兄「妹と付き合いたい」 妹「!?」

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27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 21:27:43.14 ID:mj/Yhz6/O


モブ1「嘘だ! 私は信じないっ!」

モブ2「でもでも、もしかしたらうちらの誰かかもだしぃ」

モブ3「涙で前が見えねェ」


妹「なんか、さっきからクラスざわついてない?」

妹友「んー? あっ!そうだ! 妹ちゃんに聞こうと思ってたんだった」

妹「え、なに?」

妹友「体育のときに3年生の女の先輩が部活の後輩に流した情報っぽいんだけど」

妹友「……ちょっと耳貸して」

妹「うん?」

妹友「えっと…」コソコソ


妹友「兄先輩、付き合いたい人がいるってほんと?」

妹「っぶ!!?」


28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 21:29:35.76 ID:mj/Yhz6/O


妹「うえっほ! げほげほっ!!」

妹友「妹ちゃん!? 今日よくむせるね…」

妹「ご、ごめんちょっとお茶飲む」

妹(付き合いたい人って、きっと朝のあの話……だよね)

妹友「で、心当たりない? なんでもその先輩が言うにはうちのクラスらしいんだけど!」ヒソヒソ

妹「え、ええー? さあーー、そんな話しないし?」

妹友「そっかぁ。まあそうだよね」

妹「それでクラスざわついてるんだ……あ、相手が誰とかは誰も知らないんだよね?」

妹友「うん。だから妹ちゃんに聞いたんだけど」

妹「あははー、なるほどなるほどー。誰なんだろーねあっはっはっ」

妹友「しかもね、なにやら今日の放課後に告白するんだって!」

妹「はあああああああああっ!!?」

妹友「ひいっ!?」


29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 21:32:06.19 ID:mj/Yhz6/O


妹「あ、いや」

妹友「びっくりした……」

妹「ごめん私も驚いて……放課後って、え? 学校で?」

妹友「詳しくは知らないけど、そうなんじゃないかな?」

妹「ふ、ふうん。そっか」

妹友「もしかしてやっぱり心当たりあるの!?」

妹「ないないない! 1ミリも心当たらない!」

妹友「なんだぁー。じゃあもう放課後までもんもんと過ごすしかないなぁ」

妹「なんで妹友ちゃんがもんもんするのさ」

妹友「だって兄先輩が告白だよ? 気にならないほうがおかしいよ!」

妹友「しかもうちのクラスかもだなんて……ああーほんと誰なんだろう!?」

妹(うう、ちょっと罪悪感が……けど本当のことなんて言えるわけないよ)


30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 21:38:48.01 ID:mj/Yhz6/O


キーンコーン


妹(ついに放課後になってしまった…)

妹友『兄先輩のこと、もし分かったら絶対教えてね!』

妹(って妹友ちゃんは部活に行っちゃったし)

妹「……」


妹(てか、私なにを待ってるんだ!?)

妹(鵜呑みにしちゃってたけど噂はあくまで噂なわけだし!)

妹(さすがに学校で、妹に告白とか? しないでしょまとも考えて!)

妹(あ、実の妹と付き合いたいとか暴露してる時点でまともじゃなかった)


妹(うん……でも待ってる意味もないよね、別に頼まれたわけじゃない)

妹(そもそも告白するのが本当だとして、相手が私とは限んないじゃん。他に普通に好きな子がいるのかもだし)


妹(お兄ちゃんが……他の子に告白……)モヤ


妹「!?」


31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 21:43:32.85 ID:mj/Yhz6/O


妹(なに今の!? モヤってなに、モヤって!!)

妹(意味分かんない、別にモヤモヤなんかする必要ないのに)

妹(あんなやつが誰に告白しようが勝手だし…)

妹「……」

妹「連絡こないし…」


ピロン♪


妹「っ!!」

妹(お、お兄ちゃんからだ!)

