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男剣士「今日も今日とて鍛錬鍛錬♪」女剣士「……」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 11:55:05.68 ID:Y4zEJpMt0

*帝都郊外にある草原

風にそよぐ叢の中、二人の剣士が闘っている。

                     ,ィ
                \、_ノ |    「……」
    「でやぁっ!!」     〉    |
                /⌒Y⌒\          じゃきんっ
        ノしへ
      ‐く   〈   ひゅんっ
        }/⌒                       /{
                                <   て
                    「だぁっ!!」     〉 /
                                /⌒
          かきんっ    ノー イ
                    )  て
     「……っ!」       '⌒}/


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満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
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にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 11:55:31.05 ID:Y4zEJpMt0
      ,ィ
  \、_ノ |
    〉    |
  /⌒Y⌒\

ガ キ イ ィ ィ ン !!

「っ!!」

どさっ




女剣士「……貴方の負け」スッ

男剣士「……参りました」


3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 11:58:43.79 ID:Y4zEJpMto

男剣士「では、本日の講評をお願いします、先生」

女剣士「……8点」

男剣士「10点中?」

女剣士「100点中」

男剣士「あ、あり?」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 11:59:36.97 ID:Y4zEJpMto

女剣士「動きが固い。捌きが甘い。剣撃と拳打の切り替えが鈍い。実戦でなら100回中92回、私に殺されていた」

男剣士「いやはや、相変わらず辛口ですね」

女剣士「貴方が甘すぎるだけ。それと、」

男剣士「それと?」

女剣士「貴方は勝とうとするあまり、時折無茶をしようとする。無謀さと果断さは違う」

男剣士「はい、肝に銘じておきます」

女剣士「今日の鍛錬はここまで……礼」ペコリ

男剣士「ありがとうございましたっ」ペコリ
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:01:04.47 ID:Y4zEJpMto

*剣士宅*

ラジオ≪……帝國・連邦友好条約について野党側は『まだ時期尚早』との声明を発表しており、今帝國議会は波乱に満ちた幕開けとなりそうです≫

ラジオ≪では次のニュース。先週からの皇帝陛下の体調不良について、宮内庁は……≫ブツッ


女剣士「少し出かけてくる」スタスタ

男A「先生、帰りはいつ頃で?」

女剣士「夜には戻る」

男剣士「さいですか」

女剣士「……着替えたら買い出しを。メモを書いておいたので、それを見ながら買うように」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:01:40.71 ID:Y4zEJpMto

男剣士「わかりました」

女剣士「それから、役所から住民票の写しを貰ってきておいて」

男剣士「え、それも?」

女剣士「あと玄関と廊下、和室の掃除、植木の手入れも忘れずに」

男剣士「これまた随分と……」

女剣士「……なにか?」

男剣士「たまには先生やってくださいよ」

女剣士「交代制と決めたはず」

男剣士「そんな事言っても先生出かけちゃうから家事やらないじゃないでsアイタっ」ペチッ



女剣士「……では、よろしく」

男剣士「いってらっしゃい」

バタム


7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:02:07.13 ID:Y4zEJpMto

*帝國領空 高度およそ4000m 機内
                      '⌒ヽ、ノ⌒ 、
    ,::::::⌒              ゝ::::::::: ):::::::  )
   (:::::::::::::::⌒)         (⌒::::::::::::::::::::::::::::::              ヽ、ノ⌒ 、
 :::::::::::::::⌒::::: )      (:::::::_:::::::、::⌒::::::::::::::::::::    ,::::::⌒     :: ):::::::  )
 ::::(  ::::::::::::::::  )  _ (::::::::::::::::: / l::::::::::::::::::::::::::::::::::   (:::::::::::::::⌒)   ::::::::::::::::
    ::::::::::::::::::::::::::::::::::|ヽ/_|__/__l__,::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::⌒::::: )   ::::::::::::::::    ,:::::
 :::::::ノ⌒ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ- ___,,・・・・ __):::::::::::::::::::(⌒ ::::(  ::::::::::::::::  ) :::::::::::::::::::::::   (
 ::::::::(:::::::::::  ヽ_::::::::::::::/ノ::::::::::/二@ ̄:::::::::::::::::::  (:::::    :::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,::::::::::::::::::::::::: :::::
 :::::::::::::::::::::::   )::::::::::::::::::::::::::: / /:::::::::::::::::::::  (:::::::::::::: :::::::ノ⌒ヽ::::::::::::::::::::::_):::::::::::::::::::(⌒ :::
 ::::::::::::::::::::::::::::  ):::::::::::::::::::::  ̄:::::::::(::::::::::::::::::::::::::::(⌒:::: ::::::::(:::::::::::  ヽ_::::::::::::::::::::::::  (:::::    :::
 :::::::::::::::::::::::   ):::::::::::::::::  (:::::::::::::: :::::::ノ⌒ヽ::::::::::::::::::::::
 ::::::::::::::::::::::::::::  )::::::::::::::::::::::::::::(⌒:::: ::::::::(:::::::::::  ヽ_::::::::::


メイド「……お目覚めくださいませ」

「ん……」

メイド「お早うございます。そろそろ、帝都でございます。お召し換えを」

「……うむ、そうか。顔を洗いたい」

メイド「かしこまりました」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:02:33.22 ID:Y4zEJpMto

カツッカツッカツッ……

???「……我、國の剣となり、敵を払わん」

メイド「!?」

SP1「!」

???「我、國の盾となり、民を守らん。我、國の糧となり、明日の礎とならん」バチッバチバチッ バチッ

SP1「何者だッ!?」




眼帯の男「まったく、くだらねぇ“誓い”だな。昔から思ってたが」スッ
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:04:24.85 ID:Y4zEJpMto

SP2「曲者!?」

SP3「光学迷彩だとっ!?」

メイド「こちらのお部屋へ!」

「わ、わかった……」タタッ バタムッ

眼帯の男「ははっ、見上げた心がけだ」


眼帯の男を、銃を構えたSP達が取り囲む。

SP1「貴様、これが一体どんな機なのかを知っての所業か?」

SP2「何が狙いなのか知らんが、あの御方には指一本触れさせんぞ」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:05:03.20 ID:Y4zEJpMto

SP3「一人で来るとは、いい度胸だな」

眼帯の男「……一人? 一人だと?」

SP1「貴様何がおかしい!?」 ガ ン ッ ッ ! !

 横殴りの激突に、機が大きく揺れる。

SP1「な、何事だ!?」

パイロット『9時の方向から未確認機が接触!』

            /、_
         _/  /
           〉  〈  ガシャンッ!
         /´⌒Y

ハッチを引き剥がし、一体の航空ドロイドが機内へと侵入した。

ギゴガゴ ガシャンッ!

ドロイドは流線形の航空機から人型へ、立ち上がるように変形する。


サイボーグ兵「…………待タセタ」 プシュゥー…
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:05:29.64 ID:Y4zEJpMto

SP2「可変ドローンだとっ!?」

SP1「とにかく部屋に入れさせるな!」ジャキッ

SP2 チャキッ
SP3 チャキッ
SP4 チャキッ


眼帯の男「おうおうおう、大仰なこった」ポキポキッ ダッ

サイボーグ兵「…………」ガシャンッ


SP1「どぅあっ!?」ザシュッ
SP2「ぐぁっ……!」コキャッ
SP3「つ、強い……っ!!」どさっ


メイド「なんてこと、相手は素手なのに……!?」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:07:32.34 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「あとは貴様一人だな」コキッコキッ

サイボーグ兵「……ソコヲ、退ケ」スチャ

メイド「……っ!」キッ

眼帯の男「メイドだてらになかなかいい目をしているじゃないか」

メイド「たとえ私が死んでも、ここは通しません!」ギゴガゴッ スチャッ


眼帯の男「ほう、最近のメイドは薙刀の訓練も受けているんだな」

メイド「覚悟ッ、でやあっ!」ヒュンッ

眼帯の男「泣かせる忠誠心だ」 スッ

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:08:57.08 ID:Y4zEJpMto

メイド「(速いっ!?)」

眼帯の男「まったく反吐が出る」 がしっ コキャッ

メイド「うぐぁっ!?」

眼帯の男「ここを開けろ」

メイド「誰が貴方の言うことなんて聞くもんですか!」

眼帯の男「貴様には言ってない。おい」

サイボーグ兵「……了解」コクリ

メイド「や、やめて……!」

ギャリギャリギャリ ガチャ




ビュオオオオオオ……
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:09:44.29 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「いない、だと……?」

メイド「……ふ、ふふっ、残念でしたね。とっくのとうに脱出なされました」

サイボーグ兵士「……」ガシッ

メイド「ぐっ!?」

眼帯の男「なら貴様にもう用はない」

サイボーグ兵士「……死ネ」ギリギリッ

メイド「うぐっ……!」


眼帯の男「この腐った帝國とそのイカレた忠誠心に殉じるがいい」




コキャッ  どさっ

15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:10:15.99 ID:Y4zEJpMto

*帝都、裏道

男剣士「(すっかり暗くなったなぁ……)」



??「はぁっはぁっはぁっ……」タッタッタッタッタッ…

男剣士「閉まる前に役所にも行かないと……っどわっ!?」

??「わっ!?」

ドンッ ドサドサドサッ グシャッ!

野菜、肉、卵その他食材が路上へとぶちまけられた。


男剣士「お、お、おおおおおおおおおおおおっっ!?」

少女「ああっ、ごめん!」 ワタワタ
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:10:42.33 ID:Y4zEJpMto

男剣士「アンタどこに眼をつけてんd DQN1「待ちやがれーっ!」

DQN2「やいこらテメェーッ!」

少女「わっ、来た!?」

DQN1「このクソガキ、まていっ!」

DQN2「ちょこまか逃げてんじゃねえぞ!」

少女「う、うるさい! そっちが変な事するから悪いんだろ!」


男剣士「……ありま」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:11:44.06 ID:Y4zEJpMto

男剣士「ちょっとちょっと、そこのお二方」

DQN1「あ?」

DQN2「んだよテメーは?」

男剣士「大の男が二人がかりで女の子を追いかけるなんて」

DQN1「テメーにゃカンケーねー、すっこんでろっ!」

DQN2「それともテメーもイタい目に遭いたいのかよ?」


男剣士「まぁまぁ、とりあえず話し合いましょうよ。まずそれから……」

DQN1「うるせえっ!」カチッ

DQN2「ぶっ殺してやる!」カチッ

少女(ナイフ!?)

男剣士「!」

__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐― ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄―――  ___
―― ̄ ̄___ ̄― ス パ ァ ン ! ===━___ ̄―      ̄―
__―_____‐―   ――――    ==  ̄ ̄ ̄  ――_―― ̄_
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:12:14.24 ID:Y4zEJpMto

DQN1「え……?」ぽろっ

DQN2「ナイフが……っ!?」ザンバラッ


男剣士「ぶっ[ピーーー]とは不穏当な」スッ

少女「(居合……!?)」

DQN1「まさか軍の剣客隊、いや騎士団か!?」

DQN2「やべぇ、こいつ、本物だ……!」

男剣士「まだやるなら、俺が相手になりますが」チャキッ

DQNs「い、いえ!結構です!さーせんしたぁぁー!!」ピュー
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:13:19.49 ID:Y4zEJpMto

男剣士「……すぐ抜くなんて、俺も修行が足りないな」チャキンッ

少女「あ、ありがと……」

男剣士「お怪我は?」

少女「う、うむ。大丈夫だ」

男剣士「そうですか、なら結構……で、なんでこんな事になったのか、教えてもらいましょうかね」

少女「それが、その……」

男剣士「それが?」

少女「この人の家を探していたんだが、地図の見方がよくわからなくて……」


 写真を見せる。裏には住所が走り書きされている。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:13:53.95 ID:Y4zEJpMto

男剣士「よいしょっと」ガチャコンッ

少女「変わったバイクだな。軍用か?」

男剣士「へえ、詳しいんですね。軍用を改造したんですよ、っと」brrrr…

少女「先ほどの居合といい、物腰といい……君、さては軍人だな?」

男剣士「まさか。俺は単なる使いパシリです」

少女「そう、なのか……」

男剣士「うちの先生は退役軍人ですがね。さぁ乗った乗った」 ポンポン

少女「え、まさかこれに乗れと?」

男剣士「じゃないと日が暮れますがな」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:15:14.60 ID:Y4zEJpMto


少女「むう……」モジモジ

男剣士「なにか?」

少女「……乗った事がないんだ」

男剣士「……バイクに?」

少女「それ以前に、一人で家から出た事ないんだ」

男剣士「それでよくまぁ、独りで外出なんてしようと思いましたね」

少女「うう、うっさいな、怖い物は怖いんだ!」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:15:40.51 ID:Y4zEJpMto

男剣士「さいですか。まあ、よくある事だけど」

少女「ああはいはいわかりました、どーせ私は世間知らずだよ! 悪いか!?」フンッ

男剣士「別に開き直らなくても。後ろでしっかり掴まってれば大丈夫ですから」

少女「……ホントに?」

男剣士「ホント、ホント。だから乗ってください」

少女「こ、こうか?」ぎゅうっ

男剣士「うん、そんな感じで。首とか絞めないでくださいよ」


少女「……ウソついたら、嫌なんだからなっ」

男剣士「はいはい」


23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:16:38.95 ID:Y4zEJpMto

*帝都内、ある廃屋*

眼帯の男「それでお前達は、目標を前におめおめと逃げ帰ってきたというわけか?」

サイボーグ兵士「……」


DQN1「し、しかしマイスター、邪魔者が入りまして……」

眼帯の男「……ほお?」

DQN2「若い男の剣客なんですが、それが凄い腕の立つヤツだったんっすよぉ……!」

眼帯の男「そうか」ガシッ グシャッ

DQN1「っ……」どさっ
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:17:11.97 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「俺は、使えん奴は嫌いでね」

DQN2「ひ、ひえっ!?」

眼帯の男「だが喜べ、お前はまだ使い道がありそうだ、おい」

DQN2「は、はひ……?」

サイボーグ兵士「…………」スタスタ

眼帯の男「こいつをマインドスキャナーにかけて、その邪魔者とやらの顔を刷り出せ。終わったら……」

サイボーグ兵士 チラッ

眼帯の男「……好きにしろ」

サイボーグ兵士 コクリ



DQN2「ひいっ! い、いやだ、やめ…………あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ァァ……!!!」ズルズル

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:17:37.73 ID:Y4zEJpMto

*剣士宅

少女「……?」パチ

少女(あれ、ここどこ……?)キョロキョロ




男剣士「……起きた?」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:18:03.86 ID:Y4zEJpMto

