勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編

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54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/04(木) 04:33:08.89 ID:gWqxyNKLo
負けた後だからな

ひえーっ、全部話しますから殺さないでください!
って感じだろうか
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/06(土) 14:27:19.97 ID:J5IA6vY/o
>>53
やはりそれは戦闘開始前に言わないと様にならないですな
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/07(日) 14:06:16.46 ID:OO+t7qu7O
ひええ
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/07(日) 22:47:19.93 ID:SYlEa3JRO
つよすぎません?
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/10(水) 07:10:41.62 ID:GFcXn2MBO
絶望感半端ねえ
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 08:18:51.24 ID:fhVItfB50
まだ来んのかねぇ
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/18(木) 19:33:33.08 ID:Y3peC5NEo
ようやく追いついてもう終わりだと思ったらまだ続きそうでござる
エルフ少女に成り代わるのが作戦なら戦士の誤解も解けてるんだろうか?
終わりそうでまだ終わらないけどエピローグの戦士が楽しみ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/19(金) 04:24:41.04 ID:uKZOfz0a0
今の戦士の状況は爆弾だよなぁ
不安すぎる
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/22(月) 01:42:59.18 ID:gnqVa+I6o
もうそろ来そうだな
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/27(土) 15:18:59.14 ID:a2GorYvE0
今晩はくるかな?期待
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/27(土) 19:32:38.39 ID:rEknlYom0
いい加減自演やめてくださいよ。。。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/27(土) 19:35:15.39 ID:8dDK782iO
こっちのスレにまでその話題を持ち込むなよ。
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/27(土) 23:04:32.87 ID:Ayc5ihK5O
くわしくー
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 00:20:36.59 ID:pbtGQ8BdO
名作になればなるほど、アンチはいるからね。
他でも話題になるってことはすげーことだよ。今月来てないけど、期待して待ってまーす。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:40:14.79 ID:09+TUdRc0
僧侶「くっ…!」

 滲んだ涙を慌てて拭って、僧侶は自分を叱咤する。
 何を呆然としていたのだ。仲間が傷ついたのならば、一刻も早くそれを治療する。
 それが自分の役割ではないか。自分などそれしか出来ない無能ではないか。
 ならば全うしろ。それだけは他の誰にも後れをとるな。

僧侶「呪文・―――極大回復ッ!!!!」

 僧侶の体内で紡がれた魔力が彼女の持つ精霊杖・豊潤を伝い、循環し、増幅されて放たれる。
 放たれた魔力は可視化されるほどに濃密で、柔らかな輝きをもって倒れ伏すパーティーの体を包んだ。
 対象の範囲を複数人に広げたことで即効性こそ失われたものの、それでも目を見張るほどの速度で皆の傷口が塞がっていく。
 ヒュウ、と騎士は感嘆の息を漏らした。

騎士「すげえな。どいつもこいつもわりと致命傷だったのに、あっという間に回復しちまいやがる。宝術による呪文効果のブースト、精霊装備による魔力の底上げ……勿論それらも大きな要因ではあるだろうが、そもそもの回復呪文のレベルが桁違いだ」

 騎士は僧侶に視線を送り、にやりと笑った。

騎士「初めて会った時と比べたら、見違えるぜ。頑張ったんだな、お嬢ちゃん」

 騎士に見られるだけで心臓を射抜かれたようなプレッシャーを感じながらも、僧侶はぐっと唇を引き結んで呪文の行使を続ける。
 騎士に対して、その頭上から襲い掛かる影があった。
 右腕と翼を捥がれ、木の枝に引っかかっていた竜神だ。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:40:49.56 ID:09+TUdRc0
竜神「ずああッ!!!!」

 無くなったはずの右腕で、竜神は騎士の脳天目掛けて攻撃を繰り出す。
 竜神の腕は肘から先が幼女から竜のソレへと変貌しており、まともに当たればあっさりと頭蓋骨を粉砕し、脳みそをまき散らすことだろう。
 だが騎士はあっさりとその爪に精霊剣・湖月の刃を合わせ、受け止めた。
 チッ、と舌を鳴らした竜神は騎士の腕を蹴り、その反動で後方にくるりと宙返りして着地した。

騎士「お前が一番ダメージデカかっただろうに、一番早く復帰したか。しかも腕も翼も元通りと来てる。マジで蜥蜴だな。笑えるぜ」

 騎士は嘲るように竜神に向かってそう言った。
 トントンと剣で肩を叩きながら言うその様子からは、腕を蹴られたダメージなどほとんど見て取れない。

竜神「戯けめ、人間風情が調子に乗りおって……!! 竜神の真の威光を知り、己の浅はかさを後悔せよ!!」

 竜神の叫びに呼応し、大地が震動する。
 変化を解き、真の姿を解放せんとする竜神に、膨大なエネルギーが流れ込んでいく。

騎士「おっと、本当にいいのか?」

 ゴゴゴゴと大地が震動する轟音の中にあって、騎士の声は良く通った。

竜神「……何がじゃ?」

 怪訝な表情で騎士を見る竜神。
 騎士はにやにや笑いながら言った。

騎士「回復呪文による回復速度ってのは効果範囲に反比例する。効果を及ぼす範囲が広くなればなるほど回復の速度は遅くなるってことだ。まあ、当然だよな」

騎士「果たして、馬鹿でけえ竜の姿で首を刎ねられて、お前さん、回復するまでに命をここに留めてられるかい?」

竜神「戯けたことを…!!」

騎士「そう思うか? なら……やってみな」

 騎士の放つプレッシャーが変質した。
 余りに強大で禍々しいソレは、もはやどす黒い気の流れとして目に映るほどだ。
 ズズ…とこちらに意思をもって這い寄ってくるような、そう錯覚させるほどの漆黒のオーラにまともに当てられて、竜神は自身の体が震えていることを自覚した。

竜神「は…?」

 竜神は、首のない自分の肉体が地面に横たわる姿を幻視する。
 それを杞憂だと、気の迷いだと竜神は笑い飛ばすことが出来ない。

騎士「どうした? 別に俺はどっちでもいいんだぜ? お前がやりたいようにやりな」

竜神「ぐ…く…!」

 恐怖を知った。
 生まれて初めて味わう感覚に、訳も分からず滲み出てくる汗に、竜神はただ困惑していた。
 動きを止めた竜神に対し、騎士はこれ見よがしに剣を手の中で弄んだ。
 竜神はびくりと肩を震わせ、騎士の動きを注視する。
 ――――直後、騎士の体は竜神のすぐ傍まで肉薄していた。
 竜神の目は、その動きについていけていない。

騎士「賢明だな。よし、ご褒美にちょっとばかり優しくしてやろう」

 騎士は撫でるように優しく竜神の頭に手のひらを置くと、そのまま竜神の顔面を地面に叩き付けた。
 竜神の顔が地面に沈む。うつ伏せに倒れた竜神の体がびぐん、びぐんと跳ねた。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:41:27.98 ID:09+TUdRc0
武道家「貴ッ様ぁぁぁぁあああああああ!!!!!!」

