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垣根「世界の裏側で、笑って生きてろ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/21(土) 00:48:01.93 ID:iH3KGOFIO
垣根主人公の話で病理さんもでてきてたりしています。既出スレだったらすいません。

・新約四巻より前の話にもなり、原作とは分岐してたりオリジナル設定もちらほら。

・一方さんも出ますがまだ先の予定。

・バトル描写あり

それでは、少しでも楽しんでいただけたらと思います。
あと初スレなので文体がおかしかったらアドバイスくれると嬉しいです。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342799281
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男「ブルードラゴンラルグラド?」 @ 2025/08/21(木) 02:17:16.64 ID:qI1gMjwxO
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ひさしぶりにA雑来たけど @ 2025/08/20(水) 23:05:18.14 ID:OGWtQL890
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【コードギアス】俺「安価の力を使いブリタニアに反逆する」TURN2 @ 2025/08/20(水) 17:39:49.30 ID:P7oidm6v0
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【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2025/08/17(日) 15:53:05.03 ID:8Hi8e/2Y0
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(安価&コンマ)鬼滅の刃 新星の書 二冊目 @ 2025/08/17(日) 00:48:56.69 ID:eO2jd/RL0
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おいおいVIP死んでんじゃねーか! @ 2025/08/15(金) 20:47:26.59
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宗谷「だからウソじゃないですって!」 @ 2025/08/15(金) 10:49:44.81 ID:DWupdAKs0
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VIPが落ちた時に上げるスレ @ 2025/08/15(金) 04:15:21.83 ID:Hx3tObUFO
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 00:48:49.78 ID:IemqyDkSO
病理さんだと!?期待させていただく!!!
3 :にらたまスープ [sage]:2012/07/21(土) 00:50:49.57 ID:4zCBGiAB0

 一人の男が雑踏に混ざりながら、花を手にして歩いていた。

 初めての誰かに贈る手向けの花だった。


 





 ただその一輪の花に込められたのは、慈悲でも同情でもなく人の死に対してとても似つかわしい感情の色を加えていった。





 単純なこと、嘲笑だった。







 その花を贈る女性と出会ったのは、少し前の話だった。

 歩きながら、追憶に思いふけった。






4 :イーモバイル対策 [sage]:2012/07/21(土) 00:53:49.98 ID:iH3KGOFIO
'
5 :にらたまスープ [sage]:2012/07/21(土) 00:54:05.59 ID:4zCBGiAB0
 
 生きている、というよりは生かされている感覚に近かった。決して光の差し込まない地下にて瞳孔を開いてから、酸素を得て呼吸をするまで自分の力ではなく誰かに手を添えられて甘んじて生きることを許されている。手を握りしめて、自分の意思で瞳を動かして呼吸器をずらしながら開口一番「胸糞わりぃ」の一言に尽きた。久々に起こした体は気だるく、髪も伸びっぱなしで視界一面が見慣れない別室の病室だと悟り、唯一普通の病室と違っているとするならば一切の光を絶っているということだ。淡い人の顔をようやく目認出来る程度の明度のおかげか暗順応がいい具合に働いてくれた。
 誰かによって着せられた入院着。
 誰かによって手当てさせられた包帯の跡。
 誰かによって与えられた、制限だらけの命。
 自分が眠っている間にずいぶんとこの体は操り人形につける糸を絡ませられていたらしい。
 本来なら、あの第一位という名の怪物に命さえも踏み潰されておかしくなかった。
 死を自覚して意識を手放したのに、今こうして意思と関係なく生きている。
 それは希望という綺麗な理由を微塵も含まない、利用できるものは利用してしまう。実にエコロジカル主義なヤツらによって。
 虚ろな視線を少年、垣根が向けた先には静かすぎるもいいところの足音が聞こえていた。いや、足音というよりも何かを引きずる不吉さを連想させる音。
 タイヤが擦れる、音。

  「これは予想外でしたねえ」

 その音に、マッチングさせた笑みを添えていた。
 緩やかに垣根とは別種の色素を織り交ぜた栗色の髪を後ろでまとめ、格好は患者が着るパジャマを着ていて、おおよそこの場と垣根とはあまりにも似合わない存在であった。
 だが一つだけよく噛みあうものがあるとすれば。
 裂けんばかりの口元を抑えながら、あえてとどめている笑みだけだった。

  「第一位への怨恨たっぷりのあなたなら、すぐさま起き上がって連ドラ並みの復讐劇に立ち上がると思ってたんですが・・・・思ったより諦めが早いんですね。せっかくあなたの為に徹底的にその生気を叩き潰して粉々にする方法を考えていたんですがことごとくムダになってしまいましたね」
  
 ことごとく吐き出される、人の精神を削る言葉が容赦なく向けられる。

  「死んだ方がマシでしたか?」

 正直、今一番答えたくない質問だった。
 もう少しだけ現実逃避させる猶予くらいあったってよかったのに、こうも現実はひしめき合っていく。

  「どっちも地獄だろ」
  「地獄、といっても度合がありますがこちらは不運なことに最上級の最悪最恐の地獄ですけどねえ?」
  「俺の運命はどのみちこの学園都市に食いつぶされて、肉塊も残らずに骨の欠片くらいしか残らねえだろ。つっても、今でも第一位は俺がぶっ殺してやりてえのにも変わりはねえし別に自殺志願者ってわけでもねえよ」
  「そのわりに、瞳は私好みの諦めているそのものですよ?」

