モバP「終わりから始まるヒナの物語」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:30:20.71 ID:qTd8CkOQ0
モバP「よっ!三回目ともなると慣れるもんだな」

比奈「そッスね。アタシとしてはいつの間にかソファで寝てる人に軽くビクつくんスけどね」

モバP「だからって、起こすのにスリッパで叩くのはどうかなぁと思う訳よ」

比奈「前二回とも喧嘩してるのに急に消えるからッスよ」

モバP「意外と好戦的ね……」

比奈「……すぐ居なくなっちゃう方が悪いんス」

モバP「一回目は結構居たろ」

比奈「……なかなかこっちに来ないし」

モバP「そう言われても。なんか事務所で寝たらこの夢を見るようだけど、基本家で寝るからね」

比奈「……プロデューサーはもっと仕事を増やすべきッス。それこそ家に帰れないくらい」

モバP「ひでぇ!週一でも事務所に泊まるのは異常なんだぞ!それが最近は3,4日に一回……おおぅ……もぅ……」

比奈「だって……」

モバP「わかったわかった。今日はだいぶ疲れてたし、早めに寝たから長く居れると」


―――


モバP「……ん。便所……」

モバP(夢って一瞬で忘れるなぁ。なんか見てたんだけどな……ま、いっか)


モバP「ふぅ。…………寝よ」


―――


バーン!!


比奈「言ってるそばから消えるってどーゆー了見スか!?」

モバP「うわぁ。スパーンじゃなくてバーンって鳴ったよ?そのスリッパ」

比奈「その程度で済んで感謝して欲しいくらいッスよ!!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:31:44.03 ID:qTd8CkOQ0
モバP「うん、流石にタイミング悪かった。ごめん。でも、生理現象は仕方ないと思うんだ」

比奈「っ……。はぁ……もういいッスよ」

モバP「理解していただけて何より。にしても〜そんなに〜感情的になるなんて〜そんなに俺と居たいの〜?ひなさ〜ん?」

比奈「………………。それじゃ、この前の続きするッス」

モバP「う〜ん……はしゃいだ結果、スルーされるのはキツイと知れ?」

比奈「うるさいッスよ。ほら、ダメ出しするんでしょ?はよう」

モバP「いいけど、あんまり怒らないでね?」

比奈「……善処するッス」

モバP「じゃあ、まず……これ、許可とった?実名バンバン出てるけど」

比奈「それはほら……同人ってグレーなとこあるじゃないッスか」

モバP「おいおい」

比奈「冗談ッスよ。みんなオッケーしてくれたし、社長にも許可得てたりするんスよ。我ながらよくお願い出来たなと思うッス」

モバP「……俺は聞いてないんだけど?」

比奈「ははっ」

モバP「え、なにその笑い」

比奈「765さんにも許可得てるんで安心して下さいッス」

モバP「……俺への許可は?」

比奈「ははっ」

モバP「……。このキャラ崩壊って何?」

比奈「予防線ッス!怒られない為にっ!」

モバP「日和ったってことね」

比奈「いやいや、繊細な人を傷つけない為でもあるんスよ?○○ちゃんのイメージがぁ……ってならないように!もしかしたら、モデルになってくれた子達も自分とのギャップにショックを受けるかもしれないッスから」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:32:37.39 ID:qTd8CkOQ0
モバP「なるほど、読者とモデルへの配慮って訳か。けどさ……俺のモデル、いきなり存在が崩壊してるよね」

比奈「ははっ」

モバP「……。その乾いた笑いヤメよ?またバトルが始まるよ?」

比奈「望むところではあるんですが、今回はちゃんと感想を聞きたいので謝ってあげるッス。サーセン」

モバP「てめぇ……まぁいい。じゃあ……これ、なんの病気で逝ったの?」

比奈「さあ?」

モバP「さあって」

比奈「医療漫画じゃないんだから、それっぽい感じで描いてたら勝手に脳内補完してくれると思うんス」

モバP「ふんわりしてんなぁ。取材とかせんのん?」

比奈「してるッスよ?芳乃ちゃんとみりあちゃんのくだりとか、765さんの逸話とか、加蓮ちゃんの話とか」

モバP「加蓮?出てたっけ?」

比奈「あぁ、熱中症の話ッス。加蓮ちゃんが倒れて割とマズイ状態だったとき、茄子さんが手を握っててくれたおかげで帰って来れたって言ってました」

モバP「何それ!?加蓮倒れたの!?初耳なんだけど!?帰って来れたってどういうこと!?」

比奈「加蓮ちゃんが固く口止めしてたッスからね。心配させ過ぎてプロデューサーの重荷になっちゃうのは嫌だからって。みんなはもちろん、ちひろさんも気持ちを汲み取って黙ってたんス。ちひろさんの口の堅さはホント信頼出来るッスね」

モバP「最近ちひろさんが加蓮の様子をよく聞いてくるのはそれでか。他の子の事もよく見る様に念を押してくるんだよな……。ていうか、お前言っちゃってるけどいいの?」

比奈「プロデューサー起きたら忘れるじゃないッスか……。けど、ごめんなさいッス加蓮ちゃん……ちひろさん」

モバP「そうか……。くそぅ……起きても何も気付いてないままか」

比奈「……はいはい、次いきましょうっス」

モバP「……だな。えっと、この退任会見のシーンだけど、346プロの社長をするなら芸能活動と兼任なんて絶対無理だぞ?みりあがどうこうって意味じゃ無くてな」

比奈「そこはロマンじゃないッスか。トップアイドルにして企業のトップ!私最強っ!!」

モバP「68歳でトップアイドルっていうのもシビれるけど……そこはもういいや。けど、先代がちひろさん……これは駄目!怖いっ!!」

比奈「……きっと今よりいい会社にしてくれるっス」

モバP「俺にとっていい会社かどうかは分からんでしょ!給料スタドリになったらどうすんの!」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:34:28.13 ID:qTd8CkOQ0
比奈「流石にちひろさんに失礼ッスよ。んで、あとはラストシーンだけッスけど、まだ何かありますか?」

モバP「うん、一番大事なとこが残ってる。この……ハッピーエンドは納得いかないっ!!」

比奈「え〜?感動の終わりじゃないッスか〜。そりゃ最後は息を引き取りましたけど、それをバッドエンドっていうのはどうなんスか?」

モバP「違うっ!そもそも始まりがおかしいんだよ。『いつまでもみんなを笑顔にする元気なアイドルでいること』これ、完全に呪いじゃん。みりあ、俺の言葉にずっと囚われてるじゃん」

比奈「なんてこと言うんスか!この物語の根本ッスよ!?」

モバP「だって結婚もせず死ぬまでアイドルとか……。俺はみりあには幸せになって欲しいのっ!」

比奈「作中のみりあちゃんは幸せでしたよ!それをたかだか読者の分際でキャラに価値観を押し付けるとは図々しいッス!」

モバP「それをいうなら、作者の分際でキャラの心情を決めつけて欲しくないねっ!」

比奈「むぅ……!」

モバP「ここは退かんぞっ!」

比奈「……はぁ。まぁ、プロデューサーの言いたいことも分かるッスよ?でも、キャラ崩壊のくだりでも言いましたけど、繊細な方への配慮って意味もちょーっとはあるんス」

モバP「配慮ってそんな」

比奈「じゃあ、正直に答えてくださいッス。凛ちゃんの結婚会見のとこ……少しイラっとしたでしょう?」

モバP「……いや?」

比奈「……その間がどういった意味を持つのかは聞かないで置くッス」

モバP「な、なら、なんで凛の結婚設定は入れたんだ?配慮っていうなら……」

比奈「……凛ちゃんたっての希望ッス」

モバP「は?」

比奈「裏設定でお相手はプロデューサーということになってるッス」

モバP「はぁ!?じゃあ、みりあのプロデューサーは俺じゃないの!?うわっ!色々と恥ずかしいんだけどっ!!」

比奈「いえ……みりあちゃんのプロデューサーもちゃんとあなたッス。少なくともみりあちゃんはそのつもりッス」

モバP「……は?」

比奈「モバPは複数いる……」

モバP「なにそれ怖い」

比奈「というように、人によって捉え方は変わるのでこの結末もなんら問題はないってことッス」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:35:32.24 ID:qTd8CkOQ0
モバP「うそ……この子強引……」

