梨子「カードキャプター」善子「さくらうち?」

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174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 00:53:16.74 ID:C0VN0tby0


梨子「た、ただいま……うわ、真っ暗」

うちっちー「……」

梨子「あ、うちっちー! 先に帰ったんだって? どうして?」

うちっちー「……」

梨子の部屋の壁『……』


梨子「どうしたの? ボーっとして」

うちっちー「……善子とはどうなったんだい?」

梨子「あ、えっと、それは///」


うちっちー「……」

梨子「うちっちー?」


うちっちー「さくらうち、残りのカードの数を覚えているかい?」

梨子「え? えっと、今『お守り』を入れて8枚だから……あと1枚?」

うちっちー「ああ、そうだね」

梨子「それがどうかしたの? 私今まで通り頑張る、つもりだけど……」

うちっちー「レンガの壁のためかい?」

梨子「え、あー、最初はそうだったけど……」


梨子「でもね、今はうちっちーとも仲良くなったし、よっちゃんたちも大切だし、みんなのためかな」ニコ

梨子の部屋の壁『さくらうち……』

うちっちー「ああ、君はそうだから、そんなだから、ボクは……」ポロ

梨子「うちっちー? 泣いてるの? どうして?」

175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 00:54:01.74 ID:C0VN0tby0


うちっちー「さくらうち。君に言わなければならないことがある。謝らなければならないことがある」

梨子「うちっちー……?」

うちっちー「このことを話すボクを君は卑怯だって言うだろうね。でも、話さなければならないんだ」

梨子「何だか、話が見えないよ」

うちっちー「……」


うちっちー「最後のクロウカードが揃ったら、カードは別の世界の帰ることになる」

梨子「え、うん……」

うちっちー「いいかい、さくらうち。カードはその『存在』ごと別の世界に消えていくんだ」

梨子「『存在』ごと……?」

うちっちー「そう。君にカードについての記憶は……残らない」


梨子「え……?」


うちっちー「カードだけじゃない。カードを通じて知り合った人やもの、町、ボクや壁……」

うちっちー「全部の記憶が、さくらうちも含めたすべての人から、消えてしまう」


梨子「そ、それって……!」


うちっちー「ああ、さくらうち。ボクだけならまだよかった。でも、君は、カードを通じて出会った君と善子は―――」







うちっちー「カードが揃ったら、お互いのことを、忘れてしまう」


梨子「ぇ……」







第6話「恋の本心 火の用心」終わり




  ♪   ♪   ♪

176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 00:55:12.66 ID:C0VN0tby0


〜〜♪ 〜〜〜〜♪


ハイ、キョウハココデオシマイデス


アリガトウゴザイマシター


オツカレサマデシタ



花丸「……ふぅ」

花丸「やっぱり聖歌隊で歌うのは気持ちがいいずら」

花丸「あ、またずらって言っちゃったずら」


花丸「はぁ……この癖、何とかならないのかな」

花丸「ダイヤさんやルビィちゃんはそのままでいいって言ってくれるけど、やっぱり気になるず――気になるなぁ」


花丸「……」


花丸「歌だって、マルより上手い人、いっぱいだなぁ。みんな声が綺麗だし」


花丸「気にしすぎなのかな。きっとそうずら。でも……」



花丸「皆みたいに話せたらいいのにな……」



???『……』ニヤ




  ☆   ☆   ☆

177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 00:55:47.91 ID:C0VN0tby0


最終話

「魔法の言葉は内浦の空に」






梨子「どういう、こと?」

うちっちー「言葉の通りさ。君たちはカードのこと、お互いのこと、全てを忘れてしまう」

梨子「そ、そんなっ、どうして……」


うちっちー「クロウカードや、ボクは……『不純』なのさ。最初に言っただろう?」

梨子「……うちっちーが不純なのは知ってるけど」

うちっちー「君が思い浮かべている『不純』じゃないさ。言葉通りの意味だよ」

うちっちー「ボクはこの世界にいてはいけない存在。純ならざる存在なんだ」

梨子「いてはいけない……?」


うちっちー「さくらうち、君は、どうして内浦に引っ越してきたんだい?」

梨子「え、急だね。親戚のお家があるからだけど……」

うちっちー「その親戚はどうして内浦に住んでいるんだい?」

梨子「それは……わからないよ。偶然じゃないかな」


うちっちー「この世に偶然なんかないんだ。あるのは、必然だけ」

梨子「どういう……」


うちっちー「木之本桜」


梨子「人の名前、だよね。誰?」

うちっちー「本物の――いや、純粋なカードキャプターさ」

梨子「それって、別の世界にいるっていう……?」

うちっちー「ああ。カードの持ち主になるはずの女の子さ」


うちっちー「でもある時、カードの一部が事故でこっちの世界に飛ばされてしまった」

うちっちー「『さくら』が持つはずのカードを、『さくらうち』が見つけた。君が持っているその『お守り』さ」


梨子「『さくら』と『さくらうち』……」

うちっちー「……」コクリ


うちっちー「その瞬間、『さくら』の世界にあったカードに『うち』が混ざってしまった。その不純物が形を成したのが『うちっちー』」


うちっちー「つまり、ボクさ。ボクは文字通り『不純妖精』なんだ」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 00:56:28.81 ID:C0VN0tby0


うちっちー「その後は知っての通り。君は内浦に移り住み、『鍵』を見つけた。カードのお守りを持つことで手に入れた魔力を注ぎ込み、ボクが目覚めた」

梨子「ち、ちょっと待ってよ! 私の親戚はずっと前から内浦に住んでるんだよ。でも、私がお守りを拾ったのは去年のことで……」

うちっちー「それも必然だよ」

梨子「意味がわからないよ……」



うちっちー「『さくらうち』の使命は、カードをもとの世界に、木之本『さくら』を取り巻く運命の螺旋に戻すこと」

うちっちー「そのために、君は9枚のカードを集めるんだ」

梨子「でも、集めたら……」


うちっちー「ああ。9枚集まって溜まった魔力は、純粋なクロウカードを『さくら』の世界に帰すことになる」

うちっちー「不純な『うち』―――ボクは消えるし、君たちの記憶も消える」


梨子「……」

梨子「……そんなの」ポツリ


うちっちー「……」

梨子「……うちっちーは、最初から知ってたんだよね」

うちっちー「……ああ、知っていた」

梨子「騙したの?」

うちっちー「……っ」

うちっちー「……ああ」


梨子「どうして?」

うちっちー「使命のためさ。ボクはそのために生まれ――」

梨子「違うっ!」

うちっちー「え?」


梨子「どうして、今ごろ話したの!? どうせ忘れるなら、知らないままの方がよかったのに……っ! なんでっ!!」


うちっちー「……」


うちっちー「ボクはね、さくらうち」

うちっちー「君のことが、好きになりすぎてしまったんだ」

梨子「え……?」

179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 00:57:08.40 ID:C0VN0tby0


