アンチョビ「西住みほ、お前が欲しい」みほ「え!?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 18:28:34.63 ID:yrOiG5FDo
生徒会室

柚子「お待たせしました」

みほ「し、失礼します」

アンチョビ「待っていた」

みほ「安斎さん? どうして大洗に……」

アンチョビ「アンチョビだ」

杏「チョビ子がどうしても西住ちゃんとお話したいんだってさ」

アンチョビ「だから、アンチョビ」

桃「無理を言って西住を呼び出したんだ。安斎、くだらない用件なら叩き出すぞ」

アンチョビ「もういい。……みほ」

みほ「は、はい」

アンチョビ「回りくどいのは嫌いだから、率直に言うぞ」

アンチョビ「――西住みほ、お前が欲しい」

みほ「……」

みほ「え!?」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 18:36:56.40 ID:yrOiG5FDo
大洗女子学園 校門

桂利奈「わー、カルロベローチェだぁ」

優季「ほんとだぁ。誰か買ったのかなぁ」

あゆみ「大洗の新しい戦車かな?」

あや「えー? でも1輌だけじゃ意味なくない?」

梓「そんなことないんじゃない? 小回り効くし、偵察に適してるし」

紗希「……」

みどり子「安斎さんは結局何の用があったのかしら」

モヨ子「わからないのよ」

沙織「みんなしてどうしたのー?」

華「そろそろ戦車道の授業が始まりますよ」

みどり子「そうなんだけど、肝心の西住さんが不在じゃ始めようにも始められないじゃない」

優花里「そういえば西住殿の姿が見当たりませんね」

希美「西住さんは今、生徒会室に居ます。安斎さんが呼んでいるとのことで、副会長が連れていってしまいました」

麻子「安斎さんが?」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 18:46:23.77 ID:yrOiG5FDo
優花里「安斎殿はどういった用件で来られたのですか?」

みどり子「副会長が急に連れていったから分からないわ」

華「何故でしょう。胸騒ぎがします」

沙織「単に遊びにきたんじゃないの」

麻子「西住さんだけに会いに来たというのが引っかかるな」

沙織「あ、そっか。それじゃあ、みぽりんと一緒に買い物をする約束してたとか」

華「沙織さん、わざとですか?」

麻子「生徒会室に行ってみればいい」

優花里「いいんでしょうか。機密事項なら盗聴は重罪ですよ」

沙織「女子高生で重罪になるほどのことって、恋の話ぐらいしかないって」

ねこにゃー「西住さんとアンチョビさんが……恋……?」

ぴよたん「西住さんとアンチョビさんのカップリングずら?」

ももがー「マニアックなり」

カエサル「なんの話だ?」

エルヴィン「で、行くのか、行かないのか」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 19:12:39.64 ID:yrOiG5FDo
校舎内 廊下

ナカジマ「こんな大所帯で押しかけたら迷惑だと思うけどなぁ」

ホシノ「けど、西住さんがいないと始められないのは確かだし」

スズキ「先に始めちゃってもいいですかーって一声かけるだけなら問題ないって」

ツチヤ「そうだなぁ」

華「お話の内容にもよるかと」

カエサル「わざわざアンツィオから足を運んだとなれば、簡単な話ではないだろうな」

おりょう「将の引き抜きかもしれないぜよ」

優花里「お、おりょう殿!! 何を言いだすんですかぁ!!」

おりょう「驚くことはないぜよ。歴史とは人の心が移ろい、築き上げられている。徳川慶喜然り」

カエサル「西住隊長は大洗のタルペーイアになるつもりか」

エルヴィン「ハインリヒ・ヒムラーかもしれない」

左衛門佐「明智光秀だ」

おりょう・カエサル・エルヴィン「「それだぁ!!」」

優花里「やめてくださいよぉ!!」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 19:22:46.49 ID:yrOiG5FDo
沙織「みぽりんが私たちを裏切ったりはしないって。ねー、麻子ー?」