 その光景を目の当たりにした武道家が激高し、回復しきらぬ体で騎士に向かって突進した。
 右の拳を騎士に向かって振るう。
 騎士は僅かに身を躱しただけでその拳をやり過ごした。
 騎士の顔のすぐ傍を武道家の拳が通り過ぎていく。

武道家「つああッ!!!!」

 右腕を引きもどしながら間髪入れずに左の拳を騎士の脇腹に見舞う。
 しかしバシン、とまるで羽虫を払うような気安さでそれも叩き落とされた。

騎士「あっはっは!! 何キレてんだよロリコン野郎!!」

 騎士は笑い、その手に持っていた精霊剣・湖月を地面に突き立てた。
 そして握りしめた両拳を胸の前で構え、武道家に対してファイティングポーズを取る。

騎士「ホレ来い! お前の歪んだ性癖を俺が叩き直してやる!!」

武道家「おおおおおおおおおおッ!!!!!!」

 間断なく繰り出される武道家の連撃は、その悉くが躱され、いなされ、空を切った。
 騎士とて徒手空拳の戦いに関して全くの素人というわけではない。しかしその専門家である武道家と比べれば、体捌き等の技術は雲泥の差だ。
 にもかかわらず、武道家の拳は騎士に掠りもしない。
 それ程の速度差が、二人にはあった。

騎士「どんな気分だオイ!! 『武道家』のくせに『剣士』に殴り合いで負ける気分ってのは!!」

武道家「く…!! おのれ…!! おのれぇぇぇえええええ!!!!」

 ぎりりと奥歯を噛みしめて放った武道家の拳はやはりあっさりと空を切った。
 武道家の拳を掻い潜った騎士は、その勢いのまま武道家の懐に潜り込む。

騎士「そおらあッ!!!!」

 騎士の拳が地を這うように走り、武道家の腹に叩き込まれた。
 その勢いに押され、武道家の足が地面を離れる。
 ―――そしてそのまま、武道家の体は空高く射出された。

武道家「ごぶ…!」

 止まらない。ぐんぐんと武道家の体は高度を上げていく。
 遂には魔大陸の全容を見下ろせる高さまで、武道家の体は打ち上げられていた。
 魔大陸に刻まれた巨大な六芒星の光。
 霞む視界の中にその光景を捉えながら、武道家は無力感に打ちひしがれていた。
 これではまるで、初めて騎士と会ったあの時の戦いの再現だ。
 騎士の圧倒的な力に押され、無様に天高く飛ばされた自分。
 一緒ではないか。
 こんなにも変わっていないのか。こんなにもあの時のままなのか。
 ぐるりと瞳が瞼の裏に潜り込み、武道家の視界が暗転する。
 意識を手放した武道家の体がゆっくりと落下を開始した。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:42:03.89 ID:09+TUdRc0
 エルフ少女は己の胸を撫でさする。
 既に剣は抜け、傷口もふさがっている。
 なのにエルフ少女は立ち上がることが出来なかった。
 腰が抜けてしまって、どうしても足に力を入れることが出来なかった。

エルフ少女(訳が分からない……気が付けば、私の手から短剣が消えていた……気が付いたら、その短剣が私の胸に突き刺さっていた……)

エルフ少女(魔王軍最強と名高い獣王と曲がりなりにも打ち合えた私が、動きを視認することすら出来ないなんて……それはもう、一体どれ程の……)

騎士「よう」

エルフ少女「はあ、う…!」

 エルフ少女は息を呑んだ。
 いつの間にか騎士が己の目の前に立ち、こちらを見下ろしていた。

騎士「どうした? さっきまでドヤ顔で何か言ってたろう。『腕に覚えが』何だったっけ?」

エルフ少女「う、ぐ…!」

 エルフ少女は心中で自らを鼓舞し、立ち上がろうと己を叱咤激励する。
 しかし、震える膝には力が入ってくれない。怯えた心は前向きになってはくれない。
 つまり、エルフ少女は既に戦意を失っていた。
 生まれて初めて出会う、手も足も出ない強者の存在は、彼女の自信を木っ端みじんに打ち砕いてしまった。
 動けないエルフ少女に対し、騎士は剣を振り上げた。

騎士「動かなきゃ死ぬだけだぜ? それが嫌なら、呆とせず命乞いの一つでもしてみせな」

 そう言って、騎士は振り下ろしかけたその剣を―――途中で切り返して自身の背後に向けて振るった。
 ギィン! と赤と蒼の刃が交差する。

騎士「へ……その不意打ち上等の精神、嫌いじゃないぜ」

 音も無く騎士の背後に迫り、その背に剣を振り下ろしていたのは―――戦士だった。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:42:49.93 ID:09+TUdRc0
戦士「これが…これが答えか、騎士!」

騎士「あん? 何のことだよ」

戦士「とぼけるな! あの時の武闘会での貴様の言葉の真意だ! 『いずれ勇者は壊れる』などと嘯いて、最初から貴様自身が勇者を壊すつもりだったのか!!」

 騎士の剣を斬り払い、戦士は両手で握った大剣を全霊で振り下ろす。
 即座に体勢を立て直した騎士は、頭上に迫る戦士の大剣に己の持つ剣を合わせ、片手であっさりと受け止めきった。
 ぎゃりぎゃりと音を立てて剣が鍔迫り合う中、涼しげな顔で騎士は言う。

騎士「あー、あれか。そりゃちっと誤解だぜ戦士ちゃん。俺に勇者を積極的に壊そうなんて意思はねえ。予言は依然継続中さ。あいつが壊れる時はいつか必ず来る」

騎士「あいつを一時的にも立ち直らせたのがよりによって『暗黒騎士』である俺だった、そのことがあいつの壊れる時期を早まらせるかも、ってな。あの時の俺の言いたかったことってのはそんなもんだ」

戦士「貴様は…また、思わせぶりなことを…!! 吐け!! 貴様は、何を知っている!!」

騎士「お前の知らないことをさ。……はは、ってゆーか、俺の言葉を鵜呑みにすんなよ。俺はお前らの敵だぜ?」

 今度は騎士が戦士の剣を斬り払った。
 その膂力に押され、戦士は体ごと後方に吹き飛ばされる。
 空中で体勢を立て直し、戦士は両足から地面に着地した。
 再び突貫せんと、戦士は騎士に目を向ける。

 ―――瞬間、戦士もまた、騎士の放つ尋常ではない殺気を、目に見える程の黒いオーラを感じ取った。

 カタカタと剣が震える。
 がくがくと膝が震える。
 冷たい、嫌な汗が背中を伝う。
 からからに乾いた喉に、ごくりと無理やり唾を流し込んだ。

戦士「おおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 雄叫びを上げ、己を鼓舞し、戦士は黒いオーラの渦中、騎士の元へと突っ込んだ。
 ぶつかり合う赤い大剣と蒼い長剣。
 必死に恐怖に抗い、怯えを噛み殺して騎士に立ち向かう戦士の姿は悲壮ですらある。

騎士「…は、ふは、あっはははは!!!!」

 どうも、どうやらそれが騎士の琴線に触れたらしかった。

騎士「いい! 戦士お前、いいぜ!! その様子じゃ、お前は『死の恐怖』をもう知ってる! その上で、それを乗り越えて俺に立ち向かっている! 初めて会った時のような無知ゆえの蛮勇とは違う。その覚悟……惚れるぜマジで!!」

