他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
SS速報VIP 過去ログ倉庫
検索
すべて
本文
タイトル
投稿者
ID
このスレッドは
SS速報VIPの過去ログ倉庫
に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は
管理人までご一報
ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。
あまくさっ!? 〜ただいま。〜 -
SS速報VIP 過去ログ倉庫
Check
Tweet
1 :
>>1
:2011/08/23(火) 21:26:37.08 ID:504O0i+k0
しーん・・・・・
神裂「むぅ・・・・・・、」ジー・・・
五和「ぐぬぬ・・・・・・、」ジー・・・
浦上「ふふふ」ニコニコッ
香焼「・・・・・・何やってんすか?」タラー・・・
浦上「見て分からないのカナ?」クスッ
香焼「分かりたくないから聞いてるの」ハァ・・・
浦上「ハハハ。えっとねぇ、『誰かさん』との『休日デート権』をかけたスピード(トランプ)勝負ですヨ」クスクスッ
神裂「浦上! で、デートなんて人聞きの悪い事を言わないで下さい! 禁書目録(インデックス)の『護衛の任務』です!」ジー・・・
五和「詭弁を。ホントは私の番だったのにねぇ」フンッ
神裂「そ、それは違います! 先日私の番を譲ったでしょう! であれば今回は私に譲るのが筋ではありませんか!」ムムム!
香焼(心底下らねぇ)ポリポリ・・・
五和「てか、ウラ(浦上)! コウちゃん(香焼)なんて放っておいて審判戻ってよ!」ムムム・・・
香焼「だからオマエら人ん家でさぁ」ハァ・・・
浦上「フフッ、素直じゃないですネー。因みに今はカオリ姉さま(神裂)がジョーカー止めてるですヨ」ニヤリ・・・
神裂「あ、こらっ!」ギョッ・・・
五和「やっぱり! 姉さん(神裂)、早く出してくださいよ!」ギロリ・・・
神裂「そ、それは私のタイミングでしょう! 意表をついて」アタフタ・・・
五和「私の方が残り枚数少ないからって意地が悪いです!」ジトー
神裂「なっ!? べ、別に!」クゥ・・・
ぎゃーぎゃーぎゃーっ!!
浦上「始まった始まった」ハハハ
香焼「・・・・・・不幸っす」ハァ・・・
あまくさっ!? ただいま。
もあい「にゃーん」フシフシ
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
Twitter
]: ID:???
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】
ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。
育成選手 @ 2024/11/30(土) 13:30:29.68 ID:c1P6LfgYo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1732941029/
体調が悪すぎてヤバい。ストレス症状とかも凄い @ 2024/11/30(土) 11:45:54.15 ID:0PFg96V7o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732934753/
■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/30(土) 10:32:04.45 ID:WrcPtL7Wo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732930323/
■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/30(土) 10:29:19.60 ID:HX/LeQSmo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732930159/
■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/30(土) 10:25:53.37 ID:5ZMQ4Ky2o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732929952/
ジェットストロング川口死んだ? @ 2024/11/29(金) 20:10:43.56 ID:Uzz5QwxwO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732878643/
■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/29(金) 07:17:52.15 ID:CgrUZwFQo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732832271/
アクロバティック山田がやられただと? @ 2024/11/28(木) 22:15:17.90 ID:FjMVzFikO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732799717/
2 :
>>1
:2011/08/23(火) 21:27:32.98 ID:504O0i+k0
建宮「こんばんわ。始めましての方は始めまして。お久しぶりですの方はオヒサーなのよな」ビシッ
建宮「この物語は『とある魔術の禁書目録』及び『とある科学の超電磁砲』の二次創作SSで原作崩壊・厨二等含む駄文でございます」
以下、大まかな設定。
・メインは天草式十字凄教の……香焼、五和、浦上、そして神裂。
・基本ほのぼの。キャラの性格は本編より丸い。 例) ステイルが14歳相応。神裂が18歳相応。
・ラブラブ、シリアス、エロエロは未定。
・大きく二分して、「学園都市編」と「英国編」。
・組織設定や社会背景等はやたらリアル思考……だけど駄文。
・前作『あまくさっ!』↓を見て貰えると色々早いです。
(
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1299/12992/1299246176.html
)
・アンケートやリクエスト、偶に安価の御協力お願いします。
建宮「矛盾点や歪みが多々出てくると思いますが、『魔術師(及び魔女)の仕業かっ!』と流して下さい」
建宮「では素人の駄文ですが、何卒、宜しくお願いします」ノシ
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/08/23(火) 21:34:11.64 ID:SBaUlFqE0
おかえりぃぃぃぃぃぃ!!
1乙!!
4 :
>>1
:2011/08/23(火) 21:49:32.49 ID:504O0i+k0
こんばんわ。
>>1
です。まず捕捉とか言い訳とかします。
始めに・・・・・・親戚の作品(本編?)は書き溜めするそうです。色々ごめんなさい。
それから登場人物簡易用語説明。
<勝手な設定>
・天草式の若手数名は偽戸籍(ダミーID)で学園都市の学校・生徒の中へ紛れ込んでいる。所謂、潜入任務である。
コレは英国清教の命であり、また、アレイスター(あちら)側の意向。
表向き――無論、一般的には裏である――英国側としては学園都市の動向を探るスパイ。
しかし裏向きには――若手には悪いが――……アレイスター監視下の人質でもあった。
・神裂は、土御門からの呼び出し、禁書目録の『監視』という名のお世話(加え、上条当麻に会いに)、教徒の活動視察で学園都市に来る。
ステイルも神裂と類似行動。ただしかなり暇人。何故か香焼と仲良し(本人は否定)。
・カルテッ娘・・・必要悪の協会(ネセサリウス)に所属・使者・嘱託として出入りする(喧しい)少女達。
アニェーゼ、アンジェレネ、サーシャ、レッサー。(予備娘:ランシス)
・もあい・・・絹旗最愛が拾い、香焼が預かって半ば飼っているぬこ。決して絹旗本人ではない。
・F・・・削板軍覇。読み方は根性、正義、バカ。
・学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』・・・理事校指定の高級マンション。香焼宅(天草本部の金で)。
・火織姉さん18歳・・・歳相応。お友達はむぎのんとこのりん。
・メンヘラ少年ステイル君14歳・・・必要悪の協会bPツンデレ。
・カミやん病・・・読んで字の如し。『彼』っぽくなる。
また追々捕捉してきます。分からない事や意見があればドンドン質問やコメしてください!
ではまずアンケ協力お願いします。時系列についてです!
@WW3(第三次世界大戦)前。 ※垣根、フレンダ等が居る。
AWW3後。 ※フレメア、海鳥等が居る。
Bそんなの関係ねぇ!! ※好きにしやがれ!!
よろしく!! とりあえず今日はまた後ほど投下します!
アンケ協力、意見などなどお願いします!
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/23(火) 22:05:05.17 ID:vtMBo3PAO
お帰り!
Bで
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/23(火) 22:08:13.77 ID:dJHb265SO
A
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/23(火) 22:10:29.62 ID:MDXF75YDO
B、それ魅力!
8 :
VIPに変わりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/23(火) 22:25:04.54 ID:CvKBMdnZ0
待ってた
F…じゃないや何でもありで楽しそうなB
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/08/23(火) 22:36:32.73 ID:SBaUlFqE0
B、そんなの関係ねえ!!
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/23(火) 22:53:18.14 ID:sXv1eiTj0
>>1
おかえり〜!!!
Bおっぱっぴ〜
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/23(火) 22:57:02.82 ID:XuFGW3bIO
おかえり!待ってたんだよ!
@+AをBでお願いするんだよ
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/23(火) 23:21:15.60 ID:ICvK/rhK0
まっていたぜ!
3で頼むのである
13 :
>>1
:2011/08/24(水) 00:28:18.30 ID:3JwlWkfJ0
こんばんわ。短いの書きます!
14 :
第@話(12話)―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 00:52:21.03 ID:3JwlWkfJ0
―――とある休日、PM00:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
幻滅、という言葉がある。
我々の業界では有名な『彼』の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』を訳せばこうなるのか? と馬鹿な事を考え・・・・・・目の前の現実を見た。
神裂「パソコンって凄いですね」カチカチ・・・
五和「ね? 言ったでしょう。やっぱりカオリ姉さんも一台持つべきですって」フフフ
浦上「あー、香焼ー。炭酸無くなったから持ってきてー」ゴロゴロ・・・
うら若き乙女三人が、パジャマ姿でゴロゴロと・・・・・・何してんだ?
五和「見て分かるでしょ・・・・・・コウちゃん最近ボケてきた? 若年性あすぺるがー?」
香焼「現実逃避してんだよ。あとアルツハイマーだ馬鹿1号」ハァ・・・
浦上「まぁ見ての通りですヨ。カオリ姉様へのPC講座にゃー」フフフ
もあい「なー」ペシペシッ
神裂「・・・・・・おお! ドラマですよ! 海外ドラマ! 英国で人気のヤツです!」
半ば家族の一員と化した黒い子猫に長い髪を叩かれながら、違法動画を見つけてキャッキャしてらっしゃる我らが長姉(馬鹿3号)。
言っておきますけどそれ犯罪です。DVD借りてください。あとそれ僕のPCです。返してください。
五和「相変わらずコウちゃんは堅苦しいわね。モテないわよ? ぁ・・・・・・モテてるか」ボソッ
香焼「別に如何でもいいっての・・・・・・休みだからってゴロゴロしすぎ! もう昼っすよ! 着替えたり何なり」アーダコーダ!
浦上「細かいナー・・・・・・何でこんなんがモテるんだろう? カミやん病怖いですネー」ヤレヤレ・・・
神裂「こらこら、人を病気みたいに・・・・・・ん? 何かメールが来ましたけど、これって開いて良いんですか?」カチッ・・・
香焼「ちょ!」ギョッ!?
五和「待っ!」ゲッ!
ドゥンッ・・・・・
瞬間、画面が文字列塗れに。
神裂・五和『あ』デョンッ・・・
浦上「ぷっ・・・・・・あはははは! 香焼のPC死んだヨー! やっぱ病気じゃん!」ケラケラケラ!
香焼「」ポーン・・・
もあい「・・・・・・なぅ」ジトー・・・
刹那、三人の乗っかっている布団を引っ繰り返し、バグ処理に奮闘する羽目になった。
15 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 01:20:55.82 ID:3JwlWkfJ0
そんでもって約一時間後。バカ姉達が人目を気にせず着替え終えた頃にバグ処理終了。
五和と浦上は学校指定の制服。女教皇様は左右非対称痴女ファッションではなく落ち着いた格好。具体的にはロンスカとノースリーブシャツ。
五和「はい、コウちゃんマイナス1ポイントね」ビシッ
香焼「は?」
神裂「いえ、2ポイントです」ビシッ
意味が分からないです。
浦上「天草式香焼家ルールだよ。知らないノ?」
香焼「逆に、家主の自分が知らないのに何でオマエらが知ってるの? てかいつ決めたの?」タラー・・・
五和「コウちゃんが居ない時に決まってるじゃん。考えれば分かるでしょ? このお馬鹿ちゃんめっ♪」ニコッ!
香焼「・・・・・・、」イラッ・・・
五和「NDK? NDK? あ、カオリ姉さん。NDKっていうのは『ねぇ今どんな気持ち?』の略でして人をぶボわっ!!」ボフッ!!
とても腹が立ったのでとりあえずクッションを投げつけて黙らせた。
浦上「他には『なんてドエスな香焼』でも可ですネ」フフフ・・・
神裂「へー、ってそうじゃない。この家で私の事を女教皇(プリエステス)と呼ぶのは禁止です。あと痴女ファッション言うのもダメ」ビシッ
香焼「あーはいはい。そんじゃあ自分の心の声(地の文)にツッコミ入れるのも無しでお願いしますね」ハァ・・・
五和「コウちゃんのソレ(地の文)面倒なの! どうにかして!」キー!
だから心を読まねば良いのだよ。ダメダメ演技派女。
香焼「さておき・・・・・・今日お客さん来るんだけど」ハァ・・・
浦上「また、おにゃのこ? うわっ」フヒヒ・・・ヒョイッ!
香焼「喧しい。訳分からん事言うな」ジトー・・・
五和「はーい、訳分かると思いまーす。ねー、カオリ姉さん?」ニヤニヤ・・・
神裂「え、あ、まぁその・・・・・・あはは」ポリポリ・・・
もあい「みー」ゴロゴロ・・・
五和「ほら。もあいも分かるって!」フフフ・・・
打ん殴るぞ?
五和「だってコウちゃんはフラグ建てるだけ立てて回収しない事に定評があるカミやん病のレベル4くらいにってあ痛っ! やめっ!」バシバシッ!
神裂「こ、香焼! 無言で低反発クッションを武器にしてはいけません! 浦上も止めなさい!」アワワワ・・・
浦上「ほら、もあい。アンヨが上手〜♪」オイデオイデー
もあい「なー」トコトコ・・・
各々が自分勝手。そんな平和な休日。
16 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 01:40:17.26 ID:3JwlWkfJ0
・・・・・寸・・・・・
五和「・・・・・・後で覚えてなさい。週明けから5日連続で夜勤シフトに組み替えてやる」イデデ・・・
浦上「はい、お姉マイナス1ポイントだよ」ハハハ
神裂「私怨で仕事内への嫌がらせは禁止です」ビシッ
五和「ぐ、ぬぬぅ・・・・・・悔しいぃっ!!」キー!
ざまぁ見ろ。
五和「こうなったらアニェーゼとレッサー辺りに無い事無い事吹き込んでやるんだから!」バンッ!
割とマジで止めて下さい。命に関わります。
浦上「まぁまぁ。ルチアくらいにしときなよ」フフッ
神裂「ルチアの方が危険ですね。香焼の事を虚勢しようとワクワクしてますから」ハハハ
香焼「・・・・・・笑えません」ハァ・・・
浦上「んで? お客さんってのは?」
そういえばその話をしようとしていたのだ。
五和「まぁ今更新しい女の子連れてきても驚かないけどねー。今度は何だ? 宇宙人か未来人の女の子かしら?」
神裂「こらこら、茶化すのはそろそろ止めなさい。それで? 絹旗さんか結標さんですか?」
浦上「それとも珍しく男の友達で・・・・・・削板くんとか?」
我が家に来る知人トップ3を上げられたが、その3人ではない。
というかその三人呼んでないのにウチ来る面子でもあるから困る。特に軍覇は自分不在にも拘らず勝手に飯を食ってる。
香焼「知り合いっちゃ知り合いっすよ。男の人」
神裂「もしかしてステイルですか?」
五和「うげっ・・・・・・マグヌス神父ですか」タラー・・・
浦上「あはは・・・・・・参ったナー」タラー・・・
この二人はステイルが苦手だ。二人に関わらず、ステイルに苦手意識を持っている人間は結構多い。
原因は色々だろう。自分や女教s・・・・・カオリ姉さんからすれば只の捻くれたツンデレ少年なのだが。
香焼「残念ながらステイルじゃないっすよ。アイツ、何故かウチ来ようとしないから」
五和・浦上「「ほっ」」グッ・・・
香焼「でもその内無理矢理でも連れてくるから」ニヤリ・・・
五和・浦上「「えー・・・・・・、」」タラー・・・
神裂「貴女達大概失礼ですね・・・・・・それでは誰が? 後は土御門くらいしか」フム・・・
アレはイヤです。絶対連れてきません・・・・・・そうなると、残りは『あの人』でしょう。
17 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 02:00:10.91 ID:3JwlWkfJ0
暫時沈黙。
浦上「・・・・・・まぁ私は知ってましたけどネ」ニャハハ
馬鹿1号と3号は未だ考察中。
浦上「いや、これ二人共悩んでるフリして現実逃避中なだけだからサ」クスッ・・・
そりゃまぁ、自分の家にいきなり『彼』が来るなんて言われたらそうなるか。
神裂「え、と・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何で?」ダラダラ・・・
香焼「何でって、来て見たいって言うもんっすから」
自慢ではないが自分の家は学園都市屈指の高級マンションだ。
『彼』の学生寮の家賃と比べて凡そ4~5倍である。
五和「え、な・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・如何して、今日?」ダラダラ・・・
香焼「前々から約束してたっす。浦上には言った。そんで二人に伝えてくれとも言った」チラッ
神裂・五和「「浦上(ウラ)っ!!?」」ギロッ!!
浦上「ナハハ。面白そうなんで黙ってましたニャー」ケラケラ!
もあい「にゃー」フリフリ・・・
浦上は建宮さんの良い所悪い所、どっちも引き継いだお調子(キレ)者である。
五和「な、ちょ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どどど、ど、どうすんの!?」アタフタ・・・
神裂「え、ええっと、その、普段着は何処!? ああもうこの服をカットしましょうか!?」アタフタ・・・
浦上「姉様。その服カッティングしたら麦野さんブチ切れますヨ」ポンポンッ
ついでに『彼女』も付いてくるそうです。
神裂「れ、冷蔵庫の貯蔵は充分かッッ!!?」ダラダラ・・・
香焼「だから昨日の内に買い込んだんでしょう。少し落ち着いてください」ハァ・・・
五和「これが落ち着いていられるか! こ、コウちゃん! 色々言いたい事あるけど・・・・・・覚えてろぉ!!」ムキー!!
五和はさっきから悪党のテンプレ台詞しか言わないな。
浦上「そんでもって、何時に来るの?」
神裂・五和「「そ、それ大事!」」グイッ!
『何時でも良いっすよ』と言ってしまったので、そろそろ来るかも。
神裂・五和「「」」チーン・・・
浦上「大丈夫でっサー、お姉達。心の準備を使用がしまいが、彼は彼のペースですヨ」ハハハ
もあい「なー」コクコクッ
そのマイペースが怖いんだ、と姉達は半ば放心状態で冷や汗を掻いていた。
18 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 02:24:32.13 ID:3JwlWkfJ0
その後、何故か只管携帯でメールを打ち出す二名。多分友達か誰かにアドバイスを貰っているのだろう。
『め、メイク? 最低限のメイクって何ですか!?』とか『オリアナさん! モーションって何処までおk!?』とか電話しだすし。馬鹿だろ。
浦上「あはは。ね? オモローでしょ?」クスクス・・・
香焼「そうでもない。とりあえず浦上、『彼女』の為の食事作り下拵えでもいいから始めようよ。二人当てにならない」テクテク・・・
浦上「ソですね」パタパタッ
長髪をサイドポニーで結び、エプロンを取りに行く浦上。
一方電話を終えたらしいカオリ姉さんは改まった顔をして、自分のほうを向いた。
神裂「こ、こほんっ・・・・・・その、香焼。禁を破らせて貰うでの先に謝っておきます」キリッ・・・
香焼「え、あ、はい」
真面目な顔で正座をする長姉。自分も遵って彼女の前に正座した。
神裂「では・・・・・・彼と彼女は監視・護衛対象です。分かりますね」ジー・・・
香焼「・・・・・・、」コクッ
神裂「仲良くしてはいけないとは言いませんよ。寧ろ交友関係を築けるのであればそれに越した事はない」ピッ
香焼「ええ」コクコクッ
神裂「しかしですね・・・・・・『親しき仲にも礼儀(不可侵領域)在り』。聡明な貴方なら分かるでしょう」ジー・・・
分かるが・・・・・・この人に言われるのは納得がいかない。だが今の姉様は『女教皇』モードだ。
素直に頷いておく。揚げ足取りはしたくない。
神裂「よろしい。次からは気をつけるように。主に事前報告を・・・・・・良いですね?」
香焼「了解っす」コクン・・・
神裂「うん。それじゃあ・・・・・・メイク手伝って下さい」アタフタ・・・
は?
香焼「・・・・・・五和か浦上に頼んで下さい」エー・・・
神裂「五和は自分の事でいっぱいいっぱいですし、浦上は料理で忙しいでしょ!」
香焼「自分が浦上と交換しますよ」ハァ・・・チラッ・・・
刹那。
浦上「よーし。きょうは私が腕を振るうゾー」ボウヨミー!
悪意の篭った棒読み声が聞こえた。
香焼「ちょ、冗談抜きでオマエがメイク手伝えよ! 自分、メイクなんかした事」アタフタ・・・
浦上「ダイジョブダイジョブ。君なら出来るよ(笑)」ニヤニヤ・・・
神裂「こーやーぎー! おーねーがーいーしーまーすー!!」アタフタ・・・
畜生! もう如何にでもなれ!!
19 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 02:45:23.82 ID:3JwlWkfJ0
―――とある休日、PM03:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
一方・・・・・マンション前バス停。
禁書「とうまとうま! このマンションだよ! 凄い凄い!」オオォ!
上条「・・・・・・ほえー」キョトン・・・
禁書「私達のアパートの2,3倍はあるよ! 早く行こうよー!」キラキラ・・・
スフィンクス「みー」キラキラ・・・
上条「お、おう・・・・・・ちょっと待て。今香焼に電話するから」Pi!
Prrrr・・・・・
上条「あ、もしもし」
香焼『こんにちわ。あ、もしかしてもう着ちゃいました?』
上条「あー、うん。拙かったか?」
香焼『いえいえ。多分大丈夫かと・・・・・・ちょ、姉さん何処逃げる気!? そっちベランダっす!!』アワワワ・・・
上条「へ?」ポカーン・・・
香焼『な、何でもないっす。えっと喧しいのが3人居るんすけど、良いっすか?』
上条「天草の仲間か? 別に良いよ。気ぃ使わないでくれ」
香焼『あはは・・・・・・とりあえず自動ドア進んでください。エレベーター降りてくるんで、それに乗ってくれば自分の部屋の階で開きます』
上条「おう。そんじゃまた後で」Pi!
禁書「とうまー。こーやぎの家は大きいんだから料理も豪華なんだよねー?」ジー・・・
上条「その理屈はおかしい・・・・・・まぁでも天草の仲間が来てるって言うから美味い飯は出るかもな」クスッ
禁書「ひゃっほぅい! 早く乗り込むんだよー!」ダダダダッ!
上条「ちょ、待、あ・・・・・・自動ドアにぶつかりやがった。絶対壊すなよ」タラー・・・
スフィンクス「みゃう」トコトコ・・・
20 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 03:11:26.00 ID:3JwlWkfJ0
上条『そんじゃまた後で』Pi!
あらら、もう来たみたいだ。
五和「こ、コウちゃん! アイロン(ドライヤー)何処!?」アタフタ・・・
香焼「自分そんなもん使わないから置いてねぇよ・・・・・・姉さんはテンパってベランダエスケープしようとしないの」ハァ・・・
神裂「うぅ・・・・・・め、メイクは大丈夫なのでしょうか」ハラハラ・・・
男の自分が担当したのだから保障は出来ない。
リップは問題無かろうけど、目周りは姉さんパッチリ二重だから結構梃子摺った(てこずった)。
浦上「いやいや充分だよ。流石香焼。今度お礼にメイクしてもらいなって」ハハハ
神裂「わ、私で良ければ」フゥ・・・
五和「だ、ダメです! コウちゃんの初メイクは私がするって保育園時代から約束してるんですから!」ムッ!
確認しよう。自分は男である。
五和「あーもー・・・・・・こんなんなら私服持ってきとけば良かった」ハァ・・・
浦上「いや、普段見慣れてないお姉の制服姿に彼は胸キュン・・・・・・なのではなかろうか?」ニヤニヤ・・・
五和「そ、そうかなぁ」デレェ・・・
神裂「わ、私は・・・・・・やっぱりいつもの服を」アタフタ・・・
浦上「姉様ぁ。固法さんと麦野さんと『仕事以外でコッチに居る時は私服』って約束してるんでしょ?」メッ
神裂「し、しかし」タラー・・・
浦上「ふむ・・・・・・折角だから髪も下ろしましょうネー」ワサッ・・・
神裂「そ、それだけは勘弁してくださいってうわぁああぁっ!!」キャー!!
髪降ろして私服着たカオリ姉さんは最早別人である。
香焼「さて・・・・・・片付けは済んでるし、後は三人が『大人しくしてれば』完璧だな」
ぎゃーぎゃーぎゃーっ!!
香焼「・・・・・・無理か」ハァ・・・
もあい「にゃん」コロコロ・・・
やっぱ帰ってもらえば良かったかも。
21 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 03:27:17.36 ID:3JwlWkfJ0
これでは真面目な我が家(?)のイメージが崩れかねない。如何にかせねばなるまい。
浦上「ふふふ。あきらめたら?」フフフ
香焼「・・・・・・元はといえばオマエの所為だろ」ッタク・・・
コイツは何でもかんでも物事をややこしくしようとする。
浦上「そんじゃあ任せなさいって。悪いようにはしないから」クスッ
香焼「もうなってんだよ」ハァ・・・
浦上「あはっ。まぁまぁ・・・・・・とりあえず姉様ー、お姉ー」チラッ
神裂・五和「「な、何?!」」
浦上「料理。頼めます? 私の腕ではこれが限界なので」クスクスッ
オマエ、米炊いて野菜切っただけだろ。腕を振るうゾとか豪語してたの誰だっけ。
浦上「『彼女』を満足させるには私じゃ役者不足なのですヨ。それに・・・・・・『彼』への愛情なんて二人の微塵も籠りませんからネ」ニヤリ・・・
神裂・五和「「っ!!」」キッ!
刹那、台所へ跳ぶ乙女二人。余計ややこしくなるだろうが。
浦上「ハハハ。まぁあの二人は料理で失敗しないヨ。食べ物だから足の引っ張り合いもしない筈だし」クスッ
香焼「・・・・・・はぁ」ポリポリ・・・
浦上「それに真面目な話二人の合作はホント美味しいですからネ」ニコニコッ
それは認めるが・・・・・・嫌な予感が拭い切れない。
浦上「香焼は考え過ぎなんだヨ。物事もっと単純に考えようヨー」ポンッ
香焼「むぅ」
浦上「とりあえず私達は客人を迎え入れる態勢で、ネ。どっしり構えなよ、家主さん」フフッ
ホント、都合の良い事言いやがって。コイツの器量が妬ましい。
22 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 03:46:11.32 ID:3JwlWkfJ0
何やかんやで、数分後、チャイムが鳴った。
神裂・五和「「っ」」ピクッ!
浦上「香焼ー、インターホーン」チラッ
香焼「あいよ・・・・・・はい」Pi!
画面に黒ウニと三毛の子猫が映った。
上条『あーえっと、香焼さん家で合ってます?』ペコッ
香焼「はい。今鍵開けますね」ポチッ
禁書『わっ! 謎の電子音・・・・・・とうま! 勝手に鍵が開いたんだよ』キラキラ・・・
スフィンクス『にゃー』キラキラ・・・
香焼「ははは。今行きますね」Pi!
ウィンドウを閉じ、玄関へ向かおうとした―――刹那。
神裂「五和、火の下お願いします」バッ!
五和「なっ! 行かせるかっ!!」ガシッ!!
神裂「ぬをっ!!?」ガッ・・・
あーあー。面倒臭いのが、また始まる。
神裂「わ、私は年長として・・・・・・そう! 長姉として客人を出迎えにぃ!!」グヌヌゥ・・・
五和「なぁにが年長ですかっ!! そういうズルはすべきじゃないでしょう! 年長者ならっ!!」ガシリッ・・・
神裂「わ、私が担当の調理分は終わってるんです! だから行けるんです!!」グイッ・・・
五和「そんな分担してないでしょう!! お年玉貰いに行く子供じゃないんだからドッシリとエプロン着て台所立っててください!」グググ・・・
神裂「そしたら貴女行く気でしょう!!」ギッ!
五和「私は中間管理として出迎える義務があると思います! だから姉さんは一生『諦めて』そこ居て下さい!!」ピョンッ!!
神裂「はい、聞き捨てなりませんね! 今のアウトです! 上条約(※)違反です!! 貴女がそこ居なさい!」ガシッ!!
五和「それを言ったら姉さんもでしょう!! 大人気ないです!!」ギギギ・・・
※上条約とは・・・『彼』を取り巻く女性達の中で暗黙の内に出来た決め事である。尚、魔術・科学サイド問わない。
浦上「・・・・・・香焼。さっさと行って来なさいナ」ハハハ
言われなくてもそうします。
神裂・五和「「あーあー!!」」ジタバタッ!!
一生キャットファイトしててください。
23 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 04:01:31.34 ID:3JwlWkfJ0
・・・・・寸・・・・・
香焼「お待たせしました。どうぞ」ガチャッ
上条「おう。お邪魔します」ペコッ
禁書「こーやぎ、お邪魔するんだよっ!」ヨッ!
スフィンクス「にゃー」ペコッ
礼儀の良いウニと猫・・・・・・もとい、上条当麻さんとスフィンクス。そして傍若無人な暴食シスター(ベルゼブブ)さん。
上条「噂には聞いてたけど、やっぱ凄いとこ住んでんだな」ハハハ
香焼「いえいえ、天草と英国・必要悪の協会(ネセサリウス)のお金でお世話になってる所っすから」
禁書「くんかくんかっ・・・・・・とっても好い匂がするんだよっ!!」キラキラ・・・
上条「そりゃまぁ家賃[
ピーーー
]円の部屋だから、ウチの陳腐なソレとは違うだろうよ」ハハハ・・・
禁書「そんな下らないボケじゃなく、ごはんの匂って事! やっぱり高級な料理なんだぁ!!」パアアァッ!!
貴女は我が家にどんな幻想を抱いて来たのでしょうか?
香焼「えっと、とりあえずお上がり下さい」スッ・・・
上条「おう。インデックス、粗相の無い様にしろよ。何か壊したら弁償金で明日から家無し状態になるからな」ビシッ!
禁書「とうま隊長了解です!」ビシッ!
スフィンクス「みゃー」フリフリッ
香焼「いやいや、そんな気張らなくても」クスッ
彼ららしいといえば、彼ららしいか。
禁書「ふふふ・・・・・・一番乗―― 『ドンガラガッシャーンッ!!』 ――・・・・・・あー」タラー・・・
・・・・・・馬鹿姉共め。
上条「い、インデックスさん・・・・・・言ったそばから何か壊しやがったなぁっ!!」ギャー!!
禁書「わ、私じゃないんだよ!! きっととうまの不幸オーラー力が具現化してこーやぎの家を破壊したんだよっ!!」ギャー!!
不幸オーラの具現化・・・・・・当たらずとも遠からずなのかもしれない。
兎に角、客人を玄関先で立たせっ放しというのは申し訳ないので頭を抱えながら居間へ案内した。
24 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 04:22:11.67 ID:3JwlWkfJ0
さて、台所を見るのが怖いんだが。
禁書「お邪魔しまー、す・・・・・・あー」タラー・・・
神裂「」チーン・・・
五和「」ボーン・・・
上条「あー・・・・・・、」タラー・・・
空気が凍る。楽しそうなのは我関せずの浦上ともあいだけ。
香焼「・・・・・・あのさぁ」ジトー・・・
何で電子レンジと食器洗い機が面白オブジェになってるのかな?
五和「・・・・・・姉さんが紫電纏った手刀を繰り出しました」コイツ・・・
神裂「・・・・・・五和が炎風交じった回蹴りをかましました」ソイツ・・・
香焼「・・・・・・、」チラッ・・・
浦上「ドッチも嘘吐いてないヨー」ニャハハ
もあい「なー」フシフシ
香焼「違ぇよ!! オマエ止めろよ!!」ガアアアァ!!
マジ、弁償しろよ。
神裂・五和「「・・・・・・ごめんなさい」」ショボーン・・・
禁書「わぁ・・・・・・とうまの不幸オーラ力まじパネェんだよ」タラー・・・
上条「インデックスさん。その危ない口調止めなさい。あと上条さんの所為じゃございません・・・・・・多分。うん」タラー・・・
まぁ料理を回避してる辺りがプロなんだろうけど・・・・・・ホント自重してください。
これ以上暴れたらオッカナイ人(※)に言いますからね。
神裂「そ、それだけは・・・・・・、」ダラダラ・・・
五和「・・・・・・勘弁してください」ダラダラ・・・
とりあえず壊したモノを片付けろ。
神裂・五和「「はい」」トボトボ・・・
浦上「※オッカナイ人とは・・・『笑顔の恐怖』オルソラさんと、『冷酷王女』ベヨネt、ゲフンゲフンッ! リメエア姫の事だヨ」ニャハハ
オマエも他人事だと思うなよ?
浦上「・・・・・・Oh」タラー・・・
25 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 04:35:54.72 ID:3JwlWkfJ0
さておき。
上条「ええっと・・・・・・何か良く分かんないけど、オレも片付け手伝うよ」テクテク・・・
香焼「あ、いえ、お客さんにそんな」
上条「良いって良いって。客人扱いとかホント止してくれ。ステイルとかと同じ感覚で良いからさ」ニカッ
それはそれでまた異なるのだが。
上条「インデックスはスフィンクスと浦上の方行っててくれ。俺は二人手伝うよ」スッ・・・
神裂「い、いえ! 御気になさらず。自業自得なので」アハハ・・・
五和「上条さんが怪我されても困りますし」アハハ・・・
上条「いやいや、女の子に怪我される方が困るよ」クスッ
はい、キュンと来たこれ。
浦上「流石本元カミやんさんだネー」ニヤニヤ・・・
もあい「なー」コロコロ・・・
禁書「・・・・・・噛み付く準備は万全なんだよ」ギロリ・・・
スフィンクス「みゃー」トコトコ・・・
貴女達は大人しく猫と遊んでて下さい。
上条「えっと・・・・・・ん?」ジー・・・
神裂「な、何か」タラー・・・
上条「・・・・・・香焼。此方は?」
え?
上条「そっちは、五和だよな。制服着てるから分かり辛いけど」ジー・・・
五和「は、はい・・・・・・あはは。やっぱり変ですか」ポリポリ・・・///
上条「いや、そんな事ないよ。学生に扮してるってのマジだったんだな」ジー・・・
五和「そ、そんなに見ないで下さいよ」ムゥ・・・
上条「わ、悪い悪い」アハハ・・・
流石役者魔術師。ぶりっ子上手だな。
26 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 04:48:25.50 ID:3JwlWkfJ0
上条「それで、だ・・・・・・此方は、その・・・・・・お初?」ジー・・・
カオリ姉さんを見詰める朴念仁(上条)さん。
五和「・・・・・・えっと、マジで言ってます?」タラー・・・
上条「へ?」タラー・・・
神裂「」カアアアァ///
やっぱり私服着て髪降ろしてメイクすれば、気付かないものか。
浦上「あらら・・・・・・禁書目録。あの人誰だか分かりますよネ?」クスッ
禁書「当たり前。かおりでしょ」コクッ
瞬間、固まるウニ頭。
五和「くっ・・・・・・やっぱインパクトで勝負すべきだったか」チッ・・・
上条「か・・・・・・神裂さん?」キョトン・・・
神裂「」コクコクッ・・・///
上条「で、でも三人とも『姉さん』とか『姉様』って」タラー・・・
浦上「この家のルールなんです。この家の中では『女教皇』呼ばわりしない事ってネ」フフッ
上条「あー・・・・・・へー」ジー・・・
神裂「じ、ジロジロ、見ないで下さい」カアアァ///
上条「お、おぅ」ポリポリ・・・
やっぱり贋作と違って天然モノは違うなぁ。
五和「・・・・・・後で覚えてろ」ジトー・・・
上条さんの前でキャラ崩壊してるぞ? 良いのか?
五和「ぐ、ぬぬぅ」ギリリリ・・・
上条「五和? どっか切ったりしたのか?」チラッ
五和「いえいえ。御気になさらず」クスッ
その変わり身だけは賞賛に値するよ。
27 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 05:08:52.20 ID:3JwlWkfJ0
・・・・・寸・・・・・
香焼「上条さん、後は大丈夫っす。お茶出すので居間にどうぞ」
上条「ん。あいよ」コクッ
結局、上条さん主体での片付けとなってしまった。本当に申し訳ない。
一方、禁書目録はというと・・・・・・もあいとスフィンクスにわんこ芸を仕込もうとしていた。無茶な真似をするな。
五和「はぁ・・・・・・とりあえず姉さんは禁書目録の方に。私とウラが料理装っておきます」チラッ
浦上「ふむふむ」スッ・・・
神裂「・・・・・・感謝します」コクッ
猫に囲まれる修道女の下へ向かう長姉。自分はベランダで景色を眺める上条さんの所に歩を進め、二人を見ることにした。
禁書「そうじゃなくてハウスは・・・・・・あ。かおり!」パアアァッ!!
神裂「ご無沙汰してます。二週間ぶりでしたか」フフッ・・・
禁書「約一週間と5日と17時間25分ぶりなんだよ」クスッ
神裂「随分正確なアバウトですね。変わりありませんか?」
禁書「うん。かおりは・・・・・・変わった! とぉっても綺麗だよ!」フフフ
神裂「・・・・・・ありがとう」ポンッ
禁書「えへへ。あ! そうだ! この前ね―――」
あの二人は・・・・・・色々、考えさせられる。
上条「昔に比べれば全然ギクシャクしてないだろ」ハハハ
香焼「貴方のおかげっすね」コクッ
上条「何も。元々インデックスがああしたかったから、ああなってるんじゃないかな。勿論神裂もそうしたかったんだろうし」
香焼「でも・・・・・・記憶が」
上条「記憶が振り出しとかそういうのじゃなく・・・・・・何つーのかな、身体で覚えてたんじゃねぇの? 本能的っていうかさ」ポリポリッ
『躯』が『魂』の記憶を引き継いだ、という話か。
上条「あはは。詩的だな。流石理事校生」クスッ
香焼「関係ないっすよ」クスッ
個人的というか、教徒的にいえば・・・・・・現人神の如したる女教皇様が心から微笑んでる姿を見れて、感謝している。
上条「家族の、姉の、笑顔だろ」ポンッ
香焼「・・・・・・はい」コクッ
我が家のルール、か。
28 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 05:23:20.53 ID:3JwlWkfJ0
となると、あとはbPツンデレ・メンヘラ男を如何にかするだけだが。
上条「アイツは・・・・・・難しいな」ハハハ・・・
香焼「良いヤツなんすよ」
上条「知ってるよ。だけど不器用だ」
決して素直にならない。
上条「前に神裂が言ってたけど・・・・・・周りから崩してやるしかないんじゃないか」
香焼「周り、っすか」
上条「オマエなりアニェーゼなり、最近打ち解けてきた連中が中心にな。出来ると思うぞ」
香焼「・・・・・・努力します」クスッ
相当骨が折れそうだけどね。
さて、そろそろご飯も出せそうだし中へ・・・・・・
禁書「―――ねぇねぇ、かおり。私にもそういうおめかし出来るかなぁ」ジー・・・
神裂「私なんかよりずっと美人になりますよ。尤も、私はメイクマンにやってもらったので自分では何とも」アハハ
禁書「めいくまん?」
神裂「はい。香焼に」チラッ・・・
・・・・・・あー。
上条「・・・・・・香焼、凄ぇな」ヘー・・・
香焼「え、あ、いや」タラー・・・
浦上「今度姉様が香焼にメイク施すんですもんネー」ニシシ・・・
香焼「ちょ、オマ!?」ゲッ!?
上条さん、その『え。前々から勘繰ってたけどやっぱオマエ男の娘(そっち)の趣味が』的な目を止めてください。
五和「あ・・・・・・そうそう。他人でメイクの練習するのは良い手法と聞きますね」ニヤリ・・・
禁書「じゃあとうまで」チラッ
上条「勘弁してくださいお願いします」ダラダラ・・・
自分からもお願いします。上条さんは男らしい上条さんでいて下さい。
29 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 05:32:21.75 ID:3JwlWkfJ0
じゃあやっぱりぃ、と悪意の籠った笑みで馬鹿2号が告げた。
浦上「もう皆で香焼の顔に化粧すれば良いと思うヨ」ハハハ
禁書「むー。分かった。こーやぎ。練習台宜しく」
なっ・・・・・・
神裂「えっと、宜しくお願いします」タラー・・・
五和「ふふふ・・・・・・楽しみだわぁ」キランッ・・・
ちょ・・・・・・
香焼「か、上条さん!」タスケテッ!
上条「そ、その、何だ」ポリポリ・・・
数歩進み出て、自分を残して部屋に入り、自分に向かって背中越しに。
上条「まぁ・・・・・・頑張れ」アハハ・・・
香焼「」チーン・・・
英雄は残酷にも言い放った。
結局夕食後、鋼糸(ワイヤー)で固定され、散々な目にあったとさ。
香焼「不幸っす」グデェ・・・
五和「やっぱ可愛いいいいぃっ!!」キャー!!
神裂「・・・・・・ほぉ」キランッ・・・
浦上「後は服を女物にして・・・・・・、」フムフム・・・
上条「ふむ・・・・・・青ピの言ってた事を理解したかも」カシャッ・・・
禁書「なんかもあいに似てるね」ジトー・・・
もあい「なー?」キョトン・・・
禁書「君じゃなくてもあいだよ」フフッ・・・
んもー。誰か助けてください・・・・・・―――
30 :
第@話―――上条「まぁ・・・・・・頑張れ」 香焼「」チーン・・・
:2011/08/24(水) 05:46:28.43 ID:3JwlWkfJ0
<おまけっ!>
スフィンクス「にゃっ(ちょ、オマエ毎日モンポチ喰ってるの?)」ギョッ!
もあい「なぅ(毎日じゃないですよ。これはご主人様がお土産でくれたヤツの余りです)」
スフィンクス「みー(オマエのご主人金持ちだなぁ・・・・・・もう残飯で慣れちゃったよ)」
もあい「にゃー(いやいや、金持ってるのはもう一人のご主人ですって。この男の娘は結構ケチだよ)」
スフィンクス「なーぉ(どっちにしろ羨ましいよ。はぁ・・・・・・こんな豪邸住みたいなぁ)」
もあい「みゃっ(偶に来てもいいですよ。無理なんですか?)」
スフィンクス「なー・・・・・・(公園くらいなら行けるけど流石に第1学区まではなぁ)」
もあい「みゃー(あ、公園でも大丈夫ですよ。ご主人様が野良猫たちに超豪勢な餌振舞ってますから)」
スフィンクス「みゃぅ!(マジ?! 行く行く!)」キラキラ・・・
浦上「ニャハハ。おもろい話してますネ」クスクスッ
禁書「うらーは猫の声が聞こえるの?」キョトン・・・
浦上「まぁそれなりに。あと『うらー』ってのは止めて下さいヨ。赤じゃないんですから」ハハハ
香焼「」チーン・・・
五和「わぁ! やっぱ姉さんメイク上手です。何やっても上手いんですから」オー!
神裂「五和の教え方が上手だからですよ・・・・・・それにしても香焼。別人ですね」フフッ
上条「あのー、そろそろ香焼の男としての尊厳ライフが0に近づいてますよ?」タラー・・・
五和「・・・・・・うん! このコウちゃんなら上条さんに一日貸して上げても良いですね」フフッ
上条「・・・・・・無駄に可愛いので色々困ります」ポリポリ・・・
香焼「」
神裂「あ。音もなく倒れましたよ」キョトン・・・
『終われっ!!』
31 :
>>1
:2011/08/24(水) 05:56:41.41 ID:3JwlWkfJ0
はい。という訳で初日は終わりです。ねーちん&五和ファンの皆さん、マジごめんなさい。
因みに、先ほどのアンケはBで行かせてもらいますよ。
それじゃアンケート!
『次の選択肢は?』
@学園都市。(※登場希望キャラも書いてね! できればメインにして欲しい人を書いてください。天草姉弟以外ですよ)
A英国。(※)
Bその他。具体的にリクエストを。
以上! ご協力お願いします! ただし、何か話思いついたらそっち書くかもしれないけど・・・・・・そん時は許してね。
それでは感想質問意見罵倒リクエスト等々もよろしくお願いします。ではまた次回ー! ノシ
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/08/24(水) 06:23:30.43 ID:ef/CnDVPo
@あわきん
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/08/24(水) 07:24:49.43 ID:U5MqQgqAO
@削板ぁぁあああ!!
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/24(水) 08:33:05.91 ID:ZpcOT+cIO
乙!
アンケは@のみこくろコンビで
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/24(水) 13:24:08.85 ID:1/CoBUuAO
@根性さん
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/24(水) 13:32:36.29 ID:A5ZIR9nDO
@王道の絹旗。って、準レギュラーだから勝手に出るん?
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/08/24(水) 14:17:24.15 ID:vVTbsskHo
@佐天さんと初春で
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(京都府)
[sage]:2011/08/24(水) 15:28:17.55 ID:5J4053Rm0
乙乙
@だと土御門+α
A+Bなら香焼きゅんとルチアを2人っきりにさせたらどうなるのっと
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/24(水) 16:03:40.41 ID:lsMveENO0
B 寮鑑さんを出して欲しい!
ねーちんが弟妹の教育方針に悩み寮鑑さんに相談とか
必要悪の教会の女子寮に寮鑑さんが視察に来るとか
寮鑑は俺の嫁
40 :
>>1
:2011/08/24(水) 16:22:00.54 ID:3JwlWkfJ0
こんにちは。沢山意見が出て嬉しいのですが、見事にバラバラですね(苦笑)
先にレス返し。
>>36
・・・そうですね。絹旗はステイル・カルテッ娘と同じで準主役です。都市の話なら私の気分で直ぐにでも出します。
>>38
・・・二人きりだと上条さんに対する吹寄さんみたいになるかもね。
>>39
・・・寮監さん(とリメエア姫)は困った時に絶対出すよ。色んな意味で強い『大人』枠です。因みに黄泉川の先輩って事にしてます(笑)
さて、とりあえず@(学園都市)は決定で。主要サブについては安価にしましょう。
>>43
あくまで『主要サブ』なので勿論他のキャラも出すよ!
ではまた後ほど。具体的な投下時間は言いません。有言不実行はいつもなので(苦笑) んじゃまた。
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/24(水) 16:35:12.89 ID:JtobEnpSO
絹旗
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/24(水) 16:56:36.24 ID:u9RaFv+u0
あわきん
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/08/24(水) 16:57:49.92 ID:vVTbsskHo
佐天さん
44 :
>>1
:2011/08/24(水) 23:52:26.16 ID:3JwlWkfJ0
こんばんわ。ボチボチ投下していきます!
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/24(水) 23:54:41.04 ID:aNnewxHc0
正座して待ってます
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2011/08/25(木) 00:08:30.79 ID:2ydqoeL/0
さあ来い
>>1
よ!
待っているぞ!
47 :
第A話(13話)―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
[sage]:2011/08/25(木) 00:13:16.17 ID:Jhet7Q0e0
―――とある休日、AM05:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
天草式の魔術は『普段の生活』の『何気ない事』が魔翌力だったり術式に繋がるものも多い。
この『早起き』というのも、とある由縁の一つなのだが・・・・・・それ以外にも色々メリットがある。
目覚ましを叩いて止める少年―――香焼。
眠気眼のまま居間に移動し何故か我が家で、もあいを抱きながら寝ている馬鹿1号(五和)を踏みつけ・・・・・・
五和「う、ごぅ・・・・・・くぅ」プルプル・・・パタンッ・・・
香焼「五和、オマエいつの間にウチ来たんすか」ハァ・・・
五和「ぐぅ・・・・・・すぅ」ムニャムニャ・・・
もあい「くぅ」スヤスヤ・・・
・・・・・・やれやれ、と顔を洗いに洗面所へ向かう。
香焼「・・・・・・よしっ」パシッ
ジャージを着て、玄関に。そしてランニングシューズを履いて、ミュージックプレイヤーを再生する。
ステイルに借りたよく分からないブリティッシュロックがガンガン頭に響き渡り、眠気を取っ払う。
香焼「行ってきます」ガチャッ・・・
早朝ランニングへ向かった。
48 :
第A話(13話)―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
[sage]:2011/08/25(木) 00:50:45.65 ID:Jhet7Q0e0
―――とある日、AM05:40、学園都市第7学区、とある(イカレ自動販売機在中の)公園・・・・・
この街は早朝でも心地良い気質である。コンクリートジャングル故に暑そうなイメージがあるがそうでもない。
流石は科学の街。大型の空調管理機だかシステムだかで天候以外は操作できるらしい。
香焼「そんな所が嫌われるのかもしれないけどね」ハハハ・・・
自然の理に反してる、と邪険にする反科学信仰な輩もちらほら。非常に馬鹿馬鹿しいと思う。
さておき、このランニングには二つの意味がある。
一つは先と同じように魔術的な体調管理・調整の様なモノ。もう一つは純粋なトレーニングとしてである。
自分は周りの連中とは違い、身体が小さく魔術師としてもまだまだ未熟。一武道家としても(短刀使い・天草式体術など)ヒヨっこ。
要するに『努力』しなければ、周りの『天才』達に取り残されてしまうのだ。
香焼「・・・・・・こういう考えしてると、また怒られるな」タッタッタッタッ・・・
こういう事をポロリ口溢すと、主にアニェーゼ、アンジェレネが僕を叱る。
何でそんなに必死になって怒るのか分からないってくらい怒る。ホント勘弁してください。
・・・・・寸・・・・・
少し遠出をしようと、第7学区南部の公園の方まで足を伸ばす。自分が最愛とよく待ち合わせするイカレ自販機の公園。
園内の中枢にある自販機が見えた辺りで時計を止め、財布を取り出した。
香焼「・・・・・・あれ?」ピタッ・・・
人影。
こんな時間に公園にいるのは、早朝散歩が趣味な老人か公園を根城にしている浮浪者くらいだろう。
よくよく目を凝らすと・・・・・・
香焼「・・・・・・佐天さん?」キョトン・・・
柵川中学に通ってるという自分と同学年の女の子。以前、この公園で最愛と一緒に仲良くなった。
佐天「ん・・・・・・あれ? 香焼くん?」キョトン・・・
水色のジャージにポニーテール姿。普段の姿とは90度くらい違って見える。
香焼「えっと、おはよう」テクテク・・・
佐天「あ、うん。おはよう。どうしたの?」キョトン・・・
香焼「まったく同じ事聞きたいっすけど。自分は早朝ランニングってとこだよ」クスッ
佐天「ハハハ。私も同じだよ」クスクスッ
何とまぁ、意外な同好の志がいたものだ。
49 :
第A話(13話)―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 01:04:47.03 ID:Jhet7Q0e0
彼女は『ふぅ』と汗を拭うと、その場で軽いストレッチを始めた。
自分はとりあえずスポーツ飲料でも買おうと彼女の横まで移動する。
佐天「あれ? 香焼くんって第1学区じゃなかった?」フー・・・
香焼「え、うん」コクッ
佐天「此処まで走りに来たの!?」キョトン・・・
香焼「あはは、そだね」ポリポリ・・・
牛乳スポドリというのを購入してみる・・・・・・不味い。
香焼「うぇっ・・・・・・佐天さんは毎日走ってるの?」ダバダバ・・・
佐天「毎日って訳じゃないけど、最近は結構頻繁にかな。って、それ勿体無っ」タラー・・・
だって不味いんだもん。
佐天「始めにハズレだって気付きなよ」ハハハ・・・
香焼「何かこう・・・・・・冒険心?」
佐天「ハハハ。御坂さんみたいなこと言うんだね」クスッ
超能力者第3位はゲテ物チャレンジャーらしい。とっても如何でもいい情報だよ。ありがとう。
佐天さんは首をグリグリ回した後、此方を見て提案した。
佐天「ストレッチ、する?」チラッ
香焼「え?」キョトン・・・
佐天「二人組で体前屈とかって事」ニカッ
そういう事か。では同行しよう。
50 :
第A話(13話)―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 01:21:04.77 ID:Jhet7Q0e0
・・・・・寸・・・・・
二人で芝生のある辺りに移動し、ストレッチを始める。まずは各々。
佐天「・・・・・・んー」ジー・・・
香焼「どうしたの?」グググ・・・
佐天「いや・・・・・・何かね」フフッ
香焼「??」ポカーン・・・
何故か僕の顔を見て微笑む彼女。
佐天「あ、知ってる? ストレッチしてる時は適度なお喋りすると良いんだって」グッ
香焼「有酸素運動になるからね。あと気分的にもリフレッシュできるし」コクッ
佐天「なるほどなるほど。やっぱ頭の良い香焼先生は知ってらっしゃったかぁ」フフッ
香焼「先生なんて言われたの初めてっすよ」クスッ
佐天「そう? 香焼くん、イメージ的にはインテリ系だと思うけど。普通に眼鏡とか掛けてそうだよ」クスクスッ
生憎視力は2,0オーバーです。
佐天「私もー! 意外なところで同じ点多いね」ハハハ
香焼「そうかな」クスッ
佐天「まー、身長(タッパ)は私の方が大きいけどね」ニヤリ・・・
香焼「うぐっ」グサリッ・・・
気にしている事を・・・・・・
佐天「あー、ごめんごめん! あ、後でジュース奢るから許して!」アタフタ・・・
香焼「・・・・・・別にいいっすよ」ハァ・・・
悔しいが実際、彼女のほうが数センチ大きい・・・・・・主(神様)の馬鹿ヤロー畜生めー。
51 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 01:53:41.82 ID:Jhet7Q0e0
さておき、二人組みのストレッチへ。先に佐天さんが地面に伸脚で座り、自分がそれを押す形に。
彼女のポニテを避け、背中・腰を押す。
佐天「ふー」グググ・・・
香焼「佐天さん、柔らかいっすね」ヘー
佐天「そうかなー」フー・・・
開脚も180度に近いくらい開いている。一般女性なら充分だろう。
佐天「アハハ。まぁ身体能力と元気が取り得ですから」クスッ
香焼「いやいや。最後にモノをいうのは身体能力だよ」クスクスッ
佐天「そうかな」ハハハ・・・
足の裏をくっつけ、両膝をペタリと地面に付ける彼女。多分対馬さんくらいは柔らかい。
余談だが、自分の身内(天草教徒)は基本的に身体が柔らかい。女教皇様や五和は逆立ちしながら180度前後左右開脚可能。
佐天「随分アクロバティックな身内さんだね」ハハハ
香焼「化け物レベルっすよ・・・・・・はい。このくらいでOKっすか?」
佐天「ありがと。じゃあ・・・・・・肩と太腿押してくれる?」グルッ
仰向けになり、片足を身体の反対側に入れる彼女。
香焼「ゆっくり押すよ」グッ
佐天「くぅ〜。効くねー」グググ・・・
撫でられた猫の様な表情をする佐天さん。なんか親父臭い。
佐天「ひどーい。こう見えても乙女なんですけどっ」ジトー・・・
香焼「ははは。ごめんごめん。じゃあ反対ね」クスッ
佐天「うー・・・・・・後で覚えてろよー」ムムッ
頬を膨らましてジト目で見遣ってくる少女。五和みたいな事言わないでください。
52 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 02:09:50.20 ID:Jhet7Q0e0
一通りの柔軟が終了し、交代する。
佐天「さてさてぇ・・・・・・多少強引にやっちゃうぞー」ニヤリ・・・
香焼「はいはい。遠慮なくどうぞ」クスッ
背中を押される。
佐天「よっと。って・・・・・・柔らかっ!?」ギョッ!
香焼「ハハハ。硬くなくてゴメンね」クスッ
佐天「ぐぬぬぬぅ・・・・・・開脚なら!」
180度開脚してみせる。
佐天「・・・・・・、」アー・・・
香焼「自慢じゃないけど、このまま逆立ち出来るっすよ」フフッ
佐天「・・・・・・香焼くん。君は何者だい?」タラー・・・
『普通』の同い年だよ、と苦笑しながら誤魔化した。
佐天「なんだよー。タダの優男くんじゃなかったのね」クスクスッ
香焼「あー。佐天さん、自分の事そういう風に見てたんすね」ジトー・・・
佐天「ぶっちゃけ庇護欲の沸く男の子かと」クスッ
香焼「ひどっ!?」
佐天「ハハハ。冗談だよ。でももしかしたら色んな意味で弱っちいかなぁと思っちゃってました。すいません」アハハ・・・
まぁ見た目が見た目だから、よくそう思われるけど、ショックだ。
佐天「で、でもでも! ほら! 評価改まったから! 初春とか春上さんよりも身体能力は上なんだなぁって!」アタフタ!
香焼「・・・・・・あの二人?」
佐天「えっと、柔軟で爪先まで手が届かない。あと腕立て20回出来なかったり、短距離長距離凄ーく遅かったり」ポリポリ・・・
香焼「え、えっと、人には向き不向きが有るっすよ。多分能力無しの最愛もそんな感じだろうし」ポリポリ・・・
佐天「最愛ちゃんは・・・・・・運動しなさそうだもんね」ハハハ・・・
どうも高位の能力者は能力(チカラ)に頼りっきりみたいだからね。
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/25(木) 02:12:49.82 ID:8PN+5sTDO
おまわりさん! 朝っぱらから少年少女が身体くっつけたり離したりしてます!
54 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 02:26:06.94 ID:Jhet7Q0e0
刹那、彼女はふと、難しそうな表情を見せ『でも』と呟いた。
佐天「・・・・・・御坂さんや白井さん、固法さんは身体能力も高いよ」
香焼「努力してる人はしてるんだね。でも佐天さん程じゃないでしょ」
佐天「そう、かな」ハハハ・・・
照れてるような複雑そうな、何ともいえない表情。
佐天「・・・・・・まぁ人それぞれだよね。さぁ香焼くん、続き! 仰向けなって!」エイッ!
香焼「おわっ!」ゴロッ
佐天「そんじゃあ・・・・・・このまま関節技(サブミッション)へ移行しましょうか」ニヤリ・・・
勘弁してください。
佐天「冗談冗談。じゃあ押すよー」グッ・・・
香焼「うぇっ!?」ファサッ!
佐天「あ、ごめん!」アララ・・・
彼女が横を向いた瞬間ポニテが自分の顔に掛かった。
佐天「ははは・・・・・気をつけます」ペコッ
香焼「仕方ないよ。気にしないで」クスッ
佐天「優しいねー・・・・・・ふむふむ。やっぱ香焼くん、意外と筋肉あるんだね」ムニムニ・・・
香焼「ひゃぅっ!!? ちょ、何してんの!?」ギョッ!
佐天「太腿もみもみ。腕もみもみ」オー・・・
香焼「や、やめっ! んやぅっ!!」ビクッ!
佐天「はっはっはっはっ! かわいー。女の子みたいだね! 良いでわないかー良いではないかー!」ニシシ!
暴走したレッサーみたいな事しないでください!
55 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 02:49:02.78 ID:Jhet7Q0e0
寮監「
>>53
。屋上だ」
・・・・・寸・・・・・
ストレッチという名のセクハラが終わる。時計を見ると7時を過ぎた辺りだった。
佐天「あー。そろそろ帰らないと拙いね」チラッ
香焼「そうだね。一応平日だし」
佐天「・・・・・・うん」スッ・・・
立ち上がり葉っぱを払う佐天さん。自分も身体を起こし、髪についた砂を払った。
では、そろそろ出ようか。
佐天「あ・・・・・・ねぇ。香焼くん」チラッ
香焼「ん?」ピタッ
イヤホンを耳に掛けようとした瞬間、呼び止められた。
佐天「あの、さ。私はいつも此処グルグル走ってるんだけど・・・・・・香焼くんは?」
香焼「自分は気分で色々っすよ。基本的には第1学区周りっすけどね」
佐天「そうなんだ・・・・・・えっと、良かったらなんだけど、一緒に走らない?」ポリポリ・・・
香焼「え?」キョトン・・・
佐天「あ、いや。無理だったら別にいいんだけど」アハハ・・・
無理ではないが、どうして?
佐天「どうしてって・・・・・・ま、まぁ同好の士としてかな」ポリポリ・・・
香焼「ははは。なるほどね」クスッ
それなら大歓迎だ。
佐天「ほ、ほんと!?」パアアァッ!!
香焼「うん。でも自分、毎回こっち来れる訳じゃないっすよ」
佐天「それは、ほら! メールで場所とか時間考えれば大丈夫! 私、香焼くんとアド交換したよね?」ニカッ!
香焼「うん。した筈っすよ」コクッ
佐天「よしっ! じゃあまた後でメールするよ!」ブイッ!
やけに楽しそうな彼女。
佐天「うん! それじゃあまたね!」ノシ
元気良く駆けて行く彼女。自分も自販機で缶ジュースを一本買った後、自宅へ戻る事にした。
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/08/25(木) 02:55:29.13 ID:f8R0ynCso
フラグ立ったのかな?
流石はカミやん病患者だな
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2011/08/25(木) 02:58:17.73 ID:2ydqoeL/0
>>53
め、無茶しおって
>>56
、フラグが立たない訳がなかろう
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/08/25(木) 03:02:56.60 ID:hYTIZZYH0
ここの香焼は、上条さんの後継者的存在になりつつあるからな
フラグメイカー的な意味で
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/08/25(木) 03:16:02.53 ID:f8R0ynCso
でも本家カミやん病に立てられた人には新しくフラグ上書き出来ないよな
スキルが上がれば本家を越せるのかな?
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/25(木) 03:16:16.66 ID:9zIAen/DO
当たり前だから///
香焼という名の
>>1
を自己投影したオリだもん///
ほのぼのキュンキュン応援
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/08/25(木) 03:36:10.45 ID:hYTIZZYH0
>>59
其処まで行くとただのNTRにならね?
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/08/25(木) 03:37:25.16 ID:f8R0ynCso
スキルが上がると鈍感も増すのかな?
63 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 03:53:22.01 ID:Jhet7Q0e0
―――とある日、PM05:30、学園都市第7学区、風紀委員第177支部・・・・・
佐天「・・・・・・ふふっ♪」カチカチッ・・・
御坂「・・・・・・ねぇ。何で佐天さん楽しそうに携帯打ってるの?」ボソッ
初春「さぁ」ジー・・・
春上「朝からずーっとああなの」ジー・・・
御坂「ふーん。また変な都市伝説でも見つけたのかな? 先輩、如何思います?」フム・・・
固法「貴女達。自然に私に話しかけてるけど、此処何処だか良く考えて私に話振ってね」ハァ・・・
初春「まぁまぁ。そこはこう空気読みましょう」ニコッ
固法「オマエは仕事しろ!」ボフッ!
御坂「え、えっと・・・・・・宜しければ先輩の意見をお聞かせ願えないでしょうか」ペコッ
春上「お願いなの」ペコッ
固法「ハァ・・・・・・そんなに気にしなくても、本人がその内話すでしょ」ッタク・・・
御坂・初春・春上『へ?』
白井「・・・・・・男、ですの」ボソッ・・・
御坂「あ。黒子いたの?」
白井「黒子だけに目立たずに、ね! ってじゃかあしぃですの!!」ナンデヤネンッ!!
初春「・・・・・・男、だと?」ダラダラ・・・
白井「先輩の含みの有る言い方も考慮すればそう推察すべきでしょう・・・・・・先輩は男のプロですからぶべしっ!!」ボンッ!
固法「誰が男のプロよ!!」ガアアァッ!!
春上「え、えっと、それで?」タラー・・・
固法「ハァ・・・・・・好きな人かどうかは別として楽しそうなんだからそれで良いじゃない。深く聞くもんじゃないわよ。特に携帯は」ポリポリ・・・
白井「流石、怪しいメールが原因で彼氏と大喧嘩した女はいう事が違いぃだだだだだぁっ!!」ギュウウゥッ!!
初春「でも仲直りした次の日の学校は午後から登校になるほど激しく燃えたんでしたっけうぃ痛い痛い痛いぃっ!!」ガシッ!!
固法「だ、黙ってろ!!」カアアァッ///
春上「ほぇ?? 午後登校? 激しく燃えた??」ポカーン・・・
御坂「は、春上さん。聞かなくて良いからね」タラー・・・///
佐天「・・・・・・えへへ♪ 明後日、かぁ」カチカチッ・・・Pi!
64 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 04:05:50.39 ID:Jhet7Q0e0
【特別コーナー:教えてK先生!】
垣n・・・K『はい。サラッと疑問に答えるぜ』
・禁書目録、御坂、姫神、妹達(上条派)、神裂、五和、オルソラ、吹寄。など
↑上条絶対〜〜〜〜(レッサー、白井など)〜〜〜〜香焼旗↓
・絹旗、結標、アニェーゼ、アンジェレネ、サーシャ、佐天、春上、那由他。など
K『という勝手なイメージです。ただし、一方通行枠と浜面枠もあったりするよ』
例)絹旗の浜面に対する微妙な感情。結標の無意識下での一方通行に対する懐柔。など
K『またチョイチョイ捕捉するよー』ノシ
65 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 04:26:05.97 ID:Jhet7Q0e0
※
>>47
・・・とある休日 → 『とある日』 に訂正。
―――それから数日後、PM07:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
・・・・・イタダキマース!
五和「もぐもぐ・・・・・・そういえばさぁ」チラッ
香焼「ん?」
五和「最近コウちゃん朝早くない?」ビシッ
神裂「こら、箸で人を指してはいけません」メッ
五和「あ、はい」コクッ
香焼「自分としては、最近朝になると何故か五和がウチの居間で寝てるって事の方が不可解っす」モグモグ・・・
五和「義姉弟なんだからいいでしょー」ムゥ
香焼「そういう問題じゃねぇっつの」ジトー・・・
五和「それじゃあ、ほら! 大事な大事な義弟ちゃんの事が心配で心配で」フフフ・・・
香焼「キモい! てか真夜中! 施錠してんのに! どっから入ってきてるの!?」
五和「き、きもいって」ガーン・・・
浦上「香焼ー。お姉のキーピック技術嘗めたらダメだヨ。最新式の指紋声紋認証だって突破するゾー」ハハハ
香焼「・・・・・・それについては驚かないっすよ」ハァ・・・
神裂「ふむ・・・・・・五和。家主(香焼)が疑っているのです。真面目に応えなさい」モグモグ
五和「え、えっと」ポリポリ・・・
浦上「エアコンぶっ壊れたんですよネー。だから年中快適な此処来てるんだヨ」フフッ
五和「あ、こら!」アワワ・・・
香焼「・・・・・・アホくさ」ハァ・・・
神裂「まぁ家主が嫌がっているのであれば訪問しないべきでしょうけど」ハァ・・・
五和「じゃあ姉さん。あの辛気臭い都市立ホテル、一人で泊まれるんですかー。それが嫌だから此処来てるんじゃないんですかー」ブーブー!
神裂「ぐっ・・・・・・こ、香焼が迷惑というのであれば・・・・・・止むを得ないでしょう」クゥーン・・・
香焼(貴女追い出したら他の教徒に殺されます)タラー・・・
浦上「まぁまぁ。皆仲良くしましょうヨ。ねー香焼」チラッ
香焼「・・・・・・まぁ、その、自分が起きてる時間内に来てよ」ハァ・・・
五和「わーい。コウちゃんがデレたー」ハハハ!
香焼「・・・・・・、」イラッ・・・
浦上(お姉は学習しないナー)ハハハ
もあい「なー」コロコロ・・・
66 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 04:44:45.49 ID:Jhet7Q0e0
神裂「やれやれ・・・・・・それで、五和。早起きが如何とか」チラッ
五和「あ、そうそう。コウちゃんマジで早いんですよ候」フムッ
香焼「語尾に悪意しか感じません。カオリ姉さん、コイツ叩き切って良いっすか?」ギロッ・・・
浦上(事実じゃん)ハハハ
神裂「まぁ次下品な事抜かしたら私が割と本気で怒るので安心して下さい」ニコリ・・・
五和「・・・・・・じ、自重します」タラー・・・
神裂「ったく・・・・・・しかし、早起きですか? 別に悪い事でも何でもないでしょう」フムッ
五和「だって任務でもないのに5時前起床ですよ? おかしいです」
香焼「別に。走りに行ってるだけだよ」モグモグ
浦上「あー。早朝ランニングだっけ。学園都市(こっち)でもやってるんだネ」ヘー
神裂「こっちでも?」ハテ?
浦上「香焼、英国(アッチ)でも諫早さんと朝走ってますヨ」モグモグ
神裂「健康的ですね。良いじゃないですか。五和も見習ったら如何です?」フフッ
五和「えー・・・・・・、」タラー・・・
香焼「・・・・・・、」フンッ・・・
浦上(お姉と姉様はマジモンの天才型だから、香焼の地味な努力は気付かないわナー)ジー・・・
もあい「・・・・・・なぅ」ジー・・・
五和「それにしても・・・・・・起こされるコッチの身としたらねぇ」ムゥ
香焼「自分勝手なヤツだなぁ。じゃあウチ来るなよ」ハァ・・・
神裂「ルール破りで真面目な話をしますが・・・・・・任務に支障をきたさないのであれば問題無いかと」コクッ
五和「うぃ・・・・・・でもせめて態と踏みつけるには止めてくださーい」モグモグ・・・
神裂「だそうですよ」チラッ
香焼「気をつけます。でも寝惚けて踏んだらゴメンナサイ」ニコリ・・・
五和「わぁ。なんて悪意の篭ったゴメンナサイなんだろう」ハハハ・・・
神裂「まったく、仲が良いのやら悪いのやら」ハァ
浦上(・・・・・・後で香焼の動向探ってみようカナー)クスッ
もあい「みゃー」トコトコ・・・
67 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
:2011/08/25(木) 05:26:36.58 ID:Jhet7Q0e0
―――更に数日後、AM05:50、学園都市第7学区、『窓のないビル』付近の公園・・・・・
それから週に二回くらいのペースで佐天さんと共にランニングをするのが習慣となった。
自分が任務の時や、互いに何かしらで忙しい日は一緒にというのは無理だったが、それでも可能な限り都合を合わせた。
集合場所は都市の中心、統括理事長が居ると謂われている『窓の無いビル』の付近。
自分はいつもの公園でも構わないと言ったのだが、彼女がそれでは申し訳ないと丁度中間辺りを選んでくれた。
集合時間は朝5時45分。自分は5時半に家を出ても間に合う距離だ。
香焼「・・・・・・あ、ごめん。待った?」タッタッタッ・・・
佐天「ううん。今来た」フフッ
誰も居ない公園。二人だけ。
香焼「ホント閑散としてるね」ハハハ
佐天「四十六時中賑わってはいないだろうからね。此処らは治安も良いし、ノホホンとしてるよ」クスッ
香焼「ノホホンねぇ」チラッ・・・
『ビル』を見上げ、そう呟く。
佐天「うん。とりあえず・・・・・・さ! 走ろうよ!」ニカッ!
香焼「・・・・・・そうだね」クスッ
佐天「今日は如何する? 公園内回る? それとも街中走る?」wkwk!
香焼「任せるよ」フフッ
佐天「んもー。主体性無いなぁ。そんなんじゃ女の子に頼られないぞ」メッ!
よく言われます。
佐天「まったく、お姉さんとしてそこんとこ心配だなぁ」ハァ
香焼「・・・・・・は?」ポカーン・・・
佐天「お姉さんだよ。香焼くんの。姉貴分って事ね」クスクスッ
貴女、自分とタメでしょーが。
佐天「・・・・・・それでもお姉さん分なの! しょうがないから連いてきなさいっ!」グイッ
香焼「わ、と・・・・・・もぅ」クスッ・・・
アニェーゼやレッサーとは違う強引さ。五和や淡希さんとは違う姉貴分、かぁ・・・・・・不思議な人。だが嫌ではない。
近いのは軍覇かな? F(バカ)という意味ではなく、熱血という意味で。
兎角、自分らは例の如くランニングに出かけるのであった。因みに今日は園内コースに決定。
佐天「頭でゴジャゴジャ考えるなー! 行くわよー」タッタッタッ!
香焼「了解っす」ハハハ
彼女と一緒に走ると・・・・・・難しい事を考えなくて済む。清々しい、とでも言うのだろうか。
とても楽しい素敵な時間だった。
68 :
>>1
:2011/08/25(木) 05:27:48.35 ID:Jhet7Q0e0
すいません。一度寝ます。起きたら続き書くよ!
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/25(木) 09:12:46.30 ID:wivCUNUAO
クスッ
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/25(木) 11:05:50.30 ID:IbhvSZnAO
いい話だな〜
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2011/08/25(木) 15:43:46.16 ID:xlt9W2sR0
原作とキャラ違いすぎて気持ち悪いです
気持ち悪いです
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/08/25(木) 15:44:56.90 ID:hYTIZZYH0
>>64
掛け持ちも含むって事?
73 :
>>1
:2011/08/25(木) 17:55:47.90 ID:Jhet7Q0e0
こんばんわ。続きです。
>>72
・・・あくまで『旗』の掛け持ちにすぎません。実際くっつくか如何かはこのSSでは書きませんよ。書くとしたら『アフター』で。
とりあえず、投下!
74 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/25(木) 18:19:57.66 ID:Jhet7Q0e0
・・・・・寸・・・・・
彼女のペースに合わせ30分ほど走った後に、ストレッチしやすそうな場所へ移動する。
この公園はラバー製の地面(床?)も配備してあるので、運動だったりダッシュをしやすい。
佐天「―――でねでね! そういう噂があるんだよ! 知ってた?」
笑顔を絶やさず、さもありふれた教室での会話の様に、自分へ話しかける彼女。
香焼「都市伝説っすか。聞いた事無いなぁ」
佐天「調べると沢っ山有るんだって! 面白いよ」
香焼「うーん。でも非科学的じゃない?」
佐天「それだよ! 皆してそんなオカルトは非科学非科学って! 夢が無いよねぇ」ハァ・・・
香焼「ハハハ。佐天さん、案外ロマンチストなんすね」クスッ
佐天「そうかなぁ。香焼くんは信じない?」ムゥ・・・
香焼「・・・・・・信じるよ」フフッ
だって『全ての能力を打ち消す右手を持つ男の噂』とか、完璧上条さんですもん。
ストレッチをしながら浪漫譚を聞かされる。
彼女の好きな『都市伝説』とか『七不思議』というヤツは科学なのか魔術なのか、扱いの難しい話だ。
尤も、真に受けずにユーモアとして捉えるのがこの手の話の正しい扱いだろうけど。
佐天「あー。また難しい事考えてるでしょ」ジトー・・・
香焼「え? いや、そうでもないよ」
佐天「そう? 香焼くん、目を放すとすぐ難しい顔するからなぁ」フフッ
よく言われるが、自分ではどんな顔をしているのか分かりません。
佐天「こーんな顔だよ」ムムム・・・
香焼「・・・・・・えー」タラー・・・
佐天「ホントだって! 頭の上に三点リーダー沢山並んでる様な顔」ハハハ
自分の顔真似(?)をして見せる彼女。
まったく、事実だとしたら相当根暗くんだな。ステイルの事を馬鹿に出来なくなる。
75 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/25(木) 19:18:35.47 ID:Jhet7Q0e0
それにしても、彼女はポジティブだ。自分の周りにはこうも良い意味で明るい人間はいない。
佐天「そりゃまぁ元気印の佐天涙子ですからねっ」エヘンッ!
足首手首を回しながら彼女が胸を張る。
佐天「さて、ジュースでも買って一服しましょうか」
香焼「そうだね」
近くにベンチのある自販機コーナーへ歩を進める。
自分はウーロン茶スポドリを、彼女はスポドリココアを購入。この自販機は何故ゲテモノしか置いてないのだろう。
佐天「しかしすっかり朝起きも慣れたよねー」
香焼「そういえば佐天さん、宿題とかはキチンと片付けてるの?」
佐天「あー大丈夫大丈夫。初春の写すから」ハハハ
香焼「えー」タラー・・・
彼女らしいといえば彼女らしいのかもしれない。
佐天「香焼くんこそ大丈夫? 色々忙しいんでしょ? その・・・・・・無理してない?」
香焼「問題無いっすよ。基本的に宿題は学校で終わらせてくるし」
佐天「流石天才くん。でも睡眠時間削ってまで私に付き合ってくれる必要無いよ」
香焼「え? そんな事無いけど・・・・・・如何したの?」キョトン・・・
佐天「あ、え、いや、何でもない何でもない」アハハ・・・
気遣ってくれるのは嬉しいが、体調管理はキチンとしているつもりだ。
佐天「・・・・・・意外と完璧人間なんだね」ヘー・・・
香焼「そんな事ないよ。自分なんてヒヨっこだから」
佐天「あー。また『自分なんて』って言った。禁止だよ!」メッ!
半ば口癖と化している。困ったものだ。
佐天「って・・・・・・うわぁ。このスポドリ不っ味いよ」ウヘェ・・・
香焼「ココアって・・・・・・自分のと交換する? こっちはまだ飲めるよ」スッ・・・
佐天「え」ピタッ・・・
何故か固まる佐天さん。如何したのだ? ウーロン茶苦手?
76 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/25(木) 19:30:49.86 ID:Jhet7Q0e0
彼女は小さく首を振り、上目遣いで此方を見て、呟いた。
佐天「い、いや、苦手じゃないけど・・・・・・、」ポリポリ・・・
香焼「ん??」キョトン・・・
佐天「い、いいの?」
香焼「別にいいっすよ。まぁ自分がココア味飲めるか如何かはアレっすけど。そん時は半分こって事で」ハハッ
おずおずと自分のスポドリを受け取る佐天さん。
自分も彼女のココア味のスポドリを貰い、飲んでみる事に。
香焼「・・・・・・うぇ」タラー・・・
佐天「あはは・・・・・・だよねー」ポリポリ・・・
前々から思っていたけど、この街の飲料開発関係者はネジが外れてるのではなかろうか。
佐天「じゃ、じゃあいただきます―――」ゴクッ・・・スッ・・・
香焼「どうぞ。コッチよりはマシっすよ」ハハハ・・・
佐天「―――・・・・・・う、うん。ソウダネ」コクッ・・・///
何故か機械的な返事をする彼女。やっぱそんなに美味しくなかったかな。
佐天「い、いえいえ! 美味しかったよ」ブンブンッ///
香焼「うん。変なの」クスッ
佐天「そ、そろそろ休憩終り! もう少し走ろう!」ムンッ!
顔をパシッと叩き、立ち上がる。それから自分に手を伸ばし、行こうと微笑んだ。
この街での日常。楽しみの一つ。彼女の提供してくれるこの時間はとても有意義なもの。
77 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/25(木) 20:17:46.04 ID:Jhet7Q0e0
―――また数日後の休日、AM06:00、学園都市第7学区、『窓のないビル』付近の公園・・・・・
珍しく休日の朝に走る事となった。だが生憎雲行きが宜しくない。
自分は昨晩、今日は止めておこうかと連絡したのだが、出来れば走りたいと彼女に断られ強行することに。
小雨の中、ウィンドブレイカーを着て『ビル』付近の公園へ向かう。
香焼「・・・・・・今日は自分の方が先かな」キョロキョロ・・・
まるで人気が無い。人払いの結界を張ったかの様な静けさ。自分は雨の凌げる場所に移動し、彼女を待つ事にした。
ストレッチをしながら待つ事数分、いつもの水色ジャージを来た佐天さんが現れる。
佐天「ご、ごめん。遅れちゃった」ハァ・・ハァ・・・
香焼「ううん。いつもは自分が待たせてるから」
佐天「ふぅ・・・・・・それじゃあ走ろうか!」ニカッ!
いつもの笑顔。さて行こうか、と立ち上がった瞬間・・・・・・気付いた。結構、雨が強い。
香焼「佐天さん、この中来たの!?」チラッ・・・
佐天「うん・・・・・・、」フゥ・・・
びしょ濡れ、頬が真っ赤、息が荒い。
香焼「無理して」モゥ・・・
佐天「大丈夫大丈夫! 水も滴る良い女ってね♪」クスッ
香焼「風邪ひいちゃうっすよ」
佐天「アハハ。心配してくれてありがと。でも走れるよ」
香焼「もぅ・・・・・・、」ヤレヤレ・・・
彼女の肩に手を乗せ、首を振る。
佐天「ふぇ!?」ドキッ・・・
香焼「此処に居よう。走らなくてもはストレッチ出来るから」ポンッ
佐天「わ、分かった」コクンッ・・・
此処なら屋根があるし、ベンチもある。これ以上彼女に馬鹿な真似をさせる訳にはいかない。
78 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/25(木) 21:03:36.90 ID:Jhet7Q0e0
・・・・・寸・・・・・
彼女がトイレから戻ってきてからストレッチを始める。身体が冷えているので、ゆっくりと大きく屈伸。
珍しく彼女の口数が少なかった。
香焼「ホントに大丈夫?」グッ・・・
佐天「ん・・・・・・大丈夫だよ」フゥ・・・
香焼「・・・・・・、」ムゥ・・・
一通りステレッチが終わる。外はまだ強い雨。これではまだ走れない。
空を見上げる自分をよそに、彼女は膝を抱えてベンチの上に座った。そしてぼそりと呟く。
佐天「・・・・・・ごめんね」ボソッ・・・
香焼「え?」
佐天「雨降るの分かってたのに、無理やり走ろうって」シュン・・・
香焼「・・・・・・仕方ないよ。こんなに強くなるとは思わなかったし」
佐天「うん・・・・・・、」
自分の顔を見ず淡々と告げる彼女。なんか・・・・・・調子狂う。
香焼・佐天「「・・・・・・、」」ジー・・・
二人並んでベンチに座る。言葉は無い。
思えば彼女と居る時にこんな事になるのは始めてだ。彼女は常に自分へ話しかけている。
聞いていて嫌な感じではない。寧ろ心地良い雰囲気・・・・・・だが、今は・・・・・・
佐天「ねぇ」ボソッ
香焼「ん」チラッ
佐天「・・・・・・香焼くんは、あんまり自分の話しないよね」
香焼「そうかな」
佐天「あんまり聞いた覚えないかな」
そういえばそうかもしれない。
佐天「教えてって言ったら、教えてくれる?」
香焼「えっと・・・・・・、」ポリポリ・・・
あまり話せるような話題がない。
仕事については勿論不可能。学校生活はまるで面白みが無いし・・・・・・自身については、話したくない。
佐天「・・・・・・私には話せない?」
そういう問題ではないのだが・・・・・・困ったな。
79 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/25(木) 21:24:40.94 ID:Jhet7Q0e0
何でもいいから教えて、と言われ止むを得ず口を開く。
香焼「学校は、あんまり面白い所ではないっすよ。知っての通り勉強ばかりだし」
佐天「理事校かぁ・・・・・・でもそこ選んで、入学できたんでしょ?」
香焼「・・・・・・一応(※)ね」ハハハ・・・
※五和と浦上の所為です。
佐天「学校の友達は?」
香焼「いないよ。というか、誰も彼もが自分の事でいっぱいいっぱい。話すとしたら勉強の事とかレポート課題についてだけ」
佐天「あー・・・・・・なるほど」ポリポリ・・・
香焼「身体検査(システムスキャン)は無いし・・・・・・能力開発について被験者側の事を考える学生なんて殆どいないよ」
佐天「え、と・・・・・・如何いう事?」
要はこの街の将来を考える連中らを育てる学校だ。官僚・役員・理事育成。
『そちら側』の人間達は『被験者側』、つまり『子供達(同年代)』についてなど考えない。
考えるとしたら開発した能力を如何に利用していくか、長いスパンで考え都市外部との外交は如何展開すべきか・・・・・・とか。
正直言って、頭おかしい連中ばかりだ。
佐天「そうなんだ・・・・・・、」
香焼「普通に行政学とか都市運営方法学ぶだけなら最高の学校だけど・・・・・・皆、考える事が子供じゃない」
佐天「入ってから気付いたの?」
香焼「ううん。知ってた・・・・・・だから普通の学校生活は望んでなかったっすよ」
任務の為に入った学校だ。不平不満はあっても、それを口には出さない。
香焼「ホント・・・・・・柵川行けてれば良かったのにね」ハハハ・・・
佐天「・・・・・・うん」コクッ・・・
魔術師とはいえ自分も12~3歳だ。それなりの学校生活を望んだりもする。
佐天「じゃあ、この街は面白くない?」
香焼「そんな事無いっすよ。学校生活は別にしても、楽しい事はあるから」
佐天「そっか・・・・・・良かった」クスッ
やっと笑顔が出た。そっちの方が彼女らしい。
80 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/25(木) 21:47:35.28 ID:Jhet7Q0e0
それから暫く雨宿りが続いた。今日が休日で本当に助かった。平日だったら完璧遅刻してる。
適当に雑談を続ける内、ふとランニングの話になった。
香焼「始めたきっかけ?」
佐天「うん。ちょっと気になって」
香焼「うーん、色々あるんすけど・・・・・・トレーニングかな」
佐天「トレーニング? 香焼くん、何かスポーツしてるの?」
香焼「・・・・・・武術みたいなものかな」ハハハ・・・
大丈夫。嘘は言ってない。
香焼「佐天さんは?」
佐天「私? えっとトレーニングだけど・・・・・・、」ムゥ・・・
香焼「部活か何か?」
佐天「・・・・・・ううん。何もしてない」フルフル・・・
彼女は一度、顔を膝に埋めて・・・・・・溜息混じりに呟いた。
佐天「無駄な努力かなぁ」ボソッ・・・
香焼「え?」
佐天「・・・・・・、」クスッ・・・
笑顔を作るが、とても悲しそうな。
佐天「何していいのか分からなかった。だからとりあえず走ってみることにしたの」
香焼「身体が勝手に動いたって事?」
佐天「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」
香焼「えっと・・・・・・、」
佐天「・・・・・・『無能』って言われたくないの」
・・・・・・。
佐天「『無能力者(レベル0)』じゃないよ。『無能』ね」
香焼「誰かにそう言われたんすか?」
佐天「ううん。違う違う。そんな酷い事いう馬鹿な人は知り合いにいないから」ハハハ・・・
良かった。もし居たら殴りに行ってた。
81 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/25(木) 22:03:33.59 ID:Jhet7Q0e0
彼女の吐露は続く。
佐天「だけど、私の周りの素敵な友人達は皆『有能』なんだ」
香焼「・・・・・・佐天さんだって」
佐天「あはは。皆そう言ってくれるよ。でも・・・・・・自分が一番分かってるから」
物憂げに告げる。
佐天「私は超能力なんか持ってないし、風紀委員なんかになれない。部活だって入りたいと思える様な所無いよ」
この街の部活動を調べた事がある。まさに少年漫画の世界の何でもありスポーツだ。
野球でいえば有り得ない変化球を投げるし、サッカーでいえば光速のシュートは放つ。
ぶっちゃけ、無能力者はついていけない世界。
佐天「・・・・・・でも、この街は好き。だからこの街で出来る事をしたい。だけど・・・・・・出来る事が見つからない」
香焼「そんなに急ぐ必要無いっすよ。自分ら、まだ中一なんだよ」
佐天「でも周りは・・・・・・周りは周りだってのも知ってるけど、それでも悔しいよ」
香焼「・・・・・・、」
佐天「ずるいのは分かってるけど・・・・・・香焼くん。君なら分かるかなぁって」
苦しい程、痛い程、よく分かる。
佐天「私と同じ無能力者で、自分の事卑下して・・・・・・良く分からないけど、ずっと一人で悩んでる顔してた」
香焼「・・・・・・、」
佐天「だから同じなのかも。もしかしたら私よりも、って思って・・・・・・甘えちゃってた。ごめんね」シュン・・・
香焼「ううん。気にしない」
言葉が出ない。雨音のBGMがやけに大きく聞こえた。
82 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/25(木) 22:24:59.09 ID:Jhet7Q0e0
自分は、彼女が決して無能だとは思わない。
少なくとも『必要とされている』以上、それは無能ではない
佐天「皆、良い子好い子って言ってくれる。それはとても嬉しい事だよ」
香焼「・・・・・・うん」
佐天「でも・・・・・・それでも『もっと何か』を見つけようとするのは高望み? いけない事?」
向上心と捉えればポジティブだろう。だが、そんな褒め言葉が欲しいのではない。
香焼「自分も・・・・・・自分が如何したいか分からないっすよ」
佐天「あはは。同じだね」クスッ
香焼「でも・・・・・・無駄じゃないっす」チラッ・・・
努力。
香焼「有り体の言葉かもしれないけど、此処で止めたら自分を裏切る事になると思う」
佐天「うん・・・・・・同感」
香焼「何が出来るか、何になるかってのは・・・・・・焦って探しちゃダメなんだよ」
佐天「・・・・・・、」
例えば、無能力者は風紀委員にはなれない。だが警備員ならなれる。
それになるには大学を出て、教師になるしかない。
香焼「佐天さんの言葉を借りるけど、難しい事考えるのダメなんでしょ」
佐天「・・・・・・うん」
香焼「報われるよ。報われないわけが無い」
女教皇様の言葉だ。
香焼「頑張って頑張って、それでもダメな時は・・・・・・救いがくるっすよ」クスッ
佐天「救い?」
香焼「うん。世界はそんなに残酷じゃないよ」
幸い、彼女は素敵な仲間に恵まれている。手は自ずと伸ばされるだろう。
83 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/25(木) 23:37:43.85 ID:Jhet7Q0e0
少々悩み、苦笑する彼女。そして・・・・・・
佐天「生意気だっ」コツンッ
香焼「ふぇ!?」キョトン・・・
僕の額を小突いた。
佐天「あーあ。姉貴分失格だね」クスッ
香焼「むぅ・・・・・・だから同い年だろ」
佐天「それでもお姉さんなの」
威張って頬をグリグリ突っついてくる。
佐天「やれやれ。まったく、自分よりネガティブな人間に励まされるなんてなぁ」ハァ
香焼「うわー。さっき自分も同じって言ってたくせに」グリグリ・・・
佐天「うるさーい。自分の悩みも解決出来てなさそうなヤツが言うなー」グリグリ・・・
何故か突付き合いに。とりあえず難しく考えるのは止めたみたいだ。
佐天「気の迷い・・・・・・じゃないけど、常にエンジン全開じゃいられないんだよ」エイッ
香焼「偶にはおセンチになりたいって事っすか」ハァ
佐天「まぁね。香焼くんに言われた事だってホントは全部知ってる事。だけど・・・・・・弱音が吐きたい時だってあるの」
香焼「佐天さんでも?」
佐天「当たり前でしょ。人間なんだし。それに・・・・・・私だって、女の子なんだよ・・・・・・、」ボソッ
香焼「は? 何?」キョトン・・・
佐天「・・・・・・だあああぁ! 何でもない!」グリグリ・・・ムニッ///
香焼「ふぇ??」ポカーン・・・
今度は頬を摘んでくる彼女。そんなに僕の頬を弄って楽しいのか?
佐天「あー楽しー!」コンニャロー!
香焼「ひゃめふぇよー」グヌヌ・・・
佐天「ったく・・・・・・兎に角、自分の悩みも打ち明けられない誰かさんと違って私は定期的に吐露するのよ!」ビシッ
香焼「痛っ・・・・・・意地悪な人」タラー・・・
佐天「じゃあ私にも同じ事すれば良いじゃん」フンッ
そんな恐れ多い事出来る訳無いでしょうに。
84 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/26(金) 00:29:27.22 ID:6r73XymT0
・・・・・寸・・・・・
それから暫く頬を摘まれ続けた。それはもう取れるんじゃないかってくらいに。
ふと時計を見ると8時になろうとしている。だけど雨が止む気配は無い。
香焼「困ったね。どうしよっか」ハハハ・・・
佐天「そうだなぁ」ジー・・・
小首を捻って何やら考える彼女。
佐天「えっと・・・・・・お腹空いた!」ポンッ
香焼「は? え、うん、まぁそうだね」ポカーン・・・
佐天「ご飯! 食べ行かない?」ニカッ!
・・・・・・考えるのを止めたらしい。
佐天「こら、馬鹿にするな。考えは有るから」ビシッ
香焼「え?」
佐天「近くのコンビニまで走ろう! そんでもって傘買ってファミレスでも何処でも良いから食べに行く!」
香焼「この雨の中?」
佐天「うん。雨止む気配無いでしょ。まぁ、この後帰らなきゃいけない用事あるなら仕方ないけど・・・・・・ダメ?」
香焼「無いけど・・・・・・やれやれっすね」クスクスッ
佐天「・・・・・・行きたくない?」ジー・・・
雨に濡れたもあいの様な目をしないで下さい。反則です。
佐天「よしっ。じゃあ決まりね!」ニカッ!
雨の中、傘をささずに濡れる人間がいても良い。それが自由だ。byゲーテ先生。
佐天「また難しい事言ってー。決めたからには即行動あるのみ。急ごっ!」グイッ!
香焼「はいはい。御転婆御嬢さん」フフッ
佐天「お姉さんと呼びなさい! そんじゃほれ! レッツゴー!!」ワーイ!
雨を纏いながら走る彼女を追い駆ける。馬鹿みたいに二人で濡れながらコンビニを目指す。
やはり彼女は元気な方が良い。能力とか立場とか関係なく、誰からも慕われる佐天さんであるべきだ。
ジャージ姿・ほぼ同じ背丈の男女一組が、まだ人気の少ない大通りを走っていく。
香焼(青春ってヤツかな)ハハハ・・・
彼女の後ろ髪に牽かれながら走る。
佐天「もう少しだー! ラストスパートー!」ヒャー!
この街での楽しみの一つ。大切な日常の一つだった・・・・・―――
85 :
第A話―――佐天「さ! 走ろうよ!」 香焼「・・・・・・そうだね」
:2011/08/26(金) 01:08:26.81 ID:6r73XymT0
<おまけっ!>
・・・・・コンビニ前・・・・・
佐天「うわぁ、びしょびしょ」ウヘェ・・・
香焼「やっとコンビニっすね・・・・・・店入る前に服搾らなきゃ」ハァ・・・
佐天「あ、私も」ヌギヌギ・・・
香焼「え」
佐天「よいしょっ・・・・・・ぎゅううぅっと」ギュッ!
香焼「さ、佐天さん・・・・・・その・・・・・・(インナーが)」ポリポリ・・・///
佐天「ん? ・・・・・・ぁ」ピタッ・・・
香焼「(やっぱ佐天さん胸大きいんだ・・・・・・ってオイ馬鹿! 何考えてる!!)・・・・・・か、傘買ってくるよ」アハハ・・・///
佐天「ご、ごめん! お願いします・・・・・・(ぶ、ブラ透けて見えてるっ!? は、恥ずかしいいぃ!!)」カアアァ///
香焼「・・・・・・な、何故傘一本しかないの」タラー・・・
K店員「あ、すいません。バイトなんでよく分かんないです」アハハ
香焼「はぁ・・・・・・これ下さい」ハァ
K店員「フヒヒ。毎度ー」ニヤニヤ・・・
佐天「ジャージ冷たいけど我慢しよう・・・・・・あ、ごめん。お金払うよ」チラッ
香焼「えっと・・・・・・ごめん。一本しかなかったっす」タラー・・・
佐天「えっ?!」ギョッ・・・///
香焼「お金は良いよ。えっとその・・・・・・狭いけど、合い傘で良いかな」タラー・・・
佐天「う、ん・・・・・・仕方ナイネ。一本シカナカッタンデショ」ダラダラ・・・///
香焼「うん。あれ? 大丈夫?」ジー・・・
佐天「だ、大丈夫! 大丈夫だからジロジロ見ないで」ブンブンッ///
香焼「う、うん・・・・・・なるべく雨に当たらない様にするから。行こう」チラッ・・・
佐天「は、はい!(あ、アイアイ傘・・・・・・って馬鹿! 何考えてるの私!!)」カアアァ///
香焼「佐天さん、顔赤い。やっぱ熱出たのかもよ」ジー・・・
佐天「そ、そうかな。気のせいじゃない?(か、顔近い・・・・・・ストレッチしてる時はくっついてても平気なのにー!)」アタフタ・・・///
香焼「そうかな。それで、何処行く?」
佐天「じょ、Joseph's(ジョセフs)近いからそこにしよう!(香焼くんは平気なのかなぁ。私そんなに魅力無い?)」ハァ・・・///
香焼「佐天さん、そんなに離れたら濡れちゃうよ」スッ・・・ピタッ
佐天「ひゃっ!!?」ドキッ///
香焼「えっ!?」ギョッ・・・
K店員「フヒヒヒヒ。おーわりっ」ニヤニヤ・・・
86 :
>>1
:2011/08/26(金) 01:35:43.72 ID:6r73XymT0
はい。お疲れ様でした。佐天さん単体を書くのって難しいですね。
初春や超電磁砲組とセットで書けば楽なんだけど・・・・・・とりあえず勝手に密かな努力家設定にしちゃいました。すいません。
あと今回は触れませんでしたが『幻想御手(レベルアッパー)事件』については、そのうち触れるかもしれません。
余談ですが、佐天さんって美琴よりもちょっと胸大きいんだよね。
さておき、次回は英国編、というよりカルテッ娘編(?)です。勿論例の如くステイルは出すと思います。
そんでもってメインのアンケートを取ります!
@アニェーゼ
Aアンジェレネ
Bサーシャ
Cレッサー
アンケ協力、感想質問意見罵倒リクエスト等々もよろしくお願いします。ではまた次回! ノシ
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/08/26(金) 01:37:14.49 ID:AmGSjR4No
フヒヒ…ア、アン…フヒッ
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/26(金) 02:30:13.94 ID:YWPN2GdDO
フヒヒ、甘酸っぺー。こういう佐天さんもアリだな。
Cレッサーの微エロ展開希望!
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/08/26(金) 02:30:27.41 ID:EYXyUiX2o
Cのレッサーに一票で
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/08/26(金) 02:32:16.05 ID:aT4gClCAO
2
K店員だと…!?
「コンビニエンス」は頭文字Cだから可能性を除外するとして、Kの表すコンビニは……サークルK!
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/08/26(金) 02:44:21.32 ID:OoAr7+xAO
1か4だがここは勝てそうな4で
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/26(金) 05:10:10.88 ID:nBgHxOPwo
k店員…つまり
>>1
のイニシャルの頭文字はkということか
あ、アンケはBで
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/08/26(金) 06:55:22.87 ID:M0GHGmdY0
>>1
乙
甘酸っぱいわーそして香焼くんカミやん病は相変わらずだね!!
アンケートは、
レッサー、もいいがここはアンジェレネに一票!
ということで、?
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/08/26(金) 06:57:08.48 ID:M0GHGmdY0
うわ書き込めてないし・・・orz
↑のは?です
95 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/08/26(金) 08:31:33.19 ID:exNCrnbN0
>>1乙
こうちゃんもげろ
リクエストはレッサーでお願いします。
96 :
>>1
:2011/08/26(金) 19:05:33.83 ID:6r73XymT0
こんばんわ。アンケはレッサーですね。
・K店員は禁書内の『K』さんですよ。ちなみに私のイニシャルは[
禁則事項です
]です。
では、ボチボチ投下。ちょっと長めになるかもしれないので寝落ちしたらゴメス。
97 :
第@話(14話)―――「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/26(金) 19:21:47.50 ID:6r73XymT0
―――とある日、PM11:00、英国、ロンドン市内、とある酒場・・・・・
がやがや・・・・・
レッサー「相変わらず喧しい店ですねぇ」キョロキョロ・・・
ランシス「何でこんな場所が集合場所なんだろう」ハァ
フロリス「文句言わない。リーダーが此処集合って言ってんだから此処なの」
レッサー「んで、リーダーが重役出勤遅刻ですか。良いご身分ですね」フーン
フロリス「じゃあアンタが『新たなる光』のリーダー出来んの?」
レッサー「超余裕! ほらランシス! 肩揉みなさい!」フンッ!
ランシス「・・・・・・やだ」ベー
フロリス「アンタは器じゃないわよ」
レッサー「ぐぬぬぅ・・・・・・歳ですか!? それとも胸の差ですか!!」ギリリッ
フロリス「んな馬鹿な事言ってるうちはリーダーなんて無理よ」
ランシス「身相応ってね」プフー
レッサー「チッ・・・・・・実力はありますよ」ケッ
フロリス「そりゃ認めてるけど、それとこれとは別モンよ。アンタは上司向かないタイプ」
レッサー「・・・・・・、」イライラ・・・
ランシス「・・・・・・あ。リーダー来たよ。何で二階から?」チラッ
レッサー「え? 二階って宿屋じゃ・・・・・・、」チラッ
ベイロープ「―――」テクテク・・・
男性「―――」ニコニコッ
ベイロープ「―――」ペコッ
男性「―――」コクッ…スッ・・・
チュッ・・・・・
レッサー・ランシス「「っ!!?」」ギョッ!
フロリス「・・・・・・、」フンッ・・・
98 :
第@話(14話)―――「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/26(金) 19:22:51.99 ID:6r73XymT0
―――とある日、PM11:00、英国、ロンドン市内、とある酒場・・・・・
がやがや・・・・・
レッサー「相変わらず喧しい店ですねぇ」キョロキョロ・・・
ランシス「何でこんな場所が集合場所なんだろう」ハァ
フロリス「文句言わない。リーダーが此処集合って言ってんだから此処なの」
レッサー「んで、リーダーが重役出勤遅刻ですか。良いご身分ですね」フーン
フロリス「じゃあアンタが『新たなる光』のリーダー出来んの?」
レッサー「超余裕! ほらランシス! 肩揉みなさい!」フンッ!
ランシス「・・・・・・やだ」ベー
フロリス「アンタは器じゃないわよ」
レッサー「ぐぬぬぅ・・・・・・歳ですか!? それとも胸の差ですか!!」ギリリッ
フロリス「んな馬鹿な事言ってるうちはリーダーなんて無理よ」
ランシス「身相応ってね」プフー
レッサー「チッ・・・・・・実力はありますよ」ケッ
フロリス「そりゃ認めてるけど、それとこれとは別モンよ。アンタは上司向かないタイプ」
レッサー「・・・・・・、」イライラ・・・
ランシス「・・・・・・あ。リーダー来たよ。何で二階から?」チラッ
レッサー「え? 二階って宿屋じゃ・・・・・・、」チラッ
ベイロープ「―――」テクテク・・・
男性「―――」ニコニコッ
ベイロープ「―――」ペコッ
男性「―――」コクッ…スッ・・・
チュッ・・・・・
レッサー・ランシス「「っ!!?」」ギョッ!
フロリス「・・・・・・、」フンッ・・・
99 :
第B話(14話)―――「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/26(金) 19:51:08.23 ID:6r73XymT0
レッサー「な・・・・・・アイツ!」ガタッ・・・
フロリス「座ってろ馬鹿」スッ・・・
ランシス「・・・・・・、」ジー・・・
ベイロープ「―――・・・・・・はぁ。やれやれ、お待たせ」テクテク・・・
フロリス「ええ。待ったわ」ノ
ベイロープ「ごめんごめん。色々大変で」スッ・・・
レッサー「・・・・・・、」ジトー・・・
ランシス「・・・・・・リーダー。とりあえず飲み物注文する?」
ベイロープ「そうね。適当に炭酸頼むわ」
ランシス「じゃあ行って来る」スッ・・・
ベイロープ「どーも。さて・・・・・・資料配んなきゃね。次の仕事についてよ」ゴソゴソ・・・
フロリス「また必要悪の教会(ネセサリウス)から? まったく、嘱託扱いはシンドイね」ハァ・・・
ベイロープ「今回は違うわ。傭兵業みたいなモンよ・・・・・・って、レッサー?」ン?
レッサー「・・・・・・、」ジトー・・・
ベイロープ「・・・・・・ええっと」タラー・・・
レッサー「・・・・・・ウチのリーダーは娼婦業にまで手ぇ出すんですね」フンッ・・・
フロリス「レッサー・・・・・・黙ってろ」ジロッ・・・
ベイロープ「あー。見られてたの」フーン
レッサー「見られてたのって・・・・・・、」ジトー・・・
ベイロープ「まぁアンタには関係無い事よ。とりあえずコッチの資料読んどきなさい」サラッ・・・
レッサー「・・・・・・、」チッ・・・
フロリス「ったく、ガキが・・・・・・ランシス来たわよ」ハァ・・・
ランシス「お待たせ。どーぞ、ベイロープ」コトッ
ベイロープ「・・・・・・ん。そんじゃ始めるわよ」チラッ
がやがや・・・・・
100 :
第B話(14話)―――「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/26(金) 20:27:08.43 ID:6r73XymT0
・・・・・寸・・・・・
ベイロープ「―――」アーダコーダ
フロリス・ランシス「「―――」」フムフム・・・
レッサー「・・・・・・、」フンッ・・・
ベイロープ「―――・・・・・・ちょっと、レッサー。聞いてる?」チラッ
レッサー「・・・・・・聞いてないです」ブー・・・
フロリス「ちょっとアンタ」ジトー・・・
ベイロープ「はぁ・・・・・・何? さっきの説明すれば納得するの?」
レッサー「そうですね。言い訳聞かせてください。資金集めの売春ですか? それとも枕営業? まさかマジ彼じゃないでしょう」フンッ・・・
ランシス「・・・・・・、」オドオド・・・
ベイロープ「・・・・・・情報提供者よ。上の部屋を借りて色々聞いてたの」
レッサー「色々シてた、の間違いじゃないんですか」ケッ・・・
フロリス「レッサー!」グッ!
ベイロープ「フロリス、いいから・・・・・・そうね。してたわ」サラッ
レッサー「っ」ガタッ!
フロリス「何で怒ってるの! 少し落ち着けバカ!! 仕事だって分かるでしょ!」グッ・・・
ベイロープ「・・・・・・、」ハァ・・・
ランシス「え、えっと・・・・・・リーダー。その・・・・・・、」ジー・・・
ベイロープ「ん?」
ランシス「さっき男の人とキスしてた時・・・・・・魔術、使ってた?」
レッサー「え」
ランシス「ちょっとくすぐったかったから」ポリポリ・・・
ベイロープ「・・・・・・ええ。魅了(チャーム)を」コクッ
レッサー「え・・・・・・そ、え?」
フロリス「・・・・・・ったく。面倒だからアンタとランシスには教えたくなかったの」ハァ・・・
ベイロープ「良いわ。真面目に話すから落ち着いて聞きなさいよ・・・・・・―――」
レッサー・ランシス「「・・・・・・、」」コクッ・・・
101 :
第B話(14話)―――「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/26(金) 21:46:31.09 ID:6r73XymT0
リーダー説明中・・・・・
ベイロープ「―――・・・・・・つーわけ。OK?」
ランシス「・・・・・・うん」
レッサー「・・・・・・でも、結局枕営業でしょう」フンッ
フロリス「アンタまだ言うか。一線越えてないって言ってんでしょ」ハァ・・・
ベイロープ「情報得る為には必要なのよ。キスで定期的に『魅了』掛けれてるんだから・・・・・・、」
レッサー「ふんっ」
フロリス「じゃあアンタが情報収集する? 出来ないでしょう」
レッサー「余裕です。簡単な話でしょう」ケッ
フロリス「どうやって」
レッサー「それは・・・・・・まぁ色々」
フロリス「はいはい、口だけ口だけ」
ベイロープ「『新たなる光(ウチ)』は実力あるとはいえ、所詮は結社予備軍よ。分かってる?」
ランシス「手段を選んでられないんでしょ・・・・・・分かってるよね。レッサー」
レッサー「・・・・・・だからって」ムゥ・・・
フロリス「はぁ・・・・・・何が不満なのよ」
レッサー「・・・・・・、」ジトー・・・
ベイロープ・フロリス((面倒臭ぇなー))ハァ・・・
ランシス「リーダーが・・・・・・ベイロープだけが犠牲になってるみたいで嫌なんでしょ」チラッ
ベイロープ「ハァ?」ポカーン・・・
レッサー「・・・・・・やれってんなら、私だってしますよ」プクー・・・
・・・・・・。
ベイロープ・フロリス「「ダハハハハハッハッハハハハッハッ!!」」ケラケラケラ!
レッサー「な、何で笑うんですか!!」ガー!
ランシス「・・・・・・はぁ」ポリポリ・・・
102 :
第B話(14話)―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/26(金) 22:38:31.57 ID:6r73XymT0
ベイロープ「ハハハ、ヒィ・・・・・・あーおもろー」ケラケラッ
フロリス「わ、私だってしますよーだって! ぷふー!」クスクスッ
レッサー「な、何ですか」ンギギ・・・
ランシス「・・・・・・100%無理」ハァ
レッサー「で、できますもん!」ガー!
ベイロープ「具体的には?」
レッサー「そ、それは・・・・・・私のテクニックで!」ワキワキ・・・
フロリス「ぷっ! 何ソレ?」
レッサー「[
禁則事項です
]だったり[
ピーーー
]だったり[
らめぇぇっ!
]だったり」フンッ
フロリス「ガキが何言ってんだか。馬鹿じゃないの」ハッ
ベイロープ「・・・・・・勘違いしないで欲しいんだけど、私は淫売になった覚えは無いわよ」
レッサー「は?」
フロリス「だってベイロープ、彼氏いるじゃん」
ランシス「・・・・・・そういえばそうだったね。大学生の彼だっけ?」
ベイロープ「前の潜入任務でね・・・・・・良い人よ。ケンブリッジ大の3年生。一般人ね」フフッ
レッサー「・・・・・・納得いきません」
ベイロープ「公私の区別はしてるわよ。これはこれ、それはそれ」
レッサー「信じられません・・・・・・私ならもっと上手に動きます! そりゃもうオリアナ姉御みたいに!」バンッ!
ベイロープ「あのねぇ・・・・・・あー、もうメンドクセー」ハァ・・・
フロリス「とりあえずアンタにゃ無理よ。それにオリアナさんの言う事をアンタが聞いても参考にはならないわ」
ベイロープ「仮にフロリスと・・・・・・最悪ランシスにこの役回りをやらせる事があっても、アンタはダメ」ハァ
レッサー「はぁ!?」ギョッ・・・
ランシス「・・・・・・、」ジー・・・
ベイロープ「私から言わせればランシスの方が大人」
レッサー「な・・・・・・こ、この子が!? 私と比べたら全っ然知識も無いでしょう!!」
ベイロープ「そういう考えしてる時点で『ガキ』なの」ハァ・・・
フロリス「とりあえずキスもした事無い処女にゃ無縁の話よ。おーらい? 口だけ女さん」フンッ
レッサー「っ・・・・・・もう知らん!」バンッ!
ランシス「あー・・・・・・行っちゃった」ハァ
フロリス「放っておきなさい。いつもの癇癪でしょ」ッタク・・・
ベイロープ「・・・・・・、」ヤレヤレ・・・
103 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/26(金) 23:39:11.19 ID:6r73XymT0
―――とある翌日、AM01:10、英国、イギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』内、食堂・・・・・
食事が終了し、殆どの教徒・職員が自室だったり仕事に戻る中、少年―――香焼は一人ポツンと残っていた。
理由は単純。
もあい「なーぅ」モグモグ・・・
猫の餌やりである。食堂のオバさんにツナ缶とパン屑を貰い、残飯猫飯を作成。
もあい「んなー」ゴクゴク・・・
普段、英国に来る時は都市にいる仲の良いお姉さん―――結標淡希さんにもあいをお願いするのだが、今回は都合が合わずお願いできなかった。
故に、女教皇様にお願いしてファーストクラスの飛行機にもあいの同席を頼む事となった。
もあい「にゃ?」チラッ・・・
香焼「んー? 仕事はないよー」ナデナデ・・・
もあい「にゃぅ」コロコロ・・・
基本的に天草の教徒は英国『内』でする仕事は少ない。
やる事といえば日本人街の見回りや、買出し手伝いくらいだ。
香焼「まぁでも暇人って訳じゃないんすけどね」
要するに英国に居る時は、定期報告だったり辞令、次の任務指示だったりがある時。
それ以外は英国外での仕事や都市での潜入任務となるのだ。因みに今日は報告だけなので暇々である。
てな訳で、子猫と二人きりでゴロゴロさせてもらっていた。
先ほどまでステイルが居たのだが、最大主教様(アークビショップ)に呼ばれたとか何とかでどっか行った。
もあい「んにゃ」キョロキョロ・・・
香焼「アンはいないよ」ナデナデ・・・
カルテッ娘・・・・・・アニェーゼ、アンジェレネ、サーシャ、レッサーもよくもあいに絡みにくるのだが、今日は見当たらない。
各々忙しいのだろう。時間が出来た時に構ってもらうといい。
そんな感じでダラダラお昼が過ぎていった。
104 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/26(金) 23:56:26.94 ID:6r73XymT0
ふと、足音がするのに気付き、もあいが顔を上げた。
自分もつられ其方を見ると、知った顔が一人いる。
レッサー「・・・・・・、」ジー・・・
問題児その2だ。一人で行動してるのは珍しい。
レッサー「誰が問題児ですか。如何見たって優良児でしょう」フンッ
香焼「はいはい。そうっすねー」ナデナデ・・・
もあい「んなー」コロコロ・・・
レッサー「ふんっ。まぁ良いです・・・・・・コウヤギ。暇でしょ?」ジー・・・
香焼「忙しい」ボウヨミー
レッサー「嘘吐け。良いからちょっと来て下さい」クイッ
香焼「えー」タラー・・・
彼女とアニェーゼは大抵無理難題しか言わない。正直気が引ける。
レッサー「直ぐ終わりますよ。お願いします」
香焼「・・・・・・、」ポリポリ・・・
レッサー「礼拝堂の倉庫。待ってますから」クルッ・・・
香焼「あ、ちょ・・・・・・行っちゃった」ハァ
内容も言わずに行かないで欲しい。
ぶっちゃけ無視っても良い所だが、そうすると後々厄介なので適当に相手するしかない。
香焼「にしても、随分真面目だったな・・・・・・仕方ない。もあい、飯食べててね」チラッ
もあい「なぅ?」キョトン・・・
もあいを残し、レッサーが待つと言っていた礼拝堂の倉庫へ向かう事にした。
105 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/27(土) 00:17:02.11 ID:IkV3Q35m0
・・・・・寸・・・・
十字と主だけが佇んでいる礼拝堂。掃除のオジさんすら出張ってる。
まるで人払いの結界でも掛けてるんじゃないかというくらい静かな場所に自分はノコノコ入っていった。
用具・雑具置き場となっている倉庫は幾つか在るのだが、一つだけ扉が開いている。多分あそこだろう。
香焼「レッサー?」ギイィ・・・
灰暗い倉庫にポツンと一人、少女が立っていた。
香焼「どうしたの?」
レッサー「・・・・・・、」チラッ
香焼「えっと・・・・・・レッサーさん?」タラー・・・
レッサー「頼み事ですよ。すぐ終わります」ジー・・・
香焼「え、あ、うん。自分に出来る事なら」コクッ・・・
レッサー「・・・・・・、」ジー・・・
香焼「・・・・・・な、何?」タラー・・・
真顔。暫時口を開かなかったが・・・・・・ふと、告げた。
レッサー「キス、しましょう」
・・・・・・は?
レッサー「キスしてください」
香焼「ちょ、え・・・・・・はい?!」ギョッ・・・///
レッサー「・・・・・・、」ジー・・・
いきなり何を言い出すのだ。この御転婆少女は。
レッサー「簡単でしょ」
香焼「え、な、い、いや・・・・・・はぁ!?」
思考が止まりかけた。
106 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/27(土) 01:16:02.30 ID:IkV3Q35m0
無言が痛い。
何故こんな馬鹿な事を言うのか。いつものセクハラの一介かと頭を悩ませたが、彼女の目は真剣そのもの。
香焼「ど、どうしていきなりそんな事?」
レッサー「・・・・・・イエスかノーで答えてください」ジー・・・
香焼「おかしいっすよ。そういうのは、その、恋人同士や夫婦間じゃないと」アタフタ・・・
レッサー「そんな恋愛倫理が聞きたいんじゃありません。肯定か否定か、です」
グイっと自分に顔を近づけて、答えを迫るレッサー。
そりゃ・・・・・・ダメに決まってる。
レッサー「・・・・・・そうですか」スッ・・・
香焼「え、えっと・・・・・・ごめん」
レッサー「謝る意味が分かりません」
香焼「ご、ごめ・・・・・・じゃなくて、えっと・・・・・・何でそんな事を?」
レッサー「・・・・・・コウヤギが知る必要ありません」テクテク・・・
そのまま扉へ向かう彼女。
レッサー「『他の人』にお願いします」テクテク・・・
香焼「っ!!?」ギョッ・・・
レッサー「迷惑掛けました。忘れてください」テクテク・・・
香焼「ちょ、ちょっと待てよ!」ガシッ!
レッサー「・・・・・・、」ピタッ・・・
意味不明な挙動言動に思わず、彼女を引き止めてしまった。
香焼「レッサー。何かおかしいよ。いつものレッサーじゃない」グッ・・・
レッサー「・・・・・・離して下さい」ジー・・・
香焼「離せないよ! 編だもん!」
レッサー「・・・・・・別に。私はいつも変でしょう」
自覚は有るのか・・・・・・ってそうじゃなくて!
香焼「他の人に、って何だよ!? 意味分かんないっす」
レッサー「・・・・・・じゃあキスしましょう」ジー・・・
ダメだ、会話が成り立たない。誰か助けてくれ。
107 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/27(土) 01:31:57.95 ID:IkV3Q35m0
普段とはまるで別人の彼女。大人しい分には構わないが、ネジが変な方へ曲がっているみたいだ。
兎に角、今のままじゃ外へ出せない。
レッサー「私の勝手でしょう? コウヤギに止められる謂れがありませんけど」
香焼「だからおかしいって! どうしたの? 変な雑誌でも読んで影響されたの?」
レッサー「私のプライバシーです。お答えできませんね・・・・・・それより、キス出来ないなら離して下さいよ」ジトー・・・
香焼「だからダメだって!」
レッサー「じゃあ他の人としますから放っておいて下さい」
香焼「それもダメっ!!」ンモー!!
レッサー「・・・・・・意味分からない」ジトー・・・
どっちがだ。
確かに自分が如何こう言えた話ではないけど、キスっていうのは好きな人としなきゃダメなんだ。
香焼「誰でも良いなんておかしい! ふざけんなよ!」
レッサー「まるで子供ですね」ハンッ
香焼「っ・・・・・・怒るよ」ジトー・・・
レッサー「仕事でキスできる人間だっています。何ならセックスだって出来ますよ」フンッ
オリアナさんか誰かに影響されたか。
香焼「それじゃまるで娼婦っすよ」グッ・・・
レッサー「・・・・・・ええ。魔術師なら娼婦以下の事して当然でしょう?」
香焼「なっ・・・・・・、」
レッサー「キスできないならそこ退きなさい。さもなきゃ力ずくですよ」ジー・・・
香焼「っ・・・・・・引けない。自分、怒ってるよ」ギリッ・・・
レッサー「私と他人がキスするの、そんなに嫌なんですか? 何それ嫉妬? 彼氏でもないのに?」ハッ!
上条さんに肖って、本気で殴ろうか。
レッサー「甘ちゃんが。出来る訳ないでしょう。私より弱いのに」フンッ
暫く見詰め合った・・・・・・いや、睨み合ったままだった。
108 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
:2011/08/27(土) 01:48:21.40 ID:IkV3Q35m0
一寸後・・・・・・ニヤリと、彼女が微笑んだ。
レッサー「・・・・・・そうだ。簡単な事でしたね」フフフ・・・
香焼「何だよ」ジトー・・・
レッサー「コウヤギ、私より弱いんだから力ずくでキスすれば良いんです」フフッ・・・
香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」ポカーン・・・
大分ブっ飛んだ発想をなさった。
香焼「あ、頭おかしいっすよ」タラー・・・
レッサー「知ってます・・・・・・ねぇコウヤギ。少し大人しくしててくれませんか?」ニヤッ・・・
香焼「やだ」
レッサー「何なら・・・・・・キスから『先』、シても良いですよ」フフッ・・・
香焼「もっとヤダ」キッ・・・
レッサー「チッ・・・・・・甘ちゃんの上に枯れてるなんて、男として最っ低ですね」ケッ・・・
両者、かなり頭にきてる。
香焼・レッサー「「・・・・・・、」」ジー・・・
刹那、彼女が横に飛んだ。いや消えた・・・・・・自分が彼女を目で追い始めた際にはもう遅い。
レッサー「おっそーい」フンッ!
香焼「っ! ぐっ!!」ドンッ!
為す術もなく、床に組み伏せられていた。
レッサー「弱すぎです・・・・・・いや、私が強すぎなんでしょうかね」ハハハ
香焼「れ、レッサー! 冗談止めろ!」ジタバタ・・・
レッサー「・・・・・・嫌です。弱者は強者の言う事を聞かなきゃダメでしょ」フフフ・・・
彼女の右手が僕の右手を、そして左手が顔を掴む。ヤバい・・・・・・ヤられる。
レッサー「安心してください。キスだけですから。練習みたいなものです」スッ・・・
練習でファーストキスされてたまるか。如何にかせねば!
109 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/27(土) 02:06:07.08 ID:IkV3Q35m0
彼女の唇が近づく最中、止むを得なしと左手を伸ばす。
レッサー「無駄ですよ」グググ・・・
尻尾が左手に伸びる・・・・・・だが。
香焼「それを待ってた」ギュッ!
レッサー「え・・・・・・なっ!!?」ギョッ・・・
掴む。そして・・・・・・全霊を込めて、魔力を流し込む。
レッサー「ふぁっ、にゃあああああああああぁぁあっ!!」ビクンッ!!
彼女の力が弱まる。無防備な彼女の尻尾に魔力を流すのが弱点(※)だと、ランシスから教わっている。
その間に押し退け、逆に地面に組み伏せた。左手は尻尾を握ったまま。右手は彼女の華奢な両手首を押さえ込む。
(※あくまでこのSSでの設定です)
レッサー「ひゃ、ひゃめろおおおおぉっ!! 止めぇふだひゃあああぁぃいっ!!」アウウウゥッ!!
香焼「大人しくするって約束しろ!」
レッサー「ぐ、くぅ・・・・・・ひゃ、ゃだ」ビクッ・・・ビクッ・・・
香焼「じゃあ離さない」グッ・・・
レッサー「きゅっ、い、いやあああああぁっ!! お、おかひふなっひゃうよおおぉっ!!」ビクビクッ!!
何だか此方が悪者の様だが、そんな事はありません。
兎に角彼女から何故こんな馬鹿な真似をしようとしたのか、事の経緯を確かめなければなるまい。
一旦、魔力を緩め、グッタリしているレッサーに質問をする。
香焼「どうしてこんな真似を?」
レッサー「ハァハァ・・・・・・っ」グッ・・・
香焼「教える気は無いと・・・・・・じゃあそれでもいいから、こんな馬鹿な真似は止めろ」ジー・・・
レッサー「ふぅふぅ・・・・・・嫌、です」キュッ・・・
香焼「また魔力流すぞ」ジトー・・・
レッサー「好きにすれば、良いでしょう・・・・・・私は何言われたって・・・・・・実行します、よ」ビクッ・・・
香焼「・・・・・・、」ググッ
レッサー「ひっ!?」ビクンッ・・・
明らかに怯えるレッサー。だが頑固にも屈する事は無いみたいだ。まったく、困ったものだ。
110 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/27(土) 02:29:40.65 ID:IkV3Q35m0
―――とある翌日、AM01:50、英国、イギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』内、食堂・・・・・
アニェーゼ「ったく。レッサーのヤツ何処行ったんだか」ハァ・・・
サーシャ「第一の意見ですが、朝から様子がおかしいですよね」フムッ
アンジェレネ「フロリスさん辺りに聞いてみるのが良いのかもしれないけど・・・・・・ってあれ? コォヤギくん居ませんよ?」キョロキョロ・・・
アニェーゼ「あれ? マジですね。今日は食堂居るって言ってやがったくせに」ムゥ!
サーシャ「んー・・・・・・あ。第一の発見ですが、モヤイはいますよ」ピッ
もあい「みー」トコトコ・・・
アンジェレネ「おいでおいで。まったく、モアイちゃん置いて消えるなんておかしいですねー」ナデナデ
アニェーゼ「レッサーとコーヤギの失踪・・・・・・これは事件の予感です!」ビシッ!
サーシャ「は?」ポカーン・・・
アニェーゼ「きっと何かしらの事件に巻き込まれてるに違いねぇです! これは調査せねば!」フフフ!
サーシャ「・・・・・・また馬鹿な事を」ハァ
アンジェレネ「うーん。とりあえずモアイちゃん食堂外に出せば勝手にコォヤギくんの所まで歩いていくよ」
アニェーゼ「よしっ! そんじゃあ探しましょう!」キラキラ・・・
サーシャ「第二の意見ですが、アンジェレネの探索魔法使った方が早いのでは?」チラッ
アンジェレネ「そこはほら。猫が事件解決の糸口になるっていう推理モノのロマンだよ」フフッ
サーシャ「・・・・・・だから事件って」ハァ・・・
アニェーゼ「細けぇ事はいいんです! 兎に角行きましょう! レッツゴーもあい!」ビシッ!
もあい「みー」トコトコ・・・
アンジェレネ「アニェーゼちゃんが楽しそうで何よりです」ニコニコッ
サーシャ「・・・・・・やれやれ」ポリポリ・・・
ステイル「ハァ。あの糞ババア。余計な仕事増やしやがって・・・・・・香焼ー。コーヒー寄越せー。あと灰皿だ」テクテク・・・
もあい「にゃー」トコトコ・・・
ステイル「ん? ねk・・・・・・うわぁ」タラー・・・
アニェーゼ「こらテメェ人の顔見るなり明ら様嫌な顔すんじゃねぇですよボケぇ!」ドスッ!
ステイル「ぐっ・・・・・・貴様は毎回毎回毎回毎回暴力を」グヌヌ・・・
アンジェレネ「こら二人とも! 喧嘩しちゃダメですよ!」メッ!
サーシャ「マグヌス。第一の親切ですが、コーヤギーは此処にいませんよ」
ステイル「は? ・・・・・・何処行った?」キョロキョロ・・・
アニェーゼ「今から探しに行こうとしてたとこです。テメェも来やがれ。邪魔した罰です」グイッ!
ステイル「うわっ、ちょ・・・・・・はぁ?」チラッ・・・
アンジェレネ「ステイルさん、一緒に行きましょう。事件だそうですよ」フフッ
サーシャ「・・・・・・事件だそうです」ハァ
ステイル「・・・・・・、」ハァ・・・
アニェーゼ「ゴダゴダうっさい! 私の勘が事件だと訴えてやがるんです! 良いから行きますよっ!」ビシッ!
アン・サーシャ・もあい「「「にゃー!」」」ビシッ
ステイル「・・・・・・とりあえず、やり場の無い怒りの矛先は香焼で構わないな」チッ・・・
111 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/27(土) 02:54:57.21 ID:IkV3Q35m0
・・・・・寸・・・・・
もあい「にゃーん」トコトコ・・・
アニェーゼ「ふむ・・・・・・礼拝堂?」
アンジェレネ「此処に居るのかな? 全然人気無いですけど」キョロキョロ・・・
ステイル「あー。煙草喫いたい」ハァ・・・
サーシャ「マグヌス。第一の忠告ですが、堂内禁煙です」ビシッ
ざわ―――・・・――・・・・・
アンジェレネ「ん?」チラッ・・・
サーシャ「アンジェレネ?」
アンジェレネ「・・・・・・あそこの倉庫」ジー・・・
アニェーゼ「え?」ジー・・・
ぴ、ピぎゃあああああああああぁっ!!
一同『っ!!?』ギョッ!!
サーシャ「第一の推測ですが、アレはレッサーの声!」バッ!
ステイル「まさか本当に事件とはな・・・・・・勘弁してくれよ。問題起こすなら余所でやってくれ」ハァ・・・
アンジェレネ「ステイルくん、そんな事言ってる場合じゃないでしょ!」アタフタ・・・
ステイル「アンジェレネ・・・・・・君付けしないでくれとあれほど」ハァ・・・
アニャーゼ「うっさい! さっさと行きますよ!」タッ!!
ステイル「チッ・・・・・・問題児めっ。嘱託のくせに」ボッ・・・
サーシャ「了解」ガチャッ・・・
アンジェレネ「何だかんだ言って率先してくステイルくん。やっぱり優しいね」クスクスッ
ステイル「っ! アニェーゼ! そこの天然娘を黙らせろ!」タッ!
アニェーゼ「後でね! レッサーっ!!」バンッ!!
もあい「にゃっ!?」ビクッ・・・
ギイイイィ・・・・・
112 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/27(土) 03:14:35.98 ID:IkV3Q35m0
アニェーゼ「無事ですか!? って・・・・・・え」ピタッ・・・
一同『・・・・・・なっ?!』ギョッ・・・
レッサー「ふぇ、ひゃあああああぁっ!! りゃめてよおおおおおぉっ!!」ビクンビクンッ!!
香焼「はぁ。いい加減折れてよ・・・・・・え、あ」ピタッ・・・
・・・・・・。
アニェーゼ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こ、ヤギ?」
香焼「あ、え、皆?」タラー・・・
レッサー「ひ、ぅ・・・・・・ううぅ」ビクビクッ・・・
アンジェレネ「な、に・・・・・・してるのカナ・・・・・・コォヤギくん?」ゴゴゴゴ・・・
サーシャ「第一の状況説明ですが、コーヤギーがレッサーの尻尾を握って、弄っていますね」ジトー・・・
ステイル「はぁ・・・・・・神聖な聖堂内で何してるんだか。ホテル行け、ホテル」ヤレヤレ・・・
香焼「だから違・・・・・・ちょっとレッサー!」チラッ
レッサー「もう・・・・・・虐めないで、ください」ウルウル・・・
アニェーゼ「」ブチッ・・・
香焼「ちょ、あ、このっ!? あ、アニー! 誤解だって!」アタフタ・・・
サーシャ「何が誤解なのでしょう? 第一の回答を求めます・・・・・それ次第では、断罪ですよ」ガチャンッ・・・
香焼「だ、だからその・・・・・・えっと・・・・・・き、キスを! 無理やり!」アタフタ・・・
アニェーゼ「死ねええええええええええええええぇっ!! 百辺死ねえええええええええええええぇっ!!」ガガガガッ!!
香焼「じゃなくて、いや、そうで、ってぎゃあああああああああああぁっ!!」ボコボコッ!!
レッサー「・・・・・・っ」バッ・・・
アンジェレネ「あ、レッサーちゃん!」
ステイル「逃げるように去って行ったな。なんだ、和姦じゃないのか。意外と度胸あったんだな香焼」ハハハ
サーシャ「何を暢気に馬鹿な事を・・・・・・私が追います。二人は此処をお願いします」タッ・・・
アンジェレネ「あ、うん・・・・・・ねぇステイルくん。私もコォヤギくんに折檻していいかな?」
ステイル「勝手にしろ。そと君付けするな」ハイハイ・・・
もあい「・・・・・・なぅ」ジー・・・
アニェーゼ「死ねっ! 死ねっ! 女の敵っ! 去勢してやるっ!! 今からルチア呼んできて公開去勢ですっ!!」ゲシゲシッ!!
香焼「だ、だから話聞いてって・・・・・・ぶはっ! ちょ! ふ、不幸だああああぁっ!!」イデデデッ!!
113 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/27(土) 03:42:02.20 ID:IkV3Q35m0
・・・・・寸・・・・・
もあい「にゃー」カリカリ・・・
香焼「」チーン・・・
アニェーゼ「ふんっ! これくらいで許したと思わねぇでくださいよ。今から市中全裸で引き回しの刑ですから」ダンッ!
ステイル「止めろ。必要悪の教会(ウチ)の沽券に関わる」ハァ
アンジェレネ「それより・・・・・・コォヤギくん。何であんな真似したんですか?」ジー・・・
香焼「」
アンジェレネ「・・・・・・えいっ☆」ドスッ!
香焼「ぐふっ!!」ビクッ!
アンジェレネ「起きてー」ゴゴゴゴ・・・
香焼「お、お腹・・・・・・退けて。座らないで・・・・・・、」ダラダラ・・・
アニェーゼ「さっさと言い訳話せ。じゃねぇと私も追加で座ります」ドスッ!
香焼「か、はっ・・・・・・座ってる、じゃん」ダラダラ・・・
ステイル「ハァ・・・・・・んで? 何故神聖なる礼拝堂で不埒な行いをしていた? 早く懺悔しろ。無料で聞いてやろう」ドスッ!
香焼「ぐ、ば・・・・・・ひ、ひぃ」バタバタ・・・
アニェーゼ「ちょっと似非神父。アンタがコーヤギの上座ったら流石に死んじゃいますって」
ステイル「さっきまで彼を殺す勢いで痛めつけてたのは何処のどいつだい?」
アンジェレネ「もう些細な事はいいから。コォヤギくん。早く話して」ジー・・・
香焼「ま、まず・・・・・・退けて、よ・・・・・・お願い」プルプル・・・
もあい「みー」ペシペシッ・・・
少年説明中・・・・・
アニー・アン・ステイル「「「・・・・・・は?」」」ポカーン・・・
香焼「はぁ・・・・・・一から十まで洗いざらい話したよ」イテテ・・・
アニェーゼ「・・・・・・マジ?」タラー
香焼「あの光景見たら信じられないかもしれないけどホントだよ」ポリポリ・・・
ステイル「レッサーに捻じ伏せられたと・・・・・・流石女の敷物だな、オマエは」ハハハ
香焼「言い方あるだろ・・・・・・まぁ自分がレッサーより弱いのは事実だから、卑怯な手段使うしか無かったんすよ」
アニー・アン「「・・・・・・、」」ムゥ・・・
もあい「にゃ?」チラッ・・・
114 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/27(土) 04:02:36.37 ID:IkV3Q35m0
ステイル「とりあえず僕は君を信じよう。先ほど見た光景よりも、その説明の方が香焼『らしい』からね」ククク・・・
香焼「アニェーゼ。アンジェレネ・・・・・・信じてもらえないかな」ハァ・・・
アニェーゼ「・・・・・・何とも」ムゥ・・・
アンジェレネ「兎に角、レッサーちゃんを見つけて話を聞かないと」ポリポリ・・・
香焼「はぁ・・・・・・ん?」チラッ・・・
サーシャ「・・・・・・、」テクテク・・・
アニェーゼ「サーシャ! レッサーは!?」
サーシャ「すいません。逃げられました。第二の推測ですが教会の外、街中へ行ったのでしょう」ペコッ・・・
アンジェレネ「そんな・・・・・・、」ムゥ・・・
香焼「・・・・・・、」
もあい「んなー」トコトコ・・・
ステイル「・・・・・・仮に」ボソッ
一同『っ!』
ステイル「仮に、香焼の話が本当だとしたら・・・・・・拙いんじゃないのか?」チラッ・・・
・・・・・・。
香焼「・・・・・・あ」ギョッ・・・
サーシャ「え?」ポカーン・・・
香焼「あの馬鹿っ!」バッ
アニェーゼ「ちょ、コーヤギ!!」
アンジェレネ「私達も行かなきゃ! 変な人に捕まったら大変だよ!!」ダッ
サーシャ「え、あ、何が?? 誰か解説を」アタフタ・・・
アニェーゼ「走りながらします! 兎に角ついて来やがれってんです!」バッ
ステイル「だそうだ。行ってらっしゃい」ノシ
アンジェレネ「ステイルくんも行くの!」グイッ!
ステイル「えー・・・・・・、」タラー・・・
アニェーゼ「早く来い!!」グイッ!!
ステイル「痛たっ! 引っ張るな!!」ッタク・・・ハァ・・・
115 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/27(土) 04:23:50.54 ID:IkV3Q35m0
・・・・・寸・・・・・
香焼「くっ・・・・・・何処行ったんだよ、アイツ!」ギリリ・・・
アニェーゼ「コーヤギ! 無暗やたらに探しても無駄です! ランシス達に宛を聞くべきでしょ!」
アンジェレネ「じゃあ二班に分かれましょう。携帯持ってる香焼くんとステイルくんは別々で」チラッ・・・
ステイル「何で僕が」
アニェーゼ「うっせぇ黙って付き合えってんです! コーヤギ、私、アンは街中を! ステイル、サーシャはランシス達の所へ!」チラッ
サーシャ「了解です・・・・・・ほら、マグヌス。行きますよ」グイッ
ステイル「だから何で僕が」ブツブツ・・・
香焼「都市の新作煙草!」
ステイル「・・・・・・5つだ。あと新型ライターも買って来い」ヤレヤレ・・・
アンジェレネ「こらー! 未成年なのに煙草のやり取りしちゃダメでしょー!」ガー!
もあい「にゃー!」ビシビシッ!
アニェーゼ「黙って動け! あとサーシャ! もあいも連れてって神裂かオルソラ辺りにでも押し付けてください!」
サーシャ「了解です。急ぎますよ、神父」タッ・・・
ステイル「チッ・・・・・・香焼! 煙草忘れるなよ!!」タッ・・・
香焼「くそっ・・・・・・どうすれば」タッタッタッ・・・
アニェーゼ「アンジェレネ。探索魔法を」チラッ・・・
アンジェレネ「時間掛かりますよ」
アニェーゼ「しないよりマシです・・・・・・コーヤギ! アンタが冷静なんないで如何すんですか!」ッタク・・・
香焼「ご、ごめん」タラー・・・
アニェーゼ「どんな時でも周り見れる様になりなさい。そんなんじゃいつまで経っても半人前、甘ちゃんですよ」チッ・・・
香焼「・・・・・・、」
アンジェレネ「え、えっと・・・・・・兎に角街中へ入りましょう。魔力反応を虱潰しに当たればレッサーちゃん見つかるかも」
アニェーゼ「香焼の話から推測するに・・・・・・娼館街の辺りかもしれませんね。もしくは駅前でナンパ待ち、か」
香焼「・・・・・・考えるより先に行動したほうがいい。最悪、あの馬鹿早とちりし兼ねない」
アニェーゼ「そうですね。でも人手が・・・・・・、」チッ・・・
アンジェレネ「・・・・・・コォヤギくん。天草の皆にお願いできないの?」
香焼「そっか! 暇な連中は結構居るかも・・・・・・頼んでみる!」Pi!
アニェーゼ「やれやれ、レッサーのヤツ。戻ってきたら説教ですね! 色んな意味で! ・・・・・・主に『抜け駆け』の件とか」ギリリ・・・
香焼「え?」キョトン・・・
アンジェレネ「フフフ。そうだね。サーシャちゃんと3人で『おしおき』だね」クスクスッ・・・
香焼「え、えっと・・・・・・兎に角急ごう! 早くレッサーの尻尾捕まえなきゃ!」タッ・・・
アニー・アン「「はい!」」ダッ・・・
116 :
>>1
[saga]:2011/08/27(土) 04:37:46.68 ID:IkV3Q35m0
はい。今回は此処まで。あとちょっと勝手設定余談です。
<カルテッ娘の役割分担>
・アニェーゼ・・・良い意味でも悪い意味でもリーダー性。おふざけは暴走、真面目は冷静。五大元素攻守バランス魔術
・アンジェレネ・・・常にほんわか。裏腹では常に冷静。怒ると一番怖い。『使徒』を用いた補助系魔術がメイン。
・サーシャ・・・基本黙々。常に沈着。でも偶にボケる。4人の中で、というかステイル交え一番強い。天使の馬鹿魔力。
・レッサー・・・常に暴走。エロ担当になろうと頑張るけどなれない。体術は香焼並にトリッキー。魔術はバランス型。
ではまた次回! ノシ”
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/27(土) 04:48:23.99 ID:Y/qE37KDO
乙。やっぱ
>>1
のステ×アンは良いなぁ。
ちょいと気になったんだけど‥‥フロリスは処女ちゃうの??
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/08/27(土) 10:21:41.41 ID:LuLntM5J0
乙!ステ×アンいいよステ×アン
しかし、まさかの超シリアス……この話での選択肢次第でレッサールートに入るのかな?
119 :
>>1
[sage]:2011/08/28(日) 22:21:05.01 ID:ozObQTu10
こんばんわ。続きをボチボチ書きます。
120 :
>>1
:2011/08/28(日) 22:23:58.31 ID:ozObQTu10
こんばんわ。続きをボチボチ書きます。
>>118
・・・フロリス&浦上の処女非処女については[
禁則事項です
]。
>>119
・・・レッサールートは、その、親戚が書きます(苦笑)
ではスタート。
121 :
>>1
[saga]:2011/08/28(日) 22:45:43.62 ID:ozObQTu10
―――とある翌日、PM02:30、英国、ロンドン市内・・・・・
がやがや・・・・・
アニェーゼ「―――だあああぁっ!! やっぱ宛ても無く探すのは無謀ですよ!」ンギギ・・・
アンジェレネ「魔力反応も疎ら過ぎて全然掴めないです……街中には結構魔術師潜伏してますからね」ハァ・・・
香焼「……、」キョロキョロ・・・
アニェーゼ「コーヤギ! 天草の連中の手は借りられねぇんですか!」
香焼「暇な人は探すの手伝ってくれてるみたいなんだけど……やっぱり何処行ってるかなんて検討つかないから」ムゥ・・・
アンジェレネ「サーシャちゃんとステイルくんがフロリスさん達に話聞かないと無理かも」ハァ・・・
アニェーゼ「ったく、あの小悪魔娘が……迷惑掛けてからに」チッ・・・
アンジェレネ「ナンパされるの狙ってるなら駅前か、ソーホー辺りの風俗街かなぁ」
アニェーゼ「ソーホーは無ぇですね。あそこは仕来たり守って風俗運営してますから……駅前の方がまだ宛てがあるでしょう」
香焼「……こういう時、あんまりよろしくない情報って誰に聞いたら良いんだろう。正直自分達は子供だから詳しくないっすよ」タラー・・・
アニー・アン「「……、」」コクン・・・
がやがや・・・・・
アンジェレネ「……あ」ピンッ!
香焼「アン、何か思い付いたの!?」
アンジェレネ「二人……詳しそうな人がいる」
アニェーゼ「誰ですか!? もう誰でも良いです! 頼りましょう!」
アンジェレネ「うん。えっとオリアナさんはそういう分野得意そうだよね」
香焼「確かに。でもロンドンについてはそう詳しくないんじゃ。元々フランスの人だって言うし」
アンジェレネ「それじゃあ……りめえ……リーアさん(※)」 ※香焼達と仲良い謎のお姉さんデス。
アニェーゼ「あ! そうだ! あの人なら風俗街にもコネ沢山持ってる筈です!」パアアァ!!
香焼(ええええええぇ!? 姫様頼るのぉ!!?)ダラダラ・・・
アンジェレネ「……コォヤギくん。大人は頼るモノだって、あの人言ってたでしょ?」チラッ・・・
香焼「はぁ……分かった」Pi!
アニェーゼ「早くしやがれってんです! 携帯持ってんのコーヤギだけなんですからね!」ホレホレ!
香焼「忙しい人だから繋がるかどうか……―――」Prrr...
122 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/28(日) 23:02:05.29 ID:ozObQTu10
―――とある翌日、PM02:30、英国、ランベス宮、女子寮・・・・・
にゃーん・・・・・
サーシャ「―――第一の確認ですがベイロープ達は確か神裂とお茶を飲んでいた筈です。寮に入りましょう」テクテク・・・
ステイル「……僕は行かない。君が聞いて来い」ピタッ・・・
サーシャ「は?」
ステイル「此処女子寮だろ。常識的に考えろ」ハァ・・・
サーシャ「……、」ジトー・・・
ステイル「……何だよ」タラー・・・
サーシャ「……行きますよ」グイッ・・・
ステイル「ちょ、おま!?」グググ・・・
サーシャ「五月蠅い。男がウジウジするものではありませんよ、マグヌス」グイグイッ!
ステイル「ま、待て! マジで何言われるか分かったもんじゃないぞ!!」ダラダラ・・・
サーシャ「レッサーのピンチです。四の五の言わない」フンッ!
ステイル「……不幸だ(Fuck'n)」ハァ・・・
もあい「みゃー」トコトコ・・・
神裂「―――はぁ。やはり個人PCは必須なんでしょうか」
ベイロープ「そうね。今の時代老人でも持つべきよ」
オリアナ「世界展開してるプロパイダ(ネット回線)と契約しとけば色々仕事しやすくなるわよ。プライベートも楽しくなるし」
神裂「はぁ。しかし……苦手なもので」
オルソラ「大丈夫でございますよ。私でも一週間あればHPの作り方程度覚えましたから」
シェリー「いや、オマエは寮に居る時いっつもPC独占してる程やりこんでるからだろ」
五和「兎に角! ノートPC買いましょうよ! なんなら都市の理事長に寄越せって言ってしまえばくれる筈です!」
神裂「アレイスターが、ねぇ」フム・・・
フロリス「レッサーが言ってたけど、マグヌスだってタダで貰ったんだろう? 新型だか試作品だか」
ランシス「しかもレッサー、それを借りパクしてアジトに持ち帰ってきたよ」
サーシャ「……だそうですよ」チラッ・・・
ステイル「道理で部屋のPCが無い訳だ……あのボケナスめ」フツフツ・・・
123 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/28(日) 23:17:06.27 ID:ozObQTu10
浦上「まぁまぁ。焦って買ってもお姉が使い倒すに決まってますからネ。口車に乗せられる必要ありませんヨ」
五和「う、ウラ! 適当言うな……って、あれ? もあい?」チラッ
神裂「ん? 香焼と一緒だったのでは?」チラッ・・・
もあい「なー」テクテク・・・
サーシャ「第一の解答ですが、私が連れてきました」
ステイル「……、」ハァ・・・
シェリー「へぇ。珍し……もっと珍しいのが後ろにいるぞ」タラー・・・
ルチア「ま、マグヌス!? 此処は女子寮ですよ!?」ギョッ!
ステイル「当然の反応だな……だからイヤだった」ハァ・・・
神裂「当然って……な、何用で」
サーシャ「私が連れてきました。すいません」ペコッ・・・
一同『っ!!』ピタッ・・・
もあい「みゃー」チラッ・・・
オルソラ「あらあら……まぁまぁ」ニヤニヤ・・・
オリアナ「へぇ……ふーん」ニヤニヤ・・・
ベイロープ「あらら、意外と……ふふっ」ニヤニヤ・・・
ステイル「何だその目は!」グヌヌ・・・
浦上「いえいえ。何だかんだ言って、ステイル神父も隅に置けませんネー」ニヤニヤ・・・
ルチア「まぁアンジェレネに手を出されないだけマシとしましょうか」ハァ・・・
シェリー「ロシアっ子。ベット壊すなよ? オマエ一応客人なんだからな」ジー・・・
サーシャ「……え」///
神裂「だ、駄目です! ステイル、私は貴方の姉分として許しませんよ!」カアアァ///
ステイル「何をほざいているのだ貴様ら……サーシャ。さっさと本題に入れ」ッタク・・・
ランシス「え? つきあいました的な報告ですか?」フフッ・・・
ステイル「だから黙ってろ! サーシャ!」チッ・・・
サーシャ「あ、はい。そうですね……失礼しました」コクッ
一同『ん?』ポカーン・・・
124 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/28(日) 23:32:55.16 ID:ozObQTu10
サーシャ「……新たなる光の三名へ質問があります」チラッ
ベイ・フロ・ラン「「「私達?」」」ポカーン・・・
サーシャ「第一の質問ですが、レッサーの行きそうな場所を知りませんか?」
フロリス「知りませんかって……多分、知らない」キッパリ・・・
ランシス「レッサーの行動読める人間なんてそうそういないよ」ハハハ
ベイロープ「というかいきなり如何したの?」
サーシャ「……マグヌス」チラッ・・・
ステイル「話しても良いんじゃないか? 探すとなったらばれる事だよ」
サーシャ「了解です……第一の報告ですが、レッサーが行方不明です」
一同『はぁ!?』キョトン・・・
神裂「ゆ、行方不明って、その……え?」
ステイル「さっきまでは居たんだが、色々あってな」フム・・・
オルソラ「その『色々』が問題なのではございませんか? 喧嘩したとか、悪戯したとか」
サーシャ「……マグヌス」チラッ・・・
ステイル「一々僕に了解を求めるな。勝手に話せ」ッタク・・・
サーシャ「了解です。では第二の報告です……―――」
少女説明中・・・・・
サーシャ「―――以上です」
神裂・五和「「」」チーン・・・
浦上「にゃはは! まーた香焼始まった」ケラケラ!
ルチア「またあの猿小僧の仕業かああぁ!! やっぱ去勢すべきですよ!! このままではアニェーゼ達の貞操がマッハでピンチ!!」ガアアァッ!!
オリアナ「落ち着きなさい姉馬鹿」ハァ・・・
シェリー「んー……話聞く限り悪いのレッサーだろ。まぁ坊やが嘘吐いてるって可能性も捨てきれないけどね」チラッ・・・
ベイ・フロ・ラン「「「……、」」」ジー・・・
オルソラ「……御三方?」チラッ・・・
ランシス「り、リーダー」チラッ・・・
ベイロープ「……ヤバいわね」タラー・・・
フロリス「あの馬鹿。変な暴走の仕方を」タラー・・・
サーシャ「……、」ジー・・・
125 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/28(日) 23:52:23.19 ID:ozObQTu10
ステイル「……レッサーの行動に何か心当たりがあるようだな」チラッ・・・
ベイロープ「……ちょっとね」
フロリス「でも、ベラベラ口外出来る話じゃないな。あくまで身内の恥の様な話だ」
ランシス「……、」ムゥ・・・
神裂「……兎に角、急いでレッサーを探すべきでしょう」
サーシャ「第三の報告ですが、現在コーヤギー、アニェーゼ、アンジェレネが街中へ捜索に出張っています」
ルチア「……友達は選べと何度も言って聞かせてるのに」グヌヌ・・・
オルソラ「シスター・ルチア……説教が必要でございましょうか?」ゴゴゴゴ・・・
五和「る、ルチア。アニェーゼもアンジェレネも友達想いの良い子だよ。だから怒らないの」ポンポンッ・・・
ルチア「……、」ハァ・・・
ステイル「さて、オマエ達」チラッ
ベイロープ「……アジトにはいないわ。人が居ればランシスが遠隔感知するもの」
ランシス「うん。魔力反応はないよ」
サーシャ「という事はやはり街中ですね……再度第一の質問ですが、心当たりは?」
フロリス「……さぁ」ムゥ・・・
サーシャ「……マグヌス。困りましたね」ポリポリ・・・
ステイル「チッ……とりあえず人手を使って街中や駅前を探す他無いだろう。そう遠くまで行くまい」
オルソラ「私共も何人か出張りましょう。シスター・ルチア。アニェーゼ隊の非番の子達も手伝ってもらいたいのでございます」
ルチア「……はいはい」ヤレヤレ・・・
神裂「それにしても、き、キスを迫るとは……しかも香焼に」タラー・・・
五和「コウちゃん、着々とカミやん病が進行して……その内邪気眼とか出そうですね」タラー・・・
ステイル「香焼に関しては心配無い。何だかんだでレッサーを蹂躙してたからな」ハハハ
ルチア「やっぱ貸せません! あとアニェーゼ、アンジェレネを引き返させます!」ワナワナ・・・
サーシャ「マグヌス……余計な事を」ジトー・・・
ステイル「……別に良いだろ。ルチアがおかしいんだ」ムゥ・・・
ベイ・フロ・ラン「「「……、」」」ジー・・・
オリアナ「……ふむ」チラッ・・・
シェリー「どうすんだ? 考え有るようだが」ボソッ
オリアナ「……とりあえず貴女は大学の子借りてでも駅前探させて。私はこの子達の話聞くから」ボソッ
シェリー「あいよ。電話借りてくるわ」テクテク・・・
126 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 00:12:02.86 ID:N4aP9ccI0
オリアナ「ちょっとベイロープ」チラッ
ベイロープ「っ!」ビクッ
オリアナ「来なさい……あとフロリス、ランシス。それからオルソラ……浦上も」チラッ・・・
フロリス・ランシス「「……、」」タラー・・・
オルソラ「はいはい」コクッ
浦上「はいは……はいぃ?!」キョトン・・・
五和「何でウラが!?」ギョッ・・・
オリアナ「いいから……こっちに」テクテク・・・
サーシャ「え、あ、私達は?」タラー・・・
オリアナ「ステイルと一緒に待ってなさい。あ、神裂。天草の暇な子達も貸してあげなさいな」
神裂「は、はい」
五和「……女教皇様。既にコウちゃんがメールで頼みこんで来てましたよ」ア・・・
神裂「それ早く気付きなさいって!」ハァ・・・
五和「だ、だってぇ!」アタフタ・・・
ステイル「オマエら少し落ち着け」ハァ
サーシャ「マグヌス。第一の提案ですが人員を確保できた件でコーヤギーに連絡を」
ステイル「はいはい」ヤレヤレ・・・
もあい「なー」コロコロ・・・
オリアナ「さて、と……お姉さんが聞きたい事、分かる?」チラッ・・・
ベイロープ「……、」
フロリス「……先の身内の件ですか?」
オリアナ「そうね。サーシャと神父の話を聞く限り、レッサーがしようとしてる事は売春よ」
ランシス「ば、売春……なのかな」タラー・・・
オリアナ「あの子が何焦って貞操捨てようとしてるのか分からないけど……さっきの貴女達の反応を見るに、原因はあの子じゃないわね」
ベイロープ「……、」タラー・・・
オリアナ「ベイロープ……貴女もしかして、彼女に『そういう任務』させようとしたの?」ジー・・・
浦上・オルソラ「「っ!」」
フロリス「んな訳ないでしょう!」ギョッ・・・
ランシス「リーダーはレッサーの事そんな風に使ったりしないよ!」アタフタ・・・
ベイロープ「……、」ジー・・・
127 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 00:25:37.80 ID:N4aP9ccI0
浦上「ええっと……レッサーが強要したのって、キスだけなんですよネ?」
オルソラ「そう言ってたのでございます。身体に関しては、特に」ウーン・・・
オリアナ「……でも、焦って女捨てようとしてたんでしょ? いや、男を知ろうとしてたのかしら?」
フロリス「そ、それは」タラー・・・
ベイロープ「……もしそうだとしたら、私の責任です」グッ・・・
ランシス「り、リーダー!」
フロリス「ち、違うって! コレはあの子が勝手に解釈して」アタフタ・・・
オリアナ「何の解釈かしら? お姉さん、知りたいわ」ジー・・・
ベイロープ「……、」ジー・・・
オリアナ「力になれると思うけど。特に私と浦上……というか天草の男衆わね」フフッ
浦上「あぁ。だから私を……って何で私?」ポカーン・・・
オリアナ「ウブな神裂と五和にこの話はもしかしてキツいかなーってね」クスッ
浦上「うわー……何か私が穢れてるみたいな言い方しますネ」ジトー・・・
オルソラ「まぁまぁ。私も同類いう事で。信用されてると思うのでございますよ」フフッ
オリアナ「そうそう。さて……ベイロープ」チラッ
ベイロープ「……他言無用でお願いします」コクッ
オリアナ「分かってるわ。此処だけの秘密ね」クスッ
ベイロープ「実は昨日……―――」
もあい「なぅ」トコトコ・・・
ベイロープ「―――……という事がありました」
オリアナ「……なるほど」フム・・・
浦上「ありゃりゃ。完全にレッサーの暴走ですネ」タラー・・・
フロリス「まぁその……私達があの子に発破掛ける様な言い方した所為もあります」
ランシス「で、でもリーダーとフロリスはレッサーの為を思って!」アタフタ・・・
ベイロープ「良いのよ。結果、あの子が空回りしたんだから私の所為だわ」ハァ・・・
オルソラ「まぁまぁ。そんなに自分を責めてはいけないのでございますよ」
オリアナ「まったく……変に知識だけある子は扱いが厄介ね」ハァ・・・
128 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 00:59:41.57 ID:N4aP9ccI0
オリアナ「とりあえず、今の話とさっきの話を照らし合わせるに……口だけ女と言われたのが癪だったのね」
オルソラ「だから無理矢理でも香焼に迫った、と……やれやれ。標的にされる彼も彼でございます」ハァ
浦上(……純粋に歪んだ告白の形だったりして)ニャハハ・・・
オリアナ「坊やで止まっておけばまだしも、誰でも良い状態になった今……面倒な事になったわね」
ランシス「コヤギくん、キスさせてあげれば良かったのに」ムゥ・・・
浦上「それは色々と拙いヨ。大規模な喧嘩が起きちゃうからサ。英国と都市関係無くネ」タラー・・・
オリアナ「ふむ……あと、ベイロープ。『そういう仕事』をするなとは言わない。私もしてる事だから」チラッ・・・
ベイロープ「……、」
オリアナ「でも節度を守りなさい。貴女はまだ若いわ。無闇にそういう手段を使う必要は無い」
ベイロープ「……でも、私達の結社は小さいんです。コネも何もありません。地道にやってくしかないんですよ」
オリアナ「分かってるわ。フリーのお姉さんが知らないわけないでしょう……でもね」チラッ
フロリス・ランシス「「……、」」
オリアナ「この子達が見てる。自分の『そういう姿』を下の子には見せちゃダメ。鉄則よ。現にこうして心配事になってる」
ベイロープ「……、」
オリアナ「娼婦風情が何を言う、って思ってくれても良いわ。でも経験上、正しい事を言ってるつもりよ」
オルソラ「オリアナ……卑下しないで下さいませ。誰もそんな事を考えたりはしないのでございます」
浦上「まぁ姐御が真面目に何か言ってる時は核心ですからネ。娼婦も聖人君主も関係無いですヨ」クスッ
オリアナ「あらどうも。兎角、身体商売色気勝負っていうのは『個』でするもの。貴女はキチンと守れる娘だと思ってたけど、まだまだ未熟ね」
ベイロープ「……すいませんでした」ペコッ
オリアナ「要勉強よ。テクだとか魅力だとかより『心配り』。貴女がレッサーに言った事、自身でよく噛み締めなさい」
ベイロープ「はい」コクッ
フロリス「……えっと、それで如何しましょうか」タラー・・・
ランシス「オリアナさん、何か考えがあるんじゃ」
オリアナ「……ええ。情報網使うわ。娼館の知り合い達に『新しい家出娘が来てないか』って聞いて上げる」フフッ
浦上「わぁ。裏情報網怖ー」クスクスッ
オリアナ「お姉さんの友達はみーんな親切で良い人達よ。仕事内容目を瞑ればね」クスッ
オルソラ「では私もコネに当たりましょう……オリアナ。『姫』で良いのでございますよね?」フフッ
オリアナ「ええ。貴女はその為に来て貰ったんだもの……さて、動きましょう。ベイロープ達は直接探しに出なさい」チラッ
ベイロープ「はい。急ぎます」コクッ
オリアナ「私とオルソラ、シェリー、神裂は此処を拠点に情報整理。良いわね」チラッ
オルソラ「了解でございますよ」
フロリス「あの馬鹿……早く取っ捕まえて説教してやらなきゃ気が済まないな」ギリリ・・・
ランシス「フロリス。怒るのは後にして急ぐよ」テクテク・・・
ベイロープ「……、」ハァ・・・
129 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 01:44:39.51 ID:N4aP9ccI0
にゃーん・・・・・
サーシャ「……あ。やっと来ました」チラッ・・・
オリアナ「お待たせー。とりあえず携帯持ってる人達で班作って捜索行って貰うわよん」テクテク・・・
ステイル「それは既にしている。だが見当も無くそれは」
オリアナ「だーかーらー、本部置いたり何なりして宛てを潰していくわよ」
神裂「宛て……分かったのですか?」
オルソラ「大雑把で知り合いに頼る事になりますが、凡そ見当はつく筈でございます」
オリアナ「とりあえず……サーシャと神父はベイロープ達と一緒に行きなさい。此処は私達が残るから」
サーシャ「了解です。マグヌス、行きましょう」
ステイル「やれやれ……神裂。猫を頼んだ。それから香焼に現状報告をしてやってくれ」
神裂「え、あ、はい」コクッ
もあい「みゃーん」ペチペチッ
ステイル「ったく……それで? 君達、宛ては有るんだろ?」
ベイロープ「とりあえず昨日の酒場に行くわ」
サーシャ「酒場……情報屋ですか?」
フロリス「ただの集合場所。そこで一悶着あったのよ」
ステイル「……動かないよりマシだ。それよりレッサーは携帯を持ってないのか?」
ランシス「持ってたらマグヌスさん、既に電話してるでしょ?」
ステイル「僕はアイツと連絡先交換なんてした事ない」キッパリ・・・
フロリス「……呆れた。アンタ達仲良いんじゃないの?」
ステイル「そう見えるなら眼科か脳外科を紹介しよう」
サーシャ「マグヌス。第一の注意です……五月蠅い。足を動かしなさい」ジトー・・・
ステイル「あーはいはい。わかりましたよー……ったく。今度からヤツに携帯持たせろ。悪用しない程度にな」ケッ
ベイロープ「……考えておくわ」クスッ・・・
ランシス「じゃあ私も欲しいな」チラッ
フロリス「自分で契約しなさい……って出来ないか。私達未成年だ」アハハ・・・
サーシャ「第一の願望ですが……私もワシリーサに携帯買って貰いたいです。マグヌス、彼女へ進言お願いします」チラッ
ステイル「殲滅白書(Annihilatus)の連絡手段事情なんか知るか。手前で何とかしてくれ……それよりさっさと行くぞ」ハァ・・・
サーシャ「むぅ……('・ω・`)」ショボーン・・・
130 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 01:58:02.48 ID:N4aP9ccI0
―――とある翌日、PM02:40、英国、ロンドン市内・・・(香焼side)・・・
Prrrr・・・・・
香焼「……もしもし。こんにちわ」
リメエア『あら……珍しい。どうしたの?』
香焼「ええっと……ちょっと困り事がありまして」
リメエア『ふーん。私に助力を仰ぐ程の?』
香焼「仰ぐ程というか、何というか……子供の力ではどうしようもない事なんすよ」
リメエア『そう。そういう問題なら頼ってくれると嬉しいわ。それで?』
香焼「え、えっと……、」
リメエア『ん?』
香焼「……、」タラー・・・
リメエア『坊や……言い辛い事なのは分かったけど、言ってくれなきゃ始まらないわ』
香焼「あの、ですね」ダラダラ・・・
アニェーゼ「ああもう! じれったい! 貸しやがれってんです!」バシッ!