麻子「再度転校する理由もないだろうしな」

梓「で、ですよね。ありえないですよね」

優季「梓、心配しすぎぃ」

梓「分かってるんだけど。西住先輩って、色んな人に注目されてるし……万が一ってことも……」

典子「部活では引き抜きって結構あったりしますけど」

妙子「高校側が有能な中学生をスカウトして入学させるんですよね」

あけび「友達がそれで別の高校にいっちゃったなぁ」

忍「戦車道でもあるのかな」

麻子「安斎さんはまさにそれだったはずだ」

典子「アンツィオ高校にスカウトされたってことですか?」

優花里「3年前までアンツィオ高校は、戦車道の履修者が数人しかいなかったという話は聞いたことがあります」

麻子「今現在のアンツィオを築き上げたのは、安斎さんだ。恐らく、誰よりもアンツィオの未来を考えているに違いない」

桂利奈「そーいえば、この前愛里寿が大洗にきたとき、アンツィオの人たちもいたよね」

みどり子「確か、あのときは島田さんのことをスカウトする気満々だったわね」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 19:32:33.72 ID:yrOiG5FDo
優花里「そ、そんな……まさか……」

麻子「安斎さんはアンツィオ高校の戦車道を立て直すためにスカウトされた人物だからな。自身が卒業した後のことを考えているのなら可能性はある」

沙織「けど、安斎さんだって、そこまで強引なことはしないんじゃない?」

典子「私もそう思います!」

妙子「相手校のキャプテンを一番やっちゃいけないことだと思う」

忍「うん。そこまで卑劣なことをあの安斎先輩はしないはず」

ペパロニ「ん? なんかいっぱい来たな」

カルパッチョ「あ、たかちゃーん」テテテッ

カエサル「ひなちゃーん」テテテッ

おりょう「はじまったぜよ」

エルヴィン「もう慣れたな」

左衛門佐「たかちゃん、私たちのことも忘れないでほしい」

カエサル「ぐっ……。つい、昔の癖で……」

沙織「二人ともなにしてるの?」

ペパロニ「アンチョビ姉さんを待ってる。話に集中したいからって、私たちは席を外されたんだ。私も一緒のほうが絶対、説得だってうまくいくはずなのになぁ」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 19:41:37.40 ID:yrOiG5FDo
カルパッチョ「そうかしら?」

ペパロニ「ぜってえ、そうだって。目の前で鉄板ナポリタンを作れば、匂いにつられてアンツィオに来るはずだ」

カルパッチョ「生徒会室では作れないと思うけど」

ペパロニ「カセットコンロと食材さえあればできる」

カルパッチョ「フライパンもいるんじゃないかな」

カエサル「ひなちゃん、今の話はどういうこと?」

カルパッチョ「え?」

沙織「説得って、どういう意味?」

華「アンツィオに来るとは?」

ペパロニ「どういう意味もなにも、アンチョビ姉さんは西住みほをアンツィオに呼ぶつもりなんだよ」

優花里「ど、どど、どういうことですかぁ!?」

ペパロニ「いや、だから、スカウトだよ、スカウト。アンツィオの未来のためにな」

典子「そ、そんな!! そんなことされたら、大洗は、私たちの未来はどうなるんですか!!」

妙子「ひどいです!!」

カルパッチョ「そう言われても、これはドゥーチェの意向だから……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 19:48:07.19 ID:yrOiG5FDo
忍「そんなの絶対に阻止します!!」

あけび「ブロックです!!!」

妙子「この三枚の壁を越えられるなら越えてみてください!!」

ペパロニ「お前らって、ホント無駄に大きいよな」

梓「西住先輩がいなくなっちゃう……」

優季「やだぁ……」

桂利奈「西住先輩をとらないでぇぇ」

あや「戦車道的にどうなんですかー!!」

みどり子「風紀の乱れよ! 校則違反よ!!」

ねこにゃー「西住さんはやっぱり、すごい人だから……欲しいのはわかります……でも、それでも……ボクたちにとって、最高の隊長で……大切な友達だし……」

ナカジマ「まぁまぁ、みなさん、落ち着いて」

ツチヤ「よく落ち着いてられるなぁ」

ナカジマ「いや、西住さんが説得に応じるかどうかは分からないんだし、慌てるのは早いんじゃないかなって」

スズキ「焦ってハンドル切っても、カーブは曲がれないしね」

ホシノ「ドリフトにはブレーキも必要ってこと?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 20:23:41.00 ID:yrOiG5FDo
沙織「う、うん。ナカジマさんのいうとーりだよぉ、みぽりんは私たちを置き去りになんてしない!」

