【ヤンデレCD】ヤンデレロンパ〜希望のヤンデレと絶望の兄〜2スレ目

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1 :モノクマ劇場 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:06:22.75 ID:BkhmFwPU0

 やぁみんな!みんなのアイドル、モノクマだよ!

 このスレは、好評につき1000に到達した前スレ、

『ヤンデレロンパ 〜希望のヤンデレと絶望の兄〜』

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420985746

 の2スレ目だよ!

 いやぁ、人気者は辛いね!

 このSS速報VIPに、ボクに嫉妬するあまり他のスレにも迷惑かける、超高校級の絶望を生んじゃうなんてさ!

 全く、自分の才能が恐ろしいよ!これぞ、超絶望級の学園長ことモノクマの面目躍如ってやつだね!

 ま、寛容な心で許してやってね!どれもこれも、罪作りなボクの才能が故、なんだからさ!

 うぷぷ。それじゃ、絶望的な気分を味わってもらったところで、まずは前回のあらすじからいってみようか!



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491091582
2 :モノクマ劇場 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:18:10.19 ID:BkhmFwPU0

 前回までのあらすじ

Act.0
 平凡な高校生であった主人公(オモヒトコウ)クンはある日突然、超高校級の主人公候補生としてコロシアイ強化合宿に参加させられることに!

Act.0.5
 平和な時間もつかの間、主人公クンは何者かの策によって超刺激物パスタを食べさせられ、あわや三途の川を見る羽目に!
 度を越えた悪戯を仕掛けたのは誰か?!ガッキュウサイバンカッコカリで明らかになる真相とは?!

Act.1
 ついに起きてしまった殺人事件!犯人は誰なのか?!()が外れた真の学級裁判の行方は?!
 クロへのおしおきが終わり、そこから繰り広げられる怒涛の展開とは?!

3 :モノクマ劇場 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:22:26.75 ID:BkhmFwPU0

 詳しくは前スレを読んでね!

 それじゃ、頭モノタロウなオマエラにもわかるよう簡単なあらすじも終わったので!

 お待たせしました!本編再開です!シーンはクロへのおしおきが終わった直後から!

 ヤンデレロンパ 〜希望のヤンデレと絶望の兄〜、Re:アクション!

4 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:30:17.71 ID:BkhmFwPU0


モノクマ
「エクストリィィィィィィィーム!アドレナリンがっ!五臓六腑にまで染み渡るゥゥゥゥ!」



 絶句。



ウメゾノ ミノル
「あばばばば あばばばばばば あばばばば あばばばばばば あばばばばばば」


マスタ イサム
「これ……、は……」



 これが、絶望。



ナナ
「きれいだわ。お花」


ノノ
「桜ってこうやって咲くんだね」


サクラノミヤ エリス
「ぁ……」


サクラノミヤ アリス
「ちょっ、慧梨主!しっかりしなさい!こんなところで気絶なんてしたら駄目よ!」



 そこには、希望なんて、欠片もなかった。



5 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:42:37.68 ID:BkhmFwPU0



ノノハラ ナギサ
「あ、ああ、あぁ……」


コウモト アヤセ
「これって……、こんなのって……!」


ナナミヤ イオリ
「神よ……」


タカナシ ユメミ
「…………」


ユーミア
「何ということを……」


アサクラ トモエ
「う、うぅ……、ちょっと気持ち悪くなっちゃった……」



 ここに居る全員が、目の前で起きた凄惨な処刑に頭がついて行っていなかった。



ノノハラ レイ
「ねぇちょっとモノクマぁ。コートに返り血がかかったんですけどぉ。弁償してくれるぅ?」



 ――訂正。全員ではなく、約一名の異常者を除く。


6 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 09:55:42.94 ID:BkhmFwPU0


ノノハラ レイ
「演出にこだわるのはいいけどさぁ、もうちょっと何とかならなかったの?これ
 皆絶望通り越してドン引きだよ?」


モノクマ
「えぇ……?長いこと学園長やってるけど、おしおきに駄目だし喰らったのは地味に初めてですよ……?
 あー、もう、わかったよ!シミ抜きはあとでちゃんとやっておくから!」


ノノハラ レイ
「皆の分もよろしくね?」


モノクマ
「十四人分も?!……わかった、わかりました!返り血が付いたオマエラの服は消灯時間中に責任をもって処理しておくから!」


オモヒト コウ
「おい、澪。一体何のつもりだ?」


ノノハラ レイ
「何の話?」


オモヒト コウ
「とぼけるな。なんてお前はそう平然としてられるんだよ!」


ノノハラ レイ
「どうして?逆に聞きたいんだけど、キミたちは見知らぬ他人が死んだってニュースを見て、『可哀想』以上の感情を抱くの?
 親や親友が死んだときと同じように泣けるって言うんだ?そりゃまた随分と感受性豊かなことで。
 まぁ、しばらく桜は見たくないっていうなら同感なんだけどさ」



 ……こいつは一体何を言っているんだ?
 いや、理解しようとするな。こいつがおかしいのは今に始まったことでもないだろうが。


7 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 10:01:23.22 ID:BkhmFwPU0


オモヒト コウ
「柏木はお前のクラスメイトじゃなかったのか?
 あんな風に助けを求めていたのに、その手を振り払うとかどういう神経してるんだお前は?!」



 正直な話、こいつにはもう口を開いて欲しくなかった。
 コロシアイなんて関係なく、こんな奴は存在してはいけないと思いたくはない。
 これ以上こいつを野放しにすれば、きっとこれ以上の災難の元になる。



ノノハラ レイ
「カシワギ……?誰それ」


オモヒト コウ
「……は?」



 予想外のセリフに、俺も、澪を除いた誰しもが絶句していた。


8 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 10:17:46.17 ID:BkhmFwPU0



ノノハラ レイ
「どうしてみんなしてそんな顔でボクを見るのかな?何かいいことでも言った?」


ノノハラ ナギサ
「お、お兄ちゃん……、同じクラスの柏木園子さんのこと、だよ?」


ノノハラ レイ
「え、そんな人いたっけ?」


コウモト アヤセ
「……可哀想。柏木さん、澪に忘れられちゃったんだ」


オモヒト コウ
「お、おい、ちょっと待て!忘れたってどういうことだよ!なんでついさっき目の前で殺された奴の事を忘れることが出来るんだ!」


ノノハラ レイ
「あー……、そう、なるほどね。そのカシワギって人は、たった今おしおきで死んだ人なんだ。
 えっとね、どう説明したらいいかな。ほら、ボクって記憶力いいじゃない。
 それっていいこともあるけど、やなことも多いんだよね。過去のことをいつまでも引き摺ったり、嫌な思い出が頻繁にフラッシュバックしたりさ。
 そんなストレスに苛まれるのは嫌だからさ、忘れるようにしてるんだ。意図的に」


オモヒト コウ
「意図的に……、って。そんなことできるわけないだろ!」


ノノハラ レイ
「できるよう訓練したんだよ。この記憶力とうまく向き合うためには、どうしても必要だからさ」


ユーミア
「……人間の脳はコンピュータと違って、メモリーの消去を容易く行うことはできません。
 少なくとも、近しい人間一人を、存在ごと丸々、意図的に忘却するなんて。
 一体どのような技術が必要だと思っているのですか?」


ノノハラ レイ
「ま、ちょっとした自己暗示の応用だよ。習得に結構時間かかっちゃったけど、慣れれば大したことないって」


9 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 10:36:10.04 ID:BkhmFwPU0


ノノハラ レイ
「それにしても、そのカシワギって人?よっぽど酷い事しでかしたんだね。
 いくらその人のことを嫌いになっても、大抵の場合はその嫌いになった原因を忘れるっていうのに。
 その人の存在そのものを否定するってことは相当こっ酷く裏切られたんだろうね」



 ……もう、言葉が出ない。
 こいつは。
 俺の目の前にいる、野々原澪という存在は。
 本当に俺たちと同じ人間なのか?
 俺の目が正しければ、こいつはヒトのカタチをした、別のナニカなんじゃないのか?