少女「!?」ムクリ

男剣士「いやービビったビビった。家に着いた途端バタンキュー、とか」

少女「そうだったのか? さっぱり記憶が……うぷ」

男剣士「寝てた方がいいですよ」

少女「うう……すまない」パタッ

男剣士「随分お疲れのようで」

少女「そ、それは……」ぐぎゅるるる

男剣士「……なるほど、お腹が空いてたと。何か食べます?」

少女「……」コクン

27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:18:30.55 ID:Y4zEJpMto

少女「……」もぐもぐ

男剣士「(この人、何者なんだろう……?)」

男剣士「(喋り方からすると普通の家の子じゃなさそうだな。食べ方も上品だし、服装もわりと小奇麗だし、ひょっとすると貴族かなにかか?)」

少女「ごくん……美味しかったぞ」

男剣士「そりゃどーも」

少女「私もたまに作るが、こうはならないな。どこで習ったんだ?」

男剣士「独学。食べてくれる人がいると自然と、ね」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:19:53.01 ID:Y4zEJpMto

少女「そうか、誰かと食べてくれる人を考えるといいのか……勉強になったよ」

男剣士「……つかぬ事を聞きますけど」

少女「む?」

男剣士「うちの先生とどういったご関係なんですか?」

少女「関係?」

男剣士「いや、まぁ、うちの先生、人とあまり会いたがらないんですよ。どういう知り合いなのかなーと」

少女「せ……じゃなくて、父の、古い友人だ」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:20:31.45 ID:Y4zEJpMto

男剣士「ははあ」

少女「父にこれから暫くその人の世話になるように、と言われてきたのだ」

男剣士「ああ、なるほど、それでその鞄。お父様は出張か何かで?」

少女「うむ、そんなところだな」

男剣士「(でも先生、人が泊まりに来るなんて言ってなかったような……)」チラッ

少女「む、なんだ?」

男剣士「いやあ、なんでもないなんでもない」

少女「???」

30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:22:03.73 ID:Y4zEJpMto

将軍『余の顔を見忘れたか』

悪代官『余の顔だとぅ……はっ、上様!?』

悪商人『上様、上様ですと!?』

将軍『貴様らの悪事、全てどこまでもまるっとごりっとスリットお見通しである。神妙に、腹を切れいっ!』

悪代官『……ええい!上様がかようなところにいるはずがない!ものどもであえいっ!であえええいっ!!』

モブ兵士 ぞろぞろぞろぞろ

悪代官『こやつは上様を騙る不届き者だ!斬れっ、斬り捨ていっ!!』

将軍『……やむを得んな』チャキッ
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:22:36.36 ID:Y4zEJpMto

テレビ≪チャーラーラー チャララチャララ チャーラーラー♪……≫


少女「これが時代劇という奴か……」

男剣士「知らなかったん?」

少女「うむ、初めてだ。なかなか面白いな!」ニコッ

男剣士「それはよかった」



ガチャ

女剣士「……ただいま」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:23:33.73 ID:Y4zEJpMto

男剣士「あ、おかえりなさい、先生」

女剣士「……」スタスタ

男剣士「家事は全て済ませておきましたから。夕飯出来てますよ」

女剣士「お疲れ様……で、そちらの方は?」チラッ

少女 ピクッ


男剣士「本人曰く、先生のご友人の娘さんだそうですが……?」ヒソヒソ

女剣士「……」

少女「あ、あの、父から世話になるようにと言われて……」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:24:02.73 ID:Y4zEJpMto

女剣士「……とりあえず、貴女はシャワーをどうぞ」

少女「え……」

女剣士「わたしの事はお気遣い無く」

少女「じゃ、じゃあ、言葉に甘えて……失礼する」トテトテ

女剣士「貴方も、着替えてきなさい。あの方が眠ったあとで、少し話がある」

男剣士「はい」




*深夜

女剣士「……寝てる?」

男剣士「ええ、ぐっすりと」

女剣士「ならいい」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:25:11.79 ID:Y4zEJpMto

男剣士「……で、あの人何者なんですか?」

女剣士「わたしの友人の御令嬢」

男剣士「あ、ホントに友達いたんだイテっ」コツン

女剣士「これから数日ほどお泊まりになられる。とても高貴な家の方だから、丁重に扱うように」

男剣士「泊まるって……部屋どうするんです?」

女剣士「わたしの部屋をお使いいただく」

男剣士「先生は?」

女剣士「今夜も出掛けるから気にしなくていい」

男剣士「また出かけちゃうんですか?」

女剣士「しばらく帰らないかもしれない」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:25:55.04 ID:Y4zEJpMto

男剣士「しばらく帰らないって……あの方はどうするんです?」

女剣士「一段落したら連絡するから、貴方はそれまでご令嬢のお世話を」

男剣士「マジすか……不安じゃないんですか?」

女剣士「不安?」

男剣士「いや、短い間とはいえ、男女がひとつ屋根の下って流石にどうかと……」

女剣士「貴方はそんな事をしない」

男剣士「いやあ、信用してもらえるのは嬉しいですけども、万が一ってこともありますし?」

女剣士「貴方にそんな事をする度胸はない」

男剣士「あ、そういうこと?」

女剣士「そういうこと」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:26:21.25 ID:Y4zEJpMto

女剣士「では、行ってくる」ガチャ

男剣士「はい、いってらっしゃい」

女剣士「……くれぐれも粗相のないよう、そして目を離さないように」

男剣士「りょーかい、です」

ばたん


少女「……行ったのか」ムクッ

男剣士「起きてたんですか?」

少女「枕が変わるのは慣れてるつもりなんだが……夕方寝ちゃったからかな」

男剣士「そうですか……そうだ、ちょっと外でも散歩しませんか」

少女「いいのか?」

男剣士「目を離すなと言われただけだし」

少女「う、うむ」

37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:27:06.84 ID:Y4zEJpMto
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少女「夜景……!」

男剣士「……悪くない眺めでしょ?」

少女「知らなかった……こんなに空が綺麗で、街の灯りが綺麗だったなんて」

男剣士「まぁここは郊外の高台ですから。それに街の中だと明るすぎて見えないんです」

少女「そうなのか……いいところに住んでいるな、君は」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:27:33.82 ID:Y4zEJpMto

男剣士「これだけキレイに見えるのもなかなかないけどね」

少女「なるほど、今日の私はツイている、という事か。うん、そうかもしれない」

男剣士「さてさて、ツイてる事を確かめたところで、もう寝ましょう」

少女「もうか?」

男剣士「ウチは早寝早起きが決まりでね」

少女「もうちょっとだけ……」

男剣士「もうちょっとだけってのはウチでは禁句。さぁ寝た寝た」パンパン

少女「むぅ、そうか……」スゴスゴ

39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:28:18.27 ID:Y4zEJpMto
*翌朝

男剣士「ふんふーん♪……」スコーン

少女「ふあう……んんーっ」ノビーッ

男剣士「あらよっと♪」スコーン


少女「……おふぁよふ」コスリコスリ

男剣士「ふぅ、こんなもんか……おはようございます」スチャ

少女「あ、あれ、なんで……ああ、そっか、今日は違うんだっけ」

男剣士「よく寝られました?」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:29:15.33 ID:Y4zEJpMto

少女「いつもはもっと早く起きるんだが。君こそ何をしてるんだ?」

男剣士「薪割りですよ。ここガス引いてないんで」

少女「昨日はガス使ってなかったか?あと風呂も」

男剣士「あれはガスボンベですよ。時間がない時と、お客さんが来た時だけ。普段はカマドです」

少女「でも、この辺りはガスも電気も水道も、全部ちゃんと通っているはずだけど」

男剣士「先生の方針でうちだけこうなんですよ」

少女「ふぅん……変わってるな」

男剣士「“鍛錬”の一環とは言ってますけど、どーせ都市ガスの申請出すのが面倒なだけしょう」

少女「……そうなのか? そんな面倒なのか、アレ?」

男剣士「さぁ? うちの先生、ああ見えてズボラなとこありますからねぇ」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/11/18(日) 12:30:08.42 ID:Y4zEJpMto

少女「ふむ……ちょっと洗面所借りてもいいか? 顔を洗いたい」

男剣士「はいはいどうぞ。歯ブラシとかは開けてないのが引き出しの中にあるんで」

少女「うむ、ありがと……ぎゃーっ!」ドターン!

男剣士「どうしたっ!?」ダダッ

少女「……す、すまん、水が思い切り噴き出したものだからビックリして」ポタポタ

男剣士「ああ、すいません、そこの蛇口バカなんですよ……あらら、濡れちゃったか」

少女「うう、冷たい……」

男剣士「タオル貸しますよ」ガラッ

少女「ありがと……着替えを持ってきてもらってもいいか?」フキフキ

男剣士「ああ、はいはい」


少女「……覗くなよ?」

男剣士「覗きませんよ」

42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:31:33.77 ID:Y4zEJpMto

*朝食後

少女「……食器洗いというのは、こうやるのか」カチャカチャ…

男剣士「料理はするのに知らなかったんですか?」

少女「いつもメイドがやってくれてたからな」

男剣士「(メイドって……)……はい、終わりっと」キュッ

少女「ふ、拭くのは出来るぞ!」

男剣士「はいはい。ちょっと、出かけてきますよ」

少女「ひょっとして……帝都に行くのか?」

男剣士「ええ、まあ。ちょっと用事をね。というわけで留守番を……」


少女「私もついていってもいいか?」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:32:25.71 ID:Y4zEJpMto

男剣士「え?」

少女「目を離すな、と言われたのだろ?」

男剣士「うーん……」

少女「ちょっと街を見物したいだけなんだが……ダメか?」

男剣士「……ま、ちょっとぐらいはいいか」

少女「やった!」

男剣士「……ちょっとだけですよ?」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:34:00.99 ID:Y4zEJpMto

*帝都

少女「すごいな、本当に人が仕事をしている!」

男剣士「何を当たり前なことを……ああ、初めてだったんだっけ?」

少女「あっ、トライクが走ってく!」

男剣士「はいはい、あちこち見物する前にちょっと用事済ませますよ」テクテク

少女「待て!まだ通行人の数を数えてな……待てってば!」トテテ
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:34:52.46 ID:Y4zEJpMto

*帝都役所前

男剣士「いきなり静かになりましたけど、どうかしました?」

少女「よりによって、なんでいきなり役所なんだ……」コソコソ


男剣士「用事があるって言ったじゃないですか。行きますよ」

少女「なあ、私だけ外で待っててもいいか?」キョロキョロ

男剣士「なんで入るのそんなに嫌なんですか?」

少女「それは、その、御真影が……」モジモジ

男剣士「ごしんえい?なんですそれ?」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:36:28.88 ID:Y4zEJpMto

少女「あっ、しまっ……!」

男剣士「あ、ひょっとして!?」ピーン

少女「ま、待て待て今のはナシ!ナシナシナシ!!」

男剣士「お父さんというのが実は公務員で、役所でお勤めとか!?」

少女「これには深いわけが……え?」

男剣士「それで役所に知り合いが多いとか? どう、当たりでしょ?」

少女「……あ、ああ! ま、まあそんなところだ、うむ!」

男剣士「……でも、ちょっと自意識過剰なんじゃないですか? 気にしすぎでしょ」


少女「過剰でも痴情でもなんでもいいが、とにかく私はここで待t」

男剣士「ごちゃごちゃ言ってないで行きますよ」グイッ

少女「うわ、バカやめっ……!!!!」

47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:38:04.46 ID:Y4zEJpMto
*数分後、帝都役所前にて

少女「…………」ズーン

男剣士「……何をそんなに凹んでるんです?」

少女「誰も気づいてくれなかった……」

男剣士「? 別にいいじゃん」

少女「……御真影、あんなに堂々と飾ってあるのに」ボソッ

男剣士「は?」

少女「いや、なんでもない、なんでもない!気にするな!」

男剣士「???」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:38:34.77 ID:Y4zEJpMto

少女「……なあ、私って地味か?」

男剣士「藪から棒に、いきなり何を?」

少女「いやあの、よく言われるんだ、化粧しないと印象が薄いって。今の私は、地味か?」

男剣士「うーん、確かにそうかも」

少女「そうか……」ショボーン

男剣士「でも無理に化粧しなくていいんじゃないですか?可愛いし」

少女「そ、そうか?」ピクッ

男剣士「派手ならいいってもんでもないでしょ。今のままで可愛いと思いますよ」

少女「本当かっ!?」ズイッ

男剣士「どわっ、そんな事で嘘ついてどうするんですか」タジッ


少女「そうかぁ……素顔でも可愛いかぁ……えへ、えへへ」///

男剣士「……???」

49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:39:18.49 ID:Y4zEJpMto

男剣士「で、どっか行きたいとことかあるんですか?」

少女「えーと……人が集まりそうなところがいいな」

男剣士「人?」

少女「私からすると、人が働いている姿が一番面白いんだ」

男剣士「なるほど、人ねぇ……中央公園とかどうですか」

少女「あと、繁華街とかも行ってみたい。都電にも乗ってみたいな」

男剣士「あ、じゃあ繁華街を抜けて、中央公園にでも行きますか?都電は帰り、ということで」

少女「決まりっ!」

男剣士「じゃ、行きまs……ありゃ?」


≪皇帝陛下を後ろ盾にした、摂政の独裁政治を許していいのでしょうか!?≫
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:40:28.27 ID:Y4zEJpMto

≪そうだそうだ!≫≪お飾り皇帝の帝政に反対だー!!≫≪民主化賛成!≫
≪与党はとっとと下野して野党に議席を譲り渡せー!≫
≪連邦との不平等条約を受け入れた国賊、摂政を引きずり下ろせー!≫


少女「……なんだあれ?」

男剣士「一般人の俺達は真面目に聞くだけ時間の無駄ですよ」

少女「……行こう」クルッ

男剣士「そうしましょう」

少女「! あ、あれ!」

男剣士「?」

少女「露店という奴だろ!? 私一度行ってみたかったんだ!!」ガシッ

男剣士「ちょ、ちょっと引っ張らないっ!」ズルズル
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:42:41.93 ID:Y4zEJpMto

*帝都、露店市場*

      ガヤガヤ
                                        ワイワイ

少女「これが露店か……色んなものがあって面白いな!」グイグイ

男剣士「財布スられないように気をつけてくださいよ、っとっと引っ張っちゃダメだっての!」

ジャンク屋「へいへいっ、そこの若いお嬢さん!」

少女「む、私?」

ジャンク屋「そうそう! 貴女にお似合いのモノがあるんでさあ」

       。゚ ゚ 。
      ゚   ゚
      ゚。 。゚
      (b,)゚

ジャンク屋「じゃーん! 取り出したるは、このペンダント!」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:43:08.48 ID:Y4zEJpMto

