QB「ついに僕にも感情が芽生えたんだ!」

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68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 09:11:33.73 ID:s8/o1CofO
杏子「争いとか、下らねーもんが終始続く馬鹿みたいな世界だけどさ」

杏子「優しいやつにはとことん厳しくて、まともなやつが馬鹿を見る世界だけどさ」

杏子「それでも、ここはあいつが守ろうとした場所なんだ、だったらあたしは、死んじまったアイツの分までここで生きて戦わなきゃいけねーもんな」

QB「……生きて、戦う」

杏子「それくらいしか、今のあたしにはやることがねーんだけどさ」ケラケラ

QB「戦うという定義は、沢山あるよね、例えばそれが地獄に落ちてまで目的を果たすことだとしても、それは戦いだって言えるのかな?」

杏子「難しいことは良くわかんねーよ」

杏子「だけどまぁ、お前がそう決めたんならいいじゃねーか、何を決めたかしらねーが」

杏子「本気なんだったら、あたしにも世界にも止める権利はねーんだよ」

QB「……」

QB「……エイミーを、生き返らせようと思う」

杏子「……そりゃまた随分と大きくでたな」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 09:16:04.15 ID:s8/o1CofO
杏子「どうやって?」

QB「僕に生まれた心を、不完全かもしれないけれど出来た心を使って、僕自身が僕と契約する」

杏子「そんなこと出来るのかよ?」

QB「理論上は不可能だろうね、でも、不条理を覆すことこそ魔法少女の使命なんだろう?」

杏子「さてどうだか、あたしはそんなこと聞いたことねぇな」

QB「何が起こるかわからない、契約不履行に終わってただただ自分の命を捨てるだけの行為に代わりないかもしれない」

杏子「その場合、ただで死ぬわけねーな」

杏子「いつぞやほむらが言ってた魔女ってのになっちまう可能性もある、か」

QB「円環の理が僕にまで作用するかどうかはわからない、いいや、きっとしないだろう」

QB「するはずが無い、だからこそ、今この事実を君に教えたんだ」

杏子「……」

杏子「損な役回りだね、ほんと」

QB「申し訳ないと思っているよ、それでもそういう事が出来るのは、今は君だけだと思ってね」

杏子「……あたしだって、辛くないわけじゃねーんだぞ」

QB「うん、ごめんね」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 09:19:37.12 ID:s8/o1CofO
杏子「あんたは、何を望むんだ?」

QB「エイミーに、生き返ってほしい」

杏子「その願いは、あんたの命を差し出すに足るものかい?」

QB「うん」

杏子「そうか、ならもうあたしは何も言えねーな」

QB「……」

QB(後悔はない、ただ、僕みたいな存在がなにかのために死ぬ事が出来るという事実は、意外と悪くない)

QB(エイミー、君といて僕はとても楽しかった)

QB(君がいたお陰で、僕はかけがえのないものを手に入れた)

QB(だからもう1度、君に会うために僕はこの命を使うよ)

QB(君が理不尽に殺された事実なんて、僕は絶対に受け入れられないからね)

ズッ




インキュベーター「……始まったね」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 09:23:36.95 ID:s8/o1CofO
QB(……)

QB(自分の魂が取り出されて、形作られるのがわかる)

QB(今の僕を見たら、君はなんていうだろうか)

QB(誰か一人の命と引き換えに訪れた平和は、根本的解決にならない、そう言ったね)

QB(肉体が崩れていく、魔法少女として不完全な形で出来上がっていく)

QB(無様で醜い、壊れかけのソウルジェムが、最後の僕か)

QB(……あぁ、ほむら)

QB(それでも、君たちといた数週間は、数百年生きてきた僕の人生の中で、一番輝かしいものだったよ)






ほむら「……!」

ほむら「……この魔力……嘘……ありえない……!」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/03(火) 20:21:13.44 ID:pqiggC4gO
エタらないでお願いだよ
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/03(火) 20:55:50.69 ID:p9CkDPtNo
>>72
sageろks
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 22:52:30.57 ID:CCmfhz1do
マミ『暁美さん!!』

ほむら『……!』

ほむら『えぇ……気が付いているわよ……!』

ほむら(この強大な魔力……魔獣とは比べ物にならない、どす黒く禍々しい……!)

マミ『私も急いで向かうわ!あなたも……!』

ほむら『……えぇ、分かったわ』

ほむら(……有り得ない……魔女はもう消えたはず……濁りが溜まったソウルジェムはその存在を魔女に落とす前に……まどかに……)

ほむら(円環の理に回収される……そうじゃないの……!?)






