右京「成しうる者が為すべきを為す……ですか」

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1 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/04(日) 22:39:33.04 ID:IgTmY9tU0
相棒とPSYCHO-PASSのクロスです。

PSYCHO-PASSの世界観の日本で犯罪係数制度が導入される前の時代に、相棒の登場人物がいるという設定です。
そのためほぼ相棒の登場人物のみでPSYCHO-PASSのキャラは局長ぐらいしか出ません。PSYCHO-PASS要素はかなり薄いです。

PSYCHO-PASS GENESIS既読です。一部設定をお借りします。しかしSSの都合上他のGENESISの設定は無視します。

その他、両原作の設定との矛盾がでる可能性あります。

以上の点が許せるという方、駄文ですがお付き合いくださると幸いです。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1496583572
2 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/04(日) 22:44:59.69 ID:IgTmY9tU0
右京「成しうる者が為すべきを為す……ですか」

角田「そう。『それこそがシビュラが人類にもたらした恩寵である』ってね」

亀山「どうしたんすか、急に」

角田「いや最近ね、息子がこればっかいってんだよ。シビュラの就職判定がいいとこに出たみたいでさ」

亀山「就職もシビュラシステムで決定か……。なんか、凄い時代になったもんすね」

角田「本当だよなぁ。俺なんかが学生の時は、どんな職に就くかでさんざん迷ったもんだよ」

亀山「そうなんすか? 俺なんかは体動かす事だけが取り柄だったんで、結構すぐ決まりましたけどね」

右京「確か、亀山君は大学もスポーツ推薦でしたからねぇ」

亀山「そうそう。おかげさまで就職先は殆ど迷いませでした」

角田「しっかし、厚生省がこんな隠し玉持ってるとはね。国民ももうだいぶこのシビュラに頼りきりって感じだよ」

右京「システムのアドバイスは確かに役立つ物かもしれませんが、若者には自分の夢と意思も尊重して貰いたいものです」

亀山「やっぱり自分の意思で決めた仕事じゃなきゃ続けらんないっすよね」

3 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/04(日) 22:49:40.09 ID:IgTmY9tU0
右京の携帯電話 プルルルル……プルルルル……ピッ

右京「杉下です」

米沢『どうも、米沢です。すぐに出てくれて助かりました。 実は現在、杉下警部が恐らく非常に興味を持つであろう現場にいるのですが……』

右京「すぐに伺います。米沢さん、場所を教えて頂けますか」

米沢『もちろんです。現場は東京都……』
4 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/04(日) 22:56:57.34 ID:IgTmY9tU0
事件現場のアパート

伊丹「この暑い夏に殺しかよ……まったく嫌になる」

芹沢「ほんとですよ。犯人にも、頭ぐらいは冷やしていてもらいたんもんですね」

三浦「しっかし玄関でグサリか……」

右京「具体的には、どこを刺されたのでしょう?」ヒョイ

亀山「みたかんじ、胸みたいっすね」ヒョイ

伊丹「特命係の亀山! お前なんでここに!」

亀山「俺らが何処にいようと勝・手だろ!」

伊丹「なんだと!」

三浦「警部殿も……いつも困ります」

右京「すみませんねぇ」

芹沢「まあ、いいんじゃないですか? いつも事件解決してくれるし……」

伊丹「なんだと芹沢このやろう!」ガシッ

芹沢「ちょ、やめてください先輩、じょーだんですよ!じょーだん!」ジタバタ

右京「では亀山君、奥の部屋の方も拝見しましょう」

亀山「はい」
5 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/04(日) 23:11:12.80 ID:IgTmY9tU0
奥の部屋

