」
女戦士「お前が居るから私たちは無茶をやれる。居なかったら腕が3本は無くなってるぜ。」
女僧侶「でも、いつも私は後ろにいて、攻撃されにくい場所に居ます。戦闘に置いて、私は常に足手まといですから・・・。」
女戦士「ふざけんなって。戦闘時は確かにお前は攻撃力は無いよ。確かに攻撃されにくいように私は位置取りを決めてるよ。」
女戦士「でもそれは役に立たないからじゃない。わかってるだろ。」
女僧侶「・・・えぇ。しかし・・・」
女戦士「しかしもかかしもない。下らない事言うな。」
女僧侶「・・・。」
勇者(僧侶の不安、戦士の不安。どちらも無視できない重要な物だ。)
勇者(戦士は自分の対応力と攻撃力が足りないと感じている。僧侶は自分は戦闘時は荷物になると感じている。)
勇者(それはどちらも事実で、魔王が本気になった場合はそこが問題になりうる。攻撃力が不足していれば魔王は死ぬ事は無く、パーティの生命線は絶たれやすい。)
勇者(戦士の攻撃力が魔王を怯ませる程度あるならば、意識を戦士に集中させ僧侶は回復に専念する事もできるが。)
勇者「パーティの役割か・・・。俺はやはり遊撃なんだろうな。」
女戦士「・・・そうだろうな。回復魔法使えて、魔法剣使えて、尚且つ重用なのが足が速いって事だ。」
女戦士「危機対応はお前に任せることになるし、攻撃補助や防御補助もお前が一括する事になるだろな。」
女僧侶「魔王の苦手属性が分かれば魔法剣も効率よく運用できるのですけどね・・・。」
勇者「俺が使える属性は、熱、火、雷、真空・・・あとは複合上位魔法である重力と雷属性の各強化魔法。この中に弱点があればいいのだが・・・。」
女戦士「あれ?お前4つしか使えないのか。」
勇者「あぁ、そうなる。」
女僧侶「神からの魔力である転真属性以外は4つだけ・・・。つまりこの4つが勇者様の元の魔力なのですね。」
勇者「いや、供給が断ち切れたと同時に魔力が一切なくなった。後遺症で魔力が無くなったというわけでもなかったようで、数日たっても魔力は戻らなかった。」
勇者「だから、俺はもともとは魔力無人間であった可能性が高い。」
女戦士「あぁ、そうだったのか。あれ?じゃぁ今の魔力はなんなんだ?」
勇者「あぁ、これは嵐島に居たエレメンタルの魔力だ。理由は良く分からないが体を乗っ取ろうとした時失敗したらしく、結果魔力的な接続だけが残ってしまったようだ。」
女僧侶「か、体を乗っ取ろうとした?だ、大丈夫だったのですか?」
勇者「あぁ。取りあえずは、今こうしてここに居る。何か罠が残されているようだが・・・。」
女戦士「罠って?」
勇者「分からない。何かをした時に発動すると言っていた。恐らく乗っ取りを失敗した原因が取り除かれた時だとは思うが、俺にはその原因は見当がつかない。」
勇者(魂を調べようとした時に干渉が切られたが、封印されている魂が動けるはずはない。恐らく無関係。)
女僧侶「勇者様、綱渡りはやめてください。」
勇者「・・・性分の様だ。」
女戦士「あれ?えーと・・・」
勇者「どうした?」
女戦士「いや、えっとだな・・・。んー・・・。」
女僧侶「何か疑問でも?」
女戦士「あぁ。えっと、前は神から魔力を受け取っていたんだろ?で、今はその、嵐島に居た奴から貰ってるんだろ?」
勇者「あぁ。そうなる。」
女戦士「でも使える属性に違いは無いんだな。」
勇者「ふむ。そうだな、使える属性は魔力臓器による分化能の違いだからな。俺が得意な属性はその4つとなる。」
女戦士「あ、悪い、今の質問無し。」
女僧侶「難しい話題になりそうだからって避けないでください。」
女戦士「だってよー、分からんものは分からんもん。」
960 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:35:24.14 ID:+rf5HTOoo
女僧侶「でも、転真属性だけは神由来だったのですから、その嵐島のエレメンタル由来の特別な属性があってもおかしくはないですね。」
勇者「どうだろうか。神は特別である可能性が高い。それに属性だけ有ったとしても、使い方が分からなければ意味は無い。」
勇者「転真魔法は神の知識的後押しが有ったから、使用する事が出来た。特別な属性が有ったとして、緑色のエレメンタルの後押しが無ければろくに魔法も使えないだろうな。」
女戦士「世の中上手く行かないな。あーあ、ドラゴン出てこないかなー。」
女僧侶「突拍子もない事を・・・。」
勇者「酒を差し出して、代わりに力を貸してくれとでも言ってみるか。」
女戦士「はは、そりゃいい。代わりにお前の首をクレーなんてな。」
女僧侶「ドラゴンは伝説ですよ。居たとしても大昔、今は居ないとされています。」
女戦士「夢が無いぜー。目撃談も結構あるのによー。」
女僧侶「ほら、監視を続けてください。魔物は確かに少ないようですけど居ないと決まったわけでもないのですからね。」
女戦士「へーい。前方いわがありますー。しんこうにえいきょうなしー。」
女僧侶「りょうかいー。ぜんしんをつづけますー。こうほうかんしいんげんじょうをおくれー。」
勇者「・・・・・・敵影無し、我らの進行を阻害する物見受けられず。進路影響なし。」
女僧侶「りょうかいいたしましたー。てきかくなほうこくかんしゃしますー。せんちょー、せんちょーさーん?」
女戦士「せんちょー、しじくれー。おーい。」
勇者(・・・なんだろうかこれは。)
女魔法「・・・進路変更なし。そのまま進め。」
女僧侶「りょうかいいたしましたー。ほんじつはせいてんなりー。」
女戦士「きのうもせいてんなりー。」
勇者(暗い雰囲気も一瞬で隠せる。長く旅を続けるには重要か。)
勇者「明日も恐らく晴天なり。」
女僧侶「てんきよしほうこうよし。」
女戦士「きぶんもじょうほうしゅうせいってな。」
勇者「そうだな。上げて行こう。」
――――――――――――――――――――――――
昼 横断予定進路最大高度
馬「・・・」
馬2「・・・」
モサモサモサモサ・・・
女戦士「中の方はうまいなー。」
女僧侶「ですねぇ。煙に当たりませんから、渋みも少ないですね。」
女魔法「・・・はぁ。」
勇者「どうした?」
女魔法「・・・ジュース飲みたい。」
女僧侶「うーん。それはちょっと難しいですねぇ。」
女戦士「この先見渡す限り緑数色だもんな。道はあるけどよ。」
勇者「木もちらほら見えるから、もしかしたら果物がなっている物があるかもな。悪いが我慢してくれ。」
女魔法「ん・・・。」
女僧侶「それより、気になるのですけど・・・あれ街、ですよね?」
女戦士「あぁ、だろうな。緑の中に白でわかりやすい。」
勇者「魔王が封印されて100年立った。だったらあの大きさの都市が有ってもおかしくはないだろうな。」
女魔法「でも誰もいないかも。」
961 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:36:12.07 ID:+rf5HTOoo
勇者「可能性は高い。だが、あの老人の様に誰かが残っている可能性もある。」
女僧侶「あの珠が有れば聖域は引けるわけですもんね。魔力を流す術さえあれば可能です。」
女戦士「でも私達はあそこまだいかないんだろ?」
勇者「あぁ。魔王の示した地は見える道を東にそれた地点だ。」
女魔法「・・・何があるんだろ。」
女戦士「わかんね。どのくらいで着く予定なんだ?」
勇者「・・・おおよそ5日、か。」
女僧侶「魔法さんがさらわれてから、10日は立ってしまうのですね・・・。」
女魔法「・・・。」
女戦士「ほらほら俯くなって。2人とも手伝え、馬車を下山用に変えるから。」
女魔法「・・・わかった。」
女僧侶「分かりました。」
勇者「・・・?」
キョロキョロ
勇者(・・・・・・何かの羽音が聞こえるような。)
女戦士「ほら、馬の手綱もっといてくれ。」
女僧侶「はい。」
馬「・・・ブルル!」
馬2「ブフー!ブフー!」
女僧侶「どうどう。どうしたのですか?」
女魔法「・・・?」
勇者「・・・。」
勇者(空には何も居ない。・・・気の所為?いや、未だ聞こえる。)
勇者「皆、警戒しろ。」
女戦士「どうした?」
ガチャ
女僧侶「魔物ですか?」
女魔法「・・・。」
勇者「何かの羽音が聞こえる。馬を馬車に繋ぎなおせ。」
女僧侶「分かりました。」
女戦士「何処から聞こえる?」
勇者「反響して良く分からん。」
962 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:37:02.59 ID:+rf5HTOoo
・・・サッ・・・サッ
女戦士「私にも聞こえるな。・・・火山から?」
勇者「みたいだな。だが姿が確認できない。一応後方も監視をしてくれ。」
女僧侶「もし火山からだとすると、相当大きな魔物ですね。」
女魔法「・・・大きい鳥型?」
女戦士「真空斬りで落としてやるよ。」
バサッ・・・バサッ・・・
勇者「間違いなく火山からだ。しかし姿が見えない・・・。」
バサッ!!バサッ!!
