本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2

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761 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/02/28(木) 22:02:31.87 ID:qFtfRU3L0
未央「2月28日ってさ」

P「ん?」

未央「2+28だから……30だよね?」

P「『だよね』って言われても困るが」

未央「つまり……私の日なのでは?」

P「こじつけがひどい」

未央「えー。ここは『そうだな!』って乗ってくれないと」

P「そうだな。未央の日だな。で、未央の日だったらなんなんだ?」

未央「なんかうれしい」

P「……そうだな」

未央「あ、プロデューサーってば、なに笑ってるの? ちょっと失礼じゃないかなー」

P「悪い悪い。でも、その理屈なら毎月未央の日がありそうだな」

未央「うんうん。だから毎月未央の日は未央ちゃんをかわいがらなければなりませんなー」

P「どうしてそうなる」

未央「かわいがってくれないの?」

P「……それはちょっとずるくないか?」

未央「ふむふむ……今のはプロデューサーに効果的、っと」

P「学習するな」

未央「わかってないなぁ。こういった地道な努力が実を結ぶのだよ」

P「何の実だよ」

未央「愛の実? なんちゃってー。……そう言えば、アイスの実っておいしいよね」

P「いきなりだな。まあ、おいしいけど」

未央「この季節にする話じゃないかな?」

P「冬に食べるアイスがおいしいとか、前に言ってたことなかったか?」

未央「言ってたような、言ってなかったような……でも、冬こそアイスっていうのはあるよね。夏は夏で、もちろんおいしいんだけど」

P「夏よりも溶ける心配が少ないしな」

未央「それも重要なポイント! うーん……こんな話をしていたからか、あったかい部屋でアイスを食べたくなってきたような……ちらっ」

P「はいはい。じゃあ買って帰るとしますか」

未央「しまーす♪」
762 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/02/28(木) 22:03:02.99 ID:qFtfRU3L0

――コンビニ

P「アイス以外に何か買うか?」

未央「いいの? それなら……しょっぱいものかな?」

P「甘いものにはやっぱりしょっぱいものって?」

未央「そうそう。アイスなら……あったかいものならもっといいかな?」

P「つまりホットスナック系か」

未央「そういうことに……なりますねぇ……」

P「何のノリだよ。……ホットスナックな。未央なら」

未央「フライドチキン!」

P「だよな。べつに決まってるわけじゃないんだろうが」

未央「実際、違うの食べることもあるからねー。でも今日のところはフライドチキンで」

P「ん。俺は……肉まんとかにしとくか」

未央「はんぶんこ?」

P「するする」

未央「フライドチキンもはんぶんこ……は、しにくいか」

P「俺はべつにいいぞ? 気にするなって」

未央「そう言われても気にしちゃうのが未央ちゃんだったり。……ポッキーゲームみたいな感じで反対側から食べる?」

P「フライドチキンで? それなら切り分けたほうがいいだろ」

未央「それかもう二個買っちゃうとか」

P「あー……それがいいかもな。量があるわけでもないし」

未央「そのぶん夜は少なめにしなきゃだけどね?」

P「わかってるわかってる」

未央「ほんとかなー? プロデューサーも健康には気を遣わなくちゃダメだよ?」

P「食べないよりはマシだろ? ……ごめんごめん。本当に、ちゃんとするよ」

未央「……うん、よろしい。って、そんなこと言っといてこれから買おうとしているものはぜんぜん健康によろしくないものなわけですが」

P「それは言うな」
763 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/02/28(木) 22:14:50.20 ID:qFtfRU3L0

――

未央「まずはやっぱりしょっぱいのから?」

P「かな。ほれ、肉まん」

未央「ん、ありがと。……冬って、肉まんの季節かもね」

P「冬と言えばコンビニの肉まんって?」

未央「うん。ふたつに割って湯気がぶわーって上るところとか、冬だなーって感じしない?」

P「わからなくもない。高校生とかが買い食いしてるイメージがなんか強いな」

未央「漫画とかアニメとかで?」

P「漫画とかアニメとかで」

未央「……プロデューサーにはそういう経験」

P「あると思うか?」

未央「ですよねー。未央ちゃんも……ないわけじゃない? かも」

P「未央はありそうな気もするな。いつもいつもフライドチキンってわけでもなかっただろうし」

未央「……羨ましい?」

P「いや、べつに。今更だろ」

未央「まあまあ、今日のところは未央ちゃんがいっしょにいるんだから、そんなに落ち込まないでってー」

P「落ち込んでないんだが……これ言うと『またまた〜』とか言われそうだな」

未央「またまたー」

P「本当に言うなよ……」

未央「いや、今のは言うでしょ。明らかにフリだったじゃん」

P「じゃあどうすればよかったんだよ……」

未央「あの状況になった時点で詰みだよね。肯定したらそのまま進む、否定したら『逆に怪しい』とか言われて進む……ほんと、どうすればいいんだろうね?」

P「だいたい否定しようもないことだったりするしな。否定するための証拠を出せない」

未央「困るよね」

P「俺は現在進行系で困ってるけどな」

未央「えへへ」

P「えへへじゃない。……いつまでもこんなこと言ってると冷めるな。さっさと食べるか」

未央「そだね。じゃあ、いただきます」

P「いただきます……って、こういうのに言うか?」

未央「細かいことは気にしなーい」

P「……それもそうだな」

未央「……ん、おいしい。スナック感覚で食べれるこの味がまたいいよね」

P「本格的な中華まんとはまた違ったジャンルだよな」

未央「そうそう。……じゃ、次はフライドチキン……フライドチキン!」

P「んっ。……いきなりなんだよ、びっくりしたわ」

未央「いやー、やっぱりやっておかなきゃいけないと思いまして」

P「何をだよ……」

未央「……ふむふむ、やはりここのフライドチキンは他のコンビニのより塩気の強い味わい……」

P「食べてるし。……俺も食べるか」

未央「……」モグモグ

P「……」モグモグ

未央「……ふたりとも食べてたら黙っちゃうね」

P「食べてるからな……」
764 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/02/28(木) 22:15:18.55 ID:qFtfRU3L0
未央「それじゃ、最後はアイス!」

P「実?」

未央「実! 今日のはカフェオレ味!」

P「お、その味か。俺の好みだ」

未央「お? じゃあプロデューサーから食べる? あーん」

P「べつに未央からでもいいが……まあ、もらうよ」

未央「あっ! ……『あーん』って言わずにとった」

P「言う必要ないだろ? ……うん、やっぱりうまい」

未央「必要はないけどさぁ……私も食べよ」

P「食感が良いよな。外側……皮の部分と中の部分で違っていて、それがまた楽しくおいしい」

未央「ふぉれふぉれ」

P「口にもの入れたまましゃべるなよ…‥」

未央「んぅ……それそれ。この食感が絶妙なんだよねー。味によっても違う気はするけど……この味はほんとに『カフェオレ』って感じがするね。口の中にカフェオレ味がやさしく広がって、なんか落ち着く」

P「果物の印象は強いし実際果物のもおいしいんだが、この味はいいよな。個人的ヒットかもしれない」

未央「お? 買いだめしちゃう?」

P「割と迷うな……」

未央「おおう、迷うレベル。ほんとにヒットしてるんだね」

P「ホームラン級だな」

未央「ヒットを超えた……」

P「でも、あんまりアイスを買ってもアレか……」チラッ

未央「ん? ……ああ、そゆこと。私はべつにいいと思うよ。節度を守れば。アイスってあんまり賞味期限とか関係ないって言うし、ゆっくり食べれば」

P「健康には良くないかもしれないが」

未央「食べ過ぎれば、でしょ? ……そうだ、プロデューサーが食べるときは私もいっしょに食べるってことで。それならプロデューサーも体調を崩すほどは食べないでしょ?」

P「それ、未央が食べたいだけじゃ」

未央「それは言わない約束で」

P「……うん。じゃあ、そうさせてもらおうかな。ありがとな、未央」

未央「どういたしまして。……でも、ほんとにおいしいね。落ち着く味」

P「ああ。……落ち着く」



765 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/02/28(木) 22:19:16.62 ID:qFtfRU3L0
これにて今回は終了です。
短いですが今月中に一度は、と思いまして……。

このアイス好きです。どの味もおいしい。食感が良いですよね。うまいなぁって思います。

最近色々とアレなので未央にいやされたいです。みおみおみお……。

ありがとうございました。
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 17:42:29.26 ID:Vzlop5YCo
767 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/05/19(日) 21:06:13.37 ID:THD5E2Sp0
未央「やむちゃかぁ……」

りあむ「りあむちゃんだよ! あの未央ちゃんにも名前を覚えてもらえてないなんて……やむ……でも覚えてくれるならやむちゃでもいいかも……」

未央「いや、りあむちゃんのことを言ってるわけじゃなくてね? 飲茶、食べたいなーと思って……まあ、りあむちゃんを見て連想したのは確かだけど」

りあむ「ぼく、食べられる!? ……未央ちゃんにならいいかも」

あきら「ダメでしょ。何言ってるんデスか、りあむサン」

未央「お、すなちー。おつかれー」

あきら「お疲れ様デス」

あかり「お疲れ様です!」

未央「あかりんごも。辻砂夢勢揃いですなー」

あきら「#辻砂夢 #何」

未央「違った? なんか、よくいっしょにいるイメージだから……」

りあむ「!?!!?!?!?! ぼ、ぼくと、ふたりがよくいっしょにいるイメージ……? ま、マジか……そんなことが……」

あかり「確かに、ふたりとはよくいっしょにいるかも……? でも、辻砂夢……あんまりかわいくないような……りんごとも関係ないし」

未央「じゃあ、りんごマスク餃子」

あきら「自分、マスクなんだ……」

未央「りんごサメ餃子」

あきら「#サメ要素 #歯だけ」
768 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/05/19(日) 21:07:06.91 ID:THD5E2Sp0
未央「ユニット名とか、あればいいんだけどねー。……ユニット組む予定、ある?」