うちっちー「最初は騙してやろうと思っていたさ。願い事で釣ったって、どうせ忘れる。目的さえ果たせばそれでいいって」

うちっちー「狙い通り、君はレンガの壁にまんまと釣られて、カードキャプターになった」

梨子「……」


うちっちー「君ときたら最初は文句ばっかりだった。レンガの壁のためだと言って、ようやく動いてくれた」

梨子「……うん」

うちっちー「でも、すぐに君は壁のことを口にしなくなった。出会ったばかりの鞠莉のために、命を懸けて果南と闘った」

うちっちー「他のカードだってそうだ。嫌々封印したものなんて1つもなかった。君はいつも誰かのため」

うちっちー「ああ、そうさ。さくらうちが言った通り。君はみんなのためにカードキャプターをやっていた。それが、堪らなく眩しくて、愛おしかった」


梨子「……うちっちー」


うちっちー「君は真実を知らなければならない」

うちっちー「あんなに一所懸命だった君には、きちんと向き合わなければならない。忘れてしまうかどうかは関係ない」

うちっちー「ボクは不純でどうせ消えてしまう存在だけど、君に対してだけは誠実でなければならないと、そう思ったんだ」

梨子「……」


うちっちー「いや、違うな。こんな綺麗なものじゃない。もっと弱くて、汚いエゴだよ」



うちっちー「ねえ、さくらうち。ボクはつまるところ―――」



うちっちー「君に嘘をついたままでいるのが、どうしようもなくつらくなってしまったんだ」





梨子「……そんなの、勝手すぎる」


梨子「私は……私は、そんな話、聞きたくなかった」クル


カードのお守り『』ポウッ……





  ☆   ☆   ☆

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 00:57:53.85 ID:C0VN0tby0


善子「ねえ、リリー」

梨子「……」


梨子(うちっちーと話してから数週間。私は、だらだらと日々を過ごしてる)

梨子(放課後のお茶会に、よっちゃんとのお出掛けに、楽しい生活)

梨子(でも、どこか私の心には陰が落ちていて、もうカードが現れませんようにって、毎日祈っていて……)

梨子(今も、よっちゃんのお家にお邪魔してるのに、そのことばかり考えちゃってる)


善子「ねえったら!」グイ

梨子「わっ、ご、ごめんよっちゃん、ぼーっとしてて……」

善子「もう、最近多いわよ。何かあった? この堕天使ヨハネに懺悔してみなさい!」

梨子「何で私が悪いことした前提なの……」フフ


善子「本当に、何にもないの?」ジッ

善子「遠慮せずに言いなさいよ。その、こ、こい、恋人、なんだから……///」

梨子「……うん、大丈夫だよ」ニコ


梨子(こんなこと、よっちゃんには言えないよね。ううん、言いたくない)

梨子(今の生活が、とっても幸せだから)


梨子「それで、どうしたの?」

善子「夏休み、どこかに出掛けない? 東京とか。リリーの故郷なんでしょ? 案内してよ」

梨子「東京……あんまり、いい思い出ないかな」

善子「そうなの?」

梨子「うん、言ってなかったっけ。去年、ピアノのコンクールで大失敗しちゃって」


梨子「それまでも、東京ではつらかった記憶が多いかな。だから毎日壁に話しかけてたの」

善子「罪業の深い人生を送っていたのね……」ゴクリ


善子「でも大丈夫よ! 今はもうリリーもヨハネのリトルデーモンだもの!」ビシッ

梨子「はいはい、ありがと」

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 00:58:28.00 ID:C0VN0tby0


梨子(……うん、やっぱり今を壊すなんて、できないよ。うちっちーには、悪いけど)

梨子「ねえよっちゃん」

善子「ん?」


梨子「私がカードキャプターを辞めるって言ったら、どうする?」

善子「……え」


善子「ど、どうしたのよ! やっぱり何かあった?」

梨子「も、もしもの話だよ、もしもの!」

善子「なんだ……驚かせないでよね」ムー


善子「うーん、リリーがカードキャプターを辞めるって言ったら、私は止めるかも」

梨子「……」

梨子「どうして?」


善子「だって、カードが暴走するってことは、誰かが天界からの裁きに苦しんでいるってことよね」

善子「堕天使として、そんなリトルデーモンは見過ごせないわ。リリーも、そうなんでしょ?」

梨子「……」ズキズキ


梨子「……うん、そうだよね」


梨子(でもね、その人を助けてしまったら、私とよっちゃんは―――)

善子「……?」




  ☆   ☆   ☆

182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 00:59:00.51 ID:C0VN0tby0


梨子「はぁ……」

鞠莉「まーた梨子はため息ばかりね」コポコポ

鞠莉「はい、ストレートティー」カチャリ

梨子「ありがとうございます……」スッ


ルビィ「善子ちゃんと何かあったんですか? 今日、善子ちゃん休みだったし……」

梨子「ううん、そういうわけじゃないの。よっちゃんは風邪だって」

ダイヤ「花丸さんも体調不良でしたわよね。まったく、夏休み直前だからと言って、気が緩みすぎですわ」

千歌「まあまあ……。あ、うちっちーは元気?」

曜「私、この前のお礼も言えてないし、会いたいなあ」

梨子「うっ」

果南「あれ、うちっちーと何かあったの?」

梨子「あー、ちょっと喧嘩中というか、気まずいというか……」


梨子(険悪ではないけれど、うちっちーとは、あんまり話さなくなっちゃった)

梨子(最近の私は、寝る時以外は自分の部屋には帰らずに、リビングでばかり過ごしています)


千歌「大丈夫!」

梨子「え?」

千歌「梨子ちゃんならすぐ仲直りできるよ、ね、曜ちゃん?」

曜「そうそう! 私たちが保証する!」

梨子「保証って……」


梨子(みんなが優しい目で笑ってくれる……。でも、最後のカードを封印したら、みんなとの、記憶も……)


鞠莉「梨ー子」ピトッ

梨子「ひゃっ!」



「「「大丈夫だよ」」」


梨子「そう、なのかな……」ポツリ




  ☆   ☆   ☆

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 00:59:45.78 ID:C0VN0tby0


テクテクテク


梨子(みんなはああ言ってくれたけど……。どうして、簡単にそんなことが言えるんだろう)



ピンポーン……


梨子「……」

梨子「あれ、出ない」


ピコンッ


  堕天使†ヨハネ『ごめん、出られないの。鍵は開いてるから入って』


梨子「そんなに風邪ひどいのかな……」

梨子「お邪魔しまーす」ガチャ


善子「……!」フリフリ

梨子「よっちゃん! 寝てなくて大丈夫なの? 今日お母さんいないんだよね?」

善子「……」コクコク

梨子「喉、痛むの? ゼリーなら買ってきたけど……」

善子「……」フルフル

梨子「え、違うの?」

善子「……」

善子「……」ジワ

梨子「え、よっちゃん!?」


ピコンッ


  堕天使†ヨハネ『ごめんなさい』


  堕天使†ヨハネ『声が出なくなっちゃった』


  堕天使†ヨハネ『風邪じゃないの。元気なのに、話せなくなっちゃった』



善子「……っ」パクパク


梨子「……っ!!」ゾッ

梨子(クロウ、カード……!?)