 どんな意思も、恨みも喜びも人を動かすのに纏わりつき根底にあるのは生きる意志だ。
 今の自分にはその決定的な意思が欠けてしまっていた。あの時確かにことごとく自分の頭上で力の片鱗を奮い、君臨し、力を貪る第一位をこの手で殺してやりたかった。
 才能という努力などというそれこそ希望で構成されたそれを壊し、手にするあいつを。
 そう思ってひたすら食らいついて、這いずり回って来たのに。

  「諦めたらどうですか?」

 今、俺の手の中には何が残っているのか。

  「安穏と生きることも、自由に死を選ぶことも可能なわけですし」

 ちっぽけな、擦り切れた命と。

  「この私が、その希望全てをすり潰して差し下げますんでどちらか好きな方を選んでくださいね?」

 色を、意思を失くした空っぽの心だけだ。
 そして今だけだと言うならば、この「木原病理」と名乗る存在のみだけ。







 出会い、なんて運命的でありながら実にちっぽけなところから始まるものだと思った。









  
6 :イーモバイル対策 [sage]:2012/07/21(土) 01:06:36.38 ID:iH3KGOFIO
'
7 :にらたまスープ [sage]:2012/07/21(土) 01:06:43.79 ID:4zCBGiAB0
 
 痛覚さえも鈍って、揺らいだ視界の先に映った人という名称をかなぐり捨てた存在。

 人が普通に持っている情愛も持っていなくて、化け物という力につり合った心も持っている。その点では自分と一方通行は共通していたかもしれない。

 それなら純粋に、憎らしいという程度の気持ちだけでおさまっていた。

 なのに。
 
 なのに、こんなにも違っていた。
 
 彼に寄り添う人間、笑顔を振りまく存在、その為に喉を潰しかねない叫びを上げる、そして立ち上がる姿は。決して自分が超えることの出来ない壁を見せつけられた。

 手にしているものが違いすぎる。心が、今生きる理由さえも。

 世界さえも違っているんだと、第一位と第二位の差を思い知らされた。
 
 絶対的な力の差だけでは埋められないものを知って、垣根は絶望した。

 そして、その瞬間諦めてしまったのかもしれない。

 最初から何もかもが違いすぎて、手に掴もうとする思いが全て砕かれた。 

 第一位を超えるという、その先の未来さえも見えなくなった。

  「・・・・どうして」

 同じ、人間であったはず。

  「どうして、ここまで違うんだよ。第一位、オマエと俺・・・・何が違うって言うんだよ」

 どうして、ここまで届かないんだろうか。

 





 





 生きるのに最低限のものだけは用意された、質素な部屋だという印象を受けた。
 することもなく寝転がりながら寝返りを打って、恐らく彼女が暇つぶしにと置いてあった文庫を一冊手に取ってみたが内容自体興味をそそられもしないもの。お決まりの展開に浅い心理描写、でありながら愛憎に動く女のシーンだけやけにリアルで最後はお互い心中して何もかもが救われないバッドエンドで締めくくられていた。最後だけ読んでいかにもな趣向の小説まがいだった。
 結局あの女もそれだけを口にして勝手にいなくなり、一人残された垣根は思いつめていた。
 いわゆるこれからの自分をだ。
 皮肉に用意されていた時計は夜中であり、その感覚さえこんな場所でこんな状態では意識することもなかった。
  (そういや、心理定規はどうしたんだ?)
 ようやく思い出したかつての仲間を思っても、その思いに心配などという気持ちはなくそういえばといった大して重要性を持たない問題だった。
 何せそれよりも面倒なものが絡みついているのだから、他人どころではない。

  「・・・・・俺は、どうすればいい?」

 自問したところで誰も答えてはくれない。
 
  「もう、生きてても死んでも同じなんじゃねえのかよこれ」

 結論を出したところで、ならどうする?
 生きたいとも死にたいとも思えないなら。
 
 自分はどうして生きているのか。

 見つからない。掴めない。  

 生きる理由を、あの戦いで失ったとしたら。

 どうやって取り戻していくべきなのか、それとももう捨てるべきか。

  「・・・・・俺、は」







8 :イーモバイル対策 [sage]:2012/07/21(土) 01:12:48.50 ID:iH3KGOFIO
'
9 :にらたまスープ [sage]:2012/07/21(土) 01:17:55.29 ID:4zCBGiAB0

  「・・・・で、いつまでオマエはいるつもりだよ。そしてさっきから何呑気に紅茶なんか飲んでやがる」

 隣で優雅に香しさを楽しみながら上質なティーカップに口をつける様に、怪訝そうに咎める。
 全くの光を宿さない瞳からふふ、と笑んだ声が漏れた。

  「言ったでしょう。あなたにはどちらかを選んでもらうと。それが聞けるまで、ここにいるつもりですけど?それにしてもここまではっきりしない人も珍しいですね。つかさっさと決めろようじうじしてやがんな、くらいは思ってはいますよ」

