【艦これ】古鷹「届かぬ声」

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170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:19:38.91 ID:SacNfDZL0
女提督(そういえば、提督は古鷹さんの事をどう思っているのでしょうか)

女提督(…悪くは思ってないと思うけど…)

古鷹『…好きですよ、あの人が…』

古鷹『今も…いえ…これからも…きっと、ずっと…』

女提督(初めは苦手なのかと勘違いした。でも、古鷹さんは…)

女提督「…」

女提督(提督も、そこまで鈍感じゃないですよね…?)
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:21:36.23 ID:SacNfDZL0
数日後

「お待たせしました」

女提督「いえいえ、全然大丈夫ですよ」

古鷹「それで、提督は…」

「申し訳ありません、その前に時間を少し頂けますか?」

女提督「え、ええ」

「…今回はお二人とも来てください」

女提督「…はい」

古鷹「…分かりました」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:25:47.17 ID:SacNfDZL0
「…というわけで、提督さんは予定通り退院は出来ます」

古鷹「! ではもう声や音が聞こえる状態なんですね!?」

女提督「ふ、古鷹さん」

古鷹「あっ…すいません…」

「いえ、大丈夫です。それでその聴力の事なんですが…確かに彼の耳は改善され、音を拾えるようになりました」

女提督・古鷹「!」

「しかし…やはり、それは何度も言いますが完全とは言えず…そこに問題があります」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:32:53.33 ID:SacNfDZL0
「問題…それは何と言っても、後遺症でしょう」

女提督「後遺症…」

「耳鳴り…目眩…難聴…こればかりは対処しきれませんでした。何しろ治療を受けるタイミングが遅かったので…」

古鷹「…そうですか…」

「…少しでも耳が聞こえるようになっただけでも奇跡です。彼は頑張りました」

「そして、これからは彼だけでなく、あなた達も一緒に頑張らなければいけません」

古鷹「私達も…?」

「このような後遺症を負ってしまえば、これまで以上のストレスや不安で精神が持たないことでしょう。なので…あなた達が彼を見守り、彼を助けてあげてください」

古鷹「…はい」

女提督「分かりました」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:33:44.50 ID:SacNfDZL0
ガラガラ

古鷹「提督!」タッタッタ

提督「!」

古鷹「提督、大丈夫ですか!?」

提督「…あ…」

古鷹「…?」

提督「…ふる、たか…?」

古鷹「は、はい! 私です、古鷹です!」

提督「…」

古鷹「てい、とく…?」

提督「…」ポロ...

古鷹「!?」

女提督「!」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:35:00.82 ID:SacNfDZL0
提督「古鷹…古鷹!」

古鷹「…提督!」

提督「聞こ、える…古鷹の声が…聞こえる…!」ポロポロ

古鷹「…!」

提督「古鷹…!」ギュッ

古鷹「あっ…」

古鷹「提督…うっ…うぅ…」ポロッ

古鷹「うぁ…うわあああああん!!」

古鷹「ぐすっ…でいど、ぐぅ…!」

提督「なんだ、古鷹! なんだ!?」

古鷹「古鷹、の…声…届いで…ますか!?」

提督「ああ、届いている! 届いているよ!」ポロポロ

古鷹「うわぁぁぁぁん…!!」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:49:11.34 ID:SacNfDZL0


提督「えっと、見苦しい所を見せたな。まさか俺が泣くなんて…」

古鷹「…仕方のない事です…寧ろ提督は、よくここまで一人で頑張れました…」

提督「え?」

古鷹「あっ…仕方のない事ですよ! 寧ろ提督はよくここまで頑張ってこれました!」

提督「…ははっ!」

古鷹「…?」

提督「…それが、古鷹の声なんだな」

古鷹「は、はい…?」

提督「…可愛い声だ」

古鷹「!///」

古鷹「も、もう! 何ですかいきなり!///」

提督「…」

提督「いつぶりか。こんなに感動したのは」

古鷹「…」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:50:10.68 ID:SacNfDZL0
女提督「どうやらまだ問題はあるようですが、ひとまず聴力が回復して良かったですね!」

