エルフ「ダンジョン荒らして金稼ぎ!」戦士「不安しかないが……」

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29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 21:31:00.99 ID:wGoGYJXBO


商人「あの、その分危険度も高いですから……」


エルフ「別に飛竜と戦わないならあそこの魔物は大丈夫でしょ。もはや私たちにとってあのダンジョンは飛竜の塔じゃない……金の成る塔だよ」


戦士「そんなに甘くないんじゃないか? まあ、いい。過度に期待せずに待っていてくれ」


商人「あ、そ、その……!」


戦士「うん?」


商人「僕もダンジョンについていきます……っ! そうじゃないときっと父は認めてくれません!」


戦士「自分で危ないと言ったばかりだろうに」


商人「そ、そうですけど……っ」


エルフ「強さ的に無理でしょー」カチッ



ステータス解析マシン<<カシャッ……ピピッ……


商人「……なんですかそれ?」


戦士「飛竜の塔で拾ったアイテムだ」


解析マシン<<ピロンッ



・商人
HP:3000
こうげき:20
まほう:10
ぼうぎょ:300
すばやさ:30


30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/01(火) 21:32:19.31 ID:jI5PnkxA0
良スレ発見
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 21:33:08.70 ID:wGoGYJXBO



エルフ「……思ったよりは高かった」


戦士「お前よりも断然しぶといな」


エルフ「あ、当たらなければどうということは……!」


商人「僕の家は飛竜の塔のアイテムを頻繁に扱いますし、他のダンジョンのアイテムについても色々と勉強してますけど初めて見るアイテムです」じー


商人「これは『ステータス解析マシン』ですね。対象の戦闘能力が測れます。ほとんどの魔物にも有効です。売値は……とても価格つけられません。貴重なものですから大事にしてください」


戦士・エルフ「…………」


商人「あ、す、すみません。いつもの癖でつい……」


戦士「あ、ああ……いや……」


エルフ「これは?」つ『桃のかんづめ』


商人「これは『桃のかんづめ』ですね。白桃と黄桃の二種類が詰められています。甘くて美味しいです。売値は100個で1Gです」


エルフ「ほい」つ『冒険者の服』


商人「これは『冒険者の服』ですね。厚手の生地で出来ています。売値はつきません。無料での引き取りになります」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 21:35:20.58 ID:wGoGYJXBO


エルフ「それじゃあ……」


戦士「分かった分かった。目利きが凄いな」


商人「あ、ありがとうございます。アイテムを見てると無意識になって勝手に喋っちゃうんですよ……よく気持ち悪がられます


戦士「へえ……いや、特別な才能だと思っていいさ」


商人「そ、そう言ってくださる人は初めてです」


エルフ「面白いねぇ……あ、ちなみにマスター」カチッ


マスター「うん?」


解析マシン<<カシャッ……ピピッ……ピロンッ



・マスター
HP100
こうげき:1
まほう:23
ぼうぎょ:50
すばやさ:80



エルフ「ふむ……マスターは足速い?」


マスター「ん? ああ、子どもの頃は村で一番だったね」


エルフ「なるほどなるほど」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 21:41:46.12 ID:wGoGYJXBO


エルフ「腑抜けたちも測ってみたけど、まあダンジョンに潜ってるだけあってマスターよりは強いか」


戦士「この数値がどれだけ当てになるんだか」


エルフ「さあ? とりあえずこの私がHP覗く総合値で1番だね」どやっ


戦士「はいはい……」


エルフ「あと戦士は頑丈過ぎて気持ち悪い」


戦士「そこは素直に褒めようぜ……」


エルフ「魔物にも使えるらしいから、測ってステータスが高い魔物を避けたりすれば探索に使えそうだね」


戦士「ああ、なるほど」


エルフ「飛竜を測りたいね。どうせならタワーキマイラも測ればよかった」


戦士「そんな余裕はなかっただろ」


商人「そ、それであのダンジョンへの同行は……」


エルフ「ああ、いいよいいよ。……ただし! この肉壁ができるだけ庇ってくれるだろうけど、死んでも自己責任だよ」


戦士「勝手に決めるな……というか肉壁呼ばわりはさすがに傷つくわ!」


商人「え、えっと……」


戦士「……はあ。出来るだけ守ってやるが、絶対の無事は保証できないからな」


商人「あ、ありがとうございます!」


エルフ「お人好しぃ」


戦士「そもそもお前が……まあ、いい」

34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 21:46:42.05 ID:wGoGYJXBO

・・・
【飛竜の村・道具屋】



エルフ「あんだけ下手に出てたくせに遅刻なんていい神経してるよ。迎えに来させた分、報奨金割り増しにしてやろうか」イライラッ


戦士「まあまあ、もしかしたら例の父親と揉めてるんじゃないか?」



<<ふざけるなッッ!


商人「な、なんで……っ!」



エルフ「ザッツライだね。やれやれ、黙って行けばいいのに」


戦士「それは卑怯だと思ったんだろ。商人なりに筋を通そうと考えたんだろう」


エルフ「だからって直前に言うのもアレじゃん? それに結果的に面倒ごとになってるじゃん?」


戦士「まあ、そう言ってやるな」


エルフ「甘いなぁ……シロップの飲み過ぎじゃない?」


戦士「飲ませてるのは誰だと……まあ、いい」



35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 21:48:29.41 ID:wGoGYJXBO


商人「僕は……僕の力で道を切り開きたいんだ! 父さんの言うことはこれ以上聞いてられない!」


<<勇気と無謀の違いも分からない世間知らずの半人前が一端の口を聞くな! まだまだ未熟なお前に何ができる! だいたいお前は……!


商人「っっ〜〜! ……あ」


戦士<<よっ

エルフ<<やれやれ



商人「もう僕は行くからね! それじゃ!」

<<おい、待て!




商人「お、お恥ずかしいところをお見せしました……」


戦士「いや」


エルフ「うざったい親だねぇ。子の好きにさせろっての」


戦士「別に憎くて言ってるわけじゃないだろ。むしろお前を大事に思って心配してるからあそこまで怒るんじゃないのか」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 21:49:53.13 ID:wGoGYJXBO


商人「……父の言うことも確かだと思うんです。僕は未熟だし、飛竜草を採るというのも勇気というにはかなり無謀です」


エルフ「1束200G……」


商人「でも……このままじゃダメだと思うんです! 今、無茶だとしても動かなきゃ、一生このままな気がするんです……!」


戦士「……それは俺たちじゃなくて父親に言うことだろう」


商人「でもどうせ父は聞く耳なんて……」


エルフ「親なんて自分の都合を子どもに押し付けて勝手に期待したり失望したり腹立つよねぇ」


戦士「だが……あの父親は商人のことを本当に気にかけてるから……いや、なんでもない」


商人「…………」


エルフ「とにかく200G草を採りに行こう! 死んでも知らないからね!」


商人「っ、は、はい! あと飛竜草です!」


戦士「……俺からあまり離れるなよ」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 21:51:53.56 ID:wGoGYJXBO

・・・
飛竜の塔3F


商人「ひ、飛竜の塔は10Fまであります……飛竜草は9Fにありますが……そ、その……屋外に突き出てるポイントで飛竜から襲撃を受けかねない地点なので注意が必要です……」


エルフ「げっ……君ぃ、説明不足だよ」


戦士「1束200Gには裏があるわけだ」


商人「ひ、飛竜は1日に何度か回遊しますからその時を狙えばた、多分なんとかなるかと……」


戦士「飛竜が出払ってる隙を見て、採取するんだな。まあ、何とかなるだろ。見つかっても内部に戻れば何とかなりそうだしな。大丈夫だろ」


エルフ「なんかそれフラグにしか聞こえないよ?」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/01(火) 21:55:43.66 ID:wGoGYJXBO

エルフは『妖精の羽』を手に入れた!


エルフ「おっ、『妖精の羽』だ」


戦士「おー」


商人「これは『妖精の羽』です。口当たりが良くてほのかな甘みがあります。売値は1Gです」


エルフ「美味しいよね、妖精の羽。かすかに甘くて爽やかな味。口に含んでると溶けていって雪解けを思わせる。いやぁ、春を感じるよね。さすが妖精の羽」


戦士「……うん?」


商人「えっと……」


エルフ「……どうかした?」


戦士「妖精の羽って……ええっと知ってるよな?」


エルフ「は? 何が? ああ……妖精から羽を取るって残酷だ的な話? まあ、確かに可哀想かもだけど美味しいからねぇ」


商人「え、ええっと……それはあくまでそういう名前のお菓子で、その、別に本物の妖精は関係ないです」


エルフ「はは、何それ。面白い冗談だね」


戦士・商人「…………」


エルフ「…………」


戦士「お前……」


エルフ「し、知ってたしー! 超知ってたしー! 妖精の羽はただのお菓子だって知ってたしー! さっきのエルフ族の定番ジョークだしー!」


戦士「ドヤ顔で雪解けをなんちゃらと……」


エルフ<<ベシィッ! ベシィッ!


戦士「照れ隠しで叩くな!」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 21:58:17.30 ID:wGoGYJXBO

・・・
飛竜の塔4F


エルフ「戦士が私から春を奪っていった……」バシィッ!


戦士「変な言い方をするな!」ザクッ!


エルフ「はあ、私可哀想だわー、私超可哀想だわー」バシィッ! バシィ!


商人「(本当に可哀想なのは八つ当たり込みでしばかれる魔物たちかも……というかこの人たち本当に強い……)」


戦士は『ショートソード』を手に入れた!


