二宮飛鳥「ボクはアスカ、二宮飛鳥。バラガン陛下の忠実なる従属官(フラシオン)だ」

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159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/10(火) 19:54:43.12 ID:AvFp24UZ0


―現世・空座町―


アビラマ「アスカ!!」


飛鳥「はっ!」ピクッ


アビラマ「ようやく反応しやがった。突っ立ったまま微動だにしねえから何事かと思ったぜ」


アビラマ「カンザキとやらを探しに行くんだろ。お前がそんな調子でどうすんだよ」


飛鳥「すまない、ボクから物を頼んでおいてこの体たらく、返す言葉もないよ」


アビラマ「しかしゾマリのヤツも気味が悪ぃな。十刃が従属官に見返りナシで手を貸すなんて何か裏がありそうだぜ」


ゾマリ「私の愛を疑っているのですか?」ヌッ


アビラマ「うおあっ!? まだいたのかよお前!」


ゾマリ「博愛の精神とは実に美しいものです。私も探索への協力という形で貴方たちに無償の愛を与えましょう」


飛鳥「無償の愛、イデア論の一欠片だね。いずれは理解したい概念の一つだけど、ボクにはそれを受け入れるだけの知識と経験が足りていない」


飛鳥「何にせよ、ボクの身勝手に付き合ってくれることにお礼を言いたい。ありがとう、ゾマリ」


160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/10(火) 20:02:44.22 ID:AvFp24UZ0


数時間後 空座町


飛鳥「はぁっ… はぁっ…」


飛鳥(駄目だ、見つからない。こんなもの砂漠に紛れた塩粒を探すようなものだ)


飛鳥(手掛かりが、何か手掛かりがほしい)


飛鳥(もう、ボクが縋りつけるものは彼女が最後に発した言葉だけ)


飛鳥(理解するんだ、彼女の言葉の意図を。あの時、ボクに何を伝えようとしたのかを)


飛鳥(……)


飛鳥(もしかしたら、ボクは前提の部分から思い違いをしているのかもしれない)


飛鳥(彼女の発した言葉が、ただ比喩的な言い回しを極限にまで昇華させたものだったとしたら)


飛鳥(自らの内に抱くセカイと想いを、現存する言葉に乗せてボクに伝えようとしていたのなら)


飛鳥(それはさながら、面倒で、直情的で、身勝手な… フフッ、これじゃまるでボクがよく知る何処かの誰かに瓜二つじゃないか)


飛鳥(そしてボクの仮定が正しいなら)


飛鳥(きっと、彼女はそこにいる)


161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/10(火) 20:07:31.03 ID:AvFp24UZ0


―空座町・時計台―


飛鳥「……」


飛鳥「『夕暮れ時、時計台の下であなたを待っています』」


飛鳥「さっきまでは名のある探偵にでもなった気分だったけど、現実はそう上手くはいかないか」


飛鳥「自分に酔って彼女の言葉を理解した気になっていたボクの姿は実に滑稽だったよ」


飛鳥「そうは思わないかい。ゾマリ、アビラマ」


ゾマリ「それを驕りと言うのです」


飛鳥「ハハッ、言い得て妙だ。心に響くよ」


ゾマリ「まあ、十刃である私の力を持ってしても対象の人間を探し出すことは出来なかったのですから、従属官である貴方が恥じることはありませんよ」


アビラマ「これだけ探して見つからねえってことは、ソイツもうこの町には居ねえんじゃねえのか」


飛鳥「そうかもしれないね」


ゾマリ「さて、まだ探索を続けますか? 帰還の時間までは少々猶予がありますが」


飛鳥「やめておくよ。これ以上探してもきっと何も成果は得られない。そんな気がするんだ」


飛鳥「戻るよ、虚圏に」


162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/10(火) 20:11:10.19 ID:AvFp24UZ0


―虚夜宮・第2十刃の宮―


飛鳥「ふう」


アビラマ「辛気くせえツラしてんじゃねえよ、たかが人間一人またそのうち探しに行けばいいじゃねえか」


飛鳥「ああ、そうだね、都合よく道筋を示してくれる物語なんて在りはしないってことを思い知らされたよ」


飛鳥「キミとゾマリにも、随分と無駄な時間を過ごさせてしまった。謝っても謝り足りない――」



『んもぉ〜っ! 待ちなさいったら!』


『いやーっ!』


『逃げちゃダメよォ〜! 次はこの服着てみてちょうだい!』



アビラマ「何だ今の声、クールホーンか?」


飛鳥「大広間のほうから聞こえたね」

163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/10(火) 20:20:24.35 ID:AvFp24UZ0


アビラマ「おい! なに騒いでんだクールホーン!」



クールホーン「逃げないでって言ってるじゃないのォ〜!!」


蘭子「混沌の魔物よ! 幾たび我が衣(ころも)を取り替えれば静まるのだ!」


クールホーン「蘭子ちゃんカワイイんだも〜ん! コッチの服も着てみない?」


蘭子「いや〜!」



アビラマ「なんだこりゃ」


飛鳥「それはこっちのセリフだよ、まさかボクの探し人がこんなところにいるなんてね」


クールホーン「あら、やっと帰ってきたのねアスカちゃん。待ってたわよ」


蘭子「飛鳥ちゃん!?」


飛鳥「まったく、今なら困惑の絶頂に置かれた人間の心情がよく理解るよ。案外、思考が纏まらなくなるものだ」


飛鳥「コミュニケーションの一歩として、とりあえずボクはキミにこう声をかけるべきなんだろう」


飛鳥「こんにちは、神崎さん」


164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/10(火) 20:24:29.81 ID:AvFp24UZ0
ここまで 
※飛鳥の仮面はエクステ部分がそのまま三つ編み状の骨の装飾に変化しています
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 22:13:47.15 ID:X6vnET+AO
お帰り乙乙
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 17:25:00.04 ID:47TSRKGi0
おつおつ
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 18:50:18.81 ID:QYgRD4hc0
保守
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/12(日) 23:28:41.10 ID:B5RORvM50
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/14(火) 10:44:55.66 ID:jBGgm1LlO
まだかネ?
グズグズするんじゃあないヨ
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/18(土) 19:57:13.92 ID:ybb1dRIK0
12月14より再
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/03(日) 14:08:50.56 ID:PtErXDQ30
 
