高垣楓「eye」

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72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/11(月) 17:28:25.87 ID:tqXcY9x10
 翌日、昨日までの大雨は嘘のように回復していた。
 外に出ると夏の陽射しが咎めるように僕を差し、
 街路樹に止まっている蝉がアルコールの残りと彼女のことでいっぱいになっている僕の頭を激しく揺らした。

 雨上がりの街にはところどころ小さな水滴が落ちていた。
 涙の跡のような水滴は太陽の光を細かく反射し、街のいたるところを輝かせ、
 人々は光の中で、光合成をしている植物のように今日も頑張るかと大きく背伸びをしていた。
 僕には眩しすぎる朝だった。

 事務所に着き、頭を抑えながらデスク仕事をこなしていると
「おはようございます」と彼女の声がした。

 僕は軽く胸を叩き、ネクタイの位置を確かめてから
「おはようございます。楓さん」と振り返り、言葉を失くした。

 一目でわかった。彼女の瞳の色が変わっていることに。

「はい。おはようございます。プロデューサー」と左右、碧色の目をした彼女が言った。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/11(月) 17:30:36.40 ID:tqXcY9x10
「楓さん、それ」

 本物かどうか確かめるように彼女の瞳を見つめながら僕は言った。
 彼女は僕の言いたいことを理解したらしく、「あぁ」と笑ってみせた。

「気分転換したんです。モデルをやっていたときはオッドアイだと
 どうしても私自身が目立って服が負けてしまうという理由でこのコンタクトをしていたんです」

 似合いませんか、と彼女は聞いて、すぐにその質問を撤回した。

「外した方がいいですか?」と彼女は僕に聞き直した。

「いえ」と僕は首を振った。「楓さんがつけていたいならどうぞ」

 それ以外の言葉を僕は言うことが出来なかった。
 彼女にかける言葉はもともと思いついていなかったし、
 思いついていたとしても言えなかっただろうと僕は思う。

 碧色のコンタクトはおそらく彼女が一日泣き通して選んだ選択なのだ。
 
 それを僕が安易に外してくださいと言っていいわけがなかった。選べなかった僕にそれを言う資格はない。
 彼女は僕の紺のネクタイを見て、一瞬、哀しげな表情を浮かべた。

「わかりました。では当分付けていますね」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/11(月) 17:32:23.44 ID:tqXcY9x10
 
 彼女を車の助手席に乗せ、仕事場を目指した。
 今日は昼過ぎから歌番組の収録が入っていた。

 スケジュールなどの事務連絡を伝え終えるとお互い黙り込んでしまった。
 クーラーの風が冷やかすように僕たちの間で騒ぎ始めた。
 恐れとも気まずさとも言えない曖昧なものが車の中に漂っていた。

 彼女はずっと移り変わる街の景色を眺めていた。
 僕は初めて瞳の話を聞いた居酒屋での彼女の言葉を思い出した。

 隣の彼女の行動は、僕を瞳に映したくない、選んだことを思い出したくない、
 という意志の表れのようなものに見えた。
 僕は極力、前だけを向いて、運転に集中しようと努めた。

 車の列は一定の距離を保ちながら規則正しく進み続け、
 アスファルトから立ち込める陽炎が僕らの行く末を揺らしていた。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 13:09:54.76 ID:MzaHrUXuo
ハッピーエンドになるといいなあ
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/12(火) 18:34:32.26 ID:ST4CKPcg0

 TV局に着き、撮影現場に向かうとスタッフたちはいつもと同じように僕と彼女を迎え入れてくれた。
 僕はよろしくお願いしますと頭を下げ、彼女も同じように頭を下げた。やがて撮影が始まった。
 
 司会者とのトークを軽快なダジャレで弾ませると彼女はステージへと移動した。
 スタッフからマイクを受け取り、楽器の音が響き始める。
 そして、先ほどまでダジャレを飛ばしていた口から、
 小さく弱々しい声ではなく、力強い真っすぐな声を発し、恋がテーマの壮大なバラードを歌った。
 
 辺りは楽器の音と彼女の声だけで満たされた。
 
 会場内の全ての明かりが彼女に降り注ぎ、まるで虫がゆらゆらと炎に吸い寄せられるように、
 観客も司会者もスタッフもたちまち彼女に心を奪われていった。
 世紀末歌姫が紡ぐ歌に魅了されていった。