梨子「うちっちー、呼んでくるっ!」ダッ





  ☆   ☆   ☆
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:00:20.77 ID:C0VN0tby0


うちっちー「……間違いない、『VOICE』だ」

善子「……っ!」

梨子(やっぱり……!)

うちっちー「『VOICE』は声のカード。他人の声を奪うことができるんだ」


梨子「ほんとに? 風邪とかじゃなくて?」

うちっちー「……ああ」

善子「……?」


梨子「そんな……」ヘナヘナ


善子「……」スッスッ


ピコンッ


  堕天使†ヨハネ『さっきは泣いてごめん』


  堕天使†ヨハネ『でも、大丈夫よ。リリーと私でカードだって封印できるわ!』


梨子(違うんだよ、よっちゃん。封印したら……!)ウルッ

うちっちー「……さくらうち」


梨子「嘘だよ、こんなの、ひどいよ……!」ジワ

梨子「なんで、よりによって……! よっちゃんじゃなくたって、いいじゃん! どうしてっ!!」

うちっちー「……」ウツムキ


善子「……!」ギュ


ピコンッ


  堕天使†ヨハネ『どうしたのよ、いつも通り封印したら終わりでしょ?』


  堕天使†ヨハネ『ねえ、何かあったの?』

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:00:52.26 ID:C0VN0tby0


梨子「……何でも、ないっ」

善子「…っ!」グイッ


  堕天使†ヨハネ『何でもないはずないじゃない』


梨子「何でもないの! よっちゃんには関係ないっ!」ドンッ

善子「――っ」ドサッ

善子「……」ボウゼン

梨子「ぁ……」


善子「……」

梨子「……ごめん、ごめんなさい……っ」


善子「……」ポチポチ

 
  堕天使†ヨハネ『私、心配よ』


梨子「……っ!」

梨子(本当なら、私が言うべき言葉なのに……)


梨子「ううん、大丈夫、何とかする」

善子「……」


善子「……」コクン


ピコンッ


  堕天使†ヨハネ『信じてる』




  ☆   ☆   ☆

186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:01:38.78 ID:C0VN0tby0


善子「……」ポチポチ


『と、いうことなのよ』スッ

『しばらく、このお茶会でも迷惑かけちゃうけど、ごめんなさい』


鞠莉「善子が謝ることじゃないわよ。ここのものだって、何でも使っていいわ。理事長権限よ」

『私はヨハネよ』スッ

果南「わざわざ打つんだ……」アハハ

千歌「それにしても、声が出せなくなるなんて……」

曜「大丈夫だよ、『SWEET』のときみたいに力を合わせれば、さ」


曜「ね、梨子ちゃ――」


梨子「……」ウツムキ


梨子(私、どうしたらいいのかな。よっちゃんを助けて、記憶をなくす? それとも、声が出ないままのよっちゃんと過ごす?)

梨子(ううん、どうすべきかなんて、もうわかってる。よっちゃんを助けなきゃ)

梨子(でも、それができない私がいる。離れたくないって思っている私がいる)

梨子(どれだけ考えても同じだよ。同じところを、ぐるぐるぐるぐる……)


曜「梨子ちゃん?」

梨子「え、あ、うん……」

善子「……」


ダイヤ「ちょっと、どうかしましたの? そこのセイウチも、カードに関係するからと連れてこられたにしては、だんまりではありませんか」

うちっちー「……」

187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:02:22.20 ID:C0VN0tby0


ダダダダダダダッッ


ガラララッッ


ダイヤ「何ですか、騒々しい」

ルビィ「はあっ……! はあっ……! お姉、ちゃん……っ! 梨子さんっ!」ゼエゼエ


千歌「ルビィちゃん!」

果南「どうしたの、そんなに急いで」


ルビィ「助けてください……! 花丸ちゃんを、助けてください!!」

鞠莉「マルを……?」


善子「……」ポチポチ

『今日は風邪で休みじゃなかった?』


ルビィ「うん、そのはずだったんだけど、さっき……」



  ☆   ☆   ☆



「黒澤さーん、日直の仕事終わったー?」

ルビィ「は、はい先生っ! 今終わりましたぁ!」

「ならよし、ご苦労さま」

ルビィ「失礼しますっ」ペコリ


テクテクテク


ルビィ(花丸ちゃんはお休みだし、善子ちゃんはカードに声を盗られちゃってて……)

ルビィ「うゅ……2人とも、心配だなぁ……」ハア


ルビィ(あれ、校門に誰か―――って、花丸ちゃんだ!?)


ルビィ「風邪って言ってたのに、どうしたんだろう……」


タッタッタ……

188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:02:59.77 ID:C0VN0tby0


ルビィ「花丸ちゃん!」

花丸『あら、ルビィ』

ルビィ「へ……」ゾワ


ルビィ「花丸……ちゃん?」

花丸『そうよ。私は花丸』

ルビィ「なんで……?」

花丸『え?』


ルビィ「どうして、善子ちゃんの声真似をしてるの?」


花丸『もう、ルビィったら、これは私の声に決まってるでしょ』ニコ


ルビィ「え……」ゾワゾワ


ルビィ「ち、がうよ……。それ、花丸ちゃんの声じゃないよ。話し方も全然違う……!」

花丸『ひどい、ルビィならわかってくれると思ったのに』

ルビィ「善子ちゃんの声を盗ったの、花丸ちゃんなの……?」

花丸『おかげでもう方言を話さなくても済むの』

ルビィ「方言は花丸ちゃんの可愛いところだよ……!」


花丸『勝手なこと言わないでっ!』キッ


ルビィ「どう、して……」


花丸『ねえルビィ。綺麗な声でしょ? 今から音楽室に行って歌をうたうの』


花丸『きっと、素敵な歌がうたえるわ』


ルビィ「花丸、ちゃん……」ガタガタ


ルビィ(絶対、あれは善子ちゃんの声だ……。だったら、だったら……!)