提督「! …女提督…ありがとう、これはお前のお陰でもある」

女提督「え!? い、いえ…べ、別にそんな事は!」

提督「…お前も綺麗な声をしているんだな」

女提督「っ!///」

提督「…まだ鮮明には聞こえないけど…分かるよ…少なくとも声は」

女提督「…もう。なら、良かったです…」

女提督「…それで、提督! 鎮守府には戻ってきて…くれるんですか…?」

提督「え?」

女提督「鎮守府には! 戻ってきてくれるんですか!?」

提督「…鎮守府に、か…」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:53:09.70 ID:SacNfDZL0
提督「…いや」

古鷹「!」

提督「多少耳が聞こえるようになっても…完全ではないんだろう? …俺のせいで、みんなが危険に晒される事になるかもしれない…」

提督「だからさ、女提督…鎮守府の事、お前に任せても良いかな…?」

女提督「提督…!」

古鷹「何を今更怖がっているんですか!?」

提督「!」

古鷹「私達艦娘は、最初から危険なんて承知で戦っています!」

古鷹「提督は元々耳が聞こえない状態で頑張ってこれたじゃないですか!」

古鷹「それに…提督は、私達をそんな柔に育ててきたんですか!?」

提督「そんなことは断じてない!」

古鷹「なら! 私達にも提督の荷を積ませてくださいよ!」

提督「っ…」

古鷹「もう…これ以上離れるのは…嫌なんです!」

提督「古鷹…」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:54:40.98 ID:SacNfDZL0
女提督「提督! 私からもお願いします!」

提督「女提督まで…」

女提督「お願いします! …あの鎮守府のみんなの為にも、戻ってきてください!」

提督「…」

提督「…お前達は、それで本当に…本当に良いのか…?」

提督「…こんな、俺でも…」

古鷹「…提督だから、ですよ」

提督「…」

古鷹「提督が! 良いんです!」

提督「…そうか…」

提督「…はぁ…はは、逞しくなったな…」

提督「それなら…」

提督「これからも、ずっと迷惑をかけるかもしれないけど…」


提督「…どうか、よろしく頼む!」ニコッ

古鷹「…はい!」ニコッ
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 21:00:41.69 ID:SacNfDZL0
女提督「今度またすぐ来ますからね!」

提督「ああ…」

ガチャッ

バタン

提督「…」

提督「…」ポロッ

提督「…ん…?」

提督「あ、あれ…俺…また泣いて…」グシグシ

提督「…」ポロポロ

提督「…何でだ…? 何で、泣いてんだ?」

提督「ははっ、こんなところ古鷹に見られたらどう思われるかな…」

提督「って、もう泣いてるところ見られてたか…」

提督「…戻ってきてほしい、か…こんな俺でも」

提督(…やっぱり、俺は幸せ者だな)

提督(あんな恵まれたやつらに会えて…)

提督「ははは! はは…」

提督「…」

提督「…うっ…うぅ…」ポロポロ...
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 21:03:07.16 ID:SacNfDZL0
女提督「提督の落ち着いた声…初めて聞きましたね」

古鷹「はい…」

女提督「…泣いたところも、初めて見ました」

古鷹「はい…」

女提督「…」

女提督「…大丈夫ですか、古鷹さん?」

古鷹「…」

古鷹「…ごめんなさい」

女提督「…良いですよ! これでみんなが喜んでくれるなら、私も嬉しいですから」

古鷹「これから、どうするんですか…?」

女提督「ん〜…まだ考えてませんが…取り敢えず、提督が退院したら一緒に大本営の所へ行き、提督の再着任を要求します」

女提督「私の事は…まあ、流れに身を委ねます」

女提督「…後悔はしてませんから」

古鷹「…ありがとう…ございます」

女提督「…いいえ♪」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 05:42:41.63 ID:m1ObkRPoo
DJDJ……
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 13:21:56.61 ID:zwG5od/80
数日後

提督「…」

「…さ…」

提督「…」

「提督さん!」

提督「! あ、はい!」

「お迎えが来ましたよー!」

提督「お迎え…?」

ガラガラ

古鷹「提督!」

提督「古鷹! お、お前も来たのか!?」

古鷹「はい!」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 13:22:53.39 ID:zwG5od/80
提督「ありがとうございました」