※認識同期…第9十刃アーロニーロの固有能力。自身が見聞きした情報を瞬時に他の同胞に伝えることができる
 
※白伏(はくふく)…死神が用いる霊術の一つで鬼道に分類される。相手の意識を混濁させ、一時的に昏睡状態に陥れることができる
 
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 19:03:49.17 ID:HSYxcf410


―第2十刃の宮―


フィンドール「――テレスホルカンとベキュネスを添えたヴィシソワーズ。虚圏の清酒で煮込んだ大虚仕立てのミートローフ。以上が本日のメニューとなります」


バラガン「フム」


蘭子「これが王族の晩餐…!」


クールホーン「どう? 蘭子ちゃん。気に入ってもらえたかしら」


蘭子「うむ、我が身に余る豪華絢爛よ」


飛鳥「まさかクールホーンがボクたちより先に神崎さんを見つけ出しているなんてね、驚いたよ」


アビラマ「そういや、何でお前はそのカンザキとやらを虚夜宮に連れてきたんだ。俺たちがソイツを探してるってことは知らなかったハズだろ」


クールホーン「それなんだけど、実は昨日見ちゃったのよね。アスカちゃんと蘭子ちゃんが一緒に話してるトコ」


飛鳥「アレを見られていたのか」


クールホーン「あのままじゃお互いすれ違ったままだと思ってね。放っとけばアスカちゃんの士気にも関わりそうだし」


クールホーン「だから良かれと思って二人をこうやって引き合わせたのよ。お節介だったかしら」


飛鳥「確かに大きなお節介だ。でも、ありがとう」

173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 19:08:15.73 ID:HSYxcf410


蘭子「ところで混沌の魔物よ、かの者たちの真名は如何に?」


クールホーン「ああ、そういやこいつらの名前を教えてなかったわね」


クールホーン「アタシたちの向かいに座ってる三つ編みがジオ。その隣のデカいのがニルゲ。もう一つ隣のさらにデカいのがポウよ」


ジオ「なんだよ、テキトーな紹介だな」


ニルゲ「まァ、俺たちの名前を教えるだけみたいだしな… こんなもんでいいんじゃないか…?」


ポウ「……」モグモグ


クールホーン「いま調理室に戻っていった細いのがフィンドール」


クールホーン「あとアスカちゃんの隣に座ってるのがさっきちょっと話したアビラマね。クソやかましいヤツだからあまり近づかないことをオススメするわ」


アビラマ「オイ」


クールホーン「そしてッ!!!」


蘭子「!?」


クールホーン「あちらで悠然と座して居られるのが我らの君主であり、神であり、王である、“大帝”バラガン・ルイゼンバーン陛下よ!!!」

174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 19:12:25.34 ID:HSYxcf410


バラガン「儂とその小娘とは既に一度顔を合わせたじゃろう。二度も儂の名を伝える必要はないわ」


クールホーン「も、申し訳ありません…」


蘭子「老練なる王よ!」


蘭子「我を導き、我を罰し、そして私をこの白城へといざないし其方に、今一度、魂の礼拝を…」


バラガン「人間如きの礼などいらん。そもそも貴様をここへ連れてきたのはクールホーンだ」



ジオ「なあ、人間ってのはどいつもあんな妙な言葉を遣うのか?」ヒソヒソ


ニルゲ「いや、俺に聞かれてもなぁ…」ヒソヒソ


ポウ「虚圏の辺境ですら、ああまで訛りが酷い者は見たことがない」


フィンドール「だが、真に恐るるのはあの人間の言葉をさも当たり前のようにご理解なさっている陛下の見識の深さだろう」


ジオ「あれ、お前いつの間に戻ってきたんだ」

175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 19:15:40.71 ID:HSYxcf410


飛鳥「そういえば神崎さん、クールホーンと随分打ち解けてるみたいだね」


蘭子「虚ろなる世界より現れし混沌の魔物は我が言霊を読み解きしものの一人、私と飛鳥を繋ぐ者よ」


蘭子「それと、その… 飛鳥ちゃん… 我が真名すら灼熱の業火に焼き尽くされた、か?」


飛鳥「?」


クールホーン「『下の名前で呼んでほしいなあ』って言ってるわ」


飛鳥「む、もしやキミも神崎さんの言葉が理解るのかい?」


クールホーン「ある程度はね。アスカちゃんの喋り方に慣れたせいか蘭子ちゃんの言葉も案外すんなり理解できるのよね」


アビラマ「ホントかよ。俺には何言ってるのかサッパリわかんねえけどな」


飛鳥「ボクと神崎さんの遣う言葉には、クールホーンにだけ感じ取れる独自の共通点があるのかもしれないね」


飛鳥「ああそうだ、呼称のハナシをしてたんだっけか。蘭子さん… いや、さん付けよりも呼び捨てのほうがしっくりくるかな」


飛鳥「キミも、ボクのことは自由に呼んでくれて構わないよ」


飛鳥「そういうワケで。改めてよろしく、蘭子」


176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 19:20:42.19 ID:HSYxcf410


―虚夜宮・玉座の間―


ゾマリ「藍染様。任務完了のご報告に上がりました」


藍染「ご苦労だったねゾマリ。十刃である君には似つかわしくない不慣れな仕事を任せてすまなかった」


ゾマリ「滅相もございません。私のような者には勿体なき御言葉です」


ゾマリ「ところで、宜しかったのですか。二宮飛鳥と神崎蘭子の接触を許してしまっても」


藍染「構わないよ。互いを知った彼女たちがどう動くのか、気になってね」


藍染「そうだ、確か第一次報告では君は自ら現世の“偶像”を体現したと言っていたね」


藍染「キミが感じた“偶像”とはどんなものだったか、よければ私に聞かせてくれないかな」


ゾマリ「はい。“偶像(アイドル)”とは群衆にとっての輝きであり象徴。その力は人心すら容易に支配し、その身を興らせ、また破滅にも導く。そんな存在でしょうか」


藍染「象徴と支配、か。それはある意味で神の領域にすら迫る力だろう」


藍染「矮小な一存在である筈の人間が、また別の人間の心を支配する」


藍染「面白い話だ」


177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 21:03:58.73 ID:HSYxcf410


―虚夜宮・回廊―


飛鳥「“正義のレシピ”の改善報告書の提出か。これは本来フィンドールが行うハズのモノだったんだけどね」


飛鳥(たぶん、陛下が敢えてボクと蘭子が二人きりになれる場を作ってくれたんだろう)


蘭子「飛鳥よ、我らは何処へと降り立つのだ?」


飛鳥「ええと… ボクたちはこれから東仙ってヒトに会いに行くんだ。この報告書を届けにね」


飛鳥「そうだ、一つ訊いておきたいんだけど、キミはいつまでこの虚夜宮に滞在できるんだい」


蘭子「クックック、裁きの鎖とて我が翼を繋ぎ止めることはできぬ! 友の力となるならば、この命尽きるまで如何様にも従おう!」


飛鳥「……」


蘭子「あっ… しかし、大神たちの嘆きが… 未だ断罪の儀を結んでおらぬ故…」


飛鳥「フム、どうやらそれほど長居はできそうにないみたいだね」


飛鳥(もう少し彼女のことを理解してから込み入った話をするつもりだったけど、そうも言ってられないかな)

178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 21:07:05.28 ID:HSYxcf410