兄『もう帰った?』

妹「……」ピロン

妹『まだ』

妹「……えっと」

妹『なんで? なんか用?』

妹(ちょっと素っ気ないかな……っていつもこんなじゃん! 何を気にしてるんだろ私)


32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 21:50:00.82 ID:mj/Yhz6/O


兄『教室?』

妹(おい、質問に答えろ)

妹『うん。それが何』

兄『まだしばらく帰らない?』

妹(だから質問無視すんなっ!)

妹「はあもう…なんなのさ」

妹『もう帰るとこ』

兄『了解。1人だよな?』

妹「っ!」

妹『そうですけど? 友達いないって言いたいの?』

兄『いやいや。ならおーけー』

妹(お、おーけー? 何がおーけー!?)

妹(1人か確認したってことはやっぱり、これから私をどこかに呼び出すつもりじゃ…)


妹(………やば、急に緊張してきたんだけど!)


妹(どこだろう、どこか人気のないところだよね)

妹(屋上とか? 体育館裏とか? 誰も居なくなった教室とか……?)


ピロン♪


兄『昇降口で待ってるわ』

妹「昇降口ぃぃ!!?」



33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 21:52:04.03 ID:mj/Yhz6/O


妹「アホか!? アホなのかあの兄は!?」

妹「昇降口って、よりにもよって最も知り合いが通る可能性大の場所じゃん!! 何考えてんの!?」

妹「ふうー、ふうー…」

妹(お、思わず叫んでしまった。周り誰もいなかったよね? 聞かれてないよね?)キョロキョロ

妹「……」

妹(………ま、とにかく行くしかないか)

妹『わかった』

妹「よし…」

妹(平常心、平常心。いつも通りの私で何も問題ない)


妹「……」

妹(髪だけ整えとこ…)


34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 21:53:30.54 ID:mj/Yhz6/O


昇降口


兄(雨よく降るなぁ。朝はあんだけ晴れてたのに)

兄(それにしても今日は廊下でやたら視線感じたけどなんだったんだろう)

兄(というか今もチラホラ見られてるのは気のせいか…)


妹(うげ、ほんとに居る)

妹(って当たり前か。待ってるって言ったんだし)

妹「……」スーー ハーー


スタスタ


兄「お、来たな」

妹「……うん」

兄「よしじゃあ…」

妹「ま、待って!」


35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 21:58:13.79 ID:mj/Yhz6/O


兄「なんだ?」

妹「ほ、ほんとにここでよかったの?」

兄「そりゃあここが一番手っ取り早いし」

妹「手っ取り早いって……もっと他に考えることあるでしょ……」

兄「はい?」

妹「お兄ちゃんはここでもいいのかもしんないよ? でも私の気持ちとかさ」

兄「あー、やっぱ見られるの嫌か」

妹「あ、当たり前じゃん。もっといっぱいあるよね、人来ない場所」

兄「それはごめん。でもどのみち途中で誰かには見られるからいいかなって」

妹「はあ!? なんで人に見られるの前提なわけ?」

兄「そりゃ学校は人いっぱいいるし、誰にも見られないほうが難しいんじゃ…」

妹「じゃあ学校じゃなくてもいいじゃん!」

兄「え?」



36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:03:59.02 ID:mj/Yhz6/O


妹「だから別に学校じゃなくても、どこか行ったりすればいいじゃん」

兄「待ってお前、なんの話してる?」

妹「なんのってそりゃ……えっ? お兄ちゃんはなんの話してるの?」

兄「いや俺はただ…」バサッ

妹「へ? 傘?」

兄「お前、どうせ傘持ってきてないだろ? 天気予報じゃ雨って言ってなかったし」

妹(あ……そういえば急に雨降ってきたんだっけ)

兄「困ってるんじゃないかと」

妹「……」

兄「まあでも、高校生にもなって兄妹で下校なんて知り合いに見られるのは嫌だよな」

妹(あ、あれぇー?)