 騎士の剣が戦士の剣を滑るように動く。
 いつの間にか騎士の剣と戦士の剣の位置は入れ替わり、騎士の剣が上から押さえつける形になっていた。
 そのまま騎士は戦士の剣を思い切り地面に押し付けた。
 ずん、と音を立て、戦士の剣が地面に埋まる。

戦士「くっ…!」

 すぐに剣から片手を離し、防御態勢に入ろうとした戦士だったが、遅かった。
 騎士の軽く握った拳が戦士の顎を掠める。
 それだけで、戦士の意識は刈り取られてしまった。

騎士「また後でじっくり遊ぼうぜ、戦士。今はちょっと、先約の相手をしてやんなきゃだからよ」

 どさりと地面に倒れる戦士の姿を見届けてから、騎士はゆっくりと振り返った。

騎士「なあ、勇者」

 騎士の視線の先に、勇者は立っていた。
 騎士の放つ黒いオーラに相反するような、白く柔らかな輝きを纏って。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:43:32.02 ID:09+TUdRc0
僧侶「……終わりました。これで勇者様の体は、限界まで強化されたことになります」

 勇者の傍らに控えていた僧侶が言う。

僧侶「攻撃強化、防御強化、速度強化……宝術による呪文効果の底上げもあり、勇者様の力はこの世界で実現可能な最大値まで高まっているはずです」

勇者「ありがとう。それじゃ、僧侶ちゃんは……」

 勇者が言いかけた所で、どん! と大きな音が響いた。
 先ほど打ち上げられた武道家の体が地面に落ちた音だった。
 落ちる前から意識を失っていたのだろう。武道家は何の受け身も取らなかった。
 精霊加護に守られているとはいえ、あれだけの高さから地面に叩き付けられては無事ではすむまい。

勇者「……僧侶ちゃんは、騎士の隙をみて皆の回復を頼む」

僧侶「わかりました」

 僧侶への指示を終えて、勇者は騎士の方へ向き直る。
 直後だった。

 一瞬で勇者へ肉薄した騎士の剣が、勇者の腹を貫いていた。

勇者「がふ…!?」

僧侶「勇者様!?」

 武道家のもとへと駆け出そうとしていた僧侶の足が止まる。

勇者「だ、大丈夫だ…まだ、この程度なら…」

 勇者の言葉が終わらぬうちに、騎士の剣は勇者の腹から引き抜かれ、次いで十字に振るわれた。
 僧侶の呪文によって限界まで身体能力を強化されたはずの勇者だが、その剣の動きに反応することすら出来なかった。
 胸を真一文字に、それに交差するように右肩から左腰へ、勇者の体が切り裂かれる。

勇者「あがあああああああ!!!!!!」

 苦痛に顔を歪める勇者。
 騎士は笑った。

騎士「おいおいおい!! きらきら思わせぶりに光っといてその程度かよ勇者!! 笑わせんじゃねえぞ!!」

 騎士の剣が勇者の顔面を突く。
 反応し、身を躱した勇者だったが―――その剣から逃れきることは叶わなかった。
 騎士の持つ精霊剣・湖月の切っ先が勇者の右目を抉った。

勇者「あっぎゃあああああああああああああああ!!!!!!」

 右目を押さえ、勇者は絶叫する。
 その隙を突かれ、先ほど胴に刻まれた十字傷の交点を騎士に蹴りこまれた。
 ずぶり、と皮がめくられ、騎士の足が傷口にめり込んでいく。
 その激痛もまた、とても声を我慢できるものではなかった。
 背後に吹き飛び、木の幹に激しく背中を打ちつける勇者。
 僧侶はすぐに勇者のもとに戻り、回復呪文の行使にかかった。

騎士「無駄なことはやめとけよ勇者。お前だってホントは分かってたんだろ? そんな風に呪文で強化したって俺に敵いやしないってことは。じゃなきゃ、最初から全員にそれをやって俺に挑んでいたはずだもんな」

勇者「うう…うぐ…うああ…!」

 右目を押さえる勇者の手の指の隙間から、どくどくと血が流れ落ちる。

騎士「俺とお前の力の差は、そんな付け焼刃で埋まるもんじゃねえ」

 回復は終わった。
 血は止まり、右目の視力も無事に戻った。
 身体強化の効果も未だ継続中だ。
 だが。

騎士「さあ、どうする?」

 目の前の男に、抗う術がない。
 勝てる望みなどとっくに絶たれてしまった。
 それはまさしく絶望だった。

勇者「嫌だ…嫌だ…クソ、クソ……!」

 涙が滲む。歯の根が合わず、かちかちと音が鳴る。
 勇者は衣服の胸の辺りをぎゅっと握りしめた。

 嫌だ。

 本当に嫌なんだ。


 だけど――――――――命をここで、捨てなくちゃ。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:44:07.60 ID:09+TUdRc0





第二十九章   さよなら、嘘つきの君




75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:44:58.66 ID:09+TUdRc0
 もう何度、切り裂かれたのだろう。
 勇者の体が再びその場に崩れ落ちる。

僧侶「う、うぅ…ひぐ…!」

 勇者に向けて回復呪文を行使する僧侶は、もう泣きじゃくってしまっていた。
 傷の塞がった勇者が、のそりと立ち上がった。

騎士「そらぁッ!!!!」

 勇者が立ち上がると同時に騎士が勇者に斬りかかる。
 勇者の剣を掻い潜り、その腕を、その足を、その肩を、その胸を貫いていく。
 どさりと勇者の体が崩れ落ちた。
 どう見ても致命傷だ。
 放っておけばすぐに死んでしまう。
 僧侶は再び勇者に向かって回復呪文を行使せざるを得なかった。

騎士「おいおい……ひでえ女だな。もう死なせてやれよ」

 杖を振る僧侶に、騎士は呆れたように声をかける。

僧侶「うぐ…ひぐ…あなたこそ、どうしてこんな、私達を弄ぶようなことを……」

 僧侶は嗚咽まじりに騎士に対してそう言った。
 そうだ、騎士は遊んでいる。
 本気で勇者達を全滅させようと思えば、騎士が狙うべきはまず僧侶であるはずだ。
 そしてそれをあっさり実行してしまえる実力を、騎士は持っているはずである。