P「ライブ用のユニットなら一回組んだけどな。『ネクストニューカマー』で」

未央「アレはちょっと違くない? わかってて言ってるんだろうけどさー」

あかり「あ、プロデューサーさん! お疲れ様です!」

あきら「お疲れ様デス」

りあむ「Pサマ! ちょ、ちょいちょい、来て」コソコソ

P「? ……なんだよ」

りあむ「ぼ、ぼくとあかりちゃんとあきらちゃんって、どう思う? 仲良く見える? どう? どう? い、いや、ぼくなんかと仲良く見えるなんて言ったらあかりちゃんとあきらちゃんに失礼かもって思うんだけど未央ちゃんがよくいっしょにいるイメージって言ってたからもしかしてと思って……ぼ、ぼく今恥ずかしいこと言ったかな? 的外れなこと言った? まったくそんなことないのに勝手に思い上がって調子に乗っちゃったかな? な? そ、そうだよね、ぼくなんかが誰かと仲良くできるわけないよね……やむ……」

P「やむな。りあむ、お前は、本当……人の話を聞く気がないな。口を挟む間もなく自分の中で自分にとって都合の悪い結論をつける。予防線のつもりかもしれないが、悪い癖だな」

りあむ「……しょうがないじゃん。ぼくだって、こんな自分にはなりたくなかったよぅ」

P「ならまずは人の話を聞け。……あかりとあきらとりあむは、俺の前から見ても仲良く見えるよ。『ぼくなんかと仲良く見えるなんて言ったら失礼』って、それこそふたりに失礼だろ」

未央「そうそう。それに、私ももうりあむちゃんとは友達だと思ってるし! 私よりもいっしょにいるあかりんごとすなちーがそう思ってないわけないじゃん? ね!」

あかり「は、はい! りあむさんとは、友達だと思うんご!」

あきら「……まあ、友達なんじゃないデスかね。こういうこと改めて言うのって、ちょっと恥ずかしいデスけど」

りあむ「ふ、ふたりとも……! 良い子すぎる! 天使か!? アイドルか!? いやアイドルだった! 推せる!!!!!!!」

P「友達じゃなくてファンになっちゃったよ」

未央「まあ、りあむちゃんらしいと言えばらしい……のかな?」
769 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/05/19(日) 21:08:21.21 ID:THD5E2Sp0
りあむ「……一安心したら、なんかお腹へってきた」

あきら「……は?」

りあむ「Pサマ! どっか連れてって!」

P「お前……べつにいいんだが、あかり、どこがいい?」

あかり「私!? なしてや! あ、じゃなくって、なんでですかっ?」

P「やっぱりラーメンか?」

あかり「ど、どうしてラーメン……好きですけど」

未央「そう言えば、この前も三人で行ったって言ってたっけ?」

P「ん、そうか。ならラーメン以外のほうがいいか?」

あかり「わ、私は、ラーメンでもいいんご!」

あきら「自分もべつにいいデスよ。映える店?」

P「『映える』店、か……なら、候補はあるな。餃子もおいしい」

りあむ「餃子!」

未央「餃子かー。ちょうど食べたかったんだよね。やむちゃだし」

りあむ「……未央ちゃんに『食べたかった』って言われると、なんか照れるな?」

P「何がだよ……」

あきら「それで、行くの? ラーメン屋」

りあむ「行く!」

あかり「行きます!」

未央「行こー!」

P「満場一致だな。……行くか」
770 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/05/19(日) 21:08:53.35 ID:THD5E2Sp0

――店の前

あきら「ん、いいカンジ」

あかり「わぁ……おしゃれな店……さすが都会……」

りあむ「……こ、ここ、ぼくが入っていいやつ? 門前払いとかされないかな? な!?」

未央「されないって。さあさあ、五名様ご案内〜♪」

P「なんでお前が案内してるんだよ」
771 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/05/19(日) 21:10:31.02 ID:THD5E2Sp0

――店の中

未央「ラーメンの種類としては……醤油? なんか、変なメニュー名だけど」

りあむ「あ! ぼく知ってる! こういうの意識たかもごごごご!」

P「りあむ、お前な……」

あきら「#炎上 #不可避」

あかり「え? え? りあむさん、どうしたんですか?」

未央「あかりんご、君は知らなくてもいい……君には綺麗なままでいてほしい……」

あかり「……?」

P「まあ、それはそれとして、だ。メニューは何にする?」

りあむ「そのメニューがよくわからないんだけど……」

未央「んー……ぜんぶ醤油だけど、種類としては醤油の濃さ? あと、ベースのスープとかも違うのかな。説明だけじゃ、よくわからないけど」

P「未央の言う通り、大まかに言えば醤油の濃さの違いだな。定番はいちばん最初に書いてある淡麗の……いちばんあっさりしたスープか。初めて食べるなら俺もこれだと思う」

りあむ「Pサマが言うならそれで。あと餃子も!」

あきら「異議なし。自分もそれで」

あかり「あっ、私もそれでお願いするんご!」

未央「んー……他のも気になるところではあるけど、私もそれかなー」

P「わかった。りあむ以外は、餃子はどうする?」

りあむ「餃子だよ? 食べたほうがいいよ! Pサマがおいしいって保証してるんだもん! たぶんおいしいよ! ……あ、もしもそんなにだったとしてもぼくは責任とらないけどね。そのときはPサマのせいと言うことで……」

P「……まあ、俺のせいでもいいが、どうする?」

あかり「おいしいなら、食べたいなぁ……」

未央「私も!」

あきら「……自分はマスクがあるからいいけど、においとか、気にしないの?」

あかり「あっ」

りあむ「……ぎょ、餃子って、そんなににおいするものかな? な? ぼく、もしかしていつも餃子くさかった? めっちゃやむ!」

未央「ここのはにんにく入ってないみたいだよ? たぶんにおいは大丈夫なんじゃないかなー」

りあむ「にんにく入ってないんだ……個人的にはそういう気遣いよりも味重視がいいかも……」

P「お前……いや、気持ちはわからなくもないが、入ってなくてもおいしいからな?」

あきら「それで、結局どうするんです? みんな餃子は……頼むってことね。それじゃ、注文しますか。すみません」

P「んっ……先に言われた」

あかり「あきらちゃん、物怖じしなくてすごいんご!」

あきら「#店員さん #呼んだだけ」

りあむ「ぼくはむりだが……?」

未央「無理なんだ……」
772 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/05/19(日) 21:11:32.67 ID:THD5E2Sp0

――

未央「お、来た来た」

あきら「……映えてる」

あかり「す、すごい丼に入ってるんご……なんか、縦長い……?」

りあむ「食べにくそう」

P「それは否定できない」

未央「ん、餃子も……塩で?」

りあむ「塩……塩かぁ……まあ、なくはないかな」

P「何目線だよ」

あきら「映えてる」

未央「すなちーめっちゃそれ言うね? まあ、私も写真は撮るんだけどー……みんなも入る? プロデューサー以外」

あかり「入るんご! あ、私のでも写真撮ってほしいです……」

りあむ「えっえっ、ぼ、ぼくも入っていいの? 邪魔にならない? 画面の中にこんなピンク入ってたら邪魔にならない?」

P「そうだな。目立つかもな」

りあむ「ぼくも入らせてほしい!!!!!!!!!!!!!!!!」

あかり「了解。それじゃ、撮るよ。……」パシャ

未央「お、すなちーの写真はそういう感じかー……未央ちゃんも負けてはいられません。それじゃ、未央ちゃんバージョン……さん、にー、いち……」パシャリ

P「……うん、うまい」

りあむ「あー! Pサマもう食べてる! ぼくも食べたい! なんかめっちゃいいにおいするし! 伸びちゃうし!」

未央「そだね。それじゃ、私たちもいただきますか」

あかり「いただきます!」

あきら「……いただきます」

りあむ「んー! これめっちゃおいしい! 正直どうなんだろうって思ってたんだけど、意識高いだけあるな! おいしい……しゅき……」

あきら「……りあむサン」

りあむ「え、え? なに? ぼ、ぼくもいただきます言ったよ? みんなより早かったかもだけど、それはPサマもいっしょだし……なんだよぅ!」

あきら「いえ……特には」

りあむ「それ絶対何かあるやつだよね! ぼく知ってる! めっちゃやむ!」
773 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/05/19(日) 21:12:26.80 ID:THD5E2Sp0
あかり「ふわぁ……これ、うんめなぁ……」

あきら「……」

あかり「……はっ! じゃ、じゃなくって、おいしい! すっごくおいしいです! さすが都会のラーメン……! 都会って感じの味がします!」

あきら「#都会って感じの味 #何」

未央「まあまあ、すなちーも早く食べなよ。ほんとにおいしいよ?」

あきら「……それじゃ、自分も。まずは、スープから。……」ズズ

あきら「……ん! 確かにおいしい!」

あかり「……えへへ」

あきら「……いきなり笑って、どうしたの?」

あかり「え? えっと……あきらちゃんがおいしそうに食べてるから、良かったなって」

あきら「……そういうこと言うのは、ちょっと恥ずかしいと思う」

あかり「えっ!? だ、ダメだった?」

あきら「……そんなこと、ない、けど。……恥ずかしいだけで、嬉しい、かも」

あかり「……そ、そっか。それなら、よかったんご!」

あきら「#んご #台無し」

あかり「なしてや!?」

りあむ「……と、尊い。いや、ちょっと意味違うけど……顔が良いアイドルと顔が良いアイドルが仲良くしてると、やっぱり……良い……しゅき……」

未央「……この三人って、いっつもこんな感じ?」

P「そんなことは……あるかもなぁ……」

未央「でも、このラーメンは本当においしいね。どちらかと言うと『甘い』系のスープかな。甘みは旨みって言うけど、このスープはそんな感じするね。甘いのは甘いんだけど、くどいわけじゃなくて……嫌味がないと言うか? とにかく、おいしい」