 
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/12(火) 18:35:57.90 ID:ST4CKPcg0

 曲が終わると会場にいた僕以外の全員が彼女へと拍手を送った。
 中には席を立ち、「ブラボー」と叫びながら拍手を送る熱狂的なファンもいた。

 彼ら、彼女らは何も気にせず、手を叩き続けていた。

 まるで彼女の瞳の色は元々碧色だったかのように。

 彼女の瞳の色なんて大したことはない。
 我々は彼女のダジャレと力強い歌声を楽しんでいるんだと言っているようだった。      

 僕だけが彼女の瞳が藍色だったことを知っている。
 そんな錯覚を覚えた。
 
 僕だけが手を叩かず、その奇妙な光景を見つめていた。拍手の雨は一向に止まなかった。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/12(火) 18:37:15.76 ID:ST4CKPcg0
 収録を終え、車に戻ると彼女が口を開いた。彼女は行きと同じように窓の外を見つめていた。
 
「今日の収録、何かダメなところありましたか?」
「いいえ全く。文句のつけようもない完璧な収録でしたよ」
「そうですか」
「何か気になるところでも?」

「拍手」と彼女が呟いた。
「みんなが私に拍手を贈ってくださる中で、プロデューサーだけがすごく難しい顔をしていたのが映ったので」

「考え事をしていたんですよ」
「考え事ですか」
「えぇ。考え事です」

 会話はそこで終わった。エンジンの回る音とタイヤのすり減る音が聞こえてきた。
 彼女は引き続き街の景色を眺め、僕は目の前の車が連なる様子を眺めた。

 信号で車が止まると、僕は彼女にばれないように彼女の方をわき見した。

 そして碧色の瞳とぶつかった。
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/12(火) 18:40:09.64 ID:ST4CKPcg0
「どうかしましたか?」

 ガラス越しの碧色の瞳はあまりにも真っすぐに僕を見返していた。
 そんなことがあるはずはないのに、
 まるで彼女自身も自分の瞳が藍色だったことを忘れてしまっているみたいだった。

「いえ、何でもありません」と僕は首を振って、視線を前に戻した。
 頭の中では鏡に映った碧色の瞳が、一枚の絵しか描かれていない紙芝居のように、繰り返し上映された。

 そしてそのことが僕をひどく混乱させた。
 
 彼女の思いがこの世界から綺麗さっぱりとなくなった。
 そんな錯覚を覚えた。

 僕だけが世界の狭間に取り残されたような気分になった。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/12(火) 18:42:40.84 ID:ST4CKPcg0
 
 事務所に戻り、僕はデスクに向かったが、仕事の出来は昨日と同じであまり納得のいくものではなかった。

 誰かが勝手に僕の頭を切り開き、シールをぺたぺたと貼っていく。
 大抵のシールには彼女の顔が描かれている。彼女の表情や瞳の色はシールごとに異なっている。

 どれが本物の彼女か、どれが彼女のあるべき姿なのかわからない。
 考えれば考えるほどシール一枚一枚の彼女が全て本物にも見えたし、偽物にも見えた。

 それからのことは覚えていない。気づけば僕は見慣れた自分の部屋の中心に立っていた。

 ふらふらとした足取りで僕はネクタイを緩めながら洋服ダンスの前まで歩いた。
 紺色のネクタイを丁寧に畳み、僕はそれをタンスの一番奥の目につかない場所にしまった。
 次の日、彼女は僕のネクタイの色が変わっていることに気づくと、
 一瞬、哀しげな表情を浮かべ、それからすぐに笑ってみせた。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/14(木) 01:35:21.69 ID:lfPT00870
 
 彼女に異変が生じたのはその日からだった。きっかけは些細なことだった。
 歌番組の収録中、彼女はダジャレを言おうとして噛んでしまったのだ。

「仕事はいつもわーくわーくしながら望んでいましゅ」
 と渾身のダジャレを最後まで言えなかった彼女はそのことを悔やみ、
 
 司会者は「楓ちゃん。また随分可愛らしいダジャレでしゅね」と彼女のミスを笑いに変えた。

 その後彼女はステージへと移動して、いつも通り力強い歌を歌った。
 そして歌が終わると僕を含む会場内の全ての人が彼女に拍手を贈った。ブラボー。ブラボー。

 収録を終えると、僕はたまにはこういうこともありますよと慰めの言葉をかけて、彼女を車に乗せた。
 これからの予定を話し終えると彼女は昨日と同じように窓の外に視線をやり、
 僕もまた同じように目の前の車が連なる景色を眺めた。