 にっこりと淑女を装った彼女の性格の本質から離れた表情が薄らと張り付いて、垣根はこれ以上話題が進まないと見て軽い雑談で気を紛らわせることにした。自分を閉じ込めるような人間なのだから自分の話をまともに聞く神経すらないと思っていたが、存外丁寧に話してくれた。
 一方通行との戦闘後やはり学園都市によって回収され、ただ能力を吐き出すだけの生きた兵器もとい生産工場みたいな笑えない状態が数か月。失った体の損傷部分は最初は仮の似せた皮膚で接いだ腕を継ぎ接ぎに縫い合わせて、自然と皮膚と結合させるのに、つまりは体がそれなりの形を取り戻すのに数週間。そしてその仮の腕が何故か綺麗な肌で完治しかけたというのに不純物とみなされ腐敗し腐り落ち、代わりに未元物質により人体細胞による完全な完治を見せるのにまた数週間。
 そうしてその間はずっと木原の管理下に置かれ、彼女が全ての責任者であったということだった。
 余談だが彼女がこうして垣根の地下の病室へと訪れて三日が経とうとしていた。
 
  「まあ、こっちもまるで子供の時の幼虫が蝶に孵化するまでの観察日記みたいで面白かったんですけどね。ちなみに私は蛹になったところで殺してしまいましたけどね。一回ぐらいは孵化も目にしたくて我慢はしましたが、羽を引きちぎってそのまま最期まで観察を続けはしましたよ」
  「・・・・幼い頃から木原は木原、だったってワケかよ」
  「そういうものでもないんですが、えー何て言いましょうか」

 年甲斐もなく唇に人差し指を当てて指南しながら、垣根にもわかりやすく噛み砕いているようにも見える。

  「木原は最初は全て普通から始まるんです。悲しみも、喜びも、怒りも、全てが平均値の人間からスタートするんですよ」

 たとえば何百という命が存在して、たったこの瞬間から生が始まったとしてそれら全てが最初から異常さを手にしているか。ましてや赤ん坊は純粋で真っ白で、無知な生き物だ。
 木原とて例外ではない。

  「でも、木原という一族・・・・この場合は素質とでも言いますかね。そういったものを持って生まれた存在は、そこから全てが屈折していくんです。たとえば真っ赤なリンゴがあったとして、普通なら熟れ美味しそうと思いますね。けれども木原は違う。そこから血を連想して、解剖したての臓器が血まみれになる赤を綺麗で美味しそうだと思うんです。ただそう思うのはテレビでふと目にした医療番組をきっかけに、なんてささいなものです。それまでは一応リンゴが熟れて美味しそう、という並々の感想くらいは持ってましたし」
 
 ある意味の素質を持っていた人間には普通さというものは手に持て余すものであり、その隙間から異常性が枝分かれし思考そのものを塗り替えていく。
 木原としての経験値を積み重ねていく。
 それも、至って一般の生活を送るという至極簡単なプロセスによって。
 
  「というわけで、色々波乱万丈な過程を経て、今私は生きることが楽しいですね。何事も生きがいを見つけないことには人生つまらなくて死んだ方がマシって感じですから。何かの為に生きる、というものは善悪と関係なしに重要だったりしますね」

 彼女の言うそれは自分の為も前提で口にしているのだろう。

  「・・・・・なあ、俺って今外に出る権利とかある?」

 どうせ却下の一言で済みそうなもの。
 しかし木原病理はベッドの近くにある引き出しから一枚の紙きれとペンを渡してきた。

  「そこにもろもろ記入したら、許可しますよ。ああ、ただし保護者同伴ですけどねえ?」











 
  

10 :ニラ玉スープ :2012/07/21(土) 01:33:45.31 ID:3MQIr6KIO
プロローグ的なものなので今日はここまでで、次回からはもう少し書きためて投下する予定です。
一週間以内にちまちま打っていくことが目標ですね。目指せ有言実行。

それでは見てくださってありがとうございました。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 01:36:21.28 ID:IemqyDkSO
>>1乙!!期待Maxなんだよ!!楽しみ1レスの文章量がなかなか多いから、分けてもいいかもしれないんだよ
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2012/07/21(土) 13:32:03.61 ID:Sn5tJ/vT0
読みにくい
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 21:57:47.09 ID:sVG111L+o
すげー読みにくい
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 09:55:16.19 ID:VV3oiTMDO
だが面白い
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/24(火) 04:34:07.23 ID:wMHl90NIO
結標「天使を拾ったわ。悪魔みたいな天使だけど」と文体似てないか?同じ作者?
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 19:12:15.00 ID:/EaNp/ISO
まだかなー
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/31(火) 12:05:15.64 ID:b58k4Y2i0
まだかなー
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/04(土) 01:43:48.20 ID:/Yvwjv5SO
おい、一週間たってンぞクソッタレ早く書けよ

全裸で待ちすぎて逮捕られたじゃねーか
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/21(火) 05:07:48.96 ID:tdYxKA4SO
はよ
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