【ヤンデレCD】ヤンデレロンパ〜希望のヤンデレと絶望の兄〜2スレ目

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1 :モノクマ劇場 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:06:22.75 ID:BkhmFwPU0

 やぁみんな!みんなのアイドル、モノクマだよ!

 このスレは、好評につき1000に到達した前スレ、

『ヤンデレロンパ 〜希望のヤンデレと絶望の兄〜』

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420985746

 の2スレ目だよ!

 いやぁ、人気者は辛いね!

 このSS速報VIPに、ボクに嫉妬するあまり他のスレにも迷惑かける、超高校級の絶望を生んじゃうなんてさ!

 全く、自分の才能が恐ろしいよ!これぞ、超絶望級の学園長ことモノクマの面目躍如ってやつだね!

 ま、寛容な心で許してやってね!どれもこれも、罪作りなボクの才能が故、なんだからさ!

 うぷぷ。それじゃ、絶望的な気分を味わってもらったところで、まずは前回のあらすじからいってみようか!



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491091582
2 :モノクマ劇場 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:18:10.19 ID:BkhmFwPU0

 前回までのあらすじ

Act.0
 平凡な高校生であった主人公(オモヒトコウ)クンはある日突然、超高校級の主人公候補生としてコロシアイ強化合宿に参加させられることに!

Act.0.5
 平和な時間もつかの間、主人公クンは何者かの策によって超刺激物パスタを食べさせられ、あわや三途の川を見る羽目に!
 度を越えた悪戯を仕掛けたのは誰か?!ガッキュウサイバンカッコカリで明らかになる真相とは?!

Act.1
 ついに起きてしまった殺人事件!犯人は誰なのか?!()が外れた真の学級裁判の行方は?!
 クロへのおしおきが終わり、そこから繰り広げられる怒涛の展開とは?!

3 :モノクマ劇場 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:22:26.75 ID:BkhmFwPU0

 詳しくは前スレを読んでね!

 それじゃ、頭モノタロウなオマエラにもわかるよう簡単なあらすじも終わったので!

 お待たせしました!本編再開です!シーンはクロへのおしおきが終わった直後から!

 ヤンデレロンパ 〜希望のヤンデレと絶望の兄〜、Re:アクション!

4 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:30:17.71 ID:BkhmFwPU0


モノクマ
「エクストリィィィィィィィーム!アドレナリンがっ!五臓六腑にまで染み渡るゥゥゥゥ!」



 絶句。



ウメゾノ ミノル
「あばばばば あばばばばばば あばばばば あばばばばばば あばばばばばば」


マスタ イサム
「これ……、は……」



 これが、絶望。



ナナ
「きれいだわ。お花」


ノノ
「桜ってこうやって咲くんだね」


サクラノミヤ エリス
「ぁ……」


サクラノミヤ アリス
「ちょっ、慧梨主!しっかりしなさい!こんなところで気絶なんてしたら駄目よ!」



 そこには、希望なんて、欠片もなかった。



5 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:42:37.68 ID:BkhmFwPU0



ノノハラ ナギサ
「あ、ああ、あぁ……」


コウモト アヤセ
「これって……、こんなのって……!」


ナナミヤ イオリ
「神よ……」


タカナシ ユメミ
「…………」


ユーミア
「何ということを……」


アサクラ トモエ
「う、うぅ……、ちょっと気持ち悪くなっちゃった……」



 ここに居る全員が、目の前で起きた凄惨な処刑に頭がついて行っていなかった。



ノノハラ レイ
「ねぇちょっとモノクマぁ。コートに返り血がかかったんですけどぉ。弁償してくれるぅ?」



 ――訂正。全員ではなく、約一名の異常者を除く。


6 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:55:42.94 ID:BkhmFwPU0


ノノハラ レイ
「演出にこだわるのはいいけどさぁ、もうちょっと何とかならなかったの?これ
 皆絶望通り越してドン引きだよ?」


モノクマ
「えぇ……?長いこと学園長やってるけど、おしおきに駄目だし喰らったのは地味に初めてですよ……?
 あー、もう、わかったよ!シミ抜きはあとでちゃんとやっておくから!」


ノノハラ レイ
「皆の分もよろしくね?」


モノクマ
「十四人分も?!……わかった、わかりました!返り血が付いたオマエラの服は消灯時間中に責任をもって処理しておくから!」


オモヒト コウ
「おい、澪。一体何のつもりだ?」


ノノハラ レイ
「何の話?」


オモヒト コウ
「とぼけるな。なんてお前はそう平然としてられるんだよ!」


ノノハラ レイ
「どうして?逆に聞きたいんだけど、キミたちは見知らぬ他人が死んだってニュースを見て、『可哀想』以上の感情を抱くの?
 親や親友が死んだときと同じように泣けるって言うんだ?そりゃまた随分と感受性豊かなことで。
 まぁ、しばらく桜は見たくないっていうなら同感なんだけどさ」



 ……こいつは一体何を言っているんだ?
 いや、理解しようとするな。こいつがおかしいのは今に始まったことでもないだろうが。


7 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 10:01:23.22 ID:BkhmFwPU0


オモヒト コウ
「柏木はお前のクラスメイトじゃなかったのか?
 あんな風に助けを求めていたのに、その手を振り払うとかどういう神経してるんだお前は?!」



 正直な話、こいつにはもう口を開いて欲しくなかった。
 コロシアイなんて関係なく、こんな奴は存在してはいけないと思いたくはない。
 これ以上こいつを野放しにすれば、きっとこれ以上の災難の元になる。



ノノハラ レイ
「カシワギ……?誰それ」


オモヒト コウ
「……は?」



 予想外のセリフに、俺も、澪を除いた誰しもが絶句していた。


8 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 10:17:46.17 ID:BkhmFwPU0



ノノハラ レイ
「どうしてみんなしてそんな顔でボクを見るのかな?何かいいことでも言った?」


ノノハラ ナギサ
「お、お兄ちゃん……、同じクラスの柏木園子さんのこと、だよ?」


ノノハラ レイ
「え、そんな人いたっけ?」


コウモト アヤセ
「……可哀想。柏木さん、澪に忘れられちゃったんだ」


オモヒト コウ
「お、おい、ちょっと待て!忘れたってどういうことだよ!なんでついさっき目の前で殺された奴の事を忘れることが出来るんだ!」


ノノハラ レイ
「あー……、そう、なるほどね。そのカシワギって人は、たった今おしおきで死んだ人なんだ。
 えっとね、どう説明したらいいかな。ほら、ボクって記憶力いいじゃない。
 それっていいこともあるけど、やなことも多いんだよね。過去のことをいつまでも引き摺ったり、嫌な思い出が頻繁にフラッシュバックしたりさ。
 そんなストレスに苛まれるのは嫌だからさ、忘れるようにしてるんだ。意図的に」


オモヒト コウ
「意図的に……、って。そんなことできるわけないだろ!」


ノノハラ レイ
「できるよう訓練したんだよ。この記憶力とうまく向き合うためには、どうしても必要だからさ」


ユーミア
「……人間の脳はコンピュータと違って、メモリーの消去を容易く行うことはできません。
 少なくとも、近しい人間一人を、存在ごと丸々、意図的に忘却するなんて。
 一体どのような技術が必要だと思っているのですか?」


ノノハラ レイ
「ま、ちょっとした自己暗示の応用だよ。習得に結構時間かかっちゃったけど、慣れれば大したことないって」


9 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 10:36:10.04 ID:BkhmFwPU0


ノノハラ レイ
「それにしても、そのカシワギって人?よっぽど酷い事しでかしたんだね。
 いくらその人のことを嫌いになっても、大抵の場合はその嫌いになった原因を忘れるっていうのに。
 その人の存在そのものを否定するってことは相当こっ酷く裏切られたんだろうね」



 ……もう、言葉が出ない。
 こいつは。
 俺の目の前にいる、野々原澪という存在は。
 本当に俺たちと同じ人間なのか?
 俺の目が正しければ、こいつはヒトのカタチをした、別のナニカなんじゃないのか?



マスタ イサム
「もういい、それ以上喋るな。ユーミア!」


ユーミア
「かしこまりました、マスター!」



 増田とユーミアが、澪を取り押さえにかかる。
 こんな危険な奴を野放しにしてはおけないと思っていたのは俺だけじゃなかったんだ。



ノノハラ レイ
「っとと、やめてよボクそんな喧嘩強くないんだからさぁ」



 澪は二人を寸でのところで、飄々と交わしていく。
 気が付けば、俺も参戦していた。こいつは一発殴っておかないと気が済まない。



オモヒト コウ
「おらァッ!」



 増田とユーミアに気を取られてがら空きになった顔面に、渾身の右ストレート。



ノノハラ レイ
「やだなぁ暴力は。怪我したら痛いじゃん」



 だというのに澪は、ミットでボールを受けるように、容易く拳を掴んで止めて見せた。
 まるで友達とじゃれ合っている小学生の様な、満面の笑みを浮かべて。
 すぐさま拳をはなして、距離をとる。一瞬反応が遅ければ、強烈な蹴りを脇に食らっていたはずだ。



10 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 10:47:03.97 ID:BkhmFwPU0



オモヒト コウ
「お前は……、お前は一体何がしたんだ?お前の目的は一体何なんだよ?」


ノノハラ レイ
「目的……、ねぇ?前に言ってなかったっけ?ここでの生活を受け入れるべきだ、ってさ」



 確かに、こいつは初日からそう言っていた。
 最初は冗談か何かだと思っていたのに、こいつは本気でこのホテルに骨をうずめるつもりでいる。



ノノハラ レイ
「つまりはそういうことだよ。ここでの生活をより快適なものにするために、ボクはあくせく頑張っているんだ」


オモヒト コウ
「どこがだ!お前がやったことはコロシアイの誘発じゃないか!」


ノノハラ レイ
「だからさ、誤解なんだって。
 そりゃ、確かにそうなるように動いた面もあるけど、それは未然に防ぐことで誰も殺人を犯そうなんて考えないようにするつもりだったんだからさ」


オモヒト コウ
「防げてないからこうなったんだろ?!」


ノノハラ レイ
「いやぁ、耳が痛い話ではあるね。うん、次からは死人が出ないように頑張るよ」


オモヒト コウ
「この野郎!」


サクラノミヤ エリス
「もうやめてください!」


11 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 11:08:29.81 ID:BkhmFwPU0



 慧梨主の声に、俺たち四人は固まった。



サクラノミヤ エリス
「どうしてそう争ってばっかりなんですか!
 こういう時こそみんなで力を合わせるべきじゃないんですか?!」


マスタ イサム
「そうは言うがな。むしろ力を合わせるべきだからこそ、足並みを乱すようなこいつは放っておけないんじゃないか」


ユーミア
「彼は……、間違いなく今後の生活の火種になります。
 少なくとも、ここでの生活を支配する為にマッチポンプを企てるような人ですから」


オモヒト コウ
「悪いが、こいつだけは一発殴っておかないと気が済まないんだ」


ウメゾノ ミノル
「それがモノクマの思うつぼだってわからない?
 見なよ。君等が醜い争いをしている様を、憎たらしく笑いながら見てるじゃないか」


モノクマ
「うぷぷ……。そうそう、こういうのが見たいんだよ。お前らが争えば争うほど、疑心暗鬼の根は深くなる。
 そうすれば今度はもっと簡単にコロシアイが起きるからね!ボクの目的は、絶望。それだけだもん!」


12 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 11:24:02.79 ID:BkhmFwPU0



モノクマ
「口では綺麗事なんていくらでも言えるけど、本心はどうかなぁ?
 案外、慧梨主さんもコロシアイに乗り気なんじゃないの〜?」


サクラノミヤ エリス
「そんなことありません!」


モノクマ
「さぁて、どうだかねぇ?虫も殺せませーん!みたいな清純派ぶってる娘ほど、簡単に殺人に走るんだよ!経験則からして!」


サクラノミヤ エリス
「うっ、ううっ……!」


ノノハラ レイ
「心配ないって。もう殺し合いなんて起こさせないからさ」


コウモト アヤセ
「どうして、そう言い切れるの?澪、貴方は何を考えているの?わからないよ……」


ノノハラ レイ
「ボクがここでの生活を支配しようとしているのはね、みんなもここでの生活を受け入れてほしいから、なんだよ」


コウモト アヤセ
「わたしたち、も?」


ノノハラ レイ
「そう。みんなが外の世界の未練を捨てて、ここでの生活を受け入れてもらうために、ボクはここをみんなの楽園にしたいんだ。
 ユートピアって言うのは、支配者によって徹底的に管理されて初めて成り立つものだからさ」


13 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 13:10:09.85 ID:BkhmFwPU0



オモヒト コウ
「お前は……、お前はそのために、咲夜を犠牲にしたって言うのか?」


ノノハラ レイ
「正直ね、失敗だったと思うんだよ。彼女のケアを、キミに任せたのはさ」


オモヒト コウ
「何だと……?!」


ノノハラ レイ
「どうやら過大評価だったらしいね。そのせいで、多少やりすぎても君がフォローしてくれると思っちゃった。
 キミのことをちゃんと評価できていれば、ボクももっと安全策で行ったんだけどね」


オモヒト コウ
「言わせておけば……っ!」



14 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 13:39:18.87 ID:BkhmFwPU0


マスタ イサム
「モノクマ……、それを操っている黒幕を差し置いて、ここでの生活を牛耳ることなんて本当に可能だと思っているのか?」


ノノハラ レイ
「そんなのやってみなけりゃわからないよ」


ナナミヤ イオリ
「支配なんて考えなくても、協力してここから脱出する方法を考えた方がよかったのでは?」


ノノハラ レイ
「それこそモノクマが真っ先に封じるでしょ。捕まえた獲物をわざわざ逃がす真似なんてボクなら絶対しないし。
 だから、外に出るためなら自分以外の全員を犠牲にしなけりゃならない。それがいやなら、ここで永遠に過ごすことを受け入れるしかないんだよ。
 かといって、ここに永住するよう説得するのは骨が折れるし時間もかかる。
 だから、絶対的な力による征服が必要なんだよ。手っ取り早いし」


アサクラ トモエ
「とんだ暴君だね。そういった人たちがどういう末路と辿ったかしらないわけじゃないんでしょ?」


ノノハラ レイ
「頭上に剣が吊り下げられてるのに、それに気を配らない方がおかしいよ。
 寝首を搔かれる側が鈍いだけなんだし。ボクはそんなに甘くないよ?」


15 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 13:41:40.65 ID:BkhmFwPU0



ノノハラ ナギサ
「でも……、ここでの生活を受け入れるって……、どうすればいいの?」


ノノハラ レイ
「とても簡単な話だよ。――諦めればいいのさ」



 また、あの目だ。
 何もない、穴のような暗い目。



ノノハラ レイ
「将来の夢、好きな漫画やアニメの続編、学校生活、これまでの日常。
 何もかも全部諦めれば、ここでの生活を受け入れてしまえば」



 薄く笑みを浮かべた口から洩れるのは、毒。



ノノハラ レイ
「早くなれればなれるほど、――ボクらはきっと楽になれるよ」



 俺たちを堕落へと導く、甘い猛毒。


16 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 13:47:06.62 ID:BkhmFwPU0



 一瞬か、それとも長い間なのか。時間の感覚が曖昧になる沈黙。
 このまま学級裁判がお開きになれば、再びあのホテルへ戻ることになるが……。
 どうしても、澪に確認しておきたいことがある。
 かと言って、これを追及すれば余計波紋が大きくなるかもしれない。
 どうする?するべきか?しないべきか?



|>澪を追及する
 澪を追及しない



17 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 13:52:39.27 ID:BkhmFwPU0



オモヒト コウ
「……なぁ澪。一つだけ聞かせてくれないか」


ノノハラ レイ
「なんだい?スリーサイズ以外ならある程度は答えてあげるよ?」


オモヒト コウ
「……お前、柏木が犯人だって知ってたんじゃないか?」


ノノハラ レイ
「――どうしてそう思うのかな?」


オモヒト コウ
「咲夜の死体を発見したあの時、覚えてるよな?」



――回想――



ノノハラ レイ
『犯人も帰り道、テーブルにぶつかって初めて気づいたんじゃないかな。
 足跡はあそこで途切れてるし、拭き取ろうとしたのか形が大分ぼやけてたから』



18 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:08:46.75 ID:BkhmFwPU0



オモヒト コウ
「あの血の足跡を見ただけで、なんで犯人がテーブルにぶつかった、なんて断言できるんだよ。まるで見てきたみたいじゃないか」


ノノハラ レイ
「途切れている場所的に見て、テーブルに進路を妨害されたことは容易に想像できるよ。
 そこから推察すればぶつかったんじゃないかと思うのは――、なんて、建前だけど。
 うん、そうだね。君の推理通りだよ。聞こえたんだ。オルトロスの死体を焼却炉へ運んだ帰り、誰かが食堂のテーブルにぶつかった音をね。
 短い悲鳴も聞こえたよ。当時はわからなかったけど、状況的に考えれば、それが犯人のものだと想像するのは簡単だよね?」


オモヒト コウ
「まだ白を切るのか?咲夜が殺されてから朝倉がドライヤーの音を聞くまで、まだ三十分もある。
 その間お前は一体何をしていたんだ?柏木と組んで、証拠隠滅でも図っていたんじゃないのか?」


ノノハラ レイ
「……さぁ?キミが勝手に想像するのは勝手だけれど、カシワギさんとやらはもう処刑されて、ボクはその人に関する記憶を思い出すつもりもないからさ。
 キミのそれを正解か不正解かを判断する材料なんてないんじゃないの?」


オモヒト コウ
「確かにないが、疑うには充分だろうが。もしこの疑いが真実なら、お前は当時柏木を庇おうと思っていたことになるんだろ?
 裁判中だって、途中までは柏木を庇っていたんじゃないのか?それを途中から突き放すような発言ばかりになって!
 なんでそんな風に柏木の気持ちを踏みにじることができる?!あいつはお前の仲間じゃなかったのか?!」



 感情が抑えきれなくなって、澪の襟元を掴みあげてしまう。
 人の心をそんな風に弄ぶような人間を、許せそうにないからだ。


19 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:19:43.64 ID:BkhmFwPU0


ノノハラ レイ(CV:水橋かおり)
「なら咲夜さん(わたし)は仲間じゃなかったの……?」


オモヒト コウ
「なっ……?!」



 澪の口から紡がれたのは、咲夜の声だった。



ノノハラ レイ(CV:水橋かおり)
「どうして公(あなた)は咲夜さん(わたし)を殺したあの女を庇うの?
 咲夜さん(わたし)よりもあの女の方が大事だって言うの?」


オモヒト コウ
「違う!俺は……っ!」


ノノハラ レイ(CV:水橋かおり)
「咲夜さん(わたし)の事は仲間だと思ってなかったんでしょ?もしかして忘れてたの?
 どっちにしろ、公(あなた)にとって咲夜さん(わたし)はその程度の存在だったのよね?」



 咲夜の声で、嘲笑うように。
 顔そのものは澪のままでも、まるで咲夜本人が喋っていると錯覚してしまいそうなほどに、精巧な再現。



ノノハラ レイ
「まぁまぁ、仲良くしようよ。カシワギさんとやらを殺した、同じ穴の狢同士さ」



 固まった俺の手を振り払い、服を正しながら、自身の声で澪は言った。



20 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:23:54.74 ID:BkhmFwPU0


オモヒト コウ
「同じ穴の狢……、だと?」


ノノハラ レイ
「だってそうでしょ?皆、自分の命惜しさに、クロに投票したんだよね?
 なら、手を下したのはモノクマでも、死なせたのはボクらだよ」



 できることなら違うと反論したかった。
 全部モノクマが悪いのだと。
 だが今更どういったところで、それは責任転嫁にしか聞こえない。



ノノハラ レイ
「無益な喧嘩はやめようよ。これからずっと一緒に暮らしていくんだからさ――、あれ?」



21 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:37:05.91 ID:BkhmFwPU0



 その場から立ち去ろうとする澪の腕が、見えない手に引っ張られているように体の動きに取り残される。
 よく見れば、コートの袖が不自然に、線上に凹んでいる。
 それは、糸だ。極限まで細い、丈夫な糸が、澪を捉えていた。
 その糸を辿ると、朝倉の指先に繋がっている。



アサクラ トモエ
「残念だったね。剣を吊り下げている糸にも気を配らないと。自分で思っている以上に結構鈍いんじゃないの?」


ノノハラ レイ
「朝倉……、そう、ははっ、アサクラ、阿鎖玖羅ね。そういう事」



 その糸が徐々に澪の体に絡まっていき、拘束していく。
 生殺与奪を朝倉に握られているというのに、澪はおとなしく笑っている。



22 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:37:49.93 ID:BkhmFwPU0



ノハラ レイ
「じゃ、キミの頑張りに免じて、今日の所はおとなしく捕まっておいてあげる」


アサクラ トモエ
「……先輩、ちょっと運ぶの手伝ってくれる?」


マスタ イサム
「あぁ」


ノノハラ レイ
「あぁ、ちょっと、優しく運んでよ。これでも殺人を未然に防ごうとした一番の功労者なんだからさ」


マスタ イサム
「どの口が言うんだどの口が」


ユーミア
「口も塞いでおいた方がいいのかもしれませんね」


モノクマ
「うぷぷ。何だか面白い展開になってきましたね。
 お帰りの際はあちらのエレベーターに乗ってくださいね!」



 壁の一部が開くと、そこに小部屋があった。それがエレベーターなのだろう。
 っていうか、最初からこれに乗せてくれれば滑り台なんて必要なかったんじゃないか?