蘭子「大きなお城… この白城は全てが彼(か)の王のものであるのか?」


飛鳥「彼の王… ああ、違うよ。今の虚夜宮の主はバラガン陛下ではなく藍染惣右介ってヒトだ」


蘭子「むう、それでは一つの城に二人の王が… かくも奇矯な…」


飛鳥「元々は陛下がこの虚圏を支配していたんだけど、その座を藍染惣右介によって奪われてしまったんだ」


飛鳥「まあ、この虚夜宮には色々としがらみってモノがあるのさ。それは一朝一夕でどうにかなるものじゃない」


蘭子「眷属たちの諍いか。その双剣を収め、共に歩むことはできぬのか」


飛鳥「んん… そうだね。キミが居たプロダクションを思い出してみるといい。誰もがみんな仲良しこよしってワケじゃなかっただろう」


飛鳥「それはこの虚夜宮も例外じゃない。それぞれが相容れないなんてことは往々にしてあるものさ」

179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 21:13:28.37 ID:HSYxcf410


アーロニーロ「そういうことだ」「キミノヨウナ新参者ヲ快ク思ッテナイ奴モイルンダヨ」


蘭子「ぴぃ!?」ビクッ


飛鳥「キミは、第9十刃のアーロニーロ・アルルエリだね」


アーロニーロ「聞かせてもらったぞお前の噂」「ノイトラニ奇襲ヲ仕掛ケテ一方的ニ叩キノメシタンダッテナ」


飛鳥「ハナシが飛躍しすぎてないかい。ボクにそんな力は無いよ」


アーロニーロ「謙遜するなよ最上大虚」「霊圧ヲ抑エテイルノハ僕ラニ実力ヲ悟ラセナイ為カナ」


飛鳥「これは変に弁解しないほうが穏便に済む気がするね」


蘭子「あ、飛鳥よ、この者はいったい?」


飛鳥「彼はアーロニーロ。この虚夜宮において秀でて絶大な戦闘能力を誇る破面の一人で、第9の数字を持つ十刃だ」


蘭子「エスパーダ… 彼の王が語りし十の賢人の一人か!」

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 21:30:23.77 ID:HSYxcf410


アーロニーロ「妙な喋りの女だな」「コイツカラハ破面ノ霊圧ヲ感ジナイケド、何者ダ?」


飛鳥「彼女は神崎蘭子。バラガン陛下の客人で、人間だよ」


アーロニーロ「客だと? あのバラガンが人間を招いたのか」「ニワカニハ信ジ難イハナシダネ」


飛鳥「嘘をついたところでボクたちに利点はないよ。キミには認識同期もあるし、虚言はボクらの立場を悪くするだけさ」


アーロニーロ「別にお前たちのことを藍染様や他のヤツらに逐一報告するつもりはないがな」「警戒心ガ強イノハ悪イコトジャ無イケドネ」


飛鳥「でも、わざわざキミたちからボクに話しかけてきたってことは、何かそれなりの理由があるんだろう」


アーロニーロ「……十刃ってのは破面の頭領だ」「ソレハ、キミモ判ッテイルヨナ」


アーロニーロ「最上大虚のお前が十刃に昇格すれば追い落とされるのは必然的にNo.9のオレだろ」「キミガ十刃ノ器デナケレバ、コノ場デ喰イ殺シテヤロウト思ッテタンダ」


アーロニーロ「だが、お前は第9十刃であるオレを前にしても顔色一つ変えやしなかった」「恐ラク、ソノ実力ハ噂通リナノダロウ」


アーロニーロ「オレもわざわざ負け戦に臨むような真似をする気はねえ」「キミニ手ヲ出シテ、バラガンヲ敵ニ回スノモ嫌ダシナ」


飛鳥「随分とボクを評価してくれてるんだね」


飛鳥「でも心配はいらないよ。ボクの主はバラガン陛下ただ一人、彼の許(もと)から離れる気はないし、そもそもボクは十刃の地位に足る存在じゃない」

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 21:39:53.88 ID:HSYxcf410


アーロニーロ「いけ好かねえ奴だな」「謙遜モ、度ガ過ギルト相手ノ神経ヲ逆撫デスルコトニナルヨ」


アーロニーロ「まァ、せいぜい気を付けろよ。虚夜宮ってのは案外敵が多いもんだ」「寝首ヲ掻カカレナイヨウ、用心シテ歩クコトダネ」


飛鳥「ああ。忠告ありがとう、アーロニーロ」


アーロニーロ「じゃあな最上大虚」「キミガ僕ノ脅威ニナラナイコトヲ祈ッテルヨ」



飛鳥「さて、待たせて悪かったね蘭子。先を急ごうか」


蘭子「」フラフラ


飛鳥「ん?」


蘭子「ハロウィンのオバケに… 食べられちゃう…」クラッ


飛鳥「おっと」ガシッ


蘭子「」


飛鳥「気絶してるね。もしかしたらアーロニーロの霊圧にあてられたのかも」


飛鳥「無理に起こすのも気が引けるし、東仙さんのところまでボクが背負っていくか」


182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 21:45:33.09 ID:HSYxcf410


―虚夜宮・調理室―


東仙「やはりバラガンの批評は参考になる。第2の宮の報告書、確かに受け取った」


飛鳥「第2の宮の報告書、ということは、他の宮にも同じようなものを?」


東仙「そうだ。とはいえまともな報告書が届くのは第3の宮と第7の宮くらいだが…」


飛鳥「ハリベルとゾマリだね。その二人はボクのイメージ的にも勤勉でマメな印象があるよ。でもその言い方だと他の宮では問題が生じている、のかな」


東仙「ああ、どうにも私に対して協力的ではない者が多くてな」


東仙「スタークからは5回に1回報告書が届けば良い方。届いたとしても殴り書きで『うまかった』とだけ、恐らくリリネットが書いているのだろう」


東仙「ウルキオラは毎回白紙、ノイトラからはボロ屑のようになった紙切れが届くだけ」


東仙「グリムジョーも従属官が報告書を記入しているのか当たり外れが大きい。ザエルアポロに関しては何故か自らが行ったであろう実験結果が事細かに記してある」


東仙「アーロニーロとヤミーは量を増やせと催促してくるばかり。ヤミーに至っては従属官のクッカプーロが届けに来るため涎で報告書が読めたものではない」


東仙「私は一刻も早くこの“正義のレシピ”を完璧なものに仕上げなければならないというのに…」


飛鳥「苦労しているんだね。ボクには何もできないけれど、心中お察しするよ」


飛鳥「あっ、そうだ、貴方に懐いているワンダーワイスならレシピ完成にも快く協力してくれるんじゃないかな」


東仙「あの子は私が与えるものならば何でも『おいしい』と言ってしまうからな。純粋ゆえか、粗探しをするようなことには不向きなんだ」


飛鳥「なるほど」

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 21:51:32.26 ID:HSYxcf410


蘭子「ううん…」


東仙「破道の五十四、『廃炎(はいえん)』」



ボウッ!!



