【モバマスSF】天翔る輝子

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51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:36:00.64 ID:brDQKZ9Ao
本番直前。
サクヤヒメのみんながやってきた。
みんなで打ち合わせをする機会はこのタイミングしかない。


かな子「みんな、今日は来てくれてありがとう。これ、差し入れだよ。みんなで食べてね」


プロキシマ星系の、老舗のマカロンらしい。
お、おいしい……。なんというか、高級な味がする……。


杏「かな子ちゃんもお疲れ。知り合いのアイドルみんなに片っ端から電話かけてお願いしたんでしょ? 大変だったね」

かな子「ううん、みんなで手分けしてお願いしたから、そこまで大変でもなかったよ」

輝子「そうだな……。私のとこにはまゆさんから来たし」


それでたまたまサクヤヒメにいたのが、私たちだったわけだ。
運命のいたずら、って感じがする。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:36:31.95 ID:brDQKZ9Ao
今回のライブは、幸子ちゃんを除くサクヤヒメの四人がメインだ。
奈緒さん、杏ちゃん、小梅ちゃん、そして私はゲストとして、幸子ちゃんの抜けた穴を埋めるように入る。
そして美玲ちゃんは、演出や音響の手伝いをしてくれることになった。
私のPDAを使えば、美玲ちゃんなら色々できるらしい。

問題は私たちのほうだ。
直前に飛び入り参加する形でのゲスト出演だから、何の準備も出来ていない。
曲や衣装ならデータさえあれば出力できるけど、練習してない歌や踊りをぶっつけ本番は、無理だ。

だから自然と、歌うのは自分の持ち曲、ということになる。


輝子「今回のライブは、なんかこう……、カワイイ感じのライブだ。
   だから、私の毒茸伝説なんかは合わないんじゃないか……?」

奈緒「あー、確かに。絶対特権でも歌うか? あれかわいいぞ」

美玲「おお、それいいな、かわいいぞッ!」

小梅「私は……小さな恋の密室事件じゃ、だめかな……?」

智絵里「あれもかわいいし、ダメじゃないと思うけど……」

紗枝「ちょっとホラーどすなぁ」

小梅「そういえば、2nd SIDEも、かわいい曲だよね。ふふふ」

奈緒「え゛っ」

杏「うーん……」


なかなか結論が出ない。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:37:01.85 ID:brDQKZ9Ao
輝子「親友って、すごかったんだな。私じゃあ、歌うことしかできないから……。
   こういう演出とか、セットリストを決めたりとかは……難しいな」

奈緒「確かになあ……」


みんな、うんうんと頷いている。


杏「……そうだよ、輝子の言うとおりじゃん。
  杏たちにはプロデュースなんて出来ないんだから、好きなようにやろうよ」

小梅「好きなように……?」

杏「うん。セットリストの流れとか、ライブのコンセプトとか関係なしに、杏たちの好きなようにやる。
  これで受ければ儲けもんだし、受けなくても『サクヤヒメ』の引き立て役にはなるでしょ?」


引き立て役……か。
それは、ちょっと嫌かな。


奈緒「でも杏は良いのか? ただの引き立て役に甘んじるので」

杏「良いわけないじゃん。だから……やるからには徹底的にやるよ。
  それこそ、サクヤヒメを食うぐらいに」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:37:28.64 ID:brDQKZ9Ao
輝子「おお、こ、これは……」

まゆ「宣戦布告、ですね。杏ちゃん」


まゆさん、なんだかうれしそうだ。


杏「多分、こっちのほうが面白いでしょ? どう?」

智絵里「うんっ!」

紗枝「対ばん、言うやつどすなぁ〜。楽しみやなぁ」

小梅「そ、それはちょっと違うと思うけど……」

輝子「フヒヒヒ。楽しくなってきたな……!」


私は幸子ちゃんの代役で来たんであって、幸子ちゃんじゃない。
たとえお客さんたちが求めているのがカワイイ幸子ちゃんのパフォーマンスであっても、できるのは私のパフォーマンスだけだ。
だから、全力でそれをやるしかない。

その上で、観客を私色に染め上げるんだ。
私が染まるのではなく。
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:37:59.92 ID:brDQKZ9Ao
方向性が決まり、そのあとの打ち合わせは順調に進んだ。
『サクヤヒメ』の曲を引き立てるように、そして私たちの曲もまた活きるように。
色々と考えてセットリストを組みなおした。

けっこう大幅に変えちゃったから怒られちゃうかもしれないけど……。
でも、親友は『全部こっちで責任をとる』って言ってるし、たぶん大丈夫だろう。

また、嬉しい知らせもあった。


かな子「みんな、聞いて!
    幸子ちゃん、なんとか帰ってこれるみたい。
    時間的にはライブの終了間際だと思うけど、一、二曲は歌えると思う」


多分、かな子ちゃんが何かやったんだ。

ともあれ、幸子ちゃんのソロ曲「To my darling...」とサクヤヒメ五人で歌う「パステルピンクな恋」はセットリストに組み込める。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:38:29.92 ID:brDQKZ9Ao
ミンナーデオドーロウ! ゴキゲンーナ Party night!