23 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:39:25.65 ID:BkhmFwPU0



ノノハラ レイ
「あ、そうだ。どうしてもここから出たいって人に朗報だよ」



 全員がエレベーターに乗ったころ、澪が口を開いた。
 すかさずユーミアが塞ごうとするが、構わず爆弾を投下する。



ノノハラ レイ
「ボクはね、気づいたんだ。ある方法を使えば、この合宿から……、今だと最大七人が同時に脱出できるってことにさ」


24 :♪オールド・ワールド・オーダー ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:43:43.22 ID:BkhmFwPU0



マスタ イサム
「ちょっとまて、どういうことだそれは?!」


ノノハラ レイ
「教えてあーげない。取引にならないもんね」


オモヒト コウ
「取引、だと?」


ノノハラ レイ
「今なら大サービスだよ♪枠はあと四人分残ってるからさ。ボクに取り入るなら今の内なんじゃないかなぁ?」



 澪は悪戯が成功した子供のように無邪気に笑い、エレベーターは上昇を始める。
 コロシアイ強化合宿は、まだ始まったばかりに過ぎなかった。


25 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:45:25.02 ID:BkhmFwPU0



  第一章

 ホテルぐらし!

   END


26 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:46:47.21 ID:BkhmFwPU0



   生き残りメンバー
     14人



     To Be
    Continued




27 :ITEM GET! ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:48:18.46 ID:BkhmFwPU0



 プレゼント“園芸用スコップ”を獲得しました。


 プレゼントメニューで確認できます。


28 :プレゼントメニュー ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:49:02.88 ID:BkhmFwPU0



園芸用スコップ:第一章を生き延びた記憶。
        硬い石が混じっていることもある土を掘り返す道具。最初は突き刺す。




29 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:51:17.71 ID:BkhmFwPU0



――や、やっと第一章が終わりましたね。


――ここまでで二年もかかってしまいましたが……、果たして完走できるのでしょうか……。


――何はともあれ、新スレに移行しましたが、これからもヤンデレロンパをよろしくお願いいたします。


30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/02(日) 22:23:16.21 ID:sGCPpPC2o
新スレ乙です
病んでまいりましたね、わくわく
31 :モノクマ劇場 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:03:13.48 ID:+LVDdCHg0



 今日はオマエラに魔法の言葉をお教えしましょう。

 それは『CV:(任意の声優)』です。

 これがあるとあら不思議!その文章があたかもその声優さんが読み上げているようになるのです!

 どんなに予算がなくても大丈夫!声が特徴的な人なら、みんな想像で補ってくれるからね!

 その声優さんが絶対に言いそうにないセリフだっておかまいなしさ!

 ま、ボクほど愛くるしいキャラになってくると、どんなCVでも可愛さは損なわれないんだけどね!(CV:中田譲治)

 ん?何か声が変な感じ……?

 ま、いっか!バーイくまー!(CV:中田譲治)



32 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:06:48.57 ID:+LVDdCHg0



 ……。



ノノハラ レイ
「ねぇ」



 …………。



ノノハラ レイ
「ねぇったらぁ」



 ………………。



ノノハラ レイ
「ねぇ、早く食べさせてよぉ〜。綾瀬ぇ〜」



 目の前には細い糸で雁字搦めにされてベッドに横たわってる澪。
 わたしの部屋で二人きり。
 どうしてこんなことになっちゃってるの……?
 ううん、わかっててる。ただ少し、もう少しでいいから、考える時間が欲しい。




33 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:29:40.20 ID:+LVDdCHg0


――――


 学級裁判が終わって、エレベーターに乗ったわたしたちは、ホテルエスポワール二階の食堂前まで運ばれた。

 ここに繋がっているのなら、最初からこのエレベーターで裁判場まで運んでくれればよかったのに。

 なんてあの時は思いつきもしなかったし、口に出せる雰囲気でもなかった。

 時計は午後六時を指していて、食堂のテーブルには待ってましたと言っているような、出来立ての料理が並んでいて。

 この頭がおかしくなりそうな合宿にも慣れてきて、テーブルに並んだ豪勢な食事もいつも通りの光景だった。

 二人――綾小路さんと柏木さん――の席だった場所に、お皿もおいてないこと以外は。

 たったの一日。

 たったの一日で二人も死んじゃった。

 殺されちゃった。

 それが目の前で起きたはずなのに、まだ心のどこかで“これは現実じゃない”と思い込みたくなって。

 それなのに、鼓膜に残響してくる悲鳴が、鼻腔から消えない血の残り香が、網膜に焼き付いた飛沫が、現実逃避を許さない。



34 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:30:30.65 ID:+LVDdCHg0



 ……澪の言う通りかもしれない。


 ここでの生活を受け入れてさえしまえば。澪に全てを委ねてしまえば。


 こんなに苦しい思いをしなくても済むのかもしれない。


 けど……、わたしは……。


35 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:40:49.97 ID:+LVDdCHg0



オモヒト コウ
『……』


ナナミヤ イオリ
『どう……、でしたか?』


オモヒト コウ
『無くなってたよ……。血痕も、何もかも……。きれいに掃除されてた』



 主人君がキッチンから出てきて、その言葉から綾小路さんの死体が片づけられたことが知らされる。

 それはつまり、綾小路さんが確かに生きていたという最後の証さえも、無情に消されてしまったということ。

 ここでは、人の命は余りにも無価値だと、わたしたちは綾小路さんの死を悼むことも許されないのだと、思い知らされる。

 目の前に並べられている料理は、綾小路さんの死も、柏木さんの死も、忘れてしまえと言っているように、その存在感を放っていて。

 けど、直前にあんなものを見せられてしまったら、とても食欲なんてわかなかった。

 それが、薄くスライスされた生の肉なら、なおさら。


36 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:58:42.55 ID:+LVDdCHg0


ノノハラ レイ
『へぇ〜、桜肉なんて今日日珍しいねぇ。でもボク結構好きなんだよ』


アサクラ トモエ
『……いい加減その減らず口も縫い合わせた方がいいのかなぁ?』


ユーミア
『裁縫道具ならお貸ししましょう』


マスタ イサム
『流石に本気なら止めるが……、お前もいい加減空気を読め』



 朝倉さんに縛られ、増田君に担ぎ上げられている澪は、平常運転というか、自分の置かれている状況がまるで分っていない――。

 ううん、多分、分かった上で、というより、むしろ解っているからこそ、ああいう言動をしているんだ、と、思う……。

 本気で、ここでずっと暮らそうと思っているから。本気で、この合宿生活を、わたしたちを支配しようと思っているから。

 これが、澪の本性だって言うの……?こんなのが、本物の澪だっていうの……?

 わたしが知っている澪は、一体何だったの……?

 ううん、多分、どれも野々原澪本人なんだと思う。わたしはその一面しか知らなかっただけ。

 それなら、わたしがするべきことは……。
 


37 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:05:03.41 ID:+LVDdCHg0



オモヒト コウ
『そいつは口塞いだって効かないだろ。縛り付けただけで無力化できたとも思えないしな。
 どこか適当なところに隔離した方がいいんじゃないか?』


タカナシ ユメミ
『そうだよね!あんなのがお兄ちゃんの周りに居たら迷惑だもん!』


ウメゾノ ミノル
『隔離するったって……、どこにさ?』


サクラノミヤ アリス
『倉庫なんておあつらえ向きなんじゃない?』


サクラノミヤ エリス
『それは流石に可愛そうなんじゃ……』


ノノハラ ナギサ
『お兄ちゃんが病気になったらどうするの?!』


ナナ
『むしろ弱らせるべきなんじゃないかしら……』


ノノ
『今のままだと強すぎるもんねー』



38 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:21:41.07 ID:+LVDdCHg0



コウモト アヤセ
『――わたしが見張る』


ナナミヤ イオリ
『河本さん?』


コウモト アヤセ
『わたしはこのまま澪を放ってはおけないけど……、みんなが澪と一緒に居たくないっていう気持ちもわかる。
 だから、隔離には賛成する。でも、このままじゃ澪のお世話が必要でしょ?一度わたしの部屋に、わたしごと閉じ込めてくれない?』


ノノハラ ナギサ
『綾瀬さん?!』


ノノハラ レイ
『……いや、それは流石に駄目だよ、綾瀬』


コウモト アヤセ
『どうして?そうやって縛られてるなら、あなたがわたしに手を出すなんてことはないから、風紀的には問題ないでしょ?
 二人きりの密室じゃどちらかが殺されたらもう片方に疑いがかかるのは当然なんだし、それが解りきってるから事件なんて起きようがない。違う?』


39 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:24:02.40 ID:+LVDdCHg0


ノノハラ レイ
『ボクが言ってるのはそう言うことじゃなくてさ……!』


オモヒト コウ
『そうだな。そうした方がいいかもしれない』


ナナミヤ イオリ
『いいんですか?野々原君と河本さんは幼馴染なんでしょう?』


オモヒト コウ
『だからこそ、だ。河本も自分のせいで一緒に監禁される羽目になるって言うなら、澪だって懲りるだろ。
 澪に人間らしい感性が残っていれば、の話だがな。
 それに、もし監禁して体調を崩されてみろ。それで死なれでもしたら、誰がクロになるんだ?』


タカナシ ユメミ
『あ、そっか。こんな奴は別に死んでも構わないけど、そういう事なら死なれちゃ困るもんね。
 それで監視役がいるけど、そんなの誰もやりたがらないし。進んでやってくれるならそれでいいよね』



 ちょっと夢見ちゃんの言い方は引っかかるけど、概ねその通りだ。

 これは、わたしができる最大限の譲歩。

 これ以上、澪を追い詰めてほしくない。少なくとも表面上は、皆のために行動していた澪を、これ以上責めて欲しくなかった。


40 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:36:49.43 ID:+LVDdCHg0

――――


 そんなやり取りがあったから、澪がわたしの部屋に運ばれて、わたしが二人分の食事を部屋に持ち込んで、鍵である電子生徒手帳を渚ちゃんに預ける。

 更に、部屋の中と外からつっかえ棒代わりに、食堂の椅子の背もたれをドアノブにひっかけるように立てかけて固定する。

 廊下側の椅子は、何があっても消灯時間中は外さないよう取り決めたから、これで今晩はずっとこの部屋で澪と二人っきり。

 本当なら、すごくうれしいシチュエーションの筈なのに……。

 本当に、どうしてこうなっちゃったんだろ……。



ノノハラ レイ
「ねぇねぇ。ねぇってばさ。綾瀬さん?聞こえてますぅ?ねぇ?もしも〜し?」



 澪は二人っきりになったとみるや途端に子供みたいに催促しだすし。



コウモト アヤセ
「はいはい、分かってるから急かさないの」



 とりあえず、今はこの手のかかる幼馴染を頑張ってあやせばいいのかなぁ……?



41 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:39:47.50 ID:+LVDdCHg0



     第二章


ノーマーダー・ノーライフ


    (非)日常編


42 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:42:29.74 ID:+LVDdCHg0


――短めですが、第二章の導入が終わったところで本日はここまで。


――特にこれと言った理由もなく視点が変わりましたが、それが何を意味するかはご想像にお任せいたします。


43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 08:30:08.09 ID:99WW/07Io
なんかもう死亡フラグが立った気がする…
乙です
44 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:25:21.08 ID:5no1+VtX0



 澪の食事が終わって、口の周りを優しく拭う。
 うん、綺麗になったかな。食べこぼしもないし。
 食べてすぐ……っていうか、寝ながら食べるのはどうかとは思ったけど。



コウモト アヤセ
「……ねぇ、澪。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いい?」


ノノハラ レイ
「人が食べ終わって早々、何を聞きたいっていうのさ」


コウモト アヤセ
「澪は、まだ諦めてないんでしょ?この合宿生活を支配すること」


ノノハラ レイ
「当たり前じゃない。でなきゃ、交渉の提案なんてしないよ」


コウモト アヤセ
「でも、ここから出ることも諦めきれてない。外の世界に未練を捨てきれていない。そうでしょ?」


ノノハラ レイ
「……なんでそう思うのかな。いや、あの提案から察することもできるだろうけどさ」


コウモト アヤセ
「何年あなたの隣にいると思ってるの?あなたが何を考えているかは、目を見ればわかるわ」



45 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:26:30.05 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「――敵わないなぁ、綾瀬には。うん、そうだよ。外の世界で、やり残したことはある。
 ここから脱出できなきゃ叶えられない、どうしても果たしたい夢が、ね」


コウモト アヤセ
「でもそれって矛盾してない?」


ノノハラ レイ
「……モノクマが提示した、ここから出られる条件を覚えてる?」


コウモト アヤセ
「コロシアイでクロになって……、学級裁判でシロをだまし切って生き残ること、だよね?」


ノノハラ レイ
「確かに、それが最も手っ取り早い方法だけど……、それは精確な正解じゃないね」



46 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:28:37.56 ID:5no1+VtX0



――――



モノクマ
『オマエラには招待状にも書いてある通り、 これから希望ヶ峰学園の生徒として相応しくなってもらうための強化合宿に参加してもらいます!
 期限は一生!学園長ことこのモノクマが、オマエラを希望ヶ峰学園の生徒として相応しい人物になったと判断するまでずっとです!』



――――


47 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:29:19.64 ID:5no1+VtX0


ノノハラ レイ
「つまりさ、ボクらが希望ヶ峰学園の生徒として相応しい人物になりさえすれば、コロシアイなんてしなくてもここから出られるってことなんじゃないかな」


コウモト アヤセ
「それは確かに、そうかもしれないけど……、それって結局、モノクマのさじ加減一つでしょ?
 わたしたちにコロシアイを強要しているなら、どんなに頑張ったって難癖付けられて結局出られないんじゃない?」


ノノハラ レイ
「デスゲームのゲームマスターであるモノクマが、コロシアイ以外に出られる条件を提示したってことは、何らかの意味がそこにはあるはずなんだよ。
 ボクらにコロシアイを強要したうえで、取り返しのつかない状況になった時、真実を明かせば、それはこれ以上ないくらいの“絶望”だよね。
 きっとその時モノクマはこういうんだ――」


48 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:29:57.74 ID:5no1+VtX0



『ボクは最初から言ったよね?条件を満たせばここから出られるって。
 この条件を満たせばコロシアイなんて必要なかったっていうのにオマエラと来たら!
 ぶひゃひゃひゃひゃ!』



49 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:30:56.74 ID:5no1+VtX0


ノノハラ レイ
「――ってさ。ヒントが目の前にあるのに、それに気づかないでコロシアイを始めてるボクらを嘲笑うつもりなんだぜ、きっと」


コウモト アヤセ
「ひょっとして澪がこの合宿生活を支配しようとしているのは、その満たすべき条件が何なのか探るためなの?」


ノノハラ レイ
「それもあるよ。だからここでの生活を受け入れることとここから出ることは矛盾しないんだ。
 希望的観測で言うなら、全員がここから出られるからさ」


コウモト アヤセ
「それはそうかもしれないけど……、勝算はあるの?」


ノノハラ レイ
「なけりゃ豪語しないよ」


コウモト アヤセ
「嘘……、じゃないけど、本当のことでもないよね?
 じゃなきゃ、皆に交渉なんて持ち掛けないもんね?」



 人数を制限して、自分に取り入る人間を集めようなんて、みんなで脱出しようと考えている人が考えることじゃないし。



50 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:36:53.58 ID:5no1+VtX0


ノノハラ レイ
「……そうだね。必ず勝てるってわけでもないからさ。保険はうっておこうと思って」


コウモト アヤセ
「わたしは澪のやることに口出しはしないけど……、相談くらいはしてもいいのよ?」


ノノハラ レイ
「……うん。どうしようもなくなった時は、必ず、ね」



 わたしは澪さえいればいい。
 澪が隣にいてくれれば、わたしはここから脱出できなくったって構わない。
 澪の提案、最大七人が脱出できて、その枠が残り四人ってことは、澪と私と、ついでに渚ちゃんは確定って事でいいと思うし。
 澪がどんな決断をしたって、わたしが隣にいるのなら、わたしはそれで満足だから。


51 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:37:49.99 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「……あ」


コウモト アヤセ
「どうしたの?」


ノノハラ レイ
「どうやらボクは大変なことに気付いてしまったらしい。取り返しのつかない見落としをしていたよ!」


コウモト アヤセ
「えっ、ちょっと、それってどういうこと?!」


ノノハラ レイ
「こんな重大なことに今まで気が付かないなんて……、くそっ!」


コウモト アヤセ
「何?! 何があったの?!」



52 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:38:45.74 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「――この状態じゃ服が脱げないじゃん!」



53 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:40:34.69 ID:5no1+VtX0



コウモト アヤセ
「……」


ノノハラ レイ
「……」


コウモト アヤセ
「……」


ノノハラ レイ
「……いやさ、このコートも汚れちゃったしさ、モノクマに汚れ落とすように頼んじゃった手前それを反故にするのはどうかと思うんだよ」


コウモト アヤセ
「……」


ノノハラ レイ
「それに服を着たままお風呂入るわけにはいかないし……、寝るときはパジャマに着替えておきたいし……」


コウモト アヤセ
「……」


ノノハラ レイ
「あのー、ね? だからさ、その、真顔で沈黙はやめてくれないかなぁ?」


コウモト アヤセ
「……はぁ」



 たまに、本当にたまに、ついていけなくなっちゃうときがあるのが玉に瑕っていうか……。
 濡れタオルで拭いておけばいいかなぁ……。
 役得と言えば役得なんだけど……、正直素直に喜べないよ……。


54 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:43:33.82 ID:5no1+VtX0



――「キーン、コーン…カーン、コーン…」



モノクマ
「えー、希望ヶ峰学園候補生強化合宿実行委員会がお知らせします。ただいま午後9時50分になりました。間もなく消灯時間です。
 消灯時間を過ぎると個室以外の暖房が切られるので、温かいままでいたいなら速やかに個室に戻ってください。
 部屋はオートロックなので、鍵になる電子生徒手帳は忘れずに。では、おやすみなさい」



55 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:56:11.30 ID:5no1+VtX0



 澪の体を拭いた後、色々と時間を潰していると、もう聞きなれたアナウンスが聞こえてきた。



コウモト アヤセ
「あ、もうそんな時間なんだ」


ノノハラ レイ
「縛られてるボクとしてはまだそんな時間なんだ、なんだけどね」


コウモト アヤセ
「……澪のことだから何だか白々しく聞こえるんだけど?」


ノノハラ レイ
「ひどいや。何を根拠に」


コウモト アヤセ
「今日の所は捕まっておいてあげる、だったっけ? じゃぁ、日付が変われば問題ないって言って、もう抜け出す準備とか出来てるんじゃないの?」


ノノハラ レイ
「うーん、それも考えたは考えたんだけど、みんなの様子を見る限り縛られたままの方が得策かなと」


コウモト アヤセ
「色々と楽が出来るから?」


ノノハラ レイ
「うん、大正解。このまま綾瀬に甘え続けるのもいいかなーって、思いはじめてもいるんだなぁ」


コウモト アヤセ
「……ま、まぁ、悪い気はしない……、けど……。
 でもダメだからね、そのままじゃ。明日、巴ちゃんにかけあって拘束は外してもらうようにするから」


ノノハラ レイ
「えぇー?」


コウモト アヤセ
「すねたってダメよ。ほら、もう寝ないと」



56 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:02:28.85 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「むぅー……、え、ちょっと待って」


コウモト アヤセ
「どうしたの?」


ノノハラ レイ
「一応聞いておきたいんだけど、綾瀬は何処で寝るつもりなの?」


コウモト アヤセ
「何処って、ベッドだけど?」


ノノハラ レイ
「だよねぇ。じゃぁさ、ボクは何処で寝ればいいんだい?」


コウモト アヤセ
「ベッドでしょ?」


57 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:03:25.35 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「いやいやいやいや、落ち着きなって。このベッドシングルサイズじゃん。二人だと狭いよ?」


コウモト アヤセ
「抱き合って寝ればいいんじゃない?」


ノノハラ レイ
「待って、ホントマジで待って。この状態でそのシチュエーションは流石に、ね?ヤバいでしょ?」


コウモト アヤセ
「大丈夫! わたしは気にしないから!」


ノノハラ レイ
「ボクが気にするの!」


コウモト アヤセ
「澪は、私と一緒に寝るの、嫌?」


ノノハラ レイ
「……ずるいと思うよ。そんな答えが分かりきってる質問あえてしてくるなんて」


コウモト アヤセ
「じゃぁ、問題ないわね?」



58 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:10:03.03 ID:5no1+VtX0



 ……なんて、軽く誘ってみたのはいいけど。

 どうしよう、思いのほかすごく大胆なことしちゃったんじゃない?!

 鼓動がすごく早くなってるし、顔も熱いし、振り返ってみるとすごく恥ずかしいこと言っちゃってないかなぁ?!

 明かりを消すと余計近くにいる澪が感じとれるようになって、すごく、その、恥ずかしい!

 どうしよう! こんな状態じゃ眠れないし、澪に気付かれちゃうよ!


59 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:18:05.44 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「……ねぇ、綾瀬。まだ、起きてる?」


コウモト アヤセ
「う、うん。まだ、起きてる、よ?」



 ば、ばれてない、よね?
 今更になってすごく緊張してるとか、いろいろと!