 
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/14(木) 01:36:34.20 ID:lfPT00870

 そのときはお互い(どころか世界中の誰もが)彼女の異変に気づいていなかった。

 けれどそれは、コップに開けられたほんの小さな穴から水が漏れていくように、
 少しずつ目に見えてわかるようになっていった。

 数日後に彼女は歌の歌詞を間違えて、
 それからまた数日後にはダジャレが思いつかなくなってしまった。

 彼ら、彼女らの多くは彼女の体調を案じた。
 働きすぎではないか、少し休んだ方が良いのではないかと。
 彼女はそれに笑顔で応え、僕は彼女のスケジュールを調整した。
 
 しかしいくら予定を調整しても、彼女の異変が収まることはなかった。
 ダジャレはスランプから抜け出せず、歌は力強さを徐々に失っていった。
 月の周りに暗雲が立ち込めるように、彼女の輝きは曖昧なものになっていった。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/14(木) 01:40:48.17 ID:lfPT00870

 彼女を含む世界中の全ての人々は彼女の不調の原因を全く理解できていなかった。
 理解しようとすらしていなかったのかもしれない。

 レッスンに充てるはずの時間もお酒を飲んでいるのではないかと批判する者も現れた。
 最近の彼女は今までお酒を飲むのに充てていた時間をレッスンに割いていた。

 瞳の色のせいだと僕は思った。
 
 藍色と碧色の瞳はお互い歯車のようになっていて、
 二つが上手く機能してこそ、彼女の持つ魅力が回り始めるのだ。
 彼女が再び輝き始めるには、碧色のコンタクトを外すしかない。

 けれど僕は彼女にコンタクトを外してくれと言うことが出来なかった。
 藍色の瞳を開放すれば調子が元通りになると僕は確信していたが、
 その理論はいささか論理的な説得力を欠いていた。

 それに藍色の瞳にはまた僕が映ってしまう。
 
 僕は最近の彼女の姿と、
 彼女の部屋で見た泣きそうな顔をしている彼女の姿を想像してみた。

 どちらが彼女にとって、より辛いことなのか。

 考えてみたけれど全くわからなかった。僕の頭にまた一枚大きなシールが貼られた。
 そのシールは今までのシールとは少し違っていた。
 シールは彼女のシルエットだけを映していて、色は塗られていなかった。
 しいて言うならモノクロで、僕が願えば何色にでも塗りかえられそうな白にも
 何色にも染まらない黒にも変えてしまえそうだった。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 06:37:37.32 ID:wswcKI1go
煮え切らない
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 04:11:47.31 ID:8pmAQY/0o
この世界線では蘭子ちゃん以外からも世紀末歌姫と呼ばれてるのか
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 16:50:02.72 ID:NQpRkOiV0
***

 それからしばらく時は流れた。
 蝉は落ちていき、草木は少しずつ赤を飾り始めた。

 僕は変わらず何もしなかった。
 毎朝決められた時刻に目を覚まし、スーツに着替え、事務所に向かう。
 
 彼女のことを考えながらキーボードを叩き、
 彼女のことを考えながら彼女を車に乗せ、
 彼女のことを考えながら事務連絡をして、彼女のことを考えながら当たり障りのない会話をした。

 唯一変わったことがあるとすれば、お酒を飲みにいく機会が全くといっていいほどなくなったことだけだった。

 彼女へと贈られる拍手の音はどんどん小さくなっていた。
 ぱらぱらと降る拍手の中、僕だけが大きな音で手を鳴らし続けていることが増えた。
 僕が大きく手を叩けば叩くほど、彼女のレッスンの量は増え、拍手の音は減った。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 16:51:36.52 ID:NQpRkOiV0

 その日は嫌な天気だった。真夜中に嵐が来ると、天気予報が言っていた。
 僕は折りたたみ傘を鞄に入れてから家を出た。

 街にはどんよりとした重い雲が立ち込めていて、たくさんの蝉が一斉に大きな声で鳴いていた。
 まるで自分達が今日地面へ落ちることを知っているような、悲鳴にも似た鳴き声だった。