香焼「あ、ちょ!」
アニェーゼ「もしもし! リーアさん! 私です、アニェーゼです!」
リメエア『あらアニーちゃん。一緒だったの? もしかして子供出来ちゃったとか何とか?』フフフ・・・
アニェーゼ「ぶっはっ!!? ヴぁ、馬鹿な事言わないで下さい!!」カアアァ///
リメエア『ははは。冗談よ。彼が甲斐性無しなのは知ってるから……それで?』
アニェーゼ「はい。えっと……―――」
少女説明中・・・・・
アニェーゼ「―――って、香焼が言ってました。でもマジっぽいんで困ってます」
リメエア『ふむ……ちょっと坊やに変わってくれる?』
アニェーゼ「え、はい。コーヤギ」スッ・・・
香焼「……変わりました」スッ
リメエア『お馬鹿』ハァ・・・
香焼「えええぇ!? いきなり!?」キョトン・・・
131 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 02:29:24.61 ID:N4aP9ccI0
リメエア『あのね……時には何も聞かずに抱き締めたり、キスしてあげるのも男よ』ハァ
香焼「な、そ……無理っすよ」
リメエア『知ってるわよ。でも、だから貴方は坊やなの』ヤレヤレ・・・
香焼「む、無茶苦茶なぁ」タラー・・・
リメエア『それはさておき、分かった。私も探ってあげる。とりあえず貴方達は大英博物館(以下B・L)へ向かいなさい』
香焼「え!? 博物館!?」キョトン・・・
リメエア『ロンドン一のナンパスポットよ。彼女がそれを知ってるかどうかは分からないけど、動かないよりいいでしょ』
香焼「は、はい! ありがとうございます!」
リメエア『うん……あと約束事よ。坊や、キチンと彼女のアフターケアしなさいよ』
香焼「え」キョトン・・・
リメエア『今回の件でレッサーちゃん、色んな人に怒られるんでしょ。だったら貴方だけでも最後まで味方でいてあげなさい。良いわね?』
香焼「……了解っす」
リメエア『宜しい。それじゃまた連絡するわ』Pi!
香焼「……はぁ。アフターケアねぇ」ポリポリ・・・
アニェーゼ「コーヤギ! 何言われたんですか!」
香焼「え、あ、B・Lに行けって。ナンパスポットだから、もしかしてだって」
アンジェレネ「博物館でナンパする人いるんですか?」ヘ?
香焼「さ、さぁ。でもリメ……リーアさんが言うんだからそうなんじゃないかなぁと」
アニェーゼ「B・Lだろうが時計塔(ビックベン)だろうが馬鹿の男は形振り構わず女の尻尾追い駆けるんですよ」ケッ
アンジェレネ「アハハ。確かに……、」
アニェーゼ「問題はレッサーみたいな幼児体型に性欲が沸く腐れ外道がいるかもしんねぇって事です!」
香焼「(オマエ人の事言えないだろ)……って叩くな! 何も言って無いだろ!!」イデデ!
アンジェレネ「……そうだね。普通の男性なら子供なんか相手にしないけど、仲にはペドフェリアもいるから」
アニェーゼ「日本のアキハバラとかいうポルノ街だったら需要あったんでしょうけどね」
香焼「秋葉原はポルノ街じゃなく電気店街っすよ」タラー・・・
アニェーゼ「如何でも良い。兎に角B・Lに向かいますよ!」タッ・・・
アンジェレネ「うん! コォヤギくん、一応ステイルくんに連絡を」
香焼「了解っす」コクッ・・・
132 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 02:43:52.11 ID:N4aP9ccI0
香焼「……って、あれ?」ジー・・・
アニェーゼ「あん?」
香焼「何か沢山メール入ってる……レッサーの情報探してくれてるみたい」
アンジェレネ「ステイルくんだけじゃなく?」
香焼「うん。天草の皆だ」
アニェーゼ「やれやれ。ホント面倒掛けさせる娘ですね」クスッ
香焼「五和からも来た……『ルチアに気を付けて!』……何これ?」
アニー・アン「「……さぁ」」タラー・・・
香焼「他に……『女子寮の非番組も手伝う』、『娼館は天草男衆に任せるのよね』、『新たなる光のアジトにはいないらしい』……あらら」
アンジェレネ「何だかんだで、皆優しいね」クスッ
香焼「……うん」
アニェーゼ「ふんっ。私の隊まで引っ張り出しやがったんです。これは高くつきますよ、レッサー」
アンジェレネ「ふふっ。あ、それでサーシャちゃん達はフロリスさん達のお話聞けたのかな?」
香焼「メールには……うん。聞けたっていうか接触は出来たらしい。今一緒に行動中だとか。市内のとある酒場に向かうって」
アンジェレネ「そっか。じゃあ私達も急がないと」
アニェーゼ「うっし! そんじゃいっちょ派手に探してやりましょう!」オー!
香焼「派手にしちゃダメだからね」タラー・・・
133 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 03:19:41.50 ID:N4aP9ccI0
―――とある翌日、PM05:00、英国、ロンドン市内、某所・・・(レッサーside)・・・
皆がガキ扱いする。『子供のくせに背伸びすんな』って……自分はそんなに子供じゃない。
皆が口だけだって言う。『口だけの変態女』って……やればできるんだ。
ただまだ経験が無いだけで、やろうと思えばオリアナの姐御以上に上手くやれる筈だ。
レッサー「『自分を大切にしない奴が』って……ベイロープ(オマエ)が言うなってんです」
リーダーだけ犠牲になって身体を張って、女を捨てて、男に身を許してる。
自分がその役回りを担えれば、少しは彼女を楽にしてやれると思った。
リーダーの言い分は分かる。だけど、納得なんかできない。
レッサー「もう……誰でも良いんです。相手して下さいよ」グズリ・・・
自分の処女など安いモノだ。ただ少しの痛みを我慢して、きっかけを作れれば良い。
高望みなんかしない。誰でも良いのだ。
レッサー「……、」ボー・・・
何故、彼は私を拒んだのだろう。私はそんなに魅力が無いのだろうか。
確かに見た目は子供かもしれないが、彼とは同年代だ。見目で拒絶される訳が無い。
潔癖症か、やはり甘ちゃん故か……ドチラにしろ彼には幻滅した。
レッサー「……にしても、誰も声掛けてくれません」ハァ・・・
先程大英博物館でナンパ待ちをしてみたのだが、まったく声が掛らない。
自分に話しかけてくれたのは暇そうなお婆ちゃんと警備員のおっさんだけ。
自分以外にもナンパ待ちをしている女性はいた。婚期を逃した様なババア、派手な格好の娼婦風情の女……などなど。
男共は、悪臭放つそいつらにナンパしかけるのに、若々しい自分には見向きもしない。
まったく……色々腐ってるのではなかろうか。
レッサー「……ちきしょぅ」ウルウル・・・
そういえば……英雄さんも、私を拒んだっけ。
レッサー「……やれば、できるんだもん」ギュッ・・・
一人、駅のトイレ付近で声が掛るのを待ち続けた。
134 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 03:36:59.89 ID:N4aP9ccI0
―――とある翌日、PM05:00、英国、ランベス宮、女子寮・・・・・
パタパタ・・・・・
オリアナ「……新しい目撃情報は?」
シェリー「無いな。博物館組が警備員に情報貰ってそれっきりだ」
神裂「ええっと……牛深達が児童ポルノ取扱組織見つけちゃいました。如何しましょう」タラー・・・
オルソラ「まぁまぁ……断罪対象でございますわね」フフッ・・・
オリアナ「そのデータ頂戴。市警に回して『貸し』作ってあげるから……じゃなくて! 情報よ!」
シェリー「オルソラ。姫さんが探してる駅前の情報は如何なんだ?」
オルソラ「それが、私共には教える気が無いようなのでございます……『直接坊や達に伝える』とか何とか」ハァ・・・
神裂「あの人間不信が……私達が何の為に情報統括してると」ワナワナ・・・
オリアナ「警視庁にばれずに市中の監視カメラにログイン出来るのはあの人くらいなんだけど……困ったわね」ハァ・・・
シェリー「神裂。小僧か神父に電話して聞いてみろよ」
神裂「それが毎回通話中で中々掴まりません」ハァ・・・
オルソラ「これから日も暮れ益々危険になるというのに如何しましょう……ん?」チラッ・・・
ドタドタドタッ・・・・・
ローラ「神裂ー! 此処に隠れてるのは分かりたもうているのよー!」バンッ!!
一同『……、』タラー・・・
神裂「え……いや、隠れてないですよ」タラー・・・
ローラ「……え?」タラー・・・
オルソラ「あのー、最大主教様。何用でございましょうか?」
ローラ「え、あ、いや、宮殿内に全っ然人が居ないから謀反か何かを企てたかと」タラー・・・
神裂「あー大丈夫ですからさっさと帰れ」サラッ・・・
ローラ「酷っ! 私最大主教にありけるのよ!」アタフタ・・・
神裂「取り込み中なんですよ。終わったら相手してあげますから今回ばかしは構ってちゃんしないでください」ハァ
ローラ「ぐぬぬぅ……嘗めくさりおって」
オルソラ「まぁまぁ。お茶でも淹れますので、ソファに座って待っていて欲しいのでございますよ」ニコニコッ
ローラ「……はぁ」ポリポリ・・・
135 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 03:51:58.37 ID:N4aP9ccI0
パタパタッ・・・・・
ローラ「……んで? 何したもうてるの?」ボリボリ・・・
神裂「人探しですよ。あ、こら! ソファに煎餅溢さないの!」メッ・・・
ローラ「ふーん……検索魔術は?」
シェリー「無茶言うな。ロンドンは魔術師の坩堝だぞ? そこから一人特定するなんていう高度な検索術式組めるの、アンタくらいだろ」
ローラ「まぁそう褒めてくれるな」ハハハ
オルソラ「……え?」チラッ・・・
ローラ「ん?」ポリポリ・・・
一同『……、』ジー・・・
ローラ「……えっと」タラー・・・
オリアナ「……ねぇ神裂」チラッ・・・
神裂「いや、無理でしょう……この人は何だかんだ言って手伝ってくれません」ハァ
シェリー「いや、此処は駄目元でさぁ」
オルソラ「そうでございますね……あの、最大主教様」チラッ
ローラ「くっ……オマエら、ネチっこいOLの虐めみたいな事しけるのね」ジトー・・・
神裂「ローラ。助力を請いたいのですが」
ローラ「ふむ……私用で私の『力』を使う際は企画書の提出が義務でありけるわ。それは我が国に利益有るモノ?」ニヤリ・・・
もあい「にゃーん」ペシペシッ!
神裂「ほら無駄でしょう」ハァ
シェリー「ああ、少しでも期待した私が馬鹿だった」
オリアナ「そろそろ範囲を拡大しましょうか。もしかして市外に出てる可能性も出てくるわ」
オルソラ「神裂。此処は騎士団の方々にも助力を請いましょう。仲が悪いとはいえ、子供の貞操に関わる問題です」
神裂「しかし……騎士団長殿が私用で騎士を貸してくれるでしょうか」フム・・・
シェリー「絶対ぇ貸すから。貸さないって言ったら電話貸せ。色々物申してやる」
オルソラ「……あ! 新しい情報が来たのでございます!」
オリアナ「何々……―――」
ローラ「……いいもん。ボッチでいいもんにゃー。オマエと遊びけるもんにゃー」ナデナデ・・・
もあい「んなー」フシフシ
136 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 04:20:41.88 ID:N4aP9ccI0
―――とある翌日、PM05:30、英国、ロンドン市内・・・(香焼side)・・・
がやがや・・・・・
アニェーゼ「―――だあああぁっ!! あの馬鹿娘! 何処放っつき歩いてるんですか!」ウガアアァ!
アンジェレネ「もう暗くなってきたよ……もしかして今頃既に何処かのホテルに居るんじゃ」
香焼「……アン」チラッ・・・
アンジェレネ「っ……ごめん」キュッ・・・
アニェーゼ「……もしそうだったとしても、『真っ最中』の中上がり込んで打ん殴ってやります。男の方は処刑です」ギリリ・・・
アンジェレネ「……うん」ジー・・・
香焼「兎に角……博物館に居た事は確かなんすよ。そこから何処に移動したのか」ハァ・・・
アニェーゼ「HQ(女子寮)の方にはレッサーの情報入らないみてぇですし……如何したら良いのやら」ハァ・・・
Prrrr・・・・・
香焼「っ……はい!」Pi!
ステイル『今何処にいる』
香焼「ええっと……B・Lの辺りに」
ステイル『丁度良いな……キングスクロスの駅前に行け。僕らはハックニーへ向かう』
香焼「え、あ、何で!?」
ステイル『根暗姫からメール行って無いのか? 多分行ってるからさっさと見ろ』Pi!
香焼「ちょ……いきなり切った」
アニェーゼ「ステイルですか!? 何て言ってやがりましたか!?」
香焼「ちょっと待って……あ、ホントだ。メール入ってる」タラー・・・
アンジェレネ「もう! しっかりしてよ!」
香焼「ご、ごめん。いっぱいいっぱいで……えっと……『King's Cross、Hackney、Harlesden、Harringey』にって」
アニェーゼ「如何いう事ですか?」
香焼「……治安の悪い辺りだって。もしかしたらナンパされるかもって事じゃないかな」
アンジェレネ「うーん。でも風俗的な治安は別に悪くない様な……犯罪は多いけど」
アニェーゼ「考えてる時間が勿体無ぇです。黒ったら黒! 白じゃなきゃ黒なんです! 行きましょう!」
香焼「う、うん……アニー! キングスクロスだよ! そっちじゃないって!」アタフタ・・・
ざわざわ・・・・・
137 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 04:35:34.01 ID:N4aP9ccI0
―――とある翌日、PM06:00、英国、ロンドン市内、某所・・・(レッサーside)・・・
気付くと辺りは暗くなっていた。
この辺りは治安が悪いのであわよくば援助交際なんてものを申し込まれるかと思ったけど、そう甘くは無かった。
多分、このまま此処に居ても警官に補導されるかもしれない。
もう場所を移動するか、もしくは……
レッサー「……嫌! 諦めませんっ」グッ・・・
自分は今日処女を切るのだ。そして一人前の女になり、皆に認めさせる。
レッサー「こうなったら……逆ナンです!」スタッ!
自分から攻めよう。元より自分は受けタイプでは無い筈。ガンガン押すべきだ。
そうと決まれば男を選ばねば。
レッサー「で、できれば……優しそうな人が良いですね」
欲を言えば、初めてなので恰好悪い人や怖そうな人は勘弁願いたい。
お金は……持ってなくても良い。女になるのが目的だ。援交なんて考えは二の次である。
レッサー「……あの大学生くらいの人」ジー・・・
此処ら辺では珍しい清楚な恰好。短髪で眼鏡を掛けているホワイトカラーさん。
レッサー「あ、あの! そこのお兄さん」ニコニコッ・・・
男性A「……、」テクテク・・・
レッサー「眼鏡のお兄さんっ。何処行くんですかぁ?」トコトコ・・・
男性A「……え」チラッ・・・
レッサー「そうそう、貴方。今御帰り?」
男性A「え、あ、うん……どうしたの? 迷子かな?」ピタッ・・・
またそれか。声を掛ける男共の第一声は皆それだ。まぁ我慢我慢。
レッサー「迷子じゃないですよ……あの、私家出しちゃって……泊まるとこ無くて困ってるんです」ウルウル・・・
男性A「それはそれは……早くお母さんと仲直りするんだよ」ポンッ
レッサー「え、あ、そ、そうじゃなくて……泊めて欲しいなぁなんて……ね」フフッ
男性A「んー……妻が許せばそれでも良いけど。一食一宿くらいは提供出来るかもね」
既婚かい……ミスったぁ。
138 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 04:49:47.91 ID:N4aP9ccI0
このまま押しても良いが、自分の処女喪失の為に円満そうな家庭事情を崩壊させるのは気が引ける。
此処は下がろう。
レッサー「そ、そっか。迷惑掛けちゃいますね……それじゃあ失礼します!」バッ!
男性B「あ、ちょ……大丈夫かなぁ」ジー・・・
やはり優しそうでイケメンなんて慾張ってたら逆ナンなんて成功しないか。
次はチャラそうな人にしよう。女性を何人も食べてそうな人なら処女相手でも上手だろう。
まぁ性病は怖いが……やるしかない!
では、また選択!
レッサー「えっと……単独……単独……あ」ピタッ・・・
それっぽいのが居た。ピアスの数が異常に多く、前衛的な髪形をしてる男性。少し怖いが顔立ちは整っている。これ以上贅沢は言うまい。
レッサー「……そこのお兄さん」テクテク・・・
男性B「……、」ジー・・・
レッサー「一人ですか? それとも友達待ってるんでしょうか?」
男性B「……、」ジー・・・
レッサー「え、と……聞こえてる?」タラー・・・
男性B「……、」ジー・・・
何だか不気味だ。実は人形(ホムンクルス)とか言わないよな。
レッサー「しゃ、喋れますか?」タラー・・・
男性B「……空が」ジー・・・
レッサー「え」
男性B「空が……燃える。だが何れ……沈まる。炎は繰り返し、また―――」
あー駄目だ。サイコの類でした、と。
諦めて次の的を絞ろう。
男性B「―――君は……あの炎の中に飛び込もうとする、蛾だ……蝶になれ」ファサッ・・・
あーはいはい。そうですねー。早く家帰れよー。
139 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 05:09:30.50 ID:N4aP9ccI0
次の的だが、もう贅沢は言わない。イケメンじゃなくてもいい。
そして認めよう。自分は子供としか見られないという事を。
となると、相手をしてくれるのは異常性欲者の類だ。
レッサー「ロリコンか、処女厨ですね」フム・・・
悔しいがオタク・コンベンションそうなのを見つけよう。もしくは女なら何でも喰いますみたいな顔したギャングマンか。
でも、それはちょっと……怖いな。
レッサー「しかし……単独となると、いないです」キョロキョロ・・・
悪そうなのは大抵つるんで歩いている。
あとオタコンなんか此処らにいないのに気付いた。私は馬鹿か。
レッサー「あ。ナンパしてます」ジー・・・
一つの集団が女性2人をナンパしだした。此処にも一人活きの良い娘がいるというのに、まったく、見る目が無いな。
ふと……自分の方に進んでくる集団がいた。もしかしたら声を掛けられるかもしれない!
レッサー「こ、こほんっ」スッ・・・
良し来い!
男性C「―――だからこの前の店は止めとけっつったろ。全員病気持ってんだから」
男性D「っせぇな! でも胸デケぇ女はやべぇほど居たぜ? あの間にナニを、こう……ってよぉ!」
男性E「でもオメェはその瞬間から病気持ちだがなー!」
……。
男性C「まぁテメェの事情は如何でもいいっつの……アソコの三人、良くね?」
男性D「27,8って所か……まぁ喰い時だな」
男性E「顔はまぁ今一だが……身体は悪くねぇな! テク良さそうな真ん中の子貰い!」
男性C「ちょ、待てっつの! 今日の仕切りはオレだろ!」
男性D「じゃあオレあの黒髪の子なー!」
……。
レッサー「行っちゃった」ハァ・・・
何故、声が掛らない……いや、それより何故私は声を掛けなかったのだろう。
多分、もしかしたら、淫乱そうな彼らは私の処女を奪ってくれたかもしれないのに。
140 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 05:23:13.64 ID:N4aP9ccI0
まさか……臆したというのか。魔術師であるこの自分が?
レッサー「……有り得ません!」キッ・・・
違う。今のは彼らの低脳さに呆れかえっただけだ。
誰でも良い、贅沢を言わないとはいえ流石に理性のなさそうな相手は控えるべきという自己啓発だろう。
次こそは行ける。あの二人組なら……行ける!
男性F「―――別にナンパなんてしなくても、オマエは美人の彼女居るじゃん」
男性G「あー、でもさぁ……飽きるんだよ。一人の女ばっかって」
男性F「ははは。まぁ俺は一人身だから関係無いけどな」
男性G「うっせぇ。もてるのに彼女作らねぇヤリチン野郎のくせに」
男性F「にはは! 何とでも言えー」
……こ、今度は声を掛けねば。
男性F「やっぱ今度は大学生辺りが良いかな。割り切りも気楽そうだし」
男性G「でもメンヘラ多いって聞くぞ? 大人しく噴水辺りでさぁ」
男性F「だってこの前それで失敗したろ? もう3Pなんかしたくねぇよ……あー思い出しちまった」
男性G「うっせ。同時にはしてねぇじゃん。ちゃんと順番だったろ? 相手の女も楽しんでたし。ま、俺の方が上手いっつってたけどな!」
……い、行かなきゃ。
男性F「阿呆抜かせ。テメェのポークピッツが……って、あそこの二人、どうだ?」
男性G「……アレってヤリマンで有名な姉妹じゃねぇの?」
男性F「そうなの? 可愛いのになぁ……ちょっと声掛けてみない? かけるだけ、な!」
男性G「……はぁ。やれやれだな」
また逃しちゃう……行く!
レッサー「あ、あの!」ダッ
男性F・G「「……え」」キョトン・・・
よし! 此処からだ。
141 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 05:42:17.86 ID:N4aP9ccI0
レッサー「お兄さん達……暇なんですか?」ニコニコッ・・・
男性F「……忙しいよ」テクテク・・・
レッサー「で、でも、今ナンパの話してたんじゃ」
男性G「あー小学生との援交御断りな。流石に手ぇ出せないわ」テクテク・・・
しょ、小学生……。
レッサー「わ、私は中学生です!」
男性F「はいはい。どっちでも良いよ。もう少し大人になってから男誘うんだな」テクテク・・・
レッサー「ま、まだ……その……処女、で……、」カアアァ///
男性G「処女とか懐かしいなぁ! 俺の初体験、彼女も初めてでパニクってよ! 面倒臭ぇんだ、アレ」ハハハ
男性F「オマエの初体験話なんか聞きたくねぇし……まぁ嬢ちゃん。折角の処女なんだし大事にしたら。じゃーな」テクテク・・・
レッサー「そ、そんな!」
男性G「補導される前に帰れよー……おい。あの姉妹、既に他の奴らに掴まってるぞ」チラッ・・・
男性F「ちょ、マジかよ……ついてねーなぁ」ハァ・・・
男性G「でもレズって噂も……あ、離れた! 行くなら今だぞ!」テクテク・・・
……ちくしょう。
レッサー「何が処女大事に、ですか……補導って、子供扱い……、」グズッ・・・
彼女を放ったらかしにして女遊びしてる様なヤツが倫理を語るな。
女なら誰でも食う様なヤツが何故私には手を出さないのだ……悔しい。
レッサー「……もう、如何でも良い」グッ・・・
声を掛けて、一言告げればいい。『セックスしましょう』と。
これだけダイレクトなら考えてくれる筈。男なんて馬鹿なんだから二人に一人は喰いつく筈。
レッサー「怖くない……怖い訳無いです」フルフル・・・
自分は魔術師なのだ。性交の一つで怖がって如何する。
きっと銃弾をドテッ腹に喰らう方が、破瓜より痛いに決まってる。
レッサー「次……声掛けられたら、言う。声掛けられなくても、言います!」グッ・・・
覚悟は決めた! 私は女になるんです!
142 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 05:51:20.37 ID:N4aP9ccI0
意気込み、ナンパしていそうな男性を探そうとした瞬間―――
男性?「おい」
―――声を掛けられた。
元々高そうな声を無理矢理低くしてる感じ。嫌いでは無い声質。
男性?「……聞いてるの?」
もう、ああだこうだ考えない。最早相手の顔は見ない! 一気に攻める!
男性?「レッs―――」
レッサー「わ、私と……せ、セックスしてください!!」カアアアァ///
い、言った! 言えた!
レッサー「よ、幼児体型だけど……でもテクは有る筈です! しょ、処女だけど……上手くできますから!」ウウウゥ///
後は返答を待つだけ!
レッサー「……、」タラー・・・
じらす人なのか? それとも返答に困ってるのか?
レッサー「……えっと」
男性?「……顔、上げて」
そういえば頭を下げっ放しだった。相手の顔を……―――
143 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 06:04:03.22 ID:N4aP9ccI0
レッサー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」ピタッ・・・
香焼「……あの、さ」ポリポリ・・・///
アニェーゼ「れっさああああぁ……アンタねぇ……、」ゴゴゴゴ・・・///
アンジェレネ「ず、随分大胆な事言うんだね」アハハ・・・///
レッサー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・な」ダラダラ・・・///
悪夢だ……そうだ。これは夢落ち。そう、夢の中の出来事だ。
アニェーゼ「現実逃避すんなボケカスアホ。コーヤギ、さっさと捕まえろボケ」ギロッ・・・
香焼「アニー、口調が素だよ……はい。確保」ガシッ
レッサー「」チーン・・・
香焼「アン。HQに連絡して。『ネズミは穴に』」
アンジェレネ「了解です……あ、もしもし。神裂……えっとキングス・クロスで……―――」
な、何故……。
香焼「何故って、当たり前だろ。心配したんだぞ」モゥ・・・
アニェーゼ「案の定、マジでナンパ誘ってやがりましたし……終いには逆ナンですか? ったく、女のやる事じゃねぇですよ」フンッ
アンジェレネ「―――はい……分かりました。姫には此方から……はい。失礼します……香焼くん。報告完了です」Pi!
香焼「どうも。さて……じゃあ如何しようか?」
アニェーゼ「このまま連れ帰って一同の前で頭下げさせても良いんですが、個人的に説教してぇですね」ジトー・・・
アンジェレネ「同意です」フフッ・・・
香焼「……実は自分もっすよ……多分サーシャとステイルもっすね」ジトー・・・
や、やだ……嘘だ。
144 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 06:23:51.76 ID:N4aP9ccI0
レッサー「は……離して下さい! 私は……私は!」ジタバタッ!
香焼「わっとと……放さない」ジャラッ・・・
手錠でコウヤギと繋がれてしまっている。
香焼「これ以上暴れると拘束術式(バインド)だよ。だから暴れないで」メッ・・・
レッサー「い、いやです! 私は……子供のままじゃ駄目なんです!」ジタバタ・・・
香焼「……レッサー」
私が大人にならなきゃベイロープだけ苦しいままなんだ。もしかしたらフロリスも私に内緒で動いてるのかもしれない。
レッサー「だからっ……、」グッ・・・
『大人』にならなきゃいけないのだ。
アニェーゼ「……なよ」ボソッ
レッサー「っ」ピタッ・・・
アニェーゼ「ふっ……ザケんなっ糞餓鬼ぃ!!」グイッ!!
レッサー「ぐっ……、」ゲホッ!
アンジェレネ「あ、アニェーゼちゃん!!」アタフタ・・・
私の胸倉を掴み、素の柄悪口調に変わるアニェーゼ。
アニェーゼ「手前ぇなんか一生ガキのままだボケッ!! 処女だろうが無かろうが関係無ぇ駄阿呆っ!!」ギリリ・・・
レッサー「な、何を……私はっ」ゲホゲホッ・・・
アニェーゼ「関係無ぇんだよ……手前ぇのやってる事はタダのチンケな犯罪じゃ糞がっ!!」ガンッ!
香焼「うわっ! あ、アニェーゼ! ストップ!」アタフタ・・・
私と一緒に地面に転がるコウヤギ。さっさと手錠を外せば良いモノを。
レッサー「新たなる光(ウチ)は……アニェーゼ隊(アンタ)のとこ見たいに、大規模なバックが二つも有る部隊とは違うんですよ」
アニェーゼ「喧しいっ! 被害者のつもりかアホ!! 判官贔屓なんぞしねぇっつのボケが!」グイッ・・・
レッサー「っ……ハンッ。流石名門部隊の隊長さんは違いますねぇ」フンッ・・・
アニェーゼ「っ……ウチはなぁ……英国とローマの両方から汚れ仕事押し付けられとんのじゃ……貴様らみてぇに仕事選べずなぁオイ」ギロッ
アンジェレネ「……、」ジー・・・
香焼「……アニー。それくらいにして」
流石にこの騒ぎだ……一般人(ギャラリー)が増えてきた。
145 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 06:51:46.52 ID:N4aP9ccI0
アニェーゼ「チッ……歩きながら話の続きです。来やがれ」テクテク・・・
香焼「……レッサー。行くよ。人が増えてきてる。見せ物にしたくない」チラッ・・・
レッサー「……、」コクッ
止むを得ずアニェーゼの後を追う。
アンジェレネ「ごめんね、レッサーちゃん」ボソッ
レッサー「……何でアンジェレネが謝るんですか」
アンジェレネ「多分、アニェーゼちゃん謝らないから代わりに……でもね。暴力はいけないけど、アニェーゼちゃんの言い分は確かだよ」
レッサー「……、」
香焼「アニェーゼは本気で怒ってる。レッサーの事が嫌いだったらあそこまでキレないよ」
……。
アニェーゼ「……例えば」ボソッ
レッサー「……何ですか?」
アニェーゼ「ウチの隊にヴァネッサって子いるでしょ。私達と同い年くらいの」
アンジェレネ「っ! アニェーゼちゃん!」ギョッ・・・
アニェーゼ「……後であの子に謝ります。だから今は黙ってて」チラッ・・・
確か栗色の髪のプロポーションが良い大人しい娘。歳の割に胸がデカいのでからかった覚えがある。
アニェーゼ「あの子は11の時、強姦されてます」ボソッ
香焼・レッサー「「っ!!?」」ギョッ・・・
アンジェレネ「……、」ジー・・・
いきなり、何を……。
アニェーゼ「相手は糞っタレなペドフェリア司祭でしたね……ネッサが勇気持って私に告白してくれたんで告発出来ましたけど」
レッサー「……、」
アニェーゼ「不幸自慢じゃねぇですけど、ウチの隊にはそういう境遇の子が何人かいます」
アンジェレネ「孤児や私生児ってだけでも大変なのに……それに加えてそういう事もありました。虐待もあったよ」
……。
アニェーゼ「それでも私は彼女は『処女』だと思ってます。処女って何かって聞かれたら『膜』じゃなく『誇り』だと、彼女は応えました」
香焼「……素敵な言葉だね」
アニェーゼ「レッサー……今のアンタのしようとしてる事、ネッサの前で言えますか?」
レッサー「っ……、」
アニェーゼ「結社の為? それで誰が得します? テメェが傷付いて悲しむだけじゃねぇんですか?」
もう……分からない。
146 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 07:01:25.33 ID:N4aP9ccI0
私は、このまま子供のままなのか。
アニェーゼ「……大人しくガキのままで良いじゃねぇですか。私は一生ガキのつもりですよ」ハハハ
香焼「それは色々困るでしょ」タラー・・・
アンジェレネ「あはは。アニェーゼちゃんらしいけど、もう少し大人になっても良いんじゃない?」クスッ
アニェーゼ「……まぁちょっとは考えてやりますか」フンッ
如何したらいい。
香焼「……もうちょっと行った先に公園がある。そこに集合予定だよ」
レッサー「集、合?」
アニェーゼ「決まってんでしょ。一番迷惑掛けた人達にです」
必要悪の教会(ネセサリウス)の面々か。
アンジェレネ「違うでしょ。一番心配した人達って事です。勿論私達も心配したけど……彼女達程じゃないから」ハハハ
レッサー「……え」ピタッ・・・
アニェーゼ「まぁこればかりは覚悟しろとしか言えませんね。多分、殴られるでしょうし」チラッ・・・
アンジェレネ「あ、アニェーゼちゃん!」
アニェーゼ「……しゃーないでしょう。こんだけ騒げば『修正』入るに決まってます」
ベイロープ……フロリス……ランシス。
香焼「……レッサー」ジャラッ・・・
レッサー「コウ、ヤギ……、」
香焼「一緒に居てあげるから……ちゃんと謝ろ。ね?」ポンッ・・・
微笑み、私の手を握る少年。二人の少女は『ヤレヤレ今回は仕方ないなぁ』と苦笑している。
レッサー「……っ」グズッ・・・
今にも溢れだしそうな涙を堪え、彼らの案内に従った。
147 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 07:32:42.19 ID:N4aP9ccI0
―――とある翌日、PM07:15、英国、ロンドン、センドポール寺院付近の公園・・・・・・
男性2人、女性7人だけの静かな公園。多分ステイル辺りが人払いを掛けてくれたのだろう。
その敷地内に、パシンッ……と乾いた音が響いた。
ベイロープ「っ……、」フー・・・フー・・・
レッサー「っ」ジーン・・・
口を開く前に、リーダーが部下に修正を入れた。
ベイロープ「言い分は?」ジー・・・
レッサー「……いきなり殴るなんて酷いですね」
ベイロープ「そう……本当は全っ然足りないくらいだけど、今は我慢するわ」チラッ・・・
そう言って冷静を装い、話を続ける。
ベイロープ「貴女がこれ以上愚かな行為を続けるなら解雇するつもりよ」ジー・・・
一同『っ!!?』ギョッ・・・
ベイロープ「私は貴女……貴女達の貞操を使ってまで、この結社を続けたくないわ」
レッサー「……ベイロープ」
正しい判断だと思う。
レッサー「ですが……このままじゃベイロープだけが!」
ベイロープ「言ったでしょう? 心まで売った覚えは無いって……都合よく聞こえるかもしれないけど」
フロリス「……、」フルフル・・・
ベイロープ「一応、一線は守ってる。極力ペッティングまで行かないわ。そこから先は……彼氏相手にだけよ」フフッ・・・///
頬を赤らめるベイロープさん。初めて見る彼女の『女性』らしさ。
アンジェレネ「……ペッティングって何?」ポカーン・・・
ランシス「多分エッチな事だってのは分かるけど……何だろう?」キョトン・・・
サーシャ「私も分かりません。アニェーゼ」ハテ・・・
アニェーゼ「……す、ステイルっ」コホンッ・・・///
ステイル「言えるか……香焼」ハァ・・・
愛撫の事です……なんて言える訳ないだろ。黙ってろ。
148 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/29(月) 07:38:45.85 ID:4snHLOCAO
はじめて読んだけど性格改変キツいな
オリジナルでやれば?
149 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 07:46:22.28 ID:N4aP9ccI0
さておき、レッサーは真面目に答える。
レッサー「でも……納得できません」
ベイロープ「……じゃあ私が『そういう仕事(情報収集)』止めたら納得する?」
レッサー「え」
ベイロープ「如何?」
レッサー「如何って……どうって……、」
ベイロープ「分からないんでしょ……だったら私の貞操云々は気にしないの。私も色々気をつけるから」クスッ・・・
レッサー「……、」
ベイロープ「聞きわけないわね……まさかポルノ女優に憧れてるから早く女になりたいとかじゃないわよね?」タラー・・・
レッサー「ち、違います! そういうふざけた理由なんかじゃありません!」
ベイロープ「そう。安心した……ありがと」フフッ・・・
ベイロープさんが『情報収集』を控えれば、彼女の負担は減る。だが結社としての運営機能が衰える。
アニェーゼ「ふんっ。馬鹿ですねぇ」ハンッ!
香焼「あ、アニェーゼ!?」ギョッ・・・
ベイロープ「……何か」チラッ・・・
いきなりコイツは……。
アニェーゼ「何の為の『コイツ』ですか!」フンヌッ!
ステイル「……何で僕を指す」ハァ・・・
アニェーゼ「仮にも必要悪の教会の嘱託なんでしょう? 使わない手は無いでしょうに」ドンッ
ステイル「んなアバウトな事言うな! 僕は責任取れないぞ!」ギャー!
薄情な奴め。
レッサー「ステイル……、」ジー・・・
ステイル「うっ」タラー・・・
レッサー「……、」ジー・・・
ステイル「……、」ダラダラ・・・
レッサー「……、」ジー・・・
いつになく真面目な眼差しを送るレッサー。ステイル、そろそろ折れろ。
150 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 08:04:27.42 ID:N4aP9ccI0
ステイル「……ひ、必要に応じて情報は出す」タラー・・・
アンジェレネ「それだけですか?」ボソッ
ステイル「相互利益がある際は……情報交換が条件だ。もしくは金で買え。安値で売る」ハァ・・・
フロリス「……マグヌス。意外と優しいんだな」ヘー・・・
ステイル「喧しい! 黙ってろ!」ハァ・・・
流石bPツンデレ。困ってる人は見過ごせない神父さんだ。
アニェーゼ「……ってな感じです! ベイロープ、安心なさいな」
ベイロープ「……、」ポリポリ・・・
レッサー「ベイロープ……その……、」
ベイロープ「あーうん。元はといえば貴女を心配させた私が元凶だもの。何も言わなくて良いわ」ポンッ・・・
レッサー「え」
ベイロープ「……でも謝らない。魔術師じゃなく、貴女の姉貴分として怒ってるから」
結社(チーム)を越えた、繋がりか。
ベイロープ「自分を大切にして……私が言えた義理じゃないかもしれないけど、そうして欲しいの」ギュッ・・・
レッサー「……っ」グッ・・・
ベイロープ「キスもセックスも……本来、大事な人にだけ捧げるものよ。忘れないで」ポンッ・・・
レッサー「っ……ごめん、なさい……うぅ……ごめんなざい……うううぅ」ポロポロ・・・
ベイロープ「……泣くな馬鹿もの」クスッ・・・ナデナデ・・・
まったく……小悪魔の目にも涙、か。
フロリス「感動に浸ってるところ悪いんだけど……香焼坊や」ボソッ
香焼「え?」
フロリス「いつまで手錠してるの? まさか鍵無いとかそういうオチ?」
香焼「え、いやいや。ちゃんとポケットにあるっすよ」
そういえば忘れてた。そろそろ外そう。そう考え鍵をポケットから取り出した……
151 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 08:20:37.02 ID:N4aP9ccI0
……刹那、嫌な予感がした。これはもう本当に予感。何とうか事前に不幸オーラを感じる。
とても感動的な場面の筈なのに、凄く嫌なプレッシャーが。
レッサー「っ……うわあああぁん! ごめんなざーい!」ギュウゥ・・・
ベイロープ「もう……まだまだ子供よ」フフッ・・・
レッサーがベイロープさんに抱き着いた瞬間だった。
自分は重心を崩し前のめりになる。
フロリス「おっと、大丈夫?」グッ・・・
香焼「す、すいません」ペコッ・・・
フロリス「やれやれ……色々ありがと。多分、貴方が一番馬鹿妹の迷惑被ったわね」ポンポンッ
香焼「い、いえ。慣れっこっすから」アハハ・・・
バランスが取れずフロリスさんに寄り掛かる姿勢になった。
フロリス「あの子相手の慣れっこってのも凄いわね。これからも宜しく」ナデナデ・・・
香焼「は、ははは。出来得る限りは……それよりそろそろ放して貰いたいっす」タラー・・・
フロリス「え?」
ランシス「……フロリス。何か超睨まれてるよ」タラー・・・
いや、多分僕を睨んでます。
アニェーゼ「こ、の……デレデレすんな発情馬鹿わんこーやぎぃ!!」ガアアァッ!!
香焼「し、してないよ!」
アニェーゼ「嘘吐きやがれってんです! 鼻の下伸びきってるのが丸見えなんですよ!」
香焼「適当言うなよ! 何でそんな意味分からない事言うのさ」ムゥ・・・
アニェーゼ「そ、それは、その……アンタがデレデレしてるからで……、」ゴニョゴニョ・・・///
は?
フロリス「噂に聞いた以上の鈍感ね……この手の男はもっとはっきりアプローチを掛けなきゃ」
アニェーゼ「う、五月蠅いウルサいうるさーい!! 兎に角デレデレすんな!」ゲシッ!!
香焼「ちょ、痛っ! やめ……ぶはっ!」グラッ・・・
次の瞬間……。
香焼「あ」ポロッ・・・
一同『あ』ジー・・・
152 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 08:33:57.84 ID:N4aP9ccI0
鍵が。
香焼「う、そ」タラー・・・
側溝に、落ちた。
一同『……、』
香焼「……アニー」チラッ・・・
アニェーゼ「え、な……私の所為じゃねぇです! コーヤギの所為でしょう!」
アンジェレネ「アニェーゼちゃん……如何するの? 此処の側溝水流れてるタイプだよ」
アニェーゼ「うっ……最悪見つかんなきゃ手錠を壊せば良いだけの話で!」
香焼「これ、都市で買った警察(警備員)の新配備手錠。電子ロックだから赤外線キー無いと開かない……、」タラー・・・
アニェーゼ「う、うそ」タラー・・・
ふと……後ろを向く。
レッサー「……え、えっと」タラー・・・
香焼「あ、あの……感動の何たらかんたらは?」
ベイロープ「とっくに終わってたわよ……それより如何するの?」
如何するって、そりゃ……鍵を見つけるしかないでしょう。
ステイル「……アホ臭い。僕は帰って寝る」カチッ・・・ジジジ・・・フゥ
香焼「なっ! オマエ!」
ステイル「悪いが今日は疲れた。探すなら勝手にやれ」テクテク・・・
薄情な野郎だ。
フロリス「確かに……今日はもう疲れたわ」
ランシス「そうだね。帰って寝たいよ」
何、だと……。
香焼「み、みんな!」
サーシャ「第四の意見ですが……私も疲れました。それにもう暗い。明るい時じゃないと鍵は見つからないでしょう」ハァ・・・
アンジェレネ「コォヤギくん……レッサーちゃんと一晩一緒だからって変な事しちゃダメだよ」ゴゴゴゴ・・・
アニェーゼ「……許しませんからね。何か『間違い』があったらコーヤギ殺して私も死にます」ボソッ・・・
な、ちょ……嘘!?
153 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 08:52:48.45 ID:N4aP9ccI0
ベイロープ「坊や……いえ、香焼」
香焼「べ、ベイロープさん! 貴女は探してくれますよね!」
ベイロープ「手を出すなとか責任取れとか重い言い方はしない。でも……逃げてばかりじゃ駄目よ」フフッ・・・
そ、それだけ?
ベイロープ「ま。今夜はその子よろしくね♪」
……。
レッサー「……えっと」ポリポリ・・・///
香焼「」チーン・・・
レッサー「どっちの家、行きましょうか?」モジモジ・・・///
勘弁して下さい。
レッサー「その……ベイロープはああ言いましたけど、キスの練習くらいなら、しておいても良いかなぁって」モジモジ・・・///
香焼「なっ」
レッサー「ちゃ、魅了(チャーム)の練習も兼ねてって意味ですよ……も、勿論、後で術は解きます」コホンッ・・・///
香焼「……不幸だ」ダラダラ・・・
結局、アニェーゼが『やっぱり一晩二人きり、しかも同衾は駄目でぇーーすっ!!』と怒鳴りこんで来て大騒ぎに。
何故かステイルの部屋に泊まる事になる。自分は床、レッサーはソファだ。
因みに鍵は見つからなかったので、翌日五和のハッキング技術の応用で手錠を外して貰う羽目になる。
レッサー「ぺ、ペッティングの練習もアリですよ」カアアァ///
アニェーゼ「させるかああああああぁっ!!」ベシッ!!
香焼「うわあああぁん! 寝かせてよおぉ!!」ギャーギャー!
サーシャ「コーヤギー! 五月蠅いです! 眠れませんよ!」メッ!
ステイル「ッ〜〜〜〜何で僕の部屋にっ!!」ンギギ・・・
アンジェレネ「まぁまぁステイルくん。楽しいから良いでしょ」フフッ
まったく……彼女らといると飽きないっすね。やれやれ、だ……―――
154 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 09:07:10.12 ID:N4aP9ccI0
<おまけっ!>
リメエア『―――そう。中々面白い一日だったのね』
香焼「散々っすよ。トイレ風呂一緒だし」ハァ・・・
リメエア『あらあら。役得ってヤツかしら』フフッ・・・
香焼「冗談でも笑えないっすよ。身体中青タンだらけっす」
リメエア『勲章って事にしときなさい……そういえば、レッサーちゃんのリーダーから手紙が来たわ。ありがとうって』
香焼「え、あ、はい。ベイロープさんがレッサー連れて各所に謝罪周りしてたっす」
リメエア『へぇ。ベイロープ、だったかしら……彼女幾つ?』
香焼「えっと……女教皇様と同い年くらいっす」
リメエア『そう。神裂と……若いわね』
香焼「……必要悪の教会の関係者は基本的に若いっすよ」
リメエア『皆ヴィリアンより年下ばっかり。ホント、魔女(スチュワート)は何を考えてるんだか』ヤレヤレ・・・
香焼「あはは。何とも」ポリポリ・・・
リメエア『……とりあえず、何かあったら今回みたいに頼ってくれて良いわよ。子供に頼られる分には大人冥利に尽きるもの』フフッ
香焼「はい。御世話になります」
リメエア『それじゃあまたね。次は別の形で会いましょう。ポジティブな方でね』クスッ・・・
香焼「ええ。失礼します」Pi!
にゃーん・・・・・
155 :
第B話―――レッサー「キス、しましょう」 香焼「・・・・・は?」
[saga]:2011/08/29(月) 09:27:18.96 ID:N4aP9ccI0
<おまけっ!!>
アニェーゼ「はい。では第……第……サーシャ」チラッ・・・
サーシャ「第29回目です」コクッ
アニェーゼ「そう。第29回カルテッ娘会議を始めまーす」
アン・サーシャ「「おー」」
アニェーゼ「今回の議題はレッサーの抜け駆け問題についてです」ギロリ・・・
レッサー「ぐぬぬぅ」ダラダラ・・・
アニェーゼ「言い分は?」
レッサー「そ、その……誰でも良かったので」
アンジェレネ「と犯人は述べており、裁判を撹乱するつもりの様です」
アニェーゼ「レッサーちゃーん……誰でも良いなら食堂の兄ちゃんとかでも良いんじゃねぇですかぁ??」グイッ・・・
レッサー「そ、それは……、」
サーシャ「第一の推測ですが……欲張ったんでしょう? レッサー、素直に白状しなさい」
レッサー「くっ……、」
アニェーゼ「あの朴念仁相手ならドサクサ紛れて自然にキス出来るかも……なんて考えたんでしょう! あぁん!?」
レッサー「べ、別に……そんな事は」ダラダラ・・・
アンジェレネ「裁判長(ボス)。レッサーちゃんの目がモノ凄く泳いでます!」
アニェーゼ「ふむ……決まりですね」ギロリ・・・
レッサー「ひ、ひぃ!」ガクブル・・・
アニェーゼ「罰ゲームっ! サーシャ引きなさい!!」ガラガラガラガラ・・・
サーシャ「では。えっと……『全員分のケーキバイキングを奢る』……チッ。容易いですね」ケッ・・・
アンジェレネ「この前アニェーゼちゃんがした『男装した状態でステイルくんと30分枕について談話』よりマシだね」
アニェーゼ「……アレは地獄でした」ハハハ・・・
サーシャ「さて、レッサー。覚悟は宜しいですね……第一の確認ですが一人2,500円のケーキバイキングですよ」フフフ・・・
レッサー「」チーン・・・
アニェーゼ「ハッハッハッ! 抜け駆けするモノには罰を! 私達のは『上条約』みたいに生温くないですからね!」ケラケラ!
アン・サーシャ「「ハッハッハッハー!!」」ケラケラ・・・
もあい「にゃーん」ノシ
156 :
>>1
[saga]:2011/08/29(月) 09:33:49.47 ID:N4aP9ccI0
はい。お疲れ様でした。これでこれからレッサーが香焼にセクハラしていけますね……あぁ眠ぃ。
次回は都市編です。
次回メインキャラのアンケ!
@絹旗と○○。
A結標と○○。
B神裂、五和、浦上と○○。
『○○』については書いても書かなくても良いよ!
では質問意見感想罵倒アンケートなどなど、コメントお願いします! それじゃお休み! ノシ”
157 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/29(月) 09:54:19.56 ID:cR7Ds9KDO
朝まで乙! オリアナ姐御とかナンパの下りが妙に生々しかったけど
>>1
の体験談か?w
@そろそろ絹旗と甘々なヤツを頼む! ペッティングくらいしちまえ!
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/29(月) 10:08:38.51 ID:j2fh+T0Jo
俺は軽くキャラ崩壊しても受け入れるぜ!
@結標やカルテッ娘進み過ぎてるからここらで調整を…
ところで
>>1
無茶すんなよ!
体調不良でもおこして更新止まったらすごパな!
159 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/08/29(月) 10:40:08.28 ID:CBIFBfMRo
香焼でこのモテようなわけで、
本家上条さんは原作でもそうだけど、ここでの本気が見てぇ。
前にフラグのリストあったけど、おそらくあんなもんじゃないはず。
アンケは@
160 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/29(月) 10:56:20.23 ID:KqrAw6BAO
@
161 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/08/29(月) 11:13:19.02 ID:3AHnurxAO
性格改変とはいえ、要素デフォルメで強めたり弱めたりだし許容範囲じゃね。
1で
絹旗と佐天初春春上の絡みが見たいな
162 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/29(月) 13:01:45.61 ID:5DnFJizDO
先輩シリーズ最近あがってないなと思ってたら
こういう形で進んでたとはぬかった
てなわけで勝手にお久しぶり
>>1
相変わらずの面白さで安心した
アンケは@
久しぶりにアイテムのメンバーを見たいです
163 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/29(月) 13:23:09.93 ID:Hibh9QPf0
, - 一 - 、_
/ .:::ヽ、
/, -ー- -、 .:::://:ヽ
i..::/\::::::::ヽ、::|i::::::|
/7 .:〉::::::::: /::|::::::|
/ / .:::/ .:::::|:::::::|
i / .:::::i :::::::|:::::::|
.i i;::::ヽ、 ,i .:::::::|::::::::|
i `''''''''´ .::::::::|::::::::|
i-=三=- 、 .:::::::::ゝ、ノ
. i .:::::::::::i:::|
..i .:::::::::::::i:::|
.i .::::::::::::::/:::|
.ゝ、____.;;;;;;;;;;;;;;/::.:::!
/:::... ....::::::::::::::::::::::::::::ヽ
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/08/29(月) 14:15:08.96 ID:47alAg1E0
乙!
大団円でよかったよかった……しかし、ステ×サーもいいな
アンケは絹旗と黒夜、または@+Aで
香焼派・暗部組の会話が聞いてみたい
165 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/08/29(月) 14:41:12.51 ID:hdVoAuHPo
乙
アンケートは@で絹旗と黒夜で
166 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(京都府)
[sage]:2011/08/29(月) 16:00:21.78 ID:GMSo+7dy0
乙
@の絹旗と浜面
ハーレム系も良いけど野郎を加えたやりとりも見てみたい
167 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/29(月) 16:04:36.53 ID:Q0+ntuQDO
おつ
性格改変って言うよりギャグでしょう
アンケートは@で
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/29(月) 19:05:09.64 ID:ayK7kEwqo
前スレ見てやっと追い付いた!乙!
アンケは@で!
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/29(月) 20:04:28.81 ID:Hibh9QPf0
Aで!
あわきんと小萌・ステイル・香焼
170 :
>>1
:2011/08/30(火) 01:15:58.82 ID:2iOIOqBn0
こんばんは。アンケは@で決定です。
今回は投下は無しで、コメ返信と追加アンケートの御協力願いです。
・まずコメ返し!
>>157
・・・私の実体験かどうかは[
禁則事項です
]。あとペッティングって……絹旗アフター見て下さい(苦笑)
>>158
・・・ご心配ありがとう! 程々に書いてきますよー。あと、すごパ! って書くと『タトバ!』みたいだねww
>>159
・・・ウチの上条さんは余所とそんなに変わりないですよ。出番少ないしね……『ただいま。』では増やす様頑張ります。
>>161
>>167
・・・性格破綻というか香焼はもはやオリですからね。原作に沿って、と意識しても、私カマチーじゃなかとですよ。
>>162
>>168
・・・はて? 親戚のSSの事かな?(笑)
>>163
・・・絹旗「超屋上」クイッ・・・
>>164-165
・・・黒夜を出すとしたらシリアスに? それとも『カミやん病』ペースに?
>>166
・・・浜面と香焼が一緒にいて、何を話すか想像できないwwww アックア関係とか??
>>169
・・・すいません。あわきん話はまた今度!
では次回のアンケート! 【絹旗と・・・・・】
@削板も交え一般学校(柵川中)見学! (ほのぼの?)
Aあすなろ園(孤児院)訪問! (ちょい真面目・シリアス)
B人見知り克服!? デート作戦!! (????)
他にも色々書きたいテーマはあるんですが、今回はこの中からで。
因みにコメントの中にもありましたが、そろそろ黒夜出すかもしれません。絹旗とセットの方が良いのかな?
とりあえず明日書くと思うので、アンケご協力お願いします! 意見質問罵倒リクなども宜しくね! ノシ”
171 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/30(火) 01:23:34.45 ID:X9zqTShP0
@
172 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/08/30(火) 01:31:45.36 ID:S4yD2Oy5o
アンケートはBで
黒夜はシリアスが良いな
173 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/30(火) 01:33:56.01 ID:6e34E4Ilo
B
174 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/30(火) 01:44:54.43 ID:XLWyiprDO
孤児院って、絹旗も置き去りだろ‥‥面白そうだからA
175 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/30(火) 01:55:10.26 ID:uxgOJYMjo
黒夜は2巻ですっかりぬるキャラになっちゃったからなあww
とりあえず未知数で色々なキャラが出せそうなBで
176 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/30(火) 02:05:55.75 ID:SablIqGbo
@
ソギーがみたい
177 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/08/30(火) 03:14:52.98 ID:sHCprh+AO
@
重い話のあとにソギー。
食べ合わせ◎
178 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/30(火) 03:33:02.85 ID:bOzvMlVIO
かわいいモアイちゃんが見たいのでB
179 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/30(火) 07:59:26.85 ID:DAPwndmJo
Bで
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
180 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/30(火) 08:32:44.93 ID:my5pjINDO
これは悩むな…Aで
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
181 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/08/30(火) 10:41:59.39 ID:QWK5C76wo
AかBで悩むが……
Aでお願いします
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
182 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/30(火) 10:59:32.89 ID:zHuCJteAO
Bで
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
183 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/30(火) 13:02:18.63 ID:6rJRkwADO
@
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
184 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(栃木県)
[sage]:2011/08/30(火) 16:29:45.99 ID:LJVaDv/E0
B
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
185 :
>>1
:2011/08/30(火) 17:54:40.46 ID:BgaX9rQi0
こんちわ。アンケの結果、Bとします。
そんじゃボチボチ投下しましょう。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
186 :
第C話(15話)―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/30(火) 18:23:34.71 ID:BgaX9rQi0
―――とある日、PM07:00、学園都市第7学区、ファミリーレストラン「Joseph's」・・・(浜面side)・・・
学校帰りの学生たちで賑わうこの時間、ファミレスのとある一角に自分達は居た。
もはや俺達――『アイテム』の定位置と化している窓際の一つに、今日は三人のメンバーが集まっていた。
何故三人かというと、普段はポケーっとしている『彼女』が珍しく主体的にこの面子を招集した為である。
滝壺「……このままじゃいけない」ムンッ!
浜面・フレンダ「「……は?」」ポカーン・・・
真剣な眼で胸を張り俺達二人に告げる滝壺さん。
おニューのジャージが似合ってます。真剣な顔もキュートです。
フレンダ「うわぁ気持ち悪い浜面。キモいじゃなくて気持ち悪い訳よ浜面キショい」ジトー・・・
浜面「るっせぇ黙ってろ! えっと、滝壺。具体的には何がいけないんだ?」
フレンダ「というか結局、何で私達だけ集められたか分からない訳だけど。麦野と絹旗は?」
滝壺「うん。順を追って話すよ」
そう言って、まず何故この面子かを告げる滝壺。
滝壺「最近仕事ないとはいえ、あの二人、引き籠り過ぎだよ」
浜面「え? うん、まぁそう言われてみれば」
フレンダ「別に良いんじゃない? 個人の勝手だし」
滝壺「良くないよ。お家から出ないって大問題だよ? ご飯は全部デリバリー。生活規則も凄く適当」
フレンダ「今に始まった事じゃないわ。絹旗なんて元々結構ヒッキーだった訳だし」
そういえば俺がアイテムに混じる前、絹旗は相当根暗だったらしい。
確か誰かに依存しないと生きていけないとか、極度の人見知りだとか。
滝壺「それが駄目だって言ってるの。このままじゃきぬはた、ますますコミュニケーション障害持ちの社会不適合者さんになっちゃうよ」ムゥ・・・
浜面「コミュ障って……随分な言い方だな」タラー・・・
フレンダ「まぁでもリーダー的には仕事出来るなら何でも良いんでしょ? 結局、麦野が放任してるんだしOKな訳じゃない」
滝壺「そのむぎのも最近ヒッキーさんだよ。チームメイトとして心配でしょう」
仲間思いの滝壺さんマジ聖女だなぁ……おい、フレンダ。そんな目で見るな。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
187 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/30(火) 18:43:11.99 ID:BgaX9rQi0
ふと、疑問が生まれた。
麦野は如何でも良いとして、絹旗はアイテム入る前何処に住んでたんだ?
フレンダ「研究所の施設って言ってたわね」
浜面「……それから麦野と暮らす様になったのか? アイツ自分のアパート無いの?」
滝壺・フレンダ「「……、」」タラー・・・
聞いちゃ拙かったのか。
フレンダ「絹旗は、その……、」
滝壺「……一人暮らし出来ないよ」
浜面「え……何それ?」
フレンダ「親無し。更に学校行ってない。オマケに『仕事』と『能力開発』以外研究所で学んでないときてる訳」
浜面「い、いやいや。流石に最低限のマナーとか生活能力とかあるだろ?」
滝壺「今はね。でもアイテム来るまで自立能力0だったよ。私達で徐々に教えていったんだもん」
……それほどか。
フレンダ「だから結局、主に麦野監視下で生活してる訳。部屋代も浮くしね」
浜面「そうだったのか。でもよ……麦野の監視下って、ちょっとアレじゃないか?」
滝壺か、最悪フレンダと共暮らしの方が良かったと思う。
滝壺「経済的に一番豊かなのはむぎのだよ。それに……うん。色々と」ムゥ・・・
浜面「俺には教えられない事か?」
フレンダ「結局……教育方針の問題な訳よ。私放任。滝壺は朗らかに自立支援。麦野は絹旗を立派な殺人鬼に育てたい」
滝壺「それから……きぬはたが日常で間違って乱雑開放(ポルターダイスト)起こした時、対処出来るのむぎのだけだから」
……麦野の『飴と鞭』って事か?
フレンダ「『鞭』は合ってるけど『飴』は違う訳。結局のところ『制御炉』ってとこじゃない?」
浜面「居なきゃ『もしも』に対処出来ないと……そりゃ仕方ねぇな」
確か絹旗が『乱雑開放』ってのを起こすと、仮説では『N2爆弾』に成りかねないんだったな。おっかねぇ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
188 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/30(火) 19:03:45.60 ID:BgaX9rQi0
とりあえず麦野の方針は嫌が応にも絶対という訳だ。それは認めざるを得ない。
滝壺「うーん。でも最近のきぬはたなら……そろそろ自立させても良いって思う」
フレンダ「まぁ結局、誰かさんの御蔭で根暗では無くなった訳だからね」チラッ・・・
浜面「は?」ポカーン・・・
滝壺「何でもないよ。気にしないで、はまづら」フフッ
とりあえず……話を逸らしておいて悪いが、本題に戻ろう。
滝壺「あ、うん。そうだね」
浜面「えっと、麦野と絹旗の引き籠りを如何にかするって事だよな」
滝壺「うん」
フレンダ「仕事入れば元に戻るわよ。結局放っておいても問題無い訳よね」サラッ・・・
滝壺「それじゃ駄目でしょ。二人は機械じゃないんだから」ムンッ
……良い事言うなぁ。あの麦野相手でも真面目にそう言う滝壺さんマジ可愛い。
フレンダ「浜面少し黙ってろ。あのねぇ滝壺……忠告しとくけど、あんまり麦野怒らす様な事考えるのは止めなさい。分かるでしょ?」
滝壺「……、」
フレンダ「麦野のする事にケチつけんのは結局御法度な訳。加えて絹旗の教育方針も然り、じゃない? オーライ?」
滝壺「でも……さ」ムゥ・・・チラッ
フレンダ「ヒッキーで結構。死にはしないわよ。機械なら機械でもいいじゃない」
俺としては滝壺の考えに同意したい。だがフレンダの言い分も確かだ。
滝壺「ねぇフレンダ」ボソッ
フレンダ「まだ何か?」
滝壺「もしも……妹ちゃんが……ヒッキーで機械人形でコミュ障な社会不適合者になったら、如何する?」ジー・・・
フレンダ「……フレメア殺して私も死ぬ」ドヨーン・・・
うわぁこの人怖い。純粋に怖い。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
189 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/30(火) 19:48:38.70 ID:BgaX9rQi0
シスコンさんはさておき、滝壺さんの意見を聞きたい。
滝壺「殺しはしないけど、気持ちは同じだよ。むぎのにもきぬはたにも真っ当な生活して欲しいの」
浜面「真っ当な、ねぇ」
フレンダ「ブツブツブツブツブツブツブツブツ・・・」ドヨーン・・・
浜面「……おい、フレンダ。そろそろ戻れ」ビシッ
フレンダ「……あ、うん」
気持ちは分かった。だが如何する?
滝壺「きぬはたに関しては大丈夫だと思う。むぎのは引き籠りを放置してるだけで拘束してる訳じゃないから」
フレンダ「まぁね。絹旗が結局勝手に外出るなら止めない訳よ」
浜面「問題は麦野だろ? アイツも外出すのか?」
滝壺「……私に良い考えがある!」ムンッ!
何か失敗フラグ臭がプンプンしますけど。
滝壺「大丈夫。協力者を呼ぶから」フフッ
浜面「協力者?」
フレンダ「誰々?」
滝壺「それは後々のお楽しみ。むぎのもきぬはたもちゃんと外に出てくれる筈だから!」b"
サムズアップ。
滝壺「それで、フレンダとはまづらには色々と動いて貰いたいの。頼んでいい?」ジー・・・
フレンダ「まぁ出来る範囲なら」
浜面「ああ。可能な限り協力するよ」
そして滝壺参謀は作戦の説明を始めた……―――
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
190 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/30(火) 19:50:44.32 ID:Dhq9y5+DO
待ってましたよ!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
191 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/30(火) 21:32:43.68 ID:BgaX9rQi0
―――とある翌日、AM10:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
相も変わらず我が家に集まってる馬鹿姉共を傍目に、僕は『あるモノ』に魅入っていた。
香焼「ふふっ……ふふふ」ニンマリッ
まだ何にも触れてない鋭さ。この手にしっくりくる重さ。持ち歩き安いコンパクトさ。そして顔が写る程洗練された光り具合……業物だ。
五和「……うわぁ。何か今日のコウちゃん変だよ」タラー・・・
浦上「放っておいてあげなヨ。堅物にもそういう日もあるんだって」
神裂「ふむ……ところで何故変なのですか?」
人を変人扱いするなボケ……と普段なら怒ってる所だが、今日は機嫌が良い。説明してやろう。
五和「勝手に一人で盛り上がってる。怖いわぁ」
浦上「まぁまぁお姉……そんで?」
香焼「フフフフフ。特別に見せてやろう」スッ・・・
神裂「……これは?」ジー・・・
見ての通り『短刀』です。
神裂・五和・浦上「「「……、」」」
香焼「えへへ。良いでしょ」ニコニコッ
浦上「満面の笑みだヨ……可愛い顔して何言ってんでしょうネ」タラー・・・
五和「このままコウちゃんが順調に刃モノ収集家になったら、やっぱ姉さんの所為ですからね!」ギロッ!
神裂「わ、私の所為じゃないでしょう! 彼自身の問題です!」アタフタ・・・
浦上「まぁ……趣味なら構わないでしょ。犯罪に使う様な馬鹿な真似はしない筈デスから。ぶっちゃけ悪趣味だけどね」ハァ
悪趣味言うな。カオリ姉さんだって日本刀とか鎧集めるの好きでしょうに。
五和「ほれ見ろ」ジトー・・・
神裂「ぐっ……べ、別に良いでしょう! ねー香焼」フンッ
浦上「うわぁ開き直った。流石姉様。あざといですネ」ハハハ
五和みたいに支給されたビックスクターの改造で金掛けてるヤツに悪趣味とか言われたくありません。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
192 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/30(火) 22:49:28.22 ID:BgaX9rQi0
五和「そ、そんなに弄ってないもん! フレーム変えたくらいだもん!」アタフタ・・・
香焼「はいはい。本部の車両維持費で変えたフレームはさぞ綺麗なんでしょうねー」ジトー・・・
神裂「……五和」ギロリ・・・
ざまぁみろ。姉さんから説教喰らえ。
浦上「どうどう。それで香焼。その短刀だかナイフの何が良いのカナ?」
神裂「見た目は両刃の軍用ナイフですね。しかしグリップが……機械仕掛けでしょうか?」
香焼「あ、はい。えっと……、」ポチッ
『仕掛け』を押す。
神裂・五和・浦上「「「……ん?」」」ポカーン・・・
まぁ見た目では分からないだろう。
香焼「五和。側面部触ってみ。刃には絶対触れるなよ」スッ・・・
五和「側面?」スッ・・・
浦上(何で疑いも無く触るかなぁ馬鹿姉)タラー・・・
五和「えっと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うわぁ熱ッッ!!?」バッ!!
神裂「なっ!?」
ナイスリアクション。
五和「な、何これ!? すっごく熱いよ!?」ギョッ・・・
香焼「視覚では分からないくらい微振動してるからね。熱振動効果ってヤツっすよ」ハハハ
浦上「熱振動って、ダイヤモンドカッターとか溶接とかに使う?」
香焼「ウォーターカッターとか超音波カッターとはちょっと違うけど大体合ってる。振動で物を切る、って効果は同じっすよ」
神裂「……都市製ですか」タラー・・・
その通り。小遣い溜めて一括で買った。0が五つあったが、悪くない買い物だろう。おまけで専用研ぎ石手入れセットも付けてくれたし。
並大抵の物ならスッパリで、立方晶窒化炭素やロンズデーライト、多分ハイパーダイヤモンドだって時間を掛ければ切れる筈。
香焼「あ、長刀タイプもありましたよ。高周波ブレードだっけ? 姉さんも買いませんか!?」キラキラ・・・
神裂「え、遠慮しておきます……七天七刀ありますから」ダラダラ・・・
残念。100万切る安値で売ってたのに。
浦上「……姉様。やっぱりちょっと危ないですヨ。都市の最新ナイフにまで手を出すなんて」ボソボソッ・・・
神裂「う、うん……業物や儀礼刀ならまだしも、アレはちょっと」タラー・・・
五和「やっぱり姉さんの所為ですからねっ。責任取って下さいよっ」ゴニョゴニョ・・・
何か言われてる気がするが、放っておこう。多分このナイフの評価についてに決まってる。きっと高い評価だろう。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
193 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/30(火) 23:25:49.79 ID:BgaX9rQi0
・・・・・寸・・・・・
自分がナイフ磨きに没頭している最中、姉さんの電話が鳴った。
神裂「ん? 固法さん……はい」Pi!
固法『あ、もしもし。こんちには。神裂さん、今何処にいた?』
神裂「香焼の家にいました。遊びの御誘いですか?」
固法『うん。遊びというか、お願いというか』アハハ・・・
神裂「お願い?」
固法『えっと私じゃないんだけどね。麦野さんの後輩の滝壺さんって知ってる?』
神裂「滝壺さん……話には伺ってます。直接お会いした事は有りませんけど」
滝壺、という名を聞き顔を上げる。確か最愛が溺愛している姉分だった筈。
固法『その滝壺さんからお願いされたの』
神裂「はぁ。何を?」
固法『最近、麦野さん部屋から出ようとしないから引っ張り出して欲しいって』
神裂「……へ?」
固法『仕事無くて暇なのはしょうがないけど、堕落し過ぎだから。だそうよ』
神裂「はぁ。まぁ何とも」ポリポリ・・・
苦笑する姉さん。何言われたんだ?
固法『それからついでに最愛ちゃんもなんだって』
神裂「最愛……絹旗さんですか」チラッ
最愛?
固法『麦野さんに影響されてか、彼女と一緒にゴロゴロモード入っちゃってダメダメ状態らしいの』
神裂「姉妹揃ってという訳ですか。度し難いですね」
固法『それでね……―――』
ふむふむ、と話に聞き入る姉さん。凡そ20分くらい続いた。何か深刻な話だろうか。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
194 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/30(火) 23:58:29.72 ID:BgaX9rQi0
五和がそろそろお昼の準備しよう、と立ち上がった時、姉さんの電話が終わった。
浦上「随分とまぁ長電話でしたネ」
神裂「ええ、ちょっとね……、」ムゥ・・・
さて、と僕の方を向く姉さん。
神裂「香焼」
香焼「はい、何か」
神裂「今日の予定は?」
香焼「え? うーん……特に無いかなぁと。宿題は終わってるし、報告書も少ないし」
神裂「よろしい」コクッ・・・
真面目な顔。
自分と五和、浦上もその雰囲気を察しその場で畏まってしまった。
神裂「これから特別任務を与えます」
香焼「と、特別任務?」
仕事?
神裂「いえ。私用ですが、任務です」
香焼「は、はぁ」キョトン・・・
五和「……何事ですか?」
神裂「今から私と一緒に出かけてもらいます」
浦上「ドチラに?」
神裂「第7学区のホテル『アレクサンダー』です」
……へ?
五和「ね、姉さん!! 駄目です! そ、そんな……義姉弟ですよ!!」カアアアァ///
浦上「お姉。喧しい」
オマエは話を拗らせるから黙ってろ。
神裂「うん。詳細は向う最中に話しますが、兎に角急ぎましょう。善は急げ、だそうです」
香焼「善、すか」ポリポリ・・・
浦上「私達は?」
神裂「助力が必要な時は後ほど連絡します。それでは香焼、準備を」
よく分からないが、付き合うしか無かろう。最愛も関わってる事みたいだし。
数分後、五和と浦上に見送られ、第7学区の高級ホテルに向かう事となった……―――
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
195 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 00:25:59.99 ID:3+gO496P0
―――とある翌日、AM11:45、学園都市第7学区、ホテル『アレクサンダー』、とある一室・・・・・
麦野「……だるぅ」ゴロゴロ・・・
絹旗「……、」ピコピコ・・・
麦野「あ……もうお昼だ」チラッ・・・
絹旗「……、」ピコピコ・・・
麦野「絹旗ー。お昼ピザで良い?」グデェ・・・
絹旗「……、」ピコピコ・・・
麦野「おーい、絹旗ー。聞こえてないのー?」グダァ・・・
絹旗「……、」ピコピコ・・・
麦野「……おい。ゲーム止めろ」チッ・・・
絹旗「……え」ピコピコ・・・ピタッ
麦野「……お昼。ピザで良いでしょ」ゴロン・・・
絹旗「またですか?」ハァ・・・
麦野「だってメンドイもん。ホテルのサービスとどっちでも良いけど」
絹旗「じゃあ……ホテルのサービスで」スッ・・・ピコピコ・・・
麦野「そんじゃあ電話よろー」グデェ・・・
絹旗「麦野してくださいよ。私だって超面倒です」ピコピコ・・・
麦野「オマエ、誰の金で食うと思ってんの? 誰の金で此処泊まってるの? 誰のゲームで遊んでるの? あぁん?」ジトー・・・
絹旗「チッ……はいはい。やりゃいいんでしょう」ピタッ・・・
麦野「そうそう♪ 素直で宜しい」フフッ・・・
絹旗「やれやれです。メニューは?」グダグダ・・・Pi!
麦野「ヘルシー鮭定食とダイエットコーラ三本。あとアイス適当に」ゴロゴロ・・・
絹旗「そのメニューなら浜面にスーパーかコンビニで買って来させりゃ良いじゃないですか」ハァ・・・
麦野「だって浜面今日忙しいっつーんだもん。おまけにフレンダと滝壺もいないし……アンタ買ってくる?」ジー・・・
絹旗「超勘弁です。外出るの超面倒ですから」エー・・・
麦野「ひっきー。絹旗のひっきー」ベー・・・
絹旗「どの口言いますか……あ、すいません。鮭定食塩分控えめ冷やし中華一つずつ。あとコーラ5本と苺シャーベット2個で」Pi!
麦野「ダイエット!」ンモー
絹旗「ハァ……コーラ2本、カロリーオフ3本で訂正でお願いします」ガチャッ・・・
麦野「うい。そんじゃあ飯来るまで寝よっかなー」ゴロン・・・
絹旗「麦野ー、ルームサービスの対応くらいはしてくださいよ。流石に歩かないと牛に成りますって」ピコピコッ・・・
麦野「余計な御世話だ糞ガキ」フンッ・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
196 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 01:05:48.48 ID:3+gO496P0
・・・・・壁・・・・・
固法「うわぁ……これは拙い」ジー・・・ ← ※透視能力使用中。
滝壺「はい。困ってます。梃子でも動こうとしないんです」
浜面「日に日に堕落してってるよな……絶対仕事にも支障出るって」
フレンダ「絹旗はまだしも、麦野があの状態なのは異常な訳よね。部屋から出ないって、結局絹旗のヒッキー伝染った訳かな?」
固法「麦野さんも最愛ちゃんも、メールしてる分には普通だったから気付かなかったわ」ムンッ
滝壺「……このりさん。むぎのの事、頼めますか?」
固法「うん。こうなってるの知らずに放置してた私にも責任あるし。今助っ人呼んでるから無理矢理連れ出すわ」b"
フレンダ「なっ! む、麦野を無理矢理!?」ギョッ・・・
浜面「馬鹿っ。デカい声出すなっ……気付かれるぞ」シー!
固法「その点は大丈夫よ……問題は最愛ちゃんだけど」ウーン・・・
フレンダ「絹旗は真正ヒッキーよ。滝壺、如何すんの?」
滝壺「……このりさん」チラッ・・・
固法「多分大丈夫だと思うわ。ちゃんと2人来れば、だけどね」
浜面・フレンダ「「2人?」」ポカーン・・・
固法「とりあえず麦野さんはまず外で食事させるわ。最愛ちゃんもそうさせる様お願いしましょう」
滝壺「そうですね。お願いします」ペコッ
浜面「……なぁ。俺らは何すれば良いんだ?」
滝壺「追々伝えるよ……このりさん、あとどれくらいで着きますか?」
固法「もう直ぐそこまで来てる筈よ。もうちょっと待ちましょう」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
197 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 02:01:11.28 ID:3+gO496P0
――一方・・・・・
マイドアリガトウゴザイマーッス・・・・プシュー・・・
香焼「着いた……相変わらずデカいホテルっすよね」ジー・・・
神裂「……出来れば此処に来たくないんですよ」ハァ・・・
香焼「え?」
神裂「だって隣にアレイスター居るんですよ?」チラッ・・・
・ホテル『アレクサンダー』 ← 100m → 『窓のないビル』
香焼「は、はぁ」
神裂「正直言って不気味です……今は行かざるを得ませんけどね」フム
香焼「そ、そうっすか……何階でしたっけ?」
神裂「確か最上階の二つ下と言っていました」
香焼「……麦野さん。お金持ちだなぁ」キョトン・・・
神裂「御嬢様らしいですからね。それに超能力者(レベル5)です。色々我儘が効くのでしょう」
香焼「軍覇とは大違いっすね」ハハハ・・・
神裂「さておき、先程の手筈通りです。貴方は貴方の仕事をしてください。私は私の仕事をしますから」
香焼「了解っす。でも……もあい必要でした?」スッ・・・
もあい「んなー」ヒョコッ
神裂「連れて来てくれと言っていました。役に立つのでしょう。この子(もあい)もこの子の役割があるという事です」
香焼「……だってさ」ナデナデ・・・
もあい「にゃ?」ジー・・・
神裂「それでは……鋼糸(ワイヤー)良し。飛針(投げ針)良し……※菊一文字時貞(模造刀)良し! 完璧です」ビシッ!
※ねーちんが態々地元の名匠に頼んで造ってもらった。天草四郎の名を冠した菊一文字派の模造刀。七天七刀を持ち歩けない際、使用する。
香焼「ちゃんと隠して下さいよ。それ生身で持ったままホテル入れませんからね」ハァ・・・
神裂「分かってますよ。香焼こそ……まぁ心配は要りませんか。貴方は暗器隠すの天才的ですからね」
香焼「……さぁ」ハハハ・・・
神裂「まったく服の下にナイフ何本隠してるんだか……さっきの最新式の短刀も持ってきたのですか?」ジトー・・・
香焼「あはは。内緒っす」
神裂「やれやれ……暗殺部隊に配属させなくて正解でした。容姿的に実は一番向いてますが、性格が難ですからね」ボソッ・・・
香焼「へ?」
神裂「何でもありません。気にしないで下さい。そろそろ行きましょう。固法さん達も待ちかねている頃合いです」カツカツカツ・・・
香焼「そうっすね。急ぎましょう」カツカツカツ・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
198 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 02:45:17.91 ID:3+gO496P0
・・・・・室内・・・・・
ぐだぐだぁ〜・・・・
麦野「……まだ来ないのー?」グデェ・・・
絹旗「……、」ピコピコ・・・
麦野「絹旗ー。フロントに電話掛けてみてよー」ゴロッ・・・
絹旗「……え」チラッ・・・
麦野「電話よ。催促の電話ー」ジトー・・・
絹旗「……一食抜いたって死にませんよ」スッ・・・ピコピコ・・・
麦野「……まぁそれもそうね。じゃあもう一眠りするわ」ファアァ・・・
絹旗「おやすみ」ピコピコ・・・
・・・・・壁(扉)・・・・・
固法「……あ。また寝た」ハァ・・・
ホテルボーイ「あのぉ……お食事は如何すれば宜しいでしょうか」ポリポリ・・・
フレンダ「此処に置いてってOKよ。私達が中に持ってくから」
ホテルボーイ「はぁ。では失礼します」テクテク・・・
浜面「態々さーせん……っておい、コーラ5本……アイツら昨日買い溜めしたヤツ飲み切ったのか?!」エ・・・
滝壺「デリバリーにコーク中毒。完っ璧、駄目人間と化してる筈だよ。むぎのもきぬはたも手遅れになる前に何とかしないと」ムゥ・・・
固法「二人とも下着姿でゴロゴロと……まさか数日間お風呂入ってないんじゃ」タラー・・・
フレンダ「い、いや、麦野に限ってそれは……絹旗は分からないけど」
※因みに、固法さんしか室内覗き見できてません。
滝壺「……はまづら」チラッ・・・
浜面「た、滝壺。何を勝手に想像してるか分からんが、俺は決して厭らしい事なんぞ考えてないぞ」タラー・・・
滝壺「……誰もそんな事言ってないのに……はまづらのスケベ」ジトー・・・
浜面「」チーン・・・
フレンダ「黙ってなさい馬鹿ップル。爆発しろ」フンッ・・・
固法(神裂さん、香焼くん……急いで頂戴)ハァ・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
199 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 03:14:55.85 ID:3+gO496P0
――一方・・・・・
香焼「おぉ。中広いっすね」キョロキョロ・・・
神裂「見とれてる暇は有りませんよ。エレベーターへ急ぎます」カツカツカツ・・・
香焼「はい。(因みにいつもの服の所為で殆どの人に見られてる……何でこっちの服装で恥ずかしくないかなぁ)」ハァ・・・
ウエヘマイリマス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウォーーーーーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チンッ!
神裂「此処ですね」
香焼「部屋は?」
神裂「階に4つしかない筈なのですぐ見つかるでしょう」キョロキョロ・・・
香焼「こ、この広いフロアに部屋4つって……どれだけ豪勢なんすか」タラー・・・
神裂「……ん。こっちです」ピンッ
香焼「へ?」
神裂「固法さんから部屋番が来ました。急いでくれとも」
香焼「あ、はい」
カツカツカツ・・・ゴニョゴニョ・・・
滝壺「……あ。やっと来た」チラッ・・・
固法「え。あ、ホント……んもー。遅いわ」ハァ
神裂「すいません。準備に手間取りました」コクッ
フレンダ(な、何か凄い恰好の美人来た!?)タラー・・・
神裂「彼女らは部屋の中に?」
固法「ええ。麦野さんは今からまた寝そうで、最愛ちゃんはずーっとゲームをピコピコピコピコ」ハァ・・・
香焼「最愛……メールじゃ分からなかったっす」
固法「私も麦野さんの変化に気付かなかったもの。仕方ないわ」
神裂「兎角、さっさと乗り込みましょう。彼女の根性を叩き直せば良いんですね?」キランッ・・・
浜面「た、叩き直すって……麦野を?」ダラダラ・・・
固法「多分、神裂さんなら出来るかも」ハハハ・・・
滝壺「待って。今から作戦の詳細を説明するから……―――」ビシッ
少女説明中・・・・・
滝壺「―――……以上。かんざきさんがむぎのを無理矢理如何こうできれば、多分、成功する筈」コクッ
香焼「あのー、自分は?」
滝壺「君は逐一きぬは担当だよ。大丈夫。きぬはたに関しては絶対成功するから」b"
香焼「はぁ」ポリポリ・・・
滝壺「よし。それじゃあ頑張ろー!」ビシッ!
一同『おー!』ビシッ!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
200 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 04:02:15.71 ID:3+gO496P0
―――とある翌日、PM00:30、学園都市第7学区、ホテル『アレクサンダー』、とある一室・・・・・
麦野「……あー畜生。やっぱ腹減って寝れないわ」グデェ・・・
絹旗「……、」ピコピコ・・・
麦野「糞っ。何で浜面居ねぇんだっつの、使えねぇな……オイ絹旗。やっぱ飯よ」ジトー・・・
絹旗「……、」ピコピコ・・・
麦野「おい、コンセント引き抜くぞ! 無視すんな」ギロリ・・・
絹旗「……私は要りません」ピコピコ・・・
麦野「私が欲しいっつってんの。早く頼めよ」イライラ・・・
絹旗「……はぁ」ピタッ・・トテトテ・・・
麦野「フロントに、さっきの注文まだ来てないんだけどって言えばOKよ。ったく……どんだけ遅刻してんだよ」ケッ・・・
絹旗「やれやれ。私が電話しますから、麦野が服着て対応してくださいよ。それくらいは働いて下さい」ジトー・・・
麦野「まんどくせー」ゴロゴロ・・・
ピンポーン・・・・・
絹旗「……来ましたよ」チラッ・・・
麦野「はぁ? 何でこのタイミングなんだっつの糞が……ったく、苦情言ってやりたいわ」フンッ!
絹旗「麦野ー。服着てくださいよー」アーア・・・
麦野「……アンタ行ってよ。私メイクしてないし人前出たくないわ」ゴロンッ・・・
絹旗「はぁ?」
麦野「良いからさっさと行け。私のシャツでも羽織ってけば問題無いでしょ。ワンピ代わりになるわ」
絹旗「んもー……はいはい。今行きますよーっと」テクテク・・・
ガチャリ・・・・・
絹旗「あのですねぇ。ウチの姉分が超キレてま、す……よ……・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」ピタッ・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
201 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 04:20:46.81 ID:3+gO496P0
固法「……こんにちわ。最愛ちゃん」ゴゴゴゴゴ・・・・・
神裂「……、」ドドドドド・・・・・
香焼「さ、最愛、その……服着なよ」ポリポリ・・・///
絹旗「」チーン・・・
麦野「おーい。絹旗ー。如何したのー? 早く飯持って来なさーい」グダグダ・・・
絹旗「こ、香焼!? 姉貴さん!? ちょ、え! む、む、麦、む、麦nんむぐぅ!!?」ジタバタッ!
固法「最愛ちゃん、ごめんね。少し大人しくしてようか」ギュッ・・・
香焼「固法さん……そのホールドだと(胸の所為で)最愛が息出来ないっすよ」ムゥ・・・///
固法「あ、ごめんごめん。最愛ちゃん、少しの間大人しくしててね。麦野さんと貴女の為だから」ツンッ
絹旗「え、は、な……はい???」ポカーン・・・
固法「それじゃあ……神裂さん。お願いね」チラッ・・・
神裂「……、」コクッ・・・カツカツカツ・・・
フレンダ「あわわわわ……あの残念美人のお姉さん、結局殺されちゃう訳よ」アタフタ・・・
浜面「だ、大丈夫だろ。一応、友達みたいだし……固法さんが自信持って頼ったんだから」ウーン・・・
滝壺「静かに。私達は見つかっちゃ駄目なんだよ。忘れたの?」メッ!
浜面・フレンダ「「……さーせん」」タラー・・・
滝壺「よろしい……そろそろかんざきさんのむぎの成敗が始まるみたいだよ」ジー・・・
フレンダ「神裂さんとやら何する気なの? もしかして麦野と相性良い能力者な訳?」タラー・・・
浜面「さぁ……てかあの人能力者なのか?」ジー・・・
滝壺「分からないけど……あの人からAIM拡散力場の放出はそんなに見えないよ。多分無能力者(レベル0)じゃないかな」ジー・・・
浜面・フレンダ「「はぁ!?」」ギョッ・・・
絹旗「へ? ……はぇ??」ポカーン・・・
香焼「……と、とりあえず自分のパーカー着ておきな」スッ・・・///
固法「あら優しい。男の子ね。さて……問題はコッチよ。頑張れ、神裂さん」クスッ・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
202 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/08/31(水) 04:47:16.44 ID:3+gO496P0
麦野「絹旗ー……おい、絹旗っ」イライラ・・・
カツカツカツ・・・
麦野「アンタ料理貰うのにどれだけ時間かけてん、の……よ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なっ!?」ピタッ・・・
神裂「……ごきげんよう」ゴゴゴゴ・・・
もあい「にゃー」トコトコ・・・
麦野「な、え、ま……き、絹旗が痴女になった……、」キョトン・・・
神裂「早速斬りましょう」シャキンッ・・・
麦野「ちょ、ま、待て待て待て待てっ!! な、何で火織が此処居んのよ!?」アタフタ・・・
神裂「居てはいけませんか?」ジトー・・・
麦野「い、良い訳無いでしょ! 私の借り部屋だっつの! ああもう意味分かんない……何かのドッキリ企画?」アタフタ・・・
神裂「違います。ですがそう捉えて貰っても結構です……さぁ麦野さん。出かけましょう。ご飯食べに行きますよ」ジー・・・
麦野「え、あ、はい?」タラー・・・
神裂「麦野さん、最後に部屋の外へ出たのはいつですか?」
麦野「え、えっと……1週間前くらいかな?」
神裂「その1週間の間で固法さんの御誘いメールを何度嘘書き誤魔化しました?」
麦野「な、何でそれを……え? み、美偉も居るの?! え、ど、絹旗は!?」ポカーン・・・
イルヨー・・・イマスヨー・・・
神裂「絹旗さんも外に出します。さぁ観念なさい。さもないと根性叩き直しますよ」ジトー・・・
麦野「ぐ、ぬぬぅ……喧嘩しても良いけど、この恰好じゃ[
ピーーー
]がかかる。こんにゃろ〜……覚えてなさいよ」ギリリ・・・
神裂「良いでしょう。ですがその前に風呂に入って服を着なさい! 乙女たるモノ、身嗜みには気を付けなさい」フンッ!
一同(オマエが言うな)
浜面「ふぅ……何とか血が出ずに済んだな」
滝壺「むぎのだって普通の女の子だもの。友達にダラしない恰好見られたら恥ずかしいよ」
フレンダ「結局、怒りより羞恥心が勝ったという訳ね」
滝壺「さて。あとはこうやぎくんに頑張って貰いましょう」フフフ・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
203 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/08/31(水) 05:18:11.50 ID:3+gO496P0
固法「ふふっ。アッチは大丈夫みたいね。さて……最愛ちゃん」ジー・・・
絹旗「は、はい」ビクッ・・・
固法「最後に外に出たのはいつ?」
絹旗「え、えっと……香焼。前回会ったのいつでしたっけ?」
香焼「大体二週間ま……ええええぇ!? さ、最愛! 二週間外出てないの!?」ギョッ・・・
絹旗「うっ……べ、別に問題ありませんでしたよ」
香焼「大問題っすよ! 何で……ああもう!」ガシッ!
絹旗「っ!」ビクッ・・・///
固法「こらこら。とりあえず香焼くんも、私も先輩も気付いてあげられなかった。最愛ちゃん、ごめんね」ポンポンッ
絹旗「……どうして姉貴さんが謝るんですか?」ポカーン・・・
固法「どうしても。とりあえず麦野さんのシャワー終わったら次入りなさいね」
絹旗「別に入らなくても……、」
固法「はぁ……最愛ちゃん。彼、居るのよ? 最後にお風呂入ったのいつ? 昨日? 一昨日?」ボソッ
絹旗「え、ぁ……・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッ!!」カアアアァ///
香焼「ん?」ジー・・・
絹旗「あ、お、おひゅろ入って来ます!」バタバタ!
香焼「おひゅろ?」ポカーン・・・
固法「お風呂。シャワーでしょ。しかし……貴方も大概ニブチンね」クスッ・・・
香焼「はぁ」ポリポリ・・・
固法「とりあえず浜面くん達のところ行ってなさい。女の子の着替え覗きたいの?」チラッ・・・
香焼「い、いえいえ! 部屋出てます!」アタフタ・・・///
固法「うふふ。二人とも真っ赤。若いって良いわね」クスクスッ
麦野「ちょ、何でアンタも入ってくるのよ!?」ギョッ・・・
絹旗「超広いんだから2人くらい超余裕でしょう! それより早くシャワー貸して下さいよ!」アタフタ・・・
麦野「シャワーは1つだけだボケナス! 蛇口捻って水でも被ってろ!」ガー!
絹旗「了解です!」ジャバー!
麦野「ちょ、馬鹿! マジでやんな!」ウワッ?!
ギャーギャーギャー・・・・・
固法「やれやれ。困ったものね……兎に角、私達は麦野さんをしっかり引っ張りだしましょう」フフッ
神裂「ええ。そうですね」コクッ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
204 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/08/31(水) 05:56:17.88 ID:3+gO496P0
香焼「最愛……何で今まで気付かなかったんだろ」ハァ・・・
滝壺「深く悩まないで。今回悪いのはきぬはたなんだから」ポンッ
香焼「……、」
浜面「しかしなぁ……麦野は何か吹っ切れたみたいだから良いとして、絹旗は如何すんだ?」
フレンダ「結局、いつもみたいに公園で野良猫達と絡んでくる訳?」
滝壺「ううん。今回はそれ禁止だよ」メッ
香焼「え?」
滝壺「……こうやぎくん。これを期に言っておくけど、私はきぬはたを自立させたいの」
香焼「自立って……その」ポリポリ・・・
滝壺「きぬはたが極度の人見知りで軽くコミュ障気味なの知ってるでしょ?」
香焼「……はい」
フレンダ「それに加えて、結局あの子通常生活も一人じゃまともに暮らせない訳よ。今回分かったでしょ? 放置すれば動かないって事」
浜面「まぁ死にそうになったら嫌でも動くだろうが……それじゃ遅いんだよな」ポリポリ・・・
滝壺「うん。あの子が自立して、一人立ち出来る様応援したいんだ」
香焼「それは……自分も同じっす」コクッ
滝壺「ありがとう。とりあえず、その為には『友達作り』だったり『買い物』だったり、出来なきゃいけない事沢山有る」
フレンダ「そうね。『買い物』、『友達』、『料理』、『掃除の仕方・整理整頓』、『文系科目』などなど」
浜面「まぁ一番は『一般常識』だろうな。言っちゃ悪いがアイツは非常識だ」
滝壺「『生命倫理』については……今は如何にも出来ないから、触れないであげて」
香焼「はい。分かってます」コクッ・・・
滝壺「うん。よろしいっ」ポンポンッ
フレンダ「ふむふむ……ねぇ滝壺。この子アイテム(ウチ)に入れられない訳? それが結局、絹旗にとって一番の安定剤じゃん」
滝壺「……、」チラッ・・・
フレンダ「……じょ、冗談だって。まず麦野がOKしないよね」アハハ・・・
浜面「もっとマシな冗談言えっつの。まぁその坊主、頑張れや」ポンッ
滝壺「よし。それじゃあ……きぬはたの事よろしくね……君が責任取れる程度なら、好きにして良いから」フフッ
香焼「はい……え? な、はいいぃ!?」カアアアァ///
フレンダ「あははー。真っ赤ー。可愛いー」ケラケラッ!
浜面「あんま虐めんなよ。今から大変なんだからさ」ヤレヤレ・・・
滝壺「ふふっ。ごめんごめん。でも、信じてるから。君にきぬはたの事任せる。逃がしちゃ駄目だよ」ジー・・・
もあい「んなー」プラプラ・・・
香焼「はぁ……可能な限りは頑張ります。サポートよろしくっすよ……―――」コクン・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
205 :
>>1
:2011/08/31(水) 05:58:29.04 ID:3+gO496P0
はい。今回は此処まで。
次回、デートスタート! 安価取るかもしれないので協力よろしくね!
では、また! ノシ”
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
206 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/31(水) 06:53:29.98 ID:Bx8yLO5DO
おつかれー
楽しみにしてるよ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
207 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/08/31(水) 11:40:21.19 ID:2TvMsp3AO
乙
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
208 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/31(水) 13:55:39.33 ID:j+x4xJn+0
∩ ∩
| | | |
| |__| |
/ 一 ー \
/ (・) (・) |
| ○ |
\__ ─ __ノ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
209 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/31(水) 15:16:08.78 ID:Qhfrn8nDO
おつ〜
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
210 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/08/31(水) 15:43:24.50 ID:TPE9eYu40
乙!
どうでもいいが、絹旗が蛇口使ったらシャワーが止まるのでは?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
211 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/08/31(水) 17:44:33.78 ID:8sSMQGGR0
>>1
乙
しかしフレンダ、何故に『文系科目』ww
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
212 :
>>1
:2011/08/31(水) 17:50:34.58 ID:3+gO496P0
こんちわー。続き投下!
>>210
・・・それは、ほら。都市の技術で双方から湯水が出るという科学的な(ry スイマセン。盲点でした。
>>211
・・・ウチの最愛さんは理系科目全般は天才ですが、文系科目は小学生低学年並です。国語・社会が残念な子です。アレな子です(笑)
今日は安価するから協力よろしくね!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
213 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 18:19:30.78 ID:3+gO496P0
―――とある翌日、PM01:15、学園都市第7学区、ホテル『アレクサンダー』、とある一室・・・・・
何だかんだの悶着がありまして、数分後……。
麦野「あーもう!」パタパタ・・・
神裂「麦野さん、化粧なんて最小限で良いですから。早く外出しましょう」ハァ
麦野「うっさい! 押し掛けてきて命令すんな! 外出てやるだけでも有難いと思え!」グヌヌ・・・
固法「んもー。喧嘩しないの」メッ
麦野「ったく、この暇人共め……てか火織! その服装何とかしなさい! 一緒に歩けないわよ」ジトー・・・
神裂「へ?」ポカーン・・・
固法「……同意します」アハハ・・・
『何で!?』的な顔をする姉さん。エロいって自覚が無いから面倒だ。
というか普段着でいる方が恥ずかしいって、如何いう神経してるんだろう。
麦野「適当な服貸すからまともなの着て。じゃなきゃ外出てやらないわ」ジトー・・・
神裂「……えー」タラー・・・
固法「まぁまぁ。神裂さん、本人の提案だし服借りましょう」アハハ・・・
麦野「奥の部屋にあるから美偉選んでやって。まったく……、」ブツブツ・・・
見てる分には普通に綺麗な我儘御嬢様なんだけどなぁ。何で性格破綻者なんだろう。
フレンダ「それが結局麦野のアイデンティティって訳よ」アハハ・・・
浜面「坊主。言ってる事は正解だが口にするなよ。殺されるからな……八つ裂きにされるぞ? 素手で」タラー・・・
……肝に銘じよう。
固法「……あ! この服可愛いー! 神裂さん、この花柄ワンピ着ようよ」フフッ
神裂「せ、背中と脇が丸見えじゃないですか! 恥ずかしいですよ!」カアアアァ///
麦野「今のアンタの恰好の方が恥ずかしいわ! 黙ってそれ着なさい! あーもう……いっそ水着で街中歩かせようかしら」ハァ
勘弁して下さい。そこまで踏み込んだ痴女の義弟でいたくないです。
麦野「……よしっ。準備出来た」ヤレヤレ・・・
神裂「こ、こんな服じゃ外出れません! スカート短いし、ブラ見えるし、胸キツい!」カアアアァ///
麦野「人の事連れ出そうとしてるくせに、自分が出れねぇだ? しかも胸キツいって……火織、屋上」クイッ・・・
流石おっぱい聖人。その服装で上条さんのとこ行けば高感度アップですよ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
214 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 18:33:21.95 ID:3+gO496P0
結局、今度は姉さんが駄々を捏ねる形となってしまった。
固法「ワイヤレスのフリーサイズブラも借りましょう。そうすれば問題無いわ」ワシワシ・・・
神裂「か、勝手にブラのホックを外さないで! ちょ、麦野さんまで何してんの!?」カアアアァ///
麦野「……あーだこーだ抜かしつつ下着は艶っぽいじゃないの、変態女。上も下も白基調のラメ入りよ?」ニヤニヤ・・・
神裂「そ、それは先日貴女達と行った時買わされたヤツです! ちょ、固法さん! やめて!」カアアアァ///
固法「ふふふ。このままでもいっか。ワイヤーも御洒落だし……大丈夫。行きましょう」クスクスッ
……その、頑張ってください。
浜面「おー……オマエの姉ちゃん凄いな色んな意味で」ジー・・・///
滝壺「……じー」ギリリ・・・
浜面さん。めっちゃ滝壺さんに睨まれてますよ。
固法「……はい。OK! 行きましょう!」
神裂「イーーーーヤーーーーでーーーーすーーーーーーーーっ!!」ウワアアァン///
麦野「うっさいお黙り! 美偉、引っ張ってでも行くわよ!」グイッ!
固法「了ー解」フフッ・・・
立場が逆転し、姉さんは2人に引き摺られながら部屋を出て行った。
土御門とか他の若い教徒に見つからない様頑張ってください。
滝壺「……さて。そろそろきぬはたの番だね」チラッ・・・
フレンダ「私達は出れないから、君が御誘いしに行くのよ。ほら、早く行ってきなさい」フフッ
止むを得まい。自分は主不在のVipルームの中に歩を進め、最愛を呼びに行った。
香焼「さいあーい。出かけよ……あれ?」
いない?
浜面「坊主ー。絹旗の部屋、その鏡の隣だぞ。ドア開いてるだろ」ボソッ
香焼「あ、はい。最あ、い……・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」ピタッ・・・
絹旗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」ピタッ・・・ ← 着替え中。
香焼・絹旗「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」」ダラダラダラ・・・/////
もあい「にゃーん」トコトコ・・・
後ろから生温かい視線を3つ程感じた。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
215 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 18:48:35.58 ID:3+gO496P0
落ち着いた黄緑の下着。今袖を通そうとしていたのは水色のデニムワンピ。
とりあえず……何で部屋のドア開いてるの?
絹旗「ふ、普段……じょ、女性陣かバカ面だけですから」カアアアァ///
香焼「そ、そう……、」カアアアァ///
絹旗「で、そ、その……見ないで、もらえませんか」カアアアァ///
香焼「あ、ご、ごめんっ!!」バッ///
急いで部屋を飛び出し、3人の下へ急いだ。
香焼「ちょ、な、なああああぁっ!!」カアアアァ///
浜面「だははははははっ!! オマエ天才だ!!」ケラケラケラッ!!
フレンダ「ひ、ヒヒヒヒッ! 少し考えれば着替え中って分かるでしょ!」アハハハッ!
滝壺「ふふふっ……大丈夫、そんなうっかりスケベさんなこうやぎくんときぬはたを私は応援してる」ニヤニヤ・・・
確信犯共! 誰か止めろよ!
フレンダ「アハハ……あーウケる。ほらほら、私達のとこ居ないで絹旗の近くに居なさいな」クスクスッ
香焼「……んもー」ムゥ・・・///
滝壺「私達が見てる事気付かれちゃダメでしょ。リビングできぬはたの事待ってて」ポンッ
今度騙したら許しませんからね。
絹旗「……こ、香焼。着替え、終わりました」イソイソ・・・///
香焼「う、うん……今行く」ポリポリ・・・///
浜面「頑張れよー」クスクスッ
もうこの人達を頼ったら負けかもしれないな。
リビングへ入ると先程のデニムワンピを着た最愛が待っていた。もあいを抱えながらベットの上に体育座りしている。
香焼「そ、その……ごめんね」ポリポリ・・・///
絹旗「……次見たら、死刑ですからね」モジモジ・・・///
香焼「うん……気をつけるよ」コホンッ・・・
雑念は払い、本題に移ろう。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
216 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
[sage]:2011/08/31(水) 18:51:22.93 ID:Tqaf3T8AO
うーんこのカミやん病、実に羨ましい
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
217 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/31(水) 18:52:03.00 ID:Qhfrn8nDO
キタアアアァ! 開幕ニヤニヤ状態ッ!!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
218 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 19:08:22.43 ID:3+gO496P0
もあいを抱きながら俯く最愛に話しかける。
香焼「最愛。何で言ってくれなかったの?」
絹旗「……何をですか?」
香焼「外に出てない事。仕事無くて暇なのは聞いてたけど、如何して外出てなかったの?」
絹旗「そんなの、香焼に言う必要無いじゃないですか」ムゥ・・・
そりゃ御尤もだが、それでもだ。
絹旗「というか何で外出なきゃいけないんですか?」ジー・・・
香焼「……外出たくないの?」
絹旗「超如何でも良いです。猫達は定期的に見に行ってるので大丈夫ですから」
香焼「佐天さん、春上さん達誘わなかったの? 固法さんの家にご飯食べにいかなかったの?」
絹旗「……私の超勝手でしょう」ジー・・・
もあい「なー」ペロペロ
成程、ヒッキーというより井の中の蛙に近いのかもしれない。
基本、言わなきゃ行動しないのだ。こうなるとそれを知ってる滝壺さん達の所為にも思えてくる。
香焼「滝壺さん達、心配してたっすよ」ジー・・・
絹旗「……滝壺さんに聞いたんですか?」エ・・・
香焼「『日の下に出てくれないから心配だ』って……最愛、外行こうよ」スッ・・・
絹旗「超余計なお世話を……日陰で良いですよーだ」ムゥ・・・
香焼「怒るよ?」ハァ・・・
絹旗「香焼なんか怖くないです。超甘ちゃんのくせに。ねー、もあい」ブーブー
もあい「みー」コクコクッ
この駄目駄目モアイコンビめ。
絹旗「……じゃあ部屋の中でゲームしましょう。一人用ですけど交代しながら」ニカッ
香焼「こ、の……駄目! とりあえずご飯食べに行くよ!」ハァ
絹旗「出前取りましょう。お金は私が出しますから」Pi!
香焼「それじゃ駄目っすよ。ずっと同じ物食べてるんでしょ」
絹旗「コーンたっぷりピザ。超美味しいですけど」
香焼「太るぞ」
絹旗「仕事が入れば嫌が応にも痩せますから大丈夫ですにゃー」ナデナデ
もあい「にゃー」ハムハムッ
……いい加減、頭に来た。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
219 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 19:20:09.11 ID:3+gO496P0
遂にベットの上に寝転がり、もあいとジャレ出した最愛……こんにゃろ。
香焼「最愛……、」ノソッ・・・
絹旗「え? ちょ、な、何ですか!?」ドキッ!!
両肩を掴み、告げる。
フレンダ「お!? や、ヤる訳!?」ドキドキ・・・
浜面「最近のガキはやる事早ぇな……尊敬するぜ」ドキドキ・・・
滝壺「おばかさん。あの子にそんな度胸無いよ……はまづらと同じでチキン臭するから」ハァ・・・
何か何処かで馬鹿にされてる気がするが気にしない。
香焼「行くよ」グイッ!!
絹旗「……へ?」ポカーン・・・
もあい「にゃ?」ポカーン・・・
強引に引っ張り、腕を引いた。
絹旗「な、何すんですか!?」ワトト・・・
香焼「ご飯!」グイッ・・・テクテク・・・
絹旗「ちょ、待、か、勝手に決めないで下さいよ!」ヨタヨタ・・・
香焼「もあいも行くよ!」チラッ・・・
もあい「……なぅ」トコトコ・・・
絹旗「イーーーーーヤーーーーーでーーーーーすーーーーーーっ!! はーーーーなーーーしーーーてーーーーーーっ!!」ジタバタッ!
・・・・・・。
香焼「分かった」パッ・・・
絹旗「……え」ピタッ
香焼「……もう知らない」テクテク・・・
さよなら。
絹旗「ちょ、え……な……、」キョトン・・・
香焼「言っただろ。怒るって……もあいも連れてく」テクテク・・・
絹旗「え……そ、そんな……、」オドオド・・・
もあい「……、」キョロキョロ・・・
戸惑う最愛を後目に『演技』を続ける。こういう時は一旦突き放すのも手だ、と浦上が言っていた。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
220 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/08/31(水) 21:18:08.40 ID:jrwB9+JC0
自分は最愛の顔を一切見ずに、話を続けた。
香焼「そんなに部屋の中が良いなら出てくるな。自分はもう押し掛けないから」
絹旗「……、」ムスー・・・
香焼「もあい。おいで」チラッ・・・
もあい「……なぅ」キョロキョロ・・・
絹旗「……、」ウルウル・・・
もあい「……みゃぅ」ジー・・・
香焼「もあい」ホラ・・・
絹旗「……もあい……行って、良いですよ」グスン・・・
涙を溜めて唇を噛む最愛。
浜面「アイツ、感情表現できない幼稚園児みたいだな」タラー・・・
滝壺「実際そうなんだよ。きぬはたはアイテム(私達)以外、まともに人付き合いしてないもん」ジー・・・
フレンダ「それにしてもあの坊や……相当なジゴロね」アハハ・・・
最愛が感情表現が下手な事くらい知っている。今は何を言って良いのか分からない状態なんだろう。
そろそろか、と自分は振り返り最愛の前へ戻った。
香焼「……最愛」ハァ・・・
絹旗「……、」ウルウル・・・
香焼「おいで」ポンッ
絹旗「……人、超いっぱいいます」ウルウル・・・
香焼「誰も最愛の事虐めないよ。一緒に行こう。離れないから」ナデナデ・・・
絹旗「……、」ウルウル・・・
もあい「にゃー」ヒョコッ・・・ペロペロ
絹旗「もあい……、」グスッ・・・
見捨てられたものが救われる瞬間、最早理由は如何でも良くなる。
卑怯な手段だが『宗教勧誘』の手法を使わせて貰った。
絹旗「……離れないで下さいよ」ウルウル・・・
香焼「分かってる。だから行こ」クスッ・・・
絹旗「……はい」コクッ・・・
頭にもあいを乗せる最愛の手を引き、僕らは外へ向かった……―――
滝壺「……ふぅ。一段落だね」ハァ
浜面「それにしてもよ……あの坊主、ちゃっかりプロポーズしてないか?」ハハハ・・・
フレンダ「いや、してたのは絹旗でしょ。どっちにしろ……充てられるわ。爆発しろ」ボソッ・・・
滝壺「……きぬはた。ファイト!」オー!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
221 :
>>1
[saga]:2011/08/31(水) 21:31:07.61 ID:jrwB9+JC0
すいません。中途半端ですが明日早いので今日は此処まで。ごめんなさい。
次回こそホントに外出るのでアンケ協力お願いします。
それではまた! ノシ"
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
222 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/31(水) 21:33:29.16 ID:q2URt74to
乙~
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
223 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/31(水) 21:37:56.00 ID:Qhfrn8nDO
乙‥‥の前に、
>>1
まだ見てたら何安価にする予定なのか教えて!
移動場所? 人? 行動?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
224 :
>>1
[saga]:2011/08/31(水) 23:40:36.37 ID:jrwB9+JC0
>>223
・・・全部、じゃ駄目でしょうか? アバウトな構想しか準備して無いのでアバウトです。
そんじゃ逆に、誰出て欲しい? 何して欲しい? リクエストあります? 使うか如何かは別として教えて下さい。
あと絹旗の方向性はこれで大丈夫かな?
今更だけど流石にクール&ヒッキーにし過ぎてるかなぁと反省してるんですが……如何?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
225 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/08/31(水) 23:58:44.47 ID:TPE9eYu40
大丈夫だ、問題ない
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
226 :
>>223
[sage]:2011/09/01(木) 00:27:03.11 ID:tH3WZhlDO
なるほど。それなら了解です。好きにしちゃって下さい。
絹旗に関してっつーか、キャラどうこうは文句ありません。一人ひとり個性(キャラ)立ってて面白いぜよ。
このままよろしく!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
227 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/09/01(木) 00:40:36.36 ID:3PD4fF8Zo
乙
前回に約束した煙草とライターを取りにきたステイルと遭遇するのはどうでしょう
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
228 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/09/01(木) 00:41:03.64 ID:3PD4fF8Zo
乙
前回に約束した煙草とライターを取りにきたステイルと遭遇するのはどうでしょう
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
229 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/09/01(木) 00:41:32.03 ID:3PD4fF8Zo
乙
前回に約束した煙草とライターを取りにきたステイルと遭遇するのはどうでしょう
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
230 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/09/01(木) 00:42:29.96 ID:l1BK6K7Io
乙
前回に約束した煙草とライターを取りにきたステイルと遭遇するのはどうでしょう
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
231 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/09/01(木) 00:43:22.76 ID:3PD4fF8Zo
乙
前回に約束した煙草とライターを取りにきたステイルと遭遇するのはどうでしょう
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
232 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/09/01(木) 00:43:53.99 ID:3PD4fF8Zo
乙
前回に約束した煙草とライターを取りにきたステイルと遭遇するのはどうでしょう
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
233 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/09/01(木) 00:47:45.39 ID:3PD4fF8Z0
書き込み失敗と表示されたあまりに連打したらこの様かよスマンorz
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
234 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/01(木) 00:52:36.74 ID:z13dg0ax0
>>233
気にするな、俺も前に5連打した事ある
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
235 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/01(木) 01:01:01.84 ID:tH3WZhlDO
>>233
細けぇ事は(ry よくある事さ。気にすんな。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/02(金) 01:32:34.61 ID:hPpUR9PBo
そう言ってるはしから2連打してるしな
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
237 :
>>1
[saga]:2011/09/02(金) 21:13:37.85 ID:6Qf3/TJO0
こんばんわ。ボチボチ投下。
>>233
・・・かわいいから許す。
じゃあ安価協力よろしくね。スタート!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
238 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/02(金) 21:33:23.36 ID:6Qf3/TJO0
―――とある翌日、PM02:00、学園都市第7学区、街中・・・・・
人が溢れる街中を背丈同じほどの少年少女(僕と最愛と1匹)が進む。
最愛は家を出てから一言も話さず、ただ黙々僕の斜後ろにピッタリついて歩いていた。
もあいは何とも器用に彼女の肩の上に座り、彼女がずっと被っているフードを突いたり撫でたりしていた。
しかし、なんとか彼女を部屋から引き釣り出せたまでは良いが、特にプランは立ってない。
香焼「とりあえずご飯だね。食べてないんでしょ?」
絹旗「……、」コクン・・・
もあい「なー」プラプラ・・・
小さく頷く最愛。何故言葉を発しないんだ?
絹旗「……まだ怒ってますか」ボソッ・・・
香焼「え?」
絹旗「……、」
香焼「い、いや怒ってないよ。気にしてたの?」
絹旗「……、」ジー・・・
成程。主人の顔色を伺う猫みたいだな。
香焼「もう怒ってないよ。悪い事したら怒るけど、何も悪い事してないでしょ?」
絹旗「さっき」
香焼「さっきはさっき。今は今。OK?」
絹旗「……はい」コクッ
香焼「あとフード取りなさい」
絹旗「超変態」ボソッ
何故?
絹旗「人に見られます……超変態です。変態香焼」ムスー・・・
意味がわからないよ。まるでイスリムかヒンドゥー教徒の様だ。
絹旗「……馬鹿」フンッ
香焼「まったく、極度なシャイガールだね」ハァ
困ったものだ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
239 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/02(金) 21:41:56.14 ID:6Qf3/TJO0
さておき、兎に角ご飯を食べさせねば。
香焼「何食べたい?」
絹旗「何でもいいです」
香焼「いいから」
絹旗「……じゃあ、ファミレスで。超山盛りフライド食べたいです」
却下。
絹旗「何でですか?」ジトー・・・
香焼「最近ジャンクばっかりなんでしょ。駄目だよ」
絹旗「……じゃあワクドナルド。ホットポテトパイとホットアップルパイが」
香焼「話聞いてた?」
絹旗「もー……じゃあ勝手にして下さい。超我儘なんですから」フンッ
もあい「にゃん」プイッ
どっちがだ。
仕方ないので、僕が選ぼう。出来れば健康的な物を食べさせたい。
香焼「それじゃあ……―――
>>241
(食べ物。ゲテモノ以外)
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
240 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/02(金) 21:43:43.88 ID:GcSCxtkDO
待ってた! 麻婆豆腐!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
241 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/09/02(金) 21:44:08.56 ID:0PbzrgGpo
とろろ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
242 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/02(金) 22:01:10.52 ID:6Qf3/TJO0
そういえば近くで珍しく産直フェアがやってたな。
香焼「地下の産直行ってみようか」
絹旗「サンチョク??」ポカーン・・・
香焼「えっと、産地直送フェアってやつだよ」
絹旗「……山地直装??」
何その山登りの恰好しますよ的な四字熟語。
香焼「とりあえず行けば分かるっすよ。地下街降りよう」
絹旗「地下の方が超混んでますよ」エー・・・
香焼「グチグチ言わないの。自分だって人混み好きじゃないけど、慣れてかなきゃ」
絹旗「……はぁ」ヤレヤレ・・・
こっちが溜息吐きたいよ。
兎も角、地下街の入り口はすぐ近くにもある。サクサク歩こう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・数十メートル後ろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
浜面「大丈夫かよ、アイツら」ジー・・・
フレンダ「今のところはダイジョブじゃね? 結局あの子って人に絡まれない限りは問題無い訳だし」ジー・・・
滝壺「……何か障害があったら、はまづら、ファイト!」ジー・・・
浜面「排除しろと?!」エッ!?
フレンダ「妹分が頑張ってんのよ。当然でしょ」ツンツン・・・
浜面「……何もありませんように」ハァ・・・
滝壺「あ。移動するよ。追おう」コソコソ・・・
フレンダ「そんなピッタリくっ付かなくっても、結局、アンタの能力なら大丈夫な訳でしょうが。焦るな焦るな」ヤレヤレ・・・
滝壺「見てなきゃ意味無いよ。ほら、進めー」トコトコ・・・
フレンダ「はぁ、ノリノリね……ほら、浜面。行くわよ」テクテク・・・
浜面「……帰りたい」ハァ・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
243 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/02(金) 22:21:06.76 ID:6Qf3/TJO0
―――地下街・・・・・
やはりというべきか、混んでいる。
香焼「最愛。迷子にならないでよ」チラッ
絹旗「そんな子供じゃありません」ムッ!
香焼「どうだか……もあい落とさない様に気を付けてよ」
絹旗「落とす訳無いでしょう。にゃんこマスター嘗めないで下さい」フンッ
もあい「にゃっ」シャー!
何その自信……かなり心配だ。
数分歩いた所に開けたホールブースが見えてきた。多分、あそこが会場だろう。
最愛がキチンと付いてきているのを確認し、お店を回る事にした。
香焼「色々あるね」キョロキョロ・・・
絹旗「……人、超いっぱいいます」ボソッ
香焼「大丈夫だよ。誰も虐めたりしないから」
絹旗「……、」ジー・・・
自分の背中で顔を隠す様にして歩く自称にゃんこマスター。
貴女はお忍び観光中の女優か何かかっての。
香焼「えっと……消化に良さそうな物は」ジー・・・
絹旗「じゃあワックのシェイクを」
香焼「ファーストフードから離れろ……あ。ワックじゃないけどシェイクある」ジー・・・
絹旗「それが良いです」キッパリ・・・
香焼「ご飯じゃないだろ。えっと、青森ブースだね。座って何か食べよう」
絹旗「……、」ムゥ・・・
そんなに嫌な顔しないで下さい。まるで自分が誘拐犯みたいだろ。
絹旗「香焼誘拐犯で私人質です」キッパリ・・・
香焼「……もうそれで良いや。最愛、食べれないモノある?」ハァ・・・
絹旗「何でも食べれるし御残しもしません。ご飯を残すと妖怪超メルヘン☆エンジェルが出るって麦野が言ってたので」
香焼「何それ怖い」タラー・・・
絹旗「私も見た事無いので分かりません。とりあえずアレルギー等も無いのでお任せします」
もあい「みゃう」クンカクンカッ
一々ツッコんでたら負けだな。早いとこお昼を選ぼう。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
244 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/02(金) 22:36:18.11 ID:6Qf3/TJO0
どれもこれも美味しそうなモノばかりで、選ぶのに梃子摺る。
絹旗「……香焼」ボソッ
香焼「ん? 食べたいのあったの?」
絹旗「……超座りたいです。超疲れました」ハァ・・・
ヒッキー貧弱っ娘め。普段能力に頼り過ぎてるからそうなるのだ。
絹旗「違いますよ。一週間近くゲームしかしてなかったからです。私の能力は関係ありません」フンッ
香焼「威張るとこじゃないよ……じゃあ先に席確保しよっか」ハァ
絹旗「はい」
という訳で席を探す。だがしかし、何処も満席。空いていても相席になるやもしれない。
ぶっちゃけ究極人見知り生物の最愛には見ず知らずの人と相席出来る勇気はないだろう。
絹旗「……うー」ジー・・・
香焼「困ったね……やっぱり他の場所に―――」Prrr・・・
電話が鳴った。相手は……滝壺さん?
絹旗「誰です?」
香焼「―――え、あ、い、五和っす。ちょっと出るね」Pi!
最愛に聞こえぬ様音量を調整し電話に出る。
香焼「如何したんすか?」コソコソ・・・
滝壺『相席ごー』
香焼「……はい?」
滝壺『空いてる席に相席しなさい』
香焼「な……最愛には無理でしょ?」
滝壺『だからだよ。何の為のおでかけ?』
香焼「……あ」
そういえばそうだった。最愛の人見知りを治す為、自立を促す為の外出だ。
香焼「……了解っす」
滝壺『こうやぎくん、ファイトだよ』Pi!
絹旗「香焼ー。電話終わったんなら早く他の場所行きましょうよー」
香焼「……えっと、やっぱり此処で食べよ」チラッ
絹旗「……え」ピタッ・・・
そりゃそうなるだろう。だが、譲らない。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
245 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/02(金) 22:53:05.77 ID:6Qf3/TJO0
香焼「最愛。相席探すよ」テクテク・・・
絹旗「な……超ヤです」タラー・・・
香焼「意地悪しないから」
絹旗「……、」ジー・・・
固まってしまう最愛。仕方ないな。
香焼「……ほら」スッ・・・
絹旗「……え」キョトン・・・
香焼「行くよ」パシッ
絹旗「っ……にゃぅ!?」///
もあい「にゃ?」キョトン・・・
手を引く。
香焼「一緒に行けば大丈夫だから」テクテク・・・
絹旗「そ、そういう問題じゃなくて……超馬鹿香焼」ボソッ・・・///
香焼「馬鹿で良いよ。えっと……、」キョロキョロ・・・
辺りを見渡す。最愛が畏縮し過ぎない様、出来れば優しそうな人と相席したい。
親子連れか、女子生徒辺りがベストだろう。
香焼「うーん……あそこの女子高生2人なら大丈夫かな」テクテク・・・
絹旗「……年上好きですか。女子高生好きですか。この超変態香焼」ムスー・・・
香焼「は?」ポカーン・・・
絹旗「……、」トコトコ・・・
香焼「なんだよ、もう……あの、すいません」
黒髪ロングのお姉さん2人。多分、上条さんの学校の生徒さんだ。
香焼「……って、あ」ピタッ・・・
姫神「……ん?」チュルチュル・・・
吹寄「おや?」モグモグ・・・
案の定、知り合いだった。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
246 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/02(金) 23:16:50.94 ID:6Qf3/TJO0
膝裏くらいまで長く伸びた黒髪。物静かにうどんを啜る女性。
香焼「吸血殺(ディープブラ)――」
姫神「……、」ギロッ・・・
香焼「――っ……姫神さん。こんにちは」ペコッ
危ない危ない。
姫神「……如何したの?」
香焼「あ、えっと……お願いというか、頼みがあるんすけど」
姫神「頼み?」
香焼「そこの席、空いてますか?」
姫神「空いてるけど。座りたいの?」
香焼「ええ。相席出来れば是非2人分」ペコッ
姫神「良いわよね」チラッ
吹寄「ああ。構わないよ」
良かった。この人相手なら大丈夫だろう。
香焼「最愛、お邪魔しよう」
絹旗「……、」ジー・・・
香焼「この人は自分の知り合いっすから大丈夫だよ」ポンッ・・・
絹旗「……、」コクン・・・
もあい「にゃっ」フリフリ・・・
オドオドと席に着く猫娘。とりあえず一安心だ。僕は最愛と自分の分の食事を買ってこよう。
そう考えて席を立とうとした瞬間……服の端を掴まれた。
絹旗「……、」ジー・・・
香焼「……大丈夫だってば」
絹旗「……、」フルフル・・・
困った。これではいつまでもご飯を買えない。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
247 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/02(金) 23:33:13.56 ID:6Qf3/TJO0
そんな僕の表情を察したのか、おでこのお姉さんが尋ねてきた。
吹寄「どうした少年」
香焼「え、あ、その……ちょっと」アハハ・・・
絹旗「……、」ジー・・・
吹寄「……ふむ」ポリポリ・・・
最愛を見遣るおでこのお姉さん。そして優しく、最愛に話しかけた。
吹寄「こんにちは、お嬢さん」
絹旗「……、」ナデナデ・・・
もあい「にゃー」クシクシ・・・
吹寄「可愛い猫だな。名前は何ていうんだい?」
絹旗「……もあいです」ボソッ
吹寄「も、あい? 変わった名前だな『君』は。だけど私は嫌いじゃないよ」フフッ
絹旗「猫(こっち)が『もあい』……絹旗……絹旗最愛です」ムゥ・・・
吹寄「もあい?」
あーあ。
絹旗「……香焼ぃ。私この人……超怖いです」チラッ・・・
香焼「え、えっと……うん」ポリポリ・・・
吹寄「ははは。冗談だよ。最愛(さいあい)ちゃんだね。『最も愛する』……良い名前じゃないか」スッ・・・
絹旗「っ!」ビクッ!!
最愛の頭を撫でようとするおでこのお姉さん……あ、ヤバい!?
吹寄「ん? うおっ!?」ボンッ!
姫神「っ!!?」ギョッ・・・
香焼「最愛っ!!」グッ・・・
絹旗「っ……、」ピタッ・・・
伸びてきた手に驚いて『自動防御』とやらが発動した。
吹寄「……手が、弾かれた」ポカーン・・・
香焼「あ、そ、その……彼女の能力で、ビックリしちゃうと勝手に発動するんすよ」アタフタ・・・
吹寄「そうか……うん、急に触ろうとして悪かったよ。頭を撫でようとしただけなんだ。許してくれ。最愛さん」ペコッ
絹旗「……はい」コクン・・・
良かった。落ち着いてくれた様だ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
248 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/02(金) 23:34:50.23 ID:tmRiD3lAO
なんか吹寄の口調にガチ違和感を感じる
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
249 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/02(金) 23:37:28.67 ID:IBWkfC/go
>>248
上条さん達相手じゃなきゃ結構社交的なイメージだから俺はむしろ合ってると思う
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
250 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/02(金) 23:44:36.05 ID:gadfxfRHo
宝塚っぽい吹寄さん
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
251 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/02(金) 23:56:46.37 ID:6Qf3/TJO0
ふと、姫神さんが冷たい声で僕に尋ねた。
姫神「……彼女は?」チラッ・・・
香焼「……最愛は『普通』の友達っすよ」コクッ
姫神「そう。『彼』とは関係無いのね」
香焼「ええ。都市で知り合った友達っす。ね、最愛」チラッ
絹旗「……はい」コクン・・・
もあい「みゃー」ジー・・・
へぇ。と最愛を見て、優しい表情をする姫神さん。彼女の強張った気が消えた。
そりゃまぁ彼女は『色々』あったらしいし、必要悪の教会のメンバーに会ったら身構えてしまうのも仕方なかろう。
姫神「ごめんなさい。まずは疑ってかからないと痛い目見るって。土御門君に忠告されてたから」
香焼「正しい判断っすよ。あ、すいません。自分、この子の分お昼買ってくるので相手して貰ってて良いっすか?」
姫神「ええ。任せて」コクッ・・・
香焼「最愛。大丈夫、その人達は絶対に虐めないから安心して」ポンッ・・・
絹旗「……、」コクッ・・・
やっと納得してくれた。さて、何を買ってこようか。
吹寄「そういう事なら少年。とろろそばがお勧めだ。とろろそばにしろ。いいか? うどんじゃないぞ」ビシッ
姫神「また健康食っぽいものを。この子達。子供よ?」ハァ・・・
吹寄「美味しいだろ、とろろ。子供でも問題無い。美味いもんは美味いんだ」フムッ
絹旗「……子供じゃないです」ムスゥ・・・
変な所で意地を張るな。
香焼「自分は食べれるけど、最愛。とろろ食べれる?」
絹旗「……ト○ロ?」ポカーン・・・
香焼「とろろだよ……まぁ良いや。最愛食べれなかったら別の買うから、一応2つ買ってくるよ」テクテク・・・
3人(と1匹)を後目に、とろろそば2つと林檎シェイクを買いに店へ向かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・数十メートル後ろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
浜面「物買ってから座れよ。要領悪いなぁ」モグモグ・・・
滝壺「まぁまぁ。相手は優しそうな2人だし、大丈夫だよ」モキュモキュ・・・
フレンダ「はい、あーん」アー
フレメア「にゃー」パクッ・・・
浜面・滝壺「「……、」チラッ・・・
フレンダ「美味しい? あ、口の周り汚れてるぞ〜……って何よ」ジロッ
浜面「(ドサクサに紛れて妹連れてきてやがる)……いや、何でもない」タラー・・・
滝壺「(ツッコんだら負けだね)……ごゆっくりどうぞ」タラー・・・
フレメア「うーん。美味しいよー」モキュモキュ・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
252 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/03(土) 00:02:46.44 ID:EDdqdWcDO
> フレメア「にゃー」パクッ・・・
な、何だってえええぇっ!!?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
253 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/03(土) 00:12:55.00 ID:XcUOaYYk0
フレメアww
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
254 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 00:23:28.87 ID:KdZPNJTE0
>>248
・・・間違ってたらごめん。吹寄って上条以外と話す時以外は中性的な口調じゃないっけ? あと姫神って吹寄の事何て呼ぶのかな?
**********
一寸後、トレーに商品を乗せて席に戻る。一応もあいが好きそうなマグロフレークも買ってきた。
香焼「おまたせ、って……えっと」タラー・・・
吹寄「ふふふ。可愛いなぁもう」ナデナデ・・・
絹旗「……香焼ぃ」チラッ・・・
頬を緩ませながら最愛の頭を撫でるおでこのお姉さん。一方、最愛は半べそ掻いてる。
姫神「私は止めたわよ」ハァ
香焼「あはは……とりあえずご飯食べよ」スッ・・・
姫神「制理。それくらいにしなさい。彼女。ご飯食べられないわ」
吹寄「そうか。あ、最愛ちゃん、溢しちゃダメだぞ。口周りに残すと被れるからね」
絹旗「え……あ、なんか超白い超ネバネバしたのが乗ってます」ウヘッ・・・
吹寄「……もう一回言ってくれないか?」ハァハァ・・・
絹旗「はい?」ポカーン・・・
姫神「止めなさい。三馬鹿(デルタフォース)と発想が一緒よ」バシッ!
吹寄「ハッ!? す、すまん……彼女が愛くるしいから、つい」ムムッ・・・
佐天さん(ストレート)と白井さん(スプリットフィンガーファーストボール)を足して割った様な反応だな。
兎角、彼女達の最愛に対する印象は良い様だ。助かる。
姫神「貴方も。そろそろ食べなさい。制理は私が押さえとくから」
香焼「あ、はい。すいません」ペコッ
それでは頂こう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・数十メートル後ろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
滝壺「くっ……きぬはたに対するそのポジションは私の役目なのにぃ」ギリギリギリ・・・
浜面「た、滝壺さん!?」ギョッ・・・
フレメア「白くてネバネバー」ニャー
フレンダ「ふ、フレメア!? 変な言葉覚えないの!! ……だけどもう一回だけ言って」ハァハァ・・・
浜面・滝壺((うわぁ……気持ち悪い))タラー・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
255 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 00:56:53.66 ID:KdZPNJTE0
自分達が食事をしている間も、既に食べ終えている2人がまだ残っていた。
多分おでこのお姉さんの意向だろう。
吹寄「ふむ。しかしまぁ……2人とも可愛いな。小学生高学年くらいか」エヘヘ・・・
姫神「ぷっ!」プルプル・・・
畜生。笑った姫神さんも同罪ですからね。
絹旗「私は中学生です」ムゥ・・・
吹寄「ん。それはすまない。えっと、少年は」ジー・・・
香焼「香焼っす」
吹寄「こうやぎ……香焼、くんだな。うん、覚えた。もしや生まれは長崎か?」
地名が名字じゃ推測されても止むを得まい。
姫神「あら。一度会ったじゃない。『わ○わ○ざぶーんin学園都市』で。淡希と一緒に居た子よ(※)」 ※1st's・特別編
香焼・吹寄「「……え?」」ポカーン・・・
姫神「え?」
会ったっけ?
姫神「覚えてないの?」
吹寄「うーん……会った様な、会ってない様な……あの時、結標さんと居たのは少女じゃなかったっけ?」フム・・・
香焼「自分は記憶に無いっすよ」ウーン・・・
もしかして、アニェーゼの『忘却』魔法の練習台に付き合わされた時に記憶が吹っ飛んだのかも。
吹寄「まぁ良いや。私は吹寄制理です。彼女と同級生だ。よろしく」ペコッ
香焼「月詠さんのクラスなんだ。じゃあ上条さんや土御門と同じクラスなんすね」ヘー・・・
吹寄「む……この子、何でこんなに知ってるの?」チラッ・・・
姫神「うーん……、」チラッ・・・
あ……しまった。拙かったか。
姫神「土御門くんの『バイト仲間』で。上条くんの『弟子』で。淡希の『愛玩ペット』だからよ」フフッ・・・
吹寄「はぁ!? ちょ、か、上条当麻の弟子だと!? 止めておけ止めておけ! 毒されるぞ!!」ガタッ!!
絹旗「……香焼。『愛玩ペット』って、何ですか?」ギロッ・・・
香焼「ひ、姫神さん?! え、ふ、二人とも! 嘘っすから!」アタフタ・・・
姫神「ふふふ……でも。大体合ってるでしょ?」クスクス・・・
黒い笑みを浮かべ、楽しそうにホラ話をする姫神さん。この人怖いです。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
256 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/03(土) 01:11:00.88 ID:1kvRhgjJo
吹寄さんが別人すぎてこわい
ちょうこわい
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
257 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 01:15:39.63 ID:KdZPNJTE0
十数分掛け2人を説得し、漸くご飯に戻った。
吹寄「成程。上条当麻達とはバイト先で知り合ったのか」フム・・・
香焼「そんな感じっす。だから弟子なんかじゃ……恐れ多い」アハハ・・・
吹寄「……恐れ多い?」ピクッ
姫神「制理。何言っても無駄よ。その子。上条くんにベタ惚れだから」クスクス・・・
絹旗・吹寄「「っ!!?」」ギョッ・・・
いや、惚れるなんて……それすらも恐れ多いですから。
吹寄「しゅ、衆道というヤツか」アワワ・・・
絹旗「む、結標の超売女(ビッチ)の方がまだ許せますよ」タラー・・・
誰がBLだ阿呆。てか姫神さん、いい加減にして下さい。
姫神「ふふっ。ごめんごめん。やっぱり淡希が言うとおり。面白い子ね」フフフッ
香焼「淡希さん……はぁ」ヤレヤレ・・・
絹旗「……、」イライラ・・・
吹寄「まぁアレだ。此処で会ったのも何かの縁だし、困った事があったらいつでも言ってくれ。最愛ちゃんもね」ポンッ・・・
絹旗「……ソバが食べれませんよ」ムゥ・・・
もあい「ふにゃ」モグモグ・・・
先にもあいの方が食べ終わりそうだな。 (※注意:良い子は地下街で猫に餌を与えないで下さい。というか猫を連れ込まないで下さい)
姫神「うーん……個人的には。友人の淡希を応援すべきだけど……『攻略』頑張ってね。絹旗さん」ニッコリ・・・
絹旗「ぶヴぁっ!!」ゲホッ!!
香焼「最愛!?」エ?!
絹旗「な、何言ってんですか!? って、超痒いです!!」ウワーン・・・///
香焼「ああ、もう素手で擦っちゃダメっすよ。今ティッシュあげるから」ンモー・・・フキフキ・・・
絹旗「こ、子供じゃないんですからティッシュくれるだけで良いですよ!」カアアァ///
吹寄「あははは。では私も拭いてあげよう」フフッ
絹旗「超結構です!」カアアァ///
姫神「あらあら」クスクス・・・
吹寄「ふむ……やっと元気に話してくれたね。個人的にはそっちの方がもっと可愛く思えるぞ」ポンッ
絹旗「あ……きゅぅ」カアアァ///
うん……やり方は多少強引だったかもしれないけど、少しは人見知り克服への経験値に成った筈だ。
吹寄さん、姫神さん。ありがとうございます。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
258 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 01:30:44.15 ID:KdZPNJTE0
―――とある翌日、PM03:00、学園都市第7学区、地下街・・・・・
あれから少し話した後、2人が先に帰り自分達だけのテーブルとなった。
最愛も食べ終わったし、自分達もそろそろ移動しようか。
そう考えた瞬間、また電話が鳴った。相手は勿論滝壺さん。
香焼「最愛、ごめん」チラッ・・・
絹旗「構いませんよ。じゃあ私トレー片付けに行きますから」ナデナデ・・・
もあい「んなー」ゴロゴロ・・・
最愛が席を立つ。
香焼「はい」
滝壺『うん。第一ステージクリアってところかな』
香焼「後は自分から話しかけてくれると良いんすけどね」
滝壺『それはまだ早いかも。とりあえず移動しようか』
香焼「何処行けば良いんすか?」
滝壺『任せるよ。こうやぎくんのお友達の所とかでも良いし。ただきぬはたが知らない子でね』
香焼「それは……いないかな」タラー・・・
自分で言うのも何だが、僕は友達が少ない。
滝壺『うーん……じゃあセブンスミストでも行って買い物してきて』
香焼「服屋っすか?」
滝壺『うん。小物も売ってるから何かきぬはたに買ってあげてよ。ただし選ばせるのは自分でやらせてね』
香焼「何故?」
滝壺『自立の為だよ。それじゃあ引き続きよろしくね』Pi!
成程。自立か。
香焼「僕だって自立してないのに、他人の自立援助かぁ」ハハハ・・・
もあい「なー」ペシペシッ
変な話だ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
259 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 01:39:14.36 ID:KdZPNJTE0
最愛が戻って来てから次の目的地を告げる。
絹旗「セブンスミスト、ですか」タラー・・・
香焼「うん。此処から近いだろ?」
絹旗「……此処より人多いです。超々多い」ウーン・・・
此処が平気だったんだ。あとは何処行っても人混みくらい平気だろう。
絹旗「……うーん」ムゥ・・・
香焼「とりあえず移動しよう。怖く無いっすよ」ポンッ
絹旗「……はい」コクッ・・・
最愛が逸れない様手を引き、地上へ戻った。
**************
建宮『安価。次に会う人物。学園都市に居る人物限定なのよな。複数人でも可!
>>262
』
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
260 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/03(土) 01:45:05.79 ID:qt//y+9Go
あおぴ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
261 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/03(土) 01:45:24.47 ID:VJefn6Ljo
青ピ、土御門、上条
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
262 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/03(土) 01:46:46.39 ID:nXOVE1gmo
砂皿とステファニー
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
263 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 02:37:11.25 ID:KdZPNJTE0
建宮『何つー人選……、』
**************
―――一寸後、セブンスミスト・・・・・
特に問題も無くサクサク歩く。
最愛も人混みには多少慣れた様で、自分の横を歩ける様になっていた。
絹旗「お店、超いっぱいありますけど」チラッ・・・
香焼「えっと……ちょっと待って」カチッ
前に佐天さんからセブンスミストの紹介をされた覚えがある。
確か屋上に露天雑貨が売っている筈だ。
香焼「服も良いけど、先に小物見たいから雑貨見に行こう」
絹旗「分かりました」
もあい「にゃー」
人が賑わう中、エレベーターまで移動し屋上へ上がる。
ヒーローショーか何かやっていたのか、それなりの混雑だ。
イベント台の様な場所が子供で賑わう一方、反対側は大人がチラホラ。此方が雑貨店だろう。
最愛「おー」ジー・・・
もあい「みー」ジー・・・
香焼「最愛こっち……って、あらら」ハハハ
屋上から街を眺め出した大猫と子猫。そんなに珍しいのか。
絹旗「ええ。昼間の屋上なんかそうそう来ませんから」キョロキョロ・・・
香焼「昼間の?」
絹旗「まぁ仕事では超嫌という程超高い所に……いや、何でもありません」
香焼「……、」
それを言ったら自分も『同じ』だ。監視や旗取り(諜報)でいつも高い所に登る。
だが今は互いにプライベート。『そういうの』は抜きだ。
香焼「……最愛、雑貨見よう」
絹旗「……そうですね」
このままでは滝壺さんに怒られる。今日は楽しみつつ、彼女を成長させるのが目的なのだ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
264 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 03:11:38.58 ID:KdZPNJTE0
様々な種類の雑貨がある。
ネックレス、ブレスレット、指輪、ピアス、髪止め……メジャーブランドではないが、それなりに御洒落だ。
しかし、最愛はただ眺めるだけで、どれも興味無しといった御様子。
絹旗「ジャラジャラつける趣味無いですから」
香焼「成程ね」アハハ・・・
だが、それでは駄目だ。仕方ないので切っ掛けを与えてやる。
香焼「何か買ってあげるよ」
絹旗「……え」キョトン・・・
香焼「此処らのそんなに高くないし、興味あったら買ってあげるよ。プレゼントね」
絹旗「……、」ジー・・・
何故か戸惑う最愛。自分からプレゼントなんて貰いたくないか。
絹旗「ち、違います! 欲しいです!」コクコクッ!
香焼「それじゃあ好きなの選んで」
絹旗「えっと……じゃあ……うーん」キョロキョロ・・・
香焼「そんなに焦って選ばなくても大丈夫っすよ」アハハ
絹旗「んー……どれにしよう」ジー・・・
一転して宝物探しの様に忙しくなる最愛。自分は邪魔しない様少し離れていよう。
香焼「最愛。何か飲み物買ってくるね。何が良い?」
絹旗「超炭酸メ○トスソーダで」キッパリ!
香焼「……そんなの売ってるの?」タラー・・・
絹旗「CMでやってました。最初だけ超大変ですけど、味はそれなりです……うーん」キョロキョロ・・・
仕方ない。それ買ってこよう。
自販機コーナーはそんなに混んではいない様で、すぐに目的のゲテモノ販売機まで辿り着けた。自分の分のカフェオレと最愛の劇物を購入。
因みに『超炭酸何たら』のボタンを押す瞬間、何故か周りがざわついた。本当に大丈夫か、これ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・数十メートル後ろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
浜面「あれ、美味いの?」タラー・・・
滝壺「美味しいとか美味しくないの問題じゃないよ。ネタ商品だから」アハハ・・・
浜面「ネタって……ん? フレンダは?」キョロキョロ・・・
滝壺「……あっち」スッ・・・
フレメア「ゲコキュア頑張れー!」オー!
フレンダ「ふふふ。頑張れー」カタグルマー!
浜面「……好きにしろ」ハァ・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
265 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/03(土) 03:31:15.63 ID:ghDrTm1DO
オリ主なんだから細かい事は気にすんな!!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
266 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 03:37:33.64 ID:KdZPNJTE0
購入後、最愛の方はというと……まだ悩んでた。
普段は興味無いが、いざ選ばなければって事になると凝ってしまうタイプか。大変だな。
香焼「……座って待ってよ」
ベンチを探す。何故か喫煙エリア付近にしかない。
香焼「まぁ良いや。煙慣れてるし」
馬鹿神父の御蔭(所為)だ。とりあえず、一番端に座ってカフェオレでも―――
??「うわっ!!?」パンッ!!
―――飲もうとした瞬間、目の前で煙草を喫っていた男性のペットボトルが破裂した。
まさかのテロか、と辺りに神経を配り最悪に備え身構える。
だが、おかしい。誰も先の破裂に恐れ戦いていない。寧ろ喜劇を見るような眼で男性を見ている。何故だ?
香焼「だ、大丈夫っすか!?」アタフタ・・・
??「……そう見えるか?」ハァ・・・
香焼「水質操作系の能力者か? いや、超小型の爆弾? まさか狙撃……窓のないビルの屋上くらいしか狙えない。有り得ない」キョロキョロ・・・
??「……、」ジー・・・
香焼「何にしろ怪我人が出なかった以上、第二派が……結界を張るべきか」グッ・・・
??「……少年」トンッ
香焼「っ……は、はい」ビクッ・・・
何だ? 実はこの人が賞金稼ぎに狙われる悪モノでーした、とかいうオチか?
??「気にするな。爆発物フェチの馬鹿に騙されただけだ」
香焼「……へ?」
自分が首を傾げた刹那、馬鹿笑いが聞こえた。
??????「あはははははっ!! マジで騙されましたねー! 見事な腑抜け面っぷりでしたよ!」ケラケラケラ・・・
??「……さっきの、もう一本買ってきてお前の目玉にでも突っ込んでやろうか?」
??????「くっはっはっはっ! 負っけ惜しみ〜。砂皿さん可愛いですねー」フフフ・・・
砂皿「……屋上からダイブした経験は?」テクテク・・・
??????「ははは。無いに決まって……ちょ、な、何で私の肩引っ張るんですか!? まさか落とす気!? うぎゃー! ヘルプミー!」
砂皿「まったく……どうしようもない転婆女郎だな」ハァ・・・
砂皿と呼ばれた男は濡れた顔を拭いながら、ヤレヤレと再度ベンチに腰掛けた。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
267 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 03:55:53.31 ID:KdZPNJTE0
自分は茫然状態で動けず仕舞い。一体何が起きたのだ?
香焼「え、えっと……ペットボトル破裂しましたよね」タラー・・・
砂皿「……君も分からなかった口か」フム・・・
香焼「へ?」
??????「やれやれ。流行に疎いですねー。メ○トスソーダ、開け方失敗すると大爆発するんですよーだ」ハハハ
香焼「……これ?」エ・・・
最愛に頼まれた飲み物。
??????「あらら……君も物好きですねぇ。チャレンジャースピリット? 日本人特有のカミカゼ魂ってヤツですか」フフッ
砂皿「ステファン、喧しい。少し黙れ……少年、驚かせて済まなかった。この馬鹿の所為だ」クイッ
ステファニー「略さないで下さいよー。ステファニーです。ステファニー=ゴージャスパレス。良い名前でしょ?」ニカッ!
香焼「は、はぁ」ポリポリ・・・
とりあえず、何の問題も無いなら良いや。
砂皿「待て」スッ・・・
香焼「はい?」ピタッ・・・
砂皿「少年。先程……色々物騒な事を口走ってたな」カチッ・・・フゥ・・・
香焼「え、あ、いや……テロか何かと勘違いしたので」アハハ・・・
砂皿「ほお……オモチャ飲料に騙されて、か。互いに難儀だな。流行を知らないのは時に危ないという教訓を学べた」ジジジ・・・
香焼「は、はぁ」ポカーン・・・
何だ、この人。
ステファニー「むむっ!? やけに饒舌ですね、砂皿さん。は!? もしやこの子に……『ガチ』は駄目ですよ! 『ガチ』は!」アワワワ・・・
砂皿「……やっぱりダイブするか?」ギロッ・・・
ステファニー「ジョウダンデスヨ」ダラダラ・・・
砂皿「……少年。もう一つ、質問を」ジー・・・
香焼「え、あ、はい」タラー・・・
砂皿「何故、この建物が『窓のないビル』からしか狙撃出来ないと思った」
香焼「え……純粋に高さと角度と……あと、電力プロペラのこの時間帯の風向きを……、」ピタッ・・・
待て。何かおかしい……悪寒が走る。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
268 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 04:18:01.24 ID:KdZPNJTE0
ふと、砂皿という男を見ると何故かニヤニヤと微笑んで自分を見ていた。
砂皿「じゃあ『第二派』って、何だ?」クスクス・・・
香焼「……もう一回、あるかなぁと。深い意味は無いっすよ」
砂皿「深い意味も無きゃ『二回目』なんか考えなねぇよ」ジジジ・・・
ステファニー「え、えっと……砂皿さん?」ポカーン・・・
紫煙が昇る。
砂皿「……少年」ジー・・・
香焼「……見たまんまの中学生っすよ。学生証見せましょうか」
砂皿「必要無い……ま、関係無いか。野暮な事聞いて悪かったな」
ステファニー「あー、あれ? もしかしてミリオタ少年ってヤツですか?」キョトン・・・
砂皿「ミリオタか。ミリオタが空気まで読めるとは大したもんだ」フフッ
この人は……何だ?
砂皿「学生さんは遊ぶのが仕事だろう。俺に構わず買い物なりゲーセンなり行って来い。引き留めてすまなかった」
香焼「……はい。失礼します」
ステファニー「えー。折角面白そうな子見つけたのに帰すんですかぁ? 良い具合の塩梅な厨二病ミリオタ少年ですよー」ジー・・・
砂皿「初対面の人間にお前は……、」ハァ・・・
ステファニー「中々居ませんって。ミリオタ少年って何かよくないですか? オフの時楽しいですよ! FPSとかオンラインで」
砂皿「何言ってんだか分からん。兎に角迷惑掛けるな。さっさと帰してやれ」
ステファニー「うーん。勿体無い……あ、そうだ! 少年、オンラインゲームやる派ですか?」
香焼「え、まぁ、偶に」
ステファニー「良し! じゃあメアド交換しましょう! 結構コアな海外のオンラインFPSゲーあるんですよ! 今度一緒に――」スッ・・・
彼女が携帯を取り出し、自分に近づけた刹那……後ろから、恐ろしい視線を感じた。もはやそれは殺気に近い。
ステファニー「――……あらら」チラッ・・・
砂皿「……、」ジジジ・・・フゥ・・・
香焼「……最愛?」タラー・・・
絹旗「……、」ギロッ・・・
親の仇でも見る様な眼で、2人を睨んだ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
269 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 04:35:09.65 ID:KdZPNJTE0
最愛は何も言わず、自分の前に歩み出る。
香焼「さ、最愛?」
絹旗「黙ってて下さい」
香焼「……、」タラー・・・
ステファニーさんは何故かニヤニヤ微笑み、砂皿さんは我関せずで煙草を吹かしている。
絹旗「……何してんですか?」ジー・・・
ステファニー「別にぃ。私達が屋上遊園地でメリーゴーランド乗ってちゃダメなんですかぁ?」
絹旗「……超つまらないジョークです。B級、いやC級D級以下ですね」
ステファニー「アンタは相変わらずチンマイんですねー。身長も器も」フフフ・・・
絹旗「っ」ギッ・・・
香焼「さ、最愛!」ガシッ・・・
喧嘩腰の最愛。あまり宜しくない知り合いか?
ステファニー「まぁ昔の話ですよ。普通怒るのはこっちの筈なんですけどねぇ。私、大人ですからー」フフフ・・・
最愛「超腹立ちます……塀の外に投げ出してやりましょうか? 紐無しバンジーさせてやりますよ」ジー・・・
砂皿「ほら、ステファン。やっぱ皆お前の屋上ダイブが見たいんだ。やってやれよ」ククク・・・
ステファニー「なっ!? どっちの味方ですか!?」ウガアアァ!!
砂皿「冷静なヤツの味方だ。敢えて言うなら少年の味方だよ」ジュッ・・・
煙草を灰皿に入れ、立ち上がる砂皿さん。
砂皿「帰るぞ」テクテク・・・
ステファニー「ちょ、砂皿さん!?」キョトン・・・
砂皿「子供のデートを邪魔するオジさんにはなりたくないんでな。悪態吐かれる前に退散する」
ステファニー「な、ちょ……ええぇ」タラー・・・
絹旗「逃げるんですか? というか……逃がすとでも?」ギロッ・・・
砂皿「……、」チラッ・・・
僕の方を向いて溜息を吐く砂皿さん。
砂皿「少年が許さんだろ?」
絹旗・ステファニー「「……、」」チラッ・・・
香焼「……、」コクッ・・・
砂皿さんが目で訴えるとおり、バカな真似は止めて欲しい。冗談は抜きだ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
270 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 04:54:07.15 ID:KdZPNJTE0
女性2人は渋々といった感じで、気を納めてくれた。
ステファニー「やれやれ。命拾いしましたね。クソガキ」ジトー・・・
絹旗「そっくりそのままお返ししましょう。糞女」ジトー・・・
どっちもどっちだ、馬鹿女郎。
結局、ステファニーさんは頭を掻きながら人混みの中へ消えて行った。
砂皿「……すまなかったな」チラッ・・・
香焼「え、い、いや。此方こそ」
絹旗「……、」ジー・・・
砂皿「嬢ちゃんも『今』は、すまなかった。勝手に少年を引き留めていた事は謝ろう」
絹旗「……え」キョトン・・・
拍子抜けといった感じに口を開ける最愛。
砂皿「良いボーイフレンドを持ったな。大事にしろよ」フフフ・・・
絹旗「なっ! と、友達です!」カアアァ///
砂皿「だからフレンドと言ってるだろ」クククッ
絹旗「ぐ、ぬぬぅ」///
砂皿「……少年。演技とポーカーフェイスの練習しろよ。全部顔に出てる。駄々漏れだ」ハハハ
香焼「なっ!? ……精進します」タラー・・・
だから心を読まれるのか。
砂皿「……じゃあな」ポイッ
香焼「わっ……え?」パシッ
砂皿「迷惑料のマネーカードだ。ジュース代の足しにでもしろ」
絹旗「香焼。ソイツの言う事信用しちゃダメです」ジトー・・・
香焼「最愛」メッ・・・
砂皿「心外だな。オレは女みたいに戦闘狂(バトルジャンキー)じゃない。公私は区別する。常識だろ」
御尤も。成程、最愛に足りないモノの一つが分かった気がする。
砂皿「それから少年。今、何処に就いてるか知らんが、そこに飽きた様なら誘ってやる。色々教えよう」テクテク・・・
香焼「は?」タラー・・・
砂皿「じゃあな……またいつか」テクテク・・・
ステファニーさんを探しに行ったのか、彼もまた人混みに消えて行った。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
271 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/03(土) 05:24:52.28 ID:KdZPNJTE0
彼らが去った後、ポツンと残された自分達。
突然の嵐の様な出来事で何が何だか理解できぬまま終わってしまったが、一体彼らは何者だったのだ。
最愛にそれを尋ねようとした瞬間、ガシリと肩を掴み返された。
絹旗「……超馬鹿! 超朴念仁!」ギリリ・・・
香焼「痛だだだだぁっ!! な、何すんの!?」アタフタ・・・
絹旗「何であんな自然に……いいですか? 一度しか言いませんから。もう一度言います。一度しか言いません」
2回言ってるじゃん。
絹旗「アイツらは所謂傭兵です。金次第で何でもやる人間です」ジトー・・・
香焼「……そうだったんだ」
絹旗「男の方は凄腕の狙撃手(スナイパー)。女の方は好きの火薬大好き爆弾魔(ボマー)です」
香焼「能力者っすか?」
絹旗「多分、無能力者です。でも超危険です。香焼くらいならあっと言う間に消せるでしょう」
そんなに凄い人達だったのか。
絹旗「そんなにって……何でそんなに危機感無いんですか!? 目ぇ付けられたかもしれないんですよ!」
香焼「大丈夫だよ。砂皿さん、大人だし」
絹旗「なっ……、」
公私の区別がつかない内は子供だ。それが分かった。
香焼「最愛こそ、場所考えなよ。周り見れば分かるでしょ」
絹旗「……、」ジー・・・
反省したのか、それとも腹の虫が修まらないのかやけに静かになる最愛。
香焼「勝手に慣れ慣れしくしてたのは謝る。だけど『常識』の範囲内でだ」
絹旗「……超分かってますよ。だから超腹立つんです」ギリッ・・・
香焼「最愛……、」
絹旗「もういいから行きますよ。此処に居る必要無いでしょう」
これまた確かに。そういえば最愛がプレゼント探ししてたんだったな。忘れてた。
という訳で急いで最愛が選んだお店へ向かう事とした。
因みに、先程渡されたマネーカードの裏にちゃっかり電話番号が書いてあった。まったく、抜け目ない人だ……―――
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
272 :
>>1
[saga]:2011/09/03(土) 05:27:10.32 ID:KdZPNJTE0
すいません。一度寝ます。起きたらすぐ続き。
因みに安価! 絹旗が買いたかった小物とは?
>>275
それじゃまた次回! ノシ”
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
273 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/03(土) 05:32:14.75 ID:D9sB4rxY0
メリケンサックにしか見えない何か
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
274 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/03(土) 07:28:35.46 ID:3EaO5vDT0
わ、藁人形・五寸釘セット
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
275 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/09/03(土) 07:42:17.46 ID:gCZG0G3AO
酢昆布
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
276 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/09/03(土) 09:07:18.27 ID:bJMOraJuo
酢昆布ってあのリアルなキーホルダーかw
確かにB級以下の臭いがプンプンするなw
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
277 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/03(土) 11:09:05.01 ID:w9fHOZZU0
次こそはほのぼのした感じで・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
278 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/03(土) 15:43:45.01 ID:EDdqdWcDO
乙。ステファニーはまずかった‥‥後は打ち止めに出てもらうしかないな! もしくは萌え黒夜!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
279 :
名無しニッパー
[sage]:2011/09/03(土) 22:43:09.77 ID:Gwd31KPAO
なんで吹寄だけを指摘するのかわからんが…
姫神の口調にも
相当の違和感
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
280 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/03(土) 23:06:06.43 ID:1Bkl4C0po
原作と違って砂皿が絹旗に殺されてないからもしかしたら
ステファニーと仲良くなれるかと思ったんだが…
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
281 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/04(日) 02:50:42.39 ID:4LrrlfSDO
>>279
口調に違和感というより、キャラ崩壊に違和感あるんでしょ。
姫神も吹寄も口調は前のシリーズからこんなんだったよ。まぁ今更な事だと思うけど。
とにかく、そんな
>>1
でも私は応援してる。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
282 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/04(日) 06:45:55.19 ID:J/SPsOd4o
まあほとんどのキャラにズレがあるのは狙ってやってんだろうけど
原作キャラに不満でもあるんかな
ただ、やっぱ口調が違うのは二次創作としては致命的な気もする
なんかもうイライラするよ
まあ今更か
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
283 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/04(日) 13:12:30.17 ID:a/jyTZRAO
うん
キャラの性格の違いの方は気にならない
どうせそういうのはギャグパート内だし
ただ口調はちょっと気になる
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
284 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/04(日) 15:25:58.30 ID:y2SsPQJAO
まあこの吹寄はヅカに見えるな
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
285 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
[sage]:2011/09/04(日) 17:00:59.70 ID:EWk4X3BAO
>>280
勝手に[
ピーーー
]なww
ギリギリ生きてるよ、生命維持装置入りだけど
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
286 :
>>1
[saga]:2011/09/04(日) 19:58:38.95 ID:R182AJ140
こんばんは。ボチボチ投下します。安価は・・・・・酢昆布?? 何ですかそれ? お菓子??(苦笑)
レスからの反省。
・口調についてはすいません。姫神はもっと淡々と、吹寄はもう少し女性口調でしたね。次回出す機会があれば改善していきます。
・砂皿とステファニーについて。ネガティブな話にしてしまいました。申し訳無い。なるべく、ほのぼの心掛けます。
とりあえず『酢昆布』はキーホルダーか何かで良いのかな? それとも『都こんぶ』みたいなお菓子?
分からないので独自の解釈で書かせて貰います。では今日もよろしくです。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
287 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/04(日) 20:18:57.68 ID:R182AJ140
―――とある翌日、PM03:45、学園都市第7学区、セブンスミスト、屋上・・・・・
選んだプレゼントを確認しに、最愛の後を追う。
女の子らしい可愛い小物か、はたまた、背伸びしたがってネックレスなんかを選ぶのか。楽しみだった。
彼女が向かう先は先の雑貨露店……ではなく、何故か出入り口付近・自動販売機コーナーの方。
香焼「え……最愛?」
絹旗「こっちです」
ピタリと彼女が立ち止まる。そして指差す先には、数名の子供達が群がっている……
香焼「ガチャポン?」
絹旗「はい。ガシャポンです」
正式名称、カプセル自動販売機&カプセルトイ。通称、ガチャポン・ガシャポン・ガチャガチャ・ガチャンコ・ガチャ。
その……言葉に困る。一体何を選んだのだ?