米沢「これはこれは杉下警部、お待ちしていました。……どうです、この部屋?」

右京「そうですねぇ……」ヘヤミマワシ

亀山「え? 俺には小綺麗なアパートの部屋にしか見えないんすけど……なんか変わったところあります?」

右京「……被害者は、本当にここで日常生活を送っていたのでしょうか?」

亀山「は? いやここで殺されたってことは、ここで生活してたんじゃないですか?」

右京「それにしては、あまりにも生活感がなさすぎるような気が僕にはするんですよ!……かといって全くないかというとそうでもない……。おかしいと断言できるほどではありませんが、不自然な部屋に僕には思えます。米沢さん、被害者の身元と死亡推定時刻は?」

米沢「死亡推定時刻は今朝の9時から11時ですな。今が18時ですから、死後8時間前後といったところです。被害者の身元ですが……部屋のどこを探しても身分を証明するような物は何処にもありません。前科者のデータとも照合しましたがヒットしませんでした。携帯端末の類もありません。パソコンのデータは完全に消去。財布からカードも抜き取られています。しかし、現金は手付かずのままでした」
6 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/04(日) 23:20:24.70 ID:IgTmY9tU0
右京「今時、携帯端末を持っていないとは考え辛い。犯人に持ち去られたと見るべきでしょうね」

亀山「カードを持ってってるところを見ると、物盗りですかね」

右京「物盗りだとすると現金が残っている事に説明がつきません。被害者の身元を隠す為に犯人が持ち去ったと見るべきでしょう」

亀山「部屋は誰が住んでることになってるんですか?」

米沢「鈴木健一という人物になってますが、その人物の勤務先を調べたところ、いわゆるペーパーカンパニーでした」

右京「そうなれば、鈴木健一も恐らく偽名でしょう。」

亀山「手がかりは無しですか……」

米沢「代わりといってはなんですが……これが部屋に仕掛けられてました」

亀山「これは……盗聴器!」

米沢「ええ。それもかなり本格的な物です。さしずめプロ使用といったところでしょうか」

亀山「身分不明の遺体に、プロ仕様の盗聴器……。なんかいやな感じしますね」

右京「……」
7 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/04(日) 23:32:37.02 ID:IgTmY9tU0
翌日 警視庁・特命係

角田「よっ暇か? ……なにやってんの?」

亀山「課長も知ってるでしょ? アパートで男が殺されてた事件。その捜査資料ですよ。米沢さんからもらいました」

右京「もっとも、被害者の身元がまだわかっていないので捜査も膠着状態なのですが」

角田「へえ……。ってこの男!」

亀山「課長、この男知ってるんですか!?」

角田「知ってるもなにも、俺らが少し前からマークしてる、革龍会のメンバーの一人だよこいつは!」

右京「革龍会というと、反シビュラシステムを掲げていた龍頭会の残党ですか」

角田「さすが警部殿、よくご存じだね。龍頭会が壊滅してからはおとなしくしてたみたいだが、最近なにか怪しいブツを取引してるような不審な動きがあってね、うちでマークしてたんだ」

右京「被害者の男性は前科がなかったということですから、革龍会からのメンバーという事になりますね」

亀山「とにかく革龍会の奴らに話を聞ければ、いっきに事件解決に近づける!」

右京「しかし、反シビュラ団体の残党が簡単に警察に対して口を開いてくれるとは思えません……角田課長」

角田「な、なに?」

右京「彼らから是非、話を伺いたいのですが……ご助力お願いできないでしょうか」

亀山「お願いできないでしょうか!」

角田「……ったくしょうがねえなあもう! ……おいお前ら! 今日革龍会引っ張るぞ! すぐに準備しろ!」

8 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/04(日) 23:41:42.48 ID:IgTmY9tU0
革龍会・事務所

大木「警察だ! ちょっとお前らに話ききてぇことがあってきたんだが……机の上のそれ、麻薬だな?」

組員「はあ? なに言ってんだてめぇ」

角田「現行犯!全員逮捕!」

暫くして……

亀山「ふう……これで全員ですかね」

角田「多分全員だね。殺されてたって男を引けば、俺達がマークしてた人数とも一致してる」

右京「……おかしいですねぇ」

角田「ええ!? なにが?」

右京「そこの机に組員名簿……記載されているのはトランプを用いた暗号名ですが……この名簿によると組員の数は123……14人いるはずです。ですが今逮捕したのは12人だけです。人数が一致しません」

