敏恵「今度こそ、ストライクウィッチーズ!」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 10:07:17.81 ID:2azGmgS90
 
美緒「遠慮するな、どんどん食え服部! 身体作りには肉食だぞ?」ヒョイヒョイ ヒョイ

静夏「は、はいっ!(ぅぅ…そろそろお腹が…)」

芳佳「静夏ちゃん、危なくなったら言ってね? ドクターストップかけるから」

リーネ(そうなる前に止めてあげるべきなんじゃ…?)

エイラ「何やってんだコレ? 大食いハラスメントか?」スタスタ

ペリーヌ「いえ。服部さんの初戦果を祝福していた筈なのですけど、いつの間にかですわね」


ミーナ「…坂本少佐、ちょっといい?」トントン

美緒「――む? おお中佐、どうした」

ミーナ「お楽しみの所悪いけど来てくれる? 話があるわ」

美緒「うむ、承知した。…すまんなお前達、少し外す」

芳佳「あ、はーい。いってらっしゃい」

静夏(た、助かった…!)ゲプ

リーネ(よかったね服部さん)ホッ

シャーリー「こっち肉足りてるかー?」スタスタ

ルッキーニ「ねぇシャーリー! とうもろこしは焼かないのー?」ステテ



<ワイワイワイ…




ハイデマリー「……」


サーニャ「…あの」スス

ハイデマリー「!」

サーニャ「こ、こんにちは… //」

ハイデマリー「リトヴャク中尉?」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 10:13:40.15 ID:2azGmgS90
 
サーニャ「その……まだちゃんと、直接お会いしてから挨拶をしていなかったので…」

ハイデマリー「ぁ…!そう、でしたね? えぇと…どうぞ、座りますか?」

サーニャ「はい」イソイソ

ハイデマリー「……」


サーニャ「改めて、あの……サーニャ・リトヴャクです」

ハイデマリー「はい。…ハイデマリー・シュナウファーです」

サーニャ「……な、なんだか…交信で話すよりも緊張します //」

ハイデマリー「そうですね。私も、凄く分かります。なんというか…全然違いますね?」

サーニャ「はい」


ハイデマリー「……」

サーニャ「……」
 
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 10:19:52.53 ID:2azGmgS90
 
ハイデマリー「…サーニャ中尉」ス

サーニャ「ぇ?」

ハイデマリー「あの、握手を…しませんか?」

サーニャ「ぁ、はい」スス


にぎ…


ハイデマリー「これで、きっともう大丈夫です。照れくさくありません」

サーニャ「…? //」

ハイデマリー「フフ、すみません。これはその…、友人の受け売りなんです」

サーニャ「……。お友達の?」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 10:24:46.42 ID:2azGmgS90
 
ハイデマリー「とても気さくで明るい人なんです。…初めて会った時に私もいきなり手を取られて、私は躊躇う暇もありませんでしたけど」

サーニャ「じゃあ、その人の事を思い出していたんですか?」

ハイデマリー「ぁ…はい。……その方や、他の友人達ともこうして夜間の外に集って過ごしたことがあります。それで少し、懐かしくなって」

サーニャ「夜間飛行隊の人達…?」

ハイデマリー「ええ。…今は、皆さん離ればなれになっていますが」

サーニャ「……」

ハイデマリー「……」


サーニャ「会えると思います」

ハイデマリー「ぇ…?」チラ

サーニャ「平和になってから、会いに行けますよ」

ハイデマリー「……そうですね」

サーニャ「はい」


――トタタッ


エイラ「サーニャ、なんだよもー。そっち行ってたのか」

サーニャ「ぁ、エイラ」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 10:34:07.54 ID:2azGmgS90
 
ハイデマリー「ユーティライネン中尉。 …こんにちは」ペコ

エイラ「お、ハイデマリー少佐もいンのか。じゃあ3人でこれ食べよう! 今あっちから持ってきたんだ」ジャーン!

ハイデマリー「えっ、ぃぇ! でも私が頂いてしまったら…」

エイラ「エンリョすんなってー? なくなったらまた取りに行けばイイんだから。まだまだ肉あったぞ?」

サーニャ「…あれ? でもエイラ、確か飲み物取りにいったんじゃ…?」

エイラ「――……ア!? しまった、ゴメン! ちょっと待っててくれ!?」ダッ

サーニャ「あ、待ってエイラ! 私も行くわ。1人じゃ3人分も――」スク


トタタタ――…



ハイデマリー「……」


ハイデマリー(なんだかこういうの、本当に懐かしい)クス

ハイデマリー(工藤さんは今頃、どうしているだろう…?)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 10:45:28.84 ID:2azGmgS90
 
――



ミーナ「――それで、どうだったかしら? 大丈夫そうなら貴方に直ぐ行ってほしいんだけど」ヒソ

美緒「…いやその件なんだが、やはり先約済みだ。どうやら太平洋方面の新設機動艦隊らしい」

ミーナ「そう、やっぱり…。残念ね」

美緒「どうする? 直接説得してみてもいいが聞かんと思うぞ、あいつはリバウの頃から頑なだったからな」

ミーナ「いいわ、貴方がそう言うなら本当に無理でしょうし。他を探すしかないわね…」

美緒「妹の方はどうなんだ? 近しい物を持っていると言ってただろう?」

ミーナ「それこそ絶対に無理よ。向こうの隊長もよく知ってるけど彼女が認める訳ないし、これから特に連携しようとする相手に不義なこともしたくないわ」

美緒「そうか。…しかしお前の望む条件でなお新規の人材を探すとなると、これはもう無謀かもしれんぞ?」ハグッ

ミーナ「そんなのっ……勿論妥協する余地は残してるわ。変に揉めないで確保できるならそれを優先したいけど、これに関しては単純な戦力補強とは違うじゃない?」

美緒「んん、まあな」モグモグ
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 10:55:26.16 ID:2azGmgS90
 
ミーナ「はぁ……流石に、諦めざるを得ないかしら」ガックリ

美緒「……。なあ中佐」カチャ

ミーナ「なに?」

美緒「やはりどうしても、必要なのか?」

ミーナ「ええ、出来ることなら。多分今回はネウロイの巣や大型目標をひとつ破壊して終わり、という訳にはいかない筈だから」

美緒「…そうか」

ミーナ「美緒…? べつに貴方を責めるつもりなんてないのよ? 当てつけた話に感じてるかもしれないけど、私は――」

美緒「いや、それは構わないんだが。うむ……それならば、私にひとつ考えがある」

ミーナ「…?」

美緒「……」

ミーナ「どうかしたの??」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 10:59:59.21 ID:2azGmgS90
 
美緒「…………実はな? 人材候補として、まあ…唯一心当たりがあるにはある」

ミーナ「えっ! 本当に!?」

美緒「ああ、限定的だが“能力”もある。現状手隙と言っていいかも微妙なんだが、宮藤が復帰しているなら呼べるかもしれん」

ミーナ「…どういうこと? 扶桑海軍の知り合い?」

美緒「妙な縁だがな。とにかくミーナの方で他にないならば其奴を当たるしかあるまい。今のうちから話を通し、可能という事であればお前に報告できると思うが?」チラ

ミーナ「……わかったわ。ならなるべく早目にお願い」コク
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 13:12:50.92 ID:2azGmgS90
>>21
カルールスラント → カールスラント

誰だの話だ → 誰の話だ
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 19:25:51.00 ID:2azGmgS90
 

―1ヶ月後―


ベルギガ王国

サン・トロン基地


美緒「――施設班の方も概ね順調だ。資材も足りて残り数週程で形にはなるだろう」

ミーナ「そう、順調みたいね。予定より随分早いわ」

美緒「私が尻を叩いているからな、遅くはならん」

ミーナ「それは貴重な情報をどうもありがとう少佐。手抜き工事が起きる前にお酒でも配らないと駄目そうね」

美緒「はっはっは、手厳しいな! …順調といえば、あれの到着はどうだ?」

ミーナ「ええ、それも予定通りよ。今朝パ・ド・カレーから連絡があって――」チラ

ミーナ「…そうね、私もそろそろ出迎えに行かないと危ないかしら」

美緒「よし、なら行くか」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/08(月) 19:32:50.67 ID:2azGmgS90
 
ミーナ「けどちょっと待って、これだけ先に処理しちゃうから」

美緒「何言ってる、遅刻するんじゃないのか? 後でも出来るだろう」

ミーナ「全然追いつかないのよ。…はい少佐も、これ貴方が始めたんだから片付けて頂戴」バサ

美緒「なに? いやしかし、その書類は施工後でも問題な――」

ミーナ「溜め込んじゃ駄目。私のデスクがいつまでも片付かないし、ほらそっち持って行って、こっち片付けるうちに貴方も少し減らすのよ?」

美緒「む、むぅ…。藪蛇だったか」


――コンコン


ミーナ「! どうぞ、入って」


ハイデマリー「あの…失礼しますミーナ中佐。シュナウファー少佐、戻りました」ガチャ

ミーナ「ハイデマリーさん、お帰りなさい」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 19:37:39.05 ID:2azGmgS90
 
