【ヤンデレCD】ヤンデレロンパ〜希望のヤンデレと絶望の兄〜2スレ目

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187 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:07:46.37 ID:Ne8awKgr0



 亜梨主の発言から、多分慧梨主も女湯にいるんだろう。
 ――ってことはひょっとして……?!



188 :♪Heartless Journey ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:16:39.25 ID:Ne8awKgr0



(※梅園君の妄想(作画:小梅け〇と)に少々お付き合いください)



サクラノミヤ アリス
『ほら、慧梨主、背中洗ってあげるわ』


サクラノミヤ エリス
『あっ、お姉さま、そこは、んっ……』


サクラノミヤ アリス
『どうしたの? ここがいいの?』


サクラノミヤ エリス
『だっ、ダメです、お姉さまぁ……、んぅ……』



(※あくまでもKENZENな妄想です。姉が妹の背中を流しているだけです)



189 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:20:04.84 ID:Ne8awKgr0



 ――なんてことになっている可能性が?!(※多分ありません)
 こうしちゃいられない!
 そんなことになっているのなら、僕にはそれを見守る義務がある!(※ないです)
 いや、でも女湯に単身乗り込むなんてそんなことしたら……。



190 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:22:17.22 ID:Ne8awKgr0



 確信できる。死ぬよりも恐ろしい目に合うと。想像したら足がすくんでしまう。
 くそっ、僕にはもう打つ手がないのか……?



191 :♪New Classmate of the Dead ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:25:47.99 ID:Ne8awKgr0



 ふと、握りしめていた“漢の浪漫”の、『浪漫』の字が目に入る。
 そうだ。
 考えるんじゃない。
 感じるんだ。
 理想郷(アヴァロン)は、桃源郷(ユートピア)は目の前じゃないか!
 何を立ち止まる必要がある!
 行け!
 行くんだ梅園穫!
 止まらない限り、その先に道は続くんだ!
 希望への道が! 未来への道が!



192 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:30:29.99 ID:Ne8awKgr0

ノノハラ レイ
「なに百面相してんのさ」
ウメゾノ ミノル
「フゥヲー!」
ノノハラ レイ
「……いや、いきなり声かけたのは悪いと思うけど、そんなに驚くことはなくない?」
ウメゾノ ミノル
「い、いやぁ、ちょっと考え事してたからねー、あはははは」

 あ、あぶねえええぇぇ!!
 あのまま単騎特攻してたらばっちり目撃されてるところだったー!
 しかも一番見られたら面倒なことにしそうな人にー!
 セエエエエエエェェェェフ!!

193 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:40:47.03 ID:Ne8awKgr0


ノノハラ レイ
「……まぁいいけど。露天風呂の奥の扉の調査、ちょっと付き合ってよ」


ウメゾノ ミノル
「あー、昼間は時間外だから入れなかったってあれ? すっかり忘れてた」


ノノハラ レイ
「うん、それ。一応他の二人にも声かけたんだよね。どうせなら一緒に風呂入ろうぜって」


ウメゾノ ミノル
「……絵面がひどいことになりそうだなー。
 でもここで断ったら僕だけがハブられたみたいでなんかやだなぁ」


ノノハラ レイ
「まぁそういわないでよ。正直ボクとみんなとの間にある溝をまだ平和であるうちに埋めておきたいんだからさ」


ウメゾノ ミノル
「そういうことを平然と言っちゃう辺り、時間はかかりそうだけどね。
 まぁそういうことならなおのこと断れない、か。いいよ。ちょうどいい手拭い引き当てたし」


ノノハラ レイ
「『浪漫』ってでかでかと書かれた手拭いって……、正直言ってちょっとダサくない?」


ウメゾノ ミノル
「それは言わないお約束ぅー」



194 :野郎どもの入浴シーン(作画;小梅け〇と)なんて書きたくねぇー…… ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:47:02.65 ID:Ne8awKgr0


 ……と、いうことで、野郎四人で露天風呂、なんだけど。

オモヒト コウ
「……」
マスタ イサム
「……」
ノノハラ レイ
「……」
ウメゾノ ミノル
「……」

 空気が重苦しいとです……。
 っていうか野々原君! 君が積極的にいかなくてどうすんのさ!
 え、ここに至るまでの経緯が聞きたいって!?
 いやだよ野郎しか出ない回想なんて! 妄想で補って!
 なんか普通に体洗って湯船につかっただけだから!
 それが特にこれといった会話がなくて大体同じタイミングで終わっただけだから!

195 :野郎どもの入浴シーン(作画;小梅け〇と)なんて書きたくねぇー…… ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:49:53.96 ID:Ne8awKgr0



ウメゾノ ミノル
「ってそうだよ! 本題! あの扉の奥行ってみようぜ!」



 時間外だからっていけなくなったあの扉の先!
 もうそこに賭けるしかないな!
 何をって?
 この気まずさを改善する楽園(エデン)がそこにある可能性だよ!



196 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:56:11.62 ID:Ne8awKgr0


 その扉は、やはりというか、モノクマが野々原君に持たせた鍵で開いた。
 その先は、奥へ奥へと続いている。
 とても長い、それも蛇行しながら下っていくスロープのようだ。
 滑らないように慎重に歩いて、大体五分くらいして、ようやく扉が見えた。
 ちょっと体が震えているのは下っている最中も誰一人何もしゃべらないからじゃなくて湯冷めしているからと思いたい。
 そんな沈黙に耐え切れなくなって、扉が見えたとたんに僕は真っ先にそこへ駆け寄って、その扉を開けた。
 スライド式のドアを開けるとそこには――。



197 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 22:57:19.40 ID:Ne8awKgr0



 理想郷(アヴァロン)が、あった。


198 :お ま た せ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 23:39:59.85 ID:Ne8awKgr0



サクラノミヤ エリス
「えっ……?」


ナナミヤ イオリ
「……?!」


コウモト アヤセ
「?!?!?!」


ノノハラ ナギサ
「えぇっ?!」


サクラノミヤ アリス
「……」



(※心の底からヤンデレCDを愛する方には小梅け〇と氏による素晴らしい一枚絵が見えます)



199 :♪Finding Peace Party ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 23:42:44.99 ID:Ne8awKgr0



ウメゾノ ミノル
「あ、あはは、あはは……。あー…、アポ?」


サクラノミヤ アリス
「死ねぇっ! 変態!」



 亜梨主の手から勢いよく放たれた桶は、そのまま僕の顔面へ――。



スコ―――ン!