輝子「は、はじまったな……」


準備もなしでぶっつけ本番、しかもアウェイでのライブ……。
不安要素しかないはずだけど、不思議となんとかなるような気がしている。


美玲「アイドルのライブ、こっち側で見たのなんてはじめてだな。
   なんか……新鮮な気分だ」

輝子「帰ったら、美玲ちゃんもアイドル、やってみるか? プロデューサーに頼んだら、やってくれるかも」

小梅「あ、いいね、それ」

美玲「ええっ!? ウチがか? うーん……」


美玲ちゃんは考え込んだ。
多分、ここでどんな答えを出そうと、プロデューサーは見逃してはくれないと思う。

身体を得た美玲ちゃんは、紛れもなくアイドルの原石だ。
そしてその輝きを、プロデューサーは遅かれ早かれ必ず見つけ出す。
私の親友はそういう人なんだ。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:39:17.11 ID:brDQKZ9Ao
美玲「そ、それはともかくとしてッ! ショーコの出番、そろそろだろ?」

輝子「もうちょっと先……。奈緒さんが歌って、そのあと智絵里ちゃんが歌って、その次に出るぞ。
   ちょっと休憩挟んだら、シャイニングゴッドチェリーの三人で、MC……」

美玲「おお、大変そうだな。トークのほうは大丈夫なのか?
   ショーコ、そういうのニガテみたいだから、ちょっと心配だぞ……」

輝子「多分、なんとかなる……。智絵里ちゃんとヒャッハーしてたら、奈緒さんがなんとかしてくれる、と思う。
   す、少なくとも前はそうだった」

小梅「ふふっ、なんか、楽しそうだね。かわいい……!」

美玲「ナオも大変そうだな……。
   演出のほうは任せとけよッ! 派手に決めてやるぞッ」

輝子「あ、そうだ。演出の話で……。インディヴィジュアルズ号の、あの機能を使いたい。
   親友がお遊びで入れた、あれ……。大丈夫か……?」

美玲「あの機能? ……おお、あれか! うん、使えるぞ。
   ただPDAはウチが裏で使ってるから、合図は工夫しなきゃな。
   特定の振り付けとか、合言葉とかで」

輝子「そうか、じゃあ、せっかくなら……」



小梅「な、なんのことだろう……?」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:40:05.46 ID:brDQKZ9Ao
サーキニキーヅイテー ホ シ イ ノ


奈緒さんの曲が終わる……。
その後すぐ暗転して、私の番だ。


輝子「じゃ、じゃあ、行ってくる」

智絵里「がんばって、輝子ちゃん!」

小梅「がんばって……!」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:40:41.82 ID:brDQKZ9Ao
奈緒さんの、かわいくてクールな曲のおかげだ。
キュートを目的に来ていた観客たちにも、私の情熱的な曲が受け入れられる土壌ができつつある。
……気がする。

スポットライトが灯った。
照らし出されたのは、私の姿。
ひゃっはーするときの格好じゃなくて、みんながかわいいって言ってくれた、「ぱーりぃー☆ひゃっはー」だ。


イントロが流れ始めた。
さあ、地獄のパフォーマンスの始まりだ……!


 暗く澱んだ日陰で こっそり育てた気持ち
 独りきりは一人だけじゃない……だから
 ジメりジメり 隅に縮こまる身で
 地味に闇に 灯る蝋燭のように
 深く刻む 想イノタケの言葉 タケの鼓動を
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:41:18.66 ID:brDQKZ9Ao
観客が望む、とびきりキュートな歌を歌った。
そしてここからは、メタルな私のターンだ……!

途端に曲が激しくなる。
照明も怪しく激しく移り変わる。


輝子「タケノコ……お前。キノコじゃなかったのかぁ!?」


私は、ヒャッハーのかわりに……。
とびっきりのパワーと、信仰と、信念と……その他諸々をたくさん詰め込んで、"合言葉"を叫んだ。


 「赤射ァァァアアアアッ!」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:41:52.51 ID:brDQKZ9Ao
マッシュアップ☆ボルテージ 星輝子は、僅か1ミリ秒で赤射蒸着を完了する……フヒ。

これが、プロデューサーがお遊びで入れたインディヴィジュアルズ号の隠し機能。
一瞬で別の衣装にチェンジできるこのシステムは、途中から曲の雰囲気がガラッと変わるこの曲、『PANDEMIC ALONE』にぴったりだ。

あとは、いつも通りやるだけ。
メタルの神様に、魂を捧げるんだ!


