海未「小料理屋の園田海未です」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 00:44:31.30 ID:LqSHykcK0
海未「ふう、今日もお客様が沢山来てくださいました」

海未「売上が上がるのは嬉しいのですが忙しいのは中々身体にきますね」

海未「しかし今日もあの二人が来るのですからもう一踏ん張りです」

カランコロン

海未「来ました!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1496331870
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 00:49:39.18 ID:LqSHykcK0
にこ「ういーっす。今日もにこにーが来てやったわよ〜♪」

海未「すみません当店はアイドルの方はお断りしてまして」

にこ「ぬわんでよ!この前私の後輩がアンタの店来てたわよ!」

海未「申し訳御座いません・・・当店のウェルカムジョークですよ」

にこ「小料理屋には似合わない洒落ね」

海未「そう言いながら私の冗談に付き合ってくれるにこは優しいですね」ニコ

にこ「当ったり前よ!NO1アイドルは優しさも必要なのよ!」ドヤ
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 01:12:46.22 ID:LqSHykcK0
海未「それでは何か作りましょうか?」

にこ「ん、じゃあ焼き鳥頂戴」

海未「畏まりました」

にこ「あ、後日本酒の冷もお願いね」

海未「はい」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 01:13:11.92 ID:LqSHykcK0
海未(目の前に座っている彼女は私の友人であり、トップアイドルとしてその名を馳せている)

海未(その人並み外れた情熱と精神力に幼少時代からの知識と経験を活用して芸能界入り)

海未(瞬く間にライバル達を押し退け、現代ではアイドルと言えば矢澤にこの名を知らない者は居ないと言われる程になった)

海未(そんな彼女が友人の私が経営する小料理屋で焼き鳥をつまみに日本酒をあおっていると誰が思うのだろうか)



海未「ふふ」

にこ「ん、何1人で笑ってんの?」

海未「いえ。普段のにこなら甘めのアルコールを頼むだろうと思いましてね」

にこ「そりゃあアイドルのにこならそうするけどね」

海未「今は違うのですか?」

にこ「何よ、プライベートのにこに不満があるって言うの」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 01:16:08.36 ID:LqSHykcK0
海未(ジトッと私を見るにこの姿はどこか大人の女性らしさが出ていた)

海未(普段のツインテールを解いたロングの髪型がよりそう思わせたのだろう)


海未「いえいえ、とても大人っぽいなと」

にこ「意味分かんないわ」

海未「すみません。にこを見るとどうしてもからかいたくなって」

にこ「はん、いじられるのは慣れてるから良いけどね」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 01:37:55.88 ID:LqSHykcK0
海未「それだけ皆にこが好きなんですよ」

にこ「そうだと良いけどね」

海未「・・・はい、焼き鳥出来ましたよ」

にこ「ありがと」


にこ「うんやっぱり日本酒には焼き鳥ね♪」モグモグ


串から豪快に焼き鳥を頬張るにこの姿に少しだけ笑みが零れた
やはり彼女はアイドルである前に1人の女性なんだと


海未「おっともう一人が来ましたよ」

にこ「やっとね」


カランコロン
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 01:43:04.88 ID:LqSHykcK0
花陽「こんばんは海未ちゃん♪」

海未「いらっしゃい花陽」

にこ「アンタ遅かったわねー」

花陽「ごめんごめん田んぼの世話してたら遅くなっちゃって」

海未「相変わらず精が出ますね・・・・それで何にします?」

花陽「とりあえずご飯定食と日本酒下さい!」

海未「はい、少々お待ち下さいね」

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 02:02:32.96 ID:LqSHykcK0
にこの隣に座った彼女の名は小泉花陽。

アイドル好きであり、にこと同じ高校を卒業している。

その後、農業の道に進んだ花陽は持ち前の温厚さと真面目さであらゆる知識や経験を積み

今では日本の半数以上の農地が花陽の所有物である。

正直、信じられない話だが花陽が時たま嬉しそうに此処とは違う地方の田んぼの写真を見せてくれる

合成とは思えないその光景に海未は苦笑するしかないのだった。

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 02:05:20.31 ID:LqSHykcK0
海未「ご飯定食と日本酒出来ましたよ」