比奈「完全論破ってことで、しゅーりょー」

モバP「えぇ……」

比奈「それじゃ、これで入稿するんであとはプロデューサーに任せるッス」

モバP「……何を?」

比奈「あ、データはこのメモリーカードに入ってるんで」

モバP「いや、だから何を?」

比奈「夏コミの申し込みと、受かった場合の売り子とその他もろもろの手配。印刷は……覆面で宣伝もしないッスからね、50部でお願いするッス」

モバP「……キミは何を言ってるの?」

比奈「いやいや、分かってるッスよ?50は多過ぎだって。正直5部も売れれば御の字ッスよね。残りは協力してくれたみんなに配ろうかなっと思ってるんス」

モバP「違う違う。そうじゃない。何で俺が任されてんの?」

比奈「……アタシじゃ色々と無理なんス」

モバP「確かに売り子で参加したらパニックになりかねんけど」

比奈「アイドルだから無理とかじゃなくて……。お願いッスよ。少しでも悔いは残したくないんス」

モバP「どういうこと?」

比奈「……そういえば、プロデューサー起きたら忘れるんでしたね。じゃあ、お願いしても意味ないッスね」

モバP「比奈?」

比奈「そうだ!プロデューサーのパソコンにこのメモリーカードをぶっ刺しとけば、現実に反映される可能性がワンチャンあるかもッス!」

モバP「おーい。いきなり俺の存在を無視されると軽いホラーを味わうんだけど」

比奈「……失言したんスから空気読んでくださいッス。どう見ても誤魔化してるでしょ」

モバP「えぇ……」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:36:07.48 ID:qTd8CkOQ0
比奈(……にしても、この世界とアタシの言動で察することが出来そうなもんスけど……。アタシの隠しておきたい気持ちがプロデューサーに影響してるんだろうな。やっぱりこの世界はアタシの……)

モバP「な、なに?そんなに見つめられると照れちゃう」

比奈「……はっ」

モバP「……気持ち悪かったからって、そんな吐き捨てるような笑いは駄目でしょーよ」

比奈「吐き捨てるようなじゃなくて吐き捨ててるんス」

モバP「……上等だ。何を誤魔化してるんか知らんがあえて乗ってやろう。今日こそ屈服させてやる」

比奈「どうやって?」

モバP「え!?それは、ほら……お尻ペンペンとか?」

比奈「うわっ!変態ッス!!やっぱ変態ッスー!!ナチュラルにお尻を対象にしてきたッスー!!」

モバP「ち、ちがっ!!今のは冗談!!あ、あれだ!シッペとかデコピンだよ!!」

比奈「は〜……すぐ日和るんスね。ちょっと引かれたくらいで情けないッス。プロデューサーってヘタレッスよね」

モバP「な!?んなことあるかいっ!やったらぁ!!ケツ出せやぁ!!」

比奈「ひぃ!煽ったら本性を出してきたッス!ほとんど野獣っす!性の暴れん坊ッスー!!そんな人だとは思わなかったッスよー!!」

モバP「お、おまっ!なんなのおまえはぁ!!」

比奈「あははっ!プロデューサーは面白いッスねー!」

モバP「もー許さん!変態だろうがなんだろうがそのケツをシバくっ!覚悟せぇやぁ!!」

比奈「いいッスよ〜。捕まえることが出来るのなら甘んじて受け入れるッスよ〜。プロデューサーの変態性をやさしく包み込むように受け入れてあげるッス〜」

モバP「吐いた唾は飲めんからなっ!……あ!また飛びやがった!!卑怯だぞっ!!」

比奈「ジャージのアタシは最強ッスよ〜」

モバP「この……っ!」

比奈「あははっ!」


―――
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:37:27.79 ID:qTd8CkOQ0


……サー…………ロデューサー……プロデューサー


北条加蓮「プロデューサー!」

モバP「比奈ぁ!!…………あ?」

加蓮「……北条です」

モバP「あ、ああ……またこのパターンか……。おはよう、加蓮」

加蓮「ん、おはよ」

凛「……ねぇ」

未央「おっと。般若」

卯月「阿形だよ」

神谷奈緒「二人共慣れてるな」

凛「私の時と対応が違うんだけど?」

モバP「なにが……って、加蓮!お前のことを秘密にされるほうが俺は……!」

加蓮「え、え?」

モバP「俺は……何?」

加蓮「恋人……かな?」

凛「!」


奈緒「すげぇな加蓮。即座に乗っかったぞ」

未央「しぶりんの表情がもう例えらんない」

卯月「!」

奈緒「ふ、ふふ……顔で例えるなよ……んふふ」


凛「卯月……後でおしおき」

卯月「!!」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:38:10.58 ID:qTd8CkOQ0
凛「加蓮。冗談でも言って良い事と悪い事ってあるんだよ?」

加蓮「ごめんね凛。プロデューサーは秘密にされるのが嫌なくらい私のことが好きみたい。私もプロデューサーのこと好きだからイコール恋人になっちゃうの。もう一回言うね?ごめんね凛」

凛「寝ぼけて混乱してる人の発言を本気にしてむなしくないの?」

加蓮「建前とか打算とかないフラットな状態での発言とも言えるよね」

凛「……」

加蓮「……ふふ」

モバP「ふわぁ……シャワー浴びよ……」


奈緒「Pさんもすげぇな。まったく相手にしてないぞ」

未央「お互い本気じゃないって思ってるんでしょ。甘いよね」


モバP「あぁ、加蓮。秘密って、たぶん夢の中で体調のことを隠されてたとかそういう事だと思う。変な意味はないから安心してくれ。じゃ、また後で」

凛「……ふふ」

加蓮「……」


奈緒「うーわー、火に油。そして自分はとっとと離脱」

未央「二人の行く末が気になるとこだけど……しまむー、ストップだっ!!」

卯月「な、なにかな?流石にもう覗こうなんて……」

凛「っ!」

卯月「り、凛ちゃん!?」

凛「フッ!」

卯月「や、まっ……ぅっ!」


奈緒「トルコ刈りするアイドルなんて初めて見たよ……」

未央「トルコ刈りとかいう技を知ってるかみやんも大概だよ」


加蓮「……」

卯月「か、加蓮ちゃん!助け……え!?なんで撮ってるの!?」

加蓮「……」

卯月「しかも動画だっ!や、やめっ!動けないっ!!未央ちゃん、奈緒ちゃん!助けてっ!!」

奈緒「……なんか飲む?お茶淹れてくるけど」

未央「あ、私も行くよ。おいしい紅茶があるんだー」

卯月「ちょっ!あ゛あ゛あ゛っ!!」


―――――――――

――――――

―――

41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:39:55.83 ID:qTd8CkOQ0
モバP「さて、比奈さんや」