騎士「全員殺すのは簡単だよ。でもさあ、見てえじゃん? 心が折れて、俺に完全に屈服するところをさ」

僧侶「外道…!」

勇者「そいつの言うことに耳を貸すな……僧侶ちゃん……」

 勇者がのそりと立ち上がり、言った。

勇者「これから先、何があろうと……僧侶ちゃんは決して折れずに、俺を回復し続けてくれ……」

僧侶「勇者様……」

騎士「勇者…」

 騎士は立ち上がった勇者に歩み寄り―――剣を使わず、その頬を殴りつけた。

勇者「ぶ、が…!」

 騎士はそのまま襟首を掴み、勇者の体をうつ伏せに引き倒す。
 その後、騎士は勇者の背に乗って体を押さえつけ、勇者の自由を奪った。

騎士「ほんっと、折れねえよなぁ。お前は」

 勇者は騎士を振り落そうと踠くが、圧倒的な力の差によりそれは叶わなかった。
 騎士は精霊剣・湖月を鞘に仕舞う。

騎士「別に他の奴なら一思いに殺ってやってもいいけどな。お前だけは別だ。お前だけは、お前が被ってるその気持ち悪い化けの皮を剥いでやらなきゃ気が済まねえ」

 騎士は鞘に仕舞った状態のまま、湖月を振りかぶった。

騎士「言えよ、勇者」

 騎士は湖月を振り下ろす。
 鞘に仕舞ったままの状態のそれは、勇者の右手、その指先を叩き潰した。

勇者「ぐああッ!!」

 人差し指と中指が折れた。第二関節の辺りから逆さに折れ曲がった指の姿が勇者の目に映る。
 勇者の見ている前で、同じところが再び叩き潰された。

勇者「う、ぎ、ああああああああああ!!!!!!」

 その苦痛は筆舌に尽くしがたい。反射的に勇者は足をばたつかせ、全身を跳ねさせるが騎士の体は勇者の背中から全く動かない。

騎士「嘘をついてましたと言え。綺麗事を言ってましたと言え。他人より自分が大切ですと言え」

 一言発する度に騎士は勇者に向かって鞘に入れた剣を振る。
 狙われる場所は指先から手首へと徐々に移行し、勇者の体は先から少しずつ粉砕されていく。

勇者「ぐう、ぐ、うぎ、があ!!」

僧侶「いやあああああああああ!!!!!!」

 見かねた僧侶が駆け寄り、騎士に向かって杖を振り下ろした。
 しかしそれもあっさりと騎士に片手でいなされ、その動きだけで僧侶の体は宙を舞い周りの樹に叩き付けられてしまう。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:45:56.23 ID:09+TUdRc0
 勇者の右腕が、肘と手首のちょうど中ほどまでぐちゃぐちゃに潰された段階で、騎士はその手を止めた。
 ぼそぼそと、勇者が何か呟き始めたからだ。

勇者「……や…だ…」

騎士「……何だって?」

勇者「嫌だ…嫌だ……」

騎士「何が嫌なんだ?」

勇者「痛いのは嫌だ……死ぬのは嫌だ……剣で斬られると本当に痛いんだ……血がいっぱい出るのを見るのは本当に怖いんだ……」

 涙と鼻水と涎で汚れた己の顔を拭おうともせず、勇者は呆としてうわ言のように言葉を漏らす。
 その姿は、もはや正気を保っているのかも疑わしいほどだ。
 騎士は己の悲願の成就を予感し、快感にぶるりと身を震わせる。

騎士「だったら勇者、何て言わなきゃいけないんだ?」

勇者「な、に……を…?」

騎士「教えてやるぜ。こう言うんだ」



騎士「『戦士と僧侶を好きにしてもいいから、僕の命だけは助けてください』ってな」



僧侶「な……」

騎士「もちろん、その言葉の通り戦士と僧侶に関しちゃ俺の好き放題させてもらう。だが、その代わりお前の命は絶対に保障しよう。なーに、心配するな。戦士と僧侶も殺したりはしねえさ」

 騎士が言葉巧みに勇者を誘導する。
 その言葉を吐く勇者の姿こそが、騎士の最も見たいものだった。
 保身のために愛する仲間を差し出した時―――その瞬間が、勇者の在り方の根幹が崩れる時だ。
 もぞもぞと勇者が体を動かした。
 今度は騎士もそれを邪魔したりはしない。
 勇者は己の姿勢を仰向けに直すと、またしてもうわ言のように言葉を発した。

勇者「痛いのは嫌だ……死ぬのは嫌だ……」

 呪詛のように繰り返されるその言葉は、まるで自らを正当化するように。
 これから起こす行動に対し、自らを勇気付けるように。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:46:24.04 ID:09+TUdRc0







勇者「だけど――――それ以上に、お前に負けるのだけは絶対に嫌だ」







78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:47:14.73 ID:09+TUdRc0
勇者「『呪文・大回復』!!」

 密かに紡いでいた回復の魔力を勇者は己の右腕に輪転させる。
 完全回復というわけにはいかないが、何とか機能を取り戻した右手も使って、勇者は両手で騎士の体を掴んだ。

勇者「ようやく捕まえたぜ…!」

騎士「な…に…?」

 騎士は完全に不意を突かれ、硬直してしまっていた。
 真っ白になった頭を回転させ、勇者の意図に勘付いた時にはもう遅かった。

勇者「『呪文・大雷撃』ッ!!!!」

 轟音と共に、閃光が騎士の頭上に降り注いだ。

騎士「ぐあああああああああ!!!?」

 バリバリバリィ!! と身を焼かれる激痛に叫びを上げたのは、騎士だけではない。

勇者「うぐううううううう!!!!!」

 勇者もまたその雷に焼かれ、苦痛の呻きを上げていた。
 対象である騎士に対して、近すぎるのだ。
 『呪文・大雷撃』は本来複数の敵を同時に対象にするような大雑把な呪文だ。
 これだけ密着状態にある二人のうち、片方だけにダメージを与えるように威力・効果範囲を調節するなど、そんな器用な真似は出来はしない。

騎士(野郎…!)

 勇者の体を振りほどこうとして、騎士は『呪文・大雷撃』の真価を思い出し、愕然とした。

騎士(体…動かね…!! ああ、くそ!! うざってえ!!!!)

 騎士はそれでも痺れた体を無理やりに動かし、己の体を掴む勇者の手を振り払おうと試みる。
 その時、騎士は勇者が笑っているのに気が付いた。

騎士「てめえ、まさか―――――」

勇者「―――『呪文・大雷撃』ッ!!!!」

 ピシャァァァァンッ!!!!!! と、空気を裂く轟音と閃光が再び二人を襲う。

騎士「ぐうあああああああああああ!!!!!!」

騎士(こいつ!! まさかこのまま!! 心中覚悟で雷を呼び続ける気か!?)

騎士(だが、俺と勇者の間には絶対的な体力差がある!! 先に力尽きるのは、どう考えても勇者の……ッ!?)

 騎士の目に、勇者に杖を向ける僧侶の姿が映った。
 彼女はその目に大粒の涙を浮かべながらも、先ほどの勇者の言いつけに従い勇者の傷を癒そうとしている。









 ――――これから先、何があろうと……僧侶ちゃんは決して折れずに、俺を回復し続けてくれ






79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/28(日) 19:47:33.08 ID:X/H49ZFo0
更新来てる?
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:47:40.12 ID:09+TUdRc0
僧侶「ううう…! うぐ…ふぐ…!!」

 子供のように泣きじゃくりながら、僧侶は勇者に回復呪文をかけ続ける。
 彼女は知っている。勇者が痛みを病的なまでに嫌っていることを。
 彼女は思い知っている。それでも勇者は、いざという時には他人の為に自分を犠牲にしてしまうことを。
 そうさせないように強くなろうと誓ったはずなのに。
 なのにまた、今回も、結局は。

 ―――また、雷が落ちた。
 僧侶の目が光に眩む。轟く雷鳴が僧侶の耳をつんざく。

僧侶(ごめんなさい……)

 杖を振る度に、僧侶は勇者に謝罪する。
 勇者が命を落とさぬよう回復を続けるということは、裏を返せば死ぬほどの苦しみをずっと延長し続けるということだ。

僧侶(ごめんなさい…ごめんなさい…!)