勇者「・・・っ!あ、あれ、は・・・!!」
勇者(山頂から現れた!で、伝説、ではなかったのか!?)
女戦士「・・・あれ・・・って・・・!」
女僧侶「う、うそ、でしょう?」
女魔法「・・・。」
・・・ヒュォォォォォォォ
勇者「滑空姿勢に入った!すぐここに来るぞ!馬を端に寄せてくれ!」
女僧侶「は、はい!」
オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
ズガァアアン!!!!!!
ゴォォォォォォ・・・!!
パラパラパラ
赤竜「酒を寄こせぇ!!!寄こさねば・・・」
ゴゴゴゴゴ・・・!
女戦士「左行け!」
勇者「っ!」
女魔法「雷魔法落雷詠唱開始・・・」
女戦士「退魔代4代目が奥義!」
赤竜「己らを食う!!!」
ギャオオオオオオオオオ!!!
女戦士「隼!」
ピヒョォォオオオオ!
ドス!!
赤竜「むお?!」
女戦士「か、かった!」
勇者「雷撃剣」
バシュゥ
勇者(俺のナイフでは鱗を通るか怪しい。戦士の剣を使わせてもらおう。)
ドヒュ!
勇者「雷撃共振」
ガキン!
バリバリバリバリバリ
赤竜「うぐぉ!?」
女魔法「詠唱完了」
バリ ピシャァァアア!!
ズドオオオオオ・・・!
赤竜「うがあああああああ!」
963 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:37:29.84 ID:+rf5HTOoo
女戦士「退魔代12代目が奥義!」
赤竜「うげげ・・・!」
女戦士「三日月!」
ズバァン!
赤竜「うげっ!」
プシュ!
女戦士「くそ・・!デカすぎる!」
勇者「・・・っ!」
勇者(どう攻めれば・・・!)
赤竜「お、おんどれら・・・!ほんとに人間か!!いきなり襲ってくる人間は初めて会ったぞ!!」
赤竜「怒り心頭じゃああああ!酒寄こさんとほんとに食ったらあああああ!!」
ギャオオオオオオオオオオオオオ!!
勇者「麻痺矢」
ビシィイ!
赤竜「うげ!!」
勇者「麻痺が効くのか。」
勇者(・・・状態異常が効くのであれば、そこまで怖くは無いな。)
赤竜「うぎぎ・・・!全く相変わらずこっすい魔法を・・・!」
女魔法「ドラゴンなのに麻痺が効くんだ・・・。」
赤竜「あぁーうっさい!儂は酒を・・・」
女戦士「おらぁ」
ブオン!
赤竜「やめい!!」
スカ!
赤竜「お前の攻撃痛くてかなわん!傷も治ってくれんし!ちいと動くな!」
赤竜「麻痺息」
ぐおおおおお・・・
女戦士「うげ!」
女魔法「・・・っ!」
勇者「・・・」
勇者(吸わなければ効かない。)
女僧侶「麻痺弛緩矢×2」
女戦士「よし!」
女魔法「気流魔法」
ヒュオオオオオ!
赤竜「むぅ・・・火を吐いたら酒まで燃えてしまうし・・・・・・殺したらどこにあるか聞けんし・・・。」
女戦士「退魔代8代目が奥義!」
勇者(戦士と同時に攻めよう。雷は効くようだ。)
勇者「爆雷剣詠唱開始」
女魔法「地面隆起大詠唱開始」
女戦士「流星!」
ヒュッ
ドシュウ!
赤竜「あだぁ!」
勇者「奔れ。」
勇者(戦士がさっきつけた傷右腕。)
ドス!バリバリバリバリ・・・!!
ボガァア!
赤竜「いぢぢぢぢ!」
勇者(肉が弾けた!これなら・・・!)
964 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:38:08.45 ID:+rf5HTOoo
女戦士「ハァアア!」
ブオン!
赤竜「熱帯び」
勇者「!」
ズダッ
ゴオオ!
女戦士「グッ!」
ジュゥウウ!!
バッ
ドザァア!
女戦士「グッ・・・!!」
女僧侶「回復魔法中」
女戦士「はぁっ!はぁっ!」
赤竜「これなら儂に攻撃できんだろう!さて、己ら・・・」
女魔法「詠唱完了」
地面≪ズゴオオオオオ!≫
ドゴオオオ!
赤竜「ぐべぇ!」
勇者「爆雷矢 細 詠唱開始」
勇者「詠唱完了」
ヒュ
ドス
ズガン!
赤竜「アガッ!」
女戦士「真空斬りぃ!!」
ズバン!
ドシュウ!
赤竜「いぢぃ!!」
女僧侶「自動回復魔法大詠唱開始」
女魔法「氷冷障壁詠唱開始」
勇者「・・・む?」
赤竜「くっそやっかいなぁ・・・!」
ズズズズ・・・
勇者(爆雷で吹き飛ばしたところがどんどん塞がって・・・いや治っていく。戦士がつけた傷はそのまま、いや真空斬りの場所だけ治っている。)
赤竜「ええぃいい加減にぃ・・・スゥ〜・・・」
赤竜「しろおおおおお!!」
ズゴオオオオオオオオオオ・・・!!!!!!
ボオオオオオ!!
勇者「・・・!」
女戦士「うわっ!」
勇者(火の息・・・!炎の渦を吐き出すかのように直線で・・・!しかし、わざと外したのか?)
赤竜「己ら殺すなんて簡単なんだよぉ!分かったら大人しく・・・!」
女魔法「詠唱完了」
女戦士「よし!あいつに口を開かせるな!」
ズダ!
ズバン!
赤竜「やめろい!」
前足≪ズガァン!≫
シュウウウ・・・!
女戦士「・・・よし!我慢できる!」
勇者「戦士!引け!」
965 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:38:34.74 ID:+rf5HTOoo
女戦士「!」
スタッ
女戦士「どうした!?」
女僧侶「詠唱完了」
赤竜「己ら全く・・・!」
勇者「・・・最初に食うなんて言われて驚いた。謝らないぞ。」
赤竜「脅さんと己ら渡さんだろうが!」
女戦士「・・・。」
女僧侶「まさか・・・。」
勇者「恐らくそうだ。昨日話したな、火山に住む赤いドラゴンの話。」
女魔法「このドラゴンが、そうなの?」
女戦士「えぇ!?あれお伽噺だろ!?」
赤竜「人間なら人間らしくすくみあがって儂の話聞けぇ!おかげで痛い思いしたわ!!」
女戦士「そ、そんな暇あるか!さっさと動かないとこっちが死ぬんだ!」
赤竜「物怖じせぇい!人間らしくない!」
勇者「それで、要件はなんだろうか。」
赤竜「最初っから言っとる!!酒寄こせ!!」
女僧侶「お、お酒ですか?」
赤竜「ここまでやったんじゃ!もし無いなんて抜かしたら本当に食ったるからな!!」
女魔法「・・・少ししかない。」
勇者「有るのか?」
女僧侶「え、えぇ。砂漠越えの時に、念の為少しでも生存確率を上げるためのお酒が・・・」
赤竜「なに?持ってるのか?」
女戦士「あぁ、あったな。でもこれお前くらいの大きさだと無いも同じじゃ・・・。」
赤竜「なぁんだもっとるのか。なら早く言えばよいのに。いい、量は別にな。」
赤竜「よぉしでは行くかの。転送術式詠唱開始」
勇者「ちょ、ちょっと待ってくれ!お、俺たちは・・・!」
赤竜「詠唱完了」
バシュン!