 事務所に着くとちひろさんに事務仕事を手伝ってほしいと頼まれた。
 最近、彼女の仕事が少なくなったせいか、頼まれる機会が増えていた。
 今日もこれといった仕事はなくて、彼女は朝のこの時間からレッスン室に籠っている。
 僕は二つ返事で引き受けた。
 
 仕事は基礎的なものの中に少し応用的なものが含まれるようになった。
 そのせいか彼女のことでいっぱいになっている頭に無理やり数字を放り込む必要があった。
 おかげさまで一日のうち何分かは目の前の仕事に没頭できるようになっていた。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 16:53:04.25 ID:NQpRkOiV0
「いつまでそのネクタイしているんですか?」

 声をかけられたとき。僕は予算のことについて考えていた。
 けれど、その一言で僕の頭は数字をはじき出し、再び彼女のことで満たされた。
 
 重くなった頭をぎこちなく回し振り返るとちひろさんが立っていた。
 ガラスの靴がデザインされた置時計は正午過ぎを指していた。
 
 他のプロデューサーとアイドルは仕事やお昼ごはんで席を外しているようだった。
 そしておそらく彼女はこの時間もレッスン室に籠っている。

「さぁいつまでですかね」

 と安物のグレーのネクタイを緩めながら僕は言った。
 ちひろさんはため息を吐いて、それから心配そうに僕を見つめた。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 16:55:21.38 ID:NQpRkOiV0
「先輩Pに聞きました。楓さんから告白されて、それを断ったとか。
 私としてはお似合いの二人だと思っていたんですけど、どうして断ってしまったんですか」

「断ったとか、そういうのではないんです。第一、告白をされたということも間違っています」
「じゃあ告白して振られたんですか」
「告白もしていません。それどころか何もしていませんよ」

「何もしていない?」とちひろさんは眉をひそめた。

「何もしていないなら、どうして紺色のネクタイをしていないんですか。
 プロデューサーさん、わかっていますか?
 あなたがそのネクタイをしてきた日から楓さんに元気がないことを。
 楓さんがいつもプロデューサーさんに気づかれないように、哀しげにそのグレーのネクタイを見ていることを」

 だんだん強くなっていくちひろさんの声に僕は気圧され、
 それから次第に、泡が熱湯の表面に浮かび上がってくるように僕の中から怒りの感情が込み上げてきた。

 ちひろさんに言われなくても、彼女が助けを求めるような目で僕を見ていることはわかっている。
 僕がわからないのはその先で、だいたい、
 あなたたちは彼女に異変が起こっていることは知っていても、異変が起こった原因を知らないじゃないか。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 16:57:06.87 ID:NQpRkOiV0
「そんなことはわかっています。けれどこの問題はとても難しくて、僕にはどうすることもできないんです」

 僕が言うと、ちひろさんは僕の声の大きさに一瞬怯み、その後言った。

「……失礼しました。少し取り乱してしまいました。
 すみません。……その、私で良ければ話を聞きますよ?」

 僕は瞳のことは隠して、僕が彼女の家に行ったあの日から今までに、
 僕と彼女の間に起こった出来事について話をした。
 自分一人で抱え込むにはこの問題は大きく膨らみすぎていた。

 酔っ払った彼女を家に運ぶと、僕に対して好意を持っていることを告げられた。
 けれど彼女はアイドルであり、僕はプロデューサーだ。
 彼女はアイドルも続けていきたいと思っている。
 僕はどうすればいいのかわからない。彼女にとってどっちが正解なのかわからない。

 僕の話をちひろさんは眉間にしわを寄せながら最後まで聞き、
 話が終わると難しい表情のまま、息を一つ吐いた。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 16:59:49.16 ID:NQpRkOiV0
「あきれました。そんな簡単なことで悩んでいたなんて」

「簡単?」と僕の声が部屋に響いた。
「どこが簡単なんですか、プロデューサーとして
 トップアイドルである彼女のことで悩むのは当然のことでしょう」

「簡単です」とちひろさんの声が部屋に響いた。
「いいですかプロデューサーさん、あなたは一つ大きな勘違いをしています。
 この問題はアイドルとプロデューサーとかではなくて、あなた自身が考えるべき問題なんです」