「いえいえ。これから苦しい事もあるでしょうけど、その時はまた来てくださいね。お大事に!」

提督「…」ペコリ

女提督「ありがとうございます。では…」

提督「…」スタスタ

古鷹「…」ギュッ

提督「! …」ギュッ

女提督「ふふっ…♪」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 13:23:33.34 ID:zwG5od/80


女提督「では、古鷹さんはここで待っててくださいね」

古鷹「は、はい…」

提督「…行ってくるよ」

古鷹「はい…行ってらっしゃい、です…」フリフリ

スタスタ

提督「…女提督」

女提督「はい?」

提督「…ありがとうな」

女提督「…どういたしまして」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 13:24:28.82 ID:zwG5od/80
コンコン

ガチャッ

女提督「失礼します!」

提督「失礼します」

「ふむ…電話をもらったが、何の用だ?」

女提督「…提督を、連れてきました」

女提督「彼は聴覚の治療を続け、なんとか音を聞き取れるほどに回復しました」

「何?」

女提督「…お願いします! 彼を…もう一度提督に再着任させてください!」ペコッ

提督「お願いします!」ペコッ

「…急だな。聴覚が回復? では私の声も聞こえているというのか?」

女提督「…もう少し、大きく話していただければ…」

「…成程…な」

女提督「…」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 13:25:04.35 ID:zwG5od/80
「…それで、もし彼が戦線に復帰した場合だが…」

女提督「!」

「…君はどうするつもりだ?」

女提督「…」

「まさか、自分の後の事を考えずに言ってきたわけではないだろう? 彼が戻れば、君は提督じゃなくなる。どうするつもりだ?」

女提督「…」

女提督「…私は…」

女提督「…私は、あの鎮守府の提督として着任し、気付いた事があります」

女提督「…それは何といっても…彼が必要だという事です」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 13:26:38.17 ID:zwG5od/80
「…彼が必要? 確かに彼は指揮官として聴力が失われている割には優秀だが、提督なら代わりが…」

女提督「いません」

「!」

女提督「提督の指揮が優秀なのも、彼女達を想う気持ちがあるからです」

女提督「聴力が失われている割に優秀? …それは彼自身だけでなく、周りの艦娘達も提督と手を取り合っているからです」

女提督「…私では、あの鎮守府の中では彼以上の存在になる事は出来ませんでした」

女提督「きっと、他の誰もが出来ません…あの鎮守府の提督は…彼が適任なのです」

「…」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 13:27:39.71 ID:zwG5od/80
女提督「…私の事は…お任せします」

「…」

女提督「…以上です」

「そうか…」

「…提督!」

提督「! は、はい!」

「…本当に聞こえているのか!?」

提督「…聞こえてます!」

「…君はどう思う?」

提督「…自分も、戻れるなら戻りたいです」

提督「…そして艦娘達と、また共に歩んでいきたいです」

「…久しぶりだな。少しでも君との会話が出来たのは…」

「分かった。この件に関しては考えておこう。下がれ」

女提督「! ありがとうございます!」

提督「ありがとうございます!」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 13:28:10.81 ID:zwG5od/80
スタスタ

古鷹「あ、どうでした!?」

女提督「どうやら考えてくれるそうです♪」

古鷹「本当ですか!? 良かったー!」

女提督「はい♪」

提督「…じゃあ…戻ろうか」

提督「早く、みんなの所に…」

古鷹「はい!」

女提督「皆さんきっと、驚きますよー♪」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:13:39.53 ID:zwG5od/80
ヒトキュウマルマル

〜鎮守府〜

ガチャッ

金剛「あ、お帰りなさ…!?」

提督「…ただいま、金剛」

金剛「…て…」

金剛「てーとくー!!!」ビューン!

金剛「バーニングラァァブ!!」ダキッ!