ジャンク屋「お嬢さん可愛いし、お安くしときますよん?」

少女「か、かわいい……!?」

男剣士「すいません、あんまり無駄遣いする余裕は 少女「よし買おう!」

男剣士「……はい?」

少女「安いと言っているぞ」

ジャンク屋「ええ、もちのロンダリングでさぁ」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:45:35.06 ID:Y4zEJpMto

男剣士「あの、そういうのは売り文句であっt」

少女「それとも私には似合わないか?」

男剣士「別にそんな事はないけど……」

少女「……ダメなのか?」

男剣士「そんな上目遣いで言われても……」

ジャンク屋「ほらほら彼氏さん、彼女を泣かしちゃダメですよ? 買ってあげなきゃ〜」ニヤニヤ

男剣士「は、はぁ……まあいっか。いくら?」チャリン

ジャンク屋「そこに貼ってある値札から10%引きでどうだいニーチャン?」

男剣士「でも高いな……まぁ買いますよ」

少女「そうか! 感謝するぞ!」ニパー

ジャンク屋「まいどあり〜♪」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:47:48.93 ID:Y4zEJpMto

少女「♪」

男剣士「お気に召されたようで何より」

少女「似合ってるか?」

男剣士「似合ってますとも」

少女「そうかそうか……ホントに似合ってるよな?」

男剣士「ええ、もちろん」

少女「うむうむ、そうかそうか」ニパー


男剣士「ほら、そろそろ公園ですよ」

少女「うむ♪」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/11/18(日) 12:50:36.27 ID:Y4zEJpMto

*帝都中央公園

少女「外で誰かとこうして座ってアイスを食べる、というのもなかなか新鮮でいいな」ペロペロ

男剣士「新鮮、ですか?」ペロペロ

少女「いつも家では独りだし、でなければパーティでしか食べないから」パリパリモグモグ

男剣士「ふうん……厳しいご家庭なんですね」

少女「家柄上、そういう付き合いも多いんだ。仕方ないけどな」

男剣士「大変だなあ」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:51:05.18 ID:Y4zEJpMto

とび職 トンテンカンカンカン

土方 コレ ドコニ運ベバ イイッスカー?

監督 アア、コレハ、アソコダナ。間違エルナヨー

土方 ワカリヤシター


少女「平和式典の準備、か……」

男剣士「そういや戦争が終わってからもう13年、ですか」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:53:08.90 ID:Y4zEJpMto

少女「 も う す ぐ 13年だ、平和式典は明日だからな。それに、形の上ではまだ戦争中。停戦しているだけで、終戦はまだしてない」

男剣士「あれ、そうでしたっけ?」

少女「そう。戦争では国家間で平和条約が結ばれて、初めて終戦になるんだ」

男剣士「そういえば、帝國と連邦の平和条約の話が進んでるとかなんとか、ニュースでやってましたけど」

少女「それにしたって、国内の意見も分かれてる。闘った軍人や、傷ついた人達だってまだいっぱいいるし」

少女「条約が結ばれたからといって、すぐに國民が国境を越えて、手と手を取り合って、というのにはまだまだ掛かるだろう」



少女「でもまぁ、これがいいきっかけになってくれればいいんだけど」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:54:25.98 ID:Y4zEJpMto

男剣士「ふーん……そんなもん、ですかねえ」ジーッ

少女「な、なんだ、そんな怪訝な顔をして?」

男剣士「随分関心があるなあ、って」

少女「……アッ、いや、そうなんじゃなかろうかー?なんて」ワタワタ

男剣士「いっそ将来、政治家か何かになられては?」

少女「えっ?」

男剣士「……何真面目な顔になっちゃってんですか。冗談ですって」

少女「! そ、そうか、そうだよな!」

男剣士「ま、貴女が選挙に出たら一票投じさせていただきますよ」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:55:34.61 ID:Y4zEJpMto

少女「あは、あはははは……そもそもだな!」

男剣士「はい?」

少女「新聞の政治欄くらい読まないのか君は?」ビシッ

男剣士「いやぁ、自分、字がびっちり細かい物はどーも苦手で」

少女「続けて読むとなかなか面白いんだぞ。一応、新聞取ってるんだろう?」

男剣士「ええ、まあ一応は」

少女「よし、帰ったら読み方を教えてやろう。どうだ?」フンス

男剣士「はいはい、光栄至極にございますです」

少女「……真面目に受け取ってないだろ?」

男剣士「ぜぇーんぜん、そんな事ないですよ」

少女「……むう」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:57:20.22 ID:Y4zEJpMto

ポツリ

少女「……む?」

男剣士「……あ?」

   ~ ''' ‐- . ,__   .'   _ . .-‐ ''' "
             冫 '  _ - -     - - - -
  _ ,,.. -‐ '' " ,  '" i`     - ._
        ,  '   ,'    ` 、    " - .._       サァァァァ……
     ,  '"        ;    `  `     " - . _
  , '"   , "  /  ,'   ', ヽ  `    ` 、  `
      ,         i  ',  ヽ   ` 、   ` 、  `
     ,     ,'  ,'   :      、  `
    ,     /        ',  ',       、     ` 、
   ,        ,'  '   !     ',   、    ヽ
    ,   ,'  ,       ;   ',      、      、
   ,   / , ,'  ,'   ;          、   、

少女「げ、雨!?」

男剣士「傘持ってくるんだった……あそこの小屋に行きましょう!早く!」グイッ

少女「ま、待て、引っ張るな!」トテトテ

61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 12:59:32.57 ID:Y4zEJpMto

*ある兵器ブローカーのアジト

用心棒1「ヴぇのっ!?」
用心棒2「い゙けぶっ!?」
用心棒3「あぎヴぁっ!?」
用心棒4「にぽりっっ!?」

どさどさどさっっ

兵器ブローカー「そんな……こっちは退役軍人ばっかりの腕利きだぞ……!?」

覆面剣士「…………貴方からもらいたいものがある」ヒュンヒュンッ チンッ


兵器ブローカー「ひ、ひいぃっ!!」

覆面剣士「この数ヶ月、いや一年以内で、貴方が光学迷彩を横流しした取引先の名簿が欲しい」

兵器ブローカー「そんな大雑把な事言われましても……」

覆面剣士「軍属、あるいは元軍属、銀髪で隻眼の男を探している」

兵器ブローカー「銀髪隻眼の男?」


覆面剣士「素直に答えてくれれば、貴方の命は保証する。隠し立てすれば……」スチャ

兵器ブローカー「すぐ探しますですはいはいはいはいはい!!!」

62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:00:20.12 ID:Y4zEJpMto

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          /   ,               /         /
     /   ,        /         '      /   ,

                ザアアアア……

   -  '  _, /     -  '      -     _  /   _
   _, /     _  /    _,   ̄ ̄    /    _,     /
      _,        _      /  _,     _      _,
   /       _,       _        _,

男剣士「こりゃしばらく雨宿りするしかないな……」

少女「……あんまりこっち見るな」ジリ

男剣士「はい?」

少女「服が透けてるからだッ!」

男剣士「!あぁ、なるほど!」

少女「わかったらあっち向く!」

男剣士「はいはい」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:01:31.86 ID:Y4zEJpMto

少女「こんなことならホント、傘ぐらい持ってくればよかったな……クシュッ」ブルルッ

男剣士「大丈夫?寒そうですけど」

少女「平気……ヘクチッ」

男剣士「上着貸しますよ?」

少女「平気って言ってる……クチッ」

男剣士「しょうがないなあ、もう」ふぁさっ

少女「だ、だから要らないってば……」

男剣士「別に貴女の為じゃありませんよ。見てるこっちが寒いんです」

少女「……すまないな」

男剣士「気になさらず。俺が勝手にやってるだけですから」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:02:11.57 ID:Y4zEJpMto

少女「……ひとつ、聞きたい」

男剣士「なにか?」

少女「あの“先生”というのは、一体どういう人なんだ?」

男剣士「あれ、お父様から何か聞いてないんですか?」

少女「せ……父からは信用のおける友人だとしか言われていなくてな。詳しい事を教えてもらった事がないんだ」

男剣士「うーん……俺もあの人の事は未だによくわかりません」

少女「そうなのか?」

男剣士「見ての通り、無口無感動無表情な人ですからねえ。ただ、剣の腕は滅法強いですし、なんだかんだと優しい人ですよ」

少女「君とはどういう関係なんだ?」

男剣士「何って……剣の師匠と弟子だけど」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:02:45.79 ID:Y4zEJpMto

少女「本当にそれだけか? まるで家族みたいだと思ったが、姉弟にしては似ていないし、親子にしては年齢が近すぎるし……」

男剣士「ああ、なる……育ての親、って奴ですよ」

少女「!……そう、なのか……?」

男剣士「どうかしました?」

少女「う、うん……私と同じだなあ、と思って」

男剣士「え、そうなん?」

少女「私は赤ん坊の頃に養子に出されて、すぐ本家へ呼び戻されたから、本当の父親の顔を知らないんだ。今の父とだって、血縁ってわけじゃない」

男剣士「……複雑なんですねぇ」

少女「それより、嫌な事を聞いてしまったな。あまり聞くべきじゃなかった、すまない」

男剣士「いや、別に気にしてませんし……雨あがりそうだ」チラ


66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:05:41.36 ID:Y4zEJpMto
*再び、兵器ブローカーアジト


覆面剣士「……名簿、ありがとう。確認した」


兵器ブローカー「で、では、これで……」ススス

覆面剣士「まって」 がしっ

兵器ブローカー「ひ、ひいっ!?」

覆面剣士「この顧客名簿もろとも、貴方には警察が来るまでコレで眠ってもらう」 スッ

兵器ブローカー「注射器!? 命を保証するって言ったじゃないですかー!?やだー!!」

覆面剣士「身分まで保証するとは言ってない」ブスッ

兵器ブローカー「や、やめ……らめええええええええええええん……zZZ」

67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:06:21.88 ID:Y4zEJpMto

男剣士「止みましたね、雨」

少女「止んだな、雨」


男剣士「さて、次どこ行きましょうか、お姫様?」

少女「お姫様、か……」

男剣士「……あれ、気に触りました?」

少女「ううん……あ、あのさ!」

男剣士「……なんでしょう、急に改まっちゃって?」

少女「えっと……」

男剣士「?」

少女「その……」

男剣士「はい?」

少女「……ごめん、やっぱりなんでもない」

男剣士「……?」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:07:01.00 ID:Y4zEJpMto

少女「……あ」

男剣士「なにか?」

少女「……あの人、鞄を置いて行った……」

男剣士「鞄?」

少女「今、足を引きずっている男がいただろ? ほら、あそこの黒いカバンだ」

男剣士「ありゃま」

少女「ちょっと!そこの……ああ、行っちゃった」

男剣士「仕方ない、交番にでも届けましょうk……ん?」ズシッ

少女「どうした?」

男剣士「……カバンから、変な音がするような」 チッチッチッチッ…

少女「音?」

男剣士「ちょっと失礼して、開けますよーっと」ジジーッ


     ___
   ┌(┛))┓ チッチッチッ…
   (二二二(')
   (二二二(')(')
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:09:31.68 ID:Y4zEJpMto

男剣士「!」

少女「これは……!?」

男剣士「……くっそ!!」ガシッ

少女「お、おい、何処へ行く!?」

男剣士「決まってんでしょーがっ!」だだだだだっ

鞄を掴み小屋から離れた男剣士は、抱えた鞄を池めがけて放り込んだ。


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男剣士「どりゃあああああああああああああああっ!!」ブンブンブンッ!

__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐― ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄―――  ___―― ̄ ̄___ ̄―==
―― ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄―  ――――    ==  ̄―― ̄ ̄___ ̄―===━
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―   ――――    ==  ̄ ̄ ̄  ――_―― ̄___ ̄―
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:09:59.56 ID:Y4zEJpMto

              '''~~"''`;,,、
                   '''''':;:;''"~
                     ..‘:´;` ~..        ,.'" ,;;r'
                     ``:.  .~;      /;;"'"
                    :´ ;`  :` , ;'  ,,;' ,,;'"    ,:;'"⌒ヽ
"';;,,.  "'' ;; ,,,..            `;  ´ ;:  ; `,/"/   ,:;';'     ,;'
  "'ヽ   ,,;; ,,.. ,,,..""'´ ..‘ :´从;` :. ~//  /;/
                  て:´ `:  .``:.人;'/,,;ヾ ⌒,.;・;
                ,,.   (´'" ;:"' `〜;、 ,,;:・;;   ,,)"'
       ;..;;,::,..~"⌒ヽ  (,,  ζ;;, ゙;`(´⌒;;:⌒∵⌒`),,  ;:    ,,; ゙ ゙"
     ;_、-'"~⌒、,; ,,;;`゙゙' (´:(´;⌒;从;;人;;;⌒`),゙. :::''" .,,, ;; ''""  .,,;;'" ,,.
         ~     ゙;"(´⌒;(´∴人;;ノ;⌒`)",.;・;;:ζ,,;;"' ∵'""..,,,,,; ;, '" .,,;;
             (,,;;:";;: (´⌒;;:(´⌒;人;;从;;;;:人;;:.`)";
             `(´(´⌒;;从;;ノ;;⌒`);";⌒`)`)⌒゚:;"''


男剣士「────っ!!」

少女「─────!!」


71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:10:27.60 ID:Y4zEJpMto

*帝都某所 あるオフィスビルにて

大物議員「全く、なんてことをしてくれたんだ!」




眼帯の男「……なんてこと、とは?」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:10:55.06 ID:Y4zEJpMto

大物議員「摂政を引き摺り堕ろす為に貴様らを雇ったというのに、“あの御方”まで巻き込むとは聞いていないぞ!」

眼帯の男「“手段は問わない”という条件だったろうが。俺は俺の仕事をしただけだ」

大物議員「貴様、自分の立場がわかっているんだろうな?」

眼帯の男「ああ、貴様よりはわかっているつもりだよ」

大物議員「なら、貴様h」

眼帯の男「財布が口を開けていいのは、金を出し入れする時だけだ。使い道に口を出す権限はない」

眼帯の男「わかったらそのガマ口をぴっちり閉じておけ、“財布”」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:15:16.09 ID:Y4zEJpMto