美緒「出張戻りか、ご苦労だな少佐」

ハイデマリー「ぁ、はい。ご無沙汰してます坂本少佐」スタスタ

ミーナ「それで、空軍本部はどうだったかしら? 貴方を抱え込む事について何か言われた?」

ハイデマリー「いえ、当面については概ね承認すると。統合軍司令部との調整も行われて、吸収ではなく501の指揮下として配置可能になりました」

ミーナ「…よかったわ。ありがとう少佐、改めてよろしくお願いね」

ハイデマリー「はい」


美緒「となると、残すはあと1人だな」

ミーナ「そうね。ハイデマリーさんも間に合ってよかった」

ハイデマリー「…? 補充員を迎え入れたんですか?」

美緒「私はもう頭数から抜けている故にな。中佐の備えだ」

ミーナ「丁度もうすぐで到着する筈だから、よければ貴方も出迎えてくれないかしら?」ウフフ

ハイデマリー「ぁ、はい…? わかりました」

ミーナ「私達も後で出るから先に行ってて? バルクホルン大尉も滑走路で待機してるから」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/08(月) 19:46:29.59 ID:2azGmgS90
 
――――
――



ハイデマリー「…お疲れ様です大尉」スス

バルクホルン「! ハイデマリー少佐、戻っていたのか(いきなりでビックリした…)」

ハイデマリー「はい、少し前に」


バルクホルン「ハルトマンの奴は大丈夫だったか?」

ハイデマリー「ぁ、はい。それは勿論、とても上手な運転でした」

バルクホルン「…いやそれよりも朝起きなかったり、道中で寄り道や無駄な買い物に誘われたりと迷惑したんじゃないか?」

ハイデマリー「ぃ、いえ…。そんなことは……ないです」モジ

バルクホルン「安心してくれ少佐、証人は保護される。そうなるだろう事は初めから分かっていた」

ハイデマリー「……。すみません…」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/08(月) 19:51:07.69 ID:2azGmgS90
 
バルクホルン「はぁ…私が随行できればよかったんだが、車の運転はあいつの領分だ」

ハイデマリー「…でも大尉の立場を考えれば、私の都合で基地を離れて頂くのは無理ですよね?」

バルクホルン「確かにそれはそうだか――…いや、もういいな。終わった事で色々言うのも馬鹿らしい」ガク

ハイデマリー「……」

バルクホルン「愚痴を聞かせてすまない。ここで暫く待ち惚けて、少し退屈していたんだ」

ハイデマリー「大丈夫です。私もミーナ中佐に勧められて転任者の方を待ちに来ました」

バルクホルン「そうなのか? ミーナや私は責任者だが、どうしてハイデマリー少佐まで?」

ハイデマリー「それは私にもよく分かりませんが…」

バルクホルン「?」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/08(月) 19:57:48.49 ID:2azGmgS90
 
ハイデマリー「…あの、どういった方が来られるのか聞いてますか?」

バルクホルン「ああ。極秘事項の扱いでまだ私も詳細は知らないんだが、どうやら坂本少佐の代役らしい」

ハイデマリー「坂本少佐の…? でも501の戦闘隊長は大尉が引き継いだ筈では?」

バルクホルン「いや、どうもそれとは別の意味だ。今の我々はもう少佐の“魔眼”に頼れないから恐らく――」

ハイデマリー「…! では、ネウロイのコアを特定できるウィッチが?」

バルクホルン「そういう事だろう。同じく扶桑海軍の大尉だと聞いてる」

ハイデマリー「…! ぇ――」ドキッ

バルクホルン「ん? ……お、あれか? ようやく来たな」


――タッタッタ


ミーナ「はっ…はぁ……! ほら、間に合ったわ…?」トタタ

美緒「全力疾走のうえにぎりぎりだろう、これで示しが付くか…?」タタッ
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/08(月) 20:02:52.75 ID:2azGmgS90
 
バルクホルン「遅かったなミーナ。襟が乱れてるぞ?」

ミーナ「はぁ…はぁ…っ、管制聞こえる…? ……ええそうよ、着陸許可するからっ…誘導してあげて」ゼェ ハァ

ハイデマリー「あのミーナ中佐? ここへ来るウィッチというのは――」

ミーナ「ま、まって…ごめんなさぃ……。息が、上がっちゃって…っ」ガク

美緒「はっはっは! どうした中佐、机に座してばかりで体力不足ではないか?」

ミーナ(貴方が異常なのよ…。あんなに速いスピードで持つわけないじゃない…)ハァ フゥ

ハイデマリー「……」

バルクホルン「それにしても態々輸送機で来るとは。一体何を積んでるんだ?」

美緒「ん? ああ、それは補給物資運搬の名目で飛んでいるからだ。…帳尻合わせには手を焼いた」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 20:11:47.60 ID:2azGmgS90
 

――ゴォォォオォ


オォォ…




しーん……



ハイデマリー「……」

バルクホルン「……」

美緒「出て来ないな?」

ミーナ「そ、そうね…?」



『――呆けてないでさっさと行かんか!』

『んぬぁ!? ちょ、危ない! 寝起きなのに押さないでくださいってば〜!?』



ハイデマリー「…!」



――ガヂャゴ


敏恵「もぉー、園さんせっかちだよ。歳だね」ノソリ

小園「五月蝿い。早くタラップをおろせ」



ハイデマリー「!!?」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 20:23:57.21 ID:2azGmgS90
 

敏恵「よっと! うはぁ戻ってきた〜♪」バンザーイ


ハイデマリー「ぁ…っ…? く、工藤……さん…??」ワナワナ


敏恵「んぅ? …………えっ」ピクッ



敏恵「あーーっ!!! ま、マリ!?」




――――1945年秋。

工藤敏恵は三度目の遣欧にて統合軍第501統合戦闘航空団“ストライクウィッチーズ”へ参加。


航空ウィッチとして、再び戦地を飛ぶことになる。
 
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/08(月) 20:25:14.99 ID:2azGmgS90
 

第二話:五○一 に続く

 
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 20:34:25.47 ID:HOMnySDHO
おつ
42 :>>1 [sage]:2017/05/08(月) 20:54:19.52 ID:2azGmgS90
今回も完全マイペースで進行
適度にのんびり頑張ります…
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/09(火) 05:05:57.40 ID:YEHhZkK9o
もう来ないと思ってたからうれしい
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/12(金) 22:23:04.13 ID:upMsYUZl0
マリアンとカーラすき
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 09:37:05.72 ID:1UnU6ySn0
 
カールスラント奪還のために再び結成された第501統合戦闘航空団、“ストライクウィッチーズ”部隊。


指揮官のミーナ・ヴィルケは部隊の再編において、エクスウィッチとなった坂本美緒が抜けた穴を危惧していた。

苦慮の末、坂本の提案により療養中であった工藤敏恵大尉が急遽徴集されることとなった――――
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 09:42:56.11 ID:1UnU6ySn0
 
【第二話 五○一】



==============


―1月程前―


扶桑皇国 某所



小園「――いや、ですからそうではなく、向こうの技術者とも話が取れているのです」


小園「…………。ええ、どうぞ確認して下さい。担当将校も既に御承知の筈です」

小園「……は? いえ間違いなく送付してますから、そんなものそちらで探して下さい」

小園「とにかく早急に宜しくお願いします、こちらの予定は変えませんので!」ガジャン



小園「…ったく、嫌になる。皇国にとっては寧ろ有益だろうが #」ギシ…

小園「私を嫌っている輩がいるな? …くそ、月光の開発を提案した時から毎度この――」


ジリリィーン ジリリリーンッ
 
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 09:56:31.02 ID:1UnU6ySn0
 
小園「……。チッ…」カチャリ

小園「はぁ…、小園だ」


小園「――! あ、御無沙汰してます北郷さん…!!」ギク


小園「…いえっ、今のはべつに! 何事もありませんから」

小園「それよりも、どうしたのですか突然?」



小園「……? ええ、はい。…………――」



小園「――……えっ!! そ、それは本当なのですかっ!?」ガタッ

 
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 19:02:25.55 ID:1UnU6ySn0
 

―その数日後―


鎌倉 明石

宮藤診療所


芳子「さて、終わったよ。お腹の傷跡を見せてごらん?」

敏恵「……zz」

芳子「ん?」

敏恵「〜むん……zz…」スヤスヤ


芳子「こら」ズボ

敏恵「でょ゛…!?」ビクッ


芳子「どうだい? 目が醒めるツボだよ」

敏恵「〜〜゛!? にゃ…にゃにをっ…??」ピクピク

芳子「明るいうちから惰眠は禁止」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 19:10:23.34 ID:1UnU6ySn0
 