優花里「そうですね!! 西住殿を信じましょう!!」

梓「信じます!!」

優季「西住先輩は卒業するまで私たちの先輩でいてほしいなぁ」

カエサル「アンツィオ高校はそこまで逼迫してるの? 士気だって相当高そうだけど」

カルパッチョ「私も含めてドゥーチェのカリスマに惹かれて戦車道を受講した生徒は多いの。だから、そのドゥーチェが卒業してしまったら……」

エルヴィン「空中分解は避けられないか」

カルパッチョ「それは大げさかもしれないけど、今よりもまとまりがとれなくなることは考えられるわ」

おりょう「だからこそ、知将が必要ということか」

左衛門佐「しかし、我が将が簡単に軍門に下ることはないでござる」

カエサル「ひなちゃんには悪いけど、無理だと思うよ」

カルパッチョ「どうして?」

カエサル「それは西住隊長だからだ」

カルパッチョ「そ、そう」

沙織「みぽりんを信じなきゃ。絶対、私たちを見捨てたりなんてしないって」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/12(水) 20:26:16.81 ID:gccHx1WO0
2代目ドゥーチェがみぽりんになったらまぁ・・・アンツィオさんは強くなりそう・・・
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 20:31:39.85 ID:yrOiG5FDo
生徒会室

アンチョビ「――というわけだ。どうだ、悪い話じゃないだろう」

みほ「ええと……」

桃「却下だ」

アンチョビ「なに?」

桃「何故、西住がそんなことをしなければならないんだ」

アンチョビ「理由は説明しただろ。未来のアンツィオを思えば、これが最も優れた一手となる」

アンチョビ「西住みほは高校戦車道史に名を遺すほどの有名人になっている。そんな人物がアンツィオで来るだけで相当な宣伝効果になる」

アンチョビ「来年の入学者は増え、戦車道履修者も増える。まさに、ウィンウィンだ」

柚子「ウィンしてるのはアンツィオ高校だけではないでしょうか」

アンチョビ「だから、見返りとしてアンツィオ高校の屋台、食堂で売られているイタリア料理をみほが卒業するまで無料で食べ放題という特典をつけるといってる」

桃「ふざけるな!!! 西住!! 迷う必要性がないだろう!! 断れ!!」

みほ「……」

杏「西住ちゃん、どうする?」

みほ「イタリア料理食べ放題は別にいりません」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 20:39:16.88 ID:yrOiG5FDo
アンチョビ「何故だ!? 島田のようにトマトもオリーブオイルもアンチョビもチーズも苦手なのか!?」

みほ「い、いえいえ! そういうわけではなくて、そんなに特別扱いしてほしいわけじゃないってことで……」

アンチョビ「ん? それって……」

みほ「食べるときはちゃんと支払います」

桃「に、西住……まさか……」

みほ「あの。私、安斎さんのお話を受けようと思います」

柚子「えぇ!? いいの!?」

杏「おぉー」

桃「おい!! 西住!!! どういうことだ!! 私たちを裏切るのか!!!」

みほ「そ、そんなつもりは……」

桃「お前のその行為はまさに裏切りだ!!!」

みほ「けど……」

桃「西住!! 目を覚ませ!!!」

杏「かわしまぁ。座れ」

桃「しかしですね、会長!! この話を呑んでしまえばアンツィオ高校が我々よりも強くなってしまうことだってあるんですよ!?」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 20:47:04.00 ID:kafBCnOC0
スレタイ、ドモンを思い出した
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 20:47:44.84 ID:yrOiG5FDo
アンチョビ「みほー!! お前ならばそういうと思っていたぞ!!!」ギュゥゥ

みほ「あはは」

桃「離れろ!! 安斎!!!」

杏「いいんだね、西住ちゃん」

みほ「構いません」

柚子「でも、言い方は悪いけど、西住さんが見世物にされてるような気が」

アンチョビ「そんなつもりはない、とは言えないな。だが、こっちだって真剣なんだ。必死なんだ。これでも私はアンツィオ復活のために呼ばれたんだからな。先の心配だってする」