花陽「わーい!これが1日の楽しみなんですよね〜」


ご飯定食とは言うが、別におかずも汁物も甘味も白米というわけではない。
念の為に弁解しておくとご飯に合う品物で揃えた一般的な定食である。

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 02:15:47.94 ID:LqSHykcK0
花陽「おかわりお願いします!」

海未「はい」

にこ「アンタ良くそんなに入るわね」

花陽「だってここの定食美味しいもん!」モグモグ

にこ「まあ分かるけどね」

海未「有難う御座います」

にこ「あ、そうだアンタも一杯飲みなさい」コトン

海未「え、宜しいのですか?」

にこ「良いわよ、どうせ客は私達しか居ないんだし」

花陽「うんっ!海未ちゃんもこっち来て!」


有名人となった2人だがこういう時は無邪気な子供の様だ。
しかし友人と語らいながらの酒飲み程、魅力的な誘惑も無かった。


海未「・・・それではお言葉に甘えましょうか」


3人の夜はこれから始まるのだった。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 02:16:33.29 ID:LqSHykcK0
プロローグ終了です

これから長丁場になるかもしれませんがどうぞ宜しくお願いします。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 08:03:36.56 ID:Y+bPmbwCO

期待
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 14:49:28.78 ID:LqSHykcK0
朝の5時に海未は料理の仕込みを始める。

昨晩はすっかり飲み明かしてしまったため、唸る頭の痛みを堪えながらの作業だ。

いろんな意味で頑丈な海未もこれには参ってしまった。


海未「しかし来て下さるお客様の為です」

海未「私がしっかりしなければお父様達に示しが付きませんからね」

海未ちゃんは今日も真面目だった。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 14:55:35.84 ID:LqSHykcK0
テレビ『という事で最近は通り魔が多発していますので皆様十分にお気をつけ下さい』


壁に掛けられたテレビでは先程捕まった通り魔の模様が映し出されていた。


海未「やはり近頃はどこも物騒ですね・・・」


平和を愛する海未にとっては懸念すべき事だ。

そんな時に店のドアが慌しく開けられた。


バタン!
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 15:03:07.79 ID:LqSHykcK0
花陽「海未ちゃん!」

海未「どうしました花陽!?」


息を切らしながら入ってきた花陽の右手には新聞が握られていた


海未「新聞など持ってどうしたのです?」

花陽「と・・とりあえずこれ見て!」


そこには花陽の故郷である音ノ木の田んぼが見るも無残に荒らされている写真が写し出されていた。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 15:13:17.04 ID:LqSHykcK0
海未「な、何ですこれは!?」

花陽「分かんないの、お昼に様子を見に行こうと思ってたんだけど」

花陽「新聞にこの記事が出た時は吃驚しちゃって」

花陽「花陽が一生懸命作った田んぼがぁ・・・ぐすっ」


必死に涙を堪えていた花陽だったが最後まで言い切って泣き出した。
海未は黙って花陽を抱きしめる。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 15:15:12.28 ID:LqSHykcK0
花陽「ひぐ・・・海未ちゃん?」

海未「辛かったでしょう花陽、ですがこれで参ってはいけませんよ」

花陽「うん・・うん」

海未「必ず犯人を見つけて懲らしめてやりましょう」

花陽「うん・・ありがとう海未ちゃん・・」


未だ涙を零す花陽を優しく抱き止める。


海未(しかし誰の仕業なんでしょう・・・?)
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 15:20:48.84 ID:LqSHykcK0
そんな2人のもとにもう一人の来客が訪れる。


にこ「海未ー居る?」

花陽「にこちゃん!」

海未「にこ・・・すみませんが只今取り込み中で」

にこ「その事だけど早速行くわよ」

海未「はい?何処にですか?」

花陽「?」


にこの発言に首を傾げる2人。
そしてにこはとんでもない事を言った。


にこ「今朝の田んぼ事件の犯人が分かったから」

うみぱな『え!?』
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 15:29:21.44 ID:LqSHykcK0
音ノ木坂