絹旗「これです」
もあい「にゃ」
香焼「……なぁにこれ」
絹旗「見て分かりませんか。お菓子ガチャです」
見れば分かる。何故これを選んだのか俳句にして答えろ。
絹旗「え、えっと……おかしたべ たいよーっておもった んですです」アタフタ・・・
香焼「無茶ぶりした自分が悪かった。謝る」ハァ・・・
絹旗「くっ……今回は調子が悪かっただけです」グヌヌ・・・
ステイルに禁煙を求めてない様に、貴女にも国語力を求めてません。安心して下さい。
さておき……話を戻そう。
香焼「最愛。他にも色々あっただろ? 何でこういうのを」
最愛「香焼は『好きなの選んで』って言ったじゃないですか。私は選んだだけですけど」
香焼「…………、」ハァ・・・
最愛「……そんな顔するなら始めから私に選ばせないで下さいよ。自分で選べば良いのに」ジトー・・・
御尤もな意見だが、何か腑に落ちないな。
とりあえず一回百円だし、これとは別に後で何か買ってプレゼントしてやろう。
288 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/04(日) 21:30:16.63 ID:R182AJ140
お小遣いを渡す父親気分で、最愛に百円を渡す。
楽しそうに目的の販売機に硬貨を投入して、ガチャンガチャンと2回レバーを回した。
カコンと呆気無い音と共に落ちてくるカプセルを拾って、宝箱を開けるかの如く2色の半球を分離させる少女。
絹旗「む。と……都(と)こんぶストラップです」ジー・・・
香焼「都(みやこ)こんぶっすよ」
絹旗「し、知ってますしぃ! 香焼を試しただけですしぃ!」カアアァ///
はいはい。
最愛の残念漢検はさておき、ストラップをよくよく見遣る。どうやらゲコ太の着せ替えストラップの類みたいだ。
内封されている説明書を読むと、懐かしの駄菓子キャンペーンの様なものらしい。
香焼「へぇ……でも懐かし?」
絹旗「そうなんじゃないですか? この街に駄菓子やなんてありませんよ」
香焼「自分の地元はまだ何件かあるよ」
尤も、内装は新しくなってるが今でも昔ながらのお菓子が売ってたと思う。
海外生活が続く天草教徒(日本人組)にとって、欠かせないアイテムだったりする。
探せばこの街にもレトロ店の様なものはある気がするが、如何なのだろう。今度佐天さんに聞いてみよう。
絹旗「私は麦野が何処かから持ってきたお菓子パックでしか見覚えありませんよ」
香焼「今度買ってきてあげるよ。日本人に買ってくるお土産じゃない気もするけどね」アハハ・・・
駄菓子類は英国組にもウケが良い。因みに、都こんぶはアニェーゼの好物と化している。
香焼「……だけど、本当にそれで良いの?」
絹旗「はい」
香焼「百円だよ?」
絹旗「百円だろうが0円だろうが油田だろうが、香焼のプレゼントには変わりありません」
香焼「…………、」ポリポリ・・・
もあい「みー」
そう言われると、弱い。
絹旗「じゃあもあいにも何か買ってあげて下さい」
香焼「……後でモンポチ(高級猫缶)買ってあげるよ」
良かったねー、ともあいを撫でる最愛。
何だか釈然としないが、彼女が喜んでいるので良しとしよう。
289 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/04(日) 22:03:46.11 ID:R182AJ140
・・・・・・・・・・・・・・・・・・数十メートル後ろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
浜面「……あれで良いのか?」
滝壺「きぬはたがそう思ったんなら、そうなんでしょ」
浜面「でもよぉ」
滝壺「はまづら。『物』じゃなくて『贈り物』に意味があるんだよ」
浜面「……そんなもんか」
フレメア「女心が分かってなーい」ニャー
フレンダ「ふふっ、そうだねー。浜面は相変わらず馬鹿だねー。偉いぞフレメアー」ナデナデ・・・
浜面「うっせ。んで、滝壺。次は如何するんだ?」
滝壺「一応こうやぎくんにメール送ったよ」
浜面「指示の?」
滝壺「大型のゲームセンターに行くようメールした」
浜面「ゲーセン? 多分混んでるぞ? それに絹旗のヤツ、ゲーセンとか如何なんだ?」
滝壺「行った事無いだろうけど興味はあると思うよ。麦野とかフレンダの話聞いてるし」
フレンダ「そういえばゲーセンを狩り(マンハント)場と勘違いしてたわね、あの子」
浜面「……え」タラー・・・
滝壺「フレンダ、嘘言わないの。大丈夫。きぬはた、そこまで非常識じゃないから」
フレメア「私もゲームセンター行きたーい」ワー
フレメア「よーし! プリクラ撮りましょうねー」
浜面「……まぁ良いや」
滝壺「心配しないで。今度の目的は純粋に『楽しむ』事だから。B級映画以外の楽しみも覚えなきゃダメでしょ」
浜面「それで黒妻の兄貴みたいにパチンコ・スロットに嵌り出したら終わりだけどな」ハハハ・・・
滝壺「その時はこのりさんに連絡して色々責任取って貰うから大丈夫だよ」フフフ・・・
浜面「何が大丈夫なんだよ……あ、移動したぞ」
滝壺「それじゃあ追跡再開」テクテク・・・
フレンダ・フレメア「「おー」」テクテク・・・
浜面「……何だかなぁ」ハァ・・・
290 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/04(日) 22:19:44.78 ID:R182AJ140
安価。ゲーセンで会う人物(複数もあり)。
>>293
291 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/04(日) 22:34:48.08 ID:4LrrlfSDO
一通止め+美琴!
292 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/04(日) 22:37:53.67 ID:OTi4pbhDo
3馬鹿デルタフォース
293 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/04(日) 22:54:40.17 ID:coArrEuAo
↑+超電磁砲4人娘
294 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/04(日) 23:39:53.13 ID:R182AJ140
>>293
・・・テラカオスwww一応、超電磁砲組は春上さん含め『5人』とします。
******************
―――とある翌日、PM04:30、学園都市第6学区、とあるアミューズメントパーク・・・・・
バスに乗って第6学区に向かう。
絹旗「今度は何処に行くんでしょうか?」
香焼「多目的アミューズメントエリアっすよ。ゲーセンとかバッティングセンターとかボーリングとかカラオケとか」
絹旗「……んー」
香焼「行った事無いかな?」
絹旗「……夜のボーリング場には行きました。仕事で」
それじゃ駄目だ。楽しんで無いだろう。
香焼「最愛、何してみたい?」
絹旗「超映画みたいです」キッパリ!
香焼「映画館もあるけど却下」サラッ・・・
絹旗「……むぅ。超意地悪です」ムスー・・・
少しは別の楽しみも覚えなさい。
絹旗「浜面虐……弄りは超楽しいですよ」ニパー!
香焼「……金輪際止めなさい」ハァ・・・
絹旗「えー」ブーブー
大人しそうな顔してサディストなんだから、困ったものだ。
香焼「とりあえずもう着くから……色々回ろう。きっと楽しいよ」
絹旗「……もう十分楽しいですよ」ボソッ・・・
もあい「にゃー」
香焼「じゃあもっと楽しもうよ。遊びを覚えるのも学生の仕事っすよ」
絹旗「そういう意味じゃなくて……はぁ。超鈍感」ムスー・・・
何とでも言え。滝壺さん達の期待に応えられる様、連れ回してやる。
295 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 00:03:58.32 ID:QOBVy/KK0
室内アミューズメントパーク『イシムラランド』。
全天候型、そして50を越える内部施設のバリエーション。休日でなくとも人が賑わっているテーマパークだ。
絹旗「……やっぱ超人多いですよ」ウゥ・・・
香焼「もう慣れたんじゃない?」
絹旗「……まぁそれなりに」ハァ・・・
慣れた、というよりも基本的に話しかけられねば最愛は平気なのだ。
しかしそれでは人間関係が築けない。
香焼「とりあえず、ゲームセンター行ってみよう」スッ・・・
絹旗「…………、」コクッ・・・
もあい「みー」
何も言わず頷き、手を取る最愛。僕達は始めに見える大型のゲームセンターに入る事にした。
<ゲーセン>
人が五月蠅いというよりも、機械音とBGMが喧しい。
まぁそれがゲーセンの醍醐味といえば醍醐味なのだが、最愛には少々キツかったかもしれない。
香焼「最愛、大丈夫?」
絹旗「……超うっさいとこですね。この中に居る人達不快じゃないんですか?」ジー・・・
香焼「それは、ほら。こういう雰囲気を楽しむ所だからね」ハハハ
絹旗「……その神経が信じられません」ウヘー・・・
貴女のB級趣味が多くの人に理解されないのと同じだと思って下さい。
香焼「とりあえず何しよっか。やってみたいものある?」
絹旗「そう言われても勝手が分かりません。超サッパリです」
もあい「にゃぅ」ジー・・・
確かにそうか。それじゃあ最初に……――
>>297
――をしてみよう。
※安価。ゲーセンでするもの。
296 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/05(月) 00:06:41.32 ID:oLpZALwg0
ブレイブルー
297 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/05(月) 00:08:53.29 ID:qIA4AWkZo
ドラムマニア
298 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/05(月) 00:09:00.34 ID:0QWDBNFAO
「さあ、始まるドン!」
299 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/05(月) 00:09:40.57 ID:nOg+BHyDO
UFOキャッチャー
300 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 00:28:03.16 ID:QOBVy/KK0
僕は何つーもんを選んだんだ……
絹旗「香焼。楽器出来るんですか?」ヘー
香焼「……和楽器とピアノなら」タラー・・・
絹旗「へ?」ポカーン・・・
こんな事なら牛深さん辺りからドラム習っておけば良かった。
因みに、野母崎さんはギター。対馬さんがキーボード。建宮さんがギターを弾けたりなんかする。天草の大人凄ぇ。
香焼「最愛は……楽器出来ないの? (話逸らして別なとこ行かなきゃ)」アタフタ・・・
絹旗「超からっきしです。楽器触った事ありませんから。それより早くやって見せて下さい」ジー・・・
もあい「んなー」
香焼「うっ……、」タラー・・・
やるしかない。硬貨を投入して、選曲。
どの難易度が優しいか選んでいる最中、ある事に気付く……何故か周りに人が集まってきた。
香焼・絹旗「「っ!!?」」ギョッ・・・
そういえば浦上に聞いた覚えがある。『下手に音ゲーに手を出すな』と。
ゲーセンの音ゲー類というものは初見さんお断りで、実際の演奏者、自宅でやり込んだ人間達、ツレが玄人の新人がするものだと。
ぶっちゃけ自分はどれでもない。
絹旗「こ、香焼……」オドオド・・・
香焼「う、うん」ダラダラ・・・
『早くしろよ』、『子供じゃね? 出来んの?』、『彼女の前で恰好つけたい小学生でしょ?』、『リア充爆発!』。
後ろからのプレッシャーが半端無い。
結局、一番難易度イージーの一番初めの曲を選んでしまった。
絹旗「は、始まりましたよ」ドキドキ・・・
香焼「…………、」グッ・・・
もあい「みー」ドキドキ・・・
始まったからにはやるしかない。要は修行の様なモノだ。
撥は短刀。皿(プレート)は目標。音に合わせて……切る!!
・・・・・寸・・・・・
香焼「」チーン・・・
絹旗「……ど、ドンマイです」タラー・・・
もあい「……みゃぅ」フゥ・・・
最初は何とかクリア出来たが、二曲目の選択で欲張ってちょっと難しめのを選んで撃沈した。
後ろからクスクス笑われてる……めちゃくちゃ恥ずかしい。
301 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 01:39:35.46 ID:QOBVy/KK0
蔭口にも似た嘲笑が周りから聞こえる。
僕だけじゃなく、最愛まで真っ赤になっていた。心成しかもあいも萎縮している様に見える。
普通であれば憤怒の念が沸く所だろうが、恥ずかしくてそれどころではない。直ぐにでも退散せねば。
椅子から立ち、振り返った瞬間……固まった。
香焼「なっ……ぇ」ピタッ・・・
大爆笑をこらえている、グラサン野郎。
土御門「ぷっ……おま……くひっ……、」プルプル・・・
香焼「」チーン・・・
上条「ま、まぁそんなに笑うなって」タラー・・・
青髪ピアス「あれ? カミやんの知り合いですか?」ジー・・・
しかも上条さんまで……見られてたのか。
顔から火が出そう。いっそ死にたい。
土御門「ひひひっ……彼女に良い恰好見せようとして……にわか丸出しだぜぃ!」アハハ!
絹旗「…………、」ムゥ・・・///
香焼「な、ん……でもないっす」ハァ・・・
自分でも何でこのゲームを選んだか分からないが、結果的にそう見えてもおかしくない。
悔しいが、土御門の言うとおりだ。
香焼「……最愛。ごめん」
絹旗「何で謝るんですか……私がやってみてくれって頼んだんでしょう。謝らないで下さい」
香焼「……ごめん」
絹旗「……此処、離れましょう」
もあい「にゃぅ」ショボーン・・・
兎に角、この場を離れようという意見には賛成だ。これ以上恥を晒したくない。
上条「……香焼」ポンッ・・・
香焼「……え」キョトン・・・
上条「あんまり気にすんな。オレだってコイツらに無理矢理やらされてしょっちゅう恥掻いてるしな」ハハハ
香焼「…………、」
上条「そして土御門」チラッ・・・
土御門「うひゃひゃひゃ! こりゃ傑作! 後でステイルにでも……ん、って痛たたたたっ!!」ギュウウゥ・・・
上条「あんまり後輩虐めるなよ。初心者だって分かんだろ? 遠い目で見てやるのが大人だろ」ッタク・・・
これが神か……いや上条さんか。この人は偉大だなと、改めて思った。
302 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 02:07:39.78 ID:QOBVy/KK0
状況が把握できずキョトンと目を丸くしている最愛。
絹旗「……こ、香焼」ボソッ・・・
香焼「あ……うん。大丈夫っす。次、行こうか」アハハ・・・
土御門「カミやん酷いぜよ……あらら、香焼ちゃん。もうお帰りですたい?」ニシシ!
香焼「……ええ。別のとこ、回ってきます」
相変わらず彼の、人を取って食ったような態度は苦手だ。
土御門「まぁまぁそう言わず。玄人ってのがどんなもんか見てくにゃー……ほれ、青ピ」ポンッ
青ピ「へ?」ポカーン・・・
土御門と同じ様な悪ガキ風。180cmを越していると思われる長身男性。
土御門「さぁさぁ青髪先生。お手本をどうぞ〜」フヒヒ!
青ピ「えー……ギャラリー多いやないですかぁ」
土御門「そう言わずにぃ。ほら、俺の金でプレイして良いからにゃー」チャリンッ
青ピ「やれやれ……ほな、リクエストは?」
土御門「じゃあ『100sec(100秒)』で」ニシシ・・・
青ピ「疲れるやん……まぁ期待しないで見て下さいな」ハァ・・・
瞬間、周りからどよめきが起こる。
絹旗「一体何が始まるんです?」ポカーン・・・
香焼「さぁ」タラー・・・
上条「まぁ見てれば分かるよ……授業サボってゲーセンばっか行ってるヤツの本気って所かな」ハハハ・・・
青ピ「カミやん、それは言わないお約束ー」アハハ・・・
苦笑する大男さん。土御門と似た感じでヘラヘラしてそうな人だが……画面が切り替わると共に、雰囲気が変わった。
そして、僕達は『神速』を目の当たりにした……――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・数十メートル後ろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
浜面「なっ!? 『The Least 100sec』だと!?」 ギョッ・・・
滝壺「何それ?」ポカーン・・・
浜面「通称『百秒』。鬼難だ」
滝壺「兎に角ヤバいって事だね……あ、始まった。え、えっと……画面追えないよ。アレって叩けてるの?」
浜面「凄ぇ。パネぇ……まだミス無し……あ、間違えた……でもまだ序盤か……でも此処からだぞ。『虹色の滝』は」
滝壺「うーん……コンボ数っての見れば良いのかな? って、うわぁ! 青が棒!」
浜面「ミスらない……だと……600オーバー!?」ギョッ・・・
滝壺「あの人、高位の能力者かなぁ」ムゥ・・・
フレンダ「やったー。フルコンボー! フレメア、天才だー!」スゴーイ!
フレメア「にゃー!」ドンッ!
303 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 02:28:44.98 ID:QOBVy/KK0
愕然としてる間に、演奏は終わった。
結果680コンボ。もう凄いんだか凄くないんだか分かんないけど、トンデモないって事だけは分かった。
終了後にはさも当然という様に、感嘆の声や小さな拍手が起こっていた。
青ピ「あー。700行かなかったかぁ」アハハ
土御門「にゃはは。ドンマイ。お疲れちゃんにゃー」
絹旗「ちょ、超凄いです……目で追えませんでした」タラー・・・
香焼「自分も」タラー・・・
もあい「にゃー」フー・・・
ヨッコイショと親父臭く席を立つ大男さん。
上条「お疲れ。流石マルチゲーマー。何でも来いだな」ハハハ
青ピ「ははは。まぁ競馬ゲーからエロゲーまで何でも来いですよ」
土御門「ふふふ。見たかー、チビっ子! これが玄人の実力だぜぃ! 素人にわかは大人しく太鼓でも叩いてにゃー!」
何でお前が威張るんだ。
絹旗「……何かの能力でしょうか?」ジー・・・
上条「絹旗、青ピの能力は誰も知らないぞ。本人が教えてくれないからな……ただ高位の能力じゃないってのは確からしい」
絹旗「へぇ……でも幻想殺し(貴方)みたいな超意味不明な希少能力者(レアスキル)だっているでしょう?」
上条「ははは。如何だかな」
この街では常識に捉われてはいけない。誰かが言ってたな……って、その前に、今不思議な会話を聞いたぞ。
香焼「……最愛。この人知ってるの?」エ・・・
絹旗「幻想殺しでしょ、超有名人です。またの名を超不幸人」チラッ
上条「あははは。まぁ色々繋がりあってな。俺、無駄に顔だけは広いから。もあいも知ってるぞ。スフィンクスと仲良しだ」ポリポリ・・・
もあい「ふにゃぁ」フシフシ・・・
流石というべきか。最愛に人見知りされないとか、上条さんマジぱねぇっす。
上条「とりあえずもう引き留めたりしないからデートの続きでもしてこいよ。神裂と麦野さんには黙っといてやるからさ」クスッ
絹旗「で、デートじゃないですよー!」カアアァ///
土御門「やーい。ロリショタカップルのデートだにゃー!」ニシシ!
青ピ「そのシュチュ、とっても美味しいです」<^q^>
上条「こらこら。からかって悪かったよ。香焼、早く連れてってやれ」ポンッ
香焼「あ、はい。何か気を使って貰ったみたいですいませんでした」
上条「良いからさ。絹旗も頑張って香焼の事扱き使ってやるんだぞ」ハハハ
絹旗「超余計なお世話です! お前もどっか行け!」キー!
やれやれ。兎に角、自分の失敗を誤魔化して貰えた事には感謝だ。いずれ礼はしよう。
304 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 02:36:44.72 ID:QOBVy/KK0
では次の場所へ移動しよう。
絹旗「今度は香焼が出来るゲームにしてくださいね」
香焼「最愛が出来るゲームを探したいんすよ。女の子なんだからプリクラとか興味無いの?」
絹旗「アイテム……仲間と一度撮った事はありますけど、別段面白いとは思いませんでした」
サバサバしてらっしゃる。
香焼「じゃあUFOキャッチャーとかは?」
絹旗「あれって興味有る景品の問題じゃないんですか?」
香焼「そうだけど……最愛、何か欲しいのないの?」
絹旗「じゃあ少し歩かせて下さい。見て回ります」
もあい「なー」
という事で、UFOキャッチャーコーナー。
絹旗「…………、」キョロキョロ・・・
香焼「良いのあった?」
絹旗「少し待って下さいよ……あ」ピタッ
香焼「ん?」
ふと立ち止まり、台を指差す最愛。その先にあった景品とは……――
>>306
305 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/05(月) 02:43:23.03 ID:I+mQmlcIO
お菓子の詰め合わせ
306 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/05(月) 02:43:42.87 ID:bqBvH/ryo
ゲコ太(等身大)ぬいぐるみ
307 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 03:05:20.19 ID:QOBVy/KK0
絹旗「これ」ビシッ
香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・デカぁっ!!?」ギョッ!!
まるで作業用クレーンかというくらい大きなUFOキャッチャー。一回なんと1,000円。
景品は学園都市でメジャーなマスコットキャラ、ゲコ太。ただし一般的なぬいぐるみサイズではない。
所謂『着ぐるみ』というヤツだ。
絹旗「コレ、やってみたいです」ジー・・・
香焼「ちょ、えぇ!? いきなりこれ!?」タラー・・・
絹旗「はい。超欲しいです」ジー・・・
香焼「最愛、UFOキャッチャーやった事ないんでしょ? だったら普通のでまず」
絹旗「大きい方が演算しやすいでしょう」
出た。能力者特有の何でも演算・計算論。
香焼「でも、一回1,000円だよ?」
絹旗「お金はあります。給料殆ど使って無いので」
香焼「そういう問題じゃ……まぁ良いや。やってごらん」ハァ・・・
絹旗「はい」コクッ
一度痛い目見れば覚えるだろう。
最愛は近場の両替機で万札を千円札に崩し、巨大キャッチャーに挑戦し始めた。
香焼「あの着ぐるみ。ホントに取れるのかなぁ」ジー・・・
もあい「にゃぁ」ジー・・・
ふと気付くと、再びギャラリーが増えていた。どうしてこう目立つゲームを僕らはチョイスしてしまうのだろうか。
これでは最愛が緊張して……と思いきや案の定そうでもないらしい。ガッツリ集中している様だ。
香焼(興味持ったことへの集中は凄いんだな)ヘェ・・・
その興味が向う先が一般的なモノであれば、此方としては助かるのだが。
香焼「最愛、取れそう?」
絹旗「……縦軸横軸は完璧の筈です。後は深さとアームの回転次第でしょう」ジー・・・
流石、大能力者(レベル4)。理数系を語らせれば、それ相応の優等生に見える。
308 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 03:24:23.74 ID:QOBVy/KK0
微調整を終え、アームを降ろす。
本人の言うとおり縦横軸は大体合ってると見える。問題は深さだ。
絹旗「脇の下を斜めにホールドすれば釣り上げられる筈です」
香焼「……うーん」ジー・・・
目標に向かって一直線に降りるアームを見て観衆もざわめく。
だがしかし、何故だろう……取れる気がしない。
絹旗「深さは……此処です!」ポチッ!!
香焼「最愛……えっとさぁ」
絹旗「静かに! このまま釣り上げれば…………ああぁ!!」ビクッ!
ボトリと着ぐるみが落ちた。しかも勢いで横に倒れる。
絹旗「あ、アームの強度超弱過ぎなんですけど!」フルフル・・・
香焼「最愛。話は最後まで聞いてよ……UFOキャッチャーのアームってそういう作りなんだよ」
絹旗「ぐ、ぬぬぅ……もう一回です!」ガチャッ!!
今度は強度と、ついでに重力計算も如何こうと難しい事をブツブツと呟きながら二回目を始めた。
縦横については相変わらず完璧。問題は此処から。
絹旗「次は超余裕です」フンッ
香焼「…………、」ポリポリ・・・
もあい「みー」ジー・・・
絹旗「アームを袈裟掛けに……あっ! な、何で!?」ボトッ・・・
周りからも溜息が漏れる。仕方なかろう。今のは良い所まで行った気がする。
香焼「って、最愛! もう二千円使ったよ!?」ギョッ・・・
絹旗「まだまだイケます!」ガチャ・・・
香焼「止めとこうよ……お金無くなっちゃうよ」ウーン・・・
絹旗「次で取れるんです! 三千円で着ぐるみが買えます。安いモノでしょう」グヌヌ・・・
ダメだこりゃ。
結局、両替した1万札が全て無くなるまで最愛は意地を張り続けた。
309 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 03:44:52.08 ID:QOBVy/KK0
数分後……レバーの前で力無く項垂れる最愛の姿があった。
ギャラリーも、もう無駄だろうと蜘蛛の子の様に散り散りと消えていく。
香焼「最愛。もうお終い。これ以上は駄目だよ」
絹旗「……あと一回」ボソッ・・・
香焼「駄目。こんなのに一万円以上も使ったら勿体無いよ」
絹旗「次は取れる筈なんです……首と、胴体を分離させて片方ずつコーナーに入れれば」
香焼「最愛」メッ・・・
絹旗「…………、」ムゥ・・・
もあい「みゃー」ペロペロ・・・
最愛にはギャンブル類をやらせちゃ駄目だな。一度嵌るとスッカラカンになるまでお金を注ぎ込むタイプだ。
ジュースでも奢るから、と肩を叩こうとした時、自分達に近づいて来る足音が聞こえた。
香焼「……あ」チラッ・・・
御坂「まったく。十回も無駄にチャレンジしちゃうなんてお金の無駄よ」フフッ
絹旗「……超電磁砲(第3位)」
この街のトップ7、その第3位……御坂美琴さん。
佐天「御坂さん。まさか挑戦する気じゃ……ってあら。香焼くん、最愛ちゃん」ア!
白井「これはこれは……デートですの? お若いですわねぇ」ホホホ
香焼「白井さんと同い年っすよ」ハァ
春上「デートは否定しないみたいなの。良かったね、最愛ちゃん」フフフ・・・
絹旗「……違いますよ」ムゥ・・・
初春「あらら。いつもみたいに力強く反論されるかと思ったら、案の定ふにゃふにゃですね」
UFOキャッチャーであれだけ負ければ、気弱にもあるだろう。
御坂「さっきのプレイ見てたけど、アンタ達だった訳ね。まったく策も無しに勿体無い」ハァ
絹旗「むっ……策はありましたよ。ちゃんと計算して」
御坂「そんな事言ってる時点で素人丸出しね。UFOキャッチャーをまるで分かっちゃいない」
香焼「まるでプロみたいな言い方っすね」
佐天「あはは。まぁ御坂さんは学校サボってゲーセン行くほどのむぐぅ!!」
御坂「余計な事言わなくて良いからっ」シー!
噂には聞いていたが、この人も大概不良少女だな。
310 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 04:06:31.75 ID:QOBVy/KK0
佐天さんを黙らせた所で、さてさてと最愛の下へ向かう御坂さん。
御坂「退いて」
絹旗「え」
御坂「クレーン。私やってみせるから」スッ・・・
言われるがままに数歩下がる最愛。
御坂「コーナーまで9mかぁ……1万あれば余裕ね」ガチャッ・・・
佐天「出た。ブルジョア御坂さん。金銭感覚違いますねぇ」アハハ・・・
白井「お姉さま! こんなキチガイ染みたレートのゲームをなさるおつもりですの!?」
御坂「まぁまぁ。普通で買ったら5万以上するゲコ太着ぐるみを低価格で買えると思えば」フフフ・・・キランッ!
春上「欲望丸出しなの。流石御坂さん。そこに痺れる憧れない!」
御坂「あ、あれよ! 打ち止め(いもうと)が喜ぶからプレゼントしてあげようかなぁって!」アハハハ・・・
初春「はい、今言質取りましたからね」ニヤニヤ・・・
御坂「ぐぬぬぅ……二つ取れれば問題無し!」ポチッ・・・
操作を始める御坂さん。そういえばこの人、電撃使い(エレクトロマスター)だけどズルとかしてないのか?
白井「お姉さまはそんな真似しませんの……ギリギリまでは」ボソッ・・・
初春「あはは。意地になったら台蹴り出しますからねー」
それで良いのか超能力者(レベル5)。
さておき、狙いの人形はコーナーから9mくらいの横に倒れているヤツの様だ。アームは人形の真上……ではなく少し縦横浅い場所で止まる。
絹旗「全然ポイント定められてないじゃないですか。超駄目駄目です」
御坂「うっさい。黙ってみてなさい」ポチッ・・・
アームは最深まで下がり、人形を持ち上げ……る事無く、転がすだけに終わった。
絹旗「ふんっ。超大きい口叩いた割には大した事無いですね」ジトー・・・
佐天「さ、最愛ちゃん。一応先輩なんだから」
御坂「…………、」ガチャ・・・
再度チャレンジする御坂さん。今度は……ん?
香焼「今度も、同じ様な位置?」エ・・・
春上「御坂さん、また失敗しちゃったの」アララ・・・
絹旗「ぷふー! 散々人を無策扱いしといてそれですか? どっちがお金の無駄でしょうねー」ハハハ
白井「…………、」ジー・・・フーン・・・
そして、また転がるだけ。続け様にもう一度挑戦したが、また転がるだけだった。
これで3回連続である。一体如何いうつもりだ?
311 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 04:25:08.24 ID:QOBVy/KK0
無言で4回目のお札を投下する御坂さん。
香焼「……意味が分からないっす」ジー・・・
白井「あら。まだ気付きませんの?」
一同『え?』
アームは『また』同じポジションを取り、アームは『また』着ぐるみを転がすだけに終わる。
絹旗「……あ」ギョッ・・・
御坂「今頃気付いた?」フフッ・・・
転がっていた着ぐるみのコーナーまでの距離……残り1,5m。
佐天「け、計算してたんですか!?」
御坂「計算っていうか慣れと勘。UFOキャッチャーってのは色々種類と取り方あるのよ」
香焼「種類と取り方?」
御坂「これは一般型だけど、金を注ぎ込んだだけ取り易くなる累計(注ぎ込み上限)型。店員を呼ばないと当たりが来ない接待型とかね」
知らなかった。常盤台のお嬢さんって凄い勉強するんだなぁ。
白井「それはマジで言ってやがりますの?」タラー・・・
初春「まぁまぁ。それより取り方は?」
御坂「一般的にはキャッチ。次にメジャーなのが押し込み。あとは玉突きとか色々あるけど……今やってるのは見た目通り、転がしね」
香焼「す、凄い」タラー・・・
御坂「まぁ能力使ったり、空間移動能力者(黒子)の演算能力借りれば『一発でも』取れるけど、それじゃ無粋でしょ」ガチャッ・・・
最後のトドメだと言わんばかりに札を投下する御坂さん。
最後は縦横ピッタリに位置を取り……持ち上げ(キャッチ)。
御坂「いくらアームの力が弱くても、この程度の距離なら余裕よ」ポチッ
浮かぶゲコ太の着ぐるみ。アームは直ぐにでも力尽きそうだが……それでも十分。
ガタンッという音と共に、着ぐるみが落ちた。
いつの間にか沸いていたギャラリーが大歓声を上げる。御坂さんは苦笑しつつ景品を貰いに行った。
一方……
絹旗「…………、」ムスー・・・
もあい「なぅ……、」ジー・・・
此方はご機嫌斜めだった。
312 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 04:52:20.57 ID:QOBVy/KK0
ゲコ太着ぐるみを背負う満面笑みの不思議な女子中学生が此方に戻ってくる。
正直無関係者を決め込みたい。あれは恥ずかしい。
御坂「いやぁ。取れちゃったわぁ。3人目だそうよ」フフフ・・・
初春「さ、3人目!? 御坂さん以外に2人もゲットしてるんですか!?」
御坂「何でも一人目は杖付いた白髪野郎で、もう一人は茶髪のホスト崩れだってさ」
白井「はぁ。お姉さま以外にも物好きがいるんですね」
ワイワイ楽しそうな連中を余所に、最愛は……俯いたまま固まっていた。
春上「……最愛ちゃん」
絹旗「…………、」ウルウル・・・
佐天「……御坂さん。それ、打ち止めちゃんに渡すんですよね」チラッ・・・
御坂「ヴぇ!? あ、うん、で、でもほら……打ち止めにこのサイズは大きいかなぁってちょっと後悔して」アハハ・・・
態と臭ぇ。
御坂「し、仕方ないから私がコレ貰うしかないなぁ! あはは、置き場に困るわぁ」フフフ・・・
絹旗「…………、」ウルウル・・・
春上「じゃあ……それ最愛ちゃんにプレゼントしてあげるの」ニパー
佐天「そうだね。それが良いと思いますよ」フフッ
・・・・・。
御坂「え・・・・・・・・・・・・・・・・・うぇえええええええぇっ!!?」ギョッ・・・
絹旗「……え」キョトン・・・
佐天「だって最愛ちゃんにお手本見せる為にチャレンジしたんでしょう? だったらプレゼントしてあげても良いんじゃないですか?」
御坂「そ、それはそうだけど……、」ダラダラ・・・
絹旗「……良いんですか!?」パアアァ・・・
御坂「うっ……で、でも、5,000円も使ったし」ボソッ・・・
佐天さんに春上さん……ありがとう。
香焼「御坂さん。自分からもお願いっす……後ほど倍返しでお礼はします。あと良い情報も教えましょう」ボソッ・・・
御坂「な、何よ」タラー・・・
香焼「上条さん。近くで見た様な気がするなぁ」ボソッ・・・
御坂「ッッ……そこのおチビちゃん! UFOキャッチャーは日々訓練! 理屈だけじゃダメ。時には勘や経験も必要。OK!?」ビシッ!
絹旗「え、あ……はぁ」
御坂「よろしい。では今回はこれを授ける。いつか自力で取って見せなさい! あとはまぁ、打ち止めと仲良くして貰ってるお礼よ」ボソッ・・・
絹旗「……ありがとうございます!」パアアアァ!!
やれやれ。何だかんだで良い人揃いなんすね。この人達も。
313 :
>>1
[saga]:2011/09/05(月) 04:53:41.29 ID:QOBVy/KK0
すいません。寝ます。今回も捗らなかった……駄目駄目だなぁ。
次回こそC話終わらせます。ではまた次回! ノシ”
314 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/05(月) 10:46:22.14 ID:0QWDBNFAO
なに結局ゲコ太って流行ってんの?
乙
315 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
[sage]:2011/09/05(月) 11:26:35.25 ID:WdROeDOAO
乙!
>>314
せんとくん的な人気があるんじゃね?
316 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/09/05(月) 12:02:06.63 ID:taMpbKGAO
>>314
学園都市のアイドル超電磁砲が大好きだって言ってゲコ太関係者が乗っかれば嫌でも流行るんじゃないか?
乙です。
317 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/05(月) 17:54:01.22 ID:nOg+BHyDO
乙!
とりあえず着ぐるみゲコ太が、ポン太くんに思えてきたww
持ち歩いてたら絹旗目立つんじゃね?
318 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/05(月) 18:08:33.78 ID:fHifkpRIO
ゲコとって行ったのが学園都市の上位三名とかww
ていとくんは何故とったんだ?(´・ω・`)
319 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/05(月) 22:01:05.26 ID:h/jNwt6AO
>>318
ヒント:心理定規
320 :
>>1
[saga]:2011/09/05(月) 22:54:27.33 ID:QOBVy/KK0
こんばんわ。何故こんなにsageったしwww
レス返信!
>>314-316
・・・ゲコ太は単純にマスコットみたいなものかと。サン○オとかディ●ニーみたいな。
>>317
・・・ゲコ太着ぐるみの中を駆動鎧に変えるんですね、分かります(笑)
>>318
・・・垣根さんは不思議な行動しても誰も疑問持たなそうだけどなぁ。
>>319
・・・心理定規「アレ、可愛いー☆」 垣根「オレも欲しい。取ってもお前にゃやらん」 心理定規「」
ですか? 分かりません(苦笑)
とりあえず、ボチボチ頑張る。投下。
321 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/05(月) 23:08:27.85 ID:QOBVy/KK0
―――とある翌日、PM05:00、学園都市第6学区、とあるアミューズメントパーク・・・・・
御坂さんに上条さんの居場所を売った後、僕達はゲーセンから出る事にした。
レースゲームや格ゲー、シューティングゲームをやってみても良かったが、最愛が貰った着ぐるみの所為でそれどころではない。
ぶっちゃけ、かなりデカい。とても目立つ。
郵送して麦野さんの部屋に送ろうと言ったのだが、何故か手放さない。そんなに気に入ったのだろうか。
終いには運ぶの面倒だから着るとか言いだすし……困ったものだ。
絹旗「じゃあ香焼着て下さい」
香焼「勘弁してよ……第一、サイズ合わないっす。それ160~180p用だろ?」
絹旗「えー」
もあい「みゃー」
僕も最愛も……残念ながら着れない。多分、抱き枕になるか浜面さん辺りに着せるのが妥当だろう。
香焼「てか、悠々背追ってるけど重くないの?」
絹旗「能力使えば問題無しです」
流石パワー系。本人超貧弱だが、能力は羨ましい。
香焼「超目立ってるけど気にならないの?」
絹旗「別に。声はかけられないでしょう。虫除けになります」
香焼「確かに声掛け辛いけど……写メ取られてるっす」
絹旗「…………、」ピクッ・・・カアアァ///
お馬鹿。
絹旗「どどど、ど、どうしましょう!!?」モジモジ・・・///
香焼「やっぱ郵送しようよ」
絹旗「で、でも、麦野達にばれたら」アタフタ・・・
香焼「着ぐるみ買ってきたからって怒らないでしょ……呆れられるかもしれないけど」
絹旗「むぅ……、」ジー・・・
とりあえず無理矢理説得し、妥協点で『自分の部屋(香焼宅)』へ郵送する事になった。
きっと五和と浦上のオモチャにされるのがオチだな。
322 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/05(月) 23:26:27.71 ID:QOBVy/KK0
さておき、次の目的地へ。
香焼「何処行きたい……って聞いても無駄かぁ」
絹旗「じゃあ聞かないで下さい。阿呆みたいですよ?」
香焼「…………、」ハァ・・・
イラっとくる娘だやぁ。主体性無いわ世間知らないわ……やれやれだ。
絹旗「……超失礼な人ですね」ジトー・・・
香焼「ごめんごめん。それじゃあ……スポーツパークにでも行ってみる?」
絹旗「良いですよ」
香焼「苦手じゃないの?」
絹旗「能力使えばどんなスポーツだって超余裕です」フンッ!
無い胸を張る最愛。貴様は全世界のスポーツマンを敵に回した。
絹旗「無い胸って……変態香焼。そーろーのくせに」ジトー・・・
香焼「ヴぁっ!!? な、何言ってんだアホ!!」カアアァ///
絹旗「この前お邪魔した時、五和が言ってました」
香焼「適当な事を……意味分かって言ってんの?」チラッ・・・
絹旗「え、えっと……は、早いんでしょう」モジモジ・・・///
香焼「何が」ジトー・・・
絹旗「そ、え、せ、セク……せ、セクハラです!! 超セクハラ! 何聞いてんですか! セクハラ香焼! 浜面と同類です!」カアアァ///
香焼「はぁ……悪かったね」ポリポリ・・・
絹旗「ったく……女の子に何聞いてるんでしょう。この超そーろー」ジトー・・・///
もあい「みー」ベシベシッ
あまり連呼するなよ無い胸。とりあえず、後で馬鹿一号説教だな。
香焼「まぁ良いや。行くよ」テクテク・・・
絹旗「んもー」ブツブツ・・・///
さて、スポーツを馬鹿にした彼女の腕前とやらを見せて貰おうか。
323 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 00:42:52.07 ID:ooU393vg0
<スポーツセンター>
さて、何からしようか。
絹旗「スポーツゲームは皆でよくやりますよ。野球とかサッカーとかテニスとか」
香焼「ゲームって……実際した事は?」
絹旗「ないですよ。でも私が作ったチームは毎年優勝してます! 超最強です!」ドヤッ!
コイツ……嘗め過ぎ。
香焼「じゃあバッティングセンターかな」
絹旗「あ、知ってますよ! ボールがビューンって出るヤツですよね」
香焼「それを打つんだよ。まぁ良いや、行こう」
豪語する彼女の、まずバットすら握った事が無かろう腕前が楽しみで仕方なかった。
******************
安価! バッティングセンターで会う人物!
>>325
324 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/06(火) 00:54:55.45 ID:EQJg4yxBo
黒妻さん
325 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/06(火) 00:56:47.98 ID:kpxzrjULo
↑+半蔵、郭(死んでなければ駒場も追加で)
326 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/06(火) 00:57:16.86 ID:TFen4CZDO
垣根!
327 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 01:18:24.92 ID:ooU393vg0
※駒場が生きてると浜面のポジションが変わっちゃうので、スイマセン。
****************
ガヤガヤとBGM・機械音が五月蠅い待合フロア。
まずは一番遅いスピードでチャレンジさせてみよう。と、その前に。
香焼「最愛」
絹旗「はい?」
香焼「バットの握り方知ってる?」
絹旗「…………、」ポカーン・・・
やっぱりか。とりあえず握ってみろ。
絹旗「はい……こう?」
香焼「それは剣道握りっす。間詰めなきゃ」
絹旗「ふむふむ」グッ・・・
香焼「そうそう。それで脇締めてスイングするの。振ってみ」
絹旗「んー……ねぇ香焼。これ……バット振るのに、どうやって能力使えば良いんでしょうか?」チラッ・・・
…………。
香焼「何でもかんでも能力頼っちゃダメ!」ンモー・・・
絹旗「え、あ、すいません……、」ポリポリ・・・
これじゃあまずボールにも当たらないだろうな。
絹旗「むぅ。そんなん言うなら先に香焼がお手本見せて下さいよ」ジトー・・・
香焼「え」
絹旗「出来るんでしょう。素人虐めは超恰好悪いです」フンッ
もあい「にゃっ」フシャー!
そう言われればそうか。仕方ない。自分からやってみせよう。
328 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 01:37:19.55 ID:ooU393vg0
もあいを最愛に預け、パッキーを機械に入れる。スピードは100`。所謂初心者レベルだ。
絹旗「あ、動きましたよ! 何かRWS(無人銃架・砲塔)みたいです!」オオォ!
物騒な事言わないで下さい。
さておき、まずは軽く当てよう。飛び出してきた軟球をそのままワンバウンドで返したやった。
絹旗「……ボール。超遅いですね」
香焼「まぁ100`程度だからね」
絹旗「なーんだ。銃弾の半分以下じゃないですか」
だから物騒な話は止めろというに。
香焼「……でも、これを打ち返すのが難しいんすよ」
絹旗「何で打ち返す必要があるんですか?」
香焼「最愛はバッティングセンターの意味を根本から否定する気?!」
絹旗「へ?」ポカーン・・・
香焼「はぁ……まぁ良いや。次から真面目に打つよ」
天草式の男衆はそれなりにスポーツ好きが多い。無論、野球も例外ではない。
地元に帰れば朝野球に無理矢理参加させられる事だってある。
香焼「ふッ」グッ・・・
ピッチャー返し。
絹旗「おお!」ジー・・・
もあい「にゃ!」ジー・・・
香焼「そらッ」ブンッ・・・
センターライナー。
絹旗「へぇ……凄いですね」パチパチ
香焼「慣れてるからね」ハハハ
絹旗「じゃあ部活入れば良いんじゃないでしょうか?」
香焼「ははは。この街の部活のレベルは……別次元っすから」タラー・・・
此処のバッティングマシーンの種類の多さを見れば分かる。ざっと30だ。
漫画の世界の変化球が実在するチート学園都市。正直、やってらんない。
とりあえず、20球程打った所でマシンは止まる。一度外に出て、最愛と交代だ。
329 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/06(火) 01:56:17.19 ID:6sb6kjT90
侍巨人や庭球王子様、超次元蹴球まで再現可能なのか……
恐るべし、学園都市
330 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 02:08:42.97 ID:ooU393vg0
最初は特に何も教えず立たせる。
絹旗「こうですか?」グッ・・・
典型的な女子初心者の構え。まぁ打てない事もないだろう。
絹旗「良し! じゃあスタートです!」ポチッ・・・
意気揚々とパッキーを投入する最愛。自分ともあいがハラハラと彼女の打席を見守る。アームがゆっくり動き……発射。
絹旗「ふんッ」ブンッ!!
香焼「なっ!!?」ギョッ・・・
もあい「みゃ」ギョッ・・・
ボールには当たらなかったが、プロ野球選手並みのスイングをする最愛。ブォンッとバットが風を斬る。
絹旗「む……これは中々」フーム・・・
香焼「……能力使ってスイング速くなるもんなんすか?」タラー・・・
絹旗「まぁ色々と。バット自身に『装甲』かけたり」
なんつー反則技。さておき、二球目。
絹旗「えいッ」ブンッ!!
コツンとヘボい当たり。やはり能力だけでは如何こう出来ないか。
香焼「最愛。ボールには当たってるよ。後は角度とか」
絹旗「……演算すれば良いんですね」フムフム・・・
香焼「……もうそれで良いや」ハァ
確かにデータと計算でスポーツは出来そうだが……何か腑に落ちない。
三球目が来ようという時、何を考えたか、バットを地面に付ける最愛。
香焼「なっ!?」
絹旗「計算上、これならイケるかと!」キリッ・・・
ボールが来る。そして……
絹旗「ふッッ」ガンッ!!
斜め下35度からの変則超アッパースイング。打球は途轍もないドライブ回転が掛り、ネットへ突き刺さった。
絹旗「ふぅ。なるほどなるほど……次はあのホームランゾーンに当ててみましょう」グッ・・・
香焼「さ、最愛……その打ち方、止めようよ」タラー・・・
絹旗「へ? 何でですか?」ポカーン・・・
香焼「その、野球への冒涜臭い」ポリポリ・・・
絹旗「そんなの知りません。打てれば良いんでしょう」フンッ
御尤もだが、納得いかん。
結局、能力者特有の演算(不格好)打法でホームランゾーンにブチ当て、満足げな最愛さん。何だかなぁ。
331 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 02:33:45.16 ID:ooU393vg0
マシンが止まり、浮かれ気分で打席から出てくる最愛。
色々ツッコみを入れたいが……楽しそうだから我慢しよう。
絹旗「ふふふ。次は200`やりましょうか! あ、重力ボールってのも打ってみたいですね」ニコニコッ
香焼「200って……打てる人いる……からあるのか」ハハハ・・・
一般人じゃ無理だろう。というかバットとキャッチャーが悲鳴を上げそうだ。
絹旗「じゃあ行きましょうよ。打ってみたいです!」キラキラ・・・
香焼「はぁ」ポリポリ・・・
もあい「なー」ジー・・・
ノリノリな最愛に連れられ、200`打席へ向かう。常識に捉われた発想をしつつ、移動して隣に先客が居るのに気付いた。
快音を響かせながらボールを打ち返している。
香焼「『音速球』って……打てる人いるんだ」ヘェ・・・
絹旗「筋力強化の能力者でしょうか。それとも視力強化かも……何にしろ強化系でしょうね。銃弾級の速さ打ち返せるのは」
香焼「まぁ能力者前提だよねー」アハハ・・・
まぁ確かに、自分も魔術を駆使すれば打てない事もない。
余談だが女教皇様なら弾道ミサイル(約2万8千Km/h)レベルを打ち返せるだろう。
絹旗「当たり前じゃないですか。無能力者が……あ」ピタッ・・・
香焼「……まぁね。気にしなくて良いっすよ」アハハ・・・
絹旗「い、いえ……その……あの人」ジー・・・
香焼「え」ピタッ・・・
打席に立っている人物を指差す最愛。浜面さんより少し大きいくらいの背丈で、髪を結んでいる男性。
実に綺麗なスイングで200`を打ち返している。革ジャン着ながらよく打てるなぁ。
絹旗「……えー」タラー・・・
香焼「如何したの?」
絹旗「……無能力者って何なんでしょうね」タラー・・・
意味不明な事を言いだす。何が如何したというのだ。無言の最愛を余所に、バッティングを終了させ打席から出てくる男性。
ふと、此方に気付き……近づいてきた!?
332 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 02:49:42.21 ID:ooU393vg0
??「よう」テクテク・・・
絹旗「……無能力者(レベル0)の筈ですよね」タラー・・・
??「あはは。まぁ無能力者嘗めんなって事さ」ククク・・・
いきなり最愛と会話を始める男性。最愛も普通に話しかけてるし。知り合いか?
絹旗「ああ、えっと……兄貴さんです」チラッ・・・
香焼「兄貴さ……は?」
??「その紹介は無いだろ。最愛ちゃんの兄貴じゃないんだし」ハハハ
絹旗「じゃあえっと、アレです。分かり易く言えば、姉貴さんのヒモの兄貴さんです」サラッ
??「……えいっ」ゴチンッ・・・グググ・・・
絹旗「自動防御ありますもんねー。って……痛だだだだだだぁっ!! 装甲の上から頭押し潰さないで下さい」キャー!!
非常識な動きをする男性。誰ですか?
??「黒妻。黒妻綿流。オマエは?」カチッ・・・フゥ・・・
香焼「え、あ、香焼っす」コクン・・・
??「あー……あれか。銭湯で会った坊主か」ハハハ
香焼「え?」
銭湯……あ。 ※前作・第4話(結標「泊めてあげてもいいよ?」 香焼・月詠「「……」」)参照。
黒妻「結標ちゃんの弟分な」ハハハ
絹旗「……またあの超破廉恥女(ビッチ)の名前」ギロリ・・・
香焼「えっと、淡希さんとは仲良いっすけど、弟分って訳じゃ」
黒妻「まぁまぁ照れんなよ」ハハハ
何故か最愛さんが睨んでます。怖いから止めて下さい。
黒妻「ところで最愛ちゃん」
絹旗「はい、何でしょう」
黒妻「最近いつも以上に引き籠ってたらしいが……今日はデートか?」ニヤリ・・・
絹旗「ヴぁっ!? な、ち、違います!!」カアアァ///
黒妻「あはは。こっちも照れてらぁ」ケラケラケラ
学生には見えない強面そうな男性は最愛の頭をワシワシしながら楽しそうに笑った。
そんな彼の下に2人の男女が近づいて来る。
333 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 03:14:14.63 ID:ooU393vg0
??「兄貴、お疲れ様です。データは取れましたよ」
?「しかし『テーピング』してるとはいえ、視力は普通。よく打てましたね」タラー・・・
黒妻「……まぁな」チラッ・・・
??・?「「……あ」」ピタッ・・・
黒基調の変則ラッパーみたいなファッションの男性と……派手な間違いました風の和服に身を包んだ女性。
?「……これはこれは。黒妻兄さんの娘分さん。こんにちわ」ペコッ
黒妻「娘じゃねぇよ」ケッ
絹旗「え、えっと……クロエさん。こんにちわ」ペコッ・・・
?「……お姉さんはそんなブランド染みた名前じゃないですよ」ハハハ・・・
??「だはは! 良いじゃん。お前今からクロエに改名な」ケラケラケラ!
?「んもう! 半蔵様! 私は『郭』って名前(コードネーム)気に入ってるんですよ!」プクウウゥ・・・
半蔵・郭。この街には珍しい純和風な名前だな。
それにしても最愛が人見知りしないなんて珍しいな。やはり此方も知り合いなのか。
絹旗「コッチの2人は浜面の友達です。というか兄貴さんが浜面の兄貴さんなので兄貴さんなんです」
香焼「もうちょっと分かり易く教えて」タラー・・・
黒妻「俺が仕上(浜面)の知り合いって事だ。その繋がりでこの子と知り合った」
半蔵「俺らも似た様なもんだ。尤も、黒妻の兄貴とチームは違うけどな。前の頭(ヘッド)と付き合い長かったからよ」
香焼「チーム? ヘッド?」
郭「武装無能力集団(スキルアウト)ですよ。御存じありませんか?」
黒妻「オイこら。オレはOBだっつの。一緒にカウントさせんな」ケッ
武装無能力集団。所謂、この街のアウトロー。
半蔵さんと郭さんはそういう風に見えないが、黒妻さんは確かに……某『烏達』、『最低』の○装戦線に出てきそうな雰囲気をしている。
半蔵「○木恵三ですね分かります」ククク・・・
黒妻「うっせ! ったく……オレらはデートの邪魔なるからとっとと帰るぞ」スタッ・・・
絹旗「だからデートじゃないですよー!!」カアアァ///
黒妻「はいはい。美偉にも報告しとくからなー」ハハハ!
吸い掛けの煙草を揉み消し、立ち上がる黒妻さん。
展開に追い付けず忘れていたけど、この人無能力者なのか……え? さっき音速打ってなかった!?
絹旗「……何故でしょうね。超不思議です」タラー・・・
アレか。軍覇と同じ部類の人間か。
334 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 03:33:49.65 ID:ooU393vg0
黒妻「んなFと一緒にすんな。オレはあそこまで根性論で動いてねぇ」
香焼「はぁ。すいません」
絹旗「私からすれば似た様なものだと思いますけどね」ハハハ・・・
というか軍覇まで知ってるのか。
黒妻「アイツっつーか、アイツの研究所の所長と色々な。さて、オレらは帰るよ。またな」テクテク・・・
半蔵「失礼するよ……兄貴。新型『テーピング』のテストですが、もう少し続けても?」テクテク・・・
黒妻「……やっぱスポーツパークでテストすんのは間違いだと思うんだが、如何よ? 今の実際何の意味あるの?」ハァ・・・
半蔵「アレ打てれば銃弾叩き落とせますし……まぁ視力云々は改善しましょう」ボソッ・・・
香焼(……最愛と繋がりあるって事は、やっぱり『裏』の人なんすね)ジー・・・
郭「やれやれ、男はすぐ仕事の話……娘氏。姐さんには内緒にしとくよう口止めしといてあげますからね。安心してデートして下さい」フフッ
絹旗「だ、だから娘でもデートでもないですよー!」フシャー///
笑いながら去っていく三人。変わった人達だな。
絹旗「まったく……おっぱい大きい女の人って如何して性格変人なんですかね!」プンスカッ!
香焼「人によるだろうけど……大いに同意するよ」タラー・・・
確かに多い。まともなのはギリギリで女教皇様とオルソラさんで、固法さん、滝壺さんくらいだろう。
絹旗「滝壺さんと姉貴さんは確かに良い人ですよねー。おっぱい大きいのに」
香焼「最愛は胸に不満でもあるの……って、ん?」
絹旗「あるに決まってるでしょう! 言わせないで下さい、外道!」フシャー!
もあい「シャー!」ペチペチッ
外道て……じゃなくて、姉貴さん?
そういえば前々から気になっていたのだが、何故最愛は固法さんの事を姉貴さんと呼ぶのだ?
絹旗「何でって、兄貴さんの奥さんだからですよ」
香焼「……は?」
絹旗「だから兄貴さんの奥さん。まぁ兄貴さんは学生じゃないのにヒモですけど」
香焼「……兄貴さんって、黒妻さんの事?」タラー・・・
絹旗「私、彼以外を兄貴さんって言いませんよ」
…………。
香焼「ええええええええええええええええええぇ!!?」ギョッ・・・
絹旗「きゅ、急に何ですか!?」ドキッ・・・
香焼「だって、風紀委員の固法さんだよ!?」
絹旗「だから何なんですか。相変わらず意味分かりませんねぇ」ハァ・・・
確かに意味が分からない。理解できない。
335 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 03:52:36.60 ID:ooU393vg0
そういえば家でカオリ姉さんが『固法さんの彼氏さんが――』とかいう話をしているのを思い出す。
更に結標さんが銭湯を出た先で言っていた事も思い出した。
香焼「……マジ?」タラー・・・
絹旗「何か変ですか? 私からすれば超お似合いカップルですけど」
香焼「……そうなんだ」ヘェ・・・
絹旗「人は見た目で判断しちゃダメなんですよ。ソレ、偏見ってヤツです」ジトー・・・
いや、悪いとは言ってないが以外だなぁと。
絹旗「男女の仲だけは理屈じゃねーんだよー、って麦野が言ってました」
香焼「いやはや、まったく」
もあい「にゃー」
まさに『ヤンキーくん○眼鏡ちゃん』か。
絹旗「ところで……さっき兄貴さんが打ってたヤツ、私も打ってみたいです」
香焼「え、それ音速だけど」
絹旗「……超試してみたいですね」ニヤリ・・・
香焼「そ、そう」タラー・・・
まぁデッドボールの心配は無いから大丈夫か。
パッキーを購入し、最愛に手渡す。自分ともあいが心配そうに彼女(主人)を見詰める中、アームが動き出した。
香焼「アームはゆっくりなんだ」ジー・・・
絹旗「バネは新素材のチタンゴムでしょうね……一球見ましょうか」ジー・・・
刹那―――雷が落ちた様な轟音が鳴り響く。
もあい「ふにゃ!?」ギョッ・・・
香焼・絹旗「「…………、」」ピタッ・・・
マットにボールが当たった音だ。多分、マットも超低反発威力吸収素材みたいなのを使ってるのだろう。
更に、今の轟音で興味を持った人々が視線を向ける。何だかさっきから目立つ事しかしてないな。
香焼「……最愛。見えた?」
絹旗「辛うじて。ボールが大きい御蔭ですね。弾丸クラスだったら流石にお手上げです」
香焼「……うん」
物騒な事を……と言うべきだろうが、自分も同じ感想だ。何とか眼で追えたレベルである。
336 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 04:19:45.74 ID:ooU393vg0
さて、問題はどうやって打つか。
香焼「策は?」
絹旗「……二つほど」コトッ・・・
先と同じ様にバットを地面に付ける最愛。演算打法か。
絹旗「……ふッ!」ブンッ!
スイング。だがしかし……またもマットに響く轟音。
香焼「そんな大振りじゃ当たらないっすよ。まず当ててみないと……バントは、危険かなぁ」
絹旗「……バントですか」スッ・・・
華奢な最愛の身体じゃ当たった瞬間、重心を保てなそうだが、そこは能力でカバーするのか。
香焼「来るよ」
絹旗「アームの角度から微調整を……ッ」グッ・・・
最早バットに当たるボールの軌道を計算している感じだ。
音速のボールが発射され……ギンッと嫌な音がし、ファールボールとなって横に弾かれた。
最愛はというと不動の姿勢のまま、立ってた位置から無理矢理押しズラされていた。
周りから当てただけで称賛の声が上がっているが、本人はまだまだ不満らしい。
絹旗「仕方ありません。最終手段です」グッ・・・
香焼「なっ!? ちょ、危ないよ!?」ギョッ・・・
絹旗「大丈夫ですよ。まぁ見てて下さい」ニヤリ・・・
バットをかなり短く握り、しかも何故か右手一本で持ち、半身で空手の引き手を取る様な構えを見せる最愛。
何だアレと言った声が飛び交う。
そして第4球目。
絹旗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッッ!!」ググッ!
香焼「ちょっ!!?」ギョッ・・・
スイングじゃない……これは右ストレートだ!
ボールがグリップ(右手)の『装甲』にめり込み、歪な音を上げている。
絹旗「ッ……てぇええええええええええええゐっ!!」バガンッ!!
観衆『っ!?』アゼーン・・・
最終的に、そのまま打ん殴りやがった。
打球と呼んで良いのか分からないそれは、綺麗な無回転ライナーとなり、ネットを突き破ってどっかに消えて行った。
337 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
:2011/09/06(火) 04:37:49.02 ID:ooU393vg0
……言葉が出ない。
絹旗「痛てて……こりゃ肉潰れそうになりますね」フーフー・・・
香焼「な……や、止めろよ」タラー・・・
絹旗「ええ。言われなくても止めるつもりでした。コレどうやって終了させるんです?」
20球終わるまで止まりません。
絹旗「……えー」
香焼「ったく……放っておいていいから出てきなよ。店員さんに謝っておくから」
絹旗「うーん……折角ですから香焼打ってみたらどうです? 残り10球は有りますし」
香焼「なっ!?」ギョッ・・・
止まらないマシンから放られる殺人球が、うねりを上げている。
最愛は既に打つ気は無いので無法状態。轟音が鳴り響く。
絹旗「ほら。削板が言う根性試しですよ」
香焼「…………、」テクテク・・・
絹旗「それじゃあ私出ますね」フフッ
マシンは止まっていないが選手交代。
多分、最愛は僕が打てないだろうと思っているに違いない。
まずは一球見逃す……やはり早い。
香焼(魔術……使おう)キュッ・・・
今身に付けている『モノ』で術式を練る。
香焼「動体視力は上がった……当たるかな」ジー・・・
音速球をバントしてみる。が……
香焼「い”っ!!?」ガギョンッ!!
絹旗「おお! 当たりましたよ!」ヘェ・・・
もあい「にゃ!?」ジー・・・
ボールと共にバットまで弾かれてしまった。流石殺人ボール。痺れで手が砕けそうだ。
338 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/06(火) 05:06:28.73 ID:ooU393vg0
さぁ問題は此処からだ。この球を如何打ち返す。
とりあえず視覚でボールは捉えた。筋力は魔力で補うしかあるまい。
だが自分の魔力は高が知れてる。女教皇様や建宮さん、五和クラスなら容易に打ち返せるのだろうが、自分では難しい。
香焼「だけどそれは普通のスイングをしてたらだ」グッ・・・
絹旗「え!?」ギョッ・・・
右手でバットを逆手持ち。所謂、居合抜きの構えだ。
最早野球じゃないのは承知の上。
絹旗「ちょ、こ、香焼!?」
香焼「……試しにっすよ」ジー・・・
一番手慣れた握り方。短刀の逆手持ち。ボールに合わせ、右手一本でスイング!
香焼「ふッッ」シュッ!
衝撃。
絹旗「あ、当たった!?」ギョッ・・・
が……ファール。
香焼「痛てて……やっぱ片手じゃ無理っすね」アハハ・・・
絹旗「…………、」ポカーン・・・
香焼「ちゃんと左手(引き手)も添えなきゃダメかぁ……長モノ(刀)は得物じゃないんだけどなぁ」グッ・・・
絹旗「ちょ、こ、香焼! もう止めて下さい! 十分超凄いの分かりましたから!」アタフタ・・・
香焼「もう一球だけっすよ」ジー・・・
絹旗「な……もう!」ムゥ・・・
もあい「みー」ジー・・・
インパクトの瞬間に左手を扱ぐ様にして引けば、前に飛ぶ筈。
第4球目に挑もう。
絹旗「……私が言うのも何ですけど、馬鹿ですよ」ジトー・・・
香焼「あはは。まぁアレだよ。根性論」フフッ
絹旗「はぁ……削板(あんにゃろ)のFが伝染った訳ですね。後で説教です」ジトー・・・
香焼「お手柔らかに……ッ」
ボールが発射される……踏み込み、右手を押し出す。
今度は逆手短刀斬りとは違い、逆手ドス斬りのスタイル。
香焼「ッッ!」グイッ・・・
衝撃。そして……
339 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/06(火) 05:20:50.94 ID:ooU393vg0
香焼「い……けえええぇっ!!」グンッ!!
絹旗「っ!!」
引き手。ボールは……なんとか前に、ボテボテと転がった。
絹旗「ほ、ほえ……、」ポカーン・・・
香焼「ツゥ〜〜〜〜〜〜〜ッッ……なんとかなるもんすね」ハハハ・・・
バットを降ろし、打席を出た。
香焼「あー、手の皮剥けちゃったよ……バッティンググローブすれば良かった」フーフー・・・
絹旗「…………、」キョトン・・・
香焼「最愛?」
絹旗「……え、あ、うん」ポカーン・・・
口をあんぐり開けたまま、茫然状態の最愛。変な顔。
絹旗「い、いやいや……おかしいでしょ。超ありえません」タラー・・・
香焼「何でさ」
絹旗「だ、だって香焼、無能力者でしょう!?」
香焼「……能力者とか無能力者とか関係無いっすよ。黒妻さんだって打ってただろ?」
絹旗「で、でも……兄貴さんはバケモノだからで」
香焼「人をそんな風に言うもんじゃないっすよ……人間、やろうと思えば何でも出来るってことかな」ハハハ・・・
もあい「なー」
魔術の事は言えないが、その言葉は間違いではないと思う。
香焼「互いに満足したし、あとは帰ろ。流石に疲れたでしょう」
絹旗「う、うん」ポカーン・・・
何やら納得いかない表情……仕方なかろう。
自分の『非常識』を『常識(と勘違いしてる)』にひっくり返されたのだ。無理もない。
絹旗「……手、消毒しなくていいんですか?」チラッ・・・
香焼「『豆』になるから空気に当てとくんすよ」
絹旗「香焼……意外と根性系だったんですね。ぶっちゃけ超インテリ系だと思ってました」
香焼「ははは。よく言われるよ。この前佐天さんに言われた」クスッ
絹旗「……見直しました」
香焼「あらら。ありがと」フフッ
もあい「みゃー」コクコクッ
帰り際にジュースを買い、貴重な体験が出来たバッティングセンターを後にした。
340 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/06(火) 05:35:27.63 ID:ooU393vg0
・・・・・寸・・・・・
時刻は6時半頃。日も暮れて周りは帰路につく人が増えてきた。
自分達はパークの出入り口付近で休憩し、次の場所を考える事にした。
次の場所、というより、時間も時間なのでそろそろ帰った方が良いのかもしれない。
そんな事を考えた刹那、携帯が鳴った。
相手は勿論滝壺さん。最愛に一言告げ、トイレに向かうフリをして少し離れた場所へ移る。
香焼「はい」
滝壺『お疲れ様』
香焼「いえいえ。すいません、自分も遊んでしまいました」ポリポリ・・・
滝壺『別に良いよ……というか、見てたんだけど、こうやぎくん。本当に無能力者?』
香焼「あはは……一応」タラー・・・
僕は確かに無能力者だ。嘘は吐いてない。
香焼「えっと、次は如何したら良いっすか?」
滝壺『……如何したい?』
香焼「え?」
滝壺『私達はきぬはたの事、貴方に任せたんだから、こうやぎくんがしたい様にすれば良いと思うよ』
そんな事を言われても。
滝壺『えっと……うんうん……あのね。フレンダが「明日まで貸す」って』
香焼「はぁ!?」
滝壺『だからきぬはたを明日まで貸すってよ』
意味が分からない。最愛は物じゃないですよ。
滝壺『当たり前だよ。だから……貸すの』
香焼「……えっと」タラー・・・
滝壺『とりあえず夕飯は必ず一緒に食べてね』
香焼「はぁ」
滝壺『場所は指定しない。任せるよ……後はメールします。でも多分、指示のメールじゃないから』
如何いう意味だ。
滝壺『きぬはたは今日十分頑張ったよ。もう無理はさせない。だから指示も出さない』
香焼「まぁ、確かに」
滝壺『後は2人で楽しみなさい。節度は守ってね』フフッ
それじゃあ、と意味深な〆句を残し電話を切る滝壺さん。一体何なんだ?
341 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/06(火) 05:51:00.40 ID:ooU393vg0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・数十メートル後ろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Pi!
滝壺「さて、こうやぎくんへの支持は終わりだよ」フフッ
浜面「人見知り克服云々は終わりって事か」
滝壺「十分頑張ったからね。見ての通り、もうあんまり人混みは気にしてないでしょ」
フレンダ「確かに。最後の方、存外堂々と歩いてたわね」ジー・・・
浜面「まぁな。でも坊主が一緒だからじゃないのか?」
滝壺「それはまた次の作戦で考えるよ。さて……後はきぬはたへの御褒美だね」フフッ
浜面「は?」
滝壺「頑張った御褒美だよ」カチカチ・・・
フレンダ「……じゃあさ」ゴニョゴニョ・・・
滝壺「ふむふむ。なるへそー……じゃあ……こうすれば……、」カチカチ・・・Pi!
浜面「メールか……変な事考えるなよ?」
フレンダ「ふふふ。普通よ、普通」クスクス・・・
滝壺「―――……OK。後は私達は関与しません」フフッ
浜面「あっそ。まぁお前らと坊主を信じるさ……さて、じゃあ飯行くか。何食いたい?」
フレンダ「え? 浜面の奢り?」ニヤリ・・・
浜面「馬鹿言うな。お前らの方が金有んだろ」ジトー・・・
フレメア「おすしー♪」ニャー!
浜面「ハァ!?」ギョッ・・・
滝壺・フレンダ「「おすしー★」」ニヤリ・・・
浜面「た、滝壺まで」ガーン・・・
滝壺「ふふっ。まぁ奢りは冗談だけど私達は私達で食べに行こう。多分むぎの達、朝まで飲み会コースだろうし」
フレンダ「風紀委員いるんでしょ? 呑みなんて」
浜面「……固法さんは黒妻の兄貴並に呑めるぞ。普通に俺より強ぇ」タラー・・・
フレンダ「……それでいい訳?」タラー・・・
滝壺「まぁまぁ。ぶれいこーぶれいこー。むぎのが楽しいなら良いんだよ」フフッ
浜面「何か間違ってる気もするが……良いや」
フレメア「それじゃあおすし行くよー」ワーイ!
滝壺・フレンダ「「おー」」ワーイ!
浜面「やれやれ……財布、足りるかなぁ」トボトボ・・・
342 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/06(火) 06:01:14.78 ID:ooU393vg0
※誤字: 支持 → 指示
***************************
電話を切った後、最愛の下へ戻る。
香焼「お待たせ」
絹旗「……はい」ウーン・・・
香焼「どうしたの?」
何やら悩ましげな顔。
絹旗「……実は今、滝壺さんからメールが来て」
香焼「へ? 滝壺さん?」ギョッ・・・
二重指示だと!?
絹旗「……帰れなくなりました」ハァ・・・
香焼「な・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何だって!?」What!?
絹旗「何か、部屋掃除入ったそうです。二週間以上ルームメイキング入って無かったので」ハァ・・・
香焼「そ、それが今日入ったと」タラー・・・
絹旗「はい……私達が出張った後、すぐに」
それは確かに仕方ない事だが……まだ終わらないのか?
絹旗「部屋のサイズ見たでしょう。アレ、半日以上かかるんです」
香焼「な、なるほど」
絹旗「それで……麦野はアレですし、滝壺さん達もご飯一緒出来ないそうなので……、」ジー・・・
香焼「あ、うん。良いよ。食べに行こう」
絹旗「はい。それから……その……、」チラッ・・・モジモジ・・・
まだ何か、と聞こうとした瞬間……最愛がメールを見せてきた。
『お友達の家に、お泊りしてきてね♪』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
絹旗「……香焼ぃ」ウルウル・・・
香焼「うっ」タラー・・・
絹旗「どうしましょう……私、友達いませんよ」ウルウル・・・
……どうしろと?
343 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/06(火) 06:22:47.73 ID:ooU393vg0
一向に動けないまま、数分が過ぎる。無言が苦しい。
こうなったら佐天さん辺りにお願いして、最愛を泊めてもらおうか……そんな事を考えた瞬間、メールが来た。
勿論、滝壺さん。
『よろしく』
短く四文字。何が『よろしく』なんでしょう?
香焼「え、えっと……とりあえず、ご飯食べよ」
絹旗「…………、」ジー・・・
もあい「にゃぅ」ペロペロ・・・
立て続けにメール……『きぬはたを よろしく』……何度も送るな。
香焼「お腹空いたでしょ? ファミレスでもワクドでも良いからとりあえずは」
絹旗「…………、」
あの部屋でゴロゴロして一日を過ごすというスタイルが崩れた瞬間、生活応用が効かなくなったのか。
そしてまたメール。
『こうやぎくんの家でご飯食べれば良いんじゃないかな? 第1学区、近いでしょ?』
どうしても最愛を我が家に泊める気か?こうなったら返信してやる……『最愛は女の子で、自分は男でしょう』……はい、論破。
10秒後返事が来る。早いな、オイ。
『何かする気? そんな度胸無いでしょ(苦笑)』
勿論そうだが……非常に腹が立つ。更に立て続け、もう一通来た。
『うん。信じてるよ♪ by滝壺。 Bまでなら許す☆ byフレンダ。 まぁ……頑張れ。by浜面。』
神は死んだ。
香焼「だあああああああああああああぁっ!!」
絹旗「っ!」ビクッ・・・
香焼「くそぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」ハア・・・
絹旗「こ、香焼?」
仕方あるまい。五和と浦上が居れば大丈夫だ。
香焼「最愛……ウチ、来る?」ハァ・・・
絹旗「え」キョトン・・・
香焼「多分、五和と浦上も来るっす。一緒にご飯食べよう」
絹旗「い、良いんですか!?」パアアァ!
もあい「にゃん!」フリフリ!
満面の笑み。ノーとは言えませんよ。
という訳で……僕らはスーパー経由(夕飯の買い出ししてから)で我が家へ向かう羽目となった……―――
344 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/06(火) 06:49:21.01 ID:ooU393vg0
<おまけっ!>
―――居酒屋:ブラックウィドゥ・・・・
麦野「――……だからさぁ……火織は勿体無いのよ!」ジトー・・・
神裂「は、はぁ」ポリポリ・・・
麦野「身体っつー武器を活かし切れてない……ちょっと聞いてるの!?」ニャー!
神裂「き、聞いてますよ。聞いてますから」タラー・・・
固法「麦野さん、飛ばし過ぎよ。まだ8時前なんだから、ちゃんとご飯食べてね」トントンッ
麦野「ん……美偉、あーんしてよ。あーん」アー
神裂「完璧酔ってる……麦野さん、お酒弱いんでしょうか?」
固法「さ、さぁ……でもまだお酒入れてないわよ。全部コーラだし」
神裂「雰囲気で酔うタイプですか……厄介ですね」タラー・・・
麦野「ちょっと美偉! 早く入れて! それとも彼氏以外にはあーん出来ないっていうの!? 私にゃあーん出来ないと!?」ジトー・・・
固法「そんな事無いですよー。今上げますからねー。はい、あーん」
麦野「……むきー! 勝ち組の余裕かああぁっ!! 説教だ説教! 黒妻くんも呼びなさい! 2人纏めて説教してやる!」ギャーギャー!
固法「先輩今晩は仕事よ。暇じゃないの」ンモー・・・
麦野「むぐぐ。逃げたなぁ……この牛乳(うしちち)が憎たらしいぞー!」モニュンッ!
固法「ちょ、や、何してるの!?」カアアァ///
麦野「むむむ……美偉、またデカくなったわね。遂に90台突入……こりゃ将来確実に火織級になるわ」モミモミ・・・
固法「バスト100も要りません! セクハラは止めてってば!」イヤイヤッ///
神裂「こ、固法さん……店内です。大声でそんな事言わないで」カアアァ///
麦野「火織のおっぱい星人! バスト100なんて羨ましいぞおおおぉ!! 少し分けろー! こーん畜生!!」グワシッ!!
神裂「ひっ!! ちょ、麦野さん!」カアアァ///
五和「こんばんわー……って、姉様!?」ギョッ・・・
浦上「あらら……キマシタワーってヤツですか? 上条さんに見向きされないからって、遂に」ホエー・・・
神裂「なっ!? ふ、2人とも!? 何故!?」カアアァ///
五和「滝壺さんに此処へ向かう様指示されたんです」ボソッ・・・
神裂「……ふむ。『アチラ』の動きは大丈夫でしょうか」ボソッ・・・
五和「…………、」コクン・・・
345 :
第C話―――滝壺「きぬはたの事よろしくね」 香焼「はいぃ?!」
[saga]:2011/09/06(火) 07:05:29.58 ID:ooU393vg0
浦上「多分、問題無いですヨ……それよりこのお店御洒落ですネー。麦野さんチョイスですか?」
固法「私よ。此処、昔の『スキルアウト(チーム)』仲間のお店なの」チラッ・・・
店員「…………ども」ペコッ・・・
麦野「えぇっとぉ……『悪名轟く紅蓮団!』だったっけ? 黒妻くん頭(ヘッド)でしょー」トローン・・・
固法「危ないから止めて! ビッグスパイダーよ……彼は先輩と同期だから20くらいね」ハァ・・・
神裂「ほぅ……それにしても固法さんは不思議な方ですね。風紀委員であり、この手の繋がりもあり、と」クスッ・・・
固法「それは言わないお約束でしょ。空気を読めるとか切り替え上手な女って言って欲しいわね」フフッ
五和「おお……何だかワイルドですね。峰○二子的な!」
浦上「お姉ぇ、それは違うっしょ」
麦野「細けぇ事は良いのよ! それより……五和ちゃぁん。こっち来なさーい」ニヤリ・・・
五和「な、何ですか」タラー・・・
麦野「五和ちゃんも、火織ほどじゃないけど良いおっぱいしてるわよねぇ」ワキワキ・・・
五和「ひ、ちょ!?」ビクッ・・・
麦野「お姉さんが触診してあげましょう! ほれほれほれー!」ワーイ!
五和「い、いやあああああぁっ!!」キャアアアァッ!!
浦上「あはは……頑張れ」タラー・・・
固法「やれやれ……あ、折角だし結標さんも呼びましょうか?」
神裂「良い案ですが、来ますかね?」
固法「無理矢理よ。月詠先生に言えば叩きだしてくれるわ」フフッ
浦上「ありゃりゃ……風紀委員に教師でしょ?」ジトー・・・
固法「空気が読める、ね。友達優先よ」クスッ
神裂「まったく詭弁ですが、反論できないのも事実ですね」ハハハ・・・
麦野「楽しけりゃ良いのよ! 楽しけりゃ!」ニャハハ!
五和「ひええぇ。姉さーん! ウラー! 助けて下さいよ〜!」ウニャアアァッ!!
神裂「ブリっ子止めたら助けましょう……あと、五和浦上。呑み過ぎは駄目ですからね」
浦上「分かってますヨ。程々にネ!」 ※お酒は二十歳になってから! 未成年飲酒は犯罪です!
固法「あ……結標さん来れるって。月詠先生が叩きだしてくれたみたい」フフッ
神裂「流石月詠さんですね。上手く彼女を説得してくれたのでしょう」クスクスッ
固法「でもほぼ下戸だから程々にしてあげて、だそうよ。OK?」チラッ・・・
麦野「分ーってるわよ! 結標んにゃろーをグデングデンにすりゃ良いんでしょ?」ヘヘヘ・・・
固法「……心配だわ」ハァ・・・
神裂「まぁ節度を守って楽しくやりましょう。(きっとアチラも楽しくやれてるでしょうしね……香焼、頑張って下さい)」フフッ
346 :
>>1
[saga]:2011/09/06(火) 07:19:28.23 ID:ooU393vg0
うい。お疲れさまでした。次回は絹旗お泊り回!
しかしまぁ、やっちまった……こんな流れになるとは思ってなかったのになぁ(笑)
アンケート・・・次回、香焼宅にて。 ※微エロはあっても『えくすたしぃ〜』は無いよ。
@2人きり!
A+削板!
B+黒夜!
C+その他(具体的なキャラを)。
それでは、感想質問意見罵倒アンケ協力リクエスト等々よろしくお願いします。また次回ー! ノシ
347 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/06(火) 07:25:47.21 ID:Worf1NZro
乙
@がいいな!
誰か来るなら佐天さん
348 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/09/06(火) 08:14:28.76 ID:MNO/5bRAO
乙!
F!…じゃなくてAかな。
障害を回避してA位まではいってほしいかな?無論失敗でアイテム&天草衆から削板集中攻撃ってのも面白そうだけどww
349 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
:2011/09/06(火) 08:50:04.89 ID:IzgVGSQ90
乙
@!
350 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/06(火) 08:55:59.88 ID:gpcvBc/IO
乙乙
@も捨てがたいが、なぜこの状況で黒夜が出てくるのか見たいのでBで!
351 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/06(火) 09:26:53.79 ID:TFen4CZDO
乙。相変わらず黒妻兄貴は武装戦線だったりグレン団だったりシャッハさんだったりで忙しいのな。
アンケはABC(佐天さん、春上さん)と全部見てみたいが‥‥敢えて@! そしてB直前まで期待!
352 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/09/06(火) 09:54:42.14 ID:qCkZgIcAO
@で!
353 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/06(火) 10:49:36.76 ID:ucSwZsDDO
@だね!
あと前シリーズとこのスレしか見てないんだけど
香焼は黒妻家とは関係ない感じなの?
354 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/09/06(火) 11:14:56.08 ID:b5QO73JAO
ピザばっかりの食生活を叱ったんだから、手料理かな?
だとしたら
買い出しでC佐天さんたちに遭遇
部屋では@2人きり
とか……
355 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/06(火) 11:37:06.22 ID:6sb6kjT90
@も気になるが、あえてのB!
356 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/09/06(火) 11:48:56.36 ID:Fm+BU1hr0
乙です
アンケは?か?+アニェーゼで
357 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/06(火) 12:58:10.72 ID:wspcWUTB0
乙です!
某まとめに無印が載ってて、そこからやっと追い付いたぜぃ。
アンケートは……Aならある意味安心だろうけど、ここはやっぱり@で!!
358 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/06(火) 17:27:49.92 ID:2htWogplo
@一択だろjk
359 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(栃木県)
[sage]:2011/09/06(火) 18:46:12.60 ID:srP5Lx/N0
@一択だな
360 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/06(火) 19:03:25.65 ID:iNoatJTd0
ダメだ、先輩シリーズとごっちゃになる・・・orz
だが面白い!! 乙なのです!!!
あ、アンケは1で。
361 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/09/06(火) 19:51:44.74 ID:XZE1kRen0
@一択っ!!
362 :
>>1
[saga]:2011/09/06(火) 23:48:10.30 ID:ooU393vg0
こんばんわ。
アンケは@になりそうですね。でもまぁ家に着くまでで誰かしら出すかもしれません。
今日はレス返信と、親戚の『先輩シリーズ』とこのSSとの違いを説明します。
◎まずレス返信!
>>348
・・・イメージとして削板と絹旗の関係はリトバスの真人と鈴みたいな関係です。故に、同じ場に居ると絹旗は香焼に手出しできませんw
>>351
・・・それは親戚の方でゴザイマス。Bまでって……見たいの? R-15くらい?
>>353
>>360
・・・黒妻家との関係については後述します。
>>354
・・・手料理ですね。買い出し中、誰かと会うという案は使うと思います。
>>357
・・・某まとめサイト見付けてビックリしました。見易いですよねー。編集者さん、ありがとうございます。
◎次に親戚のシリーズとの相違点。
<同じ点>
・このりん、ねーちん、むぎのんは仲良しさん。ねーちんとインデックスさんは大の仲良し。ステイルはツンケン。
・駒場は既に死亡。
・絹旗は浜面繋がりで黒妻家と仲良くなった。黒妻が既に黄泉川から子守りのバイトを受け持ち済みの為、打ち止めとも仲良し。
・英国組の設定。(カルテッ娘。ステイルが主教補佐、神裂が補佐代理。チート王女&オルソラ。新たなる光が嘱託扱い。etc...)
・削板の設定。(香焼・絹旗と同い年。『とある研究所』に住んでいる。所長は元過激運動家のキチガイ科学者)
・黒妻のやってる事。(土御門、半蔵、雲川の『裏の裏トリオ』。ただコレは『あまくさっ!』シリーズには関係無い)
・最悪、困ったら次元の魔女の所為にしちゃえ♪
<違う点>
・香焼と黒妻・打ち止めは殆ど絡み無しの他人。固法は香焼宅に来るので、それなりに顔見知り。
・垣根とテレスティーナ、那由他の出番がまだ無い。立ち位置も不明。
・絹旗が異常な人見知り。更にはアスペルガークラスの人見知り。
・美琴が香焼・絹旗に対して疑念敵意を抱いていない。
とりあえずこのくらいです。不明な点を質問して頂ければ応えますし、自分も見つけ次第補足します。
さて、では近い内にまた!
質問意見感想罵倒リクエスト、それからまだアンケ(
>>346
)答えてない人いましたら御協力お願いします。
363 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/06(火) 23:50:32.16 ID:khuKCLnDO
部屋行くまでに誰か会うのはいいけど、部屋に入ったら1以外ありえない!
A?B?C?
行けるとこまで行ってしまえ!
364 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/07(水) 00:06:39.74 ID:9aYuoePk0
いつかは黒夜メインも是非!!
今回は1で
365 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/09/07(水) 00:10:14.23 ID:qZ6ifmfUo
1でイこうか!
最愛ちゃんの手料理が食べたいな
366 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/09/07(水) 00:11:14.01 ID:GwqgTECOo
1に一票で
367 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福島県)
[sage]:2011/09/07(水) 00:20:18.85 ID:1POOXDBY0
@しか選択肢が見えないんだけど
368 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/07(水) 00:35:34.75 ID:iIjKYqUDO
先輩シリーズとの設定違いはそんなに気にしないよー。好きにやったってー。
>>365
此処の絹旗が料理出来るとは思えんwwきっと炊飯器が爆発するぞ!
アンケは解答済みだからパスするけど、個人的にはCまでイってもらっても全然問題無い‥‥駄目なのん?
無印であわきん、前話でレッサーの誘惑に勝ってるからなぁ。此処でシちまったらゲス条さん化するかも!?
まぁ‥‥それはそれで見てみたいかもww
369 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/07(水) 01:58:28.37 ID:SAH3j5YSo
こーやぎと絹旗ちゃんのプラトニックラヴがみたいです先生アンケは1で
370 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/07(水) 11:03:43.18 ID:A5k5R3tAO
なんかこの
>>1
からは加齢臭を感じる
371 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/07(水) 13:19:36.60 ID:81JRqQqAO
臭うのに感じるとはこれいかに
372 :
>>1
[saga]:2011/09/07(水) 21:03:56.60 ID:ZoRYTtR90
こんばんわ。ボチボチ投下。
レス返信!
>>363
>>368
>>369
・・・プラトニックラブって良いですね。ただ手を出したらゲス焼くん化しかねないでしょう(苦笑)
>>364
・・・黒夜ちゃんと香焼って真逆そうだから面白い組み合わせですね! いずれ書きましょう。
>>365
・・・
>>368
の仰る通りですw
>>370
・・・マジで!? まだ20代前半なのに...('・ω・`)
ではノラリクラリと書いてきまーす。
373 :
第D話(16話)―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/07(水) 21:27:24.93 ID:ZoRYTtR90
―――とある翌日、PM06:45、学園都市第4学区、スーパーマーケット『東友』・・・・・
前回のあらすじ。
引き籠り最愛を無理矢理外出させる⇒そのまま人見知り克服作戦⇒何故か、我が家で預かる羽目に。以上。
絹旗「何を一人でブツブツ言ってるんですか?」
香焼「……ツッコまないでくれ」
もあい「なー」
現在、僕らは夕飯の買い出し中。
先日『誰かさん』がいきなり創作料理をするなんて言い出すものだから、冷蔵庫の中が殆ど空だった。
故に最愛から晩飯のリクエストを取りがてら、食材を買う事に。
因みに、第4学区は食品関連に特化したブロックなので品ぞろえが良い。自分は普段から第1学区では無く、此方で買い物する機会の方が多い。
香焼「それで最愛、何食べたいの?」
絹旗「何でも良いんですか?」
香焼「作れる範囲なら」
絹旗「じゃあピザとカップゼリーとコーラを」ビシッ!
香焼「話聞いてる?」ジトー・・・
絹旗「ハハハ。冗談ですよ」
半分冗談には聞こえない。このままじゃピザ最愛になってしまうぞ。
絹旗「わ、私は超スリムガールですよ!」プンスカッ!
香焼「はいはい。見りゃ分かるよ」チラッ・・・
絹旗「くっ……今胸見たでしょう! 胸見て言ったでしょう! 超変態! 超最低! 超失礼です!」グヌヌ・・・
香焼「ごめんごめん(棒)。それで?」
絹旗「このぅ……後で超説教です!」
早く決めないなら駄々広いスーパーに一人置いていくぞ?
絹旗「わ、わああぁ! き、決めますから! 置いてかないで下さいよ!」アタフタ・・・
香焼「じゃあ早くして」ハァ・・・
絹旗「むぅ……超鬼畜香焼。ドS香焼!」ジトー・・・
もあい「にゃん」ペシペシッ
何とでも言え。ただ僕はSでもMでもありませんよーだ。
374 :
第D話(16話)―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/07(水) 21:45:51.66 ID:ZoRYTtR90
さておき、真面目に選んでくれ。
絹旗「……何でも良いですよ」
香焼「何でも良いが一番困るんだけどなぁ」
絹旗「じゃあ香焼の一番得意な料理で」
香焼「自分の?」
絹旗「はい。私、特に好き嫌いありませんから」
そうきたか。では得意という訳ではないが、五和に教わったデミグラスのオムライスでも作ってやろう。
絹旗「オムライス作れるんですか?」ホェー・・・
香焼「形の保障はできないけどね。最愛は何か料理出来ないの?」
絹旗「うっ……で、できますよ。超できます」アタフタ・・・
香焼「…………、」ジトー・・・
絹旗「ほ、本当ですよ! 超真面目です!」ダラダラ・・・
超分かり易い嘘だな。まぁ出来てカップラーメンと米研ぎくらいだろう。
絹旗「前に冷ややっこ作りました! あと大根おろし!」ムゥ・・・
香焼「……すごいねー」ボウヨミー・・・
絹旗「くそぅ……馬鹿にしてぇ」グヌヌゥ・・・
香焼「まぁ得手不得手はあるからね。でも花嫁修業として得意料理一つくらい覚えておいたらどうかな」
絹旗「花よ……旦那が主夫で良いんです! もしくは香焼を……おむk……お、お、おむ……おむ……、」カアアァ///
香焼「おむ?」
絹旗「お……オムライス専用のお手伝いさんで雇ってあげても良いですよ!」ムンッ・・・///
アニェーゼとレッサーみたいな事言わないで下さい。あと何で赤くなってるの?
絹旗「う、五月蠅いです! 早く食材買いに行きましょう!!」プンスカッ///
香焼「はぁ」ポリポリ・・・
もあい「みー」フリフリ・・・
街中回った時より元気になってるなぁ。
とりあえず、お菓子コーナーへ進撃する彼女を引き留めてから乳製品コーナーへ向かおう。
375 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/07(水) 22:10:24.96 ID:ZoRYTtR90
普通で有ればこの時間帯は、主婦や一人暮らしの学生で溢れ返っていそうだが、別段そういう訳でも無い。
『食』に特化してる第4学区はとはいえ、『住』に関してまで特化している訳ではないのだ。
故にこの学区の住民はそう多くないし、態々他学区から買い物だけしに来る客も稀だ。
ドチラかというと有名処のレストラン・食い物屋に足を運ぶ方が、この学区の利用方法として正解なのかもしれない。
絹旗「まーた香焼が小難しい事考えてますよ」ガラガラ・・・
もあい「にゃー」
喧しい。一々ツッコむな。
因みにそんなに多くを買い物する予定は無いのに、もあいをカートに乗せて押している最愛さん。気に入ったのか?
絹旗「ええ」ガラガラ・・・
香焼「子供か」タラー・・・
絹旗「ち、違います! 花嫁シュギョーです!」
花嫁修業なら両脇に米袋を抱えて歩く事をオススメしよう。
絹旗「それ別の修行でしょう……あ。卵売ってましたよ」チラッ・・・
香焼「そうだね。えっと、女教皇様(プリエステス)は今日は来ないってメール来たから……10個入り買えば良いか」
絹旗「そんなに使うんですか?」
香焼「高い確率で五和と浦上、居るからね」ハハハ・・・
絹旗「……そうですか」ムゥ・・・
眉間に皺を寄せる最愛。やはりあの喧しい連中が苦手か。
絹旗「ち、違います! 五和さんと浦上さん超好きですよ!」アタフタ・・・
香焼「……自分は嫌いだよ」ウヘェ・・・
絹旗「超酷っ!! お姉さんでしょう!?」
だから嫌い……まぁ百歩譲って苦手なんだ。実際の姉貴なんてモノは面倒臭くてしょうがない。
香焼「……まぁ良いや。他の食材行こう。それから飲み物とかも買わないと」
絹旗「じゃあデザートにカップゼリーも!」キラキラ・・・
香焼「ハァ……一個だけっすよ」クスッ
絹旗「わぁい」ヤッター!
もあい「……みゃぅ」ジー・・・
絹旗「ん? 香焼、もあいもデザート欲しいそうです」
香焼「もあいさん……まったく仕方ないね。猫用のお菓子なんて売ってるのかな?」
因みに売ってたので驚いた。食材関係なら実に充実してるんだな。驚きだ。
376 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/07(水) 22:39:19.88 ID:ZoRYTtR90
最愛がデザート選びに時間を掛けてる間に、簡単に『もう一品』の惣菜を見に行く。
時間が時間なので丁度作りたての商品も出ている筈だ。
因みに上条さんなら今から二時間後(約8時半過ぎ)にスーパーへ向かうだろう。何故か、は言わずもがな。
香焼「最愛食べれないモノ無いって言ってたし……コロッケとかで良いかな」
佐天「ん……あれれ? 香焼くん?」テクテク・・・
香焼「え? あ、佐天さん。春上さん」キョトン・・・
春上「こんばんはなの」ペコッ
此処で会うのは珍しい。
佐天「あはは。さっき(前話)の帰りついでにねー。スーパー寄って夕飯のお買いものだよ。香焼くんも?」
香焼「同じっすね。今は『もう一品』探し中だよ。他の皆は?」キョロキョロ・・・
佐天「常盤台の2人は寮に直帰。初春は風紀委員の夜直だから支部の方向かったよ」
春上「だから今日は佐天さんが家(初春・春上宅)に来てくれるの。一緒に来る?」
香焼「あー……、」ポリポリ・・・
はて。ふと考えたのだが、此処でこの2人に最愛を預けても良いのではなかろうか。
香焼「えっと、相談があるんすけど」
佐天「ん? 何々? お姉さんに言ってごらん」エヘンッ!
香焼「実は……―――」
少年説明中...
香焼「―――……という事になってて。良かったら2人に最愛を預かって貰いたいんすよ」
春上「え? 最愛ちゃん、まだ帰って無かったの?」
香焼「さっき言った通りだよ。今から家でご飯食べる所だったんだ。しかも……泊まらせなきゃいけないみたいだし」ウーン・・・
佐天「…………、」ジー・・・
何故か悩み込む佐天さん。一方、彼女に任せるよといった表情をする春上さん。
ツッコんで申し訳無いが貴女の家の話でしょうが。
佐天「ねぇ……最愛ちゃん、今何処?」
香焼「え、カップゼリー選び中だよ」
春上「家で待ってる訳じゃなくて、一緒にお買いもの中なの」コクッ
佐天「ふむふむ……ちょっと待っててね。私最愛ちゃんの所に行ってくるから」テクテク・・・
香焼「あ、うん」コクッ・・・
最愛に説明をしに行ってくれた様だ。良かった、これで安心だろう。
377 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/07(水) 22:56:34.73 ID:ZoRYTtR90
一寸後……何故か佐天さん一人が戻ってきた。何で最愛を連れてきてないんだ?
佐天「香焼くん」ポンッ
香焼「え?」
佐天「ごめん。今日やっぱ無理だわ」ポリポリ・・・
香焼「……え!?」ポカーン・・・
何故に?
佐天「実は今日、学校の友達も来るのよ……ね。春上さん」チラッ・・・
春上「え……ぁ……うん。アケミちゃんとむーちゃんとマコちゃんが一緒なの」コクッ・・・
香焼「そう、なんだ」ムゥ・・・
佐天「ごめんね。最愛ちゃんが構わなければ全然一緒に連れて行っても良いんだけど……、」ポリポリ・・・
香焼「ううん。此方こそいきなり無理なお願いして申し訳無かったっす」ペコッ
いくら佐天さんの友達とはいえ、いきなり3人もの見知らぬ人間と仲良くしろ、一夜を過ごせと言われたら最愛がパンクしかねない。
佐天さんはごめんね、と謝り……頭を上げた瞬間、黒い笑みを見せた。
佐天「と、いうわけでぇ……2人きり、頑張んなさいよ」ニヒヒ!
香焼「え、あ、まぁ」コクッ・・・
春上「一応、香焼くんの事信用してるの。でもあんまりヘタレ過ぎてもガッカリなの」ニヤニヤ・・・
香焼「……はぁ?」ポカーン・・・
佐天「後で最愛ちゃんに聞くからねー。ちゃんとエスコート出来たか如何か!」コツンッ!
香焼「え、えっと……失礼の無い様お迎えするつもりだよ」ポリポリ・・・
春上「そうじゃなくて……はぁ」ヤレヤレ・・・
顔を合わせて苦笑する2人。一体何が言いたいのだ?
佐天「自分で考えなさい! 兎にも角にも、今日は全力で最愛ちゃんのエスコート! OK?」トンッ
香焼「は、はぁ」キョトン・・・
春上「まったく……香焼くんらしいの。でも今度は私達も一緒にお泊り会したいの」フフッ
香焼「うん。次は最愛の事泊めてあげてね」
春上「ううん。香焼くんのお家でなの♪」ニコニコッ!
香焼「何だって?」タラー・・・
佐天「ははははは! そうだね。私達とパジャマパーティーだね」フフフッ
自分は男ですよ? 恐ろしい事言わないで下さい。そんな思考の持ち主は馬鹿姉達だけで十分です。
378 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/07(水) 23:20:00.49 ID:ZoRYTtR90
何故か冗談と言ってくれない彼女達。ホント、自分の性別考えて下さい。
佐天「勿論乙女だよ。最愛ちゃんと『同じ』ね」
香焼「乙女って……まぁ良いや。無理なお願いしてごめんね」
春上「ううん。期待に応えられなくてごめんなさいなの」
香焼「いえいえ。それじゃあまた」ペコッ
春上「バイバーイ。香焼主夫さん、頑張ってなの!」ノシ
佐天「あ。香焼くーん。『次』は明日だったけど、別の日に変更で良いからねー」ビシッ!
『次』とは早朝ランニングの事(第A話参照)だ。
確かに最愛のお世話があるので、早朝は厳しいかもしれない。御言葉に甘えよう。
香焼「了ー解。メールしまーす」コクッ
佐天「うん。じゃあね!」ノシ
春上「むぅ……佐天さんも最愛ちゃんも羨ましいの。2人きりで会う機会が……―――」ボソボソ・・・
佐天「え!!? あはははは……えっとその、うーん……あ! ほ、ほら! 木山先生のボランティア誘ってみれば―――」アタフタ・・・
春上「っ!! それなの! ありがとう、佐天さん! よーし……今度は―――」オー!
佐天「あははは……最愛ちゃんに続いて、また塩送っちゃったかなぁ……―――」ポリポリ・・・
2人仲良く買い物を続ける御様子。さて、自分はそろそろ最愛のデザート選びに決着をつけさせに行かねばなるまい。
コロッケ4個入りパックと木耳サラダを籠に入れ、少し先のゼリーコーナーに戻った。
香焼「最愛、決まった?」
絹旗「……え」ポカーン・・・
香焼「……ちゃんと選んでたの?」タラー・・・
絹旗「え、あ、はい……その佐天さんが来たので、超ビックリして……、」アタフタ・・・
香焼「そっか……泊めてあげられなくてゴメンねだって」
絹旗「え? ぁ……はい。そう言われました」タラー・・・
何でそんなにタジタジしてるかは分からないけど、さっさと選んでくださいな。
絹旗「は、はい。えっと……コッチかコッチです」スッ・・・
『むせるマンゴーゼリー』と……『ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノゼリー』か。
香焼「ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノゼリーって苦いかもよ?」ジー・・・
絹旗「うーん……じゃあベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノゼリー止めときます」スッ・・・
もあい「……なぅ?」ポカーン・・・
ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノゼリーを棚に戻す最愛。
もあいを籠から降ろしマンゴーゼリーを代わりに入れ、やっとの事、会計へ向かう。
379 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/07(水) 23:41:09.32 ID:ZoRYTtR90
―――一方その頃、居酒屋:ブラックウィドゥ・・・・・
結標「この店かぁ……飲み屋ってかお酒苦手なんだけどなぁ。『友達優先です!』とか小萌に言われたし、しゃーないかぁ」ガチャッ・・・
麦野「うへへへぇっ! 姉妹丼じゃあ!! 火織スイカと五和ちゃんメロンもーらいっ!!」モニュモニュ!
神裂「ちょ、んっ……む、麦野さん!! ひっ! ぃ、いい加減度が過ぎますよ!」カアアァ///
五和「そ、そんなに強く揉まないで下さいいぃ! ひゃあっ!!」イヤアアァ///
麦野「良いの良いのっ! どうせ私はもてないですから、んもー女にでも走ってやろうかー!!」ガハハ!
浦上「完全に(お酒に)呑まれてますヨ。セクハラ親父ですネー。素面でもこうなんデスか?」アハハ・・・
固法「……素面でも半分こうかも」アハハ・・・
結標「…………うわぁ。やっぱ帰ろう――」タラー・・・
麦野「ん?! むむむ!? むむむむむ!!」ビー!!
結標「――って、ぎゃああああぁっ!! バック焦げたあああぁっ!!」ジュウウゥ!!
固法「あら。結標さん、やっと着いたのね」
麦野「結標えぇ……待ってたのよぉ」ニヤニヤ・・・
結標「うっ……ひ、人違イデスヨ。私、マリアンデス」ハァイ・・・
浦上「マwwwwリwwwwアwwwwンwwww」m9
麦野「マリアンでもあわきんでもあわっぺでも何でも良いわよ! 早くコッチ来やがれ! さもなきゃ黒焦げにすっぞ!」ギャーギャー!
固法「あらら。今度のターゲットは結標さんかしら」フフッ
神裂・五和「「助かった……、」」ホッ・・・
結標「い、言っとくけど私はガード堅いわよ! てかアンタ酒臭っ!!」ウワァ・・・
麦野「鮭は私の主食だにゃ〜ん! 結標ぉ、耳たぶハムハムしていい?」パクッ・・・
結標「きゃんっ!! ちょ、言う前に噛むなって……んっ!! や、止めなさい変態!!」ウギャアアァ///
麦野「あわきん可愛いのう可愛いのう」ハムハム!
結標「いやああああああああぁっ!!」フコーダー・・・
浦上「Oh……百合百合ですネー」キマシタワー!
380 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/08(木) 00:07:50.13 ID:o6muorM00
ちょwwまさかのベンティ(ry来たwww懐かしすぎるww
それから麦のんヤバイよもうヤバイ
381 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/08(木) 00:42:39.60 ID:D1tEmVUr0
―――とある翌日、PM07:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
すっかり日も暮れ、空には月と星が昇っていた。
若干最愛ともあいが眠たそうなので早めに餌、もといご飯を作らねばなかろう。
絹旗「眠くないです」ムスー・・・シバシバ・・・
典型的な子供だな。いや、不規則な生活をしてた所為か。何にしろ早いとこ寝かせるとしよう。
マンションの入り口に差し掛かる。部屋の鍵を出す為最愛に買い物袋を預けようとした時……のそりと巨大な影が飛び出してきた。
絹旗「っ!!?」ビクッ・・・
香焼「ん……最愛。心配しないで。自分の友達っす」チラッ・・・
もあい「にゃん」トコトコ・・・
もあいが最愛の肩から飛び降り、そいつの長い髪へ跳び付こうとチャレンジしだした。
ステイル「この猫は毎度毎度……僕の髪に恨みでもあるのかい?」
香焼「長髪が好きなんだよ。嫌だったら切れ。それより……珍しいっすね。僕に用?」
ステイル「まぁな。安心しろ、仕事じゃな、い……ぁ」ピタッ・・・タラー・・・
絹旗「え……仕事?」チラッ・・・
馬鹿野郎。
香焼「あー、えっと、バイト仲間っすよ。手品師(マジシャン)のバイト」
絹旗「あぁ。例の」フムフム・・・ジー・・・
ステイル「コホンっ……まぁ、その……アレだ。相変わらずオマエは何処に居たって女の尻に敷かれている様だな」ジトー・・・
香焼「そういう言い方するなよ。別に敷かれてなんか無いっての」ジトー・・・
絹旗「…………、」ギロリ・・・
最愛さん、何故睨むんすか?
香焼「……話はそれだけ?」
ステイル「態々皮肉を言う為に学園都市第1学区(この街の桜田門)に来たりなんかしないさ」フンッ・・・スッ!
香焼「はぁ?」
ステイル「……ん」スッ!
僕に向かって無言で手を伸ばすステイル。何それ?
ステイル「先日約束してたろ。取りに来た」ジー・・・
香焼「……え?」
ステイル「煙草だ。新作煙草5つと新型ライター(※)。日和だけじゃなく、遂にボケまで始まったか?」 ※第B話参照。
コイツ……何て空気読めないタイミングで現れるんだ。しかも煙草って。
絹旗「…………、」ギロリ・・・
隣の子、滅茶苦茶キレてます。
382 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/08(木) 00:46:15.15 ID:J4lB9PKDO
>>379
べんてぃあでしょっとへーぜるなっつばにらーもんどきゃらめるいきすと‥‥何それ? 怖いんですがww
383 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/08(木) 01:01:14.96 ID:D1tEmVUr0
兎に角、この場を如何にかしなければなるまい。
香焼「あ、ええっと……そうだ! 折角来たんだし、ステイルもご飯食べてく?」アハハハ・・・
ステイル・絹旗「「……ハァ?」」タラー・・・チラッ・・・
顔を見合わせる身長差50p以上の男女。
ステイル「いや、その……えっと」チラッ・・・
絹旗「…………、」ジトー・・・
ステイル「……遠慮しとこう」
絹旗「……ふー」ホッ・・・
香焼「何でさ。珍しく来たんだし食べてけば」
ステイル「オマ……これ以上困らせるな! 君はサーシャとアニェーゼを足して割った様な娘と僕を一緒に出来ると思ってるのか!?」ギロッ!
香焼「いや、別に……最愛は大丈夫でしょ? コイツ、こう見えて優しいから」クスッ
絹旗「…………、」フルフル・・・
もあい「にゃっ」フリフリ・・・
アンジェレネだって慣れたんだから大丈夫だと思うけどなぁ。
ステイル「アレはまた別の人種(タイプ)だ……ったく……此処で待ってるから、物だけ持ってきてくれ」ハァ・・・
香焼「あ、うん。でも今度遊び来いよ」
ステイル「……オマエの姉共と友人が来てない時にな」フンッ
香焼「オマエだって友達なのに、変なの」
ステイル「ッッ〜〜〜〜さっさと行け!! その子だって困ってるだろ、ドベ!」
ドベって……久しぶりに聞いたな。
さておき、戸惑う最愛を連れて、エレベーターへ向かう事にした。
そういえばステイル、何時からあそこに居たんだろう。メールくれれば色々考えたのに。
絹旗「…………、」チラッ・・・
香焼「ん、如何したの?」
絹旗「……何でも無いです。後で話します」フンッ
これまた此方も変になってしまった様だ。まったく、やれやれだね。
384 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/08(木) 01:22:57.57 ID:D1tEmVUr0
無言でエレベーターに乗り、自動で部屋の階へ。
多分、五和と浦上が居るとは思うが一応鍵は準備しておく。
絹旗「……香焼」ボソッ・・・
香焼「ん?」
絹旗「あの人……本当に友達ですか?」ジー・・・
香焼「え、あ、うん。まぁ見た目あんなんだけど、自分達の一つ上っすよ」
絹旗「……嘘」タラー・・・
そりゃまぁ信じられまい。
香焼「本当に悪い人じゃないよ。もあいだって懐いてただろ?」
もあい「なー」フリフリ・・・
絹旗「……うーん」ポリポリ・・・
香焼「最愛も、人見知り克服していけば色んな人と付き合う機会が増えてくる。ああいう人間だっているんだよ」
絹旗「そうじゃなくて……その、私と……同じ『臭い』が」ボソッ・・・
臭い? アイツ煙草臭いだけだけど。
絹旗「あ、いえいえ……何でもありません。忘れて下さい」アハハ・・・
香焼「う、うん」フム・・・
絹旗「……それより、煙草って?」ギロリ・・・
香焼「さーて! 料理頑張るぞー」テクテク・・・
絹旗「フシャー!! 話逸らさないで下さーい!!」ウニャー!
ステイルの煙草に関しては堂々巡りになり兼ねないので黙秘させてもらいます。
止めさせたければ月詠さんの様に永遠と追跡してやって下さい。
絹旗「ったく……まさか香焼は喫ってないでしょうね?」ジトー・・・
香焼「あはは。まさか」ポリポリ・・・
絹旗「……じー」ジトー・・・
香焼「うっ……えっと……、」タラー・・・
絹旗「……じー」グイッ・・・クンカクンカッ
香焼「臭い嗅ぐな……あー……昔、ちょっとだけ」タラー・・・
絹旗「こらー!!」ガアアアァ!!
香焼「で、でももう喫ってないよ! ていうか、アイツに無理矢理度胸試しみたいな感じで喫わされただけだから」アタフタ・・・
絹旗「やっぱ超悪友じゃないですか!」ムキー!
最愛を宥めるのに無駄に時間を労し、結局、部屋に入るまで10分以上掛ってしまった。
385 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/08(木) 01:45:08.15 ID:D1tEmVUr0
数分後、やっとの事で玄関に手を掛ける。
香焼「……あれ?」ピタッ・・・
絹旗「如何しました?」
香焼「……鍵、閉まってる」
絹旗「へ? 超当たり前じゃないですか」
いや、確かにそうなのだが……こういう日に限って馬鹿姉共が居ないなんて珍しい。
もしかしたら奇跡的に施錠してるのやもと、妙な疑念を抱きながらマイキーで鍵を開けた。
だが……靴は無い。もしや隠れてるのか?
香焼「むぅ……五和ー、浦上ー……おかしい。最愛、ちょっと待ってて。確認してくる」タラー・・・
絹旗「香焼、どんだけ疑心暗鬼なんですか?」タラー・・・
香焼「いや、何しでかすか分からないヤツらだから」テクテク・・・
荷物をキッチンに置きがてら、急いでヤツらが隠れてそうな場所を探す。ベランダ、風呂場、トイレ、和室……居ない。
流石に『開かずの間(香焼自室)』には侵入できない筈なので、本当に居ないという事になる。
もあい「にゃーん」キョロキョロ・・・
香焼「もあいが見つけられないって事は、部屋には居ない……考え過ぎか」ホッ・・・
昼間まで居た筈だが帰ったらしい。しかも珍しく掃除まで完璧にしていってくれた様だ。
これなら安心して最愛を迎え入れる事が出来る。
香焼「最愛、入って良いよ」テクテク・・・
絹旗「……やっぱり五和さんと浦上さん、居なかったんですか」ジー・・・
香焼「うん。安心して。2人だけっすよ」コクッ
絹旗「2人だけ……香焼と」ドキドキ・・・
そういえばこれまで僕の部屋で、最愛と2人きりになるなんて事は無かった。毎回五月蠅いのが居たと思う。
あー、でも……そりゃ安心できないか。一応自分、男だし。
絹旗「い、いえ! そういう意味じゃないです!」アタフタ・・・
香焼「ハハハ。とりあえず上がってよ」
もあい「うにゃ」ジー・・・
客人用スリッパを取り出し、最愛の前に置く。何故かぎこちなくそれを履く彼女。
絹旗「き、緊張なんかしてません!」ドキドキ・・・
香焼「いや、何その自己申告」タラー・・・
絹旗「お、お邪魔しましゅ!」カクカク・・・
香焼「い、いらっしゃい……(噛んだね)」アハハ・・・
機械染みた動きをする最愛を連れて、リビングへ移動した。
386 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/08(木) 02:03:07.43 ID:D1tEmVUr0
―――とある翌日、PM08:15、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・絹旗side・・・
時刻は八時過ぎ。私は香焼の部屋のリビングソファに腰掛けて借りてきた猫状態になっていた。
何故泊まりという超大イベントな日に限ってお姉さん達はいないのだ。ぶっちゃけ、超緊張で倒れそう。
絹旗(って! 何超期待してるんですか! 私の馬鹿莫迦Fバカばかっ!!)カアアァ///
香焼「最愛」テクテク・・・
絹旗「ひぃあいっ!!?」ビクッ・・・
香焼「……何緊張してるのさ」タラー・・・
絹旗「あ、あはははは……だ、大丈夫ですよ」ドキドキ・・・
馬鹿な事は考えるな。彼はそんな事を期待出来る様な男子では無い。
いや、違う……『私なんか』が彼を望んではいけない。
絹旗(……よし。少し落ち着いてきました)ハハハ・・・
香焼「はぁ……えっと、さっきの友達に頼まれ物渡してくるから、ご飯ちょっと待っててね」
絹旗「……煙草ですか?」ジトー・・・
香焼「あはは……女教k(プリエs)、コホンッ、カオリ姉さん達には内緒にしてね」ポリポリ・・・
絹旗「……どうしよっかなー」フフフ・・・
もあい「なー」ジー・・・
香焼「お願い!」ペコッ
手を合わせて頼み込む香焼。
まぁ別に未成年の飲酒喫煙についてなんて、自分にとっては超如何でも良い話だ。黙っておいてやろう。
ただし、香焼の喫煙は認めません。
香焼「ありがと! それじゃあ行ってくるね。あ、飲み物出しとくからセルフでどうぞ」テクテク・・・
絹旗「ええ。いってらっしゃい」フフッ・・・
速足で出ていく香焼。見送る私……何だか夫婦みたいだ。
絹旗「……なーんてね」ナデナデ・・・
もあい「みゃ?」キョトン・・・
馬鹿な事を考えるのは止めよう。とりあえず先の御言葉に甘えて、飲み物を頂く事にする。
387 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/08(木) 02:21:32.21 ID:D1tEmVUr0
一服し、超暇になる。
そういえばこの部屋をジロジロ見るのは初めてだな、と考え少し見て回る事にした。
無論、彼のプライベートルームやクローゼット、TVデッキ、キッチンの扉、鍵が掛ってる場所等は勝手に開けたりしない。
流石の私だってそのぐらいの常識はある。
絹旗「しかし、本当に男の子の部屋でしょうか……超綺麗な部屋ですよねー」ジー・・・
もあい「にゃー」ジー・・・
五和さん達が掃除していったとはいえ、一人暮らし(?)の男子中学生宅には見えない。
麦野と自分の部屋の方が超汚いし、きっと浜面の部屋なんかと比べたら偉い違いになるだろう。
それにしても香焼。ちょっと遅い気がする。
絹旗「テレビ勝手に点けたら、失礼ですよね」アハハ・・・
と言いつつリモコンを探してしまうのが、いけない癖。
部屋に居る時は常にテレビが点いてないと落ち着かない生粋のテレビっ子なのだ。仕方あるまい。
絹旗「どこー、どこー……どーこ」カラクールノカー・・・
もあい「みー」コンコンッ
絹旗「ん? あ、そこですか。どうもです、もあい」スッ・・・
数冊の雑誌上にある新聞を叩くもあい。多分、雑誌と新聞の間にあるのだろう。
お手柄猫さんを撫で、新聞を退けると、やはりそこにリモコンが有り―――
絹旗「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅえっ!?」ギョッ・・・
―――リモコンの下には……超『アレ』な表紙の雑誌が挟まってあった。
絹旗「え、えっと……これって」スッ・・・
俗にいう、エロ本だ。
絹旗「う、嘘でしょ」カアアァ///
もあい「……にゃ」ジー・・・
絹旗「こ、香焼の……ですよね」キョロキョロ・・・///
まさか五和さん達のではあるまい。香焼もやはり『男』という訳か。
388 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/08(木) 03:19:24.46 ID:D1tEmVUr0
さて……これ、如何しよう。
絹旗「し、知らなかったフリしてあげるのが正解ですよね」タラー・・・///
滝壺さんが言っていた。『人間、どんなに強がっていてもボロが出る。それを見ぬフリするのも、また愛なのだ』と。
要訳すると『はまづらのエロ本見付けた時、生温かい心で見ないフリしてあげたんだよー』って事だ。
良し。これは元の場所へ……
絹旗「…………、」ピタッ・・・ジー・・・///
……戻す前に、少しだけ、読んでみようか。まだ香焼は帰って来ない様だし。
絹旗「ちょ、超暇なんです! あと、後学の為! 別に疚しい気持ちがある訳じゃないですよ!」ウンウン・・・///
もあい「にゃ?」ジー・・・
誰も居ないに決まってるのに辺りを確認して、雑誌を見遣る。因みにもう1冊下にあったのでそれも取り出す。
名前は『スクールガール』という雑誌に、『メガ楽天』という漫画誌。まずは雑誌の方から開いてみる……
絹旗「む……み、水着くらいなら……あとはコスプレですかね」ジー・・・
最初の数ページは普通の写真集とそう変わりない感じ。
この程度なら話の種にからかってやっても面白そうだな、と考えページを進めていく。
が、しかし。
絹旗「あ、この女優さん超可愛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッ!!?」ギョッ!!
私の中に、電流走る。
絹旗「ぜ、全裸……ま、まぁこのくらいがエッチ本という事で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッ?!」カアアァ///
次のページ……色々、モザイクが掛っていた。この『修正』の裏にはどんな未知の世界が隠されているのだろう。
絹旗「こ、これ……く、咥えてるんですよね…………こっちは、じ、自分で……一人エッチ、してるんですか」カアアァ///
もあい「……にゃぅ」トコトコ・・・
絹旗「お、オモチャ使って!? う、嘘……こんなの挿入りませんって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」ピタッ・・・
所謂、合体の図。
絹旗「ッッーーーーーーーーーーも、ももも、もう無理です! 超恥ずかしい!!」カアアァ///
バンッと勢いよく雑誌を元の場所に戻した。残るは漫画雑誌の方だが……
絹旗「……や、ヤバかったら、即閉じれば良いんですよね」モジモジ・・・///
……結局、好奇心には勝てなかった。
389 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
:2011/09/08(木) 03:45:13.80 ID:D1tEmVUr0
今度は目次から見てみよう。ソフトそうなのを選べば心的事故は免れる筈。
絵柄は……劇画調もあれば、萌え系もある。
絹旗「多分、その中間そうな絵柄が良さそうですね」パラッ・・・///
260pくらいの漫画。
絹旗「ふむふむ……学園物ってヤツですね」ジー・・・
高校生くらいだろうか。御淑やかな眼鏡の女子高生と、ちょい不良気味の男子がメインか。
この程度のシュチュエーションなら麦野や姉貴さん(固法)が買っているレディコミの方が、刺激強いだろう。
そう思い込み、数ページ進める。
絹旗「ん……本番ですね」ドキドキ・・・///
レディコミとは違う局部を詳細に描いた過激な絵。何だか先程の写真モノより生々しい。
絹旗「でも、まだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッ!!?」ギョッ・・・
再び電流走る。
絹旗「こ、これ、お尻ですか!? しかも[
らめぇぇっ!
]って!?」カアアァ///
もあい「みゃぅ」ゴロゴロ・・・
お尻に、男性のアレを挿入れてる。
これ以上は無理と判断し、パラパラと先のページに飛ばした。今度は萌え絵というヤツだろう。
絹旗「こ、今度のシュチュは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・義姉弟モノ!?」ドキッ・・・///
もあい「なぅ?」キョトン・・・
絹旗「こ、香焼……駄目ですよ。それだけは駄目です!」カアアァ///
丁度自分達くらいの年頃の男の子と、神裂さん五和さんくらいのお姉さんとの『情交』シーン。
やはりコレも拙いと察し、別のページへ。今度は劇画調。
絹旗「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ええええええぇっ!!?」カアアァ///
所謂BLというヤツ。何故男性向け雑誌にこんな物が載っているのだ?
兄貴さん(黒妻)の様な強面の男性と、幻想殺し(上条当麻)の様な優男との濃厚な絡み。生理的に受け付けない。
そんな感じで次から次へと飛ばして、結局……殆ど見てしまった。
強姦モノ。小学生に手を出してるオヤジ。女性同士の絡み。擬人化モノ。何故か女性に男性のアレが生えてる話……等など。
絹旗「」プシュー・・・///
もあい「にゃーん」ペシペシッ!
思考がショートしてます。これ以上はやっぱ耐性が殆ど無い私には無理です。
390 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/08(木) 04:05:44.25 ID:D1tEmVUr0
一寸フリーズした後、我に帰る。
絹旗「や、やっぱ知らないフリしておきましょう。それが良いです。調それが良い」カアアァ///
こんなものを話題の種にしたら、空気が死んでしまう。忘れろ私。
絹旗「……でも」パラッ・・・
これで……香焼は……一人エッチしてるのか。
絹旗「ひ、一人……エッチ……、」プシュー・・・///
もあい「にゃん?」ジー・・・
自分はした事無いので全く分からないのだが……どんなモノなのだろうか。
そういえばさっき、何処かのページでそういった描写が載ってたような気がする。もう一回だけ見てみよう―――
香焼「ただいまー」ガチャッ・・・
絹旗「ひゃあああぁいっ!!?」ギョッ!!
香焼「最愛?」テクテク・・・
―――とした時、香焼が戻ってきた。何つータイミング。
香焼「どうしたの?」テクテク・・・
絹旗「あわわわ……え、えっと」ガサゴソ・・・
今リビングの扉を開けられたら終わりだ。
最中、母親が尋ねてきたので急いでエロ本を隠す男子中学生の如く、雑誌を元の場所へ戻した。
絹旗「にゃ、にゃんでもないですっ!!」アタフタ・・・
香焼「ん?」ガチャッ・・・
絹旗「あ、あはははは! 超お腹空きましたねー!」ハハハハ・・・///
香焼「あ、うん……顔赤いけど、少し寝てたの?」ジー・・・
絹旗「え、ええ。そんな所です……さ、さぁ。料理しちゃいましょう! 私も手伝える事手伝いますから!」パタパタ・・・///
香焼「うん。でも一応熱計ろうか?」テクテク・・・
絹旗「ヴぇっ!? ちょ、超大丈夫ですから近づかないで下さい!!」カアアァ///
香焼「え……あ、うん。ごめん」ショボーン・・・
絹旗「あ、えっと、その……すいません。もし風邪だったら伝染しちゃうと悪いですし」アハハ・・・///
香焼「ぁ、そういう事……もぅ……別に伝染しても良いよ。無理しないでね」クスッ・・・
絹旗「え、ええ。大丈夫です……、」アハハ・・・///
もあい「なー」カリカリ・・・
ギリギリセーフ。悟られない様、無理矢理テンション超アゲアゲで誤魔化せた。
多分、今香焼と目が合ったら脳味噌が沸騰して卒倒すると思います。
香焼「とりあえず座ってて良いよ。楽にしてて」フフッ
優しく微笑みかける彼。だが……何だかもう、先の『色々』の所為で物事が考えられなくなってしまった……―――
391 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/08(木) 04:17:32.60 ID:D1tEmVUr0
―――一方その頃、居酒屋『ブラックウィドゥ』・・・・・
麦野「あははははははっ!!」イエーイ!
結標「」チーン・・・
固法「―――まったく……結標さん、下戸なんだから無理矢理呑ませるのは無しよー」
神裂「やれやれ……そういえば五和、浦上」チラッ・・・
五和「はい?」
神裂「香焼の部屋を出る際、キチンと片付けてきたでしょうね?」
浦上「勿論ですヨ。完璧です!」
神裂「……なら、良いのですが」
五和「ええ。使う前より綺麗にして返せ。マナーでしょう! 綺麗にした上に『プラスα』しましたから」ハハハ
固法「プラスα?」
浦上「ええ……『男の子の部屋らしく』ネ。『二冊』ほど」フフフ・・・
神裂「……は?」ポカーン・・・
五和「だってコウちゃん、ビデオデッキにも『そういうの』置かないし……多分『開かずの間(自室)』に隠してるんでしょうけど」
神裂「ちょっと待……はい?」タラー・・・
五和「ま、あの程度のトラップなら即見つかる……ゲフンゲフンッ……まぁ明日以降のお楽しみって事で。こっちはこっちで楽しみましょう」イエーイ!
神裂「な……香焼、無事でしょうか」ダラダラ・・・
浦上「ほらほら、姉様! グラス空いてますヨ! 麦野さーん! 姉様にも絡んであげてくださいナー!」フフフ!
麦野「よっしゃー! 今度は火織のうなじクンカクンカしちゃぞー!」ワキワキ・・・
神裂「は、はははは……、」ダラダラ・・・
固法「ふふふ。程々にねー♪」クスクス・・・
392 :
>>1
[saga]:2011/09/08(木) 04:27:07.43 ID:D1tEmVUr0
はい。今日は此処まで……微エロ回でしたね。
あと
>>227-232
の連打さん。アイデア使わせてもらいました。ありがとね!
次回は、もう少し糖分多めで頑張ります。
例の如く感想質問意見罵倒リクエスト。アイデア等々よろしくお願いします。
特に、部屋に2人きりでの『〜〜〜』アイデア募集。使うか如何かは分からないけどねー(苦笑)
そんじゃまた次回ー! ノシ”
393 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/08(木) 10:14:38.82 ID:poeunnY+o
乙ー
二人きりの新婚ごっことかアリですかね?
絹旗の超ミニのワンピにエプロンとか着けたら激しく萌えるんだが
394 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/08(木) 13:17:47.44 ID:J4lB9PKDO
これで絹旗は性に目覚める訳ですね‥‥胸熱っ! 馬鹿姉妹GJ!!
とりあえずカミやん病の本気が見たいぜよ! お風呂イベント添い寝イベント何でもカモーーーーン!!
395 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/08(木) 15:29:17.76 ID:fSkzw9ls0
バカ姉妹が仕込んでたのか…………ちくしょう、GJだ!
アクシデントからの急接近を二通りほど見てみたい
@王道の2828路線
B〜準Cまでお任せします
A何かの理由で香焼の素性と絹旗の事情を知っていることがバレ、
殺し愛ルート……無理ですかね?
396 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/08(木) 18:49:46.24 ID:WIpT+isP0
乙
アンケはAで
397 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/08(木) 22:31:33.32 ID:WIpT+isP0
すまん、誤解した…
398 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/09(金) 01:00:23.96 ID:q/GBTScT0
乙〜
ゲーム→絹旗連敗→怒り→香焼が(ここ重要)押し倒される
これが俺の限度だわ
399 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/09(金) 20:11:04.98 ID:MKrl9cWIO
ちょっと
>>398
からの続き妄想した
香焼と絹旗、なんかいい雰囲気に
↓
香焼がシャワーを浴びてる間に麦野にこれからどうすればいいか電話で聞く
↓
麦野、酔ったノリでとりあえず風呂に突入しろとけしかける
↓
絹旗「おk」
どうよ?
400 :
>>1
[saga]:2011/09/09(金) 22:13:49.12 ID:iR/VAV2t0
こんばんわ。ボチボチ続き。
レス返信!
>>393
・・・この前、ねーちんが買ってきた恥ずかしいエプロンですねw
>>394
・・・性に目覚めるって何か良い響きですね。でもこの絹旗、初潮きてるのかな?
>>395
・・・殺し愛はまた何れ別の機会に書きますよん。
>>398
・・・そんでその後、ボコボコにされるんですよね? ・・・え? 違う?
>>399
・・・皆、お風呂イベント好きですねw 工夫します!
それでは投下!
401 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/09(金) 22:31:35.23 ID:iR/VAV2t0
―――とある翌日、PM08:40、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
僕が遅めの晩御飯を準備している間、最愛は何もせずにジーっとソファの上に体育座りしていた。
時折此方を見るのだが、目が合わさるとすぐにもあいの尻尾を弄り出す。様子がおかしい。
多分、沢山連れ回して疲れたのだろう。そう決め込み、デミグラスソース作りに移った。
絹旗「…………、」チラッ・・・
香焼「あんまり時間掛けるとアレだから……ん?」チラッ
絹旗「っ!」アタフタ・・・
もあい「にゃーん」ジー・・・
口数が少ない。借りてきた猫状態になる性格とはいえ、もう少し寛いでもらいたいのだが。
香焼「最愛」
絹旗「ひゃい!?」ドキッ・・・///
香焼「ひゃいって……退屈だったらテレビ付けて良いよ」
絹旗「え、あ、はい……っ!!」ピタッ・・・カアアァ///
リモコンに手を伸ばそうとした瞬間、固まる彼女。そしていきなり真っ赤になった。
絹旗「て、テレビは大丈夫です! し、心配しないでください!」アタフタ・・・
香焼「……うん」ジー・・・
絹旗「そ、そうだ。何か手伝いましょう! タダ飯じゃ超申し訳ないですから」スッ・・・
香焼「良いよ。気にしないで」
絹旗「いえいえ。盛り付けぐらいしますよ」テクテク・・・
立ち上がり此方に向かってくる。だがやはり、何故か動きがたどたどしい。
香焼「……じゃあ、食器出して貰おうかな」
絹旗「分かりました……エプロンは?」
香焼「食器出すだけなんだから要らないよ」
絹旗「それはその……気分です」
おままごと気分か。まぁ良いだろう。
香焼「そこの上着掛けに姉さん達のエプロン有るから勝手に使って良いよ」
絹旗「了解です」テクテク・・・
何だかんだで義理難い性格なのだ。これで人見知りが治れば、必ず皆から愛される子になる筈だろう。
402 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/09(金) 22:56:53.12 ID:iR/VAV2t0
ソースが出来上がり、あとはオムライスの上に掛けるだけとなる。
そろそろ盛り付けを……と考えたが、おかしい。最愛が手伝いに来ない。エプロン選びにそんなに時間が掛るか?
香焼「最愛、如何したの?」チラッ・・・
絹旗「…………、」カアアァ///
香焼「ん? 最愛?」
一着のエプロンを持って固まっている。そしてボソリと尋ねてきた。
絹旗「……これ」スッ・・・
香焼「え、あ……ヴぁに!?」ギョッ・・・///
カオリ姉さんがいつぞや買ってきた、まるで実用性の無いエプロン(※)を広げて頬を赤らめている。
※あまくさっ! 第11話参照。 (
http://item.rakuten.co.jp/only-and-one/k02055/
)
てか、そんなもの持って何してるのさ?
絹旗「こ、香焼……その……これ」カアアァ///
香焼「な、何かな」タラー・・・
絹旗「お、お姉さん達……着るんですか?」モジモジ・・・///
香焼「…………、」アハハ・・・
絹旗「ぇ、ぁ……やっぱり。さっき(?)のみたいな、超禁断の……アレ、なんですね」カアアァ///
おまえは何を言ってるんだ?
というかそれ、麦野さんが姉さんに無理矢理買わせたヤツだぞ。
香焼「最愛さん、えっと……そんなの何処かに投げといて良いからね」タラー・・・
絹旗「……わ、私も」モジモジ・・・///
香焼「……は?」ポカーン・・・
絹旗「着なきゃ、駄目ですか?」ウルウル・・・///
香焼「んなっ!!? ば、馬鹿言うな!!」カアアァ///
何が如何なって『着なきゃダメ』なのだ。意味が分からないよ。
というか最愛が着たら……って、何考えてるんだ僕は!
絹旗「っ……香焼の超変態。何考えてるんですか」ジトー・・・///
香焼「う、五月蠅い! 兎に角、それどっかに置いてて! まったく……着るならコレ着なさい」スッ・・・
浦上のエプロンを渡す。そんでもって最愛が持ってる変態エプロン(我が家命名:ネオ堕天使エプロン)をソファの裏にブン投げた。
それを見てホッとしている最愛さん。そんな顔するなら始めからアレを引っ張り出さないで下さい。
香焼「……盛り付け、するよ」テクテク・・・
絹旗「あ、はい」テクテク・・・
もあい「みー」トコトコ・・・
やっと料理を出せるな。
余談だが……先の服、前に僕が着た。性格には無理矢理あの服に着替え『させられた』。
馬鹿一号二号(五和・浦上)、そして酔った三号(神裂)に半ば強引に脱がされ、着替える羽目に。
そんな話、最愛に出来る訳が無かろう。
403 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/09(金) 22:58:50.42 ID:32ujTP520
キテタ━(・∀・)━!!!!
404 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/09(金) 23:18:06.89 ID:iR/VAV2t0
最愛のたどたどしい手伝いもあり、盛り付けが完成する。
今日の献立は、デミグラスソースかけオムライスにコンソメスープ、ガーリックラスク添えサラダだ。
僕がテーブルに運ぶ間に、最愛にはもあいの餌やりをお願いする。
絹旗「香焼、モンポチ開けて良いんですよね?」
香焼「良いよ。でも一缶だけね」
絹旗「分かってます……よし。完了です」カパッ
もあい「にゃー」テクテク・・・
香焼「うん。こっちも終わったよ。最愛も座って頂戴」
エプロンを脱ぎ座布団に正座する。そして……短縮版、食前の祈。
絹旗「…………、」ジー・・・
香焼「―――……うん。食べようか」
絹旗「……前から思ってましたけど、超不思議ですね」ウーン・・・
香焼「え? あ、まぁね……この街は宗教云々は禁忌みたいなモノだから」アハハ・・・
絹旗「んー……―――こうですか?」スッ・・・
香焼「へ?」キョトン・・・
胸の前で手を組む最愛。多分、先の僕の真似をしているのだろう。
香焼「あはは。別に最愛はやらなくても良いんだよ。信者でもないんだし」クスッ
絹旗「こういうのはふいんきなんです。オリジナルないただきますですよ」
香焼「雰囲気(ふんいき)、ね。オリジナルかぁ。最愛らしいね」フフッ
絹旗「むぅ……超馬鹿にしてません?」ジトー・・・
香焼「してないしてない。さぁ、食べよう」
最愛の適当な『祈』が済んだところで、いただきます、と一言。そして箸と匙を進める。
香焼「……どうかな?」
絹旗「ふむ……超美味しいです!」モキュモキュ・・・パアアァ!!
香焼「ハハハ。そりゃ作った甲斐がありました。オムライスのおかわりは無いけど、ソースはあるから明日の朝ご飯に応用するよ」クスッ
絹旗「はい。超楽しみにしてます」ニカッ!
もあい「みゃー」ムシャムシャ
ソースを服に飛ばしそうななりながら、笑顔で食べてくれる最愛。それだけで、作った甲斐があったな。
405 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/09(金) 23:24:44.77 ID:YeDOuHYDO
わっほい! 超ニヤニヤの予感!
誰か
>>402
のエプロン着た絹旗と香焼の絵描いてくれ!!
406 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/09(金) 23:52:38.24 ID:iR/VAV2t0
・・・・・寸・・・・・
最愛のテンションがいつも通りに戻って、楽しい食事が続いた。
ただ、何故かテレビを点けようとした時だけ最愛が渋った。食事中は点けない様教えられてきたのだろうか。
さておき一寸後、彼女に口の周りについたソースを拭くようティッシュを渡した時、インターホンが鳴った。
香焼「五和と浦上か……違うな」フム・・・
絹旗「何で分かるんですか?」フキフキ・・・
香焼「アイツらだったら勝手に上がり込んでくるよ」アハハ・・・
という事はカオリ姉さんが帰って来たか、もしくは本当に客人か。
最愛に断ってから立ち上がり、玄関のカメラを点ける。
……宅急便?
宅配員『こんばんわ。超速達です。香焼さんのお宅で宜しいですか?』
香焼「え、はい……速た……超速達!?」
絹旗「……あ!」
香焼「最愛?」
絹旗「あ、あははは……えっと、ハンコ押しに行けば分かりますよ?」
香焼「……はぁ」ポリポリ・・・
言われた様に、玄関へ向かう。
香焼「どうぞ……って、え!?」ガチャッ・・・
宅配員「判子かサインお願いしますね」スッ・・・
香焼「ちょ、こ、これ何すか?!」ギョッ・・・
宅配員「はぁ。『ぬいぐるみ』となってますけど」
巨大なダンボール。確かに『衣類・ぬいぐるみ』と記してある。宛名は……僕自身!?
もしかしたら魔術師関連の何か危険な物かと疑ってみたが、魔力反応は無いので、そういう訳でもなさそうだ。
宅配員「えっと……はい。確かに。では失礼しました」ペコッ
無理矢理玄関を通し、部屋の中へ運ぶ。
すると最愛はニコニコとした表情でそれに飛び付いた。そしてすぐさまダンボールを開ける。
香焼「……あ」ジー・・・
絹旗「ふふふ。やっぱ超速達は便利ですねー」モフモフ・・・
もあい「にゃ?」ペシペシッ
中に入っていたのは、ゲーセンで御坂さんから譲って貰った『ゲコ太着ぐるみ』だった。
407 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 00:16:38.21 ID:VWpkMbpZ0
ご飯を片付ける前に着ぐるみを弄り出す最愛。まったく、困ったものだ。
香焼「こらこら。待ちなさい」チョップ!
絹旗「痛くないですよーだ」オートガード!
香焼「やれやれ……とりあえずご飯片付けてから遊ぶ事!」メッ!
絹旗「あ……はい。そうですね」ハハハ・・・
まるで子供だ。いや、子供で良いのか。
兎に角さっさと着ぐるみを弄りたい様なので、オムライスを掻き込む最愛さん。そのワンピース、デニムワンピ、シミ出来たら面倒だぞ。
絹旗「むきゅもきゅ……ふー。ごちそうさまです!」パンッ!
香焼「はい、お粗末さま。食器は流しに置いてて貰えばいいよ。洗浄機使う……あ、故障中(※)だった」 ※第@話参照。
とりあえず水置きしといてもらおう。後は自分が洗っておく。
絹旗「え、あ、どうも……っ!」ピタッ!
香焼「それよりも口周りを拭き……ん?」
絹旗「や、やっぱり自分で洗います!(は、箸とか、触られるのは……超恥ずかしいです)」アタフタ・・・///
香焼「そのくらい良いのに」
絹旗「む、麦野がよく『自分のケツは自分で拭け』って言ってるので!」アハハ・・・///
香焼「……何か使い方間違ってる気もするけど」タラー・・・
細かい事は良いんですよ、とそそくさ自分の食器を洗い出す最愛。
常識は欠けているが、思いやりの心は十分あるみたいだ。
絹旗「ふぅ……終わりました。それじゃあ遊びしょう!」ワーイ!
もあい「なー!」ピョンッ!
大きい猫と小さい猫が着ぐるみを弄り出した。
さて、では僕も食べ終えたし、自分の食器と空いた鍋を洗い始めるとしよう。
香焼「あ、テレビ点けても」チラッ・・・
絹旗「や、超嫌です!」アタフタ・・・
香焼「え? 最愛テレビっ子じゃ」
絹旗「え、えっと……今日はテレビ見ない日なんです! だからリモコン見つけなくて良いですからね!」アタフタ・・・
また不可解な発言をする。まぁ彼女が嫌だというのだから止めておこう。
408 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 01:12:08.04 ID:VWpkMbpZ0
―――とある翌日、PM09:45、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
先程姉さん達から今日はウチに寄らないという何とも不穏なメールが届いた。まぁ自分は自室に寝れば問題無い話だろう。
さておき、気がつくと既に9時半。そろそろ風呂に入ろう。
着ぐるみの頭部分をもあいに被せて遊んでいる最愛に声を掛ける。
香焼「最愛。お風呂入っていいよ」
絹旗「え」ピタッ
香焼「お風呂っす。シャワーでも良いけど」
絹旗「お、お風呂……ですか」タラー・・・
香焼「最愛のホテルほど立派じゃないけど、一人入る分にはそれなりに広いよ」
絹旗「こ、香焼からで良いですよ……その……私の後に、香焼入るってのは……、」アタフタ・・・///
香焼「……あー」ポリポリ・・・///
その気持ちは分からなくはないが、客人に二番風呂を勧める訳にもいかない。
香焼「気にしないで貰えるとうれしいな……なるべく自分も気にしない様にするから」アハハ・・・///
絹旗「ぜ、絶対ですよ!」ジトー・・・///
香焼「うん……シャンプー、リンスは何使っても良いからね。あと使い捨ての歯ブラシ有るからそれ出すよ」
絹旗「え、あ、う、うん」タジタジ・・・
香焼「タオルとバスタオルも今出す。あ、ボディスポンジは黒以外ね。それは自分のっすから」アハハ
絹旗「わ、分かりました」コクコク・・・
やはり恥じらいは出るよな。正直、自分だって恥ずかしい。
最愛はもあいを抱えて風呂場に……え?
もあい「にゃっ! みゃっ!」フシャー!
香焼「最愛! もあいは駄目!」アワワ・・・
絹旗「え? 一緒にお風呂で」キョトン・・・
香焼「もあいの身体洗う時は専用の桶で洗ってるから。てか猫の毛で浴槽大変な事になっちゃうってば」
絹旗「あ、そうですね。すいません」パッ
もあい「……なぅ」スタタッ・・・
そそくさとソファの方へ逃げるもあい。やれやれ、忙しいな。
香焼「とりあえず勝手が分からない時は中にある内線ボタン押してね」
絹旗「了解です……こ、香焼……覗いたら打っ殺しますからね」ギロッ・・・///
香焼「し、しないよ!」アタフタ・・・///
絹旗「……信じてあげましょう」テクテク・・・
彼女を本気で怒らせたら冗談抜きでミンチになりかねない(らしい)からね。精々気を付けます。
409 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 01:40:28.03 ID:VWpkMbpZ0
――絹旗side――
タオルやら何やらを出して貰い、香焼を追い出す。
風呂場は麦野のVipルームよりは小さいが、それでも一人暮らしのモノだと考えれば広いモノだった。
一応、シャワーやら機械やらを事前に確認し、服を脱ぐ。服を畳んでバスケットの中に入れた後、風呂場へ入った。
お風呂の温度はぬるめの方が助かるのだが……
絹旗「……良かった。熱くない」ホッ・・・
多分、彼が気を利かせてくれたのだろう。浴槽に全身を浸け、足を伸ばす。
絹旗「ふぁぁ」ググッ・・・
このくらいの広さが丁度良いな。麦野の借りる部屋に付いてくるバスルームは無駄に広過ぎる。
ふと、鏡台の方を見る。シャンプーボトルが1,2,3,4……7つもあった。
まぁ一人で5つのボトルを使う麦野に比べたら少ない方なのかもしれない。
絹旗「やっぱり……超……疲れました」フー・・・
今日は連れ回されたな。仕事以外であんなに人混みを歩いたのは初めてかもしれない。
感想はぶっちゃけ、楽しくはない。絶対に一人では出歩きたいとは思えなかった。
ただ、彼が頑張ってエスコートしてくれたおかげで、私は頑張れた。
絹旗「……超余計なお世話でしたけどね」フフッ
黒いスポンジを見る。
私は……一人では何も出来ない人間だ。いや『人間』ではないか。昔、研究所の誰かに言われたのは『機械』だったな。
機械は、スイッチを押してくれる人間が現れないと動けない。私は実際そうなのだろう。
絹旗「…………、」ブクブクブク・・・
彼の隣は心地が良い。自分が日蔭者だと忘れてしまいそうだ。
絹旗「超、猛毒ですよ」ハハハ・・・
以前、彼から『自分は猛毒だ(※)って言われる』という話をされた。
絹旗「私と一緒に……地獄の底まで、付いてきてくれますか?」ボソッ・・・
呟く。此処には居ない彼へ、救いの手を求めてみる。
絹旗「……なーんてね。冗談ですよ」クスッ・・・ザバッ・・・
そんな事、口が裂けても言えない。
それを言えば彼は必ず手を伸ばしてくれるだろう。だがそれは超能力者(麦野沈利)に楯突くと同然なのだ。
絹旗「大丈夫です……私は超最強ですから」スッ・・・
決してネガティブという訳ではない。仕事は仕事、プライベートはプライベートと割り切れる様になったのだ。
仕事が全てだった昔の私からしてみれば奇跡にも等しい成長。
きっかけは浜面だったが、滝壺さんを始め様々な人が手を繋いでくれる様になった。
絹旗「……香焼」ボソッ・・・
何故だろう。今日はヤケに、彼の名を呟いてしまう。
410 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 02:07:16.73 ID:VWpkMbpZ0
色々思う所はあるが……余計な事を考えるのは止めよう。
絹旗「うん……身体洗いましょう」
バスチェアに座り、髪を濡らす。シャンプーはドレを使おうか。
漢字で書いてあるヤツと、英語で書いてあるヤツ。特に成分なんて気にしないので、適当にプッシュする。
絹旗「んー……お花の匂い?」モイスチャモイスチャ・・・
別に花に詳しいという訳ではないが、良い香りがした。 (※神裂の金盞花シャンプーです)
少し大人びた気がする。多分、香焼が使っているモノではなくお姉さん達のシャンプーだろう。
余談だが、私は麦野のシャンプーを使わせて貰えない。『使いたきゃ金払え』って……超阿呆臭い。○リットで十分だ。メリッ●で。
絹旗「えっと……シャワーはボタンタイプだっけ」ポチッ・・・
シャアアアァ、と丁度良い温度のお湯が出てくる。
絹旗「次はー、リンス……何でも良いですね」ニュルニュル・・・
※良い子はシャンプーとリンスの組み合わせを適当にしちゃダメだよ!
絹旗「このくらいで良いですか……身体洗っちゃいましょう」チラッ・・・
赤、緑、青……黒のスポンジ。
絹旗「これが赤は神裂さんので……って、馬鹿な考えは止めましょう」アハハ・・・
では…… @赤 A緑 B青 C黒
絹旗「ヴぁっ!? 馬鹿な選択肢入れないで下さい!!」カアアァ///
セルフ突っ込み。
とりあえず、またもや何も考えずに適当なのを掴んだ。さっさと洗ってしまおう。
いや……もしかして入念に洗っておいた方が良いのか?
絹旗「もしかしたら、せ、せ、セク……〜〜〜〜〜ッッ!! な、何超馬鹿な事考えてるんですか私は!」カアアァ///
『考え』の域を越え『妄想』をしてしまうのはきっと、先のエロ本の所為だ。
所謂邪念というヤツだろう。しんとーめっきゃく、しんとーめっきゃく。
少々温度を下げ、仮想滝壺修行の如くで頭と身体を流した。無論、冷たかったので急いで浴槽に入る。
絹旗「はぁ……やめましょう。自分の年齢考えれば、有り得ない考えだと」ピタッ・・・
そういえば最近では、小学生で童貞処女を卒業する子もいるとかいないとか。
絹旗「あ、あ、有り得るんでしょうか」カアアァ///
ヘタレで朴念仁で無駄に硬派な香焼でも……先のエロ本の件を考えれば、その欲求があるのやもしれない。
絹旗「ど、ど、どうしてもっていうんなら……その……触るくらいは許してやっても良いでしょう」ブクブクブクブク・・・///
全身が真っ赤になったのは逆上(のぼ)せた所為です。発情した訳ではありませんので勘違いなさらぬ様に。
411 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 02:29:25.22 ID:VWpkMbpZ0
浴槽で超考(=長考≒というなの『謎覚悟』)をしてしまい、風呂から上がるのに大分時間が掛ってしまった。
風呂時計を見ると10時半前後だったので、急いで洗面所に戻る。
絹旗「麦野から香水でも借りるべきだっんでしょうか……って! こんな考えのままじゃ香焼の顔見れませんよ!!」アワワワ・・・///
余計な事を考えるな。自然体だ、自然体。成る様になる。
難しい事を考えるのは彼の十八番だ。今日は全てを彼に委ねれば良い。
髪を拭いて、身体を拭いて……鏡の前で顔を叩く。
絹旗「……よしっ!」パシンッ!
雑念は超沢山だが、邪念は無い。
絹旗「け、毛は、あんまり生えてませんけど……香焼だって生えてませんよね」ジー・・・
自分の身体を見遣る。胸はペッタンこ、毛はあまり生えてない、寸胴ボディ……超ガッカリボディ過ぎる。
大丈夫だ。彼はそんな事を気にしない筈!
絹旗「そ、そういえば浴槽に私の……浮いてないでしょうね」アタフタ・・・///
一応チェック。大丈夫だ。恥ずかしい思いはしないで済む。
もし此処に麦野が居たら『いや、アンタ多分無毛症だから心配すんな。初潮も来てねぇ発情猫』とブラックジョークを利かせていただろう。
絹旗「無毛症じゃありません。まだ薄いだけです……お手入れ麦野め」グヌヌ・・・
何処かの居酒屋で、とある超能力者が盛大なクシャミをした。
馬鹿な事を言ってないで、そろそろ戻ろう。彼が風呂に入る時間が無くなってしまう。
絹旗「さてと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」ピタッ・・・
重大な事に気付く。
絹旗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・換えのパンツ、忘れました」タラー・・・
最愛ちゃん、大ピンチ!
412 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 02:55:02.82 ID:VWpkMbpZ0
――香焼side――
最愛がそろそろ上がる頃だろうと、居間のテーブルをずらし、布団の準備をしておく。
絹旗『―――……やぎー』
香焼「ん? 上がったかな」
絹旗『香焼ー……その、ちょ、ちょっと来て下さい』モゾモゾ・・・
何かあったのだろうか。洗面所へ向かってみる。
香焼「最愛、どうしたの?」スッ・・・
絹旗『あ、開けちゃダメですよ! まだ裸です!』アタフタ・・・///
香焼「え!? あ、うん」ポリポリ・・・///
そんな状態で呼ばないで下さい。
絹旗『ごめんなさい……で、でも、えっと……あの……、』ウーン・・・///
香焼「言い辛い事?」
絹旗『ええ。その……パンツ』ボソッ・・・///
香焼「……は?」
絹旗『パンツ……ショーツ……有りませんか?』
あー…………ごめん。理解できない。
絹旗『だ、だから、その……換えの下着を忘れたんです』モジモジ・・・///
香焼「あ……そっか。急だったもんね」ポリポリ・・・///
絹旗『はい……間違って浦上さんの新しい下着、置いてないでしょうか? 後で買って返すので、もし有ったら下さい』
香焼「新しいのは……無い筈っす。洗濯済みのはあるんだけど……流石に人のはイヤでしょ」ウーン・・・
絹旗『……すいません』ムゥ・・・
困った。我慢して先程穿いていた下着をまた着てもらうのは、何だか忍びないし。
香焼「……あ、そうだ!」ピンッ!
絹旗『え』キョトン・・・
香焼「最愛、ウエストどのくらい?」
絹旗『いきなり超意味不明な事聞くな! 超変態!!』カアアァ///
香焼「あ、ご、ごめんごめん……でも多分自分と同じくらいだよね」
絹旗『失礼な事を言いますね……ったく、分かりませんって。見た事無いですから』
香焼「うーん……とりあえず、まかせて」テクテク・・・
絹旗『え、ちょ……はぁ。超心配です』ハァ・・・
自分の考えが当たれば『丁度良い』筈だ。急いで自室に向かい、有るモノを取りに行く。
413 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 03:23:35.63 ID:VWpkMbpZ0
一寸後『あるもの』を持って洗面所に戻る。
香焼「最愛、此処置いとくから」スッ・・・
絹旗『え?』
香焼「多分、サイズ合う筈だよ。一応新品だから着てみて」
絹旗『な、何を?』
香焼「もし嫌だったら穿かなくても良いからね。その時は急いでコンビニまで行って女性用下着買ってくるから」
『あるもの』を扉の前に置き、一旦、リビングに戻った。
――絹旗side――
静かに扉を開け、彼が置いていってくれたモノを拾う。
絹旗「な……だ、男性用下着ですか」タラー・・・
所謂、ボクサーパンツだ。サイズは確かに……自分に合うと思われる。
それから一応タンクトップも置いてあった。一応、女性と思ってくれてるらしい。評価してやろう。
絹旗「せ、折角ですから……着ちゃいましょう」スッ・・・
上下の色はどちらもダークグレー。タンクトップは少々キツいが、パンツは思った通りピッタリだ。
絹旗「……というか、これ、超良いですね」ホエー・・・
ショーツと違って胴周りのゴムが苦しくない。スパッツの感覚に似ている。
絹旗「これなら大丈夫でしょう。あとは寝る前に寝巻きを借りれば良いから……今はさっきのワンピ着ましょう」
着てきたショーツはキャソールに包んで、彼の目には付かない様管理しよう。紙袋一枚貰えば多分大丈夫だ……これで一段落。
あとは大分自然に乾いた髪を梳いて、歯磨きして、OK。リビングへ戻ろう。
414 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 03:53:07.10 ID:VWpkMbpZ0
―――とある翌日、PM10:40、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
最愛が戻ってきた。着てきたワンピをまだ着ている様なので、大きいかもしれないが浦上の寝巻きを貸してやろう。
絹旗「色々迷惑かけてすいませんでした。その……下着、どうもです。後でお金払いますから」ペコッ
香焼「お金の事は気にしないで。それより、上は……大丈夫?」ポリポリ・・・
絹旗「あはは。ちょっとキツいですね。でも大丈夫です」
香焼「うん。あ、もしアレだったら下着すぐ洗濯して明日朝着れる様にしちゃう?」
絹旗「あー……別に良いです。帰って洗いますよ。ただ紙袋一枚もらえますか?」
香焼「了解。あ、ついでに浦上の寝巻き持ってくるから」テクテク・・・
自分が穿いても少し大きめのTシャツとハーパン。それと適当な紙袋を最愛に渡す。
絹旗「それじゃ香焼、お風呂どうぞ」
香焼「うん。あ、冷蔵庫の物食べたり飲んだりして良いからね。買ってきたモノ冷やしてたよ」
絹旗「ええ、お言葉に甘えさせてもらいます」
もあい「んなー」トコトコ・・・
絹旗「もあいのお菓子は?」
香焼「テレビの横に置いてたよ。受け皿に入れて食べさせてね」
絹旗「了解です……お風呂で変な事したら駄目ですからね」ジトー・・・
香焼「しないっつーの」ハァ・・・
さっきからやたらとレッサーみたいな事を言う。あのキャラは何人もいりません。勘弁して下さい。
香焼「……最愛こそ、馬鹿な事しないでよ」ジトー・・・
絹旗「ヴぁぇえっ!? す、する訳ないでしょう!!」カアアァ///
香焼「素っ頓狂な声を……お願いだから悪戯しないでよ。信じてるけどさ」テクテク・・・
絹旗「え、あ、そ、そうですよね! 悪戯。うん、悪戯ですか。あ、あはははは……しませんしません」ポリポリ・・・///
何か心配だ。まぁ弄られて拙いモノはリビングにはないので大丈夫だろう。
一応、携帯だけ持って風呂場へ向かった。
415 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 04:47:21.20 ID:VWpkMbpZ0
――絹旗side――
香焼がお風呂に行った。とりあえず、もあいのお菓子を袋から出す。
見た目普通の餌との違いが分からないが、もあいが喜んで喰いついているのを見るにやはり甘味だったのだろう。
絹旗「でも……人のウチの冷蔵庫を勝手に開けるのは、ちょっと忍びないですね」ポリポリ・・・
やはり香焼を待ってから食べよう。彼はどれくらいで上がるのだろうか。
絹旗「…………、」チラッ・・・
風呂場の方を見遣る。
今彼は……さっきまで私が入っていた浴槽に浸かっている。一体どんな事を考えているのだろうか。
絹旗「や、やめましょう。こんな考え」ポッ・・・///
もあい「にゃー」ジー・・・
例の本の所為で思考がおかしい。このままじゃ何れ彼に悟られて変態女だと思われてしまいかねない。
自分は麦野や結標(変態女共)とは違う。プライベートではあくまで『普通の子』なのだ。
絹旗「……さっきの本、私がお風呂に入ってる間に片付けたかな」チラッ・・・
リモコンの下の新聞を捲る……まだ在った。
もしかしたら自分でも此処に置いていた事を忘れているのだろうか。
絹旗「それは無いですね……じゃあ何で……はっ!?」ドキッ・・・
まさか、自分に見せつける為!? 何の為に!?
絹旗「わ、私をその気にさせる為!?」ドキドキ・・・///
まさか彼が……いや、しかし彼も男。疚しい気持ちの一つや二つあってもおかしくはない。
先程、風呂場で払った筈の邪念が再び蘇える。
絹旗「…………、」ゴクッ・・・///
胸が苦しい。喉が渇く。
風呂上がりで、しかもキツめのタンクトップを着ている所為だろうか。そういえば……このタンクトップ薄くないか?
立ち上がり窓ガラスで今の恰好を確認してみる。
絹旗「……ガラスじゃ分かり辛いけど、もしかして」ポッ・・・///
突起が目立ってたりしないだろうか。不安だ……いや、もしやそれを狙って彼がこのタンクトップを渡したのかもしれない。
だとすると、やっぱり、今夜私は『階段』を昇るのか!?
先程から『もしかして』と『やっぱり』の繰り返し。自分が酷い妄想に陥ってるのも理解できず、私は無駄な悩みで混乱していた。
416 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 05:18:39.90 ID:VWpkMbpZ0
駄目だ……落ち着け、私。此処で落ち着かないで如何する。
これは私の超空回りなだけかもしれないし、例え彼が望んだ展開だとしても余裕の無い女だと思われたくは無い。
やはり一服するべきだ。香焼には悪いが冷蔵庫を開けさせてもらう。
買ってきたカップゼリーとコーラを……
絹旗「……あれ?」ピタッ・・・
コーラが見当たらない。野菜室を探したがそこにもない。
もしかして冷やさず仕舞いだったかと、買い物袋を見たが、調味料類しか入ってない。
仕方ないので麦茶でも頂こう、そう考えた時だった。
絹旗「ん? ジュースある……これ飲んで良いでしょうか」チラッ・・・
英語で色々書いてあるので良く分からないが炭酸飲料の様だ。英国から買ってきたやつかもしれない。
缶のデザインがコーラに似ているから味も似ているだろう。何本もあるし、一本くらい貰っても大丈夫だと思う。
絹旗「ゼリーは……ありますね。よし、コレ食べながら落ち着きましょう」
ソファに戻り、今後の対策(?)を考える。
絹旗「うん……私から動いちゃダメですね。香焼がアクション起こすまでは待機です」プシュッ・・・
もあい「にゃ?」プシュ?
絹旗「私の超妄想暴走である可能性だってあります。勘違いだったら私、超痛い子です……っ?! 炭酸超強っ!」ゴクゴクゴク・・・クゥー!
もあい「……みー」ダラダラ・・・
絹旗「うー……私は……お尻振って男を誘うような淫売じゃないんです……ふぅ……これ、意外と美味しいですね」ゴクゴク・・・プハー!
もあい「なぅ……、」ジー・・・
絹旗「第一、根底から……超おかしいんですよね……何で私がこんな悩み、持たなきゃならないんですかァ」ゴクゴク・・・
もあい「…………、」タラー・・・
絹旗「考えてみればそこにエロ本があったってだけの話でしょう。それ自体に彼のメッセージが詰まってる訳ァ無いンですよ」ゴクゴク・・・
もあい「…………、」トコトコ・・・
絹旗「あァー……もあいィ、コッチ来なさい。ちょっと話合いましょうよォ……あ、ジュース無くなっちゃった」ゴクゴク・・・カラン・・・ガシッ!
もあい「にゃっ!?」シャー!
炭酸はキツいが、とても美味しい。もう一本くらい貰っても大丈夫だろう。
絹旗「頂きますよォっと……ぷはァ! うー……それに何で香焼と情交如何こうの考えに陥ってるンですか? 意味分かりませン」ゴクゴク・・・
もあい「にゃぅ!」ジタバタ!
絹旗「私もガキですけどォ香焼だって超ォガキンちょじゃないですか。4,5年早いですよねェ」ゴクゴク・・・ヒック・・・
周りは如何だか知らない。だが私は自身の貞操を軽んじた事は一度も無い。
周りは周り。自分は自分だ。私はそんなに安い女じゃない。
417 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 05:55:33.71 ID:VWpkMbpZ0
だがしかし、最悪を懸念した事もある。
もし麦野の命令で男を誘惑して来いと言われた場合、自分は断れないだろう。
嫌々でも股を開いて、好きでも無い男に愛撫され、犯されるかもしれない。
絹旗「そンな事、言わないとは信じてますけど……言われたら断れませンよ」ゴクゴク・・・ムゥ・・・
かといって、好きな人などいない……多分、いない。
絹旗「…………、」ジー・・・
恋人など作れない。作っちゃいけない。自分は汚れモノなのだ。相手が可哀想だ。
もあい「……にゃん」ペロペロ・・・
絹旗「もあい……そうですね。暗い話は止めましょう」ナデナデ・・・ゴクゴク・・・
仕事の話はストップ。今の私は『殺人の道具(アイテムの窒素装甲)』ではなく、絹旗最愛個人なのだ。
絹旗「香焼……まだでしょうか」ゴクゴク・・・
もあい「……みゃぅ」ペシペシッ
絹旗「まァ香焼も疲れてるンでしょうね。私の事、エスコートして……でも無理矢理連れ回される私の立場も考えろォってンです」ゴクゴク・・・
引き籠りだって、生活出来る。同い年たる彼に社交性云々を説教されたくない。
それだけじゃなく、サンチョクに行った時も、セブンスミストの屋上で厄介なヤツらに会った時も、
ゲームセンターで恥掻いた時も、バッティングセンターで無理した時も、夕飯の買い出しの時も……
絹旗「いつだって……自分勝手なンですよ。私より超弱い無能力者(レベル0)のくせに」ゴクゴク・・・ムスー・・・
私の気持ちに関係なく、自分勝手にズカズカと踏み込んでくる。まさに超猛毒だ。
知らぬ間に缶が空になっていたので、最早お構い無しにもう一本開ける。
絹旗「良いですかァ、もあい……世の中、正しくは弱者が強者に従わなくちゃいけないンですよ?」ゴクゴク・・・
もあい「……にゃぅ」キョトン・・・
絹旗「だからァ……本来、香焼は私の言う事を聞かなきゃいけないンですってば!」ゴクゴク・・・ムンッ!
もあい「にゃん」ジー・・・
絹旗「それなのに、いつもいつもいつもいつも……兄貴面してさァ……アンタは浜面じゃないンですよっての」ゴクゴク・・・
まぁ浜面も兄貴という訳ではないが、少しばかり花を立ててやろう。
絹旗「こンなエロ本隠し待ってる様な子供がァ! 私に対して……私に、向かって」ゴクゴク・・・ピタッ・・・
『もう知らない』、『さよなら』、『自分はもう押し掛けないから』。
絹旗「っ」グッ・・・グスッ・・・
もあい「みー」フシフシ・・・
絹旗「ン……ええ、大丈夫です。駄目ですね。何でもマイナスに考えちゃいます」フルフル・・・ゴクゴク・・・
だが、こうも言った。『おいで』、『一緒に行こう』、『離れないから』。
彼は……とてもとても優し過ぎる。だから私にとって超残酷なのだ。
418 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/10(土) 06:37:03.79 ID:VWpkMbpZ0
色々考えた所為か、頭が疲れてきた。
おまけに何だか暑苦しい。そろそろ寝巻きに着替えよう。
絹旗「……大きいです」ブカブカー・・・
ハーパンが大きくて恰好悪い。贅沢言える立場じゃないが、これならTシャツを羽織るだけでも良かろう。
元々大きめのTシャツ故、ワンピ代わりになる。ボクサーパンツの太腿部分が少々はみ出るが、その程度如何でも良い気分だった。
絹旗「えへへ……ちょっと短いけど、ちょっと大人っぽいでしょう? 魅惑的?」フフッ
もあい「みゃ?」ジー・・・
絹旗「……うん。今日は、彼に委ねたンでしたね」スッ・・・ゴクゴク・・・
再び缶が空になる。
絹旗「もう一本だけ」ガチャッ・・・
まだ大量にある。もし飲んではいけなかったモノであれば後で弁償すれば問題無かろう。
絹旗「ンー……やっぱ暑いですねェ。流石にコレ脱ぐ訳にはいきませンけど」ゴクゴク・・・
もあい「にゃー」ペシペシッ
絹旗「はいはい。寝る前にはトイレ行きますから心配しないでください」ゴクゴク・・・
もあい「……にゃう」ジー・・・
絹旗「ふゥ……香焼遅いですねェ……はっ!? やっぱり、私と同じ事考えて……むゥ」カアアァ///
お風呂で、その……一人エッチしてたら如何しよう。
絹旗「だ……駄目駄目っ! そンな事考えちゃいけないンです!」ゴクゴクゴクゴク・・・カンッ!