比奈「……なんスか」

モバP「俺としては前回ケツをシバキ損ねて、今回こそはと決意を新たにしてるんだけど」

比奈「……変態」

モバP「うん、そう。変態と誹られても仕方ない事言ってる俺だけども。そうやって涙目で手を繋がれたら、心の置き所がわかんない」

比奈「……プロデューサーは勝手ッス。はしゃいでる時に急に消えられる辛さをわかってないッス」

モバP「そう言われても……」

比奈「それだけじゃないッス。前回も言ったのにまた日を空けたッス」

モバP「……まさかと思うけど、俺が居なくなってもずっとここに居るの?」

比奈「そんな訳ではないッス。プロデューサーが居なくなってちょっとしたらぼんやりと全てが曖昧な感じになって、次に気付いたらプロデューサーが寝てるんス」

モバP「良かった……。ずっと夢の世界に閉じ込められてる訳じゃないんだな」

比奈「良くないッス……。カレンダーを見た時、一週間経ってて……アタシ……アタシ……ぅぅ」

モバP「うん。ゆっくりでいいから。不安な事があるんなら、溜め込まずに少しずつでも吐き出していこうな?」

比奈「…………アタシに残された時間が……もう……」

モバP「……残された時間?……ぁ……いや、これは夢で……」

比奈「………………。3時間くらいッスかねぇ!!今までの統計からしてっ!!」

モバP「……は?」

比奈「でも油断出来ないッスねぇ。プロデューサーの睡眠時間3時間もない時がありますからねー。ホントどんだけ社畜なんスか」

モバP「おまっ……!あんな言い方するから最悪な展開を想像して……して……。ん?どんな想像したんだ?」

比奈「……。気にしなくていいッスよ。それよりもっ!!」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:40:45.26 ID:qTd8CkOQ0
モバP「な、なんだよ」

比奈「プロデューサーの社畜根性からして、今回アタシに残された時間はわずかッス!!」

モバP「しゃ、社畜じゃないもん!」

比奈「きもい!ということで、前回ゴタゴタした所為で忘れてたメモリーカードをプロデューサーのパソコンにドーン!!」

モバP「ねぇねぇ。雑な突っ込みヤメよ?Pちゃん悲しい」

比奈「ホントきもい!そして電源オーン!」

モバP「ホントひでぇ。……この夢は電気通ってるんだな」

比奈「蛍光灯が点いてるんだからいまさらッスよ。えっと……デスクトップにファイル置いとけば気付くッスよね?」

モバP「そらまぁ。ただ、それが現実に反映されればな」

比奈「駄目元ッスから。もし上手くいったら夏コミよろしくッス!」

モバP「起きたらこの夢忘れてるのに無茶ぶりッスよ」

比奈「まーまー。プロデューサーなら気合いでなんとか出来るっスよ……っと」

モバP「適当な……って、何してんの?」

比奈「性癖チェック。この衣装資料ってフォルダが怪しいッスね」

モバP「っ……。その名の通りただの資料だって。ていうか、人のパソコンを弄るのはどうかなーって。ましてや仕事用のパソコン」

比奈「これ夢ッスから。それにただの資料ならアタシが見ても問題ないッスよね?やましいことなんて無いんでしょ?」

モバP「ないけど、そこはほら仕事には機密が付きもので……」

比奈「……ん〜。cu.1 pa.1 co.1……いっぱいあるッスねぇ」

モバP「普通に開くなよぉ。けど、これで分かったろ?ホントにただの資料って」

比奈「……この pa.ex が怪しいッスね」

モバP「やめろぉ!!機密は外部に漏らしたら責任問題になるんだぞっ!!」

比奈「ビンゴッスね!その反応!pa.exって何をパッションさせてるんッスかねぇ!さあ、癖チェーック!!」

モバP「そんな下ネタ言う子に育てた覚えはない……って、ホントやめてやめて!」

比奈「その手を放すッス!!これはプロデューサーの癖を知る事によって自衛する意味もあるんスから!」

モバP「どういう意味だこらっ!やらせん、やらせんぞっ!!」

比奈「うぐぐっ!!」

モバP「こ、この……!ホントやめろやぁ!!」


―――
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:41:38.74 ID:qTd8CkOQ0


……サー…………ロデューサー……プロデューサーさん


千川ちひろ「プロデューサーさん!」

モバP「比奈ぁ!!…………あ?」

ちひろ「……千川です」

モバP「あ、ああ……社長。おはようございます」

ちひろ「誰が社長ですか。ほらほらお仕事の時間ですよ。さっさと顔洗うなり、シャワー浴びるなりしてください」

モバP「は、はい。……なんで社長なんて言ったんだ?おっそろしいな……」

ちひろ「なにか言いました?」

モバP「なんでもないッス!シャワー浴びてきます!」

ちひろ「まったくもう……」



モバP「……ん?なんだこのファイル」

ちひろ「どうしたんです?」

モバP「文字化けした見知らぬファイルがあるんですけど……」

ちひろ「ホントに覚えがないなら削除が妥当ですけど」

モバP「う〜ん……。まずありえないと思いますけど、大事な物がバグって文字化けしてる可能性もあるんですよね」

ちひろ「そうですねぇ。それじゃ、セキュリティソフトでスキャンして問題ないようなら、このノートPCに移して見てみましょう」

モバP「いいんですか?」

ちひろ「はい。使わなくなった予備ですから」

モバP「すいません、じゃあ遠慮なく。……ウイルスなどは無いようですね。じゃあ、移します」

ちひろ「……どうです?」

モバP「PDFですね……漫画?」

ちひろ「……あ、これ……」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:42:57.00 ID:qTd8CkOQ0
赤城みりあ「たっだいまー!プロデューサー!みりあ、凛ちゃんとお仕事頑張ったよー!」

凛「ふふ。お疲れさまです」


モバP「おー。おつかれー。凛、お守ありがとなー」

みりあ「むー!子供扱いしちゃダメっ!……何してるの?」

モバP「お仕事してんのよー」

みりあ「えー。漫画見てるのに……あ!これ比奈ちゃんの絵だっ!」

凛「あぁ。完成したんだ」

モバP「二人共知ってんの?」

凛「夏コミに向けてジックリ書きたいんだけどって出演?のお願いされてね。社長の許可も得てるからーって」

みりあ「みりあが主役のやつ!?読みたい読みたーい!!」

モバP「……社長の許可?みりあが主役?ちひろさん知ってました?」

ちひろ「えぇ。実は私も出演してたり……」

モバP「マジっすか……」

みりあ「ねーねープロデューサー!早く読もうよー!」

モバP「わかったわかった……どうせだったら印刷するか」



モバP「これはまた……。俺はどう反応したらいいんだ」

凛「ふふ……幸せになろうね?」

モバP「どした?急に」

凛「この結婚会見の一般男性ってプロデューサーの事だよ?」

モバP「……え?」

凛「比奈さんにお願いしたの。相手はプロデューサーでねって」

モバP「うわ……色んな意味でめっちゃ恥ずかしいんだけど……みりあのプロデューサーとばかり……」

みりあ「……ん」

モバP「みりあ?なんで膝の上に座る?」

みりあ「……えへへ」

モバP「えへへ?」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:44:10.30 ID:qTd8CkOQ0
ちひろ「あらあら。ちょっと影響されちゃったかな?」

モバP「……みりあ。この漫画でお亡くなりになったのは別のどこかのプロデューサーらしいぞ?」

みりあ「……みりあのプロデューサーはプロデューサーだけだもん」


凛「みり」

ちひろ「凛ちゃんダメ。大人になろう」

凛「……まだ何も言ってないじゃん」


モバP「そうだな。まあ漫画だから、あんま気にすんな?」

みりあ「……別に気にしてないもん」

モバP「そっか。にしても、この漫画のみりあすごい人生だなぁ。社長にまでなっちゃってるよ」

みりあ「あはは。ちひろさんの跡目を継いじゃった!」

モバP「……なぁ。ちひろさんも社長だったことにホラー感を味わっちゃったよ」


ちひろ「おい」

凛「ちひろさんダメ。大人になろう」

ちひろ「……ここで意趣返しされるとは」


モバP「最初と最後のシーンで積み上げゲームが出てくると少しやりたくなるな。よし!久しぶりに新記録に挑戦してみるか?」

みりあ「……みりあやんないよ?」

モバP「やんないの?」

みりあ「プロデューサーもやっちゃダメだよ?」

モバP「なして?」

みりあ「ダメなものはダメ!」

モバP「え〜?」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:44:50.80 ID:qTd8CkOQ0
みりあ「ん〜!ん〜〜!!」