  ☆   ☆   ☆

189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:03:42.85 ID:C0VN0tby0


ルビィ「お願いです。花丸ちゃん、話し方、ずっとコンプレックスだったんです」

ルビィ「善子ちゃんの声や話し方が羨ましいって、何回か聞いたことあるんです」

善子「……」

ルビィ「でも、ルビィはいつもの花丸ちゃんが大好きなんです」

ルビィ「助けてあげてください! ルビィも手伝います。だから……っ」グス

梨子「ルビィちゃん……」


果南「マルは、音楽室にいるんだね?」

ダイヤ「一度、お説教ですわね、まったく」

曜「え、えーっと、あんまり手荒なことはしない方がいいんじゃ……」

千歌「とにかく話をしなきゃ! ね?」


梨子(考える時間も、ないんだ……)

うちっちー「さくらうち」

梨子「わかってる……っ!」ガタッ


梨子(よっちゃんが声を奪われた。花丸ちゃんがカードで苦しんでる)

梨子(わかってる。見過ごす理由なんてない。考える必要なんてない。音楽室に行って、カードを封印して、そして――)


「「「行こう? 梨子ちゃん」」」



梨子(私は、みんなのことを……)ポロ


善子「……!」


『リリー、泣いてるの?』


梨子「……」ゴシゴシ

梨子「ううん、大丈夫だよ。私が声を取り戻してあげるからね、よっちゃん」

善子「……」




  ☆   ☆   ☆

190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:04:25.35 ID:C0VN0tby0


ガララッ


花丸『〜〜♪ 〜〜♪』


善子「……っ!」

果南「ほ、ほんとに善子の声だ……」

ルビィ「花丸ちゃんっ!」

花丸『ルビィ、また来たの? あ、今の聞いてくれた? 綺麗な歌声だったでしょう?』ニコ

ダイヤ「花丸さん……」


花丸『ふふ、どんな気分? ねえ善子』

善子「……」ポチポチ

『私はあんたの話し方、嫌いじゃなかった』


花丸『……ッ』

花丸「……善子、ちゃん」

ルビィ「!?」

曜「今、一瞬花丸ちゃんの声だったよね?」


うちっちー「花丸はきっと、『同化』する一歩手前で『VOICE』と闘っているんだ。暴走して他人の声に執着する『VOICE』と、必死に」

ルビィ「そ、そうだよっ! 花丸ちゃんは優しいんだもん! ルビィ知ってるもん! 善子ちゃんから声を奪ったりなんかしない!」

花丸「ルビィ……ちゃん……私……っ」ググッ

ルビィ「頑張って! 花丸ちゃん!」ギュッ

花丸「ぁ……ぅ……」


花丸『……』


花丸『うるさいわね、ルビィ』パシィ

ルビィ「うぅっ!」ドサ

ダイヤ「ルビィ!」ダッ


花丸『ぞろぞろと、カードキャプターまで連れてきて。私を封印するつもり?』

梨子「……そうだよ」バッ



梨子『闇の力を秘めし「鍵」よ! 真の姿を我の前に示せ――』


梨子『契約のもとさくらうちが命じる―――』


梨子『レリーーーーーズ!!』



梨子「……」クルクル

梨子「封印してあげる」スッ

191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:05:01.28 ID:C0VN0tby0


花丸『あなたにできるの?』クス


善子「……」ムッ

『リリーならできるわ。あなたなんか、すぐに封印してくれる』


花丸『んふっ、大した信頼ね。でも、本当かしら』


花丸『ねえ、カードキャプター。あなたに、選べるの?』

梨子「……っ!」

鞠莉「選ぶ……?」


花丸『それは、賢い選択なのかしら。あなたはすべてを犠牲にして、この子を助けられるの?』

梨子「……黙って」キッ

花丸『私、知ってるのよ。何ならこの場でみんなに教えてあげましょうか』


梨子「やめてっ!!」


千歌「梨子ちゃん……?」

花丸『ふふ……あなたには無理。捨てられないわよね。だって今までが全部無駄になっちゃうものね』

梨子「やめて、もう言わないで……!」


花丸『聞くのはつらい? そうよね、だって私のこと好きだもんね、リリー?』


梨子「――ッ」プツン

梨子「その声をやめて! 私をリリーって呼ばないでっ!!」グルグル


梨子「『FIRE――」

うちっちー「ダメださくらうち! 花丸に危害が及ぶっ!」ガシッ

梨子「でも……っ!」


花丸『リリー、私のこと忘れちゃうの? みんなのこと、忘れちゃうの?』


花丸『私って、その程度? そんなに簡単に忘れちゃっていいの?』


梨子「やめて! やめてよぉ……!」ガクン

―――カラカラ


うちっちー「さくらうちっ!」

善子「……っ」ダキッ

果南「梨子、どうしたの!? 梨子!」

192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:05:48.99 ID:C0VN0tby0


鞠莉「今の、どういうこと? さっきの『選ぶ』っていうのと、関係があるのね」

花丸『ああ、やっぱり何も教えてもらってないのね。リリー、いけない子』クスクス

梨子「う、うぅぅぅ……」ポロポロ


花丸『私が、最後のクロウカード。私を封印すれば、全部が終わる』

梨子「いやあ、嫌ぁっ!」


花丸『カードはあなたたちの記憶から消える。カードにまつわる全ての記憶が消えるのよ』

梨子「やだっ、もう聞きたくない! やめてよっ!」

カードのお守り『』ポウ……


ダイヤ「カードにまつわる、それは、つまり……!」

善子「!」ハッ

花丸『そうよ。あなたたちとそこのカードキャプターは、お互いのことを何も思い出せなくなる』


花丸『つまり、ただの他人に戻―――』



梨子「もうやめてえええぇぇぇぇっ!!!」


カードのお守り『』フワッ

うちっちー「なっ!? さくらうちのカードのお守りが!」


梨子「う、うぅぅぅぅ……!」

果南「梨子、しっかりして! きっと何か対策がある!」ユサユサ

善子「……っ」ポロポロ

梨子「―――ッ」バチイッ

果南「うわっ! これ、何、バリア……?」



梨子「もう聞きたくないっ! 私には無理だよっ! 何も聞きたくない、知りたくないっ!!」



梨子「もう放っておいてっ! 静かにしてよっ! だから―――」

カードのお守り『』パアアアアア


うちっちー「危ないっ! そんなに魔力を込めたらっ!」



梨子「『SILENT』――――ッ!!」




―――キイイイイイイイン





  ☆   ☆   ☆

193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:06:48.78 ID:C0VN0tby0


梨子「ん……」パチ

梨子「あれ、ここは……」ムクリ

梨子「私の、部屋?」


梨子(どうして急に……。さっきまで、浦女の音楽室にいたはずなのに)


梨子「そうだっ、カードのお守り……!」

梨子「あれ、ない……!?」


梨子(あのお守りの正体は『SILENT』……『静寂』のカード。あの瞬間、黒い汚れが急に取れて、思わず発動してた……)


