貴方「安価で喰種の世界を生き延びる」【東京喰種】【喰種編】【TAKE3】

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674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 01:38:33.10 ID:ZQnQjMJwo
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 09:24:17.25 ID:x0KAUwwoo
おっつー
676 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/03(金) 23:45:27.86 ID:qyGYuDa70
すみません…。風邪をひいてしまいました…。少し療養するので月曜日に更新を変更でお願いします…。すみません…。
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 02:58:48.68 ID:TFXScm1po
報告サンクス
からだだいじに
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 21:07:34.48 ID:K8no452Bo
乙 体に気をつけて
679 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/06(月) 23:32:48.99 ID:GIVD0o+m0
何日か休んで、熱と怠さは改善しました。相変わらずクシャミが止まりませんが…。まぁクシャミはいつもしてるので大丈夫でしょう。

お待たせしました。今から再開しますが、直下コンマでマシロのお願いの度合いを設定します。

1に近いほど束縛(強)…どんな時でもいてほしい、という思いに、9に近いほど、一緒に生きていけるならそれでいい、という思いになります。

ヤンデレ:-1 マリのトラウマ:+2
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/06(月) 23:57:42.31 ID:x9FHZUOoo
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/06(月) 23:58:37.29 ID:O3bk62Z4o
……駄目みたいですね
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/06(月) 23:59:18.56 ID:c7c87bhwo
683 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/07(火) 00:31:45.24 ID:T/g0i8xw0
「何でもいいんですよね?」

マシロの問いに、イツキは当然のように答える。

「…俺に出来ることなら、ね」

その言葉を聞いたマシロの目が、濁ったように見えた。

「じゃあ、ずっと一緒にいてください」

それだけ?とイツキは疑問に思うが、マシロの顔つきが妙だ。

違和感を感じたイツキは、軽く鎌をかける。

「…今と変わらないと思うな」

「いえ、違います」

即答だったマシロの声は、今までで一番冷えたものだった。

「起きた時もご飯を食べる時も大学に行く時もお仕事の時もお風呂の時も全部、どんな時でも一緒です」

「…俺の生活が壊れやしないかな」

イツキの指摘はもっともだが、今のマシロには通用しない。

「嫌なんですよォッ!」

叫びにも似た怒号が、部屋に響き渡る。

「もう嫌なんですよ…!一人でいるのが…。あの時のことを思い出して…!」

「もしかして嘘だったんですか…?言うことを聞いてくれるっていうのは…」

「…嘘じゃないよ。ただ、俺にも色々とやることがあってね」

「嘘じゃないならできますよね?」

マシロの顔が目の前まで近づく。

その目は、イツキを映しているようで何も映してない。

深い深淵のような闇を湛えている。

――まずいな。このままだと暴走しかねない。

イツキは内心焦るが、そんなことは露知らず。

マシロはただ、真っ直ぐこちらを見つめている。

――多少の気分転換に、と思ってやったことが裏目に出たか。予測できなかった自分が恨めしいよ。

心の中でそう吐き捨て、打開策を考える。
684 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/07(火) 00:33:09.93 ID:T/g0i8xw0
直下に受け入れるかどうかorどうするかをお願いします。なお、最低値が先ほど出てしまったので、マシロは一時的に不安定になっております。
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/07(火) 00:43:51.58 ID:5USBj08xo
ある程度条件を付けて受け入れる、大学とかは流石にね
686 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/07(火) 01:14:19.84 ID:T/g0i8xw0
考えた結果、根本的に解決する方法は無い、という結論に達した。

――下手に拒絶したらどうなるか分からない。条件付けをした上で警告しておかないとね。

今まで散々甘やかした結果がこれだとしたら、少しは矯正しなければならない。

「…マシロ」

「ッ!?」

マシロはイツキの声色からどこか怒っていると判断し、距離を置く。

「…君のそれは、俺たち喰種にとっても致命的なものになる。だから全部を受け入れることはできない」

「えっ…」

この世の終わりのようなをするマシロを諫め、話を続ける。

「全部は無理なだけだよ。そもそも、マシロの言う通りにしたら俺はすぐCCGに手配されるよ」

「ずっと妹と一緒にいる兄とか怪しさ満点だからね」

「う…」

マシロの言葉にそのまま従うと、発見されるリスクが桁違いに上がる。

正直、イツキの頭脳があろうと誤魔化すことはできないだろう。

「…それに、モラルの問題もあるでしょ。マシロはもう15だよ?色々とアウトになるよ」

シスコンを越えて犯罪者になってしまう。

それだけは避けなければいけない。

というより、中学で学んでいたのだから、どれほど不味いことなのかは予想が付くはずなのだが。

「…今まで敢えて触れなかったけど、この際はっきり言わせてもらうよ」

「マシロ。君は他人のことを気にしないで、自分の考えばかりを優先する節があるね」

「…厳しい言い方になるけれど、それだとただの猿と変わらない。いや、猿以下だ」

「………」

悲し気に下を向くマシロ。

そこに、イツキは更なる追い打ちを掛ける。

「…本当に大切に想っているのなら、その人の意志も尊重するべきだ」

「押し付けてばかりでは、やがて全てを喪うよ。そして、その後に後悔するんだ」

「『こんなことになるのなら、しなければ良かった』ってね」

「うぅ…。ひぐっ…」

思い当たる節があるのか、涙を流すマシロ。

――やりすぎたかな。まったく…。加減ができない男だな。俺は。

マシロの頭に手を置き、優しく呟く。

「俺は怒ってないよ。ただ、今言った言葉は記憶に留めてほしいんだ」

マシロは鼻をすすりながら肯く。

――これで、少しは矯正できたかな。

ふと外を見てみると、太陽が空高く昇っていた。
687 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/07(火) 01:17:34.34 ID:T/g0i8xw0
直下に、昼の行動をお願いします。他の時間帯までキンクリするのも大丈夫です。

殆ど更新できていませんが、また早朝から出勤なので誠に勝手ながら、ここで終了させていただきます。すみません…。

次回更新は木曜日予定です。お疲れ様でした!
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/07(火) 01:23:52.63 ID:5USBj08xo
乙 安価下
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 20:37:55.91 ID:EKMWhRW/0
気分転換にマシロと一緒にあんていくへ行く
アサヤも心配しただろうし
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/17(日) 22:30:37.77 ID:wsMKtDAa0
保守
691 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/22(金) 16:56:10.22 ID:s6STkSkyO
すみません!仕事が忙しいのと、休日にやる気が何も起きなくて再開できませんでした。本当に申し訳ありません…。

