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魔王「勇者よ、ここで終わりだ!」勇者「ちいぃッ……!」 【完全版】 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/30(木) 23:24:48.15 ID:IGKjYz2AO
6月頃に立てたスレの完全版です。
一部はほぼ焼き回しになりますがご了承ください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1346336688
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小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/zikken/1711622906/

満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1711617334/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:23:40.62 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459420/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:26:52.12 ID:IGKjYz2AO
魔王「無謀で稚拙で不甲斐なき傀儡よ…我輩の情けだ、一撃で終いにしてやろう!!」

勇者(私もここまでか………ッ!)ギュッ

魔王「死ねえええええ!!!!!!!」ブワッ

勇者「………クッ」



ガチャ



「あれ、お父様なにやってるんです」


魔王・勇者「!?」


魔王娘「朝っぱらから騒がしいですよ…もう……」ぷりてぃー


勇者「……」

勇者「……えっ」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/30(木) 23:28:05.61 ID:IGKjYz2AO
魔王「わ、我が娘よ、下がれ!今は……」あたふた

魔王娘「いや、お父様うるさいですよって言ってんじゃないですか。日曜日なんですからね、静かにしてくださいよ」

魔王「いや、だからだな」

魔王娘「うっせんだよクソジジイ」

魔王「…ごめん」

勇者(う…うわ……)
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:29:02.19 ID:IGKjYz2AO
魔王娘「とりあえずおはようございます、お父様」

魔王「お……おはよう…」

魔王娘「で、この方は」

魔王「ゆ…勇者……私を倒しにきた……だよね?」

勇者「あ……ああ……まぁ」

魔王娘「その様子じゃ勝ったんですか…」チッ

魔王「ちょ、ちょっとひどいよ…パパン泣いちゃうよ…?」

勇者「あ……あの…大丈夫か……」

魔王「貴様は黙っておれ!」ぐわっ

勇者「……はい」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:29:56.92 ID:IGKjYz2AO
魔王「あのね、パパンは今仕事中なんだよね、あとね、ちょっとこれからね、そのね、お前の教育上あんまりよろしくないからね、パパンとしてはお部屋にまだいてて欲しいっていうか」

魔王娘「……」ジーッ

勇者「……」

魔王「き……聞いてる?」



魔王娘「………いけめん」



魔王「えっ」


魔王娘「この勇者さま、すごくイケメンですお父様!」パアァ



勇者「えっ」

魔王「えっ」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:31:13.70 ID:IGKjYz2AO
魔王娘「やだ、すごいカッコいい、すごい男前」

勇者「……えっ、あの」

魔王娘「ああ、素敵です勇者さま!ああんその……困った表情も///」

魔王「いや、しかしだな」

魔王娘「お黙りになって!」

魔王「………はい」

魔王娘「好きです勇者さま……」ポッ

勇者「えっ、えっ」

魔王娘「付き合ってください勇者さま!!!キャッ!」

勇者「ちょ……えっ?えっ?」

魔王「ちょっと、ひ、人が死ぬってのに冗談は……」

魔王娘「だまれジジイ」

魔王「………」

勇者(うわあ)
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:32:36.01 ID:IGKjYz2AO
魔王娘「冗談ではありませんです!私は本気です勇者さま!」

勇者「いや……しかしだな、そのだな、君はまだ……幼いだろうに。残念ながら私に少女趣味は」

魔王娘「今年120になりました!むしろ、あたしのが年上です勇者さま!」

勇者「………そうなのか」

勇者「………」チラッ

魔王「  」

勇者(ああ……)

魔王娘「ってなわけでお父様、勇者さまは私が貰うんで殺さないでくださいね!んじゃ行きますよ勇者さま!」

勇者「いや……しかし……」

魔王娘「お父様なら無言の同意をしてくださってます!行きましょうです!」ガシッ

勇者(ぬわっ!ぬわぁんだというのだこの馬鹿力!馬鹿力!)ズルズルズルズル……

魔王「 」




▼そんなこんなで、勇者と魔王国のお姫様の奇妙な日常が始まった……



魔王「 」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:33:35.79 ID:IGKjYz2AO

【魔王娘の部屋】

魔王娘「………」

勇者「………」

勇者「あの……」

魔王娘「キャッ!いやだ、勇者さまったらそんな……まだ早いですってば!」

勇者「……は?」

魔王娘「でもでも、私勇者さまの為なら、…がんばっちゃいますっ!勇者さまチュー」チュー

勇者「い、いや、だから私は少女趣味では……」

魔王娘「まっ、安心して勇者さまったら……むしろ、ロリコンは私のほうで・す・よぉ///95歳差の恋愛とかキャー!キャー!」グルングルン

勇者(………まるで話が)
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:35:06.05 ID:IGKjYz2AO
魔王娘「ごめんなさい。私ったらはしたない……きゃっ///」

魔王娘「なにはともあれ、勇者さまとあたしの気持ちが一緒でうれしいです///」

勇者「いやだな、それはだな」

魔王娘「えっ、勇者さまのが私のこと大好き?キャー!キャー!キャー!」

勇者「……」

魔王娘「とにかく、勇者さまは私に恩を売られてるわけです。誰のおかげでアホ面ひっさげてベッドの上に座ってられると思ってるんです?」

勇者「ああ、それなんだが、さっきから聞こうと……何故私達はこんなところで」

魔王娘「いけません?」

勇者「ソファーのほうが会話すべき環境なのではないかと……」


魔王娘「やだ勇者さまったら、そういうシチュエーションが好きなんですかっ///」

勇者「……何をいってるんだお前は」

魔王娘「キャー!キャー!」ぐるりんぐるりん


勇者「……だめだこいつ」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:36:20.54 ID:IGKjYz2AO
勇者(…しかしこの娘、相当な妖気を感じる)

勇者(表面はこんな感じだが…侮れん。一体皮の下はどうなっている。偽る為自らを傀儡にしようとも、この私には通用せんよ!)

魔王娘「……勇者さま、あたし、本心を言えば…しっ、してもいいんです」

勇者「………へっ」

魔王娘「だから、そのですね、若者風に言うとですね、や、や、や、や、『やっても』いいんです勇者さまなら………///」

勇者「なっ……!」



勇者(『殺っても』……いい……だと?)


魔王娘「で、でも誰でもじゃないです!その……やったこと……ないから……うまく言えないな」



勇者(私をオーディンの宮殿へ誘うつもりだな!ちいっ、手軽なウォーミングアップというわけか!)


魔王娘「ストレートにいえば結婚を望みます」


勇者(けっ……)



勇者(血痕………!やはり血をすすり足りないと!)
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:39:59.20 ID:IGKjYz2AO
魔王娘「で、でもやっぱダメです!緊張しちゃいます……///」

勇者「………」

魔王娘「こ……今度でもいいですか?」
勇者「……そうしてくれると私もありがたい。身辺整理も必要だからな。ワルキューレへの土産もある」

魔王娘(ワルキューレ…お姉さんかなんかの名前ですかね。ま、いいや)

魔王娘「真剣に考えてくれてるんですね!うれしいです!」

勇者「人生に関わることだ。致し方ない」

魔王娘「……でも、できれば式は早くしたいなーって。ツバつけとくって意味でも……」

勇者「『死期』!?」

魔王娘「そうです。早めがいいです」

勇者「い…いつくらい?」

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:41:09.01 ID:IGKjYz2AO
魔王娘「まあ積極的……///でも準備とかやっぱりありますから……特にわたし、ケーキカットとかド派手にしたいですし」
勇者(景気カット!?なんだ、という事は私を殺す前に人間の経済システムを崩壊させ、徐々に破滅する人々の姿の前で何も出来ずに無力な我が身を呪わせながらなぶり殺しにするというのか下郎!)

勇者(精神と肉体…二度の殺戮を望むのか……この野蛮は!)

魔王娘「で……でもでも、やっぱり死期まではダメですよね。一緒に寝るのは…きっと過ちとか起きちゃいます!キャー」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/30(木) 23:43:16.23 ID:IGKjYz2AO
ガチャッ


魔王娘・勇者「?!」

「なぁに、やってるんですの!」

魔王娘「ゲッ!メイド長!」びくぅっ

「もっ、殿下ったら結婚前ですのよっ!はしたないっ」

勇者(メイド………?)

魔王娘「で、でもメイド長、あたしは……」

メイド長「でももデーモンもありません。はしたないです。全く見ず知らずの殿方と……」ギロッ

勇者「えっ、いや、私は……」

魔王娘「結婚を約束したんだから、いいじゃないですか……」ぽそっ

メイド長「ああん?」ギロッ

魔王娘「……ごめんです」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:44:26.64 ID:IGKjYz2AO
メイド長「わかりゃいいんです。さっ、勇者様、お出になって」

勇者「あ……ああ」

魔王娘「……」グッ

メイド長「……」グッ

勇者「……」

メイド長「お離しになってください殿下」ググッ

魔王娘「……」ググッ

勇者「い、いたいのだが……」

魔王娘「……」ググッ

メイド長「フンッ!」グググッ

勇者「ひゃあ!」グイッ

魔王娘「……ああっ」

メイド長「んじゃ、勇者様はいただいてきます。おやすみなさい」


ガチャン……



魔王娘「……むぅ!」

15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:45:09.15 ID:IGKjYz2AO
カツ……カツ…

勇者「……助けてくれたのか」

メイド長「ごめんなさいね、あの子ったら。まだお子様なので許してくださいまし」

勇者「あの……」

メイド長「あなたがあの子に手を出してないことくらい分かります。て言うか、逆でしょう」

勇者「ああ……」

メイド長「でも、幸運ですわね。……といっても殿下に目を付けられたのは幸運中の不幸ってやつかしら」クスッ

勇者(……この女からは妖気がしない)

勇者(唯一の味方か?いやでも妖気を忍ばせて…いや、でも助けてくれたし…いや、でも油断させるために…いや…)
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:46:02.30 ID:IGKjYz2AO
メイド長「私から妖気が感じられないのは、元人間ですからですかね。」

メイド長「といっても魔族契約は済ませていますし、人間の時の記憶はまるでありませんけど」

勇者「!?」

メイド長「お顔に書いてありましたわよ?」

勇者(……読心術か!やはり……いや、しかしだな、それだけで敵だとは)

メイド長「私はあなたの敵じゃありません。まさか殺しはしませんわよ。それもお顔に書いてあります」

勇者「……」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/30(木) 23:50:25.58 ID:IGKjYz2AO
メイド長「あなたはどうしてこちらへ?パーティーも無しとは珍しい方」

勇者「……政府からの依頼だ。そこそこ名は知れているからな。」

勇者「それに国民の期待がある。数十年ぶりに現れた『勇者』だからな」

メイド長「しかし…お一人では、流石に旅路は厳しかったことでしょう」

勇者「政府が言うには人材不足らしい。勇者が帰って来たことはないからな、臆病になるのだろう。仕方有るまい」

メイド長「でも、人間国は軍を持ってるんでしょう、ならば勇者様お一人を寄越してわざわざ魔王様を討つような真似をなさらなくとも」

勇者「出兵に長らく国民が反対しているのだ。魔王国とは睨み合ってはいるが、事実上の衝突がないからだ…と。ならば個人として出るしかなかろう」

勇者「……期待する割には何もしないのだから、嫌になる」

メイド長「色々おありなんですのね…そうですわ、お飲みものをお持ちいたします」
勇者「では、コーヒーをいただけるかな」

メイド長「承りましたわ。お持ちしますから少々お待ちを」

ガチャッ……


勇者(あの女は……やはり味方か?いや、しかしだな、油断させてだな、しかしだな、)

勇者(しかしだな……いやしかしだな……)
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:51:07.47 ID:IGKjYz2AO
―キッチン―
メイド長「らーららー♪おきゃくさまーがやってきたー♪」

警備隊長「こ、こんばんはメイド長殿」

メイド長「あら隊長さんこんばんは。泥だらけでどうなさったの?」

警備隊長「どぶさらいをな……」

メイド長「あら嫌だ、雑務なら私が」

警備隊長「め、め、メイド長殿の、その真珠の如く白く美しい御指を煩わすわけには……」ゴニョゴニョ

メイド長「?」

警備隊長「体力を維持するのも騎士の重要な役目であるからな!良いトレーニングである!」

メイド長「そうですか。あまり無理なさらないでくださいまし」

警備隊長「御意!」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:52:05.15 ID:IGKjYz2AO
メイド長「……怪訝なお顔をしてらっしゃいますけど……何か問題がありました?」

警備隊長「いやですな、我々の飲んでいるコーヒーと人間のコーヒーは一緒なのかなと」

メイド長「恐らく、調べましたから……ほら、色はおんなじでしょう?」

警備隊長「メイド長殿は人間の言葉はお読みになるのかな?」

メイド長「会話は出来ますが解読までは……ですから作り方は」

警備隊長「ならば、色が同じだからと言って、これが豆を煎ったものとは限りませんぞ」

メイド長「確かに…」

警備隊長「これだけ人間と魔族は相反しているのだから同じ物を食べているわけが」

メイド長「ありませんわよねぇ……」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:52:50.85 ID:IGKjYz2AO
メイド長「同じ釜のなんとかって言いますしねぇ、ちょっと意味違うかもですけど」

警備隊長「むむっ、しかし豆を煎ったもの以外でこんなに黒い液体を……」

メイド長「………」ジッ

警備隊長「………」ジッ

警備隊長「………いやまさか」

メイド長「そうですよね、まさか」

警備隊長・メイド長「………」


21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:53:32.69 ID:IGKjYz2AO
―10分後―

コンコン

メイド長「失礼します」

勇者「どうぞ」

ガチャ

メイド長「お持ちしましたわ勇者様」

勇者「ああ、ありがとう」

メイド長「たんとお飲みになってくださいね!」ニコリ

勇者「ああ……」

勇者(なんと美しい笑顔だろう)

勇者(この笑顔に一寸の淀みがあるだろうか?否。彼女は……)

勇者(いやしかし、そう油断させておいてだな……いやいや……いや……)

メイド長「勇者さまのお気に召しますように」ニッコリ


勇者(もう面倒だ!メイド長に悪意はありません!私の味方であります!本当にありがとうございます!)

勇者「……では戴こう」

メイド長「どうぞ」

カチャッ

ぷぅ〜ん……

勇者「………」


勇者「えっ」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:54:35.27 ID:IGKjYz2AO
メイド長「うふふっ、どうぞ」ニコニコ

勇者「いや…あの……」

ぷぅ〜ん………

勇者(な、な、な、な、なんなのだこれ!く、く、く、く、臭い!臭いぞ!臭いぞこれは!!!)

メイド長「あら……お飲みにならないのです?」

勇者「いや……だってこれドブ」

メイド長「……お気に召さなかったんですか」シュン

勇者「……そう言う問題じゃ」

メイド長「もしや温め具合かしら…いやミルクの……いやそれは完璧だろうし…砂糖が……いや……」あわあわあわあわ

▼メイド長は こんらん している!



勇者「………」

23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:55:06.32 ID:IGKjYz2AO
勇者(と、とりあえず今のうち流しに……)

警備隊長「………」ジッ

勇者「ぬぁ!」

勇者「い、い、いつのまに……」

警備隊長「貴様はそれを流しに捨てようとしているのか」

勇者「いや……まあ……」

警備隊長「………」ジャキッ

勇者「ま、ま、待ちたまえ!待ちたまえ!何故剣を突きつける!なんで!」

警備隊長「もう一度問おう」



警備隊長「 捨 て る の か ? 」


勇者「………ぃぇ」

24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:55:37.91 ID:IGKjYz2AO
警備隊長「そうか、やはり私の勘違いだったか!公明正大な勇者殿がそんな!すまなかったな!ハッハッハッハッ」

警備隊長「メイド長殿、勇者殿は感極まっていただけのようだぞ!」

メイド長「あらそれは良かった」

勇者「…………」

警備隊長「さあ遠慮なさるな!」

メイド長「さあ!」

警備隊長「さあ!」

メイド長「さあ!」

勇者「…………」

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:56:05.90 ID:IGKjYz2AO
勇者「………」ゴクッゴクッゴクッ

勇者「………」

メイド長「いかが?」

警備隊長「美味しいだろ!美味しいだろ!」

勇者「 」フルフルフル

警備隊長「ほらっ!美味しすぎるあまり白目を向きながら痙攣しているぞ!羨ましいなおい!」


勇者「 」フルフルフルフルフルフル


26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/30(木) 23:59:26.71 ID:IGKjYz2AO
――――――――



チュンチュン

警備隊長「いっち、に!」

警備隊員A「さんっ、しっ!」

勇者「………」

勇者(昨日、あまりにひどい悪夢にうなされた気がする)

勇者(魔王と魔王の娘に殺されかけた挙げ句の果てに、メイドと男に無理やりドブ水を飲まされる……)

メイド長「おはようございます」

警備隊長「ごー、ろく!」

警備隊員B「しち、はち!」

勇者「そう……こんな想像の翼で妄想の宇宙にでも………」

勇者「………!?!?」ズサササッ
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:01:00.84 ID:8wnrNHQAO
メイド長「…ご気分は?」

勇者「……すこぶる悪い」

警備隊長「もっと汗出せ!」

警備隊員A・B「はい!」

メイド長「でしょうね…ごめんなさい、私が素人知識で変なものをお出ししたばっかりに」

勇者「あの………」

メイド長「殿下なら縛り付けてありますからご安心くださいね。横になってらして……いま、お飲みものをご用意いたします」

勇者「……の、飲み物?」

メイド長「うわごとで、『ホカリスエットがのみたい』ってずっといってらしたから」

勇者「ま……まあ、水分を吸収するにはそれが一番だが………」

メイド長「我が国にも『ホカリスエット』なる清涼飲料水が存在しますが、でもまさか人間が我々と同じく水に塩と砂糖を混ぜてイオンをどうこうしたそれを飲むわけがないので」

警備隊長「お待たせした!昨日はすまなかったな!勇者殿!」

ぷぅ〜ん……


勇者「………えっ」

警備隊長「我々の汗水だ!」

メイド長「スエットです。どうぞ」


勇者「えっ」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:01:50.31 ID:8wnrNHQAO
―――――

かくかくしかじか

メイド長「あらやだ、そうでしたの…」

勇者「ああ、しかし驚いたな、我々と食生活がほぼ同じだとは」

警備隊長「ハハッ、とんだ偏見というものだったな!すまなかったな、勇者殿!」

メイド長「でも無駄になっちゃいましたわね、朝食の材料」

勇者「……と言うと」

メイド長「丸ごとトマトを煮込んだミネストローネなんて飲むわけがないと思って、丸ごとドブネズミをオークの臓物で煮込んだスープに」

メイド長「それからピーナッツバターなんてパンに付けるわけがないと思ってオークの脳みそをすりつぶしたものを……」


勇者「……いい、それ以上はもういい」ウップ


第1話おわり
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:06:28.36 ID:8wnrNHQAO
【第2話】

―――――

魔王娘「ゆ・う・し・ゃ・さ・まー♪」スタタッ

勇者「ゲッ」

魔王娘「いきなりキーッス!」チューッ

勇者「……」サッ

魔王「えっ」

ぶちゅー!




魔王・魔王娘「!!!」ブチューッ




魔王娘「いやあああああ!!!生魚の味がするうううう!!!!」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:07:17.02 ID:8wnrNHQAO
魔王「50年ぶりだなぁ!もっとパパンとスキンシッp…………」ガスッ


▼むすめの きょうれつな はらパン!


魔王「 」ぶくぶく


▼まおうは あわをふいた……
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:07:43.98 ID:8wnrNHQAO
――――

魔王娘「ってことがあったんですメイド長!」

メイド長「あらまあ大変。洗濯物干さなくっちゃ」

魔王娘「ちょっと真面目にきいてよぅ!」

メイド長(そりゃ、魔王様の娘にかかってこられちゃ勇者様だって恐ろしいでしょうねぇ……)

メイド長(……なんて言ったら殿下のことですからまたややこしいことにしちゃいそうですし)

勇者「やあメイド長、朝食の皿を戻しに……」

魔王娘「キャア勇者様!私に会いに来てくれたんですか!」

勇者「ゲッ」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/31(金) 00:07:51.68 ID:ISLdXkYYo
ワロタwwwwwwww
超期待するわ
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:08:40.54 ID:8wnrNHQAO
メイド長「勇者様。お皿はそこに置かれて、お部屋にお戻りになってもよくってよ。」

勇者「あ……ああ!では失礼する」スタターッ

魔王娘「……ああ、勇者様!」

魔王娘「………勇者様」しょんぼり

メイド長「………殿下」カチャカチャ

魔王娘「あたし、やっぱり勇者様に嫌われてるのかなぁ……」

メイド長「え…いや……まあ……」

魔王娘「でもでも!結婚の約束までしてくれましたし!」

メイド長(……確実に殿下の勘違いでしょうね)

魔王娘「……男の人ってよくわかんないな。いっそ媚薬とか使っちゃおうかな」

メイド長「そんなもの、あるんだったら誰も苦労しませんわよ」

魔王娘「メイド長はなんでも出来るんだから媚薬くらい作ってよぉー」

メイド長「無茶いわないんです。ほらほら、これから魔王様のおやつを作るんだから出てった出てった」

魔王娘「はーい……」

バタン

メイド長(……はぁ、良いんだか悪いんだか。ってあらお砂糖の袋…いつものとパッケージが違うわね)

メイド長(大臣、新しいメーカーに変えたのかしら……)

34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:09:55.71 ID:8wnrNHQAO
―――

魔王の部屋

大臣「報告いたします」コツ

魔王「はいはいどうぞ」コツ

大臣「ただいま、人間国から小規模ながらも、連隊がこちらへやってきているようで」コツ

魔物「名目は」コツ

大臣「ええ……偉大なる勇者の追悼ならびに復讐戦であると」コツ

魔王「偉大なる勇者って……あっいまの手なし」

大臣「あの男です……なしはなしですぞ」コツ

魔王「じゃあコテンパにやっちゃっていいよ……ちえっ」コツ
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/31(金) 00:10:09.98 ID:lYAMqQ4Qo
おまえか
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:12:51.20 ID:8wnrNHQAO
大臣「まあよわっちいんで、警備隊長を出すまでも……はいチェックメイト」

魔王「……それはよかった……チッ!」


大臣「魔王様もチェスよわっちいですなぁー!ぷっ」

魔王「ぐぬぬぬ……」



ホー…ホケキョ…チュンチュン……

魔王「あー……」

魔王「勇者死なないかなぁ……」

大臣「……物騒なこといいますなぁ」

魔王「しかし我が娘がうるさいのだ。ああ、そうだ大臣、貴様トリカブト買ったとか言ってたな」

大臣「ええトリカブトは非形態の天然の魔物達にはご馳走ですからな」

魔王「くれ」

大臣「ええっ」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:13:20.83 ID:8wnrNHQAO
大臣「……どうするおつもりですか。料理に混ぜるにもメイド長が許さないでしょうに」

魔王「ふふふ……我ながら天才的で凶悪な謀略を思いついてしまったのだ…さすが魔王国で一番えらいひと!」

魔王「ふふふ……ふふふふ!ふははははははははははははは!!!」

大臣(……でましたな嬉し恥ずかし三段笑い)


38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:14:21.17 ID:8wnrNHQAO
―魔王娘の部屋―

魔王娘「はぁ……超メランコリーです」

魔王娘「勇者様に嫌われる要因が見当たりませんよ、容姿性格含めて私はこんなにプリティーで、チャーミングなんですから」

魔王娘「力が強いって言っても、ちょっとつついた程度でレンガが吹き飛んじゃうくらいだし、欠点と言えば胸がペタンコなくらいで他はグラマラスだし」

魔王娘「……やっばクソジジイのせいか」チッ

コンコン

魔王娘「やだ勇者様!?」

魔王「あ…あの、入っていい?」


魔王娘「チッ」

魔王「……入るよ」

39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:15:10.84 ID:8wnrNHQAO
ガチャ

魔王娘「なんですかお父様」ツーン

魔王「あ……あのだな、娘よ、心して聞くがよい」

魔王「我が魔王国は初代から数えて一万年もの間、国を統治し、並びに人間国と対峙し……」

魔王娘「………ZZZ」

魔王「ってパパが話してるのに寝ないでよぉ!」

魔王娘「とどのつまり何がおっしゃりたいんですかお父様」

魔王「……つまりだ」ゴホン

魔王「私は勇者君とお前の間をとりもってやろうかなぁとか思ってる」

魔王娘「ほんと!」

魔王「ほ、ほんと」

魔王娘「キャーパパ大好きです!」

魔王「………う、うむ」

魔王(あれ、ちょっと我輩罪悪感感じてる?)

40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:15:42.33 ID:8wnrNHQAO
魔王「と言うわけでこれは我が家に伝わる媚薬である!」

ガバッ

魔王娘「ってことはこれを使って勇者さまを、いてこませば良いんですね!」グッ

魔王「い……いてこますって」

魔王娘「ぐへへ……勇者様、身ぐるみ剥がしてやりますよぅ………」

魔王娘「ってことで行って参ります!」

魔王「う……うん」

41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:16:21.27 ID:8wnrNHQAO
バタン!

魔王「………ぐふふ」

魔王「ぐへへ……」

魔王「グハハハハハハハハハ!!」

魔王「我輩だって飲んだらお腹を壊しちゃうトリカブト!勇者が飲めば確実に…」

魔王「ぬはははははははははははは!!!」

魔王「愚かな勇者よ!お前の命日は今日である!!」ビシッ

魔王「………あれ、なんかさっきの我輩超魔王ぽかったぞ//」


42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:18:05.29 ID:8wnrNHQAO
―廊下―

魔王娘「らーらんらんらー♪勇者さまーとーあんなことやーこんなことぉー♪」

警備隊長「ご機嫌ですな、殿下」

魔王娘「あっ、勇者様にコテンパにやられた警備隊長じゃないですか」

警備隊長「……腹を下してトイレに行ってる間に先に行かれちゃっただけで、私はコテンパにはやられてません」

魔王娘「……うわ、もっとだせぇ」

警備隊長「しかし勇者殿がお強いことには変わりありませんな。お許しがあれば彼を警備隊の一員に加えたいものであります」

魔王娘「オッケーです」

警備隊長「えっ」

魔王娘「ですからオッケーです。警備隊でもなんでもやらせちゃってください。」

警備隊長「そ、そうですか…まぁ殿下のお許しがあれば…」

魔王娘「その代わり条件があります」

警備隊長「……条件?」

43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:18:31.89 ID:8wnrNHQAO
10分後


勇者「んぐぅ!んぐぅ!」 モゴモゴ

警備隊長「殿下の御前だ。静かにしたまえ!」

魔王娘「やだ……そんな、そんな既に猿轡の上に縛られてるなんてハレンチですっ///」

魔王娘「でも私はむしろ縛られるほうが…ってキャー///」

勇者「ふぐぅ!ふぐぅ!」モゴモゴ

魔王娘「えっ、超チャーミングな私のことが好き過ぎる?もうやだぁーッ」バシィッ

勇者「ぬぐぅ!?」ボキッ

44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:19:53.30 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「それではええと、手始めに、この水にお父様から頂いた媚薬を溶かしまして……」サラサラー

魔王娘「ぐふふ………ぐへへへへへ!!!!!これで勇者さまと私はあんな過激なことや、こんな過激なことを!」

勇者「ふぐぅ!ふぐぅ!ふぐぅ!」

魔王娘「さあ、猿轡をお外しなさい」

警備隊長「御意!」

勇者「ぶはっ!…なに!なに!なに!」

魔王娘「お飲みになって勇者さま(はぁと)」

勇者「ぬぇっ……」

魔王娘「飲んで!飲んで!飲んで!」ぷりてぃー

勇者(さ……殺気っ!そうか!)

勇者「とうとう私を……それで殺る気か……」

45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/31(金) 00:20:47.92 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「そんなぁ……ヤる気なんてあからさまですよ……ほらっ、の・ん・で」

警備隊長「あっそれ!勇者殿のいいとこ見てみたい!」

魔王娘「のーんで!のんで!のんで!はいはい!」

勇者「否!否!否!そんな飲み会みたいな雰囲気にしたって、飲まぬものは飲まんと……」

魔王娘「……どうやって無理矢理飲ませましょうか」

警備隊長(狼形態)「やはり剣で脅すのが一番じゃありませんかね」 ジャキッ

勇者「ひぃぃっ!狼男ぉ!」

46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:22:26.01 ID:8wnrNHQAO
―――――

こっそり

魔王「ぐへへへへへ……いいぞいいぞぉ…そのまま地獄へずり落ちろ勇者ぁ……」

メイド長「あら、魔王様よだれなんか垂らして、どうかいたしました?」

魔王「ぎくっ!め、め、メイド長……」

メイド長「『ぎくっ』ってなんですか魔王様。クッキーが焼き上がりましたわよ。」

魔王「そ、そう、そうなのだ、我輩クッキーが楽しみで楽しみで仕方なくって思わずよだれをだらりとだな…」

メイド長「あらあら、じゃあ大臣様もお呼びになってテラスまでいらして下さいな。美味しいお紅茶入れてお待ちしてますわ」

魔王「う、うむ!楽しみにしておるぞ!」

魔王「……行ったか」

魔王「何気にメイド長が怒らせたら一番怖いんだよなぁ………」ぶるぶる

魔王「でもまぁバレてないみたいだし結果オーライだな。バレたら大臣のせいにすればいいし!」

魔王「おーい大臣!お茶だよー!一緒に飲もー」タッタッタッ

47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:24:21.02 ID:8wnrNHQAO
――――――

ドゴォ!

勇者「ぬふっ!」

勇者「 」

警備隊長(狼形態)「気絶しましたぞ殿下ぁ!」

魔王娘「全く、このあとの『じょーじ』を想像して興奮して暴れちゃうなんて勇者様ったらお盛んです///」キャッ

魔王娘「どゅぅふふふ…これで勇者様と骨まで溶けるような熱いキーーーッス!!」
魔王娘「飲んでいただきます!」ハァハァ

勇者「  」ゴク……ゴク…

勇者「  」


魔王娘「ぐへへへへへへへ!!!!!!」

魔王娘「起こして下さい」

警備隊長(狼形態)「御意!」

ゴキッ

勇者「ぬふぅっ!?」

魔王娘「さ!さ!さ!勇者さま、どう、どう、どう、熱くなってきました?私をめちゃくちゃに……ってなに言わせんですかキャー!」ドゴォ!

勇者「ぬふっ!?」ボキッ



勇者「 」

魔王娘「あれ、あれ、また気絶しちゃいました……?」

48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:25:07.88 ID:8wnrNHQAO
―――――

魔王娘「しかしおかしいですわね、媚薬だってのに何の反応もないとか」

警備隊長「……あれでは反応もなにもないと思いますがね」

魔王娘「うーん、これ偽物なんじゃ…飲んでみようかしら…」

警備隊長「いっ、いけませんよ殿下!」

魔王娘「いっそ私も飲んだ方が盛り上がるはずです……って恥ずかしいですキャー!」ゴクッ



魔王娘「ってあれ、甘ッ!」

魔王娘「………それに何ともない?」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:25:33.86 ID:8wnrNHQAO
―――――

テラス

メイド長「………」コポポ

大臣「チェックメイト」

魔王「そうかチェックメイトか。仕方あるまいな」

大臣「……何だかやけに機嫌がよろしいですな」

魔王「成功したのだよ、例のプロジェクトがな」

大臣「……プロジェクトってほどでもないでしょうけど」

メイド長「紅茶が入りましたわよ」

魔王「じゃあ我輩のには大量に砂糖をいれてくれ」

大臣「私のにも頼むよ」

メイド長「もう…糖尿病になっちゃいますわよ」

魔王「我輩この国で一番偉いから大丈夫大丈夫」サクッ

魔王「ん?」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:26:25.43 ID:8wnrNHQAO
大臣「どうしました」ゴクッ

大臣「……あれ」

メイド長「なにか不都合でもありました?」

魔王「……クッキー、味がないんだけど」

大臣「紅茶も甘くない」

メイド長「あらごめんなさい忙しくって味見しなかったので……新しいメーカーの砂糖がいけなかったのかしら」

大臣「………新しい砂糖?そんなもの仕入れた記憶はないのだが」

メイド長「あら、……見慣れない感じのパッケージでしたが……」

大臣「えっ」

魔王「えっ」

メイド長「えっ?」


51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:27:27.34 ID:8wnrNHQAO
―夜―

魔王「 」ぎゅるるるるるるる

大臣「 」ぎゅるるるる

メイド長「お二人を治せるのは殿下だけなんですから魔術、使って差し上げたら?」

魔王娘「やです」

魔王「お゛願い゛ぃ……あ゛やまる゛がらぁ………………」ぎゅるるるるるるる

魔王娘「絶対やです」

魔王「ど……どう゛じでごう゛な゛っだ………」ぎゅるるるる

大臣「 」 ぎゅるるるるるるる

勇者「何があったというのだ一体全体」

警備隊長「さ……さぁ」


【第2話・おしまい】
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:28:47.70 ID:8wnrNHQAO
【第3話】


―運動場―

勇者「…で、何故私がこのような場所に引っ張りだされたのかな」

警備隊長「まあまあ、外に出るのもよかろう。ほら!勇者殿大きく息を吸いたまえ!さあ!すぅぅぅぅはぁぁぁぁぁああああああ!!!!」

警備隊長「……んがはぁ!!息が!がほっ!変な!変な方に!!♂♀℃¥$¢£%!!!!!」

警備隊員A「隊長!隊長おぉ!!」

警備隊員B「水を!水を用意してさしあげろ!!!」

勇者(この男も大分…アレだな……)


53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:29:23.40 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「……と、言うわけでだ!!」


警備隊長「勇者殿!今日は我々の訓練にお付き合い頂く!!」

勇者「……承知した」

警備隊長「おや!意外とノリノリですなぁ!このっ、このっ」ツンツン

勇者(……敵国の警備隊に参加するなど、非常に馬鹿らしい話であるが)

勇者(……あんなことを言われてしまっては)

54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:29:53.15 ID:8wnrNHQAO
―回想―

勇者「……私が警備隊に?正気か?そのような反逆行為を」モグモグ

魔王娘「誰のおかげで、首が繋がってられるんですか?」

勇者「………頼んだわけでは」モグモグ

魔王娘「誰のおかげで、アホ面さげてご飯が食べられれるんですか?」

勇者「………だから頼んだわけでは」

魔王娘「誰のおかげで、アホ面さげて椅子に座ってられるんですか?」

魔王娘「誰のおかげで、アホ面さげてトイレにいけるんですか?」

魔王娘「誰のおかげで、アホ面さげて」


以下、割愛

勇者(……言われてはな)

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:30:33.35 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「我が警備隊の特長は強さ!そして逞しさである!見たまえ!!形態変化!」パアァッ

警備隊長(狼形態)「どうだ!この肉体美!」 ムキムキッ

勇者「………毛が邪魔でイマイチ」

警備隊長(狼形態)「………そうか」

勇者「それから根本的な問いをしてしまって些か申し訳ないのだが」

警備隊長(狼形態)「………なんだ」

勇者「狼形態になるメリットはなんなのだ」

警備隊長(狼形態)「……メリットなら、そうだな……まず暖かい。が、この辺は冬などないからな……暑いだけか」

警備隊長(狼形態)「力も……別にそんな増大せぬな……私は剣派だから牙とか爪とか使わないし」

警備隊長(狼形態)「……ちょっと強そうに……見えるとか」

勇者「……大したメリットはないのだな」
警備隊長「……うむ」ぷしゅう…

56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:31:17.29 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「さて、元に戻ったところでまず勇者殿には……」

魔王娘「がんばれ!がんばれ!勇者さま!がんばれ!がんばれ!勇者さま!」デンデンデン

勇者(また娘……!一見俺への叱咤激励と見せかけて、何かの呪文なのだな!みすみすやらせるものか!)

警備隊長「腕立て伏せを……」

魔王娘「キャー!勇者さまと眼があった!キャー!」

勇者(……こちらが視線を送りつづければ魔術回避が可能なのか!)

警備隊長「……私がいいと言うまで」

魔王娘「キャー!そんなに見つめないで!キャー!」

警備隊長「………」

57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:32:01.11 ID:8wnrNHQAO
勇者(……むむっ)

メイド長「何やってんですか殿下」

魔王娘「げっ!メイド長!」

メイド長「ほら、お勉強の時間です。行きますわよ」ズルズル

魔王娘「やだやだやだ!やだやだやだ!」ズルズル

メイド長「それから魔王様」

魔王「ぎくっ!」

メイド長「こっそり勇者さまを暗殺しようとしてないで、今日までの書類を終わらせてください」ズルズル

魔王「やだやだやだ!やだやだやだ!」ズルズル

魔王娘「やだやだやだ!やだやだやだ!」ズルズル

魔王「やだやだやだ!やだやだやだ!」ズルズル

勇者「……似たもの親子だな」

警備隊長「……否定はしない」


58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:33:20.12 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「と、言うわけだ。大体10分後に声をかける。スタート!」

勇者「10分か、余裕だな」グイッ

警備隊員A「……そう思っていられるのは今のうちだけですよ」グイッ

勇者「……なに、特別な妨害や負荷があるのか」グイッ

警備隊員B「いいえ。普通に腕立て伏せですけど」グイッ

勇者「ならなぜ怖じ気つく。お前たちのトレーニングは横たわりながらベルトで腹に振動を与えるとかなのか」グイッ

警備隊員A「そんなワケはありません。見てくださいこの筋肉」ムキムキッ ムキムキッ

勇者「お……おお………」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:34:55.57 ID:8wnrNHQAO

警備隊員B「我が警備隊が最強であるのは……あの人が隊長だからです」グイッ

勇者「……想像の翼を羽ばたかせてもさっぱりわからん。あの男は意外にもスパルタ主義者なのか?」グイッ

警備隊員A「いいええ。優しいお方です。いや、むしろ甘さすら見え隠れする程ですから」グイッ

警備隊員B「でなければ、腹をくだしてあなたを見逃したなんてことにはなりません」グイッ

勇者「…それを断罪しない魔王も魔王な気がするが」グイッ

警備隊員A「あなたは否定するでしょうが、魔王様はお優しい方です。あなたに異様に厳しいのは殿下をお思いになられる故の事でして」グイッ

勇者「……そんなに素直に娘に殺されない私が憎いのか」グイッ

警備隊員B「……はっ?」グイッ

勇者「先ほどの行動もアレだろう、私を殺すためのアクションだろう」グイッ

警備隊員A「……どうしてそんな解釈になるんですか」グイッ

警備隊員B「……お可哀想な殿下」グイッ

勇者「なぜだ!なぜ私が悪いみたいな空気になっているんだ!」グイッ

60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:36:09.65 ID:8wnrNHQAO
勇者「……しかしいつまで腕立て伏せをやっていればいい!もう10分は……警備隊長!」グイッ

警備隊長「………」ボケーッ

勇者「おい!おい!」グイッ

警備隊員A「……聞いちゃいませんよ」グイッ

警備隊長(ああ…メイド長殿は今日も超華麗でらっしゃる)

警備隊長(洗濯物を干す様は羽衣を纏った天女のごとく……)

警備隊員B「……今日は二時間かな」グイッ

警備隊員A「だったらいい方さ」グイッ

勇者「えっ、えっ」グイッ


61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:36:37.42 ID:8wnrNHQAO
―三時間後―

勇者「 」

警備隊員A「……三時間か」

警備隊員B「まだ……この間の4時間よりはマシさ」

警備隊長「いやぁ、すまなかったな!アハハ!」

警備隊長「10分のつもりが……と、おや勇者殿大丈夫かな?」

勇者「………まあ、平気だ」ハアハア

警備隊長「では、水分を取ったことだし次はマラソン、1時間だ。スタート!」


勇者「……次は何時間だ」


警備隊員B「………6時間で済めば儲けもんです」

勇者「 」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:37:21.15 ID:8wnrNHQAO
6時間後

勇者「………6時間経ったが」はぁはぁ

警備隊長(メイド長殿は……メイド長殿は……)キョロキョロ

警備隊長「………」ボケーッ

勇者「………」タッタッタッタッ


7時間後

勇者「………どうしたというのだ」ぜぇぜぇ

警備隊長(狼形態)(はああん!メイド長殿!メイド長殿!私は洗濯物になりたああああああい!!!しごかれたい!しぼられたい!のばされたい!干されたい!!!)

警備隊員A「……興奮のあまりに狼形態になっちゃってますね」タッタッタッタッ
勇者「………」タッタッタッタッ

63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:38:01.19 ID:8wnrNHQAO
8時間後

勇者「オオエエエエエェェェ……」ゲロゲロゲロ

警備隊長「いや、すまなかったすまなかった。多少ボケッとしていたら時間が」

勇者(た……多少ってレベルじゃ)ゲロゲロゲロゲロ

警備隊員A「……だから我々は最強なんです。隊長は元々強いですし」

警備隊員B「ちなみに週5です」

勇者「………えっ?」

警備隊長「では!最後に耐暑訓練も含めてサウナに入るぞ!1時間半だ!」

勇者「  」


64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:39:10.74 ID:8wnrNHQAO
―――――――――

翌朝


警備隊長「……メイド長の幻影が見える」ぐったり

メイド長「嫌ですわ。無茶をしすぎです隊長さん」

メイド長「あらあら……のぼせちゃっていけませんわ」ふきふき

警備隊長「……すまない」

メイド長「お水も飲んでらして。飲ませて差し上げます。あーんして下さい」

警備隊長「………うむ///」


魔王娘「いやあああああ!!死なないでぇえええぇぇ!!勇者さま死なないでええええ!!!」ゆっさゆっさ




勇者「 」チーン




【第3話・おわり】
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:40:20.89 ID:8wnrNHQAO
【第4話】

とある早朝

メイド長「おはようございます勇者様」

勇者「………うむ」

カチャッ

メイド長「本日の朝食は味噌汁『風』スープと白米『風』炭水化物と納豆『風』タンパク質になります」

勇者「……『風』ってのはなんなのだ」

メイド長「精神衛生上お聞きにならない方がよろしいかと」

勇者「………」

66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:40:46.47 ID:8wnrNHQAO
メイド長「ごめんなさいね、最近少し物資が少なくって」

勇者「……何かあったのか」

メイド長「毎年のことですわ。お気になさらず」

勇者「……毎年?」

メイド長「ええ。この時期になると必ず…なんででしょうかね」

勇者「…例え陰謀だろうと私にはもうどうにも出来んことだな」

メイド長「ですね」にっこり

勇者(……多少は否定してくれたって)

67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:41:20.40 ID:8wnrNHQAO
メイド長「では失礼しますわ」

ガチャン

勇者「……いい女性だ」

勇者「警備隊長が思うのもわかる気がする……あの男も気持ちがよい“騎士”だ。」
勇者(……あのもの達はあの魔王親子を良きものと判断している)

勇者(意外と……いや!騙されてはダメだダメだ!)ぶんば

勇者(いっそ殺される前に自害を………)チラッ

勇者(……ナイフは痛いな。やめておこう)


きゃあああああああああああ!!!!