37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:07:17.38 ID:mj/Yhz6/O


妹「ええと……もしかして、一緒に傘入れるために待っててくれただけ?」

兄「いかにも」

妹「へ、へーー」

妹「ちなみにお兄ちゃん、放課後他に誰かと会ったりした?」

兄「いや? 特別誰かとってことはなかったけど」

妹(ちょっと妹友さん!? 告白とやらはどこへ行った……?)

兄「なんでそんなこと聞くんだ?」

妹「えっ!? べ、別になんとなく」

兄「まあいいや。それでどうする?」

妹「ん?」

兄「帰り。一緒に入ろうかと思ったけど、アレならこの傘渡すぞ」


38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:11:00.95 ID:mj/Yhz6/O


妹「あーえっと、じゃあ借りようかな…」

兄「了解。じゃあはい傘」

妹「あれ? 待って、そしたらお兄ちゃんは?」

兄「俺は家までダッシュするよ。多少濡れたところでこの季節ならそんな寒くもないし」

妹「ええっ!? ダメだよ風邪引くよ」

兄「走ればたかだか15分くらいだろ。体冷える前にシャワー浴びれば問題ない」

妹「でもそんなの可哀そ…じゃなくて私が悪者みたいじゃん。やっぱ一緒に入る!」

兄「そんなの誰も気にしないって」

妹「いいから! 私が気にするの!」

兄「そう? まあお前がそれでいいなら…」

妹「いいよもう。ほら帰ろ」

兄「おう」


39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:19:06.43 ID:mj/Yhz6/O


ザーー…

兄「こんな風に帰るのも久々だなぁ。中学のとき以来か」

妹「覚えてない」

兄「あの頃は同じくらいの背だった気がするけど、今はだいぶ差あるな。お前縮んだ?」

妹「縮むか!! お兄ちゃんが伸びすぎなだけ。いま何センチあんのさ」

兄「180…182くらい? 去年で止まったよ」

妹(くっ、余裕で20センチ以上離れてる)

妹「ま、私も女の子としてはこのくらいの身長で十分だと思ってるし」

兄「そうか」

妹「それに、今でもどんどん大きくなってるし?」

妹(……別のところが、だけど)

兄「へぇ、あんま分かんないな」

妹「う、嘘だ……変な目で見てるくせに」

兄「?」


40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:25:36.43 ID:mj/Yhz6/O


妹「しかもお母さんに…聞いたんでしょ」

兄「母さんに? 何を?」

妹「い、言わせる気っ!? バカ! 変態! キモい!」

兄(理不尽な罵倒が俺を襲う!)

妹(うー、お兄ちゃんだけ澄ました顔して)

妹(なんか仕返しを………そうだ)

妹「てかさ、雨かかるんだけど」

兄「まあ身長差もあるからなぁ。腰落として歩こうか? 昔バレーの練習でよくやったんだ」

妹「しなくていい! ってかすんな。そうじゃなくてもっと近づくだけ」

兄「これ以上は無理だろ。俺限界まで脇締めてるぞ」

妹「じゃあ……一瞬緩めて」

兄「ん? なんで?」

妹「こうする」


ギュ


41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:29:33.82 ID:mj/Yhz6/O


兄「ええ……」

妹「……」ギュー

兄(妹を傘に入れたら腕に抱きついてきたんだけど、これなんてエロゲ?)

妹(どうだこのやろう。妹の成長を肌で感じやがれ)

兄(俗に言う『当ててんのよ』状態なんだけど、これなんてエロゲ?)

妹「な、なんかないの、感想とか」

兄「これなんてエロゲ?」

妹「……リアルなんてクソゲーだって言いたいわけ?」

兄「まさか。セーブもリセットもできないからこそリアル人生ゲームは素晴らしいって言いたい派だよ俺は」

妹「あっそ…」

妹(むむう、あんまり効いてないっぽい)


42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:33:16.71 ID:mj/Yhz6/O


妹(こ、恋人みたいだねーとか言ってみる?)

