他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
【モバマス時代劇】依田芳乃「クロスハート」
Check
Tweet
1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:05:28.90 ID:MOtOUAlZ0
ネタが浮かんでしまったので投稿。
短いので、もう一個短編をくっつけた。
そちらの舞台は、明治〜大正期の巴里。
第1作 【モバマス時代劇】本田未央「憎悪剣 辻車」
第2作 【モバマス時代劇】木村夏樹「美城剣法帖」_
第3作【モバマス時代劇】一ノ瀬志希「及川藩御家騒動」
第4作【モバマス時代劇】桐生つかさ「杉のれん」
第5作【モバマス時代劇】ヘレン「エヴァーポップ ネヴァーダイ」
第6作【モバマス時代劇】向井拓海「美城忍法帖」
第7作【モバマス時代劇】依田芳乃「クロスハート」
読み切り
【デレマス時代劇】速水奏「狂愛剣 鬼蛭」
【デレマス時代劇】市原仁奈「友情剣 下弦の月」
【デレマス時代劇】池袋晶葉「活人剣 我者髑髏」
【デレマス時代劇】塩見周子「おのろけ豆」
【デレマス時代劇】三村かな子「食い意地将軍」
【デレマス時代劇】二宮飛鳥「阿呆の一生」
【デレマス時代劇】緒方智絵里「三村様の通り道」
【デレマス時代劇】大原みちる「麦餅の母」
【デレマス時代劇】キャシー・グラハム「亜墨利加女」
【デレマス時代劇】メアリー・コクラン「トゥルーレリジョン」
【デレマス時代劇】島村卯月「忍耐剣 櫛風」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1497056728
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:05:59.39 ID:MOtOUAlZ0
依田芳乃は、隠れ吉利支丹の村で過ごしていた。
行き当たりではない。狙いをすませてやってきた。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:06:54.53 ID:MOtOUAlZ0
この村は、実際は見廻によってすでに発見されている。
しかし、その日の当直の者が村の事を報告せず、秘匿していた。
彼女達は見返りに、金品や男…時には女を要求している。
村人達は命が惜しく、泣く泣くそれらを差し出す。
芳乃は、ここに憎悪を見出した。
自身の剣を伝えるためには、それが必要だった。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:07:21.31 ID:MOtOUAlZ0
だが、村人達は頑なに剣を覚えようとしなかった。
“しすたあ様”の教えに反するからだという。
この村には、外国人の宣教師がいた。
名前はクラリス。貧しい地方の出身で、姓はないという。
彼女が、村人達に非暴力を訴えているらしい
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:08:02.99 ID:MOtOUAlZ0
「隣人愛、ですかー?」
自身を害する隣人を、なぜ愛さなければいけないのか。
芳乃は彼女に問うた。
「そうです。
痛みに痛みを返すだけでは、何も生まれません。
どうしようもない悲しみが広がっていくだけです…」
クラリスはそう答えた。
どうしようもなく、愚か。
芳乃は思った。しかし口には出さなかった。
クラリスは、どことなく川島に似ていた。
それがどこかは、この時はわからなかった。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:08:39.98 ID:MOtOUAlZ0
村は大して裕福というわけではなかったが、皆手を取り合って、
助け合って生きていた。
余所者で、吉利支丹でもない芳乃にも親切にしてくれた。
それゆえ、芳乃は歯がゆかった。
彼女達に、自分の剣を授けられないのが。
魂を懸けられるような深い絆。
それが第三者の悪意で壊されるとき、そこに憎悪が生まれる。
その憎悪が、剣の鬼を育てる。
芳乃はその鬼を増やしたいと強く願う。
及川藩に、自身が復讐するために。
だが一方で、自分のようになってほしくないとも思う。
この二律背反が芳乃の心に、ずっと前から巣食っていた。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:09:27.65 ID:MOtOUAlZ0
クラリスがある日、見廻に連れて行かれた。
その時初めて、村人達は抵抗の姿勢を見せたが、
クラリス自身が彼女達を制した。
貴女達の苦痛を、私も分かち合う、と。
涙を流す村人達を、芳乃は冷めた目で見ていた。
「茶番、でしてー…」
悪意のある隣人のために、貢物を差し出す村人とクラリス。
それを遠慮なく貪る見廻達。
芳乃の心のざわめきが、ますます大きくなった。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:10:08.76 ID:MOtOUAlZ0
