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【艦これ】提督「……さて、と」 夕張「何でしょう?」
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1 :
◆hsyiOEw8Kw
:2017/02/01(水) 23:15:05.48 ID:YQB9fyw70
走る。
不知火と榛名が。
不知火「……雷さんは……」
榛名「……撒きましたね……!」
よし、と片手で小さくガッツポーズを取りながらも、足は止めない。
榛名「……さて、これからどうしますか?」
不知火「そうですね……」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1485958505
2 :
◆hsyiOEw8Kw
:2017/02/01(水) 23:17:28.80 ID:YQB9fyw70
艦これ二次創作ss、オリジナル設定多数、長編です。
一節
【艦これ】提督「…さて、と」
http://n2ch.net/r/7Ir_E807o0-dfD3/vip2ch_news4ssnip/1425115147/
二節
【艦これ】赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」
http://n2ch.net/r/7Ir_E807o0-dfD3/vip2ch_news4ssnip/1429367001/
三節
【艦これ】加賀「……さて、と」
http://n2ch.net/r/7Ir_E807o0-dfD3/vip2ch_news4ssnip/1435589523/
の直接の続編となります。
大変間が開いてしまいましたが、また頑張って書いていきたいと思います。
よろしくおねがいします
3 :
◆hsyiOEw8Kw
:2017/02/01(水) 23:19:22.88 ID:YQB9fyw70
一先ず建物の陰に隠れ、息を整える二人はしかし、警戒は怠らない。
不知火「……鳳翔さん、何処に居ると思います?」
榛名「鳳翔さん……ですか……うーん」
顎に指を当てて小首を傾げる。
榛名「撒きましたよね……」
榛名は目を細めた。
伏せられる長い睫毛が、鋭い瞳を隠す。
榛名「……雷さんが寮に居た、という事は……あの3人は散って待ち伏せしていた可能性が高い……」
不知火「足柄さんは……船渠、ですかね。火を使えるのはあそこか工廠ですし」
4 :
◆hsyiOEw8Kw
:2017/02/01(水) 23:20:12.71 ID:YQB9fyw70
榛名「足柄さんはそこが濃厚ですね。
工廠と船渠を抑えてないはずが無いので……雷さんは寮に居ましたし。
……となると鳳翔さんの選択肢は二つ」
不知火「島中に潜んでいるであろう我々を炙り出す為に探索する。或いは、キッチンに戻るか……」
榛名「そう。そして……追う前に恐らくキッチンないし食堂は封鎖しているはず」
不知火「逃げ場を減らすために」
榛名「そうですね。
であれば……鳳翔さんは探索に出ているでしょう」
不知火「その理論が正しいとなると……」
榛名「島中に身を潜めるのは悪手かも知れません」
ふむ、と不知火は考え込む。
不知火「まさか無線までは持ち込んで無いでしょうし……島中に隠れるのが其処まで悪い手だとは……」
榛名「私も無線は無いと思いますが……
鳳翔さんの嗅覚が少し、怖いですね」
5 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:21:07.99 ID:YQB9fyw70
不知火「嗅覚?」
榛名「ええ。純粋に、あの人、凄く鼻が利くじゃ無いですか」
不知火「……それは、まぁ……でも、そんなにですか?」
榛名「……私は、わりと……恐れてます……隼鷹さんは隠れても毎回見つかってたし……」
不知火「確かに……しかし、ならばどうします?」
榛名「キッチンへ向かいましょう」
不知火「キッチン?封鎖されてるのでは……」
榛名「強引に突破します」
不知火「え、えぇ……正気ですか……」
6 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:23:22.20 ID:YQB9fyw70
榛名「勿論正気です」
不知火「……しかし、どのようにして封鎖されているのかもわかっていませんよね?」
榛名「行けばわかります」
不知火「ええー……」
榛名「際は投げられました。行きますよ!」
その言葉とともに榛名は走り出した。
不知火「ちょ、待って下さい!」
慌てて追いかける不知火。
7 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:24:16.57 ID:YQB9fyw70
◇
榛名「さて……」
不知火「着きましたね……」
やや荒い息を整えながら、二人は食堂の入口へと歩み寄る。
目の前にある扉は果たして、固く閉ざされていた。
榛名「やはり……」
不知火「……どうするんですか……」
不知火は半目で榛名を見ながら、大きくため息をついた。
不知火「中に入れないとなると、不味いですよ」
榛名「そんなことはわかっています」
榛名は壁に近寄ると上を見上げた。
不知火「……?一体何を見てーー」
8 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:26:30.31 ID:YQB9fyw70
その視線の先にあるのは、少しばかり空いた窓。
しかしそれは、2階だ。
不知火「まさか、」
榛名「そのまさかです」
不知火「……どう登るおつもりで?」