ノノハラ レイ
「――懐かしいよね。こうやって二人一緒に寝るのって」


コウモト アヤセ
「……うん」



 そう言われてみれば、こうして澪と一緒に寝たのって、どれくらい前の事だったんだろう。



コウモト アヤセ
「昔は一緒に遊んでたし、一緒のお箸とか使ってたよね」


ノノハラ レイ
「懐かしいなぁ。お医者さんごっことかしてたよね。あ、そうだ。一緒にお風呂も入ってたっけ?」


コウモト アヤセ
「もう、澪ったら。そういう事ばっかり思い出しちゃって」


ノノハラ レイ
「こういう状況に持ってきた綾瀬が言えることじゃないでしょ」


コウモト アヤセ
「そ、それは言わないでよ!」


60 :♪Clair de Lune ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:30:55.93 ID:5no1+VtX0



コウモト アヤセ
「……でも、いつからかな。一緒に遊ばなくなったのは」


ノノハラ レイ
「中学校に入るちょっと前ぐらいだったと思うけど」


コウモト アヤセ
「昔は泣き虫だったあなたが、わたしに守られることも無くなって……。
 背もいつの間にか抜かれちゃって、だんだん、あなたが遠くに行っちゃうような気がして……」


ノノハラ レイ
「……いつまでも守られてばっかりじゃいられない、って思ったからね。
 頑張ったんだよ? 綾瀬を守れるくらい強くなれるように、さ」


コウモト アヤセ
「それは嬉しいけど……、あの時の澪ったら、そんなこと全然言ってくれなかったじゃない。
 わたし、ちょっとだけ寂しかった」


ノノハラ レイ
「それは……、その、ごめん」


コウモト アヤセ
「うぅん。今はね、こうしているだけでも幸せなの。
 最初はね? 希望ヶ峰学園に入学することになって、このままあなたと離れ離れになっちゃったらどうしよう、って思ってた。
 けど、すぐにあなたが来てくれて、あなたと一緒なら、って思ったの」


ノノハラ レイ
「綾瀬……」


61 :♪Clair de Lune ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:35:54.47 ID:5no1+VtX0



コウモト アヤセ
「わたしは、あなたの事が好き。大好き。あなたの為なら、何でもするわ?」


ノノハラ レイ
「……やっぱりずるいよ、綾瀬は。ボクが言いたいセリフ先に言っちゃうんだもん」



 ――結局、わたし達は朝まで語らい続けた。



62 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:38:11.82 ID:5no1+VtX0



――「キーン、コーン…カーン、コーン…」



モノクマ
「えーと、希望ヶ峰学園候補生強化合宿実行委員会がお知らせします。
 オマエラ、グッモーニン!本日も最高のコロシアイ日和ですよー!
 さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょ〜!」



63 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:45:39.25 ID:5no1+VtX0



コウモト アヤセ
「あ……、もうこんな時間……」


ノノハラ レイ
「うん……、みたい、だね」


コウモト アヤセ
「どうしよっか?」


ノノハラ レイ
「どうするもなにも、ボクはこの状態じゃ何もできないし……、とりあえず綾瀬は外に出してもらって、朝食じゃないかな。
 その帰りに、ボクの朝食持って来てくれればいいからさ」


コウモト アヤセ
「……うん、そうだね。流石に澪をこのまま持ち運ぶわけにもいかないもんね!」


ノノハラ レイ
「素直に言ってくれていいんだよ。ボクが食堂に行けば、確実に空気が悪くなるってさ。
 ボクは気にしないから、遠慮せず行っておいで」


コウモト アヤセ
「……うん」


ノノハラ レイ
「ボクは二度寝するからさ!」


コウモト アヤセ
「ちょっと!」


ノノハラ レイ
「ははっ、冗談だよ、冗談。ほら、早く行っておいで」


コウモト アヤセ
「もう……。いってきます」


ノノハラ レイ
「いってらっしゃい♪」


64 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:51:33.72 ID:5no1+VtX0



コウモト アヤセ
「おはよう、渚ちゃん」
ノノハラ ナギサ
「……おはよう、ございます」



 あれ、ちょっと機嫌悪い?



ノノハラ ナギサ
「これ、返しますね」



 突き放すようにわたしの電子生徒手帳を押し付けて、渚ちゃんはそそくさとエレベーターへ向かってしまった。
 ……ちょっと渚ちゃんには悪いことしちゃったかな。
 なんだか不安だけど……、今は食堂に向かうべきかな?


65 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:54:28.73 ID:5no1+VtX0



 食堂に着いた……、のはいいけど……。
 なんか、凄い視線を感じるなぁ……。
 こう、最後に食堂に到着したのとは別の注目を浴びてる気が……。
 ううん、気のせい気のせい!


66 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:56:52.98 ID:5no1+VtX0



 一応覚悟はしていたんだけど、つつがなく朝食が終わって少し拍子抜けしちゃったのは内緒。
 ……だったんだけど、ちょうどみんなが食べ終わるくらいに、エレベーターがこの階に止まった音が聞こえる。
 すごく、とてもすごく嫌な予感がするなー……。



67 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:59:45.03 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「やあ皆、おはよう」



 なんで普通に来ちゃってるのかなぁ?
 どうやって拘束を解いたんだとか、さっき食堂には来ない感じだしてたじゃんとか、いろいろ言いたいことがありすぎて、もう呆れるしかないんじゃない?


68 :♪モノクマ先生の課外授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/02(金) 00:08:28.98 ID:6mFwQFCk0



ノノハラ レイ
「あー、うんいやね、キミたちの言いたいことはよぉく解かるよ。でも仕方ないじゃん。
 重大発表があるからってこの綿埃が言うからさ」



 モノクマの頭を鷲掴みにして皆の前につるし上げるとか、ちょっともう何考えてるのかわからないんですけど。



モノクマ
「綿埃とは何さ!っていうかいい加減離してよ!」


ノノハラ レイ
「ほい」


モノクマ
「うわぁ!」



 ひゅー、どすん。みたいに、モノクマは落とされて、ヌイグルミとは思えない重量感のある音を立てる。



モノクマ
「こら!学園長ことモノクマへの暴力は規則違反だぞ!」


ノノハラ レイ
「これは暴力じゃないよ。キミをここまで運んでやっただけじゃない。
 むしろ滂沱の涙を流し、土下座して靴を舐めながら感謝の意を述べるべきだよ」


モノクマ
「何という上から目線!? ボクは学園長なんだぞ! 一番偉い先生なんだぞ!」


ノノハラ レイ
「え? 先生って生徒にパシられるのが生きがいみたいなものじゃないの?」


コウモト アヤセ
「澪、それは流石におかしいから」



 いつにもまして暴走してるなー、澪。
 どうしよう、ブレーキかけられるかなぁ?



69 :♪モノクマ先生の課外授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/02(金) 00:11:52.38 ID:6mFwQFCk0




オモヒト コウ
「……それで? 茶番はそこまでにして、はやく本題に入れよ。重大発表とやらは?」


モノクマ
「オマエラ先生に対するリスペクトが足りないぞ!
 あーもう! わかったよ! どーせさっさと言えって言うんでしょ?! じゃぁ用件だけ言ってとっとこ消えてやるもんね!」



70 :♪モノクマ先生の課外授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/02(金) 00:16:47.37 ID:6mFwQFCk0



モノクマ
「新しいエリアを解放しました! じゃ、バーイクマー!」



 ……本当に言うだけ言って帰っちゃった。



マスタ イサム
「各々言いたいことはあるだろうが……、今のところは我慢して、全員で手分けしてその新エリアとやらを探すぞ。いいな?」



 増田君の気迫も相まって、ここは澪を含めたみんなで調査することになった。


71 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/02(金) 00:18:22.57 ID:6mFwQFCk0



――本日はここまでとなります。


――完結目指して頑張っておりますので、応援のほど、よろしくお願い致します。



72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 00:22:37.82 ID:pXW6cLJJ0
綾瀬視点まだ続く感じかな
乙です
楽しみにしてます
73 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 19:30:39.13 ID:/WApGs810



 調査はいつも通り二人一組で行うことになって、わたしの相手は澪。
 昨日からの流れを踏めば、いたって自然、なのかな。



コウモト アヤセ
「ねぇ、澪。どう思う?」


ノノハラ レイ
「新エリア解放の理由かい? 簡単な話だと思うけどね。
 皆が活動する範囲が増えれば、それだけ人目に付かない場所――つまり、トリックを仕込みやすい場所が増えるわけで……。
 あとは、トリックに組み込みやすい舞台装置とか……」


コウモト アヤセ
「やっぱり、そう思う?」


ノノハラ レイ
「それ以外考えられないよ。まさかあの悪趣味なヌイグルミ未満がボクらを喜ばせるためだけにこんな大掛かりなことしないだろうし」



 つまりこれは、モノクマがわたし達にまだコロシアイが終わっていないことを暗に伝えている、ということ。


74 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 19:34:22.06 ID:/WApGs810


コウモト アヤセ
「澪の探している物も見つかるのかな?」


ノノハラ レイ
「どうだろうね。むしろ最初からこのホテルにあるとは思うんだけど……。
 まだ見つかっていない現状を鑑みると、新エリアにヒントがあるかもしれない」


コウモト アヤセ
「だと良いんだけど……。
 そういえば、新エリアってなんだろう?」


ノノハラ レイ
「このホテル、目の前にゲレンデがあるけどさ、リフトは稼働してなかったよね」


コウモト アヤセ
「位置も遠いしね。誰も上には登ってないんだっけ?」


ノノハラ レイ
「そのはずだよ。新雪が深くて足を取られるし、ラッセル訓練の要領でも登りきるまで体力がもたないしで、初日に挑戦した人は皆序盤でリタイアしたんじゃないかな」


コウモト アヤセ
「増田君でも?」


ノノハラ レイ
「むしろ彼は雪崩を警戒したみたい。夜は猛吹雪で昼間は快晴っていうのは表層雪崩が起きやすい条件が整っているんじゃないかって。
 それ以来ゲレンデを踏破しようとする猛者はいなくなったと思うよ」


コウモト アヤセ
「ナナちゃんとノノちゃんがずっと雪合戦してるの見たんだけど」


ノノハラ レイ
「あれはただ純粋に遊んでるだけだよ、多分」



 あの二人、本当に高校生なのかな……?
 ひょっとして、“候補生”ってそういう意味も含んでたりするの?
 じゃぁ、まさか、その条件って――


75 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 19:36:49.25 ID:/WApGs810



ノノハラ レイ
「どうしたの? そんな怖い顔して」


コウモト アヤセ
「その、ね? ひょっとしたら、ここから出られるのは何年か後になるんじゃないかって……」


ノノハラ レイ
「ま、ずっと平和に過ごしていればさしものモノクマも飽きるだろうけど……。そういう意味じゃないっぽいね」


コウモト アヤセ
「あのね、これはただのわたしの思いつきだから、間違ってると思ったら否定してほしいんだけど……。
 ナナちゃんとノノちゃんが超高校級の双子“候補生”なのは、あの二人がまだ高校生じゃないからってことなんじゃないかと思って」


ノノハラ レイ
「……なるほど。だから、あの二人が高校生になるまで年を取らないとボクらも出られない、と。
 安心していいんじゃないかな。多分それはないと思う」


コウモト アヤセ
「どうして?」


ノノハラ レイ
「考えてもみなよ。どう見たって小学校高学年から中学一年生ぐらいのあの二人が高校生になるまで待ってたら、今度はボクらが高校生じゃなくなっちゃうじゃない。
 希望ヶ峰学園の入学資格には現役の高校生であることも含まれてるんだよ?」


コウモト アヤセ
「じゃぁなんであの二人はここに居るの?」


ノノハラ レイ
「さぁ? ボクはモノクマじゃないからわからないし、モノクマがそんなこと応えてくれるとは思えないし。
 確かに時間経過が鍵だという考え方もあるけど、年単位ではないと思う」


76 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 20:39:39.20 ID:/WApGs810



コウモト アヤセ
「……そっか。ゴメンね? 話を遮っちゃって」


ノノハラ レイ
「いいよ。えーっと、そうそう、ゲレンデはあるのにリフトが動いてないって話だったね。
 新エリアって言うのは、そのリフトに乗って移動した先にあるんじゃないかって」


コウモト アヤセ
「えーっと、っていうことは、脱出とは関係ないんじゃ……」


ノノハラ レイ
「どうかな? 脱出への道のりが下山する方向にあるとは限らない。回り道も必要なんじゃないかな?」


コウモト アヤセ
「……本当にそう考えてる?」


ノノハラ レイ
「はは、ちょっと自信ないや。
 でもまぁ、あのモノクマのことだし、真っすぐ行っても勝てやしないよ。裏の裏の裏をかくぐらいしないと」


オモヒト コウ
「おいお前ら、サボって何話してるんだ」


ノノハラ レイ
「おっといけない、退散しようぜ」


コウモト アヤセ
「あ、ちょっと、待ってよ!」


77 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 21:28:40.53 ID:/WApGs810



 澪を追った先は、リフト乗り場だった。
 ゴンドラリフトそのものは動いていないけど、封鎖は解かれているみたい。



コウモト アヤセ
「……澪の予想通りだったね」


ノノハラ レイ
「いや、予想したボク自身が言うのもアレだけど、ここまで一致すると流石に軽く引く」


コウモト アヤセ
「でもこれどうやって動かすんだろう? こういうのって普通は係員の人が管理してるんだよね?」


ノノハラ レイ
「管制室みたいなところもないし……、モノクマが動かすってわけでもないみたいだし、ねぇ。
 多分ボクらが自力で何とかできるぐらいに簡便化されているはずだとは思うけど」


コウモト アヤセ
「じゃぁ、ここを調べてみれば操作の仕方も分かるかもしれないってこと?」


ノノハラ レイ
「うん。マニュアルがどこかにあるはずだよ。そんなに広くないし、すぐ見つかるんじゃないかな」



78 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 21:43:10.52 ID:/WApGs810



 乗り場にあるゴンドラリフトは一つだけ。
 大きさは……、どうだろう、結構大きいのかな。二十人弱ぐらいは乗れそう。
 白と黒の半々なんていう嫌でもモノクマを連想するデザインはちょっとアレだけど。
 ゴンドラのドアは開いているから、一応乗ることもできるけど、動かないんじゃ意味はないよね。



ノノハラ レイ
「あ、これかな」


 澪はゴンドラに乗り込んで、中を探していたみたい。
 確認する為に、わたしもゴンドラの中に入る。



79 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 21:44:27.22 ID:/WApGs810



コウモト アヤセ
「見つけたの?」


ノノハラ レイ
「うん。どうやら、このゴンドラに乗り込んでドアを閉めると、自動で運転してくれるみたいだね」


コウモト アヤセ
「あ、これだね」


ノノハラ レイ
「え、ちょっ、待って――」



 ドアの取っ手に手をかけると、ドアはあっさりとスライドしていく。
 もっと力がいると思っていたけど、誰でも使えるようにしているのかな。



80 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 21:51:47.38 ID:/WApGs810



コウモト アヤセ
「あ、ホントだ。動いたよ、澪!」


ノノハラ レイ
「うん、そうだね。けどさ、これ他の皆呼ばなくてよかったの?」


コウモト アヤセ
「あ」



 一台しかないゴンドラを私たち二人で使っちゃったら他のみんなが上に行けないじゃない!



コウモト アヤセ
「ど、どうしよう……!」


ノノハラ レイ
「……まぁ、こういうのって反対側と連動してるから、向こう側にも一台あるはずだよ。
 ボクらが向こうに着くころに、もう一台はこっちに着いてるんじゃないかな」


コウモト アヤセ
「あ、そっか。じゃぁ一応皆にこれのことを知らせて、乗ってもらえば問題ないって事ね」


ノノハラ レイ
「それに、何人かはもう向こうに行っているのかもしれないし。
 何があるかはついてからのお楽しみだけど」


81 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 23:27:42.77 ID:/WApGs810



『ゴンドラリフトについて
 ・当機の定員は16名となっております。それ以上の重量を検知するとブザーが鳴りますのでご注意ください。
 ・誰かがドアに乗った状態でドアが閉まると運転が開始されます。巻き込みには充分ご注意ください。
 ・乗り場に到着すると自動でドアが開きます。巻き込みには十分ご注意ください。
 ・出発から到着までの所要時間は10分です。
 ・当機の搭乗可能時間は6:00〜23:00となっております。23:00〜翌6:00は搭乗されても運転できませんのでご注意ください。』



 澪が見つけたゴンドラの操作方法は、ドアの淵にシールで貼られていたものだった。
 わたしがこの注意書きを呼んでいる間にもゴンドラは上へ上へと昇っていく。


 窓からは、これがコロシアイでなければ最高の景色が見える。
 澄んだ空、白いゲレンデ、遠くに見える峰や麓。


 わたし達が泊まっているホテルが遠く、小さくなっていく。
 わたし達を閉じ込めている壁も、今なら軽く飛び越えられそうに見えるくらいだ。



82 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 23:48:00.53 ID:/WApGs810



ノノハラ レイ
「……どうやら、かなり広い範囲を壁で覆ってるみたいだね。
 この分だとこのリフトが到着する先も壁の中かもしれない」


コウモト アヤセ
「解るの?」


ノノハラ レイ
「流石に増田クンには劣るけど、ボクも目はいい方だから。
 こりゃ壁の脆い部分を探すのは非現実的かな?」


コウモト アヤセ
「それはもう諦めてたんじゃないの?」


ノノハラ レイ
「梅園クンから聞いたんだけどね、一度仕掛けがないことを確認させてから直前に種を仕込むのはマジックの常道らしいんだ。
 だから、壁を抜けて脱出することは不可能と思わせておいて実は……、とか思ってたんだけど。
 流石にこんなに広い範囲を詳しく調べる気にはなれないかなって」


コウモト アヤセ
「そっか。でも、これから行くところにヒントくらいはあるんじゃない?」


ノノハラ レイ
「だと、うれしいね」



83 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/02(日) 00:00:18.78 ID:k43dX9zP0



 しばらくして、リフト乗り場が見え始める。
 ゴンドラは徐々に減速して、やがて停止した。
 ドアが音もなくゆっくりと開く。



ノノハラ レイ
「到着っと。綾瀬、足元に気を付けてね。段差あるから」


コウモト アヤセ
「うん、ありがと」



 澪が私の手を取って、エスコートしてくれる。
 こういうことを自然にやってくれるから、好き。



84 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/02(日) 00:24:38.34 ID:k43dX9zP0



 リフト乗り場を出ると、エスポワールよりも少し小さい洋館が見えた。
 あれが本当の新エリアって事かな。



ノノハラ レイ
「これも宿泊施設なのかな」


コウモト アヤセ
「そうじゃない? 定礎って書いてあるプレートの上に、名前と家紋が彫ってあるみたいだし」



 名前の方は『ἐλπίς』でそもそも何語で書かれているかもわからないし、家紋の方は綾小路家のじゃないってことがわかるだけで。
 でも家紋がユニコーンに地球儀って、ちょっと現代的すぎない?



85 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/02(日) 00:25:58.61 ID:k43dX9zP0



ノノハラ レイ
「……ふーん? そういうこと」


コウモト アヤセ
「え、何か分かったの?」


ノノハラ レイ
「多分、これはホテルエスポワールの姉妹館……、別館ってやつじゃないかな」


コウモト アヤセ
「どうしてそんなこと、名前を見ただけでわかるの? っていうか、あれなんて書いてあるの?」


ノノハラ レイ
「古代ギリシャ語でエルピスって書かれてあるんだよ。日本語に訳すと、希望や予兆になる」


コウモト アヤセ
「あ、そっか。エスポワールはフランス語で希望って意味だったもんね。
 名前が同じ希望だから、姉妹館って言えるんだ」



86 :♪わたし達は世界を変えることができない ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/02(日) 00:35:30.32 ID:k43dX9zP0



ノノハラ レイ
「ついでに、あの家紋が何処の物なのかもボクは知ってるんだよね」


コウモト アヤセ
「えっ、そうなの?」


ノノハラ レイ
「うん。……でも、だとすると、ボクらはとんでもない相手と戦わなくちゃならなくなるかもしれない」


コウモト アヤセ
「どういうこと? ひょっとして、綾小路家と同じくらいの資産家、とか?」


ノノハラ レイ
「そっちのがまだましだと思うよ。何せ、天聖院家の家紋だ。
 私立希望ヶ峰学園にも匹敵する、あるいはそれ以上の学園都市、天聖院学園を有する日本きっての名家なんだからね」


87 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/02(日) 00:36:30.85 ID:k43dX9zP0


――本日はここまでとなります。


88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 13:25:18.64 ID:xgHPZBZWO
追いついた
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 16:39:05.22 ID:mrC2G7Bwo
思いっきり殺人のトリックに使われそうな舞台装置が…
乙です
90 :♪わたし達は世界を変えることができない ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 20:52:00.23 ID:BtxqCyAK0


コウモト アヤセ
「……噓でしょ?」


ノノハラ レイ
「こんなところで嘘なんてつかないよ。まぁ、納得は出来たかな。
 天聖院家が黒幕なら咲夜さんが拉致されたって綾小路家は何も言えないわけさ。
 その気になれば、この地球上から綾小路の名を消すぐらい天聖院なら卵の殻をむくようなものだろうし」


コウモト アヤセ
「ちょ、ちょっと、待って。
 澪がどうしてそういう事を知っているかどうかは置いておくとしても、それってわたし達に勝ち目がないって事じゃない?」


ノノハラ レイ
「かも知れないね。ボクらにはどうしようもできない。
 ひょっとしたら逆らうだけ無駄なのかもしれない」


コウモト アヤセ
「そんな……!」


ノノハラ レイ
「でもだからって、ボクは諦めない。寧ろね、燃えてきたんだ。
 何せ、天聖院学園はボクの志望校だった。でも落とされた。なら、これはリベンジできる絶好のチャンスじゃないか。
 希望ヶ峰学園と天聖院学園が手を組んで企画したコロシアイ、それを根底から覆してやればボクの才能は本物だと証明される」


コウモト アヤセ
「れ、澪……? それってどういう――」


91 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 20:53:12.19 ID:BtxqCyAK0



ノノハラ レイ
「いい加減中に入ろうか。いつまでもこんなところに突っ立ってないでさ」


コウモト アヤセ
「う、うん……」



 無理矢理はぐらかされちゃった。
 わたし、澪が天聖院学園に入学しようとしてただなんて聞いてない。
 なんでそんな大事なこと今まで黙ってたのか、聞きたかったのに。
 それとも、聞かれたくなかったから、なのかな……?