ジュースを一気飲みして、布団にダイブする。兎に角この家に居る内はエッチな考えを持つのは止めよう。
先の本はエプロンと一緒にソファの裏にでも隠してしまえ。そうすれば忘れられる。
絹旗「うン、これでOK……あー、何だかクラクラしますね。やっぱ色ンな事考え過ぎましたか」ケップ・・・
たかが男の子一人の事で能力演算より遥かに頭を使っている。なんて馬鹿馬鹿しい。
余談だが、先程から勝手に装甲が出てきている気がする。気のせいだろうか。
一寸後風呂場の方から音がした。香焼が上がったのだろう……ふとゲコ太着ぐるみに目が行った。
絹旗「…………馬鹿香焼」ギュウウゥ・・・
力いっぱい抱きしめる。
絹旗「でも、やっぱり……や……うゥン……うン……よしっ!」グッ・・・
何だか心の箍(たが)が外れた気分だった。もうこのまま彼を困らせてしまおう。彼と腹を割って話そう。そう決めた。
結果、嫌われても良い。面倒臭がられても良い。ウザがられても良い。
私にとって何か特別な彼だからこそ、面と向かって言うべき事を言い、聞くべき事を聞きたい。
そう決意し、自分と香焼の分のジュースを2本を取り出して、風呂から上がってくる彼を待った……―――
419 :
>>1
[saga]:2011/09/10(土) 06:40:42.86 ID:VWpkMbpZ0
はい、今回は此処まで。次回で終わらせたいです。
途中絹旗が何故一通さん口調になってたかは、お察し下さい。
もしかしたら次回R指定入るかもしれないのでご了承を。ではおやすみ! ノシ”
420 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/10(土) 07:31:26.22 ID:55lNZjHE0
さwwけwww
そしてR予告キターo(*゚▽゚*)o
>>1
乙
421 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
:2011/09/10(土) 09:37:58.89 ID:k0uHBZp+0
乙!
もあいの反応からして、絶対にジュースじゃないなあれww
422 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/10(土) 09:38:36.40 ID:k0uHBZp+0
sageが外れてました、申し訳ありません
423 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/10(土) 17:24:07.89 ID:byBANS3DO
乙。絹旗の口調ww 下手すると香焼殺されますね。
それにしても発情期の絹旗とか‥‥胸熱ッ!!(*´Д`)ハァハァ
424 :
>>1
[saga]:2011/09/11(日) 17:52:06.73 ID:aIXMpa2I0
こにゃちわ。ボチボチ投下!
425 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/11(日) 17:53:26.66 ID:Ji9kxeaF0
全裸で舞ってました!
426 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/11(日) 17:53:27.81 ID:9CwZdb2t0
まさかのリアル遭遇!?
427 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/11(日) 17:59:39.54 ID:nbuJKnCAO
禿げ上がる程に、まってましたぁ。
428 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[hage]:2011/09/11(日) 18:01:51.92 ID:4VDIOdQTo
>>427
元からだろう
429 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 18:45:23.68 ID:aIXMpa2I0
―――PM11:00、居酒屋『ブラックウィドゥ』・・・・・
麦野「―――……私だってよぅ……普通の女なのよ。まだ歳にして高校生なのよ? なのに皆してババァ扱いするし……、」ウルウル・・・
神裂「その気持ち! 分かりますよ! 私だってまだ18です! 何が結婚適齢期を過ぎた淑女ですか!!」プンスカッ!!
固法「ま、まぁまぁ。少しお水飲みましょう」タラー・・・
五和・固法「「え……遠慮しときます」」タラー・・・
麦野「美偉! アンタは勝ち組だから良いわよ!! どうせあと2,3年もしたらママになってるんでしょ!」ムキー!
固法「な、なってないわよ!」カアアァ///
浦上「へぇ〜……でも、某第3位さんの末妹さんから『ミィは私(ミサカ)のママなの!』と呼ばれてるそうですヨ」ニヤニヤ・・・
固法「う、浦上ちゃん!」ンモー///
結標「一方通行(アイツ)のガキんちょかぁ……既にママとか『奥様は女子高生』ってヤツね。世も末だわー」ハハハ
神裂・五和「「奥様……良いなぁ」」ウフフ・・・
麦野「火織は私より先に結婚したら打っ殺すわよ」ガシッ!!
神裂「な、何で!?」ハァ!?
麦野「イーーーーヤーーーーなーーーーのーーーーっ!! 最後まで独りはイヤぁ!! あ、結標も同じよ?」ギロリ・・・
結標「ハァ!? 意味分かんないわ。何でアンタと不幸を共有しなきゃいけないのよ。勘弁して」ジトー・・・
麦野「がああああぁ!! 火織と結標が恋人作ったら私グレてやるっ!!」ウワアアアァン!!
固法「もう十分グレてるじゃない」ハァ・・・
結標「その歳でグレるとか」ヤレヤレ・・・
麦野「くっ……お前と年齢大して変わらないわよ!! 畜生! 童顔だからって調子乗んなよ、結標!!」グワシッ!!
結標「ちょ!? 何処触ってんのよ!!」カアアァ///
麦野「胸は私達の中で最下位でしょ! 矯正してやるわっ!!」モニュモニュ!
結標「いやああああああぁ!! 止めれえええええぇ!! 五和ぁ! 助けてよおおおおぉ!!」ジタバタ!!
五和「あー……飛び火が怖いのでパスします」タラー・・・
結標「薄情者!! グレてやる!」ウワアアァン!!
固法「結標さんも大概不良少女でしょ」タラー・・・
浦上「アハハ。楽しいですネー」クスクスッ
神裂「ええ……ところで、アチラは大丈夫でしょうか?」フム・・・
浦上「香焼と最愛ちゃん? まぁ責任の取り方くらい知ってるでしょう。男の子ですから」フフフ・・・
神裂「それ、大丈夫じゃないです……、」タラー・・・
麦野「うわああああぁん! 絹旗に先越されるよおおおおぉう!!」ビエエエエェンッ!!
結標「だあああぁ!! 喧しい!! てか何!? 香焼くんピンチなの!?」エ!?
固法「まったく……結標さんの本命は香焼くんなのか『彼』なのか、謎ね」フフフ・・・
結標「ヴぁっ?! な、何で一方通行(アイツ)が出てくんのよ!?」カアアァ///
固法「あら。誰も一方通行くんだなんて言ってないわよ」ニヤリ・・・
結標「なぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!」カアアァ///
麦野「結標にも先越されちゃうよおおおおぉ!! 不幸だああああぁ!!」ワーン!!
結標「だ、ちょ、違うっつってんでしょ!!」ウガアアァ///
店員・他の客(アイツら五月蠅ぇ)ハァ・・・
430 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 19:09:19.49 ID:aIXMpa2I0
※訂正: 固法「ま、まぁまぁ。少しお水飲みましょう」タラー・・・ ⇒ 結標「面倒臭ぃ……五和、牛乳(固法)、席変わりなさい」ハァ・・・
―――PM11:00、ファミレス『Joseph's』・・・・・
フレンダ「―――はい、あーん♪」スッ・・・
フレメア「にゃー」パクッ!
浜面「……はぁ」トントン・・・
滝壺「心配?」モグモグ・・・
浜面「まぁ……そうかもな」トントン・・・
滝壺「煙草喫っても良いよ」モグモグ・・・
浜面「大丈夫だ。我慢できる」フゥ・・・
滝壺「その気持ちは……パパとして? それともお兄ちゃんとして?」ジー・・・
浜面「何だそりゃ……強いていうなら仲間としてじゃないかな」ゴクゴク・・・
滝壺「そう。私はお姉ちゃんとして、かな」モグモグ・・・
浜面「そうか……器の違いかな。俺は如何も落ち着けねぇ。オマエは凄いよ」
滝壺「ううん。はまづらの心配は正当だよ。ただ……、」ピタッ・・・
浜面「ただ?」
滝壺「普通の道徳倫理を教わって来なかったきぬはたを、私じゃ変えられない。むぎのでもフレンダでも、貴方は……どうかな?」ジー・・・
浜面「…………、」フム・・・
滝壺「でも、もし……私と『同じ気持ち』を持てたら、きぬはたも変われるかなって……期待してるの」フフッ
浜面「……お、おぅ」ポリポリ・・・///
滝壺「洒落になっちゃうけど、自分の『最愛』を見つけて欲しい。『Better(私達:アイテム)』じゃない『Best(最愛)』をね」コクッ
浜面「……大人だな、滝壺」クスッ
滝壺「子供だよー。ただのメルヘンチックとか浪漫チストなだけ……普通の方法じゃ助けてあげられないからね。縋っちゃうの」モグモグ・・・
浜面「いや、現実性のある『望み』だと思う。凄いよ、オマエの考え」ゴクゴクッ・・・
滝壺「ありがと、はまづら」フフッ
フレメア「お姉ちゃん、いちゃいちゃー」ジー・・・
フレンダ「こら! 見ちゃいけません!」メッ!
431 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 19:21:58.85 ID:aIXMpa2I0
―――とある翌日、PM11:15、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
三十分もかけずに風呂から上がる。
もしかしたら最愛は疲れて先に寝てるかもしれない。ちゃんと布団を敷いていれば良いのだが。
髪を乾かし、寝巻きの甚平を着て、リビングに戻ってムサシノ牛乳を飲んで……と、何やら嫌な予感。
妙に臭うというか、空気が薄いというか。
香焼「……最愛?」ガチャッ・・・
居間のドアを開けると、そこに……真っ赤な最愛がいた。
寝巻きは着ず、ソファにグッタリと横になり、もあいを抱えている。
香焼「さ、最愛!?」ギョッ・・・
絹旗「…………、」ボー・・・
香焼「ど、どうしたの!? やっぱり具合悪いの?」テクテク・・・
絹旗「……あィ?」チラッ・・・
何故か目が座ってる。
香焼「大丈夫、なの?」タラー・・・
絹旗「……はィ?」ノソッ・・・
香焼「あ、無理しなくていいから!」バッ・・・
絹旗「超、余裕ですゥ……うゥ」グデェ・・・
もあい「にゃうっ!」ジタバタ!
暴れるもあいをガッチリ掴んだまま、ソファを転がる最愛。
何かおかしい……そう思って辺りを見回し、気が付いた。
テーブルの上に散乱しているカクテルの缶を。
香焼「さ、最愛! これ、飲んだの!?」ギョッ・・・
絹旗「えェ……うゥ……コーラよりも炭酸キツかったですけど、超美味しかったですよォ」フフフ・・・
香焼「…………、」タラー・・・
姉さん達が海外から買ってきた『キューバ・リバー(ラム酒のコーラ割)』の空き缶が4つ。空いてないのが2つ。
香焼「ば、馬鹿最愛」ハァ・・・
絹旗「むっ! 馬鹿って言う方が超々々〜〜馬鹿なンですよォ!」フラフラ・・・
もあい「みゃっ!?」イヤイヤ!
無理に立ち上がろうとして、転びそうになる酔っ払い少女。自動防御能力者とはいえ、演算が狂って怪我をしかねん。
もしそうなって滝壺さんに折檻されそうになったらと……責任は姉さん達に取らせるとしよう。
432 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 20:42:03.17 ID:aIXMpa2I0
さておき、無理矢理でも寝かせないと拙い。
その前に服を着せなきゃ……正直、目のやり場に困る。
香焼「最愛、えっと……まず服着てよ」ポリポリ・・・///
絹旗「ンー……超暑いンでイヤです」グデェ・・・
香焼「ハァ。それ飲んだからでしょ」ムゥ・・・///
絹旗「ふェ? 美味しいですよ? あ、そうだ。香焼の分も用意しといたンですよ。ほら!」グッ!
香焼「……飲まないよ」タラー・・・
絹旗「何でですかァ! 私が準備しといてあげたンですよっ!」ムンッ!!
その気持ちは有難いが、ミイラ取りがミイラになる訳にはいかないのだ。
軽めのワインやチュウハイなら耐性があるが、カオリ姉さんや五和が飲むクラスのお酒で酔わない自信はない。
余談だが後日、滝壺さん達に聞いた話によると最愛にお酒を飲ませてはいけないらしい。すぐ酔うし能力演算がおかしくなるとか。
香焼「お願いだから良い子にしてよ」ハァ・・・
絹旗「む……子供扱いしないで下さい! 私はレディなンですよ!」ジトー・・・
香焼「はいはい。とりあえず布団敷いて上げるから最愛は寝巻き着といてね」ッタク・・・
絹旗「…………、」ジトー・・・
もあい「んなぅ」オドオド・・・
テーブルを退かし、そそくさと空き缶をビニール袋に詰め、開けてない缶を冷蔵庫に―――
絹旗「待って下さい」ガシッ!
香焼「は?」ピタッ・・・
―――しまおうとした瞬間、両手を掴まれた。
やれやれと呆れ半分申し訳無さ半分で、振り切ろうとしたがピクリともしない。凄い力だ。
絹旗「香焼……飲ンで下さいよ。折角準備したンです。美味しいですから」ジー・・・
香焼「あ、え、その……の、飲んだ事あるよ。でも自分の口には合わなかったから」アタフタ・・・///
絹旗「こらァ。何処見てンですか? 目ェ見て話して下さい」ジトー・・・
香焼「あ、ぅ」オドオド・・・///
見れません向けません。正面向いたら最愛さんの際どい肢体が見えちゃいます。
433 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/11(日) 20:45:18.55 ID:jrXudDHDO
キタアアアァ! 全裸待機っ!
434 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 21:00:34.28 ID:aIXMpa2I0
力任せにグイッとソファに押し付けられる。
男の力とか魔力とかで如何こう出来る問題じゃない。まさに重機に押されている様だ。
しかしこのままではいけない。目を逸らしながら最愛の説得を続ける。
香焼「さ、最愛。君は間違ってお酒を飲んじゃったんだよ。だから」
絹旗「目ェ見て話さない人の話は聞きませン」フンッ・・・
香焼「っ……え、と……兎に角、酔ってるんだってば。お酒臭いよ」タラー・・・///
絹旗「むゥ。レディに対して臭いとは、超失礼なヤツですね」ジトー・・・
香焼「ち、違う……ああもう!」ムゥ・・・///
駄目だ。思考が正常じゃない。
絹旗「飲ンで下さいよ。準備してあげたンです」グッ・・・
香焼「…………、」タラー・・・
絹旗「飲まねェと潰しますよ。押し花みたいにペチャンコにしちゃいます」ギロッ・・・
アニェーゼみたいな口調になってますよ。勘弁して下さい。
香焼「っ……い、一本だけだよ」タラー・・・
絹旗「ふふっ。ええ。もう一本は私のですから」ニコニコッ
香焼「ま、まだ飲む気!?」ジトー・・・
絹旗「ラス1ですよ。ラス1」フフフ・・・
仕方ない。一本付き合えば言う事を聞いてくれるだろう。
アルコール度数13°のキューバ・リバーカクテルを受け取り、タブを開ける。
絹旗「ンふふ。それじゃァ、かンぱ〜い!」カンッ!
香焼「はいはい乾杯……っ」クゥ・・・
絹旗「ンっ……ぷはァ! 超ォ美味しィですねっ!」フフフ・・・
香焼「うぅー……自分、炭酸苦手なんだよ」ハァ・・・
絹旗「ハハハ。まったく、香焼はお子ちゃまですねェ」ニヤニヤ・・・
香焼「悪かったね。子供っすよ」ッタク・・・
アルコール強いは炭酸キツいはで、まさに低身長者の敵ともいえる飲料だ。もう絶対飲みたくない。
435 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 21:05:48.01 ID:aIXMpa2I0
さて、では言う事を聞いてもらおう。まずは―――
@服着て下さい。
A服は良いからすぐに寝なさい。
B水飲んでトイレ行って、顔洗ってきなさい。
>>438
436 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(栃木県)
[sage]:2011/09/11(日) 21:06:55.25 ID:8/eEu7kI0
B
437 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/09/11(日) 21:07:17.29 ID:wxDVSNrko
A
438 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/09/11(日) 21:10:07.41 ID:uHgkgzkAO
2
439 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 21:26:14.17 ID:aIXMpa2I0
―――もはや、服とか何とか言ってられる状態じゃないな。
香焼「最愛」ポンッ・・・
絹旗「ひゃい?」トローン・・・
香焼「ひゃいって……もう寝よう。布団敷いてあげるから」
絹旗「っ! ま……まだ眠くないです」アタフタ・・・///
急に目を見開く最愛。だが無茶してるのが丸分かりだ。
自分が立ち上がり、予め出しておいた布団をテーブルのあった場所に敷こうとした瞬間、再び掴まれた。
空気読めない事言いますが、すいません。マジで痛いです。
香焼「最愛、放して。もう眠いんでしょ?」
絹旗「…………、」フルフル・・・
香焼「もぅ……じゃあ何? どうしたら寝るの?」
絹旗「……まだ寝ませン」ムゥ・・・
会話のイタチごっこ。キリが無い。
香焼「じゃあ自分は先に寝るよ。良いの?」
絹旗「だ、駄目です」ジー・・・
香焼「じゃあ一緒に寝ようよ。疲れたでしょ」ハァ・・・
絹旗「っ!?」ドキッ・・・カアアァ///
香焼「あ……いや、その、そういう意味じゃなく」タラー・・・///
絹旗「……良いですよ」ボソッ・・・
香焼「え」ピタッ・・・
もあい「にゃ?」ピタッ・・・
何だって?
絹旗「一緒に……寝ますか?」ジー・・・
香焼「なっ!? だ、駄目に決まってるだろ!」カアアァ///
意味の分からない事を言わないで下さい。対応に困ります。
絹旗「意味、分かるでしょう?」トローン・・・///
香焼「っ……さ、最愛。酔ってて自分でも言ってる事分かって無いでしょ」ポリポリ・・・///
絹旗「……超朴念仁」ボソッ・・・
香焼「は?」
絹旗「……何でもありませン!」フンッ!
何か癪に触ったらしく、僕の手を離しソファの上に体育座りをする最愛。
お願いです。本っっっ当に目のやり場に困るので、そういう姿勢取らないで下さい。
440 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 21:47:24.27 ID:aIXMpa2I0
途方に暮れ、もう勝手にしろとブン投げようかと思ったが、今回は此方の不手際から生じた問題。
姉達が酒を冷蔵庫に入れて無ければ最愛はこんな状態にならなかった。見捨てる訳にもいくまい。
香焼「最愛。一体何したいの? もしかしてゲームとかテレビみたいとか?」ハァ・・・
絹旗「何回も言いますけどォ……こっち見て話してくださいって」ジトー・・・
香焼「む、無理だよ」ポリポリ・・・///
絹旗「ふふっ」ニヤニヤ・・・///
コイツ、わざとやってるな。レッサー並の小悪魔っぷりだ。
しかしまぁ酔うとアニェーゼみたいになったりレッサーみたいになったりと……お酒には気を付けよう。
香焼「と、兎に角布団敷くからね」イソイソ・・・
絹旗「あー。勝手な真似してェ」ジトー・・・
香焼「勝手も何も自分の家っす」ハァ・・・
絹旗「……むゥ」グヌヌ・・・
もあい「みゃぅ」トコトコ・・・
香焼「こら、もあい。そこは最愛の布団だ」シッシッ!
絹旗「別に良いですよ。もあいも一緒に寝ますから」
その布団を洗濯する身にもなって下さい。
とりあえず、布団は敷いた。あとは酔っ払い我儘娘を寝かし付けるだけだ。
香焼「さぁ寝ろ!」ビシッ!
絹旗「イヤです!」フンッ!
香焼「無理矢理寝かすぞ!」
絹旗「出来るもンならやってください!」
あー……すいません。無理です。
絹旗「まったく、超弱いくせに粋がらないで下さい」ジー・・・
香焼「…………、」ムッ・・・
絹旗「ぁ……と、兎に角、香焼より先に寝ませンから」
それなら本当に先に寝てやろうか。もう構やしないよ。
441 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 21:52:32.82 ID:aIXMpa2I0
しかしあの恰好でソファに寝られて、翌朝風邪をひかれても困る。
最愛を布団で寝かせる為、こういう時は……―――
<安価>
>>445
※R-18行為は禁止。セリフでも行為でもおk!
442 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/11(日) 21:57:19.13 ID:SwqOrtLx0
最愛をお姫様だっこをして布団に投げる。
香焼はモアイ像を抱いてソファーで寝る!
443 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/09/11(日) 22:10:00.21 ID:wxDVSNrko
ksk
444 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/09/11(日) 22:13:07.64 ID:uHgkgzkAO
加速
445 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/09/11(日) 22:13:48.47 ID:KJFzcH/AO
どうにか布団におびき寄せよう!
先に布団に入る。
布団の中で上半身脱いで布団外に置く
その後もぞもぞ継続
446 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/11(日) 22:14:42.36 ID:jrXudDHDO
ゲコ太着ぐるみを抱きまくらにさせる!
447 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 22:30:08.49 ID:aIXMpa2I0
>>445
・・・ちょwww
*************
―――そうだ! 布団におびき寄せよう!
香焼「もあい。そこにいてね」ポンッ・・・
もあい「にゃ?」
香焼「最愛。もあいも寝るってよ」ポフポフ・・・
絹旗「私は後から入ります」ムンッ
何で意固地になってるのさ。それじゃあ。
香焼「……さ、最愛の布団潜っちゃうぞー。良いのかなー?」アハハ・・・
絹旗「…………、」ジー・・・
香焼「自分が寝ちゃうぞー。イヤだろー」ホレホレ・・・
絹旗「…………、」ジー・・・///
あのさぁ……ツッコみ入れて下さい。これじゃ僕がただの馬鹿だろう。
超変態とか超キモいとかでも良いんで、お願いします。
絹旗「は……入れば、良いンじゃないですか?」フンッ・・・///
香焼「なっ!?」ギョッ・・・
絹旗「……私、後から寝ますしィ」ドキドキ・・・///
香焼「……えっと」ポリポリ・・・
もあい「にゃー」ゴロゴロ・・・
どうしろと?
香焼「ほ、ホントに寝るよ? 言っとくけど自分の部屋は開けられないからね。ベットは使えないよ」ジー・・・
絹旗「シツコイです! だったらソファで寝ます!」フンッ///
香焼「……じゃあ服着て」ポリポリ・・・///
絹旗「超暑いンです! 何度も言ってるでしょ!」ジトー・・・
香焼「…………、」ハァ・・・
仕方ない。此処で狸寝入り決め込んどいて、最愛が寝たらこっちに移動させよう。
香焼「じゃあ……おやすみ」ファサッ・・・
絹旗「っ!! お、おやすみなさい」ゴクッ・・・///
電気は消さない。彼女が眠ったかどうか分かり辛くなる。兎に角……早く寝てくれよ、最愛。
448 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 23:15:23.36 ID:aIXMpa2I0
―――とある翌日、PM11:50、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
時刻は深夜を回ろうとしていた。
最愛は自分が寝たフリをしてすぐに、ゲコ太着ぐるみを引き摺ってソファの上で抱え出した。
そして時たま此方の寝顔を伺う様に顔を上げ、また着ぐるみをホールドする。その繰り返し。
因みに、最愛がやたらと足を組み変えたりキツいタンクトップを気にしたりとする姿を見てると『色々』危なかった。
そろそろ自分も眠くなってきたのだが、最愛の方は一向に寝る気配が無い。因みにもあいは寝てしまった。
もしや見たい深夜番組でもあるのか? そんな事を推測した一寸後……最愛が立ち上がった。
香焼(もしかしてホントにテレビか? トイレかも)ボー・・・
もあい「くぅ……すぅ」ムニャムニャ・・・
あれだけ大量に飲んだのだ。尿意を催してもおかしくはない。
だが、最愛はトイレには向かわず……部屋の空調・照明リモコンに手を伸ばした。
まさか暑いからって温度を下げるのか? 本当に風邪をひいてしまうぞ。
絹旗「…………、」チラッ・・・
香焼(ん? こっち見てる)モゾモゾ・・・
絹旗「……ン」ポチッ・・・
香焼(んなっ?!)ギョッ・・・
刹那、照明が尾灯まで落ちた。という事は、ついに寝るのか。
一寸の安堵。だがそれも須萸の間。
最愛が……此方に向かってきた!?
香焼(ちょ、酔って……いや寝ボケてる!?)アタフタ・・・
絹旗「…………、」スッ・・・
香焼(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいっ!!)ドキドキ・・・///
そして布団に……入らない。
猫の様に四足でゆっくりと僕の上を歩いてくる。そして顔を近づけ、止まった。
絹旗「…………、」ピタッ・・・ジー・・・
香焼「…………、」ドキドキ・・・
絹旗「香焼……起きてるンでしょ」ボソッ・・・
香焼「っ!!」ドキッ!
バレてーら。
絹旗「ふふっ。気配駄々漏れです。まだまだですねェ」クスクス・・・
仰る通りでございます……って、違う! そうじゃない! 分かってるなら退けろ!
449 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 23:30:54.56 ID:aIXMpa2I0
もう耐えられず、最愛に言葉をかけようとした時、アチラが先に口を開いた。
絹旗「何で狸寝入りなンてするんでしょうかねェ」スッ・・・
香焼「っ!! さ、最愛!?」ドキッ・・・///
身体を降ろす最愛。布団越しにでも、彼女の柔らかい肌を感じる。
絹旗「……こうしたいンじゃないンですか?」スリスリ・・・///
香焼「ば、馬鹿言うな! 度が過ぎるよ!」カアアァ///
絹旗「まったく、超チキンですね」ジー・・・
チキンでもヘタレでも結構。早く退けてくれ。
絹旗「嫌です……意地でも退けませン」グイッ・・・
香焼「さ、最愛。今君は寝ボケて、更に酔ってるからこんな事を」アタフタ・・・
絹旗「寝ボケてないです。酔ってもいません」ジー・・・
香焼「犯人はいつだって自白したりなんかしないっすよ」ドキドキ・・・
絹旗「意味分かりませン……でももうそれで良いや」グッ・・・
モゾモゾと布団越しに抱き着いてくる……本当に……ヤバい!
香焼「最、愛……ホントに……駄目。退けて」カアアァ///
絹旗「ェ……っ!!」ドキッ・・・///
熱膨張、とだけいっておく。
絹旗「っ……えっち」ジトー・・・///
香焼「う、五月蠅い! 離れろ!」カアアァ///
絹旗「…………、」ギュウウゥ・・・///
香焼「ちょ、な、最愛! ほ、ホントに離れてよ!」カアアァ///
絹旗「ふふふふ……超女々しいです。どっちが男だか分かりませンね……香焼、超可愛いです」クスッ・・・///
マジで怒るぞ。
絹旗「もう怒ってるじゃないですか?」ジー・・・
香焼「分かってるなら退けろ」ギロッ・・・
絹旗「…………、」ジー・・・
もあい「……にゃぅ」モゾモゾ・・・
どれくらいの時間、その体勢で居たか分からないが……とりあえず僕の膨張が止まる事は無かった。
450 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/11(日) 23:59:28.83 ID:aIXMpa2I0
いい加減頭に来たので、蹴ってやろうかと考えた瞬間、彼女の手が動いた。
何を思ったか……僕の股間に。
香焼「っ!!」ギョッ・・・///
絹旗「ふーン……私に欲情したンですか。とンだ変態さン、ロリコンさンですねェ香焼」スリスリ・・・///
香焼「お、同い年だろ……って、止めろ!!」カアアァ///
絹旗「男子は興奮すると『こう』なるンでしょ?」スリスリ・・・キュッ・・・///
香焼「っ……止め、てよ……お願い」ウルウル・・・///
絹旗「ふ……ふふふふ……超可愛いです」クスッ・・・///
忘れてた。彼女は普段大人しいが、ドチラかといえば嗜虐寄りの人間だった。
同じ状況で淡希さんやレッサー(※)は如何にか出来たけど、彼女の場合『物理的』に如何する事も出来ない。
※前シリーズ第4話、及び、第B話参照。
絹旗「でも……女の子だって、緊張するンです」ピタッ・・・///
香焼「っっ!!」ドキドキドキッ///
絹旗「固くなってるの……分かりますか?」ギュウゥ・・・///
再度僕に抱きつく最愛。彼女の言うとおり……胸の先端が固くなっていた。
香焼「さ、いあい……駄目だよ。ホントに……だめ」グググ・・・///
絹旗「……我慢してるンですか」ジー・・・
香焼「当たり前だろ……こんなの絶対おかしいよ」フルフル・・・
絹旗「ふーン……でも、後でオカズにするンでしょ?」フフッ・・・///
香焼「ヴぁっ!? ど、どこのそんな言葉を!? む、麦野さんだな!!」グヌヌ・・・///
絹旗「誰だっていいでしょ……安心してください。まだ処女でいるつもりですから、香焼の想像してる事は残念ながらしませンよォ」クスッ・・・///
香焼「っ……し、してない」フルフル・・・///
絹旗「あれれェ? 私はどんな妄想かなンて言ってませンよォ。ねェ香焼ィ……どンな妄想してたンですかァ?」ニヤニヤ・・・///
香焼「い、言える訳ないだろ!」カアアァ///
絹旗「ふーン。ムッツリ香焼ィ」ギュウゥ・・・///
こん畜生! あとで麦野さんに文句つけてやるからな!
香焼「と、兎に角離れてよ! もう寝るんでしょ? 自分の部屋戻るから!」ダラダラ・・・///
絹旗「戻って……何するンですか?」ジー・・・
香焼「寝るの!」ンモー!!
決めた! 金輪際、絶対に最愛には酒飲ませない! あと家には泊めない!
451 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 00:23:51.34 ID:wr0Vr5DX0
最愛を寝せようと思っていたのに、事態は悪転。
このままでは色々危ない状況のまま朝を迎えてしまいかねない。
合気道で投げられる相手なら良かったのだが、『装甲』とやらのせいで手首が曲がらない。
絹旗「……さァて。どうしてくれましょう」ジー・・・
香焼「如何って……何もしないで大人しく寝てくれよ」ハァ・・・
絹旗「そうですねェ……あ、そうだ! ふふふ……香焼ィ、そこ動いたら殺しますからね」ニヤリ・・・
冗談ではなく本気で殺されかねない。
最愛は何を思ったかいきなり立ち上がり、フラフラと危なっかしい歩みでソファへ向かう。
そして上半身だけで背もたれを乗り越え、ヨイショヨイショと何かをしだした……この間に僕の『ポジション』だけでも直しておこう。
あと、その恰好超際どいです。お尻こっちに向けないで下さい。
絹旗「よいしょ……私のお尻見て妄想するのは自由ですけど、逃げたら殺しますからねー。変態香焼ィ」グイッ・・・
香焼「し、しないよ! あと変態じゃない!!」ムゥ・・・
絹旗「変態じゃない、ねェ……ンしょ……ふふふふ。これが動かぬ証拠です!」バンッ!
香焼「……は?」ポカーン・・・
ソファの裏から『何か』を取り出した最愛。暗くて良く見えないが……雑誌か?
絹旗「ほら!」フラフラ・・・グイッ!!
香焼「……え、エロ本?」タラー・・・
絹旗「ほらっ!!」パラパラ・・・バッ!!
香焼「わっ、ちょ! ページ開くな!」カアアァ///
絹旗「何をカマトトぶってンですか? これ、香焼のでしょう? もう既にオカズにしちゃってるンでしょう?」ニヤリ・・・
香焼「し、知らないよ! そんな本、見た事無い!」カアアァ///
絹旗「ンもゥ。しらばっくれちゃってェ」ホラホラ・・・グイッ!
本当に知らないのだ。というか、そういう類の本をリビングに置いておく訳が無かろう!
何でそんな本があるのか……あ。
香焼「ば、馬鹿一号二号かああああぁっ!! アイツら以外居ねええええええぇ!!」ガアアアアァ!!
絹旗「香焼、超五月蠅いです! 深夜ですよ! もう少し静かに罪を認めて下さいな」ニヤニヤ・・・
香焼「さ、最愛。それ、自分のじゃないっすよ……信じて貰えないかもしれないけど、五和と浦上が」アタフタ・・・
絹旗「ええ、信じませンよォ」フフフ・・・
香焼「…………、」ハァ・・・
困った。この状況如何しろってんだ。朝まで最愛のオモチャとしてからかわれるコースなのか?
452 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 00:45:05.03 ID:wr0Vr5DX0
ぶっちゃけお手上げ状態。もう好きにして下さい。
半ば開き直り、無言で天井を仰いだ。すると……最愛の反応が変わった。
絹旗「……認めましたか?」ジー・・・
香焼「認めるも何も、疲れたっす。如何でも良い」クタァ・・・
絹旗「…………、」ムゥ・・・
モゾモゾと上を這いあがり、今度は僕の胸の辺りに頭を置く最愛。
まるでもあいが遊び疲れた時の行動だ。
絹旗「……ごめンなさい」ギュッ・・・///
香焼「そう思うなら退けて欲しいな」ハァ・・・
絹旗「…………、」ムギュウゥ・・・
僕の胸に顔を埋める。退ける気は無いという事か。
絹旗「ねェ……変な事聞いて良いですか」チラッ・・・///
香焼「お断りだ」ボー・・・
絹旗「お姉さん達と……えっち、してるンですか?」モジモジ・・・///
香焼「んなっ?! にゃんですと!?」ギョッ・・・
お断りした結果が、この爆弾発言だよ。
香焼「す、する訳ないだろ!! 意味が分からない!!」カアアァ///
絹旗「……ホントに?」ジー・・・///
香焼「当たり前だよ。五和と浦上は論外だし、カオリ姉さんは……その……恐れ多いっす」タラー・・・
絹旗「…………、」ジトー・・・///
じゃあ君は浜面さんと情を交える事が出来るのか?
絹旗「で、出来る訳ないでしょう!!」カアアァ///
香焼「そういう事っすよ」ハァ・・・
絹旗「うゥ……でも……神裂さん達超綺麗ですし、それに……これ」パラッ・・・
先のエロ雑誌。どうやら漫画の様だ……シュチュエーションは、禁断の義姉弟愛。
こんなモノ、どこぞの変態義兄妹にあげてしまえ。
香焼「あのさぁ……雑誌に載ってるからってフィクションを現実の嗜好扱いしてたらの、ただの危ない人間っすよ」ハァ・・・
絹旗「……じゃァ、香焼はどンなのが好きなンですか?」ジー・・・///
香焼「言えるか変態最愛。さっきからおかしいよ?」ジトー・・・///
絹旗「わ、私は変態じゃありませン!!」カアアァ///
香焼「さっきの行動といい、どの口が言うか」フーン・・・
絹旗「ぐ、ぬぬゥ……五月蠅いですよ!」バンッ!!
香焼「い、ギぃッ!!」ゲホゲホッ!!
絹旗「あ、ご、ごめンなさい」アタフタ・・・
そんな顔するなら、さっさと能力切ってください。身が持ちません。
453 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 01:28:56.02 ID:wr0Vr5DX0
最愛の拳鎚(ハンマー)が鳩尾に入った御蔭で、余計グッタリと動けなくなってしまった。
まぁとりあえず怪我は無いので、落ち着いて下さい。救急車呼ぼうとするな。
絹旗「…………、」シュン・・・
香焼「はぁ……もう少ししたら此処立つから、そしたら寝なきゃダメだよ」ジー・・・
絹旗「…………、」シュン・・・
もあい「くぅ……、」zzz...
時刻はもう一時になる所。自分も最愛も眠くない訳が無い。
絹旗「……ねェ」ボソッ・・・
香焼「ん?」チラッ・・・
絹旗「私……迷惑ですか?」チラッ・・・
香焼「……そんな事、ないよ」ハハハ・・・
絹旗「……超、嘘です」ムゥ・・・
一転、ネガティブモードか。困ったものだ。
絹旗「今日だって……ホントは超無理してたでしょ?」ジー・・・
香焼「してないよ。楽しかったさ」
絹旗「……嘘です」
香焼「嘘じゃないよ……さて、そろそろ……っ」ピクッ・・・
存外、痛みが残ってる様だ。
絹旗「っ……、」モゾモゾ・・・
香焼「っ!? さ、最愛!?」ギョッ・・・
絹旗「動かないでください」スッ・・・
香焼「っ」ドキドキ・・・///
いきなり布団に潜ってくる最愛。更に、何を思ったか僕の甚平の上着の紐を解いた。
上は甚平一丁なのでそのまま素肌が見える形に。
絹旗「……ごめンなさい。やっぱり腫れてます」ピタッ・・・
香焼「っ……す、少し冷やせば平気だから」ドキドキ・・・///
絹旗「……ううゥ」ウルウル・・・
香焼「な、ほ、本当に大丈夫だから! 泣かないで!」アタフタ・・・
何かもう、どっちが怪我してるのかすら分からない。兎に角、早いとこ自分は退けよう。
454 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 01:47:17.98 ID:wr0Vr5DX0
……と、思った矢先。最愛がまたもやフラフラと立ち上がり冷蔵庫の方に向かった。
勿論、動いたら殺すという矛盾だらけの思いやりのお言葉を残して。
一寸後、冷凍庫から保冷剤を見つけて持ってきた。
絹旗「これ」スッ・・・
香焼「あ、うん。ありがと」コクッ・・・
絹旗「…………、」ペタン・・・
香焼「っ! そ、その……、」タラー・・・///
絹旗「え?」キョトン・・・
今更だが、最愛、自分の恰好考えてくれ。三角座りなんかされたら、また目のやり場に困る。
絹旗「……変態」ムゥ・・・///
香焼「どっちがだよ。いい加減服着なさい」ハァ・・・
絹旗「でも暑いンですよゥ」パタパタ・・・
香焼「…………、」プイッ・・・///
突起、見えそうです。自重して下さい。
絹旗「じゃ、じゃァ如何すれば良いンですか」ジトー・・・///
香焼「今自分が退けるから、服着て布団入ってエアコン付ければいいだろ」ハァ・・・
絹旗「だ、駄目ですよ。安静にしてなきゃ……そうだ!」ピンッ!
突飛押しも無い事を思い付いたらしく、また布団に潜り込む最愛。
すいません。正直なところ、そろそろムラっ気がピークなんですけど。
絹旗「こうすれば……2人とも超ヒンヤリです」ピタッ・・・///
香焼「っ……、」ドキドキ・・・///
僕が胸に当てていた保冷剤の上から、顔を乗せる最愛。お願いだから『下』は見ないでくれよ。
絹旗「大丈夫です。興味……無くは無いですけど、舐めたりしないンで」フフッ///
香焼「……アホ」ハァ・・・///
絹旗「アホ言う方が超アホなンですよォ」グリグリ・・・
香焼「ほっへはおふふぁ。(頬っぺた押すな)」ムググ・・・
結局、同衾する形となってしまった。
無論、僕も最愛も情を交える様なつもりは無いのでその点は安心だが……だけどやっぱりアウトだろう。
455 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 02:04:35.59 ID:wr0Vr5DX0
―――とある翌々日、AM02:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
眠れない。
ドキドキして眠れない。
お酒を飲んでしまった所為か、少々暑苦しい所為か。
もしくは……隣の彼女の所為か。
絹旗「何詩人気取ってるんですか? 相変わらず難しい事ばっか考えてますね」ジトー・・・
香焼「心読まないでよ……って、あれ? 酔い覚めたの?」チラッ・・・
絹旗「え、はい……って、何で分かるんですか?」キョトン・・・
『ん』が『ン』じゃないから。
絹旗「香焼も大概超メタですね」タラー・・・
香焼「お相子だよ……それより、もう部屋行って良いでしょ? 流石に眠いよ」ファアァ・・・
絹旗「あー……もうちょっとだけ、お願いします」キュッ・・・
香焼「……うん」ドキッ・・・///
猫が甘える様に、僕の腕を軽く抓む。
絹旗「今日は……、」ボソッ・・・
香焼「え?」チラッ・・・
絹旗「……ありがとうございます」ムギュッ・・・///
香焼「あ、うん」ポリポリ・・・///
楽しかったかい?
絹旗「本音を言えば……あんまり楽しくなかったです」アハハ・・・
香焼「そっか。まぁ自分が無理矢理連れ回しただけかもしれないからね」ペコッ・・・
絹旗「ううん。考え有ってそうしたんでしょう? 良い経験にはなりました」コクッ・・・
そう言って貰えると、頑張った甲斐がある。
456 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 02:33:43.02 ID:wr0Vr5DX0
でもね、と彼女は続ける。
絹旗「静かな方が良いんです。ワイワイガヤガヤも楽しいのかもしれませんけど……静かに、こうしてたりする方が私は好きです」ポンッ・・・///
香焼「え……、」ドキッ・・・///
絹旗「お、お昼寝とか猫達と遊んだりって事ですよ! 大勢よりは静かな方が良いってだけで」アタフタ・・・///
香焼「あ、うん、そうだよね」アハハ・・・///
絹旗「はい。えっと……まぁ、うん」アハハ・・・///
何だか気拙い。
絹旗「と、兎に角……香焼が心配する程、私は弱くありませんよ。人混みだって、歩くだけなら可能ですし」
香焼「うん……でも教室での自己紹介とかは出来なそうだよね」クスッ・・・
絹旗「うっ……い、良いんですよ! 学校行ってませんから」フンッ・・・
だがしかし、何れは普通の学校に戻るかもしれない。その時は如何する? 自分はいないかもしれないぞ。
絹旗「…………、」キュッ・・・
香焼「最愛……頑張ろう。自分だけじゃない。滝壺さん達も、佐天さん達も、皆手伝ってくれるよ」ポンッ・・・
絹旗「っ……お願いします」ドキドキ・・・///
悄らしくなる最愛。漸く眠くなったか。
絹旗「香焼……意地悪な事言って良いですか?」キュッ・・・
香焼「何?」
絹旗「私がもし……もしも……―――地獄に行くって言ったら、一緒に来てくれますか?」
香焼「っ」
絹旗「―――……えへへ。すいません。馬鹿な事聞いちゃいましたね」ペタン・・・
些か突然過ぎる。何の暗喩だ。
絹旗「冗談です。忘れて貰って結構ですから」クタァ・・・
香焼「…………、」ジー・・・
絹旗「そんな目で見ないで下さい……もう寝ましょう」ギュウゥ・・・///
香焼「シリアスな所悪いが……何故ホールドする?」ジトー・・・
絹旗「何故って、香焼は私が守ってやるんですから離しちゃいけないんですよー。香焼お姫様。私ナイトです」フフフ・・・///
逆だろ。勘弁してくれ。
絹旗「あー……また酔いが回ってきたかもしれません……眠気かなぁ」フニャフニャ・・・
香焼「眠いんでしょ。僕も眠いから離してってば」ハァ・・・
絹旗「おー。今『僕』って言いましたねぇ? ふふふふ……超可愛いですよ。普段からそう喋れば良いのに」トローン・・・
香焼「くっ……そう思われたくないから人称変えてるの」ハァ・・・
もあい「すぅ……にゃぅ」ムニャムニャ・・・
少しはグッスリ眠るもあいを見習って下さい。
457 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 02:54:52.22 ID:wr0Vr5DX0
だがしかし、離れない。もしかして右手の握力、能力で自動強化してるのか?
絹旗「細かい事は良いんですよ……ふぁあああぁ」トローン・・・
香焼「ったく。子供だな」フフッ・・・
絹旗「私の方が、超強いから……大人ですよー……ん……、」グシグシ・・・
香焼「……もう寝なよ」トン・・・トン・・・トン・・・
絹旗「……何処にも、いかないで」ボソッ・・・
…………。
香焼「……此処に居るよ」ポンッ・・・
絹旗「私の……味方ですよね……、」ムニャムニャ・・・
香焼「うん。安心して」トン・・・
絹旗「……砂皿とか……ゴージャスパレスの所行ったら、許しませんよ」ゴロン・・・
あの二人が何者だか分からないが、行かないよ。
絹旗「殺し屋です……、」ムニャムニャ・・・
香焼「っ……そう」トン・・・トン・・・
絹旗「狙撃屋と爆弾魔……同業……ん……、」グシグシ・・・
香焼「…………、」スッ・・・
絹旗「理事校生とか、十字教徒とか……手品師(マジシャン)とか……こうやぎが……何者かは、知りません……でも……ん……、」ボー・・・
香焼「……おやすみ」ポンッ・・・
絹旗「こっちには……こない、で………………すぅ……くぅ」スヤスヤ・・・
『こっちにはこないで』か。『地獄に行くけど、付いてくる?』とか誘ったくせに……本音はドッチやら。
香焼「殺人……同業……か」ハァ・・・
姉さん達が土御門を通して調べ済みだったようだが……本人の口から聞かされたくは無かったな。
きっと僕は彼女を止める事は出来ないだろう。だが、救う事は出来る筈。
香焼「救われぬモノに、救いの手を」ナデナデ・・・
絹旗「ん……、」クゥ・・・スゥ・・・
僕の事を甘ちゃんと呼ぶならそれでもいい。
だが、僕は僕のやり方で友達を助ける。手を汚さない偽善者がと言われようが、理想に殉じる覚悟で、皆を助ける。
それが姉さんの……女教皇様の教えなのだから。
458 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 03:17:17.08 ID:wr0Vr5DX0
一寸後……最愛が完璧に寝た様なので、布団から出ようとした。
が、やはり自動でグリップが働く様になっているのか出る事は出来なかった。
香焼「一応、男なんだけどなぁ」ハァ・・・///
色々シンドイ。
さて、何度も寝返りを打つ彼女からもあいを守りつつ、なるべく首から下を見ない様にする。
かといって顔ばかり見てるのも何処か恥ずかしい。まったく、度し難いな。
香焼「……そういえば、魔術で眠らせれば良かったんじゃ」ア・・・
抜かった。こんなに手間取ったのが馬鹿みたいだ。
やれやれと反省しながら、最愛が捌けた毛布を掛け直してやった……その時。
絹旗「……ん」パチッ・・・
香焼「あ、起きちゃった」タラー・・・
絹旗「…………、」ボー・・・
香焼「如何したの? まだ暑いの?」ジー・・・
絹旗「…………、」フルフル・・・
香焼「……最愛?」キョトン・・・
ボケーっとした表情で、トンデモ無い事を呟いた。
絹旗「おしっこ」ムニャムニャ・・・
……What’s!?
絹旗「おしっこ……したいです」ボー・・・
香焼「い、行っといでよ」アタフタ・・・
絹旗「ん……わっ」フラフラ・・・グラッ・・・
香焼「ちょ! もぅ……トイレの前まで連れてくから、しっかり掴まって」ハァ・・・
トイレ介護……いや、養護か。
絹旗「ん……おんぶ」グデェ・・・
香焼「なっ!?」ドキッ・・・
絹旗「背負ってくださいょ」ムニャムニャ・・・
今背負ったら背中越し布二枚で貴女の胸が!
絹旗「漏れちゃいます」ボー・・・
こん畜生! 消えろ! 僕の煩悩!!
459 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 03:40:24.48 ID:wr0Vr5DX0
最愛を担ぎ、急いでトイレまで運ぶ。
香焼「ほら、電気は自動で着くから」ガチャッ・・・
絹旗「ん……、」トコトコ・・・
まったく、寝ていても世話が焼ける。
頼むから寝ボケてパンツ降ろさないまま用を足しました、なんていう古典的お色気イベントは勘弁してくれよ。
一寸後……衣擦れ音。後、もよおし中の音。
本来は興奮する筈の音であるが、何故か安堵の念が浮かんだ。
香焼「……ん?」ピタッ・・・
麦茶でも飲もうかと一度リビングに戻ろうとした時、異常に気付く。
一向に……水が流れる音がしない。
香焼「……最愛?」コンコンッ・・・
返事が無い。
香焼「最愛さーん……おーい……ちょっと、え?」コンコンッ・・・タラー・・・
まさか……嘘だろ。
香焼「ご、ごめんね……最愛……、」ガチャッ・・・///
打ん殴られる覚悟で、ドアを開ける……すると案の定。
絹旗「すぅ……くぅ……、」スヤスヤ・・・
便座に座りながら寝息を掻いている最愛さんがいた。
香焼「……えー」タラー・・・
ぶっちゃけ、如何しよう。最愛を見ないようにしながら、途方に暮れた。
460 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 03:45:27.39 ID:wr0Vr5DX0
しかし、現実は現実。この状況をなんとかせねばなるまい。
僕は最愛を―――
@ちゃんと拭いてから、パンツを上げ、布団まで運ぶ。
A声を掛けて起こし、自分でトイレから出した後、肩を貸す。
Bトイレから出て、クラッカーで完璧に起こす。
>>464
461 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/12(月) 04:03:14.29 ID:jOPWOw/vo
ksk
462 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/09/12(月) 04:16:04.94 ID:ZQ0pwY6Yo
ksk
463 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/12(月) 04:51:12.45 ID:LCWy8DsH0
B
464 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/12(月) 04:51:51.34 ID:umGCn5zPo
1
465 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/09/12(月) 07:57:23.59 ID:7isBn/vDO
乙
1……頑張れ少年!
466 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/09/12(月) 08:27:32.59 ID:JUFXKKBj0
>>465
ageてますよお兄さん
467 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/12(月) 12:51:30.58 ID:VCpJiFrAO
>>465
頑張りすぎだよお兄さん
468 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/12(月) 14:43:16.41 ID:kn7CmCID0
>>1
まで寝落ち?
469 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/12(月) 15:21:06.30 ID:4VLGdorDO
>>1
が寝落ちるの久しぶりだなwwしかも安価@とか‥‥いつまでパンツ下ろしとけば良いんだ?
こんだけ待たせるたぁ、きっとエクスタシィな展開になるんだろ?
470 :
>>1
[saga]:2011/09/12(月) 21:03:23.91 ID:wr0Vr5DX0
こんばんわ・・・・・サーセン。
今日は寝ない様頑張ります!
471 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 21:27:36.62 ID:wr0Vr5DX0
―――……最後まで責任を持たねば。
香焼「……最愛」トントン・・・///
絹旗「ん……くぅ」スヤスヤ・・・
傍から見れば用を足している女の子に肩を掛けるという変態行為。
だが、彼女は一向に目覚める気配が無い。
香焼「……はぁ」ポリポリ・・・///
仕方あるまい。
考え方を変えよう。子供の下の世話。そう、下の世話だ。厭らしい事ではない。
よし……覚悟を決めた。
香焼「……最愛、ごめんね」タラー・・・///
絹旗「……んん」ムニャムニャ・・・
出来るだけ彼女の方を見ない様にしよう。
トイレットペーパーをニ三回手に巻いて、準備をする。
香焼「…………、」ゴクッ・・・///
さて、何処から手を入れればいい。前か、後ろか。
香焼「……後ろは、無理かな」チラッ・・・///
多分、便座の隙間が無い。となるとやはり……前。股の間。
絹旗「ん……くぅ……すぅ」zzz...
香焼「や、やっぱり……拭かなくても」ウーン・・・///
とは思ったが、やはり衛生的にというか、エチケットとして拙いだろう。
いや、自分が彼女を股ぐらに手を伸ばすという方が拙い気がするのだが……いや、そんな邪念を持つのは止めよう。
別に彼女と情を交える訳ではない。彼女の秘所に指を突っ込む訳ではないのだ。
香焼「……ほ、ほんと……ごめんね」スッ・・・///
最愛の右肩を左手で掴み、抱き抱える様に身体を支え、下を見ない様な体勢を取る。
そして……右手を股ぐらに伸ばした。
472 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 22:11:22.44 ID:wr0Vr5DX0
力が入っていない人間の身体は重いもので、彼女の太腿を開かせる際も大分力を入れた。
香焼「……っ」カアアァ///
絹旗「すぅ……くぅ……ん」ピクッ・・・
ゆっくりと、力を入れずにトイレットペーパーを秘所に当てる。
絹旗「くぅ……ん……ぁ……、」ピクンッ・・・
香焼「っ!!」ドキッ!!
絹旗「……すぅ」ムニャムニャ・・・
お願いです。驚かせないで下さい。色々吹っ飛びそうです。
香焼「に、ニ三回、拭けば良いのかな」アタフタ・・・///
絹旗「……くぅ」スヤスヤ・・・
大便と同じ要領なら、それで済む筈。なるべく力を入れないで、スライド。
絹旗「ん……ぁ……んんっ……ぅぅ」ピクンッ・・・
香焼「っ!! お、お願いだから……そういう声出さないでよ」ダラダラ・・・///
絹旗「……んぅ……ぁぅ……むぅ」ユラ・・・
香焼「ご……ごめん。もう終わるから」ゴクッ・・・///
未だ嘗て体験した事の無い、不思議な触り心地。
プニッとしてたりグニュッとしてたり、偶にチリチリした感触がある。まだ生え揃わっていない陰毛だろうか。
これが……女の子の、あそこ。
香焼「っ……って、馬鹿な事考えるなっ」カアアァ///
絹旗「ぁ、ん……くぅ……んん……ぁ……くぅ」ピクッ・・・フラッ・・・
香焼「え、えっと……これくらいで良いだろう」ゴクッ・・・スッ・・・///
絹旗「……すぅ……ん」スヤスヤ・・・
紙を便器の中に捨て、手を引き上げる。そしてレバーを上げ……一段落。
色々思う所はあるが……忘れよう。彼女と僕の名誉の為に。
香焼「あとは布団に運ばないといけないけど……っ」チラッ・・・
絹旗「ん……むぅ」ムニャムニャ・・・
今度は、パンツ、上げないと。
473 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 22:40:52.40 ID:wr0Vr5DX0
しかし、この姿勢からどうやって上げよう。
因みにパンツは足首まで下げているので、膝上辺りまでは上げる事は出来そうだ。問題はその後。
香焼「とりあえず……見ない様に、膝まで」スッ・・・///
絹旗「ん……むぅ」ムニャムニャ・・・
さて此処からだ。
もし僕が介護・看護のオムツ交換の実習授業を習っていたなら難なく終える事が出来たのだろうけど、生憎そんなものは専攻した事がない。
香焼「やっぱり起こすしか……でも此処で起こしたら、多分……、」タラー・・・
自分も彼女も恥ずかしい思いをする。何とか彼女を寝かせたまま、全て終わらせたい。
香焼「抱きかかえて、下着を上げよう」スッ・・・
絹旗「……むぅ」ムニャムニャ・・・
香焼「……ごめんね」グッ・・・
絹旗「ん……ぁ」ボー・・・
脱力状態の彼女の身体を支えながら……あ。
香焼「……ヤバっ」タラー・・・
この状態、パンツ上げられない。もう一回座らせるか? いや、それは先の二の舞だ。
こうなったら、この状態から……お姫様だっこして、布団まで運び、下着を穿かせるか。
だがそうなると、色々丸見えだ。
香焼「でも……他に方法は無いっすね」ウーン・・・///
トイレの中(この場)で、ペタリと三角座りされてモロ見え状態になるより、すぐにでも穿かせられる状態にした方が良かろう。
抱えている彼女の足を持ち――勿論、なるべく下半身は見ないようにしながら――お姫様だっこをした。
香焼「っ……運ぼう」テクテク・・・///
絹旗「……んん」ボー・・・
香焼(頼むから起きないでくれよ)ダラダラ・・・///
善意で行ってる筈の行いが、非常に後ろめたく思えてしまった。
474 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 23:11:43.37 ID:wr0Vr5DX0
一寸後、最愛を布団まで運び寝かせる事が出来た。
あとは下着を上げるだけ。
香焼「はぁ……見てない見てない見てない見てない」スッ・・・
絹旗「んん……、」ゴロッ・・・
香焼「なっ!? ね、寝返り打つなよ」ドキッ・・・///
中途半端な位置で手が止まる。
香焼「お願い……すぐ終わるから」スッ・・・
絹旗「むぅ……こぅ……ゃぎ……、」ムニャムニャ・・・
香焼「っ!!?」ギョッ・・・///
絹旗「……すぅ」zzz・・・
香焼「ね……寝言か」ダラダラ・・・///
まったく、心臓が幾つあっても足りない。
香焼「……見てない」ゴクッ・・・///
下心を押し殺し……漸く終了。死ぬかと思った。
絹旗「くぅ……すぅ」zzz...
もあい「にゃく」zzz...
布団に寝転がる大猫子猫に毛布をかけ、一息つく。
香焼「ハァ……ったく」ポリポリ・・・///
正直、ムラムラが止まらない。だからといって此処でヌいたら……最低だと思う。
香焼「でも……寝れないよ」ドキドキ・・・///
絹旗「んん……えへへ……、」ムニャムニャ・・・
香焼「ったく、どんな夢見てるんだか。呑気なもんだよ……でも……起きなくて助かった」ハァ・・・///
時刻は約3時半。
部屋に戻ったらマス掻いてしまいそうだったので、ソファに寝転がりタオルケットを掛け……勃ちっ放しのまま、眠りに就いた。
475 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 23:26:22.64 ID:wr0Vr5DX0
―――とある翌々日、AM08:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・(絹旗side)・・・
何やら擽ったい。そう思って目が覚める。
原因は一緒に寝ていたにゃんこが、自分より先に目を覚まし顔をペロペロと舐めていたからだった。
ノソリと身体を起す。頭が痛い。
絹旗「うーん……あれ」ボー・・・
もあい「なぅ」トコトコ・・・
記憶がアヤフヤだ。
状況を整理しよう。此処は香焼の家。昨晩私は泊まる事になった……それから?
絹旗「確か、お風呂入って……冷蔵庫を……あ」ピタッ・・・
そういえばお酒を飲んだとか如何とか、彼が言っていた気がする。
絹旗「……香焼は」キョロキョロ・・・
確か一緒に……同衾して、寝ていた筈だ。
というか、昨晩の事をうろ覚えながら思い出すと顔から火が出そうである。
絹旗「わ、私……超はしたない事を」カアアァ///
布越しではあるが彼のアソコを触ったり、自分の胸を押し付けたり……何故かそんな場面だけ、鮮明に思い出される。
いっそ死にたい。
絹旗「……ん」チラッ・・・
彼が居た。ソファの上で寝ている。多分、自分が寝入ってから其方に移動したのだろう。
まったく、こんな超絶美少女と同衾していたというのに何処までも律義というかヘタレというか……そこが美点なのだろうけど。
絹旗「起こした方が良いんでしょうか」ジー・・・
もあい「にゃぅ」フリフリ・・・
一応、今日も休日である。
グッスリ眠っているのを見るに、かなりお疲れなのだろう。無理に起こす必要はない。
476 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 23:43:05.54 ID:wr0Vr5DX0
さておき、他人の家で二度寝するのも難なので、トイレと洗面所へ向かう。
昨日貰った使い捨ての歯ブラシで歯を磨き、顔を洗って、トイレを済ませる。
そういえばトイレに行った際、便器内の小水と紙が流されていなかった。昨晩自分が寝ボケ眼でトイレに行った時、流し忘れたのだろうか。
兎角、彼が気付く前に流せて良かった。
絹旗「ふむ……超暇ですね」ボー・・・
もあい「なー」コロコロ・・・
テレビでも点けようか。いや、彼が寝ているので止しておこう。
とりあえず何時までもこの恰好でウロウロするのは下品だと思うので、浦上さんの寝巻きを着る事にする。
絹旗「……じゃあ、もあい。遊びますか?」ナデナデ・・・
もあい「にゃぅ?」チラッ・・・
絹旗「あー……五月蠅くしちゃダメですよね」チラッ・・・
ソファで眠る彼。確か一緒に寝たのは2時頃。もしかしたら、そろそろ起きるかもしれない。それまで待つとしよう。
もあい「……みー」トコトコ・・・ガサガサ・・・
絹旗「もあい、静かにしてください。お腹空いたんですか?」コラッ
もあい「みゃぅ」トコトコ・・・
絹旗「あ、香焼起こさなくても私が餌入れますから」メッ!
自分専用トレー(餌入れ)をカタカタ鳴らし、主――彼曰く、主は私とか――の下に行こうとするもあい。
そうはさせるかと、胴を掴んで布団の上に戻した。今餌出すから大人しくしてなさい。
香焼「……ん」ゴロッ・・・
絹旗「あ。ほら、起きちゃ………………っ!!」ドキッ・・・///
寝顔。女の子みたいな……いや、もしかしたら女の子より可愛いのではないかと思えるくらい愛くるしい寝顔。
絹旗「だ、だけど……っ」ゴクッ・・・///
下半身の方が、その……立派なテントを張っていた。
477 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/12(月) 23:56:53.28 ID:wr0Vr5DX0
確か昨晩、酔った勢いで散々超破廉恥な行いをしてやった筈なのだが、今現在、冷静な思考でソレを見ると……超々々〜〜恥ずかしい。
絹旗「……ん」ジー・・・///
何というか、まさしく『テント』だ。
浜面や黒妻(兄貴)さんの『もっこり』を意図せず事故で見た事はあるが、立派な『テント』を冷静に見たのは初めてかもしれない。
男性の平均サイズなど知らないので大きいとか小さいとかは分からないが、兎に角、膨れ上がってるという事だけは分かる。
香焼「……すぅ」zzz...
超女々しい顔して……何だか怖い。
もあい「にゃぅ」トコトコ・・・
絹旗「あ……、」ピタッ・・・
そういえば、毎朝もあいに起こされてるという香焼の言葉を思い出す。
だが、今起こして良いモノか。彼の疲労具合と、私に見られてしまったというプライドの面を考えて。
絹旗「……此処は―――
@やっぱり、もあいに任せましょう。
Aもあいに起こさせるくらいなら、私が。
Bもうちょっと寝かせましょう。
>>480
478 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 00:00:22.96 ID:fIOBzDODO
A
479 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 00:00:51.17 ID:rPDPByTgo
B
480 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 00:01:12.97 ID:Ojs0yZJb0
B
481 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage]:2011/09/13(火) 00:44:39.06 ID:yxMCntOdo
2
482 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 00:53:03.68 ID:HZoNzRMT0
……寝かせてあげましょう。
香焼「くぅ……ん」スヤスヤ・・・
絹旗「…………、」チラッ・・・
香焼「ん……ぁぅ」ゴロン・・・
絹旗「っ!!」ドキッ・・・///
今度は布団を蹴飛ばして、胸元を肌蹴させてる。
それだけでも艶っぽいというのに立派な『テント』さんまで……どうしてそんな超薄っぺらく超脱ぎやすい服を着てるのだ。
絹旗「…………、」ゴクリ・・・///
香焼「ん……すぅ」コロン・・・
超可愛らしい。でも下半身の『テント』や、見えそうで見えない乳首が超エッチぃ。
絹旗「……そー」スッ・・・///
香焼「……ぁ……っ……んっ」ビクッ・・・
絹旗「え、えへへ……ちょ、超可愛いです……ウェヒヒ!」ハァハァ・・・キャー///
香焼「ぅぅ……んっ……ぁぅ」ピクンッ・・・
絹旗「ッッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!! っ……ふぅ……ハァハァ」ジタバタッ///
出来心で乳首をちょっと触ってしまった。反応は……嬌声。
超スケベだと理解しつつも触ってしまった。反省と興奮の念を殺す為に、布団を抱えて後悔&悶える。
では次は『テント』を……と思ったが、流石に素面でそれは私の方が超恥ずかしい。やはり上半身だけに留めておこう。
それから暫く、起きるか起きないかのギリギリスリリングな境界線の悪戯を楽しんだ。
勿論、彼女―――じゃない。彼だった―――は予想通り、良い反応を見せてくれる。
『アんっ』とか『クぅ、んっ』とか……あぁもぅ……襲っていいですか?
絹旗「ち、違う違う……駄目です! 何考えてるんだ私!」フルフル・・・///
もあい「にゃー」トコトコ・・・
絹旗「あ、ちょ、だから行っちゃダメですって」ンモー・・・
オマエが言うなみたいな目で見られた。さーせん……そうだ。勝手ではあるが朝ご飯の準備でもしておこう。
此処で香焼を観察してるよりは、ずっと健全(?)な筈!
失礼ながらキッチンに入り、朝ご飯になりそうなモノを探す。パンにお米、シリアル。一応朝飯の主食系は備わっている様だ。
他人の家のお米を勝手に使うのは忍びないし、かといってシリアル程度じゃ足りない気がする。
となると……パンを焼く準備でもしておくか。
絹旗「……あとは牛乳と、サラダ?」ガチャッ・・・
野菜は色々揃っている。適当に切って並べればサラダになるだろう。
ファミレスのサラダーバーだって結構適当だし、多分、大丈夫だ。
慣れない手つきで奮闘しつつ、香焼が起きるのを待った。
483 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 01:23:21.39 ID:HZoNzRMT0
―――とある翌々日、AM09:15、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
トンッ……トンッ……という不規則な音で目が覚めた。眠い目をこすりながら身体を起す。
もう朝なのかと昨晩の事を省みて、自己嫌悪に浸った。
絹旗「あ。おはようございます」チラッ・・・
香焼「えっ」キョトン・・・
最愛がエプロンを着てキッチンに立っていた。
香焼「え、あ……おはよ」ポカーン・・・
絹旗「ふふっ。まず顔洗ってきたらどうです?」クスッ
香焼「あ、うん……って、いやいや」タラー・・・
何してるの?
絹旗「何って、朝ご飯ですよ。勝手に使わせて貰いました」ペコッ
香焼「それは構わないけど……、」ジー・・・
絹旗「あー……残念ながら下着エプロンじゃありません。ちゃんとパジャマ着ましたからね」テヘペロッ♪
香焼「そ、そういう事じゃないよ!」アタフタ・・・///
絹旗「じゃあ……堕天使えっちエプロンの方が良かったですか?」フフッ
香焼「ち、違……もぅ……朝っぱらから勘弁してよ」ムゥ・・・///
絹旗「うふふふ。はいはい、ごめんなさいねー」クスクスッ
もあい「にゃー」モグモグ・・・
もあいが先に朝飯を食べてるのを見るに、彼女は自分より大分早く起きたのだろう。
そんでもって、只今料理奮闘中と。料理出来るのか?
絹旗「サラダくらいは作れますよ。あとコンソメスープ。味噌汁は流石に無理ですけどね」ハハハ
どっちも手間は掛らない単純なモノだ。
だが生活力0と聞かされていた彼女が作っているのを見るに、それは称賛に値するモノなのだと思う。
484 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 01:37:40.99 ID:HZoNzRMT0
一寸後、トイレと洗面を済ませリビングに戻る。
テーブルの上には、やや焦げた食パンと、ただ野菜を適当に並べただけのサラダ、ハムとカニカマが入っているコンソメスープが並んでいた。
香焼「……おー」ジー・・・
絹旗「えっへん! どんなもんですか!」フンッ!
香焼「……ビックリしたよ」ジー・・・
絹旗「えへへ。やれば出来る子なんです! 超天才超最強超絶美少女最愛ちゃんです!」ドヤァッ!!
調子に乗り過ぎだが、黙っといてやろう。
香焼「とりあえず食べて良いかな?」ジー・・・
絹旗「はい、召し上がれ」コクッ
香焼「―――いただきます」ペコッ・・・
『祈』を済ませ、サラダを食べる。
絹旗「ど、どうでしょう?」ドキドキ・・・
香焼「ん……美味しいよ」コクッ・・・
絹旗「え、えへへ」ニパー!
まぁ適当に並べただけのサラダに美味しいも不味いも無いのだが、彼女が頑張ってくれたのだ。
『料理は心』なんていう有り体の勅語もあるくらいだし、そういう意味では美味しいのだろう。
香焼「最愛も食べなよ」モグモグ・・・
絹旗「はい、いただきます」パクッ・・・
もあい「みー」ゴクゴク・・・
少し苦い食パンと、少ししょっぱいコンソメスープを飲む。
味は今一だが、それよりも感謝の念の方が大きい朝食。2人と1匹で団欒しながら食事を進めた。
485 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 01:55:27.34 ID:HZoNzRMT0
香焼「―――ごちそうさまでした」ペコッ
絹旗「はい。おそもつさまでした」
香焼「……おそまつ、ね」
食事を終え、食器を片付ける。作って貰いっ放しは難なので、洗い作業は自分がする事に。
最愛には先に、シャワーなり着替えなりをしてもらう事にした。
香焼「……それにしても」ジャブジャブ・・・
もあい「にゃ?」チラッ・・・
最愛は昨日の事、どれくらい覚えているのだろう。
お酒を飲む前か。酔ってる最中の出来事が途切れ途切れか。それとも……トイレまで覚えているのか。
香焼「変に聞かない方が良いよね」タラー・・・
彼女が切り出さない限り、僕も言い出す必要は無いだろう。
知っているのか知らないかは別として、まだ昨夜の話は出てきていない。無理に掘り返すと、藪蛇になりかねまい。
絹旗「お風呂あがりましたよー」ガチャッ・・・
香焼「あ、うん。寛いどいて……コーヒーと紅茶、どっちが良い?」カチャカチャ・・・
絹旗「んー……コーヒーで」キリッ!
香焼「紅茶だね。砂糖とミルク増し増しの」コポコポコポ・・・
絹旗「ぐっ……の、飲めますよ! 超ブラックで!」フンッ!!
香焼「背伸びしなくても良いってば……あー、はいはい。睨まないの」ヤレヤレ・・・
コーヒー一杯分が無駄になるな。頼むからその高そうなデニムワンピにブっ掛ける様な事態は勘弁してくれよ。麦野さんに殺されかねない。
さて、自分の分のカフェオレと最愛の分のブラックを用意してテーブルに運ぶ。
香焼「じゃあ着替えてくるよ」テクテク・・・
絹旗「行ってらっしゃーい」スッ・・・
もあい「にゃー」コロコロ・・・
僕が自室に入ってすぐ、盛大に噴き出す音が聞こえた……やっぱりな。
486 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 02:10:32.87 ID:HZoNzRMT0
着替えを終え、最愛が噴き出した分のコーヒーを拭き、残りのコーヒーを捨て、新しく紅茶を用意する。
最愛は悔しそうにコーヒーの悪口を始めたが、暫くして虚しさに気付いたらしく、大人しくなった。
香焼「別に子供で良いじゃんか。自分だってブラック嫌いだし」コトッ・・・
絹旗「……ふんっ」スッ・・・チビチビ・・・
甘いミルクティーをゆっくり飲む。
香焼「そういえば姉さん達もう少しで帰ってくるって」
絹旗「麦野は?」
香焼「ホテル戻ったらしい……昨日の飲み会で呑み過ぎたとか」アハハ・・・
絹旗「あの馬鹿……お姉さん達は大丈夫なんですか?」
カオリ姉さんと五和は蟒酒宴(ウワバミ)、浦上は呑んだフリが上手なので問題ありません。
香焼「三次会の後、ワクドナルドで駄弁って、始発逃して……何本目かに乗ったって」
絹旗「……麦野、一人で大丈夫なんですか?」タラー・・・
香焼「固法さんと淡希さんが部屋まで運んだって書いてあるよ」
絹旗「姉貴さんが一緒なら安心ですね……でも、何で超色ボケ女が?」ジトー・・・
香焼「一緒に呑んだんでしょ。てか、そういう言い方しないの」メッ
絹旗「……だって超苦手なんですもん」ベー・・・
好き嫌いが激しい。まさに子供だな。
そういえば滝壺さん達はどうしたのだろう。
絹旗「各々帰ったそうですよ。今日は仕ご……バイト無いですから集合もありませんし、私だけ麦野んとこ戻る事になるかと」
香焼「……そう」コクッ・・・
また怠惰な生活送らないか心配なのだが。
絹旗「うっ……気を付けます」ポリポリ・・・
香焼「ホントにね。次やったらリアルにもう相手しないから」ジトー・・・
絹旗「……ごめんなさい」ショボーン・・・
香焼「今は怒ってないよ。ちゃんと反省してるしね……兎に角、今回みたいな馬鹿な事で心配掛けないでよ」ハァ・・・
絹旗「はい……すいません」ペコッ・・・
まぁ9割方麦野さんの所為だと思うが、其方は姉さんと固法さんに任せるしかないだろう。
487 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 02:25:02.73 ID:HZoNzRMT0
―――とある翌々日、AM10:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
ただいまー……という気ダルい声と共に玄関が開いた。
インターフォンを押さない辺り、アイツら完璧に此処を我が家と勘違いしているな。
五和「うぃ……ただいま」ガチャッ・・・
神裂「おはようございます……ただいま帰りました」トボトボ・・・
浦上「うー……眠いヨー」トテトテ・・・
香焼「……おかえり」ハァ・・・
絹旗「お邪魔してます」ペコッ・・・
もあい「みゃー」トコトコ・・・
幽鬼の様にフラフラとリビングに入ってくる3人。
香焼「一応、お風呂沸かしといたっすよ」
神裂「ありがとうございます……五和、浦上、先にどうぞ」ドサッ・・・
五和「いえ、女教……姉さんから入って下さい」グデェ・・・
浦上「年功序列(教皇優先)ですヨ。それだけは譲れませんネ」ハハハ・・・
神裂「……はぁ」フラフラ・・・
止むを得なく風呂へ向かう姉さん。日常とはいえ、こればかしは譲れない。
にしても、相当お疲れの御様子だ。
香焼「そんなに疲れてるんだったら、自分の家帰れば良かったじゃん」チラッ・・・
五和「狭い部屋に狭い風呂には入りたくないの」グデェ・・・
浦上「香焼ん家が私達の別荘なんですよネ」ゴロン・・・
もあい「なぅ」ペシペシッ
誰がそんな事許可した。家主は自分だぞ。
五和「細かい事ぁ良いのよ……あ。最愛ちゃんも此処、別荘にして良いからね」ニヤリ・・・
絹旗「はい」コクッ・・・
香焼「……勘弁してくれ」ハァ・・・
お前らとは別の意味で身が持ちません。
488 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 02:46:00.30 ID:HZoNzRMT0
五和は姉さんが避けたソファに横になり、浦上は最愛が寝ていた布団にダイブする。
頼むから彼女の前でダラしない姿を見せるな。僕が昨日何の為に彼女を連れ回したと思っている。
五和「単にデートじゃないの?」チラッ・・・
絹旗「っ!」カアアァ///
香焼「くたばれ」ゲシゲシッ!
五和「痛い痛い! 冗談だって……あーでも何かしてないと寝てしまうー」グデェ・・・
浦上「お姉。お風呂入る前に寝たら、起きた時大変な事になるヨ」ジー・・・
五和「うー……コウちゃーん、テレビー」チラッ・・・
香焼「自分で点けろ」ハァ・・・
鬼畜ショター、とか意味不明な事を言いながらリモコンに手を伸ばす五和。
だが途中手を止め『あ』と短く声を上げ、僕と最愛の顔を交互に見る。その後浦上と顔を合わせ、ニヤニヤと黒い笑みを浮かべた。
香焼「何だよ。気持ち悪い」ジトー・・・
五和「ねぇねぇ最愛ちゃん。耳貸して……―――」ニヤニヤ・・・
絹旗「え?」スッ・・・
香焼「貸さなくて良いよ。酒臭くなるから」フンッ
浦上「まぁまぁ、すぐ終わるヨ」ニヤニヤ・・・
こそこそと何かを告げる五和。次の瞬間……最愛の顔が真っ赤になった。
五和「―――……ね? 在ったでしょ?」フフフ・・・
絹旗「っ〜〜〜〜〜〜ッッ!!」ボンッ///
香焼「ちょ、オマエ、最愛に何言った!!」ギロリ・・・
五和「ふふふふ……で? 昨晩どうだった?」ニヤニヤ・・・
絹旗「あ、あの……その……っ」カアアァ///
浦上「昨夜(ユウベ)はお楽しみでしたネ」ニヤリ・・・
姉さーん。早く上がってコイツらブッ飛ばして下さーい。
絹旗「あ、ぅ」モジモジ・・・///
五和「ねぇ……何処までシちゃった? 大丈夫、麦野さんには黙ってて上げるから」ボソボソ・・・
香焼「何もしてねぇっつの。いい加減にしろ」ゲシゲシッ
浦上「でもぉ……最愛ちゃんのその反応を見るに、何も無かった訳じゃなさそうですヨー。流石、旗建屋さんですネ」ニヤリ・・・
折角2人とも忘れかけてたというに……僕が五和と浦上を追い出そうとした刹那、カオリ姉さんが風呂から上がってきた。
489 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 02:55:43.47 ID:HZoNzRMT0
その姉さんの姿を見て、目を丸くする最愛。
絹旗「わ、和服ですか」キョトン・・・
神裂「え、ああ。浴衣です」コクッ・・・
これ、姉さんの下着件浴衣です。
五和「話を逸らせたと思うなよ小僧」ニヤニヤ・・・
浦上「私達のネチっこさは世界2位3位ですからネ」ニヤニヤ・・・
チッ……じゃあ1位は誰だっつの。
五和「そんでそんで? 最愛ちゃん、何処までシたのかなぁ?」ニヤニヤ・・・
絹旗「な、何も、してないです」アタフタ・・・///
浦上「……くんかくんかっ」クンクンッ
絹旗「ひゃうっ!!?」ドキッ・・・
浦上「これは嘘を吐いてる臭い」ニヤリ・・・
姉さーん。出番ですよー。
神裂「自重しなさい」ゴツンッ!!ゴツンッ!!
五和・浦上「「あ痛ぁっ!!」」ウボアー!!
神裂「ったく……すいません、絹旗さん」ナデナデ・・・
絹旗「い、いえ。大丈夫です」ペコッ・・・
流石頼りになるお姉さんは違うなぁ。何処ぞの馬鹿一号二号とは違って。
五和「くぅ……でも、姉さん……もしコウちゃんが粗相をしてたら、どうするのですか?」ボソッ・・・
香焼「は?」
浦上「いつだって被害者は女の子ですヨ。言い出せない彼女を傷モノに……更には子を成してたりしたら、相手方に、ネェ」チラッ・・・
絹旗「な、なぁっ!?」カアアァ///
神裂「……む」ポリポリ・・・
もあい「みー」トコトコ・・・
お前ら、頼むからこれ以上掻き回すな。
490 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 03:06:28.67 ID:HZoNzRMT0
五和「だって、ほら。疚しい事が無いなら普通に話せる筈じゃないですか」ジー・・・
神裂「まぁ、確かに」フム・・・
ヤバい。姉さんが乗せられるペースだ。
浦上「最愛ちゃん。言ってごらん。責めたりしないから」フフッ
絹旗「え、えっと……その」チラッ・・・
香焼「…………、」ブンブンッ!
絹旗「……て、テレビゲームで超盛り上がってましたよ!」アタフタ・・・
五和「ふーん……それじゃあ……、」スッ・・・
立ち上がり、キッチンへ向かう五和。そして事もあろうか……アレを見つけた。
五和「この空き缶は、何かしら?」ニヤリ・・・
香焼・絹旗「「なっ!?」ドキッ・・・
神裂「私と五和のキューバ・リバー……香焼?」ギロッ・・・
香焼「そ、それは、その」アタフタ・・・
絹旗「っ」ドキドキ・・・
最愛の所為には出来ない。
香焼「……すいません。自分一人で呑んだっす」ペコッ・・・
神裂「……そうですか」フム・・・
浦上「最愛ちゃんは?」チラッ・・・
絹旗「え、あ……えっと……すいま」
香焼「自分一人!」ガッ
絹旗「っ」
浦上「お、おぅ」コクコクッ・・・
この場は察しろ。
五和「まぁ……これは良いとして、ホントに?」ジー・・・
香焼「シツコイ。2時くらいまで遊んで寝た。以上。ね、最愛」フンッ
絹旗「……え、ええ」コクッ・・・
三姉妹『…………、』フムフム・・・
その『これ以上は聞かないであげるべきか』と生温かい目を向けるの止めて下さい。
491 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 03:17:32.53 ID:HZoNzRMT0
仕方ないなー、と風呂に向かう五和。二度に上がってくるな。
五和が去ってすぐ、最愛が僕の下に近づいてきた。
絹旗「……香焼」
香焼「ん?」
絹旗「私、そろそろ帰ります」
香焼「え。お昼くらい食べてきなよ」
絹旗「いえ。お姉さん達寝る様ですし」チラッ・・・
それに、とヒソヒソ声で告げた。
絹旗「何か……超ボロ出しそうなので」モジモジ・・・///
香焼「っ! そ、そう……分かった」タラー・・・///
やはり昨夜の事を思い出したか。そういう事なら引き留めはしない。多分、双方気拙いだろう。
善は急げと、最愛は2人に向き直った。
絹旗「えっと、そろそろお暇きます」ペコッ・・・
神裂「あ、はい……『お暇します』ね」コクッ・・・
浦上「もう少し居ても良いんだヨ」ジー・・・
絹旗「いえ。お姉さん達の睡眠の邪魔になりそうですし……あと、麦野が心配ですから」コクッ
神裂「……そうですか。では止めません」クスッ
上手い誤魔化し。いや、本心かもしれないが、ナイスだ。
絹旗「香焼。着ぐるみは置いといてもらっていいですか?」
香焼「うん、良いよ……またおいで」
絹旗「はい。お邪魔します」ペコッ・・・
もあい「なー」トコトコ・・・
絹旗「もあいも良い子にするんですよ」ナデナデ・・・
五和が風呂から上がってきたら帰ると、帰り支度を始めた。
492 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 03:31:40.59 ID:HZoNzRMT0
一寸後、浦上が風呂から上がってくる。
如何でも良いが、下着姿で出てくるのは勘弁してくれ。最愛に色々誤解されるだろう。
五和「ふー、サッパリしましたー……って、あれ?」
絹旗「五和さん。私帰ります」ペコッ
五和「えー? もう帰っちゃうのー? 一緒に寝ようよー」
私もー、とか言い出す浦上。ふざけんなこんにゃろ。
浦上「良いじゃーん。香焼とは一緒に寝たんでしょ?」ニヤリ・・・
香焼「っせ!! 寝てねぇ!!」カアアァ///
絹旗「……あ、えと。お邪魔しました」ペコッ・・・
神裂「はい。また遊びに来て下さいね」コクッ
絹旗「はい、超来ます」コクッ・・・
香焼「自分もバス停まで送ってきます。布団は各々勝手にお願いしますね」コクッ
五和「了ー解」コクッ・・・
もあい「みゃーん」ピョンッ
最愛の肩に乗るもあい。では行こうか。
浦上「……あ。最愛ちゃん」ニヤリ・・・
絹旗「はい?」チラッ・・・
まだ何かあるのか。いい加減にしてくれよ?
浦上「ダイジョブ。ダイジョブ。一言だから」ニャハハ
香焼「その一言が余計なの」ッタク・・・
浦上「まぁまぁ……で、最愛ちゃん」ニコニコッ
絹旗「何でしょう」コクッ
浦上「お酒飲んだ後って……トイレ行きたくなりますよネ」ボソッ・・・
絹旗「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぁ」ピタッ・・・
香焼「最愛? おい……浦上。オマエ何言った?」ギロッ・・・
浦上「いえいえ。当たり前の事を言っただけですよ」フフッ・・・
フリーズする最愛。そして……―――
493 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 03:41:53.15 ID:HZoNzRMT0
<絹旗side>
お酒を飲んだ後……トイレに……え。
絹旗「……香焼」ボソッ・・・
香焼「え、うん。何?」
絹旗「私……昨夜、最後……トイレ、行きませんでしたっけ?」キョトン・・・
香焼「なっ……、」ダラダラ・・・
やはり行った筈だ。うろ覚えながら記憶に残っている。
確か下着を降ろして便座に座って用を足して……そこから先の記憶が無い。
絹旗「トイレで……あれ」タラー・・・
香焼「さ、最愛! 思い出さなくていいから!」アタフタ・・・///
いや、どうやっても思い出せないのだ。そしてその次の記憶が……朝である。
つまり、パンツを下げて用を終えた後の記憶は、布団から目覚めた記憶。勿論、パンツを穿いた状態で。
絹旗「っ!!?」ドキッ・・・///
香焼「……えっと」ダラダラ・・・///
絹旗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」ギギギギ・・・チラッ///
香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっと、その」ダラダラダラダラ・・・///
トイレから布団まで……彼の世話になったという事、か。
絹旗「ぱ、パンツも?」カアアァ///
香焼「っ!!」カアアァ///
……………………………………無理。
絹旗「ご、ごめんなさいぃ!!」バッ!!
香焼「さ、最愛!!?」アタフタ・・・///
絹旗「ひ、一人で帰ります! お願いです。追わないで下さい!」カアアァ///
もあい「にゃっ!?」コロッ
私は逃げる様に去ってしまった……―――
494 :
第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」
[saga]:2011/09/13(火) 03:53:20.13 ID:HZoNzRMT0
<香焼side>
まさか、思い出してしますとは。
三姉妹『あーあ』ジトー・・・
香焼「くっ……浦上!」ギロッ・・・
浦上「フフフ。何かな?」ニコニコッ
香焼「何言った!?」グイッ・・・
浦上「いやいや。お酒飲んだ後っておしっこしたくてしょうがないんだよネーって」クスクスッ
香焼「ぐっ……オマエ」グヌヌ・・・
最後の最後に余計な事を。
浦上「だって事実だものー。それに、最愛ちゃんは呑んで無いんでしょ? だったら『問題無い』ヨ」フフフ・・・
香焼「……覚えてろ」ムゥ・・・
浦上「わーっすれった! お風呂入ってきまーす」テクテク・・・
畜生……これから最愛とどんな顔して会えば良いんだ。
五和「まぁその……よくある事よ」ウンウン・・・
神裂「そうですね。よくある事です」ウンウン・・・
香焼「自分は上条さんみたいに神経図太くないんすよ!!」ウワーン!
神裂・五和「「だ、誰が彼の事なんて言ったのよ!」言いましたか!」カアアァ///
もあい「なー」フシフシ・・・
何がカミやん病だから仕方ないだ。もう勘弁してくれ。
結局、後日上条さんに相談し、浜面さんと滝壺さんに手伝って貰って、気拙い仲を解消しましたとさ……―――
495 :
>>1
[saga]:2011/09/13(火) 03:59:04.19 ID:HZoNzRMT0
はい。今回は此処まで。大分長くなっちゃいましたね。
次回は今回の『おまけっ!』だけの投下になるかもです……もしかしたら前言ってた通りR指定かも。でも多分親戚の程ハードじゃないよ。
その次のアンケート! とりあえずカルテッ娘編ね。
@アニェーゼ
Aアンジェレネ
Bサーシャ
では質問意見感想罵倒アンケート協力などなど、コメントお願いします! それじゃおやすみ! ノシ”
496 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/13(火) 04:08:51.45 ID:I+6NLPTAO
超乙
497 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 04:19:49.99 ID:nLvOTtmHo
乙!
アンケは3のサーシャで
498 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(京都府)
[sage]:2011/09/13(火) 04:28:54.35 ID:Ojs0yZJb0
おつおつ
一線を越えることは無かったか…残念だ
カルテッ娘編はAのアンジェレネで
499 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/13(火) 06:52:48.20 ID:FD3nb5QAO
アンケ1
アニェーゼ
500 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/09/13(火) 07:11:03.24 ID:CUrGXdo1o
乙
レッサーはないのか…
じゃあ3のサーシャに1票で
501 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 08:24:53.35 ID:oKlV5NkDO
レッサーはこないだやったしな
ならば3で
確かまだ他3人と比べて突出したからみ無かったよね?
502 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(島根県)
[sage]:2011/09/13(火) 08:38:01.63 ID:f+pfEiLb0
Bのサーシャに一票!
この時を……この時をどんなに待ちわびたことか……ッ!!
503 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 09:13:29.38 ID:mAZZn6uT0
乙?のアニェーゼで
504 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 09:47:39.62 ID:fIOBzDODO
>>498
つ 『絹旗アフター』
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1301/13014/1301406647.html
親戚さんの 固法「先輩、おはようございます」 の》472から。短いけど結構エロい。
アンケはBで!
505 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/09/13(火) 10:57:03.85 ID:qtHvgjPAO
乙!
アンケートはBで
506 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/09/13(火) 13:57:21.44 ID:jlScRt4no
乙でした
アンケートは@で
507 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/13(火) 17:10:35.20 ID:4oE/SAxW0
>>1
乙最愛ちゃんマジ最愛。
アンケは3でお願いします。
508 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 19:32:25.98 ID:xJZtl1zE0
乙、アンケは3で
あと黒夜はまだですか?
509 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(栃木県)
[sage]:2011/09/13(火) 19:37:29.60 ID:Yk1x2DWU0
アンケートはBで
510 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 19:39:08.09 ID:RvVX8FLEo
3かな
511 :
>>1
[saga]:2011/09/13(火) 22:04:46.26 ID:HZoNzRMT0
こんばんわ。今日は前回のおまけだけです。
因みに……えっちぃ要素があるので苦手な方は回れ右で。
レス返信!
>>500
・・・すいません。前にやったので、暫くはおやすみです。
>>504
・・・よくもまぁ見つけましたね。色々悶えましたよ……親戚がw
>>508
・・・そうですね。海鳥ちゃんの話も書きたいなー。でも都市側だと軍覇とかあわきん、春上さんの話もまだだしなぁ。
そんじゃ多分短いけど、投下!
512 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/13(火) 22:08:44.44 ID:ui01yZiE0
よし来た!
サーシャのえっちぃ予告もキタ━(゚∀゚)━!
513 :
第D,5話(16,5話)―――もあい「にゃっふるにゃっふる」
[saga]:2011/09/13(火) 22:25:49.43 ID:HZoNzRMT0
―――とある翌々日、PM01:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
昼飯を終え、グダグダダラダラと起きていた姉達が漸く眠りに就いた。
いつもより暑苦しそうなのは、まだ酒が抜けきっていない所為だろうか。
香焼「……自分も、寝よう」ファァ・・・
もあい「にゃぅ」コロコロ・・・
正直、昨日の疲れがまだ取れていない。『色々』あり過ぎたのだ。
姉達を起さぬ様、静かに自室へ移動し、寝間着に着換えた。
香焼「はぁ」ドサッ・・・
眠い。そして……
香焼「…………、」ドキドキ・・・
……何故か、胸が高ぶった。
香焼「そういえば最近忙しかったから……、」ムラムラ・・・
と口に出してみるが、ムラムラの一番の原因が別である事くらい理解していた。
だがそれを認めてしまったら……とても疚しい気がする。
香焼「…………、」ゴクリ・・・スッ・・・///
ベットの上に寝転がり、勝手に勃ち上がった股間を見る。
香焼「っ」ジー・・・ドキドキ・・・///
酔った勢いとはいえ、彼女に、触られた。
香焼「…………、」スッ・・・///
次に自分の胸に手を当てる……彼女の、胸の突起が当たった。
514 :
第D,5話(16,5話)―――もあい「にゃっふるにゃっふる」
[saga]:2011/09/13(火) 22:54:04.70 ID:HZoNzRMT0
>>512
・・・サーシャのえっちぃ話じゃないです。第D話のおまけです……期待させてスイマセン。
*********************************
胸の鼓動が余計に早まる……そして、最後に……
香焼「……っ」スッ・・・ドキドキ・・・///
自分の右手を見詰めた。
半分事故とはいえ、この手で、彼女の……―――……触ってしまった。
香焼「っ……、」ドキドキ・・・///
駄目だ。このままでは寝れない。
いくら自分が聖職者(仮)の身分であり、いくら自身が幼いとはいえ……この昂りは止まらないのだ。
香焼「む、ぅ」スッ・・・///
自然に、右手がズボンの中に伸びてしまう。いけない事だと分かっていても……止まらない。
香焼「ぁ……んっ……、」スリ・・・スリ・・・
布団に包まり、声を殺して……膨れ上がった己の陰部を下着越しに、撫でる。
香焼「……は、ぅ」スリ・・・スリ・・・キュッ・・・
下着の上からだけ、下着を降ろさない。興奮が収まるまで、すぐ止めるから……と自念しても、修まらない。
変声期を迎えていない僕の声は甲高いと理解している。だから声を漏らしちゃいけない。絶対に姉さん達に聞かれちゃいけない。
だが……小さく、漏れる。
香焼「さぃ……ぁ……ぃ……っ」ナデナデ・・・スッ・・・
本能を堪えられず、下着の中に手が伸びる。
香焼「っ……ごめん……ごめん、なさい……っ」スッ・・・クチュ・・・クチュ・・・
もう既に、先っぽからヌルヌルしたモノが出ている。それを彼女の『―――を触った右手』で、捏ねる様に撫でる。
香焼「ハァ……んっ……さ……ぁぃ……ごめん……っ」クチュ・・・クチュ・・・クチュ・・・
こんなの絶対間違っている……そう分かっていても、止まらない。頭ではもう何も考えられない。
ズボンを降ろしてしまう。下着も降ろしてしまった。
香焼「っ……ごめんね……ごめん、ね」ハァ・・・ハァ・・・スッ・・・スッ・・・
まだ皮も剥けきっていない幼い陰部を掴み、ゆっくりと……―――
515 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/13(火) 22:57:04.52 ID:fIOBzDODO
結標「ッ!! 初回盤ブルーレイ予約っ!!」
516 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/13(火) 23:04:21.79 ID:ui01yZiE0
>>514
oh……いえ、読み取れなかった自分が悪いんです
>>1
に罪はありません
…………orz
517 :
第D,5話―――もあい「にゃっふるにゃっふる」
[saga]:2011/09/13(火) 23:39:39.27 ID:HZoNzRMT0
―――とある翌々日、PM00:00、学園都市第7学区、ホテル『アレクサンダー』、とある一室・・・・・
香焼の家から飛び出した後、バスには乗らず、やるせない気持ちのまま徒歩でホテルへと帰った。
途中ホテル内売店でサンドイッチ(ハムレタス)と菓子パン(ジャムパン)、それからムサシノ牛乳をを購入し部屋まで戻る。
予想通り部屋の鍵が閉まっていたので、自分用に渡されていた予備のカードキーを使い、中へ入る。
絹旗「……ただいま」トボトボ・・・
返事は無い。
絹旗「…………、」テクテク・・・
麦野「うぅん……むぁぅ……、」グダァ・・・
B級映画の微妙な動きで地面を這い蹲るゾンビの如く、ベットの上で唸り寝入っている麦野。
姉貴(固法)さんと超破廉恥女(結標)はある程度の世話をした後、すぐ帰ったのだろう。
まぁ特に用も無いので、買ってきたパンと牛乳を冷蔵庫にブチ込んで、そそくさと自室に入った。
絹旗「…………、」ガチャッ・・・
誰もいない、私だけの静かな部屋。
絹旗「……はぁ」トコトコ・・・ドサッ・・・
服も着替えぬまま、靴だけ脱ぎ捨てベットに寝転がる。
絹旗「…………、」ボー・・・
『賑やかで明るい場所(香焼宅)』にいた分、『暗い静かな場所(自室)』が寂しく感じる。
普段は如何とも思わないのに……自分はこんなにも日和ってしまったのか。
絹旗「今日は……もう寝よ」ボフッ・・・
頭から布団を被る。
忘れる……昨夜の事は、全部忘れろ……そう念じながら目をギュッと閉じてすぐ―――
絹旗「っ」チラッ・・・
―――携帯が鳴った。この着信音は……香焼だ。
518 :
第D,5話―――もあい「にゃっふるにゃっふる」
[saga]:2011/09/13(火) 23:58:01.26 ID:HZoNzRMT0
これがもし、電話のコールだったら出れたものでは無かったが、案の定メール。
急いで開いて確認する。
『昨日も今日も色々ごめんね。でも、ダラけた生活するのだけは駄目だよ!』
彼は……こんな時でも気遣ってくれるのか。
絹旗「……ありがとうございます。私こそ、ごめんなさい。もう怠けたりしないので、超安心してください」Pi!
おフザケは入れず、真面目に返信する。一寸後……またメールが着た。
『超心配っすよ(^^; それで昨晩の事だけど……あまり深く考えないでね。自分も忘れるから』
絹旗「っ……わ、わかってますよ」ドキッ・・・///
もはや知らないフリをした方が互いの為だろう。短く『何の事ですか?』と返信してやった。
勿論、薄々は想像つくのだが……彼の言うとおり、考えてはいけない事である。
『いや、何でも無い。自分の考え過ぎだっただけ(^^; とりあえず……またおいでよ。いつでも遊びに来て良いからね!』
絹旗「……ありがと」クスッ・・・
感謝のメールを送信し携帯を閉じる。そして再び頭から布団を被って目を閉じた。
絹旗「……んー」ハァ・・・
やはり……寂しい。虚しい。こんな事なら滝壺さんや兄貴(黒妻)さんのお家にでもお邪魔すれば良かった。
でももしかしたら、浜面(または姉貴さん)と2人きりを満喫しているかもしれない。そう考えれば此処に戻って来て正解だったのだろう。
絹旗「……うー」ゴロゴロ・・・
駄目だ。寝れない。疲れているのに……寝れないのだ。
519 :
第D,5話―――もあい「にゃっふるにゃっふる」
[saga]:2011/09/14(水) 00:14:30.45 ID:fA4FX24l0
妙な胸騒ぎ。寂しさ半分……あとは……
絹旗「…………、」ドキドキ・・・///
興奮半分だ。頭ごなしに如何屁理屈を捏ねても、本音には勝てない。
絹旗「だ、だって……さ、触られてたかもしれないんです」ドキドキ・・・///
考えちゃいけないのに、考えてしまう。
自分の陰部を、彼が拭いた。彼が撫でた。彼が触れた。彼が弄った。
絹旗「っ」ハァ・・・ハァ・・・///
もう想像は止まらない。想像を超えて昨夜の出来事と入り混じった妄想に変わる。
酔ってたとはいえ、自分の胸を押しつけてしまった。
絹旗「んっ……ぁ」キュッ・・・///
身体を抱えても、思考は止まらない。
酔っていたとはいえ、彼の……―――……触ってしまった。
絹旗「ぃ、や……だめ」ギュッ・・・///
身体が熱くなる。もう能力演算すら出来ない。『別(彼)の事』で頭がいっぱい過ぎる。
酔って『いないのに』……彼の寝顔を覗いたり、彼の乳首を弄ったりしてしまった。
絹旗「ふぁ……ゃ、め」スッ・・・///
私は超変態だ。これでは結標の事を馬鹿にする事などできない。
520 :
第D,5話―――もあい「にゃっふるにゃっふる」
[saga]:2011/09/14(水) 00:35:14.94 ID:fA4FX24l0
ふと、彼の部屋にあったエロ本の事を思い出す。
もしかしたら今、彼は……私をオカズにして……
絹旗「っ……ぁ」スッ・・・///
自然に……胸に手が伸びる。
元々キツめのタンクトップが、更にキツい。乳首が布を破ってきそうなくらい勃っているのが分かる。
絹旗「ん……くぅ……っ」ナデ・・・ナデ・・・
熱い……彼に触れたココが熱い。
絹旗「ぁ……だ、め……んっ」ナデナデ・・・キュッ・・・
こんなの初めてだ。超恥ずかしい……私は、自分の身体に何をしているのだ。
自動防御が働くのであれば、ちゃんと働いてくれ。私を止めてくれ。
絹旗「ぁ、んんっ……ふぁぅ」キュウゥ・・・ギュッ・・・
自分が何をしているのかは把握できる。だが理解できない、納得いかない。
勝手に手が動く。知らない内に、タンクトップの中に手が入っている。
絹旗「っ……ひゃぅっ!」クリクリ・・・ビクッ!
何故、自分の乳首を抓んでいるのだ。これではまるで……私が発情したみたいではないか。
絹旗「ハァ……ハァ……だ、め……ですよぅ……ッ」キュッ・・・ピクンッ!
片方の胸では飽き足りないのか、もう一方の胸まで弄り出す我が手。
自分でも分かっているのだが、男性とそう大差の無い胸。一部違うとすれば女性特有の乳首の大きさ……それがいつも以上に巨大化している。
そこを執拗に虐める、我が手。我が本質は『守り』の筈だ。『攻勢』ではないだろう。本能で有れば、頼むから止まって欲しい。
絹旗「い、いゃだ……ヤダ、ょぅ……ぁ……いぃっ」クリクリ・・・ギュウウゥ・・・
まさか……『彼の手』と想定しているから、止まらないというのか……何という不貞。
自分で自分を許せない。彼に失礼を働いた身で、こんな超厭らしい真似をするとは……ナンセンス。
521 :
第D,5話―――もあい「にゃっふるにゃっふる」
[saga]:2011/09/14(水) 00:58:59.50 ID:fA4FX24l0
止まらない指先。整わない息。治まってくれない妄想。
絹旗「ハァハァ……こぅ……やぎ」フゥ・・・カアアァ///
彼の名前を呼んでしまった。寂しさ故か、興奮故か……彼を求めてしまった。
知らず知らずにワンピースまで脱ぎ捨てており、私の手は次の目標に狙いを点け、ゆっくりと下っていった。
絹旗「だめ……駄目ですょ……絶対、ダメ……っ……なのにぃ」スッ・・・///
彼から貰ったボクサーパンツ。もしかしたら彼が穿いていたかもしれない下着。
絹旗「あぅ……んっ」サワ・・・サワ・・・
声が出る。もし麦野が起きたら如何しよう……しかし手は止まってくれない。
彼のモノを触る様な手付きで下着越しに臀部を、ヘソ周りを、太腿を……そして恥部を撫で回す。
絹旗「い、ゃ……んっ……んんっ」ナデナデ・・・ジュッ・・・グニュッ・・・///
悔しいが自分でも分かる……濡れているのだ。彼のパンツを濡らしてしまった。彼のパンツを穢してしまった。
貰い物だという事をすっかり忘れ、自己嫌悪。私は何て淫らな女なのだ。そう思ってしまう。
だが手は止まらない。寧ろ過激になる一方だ。
絹旗「ふぁっ……ゃ、ぎっ……ごめんっ、なさいっ……っ……ぁう」グニュ・・・グニュ・・・ヌジュッ・・・
反省・後悔の念が奔る他方で、純粋に、快楽を感じている私がいた。
今まで自慰行為などした事が無かったという点もあるが、それだけではない……彼の事を考えているからなのかもしれない。
絹旗「ヤ、だょ……ぁ……ひゃぅ……っ……ッッ」グニュグニュ・・・ピクッ!!
下着が濡れて気持ち悪い。でも……その『気持ち悪さ』が気持ち良い。
心と体の葛藤に悩みながら。体(我が手)に気持ちを委ねてしまっている私がいた。
522 :
第D,5話―――もあい「にゃっふるにゃっふる」
[saga]:2011/09/14(水) 01:21:49.49 ID:fA4FX24l0
暫くして、下着に手をかけ出した。
ゆっくり……ゆっくりと、膝上辺りまでボクサーパンツを降ろす。
絹旗「ハァハァ……っ」ビクッ・・・///
恐る恐る己の陰部に指を伸ばす。今までお風呂で洗う時か、用を足した後拭く時以外には触れた事の無い場所。
だけど……彼は、触れた場所。
絹旗「っ」ヌチャッ・・・///
超濡れている。コレが『感じる』というモノなのか。
絹旗「んっ……ぁ」クチャッ・・・ニチャッ・・・
厭らしい音がする。まるで彼の部屋にあったエロ漫画雑誌の効果音の様だ、
絹旗「ふぁ……あぅ……っ……くぅっ」クチャ・・・クチャ・・・クチャ・・・
もはや理性と本能など如何でも良くなってしまった。勢いとは怖いモノである。
彼の事を考えてしまうと、何故か、手が進んでしまう。
絹旗「ヤっ……あっ……ぅ……っ」クチュクチュ・・・ピクッ!
彼が触った。もしかしたら……寝ている間に覗かれたかもしれない。寝ている間に弄られたかもしれない。
絹旗「んっ! ぁ……ぉ、お相子……っ……ですょ……ひゃぅっ」チュクチュクッ・・・ブシュッ・・・
そうだ。お相子なんだ。
きっと彼も私の事を思ってオナニーしてるに違いない。だから私は悪くない。これで平等なのだ。
自分に言い訳をして正当化する私。そして指は更に過激になる。
絹旗「こ、やぎっ……んんっ……ぁうっ……ふぁあっ……ぅんっ!」グシュッ・・・ニュプニュプッ・・・ビクンッ!!
駄目だ。もう止まらない。
いや、如何だっていいや。彼もしてる事だし。そう考えれば……幾分楽になる。彼への罪悪感が消せるなら、嘘も方便だ。
理性(ストッパー)が吹っ飛んだ今、彼の『―――を触ったこの手』は陰部が壊れるかというくらい私を攻め立てる。
523 :
第D,5話―――もあい「にゃっふるにゃっふる」
[saga]:2011/09/14(水) 02:08:22.40 ID:fA4FX24l0
暫く自慰を続けていると、頭がボーっとしてきた。
そういえば馬鹿みたいに声を出していたが、もしかすると麦野に聞かれていたかもしれない。
その程度の羞恥心は残っていたようなので、此処からは声を出さぬ様にと念を入れた。
絹旗「はぁ……はぁ……んっ」クチュクチュクチュクチュ・・・///
ふと、朝に見た彼の下半身の『テント』を思い出してしまう。
絹旗「ふぁ……大き、ぃ……っ……ひゃぅっ」ジュワァ・・・ヌチョヌチョッ・・・
彼も、アレを扱(しご)いている。パンパンに腫れた―――を擦っている……筈だ。
絹旗「んんっ……ひも、ひぃの? こぅひゃぎぃ……ぁ……ぅ、っ!」グチュグチュグチュ・・・ドロッ・・・
タンクトップの裾を捲り、口に咥えて声を殺す。
そして片手をゆっくり、乳首と同じくらい腫れた―――――の方へ持って行き、抓む。
絹旗「っ……ふぁ……っ……くぅんっ!!」ヌチャヌチャヌチャ・・・キュッ!
ヤバい……もうトびそうだ。
自分の―――と―――――を捏ね繰り回しながら、彼の名を呟く。
絹旗「こ、ひゃぃ……香、焼っ……ぁんっ……ヤっ……んんっ!」クリクリ・・・クチュクチュ・・・ピクッ!!
ベットの上、シーツを滅茶苦茶にしながら、悶える。
両手を陰部に伸ばし、指で執拗に攻め、身体を反らせる。
絹旗「ぃやっ……一人は……っ……ヤですっ……ぁぅ……一緒に、居て下さい……ふぁぅ……一人に、しないで……くぅっ!」ビクビクッ!!
快楽の中、本音が漏れる。
嬌声もだが、麦野には絶対に聞かせられない本音。彼が居ないから言える本音。
絹旗「助けっ……っ……下さいよぅ……っ……地獄に……んんっ……ぅ……行きたくない、よ……んぅっ!」ポロポロ・・・ジュブジュブ・・・ピクッ!
本当は言いたい。
助けて。私を普通の女の子にして。陽の下を歩かせて。隣に居させて……それが無理なら、一緒に地獄に行こう。
絹旗「ううぅ……こう、やぎぃ……っ!」ポロポロ・・・クチャクチャクチャクチャクチャ・・・ビクンッ!!
だが……言える筈もない。
彼を巻き込んではいけない。だからせめて……想像の貴方を使って、己を慰める事を許して欲しい。
貴方の手として、貴方の―――として、貴方の……優しさとして。
絹旗「あぅぅ……も、ぅ……っ……っ……〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、」ヌチャヌチャヌチャッ・・・ビクンッ・・・プシャッ・・・
布が破れるかというくらい裾を噛み締めた。刹那……テーブルにあったコップが2,3個割れた。
RSPK症候群・乱雑開放(ポルターガイスト)。
簡単に説明すれば、トラウマやストレスにより、心理的に不安定となった子供が引き起こすとされる超常現象。
具体的には能力者が一時的に自律を失い、自らの能力を無自覚に暴走させる状態及び現象を指す。
つまり私は果てた(イった)のだろう。だが快楽よりも……虚しさの方が大きかった。
絹旗「っ〜〜〜〜ッッ……ぅ……ううぅ……、」ビクッ・・・ビクッ・・・ポロポロ・・・
濡れたのは衣類とシーツだけではなく、枕もだった。
初めての自慰行為が、こんなに悲しいモノになるとは、私自身想像もしていなかった……―――
524 :
第D,5話―――もあい「にゃっふるにゃっふる」
[saga]:2011/09/14(水) 02:40:57.61 ID:fA4FX24l0
<おまけっ!>
数日後、周りの方々のサポートもあり、無事最愛と顔を合わせる事が出来た。
今はいつもの公園。例の如く猫達と遊ぶ為に集まったのである。因みに彼女の要望もあって、人間は2人きりという事にした。
時刻は正午を過ぎた辺り。僕の方が先についてしまった様なので、もあいやまーらいおん達(※)に餌を出す事にした。
※(あまくさっ! 第7話、第8話参照)
一寸後、彼女が現れる。
香焼「―――……あ」チラッ・・・
絹旗「っ!」ドキッ・・・
香焼「っ……こんにちは、最愛」ポリポリ・・・
絹旗「こ、ここ、こん、こんこんにちわっ!」アタフタ・・・
香焼「え、と……そんなに緊張しなくても」タラー・・・
絹旗「い、いえ別に! してにゃいです!」ダラダラ・・・
猫s『にゃん?』ジー・・・
めっちゃしてるじゃん。
香焼「あー、えっと……先に謝っとく。ごめんね……理由は分かってても聞かないでくれるかな。口にするのは……ね」ペコッ・・・
絹旗「わ、私こそ、超ごめんなさいですます!」オドオド・・・
香焼「……流石に緊張し過ぎだよ」アハハ・・・
絹旗「す、すいません……すー……はー……ふぅ」ダラダラ・・・
香焼「……ぷっ」クスクスッ・・・
絹旗「なっ……何で笑うんですか!?」カアアァ///
香焼「いや……やっぱり最愛らしいかなーって」フフフッ
絹旗「む、ぐぬぬぅ……馬鹿にしてぇ」ジトー・・・///
香焼「ごめんごめん。さ、餌やりしよう。後暫く話して無かった色々聞かせてよ」ポンッ・・・
絹旗「っ〜〜ッッ……(大丈夫大丈夫……香焼に下心なんて無い……有るのは私の邪念だけ)……ふーっ!」ビクッ・・・オドオド・・・スーハー・・・
香焼「だ、大丈夫!? あ……ご、ごめん……もう触んないから」タラー・・・アタフタ・・・
絹旗「い、いえ。触ってくれても大丈夫です……いつもの事でしょ?」フゥ・・・クスッ・・・
香焼「……あはは、ごめん」ポリポリ・・・
絹旗「気にしないで下さい。香焼が超気軽に女の子に触れちゃうって事ぐらい把握済みです……何でもお見通しですよーだ」フフフッ
香焼「そう言われると……何ともなぁ」ポリポリ・・・///
絹旗「ふふっ。相変わらず超女々しいですね。やっぱり香焼のナイトをしなきゃダメみたいです。さーて、お話しましょ。お姫様♪」ニパー!
香焼「……もぅ」フフッ
猫s『みゃー!』トコトコ・・・
僕らはベンチに座り、猫達に囲まれながら在り来たりな雑談を始めた。これが、いつもの僕らだ。
やはり変に外へ連れ出したり、見知らぬ人と突き合わせる必要は無いのかもしれない。
彼女は彼女なりのやり方で、ゆっくりと、社会に加わっていけばいい。自分はそれを出来得る限りサポートしよう。
ひょんなことから始まった自立作戦は、結局、『僕らの日常(いつも)』の形に収まったのであった……―――
525 :
>>1
[saga]:2011/09/14(水) 02:43:57.05 ID:fA4FX24l0
はい。お疲れ様でした。そんなにエロくなかったでしょ?
とりあえず引き続き次回の主要キャラアンケート取ります。
まだ協力されてない方、是非お願いします!
@アニェーゼ
Aアンジェレネ
Bサーシャ
それでは質問意見感想リクエスト罵倒アンケート協力などなど、コメントお願いします! それじゃおやすみ! ノシ”
526 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/14(水) 10:48:11.68 ID:wNFteaSTo
超Aが見たい
527 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/14(水) 12:39:29.60 ID:GsHnNHpwo
いちおつ
A一択
528 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/14(水) 12:55:15.72 ID:0MlP3dqso
あれ?前回のアンケは無しになったのか?Bで
529 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/14(水) 13:26:22.83 ID:WMxI4KL/0
引き続き、だからこれまでの合計で決めるのでは?
取り敢えず
>>528
までの所で一旦集計を
@アニェーゼ……3票
Aアンジェレネ…3票
Bサーシャ………11票
…………圧倒的じゃないか
530 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/14(水) 14:34:54.37 ID:iXgfhFrDO
ふぅ‥‥幸せになって欲しいなぁ。もあいちゃんチュッチュ。
アンケはパス! 何になっても期待しとるよ。
531 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/09/14(水) 15:22:52.32 ID:Q05Q0AIYo
アンサーステでもいいんじゃよチラチラ
532 :
>>1
[saga]:2011/09/14(水) 17:35:11.97 ID:fA4FX24l0
こんばんわ。アンケはサーシャに決定です。
>>529
さん、まとめありがとね!
因みに構想練ってたらまたまた長めの話になりそうなのでご了承を。
あとオリキャラ・半オリキャラが数名でます。そこんとこ多めに見て下さい。
では投下!
533 :
第E話(17話)―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 18:15:20.47 ID:fA4FX24l0
―――とある1日目、PM03:00、ロシア・モスクワ、プーシキン造形美術博物館、館内・・・・・
救世主ハリストス大聖堂の北、ヴォルホンカ通りをはさんだ場所にあり、ヨーロッパ最大の美術館……プーシキン記念美術館。
サンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館に次いで世界2位の収蔵品数約10万点を誇る。
その館内に収蔵されている『とある絵画』の前で一人のスーツ姿の男性が、サングラスを外しそれを観賞していた。
見目中年に思えるその男性。優しそうな、しかし威厳のある風貌。
彼の周りに沢山の人が居れば絶対にその威圧感(オーラ)に気付くだろう。だが生憎、人の数は少ない。
精々絵と若造りが好きな中年サラリーマンくらいにしか思われていないのだ。その証拠に外国人観光客は彼に挨拶すらしない。
観賞を始めて数分後……彼に近づく足跡が二つ。男は振り向かず、ゆっくりとサングラスを掛けた。
ワシリーサ「あら、ごめんなさい。待たせてしまったようね」カツカツ・・・
??????「いや、そんなに待ってはないよ。私も今来たところだ」チラッ・・・
サーシャ「…………、」ペコッ・・・
??????「ん? この子は?」ジー・・・
彼女が連れと一緒に現れるのは珍しい。
ワシリーサ「んー……私の娘よーん♪」フフッ
サーシャ「ふざけんな糞ババア」ギロッ・・・
??????「ハハハハ。面白い冗談だ。ワシリーサ、ちゃんと紹介してくれよ」クスクスッ
ワシリーサ「んもー。ツレないわねぇ……まぁ私の部下でボディガード……いえ、同じ教会のシスターよ」チラッ・・・
サーシャ「こ、こんにちは……サーシャ・クロイツェフです」ペコッ・・・
緊張した面持ちで男に挨拶する少女。男性と女性は顔を合わせ苦笑した。
ワシリーサ「サーシャちゃん。そんなに緊張する事ないわよ。彼もまた私達の洗礼を受けた教徒、所謂『同志』なのだから」フフッ
??????「ふむ。クロイツェフ……御両親は君が生まれた瞬間『色々』間違えたのかい? それとも産科医の『診断ミス』かな?」クスッ
ワシリーサ「んもー。ヴァロージャったらー。セクハラよーん」ペシッ!
ヴァロージャ「ハハハハ。ジョークだよ。気を悪くしないでくれ、サーシャ」ナデナデ・・・
サーシャ「い、いえ。気にしません。首し……ヴァロージャさん」アタフタ・・・
彼女は此処でのタブーを思い出し、急いで口を紡いだ。
だがヴァロージャと呼ばれた男はそのタブーをさほど気にせず、気さくに微笑み、少女の頭話優しく撫でた。
534 :
第E話(17話)―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 19:07:31.11 ID:fA4FX24l0
サーシャは一介の修道女であり、ロシア国民だ。
確かに『殲滅白書(Annihilatus)』というロシア成教内部のエリート部隊に所属しているが、それを除けば普通の少女である。
故に……彼を目の前にするという事は、どれほど恐れ多い事か自負している。
ワシリーサ「ところで、何を見ていたの?」チラッ・・・
ヴァロージャ「女王イザボー……退廃の象徴だよ」チラッ・・・
ワシリーサ「ふーん……じゃあ貴方が嫌いそうな絵じゃない」ジー・・・
ヴァロージャ「だからこそ己に喝が入る。こうはしてはいけない、とね」ジー・・・
女王イザボー。確か15世紀はじめのブルゴーニュ公国・ヴァロワ朝フランス王国時代の人物だ。
フランス側のシャルル6世の妻であり、英国のヘンリー5世の妻である「キャサリン・ザ・フェア(麗人キャサリン)」の母。
悲劇の薄幸美人で有名なキャサリン(カトリーヌ)の方が多分有名ではあるが、
知識人からすると此方のイザボーの方が興味深い人物だと云う者も屡(しばしば)。
ヴァロージャ「昨今の我が国の退廃は酷いモノだ。何でもかんでも合衆国(アンクル・サム)の真似事をしようとする」ハァ・・・
ワシリーサ「そうかしら。『東』だろうと『西』だろうと、荒むのは結局個人のエゴよん」ジー・・・
ヴァロージャ「だが……止めよう。子供の前でする話じゃないな。すまない、サーシャ」チラッ・・・
サーシャ「い、いえ。お構いなく」フルフル・・・
ある程度の政治経済知識は身に付けているが、しかし、まだまだ若輩者の身。
彼や彼女ほど知識も無ければ経験、思慮もない。
ヴァロージャ「ん……少し歩こうか。ベンチで一服しながら話の続きでもするとしよう」チラッ・・・
ワシリーサ「ええ。そうね。サーシャちゃん、行きましょう」フフッ
サーシャ「はい」ペコッ・・・
言われるがまま館内を出る。途中自販機でカップコーヒー(サーシャはココア)を購入し、木陰になっているベンチへ向かった。
因みにベンチは詰めれば3人座れる程度の一般的なもの。
まさか自分が同じ席に座す訳にはいかないと、サーシャは立って待つ事にした。
ヴァロージャ「ん? ハハハ。サーシャ、いいから座りなさい」クスッ
サーシャ「し、しかし」アタフタ・・・
ヴァロージャ「良いから。レディファーストだよ。こればかりは古今東西万国共通だからね……あ、東洋は別か」ハハハ
サーシャ「…………、」タラー・・・
ワシリーサ「座りなさいな。彼は60にもなるくせに元気な男の子のままだから」フフッ
ヴァロージャ「わ、ワシリーサ」ポリポリ・・・
ワシリーサ「ふふふ。リューダから『色々』聞いてるもの……たーとーえーばー」ニヤリ・・・
ヴァロージャ「ああ、もぅ私の負けだ。勘弁してくれ……しかし妻の名前を出すのは些か反則だぞ」ジトー・・・
ワシリーサ「ふふふ。私からしてみれば『冷酷な紳士』ではなく、ただの坊やよ♪」ニヤリ・・・
この御方相手に、お前マジ何者だよ……サーシャは内心毒づくと共に、正体不明な己の上司に恐怖した。
535 :
第E話(17話)―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 19:46:49.73 ID:fA4FX24l0
それから暫く雑談をした後、ワシリーサが『じゃあ、そろそろ本題に』と真面目な口調で彼を見た。
サーシャは息を飲み、一度その場を離れようとした。
ワシリーサ「あ、良いのよ。サーシャちゃんも聞きなさい」ポンッ
サーシャ「し、しかし」タラー・・・
ワシリーサ「ヴァロージャ……良いわよね?」チラッ・・・
ヴァロージャ「え、あ……まさか、彼女が?」ジー・・・
ワシリーサ「御名答〜」フフッ
目を見広き、唖然とする男性。
ヴァロージャ「だが、ふむ」ジー・・・
ワシリーサ「こらこら。いくらサーシャちゃんが可愛いからってそんなにジロジロ見ないの。それともこの修道服が気になる?」メッ
サーシャ「てめっ……し、失礼」コホンッ・・・
ヴァロージャ「君の趣味くらい把握済みだよ……って、そうではなくてだなぁ」ムゥ・・・
ワシリーサ「あら……『子供兵士』って言いたい訳かしら?」ジー・・・
ヴァロージャ「……ふむ」チラッ・・・
言われ慣れている。もうそれに対して如何こう反論する気はない。
だが、見縊らないで欲しい。仮にもエージェントであると自負している。
ワシリーサ「安心なさい。彼女は私が手塩にかけて育てた修道女だもの。将来は私を越えて我が国最強の『魔女』になるわ」フフフ・・・
ヴァロージャ「……サーシャ」チラッ・・・
サーシャ「はい」
ヴァロージャ「君は……素人ではないのだな?」ジー・・・
サーシャ「第1の解答ですが、その通りです。自分は既に何度も死地を経験しています」コクッ・・・
ヴァロージャ「そうか……私が如何こう言えた義理ではないが、末恐ろしい世の中だな」ハァ・・・
そういう世の中にした原因の何割かは貴方よ、とワシリーサが黒い笑みを浮かべ皮肉った。彼は苦笑するのみ。
一寸後、彼はカップの中身を全て飲み干し、私達に語り出した。
ヴァロージャ「ドニエストル(共和国)、知っているね?」
サーシャ「第2の解答ですが、知っております」コクッ・・・
子供に語りかける優しい口調で、サーシャに告げる。
ウクライナとルーマニアの間国……モルドバ共和国。その東部ドニエストル川東岸のウクライナ国境に接する地域が沿ドニエストルだ。
現在、国際的には国家として承認されていないが、我が国(ロシア)はそれを認めている。
ワシリーサ「故に、紛争が絶えない地域よ」
紛争。何かと問題の多いロシアで暗躍活動するサーシャにとって、もはや聞き慣れた言葉だ。
536 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/14(水) 19:50:21.15 ID:iXgfhFrDO
今日は早いなー、とか思ったらなんか難しい事書いてる。
しかもこのヴァロージャってプーt‥‥おや? 誰か来たようだ。
537 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/14(水) 21:20:49.98 ID:WMxI4KL/0
サーシャついに来た━━━(゚∀゚)━━━!!
538 :
第E話(17話)―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 21:36:13.97 ID:fA4FX24l0
男の話は進む。
ヴァロージャ「まぁ今更紛争の経緯などは話さない。長くなるし、子供に聞かせられない話もあるからな」
サーシャ「はぁ」ポリポリ・・・
ヴァロージャ「とりあえず、現状の問題……ワシリーサ。君を頼る理由を言おう」
ワシリーサ「はいはい。おばちゃんに話してみなさい」フフフ・・・
茶目っ気を見せるワシリーサとは対称に、至って真面目な表情を崩さないヴァロージャ。
ヴァロージャ「まず、我々(ロシア)はドニエストル側だ。そして敵……というのもCIS(独立国家共同体)内なので語弊はあるが」
ワシリーサ「要はモルドバ政府という事ね」
ヴァロージャ「ああ……しかし、大きく見ればウチ(ロシア)とEU(欧州連合)・合衆国が睨み合ってる形となる」
WWU(第2次世界大戦)の名残か。未だに東西で冷戦紛いの事をしている。
多分、自分が生きている間でも解消する事の無い問題なのだろう……サーシャは内心苦笑した。
ワシリーサ「それで?」
ヴァロージャ「ふむ。これは睨み合いでなくてはならない問題なのだ……何故だか分かるかい?」チラッ・・・
サーシャ「……第3の解答ですが、ルーマニアでしょう。失礼ながらそのくらいは幼稚園児でも分かります」
ヴァロージャ「ハハハ。これは手厳しい。うん、西側に身を売った狗……おっと、君の前でそんな言い方はいけないな。兎角、ルーマニアだ」
ソ連・WTO(ワルシャワ条約機構)の表上の崩壊後、NATO(北大西洋条約機構)に乗り換えたルーマニア。
主に暗躍・工作活動で我が国と対立している。
ワシリーサ「ふーん。ルーマニアねぇ……大体読めたわ」フフフ・・・
ヴァロージャ「流石話が早いな。だがもう少し続けよう。まだ彼女はピンと来ていない様だ」ポンッ・・・
サーシャ「え、あ、すいません」ショボーン・・・
ヴァロージャ「いいや、構わない。この程度で分かれと言う方が無理だ……ワシリーサが敏感なだけだよ」フフッ
ワシリーサ「あらエッチぃ。奥さんと娘さんに言いつけるわよー」ニヤリ・・・
ヴァロージャ「続けよう。つまりは、今回の厄介事は我が国と彼の国の問題となっている」ジー・・・
ワシリーサ「あらら。無視するのね。おばちゃん悲しいわー」ムムム・・・
ちょっと黙ってろ。
サーシャ「第1の確認です。とりあえずモルドバ・ドニエストル内紛の代理工作としてロシア・ルーマニアが対立している」
ヴァロージャ「肯定だ。代理工作、というよりも牽制し合いだがな……その辺は君が知る必要はない」ポリポリ・・・
子供扱いか……だが『彼』にそうして貰える内は華だ。甘んじよう。
539 :
第E話(17話)―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 22:02:39.95 ID:fA4FX24l0
ふと、疑問が浮かんだ。今の何処に本題があったのだろう。
ヴァロージャ「ふむ……歳を取ると、どうも話が長くなっていけないな。すまない、サーシャ」ペコッ・・・
サーシャ「い、いえ。続けて下さい」アタフタ・・・
ヴァロージャ「うん。実は……FSV(対外情報庁)の人間がモルドバで殺害された。今のところ8人だな」
殺害という言葉に、サーシャは身を引き締めた。
ヴァロージャ「これはルーマニアとの情報戦の最中に起こった事なのだが……幾つか問題が生じている」
サーシャ「第1の推測ですが、死者が出た事でしょうか」
ヴァロージャ「それは勿論なのだが、彼らも国の為に働く『同志』だ。覚悟はあっただろう」
同志、か。重い言葉だ。
ヴァロージャ「だが問題はそこではないのだ。それは……ワシリーサ」チラッ・・・
ワシリーサ「ふふっ。そうね、貴方が口にするのは拙い事かもね」クスクスッ
サーシャ「はい?」ポカーン・・・
ワシリーサ「じゃあ此処からは私が代わりに話しましょう」コクッ
男は『頼む』と一言告げ、女に委ねた。
ワシリーサ「問題は『FSV』がモルドバで殺された事。多分、『FSB(連邦保安庁)』の人間は含まれていないんでしょう?」チラッ
ヴァロージャ「仰る通り。皆、FSVの人間なのだ」
ワシリーサ「うん。まずこれが第1の問題ね……でもまぁ私達には関係無いテーマ」
解説すると、CIS諸国内でFSVが活動する事は認められていない。故にCIS内ではFSBが動かねばならないのだ。
今回の殺人事件(?)はモルドバで起きた事……つまりCIS内で起きた問題となる。
ワシリーサ「まったく、厄介な事を……だから前々からKGBに戻して一括りにしろって言ってるじゃなーい」ムンッ!
ヴァロージャ「ワシリーサ。無茶言わんでくれ……我が国だって一枚岩ではないのだし、国連が五月蠅いんだ」ハァ・・・
ワシリーサ「今アメリカなんて大した力持ってないんだから大丈夫よ。ちゃっちゃと変えちゃえ☆」ニパー!
ヴァロージャ「ま、前向きに検討するが……勘弁してくれ」タラー・・・
サーシャは本格的に我が上司の素性が気になった。
540 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 22:05:42.76 ID:fA4FX24l0
ごめん! ・訂正: FSV ⇒ SVR
車じゃねぇよ……これは酷い
541 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 22:29:44.10 ID:fA4FX24l0
さておき、話を戻せ。
ワシリーサ「はいはーい。えっとじゃあ……これはニュースにはなってないんでしょ?」
ヴァロージャ「出来る訳が無いだろう。これが表立てば大事だ」
ワシリーサ「ですよねー」ハハハ
ヴァロージャ「だが、ルーマニアの連中はこれを大々的に発表しようとしている」
そうなると今回の牽制し合い、確実にルーマニアが優勢となるだろう。
ヴァロージャ「そうなられては困るのだ。今、プロパガンダで負ける訳にはいかない……これでは停戦している紛争が再び起きてしまう」
ワシリーサ「そうねぇ。これを期にモルドバがドニエストル奪いに掛るわ。川東岸はやっぱ欲しいものね」
ヴァロージャ「無論、モルドバを武力で黙らせる事も出来るが……それでは旧時代と何ら変わりない」
流石に冷戦時の事は多少なりとも反省している様だ。
まぁ政治屋やマスコミがいない、信頼している彼女の前だから溢せる本音だろうけど。
ワシリーサ「話を続けて良い? 多分、此処からが本題の核心。サーシャちゃんに必要な情報よ」
サーシャ「……どうぞ」コクッ・・・
ワシリーサ「今回の件、私を……殲滅白書(Annihilatus)を頼った理由」
ヴァロージャ「ああ。そうだな……此度の8人の死者は、まず間違いなくルーマニア側の刺客だろう。ワシリーサ、如何思う?」
ワシリーサ「……貴方の勘がそう言ってるなら、アタリでしょうね」コクッ・・・
成程。我が国を不利にさせる為の工作か。
ワシリーサ「ルーマニアで活動しているSVRの人間を、何らかの形で殺害。またはモルドバ内で直接殺害し、死体を置いた」
ヴァロージャ「しかも態々御丁寧に『猟奇的』な方法でな……アレは人間業じゃない」ハァ・・・
サーシャ「…………、」チラッ・・・
ワシリーサ「ふふっ。ビンゴ〜♪」ニコニコッ
そういう事なら我々の出番だ。
ヴァロージャ「『君(ワシリーサ)』を否定する訳ではないのだが、どうも今回の件(オカルト)は専門外でね」ポリポリ・・・
ワシリーサ「いいえ、ヴァロージャ。正当な思考よ。『彼らと対峙するのも、また彼ら』……前に教えたでしょ」フフッ
ヴァロージャ「ああ、すまない……兎角、今回の件はSVRやFSB、更に私お抱えの探偵を雇ってもパァなのだ」
サーシャ「えっと……僭越ながら第1の質問ですが、何故ルーマニアの仕業だと?」
その質問にワシリーサはクスリと笑い、ヴァロージャは渋い顔をした後……『決まってる』と呟き―――
ヴァロージャ「『バケモノ』といえば、ルーマニアだろう」ハァ・・・
―――割と子供みたいな事を告げた。なんか可愛い。
542 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 22:50:08.39 ID:fA4FX24l0
それから少しばかり、サーシャだけその場を離れ、ワシリーサとヴァロージャが内談を始めた。
暇なのでポケットに入れていた日本製のガムを噛み始めてから数分後、2人が戻ってくる。
ワシリーサ「お待たせー」カツカツ・・・
サーシャ「いえ……大して待ってません」コクッ・・・
ヴァロージャ「すまないね。君にも色々迷惑を掛ける」ペコッ・・・
サーシャ「い、いえ! 頭を上げて下さい!」アタフタ・・・
『この人』に頭を下げられたら、ロシア国民として立場が無い。
ワシリーサ「ふふっ。相変わらず固いわねぇ。私くらいフランクで良いのに」ハハハ
サーシャ「お前は自重しろ馬鹿!」ギロッ
ヴァロージャ「いやいや。ワシリーサは本音を話せる数少ない友達だからね……君も私の事を気軽にオジさんとでも呼んでくれ」ポンッ・・・
サーシャ「え、あ、い、いや、その」オドオド・・・
出来る訳無かろう。
ワシリーサ「しかしねぇ……一人くらい近衛職員付けて歩きなさいな、プライベートとはいえ、立場を考えなさい。ヴァロージャ」チラッ・・・
ヴァロージャ「美術館敷地外に待たせているよ。敷地内は君が居れば十分過ぎる程の戦力だ。本気を出せば一人でルーマニア潰せるだろ?」ハハハ
ワシリーサ「んもー。レディに向かって失礼よ」ペシッ!
ヴァロージャ「あ痛」ハハハ
サーシャ「てめぇ首し……ヴァロージャさんに手ぇ上げてんじゃねぇ!!」ゴツンッ!
ワシリーサ「痛たたたたたぁっ!! か、金槌で殴るとか……場所考えなさいっ!!」イターイ!
喧しい。貴様こそ相手考えろ。
ヴァロージャ「ハハハハ。中々ユニークなお嬢さんだ。今度我が家に遊びにおいで。歓迎しよう」ナデナデ・・・
サーシャ「も、勿体無いお言葉です」アタフタ・・・
ワシリーサ「あー! ヴァロージャったらサーシャちゃんの事FSBに勧誘しようとしてるでしょ! 駄目よ! この子は私のだから!」メッ!
『私の』とか言うな。殲滅白書(Annihilatus)所属だ。
ヴァロージャ「君の所有物じゃなかろう。強いて言うなら子供は国の宝だ……それに、こんな可憐な少女を引き抜きなんか出来ないさ」
ワシリーサ「わー、ロリコーン」ジトー・・・
ヴァロージャ「失敬な。相変わらず辛辣だなぁ、君は」ハァ・・・
安心して下さい。後でボコっときます。
543 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 23:05:50.44 ID:fA4FX24l0
一寸後、迎えの黒服が数名現れた。
ワシリーサ「次は使いを寄越しなさいな。貴方の怖い顔を見ると、サーシャちゃんが怖がっちゃうから」フフッ
ヴァロージャ「それでは君と話す機会が減るだろう。それに新しい友達もできたしな」フフッ
サーシャ「と、友達、ですか。恐縮です」ダラダラ・・・
ヴァロージャ「ふむ……やっぱり怖いかな」ポリポリ・・・
そういう問題じゃありません。
ワシリーサ「それはさておき、ホント、立場を考えてね。家族ぐるみの仲とはいえ『身分』は外せないのよ」チラッ・・・
ヴァロージャ「分かっているさ……とりあえず、詳細と正式な指令書は教会を通す。頼んだよ、ワシリーサ」コクッ
ワシリーサ「ええ……同志」コクッ
ヴァロージャ「……サーシャも、無理しない程度に」ポンッ・・・
サーシャ「了解です。同……ヴァロージャさん」ペコッ・・・
彼は微笑み、この場から去っていった。
サーシャ「……はぁ」グデェ・・・
ワシリーサ「緊張したの?」フフフ・・・
サーシャ「しない訳無いでしょう。ボケナス」ジトー・・・
『お出かけするから連いてきてー』と軽く言われ、来た結果がコレだよ。
サーシャ「まさか彼が居るとは……しかもワシリーサの友達って……色々質問したい事があるんですがー」ジトー・・・
ワシリーサ「うんうん。どーぞどーぞ」フフフ・・・
サーシャ「……多過ぎてできません。兎に角、第1の納得が『貴女は正体不明』って事で片付けます」ハァ・・・テクテク・・・
ワシリーサ「んふっ♪ せいか〜い★ 謎多き少女なのよ〜ん」ニコニコッ
何が少女だ。歳考えろBBA。
それからサーシャは、ワシリーサの思い出話や自慢話を聞かされながら、頭を抱えて教会に戻った。
544 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/14(水) 23:19:22.27 ID:JWxSWIV+0
うん?
つまり・・・どういうことだってばよ??
545 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 23:35:52.30 ID:fA4FX24l0
―――とある1日目、PM09:00、ロシア・モスクワ、救聖主ハリストス大聖堂のとある一角、殲滅白書(Annihilatus)部署内・・・・・
教会に戻ると、既に指令書が届いていた。
ワシリーサを筆頭に資料班やら残留思念解析班やらが大慌てで動き出す。
まぁ無理も無い。大統領直属の命令だ……というか何で首相ではないのだろう。
ワシリーサ「彼の名前で動けないのよん。それに、大統領を動かした方が便利なの」ジー・・・
如何してかは教えてくれない。多分『一枚岩ではない』由縁なのだろう。
サーシャ「第1の提案ですが、何か手伝いましょうか?」
ワシリーサ「んー……じゃあマッサージを。性的な意味で」
サーシャ「…………、」ガチャンッ!!
ワシリーサ「嘘。ごめん。お願いだから都市製の工具向けないで」ダラダラ・・・
プ○ズマカッターの餌食にしようと思ったのに、残念だ。
ワシリーサ「とりあえず、戦闘メインの子はおやすみしといて。もしかするとすぐに緊急招集かけるかもしれないから」チラッ・・・
サーシャ「……了解」クルッ・・・
ワシリーサ「あ。あとサーシャちゃん」チラッ・・・
サーシャ「はい?」ピタッ・・・
一枚の紙を見せつけてきた。
サーシャ「……これは?」
ワシリーサ「ヴァロージャ坊やから。『出来れば、あの子を戦場に送らないで欲しい』だって」フフフ・・・
サーシャ「へ?」ポカーン・・・
ワシリーサ「ふふっ。まったく……変な所で甘いのよねぇ」クスクスッ
どこぞの甘ちゃんみたいな事を……拍子抜けだ。
ワシリーサ「でも、だからこそ彼はあの位置に居るのよ」ジー・・・
サーシャ「……はぁ」ポリポリ・・・
ワシリーサ「でも私は残酷だから命令するわよん」クスクスッ
勿論だ。その為の私……殲滅白書(Annihilatus)の期待(ホープ)は伊達じゃないという所を見せてやる。
546 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/14(水) 23:57:16.59 ID:fA4FX24l0
―――とある2日目、AM09:00、ロシア・モスクワ、救聖主ハリストス大聖堂のとある一角、殲滅白書(Annihilatus)部署内・・・・・
翌朝、召集が掛る。結構大がかりな招集だ。
ワシリーサ「皆おはよー」ファアァ・・・
全員集合後、遅れて礼拝堂に現れる隊長。
ワシリーサ「さーて、集まって貰った理由だけど……ま、大きい話はいいっか。皆知ってるよね」ドサッ・・・
あくまで適当。だが真面目な話。
ワシリーサ「そんじゃあ先に、今回の『目的』を告げまーす。クーちゃん、説明よろしく」チラッ・・・
クーニャ「はい。ええっと……今回の目的は『モルドバ内における、ルーマニアからの< >の殲滅』です」ペラペラ・・・
スクーグズヌフラ「はい? え……< >?」ポカーン・・・
クーニャ「は、はい」コクッ
何だそれは。
ワシリーサ「申し訳ないのだけど、まさに『アンノーン』なの」ハハハ
サーシャ「第1の意見ですが、それでは手の打ちようが無いのでは?」ジトー・・・
ワシリーサ「それがそうでもないのよねぇ……クーちゃん。続けてー」チラッ・・・
クーニャ「はい。次に< >についてです」
そこが最重要だ。だが正体不明(アンノーン)なのでは?
クーニャ「確かに正体不明ではありますが、現場の写真と殺害方法の特徴から見て、幾つか確証を得ました」
現場の写真が移動式スクリーンに映し出され、確証という名の仮説が資料として配られる。
スクーグズヌフラ「あちゃー……エグいわ」ジー・・・
肉食獣が草食獣を喰らう様に、人間が喰われていた。
辺りは肉片が飛び散り、念入りに心臓や動脈部を食い荒らされた跡がある。一般人なら、もはや目も当てられないだろう。
547 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/15(木) 00:25:47.33 ID:AWvx1/jf0
進行役の修道女は話を続けた。
クーニャ「予想では、ウクライナのウポル系かルーマニアのヴァルコラキ系の『妖』かと思われます」タラー・・・
ワシリーサ「要は吸血鬼の類ね。まぁでも……それを模した魔術師の仕業でしょうけど」フフフ・・・
ウポル……変身能力と馬を乗りこなす能力をもっている。普通、馬は吸血鬼を嫌うのでこれは珍しい種類とされる。
ヴァルコラキ……多くの伝承が残されており伝承によって姿も能力もまちまちである。悪霊や妖怪の総称と捉えた方がわかりやすい。
犬、竜、青い顔をした人間の姿だったり魂を肉体から遊離させて空を食い荒らし日蝕を起こすともいわれている。
洗礼をうけないもの、不浄な行いをしたもの、未婚の母から生まれたもの、
真夜中にろうそくなしで糸を紡いだ女性などヴァルコラキになる理由も実にいろいろある。
ふと、吸血種専門の戦闘修道女が手を上げた。
アスワン「質問を。< >の行動は夜?」フム・・・
クーニャ「不明です。ただデイウォーカーでは無いのではと……隊長が」チラッ・・・
ワシリーサ「うーん。というか死霊魔術(ネクロマンサー)な気もするのよねぇ」
アスワン「死体を操って……人を喰らわせていると?」
ワシリーサ「さぁ」フフフ・・・
あの糞ババア……何か知ってるくせに、隠してるな。
クーニャ「え、えっと……実はローマも動いているそうです」ポリポリ・・・
スクーグズヌフラ「はぁ!? 管轄違いじゃない。何で首突っ込んでるのよ!」ジトー・・・
クーニャ「わ、分かりませんよぅ」タラー・・・
ワシリーサ「まぁローマも……一枚岩じゃないもの。『誰かさん』が勝手に動いたんでしょ? 異端排除とかの目的で」フフーン
正教会然り、聖堂騎士団然り、番号課(ナンバーズ)然り……神の右席然り。
我が国の軍事政治と同じで面倒臭い連中だ。
クーニャ「ええっと……それで……その」アタフタ・・・チラッ・・・
スクーグズヌフラ「何よ。早く言いなさい」ジー・・・
クーニャ「は、はい……隊長ー……自分で言って下さいよぅ」タラー・・・
ワシリーサ「あーはいはい。弱虫クーちゃん……じゃあ発表しまーす」コホンッ
いきなり立ち上がり、冷淡な声で告げた。
ワシリーサ「ローマは今回の件を『吸血種』の仕業と断定した……って御爺ちゃんが言ってたわ」ニコニコッ
御爺ちゃん……マタイ=リースの事だろう。
それに気付いた面々は『また勝手な事を!』とか『メル友感覚で重要機密聞き出したんだろ!』とかワシリーサを罵倒する。
重鎮面々はいつもの事だと、内心苦笑するだけに留めた。
548 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/15(木) 00:50:49.39 ID:AWvx1/jf0
一同の野次罵倒が収まり、話は続いた。
クーニャ「続けます……ローマは吸血種と決めつけた様ですが、我々はまだ断定出来ません」
アスワン「そうね。専門家が行ってみない事にはどうも胡散臭い」
スクーグズヌフラ「まぁ魔術師の仕業って線が辺りでしょうけどねぇ」
ワシリーサ「ただねぇ……この世には死徒化しようとする魔術師もいるんだもの。括りはつけられないわ」
実際、魔術師は『吸血鬼』という単語を極度に嫌う傾向がある。異端故ではなく、その魔力量故にだ。
もしその『御伽噺の化け物』がこの世に実在して、魔術師を兼任でもしたら……最強最悪の悪魔になりかねない。
ワシリーサ「ただアチラさんが『吸血種』としたのは、あくまで大きな括りとしてよ」
アスワン「でしょうね。『吸血鬼』だなんて定めでもしたら、十字教的に大問題です」
ワシリーサ「そそ。『血を吸う類』であって、魔術とは関係ナッシング。だからアチラさん、実際は深くまで動けないでいるのよねぇ」
動いてしまえば『吸血鬼』として認めた様なモノ、という訳か。
あくまで血と肉を喰らう『何か』として異端排除に動くとなれば話は別だが……所詮は詭弁だ。
ワシリーサ「でもぉ……私達は動くわよ」チラッ・・・
一同『…………、』ゴクリ・・・
ワシリーサ「国と、そして怯える教徒の為に」ジー・・・
我々、殲滅白書(Annihilatus)の目的は心霊現象の解析と解決だ。よって他の十字教にない特長は『オカルトの検閲と削除』である。
分かり易くいえば、『在らざるモノ』である<霊>や<化ヶ物>、<妖>といった分野を専門とする所謂ゴーストバスターズ。
『生前を語るのは悲しみにつけいる偽物か天国にも地獄にも行けない罪人である』という判断から、
『生前を語る存在はすべて殲滅対象』という方針の下に活動する。
そして何より……ロシアとその同盟国国民を、ロシア成教徒を、<オカルト>の恐怖から守る事が目的だ。
ワシリーサ「吸血鬼だかエイリアンだか地底人だか知らないけど……我々の敵となった事を精々後悔させてあげましょ」フフフ・・・
一同『了解』コクッ・・・
ワシリーサの不気味な喝で気を引き締める修道女一同。何だかんだ言って、ワシリーサは隊長としてのカリスマを備えている。
沢山の意味で『色者揃い』のこの部署を纏め上げられるのは、結局彼女しかいないのだ。
549 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/15(木) 01:23:43.40 ID:AWvx1/jf0
一寸後、作戦会議が終了し今回の割り当て作業が開始される。
アスワンを中心とした『対吸血種想定部隊』と、死霊魔術専門のコシチェスカ率いる『対< >部隊』が今回の主体部隊だ。
今晩から動き出すらしい。一同、着々と準備を始める中……サーシャは動けないでいた。
自分の、名前が無い。
まさかワシリーサが彼の通知を読み、再度考えを改めたというのか。
クーニャ「シスター・サーシャ……此方に」ボソッ・・・
サーシャ「え、あ、はい」コクッ・・・
クーニャに連れられ、別の個室に。そこにはワシリーサが待っていた。
色々文句を言ってやろうと思ったが、それより先に彼女が口を開く。
ワシリーサ「言いたい事は分かるわ……でもね、貴女には特別任務を与えます」コクッ・・・
サーシャ「特別、任務」ジー・・・
ワシリーサ「ええ。単刀直入に言うわ……学園都市に入りなさい」
……え。
クーニャ「隊長、イキナリ過ぎますよぅ。ちゃんと説明しなきゃ」ンモー
ワシリーサ「そう? これくらいが丁度いいかなーって」ハハハ
いや、全然分かりません。
ワシリーサ「えっとねぇ……ぶっちゃけ、今回の件、あやふや過ぎて手の打ちようが無いの」
サーシャ「まぁ、確かに」
ワシリーサ「最悪長期戦になるわ。でもそれだけは避けたい……だけど急ぐとなると、無関係者まで巻き込む事となる」
手段を選ばず、という意味だろう。手当たり次第怪しいモノを『審問』していったらキリがない。
ワシリーサ「と、いう訳で……一種の賭けよ」
サーシャ「賭け、ですか。第1の質問ですが、何を用いて賭けるのでしょう?」
ワシリーサ「…………、」スッ・・・
一枚の写真と、数枚の資料を渡された。
写真には日本人らしき女性が写っている。まさに黒髪長髪のまさにヤマトナデシコといった感じの女性だ。
ワシリーサ「吸血殺し(ディープブラッド)」ボソッ・・・
サーシャ「っ!!」ギョッ・・・
ワシリーサ「姫神秋沙……能力者ではなく『原石』よ。今彼女は複雑な立ち位置に居る」
クーニャ「学園都市(アレイスター)の監視下であり、英国清教の所有下になっています」
噂には聞いていた。だが……彼女を如何『賭け』にするのだ。
550 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/15(木) 01:49:34.57 ID:AWvx1/jf0
クーニャが説明を受け持った。
クーニャ「言葉通り、『彼女自身』が必要です……最悪彼女の『血』だけでも、と付け加えます」
サーシャ「第2の質問ですが……まさか、彼女を殺せと?」ギロッ・・・
クーニャ「い、いえ! は、話は最後まで聞いて下さい」アタフタ・・・
ワシリーサ「要は交渉よ。『理由は言えませんが、御同行願えますか?』、もしくは『血を頂けませんか?』ってね」
成程……だが、それなら英国側や都市側に直接頼めば良いのではないだろうか。
クーニャ「それが……都市には断られました」ハァ・・・
サーシャ「え?」
クーニャ「『姫神秋沙は我々の研究対象であり、大事な検体である。外部には貸し出せない』との事」タラー・・・
ワシリーサ「まぁ一応、能力開発(カリキュラム)を受けているらしいもの。しかも『原石』となれば……ねぇ」ハハハ・・・
他国に使わせる訳にはいかない、か。では英国側は如何なのだ。
クーニャ「『貸し出しは許可する。だが一切の手伝いはしない』……勝手にやれって事です」ヤレヤレ・・・
サーシャ「か、勝手にって」タラー・・・
ワシリーサ「手前でアポ取るなり、菓子折り持って挨拶行くなりしろって事よ」ポリポリ・・・
成程。だから……私に行けと。でも何故私が?
血液を取りに行くだけなら、本人の許可無しで軍部の工作員辺りに研究所内へ潜入させれば良いのではなかろうか。
ワシリーサ「無理ね。学園都市を嘗めちゃダメよ。クレムリン以上に強固だもの。それに全盛期のヴァロージャなら兎も角……、」ウーン・・・
クーニャ「今のSVRじゃ頼りないです……それに、なるべく温厚に済ませたいですよね」ハハハ・・・
サーシャ「それには同意しましょう。それで第3の質問ですが、何故、私なのですか?」チラッ・・・
ワシリーサ「キーマンが『彼』だからよ……『幻想殺し(イマジンブレイカー)』」ジー・・・
上条、当麻か。
クーニャ「『幻想殺し』と『吸血殺し』は親しいと聞きます。情報によると同じ学校の同級生(クラスメイト)だとか」
サーシャ「第2の意見です……じゃあ直接彼に説得して貰える様頼んでは?」
クーニャ「それが……都市側がジャミングを掛けてきました。我が国からの通話類は一度統括理事会に通されます」
つまり、私達だと分かった瞬間『プツン』か。
ワシリーサ「ええ。謂わば、当たって砕けろ……じゃないか。言葉通り直接交渉が必要なのよね」
だから諸々の意味で適役である、私、というわけか。こりゃ大変だな。
551 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/15(木) 03:20:19.40 ID:AWvx1/jf0
ふと、資料を見て思い付く。
清教のマグヌスや土御門とも交流があるようだが、彼らには頼めないのだろうか。
クーニャ「英国経由で、という事ですか……多分無理ですね」ハァ・・・
サーシャ「何故?」
クーニャ「先程言った通り『助力はしない。個人間で行え』だそうです」
……じゃあ私が直接マグヌスに電話してやる。
ワシリーサ「こら、お馬鹿」ポコッ
サーシャ「っ!?」ドキッ・・・
ワシリーサ「あのねぇ……友達は大事よ。でもね、駄目。言わなくても分かるでしょ?」
私情は挟むなという事か。
よくよく考えれば、アチラは主教補佐の身。都合良く私の話に耳を傾けてくれないだろう。
ワシリーサ「それに……そういうのは『最後の手段』。友達ってある意味『切り札(ジョーカー)』なのよ」フフフ・・・
サーシャ「……肝に銘じます」コクッ・・・
ワシリーサ「よろしい。それじゃあ詳しい話に入りましょ」ナデナデ・・・
資料を捲りプランを見た。
まず今晩20時頃に新型のチャーター機でモスクワ(ドモジェドボ空港)を発つ〜〜(約7時間半)〜〜翌朝8時半頃にハバロフツクに着く。
それから3日目(その日)の16時にハバロフツクを発つ〜〜(約3時間)〜〜19時頃に学園都市上空付近に入る。
クーニャ「モスクワ〜ハバロフツクは問題無い筈です。荷物の積み込みも悠々済みます」
サーシャ「しかし、第1の問題はハバロフツクからでしょう。どうやって都市に?」
クーニャ「その点は次の資料を。現地で貴女を待っている『同志』と、具体的な『突撃方法』についてです」
『同志』という事は軍部の力を借りるという事だ。詳しくは書いてないが殲滅白書(Annihilatus)クラスの特殊部隊らしい。
それから突撃……というか、突入方法。軍用ヘリの非公式型を使用するのか。
クーニャ「はい。Mi-17(Hip-H)の特注機2台と護衛のミル(ハインド&ハヴォック)を2台ずつ付けます」
サーシャ「今のを聞いた第1の感想ですが……電撃戦(ブリッツ)でもするのかと」タラー・・・
クーニャ「あはは……そうなるかも。えっと、もっと詳しい作戦はサーシャがハバロフツクに着く頃に命令行くと思うよ」ポリポリ・・・
サーシャ「やれやれ。了解」ハァ・・・
これは大分骨が折れそうだ……しかし、よく軍部を借りれたな。ワシリーサ恐るべし。
552 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/15(木) 03:40:09.68 ID:AWvx1/jf0
それから数点チェックをして、クーニャの話が終わる。
クーニャ「他のメンバーとは違って本当にスパイみたいな仕事だけど……健闘を祈るわ」
サーシャ「了解」コクッ・・・
ワシリーサ「あ。そうそう、忘れてた」ピンッ!
補足補足ー、とワシリーサが軽口を言う様に……重大な事を話す。
ワシリーサ「リミットは3日間(7日目)。それまでに交渉が出来なかった場合は貴女の任務は終了よ」
サーシャ・クーニャ「「はぁ!?」」ギョッ・・・
ワシリーサ「プロパガンダ操作、限界なの」
サーシャ「……むぅ」タラー・・・
ワシリーサ「余裕を持っても後10日前後……『吸血殺し』が此方に届いてから、利用するまで〜結果が出る時間を考えれば妥当でしょ」
確かに反論は出来ない。
ワシリーサ「兎に角ルーマニア側が雇った魔術師または『吸血種』が釣れれば良い……そうすればルーマニア成教に圧力を掛けられる」
クーニャ「成程……あそこの成教は強いですからね。政治にも口出しできます」コクッ・・・
ワシリーサ「その代わりプライドも高いから交渉は難しいけどね……兎に角、貴女が便りよ。サーシャちゃん」ジー・・・
サーシャ「任せて下さい」コクッ・・・
久しぶりに上級の任務か。武者震いがしそうだ。
ワシリーサ「それでぇ余談だけど……成功した暁には休暇あげちゃいまーす」フフフ・・・
サーシャ「……は?」ポカーン・・・
ワシリーサ「『吸血殺し』、または彼女の『血』が確保できた場合、貴女が持ちかえってくる必要はないものね」
サーシャ「ええっと」ポリポリ・・・
クーニャ「つまり交渉成功後には何方かの『同志』が、貴女の代わりに『吸血殺し(血)』を持ち帰ってくるって事」
なるほど、なるほど。
ワシリーサ「その辺の詳しい作戦(後始末)についても、ハバロフツクに送るわ。とりあえず、1週間くらい楽しんできなさい」
サーシャ「そ、そんなに!?」ギョッ・・・
クーニャ「サーシャの任務は急ぐ割に内容濃いもの。終了後は暇が出来ちゃうわ。有意義にしちゃいなよ」フフッ
何ともまぁ、フランクですこと。
553 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/15(木) 04:06:44.07 ID:AWvx1/jf0
とりあえず特別任務の説明は終わりだ。後は追って伝えるとの事。
では、とクーニャが個室から先に出る。
ワシリーサ「……ごめんなさいね」ポンッ・・・
サーシャ「第1の進言ですが、謝らないで下さい。これは任務でしょう」
ワシリーサ「そうなんだけど……危険な真似させちゃって」
サーシャ「いつもの事です」
ワシリーサ「今回は状況が違うわよ。貴女一人なら如何とでも潜り抜けるでしょうけど……、」ウーン・・・
言葉を選んでいる様だ。
ワシリーサ「都市へ突入する際、魔術じゃなく『科学勝負』になっちゃうわ。対地戦ヘリ対対空砲火のね」
サーシャ「…………、」コクッ・・・
ワシリーサ「現地の『特殊部隊』を信頼してない訳じゃないけど、如何足掻いても科学の面では都市に勝てないから」ハァ・・・
サーシャ「第1の提案ですが……最悪、私が対地魔術をブっ放しましょう」キリッ!
ワシリーサ「アハハ。その手があったか……まぁ後で指示するわよーん」ポリポリ・・・
チャラけているが、表情は難しそうだった。
ワシリーサ「それと、電子類の使用禁止だけど……大丈夫? 都市に入ってからは携帯使えないわよ」
サーシャ「その点は大丈夫です。私なりに考えがあります……第3の意見ですが、私なりのコネを使おうかと」
ワシリーサ「あらら。いつの間にコネなんか……大人になったわね。お母さん、複雑よぅ」オロオロ・・・
誰が母親だボケ……因みに、現地に居るという『特殊部隊』については?
ワシリーサ「んー……隊長はちょぉっと難しい娘でね。良い子なんだけどチェーカー嫌いなの。まぁ私もチェーカー苦手なんだけどねぇ」ハハハ
サーシャ「そういう話を聞いているのではないのですが」
ワシリーサ「今回は大統領命令だったから動いたけど首相だったら多分……あ、腕の話? 実力は本物よん♪」
サーシャ「というと?」
ワシリーサ「戦争したくて堪らない……あ、何でもない。えっと、兎に角いつでもWW(世界大戦)を想定している部隊、かな」クスクスッ
戦闘狂(戦争病)軍人という訳か。
ワシリーサ「ええ。それに私達と同じ『陽の下に出られない』部隊だから……安心して頼りなさい」ポンッ・・・
サーシャ「……了解」コクッ・・・
まさに『同志』か。それから2,3留意点を聞き、任務の準備に移る。
ワシリーサは成教(東方成教会)のトップ陣と英国凄教と話をしてくると告げ、スィーっと消えて行った。
さぁて……一仕事、頑張りますか。
554 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/15(木) 04:19:16.85 ID:AWvx1/jf0
―――一方その頃、香焼は……
教師「―――……である。この条例はテスト出すよ」カキカキ・・・
香焼(眠いなぁ……あ、ステイルからメールだ……煙草をイギリスへ送れ? 自分で買いに来い阿呆!)Pi!
教師「―――……よし。それじゃあ……香焼。能力開発人道法の3条、言ってみろ。教科書見るなよ」ジトー・・・
香焼「え、あ、はい……『生徒及びその保護者の許可無く能力開発は行えない』だったと思います」
教師「……正解だが、机の下でカチカチやるのはよろしくないぞ。次やったら在らぬ方向に折り曲げるからな」ジトー・・・
クスクスクス・・・
香焼「……気を付けます」
普通に学生していた。
555 :
>>1
[saga]:2011/09/15(木) 04:23:23.74 ID:AWvx1/jf0
はい今回は此処まで。次回、都市に入るか入れないかくらいまでかな。
色々訳分からん事あると思いますが、質問してくれると助かります。
今後解説しながら進めて行けるので、はい。
しかしまぁ『あまくさっ!』の面々が出て来なかったな。まるっきりサーシャ回だw
とりあえず質問意見感想リクエスト罵倒など、コメントお願いします! それじゃおやすみ! ノシ”
556 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/15(木) 08:40:00.48 ID:hhY6SsFEo
これでナチの残党が出てきたら、アレな感じのやつになるな
557 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/09/15(木) 09:14:38.36 ID:8NhpI/nAO
チェーカー嫌いで第三次大戦に備えてるってこたぁ顔に火傷を負ったアラレちゃんか
558 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/15(木) 14:51:43.74 ID:DyfEXQWDO
乙。興味深い話だった‥‥全体的に赤かったけどなww
このまま行くと『同志』コーヤギールートあるのか!?
559 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/09/15(木) 19:25:44.56 ID:woArpPi7o
すっげー気になるんだけどなんでサーシャがガム噛んでるの?
「ミーシャ」はガム好き設定あったけど「サーシャ」は口に含むのすら嫌だって設定じゃなかったか?
560 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/15(木) 23:03:15.74 ID:OXgC2XXk0
こまけぇこたぁ(ry
561 :
>>1
[saga]:2011/09/16(金) 00:46:28.76 ID:h3aVP1So0
こんばんわ。今日はレス返信と、ちょっと解説等をチラホラ。
>>556
・・・禁書の世界ってドイツと中国出て来ないよねー。出したら面白そうだけど。
>>557
・・・いえ、大尉な○シリア様です。
>>558
・・・赤だろうが右だろうが、香焼の性格はそんなに変わらないかと。
>>559
・・・気になってたんですがそれPSP版のセリフなんですか? 忘れているだけかもしれませんが、公式なのは確定ですね@Wiki すまそ。
あと時差とかフライト時間の間違いあっても気にしないで欲しいです。
一応、計算しながら頑張ってはいますが……はい。
それからSVRとFSBについて、CIS諸国、沿ドニエストルとモルドバ、ルーマニアとロシアの関係もフィクションだと思って下さい。
詳しい方、興味のある方がこれらの関係見ると『はい?』状態になると思うので……ええ。因みに主な参考はゴルゴLとWikiです。
他に何か質問ありますでしょうか。今回の話は勿論、今後の事でも良いですし、提案でもおkです。
2時くらいまで起きてるので直ぐコール&レスポンスします。どうぞ。
562 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/09/16(金) 06:37:31.87 ID:69M0hzJuo
>>559
のガムの話は原作だよ?