妹(いやいや! そんなの絶対私のほうが耐えられない!)

妹(忘れてたけどお兄ちゃん、私のこと好きなんだよね…? こんなことされてもドキドキしないのかな?)

兄「……」

妹「……」ドキドキ

妹(ていうかあれ!? 私のほうがドキドキしてるんじゃ……!?)

妹(違う違う! そんなんじゃない! これはカップルに間違えられることに対する恐怖的なやつであって)

妹(断じて恋愛感情によるものでは……)


妹(ってこの言い訳がすでにツンデレみたいで嫌なんだけど!!)

妹(お兄ちゃんは平気そうだし。くそう、なんだろうこの敗北感)


兄(勃起しそう)


43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:41:40.00 ID:mj/Yhz6/O


テクテク


兄「お、完全に雨止んだかな」

妹「だね」

兄「傘閉じるから離れてくれる?」

妹「あ……うん」スッ

妹(……ちょっと名残惜しいかも)

妹(結局お兄ちゃんは何にも反応ないし。なんか私だけ空回りしてたみたい)

兄「16時半か。母さんのパートが終わる頃だな」

妹「今日パートの日だっけ」

兄「ああ。幼稚園の迎えのあと夕飯の買い物するって昼に連絡あったから、俺らのほうが早そうだ」

妹「ふーん」

妹(今思えば、朝のも何かの勘違いだったのかも。会話の一部分だけ聞くと意味が変わるやつとかよくあるじゃん)

妹(あれもそんな感じだったのかな……期待して損した気分)


妹(えっ…………期待……?)


44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:47:23.55 ID:mj/Yhz6/O


妹「うそ…」

兄「どうかした?」

妹(私……期待してた? お兄ちゃんに告白されるのを…!?)

妹(そ、そんなわけない! 今までそんなことなかったし、むしろ嫌ってたはず……)

兄「おーい」

妹(でも、じゃあなに? この感じ)

妹(胸の中で積み重ねてきた何かが……崩れて無くなっていくような…)ズキ

兄「ちょっ、まじで大丈夫か?」

妹「お兄ちゃん…」

兄「ん?」

妹(お兄ちゃん……そうだ、私のお兄ちゃん……)



妹(そうだよ…そうだった。なんで忘れてたんだろう)

妹(なんで…忘れようとしてたんだろう)



妹(私の…………)