P「飲んですぐに『おいしい』ってわかる系のスープだよな。口に入れた瞬間に口の中に旨味が広がる。ここ最近の流行と言えば流行だな。俺は好きだが」

未央「私も好き。まあ『流行』って言っても最近のラーメンにも色々あるらしいし?」

P「確かに色々あるな。淡麗系のスープもよく見るが、それ以外にも」

未央「それ以上は話が長くなりそうだから終わりで」

P「……はい」

りあむ「ん! 餃子、思ったよりおいしい! 塩ってどうなんだろうって思ってたけど……これは、そもそも餡がおいしいのかな。塩をつけなくてもおいしそうだけど……でも、塩分っておいしいからなー。これはこれで大事っぽい。ぼくの思う『餃子』とはちょっと違うけど、これはこれでアリだなー」

あきら「……うん。確かに、この餃子はいいかも。ラーメンの味とも合ってるし」

あかり「んめなぁ……」

P「御眼鏡に適ったようで何よりだ。俺は塩多めに付けるのが好きなんだが……こう視覚化されると塩分が気になりもするんだよなぁ……」

未央「プロデューサー、すっごくスープ飲んでるけど?」

P「スープは塩が見えないから……」

未央「……ね、プロデューサー」

P「……なんだ?」

未央「健康に、気をつけよう!」

P「……善処します」
774 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/05/19(日) 21:13:43.20 ID:THD5E2Sp0

――店の外

りあむ「はー……おいしかった……しあわせ……これ、夢か……夢なのか……? 幸せ過ぎてこわい……」

あきら「現実」

あかり「プロデューサーさん! 今日はありがとうございました! とってもおいしかったんご!」

P「どういたしまして。よろこんでくれたなら良かったよ」

未央「うむ! 三人とも、これを糧に、明日からも頑張るのじゃぞ!」

P「誰だよ……」

あきら「#誰」

未央「本田未央ちゃんだよ! 私をすこれよ?」

りあむ「それぼくのやつ! ……いや、ぼくのやつではないか……」

未央「りあむちゃんのことは私がすこるよ!」

りあむ「……!? ま、マジか……嘘じゃない……? 嘘だったらめっちゃやむよ……?」

未央「ほんとほんと。未央ちゃんウソツカナイ」

あきら「#つきそう」

未央「ウソジャナイヨー。未央ちゃんほど信頼できる人は他にいないって評判ダヨー」

あきら「誰に」

未央「あーちゃんとか」

あきら「あー……」

未央「しぶりんにはよく怒られるけど」

あきら「#嘘ついてそう」

P「それで、あかりたちはこれからどうする? 何も予定はなかったと思うが……」

あかり「とりあえず女子寮に帰って……うーん、どうしようかなー」

あきら「……ゲーム、やる? 確か女子寮に多人数用のがあったはずだし」

あかり「いいの? 私、あんまりゲームは得意じゃないと思うけど……」

あきら「自分も専門のゲームじゃないし……大丈夫だと思うけど」

あかり「そ、それならお願いするんご! えへへ……楽しみだなぁ……」

りあむ「……チラッ。……チラッチラッ」

あきら「……りあむさんも来ます?」

りあむ「いいの!? ぼ、ぼく、女子寮組じゃないけど……Pサマ!」

P「申請すれば問題ない」

りあむ「……申請か……」

P「……やっとくから行っとけ」

りあむ「さすがPサマ! P神!」

あきら「#P神 #何 #ダサい」

P「あーもう。うるさい。三人で何のゲームするかでも話しとけ」

りあむ「Pサマが怒ったー。ふたりとも。逃げよう!」

あきら「撤退の見極めは大事」

あかり「んご!」

タッタッタ……
775 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/05/19(日) 21:14:45.90 ID:THD5E2Sp0
未央「おおー、行ってる行ってる。若いっていいですなぁ」

P「未央も若いだろ。体力も今なら未央のがあるだろうしな」

未央「先輩面したいだけですから」

P「先輩面したいだけって言っちゃったよ」

未央「……プロデューサーは、ゲーム、しないの?」

P「さすがに女子寮までは行かないって」

未央「ふぅん……事務所の休憩室で、私とゲーム、する?」

P「時間があれば」

未央「素直じゃないなぁ。したいならしたいって言えばいいのに。思ってるだけじゃ伝わるものも伝わりませんよ?」

P「じゃあ、したい」

未央「いきなり『シたい』なんて……プロデューサー、強引すぎるよっ」

P「は?」

未央「マジトーンはやめて」

P「未央がいきなり変なこと言うからだろ……」

未央「……私は、プロデューサーとしたいな」

P「……は?」

未央「ゲームっ! あはっ、プロデューサー、顔赤くなってるよ? いったい何と勘違いしたのかなー?」

P「……今のは明らかに未央が悪いだろ」

未央「責任転嫁はよくないなー。……プロデューサーのえっち」

P「……えっちだよ」

未央「……え?」

P「俺はえっちだよ。悪いか?」

未央「ひ、開き直った……!?」

P「未央はどうなんだ? えっちじゃないって言えるか?」

未央「私は……まあ、えっちですけど?」

P「恥ずかしくないのか?」

未央「それをプロデューサーが言いますか?」

P「……」

未央「……」

P「……ふっ」

未央「……あはっ」

P「いったい何を言い合ってるんだろうな」

未央「ほんとほんと。ふたりしてえっちって言い合って……どんな会話だよー、ってね」

P「……そろそろ急がないと、あいつらに追いつけなくなるな」

未央「だね。それでは……競争だーっ!」

P「走るほどじゃないと思うが……まあ、いいか。あいつらを追い抜かしてやろう」

未央「お、プロデューサー、やる気だね? 私は負けないよ?」

P「俺も負ける気は……ない!」

未央「ふっふっふ……勝負相手として不足なし! よーい……どん!」



776 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/05/19(日) 21:17:07.83 ID:THD5E2Sp0
これにて今回は終了です。
お久しぶりです。めちゃくちゃ久しぶり。書き始めたらそこそこ早いんですけど……なかなか。
今回はあかり→ラーメンで夢見→餃子ってことでラーメンと餃子です。あきらちゃんごめんね。
次回は……いつになるかなぁ……わからないです。

ありがとうございました。
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/20(月) 03:27:45.58 ID:sj/JAL0so
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/21(火) 13:51:26.53 ID:I+IQ+0du0
さて、シリーズで一番豪華な食事に行くことになるのかな?
779 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/07/25(木) 04:23:40.89 ID:sq4+Xz6k0
未央「……えへへ」

P「どうした? 未央」

未央「んー? ……いやー、シンデレラガールなんだー、と思って」

P「まだ慣れないか?」

未央「実はね。ちょっとだけ。でも、みんなが応援してくれたから……だもんね。『私はシンデレラガールなんだー!』って気持ちでいたいとは思っています」

P「弁護士にアドバイスもらって言質とられないよう言葉選びに気をつけてる会見みたいな言い方だな」

未央「そう言うプロデューサーは芸人のマネをしようとして会話の中で下手なツッコミをしようとしてる素人さん」

P「おまっ……それ、本気で傷つくやつだろ……」

未央「傷ついちゃった? ミオニウム補給する?」

P「どうやって?」

未央「とある筋からの話だと、この髪の外ハネをぴょんぴょんすると放出されるみたい」

P「どの筋だよ……と言うか自分の身体のことだろ」

未央「それとも、ぎゅーっと抱きつく、とか」

P「それはなし」

未央「えー」

P「『えー』じゃない。……この後の予定だが」

未央「ごはん? ……シンデレラガールですし、豪華なものだったり」

P「しないな」

未央「お、しないんだ。プロデューサーのことだから、なんかすごいもの用意してたりしてくれるのかなーと思ってた。プロデューサー、そういうの好きだし」

P「もうこれ以上ないものをしたつもりだからな。俺だけじゃないが……あれ以上のものをっていうのは無理だろ」

未央「……そだね。たとえどんな店だって、あのとき以上のものはないと思う」

P「だろ? 俺は勝ち目のない勝負はしない主義なんだ」

未央「それは懸命な判断です。……それはそれとして」

P「ごはんは食べたい?」

未央「それそれ。プロデューサーわかってるぅー」

P「そりゃな。……何が食べたい?」

未央「んー……それじゃ、ひとりとか、みんなとは、ちょっと行きにくいところ……とか」

P「それは、つまり」

未央「つまり、プロデューサーとふたりじゃないと行きにくいところ、かな」

P「……わかったよ。それじゃ、そういうところで考えてみるか。シンデレラガールを連れて行くには不相応かもしれないが」

未央「未央ちゃんを連れて行くには?」

P「……だな。ごめん未央。変なこと言ったな」

未央「構いませんとも。、まあ、おいしくないお店だったら構うかもしれませんけど?」

P「それなら安心してくれ。俺が保証する。絶対うまい」

未央「お、プロデューサーがそこまで言うとは……これは期待ができるかも」

P「未央の俺のイメージはなんなんだよ」

未央「不用意に言質とられないよう断言を避けがちなインターネットがうまい人」

P「それ本気で傷つくからやめてくれないか?」
780 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/07/25(木) 04:24:20.66 ID:sq4+Xz6k0

――店の前

未央「中華ですか」

P「中華だな」

未央「街の中華料理屋さん……お昼なら大丈夫だと思うけど、確かに夜は……地元のとかじゃないと、ちょっと入りにくいかも?」

P「入れる人は普通に入れるとは思うんだが……」

未央「それを言ったらどの店でもそうでしょ? 私がどうか、って話だもん。変なところで不安にならないの」

P「性分なんだよ」

未央「知ってる。だから言ってるの」

P「いつも悪いな」

未央「それは言わない約束ですよー」
781 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/07/25(木) 04:25:53.00 ID:sq4+Xz6k0