92 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 20:56:11.74 ID:BtxqCyAK0


 エルピスと名付けられた建物の中に入ると、エスポワールと同じようなエントランスホールが広がっていた。
 正面には、豪奢な装飾を施された、誰もいないフロント。
 ホールの中央には、煌びやかなシャンデリアの下に鎮座している、グランドピアノ。



ノノハラ レイ
「うっひょー! 凄いよこれ! スタンウェイじゃん! このモデルだと大体2000万ぐらい?
 綾瀬の家にあるのはヤマハの300万ぐらいのやつだっけ?
 やっぱりこういうところに金かけてる所を見せつけられると、希望ヶ峰学園と天聖院学園の権力ってやつをまざまざと感じるよね!」


コウモト アヤセ
「わかったから、ちょっと落ち着こうねー。
 でも、こんな高いピアノ、ここまでどうやって運んだんだろ……?」


ノノハラ レイ
「……案外、そこに脱出のヒントがあったりしてね。
 じゃぁさ、何か一曲弾いてもらおうかな?」


コウモト アヤセ
「いきなり? あ、もしかして、特定の曲を弾いたら隠し扉が開くとか?」


ノノハラ レイ
「だと面白いんだけどね。それらしい楽譜は見つかってないし。
 今は単に聴き比べがしたい気分なんだよね。いつも綾瀬が弾くピアノと、ここで弾くピアノとをさ」


コウモト アヤセ
「それはいいけど……、今はちょっと無理かな。楽譜もないし。
 それに、もっと他の場所を調べた方がいいでしょ? ちゃんと後で弾いてあげるから」


ノノハラ レイ
「……ま、それもそうだね。ひょっとしたら、何処かに楽譜が隠されているかも知れない」



 そこひっぱるんだ……。



93 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 21:11:04.37 ID:BtxqCyAK0



 入り口から見て左手にエレベーター。右手にはゲームコーナーのようなスペースと、その隣に「男」「女」と書かれた暖簾。
 ひょっとしてこの別館って……、温泉施設?



ノノハラ レイ
「ひょっとして、露天風呂とかあるんじゃないかな?!
 やっぱスキーリゾートとくれば温泉だよね!」


コウモト アヤセ
「うん。コロシアイさえなければ最高の合宿なんだよねぇ……」


ノノハラ レイ
「なら話は簡単だね。殺し合いを起こさせなければいい」


コウモト アヤセ
「だからって、前みたいなことはしないでね?」


ノノハラ レイ
「解ってるってばさ。
 ……さて、じゃぁ上の階から調べてみようか?」


コウモト アヤセ
「あっちは後回しって事? どうして?」


ノノハラ レイ
「時間いっぱい遊び倒してもいいって言うならあっちからにするよ?」


コウモト アヤセ
「上から調べよっか」



 そういえば、澪ってそういうタイプだったっけ。
 部屋の掃除の最中なのに、ゲームが目に入ったら掃除そっちのけでゲーム始めたりする。
 そういうところは、直してほしいと思ってるんだけど。


94 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 21:54:03.85 ID:BtxqCyAK0



 エレベーターに乗って、二階に上がった。
 階数を表すボタンが1と2の二つしかないから、この別館は二階建て。
 つまりわたし達が調べられるのはさっきまでいた一階と今いる二階しかない。



ノノハラ レイ
「あ、増田クン。ユーミアさんと朝倉さんも一緒なんだ。
 水臭いなぁ。どうせここに来るならみんな集めてからにしてくれても良かったのに」


マスタ イサム
「……それはブーメランとして捉えてもいいのか?
 まぁ、いいさ。こっちは俺たちが先に調べておいたぞ。特にめぼしいものはなかったな」


コウモト アヤセ
「ここには何があるの?」


アサクラ トモエ
「多目的ホール、みたいだよ。見た目が完全に体育館だけど。
 ご丁寧に、男子更衣室と女子更衣室まで作っちゃってさ」


ユーミア
「更衣室には、体操服のほかに各種ジャージが備え付けられているようです。
 それと、シアタールームもありました。規模は小さいですが、各種映像作品が揃っていますね」


ノノハラ レイ
「……なるほどね。どれもここで過ごすにうってつけの設備ってわけ。
 そろそろ真剣にここでの永住も視野に入れておこうかな?」


コウモト アヤセ
「冗談になってないわよ」


マスタ イサム
「確かに、脱出の手掛かりはなさそうだったが。俺たちはお前と違って諦めてないからな。
 何を企もうと構わないが、邪魔だけはするなよ?」


ノノハラ レイ
「酷いなぁ。ヒトをモノクマみたいに扱うのはよしてよ」



 ……ごめん。今一瞬だけど「ひょっとして澪とモノクマって中身一緒なんじゃ?」とか思っちゃった。
 何だかすごく仲良くしている時とか、あるし。


95 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 22:09:50.52 ID:BtxqCyAK0



 エレベーターから見て左手に更衣室。右手にシアタールーム。そして、奥に多目的ホールの入り口。
 更衣室は、手前側が男子更衣室で、奥側が女子更衣室みたい。



コウモト アヤセ
「どうしよっか?」


ノノハラ レイ
「うーん。多分更衣室は調べなくてもいいんじゃないかな。
 広さから考えて一人でも十分に調べられそうだし、見落としも多分ないと思う。
 多目的ホールも見るだけ見るとして、まずはシアタールームかな?」


コウモト アヤセ
「……ひょっとして、中にある作品片っ端から調べようって事?」


ノノハラ レイ
「内容まで全部見るつもりはないけどね。何か弾くべき曲のヒントがあるかもしれないし」



 あれ、わりと本気だったんだ?


96 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 22:23:39.10 ID:BtxqCyAK0



 シアタールームの棚には、DVDが所狭しと並んでいた。
 明かりを消すと真っ暗になって、プロジェクターの映像をスクリーンに投影するあたり、かなり本格的だ。



ノノハラ レイ
「映画は……、特撮、アニメ、アクション、サスペンス、ホラー、恋愛……、邦画も洋画もジャンルを問わず、って感じだね」


コウモト アヤセ
「ドラマもアニメも、本当にいろいろあるみたい。
 ……この中に曲のヒントなんてあるの?」


ノノハラ レイ
「控えめに言ってないかな?」


コウモト アヤセ
「ちょっと」


ノノハラ レイ
「この中のどれか一つにピアノの演奏シーンがあって、それと同じ曲を弾いたら隠し扉が……、とか言う可能性も考えたんだけど。
 それは余りに現実味がなさすぎるしね」



 うん。それは流石に無理。
 ちょっとした店を開けるくらいに種類があるDVDの中から一つしかない正解を引き当てろなんて流石に考えたくない。


97 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 22:42:18.58 ID:BtxqCyAK0



 結局何も得られなかったシアタールームを後にして、今度は多目的ホールだ。



ノノハラ レイ
「こりゃまた、ものの見事に体育館だね」


コウモト アヤセ
「うん。多目的ホールって言う名前だけど、完全に体育館よね、これ」



 木製の床に、コートを模した色とりどりのラインが引いてあって、壁にはご丁寧にバスケのゴールも設置してある。
 ステージ上には校旗が掲揚してあって、舞台幕も学校でよく見る感じの色合い。
 誰がどう見ても、体育館としか表現できそうにない。



98 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 22:45:59.19 ID:BtxqCyAK0



ノノハラ レイ
「これで袖にピアノでもあれば完璧なんだけどね。体育館としては」


コウモト アヤセ
「それでそのピアノの調律が目茶苦茶だったらさらに完璧ね。……じゃなくて。
 何でスキーリゾートに体育館なんて作っちゃってるの?!」


ノノハラ レイ
「そりゃ、まぁ。学園の所有物だから?」


コウモト アヤセ
「だからってこれは流石にあんまりじゃない? せめてホテルの宴会場みたいに統一感だしてよ!」


ノノハラ レイ
「文句は希望ヶ峰学園か天聖院学園に言ってよ……。ん、待てよ?
 ひょっとしてこれは大ヒントなんじゃないのか?」



99 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 22:59:58.67 ID:BtxqCyAK0



コウモト アヤセ
「どういう事?」


ノノハラ レイ
「さっき言ったよね? 舞台袖にピアノがあれば体育館としては完璧だって。
 体育館を再現するくらいなら、それくらいやってしかるべきなのにそうしなかったのは何故だい?」


コウモト アヤセ
「何故って……、下にピアノがあるから?」


ノノハラ レイ
「そう。でもそれなら、どうしてそのピアノをこっちに持ってこなかったんだ?」


コウモト アヤセ
「どうしてって……、やっぱりああいうピアノって目立つところに置いておきたいんじゃない?」


ノノハラ レイ
「確かにそれもあるかもしれないけど、ひょっとしたら、やっぱり隠し通路か何かがあるんじゃないのかな?」


コウモト アヤセ
「あくまでそれにこだわるの?
 えーっと、つまり澪は、この体育館のような多目的ホールのどこかに、楽譜があるって考えてるってこと?」


ノノハラ レイ
「その通り。ピアノを置いてあるはずの場所……、多分、袖のどっちか……。いや、待てよ?
 舞台でピアノを弾くのは下手側と決まっているから、スペースの問題がなければ移動距離が短くて済む下手側にピアノを置いてあるはず。
 だから、舞台袖の下手側に楽譜か……、あるいは曲のヒントがあると思うんだ」


コウモト アヤセ
「なんだかちょっと無理矢理な考えに思えるんだけど……。
 それに、さっきユーミアさん達が調べてたんでしょ? 楽譜が見つかれば教えてくれるんじゃないの?」


ノノハラ レイ
「それはそうだけど……。でも、調べたいんだ。自分の目で」


コウモト アヤセ
「……相変わらずね、澪は。そうと決めたら曲げないんだから。
 そこまで言うんだったら、徹底的に探しましょ?」


100 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 23:15:18.54 ID:BtxqCyAK0



 と、意気込んでみたはいいけど……。
 かれこれ十分ぐらい経ったかなぁ。楽譜もヒントも、見つかる気がしないよ……。



コウモト アヤセ
「やっぱりそんな都合よくいかないんじゃない?」


ノノハラ レイ
「うーん……。間違いないと思うんだけどなぁ……」


コウモト アヤセ
「そういうときもあるって。元気出して――ひぅ!?」


ノノハラ レイ
「え、どうしたの?!」


コウモト アヤセ
「なんか足元が冷たい気がして、びっくりしちゃった……。でも何もないみたいだし、気のせいかな?」


ノノハラ レイ
「いや……、ひょっとして……? ちょっといい?」


コウモト アヤセ
「え、ちょ、ちょっと!」



 澪はわたしの静止も聞かずに、ステージの床を這うように調べ始めた。



ノノハラ レイ
「そうか、わかっ――あ」



 澪は何かに気付いたみたいだけど、わたしの足元に跪いて、頭を上げればどうなるか、なんてことも、行動に移す前に気付いてほしかったな、なんて。
 とりあえず、結果としてはだけど、変質者まがいの行為をしでかした不届き者には鉄拳制裁を下しておかないと、ね?


101 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 23:30:27.83 ID:BtxqCyAK0



ノノハラ レイ
「うぅぅ……。何もゲンコツしなくたっていいじゃんかぁ……」


コウモト アヤセ
「一回だけで済ませたんだからむしろ優しいでしょ? それで、何が分かったの?」


ノノハラ レイ
「あまりにも強い衝撃を受けてすっぽ抜けちゃったよ」


コウモト アヤセ
「……」


ノノハラ レイ
「冗談、冗談だから無言で構えないで。
 綾瀬の足元の床にね、ほんの少しだけど隙間があったんだ。このステージの床下から冷気が漏れ出てるみたいだね」


コウモト アヤセ
「……まさかとは思うけど、楽譜はその床下にあるって言うんじゃないよね?」


ノノハラ レイ
「そのまさかだよ」


コウモト アヤセ
「それで? どうやって床下に行くって言うの?」


ノノハラ レイ
「この多目的ホールが体育館を模して造られているなら、ステージの下はパイプ椅子を収納するための引き出しになっているはずだよ。
 一番下手側の引き出しを抜き切ったら、人が入れるスペースが出来ると思う」


コウモト アヤセ
「……ここまできたらやるっきゃないみたいね」


102 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 23:41:36.02 ID:BtxqCyAK0



 いったんステージを降りて、問題の引き出しを引っ張っていく。
 大量のパイプ椅子が乗っているからとても重いと思ったけど、車輪がスムーズに回っているからそれは最初だけで、あとは勢いのまま引き切ることが出来た。
 途中でつっかえることもなく、引き出しが完全に外に出る。
 引き出しが無くなったことで現れた、床下への入り口。



ノノハラ レイ
「ちょっと埃っぽいね。ボク一人で行こうか?」


コウモト アヤセ
「ダメ。澪を一人になんてさせないから」


ノノハラ レイ
「わかったよ。……あまり大きく息を吸い込まないようにね」


コウモト アヤセ
「うん」



 ハンカチで鼻と口を覆いながら、ゆっくりと床下へ入っていく。
 床下に入ってから2メートルぐらい進むと、左へ曲がれる空間があった。
 それは、さっきまでわたし達がいたステージの下手側の袖、その真下に繋がる。



ノノハラ レイ
「……あった。タイトルは書いてないけど、多分これだよ」


コウモト アヤセ
「本当にあったんだ……。後は、それの通りにピアノを弾けばいいのね?」


ノノハラ レイ
「うん。……早く戻ろうか。ここに来た誰かが勘違いで引き出しを戻さないとも限らないし」



 気持ち急ぎながら床下から出て、引き出しを元に戻す。
 閉じ込められなくてよかった……。あ、わたしを残そうとしたのはそうならないようにするため?



103 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 23:50:32.58 ID:BtxqCyAK0



ノノハラ レイ
「めぼしいものも見つかったし、早速これを弾いてみよっか」


コウモト アヤセ
「え、澪が弾くの?」


ノノハラ レイ
「正確には、ボクと綾瀬が、だけど。
 ドヴォルザーク、交響曲第9番「新世界より」の第三楽章。連弾の楽譜みたいだからさ」


104 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/08/01(火) 23:51:11.07 ID:BtxqCyAK0


――本日はここまで。


105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 00:24:10.78 ID:GDyWi2uX0
普通にラブコメしててワロタ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/09(水) 18:33:21.96 ID:nUGZioHB0
あげ
107 :♪Cool Morning ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 00:29:41.76 ID:RbK85pO00



コウモト アヤセ
「ちょっと待って。タイトルは書いてなかったんでしょ? どうしてわかるの?」


ノノハラ レイ
「最初の八小節が特徴的だからね。ピアノアレンジだからちょっと戸惑ったけど、実際に弾けばわかるはずだよ」


コウモト アヤセ
「それはいいんだけど……。澪ってピアノ弾けるの?
 わたし澪が弾いてるとこ見たことないんだけど」


ノノハラ レイ
「大丈夫大丈夫。世の中には人差し指でしか弾けないレベルから一気に連弾ができるレベルにまで上達する男子中学生だっているんだから!
 ボクならちょっくら練習すればいけるって!」



 そういう変な方向にポジティブで自信過剰なところは相変わらずよね……。



108 :♪Cool Morning ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 00:42:33.39 ID:RbK85pO00



コウモト アヤセ
「えーっと、じゃぁどっちを弾きたい?」


ノノハラ レイ
「んー、そうだなぁ。メインを張るTもいいけど、地味に難しそうなUも捨てがたいしなぁ。
 あ、でもまてよ? 資本の指を大切にしないようなピアニストにメインを任せるのは危険か?」


コウモト アヤセ
「あ、根に持ってるんだ……。でも、あれは澪の落ち度だと思うな」


ノノハラ レイ
「わかってるよ。悪かったって。
 ……うん、決めた。Tは綾瀬に譲るよ」


コウモト アヤセ
「いいの? わたしはどっちでもいいんだけど」


ノノハラ レイ
「超高校級のピアニスト候補生が連弾で主役張らないでどうするのさ。
 それに、さっき言ったでしょ? 綾瀬のピアノが聴きたいって。一番近くで聴けるんだから、どうせなら主旋律を聴きたいじゃない?」


コウモト アヤセ
「そっか……。じゃぁ、最高の演奏にしないとね!」



 そうよ。こんな機会、滅多にないじゃない。
 澪の実力にはちょっと不安が残るけど、むしろ練習が必要なら付きっ切りで……。
 あぁ、もう。本当に、こんな合宿じゃなかったら最高のシチュエーションだったのになぁ……。



109 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 01:25:34.48 ID:RbK85pO00



 一階に戻って、ピアノの譜面台に楽譜を広げる。



ノノハラ レイ
「どうしようか、ちょっと練習する?」


コウモト アヤセ
「なに弱気になってるのよ……。さっきまでの自信はどうしたの?」


ノノハラ レイ
「いやさ、ボクも綾瀬もこの楽譜初見でしょ? そう思うとちょっとね」


コウモト アヤセ
「候補生とはいってもね、わたしだって超高校級のピアニストなの。初見の楽譜だってある程度弾けるから。
 まぁ、澪がどうしてもっていうなら、澪が練習する時間をあげてもいいけど?」


ノノハラ レイ
「……言ってくれるね。俄然やる気が出てきたよ。時間も惜しいし、さっそく弾いてみようか。
 タイミングは綾瀬に任せるから」


コウモト アヤセ
「そう? ……じゃぁ、遠慮なく……」



 わたしが指を鍵盤の上に乗せると、澪も所定の位置に指を置く。
 ……よし。



110 :♪ピアノ連弾による交響曲第九番「新世界より」第三楽章 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 01:37:41.49 ID:RbK85pO00



 弾き始めの時点で、澪の実力がすぐ理解できた。


 特に合図もなく始めたけど、澪がわたしの弾き方に合わせてきている。


 指の運び方から、リズムの取り方、呼吸に至るまで。


 澪は初めての演奏のはずなのに、まるでずっと前からわたしとピアノを弾いてきたみたいに、完璧に。


 
111 :♪ピアノ連弾による交響曲第九番「新世界より」第三楽章 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 01:42:01.68 ID:RbK85pO00



 それがうれしくもあるけれど、むなしい、のかな。


 昔から天才肌だとは思っていたけど、こうも簡単にやられちゃうと、澪が遠くに感じちゃうよ。


 今隣に座っている澪が、腕も体も触れ合っているわたしの幼馴染が、雲の上に行ってしまっているように感じてしまう。



112 :♪ピアノ連弾による交響曲第九番「新世界より」第三楽章 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 01:46:20.45 ID:RbK85pO00



 わたしの手の届かない遠いところに行ってしまいそうな気がして、そっと澪の方を見ると、澪と目が合った。


 澪は、とても楽しそうに、笑っていた。


 ……そうだよね。せっかくなんだもん。楽しまなきゃ。
 



113 :♪ピアノ連弾による交響曲第九番「新世界より」第三楽章 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 01:55:25.92 ID:RbK85pO00




 曲もそろそろフィナーレに向かいつつある。
 雑念なんて最初から捨てて、澪と一緒に連弾できることをもっと楽しんでいればよかった。
 こんな夢みたいな時間、もっと長く味わっていたかった。
 聴く分には結構長い曲だけど、実際に弾くとなるととても短い。



 最後の和音がきれいにはまって、とうとう、わたしと澪の初めての連弾が、終わってしまった。




114 :♪Cool Morning ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 02:18:38.29 ID:RbK85pO00



ノノハラ レイ
「おやおや、皆さんお揃いで」


オモヒト コウ
「いったいどういう風の吹き回しだよ。ピアノの連弾なんて」


ウメゾノ ミノル
「その楽譜の曲を弾いたら隠し扉が開く、とか?!」


サクラノミヤ アリス
「映画の見すぎなんじゃない?」




115 :♪Cool Morning ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 02:19:10.17 ID:RbK85pO00



サクラノミヤ エリス
「あ、あの……。うまく言えないんですが、その……、素晴らしい演奏でした」


ナナ
「ねぇ、こんどネコふんじゃったでも弾いてみない?」


ノノ
「それ、面白いかも!」


タカナシ ユメミ
「……お兄ちゃんってピアノ弾けたっけ」


ナナミヤ イオリ
「たまにはこういうのも悪くはありませんね」



116 :♪Cool Morning ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 02:19:40.76 ID:RbK85pO00