輝子「吹き荒れる胞子 爆風に載せろ!」


……
…………
………………
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:42:46.71 ID:brDQKZ9Ao
智絵里「というわけで、サプライズゲストとして、神谷奈緒ちゃんと、星輝子ちゃんが遊びに来てくれました」

輝子「フヒ、神谷奈緒です」

奈緒「ああ、星輝子です……。って、違うだろ!」


ワハハハハ
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:43:13.60 ID:brDQKZ9Ao
小梅「カッコよかったよ、輝子ちゃん……!」

杏「いやー、やっぱり輝子はすごいね。この小さな体からどうやってあの声が出せるのか……」


杏ちゃんが、私のお腹をペタペタ触ってくる。
く、くすぐったい……。


輝子「ヒャッハーァァアア! やめろォ!!」

奈緒「あはははは!」


輝子「みんなも、良かったぞ。カッコよかった。
   観客のみんなも、引いてなかったと思う……。ちゃんとウケてた」

小梅「だよね、よかったぁ」


特に小梅ちゃんの『小さな恋の密室事件』。
なんだか異様なほど盛り上がってたな……。

私たちの出番はもう終わった。
後は、サクヤヒメのみんなが、どれほど観客を沸かせられるかにかかっている。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:43:39.80 ID:brDQKZ9Ao
結論から言うと、やっぱりサクヤヒメはすごかった。
地元でのライブというアドバンテージもあるけど、パフォーマンス一つ一つの完成度が高かった。
それだけに、もしあの場に幸子ちゃんもいたらもっと完成したパフォーマンスなんだろう、とも思ってしまった。


輝子「やっぱり、引き立て役くらいにしかならなかったかな……」

奈緒「いやいや、そんなことないって。爪痕を残すくらいは出来たぞ」

杏「うん。だいたいあっちは何ヶ月も前からこの日のために準備してるんだよ?
  飛び入り参加の杏たちにしては、上出来の結果だって」


そういう杏ちゃんは、ほんのちょっとだけ悔しそうだったな。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:44:30.90 ID:brDQKZ9Ao
輝子「美玲ちゃん、どこに行ったか知らないか?」

小梅「そういえば、見てないね」

杏「裏の方にいるんじゃないの?」

輝子「いや、今はお仕事じゃないから戻ってきていてもいいはず」


サクヤヒメのほうのステージではもとから演出は用意されてるから、今の時間は暇なはずなんだ。


輝子「ちょっと探してくる」

小梅「わ、私も……」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:45:05.02 ID:brDQKZ9Ao
美玲ちゃんは、舞台の裏にいた。
ぐったりと横になって、倒れていた。


輝子「み、美玲ちゃん! 大丈夫か! おい!」

美玲「んおっ! おう、おはようショーコ、コウメ。ちょっとスリープモードに入ってた」

小梅「へいきなの……?」

美玲「大丈夫だッ! ちょっと眠ったら回復したからな」


美玲ちゃんも、眠ることがあるんだな……。
いや、今の美玲ちゃんには身体があるから、その影響か。

美玲「ライブって、すごいな……。
   アイドルのみんなの歌や踊りや、観客の熱気、あとは照明の効果や演出とか。
   それら全部が難解に影響しあう複雑系だ。
   これを脳だけで処理しきるニンゲンは、やっぱりすごいぞッ。
   ウチ、オーバーフローしちゃった」

輝子「フヒヒ……。だろ?」


私は生まれてからずっと人間だから、その感覚はわからないんだけど。
多分、美玲ちゃんの感じたこれこそが、"楽しい"ってことなんだと思う。
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:46:36.26 ID:brDQKZ9Ao
美玲ちゃんを連れて戻ってきた。
ライブも終盤に差し掛かったところで、休憩時間に入った。
サクヤヒメのみんなが楽屋に入ってくる。