敏恵「んぐ、痛つぅ……。だって芳子さんの治癒魔法、眠くなるくらい気持ちいいんですもん…」サスサス

芳子「我慢をし。規則正しい生活習慣が必要だってもう何度も言っている筈だよ?」

敏恵「分かってるんですけど……ほら、あたしナイトウィッチで5年間ずっと真逆の生活してたから…」

芳子「なら12年は普通の生活だったろ? 自分を甘やかすんじゃないの。ほら身体を起こして、お腹見せてごらんな?」

敏恵「ふぁ〜〜い。んしょ…」ノソリ

芳子「はい捲る」

敏恵「うい」グイー


芳子「……んー…」

敏恵「芳子さん、この跡ってやっぱり残っちゃいます?」

芳子「そうだねぇ……、だけどもよく塞いでる。施術した療師は優秀だよ」

敏恵「ぅぅ…でも変な色だし、ちょっと恥ずかしいなぁこれ」

芳子「まだ新しいからねぇ、毒でも出ない限りは大丈夫」

敏恵「ちょ…!? 怖いこと言わないでくださいよぉ!」ガーン
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 20:57:41.80 ID:1UnU6ySn0
 
芳子「まあ、万が一おかしく感じる事があれば隠さずに言うんだよ?」ス

敏恵「……え、なに?? まさか本当に何か害あるの…?」

芳子「万が一だよ。念の為」ポワワァ

敏恵「んぁふ!? くすぐったい…! //」モジ


芳子「――…はい、いいよ。後は寝る前ね」シュルル

敏恵「はい、ありがとうございまーす」

芳子「ふぅ……やれやれ、私も歳だね。腕が重くなっちゃって」

敏恵「あ、芳子さん! じゃああたしが揉んであげます!」

芳子「いいよべつに。今日も魔法使う訓練するんだろう?」

敏恵「壕行くのめんどくさいから今はいいや、暗くなってから庭でやる! だから芳子さんも一緒にのんびりしましょうよ? お肩も叩きますから」ハシ

芳子「……仕方ないねぇ。それじゃあ、午後の患者さんが来るまでお願いしようか」

敏恵「んふふ〜♪ とか言って本当は嬉しいんでしょ? また芳佳ちゃんがいなくて寂しいくせに〜」クイクイ

芳子「生意気を言うねぇ? 女は待つことに強くなくちゃあ、やっていけないよ」

敏恵「お、おぉ…! 含蓄ありそうな台詞……なんかかっこいい!」




清佳「――お母さん、ちょっと…」トタタ

敏恵「ぁ、清佳さん」

芳子「どうしたんだい?」

清佳「それが……今、海軍の小園さんがお見えになって…」

敏恵「えっ、園さんが??」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 21:07:01.78 ID:1UnU6ySn0
 
――――
――



芳子「……」

清佳「……」

小園「……」


敏恵(な、なんだろう? なんか真面目な雰囲気が凄いんだけど…? お茶にすら手を伸ばせない…)モヤ



小園「突然お訪ねした不躾をお詫び致します。秋本療師、宮藤夫人」

芳子「……。顔を上げてください、小園大佐」

小園「…はい」スス
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 21:22:10.57 ID:1UnU6ySn0
 
芳子「こうして貴方に直接お会いするのは、そこの敏恵ちゃんを治療する話をお持ちになった時以来ですか」

敏恵(芳子さんの表情も厳しい、何故?)

小園「はい。無理な要望を聞き入れて頂いた件については、感謝しております」

芳子「…恐らく、今度もそういうご要件で来られたんじゃありませんか?」

小園「…………そうです」

芳子「……」

敏恵「??」

芳子「遥々兵庫からご足労してこられた方を無下にお返しする訳にもいきません。…率直に、お聞かせください」

小園「情け痛み入ります。では率直に――」


小園「…工藤を欧州へ戻すため、引き取りに参りました」


敏恵「!」

清佳「それは…」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 21:30:24.55 ID:1UnU6ySn0
 
芳子「申し訳ありませんが無理です。その子の念動魔法の疑似投薬障害は完全に消えた訳じゃありません、今止めてしまったら元に戻ってしまいます」

小園「その旨については北郷中佐より私も診断結果を伝え聞いております」

芳子「でしたら、どうかご理解ください。治療を台無しにすることを療師として認めるなど、到底できる筈もありません」

小園「勿論承知しています。故にひとつ、こちらからの提案を含めたうえで復帰の可否をお伺いしたい」

芳子「?」

清佳「提案…?」

小園「はい。…工藤大尉へ参加要請のあった“第三次501部隊”の構成員には、宮藤芳佳少尉がおります」

芳子「!」

清佳「そんな…!? まさか!」

敏恵「え、なんで芳佳ちゃんが? ていうかあたしが501って、本当に??」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 21:46:16.01 ID:1UnU6ySn0
 
小園「娘さんはヘルウェティア連邦へご留学に向かう道中で突発的なネウロイ侵攻に巻き込まれましたが、その過程で魔法力を取り戻しそのまま復帰しています。じきにこちらへの知らせもある事でしょう」

清佳「あの子ったら、また戦争に…!?」

敏恵(清佳さん…)

芳子「……そうですか。あの子の魔法力が」

小園「ええ。ですから此処に居ずともお孫さんが付いている事で、工藤の復帰もどうにか可能ではありませんか?」

敏恵(お、おお? なるほど!)


芳子「……」

小園「如何でしょう? 私も此奴に無謀を強いるのなら絶対に行かせません。故に正直な答えを頂きたい」

芳子「……。敏恵ちゃん?」

敏恵「! んぁ、はい!」

芳子「小園大佐がこう仰ってくれているけど、どうする?」

清佳「ちょっとお母さん…!」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 21:52:08.77 ID:1UnU6ySn0
 
敏恵「ぁ、あたしは――」

芳子「……」ジ


敏恵「ぅ…」チラ

小園「工藤、お前が聞かれてるんだ。ちゃんと答えろ」コク


敏恵「っ……ごめんなさい芳子さん、清佳さん。あたし行きたい!」

芳子「……」

清佳「ど、どうして? その身体でまた戦争になんて行ったらご両親は心配するよ…? 折角帰って来たのに、まだ顔も合わせていないんでしょ?」

敏恵「はい。でもあたし…自分以外の何かの為になるのがウィッチだって、それがようやく解ったばかりなんです!」

小園「……」

敏恵「それを気付かせてくれた友達が向こうにいて、それでなんていうか……今度こそあたしも本当の、その子達と同じウィッチに成りたいんです!」キリ
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/14(日) 21:55:49.56 ID:1UnU6ySn0
 
芳子「そうかい、分かった」ハァ

清佳「ぉ、お母さん…!」

小園「! では、つまり?」

芳子「いくつか注意もありすが、どうにかなることには、なりますよ」

小園「…ご協力有難うございます」ペコ


敏恵「――! ということは、まさかあたし…?」

小園「ん、再出発だ。欧州へ行くぞ」

敏恵「〜〜! や、やったぁー!!」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 21:59:31.78 ID:1UnU6ySn0
 
―その翌日―


横須賀軍港


敏恵「これで3度目かぁ。横須賀から出発するのは最初の時以来だ」

敏恵「…“コテイべぇかりぃ”のシベリアとお別れするのは残念だけど、ベルギガのワッフルにまた会えるし、上々だよね! あむっ、〜〜」モグモグ


小園「喉元過ぎればと言うのか……昨日大層な決意を語った締まり顔はどこへ行った?」スタスタ

敏恵「ふぉ? ぞのひゃん!」

小園「それ全部食うなよ? 後で私も味見する」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 22:01:52.37 ID:1UnU6ySn0
 
敏恵「〜ングッ、芳子さん達と何話してたんですか?」

小園「向こうへ着くまでの注意やお前の容体に関する事項諸々だ」

敏恵「容体…。容体かぁ…」

小園「ここ数日は魔法を使うようになったそうだな?」

敏恵「はい、芳子さんにも許可貰えたんで。もう魔法使っても勝手に麻薬出てないっぽいですよ?」

小園「いや、それは秋本氏の療法による抑制が効いているからだ。完治したわけではない」

敏恵「はあ…? でも“渇き”も全然ないし」

小園「あの地域は環境も良いそうだからな。穏やかで精神も落ち着く……確かに身体の事を思えばあそこに居続けるのが最もだろう。私も本当はお前を労わりたい」

敏恵「……」

小園「しかしお前が望むのなら今度こそ私は尊重する。…約束だ、もう謀るものか」

敏恵「…うん。ありがとう園さん」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 22:08:39.84 ID:1UnU6ySn0
 