モバP「あぁ、グズっちゃった」

ちひろ「みりあちゃんのなかで積み上げゲームが死亡フラグになってますねぇ」

モバP「みりあ〜?さっき気にしてないって言ってたろ?所詮漫画だぞ?」

みりあ「ん〜!ん〜!!ん〜〜〜!!」

モバP「み、みりあ。後頭部で攻撃はやめよう?ハートブレイクショットになってるからね?」

みりあ「むぅ〜!!!」

モバP「グリグリもやめよう!地味に肋骨が痛いっ!」

ちひろ「プロデューサーさん。後ろを拝見」

モバP「え?」


凛「……なにイチャイチャしてんの?」


モバP「うわっ!めんどクセっ!!」

凛「……ロリコン」

モバP「はいはい。好きに呼べよ、もう」

凛「……」

モバP「写真はダメだろ!?や、やめっ!」

ちひろ「……」

モバP「なんであんたも撮ってんだよ!!」

凛・ちひろ「「「……」」

モバP「やめろやー!みりあもピースするんじゃありません!!」

凛・ちひろ「「「…………」」

モバP「しつこいってー!!」



―――――――――

――――――

―――
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:46:12.68 ID:qTd8CkOQ0
モバP「―――その後、事務所に来た奴らみんな読んだけど、わりかし好評だったぞ?」

比奈「良かったぁ。ただみりあちゃんには余計なトラウマを与えちゃったッスね……」

モバP「トラウマってほどではないと思うけど、まぁ事前にどんな内容かは言っとくべきだったな」

比奈「……ッス。反省ッス」

モバP「あと、俺がロリコン扱いされたことも反省して?」

比奈「まるで意味がわからないッス」

モバP「……」

比奈「なんでそこで黙るんスか。それについてはプロデューサーの対応ミスだと思うッス」

モバP「いや、今日は最初っから機嫌いいなと思ってな」

比奈「連チャンで来てくれたっスからね〜」

モバP「それって、イコール俺の仕事量がハンパないって事ッスよ?」

比奈「アタシにとっては良いことッスね!」

モバP「……。ホント俺のこと好き過ぎるんだから〜比奈ちゃんったらぁ」

比奈「そうかもしれないッスねぇ」

モバP「ひ、ひな?」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:47:09.76 ID:qTd8CkOQ0
比奈「なんたって、pa.exにあったエチィ画像、眼鏡とパーマがかかった子が心なしか多かった気がするんスよね〜。そりゃちょっと意識するってもんッスよ〜」

モバP「んな!?お前なに見てんの!?ていうか、お前の髪はパーマなんてもんじゃなくてただのボサボサだっ!!」

比奈「ステージ上がるときは軽くあててますー。んもー素直になるッスよー」

モバP「こ、この……!」

比奈「あはは!冗談ッスよ。でも、プロデューサーの事を好きッていうのは冗談じゃないッスよ?」

モバP「お、おちょくってからに!」

比奈「……ふふ。まぁ、そんなどーでもいいことより今日は遊ぶッスよ」

モバP「……遊ぶって、いつも遊んでるような気がするんだけど」

比奈「ちゃんとした遊びッス。そッスね〜……せっかくだから積み上げゲームどうっスか?」

モバP「ほう。もちろん罰ゲームはあるんだよな?」

比奈「……そんなにアタシを剥きたいんスか?」

モバP「最近のキミは下ネタが過ぎるよ?」

比奈「だってプロデューサーのいう罰ゲームって……そういう事しか……」

モバP「よし、わかった。今日は遊びじゃなくて説教だっ!!」

比奈「あぁ!嘘ッス、嘘ッスよ!いよっ!ミスター紳士!!」

モバP「はいはい。じゃあ、俺が勝ったらジャージはやめること」

比奈「変態紳士だったッスー!」

モバP「なんでだよ。普通にもう少しおしゃれしろってことだろうが」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:48:24.70 ID:qTd8CkOQ0
比奈「そうやってスカート穿かせてまたパンツを覗く気ッス!」

モバP「……そういうこと言ってるとマジで覗くぞコラ」

比奈「むぅ〜。じゃあ、アタシが勝ったら女装してくださいッス。ふざけた感じじゃなくてガチのやつ!」

モバP「……いいけど、意外と美人になるとか絶対ないぞ?漫画じゃないんだから」

比奈「当たり前じゃないッスか。なに自意識過剰気味な心配してるんスか?アタシはただただ気持ち悪いプロデューサーを心から笑ってやるんスよ!」

モバP「……オーケーオーケー。勝負だおらぁ!」

比奈「高く積み上げたほうが勝ちッスよ!じゃあ、スタート!」

モバP「スタートってどこに……うおっ!いつの間にかある!夢って凄ぇ!!」

比奈「制限時間は1分ッスから!」

モバP「え!?おま、ズル!」

比奈「もたもたしてるのが悪いんスよ!」

モバP「なめんなぁ!」

比奈「なぁ!なんスかその速さっ!チートッスか!!」

モバP「みりあと鍛えた俺の積み上げ力を甘く見てたな!!うははっ!」

比奈「積み上げ力って……!くぅ!」

モバP「ほらほらどーした?急がんとダブルスコアつけちゃうぞー?」

比奈「〜〜!!……あ、ああ〜!」


ガシャ


モバP「あぁ!?お前何ダイブしてんの!?」

比奈「謎の病気で倒れちゃったッス〜」

モバP「自分の漫画リスペクトすんな!」

比奈「これじゃ勝負は無効ッスね〜。残念ッス〜」

モバP「無茶苦茶いうなっ!」

比奈「あ〜あ〜」

モバP「転がんな!」

比奈「もう、どっちが積み上げたやつか分かんなくなっちゃったッスね〜。あれ?そうするとアタシが勝ってた可能性も出てきたのでは?」

モバP「あ゛あ゛!?」

比奈「なんスか?文句があるんなら証明してくださいッス。自分の方が積み上げてたって。出来るものならぁ!!あはは〜!!」

モバP「転がんなやぁ!てめっ……!」


―――
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:49:18.43 ID:qTd8CkOQ0


……サー…………ロデューサー……プロデューサー


宮本フレデリカ「プロデューサー!」

モバP「比奈ぁ!!…………あ?」

フレデリカ「そう比奈だ」

モバP「……おはよう、宮本」

フレデリカ「名字!新鮮!」

モバP「……元気ね」

フレデリカ「オール明けでね!ナチュラルハーイ!!」

モバP「……オール、ダメ絶対」

フレデリカ「今日オフだからへーきへーき!でも、ちょっと寝たいからそこ退いて」

モバP「……キミはもう少しアイドルの自覚を持って?」

フレデリカ「も〜。変なことはしてないからちょっとくらいいいでしょ〜。早く退いてよ〜、ね〜む〜い〜」

モバP「……漫画のフレちゃんはあんなにもいじらしかったのに」

フレデリカ「ひょ!?」

モバP「あのフレちゃん良かったなぁ。60歳でも凄い魅力的だったなぁ〜」

フレデリカ「で、でしょ〜?比奈ちゃんはフレちゃんのこと良く分かってるよね〜」

モバP「そうなの?」

フレデリカ「え!?そ、そうだよ?」

モバP「漫画のフレちゃんだいぶ俺に依存してた感じだけど?」

フレデリカ「あくっ!」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:49:50.72 ID:qTd8CkOQ0
モバP「そっか〜、フレちゃん俺のこと憎からず想ってくれてるのか〜。うれしいな〜」