――店の中

未央「おおー……ほんとに、すっごく街の中華屋さん、って感じだね。コテコテでんがな」

P「エセ関西弁やめろ。……そうだな。常連さんも多いし、アットホームな雰囲気だしな」

未央「でも、すっごく繁盛してて……いい感じだね。テーブルも赤いし」

P「それ重要か?」

未央「なんか、中華屋さんって赤いテーブルのイメージない?」

P「まあ、あるけど」

未央「お客さんがいっぱい。テーブルが赤い。これはもういいお店と言っても過言ではないでしょう!」

P「『お客さんがいっぱい』に比べてテーブルの色がどうでもよすぎる」

未央「それで、メニューだけど……あ、あそこか」

P「だな。……何にする?」

未央「んー……いつものことだけど、プロデューサーのおすすめは?」

P「炒飯だな。蟹玉炒飯。これがうまい」

未央「すっごくパラパラしてるとか?」

P「そういうベクトルじゃないんだよ。でも、うまい」

未央「ほうほう……それじゃ、炒飯は頼むとして、他には?」

P「んー……俺はレバニラとか好きだが」

未央「レバニラかー……私、あんまり食べたことないかも」

P「レバーだから? いや、ニラもか」

未央「そういうこと。べつに苦手意識があるわけじゃないけど、わざわざ頼まないと言うか」

P「あー……それはわかるな。俺も、何かのきっかけで食べないと今も頼んでなかったかもしれないし……未央は何か食べたいものとかないのか?」

未央「そうだなぁ……あ、エビ。エビの天ぷら!」

P「お、それも良いな。……肉がほしいな。ここは……肉団子の唐揚げを」

未央「肉団子の……唐揚げ? ちょっと珍しいね」

P「そうか? ……そうかもな。肉団子と言えば甘酢あんかけってイメージも大きいか」

未央「そうそう。でも、プロデューサーが頼むってことはおいしいんでしょ? それも頼も?」

P「ああ、そうさせてもらう。……あと一品くらい頼むか?」

未央「それじゃ、蒸し鶏で!」

P「お、良いな。それじゃ、これで注文するか」

未央「……プロデューサー、もしかしてこれ、飲みたいラインナップ?」

P「飲まないけどな。……飲めるようになったら、また来るか」

未央「うん。そのときは、お酒の楽しみ方も手取り足取り教えて、ね?」
782 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/07/25(木) 04:30:39.35 ID:sq4+Xz6k0

――

P「まずはエビか」

未央「海老天……良いビジュアルだね。小さいエビがくりっとなってて、中華屋さんの海老天だーって感じ」

P「衣もいい感じだよな。それじゃ、まあ……いただきます」

未央「いただきまーす」

未央(うーん……この、見るからに『海老天』って感じのビジュアル。でも、小奇麗な感じじゃなくて、むしろちょっと無骨な感じ)

未央(これがまた『街の中華屋さん』って感じがして良い……なんて思っちゃうのは現代人の郷愁みたいなものなのか。郷愁って言っても自分が体験したものじゃなくて映画とか漫画とかで追体験したものでしかないわけですけれども)

未央(とりあえず、揚げたてだし、早速食べさせてもらおう。まずいは一口……)パクッ

未央「……ん」

未央(あー……おいしい。これはおいしい。衣はサクッと軽いんだけど、エビはぷりっとして……でもエビもそこまで大きくないからすぐ口の中からなくなって)

未央(これ、ひょいひょい食べられちゃうなぁ。パクッ、サクッ、ぷりっ、ごくん。パクッ、サクッ、ぷりっ、ごくん。このループが続いちゃう)

P「次、蒸し鶏来たぞ」

未央「お、どんどん来るね、ってもう食べてる。ずるーい」

P「……うまい」

未央「聞いてないし。いいもん、未央ちゃんもいただいちゃうもーん」

未央(えっと、プロデューサーは……岩塩をつけて食べてたっけ。それじゃ、ちょっと付けて……)パクリ

未央「……んー!」

未央(うまー! これはおいしいなぁ、すごくおいしい。すっごくやわらかくて、弾力もあって……大きく切り分けられた、皮のついた鶏肉をがぶりと頬張ると、それだけでもう気持ちいい。大きなお肉にかぶりつくって、なんだかそれだけで一種の幸福感があるよね)

未央(噛むごとにじんわりと旨味が広がって……皮もまた良いんだよね。おいしい。何にも奇をてらったところなんてない味なんだけど、塩気と旨味、食感が絶妙で……ほんと、めちゃくちゃおいしい)

未央(はぁ……しあわせー……っと、いつの間にか肉団子が。これもちょっといただきましょう)

未央(でも、これは……何と言うか、素朴なビジュアル。肉団子を揚げただけ、って感じ。悪く言えばちょっと地味だ。でも、こういうのにこそ……)パクッ

未央「……うん」

未央(おいしいんだよねぇ……。なんか、食べた瞬間『うまい!』って感じる味じゃなくて、じんわりと、ほっとするおいしさと言うか……安心するおいしさだ……)

未央(表面はサクッと気持ちよく、豚肉と野菜……玉ねぎかな。その旨味甘みがじゅわっと広がる。口の中に入れた瞬間に肉汁があふれる……みたいな感じではなくて、ほんとうに、安心するおいしさ……なんだけど、どうしてかめちゃくちゃおいしい。バランスが……絶妙……なんか今日それしか思ってない気がする……)

未央(こんなに『街の中華屋さん』って感じのビジュアルで、実際出てくる料理もそうなんだけど……クオリティがめちゃくちゃ高い……こういう店もあるものだね)
783 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/07/25(木) 04:31:13.31 ID:sq4+Xz6k0
未央(あ、レバニラも来てる。それと……炒飯も来た。ここは……炒飯からかな。プロデューサーはもうレバニラに手を付けてるっぽいけど)

未央(蟹玉炒飯……カニ玉が乗っかってるとかじゃなくて、蟹肉と卵が入った炒飯だ。このお玉の丸い形! これぞ『中華屋さんの炒飯』だよねー)

未央(さすがに外見だけじゃわからないけど……さてさて、お味は……)パクリ

未央「……んー!」

未央(これはおいしい! プロデューサーがいの一番に挙げたのもうなずけるおいしさだ。すっごくパラパラだったりするのかなー、と思ってたんだけど、むしろしっとりとしてる炒飯だ)

未央(いや、もちろん米粒がくっついてたりはしてなくて、そこを考えるとパラッともしてるんだけど……べちゃついてないんだけど、しっとりと、ふんわりとしていて……ものすごくおいしい。カニも良いんだよね。そこそこ入ってるし、風味も良いし……蟹肉の上品な甘さがなんだか合ってる。これもまた、バランスが良いなぁ……たまらない)

未央(食べてみた感じ、何も特別なことはしていないように思えるのに、ものすごくおいしい。シンプルなものほど奥深いとは言うけれど、それを実感している気がする……)

未央(……それじゃ、レバニラも……ん、プロデューサー、レバニラ、炒飯といっしょに食べてる。そういう食べ方もアリかー。ごはんが欲しくなる味……なのかな? またはお酒)

未央(せっかくだし、レバーもニラもたくさん取って……)パクッ

未央「……んん」

未央(こういう感じかー。おいしい。あと、確かにごはん進みそう。気持ちいいニラの食感と、やわらかいレバーの食感。臭みはほとんど感じなくて、代わりに旨味とコクが広がってくる。味付けも良いなぁ……これはごはんが欲しくなる。炒飯頼んでなかったら白ごはん頼んでたかも)

未央(でも、この炒飯は炒飯だけで食べたいような気も……でも、このレバニラにきっとごはんが……ええい、ままよ!)パクッ

未央「……んぅ〜!」

未央(あー、おいしい! おいしいよー! やっぱり合う! 合うね! レバニラ単体でもおいしかったけど、ごはんといっしょだと……たまらない。それもただのごはんじゃない。絶品炒飯だ。おいしいものとおいしいものを加えたからってめちゃくちゃおいしいものになるとは限らない世の中だけど、これに関しては成功だ。この世界にまた一つおいしいものが生まれてしまった……)

未央(あー……もう。ここまでぜんぶおいしいと、他にも色々と食べたくなっちゃうな……)

未央(……あ! 冷麺もあったんだ……冷麺頼んでもよかったかも……でも、さすがにこれ以上は……)

未央「……プロデューサー」

P「ん? どうした」

未央「ここ、また来たい。頼んでないの、気になるもん」

P「……だな。誰かといっしょだと普段は頼まないメニューも頼めるだろうし、俺としても助かる。それで、気になるのって例えば?」

未央「冷麺!」

P「夏季限定か! ……これは、思ったより近いうちにまた来ることになるかもな」
784 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/07/25(木) 04:33:23.08 ID:sq4+Xz6k0

――店の外

未央「おいしかったー……ここ、すっごく良いお店だね」

P「ああ。こういう『街の中華屋さん』ってところでめちゃくちゃおいしいものが出てくるって、一種の憧れだよな。こういうところがあると、まだまだ知らないおいしい店っていっぱいあるんだろうなって思えてくる」

未央「そういうの、なんか、良いね。……私たちが知らない街にも、人はいっぱい住んでいて、人が住んでるんだから、やっぱりそこにはお店もあって……そんな中に、こういうお店もあったりして」

P「そう考えると、ほんと、すごいことだよな。世界の広さを感じるよ」

未央「ごはん屋さんで?」

P「ごはん屋さんで」

未央「……なんか、さ」

P「ん?」

未央「お祝いって言ったら豪華なお店ー、みたいなイメージがやっぱりあるんだけど……こういうお店で好きなものを好きなように、って言うのもアリだよね」

P「……そうだな。ここは普段遣いできる店だと思うが、それ以外で使えないってわけじゃない。まあ、ゆっくりくつろぐってなると難しいかもしれないが」

未央「うん。……私、また、ここで……こういうところで、お祝い、したいな。格式高いお店じゃなくても、おいしいお店なら満足できて……ずっと、そんなふうにいられたらいいな」

P「……そうだな。どこでだって、良い店なら満足できる。そんなふうにいたいと思う」

未央「そっか。……ね、プロデューサー」

P「なんだ? 未央」

未央「いっしょに、付き合ってくれる?」

P「もちろん。ずっと、付き合うよ」

未央「……えへへ。プロデューサーなら、そう言ってくれるって思ってた」

P「そうか? ……まあ、そうか」

未央「うんっ。……改めて、これからもよろしくね、プロデューサー」

P「こちらこそ。これからもよろしく、未央」



785 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/07/25(木) 04:47:40.82 ID:sq4+Xz6k0
これにて今回は終了です。
また間があいてしまいました。シンデレラガール記念回……かと言うとちょっと微妙?
お祝い回ってことで原点回帰的な意味もこめてラーメン……は前回したので、そういうの関係ない感じになりました。
お祝いっぽく豪勢に! ってのもちょっと考えてはいたんですが、CGのアレ見ると「これはちょっと越えられないなぁ」となり今回の方針に。
中華、おいしいですよね。『街の中華料理』って感じの、好きです。おいしい中華を食べたい……。
次回は……夏が終わるまでには……。