亀山「123……ほんとっすね。2人足りない。あっ! 殺された男が残りの一人なんじゃないすか?」

角田「ああ、それだな。こういう組織ではね、仲間割れなんかは結構あるもんなんだよ」

右京「それでも、一人足りません」

角田「一人捕まえ損ねたか……まあ後で捕まえるから心配すんな」
9 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/04(日) 23:56:35.19 ID:IgTmY9tU0
厚生省・公安局長室

禾生局長「まったく面倒なことになったものだな」

局員「申し訳ありません。例の件で尻尾を掴まれたようでして……早急に手を打つ必要があるかと」

禾生「警視庁には私から言っておく。君の方でも事が公にならないよう対処しろ。警視庁の捜査員は案外馬鹿にできない。適当な代役を立てておくのを忘れるな」

局員「了解しました」

禾生「自らの体を傷つけるのは辛いが、悪くなった部分は切り捨ててもいいだろう。そのあたりの見極めは君に任せよう」

局員「はっ……」

禾生「それで、シビュラシステムによるサイマティック・スキャン監視網関連法案の方はどうなっている」

局員「現在関係各所に根回しをしています。長崎の国境警備での運用データがありますから、概ねスムーズに進んでいます。ですが……」

禾生「警察庁の連中かね」

局員「はい。警察庁も必死なんでしょう。公安局が逮捕権を持つことに反対の立場を崩しません」

禾生「我々が逮捕権を持てば、警察庁が厚生省の傘下に収まるしかない事は明白だからな」

局員「どうしましょう」

禾生「まあ急いで事を仕損じることはない。我々には国内監視網運用のモデルケースとなる実績がすでにある。こちらに引き込める手札が揃うまでは言いなりになってやろう」

局員「了解しました。ではそのように」

禾生「例の件、対処は怠るな。……下がりたまえ」

局員「失礼します」スタスタ……ガチャン
10 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/05(月) 00:09:51.08 ID:KIcYF7h80
警察庁・官房長官室

コンコン……ガチャリ

秘書「官房長、禾生局長がお見えになりました」

小野田「通してください」


禾生「久しぶりだな、小野田君。直接会うのは何年ぶりか」

小野田「そんなことより、本題に入られてはいかがでしょう。天下の厚生省・公安局長自ら僕を訪ねてくるなんて余程のことでしょうから」

禾生「……そうだな。では単刀直入に言おう。現在捜査中の殺人事件の捜査権を我々に譲ってもらいたい」

小野田「そういうことは承りかねます。厚生省公安局の捜査権が認められているのは反シビュラテロ活動のみのはず」

禾生「そんなことはわかっている。タダで譲れというわけではない。代わりと言っては何だが、君が必死に押しとどめようとしているサイマティック・スキャン関連法案の提出は当面見送る」

小野田「……わかりました。担当部署の人間にそう伝えておきます」

禾生「感謝するよ、小野田官房長。……では失礼」スタスタ……ガチャリ

秘書「よろしいのですか?」

小野田「向こうは僕らの手綱を握ったつもりでいるみたいだけど、こっちにもとっておきのカードが舞い込んできたからね。しかるべき時までおとなしくしようと、僕も思ってたところだから」