200 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 23:48:38.27 ID:Ne8awKgr0



「変態!変態!!変っ態!!!」
「酷いですお兄様…。見損ないました…」


 ――目の前が真っ暗だ。何も見えないし、声もうすぼんやりとしか聞こえない……。


「まぁその辺で許してやってよ。故意じゃなかったんだから」
「澪ッ?!」
「どうしてお兄ちゃんまで?!」


 僕はもう理想郷(アヴァロン)を目にしたんだ。それ以上に何を望むっていうんだ?


「どうしてって、時間外だから入れなかった、露天風呂の奥の扉がここに続いてたからだけど」
「わ、わかったからこっちみないでよっ!」


 そりゃぁ、もっと見たかったけどさ。これ以上見続けるのは彼女たちに悪いよ。



201 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/23(金) 23:57:37.94 ID:Ne8awKgr0


「あ、あわわ、あわわっわわあっわあわ……」
「伊織?! しっかりしろ伊織―!?」
「とりあえず入らせて?湯冷めしちゃって。このままじゃ風邪ひいちゃうよ」
「フリーダムなのもいい加減にしとけよお前」



――それで本当にいいのかい?



 だって、嫌がる女性と無理やり混浴だなんて……。



――だったら、君が説得すればいいのさ。



 僕が……?



――目の前に浪漫があるんだ。希望を捨ちゃ駄目だ!



 浪漫……。理想郷(アヴァロン)は目の前……。



――そう! さぁ、目を覚ますんだ!



 死んでる場合じゃねぇっ!



ウメゾノ ミノル
「 がくえんの ふうきが みだれる ! 」



202 :♪V3議論―PANIC― ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:01:58.13 ID:c85dhVr10



サクラノミヤ アリス
「あ、起きたのね」チッ


ウメゾノ ミノル
「でもこれはモノクマ公認だ! 混浴することでみんなとのきずなを深めあうんだ!」


サクラノミヤ エリス
「あぁ……、お兄さま、やっぱり頭を強く打ってしまったんですか……?」



203 :♪V3議論―PANIC― ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:08:26.85 ID:c85dhVr10


ウメゾノ ミノル
「裸の付き合いという行為、それは身一つで同じ空間を共有することで互いに隔てるものが何もない状態ということ!
 すなわちそこには相手への絶対的な信用があってこそ初めて成立しうる行為なんだ!
 逆説的に言えば、混浴こそこの合宿生活で最もコミュニケーションが捗るということ!
 お互いに凶器を持っていないということを確認し、かつ全くの無防備な状態をさらすことでそこにはある種の信頼関係が形成される!
 そこから生まれる安心感によってお互いの心の距離は急接近したりするんだ!」


サクラノミヤ エリス
「そういわれれば、そんな気も……?」


サクラノミヤ アリス
「流されちゃだめよ慧梨主!」



――こうして、




204 :♪V3反論―CROSS SWORD― ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:11:53.66 ID:c85dhVr10



ナナミヤ イオリ
「【混浴なんて破廉恥】です!」


ウメゾノ ミノル
「それは違うぞっ! それはただの偏見に過ぎない!」



――僕はみんなを説得してき……、




205 :♪V3議論―HOPE VS DESPAIR― ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:16:01.40 ID:c85dhVr10



オモヒト コウ
「お前のそれはただの【下心】だろうが!」


ウメゾノ ミノル
「それは違うぞっ! 野々原君の企みを知る必要がある!
 それには河本さんや渚ちゃんにも話を聞かなければならないんだ!」



206 :♪V3議論―SCURM― ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:18:59.62 ID:c85dhVr10


――ついに、



混浴は
 するべきだ/しないべきだ



ウメゾノ ミノル
「これが僕の答えだっ!」



 ―BREAK!!―



――説得しきることに成功した。これもすべて、“漢の浪漫”のおかげだ。



207 :(※製品版では謎の光と湯気が薄くなります) ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:22:40.45 ID:c85dhVr10


――ここで起きたことを、僕は一生忘れないだろう。

――具体的に何が起きたのか知りたいって……?

――それはだめだよ。教えられない。それはここに来たみんなの中だけの秘密だからね。

――でも大丈夫。理想郷(アヴァロン)は、みんなの心の中に――。



208 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:25:55.02 ID:c85dhVr10



――漢の浪漫イベント(梅園穫視点)を完了した。


――梅園穫との親密度が……、下がったものもいれば上がったものもいるようだ。



209 :もう一本自由行動行きます! ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:27:44.74 ID:c85dhVr10




ノノハラ ナギサ
「……」



 最近、お兄ちゃんが遠い。




210 :時系列?知らない子ですね ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:31:47.98 ID:c85dhVr10



ノノハラ レイ
「じゃぁThe Flea Waltsを足で……、冗談だよ。
 ベートーヴェンのピアノソナタ第十四番、月光の第三楽章はどうかな」


コウモト アヤセ
「あー、私それ暗譜出来てないや」


ノノハラ レイ
「それならショパンの別れの曲の方がいいかな」


コウモト アヤセ
「それなら、うん。大丈夫」



 最近は、特に綾瀬さんと一緒にいることが多い。




211 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:36:57.92 ID:c85dhVr10


アサクラ トモエ
「やっぱりもう一度縛りつけた方がいいんじゃないかなぁ……」


マスタ イサム
「……やめておけ。記憶力のいいあいつのことだ、同じ手は食わないだろうさ」



 あれだけのことをしておいて、実質的な野放しになっているから、お兄ちゃんに対する風当たりは強い。
 だから、お兄ちゃんの味方になれるのはあたしだけと思ってたのに……。
 あの時、綾瀬さんが先に口出ししなければ、きっと――。



212 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:39:49.90 ID:c85dhVr10


ノノハラ ナギサ
「それなのに……!」



 あの女……!
 お兄ちゃんの隣にいるはずなのはあたしなのに!
 それを横からかすめ取って!
 お兄ちゃんもお兄ちゃんであんな楽しそうに笑っちゃって!