今日の夜なら、問題なく再開できます。お待たせしてすみませんでした…。
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 17:01:09.15 ID:bZdSLaEvo
うい
693 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 02:46:14.90 ID:7dBHFk5OO
申し訳ありません…。祖母が高血圧で倒れて、対応していたらこんな時間になってしまいました…。

今日の昼に今度こそ再開です…。何度もごめんなさい…。本当にごめんなさい…。
694 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 15:44:09.93 ID:0T0/QSsA0
先月は何も言わずに空けて申し訳ありませんでした…。これで何度目なんだろう…。今から再開します。
695 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 15:44:52.13 ID:0T0/QSsA0
話をした後、マシロは無表情で天井を眺めて、イツキは卒業試験の対策書を作っている。

無言の空間が、アマナツ家を支配する。

その雰囲気がいたたまれなくなったイツキは、車の鍵を手に取る。

「…マシロ、『あんていく』に行こうか。気分転換も兼ねて、ね」

「はい…」

とてとて、とイツキの傍に寄り、裾を握る。

まるで子供みたいだな、とイツキは思い、頭を撫でる。

「ん…。ふふ…」

顔をほころばせながら、マシロは更に身を寄せる。

戸締りを済ませた二人は、『あんていく』に向けて車を走らせる。

そんな中、イツキのスマートフォンに着信が入った。

「…ヨーコちゃんから?ごめんマシロ、今手が離せないから耳の所に置いてくれない?」

「分かりました」

「ありがと。…もしもし」

「おはよーセンセ。今だとこんにちは?」

生徒の明るい声が耳に響く。

「どっちでもいいと思うよ。それで、何か用なの?」

「前のテスト、いい点取ったら遊ぶって約束だったっしょ?保留されてたけど、そろそろいっかなって」

「…あ」

イツキが忘れていたわけがない。

ただ、色々とあったから後回しにしていただけである。

…ホントデスヨ?

「…前にも言ったけど、生徒と教師って関係上、遊ぶのは不味いんだ」

「たかが塾とはいえ、こっちは君たちの身を預かってるんだ。そういうのは駄目」

「約束した時はいいって言ってたじゃん!」

「…そこは俺のミスだよ。ごめん」

――知り合いに頼まれたらイエスマンになるからなぁ。どうにかした方が良さそうだ。

謝罪する傍らで、そんなことを考えるイツキ。

対するヨーコは、イツキの言葉を聞いて慌てふためいていた。

「いや、その、あたしも少し考えたら分かることなのに、我が儘言って…ごめんなさい」

「…埋め合わせは今度するよ。またね、ヨーコちゃん」

「あ…はい。また塾で会おうね、センセ」

通話が切れたのを確認して、マシロはスマートフォンを耳から離した。

どういう埋め合わせをするのか。

それを考える必要が出て、内心頭を抱えるイツキであった。
696 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 15:45:38.63 ID:0T0/QSsA0
チリンチリン。

扉を開けると鳴る鈴の音。

これが聞こえるということは、誰かが入って来たか出ていったということだ。

「いらっしゃいませ」

聞きなれた弟の、聞きなれない言葉。

「エスプレッソを一つと、ブラックを一つ」

「かしこまりました」

オーダーをしてから、手ごろな席に座る。

見たところ、客は自分たちだけのようだ。

「兄貴、ちょっといいか?」

「うん」

弟の呼ぶ声に答え、二階の部屋に移動する。

どうやら、誰にも聞かれたくないことのようだ。

「…ここならよし、と」

「どうしたんだい?」

「あー…。女性と上手く付き合える方法って知らないか?」

――ああ、ついにアサヤが遠い所へと旅立ってしまった。

「…真面目な話だっつーの」

流石アサヤさんです、と頭を垂れるイツキに、不機嫌そうに答えるアサヤ。

「…俺は知らないよ。経験無いし」

「…でも、一つだけ言えることがあるよ」

「マジか!?」

ずいっ、と身を乗り出すアサヤに、冷静に言葉を返すイツキ。

「うん。動画や漫画を参考にしないこと。あんなのただのフィクションだから。あてにならないよ」

「…ウス!」

頭を下げて、アサヤは下に降りていく。

――何だったんだ、いったい。

少し、アサヤのことが分からなくなった。
697 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 15:46:20.36 ID:0T0/QSsA0
直下に、夕方の行動をお願いします。
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 16:11:24.63 ID:v7VJmnLOO
>>1さんに負担を掛けるようで申し訳ないですが、時間が経つと何したら良いのか分からなくなるからできる行動とか期限とかまとめていただけると有難い
イベントは消化しないと溜まりまくって大変な事になるし
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 16:11:52.32 ID:v7VJmnLOO
安価下で
700 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 16:55:25.97 ID:7dBHFk5OO
>>698、あー…。たしかにそうですね…。今所用で家を出てますので、戻り次第一覧を投下したいと思います。夜10時くらいにはできるはず…。
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 17:03:28.09 ID:6/Aai4CPo
まつよ
702 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/24(日) 01:47:44.51 ID:xAmbmfnz0
駄目だ…。また遅くなってしまった…。予定一覧です。安価は直下で継続中です。


実施日未定

『if』親睦会 理由:マシロ対策のために保留にしたため。話を行えば進行していく。

アジト大移動 理由:目立つ行動のため。行動自体はいつでも可能だが、何らかの戦闘に乗じれば確率が上がる。

コネクション形成 理由:まだ無名な組織のため。エリカを利用すれば可能ではある。

ヨーコとのデート 理由:倫理的にアウトのため。別の行動(勉強会等)に変えることは出来る。
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 04:30:39.10 ID:PQZx5zZio
アジト移動すっぞ!