マスタ イサム
「楽譜なんてどこにあったんだ?」


ユーミア
「おそらく、多目的ホールではないかと。あそこは隅々まで徹底的に調べた、というわけではありませんから」


アサクラ トモエ
「どうみても体育館にしか見えないから、逆に怪しくないと思っちゃったよ……。
 やっぱり何かあったんだね」



117 :♪Cool Morning ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/09/02(土) 02:20:06.91 ID:RbK85pO00



 みんなが思い思いの感想を口にする中……、



ノノハラ ナギサ
「……」



 渚ちゃんだけが、わたしを黙って見つめていた。



118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 08:46:42.82 ID:w6WoAqzGo
修羅場が近づいてきましたね
澪ってほんと何者なんだ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/25(月) 06:39:15.70 ID:St/BvT2G0
あげ
120 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/10/01(日) 22:23:27.98 ID:BYZi2pFI0


ノノハラ レイ
「渚も聴いてたなら、感想聞かせてほしいなぁ」


ノノハラ ナギサ
「すごくよかったよお兄ちゃん。初めてとは思えないくらい上手だった」


ノノハラ レイ
「そ、ありがと。ぶっつけ本番にしてはこれ以上ないくらい上出来だね」


ノノハラ ナギサ
「ところで、どうして急にピアノなんて弾いてたの?」


ノノハラ レイ
「多目的ホールのステージの床下に楽譜が隠されていたからね。
 弾けば何か起こるんじゃないかと思って」


オモヒト コウ
「……とくに何か起こった様子はないみたいだが?」


ノノハラ レイ
「うーん。やっぱゲームみたいにはいかないねぇ」


モノクマ
「おめでとうございます!」



121 :♪モノクマ先生の授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/10/01(日) 22:25:03.11 ID:BYZi2pFI0



 ……気のせいかな、いまピアノから出てきたように見えたんだけど。
 して、もうみんな慣れたのか、いきなりモノクマが現れても全然動じない。慣れたくなかったけど。



ノノハラ レイ
「おや学園長。生徒にぞんざいに扱われてご隠居なさったのでは?」


モノクマ
「むきー! ボクはそんなガラスハートじゃないやい!
 じゃなくて! さっきそこの楽譜の曲を弾いたでしょ! だから特典をプレゼントしに来たの!」


コウモト アヤセ
「特典……?」



 なんだろう。絶対にロクなものじゃない気がする。



122 :♪モノクマ先生の授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/10/01(日) 23:07:26.24 ID:BYZi2pFI0



モノクマ
「『新世界より』にちなんで――」


ノノハラ レイ
「隠し扉の鍵、とか?」


モノクマ
「もう! クマの話に水を差さない! 隠し扉の場所教えないぞ!」


コウモト アヤセ
「あ、隠し扉はあるんだ」


モノクマ
「はっ、しまった!
 あー、もう! いいや! 鍵は渡すから、さっさとあの暖簾くぐってこーい!」



123 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/10/01(日) 23:08:24.01 ID:BYZi2pFI0



 そういってモノクマはわたしと澪に鍵を投げつけて、逃げるように立ち去って行った。
 鍵は二つ。赤のキーホルダーがついたものと、青のキーホルダーがついたもの。
 暖簾をくぐるということはつまり……。



ノノハラ レイ
「脱出とは何の関係もなさそうかなぁ。まぁ、使うんだけどさ」


コウモト アヤセ
「えっと、どうしようか? みんなで行く?」


ノノハラ レイ
「男女に分かれた方がよさそうだけど。多分性別は違っても中身は一緒だよ」


ウメゾノ ミノル
「ちょっとちょっと、何勝手に二人で話進めてるのさ。どういうことか説明してよ!」


サクラノミヤ アリス
「ちょっとは頭使ったら? ここで暖簾って言ったらあそこしかないでしょ?」



 亜梨主ちゃんが指さした先には、「男」と書かれた青の暖簾と、「女」と書かれた赤の暖簾。
 つまり隠し扉は、温泉のどこかにあるということ。それも、男湯と女湯の両方に。



124 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/10/02(月) 00:27:01.88 ID:B3J0sMVZ0



ウメゾノ ミノル
「いやいや、待ってよ。あそこは調べたじゃん。でもそんな怪しい隠し扉なんてなかっただろ?
 脱衣場にも、大浴場にも、サウナにもさ」


サクラノミヤ アリス
「さっきので現れた。そう考えるしかないでしょ」


ウメゾノ ミノル
「それはそうだけど……」


サクラノミヤ エリス
「あの、とりあえず、行ってみませんか?」


マスタ イサム
「……人数はある程度絞ろう。男は全員でもいいが、女は多すぎる」


ユーミア
「モノクマの罠が待ち構えているかもわかりませんしね」


アサクラ トモエ
「あー、じゃぁボク残ってようかな。捜索はあまり得意じゃないからさ」


ナナ
「ナナたちも残りましょう? お風呂はお洋服が濡れちゃうわ」


ノノ
「お風呂は夜に入らなきゃね」


サクラノミヤ アリス
「あたしもパス。四人ぐらいがちょうどいいでしょ。慧梨主も残りなさい」


サクラノミヤ エリス
「えっ、お姉さま、私は……」


サクラノミヤ アリス
「なに? あたしの言うことが聞けないっていうの?」


サクラノミヤ エリス
「そんな、私は……!」


ウメゾノ ミノル
「喧嘩はよしなって。僕たちはさっき調べたばっかなんだから、むしろいかなきゃダメじゃん。
 それこそ、演奏の前後で何か変化があればすぐに気づけるんだからさ」


サクラノミヤ アリス
「なに、さっきの仕返しのつもり? ……まぁいいわ。仕方ないから、行ってあげる」



 結局、女子はわたしとユーミアさんと亜梨主ちゃんと慧梨主ちゃん。男子は全員で調べることになった。




125 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/10/02(月) 00:47:53.30 ID:B3J0sMVZ0


ノノハラ レイ
「じゃぁ三十分後にロビー集合ってことで」


コウモト アヤセ
「うん。……気を付けてね」


ノノハラ レイ
「多分大丈夫だと思うけどねぇ。そっちも、十分に気を付けてね」


コウモト アヤセ
「うん」



 いったん澪と別れて、わたしは女風呂の暖簾をくぐった。
 暖簾の先には、一般的な温泉宿泊施設の脱衣場でよく見かける、服や貴重品を入れるためのロッカーに、洗面台、給水所に……、体重計。
 大浴場へ続く扉以外に、これといって怪しい扉はない、かな。


126 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/10/02(月) 00:48:21.22 ID:B3J0sMVZ0


 大浴場へ入っても、特に変なものは見当たらなかった。
 桶に、椅子に、シャンプー、リンス、ボディソープ、シャワー。
 お風呂はすごく広くて、高級リゾートっていう感じ。
 サウナに、水風呂に、外……多分露天風呂に続く扉。
 あれ、そういえばさっき梅園君は――。



サクラノミヤ エリス
「お姉さま、あの扉って……」


サクラノミヤ アリス
「えぇそうね。さっきまでなかったものよ。ご丁寧に、鍵までついてるし」


コウモト アヤセ
「……開けてみるね」



 モノクマから受け取った鍵を鍵穴に入れて回すと、かちゃりという音がした。
 やっぱりというか、なんというか。特典というのは、露天風呂だったみたい。
 普通の旅行ならうれしいんだけど、殺し合いを強いられているこの状況だと、外に出られるかもなんて甘い期待を裏切られた気分。



127 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/10/02(月) 00:58:07.71 ID:B3J0sMVZ0



 ドアを開けると、雪景色が一望できる浴槽と、さらに奥へ続く道があった。
 その道をたどると、また更に扉があって、張り紙が貼ってあった。



『この先9:00〜19:00立ち入り禁止
 ※もしこの時間帯に立ち入った場合、校則違反とみなし厳罰に処します』



128 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/10/02(月) 01:04:11.87 ID:B3J0sMVZ0


――本日はここまで。


――月一更新で亀進行とか本当に救いようがないね……。


――でも、もし、ボクがこのSSを描き切ったのならその時は……、ボクを超高校級の希望と呼んでくれ。


129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 12:14:15.34 ID:5AlvWgrJO

面白いよ
130 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/11/02(木) 01:06:45.29 ID:cr67W4q70



ユーミア
「……どうやら、今はこの先を調べることはできないみたいですね」


コウモト アヤセ
「そうみたい。……あ、夜お風呂に入るときに行ってみようかな」


ユーミア
「少し危険ではありませんか?」


コウモト アヤセ
「こういう風に制限するってことは、多分罠じゃないと思うんだよね。
 もしわたしたちを陥れるための罠なら、こんな注意書きなんてして警戒心をあおったりしないもの」


ユーミア
「それは……、そうかもしれませんが」


コウモト アヤセ
「あ、でも澪ならトリックに使えそうとか思ってるかも」



 例えば現場をこの扉の先と思わせておいて、進入禁止の時間のアリバイを確保しておく、とか。



131 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/11/02(木) 01:08:47.46 ID:cr67W4q70


ユーミア
「……あの場ではマスターの手前ですので抑えましたが、ユーミアはまだあのヒトを完全に信用したわけではありません。
 いずれマスターに仇なすようなら、容赦はしないつもりです」


コウモト アヤセ
「……あなたにとって増田くんが大切な人であるように、わたしにとって澪はかけがえのない人なの。
 そっちこそ、澪に手を出さないでね?」


ユーミア
「ユーミアに勝てるとでも?」



 澪にもしものことがあれば、わたしはわたしを保てなくなる。
 だから釘はちゃんと刺しておかないと、ね?




132 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/11/02(木) 01:09:15.67 ID:cr67W4q70



サクラノミヤ エリス
「お、お姉さま、どうしましょう……。と、止めないと……」


サクラノミヤ アリス
「ほっときなさい慧梨主。巻き込まれるわよ」


コウモト アヤセ
「……もうこれ以上めぼしいものもないみたいだし、時間はあるけどロビーに戻りましょうか?」


ユーミア
「そうですね。男湯もこちらと同じようなら、マスターも早く切り上げるでしょうから」



 わたしたちは無言で女湯を後にした。




133 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/11/02(木) 01:17:12.04 ID:cr67W4q70



 暖簾をくぐった先、ロビーには誰もいなかった。
 もしかして男湯の方で何かあったのかな?
 ……まさか澪の身に何かが?!



サクラノミヤ アリス
「待ち時間が暇だからって何ゲームコーナーで遊んでるんだか……」



 女湯の捜索に行かなかった女子の皆はゲームコーナーにいるみたいだけど、ひょっとして澪もそこにいるのかな。



134 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/11/02(木) 01:23:13.89 ID:cr67W4q70



ノノハラ レイ
「ガチャ!ガチャ!またガチャががが回せるぅう!ヤッフゥゥゥウウウウア!」


ウメゾノ ミノル
「ガチャァアア!10連ガチャア!いっぱいっぱい回すのぉぉ!」


ノノハラ レイ/ウメゾノ ミノル
「「溶けるぅう!溶けちゃうう!」」



 結論から言えば、澪とはじめ男子は捜索を切り上げてゲームコーナーにいた。
 そして、澪と梅園君が常軌を逸した動きで喜びを表現してるんだけど……、これは、何?
 何なの?
 ここへ来る前に一体何が……。



135 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/11/02(木) 01:23:46.77 ID:cr67W4q70



 うん、わかってる。わかってるけど、一言だけ言わせて。


 またなの?




136 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/11/02(木) 01:31:33.24 ID:cr67W4q70


――本日はここまで。


137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/02(木) 06:52:15.10 ID:Ial5/YGE0


人類悪が量産されているだと…!?
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/02(木) 19:04:03.91 ID:qCwXXTQAo
またカオスの予感
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/02(木) 20:44:08.20 ID:yM84l5pQO
そういえばカッコカリの狂気はガチャ産だったか

でもどんな方法でガチャ回してんだ
140 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/12/21(木) 22:02:26.33 ID:al/REjYb0



オモヒト コウ
「河本か。澪だけでも止めてくれよ。俺じゃもうどうしようもない」


コウモト アヤセ
「……見ればわかるんだけど、一応聞いておくね?
 どうしてこうなってるの?」


オモヒト コウ
「本当に見ての通りなんだがな……。
 露天風呂への扉以外に目新しいものが見つからなかったから、早めに切り上げてここに戻ったんだ。
 それはお前たちも同じだろ?」


コウモト アヤセ
「うん。露天風呂の奥の扉は、今は入れなかったし」


オモヒト コウ
「やっぱりそっちも一緒だったか。
 で、待機中の女子がゲームコーナーで遊んでたから、俺たちも、ってなったんだが――」



141 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/12/21(木) 22:09:00.51 ID:al/REjYb0



ノノハラ レイ
『こういうところにあるゲームって大抵コイン必要なんだよねー。
 電子マネーで決済できる最新の筐体とかあればいいんだけどなー』


オモヒト コウ
『ゲームセンターならともかく、こういった施設のゲームコーナーなんて型落ち品ばっかだろ』


ウメゾノ ミノル
『あー、でもメダル販売機は電子マネー対応らしいよ? メダルゲーム主体なのかな』


マスタ イサム
『「電子生徒手帳をかざせば、モノクマコイン一枚をモノベガスメダル百枚と交換できます」か。随分と気前のいいことで』


ノノハラ レイ
『メダル集めると景品と交換できるんだぁ。――え、ちょっと待って。モノベガスメダル百枚でモノクマメダル一枚と交換できるの?!』


マスタ イサム
『モノクマコインからモノベガスメダル、モノベガスメダルからモノクマメダルって、これ変則的な三店方式か?』


ウメゾノ ミノル
『こっちにはモノモノマシーンがあるよ! こりゃもうガチャ回せってことですねわかるとも!』


オモヒト コウ
『お前らな、数日前のことも忘れたのか?』


ノノハラ レイ
『ゲームで勝てばメダル増やし放題なんでしょ? これで回し放題だやったぜ!』


マスタ イサム
『……これは止めるべきか?』


オモヒト コウ
『どうせギャンブルでぼろ負けして泣きついてくるだろ。それまで好きにやらせればいいさ』



142 :♪SAKE NO TUKAMIDORI ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/12/21(木) 22:24:43.51 ID:al/REjYb0



ノノハラ レイ
『わーい!』


ノノハラ ナギサ
『さ、鮭が視界に入ったそばから狩りつくされてる……!』


ノノハラ レイ
『たーのしー!』



143 :♪OUTLAW RUNNER ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/12/21(木) 22:30:10.25 ID:al/REjYb0



サクラノミヤ エリス
『凄い! お兄さま! 完璧なブレーキングドリフトです!
 立ち上がりもガードレールギリギリなんて!』


サクラノミヤ アリス
『あんたこのゲームやりこんでるわねッ?!』


ウメゾノ ミノル
『答える必要はない』



144 :♪DANVEGAS ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/12/21(木) 22:42:11.02 ID:al/REjYb0


ノノハラ レイ
『どれだけ集まったー? こっちはざっと6万ちょいぐらい?』ジャラジャラ


ウメゾノ ミノル
『いやー、ちょっと後半集中切れちゃって、4万しか稼げなかったよー』ジャラジャラ


ノノハラ レイ
『10連が100回回せるなら上出来上出来! 早く換金しようよー!』


ウメゾノ ミノル
『メダルを換金箱に詰めこめぇ!』ヒィヤッハー!


ノノハラ レイ
『つべこべ言わずつべごべぇ!』ヒィヤッホォゥ!



145 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/12/21(木) 22:59:49.66 ID:al/REjYb0


オモヒト コウ
「――で、今に至るわけだ」


コウモト アヤセ
「あー……。ごめん、多分わたしでも止められないと思う」


オモヒト コウ
「そう、か……。いや、あいつらが素寒貧になろうと俺の知ったこっちゃないが、あの様子は正直見るに堪えん」


コウモト アヤセ
「えっと、ほら、澪って結構繊細なところあるし、ストレスため込んでるんだよ」


オモヒト コウ
「そのストレスのはけ口がガチャだって? 他にないのかよ……」


コウモト アヤセ
「基本的に何でもできる澪にとって、運任せのガチャは予測できないから楽しいんだって」


オモヒト コウ
「天才ゆえの苦悩ってやつなのかね。俺にはよくわからんが」


コウモト アヤセ
「理解してほしいとは言わないけど、あまり邪険に扱わないでね?」


オモヒト コウ
「あいつ次第だなそれは」


タカナシ ユメミ
「お兄ちゃーん! そんなところで話してないであたしと遊ぼうよー!」


オモヒト コウ
「っと。じゃぁ、澪のことはくれぐれも頼むぞ? わかった、わかったから引っ張るなって、夢見」



146 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/12/21(木) 23:09:56.80 ID:al/REjYb0



ノノハラ レイ
「いやー、回した回した。今日のところは満足できたかな」


コウモト アヤセ
「ってことは明日も回すんだ……」


ノノハラ レイ
「出禁食らっても回すつもりだよ」



 そういうところはかたくなに譲らないよね、澪って。




147 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/12/21(木) 23:15:06.08 ID:al/REjYb0



ノノハラ レイ
「ところでさ、綾瀬。……さっき公と何話してたの?」


コウモト アヤセ
「まとめれば『澪の暴走を止めろ』ってことになるのかな?」


ノノハラ レイ
「暴走って、ひどいなぁ。確かにちょっとタガが外れちゃった感は否めないけど」


コウモト アヤセ
「ちょっとどころじゃなかったじゃない、さっきの様子は。あれ以上変になるようだったら力づくでも止めるからね?」


ノノハラ レイ
「あー、それは困るなぁ。…………うん、わかった。自重するよう努めてみるよ」



 決断するまでが長いうえに断定してない!




148 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/12/21(木) 23:17:14.74 ID:al/REjYb0



 ――結局、今日の別館エルピスの探索は、そのほとんどをゲームをすることで終わってしまった。
 モノクマは鍵を渡したっきり出てこないけど、脱出のめどもまだ立っていない。


 あぁ、でも。
 こんな日々なら、ずっと続いてても悪くないかな。



149 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/12/21(木) 23:32:33.10 ID:al/REjYb0


――本日はここまで。


――月一更新を目指していたのに遅くなってすまない……。


――ヤンデレcdRe:birth一周年だというのにほとんど進捗がなくてほんとうにすまない……。



150 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga sage]:2017/12/22(金) 00:26:20.97 ID:z2L1ntBX0


――大変申し訳ございません、どうやら>>143において混線が起きたようです。


――以下、>>143の差し替えとなります。ご容赦くださいませ。




――――


ノノ
「すっごーい! 今のどうやったのー?!」


ナナ
「お兄ちゃんこのゲームやりこんでるわねッ?!」


ウメゾノ ミノル
「答える必要はない」



――――



――読者の皆様にはご迷惑をおかけいたしまして、誠に申し訳なく思っております。


――お詫びに、ささやかではありますがアイテムを配布いたします。


――プレゼントメニューにてご確認ください。



151 :ITEM GET! ◆S7YK1FdmZg [saga sage]:2017/12/22(金) 00:28:15.52 ID:z2L1ntBX0


 プレゼント“詫びバトス”を獲得しました。

  プレゼントメニューで確認できます。


152 :プレゼントメニュー ◆S7YK1FdmZg [saga sage]:2017/12/22(金) 00:32:54.81 ID:z2L1ntBX0


詫びバトス:運営からのお詫び。赤い目玉のような飾りが目を惹く白く高くそびえたつパンケーキ。おいしい。もっとよこせ。


153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 09:30:34.88 ID:aIns1NAAO
もっとだ もっと寄越せ バルバドス!
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 18:33:15.67 ID:JRYUCjPA0
もっとだ!もっと投下しろ!>>1
155 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/22(月) 23:10:43.79 ID:9rXSMj9j0



 別館エルピスには食堂がないから、夕食を食べるために本館エスポワールに戻った。


 そしてとくに何もなく食事が終わって、みんな就寝時間になるまで自由に行動しているみたい。


 ……澪もコロシアイを防ぐために頑張ってるわけだし、わたしにも何かできないかな。


156 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/22(月) 23:11:35.58 ID:9rXSMj9j0



       ―自由行動開始―



157 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/22(月) 23:23:04.26 ID:9rXSMj9j0



 といっても、何をすればいいのか全然わからないや。


 ……うん! こういう時はピアノを弾くべきかな!