213 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:42:11.97 ID:c85dhVr10


 どうして?!
 どうしてあたしを見てくれないの?!

 ……あーそっかぁ。きっと綾瀬さんに毒されちゃってるんだぁ。
 だったらキレイにしてあげなくちゃ、ね?



214 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:48:12.46 ID:c85dhVr10



 ……でもお兄ちゃんに直接手を出すわけにはいかないし、本当はすごく嫌なんだけど、綾瀬にも直接手は出せない。
 そんなことをしたら今度はあたしがお兄ちゃんに忘れられちゃうかもしれないんだもん。あの暗い女みたいに。
 ここでの生活を受け入れるべきだとお兄ちゃんは言った。
 それなのに妹のあたしが暴力沙汰を起こせばお兄ちゃんの言葉に説得力が無くなってしまう。
 あたしはお兄ちゃんの負担になりたくないし、お兄ちゃんもそれを望んではいないはず。
 だから、誰かを直接傷つけたりするような行為は、絶対にダメ。



215 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 00:53:35.32 ID:c85dhVr10



 なら、お兄ちゃんの役に立てばいい。
 お兄ちゃんは、今いるメンバーの半分である七人までなら外に出られるって言ってた。
 お兄ちゃん自身と、あたしと、認めたくないけど、綾瀬の三人はすでに埋まっているから、残りは四人。枠は残り四人残ってるってことは、多分そういうことだと思う。
 それなら、その四人を集めればいい。
 そうすればお兄ちゃんの役に立ったって言える。
 こんな提案をするってことは、お兄ちゃんは本心では外に出たいってことになるし、そのお手伝いをすれば、お兄ちゃんに褒めてもらえるかなぁ。




216 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:02:10.93 ID:c85dhVr10


 そうなると、誰を説得するかだけど……。
 男子なら梅園さん、女子なら亜梨主さんと慧梨主さん、かなぁ。
 あのうるさい双子は話が通じないだろうし、主人さんと増田さんはお兄ちゃんとすごく仲が悪いから乗ってくれそうにもないし。
 だからこの二人と仲がいい七宮さん、小鳥遊さん、ユーミアさん、朝倉さんも提案に乗ってくれるとはとても思えない。
 梅園さんはお兄ちゃんととても仲がいいし、梅園さんと仲がいい亜梨主さんと慧梨主さんも、梅園さんの説得なら従ってくれそうだし。
 この三人を説得できれば、十分役立ったって言えるよね?お兄ちゃん?



217 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:11:23.94 ID:c85dhVr10



 だから、まずは梅園さんを説得して、その後に桜ノ宮さんを説得してもらう。
 そのために、梅園さんを呼び出した。


ウメゾノ ミノル
「えーっと、渚ちゃん? それで、話っていうのは?」


ノノハラ ナギサ
「えっと、その、お兄ちゃんの提案の件、なんですけど」


ウメゾノ ミノル
「……今なら最大で七人は外に出られるってやつだね」


ノノハラ ナギサ
「えぇ。お兄ちゃんと仲のいい梅園さんはどう思ってるのかなって」


ウメゾノ ミノル
「その話なら、僕はお断りするつもりだよ」


ノノハラ ナギサ
「えっ……?」



218 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:24:47.55 ID:c85dhVr10



ウメゾノ ミノル
「野々原君が何をしようとしているのか、その様子だと君は知らされてないみたいだね」


ノノハラ ナギサ
「お兄ちゃんの計画を知っているんですか?!」


ウメゾノ ミノル
「いいや? ただ最大で半数が脱出可能って言葉から想像した結果だから、外れている可能性もあるね。
 ――もっとも、僕としてもこの想像が外れていてほしいと思っているんだけど」


ノノハラ ナギサ
「どういうこと、ですか?」


ウメゾノ ミノル
「あることないこと言って他人の評価を貶めるなんて人としてあるまじき行為だから、あまり詳しくは言いたくないんだけどね。
 僕の想像が正しいこと前提で言っていいなら、君のお兄ちゃんは、脱出できない半数を文字通り切り捨てるつもりだってことだよ」


ノノハラ ナギサ
「切り捨てる……?」


ウメゾノ ミノル
「そう。脱出できるのは七人だけ。残りの七人は、ここで死ぬ。
 僕の想像している、最大半数が脱出できる方法を実践すればね」


ノノハラ ナギサ
「そんな……」


ウメゾノ ミノル
「本人に確かめてみるのが一番手っ取り早いんだけど、君に知らされていないってことは、野々原君は今は君に教えるべきじゃないって考えてのことなんだろうし。
 僕はその意見を尊重させてもらうよ。君を介しての追及をするつもりはないさ。
 僕の想像が間違っていて、全員生き残れるけど、先に七人が脱出できて、残る七人は救助を待つ、っていう展開を野々原君は考えているのかもしれないし。
 だけど、僕は僕の想像が正しいと思う限り、野々原君の提案に乗るつもりはないし、慧梨主と亜梨主にも乗らせはしないよ」


ノノハラ ナギサ
「そう、ですか……。わかり、ました……」



219 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:30:19.47 ID:c85dhVr10



 ……お兄ちゃんが何を考えているのか、確かめてみる気にはなれなかった。
 お兄ちゃんがあたしに何も言わないのは、あたしを信用していないからだ、なんて思いたくないのに、お兄ちゃんに聞いてしまったら、それを認めたことになってしまう。
 そうなったら、お兄ちゃんがもっと遠くなる。



220 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:30:54.07 ID:c85dhVr10



 寒い。




 寒い。





 寒い寒い寒い寒い寒い!