おつ
704 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/24(日) 16:53:54.24 ID:fgWQZDTeO
アジト大移動ですか…。了解です。手段等の安価に入ります。再開は今日の夜です。いつにも増してグダグダですみません…。

↓1

1:√24区(地下経由で直接移動) 有馬(モグラ叩き部隊や0番隊)、強力な喰種と戦闘になる可能性あり。時間は掛からない。
2:√地上 何らかの手段を用いて、複数の区を跨いで移動する。比較的安全ではあるが、時間が掛かる。

↓2

1を選んだ場合

1:部隊を複数に分散し、少しずつ移動させる。敵にはバレにくいが時間が更に掛かる。
2:全員を纏めて一気に送り込む。バレやすいが時間は掛からない。
3:その他 自由安価。

2を選んだ場合

1:徒歩 時間は掛かるが、臨機応変に対応できる。
2:車 スピーディに動けるが、戦闘になった時に色々と困る。
3:その他 自由安価。
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 17:20:47.02 ID:/02lX9ejo
2
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 17:26:30.63 ID:3IGcKtuI0
1
707 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/24(日) 23:22:07.57 ID:TrDx+DEI0
お待たせしました。今から再開ですが、もう一つ安価です。

直下

1:イツキが囮となって、CCG及び喰種の気を引く。
2:一つに纏まって、一気に目的地を目指す。
3:自由安価。
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 23:30:37.37 ID:hkswJ3PZo
1
709 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/25(月) 00:36:53.73 ID:Co3rP5FU0
『あんていく』を後にして、帰宅した頃には、マシロもいつものようになっていた。

急ではあるが、アジトの移動を夜に行うことにした。

何かの戦闘に乗じて行った方がいいからと保留していたが、いつまで経っても実行できない可能性がある。

それに、気を引く程度なら、イツキ一人で充分である。

帰宅してすぐ、幹部たちにその旨を伝えたところ、快くとはいえないが、了承の意を示してきた。

「陽動は俺一人でいい。場所は…CCGの支部で軽く暴れて、適当に移動して引き離すかな」

既に眠ったマシロの頭を撫でながら呟く。

団体を纏めるのに、ヨスケ以上の適任者はいない。

日頃から冒険し、色々な経験をしているヨスケになら任せられる。

そんな判断をした。

「…そろそろ時間か。目立ちましょうかね」

部屋の電気を消し窓から、夜の街に飛翔した。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「…時間だ。こちらも移動を開始する」

「了解です」

ぞろぞろ、と先導するヨスケとマドカ。

後を追う『if』メンバーの顔には、不安の色が見え隠れしている。

裏路地から顔を出し、辺りの様子を窺う。

「視たところ、出ても問題なさそうだ。マドカ、そっちはどうだ?」

「…こちらも確認しました。数百m内に『白鳩』、喰種の存在はありません」

「そうか。まったく、イツキ一人でできることを俺たちは、複数でしかこなせないとは…」

「…誠、凄い方ですね」

火の手が上がるCCG14区支部を見やりながら、愚痴を零す。

「…囮。ただそれだけのために支部を襲うなど…。あいつくらいなものだ」

「ツッキー…。Удачи(頑張って)」

「あの人なら、スパパパパーンと終わらせてくるよ」

「そうねぇ。ワタシたちにできることは、あの子の頑張りが実を結ぶように全力を尽くすことよ」

人気のない路地裏を疾駆する。

リーダーが死なないように、各々が祈りを捧げながら。
710 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/25(月) 01:20:05.47 ID:Co3rP5FU0
本隊が移動を開始する数分前、イツキは近くのビルの頂上に座っていた。

「…うん。合流は終わったみたいだ」

双眼鏡で確認し、目を閉じる。

――殺さずに大暴れ。矛盾してるようでそうでもないことだけど、大変だなぁ。

尾赫を展開、指でなぞりながらイツキは思う――。

イツキの赫子、とりわけ尾赫は、殺すことに特化した赫子だ。

本来は、最弱と言っても差支えがなかったほどに貧弱な赫子だった。

しかし今では、彼という喰種の象徴、命を刈り取る死神の鎌へと変貌した。

過去を知っている者は皆こう言った。

『真に恐ろしいのは、あいつ自身だ。あらゆる手段を講じても、全てを見抜き、無駄にする』

『赫子なんて、彼の強さの要素の一つに過ぎない。あの知性があるからこそ、最強なのさ』

紅く染まった瞳に映るは、特異なカタチをした建物。

軽やかに飛び降りた青年の身体を、赫子が包む。

「…さあ、『長槍』が姿を現しますよ。今まで手掛かりが無かったんだから、嬉しいでしょう?」

最強の喰種、天災を凌ぐ白き絶望が今、14区の守護者の下に舞い降りた。

――どうしますか?俺を殺しに掛かるか、尻尾を巻いて逃げ出すか。どうぞ、お好きな方を。

呆気に取られた人々の顔が、恐怖に染まる。

「ふざけんなよ…。ふざけんなよ…!なんで…こんな時に…」

「なるべく沢山の特等を呼べ!アオギリの行方を追う暇なんかねぇぞ!」

「クソッタレ…。お前に何人殺されたと思ってるんだ!?おめおめ顔なんか出しやがって!嘗めてるのかよ…」

彼らの怒号を聞いてイツキは苦笑する。

――その顔は誰にも見えないが。

「…あなたたちだって、沢山殺めているでしょうに」

「…化け物風情がぁぁぁぁぁ!」

クインケを手に、捜査官が迫る。

――その化け物と戯れるんですよ。あなたたちは。

怒りを乗せた凶刃は、揺らぐことなくカタチを持った絶望の頸へと吸い込まれる。
711 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/25(月) 01:28:34.69 ID:Co3rP5FU0
勝利条件:特になし。いつでも撤退は可能。

敗北条件:戦闘不能。または死亡。

直下コンマ判定

備考 判定表は>>251から抜粋。戦闘力の補正は>>252から。敵の戦闘力は現在70で固定(援軍により変動)。
   援軍は毎ターン判定。場合によってはストーリーに影響有り。
   撤退したい時はその旨を記載願います。
   今回の戦闘でターンを稼ぐほど、本隊の遭遇判定が免除されます(5回行う予定。5ターン稼げば目的達成)。

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦力差ボーナス:+2 プレッシャー:+1
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 02:10:47.95 ID:mtFLCWne0
はい
713 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/25(月) 02:23:28.64 ID:Co3rP5FU0
援軍の判定を行います。直下です。

1〜5:援軍来ず
6〜9:上等クラスが到着(真戸コンビや平子さん)
0、ゾロ目:特等クラスが到着(篠原コンビやいわっちょ等)
00:有 馬 降 臨

クリティカル:+1
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 02:53:00.57 ID:mtFLCWne0
連取ごめん
715 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/25(月) 03:10:43.65 ID:Co3rP5FU0
時間も遅くなってまいりましたので、今回はこれで終了とさせていただきます。もっと早く始められれば…。

次回更新は水曜日予定です。お疲れ様でした。
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 08:06:07.17 ID:yYQa9P9/o
おつ
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 15:41:58.51 ID:pnHQMP3M0
718 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 22:13:12.48 ID:UHp3T8eK0
お待たせしました。今から再開します。
719 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 22:13:50.34 ID:UHp3T8eK0
首元に迫るクインケを、指二本で挟んで蹴り上げる。