後日クラリスは、ぼろぼろになって帰ってきた。
何をされたかを尋ねる者はいない。
村のほとんどの人間が、経験したことなのだ。
芳乃は、やつれたクラリスに尋ねた。
「憎い…ですかー?」
彼女は、少し黙った。
「復讐したい、ですかー?」
芳乃はまた尋ねた。
しかしクラリスは首を横に振った。
その瞳には、強い光があった。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:10:44.42 ID:MOtOUAlZ0
最悪の現実を直視してもなお、そこに留まろうとする覚悟。
芳乃は気づいた。
この“強さ”が、川島と似ているのだ。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:11:10.90 ID:MOtOUAlZ0
しかし彼女には、川島のような力がない。
だから村人達を守るのではなく、
ただ寄り添うことしかできない。
ならば、そこには刀が必要だ。
芳乃は、クラリスの頰を両手でつつんで、
おでこをくっつけた。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:12:39.56 ID:MOtOUAlZ0
「私は神も仏も、信じていないのでしてー」
芳乃は目を閉じた。
その分、肌の感覚が鋭敏になり、
額から、クラリスの鼓動が伝わってきた。
あたたかかった。
「きっと浮世には、地獄だけがあるのでしょうー…」
クラリスは何も言い返さない。
黙って、芳乃の言うことを聞いてくれていた。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:13:41.88 ID:MOtOUAlZ0
「その地獄の中で、皆がそなた達のように生きられるわけでは
ないのですー…」
ふと、1人の弟子のことが頭をよぎった。
雫のように温かく、川島のように優しく、
芳乃のように憎悪に飲まれた女。
彼女はいま、どうしているだろう。
「私は、不器用だから…私なりに、貴女を守るのでしてー」
そう言った芳乃の頰を、クラリスの手が包んだ。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:14:34.66 ID:MOtOUAlZ0
「…貴女の心を、どうすれば癒す事ができますか?」
芳乃は、答えることができなかった。
答えようがなかった。
クラリスの馬鹿馬鹿しいくらいの優しさが、
胸の奥を揺らした。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:15:13.21 ID:MOtOUAlZ0
その夜、馬にまたがった見廻が村を訪れようとしていた。
上役に、村のことが露見したのだ。
そして、その上役は自分も一枚噛ませろと言ってきた。
だから、見廻達は彼女の所望通り、
毛色のちがった女を献上することにした。
クラリス。極東の片田舎で、隣人愛を説く女。
我らが、再び、たっぷり“愛”について教えてやろうではないか。
上役は、下卑な顔でそう言っていた。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:15:42.65 ID:MOtOUAlZ0
「ちっ。アタシらの分け前が減るじゃないか」
見廻りの1人が舌打ちした。
もう1人は肩をすくめた。
そんな彼女達の目の前に、剣士は現れた。
「こんばんは、でしてー」
見廻達はその剣士を知っている。
依田芳乃。
数週間ほど前から、あの村に滞在している女だ。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:16:30.92 ID:MOtOUAlZ0
「今日は、このまま帰っていただけないでしょうかー」
芳乃はそう言った。
見廻達はげらげら笑った。
「すまないな。
アタシ達もそうしたいのはやまやまなんだが」
「藩主の飼っている犬が、どうしても若い異国女の
肉を喰らいたいと、そう仰っているのでな」
芳乃はその言葉を聞いて、うっすらと笑った。
「それじゃあ、躾が必要なのでしてー」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:17:15.79 ID:MOtOUAlZ0
そうだな、と言いかけた見廻の首が、地面に落ちた。
「貴様っ!!」
残った方が抜刀した。
芳乃は剣を力なく下げ、彼女に問うた。
「そなたは、犬? それとも、剣士…どちらですかー?」
「私は剣士、侍だ!!」
激昂した女が馬上から、刀を振るった。
しかし芳乃はすでに、馬を飛び越え、
彼女の真上にいた。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:17:43.17 ID:MOtOUAlZ0
「剣士の足は、4本もないのでしてー」
受けの太刀は間に合った。
しかし、膂力と強度が足りず、その頭は柘榴のように咲いた。
翌朝、ある藩の見廻組に所属する、