221 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:32:01.52 ID:c85dhVr10



 ――寒いよ、お兄ちゃん。



222 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:33:36.10 ID:c85dhVr10



――自由行動(野々原渚単独)が終了した。親密度に変化はない。


223 :♪Rise of Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:41:31.87 ID:c85dhVr10



 消灯時間になって、わたしは慣れてしまったベッドに倒れこんだ。



コウモト アヤセ
「ふぅ……」



 いろいろあったけど、このまま何もなければずっと平和に暮らせる、そんな気がする。
 澪の拘束については、もううやむやになっちゃったみたい。
 でも、監視という名目で、わたしが澪の傍にいることでみんなの気が収まればと思う。




224 :♪Rise of Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:44:45.58 ID:c85dhVr10



 ――わたしは忘れていた。というより、意識したくなかっただけかもしれない。
 コロシアイを望むモノクマ、ひいては黒幕が、膠着を望むわけがないのに。



225 :♪Rise of Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:47:58.97 ID:c85dhVr10



 電子生徒手帳に着信が入る。
 以前の動機ビデオと同じだ。
 私の家がなくなっていて、家族も離散している、なんていうあり得ない内容だったけど。
 綾小路さんはあんなものを真に受けて、あんな強行に出たんだ。
 じゃぁ、今回も……?



226 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:50:43.54 ID:c85dhVr10



 メールに添付されている動画を再生した。



227 :♪イッツ・ア・キッズワールド ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 01:56:09.29 ID:c85dhVr10



モノクマ
「さーて皆様お待ちかね! 動機ビデオの時間だよ! 今回のネタはこちら!
 『他人に知られてはならない秘密』! 人間生きてりゃ秘密の一つや二つありますが、今回は特にやばいネタを用意させてもらいました!」



 秘密って言われても……、わたしにはやましいことなんて何もないし……。
 あ、でも、コロシアイの動機にするってことは、誰かを殺してでも内緒にしたい秘密を持っている人がいるってことに……。



228 :♪イッツ・ア・キッズワールド ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 02:04:12.12 ID:c85dhVr10



モノクマ
「期限は七日! もし七日後までに殺人が起きなければ、オマエラの秘密を、オマエラにとって最も知られたくない相手に暴露しちゃいまーす!」



 なんて悪質な……。



モノクマ
「え? どんな秘密なのかって? それは、ひ・み・つ☆」



 あ、ちょっとイラっと来た。



モノクマ
「どう? どんな秘密を暴露されるのかわからない絶望! 堪らないよねぇ!
 ……でも安心しなよ。オマエラ自身の秘密はオマエラには教えないけど、オマエラのうちの誰か一人の秘密は、先に教えてあげるからさ!」



 ……どういうこと?



モノクマ
「それじゃ、ここからは個人向けのメッセージだよ! 超高校級のピアニスト候補生、河本綾瀬さん!
 オマエには、超高校級の幸運候補生、野々原澪の秘密を特別に教えちゃいます!」



 澪の、秘密?



229 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 02:04:43.06 ID:c85dhVr10



モノクマ
「それは――」



 澪の秘密は……。



コウモト アヤセ
「えっ……?」



 信じられない、ものだった。




230 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/02/24(土) 02:07:24.24 ID:c85dhVr10


――本日はここまで。


――漢の浪漫イベントは……、これを書いていた当時のテンションがよくわかりません。多分素面じゃなかったんでしょう。


――リクエストをしてくださった皆様、これはリクエストに応えられたでしょうか?


――そうであったなら幸いです。


――それでは、おやすみなさいませ。


231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 07:23:38.74 ID:3SOphHmN0
ありがとうございます最高です
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 21:52:03.51 ID:VCjO6b0Z0
リクエスト全部聞くとは恐れ入った
233 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/24(土) 23:15:31.88 ID:LwkgmqIo0



――「キーン、コーン…カーン、コーン…」



モノクマ
「えーと、希望ヶ峰学園候補生強化合宿実行委員会がお知らせします。
 オマエラ、グッモーニン!本日も最高のコロシアイ日和ですよー!
 さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょ〜!」


234 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/24(土) 23:19:27.64 ID:LwkgmqIo0



オモヒト コウ
「……朝、か」



 昨日の消灯時間に、モノクマからの動機が送られてきた。
 俺に送られたのは、朝倉巴の秘密。



オモヒト コウ
「阿鎖久羅人形劇団……。これが本当に人を殺す理由になるのか?」



 内容は、『朝倉巴は阿鎖久羅人形劇団の生き残り』だった。
 事情を知らない俺にとっては何のことかさっぱりわからないが、朝倉にとっては他人に知られたらまずい秘密なんだろう。



235 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/24(土) 23:48:06.10 ID:LwkgmqIo0



 楽観視するつもりはない。
 おそらくは、公表されれば社会的に死んでしまうような、そういう秘密なんだ。
 これを本人に直接問いただすのはモノクマの思うつぼだろう。
 誰にも知られたくない秘密を知っている人間が分かったら、口封じに出る人間が出るかもしれない。
 あるいは、誰が自分の秘密を知っているのかを問いただそうとして余計な不和を生むかもしれない。
 ……まったく、つくづくいやらしい手を使ってきやがるな、モノクマの奴は。



236 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/24(土) 23:50:51.11 ID:LwkgmqIo0



 ひとまずは食堂へ行って、みんなと相談した方がよさそうだな。
 そのあと、朝倉の秘密について、つまり阿鎖久羅人形劇団について何か知ってそうなあいつに聞いてみるか。



237 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/24(土) 23:51:18.21 ID:LwkgmqIo0



 食堂へ向かった。


238 :♪Beautiful Lie ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/25(日) 00:01:19.62 ID:f4c5GfD10