飛んでいく勢いに負け、両腕が上がった捜査官の腹部に掌底を打ち込む。

「ゲボッ…」

石を投げたように転がっていく捜査官を、また別の捜査官が受け止め、陣形を整える。

「羽赫隊、撃て!」

二十人ほどの羽赫持ちが射撃する。

「一本」

しかし、それは全て、たった一本の尾赫で撃ち落とされた。

「…は…?」

「嘘…だろ…。速すぎる…」

捜査官の顔が、みるみる絶望に染まっていく。

一度は、恨みを原動力とすることで塗りつぶすことが出来た。

だが、二度目は出来なかった。

誤魔化せた一度目とは違い、眼前に広がった光景は、いとも容易く彼らの心を踏み躙った。
720 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 22:14:15.67 ID:UHp3T8eK0
「…っと」

危険を察知したイツキは、バックステップでそれを回避する。

「ふむ、やはり外れるか」

「アキラ、お前はまだ『フエグチ壱』に慣れていない。当たるとは思わないことだ」

「了解」

短い返事で話を切り上げ、赫者を睨む二人。

「単身で支部を襲うとはな。梟の真似事か、それともただの無謀か」

チラリ、と怯える捜査官を一瞥し、声を上げる。

「諸君、君たちの救援要請は特等らにもしっかりと届いている」

「もうしばらくの辛抱だ。奮起し、戦いたまえ」

特等がやって来る。

その言葉を聞いた捜査官は立ち上がり、再びクインケを構える。

「…真戸上等。私は『アマツ』で援護する」

「では、私は『黄泉比良坂』で切り込むか。どれほど肉薄出来るかは分からんがね」

たとえ自分が死のうと、情報を残せればそれだけで充分だ。

赫者を殺す覚悟も、自分が死ぬ覚悟も、あの時からしている。

――惜しむらくは、アキラのこれからが分からなくなること、だな。

微笑みを湛え、真戸呉緒は突撃する。

――その命、私が貰うぞ。『長槍』よ。

身を焼き焦がす黄泉の炎と雷は、両手に番えた剣に宿り、命を刈り取らんとイツキを狙う。
721 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 22:14:58.81 ID:UHp3T8eK0
直下コンマ判定 成功数:1 援軍:真戸コンビ 戦闘力:80に上昇

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦力差ボーナス:+2 プレッシャー:+1
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 22:16:33.49 ID:tcwOH0Vm0
ほい
723 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 22:21:02.30 ID:UHp3T8eK0
判定:9 クリティカル! 

援軍判定 直下コンマ判定

1〜5:援軍来ず
6〜9:特等クラスが到着(篠原コンビやいわっちょ等)
0、ゾロ目:色んな区の強い人とか(髭紳士や鉢の人、宇井さん)
00:舞い降りる有馬

平子さんは存在を忘れてたので、次のレスで突っ込みます。
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 22:37:32.44 ID:5kuhgmwx0
こい
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:05:07.69 ID:ViNQlEWGo
うへぁ
726 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 23:05:27.51 ID:UHp3T8eK0
「フッ!」

左手の蛇腹剣は電撃を帯び、右上に向かって振るわれる。

イツキは上体を反らし回避、そのままサマーソルトへと転じる。

「そこだ」

宙に舞ったイツキを、アマツの尾赫が捉え、突撃する。

「…二本」

片方の尾赫でアマツを弾き、もう一方の尾赫は、真戸上等のクインケ目掛けて放たれる。

「ぐっ…。速い上に、一撃一撃が重い…!」

クインケを連結させ、前、後ろ、左、右とあらゆる方向から襲い掛かる赫子。

一つに対応した直後に、別の方向から同じ赫子が迫りくる。

そして、それに遅れて対応すると、また別の方向から。

後手後手になっていることを歯痒く思い、少しずつ後退する。

「上等!」

それに対し、真戸二等は弾かれた尾赫で援護し、真戸上等へと接近する。

「私の援護では意味が無い!ここは一度…」

「ならんよ。ここで引けば、他の者が皆殺しだ」

「誰かが犠牲にならねば、被害が増える」

「ッ…」

淡々と言う真戸上等だが、心中では違和感が燻っている。

――なぜだ、どうして死者が出ていない。それに、なぜ『長槍』は急所を狙わない。

全身に切り傷が増えていくが、致命傷は一つもない。

守っているからにしても、一度も狙わないのはおかしい。

実力差は歴然で、いつでもこちらを殺せるはずなのに。

暗くなる思考を振り払い、眼前の地獄を切り抜けるために、剣を振るう。
727 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 23:23:43.50 ID:UHp3T8eK0
「お覚悟を」

「お断りします」

ぬるり、と突然湧き出た捜査官は、ユキヒラ1/3で急所を狙う。

それを避け、お返しに、と二本の尾赫で包囲、全方位攻撃をするが、ギリギリのところで往なされる。

――駄目だな。あと6撃でこちらがやられる。

冷静に分析しながら、対処する平子。

しかし、流れる汗に血が混ざっていき、状況が悪化しているのが見て取れる。

「…邪魔だな」

イツキは平子への攻撃を突然中止し、後ろの真戸二等のアマツを尾赫で貫く。

「なぁっ…!?」

「アキラ!」

クインケの尾赫が、力なく地面に落ちていく。

あまりにも突然、あまりにも一瞬で行われた早業。

それを理解した瞬間、真戸二等は恐怖した。

――そういうことか。我らヒトなど、いつでも殺せる取るに足らない存在だと。そう言いたいのか。

「はは、ははは」

乾いた笑いを零し、真戸二等は俯く。

一度刻まれた恐怖は、消えない。

そして、それは着実に伝播していく。

「くっ…」

ユキヒラ1/3を吹き飛ばされた平子が地面に倒れ伏す。

せめて一撃、と懐に潜り込もうとした平子だが、あっさりと、本当にあっさりと妨げられた。

「ハイアー…マーインドー!」

空間を裂く砲撃も回避し、悠然と『長槍』は電灯に立つ。

「おいおい…。お前らどんだけ酷い目に遭ってんだ」

嬉しいはずの援軍も、これからの悲劇の糧にしかならない。

そんな考えに覆われ、虚しさだけが広がる。
728 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 23:33:16.62 ID:UHp3T8eK0
直下コンマ判定 成功数:2 援軍:真戸コンビ、平子上等、鉢川班(梟戦のあのメンツ)、田中丸特等、(忘れてた)宇井准特等

戦闘力:100に上昇

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦力差ボーナス:+1 プレッシャー:+1
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:33:56.32 ID:tcwOH0Vm0
それ
730 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 23:40:20.05 ID:UHp3T8eK0
判定:4 失敗 