戦士「……今使ってるのよりも性能が良さそうだな。……見た所、不良もなさそうだし新品そのものだ。武器を替えるか」


商人「これは『ショートソード』ですね。小振りで扱いやすい刀剣です。売値は3Gです」


エルフ「ダンジョンのアイテムって基本的に価値低すぎだよね……」


戦士「まあ、そんなもんだ。一攫千金も楽じゃない」


商人「あ、どうせなら捨てずに私が買い取りましょうか。支払いは後になりますが」


戦士「いいのか?」


商人「に、逃げ足と荷物持ちには相当の自負があります。あと目利きですかね」


エルフ「ダンジョン商人の才能ありすぎじゃない?」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 22:02:16.51 ID:wGoGYJXBO


エルフは『天然クーラーボックス』を見つけた!


エルフ「こ、これはあの噂の……!」



エルフは『アイスクリーム』を手に入れた!



エルフ「きたー!」


戦士「おっ、アイスクリーム」


エルフ「ふふふ、私たちはダンジョンでしか食べられない高級品だよ。やっぱり食べ物が大量に落ちてるダンジョンにはマイ食器と消毒薬が必須だね」もっもっ…


戦士「お前、食ってばかりだな」


商人「これは『アイスクリーム』ですね。濃厚なミルクの味わいが口に広がる逸品です。売値は25Gです」


エルフ「高い!?」もっもっ…


商人「どうしても輸送に多額のコストがかかってしまいますから。天然クーラーボックスも一度開けるともう機能しませんから」


エルフ「ほんとアイスクリームは冒険者の特権だよね」


戦士「ちょうど3つか。空気の読めるボックスだな」


エルフ「ほんとほんと。私に三食分も渡すなんて気が利いてるよね」


戦士「独占する気なのかよ!?」



三人で仲良く食べました
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 22:05:50.44 ID:wGoGYJXBO

・・・
飛竜の塔5F



エルフ「頭キーンってした……」


戦士「アイスクリーム……狡猾なトラップだったのか……」


商人「一気に食べ過ぎたからですよ……」


エルフ「それにしても順調だねぇ。魔物も『魔物の洞穴』と大差ないし」


戦士「骨のありそうなのはタワーキマイラくらいだったか」


商人「お、お二人が強過ぎるんですよ……」


エルフ「まあ、それほどでもあるかな。私は天才だからね」


戦士「運がいいだけだ」


商人「は、はあ……」



エルフ「……む?」



<<ユラユラッ



戦士「弱くはない……な」カチッ……ピピッ


解析マシン<<ピロンッ


・ゾンビ剣士
HP:8000
こうげき1000
まほう0
ぼうぎょ0
すばやさ100


戦士「……エルフ、絶対に攻撃食らうなよ。商人、もう少し下がれ」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 22:11:58.09 ID:wGoGYJXBO



エルフ「ここは短期決戦!」


エルフは杖の先に魔力を集中させた!


エルフ「死に切れなかった可哀想な君に炎はいかが!?」ググッ……


エルフの『爆杖殴打』!


ゾンビ剣士<<ググッ…


エルフ「(む、怯まないね……ッ)」



ゾンビ剣士の攻撃!



戦士はエルフを庇った!


戦士「(っ、重いなッ……衝撃は殺しきれないか……ッ)」ビリッ…


戦士「だらぁっ!」ザンッ!


戦士の攻撃!
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 22:14:41.48 ID:wGoGYJXBO

エルフ「炎と共に踊れや踊れ!」


エルフの『炎舞乱打』!



ゾンビ剣士<<ジュゥゥゥゥゥ……スッ…ズバッ!


ゾンビ剣士の『薙ぎ払い』!


エルフ「いっ!?」



戦士はエルフを庇った!


戦士「ぐぅぅ……っ! エルフ! 決めろ!」


エルフ「……かっ飛ばす! 灰になれ!」ググッ……ガキイッッ!


エルフの『滅撃・炎』!



ゾンビ剣士<<バシュゥゥ……!




ゾンビ剣士を倒した!



44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 22:16:47.85 ID:wGoGYJXBO


エルフ「……はふぅ」


戦士「飛竜の塔も中々きついな……」


商人「し、知りませんよあんな魔物……あ、あんな強さの魔物が出てきたら話題になるはず……」


エルフ「タワーキマイラといい何か塔に異変でも起きてるのかな?」


戦士「勘弁して欲しいぜ……こんな強さのやつらが外をうろつき始めたら結構やばいな」


エルフ「うーん……」


商人「……飛竜草の採取は思っていた以上に難しいのかもしれません」


エルフ「なんか割りに合わない気がしてきた……いやでも5束以上ゲットできたら……グランドホテルのレストランで……」


戦士「まず俺への借金を返せよ」


エルフ「さあ、探索探索!」


戦士「強いのがまだいるかもしれない。ここからはより慎重に行くぞ」


商人「は、はい……!」



to be continued...

45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/01(火) 22:19:23.42 ID:xpoReYOfo
くっ……
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/01(火) 22:34:01.93 ID:wGoGYJXBO


○戦士メモ

・魔物:ダンジョンと共に現れたの異形の怪物たち。強さや危険度はピンキリだ。俺はコイツを狩るのが本職のつもりでいる。しかしダンジョンの近くで現れることがほとんどだ。

・飛竜の村:少し肌寒い土地にある村だ。特産品はりんごしかなかったが、ここ20年はダンジョンの中継地として栄えた。

・タワーキマイラのツノ:結構な大物のツノだし、タワーキマイラと分からなくてもそれなりに泊が付きそうな逸品だ。

・飲酒:俺たちの国では16歳から。余談だが法や文化の違いは諍いの原因になりやすい。お互いの背景や前提を理解し共有することで初めて人と人の繋がりは潤うだろう。

・道具屋:冒険に必要なものを買うのによる。この村の道具屋の一押しアイテムは銀の鎧だ。素材が銀である必要性はあるのか?

・ゾンビ剣士:厄介な敵だった。俺一人では負けていたかもしれない。エルフの火力は大したものだ。



○エルフメモ

・商人:目利きは大したものだけどおどおどしてる。そんな態度だから父親から修行に出してもらえないんじゃないの?

・飛竜草:心臓病に効く薬の原料だってさ。その買値は……1束200G!? 美味しいものがいっぱい食べられる……グランドホテルのレストランはスープ1杯で400G……2束でスープ1杯…あれ、ショボい?

・商人の父:子どもに対する心配だのは時として傲慢だし独善だ。ああいう親は大嫌いだ。

・妖精の羽:戦士が私から春を奪っていった。許さじ……!

・爆杖殴打:無属性の爆発魔法を杖に乗せて叩きつけるよ。相手の動きをよく止めるナイスな一撃。

・雷撃:ビリビリくるナイスな技。

・炎舞乱打:ふぁいあー! 変な口上や技名を叫んだりするのは何故かって? 楽しいからさ。

・滅撃(炎):炎魔法を乗せて全力で相手をスマッシュするよ。私の必殺技の一つだけど、隙が大きいから注意が必要。
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 00:16:42.33 ID:R6T43BXTo

エルフは杖から魔法飛ばすんじゃなくて基本殴ってるのか
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 21:47:52.61 ID:wrjX67MoO


・・・
飛竜の塔6F



エルフは『色紙粘土』を手に入れた!


エルフ「……なにこれ?」


商人「これは『色紙粘土』ですね。鮮やかな各種の紙粘土の詰め合わせで美術品の材料として用いられます。売値は2個で1Gです」


エルフ「……ダンジョンのアイテムって変なのも多いよね」


戦士「なんで、こんなにアイテムが落ちてるんだ?」


商人「なんでなんでしょうね……色々と仮説はありますけど、確証はないですね」


戦士「そういうのは研究者に任せておこう」


商人「国立研究所が調査はしているようですがあまり目ぼしい成果はないみたいですよ」


戦士「俺らにはなおさら分からないな」


エルフ「戦士は頭の中まで筋肉ぎっしりだもんね」


戦士「頑丈だと褒められてると受け取っておく」



49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 21:49:38.58 ID:wrjX67MoO


エルフ「これもしかして飛竜草!?」


商人「これは『ブラッドジギタリス』です。全草に神経に作用する猛毒があり極めて危険な植物ですが麻酔の原料になります。売値は10Gです」


エルフ「あ、違うんだ。でも結構いい値段で売れるんだね! あっちにたくさんあったから集めよ……」くらっ


戦士「おいっ!?」


商人「あ……『ブラッドジギタリス』の毒に当てられたみたいですね……少し待てば多分回復するはずです」


戦士「アイテムも危険だな……」


エルフ「うう……気持ち悪い……」


戦士「もう少しこの紫の花から離れるぞ」


商人「せっかくですから回収していきます。気を付けて持ち運べば大丈夫です」


戦士「お前、結構たくましいな……」


50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 21:51:34.83 ID:wrjX67MoO


・・・
飛竜の塔7F


エルフ「酷い目にあった……それにしてもかなり登ってきたね。どうせなら景色見たいけど」


戦士「そうだな。飛竜がいなけりゃそれもいいが」


エルフ「うざったいなぁ……飛竜倒しちゃう?」


戦士「ダンジョンのボスは別格に強いらしいぞ。できればステータスだけでも測定したいがな」


商人「ひ、飛竜は塔の近くに寄らなければ人を襲うことはありませんが……多くの飛竜に出くわした冒険者が食い殺されたとのことです……冒険者の死因のほとんどが飛竜のようです」


エルフ「怖い怖い」


戦士「縄張りを荒らされるのが嫌なんだろうな」


51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 21:54:23.40 ID:wrjX67MoO


戦士は『ウインドシールド』を手に入れた!