 ……やはりというか、空気が重い。
 この中の誰か一人が自分の重大な秘密を知っていると思うと、気が気じゃない。
 自分の秘密はなんなのか、誰が知っているのか。


 コロシアイを強要されている状況でそれを気にしないでいられるほど能天気でいられるのは――、



ナナ
「なんだかいつもより静かな朝ね」


ノノ
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもみんな元気がないみたいだね」



 状況を理解できていないか――、



ノノハラ レイ
「そんな辛気臭い顔して朝食はよそうぜ。葬式みたいじゃん」



 頭のネジがどこかへ行っているか、だ。



239 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/03/25(日) 00:02:19.02 ID:f4c5GfD10


――短いですが本日はここまで。


――時間があれば来週も投稿します。


240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 12:15:31.41 ID:td/xkUwQO
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 12:40:13.45 ID:emNVwn8X0
秘密とかみんないろいろやばそう
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 03:16:39.56 ID:ZKjXJCiSO
保守
243 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/04/30(月) 23:57:43.43 ID:nkfelNic0



オモヒト コウ
「……お前な、動機ビデオを見なかったわけじゃないんだろ?」


ノノハラ レイ
「当り前じゃない。でもだからってどうしようもなくない?
 モノクマに秘密を握られてる時点で漏洩を防ぐなんて無理だろうしさ」


オモヒト コウ
「だからって言い方ってもんがあるだろうが」



 いちいち人の神経を逆なでするような振る舞いは、多分わざとなんだろう。
 コロシアイを防ぎたいと口では言っておきながら、実際は起きるように煽っているんじゃないか?


244 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 00:09:10.70 ID:tK9GUrWQ0


マスタ イサム
「いい加減にしろよ。そういう風にいがみ合ってたらモノクマの思うつぼだろ。
 どっちも頭冷やせ」


オモヒト コウ
「……あぁ、悪かったよ」


ノノハラ レイ
「ボクは元から冷静なんだけどねぇ。
まぁいいや、おとなしく今後のことでも考えてあげる」



 ……そうだ。モノクマの狙いはこうやってお互いの敵愾心を煽ること。
 自分の秘密をすでに誰かが知っているという不安、それを他人にばらされやしないかという疑心で気が立っている。
 そんな精神状態なら、些細な出来事でも殺人に発展しかねない。頭に血が上って、なんていうのは実際によくある話だ。



245 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 00:59:12.22 ID:tK9GUrWQ0



コウモト アヤセ
「でも実際、どうすればいいのかわからないっていうのはある、かな」


ノノハラ ナギサ
「綾瀬さん?」


コウモト アヤセ
「誰がどんな秘密を知っているのかがわからない以上、下手な対策は逆効果だと思うの。
 下手に暴露しあってギスギスするよりも、いっそ何もしない方がいいんじゃない?」



 河本の言いたいことも分からなくはない。
 秘密について誰かに相談しようとしたら、それが逆鱗に触れて殺人に発展、なんてことも十分にあり得る。




246 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 01:09:22.16 ID:tK9GUrWQ0


サクラノミヤ アリス
「でもそれって随分消極的じゃない?
 何もせず秘密が暴かれるのを待って、その後はどうするわけ?
 コロシアイの動機になるような他人の秘密を知って、今まで通り生活しろって?
 冗談じゃないわ」


サクラノミヤ エリス
「お姉さま、それは言いすぎです!」



 それがこの動機のいやらしいところだ。
 たとえ殺人が起こらなかったとしても、暴かれた秘密によって相互不信は避けられない。
 いくら弁明したところで、余計に心証を悪くするだけ。
 つまりこの動機は、期限までに殺人が起きようと起きまいと、殺し合いの首謀者にとって都合のいい展開にするわけだ。



247 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 01:19:32.33 ID:tK9GUrWQ0



タカナシ ユメミ
「七日もあればなんとかなるよ、お兄ちゃん!」


アサクラ トモエ
「確かに七日もあればいろいろ準備もできるよね。ほんとに、いろいろ」


ユーミア
「含蓄のある言い方はおやめになったらいかがです?
 確かに七日もあれば対策の準備もできるでしょうが、殺人の準備も十分に整えられるでしょうね」



 七日。対抗策を思いつかないかもしれないのに、殺人を企てている者にとっては、殺人の準備をする時間も、殺人を決心する時間も十分に取れる期間だ。
 これが二十四時間以内とかだったら、殺人に踏み切れないまま時間が過ぎたかもしれないのに。




248 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 01:23:55.23 ID:tK9GUrWQ0



ナナ
「でも、このビデオって本物なのかしら?」


オモヒト コウ
「――どういうことだ?」



 殺し合いの動機として、相手を脅迫するのに、わざわざ捏造なんてするのか?
 いや、あれほど自信満々に言うんだろうから、きっと事実なんだろう。




249 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 01:24:25.27 ID:tK9GUrWQ0



ナナ
「ナナのビデオには伊織お姉ちゃんのヒミツがあったの。
 『七宮伊織は綾小路咲夜を呪い殺した』って
 咲夜お姉ちゃんを殺したのは柏木お姉ちゃんでしょう?」




250 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/05/01(火) 01:26:02.81 ID:tK9GUrWQ0


――本日はここまで。遅れて申し訳ありません。


――時間があれば今週中にもう一度更新するつもりです。


251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 20:13:24.61 ID:4nPrQrETO
主人公さんおかえり
252 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 00:14:31.15 ID:OlS1u4Bl0



ナナミヤ イオリ
「……っ!」



 伊織が咲夜を呪い殺した?
 そんな馬鹿な。あり得るはずがない。
 なら顔面蒼白になっている伊織の反応について、俺はどう説明すればいいんだ?