マスタ イサム
「もういい、それ以上喋るな。ユーミア!」


ユーミア
「かしこまりました、マスター!」



 増田とユーミアが、澪を取り押さえにかかる。
 こんな危険な奴を野放しにしてはおけないと思っていたのは俺だけじゃなかったんだ。



ノノハラ レイ
「っとと、やめてよボクそんな喧嘩強くないんだからさぁ」



 澪は二人を寸でのところで、飄々と交わしていく。
 気が付けば、俺も参戦していた。こいつは一発殴っておかないと気が済まない。



オモヒト コウ
「おらァッ!」



 増田とユーミアに気を取られてがら空きになった顔面に、渾身の右ストレート。



ノノハラ レイ
「やだなぁ暴力は。怪我したら痛いじゃん」



 だというのに澪は、ミットでボールを受けるように、容易く拳を掴んで止めて見せた。
 まるで友達とじゃれ合っている小学生の様な、満面の笑みを浮かべて。
 すぐさま拳をはなして、距離をとる。一瞬反応が遅ければ、強烈な蹴りを脇に食らっていたはずだ。



10 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 10:47:03.97 ID:BkhmFwPU0



オモヒト コウ
「お前は……、お前は一体何がしたんだ?お前の目的は一体何なんだよ?」


ノノハラ レイ
「目的……、ねぇ?前に言ってなかったっけ?ここでの生活を受け入れるべきだ、ってさ」



 確かに、こいつは初日からそう言っていた。
 最初は冗談か何かだと思っていたのに、こいつは本気でこのホテルに骨をうずめるつもりでいる。



ノノハラ レイ
「つまりはそういうことだよ。ここでの生活をより快適なものにするために、ボクはあくせく頑張っているんだ」


オモヒト コウ
「どこがだ!お前がやったことはコロシアイの誘発じゃないか!」


ノノハラ レイ
「だからさ、誤解なんだって。
 そりゃ、確かにそうなるように動いた面もあるけど、それは未然に防ぐことで誰も殺人を犯そうなんて考えないようにするつもりだったんだからさ」


オモヒト コウ
「防げてないからこうなったんだろ?!」


ノノハラ レイ
「いやぁ、耳が痛い話ではあるね。うん、次からは死人が出ないように頑張るよ」


オモヒト コウ
「この野郎!」


サクラノミヤ エリス
「もうやめてください!」


11 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 11:08:29.81 ID:BkhmFwPU0



 慧梨主の声に、俺たち四人は固まった。



サクラノミヤ エリス
「どうしてそう争ってばっかりなんですか!
 こういう時こそみんなで力を合わせるべきじゃないんですか?!」


マスタ イサム
「そうは言うがな。むしろ力を合わせるべきだからこそ、足並みを乱すようなこいつは放っておけないんじゃないか」


ユーミア
「彼は……、間違いなく今後の生活の火種になります。
 少なくとも、ここでの生活を支配する為にマッチポンプを企てるような人ですから」


オモヒト コウ
「悪いが、こいつだけは一発殴っておかないと気が済まないんだ」


ウメゾノ ミノル
「それがモノクマの思うつぼだってわからない?
 見なよ。君等が醜い争いをしている様を、憎たらしく笑いながら見てるじゃないか」


モノクマ
「うぷぷ……。そうそう、こういうのが見たいんだよ。お前らが争えば争うほど、疑心暗鬼の根は深くなる。
 そうすれば今度はもっと簡単にコロシアイが起きるからね!ボクの目的は、絶望。それだけだもん!」


12 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 11:24:02.79 ID:BkhmFwPU0



モノクマ
「口では綺麗事なんていくらでも言えるけど、本心はどうかなぁ?
 案外、慧梨主さんもコロシアイに乗り気なんじゃないの〜?」


サクラノミヤ エリス
「そんなことありません!」


モノクマ
「さぁて、どうだかねぇ?虫も殺せませーん!みたいな清純派ぶってる娘ほど、簡単に殺人に走るんだよ!経験則からして!」


サクラノミヤ エリス
「うっ、ううっ……!」


ノノハラ レイ
「心配ないって。もう殺し合いなんて起こさせないからさ」


コウモト アヤセ
「どうして、そう言い切れるの?澪、貴方は何を考えているの?わからないよ……」


ノノハラ レイ
「ボクがここでの生活を支配しようとしているのはね、みんなもここでの生活を受け入れてほしいから、なんだよ」


コウモト アヤセ
「わたしたち、も?」


ノノハラ レイ
「そう。みんなが外の世界の未練を捨てて、ここでの生活を受け入れてもらうために、ボクはここをみんなの楽園にしたいんだ。
 ユートピアって言うのは、支配者によって徹底的に管理されて初めて成り立つものだからさ」


13 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 13:10:09.85 ID:BkhmFwPU0



オモヒト コウ
「お前は……、お前はそのために、咲夜を犠牲にしたって言うのか?」


ノノハラ レイ
「正直ね、失敗だったと思うんだよ。彼女のケアを、キミに任せたのはさ」


オモヒト コウ
「何だと……?!」


ノノハラ レイ
「どうやら過大評価だったらしいね。そのせいで、多少やりすぎても君がフォローしてくれると思っちゃった。
 キミのことをちゃんと評価できていれば、ボクももっと安全策で行ったんだけどね」


オモヒト コウ
「言わせておけば……っ!」



14 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 13:39:18.87 ID:BkhmFwPU0


マスタ イサム
「モノクマ……、それを操っている黒幕を差し置いて、ここでの生活を牛耳ることなんて本当に可能だと思っているのか?」


ノノハラ レイ
「そんなのやってみなけりゃわからないよ」


ナナミヤ イオリ
「支配なんて考えなくても、協力してここから脱出する方法を考えた方がよかったのでは?」


ノノハラ レイ
「それこそモノクマが真っ先に封じるでしょ。捕まえた獲物をわざわざ逃がす真似なんてボクなら絶対しないし。
 だから、外に出るためなら自分以外の全員を犠牲にしなけりゃならない。それがいやなら、ここで永遠に過ごすことを受け入れるしかないんだよ。
 かといって、ここに永住するよう説得するのは骨が折れるし時間もかかる。
 だから、絶対的な力による征服が必要なんだよ。手っ取り早いし」


アサクラ トモエ
「とんだ暴君だね。そういった人たちがどういう末路と辿ったかしらないわけじゃないんでしょ?」


ノノハラ レイ
「頭上に剣が吊り下げられてるのに、それに気を配らない方がおかしいよ。
 寝首を搔かれる側が鈍いだけなんだし。ボクはそんなに甘くないよ?」


15 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 13:41:40.65 ID:BkhmFwPU0



ノノハラ ナギサ
「でも……、ここでの生活を受け入れるって……、どうすればいいの?」


ノノハラ レイ
「とても簡単な話だよ。――諦めればいいのさ」



 また、あの目だ。
 何もない、穴のような暗い目。



ノノハラ レイ
「将来の夢、好きな漫画やアニメの続編、学校生活、これまでの日常。
 何もかも全部諦めれば、ここでの生活を受け入れてしまえば」



 薄く笑みを浮かべた口から洩れるのは、毒。



ノノハラ レイ
「早くなれればなれるほど、――ボクらはきっと楽になれるよ」



 俺たちを堕落へと導く、甘い猛毒。


16 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 13:47:06.62 ID:BkhmFwPU0



 一瞬か、それとも長い間なのか。時間の感覚が曖昧になる沈黙。
 このまま学級裁判がお開きになれば、再びあのホテルへ戻ることになるが……。
 どうしても、澪に確認しておきたいことがある。
 かと言って、これを追及すれば余計波紋が大きくなるかもしれない。
 どうする?するべきか?しないべきか?



|>澪を追及する
 澪を追及しない



17 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 13:52:39.27 ID:BkhmFwPU0