戦士「盾か」


商人「これは『ウインドシールド』です。風の精霊の加護がかかっています。売値は10Gです」


エルフ「風の精霊舐められすぎ!」


戦士「精霊の加護が10Gで買い叩かれる時代か……」


商人「い、いっぱい手に入りますから……」


戦士「今使ってる『木の盾』よりは使えそうだな」


戦士は『ウインドシールド』を装備した!


エルフ「そんなしょっぱい装備使ってたの? 戦士に守りを任せるの不安になるんだけど」


戦士「今までだって上手くやってただろ」


エルフ「これからもちゃんと壁になってよ」


戦士「へいへい……」



52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 21:57:24.98 ID:wrjX67MoO


エルフは『魔法使いの杖』を手に入れた!


エルフ「杖だ」


商人「これは『魔法使いの杖』です。売値は2Gです特別な魔力はこもっていませんが頑丈で魔力の伝導に優れています。」


エルフ「ふうん。ストックになるかな。戦士」


戦士「はいはい」


商人「そういえば、どうして魔法使いなのに近接攻撃を?」


エルフ「可愛い武闘派魔法使いだからね!」


戦士「杖の先以上に魔法を離れて扱えないだけだろ」


エルフ「うぐっ……」


戦士「不器用なりの戦い方だよな」


エルフ「はいはい、そうだよそうですよ私は不器用ですよ。あっ、戦士さんそろそろ疲れたよね! 回復してあげる!」バキィッ!


戦士「いでえっ!?」


戦士は回復した!(同時に少しダメージを負った)


エルフ「ごっめーん、不器用だから回復魔法の時は殴っちゃうんだよねっ!」


戦士「別に押し当てるだけでもいいだろ……悪かったよ」


エルフ「とまあ、こんな感じで杖の消費が激しいんだよね。すぐ折れちゃうから」


商人「な、なるほど……」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 21:59:13.74 ID:wrjX67MoO

・・・
飛竜の塔8F


エルフ「うん? 扉だ……鍵がかかってるよ」ガチャガチャッ


商人「あ、こ、ここは開けられる度に新しい扉と鍵が生成されるらしいです」


戦士「鍵は?」


商人「こ、この階のどこかにあるはずです。階から鍵を移動すると消滅して、また新しい扉と鍵が生成されるらしいです」


エルフ「め、めんどくさ……」



エルフは『土下座教本』を手に入れた!

エルフは『靴の底』を手に入れた!

エルフは『消臭ハンガー』を手に入れた!



戦士は『共産主義のススメ』を手に入れた!

戦士は『水筒の蓋』を手に入れた!

戦士は『白シャツ』を手に入れた!



エルフ「鍵は落ちてない……というかガラクタが多い!」


商人「フロアはかなり広いですけどほとんど調べたと思うんですけどね」


戦士「ははは、この土下座の本、面白いな。焼き土下座だってよ」


商人「響きが穏やかじゃないんですが……」

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:00:36.32 ID:wrjX67MoO


エルフ「……あれ、あの棚の上にあるのは便箋?」ペラッ


戦士「おっ?」



エルフ「んしょ……」よじよじ


戦士「気を付けろよ」


エルフ「よっ……取れた取れた」


商人「鍵のヒントでしょうか」


エルフ「どれどれ……」


便箋<<あほーが、見ィーるゥー


エルフ「ふんっ!」バシッ


戦士「落ち着け」


商人「おや、紙がくっついているようですよ?」ペリッ


便箋<<扉前の右壁を調べろ


戦士「……ふむ」


エルフ「どうせ罠だよ。かー、ムカつく」


戦士「罠かもしれんが、他に見るところもないだろ」


商人「そうですね……」

55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:02:29.92 ID:wrjX67MoO


戦士「……ここだけ壁が紙張りだな」


エルフ「めくれるじゃん」ペリッ


商人「あ、鍵です!」


戦士は『扉の鍵』を手に入れた!


戦士「これで上に行けるか」


エルフ「実は偽物であほーが見ィーるゥーだったら腹立つね」


商人「これは『扉の鍵』です。飛竜の塔8階の扉を開けることができます。一度使うと失われます。売ることはできません」


エルフ「……マジでぇ?」



戦士は扉の鍵を使った!



ガチャッ……ギィィィ……ッッ



戦士「開いたな」


エルフ「開くのか……いいけどさぁ……なんだかなぁ」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:05:08.65 ID:wrjX67MoO


・・・
飛竜の塔9F


エルフ「さて200G草! 200G草はどこ!?」ズカズカッ


商人「飛竜草ですっ!」


戦士「そんなにいきり立って進むなよ……っと!」



タワーキマイラ<<グルルル……



戦士「またタワーキマイラか」


エルフ「他にもいたんだ。また倒すけどね」


商人「ま、待ってください!」


<<グルルル…

<<グルル…

<<グル……



エルフ「……何体いるの?」


戦士「……ゾンビ剣士もかなりいるぞ」


商人「か、かか、囲まれていますよ……っ!」

57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:08:02.76 ID:wrjX67MoO



<<グォォォッッ


エルフ「(下への階段へ続くルートを覆うように集団が固まってる……これじゃ退却できない……!)」


戦士「…………合図と共に右に走れ」


エルフ「(右は……テラス? 飛竜も現れる最悪のポイントじゃん。何考えてんの? 血迷った?)」チラッ


戦士「…………」


エルフ「……おっけ」



<<グルルル……


戦士「……今だ!」


戦士たちはテラスへと駆け出した!


戦士「走れ!」パシッ


商人「あわわわ……!」


タワーキマイラの攻撃!


戦士は商人を庇った!


58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:10:56.63 ID:wrjX67MoO

<<グォォォォォォッッ!


エルフ「邪! 魔!」


エルフは杖の先に魔力を集める!


エルフの『爆杖殴打』!


エルフ「怯んでる! こいつの下をくぐって!」するっ


戦士「うぉぉぉっ!」ズザザッ


商人「んびゃぁぁあああ……っっ!」


<<グルルルゥゥッッ!?


戦士「ケツいってぇ……!」ヒリヒリ…


エルフ「生き残っても痔に悶えるね!」


戦士「死ぬよりはマシだろ!」ダッ


商人「あばばばばば……」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:13:34.79 ID:wrjX67MoO


エルフ「よし、テラス! どうするの!?」


戦士「飛び降りる!」


エルフ「ここ9階!」


戦士「戦うよりかはよっぽど生存率が高い! 捕まれ!」


エルフ「……っ」


商人「……嘘」



飛竜「ギュルォォォォッッッ!!」



飛竜が出現!



エルフ「さ、最悪だぁ……」


戦士「飛び降りても喰われるか……! くそ……!」


飛竜の攻撃!


エルフ「ッ……!」



タワーキマイラ<<グォォォッッ!?


タワーキマイラを倒した!



エルフ「……え?」

60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:21:36.39 ID:wrjX67MoO



飛竜の攻撃! 飛竜の攻撃! 飛竜の攻撃! 飛竜の攻撃!


タワーキマイラを倒した! タワーキマイラを倒した! ゾンビ剣士の群れを倒した! ゾンビ剣士の群れを倒した!


タワーキマイラ<<グルルル……


タワーキマイラたちは塔の奥へと逃げていった!



飛竜「ギュゥゥッッ…………」


戦士「なんだ、味方か?」


飛竜「…………」ギロッ


戦士「……ッッ!」バッ




飛竜の攻撃!


戦士はエルフを庇った!


戦士「ぐふっ……!」



飛竜の攻撃!


戦士は商人を庇った!


戦士「ッッ……!」



飛竜「……ギュル……ッッ」ズキキッッ



エルフ「こんのデカトカゲェっ!」ダッ


飛竜「……」バサァッ


エルフ「ぬみゃぁっ!?」よろっ



飛竜は塔の上へと飛び立って行った!


61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:24:12.80 ID:wrjX67MoO


エルフ「…………」


戦士「た、たすかったのか……?」ゼェゼェ…


商人「だ、大丈夫ですか?」


戦士「ああ……丈夫な身体に産んでくれた母ちゃんに感謝だな……」はぁはぁ…


エルフ「……あのデカトカゲ、深い傷を負ってたよ。多分、咬み傷……しかもデカい」


戦士「……タワーキマイラか? 魔物同士で争ってるのか?」ふぅ……


商人「そ、そんな話は聞いたことありませんけど……」


エルフ「タワーキマイラもゾンビ剣士もダンジョンに最近現れたみたいだよね? いつもと勝手が違うのかも……?」



<<ギュルォォォッッ!!



「「「!!」」」


戦士「飛竜の咆哮か?」


エルフ「かなり苦しんでるみたいだね……あの咬み傷、相当強い魔物が他にもいて争ってるのかな?」


戦士「…………」


エルフ「あ、その表情……」


戦士「この塔を下るだけならお前たちだけでも大丈夫だな?」


商人「えっ?」

62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:27:48.03 ID:wrjX67MoO


戦士「少しだけ頂上を見てくる。すぐ戻るが待たなくていい」


エルフ「なんなのなんなの? 情けの対象は人間以外も含まれるの?」


戦士「……そんなつもりはねえよ」


エルフ「……そんなつもりじゃん、バカだバカ。はー、君とパーティを1年も組んでた奴はすごいよホント」


戦士「……そうだな。商人、今回は飛竜草は諦めてくれ」


商人「……」


エルフ「ウェイウェイ。一人で行かせないよ?」


戦士「ん?」


エルフ「私だけでタワーキマイラかゾンビ剣士と会ったら死んじゃうじゃん。ここは生存率を上げるために仕方なく同行してあげるよ。今回は君のヘルプだしね」


戦士「別に無理しなくていい。商人もいる」


エルフ「うるさい! だったら行くのやめろよ!」


戦士「……」


商人「あ、あの……僕も飛竜草、諦めたくないです。頂上なら間違いなく生えてるでしょうし」


戦士「いや、お前……」


エルフ「行くならさっさとしろよ! またキマイラとゾンビが集まるでしょ!」


戦士「……後悔すんなよ」



63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:39:23.10 ID:wrjX67MoO


・・・
飛竜の塔頂上


商人「うっ、一際血生臭い……」


エルフ「……うわ、死体の山っ」


戦士「タワーキマイラ……いや、塔の中のやつよりも数段デカいから別種のようだな」



飛竜<<ギュルゥゥゥッッ!