勇者「!?」


勇者「………あちらの部屋からか」


勇者「今行くぞ!待っていろ!」


68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:41:50.32 ID:8wnrNHQAO
タッタッタッタッ

ガラッ

勇者「大丈夫かぁ!」

魔王娘「勇者さまぁ!」すっぱだかー

勇者「………」

勇者「えっ」

魔王娘「助けに来てくれたのね勇者さま!勇者さま!」ギュッ

勇者「いや、ちょ、はだか………」

ガラッ

メイド長「大丈夫ですか殿下!」

メイド長「って………」

勇者「………」

魔王娘「ああーん勇者さまぁー」ギュッギュッ

メイド長「………風呂場で何やってんですか」

勇者「……私にもよく状況が」


69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:42:24.42 ID:8wnrNHQAO
―――――――

メイド長「とりあえず…今は部屋で服を着せていますが」

勇者「す……すまない。女子の浴場だとは全く」

メイド長「いいですわよ。どうせ想像はつきますから」

勇者「しかし理解しがたい。なぜあの娘は私に裸で抱きついてきたのか……」

勇者「……なんらかの示唆か、それとも準備儀式か……」ブツブツ

メイド長「………私は勇者様のことが一番理解しがたいんですけどね」



ガチャッ



魔王娘「……着替えました」

メイド長「で、なんで裸で叫んでらしたんです殿下は」

魔王娘「………これです」

70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:43:27.08 ID:8wnrNHQAO
メイド長「これは……」ジーッ

勇者「……下着?」ジーッ

魔王娘「………あんまりジロジロみないでくださいよぅ」

メイド長「しかしゴムの入ったヤケに肌触りの良い生地に、うさぎのプリント。随分子供らしいですけど」

魔王娘「私の趣味じゃありません!もともと履いてたパンツは黒のティバックです!」ぷんすか

勇者(………その顔で黒の)


メイド長(Tバックって殿下………)

魔王娘「それがいつの間にか、こーんな子供パンツにすり替わってたんです!誰だこんちくしょう!!!」

メイド長「う……うさちゃんパンツ………」

勇者(むしろこっちの方が)
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:46:58.26 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「それがいつの間にか、こーんな!うさちゃんパンツにすり替わってたんです!誰だこんちくしょう!!!」

メイド長「まあ殿下の趣味は置いといて、確かに元のパンツは持ち去られていたんですから変態の仕業と言うことには違いはありませんわ……」

勇者「……わかった。私が犯人を探そう」

メイド長「ゆ、勇者さま?」

魔王娘「マジですか!」

勇者「ああ、任せておけ。メイド長、すぐに辺りを封鎖してくれ!」

メイド長「既に封鎖済みです」

勇者「では、ここへ容疑者を集めてくれ」

メイド長「りょ、了解です」

魔王娘「ゆ……勇者さま………////」




魔王娘(てっきり最近勇者さまに嫌われてるとかおもってましたけど、やっぱり勇者さま私の事が………///)


勇者(このまま俺を犯人に仕立て上げて殺す口実を作るつもりだろうがそうは行くか………!)



メイド長「思惑は様々ですわねー……」タッタッタ
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:47:27.93 ID:8wnrNHQAO
――――――

メイド長「さて、閉鎖したエリア内に残されていた者達を一斉に集めましたが……」

大臣「やれやれ、私は忙しいのだがね」

警備隊長(め、メイド長に呼び出された……///)ドキドキ

オーク「グリュリュリュリュ……」

ゴブリン「ガウッ!ガウッ!ガウッ!」

勇者「全て男か……」

メイド長「ええ。怪しいっちゃ怪しいですね……」

73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:48:00.24 ID:8wnrNHQAO
大臣「それで、なんでこんなところに私達を集めたのかね」

メイド長「実は殿下のパンツが盗まれ、変わりにお子様パンツが現場に残されるという凶悪事件が発生いたしました」

一同「おおっ!」

魔王娘「………『おおっ』ってのはなんなんですか」

勇者「そしてだ、犯行時刻から封鎖された時間を考え、間違いなく犯人はこの中にいる!」ビシッ

大臣「!」バン!

警備隊長「!」バン!

ゴブリン「!」バン!

オーク「!」バン!

74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:48:55.15 ID:8wnrNHQAO
勇者「まずは大臣、あなたの行動を伺いたい」

大臣「………お前に話すことなど」

魔王娘「………」ギロッ

ぎゅううううううっ



▼むすめの あしをふむこうげき! 



大臣「んぬううぅぅぅぅぅ!?」


▼きゅうしょに あたった!



魔王娘「……そりゃ痛いように踏んでますから」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:49:52.92 ID:8wnrNHQAO
勇者「再度お聞きする。あなたの行動を伺いたい」

大臣「……あー、私は魔王陛下に国防の状況をご報告に参ろうとする途中、たまたまこのエリアに足を踏み入れただけだ」

メイド長「確かにいつも大臣様はこの時間帯に報告なさりますから自然なことですわよ」

大臣「でしょう、メイド長!」

勇者「しかし、その自然さを犯行に利用することも考慮しなければならん」

メイド長「ま、それもそうですわね…怪しいかも」

大臣「めっ、めっ、メイド長ぉ……」

76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:51:06.33 ID:8wnrNHQAO
大臣「いや、メイド長!それ以前に私とあなたは……」

魔王娘「確かに大臣は前々から怪しいかもとは思ってたんです。なーんかスケベそうな顔してるし」

大臣「……聞いてる?」

勇者「確かに若い愛人の二、三人は囲ってそうな面構えだな」

警備隊長「夫人の尻に敷かれているからな、アレだ、獣と化してらっしゃるのだろう…」

メイド長「確かに髪の薄い方はそう言う気がお強いとかなんとか」

魔王娘「目がやらしいものね」

勇者「口も破廉恥だな」

警備隊長「そう言えば鼻の下が若干長い」

メイド長「その上髪も薄くてらっしゃるわ」

魔王娘「まあ、いやらしい」

大臣「……ただの悪口大会になってないか」

77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:51:37.12 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「と言うわけで大臣が犯人です!」

大臣「ちょ、殿下っ!?」あせあせ

メイド長「あっ、そうだわ」

勇者「……何かなメイド長」

メイド長「そう言えば、大臣様と殿下がお叫びになるまでの間中ずーっと喋ってたんでしたわ」

大臣「そう!そうなのだよ」

メイド長「ですから大臣様には犯行は不可能です」

大臣「ねっ!」

一同「ええっ……」

大臣「……ええっ、とは何だね」


78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:53:46.06 ID:8wnrNHQAO
勇者「……となると大臣の線は無くなったか。となると」ジッ

警備隊長「わっ、私か!?」

警備隊長「い、いや、しかし……私は騎士であるからしてそのような破廉恥な愚考は…」

魔王娘「騎士だからってなんの証明にもなりませんよ隊長」

勇者「そうだ。オークやゴブリンよりか怪しい。下着を盗むという点においてやまして!」

大臣「そう言えば警備隊長は『狼男』だからなぁ……狼と言えばもう獣そのものだ。」

魔王娘「そう言えばこう言う季節だから獣は発情期真っ只中ですもんね」


警備隊長「ち、ち、違う!違います!ただ、形態として狼っぽくなるってだけで別に私は人間ですから発情期とかそういう」


勇者「つまり年中発情期という事か」



警備隊長「違う!違う!違うー!」

79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:54:24.57 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「そんなにパンツが欲しかったんですか?で、お子様パンツとすり替えればバレないと思ったんですか?ていうか隊長はこんなパンツをわざわざ買いに言ったんですか?」

大臣「うわ、いい大人が……キモッ」

警備隊長「なんで……私が犯人という前提なのか」

魔王娘「もしかしてあんましメリットない狼形態にしたのも、そういう為だったりして」

警備隊長「そう言うってどういう!」

大臣「うわっ、引きますぞー」

勇者「……ちょっと子孫繁栄に必死過ぎるというか」

警備隊長「だから……」

80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:55:03.51 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「違います!違いますぞメイド長!」

メイド長「ふふ……まあ……」

メイド長「男の方ですから、仕方ないと言えば……」

警備隊長「  」




るーーるーるーるー…るーーるーるーるー……



大臣「……憲兵隊には連絡を入れた。あと少しすれば到着する」

勇者「……悲しい事件だった」

魔王娘「そうですね。魔物中にも更なる魔物が住んでいるのかも知れません」

メイド長「これも人の……いえ、魔の世の常なのかもしれません」

警備隊長「ちょっと!ちょっと!本当に私が犯人みたいな扱いじゃありませんか!ちょっと!」


魔王娘「だって」

勇者「そうだろ」

警備隊長「ちがぅぅ……」ぐすっ

81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:55:30.60 ID:8wnrNHQAO
オーク「ウォウ!ウォウ!ウォウ!」

ゴブリン「バウ!バウ!バウ!」

メイド長「あら、お二人が何か言いたげですわ」

勇者「と、言われても私は魔物の言葉は分からん」

オーク「ウォウ!ウォウ!」

勇者「通訳していただけないか」

メイド長「その必要はありませんわよ」

勇者「へっ?」

ゴブリン「バウ!バウバウバウ!」

魔王娘「二人とも、戻ってないですよ」

オーク・ゴブリン「ウォウ!(あ、いっけね!)」

82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:58:05.30 ID:8wnrNHQAO
パアァ………

警備隊員A「すいません、ついつい戻るの忘れてまして」

警備隊員B「訓練の後でしたからつい」

勇者「ぬぁ!?」

警備隊員B「隊長だけでなく、僕たちも形態変化出来るんですよ」

メイド長「魔王国のほぼ全てのモンスターは兵士や市民が形態変化した姿なんですわ。天然もいますけど」

勇者「そ、そうなのか」

メイド長「実際喋れるモンスターと喋れないモンスターが居るわけです」

勇者「……しかし、なぜ警備隊長だけが」

一同「隊長……だから?」

警備隊長「そうだな、隊長だからだな」

勇者(よ……よくわからん)

83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:59:05.64 ID:8wnrNHQAO
警備隊員A「それでです!僕たち三人は汗を流そうと男子浴場に向かってたんですよ!」

警備隊員B「で、殿下の叫び声を聞くまで僕たち一緒に居たんですから隊長には犯行は不可能です!」

勇者「しかし三人共犯という可能性は」


警備隊一同「えっ!?」

魔王娘「あり得なくないですよねー」


警備隊長「い、いや!まあ、いえなくはないでしょうけど、その辺追求されちゃったら我々は……」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 00:59:34.62 ID:8wnrNHQAO
メイド長「ありえませんわよ。だって三人がこの辺りに来たのは本当に殿下が叫ぶ直前でしたでしょうから。」

勇者「なぜ分かる」

メイド長「トレーニングルームの使用記録です。退出時間を考えると、殿下の下着を盗むまではとても」

警備隊長「流石はメイド長殿!ありがたい!」ぎゅっ

メイド長「いやですわ、隊長さん」

警備隊長「あっ……///」

一同(なら最初から教えてやってれば……)


85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 01:00:06.56 ID:8wnrNHQAO
警備隊長(ああ、やっぱりメイド長殿は天使であらせられるなぁ……この私ごとき、小さな身に手を差し伸べてくださるとは、流石はメイド長殿と言わざるを得ないな!私は幸せである……幸せの極みである!!)

魔王娘「……幸せの形は人それぞれですもんね」

勇者「………だな」


魔王娘「大臣も違う、警備隊長も違う、警備隊の二人も違うとなると」

メイド長「事件は迷宮入りかしらね」

魔王「いいや!ちがーう!!」バーン

魔王娘「おっ、お父様!?」

86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 01:00:50.10 ID:8wnrNHQAO
メイド長「……いままでどちらにいらしたんです」

魔王「タイミングがわからなくてな。そんなことはさておいて!」

魔王「……我輩はよく推理小説の類を熟読玩味するのだが、そこに興味深い記述がある」

魔王「『犯人は第一発見者を装い、現場に必ず戻って来る』とな。そしてこの中で疑わしい人間は消去法でただ1人!そうだ…」

魔王「つまり!勇者!お前が犯人である!!!」ビシッ

警備隊長「なっ!」

警備隊員A「ぬぁっ!」

警備隊員B「なにっ?」

大臣「まさか……!」

メイド長「……そんな!」

勇者「……えっ」

勇者「えっ?」

87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 01:02:17.95 ID:8wnrNHQAO
魔王「この獣め!貴様のような恥知らずには裁判無しの速攻死罪がふさわしい!我輩が傷心の娘君に変わって成敗……」




魔王娘「うれしい!」




魔王・勇者「……はっ?」



魔王娘「私の下着をいつも懐に納めていつでも私を思い出していただけるなんて……私、愛されてますよね!」

勇者「いや、ちが……」

魔王「我が娘よ!こいつは変態、変態なんだぞ!犯罪者だぞ!」

魔王娘「パンツの1つや2つどってことありませんわ。それに勇者様は親族も当然。親族相盜で無罪でしょ。ねー勇者さま」

勇者「……いやそれはそれで困るっていうか」

メイド長「まあ、お互いがいいんじゃいいんじゃないんですか?」

警備隊長「そうだなメイド長殿がそう言うなら」

警備隊員A「そうですねメイド長が言うなら」

警備隊員B「ですよね、仕方ないですよね」

大臣「メイド長が言うなら仕方ない」

魔王「ちょっ!ちょっ!魔王がこんなに怒ってんだよ?なんなの?メイド長の意見のが優先されるの?ねぇ!」あせあせ

勇者「わ、私にしてもそう言う結論にされるのは!」あせあせ

メイド長「解散」

一同「了解」

魔王・勇者「ちょっ!」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 01:03:31.25 ID:8wnrNHQAO
魔王「待ってえ!待ってよぉ!」


魔王娘「……ん、お父様ポケットから何かはみ出してますよ」

魔王「ゲッ!」

魔王娘「……ゲッってのはなんなんですか?」

魔王「い、いや別に大した……」

魔王娘「取り押さえてください」

警備隊長「御意!」グイッ

魔王「ちょ、ちょ、警備隊長無礼であるぞ!一番偉いのは私で……」ジタバタジタバタ

魔王娘「階級無罪なんて制度、我が国にはありませんよお父様」

メイド長「ポケットの中身失礼いたします」ひょいっ

魔王「だ、だめっ!」

メイド長「………これは」


うっふ〜ん

魔王娘「あ、あ、あ、あ……」

魔王娘「あたしのパンツ!!!」

魔王「 」


89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 01:04:08.35 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「お父様……」

魔王「悪気は……悪気はなかったのだ!本当だ!信じてくれ!」

魔王「ただ……娘がTバックを履いているのが許せなかっただけなのだ……」

魔王娘「じゃあ、直接言ったらどうです!」

魔王「……聞いてくれたか?」

魔王娘「いいええ」

魔王「……」

メイド長「だからっていくらなんでもあのパンツのセンスはないですわよ」

魔王「でもでも似合うと思って特別に作らせて!」

90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 01:04:42.09 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「……とにかく、お父様の」

魔王娘「ばかああああああ!!!」パアァ
魔王「ちょ、ちょっ!」


▼まおうむすめの かえんまほう!


チュドーン!!!


▼まおうに ちょくげきした!



魔王「ぬあ゛あああぁぁぁぁ!!?」

大臣「わたしもおぉぉお゛ぉ!!?」


▼まおうは とんでいった…

▼だいじんも とんでいった……




メイド長「たーまやー」

魔王娘「……まったく!」ぷんすか


91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 01:05:09.00 ID:8wnrNHQAO
警備隊員「ま、そんなとこでしょうな」

警備隊員A「疑う余地もありませんよね」

メイド長「お疲れさまでした。さ、気が済んだでしょう殿下。とりあえずもうお眠りなさい」

魔王娘「はぁい……」

メイド長「勇者様もお疲れでしょう」

勇者「あ、ああ…だが勢いで来てしまったので部屋の場所が」

メイド長「なら、ご案内いたしますわ」

勇者「………」

メイド長「どうしました浮かない顔して」

92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 01:06:04.99 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「あっ、そう言えば忘れてましたね!お休みのキーーーッス!!!!」

勇者「……」サッ

魔王娘「なんで避けるんですか!キーーーッス!」

勇者「………」サッ

魔王娘・メイド長「………」


ぶちゅっ


魔王娘「 」


メイド長「…もう寝なさい」ふきふき



魔王娘「いやあーーーっ!!!!!!!!」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 01:07:33.31 ID:8wnrNHQAO
――――――

メイド長「はぁ。まったく親子共々…お騒がせして申し訳ないですわ」カツカツ

勇者「あの……だなメイド長」

メイド長「なにか?勇者さま」

勇者「その……この国の化物は兵士が変化した姿だと言ったが」

メイド長「ええ、そうですわね」

勇者「………この間、確か私に出そうとした食事だがアレって」

勇者「勿論天然の方………だよな?」

メイド長「うふふ」

勇者「いや、うふふじゃなくて」

メイド長「……ジョークですよジョーク」にっこり

勇者「……ジョークか」

メイド長「ジョークです。うふふふ……」

勇者「………」



【第4話・おわり】
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/31(金) 01:12:56.66 ID:8wnrNHQAO
一旦この辺で区切ります。
多分10話くらいまでが前スレまでのほぼ焼き直し、11話からが新作になります。

お付き合いありがとうございました
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 02:16:09.78 ID:1f74+601o
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 03:35:11.50 ID:kv7alWiNP
おー、やっと来たか
まってたよー
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/31(金) 08:29:43.82 ID:PPB/Wf4a0
魔王娘から「ぷりてぃー」って効果音が出てたのがなんか可愛いと思いました。
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/31(金) 13:47:44.18 ID:8wnrNHQAO
ありがとうございます。
再開しまし
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:50:57.63 ID:8wnrNHQAO
【第5話】




勇者「………」

警備隊長「やあ勇者殿!一向に来ないから迎えに……って」

警備隊長「どうしたのかね。珍しく考え込んで」

勇者「……私はこのままで良いのだろうか」ハァ

警備隊長(な…何を今更……)

勇者「………ハァ」

100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:52:46.93 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「悩んでらっしゃるなら勇者殿!なんでも私に!さあ!」

勇者「……隊長は元々敵だった私に親しくしてくれるが、何故か」

警備隊長「まあ、同郷のよしみというヤツかな」

勇者「……同郷?貴方は人間だったのか」

警備隊長「そうだ。私は元々人間であった。形態変化と言う奴は、魔王陛下に忠誠を示すために後付けで行っていただいたのだよ。」

勇者「……だから他の者に比べて使い物にならんのか」

警備隊長「……それは言わない約束です」

101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:53:12.74 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「私の首の後ろには…ほら、傷がある。これは多分、人間の国にいるときにつけられたものだろう」

警備隊長「……私は、人間時代の記憶は全くないし、魔王国の兵士だ。だから戦う。が、人間を憎んだりはしないぞ、勇者殿」

勇者「……警備隊長は立派な方だ。素直に感心する」


警備隊長「とはいえ、勇者殿の私とは共通点も多いですからな!容姿端麗!勇猛果敢!獅子奮迅!不撓不屈!和顔愛語!花鳥風月!恪勤精励!眼光炯炯!精力絶倫!」

勇者(……よくもまあここまで自画自賛出来るものだ)


102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:53:39.17 ID:8wnrNHQAO
ガチャ……

メイド長「勇者様、いらっしゃいますか」

メイド長「ってあら、隊長さんこんにちは」

警備隊長「メイド長殿こんにちは」ビシッ

メイド長「なぜ……こちらに?」

警備隊長「勇者殿は本日我々と共に鍛錬に励む予定なのでな。お迎えにあがったのです」

メイド長「あら……困りましたわ……」

勇者「どうかしたのかメイド長」

メイド長「………それが、その殿下が風邪をひかれて」

勇者「………風邪をひくのか」

103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:54:05.66 ID:8wnrNHQAO
メイド長「是非、勇者様にお見舞いに来ていただきたいと。お嫌ならば、そのまま警備隊長さんと鍛錬に……」

勇者「……わかった」

メイド長「そうですか。残念ですわ」

警備隊長「ではいこうか勇者殿」

勇者「いやいや、だから『わかった』と」
メイド長「……そうですか。そうお伝えしときます」

警備隊長「いこうか勇者殿」

勇者「だから行く!娘の所に行くと!」

メイド長・警備隊長「………」

メイド長・警備隊長「えっ」

104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:54:42.91 ID:8wnrNHQAO
―――――

魔王娘の部屋

メイド長「……本当によろしいので」

勇者「……よろしい」

勇者(……警備隊長に付き合うよりかは幾倍程度マシだからな)

勇者(病とあれば、まさか襲っては来んだろうし……)

ガチャ……

メイド長「殿下ー、勇者様をお連れしましたわよー」


105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:55:35.14 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「うん……」ガハッゴホッ

勇者「……お、思ったより弱っているな」

魔王娘「ま、まあ!勇者ざば、あ゛たしのだべに!!」ガバッ

魔王娘「オオオオエエェェェ………」

勇者「……うわぁ」

メイド長「魔族は風邪なんてめったにひきませんからね、だから引いたときは酷いんですわよ……」

魔王娘「………ぐすっ」

勇者「と、とりあえずなんだ、まあ、しっかり静養して元気に……」

勇者「あんまり元気に……なられても困るな」

女「ほ〜んと、普段が元気すぎるから丁度いいくらいよ〜、あなたは〜……」



勇者「そうだな、些か……って!」

106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:56:08.30 ID:8wnrNHQAO
女「あらこんにちは勇者さま〜」ふりふり

勇者「だぁ!誰だ貴様は!!どこの刺客!」ジャキッ

女「どうしよう〜、メイド長、私剣向けられちゃったぁ〜」

メイド長「……どうしようじゃありませんわ、普通びっくりしますわよ」

魔王娘「そうですわよお母様」

勇者「お……『お母様』?」

魔王皇后「どうも〜、母です〜」ふりふり

勇者「 」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:56:36.39 ID:8wnrNHQAO
――――

魔王皇后「風邪引いたってパパから聞いて急いで帰って来たのよ〜」

大臣「いやはや、皇后君久しぶりですナマコの酢の物!」

警備隊長「ご無事でなにより…り…り……リュウキュウアユは食べられない!」


魔王皇后「あら二人とも、お久しブリの食べ頃は12月!」

魔王皇后「うふふふふふふふふふふふふ!!!!!!」

大臣・警備隊長「ぬははははははははははは!!!!」

魔王娘「……もうやだこの人達」


108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:58:47.77 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「それにしてお母様、どこから入ってきたんです……」

魔王皇后「やだ企業秘密よぅ〜」

勇者「……ま、まさか、普段は居ないものだからてっきり離別したものかと」

メイド長「まさか。魔王様と皇后様は大変仲がおよろしいんですのよ?普段は諜報のお仕事をしてらっしゃるのでお城にはいらっしゃいませんけれど」

勇者「……諜報?しかし」

魔王皇后「あらスパイの割には厚着してる〜?もう勇者さんのエッチぃー!キャー」バシッバシッ

勇者「ぬふぅ!」メキッ

魔王皇后「あ…あらやだごめんなさい加減が分からなくって……」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 13:59:19.37 ID:8wnrNHQAO
勇者「……そ、そっくりな親子だな」ゼェゼェ

魔王娘「……よく言われまs…ゴホッゴホッ!」


魔王皇后「さて、せっかく帰ってきた事だし、今日はメイド長に変わって私が看病するわ〜」

魔王娘「ゲッ!」

魔王皇后「……何か言った〜?」

魔王娘「……いいえお母様」

魔王皇后「それじゃーあ、誰か手伝ってくれるひと〜」

シーン……

魔王皇后「……あらぁ?」

110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:01:14.55 ID:8wnrNHQAO
大臣「隊長、お前が行け!メイド長にアピール出来るチャンスではないかっ」ヒソヒソ

警備隊長「いやいや、私には荷が重すぎます。大臣殿のような剛健な方が相応しいでしょう!」ヒソヒソ

大臣「わ、私は動けない方の魔族なんだ!そ、やはりメイド長、君が…」ヒソヒソ

メイド長「……ららららー♪サキュバスパブー♪ららららー♪奥様に報告ー♪」

大臣「……メイド長は忙しいやうだ」

警備隊長(……どんな秘密を握られてるんだこの人は)

勇者「そんなに揉めることは無かろう。婦人の手伝い一つ出来なくては」

大臣・メイド長・警備隊長「ゆ、勇者(さま)(殿)!?」



111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:01:49.88 ID:8wnrNHQAO
勇者「私が引き受けよう、奥方」キリッ

魔王皇后「あら〜、勇者さん〜」

勇者(この女は比較的妖気が薄い。それに……)

勇者(……魔王に恩が売れるぞ!!)グッ

魔王娘「……ゆ、勇者さまぁ、マジでお止めになったほうg……ガハッ!ガハッ!オオオオエエェェェ…!!」

勇者「止めても無駄だぞ娘」

勇者(せっかくの機会だ。この娘も妨害出来ないことだし、逃すわけには参らん!!!)

魔王皇后「まあ!素敵な勇者さん!!」パアァッ

勇者「ぬはははははは!!!任せたまえ!任せたまえ!」

メイド長・大臣・警備隊長(バカだなぁ……)



112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:04:47.11 ID:8wnrNHQAO
―キッチン―

魔王皇后「ええと、風邪の時は……栄養つけなきゃね〜」ガサゴソ

勇者「……そうだな」

魔王皇后「ないわねぇ〜」ガサゴソ

勇者「……ところで何を作るのだ」

魔王皇后「おかゆ」

勇者「冷蔵庫に鶏卵と調味料、右に米があるぞ」

魔王皇后「そんなもの探してどうするのよ〜」

勇者「えっ」

魔王皇后「えっ?」

113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:05:20.76 ID:8wnrNHQAO
勇者「…い、いや、材料なしでどう作るのだ奥方」

魔王皇后「……あ、あった!」パアァッ
勇者「……何が」

魔王皇后「魔術師とロウソクね〜……それからそれから〜」

勇者「い、いや!いや待て!奥方は粥を作りたいのだろう?」

魔王皇后「そうよ〜。魔法陣で食べ物を出しちゃうのよ〜!私料理苦手だからそっちの方が早いのよ〜?」ニコニコ

勇者「……そっ、そんなことが出来るのか」

114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:05:59.09 ID:8wnrNHQAO
魔王皇后「そうよ〜?じゃ勇者さん、魔法陣を描くの手伝って〜」

勇者「……うむ、どこにだ」




魔王皇后「グラウンド一杯に〜、白線引きで〜」ニコニコ





勇者「うむ、グラウンド一杯に、白線引きで……」



勇者「……って、えっ?」


魔王皇后「大変だろうけど、よろしく〜」ニコニコ

勇者「いや……えっ、えっ」


115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:10:01.29 ID:8wnrNHQAO
―グラウンド―

10分後

勇者(3000m四方に魔法陣なんて正気の沙汰かッ!)タッタッタッ


ザザザザザザ!


勇者「……これで良いか!」ハァハァ

魔王皇后「う〜ん……もっと星が左かなぁ〜……」

勇者「……わかった」タタタッ



30分後

ザザザザザザ………

勇者「……あのこれで」ハァハァハァハァ

魔王皇后「ちょっと星がずれてるわ〜」

勇者「………ぅぅ」ハァハァハァハァ

116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:10:39.39 ID:8wnrNHQAO

2時間後

ザザザ……ザザ……ザ……


勇者「こ、これで!」 ゼェゼェ!

魔王皇后「うん!完璧〜っ!あっ、これおいし〜」パクパクゴクゴク

勇者「……あのだな」ゼェゼェ

魔王皇后「あ、お紅茶飲む〜?クッキーもあるわよ〜」ニコニコ

勇者「………」

117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:11:56.62 ID:8wnrNHQAO
―――――――

勇者(……確かにこの婦人の手伝いを避けたがる訳が分かったような気がしなくもなくも)

魔王皇后「では準備が出来たところで、行きますよ〜勇者さ〜ん」ニコニコ

勇者「……了解した」


魔王皇后「………魔法陣発動!」




ポウゥッ



魔王皇后「出でよ!おかゆ!出来れば卵が入ってるとなおいいわ!!!」



パアアアアッ!!!


勇者(……呪文というより注文だな)


118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:12:32.34 ID:8wnrNHQAO
カッ!

モクモクモク………


魔王皇后「うんうん〜!バッチグーよ〜勇者さん〜!」ニコニコ

勇者「あ、ああ………」

勇者(っていうかこれ、絶対普通に作った方が早かったような……)




プシュウウ………


魔王皇后「ふぅ、ようやく終わったわ〜」
魔王皇后「さーて、美味しく仕上がってるかしら〜♪」てってってっ

『ウオォォォオオオォォォ!!!!!』

勇者「………」


魔王皇后「ふんふんふーん♪猫のふーん♪」

勇者「……お、奥方、少しよいか」

魔王皇后「なぁに?」ニコニコ

119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:14:10.92 ID:8wnrNHQAO
勇者「……魔王国の粥はその」

魔王皇后「その?」

勇者「き、牙が生えてたり、角が生えてたり翼が生えてたり……」

勇者「……獰猛だったりするのかな?」

魔王皇后「まっさか〜。お米が獰猛なわけないじゃなぁい〜。」

魔王皇后「ほら、喜んで〜。卵入りのお粥、出来てるわよ〜。おいしそ〜」ほかほか

勇者「じゃ、じゃあ…アレは…………」





ドラゴン『ウオォォォオオオォォォ!ウオォォォオオオォォォ!!!』バッサバッサ!


120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:14:49.41 ID:8wnrNHQAO
魔王皇后「あらやだ〜!またついでに伝説のドラゴンまで召還しちゃったわぁ〜」ニコニコ

勇者「つ……ついで?」

魔王皇后「食べ物を作ろうとすると、いつもこうなっちゃうのよね〜。困ったわぁ〜……」ニコニコ

勇者「困ったって……奥方」

魔王皇后「じゃあ、私はあの子にご飯を届けなきゃいけないからぁ〜、頑張って倒してね〜♪」タタタッ

勇者「が、頑張ってと言われても……」


ドラゴン『グリュリュリュリュ………』



▼ドラゴンは いかりくるっている!


勇者「………言われてもな」


121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:16:37.15 ID:8wnrNHQAO
―――――



―勇者の部屋―

勇者「 」チーン


▼ゆうしゃは ちからを つかいはたした……


魔王娘「ゴホッ!勇者さまあああああ!!いやああああ!ゴホッ!ガハッ!ガハッ!」

警備隊長「…しかしやるなぁ、まさか一人でドラゴンを片づけるとは」

大臣「まるで屍だがな……」


メイド長「……仕事が増えましたわ」ハァ

ガラッ

魔王皇后「えっ、勇者さんがお怪我?なら私が直々に〜……」

魔王娘・メイド長・大臣・警備隊長「……もう、勘弁してくださいっ!!」





勇者(ま……魔王も存外苦労しているのだな………)


122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:17:16.04 ID:8wnrNHQAO
――――――

魔王の部屋

魔王皇后「って事があったの〜」ニコニコ

魔王「……」

魔王(流石にこれは勇者に頭を下げねばならんか……)

123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:21:14.72 ID:8wnrNHQAO
魔王皇后「勇者さんの件ですけどね〜、私気に入りましたわ〜。だからあなた」

魔王「……な、なんだ」

魔王皇后「私はこのままで良いとおもいますの〜。つまり〜」

魔王「……つまり?」

魔王皇后「勇者さまに何かしたらぁ、ただじゃおきませんわ〜」

魔王「……そ、そういうものでは」



魔王皇后「 た だ じ ゃ お き ま せ ん わ 」


魔王「はい」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:22:48.33 ID:8wnrNHQAO
魔王「……しかし、どうしてメイド長や警備隊長、それにあの子やお前までが勇者の肩を持つのかてんでわからん」

魔王皇后「悪い人じゃないし、何にせよイケメンじゃありませんか〜」

魔王「……どいつもこいつもイケメンイケメンって」ぶつぶつ

魔王皇后「でも、旦那さんはあなたで大正解でしたわ〜。大好きよっ」

魔王「ええ〜///」でへり

魔王皇后「………今日こそ二人目、どう〜あなた///」

魔王「う、うむ///」



魔王(ちょっとだけすまなかった勇者。そして……)


魔王(ありがとう勇者!!!!)



▼まおうと ゆうしゃのきょりが すこしちぢまった!


【第5話・おわり】
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:30:03.58 ID:8wnrNHQAO
【第6話】


警備隊長「と、言うわけでだ、勇者殿」

警備隊長「本日は貴殿に、この国の仕組みとか、政治とかを学んで頂こうと思う」
勇者「断る」

警備隊長「な、なんで」

勇者「常識的に考えて見ろ。勇者は魔王を倒す為に存在する。そんな男が魔王国の仕組みだとか、政治だとかを学ぶのは些か道理に反するとは思わんかね」

メイド長「ではお言葉ですが」ヌッ

勇者「ぬわっ!」

メイド長「その敵の城で三食昼寝付き、やることと言えば週一度の訓練くらいのもの…そして挙げ句の果てには、そのお言葉」

メイド長「これは道理に反さないと仰るので?」

勇者「…ま……ん」ボソボソ

メイド長「聞こえませんわよ」

勇者「……すいません」ボソッ

126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:32:30.11 ID:8wnrNHQAO
メイド長「……隊長さん、お続けになって」

警備隊長「……」ハァハァ

メイド長「…ど、どうかなさったの?」

警備隊長「い、いえ!」ビシッ

警備隊長(……自分に置き換えたらいきり立ってしまった///)

警備隊長「で、我が国には人間国と同じように様々な省庁、隊が存在する」

警備隊長「まずは補給庁、これは物資の補給や極小規模ではあるが、人間国からの輸入を担当する」

勇者「……そんなことは可能なのか」

警備隊長「まあ、特殊なルートを用いればな。服や靴、小麦なんかを仕入れている」

勇者「それくらいお前達の国でも生産できそうなものだがな……」

警備隊長「そんなこと、私に聞かれたってこまりますよ!!」

勇者(ぎゃ、逆ギレされた……)

127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:35:39.56 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「そして宮内省…この長が、大臣殿ですな。それから経済省、魔法庁、武器省に法務省、財政省に人事委員会、王立魔王軍……ま、警備隊はそこの出がほとんどだな」

警備隊長「それから……公安局、ここの憲兵隊がまぁ我々と色々あるのだが」

勇者「ん?では、警備隊は軍、憲兵隊というのは……言わば警察のようなものか」
警備隊長「そうだ。で、軍と公安局は自らの管轄で大分揉めていてな。原則、人間国から城までは我々が取り持つようにはなっているのだが」

警備隊長「憲兵隊は城内の警備に関して、法を持ち出してちょっかいを出すのだ。」
勇者「なるほど、どこでも管轄争いと言う類はあるのだな……」

警備隊長「しかも、憲兵隊長が融通の効かない人間と来た…もうアイツは一回頭でもうったらいいんじゃないかと!」

128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:36:40.72 ID:8wnrNHQAO
ガチャン!

大臣「大変ですぞ!大変ですぞ!」

警備隊長「どうかしたか、大臣殿」

大臣「それが……」




ドンッ!ドンッ!ドンッ!




大臣「ひゃあ!もう来てしまった!来てしまったぁ!!」



警備隊長「て、てててて、敵か!」

勇者「……貴様は警備隊長だろう、少しは落ち着いたらどうだ」

129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 14:37:49.64 ID:8wnrNHQAO
大臣「て、敵ではないのだが……」

ガチャン……


バンッ!


???「銃、構え…!」

???「……」ジャキッ!

???「……」ジャキッ!



勇者「……って、なに私?私狙いか!?えっ?」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/31(金) 15:04:00.11 ID:8wnrNHQAO
一旦中断します
お付きあいありがとうございます
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/31(金) 18:20:36.83 ID:Thlmr3STo
おかえりーーーーー!!
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/31(金) 20:08:46.25 ID:8wnrNHQAO
再開します
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:10:40.41 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「………憲兵隊長!」

憲兵隊長「…久しぶりだな警備隊長」

勇者(……け、けんぺーたいちょー?)

警備隊長「何をしに来た!ここは警備隊の管轄だ。その中で銃を客人に向けるとは…愚弄!恥を知らんか!」

憲兵隊長「破廉恥なのはどちらかな。警備隊長とも在ろう者が、犯罪者の肩を持つとは失笑物だ」

警備隊長「犯罪者?客人であられるぞ勇者殿は!」

憲兵隊長「いや、魔王陛下の命を絶とうとした不届き者だ。国家転覆罪が適用され、裁判なしの即銃殺が彼には相応しい…」

勇者「じゅ、じゅじゅ、銃殺?い、痛いのか!痛いのかそれは!」

メイド長「……意外とチキンですよね、勇者様って」

134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:12:08.45 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「とにかく、ここで彼を銃殺する」

警備隊長「何を戯れ言を!勇者殿は殿下のお眼鏡にかなったのだ!貴様こそ国家反逆の罪に問われるのではないか!」

憲兵隊長「それは更に問題だな。我々の王が反逆者となれば国民の感情はどうなる」

警備隊長「お前の言う国民は随分頭の堅いウスラトンカチだな!」

メイド長「ちょっとお二人とも……」

憲兵隊長「感情で仕事が勤まる警備隊の長とは違うのだ。」

警備隊長「だまれロボット人間!」

憲兵隊長「……ヒステリックに何を言われても」


メイド長「おやめなさい二人とも!」

警備隊長・憲兵隊長「めっ……メイド長……」

メイド長「どうしていつもいつもケンカ腰なんです?少しは仲良くなさったらいかがです」

憲兵隊長「め、め、め、メイド長…い、い、い、いらっしゃったのでありますか……」

メイド長「お久しぶりですわ憲兵隊長さん」

憲兵隊長「こ……こちらこそ……その……メイド長がお元気であ、あ、あら、あらせられて………」

メイド長「あらやだ、お顔が真っ赤よ」

警備隊長 「………」チッ

勇者(……成る程そう言う)


135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:13:32.47 ID:8wnrNHQAO
ガチャ

魔王「なに、どうしたのだ騒がしい。我輩お昼寝中だったんだけどぉー」

魔王娘「勇者さま、こんにちはーのキーッス!」ガバッ

勇者「…………」サッ

魔王娘「ちぃぃ!」

魔王娘「キーッス!キーッス!」ガバッ

勇者「………」サッ



メイド長・魔王娘「………」ブチュッ


魔王娘「……やるな勇者さま」ふきふき

勇者「伊達にお前の相手はしてきてはいない」キリッ


魔王「………」チッ


メイド長(当の本人がこれじゃあ……)ふきふき
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:14:22.11 ID:8wnrNHQAO
かくがくしかじか

ドンッ!

憲兵隊長「以上が私の主張であります…魔王陛下」

憲兵隊長「……是非、ご決断を」

魔王「う……うん、お前の言うことは尤もだし、まあ私もそうしようかなとか思うこともあったんだけど……」

魔王(そんなことしたら、嫁(皇后)に殺されちゃうし……)

憲兵隊長「市民への見せしめとして行うべきかと。これでは、市民からも反逆者を生み出す結果になりかねません……」

魔王「ま……まあそうなんだけど……」

137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:15:01.18 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「魔王様!勇者殿は我々の訓練にもよく耐えてくださる!最早処罰する理由はないと言うもの!」ドンッ!

魔王「うん……まあ………」

警備隊長「それに、臣下には元人間も多い!彼らに決してよい影響は……」

憲兵隊長「私も人間出だが、そうは感じぬな。だから貴様はヒステリックと言われるのだよ、警備隊長…」

警備隊長「ハァ?ロボット野郎には聞いとらんのだがぁ?」

憲兵隊長「貴様のようなヒステリックが国を潰してきた記述で歴史の図書館は埋まっているのだよ……」

警備隊長「人は気持ちの上でだな!成り立っているのだと……」


ワーワー!クドクド…ワーワー!クドクド…

魔王(面倒事になったなぁ………)


138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:15:28.88 ID:8wnrNHQAO
メイド長「お二人の話を総合すれば、警備隊長さんは勇者様の無実を主張されていて」

警備隊長「当たり前だ!」

メイド長「憲兵隊長さんは勇者様を即刻死刑にすべきだと」

憲兵隊長「当たり前だ…」

メイド長「で、当事者である勇者様は……」

魔王娘「今度こそ……キーッス!」ガバッ

勇者「やられるか!」サッ

魔王娘「くらえ、キーッス!キーッス!キーッス!」 ガバッガバッ

勇者「……ふっ」サッサッサッサッ

メイド長・憲兵隊長・警備隊長「………」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:15:58.86 ID:8wnrNHQAO
メイド長「……とりあえず、魔王様に最終的に決めていただきませんと」

魔王「えっ、えっ、我輩?我輩決めるの?」

警備隊長「さあ!」

憲兵隊長「さあ…」

魔王「いや……まあ……」

警備隊長「さあ!さあ!」

憲兵隊長「さあ…さあ……」

魔王(……我輩の威厳的には決めちゃわないとまずいよね…いや、まずいのは分かってるんだけど)

魔王(怒られるのやだし、かといって憲兵隊長は我が国にとって欠かせない人材だし……)

魔王(なんとか有耶無耶にならないかなぁ……なんないよなぁ……)

140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:18:23.72 ID:8wnrNHQAO
魔王「憲兵隊長は勇者の何が気にくわない」

憲兵隊長「存在そのものです…」

魔王「それは我輩も全くもって一緒なんだけど、特に何が気にくわないとかはあるだろう、例えば顔とか顔とか顔とか」

憲兵隊長「そうですね私も男前は大嫌いですが……まあ敢えて言うならば、『器』ですかね……」

警備隊長「器なら十分だ!それは私が………」

憲兵隊長「確かに未熟者の言う器なら、一滴の雫で溢れてしまうだろうな……」

警備隊長「……貴様はイヤミしかいえんのか?」

141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:19:05.25 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「どうみてもあの男、脳天気な小物にしか思えぬのです……」

警備隊長「勇者殿は本当はすごい方なのだぞ!私は知って……」

警備隊長「……知ってる……わけではないが」

憲兵隊長「……知らんのか」


警備隊長「………」

魔王「とにかく、その勇者の器とやらを鑑みる事が出来れば…憲兵隊長の気も少しは変わろうか」

憲兵隊長「……私の行為は法によるものです。法そのものに従う姿勢は代わり在りません」

憲兵隊長「しかし…解釈を違える程度は出来なくは」

魔王「うむ…では、勇者の器を確かめてはどうかな」

憲兵隊長「と、仰いますと」

魔王「私に良い考えがある」

142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:19:43.50 ID:8wnrNHQAO
――――

魔王「ただ今より、魔王国憲法第267条に基づき擬似決闘を……

警備隊長「オイコラ憲兵隊長、かかってこいや!」バチバチ

憲兵隊長「望むところだ……」バチバチ

魔王「擬似決闘をおこn

警備隊員A「くたばれ憲兵隊!」

警備隊員B「死刑はんたーい!!」

憲兵隊員A「くたばれ勇者!くたばれ警備隊!」

憲兵隊員B「し・け・い!し・け・い!」

魔王「……擬似決闘を執り行う」

143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:20:20.81 ID:8wnrNHQAO
魔王「説明を頼んだぞ、メイド長……」

メイド長「了解しましたわ。まず魔王国憲法の記載により、魔王の特別の配慮があった場合、及び憲兵隊長の同意のもとで恩赦を与えると言うものがありますが」

メイド長「今回の場合、憲兵隊長の同意を得られないケースにあてはまります。その場合、擬似決闘を持って、仮に被告側が勝利すれば同意を得たとみなすというものですわ」

メイド長「過去何度か恩赦はありましたけど、憲兵隊長が拒否なさるケースは初めてですわね」

警備隊長「成る程、歴代の憲兵隊長の中でもこいつが一番無粋だと」

憲兵隊長「歴代一無能な輩にそのような発言をする権利はないと思うのだが」


メイド長「お二人とも、みっともありませんわよおやめなさい」

憲兵隊長・警備隊長「………すいません」

144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:44:29.24 ID:8wnrNHQAO
メイド長「と言うわけで今回の擬似決闘はモデルガンで行います。当たれば死亡扱いとなり……」

警備隊長「い、異議あり!それでは普段から銃を使う憲兵隊長に有利ではないか!」
メイド長「と言う意見もおありかと思い、ハンディキャップをつけました」


憲兵隊軍
・憲兵隊長さん

勇者軍
・勇者様
・警備隊長さん
・警備隊員A・Bさん
・殿下

警備隊長「で…殿下まで?」

メイド長「やりたいやりたいと、延々だだをこね出したので仕方なく……」

145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:45:06.28 ID:8wnrNHQAO
魔王娘(むふふふ……私が勇者様をお守りすれば!更に恩が売れるチャーンス!)

魔王娘(お、恩を売ればあんなことや……こんな……そんな……いやああん!)