 傷ついてほしくないと嘯きながら、彼の自殺行為を容認している。
 彼の考えに乗り、杖を振り続けるという事はつまりそういうことだ。
 罪悪感と無力感に苛まれながら、僧侶はただ勇者の言葉に縋り、回復呪文を紡ぎ続ける。

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:48:41.23 ID:09+TUdRc0
 雷が落ちる。
 既にその数は十を超えている。
 二人の男はもはや声を上げもしない。
 ただ歯を食いしばり、耐え凌いでいる。
 目の前の男が先に倒れるのを待っている。

 また雷が落ちた。
 その苦痛に慣れることは無いのだろう。
 勇者も騎士も、閃光に打たれるたびに苦悶の表情を浮かべている。
 もうやめたいはずだ。やめていっそ楽になりたいはずだ。
 なのに、勇者はまた叫ぶ。騎士の体を掴むその手を、離そうとはしない。



 そんな勇者の姿を見ながら、エルフ少女は昨晩の部屋でのやり取りを思い出していた。



エルフ少女『本当に見るだけで済ませちゃうんだね。私の体は君の好みじゃなかったかな? 結構自信、あったんだけどなあ』

勇者『そんなことないよ。エルフ少女は本当に魅力的な女の子だと思う』

エルフ少女『だったら……』

勇者『だけど、駄目なんだ。もし本気で俺を誘ってくれてるんなら、女性に恥をかかせて申し訳ないと思うけど……』


勇者『その……そういうことをすれば、子供が出来る可能性があるだろ?』


勇者『だけど――――俺、多分明日死ぬからさ』


勇者『だから、ちょっとそんな無責任な真似は出来ないよ。ごめんね、マジで――――』





 雷が落ちる。

勇者「ぐ、あぁ……ッ!! 『呪文・大雷撃』ぃッ!!!!」

 轟音と共に、閃光が勇者の体を打つ。
 いつ終わるとも知れぬ苦痛の繰り返し。
 エルフ少女の頬を伝う水滴が、眩い雷光を反射した。


82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:49:13.61 ID:09+TUdRc0
勇者「『呪文・大雷撃』ッ!!!!」

 失いそうになる意識を必死でつなぎ止めながら、勇者は叫ぶ。
 新たな雷が己の体を打った。直後に、僧侶の回復呪文が飛んでくる。
 それによって痛みは多少マシになる―――が、すぐに新しい雷が体を打つ。
 まあ、呼んでいるのは自分なのだが……常に真新しい苦痛に晒されるというのは、実に凶悪な拷問だ。
 この作戦を思いつき、実行する前は、いずれ痛みにも慣れるのではないかと思っていたが、それは淡い期待だった。
 痛みに慣れるというのは、体の中の痛みを感じる機能が死んでしまう事なのだと思う。
 僧侶の回復により定期的に体が回復する自分には、そんな状況が訪れることはない。

勇者(どうして俺は、こんなにまでなって……)

 勇者はこれまでも何度も沸いてきていた疑問について改めて考えた。
 痛いのは嫌いだ。死ぬのは嫌だ。
 それはずっと昔から変わらない。それらを出来る限り回避して生きていこうという己の根底にある信念は変わっていない。
 と、思う。
 の、はずだ。
 だけども、仲間が出来て、長い旅をして、色んな経験をして、今まで知らなかった自分の一面に気付いた、というのはある。

 痛いのは嫌いだ。死ぬのは嫌だ。
 だけど、平気で他人を傷つけることが出来る奴はもっと嫌いだ。
 自分が何もしないせいで誰かが酷い目にあうというのは死ぬほど嫌だ。

 成程確かに、新たに芽吹いたこんな気持ちによって、最善を希求した結果自分をある程度犠牲にすることもあったかもしれない。
 自分の痛みと他人の幸せを比較して、他人の幸せを優先したこともあったかもしれない。
 だけど今自分がやっているこれは、明らかにやり過ぎだ。
 自分の命を完全に捨てて、敵をやっつけようとするなんて。
 つまりそれは、敵をやっつけた後の結果なんてどうでも良いということではないか。
 自分が敵をやっつけたことで世界にどんな影響が起きるのか、そういうことに全く興味を無くしている。
 つまり『何かを目的とした時の手段としてそいつを倒す』のではなく、『その男を倒すことが最終目的となっている』ということだ。

 ああ―――そうだ
 結局そういうことなのだ

 今の自分にとっては、騎士という男を倒すことだけが至上の目的となっている。

 もし相手が魔王だったら?
 敵わないと悟れば逃げて別の手を考えていただろう。
 もしかしたら他の誰かに任せてしまってもかまわないと思っていたかもしれない。

 相手が大魔王だったとしても?
 一緒だ。変わらない。命を犠牲にしてまで戦いに挑む理由がない。
 平和の為に―――なんて曖昧模糊な理由で人は命を懸けられない。
 人が命を懸けられるのはいつだって――――自分の為だけだ。

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:50:05.27 ID:09+TUdRc0


 高名な父の元に生まれ、ただその跡継ぎとしての人生を求められた

 『世界を救う』なんて大役を周囲から押し付けられて生きてきた

 そのせいで、色んなものを犠牲にした

 こんな小さなガキの頃に死にかけたこともある

 そんな風に頑張っているのに、誰も俺自身を褒めることなんて無かった

 流石、あの人の息子だ。流石、英雄の血を引くだけある

 果てはまだ足りないと、それでも英雄の息子かと罵倒されたこともある

 俺がどれだけ努力しているかも見ていない奴に

 俺の名前を呼んだことも無い奴に

 嫌気がさした

 だから/だけど

 自分の為に、他人を殺した/他人の為に、自分を殺した

 そうすることが人として正しいことだと信じていた
 そうすることが人として正しいことだと信じていた

 だから、これからもずっとそうやって生きていこうと思った
 だから、これからもずっとそうやって生きていこうと思った

 楽しかった/つまらなかった

 解放された人生だった/牢獄にいるような人生だった

 その代わり、俺は独りだった/その代わり、沢山の人が俺を認めてくれた

 それでいいと思った
 それでいいと思った

 だって、他にやりようなんてない
 だって、他にやりようなんてない

 そう思っていたのに/そう信じていたのに


84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:50:42.06 ID:09+TUdRc0


 あっさりと自分の真逆の道を行く奴が目の前に現れた


 まるで自分の歩いてきた道を否定されたような気分になった


 同族嫌悪、とはきっと違う


 だって俺とあいつは真逆の存在だ


 言うなれば、俺がなりたくないと否定した存在があいつなんだ


 なんておぞましい


 気持ち悪い


 あんな奴の存在を、許しちゃいけない


 だって、あんな奴の存在が許されてしまうなら、俺は―――――








85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:51:12.44 ID:09+TUdRc0
勇者「騎ィィィィィ士ィィィィィイイイイイイイイイ!!!!!!!」

騎士「勇ゥゥゥゥゥ者ぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!」

 一際眩い雷光が二人の体を貫いた。

勇者「ぐうううううううう!!!!!」

騎士「ぬうあああああああ!!!!!」

 これまでで最大級の威力に、勇者と騎士は歯を食いしばって耐える。

勇者(これでまだ倒れねえのかよ、化け物め!! お前一体何発この呪文食らってると思ってんだよ!!)