フレデリカ「〜〜!!」

モバP「おおっ!珍しく照れてる!んはは」

フレデリカ「…………。けど、ホントに比奈ちゃんはフレちゃんのこと良く分かってるよ」

モバP「はは……は?」

フレデリカ「プロデューサー絶対居なくなっちゃ嫌だよ?……アタシ弱いんだから」

モバP「ふ、フレちゃん?」

フレデリカ「大好きな人が居なくなっちゃうと、アタシ忘れられずにずっと立ち止まっちゃうから。だから……ずっと傍に居てね?」

モバP「え、えっと……うん。なんていうか……」

フレデリカ「ぶふぅ!顔真っ赤ー!プロデューサーの方が照れてるー!!あははー!!」

モバP「なぁー!ちょっと本気にしたろーがぁ!!」

フレデリカ「え?別に嘘って言ってないよ?」

モバP「っ!」

フレデリカ「ぷふぃー!照れ度凄ーい!」

モバP「おまー!」

フレデリカ「あははっ!」


凛「イチャイチャすんなぁ!!」


モバP・フレデリカ「「!!」」

未央「よし、般若」

卯月「阿形だって」

奈緒「……お前ら、それ好きだな」



―――――――――

――――――

―――
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:50:35.78 ID:qTd8CkOQ0
比奈「ふふ〜ん」

モバP「楽しそうねぇ」

比奈「だって最近日を空けずに来てくれるんスもん」

モバP「何回も言うようだけど、その分俺激務なんだからね?」

比奈「お疲れ様ッス!肩揉んであげましょうか?」

モバP「ここにくると疲れが無くなるから意味ないけど、頼むわ」

比奈「いッスよ〜。よいしょよいしょー」

モバP「……こういうボケ潰しは軽くパニックになるんですけど」

比奈「甘んじて受け入れることッスね。それにアタシにとっては意味があることなんで、ボケなんて知ったこっちゃねぇッス」

モバP「……機嫌良すぎて逆に怖い」

比奈「ふふ」


―――


比奈「はぇ〜。みんな凄いッスね〜。仕事のスケジュールぎっちぎちッス」

モバP「これを管理してる俺ってちょっとおかしいよね。どうやってんの?」

比奈「それはちひろさんがプロデューサーを……はっ!余計なことを口走るとこだったッス。危ない危ない」

モバP「……ねぇ。知らんがなみたいな突っ込み待ちだったんだけど、そういうのヤメて?冗談として処理出来ないの」

比奈「……」

モバP「や、やさしく微笑むなや!」

比奈「ぶはははっ!」

モバP「爆笑しろって意味じゃねぇ!」


―――

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:51:12.04 ID:qTd8CkOQ0
モバP「積み上げゲーム以来、服が毎回変わってるよな」

比奈「まぁ、一応負けは認めたってことッスよ」

モバP「その律儀さは感心するとこなんだけど……」

比奈「なんスか?」

モバP「その服どっから?」

比奈「え?頭の中で思い浮かべて……」

モバP「変身的な?」

比奈「……もしかしてアニメのような変身バンクを期待してるんスか?」

モバP「べ、べつに?」

比奈「うわ……」

モバP「ひ、引くなや。べつにって言ってるでしょーが!」

比奈「そッスか。見せてあげてもいいかなって思っ」

モバP「ぜひ!」

比奈「……んふ。こんなしょーもないノリで笑っちゃったから、特別に見せてあげるッス」

モバP「え!?すまん!冗談だって!流石に全裸を見るのは……」

比奈「とーう!ジャージにメタモルフォーゼ!」

モバP「……光ってるね。それはもう何も見えないくらい輝いてるね」

比奈「アニメでも大抵そうでしょう?そうじゃないといくらノリでも流石に恥かしいッスよ」

モバP「え?これは恥ずかしくないの?」

比奈「だって今のアタシ輝いてる!アイドルの星ッスよ!ふははー!」

モバP「……身体のラインはめっちゃはっきり見えてるけど」

比奈「……ふぃぃ」

モバP「急激に照れんなや」


―――

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:51:56.32 ID:qTd8CkOQ0
比奈「……おはようッス」

モバP「おぉ、おはよう。今日はどうするよ」

比奈「ん〜。プロデューサーが仕事してるとこ見てたいッス」

モバP「え!?夢の中でも仕事!?」

比奈「ほら、事務所に泊まるくらいだから仕事いっぱい残ってるんじゃないんスか?」

モバP「残ってるけど夢じゃん!ここでやっても不毛過ぎるじゃん!」

比奈「アタシの漫画は現実に反映されたんスから、ここで仕事しても無駄じゃないッスよ」

モバP「ひなさ〜ん……あれ文字化けしてたしどんな感じで反映されるか分かんないッスよ〜。なにより、夢でまで仕事したくないッス〜」

比奈「いいじゃないッスか〜。プロデューサーが仕事してるとこ見ておきたいんスよ〜。今日だけッスから……」

モバP「……わかったよ。けど、ここで出来ることなんてスケジュール調整とか企画書の見直しくらいだぞ。そんなん見て楽しいか?」

比奈「いいんスよ。ほらほら、働く男のカッコイイとこ見せてくださいッス」

モバP「よーわからん奴だな……。よし!やるからには真剣にするか!」

比奈「その意気ッス!……ふふ」


―――


モバP「五日ぶりだな」

比奈「……そうッスね」

モバP「怒ってはる?」

比奈「ちょっと……寂しかっただけッス」

モバP「そんなしおらしくされると罪悪感が……」

比奈「……。今日は女の子の日なんス」

モバP「下ネタはやめなさい!」

比奈「あはは……。今日は駄弁って過ごしましょう?最近の事務所事情とか知りたいッス」

モバP「事務所事情?そうだなぁ……卯月がアルパカと―――」

比奈「……」


―――

55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:52:57.36 ID:qTd8CkOQ0
モバP「……起きた時、女の子が抱き付いてたら色んな意味で焦るわけですよ」

比奈「……ぅぅ」

モバP「比奈?泣いてんのか?」

比奈「……怖いッス……だんだん終わりが近づいて……ふぐぅ……プロデューサー……どこにも行っちゃ嫌ッスよ……」

モバP「……行かないよ。よしよし、怖くない怖くない」

比奈「ぅぁぁ……」

モバP「……」


モバP「落ち着いたか?」

比奈「……ん。でも、手は繋いでて」

モバP「うん。で……何かあったのか?終わりって……」

比奈「……ここに来てもう少しで一ヶ月……悔いを残さないよう、出来るだけ楽しくはっちゃけようって……けど……」

モバP「……うん」

比奈「……やっぱり一人じゃ抱えきれないッスね。ごめんなさいプロデューサー。嫌の気持ちにさせちゃうッス」

モバP「嫌の気持ちって……え?嘘だよな?終わりって……変な意味じゃないよな?」

比奈「はは……もう明かそうって思ったらすぐ察しちゃいましたね。アタシに都合がいい世界ッス」

モバP「なに……言って……」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:53:28.15 ID:qTd8CkOQ0
比奈「アタシ……明後日4月9日に……この世からさよならするんス」