3人の女の死体が川で発見された。
死体は縄でくくりつけられ、
「非人」という貼り紙がしてあった。
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:20:51.01 ID:MOtOUAlZ0
【デレマス近代劇】速水奏「Acnes Doppel Mi 」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:22:06.59 ID:MOtOUAlZ0
太平が終わり、新たな混沌が生まれる少し前。
速水奏は、巴里の夏を歩いていた。
故郷とは毛色のちがった暑さ。
気温自体は涼しいが、とにかく日差しが強い。
唇に垂れた汗を、奏は舌で舐めた。
すると、町の男達が奏を見た。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:22:51.09 ID:MOtOUAlZ0
美しい女に、仏蘭西の男は関心を払わずにはいられない。
深い海のような髪。
しっとりと甘い色をした肌。
整った目鼻。形の良いあご。
そして唇。
薄すぎず、厚すぎすぎず。
丁度よく、ふっくらしている。
ほんのり桜味がかって、ふにふにと柔らかそうだ。
濡れるように、 つらつらと輝いている。
男達は奏に、その唇に釘付けだった。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:23:27.99 ID:MOtOUAlZ0
美しいって罪ね。
奏が自分でそう思っていると、カフェで
小難しげな本を読んでいる金髪娘と目があった。
「Bienvenue à Paris(巴里へようこそ)!」
彼女は陽気な声で、投げキッスをした。
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:23:56.48 ID:MOtOUAlZ0
奏は軽く帽子を上げた。
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:24:51.39 ID:MOtOUAlZ0
巴里の路面は、日本と異なり石畳である。
なので洋靴で歩くと、こつこつと音がする。
こんな道を下駄で行ったら、さぞ愉快だろう。
「ここ…かしら」
奏は、日本人学生が集まるアパルトメントの前に立った。
呼び鈴を2回鳴らす。
ほどなくして、大柄な仏蘭西女が出てきた。
「ハヤミさん?」
少しぎこちなかったが、日本語だった。
「ええ」
「ヨうコソ、巴里へ!!」
彼女は、大きな腕で奏を抱きしめた。
この国は、いちいち距離が近いのね。
苦笑しながらも奏は抱き返した。
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:25:34.83 ID:MOtOUAlZ0
奏が寝泊まりするのは3人部屋で、
すでに2人が入っているという。
奏がドアをノックすると、小柄な日本人の少女が出てきた。
「…どちら様、ですか?」
「大家さんから聞いてないのかしら」
「あの人適当ですから…多分寮のみんな、
あなたのこと知りませんよ」
あの大らかさは、
仕事のストレスの低さが原因だったのね。
奏は苦笑した。
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:26:06.99 ID:MOtOUAlZ0
「私は速水奏、今日からここでお世話になるわ」
「橘ありすです。橘と呼んでください」
「それじゃあ、ありすちゃん。
部屋に入れてくれるかしら」
ありすは頰をふくらませながらも、ドアを大きく開けた。
こういったからかいに、
慣れているのかもしれない。
部屋は、仏蘭西の平均的なアパルトメントより狭かった。
ベッドが3つに書棚が1つ。
それらが、ぎゅうぎゅうに押し込められている。
しかし、日本よりはずっと広い。
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:26:41.62 ID:MOtOUAlZ0
「“ぼんじゅーる”、奏」
ベッドに寝そべっていた女が、唇を突き出して
挨拶をした。
「Bonjour、塩見さん」
奏も軽く挨拶をして、ベッドに腰掛けた。
「周子でいいよ。
ところで奏はさー、陸路で来たの?」
周子が唐突に尋ねてきた。
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:27:29.52 ID:MOtOUAlZ0
はあ、と奏は首をかしげた。
日本から仏蘭西へ行くのには、大概みな、
亜墨利加を経由して海路でやってくる。
答えあぐねていると、ありすが助け舟を出してくれた。
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:28:59.96 ID:MOtOUAlZ0
「塩見さんは、大陸横断鉄道のことが気になっているんですよ。
…まあ、あの車両に乗れるのは、
一握りの富豪か政府の高官ですけど」
大陸横断鉄道。