援軍判定 直下コンマ判定

1〜5:援軍来ず
6〜9:特等クラスが到着(篠原コンビやいわっちょ等)
0、ゾロ目:舞い降りる有馬
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:46:45.30 ID:5kuhgmwx0
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:47:00.03 ID:7w+hoH+NO
733 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 23:52:45.88 ID:UHp3T8eK0
(突然流れるMeteor) 盛り上がってきたところで、申し訳ありませんが、本日は終了とさせていただきます。

次回予定は明日です。有馬さんとどれほど肉薄出来るのか…。お疲れ様でした!
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:53:53.80 ID:7w+hoH+NO
これ、下手したら樹死ぬんじゃね
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:54:16.78 ID:tcwOH0Vm0
乙 どんどん増援来るなあ、キツイッス
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/28(木) 00:04:21.62 ID:Zo8Mv8eN0
乙 いざとなりゃ逃げればいい
737 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/28(木) 23:59:14.73 ID:YfOKxSnv0
遅くなりましたが、今から再開ですー。

※いんふぉめーしょん

有馬さんが来てしまったので、ストーリーが変化します。
撤退時はコンマ判定(偶数か奇数か)を行います。失敗したら、失敗したままになります(ファンブルにはならない)。
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 00:20:12.89 ID:OFlt+K9f0
へーい
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 00:23:12.93 ID:y4zPpLuD0
はーい
740 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 00:45:14.06 ID:LIe15J/E0
回避、攻撃、また回避。

ルーティーンのように、同じ行動をローテーションする。

「はぁっ!」

「………」

ぐにゃり、と曲がる『タルヒ』。

甲赫のクインケだが、内蔵されたギミックにより、柔軟な対応が出来る。

初めて経験したであろうそれを、錐もみ回転をすることで往なすイツキ。

「うわ、これを初見で避ける喰種は初めて…」

回転を活かした回し蹴りを柄で止め、上に逃げるようにクインケで薙ぎ払う。

「穴ぼこになんなぁ!」

「ハイアーマインド!略してハイマイ!」

「…チッ」

乱射される射撃を尾赫で弾き、眼前に迫るゲロビを赫子による立体機動で避ける。

「ふむ…。今のを避けるとは…」

「あ゛ー!ちょこまかとウゼェ!」

「…うるさいの」

「どーしましょ。近接じゃあ入り込めない。マトモに戦り合えてる宇井さんは流石だねぇ」

苛烈に斬り結ぶ二人を遠目で見る伊東と穂木。

それは、徐々に捜査官側が有利になっていた。

――太刀筋は読めてきた。だが、『タルヒ』をぶち込む隙が無い。

――二本じゃ押し切られるかな。次も出すべきか。出さないべきか。

クインケで、二本の赫子を上に弾く宇井。

「そこだッ!」

千載一遇の好意を見逃さず、『タルヒ』で突く。

「っとと」

「また避けた…!」

しかし、それをしゃがんで避け、それに対応し手前側の下に向けて曲げた『タルヒ』を更に回避、足場にして跳躍する。

――かなりの手練れだ。手加減はしない方…。あ。

空中に漂うイツキを、無数の雷撃が襲う。
741 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 00:47:43.48 ID:LIe15J/E0
「…危ないな」

正確な射撃をひらり、と避けて着地する。

マンホールを通って到着した『CCGの死神』有馬は、無表情で二本のクインケを構える。

「…臭ッ!有馬さん、下水道の水浴びました!?」

「ん?ああ。少し足を滑らせた」

「誰かー!ファブリーズ持ってきてー!」

有馬が来て、空気が変わった。

沈んでいた捜査官の心に、光が差したのだ。

――絶望したり、希望を抱いたり。忙しいなぁ。

首を鳴らし、有馬の装備を分析する。

――槍は甲赫。剣は羽赫。羽赫が雷撃を放ったんだろうし、槍は防御型か、搦め手か。

『ナルカミ』は電撃を帯び、『長槍』へと向けられる。

天災同士の戦闘の火蓋は、今に斬り落とされようとしている。

誰もが固唾を飲み、戦闘が始まる瞬間を待つ。

しかし、その中でただ一人、別のことで思考している捜査官がいた。

――どうして『長槍』は、支部を襲撃した?

普通に考えれば、単騎で襲撃するメリットなど無い。

捜査官を殺すのなら、パトロールしている捜査官を狙えば済む話だからだ。

――もし、もしも、有馬くんを引き寄せるのが目的だとしたら。

真戸呉緒の頭の中で、最悪のパターンが映し出される。

「…不味い。非常に不味いぞ。これは」

汗を流し、真戸呉緒は他の捜査官に言う。

「至急『コクリア』の防衛に向かえ。おそらく、奴の狙いは…『コクリア』の襲撃の幇助だ」

現時点では情報が無いので、ただの勘に過ぎない。

しかし、真戸呉緒は確信していた。

――長年捜査官をしてきた私の勘だ。間違いない。

最強の捜査官と、多数の捜査官が一箇所に引き寄せられているこの状況。

それが、『アオギリの樹』にとってどれだけ助かることなのか。

それを捜査官たちは一切、理解していない。

「…行きますよ」

「ああ。来るがいい」

知る由もなく、激闘は始まった。
742 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 00:53:37.84 ID:LIe15J/E0
直下コンマ判定 経過ターン:3 失敗数:1/4

援軍:真戸コンビ、平子上等、鉢川班(梟戦のあのメンツ)、田中丸特等、宇井准特等、有馬特等

戦闘力:105に上昇、固定されました。

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦力差ボーナス:+1 プレッシャー:+1 CCGの死神:-1

※もう一ついんふぉめーしょん

CCGの死神は、有馬さんの固有スキルです。こちらが失敗する度に、補正値が強化されていきます。戦闘が終わると初期値に戻ります。

また、イツキの固有スキルで、人間ヴェーダがあります。こちらは、一度判定に成功したら敵のスキルを永続無効、補正値を+1します。
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 01:00:02.07 ID:y4zPpLuD0
まだ逃げない
744 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 01:03:42.11 ID:LIe15J/E0
コンマ判定:8 クリティカルでヤンス!