海未「にこ!先程のはどういう事なのですか?」

にこ「言葉の通りよ」

花陽「もしかして捕まえる事が出来るの?」

にこ「そうね、私の知り合いが2人ともその道のプロだから」

海未「プロ・・・?」


そんな会話を交わしながら3人はある場所に辿り着く。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 15:31:32.03 ID:LqSHykcK0
にこ「ここに2人が居ると思うんだけど」

海未「神田明神じゃないですか」

花陽「ほんとに居るのかなあ・・・」


海未と花陽が一抹の不安に駆られる中、3人の前に目的の人が居た。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 15:39:15.52 ID:LqSHykcK0
?「はぁ〜い♡久しぶりねにこ」

?「急に連絡来たから吃驚したやん」

にこ「悪かったわね希、でも暇そうだから良いでしょ」

希「まあなー、でも絵里ちはここいて大丈夫なん?」

絵里「平気よ、こう見えても組織には顔が利くから」


巨乳の金髪と巨乳の紫髪が貧乳の黒髪と会話している。
光景はシュールながら海未と花陽はすっかり面喰らっていた。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 15:42:21.26 ID:LqSHykcK0
花陽「ふわあ・・・何か凄そうな2人だなあ・・・」

海未「すみませんお三方」

のぞにこえり『ん?』

海未「あの・・にこと其方のお二人はどういった関係で?」

にこ「ああ、こいつ等は私の旧友よ」

希「希って言うんよ宜しくな」

気さくに手を差し出す希に海未は戸惑いながらも手を握り返した

海未「あ、宜しくお願い致します」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 15:45:52.29 ID:LqSHykcK0
絵里「ねえそこのキミ」

花陽「はぃい!」


急に呼ばれて声を飛ばすように返事をする花陽。
そんな花陽に絵里はクスッと笑みを零す。


絵里「そんな驚かないで。貴方と仲良くしたいんだからね?」

花陽「あ・・・スミマセン」


すっかり緊張した面持ちで顔を伏せる花陽。
そんな花陽の頬を掴んだ絵里はそのまま顔を近づけた。

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 15:52:42.85 ID:LqSHykcK0
花陽「あ、あの貴方のお名前・・・ひゃあう!」


花陽の目と鼻の先に絵里の顔があった。
綺麗で整った絵里の顔は女の子の花陽ですらドキドキさせるのだった。


絵里「あんまり恥ずかしがると・・・・・・」

絵里「チュウしちゃうわよ♡」

花陽「っ!?!?」


後、少しで唇が触れる状態でそう囁く絵里。
人見知りの花陽の心臓は破裂寸前だ。
このままでは本当にチュウしちゃう所でにこの突っ込みが入る。


にこ「やめろ」

絵里「あん痛い♡」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 16:03:50.75 ID:LqSHykcK0
にこ「ったくこのロシアンレズめ」

絵里「もう・・・クォーターって何時も言ってるでしょう?」

希「どっちでもええやろそんなん」

絵里「希まで何よぉ!」


プンプンとした感じで怒る絵里だが、3人なりのじゃれ合いである事は海未にも分かっていた。


海未「あの・・・そろそろ本題に入っても宜しいですか?」

にこ「あー、ごめんねこいつ等が馬鹿やってるせいで」

希「うちは違うよ!」

絵里「馬鹿はにこの方でしょ?」

にこ「あん?」


長身ロシアと低身ジャパンが睨み合う。
しかし海未はそれ以上だった。


海未「ちょっと・・・お三方」

にこえり『何よ!』

希「んー?」

海未「少々話を聞いて下さいますか?」


顔はニコリとしているがその背中には鬼が見えた。
そんな海未に3人は


にこのぞえり『すみませんでした』


ジャパニーズ式土下座を行うしかなかった。


海未「はい、では詳しい話をしましょう」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 16:09:37.82 ID:LqSHykcK0
そして一通りの話を終え


にこ「あんた等準備は出来てんのよね?」

希「バッチリやん」

絵里「何時でもOKよ」


海未「準備ですか?」

花陽「何だろう・・・」

にこ「まあ着いてから分かるわよ」


一同は事件の起きた田んぼに向かうのだった。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 16:19:16.32 ID:LqSHykcK0
絢瀬絵里:警官

