ミュウツー『……これは、逆襲だ』 第三幕

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460 : ◆/D3JAdPz6s [saga sage]:2023/12/09(土) 22:54:23.93 ID:PVvYiWSbo

お手上げだ、とでもいうようにアデクは両手を広げた。

そしてレンジャーに同意を求めた。

それはつまり、彼らに――お前に――できることはないと言われたも同然だった。


アデク「あいつが、存在を広められることを望むとは思えんしな」

アデク「現状、潜伏場所の周囲で三人もの人間に存在を認知させてしまっている」

アデク「そして、それもさっき四人になってしまった」

アデク「これ以上、話が広がるのも本意ではないはずだ」

アデク「何かあれば、あいつが方針転換する可能性も十分にあるわけだしな」

アデク「まあ……わしらは突発的だが、お前さんの場合だけは向こうからの働きかけだから」

アデク「少しケースが違う、と言えんこともないが」

レンジャー「……わかりました」

レンジャー「私も、こういう形であいつのことを調べるのはやめます」

アデク「それがいいな」

アデク「カツラの話の通りなら、図鑑をいくら調べても出てくるまいよ」

レンジャー「都市伝説本の方がまだ確率高そうです」

アデク「そうだな」


アデクが立ち上がった。

レンジャーに歩み寄り、大きな手で肩をぽんと叩く。


アデク「誰かのためを思って何かするのは、難しいな」


それを待ち構えていたかのように、アロエが端末の画面に目をやる。

461 : ◆/D3JAdPz6s [saga sage]:2023/12/09(土) 22:55:03.72 ID:PVvYiWSbo

アロエ「そろそろ、お開きにしましょう」

レンジャー「……はい」

アデク「なーに、お前さんが落ち込むところは、今のところ特にない」

レンジャー「いえ、そんな……」

アロエ「一応、あのハゲも必要なことはひととおり話してくれたみたいだしね」

レンジャー「ハゲって」

アデク「奴の話に嘘が含まれる可能性はあると思うか」


アデクの言葉に、アロエは肩を竦める。


アロエ「さあね」

アロエ「いっそ、全部嘘であってほしいくらいだけど」

アロエ「……そうでないと、あんまりだよ」


小声でアロエはそう吐き捨てる。

レンジャーもそれは同感だった。

462 : ◆/D3JAdPz6s [saga sage]:2023/12/09(土) 22:57:30.82 ID:PVvYiWSbo

アロエ「それに、あたしたち三人には『あの子と意思疎通する手段や機会がある』と考えられるわけだし」

アロエ「喋らない他のポケモンならいざ知らず、本人に事実確認ができるのに嘘をつくメリットはないと思う」

アロエ「なんにしてもあたしたちは、あの子自身ときちんと向き合う以外に本質を見極める手段はないわけ」

アデク「それもそうだ」

アデク「うんうん」

アデク「ということは、わしらはあいつの平穏な暮らしを邪魔せんようにすればいいわけだな」

アロエ「助けを求めてきたら、できることはしてあげるけどね」

レンジャー「そ、それはもちろん……」


アロエとレンジャーの言葉に、アデクは満足そうに頷いた。


アデク「じゃあ、あっちで茶をもう一杯もらってから消えるとしようか」

アロエ「何か急ぐ用事でもあるの」

アデク「いや、特にない」

アデク「わしもしばらくは、この辺に留まることにするよ」

アデク「……気になるからな」

アロエ「あら、そう」


そう言いながら、アデクは引き戸を開けた。


アロエ「それはよかった」


レンジャーはアロエを見上げる。

頭に疑問符が浮かぶ。

アロエはちらりとレンジャーに目を向けただけで、何も答えない。

463 : ◆/D3JAdPz6s [saga sage]:2023/12/09(土) 22:59:05.08 ID:PVvYiWSbo

アロエは、アデクが出て行った引き戸を見ている。

硬い床を擦る履物の音が遠ざかっていく。

そして――


「うわっ」というアデクの呻き声と、別の誰かの声が聞こえた。

『別の誰か』は、どうやら男らしい。

喧嘩のような、そうでもないようなやりとりがかすかに聞こえる。

何を話しているのかは、まったくわからない。


扉を隔てた向こうで、ぼやけた足音がばたばたと響いた。

二人分の声が不思議な具合に遠ざかっていく。

アデクが、『別の誰か』から逃げようとしているのだろうか。


アロエ「ちょうどタイミングばっちりだったみたい」

レンジャー「……?」

アロエ「ほら、せっかく、師匠の居場所がわかったんだからね」

アロエ「せめて弟子には教えてあげないと」

アロエ「ね」


そう言って、アロエは悪戯っ子のように笑った。

464 : ◆/D3JAdPz6s [saga]:2023/12/09(土) 23:04:46.88 ID:PVvYiWSbo
今日はここまでです!

>>447
フジも来れればよかったんですけどね。
でも、そうはならなかった
ならなかったんだよ、ロック
だから、この話はまだまだ続くんだ
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/09(土) 23:33:35.66 ID:FoWOuTBbO
乙
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/09(土) 23:37:08.12 ID:uhnRTg7K0
更新お疲れ様です!!

>> 外来種のみで異種混成の群れ
人間からするとこういう表現になりますよねえ…。
「存在を外に知られないようにしよう」が叶うといいなあ…?
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 00:39:37.26 ID:UK0e4MxkO
おつ
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/15(金) 23:04:20.37 ID:EGYCHbQXO
乙
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/24(日) 16:58:19.78 ID:f3g0dKd1O
おつー
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