蘭子「ぴゃあ!? な、何事かっ! それに、あなたは誰!?」


東仙「すまない、起こしてしまったか。私は東仙要、この虚夜宮で破面の統括官を務めている。今は飛鳥と共に鬼道の鍛錬をしているところだ」


飛鳥「理解ってはいたけど、隊長格ともなると五十番台の詠唱破棄すら楽にこなしてしまうんだね」


飛鳥「破道の一、『衝』!」シーン


東仙(霊圧の操作に関しては既に御しつつあるが、鬼道の発現までには至らない。やはり死神と破面では霊絡の組成が異なることが原因だろうか…)


飛鳥「鬼道の習得がここまで難しいものだなんて思ってもみなかったよ。手をのばしてもその一端にすら届く気がしないなんてね」


蘭子「はどう? きどう? それに未だ残滓燻る業火はいったい…」


東仙「飛鳥、少し休むとしよう。君の同行者も慣れぬ事態に困惑しているようだからな」


東仙「その間に、彼女への状況説明も済ませてしまおうか」

184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 21:55:54.87 ID:HSYxcf410


東仙「――鬼道とはその番数ごとに定められた言霊を詠唱し、術名を叫ぶことにより発動する霊術の一つだ」


蘭子「うむ!」


東仙「鬼道は主に「破道」「縛道」に大別され、それぞれに一番から九十番台まで番数と詠唱が定められている。術者にもよるが基本的には番数が高ければ高いほど強力な鬼道となる」


蘭子「うむ!!」


東仙「例えば、私が先程使っていたものは破道の五十四番『廃炎』といい、大まかに割り振れば中級鬼道に該当する」


蘭子「うむ!!!」


東仙「これだけ興味を持ってもらえると、私もつい解説に熱が入ってしまうな。君に教えた時と同じだ、飛鳥」


飛鳥「ボクらのような年頃だと、どうしてもこういう類のものに心惹かれてしまうのさ。14歳の性(さが)ってヤツかな」


蘭子「言霊より出ずる禁じられし魔術! その力、我が身に堕ろすことは可能か?」


東仙「破面である飛鳥と違い君は人間だ。残念だが鬼道の習得は不可能と言っていいだろう」


蘭子「うう… 無念よ」


飛鳥「ん? そういえば東仙さんも蘭子の言葉を理解しているみたいだけど…」


東仙「純粋なものはそれ同士引かれ合うものだ。言語の違いなど取るに足らないことだよ」


東仙「しかし、この短期間で君に続いてまたも鬼道に関心を持つものが現れるとは、風変わりなこともあるものだな」

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/04(月) 21:59:31.70 ID:HSYxcf410


飛鳥「『南の心臓、北の瞳、西の指先、東の踵、風持ちて集い、雨払いて散れ』」


飛鳥「縛道の五十八、『掴趾追雀(かくしついじゃく)』!」シーン


飛鳥「くそっ、ダメか」


東仙「逸る気持ちは分かるが、一番台の鬼道すら発現していない君に五十番台の鬼道はまだ早い。先日も同じことを言っただろう」


蘭子「飛鳥よ! 我が言霊の力、しかとその瞳に焼き付けるがよい!」


蘭子「『君臨者よ! 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ! 真理と節制! 罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ!』」


蘭子「破道の三十三!『蒼火墜(そうかつい)』っ!!」ドヤッ



ドガアアアアアン!!!!!!



蘭子「!?」


飛鳥「!?」


蘭子「これはまさか、我の中の秘めたる力が…!?」


東仙「今の爆発音、外からか」


186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/08(金) 13:54:54.60 ID:uBGLGa7Xo
勘違いする蘭子ちゃんかわいい
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 11:34:24.57 ID:7WrUvx8R0
保守
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/11(木) 12:51:17.76 ID:k6enzAqW0
 
多忙で書く時間が取れそうにないので夜になったら結末までの大まかなプロットを投下します
大体の流れだけなので一部のエピソードや本来挿話として入れるつもりだった幾つかの小話は入っていません
最後まで書き上げられず申し訳ありません


※現世で命を落とした飛鳥と破面飛鳥は同一の存在。物語上で時折飛鳥が言っている“元のセカイ”“在るべきセカイ”などというものはなく、飛鳥は同一の世界線上で命を落としている
※飛鳥は死後、魂魄として辿るはずのさまざまな仮定をすっ飛ばして破面として“発生”しており、また最大の例外事項として心を失っていないため虚(破面)でありながら身体に孔はない
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 12:55:21.62 ID:2QtOyk13o
時間あるときにゆっくりでいいから続けてくれてもいいのよ
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 13:18:46.53 ID:EJNgrVtUO
なん…だと…
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 17:08:02.51 ID:ntwP4OCsO
飛鳥くんがウェコムンドで着てる服のデザインがちょっとだけ気になる
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/11(木) 21:21:22.80 ID:k6enzAqW0

爆発音の正体はロリとワンダーワイスの小競り合いによるもの。それを東仙が諫める
ロリは藍染の興味が飛鳥と蘭子に向いていることを感じ取り、嫉妬心から二人のもとを訪れた
飛鳥はロリと対話を試みるがロリが癇癪を起こした状態のため交渉不可。埒が明かないため東仙が白伏でロリを制圧
ロリからの事情聴取は時間が掛かると判断し、東仙はこの場はひとまず解散と告げる

【場面変更・第2十刃の宮(飛鳥と蘭子は東仙のもとから帰還中のため不在)】
クールホーンが独断で現世から人間(蘭子)を拉致してきたことについて他の従属官が糾弾
アビラマはクールホーンに対して藍染に目を付けられつつある今の状況での独断行動はバラガンの立場をより危うくさせると強く批難
フィンドールも同じくクールホーンに陛下の立場と飛鳥の士気のどちらが優先順位が上かは理解しているはずだと諭す
口論が収まらない中バラガンが現れ今回のクールホーンの件は不問とすると宣告
従属官同士多少のわだかまりを残しつつもバラガンの裁定は絶対のため議論は強制終了

【場面変更・飛鳥と蘭子が歩く回廊(帰還中)】
グリムジョーの従属官が周囲を警戒しつつ歩いているのを目撃。飛鳥は彼らに対してこれから現世に向かうのかとカマをかける
従属官たちの反応から飛鳥は現在置かれた時系列が23巻相当にあたると判断し隊長格の限定解除について忠告すると共に今見たことは口外しないと約束

【場面変更・第2十刃の宮】
飛鳥と蘭子が帰還。飛鳥は宮内の雰囲気が出発前と微妙に違うことを感じ取る
今日はもう休め、とアビラマ。同じく休んだ方がいい、とジオ
飛鳥は彼らの勧めを受け入れバラガンに報告をして就寝