杏子「……っの!クソっ!」

ほむら「……杏子……!何を……!」

杏子「出て来いコラ!QB!何してんだよ!!おい!」

ほむら「……これ……何……」

ほむら(……濁ったソウルジェムを囲うこれは一体……)

インキュベーター「うん、なかなかの硬さじゃないか」

ほむら「……っ!インキュ……ベーター……!」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:00:18.58 ID:CCmfhz1do
ほむら「お前達……!あの子にいったい何をしたの……!?これは……!」

インキュベーター「干渉遮断フィールドだよ」

インキュベーター「濁りきったソウルジェムを外界から遮断する、一切の干渉を受けなくなったそれは、果たしてどんな風な結末を見せるのか」

インキュベーター「いつか、君が話してくれた通りのことが起きそうだ」

ほむら「……じゃあQBは……!契約……を……!?」

インキュベーター「不完全に終わってしまったようだけれどね、未完成の心を礎に生まれたあれはとてもソウルジェムとは呼べない」

インキュベーター「結局彼の不完全な魂は魔法少女というプロセスを飛び越えてしまったようだ」

ほむら(QBが契約を……!?いや……そんなことより……これは……)

インキュベーター「自身の中に結界を生み出したようだ、なるほど」

インキュベーター「彼の願いがなんだったのか定かではないけれど、安寧と平和が彼の望みだったことは言うまでもないね」カチッ

76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:04:27.69 ID:CCmfhz1do











マミ「ふう……」

杏子「あ、もう終わっちまったのかよ、つまんねーな」

マミ「あなたが遅いからでしょ、……もう、私だって暇じゃないんだからたまには手伝ってちょうだい」

杏子「あたしがまるで暇であるかのような言い方だな」

マミ「そういう訳じゃないけれど……」

杏子「お前は根詰めすぎなんだよ、どうしようもないときゃほっとけばいいんだっての」

ほむら「……お待たせ……って終わってしまったようね」

杏子「おー、お疲れほむら」

ほむら「折角アルバイトを早く切り上げてきたのに……無駄足だったかしら」

杏子「いいや、そうでもねーよ、偉大な先輩がごちそうしてくれるってさ」

ほむら「……あら、じゃあ甘えようかしら」

マミ「もう……!……ふふふ……」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:08:04.39 ID:CCmfhz1do
マミ「この所は平和ね、魔獣も出ないし」

杏子「ま、そうだな」

マミ「それにしても、いつになったらこの街に新しい魔法少女が出てきてくれるのかしら」

ほむら「望むだけ無駄よ、いくら願いを叶えるとは言っても命と引き換えに出来るほどじゃないわ」

杏子「魔法少女が生まれないことこそ平和の象徴だろ、うめぇ」

マミ「……それはそうなんだろうけど」

ほむら「ところで……ここが分からないんだけど……」

杏子「あーん?あたしに見せてみろよ、こんなのお茶の子ほいほいだぜ」

ほむら「さいさいね、マミ、分かる?」

マミ「……んーと……」

QB「あれ?今日は皆集まってるのかい?」

マミ「あら、QB、どこに言ってたのかしら?」

QB「エイミーが遊びたいというからね、少しその辺を散歩してきたんだ」

杏子「すっかり親猫だなお前……」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:11:23.43 ID:CCmfhz1do
杏子「ようエイミー、すっかりQBよりでかくなっちまったな」

エイミー「ニャー」

ほむら「ちょっと太り過ぎじゃないかしら」

杏子「マミが?」

マミ「……」

杏子「うっ、嘘嘘!嘘だってば!」

QB「そうは言っても餌が欲しい欲しいってうるさいんだ、叶わないよ全く」

マミ「QBはエイミーに甘いのね、ふふ」

QB「そういうマミは杏子に厳しいね」

杏子「返してくれよお〜!腹減ってんだよ〜!」

ほむら「……」

QB「どうしたんだい?ほむら」

ほむら「……いいえ?」

QB「そうかい、君は思い詰めることが多いからね、たまには人に悩みを話すことも大切だよ」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:14:48.18 ID:G+SirLFZ0
ど、どうなったんだ……?
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/03(火) 23:15:26.18 ID:p9CkDPtNo
誰かが時間巻き戻したんじゃない?
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:16:09.11 ID:CCmfhz1do
QB「それにしてもエイミーを拾ってからもう6年だね、随分と街並みも変わったなぁ」

杏子「お前が言うと半端じゃなく感慨深いな」

マミ「土地開発でただでさえ少なかった自然がどんどん失われていくのを見ると、素直に喜べないけれどね」

QB「マミもほむらももう大学生だもんね、杏子はまだ小学生だっけ」

杏子「ぶっ飛ばすぞ」

QB「君たちは2人とも見滝原の大学を選んだんだね、どうしてだい?」

ほむら「……それは」

マミ「だってどこに行こうがどっちにせよ魔獣と戦わなくてはならないでしょ?どうせなら自分の生まれ育った街を守りたいじゃない?」

QB「そっか、僕にとっては都合が良かったよ」

ほむら「……」

ほむら「……」

ほむら「……何で?」

QB「……?だって、皆でこうしていられる時間が多い方が楽しいじゃないか」

ほむら「……」

QB「僕、何か変な事言ってるかい?」

ほむら「……いいえ」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:24:46.57 ID:CCmfhz1do
QB「今日は楽しかったね」