援軍はこれ以上来ません。来たら有馬さんの邪魔になる、という判断が下されたのと、これ以上防御を手薄に出来ないから、だそうです。
745 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 01:42:18.54 ID:LIe15J/E0
「負荷90%」

夥しい数の雷撃がイツキを襲う。

だが、一度見たイツキには、通用しない。

軌道を予測、分析し、最善のルートを瞬時に判断する。

脳内で描いたルートを辿ると、その脇を雷撃が穿つ。

「あれを避けた!?」

驚愕した宇井は思わず、クインケを落としてしまう。

それを拾い、手渡す平子は、無表情で戦闘を眺める。

――赫子が増えた。数は計四本。まだありそうだ。

両手のクインケで赫子を打ち払うが、追い付かない。

最強の捜査官たる有馬でさえ、完全に対処出来ていないのだ。

「守るか」

その一言を発した有馬のクインケ『IXA』は、盾となり主を守る。

「…固いですね」

何度も赫子をぶつけるが、有効打にはなり得ない。

しかし、イツキは対応策を練り、実行する。

「…では、全方位からなら、どうですか?」

四本の尾赫を伸ばし、有馬の周りを囲む。

そして、あらゆる方向から、高速の槍が放たれ、赫子の檻に消えていく。

「………」

先ほどとは比べ物にならないほど、攻撃の数は増した。

流石に対応出来ず、弾き損ねた赫子が、手足を貫く。
746 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 01:42:56.47 ID:LIe15J/E0
「ッ…」

よろめく有馬に追撃をせんと、イツキは接近する。

「『IXA』…遠隔起動…!」

しかし、それは地面から飛び出したクインケで阻止される。

「有馬さんが負ける…。そんなわけが…!」

歯軋りをする宇井は、クインケを片手に突撃しようとする。

だが、平子によって引き止められた。

「俺たちではお荷物だ。抑えろ」

「でも、有馬さんが!」

「考えてみろ。有馬さんでも苦戦する相手なのに、俺たちが生きているのはおかしい」

「…あっ…」

宇井は気付いた。

『長槍』の目的が、時間稼ぎでしかないことに。

どういうわけか、こちらを殺す気など更々無いことに。

「報告!『コクリア』が襲撃、多数の脱走者が出ました!」

そして今、最悪の報せが届いた。

「…『コクリア』襲撃…か…」

赫子を一旦収納し、呟くイツキ。

――利用されたか。『アオギリ』に。

してやられたな、と苦笑し、有馬を見やる。

腱を狙ったつもりだったが、ギリギリのところでずらされ、外れた。

――最強の捜査官は伊達ではないね。

無言で『ナルカミ』を構えた有馬は、電撃を放つ。

――直撃しなくても、牽制にはなる。

今出来る最善の手を、一つ一つ打つしかなかった。
747 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 01:46:50.06 ID:LIe15J/E0
直下コンマ判定 経過ターン:4 失敗数:1/4

援軍:真戸コンビ、平子上等、鉢川班、田中丸特等、宇井准特等、有馬特等

戦闘力:105

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦力差ボーナス:+1 プレッシャー:+1 人間ヴェーダ:+1 クリティカル:+1
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 02:00:56.09 ID:y4zPpLuD0
5ターンで自動終了だしもう一回戦おう
749 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 02:03:43.76 ID:LIe15J/E0
有馬さんフルボッコが確定したところで、本日の更新はこれで終了です。もう少し速く始められればいいのですが…どうにも上手くいかず。

次回予定は来週の火曜日となっております。お疲れ様でした!
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 02:13:02.51 ID:y4zPpLuD0
乙 よいお年を
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 11:47:27.54 ID:JOCQpKtkO
乙乙
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/01(月) 22:34:04.33 ID:+wHAiibG0
753 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 22:16:40.85 ID:R10y354R0
明けましておめでとうございます。新しい年に突入するのも二回目ですね。

なのに…。どうしてッ!まだ一周目なんでしょうかッ!?(自業自得)せめて一周目は終わらせないと、ですよね…。

二年掛けて一周終わるというのもアレですけど…。再開です。
754 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 22:18:00.46 ID:R10y354R0
放たれる雷撃は、絶死の雷。

それを軽々と避ける『長槍』は、よろめく『死神』を見据え、ただ一撃。

「っ…」

ブチン。

そんな嫌な音が聞こえた。

それが何を意味するのか。

それを理解するのに、時間は大して掛からなかった。

『死神』の足が、力なく垂れる。

『長槍』が狙ったのは、脚の腱、即ちアキレス腱だ。

ここは人間、喰種は関係ない、人体の急所。

ここが断裂するということは、その脚が使えなくなることを意味する。

捜査官全員が今、確信した。

――この喰種には勝てない。

『IXA』を杖に立ち、『ナルカミ』を撃つ。

たとえ当たる兆しが無かろうと、攻撃を止めるのは許されない。

無抵抗は敗北を示す。

有馬はまだ負けていない。

CCGはまだ負けていないのだから。
755 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 22:26:33.60 ID:R10y354R0
――そろそろいいかな。

攻撃をピタリ、と止めて、おもむろに瓶とペットボトルを取り出す。

「そぉれっと」

瓶に水を注ぎ、大きく振りかぶって、投擲。

後方のCCG支部内、事務課に吸い込まれる。

そして、数秒ほどすると、燃え上がった。

「何となくで作った『なんちゃって火炎瓶』です。さようなら」

ガッチャ!とでも言いたそうなポーズを取り、空に消える。

「ふざけた奴だ…。散々荒らし回って、満足したかのように去っていく」

「『長槍』…。この区で稀に確認されていた喰種…」

「…本部に連絡だ。14区の警戒レベルを最大に。アレを仕留めない限り、人類の敗北は確定する」

僅か一時間で起きた惨状。

それは、過去の災害を容易く塗り替えた。

「…とりあえず消火しないとな。動ける人は消火器を抱えて消しにっ」

平子が言い切る前に、地面が揺れた。

舞う土煙の中に、黒い異形の影が浮かぶ。

「…来たか」

それの正体を理解している有馬は呟く。

土煙が消えた瞬間、悲鳴が上がった。

「ふ…『梟』だぁぁぁ!」

捜査官が慌てふためく中、『梟』はぐるり、と見渡し、問う。

「『長槍』サン。ココニイルハズナンダケド…。シッテル?ソコノシラガ」

「どこかに消えた」

「ソデスカ…。バイチャ!」

そして、『梟』は飛び立った。
756 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 22:39:01.17 ID:R10y354R0
「ふぁ…。やることが無いって暇だぞい…」