「僕自身がですか?」と僕は言った。

「そうです。立場なんて関係ないんです。
 プロデューサーとアイドル以前にお二人は人間なんです。今を生きているんです。

 アイドルとプロデューサーなんてこの世界にはごまんといます。
 けれど、あなたと楓さんは世界に一人ずつしかいません。

 プロデューサーさんはアイドルとプロデューサーという立場に甘えて、
 楓さんから、そして自分からも逃げているんです。
 いいですかプロデューサーさん、よく聞いてください。どうすればいいかではないんです。どうしたいかです。

 プロデューサーとしてではなく、あなた自身はいったい楓さんをどうしたいんですか?」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:02:04.35 ID:NQpRkOiV0
「僕自身」と再び僕は言った。

「そうです。あなた自身です。
 あなたはあなた自身の選択が他の人を傷つけることを、
 ひいては自分自身のことを傷つけることを恐れているんです。

 あなたはそれを楓さんが楓さんがと言って、自分の臆病さを他人への優しさへとすり替えているんです。

 まずはプロデューサーさん自身が自分のことを考えてみましょう。
 それから楓さんを含め、あなた以外の人のことを考えていけばいいのです。
 いいですか、プロデューサーさん、もう一度だけ言います。

 この世界にあなたは一人しかいません。そんな世界の中で、あなた自身はいったいどうしたいんですか?」

 
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:02:44.76 ID:NQpRkOiV0
 僕自身。

 僕自身は一体、彼女をどうしたいんだ。

「今日の仕事はもういいです。残りは私がやっておきます。
 プロデューサーさんは休みをとって、自分について考えてみてください」

 ちひろさんのこげ茶色の瞳が碧色にも藍色にも見えた。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:05:26.19 ID:NQpRkOiV0

 荷物を整理し、事務室から出ると僕はレッスン室へと歩き始めた。
 僕の頭と足がレッスン室を勝手に目的地と定めていた。
 それが運命的なものなのか、自分の意志によるものなのか僕には区別がつかなかった。

 レッスン室に着くと、僕は部屋の扉を静かに少しだけ押した。
 薄暗い部屋の中に物悲しいBGMが流れていた。以前彼女が歌詞を間違えた曲だった。
 部屋の中心に彼女が立っていた。

 僕には気づかず、碧色の瞳を鏡に映し、彼女は歌を歌っていた。
 歌詞も音程も一寸の狂いもなくぴったりと合っているのに、そこに光はなかった。
 薄暗いレッスン室は舞踏会場にはならず、薄暗いレッスン室のままだった。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:07:28.10 ID:NQpRkOiV0

「何か用ですか」

 曲が終わり、床に置いてあったペットボトルの水をひとくち飲むと彼女が口を開いた。
 僕はドアを押し、暗闇の世界に一歩足を踏み込んだ。

「お昼ごはん」と僕は言った。
「ちょうどレッスン室の近くまで来たものですから、
 その様子だとまだ食べていないですよね?一緒にいかがですか」

 楓さんの食べたいものでいいですよと僕が言うと、碧色の瞳が鈍く光った。

「大丈夫です」と彼女は言った。
「まだお腹も空いていませんし、私はステップを見直さないといけないので」

 まるでステップを見直すことが一日のプログラムの中に組み込まれているような言い方だった。

「また誘ってくださいね」と彼女は哀しく笑った。僕もまた彼女と同じように笑ってみせた。

「わかりました。また今度」

 暗闇の中、まるでロボットが正常に動いていることを証明するように、彼女の碧色の瞳が光っていた。
 
 僕はレッスン室を後にした。

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:20:09.53 ID:NQpRkOiV0

 部屋を出ると、遠くの方から先輩とカラスちゃんがこちらに歩いてくるのが見えた。
 ランチを食べてきたであろう二人は、自然と歩調が合わさっているようで、同じ速度で僕へと近づいてくる。
 二人はまるで寄り添う花のようにお互い笑顔を咲かせていた。

「今からランチですか?」とカラスちゃんが僕に気づいて声をかけた。

 そうだと僕は頷いた。「カラスちゃんは外で先輩と食べてきたの?」

「えぇ、そうなんです。カフェシンデレラに行ってきました。
 新しく出来た評判の店だったんですけど。それはもう美味しくて」

 パンケーキが絶品なんですよとカラスちゃんはうっとりとした様子で言って、そうだと手を叩いた。

「楓さんと一緒に行って来たらいいじゃないですか。
 楓さん、最近ずっと元気なさそうな様子でレッスンしてますし。
 あそこのパンケーキ食べたらすぐに元気になっちゃいますよ」