柚子「そのことは伺っていますけど」

みほ「大丈夫です。気にしません」

桃「西住……」

みほ「安斎さん。明日から始めましょう」

アンチョビ「いいのか!? 助かるぞ!!」

みほ「一緒にがんばりましょう」

アンチョビ「ああ!! これでアンツィオは安泰だ!!! いやー!! 島田愛里寿に断られたときは困ったが、やはりこうして言ってみるものだな!!」

杏「がんばってねぇ、チョビぃ」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 20:50:02.41 ID:sMBh+49k0
どう話が進んでくのか気になるな、期待
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 20:57:12.47 ID:yrOiG5FDo
アンチョビ「よし、皆にも良い報告ができるし、最高の気分だ」

杏「ま、チョビには前の試合でも協力してもらったしな」

アンチョビ「あの日の私は大洗の生徒だったんだ。貸し借りをした覚えはないぞ」

杏「そっか」

アンチョビ「では、みほ。お前は明日から、そうだな、カプチーノと呼ぼう」

みほ「えぇ!?」

アンチョビ「なんだ、嫌か? では、ルッコラだな」

みほ「普通で! 普通でいいですから!」

アンチョビ「普通か。よしっ、パルミジャーナで」

みほ「……カプチーノでいいです」

アンチョビ「なんだ、やっぱりその呼び方がよかったのか。よろしくな、カプチーノ」

桃「はぁ……。大洗にとっては大損害ですよ、会長」

杏「いいじゃん。面白そうで。私、留年しようかなぁ」

柚子「会長、冗談はやめてください。あー、桃ちゃんは普通にしそうだよね」

桃「しない!!」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 21:00:08.76 ID:kOlN+GpSO
みぽりんには何らかの策略が有るのだろう。
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 21:05:16.96 ID:yrOiG5FDo
アンチョビ「では、失礼する。練習もあるのに、すまなかったな」

みほ「いえ。私も安斎さんのことを知ることができて、嬉しかったです」

アンチョビ「みほ、いや、カプチーノ、よろしく頼む」

みほ「こちらこそ。よろしくお願いします」

杏「小山ぁ、チョビがお帰りだよぉ」

柚子「はぁい。どうぞ」ガチャ

アンチョビ「ありがと――」

ペパロニ「姉さん!! やったんすね!!!」

アンチョビ「うお!? な、なんだ、お前たち。聞き耳をたてていたのか?」

ペパロニ「だって、気になるじゃないっすかぁ。天下の西住みほがうちにくるかもしれないんすよ。気にならない方がおかしいっすよぉ」

アンチョビ「だからってなぁ……」

みほ「あ……みんな……」

沙織「みぽりん……ホントなの……?」

みほ「聞いてたの?」

麻子「西住さん、アンツィオに行くのか」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 21:11:36.11 ID:yrOiG5FDo
みほ「うん」

華「みほさん……」

梓「先輩……せん、ぱい……」

みほ「澤さん?」

桂利奈「やだぁ……にしずみ、せんぱい、いかないで、くださいぃ……」

みほ「でも、もう……約束したから……」

優季「イタリア料理なら、私たちで、作りますからぁ」

あや「西住先輩!! どうしてなんですか!!」

みほ「私は、安斎さんに協力したい。一生懸命な安斎を放ってはおけなくて」

典子「わ、私たちのことはもういいんですか」

みほ「はい?」

妙子「優勝したからもうここに執着しないんですか!?」

みほ「あの……?」

あけび「二連覇しましょうよ!!! 西住先輩!!! 優勝旗、もう一度持って帰ってきましょう!!!」

忍「あの優勝は……!! つらい戦いはなんだったんですか!! 西住先輩!!」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 21:16:22.23 ID:yrOiG5FDo
桃「お前たち、騒ぐな。これは決定事項なんだ。悔しいが、西住の意志を尊重してやれ」