まゆ「幸子ちゃん来ましたか?」

輝子「いいや、まだだ……」

智絵里「そろそろ来てくれないと……」

輝子「そ、そんなにギリギリなのか?」

かな子「うん、残念ながらもう……。ネタが尽きちゃったの」

小梅「ええっ? ……ほんとだ。予定では次の曲、『To my darling...』になってる」

紗枝「トークを伸ばして時間稼ぎしたり、暗転の時間をちょっとだけ伸ばしたり……。
   そないな姑息なことをやってなんとか持ちこたえるはずだったんや」

輝子「そうだったのか。全然気づかなかった……」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:47:33.78 ID:brDQKZ9Ao
まゆ「でも、神は細部に宿ります。
   お客さんのうち誰も気が付かなくても、無意識のうちに違和感が積み重なっていって……。
   いつか不満が湧いてきちゃうはずです」

美玲「おお、そういうものなのか」

かな子「幸子ちゃん、もうこの惑星に着いたみたい。
    今から高速自動走路で向かうって」

杏「ああ、でも幸子って高速自動走路ニガテじゃなかった?
  乗り移るのに失敗したりしてタイムロスしそう」

奈緒「ああー……。ちょっと納得しちゃったな」


ふと智絵里ちゃんのほうを見ると、ライブ会場を映すモニターを食い入るように見ていた。


智絵里「多分、この雰囲気だと……。不満が出始めるまで、五分ぐらいだと思うよ」

小梅「わ、わかるの……?」

智絵里「う、うん……。なんとなく、経験から」

輝子「すごいな、智絵里ちゃん。なんか、玄人っぽい……」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:48:00.88 ID:brDQKZ9Ao
まゆ「港からここまで、少なくとも十五分はかかっちゃいますね」

紗枝「せやなぁ〜……」

かな子「またMCとかで引き伸ばすのも、多分もう限界だと思うし……」

智絵里「きっと、あと一曲くらいあれば……。幸子ちゃんの到着まで持つよ」

杏「そっかー。じゃあまた杏たちヘルプ組から出る? もう歌える曲ないけど」

奈緒「それしかないかなー。事務所の他の子の曲とか歌えばなんとかいけるかー?」


と言っても、気は進まない。
自分の曲じゃない歌のカバーは、とっても難しいんだ。
ぶっつけ本番でもなんとか形になるのは、歌い慣れた自分の曲だけだ。

この中でまだ、自分の持ち曲を歌ってない"アイドル"……。
私には、一人心当たりがある。

輝子「み、美玲ちゃん。ちょっと……」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:48:28.68 ID:brDQKZ9Ao
ステージに、突然ライトが灯った。
美玲ちゃんが照らされている。

観客からは困惑の声が上がっている。
ライブの再開か、と思ったら突然知らない女の子が立ってたんだから。

私や小梅ちゃん、杏ちゃん、奈緒さんとは、比べ物にならないほどアウェイな状況だ。
でも、きっと大丈夫。美玲ちゃんなら出来る。

旅の前のあの日。私の心を掴んで離さなかったあの曲……。
今でも覚えている。


杏「大丈夫かなー。心配だな。うーん」

輝子「フヒヒ、美玲ちゃんの歌はすごいぞ。心配ないさ」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:49:35.85 ID:brDQKZ9Ao
イントロが流れる。
どこか古風な感じの、ピアノが主体のポップソングだ。


 ゼアイズ ア フラワー ウィズインマイハートッ
 デイジー、デイジー!
 プランティッド ワンデイバイ ア グランシングダーツ、
 プランティッド バイ デイジー・ベル!

 ウェザ シー ラブズミー オア ラブズミー ノット、
 サムタイムズ イッツ ハード トゥ テールッ
 イェット、アイアム ロンギン トゥ シェア ア ロット
 オブ ビューティフォー デイジー・ベル!


会場中が、美玲ちゃんに釘付けだった。
いつの間にか、赤やピンクのサイリウムが揺れている。


奈緒「わあ、すごいな……。かわいい……」


フヒヒヒヒ……。だろう?
美玲ちゃんはかわいいんだ。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:50:09.52 ID:brDQKZ9Ao
 デイジー、デイジー
 ギブミーユアアンサー、ドゥ!
 アイムハーフクレイジー
 オールフォーザラブオブユー!

 イット ウォントビー ア スタイリッシュ マリッジ、
 アイ キャント ア フォード ア キャリッジ、
 バット ユール ルック スウィート
 アポン ザ シート
 オブ ア バイセコウ ビルト フォー トゥー!