【場面変更・寝室(飛鳥と蘭子は同室)】
床に就いた飛鳥と蘭子は互いに軽い会話を交わす
同じベッドで横になりながら蘭子は飛鳥に自らの素性と二宮飛鳥との関係を述べる
蘭子の供述から、飛鳥はこの世界の二宮飛鳥は蘭子と同僚関係にあったこと、同じユニットを組んでいたこと、プライベートでも親交が深かったこと、そして二宮飛鳥は神崎蘭子を“不運な事故”から庇ってその命を落としたことを知る
飛鳥は、“蘭子は飛鳥が命を落とした原因が蘭子自身にあると責任を感じその贖罪のために飛鳥を探していた”と推測し指摘
罪悪感から黙り込む蘭子に対し自らがこの世界の二宮飛鳥ではないと告げた上で、蘭子に対し仮定の話を交えて励ましの言葉をかける
話の中で蘭子は“この世界で死んだ二宮飛鳥”と“今ここにいる二宮飛鳥”は同じ存在なのではないか、と核心に迫るが飛鳥は自らの記憶を根拠に否定
その後飛鳥は蘭子に対し既に死んだ者を探そうとするなど常人の考えることではない、どうやって自分や虚夜宮の存在を知ったのかと疑問をぶつける
蘭子はそれに対し“事務所の友達”に非常に霊感の強い子がいること、その友達に空座町はオバケの魂が集まりやすくそこに行けばもしかしたら飛鳥に会えるかもしれないと聞いたと説明
飛鳥は自分の事務所にもそんな“設定”の子がいたと笑いつつ蘭子とともに眠りにつく
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/11(木) 21:27:23.82 ID:k6enzAqW0

【場面変更・飛鳥の三度目の夢】
飛鳥は三度目の夢を見る
その夢の中では二宮飛鳥が血塗れで横たわっており、またその身体を抱きかかえて涙を流す少女の姿が見えた

【場面変更・第2十刃の宮】
椅子に深く腰掛け一人葡萄酒を嗜むバラガン。飛鳥との出会いを思い返す
【バラガンの回想(飛鳥と初めて対話した冒頭まで戻る)】
飛鳥がバラガンに対し語ったことは自らの出自、虚夜宮の未来、バラガン自身と従属官の末路、死神との戦争、滅却師の存在、市丸ギンの思惑、鏡花水月の対策方法、崩玉が持つ真の能力について、など
バラガンは自らが死神に敗北し戦死する未来と、鏡花水月を考慮せずとも藍染とバラガンの力の差は歴然であることを飛鳥から聞かされ激昂、即座に斬り捨てようとするが自らの霊圧に圧され震えながらもなおバラガンから目を逸らさない飛鳥の姿を見て思いとどまる
飛鳥の持つ情報は藍染を討つために利用できると判断、真偽はさておき情報の塊である飛鳥を野放しにするわけにはいかず、自宮に軟禁するため一時的に自らの配下に置くことを宣言
その後市丸ギンを虚夜宮外に呼び出し藍染への反逆の意思があるのかどうか問う。最初はのらりくらりと躱されるものの飛鳥からの情報を駆使して畳みかけ、その思惑の片鱗を垣間見ることに成功
さらにバラガンは単独で現世へと向かう、目的は浦原喜助に会い崩玉の真の能力について問いただすため。浦原商店で浦原、鉄裁との談合の後、飛鳥から発せられた数々の言葉は虚言ではなく真実だと確信。飛鳥を正式に従属官として迎えることに決定
(この時浦原商店から離れ帰還しようとした際にウルキオラ、グリムジョー、ヤミーと遭遇)

【場面変更・第2十刃の宮 起床後】
気だるさを残しつつ目を覚ました飛鳥は部屋の外が騒がしいと気付き大広間へ
大広間では従属官たちが議論中。何事かと飛鳥が訪ねると、グリムジョーとその従属官が無断で現世に侵攻した噂で持ち切りとアビラマ
フィンドールとクールホーンが宮に戻り全員に詳細を説明。昨夜の無断侵攻の噂は全て事実でありグリムジョーの従属官は護廷十三体に所属する席官を複数討伐したと話す
現世への無断侵攻の罪は相当重いのではないかというアビラマの言葉に対し、フィンドールは死神討伐の功績との兼ね合いでグリムジョー及び従属官への処分は無期謹慎止まりだと説明
一連の話を聞いたのち、飛鳥は昨夜の自らの行動が起因となってグリムジョーの従属官が生存することになったのではと推測。またこれにより自らの行動によって原作の展開とはまた違った方向に物語を分岐させることができると確信
その後、議論の場にバラガンが現れ飛鳥を含めた従属官は平服。蘭子は未だ自室で熟睡中
バラガンは飛鳥に目配せをし、これで何が変わるのかと問う
飛鳥は理解らないと答えつつも、バラガンのため、また自身の存在証明のため、なぞられた物語を漠然と辿るのは御免だと原作との分岐を選ぶと同時に第2十刃の従属官として動くことを再び宣言
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/11(木) 21:32:19.73 ID:k6enzAqW0

【場面変更・起床(蘭子)】
寝ぼけまなこで目を覚ました蘭子は隣に飛鳥がいないことに気付く
それと同時に昨日の飛鳥との会話を思い返し、本当に飛鳥と出会えたこと、虚夜宮という御伽話の世界が実際に存在していることを実感する
身支度を整え大広間に移動、食事をとりつつクールホーンに飛鳥の居場所を尋ねる
たったいま宮を出たばかりだと聞いた蘭子は飛鳥を追ってすぐに宮を出発する
蘭子が宮を出発した後、今さらだが飛鳥に人間の知り合いがいるとは驚いたと発言するニルゲ。同じく飛鳥と蘭子はどういった関係なのか疑問に感じるジオ
女の子の気持ちは自分が一番よく分かる、乙女のプライベートを詮索するのは野暮だとクールホーン。お前の顔は乙女には程遠いがと茶化すアビラマ
確かに干渉しすぎるのはよくない、ただ虚夜宮内とはいえ人間(蘭子)を一人にするのは少し危険ではないかとフィンドール
蘭子を連れてきたのは自分であるため最後まで面倒を見ると言いクールホーンは蘭子を追う

【場面変更・回廊(蘭子)】
蘭子は飛鳥に合流するため第2十刃の宮外に出るも回廊で迷子になる
そこで子犬の破面クッカプーロと遭遇。遊び相手がほしいクッカプーロは蘭子の周りを走り回る
てんやわんやする蘭子だがしばらく遊んでいるうちにクッカプーロと仲良くなる
蘭子と遊んで満足したのか床に寝転んでいたクッカプーロだが、突如起き上がり走り出す。何事かと心配した蘭子はクッカプーロの後を追う