魔王娘「ぐへへへへ………」


勇者(む、娘からとんでもない量の妖気が………)

警備隊長「しかし、これでは逆に憲兵隊長から不満が出るのではないか?」

憲兵隊長「お気遣い結構。素人が何人束になった所でどうということもあるまい」

警備隊長「ハアア?べっつに憲兵隊長の事とか気遣ってないしぃ〜、お前が後でうるさいと困るから言っただけだしぃ〜」

メイド長「………ですからおやめなさいと!」

警備隊長・憲兵隊長「はっ!」ビシッ


メイド長(もう、返事だけはいいんだから……)

146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:48:09.62 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「と、言うわけで武器はこちらで用意させていただいた。好きな物を選びたまえ……」

魔王娘「じゃあ私はマシンガン!」

勇者「では私はこのライフルとかいう長いもので…」

警備隊長「我々は余りの自動小銃でかまわない」

憲兵隊長「私も貴殿と同じ規格のもので構わない」

メイド長「ってことで再度ルールの確認を致します。」

メイド長「弾はソフト弾を使用し、一発でも当たった時点で死亡扱いになります。死亡した者はゲーム終了まで公正を期すために動かないこと。」

メイド長「それから憲兵隊長を仕留めれば勇者軍の勝ち、勇者軍が全滅となれば憲兵隊長の勝ち……お分かりになって?」

警備隊長「実に明快な説明であったぞメイド長殿!」

憲兵隊長「沈黙は金と申すが、貴殿の的確な説明は、例えるならばプラチナですな……」

メイド長「もう、お二人ともお上手なんですから」

警備隊長「憲兵隊長、貴様の悔しがる表情が今から目に浮かぶようだな!」バチバチ

憲兵隊長「頭をすりつける貴様の姿の方が鮮明だぞ……」バチバチ

メイド長「………もう」



勇者「……盛り上がっているなぁ」

魔王娘「置いてきぼり喰らっちゃってますよねあたしたち」

147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:49:17.30 ID:8wnrNHQAO
メイド長「と、言うことで開始します!」

魔王「じゃあ我々はテラスで茶でもするかな」

大臣「よろしいんです?ご覧にならなくって」

魔王「やってる間に目的なんて有耶無耶になっちゃうってぇ。大臣、今日こそは負けないぞー!」タタッ

大臣「望むところですぞ!」タタッ



メイド長「……スタートですわ」


148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:50:17.92 ID:8wnrNHQAO
勇者「し、しかしどう使うのだこれは……」ブン!ブン!

勇者「いくら振っても弾は出てこないぞ!不良品ではないか!」

警備隊長「……勇者殿はあんな様子であるからして戦力は4名となるわけだが」

警備隊員A「殿下は、こう言った類の物はお使いに?」

魔王娘「なれますよ。一応一通りの訓練は受けてるつもりです。」

警備隊員B「……いっそのこと殿下の魔術でどうにかするとか」

警備隊長「駄目だ。あの男は魔術の心得が一通りある。ルール違反だなんだとイチャモンを付けかねない」

警備隊員A「ならばやはり我々が攻めて、殿下と勇者様にはお逃げいただくと」

警備隊長「……そうだな。殿下には万一の際勇者殿のボディーガードを勤めていただく」

警備隊長「だが、我々がここで決めるぞ」
警備隊員A・B「はっ!」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 20:51:18.06 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「相談は終わったかな?」

警備隊長「その偉そうな面に、弾丸を叩き込んでくれるわ!」

警備隊長「勇者殿、殿下!今のうちに!」


魔王娘「参りますわ勇者さま!」ギュッ

勇者「あ……ああ!」グイッ



タッタッタッタッタッ………



憲兵隊長「成る程。賢い作戦だな警備隊長」

警備隊長「こう言うことに関しては貴様よりかは場を踏んでいるからな」カチャッ


150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/31(金) 20:52:30.81 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「確かに……戦略的には間違ってはいない。一気にカタをつけることを狙い、同時に不要な人員を上手い具合に割いた。戦いは人数ではないからな……」

警備隊長「……だr」

憲兵隊長「……」バン!バン!バン!


警備隊長「………えっ」


▼けいびたいちょうは ひだんした!

▼けいびたいいんABは ひだんした!

警備隊長「い、いや、ちょっと話の途中じゃ……」

憲兵隊長「………」スタスタ


警備隊長「ちょ!ちょ、まっ!」

メイド長「警備隊長と愉快なお仲間の皆さん、即死です」

警備隊長「…………」


▼勇者最大のピンチ!憲兵隊長の魔の手が迫る!!第七話に続く!
【第六話・おわり】
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:05:23.28 ID:8wnrNHQAO
【第7話】

―そのころ―

タッタッタッタッタッ……

魔王娘「……ここですね」

ガチャッ

魔王娘「お入りになってください」

勇者「……ここは」

魔王娘「お父様の部屋です。ここなら、城の一番奥ですし多分安心できます。勇者様」ニコッ

勇者「あ……ああ」

魔王娘「………勇者様、その」

勇者「なんだ」



魔王娘「は、初めて私の手を……とってくださいましたね///」



勇者「!!!」

152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:06:27.52 ID:8wnrNHQAO
勇者「あ、あれはだな!そのだな!ゆ、油断したのではないぞ!!なんとなくだな!」カクカクカク

魔王娘「……私にも分かりますよ、本当は勇者様のお気持ちが」

勇者「………えっ」

魔王娘「私のお父様は…私に固定観念を植え付けない人ですから、在る意味私は私として物事を見れたのです。」

魔王娘「でもそれは…お父様が強くて、私が恵まれているからってことも知ってます」

魔王娘「だけどきっと人間が強い世界で、人間は嫌なものだと、言われ続けていたら…」


魔王娘「私だって勇者様を怖がっていたと思います。」



勇者「………」

153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:08:27.46 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「でも、それでも私は思うんです。にらみ合いながらも共存出来ていたのだから…どこか、私達は同じなんだと思います」

魔王娘「私だって悲しいときには泣きますし、嬉しいときには笑います。」

勇者「……ああ」





魔王娘「そして頭に来るときは発散させます」ジャキッ




勇者「………えっ、な、なに?」




魔王娘「………こないだのパンツの件の恨み!はらさで置くべきかァァアア!!!!」バババババババババ!!!!

パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!


勇者「ぬわあああ!?へ、部屋の中だぞぉ!?」


魔王娘「お父様のバカぁ!!!!!!」バババババババババ!!


パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!




勇者(………や、やっぱり怖い、この娘)

魔王娘「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:09:39.15 ID:8wnrNHQAO


………ズキューン!



魔王娘「!?」


勇者「なっ!」




▼まおうむすめは ひだんした!


155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:10:44.69 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「いけませんな殿下。そのような使い方をすれば道具が泣きます……」ニヤッ


▼けんぺいたいちょうの つめたいわらい!


勇者「け、憲兵隊長いつの間に……!?」


魔王娘「っていうか、どうしてここが!」

憲兵隊長「アレだけ派手な音がすれば……」


勇者「………」ジッ


魔王娘「……てへっ☆」
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:11:51.54 ID:8wnrNHQAO
勇者(ど……どうする!ろくに銃の使えない私だけが………)

勇者(いや……もしやこれが娘の狙いだったとか…いやしかし……いや………)

憲兵隊長「すまないが、君の死罪は確定した。しかし即刻とは言わない…身辺整理をする時間くらいはやろう………」ジャキッ


勇者「……ぐっ」


憲兵隊長「では………」



勇者(ここまでか………ッ!!!)
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:12:24.28 ID:8wnrNHQAO
カチャッ

メイド長「あらあらすごい音がしましたけど」

憲兵隊長「!」

メイド長「あら、憲兵隊長さんこちらに?探しましたのよ」ニコッ

憲兵隊長「め……メイド長……///」ドキドキ

メイド長「それにしてもこの部屋だれが……」


魔王娘「はい!憲兵隊長がやりました!」

憲兵隊長「えっ」

158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:14:32.16 ID:8wnrNHQAO
メイド長「あら……それはいけませんわねお話聞かせていただけます?」

憲兵隊長「い、いや!私では……」

メイド長「なら殿下が嘘を?」

憲兵隊長「ま……まあ………」

魔王娘「ふえっ、酷い!酷いです!」

憲兵隊長「い、いや、その……」

メイド長「どうなんです?」

憲兵隊長「それは…ですな……」あわあわあわあわ
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:15:21.63 ID:8wnrNHQAO
メイド長(……勇者さま、今のうちになんとかお逃げになって)ウィンク

勇者(し、しかし、正面は憲兵隊長が……気づかれない逃げ場所が……)

魔王娘「勇者さま」ヒソヒソ

勇者「……む、娘か」ヒソヒソ

魔王娘「お父様がもしものために出口をこしらえてらっしゃるんです。そこからお逃げになって…落ち着くまで一旦身を隠してください」ヒソヒソ

勇者「あ、ああ……」

魔王娘「…そこの机の一番下の引き出しです」ヒソヒソ

勇者「…………」


ガラッ……



ヒュオオォォォ………




▼かいだんがあらわれた!



勇者(な、なんと!階段が………)
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:15:48.60 ID:8wnrNHQAO
勇者「………」チラッ

憲兵隊長「ですから私は無実だと!」

メイド長「そうなると殿下が……」

魔王娘「勇者さま、お早く」」

勇者「………ああ」



▼ゆうしゃは にげだした!
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:16:30.42 ID:8wnrNHQAO
―階段―

カツン……カツン……


勇者「……ライティング(小)!」ポウッ

勇者「……しかし、上とは違い、いかにも悪の本拠地と言った趣であるな」

勇者(………出口があると言った。娘はてっきり私が戻ってくる前提だが、やる気になれば…これで私は自由の身になれるかもしれんのだな)

勇者(………知れんのだが、何故だか他人ごとのように思えてしまうな)ふっ


カツン……カツン……

勇者「ふむ、広間…のような場所に出たな」


勇者(……少しばかり明るくなったかな)

162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:45:24.26 ID:8wnrNHQAO
勇者「書物……薬……剣……」

勇者(………いかがわしいものばかりならぶな)

勇者「……即席魔法陣、中央に椅子、テーブル」

勇者(そのうち拷問器具くらいは……)

勇者「それから紅茶に……スコーン?」

ポンッ


勇者「ひゃああああああああ!!?」 ビクゥッ


皇后「いやだ〜かわいい〜」ニコニコ


勇者「お、奥方!?」


▼まおうこうごうが あらわれた!
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:46:53.95 ID:8wnrNHQAO
勇者「なっ……何故ここに」

皇后「帰って来たんだけど、なんか出にくい雰囲気だったから〜」

勇者「………ご、ごもっともで」

皇后「でも私こそびっくりだわ〜、まさか、ここを知ってるのは私か主人か、大臣か娘くらいのものだから〜」ニコニコ

勇者「あ、ああ……」

皇后「ってことはなるほど、あの子が教えたのねぇ〜」

勇者「………ああ」

皇后「もしかして、あわよくば人間国に逃げちゃお〜とかかんがえてな〜い?」


勇者「ま、まさか……」


勇者(か……考えなくもないのだが)
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:47:24.59 ID:8wnrNHQAO
皇后「まあ、勇者さんがお逃げになりたいんだったら私は止めませんけどね〜」

皇后「そうね〜、じゃあ逃げるついでに〜……」

皇后「面白いもの、みせてあげるわ〜」

勇者「………えっ?」


勇者(ま、まさか、ごっ、拷問器具とかじゃあ………)
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:49:05.26 ID:8wnrNHQAO
皇后「はい、この虎だかチーターだかヒョウだかの置物のおちんちんの部分、蹴ってみて〜」ニコニコ

勇者「お、おち…って奥方………」

皇后「……蹴らないの?なら蹴っちゃうわね〜。え〜い」


チーン!


勇者(………痛ぁ)

ガコン!

勇者「!」ビクッ


ガガガガガガガガガガ………


▼とびらがひらいた!


皇后「ほら、開いた〜」


勇者「………」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:50:58.53 ID:8wnrNHQAO
皇后「べつに、この仕掛けにイヤらしい意味なんてないわよ〜?鍵がどうだとか、扉をこじ開けるとか、扉の奥がどうとか〜」


▼こうごうの しもねたこうげき!


勇者「……顔に似合わず、えげつないことを仰るな」



▼ゆうしゃは とまどった……
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:52:49.40 ID:8wnrNHQAO
――――

勇者「………ここは」

勇者(実験施設か何かか?更に複雑な魔法陣だとか…それから……棺桶か?)

皇后「びっくりした〜?ごめんなさい期待に添えなくて〜。私と主人のプレイルームじゃないのよ〜」

勇者「………はい」

皇后「これはね…一子相伝、それは世の中に一人しか知らない奥義。そしてこれもその一つ。」

勇者「お……奥方?」

皇后「これはね、黄泉がえりの儀式をする場所なのよ」


勇者「よ、黄泉がえり……?」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:57:23.64 ID:8wnrNHQAO
皇后「そう。肉体は一度だけ魂を再度定着させることが出来る。……その技術さえあれば肉体はどうとでも回復させられるから心臓を2つ、持てることになるわよね」

勇者「そ、そのような事が出来るのか、魔王には…」

皇后「もちろん。但し、完璧にはいかない。記憶と引き換えよ」

勇者「………」

皇后「あの人も破壊するだけが能なわけじゃないのよ、一応。ただし、一度にかなりの魔力を消耗する。」

皇后「と、なれば魔王としては、まずいかもしれないわね。実際あの人はあなたとの戦いで随分消耗してしまっているくらいよ」

勇者「………そうなのか」

皇后「ただし、警備隊や防御システムも大変優秀だから、並大抵では主人にはたどり着けない。“素質”があるなら別だけど」

勇者「………こんなものを私に見せて、いかがするつもりかな」

皇后「さあ〜どうしたかったのかしらね〜……う〜ん、一種のノロケかしらね〜」ニコニコ

勇者「………いいのか」

皇后「いいのよ、将来の魔王さまだし〜。そ、れ、に、まあ〜見ちゃったからにはそう簡単には魔王国からは逃がさないわよ〜?」ニコニコ


勇者(そういうことか………)
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:57:56.03 ID:8wnrNHQAO
皇后「さて、憲兵隊長がこっちに来るらしいわ。どうする?一旦身を隠して事態の鎮静を待つか、それとも広間に戻るか」

勇者「……ただの時間稼ぎのつもりだ、奥方」

皇后「そう。じゃ、頑張ってね、勇者さん」ニコッ

勇者「……ああ」


勇者(やはり、この奥方が一番掴みきれんかもしれんな……)
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:58:23.48 ID:8wnrNHQAO
―広間―

勇者「………」



カツ……カツン……


勇者「………来たか」

勇者「…………」


勇者(どうやら、腹を決めねばならんようだな)
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 21:59:39.66 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「ほぅ……待っていたとはな………」

勇者「………ああ」


憲兵隊長「……行くぞ、勇者」


勇者「……では、まいr」



魔王娘「キャー!頑張れ!頑張れ!勇者さま!くたばれくたばれ憲兵隊長!」パフパフッ!


憲兵隊長・勇者「………」ズコーッ
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:00:33.54 ID:8wnrNHQAO
勇者「な……何故ここにいる!死んだ(扱いの)はずでは!」

メイド長「まあ、幽霊扱いで、応援だけなら………」


憲兵隊長「も、もしやメイド長は私の応援に……」


メイド長「いいええ」ニッコリ


憲兵隊長「………そうですか」


魔王娘「ガンバー!キャー!勇者さまと目があったー!」きゃぴっ


勇者(………調子が狂うな)



魔王娘「オイコラ憲兵隊長!テメー、×××マグナム×××使ったことねーんだってな!くたばれ!×××!!」ブーブー


メイド長「お下品な野次する人は退場ですわよ」ギロッ


憲兵隊長(調子が狂う………)
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:01:14.94 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「とにかく、もう終わりにしよう………」チャキッ

勇者「ふっ、武器の使い方は一つではない!」チャキッ

メイド長(……なるほど、銃を剣代わりにしましたか。ライフルが功をそうしましたわね)

憲兵隊長「そんなものでいかがするつもりかな?勇者。私は正規の銃、貴様は剣のなり損ない。勝負は見えている……」

勇者「剣に、刃がなければならぬと誰が決めたか」


憲兵隊長「………何?」
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:01:57.51 ID:8wnrNHQAO
勇者「我が手に届くものは僅かだ。しかし、我が手に届くものを広げうる、それが剣だ」

勇者「石ころでもよい、木の枝でもよい。我が手に収めれば…」

勇者「そして、鋭さと輝かしささえ胸に持ち合わせれば、それは最早、剣である」

勇者「そして剣を収めた我に恐れるものなど……ない!」ジャキッ



憲兵隊長「………」パチパチパチパチ


憲兵隊長「ご立派な御託でありますな、勇者殿……」


憲兵隊長「しかし、御託を並べて無罪を勝ち取れるならば、司法などいらんのだよ、勇者!」カチャリ


175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:02:31.43 ID:8wnrNHQAO
バン!バン!バン!バン!



▼けんぺいたいちょうの すばやい じゅうこうげき!


勇者「!」




憲兵隊長(………終わりだな)ニヤッ




魔王娘「勇者さまぁああああああ!!!!!!」



ブワッ………



「…………」




憲兵隊長(こんなものか………)
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:04:26.55 ID:8wnrNHQAO


サアアア………




憲兵隊長「では、出頭の準備をするように……」




メイド長「ヒット、確認されず!」



憲兵隊長「って、えっ………!?」



カラン…カランカランカラン……



勇者「………」



▼ゆうしゃは ひだんしなかった!

177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:05:11.47 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「!」


勇者「言っただろう?私が恐れるものなどないと」


憲兵隊長(ま…まさか、弾丸をライフル本体で全て受け止めただと…?)



▼けんぺいたいちょうは すこしひるんだ!



勇者「……今度は私だああああああああ!!!!」


▼ゆうしゃの ぜんそくりょく!


タッタッタッタッ!!!!



憲兵隊長「ぐっ……!まだ弾はある!」



バンッ!バンッ!

▼けんぺいたいちょうの じゅうこうげき!



勇者「………」サッ



▼ゆうしゃに よけられた……
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:06:03.65 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「っ……!」バンッ!


▼けんぺいたいちょうの じゅうこうげき!


勇者「………」サッ


▼ゆうしゃに よけられた……


憲兵隊長「よっ、避けた………」カチッカチッ


憲兵隊長「………」カチッカチッカチッカチッ



▼たまぎれだ!
▼たまぎれだ!
▼たまぎれだ!
▼たまぎれだ!



憲兵隊長「なぁっ………」


勇者「毎日無駄に娘の相手をしている訳では……」バッ


勇者「ない!!」ブワッ



憲兵隊長「この…私がぁ……!?」



ドゴオオオォ!!



▼ゆうしゃの だげきこうげき!
▼きゅうしょに あたった!



憲兵隊長「………」



憲兵隊長「 」バタン


▼けんぺいたいちょうは めのまえが まっしろになった……
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:06:35.30 ID:8wnrNHQAO
勇者「………」スタッ


魔王娘「や……」


魔王娘「やったあ!勇者さまが!勇者さまがやりましたああああ!!」


勇者「……私の勝ちでよいな、メイド長」ドヤッ





メイド長「うーん…………」




勇者「えっ…な、なんだその予想外のリアクション」
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:07:17.59 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「なにか問題があるんですか?こーして憲兵隊長は気絶しちゃってるじゃありませんかー」


メイド長「いえね、弾丸が当たった場合死亡扱いなんですけど……これは打撃じゃないですか」

勇者「……えっ」


メイド長「ただ続行不可と言えば不可なので………」



メイド長「引き分けってことで」ニッコリ

勇者・魔王娘「ひっ」



勇者・魔王娘「引き分けぇぇぇ!?」

181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:07:43.00 ID:8wnrNHQAO
メイド長「あ、救護に連絡しなくっちゃと……」ピッポッパッ


勇者「………」



メイド長「ま、戦いは何も生まないってことですわよ」プルルルル……


勇者「………」



魔王娘「ええー……」
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:08:26.76 ID:8wnrNHQAO
――――――――


カァカァカァ………


警備隊長「我々は……いつまで死体をやってればいい」


警備隊員A・B「………さあ」




一方…



魔王「よーし、そろそろうやむやになってるころであろうなー」ルンルン

魔王「とりあえず一旦部屋に戻って面倒だが書類を書かねばなー…メイド長がうるさいからなー……」


ガチャ……



魔王「なああああああああ!?」


ボロ!ボロッボロ!ボロッボロボロッ!!


魔王「我輩の部屋がぁ……部屋がぁ……」

魔王「あああ………」



▼たたかいは やはり なにも うまないのであった…
【第七話・おわり】
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:10:20.15 ID:8wnrNHQAO
【第8話】

▼以下に記すは魔王城史上最大にして、最凶のミステリーである…

メイド長「………」ザーッ


勇者「皿洗いか、メイド長」

メイド長「あら勇者様。そうだわ、これ頼まれていた本です」

勇者「ああ、すまないな。姿を見ないと思ったら買い出しに行っていたのか…」

メイド長「ええ。皆にも色々頼まれてましたから。掃除に洗濯をやりつつ、いまさっき配ってきたんですわよ。」

勇者「メイド長は働き者だな」

メイド長「そうですね、勇者様よりかはずーっと」ニコニコ

勇者「………」
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:10:48.49 ID:8wnrNHQAO
キャアアアアアアア!!!!!!


勇者・メイド長「!」


メイド長「さ、叫び声!」


勇者「あっちからだな!!!」



タッタッタッ……
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:11:15.32 ID:8wnrNHQAO
――――――

ガラッ


勇者「な、何があった!どうした!不審者か!」

魔王娘「うっ……ひくっ………」


勇者「………なんだ娘か」クルッ


魔王娘「ちょっと!何だとはなんですか!!」ガシッ
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:13:07.97 ID:8wnrNHQAO
メイド長「まーた、くっだらないことなんでしょう」


魔王娘「くだらないとは失礼な!すっっごい大事件なんです!!!」


メイド長「忙しいんです。くだらない話でしたら、いい加減はたきますよ殿下」


魔王娘「なんと!!!私の!!!」

メイド長・勇者「………」ゴクリ




魔王娘「ドーナツがなくなっちゃったんです!!」


メイド長「………」ペシッ

魔王娘「あうっ」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:13:46.40 ID:8wnrNHQAO
メイド長「はいはい解散解散」

勇者「解散だな」

魔王娘「待って下さい!待って下さい!あれは、すっっごく美味しくて!並ばないと買えない貴重なドーナツなんですよ!」

メイド長「……並んだのは私ですけどね」

魔王娘「しかもしかも!せ……精力もついちゃう秘薬入りって言う///」

メイド長「………そんなのつけてどうすんです」

魔王娘「言わせないでくださいよキャーっ///!!」バシッ

勇者「ドゥフ!」ボキッ

188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:14:26.08 ID:8wnrNHQAO
ガチャッ!

大臣「メイド長!大変だメイド長!!!」

メイド長「どうしました大臣」

大臣「もう、すっっっごい大事件だよ!!!!!!」

メイド長「………くだらなかったらビンタしますわよ」

大臣「それが!!!!!!!!」

勇者・メイド長「…………それが?」







大臣「私のアイスクリームがなくなっちゃったのだよ!!!!!!!!!!!!」



メイド長「………」バシッ!!!

大臣「oh……!」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:15:00.95 ID:8wnrNHQAO
大臣「で、でもでもでも!ただのアイスじゃなくって、サキュバスの母乳入りで精力がつくっていう、すごく高級で、たくさん並ばないと買えない貴重なアイスなのだぞ!!!」

メイド長「並んだのは私ですけどね」

メイド長「第一、精力をつけるようなお仕事ではないでしょう」

大臣「そ………それは私の口からは…………キャー!」バシッ!!!


勇者「ぬぅふ!」ボキッ
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:15:47.43 ID:8wnrNHQAO
ガチャッ!

警備隊長「大変だ!大変だ!メイド長殿!!!!!!」

メイド長「………大事件なんですわよね」

警備隊長「ああ!!」

メイド長「………私が並んで買ってきた精力のつく、貴重なケルベロスの心臓入りプリンがなくなっちゃったんですわよね?」


警備隊長「ああ!!!!!!大変だろう!

メイド長「…………」バシッ!バシッ!

警備隊長「どぅふっ!?」

勇者「お、往復ビンタ………」

魔王娘「きょ、キョーレツー……」

大臣「………ですなぁ」

警備隊長「はぁ…………////」


魔王娘・大臣「うわっ………」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:27:57.29 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「あ、ちなみに誤解しないでくださいよメイド長殿!べ、別にそういう感じのアレじゃっ////」ドゴォ!


勇者「どぅぬふぅ!?」ボキッ



勇者(な……なんで私は毎回…………)
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:44:25.52 ID:8wnrNHQAO
ガチャッ

魔王「メイド長大事件だよ!!!!!!!」

メイド長「…………」ドスッ!!

魔王「おぇぶっ!!!!!!?」

魔王「 」チーン……


魔王娘「ひ……ひええ………」ぶるぶる


大臣「な、なんか今日のメイド長はひどく好戦的だな………」ぶるぶる


勇者(溜まってたんだろうなあ………)
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:45:02.05 ID:8wnrNHQAO
メイド長「………とにかく、事情を伺いますわ」

魔王娘「14時30分にメイド長からドーナツをもらって……部屋に置いたまま、私がトイレに行ってる間にドーナツがなくなっちゃったんですよ!」

大臣「14時40分、私が給湯室でお湯を沸かしている間に……テーブルからアイスがなくなったのだぞ!!!」

警備隊長「15:30にプリンを食べようと冷蔵庫を覗いたら無くなっていて……」

魔王「右に同じだ!16:00くらいにケーキを食べようと思ったら跡形もぉ…………」

メイド長「なるほど。殿下はお部屋、大臣は給湯室、警備隊長と魔王様はキッチン………ですか」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:45:54.63 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「私はお父様が怪しいと思います」

魔王「………なっ!」

魔王娘「お父様ってば食い意地が張ってるんですもん!お父様に決まってます!お父様が犯人です!」

魔王「ち、違うもん!パパ偉いからそんなことしないもん!!!」


魔王娘「どうだか!私がトイレに行くときすれ違ったじゃないですか!!」


魔王「そ………それはだな………」あたふたあたふた

大臣「犯人は魔王様ですな」

警備隊長「ま、前科がありますしな……」

メイド長「魔王のくせに、やることしょっぼいですね…」


魔王「ち、ち、ちがうぅ!!!そんな目でみるなぁあ!!!!!!!!!」

195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:46:41.24 ID:8wnrNHQAO
魔王「い、いや………そ、そうだ!警備隊長、お前がプリンがあると最後に確認したのはいつだ?」

警備隊長「………午後3:00ですが」

魔王「無くなったのを発見したのは」

警備隊長「15分後です」

魔王「そ、その時間私はメイド長と喋っていた!!!完璧なアリバイだ!ねー?」

メイド長「ええー………」

魔王「ええー……とはなんだ……」

警備隊員A「あの………」

メイド長「なんです?」

警備隊員A「その、15分間の事なんですけど」

警備隊員B「僕たち……キッチンの前をうろうろする大臣の姿を見たんです」

大臣「なぁ!」

大臣「な、な、なにを!なにを言ってる!う、う、うそだ!げ、げ、減給だぞ!減給!!!!!!」あたふたあたふた


一同(………こりゃ間違いないな)
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:48:13.64 ID:8wnrNHQAO
大臣「い、いや!し、しかしだな!逆に殿下が盗まれた時間!その時間は、私は警備隊の訓練を視察してただろう!!!なぁ!!!!」

警備隊長「それは……間違いありませんよ」

大臣「まあ……大変いい辛い事なのだが、私が給湯室に行くとき………殿下とすれ違いましてな」

魔王娘「えっ………!」

大臣「いいんですぞ殿下、お年頃ですからなー…こんなに沢山いただければブクブクお太りになるでしょうが」ぷっ

魔王娘「ち、ちがーう!ちがうもん!警備隊長のプリンが無くなったとき、現場にいたもんね!!!」

警備隊長「あ……ああ………」

大臣「どうですかな、警備隊長と殿下が共犯というケースもありますからなぁ」

魔王娘「だったらヒゲとハゲが共犯って場合のほうが現実味があります!!!」


魔王「ひどい!大臣がハゲなのはともかく我輩がヒゲって!!!」


大臣「ひどい!魔王様がヒゲなのはともかく私がハゲって!!!!」

ヤルカゴラァ!!!キャーキャー!!!ハンニンハオマエダ!!!!イヤイヤオマエダ!オマエダ!オマエダ!



勇者「………何が何なんだか」


メイド長「醜いですわね、食べ物が関わると」
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:49:14.75 ID:8wnrNHQAO
勇者「とにかく、ほぼ全員にアリバイがあるのではどうも…誰かが嘘をついているのか………」



皇后「やだ、だれも嘘はついてないわよ〜」



勇者「おっ、奥方!!」


メイド長「……いつの間に」


皇后「実は偶然、偶然ここに事の一部始終を収めたビデオがここにあるのよ」

メイド長「………偶然、ですか」


勇者(だったら最初から出しておけば……)」
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:49:45.26 ID:8wnrNHQAO
皇后「じゃあスイッチー♪オン!」

魔王「………」

魔王娘「………」

大臣「………」

勇者「どうした、急にだまりこくって」

199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:50:42.50 ID:8wnrNHQAO
●REC

―魔王娘の部屋―

ガチャッ……


魔王『……………』 こっそり

魔王『………』パクッ


魔王『………』ササッ


魔王「………」



魔王娘「ああ!やっぱりお父様!!!」

魔王「い……いや、た、食べないのかと思ってだな………」


魔王娘「人の部屋に入ってまでいうセリフですか!死ね!!!!」

魔王「しねって………そこまで酷いこといわなくったってぇ……」グスン



勇者(俺には散々言ってきたがな……)
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:51:46.12 ID:8wnrNHQAO
勇者「ん……でも、メイド長と話していたのだよな、メイド長が嘘をつくとは到底」

皇后「ええ、二人とも嘘はついてないわ。これが警備隊長のプリンの件の映像だけど……」


ポチッ


大臣「………んああっ!」


●REC

―キッチン―

大臣『………』パクッ

大臣『………』ニヤリ




大臣「………」
魔王娘「…………」ギロッ

201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/08/31(金) 22:52:05.80 ID:ene4kojJ0
なんかこの・・・どうでもいいくだらなさみたいのがクセになってくるな。
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:52:48.45 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「自分が犯人だった癖にぃぃ!私に罪をなすりつけようとしましたよね!!!」

大臣「い、いや……あれは可能性を申し上げただけで…………」

魔王「給料50パーカット、半年」ポン


大臣「えっ」


皇后「で、次に大臣の件ですけどね〜」

●REC

―給湯室―


大臣『あ、お湯が無くなったな……水を入れ替えねば』

ガチャッ


魔王娘『…………』

ガチャッ


魔王娘『……アイスいただきです』パッ

ササッ


ガチャッ



大臣「…………」ジロッ

魔王娘「えへっ☆」ぷりてぃー

203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:53:30.85 ID:8wnrNHQAO
るーるーるーるーるー………

メイド長「なーんでこんなことしたんです」

魔王「……ドーナツが食べたかったからです。でも一口だけですから!」

魔王娘「……ドーナツが無くなっちゃって……どんな手を使っても甘いものが食べたかったんです……私だって一口だけです!」

大臣「……アイスが無くなっちゃって、悔しくなってやりました……私も一口だけ!」

魔王娘「いや、一口なわけないです!」

大臣「いや殿下こそ随分大きな一口ですな!」


ワーワーキャーキャーキャーキャー


勇者「……悪の心が悪を呼び寄せた悪の連鎖だな」

204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:54:12.00 ID:8wnrNHQAO
勇者「しかし、警備隊長まで盗み食いするとは意外だったな」

警備隊長「い、いや!私はやっていないぞ。ですよねぇ!」

大臣「ああ、16:00くらいといえば、警備隊長から報告を受けていたぞな

魔王娘「あたしだって違いますよ。遊んでましたよね!」

警備隊員A「ええ……」

警備隊員B「間違いなく」

魔王娘「そうだ、お母様のビデオを見れば………」

皇后「それが……」

皇后「ちょうどテープが無くなっちゃって〜」てへっ


一同「………」ズコーッ
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:55:36.19 ID:8wnrNHQAO
魔王娘「でもお母様自身が犯人を……」

皇后「ごめんなさい、見てないのよ〜………ちなみに私は甘いもの苦手だから違うわよ」

魔王「じゃ、じゃあ勇者!お前だな!お前だけアリバイないしな!!うっわ最低!」

大臣「そうだ、憲兵隊長呼んでやりましょうよ!!!!!!」


一同(………棚にあげたな)


勇者「い、いや私はずっと部屋に………」

魔王娘「間違いありませんよお父様!その時間勇者さまは部屋にずっといました!」

大臣「確か殿下は遊んでましたんでしょう?なぜわかるのです」

魔王娘「勇者さまをウォッチングして遊んでたんですよ!!!!ねー?」


警備隊員A・B「………ねー」


勇者「う…うわ……」ゾクッ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:56:13.08 ID:8wnrNHQAO


じゃあ………
だれが魔王のケーキを食べた………?


一同「……………」ゾクゥッ


魔王娘「ゆ……幽霊」ポソッ

大臣「や、や、や、やめ!やめてくだされ殿下ぁ!」

魔王「幽霊だ!幽霊だ!き、き、祈祷師を呼べ!祈祷師をよべええええ!!!」あたふたあたふた


警備隊一同「かかってこい!幽霊かかってこい!」ブンッ!ブンッ!


魔王娘「おば、おば、おばけは……おばけだけは無理ですぅ…………」ぶるぶる



勇者(…………幽霊は偉大だなぁ)


207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 22:56:39.85 ID:8wnrNHQAO
勇者「幽霊かはともかく、結局この事件は迷宮入りかなメイド長………」

勇者「ってあれ、メイド長?」

メイド長「〜♪」

勇者(やけに……楽しそうだな)


魔王「来るならこい!来るならこい!」ブンッ!ブンッ!



【第8話・おわり】
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/08/31(金) 22:58:04.05 ID:8wnrNHQAO
一旦中断

多分このまま一気に一部の再放送は終わらせちゃうと思います

ハイペースですがお付きあいありがとうございました
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/31(金) 23:21:04.57 ID:EG/z+7A7o
糞面白い
久々に良スレ発見したわ
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:36:01.46 ID:8wnrNHQAO
【第9話】

カチャ

メイド長「お紅茶をお持ちしましたわ」

勇者「ああ……ありがとう」ペラッ

メイド長「あら、読書ですか?」

勇者「そうだな……読書と言うより調べものだな」

メイド長「『図解魔王国史第128刷』……私が買ってきたものですわね。」

勇者「ああ。気になることがあってな。ま、人間国と比べるのもまた一興かと思ってな」

メイド長「ふふっ……そうですわね」

勇者「なにかおかしいかな」

メイド長「いいえ。勇者様は適応がお早いと思いまして。ふふっ」

勇者「…皮肉か」


メイド長「いいええ。最大限の賞賛ですわよ」

勇者「……そうか」むっ
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:36:28.02 ID:8wnrNHQAO
勇者「そうだ、メイド長」

メイド長「なんです」

勇者「一部読めない文字があるのだ。手伝ってはくれないかな」

メイド長「承知しましたわ。そうですわね……私も人間国に関しては興味がありますから勇者様のお話も伺いたいですし」

勇者「ならお互いに利が得られるな……で、この部分なのだがな」ペラッ

メイド長「ええと……この部分ですわね」
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:38:00.47 ID:8wnrNHQAO
魔王国の歴史は意外に短い。

言い伝えによれば、昔は全ての生き物は共に暮らしてきた。
人と魔物という区別はなかった。

しかし、突然…現在ではまだ解明されていないが、何らかの“要因”により、“魔術”が生まれ、
また、一部の人間や動物は魔物と呼ばれる存在に変化した。

そのうち変化したもの、しなかったものは互いに争うようになった。

その結果、誕生したのが魔王国と人間国という二つの国であった……

魔王国には現在までに二代の国王が存在する。

と、言えども我々魔王国の民は人間よりずっと長生きであるので、彼らの国と同じ視点で物事を考えてはならないのは賢明な読者諸君にはおわかりだろう。

初代魔王は、何千年〜1万年に渡る長き戦いにピリオドを打ち、人間国からの独立を宣言したのである。

一代でこの国を作り上げ、現在の国のシステムの根幹も彼が完成させた。
娘は一人。愛妻家であったと伝えられ、側室は迎えなかった。

また、彼を倒そうと幾度となく何千人もの勇者達は魔王国へやって来た。 その中でも魔王にたどり着いた勇者はたった1人だったと伝えられる。

213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:39:18.49 ID:8wnrNHQAO
メイド長「勇者と呼ばれる方々が魔王国へやって来たのは、御爺様…初代の魔王様が、勇者が魔王様を倒しさえすれば、その者に国を譲渡すると両国に布告したことが始まりですわ」

勇者「しかし…初代の魔王を倒すことは結局のところ、一度も叶わなかったのだな」

メイド長「そうですわね。私がここへ来た翌年にお亡くなりになられてますから。」
勇者「個人的な興味ですまないが…どのような人となりだったのだ?」

メイド長「その頃には結構魔力を使い果たしちゃってるみたいだったので、豪傑と言った感じはありませんでしたわ。と言うより」

勇者「……言うより」

メイド長「私の下着を盗んでは嬉々と履いているような方でした」

勇者「………変態一家なのか」

214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:39:48.75 ID:8wnrNHQAO
勇者「あれ、しかし『娘が一人』とあるな……」

メイド長「あら、今の魔王様は婿養子なんですのよ」

勇者「えっ、じゃあ娘って」

メイド長「皇后様ですわ。」


勇者「……マジで」

メイド長「マジで」
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:40:57.78 ID:8wnrNHQAO
二代目の魔王は初代魔王の作り出したシステムをより発展させた。

また、富の再配分を完璧に成し遂げた事や商業を発展させた事も彼の功績である。

また個人についてであるが、彼は婿養子であり、初代魔王が才能を見抜いたという。

その後は警備隊長として活躍し、数年後には結婚。100年程前から魔王の座についている。

彼のもとに現在まで何十人もの勇者が現れ、うち1人が魔王のもとにたどり着いたとされる。

メイド長「この本は勇者様がいらっしゃる以前のものですから、+1、しませんとね」

勇者「ふっ……。たどり着いたのは良いがまさかこんな事になるとはな」



勇者「まさか、な………」
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:41:54.05 ID:8wnrNHQAO
メイド長「勇者さまは歴代勇者様の中でも随分な有名人みたいですけれど……」

勇者「25年ぶりの勇者だからな。国民の期待がでかいのだ……」

メイド長「25年前?」

勇者「たどり着いたかは分からんがな、べらぼうに強い勇者がいた。」

メイド長「25年前か……」

メイド長「私が働きだしたのも、確かそのくらいでしたわね……その前の記憶はまるでありませんですけど」

勇者「……め、メイド長、あなた」

メイド長「変化しなくとも、一応魔族契約はしていますから、老化は遅いんですのよ。」

勇者「20で働き出せば、だいたい、よんじゅう……」

メイド長「……計算しなくてよろしい」ガスッ
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:42:42.67 ID:8wnrNHQAO
勇者「で、話の続きだが、そのべらぼうに強い勇者は昔からすごくてな。幼少時にクマを素手で倒したらしい。ま…首の後ろに傷は残ってしまったらしいが」

メイド長「………ん?」

勇者「その勇者にはライバルがいた。銃士でな。それはそれはもう…根暗なやつだったらしい。で、その二人は1人の僧侶の少女を取り合っていたらしい」

メイド長「……んっ?んっ?」

勇者「で、あらゆる手段で決着をつけようとしたが、決着がつかず、結局魔王を倒した方が僧侶と付き合うと二人は勝手に決めたらしい」

勇者「そんなこんなで旅立つのだが、責任を感じた僧侶がこっそりついてきた……と言う話だ。」

メイド長「………なんか、似たような状況の人達を、知ってるような気がするんですが」

勇者「………まさか」


勇者・メイド長「まさかねぇ!!」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:44:00.02 ID:8wnrNHQAO
勇者「んで余談なんだが、その村には大量の物資が毎年送られてくるらしい」

メイド長「へえ……誰からです?」

勇者「それが分からないらしい」


勇者「……そう言えばちょうどこの時期城の物資が若干減るんだったな」


メイド長「え?」


メイド長「いやいやいやまさか!」


メイド・勇者「まっさかぁ!!!!!!!」
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:44:39.98 ID:8wnrNHQAO
【魔王の部屋】

大臣「どうしました、お悩みになって」

魔王「いっそ殺して黄泉がえりに掛ければ記憶もまっさらになるし、教育しなおして人間国との交渉材料にできるのになーって」

大臣「まあ……それが一番楽ですよねー」

魔王「でもな……我が妻がなぁ………」

皇后「だーめっ」ニコニコ

魔王「ひぃぃ!?」ビクッ

大臣「………いつの間にいらしてたんですか」


皇后「ず〜〜〜〜っと」ニコニコ


魔王「………そ、そうなんだぁ」ゾクリ
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:45:12.77 ID:8wnrNHQAO
皇后「そんなこと、私が許しませんよ〜?」

魔王「でもほら……人間国との話し合いの材料にさ」

皇后「 絶 対 に 許 さ な い  わ よ 」



魔王「ぅぅ………」
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:45:55.11 ID:8wnrNHQAO
皇后「………あなた、不安なのでしょう〜?」

魔王「…………」

皇后「もし、勇者さんが、あのままでも私達を…あの子を理解出来るのか…自分に置き換えると」

魔王「………」

皇后「だけどあの方なら大丈夫よ、あなた。きっと……」


皇后「ううん……絶対に」



【第9話おわり】
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:48:09.16 ID:8wnrNHQAO
【最終話】


ザー……ザー……


ゴロゴロゴロゴロ……


ピカッ!



憲兵隊長「勇者の断罪にまんまと失敗してしまった……」

憲兵隊員A「私達が至らないばかりに…」

憲兵隊長「いや、君達の責任ではあるまい……」

憲兵隊長「単に私の力が及ばなかっただけなのだ……」

憲兵隊員B「とか何とか冷静っぽく装ってますけど、内心とてつもなく悔しがってますよね隊長」

憲兵隊長「は、なんで悔しがる必要とかあるのだ?結果的に負けてないし?だから全然悔しくないし?……」

223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:48:37.96 ID:8wnrNHQAO
ピカッ!


憲兵隊長「しかし、憲兵隊の威信にかけてただ勇者の死罪を免除するわけには参らん……」

憲兵隊員A「……と、申しますと」

憲兵隊長「あのとき、負けておけば良かったと……」



ゴロゴロ………



ピッシャアアアアン!!!





憲兵隊長「後悔させてやるのだ………!」
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:49:22.32 ID:8wnrNHQAO
―ある日の昼下がり―


ミーンミンミンミーン……

勇者「……ううむ」

メイド長「どうしたんでしょうかね勇者様。暑さで頭がやられたんでしょうか」ヒソヒソ

警備隊長「……そう言えばこの間も悩んでらっしゃったような」ヒソヒソ

勇者「………うぅ」

メイド長「ゆ、勇者様、悩みが有るなら遠慮なくお話になってください」

警備隊長「け、憲兵隊長に何か嫌がらせでもされたのかな?」

勇者「いたのか……いや、そのだな」


メイド長・警備隊長「………」コクコク
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:49:57.43 ID:8wnrNHQAO
勇者「……どうにも理解できんのだ、娘が」

メイド長「娘……と言うと、殿下のことが?」

勇者「先日の話だ。あのとき、娘が私を手助けしたのは、あくまで自身の手で私を殺したいのであって、憲兵隊長に殺される事を良しとしないだけだ…と思うのだが」


勇者「一瞬いかにも慈悲深い表情を私に向けたのだ。その意味が分からんのだよ」

メイド長・警備隊長「………は?」
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:50:37.81 ID:8wnrNHQAO
勇者「いや、だからだな、娘から慈悲深いというかだな……何というかだな……暖かいものを感じたのだ。これから殺そうと言う相手にそんなものを向けて何の意味が」

警備隊長「わ…わたしは貴方の発言の意味が分からんのだが」

勇者「しかも最近あまり殺気を感じられなくなったのだ…というか、だな」

勇者「殺される危険性すら初めから存在しなかったのではないかと錯覚してしまうのだ。どういうメカニズムでそんなことを……まさか幻術か何かで私の危機感を……」


警備隊長(……幻術でも錯覚でもないぞ)


メイド長(『事実』ですのよそれは……)
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:51:23.65 ID:8wnrNHQAO
メイド長「勇者様、殿下についてよーくお考えになってくださいませ」

メイド長「………殿下に命を助けられた」

勇者「ああ」

メイド長「………殿下は勇者様に抱きついてくる」

勇者「ああ」

メイド長「………殿下は勇者様といるとき大抵笑顔です」

勇者「ああ」

メイド長「………殿下は勇者様を救おうとした」

勇者「ああ」


メイド長「そこから普通に考えればどうなります……」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:52:57.36 ID:8wnrNHQAO
勇者「……いや、それはおかしい」

メイド長「…なにがおかしいんですか」

勇者「そう言われたら、まるで娘が私に惚れているような印象を受けてしまう」

警備隊長「いや、だからだな……」

勇者「ワッハハハハ!そんなアホな!!」


メイド長・警備隊長(……アホはお前だよ)
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:53:27.51 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「少々失礼する勇者殿」


勇者「……どうした警備隊長」

警備隊長「…………」ガシッガシッ



▼けいびたいちょうの なぐるける!