 僕が返答に困ると「こら!カラス」と先輩がカラスちゃんの身体を小突いた。

「あそこのパンケーキは甘すぎて、高垣さんには合わないかもしれないだろ。
 それにもし高垣さんが気に入ってテレビとかで紹介したら、
 ミミズのようだった列が蛇のように渦巻き始めて、熱い太陽の下で長時間待たされることになるかもしれないぞ」

「それは困りますー」とカラスちゃんが嘆いて、二人は仕事に戻っていった。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:21:04.27 ID:NQpRkOiV0

 僕は僕の前を通り過ぎていった寄り添う二つの花のことを考えた。

『お互いが好きあっていたら』

 先輩の言葉が頭に響いた。好きっていったい何なんだ。

 二つの花は自分勝手に咲いているはずなのに、
 自分のために咲いているようにも、相手のために咲いているようにも見えた。

 僕と彼女も二人のように笑えたら。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:22:54.98 ID:NQpRkOiV0

 事務所から出るまでの間、多くのアイドルやプロデューサーが僕に声をかけてきた。
 彼らは自分で選んだであろう鞄やドリンクを片手に持ち、笑顔でおつかれさまですと僕に声をかけた。

「高垣さん調子悪いけど頑張れよ、相談があるならいつでも頼ってきていいからな」
「ありがとうございます。困ったときはいつでも頼らせてもらいます」

「楓ちゃん最近いつもレッスンばっかりで、たまには飲みに参加するように
 P君からも言っておいてくれない?なんならP君も同伴でいいからさ」
「わかりました。高垣にそう伝えておきます」

 彼らは彼らなりの励ましのエールを僕に送ると、自分の足で自分の行きたいところへと去っていった。

 僕は事務所を出てバスに乗り、部屋へと戻ると熱いシャワーを浴びてから、
 暗い部屋の中でたくさんのことを考えた。
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:24:52.40 ID:NQpRkOiV0
 
 まず初めに僕は彼女のことを考えた。頭の中の彼女は笑ってはいなかった。

 彼女はアイドルで僕はプロデューサー。
 僕は彼女のことをトップアイドルにしたいと思っているし、彼女もトップアイドルになりたいと思っている。

 彼女は女で僕は男。
 彼女は僕のことを好きだと言った。僕も彼女のことを抱きたいと思っている。
 
 次に、ちひろさんや先輩といった人達が頭に浮かんだ。彼らは笑っていた。
 自分のために笑っているのか、僕のために笑ってくれているのか僕にはわからなかった。
 その笑みは世界の狭間で彷徨う僕に対するエールにも、そちら側の世界への手招きにも見えた。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:26:11.81 ID:NQpRkOiV0

 僕が答えを出した頃には外は陽が落ちていて、部屋は闇に染まっていた。
 僕は暗闇の中、ジャケットの中から携帯を取り出し、彼女へと電話をかけた。

「はい」

 3回目のコールで彼女は出た。事務的な淡々とした声だった。
 他の音はまるでしなかった。どこか遠い世界に電話をかけているような感覚だった。

「話があります」と僕は言った。

「それは今、話さないといけないことですか」

「はい」と僕は言った。「大事な話です」

「大事な話」と彼女は僕の言葉を繰り返した。

「わかりました。では今から部屋に来てください」

101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:28:25.63 ID:NQpRkOiV0

 僕はグレーのネクタイを外し、洋服タンスの前まで歩いた。
 
 慎重な手つきで紺色のネクタイを取り出して、僕はそれを丁寧に自分の身体に巻き付けた。
 ネクタイを巻く僕の手は少し震えていた。

 ネクタイを巻き付けると、強い風が窓をガタガタと鳴らした。

 真夜中にかけて嵐がくる。

 僕は今朝の天気予報を思い出した。
 部屋の隅に置かれた鞄を一瞥して、傘を取り出そうか悩んだけれど、結局僕は鞄を開かなかった。

 僕は傘を持たずに夜の中へと飛び出した。
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:31:57.98 ID:NQpRkOiV0