オモヒト コウ
「……なぁ澪。一つだけ聞かせてくれないか」


ノノハラ レイ
「なんだい?スリーサイズ以外ならある程度は答えてあげるよ?」


オモヒト コウ
「……お前、柏木が犯人だって知ってたんじゃないか?」


ノノハラ レイ
「――どうしてそう思うのかな?」


オモヒト コウ
「咲夜の死体を発見したあの時、覚えてるよな?」



――回想――



ノノハラ レイ
『犯人も帰り道、テーブルにぶつかって初めて気づいたんじゃないかな。
 足跡はあそこで途切れてるし、拭き取ろうとしたのか形が大分ぼやけてたから』



18 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:08:46.75 ID:BkhmFwPU0



オモヒト コウ
「あの血の足跡を見ただけで、なんで犯人がテーブルにぶつかった、なんて断言できるんだよ。まるで見てきたみたいじゃないか」


ノノハラ レイ
「途切れている場所的に見て、テーブルに進路を妨害されたことは容易に想像できるよ。
 そこから推察すればぶつかったんじゃないかと思うのは――、なんて、建前だけど。
 うん、そうだね。君の推理通りだよ。聞こえたんだ。オルトロスの死体を焼却炉へ運んだ帰り、誰かが食堂のテーブルにぶつかった音をね。
 短い悲鳴も聞こえたよ。当時はわからなかったけど、状況的に考えれば、それが犯人のものだと想像するのは簡単だよね?」


オモヒト コウ
「まだ白を切るのか?咲夜が殺されてから朝倉がドライヤーの音を聞くまで、まだ三十分もある。
 その間お前は一体何をしていたんだ?柏木と組んで、証拠隠滅でも図っていたんじゃないのか?」


ノノハラ レイ
「……さぁ?キミが勝手に想像するのは勝手だけれど、カシワギさんとやらはもう処刑されて、ボクはその人に関する記憶を思い出すつもりもないからさ。
 キミのそれを正解か不正解かを判断する材料なんてないんじゃないの?」


オモヒト コウ
「確かにないが、疑うには充分だろうが。もしこの疑いが真実なら、お前は当時柏木を庇おうと思っていたことになるんだろ?
 裁判中だって、途中までは柏木を庇っていたんじゃないのか?それを途中から突き放すような発言ばかりになって!
 なんでそんな風に柏木の気持ちを踏みにじることができる?!あいつはお前の仲間じゃなかったのか?!」



 感情が抑えきれなくなって、澪の襟元を掴みあげてしまう。
 人の心をそんな風に弄ぶような人間を、許せそうにないからだ。


19 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:19:43.64 ID:BkhmFwPU0


ノノハラ レイ(CV:水橋かおり)
「なら咲夜さん(わたし)は仲間じゃなかったの……?」


オモヒト コウ
「なっ……?!」



 澪の口から紡がれたのは、咲夜の声だった。



ノノハラ レイ(CV:水橋かおり)
「どうして公(あなた)は咲夜さん(わたし)を殺したあの女を庇うの?
 咲夜さん(わたし)よりもあの女の方が大事だって言うの?」


オモヒト コウ
「違う!俺は……っ!」


ノノハラ レイ(CV:水橋かおり)
「咲夜さん(わたし)の事は仲間だと思ってなかったんでしょ?もしかして忘れてたの?
 どっちにしろ、公(あなた)にとって咲夜さん(わたし)はその程度の存在だったのよね?」



 咲夜の声で、嘲笑うように。
 顔そのものは澪のままでも、まるで咲夜本人が喋っていると錯覚してしまいそうなほどに、精巧な再現。



ノノハラ レイ
「まぁまぁ、仲良くしようよ。カシワギさんとやらを殺した、同じ穴の狢同士さ」



 固まった俺の手を振り払い、服を正しながら、自身の声で澪は言った。



20 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:23:54.74 ID:BkhmFwPU0


オモヒト コウ
「同じ穴の狢……、だと?」


ノノハラ レイ
「だってそうでしょ?皆、自分の命惜しさに、クロに投票したんだよね?
 なら、手を下したのはモノクマでも、死なせたのはボクらだよ」



 できることなら違うと反論したかった。
 全部モノクマが悪いのだと。
 だが今更どういったところで、それは責任転嫁にしか聞こえない。



ノノハラ レイ
「無益な喧嘩はやめようよ。これからずっと一緒に暮らしていくんだからさ――、あれ?」



21 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:37:05.91 ID:BkhmFwPU0



 その場から立ち去ろうとする澪の腕が、見えない手に引っ張られているように体の動きに取り残される。
 よく見れば、コートの袖が不自然に、線上に凹んでいる。
 それは、糸だ。極限まで細い、丈夫な糸が、澪を捉えていた。
 その糸を辿ると、朝倉の指先に繋がっている。



アサクラ トモエ
「残念だったね。剣を吊り下げている糸にも気を配らないと。自分で思っている以上に結構鈍いんじゃないの?」


ノノハラ レイ
「朝倉……、そう、ははっ、アサクラ、阿鎖玖羅ね。そういう事」



 その糸が徐々に澪の体に絡まっていき、拘束していく。
 生殺与奪を朝倉に握られているというのに、澪はおとなしく笑っている。



22 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:37:49.93 ID:BkhmFwPU0



ノハラ レイ
「じゃ、キミの頑張りに免じて、今日の所はおとなしく捕まっておいてあげる」


アサクラ トモエ
「……先輩、ちょっと運ぶの手伝ってくれる?」


マスタ イサム
「あぁ」


ノノハラ レイ
「あぁ、ちょっと、優しく運んでよ。これでも殺人を未然に防ごうとした一番の功労者なんだからさ」


マスタ イサム
「どの口が言うんだどの口が」


ユーミア
「口も塞いでおいた方がいいのかもしれませんね」


モノクマ
「うぷぷ。何だか面白い展開になってきましたね。
 お帰りの際はあちらのエレベーターに乗ってくださいね!」



 壁の一部が開くと、そこに小部屋があった。それがエレベーターなのだろう。
 っていうか、最初からこれに乗せてくれれば滑り台なんて必要なかったんじゃないか?


23 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:39:25.65 ID:BkhmFwPU0



ノノハラ レイ
「あ、そうだ。どうしてもここから出たいって人に朗報だよ」



 全員がエレベーターに乗ったころ、澪が口を開いた。
 すかさずユーミアが塞ごうとするが、構わず爆弾を投下する。



ノノハラ レイ
「ボクはね、気づいたんだ。ある方法を使えば、この合宿から……、今だと最大七人が同時に脱出できるってことにさ」


24 :♪オールド・ワールド・オーダー ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:43:43.22 ID:BkhmFwPU0



マスタ イサム
「ちょっとまて、どういうことだそれは?!」


ノノハラ レイ
「教えてあーげない。取引にならないもんね」


オモヒト コウ
「取引、だと?」


ノノハラ レイ
「今なら大サービスだよ♪枠はあと四人分残ってるからさ。ボクに取り入るなら今の内なんじゃないかなぁ?」



 澪は悪戯が成功した子供のように無邪気に笑い、エレベーターは上昇を始める。
 コロシアイ強化合宿は、まだ始まったばかりに過ぎなかった。


25 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:45:25.02 ID:BkhmFwPU0



  第一章

 ホテルぐらし!

   END


26 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:46:47.21 ID:BkhmFwPU0



   生き残りメンバー
     14人



     To Be
    Continued




27 :ITEM GET! ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:48:18.46 ID:BkhmFwPU0



 プレゼント“園芸用スコップ”を獲得しました。


 プレゼントメニューで確認できます。


28 :プレゼントメニュー ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:49:02.88 ID:BkhmFwPU0



園芸用スコップ:第一章を生き延びた記憶。
        硬い石が混じっていることもある土を掘り返す道具。最初は突き刺す。




29 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/04/02(日) 14:51:17.71 ID:BkhmFwPU0



――や、やっと第一章が終わりましたね。


――ここまでで二年もかかってしまいましたが……、果たして完走できるのでしょうか……。


――何はともあれ、新スレに移行しましたが、これからもヤンデレロンパをよろしくお願いいたします。


30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/02(日) 22:23:16.21 ID:sGCPpPC2o
新スレ乙です
病んでまいりましたね、わくわく
31 :モノクマ劇場 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:03:13.48 ID:+LVDdCHg0



 今日はオマエラに魔法の言葉をお教えしましょう。

 それは『CV:(任意の声優)』です。

 これがあるとあら不思議!その文章があたかもその声優さんが読み上げているようになるのです!