ありがとうございました。
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/27(土) 23:13:47.64 ID:5ANRsZrlO
おつ 町の中華屋いいよね
787 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:27:56.93 ID:7Ens5TJq0
未央「子どもの頃に好きだったお店があってね。この前、久しぶりにひとりで行ってみたわけですよ」

P「へえ。それで? どうだったんだ?」

未央「それが……思っていたほどおいしくなかったんだよね。いや、もちろん、おいしくはあったんだけど、思い出ほどではなかったと言いますか」

P「あー……そういう経験は俺にもあるな。その店がどうこうってわけじゃないんだよな。変わったのは自分のほうで……他の色んなものの味を知ったから、なのか」

未央「ということは、プロデューサーのせい?」

P「……可能性はあるな。そう考えると、なんかめちゃくちゃ申し訳ないことをしたような気が……」

未央「えー? なんで? そんなに申し訳ない気持ちになる?」

P「だって、そういうのって大事だろ? せっかくの思い出の味が、実際に食べてみるとあんまりだった、って……経験あるだけに、俺も悲しいってわかるから」

未央「そういうものかな? あ、さっきの話には続きがあるんだけど、そのお店の他のメニューを初めて食べてみたらめちゃくちゃおいしかったんだよね。思い出の味バージョンアップ」

P「……お前な」

未央「その顔はなにかな? 思い出の味がーっていうのは変わってないと思うけど?」

P「それは……まあ、そうなんだが」

未央「そうなんだが?」

P「……なんか、釈然としない」

未央「ぁは、それはそうかもね。申し訳ない損した感じ?」

P「申し訳ない損ってなんだよ。……そんな感じだが」

未央「そんな感じなんじゃーん。さすが未央ちゃん。以心伝心だね」

P「以心伝心か? ……あ」

未央「ん? どしたの、プロデューサー」

P「いや、俺にとって思い出の味って言ったらここかもな、と思ってな」

未央「ここ? ……あ、ここか。でも、ここは思い出の味ってより青春の味じゃない?」

P「青春ももう思い出みたいなもんだからな。未央は……最近も来るか?」

未央「んー……そう言えば、大学に入ってからは一回も来てないかも。高校の頃とかならドリンクバーで友達とー、みたいなのもよくあったけど」

P「……なんか、久しぶりにここで食べたくなってきたな」

未央「そうする? 私もそんな気分になってきたし」

P「じゃ、入るか」

未央「ん、りょーかい。……何にしよっかな。やっぱりドリア?」

P「……昔、それふたつ頼むこととかあったなぁ」
788 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:30:16.96 ID:7Ens5TJq0

――店の中

未央「これこれ、この感じですよ。実家に帰ってきた気持ちとはこのことか」

P「大げさだな……で、何にする?」

未央「プロデューサーはやっぱりドリアダブルなの?」

P「それはしない。……なんか、メニューが変わってるような、変わってないような」

未央「そう? あ、でも、私がよく行ってる間でちょっと変わったことあったから……それかな?」

P「かもしれない。……だとすると、俺、ずいぶんと来てなかったんだな」

未央「かもね。それで、何にする?」

P「んー……生ハムがうまいって言うよな。それは頼みたいな。俺はあんまり食べたことなかったが」

未央「そうなの? 私はここの生ハム、けっこう好きだよ」

P「昔は量重視だったからなぁ……なんか、あんまり選ばなかったんだよな。いっつもドリア食ってたような気がする」

未央「なんだかんだでそうなったりするよね。でも、ちょっと意外かも」

P「意外? 何が?」

未央「プロデューサー、けっこう色んなもの頼むタイプだと思ってたから」

P「そうか? ……まあ、そうかもな。ただ、店によるって感じだな。他にもそういう店はあるよ。パッと出てこないが」

未央「店による、か。……確かに、そういうもんだよね」

P「今日は今まで頼んでこなかったのを頼むつもりだけどな」

未央「たとえば?」

P「……未央のオススメとか」

未央「未央ちゃんセレクトに頼りますかー。まあ、ここは私のほうが詳しそうですし? 私に任せなさーい」

P「うん、任せる。……エスカルゴってずっと気になってたんだが、どうなんだ?」

未央「それは私も食べたことない」

P「いきなり任せられない案件出たな……」

未央「だってこれ『みんな気になりつつもなかなか頼めないメニュー』ランキング一位みたいな感じじゃない? おいしいらしいって情報だけは聞くみたいな」

P「……頼んでみるか」

未央「そうしよう、そうしよう。あと辛味チキンとか?」

P「それは食べたことある。俺も確か好きだった」

未央「食べたことあるんだ。……頼む?」

P「頼もう。久しぶりだしな。頼んだことないのも頼みたいが定番のも頼みたい」

未央「思い出の味だし? それじゃあ、後は……私、ディアボラ風のってけっこう好きなんだよね」

P「あー、俺も好きだったな。鶏のとか好きだった」

未央「チキンとチキンが被ってしまったな……」

P「俺の中では別の種類だから大丈夫」

未央「別の種類かな? まあ、味は違うけど」

789 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:30:51.81 ID:7Ens5TJq0
P「他に未央のオススメは?」

未央「パスタとか? ここのパスタ、けっこうおいしいと思うんだよねー」

P「俺はペペロンチーノダブルの記憶が強いな……おいしかったけど」

未央「ペペロンチーノにする?」

P「んー……イカスミってどうなんだ?」

未央「おいしかったと思う。……あんまり食べたことないけど」

P「ん、ないのか」

未央「いや、だって……口がね」

P「あー……」

未央「でも、頼もっか。って、なんか色んなものシェアする前提で話してるけど……」

P「いいんじゃないか? でも、シェアするならもうちょっと他にも頼みたいような気も……」

未央「シェアしやすいのってなるとピザとか?」

P「ピザか……それもいいいかもな」

未央「モッツァレラのでいい?」

P「ああ。……あとは、サラダとか頼むか?」

未央「サラダかー……個人的には小エビか青豆を推したいところ」

P「青豆……おいしいって聞いたことはあるな」

未央「お、食べたことない? それじゃ頼も? 量あんまりないからひとり一個で!」

P「じゃあ、そうするか。……これくらいでいいか?」

未央「いいんじゃない? 注文、する?」

P「しよう。ボタンは……そっちか。頼む」

未央「ん。それじゃ、押しちゃうね」
790 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:35:50.82 ID:7Ens5TJq0

――

未央「まずは青豆だね」

P「だな。……これ、グリーンピースだよな?」

未央「うん。プロデューサーってグリーンピースはどう?」

P「べつに嫌いじゃないな」

未央「お、そうなんだ。嫌いだったら衝撃を受けるかもしれないお味……みたいだけど、違うんだったら衝撃は受けないかもね」

P「『みたい』って、食べたことあるんじゃなかったのか?」

未央「私もべつに嫌いじゃないから……でも、確かにそうかもとは思うかなー」

P「どういう意味だ?」

未央「食べてみればわかると思う。『あ、これは確かにグリーンピース嫌いな人でも大丈夫かも』って」

P「……じゃあ、とりあえず、いただきます」

未央「私も、いただきまーす」

未央(ということで、半熟卵を割って、青豆と混ぜて……食べる)パクッ

未央(……うん。これこれ。これだよねー。グリーンピースはグリーンピースなんだけど、青臭さとかボソボソ感とかがないと言うか……おいしいグリーンピースって感じ)

未央(『めちゃくちゃおいしい!』ってタイプの味じゃないんだけど、『あ、おいしい』ってなるタイプの味と言うか。なんだか安心する味だよね。あと、健康になってる感じがする。たぶん気のせいだけど)

P「あー……確かに、これはおいしいな。この豆自体がおいしい。やわらかくて、優しい甘さがある。それに温玉とベーコン……パンチェッタだったか? あんまり入ってはいないんだが、このちょっとの塩気がいい感じに効いてるんだろうな。これは、なかなかだな……」

未央「でしょ? これにチーズとかオリーブオイルとか合わせてもおいしかったりするんだよね」

P「アレンジもあるのか……と言うか、ここは色々とアレンジも効く店だったか。俺は出てきたものをそのまま食べることが多かったが……」

未央「ドリンクバーでも?」

P「ドリンクバーは……無難な混ぜ方ならしたことがある」

未央「へぇ……」

P「……未央」

未央「んー? その目はなにかな?」

P「するなよ」

未央「ナンノコトカナー」

P「……はぁ。次、エスカルゴ食べるか」

未央「ん、そうしよそうしよ? ……なんか、貝みたいなビジュアル?」

P「……言われてみればそうだな。サザエとかそういうタイプの」

未央「あー、ちょっと近いかも。実際に食べてみてもそんな感じなのかな?」

P「かもしれないな。どっちにしろ、食べてみればわかるか」

未央「だね。それじゃ、一個もらい」パクッ
791 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:36:30.86 ID:7Ens5TJq0
未央(ふむふむ……ん、こういう感じかー)

未央(やっぱり歯ごたえは貝っぽい感じ。くにくにしてていい感じ。味は……ソースの味が強いかな。ガーリックっぽい? あとバター? 野菜もあるけど……メニューでプチフォッカとセットでーって載ってたような気がするけど、確かに合うかも)

P「こういう感じか。俺は結構好きだな。未央は?」

未央「私も。けっこう好き。だけど……頼むかどうかはちょっと迷うかなー」

P「来る人数にもよるか」

未央「うん。シェアするなら? とは思う。それと私はチキン派なので」モグモグ

P「……いつの間に」

未央「あー……これがおいしいんだよね。サクッとした皮にジューシーなお肉。辛さは正直ほとんど感じないけど、スパイスっぽい感じはして。とにかく、おいしい」

P「まあ、俺も好きだけどな? ……食べるか」

未央「……あ、プロデューサー、グラス空いてるよ?」

P「ん? ああ、確かに――」

未央「入れてきてあげる!」

P「んっ!? ちょ、未央、待……!」

P「……まあ、いいか」

P「……チキンうま」モグモグ
792 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:37:45.52 ID:7Ens5TJq0