 昼間騒がしく鳴いていた蝉はすっかり姿を消していた。
 
 彼らは全て地面に落ちたのかもしれないし、
 もしかしたら渡り鳥のように彼らが幸せに過ごせる場所へと一斉に移動したのかもしれなった。
 
 代わりに鈴虫やコオロギが秋の始まりを告げていた。
 風が強く吹いて、赤みがかった草木を揺らし、雨雲を少しずつ僕の方へと近づけた。
 
 信号機のライトは危険を告げるように、赤を点滅させていた。
 これ以上先は危ない。戻ってこれないかもしれないと言っているようだった。
 僕はネクタイがきつく締まっていることを確かめて、彼女の部屋を目指した。
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:33:40.41 ID:NQpRkOiV0

 彼女のマンションについたころには一日が終わりを迎えようとしていた。
 あと数分も経てば、新しい一日がやってくる。

 風はますます強さを増し、雨のにおいが漂い始めた。
 いつ降り出してもおかしくない状態だった。

 集合玄関で事務的な彼女の声に名前を告げると鍵が開いた。
 彼女が待つ部屋へと一歩近づくたびに、蝉が激しく鳴き、信号機は赤を点滅させ、多くの人々が笑みを深めた。
 僕はそのたびにネクタイを握りしめた。

 彼女の部屋の前に付き、インターフォンを押した。少し待ってみたけれど、返事はなかった。
 恐る恐る扉を引いてみると、鍵はかかっていなかった。扉は静かに開いた。

 部屋に灯りは灯っていなかった。暗い部屋の中心で彼女は僕のことを待っていた。
 彼女はこんな夜中にもかかわらず黒の肩だしワンピースに暗い緑色のショートパンツを合わせていた。
 彼女の部屋は以前と同じく殺風景で、本棚の上の写真立てが僕に向かってピースを送っていた。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:34:37.36 ID:NQpRkOiV0
「飲み物、何か飲まれますか」と彼女が聞いた。

「水を一杯もらえますか」と僕は言った。

 彼女は頷いて冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しグラスに注いだ。
 僕はそれを少し飲んだけれど、喉の渇きは一向に収まらなかった。

「それで、話って何ですか」

 事務的に淡々と、碧色の瞳をした彼女は聞いた。僕はもう一度水を飲んで、そして言った。

「瞳のことです」

 ぴくりと彼女の動きが一瞬止まった。表情は変わらなかったが、彼女の中で何かが崩れたのを感じた。

「楓さん。碧色のコンタクトを外してくれませんか」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:36:24.79 ID:NQpRkOiV0
 僕は彼女の顔をじっと見つめ、彼女は視線を僕からグラスの中の水へと背けた。
 テーブルに置かれた衝撃で水は小さく揺れていたが、やがて止まった。代わりに彼女が小さく震え始めた。

「それはプロデューサーが選んでくれるということですか」

「はい」と僕は頷いた。「僕が選びます」

「わかりました」と彼女は静かに言った。
「では目を瞑ってください。コンタクトを外します。私がいいと言うまで目を開けないでください」

 僕は言われたとおりに目を瞑った。音は何も聞こえなかった。
 彼女の息をする音も僕の心臓が鳴る音も何も聞こえなかった。

 僕はその沈黙の中で瞳を閉じ、彼女のこと、そして僕自身のことを考えていた。
 それからやがて彼女は口を開いた。

「目を開けてください」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:37:51.57 ID:NQpRkOiV0
 僕はゆっくりと目を開いた。僕の目の前に二つの瞳を持つ彼女が立っていた。
 真っ暗な部屋の中で二つの瞳はそれぞれ輝きを放ちながら、僕を見ていた。

 殺風景だった部屋は彼女の光に当てられ、神秘的な空間へと姿を変えていた。
 雑に置かれた本やグラス、壁紙の白、本棚の写真立て。
 全てのものが彼女を引き立たせる舞台装置になっていた。

 藍色と碧色。

 久しぶりに見る二つの瞳は僕には見たことのない光景だった。
 
「映りました」と彼女が言った。
「私の右目にはアイドルが、私の左目にはプロデューサーが」

「どうしますか」と二つの瞳が僕に聞いた。

 僕は紺色のネクタイを強く押した。


107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 17:38:10.30 ID:6BUVJhUro
>彼女は僕のことを好きだと言った。僕も彼女のことを抱きたいと思っている。
これでくっついたら体目当てにみえる
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:38:54.99 ID:NQpRkOiV0
「映りました」