オモヒト コウ
「……どうしたんだ、伊織? 嘘、なんだよな?」


ナナミヤ イオリ
「それ、は……」


ノノハラ レイ
「……そういえば、咲夜さんが殺された事件のアリバイに関して、言葉濁してたよね。
 なるほど、呪殺しようとしていたのなら納得がいくよ。さすがにそれを大っぴらには言えないよね」



253 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 00:38:06.01 ID:OlS1u4Bl0



オモヒト コウ
「お前、聞いてたのか」


ノノハラ レイ
「そりゃまぁ、同じ部屋だったんだし。ボクの記憶力は知ってるでしょ?
 耳に入ってきた言葉は通り抜けられないんだよね、ボクの場合」


オモヒト コウ
「だからってお前なぁ……!」


ノノハラ レイ
「で、どうなのさ七宮さん?
 キミの答えによってはボクらの今後にも影響が出るんだけど?」


オモヒト コウ
「聞けよ。
 ……伊織、答えたくないなら答えなくていいんだぞ」


ナナミヤ イオリ
「……いえ、これは、話さなければならないのでしょうね」



 伊織は、諦めたような顔をしていた。





254 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 00:40:47.51 ID:OlS1u4Bl0



ナナミヤ イオリ
「私は、事件があったあの日、綾小路さんを呪い殺すための儀式をしていました」




255 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 00:52:01.57 ID:OlS1u4Bl0



オモヒト コウ
「……ッ!」



 嘘であってほしかった。
 俺は、伊織に、否定してほしかった。
 咲夜を殺したはずがないと。
 でも、それなら説明がつく。
 俺に対する裏切り、それはコロシアイを否定する俺に対し、咲夜に殺意を抱き、それを実行したこと。





256 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 00:59:41.01 ID:OlS1u4Bl0



オモヒト コウ
「……たとえそれが事実であったとしても、実際に咲夜を殺したのは柏木だったはずだ。
 だから伊織は咲夜を殺してなんかいない、そうだろ?」



 あの時、伊織が時が来たら話すと言った。
 そしてあの時、俺は伊織を許すと言った。
 なら、ここで俺がすべきことは一つ。
 非難されるであろう伊織を守ること、だ。




257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/10(日) 01:14:00.02 ID:U2Qi7HJSO
更新待ってました。
258 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:14:51.65 ID:OlS1u4Bl0



ノノハラ レイ
「わかってないなぁ。だからこそ問題なんだよ?」


オモヒト コウ
「なんだと?」


ノノハラ レイ
「ナナちゃんの証言が正しいなら、咲夜さんを殺したのは実際には七宮さんってことになるよね?
 それなら本当のクロは七宮さんのはずだ。それなら、学級裁判の判決が根底から覆らないかなぁ?」


オモヒト コウ
「何が言いたい」


ノノハラ レイ
「クロとしてオシオキされたのは柏木さん、だっけ?
 とにかくその人が処刑されたおかげでボクらは生き残ったわけじゃない。
 でも間違った人物をクロとして指名した場合、ボクらは死ぬんだよね?
 そこんとこハッキリさせておかないと、いけないんじゃないかとボクは思うんだよ」


オモヒト コウ
「……要するに、学級裁判の判決か動機ビデオの内容のどっちかが嘘だって言いたいんだろ?」


ノノハラ レイ
「どうかなぁ。ボクはどちらも真だと思うけど。それがどういうことを意味するのかはさておきね」


オモヒト コウ
「……モノクマ、見てるんだろ?
 どうなんだよ、今の話」





259 :♪モノクマ先生の授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:30:57.52 ID:OlS1u4Bl0



モノクマ
「うぷぷ! いいですね! 実にいい感じですね! 最高にギスギスしてますね!」


オモヒト コウ
「俺の質問にだけ答えろ。
 動機ビデオの内容が事実であるという証拠はどこにある?」


モノクマ
「……それがクマにものを頼む態度なのかなー?」


オモヒト コウ
「黙るなら黙るでいいさ。
 その時は俺はお前のことを、『平然とプレイヤーに嘘をつく最低のゲームマスター』として認識するだけだ。
 そんな奴の開催するデスゲームに、誰が従ってやるかよ」



 動機ビデオの内容が嘘なら、モノクマは偽りの動機で俺たちに殺し合いをさせようとしていたことになる。
 そうなれば、今後モノクマが殺人の動機として提示してくるものに一切の信ぴょう性がなくなるから殺人は起こらないだろう。
 学級裁判の判決が嘘なら、モノクマは自分にとって都合のいい展開にするためなら判決だって翻すと言っているようなものだ。
 これでも殺し合いは起きようがないだろう。




260 :♪モノクマ先生の授業 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:37:55.47 ID:OlS1u4Bl0



モノクマ
「うぷぷ、良い目をするようになったね。シュジンコウクンの面目躍如ってところかな?
 ここで証拠を出してあげても、それはそれで面白いんだけど、それじゃ期限を設けた意味がなくなっちゃうからね。
 証拠は期日になったら付いてくるよ。誰にも知られたくない秘密と一緒に、ね。
 だからオマエラに配った動機ビデオの内容も事実だし、当然学級裁判の判決だって本当なんだよ?
 ボクってば、クマ一倍公平公正にはうるさいんだよね!」


オモヒト コウ
「じゃぁ何か? 咲夜は伊織と柏木の両方に殺されたってことなのか?」


モノクマ
「……そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるかな。
 ま、どう解釈するかはオマエラの好きにすればいいよ!
 じゃ、バーイクマー!」



 いつも通り、モノクマは唐突に表れて唐突に去っていった。





261 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:45:03.19 ID:OlS1u4Bl0



ノノハラ レイ
「……さて、じゃぁ七宮さんの処遇なんだけど、どうすればいいかな?」


オモヒト コウ
「どうするもないだろ。何もしなくていいんだよ」


ノノハラ レイ
「どうして? 呪いとはいえ他人を殺したんだぜ? そんな人間とこれからも共同生活しろっていうのかい?」


オモヒト コウ
「さっきも言っただろ。咲夜を殺したのは柏木だ。
 そもそも、伊織が呪いの儀式を行ったからって咲夜がそれで死ぬとは限らないだろ」


ノノハラ レイ
「覚えてないの? モノクマが殺害方法の例として呪殺を取り上げてたでしょ?
 それって、普通の法律では認められていない呪いによる殺人を、モノクマは認めてるってことでいいんじゃないかな?」