小園「――という訳でこれから長くておよそ一月半、お前は一切魔法禁止だ。いいな?」

敏恵「ん?? えっ、どうしてそうなるの…?」ポケ

小園「言っただろ、お前の好調は一時的なものだ。治療を受けられない移動中はかなり危ない」

敏恵「……ま、また渇いてきちゃうってこと…?」

小園「これまで抑えてきた効果も期待できるが、現状で一月半は流石に厳しいそうだ。後々禁断症状が現れ万が一にでも無意識に“魔導投薬〈マギードース〉”を行えば復帰は即取り消す」

敏恵「!? ぁやそッ、そんなこと言ったって…っ!!」アセ


小園「だから、私も航行をなるだけ急がせる。…お前はこれでも使って忍んでくれ」ゴソ

敏恵「…! ぞ、園さんこれ!?」

小園「フッ、懐かしいだろ? 大陸領土にいた頃、落ち着かん時に吸わせていたやつと同じ銘柄だ」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 22:14:05.93 ID:1UnU6ySn0
 
敏恵「……。これ嫌ですよ」ジト

小園「まあ、そう言わないでくれ。私も面白がって勧めている気など――」

敏恵「どうせならマヤ産のシガリロがいい! 紙巻になってる葉巻みたいなやつ、アレの方が美味しかった!」

小園「…………そういう意味か。いやそれより、お前向こうでも吸ったのか?」

敏恵「え!? ぇぇ、まぁ…一回だけ」ギク

小園「そうか。…まあいい」

敏恵「本当に一回だけですからね!? 止むに止まれぬというかっ、付き合いというか、慰めてもらった時で…!!」

小園「分かった分かった。取り敢えずそれは直ぐ仕舞っておけ、療師先生がこっちに来る。良い顔はされんぞ?」

敏恵「!? おとと…!」ササッ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 22:19:01.48 ID:1UnU6ySn0
 
芳子「敏恵ちゃん」テクテク

清佳「……」

敏恵「は、はい!? ゃべつに、なんでもないですよ〜!?」キョド

小園(阿呆が…)


芳子「欧州へ着いたらこれを、あの子に渡しておくれ」ス

敏恵「ぇ? あ、はい」カサ

小園「不躾かと思いますが、それは…?」

清佳「娘が工藤さんの治療を行う際に必要な言及を書き留めてあります」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 22:20:54.88 ID:1UnU6ySn0
 
芳子「敏恵ちゃんは大尉だけど、患者としては芳佳の言うことをちゃんと聞きなさい?」ポン

敏恵「…はい! 了解先生!」ビシ

芳子「いいかい? 自分だけでどうにか出来るなんて、決して考えないことだよ?」

敏恵「うん、わかってますって。色々ありがとうございます、芳子さん!」

清佳「工藤さん。娘に何かあった時はどうか、力になってあげてください」

敏恵「はい、そりゃもう勿論! 清佳さん達には本当に優しくしてもらって沢山恩がありますから、無事に帰れるよう絶対あたしが護ります!!」

小園「(いやお前は彼女の世話になる方だぞ…)……では、そろそろ出港しますので」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/14(日) 22:26:55.17 ID:1UnU6ySn0
 
――



敏恵「…あぁ、見えなくなっちゃった」

小園「……。これでもう後には引けないぞ、工藤」

敏恵「ん? まあ、そうですね」

小園「本当にいいんだな?」

敏恵「…今更何言ってるんですか。今回はあたしが決めた事ですよ?」

小園「フッ、そうか…。そうだな」クル


スタスタスタ…――




敏恵「……さて。目指すはまたサン・トロン基地、今度は501部隊か…」フゥー


敏恵(マリの隊はどこに行ったんだろ…? 偶然、どこかで会えたりするかな?)

敏恵「…もしそうなったら嬉しいけど、まあ流石に無いね?」ハハ


――――


――



 
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/14(日) 22:29:59.21 ID:1UnU6ySn0
 
==============

―現在―


敏恵「――うわぁ〜〜!! まさかいきなり会えるなんて!? すっごい!!」ニギ

ハイデマリー「ぁ……えっ…??」オロロ

敏恵「ここ501の基地になったって聞いたからさ!? マリがまだいるなんて思ってなかったよ! もう本当にびっくり!」ブンブン



バルクホルン「…なんだ?? ハイデマリー少佐の知り合いだったのか?」

ミーナ「ええ。少し前まで彼女の夜間飛行隊に援戦派遣されていたのよ」

美緒「ほう? そこまでは知らなかったが、縁があるのかもしれんな」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/21(日) 14:21:32.33 ID:xAGmCAD+0
 

小園「――失礼諸君? 工藤敏恵の監督官、扶桑皇国海軍の小園だ」


ミーナ「はじめまして小園大佐。第501統合戦闘航空団司令官、ミーナ・ヴィルケ中佐です」ス

小園「……。ん、出迎え感謝する」ニギ

ミーナ「こちらは当部隊戦闘隊長のバルクホルン大尉と――」

小園「坂本美緒、か」

美緒「直接お会いするのは初めてですね、大佐殿」

小園「他人行儀は止めろ。我々は皇国海軍同士、互いに“軍神の後輩”だろう? 坂本よ」

美緒「承知しました、小園さん。宜しくお願いします」ス

小園「……ああ」プイ

美緒「?」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/21(日) 14:31:53.19 ID:xAGmCAD+0
 
小園「ヴィルケ中佐。工藤の招請には本人も望む所なので応じさせてもらったが、その為の諸条件は解しているだろうな?」

ミーナ「ええ、問題ありません」

小園「…君には、私からあれを預かる責任を十二分に認識して欲しいんだが」

ミーナ「工藤大尉の状態についてはよく理解してるつもりです、大佐。既に宮藤少尉ともよく打ち合わせていますし」


バルクホルン「?? …少佐、いったい何の話だ?」ヒソ

美緒「後で内々に詳しい話もあるだろうが、工藤大尉の固有魔法や魔導麻薬症に関する事情だ」ヒソヒソ

バルクホルン「“魔導麻薬症”? なんだそれは…?」

美緒「すまんが一から説明すると長くなる。今は割愛させてくれ」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/21(日) 14:36:04.52 ID:xAGmCAD+0
 
小園「“つもり”では困るんだが、…仕方ない。くれぐれも宜しく頼みますよ」

ミーナ「はい。最善を努めます」

小園「……しかし、それにしても――」チラ

ミーナ「?」

小園「まさか彼女まで集めているとは恐れ入った。うちの工藤も入れて夜間戦術班でも組むつもりか?」

ミーナ「それはどうでしょう? 戦略に関わる事項は軍機に触れかねないので」ウフフ

小園(はぐらかすとは、まさか図星か?)

美緒「うむ……しかし元々戦友であるなら、確かに効果的編成が組めるかもしれん。互い仲も良い様子だしな!」

バルクホルン「いや、あまりそうは見えない…。ハイデマリー少佐の方は困惑しているぞ?」

ミーナ(あ、あらあら…。もしかして少し意地悪だったかしら?)




敏恵「ねえねえ、なんでここにいたの!? あっ、まさかマリも501のメンバーに呼ばれたとか!?」

ハイデマリー「く、工藤……さっ…??」
 
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/21(日) 14:38:22.60 ID:xAGmCAD+0
 
敏恵「…? う、うん。見ての通りあたしだけど――……マリ?」フイフイ

ハイデマリー「…〜〜」ヨロ

敏恵「わっ!! ちょ!?」


ハイデマリー「〜ぅ……」ペタン

敏恵「え、えぇ!?? どうしたのいきなり? 貧血!?」

ハイデマリー「っ…」サッ

敏恵「!?」


――タタッ


バルクホルン「どうしたハイデマリー少佐!?」

美緒「おい大丈夫か? …む、泣いている?」グイ

小園「……到着早々お前は――っ…くそ、何をしでかしたんだまったく! 勘弁しろ… #」チッ

敏恵「ぬぇっ!? ち、違う!! ちょっと話し掛けただけで、あたしはべつに何も…!?」アタフタ

ミーナ「あの、ちょっと待って! 多分誤解が起きてるから、全員落ち着きましょう?」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/21(日) 14:48:15.98 ID:xAGmCAD+0
 
――――
――



ハイデマリー「……はぁ…」

敏恵「もう話しかけても平気?」

ハイデマリー「あ! ぇ…そのっ…」オド

敏恵「…いいよ? 落ち着くまで待ってる」


ハイデマリー「す、すみません…ぁの…。まだきちんと把握できなくて――」モジ

ハイデマリー「……本当に、工藤さんがまた目の前にいることが…」

敏恵「えー? なんでさ?」クス

ハイデマリー「それは…。……だって工藤さんはいつだって、何でも突然でしたから」

敏恵「……」

ハイデマリー「っ…あんな別れ方をして。無事だって知らせも聞きましたけど、でもっ……あんな手紙も出しまけど! 心配しないでいるのは、無理です…」

敏恵「…そうだね、ごめん。そう言われちゃうと確かに、あたしまた自分勝手にマリを困らせちゃったな」

ハイデマリー「ぁいえ、そういう意味では… //」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/21(日) 14:50:48.67 ID:xAGmCAD+0
>>69訂正