22巻のサーシャとレッサーのくだりだな
掘り下げ設定が深いのにこういう初歩的なミスが多いよな チャフシードの件とか
563 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/16(金) 13:00:03.98 ID:QCg9j0c50
乙!
何というサーシャのターン……いいぞもっとやれ
>>562
さんも言ってますけど、サーシャがガムを嫌ってるのは事実ですよ
彼女曰く「合成物の塊を口に入れる人の気が知れない」そうで…………
>クーニャ
某エキゾチック(自称)なマスコットを連想したのは俺だけではないはず
564 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/16(金) 14:20:47.81 ID:N6/CpOkDO
突撃作戦は面白そうだけど、確か学園都市って案外容易く侵入できるんじゃなかったっけ?
まぁ細かい事かもしれないけどさ
565 :
>>1
[saga]:2011/09/16(金) 18:20:29.14 ID:UaUTwu/f0
こんばんわ。ボチボチ書くよ。
>>562
・・・ガムの件、載ってましたね。こりゃ失敬。以後気を付けます。
>>563
・・・クーニャに気付かれましたか(苦笑) まぁロシア女性の名前なんてそうそう知りませんからね。
>>564
・・・そこは、複線という事で。
んじゃ、投下!
566 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/16(金) 18:44:49.01 ID:UaUTwu/f0
―――とある2日目、PM05:00、ロシア・モスクワ、救聖主ハリストス大聖堂女子寮、サーシャの個室・・・・・
空港に向かう数時間前、私はある人物へ連絡を取る為、英国・必要悪の教会(ネセサリウス)女子寮へ電話を入れた。
直接携帯でやりとりできれば良いのだろうが、彼女の電話番号を知らないので仕方の無い作業だった。
数コールの後、電話が繋がる。
オルソラ『はいはい。此方必要悪の教会女子寮でございますよ』ガチャッ
サーシャ「もしもし」Pi!
オルソラ『あら、サーシャ。此方に電話を掛けて来られるとは珍しいのでございますね。お元気でございますか』
サーシャ「ええ、まぁ。今日は少々頼みがあり」
オルソラ『はいはい、アニェーゼでございますね。少々御待ちを』
サーシャ「いえ、アニェーゼではなく」
オルソラ『あら。ではアンジェレネでございましょうか? それともレッサー……ああ、彼女なら貴女は直接携帯の方へ電話を――』
駄目だ、この人。会話が出来ない。
サーシャ「あ、あの……オルソラ=アクィナス。第1の意見ですが、とりあえず話を聞いてください」ハァ・・・
オルソラ『―――え、あ、ごめんなさいね。自分の事をベラベラ話したくなるのは年輩者のクセでございます』フフフ・・・
貴女の年齢については死んでも触れません。
サーシャ「はぁ……第1の質問ですが、今日、其方へオリアナ=トムソンは出張っていますか?」
オルソラ『オリアナ? はて、午前中は来ていた様でございますが今はもう此処には居ないのでございます』
サーシャ「そうですか……では第1の依頼として、彼女の連絡先を教えてもらいたいのですが」
オルソラ『はいはい。少々お待ちを』
一寸後、彼女の携帯の電話番号を入手。
サーシャ「ありがとうございます」
オルソラ『いえいえ。それより……何やら忙しそうでございますね』ボソボソ・・・
サーシャ「ええ、まぁ……第2の質問です。やはり其方にも例の噂が?」フム・・・
オルソラ『知っている者は極少数でございますけどね。最大主教様も人が悪いのでございますよ。手を貸して差し上げれば良いのに』
サーシャ「……いえ、交渉権の承諾を得ただけでも十分ですよ」
大人な返事をしておく。尤も、苦労する私個人としてはイチャモン塗れな心情だが。
567 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/16(金) 19:10:37.95 ID:UaUTwu/f0
それではと電話を切ろうとした時、待てと止められた。
オルソラ『サーシャ。今交代するのでございますよ』スッ・・・
サーシャ「へ?」
アニェーゼ『ういうい」』ヨッ!
カルテッ娘(我らが)リーダー、もとい、ローマ正教所属英国清教預かりの身―――アニェーゼ=サンクティスの声。
アニェーゼ『何やら忙しそうじゃねぇですか』フンフンッ
サーシャ「ええ……第1の心情ですが、ぶっちゃけ嫌になりますよ。なーにが『吸血種』ですかってね」ハハハ
アニェーゼ『吸血鬼ぃ? んなオカルト通り越してSFな存在を、よくもまぁ其方のまとめ役が認証しやがりましたね』
サーシャ「いえ。第1の訂正ですが、吸血『種』です。それに成教的には『そんなもの』認めていませんから。認めつつあるのはローマです」
アニェーゼ『んな細けぇ事は、どぉでもいいですよ……でもまぁ学園都市ねぇ』フーン・・・
そこがネックなのだ。謂わば絵本の中に飛び込む覚悟である。
アニェーゼ『早めに言ってくれりゃぁ手伝えたものの』フム・・・
サーシャ「第1の確認ですが、貴女は今英国側預かりの身でしょう。私に加担出来ない筈です」
アニェーゼ『ばーか。中途半端な位置に居る不良部隊の頭だからこそ、勝手な真似できるんですよ』ハハハ!
サーシャ「やれやれ……貴女らしいといえば貴女らしい解答です」フフッ・・・
アニェーゼ『それにまぁ、ダチ公のピンチとなりゃ話は別です。「柵」なんぞ糞喰らえってね』クスッ
彼女は何というか……情に厚い。そういう部分が人を率いる素質・カリスマ性に繋がるのだろう。
アニェーゼ『ふむふむ……とりあえず都市(アッチ)着いたら無理矢理にでも「ワンコ」頼りなさい』
サーシャ「ワンコ……彼を? それは無理なのでは。第2の確認ですが、彼の凄教は確実に英国傘下ですし」
アニェーゼ『うっせ。頼れ。これ命令。アイツが断ったらアイツ死刑』
サーシャ「……あはは」タラー・・・
横暴な。
アニェーゼ『あとは出来得るサポートはしてやります。アンジェレネと一緒に不良神父(ステイル)揺すりますから』ハハハ
サーシャ「ほ、程々に」タラー・・・
アニェーゼ『ええ……サーシャも無理すんじゃねぇですよ。あと、あの服で行くのは止めとくべきですね』クスッ
サーシャ「第1の同意です……でも、わの糞上司が……、」プルプル・・・
『アレ、制服だから強制よ』とか『動きやすいでしょ?』とか……マジいつか殺す。
それから少々雑談をして、電話を切った。
568 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/16(金) 19:41:21.17 ID:UaUTwu/f0
次は先程教えて貰った電話番号でオルソラに掛ける。
すぐ出れば良いのだが……彼女も忙しい身だ。あまり期待できないかもしれない。
サーシャ「しかし、彼女が頼りなんですよね」ムゥ・・・
逃走と嘗役のスペシャリスト。一度切ろうかと思った時……電話が繋がった。
????『はい、シエラ探偵事務所です。私は担当のオーリアでございます。御用件をどうぞ』ガチャッ
サーシャ「え? あ、す、すいません。間違いました」Pi!
あれ? おかしい……掛け間違えたか?
もう一度電話番号を確認して、コールする。
????『はい、此方シエラ探偵事務所。私は担当のオーリアです』ガチャッ
サーシャ「え……あれ?」タラー・・・
????『……もしもし?』
サーシャ「えっと……間違っていたらすいません。第1の確認ですが、これはオリアナ=トムソンの携帯番号ではないのですか?」
????『あら? サーシャ?』ポカーン・・・
サーシャ「へ? あ、はい。肯定です」ポカーン・・・
よくよく聞くと……オリアナの声だ。
オリアナ『あらら。まさか貴女が掛けてくるとは、お姉さんビックリだわ』フフフッ
サーシャ「え、いや、第1の心情ですがビックリしましたよ」ホッ・・・
オリアナ『そりゃまぁ隠れ蓑と偽名よん。そう易々と私とはアポイント取れない様にしているもの……てか、誰から聞いたの?』
サーシャ「第1の解答ですが、オルソラ=アクィナスです。所用が合って連絡させて頂きました」
オリアナ『あのノンビリ女め……勝手に……まぁロシア政府じゃなくて良かったわ』
厄介な事に、我が国(SVR)の力を使っても貴女の連絡先は入手できなかったのですよ。
オリアナ『それで……まさか私用じゃないわよね。それならそれで嬉しいけど♪ 御姉様、大人の遊びを教えて欲しいの的な?』フフッ
サーシャ「……失念でした。そういえば貴女はワシリーサと『同類』でしたね」ハァ・・・
オリアナ『ふふふ。冗談よ。まぁビジネスでしょ?』クスッ
サーシャ「肯定です」コクッ・・・
彼女はフリーの魔術師である。故に英国・ロシア・学園都市といった『柵(しがらみ)』など無い。
今回は情報提供者として協力して貰うべく、連絡したのだ。
569 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/16(金) 20:35:01.18 ID:UaUTwu/f0
彼女には今回の件を話しても大丈夫だろうと、詳細を告げた。
オリアナ『―――……ふーん。要は元KGBの連中のメンツがヤバいって事かしらね』
サーシャ「第4の解答ですが、分かりかねます。私に政治云々の情報開示はされてませんよ」
オリアナ『あはは。そうね……それで? 私に何を聞きたいの?』
サーシャ「はい、二点ほど」
まずは『潜入』について。そして嘗帳(都市内マップ)だ。
オリアナ『一つ目から話すわ。潜入は容易いわよ。人払いとか気配遮断の術式展開しとけば良いんだもの』
サーシャ「第1の確認ですが、それは逃走においても同様ですか?」
オリアナ『うーん……私は運悪く「坊や」達に見つかっちゃったんだけど、今回は敵じゃないんでしょ?』
サーシャ「はい。ただ味方でもありませんが」
オリアナ『じゃあ安心なさいな。ただ忠告しといてあげるけど、携帯とか記録の残る電子機器は使うの控えなさい。すぐ傍受されるわ』
サーシャ「ふむふむ」カキカキ・・・
オリアナ『あと中に入ったら極力魔術も控えなさい。都市内だとアレイスターや何人かの潜伏している魔術師達に勘付かれる』
中々ハードなミッションだな。まぁ潜入(スニーキング)作戦とはそういうものだろうけど。
オリアナ『じゃあ次に二つ目だけど……嘗帳要る? SVRからマップ貰ってるんでしょ?』
サーシャ「いえ。第2の願望として、その様な当たり前のマップではなく……移動経路としてです。貴女は見てきてるのでしょう?」
オリアナ『そういう事……あんまり教えたくないのだけど』ウーン・・・
サーシャ「安心して下さい。第1の提示として、礼金はたんまり弾みますから」
オリアナ『あはは。子供の口からそんな事言われちゃ、大人のお姉さんとしては形無しね……良いわ、教える。一回でメモりなさいよ』
オリアナの説明が始まる。いくつかのルートがあるようだ。
オリアナ『目的地は学園都市第7学区の南側でしょ? 進入ルートってか突撃口の予定は?』
サーシャ「今のところはありません」
オリアナ『だったら最南の第10学区から侵入すべきね……でもハバロフツクからかぁ。やっぱ北口かしら?』
サーシャ「第5の解答です。作戦本部から指揮は私と突撃部隊の隊長殿に任されています。2人で決める予定です」
オリアナ『うん。じゃあ可能であれば南口から。もし北口からなら第19学区がオススメよ』
サーシャ「ふむふむ……では第4の質問です。避けた方が良い学区は?」
オリアナ『第2,3,7,8,11,13,18,23学区よ……でも第7学区には行かなきゃダメなのよね』
サーシャ「肯定です」
行かなければ話が始まらないのだ。仕方なかろう。
570 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/16(金) 21:16:09.93 ID:UaUTwu/f0
他数点、都市侵入での心構えを聞いた後に、礼金の支払い方法等を決め、電話を切ろうとした。
オリアナ『ちょっと待ちなさい』
サーシャ「何か?」
オリアナ『今回、英国は協力不可らしいけど……「坊や」は別なんでしょ?』
サーシャ「第4の確認ですが、上条当麻の事ですか? そうであれば肯定です」
オリアナ『いや、その坊やじゃないわよ……分かってるんでしょ?』フフフ・・・
この人も言うか。
サーシャ「……コーヤギーですか?」ハァ・・・
オリアナ『あと五和や浦上もね。天草の若い子達、学徒として潜入してるんでしょ? 無碍にはしない筈よ』
サーシャ「如何でしょう……第2の予想ですが、多分私の監視役に回されるでしょうね」
オリアナ『ええ。あくまで監視ね。でも止めはしない筈よ……因みに貴女、野宿するつもりだったでしょ?』
サーシャ「はい。何か?」
オリアナ『坊やの家、泊まっちゃいなさい♪』フフッ
盛大に噴いた。
サーシャ「で、出来る訳ないでしょう!!」カアアァ///
オリアナ『じゃあ幻想殺しの坊やのとこ泊まる? 多分、禁書目録(インデックス)居て落ち着けないわよ』
サーシャ「……もとより、彼の所に泊まるつもりはありません」
オリアナ『じゃあ決まりね♪ ビジネスホテルは止めなさいよ。足跡(アシ)付くから。でも野宿もダメ。回復できないわよ』
サーシャ「し、しかしですね」タラー・・・
オリアナ『安心なさい。それくらいの説得、お姉さんが神裂にしとくから』フフッ
はぁ……もう何言っても無駄だ。無視しよう。
サーシャ「……とりあえず、情報提供感謝します。礼金は後ほど」ハァ・・・
オリアナ『いえいえ……あ』
サーシャ「まだ何か」ポリポリ・・・
オリアナ『……私用だけど、良いかしら。伝言よ』
サーシャ「伝言?」
オリアナ『ええ……――――……吸血殺しに伝えて。匿名でいいから』
サーシャ「はい……了解です。では」Pi!
電話を切る。それにしても……『謝罪』か。
軽い様に見えて、存外義理がたい人なのだな。レッサーも同じ部類だが……大人という事だろう。
さておき、資料と荷物を纏めてそろそろ空港へ向かおう。
571 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/16(金) 21:58:57.70 ID:UaUTwu/f0
―――とある2日目、PM08:00、ロシア・モスクワ、ドモジェドボ空港・・・・・
モスクワを発つ時刻。
チャーター機前には私と、見送りのワシリーサとクーニャだけ。
クーニャ「気をつけて。都市に入って任務が終わるまでは連絡できなくなると思うけど、その後は何とか連絡出来る様努力してみます」
サーシャ「ええ。よろしくお願いします」
ワシリーサ「あと、この写真を」スッ・・・
姫神氏とは別の女性。眼鏡を掛けたロングウェーブの掛った黒髪女性。
ワシリーサ「もし、この女性を見かけたら逃げなさい。これは命令」ジー・・・
サーシャ「え? 第1の質問ですが、超能力者か何かでしょうか」
ワシリーサ「いいえ。私達『魔術師』の天敵よ。宛ら『人工天使』ってところかしら……コードは『ヒューズ=カザキリ』」
サーシャ「人工……天使?」
ワシリーサ「尤も、既にアレイスターの飼い犬では無い様だけど油断は禁物ね」
サーシャ「……気を付けます」
どうして私は天使云々に縁が濃いのだろう。まったく、神職の身とはいえ嫌になる。
サーシャ「それでは行ってきます」
ワシリーサ「はーい。御土産よろしくねー」ノシ
クーニャ「隊長……貴女という人は」ハァ・・・
ワシリーサ「無事帰ってくるって信じてるからよ。あ、幻想殺しにもよろしくー。何れ私が直接挨拶行くって言っといてねーん♪」
無視無視。
クーニャ「ええっと、とりあえずハバロフツクまでは携帯使えるから、音楽でも聞きながらリラックスして行ってらっしゃい……幸運を」
サーシャ「ありがとう」コクッ
十字を切り、飛行機に乗った。さぁ……長い3日間が始まる。
572 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/16(金) 22:37:00.72 ID:UaUTwu/f0
<ワシリーサside>
クーニャ「……行きましたね」
ワシリーサ「ええ……さーて、私は引き続き頭の固いルーマニア成教の阿呆共と交渉かぁ」
クーニャ「隊長、それより前線で指揮を取って頂いた方が」
ワシリーサ「街二つくらい潰していいならねー」クスッ
クーニャ「ハァ……まぁ前線組がドニエストルに入りさえすれば< >もそう活動できないでしょう。抑止にはなります」
ワシリーサ「うーん。どうだか。結局サーシャちゃん待たないと今回の事件は動きが出ないわね」
クーニャ「サーシャ任せ、ですか……何だかんだで一番大変な枠ですね。アレイスターが如何動くか」
ワシリーサ「あら。動けないわよ」チラッ
クーニャ「え?」キョトン・・・
ワシリーサ「私が何の為にサーシャちゃんを送ったと思ってるの?」
クーニャ「そ、それは吸血殺しと親交が深い幻想殺しの……え? 違うんですか?」タラー・・・
ワシリーサ「勿論それもあるわ。でもね……それこそ抑止よ」
クーニャ「と、言いますと?」
ワシリーサ「こんな言い方したくないけど、謂わば冷戦戦法ね。私は都市へ『核』を送りだしましたとさ」
クーニャ「……は?」
ワシリーサ「無論、穏便に事を運ばせたいの。だから『核』レベルの力を持つサーシャちゃんを都市内で潜入活動させる」
クーニャ「……暴れられたら一大事、という事ですか」タラー・・・
ワシリーサ「都市の半分は消え失せるわね」ハハハ
クーニャ「しかし……それこそ『ヒューズ』が出てきたら」
ワシリーサ「だから『冷戦』なの。ロシアの核vs学園都市の核。もしサーシャちゃんが殺されても被害は一人」クスクス・・・
クーニャ「しかしサーシャは抵抗して、ドチラにしてもアチラは多大な損害と……隊長。発想が悪魔です」ジトー・・・
ワシリーサ「ま、サーシャちゃんが死なないって信じてるから出来る作戦なんだけどねー。何事も穏便に済むものよ」フフフ・・・
クーニャ「しかし、それは突入出来てからの話でしょう。大丈夫なんでしょうか?」
ワシリーサ「まぁ突撃部隊は実質囮だもの。アチラに届く作戦書を読んで、サーシャちゃんがそこまで頭が回らなくとも、彼女は回るわ」
クーニャ「特別部隊、でしたっけ?」
ワシリーサ「ええ……FSBやデルタ、MI:6なんかよりも、ずぅっと頭が切れる娘よん♪」フフフ・・・
クーニャ「その方とお知り合いなのですか?」ジー・・・
ワシリーサ「んー……とあるシスターとの間持ちをしてあげたのよ。ドイツ生まれローマ正教のシスター。魔術の業界でも有名な名前だわ」
クーニャ「……やっぱり、隊長の素性が謎です」タラー・・・
ワシリーサ「ふふふ。私の秘密を詮索すると食べちゃうわよー! まぁさておき……私達は今出来る事をしておきましょ」テクテク・・・
クーニャ「了解です」コクッ・・・
573 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/16(金) 23:30:23.37 ID:UaUTwu/f0
―――とある3日目、AM08:30、ロシア・ハバロフツク、ハバロフツク空港・・・・・
空の上で7時間半の移動。もはや飛行機という文明の利器に慣れ切ってしまった自分が恐ろしい。
物事が便利になるという点で科学の発展は良いモノだ。だが踏み台として必ず戦争というものが付き纏う、と何処かの偉人が言ってた気がする。
さておき、空港内に着いた。今回は最低限の荷物しか持ってきていないので、入港審査は手間取らない。
ただ、馬鹿上司の趣味の所為で着せられている拘束着(ユニフォーム)を隠す為、必死に赤い外套の袖を掴みながらセキュリティを潜った。
まったく恥ずかしい……こんな場所で目立ったら物笑いの種にしかならない。
サーシャ「確か、9時に東口の大ホール付近でしたね」キョロキョロ・・・
迎えの人間がそこに居ると伝えられていた。電話ボックス前のベンチで童話『蛙の王女』を読んでいるらしい。
合言葉やら何やら面倒だが、仕方あるまい。秘密度の高い任務だ。
数分後、目的の場所に到着。電話ボックスも発見。迎えの人間は……居た。30前後の男性だ。
無言で近づき、隣の席に座る。何故か不思議な目で見られた後、微笑まれたが、気にはしない。合言葉を告げよう。
サーシャ「おはようございます……ヴァロージャ小父さんも、麗しのワシリーサが好きなんですよ」チラッ・・・
男性「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」キョトン・・・
あれ? 違ったか? もう一度だけ確認しよう。
サーシャ「……ヴァロージャ小父さんも、麗しのワシリーサが好きなんですよ」ジー・・・
男性「な・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジ、かよ」タラー・・・
やはり違った様だ。もしかしたらトイレにでも行っていて遅れているのかもしれない。
少し場所を変えてみよう。
サーシャ「むぅ……あ、すいません。独り言ですので忘れて下さいね」ペコッ・・・スッ・・・
男性「……あ、ちょ!」アタフタ・・・
サーシャ「はい?」チラッ・・・
男性「ヴぁ、ヴァロージャさんとは懐かしい名前だよ……っ……元気かい?」コクッ・・・
何だ。当たってるじゃないか。
サーシャ「はい。美術館で見た時は元気そうでした」ジー・・・
男性「そ、そうかい……荷物を持つよ」スッ・・・
サーシャ「結構です……行きましょう」スッ・・・
男性「はぁ」ダラダラ・・・
目を丸くする男性。何がそんなに不思議なのか……まさか外套(マント)の中を見られたか!? だとすれば、当然の反応だ。恥ずかしい。
さておき、私達は会話も無く、外に待機してあった黒塗りの車に乗って、目的地まで移動する事とした。
574 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/16(金) 23:54:27.79 ID:UaUTwu/f0
一寸後、車内にて。
サーシャ「…………、」カチカチカチ・・・
男性・運転手「「…………、」」タラー・・・
何故か得体の知れない緊張が走っていた。
とりあえず私は携帯を弄ってれば時間を潰せるので如何でも良いのだが、前二人が異様に緊張している。
偶にミラー越しに此方を見ては、無言で双方アイコンタクト。何か言ったら如何なのだ。
男性「あ、あの……つかぬ事をお聞きしてもよろしいでしょうか」タラー・・・
サーシャ「はい。どうぞ」コクッ・・・
男性「既に車内に乗せているというのに、こんな事を聞くのも恐縮ではありますが……サーシャ=クロイツェフ特尉殿で間違いありませんか?」
そういえば『特尉』扱いだったな。忘れていた。
サーシャ「第1の解答ですが、肯定です」コクッ・・・
男性「…………、」タラー・・・
サーシャ「……何か?」ジー・・・
男性「い、いえ……その……、」ダラダラ・・・
サーシャ「第1の提案です。そんなに畏まらなくても良いですよ。特尉といっても、貴方達が思っている通り小娘でしょうから」フフッ
男性「い、いえ! すいません!」アタフタ・・・
成程……生粋の軍人さんという訳か。SVRやFSBの連中とも雰囲気が違う。
サーシャ「私からも質問、よろしいですか?」
男性「は、はい」タラー・・・
サーシャ「では第1の質問ですが、お名前と階級……軽く自己紹介を」
男性・運転手「「え」」キョトン・・・
サーシャ「名前を聞いただけですよ。そんなにオカシイ事でしょうか?」
男性「い、いえ。その……予想外でした」アハハ・・・
運転手「バスカフ……先に言ってくれよ」タラー・・・
男性「ちょ!? な、何かその、パニクってて……兵長。先頼みます。アンタの娘くらいの歳でしょ」タラー・・・
サーシャ「……ドチラからでも良いですよ」クスッ
自己紹介までに5分以上掛ってしまった。男性はバスカフ二等兵、31歳。運転手はイァーク兵長、36歳。
サーシャ「ふむふむ……では改めて……サーシャ=クロイツェフです。歳は13。性別は女ですので間違えぬよう」クスッ
男性・運転手「「は、ははは」」タラー・・・
現地の『同志』とのコミュニケーションは大事にしておけ、というワシリーサの言葉を思い出す。
良い印象を持ってもらえたら幸いだが……如何だろう。
575 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 00:16:43.30 ID:Ee66Y1gU0
空港から南東へ2時間程走り、軍事飛行場の様な場所に着いた。多分非公式なモノだろう。
因みに、結局車内では大したコミュニケーションを取れなかった……残念である。
もっとフランクに話すべきだったか。今度アニェーゼとレッサー辺りにコツを教わろう。勿論、下ネタ抜きで。
バスカフ「到着です……特尉殿。少々車でお待ちして頂いても宜しいでしょうか?」チラッ・・・
サーシャ「え?」
バスカフ「その『大尉殿』……我々の上司に報告を」アタフタ・・・
サーシャ「第3の提案ですが、私が直接挨拶に行きます。それが余所者としての筋でしょう」ジー・・・
バスカフ「そ、その心構えは立派なものですが……その……すいません。そうまず報告に来いと命令されているので」タラー・・・
ふむ。それなら仕方ない。
バスカフ「申し訳ありません。では……兵長。よろしく! (頑張れ!)」チラッ・・・
イァーク「おま……覚えてろ」ボソッ・・・
急いでプレハブの様な場所へ駆けていくバスカフ一等兵。ではこの内に質問しておこう。
サーシャ「兵長。第6の質問です……大尉殿、と言ってましたがどのような方ですか?」
イァーク「え!? あ、はい……そうですね。会えば分かりますが、女傑、とでも言うのでしょうか」
サーシャ「ふむ。女性とは聞いていましたが……特殊部隊のリーダーが男性を率いる女傑、と。驚愕と共に憧れますね」キラキラ・・・
イァーク「あ、あはは……(コッチの方が驚きだっつの!)」タラー・・・
ワシリーサの知り合いというくらいだから相当肝も座っているのだろう。会うのが楽しみだ。
数分後……プレハブからぞろぞろと兵隊が出てくる。私も挨拶の準備をする為、外套をキッチリ締め、スピーチを考えたりなんかしてみたり。
その中からバスカフ一等兵が此方に歩み出し、後部ドアを少し開け、話しかけてきた。
バスカフ「……特尉殿」チラッ・・・
サーシャ「出迎え、ですか……態々申し訳ありません」タラー・・・
バスカフ「あの、その……後先に謝っておきます」
サーシャ「はい?」
バスカフ「……何があっても、気を悪くされないで下さい。我々なりの歓迎だと思って」タラー・・・
サーシャ「はぁ」キョトン・・・
イァーク「……邪険にするつもりはないと思って下さい。多分、その……色々驚き故の事ですから」タラー・・・
何やら良く分からないが、サプライズでもしてくれるというのだろうか。
私はバスカフ一等兵が開けてくれたドアから、ヒョコリと、車を降りた。
576 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 00:39:47.68 ID:Ee66Y1gU0
刹那―――空気が固まった。
一同、まるで私を北方領土に居る日本人ドクターを見る様な眼で、私を見詰める。
兵隊A「嘘……だろ」タラー・・・
兵隊B「ちょ、な、待……え!?」ギョッ・・・
兵隊C「ヒューッ……こいつぁ驚きだ。俺らは本国のドッキリ企画にでも当てられたのかい?」アハハ・・・
兵隊D「うわぁ……賭け金パァだ。全部、大尉と軍曹とバスカフに行くのかよ」タラー・・・
バスカフ「だから言ったろ……大尉の前で嘘言えるかっての」ハァ・・・
逆にアチラがサプライズを受けた様な顔をしているのは何故だろう。
軍曹「全員、気をつけ!」ゴッ!
一同『っ!』ザッ・・・
強面の軍曹と呼ばれた男性の一言で一気に軍隊らしくなる一同。
『傾注』という言葉が続き、後ろの方から……軍用コートを着た身長170前後の女性が前に出てきた。
軍曹「一同、敬礼!」ジー・・・
一同『っ!』ザッ!
サーシャ「あ、え……っ!」ザッ!
私も見様見真似で敬礼をしてしまう。そんな私を見て苦笑の表情を浮かべる……っ!
大尉「ようこそ特尉殿。我々の様な『死者の部隊』へ」フフッ・・・
サーシャ「っ……サーシャ=クロイツェフ特尉であります。よろしく、お願いします」ペコッ・・・
大尉「ええ。よく挨拶できたわね。緊張しながら偉いわよ……『ロリータ』」ポンッ!
サーシャ「な!? ろ、り!?」タラー・・・
瞬間、噴き出す兵士が数名。軍曹殿に睨まれて引き締め直してはいるが……軍曹殿も自分の脇腹を抓ってらっしゃる。
大尉「私は部隊長の……そうだな……ヴラディリーナとでも呼んでくれ。長けりゃ大尉でも良いよ」ナデナデ・・・
サーシャ「は、はぁ……あの……大尉殿」チラッ・・・
大尉「ん? 何かな?」ナデナデ・・・
サーシャ「第1の要望ですが……手を、その」アタフタ・・・
大尉「頬にでも充てて欲しい? もしかして寒かったのかしら。無理もないわね」スッ・・・
サーシャ「ち、違います! 離して下さい!」カアアァ///
大尉「あら、ごめんなさい。そうね。もう13だものね。思春期真っ盛りの子供に私ったら……これは失礼」ニコニコッ
遂に強面の軍曹殿まで噴き出す始末……何なんだ。この不良部隊は!
577 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 01:02:56.72 ID:Ee66Y1gU0
流石に頭にきたので、一言言ってやろうかと思った、矢先……大尉殿に先を越された。
大尉「諸君、直っていいぞ」チラッ・・・
軍曹「一同直れ!」
一同『はっ!』ザッ!
未だにクスクス笑う不良軍人共の頭は『やれやれ』と一言告げ、私に提案してきた。
大尉「いやはや、とりあえず文句はプレハブの中で聞こう。此処は冷える。軍曹、あとバスカフ、イァーク三名は連いてこい」カツカツ・・・
軍曹「はい。さぁ特尉殿。此方へ」スッ・・・
サーシャ「……はい」テクテク・・・
バスカフ・イァーク「「…………、」」タラー・・・
歩きながら大尉殿は私に話しかけた。
大尉「特尉殿……いや、サーシャと呼ぼうか」チラッ・・・
サーシャ「ドチラでも」ムスー・・・
大尉「そう怒るな。可愛い顔が台無しだぞ……まぁ今貴女が抱いている感情と私の感情は似ているよ。理解できるかしら?」カツカツ・・・
サーシャ「え?」キョトン・・・
大尉「そうか。生粋の『子供兵士』か……相変わらず世界は優しくないらしい。まるで『双子』の時と変わらない」ボー・・・
軍曹「……大尉殿」コホンッ・・・
大尉「ん。すまん……所属は何処だ? 言えるなら教えてくれ」チラッ・・・
一応、ワシリーサの部下とだけ言っておく。
大尉「成程、例の……納得した。もう深くは言うまい。彼女には借りがある」カツカツ・・・
サーシャ「はぁ」ポリポリ・・・
大尉「しかしなぁ……『サーシャ=クロイツェフ特尉』とだけ報告書で来たものよ。無論、写真はおろか、年齢性別すら無しで」クスッ
サーシャ「なぁ!? っ……ワシリーサ殺す」ンギギ・・・///
大尉「ハハハハハ! やっと理解したのかしら! まぁ構わない。大事な『同志』だ。歓迎するわよ、サーシャ」ポンッ・・・
そういう事か! 名前と軍籍だけでは、私がFSBかSVRの特任将校辺りに思われても仕方あるまい!
大尉「一応、自分が『お嬢さん』と呼ばれても仕方ない事には気付いてるのね。だったらまだ『やり直し』は効くわ」ジー・・・
サーシャ「肯定です、が……やり直し?」ハテ・・・
気にしないで頂戴、とサクサク前に進む大尉殿。周りの3人の表情を見たが軍曹殿以外は苦笑。
さておき、切り替えねば……私は特別任務の事を思い出し、頭を仕事モードに切り替え大尉殿の後を追った……―――
578 :
>>1
[saga]:2011/09/17(土) 01:04:55.96 ID:Ee66Y1gU0
はい。今日は此処までです。時系列はあんまり考えないで下さいね……色々と。
さて、次こそ香焼と合流させてあげたいですね。
もしかしたら安価取るかもしれないからその時は協力よろしく。ではまた次回! ノシ”
579 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/17(土) 01:53:38.03 ID:4m/1QPcHo
どこぞのスカーフェイスが出てくるぜ……
580 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/17(土) 02:17:55.22 ID:iMg1JTQDO
乙! 世界一おっかない姐御キター! ヴラディレーナって日本で使ってた偽名だよね?
常識的に考えりゃ大尉達の考えの方が正しいよなー
まぁチャイルドソルジャー駄目なんつったら禁書どころか殆どのフィクション無くなるけど
>>579
スカーフェイスだと筋肉男U世か蝙蝠男のヴィランになるぞww
581 :
>>1
[saga]:2011/09/17(土) 19:13:47.19 ID:Ee66Y1gU0
こんばんわ。続き投下!
582 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 19:39:32.73 ID:Ee66Y1gU0
―――とある3日目、AM11:45、ロシア・ハバロフツク、シホテアリニ山脈北部・非公式空軍キャンプ・・・・・
プレハブに入り、さて早速作戦会議を……と思った矢先『まぁ座りなさい』と促された。
それから軍曹殿に目配せをし『昼食を先に』と告げた。
軍曹殿は短く『了解』ですと告げ、バスカフ・イァーク両名を連れ、プレハブから出て行った。
サーシャ「あの……大尉殿。第1の提案ですが、すぐにでも作戦を立てるべきでは」チラッ・・・
大尉「やれやれ。仕事熱心は感心するけど、疲れてるのでしょう? 休憩がてら昼食でも取りましょう。少し話も聞きたいし」フフッ・・・
サーシャ「……はぁ」ポリポリ・・・
大尉「焦っても仕方ないわよ。正直、今回の作戦は大幅な見直しも必要だと思ってるからね」スッ・・・
サーシャ「見直し……ですか」ジー・・・
大尉「ええ……おっと、子供の前で葉巻を喫うものではないな。これは失敬」コトッ・・・
構いません、と承諾をしたのだがポリシーみたいなものを持ってるらしい。感心した。
さて、大尉殿がロングコートを壁に掛けた頃、ランチパックが運ばれてくる。ホカホカのスープ付きだ。
軍曹「お待たせしました。二つ分になります」スッ・・・
大尉「ご苦労軍曹。さぁ、サーシャ。暫く温かいモノを食べてないのでしょう? 食べれないモノは無いわよね。どうぞ召し上がれ」チラッ・・・
サーシャ「……えっと」ジー・・・ジュルリ・・・
大尉「女2人だけだ。背を伸ばしてくれ……まぁ軍曹は気にするな。置き物だと思え」フフッ
サーシャ「では、お言葉に甘えます……―――」コクッ・・・
軽く食前の『祈』を済ませる。
サーシャ「―――……頂きます」スッ・・・
大尉「ええ、どうぞ」コクッ・・・
スプーンに手を伸ばし、スープを掬う……温かい。
大尉「ふふっ。やっぱり普通の子供ね」クスクスッ
サーシャ「むぅ……いけませんか?」ジトー・・・///
大尉「いやいや、その方が『らしい』よ。軍曹、お前もそう思うだろ」チラッ・・・
軍曹「ええ。同意します」コクッ・・・
馬鹿にされてるのやら、可愛がられてるのやら、複雑な心境だった……まぁ今は食事を楽しもう。
583 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 19:58:22.65 ID:Ee66Y1gU0
そろそろ食事を終えようかという時、大尉殿が話しかけてきた。
大尉「サーシャ。いつから『この世界』にいる?」ジー・・・
サーシャ「え? あ、はい。第1の確認ですが、『この世界』とは、その……えっと」タラー・・・
大尉「ふむ……では質問を変えよう。初めて『処女』を切ったのはいつ頃だ?」
サーシャ「…………、」ジー・・・
覚えていない。幾多の魔術師・異端者を葬ってきたのだ……あまり昔の事を思い出したくない。
大尉「そうか。すまない」モグモグ・・・
サーシャ「いえ」モグモグ・・・
大尉「それじゃあ別の質問。学校はどうしてるの?」
サーシャ「第2の解答ですが、一昨年くらいまでにモスクワの修道院で高校課程相応までは終えました」
大尉「飛び級というヤツかしら? それは凄いわね……でも質問に応えてないわよ」フフッ・・・
サーシャ「え?」ポカーン・・・
大尉「勉学ではなく『学校』よ。貴女の歳なら今は中学校に通う頃でしょう」
サーシャ「…………、」フム・・・
そんなモノ、知らない。
大尉「そう……私は教会の云々は知らないけど、意外と腐っていたのね」スッ・・・
サーシャ「否定はしませんが……肯定も出来ません」ジー・・・
大尉「そういう答えは可愛くないわよ。達観し過ぎね」ハハハ・・・
乾いた笑いを溢す大尉殿。何故、そんな児童相談員の様な質問ばかりするのだ。
大尉「サーシャ……今の私の質問は『常識』だ。違うか?」
サーシャ「……分かりません。ですが否定はしません」
大尉「子供に武器を……まぁ武器ではないかもしれないけど、危険な事をさせる世界はオカシイとは思わないかしら」
サーシャ「その点は同意します。ですから、第1の補足として、その様な世界にしない様、少しでも我々が」
大尉「自分が勘定に入っていないのか。まるで機械だな」ハァ・・・
憐みの目。ヴァロージャさんにもその目を向けられた……だが私は折れない。
彼女達を否定はしないが、己も否定しない。
584 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 20:18:34.94 ID:Ee66Y1gU0
物思いに耽っていると、大尉殿は既に食事を終えていた。私も早めに切り上げねば。
大尉「急がなくても良い。ゆっくり食べなさい」クスッ・・・
サーシャ「い、いえ。すいません」パクパク・・・
大尉「……可愛いのだか、恐ろしいのやら」ハハハ・・・
大尉殿の話を片耳に、食事を全て掻き込んだ。
サーシャ「―――ごちそうさまでした。とても美味しかったです」ペコッ・・・
大尉「うん。そう言って貰えると配膳係が喜ぶよ……軍曹、トレーを頼む」フフッ
軍曹「了解です」コクッ・・・
大尉「……さて、サーシャ。先の話は忘れろ」
サーシャ「え?」ポカーン・・・
大尉「私と貴女では根本からして違う事が分かった。文句は魔女(ワシリーサ)に言う事にする」
意味深な事を告げ、苦笑する大尉殿。さて、とコーヒーを淹れに立ち上がった。
大尉「砂糖とミルクは増し増しよね?」チラッ・・・
サーシャ「……肯定です」コクン・・・
大尉「ふふっ、素直で宜しい……そういえばサーシャ」Pi!
サーシャ「はい」
大尉「上司や同僚はいる様だが『友達』はいるのかしら?」ジー・・・
サーシャ「第3の解答ですが……多分、います」コクッ・・・
刹那、大尉殿の腕が止まり『嘘!?』みたいな目を私に向けた……心外だな。
大尉「あはは。ごめんなさい……いや、でもよく友達を作れたわね。仕事仲間じゃなくてよ?」
サーシャ「肯定です。第2の補足として、教会繋がりで色々と……アチラが友達と言ってくれるんです」ポリポリ・・・///
大尉「そう……良かった。殺戮人形では無いのね。安心した」フフッ・・・
サーシャ「それは否定できませんが、人形ではありませんよ……御心配、感謝します」ペコッ・・・
大尉「いえいえ。当たり前の事を言ったまでよ……コーヒー、置くわね」コトッ・・・
良い香りがする……こんなコーヒーを淹れられる人間になりたいものだ。
しかし、彼女は見た目や職務と裏腹に、非常に人間味のある大人だと感じる。久しぶりに常識的な『非常識』に会えた。
585 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 20:56:06.64 ID:Ee66Y1gU0
では、少し私も質問をしよう。
サーシャ「大尉殿。改めて、質問があります。宜しいですか?」チラッ・・・
大尉「ええ。任務の話以外ならね。私は切り替え下手な人間は嫌いよ。今はリラックスタイムだもの」フフッ・・・
サーシャ「では、改めて第1の質問です。大尉殿の部隊は『何』なのですか? 答えられれば、教えて頂きたい」ジー・・・
大尉「んー」スッ・・・
コーヒーカップを傾けながら、壁に掛けてあるコートを指差す大尉殿。
サーシャ「え?」キョトン・・・
大尉「衿章。紋章とか色々見てみなさい」
言われた通り確認する……遊撃隊(ヴィソトニキ)? というか、これ……鎌とハンマー!?
大尉「ふふっ。だからさっき『死者の部隊』って言ったでしょ」クスクスッ
サーシャ「きゅ、旧連邦(ソビエト)ですか!? え、えっと……その」タラー・・・
大尉「勿論、伊達や酔狂で着てる訳ではないわよ。『死者の誇り』とでもいえば良いかな……まぁ貴女が生まれる前の『国』だものね」フフッ
サーシャ「は、はい。第1の感想ですが、正直実感が沸きません」ウーン・・・
大尉「……でも我々はその軍属だったの。子は親を選べない様に、兵も生まれる国を選べないの。修道女だって同じでしょ?」
サーシャ「……はい」コクッ・・・
この人は、後悔しているのか?
大尉「ははは、まさか。貴女は成教に所属している事を後悔してるの?」
サーシャ「第4の解答ですが、する訳がありません」
大尉「そういう事よ。結局、私達は連邦国民であり、同志なの」ボー・・・
サーシャ「第2の感想ですが……難しいです」ジー・・・
大尉「ええ。そう思えるのが当然よ。貴女の年頃で気付いてしまってはいけないの……例え自分が『国に裏切られても』」ボソッ・・・
サーシャ「え?」
大尉「ん。何でも無い……とりあえず、今したは内密にね。ベラベラ口外する様ならドラグノフの7.62mm弾でオシオキするから」フフッ・・・
サーシャ「了解です。トップシークレットという事で保管しておきます」フフッ
良い子だ、と微笑まれた。
生粋の軍人とまともに話したのはこれが初めてだが、皆が彼女の様な考えを持っていれば、世界は少しでも優しくなれるのかもしれない。
586 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 21:36:33.93 ID:Ee66Y1gU0
―――とある3日目、PM01:30、ロシア・ハバロフツク、シホテアリニ山脈北部・非公式空軍キャンプ・・・・・
それから大尉殿の喫煙タイムの後、本題に移る事にした。
『先とは違ってバリバリ叩くからね』と黒い笑みを向けられ、それ相応の覚悟をして会議に臨む。
ただ会議と言っても、私と大尉、軍曹、書記官の4名だけの小規模なものだった。
大尉「さて……では始めよう。軍曹、まず現段階の予定を」チラッ・・・
軍曹「はい」コクッ・・・
軍祖殿が今後の予定を読みあげる。
16時にハバロフツクを発つ〜〜(約3時間)〜〜19時頃に学園都市上空付近に入る。
移動に用いるのは、Mi-17(Hip-H)の特注機2台と護衛のミル(ハインド&ハヴォック)を2台ずつ。
大尉「しかし、よくもまぁ軍も気前良くハインドなど貸してくれたものだ……まるで戦争の許可が下りた様だな」フフッ・・・
軍曹「御命令とあらば、いつでも」コクッ・・・
何で、キチガイ染みた発想してるんだ?
大尉「冗談だ。上からの指示が下りるまでは自重する……軍曹、続きを」
軍曹「はい。我々は都市上空を『そのまま通過』し、横須賀自衛隊基地に移動します」
サーシャ「え? 自衛隊、ですか?」タラー・・・
大尉「既に許可は下りている。日本政府とも……アメ公のお偉いさんともな。まったく忌わしい話だ」フンッ・・・
その話は初耳だ。という事は、言葉通り『都市上空』を真っ直ぐ通過するのだろう。
大尉「さて……此処で問題が生じる。特尉、分かるか?」
サーシャ「む……第1の予想ですが、日本政府と学園都市理事会は別モノ、という事でしょう」
大尉「その通り。日本政府は許可していても都市の理事会だか議会だかが公認していないのだ」
つまり……都市の領空圏への越権行為となる。
都市とロシアとの関係がギクシャクしている今、まさかその旨を良しとはしないだろう。
それが可能であれば、何なく第23学区から『こんばんわ』ができるのだ。
大尉「他には?」
サーシャ「第2の予想ですが、私を降ろすタイミングかと」
大尉「馬鹿者。そんなものいつでも出来る。お前をヘリからブン投げれば良いだけの話だからな」
サーシャ「…………、」タラー・・・
何とも厳しいお言葉をどうも。
587 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 22:04:27.87 ID:Ee66Y1gU0
大尉は軍曹殿を一寸見て、代弁させる。
軍曹「降下ポイントであります、特尉殿」
サーシャ「成程」フム・・・
大尉「此方ではある程度目処を点けていたが、特尉は如何だ?」
サーシャ「改めて第1の確認ですが、都市外周部ですよね?」
大尉「敵のど真ん中に降ろせだなんて最高のジョークを言うつもりだったのなら、実行してやろう。遠慮はいらん」ジトー・・・
勿論、そんなつもりはない。蜂の巣になるのは勘弁だ。
サーシャ「では第2の確認です。外周部なら何処でも可能ですか?」
大尉「肯定だが、第2学区や第23学区付近に降ろされたいか? 敵の警察本部目の前だぞ?」
サーシャ「改めて第1の解答ですが、同意しかねます。可能であれば第10学区か第19学区付近に降ろして頂きたいかと」
大尉「ほぅ……それなりに勉強してきてはいるのだな」
尤も、オリアナ=トムソンの受け売りだが。
大尉「他には陸輸口の第11学区から荷物に紛れ込む。第21学区の水道水路パイプから潜入する……その辺が妥当だろうな」
サーシャ「成程」フムフム・・・
大尉「しかし問題は此処からだぞ、特尉。何処から入ろうが構わないが、そこからのプランが大事だ」
サーシャ「……はい」コクッ・・・
大尉「どのルートを取る? いつまでに、何処で『目標』と接触する?」
サーシャ「…………、」タラー・・・
大尉「都市からの脱出や電子機器を使わない連絡手段の算段は立ててあるから気にするな。特尉はルートと接触の事だけを考えろ」
サーシャ「はい……あの、第1の要望ですが……少々時間を頂けませんか。そう長くは掛けません」
大尉「良いだろう。15分以内だ。それ以上は私が勝手に決める」
分かりましたと頭を下げ、一度プレハブの外に出て考える事にした。
588 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 23:03:26.28 ID:Ee66Y1gU0
さて、ルートの件だが……大尉の提案してくれた第21学区のルートは外させて貰おう。
申し訳無いが、まるで把握していない水路を移動するのは無謀である。
となると南側の第10,11学区か、北側の第19学区となる。
サーシャ「後は『目標』接触との兼ね合いですね」ジー・・・
急ぐのであれば第7学区に近い南側がベターだろうが、行った所でいきなり赤の他人の私に無理難題振られても、門前払いの可能性が高い。
となると、まず仲介として『幻想殺し』と接触しなければなるまい。
因みに住所は把握済み。とある学生寮の○棟XXX号室だ。
サーシャ「……よし!」コクッ・・・
善は急げ。第10学区から潜入し、即、幻想殺し宅を目指そう。
指針を決定し、大尉達にその旨を伝えに行く。
サーシャ「大尉殿。決まりました」テクテク・・・
大尉「ん。言ってみろ」
サーシャ「はい。第1の進言ですが、第10学区から潜入し、即、仲介役・協力者の下に向かいたいと思っております」
大尉「ふむ……まぁ良いだろう。ただ、その仲介役とやらは確実にそこに居るのだな?」
サーシャ「第2の解答ですが、8割以上の確率でそこに居ます。その日不可能でも二日以内には必ず居るでしょう」
大尉「最悪のケース、その二日、やり過ごせるのだな?」
サーシャ「肯定です」
大尉「宜しい。では軍曹。都市内での注意事項と連絡手段、そして脱出プランを確認しろ」
軍曹「はい。特尉殿、此方に目を」スッ・・・
まずは注意事項。
・極力戦闘は控える事。武器『等』は現地調達。侵入時以外『マジック』の禁止。電子機器(PC・携帯等)は使用禁止。
大尉「『マジック』だか何だか良く分からんが、本部からは特尉にだけ分かれば良いと言われている」
サーシャ「はい。大丈夫です。理解しました……(侵入時だけは人払いと気配遮断を行いましょう)」フム・・・
軍曹「では次に連絡手段を」スッ・・・
・第3,14学区中間にある『ホテル・オホータ(オホーツク)』滞在の『同志』に報告書、可能であれば『血』も提出せよ。
・連絡は三日以内に必ずする事。尚、音沙汰無しの場合は任務失敗と判断する。
サーシャ「……これだけ、ですか」タラー・・・
大尉「ああ。接触方法と合言葉は後で渡す。それとソイツから追って指示も出すらしい」
サーシャ「第3の確認ですが、同志は此の隊の隊員でしょうか?」
大尉「いや……SVR(対外情報局)の人間だ」ハァ・・・
心底嫌そうな顔をする大尉殿。チェーカー嫌いは本当らしい。
589 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/17(土) 23:29:53.11 ID:Ee66Y1gU0
しかし私情は挟んでられん、と大尉は続けた。
大尉「特尉の自己判断で『何らかの連絡手段』を見つけられた場合は、それを用いても構わん」
サーシャ「と、いいますと?」
大尉「仲介役のPCや携帯、他に協力者がいるならその者の通信機等で、という意味だ。後で私達の部隊への連絡方法を教える」
サーシャ「感謝します」
軍曹「では次に、脱出方法です。これは『目的のモノ』が有るか無いかでケースが変わります」スッ・・・
・有……『ホテル・オホータ』の同志に渡し、第23学区から通常の空路で帰国。
・無……自力で横須賀基地まで退却。
サーシャ「第1の感想ですが、待遇が大分違いますね」
大尉「当たり前だ。負けた上に楽して帰れると思うなよ。観光を楽しみたかったら無事成功させる事だな」
サーシャ「……御尤もです」
大尉「うん。ただ……この『同志』というのが良く分からない。正直、私は信用して無いぞ」
サーシャ「何故です?」
大尉「今はまだ『勘』の段階だ。探りを入れている最中でな……兎角、安易に心を許すな。良いな?」ギロッ・・・
サーシャ「了解です……では第2の提案として、私が『ブツ』を持ってそのまま横須賀まで逃げましょうか」
大尉「最悪、それも頭に入れといてくれ。何か分かり次第、私の隊からも使者を送る。何としてでも特尉と合流させ、報告させよう」
サーシャ「感謝します」
とても心強い。
大尉「さて……以上か、軍曹」チラッ・・・
軍曹「はい。後はヘリの中でお伝えする事だけです」
大尉「宜しい……では特尉。少し休め。仮眠を取りたいなら寝ても良い。後で起こそう」スッ・・・
サーシャ「大丈夫です。休憩だけで足ります」
大尉「分かった……では、軍曹。ライディノフ一等兵。皆にプランを伝えに行ってくれ」
了解です、と軍曹殿と書記官はプレハブの外に出て行った。
残った大尉は首を数回回し、コーヒーを一啜り。そして私を見て……溜息の様な、失笑の様な、複雑な顔をした。
590 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/18(日) 00:27:30.93 ID:Fsztry7g0
何か言いたそうな面持ち。遠慮をしている感じだ。
サーシャ「大尉殿。第2の要望ですが、言いたい事は言って貰って結構ですよ」コクッ・・・
大尉「いや……軍人らしからぬ事を言いそうになってな。私も歳という事だろう」フフッ・・・
サーシャ「いえ、第1の意見ですが、大尉殿はまだまだお若いですよ」
大尉「ははは。世辞は要らないよ。どうせ『この顔』だ。年齢なんて関係無いもの」クスッ
サーシャ「……すいません」ペコッ・・・
大尉「何で謝るの? 日本人みたいな子ね」ハハハ
この人はやはり、大人だ。器量が大きい。
大尉「私が貴女くらいの年齢の時は……ピオネールに所属してたわね」フム・・・
ピオネールとは、簡単に説明すると、ソビエト連邦時代にあった志願制のエリート青少年ボーイ・ガールスカウトである。
サーシャ「それは凄い。エリートだったのですね。私的の第2質問ですが、専攻は何を?」
大尉「競技射撃だよ。五輪にも出れそうだった」ハハハ
サーシャ「だった、とは……聞いてもよろしいですか?」
大尉「良くある話だ。とある年に国が五輪出場を放棄する。我が国に限った話では無かろう……ある意味運が悪かったわね」
サーシャ「…………、」ペコッ・・・
大尉「憐れむ必要はないわよ、聖職者さん。私、こう見えても神より金の方が大事なタイプだから。あ、見た目通りね」フフフ・・・
ポジティブ……悲しい程に、明るい。
大尉「やはり歳だな。若い子に昔語りをし出したらアウトだろう……これじゃあベイブに笑われる」クスッ
サーシャ「いえ。修道女として、色々と考えさせられました」コクッ・・・
大尉「そう。なら良かった」フフッ・・・
サーシャ「第2の意見ですが、貴女の様な人が我が国の指導者なら不条理は減るでしょうね」
大尉「いいや、増えるよ。まず真っ先にWWVを起す算段を立てるもの」ハハハ
サーシャ「……撤回します」ハァ・・・
私が生粋の子供兵士というのであれば、貴女は生粋の軍人なのだろう。
591 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/18(日) 00:55:47.54 ID:Fsztry7g0
さておき、気を使ってくれたのか一人でゆっくりと休め、とプレハブから出て行こうとする大尉殿。
が、出る直前『そういえば』と声を上げ、私の方に近づいてきた。
サーシャ「何か?」キョトン・・・
大尉「失礼……そら」バサッ!
サーシャ「なぁっ!!?」カアアァ///
いきなり外套を捲られた。
サーシャ「な、ななな、何をするのですか!?」カアアァ///
大尉「やっぱマトモな服着させてもらってなかったのね……あの魔女、相変わらずセンスが狂ってる」ハァ・・・
サーシャ「ど、同意しますが……何も捲る事はないでしょう! 男性が見ていたらどうするのです!」モジモジ・・・///
大尉「2人きりだからそうしたんでしょ。それより貴女も照れる事あるのね」フフフ・・・
サーシャ「よ、余計なお世話です!」ムゥ・・・///
ずっとニヤニヤしている大尉殿。セクハラという点ではワシリーサと同類です。
それより何故写真を取ろうとしてるのですか? 訴えますよ?
大尉「えー。タイに戻ったら面白いコスプレ少女が居たってネタにしようと思ったのにー……てか二丁拳銃にそれ着せたら儲かりそうね」フフフ・・・
サーシャ「はぁ?」ポカーン・・・
大尉「まぁそれは良いとして……貴女、その恰好で侵入したり降下したりする気?」
サーシャ「え、あ、はい。慣れてますから」コクッ・・・
大尉「普段どんな任務受けてるのよ……ったくSSサイズの制服あったかなぁ」ポリポリ・・・
サーシャ「え?」
大尉「的にして下さいって言ってる様なものじゃない。それでも着るの? それともその服に愛着でも沸いた危ない子?」ジトー・・・
いえ、変えて貰えるなら大いに変えて下さい。ワシリーサざまぁ見ろ。
大尉「そんじゃあ余ってるコート貸すわ。男モノだけど外套(マント)よりはマシでしょ」キョロキョロ・・・
という訳で、レア物のソ連エンブレム入りのコートを手に入れた。これは自慢できそうな代物だ。
後でこおの礼をしなければなるまいな。考えておこう。
592 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/18(日) 02:41:42.45 ID:Fsztry7g0
―――とある3日目、AM07:00・、英国・ロンドン(PM03:30、ロシア・ハバロフツク)、イギリス清教第零聖堂区、最大主教執務室・・・・・
一方その頃、ロンドンにて。
朝食前、ステイル=マグヌスと神裂火織の両名は最大主教(アークビショップ)ローラ=スチュワートに呼び出されていた。
何故呼び出されたかは抱いて良見当がついている。多分、ロシア成教が今抱えているいざこざについてだろう。
ステイル「それにしても……もうちょっと後でも良いだろうに。腹が減ったよ」ハァ・・・
神裂「仕方ありません。我々がこうしてる間に、アチラには行動があるかもしれないのです」
ステイル「はいはい、優等生な解答どうも……最大主教。主教補佐、並び補佐次席参りました」コンコンッ・・・
『ういー』というかったるい返事。一発殴ってやろうかと思いつつ、中に入る。
最大主教は椅子に腰掛け……パソコンを弄っていた。随分利器的なものを使う。
ローラ「おはよ」ファアアァ・・・
神裂「おはようございます。早朝からPCですか? 目が悪くなりますよ」
ステイル「安心しろ。コイツは既に目が腐ってるし、加えて老眼だ」
ローラ「黙れED野郎……さておき、今朝早くから呼びけりはロシアの件なるものの所為よ」
ステイル「ぐっ……誰が不能だ糞ババア」ギロッ・・・
神裂「あーもう落ち着いて。それで、主教。詳しくお願いします」ハァ・・・
苦労人が一人だと疲れる。神裂は心中嘆いた。
ローラ「ふむ。我々のロシアに対する方針は昨夜述べたとおり『協力せず』。覚えているわね」
神裂「はい」
ローラ「うん。じゃあ追加しけるわよ」
ステイル「追加だと?」
無関与の筈では無かったのか。
ローラ「うーん。それでも良いのだけど『吸血殺し』はやっぱり一応、必要悪の教会(ウチ)の所有物になりけるのよ」
ステイル「それは同意しよう。で? だから何だ?」
ローラ「……ステイル。今回、誰が『吸血殺し』への交渉に行くと思われり?」
ステイル「…………、」ピタッ・・・
ローラ「じゃあ神裂」チラッ・・・
神裂「それは……、」タラー・・・
2人の頭の中には同一人物が浮かんだ。無論、ローラも同じ考えなのだろう。
593 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/18(日) 03:47:04.01 ID:Fsztry7g0
敢えて名前は出さない。だが十中八九『彼女』だろう。
ステイル「……それで」ジー・・・
ローラ「私は最悪を危惧しとおるのよ。何か分かる?」
ステイル「吸血殺しについてか? 吸血鬼の存在云々とかほざいたら燃やすよ」ジトー・・・
ローラ「質問に質問で返す低脳なりけるのよ。神裂」チラッ・・・
神裂「……十字架、でしょうか」
ローラ「ビンゴ」コクッ・・・
姫神秋沙の『力』を押さえるケルト十字。アレの破棄、もしくは『鞍替え』が怖い……という事か。
ローマ「故に、『接触者』に監視をつけりよ。神裂」
神裂「はぁ……どうやって? アレイスターに協力は仰げないでしょうし、土御門は姫神さん本人に着く筈ですから」
ローラ「お馬鹿。何の為の潜入学徒にあられるか?」
神裂「あ、五和達」フム・・・
成程。天草式の若衆を使えば容易い事。
ローラ「ただ、あくまで監視。それ以上の手出しは御法度になりにけるわ」
神裂「分かっています。では早速建宮に指示させましょう」コクッ・・・
ステイル「…………、」タラー・・・
神裂「ではこれで……ステイル?」チラッ・・・
ステイル「あ、いや……何でも無い。今行くよ」カツカツ・・・
刹那、彼の表情が翳ったのをローラは見逃さない。
ローラ「ステイル」ボソッ・・・
ステイル「……何だ」ピタッ
ローラ「公私分け」ジー・・・
ステイル「……言われるまでも無い」カツカツ・・・
一度も上司の顔を見ず、部屋を出る少年。神裂は溜息をつき、一礼後、執務室を出た。
そして直ぐに、彼に追い付く。
594 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/18(日) 04:02:08.75 ID:Fsztry7g0
非常に困った様な顔をするステイル。神裂は思い切って如何したのか聞いてみた。
ステイル「まさか、僕があの娘の事を心配している様にでも見えるっていうのかい?」スッ・・・カチッ・・・
神裂「成程。ステイルはサーシャが心配なんですね」ヘー
ステイル「ゲホッゲホッ……燃やすぞ?」ジトー・・・
じゃあ何なんだ。ハッキリ言えば良い。
ステイル「僕が心配しているのは君の所の若衆と、女子寮の御転婆娘共の事だ!」フンッ
神裂「五和達? それからオルソラ達ですか?」
ステイル「如何してピンポイントで外してくるかなぁ……チビとチビとチビとチビの事だ!」ッタゥ・・・
そりゃ貴方から見れば皆チビでしょう、とは言わないでおく。とりあえず言いたい事は理解した。
ステイル「あの馬鹿共……絶対手助けするぞ。口酸っぱくして忠告しておけ」ジー・・・
神裂「ふむ……しかしアニェーゼの暴走やレッサーの勝手は手に負えませんよ?」
ステイル「……一番ネックなのは彼女達じゃない。香焼だ」
神裂「あー……まぁ……はい」タラー・・・
任務とはいえ、もし彼女が怪我でもしそうな場合は駆け付けてしまうだろう。
神裂「いや、でも、あの子も天草式の一員ですから。公私の区別はちゃんと」
ステイル「公私とかじゃない。『あの男』が公私関係無く動く様に、香焼もそう動いてしまうんだ。一緒に居ればそのくらい分かるだろ」ハァ・・・
神裂「……確かに」アハハ・・・
ステイル「チッ……今回の監視任務、香焼だけには知らせるな。絶対に知らせるな。そして誰かを香焼の監視に付けろ」チラッ・・・
神裂「そこまでしますか?」フム・・・
ステイル「最悪、サーシャの手助けをしたら外交問題では済まないんだぞ」ジトー・・・
神裂「……では浦上をつけましょう」コクン・・・
マジで頼むぞ、と頭を掻く弟分の友人に内心苦笑する神裂。
本来なら気の赴くまま香焼のやりたい様にやらせてやりたい気持ちはあるのだが、これも仕事の内。
兎角、この事を建宮に伝えに行こうと、神裂は自室に戻る。ステイルは御転婆娘共に釘を刺す為、食堂へ向かった……―――
595 :
>>1
[saga]:2011/09/18(日) 04:03:12.84 ID:Fsztry7g0
すいません。今回は此処まで。また進まんかった……次こそ頑張る。
ではおやすみー。ノシ
596 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/18(日) 04:04:06.57 ID:Cfic29f20
いつ乙ノシ
597 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北陸地方)
:2011/09/18(日) 06:46:10.79 ID:TirT4FqAO
>>1
乙
598 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/18(日) 11:59:57.32 ID:U7lNYIMb0
乙!
これはマジで【同士コーヤギー】ルートもありえるな……
599 :
なすーん
[なすーん]:なすーん
__ 、]l./⌒ヽ、 `ヽ、 ,r'7'"´Z__
`ヽ `ヽ、-v‐'`ヾミ| |/三ミヽ `iーr=< ─フ
< /´ r'´ ` ` \ `| ノ ∠_
`ヽ、__// / |/| ヽ __\ \ヽ |く ___彡'′
``ー// |_i,|-‐| l ゙、ヽ `ヽ-、|! | `ヽ=='´
l/| | '| |!|,==| ヽヽr'⌒ヽ|ヽ| | |
┏┓ ┏━━━┓ | || `Y ,r‐、 ヽl,_)ヽ ゙、_ | | |. ┏━┓
┏┛┗┓┗━━┓┃ ...ヽリ゙! | l::ー':| |:::::::} |. | / l|`! |i |. ┃ ┃
┗┓┏┛ ┃┃┏━━━━━━━.j | l|.! l::::::ノ , ヽ-' '´ i/| !|/ | |リ ━━━━┓┃ ┃
┃┃ ┏━┛┃┃ ┌┐ | l| { //` iー‐‐ 'i 〃/ j|| ||. |ノ ┃┃ ┃
┃┃ ┃┏┓┃┗━━━.んvヘvヘゝ | l| ヽ ヽ / _,.ィ ノ/川l/.━━━━━┛┗━┛
┃┃ ┏┛┃┃┗┓ i .i ゙i\ゝ`` ‐゙='=''"´|二レ'l/″ ┏━┓
┗┛ ┗━┛┗━┛ ノ ! --─‐''''"メ」_,、-‐''´ ̄ヽ、 ┗━┛
r|__ ト、,-<"´´ /ト、
| { r'´ `l l /|| ヽ
゙、 } } | _|___,,、-─‐'´ | ゙、
`‐r'.,_,.ノヽ、__ノ/ | | |、__r'`゙′
| |/ i |
| | |
600 :
なすーん
[なすーん]:なすーん
__ 、]l./⌒ヽ、 `ヽ、 ,r'7'"´Z__
`ヽ `ヽ、-v‐'`ヾミ| |/三ミヽ `iーr=< ─フ
< /´ r'´ ` ` \ `| ノ ∠_
`ヽ、__// / |/| ヽ __\ \ヽ |く ___彡'′
``ー// |_i,|-‐| l ゙、ヽ `ヽ-、|! | `ヽ=='´
l/| | '| |!|,==| ヽヽr'⌒ヽ|ヽ| | |
┏┓ ┏━━━┓ | || `Y ,r‐、 ヽl,_)ヽ ゙、_ | | |. ┏━┓
┏┛┗┓┗━━┓┃ ...ヽリ゙! | l::ー':| |:::::::} |. | / l|`! |i |. ┃ ┃
┗┓┏┛ ┃┃┏━━━━━━━.j | l|.! l::::::ノ , ヽ-' '´ i/| !|/ | |リ ━━━━┓┃ ┃
┃┃ ┏━┛┃┃ ┌┐ | l| { //` iー‐‐ 'i 〃/ j|| ||. |ノ ┃┃ ┃
┃┃ ┃┏┓┃┗━━━.んvヘvヘゝ | l| ヽ ヽ / _,.ィ ノ/川l/.━━━━━┛┗━┛
┃┃ ┏┛┃┃┗┓ i .i ゙i\ゝ`` ‐゙='=''"´|二レ'l/″ ┏━┓
┗┛ ┗━┛┗━┛ ノ ! --─‐''''"メ」_,、-‐''´ ̄ヽ、 ┗━┛
r|__ ト、,-<"´´ /ト、
| { r'´ `l l /|| ヽ
゙、 } } | _|___,,、-─‐'´ | ゙、
`‐r'.,_,.ノヽ、__ノ/ | | |、__r'`゙′
| |/ i |
| | |
601 :
なすーん
[なすーん]:なすーん
__ 、]l./⌒ヽ、 `ヽ、 ,r'7'"´Z__
`ヽ `ヽ、-v‐'`ヾミ| |/三ミヽ `iーr=< ─フ
< /´ r'´ ` ` \ `| ノ ∠_
`ヽ、__// / |/| ヽ __\ \ヽ |く ___彡'′
``ー// |_i,|-‐| l ゙、ヽ `ヽ-、|! | `ヽ=='´
l/| | '| |!|,==| ヽヽr'⌒ヽ|ヽ| | |
┏┓ ┏━━━┓ | || `Y ,r‐、 ヽl,_)ヽ ゙、_ | | |. ┏━┓
┏┛┗┓┗━━┓┃ ...ヽリ゙! | l::ー':| |:::::::} |. | / l|`! |i |. ┃ ┃
┗┓┏┛ ┃┃┏━━━━━━━.j | l|.! l::::::ノ , ヽ-' '´ i/| !|/ | |リ ━━━━┓┃ ┃
┃┃ ┏━┛┃┃ ┌┐ | l| { //` iー‐‐ 'i 〃/ j|| ||. |ノ ┃┃ ┃
┃┃ ┃┏┓┃┗━━━.んvヘvヘゝ | l| ヽ ヽ / _,.ィ ノ/川l/.━━━━━┛┗━┛
┃┃ ┏┛┃┃┗┓ i .i ゙i\ゝ`` ‐゙='=''"´|二レ'l/″ ┏━┓
┗┛ ┗━┛┗━┛ ノ ! --─‐''''"メ」_,、-‐''´ ̄ヽ、 ┗━┛
r|__ ト、,-<"´´ /ト、
| { r'´ `l l /|| ヽ
゙、 } } | _|___,,、-─‐'´ | ゙、
`‐r'.,_,.ノヽ、__ノ/ | | |、__r'`゙′
| |/ i |
| | |
602 :
なすーん
[なすーん]:なすーん
__ 、]l./⌒ヽ、 `ヽ、 ,r'7'"´Z__
`ヽ `ヽ、-v‐'`ヾミ| |/三ミヽ `iーr=< ─フ
< /´ r'´ ` ` \ `| ノ ∠_
`ヽ、__// / |/| ヽ __\ \ヽ |く ___彡'′
``ー// |_i,|-‐| l ゙、ヽ `ヽ-、|! | `ヽ=='´
l/| | '| |!|,==| ヽヽr'⌒ヽ|ヽ| | |
┏┓ ┏━━━┓ | || `Y ,r‐、 ヽl,_)ヽ ゙、_ | | |. ┏━┓
┏┛┗┓┗━━┓┃ ...ヽリ゙! | l::ー':| |:::::::} |. | / l|`! |i |. ┃ ┃
┗┓┏┛ ┃┃┏━━━━━━━.j | l|.! l::::::ノ , ヽ-' '´ i/| !|/ | |リ ━━━━┓┃ ┃
┃┃ ┏━┛┃┃ ┌┐ | l| { //` iー‐‐ 'i 〃/ j|| ||. |ノ ┃┃ ┃
┃┃ ┃┏┓┃┗━━━.んvヘvヘゝ | l| ヽ ヽ / _,.ィ ノ/川l/.━━━━━┛┗━┛
┃┃ ┏┛┃┃┗┓ i .i ゙i\ゝ`` ‐゙='=''"´|二レ'l/″ ┏━┓
┗┛ ┗━┛┗━┛ ノ ! --─‐''''"メ」_,、-‐''´ ̄ヽ、 ┗━┛
r|__ ト、,-<"´´ /ト、
| { r'´ `l l /|| ヽ
゙、 } } | _|___,,、-─‐'´ | ゙、
`‐r'.,_,.ノヽ、__ノ/ | | |、__r'`゙′
| |/ i |
| | |
603 :
なすーん
[なすーん]:なすーん
__ 、]l./⌒ヽ、 `ヽ、 ,r'7'"´Z__
`ヽ `ヽ、-v‐'`ヾミ| |/三ミヽ `iーr=< ─フ
< /´ r'´ ` ` \ `| ノ ∠_
`ヽ、__// / |/| ヽ __\ \ヽ |く ___彡'′
``ー// |_i,|-‐| l ゙、ヽ `ヽ-、|! | `ヽ=='´
l/| | '| |!|,==| ヽヽr'⌒ヽ|ヽ| | |
┏┓ ┏━━━┓ | || `Y ,r‐、 ヽl,_)ヽ ゙、_ | | |. ┏━┓
┏┛┗┓┗━━┓┃ ...ヽリ゙! | l::ー':| |:::::::} |. | / l|`! |i |. ┃ ┃
┗┓┏┛ ┃┃┏━━━━━━━.j | l|.! l::::::ノ , ヽ-' '´ i/| !|/ | |リ ━━━━┓┃ ┃
┃┃ ┏━┛┃┃ ┌┐ | l| { //` iー‐‐ 'i 〃/ j|| ||. |ノ ┃┃ ┃
┃┃ ┃┏┓┃┗━━━.んvヘvヘゝ | l| ヽ ヽ / _,.ィ ノ/川l/.━━━━━┛┗━┛
┃┃ ┏┛┃┃┗┓ i .i ゙i\ゝ`` ‐゙='=''"´|二レ'l/″ ┏━┓
┗┛ ┗━┛┗━┛ ノ ! --─‐''''"メ」_,、-‐''´ ̄ヽ、 ┗━┛
r|__ ト、,-<"´´ /ト、
| { r'´ `l l /|| ヽ
゙、 } } | _|___,,、-─‐'´ | ゙、
`‐r'.,_,.ノヽ、__ノ/ | | |、__r'`゙′
| |/ i |
| | |
604 :
SS
[sage]:2011/09/19(月) 14:42:11.04 ID:GDgIk0LAO
あ
605 :
>>1
[saga]:2011/09/19(月) 18:53:24.61 ID:sWFnvcNp0
こんばんわ。続き! 今日こそ香焼と合流させる!
606 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/19(月) 19:20:06.77 ID:sWFnvcNp0
―――とある3日目、AM07:15、英国・ロンドン(PM03:45、ロシア・ハバロフツク)、『必要悪の教会(ネセサリウス)』内、食堂・・・・・
アニェーゼ=サンクティスは情に厚く、頭の切れる少女である。
これは彼女と親しい者であれば誰でも知り得る事であり、本人もそうあろうと自負している事である。
さて、朝食前のこの時間。いつもなら寝坊ギリギリまで寝ているのだが、今朝は違った。
妹分のアンジェレネ、そして悪友のレッサー、その連れのランシスと共にまだ人気の無い食堂で何やら話し込んでいる。
アニェーゼ「さて、如何したモノか」フムフム・・・
レッサー「考え過ぎじゃないですか? サーシャだって素人じゃないんです。余計な御世話だと思いますけど」ジー・・・
アニェーゼ「余計なお世話上等です。何て言うんですかねぇ……私は英国、というより最大主教の方針が気に喰わねぇんです」フンッ・・・
アンジェレネ「あはは……でも、大人の決めた事だし、私達がゴチャゴチャ言う訳にも」ウーン・・・
話し合いは、先日から話題になっているロシア成教の動きについて。
自分達の『友人』が何とも肩身の狭い任務を押しつけられているという事で、何か手助けが出来ないだろうかと考えていたのだ。
レッサー「手助けっつってもなぁ……ランシス、何かあります?」
ランシス「まず私が此処に居る意味が分からない。どうして私まで早起きさせられた上に、意味不な話し合いに参加せにゃならんの?」ハァ・・・
レッサー「こんの人でなし! それでもカルテッ娘のリザーバーですか!」ムギュウウゥ・・・
ランシス「ひ痛ふぁふぁふぁ! か、勝手過ぎるよぅ!」ヒエェ・・・
アニェーゼ「うっせ。茶番なら余所でやれってんです」ジトー・・・
レッサー「ほら、怒られましたよ。ランシスの所為です」ジトー・・・
そんなぁ、と嘆くランシス。理不尽。絶対に理不尽。
アンジェレネ「んー……とりあえず、今出来る事って何でしょうね」ジー・・・
レッサー「いっそ学園都市に飛びましょうか? そんで直接手伝う、と」ビシッ・・・
ランシス「あほ。あの街は個人で如何こう入港できる場所じゃないでしょ。時間的にも間に合わないだろうし」ジー・・・
レッサー「うっ……な、生意気ですよ! ランシスのくせに!」ムニュウウウゥ!
ランシス「ひゃんっ!! 何処掴んでんだ変態っ!!」ムギャアアァ!
アニェーゼ「だから黙れボケ! 声デケェですよ、糞っタレ」ジトー・・・
さーせん、と頭を垂れる英国人2人。アニェーゼはやれやれ、と自分の考えを述べる事にした。
607 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/20(火) 00:42:52.34 ID:tjHrp3ic0
アニェーゼ「まぁ現地の人間に手伝ってもらうしかねぇでしょうね」フム・・・
アンジェレネ「現地の? アニェーゼちゃん、誰か知り合い居るの?」キョトン・・・
アニェーゼ「わんこ」サラッ
瞬間、本人以外は固まった。彼女が言う『わんこ』とは、天草式十字凄教の香焼の事である。
レッサーが無言で『頭大丈夫?』のジェスチャーをして……蹴られた。
アンジェレネ「えっと……天草式は、英国の傘下ですよ」タラー・・・
アニェーゼ「んな事ぁ知ってますよ。でも、んな事ぁ関係無ぇんです」フンッ・・・
レッサー「痛たた……大いに関係ありでしょう。『関与するな』って言われてるじゃないですか」ハァ・・・
アニェーゼ「百も承知。でもですねぇ、きっとサーシャは泊まる場所も無く独りでポツンと科学の街に放置されるんです」
アンジェレネ「…………、」ウーン・・・
確かに……だが、それは仕事だから止むを得ないだろう。潜入・工作任務が過酷なモノだというのは分かり切っている事である。
アニェーゼ「まぁ勿論、任務の手伝いをしてやるって言ってんじゃねぇんです。せめて『宿』くらいは提供してやろうって話ですよ」ビシッ
アンジェレネ「あー……成程」ハハハ・・・
ランシス「それも十分協力になると思うよ」ハァ・・・
レッサー「ふむふむ……まぁそうなると二ヶ所でしょうね」ジー・・・
一つは幻想殺し宅。もう一つは『わんこ』の小屋。
アニェーゼ「あのウニ頭の住所は分かってるんでしょうけど、コーヤギん家の住所知ってんですかねぇ」フム・・・
アンジェレネ「さぁ……ていうか、私も知らない。アニェーゼちゃん、知ってるの?」
アニェーゼ「うんにゃ。レッサー」チラッ・・・
レッサー「ランシス」チラッ・・・
ランシス「レッサー達が知らないのに私が知ってる訳無いでしょ」ハァ・・・
お手上げ。知ってそうなのは、天草式の連中とステイルくらいか。
アニェーゼ「うーん……神裂と不良神父がそう易々と教えてくれるとは思えませんね。此方の考えくらい読んでそうです」チッ・・・
レッサー「でしょうねー。となると……直接本人から聞くか、あの2人以外の天草式メンバーから聞き出すか」コクッ・・・
アンジェレネ「天草式の人達は止した方が良いかも。下手に動くと勘付かれますよ」タラー・・・
アニェーゼ「そんじゃ……決まりですね」ビシッ・・・
直接本人に電話してやろう。
608 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/20(火) 00:57:16.41 ID:tjHrp3ic0
レッサーの携帯を使い、香焼に電話を……しようとした時、アニェーゼが待ったをかけた。
レッサー「何ですか? サクっと終わらせちゃいましょう。サクっと」ムゥ・・・
アニェーゼ「あんぽんたん。考え無しに電話すんじゃねぇですよ」ジトー・・・
レッサー「ポンタンなんて使ってませーん。あ、ごめん、睨まないで下さい」タラー・・・
アニェーゼ「チッ、俗物が……レッサー、アンタ、香焼に何て言うつもりでした?」ジトー・・・
レッサー「え? 何てって……サーシャの事を」フム・・・
アニェーゼ「お馬鹿」ハァ・・・
既に都市に潜入している天草式の若衆にも、この件が伝わっているかもしれないのだ。
今この事を率直に伝えたら香焼が困るだけで、元も子も無いだろう。
レッサー「じゃあ如何するんですか?」ジー・・・
アニェーゼ「うーん……、」ジー・・・
少女考え中.....
アニェーゼ「……誰か良い案無ぇですか?」チラッ・・・
アンジェレネ「うーん……コォヤギくんの住所を聞き出すんですよね?」ジー・・・
アニェーゼ「はい。なるべくサーシャの事と関係無い感じで」ビシッ
ランシス「贈り物するから、とかで良いんじゃないの?」ハァ
アニェーゼ「それです!」b"
適当言っただけなのに、とランシスは苦笑した。
レッサー「ふむふむ。良くやりました。やはり私の部下なだけはありますね!」ツンツン!
ランシス「誰が部下だ、このトンマ」ジトー・・・
レッサー「良し! それじゃあ今すぐ!」カチカチ・・・
ランシス「あ……待って」ボソッ・・・
レッサーの手が止まる。まだ何かあるのか。
ランシス「何かっていうか、レッサーじゃない方が良いんじゃない?」ジー・・・
レッサー「はぁ?」ポカーン・・・
ランシス「いや、その……信頼問題的な話」ハハハ・・・
その言葉にアニェーゼとアンジェレネは噴き出す。
逆にレッサーはピキリっと来たので、とりあえずランシスの色々を揉みしだく事にした。
609 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/20(火) 01:21:28.66 ID:tjHrp3ic0
ランシスがヘニャった所でアニェーゼが仲裁に入る。
アニェーゼ「まぁそうですね。レッサーからの贈り物なんて言われたら、正直まず疑って入っちまいます」ハハハ
レッサー「ぐぬぬ……これが日頃の行いというヤツですか」ジトー・・・
アンジェレネ「あ、自覚あるんだ」アハハ・・・
口を尖らせ、机に突っ伏すレッサー。
アンジェレネ「えっと、それじゃあとりあえずレッサーちゃんが電話して、アニェーゼちゃんが代われば良いんじゃないかな」
ランシス「ふにゃぁ……私はアンジェレネが良いと思うよ」グテー・・・
アニェーゼ「……何でですか」ジトー・・・
ランシス「別に大した意味は無いけど。安心的な問題で」ハァ・・・
腑に落ちないが確かに、とアニェーゼ、レッサーは納得した。
アニェーゼやレッサーが如何しても駄目という訳ではないが、アンジェレネ『であれば』疑いはしない。
ただ、逆にアンジェレネは突然の振りに驚いてしまった。
アンジェレネ「わ、私ですか!?」ドキッ!
アニェーゼ「まぁ妥当でしょうね。贈り物は『私達から』っつー事にしても良いですから、とりあえずアンジェレネが電話で伝えて下さい」
アンジェレネ「で、でも」アタフタ・・・
レッサー「そんじゃポチっとな!」Pi!
アンジェレネの了承を待たずにコールを掛ける。
今日本は午後4時前後。多分、電話には出るだろう。
アンジェレネ「ど、どうしよう……何て言えば良いのかな」ハラハラ・・・
レッサー「もしヤバかったらカンペ出しますよ。ランシスが」チラッ・・・
ランシス「だから巻き込むなと」ハァ・・・
アニェーゼ「既に共犯です。逃げたらヒン剥きますからね」ジトー・・・
ランシス「……不幸だぁ」グデェ・・・
レッサー「はいはい。そういう役回りなんですよ、アンタは……あ、出ますよ!」
『シー!』と人差し指を立て、三人に合図する。
香焼『レッサー? おはよう。そっちまだ朝でしょ? こんな早くに珍しいっすね』Pi!
電話越しに聞こえる、少々訛りが入った英語。声変わりしていない少女か少年か曖昧な……彼の声だ。
610 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/20(火) 01:35:48.16 ID:tjHrp3ic0
三人に目で合図をし、レッサーは話し始めた。
レッサー「おはようございます。いやー、コウヤギが疚しい事してないかチェックの電話を入れたんですよー」アハハ
香焼『はい?』
レッサー「綺麗なお姉さん2人と同棲してるからって馬鹿な事ばっかしてちゃ駄目ですよぅ?」ニシシ!
香焼『しないっつーの……それだけ?』ハァ・・・
レッサー「いえいえ。まぁ冗談はこれくらいにしといて……何でも、愛しのアンジェレネ嬢がコウヤギにプロポーズしたいらしく」フフフ・・・
香焼『はぁ?』ポカーン・・・
アンジェレネ「れ、レッサーちゃんっ!!?」カアアァ///
ニヤニヤと現状を面白がるレッサー。度が過ぎるのでアニェーゼの『仕置き(半分妬み半分)』の鉄拳が入った。
レッサー「痛たた……えっと、まぁとりあえずアンジェレネに携帯代わります」イヂヂ・・・
香焼『あ、うん』
アンジェレネ「今の流れで如何代われば良いっていうの!」アタフタ・・・
ランシス「大丈夫。彼は今の、レッサーの軽ノリ程度にしか聞いてないから」ボソッ・・・
アニェーゼ「ほら、アン」チラッ・・・
アンジェレネ「う、うん」タラー・・・
たどたどしくレッサーの携帯を受け取り、電話に出た。
アンジェレネ「も、もしもし。コォヤギくん」タラー・・・
香焼『おはよう。どうしたの?』
アンジェレネ「お、おはよう。えっと、その・・・あのね」チラッ・・・タラー・・・
香焼『うん。何?』
三人にヘルプを求める。するとランシスがラジオの構成作家よろしく、速記でカンペを作った。
アンジェレネ「えっと……この前送るって言ってた物、郵送したいんだけど……コォヤギくんの住所が分からないんです」アセアセ・・・
香焼『え? 送る? えっと……そんな約束してたっけ?』ポカーン・・・
無論、嘘である。だが『押し通せ』と命令が来たからにはそうせねばなるまい。
611 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/20(火) 01:56:57.96 ID:tjHrp3ic0
アンジェレネは『贈り物』についてはボカし、兎角『住所』を聞き出す事にした。
ランシスもそれを手伝うかのように、サササとペンを走らせる。
アンジェレネ「あー……ほら。この前の駄菓子のお礼です。送るって言ったよね」
香焼『え? うーん、そうだったっけ? でも、英国で貰うよ』
アンジェレネ「え!? あ、いや……ほら。都市のお友達にも分けて欲しいなぁって。賞味期限が中途半端だから」アハハ・・・
香焼『別に気を使ってくれなくても良いのに……、』フム・・・
拙い。何やら悪い方に行ってる気がする。
アンジェレネは助けを求め、ランシスをチラ見した。一寸悩み……ランシスの手が動く。
書いてある言葉を見て、三人はドキッとしたが、最早『賭け』だと考え了承した。
アンジェレネ「えっと、ほら。ドチラにしろ、今後贈り物したい時に住所知っておくと便利だし……教えておいて貰えませんか?」
香焼『んー、別に自分なんかに贈り物なんて』フム・・・
アンジェレネ「『別に』『自分なんか』は禁止だよ。いつもお世話になってるんだから素直に受け取りなさい」メッ
香焼『……うん、ごめん』
アンジェレネ「大丈夫。悪用なんかしないから」フフフ・・・
香焼『アンにその心配はしてないよ。レッサーだったら別だけどさ』ハハハ
アンジェレネの後ろで露骨な歯軋りが聞こえた。
兎角、何とか住所をゲット。これで一安心だ。
アンジェレネ「……うん、ありがとう。じゃあお礼送りますね」フフッ
香焼『うん。楽しみにしてるよ』
それじゃあ、と電話を切ろうとした時……アニェーゼが電話を貸してくれと目で合図をしてきた。
アンジェレネは頷き、香焼にその旨を伝え、交代した。
アニェーゼ「もしもし。おはようございます」
香焼『おはよう。寝坊助三人がこんな朝早くにビックリだよ。雪でも降るんじゃないかな』ハハハ
アニェーゼ「悪ぅござんしたね……さて、コーヤギ」
香焼『ん?』
一寸間を置き、トンデモない事を告げた。
アニェーゼ「『主は貴方に試練を課すでしょう』……OK?」ニヤリ・・・
香焼『はぁ?』ポカーン・・・
アン・レッサー・ランシス「「「っ!?」」」タラー・・・
唖然。何を言ってんだ、この馬鹿シスターは。
612 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/20(火) 02:24:17.35 ID:tjHrp3ic0
アニェーゼは続ける。
アニェーゼ「一応、私はアンタを信じてます」
香焼『え、と……ありがとうって言うべきなのかな?』ポカーン・・・
アニェーゼ「もし『試練』が訪れたら天草式(コーヤギんとこ)の『教義』、思い出しやがってください」
香焼『え? ウチの?』
アニェーゼ「ええ……とりあえず以上です。『贈り物』、楽しみにしてて下さいな」フフッ・・・
意味深に『そうあれかし』と言い残し、電話を切った。
レッサー「あ、アニェーゼ……アンタねぇ」ハァ・・・
アニェーゼ「大丈夫。まぁあの朴念仁が任務とサーシャを天秤に掛けそうになった時、私達の思惑通りに運ぶよう『呪い』かけただけですよ」
ランシス「呪い? 呪術?」ポカーン・・・
アニェーゼ「んな大それたモンじゃねぇですよ」ハハハ
アンジェレネ「……そんな事しなくても、コォヤギくんはサーシャちゃん助けてくれると思いますよ」フム・・・
アニェーゼ「そうでしょうね。でも神裂やステイルに釘刺された場合は、流石に悩まされる筈です……でも、さっきの呪いなら」フフフ・・・
皆まで言わず、余裕の笑みを浮かべるアニェーゼ。
アニェーゼ「まぁ結果は『贈り物の蓋』を開けてからのお楽しみですね」ニヤリ・・・
レッサー「やれやれ……とりあえず私は次の手、打ちますよ。さっきの住所、メールで送っとけば良いんですよね?」チラッ・・・
アニェーゼ「その通り。サーシャなら住所さえあれば如何とでも潜入できます」
アンジェレネ「うーん。怪我しないで、コォヤギくん家まで辿り着ければ良いんですけどね」ハァ・・・
ランシス「ん……因みに、コゥヤギの住所だって事は教えるの? それともコッチで勝手に調べた安全地帯(セーフハウス)って事にする?」
ランシスが言った意味は……香焼宅と伝えてしまえば、サーシャ自身が彼に迷惑を掛けまいと遠慮する可能性がある。そういう事だろう。
アニェーゼ「ふむ。『安置』でOKです。『止むを得なく』という状況を作っちまえば、両者共、受け入れざるを得なくなるでしょう」コクッ・・・
アンジェレネ「そうですね……ランシスちゃん、助言ありがと」ペコッ・・・
ランシス「……別に、大した事してないよ」ポリポリ・・・
レッサー「ほぉ。ランシスがデレました。凄く珍しいです」ニヤニヤ・・・
ランシス「オマエはくたばれ」ジトー・・・
結局、ランシスにメール文章を作って貰い、送信した。これで何とかなるだろう。ガッツポーズ。
余談だが、後になって『2人』が『ストックホルム的』な一夜を共にする事の重大さに気付いてしまい、三人は非常に焦ったのだった。
613 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/20(火) 03:09:10.98 ID:tjHrp3ic0
―――とある3日目、PM03:50、ロシア・ハバロフツク、シホテアリニ山脈北部・非公式空軍キャンプ・・・・・
大陸を発つ凡そ10分前。ヘリのローターは既に回転をしており、兵士達も次々に搭乗を始めていた。
サーシャも必要最低限の荷物を軍用ショルダーバックに詰め込み、特注Hip-H1号機の乗り込んだ。
所定の席に座る……が、やはり隊員達からは物珍しい目で見られてしまう。
大尉「こら、貴様ら。いくら特尉殿がマスコット的だからといってジロジロ見るな」フフフ・・・
サーシャ「た、大尉殿」アタフタ・・・
大尉殿がヘリの外で煙草を喫いながら、再び私をおちょくる。作戦前のジョークといった所か。周りから笑いが起きた。
大尉「それにだ。歳は如何あれ、同じ『土台』に立ったからには同胞。子供扱いするなよ」チラッ・・・
サーシャ「…………、」コクン・・・
大尉「……さて、そろそろ離陸だ」ジー・・・
時計はもう直ぐ16時。
ふと、周りを見渡すと自分以外にもパラシュートを背負った兵が何人か居る事に気付く。
大尉「囮だよ。1号機6人、2号機5人の囮だ。都市外周に均等となる様降下させる」
サーシャ「成程……助力感謝します」
大尉「なに。作戦を成功させる確率を上げるだけだ」コクッ・・・
ではさて、と大尉殿は煙草を踏み消し、通信機を持った。
大尉「諸君。時間だ。今回の任務は戦闘ではないが、繊細な工作任務となる」
ヘリの座席で背筋を伸ばし、大尉殿の話を真剣に耳を向ける一同。
大尉「気を抜くな。少女一人の護衛も出来なくて、何が『WWV』だ。何が対アメ公、学園都市だ」
サーシャ「…………、」ビリビリ・・・
大尉「ヤツらは最新鋭のAI兵器や何やらを投入してくるだろう……認めよう。『科学』という点では彼らが上だ」
世界一の科学力……学園都市。
大尉「だが、所詮は道具に頼っているだけだ。我々の経験に敵う筈が無い。違うか?」
一同『肯定です!』ザッ!
大尉「よろしい……格の違いを見せつけよう。行くぞ諸君。機械仕掛けの都市を見る良い機会だ。全力で……翻弄してやるぞ」ギロッ・・・
一同『ураааааааааaaaa!!』オオオォ!!
これが、軍人……サーシャは今まで味わった事の無い謎の威圧感を彼らから感じた。
614 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/20(火) 03:43:37.91 ID:tjHrp3ic0
勝鬨から一寸後、ヘリはハバロフツクを発った。
ヘリの中は特に会話も無く、雑動も無い。ただただ機械音とローター音だけが喧しいのだ。
サーシャも元より寡黙な性格である為、この環境は丁度良かったのだが、やはり独特のプレッシャーには気押されるモノがある。
ふと、私の横に座る大尉殿が話しかけてきた。
大尉「寒くは無いか?」
サーシャ「改めて第1の解答ですが、大丈夫です。コートの御蔭で特に辛さは感じませんよ」コクッ・・・
大尉「そうか。贈った甲斐があって良かったよ」フフッ
幾らかでも和ませてくれようとしているのだろう。
大尉「後の話をするのは良くないかもしれんが、暇が出来たら連絡しろ」スッ・・・
サーシャ「え、あ……名刺、ですか」キョトン・・・
大尉「何か困った事が有れば連絡を寄越せ。尤も、魔女(ワシリーサ)程の『裏』までは扱えんがな。政治とか軍関係で困った時だ」
サーシャ「……感謝します」ペコッ
ヴァロージャさんといい、大尉といい、此処数日は良い大人に恵まれる。運が良い。
大尉殿は口調を崩したまま、話を続けた。
大尉「ま、後は長期休暇でも出来たら遊びにおいでなさい。歓迎するわ」フフフ・・・
サーシャ「遊びに、ですか? 改めて第1の質問ですが、大尉殿の部隊にという事でしょうか?」
大尉「ふふふ。違うわよ……そうね。タイのとある寂れた港街。私はそこにホテルを持ってるの」
サーシャ「ホテルですか。改めて第1の確認ですが、オーナーという意味でしょうか?」フム・・・
大尉「そんなとこね。街は無頼漢(アウトロー)と娼婦(ビッチ)とヤク中(ジャンキー)の吐き溜め見たいな場所だけど、ホテルは立派よ」
その紹介で誘うのは如何なモノだろう。
大尉「ははは。そうだな、普通の人間が来る場所じゃないさ」クスッ
サーシャ「では、その……むぅ」ポリポリ・・・
大尉「だが、今回の任務を平気な顔で乗り越えられるような肝を持ち合わせているのであれば……社会科見学という事で遊びに来い」ニヤリ・・・
世界の底辺よりも更に『下』というモノを見せてやる……と黒い笑みを浮かべ、私の戸惑う表情を大尉殿は楽しそうに観賞していた。
今まで任務で死霊に荒された街などを見てきているのだが、それよりも酷いのだろうか。
余計な好奇心と、これからの不安を抱きながら、私は鋼鉄の揺り籠の中で降り落とされる時間を待った……―――
615 :
>>1
[saga]:2011/09/20(火) 03:45:32.79 ID:tjHrp3ic0
すいません。今回は此処まで。8時くらいから投下できなかったね。いつもの月1かな?
とりあえず次回こそ頑張る! では! ノシ
616 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/20(火) 07:43:07.72 ID:WvGYjjUAO
>>1
乙
ロアナプラ√も面白そうだな……
617 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/20(火) 08:32:39.25 ID:JwNZMeSho
ますますバラライカ姐さんにしか見えなくなってきた
まあ元ネタなんだろうけどwwwww
618 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/20(火) 14:54:46.45 ID:hznCwS6DO
乙。まさかランシスがカルテッ娘入りしてるとは! 五人なのにカルテットとは、これいかにww
それにしてもまた香焼は女の子と二人きりになるのかー‥‥いつ頃、刺されるんだろうね!
619 :
>>1
[saga]:2011/09/21(水) 18:39:23.82 ID:bBzDPXqF0
こんばんわ。ボチボチ書きます。
・ロアナプラと学園都市はある意味真逆ですよねー。リアリティと年齢層的な問題で。
・5人でカルテット……あれです。3人でツイン天使と同じ理屈です(笑)
そんじゃ投下!
620 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/21(水) 19:02:27.42 ID:bBzDPXqF0
―――とある3日目、PM04:30、日本・学園都市、第7学区、ファミレス『Joseph's(ジョセフs)』・・・(五和side)・・・
今更説明する必要もないが、天草式の若衆は学園都市に『情報収集』という名目で潜入している。
一般の学生に紛れ、何かしら『魔術』的なイレギュラーが無いか探るのが主な役目だ。
その若衆の筆頭として役職を与えられているのが私―――五和である。
学生として年長という立場でもあり、先輩方が私の実力を評価して下さっている故、今の立場に居るといった所だろう。
五和(……でもなぁ)ハァ・・・
正直、柄じゃないと思う。
基本的に自分は人を使うという管理職は苦手だし、逆に指示されていた方が楽で良いと思っている。
加えて立場上、お偉いさん(苦手な部類の人)とも顔を合わせなければならないのだ。
因みに、現在その立場上『上司』と待ち合わせ中。授業が終わり次第、即ファミレスで待ち合わせとの事。
一寸後、その『上司』が現れる。
土御門「いよぅ。待たせたな」ノシ
結標「…………、」テクテク・・・
潜入学徒の監視役―――土御門元春。私が現場の指揮云々役だとしたら、彼が管理監督役だ。
五和「こんにちは……って、結標さん?」ポカーン・・・
土御門「こっちは気にすんな。この後すぐ『ビル』行かなくちゃならねぇからにゃ」チラッ・・・
結標「ったく……香焼くん家で会うならまだしも、仕事でアンタと顔合わせるのは何か嫌ね」ハァ・・・
まったくだ。
土御門「さて。何で呼び出されたか分かるか?」ジー・・・
五和「仕事以外で貴方が私を呼び出すとは思えませんけど」
土御門「その仕事内容だぜぃ。まぁその様子だと分かってないみたいだな……結標、コーラ持って来い」フム・・・
結標「小間使いにすんな。テメェで持ってきなさい」ジトー・・・
五和「あ、私が持ってきますよ。結標さんは何が良いですか?」スッ・・・
土御門「五和っち……相変わらず、その性格はリーダーに向かないぜよ」ハァ・・・
五和「はい?」キョトン・・・
結標「ハァ……私が持って来るわよ。話続けときなさい」ッタク・・・
よく分からないが、すいません結標さん。
621 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/21(水) 19:19:35.91 ID:bBzDPXqF0
結標さんが立った所で、土御門が話を始める。
土御門「先程、英国から連絡が来た……昨今のモルドバ情勢は知ってるな?」
五和「え、はい。国と沿ドニエストルが紛争停止中とか。それが何か?」
土御門「そこに魔術師の介入があった……多分、魔術師だ」
五和「多分、ですか?」
土御門「まだ分からないんだ。分かっているのは『吸血鬼』だか『吸血種』だかの影」
吸血鬼……魔術の世界では禁忌とされる存在。
五和「ふむ……それが今回の件と如何関係が?」
土御門「ロシアが動いてる。SVRか成教かは知らんが、学園都市(ウチ)に向かってな」
五和「はぁ」ポリポリ・・・
何故、科学の街に向かっているのだ。あからさまに『オカルト』の領域だろう。
土御門「……吸血、だぞ」
五和「吸血? えっと……あー……え?」タラー・・・
土御門「分かったな」ジー・・・
五和「う、嘘ぉ」エー・・・
つまり、居るか居ないかアバウトな存在の為に『吸血殺し(姫神秋沙)』を確保しに掛るという訳か。
五和「だ、だって、彼女を連れ去る? 血を取る? 如何かは分かりませんけど、意味分かりませんよ」
土御門「まぁそれだけならな……だが俺は別な所に目的が有ると思ってる」
五和「別、ですか?」
土御門「ヤツら、これを期に……吸血鬼関係にも手を出すつもりだろう」
成程。ロシア成教は他の十字教と比べ『退魔』の色が濃い。
吸血殺しの『血』は、そんな彼らにとって喉から手が出る程手に入れたいモノなのだろう。
土御門「まぁ詳しい話はこのUSBに入ってる。後で見ろ……今話すのは具体的な任務内容についてだ」
五和「……はい」コクッ・・・
結標さんが土御門にコーラを手渡す。そのまま彼の横に座るが……良いのだろうか。
もしかして協力者かもしれないし、私が知った話ではないな。
622 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/21(水) 19:37:33.83 ID:bBzDPXqF0
都市の地図を広げ、任務の解説を始めた。
土御門「兎に角、英国の指針は『監視』だそうだ。ロシアから誰が来ても『監視』のみ」
五和「えっと……上条さんと禁書目録の監視は?」
土御門「続ける。多分、嫌が応にもカミやんは関わってくるからな」
五和「あはは……確かに」タラー・・・
彼に自重してくれと言っても、『事件の方』から勝手に彼に関わるのだ。如何しようもあるまい。
土御門「兎角、都市外周を中心に監視ポイントを置く。それから五和、オマエはカミやんの所に直接居座れ」
五和「え、あ、はい。(ヒャッホオオオオゥイッ!!)」エヘヘ・・・
土御門「あくまでカミやんをロシアから『使者』に近づかせない為だ。公私混同したら、ねーちんに告げ口すっからな」ジトー・・・
五和「やったぁ! 夕飯の準備してってあげよー!(しませんよー。仕事なんですから)」エヘヘ・・・
結標「うわぁ……五和、本音と建前逆になってるわよ」ジトー・・・
いけないいけない。涎を拭い、話に戻る。
土御門「それから『使者』も発見次第監視をつける。あくまで監視だぞ」
五和「『使者』ですか……SVRと成教、どっちの人間でしょうか」
土御門「十中八九、成教だろうな……個人特定も大体出来てる」
五和「個人……あはは。サーシャとか言ったら笑いますよー」フフフ・・・
土御門「…………、」タラー・・・
五和「あはははは、ははは……はは……え?」タラー・・・
うそーん。
土御門「……俺が考えてる悩みの種を当てて見ろ」ハァ・・・
五和「コウちゃん……香焼です」ハァ・・・
土御門「正解だ、糞ったれ」グデェ・・・
そりゃまぁ……上条さん並に首突っ込もうとしますから。おまけに、仲良しときてる。
土御門「はい。んじゃ、おさらい。監視対象言ってみろ」
五和「上条さん+暴食シスター。ロシアからの使者(多分、サーシャ)。吸血殺し(姫神秋沙)……香焼です」ハァ・・・
土御門「……パーフェクト」ビシッ
何で身内が監視対象になるんだか……まったく、嘆かわしい。
623 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/21(水) 19:59:41.41 ID:bBzDPXqF0
呆れ顔の私と土御門の隣で、結標さんが苦い顔をしていた。
結標「てかさぁ……何で私に聞かせんのよ」ジトー・・・
土御門「今回お前には勝手に動いて貰いたいからな」
結標「……意地の悪い事を」ジトー・・・
そういえば結標さん、コウちゃんとも仲良いし、確か姫神さんとも仲良かった筈だ。
今回一番複雑な立ち位置だろう。
土御門「いいか? 今回の任務、香焼には知らせるな。ヤツにもカミやん同様監視をつけろ」
五和「うーん……でも仕事でしょう? サーシャの手助けをする様な真似はしないと思いますが」
土御門「100%とも言い切れないだろう。兎角、不安要素は取り除いとく。OK?」
五和「……はい」コクッ・・・
結標「何だったら、私が香焼くんの事監禁……じゃなかった。監視しようか?」ニッコリ・・・
五和・土御門「「…………、」」タラー・・・
結標「……冗談よ」アハハ・・・
偶に、冗談に聞こえないのが怖いんです。
土御門「まぁ……そうだな。香焼が言う事聞かない時はオシオキとして、縛ってひん剥いて、コイツにくれてやっても良いぜぃ」ハァ・・・
五和「ヴぁい!?」ブッ!!
結標「じょ、冗談だって言ってるでしょ! そんな状態のあの子渡されても困るだけだし」アタフタ・・・///
魅力的な提案(?)に怖気付く結標さん。案外チキンだな。
さておき、都市側の動きは如何するのだろう。それに合わせて此方の動きも変わるのだが。
土御門「それを今から直接アレイスターに聞きに行くつもりだった」
五和「はぁ……もしかして迎撃でしょうか」
土御門「有り得るな。警備員に監視をさせつつ……暗部で迎撃退治。抹殺」
その言葉に身を引き締める。
五和「しかし相手が本当にサーシャなら、一筋縄ではいきませんよ」
土御門「ああ。最悪、超能力者(レベル5)3人の内どれかが投入されるかもな」
結標「そんな凄いのが相手なの? 私とか海原じゃ相手出来ないとか」
土御門「お前じゃケチョンケチョン。海原でドッコイ。持久戦になりゃ一方通行でもキツいな」
コウちゃんの話だと純粋な実力でマグヌス神父とドッコイだと聞く。
そこに噂の『神の力』が加われば……女教皇様とドッコイだ。ぶっちゃけ『能力者』では碌に立ち打ち出来ないだろう。
尤も、御使堕し(エンゼルフォール)の事件以降、彼女が『神の力』を使いこなしたという話は聞かないが……
しかし、魔術・科学の両サイドから見て、要注意人物である事には変わりないのだ。
624 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/21(水) 20:41:33.36 ID:bBzDPXqF0
とりあえず、土御門との話は終了。
後は私が家に戻り若衆を直接割り振りする。
五和「でも、香焼如何しよう」ハァ・・・
土御門「ホント頼むぞ。こんな下らない用件でアレイスターに小言言われるのは勘弁だからな」
五和「……はぁ」ポリポリ・・・
土御門「そんじゃ行くぞ。結標」チラッ・・・
結標「はいはい。それじゃあまたね」スッ・・・
伝票を持って立ちさる2人。
五和「やれやれ……とりあえずウラに連絡だなぁ」ハァ・・・
香焼云々に関してはあの子に任せよう。私より上手く立ち回る筈。
五和「それにしても『吸血殺し』ねぇ」ムゥ・・・
原石。オカルト中のオカルト。学園都市の技術、著名な魔術研究所の力を持ってしても不明瞭。
そして……姫神秋沙という個人。
五和「上条さんに知らせない様にかぁ……大丈夫かな」ハァ・・・
多分、知られた『後』の事を考えねばなるまい。そんな気がして止まない。
五和「……兎に角、帰って作戦案作らないと」スッ・・・
頭を抱えつつ、鞄を持って、自宅へ帰る。頼むから『全て』穏便に済んで欲しいモノだ……―――
625 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/21(水) 20:59:45.15 ID:bBzDPXqF0
―――とある3日目、PM06:40、日本、新潟上空・・・・・
日が落ちる。ヘリの上から見る日本を挟んだ太平洋側の俯瞰情景は幻想的だ。
出来る事なら長時間、この眺めを楽しみたいものだが、そういう訳にもいかない。
軍曹「そろそろ目的地に到着します」
大尉「了解だ……諸君、準備は良いな」チラッ・・・
パラシュート部隊が頷く。
大尉「間違えても都市内部には落ちるなよ。ハチの巣死体にされた諸君と対面するなんて事態は勘弁願いたいからな」
失笑。
大尉「特尉も……慣れていないからといって、敵さんに手加減してくれなんて言い訳は通用せんからな」
サーシャ「無論です」コクッ・・・
大尉「宜しい。では最終確認を」チラッ・・・
軍曹殿が説明を開始する。今から数分後、我々は埼玉〜神奈川上空を通過。
その間、輸送1号機は時計周り、2号機逆時計回り、護衛兼囮のハインド・ハボックは都市真上を通過。
大尉「尚、任務が終了し次第、休暇をやろう。神奈川の近くには良いオンセンがあると聞いている。少しゆっくりしようか」ハハハ
魅力的な話だ。是非とも御一緒したい。
大尉「さて……ではそろそろランデブーポイント。気を引き締めろ」コクッ・・・
パラシュートの最終確認をし、降下を待った。
626 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/21(水) 21:20:22.64 ID:bBzDPXqF0
数分後……埼玉に入る。
日本政府からの無線が入り、それは難なくクリアするのだが、まるでそれをジャックするかの様に、別の信号が入ってきた。
通信兵「大尉殿。『都市』からの電波です……日本語ですが、如何しますか?」チラッ・・・
大尉「やはり『ヤツ』を連れてくるべきだったな……まぁ良い。英語で返してやれ」
頷き、英語で応答する。すると都市側も英語で返答をし『責任者を出せ』とせがんできた。
やれやれ……と大尉殿が通信機を取る。
都市外交員『―――ら―――す――――――……此方、学園都市理事会。此方学園都市理事会』ガガガ・・・
大尉「此方責任者。聞こえている……何用だ」
外交員『貴殿の部隊は何者だ。所属を問う。繰り返す。貴殿の部隊は何処の部隊だ。所属を問う!』
大尉「それに応えたとして、如何するつもりかね」
外交員『貴殿の部隊は我が学園都市の領空圏を通過するルートを通っている様に思われる。許可は取っているのか』
大尉「だから何だ。我々は日本政府の許可を取っている。確認してみろ」
外交員『学園都市が独立自治権を持っている事くらい知っているだろう。都市理事会の正式な許可無く――』
大尉「喧しい。世の中には貴様らのSF都市を独立都市だなどと認めていない国家は五万と居よう」
一同苦笑。確かに『学園都市は日本とは別モノ』と認めていない国家は沢山あるのだ。
日本は好きでも学園都市は嫌い。良く聞く話だろう。
外交員『……国際法に基づいて、我々は都市を置いている』
大尉「そうか。それは済まなかったな。だが日本政府は許可したのだ。我々はそれに従おう」
外交員『貴殿らの部隊、撃ち落とされても文句は言えないぞ?』
大尉「おお怖い……では精々『ミサイル』をブチ込まぬ様、気を付けて通過するよ」ハハハ
外交員『……所属を述べよ。国際裁判所に訴訟してやる』
大尉「そうだな……ソビエト、とでも言っておくよ」クスクス・・・
外交員『はぁ!?』キョトン・・・
大尉「さて……話はそれだけか? では切るぞ」Pi!
外交員『ちょ、待―――』プツン・・・
まるで喧嘩腰。本当にミサイルをブチ込まれたりしないだろうな。
大尉「安心なさい。此方が手を出さない限り、アチラは絶対に手を出さない。仮にも『日本』だ」
成程。本当に怪我をしてからでなければ手を出さない日本人特有のヘタレという訳か。納得。
627 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/21(水) 21:54:52.49 ID:bBzDPXqF0
通信を切って数分後……一層眩しい街明かりが見えてきた。
アレだけでどれ程の電力を消費しているのかというくらい煌びやかだ。
軍曹「降下用意!」ザッ!
ハッチが開く。物凄い風が吹き込んできた。
都市側の動きはまだ無い。一応、外壁に向け機銃担当が銃口を向ける。
軍曹「囮部隊。くれぐれも都市の人間には掴まるな。気を付けて横須賀まで逃げて来い」
囮部隊『了解』ザッ・・・
大尉「高度は極めて低い。ベースジャンピング(低高度パラシュート)実戦の良い機会だ。怪我はするなよ」フフフ・・・
まるで任務を楽しんでいる様な口振り。まぁこの人達だからなぁと内心苦笑する。
最初の隊員が第3学区と第14学区の外壁周辺に降下した。続いて2号機の一人目……第17学区付近に降下する。
軍曹「大尉殿。予想通り『六枚羽』が出てきました」チラッ・・・
大尉「やはり来たか……ハインド2機及びハボック2機、行動開始! 都市内をチャフをバラ撒きながら飛んでやれ! 有りっ丈喰らわせろ!」
学園都市最新鋭の無人攻撃ヘリ数十機が出張ってくる。
護衛のハインドらは電波欺瞞紙(チャフ)をふんだんに捲きながら高度を上げ、そこから曲芸軌道を取り、散会していった。
敵方の無人機は此方の変則軌道と、電波欺瞞紙による探知妨害でアタフタしながらその場にホバリングしている様だ。
大尉「よし。この調子だ……囮部隊、降下を急げ」
隊長も隊員も手際良く行動している。まさに玄人軍人といった所だろう。
一寸後、私の番がやってくる。
大尉「特尉! 準備は良いな!」チラッ・・・
サーシャ「勿論です……助力感謝します」ペコッ・・・
大尉「そういうのは全て終わってからするモノだ……気を付けろよ。我々が関わって子供が死んだという情報は勘弁だからな」ポンッ・・・
サーシャ「…………、」コクッ・・・
必要最低限の荷物が入った軍用バックを前にかけ、パラシュートパックを背負う。
杖(バール)を構え、防風術式を展開。
軍曹「特尉殿、どうぞ」チラッ・・・
サーシャ「了解です……サーシャ=クロイツェフ、出ます!」バッ・・・
大尉「幸運を祈る。『魔女の子』! 無事帰って来い!」ニカッ!
機床を蹴り、地上へ向けてダイブした。
628 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/21(水) 22:38:56.62 ID:bBzDPXqF0
防風術式を展開しても尚、風の音が止まない。
地面までの距離は100mを切っている……だがギリギリまで我慢だ。成るべく住宅地は避けて着地する。
サーシャ「ふぅー……っ!!」グッ!!
林の様な公園の様な場所を見つける。凡そ70mを切った所でパラシュートを急展開。
ベースジャンピング専用のパラシュートなので非常にコンパクトだが、減速効果の大きい。無論、ベルトに強い付加が掛り身体が痛む。
サーシャ「っ……減、衝撃術式……っ!」ズザザザァ・・・
枝葉に切り揉みされ滑り転がりながら、着地。術式を敷いても重力には敵わない。凄い勢いで地面に弾かれた。
もしいつもの外套を羽織っていたなら身体中磨り減っていただろう。
サーシャ「痛つつ……スカイダイビングは二度とゴメンですね」ヌギヌギ・・・
弱音を吐いてはいられない。急いで現在地を確認せねばなるまい。
パラシュートパックを外し、軍用バックの中から携帯を取り出す。GPSを用いて……現在地詳細をチェック。
綱嶋……どうやら東京〜神奈川の境らしい。一番近い都市外周から凡そ10km。かなりポイントがずれたか。
サーシャ「ふむ……では行きましょうか」スッ・・・
パラシュートは後ほど外部協力者が回収してくれるらしい。
GPSの現在地データを送信し、近場にあった工事用ブロックの中に詰め隠して、都市方面に向かった。
数分歩いた所で、気付く。
サーシャ「うーん……結構遠いですね」タラー・・・
仮にも日本の都市圏だ。『学園都市』外周とはいえ、住宅地はかなり多い。
サーシャ「だからゴジャゴジャした都市圏は苦手なんです……とりあえず今の内に携帯チェックでも済ませておきましょうか」
出来るだけ人気の無い道を進みながら、携帯チェックを始めた。
ワシリーサからのしつこい励ましメールと……レッサーからのメール。
サーシャ「……これは住所でしょうか?」フム・・・
『第1学区』と頭にある。多分、都市内部の何処かだろう。文末には『セーフハウスを確保してあげましたよっ(>ω<)ノシ”』と書いてある。
……何だコレ?
サーシャ「まぁ最悪、頼りますよ」フフフ・・・
メールで短く『ありがとう』と返信し、電源を切る。
さて……外壁に急ごうか……―――
629 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 00:18:19.66 ID:zaIuiHZo0
―――とある3日目、PM07:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・香焼side・・・
もあいが頻りにベランダに出ようとする……何やら外が騒がしい。
テレビを点ければ分かる様に『テロ』紛いな事が起きてる様だ。
浦上「いやはや……物騒だネ。結構高い高度で動いてるみたいだけど……武装ヘリかな??」ボリボリ・・・
香焼「お前は平和だな……非常時だっていうのに」ハァ・・・
浦上「まぁ都市の防衛は完璧だからネー。こと軍事に関しては」
確かに。
香焼「調べに行かなくて良いのかな?」
浦上「警備員が出張ってるっしょ。もしくは……暗部がネ」
香焼「…………、」
浦上「あー、香焼が気にしてる様な心配は無いと思うヨ」
香焼「……は?」
浦上「誰かちゃんの事、気にしてんでしょ?」ニヤリ・・・
……否定はしない。
浦上「まぁあんなに高い所でドンチャンやってるからネー……最愛ちゃんは狩り出されないっしょ」
香焼「……さぁね」テクテク・・・
もあい「んなー」カリカリ・・・
TVで部屋から出るなという注意のテロップが出ているにも関わらず、ベランダに出る。
香焼「本当に、テロなのかな? 犯行声明は出てるのかな」ジー・・・
浦上「さぁ。でも声明なんか出したらテロっぽくないじゃん」
香焼「……とりあえず、自分達に連絡が来ないって事は魔術側によるテロじゃないんだね」
浦上「ハハハ。まぁ魔術師が武装ヘリ乗って奇襲しかけてきたらマジ爆笑モノだよ」フフフ・・・
香焼「いや。今の時代、魔術魔術しい輩の方がマイナーっすよ。文明の利器を使いつつ、如何こうするってのがメジャーだってば」
浦上「まぁねー……とりあえず、命令が来るまで大人しくしとこ。必要であれば嫌が応にも土御門さん辺りから連絡来るだろうし」
下っ端が勝手に調べに行ける話では無いという事か。今は黙って報告を待とう。
630 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 00:57:57.38 ID:zaIuiHZo0
―――とある3日目、PM08:30、日本、神奈川県相模原某所〜学園都市第10学区外壁・・・・・
数キロ歩き『あ、これもう迷ったわ』と現状に気付いてしまって、タクシーを拾ってしまった。
任務に支障が出るかと多少悩んだりもしたが、まさか敵の工作員が市営タクシーを利用するとも思うまい。
感じの良さそうな中年男性が『ガイジンさん』とやけに楽しそうだったのが記憶に新しい。
そんな与太話はさておき、やっと外周付近に辿り着いた。
予定時刻より大分オーバーしてしまったが、仕方あるまい。あと二日以内に蹴りを点けよう。
サーシャ「さて……まずは潜入ですね」フム・・・
まともに関所は通れない。
となると、外壁を乗り越えるか、強襲をしかけるしかないのだが……事は荒立て無い方が良かろう。
気配遮断の術式を自身に掛け、地脈を用いて人払いの結界を広めに展開する。
幸い、日本という島国はふんだんに地脈や龍脈といった魔術的パイプが張り巡り易い土地なので、結界を張るには好都合だ。
サーシャ「……予想通り、このブロック付近の警備は甘い様ですね」ジー・・・
第10学区の更に第11学区側。逆の第2学区側なら警備がキツかったのだろうが……これは御の字だ。
定期的に訪れるサーチライトの数が多いだけで、人気は少ないと見える。
サーシャ「では、行きましょうか」スッ・・・
加速し一気に跳躍する……外壁の中頃に特製の『釘』を打ち込み、それを踏み台に、もう一度跳躍。
あっさりと侵入成功。
サーシャ「防衛システムは……作動して無い」ホッ・・・
一息吐き、結界を解く。以後、魔術の使用は極力控えねばならない。
サーシャ「まさか魔術師でありながら軍人宛らの潜入任務(スニーキング)をするとは……やれやれですね」ハハハ・・・
嘆きたい所だが、止まってはいられない。
幸いこの第10学区は隠れる場所(廃屋)が多そうなので、敵に見つかる確率は低かろう。
近場の廃倉庫に潜り込み、バックの中の整理を始める。
・杖(バール)。金槌。折り畳み式の鋸鉈。金杭。 ← 武器類
・携帯電話(使用不可)。地図(紙)。注射器(『血』採取の為)。カ(21)ーメイト。 ← その他。
サーシャ「OK……では行きましょうか」コクッ・・・
何事も無く事が進むのを願う。私は覚悟を決め、歩み出した。
631 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 01:19:02.10 ID:zaIuiHZo0
―――とある3日目、PM08:40、学園都市、第7学区、窓のないビル、内部・・・・・・
アレイスター『ヘリが遠ざかる……そろそろかな』フム・・・
土御門「ん……分かるのか?」ジー・・・
アレイスター『魔術反応は無いが、戦略的に考えれば潜入したんだろうね。既に都市中にオジギソウを展開させてるよ』
土御門「囮は引いた、か……オジギソウなんて危険なモノを使わんでも良いだろう」
アレイスター『保険だよ。「水」の魔力が使われたら、其方に集中するようにしている』
土御門「そりゃオッカナくて俺もオチオチ魔術は使えないぜぃ」ハァ・・・
アレイスター『君はそうそう使わないだろう』クスッ・・・
土御門「ところで『風斬』は出すのか?」チラッ・・・
アレイスター『暴れるようならね。だが基本は警備員と暗部に任せるよ』
土御門「警備員は表向きの監視として……暗部は何処を出す?」
アレイスター『ふむ……何処という括りは無いが、とりあえず君以外だな。少しなりとも情が入ってしまうだろう?』フフフ・・・
土御門「阿呆抜かせ……何処でも良いが、対魔術師戦なら人選に気を付けろよ」
アレイスター『となると超能力者を向かわせたい所だが……彼らは派手だからね。まったく困ったものだよ』
土御門「海原辺りに手伝わせるか? 魔術勝手を分かってる方が分が良いだろう」
アレイスター『その辺が妥当だろう……下手にアイテムやスクールを動かしても返り打ちにされかねないからね』
土御門「まぁな……(その方がやり易いぜぃ)」ホッ・・・
アレイスター『ふむ……では彼と「妹達(シスターズ)」を数名付けようか。「妹達」の人選は君に任せるよ』
土御門「アイアイサー。そんじゃ帰るぜぃ」テクテク・・・
アレイスター『そうそう。土御門』ボソッ・・・
土御門「……ん?」ピタッ・・・
アレイスター『今回はあくまで、学園都市(ウチ)の利益の為に動いてくれよ』フフフ・・・
土御門「仰ってる意味がまるで分からないぜぃ、統括理事長殿」クイッ・・・
アレイスター『なぁに。自分の為に動く君だ……同級生の「血」を悪い様に使われたくは無いだろう? そういう事さ』フフフ・・・
土御門「……ふんっ」テクテク・・・
アレイスター『……日和ったね、土御門』クスクス・・・
632 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 01:32:05.84 ID:zaIuiHZo0
―――とある3日目、PM09:00、学園都市、第7学区、『ビル』付近の公園・・・・・・
あからさまに機嫌の悪そうな表情で『ビル』から出てきた土御門。
演算狂うからボソボソ恨み辛みを吐き出すのは勘弁願いたい。
土御門「糞っタレ……今に見てろ、あのバケモン野郎」ペッ!
結標「完全に小悪党のセリフよ、それ……そんで如何なったの?」ハァ・・・
土御門「……海原を出す。『妹達』を数名付けてな」テクテク・・・
成程。私や一方通行が嫌う『対オカルト』部隊の出番という訳か。
結標「アンタは勝手気ままに動くんでしょうけど私と一方通行(アイツ)は如何すりゃいいの? 今回、グループの仕事みたいなもんでしょ」
土御門「アイツは待機で十分だ。お前はさっきも言った通り勝手に動け」チラッ・・・
結標「勝手ねぇ」ポリポリ・・・
土御門「ただ『使者』との接触探索は勧めない。するなら姫神の監視か、香焼の監視にしろ」
結標「海原と一緒に動くなって事ね……じゃあ帰って寝ても良い?」
土御門「とか言いつつ、どうせ訳分かんねぇ動きすんだろ?」
あらら、ばれてーら。
土御門「兎に角、都市に不利益な動きはするな。不利益=『姫神の不幸』だと思え」ジトー・・・
結標「そう言われちゃ、黙ってらんないわね」テクテク・・・
土御門「因みに、姫神自身に気付かれない様動けよ。事は全て水面下で起きている。面に出られたら……その時点でアウトだ」ジー・・・
結標「ラジャ」テクテク・・・
軽く手を上げ、我が家(月詠家)に戻る。さて……私の『平穏』の為に一肌脱ぎますか。
633 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 02:02:59.69 ID:zaIuiHZo0
―――とある3日目、PM09:15、学園都市第10学区北部・・・・・・
大通りと裏通りを避け、中規模な道を進む。
こういう場合、大通りは勿論、裏路地も索敵対象になりかねない。故に中くらいの道を行くのが丁度良いのだ。
しかし、この街の様子は酷い……まるでモスクワのカザン駅周辺くらい治安が悪い。
サーシャ(何処の都市にもスラムは形成されるのですね)テクテク・・・
並のスラムより性質が悪いのは殆どが未成年者だという所か。
酒、煙草、クスリ、売春……警察組織が見放した場所……というより、汚れ仕事をこなし易い場所として放置しておいているのやもしれない。
サーシャ(それにしてもこの服装……助かりました)フム・・・
ソ連マーク入りのコート。悪ガキ共から見ればセイスの良いファッション程度にしか思われていない。
因みに、追剥やカツアゲ的な不良が近寄ってきたが、魔術を使わず道具だけで『適当』にあしらってやった。軟弱者共め。
サーシャ(本当はタクシーを探せれば早かったんですが……高望ですね)ハハハ・・・
先のタクシー作戦は上手くいく。特に個人民営のタクシーに乗り合わせれば、足は付かずに目的地まで飛べるのだ。
まぁ治安の悪そうなこの学区に、そういった『足』を望むのは無理難題だったな。
いや、いっそ其処ら辺に屯している旧車やローライダーの不良達に運賃を払って送迎を頼もうか。
……止めておこう。絶対別の場所に連れて行かれる。
サーシャ(さて……そろそろ第10学区ですね)チラッ・・・
明るい通りが増えてくる。此処までは順調だ。
サーシャ(しかし、此処からが問題ですね)フム・・・
問題の第7学区。アレイスターの御膝下。だがしかし『彼』の家は此処からそう遠くない筈。
近場のコンビニを探し、店内の地図で現在地を確認する。残り1kmも無い様だ。
目立つ建物……常盤台中学女子寮。その東側を行けば、『彼』のアパート。
サーシャ(急ぎましょう……迎撃部隊の展開が遅れている様ですし、今がチャンスです)スッ・・・
流石に都市の連中も私が『吸血殺し(姫神秋沙)』本人ではなく、『幻想殺し(上条当麻)』と接触するとは思うまい。
『直接』ではなく『間接』的にという案は中々名案だろう。
サーシャ(少しはワシリーサを褒めてやりましょうか……あ、やっぱ調子乗るから駄目ですね)ハハハ・・・
何て下らない事を考えながら、人気の少ない通りを進む。
634 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 02:43:44.08 ID:zaIuiHZo0
―――とある3日目、PM09:30、学園都市第7学区、常盤台中学女子寮付近・・・・・・
御坂妹『―――此方上条宅付近、異常無し。とミサカ10032号は定期連絡を済ませます。オーバー』
御坂丸『―――同じく病院付近異常無し。とミサカ10039号は定期連絡を終えます。オーバー』
御坂.jp『―――同様に第7学区北部「ビル」付近もそれらしき人影無し。とミサカ13577号は定期連絡を(ry』
御坂春子『―――ファミリーサイド付近も以下同文、とミサカ14510号は説明を端折ります』
御坂漢子『―――春子。お前、私用でそこ居るんじゃないんだぞ? とミサカ14889号は「誰かさん」の家ばかり覗く春子に注意をします』
御坂春子『し、してません! そんな事言ったら妹だって「誰かさん」の家ばかり覗いてるでしょう! とミサカは10032号に話を振ります!』
御坂妹『ばっ!! 違いますー! 私は任務ですー! 私(ミサカ)とどっかの春厨を一緒にしないでください!』
御坂蛇「……どっちもどっちだろ。とミサカ17600号は呆れます」ハァ・・・
御坂5's「同感だ。とミサカ15555号も2人に呆れます」ッタク・・・
海原「まぁまぁ。得物が網に引っ掛かるまでは暇とはいえ、気を抜いて貰っては困りますよ」フフフ・・・
妹達(お前も好んで常盤台女子寮付近居るだろうが!)ジトー・・・
御坂緑『はぁ……というかこの回線、運営様(最終信号)に聞かれても大丈夫なんでしょうか、とミサカ19090号は変な心配をします』
御坂家無『別に大丈夫では? 仕事出し……ヤバいのは春子だけだろうけどね。とミサカ19296号は仕事でも無いのに回線に割り込んでみます』
御坂春子『ちょ! ホームレスタレント!!』アタフタ・・・
御坂漢子『ショタグリーンの心配は18456号が何とかしてた筈だよ。とミサカはうろ覚えな情報を流します』
御坂妹『ふむ……というか今日はやけに人が集まりましたね。とミサカは暇人共に苦笑してみせます』ハッ!
御坂百合『っ(鏡)……とミサカ14444号は妹の自虐ネタを笑います』ハハハ
海原「やれやれ、賑やかですね。(……僕、こんなに妹達招集してないけどなぁ)」ポリポリ・・・
御坂蛇「とりあえず、金は理事会持ちだし、集められるだけ集めようかなぁと。ミサカは小切手の0の数を増やす作戦を立てました」フフフ・・・
海原「……スネーク」ハァ・・・
御坂5's「まぁ此処に変態(20000号)が居ない事を感謝しま………………ん……スネークマスター」ボソッ・・・
海原「ん、はい……来ましたか」チラッ・・・
御坂蛇「良し。私達(お前ら)、魚が網に掛ったぞ。とミサカは妹達に報告します」
妹達『了解!』Pi!
御坂5's「南ルートから来ましたか……まぁ妥当でしょうね、とミサカは判断します」ジー・・・
海原「しかし複数潜入の可能性も拭えません。北部班は引き続き警戒を……僕らは先行して『使者』を追います」
御坂蛇「臨界点は上条宅アパート団地入口まで。妹、踏み込んだら警告に入れ。とミサカはマニュアルを伝えます」
御坂妹『分かってます……銃の使用は控えるんでしたね? とミサカは確認を取ります』
海原「ええ。必要な時は許可を出します……僕が到着するまで交渉を。多分、話が分かる相手です。引き延ばして下さい」
御坂妹『了解。動きます』スッ・・・
635 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 03:02:44.93 ID:zaIuiHZo0
―――とある3日目、PM10:00、学園都市第7学区、とある学生寮(上条アパート)・・・・・・
特に何事も無く、目的地周辺まで到着。
このまま『彼』の家のベルを鳴らしたい所だが……そういう訳にもいかない様だ。
アパートの敷地に入る直前で踏み止まる。
数回周りを確認した後、静かそうな駐輪場を方へ進んだ。
サーシャ「……ふむ」ピタッ・・・
コートの中のバールを握る。
御坂妹「あら……こんばんわ。とミサカはフランクに話しかけます」スッ・・・
サーシャ「こんばんは」ペコッ・・・
御坂妹「そんなに怖がらなくても良いのですよ。とミサカはベンチに座ってポムポムと貴女を誘ってみせます」ポンポンッ・・・
サーシャ「疲れている私にとって嬉しい御誘いですが、遠慮しておきます……第1の質問です。先程からつけてましたか?」ジー・・・
御坂妹「うーん。つけていたといえばつけていました。私(ミサカ)といえばミサカですし、私じゃない(番号違い)といえば私じゃない」
サーシャ「……ぇ???」ポカーン・・・
何かの言葉遊びか?
御坂妹「まぁ些細な事です。気にしないで下さい……ブドウ糖舐めますか? とミサカは甘味をチラつかせてみます」ホラホラ・・・
サーシャ「む……純粋な甘味とは……卑怯なり。都市の人間!」ムムム!
御坂妹「ほらほらー。2個か? いや3個か? 3個が良いのか? このイヤしんぼめ! とミサカはテンプレを告げてみます」ホレホレ!
サーシャ「ぐ、ぬぬぅ……しかし! 私はカ(21)ーメイトを持っています!」バンッ!
御坂妹「ほぉ……プロスネークなら『良いセンスだ!』と褒めている所ですね。とミサカは冷静に受け流します」アッソ!
こやつ、中々手強い。
御坂妹「さて……確認がまだでしたね。貴女はロシアからの『使者』でしょうか? とミサカは質問します」ジー・・・
サーシャ「ふむ……違ウウアル。ワタシ、もんごる人ニダ」
御坂妹「うわぁ何その滅茶苦茶解答……考えたの貴女ですか? とミサカは気を疑います」エー・・・
サーシャ「ち、違います! 第1の解答ですが、今のは上司が困った時に使いなさいと教えてくれた言葉で」アタフタ・・・
御坂妹「あーはいはい。上司ねー。上司さんの所為って事にしておきましょうねー。とミサカは生温かい目で応対します」ハイハイ・・・
サーシャ「ぐ、ぬぬぅ……ワシリーサ殺す!」ムキー!
やっぱあの上司は信じられん。私の思うとおり行動しよう。
636 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 03:29:19.93 ID:zaIuiHZo0
兎角、アチラのペースに呑まれてはいけない。
サーシャ「使者とか何とか、意味が分かりませんが、私はこの先へ向かいたいだけです」
御坂妹「ふむ……困りましたね」ポリポリ・・・
サーシャ「第2の質問ですが、いけない事でしょうか? ただの訪問ですよ? まぁ時間は時間ですがね」ハハハ
御坂妹「……此処、男子寮ですよ? とミサカはちょっとアレな返答をしてみます」フフフ・・・
サーシャ「あー……まぁ、ね」フフフ・・・
この際、夜這だろうが何だろうが構いはしない。
御坂妹「明日も学校でしょう。今からの夜這では遅刻しかねませんよ? ミサカは金土のニャンニャンを提案してあげます」クスクス・・・
サーシャ「確かにそれが妥当でしょう……しかし第2の解答ですが、最近付き合い始めたモノで……盛んなんですよ」フフッ
御坂妹「あらあら羨ましい。ミサカもそんなセリフを言える彼氏が欲しいものですね」
サーシャ「第1の予想ですが、すぐ出来ますよ。貴女は綺麗な女性ですから」
御坂妹「あら、御上手」クスクス・・・
さて、そろそろ通して貰いたいのだが。
御坂妹「うーん……ミサカ個人的には通して差し上げても宜しいのですが、クライアントがねぇ」ポリポリ・・・
サーシャ「クライアント?」ムッ・・・
御坂妹「……丁度、今、着いた頃ですよ。とミサカは貴方の背後を指差します」スッ・・・
サーシャ「っ!!」ビクッ・・・
振り向く……1人の男性と、2人の……っ!?
サーシャ「お、同じ顔」タラー・・・
御坂妹「はははは。予想通りの驚き有難う御座います。ミサカは最早既にテンプレと化したこの流れを微笑ましく思いますよ」クスクス・・・
御坂5's・蛇「「…………、」」テクテク・・・
海原「ふふっ。こんばんは。良い夜ですね」クスクス・・・
胡散臭い笑みを浮かべた男性と、全く同じ顔をした3人の女性。
サーシャ「の、能力者……超能力というモノでしょうか」タラー・・・
御坂妹「分身能力者ですか? そんな能力者居たら見てみたいものですね。とミサカは苦笑します」
御坂5's「というか今の発言でこの街の素人丸出しだな。とミサカも苦笑します」
御坂蛇「良くある話だろう。国際法に触れる人体クローン……フィクションとでも思えば良い。とミサカは助言します」
サーシャ「く、クローン……そんな、禁忌を」タラー・・・
十字教の人間からすれば、死体操作くらい禁断の業だ。それを目の当たりにするとは思わなかった。
637 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 03:44:19.95 ID:zaIuiHZo0
3人の女性に目を奪われる最中、男性が口を開いた。
海原「こらこら。困らせてはいけませんよ」フフフ・・・
サーシャ「……貴方は?」ジー・・・
海原「うーん。今はこの街の人間ですよ、とだけ……ところで先程楽しそうに話をしていましたね?」クスクス・・・
サーシャ「…………、」タラー・・・
御坂妹「どうやら彼女はこの寮に居る殿方との逢引が目的らしいですよ。とミサカは報告します」フフッ
海原「それはそれは。引き留めてすいません」
演技ったらしく微笑む男性。ワシリーサの仮面っぽい笑顔に通じるモノを感じる。
海原「ところで……お相手は上条当麻さんでは無いですよね?」ニヤリ・・・
サーシャ「っ!!?」ギョッ・・・
海原「でしたら今は控えた方が良い。今、彼の部屋には別の女性が2人ほど居ますから」フフフ・・・
2人、だと……禁書目録とは別に誰かが居るのか。
御坂蛇「まったく、フラグを立てては回収せず立てっ放しとは……ミサカは度し難く感じますよ」フフフ・・・
サーシャ「…………、」ダラダラ・・・
海原「さて……ロシア成教所属、サーシャ=クロイツェフさん」フフッ
サーシャ「っ……そこまで」タラー・・・
海原「我々も馬鹿ではありませんからね。敵の素性くらい察しがついています」
これは、拙い。
海原「しかし……此方とて事を荒げたくは無い」ポンッ・・・
サーシャ「……はい」コクッ・・・
海原「大人しく引いて頂けませんか? 深追いする様な事は致しません。貴女が観光をしたというのであれば、それはそれで歓迎しましょう」
御坂5's「無論、監視付きですが、ただ遊ぶ分には何も言いませんから。とミサカは微笑みます」
サーシャ「魅力的な御誘い感謝します……ですが、仕事ですので」ジー・・・
海原「やれやれ」フム・・・
心底残念そうな表情をする3名。バンダナを付けた女性は、如何でも良さそうに煙草を咥え出した。
コイツら……まったく意図が読めない。
638 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 04:05:18.75 ID:zaIuiHZo0
さておき、言われっ放しも何なので此方からも提案してやる。
サーシャ「では第1の提案です。貴方方の監視の下、彼と交渉する……如何でしょうか?」
海原「僕個人の意見としてはOKですが、依頼者は首を縦に振らないでしょう」
サーシャ「第2の提案ですが、金銭で解決出来得るなら、それにも応じましょう」
海原「可能なら、貴女が此処まで来る必要はありましたか?」
悔しいが御尤もだ……仕方ない。
海原「おっと。魔術の使用は控えて下さいね。死人を出したくない」スッ・・・
サーシャ「っ」ピタッ・・・
海原「厄介なので説明を省きますが、魔力に反応して襲ってくるナノサイズの殺人兵器がバラ撒かれているらしいですよ」
サーシャ「っ……忠告、感謝します」チッ・・・
嘘では無かろう。アレイスターが作った対魔術師兵器の中にそういったデータがあったという話を聞いている。
海原「さて……如何しますか? もし飛行機を所望ならチャーター機を。観光を所望ならビジネスホテルを紹介しますけど」
サーシャ「…………、」タラー・・・
海原「抵抗されない事を勧めます。貴女の周りには戦術にして戦車級の能力者が5人程囲んでいますから」
辺りを見回す。寮舎の上に……2,3の人影。多分スナイパーライフルを構えているのだろう。
彼の言葉が本気だとすれば、今の私の武装では突破は不可能だろう。
海原「抵抗しなければ『使者』としてそれなりの応対をさせてもらいますよ」
御坂妹「無論、抵抗すれば『テロリスト』として扱わせて貰います。とミサカは警告します」ジー・・・
御坂5's・蛇「「…………、」」ジー・・・
現状は圧倒的不利。こうなったら……一旦引くしかあるまい。
サーシャ「第3の質問です……出直す、という選択肢は?」
海原「うーん……結局同じ事ですよ? 監視は付きますし、貴女は『目的』には辿り着けない」
サーシャ「……捕虜にはしないのですか?」
海原「M気質ですか? その考えは無かったですよ。対峙か、即刻退去を予想していたのでね」アハハ・・・
御坂蛇「捕虜にするなら任せて下さい。それ相応の設備が整っている場所を知っています、とミサカは師匠に提案します」ニヤリ・・・
御坂妹「それ、半分スネークの趣味でしょう……とミサカは呆れます」ハァ・・・
海原「スネーク。彼女から聞き出す事は何も無いんですから拷問したって無意味でしょ」ハァ・・・
やっぱ、何処かオカシイ連中だ。逆に遣り辛くて堪らん。
639 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 04:19:02.39 ID:zaIuiHZo0
しかし、現状では動けぬまま。此処は脱出する以外無かろう。
サーシャ「……それでは引かせて貰います」コクッ・・・
海原「良かった。無駄な血が流れずに済みますね」ホッ・・・
では投降を、と手を差し伸べてくる彼には目もくれず振り返る。
4名共にキョトンとした表情。
サーシャ「引くと言ったでしょう」
海原「え、あ……投降はされない、と」ポリポリ・・・
サーシャ「第3の解答ですが、流石に科学の街で投降するのは些か不安なモノでしてね」
御坂5's「海原氏(スネークマスター)。彼女、自分の立場分かっているのでしょうか? とミサカは苦笑します」ハア・・・
海原「あはは……まぁその、実を言えば僕も魔術側の人間ですので、信用して貰いたいのですけどね」
なら尚更信用できまい。一度魔術を裏切っている男を信じられるか。
御坂蛇「はははは。御尤もですね。ミサカは彼女の意見に同意します。裏切りモノは何度も裏切る。定説ですよ」クスクス・・・
海原「す、スネーク」ハァ・・・
サーシャ「兎角、帰らせて貰います。第1の願望ですが、生易しい対応ついでに、監視も緩めて貰えないでしょうか?」フフッ
海原「まったく……女性は我儘でいけない……残念ながらその望みは叶える事は出来ませんね」
サーシャ「でしょうね」ポリポリ・・・
仕方ない……やれやれ、と頭を掻きながら帽子を外し、その『裏』に隠しているモノを掴んで―――
サーシャ「では……丁寧な応対をして下さったお礼です」コロンッ・・・
海原・妹達『……なっ!?』ギョッ・・・
―――地面に転がし、急いで逃げた。
640 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/22(木) 04:38:32.39 ID:zaIuiHZo0
<海原side>
彼女の置き土産―――都市製の特殊閃光爆音手榴弾は目にモノ喰らった。
まさかロシアからの使者が我が方の武器を使ってくるとは思わなかった。
御坂蛇「っ……師匠……無事ですか。一応、ミサカが確認を取り……つつ」ヨタヨタ・・・
海原「あはは……一杯喰わされましたね……目と耳が、痛い」タラー・・・
御坂5's「くっ! 抜かりました……外部に居た妹達の追跡の応援を頼みました……とミサカは、報告します」キーン・・・
御坂妹「ま、拙いですね……今の音で……周辺住民が気付きます、とミサカは、3人に伝えます」ヨレヨレ・・・
とりあえず、警備員が駆け付ける前に撤収か。
御坂妹「それがベストでしょう。彼女は他のミサカ達に任せるべきです」キーン・・・
御坂5's「大丈夫。我々の追跡から逃れる事は出来ない筈です……とミサカは自信を持って宣言します」テクテク・・・
海原「ええ、信用しています」アハハ・・・
兎に角、自分は土御門に報告をせねばなるまい。
そう考えた矢先、本人から電話が掛って来た。
海原「はい……もしもし」Pi!
土御門『お前は阿呆か? 何ウチの目の前で爆発騒ぎ起こしてんだボケ!!』ウガー!!
海原「これはこれは、失礼しました」
土御門『ったく……状況は?』ハァ・・・
海原「『使者』と接触。交渉の末、痛い手土産を頂いて逃げられました」
土御門『手土産だと? 魔術か?』
海原「いえ。残念ながら……都市製の『パイナップル』ですよ」
土御門『な、に……何でだ』タラー・・・
海原「知りませんよ。英国の御友達か誰かに貰ったんじゃないでしょうか」ハァ・・・
無言。これは心当たりがあるっぽいな。まったく……鼓膜破れてたら責任はソッチ持ちですよ。
土御門『……兎に角、追跡を続けろ。サーシャ以外の潜入員の存在も気を付けてな』Pi!
海原「はいはい……やれやれ。大忙しですね」ハァ・・・
電話を切り、妹達が手配したバンに乗り込む。
まったく不本意ながら『魔女狩り』の続きといきましょうか……―――
641 :
>>1
[saga]:2011/09/22(木) 04:39:59.79 ID:zaIuiHZo0
あい。今回は此処まで。次回やっと香焼と合流です。
何か糖分が足りないので……多少甘めにしたいです。
そんじゃまた次回。ノシ
642 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/22(木) 10:41:35.50 ID:7APJI3c40
乙です。
シリアスな話のはずなのにミサカズが出てくると良い意味で締まらないな
643 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/22(木) 12:40:52.43 ID:BmkzWO0Fo
この適当なユルさが
>>1
の書く作品のいいところだよな
644 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/22(木) 12:43:41.46 ID:lP2w4XPDO
乙! やっぱ
>>1
のシスターズは個性が強くて好きだ。とりあえず迎撃が好戦的な暗部連中じゃなくて良かったよ。
しかし主役の香焼もだが、物語の中心が出てこないなー‥‥頑張れ姫神!
645 :
>>1
[sage]:2011/09/23(金) 19:45:06.15 ID:OY42Yv3r0
こんばんはー。ボチボチ投下します。
646 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/23(金) 20:15:23.47 ID:OY42Yv3r0
―――とある3日目、PM10:30、学園都市第7学区中部、とある大通り・・・・・・
状況は最悪。気分も最悪。隊長はそこそこ悪く、疲労は最高潮といった所だ。
『彼』のアパート周辺から逃げる為に都市製スタングレネードを使ったのは良いが、まさか自分にまで多大なダメージを受けると思わなかった。
我武者羅に走り、時折物陰に隠れながら逃げ、現在大きな通りに出た。
サーシャ「さて……如何しましょうか」ハァハァ・・・
敵しかいないこの街で、一晩以上も逃げ切れる自信は正直殆ど無い。
しかも敵方は科学の最先端を駆使して来、おまけに自分は魔術を使えない。
サーシャ「ホント……長い夜です」フゥ・・・
兎に角、遠くに逃げなければ。
ふと思い出したが、確か第3学区の『ホテル・オホータ』に『同志』がいると大尉殿が言っていた。
ホテル内に入る事は出来なくても、その周辺まで逃げ切れば何とかなるやもしれない。
サーシャ「更に、第3〜第14学区は外国人が多いと聞きます……変装すればやり過ごせる筈です」スッ・・・
そうと決まれば目的地に急ぐまで。『彼』と『吸血殺し』については、明日明後日の機を見よう。
私は物陰から飛び出し、英語で『A taxi stand(タクシー乗り場)』と書かれた看板の方へ走った。
先の双子(三つ子? クローン姉妹?)の気配は無い……急いでタクシーを選ぶ。
サーシャ「出来れば個人タクシーが……っ」タラー・・・
無い。全て都市営……噂には聞いていたが、本当に何でもかんでも政府(理事会)の監視下に置いている様だ。
だが贅沢は言ってられない。一番先頭のタクシーが『よっしゃ! 客!』と聞こえんばかりに、後部座席のドアを開けてくれていた。
サーシャ「ふぅ……お願いします」サッ・・・
運ちゃん「はいはい。おや? ガイジンさんかい? こりゃまた別嬪さんだねぇ! どっから来たの? 観光? 留学生?」ガハハ
サーシャ「あ、えっと……その」タラー・・・
運ちゃん「あ、英語じゃねぇと駄目か。うぇあー、あーゆー、ふろむ? おーけー?」
サーシャ「あの、第1の要望ですが、急いでいます。飛ばして下さい……あと日本語話せますから」ハァ・・・
運ちゃん「おろ!? 凄ぇなぁ! ぐろーばるってヤツだな! ダハハハ!」ケラケラ!
サーシャ「…………、」イライラ・・・
このオジさん面倒臭ぇ……タクシージャックしてやろうか。
フツフツと沸き上がる怒りと焦りを押さえつつ、さっさと目的地を告げ、タクシー発たせた。
647 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/23(金) 20:49:53.61 ID:OY42Yv3r0
タクシーを拾って数分後、アレイスター=クロウリーが居ると噂される『窓のないビル』の全高が見えてきた。
威圧感……というよりも、不自然さ。アレを見ていると不快になる。まるで神々に逆らって建築されたバベルの様だ。
そんな暗い思考とは逆に、タクシー運転手の話は止まらない。
この街の昔話や、自分が此処で運転手を始めた経緯、更には離婚した妻との思い出話まで……黙ってくれないだろうか。
正直、早口過ぎるのと方言(べらんめぇ口調)が強くて聞き取れないです。
運ちゃん「―――てな事でよぉ……おっと、退屈だったかな?」チラッ・・・
サーシャ「い、いえ……その、第1の訂正です。日本語話せるとは言いましたが、やはり慣れていなくて」アハハ・・・
運ちゃん「そうか。悪ぃ悪ぃ。あー、目的地は第3〜第14間のホテルだったな?」
サーシャ「肯定です。再度、第1の要望ですが出来るだけ急いで下さい」
運ちゃん「あいよー。そうだ、お嬢ちゃん飴舐めるか? 黒飴ナメナメってな」スッ・・・
真っ黒い飴。何だコレ?
サーシャ「え、えっと……、」タラー・・・
運ちゃん「あ、そっか。ガイジンさんには馴染は無ぇよな! そんじゃあ煎餅やるよ! ほれ!」スッ・・・
もう相手するの疲れるから、全部ハイハイ言っておこう。
だがしかし、自分の事ばかり話す相手にこの方法は禁物。余計調子に乗り出した。マジ五月蠅い。
実は昼間の騒ぎは宇宙人の仕業だとか、オーツク河(オホーツク海)に関して日本の政治家はヘタレ過ぎるとか、知るかっての。
だがまぁこのまま何事も無く目的地まで着ければ問題は無い。我慢しよう……そう考えて話を流し続けて数分後……異変が起こる。
運ちゃん「―――そんでな! って……ん?」ジー・・・
サーシャ「…………、」チラッ・・・
運ちゃん「おろ? 故障信号? おかしいな。昼間チェックしたばっかなのに」ウーン・・・
サーシャ「……大丈夫ですか?」タラー・・・
運ちゃん「ライトが落ちかけてるって事ぁバッテリー系か? 困ったなぁ……お嬢ちゃん、急ぎなんだろう?」チラッ・・・
サーシャ「はい」ムゥ・・・
運ちゃん「ふーむ……ちょっと待ってろ。今同業者呼んでやる。近くに居るヤツ呼びゃすぐさ」ハハハ
一応、気前は良い人みたいだ。見識を改めてやろう。
運ちゃん「もしもし。此方17号車、応答を……え?」タラー・・・
サーシャ「……まだ、何か?」
運ちゃん「あー……無線も落ちたか。そんじゃ携帯で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あらら?」タラー・・・
サーシャ「…………、」ダラダラ・・・
運ちゃん「……駄目だ。通じねぇ。オカシイなぁ。何で携帯のアンテナが立たねぇんだ?」ウーム・・・
色々弄くり回している様だが、無駄らしい……私も困った。
648 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/23(金) 21:17:12.10 ID:OY42Yv3r0
運転手が『同僚に電話するからもしアンテナが立ってたら携帯を貸してくれ』と頼んできたのだが電池が切れているという事にして誤魔化した。
そこまでしてもらう義理は無いし、これ以上手間取りたくは無い……此処から歩こう。
サーシャ「えっと……第2の要望ですが、此処から歩きますので会計をお願いします」ペコッ・・・
運ちゃん「あー、そうだな。歩いて貰った方が早いかもしれねぇ。もう第7学区の北だしな」フム・・・
サーシャ「はい。では」スッ・・・
運ちゃん「いやいや。お題は要らねぇよ。迷惑料だ。こんなんで金取ってたら別れた女房にまた怒られちまうからな」ハハハ
サーシャ「……では、お言葉に甘えます」ペコッ・・・
何だか申し訳無いのだが、これで余計な足が着かなくて済む。嬉しい誤算と捉えておこう。
では、と手動でドアを開けようとした瞬間―――
運ちゃん「うをっ!!?」ガクンッ!!
サーシャ「っ!!?」ガクンッ!!
―――車体が大きく左に傾いた。何事だ。
運ちゃん「ぱ、パンクか!? ぽ、ぽるたぁ何たらってヤツか!?」ギョッ・・・
サーシャ「ポルターガイストって……パンクなら……ぇ」ハァ・・・
此処で気付く。此処に来て初めて……気付く。
こんなにも事故が続くだろうか。あまりに不運偶然が重なり過ぎてはいないだろうか。
そう考え、車の外を見ると―――
サーシャ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!」ギョッ!!
―――後方歩道から『彼女達』の一人らしき女性が歩んでくるのが見えた。
更にその後ろの立体駐車場から、ライフルらしきモノを構える『彼女達』の一人がボンヤリと見える。
サーシャ「っっ!! お、お代置いていきます! ありがとうございました!!」バンッ!!
車道側のドアを抉じ開け、車から飛び出す。
運ちゃん「あ、ちょ! って……多い多い!! お嬢ちゃーん、多過ぎだってばぁ!!」アタフタ!
その金で車修理して下さい……畜生、余計な出費だ。都市での観光資金が殆ど飛んだぞ。
649 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/23(金) 21:53:48.41 ID:OY42Yv3r0
色々怒鳴り立ててやりたい所だが……愚痴も言ってられたい。
私が車から飛び出したのに気付いた一人が、ダッシュで駆けてきた。
しかもソイツはインカムの様なモノを着けているのか、何やらボソボソと口を動かしている。応援を呼ばれたか。
兎角『ビル』の位置から現在地は把握できる。路地裏に飛び込んでやり過ごそう。
御坂.jp「春子。威嚇射撃を、と追跡するミサカ13577号はスナイプ係のミサカ14510号に指示します」タッ・・・
御坂春子「了解っ」グッ・・・
数歩先の地面が削れた。スナイパーが撃ってきたのだろう。だが、当てる気は無い様だ。
サーシャ「でも……それも今だけ」チッ・・・
時間が経てば身体に当てて行動不能にさせようとするだろう。兎に角スナイパーが厄介。そう考え、裏路地の更に奥へ奥へと進んだ。
そこは第10学区の様に浮浪者や不良の巣窟となっている場に見えたが、構ってなどいられない。
後方からは未だに彼女達の一人が追って来てる。
御坂.jp「漢子……其方に……見えましたか? と先方の18456号に確認を取ります」チラッ・・・
御坂漢子『現在ビルの上……見えた。13577号が走ってる12m程先のコートを着た少女だな? とミサカは返答します』ジー・・・
御坂.jp「肯定です」コクッ・・・
御坂漢子『では、全く人気の無い路地かビル内に入ったら援護に入りましょう。とミサカはビルの上から並走します』タッ・・・
御坂.jp「了解。妹(10032号)達が来る前に片付けちゃいましょう……では後ほど」Pi!
後方の一人は一定の距離を保ちつつ離れない。多分、此方に主たる攻撃手段が無いと分かっている故だろう。
私の純粋な体力など正直、大した事は無い。彼女がその気になれば身体の大きなアチラが有利な筈だ。
サーシャ(近接戦なら行けるか?)ムゥ・・・
サシの勝負となれば話は別だ。一応、杖(バールの様なモノ)は隠してあるのでやれるかもしれない。
そう考え、人気の無さそうな建物へ跳び込んだ。無論、彼女もついてくる。
ドアノブを壊し、更にその先のドアノブをも壊して、どんどん奥へ進む。
そして真っ暗な部屋に入る。これはチャンスと、真横に飛び、彼女がこの部屋に入ってきた瞬間奇襲を掛けようと杖を構えた。
サーシャ「フー……ふー……、」タラー・・・
数分待った……だが、入って来ない。
サーシャ「警戒、してるんでしょうか」ダラダラ・・・
ではこのままこっそり、この部屋から抜けよ――――
御坂漢子「ドチラへ?」ウォン・・・
サーシャ「ッ!!?」ビクッ!!
―――……目の前に、彼女が居た。先の彼女か分からぬが、彼女が居た。最早自分でも何を言っているのか分からない。
スコープらしきものが青白く光り、私を見詰めている。多分アチラからは此方が丸見えなのだろう……これは拙い。
650 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/23(金) 22:18:33.69 ID:OY42Yv3r0
だが怖気付いてなどいられない。
後ろからの奇襲を拒む為壁を背にし、スコープを着けた彼女に杖を向け、対峙する。
御坂漢子「ふむ……大人しく投降しては頂けませんか? とミサカは交渉します」ジー・・・
サーシャ「改めて第1の……でいいのでしょうか? 兎角、第1の返答ですが……返事は分かっているのでしょう?」ハァハァ・・・
御坂漢子「はぁ……ところで、銃は怖くないのですか? とミサカは原始的な戦闘法を取ろうとする貴女に尋ねてみます」ジー・・・
サーシャ「第2の返答ですが、怖くない訳無いでしょう。逆に第1の質問ですが、貴女は怖くないのですか?」
御坂漢子「さぁ。怖いと言えば怖い、とミサカは曖昧な返答をします」フフッ・・・
ヴォン……と揺らめくスコープの明かりが不気味だ。
御坂漢子「まぁ出来れば無傷で捕えよとの命令が下っているので、銃は使いません。とミサカは貴女を安心させます」ユラリ・・・
サーシャ「それはそれは。お優しいですね……ですが感謝はしませんよ」グッ・・・
御坂漢子「ええ。だって……、」ビジ・・・バジ・・・
サーシャ「っ!!?」ビクッ・・・
スコープとは別の青白い光が走る。
御坂漢子「……私達は『能力者』ですから。とミサカは銃より強力な己の『力』を貴女に見せつけます」フフフ・・・
サーシャ「チッ……学園都市……忘れてました」ギリリ・・・
御坂漢子「何度目かは分かりませんが、ミサカは貴方に投降を呼びかけます。手荒な真似はしたくないのです」ビジバジ・・・
サーシャ「ふー……ふー……、」ダラダラ・・・
御坂.jp「そして……状況は悪化するばかりですよ? とミサカは貴女に勧告します」ビリ・・・ビリビリ・・・
サーシャ「っ……第3の、返答ですが……投降は出来ません」ダラダラ・・・
妹達『では、荒療治です。とミサカは先に謝っておきます』ビジバジビリビリ・・・
如何する……圧倒的ピンチ……切り抜けるには、魔術を使うしかあるまい。
だが、先に会った優男の話では『対魔術師兵器』が大気に散布されているらしい。
急場を凌ごうと策を考えた瞬間―――杖が『青白い光』で弾き飛ばされた。
そして、それを持っていた右手が痺れる。弾かれた振動による痺れではない。何というか……痛さが違う。
サーシャ「電気……ですか」タラー・・・
御坂漢子「正解です……次は貴女に直接当てましょう。とミサカは警告します」テクテク・・・
御坂.jp「投降を。今ならまだ、悪い様にはされない筈です……とミサカは忠告します」ビジバジ・・・
嘘を吐け。
英国のシェリー=クロムウェルの話では、捕まった魔術師はモルモットにされる、との事だぞ。
651 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/23(金) 22:55:01.94 ID:OY42Yv3r0
最早、青光りの所為で彼女達の姿がはっきり見える。
ユラユラと近付いてくる彼女達の姿は『☆戦争』のシディ●ス卿宛らの恐怖だった。逃げねば。戦闘よりも逃走。今はそれが優先。
サーシャ「っ!!」バッ・・・
御坂漢子「……やれやれ」スッ・・・ビジバジッ!!
サーシャ「ふんっ!」バララ・・・
御坂.jp「なっ! 何と……、」フム・・・
彼女達が『青白い光』を放った瞬間、持ち合わせていた金杭を宙にバラ撒いた。
所謂、簡易チャフ。無論、全ての『光』を騙せる訳ではないが、囮程度にはなった……もしかして本当に電気だったのだろうか。
兎角、彼女達が呆気に取られているうちに、痺れる身体に鞭打ちながら隣の部屋へ隣の部屋へと逃げ込んだ。
御坂.jp「あのおチビさん、中々頑張りますね。とミサカは意外な展開に驚いています」フフッ・・・
御坂漢子「馬鹿言ってないで追いますよ。確かこの先は『蛇(プロスネーク)』達が待っています、とミサカは確認を取ります」Pi!
御坂.jp「はいはい……ところで、漢子」チラッ・・・
御坂漢子「ん?」
御坂.jp「あの子、本当に何も武器持ってないのでしょうか? まるで工作員とは思えません、とミサカは率直な意見を伝えます」
御坂漢子「うーん……如何でしょう。蛇の師匠(海原)さんが何やら知っている様ですが、特に心配はするなと言ってましたね」トミサカハ・・・
御坂.jp「……何だか一般人の少女を追い駆け回してる様な気がしてきましたね。とミサカは苦笑してみます」ハハハ・・・
御坂漢子「特殊閃光爆音手榴弾を放ってくる娘が一般人な訳無いでしょう。とミサカは貴女の発言に呆れ返ります」ハァ
何やら後方の動きが遅い。このままこの廃屋から出てしまおう。
考えを改めたが、多少なりとも人気があった方が彼女達は攻撃できないと見た。
サーシャ「ハァハァ……あの窓からっ」グッ!