勇者「ちょ、ちょっ……」



警備隊長(立場が逆ならば!逆ならば!)ガシッガシッ


勇者「な……なぜなぐるのだ!なぜなぐるのだ!」
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:54:12.70 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「………」ガシッガシッ

警備隊長「………」ガシッガシッ

警備隊長「………ん?」

憲兵隊長「………」ガシッガシッ

警備隊長「……なんで貴様がここにいる」ガシッガシッ

憲兵隊長「勇者の監視の為だ。まだ決着がついた訳ではないから、違法行為があればすぐに連行するつもりだ………」ガシッガシッ

警備隊長「相変わらずのナメクジっぷりだな」ガシッガシッ

憲兵隊長「……歩く破廉恥に発言権などないハズだが………」ガシッガシッ

警備隊長「ぬあああああにいいいい!?」ガシッガシッ



勇者「………あの、もういい加減止めて貰えんか」ボロッ
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:55:13.22 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「それで!何をするつもりかな!憲兵隊長!」

憲兵隊長「言っただろう、監視の為だと……まあ、今日はそれのみではないのだが……」

警備隊長「懲りずに決闘の申し込みかな?まーたどうせメイド長殿の前で無様に気絶でもするのがオチだろうが。ぷふっ」

憲兵隊長「何を言ってるのかワケが分からないのだが。突然睡魔が襲ってきたから寝てただけなのだが。」

警備隊長「銃なんて引いて撃つだけだろうに。疲れるわけがあるまい」

憲兵隊長「べつに一日中剣を振り回している誰かとは違い事務もこなすからな私は……」

警備隊長「うっわ、話をすり替えてごまかしているな憲兵隊長ぉー」

憲兵隊長「わ、わたしは別に……!」

メイド長「 お や め な さ い 」

警備隊長・憲兵隊長「はっ!」ピシッ

勇者「………」
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:55:52.77 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「話を戻そう。勇者、引き分けという結果にはなったが、正直お前に有利な展開だったことは認めよう……」

勇者「………そうか、ならば」

憲兵隊長「しかし、私に勝ってもいないわけだ。だとするなら単に無罪とするわけには参らん……」

メイド長「まあ、内容はどうであれルールはルールですからね」

勇者「むぅ………」

憲兵隊長「貴様の国では軽度の犯罪を犯した際にどのような処置を致すのか……」

勇者「そ、そうだな。例えば慈善行為に励むことが義務とされるだとか……」

233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:56:43.01 ID:8wnrNHQAO
憲兵隊長「ならば、勇者にも『慈善行為』に勤しんでいただこう」

勇者「!」

憲兵隊長「本日午後に憲兵隊の仕事内容を市民に知らせる催し物が行われる。その中での児童向けの演劇にて協力を仰ぎたい。」

勇者「………どう言うことだ」

憲兵隊長「……協力するならば、超法規的措置を認めようと言っているのだよ。勇者」

警備隊長「ほ、本当か憲兵隊長!」

憲兵隊長「私が虚偽の発言をしたことはあるかな警備隊長」

警備隊長「た、確かにないな」

憲兵隊長「どうする勇者」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:58:30.26 ID:8wnrNHQAO
勇者(……以外とこの男とは折り合いがつくかも知れんな)

勇者「よし、引き受けよう」

憲兵隊長「ならば決定だ。ヒトサンマルマルに中央広場まで送れぬように。」
………ガチャッ

警備隊長「良かったな勇者殿!」ポンッ

勇者「ああ。しかし初めて魔王城から外に出れるな!」

警備隊長「ビックらこいちゃうぞ勇者どのー!あ、今日は暑いから帰りにビアガーデンでも行こうか勇者殿!私の奢りだぞぉー!!」

勇者「楽しみにしているぞ警備隊長!」

メイド長「………」

警備隊長「どうなされたメイド長殿」

メイド長「いえね、何だか妙な予感が……」

メイド長「……気のせいでしたらいいんですけど」

235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:59:01.56 ID:8wnrNHQAO
―城下町―

子供「おい待てよー!」タタッ

子オーク「バウバウッ!(待つもんか!)」タタッ

子供「変化してずりー!俺も」ポゥッ!

子ゴブリン「オウッ!(逃がさないぞー)」タタッ


パカラッパカラッ


警備隊長「どうかな、勇者殿」

勇者「………何というか、のどかというか、ものすごい阿鼻叫喚と言うかだな」
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/08/31(金) 23:59:42.15 ID:8wnrNHQAO
警備隊長「移民ではない以上、先天的に魔物への変化能力を身につけているからな。」

勇者「戦うモンスターの殆どは兵士が変化した姿だとメイド長が言っていたな」

勇者「しかし隊長のように、後天的に能力を身に付けたものはどうなのだ?……そう言えば憲兵隊長はどうなのだろうか」

警備隊長「ああ。ほとんど使わんらしいが、奴も私と同じだ。契約をすれば人間でも身体は魔王国の住人と同等になれるし、寿命だって伸びる」

警備隊長「気が向いたら勇者殿もどうかな?」

勇者「……冗談」
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:00:45.96 ID:lcra2KKAO
警備隊長「ははっ」


「いらっしゃい、ビールはどうかね。2Gさね」

「ああ、いただくよ」

「あれ、1G多いよ旦那」

「暑いなか頑張ってるからチップだよ。とっときな」

「まいどありー!」


勇者「……中心部は豊かなようだな」

警備隊長「中心部だけでなく、末端の村も似たようなものだぞ」

勇者「なんと」

警備隊長「この国では富の再分配が上手く行われているのだ。富めるものは程々に富み、貧しい者達は程々に救われている。人間国ではどんな経済体制なのだ?」

勇者「国の為に民は働き、国は民に報いる……筈なのだがな、どうにも格差が出てしまうらしい」

勇者(……しかし驚いた。こうまで魔王国が発展しているとは)

勇者(というより……)

勇者(………何故だ、あれだけ彼らは邪気の塊だと教え込まれていたのに、だ)


勇者「皆……良い顔をしているな」


警備隊長「ああ。そうだな、勇者殿」
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:02:04.48 ID:lcra2KKAO
パカラッ………


キキーッ


警備隊長「付きましたぞ勇者殿」

勇者「……ここが中央広場というやつか」

警備隊長「おお、もう舞台が出来上がり、子供達が待っているようですな!」


勇者「………舞台?」
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:02:34.33 ID:lcra2KKAO
子オークA「ウオォォ!」

母親A「ダメでしょ興奮して変化しちゃっ」

パパゴブリンA「ウオ!ウオ〜!」

母親A「もうパパまで……」

子スライム「………」とぅるん

パパスライム「………」とぅるん

母親B「もう、早く戻りなさい二人とも!」


勇者「……やはり阿鼻叫喚モノだな」
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:03:18.23 ID:lcra2KKAO
魔王娘「勇者さまー!」タターッ

勇者「で、出た!」

魔王娘「お化け扱いしないでくださいよ!今日も全身!全霊で!あたしの愛を………」

メイド長「………」グイッ

魔王娘「んー!前に進めないですー」ジタバタジタバタ

メイド長「私たちは客席で見学してますので頑張ってくださいね勇者様」ニコッ

魔王娘「やー!やーよ!やーよ!やーよぉ!」ジタバタジタバタジタバタ

メイド長「お行儀良くなさい。お外なんですわよ」


魔王娘「はぁい……」シュン



勇者(魔王城の支配者は実質的にメイド長殿なのかも知れんな……)
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:03:44.98 ID:lcra2KKAO
ポンッ


勇者「……どうした警備隊長」


憲兵隊長「………」ヌッ



勇者「ひゃあああああ!?」
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:04:20.42 ID:lcra2KKAO
憲兵隊長「…来たか、勇者……」

勇者「あ…ああ……、約束は守る。で、私は何をすればよいのかな」

憲兵隊長「これを着たまえ」


むわわ〜ん

勇者「な……なんだこれは……」

憲兵隊長「ケルベロスの着ぐるみだ。分からんか」

勇者「わ、分かるが…な、なんでこんなものをこの暑さで……」

憲兵隊長「……」ジャキッ

▼けんぺいたいちょうは じゅうをかまえた!



勇者「……わかった。着よう」
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:05:25.23 ID:lcra2KKAO
勇者「………」むれむれー


憲兵隊員A「プークスクス。人間国の犬が犬の着ぐるみ着てるぞぉ」

憲兵隊員B「プークスクス」

勇者「………で、私は何をすればよい」

勇者「やはり正義の味方か、それとも参謀か、それとも心優しき……」

憲兵隊長「教えてやれ……」

憲兵隊員A「はっ!貴様の役どころは村を荒らしに来た不貞な輩である!」

勇者「………不貞な、輩?」

憲兵隊員B「そうだ」

勇者「ま!まてまてまて!私はいままで公明正大かつ謙虚に正義の道を生きてきたのだ!それが悪役を演じるなどという馬鹿げだ行為をだな!」

憲兵隊長「……」ジャキッ

憲兵隊員A「……」ジャキッ

憲兵隊員B「……」ジャキッ


▼けんぺいたい いちどう じゅうをかまえた!


勇者「………ッ!」


勇者「あ、ああ!好きにしろ!悪に身を売るくらいなら死んだほうg」


憲兵隊長「5、4、3、2、1……」ジャキッ


勇者「やろう!やらせていただこう!!」
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:05:53.59 ID:lcra2KKAO
勇者「………」むわわ〜ん

勇者「……卑怯な憲兵隊長め!いつか成敗してくれるわ!!!」むわわ〜ん


憲兵隊員A「そんな着ぐるみ姿で言われても迫力もクソもないがな!!!!」プギャー


勇者「………ぐぅっ!」
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:06:28.96 ID:lcra2KKAO
ワイワイワイ……

子供A「お母さん楽しみだね!」

母親A「そうね、憲兵隊の劇はいつも面白いもんね」

子供C「今日はママとパパとお出かけ出来てうれしいな!」

母親C「うふふっ」

勇者「………子供というものは、どこでも健やかで穢れないな」ニコッ

憲兵隊員A「そうだな。子供は好きだよ、我々は」

勇者(たくさんの子供達が劇を楽しみにしているようだな)


勇者(……私も不平を言わず、子供達の為に励むとするかな)
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:06:57.70 ID:lcra2KKAO
チリンチリン


子供B「あー!始まる合図だ!」



パッ


憲兵隊長「みぃんなぁ〜!!こんにちはぁ〜〜!!!」


勇者「えっ」


警備隊長「えっ」

メイド長・魔王娘「えっ」
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:07:35.11 ID:lcra2KKAO
憲兵隊長「僕はぁ、正義の味方!憲兵隊長さんだよぉ!よろしくねー!」キャピッ☆

子供一同『よろしくお願いします!』

憲兵隊長「声が小さいよぉ…みんなならもっと、大きな声がだせるはずだよぉ!せぇの!!」


子供一同『よろしくお願いしまーす!!』


憲兵隊長「よくできましたー☆」ぱちぱち


【舞台裏】
勇者「な………なんなのだこれは」

憲兵隊員A「……毎年こうなんだよ」

憲兵隊員B「ストレス、溜まってるんだろうな…隊長も………」


勇者「………そ、そうなのか」
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:08:03.73 ID:lcra2KKAO
―舞台上―

憲兵隊長「今日は、みんなに憲兵隊の素晴らしさを知ってもらいたいんだけど……」

ケルベロス(勇者)「わーんわんわん……そ……そうはさせないわん……」ボソッ

勇者(な……なんだこの死ぬほど恥ずかしいセリフは!)

子供A「……なんか敵棒読みだな」

子供B「一気に盛り下がったよ」



勇者(い、いけない!子供達ががっかりしているぞ!)
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:08:33.16 ID:lcra2KKAO
勇者(……悪になりきるというのは性にあわんが、悪の非道さを伝えるのも私の仕事であるな)

勇者「わ………」

ケルベロス(勇者)「ワーンワンワン!そうはさせないワン憲兵隊長!!」ビシッ

憲兵隊長「………うわっ」ひきっ


勇者(……やらせておきながらドン引きとはあんまりではないか)
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:09:45.04 ID:lcra2KKAO
魔王娘「キャー勇者さま超すてきー!ええぞええぞ!!」やんややんや

子供D「ぷふっ……あのお姉ちゃん」

メイド長「………殿下、恥ずかしいですわよ」

憲兵隊長「……ゴホン」

憲兵隊長「お前は悪の使い手だな!何をしに来たのだ!」ビシッ

ケルベロス(勇者)「この会場をめちゃくちゃにしにきたワン!ここにいる子供をさらってスープにして飲んでやるワン!」チラッ

子供一同「………」

子供A「わ、わぁ!こわいなぁ!」


子供G「こ、こわいよママ!」


勇者(………何だか子供に気を使わせているような気がするが)
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:10:20.48 ID:lcra2KKAO
憲兵隊長「許さんぞ!我々憲兵隊が成敗してくれる!仲間達よ!力を貸してくれ!!!!!!」ビシッ

憲兵隊員A「憲兵隊員A参上!」バッ

憲兵隊員B「憲兵隊員B参上!」バッ

憲兵隊長「そして、私が憲兵隊長だ!!」


バアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!


憲兵隊員A「けふっ…けふっ……か、火薬使いすぎですよ隊長…」


憲兵隊長「我慢したまえ、子供達の為だ……」
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:11:05.30 ID:lcra2KKAO
憲兵隊長「とにかく!」ビシッ

憲兵隊長「私に熱い正義の血が流れる限り!貴様は許さんぞ!かかれ!」

憲兵隊員A「くらえ!憲兵パンチ!」ドゴォ!


ケルベロス(勇者)「ぬふぅ!?………だワン」


勇者(ま、まて!ほ、本気で殴ってないかこやつらは!)

憲兵隊員B「憲兵キック!2連発!!」ドゴォ!ドゴォ!


ケルベロス(勇者)「ぬふぅ!?ぬふぅ!?……だ、ワン……」


憲兵隊長「これで止めだ勇……ではなくて犬!くらえ!憲兵隊究極の必殺技!!!!!!!」

勇者(よ、よしこれで…………)



憲兵隊一同「憲兵袋叩き!!!!!!!!」



犬(勇者)「………えっ」
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:11:40.06 ID:lcra2KKAO
ドゴォ!ガシッ!ドゴォ!ガシッ!ドゴォ!ドゴォ!ドゴォ!


ケルベロス(勇者)「ちょ!えっ!い!痛い!痛い!!………ワン!!!!!!」

憲兵隊員A「オラオラ人間国の犬め!」ガシッ!ガシッ!

憲兵隊員B「成敗してくれるわ!成敗してくれるわ!」ドゴォ!ドゴォ!

憲兵隊長「この間の借りだ……」ガシッ!ドゴォ!ガシッ!ドゴォ!



ケルベロス(勇者)「は……話が違う………ワン………」
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:12:17.39 ID:lcra2KKAO
ドスッ!ドスッ!ドスッ!


子供A「な、なんか、今日の劇……へ、へんだよな」

子供E「うん……変よね」


魔王娘「ちょっとふざけんじゃないわよナメクジ野郎!!てめぇ、×××××の××××××ついてんのかゴラァ!!!」ガタッ



メイド長「殿下」

魔王娘「だけどメイド長!」



メイド長「 で ん か 」



魔王娘「………ハイ」
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:12:47.84 ID:lcra2KKAO
ガシッ!ガシッ!ガシッ!ガシッ!

ケルベロス(勇者)「うう……。だワン」

憲兵隊長「ぐへへへ…………」ガシッ!ガシッ!

憲兵隊員A「楽しいな!」ガシッ!

憲兵隊員B「ああ!」ガシッ!


勇者(こ……これも子供達のためだと……思えば………)



ガシッ!ガシッ!ガシッ!


ケルベロス(勇者)「!」ぐらっ



勇者(……ま、まずい!まずいぞ!)
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:13:14.62 ID:lcra2KKAO
ガシッ!ガシッ!ガシッ!


勇者(こ、このままだと着ぐるみの頭が………!)

勇者(そ、それはまずい!子供達の夢が……)


ケルベロス(勇者)「け、憲兵隊長……すこし」



憲兵隊長「ぐへへへ……」ガシッ!ガシッ!


勇者(……き、聞いていない)
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:13:49.22 ID:lcra2KKAO
子供F「ねぇ、ケルベロスさんの頭……とれそうじゃない?」


子供H「本当だ……」



勇者(ま、まずい!とれる!とれる!)

ガシッ!ガシッ!ガシッ!

勇者(とれ………)

ポロッ……



憲兵隊員A「あっ」ピタッ
憲兵隊員B「あっ」ピタッ
憲兵隊長「あっ…」ピタッ
勇者「……ああっ」


ゴロゴロ………



子供達一同『………あっ』


勇者「 」
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:15:37.23 ID:lcra2KKAO
シーン………


勇者「あ……あの、だな、これはだな」

子供一同「………」


勇者「その………だな」チラッ

憲兵隊長「………」ギロッ





勇者(おわった。私の人生おわった。)


子供J「………めん」


勇者「………えっ」



子供J「すごいイケメン!!!」



勇者「えっ?」
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:16:16.78 ID:lcra2KKAO
子供H「キャー!中の人超イケメンだわー!」

魔王娘「でしょでしょ?ちなみにあたしが一番最初に手をつけたのよ!」

子供A「すげえかっけぇ!」

子供B「すげえヒーローっぽいなぁ!」

母親A「キャー!キャー!」

パパA「……あ、あの…ママ?」


魔王娘「ゆ・う・しゃ!ゆ・う・しゃ!ゆ・う・しゃ!」

子供一同『ゆ・う・しゃ!ゆ・う・しゃ!ゆ・う・しゃ!』


憲兵隊長「な、なんだ……これは……!」

憲兵隊員A「なんか我々いつのまにか悪役っぽくなってますよ……」


勇者「わ……私は一体どうしたら」
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:16:52.22 ID:lcra2KKAO
魔王娘「い・け・めん!い・け・めん!い・け・めん!い・け・めん!」

子供一同『い・け・めん!い・け・めん!い・け・めん!い・け・めん!い・け・めん!』


ポンッ


警備隊長「市民の声には応えるべきだな、英雄は」


勇者「警備隊長……」

警備隊長「これは勇者殿の分の木刀だ。使ってくれ」


勇者「あ……ああ……」コクリ
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:17:37.28 ID:lcra2KKAO
警備隊長「探したぞ!憲兵隊長!」ビシッ

憲兵隊長「け、警備隊長……」

警備隊長「貴様は勇者殿を魔術で着ぐるみに閉じ込め、洗脳させて悪役を演じさせていた!」

憲兵隊長「………ぐうぅ」

警備隊長「その上で自らを英雄として勇者殿を袋叩きにするなど……卑劣だぞ憲兵隊長!」

憲兵隊長「なにが卑劣なものか!貴様らが目障りなのだ………!」 バッ


憲兵隊員A「あ、あの隊長……?」


憲兵隊員B「……悪役になりきっちゃってるよ」
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:18:07.24 ID:lcra2KKAO
子供A「がんばれ警備隊!」

子供C「くたばれ憲兵隊!!!!!!」


子ゴブリン「ウォオオオオ!!!(がんばれ勇者ぁ!)」


パパB「こらこら、興奮して変化するんじゃ……」


ママゴブリン「ウォオオオオ!!」



パパB「………ママまで」
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:18:48.17 ID:lcra2KKAO
警備隊長「行くぞ!勇者殿!」

勇者「ああ!」

警備隊長「非道な悪は許さない!」ビシッ

勇者「悪に正義は屈しない!」ビシッ

憲兵隊長「ぐうぅっ………」


警備隊長・勇者『くらえ!必殺……』




警備隊長「………勇者殿、良いネーミングは思い付かないか」ヒソッ


勇者「……全く」 ヒソッ




警備隊長・勇者「………」




警備隊長・勇者「ウォオオオオオオオ!!」ガバッ
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:19:18.28 ID:lcra2KKAO
魔王娘「ゆ・う・しゃ!ゆ・う・しゃ!」

子供一同『ゆ・う・しゃ!ゆ・う・しゃ!ゆ・う・しゃ!』



憲兵隊長「なぁ!」




ドゴォオオオオ………!!!



▼ゆうしゃと けいびたいちょうの きょうれつな こうげき!

▼きゅうしょに あたった!




憲兵隊長「 」チーン……



▼けんぺいたいちょうは めのまえが まっしろになった……
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:19:44.76 ID:lcra2KKAO
勇者「……決まった」スチャ

憲兵隊員A・B「あ、あわわわわわ……」

子供一同『やったあああああああああ!!!!!』


勇者「応援、ありがとう」キラッ

魔王娘「勇者さま、だい……」

子供J「勇者さんだいてー!」ガスッ


魔王娘「ぬふぅ!?」
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:20:45.80 ID:lcra2KKAO
勇者「……決まった」スチャ

憲兵隊員A・B「あ、あわわわわわ……」

魔王娘「ちょ、ちょっとなんですか……」

子供A「すげーかっけぇ!」タタッ

子供B「握手して!握手して!」タタッ

勇者「ああ、いいとも!」ニコッ
ガヤガヤガヤガヤ


魔王娘「ゆ……勇者さまに近づけないです」チッ


メイド長「はいはい並んでくださいねー。勇者さまのサインと握手、セットで200Gですわよー!」


勇者「ちょ、ちょ、ちょっとメイド長、そういうことはちょっと……」

メイド長「あら、食費くらいは稼いでいただかないと」にっこり


勇者「……むぅ」
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:21:26.09 ID:lcra2KKAO
子供M「かっこよかったよ」ギュッ

勇者「ありがとう」ギュッ

憲兵隊長「………」


憲兵隊員A「………おかしなことになってしまいましたね隊長」

憲兵隊員B「なんか勇者の好感度を無駄にあげちゃいましたよね……僕ら」


憲兵隊長「良いのだ、これで……」



スタスタ…



憲兵隊員A・B「………」

憲兵隊長A「隊長!」


憲兵隊員B「我々はついていきますよ、どこまでも!」


憲兵隊長「ふっ………」ニヤッ
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:22:08.89 ID:lcra2KKAO
子供P「勇者さま、だいて!」ギュッ

勇者「い、いや……」

パパP「………」ギロッ


勇者「……そう言う言葉は使ってはいけないよ」

メイド長「大人気ですわねぇ、勇者さま」ジャラジャラ

勇者「………メイド長」



こっそり

皇后「ほらぁ、あなた〜、勇者さんなら大丈夫って、言ったでしょ〜?」

魔王「………」

魔王「………かもしれんな」ポソッ



皇后「もぅ、素直じゃないんだからっ〜」
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:22:37.13 ID:lcra2KKAO
勇者「……次の子供、どうぞ」

魔王娘「えへっ」ニコッ


勇者「ゲゲっ!」
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:23:05.63 ID:lcra2KKAO
勇者「……な、並んだのか?わざわざ」

魔王娘「これなら勇者様に逃げられずに触れるじゃないですか」

勇者「……た、たしかにそうだが」

魔王娘「握手、してください」


勇者「あ……ああ」



ギュッ


勇者「……」

魔王娘「……」ニコッ


勇者「………ふっ」ニヤッ
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 00:24:54.01 ID:lcra2KKAO
魔王娘「と、隙ありキーッス!」チュッ



勇者「!」




魔王娘「キャー!成功しちゃいました!」

勇者「 」



魔王娘「おまけにもういっk………」
グッ

メイド長「はいはい、一人30秒ですわよー」はがしっ

魔王娘「ちょ!ちょっとぉ!やーよぉ!」ジタバタジタバタ

メイド長「はいはい退場退場」ズルズル

メイド長「……ありがとうございます、勇者様」ヒソッ



勇者「あ、ああ………」



勇者(………あの娘の手に触れた)



魔王娘「勇者さまー」ふりふり




勇者(……暖かかったな)ふっ


魔王「 」






▼魔王娘と勇者の仲は進展する……か?
▼頑張れ未来の魔王様!


メイド長「はい、次の方どうぞー」




第一部・完



【第二部へつづく】

272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/01(土) 00:28:08.40 ID:lcra2KKAO
ハイペースでしたがお付きあいありがとうございました。以上で第一部は終了です

明日からは第二部になります
ペースは落ちるとは思いますがよろしくお願いします
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/01(土) 00:50:31.36 ID:eluULPw/o
乙!第二部が楽しみだわ
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/09/01(土) 00:53:02.68 ID:ltBcmFm70
明日が楽しみだ。乙!
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/01(土) 09:51:27.41 ID:4OYMyeWFo
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:24:32.67 ID:lcra2KKAO
再開します
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:25:31.17 ID:lcra2KKAO
【第11話】




―第10話から1年の時が経った―






【魔王城・魔王の部屋】



大臣「先日の勇者と魔王様の共同宣言、影響は両国ともにかなりのものでしたぞ」

魔王「けっ!あの時のことを思うと胸くそ悪いわ!!」



278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:26:11.12 ID:lcra2KKAO
《3日前》

【魔王国・人間国国境】


勇者『と、言うわけで私は魔王との会談を経て、両国の和解を提案する!』



女A「キャー!!!!!!イケメン!!!!!!」

女B「ステキー!!!!!!!」

サキュバス「ダイテーーー!!!!!!」

メイド長『はい、と言うわけで勇者様ありがとうございました。続いて魔王様の………』

魔王『あ……あー、えー、あのー、魔王国の皆さんこんにちは。人間国の皆さん、はじめまして……ええ、我輩が先程ご紹介に預かりました………』





「キャー!!!勇者さまこっちむいてーー!!!」

「勇者さまと目があったぁ!!!!!!!!!!!!」

「ヤダー!!!!!!キャー!!!!!!!!!」




魔王『あの………我輩………魔王と………もうすもので…………』

279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:26:54.96 ID:lcra2KKAO
魔王『ええ………あー、今回人間国との和解を…………』




「勇者さま!かっこいー!!!!!!」

「ステキ!!!!!!!!!!!!」

「イケメン最高!!!!!!!!!」





魔王『我が輩の話……聞いてよね……』



280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:27:25.35 ID:lcra2KKAO
――――――――


魔王「くうううう!!!!我輩側が大分譲歩してやってるってのに何だあの態度は!!超ムカつく!!!」ドンッ

大臣「人間だけならまだしも、魔族連中までああでしたからな……」

魔王「くやしい!くやしい!くやしい!くやしい!くやしい!くやしい!」ジタバタジタバタジタバタジタバタ

魔王「人間って、超頭おかしいんじゃないの!」

魔王「色々恵んでやったのに和解の条件は『次期魔王に勇者を据えること』とかさぁ!何なの!どんだけ図々しいの!!」
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:27:53.76 ID:lcra2KKAO
大臣「でも……現状勇者に対抗しうる存在は魔王国にもいないのですし、奥様と殿下のご意向でもありますし……」

魔王「もういいよ!この際魔王の座についてはどうでもいい!だけどね!娘の件に関しては、ずぇっっっっっっったいに許さんぞ!!!!!!」

魔王「見ておれ勇者!!!!!!お前を絶望の淵に………」





魔王「 叩 き こ ん で や る 」クワッ



大臣(相変わらず、ちいっっさいですなぁ…………)




282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:28:26.60 ID:lcra2KKAO
【キッチン】

メイド長「らららら〜♪人間国と〜魔王国が仲良くなりましたわ〜♪」トントン♪

勇者「やあ、メイド長。夕飯の支度かな」

メイド長「そうですわ。ふふっ、今日はご馳走ですわよ勇者様」

勇者「そうか……メイド長の料理はどれも絶品だから楽しみだな」

メイド長「そんなぁー、照れますってぇばぁー」ヒュン!ヒュン!

勇者「………ほ、包丁は振り回さないで頂けるかな」

283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:28:53.42 ID:lcra2KKAO
メイド長「でも話が良い方向に向かって嬉しいですわ。和解は魔王様の悲願でしたし」

メイド長「それに勇者様が次の魔王様とあらば、死ぬまで退屈せずにすみますわね」

勇者「いや、私は和解には賛同したが、次期魔王になる事までは同意していないぞ」

メイド長「あら、でも人間国の和解の条件がそれではなくて?」

勇者「欲張り過ぎと言うものだ。そういうチキンレース的な機運が高まっているだけで、落ち着けば意見も変わろう。第一、私はそんな器ではない」

メイド長「謙遜を。器なら皆が認めている事でしょう。魔王様も飲んだということは同意してらっしゃることですし……それとも未だに魔族に嫌悪感を抱いてますの?」

勇者「まさか。ならば和解になど持ち込まんさ」

メイド長「では何故ですの?人間も魔族もあなたを次期魔王として据えることを望んでいるのに」

勇者「魔王国内部でひと悶着あったのだろう?今朝も抗議の運動が行われているという話だ」

メイド長「ええ……まあ……」

勇者「無理は無いさ。初めに彼らを迫害したのは人間であったし、人間側が魔族を敵視していたはずなのに、あっさり和解を受け入れたのは魔族の方が力関係では上だったからだ。」
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:29:30.46 ID:lcra2KKAO

勇者「しかし……人間を、ましてや魔王を脅かす存在であった勇者を嫌悪する魔族に関してはそうはいかないだろう」

メイド長「それはそうですが、魔王国は先日の演劇のお客様の様な者ばかりですわ。全ての人間の支持を得る必要はありませんでしょう?」

勇者「多数派の原則から言えば、そうかも知れない。だが根が深くデリケートな問題である以上、そう簡単に物事は進まないさ」

メイド長「でも、勇者様………」




キャアアアアアアアア!!!!!!


勇者「……また娘か」

メイド長「みたいですね勇者様。そんなことよりパンはゴマか大豆か……」


キャアアアアアアアア!!!キャアアアアアアアア!!!

勇者「………」

メイド長「勇者様ー。どうせ下らない事なんですから、気にしなくていいんですわよー」


キャアアアアアアアア!!!キャアアアアアアアア!!!キャアアアアアアアア!!!

勇者「むぅ………!」タッ


バタン!

メイド長「あーあー……もう、お人好しなんですからぁ……」


285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:29:56.93 ID:lcra2KKAO
――――――


勇者「私の部屋からか!?」

勇者「……何故娘が私の部屋なんかにいるんだか分からんが」

勇者「まあいい!!!無事か!!!!!!」


ガチャッ!!!!!!

【勇者の部屋】

勇者「どうしたああああああああ!!!!!!」

魔王娘「ああ!勇者さま!」

勇者「な………」



なあああああああああ!!!!!!!!!!!!


メイド長「………勇者さまの叫び声ですわ!」タタッ


286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:30:22.82 ID:lcra2KKAO
ガチャッ!!!



メイド長「どうしましたお二人とも……って」

勇者「 」

魔王娘「あらメイド長いらっしゃーい」すっぱだかー

メイド長「って……!殿下……何で勇者様のベットの上に裸で………まさか!」


勇者「い……いや………!」

魔王娘「うふふ///」


メイド長「勇者様!殿下に襲われましたの!?御貞操は!御貞操は!」

勇者「え……ま……まあ、その辺は……」

魔王娘「ちょっと!ちょっと!心配するところ違いますよメイド長!」

287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:30:54.83 ID:lcra2KKAO
魔王娘「勘違いするにも普通は逆じゃありませんか!」ぷんすかっ

メイド長「……だって、ねぇ勇者様」

勇者「なぁ、メイド長」

魔王娘「………」

メイド長「それよりともかく、なーんで殿下はすっぱだかでいらっしゃいますの?」

魔王娘「よくぞ聞いてくれましたね!私はこの間勇者さまとキッスをすませました!」

勇者「いや……まあ………」

メイド長「まあ………ねぇ………」

魔王娘「最早こうなったら勇者様のお嫁さんになるしかありません!」

勇者「それは………なぁ………」

メイド長「どうかと思いますけど………」
魔王娘「でぇ、まぁ、そう言う関係なんですからぁ、早いとこ世継ぎをこしらえないと世間体が………って何言わせるんですか恥ずかしいいいいい!!!!!!!!!////」ジタバタジタバタ

メイド長「……恥ずかしがるところが違いますわよ殿下」

288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:31:40.83 ID:lcra2KKAO
勇者「早く前だけでも隠したらどうか」

メイド長「ああもう、シャワーも浴びてないのにバッチいですわよ殿下」

勇者「悪いがメイド長、後で布団一式の洗濯を頼めるか」

メイド長「はいはい。もう殿下ったら、余計な仕事を増やしてくれちゃって………」

魔王娘「ちょ、ちょっとちょっと!もうちょっと違う反応ってものが……」

勇者「反応と言われても」

メイド長「そんなツルペタバディじゃ反応するもんもしませんわよ。ねぇ?」

勇者「……顔に似合わない言葉遣いはやめた方がいいぞメイド長」

魔王娘「むぅ………」しょんぼり

289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:32:09.16 ID:lcra2KKAO
メイド長「しかし分かりませんね、勇者様が叫ばれたのは合点がいきますけど、なーんで殿下はあんな大騒ぎをなさったんです?」

魔王娘「そう!そうなんですよメイド長!!よくぞ聞いてくれました!」ガタッ!

メイド長「……もしかして私、余計なこと言いました?」

勇者「言った」


魔王娘「勇者さま!」ビシッ

勇者「なんだ娘」

魔王娘「私は今!大変遺憾なんですよ!」

勇者「うむ……私がなにかしたかな?」

魔王娘「したかな?じゃないですよ!なんなんですかこれは!!!!!」バッ


290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:32:58.15 ID:lcra2KKAO
うふ〜ん


メイド長「これは……」

勇者「なぁ………!」





メイド長「『週刊縛られる人妻サキュバス』……ですか」





勇者「い、いや!知らん!わ、私は知らんぞ、こんなもの!!」

魔王娘「さいあくです勇者さま!こんな……こんないやらしいものを……な、なんですか…こんな………」

メイド長「………」

勇者「だからだな!わ、私は知らない!私は知らないぞ!なあ、メイド長!」


メイド長「…………」


勇者(め、メイド長が……先ほどからずっと無言のままだ………)

291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/01(土) 12:33:37.52 ID:lcra2KKAO
魔王娘「メイド長!勇者様を折檻してやってくださいよ!」

メイド長「………ふふっ」

勇者(わ……笑った………?)

勇者「い、いや、ホントに私………」

メイド長「ふふふふふふ!!!!!!」


勇者(ダメだ殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される)


ポンッ


メイド長「安心しましたわ、勇者さま」ニコッ

勇者・魔王娘「えっ」


292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/01(土) 12:34:04.43 ID:lcra2KKAO
メイド長「いえね、勇者様って全く、そう言う気配がありませんでしたでしょ?」

メイド長「だから、精神的に異常をきたしてらっしゃるのか、もしくは『そっちの気』がおありなのかなって、ずっと心配していたんですわよ。」

メイド長「良かったですわぁ、ちょっと一般的には、どぎつい趣味でらっしゃいますけど、とっても勇者様らしくって」ニコッ

勇者「い…今までどう言う目で私を見ていたのかメイド長……」

魔王娘「ま、待ってくださいよ!だ…だって裸の女の人が表紙なんですよ!い、いやらしい!!」

メイド長「………どの口が言ってるんですか」

メイド長「それにね、殿方ならこれくらいお持ちになってて当然ですのよ殿下。健康的ですわ」

魔王娘「で……でも!」

メイド長「いい加減お洋服でも来たらいかがです」

魔王娘「ぐぬぬっ………」

293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:34:30.01 ID:lcra2KKAO
メイド長「ま、大人の女性である以上これくらいは許容して当然ですわよ」

勇者「……私のじゃないってさっきから何度も」

魔王娘「……大人になるって……大変なんですねメイド長」

勇者「いや……だから……」

魔王娘「私…乗り越えます!勇者さまが、例えどぎつい趣味でも…受け入れます!」

メイド長「うんうん。成長なさりましたね殿下」ぐすっ

勇者「…………だから」

294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:35:05.58 ID:lcra2KKAO
――――――

魔王(さーて、そろそろ勇者の株がストップ安になってるころかなぁ〜♪)

ガチャッ

魔王「やいやい勇者!我輩の娘を泣かせるとは……」




魔王娘「勇者さま〜♪」てててー

勇者「く、来るな!服を!服を着ろ娘!」



メイド長「めでたしめでたしですわねー」

魔王「……あれっ?」


魔王「い、いや!ほらっ!我が娘よ!」

魔王娘「なんですかクソジジイ、こっち見ないでくださいよイヤらしい」

魔王「ク………」

魔王「いや!ほら、ほら、我輩の言うとおり勇者の部屋に堂々と置いてあっただろ、猥褻物が!」

魔王娘「それがなんですか」

魔王「破廉恥だよなぁ!最低だよ、勇者って男はなぁ!!」

魔王娘「別にあれくらい当然です。大人の女性であるなら寛容すべきです」

魔王「いや!しかしだな!このP56の団地妻特集のこの……このだな、ここの………ここは酷くいやらしいだろう!!!流石に許せないだろう!」バッ

勇者「なあっ………!」

295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:35:40.61 ID:lcra2KKAO
魔王「それからP125の………」パラパラ

メイド長「………っていうか魔王様、なんでそんなにその本にお詳しいので」

魔王「えっ」

魔王娘「それもそうですよね。なんで勇者様の持ってるエッチな本を……お父様がそんなに詳しく知ってるんだか」



魔王「…………」


魔王「いや……その……だな」

296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:36:39.92 ID:lcra2KKAO
勇者「だから私は、そのような本、所持してなどいないのだって何度も!!」

メイド長「確かに……昨日お掃除したときにはこんなもの、ありませんでしたわよ」

魔王娘「ん?」

魔王「い……いや……だから………」

勇者「私が街に出たのは憲兵隊の劇以来だ。あの時はメイド長もずっと一緒だったであろう」

メイド長「それもそうですわねぇ…」

魔王「いや…我輩は……そのぉ………」

魔王娘「ん?ん?」

297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:37:07.46 ID:lcra2KKAO
メイド長「状況からすると」



メイド長「魔王様が勇者様を陥れになるために、ご自分の成人向け冊子を勇者様の部屋に置かれたのでは?」




魔王「 」



魔王娘「お父様………また…………」フルフル

魔王「い、いや……これは……だなぁ………」




魔王娘「お父様のエッチ!ヘンタイ!スケベ!破廉恥!汚物!廃棄物!ゴミ!能無し!大便製造機!置物以下っっ!!!!!!!」

298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:38:12.45 ID:lcra2KKAO
魔王「落ち着け我が娘よ!ほら、大人の女性の寛容さを………」

魔王娘「私はまだ!子供でいいです!!今日という今日は………」ポゥッ

魔王「うげぇ………!」

魔王娘「お父様のバカアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」





チュドーーン!!!!!!!!!!!!





▼まおうむすめの ばくはつまほう!





魔王「また失敗したあああああああ!!!!!!」
大臣「どうして私までぇええええ!!!?」




▼まおうは とんでいった………
▼だいじんも とんでいった………




メイド長「……全く、みんな大人気ないんですから」
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:38:39.43 ID:lcra2KKAO
―――――



警備隊長「やあ、メイド長殿。すこし騒がしいようだったが」

メイド長「大したことはありませんわよ。それより何か?」

警備隊長「勇者殿を訓練に誘いたいのだが大丈夫かな」

メイド長「ええ。むしろ喜びますわよ。例によって殿下に追いかけ回されてますし」

警備隊長「ははっ。相変わらずだな、あの二人は」

メイド長「ふふっ。そうですわ、警備隊長さんのお部屋を久々に掃除しようと思ってましたのよ」

警備隊長「それはありがたい。」

メイド長「では……」


300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 12:39:05.22 ID:lcra2KKAO
警備隊長「……さて、勇者殿を」


警備隊長「あれ。なんだか私、大変なことを忘れているような気が……」




警備隊長「………」ポクポク

警備隊長「………」ポクポク


警備隊長「!」チーン


警備隊長「ぬわあああああアアアアア!!!!!!!」

警備隊長「き!昨日買った本が机に置き放しだったのだ!!」

警備隊長「まずい!!!!」タッ



ガチャッ!!!


警備隊長「め、メイド長!やっぱり掃除は………」


メイド長「…………」



警備隊長「め……メイド長?」


301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/01(土) 12:39:48.63 ID:lcra2KKAO
メイド長「『陵辱されるメイド』『メイドの淫靡な昼下がり』『エッチなメイドがご主人様の(自主規制)を(自主規制)でお掃除しちゃいます』『汚されたメイド』『メイド』『メイド』『メイド』………」



メイド長「 素 敵 な ご 趣 味 で す わ ね  」にこっ




警備隊長「 」





▼その後、警備隊長はメイド長に1週間程口を聞いて貰えなかった………




【第11話・おわり】



302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/01(土) 12:40:58.10 ID:lcra2KKAO
一旦中断です
12話は夜中頃の予定です

お付きあいありがとうございました
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/09/01(土) 17:37:34.86 ID:Lv5tOF1Vo
おつんつん
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/01(土) 18:51:11.62 ID:1RSJglVIO
つまんね
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/09/01(土) 19:20:50.47 ID:6Ere96YEo
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/09/01(土) 20:48:14.00 ID:YDZ6Jk1AO
まさか完全版が来るとは、楽しみにしてるよ( ´∀`)
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/01(土) 22:51:43.87 ID:lcra2KKAO
再開します
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 22:52:34.40 ID:lcra2KKAO
【第12話】


勇者「さて、今日から警備隊にて仕事だな」

勇者「剣はもった、財布ももった、支給された制服は着た」

魔王「………」

勇者「うむ。我ながらばっちりだな!」

魔王「………」

勇者「………」

309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 22:53:37.03 ID:lcra2KKAO
ガチャッ

メイド長「あらあら勇者様おはようございます。随分張り切ってらっしゃるご様子ですわね」

魔王「………」

勇者「ま、まあ……娘と警備隊長がどうしてもと…うるさいのでな」

勇者「このままヒモ扱いされるのもシャクだ」

魔王「………」ずいっ

メイド長「ええと、必要な品物の支度終わりました?」

勇者「あ、マズい。資料をまだまとめていなかった……」

メイド長「お手伝いしますよ」

勇者「悪いな」

メイド長「いいんですわよ。最初は警備隊の訓練に参加すること自体嫌がってらっしゃいましたのにね、うふふっ」

魔王「…………」ずずずずいっ

310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 22:54:13.17 ID:lcra2KKAO
勇者「………あまり気は進まんがやらねばならん。人間が魔王国の自治に介入したそれ自体に意味があるのだからな」

メイド長「もう、素直じゃないんですからぁ」

勇者「べ、べつに素直とか素直じゃないとかの問題じゃあ……」


魔王「………」ずずずずずいっ!