 碧色の僕は言った。

「僕の右目にはトップアイドルになったあなたの姿が。
 あなたはガラスの靴のトロフィーを持って、多くのアイドルやファンからの拍手に笑顔で応えています」

 藍色の僕は言った。

「僕の左目には僕の彼女になったあなたの姿が。
 あなたは仕事終わりに、お酒を飲みながらくだらないダジャレを言って僕を困らせ、
 休日には二人で買い物に行きサプライズのプレゼントを贈ったりして、僕を笑顔にしてくれます」

 僕は言った。

「僕にはどちらか一つを選ぶなんてことは出来ません。だから僕は強欲にも両方を選ぼうと思います。
 楓さん、僕はあなたを僕の彼女にしますし、あなたを必ずトップアイドルにします」

109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:41:02.45 ID:NQpRkOiV0
「でも」と彼女は声を荒げた。「二つともを選ぶと必ず不幸が」

「構わない」と僕は言った。

「後のことをよりも今のことが大切なんです。
 僕は今あなたを抱きしめたいと思っているし、あなたをトップアイドルにしたいと思っている。
 
 だから僕は二つともを選ぶんです。
 それにもし不幸が起こったとしても僕たちなら乗り越えていける、僕はそう思っています」

110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:42:28.22 ID:NQpRkOiV0
「楓さん」と僕は彼女の名前を呼んだ。

 彼女は何も言わなかった。彼女は泣いていた。
 二つの瞳は涙で宝石のように輝きを増して、その中で僕は揺れていた。
 二つの瞳に映る僕は怯えているようだった。

 これでいいじゃないかと僕は思った。
 僕の選択が正しいかはわからない。けれど僕自身のことはわかっている。

 僕は彼女をトップアイドルにしたくて、
 笑っている彼女の姿が好きで、辛そうにしている彼女を見るのが嫌なのだ。
 たとえ明日、世界が滅びようとも、今、目の前で彼女が笑っていればそれで構わない。

 揺れている僕の中に揺るぎない思いがあった。僕は紺色のネクタイを強く押した。
 僕は世界に宣言するように、その思いに名前をつけた。

「愛してる」

 僕は彼女を抱きしめた。
 激しくて優しくて冷たくて温かい雨が僕に降り注いだ。遠くの方で雷が鳴った。何かが崩れる音がした。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/15(金) 17:43:06.86 ID:NQpRkOiV0


終わり
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 17:43:51.14 ID:NQpRkOiV0
コメントありがとうございました。指摘もすいません。抱きしめたいとか彼女にしたいに変換してください、

夜にまた帰ってきます
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 17:46:08.90 ID:6BUVJhUro
おつ
終わりなのかまだこのスレ続くのか
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 21:30:39.00 ID:dasBuS95o
ムフフな感じになるんでしょ
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 22:19:23.17 ID:NQpRkOiV0
作者です。帰ってきたけど、特に書くことなかった。
楓さんの瞳に違うものが映ったらと思いながら書き始めたら、何とも変な話になってしまいました。

次こそはムフフな話書きます。読んでくださり、ありがとうございました
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 22:54:29.17 ID:dasBuS95o
おつ
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 01:56:01.61 ID:FbSdUCJPo
おつ
しっとりして秋みたいな話だった
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 03:08:10.15 ID:/4ZktJ/Fo
続き読みたいなぁ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/16(土) 03:49:28.05 ID:jcN8j/rn0
初投稿?滅茶苦茶良かったわ 次も楽しみに待ってる
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 06:10:32.08 ID:L/NujMhN0
作者です。書き終えた直後は不安な気持ちでいっぱいでしたが、皆さんからのコメントを頂けて、とてもほっとしております。
拙いところはたくさんあるので改善していけたらな、と思います。

過去作はシリアスでしたら、速水奏「夜の舞踏」を書いていました。

こんなに読んでくれてる人がいてくれて嬉しいです。ありがとうございました
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/25(月) 16:57:51.16 ID:uUyg2G1G0
俺は「抱きたい」の方でいいと思うけどな。
淡白っぽいPのこれ以上ないくらいの率直な気持ちなんだなって思ったわ。
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