梨子「どこに行ったんだろう。それに、みんなは……」

梨子「……」

梨子「よっちゃんに、嫌われちゃったかな。忘れようとしてたなんて、知られちゃったら」


梨子「学校に行った方が、いいのかな」

梨子(何だろう、違和感がある。耳の奥が、痛い……)


梨子「……」


梨子(わかった、音が、ないんだ……)


梨子「耳が、痛い」

梨子(ドアを開ける音も、車が通る音も、鳥が鳴く声も)


梨子「自分の声は聞こえるんだけどな……」

梨子(通学路を歩いていても、誰にも会わないし、足音もしない)

梨子(空はなんだか白っぽいし、物はゆらゆら揺れているし……変な気分)


梨子「あれ……千歌ちゃん?」

千歌「……」


梨子「ねえ、千歌ちゃん!」

千歌「……?」クルッ


千歌「……! ……!」パクパク

千歌「……」ニコッ

梨子「何言ってるか、聞こえないよ」

千歌「……!」フリフリ

梨子「千歌ちゃん! 聞こえないってば!」

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:07:20.88 ID:C0VN0tby0


梨子(あっちにも、みんなが……!)


梨子「はあっ……はあっ……!」


梨子「曜ちゃん!」

曜「……」ケイレイ


梨子「鞠莉さん!」

鞠莉「……」パクパク


梨子「果南さん!」

果南「……!」ニコ


梨子(みんなの声が、全く聞こえない……!)


梨子「嫌だ、嫌だっ……!」


梨子(走っても、自分の息遣いしか聞こえない……)

梨子(話しかけても、誰の声も聞こえない……!)


善子「……」

梨子「よっちゃん、よっちゃんっ! 返事してっ!!」


梨子(誰か助けて、誰か――――!)