【場面変更・回廊(飛鳥)】
飛鳥は特に目的もなく虚夜宮を歩きつつ昨夜みた夢について思案していた
妙に現実的だった感覚と、鮮明な情景のなか、自分を抱きかかえる少女の姿だけがぼやけて見えたことに違和感を覚える
もしかしたらその少女は自分にとても近しい存在だったのではないかと推測するも、ただの夢に仮定の話を重ねたところでどうしようもないと思い考えるのをやめる
その後も目的なく回廊を歩いていた飛鳥はウルキオラに遭遇。互いに言葉を交わさずすれ違うが、ウルキオラは足を止め飛鳥に対して問いかける
その問いは心の在りかについて。飛鳥はそれに対して心とは繋がりそのものではないかと答え、誰かを想う時に心が生まれるのではないか、繋がりを失った時に心という存在は潰えてしまうのではないか、と説く
飛鳥の言葉を聞いた後その場を去ろうとするウルキオラに対し、ウルキオラにとってのヤミー・リヤルゴという存在と、後に邂逅することになるであろう死神代行と崩姫(プリンセッサ)について告げる

【場面変更・第0十刃の宮】
クッカプーロが走り出したのは自分の住処である自宮に戻るためだった。クッカプーロを追いかけていた蘭子も意図せず第0十刃の宮に侵入
そこにヤミーが帰還し、どうして自分の宮に知らない奴がいるのかと蘭子に詰め寄る
ヤミーの巨体と威圧感に圧されて言葉を発せない蘭子を昼寝の邪魔だと問答無用で叩き潰そうとするがクッカプーロに吠えられ止められる
吠えるクッカプーロに対し喧しいと怒鳴るも全く吠えるのを止めようとしないため宮からつまみ出そうとするが、その時ふとバラガンが人間を一人虚夜宮に連れてきたという話を思い出す
バラガンのところから来たのかと尋ねるヤミーの言葉に蘭子は怯えながらもしっかりと頷く
ヤミーは面倒なのが転がり込んできたとボヤきつつ、死にたくなかったらさっさと飯を持ってこいと蘭子に命令
困り果てる蘭子だったがクッカプーロのサポートもあり何とかヤミーの言いつけを完遂
終始怯えていた蘭子だったが、食事を終えて眠りこけるヤミーと、そのヤミーに寄り添って共に眠るクッカプーロの姿に一抹の微笑ましさを感じたのち、一人と一匹に静かに別れを告げて宮を離れる
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/11(木) 21:39:35.32 ID:k6enzAqW0

【場面変更・第2十刃の宮】
連絡役であるルドボーン(髑髏兵団)がバラガンに藍染からの伝令を伝える
その伝令を聞くや否や、バラガンはすぐさま宮内の従属官を全員集める
従属官全員がバラガンの前に平伏する重苦しい雰囲気の中、飛鳥と蘭子が帰還。バラガンは藍染から飛鳥への招集命令がかかったことを伝え、この招集には絶対に従わないこと、飛鳥と藍染を会わせてはならないことを全員に言い聞かせる
バラガンはこの件に関して藍染と話をつけにいきたいが、バラガン自身も藍染から別任務を言い渡されているためそれが出来ない、任務が終わり次第自ら藍染のもとに向かうと説明
同時に飛鳥に対して自らが帰還するまで何があろうと宮からの外出を禁じると命令、及び従属官にも飛鳥を宮から出すなと厳命する
解散を命令した後、バラガンは飛鳥と一対一で対話。会話のさなかバラガンは飛鳥が帯刀している斬魄刀を手に取る。斬魄刀を握りながらほんの一瞬顔をしかめたのち、飛鳥に返却する
不思議そうな顔をする飛鳥をよそに、バラガンは今一度宮からの外出を禁ずる旨を言い渡し任務のため宮を一時離脱

【場面変更・第8十刃の宮】
研究室でモニターを眺めていたザエルアポロは苦虫を噛み潰したような表情で動きを止める
苛立ちのため乱れた霊圧に反応して従属官が近寄ってくるが鬱陶しいと追い払う
ザエルアポロは飛鳥に渡した斬魄刀には追跡機能と一定範囲の音声・映像・霊圧を観測し研究室にリアルタイムで情報が伝達される改造録霊蟲を仕掛けていたと呟く
希少種(飛鳥)の観察が続けられなくなってしまったことと、せっかく仕込んだ観測のための機構がバラガンの老いの力よって台無しにされてしまったことに不満を募らせながらも、そんなことには元々興味が無かったかのようなおどけた様子で全く別の研究へと作業を移す

【場面変更・第2十刃の宮】
バラガンが任務から帰還
自宮に戻ると従属官全員が斬られ倒れている姿を発見、また飛鳥の姿が見当たらないことに気付く
呆然とするバラガンだったが物陰に隠れ震えている蘭子を発見しすぐさま事体の真相を問い詰める
蘭子は狼狽しつつも、突然現れた男に皆が斬られ飛鳥が連れ去られてしまったことをバラガンに伝える
バラガンは従属官全員が完膚なきまでに打ちのめされている状況と従属官たちの傷跡に残った霊圧の残滓から宮を襲撃した者の正体を断定。すぐさま襲撃者の下に向かう
【バラガン離脱後】
蘭子は襲撃者に斬られて血だらけの従属官たちから目を逸らしつつも何とか傷の手当をする。ただし治療の技術はないため血を拭き取って包帯を巻いただけ
手当のさなかクールホーンとアビラマが目を覚ます。アビラマは従属官が全員まとめて無様にやられてしまったこと、飛鳥を宮から出してはならないというバラガンの命令を守れなかったことの二点に情けなさと怒りを感じその場で大声を出し叫ぶ
クールホーンは突然背後から斬られて誰にやられたのかも分からなかったと呟くが、アビラマが自分たちを斬ったのはウルキオラだと発言
蘭子はバラガンが一度戻ってきたことをクールホーンとアビラマに伝えようとするも、二人はウルキオラから受けたダメージはどこへやら飛鳥奪還のため早々に宮から出て行ってしまう
蘭子はどうすればいいのか暫し考えた後、自らも飛鳥を探すため宮を出発する
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/11(木) 21:44:04.01 ID:k6enzAqW0