モバP「え……」

比奈「三ヶ月前、妙に怠くなっちゃって病院に行ったんス。そしたら厄介な血の病気が発覚しまして」

モバP「そんなこと全然知らない……」

比奈「……社長とちひろさんは知ってるッス。けど、他の人には絶対に言わないでとアタシがお願いしたんス。特にプロデューサーには」

モバP「なんで……」

比奈「治療の副作用で……あまり見られたくないなと……。アタシも女の子ッスから」

モバP「……ごめん」

比奈「なんでプロデューサーが謝るんスか。ただのアタシのわがままなんスから。……黙っててごめんなさい」

モバP「けどっ……!」

比奈「……ちひろさんにも悪い事しちゃったスねぇ。治った加蓮ちゃんの口止めだけならまだしも、アタシの進行形が上乗せされたんスから」

モバP「……」

比奈「プロデューサー?」

モバP「あ、ああ!よく考えたらこれ夢じゃん!比奈が……なんて、ないない!俺ってば疲れ過ぎっ!はは」

比奈「……そうッス。夢ッス。これは最後にアタシに起きた優しい奇跡。アタシの望んだ世界」

モバP「ち、違う!これは俺の夢!現実には何も関係ない俺の夢!比奈は現実ではただサボって漫画書いてんだよ!」

比奈「……プロデューサー」

モバP「っ……」

比奈「無茶を承知で言うんスが……あと残り二日……一緒に居てください」

モバP「……約束……する……」

比奈「ふふ……優しい嘘にしちゃ駄目ッスよ……」


―――
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:54:40.51 ID:qTd8CkOQ0


……サー…………ロデューサー……プロデューサー


凛「プロデューサー!」

モバP「……凛」

凛「うん。凛だよ。ふふ」


卯月「最近、比奈ぁ!起きを期待してる私が居たんだけど、凛ちゃんのあの笑顔を見るとちょっとしか悔しくないね」

未央「ちょっとは悔しがるとこがもうね」

卯月「なにかな?」

未央「またトルコ刈りされるんだろうなぁって」

卯月「……凛ちゃんの笑顔を見ると嬉しくなっちゃう」

未央「遅い遅い」


―――――――――

――――――

―――
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:55:25.64 ID:qTd8CkOQ0
比奈「来て……くれた」

モバP「……約束しただろ」

比奈「ふふ……偶然なくせに」

モバP「……明日も絶対来るからな」

比奈「約束ッスよ?」

モバP「うん……約束だ……」

比奈「うん……」

モバP「……」

比奈「今日はこのまま手を繋いでおしゃべりするッスよ」

モバP「昨日と一緒だな」

比奈「昨日は滅入る話だったッスから、今日は楽しい話をするッス」

モバP「どんな?」

比奈「そこは男がリードして女を楽しませるとこッスよ?」

モバP「きびしいなぁ。じゃあ、凛が卯月にトルコ刈りしたのを見たヘレンさんが」

比奈「んふふ。その時点でもう楽しいッス。合格」

モバP「あざっす。それでな――― 」

59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:56:03.60 ID:qTd8CkOQ0
比奈「あはは。……こういう何でもないおしゃべりが一番幸せなのかもしれないッスね」

モバP「……そっか」

比奈「なんか昨日のことが嘘のように心穏やかッス。もう何も怖くない」

モバP「……」

比奈「う〜ん、すべったッスね。けど、本心ッス、ホントに怖くないッス]

モバP「……」

比奈「……明日が最後ッス」

モバP「それは……」

比奈「そうッスね。今日で最後かもしれないッスね」

モバP「そうじゃなくて!」

比奈「……プロデューサー。こんなアタシをアイドルに」

モバP「最後じゃないから!そんな事言うな!」

比奈「……ふふ。そうやって言うなら明日絶対来てくださいよ?」

モバP「……わかったから……別れの言葉なんて……言うな……」

比奈「はいはい。それじゃ、くだらない話の続きをしましょうっス。プロデューサーがあっちで起きるまで」

モバP「……ん!そうだな。それじゃあ、川島さんのアンチエイジング失敗談を」

比奈「全然くだらなくないッス!どういう事ッスか!?あはは!」

モバP「どういう事ってそりゃ――― 」


―――
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:56:41.02 ID:qTd8CkOQ0


……サー…………ロデューサー……プロデューサー


川島瑞樹「プロデューサー!」

モバP「うわっ!川島さん!?ごめんなさいっ!!」

瑞樹「……そのリアクション、なんか引っかかるわね」

モバP「す、すいません。ちょっとびっくりしちゃって……」

瑞樹「もう……。最近ここで寝泊まることが多いみたいだけど、ちゃんと家に帰って寝ないと駄目よ?」

モバP「え、ええ。でも、なんかここで寝たいんスよね。仕事も落ち着いてきたんですけどねぇ……」

瑞樹「それなら家で寝なさい。体を壊したらみんなが悲しむのよ?」

モバP「ッス。今日はちゃんと帰って寝るッス!」

瑞樹「よし!……あんまり心配させないでね?」

モバP「はい!ありがとうございまっす!」


依田芳乃「……」

みりあ「芳乃ちゃん?なにしてるの?」

芳乃「わたくしにできることをー」

みりあ「?」

芳乃「うつしよとかくりよの時間と距離の概念は違うゆえー」

みりあ「あ、漫画でそんな事言ってたね!」

芳乃「……あとは本人の気持ち次第ー」

みりあ「??」



―――――――――

――――――

―――

61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:57:38.31 ID:qTd8CkOQ0
モバP「っ!!」

比奈「遅いッスよ」

モバP「すまん!一回家に帰ってた!」

比奈「ははっ。じゃあ、帰ったのにまた事務所に寝に来たんスか。傍から見たらただの変人ッスね」

モバP「自分の第六感に従って良かった……」

比奈「それでどうッスか?この格好」

モバP「……いいね」

比奈「季節外れ感は拭えないッスけどね。麦わら帽と白のワンピース……ホントはひまわり畑でかくれんぼとかしたいッス」

モバP「ベタだな」

比奈「アタシの憧れッスよ。ベタ最高っ!」

モバP「じゃあ今度やろう。つきあってやるよ」

比奈「……そッスね。つきあってください。どうせなら、生まれ変わったら幼馴染になりましょう。それで許嫁にでもなりましょうか。うはぁ、これもベタッスねぇ」

モバP「……生まれ変わったらとかじゃなくて」

比奈「嫌……なんスか?」

モバP「言い方ズルいぞ……。嫌ではないって」

比奈「じゃあ決定〜!」

モバP「……ていうか、俺でいいんかい」

比奈「妥協してあげるッス!」

モバP「ははっ……きびしいなぁ……。じゃないって。俺は今の比奈とひまわり畑で遊ぶつもりだからな」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:58:36.89 ID:qTd8CkOQ0
比奈「……いじわるッスよ」

モバP「俺は諦めが悪いんだよ」

比奈「……どうにもなんないッスよ」

モバP「なんとかするから」

比奈「……」

モバP「だから……あえて言うぞ。誕生日おめでとう」

比奈「……覚えてくれてたんスね。ありがとうッス……。けどやっぱり複雑ッスよ」

モバP「なんでだよ。俺は来年も言うからな!再来年も!その次も、次も次も!ずっと言うからっ!」

比奈「あ、あはは……プロデューサーには困ったもんス。ほとんどプロポーズじゃないッスか……」

モバP「お、おい……」

比奈「あぁ……そろそろみたいッスね……透けてきちゃった」

モバP「ま、まって……」

比奈「それじゃ……最後はアイドルらしくいきましょうか」

モバP「だめだって……」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:59:05.47 ID:qTd8CkOQ0
比奈「こほん。……最後まで応援ありがとー!もう応援してもらうことは出来ないけど、アタシはいつまでも応援してるからねー!ずっとずっと大好きだよっ!!今までホントに、ホントーにアリガトー!!」

モバP「おいって……聞いてくれよ……」

比奈「……なんて、ガラじゃないッスね!けど、スッキリした―――これで、もう―――」

モバP「比奈?」

比奈「―――あぁ、楽しかったなぁ―――こんなに楽し――――――おかげ――――――」

モバP「聞こえんって……冗談やめろよ……」

比奈「―――」

モバP「なんだよ……なんで笑ってるんだよ……」

比奈「―――」

モバP「手を……振るなって……なぁ……」


バイバイ  


モバP「ひな?……比奈っ!!」





モバP「……ぁ」

モバP「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


―――
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:00:16.76 ID:qTd8CkOQ0
モバP「比奈ぁぁ!!!」