45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:51:07.44 ID:mj/Yhz6/O


兄「具合でも悪いのか?」

妹「う、ううん。大丈夫」

兄「どう見ても大丈夫じゃなさそうだったぞ。なんなら家までおぶるか」

妹「……いいの?」

兄「なんて冗談……えっ?」

妹「……」

兄「……」

妹「歩くの疲れたなぁー」

兄「ま、まじで?」

妹「……先に言ったのお兄ちゃんじゃん」

兄「そうだけど……じゃあ、はい」スッ

妹「ふふん」ノシ

兄「ごめん、傘だけ持ってて」

妹「ん」


46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:55:17.04 ID:mj/Yhz6/O


妹「お、重たくない?」

兄「軽くはない」

妹「そこはウソでも軽いって言え。途中でギブとかやめてよ? 傷つくから」

兄「まあもうそんなに距離ないし、いけると思う」

妹「あっそう」

兄「こんなのも昔思い出すなぁ。近所で遊んでて、転んで泣いてるお前をよく家まで運んだもんだ」

妹「ええー、いつの話それ」

兄「お前が幼稚園のときかな。ずーっとくっついて回ってきてたんだぞ」

妹「あの頃はお母さんも会社で働いてたし、ほかに誰もいなかったし…仕方なく……」

兄「にいにのお嫁さんになるぅーとかほざいてたな」

妹「し、知らない! 覚えてない! 捏造!」

兄「たしかホームビデオに残ってたっけか」

妹「抹消しろそんなもん!!」


47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 22:58:34.22 ID:mj/Yhz6/O


兄「昔は可愛かったのになぁ」

妹「い、今だって可愛いし…」

兄「性格の話だよ。特に俺が高校入ってからの扱いひどくね?」

妹「別に、年頃の女の子なんてみんなそんなもんだから」

兄「自分で言うなよ。まあ、確かにこの歳で大好きーとかお嫁さんになるぅーとか言ってるのもおかしいか」

妹「……」

妹「おかしく…ないんじゃない」ボソ

兄「えっ?」

妹「だ、だから! そういうのも、ありえるかもって」

妹「……兄妹でも……け、結婚はできないかもだけど」

妹「お互いが好きなら、それでいいかなって……妹友ちゃんも言ってたし…」

兄「……えーっと?」

妹「聞いちゃったの!!」

兄「へっ」


48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:02:12.21 ID:mj/Yhz6/O


兄「聞いたって…?」

妹「今日の朝……お弁当、届けに行った時」

兄「ああ、あの時の」

兄(ってまさか、聞かれてたのか!?)

妹「付き合いたいって言ってた…」

妹「か、可愛いってすごい言ってた。手出したい…とか」

兄「Oh……」

妹「それに、体育のあと噂で、今日の放課後告白するみたいなのも聞いた」

兄(うわぁ筒抜けじゃないっすか……放課後ってのはちょっと違うけど)

兄(なるほどなぁ。午後からやたら視線浴びた気がしたのはその噂が原因か)

妹「あれ、本気なんだよね…?」

兄「……まあ」

妹「ふ、ふうん。そっか……ふうん」


49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:09:46.69 ID:mj/Yhz6/O


兄「あー……引いた?」

妹「超引いた。実の妹にとか、なに考えてんのって」

兄「で、ですよねぇ」

妹「でも………ありえなくはないかもって思った」

兄「え」

妹「本気なんでしょ? 本気なら、ちゃんと伝えたほうが良いと思う」

妹「も、もしかしたらね。万が一、天文学的な確率で、相手もその……同じ気持ちかもしんないし…?」

兄「……」

妹「っ、てか陰で変態っぽいこと考えてるほうがキモい! いっそ全部ぶちまけてくれたほうがマシ!」


妹「………って思ってるかもだし?」

兄「はは…」


50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:14:32.15 ID:mj/Yhz6/O


兄「お前がそんな風に励ましてくれるとは思わなかった」

妹「べっ別に、励ましたわけじゃないし」

兄「俺は本気だ」

妹「っ!」ドキ

兄「さっきさ、本気ならちゃんと伝えたほうがいいって言っただろ」

兄「今日クラスのやつにも似たようなことを言われたんだ。重要なのは本人の気持ちだーって」

妹「…ふうん?」

兄「血の繋がりは変えられない。周りの目もあるだろうさ」

兄「でもそんなもん吹っ飛ばして、自分の気持ちに正直になっていいんだって、そう言われた気がしたよ」

兄「まさかお前からも言われるとは夢にも思わなかったけどな」

妹「う、うっさい。そこまで言ってない」

兄「だから改めて決意が固まった」


兄「俺は……今日告白する。本気で、自分の想いを伝える」

妹「っ!!」


51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:22:27.13 ID:mj/Yhz6/O


妹「それって……いつ? もしや今………?」

兄「まさか。家に帰ってからさ」

妹「そ、そうなんだ。分かった」

兄「一世一代の大勝負なんだ。面と向かって直接言いたい」

妹「………うん」


妹「……」


妹(う、うわあああああなにこれなにこれ!!?)


妹(やっぱ告白っていうのは本当だったんだ……ええええやばいんだけど、めちゃくちゃドキドキするんだけど!!)

妹(心臓がぎゅんぎゅんする……大丈夫かな、背中越しにバレてないかな?)

妹(家に着いたら、お兄ちゃんと、こ、恋人に…? どうしようどうしよう、また混乱してきた!)