榛名「屋根から雨水を流す配管が向こうにあります。まずはそこから屋根に上り、上から逆にぶら下がることで中に入れると思いますよ」
不知火「スパイか何かですか、私たちは……」
榛名「いいから行くんですよ。いつまでもこんなところに居てられません」
そう言うと、榛名は持っていた『ケーキ』を頭の上に乗せた。
そのまま両手を離してもケーキは頭の上でバランスを保つ。
不知火「……すごい特技ですね」
榛名「艦娘ですから」
しれっという榛名に対し、不知火はまたもや半目になった。
9 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:28:20.71 ID:YQB9fyw70
不知火「まるで艦娘なら全員出来るかのような言い方ですねぇ……私には無理なのでーー」
ちらりとあたりを見渡す不知火。
不知火「――かなり見つかりづらい場所に、鍋は隠しておきます」
榛名「急いで下さいね」
そそくさと鍋を隠しに茂みへ向かった不知火を目端に捉えながら、榛名は己の服の袖を裂き始めた。
不知火「――ちょ、何やってんですか」
片側が半袖と化した榛名を見て、戻ってきた不知火は驚く。
10 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:28:56.29 ID:YQB9fyw70
榛名「ベルトが無いので」
不知火「ベルト?」
榛名「――まさか、素手でパイプに登るつもりですか?」
不知火「え、ええまぁ……」
榛名「登れることに私は驚きを隠せません……猿ですか?」
不知火「怒りますよ」
眉の吊り上がった不知火を見て、ふっと笑う榛名の手には、服を破いて作った紐が握られている。
それを持ったまま榛名はパイプへと近付いた。
当然だが、建物の壁と雨樋パイプの間には隙間がある。
榛名「これを――」
つぶやきながら榛名はその隙間に紐を通した。
榛名「こうして」
次いで、その紐の端同志を結び、輪を作る。
その輪の中に入りながら、榛名は不知火の方を向いた。
榛名「こうすると、簡単にのぼれますよ」
不知火「……?」
紐で作った輪の中に、榛名とパイプ。
まるで榛名がパイプを相手に電車ごっこをしているかのようだ。
11 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:30:15.49 ID:YQB9fyw70
榛名「まぁ、見ててください」
そう言うと、榛名は輪を両手に持ったまま胸の位置まで上げ、後ろ歩きでパイプとできる限り離れた。
パイプと向かい合う榛名。
当然、紐はピンと張り榛名の背中に食い込む。
そのまま紐に全体重を預けるようにして、榛名は地面から足を離し、代わりに壁に足をついた。
軋む雨樋。
だが、持ちこたえて。
壁を踏む力により、パイプに掛けられた輪が榛名を支えた。
不知火「おお……」
感心する不知火を尻目に、榛名はその姿勢を維持したままスイスイとパイプに沿って壁を蹴って進んでいく。
無論『ケーキ』は頭の上に乗せたままだ。
榛名「不知火さんは……登れるんですよね?」
一瞬止まり、榛名は下を向いて不知火に問いかけた。
不知火「……ええ、まぁ……」
不知火はパイプに近づく。
そのままガシッとそれを掴むと、普通によじ登り始めた。
榛名「おお……やはり……」
不知火「……なんですか?」
普通に独力で登り切った不知火に対し、榛名は熱い視線を送ったが、頷いただけで何も言わなかった。
やや不服そうな不知火を置いて、榛名は先へ進む。
12 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:31:40.18 ID:YQB9fyw70
榛名「よし……降ります」
先程雨樋から回収した紐を、榛名は不知火に渡した。
榛名「この紐を屋根から垂らして窓に入ります。
不知火さん、しっかりお願いしますよ」
不知火「……待って下さい。私が紐を持つんですか?で、榛名さんが降りると」
榛名「はい。私が窓に到達したら、不知火さんは飛び降りて下さい。
受け止めます」
不知火「……ああ……成る程……大丈夫ですかね……?」
不安げな顔になる不知火。
榛名「余裕ですよ。ケーキは片手で持って、もう片方で降ります」
13 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:32:39.36 ID:YQB9fyw70
不知火「いえ、私は……その……」
榛名「……?」
不知火「……」
案外、重いので……と暫しの沈黙の後に続けた。
赤面する不知火に、少しびっくりしたようになった榛名。
しかし、直ぐに微笑み。
榛名「大丈夫ですよ。軽かったです。蹴り飛ばしましたから」
不知火「……そう言えば、そうでしたね」
はぁ、と溜息をついて、不知火は腕を捲った。
不知火「わかりました。やりましょう」
榛名「お願いします」
不敵な笑みと共に、榛名はケーキを頭上から左手に移した。
14 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:33:31.30 ID:YQB9fyw70
◇
サセン島、執務室
提督が誰かと電話をしている。
相手が何かを告げ。
提督は目を伏せると、答えた。
提督「……わかった」
そして、ガチャン、と電話を置く。
ふぅ……とため息をつくと、提督はしばらくその姿勢のままでいた。
提督「……今夜、か……」
意味深な呟き。
やがて、くぅ、と大きく伸びをしてから、提督は立ち上がる。
15 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:34:13.88 ID:YQB9fyw70
提督「……しかし、もうすぐだ……もうすぐで、俺は……」