 どんなに予算がなくても大丈夫!声が特徴的な人なら、みんな想像で補ってくれるからね!

 その声優さんが絶対に言いそうにないセリフだっておかまいなしさ!

 ま、ボクほど愛くるしいキャラになってくると、どんなCVでも可愛さは損なわれないんだけどね!(CV:中田譲治)

 ん?何か声が変な感じ……?

 ま、いっか!バーイくまー!(CV:中田譲治)



32 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:06:48.57 ID:+LVDdCHg0



 ……。



ノノハラ レイ
「ねぇ」



 …………。



ノノハラ レイ
「ねぇったらぁ」



 ………………。



ノノハラ レイ
「ねぇ、早く食べさせてよぉ〜。綾瀬ぇ〜」



 目の前には細い糸で雁字搦めにされてベッドに横たわってる澪。
 わたしの部屋で二人きり。
 どうしてこんなことになっちゃってるの……?
 ううん、わかっててる。ただ少し、もう少しでいいから、考える時間が欲しい。




33 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:29:40.20 ID:+LVDdCHg0


――――


 学級裁判が終わって、エレベーターに乗ったわたしたちは、ホテルエスポワール二階の食堂前まで運ばれた。

 ここに繋がっているのなら、最初からこのエレベーターで裁判場まで運んでくれればよかったのに。

 なんてあの時は思いつきもしなかったし、口に出せる雰囲気でもなかった。

 時計は午後六時を指していて、食堂のテーブルには待ってましたと言っているような、出来立ての料理が並んでいて。

 この頭がおかしくなりそうな合宿にも慣れてきて、テーブルに並んだ豪勢な食事もいつも通りの光景だった。

 二人――綾小路さんと柏木さん――の席だった場所に、お皿もおいてないこと以外は。

 たったの一日。

 たったの一日で二人も死んじゃった。

 殺されちゃった。

 それが目の前で起きたはずなのに、まだ心のどこかで“これは現実じゃない”と思い込みたくなって。

 それなのに、鼓膜に残響してくる悲鳴が、鼻腔から消えない血の残り香が、網膜に焼き付いた飛沫が、現実逃避を許さない。



34 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:30:30.65 ID:+LVDdCHg0



 ……澪の言う通りかもしれない。


 ここでの生活を受け入れてさえしまえば。澪に全てを委ねてしまえば。


 こんなに苦しい思いをしなくても済むのかもしれない。


 けど……、わたしは……。


35 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:40:49.97 ID:+LVDdCHg0



オモヒト コウ
『……』


ナナミヤ イオリ
『どう……、でしたか?』


オモヒト コウ
『無くなってたよ……。血痕も、何もかも……。きれいに掃除されてた』



 主人君がキッチンから出てきて、その言葉から綾小路さんの死体が片づけられたことが知らされる。

 それはつまり、綾小路さんが確かに生きていたという最後の証さえも、無情に消されてしまったということ。

 ここでは、人の命は余りにも無価値だと、わたしたちは綾小路さんの死を悼むことも許されないのだと、思い知らされる。

 目の前に並べられている料理は、綾小路さんの死も、柏木さんの死も、忘れてしまえと言っているように、その存在感を放っていて。

 けど、直前にあんなものを見せられてしまったら、とても食欲なんてわかなかった。

 それが、薄くスライスされた生の肉なら、なおさら。


36 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 00:58:42.55 ID:+LVDdCHg0


ノノハラ レイ
『へぇ〜、桜肉なんて今日日珍しいねぇ。でもボク結構好きなんだよ』


アサクラ トモエ
『……いい加減その減らず口も縫い合わせた方がいいのかなぁ?』


ユーミア
『裁縫道具ならお貸ししましょう』


マスタ イサム
『流石に本気なら止めるが……、お前もいい加減空気を読め』



 朝倉さんに縛られ、増田君に担ぎ上げられている澪は、平常運転というか、自分の置かれている状況がまるで分っていない――。

 ううん、多分、分かった上で、というより、むしろ解っているからこそ、ああいう言動をしているんだ、と、思う……。

 本気で、ここでずっと暮らそうと思っているから。本気で、この合宿生活を、わたしたちを支配しようと思っているから。

 これが、澪の本性だって言うの……?こんなのが、本物の澪だっていうの……?

 わたしが知っている澪は、一体何だったの……?

 ううん、多分、どれも野々原澪本人なんだと思う。わたしはその一面しか知らなかっただけ。

 それなら、わたしがするべきことは……。
 


37 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:05:03.41 ID:+LVDdCHg0



オモヒト コウ
『そいつは口塞いだって効かないだろ。縛り付けただけで無力化できたとも思えないしな。
 どこか適当なところに隔離した方がいいんじゃないか?』


タカナシ ユメミ
『そうだよね!あんなのがお兄ちゃんの周りに居たら迷惑だもん!』


ウメゾノ ミノル
『隔離するったって……、どこにさ?』


サクラノミヤ アリス
『倉庫なんておあつらえ向きなんじゃない?』


サクラノミヤ エリス
『それは流石に可愛そうなんじゃ……』


ノノハラ ナギサ
『お兄ちゃんが病気になったらどうするの?!』


ナナ
『むしろ弱らせるべきなんじゃないかしら……』


ノノ
『今のままだと強すぎるもんねー』



38 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:21:41.07 ID:+LVDdCHg0



コウモト アヤセ
『――わたしが見張る』


ナナミヤ イオリ
『河本さん?』


コウモト アヤセ
『わたしはこのまま澪を放ってはおけないけど……、みんなが澪と一緒に居たくないっていう気持ちもわかる。
 だから、隔離には賛成する。でも、このままじゃ澪のお世話が必要でしょ?一度わたしの部屋に、わたしごと閉じ込めてくれない?』


ノノハラ ナギサ
『綾瀬さん?!』


ノノハラ レイ
『……いや、それは流石に駄目だよ、綾瀬』


コウモト アヤセ
『どうして?そうやって縛られてるなら、あなたがわたしに手を出すなんてことはないから、風紀的には問題ないでしょ?
 二人きりの密室じゃどちらかが殺されたらもう片方に疑いがかかるのは当然なんだし、それが解りきってるから事件なんて起きようがない。違う?』


39 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:24:02.40 ID:+LVDdCHg0


ノノハラ レイ
『ボクが言ってるのはそう言うことじゃなくてさ……!』


オモヒト コウ
『そうだな。そうした方がいいかもしれない』


ナナミヤ イオリ
『いいんですか?野々原君と河本さんは幼馴染なんでしょう?』


オモヒト コウ
『だからこそ、だ。河本も自分のせいで一緒に監禁される羽目になるって言うなら、澪だって懲りるだろ。
 澪に人間らしい感性が残っていれば、の話だがな。
 それに、もし監禁して体調を崩されてみろ。それで死なれでもしたら、誰がクロになるんだ?』


タカナシ ユメミ
『あ、そっか。こんな奴は別に死んでも構わないけど、そういう事なら死なれちゃ困るもんね。
 それで監視役がいるけど、そんなの誰もやりたがらないし。進んでやってくれるならそれでいいよね』



 ちょっと夢見ちゃんの言い方は引っかかるけど、概ねその通りだ。

 これは、わたしができる最大限の譲歩。

 これ以上、澪を追い詰めてほしくない。少なくとも表面上は、皆のために行動していた澪を、これ以上責めて欲しくなかった。


40 :♪Darkness Time ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:36:49.43 ID:+LVDdCHg0

――――


 そんなやり取りがあったから、澪がわたしの部屋に運ばれて、わたしが二人分の食事を部屋に持ち込んで、鍵である電子生徒手帳を渚ちゃんに預ける。

 更に、部屋の中と外からつっかえ棒代わりに、食堂の椅子の背もたれをドアノブにひっかけるように立てかけて固定する。

 廊下側の椅子は、何があっても消灯時間中は外さないよう取り決めたから、これで今晩はずっとこの部屋で澪と二人っきり。

 本当なら、すごくうれしいシチュエーションの筈なのに……。

 本当に、どうしてこうなっちゃったんだろ……。



ノノハラ レイ
「ねぇねぇ。ねぇってばさ。綾瀬さん?聞こえてますぅ?ねぇ?もしも〜し?」



 澪は二人っきりになったとみるや途端に子供みたいに催促しだすし。



コウモト アヤセ
「はいはい、分かってるから急かさないの」



 とりあえず、今はこの手のかかる幼馴染を頑張ってあやせばいいのかなぁ……?