提督「おっと! あはは、元気そうで良かった!」

金剛「あ、そうデス! えっと…手話は確か…」

提督「…大丈夫だ」

金剛「えっ?」

提督「…金剛…お前の声も…聞こえるよ」

金剛「…Really?」

提督「…」コクン

金剛「…っ!」ギュッ

提督「今までありがとうな…これからもよろしく」

金剛「…提督…あまり無理しちゃ、ノーなんだからネ…?」

提督「ああ」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:14:54.43 ID:zwG5od/80
テートクー! シレイカーン!!

ワイワイギャーギャー

古鷹「…」

女提督「行かなくていいんですか?」

古鷹「…皆の気持ちも分かりますから、私はちょっと大人しくしてます」

女提督「…取られないようにしてくださいね?」

古鷹「が、頑張ります…///」カァァ

衣笠「古鷹! ちょっと説明してよー!」

加古「なー、あっちで何があったんだ?」

古鷹「わ、私!? 提督が教えてくれるんじゃ…」

加古「あんな状態じゃあたしは無理だよ。古鷹に言ってもらった方が早い」

衣笠「本当にね…青葉はすっ飛んで行っちゃったけど…」

古鷹「…わ、分かったよ」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:15:32.93 ID:zwG5od/80
衣笠「耳が聞こえるように…かぁ」

古鷹「ちょっと大きな声で話さないと届かないけれどね」

加古「だから提督の声も落ち着いてたんだな。前までは声量がめちゃくちゃで話もたまに通じなかったのに」

衣笠「前までっていうか、あれが本当の提督だと思うけど」

古鷹「…でもね。まだ問題があるの」

加古「…問題?」

衣笠「提督に何か、あったの?」

古鷹「…それは…」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:16:38.78 ID:zwG5od/80
女提督「後遺症があります」

金剛「コーイショー?」

女提督「提督は少し音が拾えるようになりましたが、その後も耳鳴りや難聴、目眩が起こる事もあるんです」

長門「ふむ…それは何とかならないのか?」

女提督「そればかりは…」

長門「…そうか…」

女提督「なので、皆さんの力が今まで以上に必要になるとの事です。提督が辛い時は…支えてあげてください」

長門「元よりそのつもりだ…ありがとう、女提督」

女提督「…いえ♪」

陸奥「それでも勿体無いわね…こんな良い人が私達の提督の為に…何か出来たら良いのだけど…」

女提督「必要ありませんよ。それに私は、ここで大切なことを学べましたから♪」

長門「大切なこと?」

女提督「…はい。人にとって大切なことです」

女提督「だから私からお礼を言わせてください」

女提督「…ありがとうございました」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:17:11.28 ID:zwG5od/80
提督(はぁ、疲れた…病み上がりにはキツかったな)

提督(沢山驚かれて…抱きつかれて、泣かれて…)

提督(…だが…やっぱりここは心地が良いな)

古鷹「提督!」

提督「あぁ、古鷹…」

古鷹「…今日はお疲れ様です」

提督「…ああ」

古鷹「それで、疲れているところで申し訳ないんですけど…」

提督「え?」

古鷹「あっ、疲れているところで申し訳ないんですけど!」

提督「…あ! 全然大丈夫だ。どうした?」

古鷹「…少しだけ…」

古鷹「少しだけ、私と外を歩きませんか…?」
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:19:15.47 ID:zwG5od/80
スタスタ

提督「この風景、花火大会に行った時みたいだな」

提督「星はないけど、月が綺麗だな」

古鷹「は、はい! そうですね…花火大会の時みたいで…」スタスタ

古鷹「…」

提督「…なあ、古鷹」

古鷹「はい…?」

提督「…ありがとうな」

古鷹「もう、何回目ですかそれ…またどこか行く気ですか?」

提督「そうじゃないよ! ただ…何回もお礼を言いたくてな。とてもお礼じゃ返せないが…」

古鷹「…いいえ、いつも世話になってる提督の為ですから!」

提督「…耳が聞こえない俺の方が世話になってるけどな」

古鷹「そんな事ありません!」

提督「…そ、そうか…?」

古鷹「…はい♪」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:21:08.77 ID:zwG5od/80
提督「古鷹」