秘書「……まだカードを切る時ではないと」

小野田「そういうこと。今は向こうの思惑通り動いたほうが後々、色々と都合がいいでしょ」


小野田「……もしもし? 内村刑事部長に繋いでもらえる?」
11 : ◆bG4JuRrKKw [saga]:2017/06/05(月) 00:10:37.36 ID:KIcYF7h80
今日はここまでです。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 00:44:53.05 ID:KkUbv9C2O
ダークカイトくん潜在犯堕ち待ったなし!
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 04:21:15.37 ID:x/raV6VWo
右京さんの方が犯罪係数高そうなんだよなあ……
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 22:58:45.16 ID:wZPr/TxOO
右京さんは免罪体質だろ
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 10:44:32.08 ID:rswYpoQco
チェグソンは東国出身になるのか
16 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/07(水) 22:09:22.28 ID:iS9+QR8I0
諸事情あって酉変わってますが1です。レスありがとうございます。

チェグソンについては特に考えてませんでした。もし原作と矛盾が出るようでしたらすいません。適当に脳内補完してください……。
17 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/07(水) 22:16:37.33 ID:iS9+QR8I0
警視庁・取り調べ室

大木「このヤク、どこから手に入れた?」

組員「……ジョーカーのやつが持ってきた」

シャシンスッ

大木「そいつはこの男か? アパートで死体で発見された。お前らが殺したんじゃないのか?」

組員「殺した? 知らねえよそんなのは。それにこいつはジョーカーじゃない」

大木「じゃあこいつは誰だ!!」ドン!!!

組員「そいつはジャックって呼ばれてた。本名は知らねえ」

大木「じゃあ、そのジョーカーがヤクを仕入れてんのはどっからだ」

組員「それはやつ以外だれもしらねえ。Kはヤクをどっかから仕入れて持ってくんだよ」

大木「そいつは今何処にいる?」

組員「だからしらねぇ

大木「とぼけんな!」ドン!!


コンコンガチャ

芹沢「失礼しまーす」

大木「なんだ?」

伊丹「こいつらは殺人事件の重要参考人だ。俺たちも、話を聞かせてもらおうとおもいましてね」

三浦「ま、そういうことなんで我々もご一緒します」
18 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/07(水) 22:27:52.63 ID:iS9+QR8I0
ガチャリ

内村「ダメだ。許さん!」

三浦「内村部長……! そりゃ一体どういうことです?」

内村「本事件の捜査権は、厚生省公安局に移譲されることになった」

伊丹「そんな…… こいつらは殺人事件の重要参考人ですよ! なんで公安局が!」

中園参事官「そいつらは龍頭会の残党らしいな?」

三浦「はい。そう聞いてますが……」

中園「龍頭会は反シビュラ組織だろう。公安局が捜査を担当しても問題はない」

伊丹「しかし

内村「しかしも案山子もない。捜査権は公安局に移譲する。これは決定事項だ」

三浦「ですが……」

内村「心配するな。被疑者逮捕及び送検は我々刑事部が行う。公安局に逮捕権は無いからな。手柄は我々の物だ」

中園「黙っていれば容疑者が勝手に手の中に転がりこんでくるんだ。こんなに楽な仕事もないだろう」

芹沢「はあ……」

内村「こいつらの身柄は全員、公安局にいったん預ける。お前らはこの事件の捜査から外れろ!いいな!」

19 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/07(水) 22:34:41.01 ID:iS9+QR8I0
マジックミラー越し

亀山「公安局がでしゃばってくるなんて……なんだかやばいことになってきましたね」

右京「公安局はここ最近出来たばかりの捜査機関です。捜査対象も反シビュラ組織に限られ、逮捕権はありません。重ねてシビュラ判定適正者しか採用しないという採用基準のせいで慢性的な人手不足です。それなのに何故、この事件の捜査をわざわざしたがるのでしょう」

亀山「さあ……反シビュラのやつらの事を調べておきたいんじゃないんすか? それが仕事なわけですし」

右京「それだけでしょうかねぇ……」


右京携帯 ブ-ン ブ-ン

右京「杉下です」

米沢『杉下警部。例の事件について新しいことがわかりました。ちょっと来てもらえますか』

右京「わかりました。すぐに伺います」ピッ
20 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/07(水) 22:50:36.74 ID:iS9+QR8I0
鑑識の部屋