41 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:39:47.50 ID:+LVDdCHg0



     第二章


ノーマーダー・ノーライフ


    (非)日常編


42 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/05/02(火) 01:42:29.74 ID:+LVDdCHg0


――短めですが、第二章の導入が終わったところで本日はここまで。


――特にこれと言った理由もなく視点が変わりましたが、それが何を意味するかはご想像にお任せいたします。


43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 08:30:08.09 ID:99WW/07Io
なんかもう死亡フラグが立った気がする…
乙です
44 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:25:21.08 ID:5no1+VtX0



 澪の食事が終わって、口の周りを優しく拭う。
 うん、綺麗になったかな。食べこぼしもないし。
 食べてすぐ……っていうか、寝ながら食べるのはどうかとは思ったけど。



コウモト アヤセ
「……ねぇ、澪。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いい?」


ノノハラ レイ
「人が食べ終わって早々、何を聞きたいっていうのさ」


コウモト アヤセ
「澪は、まだ諦めてないんでしょ?この合宿生活を支配すること」


ノノハラ レイ
「当たり前じゃない。でなきゃ、交渉の提案なんてしないよ」


コウモト アヤセ
「でも、ここから出ることも諦めきれてない。外の世界に未練を捨てきれていない。そうでしょ?」


ノノハラ レイ
「……なんでそう思うのかな。いや、あの提案から察することもできるだろうけどさ」


コウモト アヤセ
「何年あなたの隣にいると思ってるの?あなたが何を考えているかは、目を見ればわかるわ」



45 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:26:30.05 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「――敵わないなぁ、綾瀬には。うん、そうだよ。外の世界で、やり残したことはある。
 ここから脱出できなきゃ叶えられない、どうしても果たしたい夢が、ね」


コウモト アヤセ
「でもそれって矛盾してない?」


ノノハラ レイ
「……モノクマが提示した、ここから出られる条件を覚えてる?」


コウモト アヤセ
「コロシアイでクロになって……、学級裁判でシロをだまし切って生き残ること、だよね?」


ノノハラ レイ
「確かに、それが最も手っ取り早い方法だけど……、それは精確な正解じゃないね」



46 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:28:37.56 ID:5no1+VtX0



――――



モノクマ
『オマエラには招待状にも書いてある通り、 これから希望ヶ峰学園の生徒として相応しくなってもらうための強化合宿に参加してもらいます!
 期限は一生!学園長ことこのモノクマが、オマエラを希望ヶ峰学園の生徒として相応しい人物になったと判断するまでずっとです!』



――――


47 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:29:19.64 ID:5no1+VtX0


ノノハラ レイ
「つまりさ、ボクらが希望ヶ峰学園の生徒として相応しい人物になりさえすれば、コロシアイなんてしなくてもここから出られるってことなんじゃないかな」


コウモト アヤセ
「それは確かに、そうかもしれないけど……、それって結局、モノクマのさじ加減一つでしょ?
 わたしたちにコロシアイを強要しているなら、どんなに頑張ったって難癖付けられて結局出られないんじゃない?」


ノノハラ レイ
「デスゲームのゲームマスターであるモノクマが、コロシアイ以外に出られる条件を提示したってことは、何らかの意味がそこにはあるはずなんだよ。
 ボクらにコロシアイを強要したうえで、取り返しのつかない状況になった時、真実を明かせば、それはこれ以上ないくらいの“絶望”だよね。
 きっとその時モノクマはこういうんだ――」


48 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:29:57.74 ID:5no1+VtX0



『ボクは最初から言ったよね?条件を満たせばここから出られるって。
 この条件を満たせばコロシアイなんて必要なかったっていうのにオマエラと来たら!
 ぶひゃひゃひゃひゃ!』



49 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:30:56.74 ID:5no1+VtX0


ノノハラ レイ
「――ってさ。ヒントが目の前にあるのに、それに気づかないでコロシアイを始めてるボクらを嘲笑うつもりなんだぜ、きっと」


コウモト アヤセ
「ひょっとして澪がこの合宿生活を支配しようとしているのは、その満たすべき条件が何なのか探るためなの?」


ノノハラ レイ
「それもあるよ。だからここでの生活を受け入れることとここから出ることは矛盾しないんだ。
 希望的観測で言うなら、全員がここから出られるからさ」


コウモト アヤセ
「それはそうかもしれないけど……、勝算はあるの?」


ノノハラ レイ
「なけりゃ豪語しないよ」


コウモト アヤセ
「嘘……、じゃないけど、本当のことでもないよね?
 じゃなきゃ、皆に交渉なんて持ち掛けないもんね?」



 人数を制限して、自分に取り入る人間を集めようなんて、みんなで脱出しようと考えている人が考えることじゃないし。



50 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:36:53.58 ID:5no1+VtX0


ノノハラ レイ
「……そうだね。必ず勝てるってわけでもないからさ。保険はうっておこうと思って」


コウモト アヤセ
「わたしは澪のやることに口出しはしないけど……、相談くらいはしてもいいのよ?」


ノノハラ レイ
「……うん。どうしようもなくなった時は、必ず、ね」



 わたしは澪さえいればいい。
 澪が隣にいてくれれば、わたしはここから脱出できなくったって構わない。
 澪の提案、最大七人が脱出できて、その枠が残り四人ってことは、澪と私と、ついでに渚ちゃんは確定って事でいいと思うし。
 澪がどんな決断をしたって、わたしが隣にいるのなら、わたしはそれで満足だから。


51 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:37:49.99 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「……あ」


コウモト アヤセ
「どうしたの?」


ノノハラ レイ
「どうやらボクは大変なことに気付いてしまったらしい。取り返しのつかない見落としをしていたよ!」


コウモト アヤセ
「えっ、ちょっと、それってどういうこと?!」


ノノハラ レイ
「こんな重大なことに今まで気が付かないなんて……、くそっ!」


コウモト アヤセ
「何?! 何があったの?!」



52 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:38:45.74 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「――この状態じゃ服が脱げないじゃん!」



53 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:40:34.69 ID:5no1+VtX0



コウモト アヤセ
「……」


ノノハラ レイ
「……」


コウモト アヤセ
「……」


ノノハラ レイ
「……いやさ、このコートも汚れちゃったしさ、モノクマに汚れ落とすように頼んじゃった手前それを反故にするのはどうかと思うんだよ」


コウモト アヤセ
「……」


ノノハラ レイ
「それに服を着たままお風呂入るわけにはいかないし……、寝るときはパジャマに着替えておきたいし……」


コウモト アヤセ
「……」


ノノハラ レイ
「あのー、ね? だからさ、その、真顔で沈黙はやめてくれないかなぁ?」


コウモト アヤセ
「……はぁ」



 たまに、本当にたまに、ついていけなくなっちゃうときがあるのが玉に瑕っていうか……。
 濡れタオルで拭いておけばいいかなぁ……。
 役得と言えば役得なんだけど……、正直素直に喜べないよ……。


54 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:43:33.82 ID:5no1+VtX0



――「キーン、コーン…カーン、コーン…」



モノクマ
「えー、希望ヶ峰学園候補生強化合宿実行委員会がお知らせします。ただいま午後9時50分になりました。間もなく消灯時間です。
 消灯時間を過ぎると個室以外の暖房が切られるので、温かいままでいたいなら速やかに個室に戻ってください。
 部屋はオートロックなので、鍵になる電子生徒手帳は忘れずに。では、おやすみなさい」



55 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 22:56:11.30 ID:5no1+VtX0