古鷹「はい」

提督「お前と女提督には、特に感謝している…俺、正直ここにいるのがまだ信じられないほどだ」

古鷹「大袈裟ですよ…もう…」

提督「…本当に、恵まれたやつだよ、俺は」

提督「突然失聴して…戸惑って…解任と言われて…途方に暮れていた」

提督「でも、そこからお前達は俺を救い出してくれた」

提督「…全く、奇跡の連発だったな!」

古鷹「…」

古鷹「…いいえ、奇跡ではありません」

提督「えっ…?」

古鷹「…これは、奇跡ではないです!」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:23:28.45 ID:zwG5od/80
古鷹「…全部、全部…」

古鷹「提督だから、起きた事なんです」

提督「俺だから…?」

古鷹「提督が一生懸命で! いつも優しく、笑顔で! 皆を支えてくれたから起きた事なんです!」

古鷹「私達も、女提督さんも、提督を治療してくれた方も、大本営の方も…」

古鷹「提督の人柄に惹かれたから起こった事なんですよ!」

提督「…」

古鷹「だから、奇跡ではないです」

古鷹「これは…提督」


古鷹「貴方自身の力なんですよ」

古鷹「貴方の人に好かれるような人柄が、自分を救ったんです…」

提督「…」

提督「俺自身の、か…」
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:25:35.62 ID:zwG5od/80
古鷹「…今日、誘ったのは訳があります!」

提督「訳…?」

古鷹「聞いてください」

提督「…あ、ああ…」

古鷹「…」

古鷹「……」

提督「ふる、たか…?」

古鷹(…言うんだ、私…今度こそ、告白を…)

古鷹「…」ガクガク

提督「だ、大丈夫か…?」

古鷹「…すぅ〜、はぁ〜…」

古鷹「提督! 私は…」

古鷹「…」

古鷹「っ!」


古鷹「貴方のことが!」


古鷹「好きです!!」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:27:46.88 ID:zwG5od/80
提督「…!」

古鷹「…ずっと好きでした!」

古鷹「…前は耳が聞こえてなかったので、もう一度言います」

提督「前…?」

古鷹「花火大会の日。提督が私に提督をやめると言った時です」

提督「え…」

古鷹「…いつも優しく、誰に対しても隔てなく接する…提督に惹かれました」

古鷹「弱音も見せず…病院に行った時は、見せてくれて嬉しかったですけど…私達に笑顔を振りまき、皆を明るくさせてくれる…そんな提督が大好きです」

古鷹「…提督とずっと一緒に居たい、私はそう思いました」

提督「…」

提督「…それが、古鷹の…本音なのか?」

古鷹「…はい」

提督(そうか…あの時、泣いていたのは…俺を止めようとしただけではなく、想いを伝えようとしたこともあったのか…)

提督「…」

提督「…ありがとう」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:29:51.62 ID:zwG5od/80
提督「…それじゃあ、俺も本当の事を言う」

古鷹「…」

提督「…正直、俺はこれからずっと一人だと思っていた」

提督「…それぐらい、耳が聞こえないというのは孤独だった」

提督「提督となった最初の頃は…酷い話だが、同情で俺に話してくれているとさえ思っていたんだ」

提督「…月日が経つ内に、同情なんかではないと気付いたけどな」

提督「中でも古鷹。お前は特に俺を気遣い、支えてくれた」

提督「…俺がお前を秘書艦にしたのも、そこに惹かれた事もあったからなんだろう…」

提督「…」

提督「…古鷹!」

古鷹「は、はい!」

提督「…」


提督「俺は、古鷹が好きだ!」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:30:55.39 ID:zwG5od/80
古鷹「!?」

提督「…耳も聞こえず、暗い中で独りでいる俺を助けてくれた…古鷹が好きだ」

提督「寂しく、冷えた感情に押し潰されそうな俺に温もりを感じさせてくれた…古鷹が好きだ」

提督「…古鷹とずっと一緒に居たい、そう思った」

提督「解任と伝えられた時には、俺の気持ちはもう一生届かないと思っていた」

提督「弱いやつだよな…自分の感情を隠したまま去ろうとしてたんだから」

提督「俺を連れ戻してくれたお前達の方が、よっぽど強い」

提督「…でも、古鷹がこうやって勇気を振り絞ってくれたお陰で俺も想いを伝えられた…」

提督「古鷹、ありがとう!」

古鷹「てい、とく…!」ポロポロ...
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:32:08.10 ID:zwG5od/80
古鷹「…ありがとうございます…」