薄手のシャツで転がる高槻。

その手には、バナパスポートが握られている。

「この時間からやってもカモられるしなぁ。テレビでも見るか」

バナパスを投げ捨て、リモコンを赫子で引き寄せる。

投げたバナパスを、後ほど焦って探すのまでがテンプレだ。

しかし、今回はそのテンプレをなぞらなかった。

「緊急速報ねぇ。地震とかは来てないけど。…ファッ!?痛ぁ…」

驚いた高槻は壁まで後ずさり、後頭部を強打した。

「『長槍』が14区支部に出没って…。何やってんのさイッキュン…」

急いで包帯を全身に巻き、襤褸切れを羽織る。

「死ぬなよ死ぬなよ…。今から助けに行くからね!」

窓を開け、そこから跳躍して、ビル伝いに移動する。

大きく開けたところに辿り着くと、赫子を展開する。

空を駆ける異形の怪物。

愛する男を助けるため。

ただそれだけのために、身バレの危険を冒してでも、姿を見せに行った。

結局のところ、意味は無かったのだが。
757 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 23:10:04.11 ID:R10y354R0
「…恐ろしいくらいに静かだねぇ」

スキンヘッドの任侠のような棋士、マンバロウが呟く。

「Да(はい)…」

キョロキョロ、と周りを警戒しながら、ジンコは頷く。

その右目は、紅く輝いている。

「…あの倉庫か。大きいな」

森に囲まれた倉庫が姿を現す。

僻地に建てられたそれは、手を付けていない様子が見て取れた。

「雑草ばかりね。刈る…のは駄目ね。怪しまれちゃう」

オカマのキヨノリが雑草を手で撫でる。

その目は、廃倉庫の扉に向けられている。

「…内部に喰種を確認。数は二人です」

本性を隠した少女が伝える。

両手の苦無は特別製で、喰種の肉をも容易く切り裂ける、いわば『クインケもどき』だ。

「どうしますか?私一人でも、確殺出来ますが」

「…念には念を、だ。ジンコ、お前もやれ」

「ウー…。Костюм(スーツ)が汚れマース…」

「なぜそれを着た」

どうして、他の人は皆動きやすい服装なのに、彼女はスーツなのか。

ヨスケには理解出来なかった。

「見ろ。マドカに至っては忍装束を着ているんだぞ。際どいのは問題があるが」

「…それは言わないでください。これでも恥ずかしいんです」

「…ったく。パパったら…俺だけ見た目をこんなのにして…」

外套で肌を隠し、マドカは愚痴を零す。

そして、扉へと体を向けた。

「…まあ、いいです。私が仕留めてきます」

ダッシュで扉に向かい、赫子を隙間に差し込み、鍵を内部から外す。

扉が開いたと同時に、羽赫で飽和攻撃。

一体の喰種は息絶えたが、もう一体の喰種が突進してきた。

「終わりっ」

後ろに移動していたマドカは、首元に苦無を当て、首を落とした。

ニンジャの強さは伊達ではないのだ。

「…戦闘終了。呆気ないですね」

苦無を太腿のホルダーに仕舞い、扉を見やる。

事を済ませたのを確認したヨスケは、リーダーへと連絡する。

はぁ、とため息を吐き、マドカは思う。

――少しは、忍者らしくツキさんの役に立てたかねぇ。

年相応なあどけなさを残した顔に、アクセントの返り血が付いている。

しかし、彼女は確かに忍者の顔、冷徹な表情を、つい先ほどまでしていたのだ。


アジト大移動編 終了
758 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 23:25:43.98 ID:R10y354R0
キリが良いので、本日はこれで終了です。次回の行動を直下で募集しておきます。

14区の警備はめっちゃ厳しいです。旧多さんが経営していた時並です。散々暴れていたから是非もないネ!

アオギリ軍団はホクホクしております。フカさんもお仲間になっていたり。ドナートさんはぼっちで残ってます。

次回予定はちょっと分かんないですね…。分かり次第連絡します。お疲れ様でした!
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/02(火) 23:52:43.27 ID:SjnjONq/o
おつー
うまく行ったな
この隙に親睦会したいかな
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 00:39:53.15 ID:I0ebOj1mO
乙乙
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 11:29:51.97 ID:lV2IksYw0
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/04(木) 22:50:39.04 ID:p9wq86hp0
14区の警備厳しいならプレハブ小屋のお嬢様を余所に移さないとな。
情報漏れに繋がるし、まだ利用価値がある。
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 22:46:57.65 ID:0Mvcsy/b0
保守がてら雑談、主人公兄妹をガンダムで例えると
イツキ:クロスボーンX1系列
マシロ:ファンネルガン積みしたV2
アサヤ:ZZ
こんな感じがする
764 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/22(木) 21:56:19.03 ID:xpalJNov0
報告です。明後日には再開出来そうでございます。死ぬかと思った(小並感)。報告が遅れて大変申し訳ございませんでした。

いちおう最新巻もチェックしてるんですが、いやーおったまげた…。反映出来るかなぁ。

自分のイメージはこんな感じです。

イツキ:武装をワイヤーアンカーに取り替えたΞ
マシロ:クシャトリヤ
アサヤ:ヴァーチェ
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/23(金) 02:34:21.14 ID:md2R8Rq0O
待ってた
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/23(金) 02:38:51.82 ID:lD814sG10
へーい
767 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:08:33.07 ID:46k2/QeG0
お待たせしました!今から再開です!久しぶりなので、いくつか現状を纏めておきますね。


☆現状まとめ

・イツキが原因で14区の警戒が超強化。アオギリとの関係が予想されている。

・相対的に他の区の警戒が緩和。喰種たちの行動がしやすくなった。オークションとかも増えるゾ。

・お嬢様一行の危険性上昇。早急に救助しないと、駆除される可能性大。今後を考えると、助けた方が都合がいいかも。

・『アオギリの樹』がコクリア襲撃を達成。有馬がいなかったため大部分の喰種を吸収。7区の攻防戦が消滅し、嘉納の捜索にシフト。

・また、シロクロコンビの手術時期が原作で示唆されていないため、現在未施術とする。

カネキの後なのは確定だし、カネキのデータを基にやった的なことが書いてた気がする。
本来、攻防戦後に半年くらい空くからその間にオペッたと思います。カネキはすぐ回復したから合ってる…と信じてる。確認不足なのかもしれない。

・嘉納のことをイツキは把握していないが、エト、カネキから情報は貰える(エトの方が詳しい)。その気になれば、居場所を推測出来る。

・有馬が戦闘不能なので、当分の0番隊はお休み。モグラはしばらく叩かないので、地下利用が容易に。

他に何かあったら追記します。忘れてる可能性が高いので…。
768 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:10:28.60 ID:46k2/QeG0
場所は変わって20区。