966 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:39:05.48 ID:+rf5HTOoo
バシュン!
勇者「先を急いで・・・!」
女戦士「な、なんだ?」
女僧侶「ここは・・・」
女魔法「・・・。」
馬「ヒヒーン!」
馬「ブルルル!」
勇者「・・・これは。」
滝≪ドドドドド≫
川≪サァァ・・・≫
大岩≪・・・≫
勇者(火山の何処かだ。四方を岸壁に覆われ上は空。しかし滝は流れ川があり木々さえ生えている。いったいここは・・・。)
赤竜「あぁ、そうだそうだ。いい加減麻痺解いてんか。」
女僧侶「あ、はい。麻痺弛緩矢」
赤竜「よっしゃ!おおーい!黒いの!!」
ドガドガドガドガ
赤竜「己ら着いてこい。酒持ってな。」
女戦士「ど、どこ行くんだ!?」
赤竜「黒のところよ!」
ドガドガドガドガ・・・
女僧侶「ど、どうするんですか?勇者様。」
女魔法「・・・あったかい。」
勇者「・・・」
勇者(着いていくしかないか。この場所がどこかさえ分からん。)
勇者「行こう。」
女戦士「すげぇなぁドラゴン。ほんとにいたんだな・・・。」
――――――――――――――――――――――――
赤竜「ほっほー。」
ドガドガドガドガ
女戦士「ま、待て!待てって!」
赤竜「なんじゃい。・・・ん?」
女僧侶「ぜー!ぜー!」
女魔法「はぁ・・・はぁ・・・。」
勇者「大丈夫か二人とも。」
赤竜「なんじゃいおっそいのう人間は。」
女戦士「お前の歩幅がデカすぎるんだよ!」
赤竜「人間ってのは小さいなぁ。まぁゆっくり行くとするか。」
女戦士「背中に乗せてくれよー。」
赤竜「ふざけい。さっき己ぶっさしたろう。食われんだけありがたく思え。」
967 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:39:29.52 ID:+rf5HTOoo
――――――――――――――――――――――――
洞窟内
赤竜「黒いのー!おるかー!」
黒竜「何だ煩いな。酒はないぞ。」
赤竜「客人を連れてきた!さぁ酒を造れ!」
黒竜「お前は一体何を・・・ん?」
女戦士「うわ!黒いドラゴン!」
女魔法「・・・。」
女僧侶「こ、こちらも大きいのですね。」
勇者「・・・腕の生え方や鱗の形などは違うのか・・・・・・。」
黒竜「おお!人間!」
グオォ!
女戦士「うわ!」
黒竜「もてなそう!こんな時人間は何をするのだったか・・・そうだ茶だ!」
黒竜「念力魔法」
ガチャガチャガチャ
女魔法「・・・。」
黒竜「植物の葉を乾燥させたものを湯で戻すのだったな!おい赤いの!そこの水たまりを湧かせ!」
赤竜「おう!すぅ〜」
赤竜「オオオオオオオオオオオオ!!」
ズゴオオオオオオオオオオオ・・・!!!!!!
女僧侶「きゃぁ!」
赤竜「いかん!蒸発してもうた!」
黒竜「大ぼけ!!ブレスじゃなく魔法を使え!」
勇者「・・・あ〜・・・・・・どうぞお気遣いなく。」
黒竜「そうか?すまんな!」
赤竜「ほれ己ら酒を出せ!酒!」
女僧侶「あ、はい。・・・」
ゴソゴソ
女戦士「ほら、3人分合わせて3瓶しかないけど。」
黒竜「一つあれば十分!念力魔法」
赤竜「さぁ作れ!早く作れ!」
黒竜「大人しく待ってろ!」
ビチャチャチャ・・・
女僧侶「こ、ここ色々な実験器具が有るようですけど、自分で作られたのですか?」
黒竜「おお!いくらか前に人間の本を拾ってな!その本を見ながら自分で作った!そこの茶器は違うがな!」
女魔法「・・・一体どうしたの?」
黒竜「茶器か?いやそこの大ぼけの様に一度人の前に出た事があるのだが、荷物を置いたまま逃げて行ってしまってな!」
黒竜「似たようなのをたくさん持っていたから一つもらってきたのだ!」
赤竜「まだか!まだか!」
黒竜「待ってろ!」
968 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:39:56.54 ID:+rf5HTOoo
勇者「一体何をするつもりなんだ?」
黒竜「複製!この赤い実は良く分からんがなんとかなるだろ!」
女魔法「複製?出来るの?そんな事。」
黒竜「おおとも出来るとも!さてさてほれほれ!さぁ魔力を寄こせ!」
赤竜「おお!魂繋ぎの呪い詠唱開始」
赤竜「詠唱完了」
黒竜「複製魔法詠唱開始」
女魔法「すごい・・・。」
女戦士「凄いのか?同じものを作るだけだろ?」
女僧侶「あのですね、世の中には様々な摂理が有るのですよ?物を魔力だけで複製するなんてそれを捻じ曲げているような物です。」
赤竜「酒など何時振りか!はようはよう!」
勇者「酒か・・・飲んだ事が無いな。」
女戦士「え?そうなのか?」
勇者「人が作った物を食べる事は極端に機会が少なかったからな・・・。」
女戦士「そうなのか、ふーん。・・・ふーん。」
女僧侶「でもこの大陸でお酒を楽しめる場所は無いでしょうね。諦めなさい。」
女戦士「ちっ。強いか弱いか気になったんだけどな・・・。」
勇者(何時になるか分からないが付き合わされそうだな。)
女魔法「少し貰ったら?」
赤竜「まだか!まだか!」
黒竜「・・・」
尻尾≪ビュオ!≫
バシィン!!!
赤竜「グオオー!!」
女僧侶「っ・・・、そ、そうですね。あの大きい入れ物一杯にお酒が出来るなら、少々分けてくれるかもしれません。」
女戦士「でも今はいいや。」
勇者(これだけデカい相手に一切物怖じしないのは何故だろうか。・・・まぁ、予想外には慣れたもの、か。妙に軽いしな。)
女魔法「・・・ドラゴンってもっと静かなのかと思ってた。」
女僧侶「えぇ、私もそう思っていました。賢者という話から何となく・・・。」
女戦士「言えばデカい蜥蜴だもんな。」
赤竜「だれが蜥蜴か!」
女僧侶「あ、ごめんなさい。聞いていましたか。」
女戦士「凄い蜥蜴だろ。」
赤竜「何を言っとる!蜥蜴は酒飲まんだろ!」
女魔法「・・・・・・そこなの?」
赤竜「酒を楽しむのは人と儂らくらいよ!グハハハハハハ!」
969 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:40:23.23 ID:+rf5HTOoo
勇者「酒飲み蜥蜴か・・・。」
勇者(そんなお伽噺も有ったな。)
赤竜「さーけ!さーけ!」
黒竜「詠唱完了」
巨大フラスコ≪ゴボッ!ゴボボ!ゴゴゴゴゴゴゴ・・・≫
赤竜「おー!増えとる!久しぶりだこれ見るのは!」
女僧侶「うっ・・・、す、すごい匂いが・・・!」
女戦士「消毒用の匂いだなこれ・・・。」
女魔法「・・・。」
勇者「・・・頭痛がしそうだ。」
黒竜「酒だ!酒が出来た!」
赤竜「うおー!飲むぞ!」
黒竜「お前は触るな!」
赤竜「早く寄こせ!」
黒竜「お前にやった木の器を持ってこい!」
赤竜「あれはもう消し炭になってしまった!早く寄こせ!」
黒竜「ふざけるな!全くこの大ぼけは・・・!」
赤竜「酒だ!うおーさけだ!」
ドカドカドカ
黒竜「また割る気か!離れろ!」
ドガン!!