勇者「って!先程から鬱陶しいぞ、魔王!」

魔王「ふふふふ………」

魔王「ふははははははは!!!!!!!!!」

魔王「ふははははははははははははは!!!!!!!!!!!!」


勇者「!?」ビクッ

メイド長「でましたね、嬉し恥ずかし三段笑い」

311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 22:55:35.31 ID:lcra2KKAO
魔王「我輩はナーイスアイデアを思いついたのだよ勇者!!!!!!!!!」

メイド長「……またどんな下らないことですの」

魔王「我輩が勇者にピッタリくっついていれば娘はお前に寄らないのだ!ほらっ!」ピトッ

勇者「ひゃあ!?」

魔王娘「ぐぅぅ………お父様がクサいから近寄れないです」ぐぬぬっ

勇者「い……いたのか」

魔王「これであっぱれ解決だ!!!!!!我輩あったまいーい!!!」

魔王「ふははははははは!!!!!!」

魔王娘「ぐぬぬ………」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 22:56:01.23 ID:lcra2KKAO
メイド長「………んで、魔王はお仕事どうなさるんです」

魔王「えっ」

メイド長「いやまさかこのまま一日中勇者様と同伴なさるんですか」

魔王「えっ」

メイド長「寝るときも、トイレに行くときも、自分をお慰めになるときもご一緒するので?」

魔王「えっえっ」

勇者「………『お慰め』ってメイド長よ」
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 22:56:58.75 ID:lcra2KKAO
メイド長「どうなさるんです」

魔王「しょ……正直そこまでは」

メイド長「と、言うわけです。勇者様の支度の邪魔ですから、魔王様も殿下も出てった出てった」

魔王「ちょっ!ちょっ!」ズルズルズルズル

魔王娘「ヤダヤダヤダヤダヤダ!!!」ズルズルズルズル


バタン………

メイド長「失礼しましたわ勇者様」

勇者「あ……ああ……」

メイド長「しかし勇者様も随分馴染みましたわね魔王国に」

勇者「ま、郷に入れば郷に従えと言うしな。嫌でも慣れるものさ」

メイド長「あらあら、殿下のみならず世の女性のハートを射止めておきながら」

勇者「……妙な言い方はよしてくれよ」

メイド長「うふふっ、やっぱりそう言う面でも勇者様は魔王様に向いてるんじゃありませんかね」

勇者「それとこれとはまた別だ」

メイド長「あら、でも統合の立役者なんっすから」

勇者「……私の業を償っただけに過ぎん」

メイド長「何にせよ、あれから随分経ったんですわよねぇ」

勇者「………そうだな」


314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 22:57:30.09 ID:lcra2KKAO
メイド長「あの時のことを思い出しますわ………」



《以下、回想》



315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 22:59:11.90 ID:lcra2KKAO

魔王「お前、人間国に行け」くるっ

勇者「断る」

勇者「何故私がお前に命令を……」




勇者「……お前今、なんと言った?」





魔王「だから人間国に行けと」

勇者「……冗談も程々にしておけよ」

魔王「冗談ではない。」

勇者「………どういうつもりなんだ」

魔王「イヤなのか」

勇者「い……イヤではないが………」

勇者「………」
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 22:59:38.44 ID:lcra2KKAO
大臣「ぷふっ、魔王国でお気楽極楽してたとあれば、そりゃ帰りづらいだろうなっ!」

勇者「………」

魔王「しかし、単に帰してやるわけにはいかん。我が輩の指定した場所で、仕事をやってもらう」

勇者「私はお前の臣下ではない」

魔王「1506712G」

勇者「は?」

魔王「お前の今までの生活費だ。払え」

勇者「そっ、そんな金、あるわけが!」

魔王「じゃあ働け」

勇者「…………ぐぬぬっ」

魔王「ふふん!」

317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:00:21.56 ID:lcra2KKAO
勇者「………それでもイヤだと言ったら、どうする魔王」

魔王「えっ」


魔王「それは…………」




勇者「ヤダ。借金など知ったことではない」

魔王「………ぐぬぬっ!貴様!」



勇者「ふふん!」

318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:00:52.16 ID:lcra2KKAO
勇者「じゃあ、私は………」

グイッ

魔王「………」

勇者「は、はなせ魔王!私はお前に命令されるいわれなど……!!!」

魔王「………ヤダ」

勇者「ちょ!はなせ!はなせ!」

魔王「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!言ってくんないと我輩ヤダ!!!!」

勇者「知ったことか!!!はなせ!はなせ!」

魔王「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!!!!!!!!」

勇者「はなせ!はなせ!はなせ!はなせ!」


魔王「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ」
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:03:31.49 ID:lcra2KKAO
【小一時間経過】

魔王「………と、言うわけでだ」


勇者「………根負けした」



魔王「ま、お前が適当に仕事をしたり脱走したりということもあるだろうから見張りをつける」

勇者「見張り………?」






【翌日】


パカラッパカラッパカラッ………


魔王娘「もっと広い馬車なかったんですかー。暑いですよぅ」パタパタ

メイド長「帰りは荷物が減りますから、広くなりますわよ。我慢なさいな」

警備隊長「………もっとそっちに寄らんか邪魔者が」ぐぬぬっ

憲兵隊長「………そっちこそ」ぐぬぬっ




勇者「見張りとはお前たちか………」

320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:05:06.71 ID:lcra2KKAO
魔王娘「良かったですね!寂しくないでしょ勇者さま!」むぎゅっ

勇者「………よ、寄るなよ暑い」

魔王娘「キャー!ムラムラしてきたなんて勇者さまのエッチー///」

勇者「………どうしてそうなる」

メイド長「本日のスケジュールは補給部隊のお手伝いで外れの村に物資を渡し、そのまま宿泊です。ま、補給庁も人手不足ですからね」

勇者「…………」

警備隊長「どうした勇者殿、随分とテンションが低い様子だが」

魔王娘「そうですよ、ふるさとなんですから、もっとはしゃいでいいんですよ勇者さま」

勇者「い、いや……うれしくないわけではないんだが…………」

憲兵隊長「それはそうだろう。貴様は陛下に負けたあげくの果てに、あろうことか城に寄生して悠々自適な生活をしていたのだからな、顔見せできまいに」ニヤニヤ

勇者「………」ズーン

警備隊長「貴様!なんと陰険で陰湿な奴なんだ!例え真実でも、言って良いことと悪いことがあるぞ!いくら真実でもだ!!!!!!一応は真実だが、気にすることはないぞ勇者殿!!!!!!」

勇者「………」ズーンズーン

魔王娘「そうですよ!いくら勇者様が魔王国に寄生してたからって誰もみてないんだから落ち込むことないですって!勇者さまは顔だけは良いんですから大丈夫です!!ふぁいと!」


勇者「………」ズーンズーンズーン


メイド長「わざとやってますでしょ、あなたたち」


321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:05:32.28 ID:lcra2KKAO
憲兵隊長「そこで勇者、私も鬼ではない…。提案がある………」

勇者「……提案だと」

憲兵隊長「裏に積んである荷物だが……」
勇者「………荷物?」

憲兵隊長「開けてみたまえ……」

警備隊長「通りで狭苦しいと思ったら貴様……」

勇者「………ヤケに大きいが」ガサゴソ
憲兵隊長「それを使えばお前の正体は知られずに済むだろう……」

魔王娘「憲兵隊長、なんか今日は気が聞きますね」

憲兵隊長「ふっ………」





カポッ





勇者「こっ………これは…………!」




322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:07:26.52 ID:lcra2KKAO
【人間国・一番端の村】

長老「いやいや、悪いのぅ。毎年毎年こんな………」

メイド長「いえいえ、お気になさらずに」

村娘「助かるよ、ホントにさ。国からは見放されちゃってるようなもんだし、あんたのご主人様は太っ腹だね。で、いつもの人たちは?」

警備隊長「色々忙しいようで。今回は私達が」

村娘「そうかい。いや、初めましてだね。で……」





ケルベロス(勇者)「ちょ!暑いから寄るな!寄るな!」

幼女A「キャー!いぬだー!」ぴょん

幼女B「かわいい!かわいい!」ぴょん
幼女C「だっこしてー!!!」ぴょん

魔王娘「ちょっと私の勇者さまに近づくなですよ!!尻軽が!」ぴょんぴょん

ケルベロス(勇者)「だからだな!だからだな!」むわわ〜ん




村娘「どうして一人、このクソ暑いのに着ぐるみなんか着てるんだい」

憲兵隊長「…………」ニヤニヤ





ケルベロス(勇者)(憲兵隊長を信じた私がバカだった…………)
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:11:51.81 ID:lcra2KKAO
村娘「ま、まあ良いか。そうだ、何にも無いけどさ、この村案内しようか」

メイド長「そうですわねせっかくですし」

警備隊長「せっかくだからな」


魔王娘「うわあああああん!!!!!!!!!」

メイド長「………って、早々なんですの殿下」

魔王娘「ぴょんぴょんしてたら、すっころんじゃいました……」

メイド長「あらやだ、ぱっくり行っちゃってますわ。早く消毒しないと……」

村娘「じ、じいちゃん救急箱ってどこにあったっけ!」

長老「ああ……確か………」

長老「軒下……いやあれは違うな、引き出し……いやいやラジオの……いやいや……わしの布団の、いやあれは………」

長老「キッチンの……いや違うな、トイレ……じゃなくて、庭の……いやいや……」

長老「応接室でもなく、客間でもなく、洗面所でも……いや、台所か……いや…便所だったような」

長老「わしの布団の……いやそれはちがくて……引き出し………」




村娘「ループしてるよぉ!」

324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:12:36.75 ID:lcra2KKAO
あたふたあたふたあたふたあたふたあたふたあたふた



憲兵隊長「……これをお使い下さい殿下」
メイド長「憲兵隊長さん」

魔王娘「な……なんですそれ」

憲兵隊長「効き目の強い薬草です。そこの裏手に生えていました………」

メイド長「助かりましたわ。はい、殿下ちょっと染みますわよー」ぺたっ

魔王娘「んにぎゃあああああああああ!!!!!!?」



ケルベロス(勇者)「確かあれは高級薬草だろう、とっさによく見つけられたな」


憲兵隊長「………ぷっ」


ケルベロス(勇者)「………なんだその笑いは」


325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:13:08.13 ID:lcra2KKAO
村娘「………じゃあ落ち着いたところで」

村娘「最初に聞いて貰いたい。この村には、とある噂がある」

一同『………噂?』

村娘「そう。村には二人の若い男がいた。その男二人はことあるごとに争っていた」

ケルベロス(勇者)「………ん?」

村娘「そして二人は一人の僧侶の娘を好きになった。で、まあ、またその娘を巡って色々やらかす訳なんだが」

メイド長「………ん?」

村娘「そりゃすごかったらしい。ことあるごとに競いあってたんだから。で、ここの展望台で一番激しい戦いが行われたと言われてるんだが………」

326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:13:36.38 ID:lcra2KKAO
魔王娘「わぁ、すっごい綺麗です!」タタッ

ケルベロス(勇者)「本当に壮観だなぁ!」タタッ

メイド長「ええ、あっちの方も……」タタッ

村娘「あっ、白線から外には出ない方が…………」





ズドオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!




村娘「…………て、遅かったか」





ケルベロス(勇者)「 」チーン

魔王娘「 」チーン

327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:14:05.16 ID:lcra2KKAO
メイド長「………なんで落とし穴がこんなところに沢山」

村娘「落とし穴をお互い掘りまくって、いち早く相手の掘った穴にはまった方が負けって勝負だったらしいんだけど」


メイド長「………どっちが勝ったんです」

村娘「それが、二人とも即座に自分の掘った穴にハマっちゃったらしくて」


メイド長「バカじゃありませんの………」

警備隊長「…………」

憲兵隊長「…………」



328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:15:27.87 ID:lcra2KKAO
村娘「で、次はこの森なんだけど」

魔王娘「森ってより、ちょっとした茂みじゃありませんか」

村娘「広大な森だったんだけど……ケンカの結果こんなんなっちゃったらしくて」

ケルベロス(勇者)「どんなケンカだ………」

憲兵隊長「………」

警備隊長「………」

村娘「あとはこの武器屋。元々バイキングレストランだったんだけど度々ケンカの舞台になった結果廃業を余儀なくされて………」

村娘「二人が来てもすぐに追い払える様に武器屋になったんだってさ」



魔王娘「はた迷惑ですよね」

メイド長「わよねぇ」




警備隊長「………」

憲兵隊長「………」
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:15:53.22 ID:lcra2KKAO
村娘「で、次はこの湖なんだけど……」

魔王娘「湖ってより水溜まりですよね」

村娘「これもまた………」

憲兵隊長「…………」

警備隊長「…………」




ケルベロス(勇者)「二人とも黙りこくってどうした」

警備隊長・憲兵隊長『別に………』


330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:16:44.43 ID:lcra2KKAO
魔王娘「っていうか、この村の名所ってケンカの場所ばっかじゃないですか!」

村娘「だって本当にこれくらいしかないんだよ」

ケルベロス(勇者)「で、結局どっちが勝ったんだ」

村娘「それがさ、分かんないんだよ」

魔王娘「わからない?」

村娘「三人とも、なんかどっかに行っちゃったらしくってさ、どっちとくっついたのか、はたまたどっちともくっつかなかったのか分からないんだ」

魔王娘「なーんか、はっきりしない人たちってどこにでもいるんですね」ジロッ




メイド長・警備隊長・憲兵隊長「な……なんです殿下」

331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:17:51.23 ID:lcra2KKAO
ケルベロス(勇者)「それよりこの村……ヤケに静かだな」

魔王娘「というより、男の人、長老さんくらいしか見当たりませんよね」

村娘「ああ、ちょうど訓練に駆り出されてるんだよ。」

警備隊長「訓練……?」

村娘「半年に一度だったんだけど最近はヤケに頻繁にね。」

警備隊長「…………」

村娘「働き手が抜けて大変なんだ。国もさ、ちょっとは考えて欲しいって言うか………ああ、もう夕飯時か。家に行こうか」

メイド長「申し訳ないですわ、お邪魔しちゃって」

村娘「毎年のことだ。私達も楽しみにしてるんだよ。って、ほら!迎えがきたきた!」

幼女A「ワンワン!!!!!!」タターッ

幼女B「あいたかったよー!!!!!!」タターッ

幼女C「キャー!!!!!!」タターッ

ケルベロス(勇者)「………げっ」

魔王娘「来たなアバズレ!先にツバつけたのは私なんですからね!!!!!!」



ヤメロ!ヤメロ!キャー!!!キャー!!!キャー!!!キャー!!!




村娘「人気ものだねぇ」

メイド長「ですねぇ」



332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:18:17.31 ID:lcra2KKAO
【長老の家】


ケルベロス(勇者)「………」

幼女A「おひざー!」

幼女B「次あたし!」

幼女C「あたしなの!」

魔王娘「ナマいうな!わたしですよ!」


警備隊長「酒、おかわりいただけるか!」ゴトッ

憲兵隊長「おかわりいただけるかな………」ゴトッ

村娘「はいはい」

警備隊長「……いま、何杯かな」

村娘「同数だよ」




警備隊長・憲兵隊長「ちぃぃ!!!!!!」


333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:19:36.06 ID:lcra2KKAO
村娘「賑やかだねぇ」

メイド長「………すいません」

村娘「やだな、嫌みじゃないよ。普通に羨ましいだけさ。ねぇじぃちゃん」

長老「………」ジーッ

メイド長「ど、どうかなさいました?」

長老「べっぴんさんじゃな!」

メイド長「ど、どうも………」

長老「ワシの娘も大層べっぴんさんじゃったが……あのクソガキ共が娘をたぶらかして………結果三人揃って行方不明じゃ!!!!!!」グググッ

メイド長「へっ?」

村娘「その……僧侶ってじぃちゃんの娘………つまり私の叔母でして」

メイド長「……そ、そうなんですの」



長老「イライラする!イライラする!」ガバッ


334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:20:30.83 ID:lcra2KKAO
長老「…………」カツカツカツカツ


憲兵隊長「…………」グビグビグビグビ
警備隊長「……………」グビグビグビグビ

警備隊長・憲兵隊長『おかわり!!!!!!』



ドゴォオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!



長老「…………」ハァハァ


警備隊長・憲兵隊長『 』チーン




長老「まとめて殴ってやったわい!!!!!」

村娘「ってじぃちゃん!お客さんに何てこと!!!!!!」

335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:21:03.49 ID:lcra2KKAO
長老「はっ!そうじゃった……何か無性に腹が立って……」

村娘「ダメでしょっ!大事なお客様なんだから!」

長老「そうじゃな……すまんかった。ほれほれ、大丈夫かね二人とも………」

憲兵隊長「ん………」

警備隊長「一体………」

長老「やっぱりムカつく!!!!!!!!!」グワッ!!!

警備隊長・憲兵隊長「ひいぃぃぃ!!!!!!」

村娘「って、ダメでしょじいちゃん!飲み過ぎだよ!!!!!」

長老「殴らせろ!殴らせろ!」ジタバタジタバタ



警備隊長「な………」ガクガクブルブル

憲兵隊長「なんで………?なんで………?」ガクガクブルブルブルブル


336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:22:10.47 ID:lcra2KKAO
メイド長「ちょっと、ゆう……じゃなった、ケルベロスさん仲裁に………」


ケルベロス(勇者)「頭は取るなあ!!!!!!」


メイド長「………カオスですわね」



幼女ABC・魔王娘「うんしょおおお!!!!!!!!」



スッポーン!!!!!!


メイド長「あっ」

警備隊長「あっ」

憲兵隊長「あ………」


コロコロコロコロ………





勇者「 」




337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:22:36.33 ID:lcra2KKAO
幼女A「キャー!イケメンだぁ!」

幼女B「イケメンだね!イケメンだね!」
幼女C「キャー!キャー!キャー!」


勇者「いや………あの………」

村娘「………」ジーッ

勇者「あの…………」

村娘「あんたさ、勇者にそっくりだね」

勇者「 」

村娘「すっごいそっくりだね」

勇者「   」

338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:23:02.72 ID:lcra2KKAO
メイド長「ま、まさかぁ!勇者様が生きてる訳ありませんわよねぇ!」

警備隊長「そうだ!あんなあっさり魔王様に追い詰められちゃうような勇者殿が生きているわけなんて!」

憲兵隊長「そうだ。たまたま殿下に見初められ、それを良いことにだらしなく魔王城に寄生してるわけなんて……」 

魔王娘「絶対ありませんよ!!!」

村娘「そうだな、ないよなぁ!」

一同『あはははははははは!!!!!!!!!』




勇者「…………」


339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:23:28.03 ID:lcra2KKAO
村娘「そうそう、勇者と言えば……」ガサガサ

村娘「この新聞なんだけどさ」

メイド長「えーと……」

メイド長「『勇者、自らの命と引き換えに魔王軍の三分の一を壊滅させた!』………」

勇者「………」

憲兵隊長「………ぷっ」

警備隊長「……どゅふっ」

メイド長「……………んふっ」

魔王娘「…………むふっ」


ぬははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

勇者「…………」


340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:23:55.21 ID:lcra2KKAO
魔王娘「ひぃ!ひぃ!」

メイド長「………わ、笑っちゃいけませんわよね……ごめんなさい………」

村娘「いや、その反応が正しいよ。ついでに勇者追悼の派遣中隊もさらにその三分の一を壊滅させたって噂だけど、眉唾もんだよ」

勇者「………」

長老「まあ………大本営発表はなれているがな、今回のはさらに酷い」

メイド長「……確かに、普通に見れば笑ってしまう記事ですわね」

村娘「だけどさ、みんな信じちゃってんのさ」

魔王娘「なんでです」

村娘「今回の勇者が現れるまで20年かかった。だからみんなその分期待してたんだよ、魔王を倒してくれるってさ」

村娘「だけど結果的には叶わなかった。とすれば次の勇者が現れるには何年……いや何十年かかるのか」

村娘「その間に……今まで通り魔王国との目立った衝突は起こらないのか」

村娘「みんな、不安なんだよ。だから、気休めにあることないこと作り出して信じる。ま、信じるだけならいいんだけどさ」

メイド長「それが狂信に変われば………」

341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:24:22.30 ID:lcra2KKAO
長老「実際変わってるよ。仕方あるまい。元々我々人間は待つことしか出来んからな。」

勇者「………」


長老「まあ、難しいことはよう分からん。もう眠いのぅ」

村娘「だね、じゃ、お開きにしよっか」

幼女一同『ええええ!!!!!!』

村娘「寝るんだよ。ほら、イケメンさんが寝るまで一緒にいてくれるっていうからさ」

勇者「ええええ!!!!!!」

憲兵隊長「正直わたしも………」ふらふら

警備隊長「酔いが…………」ふらふら



メイド長「はいはい。それじゃ皆さんお休みなさい」パンパン
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:25:16.17 ID:lcra2KKAO
―――――――

カチャカチャ

村娘「悪いね、片付けまで……」

メイド長「メイドですから、慣れてますのよ」

村娘「お客様なんだから……ゆっくりしてくれりゃ」


メイド長「性ですかねぇ、落ち着きませんのよ」

村娘「ありがとう。ふぁっ………んじゃ、寝るね」

メイド長「おやすみなさいませ」

ガチャッ………

メイド長「………ふぅ」

メイド長「私も寝ますか……」





カタッ………



メイド長「………ん?」

メイド長「あらやだ、ドアが………」


343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:25:42.04 ID:lcra2KKAO
ガチャッ………


サアアアアアアアッ…………






メイド長「良い風ね………」

長老「じゃろ?」

メイド長「ひゃっ!?」

長老「おお、すまんかった。すまんかった。」

メイド長「長老さん………」

344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:26:35.93 ID:lcra2KKAO
長老「年寄りになると寝つきが悪くてな」

メイド長「ハーブティでもお入れしますか」

長老「ハーブティもいいがな、この風が最高の安眠だ」

メイド長「…………確かに心地よい風です」

長老「ずっと、変わらない。この村には何にもないが、この風だけは誇れる」

メイド長「ええ」

長老「風は目に見えない、だから変わらない。変わらないものは、目に見えない。って当たり前じゃなあ………」





サアアアアアアア………………



長老「今日の晩は静かだ」

メイド長「殿方がいらっしゃないと寂しいところはありますわよね」

長老「それにしても、だ。なんだか……………」


メイド長「風が生温い……ですわね」





『父さん!!!』ハァ!ハァ!ハァ!




長老・メイド長「!?」


345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:27:14.27 ID:lcra2KKAO
長老「お前………!」



ガチャッ………

村娘「あれ、メイド長まだ………」

男「…………」

村娘「って!お、お父さん!なんでいんのよ!訓練は!」

男「いいか、よく聞いてくれ!荷物をまとめて、面に停めてある馬車に乗れ!30分以内に!早く!」

村娘「は………はぁ?」

メイド長「あ……あの………」

男「こ、この人は?父さん……」

長老「客人だ」

男「悪いですが、あなた方も早く荷物を纏めてください!早く!」



メイド長「えっ………?」
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:28:15.07 ID:lcra2KKAO
ガチャッ………

勇者「騒がしいな………」

魔王娘「起きちゃいましたよぉ………」

村娘「お父さん!事情を言ってよ!なんで!!!」

男「なんでもだ!!!」

メイド長「男手がありますので、荷造りはすぐに終わりますわ。ですから、事情をお話頂いた方が無用の混乱がありませんわよ」

男「…………」

長老「そうだ、気持ちの準備も必要な事の用だ。手短に話せ」




男「………この村、燃されちゃうんだよ」


一同「!」

347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:29:33.26 ID:lcra2KKAO
村娘「な………」

村娘「なんでよ!なんでよ!」

男「………戦争、やるんだ」

村娘「せ………戦争?」

男「戦争やるんにも、引き金が必要だ!だから、この村は魔王国に襲われたことになるんだよ!」

村娘「意味わからん………」

村娘「意味わからんよお父さん!!!!!!!!!」

男「俺だって意味わからない!!!!!!でも、やるってんだから、仕方ないだろう!!!」

村娘「やだよ!なんとかしてよ!」

男「ならんから来てる!来てるんだヨ!」

村娘「………」





魔王娘「………許せないです、こんなの」

魔王娘「私が………」



ぐっ


魔王娘「!」

メイド長「おやめなさい」


348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:29:59.03 ID:lcra2KKAO
魔王娘「…………メイド長、止めないでくださいよ!」

メイド長「止めますよ」

魔王娘「私ならなんとかできますよ!どうせ大隊一つくらいなら……」

メイド長「ダメ」

魔王娘「なんで!人間だからって、見て見ぬ振りしろっていうんですか!」

メイド長「はい」

魔王娘「………」キッ

メイド長「戦争、起こしたいんですか殿下は」

魔王娘「だから、起こさないために!」

349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:31:45.00 ID:lcra2KKAO
メイド長「ではあなたは相手方に一切の被害も出さず、痕跡もお残しにならないと?」

魔王娘「………それは」

メイド長「ならないと」

魔王娘「…………できないです」

メイド長「なら、相手の望む既成事実をまんまと与えてしまいますわよ」

魔王娘「………でも!村は」

メイド長「村ならもう一度作ればいいです。」

魔王娘「………メイド長は人事だから簡単にいいますね」

メイド長「言いますよ。このまま和平のチャンスを失いたくないですから」

魔王娘「ここまでやって、何が和平ですか!もう戻りようが………」

メイド長「我々が今すべきなのは『見て見ぬ振り』することなんですわよ」

メイド長「真実を明らかにすることより、真実を明らかにしないことが大切なんです」

魔王娘「………意味がわかりませんよ」

メイド長「それが大人なんですのよ」

魔王娘「…………」

350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:32:44.99 ID:lcra2KKAO
勇者「………行くぞ、娘」

魔王娘「勇者さま!」

勇者「メイド長の主張は正しいよ。私たちの取るべき行動は極力痕跡を消すことだろう」

魔王娘「………勇者さま」

勇者「それに、人間側の行動も悪そのものではないよ。憎むべきではないさ」




勇者「……むしろ、私に責がある」



351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:33:10.83 ID:lcra2KKAO
警備隊長「荷物、できたぞ!」

憲兵隊長「子供達も全員揃っている………」

長老「おお、すまない………」

村娘「…………」

男「君達はどうするか!」



メイド長「私どもは自力で戻りますわ。ですから、お先に」


男「そうか、ありがとう」

男「行くぞ!急げよ!」

幼女A「えっ、お出かけ!」

幼女B「やった!」

幼女C「ピクニック!ピクニック!」

村娘「………」

男「………行くぞ」



352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:34:10.83 ID:lcra2KKAO
メイド長「………」

長老「メイド長」ひょこっ

メイド長「!」


メイド長「………長老さんお急ぎにならないと」


長老「君は、幸せかな」


メイド長「えっ」


長老「幸せかな」




メイド長「それは………」





メイド長「楽しいですわ、とっても」ニコッ




長老「………そうか」くるっ




353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:34:39.13 ID:lcra2KKAO
スタスタスタスタスタスタスタスタ




ガッ

警備隊長「へっ」

長老「泣かせたら殺すからな」ギロッ

警備隊長「へっ」

長老「お前だ」ギロッ

憲兵隊長「…………」



長老「じゃ、達者でな」



スタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタスタ



メイド長「……………」

警備隊長「…………」

憲兵隊長「…………」


354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:36:30.37 ID:lcra2KKAO
――――――――

パカラッ………パカラッ…………


魔王娘「………ZZZ」

メイド長「よく寝てますわ」

勇者「………へそを曲げていたようだが」

メイド長「曲げてるんじゃなくて、折り合いをつけてるんですわ。無駄に正義感があるんですから……」

勇者「………そうなのか」

メイド長「そうですわよ」

勇者「………」

メイド長「気になさらない方がよろしいですわよ」

勇者「………」

メイド長「どちらにせよ、こうなることは規定事項でしたし、どうにかさせようと思って魔王様は私たちを寄越したのではないでしょうし」

勇者「………やはり、魔王は知っていたのか」

メイド長「でしょうね。それに、多分情報を流したのと彼らの保護は皇后様のお仕事でしょうし」

勇者「………そうか」

勇者「メイド長は、分かっていたのか」

メイド長「何がです」

勇者「……全てだ」

メイド長「冗談。ただ、信じていただけですし、これからも信じているだけです」

勇者「何を」

メイド長「魔王様です。それから」

メイド長「あなたを」

勇者「…………」

355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:36:56.86 ID:lcra2KKAO
メイド長「ってあれ………」ポロポロ

メイド長「なんで………なんで私泣いてるのでしょう、嫌だわ………」


勇者「………」スッ


メイド長「………勇者さま」


勇者「………拭いてくれ」


メイド長「………ありがとうございますわ」チーン



勇者「………鼻をかんでくれとは一言も言ってないのだが」



356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:37:29.84 ID:lcra2KKAO
キキーッ!!!



警備隊長「あれは………!」


勇者「何事!」



ザッザッザッ………





憲兵隊長「………どうした」

警備隊長「警備隊……にしては数が………まさか魔王軍………!」

勇者「なに!」


ザッザッザッ………



勇者「………進軍、させているのか?」


ザッザッザッ………
ザッザッザッ……
ザッザッザッ…





357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:38:02.13 ID:lcra2KKAO
―――――――



パカラッパカラッパカラッ

勇者「………もっと急げないか!!!」

憲兵隊員A「いっぱいいっぱいだ!」



勇者「ぐっ………」




警備隊長『私が先端の兵は止める!だから、勇者殿は……ご自分のなされることを』

憲兵隊長『道を開けさせる。大きな貸しにするぞ』


メイド長『勇者さま、どうか………』




パカラッパカラッ…………




勇者(…………魔王!)」


358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:38:55.02 ID:lcra2KKAO
魔王娘「勇者さま」 ひょこっ

勇者「……む、娘!?お前はメイド長のところで寝てたんじゃ」ビクッ

魔王娘「だだ、こねてても仕方ないですから」

魔王娘「お父様のとこまで転送します。この距離なら出来ると思いますから」



魔王娘「いきますよ」ポウッ


勇者「あ…ああ………」



魔王娘「……勇者さま」



勇者「なんだ」カチャリ




魔王娘「………“スキ”あり!」チュッ



勇者「!」



パッ





魔王娘「勇者さま、私」




魔王娘「待ってますから……」



359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:40:47.43 ID:lcra2KKAO

チッチッチッチッチッチッ




魔王「……」

勇者「……」






魔王「来たか」

勇者「……ああ」

魔王「で、何だ」

勇者「進軍をやめさせろ」

魔王「無理だな」

勇者「何故だ!」

魔王「戦争を仕掛けたのはお前達人間だろ。防衛のため先手を打っているだけだ」

勇者「ああいう村を増やすのか」

魔王「もっと悲惨だな。なるべく強奪や強姦はするなと兵には厳しく伝えてあるがどの程度遵守されるかな」



勇者「………」

360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:42:06.16 ID:lcra2KKAO
魔王「で、何をしに来た、私を刺しにでも来たか」

勇者「それも良いかも知れん」


勇者「が、その前に聞きたいことがある」

魔王「何だ」

勇者「お前達は何故勇者を迎え入れる」

魔王「………」




勇者「そもそも勇者を迎えることなくともお前達は戦争を仕掛ければ人間を支配できた」

勇者「何故、それをしなかった」

魔王「……一つは人間国のガス抜きの必要があったからだ」

魔王「そもそも、我々は戦いを好まぬ。人間と剣を交えたことなど実際は数えるほどしかない。だろう?」

勇者「…………」

361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:42:32.02 ID:lcra2KKAO
魔王「とまあ、言ってはみるが、それだけではない。」

魔王「その昔、ある独りの勇者がいた」

勇者「………」

魔王「勇者は仲間を失いながらも辛うじて魔王の元にたどり着いた」

魔王「しかし、命からがらたどり着いた勇者に、魔王………どちらが勝つかは一目瞭然だった」

魔王「そして勇者は殺された、魔王に。だが、それで話は終わりではない」

魔王「魔王は喜んだ。魔王国中探しても居なかった継承者が見つかった……と」

362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:44:11.41 ID:lcra2KKAO
魔王「正しき君主制は永続性がある。しかし家系で君主を決めるのでは国は廃れる。ならば、相応しい君主を君主が選び、指名すればよい。」

魔王「そう思った魔王は国中を探したが、魔王の器を持った者は現れなかった」

魔王「そして魔王は考えた。そうだ、人間国からも探せばよいと……そして、気に入った者は生き返らせ、魔族契約を施して次期魔王にしよう……と」

魔王「こうして勇者という存在は生まれた。そして魔王の目論見通り気に入った男が現れたのだった。早速魔王は勇者の亡骸を『黄泉がえり』の儀で復活させた」

魔王「勇者は何も覚えていない。それもそのはずで、記憶全てと魂を取り替えるのだから仕方あるまい。」

魔王「でも、それは逆に好都合だった。勇者としての記憶があれば、多分魔王という存在自体を許せないかもしれなかった。しかしその心配はない」

魔王「こうして魔王は勇者を警備隊に配属させ、心身ともに鍛え上げた。そして自分の娘とも結婚をさせた。娘も一人、生まれた」




魔王「そして、勇者は魔王になった」




勇者「………まさかお前」

363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:45:34.69 ID:lcra2KKAO
魔王「この話は冠を授かる時に義父から聞いた。まあ、聞いたからと言って何かが変わる訳ではなかったし、第一真偽はわからぬ」

魔王「ただ、我輩が本当に勇者であり、記憶を保持して居たままであれば………と思わなくもない」

勇者「………」

魔王「ただ、お前を殺していたら事態が暗転していたかも知れぬことは事実だ。こうも早く動くとは想像していなかった。教育が間に合わなかっただろうな」

勇者「………魔物が人間の敵ではないと言うことは知っている。本当の敵は愚劣な支配者だ」

魔王「そうか、では私が逆に問いたい」

魔王「勇者、お前はどうする」

勇者「したい、ではなくか?」

魔王「願望などというものを持ち合わせるほど貴様は温い男か」


勇者「………私は」



勇者「私は、『魔族』を無くす」





魔王「……私を殺すのか」
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:46:59.67 ID:lcra2KKAO
勇者「いいや。そうではない、概念の話だ。」

勇者「魔族は個性的な人間、これで良いではないか」

魔王「…………」



魔王「人間が個性的な魔物と言う手もあるぞ」


魔王・勇者「………」




魔王・勇者「………ふっ」



365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:47:35.83 ID:lcra2KKAO
――――――――――




警備隊長「だからだな!もう少し……」

兵士A「限界ですよ。もう、あちらに人間が見えるでしょう!」

警備隊長「下がれば………」

兵士A「無茶言わないで下さい!敵に背中を見せろと仰るのかアナタは!!!」

警備隊長「…………」




警備隊長(限界か…………)





人間軍兵士A「かかれええええ!!!!!!」

魔王軍兵士B「こちらも後れを取るな!!!!!!」


警備隊長「ま………待て!」





警備隊長(すまない………勇者殿…………………)

366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:49:06.54 ID:lcra2KKAO
魔王娘「わ、私が止めます…………」

メイド長「無茶ですわよ!あの距離の転送魔法を使ったばかりでは…………」



魔王娘「でも!勇者さまに待ってるって、私…………」










『剣を、納めよ!!!』







人間軍兵士「!」

魔王軍兵士「!」




魔王娘「………えっ」







勇者「人間軍、剣を納めよ!」

魔王「魔王軍、我が名の元に、撤退を命ずる!」





人間軍兵士A「な…………!」

人間軍兵士B「ゆ………勇者?」


人間軍兵士C「勇者だよな……あれ…………」

367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:50:03.82 ID:lcra2KKAO
勇者「私は先刻魔王との和解条約の締結を約束した!これ以上、違えることはない!」

魔王「魔王軍、武器を捨てい!!!」



魔王軍兵士「え………」


魔王「捨てい!!」



ガシャン………

ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン

人間軍兵士「……!」


勇者「我々も、武器を捨てよう!」ガシャン


人間軍兵士A「……戦わなくてもいいのか?」

人間軍兵士B「………みたいだな」


勇者「捨てよう」


人間軍兵士一同「…………」
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:51:53.24 ID:lcra2KKAO

人間軍兵士A「…………捨てようか」


人間軍兵士B「ああ!」




ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!


ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!







ひゃほおおおおおおお!!!!!!!!!






―――――


メイド長「ああ、こうして、和解条約の締結にいたったんですわよね!やっぱり魔王様の後継者は勇者さましか………」





勇者「記憶を捏造するんじゃないぞメイド長」
メイド長「えっ?」

369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:54:23.53 ID:lcra2KKAO
勇者「第一、我々は村なんか行ってないだろう」

メイド長「そうでしたっけ」しれっ

勇者「決まったときに魔王のやつ、鼻クソほじっていただろうに」

メイド長「そうでしたっけー」

勇者「そうだろう」

メイド長「そうでしたっけねー」

勇者「そうだろう。第一なんだ、戦争というものは安い居酒屋じゃあるまいし、顔パス程度でどうにかなるようなものなのか」
メイド長「…………」

メイド長「うふふっ」

勇者「…………」

370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:55:47.42 ID:lcra2KKAO
メイド長「とにかくです、和解条約が成立したんですから勇者さま。腹をお決めになったらいかがです。」


メイド長「和解の仲介をされたのは事実ですし、どうせ後世の歴史家はこんな風に脚色しますわよ。」

勇者「ああ、魔王にならないと言う方向で腹を決めているが」

メイド長「なぁっ!」

勇者「イヤなものはイヤだからだ」

メイド長「もうっ!この話、丸々二週間掛けて作ったんですわよっ!どうしてくれるんですかっ!」ぷんすか!

勇者「………そんなこと言われても」




メイド長「私の二週間を返してください!」ポカポカ!

371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/01(土) 23:56:14.61 ID:lcra2KKAO
勇者「いや、だから何故……いたっ」

メイド長「もう!勇者様といい魔王様といい、なんなんです!なんなんです!」ポカポカポカポカ

勇者「だからメイド長が何を言いたいんだか………痛い!痛い!」



こっそり


魔王娘「あれ、なんかお父様、汗ダラダラですよ」

魔王「そ………そう?」ダラダラダラダラ




【第12話・おしまい】



372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/01(土) 23:58:23.73 ID:lcra2KKAO
お付きあいありがとうございました。
路線を変更してすみませんでした。次から元に戻ると思います

ありがとうございました。次回は明日くらいです。ありがとうございました。
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/09/01(土) 23:59:47.18 ID:A4pv9No7o

良かったよ
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/02(日) 00:01:54.29 ID:Fh1ITbzDO
メイドさんにぽかぽか叩かれたいぜうふげへあはー☆
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/02(日) 00:18:04.87 ID:cL7A4/hAO
あと書き忘れてましたが1部含めて全17話で1日2話ずつ投下予定です

ありがとうございました。
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/02(日) 00:45:17.57 ID:rl6JLA/0o
乙だわ
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/02(日) 02:34:16.58 ID:H9hhynGDO
キキー!が一瞬キー!に見えた

完全版が出ると思ってなかったよ
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/02(日) 11:59:00.69 ID:cL7A4/hAO
新しく読んでくれた方々も、ずっと待っていてくれた方々も本当にありがとうございます

では第13話、再開します
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:00:43.24 ID:cL7A4/hAO
第13話



【警備隊本部】

警備隊長「と、言うわけで今日は皆に転校生を紹介する」




ひゅーひゅー!ひゅーひゅーひゅーひゅー!