梨子「壁さんっ!!」


『さくらうち―――』


梨子「え……?」


梨子「声が、聞こえた……!」


『こっちです、さくらうち―――』


梨子「あ、校門の方に……」



???『来てしまったのですね、さくらうち』

195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:08:03.21 ID:C0VN0tby0


梨子「あなたは、校門の白い壁さん……?」

???『そうとも言えるし、そうでないとも言えます』

梨子「どういう……」


SILENT『ここは、あなたが私で作り出した心の中の世界……』

SILENT『そして、私はクロウカード『SILENT』』


SILENT『お守りとしてあなたとずっと一緒にいました。そして、すべての壁でもあるのです……』

梨子「え……」


SILENT『なぜカードキャプターになった途端に壁の声が聞こえるようになったのか、不思議ではありませんでしたか?』

梨子「そ、それは私の壁クイ道が極まったからで……」

SILENT『そうではありません』

梨子「そんな!」


SILENT『あなたが聞いてきた壁の声は、すべて私のものです。あなたはお守り―――つまり私を常に身に着けていましたからね』

SILENT『加えて、あなたが『鍵』と契約してカードキャプターになったからこそ、カードである私の声が聞こえたのです』

梨子「そう、だったんだ……」


梨子「でも、どうしてこんなことに? 心の中の世界って……?」

SILENT『……』


SILENT『それを解き明かすには、昔話をしなければなりません』

梨子「え……?」


SILENT『一年前、東京のあなたの家で、私たちが出会った日、あなたが、カードのお守りを見つけた日のことです』




  ☆   ☆   ☆

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:08:46.19 ID:C0VN0tby0


梨子「う、うぅ……」

梨子「コンクール、弾けなかった……どうしてっ!!」ポロポロ


梨子「みんなが、冷たい目で見てた……!」

梨子「お母さんも、先生も、私のこと、怒ってた……」グス


梨子「私だって、頑張ったよ!?」


梨子「言われたことはちゃんとやったし、必死で楽譜も覚えたし、何時間だって練習した……!」


梨子「なのに、なのに……!」


フラフラ……


梨子「あはは、『次はちゃんとして』だって」

梨子「ちゃんとするってなんだろう。どうしてこんなに苦しいんだろう」


梨子「あぁ……うるさい……」


梨子「審査員の笑い声が聞こえてくる……! 耳を塞いでも、お母さんのため息が聞こえてくる……っ!」

梨子「うるさいっ、静かにしてよ、もう、放っておいてよっ!」ブンッ


梨子「……」

梨子「皆が壁みたいに何も言わなかったら、よかったのに」

梨子「期待も、失望も―――」


梨子「何もかも、聞こえてこなければよかったのに」


ポウッ………



梨子「あれ……これ、なんだろう。こんなカード、どこで拾ったかな」

梨子「優しく光って、とっても綺麗……」ツー


梨子「文字が、書いてある……えっと、S、IL、ENT―――?」



パアアアアア




  ☆   ☆   ☆

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:09:36.87 ID:C0VN0tby0


SILENT『あなたは、誰の声も聞きたくないと願いました』

SILENT『その願いを込め、私の名前を呼びました』


SILENT『あなたの心に入った私は驚きました。なにせ、そこには無数の壁があったのですから』


SILENT『あなたは幼少期から、周りの期待と失望に悲鳴を上げていた』

SILENT『つらいことがあると壁に話しかける癖があったあなたは、心の中にも壁を乱立させていた』

SILENT『そしてあなたは、自分を守る壁に囲まれながら、涙を流して私を呼んだのです』


SILENT『私は他のいたずら好きのカードとは違い、平穏を望みます。『同化』はせずに、あなたの願いを叶え、姿を隠しました』

梨子「……私の、願い」

SILENT『あれから、あなたはピアノに関して誰かに何かを言われたことはなかった。そうですよね』

梨子「……そういえば。ピアノの話にはなっても、前みたいに嫌だって思うことは少なかったような……」


SILENT『私は、あなたの心の壁に力を与えた。あなたの心を外から遮断する、防音室へと変えたのです』

梨子「防音室……」

SILENT『そう。あなたは私を使うことで、ピアノから目を背け、心を壁の中に閉じ込めて、この一年間を過ごしてきました』

梨子「……」


SILENT『ですが、内浦に来てからのあなたは違う』

梨子「え?」

198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:10:10.06 ID:C0VN0tby0


SILENT『あなたはうちっちーと出会い、カードキャプターになった』

SILENT『善子さんや、鞠莉さんや、他の多くの方と出会い、願いの声を聞き、彼女たちを救った』


SILENT『そうです。あなたは確かに、壁の向こうの世界に耳を傾けていた。世界の音を聞いていた』

梨子「世界の、音……」


SILENT『あなたは強くなったはずでした。しかし、今また耳を塞いでしまっています』

梨子「それが、この音のない世界、私の心の中……」


SILENT『あなたはここから出て、戻らなければなりません。どれだけつらくとも、どれだけ耳を塞ぎたくとも』

梨子「無理だよ……。だって戻ったら、全部忘れないといけないんだよ」


梨子「内浦で聞いてきた声も、願いも、大事な人の言葉も、全部全部忘れて、引っ越してきたころの弱い私に、戻らないといけないんだよ」


SILENT『そうではありませんっ!!』

梨子「……っ!」ビリビリ

199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:11:04.12 ID:C0VN0tby0


SILENT『あなたは戻るのではありません! 全部が消えてしまうわけではありません!』

SILENT『あなたが聞いた声は、音はっ! あなたが聞いた世界はっ! あなたの心に刻まれています……!』

梨子「心に……」


SILENT『記憶がなくなっても、あなたの心はなくならない。戻ったりしない。あなたはまた前に進むのです!』

梨子「……前に、進む」


SILENT『……』

SILENT『これから何かを選ぶとき、あなたはほんのちょっぴり、強くなれます。カードを封印するときのように』

SILENT『あなたは自分に、ほんのちょっぴり自信がつきます。多くの人を救った経験が、そうさせるのです』

梨子「覚えてなくても?」

SILENT『覚えてなくても』

梨子「一人ぼっちになっても?」

SILENT『あなたは一人ではありません。……これを言うのは、2度目ですね』


SILENT『思い出して。あなたの大切な人を。大切な仲間たちを』


梨子「……よっちゃんは、炎の壁の向こうから、助けてくれた」

SILENT『そうです。さくらうちの壁なんて、すぐに跳び越えてくれる仲間が8人もいるのです』


SILENT『記憶がなくなったとしても、彼女たちは変わりません。いえ、あなたと同じく前に進むのです』

SILENT『また出会える。また言葉を交わせる。また声を聞ける。また、壁を跳び越えてきてくれる』



SILENT『さくらうち、あなたは、仲間を信じてもよいのですよ』



梨子「壁を越えてくれる、仲間……。ここにも、来てくれるのかな。私、みんな声が聞けないの、怖くて」

SILENT『ええ、あなたは既に受け取っていますよ。音がなくとも、聞こえる声を……』


梨子「え……」バッ



  堕天使†ヨハネ『私たち、リリーのこと信じてる。だから――』

  
  堕天使†ヨハネ『リリーも私のこと、私たちのこと、信じてほしい』


200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:11:35.60 ID:C0VN0tby0


梨子「よっちゃん……みんな……」ポロ

梨子「私、私……っ」


SILENT『……さくらうち。それでは』ポウ……

梨子「……お別れ、なんだね」


SILENT『私たちは、すべてが終わればこの世界を去らねばなりません』

梨子「……」


SILENT『さくらうち、あなたは私なしでも、やっていけます。生きていけます』スウッ……

梨子「……うん、自信、持ってみる」


SILENT『ああ、それと、あなたから頂いたスプレー、気に入っていたのですよ』クスクス

梨子「そっか……ふふっ、よかった」



梨子「ありがとう。私の大事な大事な、壁さんたち……。ううん、『SILENT』」





梨子「私、戻らなきゃ」



パアアアアアアア




  ☆   ☆   ☆

201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:12:15.55 ID:C0VN0tby0


梨子「う、うぅん……?」

千歌「梨子ちゃん! だ、大丈夫なの!?」

梨子「みんな……ごめん」グッ


花丸『まだ立ち上がるの?』


梨子「……花丸ちゃん」


スタスタ


花丸『……!』

花丸『近づいてきて、どうするつも――』

梨子「……」スッ

うちっちー「通りすぎた……?」

花丸『何をするつもり?』クルッ


梨子「歌を、うたおうよ」


花丸『は……?』

梨子「好きなんだよね?」

梨子「大丈夫。伴奏は、私がしてあげる」

うちっちー「……さくらうち、君は、ピアノが」


梨子「……大丈夫」ストン


梨子(こうやって、ピアノの前に座るのはいつぶりだろう)


ドクン……ドクン……


梨子(胸が苦しい……。当たり前だよね。ずっとやってなかったんだもん)


梨子「でも、私にはみんながいる。カードがある」



スッ


ポーーーン………

202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:12:57.82 ID:C0VN0tby0


梨子「音が……」

梨子「私の手から、音が聞こえる」

花丸『……』


梨子「どうしたの、歌わないの? それとも怖い?」

梨子「自分の願いに気づいてしまうのが怖い? 花丸ちゃんの想いに気づくのが怖い?」

花丸『誰が……っ!』


花丸『〜〜♪』


梨子「ふふっ」


ポン、ポロン……


梨子(指が重い……。音が薄い……! それでも!)



善子「……」

千歌「梨子ちゃんのピアノ、初めて聞いた……」


花丸『〜〜〜♪』


梨子「もっと歌って! 聞かせて!」



―――SILENT『あなたは確かに、壁の向こうの世界に耳を傾けていた。世界の音を聞いていた』



ポロポロ、ポロロン……



梨子「私の世界には、音が溢れてる!」


梨子「この内浦には、素敵な音色が流れてる!」


梨子「もっと聞いていたい! もっと心に刻みこみたい!」

203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:14:07.63 ID:C0VN0tby0


梨子「ねえ花丸ちゃん、歌、好きなんだよね」

梨子「だからね、あなたの歌を聞かせてほしい」


梨子「花丸ちゃんの声で、届けてほしい」


花丸『……!」

善子(一瞬、私の声じゃなくなった! 声が揺れた……!)


梨子「歌は、音楽は、自分の心を届けるものだから」


梨子「周りがどうとかじゃない、自信がないとかじゃない、自分の声で、自分の音で届けないといけないものだからっ!」


花丸『……』



梨子「ううん、花丸ちゃんだけじゃない。『VOICE』……あなたも」


花丸『……!?』

梨子「私は、あなたの声が聞きたい。 あなたのことだって、忘れたくない!」


花丸『――ッ』ガタガタ

ルビィ「『VOICE』が迷ってる……?」


梨子「よっちゃんから奪った声じゃない、あなた自身の声を、あなた自身の歌を……っ」


梨子(期待とか巧さじゃない、私の心で、私の全部で届けるんだ、受け取るんだ……!)