赤竜「グオー!」
女僧侶「・・・なんというか・・・・・・。」
女戦士「怪獣大決戦だな。」
女魔法「・・・。」
勇者「仲がいいな・・・。」
黒竜「仕方がない!私の杯を貸してやる!」
フラスコ≪ゴボ・・・ザザー≫
女戦士「おい、こぼれてるけどいいのか?」
黒竜「よいのだ!一度つなげば魔力がきれぬ限り増え続ける!」
赤竜「うおー!さけー!さけー!あー」
口≪ばしゃばしゃばしゃ≫
黒竜「やめろ!」
赤竜「げぇっほ!げほげほ!ゲホゲホゲホ!」
赤竜「ぐへぇむせた!」
黒竜「当たり前だ大ぼけ!!器使え!」
器≪ばしゃばしゃばしゃ≫
黒竜「・・・」
ゴクゴクゴク
黒竜「ぐへー!!旨い!旨いぞー!」
赤竜「儂にも寄こせ!」
黒竜「まだ私が飲む!」
赤竜「じゅんばんこじゃ!!」
黒竜「器無くしたお前が悪い!」
勇者「・・・どうせ無くならないのだからゆっくり飲めばよいのでは?」
黒竜「それもそうだ!流石人間慎ましい考えだな!ではまず私だ!」
970 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:40:49.59 ID:+rf5HTOoo
女戦士「でも私たちが渡した酒ってあんまりうまくない奴じゃなかったか?」
女僧侶「ドラゴンさんと私達人間では味覚が違うのかも知れませんね。」
女魔法「毎日何食べてるんだろう・・・。」
黒竜「酒ー!」
赤竜「酒ー!」
勇者「・・・」
勇者(・・・あぁいかん。場に流されていた。俺たちは急いでいるのだから早く元の場所に返してもらわないと。)
勇者「お楽しみの所申し訳ないがそろそろ元の場所に返してくれないか!」
黒竜「ほら客人がそういっているぞ!早く行ってこい!」
赤竜「お前が行け!」
黒竜「ぼけでアホかお前は!お前以外何処から連れてきたか分からんだろう!」
赤竜「酒の前に我慢など出来ぬー!久しぶりで沁みる!!げっぷ!」
ぼぉ!
黒竜「がぶがぶがぶ」
赤竜「ごくごくごく」
勇者「・・・。」
女戦士「・・・どうする?」
女僧侶「どうしましょうねぇ・・・。」
女魔法「・・・。」
青竜「うわ!酒くさ!」
勇者「また違うドラゴンが・・・。」
女戦士「青いな。」
女僧侶「青いですねぇ・・・。」
女魔法「・・・。」
青竜「あら、人間か。久々に見た。」
勇者「・・・どうも初めまして。」
青竜「これはどうもご丁寧に。何しに来たの?」
女戦士「山を渡っていたらそこの赤いドラゴンに連れ去られて・・・」
赤竜「次は儂だ!」
女戦士「それで元の場所に返してくれなくて困ってる。」
青竜「あぁ・・・ご愁傷様。というかさっそく問題行動を・・・。」
女魔法「・・・ねぇ、魔法詳しい?」
青竜「人間よりは詳しいと思うわよ。でもちょっと待ってね。」
青竜「赤!あんた外に抜け出したでしょ!」
赤竜「がぶがぶがぶ」
青竜「・・・転送術式詠唱開始」
青竜「詠唱完了」
フラスコ≪バシュン≫
赤竜「あー!酒ー!」
黒竜「酒がー!」
茶竜「あぁー!!」
女戦士「あれ?」
女僧侶「あ、あら?」
女魔法「・・・。」
勇者「・・・いつの間にか増えてるな。」
971 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:41:16.25 ID:+rf5HTOoo
青竜「話を聞け!」
赤竜「儂の酒がー!」
黒竜「実験器具がー!」
茶竜「ぐおー!!」
青竜「この3馬鹿!いい加減にしなさい!」
赤竜「ううー!代わりにお前をくったるー!」
グオオオ!
青竜「大馬鹿!」
赤竜「ぐ」
カキン!
勇者「凍った・・・。」
女僧侶「氷冷魔法でしょうか?」
女魔法「・・・。」
黒竜「私のフラスコー!」
黒竜「すぅー・・・」
黒竜「かえせええええええええ」
ゴオオオオオオ・・・
青竜「コオオオオ」
ヒュゴオオオオオオオ!!!
黒竜「げ」
カキン!
青竜「酒臭い息を吐きかけるな!」
茶竜「俺まだあんまり飲んでない!」
青竜「外にあるから好きに飲んだらいいわよ。私が用が有るのはそこの馬鹿だけ。」
赤竜「うげー・・・」
シュウウ・・・
青竜「あんたは母様が居なくなった途端に外に抜け出すんじゃない!!」
赤竜「酒・・・。」
青竜「聞け!」
女魔法「・・・。」
黒竜≪・・・≫
コンコン
女戦士「・・・・・・なんだろうなこれ。」
女僧侶「なんなんでしょうねこれ。」
勇者「なんというか・・・すごく人間臭いな。不自然なほどに。」
茶竜「お前ら、ここ居ると危ないぞ。」
ズゴゴゴ・・・
女戦士「地面に潜れるのか・・・。」
女僧侶「どのように危ないのですか?」
茶竜「俺は地面が得意。あいつら喧嘩始める。背中乗せてやる。乗れ。」
勇者「・・・言葉に甘えよう。」
勇者(確かにここは危なそうだ。)
女戦士「そうだな。馬も気になるし。魔法!乗れ!」
女魔法「ん。」
女僧侶「どうもすみません。」
茶竜「別に鳥と変わらない。」
ズゴゴゴゴゴ・・・
972 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:41:52.65 ID:+rf5HTOoo
――――――――――――――――――――――――
最初の広場
洞窟≪パキパキパキビシビシビシバキィン!≫
女戦士「洞窟が凍っちまった・・・。」
女僧侶「間一髪ですね。」
女魔法「大丈夫なの?」
茶竜「いつもの事。」
ゴゴゴ・・・
ズガン!ズガン!ズガン!