警備隊長「勇者殿、入ってくれたまえ」

勇者「………」カツカツ

警備隊長「ほーら、勇者殿。皆に挨拶を」



勇者「………挨拶など必要なかろう」



「おいこら!愛想わりーですよ!」
「最初が肝心ですわよー、頑張ってくださいまし勇者様」




警備隊員A・B「……」


380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:01:20.81 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「すまんな勇者殿は緊張してるだけみたいなのだ…ほーら、勇者殿!ファーイトっ」

勇者「だから警備隊長!今更挨拶など必要ないと私は言っているのだ!」

警備隊長「いいや!挨拶は大事だぞ勇者殿!どんなときだって!ねー」

魔王娘「ねー」

メイド長「ねー」

警備隊員A・B「…………」

勇者「………何が『ねー』だ」

勇者「どういうことだ警備隊長。隊員が全て見慣れた顔だぞ」

警備隊長「それがだな……まあ、警備隊はもともと500人規模だったのだが……」

警備隊長「………ほら、ねぇ」

魔王娘「ね」

メイド長「ね」

勇者「わ、私のせいだと……」

警備隊長「違うか」

勇者「……違わんが」

381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:01:57.24 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「と、言うわけでお役御免となった警備隊はほぼ解体状態だ。他の隊員は憲兵隊もしくは軍本部へ戻った……と言うわけで正規の隊員は私を含め三人」

メイド長「勇者様はじめ私達二人は特別役職と言うわけですわね」

勇者「………仕事は」

警備隊長「へ?」

勇者「この面子で仕事は何をするのだ」

警備隊長「そうですな、憲兵隊に断られた依頼の持ち込みか」

勇者「それがなかったら」

警備隊長「パトロールか。ああ、でもこれは憲兵隊の仕事か」

勇者「他には」

警備隊長「………」




警備隊長「草むしりとか」




勇者「……」

メイド長「私はやりませんけどね」

魔王娘「えー、こんなだだっ広いとこ、むしるの超面倒ですから、全部燃やすかドラゴン召喚して食べさせちゃいましょうよー」




勇者(2人が戦力外、か………)


382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:02:28.21 ID:cL7A4/hAO
メイド長「さてお昼ご飯を作りませんと」

魔王娘「その間に勇者さま、2人で子供を作りませんと」ぽっ

勇者「作らん!」

警備隊長(わ、私はメイド長殿と二人きりでお話する機会を作らんと)

憲兵隊長「では私は邪魔する機会を作らんとならんな………」

一同「!?!?!?!?」

警備隊長「け……憲兵隊長!?」ずささっ
憲兵隊長「どうした情けない表情など作って」

383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:03:21.45 ID:cL7A4/hAO
メイド長「あらあら憲兵隊長さんいらっしゃいませ」

憲兵隊長「メイド長、さ、差し入れであります………」サッ

メイド長「あら、しゃれこうべのカルシウム粉末入りドーナツをこんなに…あらそれから花束まで」

メイド長「ありがとうございます」にっこり

憲兵隊長「えへ、えへ……」でへりでへり



魔王娘(誰だよ)

勇者(こいつ)

384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:04:52.08 ID:cL7A4/hAO
憲兵隊長「おほん。まあ、冗談はこれくらいにして」

警備隊長「え、え、じゃあ貴様は冗談でメイド長殿にこんなことをしたワケ?」

憲兵隊長「へっ」

警備隊長「なるほど。メイド長殿への気持ちはお遊びだと、おふざけだと言うことかぁ!なるほどなるほど」

憲兵隊長「そっ!そこまでは………」

憲兵隊長「揚げ足をとるな……!必死で醜いぞ……!」

警備隊長「うっわ、顔色悪い癖にプレイボーイ(笑)気取っちゃってるぅー。メイド長殿、こういうふざけた男はですね」

憲兵隊長「ちょ!ちがっ!!」



ワーワーワーワーワーワーワーワー




勇者「……話が進まん」

魔王娘「進みませんね」
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:05:37.82 ID:cL7A4/hAO
【5分後】

メイド長「うふふふ」

警備隊長「…………」

憲兵隊長「…………」

勇者「……で、話とは何か」

憲兵隊長「憲兵隊にある案件が持ち込まれた……」

魔王娘「案件、ですか」

憲兵隊長「はい。どうやらこの先の村にてよく分からない魔物が畑を荒らしているらしいのです」

魔王娘「なるほど、それは大変ですね」

警備隊長「んで、なーんでそんな案件を我々の下に」

憲兵隊長「人口が増えたのだ…。我々だけでは到底手が足りぬ…」

魔王娘「ま、魔族側と人間側の急進派が大分バチバチ言わせてますからね」
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:06:03.87 ID:cL7A4/hAO
憲兵隊長「左様です殿下。いつ本格的な衝突が起きても可笑しくはありませぬからな…」

憲兵隊長「誰かが責任をとろうとしないから………」

勇者「べ…別に責任を取っていない訳ではない!私には私の主義がだな!」

憲兵隊長「今それを論じあっても仕方あるまいな…」

憲兵隊長「とにかく、だからと言って、直接持ち込まれた案件を無碍には出来ぬのだ………」

魔王娘「憲兵隊長ったら良いこと言うじゃないですか!そうと決まったら!はい!はい!」

メイド長「あらあら張り切っちゃって」

387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:06:30.49 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「こいつの案件ですよ。ろくなことになりませんよ殿下」

勇者「外はまだ暑いし止めた方が………」

メイド長「基本的に殿下はお暇を持て余してらっしゃいますし、多分、勇者様と何かなさりたいんじゃありません?」

魔王娘「引き受ける!引き受ける!引き受ける!引き受ける!引き受ける!」ジタバタ

勇者「しかしだなぁ………」

魔王娘「やるんです!やるんです!やるんです!やるんです!やるんです!やるんです!やるんです!」ジタバタジタバタ

メイド長「いいじゃありませんか。1日ここで喚かれても暑苦しいだけですわよ」

勇者「むぅ……」



388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:06:56.30 ID:cL7A4/hAO
【この先の村】

勇者「確かに畑が大分荒らされているなあ」

メイド長「まるで重機か何かでぐちゃぐちゃにされてしまったみたいですわねぇ」

警備隊長「これはヒドい有り様だな。」

魔王娘「キャッホー!来ましたよー!」ぴょんぴょん

メイド長「良かったですわね殿下ー」

勇者「………非常に不本意なのだが」

警備隊長「まあ、良いではないか勇者殿。我々が憲兵隊長の罠にはまらんよう注意すれば良い話なのだから」

勇者「それはそうなのだが、なんだか娘に折れた形になったのが何ともだな……」

389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:07:24.09 ID:cL7A4/hAO
メイド長「この村は半数が人間半数が魔族が暮らしています」

勇者「なるほど。ということは人間側も魔族側も所謂穏健派と呼ばれる連中か」



村人A「へへー」

村人B「へへー」

勇者「………な……何をしている村人」

村人C「おめーさんは和解を成立させてくれた上にこうしておら達まで助けてくれようとしとる」

村人D「ありがたやーありがたやーありがたやー」

勇者「い、いや!拝まなくて良いから!顔をあげろ!顔をあげろ!」

メイド長「お年寄りから絶大な人気を誇ってらっしゃるんですよ勇者様は」

警備隊長「だから魔王、やっちゃえば良かろうに」

魔王娘「良かろうに」

メイド長「良かろうに」

勇者「……だから、それとこれとは別の話だろうに」


390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:07:56.92 ID:cL7A4/hAO
勇者「とにかく、話を聞こう」

村人A「へぇ、私らの畑をでっかい竜の化け物が夜中に襲いに来たんですわ」

メイド長「皆さんが目撃者で?」

村人B「見たぞ!」

村人C「おらもだ!」

村人D「でっかかったぁ!」

勇者「……と言うかお前たち酒臭いな」


村娘「お父さんたち、やけ酒してるのよ、毎晩ね」

村人A「ううっ……悔しくってなあ!」

村娘「だから私たちも困ってるの………酔っ払いは嫌いだから」


メイド長「なるほど、苦労なさってるのね」

警備隊長「貴殿は?」

391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:08:27.62 ID:cL7A4/hAO
村娘「この村の者です。ね?お父さん」

村人A「………」

村娘「お父さん!」

村人A「あ、ああ!私か!」

村娘「そうよ。全くボケッとしちゃってさ」

村人A「すまん……最近恐怖で寝付けんのだ……」

メイド長「それはそれは……」

勇者「………なるほど、では詳しいことを聞こうか」

村人A「夜中に竜が一匹やってきてバーって畑を荒らしてだな」

村人B「それで爪でガッとやってだな」

村人C「バーって行ったのだ」

村人D「怖かったな」

勇者「………」

勇者「分かったか」

メイド長「……いえ」

警備隊長「全く」

392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:08:54.25 ID:cL7A4/hAO
村人A「だからだな、バーって」

村人B「ドーンと!」

村人C「ジャーンと!」

村人D「ガーンと!」

勇者「あー、わかった。わかったぞ。」


勇者「貴殿らには目撃した竜とやらの絵を絵を書いてもらおう」

村人A「絵………絵か?」

村人B「あんまり上手くないんだがなぁ」

勇者「それでも良い。書いてくれ」


村人C「わ、わかった………」


393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:09:21.88 ID:cL7A4/hAO
【10分後】

勇者「な………なんだこれは………」




メイド長「翼が生えていて巨大な爪を持っている以外は全く違う生き物みたいですわねぇ」




警備隊長「ど………どういう事か」


村人A「間違いなく見たんですってば!」

村人B「これに違いねぇ!」

村人C「違いねぇ!」

村人D「んだ!んだ!」

村娘「ま…まあ、本当なんだと思うわ」

勇者「…これはどうしたものか」

メイド長「謎が深まりますわねぇ………」

394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:09:49.87 ID:cL7A4/hAO
勇者「まあ、被害にあった当事者達だからなぁ。なんていうか、個々に余計な主観のようなものを挟んでも仕方なかろう」

メイド長「つまり無意識のうちに見間違えを起こしている可能性もあると」

勇者「魔族はどうか知らんが人間にはよくあることだ」

メイド長「ま、失礼ですわね。魔族だってそれくらいのおっちょこちょい、しますわよ!ねぇ!」ぷんすか

魔王娘「ですよ!遺憾です!遺憾です!」ぷんすか

勇者「じょ……冗談にそんなにムキにならんでくれ……」


395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:10:37.31 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「と言うことはなんだ、第三者に話を聞きたいと言うわけか」

勇者「そうだ。そんなに巨大な竜であれば、この村の者以外も目撃しているに違いあるまい」

メイド長「たしかに、この中のどの証言が正しいか、裏付けが出来ますからね」

勇者「ここから一番近い村はどこかな」

警備隊長「ええ………」

村娘「ええと、ここから約1里ほど南東に町があります。そこなら」

勇者「では行こう。」

村娘「あの、勇者さん!私も、私も行ってもよろしいでしょうか!父の敵を取りたいのです」

勇者「か、構わないが……」

村人A「頼んます……」

勇者「あ、ああ………」

メイド長「…………」

396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:12:48.13 ID:cL7A4/hAO
【南東の町】

魔王娘「い………意外と遠いです」

メイド長「1里って歩くと1時間弱かかりますからねぇ」

勇者「しかし、ここもまた寂れた町だなぁ」

町人A「………」トコトコ

勇者「あ、少し聞きたいことがあるのだが」

町人A「ああ……なんだね」

勇者「あのだな………」

町人A「!」

勇者「どうした?」

町人A「すまん!私は急いどるんだ!」タタタタタッ

勇者「ちょ、ちょ、ちょっと!」


警備隊長「いきなり何なのだ……」

メイド長「なんだか見てはいけないものを見ちゃったみたいですわね」

魔王娘「な、なにも見えませんけどね」

397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:13:16.29 ID:cL7A4/hAO
勇者「あの」

魔王娘「すいません」



町人B「すまん!」タタタタタッ

町人C「何もしらない!」タタタタタッ

町人D「ごめんなさい!」タタタタタッ

勇者「………」

警備隊長「ぶ……不気味な町だな」

メイド長「この事件……かなり闇が深そうな予感ですわ」



398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/02(日) 12:16:49.05 ID:cL7A4/hAO
カァカァカァ………

勇者「ダメだ……全く証言が得られん」

メイド長「見事に全員沈黙を貫いてましたわねぇ」

警備隊長「じ、じ、実は、お、お、お化けの仕業か何かなのか?」ガクガクガクガク

魔王娘「まさかですよ。それより喉乾きました」

警備隊長「そうですね殿下。」

村娘「そうだ。じゃあ喫茶店に寄ってきましょう」

メイド長「ご存知で?」

村娘「ええ。この町に来たときにはいつもいくお店があります。サラマンダーの生き血100パーセントジュースがおすすめです」

魔王娘「じゃああたしそれがいいです!」


勇者「わ、私は遠慮しとこうかな……」
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/02(日) 12:17:40.01 ID:cL7A4/hAO
【店】

カランコロン

村娘「こんにちは〜」

魔王娘「こんにちはです」

女店主「はーい」カチャカチャ

メイド長「あら………準備中でした?」

女店主「まあね、昨日夜遅かったからさ。宴会だったんだよ。」

勇者「喫茶店なのに夜中も営業しているのか。珍しいな」

女店主「昼は喫茶店だけど夜は酒場になるんだよ。ごめんね、今日は夜からのつもりだったからすぐに出せるもんといったら水しかなくってさ」

勇者「いや、悪いのはこちらだ。それで聞かせていただきたいことがあるんだが」

女店主「なぁに?」

400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:18:26.63 ID:cL7A4/hAO
勇者「隣の村で起こった事件についてだが、その……竜らしきものを見なかったか」


女店主「見なかったよ」

一同「えっ」




女店主「だから見なかったって」

村娘「ま、待ってよ!間違いなくここにも来たはずで……」

メイド長「ですわね。地理的に考えれば普通ここを通らないはずはありませんわよね」

女店主「でも見なかったもんは見なかったんだよねぇ」

村娘「そんな………」

警備隊長「ま、マジでお、お、おばけなんじゃあ!」ガクガクガクガク

魔王娘「まさかそんなわけないですよ」

勇者「………」

401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:18:53.34 ID:cL7A4/hAO
メイド長「奇妙なことになりましたわね……」

女店主「それより勇者だっけ?うわさ通りイケメンさんだねぇ。」ペタペタ

勇者「!」ぞくぅっ

魔王娘「ちょ、ちょっと触らないでくださいよぉ!」

女店主「あたし、もしなんかあったら、あんたに付くよ。」ぎゅううっ

勇者「い……いや……あの……」

魔王娘「もしももクソもねーです!離れてくださいよぉ!」

警備隊長「最近の女性は積極的だなぁ………」チラッ

メイド長「なんです?」

警備隊長「い……いや……」

402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:19:19.28 ID:cL7A4/hAO
【警備隊本部】

メイド長「さて、今までの状況を整理すると」

メイド長「村人ABCDの畑がドラゴンらしき生物に襲われました。予想するにかなり巨大ですわ。」

メイド長「しかしABCDいずれも竜を目撃はしたものの、描いた竜の姿がまるで異なる」

メイド長「その上地理的に絶対に通過するはずの町で証言を求めるも黙りか、見ていないとの証言か……」

警備隊長「奇妙だな……」

魔王娘「奇妙ですねぇ……」

メイド長「さて、問題はこの事実から何が導き出されると言うことですが」

403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:19:48.86 ID:cL7A4/hAO
勇者「導き出されると言われても……こう証言が一致しないのではなぁ」

メイド長「複数体……いたんですかねぇ」
警備隊長「竜の習性上ありえんな」


勇者「となると店主が見なかったことに関して更におかしくなる」

警備隊長「化け物が特定されんことには我々も対処のしようがないからな。」

メイド長「そうですわねぇ……」


一同「う〜〜〜ん……………」





ポクポクポクポクポクポク


チーン!





404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:20:34.09 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「はい!はいはい!」

メイド長「はい殿下。なんです?」





魔王娘「この竜って、もしかしたら見る人によって形を変えるんじゃありませんかね」

一同「!」






魔王娘「……ど、どうしました」

メイド長「い……いえ………その」

警備隊長「ま……まさか………」

勇者「お前がそんなまともな事を言うとは思わなかったからだな……」

魔王娘「失礼ですね!」

勇者「しかし、そんな竜いるのか?」

警備隊長「噂では聞いたことがあるような……」

メイド長「ええと、百科事典によると『変化竜』といってすでに絶滅したとか」

勇者「……だが、生き残りがいないわけではないか」

魔王娘「ねっ!ねっ!」
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:21:29.69 ID:cL7A4/hAO
メイド長「草食で、食事中以外普段は透明なんですってよ」

魔王娘「店長さんの証言とあいますね!間違いないですよ!」

メイド長「まぁ……とりあえず確かめてみないことには」

勇者「………そうか」

警備隊長「襲われていない畑がまだある。竜の習性を考えれば必ずもう一度やってくるはずだ」

勇者「となると今晩から張り込みか……」

勇者「しかしどうせ張り込みするのだったらこんな推理ごっこをする必要、なかった気もするな……」

警備隊長「いや、そうでもないぞ勇者殿。相手が竜らしい、と言うことと、それから一体だと言うことが分かっただけ対処しやすくなったぞ」

警備隊長「それに竜は、一族でない竜が手を着けた場所には近寄らんらしいからな。」

勇者「ま、それもそうか……」

メイド長「とりあえず、話を総合するとどうやら相手は夜行性のようですし、今夜見張りを開始しましょう」


406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:21:59.82 ID:cL7A4/hAO
【夜】

村人A「ようこそおいでくださいました」

村人C「おらの畑、大丈夫かなぁ。ただでさえ今年は不作なんだっぺ」

勇者「村全体がか」

村人B「んだんだ。昨年も一昨年もだ」

村娘「ありがとうございます。」ゴホゴホ

勇者「大丈夫か」

メイド長「風邪ですか?」

村娘「ええ…本当は皆さんと御一緒したいんですが……」

警備隊長「ゆっくり休んでくれたまえ」

村娘「はい……失礼します」

407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:23:42.81 ID:cL7A4/hAO
メイド長「可愛らしい娘さんですね」

村人A「いや、私に似て芋っこくていけねぇ」

勇者「……似てるか?」

警備隊長「いいや」

村人A「あっ……違う方の娘の話しちまった……今の娘のほうか!今の娘はカーちゃんに似て美人で技量良しだぞ!疲れてるんだな!あははははは!」

魔王娘「すごく思い詰めちゃってるんですねぇ」

勇者「ああ……」


408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:24:18.74 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「では、装備も完了したことだ。早速………」



ギャアアアアアアアアアアス!!!


魔王娘「ま、まさか竜!?」

勇者「来たか!」

魔王娘「あっちみたいですよ!」

村人A「ま、まさか…おらの家で!」

村娘「竜が!竜が!」


メイド長「大丈夫です!?」

村娘「私は……だけど、家が………」

警備隊長「いつの間に………!」




メイド長「大きい竜ですわねぇ赤くて」

警備隊長「牙が大きい」

魔王娘「あと爪が大きいですねぇ……」



勇者「とりあえず全てはあとだ!警備隊長、装備を!」
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:25:15.84 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「はい」ポンッ

勇者「………」

勇者「これは私の剣だが」

警備隊長「そうだが」

勇者「た……大砲とか、なんかこうもっと……」

警備隊長「ない」

勇者「……まさかこれだけな訳は」

警備隊長「これだけだが」

勇者「えっ」

メイド長「前も勇者様お一人で竜を倒された事がありましたし、この赤い竜も大丈夫ですよ」


勇者「えっえっ」

魔王娘「ふぁーいと!勇者さま!赤い竜なんかにまけるなです!」

勇者「えっえっえっえっ」





赤いドラゴン「ギャアアアアアアアアアアス!!」




勇者「えっえっえっえっ」






勇者と竜の壮絶な戦いが幕を開けた――――


410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:25:46.22 ID:cL7A4/hAO


       (中略)       


411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:26:26.36 ID:cL7A4/hAO
勇者「 」チーン

魔王娘「勇者さまああああああ!!勇者さまああああああ!!」ゆっさゆっさ


メイド長「まさかあそこでああなってああして勝つとは」


警備隊長「そこでこうしてこうなってこうなるとは、流石だな勇者殿は!」


勇者「じょ、冗談ではない……死ぬところだったぞ…………」

412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:26:53.62 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「あ、起きました」

村人A「しかしこれで安泰ですな!」

村娘「竜も倒されたことだしね!」


一同「ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!」


勇者「…………」

魔王娘「勇者さま、よろこびましょうよーばんざーい!」

村人A「勇者ばんざーい!勇者ばんざーい!」

村娘「ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!」


413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:27:42.33 ID:cL7A4/hAO
【夜中】

勇者の部屋

勇者「………」

メイド長「失礼しますわ。お加減は?」

勇者「もう問題ないさ」

メイド長「そうですか。相変わらずすごい適応力でらっしゃって」

勇者「………」

メイド長「どうかなさって?」

勇者「……いやな、どうも引っかかるのだ」

メイド長「何が引っかかるんです?」

勇者「なんだか……な。果たして絶滅した竜なんてものの仕業なのだろうか」

メイド長「絶滅したと思ったら生きてたケースって以外にありますわよ」

勇者「まぁな。だが」

414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:28:11.35 ID:cL7A4/hAO
勇者「村人は本当に救われたのか……考えてしまうのだ」

メイド長「お優しいんですのね」

勇者「だが……何が引っかかるのか自分でも正直」

メイド長「コペルニクス的転回、かもしれませんわ」

勇者「………天地をひっくり返せと」

メイド長「というか、前提をひっくり返したら如何ですかと」

勇者「なる程」

メイド長「こちら、書庫の鍵です。なにかご参考になればと」

勇者「いいのか……」

メイド長「魔王様にはご内密に」

勇者「ああ」

メイド長「では失礼を」

ガチャ……

415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:28:37.02 ID:cL7A4/hAO
勇者「………メイド長」

メイド長「なんです」

勇者「あなたは……もしや事の顛末を知っているのではないか」

メイド長「まさか。私は全く知りませんわよ」

メイド長「私はただのしがない使用人」

メイド長「で・す・わ」


勇者「…………」


416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:29:11.80 ID:cL7A4/hAO
【次の日】


勇者、お手柄!迷惑ドラゴンを一撃で退治!


勇者「………」

メイド長「新聞はどこもこの話題ですわねぇ」


警備隊長「流石だな、勇者殿は」

魔王娘「どこもかしこも勇者さまワッショイですね!」

勇者「………」

メイド長「そうですね、ますます勇者様の支持率が上がっちゃいましたわ。本人は不本意でしょうけど。」

勇者「………」

メイド長「勇者さまーきいてらして?」

勇者「………ああ」

警備隊長「どうした勇者殿」

勇者「どうもしとらんさ」

417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:29:37.86 ID:cL7A4/hAO
メイド長「そうだわ、夜には村の皆さん方が宴会を開いて下さるらしいですよ。」

勇者「それはたのしみだな。」

魔王娘「勇者さま………?」






【夕刻・町の酒場(喫茶店)】


やんややんややんややんや

女店主「ビールだよ!」

村人A「勇者様ありがたや!ありがたや!」

村娘「おかげで村は救われましたね!」

魔王娘「世間は勇者様ふぃばーです!やりましたね!」

村人B「勇者ばんざーい!ばんざーい!」

勇者「………」グビグビ

418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:30:27.74 ID:cL7A4/hAO
メイド長「そうだわ、夜には村の皆さん方が宴会を開いて下さるらしいですよ。」

勇者「それはたのしみだな。」

魔王娘「勇者さま………?」


【夕刻・町の酒場(喫茶店)】


やんややんややんややんや

女店主「ビールだよ!」

村人A「勇者様ありがたや!ありがたや!」

村娘「おかげで村は救われましたね!」

魔王娘「世間は勇者様ふぃばーです!やりましたね!」

村人B「勇者ばんざーい!ばんざーい!」

勇者「………」グビグビ

419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:31:09.06 ID:cL7A4/hAO
メイド長「勇者さま、テンション低いですけど、どうかなさって?」

勇者「…………」グビグビ

警備隊長「今日は飲むペースが少し早くはないか?」

女店主「倒れちゃうよ」

勇者「…………」ぶはぁ

勇者「そりゃそうだ。やけ酒なんだからな」ひくっ

警備隊長「………やけ酒?」

メイド長「なにかおありで?」

勇者「一晩経って気がついた!この一件の一番の被害者は私だ!」ひくっ

メイド長「そりゃ……怪我はされましたが」

警備隊長「極論というものではないか」


勇者「極論ではない、事実だよ」ひくっ

メイド長「どういう……」
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:31:59.90 ID:cL7A4/hAO
勇者「まずドラゴンの件からだ。」ひくっ


勇者「村人は各人バラバラな姿を描き、街の喫茶店の店主は姿を見なかったと証言した。変化竜ということであればその点納得いく」グビグビ

魔王娘「じゃあいいじゃないですか」

勇者「しかし昨日現れた竜に関してはそうは行かない。メイド長、昨日はどんな竜を見た」グビグビ

メイド長「赤くて……爪が大きい……」

勇者「間違いないか、皆よ」

一同「………」コクリ

勇者「だとすれば可笑しいではないか。変化竜は」





勇者「『みた者によって姿が変わる』のではないか?」







一同「あっ」




村人A「た………確かに……」

村娘「そ……そうね………」

421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:32:25.33 ID:cL7A4/hAO
勇者「だとすれば、昨日の竜は変化竜ではなかった……と」


村人B「い、異議あり!この間とは違う竜では……」



勇者「私が竜であればこんな痩せこけた土地の為に他の竜と戦うのは馬鹿らしいと思うがな……それに第一、一度別の竜が手を出した場所には竜は手を出さぬのだろう!習性上!」ビシッ

村人B「それは………」


勇者「ここから導かれる答えは一つ。『誰も最初から竜なんて見ていなかった』という訳だ、なぁ?」

村人一同「………」



警備隊長「ええっ!?」




村人一同「………」

422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:32:51.45 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「じゃあ、爪痕やらは…」

勇者「それこそ重機でほじくり返したのだろう?跡はいくらでも作れるからなぁ」

勇者「それから最初に酒臭かったのも宴会を開いていたのだろう?ここで」

村人A「そ、それは……」

勇者「昨年も一昨年も不作だった村の者がよく宴会を開けたものだ」

村人B「異議あり!わ、わたしらは宴会なんか……」

勇者「なあ、店主」

女店主「うん。豪勢な宴会、開いてたよ」


村人一同「!」


村娘「ちょ、ちょっと!!」

423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:33:57.50 ID:cL7A4/hAO
女店主「まぁ、いいじゃん。ばれちゃったほうがさぁ。言い訳できないよ、最早さ」


村娘「それは………」

勇者「つまり」

勇者「おまえ達は首謀者から大金を受け取りドラゴンに襲われたふりをしていた!」

警備隊長「な……なるほど」

メイド長「そう考えるのが自然ですわね」

勇者「では問題は何のために、誰がと言う話だが…それに関しては今朝気がついた」ドンッ
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:34:56.24 ID:cL7A4/hAO
勇者「その首謀者はある事を狙って村人を買収したあげく余計なことを言わないようにいわゆる箝口令を町人達にしいていた」

勇者「あのとき町人が脅えていたのは……首謀者が見えていたから。と言うことはあの時町にいた者のなかの誰かになる」

勇者「そうそれから察するに、いや結果からして察しなくとも首謀者は…………」







勇者「娘、お前だ!」びしっ








魔王娘「えへっ☆」


メイド長「で、殿下!やっぱり!」

魔王娘「………やっぱりってなんですか」
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:36:34.43 ID:cL7A4/hAO
勇者「何が『えへっ☆』だ。私はまんまとお前の詰まらん、今思えばバレッバレの策に填められてたのだ……やけ酒せずには居られんよ!」

警備隊長「まさかあの堅物の憲兵隊長まで協力するとはな………」

メイド長「まあ、あの人はしますわよ。見かけによらず。」

勇者「それから」


勇者「娘は店主の店に行くよう仕向けたり、憲兵隊長の依頼を引き受けたがったり……」

勇者「あんなに幽霊というワードに弱いお前が余裕ぶっていたりと、まあ、色々と不自然だった」

勇者「私の武勇伝を作り上げたかったのだろうことは分かった。しかし分かった時には……」

メイド長「遅かったんですわね」

勇者「ぐぅ………」


426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:37:18.54 ID:cL7A4/hAO
勇者「それからもう一つ」

勇者「今回の事件は娘一人には荷が重い。まあ、こう言ってはなんだが、易々と私が乗せられてしまったのだからな。」


警備隊長「たしかに」

メイド長「殿下一人では……ね」




勇者「だからフォローを買ってでたのが」
勇者「……あなただ」






村娘「………」




勇者「皇后!!」びしっ





警備隊長「えっ、ええええええええ!?」




村娘「はぁ〜……バレちゃったか………」ぺりっ

皇后「ざんねん〜」にこにこ




警備隊長「 」
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:37:48.37 ID:cL7A4/hAO
メイド長「皇后さま…なにやってるんですか最近みないと思ったら……」

皇后「これの準備してたのよ〜」

皇后「しかしよくわかったわ〜。完璧に化けたと思ったのに」

勇者「貴殿は完璧だったさ。しかし、親子にしてはぎこちなかった、父親がな。」

村人A「………すまんです」

皇后「仕方ありませんよ〜打ち合わせしたの一昨日だったんですからぁ〜」

勇者「それからドラゴンだ」

皇后「ドラゴンがどうかした〜?」

勇者「前に戦ったドラゴンと似た感触だった」

皇后「まあ、召喚した者の癖がでるっていうから〜」

メイド長「……そんなのよく分かりますわね」

428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:38:18.59 ID:cL7A4/hAO
勇者「それに、諜報部を指揮していると言っていたからな。変装ぐらい造作もないとすれば……あなたしか居ないだろうと」

勇者「大方、店主は知り合いの協力者だろう」

皇后「お見事だわ〜参りました〜」

魔王娘「バレちゃ仕方ないです解散解散。残りの謝礼は口座に明日中に振り込んどきます」

村人A「まいど〜」

村人D「助かります〜」

皇后「もぅ〜あの時みんなバラバラの絵を描くからぁ……」

村人一同「すみません……」

皇后「それに裏切るなんてひどいわ〜」

女店主「ごめんごめん」

429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:38:44.29 ID:cL7A4/hAO
メイド長「そういえばこの方、お友達で?」

魔王娘「そうです。私も詳しく聞いてませんでした。誰ですか?一体」



皇后「お父さんの隠し子よ」



勇者「えっ」

メイド長「えっ」

警備隊長「えっ」

魔王娘「えっえっ」



皇后「でも良かったわ〜バレちゃったけど目的は達成できてぇ」

メイド長「ダメですわよ!こんなヤラセみたいな方法!」

魔王娘「え、あの………」



430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 12:39:17.04 ID:cL7A4/hAO
皇后「え〜だって〜」

メイド長「でも結果的に勇者様の支持は増えちゃいましたけどね」

警備隊長「もう逃げられませんぞ勇者殿!」

村人A「ゆうしゃ!ゆうしゃ!」

村人B「ゆうしゃ!ゆうしゃ!」

勇者「わ、私は絶対やらんからな!やらんからな!」

魔王娘「あの…みなさん…」

メイド長「ま、時間の問題ですわね」

勇者「ぐぅぅ………」

警備隊長「ははははは!!!」

一同「あははははははは!!!」

魔王娘「えっえっえっえっ」



【第13話・おしまい】



431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/02(日) 12:40:59.37 ID:cL7A4/hAO
というわけで13話おしまいです
夜には14話行きたいと思います

お付きあいありがとうございました!
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/09/02(日) 12:41:44.27 ID:hEZ7WCRQo
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/02(日) 16:52:36.80 ID:RsEHauKCP

イケメンで魔王まで単身でたどりつくくらい強いのに
スペックに似合わず中身が普通の人な勇者がおもしろいの
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/02(日) 17:39:47.86 ID:MXTilCGAo
そんなハイスペック勇者に勝ってたんだぜ、あの“魔王"は
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/02(日) 20:27:35.67 ID:cL7A4/hAO
ぼちぼち再開します
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/02(日) 20:28:06.48 ID:cL7A4/hAO
第14話

【キッチン】

メイド長「…………」トントン

勇者「メイド長、皿はどこへ置けばよいか」

メイド長「………」

勇者「メイド長?」

メイド長「あっ、ごめんなさい。確かにチューリップとストリップって似てますわよね」

勇者「……そんな会話はしていないのだが」

437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:28:56.40 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「どうちゃったんですかメイド長、今日はボケッとしちゃってますよ」

メイド長「なんともありませんわよっ。今日は憲兵隊長さんも来るんですから、気合いをいれなくっちゃいけませんわ!」

警備隊長「ふん。ナメクジみたいな男には塩でもなめさせときゃいいのだよメイド長殿」

メイド長「もう警備隊長さんったら憲兵隊長さんのことになると…」くらっ


警備隊長「ど……どうなされたメイド長殿」

メイド長「い、いえ………」


魔王娘「め……メイド長、どうしちゃったんですかぁ……」あわあわ

438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:29:26.31 ID:cL7A4/hAO
メイド長「大丈夫ですから殿下……お慌てにならない………」ふらっ




バターン!!!



メイド長「 」






一同「め!メイド長おおおおおっ!!!!!!!!!!!!!!!?」


439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:30:05.94 ID:cL7A4/hAO
【メイド長の部屋】

医者「風邪ですね」

メイド長「………」zzz


魔王娘「いやああああ!!!!!!死んじゃやだぁ!!!!!!メイド長おお!!!!!!」ゆっさゆっさ

大臣「うおおお!!!!!!私はメイド長がいなきゃ何にも出来ませんぞおお!!!!!!!!!!!!」


警備隊長「アアアアア!!!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!」

魔王「どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう」


医者「いや、だから風邪ですってば」



勇者(相変わらずアドリブに弱い連中だな………)



440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:31:30.40 ID:cL7A4/hAO
勇者「お前達、もう少し冷静に物事を考えたらどうだ………」


ガチャッ



憲兵隊長「………いかがした」

勇者「ようやく一応まともそうな奴が来たか。実はメイド長が倒れてな……」

憲兵隊長「把握した………」

勇者「そうか。で、だな……」

憲兵隊長「例のものを用意しろ」

憲兵隊員A「はっ」


勇者「なんだ、花か果物か」






憲兵隊員B「シグザウエルP220です」



勇者「えっ」





憲兵隊長「よし、自害する」カチャ


勇者「ちょっ!」


441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:32:01.13 ID:cL7A4/hAO
勇者「全く………まともな者はいないのか」

魔王娘「オロオロオロオロ!」

大臣「オロオロオロオロオロオロ!」

魔王「どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう」

警備隊長「メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!メ!」

憲兵隊長「縄をほどけ!!!!!!私を死なせろ!!!死なせろ!!!!!!」ジタバタジタバタ


勇者(………どうしよう)

442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:32:28.32 ID:cL7A4/hAO
メイド長「ん……もぅ、私はゆっくり寝てもいられないんですか………」



一同「め!メイド長!!!!!!!!!」

魔王娘「良かったよぅ!!!良かったよぅ!!!」ぎゅううっ!

魔王「どうしようかと!どうしようかと!」ぎゅううっ!

大臣「いかんですな!風邪程度で慌てるなんてまだまだメイド長に頼り切ってる証拠ですぞお二人共っ!」ぎゅううっ!ぎゅううっ!

メイド長「く、苦しいですわよぉ……」



警備隊長・憲兵隊長「………」オロオロオロオロ



勇者(あの二人は、別の意味でオロオロし始めたか……)

443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:32:56.53 ID:cL7A4/hAO
―――――

魔王「ま、たいしたことなくって我輩は安心したぞ」

メイド長「ごめんなさいね。私ったら体調管理もろくに出来ないなんて……」

魔王娘「そんなこと無いですよ。私たちと一緒にいたら必要以上に疲れちゃうのは当然ですって」

勇者「……自覚はあったのか」

メイド長「でも、食事は……」

警備隊長「心配はいらんよメイド長殿。我々だって出前くらいは頼めるさ」

メイド長「本当に、お招きしておきながら、ごめんなさいね憲兵隊長さん」

憲兵隊長「き、気にしてはいません………」

魔王娘「思いっきり気にしてる顔してますけどね」


444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:33:24.91 ID:cL7A4/hAO
―――――

魔王娘「それじゃあ出前を取りましょうよ!何が良いですか?」

大臣「今は午後5:00だ。大体多くの店が6:00には出前を終いにするから早く決めねばならんぞ」

勇者「そうだな、今日と同じような料理が良いのではないか?」

警備隊長「しかし、それだとメイド長の顔を潰す事にはならんか」

魔王「我輩電気うなぎ丼がいい」

大臣「いや、だが場を維持するという目的であれば致し方ないのではないかね。それに時間も無いのだからある程度目安があったほうが」

445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:35:00.64 ID:cL7A4/hAO
憲兵隊長「ふむ……。勇者の主張も大臣の主張も一理あるが、メイド長が本日の為に用意した食材を次の日に流用することは想定できる……それにこうなっては場を維持する必要はあるのか」

魔王「我輩電気うなぎ丼がいい」

魔王娘「ありますよ。みんなそう言う気分なんですから。それに、今日私たちが何を食べたかメイド長に喋れば、それ以外のものをおんなじ食材でも作ってくれますよ」

警備隊長「だが、そうなると殿下、メイド長が気にするかもしれませんぞ」

大臣「少し神経質過ぎるのではないか」

憲兵隊長「いやしかし大臣、病み上がりは神経質になりがちというものです………」
勇者「いやしかし、これから何を出前に取るか議論するのか?しかも出前の場合大体意見を統一しなければならない」

魔王「だから我輩電気うな丼がいいって」

憲兵隊長「貴様達は大人であろう。年長者の意見に合わせればいい」

魔王「うん。だから電気うな丼……」

勇者「そのりくつはおかしい。食欲は三大欲求の一つなのだ。それを年功序列程度の理屈で支配されるなど、あってはならないことだ」

魔王娘「そうですよ。そのための話し合いです!」

446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:35:51.53 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「しかし、そうすることでメイド長は傷つかずに済むのだ」

大臣「なぜメイド長が傷つく前提なのだ」
憲兵隊長「病人はデリケートなのですから、当然配慮はすべきでしょうな……」

魔王「う!な!う!な!」

勇者「まだ時間はある。何が食べたいかの折衷案については時間を区切って議論してみるか」

魔王「我輩電気うなぎ丼がいい!」

魔王娘「私、でたらめなさかなのパスタがいいです」

大臣「私は古代魚のチャーハンをいただきたい」

警備隊長「私は黄金魚の炊き込みご飯かな」

憲兵隊長「私は軟骨魚のパイ包みだな………」

勇者「そうか。ちなみに私は暗黒雷魚の炊き込みご飯だが、我々の意見の共通点を見出すとすれば『魚』そして『調理済』であることだ」



魔王「うん。だからだな、うな丼が……」

447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:36:18.00 ID:cL7A4/hAO
勇者「そこから妥協案を見つけていきたい」

魔王「電気うな丼」

魔王娘「私は味が濃い方がいいな」

大臣「お米が食べたい」

警備隊長「右に同じだ」

憲兵隊長「出来るなら、安っぽくない料理が良い……」

勇者「相反する意見がないのでそのまま採用すれば『魚』『調理済』『米』『味が濃い』『高級感のある』ものが統一の案に一番近いものになる」

魔王「いや、だから電気うな丼だって」

448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:36:44.11 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「チャーハンも炊き込みご飯も安っぽいかもですよね」

大臣「刺身御膳は生ですからねぇ」

警備隊長「焼き魚定食は何か違うし」

憲兵隊長「鍋……は季節柄、暑苦しいな……」
勇者「と……なると……」

一同「う〜〜ん……」

魔王「いや、だからさぁ………」

魔王娘「そうだ!」

勇者「どうした」

魔王娘「電気うなぎ丼なんてどうです?」

魔王「そう!それだよ!それ!」

警備隊長「おお!それは名案だな!」

憲兵隊長「何故今まで出てこなかったのか……」

魔王「………えっ?」

449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:37:10.03 ID:cL7A4/hAO
大臣「誰も思いつきませんでしたからなー」

勇者「お手柄だな」

魔王娘「えへへー」

魔王「えっ、えっ」

魔王娘「でも一応、年功序列でお父様に聞いて置いたらどうです」

大臣「そうですな。後でうるさいですからな」ヒソヒソ

警備隊長「ですよね。揉め事はイヤですからね」ヒソヒソ

憲兵隊長「ああ見えて子供だからな………」ヒソヒソ

勇者「じゃあ聞くぞ……」ヒソヒソ

魔王「………」



勇者「なあ、魔王。お前は何が食べたい」

魔王「………なんでもいい」

450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:37:40.22 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「なんでもいいんですって!」

警備隊長「じゃあうな丼だな!」

大臣「決まりですな!決まりですな!」


勇者「じゃあ電話をするぞ」


警備隊長「5時58分、ギリギリだなぁ!」

大臣「いやあ、危なかった危なかった」

魔王「………」

451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:38:08.00 ID:cL7A4/hAO
プルルルルル………

ガチャッ



勇者「ああ、もしもし出前を頼みたいのだが」





『いつもご利用ありがとうございます。ウナギやです。本日は定休日と……』




定休日と

定休日と

定休日と

定休日と

定休日と

定休日と




勇者「…………」ガチャリ


452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:38:35.16 ID:cL7A4/hAO
皇后「あらあらお困りのようねぇ〜」

勇者「………いつの間に」

皇后「よかったら私が………」


一同『 お 断 り し ま す ! 』


勇者「………どうする」ぎゅるるるる

魔王娘「どうしましょう…」ぎゅるるるる

大臣「どうしよう……」ぎゅるるるる

警備隊長「どうしたものか……」ぎゅるるるる

魔王「どうしたらいいのだ……」ぎゅるるるる

憲兵隊長「………」ぎゅるるるる



一同「………」ぎゅるるるる………


453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:39:02.15 ID:cL7A4/hAO
勇者「……定休日ということも想定しておくんだったな」

魔王娘「こうなったら贅沢言わないで片っ端から出前してくれそうなお店を探しましょう!」

魔王「ヤダヤダヤダ!我輩うな丼じゃなきゃヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!」ジタバタジタバタ

警備隊長「そうだな……この大衆食堂なら深夜までやっているようだな」

憲兵隊長「致し方ないな………」

魔王「ヤダヤダヤダ!ヤダヤダヤダ!ヤダヤダヤダ!ヤダヤダヤダ!ヤダヤダヤダ!ヤダヤダヤダ!」ジタバタジタバタ

勇者「じゃあ電話を掛けるぞ」

454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:40:07.44 ID:cL7A4/hAO
魔王「うな丼!うな丼!うな丼!うな丼!うな丼!うな丼!うな丼!うな丼!」ジタバタジタバタジタバタ

魔王娘「勇者さま〜!ファイトです〜!」

プルプルプルプルプルプルプルプル……

魔王「うな丼じゃなきゃ食べない!食べないからな!ヤだからな!」

勇者「あ、もしもし。たいしゅう食堂か。出前を頼めるか」

『はい。ご注文は』

魔王娘「やったー!」ぴょんぴょん

大臣「やった!やった!」ぴょんぴょん
警備隊長「やったぞ!やったぞ!」ぴょんぴょん

憲兵隊長「………」ぴょんぴょん


魔王「ヤダーヤダーヤダーヤダーヤダー」

455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:41:00.68 ID:cL7A4/hAO
勇者「じゃあ出来るだけ早くできるものをお任せで7つ。」

『かしこまりました。お届け先は』

勇者「魔王城で」

『ま……魔王城…………?』ガタガタガタガタ

勇者「ど、どうした?」





『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい』プシャアアア!!!



勇者「い、いや、だからなにが」



『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……勘弁してください………』ジョボジョボジョボジョボ

ガチャリ!

ツーツーツーツー………

勇者「えっ」
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:41:29.02 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「ちょっとちょっと!どういうことですよ!」

警備隊長「尋常な様子じゃあなかったぞこれは」

勇者「『魔王城』と聞いた途端にあちらが掌を返したように怯えだしたぞ」

魔王「ああ、そう言えば昔………」


魔王娘「……お父様、何かやらかしたんですか」

魔王「そんな大したことでは、なあ?」

大臣「………ノーコメントです」




プルプルプルプルプルプルプルプル

勇者「あのだな、魔王城に………」

『勘弁!』

ガチャリ!

457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:41:56.17 ID:cL7A4/hAO
プルプルプルプルプルプルプルプルプルプル

勇者「魔王城だが………」

『今日から出前は辞めたんですすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいません』

ガチャリ……


プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル

勇者「あの魔王j………」





『ひゃああああああああああ!!!』

ガチャン!!!!!!






勇者「………これで24件目だ」ぎゅるるるるるるる

魔王娘「一体何をしたんですかお父様………」ぎゅるるるる

魔王「…………」ぎゅるるるるるるる


458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:42:22.01 ID:cL7A4/hAO
勇者「次……どうするか…………」ぎゅるるるるるるる

警備隊長「もう………22:00を回ってるのだ。流石に………」ぎゅるるるるるるるるるる

憲兵隊長「 」ぎゅるるるるるるるるるる

魔王娘「もう……絶対絶命です………」ぎゅるるるるるるるるるる


ヒラリ

魔王娘「これは……広告」



警備隊長「なになに。新規オープン!24時間配達OK……これだ!最後にこれに掛けてみよう勇者殿!!!!!!!!!」




勇者「りょ!了解した!」ガバッ


459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:42:50.76 ID:cL7A4/hAO
プルプルプルプルプルプルプルプルプルプル

一同「……………」

プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル

ガチャッ

一同「!」

『っし、っし。新規オープンざんぱん亭れーす』

勇者「あ、あの……魔王城まで配達を頼みたいのだが!」

『りょーかいしゃしたー。なにんしゃすかー』

勇者「何でも良い!早く出来るものを7つ!超特盛りで!」


『地雷鯖の刺身定食しかないんすけど、よろしっすかー』

勇者「いい!はやく!はやく!」

『あじゃっしたー』


460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:43:20.72 ID:cL7A4/hAO
ガチャリ!

魔王娘「どうでした……?」

勇者「頼めた!頼めたぞ!」

大臣「よくやった!よくやったぞ勇者!」

警備隊長「で、で、どのくらいで届くのだ?届くのだ?」

勇者「すぐとは言っていたが……ええと場所は………」

魔王娘「ええ、A地方のE町ですね。魔王城からは………」

一同「から?」







魔王娘「………600キロ離れてます」





一同「 」




461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:44:13.55 ID:cL7A4/hAO
【翌朝】


チュンチュンチュンチュン



店員『出前っすー』


勇者「…………」ゾゾゾゾ………

店員『ばぁ!化け物!!!!!!!!!?』

大臣「はや………はやく……………はやく………めし…………」ゾゾゾゾ………




店員『ひゃ!ひゃい!!!』カタッ!


勇者「な゛はああ゛あ゛ああ゛ああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」ガバッ!!!

魔王娘「あ゛ああ゛ああああああ!!!!!!!!!」ガバッ!!!!!!

魔王「めしあああ゛あ゛あ゛ああああ゛ァァァァァ!!!!!!!!!」 ガバッ!!!!!!

警備隊長「はふっ!!!!!!はふっ!!!!!!」 ムシャムシャムシャムシャ !!!!!!

憲兵隊長「うま!!!!!!!うまうま!!!!!!」ガツガツガツガツ!!!!!!

大臣「びゃあ゛うまぃい゛ぃぃぃ!!!!!!!!!!!!」クチャクチャクチャクチャ!!!!!!!!!!!!





店員『ひゃあ…………』ガクガクブルブル

462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:44:39.01 ID:cL7A4/hAO
魔王「金なら!小切手に適当に金額をかいていけ!!!!!!」ガツガツガツガツ

店員『ひゃい!ひゃい!失礼します!!!!!!失礼します!!!!!!』

バタン!!!!!!!!!!!!


魔王「なんかくさい!くさいがうまいぞ!!!!!!!」

ムシャムシャムシャムシャムシャムシャ

勇者「確かにくさいがもうどうでもいい!!!!!!!」


ガツガツガツガツ!!!!!!