 澪の体を拭いた後、色々と時間を潰していると、もう聞きなれたアナウンスが聞こえてきた。



コウモト アヤセ
「あ、もうそんな時間なんだ」


ノノハラ レイ
「縛られてるボクとしてはまだそんな時間なんだ、なんだけどね」


コウモト アヤセ
「……澪のことだから何だか白々しく聞こえるんだけど?」


ノノハラ レイ
「ひどいや。何を根拠に」


コウモト アヤセ
「今日の所は捕まっておいてあげる、だったっけ? じゃぁ、日付が変われば問題ないって言って、もう抜け出す準備とか出来てるんじゃないの?」


ノノハラ レイ
「うーん、それも考えたは考えたんだけど、みんなの様子を見る限り縛られたままの方が得策かなと」


コウモト アヤセ
「色々と楽が出来るから?」


ノノハラ レイ
「うん、大正解。このまま綾瀬に甘え続けるのもいいかなーって、思いはじめてもいるんだなぁ」


コウモト アヤセ
「……ま、まぁ、悪い気はしない……、けど……。
 でもダメだからね、そのままじゃ。明日、巴ちゃんにかけあって拘束は外してもらうようにするから」


ノノハラ レイ
「えぇー?」


コウモト アヤセ
「すねたってダメよ。ほら、もう寝ないと」



56 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:02:28.85 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「むぅー……、え、ちょっと待って」


コウモト アヤセ
「どうしたの?」


ノノハラ レイ
「一応聞いておきたいんだけど、綾瀬は何処で寝るつもりなの?」


コウモト アヤセ
「何処って、ベッドだけど?」


ノノハラ レイ
「だよねぇ。じゃぁさ、ボクは何処で寝ればいいんだい?」


コウモト アヤセ
「ベッドでしょ?」


57 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:03:25.35 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「いやいやいやいや、落ち着きなって。このベッドシングルサイズじゃん。二人だと狭いよ?」


コウモト アヤセ
「抱き合って寝ればいいんじゃない?」


ノノハラ レイ
「待って、ホントマジで待って。この状態でそのシチュエーションは流石に、ね?ヤバいでしょ?」


コウモト アヤセ
「大丈夫! わたしは気にしないから!」


ノノハラ レイ
「ボクが気にするの!」


コウモト アヤセ
「澪は、私と一緒に寝るの、嫌?」


ノノハラ レイ
「……ずるいと思うよ。そんな答えが分かりきってる質問あえてしてくるなんて」


コウモト アヤセ
「じゃぁ、問題ないわね?」



58 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:10:03.03 ID:5no1+VtX0



 ……なんて、軽く誘ってみたのはいいけど。

 どうしよう、思いのほかすごく大胆なことしちゃったんじゃない?!

 鼓動がすごく早くなってるし、顔も熱いし、振り返ってみるとすごく恥ずかしいこと言っちゃってないかなぁ?!

 明かりを消すと余計近くにいる澪が感じとれるようになって、すごく、その、恥ずかしい!

 どうしよう! こんな状態じゃ眠れないし、澪に気付かれちゃうよ!


59 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:18:05.44 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「……ねぇ、綾瀬。まだ、起きてる?」


コウモト アヤセ
「う、うん。まだ、起きてる、よ?」



 ば、ばれてない、よね?
 今更になってすごく緊張してるとか、いろいろと!



ノノハラ レイ
「――懐かしいよね。こうやって二人一緒に寝るのって」


コウモト アヤセ
「……うん」



 そう言われてみれば、こうして澪と一緒に寝たのって、どれくらい前の事だったんだろう。



コウモト アヤセ
「昔は一緒に遊んでたし、一緒のお箸とか使ってたよね」


ノノハラ レイ
「懐かしいなぁ。お医者さんごっことかしてたよね。あ、そうだ。一緒にお風呂も入ってたっけ?」


コウモト アヤセ
「もう、澪ったら。そういう事ばっかり思い出しちゃって」


ノノハラ レイ
「こういう状況に持ってきた綾瀬が言えることじゃないでしょ」


コウモト アヤセ
「そ、それは言わないでよ!」


60 :♪Clair de Lune ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:30:55.93 ID:5no1+VtX0



コウモト アヤセ
「……でも、いつからかな。一緒に遊ばなくなったのは」


ノノハラ レイ
「中学校に入るちょっと前ぐらいだったと思うけど」


コウモト アヤセ
「昔は泣き虫だったあなたが、わたしに守られることも無くなって……。
 背もいつの間にか抜かれちゃって、だんだん、あなたが遠くに行っちゃうような気がして……」


ノノハラ レイ
「……いつまでも守られてばっかりじゃいられない、って思ったからね。
 頑張ったんだよ? 綾瀬を守れるくらい強くなれるように、さ」


コウモト アヤセ
「それは嬉しいけど……、あの時の澪ったら、そんなこと全然言ってくれなかったじゃない。
 わたし、ちょっとだけ寂しかった」


ノノハラ レイ
「それは……、その、ごめん」


コウモト アヤセ
「うぅん。今はね、こうしているだけでも幸せなの。
 最初はね? 希望ヶ峰学園に入学することになって、このままあなたと離れ離れになっちゃったらどうしよう、って思ってた。
 けど、すぐにあなたが来てくれて、あなたと一緒なら、って思ったの」


ノノハラ レイ
「綾瀬……」


61 :♪Clair de Lune ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:35:54.47 ID:5no1+VtX0



コウモト アヤセ
「わたしは、あなたの事が好き。大好き。あなたの為なら、何でもするわ?」


ノノハラ レイ
「……やっぱりずるいよ、綾瀬は。ボクが言いたいセリフ先に言っちゃうんだもん」



 ――結局、わたし達は朝まで語らい続けた。



62 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:38:11.82 ID:5no1+VtX0



――「キーン、コーン…カーン、コーン…」



モノクマ
「えーと、希望ヶ峰学園候補生強化合宿実行委員会がお知らせします。
 オマエラ、グッモーニン!本日も最高のコロシアイ日和ですよー!
 さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょ〜!」



63 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:45:39.25 ID:5no1+VtX0



コウモト アヤセ
「あ……、もうこんな時間……」


ノノハラ レイ
「うん……、みたい、だね」


コウモト アヤセ
「どうしよっか?」


ノノハラ レイ
「どうするもなにも、ボクはこの状態じゃ何もできないし……、とりあえず綾瀬は外に出してもらって、朝食じゃないかな。
 その帰りに、ボクの朝食持って来てくれればいいからさ」


コウモト アヤセ
「……うん、そうだね。流石に澪をこのまま持ち運ぶわけにもいかないもんね!」


ノノハラ レイ
「素直に言ってくれていいんだよ。ボクが食堂に行けば、確実に空気が悪くなるってさ。
 ボクは気にしないから、遠慮せず行っておいで」


コウモト アヤセ
「……うん」


ノノハラ レイ
「ボクは二度寝するからさ!」


コウモト アヤセ
「ちょっと!」


ノノハラ レイ
「ははっ、冗談だよ、冗談。ほら、早く行っておいで」


コウモト アヤセ
「もう……。いってきます」


ノノハラ レイ
「いってらっしゃい♪」


64 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:51:33.72 ID:5no1+VtX0



コウモト アヤセ
「おはよう、渚ちゃん」
ノノハラ ナギサ
「……おはよう、ございます」



 あれ、ちょっと機嫌悪い?



ノノハラ ナギサ
「これ、返しますね」



 突き放すようにわたしの電子生徒手帳を押し付けて、渚ちゃんはそそくさとエレベーターへ向かってしまった。
 ……ちょっと渚ちゃんには悪いことしちゃったかな。
 なんだか不安だけど……、今は食堂に向かうべきかな?


65 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:54:28.73 ID:5no1+VtX0



 食堂に着いた……、のはいいけど……。
 なんか、凄い視線を感じるなぁ……。
 こう、最後に食堂に到着したのとは別の注目を浴びてる気が……。
 ううん、気のせい気のせい!