勇者「ここはすごいな。火山の中なのに水は湧き出て、天井は無い。木まで生えている。」
茶竜「太陽も水も草木も全部当たり前。」
女魔法「普段何を食べてるの?」
茶竜「あの木の葉。」
女戦士「葉っぱだけでここまでデカくなれるのか?」
茶竜「うん。降りろ。」
女戦士「了解。よっと。」
ヒュゥ・・・
ズダン
女魔法「・・・・・・。」
女僧侶「・・・ちょ、ちょっと高いですね。」
勇者「慣れれば平気だが・・・二人には少し高すぎるか。」
茶竜「・・・大地鳴動詠唱開始」
茶竜「詠唱完了」
ズゴゴゴゴ
ガゴンガゴンガゴン
茶竜「これで降りろ。」
女僧侶「わ、わざわざありがとうございます。」
女魔法「・・・こんなに早く階段作れるんだ・・・・・・。」
フラスコ≪ジャー・・・≫
茶竜「・・・。」
ズガンズガンズガン
茶竜「あー・・・。」
ガボガボガボ
女戦士「幸せそうだな。」
勇者「そうだな。」
勇者(・・・どうするべきか。俺たちを連れてきた赤いドラゴンは今凍らされているし、協力的なドラゴンが居てくれるかも不明。)
勇者(今中々に厄介な事になっているのでは・・・。)
ザバァァ・・・
女魔法「!」
白龍「おや、人間がいる。珍事だ。」
女僧侶「初めましてドラゴンさん。」
女戦士「今度は白いな。」
女魔法「手と足が無い。」
白龍「あぁ初めまして人間さん。一体何しに来たのかな?」
勇者「赤いドラゴンに連れてこられたんだ。用があるわけじゃないんだが・・・。」
白龍「それはそれは。うちの馬鹿が迷惑をかけたね。代わりに謝ろう。すまん。」
女僧侶「いえ、返してもらえればそれでいいのですけど・・・」
女魔法「ねぇ、魔法詳しい?」
白龍「あぁ詳しいとも。何か聞きたいのかなお嬢さん。」
973 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:42:38.85 ID:+rf5HTOoo
女魔法「うん。今思考加速の為の現象変換魔法を考えてる。雷から光へ変換して尚且つ途中で信号が途絶えさせない物理的問題を解決した・・・」
白龍「ふむふむ・・・ふむ。・・・面白い発想だねぇ。なるほどなるほど・・・」
女魔法「理論的には出力速度を上げれば実行までの反応速度や入力速度向上による”次”への段階を加速させる事が可能で結果として知覚、思考が・・・」
白龍「うんうん・・・。」
女魔法「光は波動と粒子の2つの側面を持ってて電磁波は粒子性が主だけど電磁場が量子化して光になるって言われてるから思考の電気的現象を流用して・・・」
勇者「・・・。」
勇者(・・・話がだいぶ専門的だな。)
女戦士「そんな水みたいに飲んで大丈夫なのか?」
茶竜「げふっ・・・。平気。」
女僧侶「ドラゴンさんは皆お酒が好きなのですか?」
茶竜「皆好き。皆日向ぼっこばかりしてるから暇。」
女戦士「酔っぱらったりしないのか?」
茶竜「する。特に赤色はひどい。」
女僧侶「あぁ・・・なんとなく酒乱なんだろうなって想像はつきます・・・。」
白龍「お嬢さんが考える魔法は面白いね。考えた事が無いからすぐ答えは出せないな。」
女魔法「・・・そっか。」
白龍「現象変換魔法は知らないが変換魔法なら一つ知っている。」
女魔法「何?」
白龍「転送術式だ。あれは物体をアストラル界に移送変換し魔素的現象を用いての高速移動をしている魔法で・・・」
女魔法「・・・。」
白龍「あまりに長く物質をアストラルに置く事が出来ない上に反応を中途で阻止する事も出来ない。しかしこの絶妙な移送変換は・・・」
緑竜「懐かしい匂いがする。」
バサァ!!バサァ!!バサァ!!
勇者「うおっ。ま、また新しいドラゴンが・・・。」
ズダァ!!
緑竜「・・・ふむ。酒の匂いか?いや、父の匂いもするような・・・。」
勇者「緑色・・・。」
勇者(緑はエレメンタルを思い出すな。)
緑竜「・・・」
ベロオ
勇者「うおおおっ!!」
ズザッ!
緑竜「・・・まずいな。」
勇者「か、勘弁してくれ!」
緑竜「やはり竜の木の葉が一番だ。」
バサァ!バサァ!
緑竜「私にも飲ませろ―!」
ゴオオ・・・!
974 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/05(木) 22:43:30.08 ID:+rf5HTOoo
前言い訳
学校やバイ後眠い
975 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2012/04/05(木) 22:58:15.47 ID:aTfhUpCso
はい
976 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/05(木) 22:58:55.96 ID:Q0tLZ5fKo
はいじゃないが
977 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/05(木) 23:23:41.87 ID:0evZtnJSO
だから無理すんなってww
ドラゴン達てば知識凄そうなのにかわええ
978 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2012/04/06(金) 02:37:29.71 ID:ouWShSgKo
>>973
>勇者「緑色・・・。」
>勇者(緑はエレメンタルを思い出すな。)
ん?
え!
979 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/06(金) 07:32:49.34 ID:q08A2cBIO
ドラゴン家族が団欒過ぎてヤバいwwwwww
やはり赤いのがトラブルメーカーだな
980 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/06(金) 12:37:09.05 ID:/no3mf2c0
これは燃える展開だな
981 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福島県)
[sage]:2012/04/06(金) 16:20:54.10 ID:j1cnpyZRo
>>980
赤竜だけにな
982 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/07(土) 22:48:23.96 ID:KxI0bmpRo
緑竜「とうっ!」
ズガン!
茶竜「ぐおお!」
ズダァァン!
ゴゴゴゴ・・・!
女戦士「うお・・・っ!」
女僧侶「わわわ・・・!」
緑竜「む?・・・あぁ人間の雌か。どれ」
べぇ・・・
女戦士「わっ!」
女僧侶「きゃっ」
ガシ!スタッ!
緑竜「ん?」
スカ
緑竜「なぜ避ける?味見位良いだろう。」
女戦士「良いわけないだろ!旨かったらどうするつもりだ!」
緑竜「もう一度嘗めるだろうな。気流魔法人封じ」
ビュオッ!
女僧侶「きゃぁ!」
緑竜「どれ・・・」
べぇ・・・
女僧侶「ひっ!」
女戦士「このやろ・・・!」
チャ
茶竜「がおおー!!」
ズダンダンダンダンダン!
茶竜「おお!」
ズゴォオオオ!!
緑竜「ぐへぇ!」
ドザァアアアアア!
女僧侶「あ、動けるように・・・。」
女戦士「大丈夫か?何されたんだ?」
女僧侶「よくわかりません・・・。強烈な風に包まれたかのような・・・。」
緑竜「どけぇ!重いわ!」
茶竜「ぐおおー!!」
ドガン!ズガン!
女戦士「す、少し離れた方が良さそうだな。」
女僧侶「そ、そうですね。潰されてしまうかも。」
白龍「へぇーっくしょい!」
ブチュ!
女魔法「うっ・・・!・・・・・・。」
白龍「あぁ、お嬢さんすまないね。うぅ・・・。」
ズズ
女魔法「・・・・・・・・・・・・。」
べとぉ・・・
白龍「転真魔術個別封印詠唱開始」
白龍「詠唱完了」
ガチン!
女魔法「・・・あれ?」
983 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage saga]:2012/04/07(土) 23:11:31.00 ID:Iz7wwAZDo
C!
984 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/07(土) 23:24:42.21 ID:KxI0bmpRo
白龍「私の鼻水だけを封印したよ。よだれはそのままだから顔を洗うといい。」
女魔法「・・・ん。」
白龍「いやね、水の中に居るのが好きなんだが何分冷え症なんだ。」
女魔法「・・・」
ばしゃばしゃ
白龍「心地よくてつい寝てしまうのだけれども、起きると風邪を引いてる事が多くてね・・・。」
女魔法「・・・ドラゴンでも風邪ひくんだね。」
白龍「まぁね・・・。・・・クシュン!」
ベチャ!