オモヒト コウ
「実際に手を下したのは柏木だ。伊織が行った儀式と、柏木の犯行との因果関係はまるでない」


ナナミヤ イオリ
「もうやめてください!」



 ――不意に、伊織の叫び声がした。





262 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:54:12.38 ID:OlS1u4Bl0



ナナミヤ イオリ
「……もう、いいです。……ごめんなさい」



 それだけ残して、伊織は食堂を後にした。



オモヒト コウ
「……俺は伊織と話をしてくる。ついでに同行も調べておく。それでいいな?」


ノノハラ レイ
「まだ何も言ってないよ。
 けどまぁ、良いんじゃないかな。反対する理由もないしね」


タカナシ ユメミ
「あたしもついていくよ、お兄ちゃん」


オモヒト コウ
「夢見?」


タカナシ ユメミ
「理由がどうあれ、方法がどうあれ、あの女は人殺しかもしれないんでしょ?
 そんな奴と二人きりなんて危険すぎるよ! お兄ちゃんが何と言おうとあたしはついていくからね!」


オモヒト コウ
「お、おう……、俺を、心配して言ってくれてるん、だよな?」


タカナシ ユメミ
「あったり前じゃない! だってあたしはお兄ちゃんのことが大好きなんだもん!」


オモヒト コウ
「……わかった。けど、あまり刺激するんじゃないぞ?」


タカナシ ユメミ
「わかってるって! あたしはただ黙ってお兄ちゃんについていくだけだから♪」






263 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 01:58:29.23 ID:OlS1u4Bl0



ノノ
「なんか、おいてけぼりになっちゃったね」


ナナ
「これっぽっちもおもしろくないわ。言わないほうがよかったかしら」


アサクラ トモエ
「そうかな? いずれ秘密はばれちゃうんだし、それが早いか遅いかってだけだったと思うけど」


マスタ イサム
「事故みたいなものだろ。気にしない方がいいぞ」




264 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 02:01:35.66 ID:OlS1u4Bl0



ウメゾノ ミノル
「……うん、決めた。これから重大発表を行います!」


サクラノミヤ アリス
「は?」


サクラノミヤ エリス
「お兄さま? どうしたんですかそんな藪から棒に」


サクラノミヤ アリス
「どうせ大したことじゃないでしょ」





265 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 02:04:23.89 ID:OlS1u4Bl0



ウメゾノ ミノル
「今夜、マジックショーを開催するよ!
 20時になったら別館の多目的ホールに全員集合ね!」





266 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/06/10(日) 02:08:09.36 ID:OlS1u4Bl0


――本日はここまで。


――>>257様 大変長らくお待たせしてしまいました。


――『時間があれば今週中にもう一度更新』などと言っておきながら実際は一週間遅れ……、返す言葉もございません。


――基本的に筆がとても遅いので、気長にお待ちいただければ幸いです。




267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/10(日) 09:05:32.72 ID:U2Qi7HJSO
>>266
良いんですよ。更新お疲れ様です。
>>1さんも忙しかったと思いますし、無理だけはしないでくださいね。
私はこのSSが完結するまで永遠に待ち続けますので……
続き、楽しみにしています。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/10(日) 11:33:05.74 ID:Ylv5APM10
乙乙
面白いよ
269 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/07/31(火) 22:30:52.36 ID:Fb7kGMc/0



サクラノミヤ アリス
「……突然何言いだすワケ?」


ウメゾノ ミノル
「さっきから動機ビデオがどうとか、みんな元気なさそうだしさ。
 パーッと明るくしたいじゃん?」


サクラノミヤ アリス
「とか言って、また何かろくでもないこと企んでるんじゃないでしょうね?」


ウメゾノ ミノル
「疑われるのは心外だよ。そりゃまぁ、僕のマジックの腕なんてたかが知れてるかもしれないけどさ」


サクラノミヤ エリス
「私はいい考えだと思いますよ、お兄さま」



270 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/07/31(火) 22:56:17.94 ID:Fb7kGMc/0



ウメゾノ ミノル
「そういうワケだから、今日のところは多目的ホールを使わないでほしいんだ。
 いろいろ準備をしておかなきゃいけないからさ」


ユーミア
「飾りつけならお手伝いしますが?」


ウメゾノ ミノル
「いや、いいよ。準備って言ってもタネを仕込むぐらいだし。むしろ一人の方が好都合なんだ。
 リハーサルもしておきたいしね。だから20時まで多目的ホールは締め切るつもりなんだけど」


ナナ
「えー、つまんなーい」


ノノ
「そのマジックショーがつまらなかったらどうしようかなー?」


ウメゾノ ミノル
「期待は裏切らないと思うよ。あまり高望みされすぎたら困るけど」




271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 00:17:53.58 ID:w37scj7SO
更新ありがとうございます。
272 :♪Become Friends ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 00:28:39.51 ID:td1JVT9W0



ウメゾノ ミノル
「じゃ、そういうことで。
 覗きに来ちゃイヤだぜ」


ノノハラ レイ
「……そういわれると行きたくなっちゃうんだよなぁ」


コウモト アヤセ
「澪……」


ノノハラ レイ
「わかってるって。行かないよ。
 じゃ、ここにいない公と小鳥遊さんと七宮さんにはボクから伝えておくよ」


マスタ イサム
「……いや、俺がやる。余計なことを吹き込まないようにな」


ノノハラ レイ
「イマイチ信用されてないなぁ」


ノノハラ ナギサ
「それはお兄ちゃんの自業自得だと思う」


ノノハラ レイ
「ハハッ、返す言葉もないねぇ」



273 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 00:41:20.57 ID:td1JVT9W0