出しまけど → 出しましたけど
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/21(日) 15:00:38.60 ID:xAGmCAD+0
 
敏恵「――でもさ! あたしも手紙の返事出したじゃん? ちゃんと近況書いてあったよね?」

ハイデマリー「えっ」

敏恵「……? あれ、読んだでしょ?」

ハイデマリー「いえ…? 届いてませんが」

敏恵「へ? 本当に!?」

ハイデマリー「は、はい…」

敏恵「?? えぇ…、まさか検閲で止まったのかな? 普通の事しか書いてないのに」

ハイデマリー「……」


敏恵「ん〜なんでだろ? やっぱりまだ筆記体の英字汚かったかなぁ、練習したんだけど…?」モヤモヤ

ハイデマリー「工藤さん」

敏恵「ん? あ、ごめん。なに?」

ハイデマリー「お身体はもう、大丈夫なんですか?」

敏恵「…うん、平気だよ。魔導麻薬症の方はまだ治療中だけど、あのネウロイにやられた所はもうバッチリ」

ハイデマリー「そうですか。よかった…」

敏恵「ついでに盲腸も取っちゃった! 穴空いてたし、虫垂炎の心配もなくて一石二鳥だよ!」ドヤャ!

ハイデマリー「…ふふ //」クス

敏恵「ぁ! えへへ…、やった。久しぶりにマリの笑顔」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/21(日) 16:04:08.83 ID:xAGmCAD+0
 
小園「――再開の挨拶は済んだか、ご両仁?」スタスタ

ミーナ「邪魔しちゃって悪いけど、取り敢えずこっちの用事に先ず付き合って貰えるかしら?」

敏恵「あ、すみません。えっと…?」

ミーナ「貴方を徴集した“ストライクウィッチーズ”隊長、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐よ」ス

敏恵「はい、どうも。…よろしくお願いしますヴィルケ中佐」ニギ

ミーナ「ミーナで構わないわ。ようこそ工藤大尉」

美緒「…私の自己紹介はいらんな、工藤?」

敏恵「えーっと、もっさ――…坂本さんは確か戦闘隊長」

美緒「もう違う。後任はこいつだ」クイ

バルクホルン「カールスラント空軍大尉、ゲルトルート・バルクホルンだ。ここは一部風紀が緩いが、決して甘くはないぞ?」ズイ

敏恵「はあ…? はい、よろしくお願いします」ペコ


バルクホルン「……」ジー

敏恵「?」ポケ


バルクホルン「はぁ、服部軍曹とは違ったか(なんとなく“あいつら側”っぽい雰囲気だ)」ガク

敏恵「??」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 21:46:40.99 ID:wRUVS/d70
 
ミーナ「それじゃあ、補充員も揃った所で少しミーティングをしましょう。トゥルーデ? 悪いけど…」

バルクホルン「全員徴収だな、了解」

美緒「手伝うぞバルクホルン。放送設備は今点検中の筈だ」

ミーナ「工藤さんも他のウィッチーズに紹介するから、荷物は持ったまま付いてきて?」

敏恵「分かりました。行こ、マリ」

ハイデマリー「はい」

小園「…待てシュナウファー」

ハイデマリー「!」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 22:04:53.72 ID:wRUVS/d70
 
小園「君には話がある。少し残れ」

ハイデマリー「……」

敏恵「なにを園さん? マリも行かなきゃいけなん――」

ミーナ「いいのよ工藤さん」サッ

敏恵「じゃぅ…?」

ミーナ「ハイデマリーさん。先に済めば貴方も作戦室に来て頂戴?」

ハイデマリー「は、はい」

小園「ヴィルケ中佐、私はこの後月光の整備指導と再調整をする。整備士達を借りるぞ?」

ミーナ「許可します、機材搬入は案内に従って下さい。…さあ、それじゃあ行くわよ?」

敏恵「…はぁい。園さーん! 変なこと言わないで下さいよー?」



小園「阿呆、さっさと行け!」

ハイデマリー(小園大佐…この人とは通信で口論をして以来で、気まずい)モヤ
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 22:15:56.36 ID:wRUVS/d70
 
小園「…さて大尉――いや、もう少佐だったな。失礼」

ハイデマリー「ぁ、いえ」

小園「……」

ハイデマリー「それであの、お話というのは…?」

小園「工藤について頼みたい事がある」

ハイデマリー「!」

小園「と…いうかだな、あいつの為に君には話しておく。注意して聞いてくれ」

ハイデマリー「いったい何を…?」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 22:26:52.15 ID:wRUVS/d70
 
小園「……現状、工藤の魔導麻薬症は秋本もとい宮藤一家の治癒魔法によってその異常を抑制している」

ハイデマリー「“宮藤”…? では宮藤少尉も? 工藤さんはまだ治療中と仰っていましたが、まさか宮藤少尉がいるから――」

小園「黙って聞け」

ハイデマリー「っ! す、すみません…」オド


小園「…だがいかに強力な魔法とて記憶や心までは癒せない。故にあいつの精神は無防備だ、私の“呪縛”も今はもう無いんでな」

ハイデマリー「……」

小園「今度こそあいつは己の意思で戦いに来た、そこは心配いらん。…但しそれ故に、どうにも危うい」

ハイデマリー「“危うい”…?」

小園「そうだ。やはりかつてのPTSDが装いを変え、垣間見えているような気がしてならない」

ハイデマリー「!?」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 22:42:50.78 ID:wRUVS/d70
 
小園「今の工藤がネウロイと相対し実戦を繰り返すことは、恐らくあいつ自身の覚悟を超えた困難になるだろう。…私が抱くその懸念を、君にも共有させておく」

ハイデマリー「待って下さい。では、大佐は工藤さんを止めないのですか?」

小園「…! チッ…此の期に及んで今更、私があいつの希望に口を挟めるわけないだろ」

ハイデマリー「ですが、貴方も本当は――」

小園「おい! いつかの再現は勘弁てくれ、お前とまた言い争う気はない。無駄だ」

ハイデマリー「ぅ…」タジ


小園「…とにかく、此処でのあいつを宜しく頼む」

ハイデマリー「は、はい…。ですが何故私に?」

小園「……。経験上、腐れた縁というやつは馬鹿に出来んのだ」プイ

ハイデマリー「?」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 22:54:19.18 ID:wRUVS/d70
 
小園「私は“お前達”を好きにはなれんが、君が工藤にとって心置ける存在ならば仕方ない。何よりの助けになる」

ハイデマリー「ぃぇ、そんなことは――」

小園「有るぞ。そして君はあいつを想いやれる奴だ、少なくとも私よりは余程」

ハイデマリー「……」

小園「…………この際に白状してしまうが、今となっては君に感謝もしてる」

ハイデマリー「!」

小園「先の遣欧であいつの力になってくれた事、…礼を言う」

ハイデマリー「……私だけではありませんよ? 隊の仲間全員が工藤さんを支えたんです。なによりそれは、工藤さんが私達を支えてくれたからです」

小園「フッ、まったく…。10代そこらの小娘が言う台詞ではないな?」チラ

ハイデマリー「ぇ? ぁ、すみません…」

小園「まあ、あの阿呆にも君くらいが調度いいのかもしれない。とにかく頼んだぞ? 話は以上だ」

ハイデマリー「……」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 23:07:26.90 ID:wRUVS/d70
 

作戦室


ハイデマリー「……」ガチャ

ハイデマリー(工藤さん、挨拶中だ…)ソロリ ソロリ



敏恵「――こく海軍大尉の工藤敏恵です、精一杯に励みますのでよろしくお願いします」ペコリ

ミーナ「はい、ありがとう。…工藤大尉はナイトウィッチとして単独戦果を上げてきた他に、欧州撤退の殿も経験している実力者です。服部さんに加えて彼女も新たにウィッチーズの一員になるから、全員仲良くしてあげてね?」


ルッキーニ「おぉー! シャーリー、アレみて!?」

シャーリー「ん? あー…確かに、リーネ以来の逸材だなありゃ。後で確かめるか?」

ルッキーニ「もっちろーん!」

バルクホルン「おい、うるさいぞお前達」

ペリーヌ「ここへ来て扶桑のウィッチが一気に増えましたわね…」

エイラ「まあイイんじゃないか? サーニャの負担が減るし、夜間任務できるヤツは歓迎だ」


敏恵(なんだろう…なんか、思ってたより和やか雰囲気で嬉しい! 案外恐い所かと覚悟してたけど)ホッ
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 23:13:46.68 ID:wRUVS/d70
 
ミーナ「因みに、工藤大尉には諸事情による母国療養を中断して来てもらっています。勿論彼女の戦線復帰はしっかり検討されたうえでの判断だけど、念の為航空任務への参加はもう少し後になるわ」

敏恵「ぇ…?」

ミーナ「司令本部から新たな作戦指示を待つ間、服部軍曹は工藤大尉と共に引き続き“待機”。坂本少佐がいてくれる間はその監督下に置きます」

静夏「了解であります!」キビッ

敏恵(あ、あれあれ? どういうこと…??)