女魔法「・・・。」
白龍「あぁ、すまないね。転真魔術部分封印術・・・」
勇者「・・・。」
勇者(・・・赤、黒、青、茶、白、緑、6色か。しかし・・・全員が全員癖物揃いだな。)
(赤、トラブルメーカー。他竜のいう事を聞かない。且つ問題行動を起こす。)
(黒、トラブルメーカー2。人間に興味を持つ。人間の道具などを複製している。魔法知識博識。)
(青、まとめ役。女? 赤とは喧嘩をよくするらしい。翼は退化しているかのように小さめ。)
(茶、・・・大人しいかと思えばそうでもない。緑と険悪?赤、黒と合わせて三馬鹿呼ばわりされている。唯一翼が無い。)
(白、聡明、博識かと思えば間の抜けた行動を起こす。蛇の様な形態。)
(緑、とりあえず味見をしようとしてくる。茶に飛び蹴りをかます。一番人型に近い。)
勇者(こんな所か。・・・全員が全員魔法に精通している可能性が高そうだ。・・・さて、これからどうするか。)
勇者(僥倖かもしれない。存在を疑われているドラゴンへの遭遇。そして俺たちの問題。)
勇者(抱えているものを解決する術を教われる可能性が湧いて出た。元の場所に返してもらうだけではなく、目的地に送ってもらえる可能性さえ出た。)
勇者(・・・聞けばドラゴンは皆、酒が好き。今は一つ貸しが有る状況ととってもいいか。しかし恩着せがましく接すれば心証を悪くするかもしれない。)
勇者(ではどうするか・・・。)
女戦士「勇者、これからどうするんだ?」
女僧侶「私達は先を急ぐ身ですし、赤いドラゴンさんに頼んで元の場所に送ってもらいますか?今は凍ってしまっているでしょうけど・・・。」
勇者「・・・戦士、ドラゴンを見てどう思った?」
女戦士「え?なんだいきなり・・・、そうだなぁ。・・・想像と全然違った。軸ごとずれてるっていうか・・・。」
女僧侶「ななめ上っていうのでしょうか。人格は確かにもっているとは思っていましたが、なんというか軽いというか・・・。」
勇者「あぁ、そこについては俺も同意見だ。・・・質問を変えよう。」
勇者「一人で一匹でも相手に出来るか?」
女戦士「・・・無理だ。こいつらも、桁外れだ。」
女僧侶「・・・。」
勇者「だろう。あんなノリだが」
緑竜「ほーれ。自慢の体当たりをしてみるがいい。」
茶竜「飛ぶなー!卑怯だー!」
勇者「個別個別の戦闘力は恐ろしく高めだろう。4回、あのドラゴン達がブレスを使った場面を俺たちは見たわけだが・・・」
女僧侶「・・・ひとたまりも出来ないでしょうね。赤いドラゴンさんは氷冷障壁を使った所で恐らく無意味でしょうし・・・」
女戦士「黒いのは良く分からないけど青い奴のブレスも一瞬で行動出来なくなるだろうな。部分的に当たって、うまく解凍できるかどうか・・・。」
勇者「人間の組織が凍ると壊死という状態になる。もっと低温で瞬間的に凍らせられると組織の損傷も少ないが・・・。」
女僧侶「体液が凍ってしまうと、体積の違いにより血管系に重大な損傷が起きてしまいます。すぐ回復すれば後への影響は少なめかと思います。」
勇者「では、あいつらを倒すにはどういった策を取るべきだろうか。」
985 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/07(土) 23:55:31.95 ID:KxI0bmpRo
女戦士「・・・赤いドラゴンと戦ってみて思ったけど、素早さなら何とか私達人間の方が早い。だから、行動させる前に倒すべきだと思う。ただ・・・」
女僧侶「瞬間的に倒す手段が存在しませんね・・・。例えば、戦士さんの剣で首を落とせば一瞬で終わるのでしょうけど・・・。」
勇者「そうだ。そして、あくまで仮定への対抗策ではあるが、魔王へのひとまずの策とその点が被るな。」
女戦士「・・・まさか・・・・・・。」
女僧侶「ドラゴンさんと・・・戦うつもりですか?」
勇者「それは無い。だが、協力をしてもらうというのはどうだろうか。」
女戦士「協力?どういう点でだ?」
勇者「つまり・・・、戦士。」
女戦士「?」
勇者「ここでお前の代での退魔技を、原型でもいい、編み出してくれ。」
女僧侶「っそ、それは・・・。」
女戦士「・・・・・・。」
勇者「条件として、一撃の威力を重視した技である事。これを必須条件としてくれ。使った後に不利な状況になろうと構わない。」
勇者「バランスを崩したとしても、一定時間動けなくても、・・・体力を使い切ってしまったとしても。」
勇者「俺が何とかしよう。突破口を開けるならそれでいい。」
女戦士「・・・はっ。面白い事言ってくれるな。私が使った後に死んじゃってもいいのか?」
勇者「それは困る。・・・使っても死なない技にしてくれ。」
女戦士「ははっ。・・・時間は?」
勇者「・・・」
勇者(長引くのは良くない。魔法が受け取った情報は地図の位置、そしてここで待つという短文。期限は特に設けられてはいないが・・・。)
勇者(アイツが待つのに飽きるまでにはつかなくてはいかない。)
勇者「ここに居られるとしたら・・・僧侶、保存食は今何日分残っている?」
女僧侶「あ、えっとですね・・・。お爺さんがくれた燻製肉は五日分で、私達が少し食べましたから・・・」
女僧侶「・・・今のペースで食べると四日半、でなくなります。」
女戦士「・・・四日か。」
勇者「・・・その気になれば、俺が狩りをしてきてもいい。だが、魔王を待たせすぎるのは少々怖い。」
勇者「最長で一週間。それが期限だと思ってくれ。」
女戦士「・・・。」
勇者「何かしらの手ごたえだけでもいい。取りあえずの原型でもいい。しかし一撃でドラゴンさえも殺す事が出来る技だ。」
勇者「ここで得た経験で、技を作ってくれ。」
勇者「戦士の戦闘技術はもう成熟期に入っている。必ず出来るはずだ。」
女戦士「・・・・・・わかった。やる。」
女僧侶「だ、大丈夫ですか?む、無茶はしないでくださいね。」
女戦士「悪い。それは約束できない。」
勇者「・・・すまない。」
女戦士「謝んなって。っていうかお前さ、言いだしておいて、手伝わないなんて言わないよな?」
女戦士「それはねぇぜー。ひーひー言わしてやるからな。ははは。」
勇者「無論だ。俺が出来る事なら何でも手伝おう。」
女戦士「おう、約束。・・・さって、じゃぁ・・・。まずはちょっと一人にしてもらおうかな・・・。」
女僧侶「ど、どこへ?」
女戦士「出来れば静かなところがいいな・・・。集中したい。」
勇者「ドラゴンに聞いてこよう。まずは・・・白い奴から。」
女戦士「あ、あとさ。一番固い奴に協力お願いしといてくれ。別に殺したりしないからさ。」
勇者「分かった。何が何でも協力させよう。」
986 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/08(日) 00:27:37.72 ID:mswJ342zo
――――――――――――――――――――――――
洞窟≪ドタドタドタ≫
赤竜「ぶぇーっくしょい!」
ベチャ!
青竜「ギャー!」
黒竜「おお寒い・・・。・・・・・・そうだ焚火をしよう。おい赤いの。」
赤竜「うう・・・。なんだ?」
青竜「ちょっと待ちなさい!一言くらい謝りなさいよ!」
黒竜「こういう時人間は焚火という物で体を温めるそうだ。」
赤竜「たきび?いったいなんだそれは。」
青竜「聞け!」
黒竜「どうも木を燃やしてその火を使って温まるのだそうだ。」
赤竜「ほうほう・・・。人間というのはいちいち他の力を借りなくてはいけないのか。大変だのう。」
黒竜「実際にやってみようではないか。ほら、そこの木に火をつけて見ろ。」
赤竜「何事も経験ということだな。よし。すぅー・・・」
青竜「良しじゃないよ大馬鹿!」
赤竜「ぐ」
カキン!