ボロそうな窓を蹴破り、外に転がり出る。
現在地は分からないが、兎に角スナイパーに気をつけながら大通りに出よう。此処よりはマシだ。位置確認も出来る。
コートの中に手を入れ、残りの金杭を握りながら、大通り方面へ走―――
海原「……随分とボロボロですね」フフッ・・・
―――月を背景にビルの屋上から私に話しかける優男。なんてキザな登場だ。
態々上ったのか? 狙ってるのか? 恰好良いと思ってるのか? ぶっちゃけキモいぞ?
海原「いやはや、手負いのキツネはジャッカルより何たらだ……ってスネークが良く言ってましたね」チラッ・・・
御坂蛇「…………、」ガチャッ・・・
御坂5's「海原(スネークマスター)。私が出ましょうか? とミサカは進言します」チラッ・・・
海原「うーん。15555号の雷華崩拳、強力過ぎますからね。手加減出来ますか?」ウーン・・・
御坂5's「そこのうろ覚えCQC使いよりは上手くやれますよ。とミサカは微笑みます」フフッ・・・
御坂蛇「……後で泣かせる」ボソッ・・・
海原「こらこら。喧嘩しないでください…とりあえず、10032号。前方を塞いじゃって下さいな」ハァ・・・
御坂妹「了解です」スタッ・・・
私から見て前方にネックレスを掛けた『彼女』。右上に優男とバンダナをし、スナイパーライフルを構えた『彼女』。
左上に鉢巻きと穴開き手袋をした『彼女』。そして……後方から追って来ている筈の『彼女』が2人。
マジ、ピンチ。
652 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/23(金) 23:04:25.65 ID:OY42Yv3r0
優男が投降を促す。前方からはネックレスの彼女が、後方からは先程の2人が近づいてくる。
サーシャ「投降は、できません」タラー・・・
この絶望を乗り切る為の手段として、私は―――
@『魔術』を使う。
A戦えるだけ『戦う』。
B助けを『叫ぶ』。
>>655
653 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
[sage]:2011/09/23(金) 23:05:22.55 ID:UQ8R2WFAO
B
654 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/09/23(金) 23:11:34.55 ID:5EAHEORAO
いち
655 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/23(金) 23:13:23.90 ID:vyIrrpJDO
B
656 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/23(金) 23:40:03.93 ID:OY42Yv3r0
―――とある3日目、PM11:30、学園都市第7学区北部、とあるビル屋上・・・・・・
天草の若衆はサーシャ=クロイツェフの行動を唯只管監視していた。
知り合いである彼女がボロボロになる姿を見続けるだけという酷な任務だったが、公私は混同出来ない。
2人組(ツーマンセル)でも監視。現在、一番近場に居るのは浦上と同じくらいの年齢の男女。
時津「―――……此方、セル5。現在『水魔(サーシャ)』は都市の暗部と交戦中。6対1……いや、7人に増えた。圧倒的不利だ」Pi!
長与「同じく、セル5……多分、捕獲されるわ。ヤングボス(五和)……良いの?」ボソッ・・・
五和『此方ヤングボス……仕方ないわ。監視を続けなさい』Pi!
残酷だが、英国側は監視の命令しか出していない。
これはロシアと学園都市の問題故に、関与できないのだ。
長与「……サーシャ。如何なるのかしら」ジー・・・
時津「さぁな……捕虜にされてその内釈放されるかもしれねぇし、モルモットにされるかもしれねぇ」ジー・・・
長与「モルモットって……シェリーさんが昔受けたっていう、実験とかの」タラー・・・
時津「それだけで済まないかもな。情報に寄れば『天使(神の力:ガブリエル)』とも縁深いんだろ? アイツ……リアル解体とか」フム・・・
長与「っ……そんな非人道的な事……その時は、多分、女教皇様が助けに入るわよね」チラッ・・・
時津「分かんねぇよ……兎に角、見守るしかねぇだろ」ハァ・・・
此処に、我らが末弟分が居なくて良かった。彼なら命令も聞かず、あの中に突っ込んでいっただろう。
時津「ん……2人動いた。格闘に出るつもりだな」ジー・・・
長与「抵抗するかしら?」チラッ・・・
時津「するだろう。捕まったら如何なるかくらい検討は付いてるだろうし……何よりアイツにも任務がある」ジー・・・
長与「……無事、逃げる事出来れば良いけど」ムゥ・・・
彼女の無事を祈る事しか出来ない。
だが相手は暗部……そして戦闘のプロと云われる超能力者第3位のクローン兵団、妹達(シスターズ)。正直、魔術を用いても難しい。
遠目から見遣る彼ら。半ば諦めかけた……その時―――
サーシャ「っ……キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!」イヤー!!
―――叫んだ。
時津「んなっ!?」ギョッ・・・
長与「ま、まさか……何で!?」キョトン・・・
関係者一同、誰もが目と耳を疑った。彼女が叫んだのだ。
まるで暴漢に襲われた、か弱い少女の様に。
657 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/23(金) 23:55:08.53 ID:ZStJ0p/M0
デデンデッデデン…………デデンデッデデン……
658 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[hage]:2011/09/24(土) 00:02:00.92 ID:HpyzkjLyo
>>657
コーヒー返せwwwwwwww
659 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 00:05:52.66 ID:ptH58nqY0
しかし、サーシャは叫ぶだけ。決して身じろいだりしていない。至って冷静模様。
長与「な、ど、如何いう事!?」タラー・・・
時津「……警備員(アンチスキル)か」ジー・・・
長与「え?」ポカーン・・・
時津「簡単な話だ……今の絶叫を聞いて、警備員や風紀委員(ジャッジメント)が黙ってる訳無いだろう」チラッ・・・
長与「あ……成程」コクン・・・
だが、それは賭けだ。もし近くに警備員が居なければ元も子もない。
時津は周辺の若衆に確認を取った。
時津「此方セル5。『震源地』周辺に警備員、または風紀委員らしき影はあるか?」Pi!
セル6『此方セル6……無いです。不良ばっか』
セル7『此方セル7。居るには居るが……武装無能力者集団(スキルアウト)の対応に回ってる』
セル4『此方セル4。風紀委員らしき人影があるが……多分、暗部のフェイクよ。聞いてないフリしてる』
時津「了解……駄目そうだな」フム・・・
長与「無駄骨、なのね」ハァ・・・
五和『此方ヤングボス。セル5……監視を続けなさい。良いわね……現状報告を』
長与「分かってます……現在、『水魔』が叫びました。多分、公の助けを求めたのでしょう。ですが、無駄みたいです」ハァ・・・
時津「っ……『震源地』に変化有り! 今の叫びに危機感を持ったらしく、妹達が攻勢に出た!」
4人の妹達がサーシャに電撃を浴びせる。
サーシャは金杭をバラ撒きながら抗戦しているが、屋上のスナイパーからの銃撃を腕に喰らった様だ。
防弾繊維(ケブラー加工)なのか、貫通はしないモノのかなり吹っ飛ぶ。同時に、鉢巻きをした一人が彼女に近づいていった。
時津「……水魔が一時ダウン。捕まるのも時間の問題だ」
五和『そう……セル5。彼女達の移動先までしっかり監視しなさい。後ほど捕えられた場所を上に報告します』
長与「了解、です」Pi!
サーシャは難とか立ち上がり、折り畳み式の刃モノを開き、対峙する。だがその姿は如何見ても満身創痍。
無論妹達の電撃は止まない。それどころか、鉢巻きを着けた一人が格闘に打って出た。
サーシャは転がる様に逃げる……もう無理だな、と2人が諦めたその時―――
セル7『こ、此方セル7! 此方セル7!』Pi!
時津「……如何した?」
セル7『非常事態! 其方にイレギュラーが向かった! 繰り返す、イレギュラーだ!』アタフタ・・・
長与「イレギュラー!? 警備員が来たの!?」ホッ・・・
セル7『違う違う! もっと面倒なヤツがソッチに向かった! 如何すんだよ、これ!!』アタフタ・・・
セル5の2人はセル7の戸惑う声に、緊張した。鬼が出たのか蛇が出たのか……はっきり伝えてくれ。
660 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 00:22:24.45 ID:ptH58nqY0
五和がセル7を落ち着かせ、報告を急がせる。
五和『それで、セル7。イレギュラーって何なの?』
セル7『7番目だよ! 超能力者第7位だ!』ガアァ!!
一同『なっ!!?』ギョッ・・・
セル7が居る方角は東。
時津「ちょ、超能力者第7位って……、」タラー・・・
五和『そ、削板くん!?』ゲッ!!?
またしても、末弟関係者……一同動揺する最中、追い打ちが掛る。
セル4『此方セル4! よ、良く分からないけど……こっちもイレギュラーかも。震源地、向かってるわ』タラー・・・
長与「こ、今度は何?」タラー・・・
セル4『え、えっと……バイク? 異常なスピードでそっち向かってる! ゴリラみたいな体格の男よ!』
時津「え、な、た、只の走り屋じゃないのか?」
セル4『そうかもしれないけど……顔が……その』タラー・・・
時津「何だよ?」
セル4『あれって……禁書目録と同じよね』エー・・・
言ってる意味が分からない。顔が禁書目録と同じ? ゴッツいガタイで? そんな人物想像したくない!
セル4『違うわよ! 被りモノってかマスク!? 何て言ったっけ……ほら、あれ! 修道服!』
五和『もしかして「歩く教会」の事?』
セル4『それよ! 「歩く教会」みたいなマスクしてるの! 刺繍とか似てるわ』
何だそれは? 自分達は聞いた事もないぞ。
長与「そ、そういえば……新しい都市伝説で『弱き者の為に行き帰ったゴーストライダー(スキルアウトのリーダー)』っていうのが」タラー・・・
時津「阿呆抜かせ! んなオカルト通り越したデマ話信じられっかっての!」アセアセ・・・
五和『落ち着きなさい、セル5……兎に角、監視を続けなさい。出来るだけ実況して』ハァ・・・
セル5の2人は一度大きく深呼吸し、監視に戻る。
その目と耳には……東の空からやってくる『根性野郎』と、爆音を響かせる『バイク』の音が入ってきた。
661 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 00:41:40.89 ID:ptH58nqY0
<サーシャside>
疲労困憊の最中、私は驚愕した。
彼女達の動きが急に止まった事と……空から男子が落ちてきたからである。
サーシャ「あ、え……ぁ」ポカーン・・・
削板「……ふんっ!」ドッシィーーーーンッ!!
白い制服に、白い鉢巻き。
削板「大丈夫か?」チラッ・・・
サーシャ「え、えっと……はい」タラー・・・
削板「うん、そうか……俺が来たからには、もう安心しろ」ニカッ!
何故か安心できない満面の笑みを向けられる。
海原「……えー」タラー・・・
御坂妹「うわぁ……F(バカ)が来ました。とミサカは心底呆れてみます」ハァ・・・
削板「さて……またオマエらか。今度は6つ子だな。やっぱアレか? ○ョッカーの戦闘員的なキャラなのか? オマエらは」ヤレヤレ・・・
御坂蛇「……チッ」バンッ!!
海原「っ!? スネーク! 止めなさい!」ギョッ・・・
サーシャ「っ!!?」ギョッ・・・
間髪置かず、暑苦しい男に対してトリガーを引いたスナイパー。
弾丸は彼の脳天に直撃し、倒れ……倒れ……倒れ、ない。
削板「いぃッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っつてええええぇなぁっ!!! 何すんだボケぇ!!」ウギャアアアァッ!!
御坂.jp「うわぁ……相変わらず非常識です。とミサカはドン引きしてみます」エー・・・
海原「スネーク、止めなさい……気持ちは分かりますが、こうなった以上、手出しは出来ません」タラー・・・
御坂蛇「チッ……了解です」ハァ・・・
御坂漢子「ふむ……5's(ファイズ)ならいけるのでは? とミサカは提案してみます」チラッ・・・
御坂妹「そういえば5's、彼とやりあった時居ませんでしたね。もしかしたら……とミサカは期待を寄せてみます」フフッ・・・
御坂5's「……スネークマスターの指示に従う。とミサカは其方を見ます」チラッ・・・
海原「えっと……非常時マニュアルには『bVと遭遇した際には撤退する事』となってるんですがねぇ」ハハハ・・・
削板「ったく、ゴチャゴチャ五月蠅ぇな……俺が悪党を逃がすとでも思ってるのか?」ギロッ・・・
海原「はぁ……ドチラかといえば、悪党はその子ですよ」ヤレヤレ・・・
と言っても信じるタイプの男じゃなさそうだ。現状、如何見たって、悪モノは彼女達の方だ。
彼が本物の『英雄』なら、これは……本当に助かったかもしれない。
662 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
[sage]:2011/09/24(土) 00:42:12.19 ID:jHYFSTrAO
香焼かと思ったら、メチャクチャ面倒なやつらが来やがったwwww
663 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 01:02:26.47 ID:ptH58nqY0
兎角、彼の後ろから離れず、逃げる隙を図る。
彼女達は彼の歩が進む度、後ろへ下がる。一見お馬鹿そうにみえる男だが、実力は本物なのかもしれない。
削板「何だ? 掛って来ないのか?」ジー・・・
海原「撤退します、と言ったら?」ハァ・・・
削板「追い駆けてケチョンケチョンにしてやらぁ」グッ・・・
海原「やれやれ。仕方ありませんね……スネーク、作戦を伝えます。妹達に流して下さい」ゴニョゴニョ・・・
御坂蛇「……了解」チッ・・・
隣のスナイパーに耳打ちする優男。そして何を思ったのか、下へ降りてきた。
削板「てめぇが……敵の親玉か? いや、死神博士ってとこだろう」
海原「何でも良いですよ。好きに呼んで下さい……5's、戦闘を許可します。全力でブツかって下さい。彼死にませんし、殺しはしませんから」
御坂5's「……了解」ニヤリ・・・テクテク・・・
削板「ん……オマエ……大能力者だな。他とは違ぇ」ジー・・・
御坂5's「さぁ。自分でも分かりませんよ。ただ他よりちょっと格闘に特化しているだけですから。とミサカは説明します」フフフ・・・
削板「へぇ……そりゃ楽しみだ」ニヤリ・・・
緊張が走る。そして……―――
御坂5's「来い! コッチだ! とミサカは壁を蹴って屋上に上がります!」バッ!!
削板「面白ぇ! 地面じゃ狭すぎる! 行くぞオラァっ!!」バッ!!
―――……えー。
御坂妹「やっぱFでしたね。助かりました、ミサカは安堵します」ハハハ
海原「という訳で……残念でしたね」フフッ
サーシャ「改めて、第1の質問ですが……こういう時、『不幸だー』って言えば良いんでしたっけ?」ハァ・・・
海原「お好きにどうぞ」ニヤリ・・・
御坂.jp「貴女の絶望は変わりないですけどね。とミサカは某ライダー風に言ってみせます」ビシッ!
再び、青白い光とライフルを構える彼女達。優男も何やら短刀の様なモノを……っ!?
サーシャ「黒曜石のナイフ……魔力……魔術、師、ですか」タラー・・・
海原「ええ。さっきも言った筈ですけどねぇ……まぁ貴女が最後の手段(魔術)を使わない様、保険を掛けただけです。基本僕は戦いません」
悪役も楽しいモノですね、と微笑む優男。
私は鉈を構えたが、それもライフルでフッ飛ばされた……これで……終わりか……
664 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 01:22:43.16 ID:ptH58nqY0
せめて条件をつけて降伏しようと、全ての武器を降ろそうとした刹那……彼女達の一人が告げた。
御坂蛇「っ……マスター! 春子から連絡……『仮面』だ! 間違いない! V−MAXだ! ミサカは叫びます!」チッ・・・
海原「今度は、また……何故……、」タラー・・・
御坂妹「スネークマスター。厄介事になる前に、蹴りをつけましょう。とミサカは提案します」チラッ・・・
海原「そうですね……サーシャ=クロイツェフ。最後の忠告です。投降を」ジー・・・
サーシャ「…………、」ジー・・・
良く分からないが、彼らは焦っている。不都合でも起きたのだろう。
つまり……もう少し粘れば勝機があるかもしれない。
サーシャ「……もう少しだけ、頑張りますよ」ユラッ・・・スッ・・・
海原「そうですか……残念です」スッ・・・
金槌一本彼らに構え抵抗する。優男の合図と共に、彼女達が『光』を放ってきた。
痺れる。熱い。苦しい。痛い……だがもう少し我慢だ。きっと逃げ道はある。
握力が無くなり、金槌を落としてしまう頃に、それはやってきた。
御坂蛇「マスター! 来てしまったぞ! ミサカはヤツに銃を向けます!」ガチャッ!!
海原「ッ!! 皆! 攻撃を止めなさい!!」バッ!!
サーシャ「っ……ハァハァ……助かっ、た」フラフラ・・・
バイクの音……ネイキッドの様な、アメリカンの様な、独特な重低音。
何故こんな狭い路地に入ってきたかは知らぬが、多分、私にとっての蜘蛛の糸だろう。
海原「……こんばんわ」コクッ・・・
ライダーがゆっくりと、バイクから降りる。
ゴリラの様な体格。真っ黒のライダースーツ。真っ黒なライダースパンツ……それとは対照的に、神々しいまでに白い手袋と……仮面。
??「…………、」カツカツ・・・
何も言わず、此方に向かって歩いてくる。
海原「土御門からは何も聞いていないのですか? 何故、此方に?」キョトン・・・
??「…………、」カツカツ・・・
海原「くr……駒場さん?」タラー・・・
『駒場』と呼ばれた大男は、無言で、私の下まで歩み寄ってきた。
665 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 02:08:32.17 ID:ptH58nqY0
彼女達は戸惑いを隠せぬまま、大男に武器を向ける。
敵意が無いのは伝わるが、彼が此処に居ては困る様だ。優男も同意見の模様。
大男は私に手を伸ばし……頭にポンっと手を乗せた。
駒場「……大丈夫か」
サーシャ「え、あ……はい」ポカーン・・・
駒場「……そうか」ナデナデ・・・
帽子越しにでも分かる大きな手。
海原「……駒場さん」ハァ・・・
駒場「オレは……半蔵に言われて、来た。街の中で……騒いでいる者達が、居るといわれてな」チラッ・・・
海原「服部さんですか……まぁ第7学区(此処ら辺)の顔役ですから仕方ありませんね」ヤレヤレ・・・
駒場「…………、」キョロキョロ・・・
御坂妹「うっ……、」タラー・・・
御坂漢子「こ、コイツは? とミサカは問います」タラー・・・
御坂蛇「コイツは――」
海原「スネーク」チラッ・・・
御坂蛇「―――っ……駒場、利徳。死人です、とミサカは説明します」チッ・・・
死人、という言葉に一同驚愕する。
海原「まぁ君達が深く知る必要な無い方ですよ」ハァ・・・
駒場「ところで、海原……街中、この子を追い回した理由は、あるんだろうな? 返答次第では……分かっているだろう」ジー・・・
海原「勿論。というか土御門から直接聞かれた方が早いですよ。貴方、今回服部さんの頼みだけで動いたのでしょう?」
駒場「いや……後は『所長』だ。『軍覇がいきなり飛んでいった』と、言われてな。追い駆けろ、と言われた」フム・・・
海原「あの所長ですか……面倒な。『原石』関係の問題だというのに」ヤレヤレ・・・
私、空気。
海原「兎に角、土御門に連絡してみてください。貴方が納得するまでは僕達も手出しはしませんから」ハァ・・・
駒場「…………、」スッ・・・
耳に手を当て、ゴソゴソ呟き始める大男。ちょっと待て……今、土御門と言ったか!?
海原「勘違いされては困りますが、彼はヒーローじゃありませんよ。問題解決屋(トラブルバスター)に近いでしょうね」
サーシャ「なっ……っ!」ギョッ・・・
御坂蛇「正統性がドチラに有るか分かれば、此方に協力する。とミサカは冷静に告げます」フンッ・・・
拙い。必要悪の教会(ネセサリウス)と学園都市の多重スパイ―――土御門は、多分、今、私の『敵側』だ。
この大男がその協力者だとしたら……チェックメイトだぞ。
666 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 02:29:42.82 ID:ptH58nqY0
不安を抱きながら、大男を見詰める。逆に優男達は安堵の表情。
緊張が走る中、徐々に大男の声が大きくなってきた。
駒場「―――……つまり……都市にとって、敵だと?」フム・・・
大体会話が想像できたが……非常に拙い。
駒場「姫神の……原石の血? それは……所長に話が通ってるのか?」ボソッ・・・
海原「……ぇ」タラー・・・
駒場「理事長の意向? 原石の監督は、所長に一任されている筈だ……所長に、連絡を取れ」ボソッ・・・
海原「ちょ、待、こ、駒場さーん」ダラダラ・・・
雲行きがおかしい。大男は耳から手を遠ざけ、優男の方を向いた。
駒場「……所長判断が先だ」ジー・・・
海原「なっ……し、しかしですねぇ。彼は……、」アタフタ・・・
駒場「真面目に話を通して無いな? まずは、所長を通せ。その後……処理を決めろ」チラッ・・・
サーシャ「え、あ」フラフラ・・・
海原「が、外交問題なんですよ。個人の如何こうではなく」タラー・・・
駒場「中心に居るのが、姫神秋沙(原石)だ。彼女に、この旨を……説明するのが、筋だろう。違うか?」ジー・・・
海原「それを僕に問いますか? 一介の兵隊に過ぎないのですよ?」ハァ・・・
駒場「知った事か……兎角、全て終わるまで、彼女の監督は任せてもらう。所長の下に送るぞ」チラッ・・・
海原「こ、困りますって」タラー・・・
駒場「知るか……忘れている様だが、俺の活動指針は『無能力者(弱き者)の為』だ……無能力者だろ?」チラッ・・・
サーシャ「は、はい」コクン・・・
海原「っ〜〜〜〜〜〜ハァ」ポリポリ・・・
天を仰ぐ優男。彼女達も、リーダー格の彼がこの様子では戸惑う一方だ。
海原「……では、せめて監督は我々が受け持ちます。貴方が出張ってくると、上に報告できないんですよ」マッタク・・・
駒場「知らん。最大の譲歩として、黄泉川か、手塩のドチラかに預けるなら……その案を認めよう」
海原「2人とも部署違いです! 困らせないで下さい!」ンモー!
駒場「では……連れて帰る……来い……あー、名前は?」チラッ・・・
サーシャ「……サーシャ。サーシャ=クロイツェフ」コクン・・・
駒場「サーシャ、か……北欧か、ロシア辺りだな。行こう。バイクに、乗った事は?」ポンッ・・・
サーシャ「だ、第1の返答ですが、乗馬ならあります」
駒場「……多分、大丈夫だ」テクテク・・・
大男に手を引かれ、バイクへ向かう。
だが……彼女達も引けない理由があるようだ。未だ武器を降ろしてくれない。
667 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 02:45:38.34 ID:ptH58nqY0
優男が、多少低めの声で此方に告げる。
海原「申し訳ありませんが……阻止させてもらいますよ」スッ・・・
駒場「…………、」ジー・・・
海原「貴方の言う事が理に適っている。それは認めましょう。だが、我々は兵隊だ。政治家じゃない」ジー・・・
サーシャ「……それは、私も同じです」ジー・・・
駒場「…………、」フム・・・
海原「貴方は良いかもしれません。理事と権力者と大多数の『無能力者』がバックにいますからね……でも僕らのバックは理事長なんです」
考え込む大男。だが一寸の事。
駒場「だから、何だ? 貴様は、上条当麻にも、同じ事が言えるのか?」ジー・・・
海原「っ……皆、構えなさい」スッ・・・
妹達『……了解』ザッ・・・
サーシャ「っ……、」ビクッ・・・
駒場「大丈夫だ……安心しろ」ポンッ・・・
見た目とは裏腹、優しい掌。
海原「お願いします……この人数相手では流石の貴方もキツいでしょう。彼女を僕ら渡し――」
駒場「『No』だッ! 俺は絶対に妥協しない!!」ギロッ・・・
海原「―――て……っ……、」ジー・・・
駒場「分かっているだろう『海原光貴』……俺は『駒場利徳』だ。貴様は、海原。俺は、駒場だ」ギロッ・・・
海原「……交渉決裂ですね」サッ・・・
優男の手が降りる。彼女達が『光』……ではなく、拳銃を構えた。
駒場・海原「「…………、」」ジー・・・
一触即発。大男のジャケットの裾を掴み、身構えた……瞬間―――
668 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 03:02:27.32 ID:ptH58nqY0
―――爆音。上からである。
海原「っ!?」バッ!
御坂妹「今度は何ですか!? とミサカは頭上に銃口を向けます!」バッ!!
二つの影。
削板「どっ……ッ、せええええええええええええええええぇいいっ!!」ガゴンッ!!
御坂5's「ちいぃ!!」スタッ!!
御坂漢子「ふぁ、5's!?」ギョッ・・・
何故か5色の爆発をバックに、先程の2人が戻ってきた。
御坂5's「くぅ……す、すいません……コイツ、化け物です。とミサカは報告します」ハァハァ・・・
海原「チッ……仕方ありません。引く口実が出来ました」ハァ・・・
削板「ケッ……次は幹部のテメェって事だな」ギロッ・・・
海原「僕は無抵抗ですよ。引くと言ってるでしょう」タラー・・・
削板「聞く耳持たん! すごいパーンチ」ブンッ!!
やる気の無い掛け声とは裏腹、まるでマグヌス級の特大魔術(?)の様なモノをブっ放す少年。
御坂蛇「マスター!!」ギョッ・・・
サーシャ「っ!!?」ギョッ・・・
一同、固唾を呑み煙が晴れるのを待つ。
削板「ふんっ……って、ありゃ?」キョトン・・・
海原「ケホケホッ……まったく、どうもです」ハァ・・・
無言で優男の前に立ち、少年を睨みつける大男。
削板「あらら……兄(あん)ちゃん、居たの?」キョトン・・・
駒場「調子に乗り過ぎだ、馬鹿野郎……少し落ち着け。所長から言われて来てみれば、まったく、いつもコレだ」ジトー・・・
削板「んー……これはアレか? 裏切りシュチュエーションってヤツか!!」ヨッシャー!!
一同『話聞いてねぇし』タラー・・・
何故か勝手にテンションを上げて盛り上がってる少年。もう誰が敵で味方なんだか分からない。
そんな最中、大男が懐から煙草(?)の様なモノを取り出し……マスクの下半分を上げ、口に咥えた。
そしてさっきの余波で、傷付いたバイクのフレームを見詰めながら一言……少年に告げる。
駒場(?)「……死ねボケ」ギロッ・・・
まるで違う口調。まるで別人。
669 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 03:13:59.42 ID:ptH58nqY0
合図は無かった。いきなり大男が少年に近付いたのだ。
サーシャ「え!?」ギョッ・・・
御坂妹「み、見えなかった」タラー・・・
海原「あーあ……もう知りませんよ」ハァ・・・
瞬く間に少年の目の前に移動した巨体。少年もポカーンとする間に……ゲンコツを喰らっていた。
削板「痛たたたたたたたぁっ!! ちょ、マジ裏切ったのかよ!?」イデー!!
駒場「黙れボケが! テメェ誰のバイクに傷付けてんだゴラァ!!」グイッ!!
削板「放せ煙草臭ぇ!! あのバイク借りモンだって言ってたろ! そんなに怒るなよ!」ギロッ・・・
駒場「五月蠅ぇ糞ったれ! 借りモンだからこそ傷付けちゃなんねぇだろぉが!!」ゴンッ!!
削板「ツゥ……んな小さい事でキレてんじゃねぇ! てか何しに来たんだコラ!!」ゴンッ!!
あー……何か喧嘩始まった。
駒場「その子助けにと、テメェに説教くれに来たんだよ駄阿呆! 所長に言われなきゃテメェの所なんか来ねぇっつのボケカス!」ゲシゲシッ!!
削板「ジジイめ、余計な真似を……てか殴り過ぎなんだよ、コンニャロー!!」ボカーン!!
一同『おわっ!!?』ボンッ!!
謎の爆発。敵味方関係無く、全員吹っ飛ぶ……だが見た目の割に痛くない。誰も怪我はしてない。
それからSF映画宜しくの大喧嘩が始まった。
何故か優男や彼女達は私には目もくれず、2人の仲裁に入り出したので……この隙にこっそり逃げ出す事に成功した。
一応、2人には感謝しよう。不幸中の幸いだ。
670 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 03:34:25.00 ID:ptH58nqY0
―――とある4日目、AM00:30、学園都市第1学区、とある道路・・・・・・
最早、疲れと痛さで思考が回らなかった。
ただフラフラと人目も気にせず大通りを進む。現在、第1学区に入った頃だろう。
先程からサイレンの音が喧しい……多分、あの2人の所為か。まぁ見なかった事にしよう。
サーシャ「っ……第3学区まで、あと、どれくらいでしょう」ハァハァ・・・
そう遠くは無い筈。だが……もう歩けない。仕方ないので、近場の公園で野宿でもしよう。
そう考えた矢先、ふと、レッサーからのメールを思い出す。
サーシャ「安全、地帯(セーフ、ガード)」グッ・・・
この近くの住所だった筈。確か『ニューディレクターズ』という名のビルだかアパートだかマンションだか。
冷静に考えれば、理事会(ディレクターズ)とある時点で疑うべきなのだが、思考が回らなかった。
こんなに疲れてたのは、シベリアで行った『殲滅白書(Annihilatus)』入隊の最終試験の時くらいか。
サーシャ「もう、少し」ハァハァ・・・
藁にも縋る思いというのは、この事だろう。
目的のマンションが見えてきた。オートロックの様だが、裏から回って、こっそり塀を乗り越えればばれないモノだ。
此処まで頭が回らなくなっていた自分に後々、反省した。
サーシャ「っ!!」ビイイィ!!
身体に鞭打ち、塀を乗り越えた瞬間、防犯ブザーが鳴り響いた。
こんな初歩的なミスを犯すとは……最早エレベーターは使えない。警備員が来る前に、急いで目的の階まで駆け上がる。
サーシャ「っ……ハァ……ハァ……もう、すぐ……そこっ」フラフラ・・・
数戸、玄関を開けて外を確認する世帯もあったが、運良く私が侵入者だとは気付かれなかった様だ。というか気付いても声は掛けまい。
サーシャ「この、部屋……です」フラフラ・・・ジー・・・
電気メーターが回っている。人が住んでいるという事はレッサーが準備した協力者か。
もう誰でも良い……寝かせてくれ……満身創痍の身体。無理矢理、ベルを鳴らし……扉の前で倒れた……―――
671 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/24(土) 03:46:36.26 ID:ptH58nqY0
<香焼side>
ピンポーン・・・・・
香焼「え? こんな真夜中に?」キョトン・・・
浦上「お姉……な訳無いか。誰だろう?」キョトン・・・
香焼「えっと……カメラにも写らない」ウーン・・・
浦上「あー。さっきの侵入者云々だったりしてー」アハハ
香焼「止めてよ。物騒な」ポリポリ・・・
もあい「……にゃ?」ピクッ・・・
香焼「もあい?」チラッ・・・
もあい「…………、」トコトコ・・・
浦上「……ん。玄関向かうみたいだネ」ジー・・・
香焼「やっぱ誰か居るのかな」ウーン・・・テクテク・・・
浦上「アレじゃないの? 幽霊的な」ニャハハ
香焼「はいはい……一応、警戒してかないとね」フム・・・
もあい「なぅ」カリカリ・・・
香焼「玄関のドア……外に居るの? 穴からじゃ見えないけど」ウーン・・・
もあい「にゃん」カリカリ・・・
浦上「あ、ながよん(長与)からメール来てたヨ…………・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う、そ―――」タラー・・・
香焼「開けてみるか」ガチャッ・・・
もあい「みー」スッ・・・
浦上「―――っ!! 香焼!! 駄目!!」バッ!!
香焼「え? な―――」
ドサッ・・・・・
香焼・浦上「「―――っ!!?」」ギョッ・・・
サーシャ「……ハァ……ハァ」グデェ・・・
もあい「みゃー」ペロペロ・・・
香焼「さ、サーシャ!!?」バッ!!
サーシャ「っ……こ、やぎー……何、で」グデェ・・・
香焼「コッチのセリフだよ……何でこんなボロボロな姿で……っ……浦上! 風呂!」
浦上「え、ぁ…………、」タラー・・・
香焼「早く!!」ギロッ・・・
浦上「……はぁ」ヤレヤレ・・・
サーシャ「……ごめ、ん……なさい」ハァハァ・・・
もあい「んなぅ」フシフシ・・・
672 :
>>1
[saga]:2011/09/24(土) 03:50:35.22 ID:ptH58nqY0
はい。今回は此処まで。やっと香焼宅到着です……設定懲りすぎた結果がコレだよ。
オリキャラ数名だしたけど、どうか寛大な心で許してね。
それではまた次回! ノシ”
673 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/24(土) 04:21:08.69 ID:jyZ7VLbR0
>>1
乙
ナンバーセブンとくr・・・駒場さんの掛け合いが可愛くて仕方ないどうしてくれる
めずらしく浦上がミスったねーサーシャがんばれ・・・ッ!!
674 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/24(土) 05:53:22.63 ID:NlIfzXfz0
乙
きちんと車の修理代を置いていくサーシャ……うん、やっぱり良い娘だ
675 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/24(土) 10:20:43.08 ID:3N2lD2/AO
乙です
さぁ、盛り上がって参りましたよ
676 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/24(土) 13:43:57.41 ID:R3fQexYAO
オリキャラより既存キャラの捏造がやばい件
677 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/24(土) 13:59:03.63 ID:1Kn5V+KDO
乙! 遂に香焼に辿り着いたか。
しかし、出てくるキャラが皆可愛いのぅ。ながよんはイメージ的に眼鏡っ娘!
それにしても、くr‥‥仮面の男駒場‥‥いったい何者なんだ?
678 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(京都府)
[sage]:2011/09/24(土) 23:58:34.13 ID:Z0DzPOke0
くr……郭ちゃんか!
679 :
>>1
[saga]:2011/09/25(日) 20:36:15.61 ID:r8rHMdqR0
こんばんわ。ボチボチ投下します!
680 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/25(日) 21:26:17.65 ID:r8rHMdqR0
―――とある4日目、AM10:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
温かい……あと、何だかくすぐったい……
サーシャ「―――・・・・・・・・・・・・・ぁ」スッ・・・
もあい「なぅ」ペロペロ
目が覚めた。
知らない天井。着替えた覚えの無い服装。しかし……知ってる猫。
サーシャ「…………、」モゾッ・・・
本来、『知らない場所』で目が覚める様な事があってはならない。
大体の場合は『その事態=任務失敗』を意味するからだ。
サーシャ「……だけど」チラッ・・・
もあい「にゃん」トコトコ・・・
昨晩意識が途絶える前の記憶……私は『彼』の顔を見た。
そして、この猫は彼が飼っていた筈の猫。という事はつまり。
サーシャ「コーヤギーの、家……でしょうか?」ポケー・・・
高確率で、その考えは当たってそうだが納得できない。
少々状況整理をしよう。まず昨晩、学園都市に侵入し『幻想殺し』へ接触しようとしたが、失敗した。
圧倒的不利な状況で、第3学区に居るという同志の下を目指して進んだのは良いが、『色々』あって、ヘトヘトになった。
それから確か第1学区辺りで限界に達して……レッサーから送られてきたメールに書いてあった住所を、思い出し、それから。
サーシャ「……え」タラー・・・
此処がもし、メールの住所で正しいとすると……つまり?
サーシャ「は……え、な……はい?」ポカーン・・・
駄目だ。状況が飲み込めない……非常に困ったぞ。
681 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/25(日) 22:00:36.63 ID:r8rHMdqR0
兎角、動かなければなるまい。部屋を見回し、電子時計を発見する。
日にちは都市任務2日目。時刻は午前10時前……若干の安堵。昏睡して丸1日経つという事態は免れた様だ。
次に自分の荷物は……ソファに置いてある。これまた安堵。
サーシャ「……あとは」キョロキョロ・・・
もあい「みー」カリカリ・・・
サーシャ「ん」チラッ・・・
猫さんがテーブルを引っ掻いている。
サーシャ「食事と……手紙?」キョトン・・・
ラップが掛ったパンとサラダ、そしてスープ。
手紙は……やはり、コーヤギーのものだ。律義に英語で書き置きしてくれていた。
『学校に行ってきます。何があったかは帰ってから聞くよ。机の上の食事、食べて下さい。
16時前には帰るから、なるべく大人しくしてる事。出歩いちゃダメだよ! 香焼』
まるで何も知らない風な書き置き。如何いう事だ?
まさに『別世界』に飛び込んでしまった私には、何とも判断しかねる状況。
サーシャ「……動くべきか、動かぬべきか」ムゥ・・・
無論、任務遂行の為に動き出すべきなのだろうが、下手に動けない。
彼が私を保護(?)してくれたのなら、もしかしてロシア本国と英国の間で、新しいやり取りがあったのかもしれない。
しかし携帯の使用と、魔術の使用を禁止されている今、それを確認する手段が無い。
サーシャ「ふむ……単独潜入任務の難点ですね」ハァ・・・
とりあえず服ぐらい着替えよう。そう考え立ち上がった瞬間……部屋のドアが開いた。
サーシャ「っ!!」ビクッ!
五和「あ……おはようございます、サーシャ」ガチャッ・・・
サーシャ「い、五和……ですか」ホッ・・・
浦上「私も居るヨ」ヒョコッ
天草式の教徒が2人。彼女達は立場上微妙なラインに立っている筈だが……安心して良いものか。
五和「えっと……とりあえず着替えます?」ジー・・・
サーシャ「え、あ、はい。そうしたいです」コクン・・・
五和「分かった。ウラ、サーシャの服持ってきてあげて」チラッ・・・
浦上「はいはい。そんじゃ、お姉はスープ温めてあげて。多分もう冷たくなってるでしょ」テクテク・・・
五和「りょーかい」テクテク・・・
さも当たり前の様に動いてくれる2人。まるで敵意は無い……今は純粋に安堵して良い様だ。
682 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/25(日) 22:24:37.19 ID:r8rHMdqR0
一寸後、私の服を持って浦上が戻ってきた。
着替えようと思ったが、先にご飯を食べろというのでその指示に従う。
五和「あとついでに……現状知りたいでしょう?」チラッ・・・
サーシャ「……はい」コクン・・・
もしかして全てを聞ける訳ではないのかもしれないが、聞ける分だけ聞いておこう。
私はダボダボのパジャマ(?)を羽織ったまま、椅子無しテーブルの前にチョコンと座る。
五和はレンジで温めたスープを私に出すと、そのまま反対側に座る。浦上は猫さんを抱え、窓の近くで私達を見詰めていた。
五和「食べながらで良いよ」コトッ・・・
サーシャ「はい。感謝します」ペコッ・・・
五和「ううん……じゃあ何から話そうか……いや、貴女から質問して頂戴」ジー・・・
浦上「あ。因みに、英国・学園都市・ロシアの関係は変わってないからネ。それを踏まえて質問すると良いヨ」ナデナデ・・・
もあい「んなー」フシフシ
食前の祈を済ませ、パンを千切り頬張る。
口の中でパンを噛み締めながら、浦上の言った事を頭の中で反芻させ、質問を始めた。
サーシャ「ん……では第1の質問です。此処は何処ですか?」モグモグ・・・
五和「日本、学園都市第1学区―――マンション『ニューディレクターズ』○○○号室……コウちゃ……香焼宅です」コクン・・・
サーシャ「……やっぱり、そうなんですか」ムゥ・・・
浦上「その表情をしたいのはコッチもなんだけどネ」ハハハ・・・
スプーンでスープを啜り、次の質問を考える。
サーシャ「第2の質問です。何故、私は此処に居るのでしょう? あ、任務とかそういう意味では無く……えっと」ウーン・・・
五和「それはコッチが聞きたいですよ」ハァ・・・
浦上「サーシャ、昨日の夜遅くに此処尋ねて来たんだヨ。覚えてないの?」ジトー・・・
サーシャ「それは……覚えています」コクン・・・
五和「……それじゃあ私からも質問。何で此処に来たの? というか此処が香焼の家って知ってたの?」ジー・・・
サーシャ「いえ。第1の回答ですが、まるで知りませんでした」ジー・・・
五和「じゃあ何故此処に? もしかして香焼に住所教えて貰ってたのかしら?」
サーシャ「…………、」ムゥ・・・
スプーンを置き、一寸迷う。素直にレッサーから送られて来たメールに、と言って良いモノだろうか。
サーシャ「第2の回答ですが……その……ち、知人に……此処の住所を教わって」タラー・・・
五和・浦上「「は?」」ポカーン・・・
サーシャ「で、でも本当に! コーヤギーの家だとは知りませんでした!」アタフタ・・・
言い訳に聞こえるかもしれないが、私は誰の協力も仰がずに、この任務を遂行しようとしていた。これは事実だ。
683 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/25(日) 22:42:14.60 ID:r8rHMdqR0
焦る私を余所に、2人で顔を見合わせ、コロコロと表情を変えるコーヤギーの姉分達。
一寸後、大きな溜息を吐いて……呆れた様に呟いた。
浦上「……アニェーゼだよネ」ハァ・・・
五和「いや、カルテッ娘の中で携帯持ってるのはサーシャとレッサーよ」ハァ・・・
サーシャ「っ!!?」ドキッ!!
浦上「……びんご〜」ヤレヤレ・・・
もあい「にゃぅ」トコトコ・・・
五和「あの……馬鹿娘ぇ」グヌヌ・・・
険しい表情をして頭を抱える五和。他方、終始苦笑状態の浦上。
五和「あーもぅ……ウラ。私、教皇代理に電話してくるから……あと宜しく」ハァ・・・ユラユラ・・・
浦上「……にゃはは」ポリポリ・・・
幽鬼の様にフラフラとベランダに出て行く五和。これは拙いかも。
サーシャ「だ、第1の意見ですが、だ、誰もレッサーとは言ってませんよ!」アタフタ・・・
浦上「神に誓って?」ジトー・・・
サーシャ「うぐっ!!」タラー・・・
卑怯なり。
浦上「まぁアレだヨ……あの子については最悪、マグヌス神父が何とかしてくれるから安心しときなって」アハハ・・・
サーシャ「…………、」ハラハラ・・・
浦上「とりあえず、質問の続き。有るでしょ?」フフッ
サーシャ「で、では……第3の質問を。昨晩、私が意識を失った後、何故コーヤギーは私を保護してくれたのですか?」
浦上「それはドッチの意味カナ? 英国側の人間として? それとも香焼の姉として答えれば良い?」
サーシャ「第1の要望ですが……出来れば、両方を」コクン・・・
浦上「あいヨ……んーでもそれはまず、お姉が戻って来てから話そうか。今の内にご飯終わらせちゃいなよ」コクン・・・
もあい「にゃー」ペシペシ
サーシャ「……了解です」スッ・・・
英国側……香焼……一体何が如何なっているのだ。
頭の中の整理整頓が追い付かない。折角彼が準備してくれたスープやサラダの味も、何だか今一よく分からなかった。
684 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/25(日) 23:02:29.30 ID:r8rHMdqR0
数分後、私の食事終了と同じ頃に、五和が戻ってきた。
心成しかゲッソリしているように見受けられる。
浦上「にゃはは……色々怒られた?」チラッ・・・
五和「もぅ……何で私が……この案、提案したの土御門だってのに……むぅ」ブツブツ・・・
サーシャ「ええっと……御馳走様でした」ペコッ
五和「あ、うん。お粗末さまでした」ハァ・・・
元居た場所に座り、浦上が準備していたグリーンティー(緑茶)を啜りながら、大きな溜息を吐いた。
浦上「戻って来て早速悪いんだけど、何で香焼が自分を保護してくれたか聞きたいんだってサ」フフッ
五和「あ、うん……えっと、半分禁則事項なんですけど」ポリポリ・・・
サーシャ「第2の要望ですが、言える範囲でお願いします」ペコッ
五和「ん……まず、さっきも言った通り英国側の姿勢は変わってません。貴方達、ロシアの動きに関しては『関与しない』の放心です」
サーシャ「はい……では、何故彼が?」ジー・・・
五和「それは、その……うーん」ポリポリ・・・
浦上「……お姉。この程度なら言っても大丈夫だヨ。サーシャ、誰にも言わないって約束できる?」ジー・・・
サーシャ「95%保証します」
五和「はぁ……えっとね。『関与しない』といっても、ロシアからの潜入員(貴女)の『監視』はする事になったんです」
浦上「そうそう。私達、天草式の若衆……所謂『潜入学徒』陣が、って事ね」ビシッ
サーシャ「え? 第1の矛盾です。その理屈だと……コーヤギーは私を保護出来ないでしょう?」キョトン・・・
浦上「まぁまぁ。此処から先が重要なのサ」ズズズ・・・
五和「サーシャ……さっき貴女は『何故、香焼が自分を保護し(助け)たのか?』って聞きましたね」ジー・・・
サーシャ「肯定です」コクン・・・
五和「では、あの子の姉としての答えから……今回の件……特にサーシャが都市で危険を冒しているを知った際、香焼は如何しますか?」
サーシャ「え?」ポカーン・・・
浦上「要は、香焼の性格上、冷酷になって貴女の監視を続けられるかって事だヨ。サーシャの知る香焼はどんな人カナ?」フムフム
サーシャ「それ、は……えっと」ム・・・
多分、頼んでも無いのに首を突っ込む。それは私が一番危惧していた事だ。
五和「貴女が妹達(シスターズ)……クローン兵達にボコボコにされてるという情報を聞いたら、香焼が黙ってられる訳ないでしょう」ハァ・・・
サーシャ「…………、」タラー・・・
何も言えない。多分、私の口から言ってはいけない事なのだ。
685 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/25(日) 23:24:17.25 ID:r8rHMdqR0
彼女達の話は続いた。
五和「とりあえず貴女が察するように、私達もそれを危惧した。土御門も、女教皇様も、マグヌス神父も」
浦上「だからネ……あの子には申し訳ないけど、任務から外したの。いや、外したっていうかこの件を伝えてないヨ」
サーシャ「……ごめんなさい」シュン・・・
浦上「うーん……謝られると困るなぁ。私達も複雑な心境だし」アハハ・・・
五和「まぁサーシャが此処に来た事については既に都市側にばれてるだろうけど……女教皇様とマグヌス神父が言い訳してくれる筈だから」ハハハ・・・
つまり、彼女達は英国側だとしても『香焼個人』は何処にも属さない一般人扱いという事で処理するつもりか。
五和「悪いのはレッサー……と、多分アニェーゼ達もよ。まったく余計な真似を」ハァ・・・
浦上「その審判については清教本部に任せましょ。私達は任務を続けるだけだって」ハハハ・・・
五和「……そういう事よ。サーシャ、悪いけど香焼が帰って来るまではこの家から出ては駄目です」ジー・・・
サーシャ「え? 何故です。第1の予想ですが、私が此処に居ては彼に要らぬ心配を」
五和「逆よ。貴女が出て行った方が心配するに決まってるでしょ。都市中、貴女の名前を呼びながら探しまわる筈よ」ハァ・・・
浦上「『力尽きて倒れた所、運良く一般人の友達に救われた』……そう処理させてくださーい」タラー・・・
そういう事か……なら仕方あるまい。
五和「良い子にしてね。私もこれ以上怒鳴られたくないから……はぁ」ドヨーン・・・
浦上「因みに、お姉は昨日折角の『泊まり』だったのに、貴女が此処に転がり込んだって情報聞いて泣く泣く素っ飛んできたんだヨ」ハハハ
五和「ヴぁッ!! う、ウラ!!」カアアァ///
浦上「あ、コレもオフレコね」ニヤリ・・・
サーシャ「は、はぁ……すいません」ポリポリ・・・
昨日優男が言っていた『幻想殺し』の家に居たという『2人の女性の片方』が、五和だったのか。
五和「わ、私の事は如何でもいいでしょ! サーシャ、他に質問は!?」モゥ・・・
サーシャ「ええっと」ポリポリ・・・
彼女達の『私の任務に関与しない』という命令に触れない質問は……そうだ。昨晩の事!
サーシャ「第4の質問です。昨晩、私が倒れた後の事を教えて下さい」ジー・・・
五和「え、あ、それくらいなら大丈夫ね」フム・・・
浦上「……でもさぁ」ジー・・・ニヤリ・・・
サーシャ「何か」
浦上「いやぁ……本当に聞きたいのカナ?」ニヤニヤ・・・
もあい「んな?」コロコロ・・・
嫌な予感がするが……状況を把握する為には、一応、聞かねばなるまい。
686 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/25(日) 23:40:44.51 ID:r8rHMdqR0
浦上は黒い笑みを浮かべつつ、何故か楽しそうに頷き、昨晩の話を始めた。
浦上「まずはネー。香焼が倒れたサーシャを御姫様抱っこでリビングまで運んだヨ」フフフ・・・
サーシャ「そ、そうですか」タラー・・・///
浦上「そんでネー。満身創痍、更に冷え切った身体の貴女を見て……まずは風呂に入れなきゃって思ったらしいの」ニヤリ・・・
サーシャ「ふ、風呂(バス)ですか!?」ギョッ・・・///
五和「へぇ……それからそれから?」ワクワク!
浦上「うん。私が風呂を溜めたのは良いけど、よくよく考えたら、私は『英国側』の人間な訳じゃん」フフフ・・・
サーシャ「ぁ……っ!!? ちょ、う、浦上! これ以上は結構です!」アタフタ・・・///
五和「続けてどうぞ」フムフム・・・
サーシャ「な、待、え、五和?! ひ、必要無いですから! 大きな流れだけ教えてくれれば、詳細要りませんから!」アタフタ・・・///
浦上「んとネー……面倒だから回想どーぞ!」バンッ!!
五和「いぇーい♪」ワーイ!
もあい「みゃー」フリフリ・・・
サーシャ「や、止めてえええぇ!!」キャアアアァ///
止めろ! 先の展開が読めた! 態々私に教えるな!
私の叫びも虚しく、浦上は心底楽しそうに赤面する私と興奮する五和に対し、回想を始めた……―――
687 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/26(月) 00:01:13.80 ID:BCs1ctww0
――<浦上回想>――とある4日目、AM00:45、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
サーシャを慌ててリビングに運んだ香焼は、一言『ごめん』と告げ、彼女が着ていたコートを脱がせ、インナーを露わにさせる。
嫌な予想は当たり、満身創痍の上、身体は冷え切っていた。
香焼「っ! 浦上! 風呂沸いた!?」バッ!!
浦上「も、もう少しで沸くヨ……(何で、サーシャが此処に)」タラー・・・
サーシャ「ハァ……ハァ」グデェ・・・
香焼「じゃあサーシャを風呂に入れて! 僕は布団敷いて、救急道具と回復術式の準備しとくから!」アタフタ・・・
もあい「なーぅ」ペロペロ・・・
浦上「……え、と」ダラダラ・・・
香焼「早く!!」ギロッ・・・
無我夢中でサーシャを助けようとする香焼。一人称が『僕(素)』に戻ってるのがその証拠。
ボロボロになった彼女を見た私も、無論、彼女を助けてやりたい気持ちで山々だったが……冷静になって考えると非常に拙い事態だ。
頭の中をフル回転させ、冷酷に演技をして、対処する。
浦上「あ、分かっ……え?」チラッ・・・
香焼「何してんの! 早くしろ!」アタフタ・・・
浦上「ちょ、ちょっと待ってヨ……嘘でしょ……建宮さんから!?」ギョッ・・・
香焼「そんなの後にしてさっさと!」バッ!!
浦上「え、緊急事態の電話なんだヨ! ああ……もう!」Pi!
香焼「だったら自分が電話出るからサーシャを先に!」ダッ!
浦上「もしもし! 私です……え、あ、ちょっと今立て込んでいて……少々御待ちを……香焼! アンタが彼女の世話しなさい!」チラッ・・・
香焼「なっ!!?」ギョッ・・・
浦上「今、コッチも拙いの! あ……えっとスイマセン。今静かな所に出るので……頼んだヨ」ガチャッ・・・
もあい「みー」トコトコ・・・
香焼「ちょ、ちょっと! ふざけんなよっ!!」ギロッ・・・
サーシャ「う、ぅ……ハァハァ……、」ダラダラ・・・
香焼「く、そ……っ……やるしか、ない」グッ・・・
急遽、緊急の電話が掛って着たフリをし、難を逃れた。
私がサーシャの看護をしたとなったら、英国が干渉したという扱いになりかねない。
サーシャ「……ごめんネ」ハァ・・・
残酷だが上からの指示が出ない今、香焼に終始を任せるしかなかった。
688 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/26(月) 00:30:59.51 ID:BCs1ctww0
私は、五和と建宮さんに送る現状報告メールを作成しつつ、香焼の様子を伺っていた。
まず香焼は、ソファの上の彼女を再度抱きかかえ、風呂場へ運んだ。
それから意を決して彼女の服を脱がせようとした、が……脱がせ方が分からない様子。
香焼「ああ、もう! 何でこんな面倒臭いインナー着てるの!!」ウガアアァ!!
サーシャ「うぅ……ハァ……わし、り……殺、す……ハァ」グデェ・・・
香焼「くそっ……サーシャ……ごめんよ」ギリッ・・・
何やら覚悟を決めたらしく歯を食いしばり、背中からナイフを取り出す香焼。
そして静かに……一閃。
香焼「っ……ごめん。なるべく、見ないから」ジョギン・・・ジョギン・・・
サーシャ「う、うぅ」パラッ・・・パラッ・・・
香焼「首輪とか腕輪とか……チッ……これは仕方ないか」グググ・・・
サーシャ「うっ……げほげほっ!」ブルッ・・・
香焼「ご、ごめん……ッ!!」ドキッ///
まるで奴隷市場で売られる裸体の少女の様な恰好になるサーシャ。
香焼はなるべく見ない様に、と局部にタオルを掛けてやった。
サーシャ「ハァ……ハァ」グデェ・・・
香焼「っ……待ってろ」ヌギヌギ・・・
自身も上半身裸になり、急いでサーシャを風呂場に運んだ。
そこから2人が風呂場から出てくるまで、声とシャワーの音しか聞こえなかったが―――
サーシャ『うっ……あぅ……っ』ビクッ・・・
香焼『ゆっくり入れるから……(傷沁みるて)痛いかもしれないけど、我慢して』チャプッ・・・
サーシャ『ハァハァ……ハァ……っ……ッッ!!』ビクッ!!
香焼『ご、ごめん……(風呂の温度)キツかったかな……(髪)濡れるけど、ごめん』チャプッ・・・ジャボッ・・・
サーシャ『ぁ、ぅ……っ……ぃ、アアアアアァっ!!』ビクンッ・・・ジャバッ!!
香焼『っ! ご、ごめん! でも(温度に)慣れるまでは我慢して! 少し身体(拭くから)動かすよ』フキフキ・・・
サーシャ『アアゥ……ハァハァ……っ……ううぅ……い、たぃ……痛ぃょ……っ』グッ・・・ポロポロ・・・
香焼『っ……痛くて、泣いてるの? ご、ごめん……サーシャ、我慢して……すぐ終わらせるから』チャポッ・・・チャポチャポ・・・
サーシャ『ッッ……ぐ、ぅ』ビクッ・・・
―――身体が勝手に動いてICプレイヤーの録音ボタンを押していた。スマソ。
689 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/26(月) 00:54:20.42 ID:BCs1ctww0
―――とある4日目、AM11:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
ニヤニヤ顔でICプレイヤーを再生しやがった馬鹿女。
五和「や、やだ……ひy」カアアァ///
サーシャ「イヤアアアアアアアアアアアアアァっ!!」ウガアアアアァ///
浦上「にゃははは……(因みに音声加工して()の中を消してるのは内緒だヨ!)」フフフ・・・
五和「そ、それで? 続きは?」ドキドキ・・・///
サーシャ「も、もう止めてください!! 羞恥心で死にそうです!!」カアアァ///
浦上「あはは。とりあえず、こんな感じで御風呂は終わった訳ですヨ……私は手伝えなかったから仕方ないネ」フフフ・・・
最早そういう問題では無い。ぶっちゃけ悪意塗れだ。
浦上「そんでまぁ、ビショビショになった2人は風呂から出てきてぇ」ウンウン・・・
サーシャ「言い方代えろ!! てかもう良い! 回想止めて下さい!」ウガー///
浦上「香焼はその場でパンツ交換してー……サーシャには私の御ニューのパンツとキャミソール着せてー」ニヤニヤ・・・
サーシャ「っ!!?」バッ!
寝巻き(?)の前を開ける。今まで着た事の無い可愛らしい下着を着けていた。
これを……コーヤギーが……着せた!?
浦上「しかしまぁあの子は最近意図せずして女の子の下着を着せる機会が増えてますネー」ニャハハ
サーシャ「っ!!?」ギョッ・・・///
五和「あ、あのさぁ……その……コウちゃん、サーシャを着替えさせた時……えっと……ご、『御起立』してた?」ドキドキ・・・///
サーシャ「何聞いてんですかあああああぁ!!」ウガアアアァ///
浦上「あははは! そりゃもうビンビンのギンギンでしたネー」ニャハハ!
五和「お、おおぉ」カアアァ///
サーシャ「」ボンッ・・・////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
浦上「でもまぁ上手い事『ポジション』変えて、サーシャの治療に移ったヨ」ニヒヒ!
回復術式(ヒーリング)とか、傷薬、包帯などの応急処置とかね……と苦笑した。
そういえば現在紅潮している身体の至る所に、包帯や絆創膏が張ってあるのはその為だろう。
浦上「あ。安心して。秘所とか乳首には何も張ってないみたいだからサ。香焼、そういう特殊趣味無いみたいだし」ニャハハ!
サーシャ「んな心配してませんっ! というかアレか! お前らはワシリーサと同類だったかっ!!」ウガアアァ///
もあい「みー」パシパシッ
暴れてやろうと思ったが、彼の部屋だという事を思い出し、怒りと羞恥で紅潮したまま私は黙り込んだ。
690 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/26(月) 00:58:33.99 ID:k3YPAIhDO
>>688
何か初Hの時みたいだな
ウッ!‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ふぅ‥‥
691 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/26(月) 01:15:00.90 ID:IQjWpjtco
>>690
落ち着けよ童貞
692 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/26(月) 01:31:54.24 ID:BCs1ctww0
因みに浦上は『着替え中と治療中の音声も録音してるけど聞きたい?』とか阿呆抜かした。
問答無用で都市製最新機のICプレイヤーを圧し折らせて貰った。
浦上「とほほ……買ったばっかなのにぃ」ウルウル・・・
サーシャ「第1の疑念ですが、どうせ悪事にしか利用しないのでしょう? 当然の報いです」フンッ///
浦上「まぁPCにデータ移した後だったから良かったモノを……、」ハァ・・・
サーシャ「第5の質問です。PCが何処だ? 叩き壊してくれる!」ギロッ・・・
五和「ま、まぁまぁ落ち着いて……ウラ、さっさと続きを」ヤレヤレ・・・
浦上「はいはい。そんで、五和のパジャマの上着せて、布団に寝かせて……終わりって感じかな」
これは五和の寝巻きだったか。そりゃ大きい筈だ。
五和「別に私の服云々程度で『関与』にならないから気にしないでね」
サーシャ「はい、感謝します」ペコッ
もあい「なー」カリカリ・・・
ところで……その後、浦上は如何したんだろう?
浦上「その後? えっとー、色々連絡してサーシャが床に着いてから15分後くらいにリビング戻ったヨ」
サーシャ「第2の予想ですが、それからもしかして……香焼に……色々言われたのでは?」タラー・・・
浦上「はははは……まぁ『薄情者』とか『出てけ』とか言われちゃったネ」ポリポリ・・・
サーシャ「……すいません」ペコッ
浦上「良いの良いの。仕方ない事だし。朝になったら『サーシャの様子見に来て』ってメールも寄越したから」コクン・・・
それで来てくれたのか……先の件は置いておいて、手間を掛けた。
浦上「まぁそれだけじゃないけどサ……一応、監視対象なんだヨ。貴女はネ」
五和「監視対象たる貴女に、監視している事実がばれた以上、遠目で監視する必要は無くなりました……意味、分かりますね?」
目先の監視下に置くという訳か。仕方あるまい。
五和「無論、任務に口出ししたり引き留めたりはしない。でも都市の刺客が貴女を襲っても助けない……良いですね?」チラッ・・・
サーシャ「了解です。説明感謝します」ペコッ
浦上「感謝される様な事じゃないんだけどネー」アハハ・・・
しかし、現にこうやって親切に応対してくれている。終始黙秘されるより気分は良いだろう。
693 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/26(月) 02:10:37.18 ID:BCs1ctww0
さて、聞きたい事は大分聞けた。後は追々浮かんだ質問を聞いていく事にしよう。
サーシャ「あ、そうだ。第6の質問ですが、私の修道服(インナー)は如何しましたか?」キョロキョロ・・・
浦上「香焼が切り破いたヤツ? 悪いけど着れる状態じゃなかったから処分しといたヨ」
サーシャ「構いません……が、しかし第7の質問です。私は何を着れば良いのでしょう?」
五和「香焼が自身の服を貴女に、と用意しました。サイズは合う筈。他の衣装が欲しい場合は自分で調達でもしてください。関与はできません」
サーシャ「成程、そういう線引きですか。分かり易い……では第8の質問。2人はずっと此処に居るのですか? 私の監視という意味です」
五和「そうしたいのは山々ですが、そんなに暇ではありません。貴女の周りには常に複数人の監視者が居ますからね」
浦上「まぁでも目下に置ける時はなるべく、そうするつもりだヨ」
窓の外を見る。もしかしたら『望遠』で数名の天草式若衆が此方を見ているのかもしれない。
五和「私は今から土御門と話し合いがあるので一旦帰ります。浦上も一度何処かで帰る筈です」
浦上「色々準備があるからネー。あ、でも香焼が帰ってくる前にはもう一度此処来るから」
サーシャ「了解です……大丈夫です。第1の宣言ですが、コーヤギーが帰って来るまではこの家から出ません」
五和「ええ、宜しく。あ、因みに香焼にこの任務の詳細を伝えるかどうかは貴女に任せますよ。私共からは伝えませんからね」
サーシャ「……了解です」
中々酷な事を言う。仕事だから仕方ないが……遣る瀬無いな。
それではそろそろ、と五和が立ち上がった。
五和「あ、そうだ。ウラ、最後に質問!」バッ
浦上「私? 何カナ?」
五和「さっきの話の続きだけど……コウちゃん、昨日、一人でシてた?」ムフフ・・・///
サーシャ「ヴぁあぁっ!!?」ブッ!!
浦上「さぁ。自室(開かずの間)に入ってったからねぇ……でも、50%の確率でしてると思うヨ」ニシシ!
五和「お、おう」ポッ・・・///
消えろ。さっさと帰ってしまえ。そして2度と来るな。
五和「男の子だねぇ……あ、え、こほんっ! さておき……最後に情報を伝えますよ」
サーシャ「え? はい、何か」
五和「もしかすると、現在の3国の立ち位置が変わる可能性だってあり得ます。もし英国側が『協力』と宣言した場合だけ関与しますから」
浦上「余談だけど、今夜回線を使って統括理事長殿や英国からの代表、ロシアの代表がミニ会議をするかもしれないそうですヨ」
サーシャ「ふむ。了解です」コクン・・・
もあい「みゃん」トコトコ・・・
吉と出るか凶と出るか……それ次第で私の動き・処遇も変わってくるだろう。
私は近づいてきた猫さんを抱き上げ撫でて、とりあえず、時間が過ぎるのを待った。
早く『彼』に帰って来て欲しい……別に他意はありません。早くこの部屋からの拘束が解かれます様に、という意味です。
……そこの2人。ニヤニヤしないで下さい。本気で怒るぞ?
694 :
>>1
[saga]:2011/09/26(月) 02:11:48.75 ID:BCs1ctww0
すいません。今回は此処まで。
眠いよぅ……オヤスミ! また次回!ノシ
695 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
[sage]:2011/09/26(月) 02:15:52.44 ID:c+xDWtOAO
乙
696 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/26(月) 02:21:24.20 ID:1E5f2D1Z0
乙!
奴隷市場うんぬんの文章もあって
>>688
のサーシャが商人に調教される薄幸少女に見えた
ちょっとバールで殴られてくる
後、
>>687
で浦上のセリフがサーシャになってました
浦上「サーシャ……ごめんネ」が正しいと思われ
697 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/26(月) 13:22:32.45 ID:k3YPAIhDO
乙。とりあえず‥‥香焼爆発しろ!
698 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/26(月) 13:24:20.50 ID:qrxSRbLio
乙です
香焼超爆発しろ
699 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[saga sage]:2011/09/26(月) 18:28:08.51 ID:moP4KAL2o
ヘ(^o^)ヘ いいぜ香焼
|∧
/ /
(^o^)/ てめえがどんな娘でも
/( ) フラグを建てれるってなら
(^o^) 三 / / >
\ (\\ 三
(/o^) < \ 三
( /
/ く まずはそのふざけた
幻想をぶち殺す!
700 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/09/26(月) 19:31:20.64 ID:atJ47P6Bo
香焼「問題無い、上条さんとの棲み分けは出来ている」(キリッ
701 :
>>1
[saga]:2011/09/26(月) 21:22:01.86 ID:BCs1ctww0
こんばんわ。ボチボチ投下ー。
>>696
・・・ご指摘ありがとー! やっぱ寝ボケて書くのはいけませんね。
>>697-700
・・・住み分けは勿論、決定的に違う事があります。
今更ですが、上条さんは香焼にも旗立てれますよ。香焼→上条さんは無理ですからねー!
それでは、はじめます!
702 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/26(月) 22:35:05.67 ID:BCs1ctww0
―――とある4日目、AM05:30、英国ロンドン、ランベス宮、女子寮(PM02:30、日本)・・・・・
まだ日が昇りきらず、朝靄が霧散するロンドン。
夜勤を終えた者達は帰路に着き出し、母親達や目を覚まし家事を始める時間帯。
此処、英国清教本部、必要悪の教会も食堂が稼働しだし、早起きの修道女達が身嗜みを整え出す。
いつもの風景。いつもの日常……だが、しかし。
ステイル「アニェーーーーーーーーーゼぇええええええぇっ!!」ドタドタッ!!
女子寮に在ってはならない男性の怒鳴り声が飛び込んできた。
寮住みの修道女一同が『何事だ! 非常事態か!?』と目を覚ましてしまった。
ステイル「アニェーゼっ!! アニェーゼ=サンクティス!!」バタバタッ!!
神裂「す、ステイル! 落ち着きなさい。時間帯を考えて」アタフタ・・・
ステイル「喧しい! いいから叩き起こせ!!」ギロッ・・・
飛び込んできたのは、主教補佐(ステイル)と補佐次席(神裂)。
ステイルは怒りと寝不足で目が真っ赤。他方、神裂も疲労と寝不足で目が真っ赤だった。
早起きの修道女―――オルソラやシェリーが、朝っぱらから人騒がせな主教補佐に対し、不機嫌半分同様半分の目を向ける。
神裂は擦れ違い様、ステイルの代わりに2人に謝り、彼の後を追う。
目指すはアニェーゼが寝ている個室。
ステイル「アニェーゼっ!!」バンッ!!
勢い良く扉を開く。同室(ルームメイト)のアンジェレネが突然の異変に驚き、ビクりと飛び起きる。
一方、当の本人は未だ爆睡。どんだけ図太い神経してるんだ、と神裂は苦笑した。
アンジェレネ「なっ!? な、何ですか!!」バッ・・・
ステイル『グルルルルルルルルルルルルッ……、』フシュウウゥ・・・ ← ※アンジェレネのイメージ。
アンジェレネ「ひいいいいぃ!!?」ビクッ・・・
神裂「あ、おはようございます。ご迷惑おかけしてすいません」ハァ・・・
アンジェレネ「か、神裂……え、あ、と……ステイル、くん?」ドギマギ・・・ボー・・・
アニェーゼ「ぐぅ……んがあぁ……くぅ」zzz...
これだけ騒いでも起きないアニェーゼに御立腹のステイル。
しまいには、ルーンのカードを取り出し、髪の毛燃やして無理矢理起こそうとしだした。
神裂「す、ステイル! 落ち着きなさい! 私が起こしますから!」アタフタ・・・
アンジェレネ「な、ど、如何したんですか!? す、ステイルくん、何してるの!? こ、此処、女子寮っていうか私達の部屋で」アワワワ・・・
ステイル「チッ……君は……『くん』付けするなと何度言えば分かるんだ」ギロリ・・・
アンジェレネ「ひゃ、ひゅえぇ!!」ビクッ!!
神裂「こら……ステイル。睨まないの……ごめんなさい、彼気が立ってるんです」ハァ・・・
恐怖のあまり布団を被って丸まるアンジェレネ。一体何が起きているのか全く理解できない。
何で彼は鬼の様な形相をしているのだ。というより、何故朝っぱらのこの時間、私達の部屋にカチコんできたのだ?
ステイル「くそっ……アンジェレネ。君にも聞きたい事がある。起きて貰うぞ」ギロッ・・・
丸まるアンジェレネの布団を剥ぎ取ろうとするステイル……何も知らない者がその光景を見たら、非常に危ない場面に思うだろう。
703 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/26(月) 22:52:18.10 ID:BCs1ctww0
恐々と身を振えさせ縮こまっている身長150cm弱の少女に、2m越えの大男の手が伸びる! (※同年代です)
ステイルの手が布団を掴んだ……その時だった。
アニェーゼ「てんめぇ……何勝手にアンに朝這い掛けてやがんだセクハラ神父っ!!」ガアアアァッ!!
ステイル「ぎっ!!?」ゴガンッ!!
神裂「あ、起きた」チラッ・・・
アンジェレネのピンチ(と察した)に飛び起きて、犬猿の仲である身長差50cm以上の立場上上司を厚底ヒールで打ん殴るアニェーゼさん。
ステイルは体勢を崩し、勢い良くアンジェレネのベットの角に額をぶつけた。
アニェーゼ「こんの糞ボケ変態チンカス木偶の坊不良ド助平ゲロ阿呆ド腐れ馬鹿不良外郎っ!!」ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!
ステイル「あッ! がッ!! ちょ、止ま、やめ、ストッ!」イダダダダァ!!
アニェーゼ「五月蠅いウルサイうるさああああぁいっ!! 死ねっ! 死ねっ! 千回死ねっ! いや、殺すっ! 万回殺すっ!!」ギャースッ!!
神裂「あ、アニェーゼ! 止まりなさい!! ステイルが死んでしまいます!!」ガシッ!!
アニェーゼ「はーーーーーなーーーーーしーーーーーやーーーーーがーーーーーれーーーーーっ!!」グルルルルッ!!
暴れる猛獣を羽交い絞めにして止める聖人。無言でベットの上に転がった木偶の坊。
我を忘れF口調全開となり本気で殺しに掛ろうとするバイオレンス少女。未だにベットの上でガクブル状態の少女。
アニェーゼ「おまっ! アンのベットに転がんなっつーのっ!! 汚ぇ! 穢れる! 腐る!」ウガアアァ!!
神裂「じ、事情があって来たのです! ただ彼は頭に血が昇っていて、多少我を忘れていた為に此処一番で飛び込んできた訳で」アタフタ・・・
アニェーゼ「うっせぇ!! てっめぇ……待ってろ! 今ルチア呼んできて手前のブツをブった切って貰いますっ!!」ウガアアァ!!
神裂「落ち着きなさいっ!! あぁもう! 誰か手伝ってええぇ!!」ウワーン!
ステイル「」チーン・・・
アンジェレネ「あわわわわ……、」ガクガクブルブル・・・
結局、オッカナイ管理人のお姉さん(的存在)のオルソラさんが収集をつけるまで、迷惑騒ぎは続いた。
704 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/26(月) 23:30:13.76 ID:BCs1ctww0
一寸後……サロンで、笑顔のオルソラさん(自称永遠の17歳)の前で正座する4名の姿があった。
オルソラ「…………、」ドドドドドドドド・・・・・
何事だ、と修道女たちが寝巻きのまま野次馬として集まる。
オルソラ「マグヌス神父……今何時でございましょうか? 時計読めますか?」ニコニコ・・・
ステイル「……6時ちょい過ぎだ」ズタボロ・・・
オルソラ「ええ。『朝の』6時でございますよ。それから此処は何処でございましょう?」ニコニコ・・・
ステイル「……必要悪の教会、ランベス宮内、女子寮のサロンだ」タラー・・・
オルソラ「パーフェクトでございますねぇ……自分がどれだけ異端な存在か分からない訳無いのでございましょう」ニコニコ・・・
ステイル「……訳有りだよ」ボソッ・・・
オルソラ「まぁまぁ……言い訳なさるおつもりでございますか?」ニコニコ・・・ドドドドドドドド・・・・・
ステイル「……いえ。ごめんなさい」ダラダラ・・・
額から血をダラダラ流すステイルさん(14)。その隣でビクビクするかおりん(18)。
オルソラ「それから……シスター・アンジェレネ……殺人未遂容疑で少年院に送られたいみたいでございますね」ニコニコ・・・
アニェーゼ「……だって……その下郎神父が……アンに」ゴニョゴニョ・・・
オルソラ「『限度』って言葉を知っていますでしょうか?」ニコニコ・・・
アニェーゼ「……うるせぇです、ぼけばばー」ボソッ・・・
オルソラ「アニー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後で『大事なお話』があるのでございます。『2人』でトイレの用具室に行きましょうね」ニコニコニコ・・・
アニェーゼ「な、何も言ってねぇです!! ご、ごめんなさいぃ!!」ダラダラ・・・ヒイイィ・・・
滝の様に冷や汗を流すアニェーゼ(13)。隣で未だに現状を把握できず震えているアンジェレネ(12)。
アンジェレネ「あ、あの……わ、私達、何でこんな状況になってるんですか?」アタフタ・・・
シェリー「私も聞きたい。主教補佐殿はいつから女子寮の目覚まし時計役になったんだ?」ジトー・・・
ステイル「……だから、訳有って来たと言うに」ハァ・・・
アニェーゼ「うっせぇです変態。超変態。この強姦魔。去勢しろボケ。誰かルチア呼んできて下さい。こいつ審問です、審問」ボソボソ・・・
ステイル「喧しい非常識チビ。貴様の所為でこんな厄介な状況になってるんだボケナス。反省しろ……いや、各所に土下座して回れ」ボソボソ・・・
アニェーゼ「皆さーん。コイツ神父の皮被った悪魔でーす。チ●コの皮だけじゃなく聖職者の皮も被ってますねー。性職者ですよー」ジトー・・・
ステイル「黙れ淫売娘。香焼と一緒にするな。僕が性職者なら貴様は雌猫だ。野郎にケツを振ってイチモツを誘う娼婦娘だな」ジトー・・・
神裂「いや、香焼はああ見えて下の方はそれなりに……うーん……あんなに小さかったんですが男の子はすぐ大きくなるものですね」フムフム・・・
アンジェレネ「神裂……その言い方だと多分、変な意味で捉える人が出てきますよ。あと、きっとコォヤギくん泣いてますね」ハァ・・・
ツッコミ不在の恐怖。
アニェーゼ「てめぇ……表出やがれってんです、おいゴラァ」ギロッ・・・
ステイル「こっちのセリフだ糞チビ。灰にしてやる」ギロッ・・・
オルソラ「2人とも……姫様も、呼んで来た方が静かにするのでございましょうかね?」ニコニコ・・・
ステイル・アニー「「ごめんなさい。静かにします」」ペコッ・・・
これ以上、怖い人を呼ばないで下さい。
705 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/26(月) 23:46:12.70 ID:BCs1ctww0
一同、落ち着いた所でオルソラが促す。
オルソラ「さて……ステイル神父。本題をどうぞ。あくまで冷静にお願いするのでございますよ。熱くならずに、ね」チラッ・・・
ステイル「……ああ」ギロッ・・・
アニェーゼ「あん? ガン飛ばしてんじゃねぇです、クソボケ」ジトー・・・
また喧嘩になりそうだったが『姫様』の一言で、大人しくなる2人。
もう面倒なので神裂が口を開いた。
神裂「アニェーゼ。率直に聞きます……サーシャに香焼の住所を教えましたね?」チラッ・・・
アンジェレネ「っ!!」ビクッ!!
アニェーゼ「……だとしたら?」フンッ
ステイル「国際問題だ、馬鹿女郎」ジトー・・・
然も如何でも良さそうに『あっそ』と言い放つアニェーゼ。
アニェーゼ「知らねぇです。何の事やら」ケッ
神裂「……アンジェレネ。何か知りませんか?」チラッ・・・
アンジェレネ「え、あ、その……えっと」アタフタ・・・
アニェーゼ「アンも知らねぇです!」フンッ!
ステイル「貴様は黙ってろ。アンジェレネ、本当の事を話せ」ジトー・・・
アンジェレネ「え、と……うーん……あぅ」タラー・・・チラッ・・・
アニェーゼ「…………、」フルフル・・・
アンジェレネ「ぇ、う……し、知りませんよ」ダラダラ・・・
明らかに、しらばっくれる2人。ステイルは『チッ……もう良い』と立ち上がる。
ステイル「なら責任はレッサー一人に取らせよう。行くぞ神裂」スッ・・・
アニェーゼ「なっ……テメェ……待てってんです」ギロッ・・・
ステイル「何だ? 知らないのだろう? ではそれで構わない。香焼とレッサーを裏切り者として処分すれば良いだけの話だからな」クルッ
アニェーゼ「……根性腐ってやがりますね」ギロッ・・・
神裂「もう一度聞きます……サーシャにメールを送りましたね?」ジー・・・
アニェーゼ「……チッ」ケッ・・・
アンジェレネ「お……送りました」シュン・・・
鎮まる4人。ざわめく野次馬。溜息を吐くオルソラ。
706 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 00:22:06.83 ID:aOOsrV5h0
予想通りの答えにステイルは頭を掻きながら煙草を咥え……オルソラに睨まれる。
火は点けないので、と咥えたまま話出した。
ステイル「大問題だよ。如何責任を取るのか教えて貰いたいものだね」フンッ
アニェーゼ「責任も何も無ぇですよ。別に悪い事してねぇですから」ハッ
ステイル「子供の理屈だ。現に英国・学園都市・ロシアの上層部は大慌てだぞ」ジトー・・・
アニェーゼ「ふんっ。ただコーヤギの住所教えただけで……御偉いさん方はケツの穴小せぇんですよ」ジトー・・・
ステイル「…………、」イライラ・・・
自分の眉間を指で抓むステイル。
次口を開けば、また汚い言葉が飛び交うだろうと予想した神裂は、代わりに続けた。
神裂「五和と土御門が機転を利かせて、香焼を監視任務に参加させていなかったので、言い訳はできますが……所詮は詭弁です」ハァ・・・
アニェーゼ「あっそ」フーン・・・
ステイル「まるで、他人事だな……糞チビ」ギリリ・・・
アニェーゼ「あん?」ギロッ・・・
アンジェレネ「あ、アニェーゼちゃん……ステイルくんも……穏やかにしよう」アタフタ・・・
ステイル・アニー「「……チッ」」フンッ・・・
神裂は頭痛がしてきた。そんな最中、ルチアが現れる。
何事か尋ねてきたので、オルソラが簡単に説明をした。
ルチア「貴女達は……また問題事を……、」キリキリ・・・
アニェーゼ「ルチアは黙ってて下さい。部外者でしょう」チラッ・・・
ルチア「ぶが……っ」ギロッ・・・
アンジェレネ「あわわわ……、」ガクガク・・・
サロン内が更に険悪な雰囲気になる。
アニェーゼ「つーか、英国は何でサーシャの事手伝わねぇんですか?」ジトー・・・
ステイル「外交関係上の問題だ。貴様とて知らない話ではなかろう」ジトー・・・
英国と学園都市は、大分前から『深い部分』で繋がりがある。『裏』に住むものなら常識たる了解だ。
しかし……それが気に喰わない。
アニェーゼ「馬鹿みてぇです。一応、『ローマ正教』所属の私からしてみれば小せぇ話ですね」ハッ!
ステイル「何、だと」ギロッ・・・
アニェーゼ「私は今から正論を言ってやります。耳の穴かっ穿って良く聞きやがれってんだ、英国人」ジトー・・・
アニェーゼは正論という名の『屁理屈』を語り出した。
707 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 01:04:48.00 ID:aOOsrV5h0
まず、何処で調べたのか、現在ロシア(CIS内部)で起きている問題をぶっちゃけ出す。
アニェーゼ「吸血鬼でしたっけ? 吸血種? まぁどっちでも良いですけど……んな良く分かんねぇモノがうろついてんでしょ」ハハハ
ステイル「……だから何だ」
アニェーゼ「まぁどっかの魔術師の仕業でしょうけど。何にしろルーマニア人の馬鹿が十字教にあるまじき行いしてんでしょうね」
異端、と言いたいらしい。
アニェーゼ「多分、スペイン星教の『異端審問軍』もドニエストルに向かったでしょう?」
神裂「はい、それが?」
アニェーゼ「こっからは予想ですが、ローマ本部の『代行者』も操作に向かったでしょうね」ハッ
一同、アニェーゼの言葉にざわめく。
ローマ正教内に存在する極めて大きな派閥、スペイン星教の『異端審問軍』。十字軍の名残がある、極右部隊。
そして『代行者』。ローマの中でも異端審問に特化した精鋭。そして『異端狩り』であり、『エクソシスト』としても噂される退魔師達。
アニェーゼ「今の私じゃ調べられねぇですが、アンタら2人なら簡単に調べつくでしょう」ケッ
ステイル・神裂「「…………、」」タラー・・・
アニェーゼ「代行者が出張ってる事態だとしたら、完璧、十字教の異端問題です。つまり……分かりますね?」ジトー・・・
オルソラ「……三大旧教の英国が、異端審問(調査)に参加しないのはおかしい、と」フムフム・・・
アニェーゼ「ビンゴ。ロシア、ローマが出てる。じゃあ何故英国は不参加なんでしょうね」ハハハ
痛い所をつく……だがステイルとしては、そう簡単に折れる訳にはいかない。
ステイル「先にも言ったが外交問題だと」
アニェーゼ「あっそ。十字教より外交を取りますか。まぁアンタの勝手ですけど……神父騙るの辞めろ。政治屋にでもなれば?」ジー・・・
ステイル「…………、」イライラ・・・
神裂「……確かに、貴女の言う事も一理あるのでしょう。ですが……此方にも事情があるのです」ムゥ・・・
アニェーゼ「勿論、子供じゃねぇですから分かりますよ。だけどねぇ……神裂、アンタがそれを言っちゃいけないと思いますよ」ジー・・・
神裂「何故?」
アニェーゼ「アンタが『救われない者(サーシャ)』に手を伸ばす事を諦めてっから、都市の若衆は困ってんじゃねぇですか?」ジトー・・・
神裂「っ」グッ・・・
アニェーゼ「図星でしょう? でもアンタは諦めきれなかったからコーヤギっつー『最後の救い』を残した。意図せずにね」フフフ・・・
歳不相応に微笑むアニェーゼ。彼女のカリスマに周りは呆気に取られた。
708 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/09/27(火) 01:08:06.06 ID:Z/r0vNGSO
スレチ
削除依頼出してくるわ
709 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 01:30:39.63 ID:aOOsrV5h0
別に神裂が香焼を任務から外した訳ではないのだが、認証したのは確かだ。
彼が問題を起こす可能性が低くなったという安心があったのは確かだが、アニェーゼがいう『期待』は意図して無かった。
しかし……心の何処かで、何か手助けをしてくれるのではないかと思う部分があったのかもしれない。
アニェーゼ「まぁステイルに不良不良言いますが、私だって相当不良です。だからこんな暴論吐けるんですけどね」ハハハ
神裂「……貴女は」タラー・・・
アニェーゼ「どっち着かずの半端者隊長ですよ。ただ間違った事は言ってねぇ筈です」
ステイル「……ふんっ」テクテク・・・
神裂「ステイル」チラッ・・・
ステイル「戻る……処遇については後ほど告げる。とりあえずこれ以上騒ぎは起こすなよ。2人とも、暫く謹慎だ」テクテク・・・
アニェーゼ「へいへい。覚悟してますよーだ」ベー
そそくさと女子寮から消えたステイル。
アンジェレネ「えっと……アニェーゼちゃん。その、ステイルくんも多分……サーシャちゃんの心配してる筈ですよ」チラッ・・・ゴニョゴニョ・・・
アニェーゼ「……さぁね」ケッ
神裂「…………、」ジー・・・
アニェーゼ「神裂。アンタは戻んなくて良いんですか?」チラッ・・・
神裂「あ、はい。戻ります……どうもお騒がせしました」ペコッ・・・
仮にも一、女教皇の自分がこれではいけないな、と悩みながら神裂は席を立った。
2人が消えた後……アニェーゼはグデェっとその場に転がった。
アニェーゼ「やべぇ……マジでビビったぁ」ホッ・・・
アンジェレネ「……ふぇあ」フニャン・・・
ぶっちゃけ、ブラフだった。あくまで『屁理屈』。正当性など有りゃしない。
オルソラ「やれやれ……そうでございますね。間違ってないだけで、正しくもございませんからね」フフッ
アニェーゼ「まぁねぇ……てか、どうせオルソラ、私よりでしょう? 途中で助けて下さいよ」ハァ・・・
オルソラ「あらあら。悪い事をしたのは確かでございますから、手出しはしなかったのでございますよ。あと……ババアって言ったでしょ」
アニェーゼ「うっ……言ッテナイデス」ダラダラ・・・
ルチア「ハァ……兎角、少しは反省してください」マッタク・・・
2人を小突く姉貴分。苦笑するアニェーゼはルチアに尋ねた。
アニェーゼ「でも恰好良かったでしょう?」ニヤリ・・・
ルチア「調子乗るな」コツンッ
アニェーゼ「あはは……ねぇ、ルチア……私、間違ってます?」チラッ・・・
アンジェレネ「アニェーゼちゃん」ジー・・・
真面目な顔。至って真剣……ルチアは苦笑し、答えた。
ルチア「貴女の好きな様になさい……『友達』の為なんでしょう。私が如何こう言える問題じゃありません」フフッ・・・
アニェーゼ「あんがと」ヘヘヘ
友達想い、仲間想い……それが彼女の美点だ。
とりあえず部屋に戻って着替えて来い、と2人をサロンから追い出して、代わりに書く始末書の詳細を考え始めた。
710 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 01:59:54.37 ID:aOOsrV5h0
―――とある4日目、PM03:30、学園都市第7学区、窓のないビル・・・・・・
統括理事長に呼び出され、嫌々この場所に訪れる多角スパイ―――土御門元春。
何を言われるかは大体察しがついているが、それでもヤツの小言など聞きたく無かった。
土御門「……で?」ハァ・・・
アレイスター『分かっているのにそういう聞き方をするのは馬鹿というものだよ』ジー・・・
土御門「うっせ……俺だって身内の馬鹿の所為で頭痛ぇんだ」ハァ・・・
アレイスター『まるで他人事だな。人質(天草若衆)の総監督は君の役目だろう』
土御門「……悪ぅござんした」ヤレヤレ・・・
彼は学徒潜入している天草若衆の事を『人質』と呼ぶ。言葉通り、英国清教に対する人質扱いだ。
若衆ら自身は、都市の裏を掻くのが任務だと思っているが、実際は彼の掌上で転がされている。
英国との間で、何か不都合があれば『切る事が出来るカード』として、都市内での活動を許可しているのだ。
アレイスター『ケジメはつけるんだろうね?』
土御門「分ーってるっつの……それより、呼びだした理由はそんな小さな事じゃねぇだろ?」
アレイスター『ああ……今から話し合いだ。君も参加してくれ』
土御門「話し合い?」
次の瞬間、彼と自分との間にホログラムウィンドウが浮かんだ。
映ったのは……英国清教最大主教―――ローラ=スチュワート。
ローラ『ふぁあぁ……眠い。もうちょっと後で話し合いを設けたりしたもうてほしいわね』ムニャムニャ・・・
アレイスター『其方の不始末から生じた問題だよ。少しは誠意を見せて欲しいね』
ローラ『ぶっちゃけ末端まで私が面倒見きれる訳じゃ無かろう事なるの……土御門で十分じゃなきて?』チラッ・・・
土御門「ぐっ……(糞ババァ)」グヌヌ・・・
上司の屑。皆そう呼ぶ。
ローラ『まぁでも言い分は分かる……だから補佐と次席に任せたりと思うておるのよ』ジー・・・
アレイスター『君がそれで良いのであれば』フフフ・・・
ローラ『あいあい。それじゃーねぇ♪』プツッ・・・
かなり適当。多分、今回の件は如何でも良いと思っているのだろう。
英国と自分自身の問題以外は関係無し。まさに魔女といっても過言ではない女だ。
711 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 02:21:57.10 ID:aOOsrV5h0
ローラのウィンドウが閉じて一寸後、新たに3つのウィンドウが開かれる。
彼女が言った通り、主教補佐と補佐次席の顔。そして……ロシア成教『殲滅白書(Annihilatus)』のまとめ役―――ワシリーサの顔。
土御門「なっ!?」ギョッ・・・
アレイスター『やぁ。麗しのワシリーサ』フフフ・・・
ワシリーサ『はぁい。アレクサンドル。そっちはこんにちわの時間帯よね?』フフフ・・・
至ってフランク。飄々と微笑する2人に、英国の3名は戸惑った。
アレイスター『さて。色々言いたい事があるのだが……誰から言うべきか』フム・・・
ワシリーサ『うーん。私と貴方の間じゃ、もう何も言う事無い筈だけど』アハハ
アレイスター『戦略兵器(サーシャ=クロイツェフ)を送り込んでおいて、よく言うよ』クスクス・・・
ワシリーサ『あらぁ酷い。サーシャちゃんは象徴兵士(マスコット)だとしても、兵器じゃないわよん』ムー
あくまで軽口。3名は呆れた。
ワシリーサ『ところで、サーシャちゃん元気かしら? もしかして捕まえちゃったとか?』ジー・・・
アレイスター『捕まえても良いのかい?』
ワシリーサ『凌辱は……ゲフンゲフンッ!!……拷問するのは駄ー目。もししたら私が直接、都市に入っちゃうぞ★』ニヤリ・・・
アレイスター『それは勘弁願いたいね』ハハハ
土御門「……アレイスター。コイツを呼んだ意味有るのか?」
アレイスター『ふむ……ローラが呼べと言うのでね。だが当の本人が消えたとなっては、困ったものだ』クスクス・・・
一体如何しろと……土御門は頭を掻いた。
アレイスター『兎角、君は後でだよ……では先に、ステイル。神裂』チラッ・・・
ステイル・神裂『『…………、』』
アレイスター『今回の件、如何始末をつけるつもりだい?』
ステイル『……先程データで送った通り、例の天草式若衆は今回の任務を知らない無関係者だ』
アレイスター『詭弁だね』
ステイル『そう思えるかもしれないが、実際此方としてもイレギュラーな事態に困っているんだ』ハァ・・・
アレイスター『では、神裂』チラッ・・・
神裂『私の……監督不行です。金銭で解決できるのであれば、私が賠償しましょう』コクン・・・
頭を下げる神裂。だが、それが通る相手では無いという事は分かっていた。
712 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 02:37:38.38 ID:aOOsrV5h0
アレイスターは神裂の姿を鼻で笑い、言葉を続けた。
アレイスター『此方としては「関与無し」から「敵性排除」として動いて貰いたいね』
ワシリーサ『あのー……状況が読めないのだけれどもー』ウーン・・・
神裂『それは……その』グッ・・・
ワシリーサ『もしもーし』オーイ
アレイスター『さもなくば、それ相応の対処をさせて貰うよ』
ワシリーサ『……無ー視でーすか?』ショボーン・・・
少し黙ってて下さい。
ステイル『アレイスター……此方も少々考えが変わった節がある』
アレイスター『ふむ。言ってみてくれ』
ステイル『今回の件、ローマも動いてると聞く。噂では代行者も出たそうだ』
アレイスター『……それで?』
ステイル『つまり「異端」……いや「人外」の存在の可能性が非常に高いと思われる』
要は『吸血鬼』を肯定する訳か。
ステイル『そうまでは言っていない……そちらの部長殿』チラッ・・・
ワシリーサ『はいはーい♪ なぁに? あ! 貴女、最近サーシャちゃんと仲良くしてくれているらしいわね! いつもありがとー!』ニコニコ!
ステイル『ッ〜〜〜……質問に、答えるだけにしてくれないかな』ビキビキ・・・
アレイスターの疑いというか、生温かいというか……微妙な目が痛い。
ステイル『とりあえず……ドニエストル捜査で分かった事をデータとして送ってくれ』
ワシリーサ『えー。貴方達、味方じゃないのにぃ?』ブーブー!
ステイル『……送れ。でないと状況は変わらんぞ』ギロッ・・・
ワシリーサ『んもー。我儘なんだから……クーちゃーん。捜査報告書のデータ流してー』
面倒臭い女、と3人は思った。まるでローラを相手にしている気分だ。
この場に2人もウザいのが居なくて助かったと考えるべきだろう。
713 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 03:17:02.21 ID:aOOsrV5h0
一寸後、報告データが回る。
・死者数10人。(5日前から2人増。死者はスペイン星教の異端審問軍から1人。民間人1人)
・交戦回数:殲滅白書3回、異端審問軍7回、代行者2回、その他1回。
・うち代行者が交戦の際、『< >』の捕獲に成功。ローマ本国(バチカン)に輸送。
土御門「捕獲しただと? じゃあ任務終了か」
ワシリーサ『うーん、残念だけど< >は一匹じゃないのよん』ハァ・・・
ステイル『他にも、そのバケモノ自体のデータもあるのだろう? それを見せろ』
ワシリーサ『はいはい。まったく、サーシャちゃんの言ってた通り可愛くない14歳ね』ジトー・・・
余計な御世話だ、と苛立ちを堪える為煙草を咥えるステイル。
・< >について:危険度は大。増殖する恐れ有り。
・見た目は人間。だが生気は無し。死霊操作かホムンクルスの可能性も。ゾンビ、グールの可能性も。(後者の可能性が高いと見ている)
・故に、メジャーな死霊魔術師や異端錬金術師の可能性は低い。
ワシリーサ『本当はバチカンが情報開示してくれると助かるんだけどねぇ……ところで、アレイスター』チラッ・・・
アレイスター『何かな』
ワシリーサ『人間の躯に限界を感じた魔術師って……吸血鬼とかに憧れるものなのかしらねぇ』ニヤリ・・・
アレイスター『そういう魔術師もいるのかもしれないね……だが不死の君が、それを言うかい?』フフフ・・・
ワシリーサ『イヤねぇ。一応、死ぬわよん。聞いてみただけ♪』フフフ・・・
聖人の神裂でさえ、この2人を不気味と思った。
ステイル『……部長殿。兎に角「人外」の可能性は高いんだな?』
ワシリーサ『んー。まぁ何を人外と称するかにもよるけど……バチカン的に言わせれば確実に「異端(人外)」でしょうね』
ステイル『因みに、吸血鬼との関連性は?』
ワシリーサ『0では無い。例え魔術師の仕業だとしても、それはかなり「危ない実験」をしている魔術師の筈ね』
それこそ吸血鬼(死徒)化しようとしている魔術師かも……とワシリーサは黒い笑みを浮かべた。
ステイル『アレイスター。そういう訳だ。その報告データと彼女の話が事実だとすれば……必要悪の教会としても見逃せない』ジー・・・
神裂『いずれ、英国にも危険が及ぶ問題やもしれませんからね……学園都市とて例外では無い筈ですよ』ジー・・・
アレイスター『…………、』フム・・・
思う所があるのか、少々悩むアレイスター。
土御門は頭の中で優先順位を計算しながら、今回は英国側に乗るべきと判断し、追い打ちを掛ける事にした。
714 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 03:31:55.22 ID:aOOsrV5h0
少し良いか、と手を上げ、アレイスターの注意を引く。
土御門「話は変わるが、この件、『所長』に通して無いだろ」ジー・・・
アレイスター『「彼」かい? 通す必要があるとでも?』
土御門「まぁ一応『原石』の問題だしな。多分、怒ってるぜぃ?」タラー・・・
今度は魔術師3人がキョトンとする。『原石』は何となく分かるが、『所長』とは何だ?
土御門「2人にはその内教える。今は黙ってろ」
ワシリーサ『あらん。私は?』
土御門「……申し訳無いがNGだ」
ワシリーサ『酷いわねぇ』ムーン・・・
無視無視。
アレイスター『……少し待て』フム・・・
土御門「待てないな。お前が俺らを急かせたんだろ?」
アレイスター『……風斬』ハァ・・・
土御門の1m先くらいの空間が揺らぎ……一人の少女が現れた。
風斬「―――……何ですか? 土御門くんを如何こうしろって命令なら……聞きませんよ」ジー・・・
アレイスター『随分反抗期になったものだね……まぁいい。そうではないよ』ジー・・・
風斬「では何を」
アレイスター『「彼」の研究所に回線を繋いでくれ。私がやると少々時間が掛り過ぎる』
風斬「そういう事なら、協力します」Pi!
虚空をボーっと見詰める風斬。一寸後、もう一つのウィンドウが展開され、1人の男性が映った。
アレイスター『突然すまないね。土御門が如何しても君を呼べと言うものだから』フフフ・・・
土御門「ちょ、てめぇ!」アタフタ・・・
所長『……何の様だ』ジー・・・
顔中傷だらけ。猛禽類を思わせる様な目付き。如何見ても警備員の一員か、暗部の一員にしか見えない男
『原石』担当の理事―――貝積継敏から、その研究を任されている大学の『所長』である。
715 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 03:48:44.99 ID:aOOsrV5h0
土御門はアレイスターに目配せし、司会を始めた。まず始めに今回の件を短く説明する。
所長『ああ、データで送って来たアレか』フム・・・
土御門「見たんなら電話の一本でも寄越せっての……御蔭で俺がセンセに怒られたし」ブツブツ・・・
所長『知らん。そっちから連絡するのが筋だろう。アレイスター』チラッ・・・
アレイスター『これはこれは。手厳しいね』クスクス・・・
統括理事長相手にこの口の聞き方。ただの研究者ではないという事は明らかに分かった。
土御門「そんで、此方がクライアントのロシアのお偉いさんだ」チラッ・・・
ワシリーサ『どうもー♪』ニコニコッ
所長『……で?』
ワシリーサ『んー。お願いがあるの。「吸血殺し」ちゃんを貸して欲しいなぁって。もしくは彼女の「血」を、ね』コクッ
所長『俺に聞くな。本人に聞け』フンッ
英国側とまるで同じ事を言う。ステイルと神裂は、彼が本当に『原石』の研究者なのか疑った。
アレイスター『勝手な事を言うね。仮にも都市の子供だよ』ジー・・・
所長『子供の前に個人だ。好きにさせてやれ』
ワシリーサ『わぁい♪ ありがとう』ホッコリ・・・
アレイスター『ワシリーサ。私は許可して無いよ』ジトー・・・
ワシリーサ『えー。超KYだわぁ』ジトー・・・
魔女がKYとか言わないで下さい。
神裂『アレイスター。僭越ながら私個人としても、本人の意思を尊重すべきかと思います』
アレイスター『一応、「吸血殺し」は君達が所有を主張している「モノ」でもあるのだよ?』
神裂『……「モノ」ではありません。彼女は人でしょう』
アレイスター『綺麗事を』フフッ・・・
この場で綺麗事を謳う様な人間は神裂1人だ。
だが土御門と風斬は……一、友人として姫神秋沙の事を見ている。故に同情はしていた。
716 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 04:16:07.80 ID:aOOsrV5h0
だがしかし、アレイスターよりトンデモない事を所長は言い放つ。
所長『失礼な。彼女は「原石」だ。人間などの一緒にするな』ジー・・・
ステイル・神裂『『はぁ?』』ポカーン・・・
所長『というかアレイスター、土御門。こいつらは何だ?』ジトー・・・
魔術師(オカルト)と言っても構わない人間なので、素直に教える。
所長『ふんっ。人間である事から逃げた者か』ジトー・・・
ステイル『随分な言い方だな』
土御門「ステイル、押さえろ。この人の口の悪さはデフォだ」
所長『悪かったな、辛辣で』
本題に戻る。
土御門「アレイスター。所長がOKを出している。交渉する権利くらいはやったら如何だ?」
アレイスター『君は「原石」の重要性と危険性が分かってないようだね。アレらは―――まぁ良い』チラッ・・・
ワシリーサ『……あら、お構いなくどうぞ』フフフ・・・
ステイル・神裂『『…………、』』
沈黙が走る中、所長が大きく溜息を吐き……アレイスターに告げた。
所長『貴様こそ、勘違いをしているぞ。アレイスター』ヤレヤレ・・・
アレイスター『…………、』チラッ・・・
所長『「原石」の意志は世界の理だ』サラッ
トンデモ理論に、一同絶句。
彼の言葉は続く……『原石』とは―――この宇宙を創造するエネルギー体であり、エネルギーで在りながら、意志を持った『存在』である。
『原石』は、この宇宙に存在する物質、生物、エネルギー、はたまた精神体や空間、時間のように形の無いモノの代弁者である。
そして、その全てが宇宙の中で有機体を生み出している。
『原石』に選択されたモノの中には『草や木が何故そこにあるか』『何故あの時友人が死んだのか』『全てが解る』と言う者も居る。
それは全てが『原石』の支配の中にあり有機性を持ち『原石』は個でありながら全だと言うことに他ならない。
故に『原石』にはその全てが解り全ての進化の記憶を持っている。
太古の昔地球を征服していた恐竜が滅び、猿に過ぎなかった人類が急激な進化を遂げたのも『原石』の成せる業。
これは『原石』が人類こそ繁栄すべきと選んだ種族だという裏づけである。
よって人類が絶滅の危機に直面した時、『原石』はそれを察知し、より強く意志を表し、それを許さない。
その際に『原石』は、己の能力を駆使し、人間の夢の中で語りかけたり幻影を見せるなど、何かしら人間に危機を伝えている。
そして『原石』自身が己の能力を用い、その危機を取り除き、人類に更なる飛躍を促す事もある。
ステイル『それは、その……何かの宗教かな?』タラー・・・
所長『馬鹿言え。この世の理だ』フンッ
大真面目にそう言い放つ、所長さん。とりあえず……一同聞かなかった事にした。
717 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 04:41:32.17 ID:aOOsrV5h0
土御門は何とか間を繋ごうと、アレイスターに話を振った。
土御門「と、兎角、所長の許可は出た。後はアンタ次第だぞ」タラー・・・
アレイスター『先の説明では何の説得にもなっていないよ』ハァ・・・
所長『アレイスター。貴様には分かるまいな……俺とて理解しきれてないのだから』フンッ・・・
アレイスター『前々から言っているが、君のその理論は科学に反する考えだよ。私は「原石」をそうは捉えていない』
所長『何?』ジトー・・・
アレイスター『第一……君は所詮「置いていかれた」人間だろう。君自身は所詮「人間」なんだ。所詮、「原石」に選ばれてない』
所長『分かってるさ……だが、貴様とて同じだぞ。アレイスター』ジー・・・
アレイスター『だが、私はそれを肯定し、科学的かつ魔術的な理論として考えている。君は「行ってしまった」仲間の影を追い駆けてるだけ』
所長『アイツらの話をするな……殺すぞ』ギロッ・・・
アレイスター『やれるものならね』フフフ・・・
土御門「い、いいから返答をくれ!」アタフタ・・・
喧嘩なら地球外でやってくれ。
アレイスター『……そうだな』ムゥ・・・
所長『ふんっ……どうせ「計画」には支障無いのだろう。素直に認めてしまえ』ジトー・・・
アレイスター『それを言われると、弱いな』ジー・・・
ステイル「アレイスター。面子云々の話をしているなら、そんなもの捨て置けよ。僕は捨ててきた」ジー・・・
アレイスター『…………、』ボー・・・
静寂。そして、一寸後。
アレイスター『ワシリーサ……あくまで交渉を認めるだけだ』チラッ・・・
ワシリーサ『さっすがぁ! アレイスター大好きぃ♪』フフフ・・・
アレイスター『無論、研究や「血」を悪用する事は認めないよ。分かってるね?』
ワシリーサ『あいあいさー』フフフ・・・
所長『その場合は俺と軍覇……超能力者がロシアに乗り込むぞ。覚悟しておけ』ギロッ・・・
ワシリーサ『はーい』ニコニコ・・・
ステイル『ついでに……彼女の十字架を外すのも禁止させて貰おう。というよりも、彼女はアレを外したがらない筈だ』
土御門「そうだな……言っておくが、今からお前らは姫神秋沙のトラウマに触れる。交渉が簡単にいくとは思うなよ」
ワシリーサ『分かってますよー。大丈夫、交渉権さえ頂ければサーシャちゃんが善戦するから』フフフ・・・
面妖な微笑み。軽い口振りで、ワシリーサはウィンドウを閉じた。
718 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 05:04:03.88 ID:aOOsrV5h0
続けて所長もウィンドウを閉じ、残るはステイルと神裂だけ。
土御門「ふむ……それじゃあサーシャ=クロイツェフには天草式の若衆筆頭から連絡させるぞ」
アレイスター『任せるよ。ただし、くれぐれも手助けはせぬ様に。それから監視は続けてくれ』
神裂『了解しました。土御門、引き続き、監督をお願いします』
一段落。神裂は内心安堵し、ウィンドウを切ろうと―――
アレイスター『待て』
―――呼び止められた。
アレイスター『戻る前に……今メールで送った文章を読んで、承認して貰おう』
神裂『え、あ、メール? 承認?』キョトン・・・
ステイル・土御門『「…………、」』
アレイスター『なぁに……今回の落とし前。ケジメだよ。忘れたとは言わせないさ』ニヤリ・・・
神裂の下にメールが届く。慣れない手つきでクリックし文章を読んだ。
神裂『……っ!!』ドキッ・・・
アレイスター『当然だろう。因みに、ステイルと土御門は同意してるよ』フフフ・・・
神裂『っ』ギロッ・・・
ステイル『……恨んでくれて構わない。だが、僕は良い薬だと思っている』ジー・・・
土御門「同意だ。結標の時も言ったが……少し痛い目見ろ」コクッ・・・
神裂『……私が代わりに!』バッ!
アレイスター『何の意味もないだろう……私は良いケジメだと思うよ。因みに、これを承認しなければロシアの交渉も認めない』
土御門「そうなればサーシャは勿論、ドニエストルでの死傷者、そしてNATOとWTO間での軍事的犠牲者と拡大していくぞ」
対極の問題を提示される。長い沈黙……そして。
神裂『卑怯です……3人とも』カチッ・・・
同意をクリック。
アレイスター『ふふふ……では、後はご自由に』ニヤリ・・・
神裂『…………、』ギロッ・・・ギリリ・・・
ステイル『戻るぞ……ヤツ当たりなら受けてやる』チラッ・・・
神裂『っ……アレイスター。この件、忘れませんよ』プツンッ・・・
アレイスター『私も、覚えておこう』フフフ・・・
回線を切る神裂。続いて頭を抱えながらステイルも消えた。
719 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 05:31:36.08 ID:aOOsrV5h0
部屋に残ったのは土御門とアレイスターのみ。風斬はいつの間にか消えていた。
アレイスター『アレも、聖人で有りながら勿体無い性格をしているね』フム・・・
土御門「美点だよ、ねーちんの」チラッ・・・
アレイスター『……美点、か』フフフ・・・
土御門「そんじゃ俺も帰るぜぃ」
アレイスター『ああ。監視は続けさせてくれ』
それからケジメもね、とアレイスターは微笑んだ。
土御門「……分かってる」
アレイスター『君が出来ない様なら、別の暗部を出そう。そうだな……成績優秀者は……窒素装甲なんか如何だい?』ニヤリ・・・
土御門「っ! アレイスター……オマエは地獄も生温い。意地が悪すぎるぞ」テクテク・・・
アレイスター『ふふっ。冗談だよ……キチンとこなしてくれ』フフフ・・・
気味の悪い気配を背に土御門は部屋を去った。
一寸後、『案内人(結標)』を呼び出し、『ビル』の外に出る。外には……何故か風斬も待っていた。
結標「随分長かったわね」
土御門「……まぁな」
結標「機嫌悪そうだけど、如何なったのかしら?」
土御門「交渉権を認めた。都市側の妨害はもう無しだ」
結標「あら、穏やか。意外ね」フフフ・・・
だが、晴れない表情の土御門。
結標「何か不服なの?」
土御門「別に……それより、オマエは何してたんだ?」
結標「主に秋沙の周辺監視をしてたわ。特に怪しいヤツはいないみたい。侵入者は1人みたいね」
風斬「はい……彼女以外の魔術師は……多分、侵入してません、SVRの人間も無しですね」コクッ・・・
コイツらはコイツらなりに行動してたか。
結標「ま、今日は別の動きするから。とりあえずアンタは学校行きなさいよー」ノシ
土御門「けっ、もう学校終わってるっつの……風斬は?」テクテク・・・チラッ・・・
風斬「戻ります……あの、土御門くん」モジモジ・・・
土御門「何だ?」チラッ・・・
風斬「ケジメ……私……代わる?」チラッ・・・
土御門「……気にするな。身内の処理は此方で行う……それよりさっさと戻れ。色々小言言われるぞ」テクテク・・・
土御門は頭を掻いた後、軽く手を上げ、帰路に着く。その背中は何処か煤けている。
風斬は、無言でその背中を見詰め『何も出来なくてごめんなさい』と、嘆き、呟いた……―――
720 :
>>1
[saga]:2011/09/27(火) 05:33:01.28 ID:aOOsrV5h0
はい。此処まで。次回は、やっと香焼とサーシャのほのぼのです。
ではまた! おやすみ! ノシ
721 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/27(火) 08:20:01.10 ID:jyuwVP6U0
乙!
ケジメか……海の家で上条さんボコッた時みたいに、土御門が悪役演じるのか?
後、
>>704
殺人未遂はアニェーゼの方だと思うんです
アンジェレネは朝這いの被害者
722 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/27(火) 10:15:49.49 ID:ES20x/Wh0
乙です!
けじめ、ねぇ。
どんなものだか今後の展開が楽しみっす
723 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/27(火) 11:40:44.37 ID:z5oANi/DO
乙。アニェーゼ△! あと、香焼(ショタ)にまでフラグ立てられる上条さんマジぱねぇっすww
>>716
:『原石の選択』
むむ!!? そうか! 原石よ‥‥そういう事だったのかっ!!
724 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/27(火) 16:27:02.18 ID:6t/nI1ZDO
ケジメ……
こーやぎに堕天使エロメイドコスで女装でもさせるのか?ww
725 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/27(火) 19:15:25.63 ID:jyuwVP6U0
>>724
それだと風斬が「代わろうか?」って言ってたのがわからない
風斬が堕天使エロメイド着てもけじめにならない
……個人的には見てみたいけどさ
726 :
>>1
[saga]:2011/09/27(火) 20:53:04.81 ID:aOOsrV5h0
こんばんわ。ボチボチ。
>>721
・・・御指摘感謝っす! なんか最近凡ミス多いなぁ……何故にゃろ?
>>722
・・・けじめは大事だよねぇ。大人でも子供でも。
>>723
・・・所長「待て……また! 俺だけ取り残されるというのか!!」 ← これ分かる人何人くらいいるのかな(笑)
>>724
・・・香焼の女装? その内別話で書くつもりでしたよw
>>725
・・・誰か描いて下さい! って……既に公式絵がエロコスな件w
んじゃ投下ー。
727 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 21:31:27.82 ID:aOOsrV5h0
―――とある4日目、PM04:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
放課後の課外講義を早退し、急いで家に戻る。昨夜はあまりにドタバタ騒ぎ過ぎたので、正直、日中は落ち着けなかった。
彼女が寝ている内に家を出てしまったが、大丈夫だろうか。勝手に部屋の外に飛び出してはいないだろうか。
不安の念を抱きながらマンションに戻る。
駐輪場には五和のバイクが無い。という事は多分、浦上も居ないのだろう。余計心配になってきた。
帰り際に買ってきた食材と、羞恥心を堪えてカウンターに運んだ女性用下着が入った袋を片手に、自室に戻る。
香焼「珍しい……鍵閉めてる」ガチャッ・・・
普段、馬鹿姉共は鍵を閉めないどころか、近場への用事であれば戸を開けっ放しで外出する事もある。田舎育ちって怖い。
さておき、もしかしたらサーシャが起きてて鍵を閉めたかもしれない。ドチラにしろ正しい判断だ。
香焼「ただいまー」テクテク・・・
返事は無い。もしかして、まだ寝ているのか……仕方あるまい。あの怪我だ。やはり鍵を閉めたのは五和か浦上だったか。
彼女を起さない様、静かにリビングへ入る。
香焼「……寝てる?」ガチャッ・・・
もあい「なぅ」トコトコ・・・
香焼「もあい……って、アレ? サーシャは!?」キョロキョロ・・・
布団は蛻(もぬけ)の殻。丁寧に畳んで端に寄せて在る。まさか出て行ったのか!?
買い物袋を真下に置き、急いで五和に電話する……だが、通話中。次に浦上へ……電話に出ない。
焦る気持ちを抑え、冷静に辺りを見渡す。
ソファの上に置かれた昨夜彼女に着せた寝巻きと、手当に使用した物と思われる包帯。そして開いたベランダの窓。
香焼「……まさか」ダラダラ・・・
何も言わず、出て行ったのか。いや、彼女の靴(ブーツ)は玄関にあった。
という事はまさか……誘拐!? 昨夜サーシャをボロボロにした相手が、居場所を嗅ぎ付けてやって来たのやもしれない。
もあい「みー」フルフル・・・
香焼「……っ!!」バッ!!
振り返り、外に探しに行く。そう覚悟した瞬間だった。
728 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 21:49:40.49 ID:aOOsrV5h0
ガチャッ……
香焼「え?」ピタッ・・・
洗面所のドアが開く。
もあい「みゃん」ジー・・・
サーシャ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぇ」ピタッ・・・
下着姿の、サーシャ。
香焼「…………、」ダラダラ・・・///
サーシャ「ぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うぇ!?」カアアァ///
互いに硬直。
729 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 22:12:28.09 ID:aOOsrV5h0
頭の回転が追い付かず、言葉が出ない。一秒にも一年にも思える時間の後、先に声を出したのはサーシャだった。
サーシャ「そ、その……見ないで、貰えますか」カアアァ///
香焼「っ!! ご、ごめんっ!!」バッ!!
リビングへ戻ろう。そう考え急いで踵を翻した瞬間、足元に降ろした買い物袋を思いっきし踏みつけた。
体勢が崩れる。無理矢理立て直そうと、別の足場に左脚を落とそうとした刹那。
もあい「にゃっ!?」ビクッ!!
香焼「も、もあい!!」ズルッ!!
もあいの尻尾が置いてある。踏む訳にもいかない……故に、反動に身を任せ床に背中と頭を打つけ―――
サーシャ「っ!!」バッ!!
―――そうになった瞬間、サーシャが飛び込んで僕を支えた。
サーシャ「ぁ、うっ!!」ズキンッ!!
香焼「さ、サーシャ!? ってうわぁ!!」ゴロンッ!!
まだ傷が癒えておらず、僕の体重を支えきれなかったサーシャ。彼女がクッションになる形で、共に転がってしまった。
もあい「んなー」ジー・・・
サーシャ「つぅ……大、丈夫、ですか?」イタタ・・・
香焼「……う、うん」ダラダラ・・・///
サーシャ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゃ!?」ドキッ!!
ごめんなさい……頬の辺りが、その……とても柔らかいです。
サーシャ「」ボンッ/////////////////////////////////////////////////////////////////////////
香焼「ご、ごめ、今退ける!!」アタフタ・・・///
サーシャ「お……お願い、します。そ、早急に!」カアアァ///
彼女の腰の両脇に手を着き、立とうとした―――
五和「ただいまー。って、あれ、コウちゃん帰って……る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」ガチャッ・・・ピタッ・・・///
香焼・サーシャ「「なっ!!?」」ギョッ・・・ダラダラ・・・
浦上「お姉ぇ。立ち止まんない、で……ヨ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヒューッ」チラッ・・・ワァオ・・・
―――……最悪のタイミングで馬鹿姉2人が帰って来た。
五和・浦上・サーシャ「「「…………、」」」タラー・・・///
香焼「ちょ、待……か、勘違いするなよ、お前ら。これは!!」ダラダラ・・・
五和「ん……こ、こほんっ……ごゆっくり」スー・・・///
浦上「香焼……玄姦はアウトだヨ……まぁサーシャ怪我してるんだから、ほどほどにネ」ガチャッ・・・ニヤリ・・・
あー……不幸だー。
730 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 22:40:12.56 ID:aOOsrV5h0
2人が無駄に空気を読んで出て行ってからすぐ、僕らはリビングに戻った。
サーシャ曰く、傷が気になったので包帯を取って確認しに洗面所を借りたとの事。水を流しっ放にしていたので僕の声が聞こえなかったらしい。
とりあえず、僕は自室に戻り、彼女が着替え終わるのを待った。
サーシャ「……終わりました」コンコンッ・・・
香焼「あ、うん。今行く」ポリポリ・・
邪念を殺し、リビングへ。
彼女は五和の寝巻きの上を着て、もあいを抱えソファの上にちょこんと座っていた。
香焼「あー、えっと……その」ポリポリ・・・
サーシャ「…………、」ムゥ・・・///
香焼「ご、ごめんね」ペコッ・・・///
サーシャ「あ、ぅ……だ、第1の提案ですが……わ、忘れましょう」タラー・・・///
もあい「みー」コクコク・・・
そうだね、そうです、そうしよう。
香焼「えっと……ご飯食べた?」
サーシャ「はい、頂きました」
香焼「うん、良かった。何時くらいに起きたの?」
サーシャ「第1の回答ですが、午前10時半くらいです」
香焼「そっか……暇じゃ無かった?」
サーシャ「第2の回答ですが、午前11時半くらいまで五和達が居ました。それから午後1時くらいから横になって居たので……、」コクッ・・・
もあいを撫で、小さく頷くサーシャ。
まぁ僕が此処から出るなと言ったのだ。『暇じゃ無かった?』なんて聞き方も可笑しい。
さておき……そろそろ本題に入ろうか。
香焼「サーシャ。昨日の事……話して貰える?」ジー・・・
サーシャ「…………、」タラー・・・
香焼「言えない事?」チラッ・・・
サーシャ「そういう訳ではありませんが……第2の提案として、五和達が戻って来てから話をさせてください」コクッ・・・
香焼「アイツらが?」
サーシャ「色々と複雑な事になっているのです。ですが、第1の願望として……何があっても彼女達を怒らないで欲しい」ジー・・・
真剣な眼。もしかして五和達には先に話したのか……別にそのくらいでは怒らないよ。
僕は了解、と微笑み何処かに素っ飛んで行った馬鹿1号2号に戻って来るようメールを入れた。
731 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 23:18:53.24 ID:aOOsrV5h0
数分後、2人が帰って来る。
勘違いで頬を染め気拙そうな五和はまだしも、ニヤニヤと僕らを交互に見てくる浦上にはイラッときた。お前分かって笑ってるだろ?
香焼「ったく……サーシャがお前ら居る前じゃないと話せないってさ」ハァ・・・
五和「え、あ、うん。そっか……サーシャ。何処まで話した?」チラッ・・・
サーシャ「まったく何も」フルフル・・・
五和「そう……それじゃあ何処から話しましょうか」フム・・・
浦上「ドニエストルの話しちゃえば?」
香焼「へ? どにえすとる……ドニエストルってCIS、モルドバ内の?」ポカーン・・・
サーシャ「はい。では第3の提案、ドニエストルの問題は私から話しましょう……コーヤギー、少々長くなりますが良いですね?」コクッ・・・
香焼「え? うん」コクッ・・・
サーシャの説明が始まった。
まず、モルドバ・ドニエストル内で露SVR(対外情報局)の人間が殺された事。
そしてその殺され方が人の為せる業では無かった事。故に、彼女が特命を受け学園都市に侵入した事。
サーシャ「―――……此処までは分かりましたか?」
香焼「……CIS内でSVRの人間が殺された。停戦中のモルドバ・ドニエストル紛争に発破を掛けようとしたルーマニア側の工作か」ムゥ・・・
サーシャ「…………、」ハァ・・・
香焼「雇ったのは魔術師……でもドチラにしろ、ルーマニアはNATO側。モルドバ本国もNATOに肩入れをしようとしてるんじゃ」フム・・・
五和「あー。コウちゃん。重要なのはそこじゃないから」ハァ・・・
香焼「そうなるとこの件はルーマニアのマッチポンプ的殺人……え?」キョトン・・・
浦上「相変わらず理屈っぽい……そういう推理は下っ端魔術師たる私達の仕事じゃないでしょ。とりあえずサーシャの話、聞きなヨ」ヤレヤレ・・・
これは失礼。自分の世界に入ってしまった。
サーシャ「ん……では続けます」コクッ・・・
もあい「みー」コロコロ・・・
彼女はハバロフツクを発ち、都市へ向かったそうだ。先日のテロ紛いの騒ぎもロシアの囮・陽動作戦だったとか。
それから都市に侵入し……妹達(シスターズ)と優男風の魔術師と交戦。
超能力者らしい暴れん坊ヤングスーパーマンと、『駒場』と名乗る『マスクの男(ゴーストライダー)』に助けられ、此処に逃げのびた。
サーシャ「―――……とりあえず、以上です」
香焼「妹達、それに魔術師って事は海原さんか……でもサーシャ程の魔術師が何であんなにボロボロにされたんすか?」
サーシャ「第3の回答です。私は都市内での魔術使用と通信機の使用を禁じられました……正直、身体能力だけでは勝てませんよ」ハァ・・・
香焼「成程……それで、軍覇と……誰か分からないけど、仮面ライダー(?)に助けられたんだ」
サーシャ「肯定です……ところで、詳しいですね。第1の質問ですが数名は知り合いか何かで?」ジー・・・
一応、妹達と海原さんは(※@)結標さんと土御門繋がりで。 ※@(あまくさっ!:第4話参照)
軍覇は(※A)偶に家へ遊びに来る。そんでタダ飯喰らって帰ります。 ※A(同上:第8話、おまけっ!参照)
732 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/27(火) 23:37:47.71 ID:aOOsrV5h0
そうでしたか、と苦笑するサーシャ。
サーシャ「……では、五和。お願いします」
五和「そうね……コウちゃん……いえ、香焼。天草式若衆筆頭として告げます。今から言う事を冷静に聞きなさい」
香焼「……はい」
真面目な表情。自分も畏まる。
五和「率直に言います……私達……英国清教は今回の事件、そしてサーシャが都市に侵入する事を事前に知っていました」
香焼「……え」
五和「無論、私も知った。そして浦上も、他の若衆も知っていました」
五和が言ってる意味が、分からない……僕は知らないぞ。
五和「そうですね……ええ。貴方の耳には入らない様、一同に注意しました」
香焼「え……な……どう、いう」
五和「英国からサーシャ監視任務の命が下っていた。しかし貴方はその任務から外した……意味が分かりませんか?」
理解できない。
五和「…………、」ハァ・・・
浦上「あのさ……簡単に言えば、公私混同を恐れたんだヨ。私達も、女教皇様も、マグヌス神父も……そして」チラッ・・・
サーシャ「……ええ。私もです」
香焼「っ!!?」ズキッ・・・
なんて……馬鹿げてる。
香焼「い、意味が分からないっすよ! 何で!? 如何して自分をハブる必要有ったんすか!!」ギロッ・・・
五和「浦上が言った通りです……貴方は、8対1で袋叩きにされているサーシャを見て、黙っていられますか?」ジー・・・
香焼「っ……そ、れは」チラッ・・・
サーシャ「…………、」シーン・・・
任務で、そうしろと言われているのであれば。
五和「無理ね」サラッ
浦上「無理だネ」サラッ
サーシャ「…………、」ハァ・・・
香焼「っ」ギリリ・・・
もあい「……なぅ」ジー・・・
腹が立つ……本音を言う彼女達。そして、図星だと思ってしまった自分に。
733 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/28(水) 00:05:24.25 ID:rlxf2Yfe0
不貞腐れる自分。しかし、五和は気にせず続けた。
五和「謝罪はしません。貴方を外したのは英国の総意ですから」サラッ
香焼「…………、」フンッ・・・
浦上「……お姉、話戻そう。サーシャが此処に辿り着いた理由も説明しないと」
五和「そうね。話を戻すわ……サーシャ、自分で説明できる? 英国の方は既にアニェーゼが白状したそうよ」
サーシャ「そうですか……了解です」
アニェーゼ?
サーシャ「では第3の説明です。私が此処に来た経緯を話します」
香焼「……うん」コクッ・・・
そういうと彼女は携帯を取り出し、電源を入れ……一通のメールを見せてきた。
香焼「ウチの、住所? な……レッサーから!?」ギョッ・・・
サーシャ「はい。第1の補足ですが、コーヤギーの家だとは分かりませんでした」ペコッ・・・
香焼「じゃあ……あの時の」キョトン・・・
先日、レッサーから掛ってきた電話……アンジェレネに教えた住所。
そしてアニェーゼが言い残した意味深な数々の言葉。
香焼「『主は貴方に試練を課すでしょう』……『教義』……『贈り物』……そういう事か」タラー・・・
五和「はい?」ポカーン・・・
香焼「電話……この前、アニェーゼに言われた」
サーシャ「……私も、彼女とオリアナ=トムソンに貴方を頼るよう言われました」
浦上「やっぱりアニェーゼ達か……ってオルソラ姐御も!?」キョトン・・・
サーシャ「あ、え、いや……第1の訂正ですが彼女の場合、フリーの情報提供者としてお金を払って協力願いましたから」
五和「ウラ……そこは黙っておきましょう。英国には伝えないでおいて上げるわ」コクッ・・・
サーシャ「すいません。感謝します」コクッ・・・
とりあえず、サーシャの我が家訪問は……アニェーゼ達のコントロールだったという訳か。
遣る瀬無いが、一本取られた。流石一、部隊長。頭がキレる。
734 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/28(水) 00:37:25.97 ID:rlxf2Yfe0
さて、一通りの説明は終わった。
色々腑に落ちない点や、文句を言いたい事はあるが……既にサーシャが此処に居る手前、それを口にする事は憚れる。
とりあえず我慢し、五和の話に耳を傾けた。
五和「以上ね……では次に、サーシャ」チラッ・・・
サーシャ「はい」
五和「今朝言っていた会議で、出た新たな対応について説明させてもらうわ」
サーシャ「っ!!? 何か動きがあったのですか!?」ドキッ・・・
何でも、学園都市・英国・ロシアで話し合いが行われたらしい。
議題は勿論、サーシャと『吸血殺し』について。
五和「まずロシア、というよりモルドバ・ドニエストルの現状を伝えます」
サーシャ「部隊の? もしや新たに犠牲者が?」タラー・・・
五和「ええ。これを……資料を持ってきました。目を通して下さい」スッ・・・
『モルドバ・ドニエストル間< >報告書』と書いてある。『< >』とは例の吸血鬼だか魔術師だかのコードだろう。
自分も内容を見ていい様なので、目を通す。
サーシャ「犠牲者が10人に……遂に民間人も……代行者!? ローマが出張ってきたのですか!?」タラー・・・
五和「ええ。つまり『異端(人外)』の可能性を示唆しているわ。ローマの情報開示が無いので詳細は分からないけど」
浦上「異端審問軍……スペイン星教まで出てきたネ。態々御苦労な事を」ハァ・・・
香焼「これはもうロシアとか英国とかじゃなく、十字教としての問題じゃないんすか?」チラッ・・・
五和「ええ。そうみたい……そこでまず、新たな英国の対応を伝えます」
僕とサーシャは息を飲む。
五和「現状、関与しないの姿勢は続ける。だが監視は緩めるとの事……良かったわね」フフフ・・・
サーシャ「……問題は都市の対応でしょう」フム・・・
五和「では其方の対応……交渉権を認める。ただし、監視をつける……統括理事長の許可が降りたわ」クスッ
サーシャ「っ!!? ほ、本当に!?」パアアァ!!
五和「でも、あくまで交渉権よ。監視付きの……もし不要な戦闘、『吸血殺し(姫神秋沙)』本人の意思を無視する様なら……OK?」
サーシャ「も、勿論です! 上司からも無理矢理は禁止と言われていますから」ホッ・・・
五和「それから、コレも分かってると思うけど……交渉が成功した場合、彼女の『血』を悪用したり、ロシアで秘密裏に研究するのもNGよ」
それはそうだ。それこそ、姫神さんが一番恐れている事。
サーシャ「了解です……安心しました」ホッ・・・
香焼「まぁその……良かったね」フフッ
サーシャ「ええ。ありがとう、コーヤギー」フフッ
サーシャの安全が確保され一安心といった所か。心成しか、ハブられていた事も如何でも良くなってくる。
735 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/28(水) 00:53:08.33 ID:rlxf2Yfe0
だがしかし、一つ疑問が浮かぶ……サーシャは良いとして、自分の対応は?
サーシャ「あ……そうです。第2の質問ですが、コーヤギーは?」
五和「え? あ、うーん……特に言われてないわ。如何するんだろう」ムムム・・・
サーシャ「……第1の危惧ですが、これ以上、私が此処に居るのは拙いのでは」タラー・・・
確かに。別に自分個人としては構わないのだが、都市的に英国の関与になってしまうのでは無かろうか。
仮にも自分は今回の事件を知ってしまった。もう『無関係者』では無いと思うのだが。
五和「ええっと……如何なんだろう」タラー・・・
浦上「お姉。一応、土御門さんと建宮さんに連絡取ったら?」
五和「そうね……ちょっと待ってて」スッ・・・
立ち上がり、ベランダへ消える五和。
とりあえずこの間に、浦上は夕飯の準備を。自分はサーシャと今後の予想を立てる事にした―――
*****************<五和side>******************
五和「―――……あ、もしもし。私です」Pi!
土御門『ん。何だ?』
五和「少々質問が……サーシャの今後についてです」
土御門『今後? 指令書通りだが……まぁアレはアバウト過ぎるか。具体的にって事だな?』
五和「はい。現状、香焼宅に居るのですが大丈夫でしょうか? 既に香焼にも今回の件を説明してしまいましたよ」
土御門『あー……別に如何でも良いにゃ』ハハハ
五和「え、ぁ……はい?」ポカーン・・・
土御門『如何でも良い。好きにさせろ。まぁ香焼ん家限定でな』
五和「ええっと……英国の干渉にはならないのでしょうか?」タラー・・・
土御門『気にすんな。事が済めば「些細な事」だぜぃ』
五和「はぁ」ウーン・・・
土御門『一応、今回の件を知ろうが知るまいが、香焼はフリー扱いにする。何なら、これからサーシャとデートしようが構やしない』ニャハハ
五和「そ、それは」タラー・・・
土御門『冗談だ。とりあえず好きにさせろ……んー、そうだ。じゃあこうしろ……―――』
736 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/28(水) 01:08:23.96 ID:rlxf2Yfe0
*********************************************
長電話の末、五和が戻って来る。何とも戸惑いの表情。
一体何を言われたのだ。もしかして今すぐ追い出せとかか?
サーシャ「……何と?」チラッ・・・
五和「えっとね……此処居て良いって」
サーシャ「ほ、本当ですか!?」ギョッ・・・
五和「んー……何か私もよく分かんない」ポリポリ・・・
眉間に皺を寄せ、頬を掻く五和。
浦上「そんじゃー、香焼の方は?」
五和「それがさぁ……今一意図が掴めないんだけど」ムゥ・・・
香焼「土御門から言われた事っすか? それとも建宮さん?」
五和「土御門。建宮さんはその事に関して『そうか』だけ」
サーシャ「第3の質問です。一体、何を言われたのですか?」
言葉に詰まりながら、五和は答えた。
五和「サーシャの監視、コウちゃんがしろって」
香焼・サーシャ「「……へ???」」ポカーン・・・
五和「だから、付きっきり。サーシャの好きな様にさせる代わり、コウちゃんが監視だってさ」
香焼「え、あ……意味が分からない」タラー・・・
五和「私だって分からないよ。『下手に都市のホテルに泊まられるより、英国側の監視下(香焼宅)居てくれた方が良いかも』だって」
自分とサーシャはてっきり『自身で此処以外の寝床を確保しろ』とか『理事会指定の下、宿に泊まれ』とか言われるのかと思っていた。
というか都市側の監視は如何なってるんだろう。
五和「それも土御門に一任されてるから、代理で私達だってさ。ただ姫神さんや上条さんと接触する際には別の人間つけるけど、だって」
香焼「そっか……サーシャ、如何する?」チラッ・・・
サーシャ「私の好きにしろ、ですか……急に掌を返されたようで不気味ですね」ウーン・・・
浦上「まぁまぁ。とりあえず泊まっちゃえば? 行く宛ても無いんでしょ?」フフフ・・・
サーシャ「まぁ……しかしコーヤギー。良いのですか?」チラッ・・・
別に構わない。というより、正直危なっかしいこの街にサーシャを一人放り出したくないのが本音だ。
737 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/28(水) 01:26:45.35 ID:rlxf2Yfe0
素直に泊まって良いよ、と伝える。サーシャも御言葉に甘えます、と律義に頭を下げた。
浦上「ふふっ。まぁご飯とか風呂とかは『勝手に食べた』で通せるしネ」フフフ・・・
サーシャ「はい。第1の願望ですが、なるべく私が勝手にやった事として処理して下さい。これ以上、コーヤギーに迷惑を掛ける訳には」コクッ・・・
香焼「気にしなくていいのに」ポリポリ・・・
もあい「んなー」ジー・・・
サーシャは嬉しそうな、悲しそうな、怒っている様な……複雑な表情を見せ、僕に告げた。
サーシャ「……コーヤギー。第1の忠告です」チラッ・・・
香焼「ん?」
サーシャ「貴方の好意は嬉しいですが、自分の立場を弁えて下さい。言ってる意味、分かりますか?」ジー・・・
香焼「え……と」タラー・・・
五和・浦上「「…………、」」コクン・・・
彼女の言葉に同意するといった表情を見せる馬鹿姉2人。
サーシャ「仮にも貴方は英国傘下の人間なのです。敵では無いとはいえ、本来関与してはいけないのですよ」ジー・・・
香焼「それくらい分かってるよ……だけど、もう大丈夫なんでしょ」ウーン・・・
サーシャ「まるで分かってない……冷酷な事を言わせて貰います。ええ、互いの立場をハッキリさせる為にも言わせて貰いましょう」
香焼「……何」
サーシャ「第1の説教です……コーヤギー、貴方は馬鹿だ」ジー・・・
香焼「へ?」キョトン・・・
固まる。五和と浦上は笑う……かと思いきや、真面目な表情。
サーシャ「貴方は組織の人間です。私も、彼女達も組織の人間」
香焼「……分かってるよ」ムゥ・・・
サーシャ「分かってるくせに意図せずして公私を混同させる。貴方は無所属魔術師でも無ければ、上条当麻の様に好き勝手出来る立場ではない」
香焼「……だから、分かってるって」ジトー・・・
サーシャ「分かっていても、公私を混ぜる……そんなんだから任務から外される」ジー・・・
香焼「っ」グッ・・・
サーシャ「……嫌ってくれて結構です。今は、その方が互いの為でしょう」フイッ・・・
目を伏せるサーシャ。彼女の言葉に頷く五和と浦上……悔しいが、正論過ぎる。全部、僕が悪い。
738 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/09/28(水) 01:32:44.46 ID:3IjD41yno
iイ彡 _=三三三f ヽ
!イ 彡彡´_ -_=={ 二三三ニニニニヽ
fイ 彡彡ィ 彡イ/ ィ_‐- 、  ̄ ̄ ヽ 分 ま
f彡イ彡彡ィ/ f _ ̄ ヾユ fヱ‐ォ か る
f/ミヽ======<|-'いシ lr=〈fラ/ !フ っ で
イイレ、´彡f ヽ 二 _rソ 弋_ { .リ て
fノ /) 彡! ィ ノ ̄l な
トヾ__ら 'イf u /_ヽ,,テtt,仏 ! い
|l|ヽ ー '/ rfイf〃イ川トリ / .:.
r!lト、{'ー‐ ヽ ´ ヾミ、 / :
/ \ゞ ヽ ヽ ヽ /
./ \ \ ヽ /
/〈 \ ノ
-‐ ´ ヽ ヽ \\ \ 人
739 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/28(水) 01:42:29.90 ID:rlxf2Yfe0
気拙い雰囲気。浦上が動かす包丁のリズムがやけに響く。
香焼「……ごめん」
サーシャ「謝らないで下さい……怒ってくれて結構ですから」
香焼「……でも、ごめん」
サーシャ「…………、」ムゥ・・・
自分がどんな顔をしているか分からない。だがサーシャの顔は困っているし、悲しそうな表情だった。
五和「コウちゃん……卑怯ね」ハァ・・・
香焼「……は?」チラッ・・・
五和「教えない。でも、卑怯……任務とか関係無しに、女の子にそういう表情向けるのは男として卑怯よ」
香焼「意味分かんない」ジトー・・・
浦上「お姉。言っても無駄……それからサーシャ。貴女も同じだヨ。香焼って人間を少しなりとも知ってるなら……分かるでしょ?」チラッ・・・
サーシャ「……むぅ」ハァ・・・
何だよ……女同士で意思疎通しやがって。
浦上「忠告も大事だけど、香焼には無意味だネ。別の方を素直に言った方が良いかもヨ」フフッ
サーシャ「そう……ですか」ハァ・・・
香焼「だから何を」ジトー・・・
サーシャ「……コーヤギー」ボソッ・・・
困った表情を崩さず、サーシャは告げる。
サーシャ「先程の忠告は訂正しません。マグヌスが言うとおり、貴方は私達にとって『猛毒』ですからね」ジー・・・
香焼「……止めてよ。そういう言い方」
サーシャ「ですが……純粋に、嬉しいです」ポリポリ・・・
香焼「…………、」ムゥ・・・
サーシャ「きっとアニェーゼやアンジェレネ、レッサーなら素直に感謝していたでしょう。『猛毒』を割り切って貴方と付き合ってますから」
ステイル曰く、『君は日蔭者……裏側の人間にとって猛毒でしかない。自分が日向(表)に居ると勘違いする』との事。
そんなのそっちの屁理屈だ。僕だって裏の人間で、組織の一員。勝手な事を言うな。
740 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/28(水) 01:48:16.35 ID:G5yWfCpeo
浦上さんがナゾの中国人みたいだヨ
741 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/28(水) 02:14:33.27 ID:rlxf2Yfe0
サーシャは悲しそうな目で、話を続ける。
サーシャ「やはり……今は感謝出来ません。冷酷な女だと思って貰って結構です」
香焼「そんな事……思わないっす」
サーシャ「っ……兎角、第1の要望です……割り切って下さい」
香焼「分かってる……嘘じゃない」
サーシャ「……信じます」コクッ・・・
目を合わせないまま、互いに納得……するフリをした。
重い空気。気拙い雰囲気。
五和「えっと……如何しよう」タラー・・・
浦上「如何しようっていうかさぁ……空気読めなくて悪いんだけど」ウーン・・・
もあい「にゃん」フシフシ・・・
浦上「何か……割り切りの筈だったのに、近付き過ぎてギクシャクしだしたセフレみたいな会話してるよネ」アハハ・・・
五和「ヴぁっ!!?」ギョッ・・・///
香焼・サーシャ「「っ!!?」」カアアァ///
浦上「にゃはは……あー……ぷふーっ!」クスクス・・・
貴様は何をほざいてるんだ? 打ん殴るぞ?
サーシャ「だ、第1の意見です! わ、私とコーヤギーはそんな関係じゃにゃいでしゅ!」アタフタ・・・///
浦上「噛み噛みー。テンパり過ぎだヨ。だから比喩だってばぁ」ハハハ
サーシャ「だ、第一……せ、せ、せふ……って……その、不純な、快楽目的だけでの……性交は……いけないと思います」モジモジ・・・///
浦上「にゃはは! 可愛いー! サーシャって他のカルテッ娘と違ってウブだネー。まぁアンジェレネもそうかなぁ?」フフフ・・・
五和「ま、まぁ……コウちゃん……せふ……カキタレなんか作らない……と……み、皆平等に愛するんじゃないかな。一夫多妻的な」///
香焼「…………、」ビキビキッ・・・##
サーシャ「い、一夫多妻!? だ、駄目ですよ!! 東方(イスリム圏)では無いのです!」アタフタ・・・///
浦上「そうだよネー。女の子は男の子の『一番』が良いよネー」ニヤニヤ・・・
サーシャ「そ、その通り!! って違ぁー―――うっ!! そういう問題では無く!!」アワワワ・・・///
五和「あらあら……まぁまぁ。甘酸っぱい」ウフフ・・・
浦上「お姉、オルソラさんみたいになってるヨ」ハハハ
サーシャ「む、むきゅぅ……〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」カアアァ///
浦上、貴様には『厳粛殺し(シリアスブレイカー)』の異名をくれてやろう。
あとついでに、表出ろ。粛清だ。
浦上「キャー。怒ったー」ニャハハ
もあい「にゃー」コロコロ・・・
ブチ切れ寸前の僕を五和とサーシャが宥め、この場を落ち着いた。
因みに、先程の重々しい空気はジャブロー辺りに吹っ飛んだらしく、忠告感謝云々なんて話は消え去ってしまっていた。
故に普通の団欒食事がとれ、普通の他愛無い会話をする事が出来た。
まぁ意図したモノかは分からないが……心の中で、浦上に礼を言った。でも、あんま調子乗んなよ?
742 :
>>1
[saga]:2011/09/28(水) 02:52:02.67 ID:rlxf2Yfe0
はい。今回は此処まで。次回は香焼と街に出るかな。もしかして安価取るかも。
余談ですが……香焼はあくまで魔術組織の人間です。だけど完璧に魔術(暗部)組織向きじゃない性格にしてます。
しかし天草式に所属している事を誇りに思っているから、魔術師辞めろとか天草式から抜けろと言われると、ヘソ曲げます。
でも、ステイルみたいなツンデレメンヘラ悲劇の王子気取り少年や暗部から抜け出せないだろうと諦めてる絹旗に対しても腹を立てます。
要は、変な所でプライド高い我儘面倒日和甘ちゃん魔術師です。
>>738
・・・久しぶりに見たwww安西先生可愛いwww
>>740
・・・『電波女と青春男』の前川さんが、少々テンション高めで話してると思って下さい。リトバスの葉留佳並のテンションでw
はい以上。では質問意見感想罵倒リクなどなど、コメント宜しくお願いします。そんじゃまた! ノシ
743 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/28(水) 03:19:49.11 ID:6NC8gP32o
乙!
このお話の上条さんはどんなイメージなのかな?原作通り?
香焼でこのかっこよさだと、原作より更にブーストかかって強くてイケメンな気がするんだけど。
むしろ、そうあって欲しいかも……。
744 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/28(水) 05:35:19.84 ID:poWadnMxo
乙
>>733
でオルソラの名前が出てきたのってミス?
自分がついていけてないだけだったら申し訳ない
745 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/28(水) 12:27:27.78 ID:2u6O+TkDO
おつー。とりあえず‥‥今回も、香焼爆発しろ☆
>>744
細かい事は‥‥と言いたいが、毎度一回誤字・凡ミスするな。まぁもはや愛嬌だけどww
746 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/09/28(水) 22:43:44.64 ID:R4KAOPpS0
乙!
>>741
の恥じらうサーシャが可愛すぎる件について
747 :
>>1
:2011/09/28(水) 22:44:45.13 ID:88UDU01E0
こんばんわ。ちょぴっと書くよ。
・うちの上条さんはフツーの人です。強いていうならねーちんと五和と香焼が惚れてます。
・ミスについて……許したもうて。極力無くす様に努力はするけど、何だかなぁ。
748 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/28(水) 23:03:01.08 ID:88UDU01E0
―――とある4日目、PM09:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
何だかんだで一先ず落ち着き、夕飯食べたり食後団欒したりで、午後9時くらい。
女性組は既に香焼に説教する事は止め、天草式の3人はサーシャを普通の『客人』として持成していた。
さて、お茶を啜りながらテレビを見ている最中、色々大事な事に気がついたので尋ねてみる事にする。
香焼「サーシャ、ちょっと良いかな?」チラッ・・・
サーシャ「はい?」ダバー・・・
緑茶の中に砂糖とミルクを投入する外国人少女。まぁ海外では緑茶をこういう風に飲む人もいるので特にツッコまない。
ただし、アンジェレネレベルの甘々緑茶(リ○ディ茶)は流石にヒく。
香焼「気になったんだけど、今後のプランは? あ、教えられる限りで良いけど」
サーシャ「ふむ……私も少々迷っていました」ゴクッ・・・
浦上「迷う?」ヘ?
サーシャ「はい。第1の困惑ですが、状況が変わり過ぎました。一度整理しなおさねばなりません」ムゥ・・・
五和「確かにね。私も若衆の監視シフト組み直さないといけないし」ハァ・・・
もあい「んなー」コロコロ・・・
確かに色々と面倒臭く……いや、単純になり過ぎた。
これからはスニーキングの様な行動を取る必要は無い。謂わば、直接交渉を持ち掛けるだけで良いのだ。
サーシャは自分のバックから都市の地図を取り出し、テーブルの上に広げた。
サーシャ「あ……五和。改めて、第1の質問です。今此処で私が任務の話をしても大丈夫でしょうか?」チラッ
五和「協力関係にならないかって事? うーん……大丈夫だと思うけど」ポリポリ・・・
浦上「じゃあアレだヨ! 英国を通して、交渉プラン提示を間接的に都市側へ……って事にすれば良いんじゃないカナ?」
五和「あー、そうだね。あくまで相談ではなく事前に監視者の私達へ、サーシャの計画を私達に伝えておくって事にすれば良いよ」コクッ
物は言い様だが……特に口出しはしない。2人の言う事は間違って無いからね。
サーシャは一言『ありがとう』と感謝を述べ、今後の計画について考え始めた。
749 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/29(木) 00:30:11.33 ID:hCLw235s0
サーシャはまず、現在地に○を点ける。
そして元から点けてあった赤○……『幻想殺し(上条さん)』宅との距離や交通手段を考え始めた。
香焼「あれ? 姫神さん……『吸血殺し』に直接行かないの?」
サーシャ「改めて第1の回答ですが、私は彼女の家を知りません」
香焼「あ、そっか」フム・・・
五和「だから彼女と縁が深い上条さんを頼ろうとしてたのよね」
サーシャ「肯定です。改めて第1の補足として、そのまま交渉の協力も頼もうかと思っていました」
成程。彼なら二つ返事で了承してくれそうだ。姫神さんとの交渉も楽に終わる。
浦上「……あー、ちょっと気になったんだけどさ」チラッ
サーシャ「はい」コクッ
浦上「禁書目録、大丈夫?」
五和「え?」
如何いう意味だ。
浦上「いや、今回の件に多少なりとも彼女を参加させるのは如何なのかなぁって。というか上条さんもだけど」
五和「あ……如何だろう。確認してみる」
交渉が許されているの『対姫神さん』であって、上条さんではない。
一応、上条さんの所属は都市側なので助力を請う際は、上の許可を取らなければならないのかもしれない。
加え、禁書目録は非常に中途半端な立ち位置に立たされている。上条さんが絡むとなると、嫌が応にも関わる可能性だってある。
香焼「五和。禁書目録の件については、自分がステイルに聞いてみるっす」
五和「了解。それじゃあ私は土御門だけね」
席を立ち、ベランダへ向かう五和。
サーシャ「……申し訳ありません。御手数おかけします」ペコッ
香焼「気にしないで。多分、このくらいは大丈夫だと思うから」
浦上「まぁサーシャの『禁止事項確認』を私達が代理したって事にすればOKだヨ」コクッ
もあい「みー」トコトコ・・・
別に英国・学園都市の不利益になる様な事はしてない。寧ろ事前にその手は取らない為に確認している分、善良な交渉人だろう。
兎角、僕はこの場でステイルに電話を掛ける事にした。
750 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/29(木) 00:55:35.72 ID:hCLw235s0
今英国は丁度お昼の筈。仕事で忙しくなければすぐ電話に出るだろう。
2,3コールの後……彼の落ち着いた声が聞こえた。
ステイル『―――……何だ』Pi!
香焼「こんにちは……開口一番怒られるかと思ってたよ」ハハハ・・・
ステイル『……用件を言え』
『また貴様は余計な問題を!』とか怒号が飛ぶものと思っていたが、案外冷静らしい。内心ホッとする。
ただ機嫌が悪いのか、何だか冷たい感じの声だった。
香焼「では……補佐殿に質問っす」
ステイル『だったら五和から建宮に通して、僕の所まで繋げ。組織の人間なら立場を分かっているだろう。公私を分けろ』
香焼「すいません、急なもので……サーシャの代理っすから」
ステイル『っ……携帯は……使えないんだったか』ハァ・・・
隣でサーシャが小さく頷いた。
ステイル『仕方ない。言ってみろ』
香焼「あ、はい。今回の件、禁書目録に知られるのは拙いっすか?」
ステイル『あの子に?』フム・・・
香焼「はい。サーシャが上条さんに姫神さんとの仲介を頼めた場合、禁書目録とも接触する可能性がありますから」
ステイル『……少し待て』ガチャッ・・・
保留音。多分、最大主教に話を持っていったのだろう。仕方あるまい……禁書目録は英国のS級重要事項だ。
一寸後、保留音が止み『待たせた』とステイルの声が戻った。
ステイル『上条当麻は如何でも良いが、彼女との接触は極力控えろ』
香焼「え?」
ステイル『今回の件の解決手段にあの子の知識は使わない。主教の方針だ』
香焼「いや、彼女には話を振らない筈っすよ」
ステイル『口では如何とでも言える。あと、上条当麻が少しでもあの子に今回の話をすれば嫌が応にも推理が始まる』
香焼「むぅ……それはそれで、早期解決に繋がる様な気が」ウーン・・・
ステイル『君は、主教の考えに口出しするのかい?』
香焼「……いえ、出過ぎた真似をしました。すいません」
自分は所詮、一、平教徒に過ぎない。図に乗ってはいけないのだ。
751 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/29(木) 01:19:32.35 ID:hCLw235s0
ステイルの言葉、英国からの注意をサーシャに伝え、電話に戻る。
香焼「以上っす」
ステイル『そうか』
香焼「あ……ついでに、ちょっといい?」
ステイル『……私用か?』
半々だ。自分とサーシャが気になっていた事を尋ねる。
香焼「アニェーゼ達の処遇は?」
ステイル『……処刑(ロンドン)塔送り』
香焼・サーシャ「「っ!!?」」ギョッ・・・
ステイル『……にしてやりたかったよ、個人的にはね』チッ・・・
香焼「お、脅かさないでよ」ホッ・・・
ステイル『脅し? あのな……彼女達は戦争の引鉄に指を掛けていたんだぞ! そして貴様もな!』ガッ!!
香焼「っ……ごめんなさい」タラー・・・
装っていた冷静の仮面が剥がし、遂に感情を表立たせてしまったステイル。
ステイル『チッ……とりあえずアニェーゼとアンジェレネは謹慎と罰金だ。嘱託のレッサー、ランシスは罰金上乗』
香焼「そう……あれ? ランシスも?」キョトン・・・
ステイル『ああ。誰かさんの代わりにカルテッ娘のリザーバーだとさ』ッタク・・・
サーシャ「…………、」ポリポリ・・・
ステイル『以上か? では切るぞ』
多分、ステイルが彼女達の事を庇って、罰を緩めてくれたのだろう。
香焼「うん、ありがとう。助かったっす」
ステイル『褒められる謂われは無いな……香焼』ボソッ・・・
香焼「ん?」
ステイル『君は…………いや……何でも無い……じゃあね』Pi!
含みを残して一方的に電話を切ったステイル。一体、何だったのだろう。
とりあえず自分の電話が終わる少し前に、五和の方も終わった様だった。
752 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/29(木) 02:07:34.94 ID:hCLw235s0
部屋に戻ってきた五和は指で『OK』サインを作り、上条さんとの接触許可が出た事を示す。
サーシャはホッと胸を撫で下ろし、再度地図に向き直った。
サーシャ「問題は禁書目録ですね」ウーン・・・
香焼「何なら上条さんにアポ取ったら?」
サーシャ「どうやって?」
香焼「如何って……別に自分がメールしても良いし、五和がメールしても良いし」
サーシャ「では、お願いしましょう」
了解、と五和は上条さんにメールを入れた。
内容は『明日、お時間ありますか? 英国からの大事なお話です。禁書目録は抜きでお願いします』との文章。
数分後……返信。
五和「『大丈夫だけど、補講があるから遅くなるよ。放課後でも良いか?』……だってさ」
サーシャ「第2の質問ですが、大体何時でしょう?」
五和「通常授業が終わるのは4時前くらいで、補講となると……大体5時くらいが丁度じゃないかな」
サーシャ「了解です。ではその時間に……場所は……ふむ」ウーン・・・ジー・・・
浦上「そのまま上条さんの学校で良いんじゃないの? 一緒に『吸血殺し』も居れば、色々手間も省けるし」
確かに、説明と交渉が一度に済むな。
五和「そんじゃ『明日5時過ぎ、上条さんの学校付近で待ち合わせ』……これでOKね。送信っと」Pi!
香焼「うん。何とか明日のプランが立ったね」
サーシャ「はい。存外順風で驚きました」コクッ
浦上「ふむふむ……因みに、服は如何する? 今のままじゃ外歩けないヨ」
サーシャ「……そういえば」タラー・・・
今の彼女は着る服が無い。因みに原因は僕。
一昨日の、彼女の救急の際……思い出すのは止めよう。色々アウトだ。とりあえず服を破いた。
香焼「あー、自分の服で良ければ貸そうか?」
サーシャ「そ、それは、ちょっと……サイズは合うかもしれませんが……その」タラー・・・///
香焼「え?」ポカーン・・・
五和「ニブチン……ドンマイサーシャ」ハハハ
サーシャ「ベ、別に、えっと……っ……だ、第3の質問です! 浦上の服は借りれませんか?」チラッ
浦上「良いけど、大きいんじゃないカナ?」ポリポリ・・・
困った……下らない且つ根本的なミスだ。如何しよう。
753 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/29(木) 02:34:47.57 ID:hCLw235s0
ふと、『そんじゃあ』と浦上が告げた。
浦上「明日買ってきなヨ」
香焼「は?」
浦上「だからお買い物してきなって。5時まで暇なんでしょ?」
サーシャ「で、ですが、その買い物に行く服さえありませんよ」タラー・・・
浦上「まぁそこまでは……香焼の服で我慢しなよ。ちょっとだけ、ね」ニヤニヤ・・・
サーシャ「……むぅ」///
サーシャがそれで良いなら構わないが。
五和「じゃあついでに、デー……街中ブラブラしておいでよ。2人で」フフフ・・・
サーシャ「っ!!?」ドキッ・・・///
五和「ほらぁ。ウラの言うとおり時間潰しとー、一応監視って事で香焼一緒にねぇ」ニヤニヤ・・・
浦上「さんせー! 香焼、明日学校休んでソッチの任務だヨ!」チラッ
香焼「……何だかなぁ」ハァ・・・
それって都市的に大丈夫だろうか。
五和「問題無い問題無い。サーシャも折角来たんだし、色々見ておいで。『暇潰しに外出ただけ』って報告しとくからさ」ニヤリ・・・
サーシャ「…………、」タラー・・・///
浦上「と、いう訳で……香焼、エスコートよろしくー」ポンッ・・・
香焼「え、エスコートって……監視だろ」タラー・・・
五和「細かい事は良(ry ちょっとゴダゴダ多過ぎたし、少しくらいリフレッシュしたって神様は怒らないわよ」フフッ
もあい「にゃー」ペシペシッ
この楽天家め……まぁでも、サーシャが少しくらい楽しみたいというのであれば、付き合おうか。
流石にアミューズメントパークなんかは許可できないけど、散歩や喫茶店に寄りたいというのであれば問題無かろう。
浦上「ほら。サーシャ、良かったネ」ニコニコッ
サーシャ「……よ、宜しくお願いします」モジモジ・・・///
香焼「え、あ、うん……何で緊張してるの?」ポカーン・・・
五和「まぁまぁ。カミやん病は放っておいて……言ってみたい場所とかリクエストしときなよ」
人を病気持ちみたいに言うな。
さておき、サーシャは地図をジーっと見詰め出し……とあるお店を指差した。
サーシャ「それでは……とりあえず、ホームセンター行きたいです」ビシッ!
もあい「みゃー!」カリカリ・・・
絶対、趣味の拷問具(工具)買う気です……仕事で来たんでしょ。
何やら勝手に盛り上がる女子組を余所に、僕は明日の準備をする事にした。明日は無事でいられますように。
754 :
>>1
[saga]:2011/09/29(木) 02:36:05.65 ID:hCLw235s0
はい。すいません。今回は此処まで。
次回から五日目かな。とりあえず、コメよろ。では、ノシ!
755 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/09/29(木) 11:05:26.31 ID:9FhHLNjAO
乙〜。
やっとタイトルにたどり着きましたね
756 :
>>1
[saga]:2011/09/29(木) 22:32:03.15 ID:hCLw235s0
こんばんわ。続きー!
757 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/29(木) 22:47:19.70 ID:hCLw235s0
―――とある5日目、AM07:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
一晩明け、交渉当日の朝。
昨晩は五和と浦上も泊まってくれたので、最愛の時(第D話)の様な問題騒ぎにはならなかった。
軽めの朝食を取り、今日の日程確認へ。
浦上「その前にー、香焼。いや、サーシャかな?」フム・・・
サーシャ「如何したのですか?」チラッ
浦上「下のポストに手紙来てたヨ。宛名はサーシャにネ」スッ・・・
香焼「……誰から?」エ・・・
浦上「それは自分で確認しなヨ」ハイッ
というか、いつの間に玄関に行ったんだ。てか、僕ん家のポスト勝手に漁んな馬鹿。
浦上「ダイジョブ、ダイジョブ。香焼は疚しいモノをポストに届く様しないでしょ」ハハハ
香焼「黙れ馬鹿」ジトー・・・
五和「……とりあえず開けてみたら」チラッ
サーシャ「はい……英語?」フム・・・
宛名からして英語。そして本文も全て英文だ。
サーシャ「『親愛なる侵入者様へ』……洒落た真似を」ムゥ・・・
もあい「なぅ?」ジー・・・
香焼「自分らも見ていいの?」
サーシャ「少々お待ちを……―――……多分、大丈夫です」スッ・・・
1人でザッと読み終えたサーシャは、手紙をテーブル上に広げた。
五和「『from Sisters』……これって、妹達(シスターズ)から?」タラー・・・
香焼「『修道女』じゃないだろうね……というか、多分妹達を通した海原さんからだと思う」コクッ
PCで書かれた様な、綺麗なペン書き。僕達はそれを読み通した。
758 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/29(木) 23:24:32.08 ID:hCLw235s0
それは業務連絡と、励ましの内容だった。
『サーシャ=クロイツェフさま。
こんにちは。本日は生憎の雨模様です。この度、我々が与えた傷は痛みませんか?
本来、見舞と謝罪を入れるべきなのかもしれませんが、貴女に槍を向けたのも我々の任務。そういう訳にもいきませんので、ご了承を。
さて、此処からは業務連絡です。これからの都市側の対応をお伝えします。
まず先日の様に、貴女に対して迎撃姿勢を取る事はありません。その点はご安心を。
その代わり、といっては何ですが、貴女の周囲に監視を付けます。監視者は我々(妹達)です。
ただし、監視といっても付き纏う訳ではございません。遠目から監視を行います。分かり易くいえば、先日の天草式の様に、です。
それから、交渉の際に<立会人>を設けさせて貰います。その点も監督者としてご了承ください。
それ以上の関与は致しません。交渉までの間、暇が出来るようでしたら都市を観光して回っても構いません。無論、問題行動を起こさずね。
では交渉が貴女方と我々、互いの友好・利益に繋がる様、期待しております。
妹達より』
何ともまぁ、律義なもので。
サーシャ「信用できるでしょうか?」フム・・・
香焼「大丈夫だと思う。あの人達、そんなに悪い人じゃないし」
サーシャ「……コーヤギーが言うのであれば、信用しましょう」コクッ
パタンっと手紙を畳み、鞄の中へしまう。
それから、昨日色々チェックを点けた都市マップをテーブルに広げ、日程の確認を始める。
サーシャ「では……まず第1の確認です。交渉時刻は午後6時、場所は第7学区○○(いつものイカれ自販機の在る)公園」ピッ・・・
五和「ええ。その際、上条さんには姫神さん(吸血殺し)も連れてきて貰える様、お願いしてあるわ」
サーシャ「感謝します。次に第2の確認です。その後、私は第3〜第14学区間のホテルに向かいます」
確か『同志(協力者)』に合流するのだったか……それ、僕らに話して良いのか?