キングキマイラ<<ゴオォォォッッッ!



エルフ「やり合ってるね」


エルフ「さらにデカいキマイラだな……加勢するにも激し過ぎて難しい」


商人「……な、なんでしょう、アレ? 空中に黒くて丸い石みたいなのが浮いてます……」



黒石<<コォォォッッーーーー


エルフ「……よく分からないけど不吉な感じだね」


64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:44:23.38 ID:wrjX67MoO


黒石<<ゴポポポ……!


タワーキマイラ・ゾンビ剣士<<ズルル…


商人「……っ!? あ、あの穴から出てきましたよ!」


エルフ「……新しく出た魔物たちはあの石から出てきたのかな?」


戦士「こんなものは初めて見るな……エルフ、あの石は砕けないか?」


エルフ「さあ……? やってみるけど本当に砕いていいの? このまま飛竜が倒された方がいいんじゃない?」


戦士「飛竜は不用意に塔に近づかなきゃ危害はないが、新種たちはどうか分からない。こんなのが人里をうろついたら、どれだけの犠牲が出るか分からん」


エルフ「飛竜の村なんか滅びるだろうね」


商人「……!」


戦士「……あの黒石を何とかする。その前にまずは出てきたばかりのタワーキマイラとゾンビ剣士だ!」


エルフ「さっさと倒そっ!」ダッ


エルフは杖の先に魔力を集める!

65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:47:30.19 ID:wrjX67MoO


エルフ「おりゃぁっ!」


エルフの『爆杖殴打』!


タワーキマイラ<<グルルルっ!?


エルフ「いい加減、弱点が分かったよ!」


エルフの『爆杖殴打』!



クリティカル!



タワーキマイラを倒した!



ゾンビ剣士「……!」グッ


戦士の『足払い』!


ゾンビ剣士「!?」ドサッ


戦士「腕っ節はあるがそんだけだ。真っ向からやり合わなきゃステータス以下だな」


戦士の攻撃!



クリティカル!



ゾンビ剣士を倒した!



戦士「エルフ、そっちは頼んだ!」


エルフ「しっかたないなぁ!」

66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:49:09.95 ID:wrjX67MoO



飛竜「ギュルゥゥッッ!?」ギロッ


戦士「敵じゃない!」



キングキマイラ「ゴオォォォッッッ」


キングキマイラの『引き裂き』!



飛竜「ギュッッ……!」



戦士は飛竜を庇った!



飛竜「……!?」



ガキィィィッッ!


戦士「がああっっ……!」ズサササッ…!



エルフ「飛竜まで庇うのかよ!」


67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:53:23.40 ID:wrjX67MoO


商人「エルフさん!黒石からまた何か出てきそうです!」せっせっ…


エルフ「ったく……!」ぐぐぐっ…………


エルフ「……砕け散れッッッッ!」



エルフの『滅撃・炎』!


黒石<<ピシィィィ……ッッ!



エルフ「いっだぁぁ……ちっ、もう一発!」



キングキマイラ「ゴオォォォッッッ!!!」



エルフ「うっ!?」



キングキマイラの『八つ裂き』!


戦士「させるかぁぁッッ!」


戦士はエルフを庇った!


ゴシャシャァッッ!


戦士「ーーーーっ」



戦士は気絶した!



エルフ「戦士……っ」


68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:56:14.50 ID:wrjX67MoO



飛竜<<ギュルゥゥゥッッッッ!


飛竜の攻撃!


キングキマイラ「ゴオォォォッッッ!?」


飛竜「……」ギロッ


エルフ「…… 早く壊せって? どいつもこいつも人遣いが荒いよねっ!」グググ…………ッッ


エルフは杖の先に魔力を溜めている!


エルフ「渾身の一発を見せてやろうじゃないか……!」グググ……ッッッッ


エルフは更に魔力を溜めている!


エルフ「まだまだぁぁッッ!」グググググ……


エルフは極限まで魔力を溜めている!



エルフ「ーー砕け散れッッ!」スッ



エルフの『滅撃・炎』!



クリティカル!



黒石<<ピキピキピキピキ………ッッッ


69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 22:59:06.57 ID:wrjX67MoO



黒石<<バギィィィ……ッッッ!!



黒石を粉々に砕いた!



商人「や、やった……!?」


エルフ「い、いえーい……杖が折れちったけど……」



キングキマイラは怒り狂っている!


キングキマイラ「ゴオォォッッッッ!」ダッ


商人「っ……エルフさん!」


エルフ「こんにゃろ……!」



飛竜「ギュルォォォッッッッッ!」


飛竜の攻撃!


クリティカル!



キングキマイラ「ォォォ…………!」ズゥゥゥン…


キングキマイラを倒した!




エルフ「……よしっ」


70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 23:01:23.42 ID:wrjX67MoO

to be continued...


>>72コンマ二桁
ゾロ目:ロリババア
ゾロ目以外:通常進行
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/02(水) 23:16:58.68 ID:wrjX67MoO
undefined
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 23:45:07.20 ID:R6T43BXTo
こい
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 01:21:38.89 ID:0o1mnHPA0
ゾロは流石にね
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 15:02:27.19 ID:Sck5/9cY0
面白い(´・ω・`)
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/03(木) 16:57:10.01 ID:9aJqescFO
安価は安価とれなかったルートが気になって気になって仕方が無い
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 22:04:45.77 ID:yTwrzhTwO

(メモを貼れてなかった,コンマはボーナスみたいなものだから取れなくてもあまりお気にせず)


○戦士メモ

・飛竜:巨大なドラゴンだ。大きいだけあってかなり高い知能を持っているようだ。穏和というわけでもないが獰猛にも見えない。

・国立研究所:全国の最も優秀な頭脳が集まる国の機関だ。金持ちの道楽ばかりが集まるところだ。高等教育は金持ちのものだからな。

・痔:なったことないが、これからもなりたくない……。

・キングキマイラ:飛竜と同じくらい巨大なキマイラだ。二発もらったら気絶してしまった。俺もまだまだ未熟だ。



○エルフメモ

・風の精霊:シルフだね。いつも陽気に踊ってばかりいるし、光るものをエサに釣り上げることもできる残念な精霊だよ。閑話だけどエルフとシルフって字面が似ていて、並べたら目が滑りそうだから私の前に出て来ないで欲しい。

・便箋:アホっていう方がアホだ! アホ!

・黒石:ちょっぴり地面から浮いていた謎の黒い正球。魔物が出てきたけど、どういうことなんだろう。飛竜には砕けなかったみたい……ふふん、私の方が攻撃力高いんだね。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 22:10:02.36 ID:yTwrzhTwO


○商人の鑑定

・土下座教本:売値1G。これを読めばあらゆるシチュエーションに即した土下座を学べます。ハードカバーかつ1200ページ超えと大部のために鈍器として使えます。

・靴の底:売値0.1G。ゴム製の靴の底です。そのままでは価値がありませんが現在私たちは自力でゴムを作れないため、製品の素材としては中々優秀です。もう少し加工技術が進歩すれば価値が上がるかも……その前にゴムが作れるようになって価値暴落?

・消臭ハンガー:売値0.01G。消臭効果のある木材で作られ、服を吊るすと消臭してくれるハンガーです。これだけ聞くと非常に有用ですが、使用すると服が樹液でカピカピになるというとんだ不良品ですのでご注意。

・共産主義のススメ:売値10G(規制対象品)。この本が登場して以来、この本に感化された過激思想グループが登場しました。これを危惧する政府によって流通、所持、閲覧が禁止されていますが闇市場でそれなりの値段で取引されています。

・水筒の蓋:売値0.001G。平べったくて黒い水筒の蓋です。どうしてか水筒の蓋だけが見つかり本体が見つかったことはありません。飛竜の村の子供たちはこれをフリスビー代わりに投げ合って遊んでいます。

・白シャツ:売値0G(規制対象品)
あまりにも取れ過ぎて政府が衣料産業保護のために規制しました。商人からすれば、産業の保護は少数の生産者を守るために多数の消費者の幸せを減らしている望ましくない方法です。私たちはみんながもっと幸せになれる方法を考えるべきだと思うのです。



(1G:日本円で300円程度,国際的な基軸通貨であるためボラティリティは高くない.他の通貨としてはZやJなどもある)