黒竜「そうだ大ぼけ。また消し炭にする気か、魔法を使え。」
青竜「そういう事じゃないでしょ!あの木は私たちのご飯でしょうが!」
黒竜「何本も同じ木が有るのだから一本ぐらいいいじゃないか。」
青竜「そういう問題じゃない!」
黒竜「ううむ・・・ではどうしようか。酒を飲むだけでは芸がない。人間はどうやって寒さを凌ぐのだろうか・・・。」
青竜「全く・・・人間に聞けば?いるんだしさ。」
黒竜「それもそうだな。おい人間!人間?あらどこ行ったのだ?」
青竜「おーい白ー。」
ドタドタドタ
白龍「む?なんだ?」
黒竜「人間がどこに行ったか知らないか?」
白龍「ふむ。ここに静かな場所は無いか聞かれたのでな。お気に入りの場所を教えたら全員で向かって行ってしまったぞ。」
黒竜「そうか。しょうがない、やはり木を・・・」
青竜「やめなさいって。」
赤竜「またんかい己ら!」
ズガズガズガ
茶竜「うおーん!うおーん!」
緑竜「あぁ泣くな泣くな。私が悪かったから。竜の木の上の方の木の葉を取ってきてやるから泣き止め。な。」
987 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/08(日) 00:54:30.55 ID:mswJ342zo
――――――――――――――――――――――――
川の洞窟奥
勇者「おお。一部天井が開いているんだな。」
女僧侶「陽が照る部分だけ草が生えてますね。」
女魔法「・・・ここから川は地下にいくんだね。」
女戦士「ん。たしかにいい場所だな。よし・・・」
ガチャガチャガチャ
勇者「保存食と水はここに置いていく。あとはどうすればいい?」
女戦士「悪いけど水だけでいい。あとは・・・私が戻るまでは来ないでくれ。」
女僧侶「わかりました。では、私達行きますね。何かあったら呼んでください。」
女戦士「おう。」
ズザ
女戦士「・・・すぅー・・・・・・。」
女戦士「・・・。」
――――――――――――――――――――――――
川の洞窟道中
女魔法「・・・。」
女僧侶「大丈夫でしょうか・・・。」
勇者「ペンダントをしている限り不調が有ってもすぐわかる。これが必要だというなら必要なんだろう。」
勇者「どのぐらい籠るか分からないが、とりあえず一番固いドラゴンを見つけて協力してくれるようお願いをしなくては。」
女僧侶「・・・そうですよね、信じるべきですよね。」
――――――――――――――――――――――――
広場
白龍「・・・・・・。」
青竜「また風邪ひくよ?」
白龍「問題ない。もうひいている。」
青竜「何が問題無いの?ほら早く水から上がりなよ。」
茶竜「グスグス」
バリバリバリバリ
緑竜「・・・んっ・・・んっ」
グビグビグビ
緑竜「ぐはー!ああ久しぶりの酒がなんて旨い事。」
赤竜「この赤い実がきれいでいいな。酒が進む。」
黒竜「黒い酒などはないのだろうか。人間に聞いてみるか。」
白龍「お前達、あまり飲みすぎるなよ。」
赤竜「別にいいではないか。久方ぶりなのだから。」
白龍「ふん。前飲み過ぎて火山を噴火させたのは誰だ。」
赤竜「おお!あの時は溶岩が綺麗だったな!」
青竜「ふざけるな!おかげでここを元に戻すのはすごい大変だったんだから!」
緑竜「確かに大変だった。溶岩を人間の街に行かないよう動かしたりな。」
黒竜「あの時は喉が枯れるかと思った。」
茶竜「一番頑張ったの俺!」
青竜「原因は眠りこけてたし・・・ほんと全くもう・・・。」
988 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/08(日) 01:12:01.47 ID:mswJ342zo
勇者「・・・ドラゴンは酒盛り中か。」
女僧侶「ちょうどいいですね。聞いてみましょうか。」
女魔法「・・・聞いてくれるかな。」
赤竜「なにぃ!儂だって働いていたぞ!・・・確か!」
青竜「あんたはブレスで噴火させた後ゲラゲラ笑ってその後寝ちゃったでしょ!」
赤竜「なにぃ!・・・そうだったか?」
白龍「こいつの酒癖の悪さはひどい物が有るな。そのうち取り返しのつかない事をしだすに違いない。」
茶竜「酔ってブレスをかけられたこと有る!」
黒竜「私の洞窟で吐いた事も有った。」
緑竜「私を下敷きにして寝た事も有ったな。」
青竜「寝込みを襲われた!」
赤竜「酒が上手い!」
がぶがぶがぶ
白龍「一番厄介なのが反省する気が一切ないという所か。・・・む?」
白龍「黒よ、人間が戻ったぞ。」
黒竜「む?おお本当だ!おおい人間!こっちへ来い!」
勇者「皆お揃いか。」
女僧侶「ど、どうも。」
女魔法「・・・。」
青竜「母様だけ居ないけどね。そんなに怖がらなくていいのよ?」
緑竜「あぁ。食う気は今の所ないからな。」
茶竜「お前さっき舐めてた!」
緑竜「あれは私なりの挨拶だ。」
白龍「人間さん。君たちの都合もあるのだろうが私たちが会ったのも一つの縁。こいつの話を聞いてやってくれないかい?」
黒竜「おお!人間!お前達に聞きたい事がある。時間は取らせん、答えてくれ!」
勇者「・・・えぇ特に問題は無い。俺たちが答える事が出来るなら、答えさせていただこう。」
黒竜「まずは・・・人間は寒い時どうやって暖を取るのだ?」
女僧侶「そうですね・・・。旅をしているとやはり焚火などに頼る事が多いですね。」
黒竜「やはり焚火か!おい赤いの!」
赤竜「げふっ!なんだ!」
青竜「やめなさい!」
赤竜「げ」
カキン!
989 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/08(日) 01:33:38.77 ID:mswJ342zo
黒竜「ふむ・・・ダメか・・・。他に何かないのか?」
勇者「あとは・・・外套などを着込んだりするな。」
女僧侶「そうですね。あとは冬などは暖炉やストーブを使いますね。」
黒竜「すとーぶ?いったいなんだそれは。」
女僧侶「簡単に言うと・・・金属の箱などに熱源となるものを入れて、中で燃やす暖房器具、ですね。」
勇者「平たく言えば火が出ない焚火だ。」
黒竜「ふむ。熱だけを発する箱か。なるほどよく考え着くな。・・・それならば簡単に再現できるな!おい赤!」
赤竜「ぐへー・・・。・・・なんで今儂は凍らされたんじゃ・・・。」
シュウウ・・・
白龍「普段の行動の賜物と言えるな。今のは少々青が早とちりしたとも言えるが。」
青竜「しょ、しょうがないじゃない!ほっとくとこいつ絶対やるもん!」
茶竜「金属なら俺出せるぞ!」
緑竜「いやもっと簡単な方法がある。」
黒竜「おうとも!赤いの!」
赤竜「なんじゃい。」
黒竜「熱帯びを使え!簡易すとーぶだ!」
赤竜「すとーぶ?なんだそれは。」
黒竜「いいから早くやれ!」
赤竜「ふん・・・。良く分からんがなんか面白そうじゃ。熱帯び」
ゴオオ!
黒竜「おうおう!確かに暖かい!今度凍らされた時にはこれで暖まろう!」
白龍「陽とはまた違った暖かさだ。夜などに良いかもしれないな。」
赤竜「それですとーぶとはなんなんじゃ?」
黒竜「人間の暖房器具だそうだ。」
赤竜「ほうなるほど。ん?それと儂が熱帯び使うのと何が関係あるんだ?」
黒竜「そうだ人間よ!黒い酒などは無いか?」
勇者「黒い酒・・・、俺は酒はあまり詳しくないな・・・。」
女僧侶「黒いお酒、ですか・・・。そうですねぇ真っ黒なお酒は無い、ですね。」
黒竜「そうなのか・・・。それは残念だ。」
女僧侶「すごく濃い赤で一見黒に見えるお酒ならありますけど・・・。」
緑竜「人間の酒の種類は数多いと聞く。いつか全て飲んでみたい物だ。」
ドジュウウウウウ・・・!