ミーナ「それでリーネさんとペリーヌさんは昼間の哨戒任務に復帰。…宮藤さんも戦闘出撃は許可するけど、打ち合わせた通り“衛生担当”を重視して頂戴ね?」

芳佳「はい、分かりました!」

ペリーヌ「返事はよろしいですけど、いざという時はまた無茶をしそうですわね?」ボソ

リーネ「ぺ、ペリーヌさん…(確かに否定できないけども…)」

ミーナ「はい、それじゃあこれで連絡はおしまい。解散」ニコ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 23:34:31.19 ID:wRUVS/d70
 
――



敏恵「……」

敏恵(えーっと、取り敢えずどうしよう? 荷物を置きに――…あ、でも部屋割りわかんないや??)モヤモヤ


「うにゃ!」

――ムンズッ


敏恵「わっ!! な、なに!?」ドキッ

ルッキーニ「うじゅあー! おっきぃー♪」ワシワシ

シャーリー「どうだルッキーニ?」スタスタ

ルッキーニ「すごいよコレ!? シャーリーと同じくらいのおっぱい!」

シャーリー「おお、マジで? いや〜まいったなぁ」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 23:46:21.76 ID:wRUVS/d70
 
ルッキーニ「ん〜〜……でもやっぱり、シャーリーのが一番かな」モミモミ

シャーリー「あはは、そりゃどーも」

敏恵「…あのー、もしもし? これって挨拶か何かなのかな? //」モゾ

ルッキーニ「そだよ!」

敏恵「へ、へえ…? 初めて知ったけど、これは恥ずかしい…。どこの国のだろ?」

シャーリー「いや違うっつうか、こいつ特有の挨拶みたいなもんなんだ。大目に見てやってくれ」

敏恵「え? はあ、なるほど…?(タヴィアさんと似たような事か)」


シャーリー「あたしはシャーロット・イェーガー、リベリオン陸軍大尉だ。シャーリーでいいよ?」ス

敏恵「あ、うん。よろしくシャーリー」ニギ

ルッキーニ「あたしはフランチェスカ・ルッキーニ、ロマーニャ空軍少尉だよ!」

敏恵「はは…、凄い元気だね? よろしくルッキーニちゃん」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/03(土) 23:59:36.70 ID:wRUVS/d70
 
芳佳「敏恵さーん!」ステテ

敏恵「芳佳ちゃん、暫くぶり。お医者さん留学は辞めちゃったの?」

芳佳「あ、えっと、それはうやむやというか……延期です!」

シャーリー「行く前から休学なんてワルだよなー宮藤?」アハハ

ルッキーニ「サボタ〜ジュ!」

芳佳「あはは…。それより、まさかこんな形でまた会うとは思いませんでしたよ! ミーナ中佐から話は聞いてますけど、本当に大丈夫なんですか?」

敏恵「んまぁ、一応は。…復活した芳佳ちゃん頼みになっちゃうから、迷惑かけるけどごめんね?」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/04(日) 00:08:33.42 ID:p9oHqiHT0
 
芳佳「はい、それは平気ですけど。お婆ちゃんと同じ事が出来るかは…」

敏恵「ん、それは多分大丈夫! えぇと――」ゴソゴソ


敏恵「…これ、芳子さん達から預かったよ」ハイ

芳佳「手紙…? ありがとうございます!」

敏恵「清佳さん結構心配してたから、電報でも直ぐ宛てた方がいいかも」

シャーリー「…なんだなんだ? 2人は結構知った仲なのか?」

敏恵「え? うん、ここに来る前は芳佳ちゃん家の診療所でお世話になってたから。一緒に薪拾いした仲だよ♪」ブイ
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/04(日) 00:12:54.37 ID:p9oHqiHT0
 
ルッキーニ「としえ病気だったの?」

敏恵「んー、ちょっとした怪我とかね? もう治ってるけど」

芳佳「……」


――スタスタ


エイラ「やっぱあの後でナンかあったのか?」

敏恵「?」

サーニャ「…あの、こんにちは。サーニャ・リトヴャクです」スタスタ

敏恵「さーにゃりとびゃくさん? ……あっ!! 前にマリ達が交信した時の、あのリトヴャク中尉!?」

サーニャ「はい。その、はじめまして」ペコ

敏恵(わぉ…、確かにブロマイドとかで見たことあるかも! あたし本当に有名人の巣窟に来たんだなぁ)
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/04(日) 00:26:42.56 ID:p9oHqiHT0
 
エイラ「やっぱアノ時の大尉か、名前も同じだったしなー」

敏恵「?? ということは、貴方が…?」

エイラ「サーニャの僚機、エイラ・イルマタル・ユーティライネンだ!」ドヤッ


敏恵「たしか芳佳ちゃんともっさんのこと“間が抜けてる”って言ってた…」

芳佳「!?」

シャーリー「へぇー?」ニヤ

エイラ「ッ゛!? つ、つまんないコト憶えてんな……アレは流れっていうか、冗談みたいなモンじゃないか」ギク

サーニャ「エイラ…」ジト

芳佳「エイラさん! 私間抜けなんかじゃありませんってば!?」

シャーリー「少佐にばれたらヤバいなエイラ?」ニヤニヤ

ルッキーニ「悪口よくない」

エイラ「ムァア、違う!! その話はもういいだろー!? //」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/04(日) 00:44:07.31 ID:p9oHqiHT0
まだ観ている人いたらすみません。正直書きあぐねてます
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 11:14:23.66 ID:fOfHWhfXO
見てるぞ頑張れ
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/07(水) 20:28:37.94 ID:xBzgk1qwo
読んでるぞ
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 15:58:43.33 ID:c9N9YcUr0
 
エイラ「〜…そんなことより、あの日の後にこの基地でナニかあったのか? 隊のウィッチが一気にいなくなって、オマエも扶桑に戻っちゃったんだろ?」

敏恵「あー、まあね。結局ウィトゲンシュタインさんの言ってた人達が来てさ、厄介なネウロイの撃墜任務を受けて――」ポリポリ

敏恵「それであたしは負傷して送還されちゃったんだ。その後で他の皆も離れた事情は詳しくないけどね?」

エイラ「ほーん…。よく分かンないけど大変だったってコトか」

敏恵「そんな感じ」ウンウン

シャーリー「どんな感じだっての」

サーニャ「……」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/10(土) 15:58:56.63 ID:Quv+X38Eo
来たな!まってたぞ!
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:04:48.81 ID:c9N9YcUr0
 
エイラ「マ、とりあえずよろしくなー。ハイデマリー少佐やオマエはこの辺詳しいと思うからアテにさせてもらうぞ?」

敏恵「うん。ワッフルとか美味しいお店は任せて!」

ルッキーニ「やたー♪ いこいこー!」

エイラ「イヤそういうコトじゃないんだけど、…まあソッチも興味あるな(サーニャと2人で行きたい…)」

シャーリー「あはは、そういや工藤大尉はここにいたんだもんな? じゃあ基地の案内はいらないか」

敏恵「まあね。…あ、でも部屋割り知らない! というか結構人多いけど、宿舎とか今どうなってるの?」

シャーリー「2人ずつで相部屋だけど?」

敏恵「ぅ…やっぱりか。とほほ」ガク

エイラ「贅沢言うなよなー」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:17:04.05 ID:c9N9YcUr0
 

敏恵&???の部屋


敏恵「ん〜、懐かしいなぁ」ドサ

敏恵(ここは確か……前は誰のだったかな? あたしが居た部屋と殆ど変わらないや)ウロウロ


敏恵「…はは、タンスも同じ! この足がほっそいやつで――」ガコ


敏恵「!」



敏恵「わぉ、これは…――」ゴソ


敏恵「真っ白……おズボンかな?」ピラリ

敏恵(やっぱりズボン、…私と相部屋する人のか。これは失敬)
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:31:14.55 ID:c9N9YcUr0
 
敏恵「……。でも待って? この洒落っ気控えめな純白ズボン、見覚えあるような…?」ミョイーン ミョイーーン


――ガチャコ


ハイデマリー「…?」


敏恵「!?」バッ

ハイデマリー「あ、工藤さん」

敏恵(お、おぅふ…。そっか、マリのだったか…!)