窓の前へ歩み、ふぅ、と再び深い嘆息。
外を覗き込み、強い日差しに顰められた双眸は、向かいの建物のシルエットを写した。
正確には、建物のシルエットと、その屋上に立つ何者かのシルエットだが。
その姿は逆光でよく見えない。
提督「……?」
怪訝な顔になる。
提督「屋上に人?……誰だ……?」
窓に近寄り、目を凝らす。
と。
屋上の影が、飛び降りた。
提督「……?!」
予想外の事に、声が出ない。
16 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:34:56.07 ID:YQB9fyw70
飛び降り自殺?誰が?何故?という疑念が胸中に渦巻く。
が。
提督の動揺とは裏腹に。
飛び降りた人物は、地面に激突はせず。
途中で伸びてきた腕にしっかりとキャッチされ、そのまま建物の陰に吸い込まれていった。
提督「……」
唖然としていた提督は、しかしすぐに落ち着きを取り戻した。
一息ついて。
提督「……成る程な」
頷く。
どうやら、シルエットの正体に見当がついたようだ。
フッ、とキザに決めて。
提督「ーースパイか」
違う。
17 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:35:35.29 ID:YQB9fyw70
◇
不知火「あぁぁぁ……死ぬかと思いましたよ……!」
榛名「ちゃんとキャッチしたじゃないですか!」
不知火「そうですけど!艦娘は空を飛ぶようには出来て無いと言うことがよくわかりました……」
榛名「それは……まぁ……」
二人は話しながらも走っていた。
目指す先は、キッチン。
不知火「しかし……無理矢理入ってしまうとは……
大丈夫ですかね……」
榛名「何がです?」
不知火「何がって……色々ですけど」
榛名はキョトンとした顔になる。
榛名「大丈夫なわけないじゃないですか」
そう言いつつ、破いた袖を見せる。
不知火「ですよねー……」
18 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:36:21.51 ID:YQB9fyw70
榛名「現段階で既に、鳳翔さんに捕まったら地獄しか見えないから逃げてる訳で……
お仕置きは確定してるんですよね」
不知火「逃げた分だけ怒りのボルテージ上がりそうですけど……」
榛名「まぁ、そこらへんは大丈夫ですよ」
不知火「大丈夫……?」
榛名「はい」
ニッコリと笑って。
榛名「既に最大ボルテージだと思います!」
不知火「いやまぁ……そうですね……」
19 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:37:00.38 ID:YQB9fyw70
榛名「それに最悪でも死ぬだけです!」
不知火「それは本当に最悪ですからね。大丈夫じゃないですからね」
等と、話している間に二人は食堂に到着した。
キッチンは目の前だ。
不知火「では……私は鍵を開けて鍋を取ってきます」
榛名「私はキッチンで最終確認を!」
頷く。
不知火「鍋を回収したら、私も合流します。
また、後程」
さっと片手を挙げ、不知火は榛名と別方向へと走っていった。
榛名「よし……厨房に何かありましたっけ……」
いそいそと厨房に入り、ケーキの飾り付けを始める榛名。
榛名「色合いを可愛い感じに……してっと……」
様々な粉末を駆使し、段々と華やかになってゆくケーキ。
しかし、華やかなのは色合いだけだ。
全体にかかっている青い粉末が一体何なのか、知りたい者は居ないだろう。
20 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:38:31.72 ID:YQB9fyw70
榛名「♪〜」
ご機嫌に作業を続ける榛名。
榛名「よし!
最後に……チョコレートソースなる物があれば……
見栄えがするのですが……」
足柄「チョコレートソースは無いわね〜」
榛名「ですよね……」
はぁ、と溜息。
仕方ないですねーと呟いて、榛名はオイスターソースに手を伸ばした。
榛名「これでいけますね」
足柄「えぇ……」
榛名「えぇ……じゃないですよ!
見てくださいこのデザインを、足柄……さ……ん?」
足柄「ん?」
榛名「?!」
いつの間にか隣に立って、料理をしていた足柄に驚く榛名。
21 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:39:27.69 ID:YQB9fyw70
榛名「いつの間に……ッ!」
足柄「あら?最初からいたわよ」
榛名「そんなはずは……!」
身構える榛名。
榛名「……っ。ここは退散です!」
足柄「……」
無言の足柄に構わず、榛名は退こうとした。
が。
榛名「?!……足が……!」
動かない。
正確には、靴が。
床に張り付いている。
榛名「な、なんですかこれは?!」
足柄「フッフッフ……気付くのが遅かったわね……」
22 :
◆hsyiOEw8Kw
[saga]:2017/02/01(水) 23:40:15.86 ID:YQB9fyw70
榛名は何とか足を持ち上げようとするが、靴はかなり強い力で接着されている。
足柄「そう……粘着トラップよ!その名も……ゴ○ブリホイホイ……!」
榛名「何てネーミングセンス……ッ!……じゃない!何で厨房にッ……!」
足柄「そりゃゴキ○リホイホイは厨房に仕掛けるでしょ」
榛名「そう言うことではなくて……!」
足柄「ま、ーー」
ウィンクしながら。
足柄「ーーあなたの行動なんて、読めるわよ」
榛名「ーーッッ!」
ギリ、と歯を食いしばっても、何も解決しない。
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