日本とロシアのクォーター
レズであり可愛い女の子はとにかくマークする
銃の扱いと事件解決率は組織トップ


東條希:探偵

表向きはバーのマスターだがその正体は探偵。
得意の占いで100%の依頼達成を誇る。
何かとにこをからかう癖がある。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 22:37:21.81 ID:LqSHykcK0
にこ「これが田んぼなのよね?」

花陽「うん・・・」

海未「見れば見るほど無残ですね・・・」

絵里「でもこれだけでは誰が犯行に及んだかは分からないわね」

希「絵里ち、これを人力でやるのは不可能やよ?」

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 22:44:20.63 ID:LqSHykcK0
絵里「え、私はてっきり大人数でやったのかと」

にこ「やるとしてもこれだけ広い田んぼをめちゃくちゃにするメリットが無いし時間も掛かるでしょーが」

花陽「確かに2000坪はあるもんね」

絵里「ハラショー・・・じゃあ誰がこんな事を?」

にこ「うんちょっと絵里黙ってて」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 22:53:19.43 ID:LqSHykcK0
にこ「こんな時は希の出番ね」

希「うん!ウチに任しとき!」


そういうと希はカードを取り出した


海未「それは何です?」

希「ウチ占いが得意なんよ。だからこれで花陽ちゃん達の手助けが出来るかなって」

にこ「良いからさっさとしなさい」

希「そう急かさんでええやん。じゃあやるよ」


そう言うと希は目を閉じカードに祈りをこめる。


31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 22:57:24.44 ID:LqSHykcK0
希「くぬぬぬー・・・・・・」


海未「あれで分かるのでしょうか・・・?」

花陽「でも何か凄そうだよぉ!」

にこ「ああ見えてアイツの的中率は100%だから大丈夫よ」


不安そうに希を見つめる海未と花陽
まるで自分の事のように自信有りげに見守るにこ
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:02:12.71 ID:LqSHykcK0
そして絵里は

絵里「にこ、銃の準備が出来たけど」

にこ「いや危ないわね!仮にもアンタ警官でしょ!」

絵里「だって私の準備ってこれしかないし」

にこ「警棒とかあるんじゃないの?」

絵里「そんな物普段から持ち歩く人居ないでしょ」

にこ「いや銃の方があり得ないから」


やはりロシアの血が流れているのだと実感するにこであった。
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:10:44.60 ID:LqSHykcK0
希「ん!原因が分かったよ皆!」

花陽「ほんと!?」

にこ「やっとね」

希「待たせてごめんな。でもここからそう遠くない場所に根源があるから」

海未「どの方角でしょうか?」

希「西やね」

にこ「よし行くわよあんた達!」


にこは勇んで駆け出す。

その背中は小さくも頼れる背中だった。


絵里「にこ!そっちは東よ!」

海未「あらもうあんな遠くに・・・」

花陽「にこちゃ〜ん!!戻ってきてー!」

希「まあまあ後から来るやろ」


やはりにこはどんな時でもにこらしかった。
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:33:22.07 ID:LqSHykcK0
希「あれや」


希が指す先にはまるで妖怪の様な物体があった。
その物体は赤、茶、黒を混ぜた様な不気味な体色に
大きな口と長い舌で農地を荒らしまわしていた。


花陽「ひぃー!!」

海未「うっ・・・あまり直視できませんね」

絵里「何なのあの怪物は!?」

希「分からんけど多分物の怪みたいな感じのやつやね」

絵里「銃は効くのかしら」


絵里はそういった直後に愛用のピストルで物の怪の身体を狙った。
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:42:18.99 ID:LqSHykcK0
希「多分効くんやないの?」

海未「あまり怒らせてはいけないのでは・・・?」

花陽「でも早くしないと田んぼがどんどん荒れちゃうよ!」


「グォォォォ・・・・・・ズズッズ・・ズッ」

花陽の言う通りであり怪物は今もなお田んぼの水や農作物を
まるでスープの様に飲み込んでいく。


絵里は物の怪の頭に狙いを定め


絵里「お食事中悪いけど・・・消えてもらうわよ♡」バァン


容赦なく発砲した。
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:45:49.30 ID:LqSHykcK0
「グォォ・・・オオオ!?」