ハイデマリー「…荷解きでしたら手伝いますよ? 私も出戻りの荷物整理がありますので」

敏恵「や、あのこれは何というか…。ごめん、不可抗力なの!」

ハイデマリー「?」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:35:37.62 ID:c9N9YcUr0
 
――



敏恵「それにしてもマリと相部屋だなんて、これまた凄い偶然だね?(ズボン漁ったことは内緒にしておこう…)」

ハイデマリー「そうでもないですよ。私も工藤さんもナイトウィッチですから、共通の居住環境で括られるのは合理的です」

敏恵「…そっか。エイラもサーニャさんと同じ部屋だとか言ってたし」

ハイデマリー「はい。ユーティライネン中尉は厳密に専従員ではないそうですけど、501ではずっとリトヴャク中尉と夜間任務に従事されていますから」

敏恵「へぇ、なるほど。…やっぱりお熱なのかな?」

ハイデマリー「“お熱”、ですか?」

敏恵「うん。なんかルーツィアさんにくっ付いて行く時のエステルちゃんに似てる感じしない? あの2人も相部屋だったし」

ハイデマリー「…ふふ、そうかもしれませんね?」クス
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:41:26.59 ID:c9N9YcUr0
 
敏恵「ん、よし…と! 取り敢えず整理は出来たかな。こっちの棚、本当に全部使ってもいいの?」

ハイデマリー「はい、私の物は十分しまえていますから」

敏恵「分かった、ありがと! んー、それじゃあ後は…――」キョロキョロ


敏恵「――? ああ、寝床が無いじゃん。布団用意しなきゃ」

ハイデマリー「! ぁ、それは…」

敏恵「ねえマリ? 敷布団って――…いや待った、ここって土足だよ。床に布団なんて敷けなくない…?」モヤモヤ

ハイデマリー「…工藤さん。それなんですけど、実は二段ベッドの供給がまだ足りていないそうなんです」

敏恵「? あ、そうなの??」

ハイデマリー「はい。それについて先程ミーナ中佐にお伺いしたんですけど、何かの事情で施設改修予算がひっ迫しているからと…」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:56:30.94 ID:c9N9YcUr0
 
敏恵「えぇ…? そんなに変わった風に感じないけどなぁ?」

ハイデマリー「そ、そうですね。私も今日戻ったばかりですが、正直今の所はあまり…」

敏恵「501って意外と貧乏なのかな?」

ハイデマリー「それはないと思いますけど…。ミーナ中佐の政治手腕なら限られた予算内でも適切に運用できる筈です」

敏恵「……でも実際に今寝床が1人分間に合ってない、と」

ハイデマリー「ぅ…! は、はい。信じられませんが」


敏恵「まあ、無いものは仕方ないか。大人の事情はどうにもできないし、現実を見るとしよう」

ハイデマリー「ですがどうしましょうか、工藤さん?」

敏恵「それはもう、ひとつしかないよ? あたしもマリも立ったまま寝る程器用なわけないし――」スタスタ

ハイデマリー「…?」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 17:19:54.40 ID:c9N9YcUr0
 
敏恵「ちょっとベッド〈そこ〉、横になってみてくれない?」

ハイデマリー「ぇ? あ、はい」



ハイデマリー「……こう、ですか?」

敏恵「うん、もう少し端に寄れる?」チョイチョイ

ハイデマリー「? …この位ですか?」ヨジ

敏恵「そうそういい感じ! …よし、それじゃあたしも――」

ハイデマリー「!?」


敏恵「いしょ…っと! どう、やっぱり狭いかな?」

ハイデマリー「ぁ、あの!? これはつまり… //」

敏恵「ん? うん。無理矢理だけどこんな感じで、一緒に使うしかないよね?」

ハイデマリー「……」

敏恵「……。やっぱり嫌だ?」

ハイデマリー「………… //」

敏恵「マリ? ねえ、聞いてる?」



――――かくして工藤敏恵と彼女を加えた501部隊、その新たな幕が開くのであった。
 
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 17:22:06.64 ID:c9N9YcUr0
 

第三話:不一致 に続く

 
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 00:47:55.87 ID:m9kRQVtwo
とつです
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/13(火) 19:24:34.77 ID:DnRGhLZn0
 
【幕間小譚 〜阿吽の安寧〜】


―ある日の早朝―


敏恵&ハイデマリー部屋



ハイデマリー「……」パタン



ハイデマリー「……」ソロソロリ


敏恵「zz…」スヤスヤ

ハイデマリー「……」

敏恵「むん…〜……zz」

ハイデマリー(あと2時間…)チラ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/13(火) 19:26:58.91 ID:DnRGhLZn0
 
――――

――





敏恵「zz…」

ハイデマリー(あと1時間)
 
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/13(火) 19:51:44.22 ID:DnRGhLZn0
 
――




敏恵「んん……たまごゃき…〜zz…」ムニャムニャ

ハイデマリー(…10分前。そろそろ――)ス


ハイデマリー「工藤さん、朝です」ポンポン

敏恵「んみゃぅ……むぁだ食べててもぃいんじゃ…?」

ハイデマリー「ぃぇ、あの…。それは夢ですから、起きましょう工藤さん」ユサユサ

敏恵「〜〜……、ん〜…?」ノソリ

ハイデマリー「おはようございます」

敏恵「…………。ん……おはよぅ…」ボヤァ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/13(火) 21:38:53.59 ID:DnRGhLZn0
 
ハイデマリー「そろそろ、7時ですよ?」

敏恵「ん、ん〜〜…っと! はぁー、起きなきゃ」

ハイデマリー「お水は要りますか?」

敏恵「あ、うん。有難うマリ、布団直したら飲むから置いといて?」ノソノソ

ハイデマリー「…工藤さん、気遣いをしなくても私は平気ですから」

敏恵「え、駄目だよ。だってあたしの後で寝るんじゃ、シーツくらい代えないと嫌でしょ?」

ハイデマリー「! いえ、その…」

敏恵「ちょっと待ってね? さっと直して着替えたらすぐ出て行くから」イソイソ

ハイデマリー「……」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/13(火) 22:44:03.60 ID:DnRGhLZn0
 

―その夜―


ベルギガ上空


サーニャ「――じゃあ、工藤大尉の起床時間を待ってから寝ているんですか?」ブゥゥン

ハイデマリー「はい。多段ベッドもそのうちに来ると思いますので、工藤さんが昼型で待機中の間はどうにか…」

サーニャ「…眠くなりませんか?」

ハイデマリー「ぃぇそのっ…2人で使う訳にもいきませんし、大分早目に起こしてしまうというのも――」

サーニャ「……」

ハイデマリー「私が邪魔に入ってしまうのは工藤さんも、やっぱり窮屈でしょうし… //」フィンフィン

サーニャ「それは…、どうなんだろう?」ボソ

ハイデマリー「ぇ?」

サーニャ「ぁ、ごめんなさい…! 今のはちょっと、独り言のつもりだったんですけど――」アセ

サーニャ「…でも、私も基地に戻って眠いまま偶にエイラのベッドに入ってしまう時があるんです。それで迷惑かけてるって前に謝ったら――」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エイラ「いやホントに気にすンなって?」

サーニャ「でもエイラ寝てるのに、私が入って来たら邪魔でしょ?」

エイラ「!! ッ……違うンだサーニャ」ショボン…

サーニャ「ぇ?」

エイラ「サーニャが優しいのは解ってるけど、そ…そんな風に思わないでくれよォ…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



サーニャ「――という感じで、反って悲しませてしまった事があります」

ハイデマリー「……」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/14(水) 17:56:49.49 ID:zoz7/C/Y0
 
サーニャ「だから私は、なんというか……信じるようにしています」

ハイデマリー「信じる、ですか…?」

サーニャ「エイラや仲間の皆さんがしてくれるのと同じ様に、私も家族みたいに想っていいんだと。その関係というか……そういう答え方を教わった気がします」

ハイデマリー「!」

サーニャ「…優しくされるのは、きっと我慢させてしまう事だと思っていました。でも、そうじゃない場合も有るみたいすよ?」

ハイデマリー「……」

サーニャ「ぁ…す、すみません。なんだか偉そうな事言って私…」

ハイデマリー「!? いぃえ、そんな事ありません! …とても参考になりました、有難うございます」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/14(水) 18:14:31.01 ID:zoz7/C/Y0
 

敏恵&ハイデマリー部屋


ハイデマリー「……」

敏恵「zz…」スヤスヤ


ハイデマリー(前から工藤さんには力をもらってばかりで、せめて私も返せる様に振る舞うつもりだった)

ハイデマリー(こんな事でも、こうする方が工藤さんだって助かる筈だと思ってたけど…)ジー

敏恵「〜……zz」モゾ

ハイデマリー(何も言わないのに、昨日もその前も、端に寄ったまま寝てる…)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『――マリはもうちょっと我儘になって平気だよ。あたしはほら…その、友達じゃん!』