みどり子「そんなの納得できるわけないじゃない!!」

ねこにゃー「ボクたちの意見だってきいてほしい……」

柚子「会長、もしかして」

杏「みたいだな。みんなー、落ち着いてー。ちゃんと説明すっから」

優花里「西住殿!!!」

みほ「は、はい!?」

優花里「意志は固いのですか」

みほ「……」

優花里「安斎殿に協力するという決意は変わらないのですか」

みほ「はい」

優花里「わかりました……。では、もう何も言いません。西住殿、がんばってください」

みほ「ありがとう、優花里さん」

優花里「うっ……うぅぅ……えぐっ……」

沙織「ゆかりん、そんな無理しなくてもいいのに」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 21:26:14.95 ID:yrOiG5FDo
カエサル「残念だ……。西住隊長がアンツィオに行ってしまうとは……」

おりょう「大幅な戦力ダウンぜよ……」

エルヴィン「大洗から西住隊長が抜ければ、それはもはや、ロンメル抜きでアフリカ戦線を進むことと同義だ」

左衛門佐「辛すぎるでござる……」

みほ「……?」

カルパッチョ「では、西住さん。改めて、よろしくお願いします。カルパッチョです」

アンチョビ「みほを呼ぶときはカプチーノと呼ぶように」

ペパロニ「そうなんすか! よろしくな! カプチーノ!!」

みほ「はいっ」

華「みほさんが遠い人になった気がしますね」

沙織「みぽりん……かなしいよぉ……」

優花里「がまん……あえなくなるわけじゃないんですから……えがおで……えがおでみおくらないと……うぅ……」

杏「あのー、話きいてくれない?」

ねこにゃー「ふ、不公平だと、おもいます」

ぴよたん「ねこにゃー?」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 21:34:09.70 ID:yrOiG5FDo
ねこにゃー「に、西住さんは色んな学校が欲しがってるはず……なのに……アンツィオ高校だけが……そんな交渉していいわけがない……と、おもうんだけど……」

ペパロニ「あぁ? なんだってぇ?」

ねこにゃー「ひっ……すみません……」

ペパロニ「そうだよなぁ。姉さん、そのへんどうなんすか?」

アンチョビ「そんなもの早い者勝ちに決まっているだろう。出遅れたやつが悪いんだ」

ペパロニ「だ、そうだ。わかったか」

ねこにゃー「あ、はい」

ももがー「あ、あきらめちゃだめなり!!」

ぴよたん「ねこにゃー! もう一押し!!」

梓「そうですよ!!! 猫田先輩の言う通りです!!! どうして安斎先輩だけが西住先輩と交渉しているんですか!!!」

あゆみ「そーだ!! そーだ!! まずは他校にも呼び掛けてみるべきだと思います!!」

みどり子「そうね! それで西住さんのことを欲しがる学校があれば平等に交渉するべきよ! 西住さんはその中から一校に決めなさい!! それが風紀ってものでしょ!!」

みほ「えぇ!?」

杏「ちょっとま――」

アンチョビ「一理あるか」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/12(水) 21:44:17.33 ID:Dsn7JRsSO
いいねいいね
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 21:44:55.63 ID:yrOiG5FDo
カルパッチョ「ドゥーチェ?」

アンチョビ「お前たちの意見はもっともだ。カプチーノ、いや、みほのことを欲しがる高校は他にもあるかもしれない」

アンチョビ「いくら早い者勝ちとはいえ、あとで多くの学校に恨まれる危険性もなくはない」

アンチョビ「よし。杏、他校に呼びかけをしてくれないか?」

杏「チョビ」

アンチョビ「戦車道を嗜む者、何事にも正々堂々だ。まぁ、みほは我がアンツィオ高校が必ず貰い受けるがな」

柚子「誤解をとけばいいだけなんじゃあ……」

アンチョビ「それでも我々だけがみほを独占したら、他校との試合で後輩たちが恐ろしい目に遭うかもしれない」

桃「報復を恐れてのことか」

アンチョビ「別に怖くないぞ。西住みほとはそれだけの人物というだけだ」

杏「西住ちゃん、どうする?」

みほ「あの、私は構わないんですけど……でも、それだと安斎さんが困ることに……」

アンチョビ「ふっふっふ。甘く見るな、みほ。我々は実力でお前を奪ってみせる!!!」

みほ「な……」

杏「かわしまぁ。チョビもやる気みたいだし、この一件他校に通達してくれる?」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 21:51:56.45 ID:yrOiG5FDo
桃「はっ」