――店の外

未央「いやー、思い出の味だったね、プロデューサー!」

P「未央は思い出ってほど時間経ってるか?」

未央「微妙? でも、プロデューサーにとってはそうでしょ?」

P「それは……そうだな。学生時代を思い出したよ」

未央「青春の味?」

P「だな。俺に青春があったかと言うと微妙なところだが」

未央「反応に困る返答だ……まあまあ、今日未央ちゃんといっしょに青春したってことで、青春アップデート!」

P「青春……たとえば?」

未央「ドリンクバーとか?」

P「ドリンクバーか……」

未央「うん? なにかなその反応は。未央ちゃんミックス、おいしかったでしょ?」

P「まずくはなかったけどな……俺はふつうのでいい」

未央「でも、楽しかったでしょ?」

P「……それは、否定できないかもな」

未央「……えへへ。素直でよろしい♪」

P「……今日のも、また思い出の味になるのかもな」

未央「かな? また来たら『思い出』にはならないんじゃない?」

P「……そうだな。また来ればいいか。べつに来るのが難しい店ってわけでもないんだし」

未央「そうそう。そのときは未央ちゃんも付き合ってあげましょう」

P「来たいだけだろ」

未央「バレた? ……でも、プロデューサーも、私のこと、連れて来たいでしょ?」

P「……ノーコメント」

未央「えー? 素直じゃないなぁ」

P「悪いか?」

未央「ううん。それはそれでかわいいのでオッケーです」

P「……かわいいはやめてくれ」

未央「ちなみに素直でもかわいい」

P「どうしようもないな」

未央「うん、どうしよーもないっ」

P「……なんでちょっと嬉しそうなんだよ」

未央「えへへ。どうしてでしょうねー?」

P「……ほんと、どうしてだろうな」



793 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:42:09.64 ID:7Ens5TJq0
これにて今回は終了です。

まためちゃくちゃ久しぶりになってしまいました。そのくせちょっと短めと言う。
次回は……誕生日までに少なくとも一回は更新したい……。

ありがとうございました。
794 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 22:59:42.71 ID:D3C3PKle0
卯月「未央ちゃん、誕生日おめでとうございます!」

凛「おめでとう、未央」

未央「やーやー、ありがとう、ありがとう。今日は未央ちゃんのために集まってもらって……ぐすっ、私、感動で……」

凛「それ何のノリ?」

P「照れ隠し」

凛「ああ」

未央「ちょ、勝手に納得しないでくれるかな? べつに照れてなかったけどむしろそれに照れちゃうから」

卯月「未央ちゃん……」フフッ

未央「しまむー? その笑顔がいちばん破壊力あるね? なにその『わかってます』みたいな顔……私誕生日だよね?」

凛「だから祝ってるじゃん」

P「うん。めでたい」

未央「気持ちがこもってない……!」

卯月「伝わってませんでしたか……?」

未央「しまむーやめて。しまむーが言うとなんかマジっぽいから。もう酔ってる?」

卯月「まだ一滴も飲んでないから大丈夫です!」

未央「大丈夫……なのかな……」

P「しかし、未央も二十歳か……時が流れるのは早いな」

凛「プロデューサーもおじさんになっちゃったって?」

P「そうだな。俺はもうとっくにおじさんだよ」

未央「ということは、プロデューサーと同い年のアイドルは……?」

P「お前それ絶対外で言うなよ」

未央「プロデューサーがおじさんとか言うからじゃーん」

P「じゃあおじさんじゃない」

凛「プロデューサー、その歳で『おじさんじゃない』は……ちょっと」

P「俺はどう答えれば正解だったんだよ……」

卯月「ふふっ、どうすればいいんでしょうね?」

P「ほんとにな……」
795 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:00:30.95 ID:D3C3PKle0
未央「それでは、今日の誕生日会場はとある個室居酒屋さんなわけですけれども」

凛「なにその説明口調。司会?」

P「本日の主役兼司会か……」

卯月「未央ちゃんらしいですね!」

凛「それ褒め言葉?」

未央「こほん! とにかく、皆様、今日はお忙しいところ集まってくださってほんとーにありがとうございます!」

P「ほんとに司会になっちゃったよ」

卯月「そう言えば、未央ちゃん、前にバラエティ番組の司会をやってましたよね。あれ、すっごく面白かったなぁ……」

凛「卯月、マイペース過ぎない?」

未央「名司会者を目指してますから」

凛「アイドルは?」

未央「トップアイドル兼名女優兼名司会者を目指してますから」

凛「なんか増えてる……」

P「ああ……いっしょに目指そうな、未央……!」

凛「なんか熱くなってる……」

卯月「未央ちゃん……私、応援します! 頑張ってください!」

凛「冷静なの私だけかな」

未央「クール属性だけに? どっ!」

凛「今の『どっ』何?」

未央「大爆笑の表現」

凛「なんだか寒いね。冬だからかな」

未央「そこまで言う? ごめんなさい」
796 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:02:21.70 ID:D3C3PKle0
P「……そろそろメニュー選ばないか? 頼んでからでも話はできるし」

未央「ん、そうだね。私は生!」

凛「ビール? やっぱり初めてのお酒はビールなんだね」

未央「お酒と言えばビールってイメージありますからねー。おいしいって話もよく聞きますし」

卯月「……初めてビールを飲んだときは『これで大人の仲間入り』って思ったなぁ」

凛「それで、卯月は大人になれたの?」

卯月「うーん……む、難しい質問ですね」

P「難しい質問だな。そう言う凛はどうなんだ?」

凛「どうなんだろうね。昔と比べると少しは成長したと思ってるけど……大人になってるかどうかはわからないかな。飲む前と後で変わったところがあるとすれば……」

未央「あるとすれば?」

凛「……これは未央がお酒を飲んでから話そうかな」

未央「む、焦らされた」

卯月「焦らしますね、凛ちゃん」

凛「うん。おあずけ」
797 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:03:46.46 ID:D3C3PKle0
P「……!」

未央「……うん? どうしたの? プロデューサー」

P「いや……今の凛の『おあずけ』、めちゃくちゃかわいくなかったか?」

凛「……は?」

卯月「かわいかったです! 私も思ってました!」

凛「ちょ、卯月まで。もう……」

未央「わたモゴッ!? モゴモゴモゴモゴ!」

凛「うるさい」

未央「……そ、それにしても先手で手を塞ぐことはないんじゃないかな?」

凛「……で、未央は生らしいけど、私たちは何頼もっか」

未央「スルー!? ちょ、本日の主役をスルーはなくない? ……あ、もしかしてこれも『おあずけ』っていう」

凛「居酒屋ってあんまり来ないかも。プロデューサー、おすすめは?」

P「んー、好きなの頼めばいいんじゃないか? ここは……確か、海鮮がうまかったかな」

卯月「ということは……お刺身とか?」

未央「ほんとに無視して進めてる! 唐揚げ! ビールには唐揚げってよく聞くから!」

凛「確かに唐揚げは多いかも。サラダは?」

P「ポテサラがうまい」

未央「お、ポテサラですかー。……お酒に合うの?」

P「酒飲みはなんでも合うって言うからな……」

卯月「お酒の種類にもよるんじゃないかな? ビールには……ポテサラの味付けにもよりそうです」

凛「ここのはどうなの?」

P「んー……ちょっと甘めかもな。ブラックペッパーもかけることはできる」

卯月「じゃあ……どうでしょう?」

未央「ってわからないんかい」

凛「卯月もそこまでお酒飲まないからね」

P「凛もそこまで飲まないだろ?」

凛「飲むときは飲むよ」

卯月「それなら私もそうですよ?」
798 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:04:24.60 ID:D3C3PKle0
凛「……それで、他には?」

未央「あ、逃げた。んー……あ、だしまき。だし巻きとかどう?」

P「お、いいな。じゃあそれも頼むってことで……個人的には煮付けとか欲しい」

卯月「うーん……お刺身、唐揚げ、ポテトサラダ、煮付け、それにだし巻きたまご。四人だったら……もうちょっと?」

凛「べつに後で頼んでもいいけどね。……枝豆も欲しいな」

未央「後で頼まないの? でも私も欲しいからさんせーい」

P「……とりあえず、これくらいにしとくか。足りなかったら追加で頼めばいいし、あんまり頼んでもテーブルいっぱいになっちゃうしな」

凛「今の時点でけっこういっぱいになりそうだけどね」

卯月「確かに!」

未央「しまむーの おいうち プロデューサーに つうこんのいちげき」

P「いや、べつに俺のせいじゃないし……とりあえず、頼むか」

未央「はーい。……そう言えば、ビールって私の他に誰が頼むの?」

凛「私はいいかな」

卯月「私も他のにします」

P「俺は……そうだな、ビールで」

未央「ん! それじゃ、注文しよっか。えっと、ベルを押して……」

未央「……店員さん! 生ふたつで!」
799 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:05:22.21 ID:D3C3PKle0