ギュッ

古鷹「っ!」

提督「…すまん、さっきのは声が小さくて聞こえない…それに今の俺には言葉より、行動で表してくれ…」

古鷹「…はい…!」ギュッ

提督「…本当にありがとう…!」

古鷹「はい…! …私、今…すっごく幸せです…」

提督「…俺も幸せだ」

古鷹(私の声は…ううん、私の気持ちは…)

古鷹(やっと…やっと、提督に伝わった)

提督「…古鷹、顔を上げてくれ」

古鷹「…はい」

提督「…はは、泣くなよ」

古鷹「ごめんなさい…提督とこうやっているのが、とても嬉しくて…」

提督「…」グシグシ

古鷹「あぅ…///」

提督「古鷹には笑ってほしいな」

古鷹「…///」

古鷹「…はい♪///」ニコニコ

提督「…うん、それが似合っているよ♪」

提督「…古鷹」

古鷹「…提督」

古鷹「…///」

提督「…」スッ


204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:41:15.01 ID:zwG5od/80
翌日

〜執務室〜

女提督「ええー!?」

長門「…声が大きいぞ」

女提督「あ、ごめんなさい! でも、えー!?」

女提督「提督がこの鎮守府に再着任出来たのは嬉しいですけど…」

女提督「私が新しい鎮守府の提督に着任!? ちょ、どういう事ですかこれ!」

陸奥「あら、案外近い鎮守府なのね。演習とかでお世話になりそう♪」

女提督「そんな事言ってる場合じゃないですよ! しかもその鎮守府が完成するまでここの提督の補佐って…」

長門「まあ二人とも提督を続けられるし、その補佐なんて良い機会ではないだろうか? あなたのような者を手放さなかった大本営の判断も正しいしな」

女提督「い、いきなり褒めないでくださいよもう…」

陸奥「一人の為にあそこまで本気になった事が、あっちにとっては結構好評だったらしいわね」

女提督「…そう、ですか…///」

長門「まあ何はともあれ、もう少しの間、よろしく頼むぞ」

女提督「は、はい…」

陸奥「それともこの鎮守府じゃ不満?」

女提督「そ、そんな事ないですよ! 寧ろ勿体無いくらいです!」

陸奥「そう? なら良かったわ♪」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:42:13.62 ID:zwG5od/80
衣笠「で、昨日はその後どうしたの?」

提督「? 特に何もなかったが…」

青葉「えぇ!? それはないですよ司令官! 告白して成功したその日の夜はですねぇ…」

古鷹「あ〜お〜ば〜! 提督に余計な事言わないでよ〜!///」

青葉「もぉ〜、二人とも初心なんですから!」

古鷹「青葉の気が早すぎるのっ!///」

青葉「…因みにキスはしました?」

提督「キス? それは…」

古鷹「提督も言っちゃダメですぅ〜!///」ダキッ

提督「うおっ!」ガタッ

ドシャーン

青葉「ひゃぁ、古鷹さんってば大胆!」パシャパシャ

衣笠「タチ悪いなぁこの姉は…」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:44:42.09 ID:zwG5od/80
古鷹「ごめんなさい提督…///」