78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:08:28.44 ID:yTwrzhTwO


・・・


戦士「はっ!?」


エルフ「やっと起きたね」


戦士「……すまん、気絶してた! どうなった!」


エルフ「ニブチンめ。生きてるってことはそういうことだ。この可愛い天才武闘派魔法使いエルフちゃんに感謝するんだね」


商人「す、すごかったですよ……! 大きな黒石を砕いたんです!」


戦士「そ、そうか……やるな」


エルフ「まあ、エルフさまと呼んでもいいよ」ドヤヤッ


戦士「すーぐ調子に乗るな……飛竜は?」


商人「せ、戦士さん……後ろ」


戦士「ん?」クルッ



飛竜「ギュルル……」



戦士「うおっ!?」


エルフ「びびってやんのぉ」


戦士「誰だってびびるわい!」

79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:09:20.77 ID:yTwrzhTwO

飛竜「…………」


戦士「……飛竜、傷は大丈夫か?」


飛竜「……」ギロッ


戦士「……人間の心配なんていらないってことか?」


飛竜<<ベシッベシッ……ブンブン……


エルフ「目が覚めたなら早く帰れって感じかな?」


商人「……は、早く帰りましょう!」


戦士「……ああ。元気になれよ……あまり人を喰ったり殺さないようにしてやってくれると助かる」


飛竜「…………」フンッ

80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:10:52.50 ID:yTwrzhTwO

・・・

商人「や、やっと塔から出られましたね……」


戦士「タワーキマイラとゾンビ剣士の生き残りを片付けないといけなかったから疲れたぜ」


エルフ「ちゃんと降りて来られて……200G草とるの忘れてた!」


戦士「あっ」


エルフ「ぐわぁぁっ! 本来の目的を完全に忘れてたぁ! 何!? 生命を危険に晒してヘトヘトになっただけなの!? バカなの!? 死ぬの!?」


戦士「落ち着けよ……やっちまったな」


商人「……これを見てください」ごそっ


エルフ「なんだよー、私は自分の迂闊さと戦士のアホさを猛烈に嫌悪してるんだから邪魔すんなよー」


戦士「俺もかよ!?」


商人「い、いや、ですからこれ……」


エルフ「だから、よく分からない草見せられても腹立つ…………草?」


商人「飛竜草です。塔の頂上にたくさん生えていましたから、隙を見て採取しました」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:12:46.02 ID:yTwrzhTwO


エルフ「おお……うおお……」


戦士「お前……やるな……」


商人「あ、ありがとうございます。この量ですと10束ほどですね」


エルフ「……2000G! よっしゃぁ!」


戦士「やったぜ」


商人「はい……!」


エルフ「……君ぃ、自分が採取したからって2000Gは自分のものなんて言わないでよ?」


商人「もちろんですよ……僕だけじゃ取れませんでしたから」


戦士「それじゃあ分け前は三等分か?」


エルフ「いやいや、待ちなよ。私が一番活躍したよね? 私が8割で君たちで1割ずつが妥当じゃないかな?」


戦士「ふっかけすぎだろ!」


商人「ええと……あまり商人を安く買い叩こうとするとロクな目にあいませんよ?」


戦士「あのなエルフ、戦闘でお前が圧倒的な強さで強敵すら蹴散らしたならその分け前でもいい。だが、俺たちはお互いの弱点を補い合っていた。そうだろう?」


エルフ「えぇ……どうかなぁ?」


戦士「それに飛竜草の採取に成功したのは商人の成果だろう? これを換金するのも商人だ。それもしっかりと考慮しないとダメだ」


エルフ「そしたら借金の返済で手取り0じゃん!」


戦士「自己責任って言葉を知ってるか?」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:13:45.04 ID:yTwrzhTwO


商人「約束通り僕の取り分はなしで、お二人に報酬をお渡しします」


エルフ「いえーい!」


戦士「……いいのか?」


商人「はい。僕は自分が村を出てもやっていけるという自信と証拠が欲しかっただけですから」


エルフ「うんうん。君ならやっていけるよ。うんうん」


戦士「調子のいいやつだな……」


商人「それに戦士さんに言われたように、もう一度父と話し合ってみます」


戦士「ん、それがいい」


商人「お二人とも本当にありがとうございました。お金は換金して明日お渡し致します」


エルフ「ちゃんと2000Gに換えてよ?」


商人「お任せください! それでは!」たったったっ…

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:15:13.36 ID:yTwrzhTwO



戦士「アイツ、この短期間でも成長したな」


エルフ「危険な目にあって生還したからハイになってるだけなんじゃない?」


戦士「そうだとしてもな」


エルフ「それより分け前は7対3でいいよね?」


戦士「なんでだよ!?」


エルフ「譲歩してるのに何が不満なんだい!?」


戦士「そこは折半でいいだろうがよ! なんでお前がキレるんだ!」


エルフ「元々今回のリーダーである君がしっかり分け前を決めないから揉めるんだよ! 責任とって9:1ね!」


戦士「どうしてそうなる!?」


エルフ「じゃあ全部私が貰えば問題ないの?」


戦士「問題しかないわ!」

84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:17:26.55 ID:yTwrzhTwO

・・・
【飛竜の村】


商人「昨日はありがとうございました。昨夜、父と話して説得がうまくいきました」


戦士「そうか、よかったな」


商人「戦士さんのアドバイスのおかげです。僕たちは理解が足りなかったんだと思います。家族だからって何でも通じるというのはダメですね」


エルフ「……」


戦士「甘えるのと仲良くするのは別物だからな」


エルフ「そんなことより報酬!」


商人「あ、はい。これ2200Gです……200Gは少ないですけど僕からの報酬です」


戦士「いいのか?」


エルフ「払うっていうんだから貰えばいいんだよ、もう……」


商人「盗賊や追い剥ぎなどもいますからお気を付けて…………あの」


戦士「ん?」


商人「ぼ、僕もお二人の仲間にしていただけませんか! 雑用や装備の補充、アイテムの換金など、色々とお手伝いします! ダンジョン探索のお手伝いもします! だから……!」


戦士「いやいや危ないぞ……って、それは承知の上だよな。だが、そもそも俺たちは常に組んでるわけでもダンジョン冒険者でもないからな」

85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:20:32.39 ID:yTwrzhTwO


エルフ「じゃあ組めばいいじゃん?」


戦士「は?」


エルフ「私たちそんなに相性悪くないじゃん。それにさぁ、お人好しの君には、私や商人が手綱を握るべきだよ」


商人「善意は出しどころを絞って効率的に出すものですよ!」


戦士「えぇ……」


エルフ「そんなわけでこれからはチームとして他のダンジョンも制覇して稼ごう!」


商人「はい! いい修行、ビジネスチャンスになります!」


戦士「マジかよ……まあ、ダンジョンの魔物を倒せば結果的には魔物被害も減るかね」


エルフ「決まりだね。ーーここにチームエルフの結成を宣誓する!」


商人「はい!」


戦士「お前がリーダーかよ……」


エルフ「とりあえず現在のみんなの所持金を統合して……ええと、そう! 管理するから寄越しなさ……預けなさい!」


戦士・商人「ムリ」



エルフ「チームエルフかいさーん……」


戦士「雑だな!」



チームエルフを結成した!



商人「出納管理は任せてください。しっかりブックキーピングして、監査も行い、チームの健全な財務管理を達成します!」


戦士「意識高い」


エルフ「私に甘いものを食べさせるチームだね」


戦士「やっぱり解散でいいよ……」

86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:22:52.52 ID:yTwrzhTwO

・・・
【その後しばらくして】


戦士「忘れてたけど借金返せよ」


エルフ「返せと言われても、ないものは返せないよ」


戦士「はあ!? この前、1100G受け取ったろ!?」


エルフ「……この前の賭けトランプの借金で1000Gもっていかれた」


戦士「おま……無一文どころか借金までしてたのかよ!?」


エルフ「トサンって怖い言葉だよね……あはは……」


戦士「めっちゃ暴利じゃねえか!」


エルフ「しかも家賃が払えなくて賃貸追い出されちゃった……」


戦士「おま……おま……」


エルフ「それで戦士」


戦士「断る!」


エルフ「まだ何も言ってないよ!」


戦士「どうせ金を無心するんだろ! 借りる前にまずは返せ!」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:28:16.86 ID:yTwrzhTwO


エルフ「戦士ぃ……このままじゃ私生きていけないよぉ……」うるうる…


戦士「な、泣いても無理なものは無理だ!」


エルフ「こうなったら……歓楽街で身体を売るしか……」ぐすぐす…


戦士「ぇぇ……」


エルフ「私、戦士に見捨てられて、娼館で知らないオヤジに穢されちゃうんだ……」しくしく…


戦士「い、いや……」


エルフ「そして、望まぬ子どもを産んで性病にかかって、見捨てられて親子ともに朽ちるんだ……」ぼろぼろ…


戦士「……ああもう! 分かったよ! 金は貸さねえ……というか貸せねえけど、しばらくうちに来い。狭くて汚いけど文句言うなよ」


エルフ「ありがとう戦士! 大好き!」


戦士「ったく……」


エルフ「それじゃあ、さっそく荷物入れさせてもらうね」けろっ


戦士「お前、嘘泣きかよ!」


エルフ「あはは、でも一文無しの宿無しなのは本当だよ。あのディーラーの巨乳姉ちゃん、絶対にアヘアヘさせてやるから覚えてろよぉ」


戦士「もうギャンブルはやめろぉぉっ!」




商人「この人たちについてきたの失敗だったかなぁ……」



Chapter1:飛竜の塔

ーーーーーーーー
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/03(木) 23:45:12.72 ID:yTwrzhTwO

○戦士メモ

・トサン:10日で3割の利息が付く利息体系。一ヶ月たつころには単利計算で借金が2倍弱になり、複利計算だったら2倍を超える。一番賢い利用方法は利用しないことかもしれない。

・泣き落とし:エルフは故郷の妹を思い出すせいか殊更に強く出れない。



○エルフメモ

・チームエルフ:これからダンジョンを荒らして荒稼ぎする予定のチームだから覚えておくべきだね!