【場面変更・第4十刃の宮】
バラガンが第4十刃の宮に到着
飛鳥を連れ去った件についてウルキオラに問う
何も答えないウルキオラに対し沈黙は肯定とみなすと武器を構えるバラガン
部下の仇でも討ちに来たのかと訊くウルキオラに、戦いに敗れた者の尻拭いをするほど甘くはないと問答
いくつか言葉のやり取りをしたのちウルキオラは宮の天井を破壊し天蓋の上へと向かう
天蓋を破り虚夜宮の外に出てなお自らに背を向け駆け続けるウルキオラに一抹の疑問を憶えつつもバラガンはその後を追う
【虚圏郊外】
虚夜宮から大きく離れたところでウルキオラは足を止め、バラガンに対して何故あの女(飛鳥)にそれ程までに執着するのかと問うが貴様の知ったことではないと一蹴される
ウルキオラはお前たちとあの女に興味が沸いたと告げバラガンとの戦いを望む
その後刀剣解放第二階層を披露したウルキオラとバラガンのガチバトル
バラガンはウルキオラを終始圧倒しつつ戦いを進めるもウルキオラの消極的な戦い方に疑念を抱く
意図的に戦闘を長引かせているウルキオラの真意に気が付くと同時に、老いを司る自らに対する「時間稼ぎ」という神に唾するに等しい行為に激昂するも、ウルキオラが藍染の命令で動いていたことを察知するとともに、すぐさま戦闘を中断し虚夜宮へと戻る

【場面変更・玉座の間】
飛鳥は玉座の間にて藍染惣右介と邂逅
手荒な真似をしてすまなかったと飛鳥に話しかける藍染。飛鳥は鏡花水月の発動を最大限に警戒
藍染は飛鳥に対して君の偶像としての在り方を知りたい、と問う
飛鳥はその質問に意味はあるのか、と答えつつも存在証明と存在理由を軸に偶像論を語る
そして藍染は元より君のことは知っていたと飛鳥に語り掛ける。それに対して飛鳥は何をもって自分という存在を理解しているのかと返す、さらに藍染は君が現世で命を落とすその前から君のことを知っていると返す
これを藍染の揺さぶりだと判断した飛鳥は沈黙を決め込むが、藍染は飛鳥自身にしか知り得るはずのない、飛鳥にとっての“在るべきセカイ”で起こった出来事を次々と言い当てる
さらに“君は自身の魂魄の崩壊を防ぐために自らにとって不都合な記憶を己の中に封じ込めてしまった”と告げる
それに対し何を言っているのか理解できないと反論するが、藍染は飛鳥がこれまで何度か見てきた夢の内容に言及すると同時に、それこそが君の記憶そのものであり、君が棄てた“不都合”と“真実”を呼び覚ますものだと発言
飛鳥は貴方がかつて部下に言い聞かせたように自分も貴方を信じることはない、と言い返そうとするも突然の頭痛により言葉に詰まる
藍染は君たち現世の偶像は元より自らの研究対象の一つだったと告げ、形は違えど各偶像の持ちうる群衆を支配し魅了する力は使い方次第で重霊地を人工的に創り出すことも可能であり、それによってより簡易な手段で王鍵の創生という目的に辿り着ける、と持論を展開
ただし飛鳥は激しい頭痛と眩暈で藍染の言葉は聞こえておらず、逃げるようにその場を離れる
その後、藍染に対しまた部下で遊んでいるのかと市丸ギン
彼女は自分の部下ではないと否定しつつ、飛鳥の事を非常に興味深く危うい存在“だった”と評する
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/11(木) 21:48:37.67 ID:k6enzAqW0

【場面変更・回廊】
藍染との対話後、飛鳥はおぼつかない足取りで自宮に向かう
激しい頭痛と身体全体にのしかかる寒気と気だるさの中、虚圏を訪れてから今まで見た夢の内容がフラッシュバックする
眩暈と頭痛で立っていられなくなった飛鳥は壁に手をつきうずくまる。それと同時にこれまで見た夢の数々は紛れもなく自分自身の記憶であり、自らが実際に体験してきた事象だと悟る
飛鳥を探していた蘭子は、膝をついてうずくまっている飛鳥を見つけ駆け寄る
飛鳥は介抱のため駆け寄ってきた蘭子の顔を見ると時を同じくして、夢の中で自身を抱きかかえ涙を流していた少女の正体を知る
さらに飛鳥は自らが命を賭して“不運な事故”から蘭子を護ったことを思い出す。そしてその時その身に受けた傷と苦痛、身体中から力が抜けていくような“死の感覚”の記憶が鮮明に蘇る
ここで飛鳥は現在自分がいるこの世界が紛れもない死後の世界であり、“二宮飛鳥は死んだ”ということを直感する
自分が既に死んでいることは薄々と理解していたものの、それを認めたくなかったこと、認めてしまえばその事実に自分の心が耐えられないことを知っていた、と自嘲気味に独白
蘭子は様子がおかしい飛鳥を心配して声をかけるが、飛鳥は蘭子を突き飛ばし糾弾
自分と本当に親しい仲なら二宮飛鳥の弱さを知っていたはず、なぜ忘れたままにしておいてくれなかったのか、なぜ自分の前に現れたのか、自分の記憶は紛いものだと思い続けていたかった、成すべきことを成せばこの世界での物語は終わるものだと信じていたかった、と強く批難
蘭子に対して二度と自分の前に姿を見せないでほしい、虚夜宮、空座町から早急に消えてくれと激昂
飛鳥は蘭子をその場に残し走り去ったのち、死に際に家族や友人に会えなかったことへの未練、命を棄ててでも蘭子を助けたのは偽りない自分自身の心によるものだったと一人呟き涙を流す。その後混乱による疲弊から意識を失う

【場面変更・回廊(クールホーン、アビラマ)】
飛鳥を奪還するためウルキオラのもとに向かっていたクールホーンとアビラマは偶然にも飛鳥の独白を全て聞くことになる(回廊の意図的な操作があったため実際には偶然ではない)
その場に立ち尽くす蘭子に声をかけるも反応なし
放心状態の蘭子を抱きかかえつつ、走り去った飛鳥を追うと回廊で倒れている飛鳥を見つける。その後飛鳥を宮の寝室に運ぶ
【場面変更・飛鳥の寝室】
ベッドで眠る飛鳥に対して、未だ放心状態の蘭子は掠れた声で謝罪の言葉を繰り返す
クールホーンはあなたたちには悪いことをしたと告げ、その後アビラマと共に蘭子を現世へと送り届ける

【場面変更・第2十刃の宮(寝室)】
気を失っていた飛鳥は自室で目を覚ます
そこで人間としての二宮飛鳥はとうに消え失せていたと理解すると同時に、元より“戻るべきセカイ”“在るべきセカイ”など存在しなかったことも理解する
さらには本来の目的であった存在証明を果たせないと知り、自らが抱いていた希望が完全に潰えてしまったことも知る
成すべきことが無くなった飛鳥は魂魄を蝕みつつある絶望から自らを守るため防衛本能として人間の心を棄て去る。それと同時に飛鳥の行動原理の全ては第2十刃の従属官に基づくものとなり、人間と破面の魂が交わった不完全な存在から完全な破面へと変貌する
その結果、バラガンへの忠誠心と、共に過ごす従属官への親愛だけが飛鳥の存在をかろうじて保つ楔となり、また唯一の支えとなる
この時、飛鳥の胸中央部に孔が空く
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/11(木) 21:55:25.96 ID:k6enzAqW0