右京「米沢さん」

米沢「杉下警部! どうやら大変なことになってるみたいですなあ、公安局に捜査権が移るなんて。前代未聞の事態にわたくし、驚きのあまり

右京「すいません米沢さん、新しく分かった事というのは?」

米沢「ああ、申し訳ない。こちらをご覧ください。現場付近の足跡から採取された物の成分表なのですが……これ」

右京「これは……薬剤でしょうか」

米沢「ええ。それもかなり特殊な薬剤です。自分も及ばずながらこの鑑識で長くやってきましたが、みたことがありません」

亀山「米沢さんが見たことがないなんてあり得るんすか?」

米沢「最近はシビュラによるストレスチェックなんかが普及して、そのストレス値を下げる薬剤なんかが急速に広まってるんです。出回ってる物の中にはかなり強力で危険な物もあるようです。どんどん新手の物が出てくるもんですから、法整備がおいつかないんですな」

右京「では、今回発見された薬剤は?」

米沢「相当強力と思われます。しかも先ほども申し上げた通り、そこらの闇市に出回ってるような物とは一線を画するかなり特殊な物です。相当の知識を持った人間が作ったものと考えてよいかと」

右京「ということは、かなり希少なもの?」

米沢「でしょうな。少なくとも欲しいからといって手軽に手に入るものではありません」

右京「そうですか……」

米沢「これ1つだけじゃありません。まるで薬品の博物館のごとく、かなりの物質が混在して見つかりました」

亀山「犯人はよっぽどのヤク中だったんですかね」

右京「……」
21 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/07(水) 22:52:00.04 ID:iS9+QR8I0
少ししか進めませんでしたが今日はここまでです。
次は週末になると思います。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/08(木) 15:21:58.91 ID:vGvzpwqLO
なんだこの俺得クロス…しかも初期メンバーじゃねえか!見るしかない
23 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/10(土) 22:18:52.13 ID:0brAOrIm0
レスありがとうございます!
続き投下していきます。
24 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/10(土) 22:35:45.63 ID:0brAOrIm0
>>10の官房長官室は正しくは官房長室でした。ミスすいません。


2日後 特命係

角田「よっ暇か?」

亀山「あのね課長、俺たちだっていつも暇なわけじゃないんですよ? 今もこうして事件に関する情報を集めて

角田「情報集めてるって、テレビからか?」

亀山「そりゃまあ……あれですよ、ほら、テレビの情報にももしかしたら俺たちの知らない事件の情報が

角田「まあそんなことより、聞いてくれよ。俺たちに対する厚生省のひでぇ仕打ちをさ」

亀山「……どうかしたんすか?」

角田「今日、公安局から革龍会の奴らの身柄が刑事部に戻ってきたんだけどよ」

右京「確か、そういう話でしたね」

角田「殺しの被疑者一人だけ寄越してきやがって、他の薬物所持で引っ張った連中は全部麻取にとられちまったよ」

亀山「え!? マジすか!?」

右京「随分と強引ですねぇ」

25 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/10(土) 22:45:34.06 ID:0brAOrIm0
角田「なんでも、殺しの被疑者が厚生省の麻取だったんだと」

亀山「被疑者が麻取!?」

角田「そうらしいよ。佐藤とか言ったかな。公安局から送られてきた捜査資料に証拠もばっちりだとさ」

右京「なるほど。それでですか」

角田「革龍会に潜入捜査中の麻取が殺し! それで落ちた株を少しでもあげたいんだろうね!全くまんまと騙されたよ」

亀山「まあそうでもしないと、麻取の面目は丸つぶれですからね」

角田「それでさ、刑事部長のとこに文句言いに行ったらね?」

角田(内村の真似)「誰が薬物容疑の送検をお前らに任せると言った? 文句があるなら、厚生省に直接言ってこい!」

角田「だとさ。そりゃ言えるもんならね、俺だって……

右京「亀山君、行きましょうか。米沢さんも捜査資料を入手しているはずです」スタスタ

亀山「はい!」タッタッタッ

角田「ちょっ……少しぐらい慰めてくれてもいいじゃないの……」
26 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/10(土) 22:58:37.36 ID:0brAOrIm0
鑑識の部屋