美玲ちゃんの歌声は力強く、愛らしく、それでいてどこか儚い。
放っておけない感じ、と言うんだろうか。
会場中が美玲ちゃんに魅了されていた。

それだけに、どこかもったいない。
多分、プロデューサーの手にかかればもっと、この何倍も何十倍も輝けるんだろうな、と。

フヒヒヒ。やっぱり、私にはアイドルのプロデュースは無理だな。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:50:44.74 ID:brDQKZ9Ao
曲が終わる頃には、多分、みんな美玲ちゃんのファンになっていたんだと思う。


美玲「あ、ありがとう!」


美玲ちゃんはそれだけ言って、退場した。
歓声はずっと鳴り響いていた。


輝子「お疲れ、美玲ちゃん」

美玲「ショーコ! なんか……すごく楽しかったぞッ!
   だから、ちょっと寝る……」


パタリと、美玲ちゃんは電源が落ちたかのように眠った。
慌てて受け止める。
おやすみ、美玲ちゃん。無茶言ってゴメンな。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:51:10.98 ID:brDQKZ9Ao
幸子「フフーン! 皆さんお待たせしました! カワイイカワイイボクの登場ですよ!
   何ですか? カワイイですか? そうです! 何回でもカワイイと言って良いんですよ!
   皆さんは、次の八月にもおなじことを言うでしょう。七月にも、九月にも、その他の月にも!
   真実は何度でも繰り返す値打ちがあるものですからね!
   では聴いてください! 『To my darling...』!」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:53:16.63 ID:brDQKZ9Ao
幸子ちゃんが無事に到着し、ライブは大成功だった。
「デイジー・ベルを引っさげて鮮烈なデビューを飾った謎の新人アイドル」と言う話題もあり、ウワサで持ちきりだった。


幸子「ごめんなさい、皆さん。迷惑をかけちゃって……」

まゆ「いいんですよ、幸子ちゃん。無事に帰ってきてくれるだけでうれしいです」

紗枝「こっち来いや、幸子はん。はい、えらいえらい」

智絵里「えらいえらいっ。ふふっ」

かな子「えらいえらい。はい、幸子ちゃん、あーん」

幸子「エライだけに、ですか? 
   ってちょっと皆さん! くすぐったいですよ!」


幸子ちゃん、撫で回されたり餌付けされたり、すごいな……。
愛されてるな。


小梅「わ、私も……えらいえらい」

輝子「フヒ、私も……」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:53:42.87 ID:brDQKZ9Ao
かな子「あの……。とっても言いづらいことなんだけど、良いかな?」


そろそろ撤収、という頃になって、かな子ちゃんが、申し訳なさそうに手を上げた。


小梅「どうしたの……?」

かな子「さっき、プロデューサーさんから連絡があって……」

奈緒「あー、やっぱり好き勝手やったから怒られちゃったかな?」

輝子「特に、美玲ちゃんをステージに上げたりな……」

美玲「ほんとだよ。いきなり歌えなんていうんだもんな」

かな子「ううん、そうじゃなくて。むしろ逆かな。
    今日のライブ、とっても評判が良かったから、二日目も同じセトリで行け、って……」

杏「え、……。い、いやだ! 断固拒否! 杏はもうウィリス星に帰る! もう働きたくなーい!」

輝子「ど、どうやって帰るんだ? 船で来たわけでもないだろうし」

杏「あ、ゲートがイカれてるんだった……。しまった、逃げられない!」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 22:54:23.03 ID:brDQKZ9Ao
かな子「それにプロデューサーさん、めったに言わない『業務命令』なんていうから。
    よっぽど好評だったんだね!」

智絵里「業務命令……」

輝子「な、なんかすごそうだ……」

杏「えー、しょうがないな〜。あとでアメちょうだいよ」

かな子「うん! あめだけじゃなくて、クッキーでもケーキでも、マカロンでもどうぞ!」

小梅「わあ、いいなぁ」

美玲「あ、明日も歌えるのか……? うれしいなッ」


美玲ちゃん、すっかりアイドルにハマっちゃったな……。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:03:51.61 ID:brDQKZ9Ao
二日目の公演も無事に大成功した。
セットリストは業務命令どおり一日目とほぼ同じ。
前半に幸子ちゃんの出番を追加したくらいだ。

もちろん、美玲ちゃんのソロステージもやった。
あんな思いつきの飛び込み参加じゃなくて、ちゃんとした段取りを踏んだ、ちゃんとしたやつだ。


疲れ果てた私たちは、みんなと別れたあと、船に戻って泥のように眠った。
目が覚めたらほとんど丸一日経ってたからびっくりだ……。

お、お腹すいた……。
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:04:19.48 ID:brDQKZ9Ao
【8/26・帝都『小早川』・市場・キノコショップ】