赤竜「いかん!酒が口に入る前に湧きだってしまう!うおー!」
女魔法「・・・葉っぱ美味しい?」
茶竜「旨い。カリカリしてる。食うか?」
女魔法「・・・食べてもだいじょぶかな・・・・・・。」
990 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/08(日) 01:56:11.30 ID:mswJ342zo
勇者「あぁ、そうだ。俺たちから質問してもいいか?」
白龍「私たちに付き合ってくれているのだ。私達に答えられることならば答えよう。」
勇者「ありがとう。・・・皆は魔法に詳しいのだろうか?」
青竜「人間よりは詳しいと思うけどね。この中で一番詳しいのだと黒かなぁ。」
黒竜「おうとも!複製魔法が使えるのはこの中では私だけだ!私だけでは魔力が足りないがな。」
白龍「燃費が悪い物だな。それで人間さんは一体何が聞きたいのだい?そちらのお嬢さんは現象変換魔法だったが。」
勇者「実は、長い間保存したい物が有るんだが、俺の魔法知識ではどうしようも無くて。」
青竜「保存ねぇ。保存なら白が一番得意じゃない?」
黒竜「確かにそうだな。」
白龍「ふむ。そうか。ならば僭越ながら私が教えてあげよう。保存したい物を見せてくれるかな。」
勇者「あぁ、ちょっと待っててくれ。」
勇者(今は馬車の中だ。)
ドヒュウ!
白龍「ほう・・・人間にしてはとても速いな。」
女僧侶「えぇ、勇者様は人間の中での特別に速いですね。」
ジュウウ・・・
赤竜「うおお!熱い酒も旨いぞー!」
青竜「えい。」
赤竜「げぇっほげっほ!!いきなり何すんじゃい!冷たくなってびっくりしたわ!」
赤竜「だが冷たくても旨いぞー!」
ドヒュ!
勇者「この葉の仮面だ。友人が作ってくれたものなんだが、長い事放って置くと乾燥してしまう。何かいい方法は無いだろうか。」
白龍「なるほど、やはり時々見たりするのだろうね。ならば・・・」
白龍「転進魔術鏡封じ詠唱開始」
白龍「詠唱完了」
カキン!
勇者「っ!こ、これは・・・!」
白龍「お気に召しただろうか。それなら人間さんの魔力でもいつでも開く事が出来るだろう。一度開けてしまうとまた私が掛けないといけなくなるがね。」
勇者「え、えぇ。ありがとうございます。理想に近い。」
緑竜「人間は食べない方が良いだろうな。」
女魔法「そう?」
緑竜「あぁ。私達の様な体が大きなものが本来数枚食べるだけで十分な物だからな。この竜の葉は虫さえ食べようとしない。」
茶竜「一枚やる。持って行け。」
女魔法「・・・ありがとう。」
緑竜「間違っても食べない様にな。腹を壊す所じゃないだろう。」
991 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/08(日) 02:20:57.75 ID:mswJ342zo
女僧侶「あ、あの。ドラゴンさんの中でどなたが一番固いのでしょうか。」
青竜「それはやっぱり茶色でしょうね。」
黒竜「うむ。疑いようがない。」
赤竜「儂が噛みついた中で唯一歯が通らんかった!」
白龍「つまり全員の中で一番固いという事だ。こやつが噛みついていない奴は居ないはずだ。」
勇者「なるほど・・・。」
青竜「自分にさえ噛みついてるからね。大馬鹿。」
赤竜「歯が痒かったんだ!仕方あるまい!」
白龍「岩でも齧ればよい物を。考えが至らぬ奴だ。」
赤竜「岩ではやわこいのだ!一番ちょうどいいのは青だが噛みつくと毎回凍らされてしまうので最近は緑がお気にいりだ!」
青竜「いい迷惑!後ろから足に噛みついたりさ、やめて欲しいわよ。」
勇者「噛みつかれても平気なのか?」
白龍「あぁ、人間さんは違うのだったかな。私達ドラゴンはね、傷が出来てもすぐ治ってしまうのさ。」
黒竜「あぁそういえばそうだったか。人間は簡単に死んでしまうらしいな。不憫な。」
女僧侶「すごいですね・・・。私たちは回復魔法が手放せないです。」
勇者「どのぐらい早いのだろうか?」
赤竜「うおー!」
ガブウ!!
白龍「ぐぁっ!やめんか阿呆たれ!」
シュウ・・・
赤竜「やはり白はやわこいの!ぐおー!」
青竜「やめなさい!」
赤竜「熱帯び中だからきかんわ!あぁそうか次からこうすればよいのか!ぐおー!」
青竜「反振動魔法」
赤竜「ぐ」
カキン!
白龍「不本意な事だがこのくらいならすぐだ。ほうらもう傷はないだろう?」
勇者「あぁ、すごいな。まさか首を落とされても生きていたりするのだろうか?」
赤竜「ぐへー・・・熱帯び中だと溶けるのが早いの・・・。」
ジュウウ・・・
黒竜「流石に首を落とされてしまうと再生は不可だ。と言っても私たちは死ぬ種族ではないのだがな。」
女僧侶「え?」
女魔法「すごい分厚い葉っぱ・・・。」
緑竜「噛むととてもいい音がする。カリカリとな。」
茶竜「上の葉っぱが特に旨い。けど俺は届かない・・・。」
緑竜「だからたまに私が取ってやるのだ。」
女魔法「優しいんだね。」
992 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/08(日) 02:42:09.82 ID:mswJ342zo
白龍「人間さんには理解しがたいだろう。簡単に言えば死んでも生き返るのだよ。」
勇者「な、なんと・・・。」
青竜「死ぬと子供からやり直しなの。ここまで大きくなるの大変なんだから。」
女僧侶「す、すごいですねぇ。転生という事でしょうか。」
黒竜「おう、そうだ人間!お前が顔に付けているものは何だ!何の意味がある?」
勇者「あぁ・・・これは、顔を隠す為の物だ。」
白龍「ふむ?なぜ顔を隠すんだい?」
勇者「俺の顔の右半分は傷痕がひどくて、初めて見る人を驚かせないようにするためだ。」
青竜「傷痕かぁ、人間って不便ね。」
女僧侶「あ、そ、そうだ。勇者様の様な人のキズを治すことってできないのでしょうか?」
黒竜「キズを治す術は私は知らないな。」
白龍「同じく知らないな。すまない。」
青竜「この二人が知らないなら他の奴も知らないだろうね。」
女僧侶「そ、そうですか。すいません、ありがとうございました。」
勇者「・・・。」
赤竜「ぐおー!食べようとすると燃えてしまう!」
ボシュウ!
緑竜「熱帯びをやめろ!人間が燃えてしまう!」
シュウウ・・・
女魔法「・・・。」
赤竜「あぁ、やめればいいだけか。」
シュウ・・・・・・
茶竜「俺の葉っぱー!」
緑竜「全く、もう酔いだしているな・・・。」
女魔法「・・・ありがとう。」
緑竜「気にするな。弱いのだからな。」
赤竜「ぐおー!」
ガブ!
緑竜「ぐあ!いい加減にしろ!気流魔法大竜巻!」
ズゴオオオオ!!
赤竜「あぁー・・・」
川≪バッシャァアアアアア・・・・≫
993 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/08(日) 02:43:53.40 ID:mswJ342zo
深夜のテンションを利用して書くとねむいおやすみなさい
994 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/04/08(日) 02:46:17.13 ID:AzxkMh03o
乙
ドラゴン可愛いwww
995 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/08(日) 03:02:59.41 ID:18QRAq9DO
乙
996 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/08(日) 08:21:17.80 ID:TOo9nexgo
次スレ
997 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/08(日) 11:30:06.73 ID:oZWtFXIwo
最高!
>>1
様、スレ立て誘導よろ
998 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)
[sage saga]:2012/04/08(日) 13:21:25.68 ID:hMl5OrfEo
乙!!
999 :
◆SHpOT25On.
[saga]:2012/04/08(日) 20:03:59.25 ID:mswJ342zo
次はこちらとなります999げt
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1000 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/08(日) 20:06:48.12 ID:tjrRNDXg0
1000げとー!
1001 :
1001
:Over 1000 Thread
___, - 、
/_____)
. | | / ヽ || 父さんな、会社辞めて小説で食っていこうと思うんだ
|_| ┃ ┃ ||
(/ ⊂⊃ ヽ) /  ̄ ̄ ̄ \
\僕はSS!/ \_/ ! ( ( (ヽ ヽ
,\ _____ /、 | −、ヽ\ ! <私は二次創作
ゝ/  ̄ ̄ ̄ \ /. \/ ̄\/ .\ | ・ |─ |__ /
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