 もう一度、と魔力を振り絞ろうとした勇者の視界が突然揺れた。
 呪文によるダメージではない。
 痛みではなく、異常な倦怠感による体のふらつき。
 魔力切れだ。

勇者「な……」

 どすり、と肉を貫く音が勇者の耳に届いた。
 騎士がいつの間にか湖月を鞘から抜き放ち、勇者の胸に突き立てている。

騎士「……ふぅぅ〜……ようやく…ようやく品切れか……危なかったぜ、勇者。俺ももう意地で立ってただけだからな。もう一発でも食らってたら終わってた」

勇者「が、ごふ……!」

 勇者の口から鮮血が零れた。

勇者「あー……敵わねえや。俺の負けだよ、騎士」

 そう言って、勇者は騎士の体を掴んでいた手を一度離し、今度は己の胸に剣を突き立てる騎士の腕を掴み取る。

勇者「だけど―――――油断したな。俺達の、勝ちだ」

 ぞわり、と総毛立つ寒気を感じて、騎士は後ろを振り向いた。

 ――――戦士と武道家が立ち上がり、騎士に向かって突進してきていた。

騎士「な…にィ!?」

戦士「おおおおおおおおおおお!!!!!!」

武道家「はああああああああああ!!!!!!」

 戦士も武道家も、その顔は涙に濡れていた。
 勇者の『呪文・大雷撃』が引き起こす轟音と閃光により、二人は早い段階で意識を取り戻していた。
 そして、勇者を手助けすることすら出来ず、ただ勇者の自爆技に任せるしかない自分達を恥じていた。
 己の無力を呪っていた。
 それでも、せめてと。
 勇者が及ばぬ時は、刺し違えても自分達が―――と伏せたままずっと機を伺っていた。
 勇者が雷に打たれるたびに、奥歯を噛みしめ、涙を流しながら。


86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:51:50.46 ID:09+TUdRc0
騎士「クッソ…! 離せぇッ!!」

 騎士は己の腕を掴んで剣を固定する勇者の体を必死で蹴り飛ばした。
 十全の状態の騎士ならば、それだけで勇者の体を爆散させることも可能だっただろう。
 だが今は、二度の蹴りでようやく勇者の体から剣を引き抜くのがやっとという有様だった。

戦士「ああああああああ!!!!!!」

騎士「な、めんなコラァ!!!!」

 小細工なしで大上段に斬りかかってきた戦士を迎え撃つため、騎士は己の足に力を込める。
 ぐらり、と膝が笑って体勢が崩れた。
 繰り返された『呪文・大雷撃』のダメージは、確かに騎士の体に蓄積されていた。
 戦士の剣が振り下ろされ、地面に膝をついてしまっていた騎士は体勢を立て直すのが間に合うはずもなく、ただ我武者羅に回避のために身を捩る。
 湖月を握りしめていた騎士の右腕が宙を舞った。

騎士「……うらぁ!!!!!」

 死力を振り絞り、騎士は残った左手で戦士を殴り飛ばした。
 右腕を失ったことで体のバランスを著しく欠いた騎士はもんどりうって倒れそうになる体を必死になって立て直す。
 そこへ間髪入れず武道家が襲い掛かった。
 精霊甲・竜牙の肘部分から飛び出した槍の穂先のような刃物―――スピアが騎士の胸に突き立つ。

騎士「ごふ……う、おおおおお!!!!!!」

 騎士は武道家の襟首を掴み、顔面に思い切り頭突きを放った。
 そのまま左腕一本で武道家の体を投げ飛ばす。

騎士「ふぅ…ふぅ…ッ!!」

 騎士は喉奥からせり上がってくる血の塊を飲み下す。
 だが、根元から右腕を切られた肩と武道家に貫かれた胸の傷からの出血が夥しく、どの道すぐに血が足りなくなるのは目に見えていた。
 騎士は地面に落ちていた自分の右腕から、精霊剣・湖月を拾う。
 その時、さく、と草を踏む音が背後から聞こえた。
 振り返る。
 勇者だ。
 真打・夜桜をその手に持った勇者が立っていた。


87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:52:49.07 ID:09+TUdRc0
 騎士は一度勇者に対して精霊剣・湖月を構えたが、ふっ、とその顔に笑みを浮かべると剣を下ろした。

騎士「参ったぜ、勇者。俺の負けだ」

 そう言って、騎士はその場に座り込んでしまった。
 実際、もう立っているのもやっとという状態なのだろう。
 そんな状態で、騎士は勇者に気さくに話しかけてきた。
 まるで、酒場で友として語り合ったときのような気安さで。
 そんな二人の様子を、戦士は遠巻きに眺めていた。
 騎士が何か妙な動きをすれば即座に動けるように、油断なく。
 もちろん、真に万全を期すならすぐに勇者のもとに駆け寄って、騎士にとどめを刺すべきだろう。
 だけど、戦士はそうしなかった。
 それは、同じように様子を見ている僧侶も武道家も同様だった。
 皆、騎士との決着は勇者がつけるべきなのだと、そう思っていた。

騎士「なあ、勇者。命だけは助けてくれないか?」

 いくらかの会話を終えた後、騎士はそう切り出してきた。

騎士「この戦いを通して分かったよ。お前は正しい、間違っていたのは俺だってな。今後は俺も心を入れ替える。な? 頼むよ、勇者」

騎士「湖月もお前が使ってくれていい。お前がもし大魔王に挑むなら、俺はお前の右腕として忠実に働くことを誓う。どうだ? 悪い相談じゃ無いはずだぜ?」

 勇者はじっと騎士の目を見つめていた。
 騎士も、目を逸らさず勇者を見ていた。
 勇者はふぅ、と大きなため息をつく。

勇者「そうだな。そうなればどんなにいいかと俺も思う。俺とお前なら、きっとどんな奴が相手だって後れを取ったりはしないだろう」

 騎士は勇者の言葉に口を挟まず、黙ってその先を待っている。

勇者「だけど、万が一のことを考えたら――――――いや、」

 勇者は言葉を切り、言い直した。
 その顔には、笑みが浮かんでいる。



勇者「お前さ―――――絶対裏切るだろ?」


騎士「流石勇者だな。俺のことを、本当によくわかってる」


 答える騎士も、やっぱり笑っていた。




88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:53:30.80 ID:09+TUdRc0
 勇者が真打・夜桜を一閃する。
 騎士も応じて、精霊剣・湖月を振った。
 勇者の胸が切り裂かれ、血が噴き出した。
 騎士も同じ場所に傷を負い、仰向けに倒れる。
 互いに致命傷だ。
 だが、勇者は死なない。
 彼の傷は共にいる仲間によって治療が為されるだろう。
 騎士を治す者は誰も居ない。
 だから、騎士はここで死ぬ。
 それが好き放題に生きてきた、彼の結末。