輝子「こ、こんにちは……」

魔女「イーヒヒヒ! いらっしゃい……。おや、お嬢ちゃんかい」

輝子「ガンマセフェイの港が復旧したって聞いて……。
  『霜降りベガテングタケ』、ください。あと、このシイタケのサンドイッチも……」

美玲「おお、これもまた美味しそうだな……」


ホントはこれを買いに来るだけのはずだったんだけどな……。
ずいぶん遠回りしちゃったな。

お金を払って、キノコを受け取る。


魔女「ヒヒヒヒヒ。毎度あり。お嬢ちゃんたち、ものは相談なんだが……」


おばあさん、身を乗り出して目を見開いている。ちょっと怖い。


魔女「サインくれませんか?」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:04:45.76 ID:brDQKZ9Ao
【市場・キノコショップ店外】



美玲「まさかあのおばあさんもライブに来てたとはな……」

輝子「そうだな、多分、元の姿で来てたんだと思うぞ」

美玲「なるほど……」


あの格好魔女の格好でライブにいたら目立っちゃうからな。


美玲「さて、あとは帰るだけだな! 誕生日パーティには遅刻しちゃうけど……」

輝子「それについては、全部ひっくり返して解決する方法があるぞ……。
   とりあえず、今からかな子ちゃんに会いに行く」

美玲「ん?」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:05:14.88 ID:brDQKZ9Ao
【帝都『小早川』中心部・公園】


輝子「ごめん、待つたけ?」

かな子「ううん、いま来たとこだよ」

美玲「なんだ、この会話……」

かな子「じゃあ、はいこれ。これを使えば乃々ちゃんのお誕生日に間に合うはずだよ」


そう言って、黄色に輝く小さなカードをくれた。


輝子「おお、きれいだな……」

美玲「なんだ、これは」

かな子「これはね、私の星……スウィッチの技術で作られた、魔法のカードだよ」

美玲「ま、魔法!?」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:05:40.92 ID:brDQKZ9Ao
輝子「ありがとう、かな子ちゃん。助かる……」

かな子「ううんいいの。私たちはパーティに参加できないから。
    私たちの分まで、乃々ちゃんを祝ってあげてね」

輝子「うん、頼まれた」

かな子「あと、Sweetchesのみんなでケーキを焼くから、パーティに間に合うように送っておくね」

輝子「おお、それはうれしいな」

美玲「な、なあ、魔法ってどういうことだ……?」

かな子「ふふふっ、秘密です」


そう言ってかな子ちゃんはふっと消えた。


美玲「おお、すごい! ゲートも無しにワープするなんて!」

輝子「あ、あれが魔法……だと思う」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:06:34.20 ID:brDQKZ9Ao
輝子「スウィッチ星っていうのは、この銀河のずっと先の……。
   超空洞の真ん中にある、小さな星。
   そこでは魔法の技術があって、なんかこう……色々と出来るらしい」

美玲「魔法って、炎を出したり空を飛んだりか?」

輝子「そういう超常的なやつじゃなくって……。
   そうだな、例えば、相対性理論を超えたことができるようになるんだ」

美玲「十分超常的じゃないかッ!」

輝子「フヒ、そうだな……。この時計にも、入ってるんだ。これと同じ、限定SSR」


恒星間で船旅をする私にとって、切り札になるカードだ。
まさかもう一枚貰えるなんて、思ってなかったな。
ありがとう、かな子ちゃん……。


輝子「あ、この話はみんなには内緒、な」

美玲「そうだよな……。こんな技術が世間にしれたら、世の中ひっくり返っちゃうもんな」

輝子「それもそうだけど……。
   スウィッチの人たちは、人に魔法のことを言って『秘密にしてくれ』って言うのが好きなんだ。
   言われた人がもう知ってたら、がっかりしちゃうから」

美玲「そんな理由なのか!」


乃々ちゃんに聞いたから既に魔法を知ってる、と言ったときの愛梨さん、悲しそうだった。
あの顔は忘れない。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:07:49.72 ID:brDQKZ9Ao
輝子「とりあえず、これを使えば、一日で地球まで帰れる、と思う。
   魔法の効果で、γを制御すれば……」

美玲「ああ、そっか! ネックになってた質量の増加が抑えられるのかッ!」

輝子「うん。だから、限界を超えてぶっ飛ばせるぞ。フヒヒヒヒヒ」

美玲「それは楽しそうだなッ!」


多分、幸子ちゃんがライブの終了ギリギリで戻ってこれたのも、これのおかげだ。


輝子「じゃあ、戻ろう。今頃幸子ちゃんと小梅ちゃんとまゆさんで、反作用質量を積んでるところだ。
   手伝わないと、な。あと、シイタケサンドの差し入れも……」

美玲「おう!」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:08:19.77 ID:brDQKZ9Ao
【8/27・太陽系第三惑星『地球』・日本国・神奈川県『森久保家』】