 心を無にして弾いている間に何かインスピレーションが湧いてきそうだし。


 そうと決まればピアノがある別館エルピスへ行かないとね。


 誰もいないと気兼ねなく演奏できるんだけど。




158 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/22(月) 23:25:39.49 ID:9rXSMj9j0



 ゴンドラリフトに乗っている間はずっと何を弾こうか考えていたから、体感としてはすぐに到着した。


 別館エルピスの玄関の扉を開けると、そこにはピアノがあって――。




159 :♪Clair de Lune ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/22(月) 23:31:28.07 ID:9rXSMj9j0



 澪が『月の光』を演奏していた。



160 :♪Clair de Lune ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/22(月) 23:34:17.40 ID:9rXSMj9j0



 澪とわたし以外誰もいないようで、ロビーには澪が奏でる旋律だけが響いている。


 わたしは声をかけるのも忘れて、澪の音に聴き入っていた。



161 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/22(月) 23:51:38.89 ID:9rXSMj9j0



ノノハラ レイ
「……いつから聴いてたの?」


コウモト アヤセ
「うーん……、『月の光』を弾き始めたあたりから、かなぁ?」


ノノハラ レイ
「来たなら来たって言ってくれればいいのに」


コウモト アヤセ
「邪魔しちゃ悪いと思って。いい演奏だったよ?」


ノノハラ レイ
「ボクとしてはちょっと納得してないんだけどね……。まだ詰めが甘い感じがする。
 あぁ〜、こんな演奏聴かれてたとか結構恥ずかしいよ〜」




162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/22(月) 23:58:21.12 ID:NU1QMxIc0
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F9 水波レナ 二葉さな 鋼兵 マギレコ まどマギ 環いろは
163 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/22(月) 23:59:59.27 ID:9rXSMj9j0



コウモト アヤセ
「ひょっとしてここに澪以外誰もいないのって、人払いとかしてたから?」


ノノハラ レイ
「……うん、そう。まだ自分のものにできてない演奏なんて人に聴かせられないじゃん。
 それに努力する姿を見せるのはボクのキャラじゃないしさぁ」


コウモト アヤセ
「そうね。澪ったら努力せずに何でもできるみたいだもん。……昔はそうじゃなかったのに」


ノノハラ レイ
「時が経てば人は変わるさ。誰だって子供から大人になる。……過去のボクの方がよかった?」




164 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/23(火) 00:06:00.02 ID:nR8M22dk0



コウモト アヤセ
「そういうわけじゃないけど……。なんだか最近ね、あなたが遠いの……」


ノノハラ レイ
「……」


コウモト アヤセ
「わたし、ずっとあなたの傍にいたつもりだったのに、最近のあなたをみると、あなたがだんだん遠くへ行ってしまうみたいで……」


ノノハラ レイ
「ボクはボクだ。今も、昔も、これからも。それ以上でもそれ以下でもない。
 だから、綾瀬から遠ざかりもしないよ。絶対に」


コウモト アヤセ
「うん……。離れたらいや、だからね?」


ノノハラ レイ
「わかってるよ」




165 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/23(火) 00:12:41.87 ID:nR8M22dk0



コウモト アヤセ
「ところで、さ。その、さりげなく抱き着かれるのはいいん、だけど、ね?
 は、恥ずかしいから、そろそろ離れてくれないかなー、って……」


ノノハラ レイ
「離れたらいやって言ったのに?」


コウモト アヤセ
「それは、その、言葉の綾っていうか……。
 あー! そうだ! ちょっと聞きたいことがあるんだけど!」


ノノハラ レイ
「話題の替え方が雑だねぇ。まぁいいや、それで? 何さ、聞きたいことって」



 あっさりと引き下がってくれたのはちょっと残念な気もするけど、多分あれ以上抱き着かれてたらこっちの心臓が持たなかったと思うからしょうがないよね!



166 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/23(火) 00:21:35.70 ID:nR8M22dk0



コウモト アヤセ
「あのね、どうしてピアノが弾けるの? 楽譜を置いてないってことはさっきの『月の光』も暗譜だったわけでしょ?
 それに今日の『新世界より』だって初見で弾き切ったわけだし……。
 どうしてもあの演奏が初心者だとは思えないの」


ノノハラ レイ
「……その質問にはちょっと答えにくいなー。うん、恥ずかしいからさ」


コウモト アヤセ
「あ、実はこっそり練習してたとか?」


ノノハラ レイ
「まさか。……そうだね、ただ、ずっと見てたよ。綾瀬が弾いているところを」



167 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/23(火) 00:30:33.13 ID:nR8M22dk0



コウモト アヤセ
「えっ?」


ノノハラ レイ
「楽譜と綾瀬の指の動かし方をリンクさせて、ボクの指の動かし方に最適化させる。
 記憶力の応用だね。言ってみれば、ボクがやってるのは綾瀬の模倣なんだよ。
 ……だからかな。自分の演奏に納得できないのは。
 どれだけ演奏してもそれは結局ボク自身の力によるものなんかじゃないって思っちゃうからさ。
 綾瀬と連弾した時から、あの時は心の底から楽しかったと思っていたのに、今から思い返してみればずっと喉に小骨が刺さったような気分だったんだよね。
 せっかく綾瀬と一緒に演奏してるのに、ボクはボク自身の実力で弾いてないんだって自覚しちゃったからさ。
 笑ってくれよ。結局のところボクは――」


コウモト アヤセ
「笑わないよ」



168 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/23(火) 00:41:05.43 ID:nR8M22dk0


ノノハラ レイ
「笑ってよ」


コウモト アヤセ
「笑わない!」


ノノハラ レイ
「どうして……」


コウモト アヤセ
「わたしの真似をしているから、それが澪自身の実力によるものじゃないなんて、わたしが認めない。
 だって、わたしの真似ができるのは澪の記憶力があるからこそなんでしょ? なら、それはあなたの実力よ。
 上達する一番の方法は上手な人の真似をすること。だから先生がいて、教えてもらうんでしょ?
 だったらあなたがやっていることは卑怯でも何でもないし、澪に真似されるなら本望だから」


ノノハラ レイ
「綾瀬……」


コウモト アヤセ
「それでも納得できないっていうなら、あなたが自分自身の演奏ができるまで、わたしが付き添ってあげる。
 だから、そんな風に自分を悪く言わないで?」



169 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/23(火) 00:44:01.79 ID:nR8M22dk0



ノノハラ レイ
「……はは、まいったなぁ。そこまで言うんだったら、今日はとことん付き合ってもらうからね。
 今日中にボク自身の演奏をマスターしてやる」


コウモト アヤセ
「そうこなくっちゃ!」



170 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/23(火) 00:45:39.08 ID:nR8M22dk0



 澪とピアノレッスンをして過ごした。



171 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/23(火) 00:46:53.49 ID:nR8M22dk0



――河本綾瀬と野々原澪との親密度が少し上がった。



172 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/01/23(火) 00:58:08.46 ID:nR8M22dk0


――本日はここまで。


――自由行動でのリクエスト(○○の視点で●●との絡みが見たい)などがございましたら是非書き込んでください。


――特にないようでしたらそのままストーリーが進みます。


――次回の更新は自由行動+動機の提示まで進めたいと思います。


――それでは、おやすみなさいませ。


173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/23(火) 07:18:11.79 ID:eC0zmNzE0
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 12:33:51.86 ID:XsJcvZ39O
乙です
リクは男のロマンイベントを男性陣の中で一番やりそうなうめちゃん視点で
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 08:21:24.79 ID:Hp0MdnQJO
澪が野放しになってることへの周りの反応とか
半分だけなら外に出れる提案を真に受ける人いるのかとか
渚ちゃんの嫉妬の様子とかの不穏なフラグも気になる
176 :ITEM GET! ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 21:14:09.21 ID:Ne8awKgr0


  プレゼント“漢の浪漫”を獲得しました。


  プレゼントメニューで確認できます。



177 :プレゼントメニュー ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 21:15:19.53 ID:Ne8awKgr0



漢の浪漫:男を超えた漢の、男を超えた漢による、男を超えた漢のためのロマンを超えた浪漫。
     プレゼントすることもできるが、持っているといいことがある。
     感じろ。理想郷(アヴァロン)はそこにある。



178 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 21:16:09.15 ID:Ne8awKgr0



ウメゾノ ミノル
「……」



 ついに……。




179 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 21:17:49.52 ID:Ne8awKgr0



ウメゾノ ミノル
「……っしァッ!!」



 ついに手に入れたぞォっ!




180 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 21:19:41.01 ID:Ne8awKgr0


ウメゾノ ミノル
(ガチャを回しては爆死し、カジノへ足蹴く通いコインを増やしてはまた回し……。
 100連爆死を繰り返す都度に五回、とうとう僕は手に入れた!)



 何を隠そうこの“漢の浪漫”、排出確率が最も低いアイテムなのだっ!
 なんでお前がそんなこと知ってるのかって?
 ESPOIRの売店で排出確率のリストを購入しておいたのだよ!
 まぁ名称が伏せてあってシリアルナンバーと排出確率だけしか明記されてないから、どんなアイテムなのかは実際に出してみないとわからないんだけど。



181 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 21:20:38.86 ID:Ne8awKgr0


 そして! 最も排出確率が低い(0.001%)シリアルナンバーと一致したのがこのアイテム“漢の浪漫”というわけなのだよ!
 どうせガチャを回すならSSR complete狙いは当然だよね!



182 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 21:22:09.55 ID:Ne8awKgr0



 ……で、GETしたはいいけど、ナニコレ。



183 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 21:24:25.60 ID:Ne8awKgr0



 でかでかと『浪漫』って達筆な字で書かれた手ぬぐい?
 え、ちょっと待って。こんなもののために今まで必死こいてガチャ回してきちゃったわけ?
 うそでしょ?



184 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 21:26:26.64 ID:Ne8awKgr0



 なんか説明書っぽいのには持っているといいことがあるとか書かれてるんだけど……、いったいなんのご利益があるんだか。
 超高校級の占い師の直筆とか?




185 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 21:42:14.92 ID:Ne8awKgr0
サクラノミヤ アリス
「……何固まってるのよ、そんなところで」



ウメゾノ ミノル
「え、あ、あぁ。ガチャで限りなくはずれに近い当たりをひいたってところ、かな」


サクラノミヤ アリス
「はぁー。またアンタは性懲りもなく……」


ウメゾノ ミノル
「……そういう亜梨主こそ、どうしてこっちに?」


サクラノミヤ アリス
「別にどうだっていいでしょ? あたしがどこに行こうと。
 それとも、いちいちアンタの許可を取らなきゃいけないわけ?」


ウメゾノ ミノル
「そんなんじゃないよ。慧梨主の姿が見えないからちょっと気になっただけさ」



 慧梨主は大抵、僕か亜梨主と一緒に行動していて、一人でいることはそんなにない、はずだ。




186 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:00:25.52 ID:Ne8awKgr0



サクラノミヤ アリス
「お生憎様、慧梨主は先に――」


ウメゾノ ミノル
「先に?」


サクラノミヤ アリス
「何でもない」


ウメゾノ ミノル
「いやでも」


サクラノミヤ アリス
「ナン、デモ、ナイ」


ウメゾノ ミノル
「アッハイ」



 そういって亜梨主はそそくさと――女湯の方へ向かっていった。




187 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:07:46.37 ID:Ne8awKgr0



 亜梨主の発言から、多分慧梨主も女湯にいるんだろう。
 ――ってことはひょっとして……?!



188 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:16:39.25 ID:Ne8awKgr0



(※梅園君の妄想(作画:小梅け〇と)に少々お付き合いください)



サクラノミヤ アリス
『ほら、慧梨主、背中洗ってあげるわ』


サクラノミヤ エリス
『あっ、お姉さま、そこは、んっ……』


サクラノミヤ アリス
『どうしたの? ここがいいの?』


サクラノミヤ エリス
『だっ、ダメです、お姉さまぁ……、んぅ……』



(※あくまでもKENZENな妄想です。姉が妹の背中を流しているだけです)



189 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:20:04.84 ID:Ne8awKgr0



 ――なんてことになっている可能性が?!(※多分ありません)
 こうしちゃいられない!
 そんなことになっているのなら、僕にはそれを見守る義務がある!(※ないです)
 いや、でも女湯に単身乗り込むなんてそんなことしたら……。



190 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:22:17.22 ID:Ne8awKgr0



 確信できる。死ぬよりも恐ろしい目に合うと。想像したら足がすくんでしまう。
 くそっ、僕にはもう打つ手がないのか……?



191 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:25:47.99 ID:Ne8awKgr0



 ふと、握りしめていた“漢の浪漫”の、『浪漫』の字が目に入る。
 そうだ。
 考えるんじゃない。
 感じるんだ。
 理想郷(アヴァロン)は、桃源郷(ユートピア)は目の前じゃないか!
 何を立ち止まる必要がある!
 行け!
 行くんだ梅園穫!
 止まらない限り、その先に道は続くんだ!
 希望への道が! 未来への道が!



192 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:30:29.99 ID:Ne8awKgr0

ノノハラ レイ
「なに百面相してんのさ」
ウメゾノ ミノル
「フゥヲー!」
ノノハラ レイ
「……いや、いきなり声かけたのは悪いと思うけど、そんなに驚くことはなくない?」
ウメゾノ ミノル
「い、いやぁ、ちょっと考え事してたからねー、あはははは」

 あ、あぶねえええぇぇ!!
 あのまま単騎特攻してたらばっちり目撃されてるところだったー!
 しかも一番見られたら面倒なことにしそうな人にー!
 セエエエエエエェェェェフ!!

193 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:40:47.03 ID:Ne8awKgr0


ノノハラ レイ
「……まぁいいけど。露天風呂の奥の扉の調査、ちょっと付き合ってよ」


ウメゾノ ミノル
「あー、昼間は時間外だから入れなかったってあれ? すっかり忘れてた」


ノノハラ レイ
「うん、それ。一応他の二人にも声かけたんだよね。どうせなら一緒に風呂入ろうぜって」


ウメゾノ ミノル
「……絵面がひどいことになりそうだなー。
 でもここで断ったら僕だけがハブられたみたいでなんかやだなぁ」


ノノハラ レイ
「まぁそういわないでよ。正直ボクとみんなとの間にある溝をまだ平和であるうちに埋めておきたいんだからさ」


ウメゾノ ミノル
「そういうことを平然と言っちゃう辺り、時間はかかりそうだけどね。
 まぁそういうことならなおのこと断れない、か。いいよ。ちょうどいい手拭い引き当てたし」


ノノハラ レイ
「『浪漫』ってでかでかと書かれた手拭いって……、正直言ってちょっとダサくない?」


ウメゾノ ミノル
「それは言わないお約束ぅー」



194 :野郎どもの入浴シーン(作画;小梅け〇と)なんて書きたくねぇー…… ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:47:02.65 ID:Ne8awKgr0


 ……と、いうことで、野郎四人で露天風呂、なんだけど。

オモヒト コウ
「……」
マスタ イサム
「……」
ノノハラ レイ
「……」
ウメゾノ ミノル
「……」

 空気が重苦しいとです……。
 っていうか野々原君! 君が積極的にいかなくてどうすんのさ!
 え、ここに至るまでの経緯が聞きたいって!?
 いやだよ野郎しか出ない回想なんて! 妄想で補って!
 なんか普通に体洗って湯船につかっただけだから!
 それが特にこれといった会話がなくて大体同じタイミングで終わっただけだから!

195 :野郎どもの入浴シーン(作画;小梅け〇と)なんて書きたくねぇー…… ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:49:53.96 ID:Ne8awKgr0



ウメゾノ ミノル
「ってそうだよ! 本題! あの扉の奥行ってみようぜ!」



 時間外だからっていけなくなったあの扉の先!
 もうそこに賭けるしかないな!
 何をって?
 この気まずさを改善する楽園(エデン)がそこにある可能性だよ!



196 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:56:11.62 ID:Ne8awKgr0


 その扉は、やはりというか、モノクマが野々原君に持たせた鍵で開いた。
 その先は、奥へ奥へと続いている。
 とても長い、それも蛇行しながら下っていくスロープのようだ。
 滑らないように慎重に歩いて、大体五分くらいして、ようやく扉が見えた。
 ちょっと体が震えているのは下っている最中も誰一人何もしゃべらないからじゃなくて湯冷めしているからと思いたい。
 そんな沈黙に耐え切れなくなって、扉が見えたとたんに僕は真っ先にそこへ駆け寄って、その扉を開けた。
 スライド式のドアを開けるとそこには――。



197 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:57:19.40 ID:Ne8awKgr0



 理想郷(アヴァロン)が、あった。


198 :お ま た せ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 23:39:59.85 ID:Ne8awKgr0



サクラノミヤ エリス
「えっ……?」


ナナミヤ イオリ
「……?!」


コウモト アヤセ
「?!?!?!」


ノノハラ ナギサ
「えぇっ?!」


サクラノミヤ アリス
「……」



(※心の底からヤンデレCDを愛する方には小梅け〇と氏による素晴らしい一枚絵が見えます)



199 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 23:42:44.99 ID:Ne8awKgr0



ウメゾノ ミノル
「あ、あはは、あはは……。あー…、アポ?」


サクラノミヤ アリス
「死ねぇっ! 変態!」



 亜梨主の手から勢いよく放たれた桶は、そのまま僕の顔面へ――。



スコ―――ン!



200 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 23:48:38.27 ID:Ne8awKgr0



「変態!変態!!変っ態!!!」
「酷いですお兄様…。見損ないました…」


 ――目の前が真っ暗だ。何も見えないし、声もうすぼんやりとしか聞こえない……。


「まぁその辺で許してやってよ。故意じゃなかったんだから」
「澪ッ?!」
「どうしてお兄ちゃんまで?!」


 僕はもう理想郷(アヴァロン)を目にしたんだ。それ以上に何を望むっていうんだ?


「どうしてって、時間外だから入れなかった、露天風呂の奥の扉がここに続いてたからだけど」
「わ、わかったからこっちみないでよっ!」


 そりゃぁ、もっと見たかったけどさ。これ以上見続けるのは彼女たちに悪いよ。



201 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 23:57:37.94 ID:Ne8awKgr0


「あ、あわわ、あわわっわわあっわあわ……」
「伊織?! しっかりしろ伊織―!?」
「とりあえず入らせて?湯冷めしちゃって。このままじゃ風邪ひいちゃうよ」
「フリーダムなのもいい加減にしとけよお前」



――それで本当にいいのかい?



 だって、嫌がる女性と無理やり混浴だなんて……。



――だったら、君が説得すればいいのさ。



 僕が……?



――目の前に浪漫があるんだ。希望を捨ちゃ駄目だ!



 浪漫……。理想郷(アヴァロン)は目の前……。



――そう! さぁ、目を覚ますんだ!



 死んでる場合じゃねぇっ!



ウメゾノ ミノル
「 がくえんの ふうきが みだれる ! 」



202 :♪V3議論―PANIC― ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:01:58.13 ID:c85dhVr10



サクラノミヤ アリス
「あ、起きたのね」チッ


ウメゾノ ミノル
「でもこれはモノクマ公認だ! 混浴することでみんなとのきずなを深めあうんだ!」


サクラノミヤ エリス
「あぁ……、お兄さま、やっぱり頭を強く打ってしまったんですか……?」



203 :♪V3議論―PANIC― ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:08:26.85 ID:c85dhVr10


ウメゾノ ミノル
「裸の付き合いという行為、それは身一つで同じ空間を共有することで互いに隔てるものが何もない状態ということ!
 すなわちそこには相手への絶対的な信用があってこそ初めて成立しうる行為なんだ!
 逆説的に言えば、混浴こそこの合宿生活で最もコミュニケーションが捗るということ!
 お互いに凶器を持っていないということを確認し、かつ全くの無防備な状態をさらすことでそこにはある種の信頼関係が形成される!
 そこから生まれる安心感によってお互いの心の距離は急接近したりするんだ!」


サクラノミヤ エリス
「そういわれれば、そんな気も……?」


サクラノミヤ アリス
「流されちゃだめよ慧梨主!」



――こうして、




204 :♪V3反論―CROSS SWORD― ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:11:53.66 ID:c85dhVr10



ナナミヤ イオリ
「【混浴なんて破廉恥】です!」


ウメゾノ ミノル
「それは違うぞっ! それはただの偏見に過ぎない!」



――僕はみんなを説得してき……、




205 :♪V3議論―HOPE VS DESPAIR― ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:16:01.40 ID:c85dhVr10



オモヒト コウ
「お前のそれはただの【下心】だろうが!」


ウメゾノ ミノル
「それは違うぞっ! 野々原君の企みを知る必要がある!
 それには河本さんや渚ちゃんにも話を聞かなければならないんだ!」



206 :♪V3議論―SCURM― ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:18:59.62 ID:c85dhVr10


――ついに、



混浴は
 するべきだ/しないべきだ



ウメゾノ ミノル
「これが僕の答えだっ!」



 ―BREAK!!―



――説得しきることに成功した。これもすべて、“漢の浪漫”のおかげだ。



207 :(※製品版では謎の光と湯気が薄くなります) ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:22:40.45 ID:c85dhVr10


――ここで起きたことを、僕は一生忘れないだろう。

――具体的に何が起きたのか知りたいって……?

――それはだめだよ。教えられない。それはここに来たみんなの中だけの秘密だからね。

――でも大丈夫。理想郷(アヴァロン)は、みんなの心の中に――。



208 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:25:55.02 ID:c85dhVr10



――漢の浪漫イベント(梅園穫視点)を完了した。


――梅園穫との親密度が……、下がったものもいれば上がったものもいるようだ。



209 :もう一本自由行動行きます! ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:27:44.74 ID:c85dhVr10




ノノハラ ナギサ
「……」



 最近、お兄ちゃんが遠い。




210 :時系列?知らない子ですね ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:31:47.98 ID:c85dhVr10



ノノハラ レイ
「じゃぁThe Flea Waltsを足で……、冗談だよ。
 ベートーヴェンのピアノソナタ第十四番、月光の第三楽章はどうかな」


コウモト アヤセ
「あー、私それ暗譜出来てないや」


ノノハラ レイ
「それならショパンの別れの曲の方がいいかな」


コウモト アヤセ
「それなら、うん。大丈夫」



 最近は、特に綾瀬さんと一緒にいることが多い。




211 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:36:57.92 ID:c85dhVr10


アサクラ トモエ
「やっぱりもう一度縛りつけた方がいいんじゃないかなぁ……」


マスタ イサム
「……やめておけ。記憶力のいいあいつのことだ、同じ手は食わないだろうさ」



 あれだけのことをしておいて、実質的な野放しになっているから、お兄ちゃんに対する風当たりは強い。
 だから、お兄ちゃんの味方になれるのはあたしだけと思ってたのに……。
 あの時、綾瀬さんが先に口出ししなければ、きっと――。



212 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:39:49.90 ID:c85dhVr10


ノノハラ ナギサ
「それなのに……!」



 あの女……!
 お兄ちゃんの隣にいるはずなのはあたしなのに!
 それを横からかすめ取って!
 お兄ちゃんもお兄ちゃんであんな楽しそうに笑っちゃって!