妹「ふうー、ふうー…」

兄「お、おいなんか息荒いぞ? 酔ったか?」

妹「だだだ、大丈夫だ、問題ない」

兄(装備が甘かったか? 暖かいからって油断した、早めに歩こう)

妹(お兄ちゃんの背中、お兄ちゃんのうなじ、お兄ちゃんの匂い……)

妹(はあああやばい、意識し出したら止まらない…)


妹(やっぱ………好きだ。お兄ちゃん、好きだよ……)


52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:23:46.92 ID:mj/Yhz6/O



ジャーー…


妹(どうも、妹です)

妹(兄はリビングに、一方私はお風呂にいます)

妹(別にえっちなことをする前準備とかじゃありません。単に雨で濡れたのでシャワーで温まってるだけです)

妹(兄のほうはなにやら坐禅を組んで精神統一してるみたいです。何のためといえばお分かりかと思いますが)


妹(そう、告白するためです………………実の妹に)

妹「……」


妹(お風呂から出たら……)


妹(お兄ちゃん………)



53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:25:29.75 ID:mj/Yhz6/O


キィ…


兄「…………」

妹「……」

妹「…あ、上がったよ?」

兄「ん」

妹「うん」

兄「…………」

妹「……あの」

兄「うん?」

妹「その、精神統一? いつまで続けるの?」

兄「もちろんその時が来るまでだ」

妹「あ、そう…」


54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:29:04.15 ID:mj/Yhz6/O


兄「…………」

妹「ちなみにその時って、いつ来るの?」

兄「もうすぐだと思うけど」

妹「思うって……そろそろお母さんたち帰ってくるよ?」

兄「だからそれを待ってるんだろ」

妹「ええっ!? み、皆がいるところでするつもりだったの!?」

兄「まあな。それくらいの覚悟がなきゃ本気じゃない」

妹「え、えーー……」

兄「嫌なら別に部屋にいていいぞ」

妹「う、ううん………いい……ここで待つ」

兄「そうか。了解」


55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:30:06.17 ID:mj/Yhz6/O


兄「…………」

妹(お兄ちゃん、すごい集中してる……)

兄「…………」

妹「そろそろ…かな?」

兄「そうだな。てかお前、メイクしてる?」

妹「えっ? してるけど」

兄「風呂入ったのになんでまた」

妹「そりゃあ………だ、だって、大事な時だし」

兄「そっか。ありがとうな、わざわざ」

妹「ん……」



ガチャッ バタン


母「ただいま〜」

妹(幼)「たっだいまぁー!!」


兄・妹「!!!」


56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:33:57.59 ID:mj/Yhz6/O


妹「か、帰ってきた」

兄「……ああ、いよいよだ」


母「ごめんねー少し遅くなっちゃって。今お夕飯の支度するから」

妹(幼)「きょうはカレー! カレーなの!」

母「まず手洗いするのよー。どっちか洗面所に連れてってくれる?」

妹「あ、うん……」チラ

兄「行ってくれ」

妹「ん」

兄「……」

母「お昼頃雨降ったせいか道路混んでてねー……ってどうしたの? ピシッと正座なんかして」

兄「母さん、ちょっとだけ時間をくれないか」

母「え?」


57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:38:12.08 ID:mj/Yhz6/O


母「なに改まって。ご飯のときじゃダメなの?」

兄「今がいいんだ。先延ばしにしてしまったら言えなくなるかもしれないから」

母「はあ。まあ少しだけなら」

兄「長くはかからない。そこに座っててくれ」

妹「あっこら、走らないの!」

妹(幼)「きゃははっ、てーぴっかぴかー!」

妹「もー、転んだらまた手汚れるでしょっ……って重っ! こんなに重かったっけ!?」ヒョイ

母「伸び盛りだもの。幼稚園の組でもかなり大きいほうよ」

兄「お前も、そこに座ってくれ」

妹「っ……う、うん」スッ

妹(幼)「ねえねのひざのうえー」


58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:39:56.53 ID:mj/Yhz6/O


母「それで、話ってなにかしら?」

兄「ああ、それなんだけど」

兄(さすがに緊張するな……父さんがいないだけまだマシか)