ペパロニ「つまり、姉さん。まだカプチーノはうちにきてくれないんすか?」

アンチョビ「こら、カプチーノではない。みほと呼べ」

カルパッチョ「ドゥーチェ、どうして……」

アンチョビ「恨まれたら、私たちみたいな弱小、じゃなかった、復活して間もない学校はひとたまりもないだろう」

ナカジマ「ちょっといいですかー? 交渉は私たちがしてもいいんですよね?」

ツチヤ「おぉ! そうなるよね!」

アンチョビ「勿論だとも。受けて立ーつっ」

沙織「みんな!! みぽりんを取り戻そうよ!!」

華「はいっ!」

優花里「大洗女子学園のプレゼンをするんですね!!」

典子「バレーボール押しでいくぞ!!!」

妙子「それはかえってバッドアピールになるとおもいます!!」

麻子「西住さん」

みほ「はい?」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 21:56:48.01 ID:yrOiG5FDo
ねこにゃー「も、もえてきたぞぉ……」

梓「みんなー!! 西住先輩がもう一度、ここで戦車道をしたくなるように何か考えよう!!」

あゆみ「おっけー!!」

あや「まかせてー!!」

優季「がんばるぅ」

桂利奈「あいぃぃ!!!」

紗希「……」コクッ

みどり子「風紀委員に任命するっていうのは?」

モヨ子「それしかないのよ、そど子」

希美「いけるかも」

杏「うんうん。私たちも考えよっか」

柚子「会長、楽しみだしてますね……」

ペパロニ「うちらもまけてらんねーっすね!!!」

アンチョビ「安心しろ、ペパロニ。一度はアンツィオに来ると言ってくれたんだ。負けるはずがない」

カルパッチョ「そうでしょうか……」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 22:06:47.89 ID:yrOiG5FDo
麻子「アンツィオ高校での戦車道イベント?」

みほ「うん。講師役で来てほしいって」

麻子「何回あるんだ?」

みほ「一応、三か月間毎週するんだって。明日からその打ち合わせで、アンツィオ高校に行こうと思ってたんだけど」

麻子「随分と力を入れているんだな」

みほ「来年度の入学者と戦車道履修者獲得のためのイベントだから。私が講師役を務めるなら、地方からも参加者がくるだろうって安斎さんは考えているみたい」

麻子「そうか……。西住さんが転校するわけではないんだな」

みほ「し、しないしない!! 私、大洗で卒業するって決めてるから」

麻子「……よかった」

みほ「もしかして、みんな勘違いしてるの?」

麻子「している」

みほ「だったら、伝えないと……!」

麻子「止めることはない」

みほ「けど……」

麻子「西住さんがどの学校を選ぶのか、私も気になるしな」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 22:19:22.54 ID:yrOiG5FDo
みほ「そんなぁ」

麻子「あと、あれを止める自信はあるか?」

カエサル「歴史クイズしかないだろうな」

エルヴィン「だが、西住隊長は楽しんでくれるだろうか」

おりょう「四択にするぜよ。正解数に応じて商品を豪華にすればいい」

左衛門佐「全問正解の暁には、甲冑だな」

エルヴィン「ドイツ軍が開発したヴィルベルゲシュッツ砲の模型を」

おりょう「土佐藩の家紋を進呈ぜよ」

カエサル「古代ローマ人が使用していたとされる携帯日時計だ」

おりょう・エルヴィン・左衛門佐「「それだぁ!!!」」

ナカジマ「学園艦で24時間ラリーはどうだろう」

スズキ「それだと疲れるんじゃない?」

ホシノ「西住さんは戦車乗りだし、それぐらいじゃ疲れないでしょ」

ツチヤ「普通にレースでもいいけどなぁ」

みほ「無理かも……」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 22:30:32.84 ID:yrOiG5FDo
桃「会長。通達完了しました」