騎士(悔いはない……割と好き勝手出来たし、ぼちぼち面白い人生だった)

騎士(まあ、そうだな……それでもひとつだけ心残りを挙げるとしたら……)

 最後の力を振り絞って顔を起こし、騎士は勇者の姿を確認する。
 仲間たちに囲まれて、勇者は傷の治療を受けている様子が目に入った。
 首に入れていた力を抜くと、ばしゃんと自分の体から生まれた血だまりに後頭部が沈む。

騎士「勇者……お前の結末を、出来れば見届けたかったな………」

騎士「それが……悔いと言えば、悔いか……」

騎士「…………」

 騎士の目から光が消える。
 彼が最後に呟いた言葉は、誰の耳に届くことも無く、ただ空に吸い込まれていった。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:54:11.77 ID:09+TUdRc0
 後日談。
 勇者が提案したこの一大作戦によって、魔王討伐は為された。
 勇者達が騎士を抑え込んでいる間に、魔王城に潜入した各国の精鋭が見事魔王討伐を成し遂げたのだ。
 無論、かつての『伝説の勇者』の一件を経て、人々は『大魔王』の存在を知っている。
 だから、決して手放しで喜べることではないが―――世界はつかの間の平和を手に入れたのだ。
 世界に残った魔物の残党を一掃する討伐隊の活動も各国で活発に行われており、結果、魔物の数は激減した。
 最後の戦いから数か月が経過した今はもう、物資運搬を『翼竜の羽』に依る必要はなくなっていた。
 町と町とを繋ぐ街道を、物資運搬の馬車が活発に行き交っている。
 物流が滞りなく回るようになったことで、この世界はますます発展していくだろう。
 閑話休題。
 勇者は一人、北の大地を歩いていた。
 向かう先は、とある孤児院である。

院長「これはこれは勇者様」

 勇者を出迎えたのは、孤児院を経営する小太りの院長だった。

勇者「皆の様子はどうですか?」

院長「皆、元気にしておられますよ。元気過ぎて困るくらいです」

勇者「今日は随分と人数が少ないように見えますが……」

院長「大多数の者が故郷に戻って『作業』をしております。ここに残っているのはまだ歩んで故郷に戻るのは厳しい幼子ばかりです」

勇者「そうですか……これ、今月の支給リストです。近々に物資を乗せた馬車がやってくる手筈になっています」

院長「おお、おお……! まことに、まことにありがとうございます…!!」

勇者「いえ、貴方達は孤児になってしまった子供たちを支える立派な人たちだ。これからも出来る限りの援助をさせていただきますよ」

院長「ありがたきお言葉……思い起こせばあの日、極北の国が魔族に滅ぼされたことで大量の孤児が発生しました。当然、この院だけでその子たちを全て収容できるはずもなく……皆の寝床を確保するために方々に手を回したものです」

院長「しかし寝床を確保しても、それだけの人数の子供たちを養い続けるには莫大な費用が必要となります。私共だけでその費用を捻出するのはとても不可能でございました。しかし、ある方が援助を申し出てくださり、我々は何とか子供たちを飢えさせずに面倒を見続けることが出来たのです」

院長「この数か月、その方からの援助が途絶えて途方に暮れていた所だったのです。勇者様が新たに援助を申し出てくだされなければ、あの子たちは……うぅ…まことに、まことに、ありがとうございます…!!」

勇者「ですから、どうかお気になさらず。今後の支援はその方から私が引き継いだものとして、責任をもって続けさせていただきます。ああ、そうだ。ちなみにその方の名前などは、まだ覚えていらっしゃいますか?」

院長「ええ、もちろん。『騎士』様と、そう名乗っておられました」



90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:55:48.12 ID:09+TUdRc0
 勇者は『滅びた国』の正門から町の中を覗き込んだ。
 とある家の中から、年若い少年少女の手によって死体が運び出されていた。
 死体は車輪のついた台車に乗せられ、町の奥へと運ばれていく。
 恐らく町の奥に共同墓地の類を設けているのだろう。
 孤児院で院長が言っていた『作業』とはこのことだった。
 世界から魔物がいなくなったことで、ようやくこの国の子供たちは我が家に戻り、手付かずだった肉親の遺体を弔うことが出来始めているのだ。
 それでも、この国から全ての遺体が片付けられるまでには、まだ長い時間がかかるだろう。
 実は勇者は、以前少年たちに手伝いを申し出て断られた経緯がある。
 この国の子供たちは、全てを自分達の手で行うことを選んだ。
 どれだけ時間がかかろうとも、自分達だけで故郷の滅亡という事実に決着をつけると宣言したのだ。
 それはまるで、あの男の信念に従うかのように。

勇者「……頑張れ」

 勇者は『滅びた国』に背を向ける。
 実は、初めてこの国に足を踏み入れた時から、気になっていたことだった。
 あれだけ多くの人間が死んでいるのを見て、だけど、子供の死体は見かけなかった。
 あの時は、色々と他に衝撃が大きすぎて、そこまで思い至らなかったけれど、よく考えれば簡単に分かる事だった。
 たった一人で国を滅ぼすという暴挙に出たけれど、あの男は子供だけは手にかけなかったのだ。

勇者「……まあ、子供にはまだ、自分の命の決定権なんてないしな。結局、全部親次第なんだし」

 だから何だという話ではある。
 あの男は結局、その子供たちから幸せな家庭というものを奪っている。
 極悪非道であることには変わりはない。
 だけど――――



『俺の国は完膚なきまでに滅ぼされていて、生き残りはゼロだった』




勇者(――――かつてあいつは、そんな風に俺に語った)


勇者「…………お前の言うことは、本当に嘘ばっかりだ。騎士」







第二十九章   さよなら、嘘つきの君








91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:57:01.19 ID:09+TUdRc0
今回はここまで
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/28(日) 19:58:03.33 ID:09+TUdRc0
やべ、最後にタイトルに「完」いれるの忘れとる ファック!!
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 20:01:29.91 ID:6E93bNZn0
乙。
騎士にも幸せになって欲しかったなぁ。とも思ったりもする。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 20:40:45.44 ID:TycLmnA+O
お疲れ様
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 20:45:32.27 ID:TZIHYQngO
乙!
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 21:20:25.28 ID:ie5f1KIto
大長編乙でした
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 21:39:08.60 ID:zP0aJRgxO
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 21:46:28.09 ID:JlCK8Ajwo
騎士ぃ……