卯月「わっ!びっくりした!起こす前の比奈ぁ!起きだ」

モバP「………………卯月?」

卯月「はい!おはようござ……います……。プロデューサーさん涙が……」

モバP「え?ホントだ……なんでだろ」

卯月「悲しい夢でも見ました?」

モバP「泣くほどのか……ん?」


リーン


卯月「……?落ちましたよ。鈴」

モバP「鈴?」

卯月「はい、どうぞ」

モバP「あ、うん。……っ!?」


『夢の住人……みたいッス』『アタシの力作に対して、ダメ出しをしたいって言ってたことッスよ!』

『それじゃ、これで入稿するんであとはプロデューサーに任せるッス』『……この pa.ex が怪しいッスね』

『アタシ……明後日4月9日に……この世からさよならするんス』『アタシの憧れッスよ。ベタ最高っ!』

『ずっとずっと大好きだよっ!!今までホントに、ホントーにアリガトー!!』

65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:01:09.58 ID:qTd8CkOQ0
モバP「思い……出した……」

卯月「思い……出した!!」

モバP「すまん卯月!ちひろさんは!?」

卯月「あ、はい。もう来てますよ。あっちに……」

モバP「サンキュー!あ!茄子を呼んでてくれないか!?ここに大至急!!」

卯月「か、茄子さんですか?わかりましたけど……あ、行っちゃった……」


モバP「ちひろさん!!」

ちひろ「あ、おはようございます」

モバP「比奈の入院先は!?」

ちひろ「……どこでそれを」

モバP「説明はあとで!口止めされてるのも知ってます!けど、お願いします!教えてください!!」

ちひろ「でも……」

モバP「やれることは……やっておきたいんです!あの夢には絶対なにか意味があるはずなんです!」

ちひろ「夢?」

モバP「お願いします!お願いします!!もう時間が……!!」

ちひろ「……。もしもし?346プロまで一台お願いします」

モバP「ちひろさん……?」

ちひろ「○○病院です。今は何も聞きません。ただ……比奈ちゃんをよろしくお願いします」

モバP「あ、ありがとうございます!行ってきます!!」


鷹富士茄子「おはようございます。卯月ちゃんから連絡が……」


モバP「流石茄子!!タイミングバッチリ!……巫女装束!?」

茄子「はい。芳乃ちゃんが今日は神聖な服を着てくるのが望ましいかとーって、何か有無を言わせずって感じで。……ちょっと恥ずかしかったです」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:01:57.92 ID:qTd8CkOQ0
モバP「芳乃が?」

芳乃「でしてー」

モバP「うおっ!居たのか!」

芳乃「そなたー。それは良き魂に繋ぐ架け橋ー。想いを込め茄子と共に比奈の手へー」

モバP「……わかった!任せろ!」

茄子「比奈ちゃん?鈴?」

芳乃「わたくしはー、そなたらが過ごしたここで導きの音をー舞をー」

モバP「……大事な事なんだな!頼むっ!それじゃ茄子急ぐぞっ!」

茄子「え?え?」

モバP「あぁ!足袋かっ……!すまん茄子!担ぐぞ!!」

茄子「えぇー!?ひゃあ!!」


芳乃「気をつけて行くのでしてー」

卯月「……プロデューサーさんが茄子さんを姫抱っこ……」

ナニシテンノー!!

卯月「あ、凛ちゃんの叫び」

芳乃「さてー卯月ー。ここの机などを端に寄せててくださいー」

卯月「え!?なんで!?」

芳乃「舞うには少々手狭でしてー。わたくしは準備があるのでー、でわー」

卯月「舞う!?芳乃ちゃん!?ま、まって」

芳乃「頼むのでしてー」

卯月「私一人で!?」

芳乃「でしてーでしてーでしてー」

卯月「雑ドップラー!!」


67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:02:35.49 ID:qTd8CkOQ0
茄子「―――なるほど。それで私を」

モバP「加蓮の話を聞いて……ホントにすまん。急にこんなこと……」

茄子「何言ってるんですか。私の力が比奈ちゃんの助けになるのなら何でもしますよ」

モバP「そっか。ありがとう」

茄子「とは言っても、手を繋いで呼びかけることしか出来ないんですが……」

モバP「いやいや、もうすでに茄子さんパワー発揮されてるから。信号に一回も捕まらずいつもは混んでるこの道も何故かガラガラ」

茄子「ふふ。それなら良かったです」

モバP「……比奈」

茄子「……大丈夫です。比奈ちゃんはまだうつしよとかくりよの狭間にいると思うんです」

モバP「……え?」

茄子「プロデューサーさんとの夢の話……比奈ちゃんはここで終わる運命では無かったはずなんです」

モバP「……」

茄子「だから神様が今際の際に、比奈ちゃんの大切な場所……そして大切な人の夢に時を超えて送ってくれたんだと思います」

モバP「……」

茄子「そこで決めなさいと……自分が生くか逝くか」

モバP「……」

茄子「だから……比奈ちゃんが生きたいと思う限り大丈夫です。……ね?」

モバP「……うん。ありがとう、少し楽になった」

茄子「いえいえ。お姫様抱っこしてくれたお礼です。比奈ちゃんに感謝ですねー。流石私!ツイてます〜」

モバP「はは。なんだそりゃ」

茄子「ふふ。……そろそろですね」

モバP「うん。……運転手さん。着いたらすぐ出るんでお金は今渡します。お釣りはとっておいてください」

茄子「……待っててくださいね、比奈さん」


―――
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:03:04.07 ID:qTd8CkOQ0


楽しかった……なぁ……


『うわぁ。スパーンじゃなくてバーンって鳴ったよ?そのスリッパ』『変態だろうがなんだろうがそのケツをシバくっ!覚悟せぇやぁ!!』


ふふ、ろくでもないッスね


『ホント俺のこと好き過ぎるんだから〜比奈ちゃんったらぁ』『お、おちょくってからに!』


ホントアホッス……


『や、やさしく微笑むなや!』『よーわからん奴だな……。よし!やるからには真剣にするか!』


ホント……


『……行かないよ。よしよし、怖くない怖くない』『……約束しただろ』


……


『じゃあ今度やろう。つきあってやるよ』『俺は今の比奈とひまわり畑で遊ぶつもりだからな』


ぅぅ……


『あえて言うぞ。誕生日おめでとう』『俺は来年も言うからな!再来年も!その次も、次も次も!ずっと言うからっ!』


悔いなんて……ないはず……なのに……


なんで……なんでっ!!プロデューサーのばかぁ!!最後の最後にこんな気持ちにさせるなんてぇ!!


まだ生きていたいッスよ!笑い合ってずっとずっと……!みんなと……あなたと一緒に……まだぁ!!んぐぅ!!ぅぅぅ!!


リーン リーン リーン


ふぅぅ……ぅぅぅ……


リーン リーン リーン


……?


リーン リーン リーン


鈴の音?……あぁ、お迎えッスか……ホントに最後なんスね……


リーン リーン リーン


そっちに行けばいいんスか?……あ、手暖かい……連れてってくれるんスね


リーン リーン リーン リリリリリリリ




―――
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:03:54.85 ID:qTd8CkOQ0
モバP「比奈!!戻ってこい!!」

茄子「比奈ちゃん!お願いっ!!」

比奈「……」

看護師「脈戻りましたっ!!」

医師「……!」

看護師「先生お願いします!!」

医師「あ、ああ!まずは消毒を!いや、移動したほうがいいか……。とにかくあなた達は出ていって!ここは無菌室です!もういいでしょう!?」

モバP「すいません!よろしくお願いします!!」

茄子「ご迷惑おかけしました……あとはよろしくお願いします」

看護師「まったくどうやってここまで入って来れたんですか……ほら、行きますよ」

モバP「すいませんすいません……ふぐぅ……」

茄子「ぅぅ……良かった比奈ちゃん……」




―――――――――

――――――

―――
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:04:25.83 ID:qTd8CkOQ0



「「「完治おめでとー!!そしてハッピーバースデー!!」」」


パーン パーン バァァン!!