ピーンポーン

乃々「は、はいぃ。今出ます」


ドアを開けると、凛さんが立っていました。


乃々「あ、凛さん。どうぞ、上がってください。」

凛「うん、お邪魔します」


凛「私からのプレゼントはこれだよ、乃々。
  お誕生日おめでとう」


そう言って、凛さんは黄色いお花の鉢植えをくれました。
そういえば、誕生日は今日でしたね。
すっかり忘れてたんですけど。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:08:48.19 ID:brDQKZ9Ao
乃々「あ、ありがとうございます……。もりくぼなんかのために、こんなキレイなお花……」

凛「良いって。……それよりもみんなは? まだ来てないの?」

乃々「みんな、とは……?」

凛「今日は乃々の誕生日パーティをするって聞いて来たんだけど。
  ……今日であってるんだよね?」

乃々「あ、はい。8月27日がもりくぼの誕生日です。パーティっていうのは、ちょっと聞いてないんですけど」

凛「輝子もいないんだ。せっかくの誕生日なのに……」

乃々「いえ、輝子ちゃんは、今宇宙にいます。たぶん、お仕事か何かかと……。
   だから、この間……一週間くらい前に、先にプレゼントをくれました」

凛「それが、その時計……?」

乃々「はい……」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:09:32.29 ID:brDQKZ9Ao
【回想】


輝子「と、いうわけでちょっとベガまで行ってくるから……」

乃々「なにがというわけでなのかわからないんですけど……。どのくらいで戻ってきますか……?」

輝子「一週間くらい、だと思う」

乃々「ちょっと寂しくなりますね……」

輝子「ご、ごめん……」

乃々「いえ……」

輝子「あ、そうだ。乃々ちゃんに、これをプレゼント、です」

乃々「おお、これは……」

輝子「フヒヒ。今日び珍しいクオーツ式の懐中時計、だぞ」

乃々「す、すごいです……! 西暦の時代の遺物なんですけど! これ、どこで……」

輝子「ちょっと、な……。これ、私が帰るまで大事に持っててくれ……」

乃々「いえ、帰るまでといわず一生大事にするんですけど」

輝子「そ、そうか。うれしい、フヒヒヒ……」

乃々「ありがとうございます」

輝子「こ、こちらこそ……。で、では行ってきます」

乃々「いってらっしゃーい……」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:10:01.89 ID:brDQKZ9Ao
【回想終わり】


乃々「という感じでした。この時計、可愛いですよね……」

凛「うん、それにカッコイイ。なんというか……蒼い、っていうのかな?」

乃々「あお……?」

凛「……ねえ乃々、何か聞こえない?」

乃々「えぇ? いえ、特に何も……。あ、なんか『ごおおぉ』っていう音が遠くから」

凛「この音、なんか近づいてきて」


  \ドーン!/


乃々「ひいぃっ! な、なんですか、もりくぼはもう帰りますけど」

凛「落ち着いて、乃々。ここは乃々の家だよ」


とりあえず、外に出てみます。
大丈夫ですよね……?
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:10:46.63 ID:brDQKZ9Ao
【『森久保家』・庭】


凛「これは、インディヴィジュアルズ号?」

乃々「落ちてきたんでしょうか……?」


プシュー ガコン


幸子「だから言ったじゃないですか! あの速度で飛ぶのは無茶だって!」

まゆ「でもおかげでギリギリ間に合いましたぁ」

小梅「荷物も無事だし……。多分、大丈夫」

美玲「船もちょっと修理すればまだまだ大丈夫だ!」

輝子「フヒ……あ、ただいま、乃々ちゃん。遅くなってゴメン。
   フヒヒヒ……さあ、乃々ちゃん……。
   誕生日パーティの始まりだ! ヒャッハアアアア!!」


なんかいっぱい出てきたんですけど。
美玲ちゃん、ホログラムじゃなくてちゃんと体で動いてますね。

いろいろと展開が早すぎて追いつけないんですけど……!
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:12:02.52 ID:brDQKZ9Ao
乃々「てっきり、この時計が誕生日プレゼントだとばかり思ってました」

輝子「それは、ただの限定SSR……。相対論効果限定スクリプトだ。
   相対性理論の効果を抑えて、同期した二つの時計の間で固有時を常に一致させる。
   そんな魔法がかかってるんだ」