魔王娘「どけええええええ!!!!!!それはあたしのだ!!!!!!!!!」

ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ

大臣「私のです!!!!!!私のですぞ!!!!!!」

クチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャ


463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:45:50.01 ID:cL7A4/hAO
――――――――

メイド長「………と、言うわけでこんな有り様に」


勇者「………ぅぅ」ぎゅるぎゅるぴー………


魔王娘「 」チーン

魔王「 」チーン

大臣「 」チーン

警備隊長「 」チーン

憲兵隊長「 」チーン


メイド長「……そりゃ地雷鯖の刺身は腐りやすいんですから、あれだけの距離を運べば食中毒にもなるでしょうに」



メイド長「はぁ……仕事が増えましたわ………」





▼メイド長のくのうは、つづく………



【14話・おしまい】
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 20:47:55.84 ID:cL7A4/hAO
14話はおしまいです

15話はもしかしたら今晩中に投下かも?しれません
明日か明後日には終わらせてしまう予定なのでいましばらくお付きあい頂ければと思います

ありがとうございました
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/09/02(日) 20:52:29.43 ID:ZK6+XebAO
色々ひでぇww
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/02(日) 20:54:31.76 ID:RsEHauKCP

魔族全員チーンなのに、勇者だけ意識あるとか
胃腸もハイスペックなんだねえ
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/09/02(日) 20:55:56.34 ID:qGeqxUuRo
乙!
楽しみにしてるよ。
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 21:50:15.31 ID:cL7A4/hAO
さいかい
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 21:51:22.94 ID:cL7A4/hAO
【第15話】




国民「ゆ!う!しゃ!ゆ!う!しゃ!ゆ!う!しゃ!」やんややんや

国民「ゆ!う!しゃ!ゆ!う!しゃ!ゆ!う!しゃ!ゆ!う!しゃ!ゆ!う!しゃ!」やんややんや




レポーター「レイディオをお聞きのみなさん!現場はすっごい盛り上がりです!」

レポーター「あ、来ましたよ!両国の戦争を阻止した英雄、勇者です!」


警備隊長「はいはい!押すな押すな!」

メイド長「前通してくださいねー」

レポート「キャー!マジイケメン!チョーイケメン!」


勇者「…………」
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 21:51:49.39 ID:cL7A4/hAO
サキュバス「はあああああんイケメン……勇者様、抱いてぇ……もうびっちょりよ………」ぼよよ〜ん

サキュバス「たくさん絞ってあ・げ・る」ぼよよ〜ん

老オーク「ウォウ……(勇者様〜ありがたや〜ありがたや〜)」ナムナム

子供「勇者ばんざーい!ばんざーい!」ぷるるん

村娘「勇者くーんキャー抱いてぇ!」

オカマゴブリン「ウォウ!オオオ!!!(うふふ………かわいいわぁ……勇者ちゃん………)」


メイド長「はいはい!分かりましたから!」

警備隊長「通してくれー!これでは本部まで行けん!!」

471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 21:52:18.43 ID:cL7A4/hAO
勇者「………なんだこれは」

メイド長「日に日に勇者様を魔王に推す声が高まってこんなことに」

勇者「通勤一つ満足に出来ないではないか」

メイド長「だったら魔王になればいいじゃないですか」

勇者「それはイヤだ」

メイド長「……ワガママなお方ですわ」

警備隊長「全く、これでは魔王国警備隊ではなく勇者専属警備隊だぞ」

メイド長「毎日草むしりしかなさってないと言うのにねぇ」

勇者「そ………それについては悪いとは思っている」

メイド長「ああ!ようやく、本部が見えて………」
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 21:52:44.73 ID:cL7A4/hAO
憲兵隊長「…………」ぬっ


一同「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!?」

勇者「び、び、び、びっくりさせるなよ貴様!」

憲兵隊長「勇者、大変な騒ぎだなぁ…………」

勇者「ま……まあ………」

憲兵隊長「このような歓迎ばかりならば憲兵隊も苦労はせんのだがな………」

勇者「………どう言う意味だ」

憲兵隊長「問題が起きた。お前が原因でな………」

勇者「わ……私が?」

473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 21:53:11.07 ID:cL7A4/hAO
憲兵隊長「それからお前にも付いて来て貰おうか。どうせ暇であろう………」

警備隊長「貴様、どうせ暇とはなんだ!暇とは!」

メイド長「事実でしょうに」

警備隊長「うぐうっ………」

勇者「…………」
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:02:25.34 ID:cL7A4/hAO
大臣「おお!待っていたぞ!」

憲兵隊長「お待たせした………」

勇者「問題とは………一体何が………」


ゴブリン『ウォウ!ウォウ!ウォウ!』

オーク『ウォォオオ!!!!!!!!!』

スライム『ギャーギャーギャー』ぷるぷる

エルフ『勇者、はんたーい!』



『NO!ゆうしゃ!』

『我々は勇者の魔王化計画に断固反対する!』

『勇者!死ね!』

『勇者利権を許すな!』

『この国に勇者はいらない!』

『勇者に謝罪と賠償を要求する!』


メイド長「こ………これは……」

475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:02:52.31 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「しゅ、シュプレヒコールと言うやつか」

メイド長「一体何が……」



勇者「あったのだろうなぁ」ニヤニヤ




メイド長「……なんでちょっと嬉しそうなんですか勇者様」

476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:03:52.39 ID:cL7A4/hAO
オーク『ウォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』


メイド長「ちょっとちょっと。エルフさん以外言葉がわかりませんわよー」

ゴブリン『が、ガウッ…(い、いっけね、興奮しすぎて形態変化しちまった……)』
パアアアアアアアア……


男A「勇者、はんたーい!」

男B「勇者はくたばれー!」

男C「勇者はこの国にはいらなーい!」

男D「勇者は今すぐ死んでわびろー!」



警備隊長「……何があったのだ、一体」


477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:04:53.48 ID:cL7A4/hAO
大臣「それがな、別にあの者達は直接勇者に何かされた訳ではないのだ」

警備隊長「………どう言うことなんですか」

大臣「あの者達は労働者だ。で、その雇い主が」

メイド長「人間で、彼らはボロ雑巾のように使われた挙げ句の果てにクビにされたと」

大臣「………私のセリフ、とらんで頂けるか」

警備隊長「しかし何故それで勇者殿を………」

憲兵隊長「最近、人間が異様に幅を利かせているのだ。弱い立場であることを逆に利用してな………」

大臣「保護が過剰になりがちなのだよ」

憲兵隊長「その原因として勇者が次期魔王候補であることも………」ジロッ

勇者「な………なんだ、その目は」

478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:05:33.23 ID:cL7A4/hAO
勇者「ま、まあ……確かに。だが、今すぐどうにか出来る問題でもなかろう」

憲兵隊長「逃げるのか」

勇者「………そうではない。私が出て行ったところでなんの解決にもならんと」


男A「われわれはー!勇者にその責任を取ることを要求する!」

勇者「……責任?私には」

男D「ないとは言わせん!言わせんぞ!」

勇者「……確かにないわけではないが」

メイド長「逃げ腰ですわねぇ」

警備隊長「勇者殿、チキンさが増したな」

479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:06:42.56 ID:cL7A4/hAO
男B「いいか!お前がなんとかしてこい!」

勇者「いや、だからだな………」

男C「で、でないと!人質を殺すぞ!」

勇者「………人質?」





「キャアアアアアアアアアアアアア!」






男C「おいこら、大人しくしろ!」

魔王娘「助けてくださーい!」ジタバタジタバタ

一同「 」


480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:07:27.70 ID:cL7A4/hAO
勇者「なっ……」

メイド長「お……お使いから、なかなか帰ってこないとおもったら………」

魔王娘「助けてくださーい!」ジタバタジタバタ

勇者「………っていうかお前、簡単に逃げられるだろうに」

魔王娘「キャア!私はとらわれの姫!勇者さま助けにきてー!」ジタバタジタバタ

メイド長「……ダメですね完全にモードに入っちゃってますね」


勇者「………おまえら、そいつは魔王の娘だぞ」


男C「そんなまさか姫様が」

男B「ヘッタクソな鼻歌歌いながら、ノコノコ、小脇にネギ抱えてやってくるなんて」

男D「あるわけないよなぁ!」



一同「ねー!」

481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:11:34.58 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「助けてくださーい!助けてくださーい!」ジタバタジタバタ


勇者「………だめだ、こりゃ」


メイド長「どうしましょう、面倒になりましたわね」

勇者「放って置いても良い気もするのだがな……」

警備隊長「いや、殿下はともかく、これこそ反体制の火種になりかねんぞ」

憲兵隊長「エスカレートすれば今度は逆に原因である人間側が危ない目に会うぞ」

メイド長「殿下がご自分で帰られるとすれば力づくでしょうに、穏便にはいきませんわ」

大臣「と、すると殿下がデモを行っている者を弾圧したと言う構図が出来上がり………」

勇者「………色々な連中を刺激することになるか」

メイド長「っていうか、絶対主義者達をヒートアップさせますわよ。」


勇者「ううむ………」

勇者「………面倒なことになった」


482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:14:53.94 ID:cL7A4/hAO
大臣「とりあえず穏便に済ませたいのだが」

メイド長「………はぁ」

魔王娘「キャー!勇者さま〜///」

メイド長「勇者様。一応彼らは納税者なんですから、『誠意溢れる』説得をお願い致します」

勇者「……分かっている」




勇者「あ、あ、マイクテスマイクテス」

勇者「聞こえるか?デモ主催者」



男A「………ああ」

勇者「事情はわかった。私に出来ることなら協力させて貰いたい」

男A「……本当か」


483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:15:23.91 ID:cL7A4/hAO
勇者「ああ。その前におまえ達が雇い主に何をされたのか、聞かせて貰いたい」

男C「俺たちは人間より働くのに給料は半分以下だ!」

男B「だからって人間相手に何かをすれば、酷い地域だとすぐに逮捕されちまう!」

エルフ「役所には何度も相談したが『人間とのトラブルには干渉できない』の一点張りだ!」

男A「人間は権利がないと野賜っているが、権利がないのは俺たちのほうだ!」

勇者「……弱者故に権利を持ちすぎた、か」

484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:15:51.10 ID:cL7A4/hAO
メイド長「どうするんです?」

勇者「……確かに、このままでは良くないと言うのはわかる。娘の件とは別としてだ」

メイド長「ですから具体的には」

勇者「………」




勇者「直接雇い主に注意にいく」





メイド長「ほ、本気でおっしゃってるので?」

勇者「私は本気だぞ。相手は人間だろう」

警備隊長「ま……まあ……」


485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:16:18.48 ID:cL7A4/hAO
勇者「誰にもせよ美しき心がある!力強く訴えかけていけば分かり合えるに違いない!!」

勇者「雇い主はこの者達の苦しみがわからんだけなのだ!」

メイド長「確かに……わかってないでしょうけど」

勇者「この先の村だな。よし、分かり合うぞー!!」

一同「………」




男A「ほ……本当に大丈夫なんで?」

メイド長「え……ええ……」



警備隊長「多分……」


486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:19:35.89 ID:cL7A4/hAO
【おだやかな村】



女「キャー勇者さまよー!」

女「ステキー!」

警備隊長「この村は人間が多いのだなぁ」

メイド長「あら、勇者様は?」


女「勇者様///ダイテッ」ギュッ

幼女「だいてっ///」ギュッ

老女「抱いてくだされっ///」ムギュッ

勇者「ちょ!ふ、二人とも!た!助けて!!助けて!!」

女「みんなー勇者さまがきたわよー!」むぎゅううう

女「キャー!イケメンよー!」むぎゅううう

メイド長「………」

警備隊長「………」
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:20:11.44 ID:cL7A4/hAO
むぎゅうううっ!むぎゅうううっ!むぎゅうううっ!むぎゅうううっ!
むぎゅうううっ!むぎゅうううっ!むぎゅうううっ!むぎゅうううっ!



勇者「あ……圧死……する………」むぎゅうううっ!むぎゅうううっ!


キャーキャーキャーキャーキャーキャー




メイド長「ある意味自業自得ですわね」

警備隊長「ですな」


488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:20:41.68 ID:cL7A4/hAO
――――――


ギンギラギンギン



勇者「こ………これは………」

メイド長「ま、周りに似合わず……ど派手な看板……ですわね」

警備隊長「……うはぁ」

勇者「…………失礼するぞ」

ガチャッ




雇い主「ああ、勇者はん!勇者はんでっか!よう来てくれましたなぁ!」ギンギラギンギンギンギン


一同(う、うわっ、典型的な………)

489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:21:48.60 ID:cL7A4/hAO
勇者「あ……あのだな、雇い主……」

雇い主「ああ、すいません勇者はん!うちの元従業員がご迷惑おかけしとるようで、ほんまに」

勇者「そのだな、我々としては事態を収拾したいのだが」

雇い主「なるほどなるほど、ほな、勇者はん、わてにどないしてほしいんです」

勇者「彼らを再雇用してやってほしい」

雇い主「しかしですなぁ……」

勇者「彼らにも!家族がいるのだ雇い主!」ドンッ!

490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:22:51.05 ID:cL7A4/hAO
雇い主「そらわかってますわ。しかし商売はボランティアじゃ……」

勇者「生きると言うことはすなわち働くことだ。」

勇者「同時に当然の権利であり、我々は慈愛に満ちた心で商売をしなければならない。」くどくど

勇者「そうすることで経済の神の手は我々を見放すことなく………」くどくど



雇い主「は……はあ………」



勇者「つまりだな、商売にも愛という概念をいつも心にだな……」くどくど

勇者「人はみな平等に愛されるべくして……」くどくど

勇者「人間のあり方として常に金銭授受の関係上でも奉仕の精神を………」くどくど


メイド長(誠意溢れる説得っちゃ説得ですけど)

警備隊長(うぜえ)


491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:23:27.53 ID:cL7A4/hAO
【6時間後】

くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど

雇い主「あの……これいつまで」

メイド長「多分折れるまで続きますよ」

くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど

勇者「つまりだな、労働は本来労働者のためにあって、しかし共産というものも国の暴走を招きかねず」くどくどくどくどくどくど


雇い主「わかりました!わかりましたよ!勇者はん!」


492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:24:43.74 ID:cL7A4/hAO
勇者「なに、ここからが共産主義と資本主義のあり方を踏まえた修正資本主義の話が」

雇い主「もうええですから……」

勇者「いやいや、これからの企業価値は商売云々より奉仕的な政策を………」

雇い主「もうええです!再雇用しますさかいに!!」

勇者「そうか!私の誠意溢れる説得のかいあったな!」




勇者「わはははははははははははは!!」

雇い主「………はぁ」





警備隊長「………誠意ってすごいのな」

メイド長「ね」



493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:25:41.00 ID:cL7A4/hAO
―そして―



勇者「やはり、誠意は伝わるのだな!まさに愛は地球を救うだな!」

メイド長「………」

警備隊長「………」




勇者「おーい!おまえたちー!」




男A「あの……粗茶ですが」

魔王娘「ありがとです」ズズ

魔王娘「お饅頭とかあるともっといいナァ………」ボソッ

男B「か、買ってきます!」


警備隊長「あれは………」

メイド長「………何やってんですかアナタは」

494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:26:41.07 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「『誠意ある説得』の成果ですよぉ!ねっ」

男一同「はい……あねさん…」


魔王娘「にゃはははははははは!!!!!!!!!」


勇者(誠意ある『恫喝』というのではないか………)

495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:27:11.12 ID:cL7A4/hAO
かくがくしかじか

男A「そうか!私たちはまた働けるのか!」

勇者「ああ、よかったな」

男一同「ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!」

男A「勇者ばんざーい!」

男B「勇者ばんざーい!」

男C「勇者ばんざーい!」

男D「勇者ばんざーい!」



勇者「や……やめろよ………」てれっ




大臣(やっぱ)

警備隊長(なんだかんだ言って)

メイド長(嬉しいんですね、勇者様)


496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:27:38.04 ID:cL7A4/hAO
【二日後】


キャーイケメンキャーキャーキャーキャーキャーキャー


勇者「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」ハァハァ

警備隊長「きょ、今日は一層はげしかったな……」ハァハァ

メイド長「さ、流石の私も………」ハァハァ




魔王娘「あ、いらっしゃいです」ズズズッ




勇者「む、娘………先にいたのか」

魔王娘「私は皆さんと違って、移動魔法使えちゃったりしますからぁー。えへへ〜」もぐもぐ


一同(えへへじゃねぇよ)

497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:28:25.20 ID:cL7A4/hAO
男A「あねさん!お茶のおかわりは!」

魔王娘「あたしはいいんで、皆にいれてあげてください」

男B「へい!」



メイド長「ん」

警備隊長「ん」

勇者「ん」




勇者「………何でお前たちがいる」

男C「ああああああ!!!勇者!勇者がきたぞ!」

男D「オイゴラァ!待ってたんだぞ!!!!!!」ガバッ

勇者「な、なあああ!!!!」

魔王娘「まちな!」

魔王娘「いきなり私の勇者さまに飛びかかるんじゃないよ!」

男一同「へ、へい!あねさん!」ぺこりっ


警備隊長「うわぁ……」

メイド長「なんです、この茶番」

498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:28:51.50 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「ワケを聞かしてぇー貰おーうじゃねぇか!」ででん!

男A「それが………」


一同「えええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」


勇者「ま、またクビになったぁ!?」


男B「……無茶なスケジュールに無茶な給料減額」

男C「その上、無理やり理由を付けられクビになりました………」


警備隊長「なんてことだ………」

男D「ううう!!!!」

メイド長「おかわいそうな皆様方………」

499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:29:17.29 ID:cL7A4/hAO
勇者「あの雇い主が………約束を…………」

メイド長「約束を守るような方が最初から皆さんをクビにしますか」

勇者「し、しかし」

メイド長「成り行きとは言え、一度引き受けたお仕事でしょ?」

警備隊長「責任を持つのが筋ではないか、勇者殿」

勇者「…………」

500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:30:48.89 ID:cL7A4/hAO
【村】

勇者「いいか、下手に暴れるんじゃないぞ。不利になるからな」

男A「なんでお前の言うことなんか」

魔王娘「暴れるんじゃないよ!」

男A「へぇ!」

勇者「………」

勇者「雇い主ー。いるかー」コンコン


雇い主「はいはい」



ガチャッ



勇者「………」

男A「…………」

男B「…………」

男C「…………」

男D「……………」

501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:31:32.71 ID:cL7A4/hAO
雇い主「おやおや、勇者はんと」

雇い主「役立たずオールスターの皆さんやぁないですかぁ〜」


男一同「ああああああん!!!!?」

魔王娘「やめな!」

男一同「へぇ!!!!!」





メイド長(役立たずオールスターズのてっぺんが殿下……)

勇者(ぴったりだな)

502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:32:31.82 ID:cL7A4/hAO
雇い主「なんのご用意ですか」

勇者「私と交わした約束と異なるようだが」

雇い主「なに、わしはきちんと守ってまっせ!」

勇者「………はぁ?」

雇い主「『再雇用』はしましたから」





雇い主「その後辞めるかどうかは本人次第ですわ」





勇者「なあ………!」

勇者「貴様!そんなおかしな理屈!」

雇い主「揚げ足取りは勇者はんの方ですわ」

雇い主「なんなら労働局にでも言いはりますか?ま、人間特権で誰も相手にしてくれませんでしょうが」

勇者「なんて事を……自分が何を言ってるんだか!」

503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:34:52.71 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「お、お父様に……!」


勇者「いい!それには及ばん!」


勇者「どう言うつもりだ、と私は聞いている!雇い主!」


雇い主「あんたは立派や、英雄や」

雇い主「しかし、あんたには『権力』がない」

勇者「!」

雇い主「ほんなら、わしをどうこうできんやろ?潰れかけの役立たず警備隊程度が」

勇者「…………」

警備隊長「貴様!いくらなんでも言って良い事と悪い事が!!」


504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:35:20.88 ID:cL7A4/hAO
雇い主「納得して、そろそろお引き取りいただけませんかね」


ゾロりっ………


ヤクザ一同「ふへへへ………」

雇い主「でないと、部下にお願いさせることになります」



勇者「なぁ…………!」

警備隊長「ま、ま、まさか」

メイド長「あ、あなた方のお仕事って………」




男A「ヤクザです」

男B「いいませんでしたっけ」




一同「 」


505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:35:51.00 ID:cL7A4/hAO
勇者「え、じゃあなんだ、私はヤクザ同士の内輪もめに巻き込まれていたのか」

メイド長「なんてこと………」


魔王娘「おひけなすって!!!!!!!!」

一同「!?」

魔王娘「雇い主!あなたのやってることは、『仁義』に反する酷いことです!」ビシッ


魔王娘「ヤクザの下っ端を大事にしてこそのファミリーってもんでしょっ!」


メイド長「なんか色々まざってますわね……」

506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:36:26.83 ID:cL7A4/hAO
雇い主「嬢ちゃんにはまだ、大人の世界がわからんようやな」

魔王娘「わかります!これが酷いってことくらい!」


魔王娘「あなたは弱い立場を振りかざした、真正のクズですよ!!」

雇い主「おのれ、黙って聞いておれば田舎娘の分際で!」

雇い主「構わん、一人残らず斬り捨てい!」

ヤクザA「へい!」


魔王娘「ぐぅぅ……こうなったら!」

メイド長「殿下、人間相手にあんまり強い魔法つかったらだめですからね」




魔王娘「警備隊長さん、勇者さん、懲らしめてやりなさい!」ビシッ





勇者・警備隊長・メイド長「えっ」


507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:36:54.54 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「ちょっ!殿下!」

勇者「娘、お前ひとりで片づけられるだろうに!」

魔王娘「懲らしめてやりなさいです!!!!!!」ビシッ


メイド長「………後が面倒なのでお願いします」





警備隊長「………」ジッ

勇者「………」ジッ




警備隊長・勇者「……………」ハァ


508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:37:20.73 ID:cL7A4/hAO
カキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーン

ヤクザC「ぐあああ!」

勇者「み、峰打ちだからな!峰打ちだからな!」


ヤクザD「ぐふぅううう!!!!!!」

警備隊長「……逆に斬りにくいリアクションをするな!」


カキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーン

勇者「おおかた片づいたな」ハァハァ

警備隊長「ああ………」ハァハァ

509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:37:57.03 ID:cL7A4/hAO
魔王娘(勇者さまが疲れてらっしゃいます!)

魔王娘(ここは私が………)

魔王娘「愛の回復魔法です!」



パアアアアアアアアアア!!!!!!





ヤクザ一同「復活ッッッッッッ!!!!!!!!!」

勇者・警備隊長「ギャアアアアアアア!!!」



魔王娘「あ」

魔王娘「間違えちゃいました」テヘッ




メイド長「殿下……」



勇者・警備隊長「 」


510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:38:25.17 ID:cL7A4/hAO
カキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーンカキーン


勇者「よ………ようやく」ゼェゼェ


警備隊長「終わり…………か」ゼェゼェ

魔王娘「じゃあ回復魔法を」


勇者・警備隊長「やめろオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

魔王娘「そ……そんなに怒んなくても」ブルブル


511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:38:57.40 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「警備隊長さん、勇者さん、もういいでしょう!」

男A「ええい静まれぇ!静まれぇ!」

男B「静まれ静まれ静まれ!」


男C「………」チラッ


警備隊長「えっ」


勇者「な、なに」


魔王娘「もういいでしょう!!」



警備隊長「し………静まれ静まれ………」

勇者「静まれ………」


魔王娘「2人が静まってどうするんですぅ!」

512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:40:47.29 ID:cL7A4/hAO
警備隊長「この………」

警備隊長「って、これから何をみせればいいんです、殿下」

メイド長「殿下の紋章です、一応」

魔王娘「あったんですか。初めてみました」

メイド長「ありますよ、そりゃ。でも無くすでしょ」

魔王娘「むぅ………」

警備隊長「で、では」



警備隊長「こ、この紋章がめ、目にはいらぬかぁ!」カアアッ

勇者「………こちらにおわす御方をどなたと……心得る………」カアアッ



魔王娘「畏れ多くもかの魔王、第一王女にあらせられるぞ! 一同、殿下の御前である、頭が高い! 控え居ろおおおおおおおおう!!!です!!!!!!」




一同(自分で言うなよ……)



魔王娘「にゃはははははははははは!!!!!!!!!」

513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:45:44.98 ID:cL7A4/hAO
雇い主「ま、まさか……姫様とは………」

ヤクザ一同「へへぇ………!」


男A「えっ、じゃあなに、俺たち姫様誘拐してたのか」

男B「 」



勇者「だから言ったろうが」

メイド長「確かに殿下が警備隊にいらっしゃることは大々的には公表してませんから気がつかれないのは仕方ありませんが……」


魔王娘「雇い主、お前は人間特権をタテに魔物達を不要に追い詰めた罪は重い!!」


魔王娘「って言うか、私の勇者様に切りかかった罪はもっと重いです!」

雇い主「へへえ………」


魔王娘「追って藩公より厳しき沙汰があるであろう、覚悟いたせ!」


雇い主「ま、参りました…………」ガクッ

514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:46:24.93 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「ってことで憲兵隊長を呼んでくだ………」

憲兵隊長「呼びました………?」





一同「ひ、ひいいいい!!!!!!」





憲兵隊長「お前たち、ひったてい……」


魔王娘「な、なななななんで憲兵隊長がぁ!」


憲兵隊長「ご協力ありがとうございます殿下。おかげで楽に組を潰せましたよ………」


魔王娘「えっ」


勇者「ま、まさかお前、私達を利用したのか………?」


憲兵隊長「ああ」


一同「 」
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:47:01.17 ID:cL7A4/hAO
憲兵隊長「労働問題が起きたと聞いて、いけると思ったのだが、まあ我々が直接介入するわけにはいかぬからな………」

警備隊長「貴様ああああああ!!!!!!」ガバッ



男A「…………」

ヤクザA「どうしよう………」

ヤクザB「仕事なくなっちまった………」


魔王娘「……この人たちは?」

警備隊長「雇い主の命令で動いていただけですからな。幹部以外は免罪されるでしょう」

魔王娘「………働き口は?」

憲兵隊長「ないでしょう。元ヤクザなんて誰も雇いません………」

魔王娘「なんかかわいそうです………」
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:49:06.03 ID:cL7A4/hAO
魔王娘「わかりました!」


勇者「何がわかったのだ」




魔王娘「国で引き受けます!!!!!!」


一同「!!!!!!?」


メイド長「ちょ、ちょっと!殿下、引き受けますって言ったって!」

勇者「百人単位だぞ!」

魔王娘「お父様は私が説得しますから。みなさーん!お仕事頑張りましょうねー」


ヤクザ一同「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」


メイド長「そんな………勝手な」

勇者「……娘」

勇者(いいところも、あるのだな……)ニコッ
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:50:24.75 ID:cL7A4/hAO
勇者「メイド長よ」

メイド長「なんです?」

勇者「私も娘に協力したいのだが」

メイド長「責任感じてらっしゃって?」

勇者「まあな……」

メイド長「世の中、武力でも愛でも解決しない問題だらけです」


メイド長「権力も、悪いものでもありませんわよ勇者様」

勇者「………毒には毒を、か」

メイド長「まあ、そう言うことです」


勇者「…………」

メイド長「踏ん切りは早くお付きになった方がよろしくってよ」


メイド長「そのうち、こういう些細な人間と魔族の摩擦が大きな問題になりかねませんから」



勇者「むぅ………」
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 22:51:16.79 ID:cL7A4/hAO
メイド長「しかしまぁ」



ヤクザA「あねさん!あねさん!」

魔王娘「にゃはははははははははは!!!!!!もっと称えるです!!!!!!!」

メイド長「バカな子ですねぇ………」

勇者「………だな」



警備隊長「死ね!」ペッ

憲兵隊長「お前こそ死ね………!」ペッ




メイド長「バカな大人ですね」

勇者「だな」




【第15話・おしまい】
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/02(日) 22:54:28.66 ID:cL7A4/hAO
15話おしまいです

残り2話+エピローグは明日には投下予定です。
ハイペースかつ長い文章の中、お付きあいいただき本当にありがとうございます
もう少しの間だけお付きあい頂ければ嬉しいです。

ありがとうございました。
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/02(日) 22:57:50.82 ID:c+MadoeQo
乙乙
つぎで終わりと思うとちょっぴり寂しいな…
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/09/02(日) 22:58:08.20 ID:/LsA2oUuo
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/02(日) 22:59:13.17 ID:RsEHauKCP

勇者、賢そうな話もできるんだ…
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/09/02(日) 23:00:29.08 ID:qGeqxUuRo
えっ!?
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/02(日) 23:17:06.95 ID:cL7A4/hAO
訂正
>>502
ご用意→ご用事

525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/09/02(日) 23:18:55.77 ID:hEZ7WCRQo
勇者は何でも出来るんだぞ
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/03(月) 00:58:14.90 ID:Fq/VT45DO
勇者の分かりやすい経済学が始まったと思ったら水戸黄門が始まっていた……

あ、>>1
みんなノリがいいな
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/03(月) 02:18:27.10 ID:gpkhxx8bo
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/03(月) 13:20:16.28 ID:zgwQs9YAO
ひっそりさいかい
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:22:29.66 ID:zgwQs9YAO


第16話




【警備隊本部】

メイド長「暇ですわ」

警備隊長「暇ですな」

勇者「暇だな」

魔王娘「なんでこんなに暇なんですか!!」バンッ!

メイド長「そりゃこの警備隊自体、この間(※13話参照)のためにごり押しで残して貰ったんでしょう」

警備隊長「いわば我々は絞りかすですからな」

勇者「暇になるのは当然だろうに」


魔王娘「………ぅぅ」

530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:22:55.84 ID:zgwQs9YAO
魔王娘「この間はメイド長にすっごく叱られてお尻が真っ赤になっちゃいましたよう……」

メイド長「そりゃそうです。一歩間違えれば勇者様も魔王様も立場が危うくなるんですから」


勇者「私は別に、いっこーに構わんがな」

魔王娘「でもでも結果オーライじゃないですか!」


ピンポーン


メイド長「はぁい」


ガチャッ
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:24:32.78 ID:zgwQs9YAO
メイド長「どなた?」




サキュバスA「あの、あの勇者さまに差し入れです」

サキュバスB「私たちの母乳で作ったケーキです」

メイド長「これはこれは」

少女「あたしはクッキーを!」

老人「あたしゃ饅頭を!」

マッチョ「僕はプロテインを……///」

幼女「あたちは搾りたてケンタロスのミルクでちゅ!」

メイド長「どうもどうも」

私も!私も!私も!私も!私も!私も!私も!私も!私も!私も!私も!私も!




どっさり


メイド長「また大量に頂いてしまいました」

警備隊長「す……すごいな」


勇者(日に日に掛かるプレッシャー……)
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:26:16.26 ID:zgwQs9YAO
魔王娘「もうこれは魔王になるしかないんじゃないんですか?」

メイド長「昨日の新聞社の調査による勇者支持率は脅威の97パーセントでしたしねぇ」

警備隊長「いよっ!カリスマ!」

勇者「や!やめろ!私はそんなつもりはさらさらない!」

メイド長「なーんで」

勇者「……私は一市民でありだな……そんな立派なことも成し遂げてないだろ……」
勇者「……統合も成り行きだったし」

警備隊長「過小評価だぞ」

勇者「それに、自分の力で今までなんとかしてきた。魔王なんて立場でなくとも人助けはできる……」

メイド長「この間の件をお踏まえになっても?」

勇者「………」

メイド長「そんなことばっかり言ってると、今に大変なことが起きますよ」


勇者「…………」

メイド長「とにかく、殿下。いくらお膳立てしたって勇者様の気を悪くさせては意味がないんですわよ」

魔王娘「むぅ…」

533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:26:54.01 ID:zgwQs9YAO
警備隊員A「あの、それよりこのお菓子いかがしますか」

警備隊員B「美味しそうですよ」

魔王娘「まずは新鮮ミルクがのみたいです!」ふんふん!

メイド長「そうですね、いただきましょう」

メイド長「色々用意します。待っていてくださいまし」


警備隊長「……勇者殿よ」

勇者「なんだ」

警備隊長「確固たる意志を持つのは一向にかまわんのだがな、それをまんま実行するには他人にも負担を掛けるのだぞ」

勇者「……負担など掛けてはいないだろう」

534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:27:21.72 ID:zgwQs9YAO
警備隊長「メイド長は気丈に振る舞ってはいるがだな、やはり思い詰めてるのだ。この間倒れたのだって、最近夜中まで起きているのが祟っていたのだろうし」

勇者「……私のせいだと?」

警備隊長「それ以外にあるのか?」

勇者「存外、恋煩いなどかもしれんぞ、警備隊長」

警備隊長「な、なあ!」

勇者「私の心配をする前にメイド長との仲を、少しは進展させたらいかがかな」 ニヤニヤ

警備隊長「よ、よ、余計なお世話だ!」


535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:28:05.86 ID:zgwQs9YAO
メイド長「お待ちどうさま〜」

勇者「ああ、すまないな」

警備隊長「ありがとうメイドc………」

一同「!?!?!?!?」

メイド長「?」


魔王娘(め、め、めめめめめめめめめめめめめめめめめめめ……)

勇者(め、め、めめめめめめめメイド長の……)

警備隊員A・B(く、くくくくくくくくくくくくくく口のまわりに………)








   一同( 牛 乳 ひ げ が )    





警備隊長「 」

536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:29:36.93 ID:zgwQs9YAO
メイド長「なにか?」



一同「いいええ!!」ぶんばぶんば


メイド長「クッキーおいしいですわよ」もぐもぐ



勇者(どうする、どうするよ)

警備隊長(どうするたって、私になんとかできると思うか?)

勇者(そうだ、娘お前が言え!一応主側だろうに!)

魔王娘(な、何言ってんですか!見てくれの主従関係なんて何の役に立つってんですか!)

警備隊長(そうだ!そうだ!実質魔王国で一番偉いのはメイド長みたいなところがあるのだ!)

勇者(ま……まあな……)

537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:30:10.88 ID:zgwQs9YAO
魔王娘(だったら魔王国とあんまり関係ない面してる勇者さまが言えばいいじゃないですか!)

勇者(え、ええっ)

警備隊長(そうだ!魔王にならないなら言え!言えないなら魔王になれ!)

勇者(ま、まて!なんだその理不尽な2択は!)

魔王娘(勇者のくせにびびってんじゃねーですよ!)

メイド長「皆さん全然食べないみたいですけど、どうかしましたの?」もぐもぐ



一同「いいええ!!なんでも!!」



メイド長「もうっ。私が全部食べちゃいますよ、これ」

一同「どうぞどうぞ!!!」

538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:31:08.85 ID:zgwQs9YAO
メイド長「なんだか変な人たちですわねぇ………」もぐもぐ

勇者(……とりあえず、何とかしないか)

魔王娘(口に牛乳ひげつけたまま外出なんかしたら女の子としておしまいですよ)

警備隊長(……とは言ってもどうする)




ガチャ


一同「!!!?」


勇者「だ、誰だ!!!」



憲兵隊長「ふん。貴殿等は相変わらず暇を持て余しているようだな………」



警備隊長「げっ」

勇者「……憲兵隊長」

憲兵隊長「暇な貴殿らをあざ笑いに来た………」

魔王娘「……つまり憲兵隊長も超暇なんですね」

539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:31:37.67 ID:zgwQs9YAO
憲兵隊長「警備隊長、貴様がメイド長殿に劣情に駆られて何をするのか分かったものではないからなぁ………」

警備隊長「き、貴様!私を愚弄する気か!」ガタン!

メイド長「ちょっとちょっと、お二人ともお止しになって………」

憲兵隊長「あ、め、め、めめめメイド長……こ、これ、さ、差し入れであります……」

メイド長「ありがとうございます。まあ、まあ、立派なスウィーツですこと。どれも行列の出来るお店の……並ぶのも大変でしたでしょう?」

憲兵隊長「でゅふっ………メイド長の為でしたら……苦なことなど……ふひひっ」でへりでへり


一同(キメェ)

540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:32:40.28 ID:zgwQs9YAO
メイド長「ありがとうございます。憲兵隊長さん」

憲兵隊長「そんな……」




憲兵隊長「ん……?」





メイド長「………」にこにこ

憲兵隊長「えっ」

メイド長「なにか?」にこにこ

憲兵隊長「えっえっえっ」





勇者「ああ……」

魔王娘「気がついちゃいましたか………」

憲兵隊長「 」

541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:33:06.91 ID:zgwQs9YAO
メイド長「あらあら、なにか?」

憲兵隊長「い、いや……」

憲兵隊長「その………」

メイド長「ん?」

魔王娘(ああ、困ってます困ってます)

勇者(困ってるな)

警備隊長(ぶっちゃけ小気味良いな)

憲兵隊長「すみません………メイド長殿。ちょっと急用が」

メイド長「あらあら?残念ですわねぇ」

憲兵隊長「では、まt」

ガシッ

警備隊長「そんなこと言わずにぃ、ゆっくりしていきたまえ〜」ニコニコ

憲兵隊長「な!や!は、はなせ警備隊長!」
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:34:22.65 ID:zgwQs9YAO
勇者「そうだ!ゆっくりしていけ!交流を深めようではないか!!」ガシッ

魔王娘「そうです!せっかくですから、憲兵隊長も警備隊長や勇者さまと仲良くなれちゃう機会ですから!ね!」ガシッ

憲兵隊長「で!殿下まで……!は、離してくださ………」






警備隊長「 逃 げ ら れ る と 」ボソッ

勇者「 思 う な よ ? 」ボソッ

魔王娘「 そ う DEATH よ ? 」ボソッ






憲兵隊長「ひ、ひいいっ……!?」


警備隊員A・B(………ご愁傷様です)


543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:34:48.17 ID:zgwQs9YAO
メイド長「あらこのスウィーツ、美味ですわ〜」

一同「…………」

警備隊長(おい、なにか言えよナメクジ)

憲兵隊長(黙れ脳筋……)

警備隊長(ああん?)

魔王娘(ちょっとちょっと!ケンカはよしてくださいよ!)

勇者(全てはメイド長に青ノリを取らせた後だ。)

警備隊長(だからどうやって)

勇者(………それは)

メイド長「皆さん、食べましょう。美味しいですわよ」

544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:35:53.35 ID:zgwQs9YAO
勇者(………とりあえず今の状況は不自然だ。自然に振る舞うことから始めよう)

憲兵隊長(賛成だ……)

警備隊長(そうだな)

魔王娘(まずはそうしましょう)

メイド長「皆さん?」

勇者「す、すまんなぁ!ちょっとお腹が痛くてわれわれ!」

魔王娘「あは、あはははは!ぽんぽん痛くて痛くて仕方ないですぅ!!」

メイド長「……そうなんですか?」

警備隊長「そうです!そうなんです!痛いんです!」

憲兵隊長「痛い………痛い………」

警備隊員A(ふ……)

警備隊員B(不自然だ………)

545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:36:21.73 ID:zgwQs9YAO
メイド長「じゃ、しまいます?」

魔王娘「い、いえ!今食べたいです!」

メイド長「お腹いたいのに?」

勇者(お……おま!)

魔王娘(つ……つい食い意地が………)

メイド長「……なにか隠してません?」





一同「 」ギクギクギクゥ!





魔王娘「べ、べ、べ、別に!」

勇者「な、な、な、な、なにも!なあ!」

警備隊長「ああああああああああああああああああ!!」

憲兵隊長「ううううううううううううううううううううううううむ………!」

メイド長「ふぅん」

546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:36:48.15 ID:zgwQs9YAO
メイド長「まあ、悪いことはしないでくださいよね。ケーキは人数分残していきますわ」

勇者「ど……どこへ」

メイド長「片付けを」

魔王娘「い、い、い、いってらっしゃいです!」


………ガチャッ


一同「はあああああ………」



魔王娘「どうしましょう……」

警備隊長「もう、何か尋常ならざる事態がおきていることは隠し切れませんな」

勇者「……もういっそ」

憲兵隊長「それはならぬ……!メイド長が傷ついて魔王城を止めたりしたらどう責任をとるつもりだ貴様………!」

547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:37:15.26 ID:zgwQs9YAO
勇者「じゃあ、一体どうすればいい!」ドンッ

憲兵隊長「………」もぐもぐ

警備隊長「………」もぐもぐ

魔王娘「…………」もぐもぐ

勇者「ぐぅぅ………」もぐもぐ

勇者「………食べてる場合ではないというのに」もぐもぐ

魔王娘「最早食べて現実逃避するしかねーですよ……」もぐもぐ

警備隊長「殿下、口にクリームたっぷりついてますよ」

魔王娘「あ、本当です」

魔王娘「ティッシュください勇者さま」





勇者「………これだ」


一同「?」




勇者「これだ!!!」ドンッ


548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:38:02.37 ID:zgwQs9YAO
――――

魔王娘「あ、あの勇者さま」

勇者「なんだ娘」


魔王娘「………みんなで口にクリーム付けっぱなしって」

憲兵隊長「私や殿下に何ということをさせる………」

勇者「我々が上目線だというのがよろしくなかったのだ。」


警備隊長「う…上目線…?」

勇者「誰を導くにせよ、そのものと同じ立場に立たなければならん」


勇者「つまり、我々もメイド長と同じく、口の周りを汚すことによって、注意しやすい空気を作り出すのだ」

警備隊長「な、なるほど………」

魔王娘「たしかに、気軽に注意しやすくなるかもです!」

警備隊員A「流石は勇者さん!」

警備隊員B「やりますね!」


勇者「ふっ、なんのなんの!」

勇者「まあ、脳みそ筋肉の魔王みたいなやつには思いつかんだろうがなああ!!ぬははははははは!!!」


憲兵隊長(なんやかんやで勇者も染まってきたか………)




549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:38:32.57 ID:zgwQs9YAO
ガチャッ

メイド長「お待たせしましたわ」


一同(キタッ!)


メイド長「お茶、おかわりいかがです?」にっこり


勇者「なあ、メイド長!………って」

魔王娘「あ………」

警備隊長「あれ………?」

メイド長「なにか?」

勇者「いや……あの………」

勇者(く………クリームが………)








一同(ないッッッッッッッッッッ!?)





メイド長「うふふ」にこにこ


550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:40:21.65 ID:zgwQs9YAO
>>549【訂正】


ガチャッ

メイド長「お待たせしましたわ」


一同(キタッ!)


メイド長「お茶、おかわりいかがです?」にっこり


勇者「なあ、メイド長!………って」

魔王娘「あ………」

警備隊長「あれ………?」

メイド長「なにか?」

勇者「いや……あの………」

勇者(ぎゅ………牛乳ひげが………)







一同(ないッッッッッッッッッッ!?)





メイド長「うふふ」にこにこ


551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/03(月) 13:41:12.76 ID:zgwQs9YAO
>>543訂正

青ノリ→牛乳ひげ

度々申し訳ありません
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:43:44.77 ID:zgwQs9YAO
勇者(な……なぜだ………)

警備隊長(我々完全に………)

魔王娘(マヌケじゃないですか………)


メイド長「皆さん」


勇者「なっ……なんだ」

メイド長「お口にクリーム、ついてますわよ?」ニコニコ


一同「!」

メイド長「もう、間抜けなんですから〜」にこにこ

553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 13:44:19.07 ID:zgwQs9YAO
魔王娘「あ……ありがとうです……」

勇者「す、すまないな……」

メイド長「いえいえ」にこにこ


一同(な、なんだこの)

一同(理不尽さは………)


一同「………」どよんど


メイド長(あらあら、ちょっと意地悪しすぎましたかしら)




【16話・おしまい】


最終話につづく
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/03(月) 13:48:01.50 ID:zgwQs9YAO
第16話終了です。
オチ部分の訂正、大変申し訳ありませんでした。補完をしていただければと思います。ごめんなさい。

次回は最終話になります。前半は夕方、後半は夜12時頃になります。
本当に今までお付きあいありがとうございました。
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/03(月) 16:23:46.74 ID:gpkhxx8bo
おつ
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/03(月) 18:54:23.15 ID:zgwQs9YAO
夕方予定していた最終話前編は10時くらいになりそうです
ごめんなさい
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/03(月) 20:40:54.41 ID:nmWH8sNIo
乙ん
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/09/03(月) 21:05:29.56 ID:YRjfZS87o

最終話なんて信じないからな
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:15:44.51 ID:zgwQs9YAO
再開します
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:17:03.80 ID:zgwQs9YAO
魔王「勇者よ、ここで終わりだ!」勇者「ちいぃッ……!」


【最終話・前編】




チュンチュン……


勇者「……ん」

勇者「……今は何刻だ」

勇者「正午………」

勇者「は!まずい!まずいぞ!」ガバッ

勇者「わたしとしたことが……ち…遅刻………」ワナワナワナワナ

勇者「…………むぅぅ」



勇者「し、しかしメイド長が起こしてくれなかったから……」

勇者「…いや、言い訳にならんか」

561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:17:57.51 ID:zgwQs9YAO
勇者「あいつらの事だ……」



魔王娘『勇者さま、だらしないですねぇ。ぷぷっ』

メイド長『私が起こして差し上げないと起きられないなんて、勇者様って一人じゃなーんにもできないんですのね。ぷぷっ』

憲兵隊長『無能だな……ぷぷっ』

警備隊長『みんな、やめ………ぷぷっ』


ぷぷっぷぷっぷぷっぷぷっぷぷっぷぷっぷぷっぷぷっぷぷっぷぷっぷぷっぷぷっぷぷっ


勇者「ぐううう!!!!!!」ドンッ!





警備隊長「何を騒いでいる」




勇者「!?」

勇者「け、警備隊長!い、い、いつの間に!」

562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:19:09.51 ID:zgwQs9YAO
警備隊長「さっきからだよ。それより超遅刻だぞ。今日買い物いくって約束したろ。ふざけんなよ」

勇者「えっ」


警備隊長「なんて顔してるんだよ、お前」

勇者「……ん?」



警備隊長「ああん?」


勇者「んっんっんっんっ」





▼ゆうしゃは こんらんしている!