提督「大丈夫大丈夫」

提督「…そうだ、みんな。折角の夏だし、鎮守府内でお祭りでもしようか!」

青葉「お祭り!?」

提督「ああ、屋台を開いたりしてさ。たまには良いだろ?」

青葉「おおー! なら早速広めましょう!」

提督「女提督も参加してくれよ?」

女提督「わ、私も!?」

提督「鎮守府を離れるまではここの一員だからな」

女提督「あ、ありがとうございます!」

提督「それと古鷹には確かあの時の浴衣が…」

加古「浴衣?」

古鷹「あー! まだ誰にも言ってなかったのに!///」

提督「そ、そうなのか?」

衣笠「えぇ〜、可愛かったのにどうして…」

青葉「!」

古鷹「え?」

衣笠「…あ」

古鷹「…何で、衣笠が知って…」


衣笠「…って、青葉が…」

青葉「衣笠!?」

古鷹「…」

古鷹「あーおーばー!」

青葉「えー!?」

衣笠「…ごめん、青葉…」

加古「あはは! 人の事言えないなぁ衣笠も!」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:45:44.62 ID:zwG5od/80
青葉「ご、ごめんなさーい! でも浴衣を見たらすぐ帰りましたよ! 邪魔だと思って!」

古鷹「そういう問題じゃないの! もう…」

古鷹「大体ね、青葉はいつも…」ガミガミ

提督「まあまあ…古鷹もその辺で…」


衣笠「あらら、なんだか見た事あるような光景…」

加古「それくらい元に戻ってきたって事だよ、多分」

衣笠「それにしてもあの二人、相思相愛になってもまだまだ進展には時間がかかりそうだね…」

加古「んー、そう…かなぁ…?」

衣笠「え?」

加古「いや、よく分からないけどさ…吹っ切れたというか、提督と古鷹の間には今までの壁がなくなったというか…」

加古「…気持ちが届いたなら、あとはすぐだよ。きっと」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:48:29.61 ID:zwG5od/80
古鷹「じゃあ今度から気を付けてね!」

青葉「は〜い…」

青葉「…では、次こそ皆さんにお祭りの事を伝えてきます!」

青葉「古鷹さんの浴衣の事はまた後で!」ビューン!

古鷹「あっ! もう…全然懲りてないなぁ…」

提督「…」クラッ

古鷹「!」ダキッ

提督「おっと…あぁ、ありがとう、古鷹…」

古鷹「…いえ、大丈夫ですか?」

提督「…ああ」

古鷹「…我慢しないでくださいね? …私が、支えてあげますから」

提督「…ありがとう」

古鷹「…いいえ♪」

提督「さて、お祭りの事を考えるのも良いが、取り敢えず間宮さんの所でも行くか!」

提督「いやー、こうも暑いとやる気も出ないしな!」ギュッ

古鷹「! はい!」ギュッ

スタスタ

衣笠「…確かに、加古の言う通りかもね…あーもう、暑いなら手を握らなくても良いのに! …なんて!」

加古「な? …あーあ、提督が兄になったら何してもらおうかなー!」

衣笠「もー、そんなんじゃまた古鷹に怒られるよー?」

提督「おーい、お前らも食べるかー!?」

衣笠「! 食べるー!」ビューン

加古「おぉ…速ぇ!?」

加古「ちょっ、待てってー!」


古鷹「…提督!」

提督「…なんだ?」

古鷹「…ちゃんと私の声、届いてますか!?」

提督「…ああ!」ニコッ

古鷹「えへへ♪」ニコッ



終わり
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 16:49:21.96 ID:zwG5od/80
駄文でしたがここまで見てくださった方々、ありがとうございました!
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 17:02:00.31 ID:SwBTQbOwo
お疲れ様です。
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 17:31:43.18 ID:7Cthg235o

古鷹かわいい
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 20:44:29.88 ID:KBZGiTEv0
ifストーリーとか欲しい!
もしくは提督の聴力が戻らないversionとか
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 22:29:47.46 ID:SKSRyiRK0

これは良いSS
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/30(日) 03:52:04.31 ID:vsIJp9Rgo
よかった
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/30(日) 15:45:06.74 ID:yQ4WSPdG0
めっさ感動した
>>1の過去作とかきになる
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/31(月) 13:26:01.04 ID:TlA7M9AvO
そこから古鷹が轟沈してからのssはよ
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/31(月) 13:37:48.66 ID:bxBoRwZTo
>>216
君がかけ
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/19(土) 06:46:49.92 ID:+7h6mwA9o
大団円で良かった
良作おつです
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 23:54:30.29 ID:bdsLHra1O
素晴らしい良作
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