乃々「ど、どういうことですか……?」


輝子「簡単に言えば、ウラシマ効果を無効にする魔法……かな」

美玲「すごいよな、この技術!
   これの応用で帰りはあっという間だったんだぞッ!
   相対論的質量の増加を抑えて、船の耐久力を心配せずに加速できるんだ!」


相対性理論はよくわからないですけど、とにかくすごいというのはわかりました……。


乃々「それで、どうしてベガまで……?」

輝子「あそこでしか売ってない、すごくおいしいキノコがあって……。
   それを使った料理が、私からのプレゼントだ。
   もうそろそろできるから、ちょっと待っててね」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:12:43.33 ID:brDQKZ9Ao
輝子ちゃんとまゆさんと凛さんが食事の準備をしている間に、みなさんからプレゼントを受け取りました。


幸子さんからは、聖地限定版の『聖典』のセット。
まゆさんからは、もりくぼに似合うように仕立ててくれた甘ロリドレス。
小梅さんからは、おすすめ映画10選(ホラーを除く)。
美玲ちゃんからは、西暦の時代の、年代物の万年筆。

ここにはいませんが飛鳥さんからは、オシャレなネックレス。
蘭子さんからは、ページが減らない魔法のスケッチブック。

どれももりくぼにはもったいないほどの素晴らしいプレゼントでした。

Sweetchesの皆さんからは、後ほどケーキが送られてくるらしいです。
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:13:49.88 ID:brDQKZ9Ao
輝子「じゃあ、ど、どうぞ……。召し上がれ」

乃々「いただきます」


輝子ちゃんがベガまで行って買ってきてくれたキノコ……。
どれほどのものなんでしょう。楽しみです。

じゃがいもとにんじん、そしてそのキノコを、しょうゆとコショウで簡単に炒めたもののようです。
単純な味付けほどキノコそのもののおいしさが際立つ、ということなのでしょうか……?

そして、一口。


乃々「これは……! とても美味しいです!
   こんなの今まで食べたことないです……!
   まさにこの料理こそ、生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えなんですけど!!」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:14:57.26 ID:brDQKZ9Ao
******


パーティは、私も含めてみんなが寝ちゃうまで続いた。
ベガテングタケ、乃々ちゃんが喜んでくれて良かった……。

その後、『正体不明の新人アイドルがサクヤヒメのライブに乱入した』と言うウワサは、銀河中に流れた。
新人の発掘に貪欲な親友は、私が紹介するまでもなくすぐに美玲ちゃんにまでたどり着いた。

あれよあれよというままにプロデュースされた美玲ちゃんは、あっという間にアイドルとしてデビュー。
乃々ちゃんと私を含めた三人で、ユニット『インディヴィジュアルズ』を結成することになるのだが、それはまた別の話。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:16:23.96 ID:brDQKZ9Ao
おしまい


http://i.imgur.com/VkXl6Mv.png
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 23:18:30.21 ID:brDQKZ9Ao
参考文献

ロバート・A・ハインライン『天翔る少女』
アーサー・C・クラーク『2001年宇宙の旅』
ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』
寺沢武一『コブラ』
ダグラス・アダムズ『銀河ヒッチハイク・ガイド』
アイザック・アシモフ『鋼鉄都市』
フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』
ロバート・A・ハインライン『ダブル・スター』

スタンリー・キューブリック『2001年宇宙の旅』
リドリー・スコット『ブレードランナー』
リュック・ベッソン『フィフス・エレメント』
ジョナサン・モストウ『サロゲート』

花猪口P『星輝子とキノコの話』シリーズ

遊戯王VRAINS
宇宙刑事シャリバン

佐藤勝彦『相対性理論』

Daisy Bell (A Bicycle Built For Two) 日本語訳→http://jazzsong.la.coocan.jp/Song472.html

その他色々他愛もないやつ(Wikipediaとかpixiv大百科とか)

(※注)
光速に近づくと質量が増大して船が壊れると言う論法は嘘です
美玲ちゃんに「あんまりγが大きくなると船が壊れちゃうモン」と言わせたかったために相対論を曲解しました
物理学素人のアカチャンなのであんまり突っ込まないで
96 : ◆/brfqxLTx. [sage]:2017/08/27(日) 23:19:09.91 ID:brDQKZ9Ao
前作→森久保乃々「あくむ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500122438/l50

前前作→【モバマスSS】安部菜々「ウルトラクイズごっこ決勝戦ごっこ」【早押しクイズ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1499662797/ 

前前前世→【モバマス】アタック77【早押しクイズ】
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1498969110/l50
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/27(日) 23:37:29.02 ID:yk3RVANi0
先頭の空白がズレてて読みづらい
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 00:47:05.98 ID:hEqMw5K30
味が濃いSSでした乙
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 02:08:55.23 ID:AeaCYDUOO
ケーキすげぇ…おつ
SFやっぱいいね
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 20:15:29.04 ID:XCbWFYSFO
おつ
良い世界観だった。ご馳走さま
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