66 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:56:52.98 ID:5no1+VtX0



 一応覚悟はしていたんだけど、つつがなく朝食が終わって少し拍子抜けしちゃったのは内緒。
 ……だったんだけど、ちょうどみんなが食べ終わるくらいに、エレベーターがこの階に止まった音が聞こえる。
 すごく、とてもすごく嫌な予感がするなー……。



67 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/01(木) 23:59:45.03 ID:5no1+VtX0



ノノハラ レイ
「やあ皆、おはよう」



 なんで普通に来ちゃってるのかなぁ?
 どうやって拘束を解いたんだとか、さっき食堂には来ない感じだしてたじゃんとか、いろいろ言いたいことがありすぎて、もう呆れるしかないんじゃない?


68 :♪モノクマ先生の課外授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/02(金) 00:08:28.98 ID:6mFwQFCk0



ノノハラ レイ
「あー、うんいやね、キミたちの言いたいことはよぉく解かるよ。でも仕方ないじゃん。
 重大発表があるからってこの綿埃が言うからさ」



 モノクマの頭を鷲掴みにして皆の前につるし上げるとか、ちょっともう何考えてるのかわからないんですけど。



モノクマ
「綿埃とは何さ!っていうかいい加減離してよ!」


ノノハラ レイ
「ほい」


モノクマ
「うわぁ!」



 ひゅー、どすん。みたいに、モノクマは落とされて、ヌイグルミとは思えない重量感のある音を立てる。



モノクマ
「こら!学園長ことモノクマへの暴力は規則違反だぞ!」


ノノハラ レイ
「これは暴力じゃないよ。キミをここまで運んでやっただけじゃない。
 むしろ滂沱の涙を流し、土下座して靴を舐めながら感謝の意を述べるべきだよ」


モノクマ
「何という上から目線!? ボクは学園長なんだぞ! 一番偉い先生なんだぞ!」


ノノハラ レイ
「え? 先生って生徒にパシられるのが生きがいみたいなものじゃないの?」


コウモト アヤセ
「澪、それは流石におかしいから」



 いつにもまして暴走してるなー、澪。
 どうしよう、ブレーキかけられるかなぁ?



69 :♪モノクマ先生の課外授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/02(金) 00:11:52.38 ID:6mFwQFCk0




オモヒト コウ
「……それで? 茶番はそこまでにして、はやく本題に入れよ。重大発表とやらは?」


モノクマ
「オマエラ先生に対するリスペクトが足りないぞ!
 あーもう! わかったよ! どーせさっさと言えって言うんでしょ?! じゃぁ用件だけ言ってとっとこ消えてやるもんね!」



70 :♪モノクマ先生の課外授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/02(金) 00:16:47.37 ID:6mFwQFCk0



モノクマ
「新しいエリアを解放しました! じゃ、バーイクマー!」



 ……本当に言うだけ言って帰っちゃった。



マスタ イサム
「各々言いたいことはあるだろうが……、今のところは我慢して、全員で手分けしてその新エリアとやらを探すぞ。いいな?」



 増田君の気迫も相まって、ここは澪を含めたみんなで調査することになった。


71 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/06/02(金) 00:18:22.57 ID:6mFwQFCk0



――本日はここまでとなります。


――完結目指して頑張っておりますので、応援のほど、よろしくお願い致します。



72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 00:22:37.82 ID:pXW6cLJJ0
綾瀬視点まだ続く感じかな
乙です
楽しみにしてます
73 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 19:30:39.13 ID:/WApGs810



 調査はいつも通り二人一組で行うことになって、わたしの相手は澪。
 昨日からの流れを踏めば、いたって自然、なのかな。



コウモト アヤセ
「ねぇ、澪。どう思う?」


ノノハラ レイ
「新エリア解放の理由かい? 簡単な話だと思うけどね。
 皆が活動する範囲が増えれば、それだけ人目に付かない場所――つまり、トリックを仕込みやすい場所が増えるわけで……。
 あとは、トリックに組み込みやすい舞台装置とか……」


コウモト アヤセ
「やっぱり、そう思う?」


ノノハラ レイ
「それ以外考えられないよ。まさかあの悪趣味なヌイグルミ未満がボクらを喜ばせるためだけにこんな大掛かりなことしないだろうし」



 つまりこれは、モノクマがわたし達にまだコロシアイが終わっていないことを暗に伝えている、ということ。


74 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 19:34:22.06 ID:/WApGs810


コウモト アヤセ
「澪の探している物も見つかるのかな?」


ノノハラ レイ
「どうだろうね。むしろ最初からこのホテルにあるとは思うんだけど……。
 まだ見つかっていない現状を鑑みると、新エリアにヒントがあるかもしれない」


コウモト アヤセ
「だと良いんだけど……。
 そういえば、新エリアってなんだろう?」


ノノハラ レイ
「このホテル、目の前にゲレンデがあるけどさ、リフトは稼働してなかったよね」


コウモト アヤセ
「位置も遠いしね。誰も上には登ってないんだっけ?」


ノノハラ レイ
「そのはずだよ。新雪が深くて足を取られるし、ラッセル訓練の要領でも登りきるまで体力がもたないしで、初日に挑戦した人は皆序盤でリタイアしたんじゃないかな」


コウモト アヤセ
「増田君でも?」


ノノハラ レイ
「むしろ彼は雪崩を警戒したみたい。夜は猛吹雪で昼間は快晴っていうのは表層雪崩が起きやすい条件が整っているんじゃないかって。
 それ以来ゲレンデを踏破しようとする猛者はいなくなったと思うよ」


コウモト アヤセ
「ナナちゃんとノノちゃんがずっと雪合戦してるの見たんだけど」


ノノハラ レイ
「あれはただ純粋に遊んでるだけだよ、多分」



 あの二人、本当に高校生なのかな……?
 ひょっとして、“候補生”ってそういう意味も含んでたりするの?
 じゃぁ、まさか、その条件って――


75 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 19:36:49.25 ID:/WApGs810



ノノハラ レイ
「どうしたの? そんな怖い顔して」


コウモト アヤセ
「その、ね? ひょっとしたら、ここから出られるのは何年か後になるんじゃないかって……」


ノノハラ レイ
「ま、ずっと平和に過ごしていればさしものモノクマも飽きるだろうけど……。そういう意味じゃないっぽいね」


コウモト アヤセ
「あのね、これはただのわたしの思いつきだから、間違ってると思ったら否定してほしいんだけど……。
 ナナちゃんとノノちゃんが超高校級の双子“候補生”なのは、あの二人がまだ高校生じゃないからってことなんじゃないかと思って」


ノノハラ レイ
「……なるほど。だから、あの二人が高校生になるまで年を取らないとボクらも出られない、と。
 安心していいんじゃないかな。多分それはないと思う」


コウモト アヤセ
「どうして?」


ノノハラ レイ
「考えてもみなよ。どう見たって小学校高学年から中学一年生ぐらいのあの二人が高校生になるまで待ってたら、今度はボクらが高校生じゃなくなっちゃうじゃない。
 希望ヶ峰学園の入学資格には現役の高校生であることも含まれてるんだよ?」


コウモト アヤセ
「じゃぁなんであの二人はここに居るの?」


ノノハラ レイ
「さぁ? ボクはモノクマじゃないからわからないし、モノクマがそんなこと応えてくれるとは思えないし。
 確かに時間経過が鍵だという考え方もあるけど、年単位ではないと思う」


76 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 20:39:39.20 ID:/WApGs810



コウモト アヤセ
「……そっか。ゴメンね? 話を遮っちゃって」


ノノハラ レイ
「いいよ。えーっと、そうそう、ゲレンデはあるのにリフトが動いてないって話だったね。
 新エリアって言うのは、そのリフトに乗って移動した先にあるんじゃないかって」


コウモト アヤセ
「えーっと、っていうことは、脱出とは関係ないんじゃ……」


ノノハラ レイ
「どうかな? 脱出への道のりが下山する方向にあるとは限らない。回り道も必要なんじゃないかな?」


コウモト アヤセ
「……本当にそう考えてる?」


ノノハラ レイ
「はは、ちょっと自信ないや。
 でもまぁ、あのモノクマのことだし、真っすぐ行っても勝てやしないよ。裏の裏の裏をかくぐらいしないと」


オモヒト コウ
「おいお前ら、サボって何話してるんだ」


ノノハラ レイ
「おっといけない、退散しようぜ」


コウモト アヤセ
「あ、ちょっと、待ってよ!」


77 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 21:28:40.53 ID:/WApGs810