右京「米沢さん、公安局からの捜査資料が届いていると思うのですが……」

米沢「杉下警部、いらっしゃると思ってお待ちしてました。これです」スッ

右京「拝見します」

亀山「なになに……被疑者の部屋から凶器と思われるナイフを押収、指紋は無し……」パラパラ

右京「……米沢さん、ここ、被疑者のゲソコンが佐藤さんの自宅にある靴と一致したとありますね」

米沢「そうですな」

右京「しかし、例の薬剤についての言及がありません。妙だとは思いませんか? 普通は記載があって然るべきだと、僕は思うのですが」

米沢「確かにそうですな……私だったら間違いなく記載します」

右京「亀山君、佐藤さんの自宅に向かいましょう」スタスタ……

亀山「え…ちょっ……待ってください右京さーん!」
27 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/10(土) 23:23:02.95 ID:0brAOrIm0
被疑者・佐藤宅

グッチャア……

亀山「うわ、ぐっちゃぐちゃだ……」

右京「亀山君、佐藤さんの靴を探してください」

亀山「靴……ですか?」

右京「ええ。靴です」

亀山「……なんでまた? 」

右京「公安局の捜査資料に薬品についての記載はありませんでしたが、犯人の靴には大量の薬剤が付着していました。犯人は違法脱法薬剤の製造などに関わっていた可能性があります。佐藤さんが真犯人ならば、この家にある靴からは必ず薬剤反応が出てくるはずです」

亀山「どうして犯人が違法薬剤の製造に関わっていたってわかるんですか?」
28 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/10(土) 23:24:17.51 ID:0brAOrIm0
右京「取引のための運び役だけなら靴に化学物質は付着しません。取引の時は通常、薬は袋に入って取引されますから。しかし現実には靴に大量の薬剤が付着している。それも何種類もですよ! 製造に関わっているとみるのが自然です。通常の薬剤製造ではまず靴に化学物質がつくことなどあり得ませんが、相手は違法組織ですからねぇ。違法薬物組織の中には、廃棄区画などの整備されていない環境・ずさんな管理で調合している組織が多い。そのような人物が身につける靴です。一足だけに化学物質がついているなんてことはないでしょう」

亀山「つまり、自宅にある靴から薬剤が検出されれば犯人で間違いなし、検出されなければ別の人物の犯行の可能性があるってことか!」

右京「彼は麻薬取締官ですから、通常の薬剤反応だけだと嫌疑をかけるのは難しいでしょう。捜査の課程でついた物かもしれませんからね。ですが今回の薬剤はかなり特殊な物の様ですからね」

亀山「えーとじゃあ……靴から現場に残された薬剤が検出されれば犯人でほぼ間違いなし、検出されなければ別の人物の犯行の可能性があるってことっすね?」

右京「そういうことです。では、探しましょう」
29 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/10(土) 23:31:03.53 ID:0brAOrIm0
今日はここまでです。
そんなに更新できなくてすいません。ミステリー物って思ってたより大変で……。矛盾などあったらごめんなさい。
少しになってしまうかもしれませんが出来れば明日、無理でも次の週末には必ず更新します。
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 02:56:53.28 ID:wI1zCQYfo
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 03:00:00.80 ID:A1fXoLfgo
>>1が潰れない頻度で続けて欲しい
ssを早く書かなければならない規則など無いのだから
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 18:17:46.08 ID:9geREwv6o
これは面白そうなクロス
神戸、カイト、冠城は出てきますか?
33 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/11(日) 22:55:20.15 ID:miIj6Enh0
レスありがとうございます!
>>31
そう言って頂けると気が楽です。無理なく完結させるよう頑張ります。