563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:20:07.71 ID:zgwQs9YAO
警備隊長「どうしたんだよ、いきなり」

勇者「いやいや。警備隊長、君こそどうした」

警備隊長「はっ?」

勇者「いや、だから……感じが変だぞ。いつも、君は私を『お前』などとは呼ばんだろうに」

警備隊長「………」




警備隊長「あはははははははは!!!」




勇者「えっ」

勇者「えっえっ」

勇者「い、いや、なにがおかしい」

564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:20:46.32 ID:zgwQs9YAO
警備隊長「だっておかしいだろう!私を『あちらの名』で呼ぶし、お前、役が抜けてないんだろう!」

勇者「えっ」





勇者「や………『役』?」





警備隊長「そうだ。役だ。そうか……役者が度々役から戻れなくなるときがあるというが、これか!」

勇者「待て、待て警備隊長、君は一体何を」

警備隊長「そうだな、ばかばかしいが仕方あるまい。分かり切っている事だが説明してやろう」

警備隊長「君は演劇、『勇者と魔王』の勇者役を演じている俳優で」






警備隊長「いわゆる、主役というやつだ」


勇者「えっ」

565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:21:25.90 ID:zgwQs9YAO
勇者「………」

警備隊長「理解したか」




勇者「えっ……………!?」





勇者「う、うそを言うな!私は!私は!」

警備隊長「で、私が警備隊長役の俳優。お前とは劇団の同期だ。思い出したか」

勇者「冗談!貴様はどうかしているぞ!」

警備隊長「参ったな……どうかしてるのはお前の方なんだがな………」

勇者「…………」

警備隊長「まあ、芝居が打ち切りになってショックなのは分かるだろうが何とか立ち直ってくれ」

勇者「…………」

警備隊長「苦しいのはみな同じだぞ」


勇者「………えっ」
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:22:18.09 ID:zgwQs9YAO
勇者「………娘は」

警備隊長「は?」

勇者「娘はどうしたと聞いている!!!」

警備隊長「ああ……あの子か……親父さんと一緒に出てた」

勇者「どうした!!!!」

警備隊長「怖い顔すんなよ………この先に住んでるよ、2人で」

勇者「メイド長は!」

警備隊長「…………」

勇者「どうしたと聞いている!答えろ!」

警備隊長「聞かない方がいい」

勇者「…………!」

勇者「それは一体どう言う意味だ」

警備隊長「………自分で確かめろ。俺は話したくない。」

勇者「なあ………!」

567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:23:07.16 ID:zgwQs9YAO
警備隊長「お前はいいな。ショックで頭がおかしくなれて」

警備隊長「俺もお前みたいになりたいよ」

勇者「警備隊長!お前、本当に…………」

警備隊長「………医者を見つけてきてやる。それまで問題起こすなよ。じゃあな」

勇者「ちょ、ちょ、ちょっと待て!」


バタン


勇者「………」



勇者「な……何が一体………どうなって」

勇者「……そういえば」




勇者「ここ、城ではない……」



チュンチュン チュンチュン チュンチュン チュンチュン
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:23:59.82 ID:zgwQs9YAO
勇者「…………」


勇者「………何が何なのか」


ガチャッ




大臣「おい!いるか!」




勇者「だ……大臣!」

勇者「よかった!よかった!なんだか警備隊長と部屋が変なのだ!お前なにか……」

大臣「そんなことはどうだっていい!」

勇者「ど、どうだって良いことなど!」

大臣「また二丁目の娘さんが暴れてるんだ!私では手をつけられぬ!早く!」ぐいっ

勇者「に………え?」

大臣「ったく、あの娘は………」





勇者「え?え?え?」


569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:25:09.15 ID:zgwQs9YAO
―――――

勇者「な、なにが、あ、暴れてるんだ………」

大臣「あれだよ!はやくしてやってくれ!親父さんが死んじまう!」

勇者「だから!状況が………」








魔王娘「ゴルァアアアアアア!!!金用意しとけっつったろ!!!死に損ない!」バンッ!!!

魔王「ひ、ひぃぃっ!」ビクッ


魔王「ごめんなさい……ごめんなさい………」






大臣「あああ………」


勇者「む、娘に………魔王?」
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:26:14.51 ID:zgwQs9YAO
魔王娘「5万じゃ足りねぇんだよ!オラァ」ドゴォ!


魔王「い……いたいよ………」



魔王娘「痛いか?痛いかクソ親父!」ドゴォ!!




魔王「ギャアアアアアアアア!!!!!!!!!」





勇者「な、なあ………」





魔王娘「死ね!死ね!死ね!死ね!」ドカッ!ドカッ!ドカッ!

魔王「やめてくれェェエエエエエ!!!!!!!!!痛いィイイイイィイイイイィイイイイ!!!!!!!!!」

勇者「む、娘!止めろ!貴様親に向かって!!!」

魔王「ひ、ひぃぃっ!」ガクガクガクガクガクガク


魔王「やめてくれぇ!やめてくれぇ!後で……後でぇ………」

571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:26:40.18 ID:zgwQs9YAO
勇者「どうした魔王…!お前、そんな器じゃ………」

魔王「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

勇者「……魔王?」

魔王娘「あ、勇者くんじゃーん!ひさしぶりぃ」

勇者「娘!貴様!!!!」

魔王娘「え〜、なにムキになってんの?勇者くんもコイツ嫌いぢゃんワラ」

勇者「………娘?」

572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:27:21.36 ID:zgwQs9YAO
魔王「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


魔王娘「うっせんだよ!!!!!壊れたラジオかよテメー!!!!」ドゴォ!




魔王「ウゲェェェエエエエエエエ!!!」




勇者「ひゃ、ひゃあああああああ!!!!!!」

勇者「こ……こんなのは………なんなんだ………」

大臣「うわああああああああああああああああああああああああ」


勇者「だ、大臣………?」




573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:27:55.94 ID:zgwQs9YAO
【街】

勇者「魔王と娘と大臣もおかしくなってしまった!」

勇者「メイド長!メイド長なら!メイド長なら!」

勇者「メイド長はどこだ!メイド長はどこだ!」

憲兵隊長「お客さ〜ん遊んでかない?」

勇者「憲兵隊長!」

勇者「あ、あのな!魔王と娘と……みんな!みんなおかしくなってしまってだな!」
憲兵隊長「……勇者!」

勇者「な、なんだ!お前は!お前は!」







憲兵隊長「勇者さん久しぶりっすねー!メイド長探してるんすか!」ニコーッ



勇者「ああ………」


574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:31:01.10 ID:zgwQs9YAO
勇者「…………」

勇者「憲兵隊長、メイド長は知らんか」



憲兵隊長「メイド長すか……まあ、知ってますけど」

勇者「メイド長を!メイド長を知っているのか!」

憲兵隊長「え………ええ……まあ………」

勇者「あわせてくれ!」

憲兵隊長「いいですけど……」

勇者「けどなんだ」


憲兵隊長「いいんですか?」


勇者「いい!いいから、早く!」



575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:32:44.20 ID:zgwQs9YAO
憲兵隊長「じゃあ……ついてきてください」

勇者「ああ」



勇者(良かった!メイド長に……)

勇者(これで………)


勇者(メイド長がなんとかしてくれる………)



勇者(しかし、何故、突然こんなことに…………)



憲兵隊長「勇者さん、ここです」


勇者「ああ………」




キィィ………




576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/03(月) 22:33:45.27 ID:zgwQs9YAO
―――――


勇者「な……何故シャワーを浴びさせられたのだ」

勇者「しかも妙な空気が漂う場所だ」

勇者「布団……?何に使うんだこれ」

勇者「昼寝でもするのか」

勇者「にしては照明が落ち着かん………」





ガラッ




勇者「………!」

メイド長「本日はご指名ありがとうございますぅ〜」

勇者「メイド長!」

メイド長「………『勇者様』」

勇者「よかった!よかった!君は………」




メイド長「ぎゃははは!ウケる!んじゃ、パンツ脱いでよ!!!」





勇者「えっ」





【後編に続く】

577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/03(月) 22:34:18.21 ID:zgwQs9YAO
前編終了です
後編は12時頃予定しています
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/03(月) 22:37:43.80 ID:bs+8fli9o
GAの最終回思い出す
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/09/03(月) 23:39:06.19 ID:NEDAIroAO
えっ(;゚Д゚)
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/04(火) 00:02:43.08 ID:ABCiORBAO
さいかいします。
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:03:50.87 ID:ABCiORBAO
【最終話・後編】



勇者「 」


メイド長「は・や・く」


勇者「……い、いや、その」


メイド長「あ、脱がされる方が好き?」

勇者「ま、ま、ま、まて!まて!まて!ままて!まて!まて!」


勇者「な……なんてことを………メイド長!」

メイド長「なんてことを、って仕事だし」

勇者「……仕事?」

メイド長「舞台が打ち切りになった後仕事がなかなかないし。男に抱かれて金稼いでるんだよ。悪い?」プハー

勇者「えっえっ」
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:05:07.63 ID:ABCiORBAO
メイド長「最初は評判がよかったんだけどね、勇者がなかなか魔王になろうとしない展開が良くなかったせいで打ち切りになったんでしょうが」プハー

勇者「そんな………」

メイド長「姫役のガキは悪い仲間に誘われてヤクやってるらしいし、親父はキチガイになっちまったし。」

メイド長「大臣役のハゲジジイも家庭崩壊だってね。ちなみに姫様は来月このお店に入るらしいよ。」


メイド長「No.1取られちゃうか心配だわ〜。ま、イジメてやるけど」


勇者「嘘だろ?」

メイド長「嘘言ってどうすんだよ」

勇者「夢だ……夢なんだよ………」









勇者「覚めろ!覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ!!!!!!!!!」





勇者「…………」




勇者「夢じゃない」

583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:06:24.40 ID:ABCiORBAO
メイド長「じゃ、勇くん。ちゃっちゃとエッチしちゃおっか」



勇者「ああああああ…………」



メイド長「とくべつにさ…ゴムなしで」ヒソッ




ドンッ!




メイド長「!」





勇者「やめろ!やめてくれ………!」

メイド長「……えっ?」

勇者「金なら…有り金全部置いていく」

勇者「だから……やめてくれ」





メイド長「………」

勇者「帰る」




勇者「すまなかったな」






584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:06:50.90 ID:ABCiORBAO
―――――――




警備隊長「…………」

勇者「…………」

警備隊長「どこ行ってた」

勇者「娘とメイド長のところへ」

警備隊長「そうか」

勇者「ああ」

警備隊長「…………」

勇者「…………」

585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:08:03.94 ID:ABCiORBAO
警備隊長「俺さ、もう疲れたんだ」

勇者「………」

警備隊長「死のうと思う」

勇者「何を馬鹿なことを!」

警備隊長「疲れたんだよ!!」

勇者「警備隊長………?」

警備隊長「疲れたんだ………」

警備隊長「ぅぅぅ…………」

勇者「………」




ガチャッ!





大臣「………二人とも!二人とも!」

勇者「どうしたまた」

大臣「い、いいから!いいから!来てくれ!来てくれェェエエエエエ!」


586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:08:29.99 ID:ABCiORBAO
―――――

ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー


魔王娘「 」

魔王「ぬふふふふ…………」


村人A「あわわわ………」

村人B「女の子が!女の子が死んでるぞ!」

村人C「ち、父親が殴り殺したのか………」

魔王「あはははははははは!!!!!!!!!!!!!!!」

警官「黙らんか!」


勇者「な…………」




勇者「なあ………………!」ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク




大臣「お……遅かったか……………」ガクッ

587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:08:59.14 ID:ABCiORBAO
魔王「ぎゃははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

警備隊長「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

勇者「警備隊長………?」

大臣「そりゃ気が狂うよ………」






大臣「この世界はまるで『地獄』だ」



勇者「…………」





魔王「ぎゃははははははは!!!ぎゃははははははは!!!ぎゃははははははは!!!ぎゃははははははは!!!ぎゃははははははは!!!ぎゃははははははは!!!」
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:09:44.99 ID:ABCiORBAO
警備隊長「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


大臣「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」






勇者「や、や、やめろ!やめてくれ………やめてくれ!これは違う………こんなのは違う…………」





メイド長「いや。これが真実ってやつなんだよ」



勇者「メイド長!」




勇者「違うと!違うと!」





メイド長「かわいそうだね………気が触れちゃったか」





勇者「ちがぅぅ…………」


589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:10:23.24 ID:ABCiORBAO
勇者「………やめてくれよ」

メイド長「かわいそうだね、作りものの世界から帰ってこれなくなったんだ」

勇者「だって!だってメイド長!」

メイド長「そんな、都合の良い話、有るわけないじゃないか」


メイド長「殺される寸前に敵の娘に惚れられて、気ままな生活送ってさ」

メイド長「その末敵と和解なんて、都合が良すぎるよ」


勇者「だって………」






メイド長「現実、みなさいよ」







勇者「現………実?」


590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:11:28.24 ID:ABCiORBAO
勇者(メイド長にどぶを飲まされた事も)

勇者(警備隊長に散々な目にあわされた事も)

勇者(皇后にドラゴン召喚されたことも)

勇者(憲兵隊長に殺されかけたことも)




勇者(………魔王に陥れられそうになったことも)

勇者(娘にだまされたことも)

勇者(ろくなことではなかったが………)







    全て幻想、だったのか?            





591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:12:43.87 ID:ABCiORBAO
警官「あ、そうだ!そこのお前!」

大臣「ゲッ」

警官「痴漢で指名手配されているヤツだ!逮捕する!!!」

大臣「い……いやだ!いやだああああああああああああああああああ!!!!!!!」

警官「逮捕だ!」


大臣「触ってなにがわるい!触られるような格好している方がわるい!!!!!!」
大臣「うわああああああああああああああああああああああああああああああ」


592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:13:22.53 ID:ABCiORBAO
メイド長「ま、でもあんたの気持ちは分かるよ」

メイド長「あーあ……あの劇が打ち切りになってさえいなけりゃ」



メイド長「早く勇者が魔王になってりゃ」



メイド長「 こ ん な こ と に は な ら な か っ た の に 」




勇者「私が………魔王に…………」

勇者「…………」

勇者「これは悪い魔法なのか」

勇者「いや、多分気が違ってしまったんだろうな………私は」

勇者「あははははは、今までの生活は一体全体何だったのか!」


勇者「そうか……イヤだな、馬鹿だな、私は………」


593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:13:49.09 ID:ABCiORBAO
勇者「私が魔王にでもなれば幻想から覚めなかったのだろうか!メイド長!なぁ!」
メイド長「…………」

勇者「答えてくれよ………」


勇者「…………こんなことなら……私は」

メイド長「…………」




勇者「魔王にでもなんでもなって置けばよかった!!!!」


勇者「娘とも契りを交わして置けばよかった!!!!!!!!」







勇者「私は………私は………」


勇者「幻想でも……なんでも………守りきれなかった………」



勇者「何が勇者だよ…………」


メイド長「…………」


594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:15:28.41 ID:ABCiORBAO
勇者「私が魔王にでもなれば幻想から覚めなかったのだろうか!メイド長!なぁ!」
メイド長「…………」

勇者「答えてくれよ………」


勇者「…………こんなことなら……私は」

メイド長「…………」




勇者「魔王にでもなんでもなって置けばよかった!!!!」


勇者「娘とも契りを交わして置けばよかった!!!!!!!!」







勇者「私は………私は………」


勇者「幻想でも……なんでも………守りきれなかった………」



勇者「何が勇者だよ…………」


メイド長「…………」
勇者「ぅぅぅ……ぅっ…ぅっ…」


勇者「魔王になる!私、勇者は魔王になる!だから………」


勇者「だからぁ………」


メイド長「…………」




それでも、世界は変わらない


魔王と勇者が

魔族と人間が

分かり合うなんて事ありはしない

魔王娘が勇者に一目惚れ

そんな事だってありはしない

全部ひとりの男の



「都合のいい妄想でした」













メイド長「おしまい♪」
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/04(火) 00:17:56.99 ID:1YVY4kMAO
えっ
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/04(火) 00:18:19.47 ID:q4lZBd9so
大事なことなので2回言いました
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/09/04(火) 00:24:06.53 ID:HDjX4+L1o
嘘だろ、おい
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(青森県) [sage]:2012/09/04(火) 00:29:06.62 ID:sQWGizL0o
は?(威嚇)
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:29:08.76 ID:ABCiORBAO
カチッ




メイド長「はい、勇者様バッチリ取れましたわ」


勇者「………へっ」


メイド長「………」にこにこにこ

勇者「えっ」グスッ

メイド長「お疲れ様でした勇者さま」にっこり







■再生


勇者『魔王になる!私、勇者は魔王になる!』


メイド長「うふふっ」

勇者「…………」






勇者「えっ」

600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:30:07.44 ID:ABCiORBAO
メイド長「ほらほら、涙をお拭きになって………いい男が台無しですわ」


勇者「えっえっ」チーン!


メイド長「…………鼻をかんで良いとは言ってませんわよ」


魔王娘「起きていいです?」ムクッ

メイド長「オッケーですわ。皆さんもご苦労さまでした〜」

勇者「えっ」

警備隊長「はははっ!難しい役どころだったな!メイド長!」

魔王娘「熱演でしたよ〜」



メイド長「お止めになって……もう、思い出したら死んでしまいそうです」カアアッ


勇者「えっ」


601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:31:41.16 ID:ABCiORBAO
魔王「我が輩が泣き叫ぶとこ、ちょっとやり過ぎだった?」

大臣「いやあれくらいで。男優賞モノですよ」クイックイッ

憲兵隊長「ふっ………」


勇者「えっ」


勇者「えっえっえっ」


村人A「いやぁ、準備も大変だったなぁ!」

メイド長「あ、これバイト料です」


村人C「あ、すいませんねぇ」

勇者「えっ……」

勇者「なにこれなにこれ」

メイド長「なにこれって」

魔王娘「ぜーんぶ今までのは」

警備隊長「お芝居なのだが」


メイド長「勇者さまに思わず魔王になる!と言わせるための」

勇者「…………」

勇者「えっ」


602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/09/04(火) 00:32:38.27 ID:3lSNAVkmo
えっ
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:32:59.44 ID:ABCiORBAO
メイド長「勇者さま、こんな古典的な手に引っかかりますかねー。ぷふっ」

魔王娘「ぷふっ勇者さま、超ダセーです!」

警備隊長「情けないなぁ勇者殿!ぷふっ!」

憲兵隊長「ぷふっ………」


勇者「 」


勇者「えっえっえっえっえっえっえっ」

勇者「えっ、だって城がないじゃないか。」

警備隊長「まあな」

勇者「えっ、ここはどこだ」

メイド長「魔王城周辺とそっくりな作りの村です」

皇后「探すの苦労しちゃったんだからぁ〜」

勇者「えっ、じゃ、なんだ、私が眠ってるあいだに」

魔王娘「はい」
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:34:08.46 ID:ABCiORBAO
勇者「えっ、この建物は」

憲兵隊長「憲兵隊の総力をあげた」

憲兵隊員「憲兵隊の寸劇にかける情熱をなめるなよ!」


一同(お前ら………本業ちげえだろ………)


勇者「そ、そうだ………あの時、メイド長………」

メイド長「よかったですわね勇者様。あの時ヤケにならなくって」にこにこ

憲兵隊員「私たちが」

警備隊長「みていたからなあ………」

警備隊長・憲兵隊長「あはははははははは!!!」


勇者(じ、地味に命の危機だったのか………)

605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:35:36.44 ID:ABCiORBAO
勇者「つ………つまり、ドッキリ?」

メイド長「ドッキリです」


勇者「ち、ちなみにタバコは?」

メイド長「おもちゃですわよ」

勇者「そうか………」ほっ

警備隊長「良かった」ほっ

憲兵隊長「うむ……」ほっ

メイド長「なんでみんな揃って、ほっとしてるんです」

606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:36:48.25 ID:ABCiORBAO
勇者「えっ、じゃあまて!さっき録音した………」

メイド長「もちろん、ねぇ」

一同「ねぇ」

勇者「だ、だってあれは!」

メイド長「もう遅いですわ勇者さま」

勇者「えっ……」

メイド長「だってもう」






魔王娘「レイディオで国中に流しちゃってますもん」






勇者「 」





一同「新魔王誕生ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!」





勇者「 」

607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:38:04.56 ID:ABCiORBAO
勇者「ま、まままままままマテ!だって魔王、お前」

魔王「は?別に私はお前に魔王の椅子を譲ることは構わんぞ。むしろ」

魔王「毎日お前と娘を監視」








魔王「で・き・る」






魔王娘「はああああああああああ!?」

魔王娘「クソジジイ何言ってるんですか!殴られ足りなかったですか!」シュッシュッ

魔王「あはははははははは!!!我が輩、楽しみだなあ!」サッサッ

魔王娘「お父様のバカバカバカバカァ!!!!!!」シュッシュッシュッシュッシュッ

魔王「ぬははははははは!!!!!!甘いぞ!我が娘よ!!!」サッサッサッサッサッサッ

勇者「………なんてこった」

608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:38:48.97 ID:ABCiORBAO
メイド長「こうでもしないとあなた、魔王になるって踏ん切り、つかないでしょう」

勇者「………ぐぅ」


メイド長「ふふふっ。ま、落ち着くとこに落ち着きましたわね」

警備隊長「メイド長、君は」

メイド長「なんです」

警備隊長「明るくなったな」

憲兵隊長「ああ………」


メイド長「お二人も十分お変わりになりましたわよ」

警備隊長「………」ジッ


憲兵隊長「………」ジッ


憲兵隊長・警備隊長「ふんっ…!」


609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:41:11.52 ID:ABCiORBAO
魔王娘「ふん!こうなったら既成事実を作っちまえばいいんです!」

魔王娘「ってことで、勇者さま!早速抱いてくださーーーいっ!」ダダダダダダダダ


勇者「なっ!来るな!来るなあああああああ!!!!!!!」ダダダダダダダダ




魔王娘「ちゅーっ!」バッ


勇者「ぬわああああああああ!!!!!!」






皇后「平和ですね、あなた」

魔王「い、いたのか」


皇后「ずっと」


皇后「ね、あなた」


魔王「う………」

魔王「…………うむ」



魔王娘「勇者さまあああああああ!!!!!!」


勇者「ぬわあああああああああああああああ!!!!!!」










【魔王「勇者よ、ここで終わりだ!」勇者「ちいぃッ……!」最終話



おしまい

610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/04(火) 00:42:33.79 ID:ABCiORBAO
というわけで最終話終わりです
今までありがとうございました。





エピローグ終了まで、あと少しお付きあいください
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/09/04(火) 00:42:52.10 ID:HDjX4+L1o
乙!!!!!
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/09/04(火) 00:43:25.87 ID:3lSNAVkmo

前スレから楽しませてもらってた
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/04(火) 00:43:48.92 ID:ABCiORBAO
訂正
>>593はカットでお願いします
度々ごめんなさい
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/04(火) 00:47:22.76 ID:1YVY4kMAO
乙!!
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 00:48:57.51 ID:iQ85+EGuo
おつん
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 00:50:18.37 ID:pUpZXQ+uP

終わっちゃうの残念だけどエピローグあるのか
外伝とかおまけとか、もっと書いてもいいのよ?
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 00:59:49.08 ID:ABCiORBAO
―epilogue―



▼そして



▼20年の月日が経った……


618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:02:28.36 ID:ABCiORBAO
【いつぞやの喫茶店兼酒場】

カランコロン♪




女店主「いらっしゃーい」

メイド長「お久しぶりですわね」

女店主「お元気そうで。2人とも、待ってるよ」




「やあ、メイド長」

「待っていました………」



メイド長「警備隊長さんに、憲兵隊長さんお待たせしま………」ハッ



メイド長「あ、いやですわ。」



メイド長「いつもの癖で。お二人とも、外では元帥さんに法務大臣さんとおよびしないと、ね」ニコッ


元帥(警備隊長)「そんな大層なものではないさ。軍は基本的には暇だからな」

法務大臣(憲兵隊長)「そうだな」




元帥「ああん!?」




メイド長「もうっ……」



619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:03:39.96 ID:ABCiORBAO
女店主「店の看板、外したから私も入れてくれないかな」

メイド長「よろしいですわよ」

元帥「では、殿下と勇者くん……いやもとい、皇后と陛下のお子様の誕生に」






一同「かんぱーい!」チーン





メイド長「全く、長かったですわね……ここまで」

元帥「あれから結婚まで10年、子供が出来るまで10年だからな」

法務大臣「まあ……前魔王様の監視があっては」

女店主「仕方ない、かもねぇ」


一同「ふふふっ……」
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:05:00.40 ID:ABCiORBAO
メイド長「あれからみんな多少なりとも変わりましたわね」

メイド長「大臣は引退されて“指導員”とやらとして部下の皆さんにケチをつける毎日ですし」

元帥「娘さんが結婚した途端に熟年離婚を突きつけられていたな」

法務大臣「一方我々の部下達はみんな出世したな」

メイド長「魔王様……前の魔王様は今は」

元帥「以前の姿はまるで見る影もなく」

法務大臣「孫に骨抜き状態だな………」


女店主「あらあら………」


メイド長「この間なんてまるまるおもちゃ屋一軒買い取って奥様にしかられてましたよ」


元帥「ま、魔王様らしいな」
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:05:50.36 ID:ABCiORBAO
元帥「その点殿下はしっかりなされた」

法務大臣「完全に勇者………ではなかった魔王陛下殿を尻に敷いているからな………」


メイド長・元帥・法務大臣「……ぷっ」


メイド長「あの殿下がねぇ………」

元帥「子供を産むと変わるというが」

法務大臣「まさかあれほどとは、なあ………」

622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:06:42.82 ID:ABCiORBAO
メイド長「変わっていないのは、私の地位くらいのものですわね……」

元帥「へこむこともないぞメイド長」

元帥・法務大臣(……あなたは最初から偉いんですから)


女店主「そうかな、あたしにはあんた達三人まとめて全く変わってない気がするけど」


メイド長・元帥・法務大臣「へっ!」





メイド長「………」グビグビ

元帥「………」グビグビ

法務大臣「…………」グビグビ





女店主「酒飲んでごまかすんじゃないわよ」


623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:07:09.36 ID:ABCiORBAO
【30分後】


元帥「ひくっ」

法務大臣「ひくっひくっ」

法務大臣「ったくよぉ、勇者のやつめ、偉そうにヒゲなんか蓄えちゃって……」ひくっ

元帥「むかつくよな!」ひくっ

元帥「ったくよぉ、勇者くんのやつめ、魔王になったとたん、出世させやがってぇ………」ひくっ

法務大臣「おかげで忙しくなっちまったぁ、よなぁ………!」ひくっ



女店主「とんだいちゃもんだね」

メイド長「酔っ払い過ぎですわよ、お二人とも……」


624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:07:42.57 ID:ABCiORBAO
元帥「今じゃ勇者くんも殿下のいいなりだからなぁ」

メイド長「殿下に骨抜き状態ですわよね」

法務大臣「この間なんて殿下に泣きながら土下座なんかしてたぞ」


魔王(勇者)『ごめんなさい……本当にすまなかったぁ……!』

皇后(魔王娘)『誠意がみられないわ。離婚かしらねぇ』

魔王(勇者)『そ、そ、それだけは嫌だ!ゆ、ゆ、許してください!』ペコペコ

皇后(魔王娘)『まったく!もっとキチンとなさいと私は言っているでしょう!』

魔王(勇者)『ごめんなさいぃ………』



元帥「勇者くんは最初はあーんなに殿下にビビってたのにな」



法務大臣「今でもビビりっぱなしだろ………」


一同「あはははははははははは!!!!!!」


625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:09:00.41 ID:ABCiORBAO
元帥「でも楽しいだろうなぁ、結婚」ひくっ

法務大臣「なあ………」ひくっ


元帥・法務大臣「………」ジッ

メイド長「えっ」





元帥・法務大臣「結婚してください!!!!メイド長!!!!!!」バッ





メイド長「えっ……」

女店主「良かったじゃーん」

メイド長「えっえっ」

626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:09:26.48 ID:ABCiORBAO
元帥・法務大臣「…………」ひくっ

メイド長「………分かりました」


メイド長「じゃあ……」



元帥・法務大臣「………」





メイド長「ゲームで決めましょう」にっこり




一同「……」ズコーッ


女店主「ひ、酷い女だなあんた………」


627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:10:19.04 ID:ABCiORBAO
メイド長「し、仕方ないじゃありませんか」

元帥「よし、乗った!」ヒクッ

法務大臣「ヘイヘーイ!ビビってるよ警備隊長!ヘイヘーイ!」へべれけー

メイド長「ここにトランプ52枚がありますわ」

元帥・法務大臣「………うむ!!!!!!!」

メイド長「必ず1枚以上8枚以下を取ることに致します。最後のカードを取った方が勝ちです。このコインで先攻後攻を決めますわ。どちらから?」

法務大臣「私がやるぞ!!!」ヒクッ

メイド長「……私が表でよろしくて?」

法務大臣「うむ!!!!!!!!!」
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:11:40.99 ID:ABCiORBAO
メイド長「ではコインをお投げ頂けます?」

女店主「う、うん」

チャリーン……

女店主「………表」

メイド長「じゃあ私が先攻ですわね。さきに7枚取らせて頂きます」

法務大臣「では私は6枚!!!!!!」

メイド長「私は3枚」

法務大臣「2枚!!!!!!」

メイド長「7枚」

法務大臣「1枚!!!!!!」

メイド長「8枚」

法務大臣「5枚!!!!!!」

メイド長「4枚」

法務大臣「4枚!!!!!!……って、アレ」





メイド長「5枚……私の勝ちですわね」にっこり





法務大臣「 」

元帥「ざっまああああああああ!!!!!!!!!」

629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:14:02.72 ID:ABCiORBAO
元帥「じゃあ次は私だ!!!!!!」

メイド長「じゃあまた私、コインは表に掛けてよろしくて?」

元帥「了解した!!!!!!」

チャリーン!

女店主「また表だ」

メイド長「では私は1枚」

元帥「……私は3枚」

メイド長「………3枚です」

元帥「じゃあまた3枚!!!」

メイド長「6枚」

元帥「2枚!!!」

メイド長「7枚」

元帥「1枚!!!!!!!!!」

メイド長「8枚」

元帥「6枚!!!!!!」

メイド長「3枚」

元帥「5枚!!!!!!」

メイド長「4枚ですわ」

元帥「ええ…次は………」





元帥「次は……」






元帥「ない………」





元帥「 」チーン


女店主「二人とも気絶しちゃった」

メイド長「………」



630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:14:41.61 ID:ABCiORBAO
女店主「しかし強いねーあんた」

魔王(勇者)「いいや、メイド長が強いのではないさ、このゲームがそう出来ているんだよ」

女店主「ゆ………ゆ………」


メイド長「勇者さま。いつの間に……」

魔王(勇者)「面白そうなことが起きていると、風の知らせでな」

女店主「あらまあ………」

皇后(魔王娘)「私もいるわよ。良かったじゃないですか、メイド長」

メイド長「で、殿下まで………」

631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:15:07.16 ID:ABCiORBAO
女店主「さ、さっき勇者くんが言ってた事って……」

魔王(勇者)「最小の数1と8を足すと9になるだろう?52以内にある、9の倍数は最大45だ。」

女店主「う、うん」

魔王(勇者)「最初にそのあまりの部分……7をとってしまえば、後は相手が何を取ろうと、1ターンの合計が9になるように調整すれば勝ちだ」

女店主「……つまり先攻をとっちゃえば、絶対勝てるってワケか?」

魔王(勇者)「投げたコイン、どっちも表になってるだろ」

女店主「あっ………本当だ」

メイド長「バレては仕方ないですわねー」

632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:15:49.84 ID:ABCiORBAO
女店主「……なんでこんなことするんだよ」

メイド長「……お酒の勢いでって言うのがイヤなんですのよ」

女店主「ま、そりゃそうか……」

女店主「でもなーんで勇者くんががそんなこと知ってたの?」

魔王(勇者)「この手で昔っからメイド長に一杯食わされ続けていたからな」


皇后(魔王娘)「そうです。そうやって昔からおやつ、メイド長に食べられてしまっていたのですから」


メイド長「うふふっ」


女店主「ワォ…………」


魔王(勇者)「ん、しかしそうなるとおかしいな」


メイド長「何がです」

633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:16:35.34 ID:ABCiORBAO
魔王(勇者)「メイド長は確実に勝てない試合を………」

メイド長「何です」

ドカッ

魔王(勇者)「イタっ!」

皇后(魔王娘)「おやめなさい!だからアナタって人は」

魔王(勇者)「な、な、な、なんで………」

女店主(あっ、なるほどそう言う………)

法務大臣「………ぅぅっ」


女店主(法務大臣も意外といい男っちゃ男なのよね……)



634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:17:36.99 ID:ABCiORBAO
メイド長「殿下、姫様は?」

メイド長「ってあらやだ、意味が同じになっちゃいましたわ」

皇后(魔王娘)「ふふっ。気にしないでメイド長。娘はすこぶる元気よ」

魔王(勇者)「義父に取られっぱなしだがな」

メイド長「ふふっ。そうですか………」


皇后(魔王娘)「と、そろそろ帰らないとあの子が愚図るわね。」

魔王(勇者)「先に失礼する」

メイド長「あら、じゃあ私も………」




皇后(魔王娘)・魔王(勇者)「い・い・で・す」





皇后(魔王娘)「今晩は休暇をあげるわ。じゃあね」


魔王(勇者)「今夜は帰らなくていいからな」



メイド長「…………」
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:18:30.75 ID:ABCiORBAO
女店主「法務大臣さん、あたしと呑みましょ!」ピタッ

法務大臣「えっ……」

女店主「……ほらほら、あっちのテーブルで!ね!」チラッ

法務大臣「ちょっ………!」ズルズルズルズル


メイド長「………」

元帥「………」






メイド長・元帥「……かんぱい」チーン





メイド長「ふふっ」
元帥「ふっ」
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:19:27.25 ID:ABCiORBAO
―――――――――




サアアアア…………


皇后(魔王娘)「あなた」


魔王(勇者)「なんだ」


皇后(魔王娘)「………私と結婚してくれて、ありがとう」


魔王(勇者)「あ……ああ………」

皇后(魔王娘)「照れなくったっていいじゃないの。私がアナタのこと、大好きだったんだから」

魔王(勇者)「………」

皇后(魔王娘)「あー、アタックし続けるのも疲れちゃったわ」

魔王(勇者)「い、いまは」

皇后(魔王娘)「?」

魔王(勇者)「私の方が…大好きだ………」カアアッ



魔王娘「ふふっ」
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:20:36.00 ID:ABCiORBAO
皇后(魔王娘)「うふふっ」





魔王娘「勇者さま」

勇者「な……なんだ」





魔王娘「“すき”あり!キーーーッス!」




チュッ



勇者「!」





こうして勇者と魔王娘はいつまでも幸せに暮らしましたとさ




魔王「勇者よ、ここで終わりだ!」勇者「ちいぃッ……!」

―fin―


638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 01:26:05.72 ID:63yhsv+IO
1乙‼
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/09/04(火) 01:31:16.63 ID:HDjX4+L1o
よかった乙!
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 01:32:55.85 ID:ABCiORBAO
魔王「勇者よ、ここで終わりだ!」勇者「ちいぃッ……!」 本編はこれにて終了です
夜中までお付きあいありがとうございました。
普段はVIPで色々書いていると思うので機会がありましたからよろしくお願いします。
外伝はそのうち書くかもわかりませんがそちらもよろしくお願いします。

本当にありがとうございました
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 02:18:40.86 ID:pUpZXQ+uP

ここ残しといて、また今度何か書いてくれるのかな?
また覗きに来よう
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/09/04(火) 02:26:40.46 ID:ZY8ZoJlto

ハッピーエンドはやっぱり良いね
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/09/04(火) 09:50:34.17 ID:eZSPWmBAO

面白かった
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 13:15:04.36 ID:ABCiORBAO
皆さんありがとうございました
超蛇足話を今晩あげて、このスレは落としたいと思います。
ありがとうございました。
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:51:53.82 ID:ABCiORBAO
―蛇足―



【魔王城】



勇者「黙れナメクジ(笑)」


銃士「黙れ脳筋……(笑)」


魔王「あ、あのさぁ………」




勇者「死ね!」

銃士「お前こそ死ね…!」



魔王「あの……」



僧侶「ごめんなさい。もう少しで終わると思うので………」

646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:52:21.36 ID:ABCiORBAO
魔王「もう一時間だよ!待てないよ!始めるよ!」


魔王「ぬはははははは!!!!!!我輩は魔王である!!!!!!!」


魔王「愚かな勇者共よ!ここで終わりだ!命乞いを………」


銃士「ほら、魔王が困ってるではないか。お前のせいで…」


魔王「するなら………」

勇者「はぁ?いちゃもんをつけるんじゃない」

魔王「あの…………」

魔王「うがあああああああああ!!!!!!!!聞けよ我が輩の話を!!!!!!!!!!」

647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:53:12.99 ID:ABCiORBAO
勇者「第一なんだ、銃って!ふざけるなよ!!」

銃士「はぁ……?」

魔王「あの」

勇者「いいか、相手は誰であれ、誰かを倒す時には、自分も己の身体でその痛みを感じなきゃいけないんだよ!」

勇者「なのに飛び道具って(笑)」

銃士「はぁ?心が痛んでるんだがぁ〜……(笑)」

勇者「はぁ?誰も心の話をしてないんですけどぉ(笑)僕は身体の話をしてるんですけどぉ(笑)」

銃士「引き金を引くとき、指が痛いからぁ〜……!お前何にも知らないのなぁ……(笑)」

勇者「はああ?指が痛い(笑)(笑)」

銃士「黙れ、銃の使い方もわからん脳筋……(笑)」

勇者「黙れ、陰湿な倒し方をしやがってナメクジ(笑)」


魔王(あれ…なんで我輩微妙に傷ついてるんだろ……)


僧侶「ごめんなさい、本当にごめんなさい」

648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:53:49.18 ID:ABCiORBAO
勇者「顔色悪っ(笑)」

銃士「ワキガ……(笑)」


魔王「っていうかお前達、こんなんでよくここまで来られたな」

僧侶「ええ……まあ色々苦難はありました」

魔王「ほぅ、待ってる間にちょっと我が輩に聞かせてみろ」

僧侶「そうですね例えば……」

魔王「例えば」

僧侶「ある村では喧嘩の決着をつけようと町中のスライムを2人で倒していったんですが………」

魔王「結局同数で決着がつかなかったとか?」

僧侶「ええ……っていうか」

魔王「っていうか?」





僧侶「それ、全部村の特産品のタマネギだったんです……」




魔王「ええ!?」


649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:54:16.35 ID:ABCiORBAO
魔王「っていうか、おおまかな形しか似てないじゃない!!っていうか、最初に気がつくよね普通!」

僧侶「まあ……二人とも夢中で周りが見えなくなってしまうと言いますか」

魔王「村の人、怒ったでしょ」

僧侶「はい。ですから、有り金は全部没収されて、その上1年は奴隷扱いでしたのよ……」

魔王「道理で、なんか来るのが遅いと……」


650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:54:50.54 ID:ABCiORBAO
魔王「ほら!お前達我輩を倒しに来たんだろ!我輩はここだぞ!オイコラ!」

勇者「オラオラオラオラオラオラ!!!」カキーンカキーンカキーン

銃士「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」バンバンバンバンバンバンバンバン


魔王「ちょ!ちょっとや、やめ!」



ガッシャーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!ガッシャーン!

ガッシャーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!パリーン!ガッシャーン!


魔王「あ………ああああああ…………」


魔王「我輩の調度品がぁ………」




僧侶「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」



651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:55:16.71 ID:ABCiORBAO
魔王「………他には」

僧侶「そうですね、喧嘩の末町一つ焼いてしまうことはしばしば……」

魔王「ええっ、我輩だってそこまで………」ひきっ

魔王「お前達……評判悪いだろうに」


勇者「それがそうでもないんだな!」カキーンカキーンカキーンカキーン

銃士「美しき僧侶殿がフォローしてくれるからな……!」バンバンバンバンバンバンバンバン

勇者・銃士「あはははははははははは!!!!!!!!!」カキーンカキーンカキーンバンバンバンバンバンバン


僧侶「…………」

魔王「うっわ……」

652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:55:42.77 ID:ABCiORBAO
魔王「貴様ら!そこに直れ!」

勇者「はあ?誰が魔王などの指図を」カキーンカキーンカキーン

銃士「受けるものか……!」バンバンバンバンバンバンバンバン





僧侶「 そ こ に な お れ 」






勇者・銃士「…………ハイ」


僧侶「はい、魔王さん」

魔王「ハ、ハイ………」ビクビク


653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:56:08.49 ID:ABCiORBAO
魔王「お前達恥ずかしくないのか」

勇者「何が」

魔王「………勇者一行のクセに破壊活動ばかりしている事に関して」

銃士「お前に言われたくないし…(笑)」

勇者「って言うか説得力0(笑)」

魔王「い、良いんだよ!俺は魔王だから!」

勇者「え、なに魔王だから?いいの?」

銃士「それ理由になってると思ってる?思ってるの……?ねえ……」

魔王「………ぐぅぅ」イライラ

僧侶「すみません……すみません………」

654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:56:35.32 ID:ABCiORBAO
魔王「魔王になってから屈折数百年」

魔王「ようやく我が輩の元にたどり着いた勇者が居たと思ったら……」

魔王「居たと思ったら……」

勇者「やるかぁ?」
銃士「ああん……?」

魔王「もう良い、独りで話すから」

魔王「我輩も色々やってきた。やってきたが………」

魔王「お前達程は………」

勇者「ああん?ああん?」
銃士「ああん…?ああん…?ああん…?」


魔王「…………僧侶に対して貴様ら、申し訳ないとは思わないのか」


勇者・銃士「………えっ」
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:57:05.41 ID:ABCiORBAO
魔王「いつでもお前達を許し、フォローしてきた僧侶にお前達はこれからも苦労掛けるのか」

勇者・銃士「…………」

僧侶「魔王さん…………」


魔王「はっきり申す。今のお前達には」









魔王「私と戦う資格はない!!」






勇者「!」

銃士「!」


魔王「………僧侶を苦しめたお前達は、正義でもなんでもない。わかるか」

勇者「………確かに」

銃士「僧侶殿には………」


魔王「分かったなら、もう一度出直せ」

勇者「………」

銃士「………」

僧侶「そうですわ。二人とも……」
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:57:36.56 ID:ABCiORBAO
僧侶「魔王さんの前には我々は完璧な正義として現れなければならないのよ。お二人にはそれがあって?」

勇者「いや」

銃士「………ないな」


魔王「だから、もう一度………でなければ私が困る」

僧侶「私ももう一度、お付きあいいたします」

勇者「うむ!そうだな!」

銃士「うむ………」


魔王「じゃあ、ここまで頑張って来たんだから、我輩が最初の村まで移動させてやろう!」


勇者「頼む」

銃士「すまないな……」

僧侶「ありがとうございます」


657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:58:34.44 ID:ABCiORBAO
魔王「行くぞ………移動魔法(最大)!」


勇者(もう一度!)

銃士(正義を取り戻す旅へ……!)


僧侶(良かったですわね……お二人とも!)




ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビ!!!!!!!!!



魔王「さーて三人は上手くはじまりの村に……」チラッ




勇者「 」

銃士「 」

僧侶「 」



魔王「えっ」



658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga]:2012/09/04(火) 20:59:29.36 ID:ABCiORBAO
魔王「や、やだな、我輩……失敗しちゃった?」


魔王「おーい」ツンツン




勇者「 」

銃士「 」

僧侶「 」






魔王「………死んでる」




魔王「どうしよう……………」





【蛇足・おわり】

659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/09/04(火) 20:59:55.83 ID:ABCiORBAO
ありがとうございました
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 21:07:51.28 ID:48FUEEtDO
諸悪の根元は魔王かww
乙でした!
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 21:09:24.85 ID:dCXlNt8Ro
これで全てが繋がった
最後まで乙でした!
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/09/04(火) 21:59:21.71 ID:Zm/+3S3Go
凄く面白かった!

乙でした!
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 22:27:50.62 ID:rZsSBpQDO
蛇足なんてとんでもねえ……



必要不可欠なピースやないかぁぁぁぁぁぁぁ

まぁとりあえず、乙!
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 22:41:53.23 ID:pUpZXQ+uP


もっと蛇足読みたい
勇者と魔王娘がくっつくとことか
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2012/09/05(水) 02:31:18.61 ID:MJ4SEsJQ0
あげ
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/05(水) 23:59:18.44 ID:IzWAAXzao
ageんなks
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/10(月) 01:57:59.53 ID:lnn0p/W/o
あげんなやかすぅ〜
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/09/11(火) 06:15:16.15 ID:WFzIp9CJo
早々とまとめに載ってた(苦笑)
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