妹「……」ドキドキ

兄「最初に言っておこう。今からするのは恋の話だ」

母「コイ? え、コイって魚の?」

兄「いや、恋愛のほうのコイだ」

妹(幼)「こい?」キョトン

母「えーー!? どうしたのよ突然! そんな話今まで家族でしてこなかったのに」

兄「そりゃあ今までは無かったからな。けど今回は本気で付き合いたいと思う人ができたんだ」

妹「っ……!!」

母「へぇーー?」


59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:42:23.75 ID:mj/Yhz6/O


母「……で、で!? 誰なの? 同級生の子!?」

妹(お母さんめっちゃ興味津々だ!?)

兄「いや違う。もっと身近にいる」

母「同級生よりも身近って……じゃあ、お隣の?」

兄「……それよりも近しい」

母「えっ?」

妹「……」

母「それって……えっ?」

兄「……」

兄「分かってるんだ、これがアブノーマルだってことくらい」

兄「普通ならそういう感情は芽生えない、芽生えちゃいけないってのは分かってるんだ」


60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:45:42.51 ID:mj/Yhz6/O


兄「頭では分かってる。理解してるんだ。だからこそ真剣に考えた」

兄「クラスの友人にも相談したよ。否定もされた。けど、背中を押してくれるやつもいた」

妹「……」

兄「これはただの勢いなのかも、気の迷いなのかもしれない。明日になったら、何考えてんだって布団にくるまって絶叫するのかもしれない」

兄「でも少なくとも、今この瞬間に俺が抱いてる想いは本物だ。本気で本気なんだ!」

兄「だから俺は決めた。俺は言う」

兄「今日、いま、する。この場所で………告白を……!!」

母「!!」


母「この場でって………まさか……!?」

兄「そうだよ、俺が本気で好きになったのは…」


妹「っ……!!」ドキドキドキドキ




母「お母さん!!?」

兄「たわけ!!」

妹「」ズルッ


61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:50:59.95 ID:mj/Yhz6/O


母「なーんだ……違うの?」

妹(め、めっちゃ水挿してきおったこの母ーーっ!!!)

兄「違います」

妹(違うよね! よかった! ああもうびっくりした…)

母「不覚にもドキッとしちゃったわ。でもこの場でってことはやっぱり家族なのかしら?」

兄「ああ」

妹(実の息子にドキッとするなし……って人のこと言えないけど)

兄「この気持ちがいつからかなのかは分からない。ただ最近のようで、ずっと昔からだったのかもしれない」

兄「思えば生まれてからずっとだったような気さえさる」

兄「こいつは俺が守ろうって、まだガキのくせしてそんな使命めいたものを感じてたんだと思う」


62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:52:54.87 ID:mj/Yhz6/O


兄「人の気持ちってのはどうにも、いろんな形に変化する」

兄「守る対象だと思ってずっとそばにいたら、いつの間にか自分のほうがそいつに近づきたいと思うようになってるし」

兄「近づきたいって思って近づいてたら、今度はもっと知りたい、もっと触れたいって思うようになってたんだ」

妹(お兄ちゃん…)