・賭け場:歓楽街の隅にある酒場のその地下にある。冒険者にとっては有名みたい。ディーラーのお姉さんはおっぱいが大きくて美人だけど天才的にイカサマが上手いらしい……おのれ。

歓楽街:きっと酒もタバコもやらない戦士はここにたくさんある娼館にお金を落としてるに違いない……不潔だ!

・戦士の家:借宿でボロい。狭い。二人暮らしするには適してないよ。しかも戦士のニオイがこもってて……は? 嗅いでなんかないし?
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 02:22:21.48 ID:tpp02uf4O
商人偉そうに言って何の役にもたってないエルフの分け前を戦士に返す処かそのまま放置でギャンブルでなくしてるやないか何も管理できてないアイテム知識だけの無能やかいかい
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 02:30:20.04 ID:Z9DW8w1Yo
何をそんなにカッカしてんの
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 02:38:43.81 ID:wxB3daa1o
まぁ借金の事考えたら商人どうのこうの以前にその場で返せよなw
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 09:44:50.61 ID:mYtLglmW0
ロリババアって飛龍が人間化したのかな気になる(´・ω・`)
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 10:52:34.90 ID:qiw1n+oK0
無能やかいかい( ^ω^ )
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 12:31:35.31 ID:YWqGoGwbo
いいね
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:17:15.47 ID:yMOARYmHO


エルフ「……草って高く売れるんだよ」


戦士「藪蛇だな」


エルフ「賢くて可愛いエルフちゃんは学習しました。今まで宝石だけが高く売れるものだと思ってたけど、草は結構高く売れるということを」


戦士「医療用は需要もあるから高く売れるな」


エルフ「ここはまた一つ高く売れる草を採って稼ぎますか。幸いにしてチームエルフには目利きができるチビがいるしね」


戦士「チビって……お前の方がチビだろ」


エルフ「私はそこまで小さくないから」


戦士「俺から見たら大差ないけどな」


エルフ「無駄にデカいもんねぇ。デカ過ぎて頭に栄養がいってないっぽい」


戦士「いちいちこき下ろすなよ……それより屋台行って飯でも食うか」


エルフ「またスライム春雨? 肉がいい。ホロホロ鳥のフライとか食べたーい」


戦士「贅沢言うな居候。飯代やその他諸々を払ってからにしろ」


エルフ「戦士はケチだなぁ。こんな可愛い女の子と同棲できてるんだからお金を払って欲しいよ」


戦士「お前……まあ、いい。食わないなら部屋で待ってろ」


エルフ「はいはい行きますよ、もー」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:18:43.78 ID:yMOARYmHO

・・・
【道具屋】


商人「あ、お疲れ様です!」


戦士「おう。働いてるな」


エルフ「ふわぁ……」


戦士「道具屋の主人さんとは仲良くやってるか?」

商人「はい! うちの村とは扱ってる品も規模も違うのでとてもいい経験になります! 戦士さん、紹介してくださってありがとうございます!」


エルフ「ふっ、戦士は顔だけは広いからね」


戦士「なんでお前が偉そうなんだよ……」


商人「ダンジョンに行く時はついて行きますからお声かけください」


戦士「ああ」


エルフ「目利きだけは一流だもんね。目利きだけは」


商人「ぅぅ……」


戦士「お前そういうのやめろよ」


97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:23:14.78 ID:yMOARYmHO


エルフ「ところで飛竜草みたいに高く売れる葉っぱって他にないの?」


商人「そうですね……膵島草とかですかね」


エルフ「すいとーそー?」


商人「糖尿病の治療薬の原料です」


戦士「糖尿病か。近年深刻みたいだな」


エルフ「とーにょーびょー、とーにょーびょー。ああ、知ってる知ってる。社会問題だよね。爆ぜるやつだよね」


戦士「どういうことだよ……」


商人「社会問題なのは確かですね。、昔はお金持ちの美食家しかならなかったんですけど、今はダンジョンで取れる高エネルギーの食品のために食生活の変化が起きて糖尿病が増えているようです」


戦士「俺たちも気を付けないとな。特にエルフ」


エルフ「むっ」


商人「人間でも元々食が質素な人ほどなりやすいようです。エルフ族もおそらく発症しやすいですから気を付けてください」


エルフ「びょ、病気が怖くてダンジョン冒険者はやってられないよ! それよりすいとーそーは幾らするの?」


商人「1束500Gです」


戦士・エルフ「高い!?」

98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:24:31.99 ID:yMOARYmHO

エルフ「飛竜草よりも高いんだけど!?」


商人「採取が難しいんです……なんせ今のところ『異形の島』でしか見つかってませんから」


戦士「異形の島か。遠いな」


エルフ「500G草......10束取れば5000G草……戦士の一年の年収くらい!?」


戦士「さすがにもう少し稼いでるわ……」


商人「向かうというなら手配は任せてください。必要であろう道具も仕入れておきます」


エルフ「よし! 行こう!」


戦士「待て待て……先立つものがないだろ」


エルフ「そこは戦士が立て替えてくれるでしょ? この前の1100G、まだ残ってるんだから」


戦士「いやお前な……俺の稼ぎの大部分は故郷に送ってんだっての」


エルフ「道理でどこにも1100Gはなかったわけか」ちっ


戦士「部屋の中を探し回るのやめてもらえる!?」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:25:52.22 ID:yMOARYmHO


エルフ「じゃあ商人この戦士のポケットマネーに300Gあるから、これで準備よろしく」


戦士「なんでお前が持ってんじゃー!?」


エルフ「それじゃあ賭けトランプに使えってことかい?」


戦士「どうしてそうなるんだよ!?」


エルフ「じゃあどうしろっていうの!?」


戦士「逆ギレ!?」


商人「あ、あの……」


戦士「……どうせこいつは頑固で折れないからな。『異形の島』で元を取ってやる。商人、足りるか?」


商人「は、はい……何とかしてみせます」


エルフ「よっし、次なるダンジョンは『異形の島』! 500G草が私たちを待っている!」


戦士「不安しかない……」

100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:27:32.29 ID:yMOARYmHO



「奇遇だな。アンタら異形の島に行くつもりか?」


戦士「ん?」


「俺たちも異形の島に向かうんだ。俺は赤魔だ」


戦士「お、おう……」


エルフ「ふーん。まあ、私たちの方が稼ぐけどね」


赤魔「ははあ、俺たちが誰か知らないのか嬢ちゃん? さてはモグリだな」


エルフ「ああ? お前みたいな赤ずくめ黒チビなんか知らんわ。ママのおっぱいでも吸ってろ」


赤魔「ああっ!? 同じエルフ族だから声かけたら何つう態度だ!? お前の方がチビだろうがチビ!」


エルフ「黒エルフなんかと一緒にされたくないですぅー、黒チビー」


赤魔「ちっ、白いのはこれだから……」


エルフ「ああ? 赤魔道士なんてイタい職業やってるアホチビ黒エルフに言われたくないよ」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:28:50.96 ID:yMOARYmHO


赤魔「こ、この……俺にケンカを売ったこと後悔させてやる! 決闘だ!」


エルフ「望むところだよ!」


戦士「お前ら落ち着け……」


商人「み、店の前で騒がないでください」


赤魔「ちっ……広場に移るぞ! 大衆の前で膝を突かせて恥をかかせてやる!」


エルフ「それは私のセリフだけどね?」


赤魔「ふん、ついて来いよ! ついて来られるならな!」ダッ


エルフ「むしろ私の方が先に広場につくんじゃないの?」ダッ


戦士「あっ、おい! ……すまん商人、準備よろしくな!」ダッダッ…


商人「あ、はい……うーん、やっぱり苦労人ですね」

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:31:12.99 ID:yMOARYmHO

【広場】


赤魔「な、なかなか速いじゃないか……」


エルフ「そ、そっちこそ……」


赤魔「だが、戦いで俺に敵うと思うなよ!」ババッ


エルフ「(ナイフ二刀流……!)」


エルフ「ふん、かっこつけて……」バッ


エルフは魔力を杖の先に溜めている!


赤魔「遅いぜ!『疾風剣』!」



エルフ「(こいつも魔法を武器に宿らせて戦うタイプか!)」


赤魔「おらぁっっ!」ビュンビュンビュンビュンッッ


エルフ「当たるか! 喰らえっ!」


エルフの『爆杖殴打』!


赤魔「っとぉ! ?」バッ


エルフ「ちっ……!」


赤魔「(……こいつ、生意気叩くだけあるなっ)」



103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:34:12.13 ID:yMOARYmHO


赤魔「業火を身に刻め!」


赤魔の『火炎魔法』!


エルフ「(普通の魔法も使えんのかよぉ……!)」ササッ


赤魔「ちょこまかと……! 止まりやがれっ! 『地震剣』!」ザクザクッ


ドガガガッッッ!