大物議員「……ふ、ふふふ、そうか、貴様がそれならこちらにも考えがある」

眼帯の男「何?」

大物議員「ククク、かつて与党最大派閥を率いたこの俺の力を舐めるなよ? とにかく貴様はもう終わりだ。二度と日の光は拝めないと思え」

眼帯の男「貴様こそ、何もわかっていないようだな」ズイ

大物議員「な、なんだ……ぐえっ!?」

眼帯の男「はっきり言ってやろう、俺のボスは貴様ではない」ぐいっ コキャッ

大物議員「おごっ……が……!?」どさっ


眼帯の男「口の閉まらない財布は捨てられるということだ」


74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:18:04.84 ID:Y4zEJpMto
*病院

少女 コツコツイライラ…

医者「……ああよかった! こちらにいらっしゃったんですね!」タタッ

少女「!! あいつは!? 私の連れはどうなった!?」ガバッ

医者「軽い脳震盪でしょう。命に別状はありません」

少女「よかった……!」ホッ

医者「ただ、ちょっと確認しておきたい事があるので、付き添いの方に来ていただきたいのですが……」

少女「確認?」

医者「大した事じゃありませんから、どうぞ、こちらへ」

少女「う、うむ……?」チラッ

医者「……どうしました?」ズルズル



少女「(足を引きずってる……?)」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:19:11.11 ID:Y4zEJpMto

ガシッ

少女「むぐっ!?」

医者?「足に気づくとは勘のいいガキだ」ヒソヒソ

少女「むー!むぅーっ!?」じたばた

医者?「暴れるなっ、じゃないとこの病院をまるごと吹っ飛ばすぞ?」ヒソヒソ

少女「!」

医者?「よぉーしよしよしよしよしよしよし……いい子じゃあないか、えらいねぇー?」ニタァ

少女「む、むぐぐうっ……」

76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:19:54.29 ID:Y4zEJpMto

*病室

ラジオ≪昨日昼、帝都中央公園での爆発事故について、帝都警視庁は配管工事作業中のガス爆発であると発表しました≫

ラジオ≪この事故により男性一人が軽い怪我を負いましたが、病院関係者によれば命に別状はないとの事です≫

ラジオ≪専門家の調べによると老朽化したガス管が原因である事から、警視庁は今回の爆発に事件性は薄いとの見解を示しており、式典は予定通り中央公園で行われる予定です≫

ラジオ≪なお、宮内庁は皇帝陛下の式典参席について、かねてより体調が芳しくない事と併せ、念の為今年度の参席は見送るとの発表しており……≫



男剣士「……うぅ……」パチ

看護師「お体のお加減は如何ですか?」

男剣士「ここは……病院……?」

看護師爆発事故に巻き込まれるなんて、災難でしたね」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:21:33.34 ID:Y4zEJpMto

男剣士「あの人は……連れの女の子はっ!?」ガバッ

看護師「お連れ様なら、先ほどご家族の方がお迎えにいらっしゃいましたが」

男剣士「なんだって!?」

看護師「ええ、ですから先ほど……まあ、貴方が心配する事じゃないけど」スチャ

男剣士「……何の真似だ?」

看護師?「“マイスター”からのご命令よ。貴方にも消えてもらうわ」カチッ

男剣士「さいですか……」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:22:11.90 ID:Y4zEJpMto

看護師?「手を上げて、後ろを向きなさい」

男剣士「……女に手を上げるのはポリシーじゃないんだけどなぁ」

看護師?「は?」

男剣士「よっと」にぎっ

看護師?「(!しまった、スライドアクションが……!?)」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:22:37.79 ID:Y4zEJpMto

男剣士「だりゃっ!」ぐいっ

ボキボキッ!

看護師?「うぎゃああああああああ!!!ゆ、指があああああああ!?」ぷらーん


男剣士「ぎゃーぎゃー喚くな、指ぐらい」ぐいっ

看護師?「ぐえっ!?」

男剣士「さて、その“マイスター”とやらの居所を吐いてもらおうか」スチャ

80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:24:42.42 ID:Y4zEJpMto
*帝都内、とあるトイレにて

覆面剣士「…………」

幹部の男 ブクブクブク……


覆面剣士「…………」ざばぁ

幹部「……ぶはっ!」

覆面剣士「貴方達のボス……“マイスター”の居場所はどこ?」

幹部「げほっげほっ! 誰が言うものか……がぼぷっ!」ザブッ ブクブクブク…

覆面剣士「…………」

幹部 ブクブクブク…

覆面剣士「…………」ざばぁ

幹部「……がはぁっ!」


覆面剣士「それとも、便器で溺死する?」

幹部「わ、わかったっ、言う、言いますっ!! 言いますから、言わせてくださいお願いしまがぼがぼ……!」

81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:26:12.18 ID:Y4zEJpMto
*民家の窓から

子供「おかあさん、おかあさん!」

母「どうしたの坊や?」

子供「バイク が おそら を とんでるよ!」

母「……まぁ。悪い夢でも見たのね、可哀そうに」ナデナデ

子供「ほんとうだって!見てよ!!あそこ!」

母「はいはい。まったく、そんなわけないでs……!!」

                                      __
                    _    グオォンッ !!           /:::: ::::
                 ((0ッ、q              |  :::: ::::
   ─┐            `ヽミ」7ゝ              |  :::: ::::
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     〔|_|.   |      .....|....................|...............|...      〔|_|
    |_l〕 ┌─────┐________       |_l〕 _
     〔|_l |〈]〈].入口〈]〈] |....................................______〔|_l_
    |_l〕 |. Entrance. .|| ̄|三三三三三ュ| ̄|圭圭圭圭 |_l〕圭
   w〔|_l,v|         v| ̄|三三三三三ュ| ̄|,wノv(,M〔|_l w
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:26:47.17 ID:Y4zEJpMto

*翌朝、帝都内、某廃屋

下っ端A「おい、例のしくじった2人、マイスターに絞められたらしいぞ」

下っ端B「ひえー、こわー……マイスターも、人使い荒いよなぁ」

下っ端C「仕方ねえだろ、軍を追い出された俺らを拾ってくれただけマシってもんだ」

下っ端A「それにマイスターのおかげでまた戦争になってくれれば俺達もまた仕事にあり就けるしな」

下っ端B・C「「HAHAHA、ちげえねえや!」」


??「……なるほどなるほど。選り取りみどり、差し詰めクズのバーゲンセールか」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:27:13.28 ID:Y4zEJpMto

下っ端A「あ?」

下っ端B「誰だてめーわ?」

???「逆恨みした挙句『戦争になればいい』とか軽々しく言うような薄汚い根性だからクビになるんだよ」

下っ端A「なんだとぅ!?」

???「ほら、お前らの友達だぜ」ぽいっ どさっ

偽看護師 ピクピク…


下っ端A「!て、てめぇ!?」

下っ端B「何もんだ!?」


男剣士「生涯一剣士! クズどもに名乗る名前はねぇっ!」ビシッ
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:29:27.39 ID:Y4zEJpMto

下っ端A「ふざけやがって!」

下っ端B「おい、仲間呼んで来い!侵入者だっ!」

男剣士「……まとめてカタをつけてやるっ!」チャキッ


85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:31:02.36 ID:Y4zEJpMto

下っ端「がらもんっ!?」バキャッ
下っ端「ぱごすっ!?」ベキッ
下っ端「もんぐらっ!?」ドカッ


男剣士「でやああああああああああああああっっっ!!」


下っ端「なんだ、こいつ、めちゃくちゃつええ!?」

下っ端「おい、早くマイスターとボマーに連絡しろ!」

男剣士「させるかっ!」ダッ


巨漢「どけえっ!」ジャキッ
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:32:47.68 ID:Y4zEJpMto

巨漢「“無痛ガン”で、その綺麗なツラをぶっ飛ばしてやる!」

男剣士「ゲ、やばっ……!」

巨漢「テメーなんか怖かねぇ!野郎、ぶっ殺してy」チュィーン…


ガキィンッ!

巨漢「んなっ!? 無痛ガンが、いきなり壊れただと!?」ガチャガチャ スカッスカッ

男剣士「!」


覆面剣士「…………間に合った」スタッ
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:33:22.90 ID:Y4zEJpMto


巨漢「て、てめぇ、仲間かあぼぴっ!?」ガスッ ばたっ

覆面剣士剣士「まったく……貴方ともあろう人が」プシュゥー シャコンッ




女剣士「一体何をしているの?」ヌギッ
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:35:16.73 ID:Y4zEJpMto

男剣士「先生!」

女剣士「0点。言い付けに果たせなかった事、無茶をした事、尚且つこれが実戦で私が助けに入らなければ今死んでいた事」

男剣士「お恥ずかしい限りで」

女剣士「先走って無茶をするのは貴方の悪い癖。直すように言ったはず」

男剣士「そりゃ先生譲りです、ってアイタァッ!?」コツンッ


女剣士「……でも、失態を自身で取り返そうとするその意気は悪くない」

男剣士「……そりゃどーも」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:35:46.77 ID:Y4zEJpMto

下っ端「新手だとぉ!?」
下っ端「かまうもんか、全員で畳んじまえっ!」
下っ端 ゾロゾロゾロ…



男剣士「あらら、これまた大仰な……」

女剣士「何人いる?」

男剣士「にい、しい、ろお、やあ……ざっと25人ですね」

女剣士「わたしが引き付ける。貴方は残りを蹴散らしてあの方の救出を」

男剣士「家探しなら2人でやった方が早いかと思いますが?」

女剣士「……じゃあそれで」

男剣士「……りょーかいっ」


90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:39:25.08 ID:Y4zEJpMto

                     ,ィ
                \、_ノ |    「……」
    「でやぁっ!!」     〉    |
                /⌒Y⌒\          どがっ
        ノしへ
      ‐く   〈  ばきょっ
        }/⌒                       /{
                                <   て
                    「だぁっ!!」     〉 /
                                /⌒
           がすっ    ノー イ
                    )  て
     「……っ!」       '⌒}/

下っ端「な、なんだこいつら……!?」どさっ
下っ端「つ、強い……!?」ばたっ


女剣士「……」ヒュンヒュンッ チンッ

男剣士「……ひと段落、ですかね」チャキッ

女剣士「……先に行く」スタスタ
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:41:44.86 ID:Y4zEJpMto

女剣士「…………」がちゃっ

男剣士「この荒れ模様、随分慌てて出て行ったみたいですね」

女剣士「……」

男剣士「壁に掛かってるのは……中央公園の地図?」

女剣士 パラパラ

男剣士「なんです、その黒い粉?」

女剣士「……火薬の臭い」スンスン

男剣士「えっ?」

ぱちぱちぱちぱちぱちぱち


???「御見事だ」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:42:58.11 ID:Y4zEJpMto

剣士s「!!」

眼帯の男「崩れとはいえ軍人の集まりを、まさかたった二人に壊滅させられるとは」

男剣士「……あんたが“マイスター”か」

眼帯の男「さあて、答える義理はないね」


ブロロ……


眼帯の男「とはいえ、もう隠す必要もないがな」

男剣士「車の音……しまったっ!」ダッ
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:44:54.05 ID:Y4zEJpMto

女剣士「まって」スッ

男剣士「!」

女剣士「恐らく、あの地図が奴らの目標。そこへ先回りして」


男剣士「それが中央公園って事は……平和式典!」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:45:26.64 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「……正解だ。流石だな」

男剣士「くそっ!」ダッ

眼帯の男「行かせると思うか?」スチャ

男剣士「やべ……!」

     ,ィ
 \、_ノ |  キ ン ッ !
   〉    |
 /⌒Y⌒\
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:45:52.95 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「っ!」

女剣士「ここは任せて、貴方は行きなさい」スチャ

男剣士「先生、しかし!」

女剣士「いいから行きなさいっ!!」

男剣士「……無茶しないでくださいよ」ダッ

女剣士「……そちらも」





男剣士が去った後。眼帯の男と女剣士、両者、互いに武器を構えて相対している。


眼帯の男「……久しぶりだな、旧き友よ」

女剣士「……久しぶり、“兄さん”」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:46:54.97 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「お前が摂政の手下になってると聞いて、今回もよもやと思っていたが……少しは家事、出来るようになったか?」

女剣士「……貴方こそ少し老けた。それより、なぜこんなことを?」

眼帯の男「お前と違って上手く再就職先を見つけられなくてな」

女剣士「戦争は終わった、だから貴方も平和に……」

眼帯の男「この嘘誤魔化しの停戦状態が平和だって?ふざけた事言ってんじゃねえよ」

女剣士「…………」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:47:21.45 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「元“勇者御一行”だった好だ、お前も仲間に入れてやるよ。どうせお前も日蔭者なんだろう?」

女剣士「日陰者でも構わない」

眼帯の男「……ほお?」

女剣士「嘘誤魔化しだろうと、平和な今を生きようとしている人々がいるなら、その人達の為に、わたしは闘う」

スチャ

女剣士「……例え、貴方と戦う事になったとしても」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:48:10.84 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「……そうだよな、お前は昔からそういう奴だ」

スチャ

眼帯の男「自分でこうと決めた事は意地でも曲げない、頑固で不器用な奴だったっ!」ダッ

女剣士「……っ!」ダッ


99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:49:55.81 ID:Y4zEJpMto

*帝國中央公園*

男剣士「どこだどこだ……いた!」キキイィィッ ガチャンッ

少女「……!」

男剣士「大丈夫ですk」

少女「来るな!!」

男剣士「……はぁ?」


少女「巻き添えになっちゃう!!」


ピッピッピッピッ……



男剣士「ば、爆弾!?」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:50:28.34 ID:Y4zEJpMto

???「へぇ、ここに到達するとは。って事はアジトもやられたか? まぁ今更どうでもいいけどな」

男剣士「!」

少女「逃げrあぐっ!」

???「ティヒヒ、おおっと、動くなよ?」ガシッ

男剣士「…………」

???「一応教えといてやるが。押したら最後、こいつに巻いた腹マイトがドカンといくってスンポーだ」チャキッ


男剣士「……なるほど、こないだの爆弾事件の犯人はアンタですか」

爆弾魔「運用試験としてはまーまーな効力だったよ、アレは。けひっ、お前を殺せなかったのは失敗だったが」ニヘラ
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:51:08.80 ID:Y4zEJpMto

男剣士「目的はなんです?」

爆弾魔「革命だよ」

男剣士「革命……だと?」

爆弾魔「戦争の頃からお國の為、ずっと真面目に勤めてきたってのに、事故で片足をブッ飛ばしたらすぐにお払い箱。挙句にその対価がチンケな金時計一つたぁ、あんまりな話だ。そう思うだろ?」