――

未央「おお……ほ、ほんとうに来ちゃった。来ちゃったよ、プロデューサー!」

P「テンション高いな。……でも、そんなもんか」

未央「そんなもんだよ。だって、初めてのお酒だもん……Foooooooooo!」

P「高すぎる」

凛「近所迷惑」

卯月「こわいです」

未央「ごめんなさい」

凛「……それじゃ、乾杯、する?」

未央「しますします! しちゃいまーす!」

P「それじゃ卯月、音頭を」

卯月「えぇっ! 私ですか!?」

未央「うむ。頼むよ、しまむー」

凛「誰」

未央「シンデレラガールさま」

P「めちゃくちゃ印象悪いシンデレラガールだな……」

未央「しまむーが?」

卯月「なんでぇ!?」

凛「その理論だと三人とも当てはまらない?」

P「……そう考えると贅沢すぎるな、このテーブル」

未央「プロデューサーのぜいたくものー」

凛「そうだね。ぜいたくもの」

卯月「そうだそうだー♪」

P「卯月まで乗らないでくれ。かわいいけど」

未央「しかし、シンデレラガールを三人集めて来るのが居酒屋とは……」

P「未央のリクエストだろ? 『いつもみんなで行ってる感じのお店』って」

未央「それはそうですけれども」

凛「プロデューサー、店、探してたのにね」

卯月「そうなんですか?」

凛「ほら、前に……」

卯月「あー……」

P「バラすな」

未央「探してくれてたの?」

P「……まあ」

未央「……そっか」

凛「卯月」

卯月「はい! それでは、未央ちゃんの誕生日を祝って、かんぱーい♪」

凛「乾杯」

未央「えっ? か、かんぱーい!」

P「……乾杯」
800 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:06:21.04 ID:D3C3PKle0
卯月「……ふぅ。このお酒、おいしいです」

凛「うん。私のも、飲みやすい」

P「……っぷは。うん、うまい」

卯月「……それじゃあ」

凛「うん」

P「未央、どうぞ」

未央「……そ、そんなに注目しなくても」

卯月「未央ちゃんのはじめてですから!」

凛「卯月、その言い方はちょっと」

P「未央のはじめてか……そりゃ見逃せないな」

凛「酔ってる?」

P「酔ってない」

未央「……じゃ、じゃあ、いただきます」

卯月「はい♪」

未央(……初めての、お酒。初めての、ビール)

未央(うーん……いざこうなると感動もひとしお、と言うよりはちょっと緊張すると言うか)

未央「……ええい、ままよ!」ゴクッ

未央「……」

未央(……こ、これは……!)

卯月「……どうですか?」

未央「……にがい」

未央(……うん。にがい。正直、あんまりおいしくない)

未央(あれー……? こういうのなの? ビールって)

未央(……いや、待てよ。確か、のどごしを楽しむ……みたいなことを聞いたことがあるような)

未央(もしかしたら、一気に飲むことで初めて良さがわかるのかもしれない……いざ!)ゴクッゴクッ

未央「っぷはー! うん! 変わんない!」

未央(わかんない! 良さ、わかんない! ……期待してたのにー!)

P「まあ、初めてのビールはなぁ……そんなもんだよなぁ」

凛「そんなもんだよね」

卯月「ですね」

未央「……プロデューサー、これ、何がおいしいの?」

P「……のどごし?」

未央「どこが? 炭酸だったらジュースでも飲んでおけばよくない?」

P「いや、違う、違うんだよ。ジュースじゃだめなんだよ。でも……何がうまいかって聞かれると、正直」

凛「麦の味が、とかじゃないの?」

P「正直俺は麦の味とかよくわからないからな……」

未央「えー……しまむーとしぶりんは?」

卯月「私は……あんまり、ビールが得意じゃないので」

凛「私もすすんでは飲まないかな。あと、お酒自体まだそんなに飲んでないし」
801 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:07:01.05 ID:D3C3PKle0
未央「……そう言えば、しぶりん。飲む前と後で変わったことってなんだったの?」

凛「『ビールはあんまりおいしくない』って知ってるか知ってないか、かな」

未央「……なんか、騙されたような気分なんだけど」

卯月「……わ、私の、飲んでみます?」

未央「……のむ」

P「飲むのか」

未央「のまなきゃやってられないもん」

凛「どこかで聞いたような台詞を……」

未央「しまむーのは……なんだっけ? ピーチ……なんとか?」

卯月「ピーチフィズですね! ピーチと……なんでしたっけ?」

P「桃のリキュールをソーダで割ったカクテルだな。そもそも『フィズ』って言うのは」

凛「その説明長くなりそう?」

P「……やめときます」

凛「よろしい」

未央「……とりあえず、いただきます」

未央(桃の……って、どんな感じなんだろう。やっぱりちょっと苦いのかな?)

未央(……とりあえず、飲んでみよう)ゴクッ

未央「……あ、おいしい」

未央(桃の香りがする。でも、そんなに甘みが強いわけじゃなくって……ちょっと爽やか? 酸味があるような……これは、確かに飲みやすいかも)

P「ピーチフィズはアルコール度数が比較的低いのも特徴だな。飲みやすいカクテルってのは度数が高いのもそこそこあるんだが、これに関してはそれほど気にしなくてもいい。と言っても、もちろん飲みすぎには注意が必要だが……そう言えば、未央、気分は悪くないか?」

未央「うん? 平気だけど……どうして?」

P「アルコールはダメな人はほんとうにダメだからな……未央はどうかな、と思って」

未央「たぶん大丈夫だよ? 大学でやったパッチテストでもそんな感じの結果出たし」

P「……そう言えば、大学でそんなのあったか」

凛「高校でもあったような気がする。保険の授業だったかな。そのときに」

P「そう言えばあったような気がする」

卯月「私は……あんまり強くないって結果でした」

未央「ということは、けっこう信憑性あるのかな?」

卯月「……かもしれません」
802 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:07:37.67 ID:D3C3PKle0
凛「それで、未央。私のも飲む?」

未央「ん、ちょっといただこうかな。しぶりんのは……梅酒?」

凛「梅酒はうめぇ酒だからね」

未央「ん?」

凛「え? ……あ」

卯月「凛ちゃん……」

P「今のは……」

凛「忘れて。お願い。……ここ最近、何回も聞いたから」

卯月「……た、たしかに、梅酒はうめぇ酒ですからね!」

凛「ぐっ」

未央「しまむー……またおいうちを」

卯月「えぇっ!? そ、そんなつもりは……!」

P「だが、梅酒は確かに飲みやすいしおいしい酒だよな。凛もちょっとハマってるみたいだし」

凛「……ハマってるってわけじゃないけど、お酒を飲むときは頼むかな」

P「誰かさんの影響で?」

凛「……それは否定しない」

未央「ほほう。しぶりんお気に入りのお酒、というわけですな? それは期待が膨らみますなぁ」

卯月「梅酒……次は梅酒にしようかな」

P「ほどほどにな」

未央「それじゃ、しぶりん、もらうね?」

凛「うん」

未央「じゃ、いただきー」ゴクッ

未央「……お」

未央(確かにおいしい。けっこう甘いし……あ、でも、さっきのよりお酒って感じがするかも。でも、そんなに嫌な感じじゃないような……)

未央「……これは『お酒』って感じするね。でも、おいしい」

凛「そう。良かった」

未央「うん。しまむーのもしぶりんのもおいしかったなー……次はどうしよ」

P「の前に残ってるビールな」

未央「……忘れてたのに。プロデューサー、飲まない? 間接キスだよ?」

P「飲まない。飲みたいところだが、ここで甘やかすのは良くないからな。ここは心を鬼にして……」

凛「……飲みたいところなんだ」

卯月「……プロデューサーさん」

P「そこだけピックアップするのやめてくれないか? そういう意味じゃないからな? ただビールがあるならって話で」

未央「……間接キスは、いやなの?」

P「いや、それは……四面楚歌やめろ!」
803 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:09:44.79 ID:D3C3PKle0

――

凛「……ふぅ。けっこう食べたね」

卯月「たべましたねー……ふわ」

凛「眠いの? 卯月」

卯月「ちょっとだけ……」

凛「そっか。……プロデューサー、卯月、眠いんだって」

P「……すまん、いま、そっちに意識を割く余裕がない」

凛「うん。見てればわかるよ。……未央、調子に乗って飲みすぎるから」

未央「……ぅん? なぁに、しぶりん?」

凛「……何と言うか、本当、個室で良かったね」

P「ほんとにな……」

未央「えへへー……プロデューサー、プロデューサーだー……」

P「近い近い近い近い」

未央「んー……酔ってるからー……しかたないのー……」

P「仕方なくない。仕方なくないから。……早く帰らないとまずいな」

未央「帰っちゃうの……? 私、今日はプロデューサーとずっといっしょにいたいな……」

P「ぐっ……!」

未央「……どきどき、してる? 実は、私も、どきどきしてたり……ほら」

P「ちょ、当たってる! 当たってるから! 凛が見てるから……!」

凛「私が見てなかったらいいの? 私たち、帰ろうか?」

P「いてください! お願いだから! 俺の理性のためにも!」

未央「……むぅ。私とふたりっきりはいやなの?」

P「そうじゃなくて……! ……なぁ、凛」

凛「なに? プロデューサー」

P「……酔った未央、危険すぎる」

凛「大丈夫だよ。たぶんプロデューサー限定だから」

P「何が大丈夫なんだよ……」

凛「それに、たぶん、そんなに……」

P「……そんなに?」

凛「……ううん。なんでもない。まあ、初めてのお酒なんだし、おおめに見てあげれば?」

P「我慢しろって?」

凛「うん。誕生日なんだし……わがままくらい、聞いてあげなよ」

P「……わかった。でも、ほんと、耐えられるかどうか」

凛「耐えられそうになかったら蹴ってあげるから大丈夫」

P「何が大丈夫なんだよ。いやでもそうなったらお願いします」

凛「うん、了解」

未央「……プロデューサー、ずっとしぶりんと話してる」

P「えっ、いや、これは、その」

未央「今日の主役をもっとかまいなさーい! 罰としてー……一生私の面倒をみる刑に処ーす!」

P「それ罰じゃな……じゃない。何言おうとしてんだ俺は。あぶな……ほんとあぶないな、酔い未央……」

未央「じゃあハグの刑? ぎゅーっ!」

P「それは生殺しの刑だからやめああああああああああやわらかいやわらかいやわらかい」

未央「……えへへ」
804 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:10:33.19 ID:D3C3PKle0
凛「……」

卯月「……? りんちゃん?」

凛「ん、なんでもない」

卯月「そうですかー。……みおちゃん、しあわせそうです」

凛「……うん」

卯月「おさけをのむと、ふわふわしますからねー……なんだか、きもちよくなっちゃいます」

凛「そうだね。……でも」

卯月「?」

凛「……たぶん、そんなに、酔ってないよ」

卯月「……? どういうことですか?」

凛「だから……卯月、ほんとに眠そうだね」

卯月「ちょっとだけですー……」

凛「……はぁ」

凛「私も、もっと飲んでおけばよかったかも」



805 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:18:16.52 ID:D3C3PKle0
これにて今回は終了です! たんじょうびぎりぎり……。