サーシャ「それは……第1の願望です。できればオフレコで」チラッ・・・
香焼「……自分の判断では決められないっす。五和?」チラッ
五和「まぁ何の為に向かうのか次第ですね……都市と英国に不利になる事は出来ないから」
サーシャ「いえ。ええっと……『血』を提供して貰えた場合、その同志にそれを渡します」
浦上「ロシアへの運び屋ってとこ? 速達の?」
サーシャ「多分、その様な人物かと。正直、私も詳しく聞かされてはいません。SVR(対外情報局)とだけ」
五和「……サーシャとその人物が接触する際、監視をつけても大丈夫ですか?」
サーシャ「はい。別に疚しい事は無いので」コクッ
もあい「んなー」ペシペシッ
寧ろ、まったく見覚えの無い工作員と2人きりにされるよりも、僕達が見守っていてくれていた方が安心する。
苦笑しながらそう告げたサーシャ。僕らもつられて苦笑い。
759 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/30(金) 00:35:17.62 ID:kUY1xXv50
とりあえず、仕事の確認は終わった。次に空き時間の予定についてだ。
五和「そういえばサーシャ、任務終わったら如何するの? 協力者に『血』渡すまでが仕事なんでしょ?」
サーシャ「『血』の提供が可能であれば、ですけどね……どちらにしろ、休みだそうです」
浦上「休暇? ロシア帰るの?」
サーシャ「うーん……好きにしろと言われています一旬(10日)は、特別休暇と」
これだけ密の濃い特別任務だ。正当な対価だろう。
浦上「じゃあサ! 少し都市観光していけば?」
サーシャ「ワシリーサ……上司にもそう言われました。ですが、その」ムゥ・・・
香焼「何か?」
サーシャ「……第1の不安として、お金が殆どありません」ハァ・・・
そういえばタクシーの修理代で殆ど吹っ飛んだとか嘆いてたな。
五和「まぁそういう事なら貸してあげるよ……コウちゃんが」チラッ
香焼「そ、そこは自分が貸すって言うとこだろ!」タラー・・・
五和「だってコウちゃんの方が貯蓄あるじゃん。全然給料使ってないみたいだし」フフフ・・・
香焼「お前の方が高給取りだろ!」ジトー・・・
浦上「まぁまぁ。お姉は倹約家に見えて衝動買いするタイプだから」ハハハ
サーシャ「あのー……別に貸して頂かなくとも」ポリポリ・・・
香焼「あ、いや……大丈夫。観光するってなったらお金貸すから」ハハハ・・・
浦上「やったねサーシャ! 香焼が観光費用全部持ってくれるってヨ!」ニヤリ・・・
香焼「なっ!?」ギョッ・・・
五和「流石コウちゃん! おっとこ前〜!」フフフ・・・
もあい「みゃー」フシフシ・・・
コイツら……カオリ姉さんと建宮さん、対馬さんに言いつけてやる。
サーシャ「え、えっと……第2の不安を述べてもいいですか?」ポリポリ・・・
香焼「うん。コイツら放っといていいから」ハァ・・・
サーシャ「はぁ……では第2の不安です。その……これだけ迷惑掛けた私が、都市に長居しても大丈夫でしょうか?」ウーン・・・
五和「多分、大丈夫よ。別にもう敵対してるって訳じゃないし」コクッ
浦上「そだネ。さっきの手紙を見てもなるべく遺恨は無しにしようって書き方だったじゃん」ウンウン
サーシャ「……なら、考えます」コクン・・・
律義というか、お堅いというか……彼女らしいな。
760 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/30(金) 01:02:33.31 ID:kUY1xXv50
もしそれでも気になるというのであれば、都市ではなく日本内を観光してくれば良い。
日本全国僕らの仲間(隠れ十字教派)は居るし、東方(ロシア・ギリシア)成教会系の支部だって日本にはある。
サーシャ「それも考慮しましょう……ですが」ウーン・・・
香焼「まだ不安あるの?」
サーシャ「不安というか、心配というか……第1の懸念です。私の仲間(殲滅白書)が、まだ戦っています」コクン・・・
自分だけ休んで良いモノか、後ろめたさが有るという事か。
浦上「まぁそりゃ心配だよネー」
五和「そういう事なら無理に引き留めたりしないけど……でもせめて1日2日くらい都市でゆっくりしていったら?」
サーシャ「……現場の状況を見て判断します」コクン・・・
五和「そうね。私達でもモルドバ・ドニエストルの状況を仕入れて貰って、貴女に伝える」
サーシャ「感謝します」
NATO側とWTO側の関係に関わる事件・問題だ。確かに心配だろう。
自分がワーカーホリック的な考えをしている最中、五和と浦上が何やらサーシャに耳打ちしていた。
浦上「あ! 勿論、泊まるとなったら此処(香焼宅)使っていいからネ!」ゴニョゴニョ・・・ニヤリ・・・
サーシャ「え、あ、その」オドオド・・・///
五和「ふふふ……大丈夫。その場合は私達、来ないから……2人きりで、ね?」ニヤニヤ・・・
サーシャ「っ!!?」カアアァ///
浦上「フフフフフ。これを期に、アニェーゼ達と差をつけても良いんじゃヨ? 既成事実も……うふふ」ボソボソ・・・イヒヒ!
サーシャ「ば、馬鹿な事を言わないで下さい!!」プシュー・・・///
五和「まぁコウちゃん陥落させるのは米国国防省(ペンタゴン)攻略するより難しいけど、頑張りなって」クスクス・・・
浦上「後でフェロモン多めの香水とブース、貸してあげるネ」ニヤニヤ・・・
頼むから碌でもない事サーシャに吹き込まないでくれ。
サーシャ「あ、う……し、しかし……その……ひ、卑怯じゃないでしょうか?」アタフタ・・・///
浦上「ダイジョーブ。ばれないばれない。もし後ろめたいなら、正式にお付き合いしましたって事にすればおk」フフフ・・・
サーシャ「そ、それは、まぁ……し、しかし私はレッサー達とは違って、その……『そういう知識』は皆無です」モジモジ・・・///
五和「心配無い心配無い。全部コウちゃんに委ねなさい……まぁ『そこ』まで持ってけたらだけどね」ニヤリ・・・
サーシャ「で、ですが……婚前前に、その……せ、せ……せく……情を交えるのは」カアアァ///
五和「今時ローマでもそんなにお堅くないってば。安心してニャンニャンしちゃいなさい」フフフ・・・
サーシャ「あ、ぅ」//////////////////////////////////////
そこまでだ馬鹿共。
五和・浦上「「あ痛ぁ!!」」ゴツンッ!!
もあい「みゃー」ペシペシッ
まったく……やっぱ後で説教だ。カオリ姉さん込みでな。
761 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/30(金) 01:39:10.55 ID:kUY1xXv50
喧しい馬鹿1号2号を鋼糸(ワイヤー)で縛り上げた後、何故か頬を赤らめるサーシャの方を向いた。
ホント、一体何言われたんだか。
サーシャ「え、と……優しくして下さいね」モジモジ・・・///
香焼「はぁ?」ポカーン・・・
サーシャ「あ、え、いや、な、何でもありません!! 今のは忘れて下さい!!」カアアァ///
香焼「お、おぅ……とりあえず、確認の続きしよう」ポリポリ・・・
サーシャ「は、はい。そうですね」アハハ・・・///
再び地図に戻る。
五和「ふがががふがふががー! ふがががががふががふががー!(私達の縄解けー! 話し合いなら参加させろー!)」ジタバタ・・・
浦上「ふが、ふががががふがふががががふが?(てか、猿轡までする必要ある?)」ジトー・・・
香焼「うっせ。黙ってろ」ギュッ!!
五和「ふがあああぁっ!! がっ、ふがふががががふがふ!! ふがぃ!(痛あああぁっ!! ちょ、この縛り方止めて! 痛い!)」イデデ!
浦上「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふが?(変則小目掛け縛り+逆海老縛りのコンボ……何処で覚えたの?)」
香焼「五和黙れ!」グイッ!!
五和「ひぎぁっ!! ふ、ふがふがふふふ……ふが、ががふ……(じょ、冗談抜きで……股、痛い……)……ふぐぅ!!?」ビクンッ!!
浦上「……ふがぁ。ふががががふがふがが。(お姉。黙ってた方が良いよ)」チラッ
『対お前ら用』として、対馬さんに教わりました。黙ってないともっと際どくするぞ?
サーシャ「……何だか、私の普段着ている修道服の様な恰好ですね」タラー・・・
香焼「あー、まぁ日本古来の縄縛術だからね。放っといて良いよ」ヤレヤレ・・・
サーシャ「はぁ……しかし、キツそうですよ。あと……映像化したら色々危ない」タラー・・・///
香焼「コイツらの際どい姿見たって嬉しくない。あ、もし五月蠅かったら足首と両脇から出てる縄(ワイヤー)踏んでやれば黙るから」ゲシッ!
五和「ひぎいいいいいぃ!! ふ、ふがああぁ……ふ、ふがががぁ。(お、お股がぁ)」ビクンッ!!
サーシャ「や、止めときます」ダラダラ・・・
それじゃ、もあいを五和の上にでも置いておこう。
僕らは五和の豚の様な悲鳴をBGMにし、確認作業へ戻った。
サーシャ「で、では第3の確認です。とりあえず5時までは街中をぶらつくという事で」
香焼「うん。第7学区内でね……始めに服買いに行った方が良いんだよね」
サーシャ「はい。第1の要望として、まずは街中を歩ける服を所望します。香焼の服を借りるのは……その」ポリポリ・・・
香焼「あはは。まぁずっと男モノ着てるのはヤダよね」コクッ
サーシャ「そういう訳ではありませんが……ちょっと、恥ずかしいです」モジモジ・・・
普段の修道服(?)の方が恥ずかしいと思うが、まぁ言わないでおいてやろう。
もあい「みー」ツンツン・・・
五和「ふぁ!? ふが……ん……ふががががぁ!! ふ、ふがあ……んっ……ふぁっ……んんんっ! ふ、ひぎぁああああっ!!」ビクビクッ!!
もあいに色んなとこを突かれたり舐められたり、縄を弄られたりして騒ぐ五和。うっさい、黙ってろ。
762 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/09/30(金) 02:41:05.20 ID:kUY1xXv50
さておき、服以外に買いたいモノはあるだろうか?
サーシャ「ホームセンター」キッパリ!
香焼「あ、うん……他には?」タラー・・・
サーシャ「工具店」キッパリ!
香焼「……他」ダラダラ・・・
サーシャ「石村屋」キッパリ!
もっと、こう……女の子らしい店は? いや、せめて観光客らしい所とか。
サーシャ「ふむ……特に。もし浮かんだら歩いている内に決めます」コクッ
香焼「そだね。それが良いかも」ポリポリ・・・
サーシャ「あ。第2の願望ですが、もし在るなら為替両替にも行きたいです……ルーブル換金出来る銀行ありますか?」
香焼「え? お金貸すよ?」
サーシャ「一応、可能であれば金銭の貸し借りはしな方が良いと思いまして……例え友人間でもね」
香焼「まぁ確かににね」クスクス・・・
それでは午前中の内に服屋と理事銀(学園都市銀行)に向かおう。それからお昼を挟んで色々回ればいい。
でも多分、ホームセンターで5時間くらい潰れると思うけど。
サーシャ「本来はクレジットカードを使えれば良いんでしょうけど……都市の通貨は『円』でもないですからね。非常に厄介です」ムゥ・・・
香焼「確かにね。自分らも財布使い訳で厄介だよ」ハハハ
サーシャ「第1の質問ですが、今、1ルーブル辺り幾らくらいですか?」
香焼「今は都市通貨=1,6円くらいで、1ルーブル=2,4円だから……1ルーブル=1,5都市通貨だね」
サーシャ「ふむ……買い物する分にはラッキーですね」フフフ・・・
確かにルーブルは強い貨幣だからなぁ。それなりに安定してるし。
都市通貨は一応、円から離れ過ぎなよう日本政府から勧告を受けている為、2倍以上にはならない様押さえつけられているらしい。
まぁ経済談義をする必要も無かろう。
香焼「今は8時前……それじゃあ9時半くらいに出発しようか。今自分の服持ってくるね」テクテク・・・
サーシャ「申し訳無い。自身の服を購入し次第、すぐ着替えますので」コクッ
香焼「あはは。そんなに気にしなくていいよ。とりあえずシャワー浴びてきな」テクテク・・・
サーシャ「了解です。シャワーお借りします」テクテク・・・
学校には公欠の連絡はついた。さて……監視任務という名の観光案内、頑張りますか。
浦上「ふぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふががふがが、ふがががが。(はぁ……私達は、遅刻だね)」ヤレヤレ・・・
もあい「にゃんっ」グイッ・・・
五和「ひぁっ!! ふぎぃ……っ……ふ、ふが(も、もう)……んんっ……ふふがふ(許して)……ふぎぃ!!」グデェ・・・ヒクヒクッ
冷静に半ば遅刻を覚悟している浦上と色々ヤバい眼になって色々流れてる五和を無視し、出かける準備を進めた。
763 :
>>1
[saga]:2011/09/30(金) 02:43:36.94 ID:kUY1xXv50
はい。短いですが此処まで……長編なっちまったなぁ。なるべく800前には終わらせたい。
次回は安価取るかもです。ではまた! ノシ”
764 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/09/30(金) 11:43:33.19 ID:2tvAdQVuo
都市通貨?
上条さんが自販機で普通に2000円すられてなかったか?
765 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/30(金) 12:35:26.90 ID:lH5gBykDO
なんか五和がネチョい事なってる‥‥歪んだ義姉弟愛で五和が何かに目覚めるんですね! 良いぞもっとやれwwww
>>764
wikiより・・・日本国内なので日本円が通貨として使われているが、内部で流通する貨幣は学園都市内に設けられた造幣局から独自に発行されている。学園都市製の貨幣にはICチップが埋め込まれ、使用履歴が読み取れるようになっている。
また、学園都市内では独自の税制が施行されている。税率は一律ではなく、人口の8割が学生である事や勉強が本分である事から、漫画や菓子といった子供向けの嗜好品に高い税が課せられている。その代わり、学食や教材といった学生生活に必要な物は格安となっている。
主に、一定の水準まで型落ちした科学技術を外部の企業に輸出するなどして莫大な資金を得ている。そのため学園都市内の経済は基本的に豊かである。
とりあえず『独自の税制』=都市通貨、って事じゃなイカ?
766 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/01(土) 09:27:34.71 ID:3/pskIYIO
土御門の別人っぷりがやばい
そして型月ワード盛りだくさんで型月厨の俺大歓喜
767 :
>>1
[saga]:2011/10/01(土) 19:46:26.86 ID:cizlhlyt0
こんばんわ。ボチボチ書くよー。
・都市通貨について……
>>765
さんの言うとおり特税と勘違いしてました。スマソ。何とか修正掛けます。
・土御門について……キャラ崩壊は御了承を。土御門が使う『真面目口調』と『チャラけ口調』の分け方が難しいっす。
・型月について……魔法・魔術モノを書くなら参考にしない筈がない! なんつって(笑)
出来ればE話今日で終わらせたい。では投下!
768 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/01(土) 20:20:34.75 ID:cizlhlyt0
―――とある5日目、AM09:15、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・
時刻は9時過ぎ。
そろそろ出掛けようと思ったのだが問題が生じた。流石に、僕の私服を適当にサーシャに着せるのは可哀想だという事である。
個人的にはそこまでファッションに凝らないし、天草式特有の『偶像術式』の関係上、恰好良い悪いで服装を定めたりしない。
サーシャ「あまりにブっ飛んで無ければ、そんなに気にしませんよ」コクッ
もあい「んなぅ」フリフリ・・・
と言ってくれるが、何だか申し訳無い。
仕方ないので、もはや遅刻確定の2人を鋼糸(ワイヤー)から解放し、今僕が持っている私服の中から女子にも合うようコーディネートさせる。
浦上「ぷはぁ! 苦しかったー。やっと解放されたヨ……うわぁ、鋼糸の跡残ってるし」フィー・・・
五和「」ヒクヒク・・・
香焼「ほら、さっさと選んで。これ以上遅れたら拙いでしょ」ジトー・・・
浦上「はいはい。そんじゃあー……―――」キョロキョロ・・・
半分白眼剥いてる五和は放置し、浦上にコーディネートを任せる。
数分後……完成。
7分袖Oネックシャツに半袖パーカー。それからピッチリ目ジーンズ。まぁまぁ普通だ。
サーシャ「むぅ……第1の感想ですが、恥ずかしいです」モジモジ・・・
浦上「んーアレだ。カオリ姉さんと同じく『私服恐怖症』だネ!」ハハハ
もあい「みー」ペシペシッ
説明しよう。
『私服恐怖症』とは……普段まともな私服を着ない人間が、普通の服を着るのを恐れたり恥ずかしがる症状である。
因みに、普段がブっ飛んだ服を着ていれば着ている程、比較的普通と呼ばれる服を恥じるのだ。
サーシャ「わ、私は上司に普段着せられている服が非常識だという事くらい自覚してます!」アタフタ・・・///
浦上「でも着てるよネ?」ニヤニヤ・・・
サーシャ「そ、それは、命令で仕方なく」ウー・・・
浦上「労働組合とか人事部に言えば良いのに。でも言わないって事は……フフフ」ニヤニヤ・・・
サーシャ「ち、違……うぅ」チラッ・・・
香焼「……助けを求めないで」タラー・・・
貴女の『修道(いつもの)服』については、何も申せません。
769 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/01(土) 21:10:59.67 ID:cizlhlyt0
真面目に2限には遅刻出来ない、と浦上は五和を何時の間にか着替えさせ、ヘルメットを二つ準備した。
浦上「あ。私服買うならセブンスマートの『この店』行っておいで。此処に置いてる服ならこの街で自然と振る舞える筈だから」ポンッ
香焼「あ、うん」
その後、浦上が五和を引き摺りながら登校(遅刻)する。
さて、では僕らもそろそろ出ようか。
サーシャ「あの、改めて第1の質問ですが、猫さんは?」
香焼「もあい? ベランダ開けとけば勝手に何処かに遊びに行くよ」
サーシャ「……此処、かなり高い階ですよね?」タラー・・・
香焼「まぁ上手い具合に階段側に飛び移るんじゃないかな?」
もあい「んなぅ」コクコクッ
猫のする事に対して一々細かい事は気にしてられませんよ。
香焼「とりあえず第7学区に向かおう。そろそろ丁度良くバスが来るっす」
サーシャ「はぁ……了解です」コクン・・・スッ・・・
香焼「ちょ、そ、その帽子(ベール)は被っちゃダメ」タラー・・・
サーシャ「え?」ポカーン・・・
香焼「色々おかしいよ。そのままで良いから」ハァ・・・
サーシャ「しかし……落ち着かないのです。流石に何から何までいつもと違うと」ウーン・・・
まさに私服恐怖症だな。こりゃいかん。
香焼「何も被らない方が新鮮だよ。健康的で明るく見えるっす」スッ・・・
サーシャ「あ、勝手に……し、仕方ありませんね」///
もあい「みゃー」フシフシ
無理矢理ベールを取り、帽子掛けに掛ける。
因みに、武器の携帯はさせていない。あくまで『交渉』の使者という姿勢は崩させたくないからだ。
一寸後、僕らは都市バスに乗り、第7学区へ向かった。
770 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/01(土) 21:41:08.95 ID:cizlhlyt0
※訂正:セブンスマート ⇒ セブンスミスト
*********************************************
―――とある5日目、AM11:30、学園都市第7学区、セブンスミスト・・・・・・
第7学区に入り、まずは理事銀(都市銀行)本店へ向かった。
開店時間から貸し借りだ投資だ、と忙しなく動いている巨大バンクだが、案の定、一般向けコーナーはガラガラだった。
まぁ学生が主体となるこの街で、授業時刻に一般窓口を使う人間なんてそうそういない。
サーシャは物の数分で為替両替引き落としを終了し、次いでセブンスミストへ向かう事とした。
サーシャ「しかし、何とも」キョロキョロ・・・ウーン・・・
香焼「如何したの?」
サーシャ「第2の感想ですが、コンクリートジャングルとはまさにこの事ですね」ジー・・・
高層ビルや高速道、風車(風力発電機)を見て、率直な意見を述べる彼女。
確かに、僕も初めてこの街に入った時は同意見だった。
サーシャ「ですが、思っていたより五月蠅くは無い」キョロキョロ・・・
香焼「まぁ車の普及率は少なめだからね。子供主体の街だから」
サーシャ「ふむ、なるほど」コクコク・・・
大人の人口が2割に満たない学園都市。車の保有数が少ないのも道理だろう。
更にもう一つ、騒がしくない理由として……今日が平日。つまり学生が授業中だという事であった。
サーシャ「改めて、第1の確認ですが、確かコーヤギーも学生なのですよね?」チラッ
香焼「一応ね。でもあくまで天草式の潜入学徒だから」
サーシャ「ふむ……第1の疑問です。では実家地元にも、コーヤギーが通う学校があるのでしょうか」
香焼「中学生だし義務教育だから基督教学院(ミッションスクール)に名前は置いてるよ」
サーシャ「成程。ただし、天草式に所属している為、出席免除になる……この様な感じでしょうか?」
香焼「そうだね。サーシャは?」
サーシャ「改めて、第1の回答です。飛び級……といえば聞こえが良いでしょう」ハハハ・・・
香焼「……ごめん」
サーシャ「いえ。謝らないで下さい」フフッ
彼女の生い立ちは知らないが、多分、ステイルみたいなものだろう。
彼がそうである様に、また彼女も『愛国者』なのだ……生らざるを得なかったのだと思う。
771 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/01(土) 22:05:04.92 ID:cizlhlyt0
さておき、目的地に到着。予想通り客数は少ない様だ。
仮に居るとしても、この人絶対学校行ってないな的な女子高生と暇を持て余した大学生くらいである。
サーシャ「第3の感想ですが、存外普通のデパートですね」キョロキョロ・・・
香焼「一体どんな店を想像してたのさ」アハハ
サーシャ「いや、まぁ異次元がドカーン的なものを」
香焼「いやいやいや。人の住む町だからね」タラー・・・
そげぶ(そんな幻想ぶっ壊せ)。
香焼「えっと、浦上に渡されたお店は……4階か」チラッ
サーシャ「改めて、第1の質問です。何というお店ですか?」
香焼「『BneCONOMO(ビーネコノモ)』だって」
サーシャ「はぁ……どんな感じの服なんでしょうね」
行ってみれば分かる筈。僕らはエレベーターで4階まで登り、店を探して回った。
登ってから気付いたのだが……このフロア、女性向けばかりだ。ぶっちゃけ居辛い。
サーシャ「ん? あそこでは?」チラッ
香焼「……そうだね。行っておいで。自分は自販機コーナーで待ってるよ」
サーシャ「は?」ピタッ
香焼「え?」キョトン・・・
サーシャ「へ?」ポカーン・・・
香焼・サーシャ「「…………、」」ジー・・・
ついて来い、と?
サーシャ「寧ろ、ついて来ないと?」ジトー・・・
香焼「えー……如何見ても、男子禁制の雰囲気っすよ」ダラダラ・・・
サーシャ「では、第2の疑問です……監視が、監視対象から離れるのですか?」ジトー・・・
香焼「ぐっ……ひ、卑怯だぞ」ダラダラ・・・
サーシャ「いえ、正当な意見を述べたまでです。さぁ行きますよ」グイッ
香焼「……うぅ」タラー・・・
強引に手を引かれ、如何にも『女の子』なお店に連れ込まれた。
自分にとって、この手のお店はトラウマでしかないのだが……仕方あるまい。
772 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/01(土) 22:20:06.33 ID:cizlhlyt0
いらっしゃいませ、とバイトのお姉さん的な人がレジから顔を覗かせた。
カオリ姉さんや麦野さんくらいに見える……多分、大学生だろう。
サーシャ「んー……改めて第1の質問ですが、此処は如何いった服を置いているお店なのでしょう?」キョロキョロ・・・
香焼「えっと……何だろう? 私服っていうより、制服の類に見えるけど」キョロキョロ・・・
つまり、彼女に制服っぽい服を着せて『森の中の木』状態にしろという訳か。
しかし既存の制服ではないが大丈夫だろうか。逆に目立ちそうな気もする。
とりあえず店内を見て回ろう。
サーシャ「…………、」キョロキョロ・・・
香焼「良いのあった?」チラッ
サーシャ「うーん……如何なんでしょう」キョロキョロ・・・
香焼「……え?」
サーシャ「……分かりません」キョロキョロ・・・
何それ?
サーシャ「第1の、暴露ですが……私、その……私服を持ってませんから」タラー・・・
香焼「…………、」タラー・・・
ずっと『あの修道服』なのか?
サーシャ「へ、変な想像しないで下さい! 寝る時くらいは寝巻きに着替えます!」アタフタ・・・
香焼「その、言っちゃ悪いけど……サーシャの上司さんってさ」タラー・・・
サーシャ「悪くないです。変態です、ド変態です。死ねって感じです。残念ながら死なないですけど」ムゥ・・・
どんな上司なんだ。興味本位で一度見てみたい。
サーシャ「第1の警告ですが、絶っっっっっっ対ッ! 駄目っ!!」ガシッ!!
香焼「へ?」タラー・・・
サーシャ「まず会う事は無いでしょうけど、もしアレに会う機会があったとしたら……第1の注意として、リアルに貞操の心配をしてください」
香焼「な……何それ」ダラダラ・・・
サーシャ「第1の予想ですが『2人目のショタ……いや、男の娘ゲットぉーーーー!!』とか訳分からない事口走る筈です」タラー・・・
なにそれ、こあい。
773 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/01(土) 22:40:10.44 ID:cizlhlyt0
サーシャの身内会話で盛り上がっている最中、1人の店員さんが、僕らに近づいてきた。
店員「こんにちは。何か気にいった服はありましたか?」ニコニコッ
香焼「え、あ、いえ。その……あはは」
サーシャ「…………、」ペコッ
店員「もし分からない事があれば相談に乗りますよ。必要であればサイズ等もチェックします」
気さくに話しかける店員さん。まず平日最中、学生っぽい僕らが店に来ている事に疑問を感じないのだろうか。
まぁ金になるのであれば、そんな細かい事はきにしませんよ、という事なのだろうか。
とりあえず、ファッション云々が分からない2人なので、店員さんにお任せするとしよう。
香焼「えっと、知り合いの紹介でこの店来たんすけど……全然如何いうお店か知らされてなくて」アハハ・・・
店員「お知り合い? どなた様でしょうか? 此方で存じ上げていれば、対応し易いんですが」
香焼「浦上っていうんすけど。あと五和っす」
店員「うらかみ、いつわ……ああ! 麦野さんのご紹介ですね! かしこまりました」フフフ
香焼「え?」タラー・・・
店員「麦野さんが連れて来てくれた子なら忘れる訳がありませんよ。あの清楚な姉妹でしょう?」
外面は清楚ですが、内面はヘドロです。
店員「それなら麦野さんが監修して下さった服が宜しいですね」
サーシャ「コーヤギー、第2の質問です。先程から出てくる『ムギノ』とは?」ハテ?
香焼「えっと……カオリ姉さんの都市での友達」アハハ・・・
サーシャ「え!? 神裂に友達がいるのですか?!」
姉さんが聞いたら泣き出します。
店員「神裂さんって、あの巨乳で美人なお姉さんね! 貴女の知り合いなんだぁ」ヘェ!
香焼「まぁその……姉みたいなもんっす」アハハ・・・
店員「あらあら! じゃあサービスしなきゃね!」フフフ
何故か勝手にテンション上がりまくりの店員さん。
というか、麦野さん……アンタ超能力者ってだけじゃないの? ほんと、何者ですか?
774 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/10/01(土) 22:44:50.34 ID:b6HpuhDGo
繊維崩しですね
775 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/01(土) 23:37:49.38 ID:cizlhlyt0
一寸後……店員さんがカタログを見せてくれた。
大体のイメージを掴んで欲しいとの事。
サーシャ「むぅ……難しいです」ポリポリ・・・
店員「フツーの制服もあれば、ブレザーも有るし、セーラー服チックなのもありますよ」
サーシャ「第1の要望として、派手過ぎないのが良いです」
店員「色はどんなのが好き?」
サーシャ「第1の回答ですが、映える色なら赤や黄色が。基調とするなら黒っぽいのや茶色っぽいのが好きです」
結局、いつもの修道服(格好)ですね。
サーシャ「……何ですか、その目は?」ムゥ・・・
香焼「いや、らしいなーって」ハハハ・・・
サーシャ「んもー……では第3の質問です」チラッ
香焼「何かな?」
サーシャ「コーヤギーは、この中の型だったらどれが良いですか?」スッ・・・
香焼「自分で決めなよ。サーシャが着るんだし」
サーシャ「いいから」ジー・・・
先程のカタログの中を指差す。決まらないから僕に決めさせるという訳か。では……―――
@薄茶色の少し大きめなカーディガン・ネクタイ・紺基調のチェックスカート・黒タイツ
AAK○風ブレザー・赤基調のチェックスカート・ニーソー
B黒のベスト・赤基調のスカーフ&チェックスカート
>>778
776 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[hage]:2011/10/01(土) 23:40:35.49 ID:TP30r8uGo
踏み台
777 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/10/01(土) 23:41:53.31 ID:2PILXMjdo
ksk
778 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/01(土) 23:42:33.85 ID:/U2WzYuDO
A
779 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/02(日) 00:16:58.91 ID:9O2E82Bc0
―――……それじゃあ、今流行りの感じで。
サーシャ「了解です。では、この服を」チラッ
店員「はい、分かりました。きっとお似合いですよ」フフッ
サーシャ「ええ」ニヤリ・・・
香焼「……ん?」タラー・・・
店員「サイズは150……よりレディースのSにしておきましょう。それで、貴女は如何しますか?」
サーシャ「第1の注文として、私はこの赤茶の制服でお願いします。あ、薄めのタイツと茶色のローファーもあれば買います」
店員「かしこまりました。貴女は小物、何かチェンジしますか?」
香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」ポカーン・・・
店員「お客様?」
香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」タラー・・・
あんだって?
サーシャ「コーヤギー。質問されてますよ」チラッ
香焼「え……いや、は? えっと……ちょ、待……いやいやいやいやいやいやいやいやっ!!」アタフタ!
店員「はい?」ポカーン・・・
わけがわからないよ。
香焼「ちょ、な、何故自分に!?」ギョッ・・・
店員「え?」
サーシャ「はい?」
香焼「ハァ?」
香焼・サーシャ・店員「「「…………、」」」ピタッ・・・
何それ、怖い。
サーシャ「コーヤギー……第1の注意ですが、お店に入って何も買わないでは失礼ですよ」ポンッ
香焼「な、だ、おかしいでしょ!? 第一自分は――」アタフタ・・・
店員「おかしくないですよ。お姉さん方もお綺麗でしたし、貴女も十分可愛らしいです。自分に自信を持って、ね」フフッ
香焼「そ、そういう問題じゃ無くて! 自分は――」ダラダラ・・・
サーシャ「コーヤギー。折角ですから、ね?」ニヤリ・・・
こんにゃろぅ。面白がって……怒るぞ!
サーシャ「あ、会計はカードで彼……女の分も一括にしておいて下さい」スッ・・・
店員「かしこまりました。少々お待ちを」フフフ・・・
香焼「総スルー!!?」ギャー!!
サーシャ「あと第1の願望として、できれば此処で着替えていきたいです。あ、彼……女は結構ですので」
店員「あら、勿体無い。貴女も着替えていけばいいのに」ウーン・・・
止めて下さい。これ以上の虐めは……社会的に死にます。
780 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/02(日) 00:37:11.13 ID:9O2E82Bc0
数分後……結局、買わされた。しかも、おまけに……
店員「―――うん! やっぱり可愛いわよ!」フフフ!
香焼「」カアアァ/////////////////////////////////////
サーシャ「見せてー。見せて下さーい」ウーン!
無理矢理、試着させられた。何故男だと気付かん?
因みに、サーシャが必死に試着室の中を覗こうとしたが必死に阻止して貰った。それが試着の条件だからである。
店員さんが満足したところで、急いで着替える。
店員「ふふっ。ありがとうございした。また来てね」ニコニコッ
サーシャ「はい。機会があれば是非に」コクッ
絶対に二度と来ません。
店員「あ! そうだ……はい。これプレゼント」スッ・・・
サーシャ「え?」キョトン・・・
店員「シュシュよ。綺麗なウェーブ掛った金髪だから、この藍色の似合うと思うわ」フフッ
サーシャ「……ありがとう」フフッ
僕は要りません。男です。
店員「貴女は……もう少し髪伸ばしてからね。あ、でも花飾りなんかは似合いそうね」ジー・・・
サーシャ「ではそれを」チラッ
香焼「要りません!」キッ
店員「そう? じゃあヘアピンか何かを」
香焼「着けません!」キッ
サーシャ「ふむ。第1の意見です。彼……女は、頭に何も着けないタイプの様ですから」
店員「じゃあ……やっぱりシュシュで良いわね。腕に嵌めておくだけでアクセサリーになるもの。2人御揃いのにしてあげるわね」
だから、そういう問題じゃないと何度言えば。
サーシャ「お、御揃い……ですか」フム・・・///
店員「分けた方が良い? 折角一緒に来たからと思って」
サーシャ「……こ、コーヤギーが宜しければ、ハイ」モジモジ・・・///
香焼「もーなんでもいーっす」ハァ・・・
店員「あらぁ。百合百合ってヤツかしらぁ」キマシタワー
せめてノーマルカップルにして下さい。そろそろ心が折れそうです。
781 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/02(日) 01:33:28.86 ID:9O2E82Bc0
―――とある5日目、PM01:00、学園都市第7学区、とある大通り・・・・・・
何故か女性物の買い物袋を右手に、そして貰ったシュシュを左手に嵌め、街へ出る事に。
無論、返品したい気持ちは山々だったが既に代金を払ってしまっていた為、言い出せなかった。
そして更に、僕が『男だ』と暴露する素振りを見せようとする度にサーシャが怒り狂いそうな、泣き出しそうな……
何ともいえない表情と雰囲気を醸し出すので、やっぱり返品できなかった。
因みにサーシャも、シュシュを髪には着けず、僕と同じ様に左手に嵌めている。結べば良いのに。
サーシャ「良いんです。私の勝手ですから」フンフフーン♪
香焼「はいはい……てか、後で金返すからね。それからコレ、サーシャ持ちかえって私服にしなよ」スッ・・・
サーシャ「第1の返答ですが要りません。手間賃だと思って下さい……あと女の子からのプレゼントを無碍にする男子は最低ですよ」ジトー・・・
香焼「プレゼント……???」ハァ?
サーシャ「第1の節介ですが、ちゃんと五和達にも私がソレをプレゼントしたって事、伝えますからね」フフフ・・・
勘弁して下さい。色んな意味で死んでしまいます。
サーシャ「やれやれ。注文の多い人ですね」ハァ・・・
香焼「どっちがだ……それより、昼食如何する? 何か食べたいモノある?」
サーシャ「うーん……特には。日本食は英国で神裂に何度か食べさせて貰ってますから」
香焼「じゃあ中華とか韓国料理は?」
サーシャ「第2の確認です。私の祖国は?」
香焼「……成程。隣国の料理はしょっちゅう食べてるって訳だね」
サーシャ「肯定です。第1の補足として、韓国料理は肉が多いので苦手です」
そういえばサーシャは、刺激濃い物や化学調味料多めの物が苦手だったな。
それじゃあ簡単にパンでも食べよう。確か近くにプラント麦を使ったヘルシーを売りにしてるパン喫茶があった筈だ。
サーシャ「……プラント麦?」
香焼「うん。名前の通りプラントビルで栽培された麦だよ」
サーシャ「それは……何だか身体に良くなさそうですね」タラー・・・
香焼「逆だよ。プラント内を野菜に取って最適な環境に変えて栽培してるから、理想的な作物が育つんだって」
分かり易い例えをすると、廃棄汚染が無かった頃の空気・水・光で作られた諸々、といった感じだ。
サーシャは興味半分疑い半分といった感じの目をしている。まぁ食べてみれば分かるだろう。
結局、数分後……彼女は頬が落ち、逆に体重が増しそうなくらいパンやケーキを頬張っていた。
782 :
>>1
[saga]:2011/10/02(日) 01:48:48.34 ID:9O2E82Bc0
すいません。幼女が泣いてるので今回は此処まで。
次回終わりたいなぁ……アンケ! サーシャが行きたいお店!
@\石村屋!/的なモノが置いてある作業・業務用本格店
A一つ一つの工具(金槌、鋸など)に魂籠る老舗の金物店
B『曰憑き』を取扱う少々ダークな雰囲気の中古・骨董店
Cその他(工具に関係ある感じで)
協力よろしく! それでは! ノシ
783 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
:2011/10/02(日) 01:50:40.04 ID:qNuuXShAO
B
784 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/10/02(日) 02:20:31.61 ID:z0gux+OAO
乙です。
アンケはAで
785 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/10/02(日) 02:55:31.57 ID:13zgLI5Mo
乙でした
Aでよろしくー
786 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[saga sage]:2011/10/02(日) 06:44:01.29 ID:yR2Kf4uUo
乙です
Bで
787 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/02(日) 10:19:37.97 ID:+x0i842Vo
1
788 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/10/02(日) 10:27:26.69 ID:X6Jn9bIAO
2で
789 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/02(日) 11:07:08.05 ID:xjSUffXDO
@ \石村屋!/
あと本格的に女装・男の娘フラグが立ったねww
790 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/02(日) 11:15:43.02 ID:fqQNN0wHo
3で
791 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/10/03(月) 20:14:42.06 ID:mqbrGBeD0
Bで
@:2票
A:3票
B:4票(ここを入れて)
792 :
>>1
[saga]:2011/10/03(月) 23:02:15.52 ID:Qpgc50i70
こんばんは……続き書きます。集計ありがとね……Bで書きます。
私的な余談ですが、禁書に全く関係無いけど……ナツブラ(21)が終わるっぽいので、アンニュイな気分です……
それとは別に相談なんですが、そろそろ投稿ネームでも考えようかなぁと。
単なる思い付きなんで
>>1
のままでも別に良いんですが……何か良い案あります?
さておき、投下! 半オリ(クロスオーバー的な)出すけど、ご了承を! そんじゃスタート!
793 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/03(月) 23:25:55.64 ID:Qpgc50i70
―――とある5日目、PM02:30、学園都市第7学区、商店街・・・・・・
腹も膨れた所で、サーシャが一番楽しみにしているお店へ向かう事にした。目的のモノは……所謂、工具。
本人曰く、『私の杖です』との事だが、如何見たって工具類である。
尤も、これらは『処刑(ロンドン)塔の七つ道具』といって、実際に拷問で使われる道具だ。
サーシャが普段愛用しているそれらは魔術的な付加が掛けられているとの事。
香焼「でもさぁ」ウーン・・・
サーシャ「はい?」チラッ
香焼「魔術師っぽくないよね」ハハハ・・・
サーシャ「……第1の反論ですが、存在そのものが魔術師らしくないコーヤギーには言われたくありません」ジトー・・・
カチンっときたが……我慢してやろう。
サーシャ「それに改めて第1の補足ですが、アレらのベースは魔女狩り用の拷問具……いわば、英国のスタイルに影響されているのですよ」
香焼「あー、なるほど……でも何でそんなの選んだの? アニーみたいに魔女っぽい(?)杖でも良いじゃん」
サーシャ「改めて第1の回答……いや、テンプレですが、上司の趣味です」ハァ・・・
もはや何も言うまい。
香焼「でも、今日は何欲しいの? プ○ズマカッターのマガジン(※@)は定期的に補充してるよね」
サーシャ「第2の回答ですが、火炎放射気や釘打ち機、射出型ノコギリなどを生で見てみたいのです」キラキラ・・・
香焼「……さいですか」ハァ・・・
例え上司の趣味であっても、彼女にとってはすっかり染み付いた考えというわけで……相変わらず工具類を主武装にするのが好きみたいだ。
まぁ科学最先端技術を駆使した工具類が置いてある、この街のホームセンターは彼女にとってまるでテーマパーク感覚なのだろう。
※@・・・『あまくさっ!』第5話参照。
サーシャ「コーヤギーだって、高周波ナイフ(※A)買って喜んでたじゃないですか」ジトー・・・
香焼「べ、別に良いだろ」ムゥ・・・
サーシャ「第1の意見ですが、どっちもどっちです。同じ危険物を『杖』代わりにする同志でしょう」フフフ・・・
確かに『0』が6つも付いた高級ナイフを買ったのは事実。何も言い返せない状況だった。
※A・・・第D話参照。
794 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/03(月) 23:46:04.13 ID:Qpgc50i70
さておき、この学園都市にも他の街と同様に大型ホームセンター、業務用ホームセンターの様な店は多々在る。
日本で有名なチェーン店や、都市独自の工具店など。
市場原理に基づいて他の店と差を付けようと、低価格で勝負したり、最先端機具を取り入れたり様々だ。
香焼「それで、目当てのお店は?」
サーシャ「任せます。というか、この街素人の私にそれを聞きますか?」ジー・・・
香焼「そーですね」ハハハ・・・
では如何しよう。色んな店を回って歩こうか?
しかしサーシャの性格上、一つの店に連れて行ったら最後。約束の時間ギリギリまでその店に腰を据えようとするだろう。
香焼「うーん……最新工具が見たいんだよね?」
サーシャ「第2の意見ですが、別に最新では無くとも構いません」
香焼「そうなの?」
サーシャ「ええ。第1の説明ですが、正直、今使っている『杖』は結構ボロボロなのです」
香焼「まぁ……確かに」タラー・・・
サーシャの『杖(バール等)』をマジマジ見た事がある。
『魔術師の杖(ステッキ)』と銘打ちながら、明らかに鈍器として使用した形跡が……しかもかなり年季が入ってボロボロになってる。
君は一体これで何をしたの、と聞いた事があるが黒い笑みを浮かべ黙秘された。こわーい。
香焼「それじゃあ、普通のバールとか鋸とか鉈とかペンチとか……そんなのも置いてる店で良いかな」
サーシャ「ええ……出来れば壊れ難いモノを所望しますよ。普通の工具類では長期間、魔術付加に耐えられないのです」ヤレヤレ・・・
それは都市の道具を使っても同じです。多分、貴女の魔力と使い方が荒過ぎるのだと思いますよ。
サーシャ「むっ! 第2の反論ですが、使い方はまだしも魔力は荒くなど無いです。寧ろ、自身の魔力は高尚だと自負してます」ムンッ!
香焼「訂正。君の魔力は膨大なの。へっぽこ魔術師の自分でも分かるっすよ」
サーシャ「……ひ、否定はしません」ムムム・・・
ステイルも認める魔力値だ。多分、サーシャの『内生るモノ』は世界でも指折りの魔力量なのだろう。
サーシャ「わ、私の魔力云々は如何でも良いんです! さっさと行きましょう。時間が無い」ジトー・・・
香焼「はいはい。急ごうねー」テクテク・・・
しかし、改めて考えると……最新工具を扱いつつ業物も取り扱う店なんて、この街に在ったかなぁ?
795 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 00:06:36.12 ID:cS565wnB0
無闇矢鱈に探すのも難なので、携帯を使って検索する事にした。
まぁそう都合良く条件が一致する店など無いだろうけど、出来るだけ彼女の需要を叶えてやりたい。
香焼「因みに、最新と業物だったらどっちが良いの?」
サーシャ「第1の疑問ですが……ドチラが魔術付加に耐えられるのでしょう」
香焼「どっちもどっちだと思うよ」ポリポリ・・・
サーシャ「……では、お任せします」コクッ・・・
仕方ない。ナビに従い適当に行きつく先にしとこう。この辺だと……路地裏?
香焼「こっちか……こんな道、あったっけ?」キョトン・・・
サーシャ「え?」ポカーン・・・
香焼「うーん……でも店在る場所はこの路地裏抜けた先だなぁ」ムゥ・・・
サーシャ「改めて第1の質問です。潜入学徒の嘗帳(都市地図)には無い道なのですか?」
香焼「まぁ良くある事だよ。この街は常に変わるっていうか、進化してるし……でもこの道?」ウーン・・・
一応、最重要区画である第7学区は全て網羅している筈なのだが……知らない道だ。
香焼「……やっぱ別のとこにしとこうか」チラッ
サーシャ「ふむふむ……第3の意見ですが、面白そうです。もしかして『此方側(オカルト)』的な建物かもしれませんよ?」フフフ・・・
香焼「三沢塾みたいに? 本当にそうだとしたら危ないよ。都市側の許可取って、土御門の指揮下で調査入らないと」ウーン・・・
サーシャ「行きますよ」テクテク・・・
香焼「あ、ちょ……はぁ」ヤレヤレ・・・
意気揚々にサクサク進むサーシャ。この後大事な交渉があるっていうのに、何で別の事でノリノリなんだか。
まぁ自分の杞憂である可能性の方が高いし、とっとと店に行って、幼児を済ませてしまおう。
香焼「……でも」キョロキョロ・・・
路地裏に、誰も居ない。
普通の街なら当たり前の事だが、此処は学園都市。路地裏といえば浮浪者や不良、武装無能力者集団(スキルアウト)が屯しているのが常。
だが、まるで人気が無いのだ。人気だけではない。まさに無機質感。
不安になり、サーシャを見るも相変わらず楽しそう。この感じに気付いてないのか?
サーシャ「いえ……第3の回答ですが、何と言えば良いのでしょうか……冒険の匂いがプンプンします」フフフ・・・
香焼「やっぱり魔術的な?」
サーシャ「さぁ。しかし、この街の『感じ』ではないモノを感じます。楽しみですね」ニコニコッ
なぁにそれ?
というか、僕の携帯ナビは如何なっているのだ? これ、携帯会社に修理出して直るモンなのかな?
796 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 00:26:33.72 ID:cS565wnB0
一寸後、裏路地を抜けた。
そこは多少拓けてはいるが、店の様なモノは見当たらない。在るのは無駄に高いビルと、その間から見える一本道、それから上空の青色だけ。
サーシャ「第4の意見ですが、確実にホームセンターは無さそうですね」フム・・・
香焼「ねぇ。戻らない? 嫌な予感がする」タラー・・・
サーシャ「そうですか? 私は逆に良い予感がしますけど」ニヤリ・・・
香焼「……でもさぁ」ポリポリ・・・
サーシャ「やれやれ。第5の意見です……安心して下さい。コーヤギー一人くらいなら守り切れますから」フフッ
その台詞は、男として如何なのだろう。
サーシャ「メインヒロインが何を言ってるのですか?」ボソッ
香焼「は?」ポカーン・・・
サーシャ「あ、え、いや、何でもありません……改めて第1の提案ですが、とりあえずナビに従って進みましょう」テクテク・・・
よく分からないけど……今、サーシャ……魔術使えないんじゃね? とか言ってみる。
サーシャ「第4の回答ですが、別に杖等無くても術式は組めますよ。有れば面倒な手間を省けて楽なだけですからね」
香焼「……はぁ」ポリポリ・・・
サーシャ「んもー。心配症ですね……ほら、もう少しでナビが示す場所ですよ」チラッ
香焼「本当に店が在れば良いけどね」タラー・・・
在ったとしても、こんな場所に在る工具屋といったらまず個人経営だろう。
しかも都市開発以前から在る、旧西東京先祖代々受け継いだ土地を売り払いたくないとかいう類の頑固親父が営む店とか。
何にしろ、不安が募るばかり。
サーシャ「ん……あそこですね」チラッ
香焼「え? 本当にあるの?」タラー・・・
店……というより、一軒家? 独特の塀に囲まれた奇抜なスタイルの家(?)が建っていた。
香焼「……これ、入れないでしょ?」タラー・・・
サーシャ「ナビは?」チラッ
香焼「え……あ……此処、指してるけど」ウーン・・・
サーシャ「では入りましょう。第6の意見ですが、ナビの所為にしとけば言い訳できます」
香焼「いやでも、明らかに工具屋じゃないっすよ……大人しくホームセンター行こうよ」
サーシャ「まったく、チキンくんですね……第1の命令です。良いからついてきなさい」グイッ
香焼「うわぁ!?」ギョッ・・・
結局、その家の敷地へ足を踏み入れてしまった。
797 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 00:52:05.08 ID:cS565wnB0
敷地の中は、何処にでも在りそうな庭で……何処にも無さそうな雰囲気。
家の形は何処にでもありそうな和洋折衷な感じで……何処にも無さそうな造形。
サーシャ「……何でしょうか」キョロキョロ・・・
香焼「分かんない……でも、出た方が良いと思う」タラー・・・
工具とか何とか、そんなのは別にしても、此処に長居してはいけない。そう思う。
サーシャ「ふむ……行きましょう」テクテク・・・
香焼「っ!? ちょっと!」ガシッ!
サーシャ「……何か?」
香焼「何かじゃないよ! 何処行く気?!」タラー・・・
サーシャ「第5の回答ですが、無論、この店? 家? どちらでも構いませんが、戸を叩きに」
香焼「な、何考えてるのさ! 拙いって! 普通の民家だったら如何するの?」ダラダラ・・・
サーシャ「第6の回答ですが、間違いましたごめんなさい、で良いでしょう。何をそんなに焦ってるんですか?」
いや、その……兎に角、入っちゃダメな気がする。あくまで勘だけど。
サーシャ「杞憂ですよ……コーヤギーが来なくても私は行きますけどね」テクテク・・・
香焼「と、都市の暗部の隠れ家とかだったら!」タラー・・・
サーシャ「ありえません。もしそうだとしても、重要人物たる私においそれと手出しは出来ないでしょう」
香焼「…………、」タラー・・・
そういえば、妹達は僕らを追跡けてきている筈……彼女達が僕らに忠告しないという事は、そういう危ない場所では無いのか?
しかし、不安だ。
サーシャ「すいませーん」トントンッ
香焼「ヴぁっ!? か、勝手に叩くな!!」アタフタ・・・
サーシャ「コーヤギー。第1の注意ですが、五月蠅いですよ……少し大人しく―――」
がらりっ・・・・・
香焼・サーシャ「「―――っ!!」」ピタッ・・・
突如、玄関が開いた。その中には……誰も居なかった。
798 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 01:14:25.56 ID:cS565wnB0
絶対にヤバい。今度こそ確証した。
無理にでもサーシャを引っ張って帰らないと……戻れなくなる気がする。
サーシャ「勝手に開いた? 監視カメラか何かで何処からか見ているのでしょうか……第1の予想ですが、誘っているのでしょうね」フム・・・
香焼「い、いや、そうだとしても、それに乗っちゃダメだって!」アタフタ・・・
もはや、科学か魔術かも疑わしい。
香焼「か、都市側(科学)だったらまだしも魔術師だとしたらホント拙いって!」ダラダラ・・・
サーシャ「第7の意見ですが、魔力反応は……『読み取れません』。科学だと予想立てて入りましょう」テクテク・・・
香焼「か、科学でも、狂気染みてる」キョロキョロ・・・
サーシャ「あぁもう。女々しいったらありゃしないです……私一人で行ってきますよ」テクテク・・・
香焼「ちょ、待……分かったよ」ハァ・・・
如何してこう、カルテッ娘の連中は思いっ発ったら吉日タイプばかりなのだ。困ったモノである。
結局、家(?)の中へ上がり込む羽目に。
香焼「中は普通の……いや、立派な御屋敷かな」キョロキョロ・・・
サーシャ「第2の予想ですが、この後……科学的な意味での<ゾンビ>がウジャウジャと沸いて出てくる展開が」フフフ・・・
香焼「サーシャ……その発想はキャーリサ様のゲームに付き合い過ぎだよ」
ゾンビは魔術的な化け物、って昔の君なら訴えてる筈なのになぁ。
サーシャ「いえ。第1の想像ですが……実は●ンブレラ製薬は学園都市と提携し、◎-ウィルス的なモノを!」ニヤニヤ・・・
香焼「勘弁してよ。何か出来そうで怖いし」タラー・・・
サーシャ「ふふふふ……そこの角を曲れば……ヤツらが!!」
はいはい、そりゃ怖―――
????『あぁああぁっ……肉〜……人間だぁ』バッ!!
香焼「っ!!?」ギョッ!!
サーシャ「で、出たああああああああぁっ!! ゾンビいいいいいいぃ!!」ギャアアアアァ!!
―――いに決まってるだろ!! いきなり電気が消えて異形の存在が現れたらビビるわ!
??『血〜……血ぃ吸うたろか〜』ヨタヨタ・・・
??『がおー! 食ーべーちゃーうーぞー!』ウガー!
サーシャ「きゃあああああああああああああああああああぁっ!! 家畜人○プーぅううううううぅっ!!」ギャアアアアアアァッ!!
香焼「何そのチョイス!? って……あれ?」ジー・・・
???『ボルシチ怖いぞおおぉ〜! ついでに純正ウォッカも怖いぞおおぉ〜!』バアアァッ!!
サーシャ「いやあああぁっ!! こ、コーヤギー!! ウォッカを! ウォッカを投げつけて下さい!!」アタフタ!!
んなモノ持ち合わせてる筈無いだろ……というか落ち着いてコイツら見てみろ。
799 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 01:34:15.64 ID:cS565wnB0
とりあえずサーシャを落ち着かせ、目の前の『ヤツら』を冷静に分析させる。
???『ぎゃお〜! シルバークイックだぞ〜!』シュッ!シュッ!シュッ!
??『ぎゃーす! しるばーくい……え? シルバークイックって何?』キョトン・・・
??『クイックシルバーなら知ってるよー。ポルターガイストみたいなものだよー!』
??『それなら知ってるー! ねぇシルバークイックってなぁに?』キョトン・・・
僕達に聞かないで下さい。
香焼「というか、電気点けて下さい!」
????『きゃー! 怒ったー!』キャーキャー!
サーシャ「え、あ、こ、これは?」ポカーン・・・
香焼「いやいや……如何見たってゾンビのメイクしただけの女の子っすよ。こっちは布被った幽霊の真似してるだけ」ハァ・・・
宛らオバケ屋敷の真似事か。迷い人を脅かすのが彼女達の趣味らしい。
電気を点け、僕らの拍子抜けした顔を見て、ケラケラ笑い出した。
???『あらら、ばれちゃったぞ』アハハ
??「ばれたー! すぐばれちゃったー!」アハハ!
??「ばれてーら! ばってーら!」アハハ!
双子と……未だに布を取らない一名。そして状況を掴めない僕ら。
サーシャ「え、は? な、何が起きて……ふぇ?」ポカーン・・・
香焼「え、えっと……勝手に入った事は謝ります。すぐ帰りますので」ペコッ
???『えー? 折角来たのにもう帰るのかぁ?』ジー・・・
香焼「……其方の意図は分かりませんが、此方も意図無しで歩み寄ってしまっただけっすから」ペコッ
その言葉に、ゾンビの恰好をした双子が反論した。
??「ううん。意図は在ったはずだよ」
??「ううん。必要だから着たんだよ」
香焼「は?」ポカーン・・・
ミステリラスな事を告げる双子。サーシャは未だに放心状態。
800 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 02:05:54.81 ID:cS565wnB0
暫時、茫然状態。だが目の前の三名はキャッキャと騒いでばかり。
サーシャ「だ、第3の予想ですが……幻術、でしょうか?」ポカーン・・・
香焼「さぁ?」タラー・・・
わけがわからないよ。
戸惑う僕ら。敵意は無い様なので、逆に如何アクションを起して良いかも分からない。
先程の意味深な言葉も気になるが……キツネにでも抓まれたか?
??「キツネさーん! こんこんっ!」ピョンピョンッ!
??「あれれ? キツネさんって鳴くのかな??」ウーン・・・
???『キツネは鳴くんじゃないぞ! おでん屋の親子見れば分かるだろ』ハハハ
????「「あー、喋るねー」」ハハハ
意味不明な会話。やはり速やかにこの場を立ち去るべきだろう……そう考えた時だった。
奥の方から足音。はしゃぐ三名も振り向く。
サーシャ「だ、第1の実況です……今度は普通の男性、でしょうか?」タラー・・・
香焼「如何だろう」ジー・・・
大陸服に……エプロン(?)を着けた変な恰好の眼鏡男。歳は若くも見えるし、老いた様にも見える。
??「お前らっ!! いつまで遊んでるんだよ!」ガー!
????『怒ったー!』キャー!!
??「人が手を離せないから好き勝手して……いつもの様に客間に通しとけっての!」ジロッ
???『まぁまぁ。これは少々意趣を凝らしてだなぁ』フフフ・・・
??「黙れ潰れ饅頭」バッ!
???『きゃー! えっちぃ!!」キャー!
????「「きゃー! すけべぇ!」」キャー!
香焼・サーシャ「「っ!!?」」ギョッ・・・
??「喧しいっ!! 客が驚いてるだろ!! 少し黙っとけ!!」ウガー!
男性が布を払った中には……人形(?)が、動いていた。
??「ったく……これは失礼しました。お恥ずかしい所をお見せしましたね」
??「おみぐるしーところを!」ビシッ!!
??「失敬失敬!」ビシッ!!
??「黙ってろ」ワシャワシャ!
????「「きゃー!」」ジタバタ!
とりあえず……説明下さい。
801 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 02:20:55.68 ID:cS565wnB0
一寸後、何やかんやで客間に通された。
不思議な感じな部屋。サロンの様な、鳥かごの様な……兎角神秘的だった。
??「はぁ……本当に申し訳ない」ペコッ
香焼「い、いえ」タラー・・・
??「普段は何事も無く此処に通すか俺が来るのを待たせるかするんだけどね……相当暇だったんだろう」ヤレヤレ・・・
何だろう。とても苦労人の臭いがする。
サーシャ「あ、あの……質問、宜しいでしょうか?」ボソッ
??「ん? どうぞ」チラッ
サーシャ「では、第1の質問です……此処はお店ですか?」
??「一応。それから、俺が店主……かな」フフッ
簡潔に答える男性。僕らは此処に辿り着いた経緯を説明した。
店主「ふーん……まぁ必要だったんじゃないかな」スッ・・・
香焼「はぁ……えっと、此処工具屋じゃないんすか?」キョトン・・・
店主「工具を限定して置いてはいないよ。まぁ工具もあるだろうけど」
サーシャ「だろう?」
店主「此処は何でも有るし、何にも無いよ」
香焼「謎掛けっすか?」タラー・・・
店主「そうかもね」フフッ
随分曖昧な人だな。しかしまぁ、色々聞きたい事があるのだが……如何しようか。
サーシャ「では引き続き、第2の質問を……もしや此処は、魔術的な工房ですか?」ジー・・・
香焼「え!?」ギョッ・・・
店主「魔術、かぁ……そうかもね。でも俺は魔術師を自称してないからなぁ。謂わば、此処はただの『ミセ』だよ」
この人は『此方側(オカルト)』なのか?
店主「オカルト……うん。そうかもね」コクッ
サーシャ「第1の確認ですが……学園都市を拠点に?」
店主「学園都市……必要であれば学園都市だろうが何処だろうが。まぁ拠点なんて無いね」
香焼「貴方は……何者っすか?」
店主「何者だろうか……正直、自分でも未だに認識してないなぁ。まぁ心配してくれる友達くらいは要るけど」ハハハ
それだけでも、十分幸せな事だけど……店主さんはそう微笑んだ。
802 :
第E,5話―――香焼「必然?」 サーシャ「縁(えにし)?」
[saga]:2011/10/04(火) 02:43:41.07 ID:cS565wnB0
さておき、とりあえず僕らの現状を知りたい。この人は分かっているのだろうか?
店主「うん。『此の街』は学園都市だろ? 科学の最先端……だっけ? そういう世界だよね」
香焼「え、あ、はい。(そういう世界?)」ポカーン・・・
サーシャ「あの第3の質問ですが……貴方は、日本人ですよね?」
店主「多分ね。ま、広く捉えてもアジア系であってる筈」フゥ・・・
面妖に煙管を吹かす店主さん。今時、煙管派か。
サーシャ「第4の質問です……率直に聞きますが、アレイスターは貴方の事を知っているのですか?」
香焼「さ、サーシャ!?」ギョッ・・・
サーシャ「コーヤギー……改めて第1の意見ですが、此処は都市的に見ても異様な場所です。彼が見逃すとは思えませんよ」
店主「…………、」ボー・・・
サーシャ「回答願えませんか?」ジー・・・
店主「アレイスター……アレイスター・クロウリーね……伝説の魔術師」モクモク・・・
彼が言うのは、全盛期に生きた『伝説』の事なのか。それとも統括理事長本人の事だろうか。
店主「クロウ・リーd……これは、魂が違うかな? まぁ彼と彼が同じとは思えないけど」ハハハ
サーシャ「……か、回答は?」
店主「知らないんじゃないかな。というか、この『ミセ』の存在は『この街』には知られないよ」
香焼「……空間転移の術式っすか? 自分達が入ったのはポイントの一つに過ぎない、と」
店主「ちょっと違うけど……説明すると長くなるからそれで良いかも」ハハハ
適当な人。いや、上手く話を逸らしているだけか。
店主「ま、この街には会合出来ない人物が居るからね……流石に『アレ』の力の前にはこの『ミセ』の結界でもアウトかな」
サーシャ「なるほど、結界……って、人物?」チラッ
香焼「うん……十中八九、彼だろうね」タラー・・・
店主「あはは。分かったみたいだね……あの『右手』は『どんな世界』であっても『ズル(チート)』だよ」ポリポリ・・・
上条さんマジぱねぇっす。
803 :
第E,5話―――香焼「必然?」 サーシャ「縁(えにし)?」
[saga]:2011/10/04(火) 02:58:36.90 ID:cS565wnB0
苦笑する店主は、ふと立ち上がり、ついてきてくれと廊下へ向かった。
僕らは疑念を抱きつつも、如何する事も出来ないので後を追う事に。
店主「あ、そうそう。今更だけど俺の名前は教えられないんだ。申し訳無い」テクテク・・・
香焼「え、いや、はぁ」ポカーン・・・
店主「深い縁(えにし)が出来てしまうと厄介だからね……なるべくあの『右手』とは逢いたくないなぁ」ハハハ・・・
サーシャ「縁(えにし)?」ポカーン・・・
相も変わらず意味不明な事を話す人だ。
店主「同じくらい逢いたくないのは何処ぞの『魔眼持ち』2人だけど……おっと、余計な事だったね」ハハハ
香焼「魔眼っすか?」タラー・・・
店主「君らの世界の魔術師だって魔眼……まぁ目を合わせて術式を掛ける魔術師は居るだろ。それの究極版さ」
サーシャ「第1の確認ですが、魅了(チャーム)や石化などという事ですか?」
店主「そんな甘っちょろいモノじゃない……近いのはバロールの魔眼かなぁ」
香焼・サーシャ「「っ!!?」」ギョッ・・・
バロール……ケルト神話に登場するフォモール族の魔神。見たものを誰でも殺すことができる邪眼を持っている。
そんなヤツがこの世にいるのか?
店主「『この世』には居ないよ……あ、でも『魔人』と呼ばれる連中で化の『眼』を再現しようとしている輩はいるかもね」テクテク・・・
サーシャ「第1の仮説ですが、もしそんな輩が居たとすれば全世界から敵意の目を付けられますよ」タラー・・・
店主「『封印指定』ってヤツかい? 俺は君もそれに思えるけどなぁ」チラッ
サーシャ「っ!!?」ギョッ・・・
サーシャの内側……魔力を見抜いたのか……本当に何者だろう。
店主「まぁまぁ。とりあえず君達が此処に訪れたのは訳があっての事だろう? 店主としてはその『願い』を叶えるまでだよ」フフッ
楽しそうな、嬉しそうな……不思議な感じで縁側へ案内された。
804 :
第E,5話―――香焼「必然?」 サーシャ「縁(えにし)?」
[saga]:2011/10/04(火) 03:14:46.02 ID:cS565wnB0
縁側に着くと、先の三名(双子と……一匹?)が庭に何かを広げていた。
ビニールシートの上に並べられた雑具の山だ。
??「四月n……ヌシさまー! これでOK?」オーイ
??「一応埃は払ったよー! これでOK?」オーイ
店主「うん。ありがとう……あ、この2人は……丸井さんと諸井さんとでも呼んであげて」クスッ
丸井(?)「あははー! 諸井さんだってー!」ハハハ
諸井(?)「マルだって丸井さんだってよー!」ハハハ
???「おーい! モコ……こっちもー!」ノシ
店主「あー……アレは饅頭ね」ジトー・・・
饅頭(?)「酷っ!! せめてもっと可愛い渾名にしろ!」ウギャー!
店主「大福」サラッ
大福(?)「却下!」ビシッ!
店主「月餅」サラッ
月餅(?)「もう一声!」ビシッ!!
店主「シュークリーム」ハァ・・・
シュークリーム(?)「GJだ!」ワーイ!
丸井・諸井「「わーい! シュークリームー!」」ハハハ
店主「やっぱ黒饅頭だ。お前シュークリームってキャラじゃないだろ」ジトー・・・
黒饅頭「うがーってむ!」ガーン・・・
何だ、コイツら。
店主「ああ、悪い悪い……さて、サーシャ=クロイツェフ」チラッ
サーシャ「え、あ、はい……って、あれ? フルネームを?」キョトン・・・
店主「ふふふ……それは追々、ね。とりあえず、この中から好きなモノを一つ選ぶと良い」バッ
庭に広がる雑貨の山を指差す店主さん……如何いう事だ?
店主「如何もこうも。欲しいモノがあって着たんだろう? だったらそれを売るまでさ」フフフ・・・
サーシャ「……コーヤギー」チラッ
香焼「敵じゃない、けど……分からない」タラー・・・
あまりにも奇妙な話すぎる。詳細を聞きたいのだが……教えてくれまいか。
805 :
第E,5話―――香焼「必然?」 サーシャ「縁(えにし)?」
[saga]:2011/10/04(火) 03:35:28.94 ID:cS565wnB0
しかし、店主は静かに首を横に振った。
店主「構わないさ。何でも、好きなモノを一つ……ね」
香焼「何でも好きなモノをって……美味しい話過ぎませんか?」
店主「勿論、それ相応の『対価』は貰ってるから大丈夫だよ」
サーシャ「対価? な、何を? 誰から?」
店主「誰かは言えないけど、とある人物から『寿命』を受け取っている。それでもまだまだ不老不死に近いけどね」ハハハ
この人が、概念的な『何か』に思えてきた。
サーシャ「……仕方ありません。コーヤギー、一緒に」チラッ
店主「あぁ。彼は駄目だよ」スッ・・・
サーシャ「な、何故?」タラー・・・
店主「『対価』は多過ぎず、少な過ぎず……彼が関与したら、彼に所縁(ゆかり)のある何かを対価に貰わなければならなくなる」
香焼「……別に、自分が差し出せるものなら」
店主「うーん……今回、君が『ミセ』に来れたのはあくまで彼女の監督者(パートナー)としてだからね。それ以上はアウトだ」
もはやツッコむまい。
半ば彼のペースに呑まれたのを諦め、サーシャの選択を待つ事にした。
サーシャ「……それでは、失礼します」トコトコ・・・
黒饅頭「何でも良いぞ! わt……どんなに高価なモノを持ってってもヌシは怒らないからな!」ムンッ!
サーシャ「はぁ……何を、ね」キョロキョロ・・・
雑貨……ある意味ゴミ山に融け込むサーシャ。とても奇妙な光景だ。
店主「ゴミか……確かに必要とされなければ、それはゴミになるね。人間一人ひとりからいわせれば、殆どがゴミになるよ」
香焼「まぁ……えっと」ポリポリ・・・
店主「でも日本という国は不思議な処でね……そのゴミさえも神聖化するんだ。知ってるかい?」
九十九(つくも)神とか八百万(やおよろず)信仰の事か。
店主「正解。賢いね」フフフ・・・
香焼「女教皇……姉の受け売りっす」コクッ
店主「聖人か。まぁ彼女自体が殆ど現人神(あらひとかみ)だからね」フフッ
もう彼がカオリ姉さんを知っていようがいまいが驚かない。というか、この人何でもアリな気がしてきた。
806 :
第E,5話―――香焼「必然?」 サーシャ「縁(えにし)?」
[saga]:2011/10/04(火) 04:03:19.80 ID:cS565wnB0
そこまで万能超人じゃないよ、と苦笑する店主。
店主「『全体のバランス』を見るのも仕事だからね。可も無く不可も無くって事」
香焼「よく分かりません」
店主「理屈っぽい君が諦めるとはね……さておき、彼女は目星をつけ始めた様だよ」チラッ
香焼「え?」
幾つかの雑貨……やはり工具だった。
周りには綺麗なブローチや高価そうなネックレスなんかもあるのに、そういうのを選ぶ辺りがやはり彼女だろう。
サーシャ「これか……これか、これ……悩みますね」フム・・・
黒饅頭「それは……鉈か? 鋸? 包丁?」
丸井「あと釘抜きー(バール)! トンカチー!」
諸井「あとチェーンソー! 金属バットー!」
見目は普通のそれら。だが先の店主の言葉から察するに……曰憑きか。
店主「『憑いて』はいないよ。『曰く』は否定できないけどね」
香焼「何が違うんすか?」
店主「簡単な説明だと……『曰くつき』ってのはネガティブ。でも『曰く』だけだと『伝えられた』って意味になる」
香焼「……えっと」
店主「これ以上のヒントは無しだ。情報のやり取りさえも過不足があるからね」
彼の言葉を深く考えないようにしながら、サーシャの選択を待つ。
店主「そうだな……サーシャ」ジー・・・
サーシャ「何か」
店主「難しく考え過ぎるなよ。それら全て、君のニーズは果たせるからね」
サーシャ「え……はぁ」ポカーン・・・
香焼「えっと……サーシャの魔力に耐えられるって事っすか?」
店主「それは応えられない。だが、選ばれたモノには必ず意味がある。選んだ者にも、ね」フフッ
まるで哲学。頭が痛くなってきた。
807 :
第E,5話―――香焼「必然?」 サーシャ「縁(えにし)?」
[saga]:2011/10/04(火) 04:19:34.15 ID:cS565wnB0
店主の言葉は続く。
店主「ま、もっと簡単に言おう……あまり魔術とか何とか考えない方が良いよ」
サーシャ「はい?」ポカーン・・・
店主「君の選択次第で『もう一人の自分』を殺す事だってできる」ジー・・・
サーシャ「っ!!?」ギョッ・・・
香焼「何?」キョトン・・・
店主「はたまた……大切な人をも殺せる」
何だか物騒な話だ。
店主「残念ながら、君の対価はそういう『仕組み』だ。何が如何転んでも……血を見るだろう」
サーシャ「……理解しかねます」
店主「ああ。解かったら拙い……兎に角、選ぶと良い。悩んでも嘆いても……一つだけだ」
香焼「…………、」タラー・・・
店主「さぁ。選べば……『夢』は覚めるよ」
雰囲気に呑まれ、選択を急かされるサーシャ。
サーシャ「……では―――」
@一見普通の『バール』
A一見普通の『包丁』
B一見普通の『金槌』
C一見普通の『○○』 ※(当て嵌まるモノを具体的に)
彼女は、選択した……―――
808 :
>>1
[saga]:2011/10/04(火) 04:24:00.69 ID:cS565wnB0
はい。今回は完璧に八割方禁書関係無しでした。すいません。
次回は遂に『交渉』です。
因みにアンケ協力お願いします。選択でエンディングが変わる、予定(苦笑)
@一見普通の『バール』
A一見普通の『包丁』
B一見普通の『金槌』
C一見普通の『○○』 ※(当て嵌まるモノを具体的に)
それではまた次回。ノシ
809 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/04(火) 07:57:49.85 ID:9zRi5ycfo
まさかのxxxHolicかよwww
開くスレ間違えたかと思った…
810 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/04(火) 08:48:15.59 ID:3d+PuPKB0
1のバールで
811 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage ]:2011/10/04(火) 12:03:28.63 ID:FKPRidZy0
Cで、一見普通の『鎌』で
812 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/10/04(火) 12:08:20.06 ID:EOuuilRAO
Bの金槌で
813 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[saga sage]:2011/10/04(火) 12:22:27.63 ID:WXVtdSt2o
物理のほうそくがみだれる@で
814 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/10/04(火) 13:26:07.03 ID:S8oodMgl0
黒饅頭……俺はなすに近いと思ってたw
アンケは3で
815 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/04(火) 16:10:21.25 ID:IDmTmWSDO
あのミセはクロスオーバーさせやすいよな。ちなみににバロールって直死の事か?
アンケは@で
816 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/04(火) 16:11:36.17 ID:dAAGnuFOo
1で
817 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/04(火) 19:02:10.82 ID:foG+GAMDO
>>1
乙
なら3で
一見普通の金槌
だが実は勇気ある者のみが扱える、グラビティショックウェーブ・ジェネレイティング・ディビジョンツールだった!
これが勝利の(ry
818 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
[sage]:2011/10/04(火) 19:42:44.74 ID:R21Jf4mAO
エクスカリバールのような@で
819 :
>>1
[saga]:2011/10/04(火) 20:10:33.90 ID:cS565wnB0
こんばんわ。アンケは@かな?
>>809
・・・ホリックのSSってあんまりないよねぇ。誰か書かないかなぁ。
>>813
・・・個人的には「物理法則もあったもんじゃねぇな」の方が好きです。
>>814
・・・じゃあ白い方は白ナス?w
>>815
・・・直視の魔眼と幻想殺しって、如何いう愛称なんだろうね?
>>817
・・・そういえばGGGって工具を武器にしてますねw
>>818
・・・それは静岡的な意味? それとも約束された勝利の釘抜き的な意味?
あと……今まで隠してましたが実は私、型月厨なんです。あと鍵っ子でもあるんです。
さておき、とりあえず今回で終わらせたいな。そんじゃボチボチ投下!
820 :
第E,5話―――香焼「必然?」 サーシャ「縁(えにし)?」
[saga]:2011/10/04(火) 20:54:34.98 ID:cS565wnB0
―――……その一本を持ち、店主に渡す。
香焼「やっぱりバールにしたんだ」ジー・・・
サーシャ「はい。第1の感想ですが、やはり一番しっくりくる得物です」スッ・・・
店主「金梃(かなてこ)か……ふーん」スッ・・・
見目はバール。釘抜き……大分年季が籠っている。
サーシャ「第2の確認ですが、これを貰っても良いのですか?」
店主「うーん、ちょっと貸して」ジー・・・
サーシャからバールを受け取り、骨董品を鑑定する様にジロジロ見回す店主さん。
この店で取り扱ってるモノなのに、目を通していないのか?
店主「ははは、これだけの量だからね。流石に全部は知り得ないんだ。俺が店主になる前から保管してあったモノもあるし」ジー・・・
香焼「店主になる前?」
店主「おっと……とりあえず、必要になれば物(アチラ)の方から声を掛けてくれる」トントン・・・
サーシャ「……第5の質問です。それで、それはどんなモノなのですか?」
店主「どんなモノかぁ……これ自体は普通のバールだよ。九十九神にもなってないようだしね」ビィーン・・・
指でバールの中腹を弾く。しかし、先程『曰く』がある云々言ってなかったか?
店主「曰くはある。バール(コレ)は昨今、何故か『武器』として扱われる様になってきたからね」
サーシャ「ふむふむ」コクッ
店主「コレを神聖視する人数が増え、暴力行為に多用する様になってきた……俺にはその理由は分からないけど」
香焼「んー……ゲームや殺人事件で、よく取り上げられるみたいな感じっすか?」
店主「そうかもね……だけど、願いは受け取った……君に『逢う』バール(コレ)を出そうか」コンコンッ・・・
香焼・サーシャ「「え?」」ポカーン・・・
店主さんは双子に何やら指示をする。そして双子は古臭い『木箱』を持ってきた。
それを開け、中に入っていたモノを取り出す。
黒饅頭「釘……杭か?」ジー・・・
店主「ああ。どっちかといえば釘だな」フフッ
言われて気付いた。木製の……釘・杭。
821 :
第E,5話―――香焼「必然?」 サーシャ「縁(えにし)?」
[saga]:2011/10/04(火) 21:13:44.88 ID:cS565wnB0
木製の釘・杭で思い浮かぶ『曰くつき』といえば、磔(はりつけ)用のそれらくらいだ。
主(キリスト)をゴルゴダの丘で磔にした聖釘なんかが有名だ。
店主「へぇ。キリストさんが磔られた杭を木製だと思うんだ」チラッ
香焼「諸説有るっすよ。聖釘は基本は金物だけど30本近く見つかった中の内に木製杭も有った、なんていう学者も居るっす」
店主「その話は面白そうだな。今度友人に調べさせよう」
黒饅頭「またお前の我儘にアイツがつきあわされるのか。可哀想に」
店主「アイツも相当我儘言ってるからいーの!」フンッ
饅頭さんをグリグリ潰しながら、木製の杭を床に置いた。
そして煙管を一喫……煙を吐き出す。
店主「…………、」フゥ・・・
サーシャ「……煙が」ジー・・・
先程のゴミ山(?)の中に、線を成して入っていく。
店主「……行っておいで」ジー・・・
サーシャ「第3の確認です……この先に?」
店主「ああ。目的の釘抜き(バール)さ」ニヤリ・・・
言われるがまま、再度中に入るサーシャ。
一寸後……布に包まれた先程のバール程の大きさの『何か』を持ってきた。
店主に確認を取り、それを開く。
サーシャ「こ、これは?」キョトン・・・
香焼「ええっと……ニッパー、じゃないし……ペンチでもない」ウーン・・・
店主「へぇ……『えんま』か。成程ね」フフッ
香焼・サーシャ「「えんま?」」ポカーン・・・
『えんま』というと、仏教ヒンドゥー的な『閻魔(ヤマ)』しか出て来ないが。
黒饅頭「ヤマさま……良い度胸じゃねぇの!」ザッ!
店主「そんなコアなネタ分かる人いないから黙ってろ。まぁその所縁で正解だよ。『えんま』は閻魔大王から名がきてる」ジー・・・
サーシャ「……えっと、色々意味が分かりません」タラー・・・
まずコレは何なんだ? サーシャは『バール』を所望した筈だぞ?
822 :
第E,5話―――香焼「必然?」 サーシャ「縁(えにし)?」
[saga]:2011/10/04(火) 21:38:42.57 ID:cS565wnB0
じゃあ簡潔に、と店主さんはサーシャから『えんま』とやらを受け取る。
そしてその巨大なペンチ上の『えんま』を開き……間に木杭を挟んだ。
店主「こういう使用方法。用途は『和釘を抜く』こと」クイッ
香焼「あ、閻魔大王の持ってるペンチっすね!」ピーン!
店主「御名答。アレの名前はまんま『えんま』と謂うんだ」フフッ
死後、閻魔大王が罪人の下を抜くアレと考えて貰えれば分かり安かろう。
サーシャも多少は仏教ヒンドゥー今日の知識があるので納得したようだ。
店主「あくまで和名は『えんま』だ。英語に訳せば『Pincer(釘抜き)』だよ」
サーシャ「ふむ。しかし、第1の疑問ですが……何故これなのですか? バールが、と頼んだ筈ですけど」
店主「用途……まぁ君の場合は『閻魔』に近い使い方をするだろう?」チラッ
サーシャ「ぁ……なるほど」コクッ
要は拷問具、という訳だ。
店主「噂に寄れば『処刑塔の七つ道具』が得物なのだろう? それと同じくらい、これは用途に特化したモノ」スッ・・・
サーシャ「……ええ。気に入りました」フフッ
分かり易く形状を説明すると『長さ1m弱、重さ5kg強の巨大釘抜き鋏』といった感じだ。
使い方次第では相手の骨を砕けるし、肉を引き千切れるし、頭蓋をカチ割れる。
サーシャは早速開いたり閉じたり、振り回したり担いだりしている……様になってる姿が残念だ。如何見ても危ない少女だぞ。
サーシャ「ふむ、GJです。大きさを除けば完璧ですね」
店主「持ち運びに不便か……マr……丸井ー、諸井ー。大正琴用の鞄って有ったっけー?」チラッ
丸井「探してくるー!」タタタ!
諸井「それ持ち運べそうな容れ物なら良いのー?」ピタッ!
店主「うん、持ってきて」フフッ
何やらオマケがついてくるらしい。良かったね。
黒饅頭「コイツのナリは、伊達じゃねぇ! どっせえええええぇいっ!」ガンガンレオンッ! ガンレオンッ!!
サーシャ「こ、コーヤギー! 見て下さい! 饅頭さんが『えんま』を振りまわしてます!」キラキラ・・・
香焼「え!?」タラー・・・
店主「遊ぶな馬鹿なすび!!」ガー!!
黒饅頭が自分の3倍はありそうな『えんま』を振り回している……これが『物理法則無視現象』か。
823 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/04(火) 21:40:41.08 ID:IDmTmWSDO
>>822
これが、ライ●ット・ジャレンチだ!
824 :
第E,5話―――香焼「必然?」 サーシャ「縁(えにし)?」
[saga]:2011/10/04(火) 22:04:20.25 ID:cS565wnB0
※訂正:下を抜く ⇒ 舌を抜く ・・・なんか下品になっちまったw
*****************************
一寸後、双子が丁度良さそうな大きさのケースを持ってきてくれた。
サーシャはそれに『えんま』を容れてみる……良い感じでピタリと嵌まった。
店主「まぁこれの対価はお酒でも送って貰うとしようか」フフッ
サーシャ「ええ。ありがとう。大事に使わせて貰います」ポンポンッ
店主「ふふっ。道具も喜んでくれるよ」
物にも魂が宿るからね、と店主は微笑んだ。
店主「さて、じゃあ最後に用途じゃなく『意図』を教えよう」
香焼「意図?」
店主「『えんま』が舌を抜く理由は知ってるかい?」
サーシャ「……私は深い所まで仏教等は知りません」フルフル・・・
香焼「えっと確か……嘘吐きの舌を抜く?」
店主「ああ。舌を抜かれるのは『三悪道(三途)』、所謂『地獄・餓鬼・畜生道』に逝く様裁かれた者だ」
香焼「……それで?」
店主「彼女は『えんま』を拷問、または武器に使うのかもしれないが……拷問具であると同時に、釘抜きでもある」
サーシャ「……よく、分かりません」フム・・・
店主「分からなくて良い。だがこの言葉を覚えておいて欲しい……『釘抜きは罪(罰)抜き』だ」
2人で首を傾げる。その様子に店主さんは苦笑し……ふと、物憂げな表情を見せた。
店主「……サーシャ。君は、今からそれを必要とする場に遭遇するだろう」
サーシャ「……第6の質問ですが、戦闘でしょうか?」チラッ
店主「教えられない……だが、かならず来る場面だ」
その場に座り込み、煙管を吹かす。
店主「その時、今の言葉を思い出せ」
サーシャ「……了解です」コクッ
店主「うん。じゃあ話は終わりだ……2人とも、少し目を瞑ってくれ。出来れば手を繋いで欲しい」
サーシャ「はい……って、うぇ!?」ドキッ!!
店主「1人ずつは面倒だからね。さぁ早く」ニヤリ・・・
良く分からないが、言われた様にする。心成しかサーシャが震えている様に思えるが気の所為だろうか―――
825 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 22:17:44.75 ID:cS565wnB0
―――……目を開けて良いよ、という声。
香焼「―――あ、れ?」ピタッ・・・
サーシャ「こ、此処は?」キョトン・・・
空き地。何も無い。ただただ広いそこに、僕らは立っていた。
サーシャ「な、え、待……ええぇ!?」ギョッ・・・
香焼「げ、幻覚……じゃないね」チラッ
サーシャ「え、あ……これ」スッ・・・
サーシャはちゃんと『えんま』を手にしている。
一体何が起こったのか分からないが……もしや転移術式か何かで飛ばされたのだろうか。
そう考えGPSを見るも、場所は変わっていない。
サーシャ「うーん……第1の感想ですが、とても不思議です。きっと彼は凄腕の魔術師だったのでしょう」タラー・・・
香焼「そう捉えるしかないね……あれ?」チラッ
『えんま』が入ったケースから紙切れが飛び出てる。
サーシャ「店主からですね」パラッ・・・
香焼「えっと……『全ては偶然ではなく必然。その然るべく来るモノから逃げてはいけない』……必然?」
サーシャ「改めて第1の予想ですが、仙人か導師の類だったのかもしれませんね」
香焼「あはは。そうかも」クスクスッ
縁があれば、また逢えるかもしれない。
香焼「さて……満足した?」チラッ
サーシャ「ええ。十二分に。良い土産話も出来ましたからね」フフッ
香焼「誰も信じてくれないんじゃない?」アハハ・・・
サーシャ「……じゃあ、貴方と私だけが知り得る第1の秘密という事で」ボソッ
香焼「え?」キョトン・・・
サーシャ「あ、いや、な、何でもないですよ」アハハ・・・///
それなら良いが……とりあえず、丁度良い時間だ。そろそろ約束の場所へ向かおう。
826 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 22:55:32.95 ID:cS565wnB0
―――とある5日目、PM05:30、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機の在中)・・・・・
約束の公園自販機前。一応先方より前に着くのは礼儀だろうと早めに到着した。
辺りは放課後暇を持て余した学生や、野良猫がチラホラ居るだけ。
サーシャ「……大丈夫でしょうか」ハァ・・・
香焼「多分ね……ただデリケートな問題だから」
姫神さんの『血』は彼女のトラウマ。簡単な問題ではない。
だが、サーシャには『平和の為に』という理由がある。きっと無碍にはしない筈だ。
一寸後……人影が現れる。
香焼「……着たよ」チラッ
サーシャ「彼が、先ですか」ジー・・・
ウニ頭の高校生。
上条「お。居た居た! 悪い、待たせたか?」テクテク・・・
サーシャ「第1の回答ですが、そんなに待ってません……お久しぶりですね。上条当麻」コクッ
上条「うん。五和から連絡着てビックリしたけどさ。マジでサーシャ来てたんだ」ハハハ
まるで平和そうな表情。まぁもともと、裏側に関わる筈の無い人間だからな。
上条「というか……いつものコスプレ姿じゃねぇんだ」ジー・・・
サーシャ「こ、コスプ……変態!」ギロッ・・・
上条「あ、いや……あははは。えっと、そっちの方が自然だよ。なぁ、香焼」タラー・・・
香焼「え!? あ、うん……そうっすね」アハハ・・・
ぶっちゃけ、普段の服装に慣れたので、結構違和感あります。
サーシャ「第1の提案です……2人纏めて新しい『杖(えんま)』のカカシにしてやりましょう」ジトー・・・
上条「はい?」タラー・・・
香焼「さ、サーシャ! ジョークだって! ジョーク!」アタフタ・・・
サーシャ「……改めて第1の意見ですが、ゲスい冗談は嫌いです。言葉を選んでください」ジトー・・・
やれやれ。別に僕らが悪い筈じゃないんだけどなぁ。
827 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 23:17:14.54 ID:cS565wnB0
その後、ベンチに座り一服しながら姫神さんを待つ事に。
上条「ところで、そのケース何だ? バイオリン?」ジー・・・
サーシャ「第2の回答ですが、先程言った新しい『杖』です」
上条「あー……前見たバールとかか」タラー・・・
サーシャ「いえ。『えんま』です」コクッ
上条「えっと……よく分からないです」ポリポリ・・・
練乳サイダーというゲテモノ飲料を飲みながら、上条さんは小首を曲げた。それ美味しいんですか?
因みに自分はムサシノ牛乳(缶)で、サーシャは濃厚パンプキンジュース。相変わらず碌なモノが置いてない。
上条「まぁいいや。そういう類のモノなら見たくないよ……おっかねぇ」ハハハ
サーシャ「ふむ……では第1の質問です」ニヤリ・・・
上条「ん?」
サーシャ「彼の、紙袋の中身は気になりませんか?」フフフ・・・
香焼「ぶっ!!?」ダラダラ・・・
上条「紙袋って……セブンスミストの? 何か服買ったのか?」チラッ
あの……サーシャさん?
サーシャ「はい。彼に『お似合いの服』ですよ」ニヤニヤ・・・
上条「へぇ。何買ったんだ? いつもパーカー着てるけど、そういうの以外か?」ジー・・・
香焼「うわあああぁ!! の、覗かないでええぇ!!」キャアアァ///
上条「良いじゃんかー! 見せろよー」ウイウイ!
肩を組んで僕を抑え込む上条さん。止めて下さい! 社会的に死んじゃいます!
香焼「や、止めてえええぇ! は、恥ずかしいとかそういう次元じゃないんすよおおおぉ!!」イヤアアァ///
上条「大丈夫だって。五和達には内緒にしといてやるからさ。ちょっとだけ、ちょっとだけ」グニグニ・・・
香焼「ふぁ、ふぃふぁふぇふふぉおぉ! (い、いやですよぉ!)」ウググゥ///
サーシャ「…………、」イラッ・・・
頬をムニムニ抓んだり伸ばしたりしてくる上条さん。
あと、何故か目が座ってらっしゃるサーシャさん。何で機嫌悪そうなの? 貴女が嗾(けしか)けたんでしょうが!
サーシャ「や、やっぱ駄目です! 第1の忠告ですが、コーヤギーから離れなさい!」ムキー!
上条「えー。ちょっと見るだけだってば」ツンツン・・・
香焼「か、上条ふぁん。(頬っぺた)弄り過ぎっふよぅ」ムニュニュウ・・・
サーシャ「」プツン・・・
何を考えたか、鞄から『えんま』を取り出……さずに、ハンマー投げの要領で僕らにそれをブン投げてきやがった。
緊急回避。当たり所が悪ければ本当に死んでましたよ、ええ。
828 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 23:37:05.36 ID:cS565wnB0
結局、野郎2人して正座させられ『同性愛』が如何とか何とか説教されました。マジ意味不明。
サーシャ「―――……ったく。油断も隙も有りませんね。同性にまで旗建を行うとは」ブツブツ・・・
上条「あのー、サーシャさん……私めには何故に怒られているか理解できないのですけど」ハァ・・・
香焼「……自分もっす」ヤレヤレ・・・
サーシャ「お黙る!」ゲシッ! ゲシッ!
香焼「あべしっ!」ウワッ!
上条「おわっ!」グヘッ!
僕の頭を踏まれた……やる事がアニェーゼ化してますよ。
てか何故上条さんを踏まない!?
上条「こ、こらこら。友達の頭をそんな風に……って……あー」ダラダラ・・・
サーシャ「何ですか?」ジトー・・・
上条「足、降ろした方が……色々、丸見えですよ」コホンッ・・・
サーシャ「」ボンッ////////////////////////////////////////////////
咄嗟にスカートの裾を掴むサーシャ。しかし何故か僕の頭から足を退けない!
サーシャ「ど、退けたら見るでしょう!」カアアァ///
香焼「痛たたたたぁ! み、見ないよ!」イデェ!
上条「あーえっと……今の内に紙袋の中身見て良いか?」チラッ
サーシャ「お好きにどうぞ」フンッ!
香焼「何考えてんだぁあ痛たたたたたたぁっ!!」グリグリ・・・
上条「サーシャさん。あんまりグリグリやるとまた下着が見えますよ」ヨイショット
香焼「よ、余計な事を言わないたたたたたたっ!!」グシャッ!
上条「まぁ上条さんは今更パンツ一枚くらいじゃビクともしませんけどねー。さて、と……うわぁ……マジか?」アハハ
アンタは女性のパンツ見慣れ過ぎなんです! てか中身見やがった!!?
上条「あー……香焼、遂にそっちに走るのか」タラー・・・
サーシャ「ふんっ。第2の忠告です。これで分かったでしょう! 貴方にはコーヤギーに旗を立てれません!」ムンッ!!
香焼「どういう理屈だ!! ってかいい加減解放してよぉ!」グヌヌ・・・///
各々勝手に満足した様だ。何で僕だけ不憫な目に……こういうのは貴方の役目でしょう、上条さん。
829 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/04(火) 23:56:32.30 ID:cS565wnB0
さておき、姫神さんが来る前に真面目な話をしておこう。
砂を払い、サーシャにその旨を告げる。
サーシャ「そうですね……上条当麻。第2の提案ですが、そろそろ今回の件をお話しておきます」チラッ
上条「ん。あいよ」
サーシャ「では改めて……第1の質問です。今回の件は、何処まで聞かされていますか?」
上条「いや全然知らないぞ。サーシャが俺に用事有るって事だけ聞かされた」
香焼「土御門からは何も?」
上条「え? アイツも関わってるのか?」
まったく知らないと……一から説明か。
サーシャは言葉を選びながら、簡潔に今回の要件を伝えた。
サーシャ「―――……以上です」
上条「え、あ、うーん……もるえすとら? MVR? 吸血鬼? 魔術師?」ポカーン・・・
サーシャ「貴方という人は……すいません、コーヤギー。第1の願望ですが、代わりに簡単な説明を」ハァ・・・
香焼「あ、うん。とりあえずロシア近隣国の紛争を再戦させない為に、姫神さんの『血』が必要なんすよ」コクッ
上条「あー、成程な……姫神のって……例の『吸血殺し』か」ジー・・・
サーシャ「肯定です……第1の仮説として、問題の魔術師は『死徒』化しているかもしれないのです」
一応、簡単に死徒の説明もする。
人間の身で魔術を極めるには限界がある。故に人であることを辞め、バケモノに生り下がった輩をそう呼ぶ。
上条「……そいつに姫神の『血』が効くのか?」
サーシャ「確証は有りません……ですが第1の状況として、最早頼るしかない現状になっています」
上条「逼迫してるって事だな。もしアレなら俺が手伝うぞ。まぁ俺如きで退治できる相手ならな」ハハハ
サーシャ「そ、それは嬉しい話ですが……遠慮します」
貴方が動くと余計大変な騒ぎになるんです。
あと死徒は肉体的にも人間を超越しているので、色々危険でしょう。
サーシャ「兎角、第1の要望として、交渉の際に『吸血殺し』を説得して頂けないでしょうか?」ペコッ
上条「うーん。まぁ姫神次第だな。アイツの言い分も聞きたいしね」
尤もな事を言う。とりあえずは彼女を待つしかないという訳だ。
830 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 00:12:58.37 ID:svC+LibI0
―――とある5日目、PM06:10、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機の在中)・・・・・
6時を回り、数分後、二つの影が現れた。
一つは『吸血殺し』……姫神秋沙さん本人。もう一つは……意外な人物。
香焼「え、あ……淡希さん」キョトン・・・
結標「……こんばんは」テクテク・・・
サーシャ「知り合いですか?」チラッ
香焼「うん」コクッ
もしかして、都市側の監督役か。
結標「そうね。まぁ秋沙のSPってところかしら」フフッ
姫神「何がSPよ。ドジっ娘属性のくせに。頼りないたったらありはしない」ハァ・・・
結標「ヴぁっ!? わ、私はバリバリの敏腕女仕事人よ!」ムムム!
姫神「はいはい」フッ・・・
対称的な2人。だけど、相変わらず仲良いな。
姫神「さて。それで……上条君をメッセンジャーに使ったのは。どなた?」チラッ
サーシャ「私です。初めまして、ロシア成教殲滅白書(Annihilatus)の修道女、サーシャ=クロイツェフといいます」ペコッ
姫神「ロシア……遥々遠くから。お疲れ様ね」コクッ
サーシャ「いえ、仕事ですから。では早速、第1の説明を。今回私が貴女を尋ねたのは―――」
サーシャの説明が始まった。
先の上条さんへの説明とは違い、懇切丁寧、隅々まで詳細を伝えている。まるで会議の企画説明だ。
結標「うーん……ねぇ、香焼くん」チラッ
香焼「はい?」
結標「もるえすとら? って何処?」キョトン・・・
上条「あ、うん。俺も気になってた。ロシアの何処ら辺だ? シベリアの方?」ポカーン・・・
少しは文系も勉強しましょう。場所はうろ覚えでも、せめて国の名前は間違いない程度に。
あと淡希さん……四国4つ言えるようになりましたか? 今の僕はそれだけが心配です。
831 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 00:39:52.57 ID:svC+LibI0
自分がチョークで地面にざっくりとユーラシア大陸を描き、モルドバの位置を説明し終えた頃、アチラの説明も終わった様だった。
予想通り、姫神さんは複雑な顔をしている。
サーシャ「―――無論、貴女自身がモルドバに来てくれとは言いません。可能であれば『血』を提供して頂きたいのです」ペコッ
姫神「…………、」ジー・・・
無言で虚空を見遣る姫神さん。ふと……胸に着けたケルト十字を取り出した。
姫神「そいつは。本当に吸血鬼?」チラッ
サーシャ「第1の回答ですが……絶対、とは言い切れません」タラー・・・
姫神「そう」ジー・・・
サーシャ「ですが、第1の解析として『血肉を喰らうモノ』であるのは確かなのです」
上条「ふーん……姫神の『吸血殺し』って、吸血鬼にだけ効くのか?」
姫神「え?」チラッ
上条「いや。前にインデックスに聞いた事があるんだけど、吸血鬼って親吸血鬼とか子吸血鬼ってのがいるんだろ?」
所謂、ゾンビとかグールとか言われる下級の化け物だ。
親とは『真祖』と呼ばれる貴族(伝承ではそう定義付けしている)や先程話した死徒なんかがいる。
姫神「……どっちも効果ある。須く。灰に」ジー・・・
村一つを壊滅させた……彼女のトラウマ。
サーシャ「……では、第1の質問です。『吸血種』には?」
姫神「霧ヶ丘(女学院)に居た頃の実験では。ヒルや蚊には効果が無かったわ」
サーシャ「そういう動物ではなく……魔術的な」
姫神「全く分からない。試した事が無いもの」
まず試す機会すら無いし、試そうとも思わないだろう。
サーシャ「ふむ……では失礼を承知で正直に告げます。第1の願望ですが、これは賭けです」ジー・・・
姫神「ええ。分かるわ」コクッ
サーシャ「貴女の『血』で紛争の再発を止めれるかもしれない。だけど、まったく無意味かもしれない」
姫神「……分かってるつもり」コクッ
分かっていても……抵抗はあるに決まってる。彼女の『力』を使えば、そこには悲劇(灰)しか残らないのだ。
832 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 00:54:18.69 ID:svC+LibI0
もうこれ以上サーシャには説明のしようが無い。あとは彼女の決断を待つだけとなった。
姫神「……上条君」チラッ
上条「ん」ジー・・・
姫神「如何思う」
上条「……お前の好きにすべきじゃないか」コクッ
しかし、答えは出ないだろう。
姫神「じゃあ貴方が私の『力』を持ってたら。如何する?」
上条「え? うーん……如何だろう。多分、力とか関係無しにその場に出向いちゃうんだろうなー」ハハハ
確かに、と僕とサーシャと姫神さんは苦笑した。
上条「でもまぁ、単純に考えれば……その『力(血)』で争いが止まるかもしれないし、助かる人達が居るかもしれないんだろ?」
サーシャ「ええ。ただし、賭けですが」
上条「それでも何もしないよりは良いさ。俺はきっと動いちゃうよ。まぁ血を渡すだけっていう他力本願になるかもだけどね」ハハハ
姫神「アンタ簡単に言うわね」ハァ・・・
でも、それが上条さんだ。
姫神「……ロシアの十字教は。信用できるの?」
上条「ロシア云々は知らないけど、サーシャは信頼できるんじゃないか? なぁ、香焼」チラッ
香焼「ぇ……はい。彼女が監督すれば、貴女の『血』は悪用される事は無いっす」コクッ
サーシャ「誓いましょう。決して悪用しないし、させません」コクッ
姫神「……そう」ジー・・・
暫時、無言。
姫神「一つ……お願い」ジー・・・
サーシャ「え?」
姫神「この世には。良い吸血鬼も沢山居る」サラッ
香焼・サーシャ「「っ!!?」」ギョッ・・・
結標「……何言ってるのかさっぱりだわ。ゲームの話?」ポカーン・・・
上条「まぁ、色々あるんですよ」アハハ・・・
事の真偽は別として、彼女は吸血鬼を『知っている』らしい。
833 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 01:25:19.17 ID:svC+LibI0
彼女の説明は続いた。
姫神「彼らは人と共存している。だから。貴方達が心配する『吸血鬼が魔術を覚える』とか。そんな馬鹿な話は無いから」
サーシャ「……そ、そうなのですか」キョトン・・・
姫神「勿論。貴方達が想像する様な吸血鬼(化け物)も居る。でも勘違いしないで。人間に善悪がある様に。彼らにも善悪がある」
上条「つまり、『血を吸う』って事だけが人間との違いか?」
姫神「私から言わせれば。吸うじゃなく『飲む』だと思える。あくまで分けて貰った血を。定期的に摂取するだけ」
アルコール依存症の人間だって、禁断症状が起きた時に少量のアルーコルを摂取しなければ危ない。
それと同じで生まれながらの吸血衝動を抑える為に必要な『薬』の様なモノだと彼女は告げた。
姫神「兎に角。殆ど人間なの。ただ人間と少し違う生理があるだけで。迫害されてしまう……だからひっそりと暮らしてる」
上条「へー……詳しいんだな」
姫神「自分の『血』に関係する事だもの。嫌が応にも勉強するし。調べるわ」フフッ・・・
乾いた笑み。
姫神「話を戻すけど。知っての通り……私の『血』は彼らにとって猛毒」
サーシャ「はい。存知でいます」
姫神「だから怖いのは……モルドバの隣。ルーマニアに居る吸血鬼(人々)の事」
サーシャ「え」タラー・・・
姫神「人間と混じって普通の生活をしている吸血鬼が居る可能性だってある。『血』は。彼らの吸血衝動を惹き起す」
つまり……無関係の一般人(吸血鬼)に迷惑を掛ける可能性がある、と。
姫神「約束して。『一般人』には迷惑を掛けないって」
サーシャ「ど、努力はします。ただ、その、第1の困惑ですが……私共には正直、理解しきれない話でもある」アタフタ・・・
姫神「分かってる。魔術師は彼らを認めたがらないものね。でも貴方達は彼らを恐れ過ぎよ。私からすれば魔術師の方がよっぽど怖いのに」
香焼「因みに……死徒については知ってるんすか?」
姫神「勿論。好き好んで『病気(迫害対象)』になる魔術師(愚者)でしょ。愚の骨頂よね」
サーシャ「では第2の質問です。死徒には、効果がありますか?」
姫神「これも試した事無いけど……多分。有ると思う。アイツらは身体の生理構造を無理矢理吸血鬼に寄せてる筈だから」
サーシャ「っ!! で、では、確率が上がります!」グッ・・・
姫神「喜んで貰えても正直。嬉しくないわね」クスッ・・・
サーシャ「あ、す、すいません」タラー・・・
しかし、交渉は上手くいきそうだ。
834 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 02:15:30.24 ID:svC+LibI0
その後サーシャと姫神さんは『血』の取り扱いやアバウトな効果範囲の確認をして、交渉を終える。
因みに、上条さんと結標さんは紙袋の中身を広げたり、自分に着せようとしたり馬鹿やってた……帰れお前ら。
姫神「―――……とりあえず。こんなところ。もし分からない事があれば直接電話して。私が直接指示を出すから」
サーシャ「はい。協力感謝します」ペコッ
姫神「ううん。私の力が役に立てる機会なんてそうそう無いから……誰かの為に使えるっていうのも。良い事なのかもしれない」
サーシャ「そう言えってもらえると助かります」
それでは、と鞄から注射器を取り出すサーシャ。
今時古臭いバキュテナー入れ替えタイプを2本分、採血する。
姫神「っ……今度機会があったら。銃(ガン)タイプにして頂戴」イツツ・・・
サーシャ「はい。善処します」コクッ
上条「終わったみたいだな」チラッ
姫神「ええ……クロイツェフさん。さっき言った通り。使い方を誤らないでね」
サーシャ「はい。第1の確認ですが、吸引紙に少量湿らせ貼り付けるだけで効果がある……でしたね?」
姫神「そう。少量含まれていれば。確実に灰になる」
禁止事項として『血』の散布、バラ撒きをしてはいけないらしい。『一般人』も巻き添えにしてしまうからだとか。
姫神「悪者を。退治する為だけに使う事。一般人(普通の吸血鬼)は見逃す……OK?」
サーシャ「了解です。第2の確認ですが、余った『血』は魔術処理の下、消し去ります」コクッ
姫神「うん。もし約束を破ったら……『何が起きても』保証できないわ」
サーシャ「分かっています。国一つがゾンビだらけになられても困りますからね」タラー・・・
吸血衝動を抑えられなくなった吸血鬼は当たり構わず暴走を始める。
そして人間を喰らい眷属(ゾンビ)にし、ネズミ算式に増えていく……まさに生物災害(バイオハザード)だ。
そうなったら最後。増殖を止める為に、核でも用いなければなるまい。
香焼「姫神さん、優しいんすね……その……彼らに襲われたのに」
姫神「生存本能よ。人間が黒死病(ペスト)を撲滅させようとしたのと同じ。私は彼らにとって災害悪そのものだから」
サーシャ「貴女は、強い人ですね」
姫神「ううん。逃げるのに疲れただけよ。運命って言葉にしちゃうと臭いかもしれないけど……そういう星の下に生まれちゃったんだ」
『原石』の宿命なのかもしれない。軍覇に聞かせてやりたい悟り話だ。
姫神「きっと意味があるんだって。上条くんの『右手』の様に。私の『血』も。ね」フフッ
上条「うん……そうだな」コクッ
結標「ふーん……やーい。秋沙のメルヘン女ー」ワーイ
姫神「黙れメンヘラ女」ジトー・・・
結標「メンヘ……くっ……リアルに精神科通ってるから否定できない」クソゥ・・・
彼女は僕らに想像出来ない『何か』と向き合ってきた。幻想に近い『何か』と向き合う事で、強靭な精神を持ったのだろう。
835 :
>>1
[saga]:2011/10/05(水) 02:21:18.93 ID:svC+LibI0
うい。今回は此処まで。次回で終わりだな……長かったぁ。
ちなみに、吸血鬼については独自の解釈で説明させて貰っています。
禁書本編の中ではそこまで詳しい設定が無いので、色々交えながらの考えです。
ただ、善い吸血鬼が居ても良いよね!
某バンパイアハンターとか某真祖とか某旦那とか某エクソシストとか。
それではまた次回! ノシ
836 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/10/05(水) 02:54:35.26 ID:Ml+BLsIX0
乙!
837 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/10/05(水) 03:56:01.84 ID:M6q7YiAQo
乙
とっとと店に行って、幼児を済ませてしまおう。
ふむ…
838 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/05(水) 12:32:51.98 ID:26XmquqDO
上条さん…男にまで旗建てるんだな
あとアホの子あわきん可愛いww
839 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/05(水) 12:41:17.62 ID:OwsCZTmIO
>>837
あんま突っ込みなさんなw
乙でした!
姫神さん可愛いよ姫神さん
840 :
>>1
[saga]:2011/10/05(水) 20:59:08.21 ID:svC+LibI0
こんばんわ。ラストスパート!
>>837
・・・指摘されて気付いたwwどんなシュチュエーションだよwwwすいません!
そんじゃ投下!
841 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 21:19:16.05 ID:svC+LibI0
―――とある5日目、PM06:30、学園都市第7学区、とあるアパート(五和宅)・・・・・
仕事の書類や資料だらけの8畳一間。そこに人が生活できるようなスペースはない。
唯一空いているのは作業用のデスクくらいで、その机に突っ伏す家主。
五和「…………、」
そして、玄関辺りから彼女を見詰める同僚兼妹分。
浦上「……命令でしょ」
五和「…………、」
ノートPCの画面に開かれている、仕事用のメールボックス。
そこに指令書、というよりも『決定事項』が書かれた報告書が送られてきていた。
五和「……何で、私じゃないの」
浦上「さぁ。まぁ筆頭(お姉)は悪い事してないからネ」
五和「勝手過ぎる……部下の責任を負うのは私でしょ」
浦上「上には上の事情があるんでしょ」
送り主は『必要悪の教会』とだけ。詳しくは最大主教ならび補佐、そして補佐次席の名前。
五和「何で……姉様が、許可してるのよ」グッ・・・
浦上「『姉様』じゃなく、女教皇様(プリエステス)ですヨ」
五和「……納得いかない」ギリッ・・・
浦上「そんな五和の性格を上も知ってるから、貴女にハンコを押させる様な真似させなかったんでしょ」
立ち上がり、折り畳み式の『矛』を持って―――
浦上「ねぇ……『尚、邪魔した場合はサーシャ=クロイツェフを排除する』……だってさ。戦争起こるし、悲しむだろうネ」
―――……力無く、座る。
五和「……如何したらいいの」
浦上「さぁ。祈るしかないんじゃないカナ」クルッ・・・ガチャッ・・・
それ以上何も言わず、浦上はアパートから出て行った。
五和は『その場から動くな』という命令を……姉貴分から出された冷酷な命令を、ただただ恨んだ。
842 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 21:41:46.35 ID:svC+LibI0
―――とある5日目、PM07:00、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機の在中)・・・・・
交渉は終わった。あとは『血』を持って第3〜第14学区間のホテルに持っていくだけだ。
サーシャ「ええ……これで終わりです」ホッ・・・
香焼「お疲れ様」フフッ
彼女も安堵の笑みを溢す。
サーシャ「しかし姫神秋沙……改めて第1の確認ですが、本当に謝礼は要らないのですか?」チラッ
姫神「ええ。約束さえ守ってくれれば。それで良いわ」
結標「バッカねぇ。折角相手が下手に出てるんだからハチャメチャな要望してやりなさいよ」フフーン
姫神「貴女みたいに。がめつく無いのよ。ボランティアは大事でしょ」
結標「ちぇっ。私だったらとりあえず礼金の交渉しとくのにー」
まったく、結標さんは相変わらず残念な美人さんです。
結標「さーて! そんじゃ帰りますか。さっさとしないと暴食シスターに肉全部喰われちまうわよ」ヤレヤレ・・・
姫神「むっ。それは困る。今日は鉄分が沢山欲しい」ムンッ!
上条「あのー……上条さんも御愛想させてもらえないでせうか? お肉食べたいなー、なんつってー」ジー・・・
結標「香焼くんなら良いわよ。というか来なさい」フフフ・・・
サーシャ「ハ?」ギロッ・・・
サーシャさん、何故僕を睨むのさ。鞄から『アレ』取り出そうとするの止めて下さい。
姫神「やれやれ……それじゃあさっきの謝礼の件。焼肉パーティーセット2パック。できればレバーとホルモン多め。お願いできる?」チラッ
サーシャ「え?」キョトン・・・
姫神「賑やかな方が楽しいでしょ。あと。小萌先生も喜ぶ」フフッ
上条「姫神さんマジありがとおおおぉうっ!!」ヤッホーゥイ!!
結標「チッ……ウニ条! アンタは豚バラだけよ! あと食べながら暴食シスターの監督しなきゃダメだかんね!」ビシッ!
どうやら僕らも食べに来いという事らしい。姫神さん、良いお姉さんだ。
843 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 22:19:31.44 ID:svC+LibI0
御誘いは嬉しいが、まずはサーシャの用事を済ませねばなるまい。
8時過ぎでも良いか、と尋ねると『上条君がインデックスを押さえ切れたら。ね』と苦笑された。上条さん、真っ白ですよ?
姫神「ふふっ。冗談。ちゃんと待っててあげるから。早く用事済ませて小萌先生のお家で待ってる」
結標「ウニ条! いや、監督係! アイツのこと1時間半くらい我慢させなきゃダメよ!」ビシッ!
上条「死んでしまいます」キリッ
上条さんの為にも、急ぎましょうか。
サーシャ「ええ。では改めて第1の提案ですが、タクシーを捕まえて……―――っ!!?」バッ!
香焼「っ!!」バッ!!
上条・姫神・結標「「「え?」」」キョトン・・・
気配……いや、人払いの結界だ。
誰だ? まさか都市側の人間ではあるまい。交渉権は認めた筈だぞ。
サーシャ「複数の気配……魔術師か」キョロキョロ・・・
結標「チッ、敵なの? ったく……上条当麻。秋沙の盾くらいにはなりなさいよ」スッ・・・
上条「え、な……何事だ」タラー・・・
そして、足音。
結標「……は?」ポカーン・・・
拍子抜け。我々一同の知り合いだった。
土御門「まったくお前らよぅ……誰が聞いてるか分からねぇんだから結界ぐらい張って交渉しろよな」ポリポリ・・・
上条「え? 土御門?」ポカーン・・・
土御門「せいかーい。一応、そこの破廉恥女同様に『監督者』だぜぃ」ニコニコッ
飄々と此方に歩み寄って来る土御門。今更何だ?
土御門「いやはや。無事交渉は成功したようだな。おめでとう、サーシャ=クロイツェフ」チラッ
サーシャ「はぁ」ポリポリ・・・
土御門「カミやんと姫神にも迷惑掛けたなぁ。『魔術サイドと科学サイドのイザコザ(コッチ)』の話なのに申し訳無いにゃ」ハハハ
上条「いや、別にこの程度なら構わないさ。話し合いで済んだ分、いつもより楽だったぞ」
姫神「……そうね。彼女が約束さえ守ってくれれば。このくらい如何って事ないわ」
土御門「そう言って貰えると助かるぜぃ。あ、結標も一応御苦労さん。まさかボランティアで姫神の警護してくれるとはねぇ」ニヤニヤ・・・
結標「ヴぁっ!!? ち、違っ!!」カアアァ///
姫神「……ふふふ」クスクスッ
この人も何だかんだで友達想いなんだなぁ。まぁ基本『日常』を崩されるのが嫌いなタイプだからね。
844 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 22:31:43.52 ID:svC+LibI0
しかし、違和感。
何故このタイミングで出てきたのだろう。まさか都市側が新しい方針でも出したのか。
土御門「さて……サーシャ=クロイツェフ。確認するが、終わったんだよな?」チラッ
サーシャ「第1の回答ですが、殆ど終わりました。あとは『同志』に『血』を届けるだけです」
土御門「あいよ。十分十分」コクコクッ
サーシャ「……第1の疑念ですが、まさか私より先に『同志』を見つけ出して『始末』してたりしませんよね?」ジトー・・・
土御門「いやぁまさか。都市側は交渉を容認しただろ。『血』をロシアに運ぶまでが約束なのに、裏切ったりはしないぜぃ」クイッ・・・
サーシャ「……信じましょう」コクッ
この道化師の言う事は少々不安だが、今は信じるしかない。
結標「ところでアンタ、何しに来たのよ。まさか『一緒に小萌先生ん家で飯食うにゃ!』とか言い出さないわよね?」ジー・・・
土御門「そいつぁ魅力的な提案だが、生憎『後片付け』が残っていてなぁ……残念ですたい」テクテク・・・
サーシャ「後片付け?」ポカーン・・・
土御門「そうそう……『ケジメ』ね」スッ・・・
香焼「え――――」
ポスッという、呆気無い音が……3回。
香焼「――――」
一同『え?』キョトン・・・
皆が固まっている。それから……何だか、寒くて……暗くて…………痛くて……怖くて…………―――
845 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 22:48:14.68 ID:svC+LibI0
<サーシャside>
何が起きたか理解が出来なかった。
土御門がゆっくりコーヤギーの背後に歩み回ったと思うと、糸が切れたマリオネットの様に……コーヤギーが倒れた。
唖然。思考が、回らない。
うつ伏せに床に転がった彼を見遣ると……肩、背中、臀部に3ヶ所……穴が開いてた。
サーシャ「……は?」キョトン・・・
血が出てる。
結標「な、に」チラッ
土御門「…………、」ジー・・・
土御門の手には……サイレンサー付きの拳銃が、煙を上げている。
よくよく見ると、転がるコーヤギーの脇腹辺りに、空薬莢も転がってる。
香焼「――――」
姫神「……っ!! 淡希! 救急車!」バッ!!
結標「え、あ……な、んで」ダラダラ・・・
土御門「『後片付け』も……終わりだ。あとは好きにしろ」ガチャッ・・・
何、が。
上条「つ……土御門おおおおおおおおおおおおおぉっ!!」ガッ!!
土御門「怒るなよ、部外者。そう何度も殴られてやんないぜ」サッ・・・ビイイイィ!!
上条当麻の右ストレートを避け、電子笛の様な物を高らかに鳴らす道化師。
刹那……銃を構え周りを取り囲む、大人数のクローン兵(シスターズ)。あの優男(海原)も中に居た。
結標「う、海原!!?」ギョッ・・・
海原「…………、」ジー・・・
上条「っ……道理でおかしい筈だ。『結界』って言葉を聞いた瞬間、違和感があった……お前の仕業か、海原!!」ギロッ・・・
海原「……はい。僕の魔力で展開した結界です」
土御門「こういう時は俺の代わりに働けるお前が重宝されるぜぃ」クイッ・・・
展開が、分からない……とりあえず……コイツら全員……―――殲滅しよう。
846 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 23:09:27.85 ID:svC+LibI0
鞄から『えんま』を取り出し、始めに土御門から潰そうとした瞬間、銃口を……コーヤギーに向けた。
土御門「因みに、取り囲んでる連中の銃口は香焼に向いてるぜ」ジー・・・
サーシャ「っ!!」ギリッ・・・
姫神秋沙が止血を試みているコーヤギーの様子を伺う。
まだ、生きてる。致命傷は免れた様だ。
上条「……如何いう事だ」ギロッ・・・
土御門「なぁに。ケジメだよ……英国側としてのな」クイッ・・・
サーシャ「英、国……だと」ギロッ・・・
土御門「ああ……教えてやろう。この件はステイルも神裂も……承認済みだ」ジー・・・
一同『っ!!?』ギョッ・・・
嘘だ。
サーシャ「う、嘘です! マグヌスは、あんなんでも……コーヤギーの大事な友人です! というか唯一の男友達でしょう!」ギロッ・・・
結標「神裂が、承認? じょ、冗談でしょ……アイツは、香焼くんの……お姉ちゃんなのよ」アタフタ・・・
土御門「そうか。『だから、何だ?』」ジトー・・・
上条「っ……私縁の前に……必要悪の教会(ネセサリウス)の人間って事かよ」ギリリ・・・
彼らは、コーヤギーの上司……駒として動かす、プレイヤー。
サーシャ「な、何でコーヤギーが!! 何で私を直接狙わない!!」グイッ・・・
土御門「勿論、一から説明してやる……だがその前に」チラッ
サーシャ・上条・結標「「「っ」」」バッ・・・
姫神「っ……血が。止まらない……電話も繋がらない!」グッ・・・
香焼「―――」
土御門「そろそろ、死ぬかな」ジー・・・
上条「っ!! 海原あああぁっ!! 結界を解けええぇ!!」ギロッ・・・
海原「一般人に見られますよ。それに、電波妨害は妹達の力です」
上条「ぐっ……御坂妹!! 居るんだろ! 香焼が死んじまう! 止めてくれ!」バッ・・・
御坂妹「っ……土御門(クライアント)」チラッ
土御門「まぁ良いだろう。だが銃は降ろすな」チラッ
了解、と頷くクローンの一体。姫神秋沙を見る……やっと携帯が繋がった様だ。
847 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/05(水) 23:40:16.64 ID:svC+LibI0
姫神秋沙が救急車を要請している間、もう一人の女がコーヤギーの介抱を試みる。
結標「一先ず、弾を……転移させれば」ジー・・・
土御門「そんな事をすれば『蓋』が無くなって多量失血で死ぬぞ……あと、一応『呪』が仕込んである弾だ」
サーシャ「な……の、呪い?」タラー・・・
土御門「安心しろ。致死性のある呪いじゃない……精々、半身不随くらいで済むだろう」ジー・・・ツツー・・・
何を抜かしやがる。冗談じゃない。
上条「お前、自分の魔力をその呪いに……説明しろ」ギロッ・・・
土御門「順を追おう……まず、そいつがサーシャ=クロイツェフに手を貸してしまったのは紛れも無く『方針会議前』の事だ」ジー・・・
上条「……は?」
サーシャ「っ……し、しかし! 彼は何も知らなかった! そう連絡が行っている筈です!」
土御門「ああ。伝わってる……だが、そんな『詭弁』を都市側が納得するか?」
サーシャ「っ……外道が」ギリリ・・・
土御門「何とでも言え。勿論、潜入教徒の監督者として……俺にもペナルティはある。だがそれは教えてやらない」
上条「……香焼が、何をしたんだ」ジロッ・・・
サーシャ・土御門「「…………、」」
私は一昨日の晩の事をざっくり説明する。話を聞き終えると、上条当麻は……再度土御門を睨んだ。
上条「何が、悪いんだよ」ギロッ・・・
土御門「……そいつは組織の人間だ。そして、組織の意志に反する行動を――」
上条「友達助けるのを躊躇う馬鹿が居るかっ!!」ガンッ!!
土御門「――……、」
サーシャ「か、上条……当麻」
静寂。聞こえるは、女性の嗚咽だけ。
上条「……姫神。電話は?」
姫神「よ。呼んだわ。もうすぐ来る筈……でも此処に入って来れるの?」チラッ・・・
結標「うっ……うぅ……っ……ごぅやぎくぅん……しっかりしてよぅ」ウワーン・・・
土御門「……残念だが、救急車は来ない。暗部(此方)の関係車で病院に運んでやる」
上条「じゃあさっさとしろ!」
土御門「まぁ待てよ……『呪い』の効き目が……っ……広がってからだ」タラー・・・
サングラスの奥から血が流れる。自らを『贄』にして、呪いを掛けているというのか。
848 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/06(木) 00:50:31.09 ID:FRrrVr/20
だが、彼の身体が蝕まれるのをおめおめと見逃す訳が無かろう。
一旦冷静さを装い、土御門に告げた。
サーシャ「第1の警告です……全力全開で、暴れてやりましょうか?」ギロッ・・・
土御門「その脅しには乗らん……逆に、ヤツの死期を……っ……高めるだけ、だぞ」ダラダラ・・・チラッ
クローン達の銃口。
上条「ふざけんなよ! こんな事して誰が得する!!」バンッ!!
土御門「さぁな。だが……英国と都市のメンツが……いくらか回復するんじゃないのか?」フゥ・・・
結標「う、ぅ……早く……助けてよぅ」ポロポロ・・・
姫神「っ……いい加減にしなさい! 土御門くん。貴方のやってる事は。狂ってるわよ」ギロッ・・・
土御門「自覚済みだ……あと結標、いい加減香焼から離れろ。悪いが、お前はコッチ側にいて貰わないと困るんだ」ダラ・・・ダラ・・・
結標「ぅぅ」フルフル・・・
土御門「チッ……情弱が」ジトー・・・
一体……如何すれば良い。何も出来ないままなのか。
上条「っ! 俺が香焼の傷口を触れば!」ダッ!
土御門「成程なるほど。まぁ『呪い』は解けるかもしれねぇが……それだけだな」ジー・・・
サーシャ「はい?」
土御門「媒介として『薬(毒)』も塗ってある……俺もそれと同じ『薬』を飲んで、呪いを共有させているからな」ダラダラ・・・
サーシャ「心中を!?」
土御門「尤も、俺は何れ回復する……仮にも『能力者』でもあるからな」ダラダラ・・・
しかし、コーヤギーは普通の人。魔術師としては低レベル。
呪いの効力がどれ程かは分からないが、半身不随にでもなれば……タダの『障害者』になってしまう。
結標「ぅ……っ……、」グッ・・・ギュッ・・・
土御門「おっと結標。空間転移(テレポート)なんかするなよ? てめぇまで『始末』する羽目になる」ギロッ・・・
結標「ぁ、ぅぅ……っ」ポロポロ・・・
上条「勝手過ぎる……香焼にテメェらの『都合(罪)』を擦り付けて……結局、政治利用の捨て駒扱いじゃねぇか!」グッ・・・
土御門「汚い世界だ、嫌気がさす。だが誰かが『生贄(罰の対象)』にならなきゃなんねぇんだ……今回は偶々香焼だったんだよ」ジー・・・
結標「何、で……なのよ」ポロポロ・・・
土御門「残念ながら『貧乏籤(偶然)』を引いたんだ……さて、そろそろ『呪い』が回り切る。安心しろ、そうすれば病院行きだ」ダラダラ・・・
罪……罰……偶然―――
849 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/06(木) 01:12:06.36 ID:FRrrVr/20
―――残念ながら、君の対価はそういう『仕組み』だ。何が如何転んでも……血を見るだろう。
サーシャ「……っ!」ピタッ・・・
―――全ては偶然ではなく必然。その然るべく来るモノから逃げてはいけない。
サーシャ「……『えんま』」チラッ
―――君は、今からそれを必要とする場に遭遇するだろう。
サーシャ「選ばれたモノには必ず意味がある。選んだ者にも……これ(えんま)の意味」
―――かならず来る場面だ。
サーシャ「これが……必然……なんですか」ゴクッ・・・
―――その時、今の言葉を思い出せ。
サーシャ「店主の言葉……『釘抜きは罪(罰)抜き』……っ」グッ・・・
私は……彼を助けたい。
850 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/06(木) 01:28:13.70 ID:FRrrVr/20
全てが繋がる。この『えんま』の真の用途が分かった。だが……使い方が分からない。
―――必要とあらば、道具の方から応えてくれる。
サーシャ「っ!」チラッ・・・
イメージが浮かぶ……最早、試すしかない。
サーシャ「上条当麻……第1の、願望です」フー・・・
上条「何だ」チラッ・・・
サーシャ「今から私のする事を、邪魔させないで下さい」グッ・・・
上条「……分かった」コクッ
『えんま』を担ぎ、倒れるコーヤギーの下へ歩み寄る。
土御門「……何を」ピタッ・・・
結標・姫神「「え」」チラッ・・・
香焼「―――」
身体中に魔力を巡らせた後、『えんま』に集中させる。
サーシャ「フゥ……っ」グッ・・・
罪は釘。罰は杭……磔られた罪人に打ち付けられた釘を引き抜く。
海原「っ!!? な、ん……ですか」タラー・・・
土御門「っ!!?」ギョッ・・・
一同『え……、』キョトン・・・
想像する。彼に討ち込まれた罪罰、『釘(弾)』を抜き取るイメージ。
彼の真上で『えんま』を開き……『釘』を掴み……引き抜く。
土御門「な、何をしている!? サーシャ=クロイツェフ!!」ギョッ・・・
サーシャ「…………、」グググ・・・
香焼「―――…――」
まず……一つ目。何とか取り出せた。
851 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/06(木) 01:49:02.77 ID:FRrrVr/20
続けて二つ目に取り掛かる。
結標「た、弾が香焼くんの身体から、出てきた……念道力!?」ギョッ・・・
海原「っ……土御門!」チラッ・・・
土御門「し、知らねぇ……おい、妹達! あのデカい挟みみてぇなのを撃て!」グッ・・・
上条「止めろっ!!」ガッ!!
土御門「……っ」ギリリ・・・
私と背中合わせになる様に立つ幻想殺し。
上条「確かに、お前らの言い分は分かった……納得いかないが、理解は出来たよ」ジー・・・
土御門「……じゃあ退け」
上条「だけど、もう十分だろ。香焼は罪を被ったし、罰も受けた」
結標「……アンタ」ジー・・・
彼が時間を稼いでくれたおかげで、二つ目もクリア。では最後の一つ。
海原「土御門! 彼女は弾丸だけではなく『呪い』まで引き抜いています! 解呪術式……いや、概念武装です!」ジー・・・
土御門「邪魔するな、上条当麻!」クッ・・・
上条「退かねぇよ。悪いが、俺は香焼の『筋(すじ)』に賛同する。苦しんでる友人を助けるのは当然だ」
土御門「だからそういう感情論如何こうの問題じゃねぇんだよ!」ギロッ・・・
上条「それはお前らの都合だろう!」ダンッ!!
あと、少し。
上条「もしこれ以上……お前らの、都市の、英国の、政治云々下らねぇ幻想(メンツ)で……信念を貫いた香焼を苦しめるってんなら―――」
弾は終わり……あとは『呪い』だけ。
上条「―――俺が、その不抜けてフザけて馬鹿げた幻想を……ブチ壊してやる!!」ギロッ・・・
土御門・海原「「っ……、」」タラー・・・
姫神「……上条くん」ジー・・・
よし! 終わった!
852 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/10/06(木) 02:18:18.22 ID:WXWtMMDQ0
あれ、引き抜いた呪いって消滅するのかな?
それとも…………!?
853 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/06(木) 03:16:07.13 ID:FRrrVr/20
『えんま』を降ろし、コーヤギーに駆け寄る。
サーシャ「コーヤギー……コーヤギー!!」ガシッ・・・
結標「ちょ、ゆ、揺らしちゃ駄目だって」アタフタ・・・
香焼「―――……、」ヒュー・・・ヒュー・・・
サーシャ「っ! い、息が安定してきた!」ホッ・・・
土御門「くっ……如何しろってんだ」ギリリ・・・
上条「諦めろ土御門……もう良いだろう」ジー・・・
あとは病院に運べれば安心だが、この状況。
海原「……土御門。此処は引いても良いかと思います」チラッ・・・
土御門「っ……少し待て」
姫神「待てない。血は止まりきってないわ。直ぐに病院へ運んであげなさい」ギロッ・・・
土御門「……撤退だ。海原、バンを呼べ」
海原「結界は?」
土御門「バンを呼んでから解け。さっさと帰るぞ」フン・・・
道化師は静かに立ち去った。優男も苦笑しながら、ゆっくり引いていった。
サーシャ「兎に角、すぐにでも医師へ!」アタフタ・・・
彼を救えます様に……―――
854 :
>>1
[saga]:2011/10/06(木) 03:18:14.53 ID:FRrrVr/20
今日は此処まで! すいません、次回こそラストです!
>>852
・・・次回、説明します!
それではおやすみ! ノシ
855 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/06(木) 22:12:16.89 ID:ShDiNgwso
どんな事情であれ、妹達は上条の意に反するようなことはしないとおもうんだが
まあ今更か
乙
856 :
>>1
[saga]:2011/10/06(木) 23:11:41.64 ID:FRrrVr/20
こんばんわ。ボチボチ書きます。
>>855
・・・まずその場に上条が居る事は知らされていません。『政治的な制裁』とだけの説明を受け、任務に臨んだ。そんな感じです。
そんじゃ投下!
857 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/06(木) 23:32:59.23 ID:FRrrVr/20
―――とある6日目、深夜未明、学園都市第7学区、とある病院・・・・・
何故か、知らない部屋の中で目が覚めた。
此処は何処だろう。あと今の時間はいつだろう……まったくもって先日のサーシャ状態だ。
香焼「……患者服?」チラッ・・・
もしかして此処は病院か?
よく見ると、服の下に包帯が巻いてある。それも一か所じゃない。
香焼「うーん……何があった?」ポカーン・・・
最後の記憶は、公園で交渉を終え……土御門が現れて、そして……3回乾いた音を聞いて……そこまでだ。
香焼「とりあえず、部屋を出よう」グッ・・・
布団を退け、床に足を降ろ―――
香焼「っ!」ヨロッ・・・
―――せなかった。何故か身体の踏ん張りが利かず、カーテンにしがみ付く形で、床に倒れた。
何とか立ち上がろうとして、壁に寄り掛かる。しかしその際、背中をぶつけ……激痛が走った。
あまりの痛さに小さく悲鳴を上げてしまう。
その時だった……部屋のドアが勢いよく開き、2人の女性が飛び込んでくる。
五和「っ!! コウちゃん!」バッ!!
香焼「つつぅ……五和?」チラッ・・・
御坂妹「何をしているのですか! とミサカは無茶する患者さんを叱ります!」ムンッ!
無茶? 患者?
御坂妹「はぁ……詳しい話は後ほど。とりあえず今はベットに戻って下さい。とミサカは忠告します」ジー・・・
五和「コウちゃん、ちょっと痛いかもしれないけどごめんね」ヒョイッ!
香焼「わぁ! ちょ、ちょっと!」アワワ・・・///
五和にお姫様抱っこされてベットに戻されてしまった。しかも人が見てるのに……超恥ずかしい。死んでしまいたい。
858 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 00:35:39.71 ID:rufkjsd30
一応抵抗したかったが身体の自由が効かない。無理矢理ベットに戻され、止むを得なく布団を被ってやる。
さて……とりあえず、現状を知りたいのだが。
御坂妹「では、今の貴方の身体について」サラッ
香焼「え? 身体?」
御坂妹「右肩甲骨および右わき腹、右臀部に銃傷。多量出血により危険な状態で病院に運ばれました、とミサカは説明します」
香焼「じゅ、重症?」
御坂妹「銃。発砲による怪我です……今は麻酔で動けない、とミサカは簡潔に述べます」
銃で撃たれた? いつ? 何処で?
御坂妹「それは……すいません。私(ミサカ)の口からは何とも」フルフル・・・
香焼「……はぁ」キョトン・・・
御坂妹「その……先生に知らせてきますね。お姉さん、あとはどうぞ、暫く2人きりで。ミサカはお暇します」コクッ
五和「……はい。御世話を掛けます」ペコッ
一礼し、部屋から出ていくナース服の妹さん。
残された五和は無言で立ち尽くしたまま。とりあえずどっか座りなよ。
五和「ん……大丈夫、なの?」ジー・・・
香焼「多分。ただ正直『浦島状態』っす。撃たれたとか言われてもなぁ」ムゥ・・・
実感が沸かない。まさに『5W1H』の説明が欲しい。あと、そういえば今何時だ。
五和「○○日(6日目)深夜3時頃……コウちゃん、倒れて6時間以上眠ってたわ」
香焼「そんなに? 6時間前って昨日の……っ!! サーシャは!? 彼女は如何なった!?」ギョッ・・・
五和「落ち着いて……彼女は無事任務を終えたわ」ポンッ・・・
香焼「……そっか。良かった」ホッ・・・
一安心。彼女が無事ならば、とりあえず他の事は如何でも良かろう。
香焼「それで……何が如何なったの?」
五和「……っ」グッ・・・
険しい顔をする五和。下唇を噛み……微かな声で呟いた。
859 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 01:04:54.82 ID:rufkjsd30
五和「……ごめんなさい」ボソッ・・・
香焼「は?」
五和「ごめんなさい……っ……ごめん、なさい」ポロポロ・・・
香焼「ちょ、な……えぇ?」タラー・・・
いきなり泣き出した。何が起こったんだ!? 僕は何か変な事聞いたか!?
五和「っ……違う……でも、ごめん」ポロポロ・・・
香焼「あ、ぅ……よ、よく分かんないけど、泣かないでよ」アタフタ・・・
五和「ん……粛、清……っ」グズグズ・・・
香焼「え」ピタッ・・・
五和「制裁……なのよ……止められなかった」グズグズ・・・
粛清? 制裁?
五和「兎に角……っ……ううぅ……香焼が、犠牲に……っ」ポロポロ・・・
香焼「……そう」ジー・・・
五和「だから……ごめんなさい」ポロポロ・・・
香焼「五和が謝る意味が分からないっすよ」ハハハ・・・
何となく察しがついた。要は今回の件の『責任持ち』が、サーシャを助けてしまった僕になったというだけの話だろう。
交渉を認めてしまった以上、都市側はサーシャを罰する事はしにくい。
かといって、この事件を『何事も無し』で片付けてしまえば、メンツが廃る。そこで見せしめ対象になったのが……僕か。
五和「うううぅ……ごめんなさい」ポロポロ・・・
香焼「泣くなよ。馬鹿みたいだ」クスッ・・・
五和「だってぇ……私が……っ……止められなかったから」ポロポロ・・・
香焼「所詮下っ端って事だよ……まぁ名誉の『鉄砲玉』さ」フフフ・・・
五和「馬鹿! そんな事言わないでよぅ……死んでたかも、しれないのに」ウウゥ・・・
多分、五和は『上』のその決断に反論したのだろう。だが無意味だった……まったく、御人好しめ。
香焼「謝るのはもういいから、そろそろ詳細教えてよ」チラッ・・・
五和「うぅ……っ……分かった」グズッ・・・
860 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 01:30:37.50 ID:rufkjsd30
涙交じりの五和が説明を始めようとした時、ガラリとドアが開く。
結標「香焼くんっ!!」バンッ!!
香焼「え、淡希さん」キョトン・・・
結標「よ、良かった……ふぇえ」ヘニャ・・・ヘニャ・・・
ヨロヨロと此方に歩み寄って来る結標さん。そのままベットの上に倒れ込んだ。
そして……布団越しに僕の足にしがみ付き、これまた泣き出す。
香焼「ちょ、待、ええぇ?」タラー・・・
結標「うわあああぁん! 良かったあああぁ……ふぇええぇ」ポロポロ・・・
香焼「あ、あのー」ポリポリ・・・
姫神「淡希。落ち着きなさい。彼。困ってるわ」ハァ・・・
香焼「姫神さん」チラッ・・・
一礼し入室してくる姫神さん。あくまで冷静。2人とは違い落ち着いた赴き。
姫神「とりあえず安心したわ……その。御見舞申し上げます。かしら?」テクテク・・・
香焼「いえ……あの、何が起こったのか分からないんすよ。今から説明して貰おうかなぁって」アハハ・・・
結標「うううぅ……土御門の糞野郎の所為よぅ!!」ビエエェン!
香焼「土御門?」キョトン・・・
五和「……香焼。落ち着いて聞いてね」ハァ・・・
自分は落ち着いてる。お前らが興奮しっ放しなんだろうが。
五和「とりあえず私が経緯を説明します……現場の状況は、2人からお願いします」チラッ・・・
姫神「ええ。任されました」コクッ
そして3人(淡希さんは終始愚痴ばかり)の説明が始まった。
861 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 01:45:48.42 ID:rufkjsd30
一寸後……話が終わる。つまり予想通りであり、下らない理由(メンツ)の所為という訳か。
姫神「余談だけど。あの後。上条君と土御門君が盛大に喧嘩をおっ始めたわ……ホント。馬鹿よ」ヤレヤレ・・・
香焼「上条さん……、」///
結標「ううぅ……今度、土御門の顔みたら……香焼くんにした様に身体中風穴開けてやるわよ」ウルウル・・・
物騒な事言わないで下さい。
結標「それにしても……神裂のヤツ、こんなに薄情者だと思わなかったわ」グズグズ・・・
香焼「え」キョトン・・・
五和「っ……結標さん……それは」チラッ・・・フルフル・・・
結標「何よ、私はアイツの事情なんか知らない。肩持ちなんてしないわよ」フンッ・・・
女教皇様が、何だって?
結標「糞も何も、香焼くんが殺されるかもしれないってのを容認したんでしょ!」ギリリ・・・
香焼「…………、」
五和「結標さん。お願いです……それ以上は」フルフル・・・
結標「悔しくないの!? 裏切られたのよ! アイツ……不良神父だって同じ様に黙認したっていうじゃない!」ギロッ・・・
ステイルも、か。
姫神「淡希……少し黙りなさい。此処。病室よ」チラッ・・・
結標「仲間を売ったのよ! 悔しくないの!?」ギリッ・・・
五和「そんなに……簡単な問題ではないんです。女教皇様……姉さんやマグヌス神父は、感情論で動ける立場の人間ではありません」
結標「そっちの事情なんか知らないっつってんの! こればっかしは上条当麻と同意見よ」フンッ・・・
姫神「まったく……すいません」チラッ・・・
五和「……いえ」
ありがとう、淡希さん……だけど、怒らなくて良いです。
862 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/07(金) 01:49:00.25 ID:xDA5z50mo
香焼頬染めんなww
863 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 02:01:34.94 ID:rufkjsd30
自分が組織的に悪い事をしたというのは分かっている。だけど、個人的には間違った事はしてない筈だ。
きっとそれは皆分かってくれてる……僕はそれだけで十分だ。
結標「っ……馬鹿よ……大甘よ!」ギリッ・・・
香焼「今更っすね」ハハハ・・・
姫神「そう? 私は強いと思うわよ。それに。少なくとも淡希よりは大人よ。この子」フフッ
香焼「い、いえいえ」ポリポリ・・・
結標「くぅ……と、兎に角……私は許さないから」ギロッ・・・
五和「御好きに。何と言われようが……公私混同は出来ません」ペコッ・・・
コイツから素の真面目口調を聞かされると鳥肌が立つな。
結標「……次は無いわ」フンッ・・・クルッ・・・
姫神「淡希……もぅ」ヤレヤレ・・・
香焼「あの、色々迷惑掛けちゃってすいません」ペコッ
姫神「ううん。えっと……淡希を嫌わないであげてね。あの子。友達少ないから」
香焼「勿論っすよ。今日だって感謝してるっす」フフッ
部屋から出ていこうとする寸前の淡希さんに聞こえる様、告げる。
結標「っ……今度こんな機会があったら、問答無用で私の『チーム』にスカウトするからね」フンッ・・・
香焼「自分は今の天草式(チーム)から離れないっすよ。絶対にね」クスクス・・・
結標「まったく……帰る。また御見舞くるわ。行くわよ、秋沙」テクテク・・・
姫神「んもー……それじゃあ御大事に……あ」ピタッ・・・
香焼「はい」
姫神「結構無茶苦茶な事言うけど。土御門くんの事も許してあげてね」チラッ・・・
香焼「…………、」
姫神「彼。敢えて『悪者』役やろうとするから。ホント。天邪鬼ね」ハハハ・・・
分かっている。僕は誰も恨まない。
姫神「ありがと。それじゃあ……『彼女』にも宜しく」ノシ
香焼「え?」ポカーン・・・
意味深な言葉を残して消えていく姫神さん。彼女って、何?
864 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/07(金) 02:04:28.18 ID:Fpbz6l1DO
>>862
> 香焼「上条さん……、」///
え?
え?
865 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 02:18:41.93 ID:rufkjsd30
さておき、再び2人きりになる。五和は相変わらず、ただ無言で立ち竦んでいた。
香焼「あのさ……何も気にしてないから。気に病まないで」
五和「…………、」グッ・・・
香焼「事故みたいなもんすよ。結局、怪我したの自分だけで済んだんでしょ」
五和「自分『だけ』じゃない……犠牲者『が』出てしまったわ」シュン・・・
香焼「言葉遊びっす。同じ事だろ」フフッ
まぁコイツが大人しくなるなら今のままでも良いか。
香焼「そういえば、サーシャは今何処に?」
五和「……下の待合室に来てる」
香焼「そう……起きてるかな」
五和「呼んでくるわ……あとそのまま先生の所に行って、少し話をしてきます」テクテク・・・
別に変な気遣いしてくれなくても良いのだけどなぁ……まぁ、ありがとう。
五和「……コウちゃん」チラッ・・・
香焼「ん?」
五和「女教皇様の事……カオリ姉さんの事……嫌いにならないでね」
香焼「……馬鹿なお願いするなよ。ばか」フフフ・・・
少なくとも、あの方の為に成れた。それだけで満足だ。
ステイルに対しても同じ。魔術的な力や立場的な云々では役に立てないけど、『駒』として、アイツの力に成れた。
五和「……歪んでる」ボソッ・・・
香焼「うん。自分でもこんなに狂信者だなんて思ってなかったっす」ハハハ
五和「……っ」テクテク・・・
それ以上、言葉は無い。五和は無言で部屋から出て行った。
866 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 02:44:42.00 ID:rufkjsd30
―――とある6日目、AM04:00、学園都市第7学区、とある病院・・・・・
五和が出ていき数分後……小さく4回、ノックの音。『どうぞ』と返事をする。
静かにドアが開き……サーシャと、もう一人女性が入ってきた。まるで知らない人である。
香焼「あ、れ?」ポカーン・・・
??『また子供か……ほら、サーシャ』スッ・・・
サーシャ「…………、」ジー・・・
無言のサーシャの背を押し、此方に歩み寄って来る女性。歳は30代半ばといったくらいだろう。
日本人には見えない。気軽にロシア語でサーシャへ話しかける姿を見ると、例の『同志』さんだろうか。
不思議に思っていると、彼女が英語で話しかけてきた。
??「まったく……坊や。此度はクロイツェフ特尉が世話になった。礼を言おう」コクッ
香焼「え、と、とくい?」ポカーン・・・
??「しかし、いや、やはりというべきか。都市潜入員の『同志』……SVR(対外情報局)の馬鹿を探してみて正解だったよ」
香焼「え、あの……貴女がその『同志』さんじゃないんすか?」ポリポリ・・・
??「元々此処に潜入していたSVRの輩は、サーシャから受け取る予定だった『血』を、何やら良からぬ事に実験しようとしていた」フンッ
香焼「え!?」ドキッ・・・
??「尤も、親元をゲロさせてから『粛清』してやったよ……安心しろ。『血』は私の部隊が確実に届けてやる」フフフ・・・
SVRの人間ではないらしい……何者だ。
??「私はソ連のとある士官よ……それじゃサーシャ。何かあれば電話して。既に携帯の使用は可能だから」ノシ
サーシャ「…………、」コクッ・・・
部屋から出ていく女性……残されたサーシャは先程の五和同様、無言で佇むだけ。
867 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 03:05:27.60 ID:rufkjsd30
香焼「……こっちおいで」チラッ・・・
サーシャ「…………、」ジー・・・
香焼「まず座りなよ。そこの椅子出していいから」コクッ
サーシャ「…………、」ジー・・・
香焼「……えっと、さ」ポリポリ・・・
無言は困る。
サーシャ「私には」ボソッ・・・
香焼「ん?」
サーシャ「……私には……貴方と喋る資格すら、ありません」ジー・・・
香焼「は?」キョトン・・・
サーシャ「…………、」ジー・・・
おまえは、なにをいってるんだ?
サーシャ「それだけではなく……アニェーゼ達にどんな顔をして謝れば良いか」ジー・・・
香焼「…………、」ハァ・・・
サーシャ「いえ、彼女達にも顔向けできません……極力、英国に出向くのは控えるべきでしょう」シュン・・・
香焼「サーシャ……怒るぞ」ギロッ・・・
サーシャ「っ……、」
馬鹿な事言うな。良いからまずこっち来い。
サーシャ「し、しかし」ムゥ・・・
香焼「椅子持って此処来て」ジトー・・・
サーシャ「……はい」トボトボ・・・
パイプ椅子をベット脇に置き、チョコンと座る。
香焼「自分、怒ってるよ。何でか分かるね」ジトー・・・
サーシャ「……でも」モジモジ・・・
香焼「あのなぁ……まず、アニェーゼ達の『やつあたり』を受けるのはステイルだ。君じゃない」
サーシャ「…………、」
香焼「アイツは何だかんだで馬鹿だから、僕と君の為に殴られる……殴られてくれる」
アイツは、そういうヤツだ。表には出さなくても、そのくらい器が大きな男なのだ。
868 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 03:23:34.55 ID:rufkjsd30
それから、自分が全ての元凶の様に言う。それも止めろ。
香焼「仕事だろ? だったら公私混同させちゃダメだよ……サーシャの言葉でしょ」
サーシャ「っ……何で……こんな時ばかり……冷静なんですか」ジー・・・
香焼「何でだろうね。普段があやふやだからじゃないかな」ハハハ
サーシャ「卑怯です……っ……狡い」グズッ・・・
香焼「そうでもないよ」
サーシャ「いっそ、私を悪者にしてくださいよ……っ……ううぅ」ポロポロ・・・
香焼「……泣かないで」ポンッ・・・
長めの前髪で目元が見えないが、頬には確実に雫が毀れていた。
サーシャ「貴方は……誰かを恨んで良い筈です……っ……ぅぅ」ポロポロ・・・
香焼「皆、それぞれの正義の為にだろ? 何処にも悪なんて無いっすよ」
サーシャ「しかし……それでは、貴方だけが『救われない』です」ウウゥ・・・
香焼「そうかなぁ。別に不幸とは思わないよ」
確かに何も知らないまま『駒』にされてたのは腑に落ちないけど、しかし皆が心配してくれた。それに……サーシャが無事だった。
サーシャ「っ……人の心配、しないでくださいっ!!」グッ!!
香焼「さ、サーシャ」ビクッ・・・
サーシャ「貴方は……貴方は……死にかけたんですよ……っ」ポロポロ・・・
香焼「でも……死んでないから」ポン・・・ポン・・・
サーシャ「結果論です……ううぅ……例え死ななくとも『捨て駒』なんです! 嫌がって下さいよ! 『鉄砲玉』ですよ!!」ギュッ・・・
香焼「まぁ……カタギじゃない以上、覚悟しなきゃね」フフッ・・・
サーシャ「っ……バカです……ううぅ……うわああああぁんっ!! 何で……っ……何でええぇ!」ポロポロ・・・
少なくとも、自分の為に泣いてくれる人が居た。これほど嬉しい事は無いんだ。
869 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 03:52:58.82 ID:rufkjsd30
しがみ付いて泣くサーシャを撫で、話を続ける。
香焼「それに……サーシャは、自分の事助けてくれたんだろ?」ポンッ・・・
サーシャ「っ……それは」ポロポロ・・・
姫神さん曰く、『身体から弾丸を引き抜いた』との事。
香焼「ありがとう……でもどうやって取ったの?」
サーシャ「っ……『えんま』です」グズグズ・・・
香焼「え?」
サーシャ「『必要な時』……私にも、未だに理解出来てません……しかし……『必然』だったんです」グズッ・・・
あの『店』での出来事。
サーシャ「使い方は分からないし、正直用途もピンッと来てなかった……でも、分かったんです」コクン・・・
香焼「分かった?」
サーシャ「『えんま』は罪人の舌(罪)を抜き……釘抜きは磔られた罪人または生贄の釘(罰)を抜きます」
香焼「それは、用途だね」フム・・・
サーシャ「使い方はドチラも同じなんです……といっても、イメージしただけなんです」ジー・・・
彼女は頭に思い描いた方法で僕の身体の中にあった銃弾……そして『呪い』と抜き取った。
ただし、抜き取ったモノの処理までは分からなかった故、後始末は上条さんが右手を使ってくれたとか。
何にしろ、呪いが残らなかったのはサーシャのおかげだろう。
香焼「ありがとう」フフッ
サーシャ「……ごめんなさい」ペコッ・・・
香焼「だから、謝らないでよ」ハァ・・・
サーシャ「…………、」フルフル・・・
やれやれ。流石カオリ姉さんレベルのお堅い性格だ。
870 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 04:11:31.00 ID:rufkjsd30
それから、暫く沈黙が続いた。
サーシャは僕の太腿辺りを掴んで、ずっと突っ伏したまま何も話さない。僕も僕で、如何して良いか分からない。
サーシャ「……明日」ボソッ・・・
香焼「え?」
サーシャ「明日……やはり、祖国(ロシア)へ帰ります」
香焼「そっか……観光、出来なくてごめんね」ポンッ・・・
サーシャ「……そんな事で、謝らないで下さい」ギュッ・・・
結局、仕事か。
香焼「機会があれば、またおいで。遊びに行こう」フフッ
サーシャ「…………、」チラッ・・・
香焼「もぅ……気にしないの」トントン・・・
サーシャ「……はい」コクッ
犬……いや、狼娘か。
サーシャ「この借りは、必ず返します。何だって言う事聞きます」グッ・・・
香焼「大袈裟だなぁ……気にしてないってば」ハハハ
サーシャ「駄目です……私が納得しません」ガシッ・・・
香焼「痛っ」ビクッ・・・
サーシャ「わ……っ!! す、すいません」アタフタ・・・
存外、痛むな……麻酔が抜けてきた証拠か。痛みの勢いで前のめりになってしまった。
サーシャ「だ、大丈夫、ですか……(か、顔、近いっ!)」アタフタ・・・///
香焼「ご、ごめん……少し横になるよ」フゥ・・・
サーシャ「は、はい……(か、可愛い……って! 何考えてんだ私!!)」///
香焼「どのくらいで退院だろう。早めに出たいけどなぁ……もしかしてリハビリもあるかな」
サーシャ「……もし、車椅子生活になったら……一生、押してあげますから」グッ・・・
香焼「サーシャ……、」チラッ・・・
サーシャ「そ、その……〜〜〜っ」カアアァ///
縁起でもない事言わないで下さい。
871 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 04:27:15.55 ID:rufkjsd30
サーシャ「え、えっと……その……っ」ジー・・・///
香焼「ん?」
サーシャ「…………、」///
心成しか、顔が赤い。もしかしてサーシャこそ隊長を崩してるんじゃないのか?
頭に乗せていた手を、額にズラす……少し熱いかな。
サーシャ「っ!! (ど、どうしよう……き、キス……しちゃうかも)」アタフタ・・・///
香焼「大丈夫かなぁ……明日一日くらい、ゆっくりしていけば良いのに」フム・・・
サーシャ「ん……(アニェーゼ、アンジェレネ、レッサー! 御先に失礼します!!)」カアアァ///
香焼「サーシャ……今日くらい(都市に)泊まれない?」チラッ・・・
サーシャ「っっ!!? そ、その……ふ、不束者で、全然知識はありませんけど……頑張りますので……その、優しく、してください」カアアァ///
香焼「……は?」キョトン・・・
サーシャの言動が変だ。少々息が荒いし、此方に寄りかかったきた。やはり風邪かもしれない。
一度、先生に診てもらうよう勧めようとした時……部屋のドアが開いた。
上条「香焼! 目が覚めた、ん……だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぁ」ガラッ・・・ピタッ・・・
香焼「あ、上条さん!」チラッ・・・
サーシャ「っ!!?」チッ・・・
急に背筋を伸ばしたサーシャ。大丈夫なのか?
上条「ええっと……とりあえず元気そうで良かった……また来るよ」イソイソ・・・
香焼「え?」キョトン・・・
上条「あー……無茶するなよ? 傷口開く様な激しいのは控えるべきだぜ」タラー・・・///
サーシャ「チッ」ギロッ・・・
上条「お、御大事に! そんじゃまた!」ピシャッ!!
香焼「あ、ちょ……何しに来たんだろう?」ポカーン・・・
まぁまた来てくれるって言ってたし、それで良いか。
872 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 04:39:22.41 ID:rufkjsd30
さて、じゃあサーシャに診察に行く様伝え……あれ?
サーシャ「…………、」ムスー・・・
何故か、ぐでんっと布団の上に頭だけの乗せて転がっていた。
香焼「あれ? さ、サーシャさん?」ポカーン・・・
サーシャ「……寝ます」フンッ・・・
香焼「へ!?」キョトン・・・
サーシャ「疲れました。おやすみ!」ムンッ・・・ペタン・・・
香焼「あ、ちょ……やれやれ」フフフ・・・
ちゃんとベットに寝なきゃ疲れるだろうが、まぁ仕方あるまい。
近くにあったタオルケットを彼女に被せてやり、その後、自身も床についた。
香焼「電気、消すよ」チラッ・・・
サーシャ「…………、」ジー・・・
香焼「おやすみ、サーシャ」
サーシャ「……おやすみなさい、コーヤギー」ボソッ・・・
明かりを消す。
色々、大変な数日だった。だけど……貴重な経験も出来たし、初めて姉さんやステイルの為になれた。
こんな状況になってはいるけど、悪くない日々だったと思う。
サーシャ「…………、」グッ・・・
救われない者に救いの手を。その礎となる為だったら、自分の身体程度、主にくれてやろう。
それで友を救えるのであれば……例え、偽善だ独善だ自己満足だと言われようが、構わない。
現にほら、僕は生きてる……世界はそれほど残酷ではない筈。悲観する必要なんて、何もないのだから……―――
873 :
第E話―――サーシャ「とりあえず、ホームセンター行きたいです」 香焼「仕事で来たんでしょ」
[saga]:2011/10/07(金) 04:56:37.77 ID:rufkjsd30
<おまけっ!>
―――とある数日後、とある時間、ロシア・モスクワ、救聖主ハリストス大聖堂のとある一角、殲滅白書(Annihilatus)部署内・・・・・
ワシリーサ「―――……ふーん」ジー・・・
クーニャ「……以上が、『血』の、実績です」タラー・・・
『親吸血鬼(死徒魔術師)1体、および子吸血鬼(ゾンビ)66体……全滅(灰化)』
ワシリーサ「……吸血鬼、か」
クーニャ「この報告書を学園都市と英国にも回しておけば宜しいのでしたね?」
ワシリーサ「ん……私がやっておくわよん。とりあえず、クーニャちゃんは首相とSVR・FSBに報告を」コクッ
クーニャ「了解です。あ、それから……サーシャは如何しましょう。帰ってきた様ですが」
ワシリーサ「休暇を与えたもの。好きにさせなさい」
クーニャ「了解です、それでは」ペコッ・・・
ワシリーサ「……姫神秋沙……学園都市に居なければ、駄目ね」ジー・・・
ワシリーサ「本物の対吸血鬼決選用兵器の『原石』」ジー・・・
ワシリーサ「魔術の世界の人間が、徒に彼女を掘り起こしてはいけない……それこそ熾烈な争奪戦になる」フム・・・
ワシリーサ「ローラには悪いけど、少々、情報を弄らせて貰うわ……あれは貴女達の所有物であってもいけないわ」
『「血」の効果は無し:ルーマニア側に雇われたフリーランスの死霊魔術師。成教特殊部隊の手に寄り「殲滅」。死霊も祓い済み』
ワシリーサ「まぁ……店主さん、ありがとう……対価は『前店主の捜索手伝い』で良いわね?」フフフ・・・
店主『…………、』ジー・・・
ワシリーサ「そんな顔しないの……とりあえず、皆で幸せになりましょうよ♪」クスクス・・・
874 :
>>1
[saga]:2011/10/07(金) 05:02:05.56 ID:rufkjsd30
はい……やっと終わった。気付けば残り100ちょい。あと一話分だなぁ。その後如何しよう。
とりあえず次回は病院話かなぁ。問題はその後だ。
まだ終わってないアニェーゼ・アンジェレネ編などを書く為に『3rd Season』突入すべきか、一度止めるべきか。悩むぜ。
さておき、質問意見感想罵倒リクエストなどなど、よろしくお願いします! では! ノシ
875 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/10/07(金) 17:11:03.58 ID:FO26jFgAO
そろそろアニーをだな
色々とだな
弄くっちゃったりしてだな
876 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/07(金) 18:34:23.33 ID:Fpbz6l1DO
できれば『あまくさっ』シリーズ続けて欲しいけどなぁ。
ところで……親戚、生きてるかい? サーシャ話やったから『サーシャ・アフター』できるよね!(笑)
877 :
>>1
[saga]:2011/10/08(土) 19:42:41.69 ID:sYR9j9tK0
こんばんわ。ボチボチ書こうか。
この話の最後で方針アンケしまーす。協力よろしく! では投下!
878 :
第F話(18話)―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 20:05:47.77 ID:sYR9j9tK0
―――とある日、AM10:00、学園都市第7学区、とある病院・・・・・
先日のサーシャ来訪ドタバタ(前話)から数日後のとある日……自分はまだ入院していた。
どうも病院のベットの上ってのは好きになれないが、土御門御手製の『呪いたっぷり弾』を三カ所にブチ込まれ、死んでないだけマシとの事。
文句は言えないのだが……暇だ。
御坂青子「やれやれ。御若いのにワーカーホリックなのですね、とミサカ16582号は呆れてみます」
香焼「あはは……何とも」ポリポリ・・・
ミサカ妹(10032号)さんが確か『青子(ブルー)』と呼んでいる妹達(シスターズ)。僕の担当看護師っぽい。
※気になる方は<MNW ミサカ16582号>でググってみよう!
御坂青子「そういえば今日は休日なのに、まだお姉さん達が来ていませんね。とミサカは確認していみます」フム・・・
香焼「姉達も暇じゃないっすよ……あと別に来なくても良いし」ハァ・・・
御坂青子「そういう言い方、良くないですよ。兄弟姉妹は大事にすべきです、とミサカは説教垂れます」メッ!