エルフ「うおおぃ!?」グラグラッ


赤魔「喰らえっ!」ぶんっ


エルフ「くっ……!」



ガシッ



エルフ「……へっ?」



赤魔「誰だ! 何をしやが……げぇっ!」



「アンタがなにやってんの?」

104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:38:29.42 ID:yMOARYmHO


赤魔「と、盗賊さん……? 宿の手配をしてたんじゃ……?」


盗賊「もう終わった。なんでこんなところでケンカやってんの? 買い物は終わったわけ?」


赤魔「あっ……」


盗賊「……やることやらずに遊んでるんじゃない」ギチチチッッ


赤魔「……あだだっ! ごめ、ごめんなさい……っ!」


エルフ「なんなんだ……」


戦士「はぁはぁ……やっと追い付いた……あれ、終わった感じか」


盗賊「その子の保護者か? ウチのバカがすまない」


赤魔「んなっ」


盗賊「……」ギロッ


赤魔「……」シュン…


戦士「ああ、いや、うちのアホがふっかけたことだし……こちらこそすまない」


エルフ「誰がアホだ! 随分と偉くなったな戦士ぃ」


戦士「うるさいよ」ビシッ


エルフ「あだっ」


盗賊「……お互いケガはないようだし、ここらで手打ちにしていいだろうか?」


戦士「ああ」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:42:00.33 ID:yMOARYmHO


赤魔「待て! まだ決着は……!」


トンッ


赤魔「……」きゅうっ


エルフ「首トン……生で初めて見た……」


盗賊「お騒がせした」ぼすっ


赤魔「……ぅぅ」ぷらーん…


エルフ「……せめて戦闘能力の数値だけでも測ってやる!」


戦士「おま……勝手に測るなよ……」


ステータス解析マシン<<カシャッ……ピピッ……ピロンッ



・赤魔
HP:2500
こうげき:300
まほう:700
ぼうぎょ200
すばやさ:500


・盗賊
HP:3500
こうげき:400
まほう:200
ぼうぎょ:400
すばやさ:1000



106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:44:28.48 ID:yMOARYmHO



エルフ「うーん……多分私の方が強い!」


戦士「五分五分だろ。魔法で負けてる分エルフ族としては……」


エルフ「うっさい!」


戦士「……というか、あの黒エルフの連れも相当の手練れだよな」


エルフ「ただ足が速いだけじゃん」


戦士「いや……やっぱりその機械だけじゃ測れないものがあるって。あの立ち振る舞いは相当場数を踏んでそうだ」


エルフ「なるほど、私の方が強いけど、連れについては完敗だ。戦士がショボすぎる」


戦士「んなこと言われてもな……あの二人も『異形の島』に行くんだよな? 鉢合わせになって争うことになったりしないといいが」


エルフ「なんでフラグを立てるかなぁ……」



to be continued...

107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/04(金) 22:51:16.42 ID:yMOARYmHO


○戦士メモ

・スライム春雨:養殖されたスライムを細く切り刻んで辛めのスープに入れた食べ物。庶民の食べ物として広く普及しているため屋台で安く売られ、昼時は簡易な椅子に座って食している人々が多く見られる。

・ホロホロ鳥:全身に脂がのりジューシーな肉汁がたまらなく旨い魔物。気性は穏やかかつ悪食で何でも食べるため養殖されている。ただストレスに弱いため流通量が中々増えない。

・異形の島:国東部の近海に出没したダンジョン。非常にグロテスクな外観をしており危険生物が多く住むという。難易度は高く腕利きのダンジョン冒険者でない限り生き残ることは出来ないそうだ。

膵臓島:『異形の島』に自生する植物。近年増加しつつある糖尿病に有効な治療薬の原料らしいが、『異形の島』の難易度が高いこともあり、売値が1束500Gと高値である。購入できるのは一部の金持ちに限られるだろう。

・糖尿病:缶詰のシロップを飲むのはやめておいた方がいいようだ。

・盗賊:あの身のこなしや佇まいは只者ではないと思ったが、数値で見ても常人離れしているようだ。悪人ではなさそうだが、実際にそうであることを願う。



○エルフメモ

・赤魔:くそむかつく黒エルフのチビ。ちゃっかり私よりも魔力が高いのが尚更気に入らない。

・赤魔道士:魔道士の職業の一つ。攻撃力が高く回復魔法、攻撃魔法を使いこなす。また魔法を剣に宿して戦う『魔法剣』を用いたりする。多彩だがスペックが低いとただの器用貧乏になる。あと赤ずくめの格好が胡散臭いよね。私は可愛い武闘派魔法使いなので赤魔道士じゃない。赤くないしね。

・黒エルフ:エルフ族と仲が悪い。エルフ族よりも人間に対して友好的であるのもエルフ族は気に入らないらしい。私自身は別に黒エルフが嫌いとかでもないし、むしろエルフ族の高慢さがあまり好きでなかったりするけど、あの黒チビは気に入らない。
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 00:12:19.77 ID:PiA+NJqCO
>>95
藪蛇は文脈上正しくないな
「藪から棒」だな
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 04:22:24.10 ID:h6b9jKgZO
当たり前のようにある技のひとつが首に手刀で気絶させるってやつだけど
これは気を失う時があればそれは脊髄損傷して意識が無くなってる後遺症確定演出だからみんな遊びでしちゃダメだからね
現実にはそんな技ないから
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 06:39:14.42 ID:hBGpJnC6o
ssに何言ってんだこいつ
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 11:22:44.71 ID:AdQrhbNgO
→どうでもいい
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 22:57:31.42 ID:d1VAG6JcO
・・・
【異形の島に向かうオンボロ定期船の中にて】


エルフ「…………」


赤魔「…………」


エルフ「フラグ回収が早いんだよぉ!」


赤魔「意味が分かんねえぞ!」


エルフ「戦士のアホー!」


商人「まあ、一番最安値でダンジョンへ行き来するにはこの定期船しかありませんからね」


盗賊「どうも」


戦士「ああ、どうも」


赤魔「チビすけ! このダンジョンでケリつけようじゃないか」


エルフ「ああん?」


赤魔「このダンジョンでよりレアアイテムを手に入れた方が勝ちだ。どうだ!? 乗るか!?」


エルは「望むところだよ! 黒チビが負けたらチームエルフの奴隷だからな!」


赤魔「俺に二言はない! お前が負けたらチームレッドのパシリだかんな!」

113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 22:59:16.64 ID:d1VAG6JcO


盗賊「勝手な約束をするなバカ」


赤魔「うぐっ……」


エルフ「ぷぷ……」


戦士「エルフもだぞ」


エルフ「むっ……」


赤魔「はっ!」



赤魔・エルフ「…………!」バチバチッ



商人「あは、あはは……同じエルフどうし仲がいいんですね」


エルフ・赤魔「よくないっ!」


商人「ごめんなさいっ」





114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 22:59:22.71 ID:00Mt7ehDo
(エルフの精神年齢おんなじくらいだな)
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:00:40.27 ID:d1VAG6JcO


赤魔「ったく、この程度のやつら俺が軽く捻ってやるのに……」


盗賊「……はあ。赤魔、このダンジョンの生存率がどれだけか復唱しなさい」


赤魔「……忘れた」


商人「せ、生存率25%です。よ、4人のうち1人以外は亡くなります……」


赤魔「ふーん……まあ、俺と盗賊は死なないからお前らが死ぬな。はっ、まず勝負にすらならねえか」


エルフ「ああ?」


盗賊「バカか。過酷な環境だから他の冒険者と争ってる場合じゃないんだよ。ほんとバカだな」


赤魔「ぐ……二回もバカって言うなよ……っ」


エルフ「へっ」


戦士「お前もだぞ」


エルフ「さっきからうっといよ!」


商人「エルフさん、僕たちはお金稼ぎに来たんですからね! プライオリティを間違えないでくださいね!」


エルフ「プライオリティ……ああ、プライオリティね。体力全快するよね」

116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:03:46.51 ID:d1VAG6JcO


戦士「……ところでそちらのパーティの目的は? こちらは膵島草の採取だが」


赤魔「すいとーそー?」


エルフ「いちいち言うなよ!」


商人「そうですよ! ピンポイントで狙ってるライバルだったら潰し合いになります!」


戦士「んなバカなこと……」



<<あいつらも膵島草ねらいかよ

<<ガキ連れだけどな……潰しておくか

<<まあ、俺たちが潰すまでもないだろ



戦士「……すまん」


エルフ「まったくこれだから考えなしの脳筋は……」はぁ…


戦士「悪かったって……」

117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:06:34.68 ID:d1VAG6JcO


盗賊「私たちはこれといった目的アイテムはない。まあ、レアアイテムでも見つかればいいのだけど」


商人「じゃあ僕たちと基本的に同じですね」


戦士「どうせなら俺たちと組まないか? お互い実力は同じくらいだと思うし、生存率が低いなら尚更協力し合うべきだろう」


盗賊「すまないが身元が知れない奴等と組むつもりはない。別にそちらが怪しいなどという事ではなく一律にそうしているんだ。悪く受けとらないで欲しい」


戦士「……そうか。すまなかった」


赤魔「勝負するんだから組んだりするわけないだろ!」


エルフ「そーだそーだ!」


盗賊「そんなつもりも勿論ない」ガチッ


赤魔「いだだだっ……!」


戦士「ああ。お互い生き残って帰ろう」ぐっ


エルフ「むーむー……! ……がぶっ!」


戦士「いでぇっ!? 噛むなっ!」

118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:08:54.55 ID:d1VAG6JcO

・・・
【異形の島・最寄の小島】



ガゴンッ……


<<ダンジョン最寄に到着です! この小島からはボートに乗って本島までお進みください! 五体満足の生還をお待ちしております!



商人「……着きましたね」


エルフ「おえ……」


赤魔「うぷっ……」


戦士「ダンジョン突入前から疲弊してるな……」


盗賊「はぁ……」


商人「そ、それより、本当は僕たちと入れ替わりで帰る人たちが待ってるはずですけど……」


シーン……


戦士「誰もいない?」


119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:13:03.72 ID:d1VAG6JcO


ざわっ……


<<ど、どういうことだ?

<<なんで帰る奴が誰もいないんだ……?


赤魔「なんだこりゃ? 盗賊、どういうことだ?」


盗賊「さて……まだ帰る気がないのか、元々誰もダンジョンに入ってなかったのか、最悪で一番尤もらしい場合として……全滅したかのどれかだろう」


商人「ぜ、全滅ですか……? た、確かに生存率は低いですけど、さ、さすがに全滅はそうそう……今回も100人近くが入るわけですし、前回もそれくらいいたでしょうし……」


赤魔「……キモい本島の浜にボートが大量にあるっぽいから全滅くさいけどな」



エルフ「……戦士、なんかデジャブだよね」


戦士「ん?」


<<……おい!? 魔物が来たぞ!? 飛んでやがる!