男剣士「……同情はしますよ」

爆弾魔「だから俺をクビにした軍の連中に、俺の価値をわからせてやるのさ。この革命爆弾でな!」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:51:39.54 ID:Y4zEJpMto

男剣士「逆恨みをするようなみみっちいロリコン野郎が革命語っちゃいますか。チャンチャラおかしいな」

爆弾魔「哂いたきゃ哂っとけ、別にお前にわかってもらいたいわけじゃない」

男剣士「……とにかくその人を放せ。無関係だろ」

爆弾魔「やなこった。本命本丸を逃がす馬鹿が何処にいる?」

男剣士「本命?」

爆弾魔「……なんだ、気付いてなかったのか?」

少女「!」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:52:09.30 ID:Y4zEJpMto

爆弾魔「ふひっ、知ってて助けに来たんだと思ってたが、そうかそうか、そう言う事か」

男剣士「一体何を……?」

爆弾魔「化粧を薄めちまえばわからんわけだ。普段メディア露出する時は厚化粧べったりにゴテゴテした衣装着てるもんな」

少女「だ、だめえっ!」

爆弾魔「うっせぇ、黙ってろ」グイッ

少女「うぐっ!」

男剣士「…………」




爆弾魔「まだわからないか? こいつは帝國國家元首、皇帝陛下様だよ」


104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:53:53.24 ID:Y4zEJpMto
*剣士宅、初日夜*

女剣士「……皇帝陛下」

少女「……!」

女剣士「陛下がわたしのところにおいでになられるとは……帝都で一体何が起こっているのですか?」

少女「実は……」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:55:55.61 ID:Y4zEJpMto

女剣士「……テロリスト?」

少女「銀髪で隻眼の男だった。軍の光学迷彩を使ってたし、“士官時の誓い”も諳んじていた。帝國軍人、それもかなり高度な訓練を受けた特殊工作員だと思う」

少女「しかも今回、私が連邦に行く事は政府内でもごく限られた人間しかいなかった。どう考えたって、この帝國の人間のはずなんだ」

少女「……でも、私が知る限りじゃあ、今陸軍にいる人間であんな奴は見た事がない」

女剣士「……」

少女「なのに、軍部の連中はそれを連邦側の仕業だと言っているらしい」

少女「奴らの考えそうな事だ。私にかこつけて、目の上のコブの摂政を引責で辞めさせる魂胆なんだろう」

少女「……今は、そんな事をしてる場合じゃないのにっ」ギリッ

女剣士「……」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:57:02.96 ID:Y4zEJpMto

少女「もし今、摂政がいなくなってしまったら軍部の武断派や議会の過激派を抑えられる者がいなくなる……そしたらもうこの平和は終わりだ。また戦争が再開されてしまう」

少女「私だって、戦争を起こす為のお神輿にされるのは御免だ。それに、また私のせいで人が死ぬなんて……嫌だ」ギュッ

女剣士「……」

少女「私も軍部の連中に捕まるすんでのところで逃げてきたんだ。私のサインがなければ、野党の連中もあいつをそう易々と罷免には出来ない」

女剣士「それはまた随分な無茶を……」

少女「今、摂政は官邸に軟禁されているんだろう。ひょっとしたら、殺されてしまうかも……」グスッ

107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 13:58:56.67 ID:Y4zEJpMto

少女「お願いだ、あいつを助けてやってくれ! 君は凄く強いんだろ!?」


女剣士「……陛下といえども、その御命令はお受けしかねます」

少女「無茶を言ってるのはわかってるよ」

女剣士「一介の剣客でしかないわたしに出来る事など、せいぜいが剣を振るって戦うだけ。摂政閣下を今回救出したところで、また同じ事が繰り返されるだけです」

少女「でも、私に出来る事なんて何にもないじゃないk」

女剣士「甘えないでください」

少女「っ……」

女剣士「この國を変えられるのは陛下、貴女様だけ」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:08:02.52 ID:Y4zEJpMto

少女「……そうか、そうだよな」 シュン…

女剣士「……」

少女「わかってるんだけどさ……でも、どうしたらいいかわからないんだ」

女剣士「……貴女様は、貴女様がすべきと考える事をすればいい」

少女「だからそれがわからないと」

女剣士「貴女様が今すべき事は、摂政閣下をお救いする事だけですか?」

少女「……!」

女剣士「貴女様が動かなければ、何も変わらない。現状も、そしてこの國も」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:21:25.16 ID:Y4zEJpMto

少女「……摂政はいつも言ってた。みんなが平和に暮らせるような國にするのが、政治の役目だって」

女剣士「……それを貴女様がお望みならば、わたしは、その邪魔となるものを払います」

少女「!」



少女「……ありがとうっ、恩に着る!」

女剣士「…………」ペコリ

110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:23:45.53 ID:Y4zEJpMto

爆弾魔「まさか肝心の皇帝陛下様に逃げられるとは、全くマイスターも当てにならんもんだ」

少女「っ……!」

爆弾魔「さーて、俺はこのまま悠々と、会場に行かせて貰いましょうかね」ズリズリ

男剣士「まてっ!」

爆弾魔「やなこった。アンタには、このガキのせいで一般市民とやらがぐちゃぐちゃのミートパイになるのを見物してもらうぜ」

男剣士「くそっ……!」

少女「(こうなったら……っ!)」ガブッ!


爆弾魔「いっでええええええッ!?」

ガツッ

爆弾魔「しまった、リモコン……!」

男剣士「させるかっ!」ヒュンッ グシャッ
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:24:30.04 ID:Y4zEJpMto

爆弾魔「ぬわっ、リモコンがっ!?」

男剣士「これでアンタはもう起爆出来ない。革命ごっこもこれで終わりだ」

爆弾魔「……ひ、ふひっ」カチッ  Pi♪


少女「!?」PiPiPiPiPi…

男剣士「!!」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:24:57.82 ID:Y4zEJpMto

爆弾魔「いざという時の保険ってのは掛けとくもんだな」

男剣士「何をした!?」


爆弾魔「時限装置を作動させたのさ」


少女「えっ……?」ピッ ピッ ピッ

男剣士「なんだと……!?」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:25:24.96 ID:Y4zEJpMto

爆弾魔「残り時間はラッキー7minuits、ツイてるねヒヒヒ」

男剣士「てめぇっ!」ガシッ

爆弾魔「きひっ、乱暴はよせよ。痛ぇじゃねぇか」

男剣士「時限装置を解除するんだ、さもないと……」

爆弾魔「さもないと? それで俺を殺したら、それこそ解除不能になっちまうぜ?」

男剣士「……クソッ!」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:25:58.05 ID:Y4zEJpMto

爆弾魔「さーてどうする、どうでる?」

男剣士「(どうすればいい……?どうすれば……ッ!?)」

少女「……あのさ」

爆弾魔「あ?」

男剣士「はい?」



少女「私独りが[ピーーー]ばいいんじゃないか?」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:26:24.49 ID:Y4zEJpMto
>>114
うわ、なにこれ



爆弾魔「さーてどうする、どうでる?」

男剣士「(どうすればいい……?どうすれば……ッ!?)」

少女「……あのさ」

爆弾魔「あ?」

男剣士「はい?」



少女「私独りが吹っ飛べばいいんじゃないか?」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:30:13.21 ID:Y4zEJpMto

爆弾魔「!?」

男剣士「な、何を言って……?」

少女「だってそうだろう? 爆発が避けられないなら、私がこのまま人気のないところにでも行けば済むじゃないか」

爆弾魔「ふざけた真似を、このガキがっ!」

少女「ふざけてるのは貴様の方だ。諦めろ……この数日、君といられて楽しかったよ。ありがとう」ダッ



男剣士「…………」

爆弾魔「……ア '`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、」

爆弾魔「ア──────ッひゃっはっはひゃひゃはひゃひゃははっはっはっは!!!!」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:33:52.65 ID:Y4zEJpMto
*中央公園、茂み

少女「(……この辺りなら大丈夫、か?)」キョロキョロ

少女「(ちょっとは怪我人出るかも知れないけど、ド真ん中で爆発するよりはマシか)」

   :.:.:::.:::.:::.::.::(
..       :::.:::.::.::ヽ
:::::....      :::::::::`'''‐‐--''''つ
.:.:.:.:.:.:....      ::::.:::.:::.::(´
::::::::::::::::::::....         :::::::ヽ、__-‐ 、
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  ::::::::::::::::::::::::::::::::::::....            :.:` ̄: : :
    :.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::....
      _ __:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::....
:::.. :::..   `ヽ、`\:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::....     少女「(……空が綺麗だな)」
::::.. :::::::..    `ー、 ヽ,_:.:.:.:.:.:.:.:::::::::...
::::::.. :::::::::..      ,>  └―‐‐ 、:.::::::::::...
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   , ⌒ヽ:::::::::::::::..      . .. ...::.:::    ____ .:::...
丶''′  / :::::::::::::::::..         __┌‐ー'´,--‐'"´ :.:.:.::....
    (   :::::::::::::::::::....     r'´_,.-‐-、''ー、 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.....
     `‐' ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.. ,ィ'´''"´    レ'"´ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::....
       丿:::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::..        : : : : : : : : : : : : : : .
       ヽ___ノ´ ̄ ̄`ー、         : : : : : : : : : : : : : : .
                 ):::..        : . : : : : : : : : .





???「見つけたぁぁあああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!!」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [saga]:2012/11/18(日) 14:35:28.94 ID:NFyiojPB0
C
この板ではメール欄に『saga』を入れないと一部の単語が自動で変換される

死ね
空揚げ
魔力
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:36:12.39 ID:Y4zEJpMto

少女「!」クルッ

男剣士「ぜーはーぜーはー……貴女なんかに、ぜーはー、この俺が撒けると、思ったら、大間違いですよ」

少女「……誰も巻き添えにしたくないからここ来たのに、そっちが来てどうするんだ」

男剣士「目を離すなと言われてるんでね」

少女「平気だ。私一人死んだって誰も困らん」

男剣士「そういう問題じゃないでしょうが」

少女「そういう問題だ」

男剣士「なっ……」

少女「ここで私が死んだって、“皇帝”の代わりはいくらでもいるし、摂政ならきっと病死か事故死で片をつけてくれるだろう」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:37:23.87 ID:Y4zEJpMto
>>118
そうなのか


少女「……あと3分もない。さっさと行け」

男剣士「ふざけないでくだs」

少女「ふざけてると思うか?」

男剣士「…………」

少女「私だって死ぬのは怖いさ。けど、仕方ないじゃないか……最後くらい、皇帝らしく、カッコつけさせてくれよ」グスッ







男剣士「はぁ……ガキのお守りはこれだから困るんですよ」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:37:59.65 ID:Y4zEJpMto

少女「……え?」

男剣士「人を散々振り回しといて、何が今更“皇帝らしく”だよ。まったく、ホントめんどくせぇクソガキだわ」

少女「く、クソガキ……!?」

男剣士「そんな泣きそうな顔して、カッコつけるも何もねーっての」

少女「……」

男剣士「だいたいね、泣きそうな顔した女の子を独り死なせて、平気な人間なんているわけないでしょーが」





男剣士「……だから助けるよ、貴女の事を」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:38:54.38 ID:Y4zEJpMto

少女「……君は、ばかだな」


男剣士「ガキにバカ呼ばわりされる筋合いはないね」


少女「ぐすっ……大馬鹿だ」


男剣士「はいはい」ガチャッ
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:39:24.23 ID:Y4zEJpMto

   ┌┐ ┏┓
    [0:20]  ピッピッピッ


男剣士「残り20秒、赤と青のコードか……これまたベタな」

少女「爆弾解体なんてやった事あるのか?」

男剣士「さぁ、さっぱり?」

少女「……やっぱり帰れ」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:39:51.38 ID:Y4zEJpMto

   ┌┐ ┏┓
    [0:10]  ピッピッピッ


男剣士「(赤……青……赤……さて、どっちを切ったものか)」

少女「いいから離れろッ。聞こえないのかッ!?」

男剣士「 う っ さ い な 、 今 考 え 事 し て ん だ よ っ !!」

少女 ビクッ!
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:41:38.55 ID:Y4zEJpMto

   ┌┐ ┏┓
    [0:05]  ピッピッピッ


男剣士「(残り5秒……赤……青……ええい、ままよ!)」




ぶちっ



126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:42:12.26 ID:Y4zEJpMto

*帝都、廃墟*

バシッ
ヒュン!
キンッ!

女剣士「……ッ!」チャキッ

      ,ィ
  \、_ノ |
    〉    | ガ キ ュ ィ ィ ン !!
  /⌒Y⌒\


眼帯の男「ぬおっ!?」カランッ

女剣士「……貴方の負け」スチャ
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:43:47.89 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「……昔はあんなちんちくりんだったお前が、いいオンナになったもんだ」

女剣士「投降して欲しい」

眼帯の男「生き恥を晒す気はねえよ」

女剣士「貴方を殺したくない」


眼帯の男「ふふ、気にするな。元々長くない命……ゴホッ!」 ビチャビチャビチャァッ

女剣士「!」
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:46:48.05 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「ゲホゲホッ、俺達は遺伝子合成で生み出された“シンセティック”、合成人間。だから、元々長生き出来ないように設計されている」ビリッ

女剣士「その目は一体!?」

眼帯の男「青と銀のオッドアイなんて洒落てるだろう? でも、こっちの目は潰れちまって、残った方も見えなくなりつつある」

女剣士「かつて“勇者”とさえ呼ばれた貴方が、そんな……」

眼帯の男「勇者、ねぇ……いいか、勇者ってのは、闘いの中でしか生きられないモンスターの事だ」

女剣士「……」

眼帯の男「俺達に“平和な暮らし”ってのは、ちょいとばかし上等すぎたのさ」

129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:48:13.35 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「あの時の仲間は皆、血反吐を吐きながら苦しみ悶えて死んでいった。残ってるのは俺達二人だけだ」

女剣士「……!」

眼帯の男「その様子じゃ、知らなかったみたいだな。笑えるだろ? 笑えよ」

女剣士「……」

眼帯の男「お前は一番遅く生まれたからまだ症状は出ていないみたいだが……ゴフッ……お前もいずれこうなる」

女剣士「……」

眼帯の男「例えばあの若いの、なかなか見込みのある奴だったが……あいつが一人前になる頃、お前は生きちゃあいない」

女剣士「……っ」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:51:49.04 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男「どうだ。これでもまだ、この國の為に闘うつもりか?」

女剣士「わたしは……!」

ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!