>>32
神戸は犯罪係数制度導入後を書ければ登場させようと思ってます。カイト、冠城については今のところ考えてません。
34 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/11(日) 23:01:53.80 ID:miIj6Enh0
その頃 刑事部長室

伊丹「奴らを取り調べるな!?」

中園「そうだ。形式上身柄はこちらにあるが、すでに本事件の捜査は終了している。早急に佐藤を殺人で、それ以外の奴は事務所から発見された拳銃の不法所持で送検する」

三浦「しかし上がってきた資料の裏もとらずに……」

内村「これは決定事項だ。組対部にも話は通してある。今後、何人たりとも取り調べをすることは許さん!」

伊丹「…それがシビュラを擁する天下の厚生省の意向ってやつですか……」

中園「言葉を慎め!」

芹沢「すいませんっ!」

内村「わかったなら、とっととこの部屋から出て行け」

三浦「分かりました。失礼します」

芹沢「失礼します!」

伊丹「……」
35 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/11(日) 23:05:54.43 ID:miIj6Enh0
廊下

三浦「おい伊丹、気持ちは分かるがあれは……」

芹沢「最近上の連中、厚生省の話になるとなーんかピリピリしますよね」

伊丹「まあいいさ。俺たちが動かなくても奴らはもう動いてんだろ」

三浦「まあ特命の連中なら、もうなにか掴んでるんだろうが……」

伊丹「亀山に頼るのは癪だが、あとは奴らにまかせるしかねえか……」
36 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/11(日) 23:13:01.35 ID:miIj6Enh0
しばらく後


鑑識の部屋

米沢「杉下警部が佐藤の自宅から押収した靴には、おかしな点は特にありませんな」

亀山「ということは、佐藤は犯人でない可能性がある! ……あ、でも公安局が部屋から凶器を発見してますよね」

右京「確かに公安局は佐藤さんの部屋から凶器であるナイフを押収しています。しかしそのナイフに指紋はついていなかった」

亀山「それが…なにか?」

右京「おかしいと思いませんか? ナイフから指紋を拭き取るぐらい慎重な犯人が、何時までも部屋にナイフを置いておきますかねぇ?」

亀山「まあ…捨てるの忘れちゃったんじゃないすか?」

右京「ナイフの指紋だけではありません。犯人は遺体から身元が分からないよう携帯端末やカードなどを持ち去っています」

亀山「あ、でも盗聴器が犯人によって仕掛けられた物だとしたら、犯人は案外抜けてるような気がしますけどね。なんたって自分が仕掛けたの忘れて回収し忘れてますから」
37 : ◆B5ymTArqK7WC [saga]:2017/06/11(日) 23:25:55.62 ID:miIj6Enh0
右京「そうなんですよ! 慎重かと思いきや注意力の欠けたミスを犯す。これらは本来相反する性質です」

亀山「じゃあ……犯人は二重人格とかですかね!?」

右京「もしかすると、犯人とは別に裏で動いている何者かがいるのかもしれません。それもおそらく、公安局の中に」

亀山「俺のアイデアはスルーかよ……って公安局!?」

右京「ええ。佐藤さんが犯人でないとすると、佐藤さんの自宅から凶器を発見できるのは……」

亀山「発見した公安局だけ!」

右京「そういうことです。しかも公安局は真犯人を庇っているということになります」

亀山「遺体の身分がわからないようにしたり、盗聴器を仕掛けたのも!」

右京「断定はできませんが、その可能性はあります。そして公安局の今回の強引なやり方から推測するに、彼らにとっても被害者の死は驚きの出来事だったはずです。本部の車を大急ぎで飛ばして来たことでしょう。米沢さん、 被害者が発見されたアパートの周辺のNシステムに公用車のナンバーが記録されていませんか?」
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