213 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:42:11.97 ID:c85dhVr10


 どうして?!
 どうしてあたしを見てくれないの?!

 ……あーそっかぁ。きっと綾瀬さんに毒されちゃってるんだぁ。
 だったらキレイにしてあげなくちゃ、ね?



214 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:48:12.46 ID:c85dhVr10



 ……でもお兄ちゃんに直接手を出すわけにはいかないし、本当はすごく嫌なんだけど、綾瀬にも直接手は出せない。
 そんなことをしたら今度はあたしがお兄ちゃんに忘れられちゃうかもしれないんだもん。あの暗い女みたいに。
 ここでの生活を受け入れるべきだとお兄ちゃんは言った。
 それなのに妹のあたしが暴力沙汰を起こせばお兄ちゃんの言葉に説得力が無くなってしまう。
 あたしはお兄ちゃんの負担になりたくないし、お兄ちゃんもそれを望んではいないはず。
 だから、誰かを直接傷つけたりするような行為は、絶対にダメ。



215 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:53:35.32 ID:c85dhVr10



 なら、お兄ちゃんの役に立てばいい。
 お兄ちゃんは、今いるメンバーの半分である七人までなら外に出られるって言ってた。
 お兄ちゃん自身と、あたしと、認めたくないけど、綾瀬の三人はすでに埋まっているから、残りは四人。枠は残り四人残ってるってことは、多分そういうことだと思う。
 それなら、その四人を集めればいい。
 そうすればお兄ちゃんの役に立ったって言える。
 こんな提案をするってことは、お兄ちゃんは本心では外に出たいってことになるし、そのお手伝いをすれば、お兄ちゃんに褒めてもらえるかなぁ。




216 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:02:10.93 ID:c85dhVr10


 そうなると、誰を説得するかだけど……。
 男子なら梅園さん、女子なら亜梨主さんと慧梨主さん、かなぁ。
 あのうるさい双子は話が通じないだろうし、主人さんと増田さんはお兄ちゃんとすごく仲が悪いから乗ってくれそうにもないし。
 だからこの二人と仲がいい七宮さん、小鳥遊さん、ユーミアさん、朝倉さんも提案に乗ってくれるとはとても思えない。
 梅園さんはお兄ちゃんととても仲がいいし、梅園さんと仲がいい亜梨主さんと慧梨主さんも、梅園さんの説得なら従ってくれそうだし。
 この三人を説得できれば、十分役立ったって言えるよね?お兄ちゃん?



217 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:11:23.94 ID:c85dhVr10



 だから、まずは梅園さんを説得して、その後に桜ノ宮さんを説得してもらう。
 そのために、梅園さんを呼び出した。


ウメゾノ ミノル
「えーっと、渚ちゃん? それで、話っていうのは?」


ノノハラ ナギサ
「えっと、その、お兄ちゃんの提案の件、なんですけど」


ウメゾノ ミノル
「……今なら最大で七人は外に出られるってやつだね」


ノノハラ ナギサ
「えぇ。お兄ちゃんと仲のいい梅園さんはどう思ってるのかなって」


ウメゾノ ミノル
「その話なら、僕はお断りするつもりだよ」


ノノハラ ナギサ
「えっ……?」



218 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:24:47.55 ID:c85dhVr10



ウメゾノ ミノル
「野々原君が何をしようとしているのか、その様子だと君は知らされてないみたいだね」


ノノハラ ナギサ
「お兄ちゃんの計画を知っているんですか?!」


ウメゾノ ミノル
「いいや? ただ最大で半数が脱出可能って言葉から想像した結果だから、外れている可能性もあるね。
 ――もっとも、僕としてもこの想像が外れていてほしいと思っているんだけど」


ノノハラ ナギサ
「どういうこと、ですか?」


ウメゾノ ミノル
「あることないこと言って他人の評価を貶めるなんて人としてあるまじき行為だから、あまり詳しくは言いたくないんだけどね。
 僕の想像が正しいこと前提で言っていいなら、君のお兄ちゃんは、脱出できない半数を文字通り切り捨てるつもりだってことだよ」


ノノハラ ナギサ
「切り捨てる……?」


ウメゾノ ミノル
「そう。脱出できるのは七人だけ。残りの七人は、ここで死ぬ。
 僕の想像している、最大半数が脱出できる方法を実践すればね」


ノノハラ ナギサ
「そんな……」


ウメゾノ ミノル
「本人に確かめてみるのが一番手っ取り早いんだけど、君に知らされていないってことは、野々原君は今は君に教えるべきじゃないって考えてのことなんだろうし。
 僕はその意見を尊重させてもらうよ。君を介しての追及をするつもりはないさ。
 僕の想像が間違っていて、全員生き残れるけど、先に七人が脱出できて、残る七人は救助を待つ、っていう展開を野々原君は考えているのかもしれないし。
 だけど、僕は僕の想像が正しいと思う限り、野々原君の提案に乗るつもりはないし、慧梨主と亜梨主にも乗らせはしないよ」


ノノハラ ナギサ
「そう、ですか……。わかり、ました……」



219 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:30:19.47 ID:c85dhVr10



 ……お兄ちゃんが何を考えているのか、確かめてみる気にはなれなかった。
 お兄ちゃんがあたしに何も言わないのは、あたしを信用していないからだ、なんて思いたくないのに、お兄ちゃんに聞いてしまったら、それを認めたことになってしまう。
 そうなったら、お兄ちゃんがもっと遠くなる。



220 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:30:54.07 ID:c85dhVr10



 寒い。




 寒い。





 寒い寒い寒い寒い寒い!






221 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:32:01.52 ID:c85dhVr10



 ――寒いよ、お兄ちゃん。



222 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:33:36.10 ID:c85dhVr10



――自由行動(野々原渚単独)が終了した。親密度に変化はない。


223 :♪Rise of Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:41:31.87 ID:c85dhVr10



 消灯時間になって、わたしは慣れてしまったベッドに倒れこんだ。



コウモト アヤセ
「ふぅ……」



 いろいろあったけど、このまま何もなければずっと平和に暮らせる、そんな気がする。
 澪の拘束については、もううやむやになっちゃったみたい。
 でも、監視という名目で、わたしが澪の傍にいることでみんなの気が収まればと思う。




224 :♪Rise of Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:44:45.58 ID:c85dhVr10



 ――わたしは忘れていた。というより、意識したくなかっただけかもしれない。
 コロシアイを望むモノクマ、ひいては黒幕が、膠着を望むわけがないのに。



225 :♪Rise of Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:47:58.97 ID:c85dhVr10



 電子生徒手帳に着信が入る。
 以前の動機ビデオと同じだ。
 私の家がなくなっていて、家族も離散している、なんていうあり得ない内容だったけど。
 綾小路さんはあんなものを真に受けて、あんな強行に出たんだ。
 じゃぁ、今回も……?



226 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:50:43.54 ID:c85dhVr10



 メールに添付されている動画を再生した。



227 :♪イッツ・ア・キッズワールド ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:56:09.29 ID:c85dhVr10



モノクマ
「さーて皆様お待ちかね! 動機ビデオの時間だよ! 今回のネタはこちら!
 『他人に知られてはならない秘密』! 人間生きてりゃ秘密の一つや二つありますが、今回は特にやばいネタを用意させてもらいました!」



 秘密って言われても……、わたしにはやましいことなんて何もないし……。
 あ、でも、コロシアイの動機にするってことは、誰かを殺してでも内緒にしたい秘密を持っている人がいるってことに……。



228 :♪イッツ・ア・キッズワールド ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 02:04:12.12 ID:c85dhVr10



モノクマ
「期限は七日! もし七日後までに殺人が起きなければ、オマエラの秘密を、オマエラにとって最も知られたくない相手に暴露しちゃいまーす!」



 なんて悪質な……。



モノクマ
「え? どんな秘密なのかって? それは、ひ・み・つ☆」



 あ、ちょっとイラっと来た。



モノクマ
「どう? どんな秘密を暴露されるのかわからない絶望! 堪らないよねぇ!
 ……でも安心しなよ。オマエラ自身の秘密はオマエラには教えないけど、オマエラのうちの誰か一人の秘密は、先に教えてあげるからさ!」



 ……どういうこと?



モノクマ
「それじゃ、ここからは個人向けのメッセージだよ! 超高校級のピアニスト候補生、河本綾瀬さん!
 オマエには、超高校級の幸運候補生、野々原澪の秘密を特別に教えちゃいます!」



 澪の、秘密?



229 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 02:04:43.06 ID:c85dhVr10



モノクマ
「それは――」



 澪の秘密は……。



コウモト アヤセ
「えっ……?」



 信じられない、ものだった。




230 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 02:07:24.24 ID:c85dhVr10


――本日はここまで。


――漢の浪漫イベントは……、これを書いていた当時のテンションがよくわかりません。多分素面じゃなかったんでしょう。


――リクエストをしてくださった皆様、これはリクエストに応えられたでしょうか?


――そうであったなら幸いです。


――それでは、おやすみなさいませ。


231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 07:23:38.74 ID:3SOphHmN0
ありがとうございます最高です
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 21:52:03.51 ID:VCjO6b0Z0
リクエスト全部聞くとは恐れ入った
233 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/24(土) 23:15:31.88 ID:LwkgmqIo0



――「キーン、コーン…カーン、コーン…」



モノクマ
「えーと、希望ヶ峰学園候補生強化合宿実行委員会がお知らせします。
 オマエラ、グッモーニン!本日も最高のコロシアイ日和ですよー!
 さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょ〜!」


234 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/24(土) 23:19:27.64 ID:LwkgmqIo0



オモヒト コウ
「……朝、か」



 昨日の消灯時間に、モノクマからの動機が送られてきた。
 俺に送られたのは、朝倉巴の秘密。



オモヒト コウ
「阿鎖久羅人形劇団……。これが本当に人を殺す理由になるのか?」



 内容は、『朝倉巴は阿鎖久羅人形劇団の生き残り』だった。
 事情を知らない俺にとっては何のことかさっぱりわからないが、朝倉にとっては他人に知られたらまずい秘密なんだろう。



235 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/24(土) 23:48:06.10 ID:LwkgmqIo0



 楽観視するつもりはない。
 おそらくは、公表されれば社会的に死んでしまうような、そういう秘密なんだ。
 これを本人に直接問いただすのはモノクマの思うつぼだろう。
 誰にも知られたくない秘密を知っている人間が分かったら、口封じに出る人間が出るかもしれない。
 あるいは、誰が自分の秘密を知っているのかを問いただそうとして余計な不和を生むかもしれない。
 ……まったく、つくづくいやらしい手を使ってきやがるな、モノクマの奴は。



236 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/24(土) 23:50:51.11 ID:LwkgmqIo0



 ひとまずは食堂へ行って、みんなと相談した方がよさそうだな。
 そのあと、朝倉の秘密について、つまり阿鎖久羅人形劇団について何か知ってそうなあいつに聞いてみるか。



237 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/24(土) 23:51:18.21 ID:LwkgmqIo0



 食堂へ向かった。


238 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/25(日) 00:01:19.62 ID:f4c5GfD10



 ……やはりというか、空気が重い。
 この中の誰か一人が自分の重大な秘密を知っていると思うと、気が気じゃない。
 自分の秘密はなんなのか、誰が知っているのか。


 コロシアイを強要されている状況でそれを気にしないでいられるほど能天気でいられるのは――、



ナナ
「なんだかいつもより静かな朝ね」


ノノ
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもみんな元気がないみたいだね」



 状況を理解できていないか――、



ノノハラ レイ
「そんな辛気臭い顔して朝食はよそうぜ。葬式みたいじゃん」



 頭のネジがどこかへ行っているか、だ。



239 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/25(日) 00:02:19.02 ID:f4c5GfD10


――短いですが本日はここまで。


――時間があれば来週も投稿します。


240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 12:15:31.41 ID:td/xkUwQO
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 12:40:13.45 ID:emNVwn8X0
秘密とかみんないろいろやばそう
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 03:16:39.56 ID:ZKjXJCiSO
保守
243 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/04/30(月) 23:57:43.43 ID:nkfelNic0



オモヒト コウ
「……お前な、動機ビデオを見なかったわけじゃないんだろ?」


ノノハラ レイ
「当り前じゃない。でもだからってどうしようもなくない?
 モノクマに秘密を握られてる時点で漏洩を防ぐなんて無理だろうしさ」


オモヒト コウ
「だからって言い方ってもんがあるだろうが」



 いちいち人の神経を逆なでするような振る舞いは、多分わざとなんだろう。
 コロシアイを防ぎたいと口では言っておきながら、実際は起きるように煽っているんじゃないか?


244 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 00:09:10.70 ID:tK9GUrWQ0


マスタ イサム
「いい加減にしろよ。そういう風にいがみ合ってたらモノクマの思うつぼだろ。
 どっちも頭冷やせ」


オモヒト コウ
「……あぁ、悪かったよ」


ノノハラ レイ
「ボクは元から冷静なんだけどねぇ。
まぁいいや、おとなしく今後のことでも考えてあげる」



 ……そうだ。モノクマの狙いはこうやってお互いの敵愾心を煽ること。
 自分の秘密をすでに誰かが知っているという不安、それを他人にばらされやしないかという疑心で気が立っている。
 そんな精神状態なら、些細な出来事でも殺人に発展しかねない。頭に血が上って、なんていうのは実際によくある話だ。



245 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 00:59:12.22 ID:tK9GUrWQ0



コウモト アヤセ
「でも実際、どうすればいいのかわからないっていうのはある、かな」


ノノハラ ナギサ
「綾瀬さん?」


コウモト アヤセ
「誰がどんな秘密を知っているのかがわからない以上、下手な対策は逆効果だと思うの。
 下手に暴露しあってギスギスするよりも、いっそ何もしない方がいいんじゃない?」



 河本の言いたいことも分からなくはない。
 秘密について誰かに相談しようとしたら、それが逆鱗に触れて殺人に発展、なんてことも十分にあり得る。




246 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 01:09:22.16 ID:tK9GUrWQ0


サクラノミヤ アリス
「でもそれって随分消極的じゃない?
 何もせず秘密が暴かれるのを待って、その後はどうするわけ?
 コロシアイの動機になるような他人の秘密を知って、今まで通り生活しろって?
 冗談じゃないわ」


サクラノミヤ エリス
「お姉さま、それは言いすぎです!」



 それがこの動機のいやらしいところだ。
 たとえ殺人が起こらなかったとしても、暴かれた秘密によって相互不信は避けられない。
 いくら弁明したところで、余計に心証を悪くするだけ。
 つまりこの動機は、期限までに殺人が起きようと起きまいと、殺し合いの首謀者にとって都合のいい展開にするわけだ。



247 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 01:19:32.33 ID:tK9GUrWQ0



タカナシ ユメミ
「七日もあればなんとかなるよ、お兄ちゃん!」


アサクラ トモエ
「確かに七日もあればいろいろ準備もできるよね。ほんとに、いろいろ」


ユーミア
「含蓄のある言い方はおやめになったらいかがです?
 確かに七日もあれば対策の準備もできるでしょうが、殺人の準備も十分に整えられるでしょうね」



 七日。対抗策を思いつかないかもしれないのに、殺人を企てている者にとっては、殺人の準備をする時間も、殺人を決心する時間も十分に取れる期間だ。
 これが二十四時間以内とかだったら、殺人に踏み切れないまま時間が過ぎたかもしれないのに。




248 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 01:23:55.23 ID:tK9GUrWQ0



ナナ
「でも、このビデオって本物なのかしら?」


オモヒト コウ
「――どういうことだ?」



 殺し合いの動機として、相手を脅迫するのに、わざわざ捏造なんてするのか?
 いや、あれほど自信満々に言うんだろうから、きっと事実なんだろう。




249 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 01:24:25.27 ID:tK9GUrWQ0



ナナ
「ナナのビデオには伊織お姉ちゃんのヒミツがあったの。
 『七宮伊織は綾小路咲夜を呪い殺した』って
 咲夜お姉ちゃんを殺したのは柏木お姉ちゃんでしょう?」




250 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 01:26:02.81 ID:tK9GUrWQ0


――本日はここまで。遅れて申し訳ありません。


――時間があれば今週中にもう一度更新するつもりです。


251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 20:13:24.61 ID:4nPrQrETO
主人公さんおかえり
252 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 00:14:31.15 ID:OlS1u4Bl0



ナナミヤ イオリ
「……っ!」



 伊織が咲夜を呪い殺した?
 そんな馬鹿な。あり得るはずがない。
 なら顔面蒼白になっている伊織の反応について、俺はどう説明すればいいんだ?



オモヒト コウ
「……どうしたんだ、伊織? 嘘、なんだよな?」


ナナミヤ イオリ
「それ、は……」


ノノハラ レイ
「……そういえば、咲夜さんが殺された事件のアリバイに関して、言葉濁してたよね。
 なるほど、呪殺しようとしていたのなら納得がいくよ。さすがにそれを大っぴらには言えないよね」



253 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 00:38:06.01 ID:OlS1u4Bl0



オモヒト コウ
「お前、聞いてたのか」


ノノハラ レイ
「そりゃまぁ、同じ部屋だったんだし。ボクの記憶力は知ってるでしょ?
 耳に入ってきた言葉は通り抜けられないんだよね、ボクの場合」


オモヒト コウ
「だからってお前なぁ……!」


ノノハラ レイ
「で、どうなのさ七宮さん?
 キミの答えによってはボクらの今後にも影響が出るんだけど?」


オモヒト コウ
「聞けよ。
 ……伊織、答えたくないなら答えなくていいんだぞ」


ナナミヤ イオリ
「……いえ、これは、話さなければならないのでしょうね」



 伊織は、諦めたような顔をしていた。





254 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 00:40:47.51 ID:OlS1u4Bl0



ナナミヤ イオリ
「私は、事件があったあの日、綾小路さんを呪い殺すための儀式をしていました」




255 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 00:52:01.57 ID:OlS1u4Bl0



オモヒト コウ
「……ッ!」



 嘘であってほしかった。
 俺は、伊織に、否定してほしかった。
 咲夜を殺したはずがないと。
 でも、それなら説明がつく。
 俺に対する裏切り、それはコロシアイを否定する俺に対し、咲夜に殺意を抱き、それを実行したこと。





256 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 00:59:41.01 ID:OlS1u4Bl0



オモヒト コウ
「……たとえそれが事実であったとしても、実際に咲夜を殺したのは柏木だったはずだ。
 だから伊織は咲夜を殺してなんかいない、そうだろ?」



 あの時、伊織が時が来たら話すと言った。
 そしてあの時、俺は伊織を許すと言った。
 なら、ここで俺がすべきことは一つ。
 非難されるであろう伊織を守ること、だ。




257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/10(日) 01:14:00.02 ID:U2Qi7HJSO
更新待ってました。
258 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:14:51.65 ID:OlS1u4Bl0



ノノハラ レイ
「わかってないなぁ。だからこそ問題なんだよ?」


オモヒト コウ
「なんだと?」


ノノハラ レイ
「ナナちゃんの証言が正しいなら、咲夜さんを殺したのは実際には七宮さんってことになるよね?
 それなら本当のクロは七宮さんのはずだ。それなら、学級裁判の判決が根底から覆らないかなぁ?」


オモヒト コウ
「何が言いたい」


ノノハラ レイ
「クロとしてオシオキされたのは柏木さん、だっけ?
 とにかくその人が処刑されたおかげでボクらは生き残ったわけじゃない。
 でも間違った人物をクロとして指名した場合、ボクらは死ぬんだよね?
 そこんとこハッキリさせておかないと、いけないんじゃないかとボクは思うんだよ」


オモヒト コウ
「……要するに、学級裁判の判決か動機ビデオの内容のどっちかが嘘だって言いたいんだろ?」


ノノハラ レイ
「どうかなぁ。ボクはどちらも真だと思うけど。それがどういうことを意味するのかはさておきね」


オモヒト コウ
「……モノクマ、見てるんだろ?
 どうなんだよ、今の話」





259 :♪モノクマ先生の授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:30:57.52 ID:OlS1u4Bl0



モノクマ
「うぷぷ! いいですね! 実にいい感じですね! 最高にギスギスしてますね!」


オモヒト コウ
「俺の質問にだけ答えろ。
 動機ビデオの内容が事実であるという証拠はどこにある?」


モノクマ
「……それがクマにものを頼む態度なのかなー?」


オモヒト コウ
「黙るなら黙るでいいさ。
 その時は俺はお前のことを、『平然とプレイヤーに嘘をつく最低のゲームマスター』として認識するだけだ。
 そんな奴の開催するデスゲームに、誰が従ってやるかよ」