兄「好きなものは独り占めしたくなるもんでさ」

兄「自分のものに、自分の好きにできるっていう名分が欲しかったんだ」

兄「家族ってだけじゃ満足できなくなったんだ。それ以上の特別が欲しくなってしまったんだ」


63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:55:25.91 ID:mj/Yhz6/O


兄「だからってできることは大して変わらないのかもしれない。関係の肩書きが変わるだけで、それ以外はこれまでと一緒かもしれない」

兄「詰まるところ、これはただの自己満足なんだ」

兄「俺のわがままを相手に押し付けてるだけ。たぶん、そう言ったほうが自然に聞こえる関係になるだけなんだよ」

兄「でも……それでもいいと思った」

母「……」

兄「形がどうであれ、周囲にどう思われるのであれ、俺の本気に嘘はない。それで相手に拒絶されても後悔なんてしない」

兄「それで、もしもお互いが認め合えたんなら……後生にも及ぶ覚悟を持って俺は向き合うつもりだ」

兄「だからこの瞬間に、俺は全霊を賭して言う」

妹「っ………!!」


64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:57:02.99 ID:mj/Yhz6/O


兄「……」


母「……」

妹「……」ドキドキドキドキ

妹(か、顔から火が出そう……まともにお兄ちゃんの顔見れない……!!)ギュッ


兄「こほん」



兄「お前の……………全部が好きだ」


妹「っーーー!!!!」ドクン!


兄「あどけない顔も、サラサラの髪も、伸び盛りの体も」

兄「無邪気に笑うところも、泣きたい時に泣ける素直さも」

兄「言いたいことをはっきり言う性格も、時々甘えてくる愛らしさも」

兄「全部まるごと俺のものにしたい。自分のものとして、純粋に愛でていきたい」

妹(あうあうあうあう)


65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 23:59:50.11 ID:mj/Yhz6/O


兄「だから、俺と………」


妹「……」


妹(バカだと思った……ありえないと思った…)

妹(実の妹と付き合いたいだなんて、そんなお兄ちゃんなんて、キモいだけだって)


妹(知らなかったなぁ……)


妹(誰かに求められるのが、好きだって言われるのが……こんなに胸がときめくことなんだってこと……)




兄「俺と………付き合ってくださいっ!!!」




妹(たとえそれが、血の繋がったお兄ちゃんだとしても…)



66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/06(火) 00:04:01.21 ID:CUME4TPOO


妹(やばっ……なんか…涙出てきた)


兄「…………」

妹「へへ、えへへ…」グス


妹(もう泣いててもいいや)

妹(返事くらい、ちゃんと目を見てしなきゃだよね)



妹「はい………こちらこそよろしくーーー」



母「…………」


兄「…………」






妹(幼)「うぇ??」







妹「…………………………うぇ?」




67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/06(火) 00:06:37.59 ID:CUME4TPOO


妹「………え?………え?」





兄「お願いします!!」ギュッ


妹(幼)「にいにのておっきぃー」ギュッ


兄(届け、俺の想い…………っ!!!)ギュッ


妹(幼)「?」キョトン



母「????」




妹「????????」






妹「…………ああ」ポン






妹「って『妹』ってそっちかよ!!!!!!!????」




おわり


68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/06(火) 00:09:04.64 ID:CUME4TPOO
これがやりたかっただけです…
読んでくれた人ほんとありがとう
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 00:16:30.55 ID:8fgh5WKLo
なんかまじめに読んで損した感じ
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 01:04:46.11 ID:AntdKj8VO
ほんそれ
妹(幼)って出てきたからそうかなとは思ったけどほんとにそうだとは
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 01:06:49.69 ID:8mfhdDN1o
母が迎えに行ってるって所でもしかして……って思ったらそのままだった
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 01:18:44.88 ID:zdlGRKIe0
王道こそ至高
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 02:36:52.72 ID:ik9gBVAjO
>>70
そうだよなーずっと妹だと期待してたのに妹(幼)出てきて「あっ…(察し)」だもん
悪い意味で期待を裏切ってくれたよ
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 02:48:29.12 ID:fITp2mTP0
母のもしかしてお母さん!?が一番面白かった
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 03:16:04.34 ID:jg0Arxx4o
幼稚園の話が出た段階でもしやと思い妹との会話で確信したわwww
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 19:35:49.44 ID:onZskDBLO
妹からしたら妹(幼)を好きになると思うはずないから自分だと思うわな
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