香焼「…………、」ポリポリ・・・
御坂青子「はぁ……また来ます。おしっこしたい時は呼んで下さいね。尿瓶を持ってきます、ミサカはウヘヘ……、」ハァハァ・・・
一人でトイレ行けますから、涎拭いて下さい。
この妹達は周りの妹達と違って、ちょっと……アレです。まぁ暇な時相手になってくれるからスルーしつつ、対応するけど。
香焼「……もあい、大丈夫かなぁ」ボー・・・
家に残している子猫が心配だ。五和達が餌を与えて居れば良いが……月詠さんにお願いしとけば良かった。
879 :
第F話(18話)―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 20:17:25.40 ID:sYR9j9tK0
さておき、あの後サーシャから手紙が届いた。任務は『血』の御蔭で大成功。
<バケモノ>共は一掃出来たらしい。改めて姫神さんと『僕』に礼をするとか何とか。別に自分に礼とか要らないのに……律義だなぁ。
それにしても、暇だ。散歩でもしようか。でも個室だから抜け出すとすぐばれるし、ミサカ妹さんに怒られるのヤダなぁ。
そんな馬鹿な事を考えている時だった。ドアをノックする音。
香焼「五和と浦上かな? ……はーい」チラッ・・・
ガラリと開くドア。現れたのは……―――
@最愛+α
A佐天・初春・春上
B上条・姫神+α
>>881
※『+α』は、内緒。
880 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/08(土) 20:21:54.09 ID:TE4jW713o
1
881 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北陸地方)
[sage]:2011/10/08(土) 20:23:41.20 ID:FW+3Uz7AO
3
882 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/10/08(土) 20:40:03.20 ID:I7kjDiUd0
呪いの始末は安心の上条△か
いつも思うけど、幻想殺しマジチート
>>870-871
これは……【サーシャアフター】フラグ、建ったな
883 :
第F話(18話)―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 20:49:15.38 ID:sYR9j9tK0
―――……三人の男女、と一匹。
上条「よぅ! 暇そうだな」ガラッ・・・
香焼「か、上条さん!」パアァ!!
姫神「この反応……この子って。もしかして『ソッチ』の子?」タラー・・・
禁書「えー……とうまに対しては万年飽和状態だってのに……『男の娘』まで入り込んできたら余計カオスっちゃうんだよ」ハァ・・・
スフィンクス「なーぅ」コクコクッ・・・
前日の目撃者+その居候。
上条「あはは。いつも俺が運ばれる個室に、見舞い側で来るのは新鮮だな」ハハハ
香焼「か、上条さんと同じベット……なんだ」///
禁書「こら、衆道(BL)っ子。アニェーゼ達に言いつけちゃうんだよ!」ジトー・・・
姫神「やめなさいインデックス……これ。御土産ね」スッ・・・
何だか色々美味しそうなお菓子セット。ありがとうございます。
一応食事制限されているので、退院したら頂きますよ。
禁書「ふむふむ。それでー……どれが賞味期限危ない(食べて良い)ヤツかな?」キョロキョロ・・・
上条・姫神「「…………、」」ハァ・・・
香焼「あはは。冷蔵庫の中のシュークリームなら食べて良いっすよ。上条さんと姫神さんもどうぞ」コクッ
『ヒャッハー!』と勝手知ったる何とやらの勢いで冷蔵庫を漁り出す禁書目録。
賞味期限浅いヤツは食べないでくれよ。
上条「あーもう、喧しい。インデックス、少し外出てろ。これでジュースでも買って来い」チャリンッ
禁書「わっほーぅ! 4本買えるんだよ!」キラキラ・・・バッ!
上条「一本だ! お釣りは持って帰ってこ……もう居ないし」ハァ・・・
姫神「まったく。精神年齢が断トツで低いわよね。まぁ個性かしら」フフフッ
とりあえず適当に座って下さい。あ、今お茶入れます。
上条「ん。良いから寝てろ。勝手に淹れさせて貰うから……って、紅茶ポット? 急須じゃねぇのか」ジー・・・
姫神「私が淹れるわ。貴方も。紅茶くらい飲めるの?」チラッ・・・
香焼「はい。茶っぱの種類は何使っても良いっす」コクッ・・・
分かった、とダージリンに手を伸ばす姫神さん。お客様を働かせちゃって申し訳無いです。
884 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/10/08(土) 20:55:56.61 ID:I7kjDiUd0
「か、上条さんと同じベット……なんだ」///
おいコーヤギー、サーシャが泣くぞwwwwww
「ベッド」だろうが
885 :
第F話(18話)―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 21:02:37.91 ID:sYR9j9tK0
一寸後、熱めの紅茶を啜りながら、上条さんが口を開いた。
上条「香焼。神裂とステイルは来たのか?」チラッ・・・
香焼「え? 来てないっすけど、何で?」ポカーン・・・
上条「……そうか」フム・・・
何か気になる事でもあるのだろうか。
上条「いや、その内来るだろ。それより、あの後サーシャは?」
香焼「あ、手紙が届いたっす。えっと……はい」スッ・・・
上条「うん。読ませてもら……あー」タラー・・・
香焼「……上条さん」キョトン・・・
姫神「やれやれ。香焼くん。上条君が英語文章読める訳無いでしょ」ハァ
あー……なるほど。すいません。
姫神「私が読むわ。因みに。中身は私が読んでも大丈夫な内容なのね?」チラッ・・・
香焼「はい。その手紙は大丈夫っす」
小さく頷き、スラスラと日本語訳して上条さんに言い聞かせる姫神さん。
姫神「―――……だってさ」
上条「要するに、紛争食い止めたって事か」
香焼「それは政治家の仕事っすけど、和平交渉の『隔たり(オカルト)』は排除できたって事っす」
姫神「でも正直……『血』の悪用云々は。書状では分からないわね」ジー・・・
香焼「大丈夫っすよ。サーシャを信じて下さい」コクッ・・・
上条「ああ。俺も保証する」コクッ
姫神「……ええ。信じるわ」フフフ・・・
ロシアの他の人は知らないけど、サーシャは信じられる娘だ。
姫神「それにしても。この『ヴァロージャ』って人……もしかして」タラー・・・
香焼「え?」キョトン・・・
姫神「……あの子。将来大物なるわね」ポリポリ・・・
そういえば文章中に『ヴァロージャ小父さん』という単語が出てきたが、誰だろう。懇意にして貰ってる神父か司教様かな?
886 :
第F話(18話)―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 21:21:16.70 ID:sYR9j9tK0
さておき、と上条さんが紅茶を置いて……馬鹿な事を聞いてきた。
上条「サーシャと……何処まで」ボソッ・・・
香焼「ヴぁっ!!?」ゴホッ!!
姫神「…………、」ジトー・・・
何聞いてんだ、この人。
香焼「ど、何処もauもSBも無いっすよ!」カアアァ///
上条「いや、隠さなくても良いぞ? ほらこの前、さ……キスしてたんじゃないの?」ニヤニヤ・・・
姫神「あらら。おませさん」フフフ・・・
香焼「し、してないっす! てか恋人でも無いのにそんな破廉恥な事!!」カアアァ///
上条「……あっそぅ。なーんだ」フーン・・・
何を期待してるんだ、この人は。
上条「いやさぁ。神裂とか五和が家来る時、必ず『ウチの香焼は〜〜〜でぇ』って言って帰るから」ハハハ
香焼「……傷口が痛んできた」キリキリ・・・
姫神「そういえば。淡希教えてくれないんだけど……ホントにあの子に食べられてないの?」ニヤニヤ・・・
香焼「にゃ、にゃにを!?」ギョッ・・・
姫神「それは……女の子に言わせないでよ」フフフ・・・///
その前に、女の子がそんな破廉恥な事聞かないで下さい!
上条「え!? 結標さん、マジで、その……年下好きって噂は……一方通行とか土御門が言い触らしてたけど」ワァオ・・・
姫神「さぁ。でも。噂じゃお気に入りの子を集めた美少年SS(親衛隊)を作ろうとしてるとか何とか」フフフ・・・
香焼「いや……無いっしょ」タラー・・・
姫神「だから別に。君が処女……じゃないか。童貞じゃなくても驚かないわ」ジー・・・
上条「しょ、しょじ……ひ、姫神さんが凄く大人の貫録を見せた発言をしていますですはい」オオォ・・・
香焼「いや、そんな人を淫売みたいに……友達でしょう?」タラー・・・
姫神「あはは。友達だから軽口叩けるのよ。あ。あの子には内緒ね」フフフ・・・
多分、あの人は見た目恰好がアレですけど、存外純粋で一途だと思う。
それにもう貞操を粗末にするような事はしない筈ですよ。 ※『あまくさっ!』第4話参照。
887 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 21:33:57.05 ID:sYR9j9tK0
それから黒髪お兄さんお姉さんにからかわれ……そろそろお暇する、と2人は立ち上がった。
上条「また来るよ。間違っても筋トレとかすんなよ? 余計成長止まるぞ」ハハハ
姫神「もし。淡希が襲ってきたら連絡しなさい。小萌先生と助けに来てあげるから」フフフ
お2人とも、余計なお世話っす。
上条「それじゃあインデックス探すか。御大事に」コクッ
香焼「はい。ありがとうございました」ペコッ・・・
姫神「さてと……あ。忘れてた……もう一つ御見舞の品があったわ」チラッ・・・
香焼「え? 別に良いっすよ。禁書目録にでもあげて下さい」
姫神「残念ながら食べ物じゃないのよ……ほら。何時までそこ突っ立ってるの? さっさと入りなさい」
上条「てかお前、ずっとそこ立ってたのな。案外女々しいヤツ」ハハハ
2人と入れ替わりで入ってきたのは……あ。
土御門「うっせぇ……ったく」テクテク・・・
僕を撃った張本人さんだった。
土御門「あー、その……なんだ……うん」ポリポリ・・・
香焼「……おはよう。こんにちは、かな」コクッ
土御門「おう……うん。座って良いか?」チラッ・・・
香焼「どうぞ」
先程上条さんが座っていた椅子に座る土御門。いつの間にか、2人はドアから消えていた。
土御門「…………、」ジー・・・
香焼「今紅茶淹れるっす。少し待ってて」
土御門「別に良い。タンブラーあるからな」スッ・・・
香焼「妹さんが淹れてくれた?」フフフ・・・
土御門「……お前、ウチの義妹に手ぇ出したらもう一回ブっ殺すからな?」ギロッ・・・
そりゃ勘弁ですよ。というか残念ながら、妹さんとお話した事無いですって。
888 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 21:47:53.84 ID:sYR9j9tK0
いくらか和んだ所で、土御門は御土産の品を取り出し、勝手に冷蔵庫へしまった。
その後、少々言い淀んでから……はっきり告げる。
土御門「悪いが、謝れないぜ」コクッ
香焼「はい……分かってるっす」
土御門「そうか。何か言いたい事、聞きたい事は?」
香焼「何も」フルフル・・・
別に彼を苦しめるつもりはない。
土御門「……思ってたより大人だな。ステイルとかの話じゃガキだとばかり思ってた」
香焼「弁えてますよ。『鉄砲玉』って扱いでも仕方が無い」
土御門「ははは……必要悪の教会(ウチ)が日本極道(ヤクザ)なら昇進モンだったがな、生憎そうはいかん」クスクス・・・
香焼「そんな高望してないっす」
土御門「ああ。悪いな……安心しろ。今日は撃たない」
その心配はしてない。
土御門「だが今回の件、多少なりとも『身から出た錆』だと意識してるか?」ジー・・・
香焼「ええ。『多少』は」
土御門「納得いってるんだな?」
組織としても納得出来るし。個人としても満足している。これ以上望んだら罰当たりだ。
土御門「個人、か……前に『結標との件(※第4話)』で、忠告したよな」
香焼「『いつか命取りになるぞ』……でしたか」
土御門「ああ。もう一度言おう。恨んでくれて構わないぞ……次は死ぬ」ジー・・・
香焼「……覚悟します」
土御門「馬鹿野郎。甘ぇんだ。私情は捨てろ」フンッ
香焼「私情を捨てたら、教義が廃ります」
土御門「……ったく」ポリポリ・・・
自分は女教皇様の様に力がある訳じゃない。上条さんの様に勇気がある訳ではない。
でも……信念は曲げたくない。こればかりは、譲れないのだ。
889 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 22:01:28.83 ID:sYR9j9tK0
それから暫く無動無言……だが、根負けしたのは土御門。
土御門「ったく……ほらよ」ポンッ・・・
香焼「え?」キョトン・・・
土御門「特別手当だ。神裂達には内緒にしろよ」ポリポリ・・・
何の特別手当?
土御門「俺と海原、あと妹達からの見舞金だと思え……言っておくが、お前じゃなくとも払ってた慰謝料だからな」ヤレヤレ・・・
香焼「……ありがとう」フフフ・・・
土御門「喧しい。養生しろ……あと改心しろ」テクテク・・・
香焼「それは保障しかねるっす」クスクス・・・
土御門「ハァ……またな」ガラッ・・・
あくまで仕事モードという体裁で、見舞いに来てくれた道化師。何だかんだでツンデレだな。
香焼「……また暇なっちゃった」フム・・・
何しようかな……そうだ。昼前だし散歩しよう。この時間帯ならミサカ妹さんも忙しいだろうから目を盗める。
行き先は……―――
@売店。
A屋上。
Bその他、適当にウロウロ。
>>892
890 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
:2011/10/08(土) 22:02:43.49 ID:5J1FcIeAO
A
891 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/10/08(土) 22:03:49.64 ID:PgDCRJh2o
@
892 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(京都府)
[sage]:2011/10/08(土) 22:07:02.62 ID:EKHKuzsf0
@
893 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 22:37:22.70 ID:sYR9j9tK0
―――……そうだ。雑誌でも買いに行こう。今週の『ジャガデー』買うの忘れてた。という事で、松葉杖を手に取り部屋を飛び出した。
相変わらず万年万床状態のこの病院。老若男女、色んな患者でゴッタ返ししている。
車椅子患者の事を考え、自分は階段で3階売店コーナーまで歩いた。結構疲れるもんだな。
香焼「……あ」チラッ・・・
売店に知り合い……と知らない少女。
絹旗「うーん……やっぱりジャガデーは既に買ってるんじゃないですか?」ジー・・・
黒夜「だからコッチのアダルティ〜な本買ってってやれっての。色々溜まってんだろ?」ハハハ
絹旗「だからさぁ……脳味噌沸いてるんじゃないですか?」ハァ・・・
黒夜「頭ん中はお互い様だろぉがよぉ絹旗ちゃん」ジトー・・・
あー……話しかけて良いのだろうか。
絹旗「……やっぱジャガデー買いましょう。ダブったら浜面にでも押し付けます」
黒夜「けっ。つまんねぇのー。てかお前、御見舞に雑誌ってチョイスが馬鹿だろ」ヘッ
絹旗「超五月蠅いです。きっと香焼は暇してて、雑誌欲しいなぁとか考えてる筈なんです」コレクダサーイ
黒夜「へぇへぇ。相思相なんちゃらって事ね」ニヤニヤ・・・
絹旗「超うっさい!」ジトー・・・
……あ、こっち来た。
黒夜「てか絹旗ちゃんに友達なんて、マジ信じられねぇんだけどよー」テクテク・・・
絹旗「あーもう……何でついて来るんで……あ」ピタッ・・・
黒夜「あん?」チラッ・・・
香焼「えっと……こんにちわ」アハハ・・・
絹旗「香焼! 歩いても大丈夫なんですか!?」キョトン・・・
香焼「まぁ無理しない程度で動けるからね」
黒夜「……ふーん」ジー・・・
其方は?
絹旗「あー……知らない子です。超赤の他人」ダラダラ・・・
香焼「え?」
黒夜「……その子の姉妹分だ。どーぞ宜しく」ニヤニヤ・・・
絹旗「だ、誰が姉妹分ですか!!」ギャー!
何とも、似てない姉妹分だな。まるで対照的だぞ。
894 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 22:52:32.52 ID:sYR9j9tK0
とりあえず立ち話も何なんで、何処か座りませんか?
黒夜「えー。私はアンタの病室がこの病院でトップクラスの個室だって聞いたから覗きに来たのになぁ」
絹旗「黙ってて下さい! てか帰れ!」ムギギ・・・
香焼「あー……じゃあ部屋行こうか」アハハ・・・
黒夜「わーい。絹旗ちゃんと違って物分かりの良い坊主ねぇ」フフフ・・・
絹旗「こ、いつ……すいません、香焼」ハァ・・・
香焼「あはは……とりあえず此処離れよう」タラー・・・
注目されて、たまったもんじゃない。
まったく何しに来たのか分からない少女が、僕らお構い無しにエレベーターに乗り込み、元の階のボタンを押した。
ご機嫌な少女……他方、微妙に不機嫌な最愛。何だこれ?
さておき部屋に戻って、彼女達に座って貰おうと椅子を出した。
黒夜「ん―……別に普通の部屋じゃねぇの? まぁ窓から見える景色は良いな」オー・・・
香焼「えっと」ポリポリ・・・
絹旗「……すいません。勝手についてきちゃいました」ハァ・・・
香焼「勝手にって……というか彼女は?」タラー・・・
絹旗「残念ながら、姉妹分ですね……超残念ながら」ハァ・・・
心底溜息をつく最愛。如何いう事か、詳しく聞いて良いのだろうか。
絹旗「いえ、放っておいて下さい。あ、これ御見舞です」スッ・・・
香焼「ん……ありがとう。丁度買いに行こうとしてたんだよ」クスクス・・・
絹旗「ふふふ。私の予想が一歩早かったですね」クスクス・・・
黒夜「……へぇ」ニヤニヤ・・・
そうだ。適当にお茶やお菓子食べて貰って構わないよ。
黒夜「んじゃそうすっか……コーラとか無ぇの?」ガチャッ
絹旗「こ、こらっ!!」ジトー・・・
香焼「あはは。流石にコーラは置いてないなぁ……紅茶とか緑茶だよ」
黒夜「使えねー。あ! ブジ屋のエクレア有んじゃん! 頂きー!」フフフ・・・
絹旗「っ……いい加減にして下さい」ピリピリ・・・
黒夜「ふぁ?」モガモガ・・・
確かに……あまりに礼儀知らずかな。
895 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 23:09:36.73 ID:sYR9j9tK0
少々気拙く感じたのか、少女は僕と最愛の分のエクレアを取り出して、足で冷蔵庫を閉めた。
そして無言でパイプ椅子に座り、僕らをジロジロ眺めた。
黒夜「……ふーん」モガモガ・・・
香焼「あの……名前は?」ポリポリ・・・
黒夜「んー……ふぅ。人に名前聞く前に自分の名前から話せよ、非常識」ゴックン・・・
絹旗「相手の名前知らないのに見舞いに来る輩の方が超非常識ですよ」ジトー・・・
同意する。まぁでも、最愛の姉妹分(?)という事なら仕方あるまい。
遺伝レベルでコミュ障なのだろう……と自己解決。
香焼「香焼っす。最愛とは友達だよ」
黒夜「友達ねぇ……ふーん」ニヤニヤ・・・
絹旗「その超ゲスい目止めて下さい」ジトー・・・
黒夜「まぁ良いじゃん。黒夜海鳥だ」ムシャムシャ・・・
香焼「……宜しく」コクッ
絹旗「こんなヤツと宜しくしないで良いですから」ムスー・・・
黒夜「ははははは! 絹旗ちゃーん、ヤキモチ妬くなって! 奪ったりしなからぁ」ニヤニヤ・・・
絹旗「ヴぁっ!? くぁwせdrftgyふじこlp!!」アタフタ・・・///
まぁ……案外仲は良いみたいだな。麦野さんみたいなモンか。
黒夜「仲良いねぇ……一応殺し合いする程度に仲は良いかもな」ハハハ
香焼「……最愛?」チラッ・・・
絹旗「無視ってください。コイツ、頭超イカレてるんです」ハァ・・・
黒夜「酷いねぇ、絹旗ちゃん。頭ん中大体同じだろぉがよー」ハハハ
何というか、粗暴な感じの少女だ。アニェーゼともレッサーとも違う感じ。
黒夜「しかしなぁ……テメェに友達ねぇ。奇特なもんだ」ジー・・・
絹旗「だからうっさいです」ジトー・・・
失礼ながら、最愛、何で彼女つれてきたの?
絹旗「病院内で見つかったんです。そんでベッタリ付き纏われました」ハァ・・・
黒夜「あはは。何か珍しいモン見れそうだったからなぁ。悪いか?」ジトー・・・
絹旗「ええ。超迷惑です」ジロッ・・・
黒夜「ああ。分かってやってるから」ジトー・・・
何やら火花が散ってる……殺し合いとか本当じゃないよな?
896 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 23:20:32.55 ID:sYR9j9tK0
とりあえず……喧嘩しないでくれ。カップゼリーあげるから。
絹旗「……すいません」ペコッ・・・
黒夜「ふんっ……私、みかん」
香焼「はいはい。最愛は?」
絹旗「オレンジ味で」
それ、同じだろ……1個しか有りませんけど。
絹旗・黒夜「「…………、」」ジトー・・・
香焼「あ、えっと……自分買ってくるから!」アタフタ・・・
絹旗「そ、そんな事しなくて良いですから! もぅ……あなたにあげます」ハァ・・・
黒夜「ふんっ……やっぱ桃味が良い。勝手に取るぞ」スッ・・・
香焼「…………、」ジー・・・
黒夜「ったく……あ? 何だよ?」ギロッ・・・
いや……意外と優しいなって。
黒夜「う、うっせぇ! バーカバーカ! ピーチが喰いたくなったんだよ、ボケぇ!!」ンギギ・・・///
香焼「あーそうだねー……最愛、オレンジ少し分けてあげなよ?」フフッ
絹旗「……超少しだけですよ」フンッ
黒夜「ぐ、ぬぬぅ……苦手なタイプだ」ジトー・・・
最愛と同じで、一皮剥ければ優しい子なのかな。
絹旗「……むぅ」ジー・・・
香焼「ん?」キョトン・・・
絹旗「……何でも無いです」ムンッ・・・
何故か不機嫌そうな最愛。やれやれ……とりあえず最近の状況でも聞こうか。
897 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/08(土) 23:49:33.91 ID:sYR9j9tK0
それから最愛が近況報告を始めた。尤も、殆どが『浜面が』か『滝壺さんが』か『猫達が』のどれか。
麦野さんとフレンダさんは如何したよ……まぁ引き籠ってない様だから良いとするか。
一方、黒夜さんはパイプ椅子を窓際に持っていき、そとを眺めながら黄昏ている御様子。
絹旗「―――……とりあえず、そんな所です」コクッ
香焼「そっか……あ、そうだ。時間出来たらウチ行ってもあいの様子見てきてちょうだい」
絹旗「分かりました。今晩でもお邪魔します」フフッ
多分、もあいも最愛に逢いたがってる。
黒夜「けっ……マジかよ。超信じらんねぇ」フンッ
香焼「……何がかな。黒夜さん」チラッ・・・
絹旗「香焼、無視っていいですから」フルフル・・・
黒夜「さん付けすんなキメぇ……随分日和ったなぁ、絹旗ちゃんよぉ」チラッ・・・
絹旗「っ……それ以上言ったら、本気で退場させますよ」ギロッ・・・
黒夜「はんっ! 出来るもんならどーぞ……ソイツん前で出来るんならねぇ」ニヤニヤ・・・
絹旗「……っ」ギリリ・・・
はぁ……仕方ない。リハビリがてら魔術使おう。
鋼糸(ワイヤー)と折り紙と鉛筆と―――良し。あとはコレをこっそり飛ばして……。
香焼「……喧嘩しないの」メッ!
絹旗・黒夜「「をわっ!!?」」ギュッ!!
鋼糸を2人に巻きつける。
尤も、最愛には『自動防御(能力)』の所為で身体にピッタリとは巻き付かなかった。
黒夜「な、何だコイツ!? 能力者かだったのかぁ!?」ギョッ・・・
香焼「自分は無能力者っすよ……最愛も黒夜も、喧嘩するなら出てって」ジトー・・・
絹旗「わ、私は悪くないでしょう!」ムッ!
香焼「最愛」ジー・・・
絹旗「うっ……ごめんなさい」コクン・・・
やれやれ……最愛の鋼糸は外してあげよう。残りは此方の問題児さんだ。
898 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 00:08:05.23 ID:oiuxRiMq0
ジタバタ暴れる黒夜。何故か最愛が僕の前に盾になる様入ってきた。
絹旗「……香焼。そろそろ離してやってください。コイツ、本気で暴れると超厄介ですから」チラッ・・・
香焼「え?」チラッ・・・
黒夜「はーーーーぁなーーーぁせーーーーぇよーーーぉ!!」グルルルゥ・・・
絹旗「……コイツ、私と同じ大能力者(レベル4)です」ボソッ・・・
香焼「え、あ……そっか」スルル・・・
黒夜「ふーふー……この糞野郎ぉ」ギロッ・・・
お願いですから病人相手に暴れないで下さい。
絹旗「黒夜……その……落ち着いて下さい。私も大人げなかったです。お願いですから此処で暴れるのは」ジー・・・
黒夜「糞ったれ! 良い子ちゃんブリやがってよぉ……あん?」グイッ・・・
絹旗「…………、」グッ・・・
香焼「……黒夜。あんまり騒ぐと看護師さん来るよ」
黒夜「けっ……マジ意味分かんねぇ。チョー不愉快だし」ドサッ・・・
何が腹立たしいのか知らないけど……さ。
香焼「……自分は、最愛が『してる』事、知ってるよ」ボソッ・・・
絹旗「…………、」ジー・・・
黒夜「はぁ!? 何々々々ぃ!? マジで!? マァジで言ってんの!?」グイッ・・・
香焼「ち、近い……本当だよ」
黒夜「は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」ポカーン・・・
これで気が済んだか?
黒夜「いや……余計意味分かんねぇ……じゃあ何でこんな娼婦以下の女とダチやってんの?」キョトン・・・
香焼「……理由、いる?」
黒夜「は? あぁ……そっか。『そういう』友達ねぇ……絹旗ちゃん、罪悪感で寂しい夜は彼に慰めて貰ってるのーん?」ニヤニヤ・・・
絹旗「……それ以上は……殺しますよ」ギロッ・・・
黒夜「へぇー? 馬鹿にされたくないんだぁ? 彼のテクニックはそんなに良いのかしらーん? 一晩借りて良い?」ハハハ
絹旗「…………、」ブチッ・・・
黒夜「私、義体の『シモ』って使った事無いからさぁ……彼のアソコで試して……あら? 完璧怒ったのん?」ニヤリ・・・
絹旗「……屋上」グイッ・・・
黒夜「……上等」ニヤッ・・・
香焼「っ!! 最愛、駄目だ!!」バッ!!
ベットから彼女に手を伸ば―――あ。
899 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 00:26:17.00 ID:oiuxRiMq0
ガシャン……と、床に落ちてしまった。
絹旗「あ……香焼!」バッ!!
香焼「痛つぅ……ご、ごめん」イテテ・・・
絹旗「い、いえ……すいません。頭に血が昇ってしまいました」スッ・・・
黒夜「チッ」ドサッ・・・
最愛の介助でベットに戻る。黒夜は不貞腐れながら椅子に座った。
絹旗「黒夜……お願いですから……帰って下さい」ペコッ・・・
黒夜「……ふんっ」テクテク・・・
香焼「待って」
絹旗・黒夜「え」「あ」ピタッ・・・
香焼「……またおいで」コクン・・・
絹旗・黒夜「「……は?」」キョトン・・・
この子も多分、最愛と同じなのだろう……『姉妹分』の意味が分かった。
黒夜「憐れみか……娼婦扱いすんなっつの。私はソイツみてぇに簡単に股開かねぇぞ?」
香焼「残念ながら自分は敬虔なクリスチャンでね。そういう淫行は罪悪とする所だ」
黒夜「はっ。どうだか……私が出てったらナースプレイでもするんじゃねぇのか?」ハハハ
香焼「ねぇ、黒夜。そういう言葉でしか話せないの?」ジー・・・
黒夜「は?」キョトン・・・
絹旗「……香焼」フルフル・・・
いや……此処で見捨てたら、教義を捨てる事になる。
香焼「何でそんなに不良ぶってるか知らないけど……『似合わない』よ」フフッ
黒夜「っ!!?」ギョッ・・・ゾクッ・・・
絹旗「……はぁ」ヤレヤレ・・・フフフ・・・
何とも言えない表情をする黒夜。呆気に取られて苦笑する最愛。真顔の僕……変な空間だった。
900 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 00:41:34.98 ID:oiuxRiMq0
ふと、何やら角が取れた様に……最愛が黒夜の方へ向かった。
そして再度座れ、と半ば力づくで椅子の方に引っ張って来る。
絹旗「やれやれ……こういう男なんですよ、香焼って。甘ちゃんで、命知らずで」ハハハ
黒夜「……ぶっちゃけ、寒ぃぞ」ゾオォ・・・
絹旗「香焼。今回、何で入院したかこの子に教えて下さい」チラッ・・・
香焼「……うん」アハハ・・・
最愛に教えた様に、一部を隠して……今回の話を伝える。
香焼「―――……てな感じで、撃たれちゃって」アハハ・・・
黒夜「……んだよ」ボソッ・・・
香焼「え?」
黒夜「同類かよ……私らが娼婦(ホステス)だとすれば、てめぇは女衒(ホスト)じゃねぇか」ケッ・・・
香焼「ううん。自分は自分がやってる事に誇りを持ってるよ」
最愛・黒夜「「…………、」」
だが、君らは自分の『仕事』を誇れていないだろう?
黒夜「うわぁ……キメぇ。何お前……善人ぶってんの?」タラー・・・
香焼「そうかもね。でも、似たような境遇でも『誇り』の有無で大きく変わるよ」
絹旗「うん……そうですね」コクン・・・
黒夜「チッ……理解できねぇ」
大丈夫。最愛だって徐々に覚えてきた。君だって少しずつ変われる筈だ。
黒夜「……一緒にすんな」ガタッ・・・テクテク・・・
絹旗「黒海……、」ジー・・・
黒夜「不快だ……帰る」テクテク・・・
香焼「またね。今度は公園に最愛と一緒においで」ノシ
黒夜「……けっ!」バンッ!!
大そうご立腹の様子で、部屋を出て行った……馴れ馴れし過ぎたかな?
901 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 01:10:14.51 ID:oiuxRiMq0
刹那……ゲンコツされた。
香焼「ふぁえ!?」アイタ・・・
絹旗「……馬鹿です。超馬鹿です」ハァ・・・
香焼「い、いや、だってさぁ」ムゥ・・・
絹旗「分かってますよ。今更香焼の甘ちゃんについて説教垂れる気はありませんから」ヤレヤレ・・・
ベットに両肘をつき、目だけでコッチを見る最愛。
絹旗「でも、ほんと、一歩間違えればあの子に刺されてましたよ」ハァ・・・
香焼「大丈夫だよ。最愛の姉妹分でしょ?」ハハハ
絹旗「だからぁ……もう良いです。諦めます」ヤレヤレ・・・
そうしてくれ。
香焼「まぁでも……初めて会った時の最愛よりは、人間味があったよ」
絹旗「はい?」キョトン・・・
怒らないで欲しいんだが、初めて会った時の最愛は『無感情』の塊だった。
その点、黒夜は過剰な程『感情』を剥き出しにする。此方の方が崩していきやすい。
絹旗「…………、」プクウゥ・・・
香焼「ああ、もう怒らないの……ほら、今の最愛は違うでしょ」ポンッ・・・
絹旗「……そうでしょうか」ムゥ・・・///
香焼「うん。とっても人間。超人間」ナデナデ・・・
絹旗「私……人間ですか……そういう風に言われたのは初めてです」エヘヘ///
人間はエロス的(人間性)な感情と触れ合い、そこで初めて『社会性(こころ)』が生まれる。
あの子も、もっと周りの愛情(アガペ的な)を知れば、社会性が生まれてくる筈だ。
香焼「だから、最愛……彼女を見捨てちゃダメだよ」ポンッ・・・
絹旗「……努力はします」
『救いの手』は、誰でも平等に、差し伸べられなければならないのだから。
902 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 01:36:51.94 ID:oiuxRiMq0
それから暫くくだらないお喋りをして、最愛は部屋を後にした。
もあいの事を頼んだので、今晩辺りウチに行ってくれるだろう。ついでに……馬鹿姉共が荒して無いか確認して来てくれ。
香焼「そろそろお昼か……病院食ヤダなぁ」ハァ・・・
病院のメニューだと魔術的な鍛錬をしにくいし、何より美味しくない。
香焼「でもあと1週間くらいは我慢かなぁ」ハハハ・・・
食事が運ばれて来るまで暇なので、PCと携帯のメールでもチェックしよう。
香焼「……ん? 電話だ」キョトン・・・
着信があった様だ。相手は……―――
@レッサー
A女子寮
B姫様(リメエア)
>>905
903 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 01:37:56.22 ID:oiuxRiMq0
それから暫くくだらないお喋りをして、最愛は部屋を後にした。
もあいの事を頼んだので、今晩辺りウチに行ってくれるだろう。ついでに……馬鹿姉共が荒して無いか確認して来てくれ。
香焼「そろそろお昼か……病院食ヤダなぁ」ハァ・・・
病院のメニューだと魔術的な鍛錬をしにくいし、何より美味しくない。
香焼「でもあと1週間くらいは我慢かなぁ」ハハハ・・・
食事が運ばれて来るまで暇なので、PCと携帯のメールでもチェックしよう。
香焼「……ん? 電話だ」キョトン・・・
着信があった様だ。相手は……―――
@レッサー
A女子寮
B姫様(リメエア)
>>905
904 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/10/09(日) 01:50:22.80 ID:i90d9iKbo
B
905 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/09(日) 01:51:50.24 ID:hLlU/njDO
A
906 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 02:11:40.32 ID:oiuxRiMq0
―――女子寮? 英国はまだ深夜3時くらいの筈だが……まぁ良いや。掛け直してみよう。
香焼「……あ、もしもし」
オルソラ『はい……こんばんわでございます。どちらの非常識さんでございましょう』ムスー・・・
香焼「あ、オルソラさん」
オルソラ『……これはこれは、大怪我人さま』ハァ・・・
いや、気持ちは分かるけどね……そっちから掛って来たんですよ。
オルソラ『あの2人……今電話持っていくのでございます』ヤレヤレ・・・
香焼「え? 持ってく?」タラー・・・
オルソラ『応接室(サロン)で電話されたら他の子達の迷惑でございましょう。あの子達の部屋に電話ブチ込ませてもらいましょう』ハァ・・・
何か……ごめんなさい。数分後……声の主が変わった。
アニェーゼ『うっわぁ。マジ怖ぇです……寝起きのオルソラは一層ヤバいですね』タラー・・・
香焼「……こんばんわ」タラー・・・
アニェーゼ『んあ。よう駄犬ちゃん』
香焼「……はぁ」ポリポリ・・・
こんな時間に何で電話してんだ。
アニェーゼ『随分な言い様ですね。そっちの時間に合わせて電話してやったんですよ』
香焼「あ、うん……そろそろ携帯買ったら?」
アニェーゼ『コーヤギがルチア説得してくれんなら是非買いましょう』
香焼「いや……あ、でも仕事で必要じゃない? 一応部隊長クラスだし」
アニェーゼ『その手があったか……ナイスです! 明日是非に試しましょう!』ニヤリ・・・
あー……今度ルチアさんに説教されるな。
んな事ぁ如何でもいいとして、何用だ?
アニェーゼ『ああ……いや、暇かなぁって』
香焼「うん。暇だった」
アニェーゼ『やっぱねぇ……先日、サーシャ来ましたよ』
香焼「……そう」
アニェーゼ『あの馬鹿、私達に「ごめんなさい」ですって……ゲンコツ入れてやりましたよ』ケッ
だから言ったのに……ホント、律義な娘だ。
907 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 02:25:03.00 ID:oiuxRiMq0
アニェーゼ『今回の件、悪ぃのは協力的じゃなかったアレイスターの所為です。恨むならアイツだっつの』フンッ
香焼「……統括理事長かぁ。何ともね」アハハ・・・
アニェーゼ『因みに……ステイルは、この子がブン殴りましたから』ハハハ
香焼「え?」
アニェーゼ『ほれ、チェンジです』スッ・・・
アンジェレネ『こんばん……あ、こんにちわ。コォヤギくん』
香焼「アン……叩いたの?」
アンジェレネ『うん……ごめんなさい』
アンジェレネに叩かれるステイル……シュールだなぁ。
香焼「……まぁでも、アイツも立場があったから」
アンジェレネ『分かってるけど……冗談でも「良い薬だ」って言うから、つい』ウーン・・・
香焼「……それ多分、本心だね」ハハハ
アンジェレネ『……サーシャちゃんも元気なかったし……はやく、皆で遊ぼう』
この一言が、全ての代弁だ。
香焼「うん。すぐ元気になるよ」
アンジェレネ『約束だよ……それじゃあ戻すね』
アニェーゼ『うぃ。とりあえず……サーシャをアンタの家に行く様、唆したのは私です』
香焼「知ってる」
アニェーゼ『じゃあ話が早い。今回の件、微塵たりとも責任は感じねぇでください。「私(主犯)」ですら、後悔してねぇですから』
君らしい。素敵なカリスマだ。
アニェーゼ『だけど、多少反省はしましょう。今度はもっと上手く「悪戯」してやります』フフフ・・・
香焼「相変わらず悪知恵には頭が回るね」ハハハ
アニェーゼ『ふんっ。そこらの脳筋馬鹿連中と一緒にしないで下さい。こう見えて私、結構クールなんですよ?』ニヤニヤ・・・
香焼「あんまり、似合わないよ」クスクス・・・
アニェーゼ『うっせ……まぁそんだけです。早く帰ってきなさい。存分に可愛がってやりますよ』フフフ・・・
帰って来い、か……僕には帰る場所が沢山ある。とても嬉しい事だ。
908 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 02:38:46.35 ID:oiuxRiMq0
それから暫く他愛無い話をしていたのだが、電話越しにルチアさんの怒鳴り声が聞こえた。
アニェーゼ『うわっ、ヤベっ! そんじゃまた!』
アンジェレネ『あー、次来る時は御土産無理して買って来なくて良いからね!』ガチャンッ・・・
香焼「あはは……おやすみ」タラー・・・
彼女達はブレないなぁ。声聞くだけで安心できる。
電話を切り、病室に戻る……そこにはミサカ妹さんが仁王立ちして待っていた。
御坂青子「残念。私は16582号です、とミサカは何度目になるか分からない自己紹介を(ry」
香焼「あーえっと……青子さん、ね」ポリポリ・・・
御坂青子「はい。そう呼んで貰えると見分けやすいかと……ところで病院で電話ですか? とミサカは貴方を睨みます」ジトー・・・
香焼「あはは・・・・・すいません」タラー・・・
御坂青子「些か非常識ですが、仕方ないでしょう。時代が時代です……さておき、昼食です、とミサカは報告します」
そんな時間か。
御坂青子「A.私が食べさせる。B.一緒に食べる。C.手取り足とり食べさせる……どれが宜しいですか、とミサカは質問します」ニヤリ・・・
香焼「D.一人で頂きます……なかなか面白い冗談っすよ」ハハハ
御坂青子「冗談……はぁ……まぁ、そうですよねー。ミサカは苦笑してみます」ハハハ・・・
乾いた笑みを溢しながら、青子さんは如何にも病院食的な水っぽい料理を準備して去っていった。
口にするが……やはり味気無い。早く五和の料理が食べたい……ん?
香焼「はっ!!?」ギョッ・・・
今、トンデモない事を考えてしまった気がする……やべぇ……自分は死ぬかもしれない。今の内に遺書でも書いておこうか。
909 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 02:53:23.32 ID:oiuxRiMq0
―――とある日、PM06:00、学園都市第7学区、とある病院・・・・・
兎に角暇なので、時間が長く感じる。
雑誌を読んだりネットを巡回したりするが、それでも時間は潰せない。故に……昼寝の時間が増える。
『寝る子は育つ』なんて諺(?)があるが、それが真ならこの入院期間に身長を10cm伸ばして下さい。割と本気な願い。
さて、3時くらいに寝て、目が覚めたのが約6時。窓の外も日が落ちて暗くなってきた。
そろそろカーテンを閉めて、電気を点けよう……そう考え、立ち上がった時だった。
香焼「ん?」ピタッ・・・
ノックが2回。
五和「コウちゃーん。来たよー」コンコンッ
香焼「……寝てまーす」ウワァ・・・
五和「あらら。それじゃあまた明日……ってそぉい!!」ガラッ!
香焼「……五月蠅ぇ」ハァ・・・
五和「はろー。何してた?」ヤッホー!
うっさいのが来た。僕のマンションじゃ飽き足らず、態々この時間帯に押し掛けてくるのは何故だ。
五和「そりゃまぁ大事な大事な義弟が心配なのよ」ウンウン・・・
香焼「気持ち悪い」ジトー・・・
五和「照れるな照れるな」エヘヘ
いや、割とマジで……まぁ良いや。今更何言っても馬耳東風だし。
香焼「それより、浦上は最近来ないね」
五和「ん……まぁちょっとね」
香焼「何かあったの?」
五和「ん、いやいや……仕事みたいなものよ」スッ・・・
なら良いが……これ以上、カオリ姉さんや天草式の年輩衆に迷惑掛ける様な事態は避けよう。
主に建宮さんの胃に穴が開きかねないからな。
910 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 03:13:42.95 ID:oiuxRiMq0
とりあえず、コイツは何する訳でもないが此処に来る。
する事といえば、適当に見舞い品を食い荒らし、雑誌を読んで帰るだけ……何だコレ?
香焼「いや、オマエする事あるだろ?」
五和「んー?」ボリボリ・・・
香焼「仕事は如何した?」
五和「ま、チョチョいっと。私が本気出せば書類なんて即行終わるし」モグモグ・・・
香焼「……はぁ」ヤレヤレ・・・
強ち否定できない。実際コイツは天才だからなぁ。
五和「でもまぁ……今日はこれくらいでお暇するよ」Pi!
香焼「は?」
五和「あら? 寂しい?」ニヤリ・・・
んな訳有るか。さっさと帰れ。
五和「やれやれ。ツンデレなんだからぁ」ンモー
香焼「うっせ……それより、今晩最愛がウチ来るかもしれないからご飯でも食べさせてあげて」
五和「あいよー……あ」ピタッ・・・
香焼「何さ」
五和「……んーと、此処にもお客さん来るかもだから」ボソッ・・・
香焼「え?」
五和「深夜面会。ちょっと前に23学区着いたと思う……今コッチ向かってるってメール着た」
何それ?
五和「……多くは語らないよ、ってね」フムフム・・・
そんじゃ、とあっさり帰っていく馬鹿一号。何だかなぁ。
911 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 03:24:57.18 ID:oiuxRiMq0
―――とある日、PM09:00、学園都市第7学区、とある病院・・・・・
夕飯も終え、最近使用許可が出たシャワーも浴び、後は寝るだけ。
布団に潜って電気を消そうとした時……ノック4回。看護師さんか、と思いきや……全然違った。
神裂「……失礼しますよ」ガラッ・・・
香焼「あ……女教皇様」シャンッ!
神裂「……良いです。そのままで」カツカツ・・・
成程。五和が言ってたのはこの事か。
神裂「顔を出すのが遅れました。事後処理云々で……すいません」ペコッ・・・
香焼「い、いえ……態々すいません……あ、紅茶淹れますね」
神裂「そのままで結構です……寝ていて下さい」
と言われても、条件的に改まってしまうのが教徒の性(さが)。
神裂「ではいつもの様に、一、姉として……、」ジー・・・
香焼「……なら、はい」コクン・・・
しかし……今日の貴女は、『女教皇』として訪れた筈だが。
神裂「……両方ですよ」
香焼「そうっすか……とりあえず、座って下さい」
神裂「はい……ミルクティーを淹れますね」
アッサムの茶葉を取り出し、お湯とホットミルクを作る女教皇……カオリ姉さん。
その姿は……聖母の様な、普通の姉の様な……複雑な姿に見えた。
912 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 03:37:55.62 ID:oiuxRiMq0
お茶が入った後、暫時無言が続いた。互いに何を言いだして良いか分からない状況だった。
香焼「……暫くは」ボソッ・・・
神裂「え?」
香焼「都市に居るんすか?」チラッ・・・
神裂「……はい。禁書目録(あの子)の所にも顔を出して無かったので」コクン・・・
上条さんの顔、とは言わない。多分、今の姉さんは彼に逢える様な気分では無かろう。
ふと……辺りを見回す。
神裂「御見舞……沢山来たのですね」チラッ・・・
香焼「ええ。まぁ」
神裂「この街でも友達が増えていたのですか」
香焼「知らず知らずに、はい」ハハハ・・・
神裂「人徳ですね」フフフ・・・
そんな高尚なモノではない。ただ『みんな仲良く』なんていう幼稚園染みた思考の所為だ。
神裂「いえ。それこそ人間関係の起源にして頂天でしょう」
香焼「あはは……そんなモンすかねぇ」ポリポリ・・・
神裂「…………、」ジー・・・
香焼「……えっと」ウーン・・・
心中お察しします……なんて言葉は失礼だろう。だが、今の姉さんの表情は誰にでも読み取れてしまう。
香焼「その……そんな顔、しないでください」コクン・・・
神裂「……悪魔の様な顔をしていますか?」フフッ・・・
香焼「い、いえ! まさか!」アタフタ・・・
神裂「ふふふ……でも実際……悪魔みたいなモノです」
香焼「え」ピタッ・・・
物憂げな表情を見せ……再度微笑む姉さん。この人は相変わらず……色々背負い過ぎだ。
913 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 04:01:54.75 ID:oiuxRiMq0
仕方ない。恐れ多いが……言うべきだ。
香焼「女教皇様」ジー・・・
神裂「……はい」
香焼「生温い、ってステイル辺りに言われませんでしたか?」
神裂「あ、な……は?」ドキッ・・・
香焼「……言われたんすね?」
神裂「い、いや、まぁその……言われましたが、えっと」タラー・・・
じゃあ反省すれば良いじゃないですか。
神裂「で、ですが……やはり、私は……誰かの犠牲の上に立つ正義を、肯定するのは」ムゥ・・・
香焼「無論、自分も同感っすよ。でも、それでも……そう『あらねば』ならないのでしょう」
神裂「はぁ……建宮の様な事を言う様になりましたね」ヤレヤレ・・・
香焼「じゃあ教徒一同、その考えなんす」
神裂「……馬鹿者共」フフフ・・・
香焼「ええ。教皇が馬鹿っすから」ハハハ
2人きりだから言える事。
香焼「兎に角、割り切れ……とは言いません。姉さんの性格上不可能でしょうから」
神裂「ええ」
香焼「でも、耐えて下さい……だけど、辛い時は誰かに愚痴って言いと思います」
神裂「……愚痴る、ですか」
香焼「『友達』って、そういう時に便利っすよ……あとはまぁ……『家族』とか」フフフ・・・
それと『恋人』とかね。
神裂「……生意気」コツンッ
香焼「あ痛っ」ハハハ
都市だったら固法さんや麦野さん達。英国だったらオルソラさんやベイロープさん達がいる。
そして……僕や五和や浦上が居るんだ。幾らか『柵』は払えよう。
914 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 04:25:56.48 ID:oiuxRiMq0
兎に角、天草式(僕ら)は『必要悪』の理念ではなく、『貴女(教義)』で動いている。
その事を忘れないで欲しい。『貴女』は『必要悪』とは違い、誇り高く、それでいて何よりも求められているモノなのだ。
神裂「私が言うのもなんですが……狂信者、ですね」
香焼「そうっすね」ハハハ
救われない者に、救いの手を。
神裂「此度の件……組織としては謝りません」
香焼「ええ。分かってます」
神裂「個人的であっても、教皇の立場上謝れないのでしょう」
香焼「無論です」
神裂「しかし……それでは、もう……私が私を許せない」グッ・・・
そんな貴女だから、僕達は惚れ込んだ。
神裂「これでは、あの子(禁書目録)の二の舞になりかねない」
香焼「……姉さん」
一寸、顔を伏せ……そして。
神裂「私は貴方を、守れなかった……ごめんなさい。香焼」グッ・・・
その言葉だけで、自分は救われる。
香焼「ありがとうございます……その御蔭で、サーシャが助かった」フフッ
神裂「……まったく」ポンッ・・・
香焼「え!?」ドキッ・・・///
神裂「少しは……身を労わりなさい」ナデナデ・・・
香焼「あ、ぅ」カアアァ///
これは、何とも。
神裂「このままでは、貴方自身が『救われない者』になってしまいますよ」ジー・・・
香焼「……それで誰かが救われるのなら、本望っすよ」フフッ
神裂「お馬鹿」コンッ
誰に似たんでしょうね。
915 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 04:38:32.74 ID:oiuxRiMq0
それから他愛無い話をチラホラして、凡そ10時くらい。
そろそろ帰ります、と姉さんは立ち上がった。
神裂「あ、そうでした……ステイルから伝言です」ピタッ・・・
香焼「え」キョトン・・・
神裂「『早く例の煙草、1カートン買って来い』だそうです……あの不良神父め」ヤレヤレ・・・
香焼「……あはは」クスクス・・・
うん……アイツらしい。
香焼「アイツはそれで良いんすよ」フフッ
神裂「まったく……しかし、こればっかりは感謝しますよ」
香焼「煙草?」
神裂「ステイルです……あの子を嫌いにならないであげて下さい」
そりゃ勿論。友達だもの。
神裂「……今回の件、一番苦しんだのは彼です」
香焼「アンに殴られたんすけ?」
神裂「ええ……しかし、裏ではアニェーゼ達の罪を軽くする為動いてました」
香焼「……何となく、想像できます」
神裂「あの子を……支えてあげて下さいね。きっと突き放すでしょうけど、それでもお願いします」
分かっている。貴女同様、彼も愛すべき隣人だ。
神裂「貴方が大人で助かりました」フフッ
香焼「いえ。子供っすよ……子供だから、信頼してる」
神裂「……そうですね」クスクス・・・
香焼「姉さんだって、同じでしょう……そんなに弱気じゃ、麦野さんを『救え』ませんよ」フフフ・・・
自分の一番の壁……『最愛の救済』同様、姉さんも困難な試練……『麦野さんの改心』がある。
互いに乗り越えねばならない難関だ。共に折れる気はない以上、強くあらねばなるまい。
916 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 04:52:21.50 ID:oiuxRiMq0
そうですね、と姉さんは苦笑した。
神裂「貴方は前向きで強い子です。必ず壁は越えれるでしょう」
香焼「ははは……非力っすけどね」
神裂「その『狂信』っぷりと、『人望』があれば……叶う望みですよ」ナデナデ・・・
香焼「……努力します」フフフ・・・///
誰もが自分らしく、有る為に。
神裂「私も頑張ります……互いに手を取り、頑張りましょう」
香焼「はい」
神裂「それでは……失礼します。此方に居る内に、また来ますね」ペコッ・・・
扉を開け、一礼。
神裂「……香焼」チラッ・・・
香焼「え?」
神裂「……貴方こそ、辛い時は弱音を吐いても良いんですからね」ジー・・・
香焼「……大丈夫っすよ」
そりゃ不幸だと思う事は偶にあるけど……でも。
香焼「自分は案外……幸せっすよ」 コクン・・・
世界は、意外と、僕には優しい気がします。
神裂「そう……うん。やはり貴方は、此方(手を差し伸べる)側の人間です……もしかしたら、私よりもね」フフフ・・・
香焼「え?」
神裂「そうあれかし……おやすみ、香焼」テクテク・・・
香焼「……おやすみなさい」ペコッ・・・
かくあれかし、姉さん……―――
917 :
第F話―――香焼「自分は案外……幸せっすよ」
[saga]:2011/10/09(日) 05:19:56.35 ID:oiuxRiMq0
<おまけっ!>
浦上「……あ"ぁ……疲れたぁ」グデェ・・・
五和「さんきゅ、ウラ」ポンポンッ・・・
浦上「お姉、書類仕事マジ溜め過ぎ……普段からコツコツ終わらせようヨ」ハァ・・・
五和「あはは……さーせん」ポリポリ・・・
もあい「なぅ」ゴロゴロ・・・
削板「もぐもぐ……そういえば最近、香焼居ねぇな。何処行ったんだ?」ムシャムシャ・・・
絹旗「は? 相変わらずアンタは超非常識ですね……ゴックン……香焼は入院してますよ。知らなかったんですか?」モキュモキュ・・・
削板「え!? マジで!? 何で!?」キョトン・・・
絹旗「ばーか。教えませんよーだ!」ベー!
削板「ぐっ……こんにゃろぅ」ジトー・・・
黒夜「……てか、絹旗ちゃんよぉ。いつのまに第7位(根性野郎)ともお友達なってん?」モグモグ・・・
絹旗・削板「「友達なんかじゃありません!」ねぇ!!」ガッ!!
黒夜「あー、はいはい。ステレオは勘弁してねー……さーせん。豆腐ステーキお替わりー」スッ・・・
削板「新参女が出娑婆りやがって……あ、お姉さん。お味噌汁もう一杯」スッ・・・
絹旗「アンタ達! 此処他人の家ですよ! んもー……私そろそろデザートください」ムンッ
もあい「にゃー」ペシペシッ・・・
五和「はいはーい。沢山作ってあるからドンドン食べてねー」フフフ
浦上「都市での『カルテッ娘』的なものが出来上がってきたネ……香焼、これみたら何て言うカナ」ハハハ
絹旗・削板・黒夜「「「ギャーギャーギャー!」」」ドタバタ・・・
五和「うーん……やっぱ『不幸だー』じゃない?」ハハハ
浦上「そうですネ」ハハハ
もあい「みー」フシフシ・・・
冷蔵庫『久しぶりの登場! でも終わる!!』ビシッ!!
918 :
>>1
[saga]:2011/10/09(日) 05:29:18.59 ID:oiuxRiMq0
はい。とりあえず本編は此処までね。残り80くらいは安価取ったりして『特別編』やるよ。
まずはアンケート! 特別編(ちょぴっと並行未来)について!
@よくある学園物! (香焼やステイル達の年代が高校生に……といった感じの話)
Aブラック&ダーティーな世界! (ブラクラとかパンストのノリで……まぁ女性キャラがビッチ化してたりw)
Bその他! (要望を書いてね!)
それから相談。今後についてです。
3期入るべきか、親戚の方に戻るべきか。如何しよっかなぁ……意見下さい!
とりあえずアンケご協力お願いします! あと意見もね! 他にも質問罵倒リクなども宜しく。そんじゃまた次回!ノシ”
919 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/10/09(日) 07:33:00.08 ID:omR+RVeAO
1じゃないすかねぇ
920 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/09(日) 08:41:45.08 ID:hLlU/njDO
Aレヴィ的な絹旗とかエダ的なアニェーゼ、パンティ的なレッサー、ストッキング的なサーシャ……カモーーーーン!!
方針だけどとりあえずアニー、アン、あわきん、春上編がまだなんで、三期欲しいです!
921 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/09(日) 09:48:11.47 ID:7a8vRGqDO
>>1
乙
んでアンケも1
英国組が短期留学でこちらに来るんですね。わかります。期待してるわけじゃないんだからね!
3期か親戚かは……
読めるならばどちらでも……
922 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/10/09(日) 11:15:56.17 ID:yrZIT1sM0
>>1
乙
ほっこりしたわなんか。香焼くんハァハァ
アンケは1で
三期でも本編でもバッチこい!!!
923 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/10/09(日) 13:54:37.60 ID:56w+XYqXo
アンケはBの「みんなの性格反転」で
924 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)
:2011/10/09(日) 13:55:19.91 ID:bMvwWpHAO
B
あわきんアフター
925 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/10/09(日) 14:20:30.90 ID:CXoDH4rdo
乙でした。
アンケは@で
親戚も好きですが
こちらも是非3期をやってほしいところ…
926 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/10/09(日) 19:05:48.50 ID:n8+SM8iAO
@で
927 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/09(日) 22:33:27.69 ID:7a8vRGqDO
>>923
性格反転が性反転に見えて……
小悪魔こーやぎ……
928 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/09(日) 23:44:46.92 ID:4LsWtNnn0
また黒夜を是非
でもアンケは1で
929 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/10/10(月) 00:18:31.31 ID:90+/nq5k0
B
正確反転が面白そうだったので
ワシリーサ大好きなサーシャから逃げ惑う変態上司とか……
930 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/10/10(月) 01:19:21.95 ID:VismAI2Ro
>>923
しおらしいアニー&レッサー。
ガツガツといくアン&サーシャ。
香焼限定で凄く消極化する絹旗。
そして、涼しい顔で全員を侍らす香焼……
うちゅうの ほうそくが みだれる
931 :
>>1
[saga]:2011/10/10(月) 20:50:36.60 ID:BrJDoUhW0
こんばんわ。ボチボチと。
アンケは@ですね。機会があればAも書きます。
因みにBの性格反転が意外と人気でびっくりだw 時間が余ったらそっちもやろう!
さて、では学園物ですが……
>>921
さんが当たらずとも遠からずって感じな内容です。
本格的な構想も練ってはいるのですが、親戚の方が終わらないと書き出せないので、今日はちょい出しで書きます。
じゃあスタート地点について、登校初日の朝にします。まずは……誰視点?―――
@香焼
A絹旗
Bアニェーゼ
Cステイル
Dその他(上条達の丁度3,4歳下くらいのキャラで)
>>934
932 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/10(月) 21:01:22.67 ID:GRkwO99DO
@
933 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/10/10(月) 21:01:53.30 ID:47md9SHfo
B
934 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/10(月) 21:03:33.88 ID:41VgPt/bo
きぬはた
935 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
:2011/10/10(月) 21:26:07.34 ID:BrJDoUhW0
※登場人物は全員1◆歳以上です(笑)
―――3,4年後の未来、とある日、PM07:00、学園都市第7学区、とある高級マンション・・・・・
PPPPPPPPPi!!
絹旗「―――……全っ然……寝れませんでした」ドヨーン・・・
絹旗「今日から、<超>校生……学校……ですか」ウー・・・
絹旗「……休みたい」ハァ・・・
PPPPPPPPPPPPPPPPPP……バンッ!!
絹旗「…………、」タラー・・・
麦野「うっっっせぇボケぇ!! まだ7時じゃねぇか!! 安眠妨害すんじゃねぇよ駄阿呆!!」ガンッ!!
絹旗「……暗部じゃなくなったのに、まだ麦野と2人暮らしだなんて」フコウダー・・・
麦野「喧しい! テメェが一人暮らし無理だっつーから一緒に住んでんじゃねぇか!!」ギロッ・・・
絹旗「だってぇ」ウー・・・
麦野「いつ出てっても良いのよ。アパート探しくらいは手伝ってやるわ」フンッ
絹旗「いや、何て言うか……一人暮らしが超無理なんですよ……知ってるくせに」ジトー・・・
麦野「ケッ。ったく、馬鹿研究者共も小学校くらい通わせろっつの……私が嫌なら浜面滝壺んとこに世話なれば良いでしょうが!」
絹旗「だって……超色々、超お邪魔でしょ?」
麦野「セックスん時だけ空気読んで外出かけりゃ良いだろ。てか、アレだ。あの甘ちゃん坊やんとこに住め。んでお前も交わって来い」
絹旗「せっく……超ぉおおぉ変態っ! 麦野は相変わらずネジが飛んでますっ!」ハァ・・・
麦野「黙れボケ。良いから早く携帯アラーム止めろ」ケッ!
絹旗「アラームじゃなく……電話でした」カパッ・・・
麦野「モーニングコールたぁ良い身分だこと。とりあえず私はまだ寝んだから起こすなよ」テクテク・・・
絹旗「……うげぇ。海鳥です」タラー・・・
Pi!
936 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/10(月) 21:39:38.66 ID:BrJDoUhW0
絹旗「……何ですか、こんな超朝っぱらから」モシモシ
黒夜『おう……いや、ちょっと』モシモシ
絹旗「超歯切れ悪いですね。何の用ですか?」
黒夜『テメェだって元気無ぇだろ……あのよぉ』ボソボソ・・・
絹旗「……何」
黒夜『……昨日、寝れた?』
絹旗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・寝れない」ハァ・・・
黒夜『だよなぁ』ハハハ・・・
絹旗「あー……ねぇ海鳥。多分、私達超同じ事考えてましたよね?」
黒夜『多分な』
絹旗・黒夜「『……学校、休もう」』コクン・・・
バッガアアーーーーーーアアァンッ!!
絹旗「っ!!?」ビクッ!
黒夜『な、何事だ!?』ギョッ!
麦野「きいぃぬはぁたー……テメェ、休んだら殺すかんな」ゴゴゴゴゴ・・・・
絹旗「ひ、ひぃ」ガタブル・・・
麦野「アンタ休んだら私が美偉と火織に説教喰らうのよ……絶対ぇ行けよ。ついでに電話相手の馬鹿妹も連れてけよ」ギロッ・・・
絹旗「……は、はい」ガタガタ・・・
黒夜『……お、おぅ』ガタガタ・・・
麦野「ったく……次起こす様な事あったら、第5学区のピンサロに売り飛ばすかんな」チッ・・・
バンッ!!
絹旗「……はぁ」タラー・・・
黒夜『な、何か、仕事やってた頃より怖くね?』タラー・・・
絹旗「超色々あるんですよ……とりあえず、どっかで待ち合わせましょう。▲▽▲通りのヨンクスに50分で」
黒夜『あいよ……制服ヤダなぁ』Pi!
絹旗「……どうしよう」ハァ・・・
937 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/10(月) 21:54:44.15 ID:BrJDoUhW0
―――3,4年後の未来、とある日、PM07:50、学園都市第7学区、とある通り・・・・・
ツギハー、▲▽▲通リー。ツギハー、▲▽▲通リー。オオリノオキャクサマハー・・・・・
絹旗「……はぁ」テクテク・・・
黒夜「おう」チラッ・・・
絹旗「うわっ! 制服超似合わなっ!?」ジー・・・
黒夜「っせぇな! テメェだって完璧着られてんじゃねぇかよ!」ケッ!
絹旗「そ、それはまだサイズが……そんな事超どうでもいいでしょう! さっさと行きましょう」フンッ!
黒夜「ったく、はいはい」チッ・・・
ガヤガヤ・・・・・
絹旗「ううぅ……人が超沢山です」オドオド・・・
黒夜「お前相変わらずチキンだなぁ。虫だと思っとけ、虫々……にしてもよぉ、今更学校とかないってば」ハァ・・・
絹旗「し、仕方ないでしょう。もう決まった事なんですから」ジトー・・・
黒夜「何だっけ? 雲川とかいう新理事? アイツ、未成年の暗部を全員クビにしやがった。しかも必ず学校行けだとよ」チッ・・・
絹旗「『新入生』組は残念でしたね。でも……私としては、その……うーん」ムゥ・・・
黒夜「まぁお前の場合マジでニートだったからなぁ。暗部ん時の貯金、もう切れたんじゃね?」ハハハ
絹旗「まだ超ありますよ。でも……はぁ……行かないと超色んな人から怒られますし」トボトボ・・・
黒夜「主に某『甘ちゃん』くんとかな!」ハハハ
絹旗「それよりも、滝壺さんが悲しみますから」ウーン・・・
黒夜「複雑なのな……あー、マジだりぃわ。学校行って何しろってんだよ」ヤレヤレ・・・
絹旗「……と、友達、作り、とか」ボソッ・・・
黒夜「ぷっ……だぁっはっはっはっはっ!! い、今何て言った? 友達!?」ケラケラ!
絹旗「超失礼なヤツですね。一応……楽しみではあるんですよ」ジトー・・・ポリポリ・・・
黒夜「あーはいはい。ま、頑張れ」ケラケラ!
絹旗「……ちぇっ」テクテク・・・
938 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/10(月) 22:16:26.22 ID:BrJDoUhW0
黒夜「あ、そういえばお前何組なの?」チラッ
絹旗「7組です。確か香焼も一緒でした」コクッ
黒夜「うげっ……マジかよ」タラー・・・
絹旗「えー……まさか、あなたも?」タラー・・・
黒夜「信じらんねぇ……お前はまだしも、あのガキと一緒とか」ハァ・・・
ガヤガヤ・・・オハヨーオハヨー・・・ミルキィジャナイヨー・・・・・
絹旗「それにしても7組まであるって……超人多いんですね。超ヤダなぁ」ハァ・・・
黒夜「我慢するっきゃねぇな。上手い事出席日数だけ稼いで卒業しちまおうぜ」グデェ・・・
絹旗「むぅ……あ」ピタッ・・・
春上「あ! 最愛ちゃんなの!」パタパタ!
絹旗「はい……おはようございます、えりぃちゃん」ペコッ
春上「うん。おはよう」ニパー
初春「おはようございます、絹旗さん」コクッ
黒夜「…………、」ジー・・・
春上「あれ? お友達も一緒なの?」ウーン
絹旗「友達……うん、まぁ友達です」チラッ
黒夜「へ……はぁ!?」ドキッ・・・
春上「じゃあ私達ともお友達なの! 私は春上衿衣。よろしく」ペコッ
初春「私は初春飾利です。あなたのお名前は?」
黒夜「…………、」ムゥ・・・
絹旗「……海鳥」メッ
黒夜「チッ……黒夜海鳥」ボソッ・・・
春上「くろよる、うみどり……うん! 海鳥ちゃん! 可愛いお名前なの。それに、名字はとても恰好良いの」ニパー!
初春「よろしくお願いしますね。黒夜さん。一応、私は風紀委員(ジャッジメント)ですから、困った事があれば頼って下さい」ムンッ!
黒夜「アンタが風紀委員? 何ていうか……頼りなさそうだな」ジー・・・
絹旗・春上「「ぷっ!」」プルプル・・・
初春「こ、これでも4年目なんですからね! 2人も笑わないで下さい!」ンモー!
絹旗「そ、そうですよ海鳥。超、失礼です……ぷふー」クスクス・・・
春上「さ、最愛ちゃんも、失礼なの……ぷふー」クスクス・・・
初春「むぎぎぃ……こ、今年中には身長が170を越えて威圧感マックスの風紀委員になる予定なんですからね!」ムキー!
黒夜「そ、それはそれで嫌だな……そろそろ学校着くぞ」ヤレヤレ・・・
939 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/10(月) 22:40:12.20 ID:BrJDoUhW0
<校門>
初春「おぉ……やっぱり校門が●校って感じですね!」キラキラ・・・
春上「あ、さっそく挨拶指導してるの」チラッ
絹旗「うっ……きゅ、急にお腹が痛く」タラー・・・
黒夜「わ、私も」タラー・・・
春上「2人ともー。レッツゴーなの♪」ガシッ!
絹旗・黒夜「「イヤ嫌いやぁー!」」ズルズル・・・
初春「春上さん……強くなりましたね」アハハ・・・
黄泉川「おーっす。おはようじゃん――うん、おはよー――おい、そこのパツキンピアス。卒業までその恰好通せよ―――」オハヨー
初春「黄泉川さん、おはようございます」ペコッ
黄泉川「―――ん? おお、初春。おはようじゃん。今日も花飾り(ビオランテ)は元気だな」ハハハ
春上「初春さん。今日からは黄泉川『先生』なの」フフッ
初春「あ、そうでした。すいません」
黄泉川「別に良いじゃん。フレンドリーに『愛穂ちゃん』でも……って、あら。そっちの2人は」チラッ
絹旗「お、おお、おお、おはようございましゅ!」ペコッ!!
黒夜「噛んでんじゃねぇよ」ッタク・・・
黄泉川「うん、おはようじゃん……そっか。オマエ達も入学だったな」フフフッ
黒夜「……悪ぃかよ」ジトー・・・
黄泉川「ううん。歓迎するじゃん。特にオマエら2人は色んなヤツらから『お願いします』って頼まれてるからな」ポンポンッ
絹旗・黒夜「「……はぁ」」タラー・・・
黄泉川「ま、『初めて』の学生生活楽しむじゃん! 私ら教師が全力でサポートしてやるからさ」ハハハ
春上「勿論、私達もなの」ニパー
初春「はい。何でも相談して下さいね」フフッ
絹旗・黒夜「「…………、」」ジー・・・
黄泉川「徐々に慣れていこうじゃん。おっと……またまた期待のルーキー登校のようじゃん」チラッ
絹旗「え?」チラッ
ウー・・・・・・・・イイィ・・・・・ハアアアァ―――
佐天「―――あああぁ……るううううぅっ!!」ガバッ!!
絹旗・黒夜「「っ!!?」」ギョッ!
ひらひら〜・・・・・
男子生徒『お、おおおぉ!!?』ギョッ!
初春「へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、ひゃあああぁっ!!」ガシッ///
佐天「入学初日はっと……水色の可愛らしいリボン&レース付きかぁ。85点!」フムフム・・・
初春「ッッ〜〜〜〜〜〜〜っ!! 佐天さあああぁんっ!!」ポカポカ!
佐天「あはははは。初春の●校でデビューだね!」ケラケラ!
黄泉川「あはははは。初日から中々やってくれるじゃん!」ハハハ
春上「先生。止めるべきなの……でも、これからも、いつも通りって事なの」フフッ
絹旗・黒夜「「……あはは」」タラー・・・
940 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/10(月) 22:54:12.60 ID:BrJDoUhW0
次! 入学式後の自己紹介タイム! 誰視点?―――
@アニェーゼ
A佐天
Bレッサー
C担任(まだ内緒)
>>942
941 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/10/10(月) 22:55:28.63 ID:47md9SHfo
A
942 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/10(月) 22:58:46.98 ID:NMTk5ucIO
2
943 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/10(月) 23:05:13.12 ID:5YIUnA0SO
>>937
時間おかしくねぇか?
944 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/10(月) 23:22:24.97 ID:BrJDoUhW0
※ごめん! 入学式『前』の自己紹介に変更ね!
―――3,4年後の未来、とある日、AM11:00、学園都市第7学区、とある高校、1年7組・・・・・
佐天「7組かぁ……って、知り合いばっかじゃん!」オー!
初春「何故か外国の方の名前も多いですね」フム・・・
春上「んー……担任の先生の名前は分からないみたいなの。挨拶の時まで内緒って事かな?」
佐天「とりあえず行こ! 最愛ちゃんと海鳥ちゃんも行くよ!」グイッ!
絹旗・黒夜「「うぅ」」ダラダラ・・・
ガヤガヤ・・・・・
佐天「おっはよーございます!」ガララ!
枝先「佐天さん! 初春さん! あ……衿衣ちゃん!!」パアアァ!!
春上「絆理ちゃん!」パアアァ!!
初春「わぁ! 春上さんの昔馴染みが全員です!」オオォ!
ワヤワヤ・・・・・
絹旗「……うー」オドオド・・・
黒夜「これが……学校」タラー・・・
佐天「ん……ほら2人とも! もう少し元気出そうよ!」ポンポンッ
絹旗「は、はい。そうですね」タラー・・・
黒夜「ケッ。面倒臭ぇ……私の席はあそこか」テクテク・・・
佐天「あ、ちょ……もう」ムンッ
絹旗「佐天、その……あの子も、色々宜しくおねがいします」ペコッ
佐天「え? ……うん、勿論だよ」フフッ
絹旗「えっと、私もとりあえず自分の席に行きます」テクテク・・・
佐天「やれやれ……毎日が楽しくなりそうだね」フフフ・・・
945 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/10(月) 23:35:57.31 ID:BrJDoUhW0
※ごめん! PMじゃなくて『AM』だった!
******************************************
佐天「さーて、そんじゃあ私もー」テクテク・・・
ガララッ・・・・・
佐天「ん?」チラッ
アニェーゼ「…………、」バンッ・・・
アンジェレネ「あ、ええっと……お、おひゃひょうございます」オドオド・・・
レッサー「アンジェっち。堅くなり過ぎですよ」アハハ
サーシャ「それからアニェーゼ。第1の注意ですが、ぶっきら棒過ぎですよ」チラッ
アニェーゼ「そ、そうですか……こほんっ」テクテク・・・
ざわざわ・・・・・
男子A「が、外人さんだ」オー・・・
男子B「ま、マジだったのか?」ジー・・・
枝先「こらこら、男子共! そういう変な目で見ちゃダメだっつの!」メッ!
アニェーゼ「また『ガイジン』ですか。せめて『外国人』って言って欲しいもんですね」フンッ
佐天「よっ! アニェーゼちゃん!」ニカッ!
アニェーゼ「え……あ、サテン!!」オオォ!
アンジェレネ「さ、サテンさん!」ワー!
サーシャ「おや、知り合いで?」チラッ
アニェーゼ「ええ。昔、新オルソラ教会建てた時にちょこっと」フフッ
レッサー「あー。あの興行収入トップクラスの化け物教会……え!? アニェーゼっち、あそこの建設関わったんですか!?」ギョッ!
佐天「あはは。クラス編成見た時驚いたよ! 今日から同じクラスだね!」ニコニコッ
アニェーゼ「まったくです。私達は『学校』っての『初めて』ですから、宜しく頼みますよ」フフッ
佐天「勿論! 任せてくださいな!」フフフッ
946 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/10(月) 23:55:48.66 ID:BrJDoUhW0
初春「あららら! アニェーゼさん! アンジェレネさん!」テクテク・・・
アンジェレネ「ウィハルさん! よろしくね!」パアアァ!!
佐天「とりあえず、何とか馴染めそうだね! 私達がお手伝いするよ」フフッ
アニェーゼ「ええ、頼りにしてます。あ、こっちの赤い帽子被ったのがサーシャ。んでこっちのビッチがレッサーです」チラッ
サーシャ「サーシャ=クロイツェフ。よろしく」コクッ
レッサー「私がビッチならアニェーゼも大概ビッチでしょう……レッサーです。こん中では一番常識人ですので、そこんとこよろしこ」ハハハ
佐天「ユニークな人だね……佐天涙子です。こっちが初春飾利」
初春「宜しくお願いしますね」コクッ
佐天「他にも紹介しようか―――」
キーンコーンカーンコーン・・・・・
佐天「―――っと……チャイム鳴っちゃったね。そんじゃ後で他の子も紹介するよ」
アニェーゼ「ええ。宜しく」コクッ
初春「とりあえず、入学式の前に担任挨拶と自己紹介ですね。席に着きましょう」
ざわざわ・・・ガララ・・・・・
手塩「皆。席に、着け……鉄網、貴女も、自分の席に行きなさい」チラッ
鉄網「う、うん……じゃなくて、はい」オドオド・・・
手塩「一番初めの、HRだ。きちんとしよう」パンパンッ
佐天「おぅ……何か如何にも体育教師って感じの先生だね」コソコソ・・・
初春「ええ。あれ? あの人って確か、警備員本部の」ジー・・・
絹旗・黒夜・ショチトル「「「…………、」」」ジー・・・
手塩「さて、全員席に着いたかな。幾らか、空席が見えるけど……時間だ。始めよう」コクッ
佐天(あれ? 香焼くん来てない)キョロキョロ・・・
絹旗(……根性馬鹿もいない)キョロキョロ・・・
アンジェレネ(ステイルくんも……初っ端から遅刻?)タラー・・・
手塩「まず、始めに……私が『副担任』の、手塩恵未だ。担当は保健体育と、倫理。部活は、まだ持ってないよ」
春上「副担?」キョトン・・・
手塩「ああ。私は出戻りの、教師だからね。謂わば、君達と同じく、新人みたいなものだ……まぁ、担任も今年、新採用だけどね」フフッ
947 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/11(火) 00:15:40.63 ID:FsSNzwqs0
手塩「さて……では、担任。どうぞ」チラッ・・・
ガララッ・・・・・
クラス大半『あっ!!?』パアァ!
レッサー「な、何々?」ポカーン・・・
木山「あーえっと……その……うん……こほんっ」モジモジ・・・///
手塩「春生。シャキっとなさい」チラッ
木山「わ、分かっているよ」コクッ
クラス大半『木山先生っ!!』ワアアァッ!!
木山「こ、こら……あー、すまない。君達の担任になる木山春生だ。担当教科は理科全般、それから能力開発系アドバイス等だ」コクッ
黒夜「木山春生……ふーん。例の」ジー・・・
木山「君達同様、私も新入生だ。よろしく頼むよ」ポリポリ・・・
クラス大半『わーい!』ガヤガヤ・・・
佐天「春上さん達。また木山先生のクラスになるんだ」フフフ
手塩「こらこら、静かに。春生……木山先生も、ドンドン進めて」チラッ
木山「はい……ええ、まず出席を取りつつ、簡単な自己紹介を……って、4つも席空いてるけど」チラッ
手塩「構わない。進めてくれ」
木山「分かりました。では―――」
絹旗(超馬鹿香焼! 超ボケ削板!)タラー・・・
佐天(うーん……香焼くん、どうしたのかな?)タラー・・・
春上(木山せんせー。ちょっと待ってあげて欲しいの!)タラー・・・
アニェーゼ(阿呆コーヤギ! 糞っタレ不良神父!)タラー・・・
アンジェレネ(ああ、どうしよう)タラー・・・
サーシャ(第1の意見ですが、マグヌスはまだしも……コーヤギーが遅刻するとは思えませんが)タラー・・・
レッサー(やれやれ……はっ! コレを期に『幼馴染が家に起こしに来るイベント』的なモノが可能ですね!!)グッ!
黒夜(あー……何か、一部の人間の思考がヤバい気がすっぞ)タラー・・・
948 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/11(火) 00:43:19.39 ID:FsSNzwqs0
木山「―――……ふむ。やはり4人、居ないな」ムゥ・・・
手塩「愛穂に、電話させるよ。喝を入れて貰わないと、な」コクッ・・・
初春「あちゃー。初日から黄泉川先生のお説教ですか」アハハ・・・
佐天「拙いなぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ!」バッ!!
一同『っ!?』ギョッ!
木山「どうした、佐天くん」ン?
佐天「き、来ました! 外! 外!」バッ!
一同『え―――』チラッ・・・
削板「根性ラストスパアアーーーアァトっ!!」ダダダダダッ!!
ステイル「喧しい!! 貴様が近道と称して変な寄り道するからだろう!!」ヘトヘト・・・
削板「うっせぇ! お前が一服させろとか言ったのも原因だろう! てかブレザー着て煙草喫うんじゃねぇ!」ダダダダッ!!
ステイル「ふんっ! 僕は医者から正式に『ニコチン中毒』の処方箋を貰ってる! これで堂々と煙草を摂取できるんだ!」ゼェゼェ・・・
香焼「だあああぁっ!! 喧嘩すんな!! 巻き込まれてる自分の身にもなれ!!」ウワーン!!
削板・ステイル「「さーせん」」タラー・・・
香焼「あーもう! それより……いつまでパン咥えてんのさ! てかそれ何枚目すか!?」
禁書目録(インデックス)「ふうふぉふぁいふぇー! (十五枚目ー!)」モグモグ・・・
スフィンクス・もあい「「にゃー」」ブラブラ・・・
一同『―――……、』タラー・・・
絹旗「あ。香焼……とその他です」タラー・・・
アニェーゼ「い、禁書目録も!?」ガタッ!!
木山「あー……もしかして、アレってウチのクラスの生徒?」タラー・・・
関係者『はい』コクッ・・・
木山「……あはは」タラー・・・
手塩「要注意生徒っと……愛穂にも、報告ね」フフフ・・・
949 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/11(火) 00:51:40.60 ID:FsSNzwqs0
<一方、校門付近>
香焼「喰い過ぎ! って、ほら! 皆に見られちゃってるじゃん! もう……ステイル! 禁書目録担いで走れ!」
ステイル「ばっ!!? な、ちょ、おま、何言ってんだ!?」カアアァ///
香焼「まだ間に合うから! 禁書目録! 早く喰い終わって!」アーモウ!
禁書「モグモグごっくん……ふぅ! え? 遅刻? わーわー! 関係者各所に怒られちゃうんだよ!!」アタフタ・・・
削板「ステイル! テメェ、ゴダゴダ言ってんな! 俺が香焼担ぐからテメェはシスター担げ!」ガシッ!!
香焼「はっ!?」ギョッ!
ステイル「ま、待て! 僕が香焼を担ぐ! 貴様は彼女を担いでくれ! 絶対落とすなよ!」ガシッ!
香焼「ちょっ!?」ダラダラ・・・
禁書「すふぃんくすー! もあいー! 急ぐんだよ!」パタパタパタパタ・・・・
スフィンクス・もあい「「みゃー」」トコトコトコトコ・・・
香焼「あ……自分らより先、行っちゃったじゃん」タラー・・・
ステイル・削板「「…………、」」タラー・・・
香焼「ほら自分達も急ぐよ―――って、うぇ!?」グイッ!!
削板「……ふんっ! お先に失礼するぜ! 不良くん―――って、な?!」ダダダダ・・・ガシッ!!
ステイル「貴様に先を越されるのは癪だ。それと、香焼を寄越せ。僕が運ぶ―――って、うわっ!?」バシッ・・・・ギョッ!
削板「待てよ……先に行くのは構わねぇが、香焼は渡さねぇ」ガシッ・・・ギロッ・・・
ステイル「……ふんっ。やるか?」ガシッ・・・ギロッ・・・
香焼「ちょ、な、何で訳分かんない事で喧嘩してんのさ!? 自分、一人で走れるよ!」アタフタ・・・
ステイル・削板「「黙ってろ!」」ググググ・・・
香焼「う、うわーん! 不幸だー!」ビエーン!
一同『―――……あはは』タラー・・・
禁書「お、おはようございます! ぎ、ギリギリセーフなんだよ!」ガララッ!!
手塩「完璧、アウトだ。馬鹿者」バシッ
禁書「あ痛っ」アハハ・・・
春上「……あ、2人で香焼くんの取り合いをしてるの」タラー・・・
黒夜「何だ、ありゃ……男同士で気持ち悪ぃ」タラー・・・
初春「むむむっ……薔薇臭がしますね。薄い本の準備っ!! 香焼さんはドチラに奪われるんでしょうか?」キラキラ・・・
佐天「こ、こら! そういう事言うと!!」タラー・・・
絹旗・アニー・サーシャ・レッサー「「「「…………、」」」」ガタッ・・・ガララララ・・・
佐天「……あちゃー」タラー・・・
950 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/11(火) 01:09:58.97 ID:FsSNzwqs0
ガララララッ・・・・・
枝先「ま、窓開けて何する気?」タラー・・・
佐天「さ、最愛ちゃん! 落ち着いて! 皆も!」アタフタ・・・
アンジェレネ「あー……目がマジですね」アハハ・・・
絹旗・アニー・サーシャ・レッサー「「「「てえええええぇゐっ!!」」」」バッ!!
一同『なっ!!?』ビクッ!
鉄網「ま、窓から飛び出した」ギョッ!
手塩「こらっ! お前ら!!」バッ!!
アンジェレネ「えっと……皆を止めて来ますね」ピョンッ!
禁書「あ! じゃあ私もー!」ニャー!
佐天「せ、先生! 私も止めて来ます!」タタタタタッ! バッ!!
黒夜「喧嘩か? そんじゃ私も行くぞ」ニヒヒ・・・ヨット!
木山「……こ、これほどとは」タラー・・・
手塩「もしもし、愛穂。校庭を見ろ……ああ、ウチの『問題児クラス』の子だ。止めるのを、手伝ってくれ」Pi!
<校庭>
削板「いい加減放せよ……香焼が嫌がってんだろ」ググググ・・・
ステイル「ああ、君の所為でな……彼は僕に任せろ。そして貴様は遅刻しろ」ググググ・・・
香焼「」 ← ≪レイプ目でWお姫様抱っこ状態≫
削板「最下位はテメェだって……ん?」チラッ・・・
ステイル「余所見する余裕が……え?」チラッ・・・
絹旗「根性馬鹿あああァ!! 香焼を……放せえええええェ!!」ゴガンッ!!
アニェーゼ「死に晒せえええぇ!! 不良神父があああぁ!!」バコンッ!!
サーシャ「第1の警告です……興味の無い男性(ノンケ)を無理矢理衆道(ゲイ)の道に走らせようとするのは、大罪ですよ!!」ガチャンッ!!
ステイル・削板「ぎゃあああぁっ!!」チュドーン!
951 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
:2011/10/11(火) 01:40:43.20 ID:FsSNzwqs0
ドッカーン・・・・・バッカーン・・・・・
香焼「う、うーん……、」グデェ・・・
レッサー「わー……じゃあこの隙に、コウヤギと体育館倉庫行ってきますねー」ニシシッ! ヒョイッ!
アンジェレネ「レッサーちゃん……そういうの、狡いよね?」ゴゴゴゴ・・・
レッサー「じょ、冗談ですってば……ねぇ」アハハ・・・
佐天「そんな事より保健室! 保健室に香焼くん連れてかないと!」アタフタ・・・
レッサー「ほぉ……ルイコはそういうセッティングの方が萌えるんですね? でも実際保健医にばれるもんですよ」フフフ・・・
佐天「そ、そういう意味じゃないよ!」カアアァ///
レッサー「いやいや、良いんですよ。私は別にオンリーワンじゃなくてもOKですし……って、おわぁ! こっち攻撃すんなし!」ギロッ!!
アニェーゼ「レッサー……次はテメェが粛清所望ですか? この[
ピーーー
][
禁則事項です
][
ピーーー
]女ぁっ!!」ギロッ・・・
レッサー「あらら……この距離で私とタイマン張って勝てます? 接近戦じゃ私の圧勝でしょう?」ニヤリ・・・
サーシャ「第1の提案ですが、私はアニェーゼに加担しますよ……その手を放しなさい、レッサー」ギロッ・・・
レッサー「おーぅ。マジぴーんち」タラー・・・
佐天「だからほら! 香焼くんの事保健室連れていくよ!」ンモー!
絹旗「そうですね……はい。私も一緒に行きます」テクテク・・・
アンジェレネ「(サイアイちゃん、あざといね)うん。私も」テクテク・・・
レッサー「ちぇっ―――」ハァ・・・
黒夜「なーんだ。もう喧嘩終わり? 私加担しちゃダメなのか?」テクテク・・・
レッサー「―――っ!! こっち! 私の方に入ってくださーい! 報酬は香焼の[
らめぇぇっ!
]で! あ、私の次ですよ」ニヤリ・・・
一同『ちょっ!!?』ギョッ!
黒夜「ふーん……ま、喧嘩出来りゃ何でもOK! ついでに坊やの[
ピーーー
]で私の新義体[
ピーーー
]の感度もチェックしてやる!」ニヤリ・・・
絹旗「チッ。入学早々面倒な……アニェーゼ。手伝います」コクッ・・・
アニー・サーシャ「「…………、」」コクッ・・・
佐天「あ、あわわわわぁ」ダラダラ・・・
禁書「あはは。学校って楽しいんだね!」ケラケラッ
アンジェレネ「禁書目録は呑気ですねー……あ、バランス悪いからレッサーちゃん達の方混ざって来ます。あ、条件は一緒でー」トコトコ・・・
佐天「アンジェレネちゃんも!?」アタフタ・・・
絹旗・アニー・サーシャ「「「……ふんっ」」」ジトー・・・
香焼「」 ← ≪相変わらず、レイプ目放置≫
アン・レッサー・黒夜「「ふふふっ」」ニヤニヤ・・・
削板「だああああぁっ!! 完全復活っ!! 香焼の貞操は俺が守る!!」ガバッ!!
ステイル「喧しい! 兎にも角にも、全員折檻してやる!!」バッ!!
セクステッ娘(※)『野郎は黙ってろ!!』ガッ!! ※『カルテッ娘 + 絹旗・黒夜』=暴力娘達!
ギャーギャーギャー!!
禁書「あははははは! 見て見て、るいこ! 三つ巴なんだよ! 魔術と科学が交差しまくり!」キラキラ・・・
佐天「……誰か大人の人呼んでー」ハァ・・・
952 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/11(火) 02:03:08.39 ID:FsSNzwqs0
ドカーン・・・・・バゴーン・・・・・バリバリバリィ・・・・・
佐天「あわわわわ……グランドが大変な事に」ダラダラ・・・
禁書「あはは。アレ直すの私達かなぁ」ポリポリ・・・
佐天「えー……って、あ! 先生出てきた」チラッ・・・
禁書「ふぇ? あ、小萌なんだよ!」オーイ!
月詠「あらら、シスターちゃん……じゃないですね。インデックスちゃん。『小萌』じゃなくて『小萌先生』なのですよ」メッ!
禁書「はーい!」ビシッ!
佐天「そ、そんな事より皆を止めないと!」アタフタ・・・
月詠「ええ……今、警備員の『エース&エース』と『試作・多才能力者(プロト・マルチスキル)』が出張りましたから」フフフ・・・
佐天「え?」チラッ・・・
黄泉川「えっと何々……絹旗と削板は多少本気で『黙らせても』死なない? 黒夜って娘は?」テクテク・・・
手塩「アレは一応、木原印の義体とはいえ、頑丈って訳ではない。有る程度の手加減は、必要だ」グッ・・・
黄泉川「あいよ……それより、こんな早めに春生の『能力』を実戦する羽目になるとはな」ハハハ
木山「まぁ覚悟はしてたさ。とりあえず『魔術師』組とやらは私が『一網』すれば良いんだね?」ジー・・・
手塩「ああ。だが、彼女達はまだ『対能力者』の経験が、浅いらしい。『隆起捕縛(サンドバインド)』くらいに、しておけよ」コクッ・・・
木山「分かった……サポート宜しく頼むよ」キュイイイイィン・・・
佐天「なっ!!? 木山先生のアレって!?」ギョッ・・・
禁書「わぁ……『疑似天使』なんだよ」ポカーン・・・
月詠「あの人が、貴女達のクラスに配属されたのは……『アレ』の御蔭なのですよ。貴女達を守る『能力(チカラ)』なのです」ジー・・・
佐天「で、でも、『幻想御手(レベルアッパー)』は全部破棄されたんじゃ!?」タラー・・・
月詠「『アレ』を使えるのには理由があるのです……知る必要はないのですよ。訳有りですから」ジー・・・
佐天「……むぅ」ジー・・・
禁書「あ。2人がドンパチの中に突っ込んだ!」オー!
月詠「始まりますね……多分、良い意味で『見せしめ』になるでしょう」コクッ・・・
佐天「はぁ」ポリポリ・・・
953 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/11(火) 02:27:23.14 ID:FsSNzwqs0
ドッカン! ズゴーン! バッカーン!
絹旗「っ……せェいっ!!」グガンッ!!
レッサー「おーこわいこわい。ニヒヒっ!」ヒョイッ!
削板「まだまだぁっ! おりゃあっ!!」スゴパ!!
手塩「喧しい。黙れ、貴様ら」ガシッ・・・
レッサー「うをっ!!?」ギョッ!
絹旗・削板「「おわっ!!?」」グググ・・・ポイッ!
黄泉川「ナイスパース……ふんっ!!」コキャッ・・・
レッサー「ひ、ひぃ」タラー・・・
絹旗・削板「「あがっ…… 」」チーン・・・
黄泉川「まず2人っと」パンパンッ
黒夜「オラオラオラオラァっ!! 全っ然足らねェぞっ! そンな『正常位』じゃイケねェなァ!!」ズガガガガァッ!!
ステイル「黙れ淫売っ!! 消し炭にしてやる!!」ボオオオォッ!!
サーシャ「チッ。能力者ですか……厄介ですね」ガシャンッ!!
アニェーゼ「私がサポートします。サーシャは突っ込んでくださいっ!!」スッ・・・
アンジェレネ「させませんよー……えいっ!!」ビュンッ!!
アニェーゼ「うわっ!? ちょ、アン!!」ギロッ・・・
サーシャ「『金袋(使徒)』の数が30以上とは……成長しましたね、アンジェレネ」タラー・・・
アンジェレネ「えへへ。一人だけ遅れる訳にはいきませんからねっ」ブンッ!
黒夜「ナイスだ、猫背! ドラドラドラドラァっ!!」ズガガガガッ!!
黄泉川「どっせいっ!!」グンッ!!
黒夜「ふぇっ!?」ギョッ!
黄泉川「はいよっと!」グルンッ!!
手塩「こっちも、ね」ブンッ!!
アンジェレネ「あわわぁっ!!」グルンッ!!
アニェーゼ「あ、アンジェレネ!?」ギョッ!
ゴチンっ!!
アン・黒夜「「むきゅう…… 」」チーン・・・
手塩「こっちも、2人。残りは、4人だな」チラッ・・・
ステイル・アニー・サーシャ・レッサー『うっ』タラー・・・
954 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/11(火) 02:47:20.62 ID:FsSNzwqs0
木山「―――準備出来たよ。『水』と『土』を使う」オーイ!
黄泉川「ん? じゃあ任せた」ニゲロー
手塩「おい、愛穂。気絶してる子、連れて行きなさい」ガシッ
佐天「な、何する気?」タラー・・・
月詠「見てれば分かりますよ。それより佐天ちゃんとインデックスちゃんは気絶してる子の介抱お願いしますね」フフッ
禁書「はーい」コクッ
レッサー「な、何か凄くヤバい気がするんですけど」ダラダラ・・・
アニェーゼ「って、暴力教師共逃げてますしっ!?」ゲッ!?
サーシャ「っ!! だ、第2の警告です! 2人とも、マグヌスの後ろに隠れて!!」アタフタ・・・
アニー・レッサー「「あいよっ!」」ガシッ!
ステイル「な、お、お前ら!!?」ギョッ!
アニェーゼ「テメェ男でしょ! 守りなさい!!」ベー!
木山「―――――えいっ」ゴゴゴゴゴ・・・・ドガンッ!!
ステイル「み、水!?」ゲェ!!?
アニェーゼ「ちょ、じ、地面が隆起してきやがりました!?」ウワァ!?
ギャアアアアアァ・・・・・
木山「……ふぅ。終わり」ヤレヤレ・・・
ステイル・アニー・サーシャ・レッサー『』チーン・・・
黄泉川「お疲れさーん」ポンッ
手塩「相変わらず、壮大な能力(スキル)ね」フフッ
木山「うん。頭がとても疲れるんだ……それに身体もダルくなる……あと、暑い」ヌギヌギ・・・
手塩「脱ぐな、馬鹿モノ」コツンッ
佐天「『大気水圧(ウォータープレス)』と『隆起捕縛』……ほ、ホントに多才能力だ」タラー・・・
月詠「あと10種類は別の能力を使える筈です。アレくらい出来ないと貴女達のクラスは受け持てないって事なのですよ」フフッ
禁書「あ、五大元素使い(アベレージ・ワン)……魔人クラスの魔術師なんだよ」タラー・・・
月詠「インデックスちゃん、能力者なのですよ」ハハハ・・・
佐天「……あ、香焼くん起きた」チラッ・・・
香焼「ううーん……あれ」ボー・・・
ドンガラガッシャーン・・・・・
香焼「へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぎゃああああぁっ!! 地獄絵図だあああぁっ!!」ウワー!?
黄泉川「ところで、責任者はコイツか?」グイッ
禁書「そうなんだよ。二代目とうまだから! でもとうまよりは25倍くらい頭良い筈なんだよ」ハハハ
月詠「あらあら。それは何とも……香焼ちゃん。色々頑張りましょうねー」ニヤニヤ・・・
佐天「あはは……ドンマイ」ポンッ・・・
香焼「ええぇ……不幸だ」ガーン・・・
955 :
>>1
[saga]:2011/10/11(火) 02:53:17.22 ID:FsSNzwqs0
今回(前編)は此処まで! 次回後編!
次は自己紹介と昼休みと放課後やるよ! まずは自己紹介だけど、誰視点か―――
@香焼
Aアニェーゼ
B木山
Cその他(名前を書いてね)
次回までアンケです! 協力よろしく!
あと、もう50切ってるから、次スレについての意見も下さい。そんじゃまたね! ノシ”
956 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)
[sage]:2011/10/11(火) 03:23:39.07 ID:3gqLc/oh0
乙!
アンケは1
次もあまくさでいいと思う
957 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/11(火) 03:57:02.35 ID:87TOSifDO
乙! この設定だと上条さんとか一通さんはどうなってんのかな?
アンケはBで
958 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/10/11(火) 08:17:02.77 ID:+PYRd4+q0
C
窒素姉妹で
959 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/11(火) 08:18:08.78 ID:w8pH2o7DO
>>1
乙
アンケは3かな……?
こんなんみたら続き読みたくなるじゃない!
960 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/10/11(火) 10:17:53.41 ID:fJ5ai6QAO
冷静に@を選ぶ立ち回り
あまくさ三期を心待ち
961 :
>>1
[saga]:2011/10/11(火) 21:48:17.93 ID:FsSNzwqs0
こんばんわ。ボチボチ書くよ。
アンケは……@とBで並走しましょうか。
962 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/11(火) 22:51:57.28 ID:FsSNzwqs0
<入学式終了後>
―――3,4年後の未来、とある日、PM01:20、学園都市第7学区、とある高校、1年7組・・・・・
キーンコーンカーンコーン・・・・・
レッサー「ふぁああぁ……話長過ぎですよ。ルチアの説教より長いんじゃないですか?」チラッ・・・
アンジェレネ「あはは。どうだろうね」ポリポリ・・・
アニェーゼ「それにしてもステイル。アンタやっぱりデカいから目立ってましたね」ニヒヒ!
ステイル「僕よりこっちの根性馬鹿の方が目立ってただろう。何故コイツだけ白ランなんだ? 此処は前年度からブレザーだろう?」フンッ
削板「良いだろ! オーダーメイドだ!」ニパー!
黒夜「誰も羨ましがってねぇよ、バーカ」ジトー・・・
佐天「喧嘩しないの……ってもうLHR始まっちゃうよ。お昼ご飯食べて無いのに」ハァ・・・
禁書「ご、ごはん……お昼御飯……もう! 一体誰の所為なんだよ!」プンスカッ!!
初春「あははは……ドンマイです」タラー・・・
サーシャ「第1の疑問ですが、次のHRは何をするんでしょうか。ガイダンス的なモノ?」フム?
春上「ううん。午前中に自己紹介が出来なかったから、午後の始めにそれをするって先生が言ってたの」コクッ
絹旗「じ、自己紹介ですか……聞いてませんよ」ダラダラ・・・
香焼「最愛、大丈夫だから。一人頭10秒20秒で終わりだよ。安心して」チラッ・・・
絹旗「…………、」ウーン・・・
ガララッ・・・・・
木山「皆。席についてくれ」テクテク・・・
手塩「予告通り、一人ひとり、挨拶をしてもらうよ。とりあえず、出席番号順だから……最初は席順だな」チラッ・・・
クラス『はーい』
アニェーゼ(うわっ。私最初の方じゃねぇですか……まぁトップじゃなかっただけマシとしましょう)ハァ・・・
アンジェレネ(私はアニェーゼちゃんの次かぁ……どうしよう)ハラハラ・・・
ステイル・黒夜((……ふんっ))グデェ・・・
絹旗(どどどどど、ど、ど、どどど、どぅ、どど、どうしましょう!!?)ダラダラ・・・
香焼・佐天・春上(((……皆、大丈夫かなぁ)))ハァ・・・
963 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/11(火) 23:43:25.42 ID:FsSNzwqs0
木山「それでは始めよう。最初は……相上(あいうえ)くん」チラッ・・・
相上「はい……出席番号1番! 相上です。サガミじゃありませんので、よろしくー」コクッ・・・
888888・・・・・
木山「よろしくね。では次、阿部くん。あ、その後もどんどん続けてくれ―――」
ヨロシクー! ワー!
アニェーゼ「(次私か)3番……イタリア出身。アニェーゼです。日本に来て日は浅ぇですが、他の留学生諸共、よろしくお願いします」ペコッ
香焼(流石、リーダー分だね)ホッ・・・
レッサー「ぷふふっ。良い子ちゃんぶってやんのー」クスクス・・・
ワー! イタリアダッテヨー! スゲー!
アンジェレネ「(わ、私だね)お、同じくイタリアから来ましたアンジェレネです。え、えっと……甘いものが好きです! よろしく!」ペコッ!
絹旗(あ、あんな感じで良いんだ……よし)ゴクッ・・・
ワー! コノコモカー! パツキンオオイナー!
禁書「え? 次私? えっと、英国から来ました? あれ? 私ずっと日本に居たような?」ウーン・・・
アンジェレネ「い、インデックス。学校来る前に資料貰ったでしょ」ボソボソ・・・
禁書「あーそうそう! 5番! 英国出身、インデックス=スチュワートなんだよ! そんでこの子がスフィンクス!」バッ!
スフィンクス「にゃー」ヒョコッ・・・
・・・・・エ?
ステイル「っ〜〜〜〜〜〜まったく……何で、君はそういう事を」ダラダラ・・・
手塩「あー……インデックス。教室に猫を連れ込むのは、いけない事だぞ」コホンッ・・・
禁書「へ? そうなの? それじゃあもあいと遊んでおいでー」ノシ
スフィンクス・もあい「「にゃー」」トコトコ・・・
ワハハハハ!
木山(……って、猫居たの気付かなかった)タラー・・・
絹旗(わ、私ももあいと一緒に話せば良かった)タラー・・・
初春「あはは……あ、私ですね。えっと6番、初春飾利です! ちなみに私も留学生で、ハワイ出身日系4世です!」ビシッ!
春上「う、初春さん!? その噂本当だったの!?」タラー・・・
初春「え、あ、嘘なんですけど、噂って何?! あー……ええっと、あと、こう見えて風紀委員です! よろしくおねがいします!」ペコッ
ジャッジメントダー! スゲー!
枝先「ふふっ……―――……あ、私ね! 8番! 枝先絆理! 元気が取り得です! よろしくね!」ペコッ!
ワー! バンリチャーン! ワタシタチ・オレラノリーダー!
964 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/11(火) 23:57:23.71 ID:FsSNzwqs0
ざわざわ・・・・・
絹旗(つ、次……わ、私だ……どうしよう)アタフタ・・・
黒夜(うわぁ。アイツ、マジガチガチじゃん……流石、超高機能アスペルガー絹旗ちゃん)クスクス・・・
香焼(最愛……大丈夫かなぁ)ジー・・・
木山「―――よろしく。では、次だね」チラッ・・・
絹旗「っ!!?」ビクッ!!
木山「出席番号10番、絹旗くん」コクッ
絹旗「ぁ……ぅ……、」オドオド・・・ガタッ・・・
ジー・・・・・
絹旗「っ!!」ビクッ・・・
手塩「……絹旗。大丈夫か?」ジー・・・
絹旗「っ……、」ダラダラ・・・
春上(……最愛ちゃん、頑張って)グッ・・・
ジー・・・・・
絹旗「っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!」バッ! タタタタタッ!!
一同『えっ!?』ギョッ!
手塩「絹旗! 何処、行く気だ!?」ギョッ!
ガララッ・・・・・ピシャッ!
香焼「さ、最愛!」バッ!!
削板「あの馬鹿……っ」チッ・・・
黒夜「あははははっ!! さっすが絹旗ちゃーん! やってくれるねぇ!!」ケラケラケラッ!!
香焼「っ……先生すいません! 行ってきます!」バッ!
木山「え、あ、待っ!」ギョッ!
佐天「私も行くよ……木山先生、先進めてて下さい! 私達で最愛ちゃんの事連れ帰りますから!」バッ!
春上「香焼くん、佐天さん……よろしくなの」コクッ
佐天「あいよ! 任せといて!」タタタタッ!
木山「ま、待て! 勝手に!」タラー・・・
アニェーゼ「先生さん。あの馬鹿は止めても聞かねぇタイプです。任せましょうよ」チラッ・・・
木山「え……えっと」ポリポリ・・・
手塩「……分かった。先に進めよう。皆、後で各々、あの3人に自己紹介する様に」コクッ
一同『はーい!』コクッ
絹旗「ううぅ……、」タタタタッ・・・ポロポロ・・・
965 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 00:31:09.65 ID:tGtcES/+0
<教室side>
木山「―――こほんっ……では11番。華素くん、すまんが続けてくれ」チラッ・・・
華素「あ、はい……えっと、華素(かしら)です。間違っても『カス』と読まない様に」ビシッ!
アハハハ! アダナケッテー!
木山「そうだな。人の名字で遊ぶような真似はしてはいけないよ。では次」チラッ・・・
黒夜「はいはい……12番。黒夜。大能力者(レベル4)」グデェ・・・
手塩「立って話せ、黒夜。それから、もう少し、ショキっとしろ。非常識だぞ……此処(学校)は、常識の場だ」ジー・・・・・
黒夜「チッ……はいはい。黒夜海鳥でーす。よろしくー……これで良いだろ」フンッ
手塩(やれやれ……一般倫理・常識から、教えないとな)ハァ・・・
木山(そうだね)ハハハ・・・
スゲー! レベル4ダッテー! ナニケイナノー?
木山「静かに。とりあえず質問などは後にしよう。まずは全員回ってからね。では11番の朽木くん―――」
ヨロシクー! ワーワー!
木山「―――(香焼くんは飛ばして)……―――……では次、16番」チラッ・・・
サーシャ「はい。ロシア連邦出身、サーシャ=クロイツェフです。あ……そういえば」チラッ・・・
ステイル「ん? ああ……言っておけ」コクッ・・・
サーシャ「了解……第1の補足です。一応、就学ビザの関係上、皆さんより1つ年上です。しかし、気軽に話しかけて下さい」ペコッ!
オー! ロシアダッテー! テカ、プロポーションヤベー!
サーシャ「だ、第1の注意ですが! そ、そういう目で見るのは止めて下さい!」カアアァ///
レッサー「流石ロシア人女性……だが中年になったら一気にキますからねぇ」フフフ・・・
木山「こらこら。人の嫌がる様な事はするなよ。では次―――」
ヨロシクー! オー!
木山「―――(佐天くんは後で、と)―――うん。じゃあ次、22番」チラッ・・・
ショチトル「……ショチトル。出身はメキシコ。長期入院をしていた所為で、私も皆より年上だ。よろしく頼む」ペコッ
ステイル(あれが土御門が言ってたアステカの魔術師か……今は魔術が使えないとはいえ、一応注意しないとな)チラッ・・・
メキシコダッテヨ! コノクラスヤベーナ!
木山「こらこら、落ち着きなさい。それじゃあ次―――」
ヨロシクー! ワーワー!
ステイル「―――(次か)……25番、ステイル=マグヌス。英国出身だ」コクッ・・・
削板「せんせー! ステイルくんがデカ過ぎて黒板見えねぇぞー!」オーイ!
ステイル「喧しい! ったく……サーシャと同じくビザの関係上一つ上だ。因みに、スチュワートさんもだ……兎角、よろしく」チラッ・・・コクッ
禁書「あ、そうだった。実はお姉さんなんだよ! えへんっ!」ムンッ!
アンジェレネ「……全っ然、見えませんね。完璧馴染んでますよ」アハハ
アニェーゼ「そういえばアンタ私の一つ上でしたね。すっかり忘れてました」アハハ
禁書「ぐぬぬぅ……覚えてろぉ」ギリリ・・・
966 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)
[sage]:2011/10/12(水) 00:37:36.98 ID:laWi2l2J0
・日本
・イタリア
・イギリス
・ロシア
・メキシコ
……なんという多国籍クラス
あと、最愛脱走の展開は読み切り版で見たような
967 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 00:59:03.20 ID:tGtcES/+0
木山「はいはい、静かに。それじゃあ次」チラッ・・・
削板「待ってましたぁ!! 出席番号26番! 年齢不詳! 住所不定! 超能力者万年7位! 削板軍覇さまだ!」バーンッ!!
一同『な、何か爆発起きた!?』ギョッ!
黒夜「あー五月蠅ぇ」ジトー・・・
ステイル「後ろで騒ぐなボケナス」ジトー・・・
削板「あ、ぶっちゃけ友達少ないので友達なってくれ! 結構切実な願いだ!」ムンッ!
初春「自分で言う事じゃないですよね」タラー・・・
スゲー! レベル5ダゾ! ハジメテミター!!
手塩「削板、落ち着け。君が、あんまり暴れる様だと、『所長さん』に報告しなければならないんだ」ジー・・・
削板「うっ……よ、よろしく」コクン・・・
木山「ど、どうも……では次―――」
ヨロシクー! ワーワー!
木山「―――うん。じゃあ次、29番」チラッ・・・
鉄網「は、はい……鉄網、です……えっと……私も長期入院で学業から離れていたので、みんなより年上」コクッ・・・
黒夜(……あの右手)ジー・・・
鉄網「手塩……先生の紹介でこの学校に再入学、しました。色々分からない事あるけど……よろしく」ペコッ・・・
春上「先生と一緒って、何だか私達と同じみたいなの」フフッ
枝先「だね!」クスクス・・・
手塩「(それで良い。徐々に、な)……次、行こう」コクッ・・・
トチトリ「はいはい。30番、トチトリ。殆どショチトルと同じ経緯だ。ま、初めての学校というものを楽しみたい」ハーイ
ステイル(アレもアステカの、か。何の為に潜入してるのか……まさか我々同様、上司の気まぐれではあるまい)ジー・・・
トチトリ「あ、そうだ。えっと一応まだ、身体が不自由なんだ。色々迷惑掛けると思うが、ショチトル共によろしく頼むよ」フフッ
ショチトル「余計な御世話だ……お前は如何して毎度毎度一言多いのだ?」ハァ・・・
ヨロシクー! ナンカカッコウイイオンナノコダナー! キマシタワー!
木山「うん。皆でカバーしながら学校生活を送ろう。それでは次の―――」
968 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 01:58:36.19 ID:tGtcES/+0
ガヤガヤ・・・・・
木山「―――うん、では次……春上」コクッ・・・
春上「はい! 33番、春上衿衣なの。また皆と同じクラスになれてとっても嬉しいの! 留学生の皆さんも、どうぞよろしく」ニパー!
ワー! エリーチャーン! マジテンシー!
木山「そうだな。私も君達の担任になれて嬉しいよ……では、次だ―――」
ヨロシクー! ワーワー!
木山「―――よろしくね。では、次。39番」チラッ・・・
レッサー「はーい。英国出身、レッサーちゃんでーす! 私もビザの関係上一個上なんですよー」フフフ!
アニー・アン・サーシャ「「「嘘っ!!?」」」ギョッ!
レッサー「えええぇ!? アンタらあんだけ私と一緒に居たでしょうが!!」ハァ!?
アニェーゼ「い、いや、サーシャが一つ上だってのは知ってたけど……、」タラー・・・
アンジェレネ「レッサーちゃんも、上だったんだね」タラー・・・
サーシャ「マグヌス。第1の質問ですが、知ってましたか?」チラッ・・・
ステイル「いや……僕とサーシャと同い年とは」タラー・・・
禁書「私もなんだよ! ねぇ、私も!」グイグイッ!
レッサー「くっ……と、とりあえず、皆さんよりお姉さんと言う事でぇ……『色々』教えちゃうゾっ♪」フフッ・・・
オオオォ! ヤベー! アノコマジコアクマー! ネエサーン!
レッサー(ふふふ、掴みOK! 学校逆ハーレム化計画のスタートとしては完璧です!)グッ!
アニェーゼ「やーい。ビッチー」オーイ
レッサー「って、オイっ!! 変な印象付けないで下さい! 私がビッチならアニェーゼだってビッチでしょ!」グヌヌ・・・
黒夜「何だ。さっき随分と淫乱な事言ってたからビッチで合ってると思ってた」ヘー
レッサー「このぅ……黒夜(アンタ)もビッチ発言してたでしょう! 私は例えビッチでも高貴なビッチです!」フンッ!
黒夜・アニー「「人をビッチ扱いすんじゃねぇ!」です!」ギロッ・・・
削板「お前ら三人で『ビッチーズ』だな」アハハ
ステイル「削板、貴様にしては良いネーミングセンスだ」ハハハ
アニー・レッサー・黒夜「「「はぁ!?」」」ギロッ・・・
アンジェレネ「け、喧嘩は駄目ですってば!」アタフタ・・・
手塩「お前らなぁ」ハァ・・・
木山「こ、こほんっ……その、何だ。そういう言葉を連呼するものではないよ。品格が疑われてしまう」
サーシャ(コイツらにそんなモノありませんよ)ハハハ
木山「ん……それでは最後、40番」チラッ・・・
割樹「はい。割樹です―――よろしくおねがいしますね」ペコッ
ヨロシクー! ワーワー!
木山「ふむ。一通り終わったな……あとは、アチラを待つだけだ」チラッ・・・
アニェーゼ「……コーヤギ」ムゥ・・・
969 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 02:04:13.65 ID:tGtcES/+0
<絹旗捜索side>
タッタッタッタッ・・・・・
香焼「―――っ……最愛、何処行ったんだ」タラー・・・
佐天「香焼くん! 最愛ちゃん、居た?」ハァハァ・・・
香焼「ううん……女子トイレとかは?」チラッ・・・
佐天「一通り見たけど居なかった……まさか帰ってないよね」ウーン・・・
香焼「多分……そうだ! 携帯に!」ピンッ!
佐天「成程。でも、ポケット入れてるかなぁ」ムゥ・・・
香焼「何でも良いから試してみないと」Pi!
Prrrrr・・・・・
香焼「……っ! 最愛!」ガチャッ!
絹旗『―――……っ……うぅ……こ、やぎ』ポロポロ・・・
香焼「最愛、今何処居たの!?」ホッ・・・
絹旗『ぇぅ……っ……やっぱり……帰ります』ナーゥ・・・
香焼「なっ……馬鹿!」ガッ!
絹旗『っ……だって……無理ですよ……やっぱり、無理なんです……うぅ』ヒック・・・ポロポロ・・・
香焼「無理じゃない! 折角、普通の生活手に入れたんだよ! 諦めるなよ!」グッ・・・
絹旗『で、も……でも……ううぅ……っ……ぇぅ』ミー・・・
香焼「皆頑張れって言ってくれたろ。滝壺さんも浜面さん、黒妻さんも固法さんも打ち止めちゃんも那由他もフレメアちゃん、麦野さんも!」
絹旗『ぇぅ……ごめん、なさい……っ』ニャゥ・・・
香焼「最愛!」ギリッ・・・
佐天「こ、香焼くん……怒鳴り過ぎだよ」タラー・・・
絹旗『ううぅ……ええぇん……ごめ、なさ……っ……―――』Pi!
香焼「ちょ、最愛! くっ……そっ!」グッ・・・
佐天「強く言い過ぎだって……はぁ……最愛ちゃん」ムゥ・・・
香焼「何処行ったんだ……最愛」ギリリ・・・
970 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 02:23:28.61 ID:tGtcES/+0
佐天「香焼くん、気持ちは分かるけど落ち着いて……今は怒るより連れ戻す事考えないと」トンッ・・・
香焼「……うん」グッ・・・
佐天「とりあえずまだ学校にいるなら、探してみないと。もしチャイム鳴って人がゾロゾロ出てきたら、それこそ余計にパニック起しちゃうよ」
香焼「それは拙いよ……くそぅ。何処に」ジー・・・・・
佐天「電話越しに何か物音聞こえなかった? 学校出てれば車の音聞こえる筈だし、人の声聞こえれば多分学校内だし」
香焼「うーん……あ」ピタッ
佐天「何か聞こえた!?」チラッ・・・
香焼「……猫だ」
佐天「え?」
香焼「猫の声! 多分スフィンクスともあいだ!」コクッ!
佐天「えっと、インデックスさんの……って何処行ったか分かるの?」ポカーン・・・
香焼「スフィンクスは分からないけど、もあいが行きそうな場所なら検討つくっす!」
佐天「OK! それじゃあ行こう!」コクッ!
ざわざわ・・・・・
佐天「―――ハァハァ……校舎裏?」タラー・・・
香焼「多分、猫達が集まりそうな場所だよ。もあいは一匹歩きさせてるから、勝手に猫の集会に行く」タッタッタッ・・・
佐天「うーん……そしたらもしかして、いつもの公園かもよ」ジー・・・・・
香焼「そん時はそん時! 兎に角、敷地内で猫が堪りそうな場所に行こう!」チラッ・・・
がやがや・・・・・ニャーン・・・・・ドワァオドワァオ・・・・・ミャー・・・・・ナーゥ・・・・・
佐天「―――うーん、やっぱ公園かなぁ……あ! 香焼くん、アッチの方! 猫の鳴き声!」チラッ・・・
香焼「っ! 行ってみよう!」コクッ・・・
もあい「なーぅ」トコトコ・・・
猫s『にゃん』ゴロゴロ・・・
スフィンクス「みー」フシフシ・・・
絹旗「ひっく……ううぅ……っ……ぇぅ」グスン・・・
黄泉川「まったく……よしよし。泣くな泣くな」ポンッポンッ・・・
佐天「い、居た! あ……よ、黄泉川先生」ジー・・・・・
黄泉川「ん? おお、佐天と……黒妻んとこの長男坊」チラッ・・・
香焼「違……まぁ良いや……最愛」テクテク・・・
絹旗「うっぅ……こ、やぎ……さてん」ポロポロ・・・
香焼・佐天「「……はぁ」」ホッ・・・
971 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 02:41:33.28 ID:tGtcES/+0
黄泉川「やれやれ。一服がてら猫共に残飯分けに来たんだけど……ボス猫が増えてたじゃんよ」ハハハ
香焼「……最愛」テクテク・・・
絹旗「うぅ……ごめ、なさい……っ」グズグズ・・・
佐天「最愛ちゃん、大丈夫だよ……誰も虐めたりしないから、ね」ポンッ・・・
絹旗「っ……違う、です……私……私……っ」ポロポロ・・・
香焼「……一緒に行こう。誰も笑わない。馬鹿にしないよ」コクッ・・・
絹旗「ぇっぅ……で、も」ポロポロ・・・
黄泉川「……ったく。シャキっとするじゃんよ。そんなんじゃ打ち止めに笑われるじゃん」カチッ・・・フゥ・・・
絹旗「うぅ……っ……え?」ポロポロ・・・チラッ・・・
黄泉川「伝言じゃん……『お姉ちゃん! 私と友達作りの競争だよ! ってミサカはミサカは応援してみる!』……だとさ。今朝言われた」フフッ
香焼「……打ち止めちゃん」ジー・・・・・
黄泉川「頑張れ、お姉ちゃん。妹分は中学校で『0』から頑張ってるじゃんよ」フフッ・・・ワシワシ・・・
絹旗「っ……、」グズッ・・・
香焼「……最愛。頑張ろう。僕達がついてる」スッ・・・
佐天「絶っ対、助けてあげるから、ね」トンッ・・・
絹旗「う、ぅ……っ……はぃ」パシッ・・・
香焼「うん! 行こう、最愛!」グイッ!
黄泉川「ふふっ……頑張れ、ちっちゃいお兄ちゃん」クスクス・・・
猫s『にゃー』クシクシッ
香焼「黄泉川先生、ありがとうございました」ペコッ
黄泉川「いんや。色んな人達から期待されてるからな。お前らんとこのクラスは……頑張れよ……特に」チラッ・・・
佐天「え? あ、あはは」ポリポリ・・・
香焼「……それじゃ戻ろう」ギュッ・・・
絹旗「……はい」グッ・・・
佐天「あ、ちょっと……最愛ちゃん、一回トイレで顔洗ってから行こうね」ヤレヤレ・・・
香焼「あ、そっか……それじゃあ先戻ってるよ」
佐天「駄目です。ちゃんと私達と一緒に教室戻りなさい……ね。最愛ちゃん」メッ!
絹旗「…………、」コクン・・・
香焼「あはは……了解っす」コクッ・・・
黄泉川(まったく……成長したじゃん、佐天。そんじょ其処らの『能力』馬鹿共よりも、ずっと恰好良いじゃんよ)フフッ・・・
猫s『なー』コクコクッ
972 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 02:59:09.20 ID:tGtcES/+0
<――再び教室……>
がやがや・・・・・
木山「―――さて……どうしたものか」ボソッ・・・
手塩「うん……ん? ちょっと、待って……―――……愛穂が、見つけたって。今こっち、向かってるそうだ」チラッ・・・
木山「そうか……彼女には助けられっぱなしだな」ポリポリ・・・
ガララッ・・・・・
削板「……お?」チラッ・・・
香焼「ただいま」コクッ・・・
春上「良かった……見つかったみたいなの」ホッ・・・
木山「…………、」チラッ・・・
香焼「……大丈夫っす」コクッ・・・
手塩「そうか……皆、分かってると思うが、普通に、接してあげるんだぞ」コクッ・・・
黒夜「ふんっ。アスペルガーのガキ相手に『普通』ねぇ」クスクス・・・
香焼・手塩「「っ」」ギロッ・・・
黒夜「うっ……何でもねぇよーっと」ヒュー・・・
木山「……とりあえず香焼くん。中に」チラッ・・・
香焼「はい……最愛、頑張ろう」チラッ・・・
絹旗「…………、」コクッ・・・
佐天「行こう」スッ・・・
春上「最愛ちゃん、頑張って」コクッ・・・
絹旗「えりぃちゃん……、」チラッ・・・
アニェーゼ「サイアイ。自然にやりゃぁ良いんですよ。自然にね」フフッ
アンジェレネ「応援してますよー。頑張れー」ニパー!
絹旗「あにぇーぜ……あんじぇれね……、」チラッ・・・
禁書「もあい! ファイトなんだよ!」グッ!
絹旗「……暴食シスター」チラッ・・・
削板「絹旗っ! 根性だ、根性っ!」ビシッ!
絹旗「F(根性バカ:または、軍覇)……、」チラッ・・・
ガンバレー! デキルヨー! アキラメルナー!
絹旗「……みんな」チラッ・・・
香焼「最愛……できるよ。頑張ろう!」コクッ
佐天「まずは席に、ね」ニカッ!
絹旗「……はい」コクン・・・
手塩(春生……お前の教え子達は、皆、優しいな)フフッ
木山(ええ……貴女の教え子も、ね)フフッ
973 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 03:20:31.77 ID:tGtcES/+0
ワーワー! ガンバレー!
木山「―――(静める必要は無いな。この子は此の方がやり易かろう)……さて、では出席番号10番。絹旗くん」コクッ・・・
絹旗「は、はい……っ」グッ・・・
黒夜「チッ……名前、出身中、趣味、能力、言っとけ」ボソッ・・・
絹旗「う、うん……き、絹旗最愛です。絹地の『絹』。国旗の『旗』。『最も愛する』で『最愛』です。『モアイ』じゃないです」オドオド・・・
禁書「もあぃんが!? ふがふがっ!!?」モゴモゴッ!
初春「インデックスさん。ちょっと黙ってましょうね」ウネウネ・・・
絹旗「それから……出身は『置き去り(チャイルドエラー)』……じゃなかった。霧ヶ丘です」アタフタ・・・
黒夜「ばっ……余計な事言うなアホ」ボソッ・・・
枝先「そっか……同じなんだ」ジー・・・
絹旗「ええっと……趣味は映画観賞で、能力は……えっと……えっと」チラッ・・・チラッ・・・
香焼「大丈夫。もう隠さなくても大丈夫だよ」コクッ
黒夜「……強度(レベル)だけ言っとけ」フンッ
削板「俺は普通に能力言ったぞー」ムンッ!
絹旗「ん……大能力の、窒素装甲(オフェンスアーマー)です……その、えっと……ちょ、超よろしくお願いします!!」ペコッ!
ワーワー! スゲー! マタレベル4ダ! キリガオカダッテヨー! コノクラススゲーナ! 888888888!
絹旗「……は、ぅ」ホッ・・・
香焼「OKっすよ」グッ!
佐天「頑張ったね! 最愛ちゃん!」ニカッ!
木山「うん。絹旗くん、初めての自己紹介だったんだろう? 十分だよ」コクッ
絹旗「あ、ありがとうございます」ペコッ
手塩「黒夜も、良い手伝いだったぞ」フフッ
黒夜「けっ。チンタラ遅ぇから手伝っただけだよ」フンッ
レッサー「うわー。アニェーゼ並のツンデレですね」ニヒヒ!
アニー・黒夜「「誰がツンデレだっ!!」」ギロッ・・・
削板「うっせーぞー。ビッチーズ」ハハハ
アニー・レッサー・黒夜「「「後で殺す!」」」ギロッ・・・
手塩「だから、喧嘩するなと」ハァ・・・
木山「ふふっ……それでは後2人だね」チラッ・・・
香焼「え?」ピタッ・・・
佐天「……あ」ヤベッ・・・
974 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 03:40:58.79 ID:tGtcES/+0
木山「それでは香焼くんからお願いしようか」チラッ・・・
香焼「はい……14番、香焼っす。特に自慢できるような事はありませんが、クラスに馴染める様頑張りたいと思います」ペコッ
アニェーゼ「すげぇ地味ですね……もっと何か言いなさいよ」ジトー・・・
香焼「ええぇ」タラー・・・
初春「香焼さん、出身中学を」ニヤリ・・・
香焼「え? あ、いや、それは……えっと」チラッ・・・
木山「君の好きにするといい。誰も馬鹿にしないよ」コクッ
香焼「……理事会付属、『▲▲▲』学院中等部っす」
一同『えええぇっ!!?』ギョッ!
枝先「マジで?! 超エリートじゃん……何でこんな学校来たの?」タラー・・・
香焼「この学校には望んで来ました。別に落ち毀れだと思ってくれても構いません」
サーシャ「また貴方は、自分を卑下する様な事を」ハァ・・・
香焼「兎に角、3年間よろしくお願いします」ペコッ!
ワーワー! ヤベー! チョーテンサイジャン! シンチョーヒクーイ! カワイー! エ、オトコダッタノ?
木山「静かに。では最後……佐天くん」コクッ
佐天「はい。あー、あんまり考えて無かったなぁ……えっと、18番。佐天涙子です。柵川中出身です」
春上「趣味はー?」ニヤリ・・・
佐天「初春のスカート捲りです。あ、でも今年は皆のスカート捲っていこうかと思ってますよ」ニヤニヤ・・・
初春「ちょ、佐天さん! 今年は本気で逮捕しますよ!」ンモー!
レッサー「おー! じゃあ私も捲るの手伝いますよー!」アハハ!
アンジェレネ「じゃあ私もしよっかなー」フフフ・・・
アニェーゼ「ルイコとアンは健全だけど、レッサーはただの変態ですね」ギロッ・・・
佐天「あはは。ま、楽しくなるんじゃないかなぁって思います。よろしくね!」ペコッ
ヨロシクー! サテンサーン! ルイコスタッ! スタイルイイナー!
木山「うん。ありがとう。それでは―――」
枝先「せんせー! まだ先生達の自己紹介聞いてませーん!」ハーイ!
木山「―――え? さっきしただろう」ムゥ・・・
春上「もう一回なの」フフッ
モウ1ッカーイ! アンコールッ! ワンモアセッ!
木山「あはは、困ったね」ポリポリ・・・
手塩「まったくだ……どっちから?」チラッ・・・
木山「じゃあ私から」コクッ
975 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
:2011/10/12(水) 04:01:35.69 ID:tGtcES/+0
木山「うん……では改めて、木山春生[
ピーーー
]歳。君達と同じく、新採用の新入生だ。担当はさっき言った通りだよ」コクッ
レッサー「[
ピーーー
]歳!? マジですか!?」ギョッ・・・
サーシャ「第1の感想ですが……全然見えません。オルソラ並に年齢不詳でしょうか」タラー・・・
ショチトル「何か科学的な遺伝子操作でもしてるのか?」タラー・・・
佐天「好き嫌いはー?」
木山「んー。好き嫌いは特にないよ。まぁ見た目通りの女だ」ハハハ
アンジェレネ「見た目が謎ですよ」タラー・・・
初春「でもショートカットだと前より健康そうですよね」コクコクッ
削板「んじゃ彼氏はー?」ニヤリ・・・
野郎共『っ!!?』ガタッ!
木山「わ、私の様な女を好きになる男なんて居る訳無いだろう」ムゥ・・・///
枝先「あちゃー……相変わらず勿体無いわ」アハハ・・・
トチトリ「残念美人なんだな」ハハハ
レッサー「そんじゃ先生の好きなタイプ!」ニヤリ・・・
野郎共『っっ!!?』ガタギリバッ!
木山「好きなタイプ? ふむ……ランボルギーニのガヤルド。最近LP−590を買ったんだ。でも新任だと車で通勤不可なんだよ」ハァ・・・
野郎共『』チーン・・・
アニェーゼ「ランボルギーニとか……意外とはっちゃけてんですね、この先生」アハハ
木山「とりあえず、私もまだまだ勉強途中だ。一緒に頑張ろう」ペコッ
ワーワー! センセーカワイー! ケッコンシテクレー! ザケンナ、ワタシノヨメヨ! ミジカイホウガカワイーヨ! ハルルーン!
木山「あはは……では恵未……じゃなくて、手塩先生。お願いします」コクッ
手塩「うん……木山先生。では先に、言ってしまうよ?」チラッ・・・
木山「此処でですか……そうですね。お願いします」コクッ
香焼(……発表か)ジー・・・
976 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
:2011/10/12(水) 04:24:28.62 ID:tGtcES/+0
手塩「では……副担任の、手塩恵未だ。年齢は教えられんが、木山先生よりは、上、かな」ポリポリ・・・
サーシャ「いや、第1の意見ですが……体型が筋肉質過ぎて、年齢如何こう分かりませんって」タラー・・・
手塩「先程、言った通り、一度、教職から離れていたんだ。警備員の、本部勤めだったよ」コクッ
春上「凄い……恰好良いの」キラキラ・・・
絹旗「…………、」ジー・・・
黒夜「警備員、ねぇ」フーン・・・
手塩「因みに、愛穂……黄泉川先生と、私は、大学時代の同期だ。私らの先輩は、常盤台中学女子寮の、寮監さん。知ってるかな?」
クラス大半『マジっ!!?』ギョッ
手塩「ついでに、その時のゼミ……担任みたいな先生は、削板くんの住んでる研究所の、所長さんだ」
削板「嘘だろ!? ジジイが勉強教えてたのかよ!?」ギョッ
手塩「まぁ、狭い世界という訳だ……さて、私に質問しても、別に面白い事は、無いだろう」コクッ
レッサー「はーい。先生彼氏はー?」ニヤリ・・・
手塩「ノーコメント」サラッ・・・
鉄網「え! い、居るの? 私、知らない。聞いてないよ」タラー・・・
手塩「だから、ノーコメントと言っている」ヤレヤレ・・・
佐天「趣味は何ですかー?」
手塩「色々、ある。一番は……子どもと、遊ぶ事かな」コクッ
アニェーゼ「これまた意外ですね。人は見た目に寄らないってヤツですか」フーン・・・
手塩「とりあえず、こんなところで良いだろう。あとは、追々、知っていくものだ。君らと、同じでね」コクッ
一同『…………、』ジー・・・
手塩「さて……では、次にクラス役員決めを、する筈だったのだが……その前に」チラッ・・・
木山「……はい」テクテク・・・
ざわざわ・・・・・
手塩「先に、君達に、言っておかねばならない事が、ある」ジー・・・
香焼「…………、」コクッ
手塩「一部の者は、気付いていると、思う。このクラスの、異常を」キョロキョロ・・・
一同『…………、』タラー・・・
977 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
:2011/10/12(水) 04:52:52.05 ID:tGtcES/+0
手塩「こういう言い方は、良くないのだろうが……問題児の、クラスだ」ジー・・・
アニェーゼ「……ふーん」ジトー・・・
木山「別に、勉強が出来ないとかスポーツが出来ないとかトンデモない不良児だとか、そういうのではないよ」フルフル・・・
手塩「寧ろ、勉強や能力値でいえば、長点上機(ながてんじょうき)や霧ヶ丘の生徒より、上かもしれない」コクッ
絹旗「そう、ですね」キョロキョロ・・・
手塩「だけど、君達は知っている筈だ……いや、中には普通の子も、いるかもしれない。だが彼らも、察している」チラッ・・・チラッ・・・
佐天・初春「「…………、」」コクッ
木山「例を言うようで悪いが……●校生だというのに、『学校』というものが初めての子。今までずっと、働いてきた子」
セクステッ娘+その他数名『…………、』
手塩「訳あって、身体が、不自由な子」
鉄網・ショチトル・トチトリ・黒夜「「「「…………、」」」」
木山「……置き去り出身者」
元教え子ら+暗闇五月姉妹+その他『…………、』
手塩「過去に、過失を犯した者」
佐天・他幻想御手(レベルアッパー)仕様者+前科者『…………、』
木山「そして……子どもとして、扱ってもらえなかった子」
クラス大半『…………、』
手塩「入学早々、暗くなる様な話題をして、すまない……だが、分かって欲しい」
木山「君達は、今日から『学生』なんだ。『子供』なんだ」
一同『…………、』
手塩「決して、焦るな。大人に騙されて、早く大人になろうとするな。子供扱いするなと、言うな。子供である権利を、学びなさい」
木山「もし、それを脅かす者が現れるのであれば、私達が全力で対応する。必ず君らを守る。約束しよう……絶対だ」
佐天「……先生」
木山「勉強をしろとか強度(レベル)を上げろとは言わない……友を作れ。遊びを知れ。自分(子供としての意識)を持て。夢を見ろ」
手塩「大人の道具に、なってはいけない。君達は、一、個人なんだ。急いで、成長するな」
木山「この3年間……楽しもう。私も、手塩先生も楽しむつもりだ。笑って卒業しよう」
一同『……はい』コクッ
香焼(やっぱり……胸が痛いな)グッ・・・
ステイル・黒夜「「……ふんっ」」チッ・・・
978 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
:2011/10/12(水) 05:21:08.79 ID:tGtcES/+0
木山「ん……こほんっ。まぁその、何だ……良い意味で馬鹿になってくれ。あ、だけどテストで赤点とかは取らない様にな」
手塩「3年の月詠先生が、怒鳴りに来る様な事も、禁止だぞ。彼女は……色々大変なんだ」ハァ・・・
禁書「『んもー! シスターちゃんのクラスはまるで昔の上条ちゃんのクラスの様なのですよ!』ってな感じだね」ハハハ
香焼「ぷっ……似てるね」クスクス・・・
禁書「伊達に三年以上小萌と付き合ってないんだよ!」ムーン!
アハハハハ! モットマネシテー! インデックスチャンカワイー!
ステイル「うっ……彼女は此処の教師だったか。忘れてた」タラー・・・
削板「へへーん。煙草喫えねぇな」フフフ・・・
サーシャ「マグヌス。良かったじゃないですか。禁煙のチャンスですよ」フフフ・・・
ステイル「……隠れ家探さないとな」チッ
木山「それじゃ話を戻そう。クラス役員決めだ。役職を書くぞ―――さてまず風紀委員だが、これは決定してるから良いね」カキカキ・・・チラッ・・・
初春「あ、はい! 任せて下さい! 多分、この学校の1学年では私だけだと思うので、どんどん頼って下さいね」ペコッ
一同『はーい』
木山「それでは学級委員長だ。最初に決めて司会進行をしてもらおう。一応2人かな。立候補居る?」チラッ・・・
しーん・・・・・
アンジェレネ「アニェーゼちゃん、やらない?」ボソッ・・・
アニェーゼ「勝手知らねぇ私達がクラス代表なんて出来ねぇでしょう」チラッ・・・
サーシャ「コーヤギー。どうですか?」ボソッ・・・
香焼「え? あ、いや、ちょっと……(訳アリで、そういうのは無理なんだよ)」タラー・・・
ステイル「意外だな。貴様だったら手を上げるかと思ったのだが」ボソッ・・・
削板「やんねぇよ。俺より相応しいヤツが居そうだからな」フンッ
木山「ふむ……では他薦は?」
クラス大半『はいっ!』バッ!
手塩「ず、随分、多いな……じゃあ、アニェーゼ」タラー・・・
アニェーゼ「はい。私はルイコを推します」コクッ
クラス4分の1『さんせー』
佐天「わ、私!?」アタフタ・・・
木山「ふむ……じゃあ春上」チラッ・・・
春上「はい。佐天さんと絆理ちゃんを推薦するの」コクッ
クラス大半『さんせー!』
枝先「私も!?」アワワ・・・
木山「(やはり人望だな)……枝先、佐天くん。頼めるか?」チラッ・・・
佐天「え、えっと……あはは……及ばず乍ら、頑張らせて貰います」ポリポリ・・・///
枝先「選ばれたからには皆が後見人なんだからね! ちゃんと協力してよ!」ビシッ///
一同『はーい』
木山「ふむ。それでは司会進行頼んだよ」コクッ
佐天「はい」テクテク・・・
枝先「えーあーこほんっ……では、続きましてー……―――」
979 :
>>1
:2011/10/12(水) 05:25:48.81 ID:tGtcES/+0
すいません。一応此処まで。次回までに10レスくらい残ってたら放課後やるかも。
あ、因みに今後の方針……先に『あまくさっ!3rd』をやっちゃいましょうか。
そんじゃ感想等などよろしく! また次回ー!ノシ”
980 :
>>1
[sage]:2011/10/12(水) 16:46:35.87 ID:tGtcES/+0
こんちは! 時間出来たから最後まで書いちゃう!
今回はラストにアンケしたいなぁ。じゃあ投下。
981 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[sage]:2011/10/12(水) 17:20:10.50 ID:tGtcES/+0
<放課後>
―――3,4年後の未来、とある日、PM03:30、学園都市第7学区、とある高校、1年7組・・・・・
キーンコーンカーンコーン・・・・・ がやがや・・・・・ ジャーネー! サヨナラー! バイバーイ!
アニェーゼ「はぁ……一日が長かったですね」グデェ・・・
アンジェレネ「ふふっ。でもこらからとっても楽しそうですよ」ニパー!
削板「くぅ……すぅ」ムニャムニャ・・・
ステイル「おい根性馬鹿。SHR終わったぞ」ガンッ
レッサー「やれやれ、そんじゃ帰りましょうか。でも寮まで歩くの面倒ですねー」ウッヘェ・・・
サーシャ「第1の同意です……が、これも学生の醍醐味として楽しみましょう」フフッ
初春「あれ? 皆さんは同じ寮なんですか?」チラッ・・・
アンジェレネ「はい。トキワダイ女学院の近くなんですよ」コクッ
春上「じゃあ御坂さんと白井さんの御近所さんなの」フフッ
アニェーゼ「ミコト達ですか。後で挨拶行きましょう……ウニ頭と何処まで発展したのか聞きたいですねぇ」ニヤリ・・・
禁書「むきー! とうまに色恋沙汰の話なんて皆無なんだよ! というか私が同居してるもん!」ガアアァ!
サーシャ「第1の意見ですが、未だにペット同然の居候でしょう?」フフフ・・・
レッサー「女として見られてないんでしょうねぇ……そうだ! それじゃあ私が彼の家に夜這いをしい痛たたたたぁ! 噛むなぁ!!」ギャー!
禁書「うがあああぁっ!! ふがふがぁっ!!」ガブッ!
黒夜「マジうっせぇ……こんなんと3年間一緒かよ」ハァ・・・
ワーワー! マタネー! マタアシター!
佐天「最愛ちゃん。お疲れ様ー」トンッ
絹旗「超疲れました。仕事より疲れます……今日は帰って超爆睡ですね」グデェ・・・
春上「あはは。でも、楽しかったでしょう?」フフッ
絹旗「……まぁ、はい」ハハハ・・・
香焼「明日も頑張ろう。サポートするからさ」コクッ
黒夜「……おい、帰っぞ」チラッ・・・
絹旗「あ、はい」コクッ・・・ガタッ
初春「もしかして2人はルームメイトとかですか?」チラッ・・・
黒夜「違ぇよ。家近ぇんだ。私は新しくできた先進教育局の迎賓館。コイツは『Alexander』ホテルだ」クイッ
佐天「あ、アレキサンダー!? 理事立の著名人御用達高級ホテル!?」ギョッ!
絹旗「はい。麦野と暮らしてるので」コクッ・・・
初春「せ、せりびあ〜んです」キラキラ・・・
982 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[sage]:2011/10/12(水) 17:40:49.03 ID:tGtcES/+0
アニェーゼ「さーってと。其処らに溜まってる連中ー。途中まで一緒に帰りましょう」チラッ・・・
佐天「あ、はーい。じゃあ行こうか」ポンッ
絹旗「はい。あ……暴食シスター。もあいとスフィンクは何処ですかー?」チラッ・・・
禁書「え? そろそろひょっこり現れるんじゃないかな?」キョロキョロ・・・
サーシャ「猫さんの方から?」エ・・・
香焼「あはは。まぁ道覚えてるから、飽きれば勝手に家まで帰って来るけどね」ポリポリ・・・
にゃーん・・・・・
禁書「ほら来た!」フフフッ
絹旗「もあい。おいで」ニャー
スフィンクス・もあい「「みー」」トコトコ・・・
アンジェレネ「わぁ。本当に来ました」オー・・・
レッサー「そんじゃゴーホームですね。あ! 帰りにスイーツ的なもの食べて帰りましょう! 日本のJKは皆そうするんでしょ!」ニコニコッ!
初春「JKって……日本に限らず、女の子は甘いものが好きでしょう」ハハハ・・・
春上「うふふ。それじゃあクレープ屋さんでも寄って帰るの。勿論、黒夜さんもね」ガシッ!
黒夜「うげっ!?」ダラダラ・・・
佐天「黒夜さーん。こういう時は一緒に帰るもんだよ。こっそり一人でとか……デートの予定でも入ってるのかい?」ニヤニヤ・・・
黒夜「ばっ!!? ね、無ぇよ! バーロー!」カアアァ///
ハハハハ!
絹旗「香焼も一緒にクレープ行きますよね?」チラッ・・・
香焼「……え? あ、ごめん。ちょっと職員室に用事があるんだ。先帰ってて」ペコッ
ステイル「ちょ、貴様一人だけ……で、では僕も別用があるから」チラッ・・・
アンジェレネ「ステイルくんも一緒に帰るんですよ。ね? インデックス」チラッ・・・
禁書「うん。皆一緒に帰るんだよ!」ニパー!
ステイル「うっ……あ、アンジェレネぇ」ダラダラ・・・
香焼「ふふっ……兎に角、ごめんね」ガタッ・・・
削板「おま、今日の俺の晩飯如何すんだよ! 五和の姉ちゃんと浦上の姉ちゃん居なかったらお前が俺の晩飯係だろ!」ギョッ!
香焼「な、何そのキャラ付け!?」ハァ・・・
女共『は?』ギロッ・・・
削板「オマエは俺の女房役って前世から……って怖っ!!?」ダラダラ・・・
ステイル「……お前、やっぱり馬鹿だな」ハァ・・・
983 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[sage]:2011/10/12(水) 18:29:40.55 ID:tGtcES/+0
香焼「あはは……えっと、じゃあごめん」テクテク・・・
一同『…………、』ジー・・・・・
―――<職員室>―――
香焼「失礼します」ガララッ・・・
月詠「あら、香焼ちゃん。木山先生ですか?」コクッ・・・
香焼「はい。あと手塩先生にも」
月詠「そうですか。でも、今2人は校長室に行っているのです。少し待ってて下さいね」
香焼「了解っす」
月詠「ところで香焼ちゃん。最近結標ちゃんと会いましたか?」フフッ
香焼「淡希さん? うーん……二ヶ月前くらいっすね。やっぱり医大は忙しいみたいで」
月詠「そうですか……それにしてもあの結標ちゃんが『メスを使わない手術プラン』を論文化して学会を騒がせてるってのは驚きなのです」
香焼「あはは……まぁ能力的に、ね。(あの論文、一方通行さんが気まぐれで書いたんだよなぁ)」タラー・・・
月詠「でも、きっと疲れている筈です……偶に会って、彼女に元気を分けてあげてくださいね」フフッ
香焼「はい。お約束します」コクッ
月詠「ふふっ。ま、上条ちゃん以上に色々大変そうですけど、頑張ってください。それではー」テクテク・・・
香焼「え? 上条さん?」ポカーン・・・
黄泉川「ふぁあぁ。終わった終わった……って、おろ? 長男坊じゃん。春生と恵未に用事か?」ガララッ・・・
香焼「黄泉川先生。お疲れ様っす……あと長男坊じゃないっすよ」ハァ・・・
黄泉川「悪い悪い。まぁ『義妹』とうふふ関係なった時大変だからな……あ、打ち止めと那由他とフレメアに手出すのは犯罪じゃん」ニヤニヤ・・・
香焼「馬鹿な事を……てか一方通行さんとテレスティーナと浜面さんに殺されるっすよ」タラー・・・
黄泉川「あはは。そうだな。まぁそれに……固法、『そろそろ』だっけか?」ボソッ・・・
香焼「はい……だから、自分が『長男坊』じゃ拙いんすよ」ポリポリ・・・
黄泉川「え!? 男の子って分かったじゃん? あんにゃろー、連絡寄越せって言ったのにー!」ムギャー!
香焼「黄泉川さん、騒ぎ立てるでしょう……固法さん、書類上は一応『闘病の為、大学停学』扱いなんすから」タラー・・・
黄泉川「そうだったなぁ……それにしても、私達関係者の中で一番最初に幸せになるとは……爆発じゃん! 黒妻爆発しろ!」ウギャー!
香焼「よ、黄泉川さん。声大きいっす」タラー・・・
黄泉川「あ、ごめん……でも固法が卒業するまで待てなかったのか……確か結標と同じ医大だったじゃん?」
香焼「いえ。固法さんは別の放射線(レントゲン)科専攻っす。結標さんは霧ヶ丘大付属医大の外科専攻っすよ」
黄泉川「互いに、能力に合った進学かぁ。上手い事自分の長所活かしたじゃんね……ウチのボンクラ(一方通行)ときたら」ウンウン・・・ハァ・・・
香焼「あはは……でも一方通行さんは高校卒業と同時に、何故か飛び級で博士号取得でしたよね?」
黄泉川「確か麦野もそうじゃんよ。でもそんなん貰った所で、今何したいのか迷ってる……他の超能力者も将来が心配じゃんよ」ハァ・・・
香焼「御坂さんは大丈夫だと思います。食蜂さん第6位さんは分からないけど、軍覇は……最愛同様、自分達が何とかします」コクッ・・・
黄泉川「そうだな。その為のクラスじゃん。とりあえず頑張れよ……『理事校生』」ボソッ・・・
香焼「…………、」ポリポリ・・・
984 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[sage]:2011/10/12(水) 19:01:14.17 ID:tGtcES/+0
―――一寸後・・・・・
木山「―――やれやれ。頭は堅いが話が分かる主任で助かったよ」ガララッ・・・
手塩「あの若さで、主事をしているんだ。一応、キレ者なのだろう、親船教務主任は……おや」ピタッ・・・
香焼「あ、先生」チラッ・・・
木山「ああ、香焼くん。待たせてしまったね。すぐ移動しよう。今は第二相談室が空いてたね」チラッ・・・
手塩「ええ。別に第一でも、大丈夫だよ……とりあえず、資料を持ってくるから、待っていてくれ―――」テクテク・・・
―――<相談室>―――
手塩「―――さて……おっと、忘れていた。ちょっと、待っててくれ」ガチャッ
香焼「…………、」コクッ・・・
手塩「鉄網。すまんが、此処では無く、教室か、保健室で待っていてくれ」
木山「ん? 鉄網くん?」チラッ・・・
鉄網「……了解」コクッ・・・チラッ・・・
香焼「こんにちは。鉄網さん」コクッ・・・
鉄網「えっと……こんにちわ……、」チラッ・・・ポリポリ・・・
香焼「香焼っす。改めてよろしくね」コクッ・・・フフッ
鉄網「……はい」ポリポリ・・・
手塩「うん……香焼。この子とも、仲良くしてやってくれ。鉄網も、殆ど絹旗・黒夜と、同じ様な経歴だ」チラッ・・・
鉄網「……え」ピタッ・・・
香焼「っ……大丈夫っすよ。三年間有意義に過ごそう」グッ
鉄網「あ、え、は、はい……し、失礼する」モジモジ・・・トコトコ・・・
木山「絹旗くん程ではないが、シャイだね。確か恵未と一緒に暮らしてるんだよね」フフッ
手塩「ああ。あの子は、義手なんだ。3年経っても、まだ不慣れでね……最近では、左手を使う様に、なってしまったよ」ムゥ・・・
香焼「義手は(木原)那由他と同じ『AIM拡散力場制御義体(タイプ)』っすか?」
手塩「いや。普通の義手だ……能力恐怖症だからね……まぁ、その辺の詳しい話も、中でしよう」コクッ・・・
木山「そうだね……よろしく頼むよ。『二代目頭脳(ブレイン)』くん」チラッ・・・
香焼「…………、」ポリポリ・・・
手塩「ウチと、理事校の、二重学籍。今後の『魔術』とやらとの、付き合いを考える為の、試験クラス」スッ・・・
木山「無名で当選してしまった、××理事の『ブレイン』として……監視者として」
香焼「ええ……頑張ります。先生達も協力お願いします……―――」
985 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 19:20:16.14 ID:tGtcES/+0
―――3,4年後の未来、とある日、PM06:00、学園都市第7学区、とある高校、相談室・・・・・
木山「―――とりあえず、前期のプランとしては以上かな」トンッ・・・
手塩「あくまで、大まかな計画だ。必ず、問題が生じる。それを抜きにしての、プランだよ」チラッ・・・
香焼「はい。十分だと思います」コクッ・・・
木山「うん……しかし、見事に今日起こる事の予想が当たったね。正直、疑ってたよ」
手塩「原因は何にしろ、喧嘩は起きた。絹旗も、逃げ出した。佐天が学級委員に、決定した……流石だな」
香焼「あはは……半分勘でしたけどね」ポリポリ・・・
手塩「いやいや、兎に角、今後も頼むよ。ブレインだったり、報告書だったり、クラスの事だったり、大変だと思うけどね」コクッ・・・
香焼「分かってます。やっぱり計画云々よりも、皆に歳相応自由に生きるって事を知って貰いたいっすからね」
手塩「ああ……その通りだ。流石、黒妻の秘蔵っ子なだけはある」フフッ
香焼「だから……はぁ。もうそれで良いや」ヤレヤレ・・・
木山「それでは終わりにしよう。遅くまで残って貰って済まなかった。家は第1学区だったね。送ろうか?」
手塩「春生。車、無いでしょ」ヤレヤレ・・・
木山「あ……私もピンチだ」タラー・・・
手塩「まったく、私が送るよ」
香焼「あ、自分は大丈夫っす。いざとなれば姉がバイクで迎えに来るので」
手塩「む……妊婦を呼び出すとは、意外と、外道だな」フム・・・
香焼「固法さんじゃないっすよ! 別の姉貴分っす! そんな真似したら黒妻さんにコンクリ抱えさせられて貯水ダムに沈められます」タラー・・・
木山「あー……え? 固法くんは知っているが、黒妻って誰だい? あと妊婦って?」キョトン・・・
手塩「ええっと、その……何でも無い。何れ教えるから、忘れてくれ」コホンッ・・・
木山「へ?」ポカーン・・・
香焼「あははは……それじゃあお先します。また明日」ペコッ
木山「ええ」コクッ・・・
手塩「さようなら」コクッ・・・
986 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 20:28:36.47 ID:tGtcES/+0
カァカァ・・・・・
香焼「……結局、帰るの一人になっちゃったなぁ」テクテク・・・
香焼「これじゃあ中学の時と同じだ……まぁ馴れたけど」ハァ・・・
香焼「……やっぱ五和呼ぼう。今日アイツ午前中しか講義入れてない筈だった」カチカチ・・・
香焼「…………、」テクテク・・・
削板「なぁに一人でショボショボ歩いてんだ! この馬鹿!」バンッ!
香焼「うわっ!? ぐ、軍覇!?」ビクッ!
ステイル「ったく。貴様に馬鹿と言われたらお終いだな……というか香焼。女共を僕らだけに押し付けるな」グワシッ! クイッ・・・
香焼「ステイル!?」キョトン・・・
佐天「まったく待ち草臥れたー。もう6時だよ? 初春と春上さん、用事あるから帰っちゃったじゃない」ヤレヤレ・・・
アニェーゼ「この街は最終下校時刻っての有んでしょ? あーあ。これじゃあ甘味屋寄れねぇですね」フフッ
アンジェレネ「それじゃあ次の機会に奢って貰うって事にしようよ」ニヤリ・・・
サーシャ「賛成です。しかし第1の計算ですが……十人は越えますね」ハハハ
レッサー「あははー! コウヤギ、大破産決定ですねー!」ダハハ!
黒夜「私は貴峰堂のエンジェルプリンな。絶対ぇ並んで買えよー、甘ちゃん」フンッ
禁書「あー狡い! 私もそれが良い! エンジェルプリン! 30個くらい所望するんだよ!」ダー!
スフィンクス・もあい「「にゃー(モンペチー)」」フシフシ・・・
香焼「……みんな」
絹旗「うん……帰りましょう。香焼」コクッ・・・
香焼「……ありがとう―――」
987 :
第◎話―――浦上「香焼っ!!」 五和「爆発しろっ!!」
[saga]:2011/10/12(水) 20:57:14.37 ID:tGtcES/+0
<おまけっ!>
―――3,4年後の未来、とある日、PM07:30、学園都市第1学区、ニューディレクターズマンション・・・・・
削板「それじゃー!」パンッ!
一同『いただきまーす!』パンッ!
わいわい・・・・・がやがや・・・・・
五和「コウちゃんマジふざけないでよ! 一人二人ならまだしも……入学初日から友達何人連れ込む気よ!」ッベーワ・・・
浦上「というか、上司(ステイル)や監察対象(禁書目録)までいるし……テラカオス」ニャハハ・・・
香焼「どうして……こうなった」ハァ・・・
黒夜「んぐんぐ……う、美味ぇ」オオォ・・・
アニェーゼ「流石神裂に並ぶシェフですね……しっかし、わんこ。マジで立派な家住んでやがります」モグモグ・・・
アンジェレネ「私達の寮部屋の3,4倍くらい大きいですよ」モキュモキュ・・・
サーシャ「……私は一回泊まった事ありますもーん」ニヤリ・・・
レッサー「ふふふ……これで溜まり場確保ですねぇ。少し遠いけど、まぁ良しとしましょう」ニヤリ・・・
ステイル「ったく……喧しい。もう少し静かに食事できないのか?」ハァ・・・
禁書「はふはふはふっ! ごっくんっ! いつわー! おかわりー!」バッ!
削板「がぶがぶがぶっ! げっふーっ! 姉ちゃん! こっちもー!」バッ!
五和「あ、はいはい! 今急いで作りますねー!」アタフタ・・・
佐天「あー……五和さん、やっぱり手伝いましょうか」スッ・・・
浦上「良いの良いの。料理はお姉の修行だからネ」アハハ
絹旗「あれ? 香焼。食べないんですか? もあいとスフィンクスにあげちゃいますよ」モキュモキュ・・・
スフィンクス・もあい「「にゃー」」カリカリ・・・
わいわいざわざわ・・・・・
香焼(不幸……じゃないよ。多分、十分幸せっす)フフッ
988 :
>>1
[saga]:2011/10/12(水) 21:09:36.50 ID:tGtcES/+0
はい、お疲れっしたー。
書き終わって気付いたんだけど・・・・・同級生に、バードウェイ姉妹を出すのを忘れてしまった……失敬。
性格反転やビッチまみれの並行世界は、そのうちねw
兎角これにて2期終了。次スレは色々落ち着いてから建てます。
それではアンケート&リクエスト募集!
・次スレ(あまくさっ!3rd)のタイトル
・三期でやって欲しい事のリクエスト
・私の名前(笑)
はい。では感想質問意見罵倒等々もよろしくお願いします。ではまたの機会に! ノシ”
989 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/10/12(水) 22:24:12.85 ID:VMOKcU1Y0
乙!
基本的には
>>1
に任せるけど作風あんま変えすぎると色々とめんどくさいと思う
990 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/10/12(水) 23:32:13.61 ID:p29FvpPZo
大変乙でした〜
個人的には今のまんまでお願いしたいです
基本ほのぼの、時々シリアス位が丁度いい
991 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/13(木) 00:45:16.33 ID:whdfJK4DO
いつの間にか終わってた!?
>>1
乙!
香焼ステイル削板のトライアングル……アリです。あとステイルとインデックスの仲がほぐれててほっこりした!
もしかして、このりんの結婚妊娠の関係上、親戚の方が終わらないと『高校編』できないのかな?
とにかく三期も楽しみにしてる! 要望だけど、一つの話をもう少し短くしてもらえると読みやすいかな
ちなみに……ちょこっとスレ建てて、あわきん・サーシャ・レッサーアフター書いても良いのよ? 親戚さん(チラチラッ…
992 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/13(木) 06:25:42.22 ID:6NdtMD/Go
ほのぼの希望
小難しいのは疲れるな…
あと全体的に口調をどうにかしてほしい。姫神とか吹寄とかローラとか違和感ありすぎ
993 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/10/13(木) 08:18:20.06 ID:2R7CP12Ko
次スレ(あまくさっ!3rd)のタイトル三期でやって欲しい事のリクエスト私の名前(笑)
994 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/10/13(木) 08:19:44.48 ID:2R7CP12Ko
次スレ(あまくさっ!3rd)のタイトル三期でやって欲しい事のリクエスト私の名前(笑)
995 :
なんかミスった上に連続でしてしまった吊ってくる
[sage]:2011/10/13(木) 08:22:44.21 ID:2R7CP12Ko
>三期でやって欲しい事のリクエスト
性格反転で
996 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/13(木) 08:37:42.94 ID:yFKlbdHDO
>>1
乙
タイトル等は思いうかばなんだ……
コテハンは 先輩シリーズで黒妻父(生みの親って事で)
んで親戚のあまくさは黒妻叔父
とか?
あと
>>1000
だったら
次スレでこのりん第一子出産
997 :
>>1
[sage]:2011/10/13(木) 21:40:59.70 ID:YVKTdk4n0
埋めです
998 :
>>1
[sage]:2011/10/13(木) 21:41:36.18 ID:YVKTdk4n0
埋め
999 :
>>1
[sage]:2011/10/13(木) 21:42:15.40 ID:YVKTdk4n0
埋める
1000 :
>>1
[sage]:2011/10/13(木) 21:42:56.90 ID:YVKTdk4n0
>>1000
1001 :
1001
:Over 1000 Thread
, -― 、
/ 丶
/ ヽ こんなにもスレ住民達がおじぎに飢えてるとは思わなかった
i _,,_ル,,rョュ 、 i
| ィ rっフ , 弋ミア |r, わたしの愛を 全てのスレ住民に!!!
_| "''"~ ハ ハ .i;{
} ; / " ' ヽ |j _ \ニニニ ニニニ
λヽ r―''"入 /イ/ハ:.:/{ ノ !:::::| ___ノ^ヽニニニニニ
/.::::: i 廷廾ニツ, , -――- 、 /:::::/ /  ̄`ヽニニニニニニ
/.:::::::::::::: i、 - / -―- 、⌒V::::::/ // j___ノ、 ヽニニニニニ
/ニニ、`ヽ`ヾ; ヘ.イ 、__( > \/ (__ ノニニニ \ニニニニニ
,仁ニニニ\ヽヽヽ ∨ /ニニ>彡>--')__ ノ `ヽニ \ニニニニ
ニニニニニニヽ / {ニニ> ´ `¨¨´ ニ} \>''"´
ニニニニニニニニ/ ∨ / }八
ニニニニニニニ./ }ニ{
>>1000
thread over ノニヽ ノ
ニニニニニニニ/ }ニハ /⌒ヽヽヽ ___彡
ニニニニニニニ! ノニニヽ、 / ` ー=彡'ニニニニ
ニニニニニニニ} ⌒`丶、 /⌒ヽ ノ ノ____
/ ̄ ̄ ̄`ヽ/ヽ、 _彡ヘ{ { > 、 / /  ̄ ̄ ̄
/ ヾ、 ヽ ヽ ( `{ / SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
/ 〃 トミ ___ >--‐=、 ヽ _ノ
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
/ // / \__ノ
1002 :
最近建ったスレッドのご案内★
:Powered By VIP Service
俺、ホモだけどこの前ラーメン食っちまったよ^^ @ 2011/10/13(木) 21:22:56.84 ID:JjREF+4DO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1318508576/
ここだけ全員焼肉店(『君の負けだ、斉藤!<いや俺近藤だけど』) 474店舗目 @ 2011/10/13(木) 21:19:37.00 ID:QlypdyMgo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1318508376/
ファーラウェイナウ!!チェキラ的なメシアの素敵なスレ 喰っちまいたいアバズレ @ 2011/10/13(木) 21:09:07.26 ID:UY5RXA8b0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1318507747/
有料Minecraftやろうずwww @ 2011/10/13(木) 21:05:36.20 ID:Z1vsdnMr0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1318507536/
ここだけ魔王の城 ただしコンマ00で魔王様に処刑 @ 2011/10/13(木) 20:42:01.81 ID:perL2oN0o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1318506121/
改蔵「レベル5、レベル5ねぇ」クスクス 一方通行「な、なにがおかしい」 @ 2011/10/13(木) 20:24:57.07 ID:EwlJNZeB0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318505096/
上条「『赤牟精神病院(アーカム・アサイラム)』」 (とある×バットマン) @ 2011/10/13(木) 20:22:20.02 ID:1H/xhLEK0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318504939/
SS製作者総合スレ13 @ 2011/10/13(木) 19:06:27.13 ID:Q9Tpziiko
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318500386/
Powered By VIPService
http://vip2ch.com/
1177.93 KB
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
専用ブラウザ
検索
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)