杏「返事は?」

桃「黒森峰、サンダース大付属、プラウダ、聖グロリアーナ、知波単学園、継続高校から返答がありました。そのほかにも続々と問い合わせがあるみたいです」

柚子「もうそんなに返答があったの!?」

杏「チョビー。ちょっと」

アンチョビ「どうした?」

杏「西住ちゃんのことを欲しいって学校は名門ばっかりみたいだけど、どうする?」

アンチョビ「ぐっ……。そうだな。私も戦車道を嗜む者だ。二言はないが、できるだけ絞ってもらえると助かる。いや、参加校が多いとみほが困るだろうって意味だ」

カルパッチョ「ドゥーチェ、弱気にならないでください」

アンチョビ「そうだな。弱気はダメだ。西住みほは、我々が獲得する!! 多分!!」

ペパロニ「おっしゃー!! 黒森峰だろうがプラウダだろうがギッタンギッタンにしてやるぜぇ!!!」

杏「かわしまぁ、んじゃ、呼ぶのは黒森峰とサンダースと――」

柚子「会長、最高に楽しんでますね」

アンチョビ「みほ!!! 首を洗ってまっているがいい!!! 必ず、きっと、恐らく、お前はアンツィオ高校にくることになるだろう!!! と思う!!」

みほ「は、はぁ」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 22:38:16.83 ID:yrOiG5FDo
アンチョビ「で、みほとの交渉日はいつになる?」

杏「一週間後でいいんじゃない? 場所はもちろん、ここね」

アンチョビ「望むところだ」

みほ「本当にいいんですか?」

アンチョビ「私は信じている。みほがアンツィオを選ぶことをな」

みほ「けど、打ち合わせは……」

アンチョビ「正式に決定してからでも遅くはない。まだ時間はあるからな」

みほ「わかりました……」

沙織「みぽりんはぜったいにわたさないんだからー!!」

優花里「私たちの隊長は永久に不滅です!!」

華「守ります。私たちのみほさんを」

麻子「おー」

みほ「みんな……」

杏「西住ちゃん、モテモテだねぇ」

みほ「嬉しいんですけど、ちょっと違うような」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 22:52:26.03 ID:yrOiG5FDo
校門

ペパロニ「さーて、かえりましょうか、姉さん」

アンチョビ「戻ったら作戦会議だな」

カルパッチョ「もし、みほさんが選んでくれなかったらどうするんですか」

アンチョビ「そのときは、そのときでまた別の案を考えればいいだけの話だ。みほが来てくれることは最良の策だが、唯一の策ではない」

カルパッチョ「わかりました。私もできる限りのご協力をさせていただきます」

ペパロニ「にしても、あいつら妙に燃えてましたよねー」

アンチョビ「それだけ、みほは魅力的な隊長なんだ」

ペパロニ「あたしは姉さんのほうが魅力的にみえますけどねー。頭はあんまりよくないっすけど」

アンチョビ「お前にはいわれたくない!!」

カルパッチョ「他校がどんな手でくるのか、気になるところですね」

アンチョビ「小細工は不要だ。アンツィオの魅力を余すところなくアピールすれば、風は吹く!!」

ペパロニ「当日は鉄板ナポリタンつくるっすよぉ!!」

アンチョビ「それでいくぞ!! みほをトマトソースまみれにしてやるんだ!!!」

カルパッチョ「えぇ……」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/12(水) 23:01:57.45 ID:yrOiG5FDo
一週間後 大洗女子学園

みどり子「西住みほさんと交渉を希望する方はこちらにならんでくださーい」

杏「あんまり集まらなかったねぇ」

桃「イベント等で一時的に借りられるだけということですからね」

柚子「転校するわけじゃないって知った途端、辞退する学校が殆どでした」

杏「それでも借りたいってところはこれだけいたんだねぇ」

ダージリン「ふふふ。みほさんが聖グロリアーナに来てくれるチャンスを逃す手はありませんわね」

カチューシャ「ノンナ、絶対にミホーシャをプラウダに引き込むのよ」

ノンナ「了解です」

まほ「……」

ケイ「ミホにチアリーダーやってもらいたかったのよねぇ」

絹代「西住殿が我が知波単学園を導いてくれるかもしれないぞ!! 気合をいれろ!!!」

「「おぉぉぉ!!!」」

アキ「みほさんが継続高校に転校してくれるなら、もっと強くなれるね、ミカ!」

ミカ「壮絶な思い違いが渦巻いているね」ポロロン
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