女剣士・眼帯の男「!!」




ギゴガゴ ガシャッ ドシャァッ

サイボーグ兵士「……マッタク、使エナイ奴」チャキッ ダッ
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:54:49.85 ID:Y4zEJpMto

サイボーグ兵士「侵入者、排除スル……!」ジャキッ

女剣士「(しまった、背後に……!)」

眼帯の男「どけ!」グイッ

女剣士「兄さ……!」

サイボーグ兵士「ッ!?」



眼帯の男「ッ! ごはっ!」ザシュッ
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:56:58.15 ID:Y4zEJpMto

サイボーグ兵士「チィッ、敵ヲ庇ウトハ……!」

女剣士「よくも兄さんを……貴様ァっ!!」チャキッ ヒュンッ



   /、_
_/  /
  〉  〈   ガ キ ィ ィ ン !
/´⌒Y



サイボーグ兵士「……っ!」ザザザッ
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 14:57:26.74 ID:Y4zEJpMto

女剣士「……ッ!」キッ

サイボーグ兵士「ヘェアンタモ……そんな目するんだぁ?」プシュー ガコン

サイボーグ兵士は大破したヘルメットを引き剥がし、素顔を露わにした。

女剣士「!貴女は!?」








サイボーグ兵士「久しぶりだね、“おねえちゃん”」ニコッ

134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:08:22.52 ID:Y4zEJpMto
*大戦中、帝國内某地下研究所にて*


女剣士『“後継者計画”?』


上官『君たち“勇者計画”の後続プロジェクトだよ。君たちにいつまでも戦争のマスコット、もとい勇者御一行を演じてもらうには無理がある』

女剣士『そのテストケースに、わたしが?』

上官『勇者計画で生まれたシンセティックの中でクローニングするのには、君が最適と判断されたそうだ。君は兵士として優秀だからな』

女剣士『……光栄です』

上官『ただ、後継者というよりは“妹”や“娘”と言った方が正しいかも知れんがね……さ、こっちおいで』



妹『……』コソコソ
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:10:10.84 ID:Y4zEJpMto

上官『昔の君に似て、シャイな性格らしい。同じDNAをベースにした強化クローンだから似てて当然なんだが』チラ

女剣士『…………』


妹『……?』ソー・・・

女剣士 スッ

妹 びくっ

女剣士 じーっ

妹『……は、はじめまして、おねえちゃん……』

女剣士 じじーっ

妹『……おねえさま?』

女剣士 じじじじーぃぃっっ

妹『ひ、ひっ…………!』ビクビクッ


上官『そろそろいい加減にしておきなさい、怖がってるだろう?』
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:12:50.59 ID:Y4zEJpMto

上官『さてと。君にはこれから、彼女の運用試験に付き合ってもらう事になる』

女剣士『それは実戦ですか?』

上官『もちろん。量産型シンセティックの養成プログラムを組むには実践データが必要だ』

女剣士『……それはお國の為、ですか?』

上官『……そうなるだろうな』


女剣士『………………』スタスタ

妹『お、おねえさま……?』

女剣士『わたしの事は“おねえさま”じゃなくていい』

妹『は、ハイぃッ!!』



女剣士『…………がんばろうね』ニコ

妹『…………はい!!』

137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:15:35.97 ID:Y4zEJpMto
サイボーグ兵士「“おねえちゃん”がわたしを見捨ててからさぁ」ダッ

ガギイィンッ

女剣士「……っ!」

サイボーグ兵士「毎日が地獄みたいだったんだよ」

ヒュンッ

サイボーグ兵士「変な人達に捕まって、管だらけで生かされて、体の隅から隅までを調べられて、マインドスキャナーで頭の中ぐっちゃぐちゃにされて」

ズバンッ!

サイボーグ兵士「だからわたしは、わたしを見捨てたこの國の連中を許さない。一人残らず血みどろにしてやる」

バチチチッ      ガキィンッ!
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:16:24.38 ID:Y4zEJpMto

女剣士「っ!?」

サイボーグ兵士「とりあえず斬りつければ、痛がって動けなくなるとでも思った? ざァんねんでした」

女剣士「まさか……」

サイボーグ兵士「えへへ、痛みを感じない身体にしてもらったんだぁー、これ以上痛いのは御免だからね」 がしっ

女剣士「……ぐっ!」

ギゴガゴ ガチャッ

女剣士「(プラズマガン……!)」

サイボーグ兵士「まずはその綺麗な顔を吹っ飛ばしてあげる」バジジジッ


__| ̄i__
\_     ̄ ̄Z
    l .! ̄/  ./
    | | / ./ _
    l_l /_/ //─z_
          ̄,─''’/
          ̄ ̄
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:19:49.34 ID:Y4zEJpMto

女剣士「……げほっ、ごほっ」びちゃびちゃびちゃっ

サイボーグ兵士「へー、あれ喰らってまだ動けるんだあ」ガスッ

女剣士「ぐっ……」ズルッ

サイボーグ兵士「立てない? すっごくびりびりして痛いでしょ?」ギゴガゴッ

女剣士「(ブーストナックル……っ!)」

サイボーグ兵士「でもね、わたしは、」ジャキンッ

__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―   ――――    ==  ̄ ̄ ̄  ――_―― ̄___ ̄―
 ̄___ ̄―===━___ ̄― ==  ̄ ̄ ̄  ――_――__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―
 ___―===―___   ――――    ==  ̄ ̄ ̄  ――_―― ̄ ̄―‐―― ___
 ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄―――  ___ =―   ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄―

サイボーグ兵士「もおおおおおおおおっと、痛かったんだよおおおおおおおおおおおおおおおお」

__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―   ――――    ==  ̄ ̄ ̄  ――_―― ̄___ ̄―
 ̄___ ̄―===━___ ̄― ==  ̄ ̄ ̄  ――_――__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―
 ___―===―___   ――――    ==  ̄ ̄ ̄  ――_―― ̄ ̄―‐―― ___
 ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄―――  ___ =―   ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄―


グシャァッ
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:22:38.29 ID:Y4zEJpMto

女剣士「がはっ……!」どさっ

サイボーグ兵士「きゃはっ♪」

壁を突き破り、屋外へと放り出された女剣士を、サイボーグ兵士が追い、蹴り、嬲る。

サイボーグ兵士「キャハハハハハッ♪」ドゴッ ガスッ バキッ


サイボーグ兵士「安心して」ギゴガゴッ ジャキッ

再び構えたプラズマガンの砲口は、地に伏せた女剣士へと向けられている。
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:23:13.25 ID:Y4zEJpMto

女剣士「げほっげほっ……」

サイボーグ兵士「おねえちゃんはラクに殺してあ・げ・る♥」バジジジジッ

女剣士「ッ!」 ガシャッ

サイボーグ兵士「……!?」

                ヾ>                 /\
         _____ ヾ_,ゝ          ./^\/  /   _  " ';:. :,;':.:
      ;" /___   ./             '' \    /  /,/
    : ;        /  /  ..‐´           /   \    _  ; :.:,;'
      .;,..::,:'"    /    \              ./  /\ \ /_,/
   ::,;'' ,.,..;     /  /\/^            /  /  / `.    "';:; :.:,
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         / /  /                    /  /   キ  i^\
                                \/       \, \
 ';:.:,;'                                    .  /丶, .ヽ
 ; :.:,;'                                   i ̄ /--;"´
:. :;:;                                      ̄


142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:23:45.30 ID:Y4zEJpMto

妹『ぐすっ……ひっぐ……』


女剣士『…………大丈夫?』スタスタ

妹『わ、わたしがこ、殺した、人達が…ひっぐ…わ、わたしを、睨んで、た……皆で、わたしを、なじって、た……

女剣士『……怖い夢をみたんだね』サスリサスリ
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:25:06.12 ID:Y4zEJpMto

妹『き、きっと、わたしも、あ、あの人、たち、みたいに…んぐっ…こ、殺されちゃって、ひっぐ、独りぼっちに、なっちゃう、んだ……』

女剣士『……』

妹『……あは、おかしいよね? わたし、なんて、ひっく、兵器なのに、どうして、こわい、なんて思っちゃうんだろう……』

女剣士『……』

妹『こんな事思っちゃう、出来損ないなんて、いなくなっちゃったほうがいっそ……いいのかなって……あは、はは……』
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:31:06.74 ID:Y4zEJpMto

女剣士『……しんじゃ、駄目』ギュッ

妹『ぐすっ……ぇ?』

女剣士『わたしも同じ。出撃する度に、誰かを殺さなきゃいけないのが怖くてたまらない。いくら忘れようとしても、体が人殺しを覚えてる』

妹『おねえちゃん……?』

女剣士『……でも、それはとっても大事なこと』ナデナデ

妹『大事な、こと?』

女剣士『そう。人を平気で殺せる人よりも、それを悲しんだり、殺されたくないと思える人の方がずっといい』

妹『どおして?』

女剣士『みんな死んでしまったら、そこには何も残らない。綺麗なものも、汚いなものも、何もかも。わかるよね?』

妹『……うん』
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:35:04.77 ID:Y4zEJpMto

女剣士『だから、貴女も死なないで。怖い事や辛い事はいっぱいあるかもしれないけれど、生きてさえいれば、嬉しい事や楽しい事だっていっぱいあるから』

妹『……ほんとう?』

女剣士『本当。大丈夫、わたしも一緒に頑張る。貴女を独りぼっちになんて絶対させない』


女剣士『だから貴女ももうちょっとだけ、一緒にがんばろう。ね?』

妹『……』コクリ

146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:46:00.04 ID:Y4zEJpMto
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モクモク::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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サイボーグ兵士「(まさか腕を砲身に突っ込んで、プラズマガンを暴発させるなんて……!)」

バジジッ バチッ

サイボーグ兵士「(脚部駆動系に異常、左腕部砲塔大破……逃げないと!)」

ギゴg  ずしり

サイボーグ兵士「! お腹に鉄骨が刺さって……ッぬ、抜けない……変形も……出来ないッ……!」ジタバタジタバタ


カツッ、カツッ、カツッ……



女剣士「…………」ボタボタボタッ
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:46:44.07 ID:Y4zEJpMto

サイボーグ兵士「そ、そんな、片腕と片目が吹っ飛んだのに動けるなんて……!?」

女剣士「……独りにしないって、約束、守れなくて、ごめん」ボタッボタッ

サイボーグ兵士「ひ、ひいぃっ!?」



女剣士「……わたしには、貴女を救ってあげられない」ガシッ

サイボーグ兵士「は、離せ、離せエエエ……!!」ブンブン
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:54:22.82 ID:Y4zEJpMto

女剣士「いくら改造されようと、ココは変わらない、変えられない」メキメキメキッ

サイボーグ兵士「ま、まさsかkkk……!?」

バジジッバチッ ぶしゅううううう

女剣士「……ッッ!!」ギリリッ

ズルリュッ


サイボーグ兵士「わアアアアたたたたしの脳脳脳能濃NOををををををおをおおおおおおおおお!?」


プチプチブチブチ    ブ  チ  ィ  ッ

サイボーグ兵士「あっがgggggggっがああああああああああggggっがががががggggggggg」

女剣士「…………」

サイボーグ兵士「やややyyyyyyめめめmmmmめめめろろろrrrrrrrrrrrおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:54:50.12 ID:Y4zEJpMto

*大戦末期、帝國軍某秘密拠点にて*

上官『……ご苦労だった。君だけでも生き残ってくれたのは僥倖だよ』

女剣士『何故あそこで、撤退させたのですか?』

上官『このまま中央司令部に戻るぞ。身支度しなさい』

女剣士『そのせいで“あの子”が置き去りに……』

上官『摂政率いる講和派が議会を制圧して皇帝陛下を退位させたんだ。新体制は停戦に向けて既に動き始めている』
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:55:35.10 ID:Y4zEJpMto

女剣士『……出撃許可を』

上官『ダメだ。本部から既に撤収命令が出ている』

女剣士『部隊を出せないなら、わたしだけでもっ』

上官『君一人行ったところでどうにかなる状態じゃない事ぐらい、君だってわかるだろう?』

女剣士『でもあの子と約束したんです!!』

上官『もう手遅れなんだよ何もかも!!』


女剣士『……どういう事ですか?』

上官『彼女の体内には、機密保持の為に自壊装置が組み込まれてる』

151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:56:11.75 ID:Y4zEJpMto

女剣士『……どういう事ですか?』

上官『彼女の体内には、機密保持の為に自壊装置が組み込まれてる』


女剣士『!』

上官『今回の作戦が終われば、誰もその事に気付かないまま外される予定だったんだ』

女剣士『……っ』ギリッ

上官『君の気持ちもわかる。だがこうなってしまった以上、君までも死なせるわけには行かない』

女剣士『それは、わたしが“兵士として優秀”だから、ですか?』





上官『……私は部下を失い過ぎたのかもしれんな。君の方が、よっぽど人間らしいよ』

女剣士『……』


152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:57:46.10 ID:Y4zEJpMto


サイボーグ兵士「うガあああ嗚呼゙嗚゙呼゙嗚゙呼嗚呼あアアアアアァァァア゙あ゙あ阿あ亜ああ吾あああああああああ」





女剣士「………………ごめんね……」




グシャッ


153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:58:41.89 ID:Y4zEJpMto









   ┌┐ ┏ ┓
    [0:01] チカッチカッ…






少女「……止まった……」

男剣士「し、死ぬかと思った……」ヘナァッ
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 15:59:53.01 ID:Y4zEJpMto

少女「なら、逃げればよかったじゃないか」

男剣士「だって、そういうわけにh……あっ!?」ササッ

少女「……何を今更平伏してるんだ?」ジト

男剣士「知らなかった事とは言え、数々のご無礼、どうかお許しくださいますよう……」

少女「ふむ……ならば、顔を上げたまえ。褒美をやる事にする」

男剣士「ほ、褒美?何でs……!?」

少女「……ん」





男剣士の顔に、少女の顔が覆いかぶさると、その唇に柔らかい何かが触れた。

155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:01:37.97 ID:Y4zEJpMto

男剣士「……え?」

少女「じゃ、私は行くからな」スッ

男剣士「あ、あの、ちょっと!?」

少女「……///」 ダッ





男剣士「……」ボーゼン

156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:03:04.75 ID:Y4zEJpMto

*夕方、帝國官邸


摂政「せっかくの式典も出席できず仕舞いですか……國民の皆様にも悪い事をしてしまいました」


軍幹部1「くくく、貴様のその人を食った薄ら笑いもここまでだな、摂政殿よ」

摂政「私も暇ではありませんので、そろそろいい加減にしていただけると大変助かるのですがねぇ」

軍幹部2「痛い目に遭いたくなければ、摂政を辞したまえ」

摂政「私の辞任には皇帝陛下の御承認が必要ですよ。ご存知かとは思いますが」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:03:36.31 ID:Y4zEJpMto