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 21:52:37.51 ID:vVd9cwtR0
乙です!
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 21:54:28.13 ID:NellXGX2o
名作がまた一つ終わってしまった…
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 21:54:50.55 ID:DUHapmAiO
おつつつつ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 21:56:02.78 ID:4d7EN7Ieo
こんなにも長くて面白かったのなかなか見ないぜ乙!
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 22:13:11.17 ID:TycLmnA+O
いや、まだ終わってないだろ?
単に29章の完を入れ忘れただけで
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 22:19:48.06 ID:+m2CbUkOo
今までも章ごとに「完」入ってるしね
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 22:24:03.95 ID:UqQikRgxO
伝説の勇者関連の謎も残ってるしまだ続くでしょ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 22:34:30.83 ID:zUBqqxocO
>>1
てか、なんで皆完結したと思ってるの?
29章が完結しただけだろ?
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 23:00:23.17 ID:tmOsD42Bo
乙です
今回も最高だった!
SS読んでて鳥肌立ったりするなんて
そうそうないのにこのSSはしょっちゅう鳥肌が立つ
本当に素晴らしい
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 00:06:56.57 ID:FT+uRpkL0
おつん
やっぱり勇者は紛うことなく勇者だな
感動した
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 01:09:48.86 ID:RIP/iOOAO
おつ
今回は って言ってるからには続くんだよな?
期待
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 01:27:46.88 ID:j/ou1ij8O
勇者(父)は加護の件とかで生きてる可能性あるとか書いてたもんな
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 01:44:18.29 ID:C16P0E3E0
このクオリティの高さ
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 02:00:28.95 ID:WsfAd4/nO

やっぱり騎士は嘘つきで強かったな
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 02:01:46.89 ID:pPwrXYDr0
おつだ。
まってたよ。今回もよかった…
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 05:49:25.91 ID:3RX/wQWX0
おつおつ
大魔王の存在も確認されてるもんな。まだ続いてくれるだろ。

こんな終わり方しか決着しなかったのは、やっぱり悲しいな。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 09:13:23.33 ID:qVPbyZ0GO
勇者壊れてないしまだ続くよね?

カミーユ以上に精神崩壊するの待ってるんだから。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 09:59:25.88 ID:hL4bYxVUo
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 14:47:20.30 ID:/4WzUfQk0
勇者は騎士の加護を継承したんだよな…もはやチートだな。

てか、ここの雑談用のスレがほしい…
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 15:36:26.82 ID:SpFVKOhQO
>>117
騎士の加護の継承は勇者だけに行く訳じゃないからチート並に上がってるとは限らなくね?
もしかしたら上がってるかもしれないが
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 20:49:12.29 ID:dcv+0jU3O
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 21:19:14.87 ID:jdMFunuXO
そもそも今回は加護の継承の例外にも該当しないから、いずれにせよ騎士並みのチートは手に入らんわな。
いちおつ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 21:27:40.97 ID:OgEoPVRxo
>>117
肉親じゃないから
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 21:35:01.57 ID:qkm1SoKjo
全継承じゃないにしろ強くはなってるだろ
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 22:01:41.90 ID:/hBNBg9go
>>121
肉親関係なくね
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 22:05:54.18 ID:3ghntMaEO
>>123
関係あるだろ
騎士の過去話読み直せ
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 22:06:41.15 ID:jdMFunuXO
まあ確かに加護の継承の例外は肉親だから起こるとは断定されていなかったな。
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 22:07:32.52 ID:/hBNBg9go
>>124
そうだっけか
でもそしたら100%じゃないんじゃなかった?じゃなきゃ騎士そもそも強くないだろ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 22:42:06.90 ID:SVNlF69Qo
魂が似てるからなのか、血縁だからなのかはわからないってなってるから
騎士と在り方が真逆でも性質は同じ勇者にもワンチャンあるかもしれない
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 00:28:33.03 ID:vmtDZJRpO
>>83の演出が素晴らしいな
マジでプロじゃないかと思ってしまう
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 07:30:36.67 ID:ArcLHYS6o
騎士はいい敵だった……乙
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 07:57:07.30 ID:y8t3HvlQO
少なくとも伝説の勇者級の男から騎士が継承したものだから肉親ブースト抜いてもかなり強いだろうな
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 13:54:55.66 ID:OnokDB9Wo
例外については良く分かってないが、加護の継承自体ではっきりしてることは『その場にいるすべての人間が対象である』こと。
勇者一人が加護を継承できるわけじゃないぞ。
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 14:33:30.90 ID:dYIFYeVDo
一人でこの世界の最上級クラスが束になっても遊べる程度の実力がある騎士からの加護継承だぞ?
例え一部であろうがその場にいる全員がチート級になっておかしくないのに
なんで全部継承しなきゃ弱いみたいになってんだ?
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 14:38:52.29 ID:x4gwLnOCO
「チート並に上がってるとは限らなくね?」
→「チート級になっておかしくない」
以下無限ループ
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 15:03:09.62 ID:tEW06eWuo
騎士戦の前から勇者一行はかなり強かったと思うぞ
ただ騎士がバケモノだっただけで
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 15:46:57.53 ID:I3DpHin3o
何割継承かも分からないし
継承分をさらに六等分されてるって考えたら
爆発的な上昇はしないんじゃね?
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 16:12:57.30 ID:aowjpGtmO
伝説になれなかった騎士から加護の継承の例外で100%継承した加護と
国一つ分の加護(子供除く)と冒険してから得た加護


いくら100%継承で相手が伝説の勇者の次くらいの実力者の加護でも魔王には及ばなかったみたいだし
単身魔王軍相手に出来てあっさり魔王に勝てちゃう騎士の総加護量に比べたら伝説になれなかった騎士分の加護量なんて最早大したことないんじゃないの?
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/02(水) 02:43:37.70 ID:M549KTaXo
それ以上はいけない
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/02(水) 06:19:42.37 ID:vmBNipRvo
面白い乙
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/02(水) 16:38:27.37 ID:FlbfQQw+0

ラスボスは父親ってパターンかな?

続き楽しみ。
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/02(水) 20:33:01.35 ID:SG6WEzup0
騎士が化け物なのは伝説の勇者に告ぐ実力者×2だからじゃないの
勇者たちの倍以上ってことだろ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/03(木) 22:50:42.14 ID:+U/ibXG8O
素で父より強くなってたからな騎士は
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/04(金) 02:35:20.11 ID:drsicY9fo
まだ大魔王が残ってるな
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/04(金) 14:07:33.28 ID:eRspRmY70

化け物以上に強い騎士を倒したから全部継げなくてさらに分割されても大分強くなってるだろうね
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/10(木) 03:02:47.95 ID:+qSnolXOo
最近見つけて、やっと読み終わった
マジ面白かった
続きをお願いします
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 03:03:58.87 ID:+qSnolXOo
すまん、あげてしまった…
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/16(水) 02:21:53.10 ID:DNpzCf8Yo
精霊の加護ってのが経験値みたいなもんか
そうなると加護吸えるのが一部だとしても相当強くなりそうだな
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/22(火) 05:00:58.49 ID:1UsSIDf/0
期待
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/23(水) 00:44:11.78 ID:p8ZABVG9o
そろそろ更新を期待しつつ
最初から読み直すぞ
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/26(土) 07:09:59.82 ID:79j1DRezO
一ヶ月近く更新無いのは珍しいな
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/27(日) 00:18:39.02 ID:qH+HRSuZO
前回も一ヶ月あいたよ。1月も2月も月末…もうすぐだと期待しよう。
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/27(日) 18:41:25.79 ID:lB8cIWYkO
スラムダンク状態なんかな
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/30(水) 19:42:48.67 ID:3N5t0cpNO
3月末は期末の会社が多いからね
学生なのか社会人なのか知らないけど
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/30(水) 20:01:40.53 ID:uFZAQO9ko
学生でこんな文章書けたら将来有望だな
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