絵里の撃った弾は正確に物の怪の頭にヒットした。


花陽「やった!」

海未「かっこいいですよ絵里!」

絵里「ハラショー♡」


しかし
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 23:49:29.93 ID:LqSHykcK0
希「まだやで」

えりうみぱな『え?』


確かに銃弾は頭に当たったが物の怪は倒れなかった。

そればかりか


「グオオオォォォォォ!!!!」


生半可な痛みに怒りを露にした。
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:00:30.00 ID:vaTvW8Wj0
希「やばいやん・・・怒らせただけやで絵里ち!」

海未「そうですよ絵里!」

花陽「何やってんの絵里ちゃん!!」

絵里「何で私が責められてんのよ!?」


物の怪さえ居なければ日常あるあるであろう。

しかし今は目の前の物の怪を何とかしなければならない。


希(ていうかにこっち遅すぎやない・・・?)

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:03:38.92 ID:vaTvW8Wj0
もしかして本当に迷子になったのかと不安を感じる。
さっきはにこを軽くいなしたが希にとっては大事な親友。
身の危険に晒されているのであれば助けに行くべきだ。


希(でも目の前の物の怪が気になるしなあ・・・)


そんな状態で立ち往生する希に物の怪は舌を伸ばした。


希「・・・えっ?」


そしてあっという間に希は物の怪に捕まってしまった。
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:17:01.49 ID:vaTvW8Wj0
希(や、やばいやんこれ・・・)


ぐるぐるウインナーの様に物の怪の舌を体に巻きつけられる。


希「お、おーい!絵里ち!花陽ちゃん海未ちゃん!」


必死に大声を出す希に先程まで言い合いをしていた3人はようやく気づく。


絵里「希!?」

海未「物の怪に捕まっていますよ!!」

花陽「ど、どうしよう・・・!」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:18:12.57 ID:vaTvW8Wj0
絵里「銃は効かないのよね・・・じゃあ物理攻撃は全般的に無効って所かしら」

冷静に敵を分析する絵里。
しかしそんな状況ではない筈だ。

希(いやそんなん分かるやろ・・・)

もはや心で突っ込むしかない希に物の怪は大きく口を開けた


「ズオオオォォォォ!」


『希(ちゃん)!』


希(ま、まずいなこれ・・・)


万事休すかと思われたその時
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 00:20:05.69 ID:MVSK6Hb3O
なにこの展開
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:23:13.97 ID:vaTvW8Wj0
にこ「こら――――――――!!」


まるでマラソンのアンカーの様な走りでにこがやってきた。


にこ「希!!何処に居るのよ!!」

絵里「あそこよあそこ!」

にこ「あん!?何やってんのあの馬鹿は!」


海未「にこ・・・品がありませんね」

花陽「にこちゃん・・・仮にもアイドルだよぉ・・・」

もはやトップアイドルとは思えない言動と形相に海未と花陽は苦言を漏らすしかなかった。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:33:19.12 ID:vaTvW8Wj0
にこ「希ー!何捕まってんのよ!」

希「しゃあないやろ!それより食べられそうなんよ!」

にこ「しょうがないわね、さっさと助けるわよ!」

にこ「全くアンタが方角言わないからこんな事になったんじゃないの!」

希(いや言ったけどな)

にこ「まあ主役は遅れてくるって言うし〜?にこ的にはカッコいい所見せれるから良いけどぉ〜♡」

希「何言うてんの、はよ助けてや」


もはや突っ込み疲れた様だ。
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:46:11.92 ID:vaTvW8Wj0
にこ(普通の攻撃は通らなそうね)

にこ(じゃあ・・・舌を切るしかないわ)


サバイバルナイフを取り出したにこは物の怪に近づく。

「ズオオォォォ!」

近づかせまいと物の怪は大きく舌を薙ぎ払う。

希「危ない!」

その拍子に希の身体は舌から離れた。

絵里「希!」
希「絵里ち!」

絵里は落下する希の身体を綺麗に受け止めた。
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 00:54:49.27 ID:vaTvW8Wj0
花陽「希ちゃん!」