比奈「!」


ちひろ「こらー!バズーカはダメって言ったでしょ!!」

フレデリカ「そうだぞ晴ちん!めっ!!」

結城晴「おまえだ!あほっ!!」


比奈「……ビックリしたぁ……」

卯月「ほら!入って入って!!」

比奈「う、うん……。凄いッスね……なんスかこれ」

未央「どう見ても比奈先生へのサプライズパーティーでしょ!」

比奈「マジッスか」

卯月「マジッス!」

比奈「はぇ〜……」

モバP「ほらほら、アホ面下げてないで気の利いた一言をはぶっ!」

比奈「誰がアホ面ッスか!!頭突くッスよ!!」

モバP「頭突いてから言うな……」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:05:32.72 ID:qTd8CkOQ0
未央「……最近二人仲良いよねー」

卯月「気のせいですかねー」

比奈「き、気のせいッスよー」

モバP「うん。気のせいだな」

比奈「ふんっ!」

モバP「おごっ!……顔面はやめよ?ね?キミの頭結構固いから」

比奈「それならデリカシーを覚えることッスね!」

モバP「はいはい」

比奈「む〜!!」

未央「……イチャイチャだ。イチャイチャしよる」

卯月「そこでこの人ですよ」


凛「……比奈さん。主役なんだからここ座って?ほら早く」


比奈「ひっ……」

未央「久しぶりの般若!」

卯月「阿形だってば」


佐久間まゆ「うふふ……さぁ、こちらへ……」


比奈「ひぃ!!」

未央「おっとおかわりだ」

卯月「これは見物だねっ!」

比奈「プ、プロデューサー……助け……」

モバP「………………………………ハハッ」

比奈「あ!この男っ!」


和久井留美「いいからいいから」

三船美優「主役なんですから」


比奈「わあぁ!!」

未央「特盛だね!」

卯月「比奈さん普通に叫んじゃったね!」

奈緒「……お前らいつも楽しそうだなぁ」


72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:06:29.61 ID:qTd8CkOQ0
比奈「ぅぅ……えらい目にあったッス……」

モバP「はは。お疲れ」

比奈「軽いッスね……。にしても、みんなめっちゃ踊ってますね。いいんスかこれ」

モバP「……二年前もこうやってここで踊ってたんだよ」

比奈「……え?」

モバP「最初は芳乃がお前を導く為にここで踊り……いや、舞ってたんだ。あの鈴をつけて」

比奈「あの時の……音……」

モバP「……舞始めはお前の気配が遠くなっていくようで焦ってたみたいだぞ?生きる意志がないと音は届かないってな」

比奈「あ、あぁ……」

モバP「でも、だんだんと気力を感じ繋がっていったんだと。それで舞っているうちにみんなも混ざって踊りだしたんだって」

比奈「みんな……」

モバP「最終的にハイファイ☆デイズ踊ってたみたい」

比奈「んふ……確かに最後荒ぶった鈴の音が……」

モバP「……聞こえてた?」

比奈「……はい。みんなのおかげで戻ってこれました」

モバP「そっか。ホントに……よかったなぁ」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:07:15.76 ID:qTd8CkOQ0
比奈「けど……プロデューサーと夢で過ごした日がなかったら多分ここには居なかったッス。だから……ありがとうプロデューサー」

モバP「な、なんだよ急に」

比奈「生きる気力を取り戻したのはプロデューサーが約束してくれたことが大きいんだと思うんスよ」

モバP「約束?……なんだっけ」

比奈「約束っていうか……ずっと誕生日におめでとうって言ってくれると……。うぅ……照れるッスね……」

モバP「ああ!そうだな!おめでとう比奈!!これからも毎年祝うからな!」

比奈「う〜……ありがとッス」

モバP「うはは!照れんな照れんな!」

比奈「……ああもう!開き直ったッスよ!ひまわり畑で遊ぼうとも言ったッスよね!」

モバP「おお!大丈夫。抜かりは無い!この夏にちゃんと押さえてる!」

比奈「……仕事としてじゃないッスよね?」

モバP「も、もちろん!ただ、ちょーっと撮影があるかなぁ?」

比奈「はぁ……。まあいいッスよ。アタシが重要視してるのはそこじゃないッスから」

モバP「だ、だよな?でも重要視……?」

比奈「どうせなら、生まれ変わったら幼馴染になりましょう。それで許嫁にでもなりましょうか」

モバP「……は?」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:08:32.23 ID:qTd8CkOQ0
比奈「プロデューサーがひまわり畑で遊ぶのを付き合ってくれると言った後のアタシの言葉ッス」

モバP「うん?」

比奈「それを嫌じゃないと言ったッスよね?忘れたとは言わせないッスよ」

モバP「う、うん……?」

比奈「アタシ一回心停止してるんです。所謂死です。その場に居たんだから知ってるッスよね?」

モバP「あ、ああ」

比奈「そこからまた息を吹き返した。広義的な意味ではアタシ生まれ変わってるんス」

モバP「うん!?」

比奈「つまりあの日からアタシ達は幼馴染で許嫁ッス!!」

モバP「はあ!?」

比奈「冗談ぽく言ってるけど本気ッスからね!幸せにしてくださいよ!!」

モバP「まてまて!お前あの時妥協とかなんとか……!」

比奈「あのですねぇ……元々憎からず想ってた人にあんだけ足掻いてもらった挙句、奇跡的な適合率で命を救われてるんスよ?まさに一心同体!運命感じるのは当たり前ッスよ!正直ベタ惚れッス!!」

モバP「え、いや、おま……ええ!?」

比奈「開き直ったアタシは最強ッスよ!!みんなー!聞いてくださいッスー!!アタシたち婚約したッスよぉ!!!」

モバP「ちょっ!?」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:09:04.39 ID:qTd8CkOQ0


アイドル達「「「」」」


モバP「お、おい……時が止まったぞ……」

比奈「ここで誓いのキスでもしちゃえばまたいつもの騒がしさに戻るッスよ!んっ!」

モバP「んん!?」

比奈「これからもアタシを守ってくださいね?……具体的には凛ちゃん達から!!」

モバP「勝手なことを……!や、やばいやばい!特にまゆがやべぇ!!!」

比奈「あぁ!いきなり放置されたッス!!ひどい男ッスー!!」

モバP「うるせぇ!!逃げるぞ!!……ほら、手!」

比奈「……!はいッス!離しちゃ駄目ッスよ?」

モバP「わかったから!おい、卯月!硬球を投げんなぁ!!」

比奈「あはは!なんで硬球が事務所にあるんスか!ホント面白いとこッスねぇ!!」

モバP「笑えんわ!……って、バズーカはやめろ!バズーカはやめろぉ!!!」

比奈「あははははっ!!」






                                         ハッピーエンド
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 21:10:20.62 ID:+wrX4TbDO
今度こそ、はぴはぴだにぃ
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/23(日) 21:19:51.08 ID:PqLkNE8n0
紛うことなきハッピーエンドだな、改めておつおつ
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 00:39:10.03 ID:EjeQY5MQo

終盤ちょっとしんみりしながら読んでたのに、ハイファイ☆デイズで笑ってしまった
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 00:50:06.84 ID:5wKMtiR10
なんで濃厚な
乙としか言えない
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 01:13:15.86 ID:zT+U8W8y0
稀に見る傑作だった
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 01:13:21.87 ID:2aoZXDZfo
こんな展開になると思わなかった
すげー良い、ちょっと泣いた
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 09:48:46.02 ID:2c6LtXJjO


良かった
108.47 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)