【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン

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628 :>>627で誤爆をしてしまったので再度書き込み [saga]:2019/10/11(金) 04:37:41.77 ID:j+TiaUXt0
グウィンドリン「アルトリウスは使命を負い、そして戻らなかった」

グウィンドリン「当時、我ら月の子らは政の表層すらからも離されていた。政の最奥、ましてや秘されしものなど、知り得るはずもない」

グウィンドリン「ゆえにアルトリウスを陥れた罠に、我は遂に気づくことができなかった」

グウィンドリン「……一日ほど遡るぞ」


コブラ「?」


グウィンドリンの言葉を飲み込む暇も無く、大広間は溶け、新たな転移に運ばれたコブラの前に、薄暗い部屋が現れた。
長方形型の広い一室には、刺繍の施された橙色の絨毯が縦横に敷かれている。
長方形の奥には祭壇、中間には左右に並べられた八つの長椅子、手前には白いドアが開いており、そこから部屋を一望することができた。
そして、その入り口をコブラが通った直後に…


コブラ「!」


コブラの背後から、法官を連れたベルカが入室した。
部屋をひと眺めしたベルカは長椅子のひとつに姿勢を正して座り、法官は祭壇の前に立った。


コブラ「これはボウイの記憶か。つまり、ここでヤツはまた動きだすわけか」


グウィンドリン「然り。この時より、貴公の敵は謀りを速めた」


法官は祭壇から巻子本を取り出すと、本を開き、懐から印判を取り出す。
書物の書き手が誰であるかを保証するためのそれは、本の始めに押されると、懐にしまわれた。
ベルカはつつがなく職務をこなす法官を余所に、視線を伏せ、何事かを思い詰めるような表情を浮かべている。


法官「何を思い詰めておられるのです?」


ベルカ「……思い詰める?…何を理由に、そのようなことを…」


法官「貴女様は王を追放いたしました。その配下の者にも然るべき報いを与えました」

法官「全てはあの者達が神代を脅かしたのが悪いのです」

法官「神の身でありながら竜の肩を持ち、強欲な人間どもに望むがままを与えてやるなど、本来ならば死罪をも考慮されるべきでしょう」


ベルカ「何を言う、口を慎め。今の言葉はその身に過ぎるぞ」


法官の言葉に、語気を荒げるベルカ。
その両眼には静かなる怒りが込められていたが、コブラにはその他にも何か、濁りが感じられた。


コブラ「へっ、流石に良心が咎めてるか」

コブラ「王に怯えるようなヤツが、王を追い出したりするからだ。酒にコインを入れすぎたな」


グウィンドリン「ベルカの怯えは、確かに王へ向けられている」

グウィンドリン「だがそれは恐れの欠片に過ぎぬ。かの神の恐れの多くが向かう所は、王などではない」


コブラ「なに?」


ベルカの声を聞いた法官はしかし振り向かず、巻子本をゆっくりと巻いている。
その様子を見つめるベルカは二の句を継がず、法官が何を言うかを待っているようだった。



法官「……口を慎む?何故です。既にこの国とは関係のない者に、義理を立てる必要もありますまい」

法官「貴女は正しいことをしたのです。奸計を断ち、アノール・ロンドを清めた。大法官であるこの私が保証しましょう」

法官「それに、例え貴女が悔いた所で、今更貴女に何ができるというのです」

法官「神々の前で堂々と罪を曝け出させ、名まで奪った王に、再び玉座へ座れと命じるおつもりですか?」

法官「そのような都合の良い話、今更通りませんな」

法官「太陽の光を強く受け継ぐお方は今やグウィネヴィア様のみ。残るは暗月の方々です。その暗月にもしもの事があれば、このアノール・ロンドもいよいよ陰るでしょう」
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