―――


オモヒト コウ
「伊織、開けてくれ! 俺の話を聞いてくれ!」

 固く閉ざされた伊織の部屋の扉を前に、俺は声を張り続けていた。




274 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 01:14:37.67 ID:td1JVT9W0



 何度呼び掛けても、返事はまるでない。
 それでも、俺は――。





275 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 01:20:24.74 ID:td1JVT9W0



タカナシ ユメミ
「あー、もう! じれったい! お兄ちゃん、ちょっとどいて!」



 しびれを切らした夢見が、ポケットから見たこともない金具を取り出してドアの金具をいじり始める。



――ガチャ



 ものの数分で、冗談のように、ドアが開いた。




276 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 01:33:06.64 ID:td1JVT9W0


タカナシ ユメミ
「ちょっと! お兄ちゃんに迷惑かけてないでいい加減出てきなさいよ!」


オモヒト コウ
「お、おい、それ無理矢理鍵を開けたやつが言うセリフじゃないだろ……っ?!」



 夢見が乱暴に開けたドアの先には、ロウソクの明かりでほのかに照らされた伊織の姿があった。
 その服装はいつもの巫女服ではなく、真っ白で左前の――



ナナミヤ イオリ
「あぁ、やはり、来てしまったんですね」



 儀式の祭壇の中心に、死に装束を着て、片手に日本刀を携えている。
 その目は深く暗い闇の底のように淀み、目の前にいる俺の姿を映しているのかもわからない。
 ある種の美しさすらも感じるそれは、自らを人柱とするための準備をしているようにしか見えなかった。




277 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/08/01(水) 01:35:16.35 ID:td1JVT9W0


――本日はここまで。


――気が付けば二か月弱放置……っ! 不覚……っ! 圧倒的不覚……っ!


――それもこれもザンキゼロってゲームが悪いんだっ! ……なんて言い訳になりませんが。


――気長にお待ちいただければ幸いです。


――おやすみなさい。


278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 02:05:48.46 ID:w37scj7SO
乙です。ゲームが理由なら仕方がないです。
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 12:49:11.70 ID:EmwEIT3QO
乙、ザンキゼロ面白いよね
280 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/17(水) 22:23:01.98 ID:lCpjIcio0



オモヒト コウ
「伊織……、お前、それは……!」


ナナミヤ イオリ
「……見ての通りよ。この身を神に捧げることで、許しを請う儀式の準備をしていたの」



 伊織は笑っていた。
 すべてを諦めてしまったような、そんな笑みだ。



281 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/17(水) 23:50:33.31 ID:lCpjIcio0



ナナミヤ イオリ
「貴方が私を許してくれた時、とても嬉しかった。
 けれど、私はそれを裏切ってしまったの。コロシアイを否定している貴方を」


オモヒト コウ
「……咲夜を殺そうとしたこと、か?」


ナナミヤ イオリ
「綾小路さん……。私はあの人が……、あの女が妬ましかった……。
 私だけを見てほしいのに……、貴方は……、あの女の事ばかり……。
 そして今は、その隣に私がいない……!」


タカナシ ユメミ
「お生憎様、お兄ちゃんの隣にはあたしがいるだけで十分なの。ね、そうでしょ? お兄ちゃん?」



 ……頼むから夢見は空気読んでくれないかな。
 なんて口が裂けても言える雰囲気でもないが。
 今は伊織の話を聞くことだけに集中するんだ。




282 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/18(木) 00:38:45.14 ID:GzCi148V0



ナナミヤ イオリ
「私は神を裏切って、貴方とともにいることを選んだ。信仰よりも、貴方を。
 それなのに私は、醜い嫉妬で貴方さえ裏切って……」


オモヒト コウ
「だから、命で償おうっていうのか?」


ナナミヤ イオリ
「いいえ……、この罪は何をしても贖えるものじゃないわ……。それに――


 ――私がもう、生きていたくないもの」




283 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/18(木) 00:54:14.61 ID:GzCi148V0



ナナミヤ イオリ
「貴方にはもうこれ以上他の女で穢されて欲しくない。
 この身が張り裂けそうだから、貴方の心も体も、私だけのものにしたい。
 そう思えば思うほどに、私も他の女と同じく貴方を穢してしまっているのだと……。
 そんな思いは、もうしたくないの」




284 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/18(木) 01:10:37.32 ID:GzCi148V0



オモヒト コウ
「俺は、それでも伊織に生きていてほしい。伊織が死ねば、俺は悲しい。俺はそう言った筈だ。それは今も変わらない。
 嫉妬なんて人間なら誰だってするさ。それを汚らわしいだなんて俺は思わない。
 神や俺を裏切ったことで伊織が伊織自身を許せなかったとしても、神が伊織を許さなかったとしても、俺は伊織を許すよ。
 確かに人を呪い殺そうとしたことは褒められたことじゃないが、実際に人を殺したわけじゃない。
 俺だって、こんな奴死ねばいいとか、心の中で思ったことぐらいはあるさ。
 呪っただけで人を殺せるなら、この世は死体であふれてるはず、そうだろ?
 まして伊織はその行為を後悔してるんだ。真摯に反省しているんだったら、神様だって許してくれるって」


ナナミヤ イオリ
「……いつか、そう、貴方が食事中に倒れる前、私は貴方を、貴方だけを見ていた」



 澪が俺にサドンデスサプリを盛ったあの事件か……。
 できれば思い出したくなかったな。



ナナミヤ イオリ
「それが神のお告げだと、あの時貴方に言ったけれど……。おかしな話でしょう?」





285 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/18(木) 01:11:13.47 ID:GzCi148V0




ナナミヤ イオリ
「私にはもう、神の声など聞こえないというのに」




286 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2018/10/18(木) 01:12:45.10 ID:GzCi148V0


――本日はここまで。


――無事復旧できてよかったですね。


――誠に遅筆でご迷惑をおかけすると思いますが、これからもどうぞ御贔屓に……。


――それでは、おやすみなさいませ。


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