【場面変更・空座町(空座決戦)】
時間は飛んで37巻以降の空座町決戦へ
この段階では飛鳥の暗躍によるものもあり虚圏待機の十刃は全員生存
空座町に侵攻する破面は原作と同じくスターク、バラガン、ハリベルとその従属官。東仙とギンも戦列に加わるが藍染は不在
飛鳥は完全な破面と化しても虚閃や響転、また鬼道を使用することは適わなかったが、唯一同胞を護る力である反膜(ネガシオン)だけは自身の力として会得するに至った
戦争開幕後、情報アドバンテージと破面間の連携戦術で隊長格と席官相手に有利に戦局を進めるものの、最期は護る力を使い果たし満身創痍のところを護廷十三隊総隊長によって斬り伏せられる
その身を焼かれながら第2十刃の従属官として力及ばなかったことを悔いて戦死

【場面変更・虚夜宮】
玉座の間で空座町の戦局を見届ける藍染
あの偶像の死は惜しいものだったとゾマリが嘆くも藍染は何も答えない
飛鳥の死を一瞥したのち、虚圏に残っている十刃と破面を引き連れて空座町へと第二次侵攻を開始する

二宮飛鳥篇(BLEACH×Side Flying Bird in Palace of fantasia)終わり


神崎蘭子篇(BLEACH×Side Rosenburg Engel)に続く
蘭子篇は蘭子が飛鳥を救うために奮闘する蘭子視点のストーリー
物語の時系列は飛鳥の胸部中央に孔が空く少し前〜空座町決戦までのもの。前篇とは異なり死神側ともガッツリ絡む
飛鳥と蘭子以外の他アイドルも少し登場。前篇で明らかになっていない部分も補完。バラガンも自身の野望のため現世、虚圏、尸魂界を奔走する
結末は何やかんやで人としての飛鳥の死も破面としての飛鳥の死もなかったことになる代わりに、飛鳥は破面としてバラガンや蘭子その他破面と過ごした記憶の一切が、蘭子は死神・破面関連における記憶の一切が消え失せてしまうビターエンド
記憶の消失は劇場版第一作に似たもので、飛鳥も蘭子も死神・破面に関わるすべての出来事を忘れて本来あるべきデレマス世界線上で生きていくことになる
最後は飛鳥が事務所の本棚でふと手に取った原作単行本43巻にどこか懐かしさを憶えて終わり


かなり大雑把ですが以上です
最後まで書ききれず申し訳ありません
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/11(木) 21:57:26.26 ID:k6enzAqW0
>>191
飛鳥が虚圏で身に付けている衣装のデザインはSRロスト・バレンタインの私服からゴテゴテを取り払ってホワイトカラーにしたイメージです
蘭子の衣装は虚圏篇で織姫が着ていた装束そのまま
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 01:09:30.39 ID:cQWyMh27O
おつ
できればss形式で見たかった
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 01:17:05.60 ID:7SrPUEckO
おつ 時間が出来たらまたいつでも待ってるで
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/13(土) 09:49:46.68 ID:fJ+U9ETYO
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 20:45:15.89 ID:ZO9UN5Qo0
おつおつ
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/27(土) 17:41:54.22 ID:fYgS+CDmO
これで終わりとか絶対許さねえからなぁ?
今の時点でこんだけ構想固まってるならまだまだ書けるだろォン!?
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/28(土) 16:54:15.23 ID:hQkP5FJt0


ワンダーワイス「アウ〜〜ッ!!」


ロリ「どけって言ってんでしょうが! 今度こそホントに吹っ飛ばすわよ!?」


東仙「お前たち、そこで何を騒いでいる」


ロリ「くっ、東仙… あんたもいたのね」


東仙「理由なき私闘は虚圏の規律に反するものだ。統括官として見過ごすわけにはいかない」


ワンダーワイス「アウッ!」


東仙「ワンダーワイス、お前もだぞ」


ワンダーワイス「アウ〜ッ……」


飛鳥「何事だい? 随分大きな音が聞こえたが」


ロリ「何事だい、じゃないわよあんた! あんたのせいでこっちは大変なことになってんのよ!」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/28(土) 17:00:13.14 ID:hQkP5FJt0


蘭子「我が魔導の師、そして飛鳥よ、先の雷鳴は何事か?」ヒョコッ


ロリ「あんたが神崎蘭子ね、ちょうどいいじゃない。二人まとめてあたしがぶっ潰してやるわ!!」


ロリ「『毒せ! 百刺毒娼(エスコロペンドラ)―――』」


東仙「縛道の六十一、『六杖光牢(りくじょうこうろう)』」


ロリ「うぐっ!」ギギッ


東仙「戦意のない相手に向けて刀剣解放とは、一体どういうつもりだ」


ロリ「邪魔すんじゃないわよ東仙! こうなったらあんたも一緒に……!」


東仙「これでは対話にならんな、しばらく眠ってもらうとしよう」スッ


ロリ「う……」フラッ


飛鳥「おっと」ガシッ


蘭子「い、今の魔導はいったい…?」


東仙「鬼道の一種で『白伏(はくふく)』という。主に錯乱した同胞の制圧や不意をついて敵の意識を奪う際に使うものだ」

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/28(土) 17:06:45.32 ID:hQkP5FJt0


東仙「少々手荒だったが、一先ずは落着だ」


ロリ「」


飛鳥「彼女の敵意はボクに向けられて… いや、正確にはボクと蘭子の二人に対して向けられたものか」


東仙「敵意、ではないな。今の霊圧の荒れ様をみるに、ロリはお前たちを殺すつもりだったのだろう」


蘭子「こっ、殺……!?」


飛鳥「フム、敵意ではなく殺意、か。まずは彼女がボクたちに対してその感情を抱くに至った理由を推察するべきかな」


蘭子(飛鳥ちゃん、なんでこんなに冷静なんだろう… たった今この女の子に、こ、殺されそうになったっていうのに……)チラッ


ロリ「」ピクッ


蘭子(ぴいっ!?)ビクッ!


飛鳥「しかしどうしたものかな、ここでロリを起こしてもこの場にボクたちがいる以上、またさっきのようなことになってしまう可能性が高い」


東仙「そうだな、とりあえずはロリが目覚め次第私から事情を聞いておく。事の詳細が判明したらお前かバラガンに通達しよう」


飛鳥「む、いつも手間をかけさせて申し訳ないね。ありがとう東仙さん」


208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/06(月) 23:28:30.10 ID:q41arO5kO
プロット見る限り話の構成出来上がってて内容も面白そうなのに途中で終わってるのもったいないな
これどこか別スレに続きあったりしないのかね
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