<<はあ!? この小島には魔物が来ないって話じゃねえのか!?

<<……きょ、巨大カマキリ……? あ、あんな魔物、ここで見たことねえぞ!



<<ブブブブ……



エルフ「……人の少ないダンジョンに普段は見かけぬ魔物。飛竜の塔の時に似てるよ」サッ


ステータス解析マシン<<カシャッ……ピピッ……ピロンッ



・クリティカルマンティス

HP:1500
こうげき:800
まほう:10
ぼうぎょ:200
すばやさ:800



120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:14:36.02 ID:d1VAG6JcO


クリティカルマンティス<<ブブブブ……ッッ!


エルフ「早くて破壊力はあるけど脆い! 慎重に防御して一気に倒そう!」


戦士「俺の後ろに下がれ!」



盗賊「……」シュバッ


戦士「……!」


盗賊の『死の針』!


クリティカルマンティス<<!? ……ブブッ……!


クリティカルマンティスの『急所切り』!


ミス!


盗賊の『加速蹴り』!


クリティカルマンティス<<ッッ!


盗賊は更に加速する!



121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:16:30.96 ID:d1VAG6JcO


赤魔「真っ二つになりやがれ!」


赤魔の『疾風魔法』!


クリティカルマンティス<<……グラッ!


盗賊「もう一発」


盗賊の『加速蹴り』!


盗賊の素早さは最高潮に達する!



クリティカルマンティス<<ドシャッ!



クリティカルマンティスを倒した!



盗賊「なんだ終わりか」スタッ


赤魔「にひっ、らっくしょー♪」




<<つ、つええ……!

<<バケモノじみてやがる……!

122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:17:42.31 ID:d1VAG6JcO


エルフ「……うーん」


赤魔「へっ、どうだクソチビ! 俺たちの実力を思い知ったか!」


エルフ「君の連れは強いね、連れは、ね」


赤魔「俺も強いっつーの!」


エルフ「はっ」


赤魔「んぐぐ……!」


戦士「やめろって。二人とも助かった」


盗賊「別に降りかかる自分たちに火の粉を払っただけだ。感謝する必要はないわね」


商人「お、お強いですね……」


盗賊「それはどうも」


エルフ「盗賊というより武闘家じゃないの?」


赤魔「うちの盗賊は武闘家よりも白兵戦に強いんだっての! どうだ!」どやっ


盗賊「なんでアンタがイキるわけ?」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:20:16.46 ID:d1VAG6JcO

・・・
【異形の島・本島の海岸】


赤魔「そんじゃ勝負だチームエルフ! 換金G額が高いアイテムを見つけた方が勝ちだ! 約束忘れんなよ!」


エルフ「はっ! 精々死なないように気をつけるんだね!」


赤魔・エルフ「ふんっ!」


ザッザッザッザッ……


赤魔・エルフ「…………同じルートかよ!?」


赤魔「さっきあそこで別れる感じだったろ! なんで同じメジャールート来てるんだよ!」


エルフ「こっちのセリフだよ! てっきりそっちはマイナールートに行くと思ったよ!」


赤魔「ちっ、ヘタレどもめ……おい、盗賊! 俺たちはマイナールート行くぞ!」


盗賊「バカか死ね。初めて来たダンジョンでいきなりマイナールートに行くか死ね」


赤魔「そ、そこまで言わなくたっていいだろぉ……」


エルフ「……へっ」


赤魔「鼻で笑いやがって……!」ムカムカッ……


盗賊「……」はぁ…


商人「異形の島……どんなアイテムが待ってますかね!」キラキラ…


戦士「お前もわりとマイペースで楽天的だな……」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:22:02.02 ID:d1VAG6JcO


商人は『硬い枕』を手に入れた!


商人「戦士さん、新しい盾ですよ」


戦士「盾なの!? 枕じゃないの!?」


商人「固すぎて盾になる枕です。売値は11Gです。ウィンドシールドよりも素の防御力は高いですよ」


戦士「わ、わりと高いな……いや、ウィンドシールドでいいよ」


商人「じゃあ換金用ですね」



商人は『亜銀石』を手に入れた!

商人は『氷結プリン体』を手に入れた!

商人は『闇鍋用の土鍋』を手に入れた!



赤魔「め、めざとい……」


盗賊「気にするな。私たちは嵩張らず高価なもの狙いでしょう?」


赤魔「わ、わかってるよ。宝石とか狙うぞ……こんな紫のドロドロがあるくらいだし宝石とかとれそうなんだけどな」


エルフ「というか、この紫のヘドロみたいなのは何? 毒? なんか戦士の体から分泌されそう」


戦士「こんなもん出るか!」


商人「人体に有害という報告がありますから、触ったりしちゃダメですよ。呼吸くらいは平気みたいですけど」


エルフ「なるほど、怖いね」

125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:23:42.80 ID:d1VAG6JcO

・・・

赤魔「俺たちはAルートを行くつもりだ」


エルフ「商人、すいとーそーが採れるのは?」


商人「地図によるとBルートが群生地の森に通じてます」


エルフ「じゃあBルートだね。精々500Gより高いものを見つけるんだね!」


赤魔「舐めるなよ! 3000G超えの財宝を手に入れてやる!」


戦士「3000Gか……一攫千金だな」


商人「膵島草の群生地まで無事にたどり着ければ合計で3000Gほど稼げそうですけどね」


エルフ「ふへへ……大金が私たちを待ってるよ……ふへへ……」


戦士「ゲスい顔しやがって……」


商人「ふへへ……まだ見ぬアイテムたち……ふへへ……」


戦士「こっちもかい……」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:28:54.57 ID:d1VAG6JcO

・・・
【異形の島・Bルート】


戦士「……」ザッザッ


商人「ほとんどの人がAルートに行きましたね……一番切り開かれたルートですし、やはり赤魔さんたちがいるからでしょうか」


戦士「そうかもなぁ……前回の生存者はゼロかもしれないし、不安になったんだろうな。すぐに引き返したやつも結構いたし」


エルフ「高い金払って何しに来たんだか……」



ヒソヒソ……



商人「唯一後ろにいる人たちは……船の中で不穏なことを言っていた人たちですよね? だ、大丈夫でしょうか……?」


エルフ「もし襲って来たらぶちのめして食人植物の餌にでもするよ」


戦士「恐ろしいこと言うなよ……」



商人「……地図にあるはずの道がないですね」


戦士「マジかよ……」


商人「結構な金額を払ったのに……まだまだダンジョンの全容は掴めてませんから仕方ありませんね」


エルフ「まだまだ未開拓なんだよね?」


商人「はい。特に私たちが入って来た方角は南ですが、北側は急崖で海からは進入できず、また北上するにかけて敵が多いためほとんど調査は進んでません」


エルフ「つまりまだ未発掘のすんごいお宝がある可能性あり、ってわけ?」むふー!


商人「はいっ」


戦士「それだけ危険ってことだろ……それより、問題は今どうするかだろ」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:32:33.05 ID:d1VAG6JcO

エルフ「この獣道っぽいのがルートじゃないの?」


戦士「魔物が歩いた跡かもしれんぞ?」


エルフ「でも道が消えるってのも中々あり得ないし、これがルートじゃないかな」


戦士「うーむ……目印付けて、地図書きながら行くか」


商人「どちらも任せてください!」


エルフ「戦闘以外は頼りになるよね」


戦士「ありがたいよな」



他冒険者のグループ<<……ニヤニヤ



エルフ「……後ろの奴等は立ち止まってる私たちを追い抜こうとしないね。 持ち悪いんだけど」


商人「そうですよねぇ……」


戦士「あいつらも道に迷ってるんじゃないのか?」


エルフ「それなら私たちに並んでもいいじゃん。……あいつら、私たちが魔物を倒してもらって楽に進もうとか考えてるんじゃない?」


商人「フリーライドですね……弱ってる最中に不意打ちされたり、獣道でつけた目印を消されたりしないか不安ですね……」


戦士「そんな悪どいことするか普通?」


エルフ「私たちがいるところは普通じゃないでしょ? ここはダンジョン……大金を稼ぐチャンスと危険に満ちた無法地帯! その危険は魔物だけじゃなくて追い剥ぎの如き冒険者が含まれてもおかしくないよ」


戦士「マジかよ……」

128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/05(土) 23:34:53.29 ID:d1VAG6JcO
エルフ「……そうは言っても進まないことには始まらない。目印はやっぱり私がつけるよ」


エルフは杖の先に魔力を溜める!


エルフ「はっ!」


エルフの『爆杖殴打』!


大木<<ベコッッ!


他冒険者たち<<!!??


エルフ「これなら消せないでしょ。さて、獣道をいこー」


戦士「お、おう」


エルフ「というか、この島全体を焼き払ったら、魔物も倒せるし道にも迷わないし一石二鳥?」


戦士「お前……エルフ族としてそれはダメだろ……」


商人「火をつけてもすぐに消えちゃうそうですよ。しかも火をつけた冒険者たちは森に呑まれたとかいう目撃談も……」


エルフ「えー」


戦士「森の主が仕返ししたのかもな。その理屈で行くと、この目印の付け方も怒りの対象になりそうだが……まあ、そんなわけはないよな!」


エルフ「息をするようにフラグを立てるのはやめてよぉー……」



<<ザワッ……………



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