『――きっと我慢させてしまう事だと思っていましたけど、そうじゃない場合も有るみたいすよ?』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ハイデマリー「……。ん…分かりました」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/14(水) 18:26:17.01 ID:zoz7/C/Y0
 
――



ハイデマリー「……」←着替えた


敏恵「zz…」

ハイデマリー(では、失礼します)ソーット


ハイデマリー「ん、と…」モゾゾ

敏恵「〜にゃむ……まだたべるぅ…zz」

ハイデマリー「クス…。おやすみなさい、工藤さん」










―数時間後―


美緒「数日目でもう遅刻とは大した度胸だな、私の訓練はそんなにも緩いか…?」ニヤリ

敏恵「えっとそのー……ごめんなさい。むしろその逆というか、起きられなくて…」

美緒「弁解不要!! 2人で走ってこい、今日は倍だ!」バシィッ

静夏「えっ!? 自分もですか!??」ガーン

敏恵(あぁ……マリに頼りきってたから、完全に寝坊してしまった…)


【阿吽の安寧、終】
109 :>>1 [sage]:2017/06/15(木) 00:49:05.10 ID:MlP4zSL20
また用語メモを付けるか少し悩む… φ(-×-;)
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 19:06:53.64 ID:cX2Q+S9hO
つけれるならつけてほしいかも
111 :3話書き溜め中…… [sage]:2017/06/16(金) 01:41:43.12 ID:5UpRP5XC0
>>110
そうですよね。
独自の解釈や語彙もありますし、そもそも公式資料群の中にも齟齬があるので、どの設定を引用しているかを示す意味でも必要かもしれません。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/29(木) 21:18:05.53 ID:Fj6xjE5Do
つづきまだー
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 03:09:41.20 ID:UJAmlFUS0
 
[ざっくり!工藤敏恵メモ]

 其の一:概要なぐり書


扶桑皇国海軍のナイトウィッチ。かつての戦果は欧州で「Herrin der Nacht(夜の女王)」、母国海軍で「鎌鼬」の噂を生んだ。

小園里葉当時中佐が特設した「夜間航空審査部独立派遣飛行隊」唯一の現役ウィッチとして原隊所属。大陸東端の扶桑領にて約5年間の夜間単独専従を経験。


愛機は夜間戦闘脚“月光”シリーズ。試造型から縁があり、小園の元でテストウィッチ役も兼ねて履き続けている。

固有魔法は暗所視限定で発動する通称“超夜間視力”。赤外線波長を捉える独自感覚によって明確な夜間視やネウロイのコアを判別することができるが、明るい環境下では無理。


数か月前までカールスラント空軍への援戦武官としてハイデマリーの指揮する夜間飛行部隊に参加していた(前作:月影の構え太刀)。

もうすぐ18歳のわがままボディ。お水とお米が大好き!



……などなど、他にもありますが是非>>1記載の前スレやwiki等を読んでください。長いけど是非に!
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 03:41:27.23 ID:UJAmlFUS0
 
 其の二:ハイデマリーとの関係


サン・トロン基地で共に幾カ月を過ごした仲。

敏恵から誘い友達宣言。“マリ”とあだ名して呼び、敏恵にとって欧州で一番の友人となっている。

ナイトウィッチとして特段内向的だったハイデマリーにとっても、ただ同年代の友として寄り添われ苦楽を打ち明け合えた相手として、敏恵を大事に思っている(前作参照)。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 03:45:44.43 ID:UJAmlFUS0
 

母国で療養を行っていた扶桑海軍の工藤敏恵は、第三次“ストライクウィッチーズ”に新参するため再びベルギガ領サン・トロン基地へと渡ってきた。


かつてを共に過ごした友人ハイデマリー・W・シュナウファー少佐との再会も叶い、ウィッチとしての再出発に発揮揚々と意気込む敏恵。

しかし、それは今の彼女にとって想像以上に困難な道となるのであった――――
 
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 03:54:54.50 ID:UJAmlFUS0
 
【第三話 不一致】


サン・トロン基地

ハンガー


『北東襲来のネウロイ群殲滅が確認されました、スクランブル解除。出撃したウィッチの帰投に備えて整備班は――』


敏恵「…うそぉ、もう倒しちゃったの!? 全部??」

小園「実績ある連中だからな、それぐらいやるだろ」カチャカチャ

敏恵「でも中型3機もいたんでしょ? こっちもえーっと…4人くらいしか出撃てないのに!」

小園「……」カチャカチャ

敏恵「というか速過ぎない?? あの辺まで普通に飛んでも今着けばいいくらいだし!」

小園「っ… #」イラ


敏恵「あ、でも向こうも近づいて来てたんだよね? いやそれにしたって凄い、3機も――」

小園「ええい燥ぐな阿呆!!」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:07:34.83 ID:UJAmlFUS0
 
敏恵「ちょ、何怒ってるんですか園さん?」

小園「…怒ってなどいない。お前だって大陸ネウロイの1機や2機など、朝飯前に討ってきただろうが。大袈裟に感心するな」

敏恵「でも欧州〈こっち〉の飛行型は結構強いんですよ? ライン川越えて偶に変なのも来るし」

小園「だからどうした、お前も負けていない。…ほらいいぞ、さっさとエンジン回してみろ」

敏恵「(“負け”って園さん…)…ん、じゃいきまーす」フィィン


ゴォォオォオ――


小園「もう少し回転上がるか? 無理はするな」

敏恵「あいあい」フィィィン


小園「ふむ…。よし止めろ」


――オォォ…
 
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:14:49.23 ID:UJAmlFUS0
 
小園「問題ないな。月光改の最適化は完了だ」

敏恵「なんか変わったんですかこれ?」

小園「以前にホルテン姉妹がこのストライカーを弄ったのだろう? 悔しいが有益な個所は残して改修してやった」カチャカチャ

敏恵「へぇ…? そういえば確かに、お尻にはビリッとこない」

小園「魔法力の増幅比は調整してある。まったく、安全制御まで除外してフルマッピングするなど正気ではない。お前をユニット諸共壊す気だったのか?」バチムッ

敏恵「あの人かなり危ないですもん、姉の方。あたし苦手です」

小園「…あれが得意な奴などいない。気に病むだけ損だ」ヨッコラセ


小園「――よし、もう脱いでいいぞ?」

敏恵「ん〜…、もうちょっと早く済んでればあたしも出撃れたのにー」

小園「阿呆、誰が許可した。さっさと降りろ」

敏恵「……はぁい」シュルル
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:27:48.64 ID:UJAmlFUS0
 
敏恵「もう、本当納得いかないですよ? 人の事呼んでおいて“待機”なんて!」トタッ

小園「…ここへ着いてまだ宮藤芳佳の治癒を受け始めた矢先だ。少なくとも今日の所ならば流石に私も止めるぞ?」

敏恵「違いますよ! だってなんか、哨戒にも行けないで、今更新米の子と訓練受けろって言うんですよ!?」

小園「気持ちは解るが急くな、いたち。連中も本番までには必ずお前を使う筈だ。…早々にこの地の哨戒など出来た所で、大した変わりもないぞ?」

敏恵「そんなことっ…!? 誰かの為に戦えるなら警邏だからとか関係ない!!」ズイ

小園「……」


敏恵「だってあたし、その為に来たのに! 今度こそ本当のウィッチにならなくちゃ!?」

小園「はぁ……分かった落ち着け。確かにそうだな、すまなかった」ポン

敏恵「んむぅ…」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:35:31.00 ID:UJAmlFUS0
 
小園「なら私からもお前の希望はよく言い伝えておく。だがそのうえで定められた事には従え、いいな?」

敏恵「……」ムスー

小園「おい腐るな、私の目を見ろ。真面目な話だ――」ペチペチ


小園「ここの奴らは決して馬鹿でも無能でもない。ちゃんと意味がある、信じろ」ジ

敏恵「……」

小園「私はお前の我儘を聞いてやれるが、しかし軍組織とは本来こういうものだ。…私や、あの菊井だってその中で折り合いをつけていたんだぞ?」

敏恵(! 菊さん…)ザワ

小園「お前もウィッチとして自立するんだろう? であれば、解るな?」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:51:20.46 ID:UJAmlFUS0
 
敏恵「……はぁい」

小園「ん、よしよし。賢明だ」カイグリ

敏恵「ちょ…園さん! あたしもう子供じゃないんですけど?」

小園「フッ、まあそう言うな。ちゃんと聞き分けの駄賃もやる」ゴソ

敏恵「む! だから――」


小園「ほら、受け取れ」ス

敏恵「!」


敏恵「…これって??」

小園「お前の太刀だ。一応は回収されていて私が預かっていた」

敏恵「え、これ……まさか“飯綱権現”!?」

小園「ああ。打ち直しても最早脇差だがな」

敏恵「うわぁ〜! なにこれ可愛い!!」マジマジ
253.84 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)