梨子「あなたの音色を、私は、心に焼きつけたいっ!!」



花丸『……』ツー



パアアアアアアア



うちっちー「『VOICE』が剥がれた……。さくらうち、君はどれだけ……」

204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:15:07.52 ID:C0VN0tby0


VOICE『……』ゼエゼエ


梨子「『VOICE』……封印、するね」スッ


VOICE『……ドウシテ』

梨子「やっと聞けた、あなたの声……」ニコ

VOICE『……』


VOICE『……フッ』




梨子『汝の在るべき姿に戻れ!』


梨子『クロウカーーーーード!!』



シュルシュルシュル



シュウウウウン……


カード『』フワッ


梨子「これで終わり、だね……」パシ




善子「……リリーっ!」ダキ

梨子「よっちゃん、声がっ!」


善子「お別れ、なの?」ウル

梨子「……!」ハッ


梨子(みんなが私を見てる……。みんなが私を信じてくれる。きっとまた会える)


梨子「私も、私も信じてる。きっと、思い出せる」

善子「うん……っ……うん……っ」ポロポロ


梨子「……でもね」クル

梨子「……」

うちっちー「さくらうち……?」




梨子「ねえ、みんなにお願いがあるの。私のとびっきりの、一生のお願い」






  ☆   ☆   ☆

205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:16:01.91 ID:C0VN0tby0


サアアアア……



うちっちー「……」


うちっちー「夕焼け、か……。そろそろかな」

うちっちー「内浦は綺麗だなあ。学校の屋上からだって、いい眺めじゃないか」


うちっちー「……」

うちっちー「傷つけるだけ傷つけて、苦しめて、それからお別れか。ボクは何をやってきたんだろうね、まったく」



キイ……


梨子「お待たせ、うちっちー」

うちっちー「さくらうち、屋上で用があるって、何だい? それに、その衣装は……」

梨子「鞠莉さんがね、理事長室にとっておきのがおいてあるから、着なさいって」クスクス

うちっちー「……やっぱり君には衣装が似合うよ」

梨子「そうかな。少し派手すぎると思うけど。モチーフはコンビニ……だとかなんとか」

うちっちー「わけがわからないよ」

梨子「うん、本当に」


うちっちー「さっきまでは何をしていたんだい? みんなに『お願い』とやらをしていたみたいだけど」

梨子「それは秘密」

うちっちー「乙女の秘密か、解き明かしたくてたまらないなあ」

梨子「もう、すぐそういうこと言う……」

うちっちー「不純だからね」

梨子「……」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:17:44.68 ID:C0VN0tby0