なんだかんだでそこそこ続いてる影響でこのSSの未央さんもお酒が飲める年齢に! びっくり! もしかしたら数え間違えてるかもしれない……。たぶん合ってるはず。
今回はごはん要素あんまりないですね。お酒しかない。そのお酒の描写もあんまり多くない。個人的には「ビールがおいしくないわけじゃなくて単に舌が合っていないだけ」とか「ビールにも色々と種類があってその中から自分の舌に合うものを探していったり自分の味覚を拡張していったりすることに楽しみがあるんだよ」みたいな感じのことを書きたかったところではあるんですけれど、まあそこんところは次回以降で! 渋谷の凛ちゃんは……まあ、まだあんまりお酒飲んでない設定なんで。卯月もですが。
余談ですが酔い酔い凛さんは酔い酔い凛さんでいちおう設定がありますが書く予定は特にないです。酔い酔い未央さんは……どうなんですかね? どうなんでしょう。そもそもまたお酒を飲む回を書くかどうかがわからないみたいなところあります。

とりあえず今日はそんなところで! イベントめっちゃ多いですね! 忙しい! 嬉しい多忙? ですかね? 時間がかかるイベントと時間がかかるイベントが重なるのほんと……嬉しい悲鳴が出てしまう……しかしアイプロ後半戦めちゃくちゃ楽しみだなぁ……はぁ……未央……上位いけるかなぁ……がんばろ。

本田未央さん、誕生日おめでとうございます。これまでも、これからも、あなたのことを応援しています。

ありがとうございました。
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/02(月) 07:53:16.50 ID:eUFfgM6To
807 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 22:54:27.80 ID:XVWavLz90
未央「実は、今日は未央ちゃんの誕生日だったりするんですよねー。……ちらっ」

P「祝っただろ?」

未央「祝われたけどー……祝われ足りないと言いますか」

P「情勢的に無理だな。そもそも今日は仕事も長引いたしな」

未央「それそれ。ほんとなら実家に帰ってホームパーティーとしゃれこもうとしていたのに……」

P「はいダウト。それなら家に連絡してるはずだからな。そんな様子はなかったし、もしするならもうちょっと安全な日にするだろ。つまり日を変えて今週末にでもするか、あるいは一昨日かそのあたりにでもやったか」

未央「う、鋭い。……でも、せっかくの誕生日に仕事が長引いたの、ちょっとは罪悪感を覚えたりしない?」

P「しないこともない。だから、この後は付き合うよ」

未央「……罪悪感を覚えるから、付き合ってくれるの?」

P「それは、違うが……。未央、聞き方がいやらしいぞ」

未央「それはプロデューサーが反省することじゃないかな? 照れ隠しだったとしても、ね」

P「……悪かったよ。罪悪感とか関係なく、俺が未央を祝いたかっただけで――いっしょにいたかっただけだ。これでいいか?」

未央「よろしい。それじゃ、誕生日デート、だね」

P「どこも行くとこないけどな」

未央「それは言わない。お店とかも……この時間だと、閉まってるかな」

P「だな。……散歩かドライブくらいか? でも、なにか食べたい気分だな」

未央「じゃあ、コンビニ? ……あ」

P「ん? ……ああ、ここのスーパー、まだ開いてる時間だったか」

未央「……ね、プロデューサー。ごはん、いっしょにつくるのはどうでしょうか」
808 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 22:55:03.83 ID:XVWavLz90

――店の中

未央「メニューは?」

P「残ってる食材次第だろ。……まあ、なくはない、か」

未央「あ、お肉とかも一応ある。あんまりないけど」

P「何が食べたい?」

未央「プロデューサーこそ。って、私が誕生日だからか。うーん……そんなに時間がかからないやつ? 手間はちょっとかかってもいいから」

P「長時間煮込むようなのじゃなくてってことか。で、誕生日っぽいやつ……あるか?」

未央「そもそも『誕生日っぽい料理』ってなんだって話だもんね。ちょっと豪勢なの?」

P「豪勢なものはないんだよな……あ、高いステーキ肉なら残ってるけど」

未央「ステーキはあんまり気分じゃないかな……」

P「どっちだよ」

未央「と言うか、べつに豪勢じゃなくてもいいんだよ。大事なのは心だから」

P「単に『気分じゃない』ってのをいいように言うな……」

未央「うーん……今日は、鶏肉の気分!」

P「じゃあ鶏肉で。鶏肉の……なんだ?」

未央「時間かからないやつ、時間かからないやつ……あ、丼物!」

P「丼か……親子丼とかか?」

未央「とかね。あ、でも、ごはんがいるか」

P「それはなんでもそうじゃないか? まあ、ごはんがなくてもいいかもしれないが」

未央「早炊きだったらつくってる間に炊けるかな? それともレンチン?」

P「最近のレンチンごはんもおいしいからな……それでもいいかもな」

未央「じゃ、決定! 今日のごはんは親子丼です。材料買って、お家に帰ろー!」

P「……家?」
809 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 22:55:36.62 ID:XVWavLz90

――女子寮内・未央の部屋

P「……うーん。これはグレー」

未央「なんか言った?」

P「いや……まあ、何と言うか。誰にも見つからずに来ちゃったな、と」

未央「寮監さんには会ったけどねー」

P「それはまあな。ただ、他のアイドルとか、そういう……な。と言うか、共用キッチンを使うんじゃないのか」

未央「共用キッチンのほうが大きいし、設備も揃ってるんだけどね。ふたりだけだし、いいかなって」

P「……まあ、いいけど」

未央「それと、こっちのほうが秘密感が出て……いいでしょ? ドキドキ、しない?」

P「悪い意味ではする」

未央「悪い意味かー」

P「……親子丼、さっさと作ろう。なんか、眠くなってきた。このままだと帰るのが危ない」

未央「泊まってかないの?」

P「泊まるわけないだろ……」

未央「つれないなー。それじゃあ料理とまいりましょう。はいはい、手を洗って洗って」

P「じゃあ、俺は……だしでもつくっとくか」

未央「そのうちに私は鶏もも肉を一口大に切り分けます。あと玉ねぎを薄切りに。はい、具材完成!」

P「早いな。それじゃあこれに入れてちょっと煮て」

未央「その間にごはんをチン!」

P「溶き卵を回し入れて……ちょっと半熟め、これくらいか?」

未央「それじゃ、丼に入れたごはんの上にかけて……完成! 親子丼!」

P「……すぐだったな」

未央「すぐだったねー。……あ、飲み物、用意してなかったね。ちょっと待ってて。冷蔵庫から取ってくるね」

P「じゃあ、その内に俺はトイレでも…………いや、やめとくか」

未央「いや我慢されるほうが心配だから変な遠慮せずに行って?」
810 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 22:56:41.85 ID:XVWavLz90

――

未央「それじゃ、改めて……いただきます!」

P「いただきます」

未央(プロデューサーと私、共同作の親子丼。割といい感じにできた……と思う)

未央(見た目はいい感じにおいしそうだけど……とりあえず、一口)パクッ

未央「……うん」

未央(あ、おいしい。ふつうにおいしい。ちょっと濃いめ、甘めな感じで、プロデューサーの好みの味って感じだ。あー、これ、ごはんと合う。やさしい味の親子丼もおいしいけど、こういうしっかり味がついた親子丼も好きだなー。私はこっち派かも)

未央(あとは…………べつにコメントないかな。卵もいい感じってくらい? いや、ちょっと固めだけど、それはこういうものだと思うし。お店みたいなふわとろ親子丼はなかなか難しいですよ、やっぱり)

P「ん……割とうまくできたな」

未央「だね。これならお誕生日ごはんでも満足の出来ですよ」

P「なら良かった」

未央「ただ、ちょっとパーティー成分が足りないので……かんぱーい!」

P「はい、乾杯。って言っても、これは酒じゃ――うん?」

未央「あ、飲んじゃった」

P「……未央。これは?」

未央「お酒だねー」

P「……終電、まだだったよな」

未央「まだだよー。だから、今日は未央ちゃんに付き合いたまえ」

P「お前な……まあ、今日くらいはいいか」

未央「朝まで語り合わそうではないかー」

P「『今日くらい』って言ったよな? ……ほどほどになら、いくらでも」
811 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 22:58:18.53 ID:XVWavLz90

――

未央「――とか言ってたのに、ね」

P「……スゥ……スゥ」

未央「寝ちゃったよ、プロデューサー。……私よりは、強かったと思うけど」

未央「疲れてたのかな? 割と眠そうだったもんなー……でも、プロデューサーにしては迂闊だったね」

未央「……明日は、私もプロデューサーも、ちょっと大変かもね。この時間に誰とも会わなかったことはまだ可能性あるかなって感じだけど、朝だとさすがに……だし」

未央「そう考えると、起こすのが吉――なんだけど」

P「……ん……スゥ……」

未央「……起こさなくても、いいかな」

未央「ごめんね、プロデューサー。服、しわになっちゃうと思う。お風呂にも入ってないし、歯磨きもしてないし。他にも寝る前にやることとかやれてないかな」

未央「でも……この誕生日プレゼントは、捨てるにはちょっと惜しいから」

未央「だから、おやすみ。プロデューサー」

未央「……いつも、ありがと」



812 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 23:01:26.78 ID:XVWavLz90
これにて今回は終了ですがまるまる一年ぶりですね。遅すぎる。
書いては没、書いては没、書いては没、みたいな感じでしたね。いつも同じような感じなのに。何を没にするようなことがあると言うのか。とは思いますがまあ個人的なあれやこれやですね。個人的なあれやこれや。どれやねん。

ありがとうございました。
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 00:56:19.77 ID:/MwUV/H80
うおおおおお
生きとったんかワレェ!!
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/23(日) 21:33:48.74 ID:l6E1r4IP0
また時間があったらお願いします🙏
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