海未「大丈夫ですか希!」

希「大丈夫やよ。心配かけてごめんね」

絵里「ホントよ・・・無事で良かったわ」


特に目立った怪我も無いのでひとまず安心する一同。
後はにこが物の怪を倒せるかどうかだ。


希(頑張りやにこっち!) 
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 01:00:59.20 ID:vaTvW8Wj0
「ズオオォォ!」

にこ「鬱陶しいわね!」


物の怪の機敏な舌の動きに苦戦するにこ。

しかしにこに抜かりはなかった。


にこ「これでも喰らいなさい!」


そこら辺にあった大きめの倒木を物の怪の口内に投げ入れる。
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 01:08:09.69 ID:vaTvW8Wj0
一見すると意味の無い動きに見えるが、実はかなり有効な手段であった。


「ズオオォォォ・・・ォォッ!!?」


そもそもこの物の怪は体の大きさに反して消化能力は高くない。
そのため普段から水や柔らかい農作物が潤沢に存在する田んぼなどを狙っていたのだ。
当然そこそこ大きく太さも十分過ぎる倒木を消化するのには時間が掛かるため、碌に体を動かせない。


「グオォォォォッ・・・」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 01:16:00.64 ID:vaTvW8Wj0
予想以上に倒木の処理に戸惑っている物の怪に、にこは一気に間合いを詰める。


「ズオオオオォォォッ・・・オオッ」


舌を動かそうとする物の怪だが倒木が口を塞ぎ、全く舌の自由が効かない。


にこ「これで終わりよ!」


にこは物の怪の舌をサバイバルナイフで一気に切り付けた。


「ズオオオォッ・・・・・」


舌を切られた物の怪はそのまま身体を大きく揺さ振る。

そして塩をかけたナメクジの様に身体が溶けていった。


にこ「終わったわ!」


大きくグーをした右手を突き上げ勝利のポーズを取るにこ。
こんな時でもアピールを忘れないパイセンだった。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 01:21:29.03 ID:vaTvW8Wj0
にこ「勝ったわよ!」

絵里「やったわねにこ!」

花陽「ありがとうにこちゃん!」

海未「良く勝てましたね・・・」

にこ「まあきつかったけどね」


珍しく素直に返答するにこ。
流石に大変だった様だ。
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 01:28:29.41 ID:vaTvW8Wj0
希「にこっち良くやったなあ」

にこ「んー、何か言いたい事あったような」


多少の疲労ですっかり希への文句も忘れていた。
しかし大体にこが悪かったのだが。


花陽「とにかく、お疲れ様にこちゃん♪」

にこ「ありがと。今すぐ海未の小料理屋で休みたい気分だわ」

海未「私の店を溜り場にしないで下さい!」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 01:38:08.74 ID:vaTvW8Wj0
にこ「良いじゃないのちょっとくらい♪」

希「あ、じゃあウチらもお邪魔しようかな♪」

絵里「ごめんね海未♪」

海未「貴方達・・・仕方ありませんね」ハア


3人の明らかなウキウキムードに断り切れない海未であった。


にこ「よーし!じゃあ今から海未の店までダッシュよ!」

絵里「ビリはジュース奢りね!」

花陽「えぇ!?」

にこ「ぬわんでよ!」

絵里「じゃあ行くわよ。よーいドン!!」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 01:39:28.43 ID:vaTvW8Wj0
急な提案をして急なスタートを切る絵里。

しかし絵里は小料理屋の場所を知らない為おそらくビリだろう。


にこ「何やってんのアイツ・・・」

希「まあまあえりちは放っといて海未ちゃんの小料理屋行こう?」

花陽「はぁ・・ご飯定食楽しみだなあ」

海未「では帰りましょうか」

にこ「そうね」


ちなみに絵里が小料理屋に辿り着いたのは4人が到着した2時間後だった。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/03(土) 01:40:59.65 ID:vaTvW8Wj0
今日はこれまで
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