 澪を追った先は、リフト乗り場だった。
 ゴンドラリフトそのものは動いていないけど、封鎖は解かれているみたい。



コウモト アヤセ
「……澪の予想通りだったね」


ノノハラ レイ
「いや、予想したボク自身が言うのもアレだけど、ここまで一致すると流石に軽く引く」


コウモト アヤセ
「でもこれどうやって動かすんだろう? こういうのって普通は係員の人が管理してるんだよね?」


ノノハラ レイ
「管制室みたいなところもないし……、モノクマが動かすってわけでもないみたいだし、ねぇ。
 多分ボクらが自力で何とかできるぐらいに簡便化されているはずだとは思うけど」


コウモト アヤセ
「じゃぁ、ここを調べてみれば操作の仕方も分かるかもしれないってこと?」


ノノハラ レイ
「うん。マニュアルがどこかにあるはずだよ。そんなに広くないし、すぐ見つかるんじゃないかな」



78 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 21:43:10.52 ID:/WApGs810



 乗り場にあるゴンドラリフトは一つだけ。
 大きさは……、どうだろう、結構大きいのかな。二十人弱ぐらいは乗れそう。
 白と黒の半々なんていう嫌でもモノクマを連想するデザインはちょっとアレだけど。
 ゴンドラのドアは開いているから、一応乗ることもできるけど、動かないんじゃ意味はないよね。



ノノハラ レイ
「あ、これかな」


 澪はゴンドラに乗り込んで、中を探していたみたい。
 確認する為に、わたしもゴンドラの中に入る。



79 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 21:44:27.22 ID:/WApGs810



コウモト アヤセ
「見つけたの?」


ノノハラ レイ
「うん。どうやら、このゴンドラに乗り込んでドアを閉めると、自動で運転してくれるみたいだね」


コウモト アヤセ
「あ、これだね」


ノノハラ レイ
「え、ちょっ、待って――」



 ドアの取っ手に手をかけると、ドアはあっさりとスライドしていく。
 もっと力がいると思っていたけど、誰でも使えるようにしているのかな。



80 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 21:51:47.38 ID:/WApGs810



コウモト アヤセ
「あ、ホントだ。動いたよ、澪!」


ノノハラ レイ
「うん、そうだね。けどさ、これ他の皆呼ばなくてよかったの?」


コウモト アヤセ
「あ」



 一台しかないゴンドラを私たち二人で使っちゃったら他のみんなが上に行けないじゃない!



コウモト アヤセ
「ど、どうしよう……!」


ノノハラ レイ
「……まぁ、こういうのって反対側と連動してるから、向こう側にも一台あるはずだよ。
 ボクらが向こうに着くころに、もう一台はこっちに着いてるんじゃないかな」


コウモト アヤセ
「あ、そっか。じゃぁ一応皆にこれのことを知らせて、乗ってもらえば問題ないって事ね」


ノノハラ レイ
「それに、何人かはもう向こうに行っているのかもしれないし。
 何があるかはついてからのお楽しみだけど」


81 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 23:27:42.77 ID:/WApGs810



『ゴンドラリフトについて
 ・当機の定員は16名となっております。それ以上の重量を検知するとブザーが鳴りますのでご注意ください。
 ・誰かがドアに乗った状態でドアが閉まると運転が開始されます。巻き込みには充分ご注意ください。
 ・乗り場に到着すると自動でドアが開きます。巻き込みには十分ご注意ください。
 ・出発から到着までの所要時間は10分です。
 ・当機の搭乗可能時間は6:00〜23:00となっております。23:00〜翌6:00は搭乗されても運転できませんのでご注意ください。』



 澪が見つけたゴンドラの操作方法は、ドアの淵にシールで貼られていたものだった。
 わたしがこの注意書きを呼んでいる間にもゴンドラは上へ上へと昇っていく。


 窓からは、これがコロシアイでなければ最高の景色が見える。
 澄んだ空、白いゲレンデ、遠くに見える峰や麓。


 わたし達が泊まっているホテルが遠く、小さくなっていく。
 わたし達を閉じ込めている壁も、今なら軽く飛び越えられそうに見えるくらいだ。



82 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/01(土) 23:48:00.53 ID:/WApGs810



ノノハラ レイ
「……どうやら、かなり広い範囲を壁で覆ってるみたいだね。
 この分だとこのリフトが到着する先も壁の中かもしれない」


コウモト アヤセ
「解るの?」


ノノハラ レイ
「流石に増田クンには劣るけど、ボクも目はいい方だから。
 こりゃ壁の脆い部分を探すのは非現実的かな?」


コウモト アヤセ
「それはもう諦めてたんじゃないの?」


ノノハラ レイ
「梅園クンから聞いたんだけどね、一度仕掛けがないことを確認させてから直前に種を仕込むのはマジックの常道らしいんだ。
 だから、壁を抜けて脱出することは不可能と思わせておいて実は……、とか思ってたんだけど。
 流石にこんなに広い範囲を詳しく調べる気にはなれないかなって」


コウモト アヤセ
「そっか。でも、これから行くところにヒントくらいはあるんじゃない?」


ノノハラ レイ
「だと、うれしいね」



83 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/02(日) 00:00:18.78 ID:k43dX9zP0



 しばらくして、リフト乗り場が見え始める。
 ゴンドラは徐々に減速して、やがて停止した。
 ドアが音もなくゆっくりと開く。



ノノハラ レイ
「到着っと。綾瀬、足元に気を付けてね。段差あるから」


コウモト アヤセ
「うん、ありがと」



 澪が私の手を取って、エスコートしてくれる。
 こういうことを自然にやってくれるから、好き。



84 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/02(日) 00:24:38.34 ID:k43dX9zP0



 リフト乗り場を出ると、エスポワールよりも少し小さい洋館が見えた。
 あれが本当の新エリアって事かな。



ノノハラ レイ
「これも宿泊施設なのかな」


コウモト アヤセ
「そうじゃない? 定礎って書いてあるプレートの上に、名前と家紋が彫ってあるみたいだし」



 名前の方は『ἐλπίς』でそもそも何語で書かれているかもわからないし、家紋の方は綾小路家のじゃないってことがわかるだけで。
 でも家紋がユニコーンに地球儀って、ちょっと現代的すぎない?



85 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/02(日) 00:25:58.61 ID:k43dX9zP0



ノノハラ レイ
「……ふーん? そういうこと」


コウモト アヤセ
「え、何か分かったの?」


ノノハラ レイ
「多分、これはホテルエスポワールの姉妹館……、別館ってやつじゃないかな」


コウモト アヤセ
「どうしてそんなこと、名前を見ただけでわかるの? っていうか、あれなんて書いてあるの?」


ノノハラ レイ
「古代ギリシャ語でエルピスって書かれてあるんだよ。日本語に訳すと、希望や予兆になる」


コウモト アヤセ
「あ、そっか。エスポワールはフランス語で希望って意味だったもんね。
 名前が同じ希望だから、姉妹館って言えるんだ」



86 :♪わたし達は世界を変えることができない ◆S7YK1FdmZg [saga]:2017/07/02(日) 00:35:30.32 ID:k43dX9zP0



ノノハラ レイ
「ついでに、あの家紋が何処の物なのかもボクは知ってるんだよね」


コウモト アヤセ
「えっ、そうなの?」


ノノハラ レイ
「うん。……でも、だとすると、ボクらはとんでもない相手と戦わなくちゃならなくなるかもしれない」


コウモト アヤセ
「どういうこと? ひょっとして、綾小路家と同じくらいの資産家、とか?」


ノノハラ レイ
「そっちのがまだましだと思うよ。何せ、天聖院家の家紋だ。
 私立希望ヶ峰学園にも匹敵する、あるいはそれ以上の学園都市、天聖院学園を有する日本きっての名家なんだからね」


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