軍幹部3「ふん、悪足掻きだな」

軍幹部1「逃がしたとは言えたかが小娘一人、捕まえさえすればどうとでもなるわ」

摂政「左様で……ところで、今何時でしょう?」

軍幹部3「6時だ。それがどうした?」

摂政「もうそんな時間ですか……そろそろいい時間ですねえ」チラ

軍幹部3「何を言っている。時間ならたっぷりあるだろうが、摂政を辞めた後にな」

摂政「いえ、そうではなくて。夕陽です」

軍幹部1「……何?」
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:04:05.60 ID:Y4zEJpMto

摂政「あともう少しすれば、官邸の屋上から、それはそれは綺麗な夕陽が見えるのですよ。よろしければ御一緒しませんか?」

軍幹部1「き、貴様ッ!」

軍幹部2「どこまでもナメ腐った態度を……!」バンッ

コンコン

軍幹部3「誰だ、入れ」

メイド「失礼いたします……お客様です」ガチャッ

軍幹部3「客だと? アポなしだろう、とっとと追い返せ!」

メイド「緊急かつ重要なお話があるとのことで……」

軍幹部1「どこの誰だか知らんが、待たせておけ。今は取り込んでいるのだ」

メイド「そ、それがその……」






皇帝「貴様ら……余の顔を見忘れたか」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:04:40.55 ID:Y4zEJpMto

摂政「……おやおや」

軍幹部1「こ、皇帝陛下!?」ガタッ

軍幹部2「なんだと……!?」ガタッ

皇帝「貴様ら控えるがいい、このくだらんクーデターごっこも終わりだっ!……摂政!」ダッ


摂政「おっと」ダキッ

皇帝「無事だったか!? 心配したんだぞっ!」グスッ

摂政「身に余る光栄でございます、陛下。ご立派になられましたね」

皇帝「バカッ!」

摂政「よしよし」ナデナデ

皇帝「バカバカバカッ!!」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:06:19.55 ID:Y4zEJpMto

幹部1「陛下、その男の甘言に騙されてはいけません」

皇帝「……なんだと?」ギロッ

幹部2「そうです陛下! その男は、あまつさえ連邦と不平等条約を結んだだけでなく、その連邦と通じ、陛下の御身を危険に晒した国賊でございます」

幹部3「私どもめはこの國、ひいては陛下の御為を思ってこそ……」


\_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_/
  ≫                                         ≪
  ≫   皇帝「黙 れ 、 こ の 愚 か 者 ど も め っ!!」   ≪
  ≫                                         ≪
/⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒\
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:07:37.49 ID:Y4zEJpMto

幹部s ビクッ

皇帝「貴様らのくだらん権力争いのせいで戦争になるところだったんだぞ、貴様らこそ国賊だろうがっ!」

幹部1「しかし……」

皇帝「黙れ。そもそも、この私のことをなんだと思っている? クーデターなどと、どこまで私を馬鹿にする気なんだ貴様らはっ!」

幹部2「そ、そのようなことは決して……」

皇帝「貴様ら、追って処罰があると思って覚悟しておけ。いいな?」


摂政「……恐れながら、申し上げます。陛下はどうやら、何か勘違いをなさっておられるようです」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:08:04.71 ID:Y4zEJpMto

皇帝「勘違いとな? 続けろ」

摂政「まず、陛下がお考えのような事は一切ございません。ましてやクーデターなど、そんな」

摂政「この場も、例の平和条約の件で、軍の幹部達を加えて討議を深めていた末につい熱が入り過ぎただけの事」

皇帝「……おい、そうなのか?」

幹部1「! あ、ええ」
幹部2「摂政の申しました通りでございます、陛下」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:08:33.00 ID:Y4zEJpMto

摂政「しかし、陛下に多分のご憂慮をおかけ致しました事、全てはこの摂政めの不徳が致すところでございます。どうか、御容赦くださいますよう」ペコリ

皇帝「……お前がそう言うならそういう事にしてやる。今後とも國の為、民の為に励むがいい」

摂政「仰せのままに……ですから、軍の皆様方」チラ

幹部s「!」




摂政「この“討議”も、そろそろお開きにしましょうか」ニッコリ

幹部s「ぐぬぬ……」

164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:09:58.74 ID:Y4zEJpMto

眼帯の男こと、テロリストのリーダーは突如現れた刺客サイボーグによって重傷を負い、病院へ搬送する前に死亡。遺体は、摂政親衛隊によって回収されひっそりと埋葬された。

爆弾魔は中央公園の外れで発見された。発見時には発狂しており、そのまま精神病院へと送られた。

テロリストの大半は、重軽傷を負いながらも生きたまま捕縛。しかし殆どが末端の構成員に過ぎず、黒幕に繋がる証言は得られず。

刺客のサイボーグは、何者かとの激しい交戦の末に破壊され、残骸もナノマシンの作用で溶解、回収不能となる。

摂政は、皇帝の一声で再び政権へ戻され、野党と結託した軍部による密やかなるクーデターはあっさりと瓦解した。

一連の事件の黒幕として、野党の大物議員との関連が考えられたが式典の翌日、事務所のあるオフィスビルで死体となって発見された。
直後、別の議員によって彼の贈収賄スキャンダルが暴露され、発覚を恐れた自殺として処理される事となった。

165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:10:27.28 ID:Y4zEJpMto
*一ヶ月後、剣士宅

ラジオ≪……陛下は先週から体調不良の為公務をお休みされていましたが、宮内庁の発表によると陛下は順調に回復されており、現在は平常通り公務にお戻りになられているとの事です……≫

ラジオ≪では次のニュース。昨年10月から進められていた帝國・連邦間における平和友好条約について……≫


男剣士「……はぁ」

女剣士「……身体の具合でも悪い?」

男剣士「いえ、そんなんじゃあないですが……どうしてですか?」

女剣士「今日の貴方はいつも以上に身が入っていない。溜息ばかり。一体どうしたの?」

男剣士「今日の先生はいつも以上に手厳しいですね。先生こそ体の具合、どうなんですか?」

166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:10:55.66 ID:Y4zEJpMto

女剣士「別に心配はいらない」

男剣士「そりゃあ左腕と片目ブッ飛ばされてたら心配しますって。何があったんです?」

女剣士「貴方が知る必要はない」

男剣士「さいですか」

女剣士「……あの方の事なら、早く忘れなさい。それが貴方の為」

男剣士「先生もこういう経験おありですか?」

女剣士「ないわけじゃない」

167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:11:45.21 ID:Y4zEJpMto

男剣士「ほほう、その辺りを是非とも詳しk」

女剣士「うるさい、このロリコン」ペチッ

男剣士「あいたっ、それにロリコンじゃないですって……いてっ!」ポカッ

コンコン

女剣士「……出て」

男剣士「はいはい、今出ますよー……」ガチャ






少女「やあ」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:12:13.61 ID:Y4zEJpMto

男剣士「……先生の言ったとおりかも」パタン

女剣士「何か?」

男剣士「やっぱり俺、調子が悪いみたいです。今ちょっと幻覚見ちゃって、タハハ」

女剣士「何を言ってるの?」

ドンドン!ドンドン!

男剣士「……よし、オープンッ!!」ガチャ


少女「ったく、客人を外に待たせるなんて、礼儀がなってないな」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:13:08.55 ID:Y4zEJpMto

男剣士「え、ええええ? あれぇ!?」

少女「何だ、豆が鳩鉄砲食らったような顔をして。来ちゃ悪いか?」ムスゥ

男剣士「いや別にそういうわけじゃないですけど……」

女剣士「……???」

少女「実はだな……」




*帝國公邸

摂政『お呼びですか、陛下?』

皇帝『うむ、実は少し相談がある』

摂政『伺いましょう』

皇帝『……街に出てみようと思うのだ』

摂政『はっ、では早速手配をば』

皇帝『いや、そういう派手なのとかじゃなくて』

摂政『?』

170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:13:57.26 ID:Y4zEJpMto

皇帝『ほら、時代劇とかであるだろう? お忍びという奴だ』

摂政『じ、時代劇?』




少女「……というわけ」

女剣士「…………なるほど」

男剣士「へー、そういうわけですかー……って、さっぱりわけわからないんですが」

少女「はぁ……君はホント鈍いな」

男剣士「はい?」


171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:14:59.81 ID:Y4zEJpMto

摂政『……すなわち、身分を伏せた上で、街に出られたいと?』

皇帝『私は國民の事をあまりに知らな過ぎる。先日の一件ではその事をありありと思い知った』

摂政『なるほど。では何故、わざわざお忍びなのか、その辺りの理由をお伺いしたいのですが』

皇帝『それは……今の私がクソガキだからだ』

摂政『クソガキ?』

皇帝『そう。今までの私は、お前や周囲に守られてばかりのクソガキだった』

摂政『…………』

皇帝『でも、いつまでもクソガキのお姫様じゃ駄目なんだよ』
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:15:53.96 ID:Y4zEJpMto

摂政『……確かに、お忍びでは、貴女様を守るものはなくなりますね』

皇帝『うむ』

摂政『守るものがないという事はそれだけ傷つくという事ですが、その御覚悟はよろしいですか?』

皇帝『それぐらい、覚悟の上だ』

摂政『それに貴女様の御命は、貴女様だけのものではありません。その上でお尋ねしております』

皇帝『もちろんわかってる……だからこそ、もっと有効に使えるようになりたいんだ』
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:17:24.68 ID:Y4zEJpMto

摂政『……陛下のお気持ち、この摂政めはしかと承りました』

皇帝『ん、随分あっさりしているじゃないか』

摂政『ここで駄目と言ったところで、陛下の事ですから、なんとかかんとか脱け出されるおつもりでしょう?』

皇帝『うっ、鋭い……』

摂政『わかりますとも』ニコ

皇帝『……君に隠し事は出来ないな』

摂政『とはいえ、私も陛下の御安全には責任があります故、僭越ながら、いくつか条件をつけさせていただきます』
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:17:53.45 ID:Y4zEJpMto

皇帝『条件?』

摂政『はい。まず、出る際は私めに一言ご相談ください。公務の合間を縫って頻度は月2回程度、範囲も帝都のみとさせていただきます』

皇帝『……あんな事があったばかりだし、まぁ、仕方ないか。で、他には?』

摂政『陛下への忠誠心の高い者を1〜3名、案内兼護衛役としておつけいたします』

皇帝『わかった』

摂政『護衛の選出につきましてはこの摂政めに……』

皇帝『あ、待った』

摂政『何でしょう?』


皇帝『その内1人は既にアテがあるのだ。私が選んでもいいか?』

摂政『……?』

175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:18:34.40 ID:Y4zEJpMto

女剣士「……帝都内視察の護衛、でしょうか?」

少女「そうとも。光栄に思いたまえ、この私が直々に任命したのだからな」フンス

男剣士「あー、なるほどー……でも無理じゃないですかね」

少女「む?」

男剣士「いくら腕が立つって言っても、先生を連れて行かれたら困ります。仮にもこの人、怪我人なんですよ?」


少女「……いや、君の事だが?」

男剣士「  え ゙  ?  」
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:19:58.53 ID:Y4zEJpMto

少女「たとえ怪我をしていなかったとしても、この人じゃ駄目に決まってる」チラ

女剣士「?」

少女「……この人は美人すぎる。護衛どころか、不逞の輩が寄り付いてきそうだ」

男剣士「ええっ」

少女「その点、君だったなら、模範的な帝都市民で、それなりに腕も立って、騎士道精神もあって、ばっちりだと思うぞ?」


男剣士「いやー、それはないんじゃないかと……」

少女「君の腕はこの目でしっかり見届けているよ。私の護衛をするのに君は充分、適格だ」

男剣士「いやいや、そんな……!」

少女「『泣きそうな女の子』を命懸けで助けてくれたのは、一体どこのどちら様だったかね? それに君は……」

男剣士「俺が?」



少女「……君は、私の事を“クソガキ”呼ばわりした唯一の男だからな」ニヤ
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:21:27.04 ID:Y4zEJpMto

男剣士「ゲッ!?」

少女「あの台詞は金輪際忘れんさ」ニヤニヤ

男剣士「これまた随分根に持っていらっしゃいますね……」

女剣士「……貴方、皇帝陛下に向かってそんなクチを?」ジロッ

男剣士「え、いや、それはその、その場の勢いでと言いますか……あいてっ」ペチッ
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:21:55.37 ID:Y4zEJpMto

男剣士「……あ、そうだ! 俺はまだ修行中の身です!」

少女「だから?」

男剣士「一人前じゃない俺が陛下の護衛なんてとてもとても……ですよね、先生?」

女剣士「……確かに、貴方はまだまだ未熟」

男剣士「ほら、ね?」



女剣士「……しかし、勅命とあれば、仕方ありません」

男剣士「えっ」
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:24:51.49 ID:Y4zEJpMto

女剣士「騎士たるもの、女性のエスコートも出来るようになるべき。鍛錬の一環としてお受けしなさい」

男剣士「相手にもよるでしょうよ、それは!」

少女「なんだ、私じゃ不足か?」

男剣士「いやあのそういう意味じゃ……」

女剣士「……不敬」

男剣士「あいてっ」ポカッ

女剣士「四の五の言う権利は貴方にはない」

少女「だ、そうだ。師匠の公認だ。文句ないだろ」

男剣士「え、ぇー?」

180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:25:18.83 ID:Y4zEJpMto





少女「……今後ともよろしく頼むぞ、私の騎士様♪」

男剣士「は、はぁ……?」



181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:25:48.82 ID:Y4zEJpMto

*エピローグ、停戦直後、帝國軍秘密基地、隔離房にて

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??「彼女が例の、暗殺未遂の実行犯?」

側近A「ええ。この情勢で貴方様を殺そうなどと全く、狂っているとしか思えませんよ」

側近B「流石は人殺しの兵器と言いましょうか。よほど争いに飢えているようですな」

??「……彼女、何か話しましたか?」

側近A「それがまるで貝の如く口を閉ざしておりまして……」

側近B「まぁ所詮は合成人間、喋るほどの情報を与えられているとも思えませんが」
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:26:17.17 ID:Y4zEJpMto