地下通路を介して、安全な場所へと移動した。

実質副リーダーのヨスケに、作戦が終了した旨を伝えるために電話を掛ける。

二回呼び出し音が鳴り、スピーカーから渋い声が響いてくる。

「…こちらイツキ。作戦は予定通り終了しました」

『ニュースで確認した。が、少々不味いのではないか?』

深夜とはいえ、今回の事件は大事だ。

CCGを喰種が単騎で襲ったなど、『梟』の襲撃以来のことだからだ。

「…問題ありません。警戒を他所に集中させることで、別の区にいる皆さんは行動しやすくなります」

「…俺はまだ14区から出ることは出来ませんが、警戒されるような状況ではないはずです」

――妹たちを弱冠22歳の学生が養っている時点で、どうかと思うがな。

そんな言葉を出しそうになったが、噛み殺す。

不自然ではないように、特待生だったり塾講師のアルバイトだったりをしているのだろう。

表向きでは品行方正もいいところ、な彼を疑うのは考えにくい。

『そうか。それで、お前はどうする』

「…まだ用事があるので。落ち着いてから連絡するので、皆さんは普段通りの生活を」

『了解だ』

プツリ、と通話が切られ、スマートフォンをポケットに直す。

追手を警戒して20区まで移動してきたのは良かったが、今の状況では14区に戻らない方が良さそうだ。

「マシロに誤魔化すメールを送って…。仕方ない、地下で休憩するか」

もう一度、イツキは地下へと潜った。
769 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:11:21.01 ID:46k2/QeG0
数時間後の早朝の14区。

公園をジャージ姿で走る青年の姿が。

「…そろそろ戻ってもいいか。ジョギング帰りと言えばどうにかなる」

一般人と変わらないペースで走りながら、悟られないように注意を払い、周囲を一瞥する。

――数が尋常じゃない。5人一組で公園内だけで3班もあるとはね。

お嬢様たちの安否が気になる。

が、日が沈まないと行動出来ない。

少しだけペースを上げ、捜査官たちの横を通り過ぎる。

「ちょっと、すみません」

「はい」

声を掛けられてすぐに踵を返す。

下手に遅れたら怪しまれる。

「こんな早朝からランニングですか。運動好きなんですか?」

「いえ、最近は卒論を書いてばかりだったので。少しは身体を動かして、リフレッシュをしようかと」

「…へぇ。リフレッシュ、ですか」

ジロジロ、と身体を隅々まで見られているようで、気味が悪い。

「ところで、最近凶悪な喰種が出たので外出時は注意するよう言われてたはず…なんですがねぇ」

――なるほど、誘導尋問か。

目的を察知したイツキ。

瞬時に思考して、対応を行う。

「すみませんが、家を出る時点ではまだご近所さんは誰も起きていなかったもので。テレビを見てもいませんし」

「…そういえば、その凶悪な喰種って、夜の何時ごろに出たんですか?」

「…どうして、夜だと?」

「だって、自分が就寝した12時まででは、そんなニュースは無かったものですから」

「それに、喰種の犯行は夜が殆どだって、小倉さんが」

「…ああ、なるほど」

また小倉か、とでも言いたげな表情をし、捜査官は表情を曇らせる。

――まぁ、これ以上つつかれることは無いだろう。

捜査官たちの態度からして、これ以上聞くことが無いと見える。

「…では、失礼しますね。捜査官さんたちのおかげで、今は危ないと分かったので。早く帰らないと」

「…そうですね。お気を付けて」

意外とすんなりと引き下がったのが気になるが、彼らにも余裕が無いのだろう。

特に気にすることも無く、一礼だけして帰りを急いだ。
770 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:12:18.88 ID:46k2/QeG0
ドアを開けた直後に抱き着いてきたマシロ。

ヒョイ、とそれを避けて、テレビを点ける。

どこのチャンネルでも『長槍』・『梟』特集が行われていた。

「守秘義務があるだろうに。…それだけ、本気ということか」

「…何をしてたんですか?」

ドアにぶつかったからか、赤くなった額を押さえながらマシロが問う。

「秘密。…どうせ、分かってるんだろうけど」

「ええ。ですが、意味が分からないんです。態々警戒レベルを引き上げさせるなんて」

「…それでも、言えないよ。マシロを関わらせるわけにはいかない」

「…仲間外れですか。家族なのに」

「違うよ。危険な目に遭ってほしくないだけさ。もしもの時は、『あんていく』に匿ってもらうから」

真っ直ぐこちらを見つめるマシロ。

だが、視線が交わることは無い。

諦めたようにはぁ、とため息を吐き、マシロは口を開く。

「…いいです。私も、散々迷惑を掛けましたから。お兄さんがダメと言うなら、踏み込む気はありません」

「だけど、死なないでくださいね。もし死んだら、後を追いますから」

「…はは、それは怖い」

冗談ではなく本気で言っているであろうところが恐ろしい。

どこで育て方を間違ったのだろうか。

――これは私の精神性の問題なので。お兄さんは関係ないはずですよ。

脳内に…直接…ッ!?
771 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:13:46.22 ID:46k2/QeG0
朝の行動を直下でお願いします。目立つ行動を行う場合は、コンマ判定を追加で行います。
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 22:26:19.90 ID:jNQ1N1uE0
お嬢様一行の新しい隠れ家を探したり考えたりする
773 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:57:42.01 ID:46k2/QeG0
「…さて、と。まだあの子たちを失うわけにはいかないし、別の場所を探さないとね」

100%イツキが原因のことなのだが、それは置いといて。

まだ、彼女たちをメンバーと会わせることは出来ない。

行動理念が正反対だから、速攻で殺しに掛かりかねないのだ。

「うーん…。調べた限り、ちょこちょこ手放された建物があるなぁ」

住宅街にあるものは当然論外。

人目に付きにくい、山奥だとかの建物がよろしい。

「だけど。情報が出てる時点で怪しいんだよね」

家から出ずに調べた場合、安全の保障が出来ない建物ばかりがピックアップされる。

こういう時こそ他人を頼るべきなのだろうが、下手に動くとマークされかねない。

特に、『Helter Skelter』に行った場合は、色々とヤバいことになるだろう。

「…皆、天才だ何だと持ち上げるけど。俺一人で出来ることなんてたかが知れてるんだよなぁ」

天才だろうと、ただの喰種一人でしかない。

一人で何でも出来ていたら、それこそ神という存在なのだろう。

「…人は神に憧れるけど、神になることは出来ない」

「人は人でしかないのだから。別の存在にはなれないのだから」

――カネキくんだって、外側が変わっただけで、本質は人間と変わらない。

「…まったく、嘉納先生。あなたは神を気取っているのでしょうかね」

度々ワイドショーや討論番組で姿を見せた医者。

カネキの話を聞き、彼が喰種化させたのだとすぐに分かった。

「…まぁ、俺には関係ないことだ」

目的を為すために、動くだけ。
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