梨子「夕日、綺麗だね……」

うちっちー「ああ」

梨子「ねえ、最初によっちゃんとうちっちーと一緒に飛んだ日のこと、覚えてる?」

うちっちー「忘れるわけないさ。君と出会った日だからね」

梨子「あの日も、綺麗だった。私は、杖で空を飛びながら、内浦の夜景に見惚れてた」

うちっちー「……ああ、そうだった」


梨子「あのね、うちっちー。私、怒ってるの」

うちっちー「……」

うちっちー「わかっているさ。騙すような真似をした。余計なことを言った。他にも――」

梨子「違うよ」

うちっちー「え?」



梨子「私は、うちっちーが自分のことを不純だって、いてはいけないんだって言ったことに、怒ってるの」

うちっちー「よく、わからないよ」


梨子「私ね、楽しかった……。何もわからないままカードキャプターになったけど、今まで楽しかった」

梨子「みんなと出会って、カードで空を飛んで、誰かを助けて、笑って、泣いて……恋までして」

梨子「うちっちーと話すのだって、ふざけたことを言い合うのだって、楽しかった」


うちっちー「さくらうち……」


梨子「『SILENT』が言ってくれたんだ。今までの世界の音は、私の心に刻まれているんだって」

梨子「うちっちーだってそうだよ。カードだってそうだよ。みんなの声を、私は聞いてきたんだよ」

うちっちー「……」



梨子「不純なんかじゃないよ……。消えていいものじゃないよ……っ!」」


梨子「そんな寂しいこと言わないでよ! どうせ消えるだなんて言わないでよ!!」



梨子「私だって、うちっちーも、『SILENT』も、カードも、大好きだもんっ!!」



うちっちー「ああ、あぁ……っ」ポロ


うちっちー「それだけ聞ければ、十分さ。それだけ、言ってもらえば、未練なんてないさ……」ポロポロ

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:18:26.29 ID:C0VN0tby0


キイイイ……


ザッザッザ


善子「ちょっとリリー、大好きって言うなんて聞いてないんだけど」

梨子「もう、そういう意味じゃないったら」


うちっちー「善子……?」


鞠莉「んー、やっぱりniceな衣装ね!」

ダイヤ「まったく、あんなものを理事長室に保管していたのですか?」

果南「これだから金持ちは……」ハア

ルビィ「花丸ちゃん、歩ける?」

花丸「う、うん、面目ないずら」ウツムキ

千歌「もう、誰も気にしてないよ」

曜「そうそう、それより、集中しなきゃ」


うちっちー「君たちまで、揃って―――いや、それは……その光は……っ!!」


ポウ……



うちっちー「なぜ、なぜ君たちは、また『同化』しているんだい……!?」

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:19:10.92 ID:C0VN0tby0


梨子「私は、集中しないといけないから、8枚はみんなに託したんだ」

梨子「カードとみんなが協力してくれるの」

梨子「私を、助けてくれる」

うちっちー「さくらうち、君は何をしようと――」


梨子「私はみんなを信じてる。みんなとなら、また出会える」

梨子「でもね、だからこそ……みんなとなら、もっと飛べる。もっとやれる」

うちっちー「もっと……?」


梨子「ねえ、うちっちー。クロウカードが、9枚帰ればいいんだよね?」

うちっちー「ああ、『さくら』の世界に、9枚とも帰らないといけないんだ」



梨子「だったら、みんな」


「「「うん!」」」


梨子「ありったけの魔力を込めて―――」



「「「想いを束ねて―――」」」



「「「レリーーーーーズ!!」」」

209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:20:32.35 ID:C0VN0tby0


梨子『翼よ! 皆を乗せる勇気となれ!』

善子「ええ、リリー。私が傍にいるわ。手を繋いであげる―――『FLY』!!」ギュ


梨子『鏡よ! カードを映し、像を成せ!』

千歌「梨子ちゃんには、本当に感謝してるんだよ―――『MIRROR』!!」ギュ


梨子『力よ! 偽りの像に実体を与えよ!』

ルビィ「頼りないルビィでも、恩返しがしたいんです―――『POWER』!!」ギュ


うちっちー「クロウカードを、複製しているのか……! 信じられない……!」



梨子『水よ、火よ! 海と太陽の輝きを、魔力に変えて!』

果南「内浦のことなら私たちに任せてよ―――『WATERY』!!」ギュ

曜「そうそう! 梨子ちゃんを連れて行きたいところだって、たくさんあるんだから―――『FIREY』!!」ギュ


梨子『時よ、声よ! 私たちの思い出を、言葉を、カードに込めて!』

ダイヤ「梨子さんの頑張り、わたくしは見てまいりました―――『TIME』!!」ギュ

花丸「マルの、ううん、オラの声でよかったら、いくらでも―――『VOICE』!!」ギュ


鞠莉「Wait Wait! 『SWEET』も使ってあげて!」

梨子「ふふ、忘れてませんよ。鞠莉さんの素敵な呪文を、はいどうぞ」


鞠莉「じゃあ……ハッピーエンドがいいなんて、甘ーい甘ーい願いを込めて―――『SWEET』!!」ギュ



梨子「最後に……」


梨子『静寂よ! 壁よ! 2つのクロウカードのつながりを断ち切れ!―――『SILENT』!!』



キラキラキラキラキラキラ…………

210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:21:52.62 ID:C0VN0tby0


うちっちー「片方のクロウカードが、元の世界に返っていく……」

うちっちー「でも、複製されたカードも、クロウカードである限り、そのうち消えてしまう!」


梨子「ううん、大丈夫」

梨子「もうひと踏ん張り、そこで見ててね」


梨子「残ったカードは、生まれたてのカード」

梨子「私たちの想いが詰まった、私たちだけのカード」


スウッ……


梨子(不純なんかじゃない! 消える運命なんかじゃない!)


梨子(うちっちーだって、カードだって、全部全部、私の心なんだ!)


梨子(消したりなんかしない、だって、これは、私のものだから、私が聞いてきた音だから―――)




梨子『クロウの創りしカードよ、古き姿を捨て生まれ変われ!』



梨子『新たな主は、その名は、私の、名前は―――』



善子「やっちゃえリリーーー!」



「「「叫べ青春!!」」」




梨子『さ く ら う ち !!』



パアアアアアアアア




うちっちー(ああ、そうか……。『さくら』の代わりなんかじゃなかったんだ)

うちっちー(とっくになっていたんだ。最初からそうだったんだ。彼女は、カードキャプターさくらうちだ―――)





  ♪   ♪   ♪

211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:23:14.74 ID:C0VN0tby0


梨子(あれ……? ここは、どこだろう。真っ暗で、でも光もあって……宇宙みたい)


梨子(不思議と、怖くない。誰かいるのかな……)


さくら『こんにちは!』

梨子「え、えっと、あなたは……?」

さくら『わたし、木之本さくら!』

梨子「さくらって……カードキャプターの!」

さくら『実はわたしは、すこーし未来の『さくら』なんだけどね』エヘヘ

梨子「未来の……。なんだか、神様みたい」

さくら『さくら神様じゃないもん』

梨子「ご、ごめんなさい」


さくら『あなたの魔法、見てたよ』

さくら『とっても優しい力……。わたしの魔法は星の力だけど、あなたは音』

さくら『ケロちゃんが見たら何ていうかな?』

梨子「ケロちゃん?」

さくら『何でもない何でもない!』


梨子「ねえ、さくら……ちゃん? 私、よかったのかな、勝手なことして」

さくら『……不安に思わなくても、いいんだよ』


さくら『わたしのとっておき、教えてあげる! どんな時でも助けてくれる、魔法の言葉なの』



さくら『それはね―――』





  ♪   ♪   ♪


212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:24:10.11 ID:C0VN0tby0


ゴソゴソ


シュルシュル


クルッ


梨子「うーん、これで大丈夫かなあ」

うちっちー「大丈夫だって。善子なら何を着ていっても喜ぶさ」

梨子「そうかな……ってもうこんな時間!」

うちっちー「ボクを連れて行ってはくれないのかい?」

梨子「もう、今日は2人で空を飛ぶって約束なの。うちっちーはお留守番」

うちっちー「大好きって言ってくれたのに……」オヨヨ

梨子「だからそういう意味じゃないってば!」


梨子の部屋の壁『気を付けるのですよ、さくらうち』

梨子「ありがとう、『SILENT』」

梨子「あ、またスプレー買ってきてあげるね」クイ

梨子の部屋の壁『て、照れてしまいます……。しかし、またそういうことを言ってしまっては……』


ガタガタ

ボウッ


うちっちー「ああ、また『FIREY』が妬いてるよ」

梨子「別に贔屓してるわけじゃないのに……」


梨子「とにかく、行ってきます!」

うちっちー「行ってらっしゃい、さくらうち」

213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:25:39.44 ID:C0VN0tby0


ヒュオオオオオ


バサッバサッ



善子「やっぱり風が気持ちいいわねー!」

梨子「そうだね! 景色も綺麗だし……」


善子「そういえばリリー。今度のステージだけど」

梨子「ああ、千歌ちゃんが勢いで申し込んだやつ……」

善子「大丈夫かしら。私たち、練習足りてないし。うまく踊れないかも」


梨子「スクールアイドルかあ。うちっちーも急に変な提案するんだから」ハア

善子「『魔力は人を惹きつける』だっけ?」

梨子「うん、そうみたい。『同化』を経験したから、よっちゃんたちも魔力が増えてるし、アイドルとか向いてるんじゃないかって」


梨子「適当なこと言って、絶対みんなの衣装姿を見たいだけだよ、うちっちーは」ムス

善子「仲良さそうで何よりね」フフ


梨子「それで、緊張してるの?」

善子「うっ……! ちょっとだけよ、ちょっとだけ!」

梨子「はいはい」ギュ

善子「……ありがと///」


梨子「ね、よっちゃん。魔法の言葉、教えてあげる」

善子「魔法の言葉?」

梨子「うん。耳貸して」スッ

善子「ちょ、近―――」


梨子(カードのことだって、学校だって、スクールアイドルだって、よっちゃんとのことだって―――)




  『何とかなるよ。絶対、大丈夫だよ』






最終話「魔法の言葉は内浦の空に」終



  ♪   ♪   ♪






梨子「カードキャプター」善子「さくらうち?」 完

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 01:27:48.91 ID:5bvQ4JnSO
雨「壁にでも話してろよ」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 01:27:54.18 ID:C0VN0tby0
終わりです。したらばで連載していたものでした。
お目汚し失礼しました。
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 01:33:30.81 ID:gx/EVWl70
したらばの方もこちらでも乙でした!
素晴らしいSSをありがとうございます。
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 01:35:02.04 ID:8i00asgI0
無断転載かな?
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/27(日) 01:40:12.07 ID:C0VN0tby0
こちらも書いた者が投稿しております。紛らわしくてすみません。
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 13:32:12.02 ID:b3GC01xHO
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/29(火) 00:23:17.69 ID:nlMySdA/0
面白かった
ほかにもあったら教えて欲しい
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/29(火) 08:01:16.24 ID:URr53CNMO

面白かった!
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/29(火) 08:06:24.37 ID:EugKvBFto
そいや記憶が消えるのも元からのネタなんだな
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/17(日) 04:27:05.80 ID:xngofW3Jo
乙ー
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