 動機ビデオの内容が嘘なら、モノクマは偽りの動機で俺たちに殺し合いをさせようとしていたことになる。
 そうなれば、今後モノクマが殺人の動機として提示してくるものに一切の信ぴょう性がなくなるから殺人は起こらないだろう。
 学級裁判の判決が嘘なら、モノクマは自分にとって都合のいい展開にするためなら判決だって翻すと言っているようなものだ。
 これでも殺し合いは起きようがないだろう。




260 :♪モノクマ先生の授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:37:55.47 ID:OlS1u4Bl0



モノクマ
「うぷぷ、良い目をするようになったね。シュジンコウクンの面目躍如ってところかな?
 ここで証拠を出してあげても、それはそれで面白いんだけど、それじゃ期限を設けた意味がなくなっちゃうからね。
 証拠は期日になったら付いてくるよ。誰にも知られたくない秘密と一緒に、ね。
 だからオマエラに配った動機ビデオの内容も事実だし、当然学級裁判の判決だって本当なんだよ?
 ボクってば、クマ一倍公平公正にはうるさいんだよね!」


オモヒト コウ
「じゃぁ何か? 咲夜は伊織と柏木の両方に殺されたってことなのか?」


モノクマ
「……そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるかな。
 ま、どう解釈するかはオマエラの好きにすればいいよ!
 じゃ、バーイクマー!」



 いつも通り、モノクマは唐突に表れて唐突に去っていった。





261 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:45:03.19 ID:OlS1u4Bl0



ノノハラ レイ
「……さて、じゃぁ七宮さんの処遇なんだけど、どうすればいいかな?」


オモヒト コウ
「どうするもないだろ。何もしなくていいんだよ」


ノノハラ レイ
「どうして? 呪いとはいえ他人を殺したんだぜ? そんな人間とこれからも共同生活しろっていうのかい?」


オモヒト コウ
「さっきも言っただろ。咲夜を殺したのは柏木だ。
 そもそも、伊織が呪いの儀式を行ったからって咲夜がそれで死ぬとは限らないだろ」


ノノハラ レイ
「覚えてないの? モノクマが殺害方法の例として呪殺を取り上げてたでしょ?
 それって、普通の法律では認められていない呪いによる殺人を、モノクマは認めてるってことでいいんじゃないかな?」


オモヒト コウ
「実際に手を下したのは柏木だ。伊織が行った儀式と、柏木の犯行との因果関係はまるでない」


ナナミヤ イオリ
「もうやめてください!」



 ――不意に、伊織の叫び声がした。





262 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:54:12.38 ID:OlS1u4Bl0



ナナミヤ イオリ
「……もう、いいです。……ごめんなさい」



 それだけ残して、伊織は食堂を後にした。



オモヒト コウ
「……俺は伊織と話をしてくる。ついでに同行も調べておく。それでいいな?」


ノノハラ レイ
「まだ何も言ってないよ。
 けどまぁ、良いんじゃないかな。反対する理由もないしね」


タカナシ ユメミ
「あたしもついていくよ、お兄ちゃん」


オモヒト コウ
「夢見?」


タカナシ ユメミ
「理由がどうあれ、方法がどうあれ、あの女は人殺しかもしれないんでしょ?
 そんな奴と二人きりなんて危険すぎるよ! お兄ちゃんが何と言おうとあたしはついていくからね!」


オモヒト コウ
「お、おう……、俺を、心配して言ってくれてるん、だよな?」


タカナシ ユメミ
「あったり前じゃない! だってあたしはお兄ちゃんのことが大好きなんだもん!」


オモヒト コウ
「……わかった。けど、あまり刺激するんじゃないぞ?」


タカナシ ユメミ
「わかってるって! あたしはただ黙ってお兄ちゃんについていくだけだから♪」






263 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:58:29.23 ID:OlS1u4Bl0



ノノ
「なんか、おいてけぼりになっちゃったね」


ナナ
「これっぽっちもおもしろくないわ。言わないほうがよかったかしら」


アサクラ トモエ
「そうかな? いずれ秘密はばれちゃうんだし、それが早いか遅いかってだけだったと思うけど」


マスタ イサム
「事故みたいなものだろ。気にしない方がいいぞ」




264 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 02:01:35.66 ID:OlS1u4Bl0



ウメゾノ ミノル
「……うん、決めた。これから重大発表を行います!」


サクラノミヤ アリス
「は?」


サクラノミヤ エリス
「お兄さま? どうしたんですかそんな藪から棒に」


サクラノミヤ アリス
「どうせ大したことじゃないでしょ」





265 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 02:04:23.89 ID:OlS1u4Bl0



ウメゾノ ミノル
「今夜、マジックショーを開催するよ!
 20時になったら別館の多目的ホールに全員集合ね!」





266 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 02:08:09.36 ID:OlS1u4Bl0


――本日はここまで。


――>>257様 大変長らくお待たせしてしまいました。


――『時間があれば今週中にもう一度更新』などと言っておきながら実際は一週間遅れ……、返す言葉もございません。


――基本的に筆がとても遅いので、気長にお待ちいただければ幸いです。




267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/10(日) 09:05:32.72 ID:U2Qi7HJSO
>>266
良いんですよ。更新お疲れ様です。
>>1さんも忙しかったと思いますし、無理だけはしないでくださいね。
私はこのSSが完結するまで永遠に待ち続けますので……
続き、楽しみにしています。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/10(日) 11:33:05.74 ID:Ylv5APM10
乙乙
面白いよ
269 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/07/31(火) 22:30:52.36 ID:Fb7kGMc/0



サクラノミヤ アリス
「……突然何言いだすワケ?」


ウメゾノ ミノル
「さっきから動機ビデオがどうとか、みんな元気なさそうだしさ。
 パーッと明るくしたいじゃん?」


サクラノミヤ アリス
「とか言って、また何かろくでもないこと企んでるんじゃないでしょうね?」


ウメゾノ ミノル
「疑われるのは心外だよ。そりゃまぁ、僕のマジックの腕なんてたかが知れてるかもしれないけどさ」


サクラノミヤ エリス
「私はいい考えだと思いますよ、お兄さま」



270 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/07/31(火) 22:56:17.94 ID:Fb7kGMc/0



ウメゾノ ミノル
「そういうワケだから、今日のところは多目的ホールを使わないでほしいんだ。
 いろいろ準備をしておかなきゃいけないからさ」


ユーミア
「飾りつけならお手伝いしますが?」


ウメゾノ ミノル
「いや、いいよ。準備って言ってもタネを仕込むぐらいだし。むしろ一人の方が好都合なんだ。
 リハーサルもしておきたいしね。だから20時まで多目的ホールは締め切るつもりなんだけど」


ナナ
「えー、つまんなーい」


ノノ
「そのマジックショーがつまらなかったらどうしようかなー?」


ウメゾノ ミノル
「期待は裏切らないと思うよ。あまり高望みされすぎたら困るけど」




271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 00:17:53.58 ID:w37scj7SO
更新ありがとうございます。
272 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 00:28:39.51 ID:td1JVT9W0



ウメゾノ ミノル
「じゃ、そういうことで。
 覗きに来ちゃイヤだぜ」


ノノハラ レイ
「……そういわれると行きたくなっちゃうんだよなぁ」


コウモト アヤセ
「澪……」


ノノハラ レイ
「わかってるって。行かないよ。
 じゃ、ここにいない公と小鳥遊さんと七宮さんにはボクから伝えておくよ」


マスタ イサム
「……いや、俺がやる。余計なことを吹き込まないようにな」


ノノハラ レイ
「イマイチ信用されてないなぁ」


ノノハラ ナギサ
「それはお兄ちゃんの自業自得だと思う」


ノノハラ レイ
「ハハッ、返す言葉もないねぇ」



273 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 00:41:20.57 ID:td1JVT9W0

―――


オモヒト コウ
「伊織、開けてくれ! 俺の話を聞いてくれ!」

 固く閉ざされた伊織の部屋の扉を前に、俺は声を張り続けていた。




274 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 01:14:37.67 ID:td1JVT9W0



 何度呼び掛けても、返事はまるでない。
 それでも、俺は――。





275 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 01:20:24.74 ID:td1JVT9W0



タカナシ ユメミ
「あー、もう! じれったい! お兄ちゃん、ちょっとどいて!」



 しびれを切らした夢見が、ポケットから見たこともない金具を取り出してドアの金具をいじり始める。



――ガチャ



 ものの数分で、冗談のように、ドアが開いた。




276 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 01:33:06.64 ID:td1JVT9W0


タカナシ ユメミ
「ちょっと! お兄ちゃんに迷惑かけてないでいい加減出てきなさいよ!」


オモヒト コウ
「お、おい、それ無理矢理鍵を開けたやつが言うセリフじゃないだろ……っ?!」



 夢見が乱暴に開けたドアの先には、ロウソクの明かりでほのかに照らされた伊織の姿があった。
 その服装はいつもの巫女服ではなく、真っ白で左前の――



ナナミヤ イオリ
「あぁ、やはり、来てしまったんですね」



 儀式の祭壇の中心に、死に装束を着て、片手に日本刀を携えている。
 その目は深く暗い闇の底のように淀み、目の前にいる俺の姿を映しているのかもわからない。
 ある種の美しさすらも感じるそれは、自らを人柱とするための準備をしているようにしか見えなかった。




277 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 01:35:16.35 ID:td1JVT9W0


――本日はここまで。


――気が付けば二か月弱放置……っ! 不覚……っ! 圧倒的不覚……っ!


――それもこれもザンキゼロってゲームが悪いんだっ! ……なんて言い訳になりませんが。


――気長にお待ちいただければ幸いです。


――おやすみなさい。


278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 02:05:48.46 ID:w37scj7SO
乙です。ゲームが理由なら仕方がないです。
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 12:49:11.70 ID:EmwEIT3QO
乙、ザンキゼロ面白いよね
280 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/17(水) 22:23:01.98 ID:lCpjIcio0



オモヒト コウ
「伊織……、お前、それは……!」


ナナミヤ イオリ
「……見ての通りよ。この身を神に捧げることで、許しを請う儀式の準備をしていたの」



 伊織は笑っていた。
 すべてを諦めてしまったような、そんな笑みだ。



281 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/17(水) 23:50:33.31 ID:lCpjIcio0



ナナミヤ イオリ
「貴方が私を許してくれた時、とても嬉しかった。
 けれど、私はそれを裏切ってしまったの。コロシアイを否定している貴方を」


オモヒト コウ
「……咲夜を殺そうとしたこと、か?」


ナナミヤ イオリ
「綾小路さん……。私はあの人が……、あの女が妬ましかった……。
 私だけを見てほしいのに……、貴方は……、あの女の事ばかり……。
 そして今は、その隣に私がいない……!」


タカナシ ユメミ
「お生憎様、お兄ちゃんの隣にはあたしがいるだけで十分なの。ね、そうでしょ? お兄ちゃん?」



 ……頼むから夢見は空気読んでくれないかな。
 なんて口が裂けても言える雰囲気でもないが。
 今は伊織の話を聞くことだけに集中するんだ。




282 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/18(木) 00:38:45.14 ID:GzCi148V0



ナナミヤ イオリ
「私は神を裏切って、貴方とともにいることを選んだ。信仰よりも、貴方を。
 それなのに私は、醜い嫉妬で貴方さえ裏切って……」


オモヒト コウ
「だから、命で償おうっていうのか?」


ナナミヤ イオリ
「いいえ……、この罪は何をしても贖えるものじゃないわ……。それに――


 ――私がもう、生きていたくないもの」




283 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/18(木) 00:54:14.61 ID:GzCi148V0



ナナミヤ イオリ
「貴方にはもうこれ以上他の女で穢されて欲しくない。
 この身が張り裂けそうだから、貴方の心も体も、私だけのものにしたい。
 そう思えば思うほどに、私も他の女と同じく貴方を穢してしまっているのだと……。
 そんな思いは、もうしたくないの」




284 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/18(木) 01:10:37.32 ID:GzCi148V0



オモヒト コウ
「俺は、それでも伊織に生きていてほしい。伊織が死ねば、俺は悲しい。俺はそう言った筈だ。それは今も変わらない。
 嫉妬なんて人間なら誰だってするさ。それを汚らわしいだなんて俺は思わない。
 神や俺を裏切ったことで伊織が伊織自身を許せなかったとしても、神が伊織を許さなかったとしても、俺は伊織を許すよ。
 確かに人を呪い殺そうとしたことは褒められたことじゃないが、実際に人を殺したわけじゃない。
 俺だって、こんな奴死ねばいいとか、心の中で思ったことぐらいはあるさ。
 呪っただけで人を殺せるなら、この世は死体であふれてるはず、そうだろ?
 まして伊織はその行為を後悔してるんだ。真摯に反省しているんだったら、神様だって許してくれるって」


ナナミヤ イオリ
「……いつか、そう、貴方が食事中に倒れる前、私は貴方を、貴方だけを見ていた」



 澪が俺にサドンデスサプリを盛ったあの事件か……。
 できれば思い出したくなかったな。



ナナミヤ イオリ
「それが神のお告げだと、あの時貴方に言ったけれど……。おかしな話でしょう?」





285 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/18(木) 01:11:13.47 ID:GzCi148V0




ナナミヤ イオリ
「私にはもう、神の声など聞こえないというのに」




286 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/18(木) 01:12:45.10 ID:GzCi148V0


――本日はここまで。


――無事復旧できてよかったですね。


――誠に遅筆でご迷惑をおかけすると思いますが、これからもどうぞ御贔屓に……。


――それでは、おやすみなさいませ。


287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/19(金) 23:25:54.74 ID:Pn6YOGIc0

復活おめでとう
288 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga sage]:2018/12/02(日) 23:47:14.68 ID:GFmEfCn00



――お待たせして申し訳ございません。



――12月8日の投稿まで今しばらくお待ちくださいませ。



289 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/08(土) 22:38:56.10 ID:UuJeGyCa0



オモヒト コウ
「それって、どういう……」


ナナミヤ イオリ
「言葉通りの意味よ。今の私には神の声など聞こえていないの。
 そんな女が“巫女”だなんて、笑い話にもならないでしょう?」


オモヒト コウ
「じゃぁ、どうしてあの時俺のことを見ていたんだ?」


ナナミヤ イオリ
「……私がそうしたかったから」


オモヒト コウ
「え……?」



290 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/08(土) 22:49:35.67 ID:UuJeGyCa0



ナナミヤ イオリ
「神託などではなく、ただの私の願望だったの。
 神にこの身を捧げた私が、あなたを愛してしまったときから聞こえなくなって、
 再び聞こえてきたと思ったものは全て」



291 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/08(土) 23:28:28.27 ID:UuJeGyCa0



タカナシ ユメミ
「――アッハッハッハ!」


オモヒト コウ
「ゆ、夢見?!」


タカナシ ユメミ
「前から頭おかしいと思ってたけど、そこまでだったなんて!」



 夢見は、狂ったように笑っていた。あの時のように。
 ――あの時っていつだ?


292 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/08(土) 23:35:05.61 ID:UuJeGyCa0



タカナシ ユメミ
「そうやって純情ぶってお兄ちゃんにすり寄って悲劇のヒロインぶって!
 ムカツクのよ!」



 夢見は大きな裁ち鋏を構えていた。その切っ先は、人に突き刺せそうなほど鋭い。
 どこかで見たような光景だ。どこだ?いつだ?
 頭が痛む。目の前が赤く染まっていく。



293 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/08(土) 23:50:06.96 ID:UuJeGyCa0



タカナシ ユメミ
「あんたがここでどう死のうと勝手だけど、それじゃお兄ちゃんの心の中にあんたの存在がしこりとして残っちゃうじゃない!
 そんなの絶対に許さない! お兄ちゃんの傍にいていいのも、心の中にいていいのも! あたしだけなの!」


ナナミヤ イオリ
「……そうね、そうでしょうね。私は貴方が羨ましかった。堂々とあの人に触れ合える貴方が。
 あの人の傍にいられる貴方が妬ましかった。
 ――あの人と一緒に居られる貴方が疎ましかった」



 ヒートアップしている二人を前に、俺はどこか他人事のようにこの光景をとらえていた。
 目の奥がチリチリと痛む。
 思い出してはいけない記憶が氾濫してくるかのような、思い出さなければならない記憶が抑圧されているような、そんな気がする。
 二人の喧騒が遠くに聞こえてくる。頭が痛い。



294 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/08(土) 23:59:29.44 ID:UuJeGyCa0



ナナミヤ イオリ
「――だからこれからは、自分に正直になろうと思うの。
 貴方に消えてほしいという、この気持ちに」


タカナシ ユメミ
「上等じゃない! あたしとお兄ちゃんの前から消えるのはあんたの方よ!」



 お互いに凶器を構え、今にも殺し合いが始まろうとしているというのに、今の俺には何もできない。
 どうすればいいかわからないだとかそういった次元ではない。
 押し寄せる頭痛と吐き気とめまいで平静を装うのがやっとだ。
 正直立っているのもつらい。
 だから、お互いに切りかかる二人を止めることなんてできるわけがなかった。



 伊織の刀と夢見のハサミが交錯し――




295 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/09(日) 00:00:22.58 ID:p7blMHmP0



 ――それらを真っすぐに飛んできた槍が弾いた。



296 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/09(日) 00:25:18.10 ID:p7blMHmP0



 二人の武器はあらぬ方向へ弾き飛ばされ、床に転がっていく。
 予想外の出来事に、俺も、夢見も、伊織も、呆気にとられていた。



マスタ イサム
「梅園がマジックショーをするそうだ。20時に別館の多目的ホールに集合だとさ」



 開けたままになっているドアから文字通りの横槍を投げ入れてきた増田は、その槍を回収しながら何事もなかったかのように言った。



マスタ イサム
「これが俺に支給された極上の凶器、携帯槍さ。普段は15センチで、最大まで伸ばせば1.5メートルになる」



 携帯電話のアンテナのようになっているようで、最も細くなっている石突から穂先へ向かって柄が収納されていく。
 穂先にキャップをかぶせれば、とても槍には見えないだろう。



マスタ イサム
「俺は誰かを殺すつもりはない。だが誰かに殺されるつもりもない。
 だからこれはいつも携帯するようにしていたんだが……、まさかこんな形で役に立つ日が来るとはな」



 俺の目の前の危機に颯爽と現れて、いつもの調子で話す増田が、逆光もあってか眩しく見える。



297 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/09(日) 00:46:24.00 ID:p7blMHmP0



マスタ イサム
「少しは頭が冷えたみたいだな。要件は伝えたから、あとは自分で何とかするんだぞ」



 そういって、増田は部屋から立ち去って行った。
 その言葉は多分、俺に向けられているのだろう。
 本来ならば、俺が止めなければならなかった場面だったのだから。



ナナミヤ イオリ
「……ごめんなさい。少し、頭に血が上っていたみたい」


タカナシ ユメミ
「ゴメンお兄ちゃん。あたしもちょっとどうかしてた」


オモヒト コウ
「いや、いいんだ。誰だって冷静さを欠くことの一つや二つはあるだろうさ」


タカナシ ユメミ
「お兄ちゃん、なんだかすごく顔色が悪いけど、大丈夫?! どこか怪我でもしたの?!」


オモヒト コウ
「――何でもない。大丈夫さ。あぁ、何でもないんだ」



 あの時に感じた不快感は、ここでの生活が始まってから何度も経験しているあの感覚だ。
 すでに慣れ始めてしまっている自分が怖くもあるが、それよりも殺し合いを防ぐことの方が大事だ。



ナナミヤ イオリ
「悩み事があればいつでも相談に乗りますからね?」


タカナシ ユメミ
「こんな頭のおかしな女よりあたしの方が適任だよ! ね? お兄ちゃん♪」


オモヒト コウ
「……いや、問題ない。俺は大丈夫だから、二人とも喧嘩するのはよしてくれ。
 伊織は必要以上に自分を責めなくていいし、夢見は必要以上に煽らなければいい……。
 それで、良いんだ」



 少しふらつきそうになるが気合で持ちこたえる。
 少なくとも、自分の部屋のベッドまでは倒れるわけにはいかない。



オモヒト コウ
「……あぁ、そうだ、夢見。モノクマがうるさいだろうから、それ、ちゃんと直しておけよ」



 本来鍵がかかっているのを無理矢理こじあけたのだから、校則違反ともとらわれかねない。
 ここに至ってもモノクマが出てこないということは、校則違反認定はされていないようだが、念のためだ。



タカナシ ユメミ
「あっ、うん。いや、やっぱり待ってお兄ちゃん! お兄ちゃーん!
 ……行っちゃった」



 夢見の制止を振り切って自分の部屋に戻った。



298 :♪Heartless Journy ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/09(日) 00:50:20.69 ID:p7blMHmP0



 ベッドに倒れこんでそのまま瞼を閉じれば、俺の意識はあっさりと薄れていく。
 やはりというか、精神的に限界だったらしい。
 このまま寝すぎて昼食を抜かしてしまうかもしれないなんて悠長なことを思いながら、俺は意識を手放した。



299 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/12/09(日) 01:11:41.59 ID:p7blMHmP0



――本来ならば非日常編前まで行きたかったのですが、本日はここまでとなります。


――自由行動のリクエストは随時受け付けておりますので、どうぞお書込みくださいませ。


――それでは、お休みなさい。



300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 07:05:08.57 ID:Wrb1Tlwk0
乙です
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