??「そうでしたか……申し訳ないのですが、御二人には外していただけませんか?」

側近A「なんですって?」

??「“彼女”と、二人きりでお話がしたいのですよ」

側近A「そんな、危険です!」

側近B「相手は血に飢えた殺人兵器、しかも閣下を殺そうとした不穏分子ですよ!? そんな怪物と2人きりになるなんて……」





摂政「……この私が、満身創痍、それも特殊合金の鎖で拘束された相手に遅れをとるとでも?」
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:29:24.57 ID:Y4zEJpMto

摂政「一応、これでも武術には多少なりとも嗜んできたつもりなのですが」

側近A「え、は、いえ、決してそのようなことは……」

摂政「貴方がたはすぐ外で待機していてください」ガチャ

側近B「ははっ!」

側近A「お、仰せのままに、閣下」

摂政「何かあればお呼びしますから」ニコ



摂政「……さて、と」バタン

女剣士「…………」ジャラ…
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:30:13.95 ID:Y4zEJpMto

摂政「どうも、お初にお目にかかります……といっても暗殺対象の顔ぐらい見飽きていると思いますがね」

女剣士「……何の用?」

摂政「少しばかりお話を。鎖の方も本当は外して差し上げたいところなのですが、如何せん部下が煩くて」

女剣士「帰って。貴様と話す事なんて、何もない」

摂政「ところが私にはあるのです。10分間ばかり、お時間をいただきたい」

女剣士「…………」プイッ
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:30:56.96 ID:Y4zEJpMto

摂政「“勇者計画”で生まれた最強のシンセティック兵士……でしたか。こうして見ると、年頃の女の子にしか見えませんがね」

女剣士「辱めに、来たの?」

摂政「いえいえ、とんでもない。貴女の健闘を讃えたつもりなのですが、お気に触ったならご容赦をば」

女剣士「……」


摂政「貴女の事を調べさせていただきました。どうも私には、貴女が周囲から見くびられているとしか思えません」

女剣士「わたしが、見くびられている?」

摂政「ええ。貴女はただの殺人マシーンではない。むしろ、とても賢くて情も深く、そして豊かな心をお持ちだ」

女剣士「……」
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:32:16.38 ID:Y4zEJpMto

摂政「そんな貴女に暗殺未遂までさせたのはやはり……“彼女”の事でしょうか?」

女剣士「……!」ギリッ

摂政「“彼女”には可哀想な事をしてしまいました。貴女からはどう憎まれたって足りません」

女剣士「そんな、よくも、そんな、どの口で、そんなふざけた事を……!」ギリリッ

摂政「この國で私を殺していい人間がいるとしたら、それは二人だけだと私は思っております」

摂政「一人は顔も知らぬまま先帝殿下、つまり父親を失った皇帝陛下、」

摂政「そしてもう一人は……貴女だ」


女剣士「だったら、今、殺してやるッっっ!!」じゃららっ

摂政「……年頃の乙女が、唾飛ばして殺してやるだなどと言うものじゃありませんよ」スッ

女剣士「うるさい、わたしに触るなっ、その穢らわしい手を伸ばすんじゃあないっ!!」

摂政「せっかく綺麗な顔立ちをしていらっしゃるのですから、そんな恐い顔をされては勿体無い」フキフキ

女剣士「ふざけるなっ、馬鹿にして!!」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:33:03.86 ID:Y4zEJpMto

摂政「……褒めているつもりなのですが。まぁ、とにかく、今の貴女は、大事な事をいくつか見落としていらっしゃるようです」

女剣士「黙れっ!!」

摂政「まず、今の情勢で私が[ピーーー]ば、戦争が再び起こる可能性が高いという事」

女剣士「そんな事は」

摂政「ない、とでも? どうせ今回の一件で貴女を手引きしたのも私の敵対派閥、軍部の武断派でしょう?」

女剣士「……それが?」

摂政「残念ながら、連中は貴女を殺戮兵器としか見ていません」

女剣士「そんな事は百も」
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:34:30.34 ID:Y4zEJpMto
>>187修正

摂政「……褒めているつもりなのですが。まぁ、とにかく、今の貴女は、大事な事をいくつか見落としていらっしゃるようです」

女剣士「黙れっ!!」

摂政「まず、今の情勢で私が斬られれば、戦争が再び起こる可能性が高いという事」

女剣士「そんな事は」

摂政「ない、とでも? どうせ今回の一件で貴女を手引きしたのも私の敵対派閥、軍部の武断派でしょう?」

女剣士「……それが?」

摂政「残念ながら、連中は貴女を殺戮兵器としか見ていません」

女剣士「そんな事は百も」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:34:56.69 ID:Y4zEJpMto

摂政「承知でしょうとも。しかし、連中は貴女を再び戦場に送り込むつもりですよ。それでもよろしいのですか?」

女剣士「その時は、戦争を起こす前にわたしが奴らを」

摂政「斬りますか。では、その政治的空白へ、連邦の主戦派が付け込んできた時は如何なさるおつもりです?」

女剣士「! それは……っ」

摂政「講和派筆頭である私を斬るという事は、すなわちそういう事です。それに……」

女剣士「なに?」

摂政「貴女のような素敵な女性に、これ以上無益な殺人をさせるというのも、どうかと思うのですよ。。。」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:35:37.50 ID:Y4zEJpMto

女剣士「……余計な、お世話」

摂政「その“余計なお世話”が高じて、今は摂政など勤めております」

女剣士「変人」

摂政「よく言われますねぇ」

女剣士「変態」

摂政「褒め言葉と受け取っておきましょうか」ニコッ

女剣士「…………」プイッ
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:36:20.92 ID:Y4zEJpMto

摂政「余計なお世話ついでに、この変態めがもう一つ」

女剣士「何を今更……」

摂政「もし貴女が剣を振るうとしたら、これからは権力のためではなく、戦争を起こさない為に振るうべきだと思いませんか?」

女剣士「…………」

摂政「そして私なら、そのお手伝いをする事が出来るはずです」


女剣士「……わたしを部下にしたいの?」

摂政「くつくつ、やはり貴女は頭の回転が速い。しかし、今のは少し性急でした」

女剣士「?」

摂政「貴女を、目的を共にする“同志”としてお迎えしたいという事です」
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:36:53.09 ID:Y4zEJpMto

女剣士「……同志?」

摂政「確かに私は、貴女にだったら殺されてもいいと思っています」

摂政「が、しかし、それは今ではない。戦争を終わらせた私には、この國の平和を確立させる責任がある」

摂政「それまでの間だけでも、貴女のお力をお借りしたい」

女剣士「……貴方が裏切らないという保証は?」

摂政「その時こそ、私を斬っていただいて構いませんよ」

女剣士「!?」

摂政「同志とは本来そういうもの、そして貴女にはその権利がある」
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:39:58.09 ID:Y4zEJpMto

女剣士「……もしそれをわたしが了承して、すぐに貴方を斬り捨てたら?」

摂政「貴女はそのような方ではありませんから」

女剣士「何故そう思う?」

摂政「今、私斬れば再び戦争が起きるでしょう。しかし、貴女はそれを望むはずがない」

女剣士「そんな、ことは、」

摂政「いいえ。でなければ、“彼女”の悲劇が繰り返される事になる。貴女はそれを悲しんでいるからこそ、私を斬ろうとしたのですから」

女剣士「…………」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:40:42.64 ID:Y4zEJpMto

摂政「貴女もこれ以上、血に塗れる必要はないはずです……おおっと、10分どころか、30分も経ってしまいましたね」ガタ

女剣士「…………」

摂政「気が変わったら、お呼びください。その時またお会いしましょう」ペコリ

女剣士「…………っ」

摂政「ではまた」 テクテク

女剣士「…………まって!」

摂政「はい、なんでしょう?」クルリ
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:41:11.36 ID:Y4zEJpMto

女剣士「……本当に、平和な國に出来るの?」

摂政「ええ、貴女のお力添えをいただければ、より確実に」

女剣士「…………そう」 フゥ

摂政「……お受けいただけますか?」

女剣士「勘違いしないで。貴方を信用したわけじゃない」キッ

摂政「それで結構。貴女は貴女の信じるところを信じてください」


女剣士「それと、さっきの言葉を裏切ったら……その時は必ず、斬る」

摂政「望むところです」ニッコリ

196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:41:52.68 ID:Y4zEJpMto
*現在、帝都公邸、摂政執務室にて

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               ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

摂政「……あれから、貴女とも随分長い付き合いになりましたねえ」

女剣士「……ええ」

摂政「これは、今もなお私が貴女を裏切らずに済んでいる、と考えてもよろしいのでしょうか?」

女剣士「……」コク

摂政「そうですか……長い間、そんなになってまで、貴女はよく頑張ってくれました」
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:43:20.50 ID:Y4zEJpMto

女剣士「……光栄です」

摂政「しかし、貴女もそろそろ自分の幸せを考える頃合だ」

女剣士「……?」

摂政「その体で戦い続けるのは難しいでしょう。よろしければ、何方か御相手を紹介したいと思いましてね」

女剣士「……お気遣い無く」

摂政「おや」
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:43:47.68 ID:Y4zEJpMto

女剣士「わたしにはまだやる事がありますから」

摂政「やる事、とは?」

女剣士「わたしの弟子が独り立ちできるまでは、引退するつもりはありません」

摂政「そうですか……ふふ、いや、その方が貴女らしいかもしれませんねえ」

女剣士「…………」

摂政「そろそろ私も“弟子”を鍛えに行くとしましょう」

女剣士「弟子?」



皇帝「摂政!」ガチャッ
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:44:14.95 ID:Y4zEJpMto

摂政「おかえりなさいませ、陛下。本日の外出は如何でしたか?」

皇帝「うむ、今日はな─────」





女剣士「……なるほど」


おわり
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 16:47:11.01 ID:Y4zEJpMto
VIPに貼ろうかと思って何回かスレ立てしたけど、さる規制がウザかったからこっちに立てた
感想が欲しい


あと、「別にどこが悪いってわけじゃないけど面白くない、つまらない」ってよく言われるんだけど、何故なのかよくわからない
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/18(日) 17:03:38.29 ID:k3R+C4r00
ざっと流し読みしただけだけど

いいとこ
時代背景やもってきかたはいいと思う。ちゃんと色がついてる。

直すとこ
キャラが弱い。オリジナル作品なんだからもっと個性があっていいと思う。
地の文が少なすぎかと思うけど、ssだからまあ……。ただ、淡々とした一文があるだけで物語に波ができる。
>>114のピーはE-mail蘭にsagaをいれると直る。詳しくはss製作者総合スレを見ろ
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/11/18(日) 17:51:46.69 ID:NFyiojPB0
書き溜めがされていたのでスムーズに読めて良かった。
内容もやや渋めだけれど、個人的には好き。

やや渋めの内容のため、vipではノリが合わない人が結構いる。
落ち着いて読む人が居る、こっちの板の方が合いそう。
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/18(日) 19:00:11.62 ID:n7+nEiZSO
さらーっと読めた
面白かったよ

乙乙
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/11/18(日) 19:45:58.67 ID:QNPGP4MAO
確かにつまらんな

笑いどころも抜きどころも何もないまま淡々と進んでくし、たまに入れてるギャグも滑ってる
世界観や設定は作り込んであるのかもしれないが、情景描写の出来ない台詞系でやっても…っていう
一見綺麗に整ってるからどこが?ってのはイマイチ出てこないが、お行儀はいいけど色気がない印象
205 : ◆aec3.rfLtA [sage]:2012/11/18(日) 21:22:41.62 ID:7okjJDlb0
すごいイメージが広いから、ちょっと工夫するだけですごい面白くなると思うよ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/19(月) 11:56:41.35 ID:XYDvai1SO
以上、読者様の提供でお送り致しましたー
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/11/19(月) 13:23:04.79 ID:Aa5oYjmlo
乙様です

普通に面白かったと思うけど?
超大作にして投げ出すよりはこの位のをポンポン書いてもらったほうが読む方は嬉しいですね。
上でも言ってるけどVIPだともってぶっ飛んだ奴じゃないと受けは悪いと思います。
そういう意味でもかなり王道展開なので次は多少縛り入れて書いてみたら面白いかもしれないと思いました。
次作期待しつつ。
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/19(月) 20:55:35.06 ID:E/JBctAxo
面白かったけど個人的にはssなのにAA入れるのはどうなのって思う
AAじゃなくて地の文で表現できればより良いと思ったよ
209 : :2012/11/20(火) 00:26:45.46 ID:zPOM6GC6o
みんなありがとう

>>201
キャラが弱いのか。確かに“無口”の割に女剣士はよく喋るなぁと思ったし、男剣士と摂政のキャラが若干被ってる気がする
ただ、少女の糞中坊っぷりはわりとよく書けたと思う

>>202
「個人的には好き」ってのもよく言われるが、読み物が好きな人は好きになりやすい気がする

>>203
ありがとう

>>204
ギャグセンスと発想力がないのは元から
「行儀はいいけど色気がない」というのはまさに言い得て妙
210 : :2012/11/20(火) 00:27:20.43 ID:zPOM6GC6o
>>205
実は書いてない裏設定が結構ある。その内、続きも書きたい

>>206
読者様を満足させられる物が書けたらいいなと思う

>>207
縛り、ってどんなの
次書く事があったらVIPにスレ立てるか、ここに貼るつもり

>>208
VIPに立ってたSSスレで「どいつもこいつも似たり寄ったりでつまんねぇ、AA入れるくらい破天荒な事をしたら評価してやってもいい」ってレスがあったから、AA付けたら面白いんじゃないかと思った
ただ、VIPに立てた時も「AA要らねえ、表現が独りよがりでわけわからん」って言われたから、今後はもっと減らす
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/11/20(火) 00:30:33.72 ID:zPOM6GC6o

余談だけど、脳内テーマ曲は特撮の『五年後の世界』、fripsideの『future gazer』、JAMproの『守護神』、KOTOKOの『PrincessBrave』

各登場人物それぞれに元ネタがあるんだけど、それがわかった人とは多分仲良くなれると思う
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/20(火) 21:13:43.05 ID:OCwxRoHOo
基本ここに書き込む奴は
接頭辞が個人的にが付くからきにすんな
個人的におもしろかった
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/12/01(土) 15:41:27.34 ID:GBQ3nFb8o
おつかれちゃん
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/02(日) 12:01:09.98 ID:GGEdRegKo
やめなきゃいいのができるよ
頑張ってくれ
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/16(日) 18:39:03.60 ID:vqQcTRWCo
頑張らない
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