中国の上海から、西班牙(スペイン)の馬徳里をつなぐ、
前代未聞の鉄道網。
各国政府からは反対の声が上がったが、
道楽的でかつ辣腕の資産家達が、彼らを丸め込んで建設させた。
そこを走る列車もとにかく手がかかっていて、
食料と水さえ供給されれば、一生そこで暮らせるほどだという。
乗り込めるのは、富と権力を併せ持つのみ。
いや彼らでさえも、予約で半年以上待たされるらしい。
半端な名家の学生など、駅で門前払いを食らうだろう。
「一度でいいから、乗ってみたいなー」
ベッドの上をごろごろしながら、周子が言った。
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:29:43.28 ID:MOtOUAlZ0
彼女はあと数週間で、日本に戻ると言う。
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:30:10.98 ID:MOtOUAlZ0
ある夜。
青年将校は、自身の部屋でそわそわしていた。
年は20。士官学校を卒業したばかりである。
学業と訓練に熱心に打ち込み、女を寄せ付けず、真面目一筋の男。
そのせいで、同期では唯一の童貞。
下半身が据わってないと敵と戦えんぞ、と周りからからかわれた。
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:31:05.33 ID:MOtOUAlZ0
しかし、女を口説いて寝室に連れこむような度胸がなく、
このままでは女体を知らぬまま仏印に派遣される。
自分の目の届かないところで、息子が女を知ったらまずい。
箍が外れて問題など起こすやも。
そう思った父親の海軍大将は、彼に娼婦をあてがってやることにした。
息子の晴れの舞台であるから、ただの娼婦ではない。
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:31:39.80 ID:MOtOUAlZ0
“東洋の椿姫”、城ヶ崎美嘉。
幼い頃日本の両親に売られ、
船に揺られて巴里の娼館まで運ばれてきた。
似たような境遇の者が多かったから、虐められることもなく、
娼婦としての教育もしっかり施された。
だが、彼女は他の娼婦とは決定的に違うところがあった。
東洋のエキゾチックな容貌もそうだが、
美嘉はとにかく賢かった。
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:32:23.39 ID:MOtOUAlZ0
語学は日本、仏蘭西の他に、
独逸、英語、伊太利亜、羅甸すべてに堪能である。
芸術面では、古典文学や戯曲に対する造詣が深く、
巴里の知識人達を唸らせている。
また、最近天文学の勉強も始めて、論文を読み漁り、
著名な学者と文通することもあるらしい。
チェスや骨牌も非常に上手く、相手を退屈させない。
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:33:17.91 ID:MOtOUAlZ0
また、日本人の血のせいなのか、ちょうどよい気遣いができる。
言われる前に煙草に火をつけ、
ちょうど飲みたいドリンクが、頼む前に部屋に届く。
仕事でつらいときなどは、何も尋ねず、
黙って胸を貸してくれる。
人種がどうとかではなく、美嘉は人間として素晴らしかった。
巴里の男達だけでなく、女達も彼女のもとを訪れる。
その城ヶ崎美嘉が、今夜自分の相手をしてくれる。
しかも、わざわざ青年の屋敷にやってくるのだ。
どれほど金がかかったのか分からない。
青年は生まれて初めて、父に感謝した。
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:34:23.63 ID:MOtOUAlZ0
ドアがノックされる。
青年は、椅子を蹴るように立ち上がって、開けた。
「こんばんはっ☆」
城ヶ崎美嘉だ!!
来るのはわかっていたのに、青年は驚き、歓喜した。
彼女は20年ものの
スコッチウィスキーとグラス2つを抱えていた。
青年の好みである。
しかし周りの目もあって、
ここのところ全く飲んでいなかった。
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/10(土) 10:35:05.20 ID:MOtOUAlZ0
「入っていい?」
青年はこくこくと頷いて、美嘉を部屋に入れた。
「あはっ、緊張してる〜?」
美嘉はテーブルにグラスを1つだけ置いた。
自分は飲まないつもりだろうか。
「それじゃあ、お酒の力を借りて解しちゃおっか☆」
美嘉がウィスキーを注ぐ。
黄金色の液体が、グラスに満たされる。
「2人の夜に…」
美嘉がグラスの縁に口づけをした。
そして、青年に差し出す。
女性にまったく免疫のない彼にとっては、
すでに卒倒しかねないほど官能的な仕草だった。
40.11 KB
Speed:0
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)