ほむら「……ええ、そうね」

QB「……僕ね、ずっと思ってたんだ、エイミーを拾ったあの日から、こんな日がずっとずっと続けばいいなって」

QB「魔法少女でもないのに、願いが叶っていいんだろうか、幸せすぎてバチが当たってしまうよ」

ほむら「QB」

QB「何だい?」

ほむら「……鹿目まどかって、知ってるかしら?」

QB「……?……うん、もちろん知ってるよ」

ほむら「……そう、それなら……」

QB「明日来る、新顔の魔法少女のことだろう?」

ほむら「……は?」

QB「どこで知ったんだい?僕にだけ挨拶に来たのに」

ほむら「……魔法……少女……?」

QB「君たちがあまりにも、特に杏子だけれど、魔獣を狩るのに躊躇いがないものだから少し怖がっていたよ」

QB「でも大丈夫、見た目通りのとても優しい子だったから」

ほむら「……そう、そうよね……?」

ほむら(明日来る魔法少女……?)

ほむら(……鹿目まどかは……まどかは……?あれ……?)

ほむら「……まどかは……?」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:28:59.64 ID:CCmfhz1do
次の日

QB「……」

ほむら「……おはよう、どうしたの?」

QB「いや、鹿目まどかが急遽来れなくなってしまってね」

ほむら「……そう」

QB「残念だよ、漸くこの街に新しい魔法少女が来てくれると思ったのに」

ほむら「……ねぇ、QB」

QB「なんだい?」

ほむら「鹿目まどか……と、いつ連絡を取り合ったの?」

QB「一週間くらい前かな」

ほむら「……でも、一週間くらい前は、あなたは私たちとずっと一緒に居たじゃない……!」

QB「テレパシーを感じて抜け出したんだ」

ほむら「……違う……!そんなはずは……!」

ほむら「……っ!ほ、他には!?他には誰か居なかった!?鹿目まどかの他には!?」

QB「居なかったよ、誰も、誰も居なかった」

QB「まぁそのまどかも来れなくなってしまったしね、また暫くは「いつもと変わらない」見滝原の日常が続くだけさ」

ほむら「……」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:36:34.61 ID:CCmfhz1do
ほむら「……」

ほむら(……鹿目まどかは……)

ほむら(……私にとって、とても大切だった存在のような気がする)

ほむら(……でも、思い出せない、鹿目まどかと共に何かをした記憶もなければ、言葉を交わした記憶すらない)

ほむら(だとしたら、この気持ちは一体何なの……?)

ほむら(どうして私は、鹿目まどかの名前を聞くたびに、暖かくなるの?)

ほむら(……いけない、存在を疑ってはいけない……!)

ほむら(……きっと、いえ……絶対……私にとって鹿目まどかは絶対なんだ……!その気持ちだけは失ってはいけない……!)

ほむら「鹿目まどかは、存在するわ……!」

QB「……?そりゃもちろん……」

ほむら「……私にとって、最高の友達だもの……!」

QB「……そうか」

QB「そう言ってくれて、彼女もとても嬉しいだろうね」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:42:06.47 ID:CCmfhz1do
ほむら「……」

エイミー「……ニャー」スリスリ

ほむら「……エイミー……私、おかしくなっちゃったのかな?」

ほむら「そんなはずないよね……じゃあ……誰が……」

エイミー「……ニャー」

ほむら「……え?」

ほむら(……エイミーの形が……?この傷は何……?)

ほむら「……」スッ

エイミー「ニャアァッ!!!」

ほむら「……きゃっ……!」

ほむら「エイミ……!……っ!」

エイミー「ニャアアアアア……!!」

ほむら「ひっ……!」

ほむら(……違う……!!これはエイミーなんかじゃない……!これは……そう、これは!!)

ほむら「魔女の使い魔、だ……」

ズズズズズズ
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:48:55.79 ID:CCmfhz1do
「不完全な魂と、不完全な契約によって願われたそれが、真っ当な形で叶うはずもない」

「それでもエイミーとやらを生き返らせたかった彼は、使い魔をエイミーと呼ぶことになる」

「かくして彼は自身の中で結末を迎える魔女となり、その願いは使い魔という形で果たされることになった」

「でもあの願いは単なる前座だったに過ぎないだろうね、本当に彼が願っていたのは」

「誰一人欠けることなく、この見滝原で生きていたいだったんだから」

ほむら「……!」

インキュベーター「実に興味深い観測結果だったよ、遮断フィールドを解いて君たちを招いたのはどうやら正解だったようだ」

ほむら「……インキュベーター!!!!!」ギリッ!

インキュベーター「気が付いていたかい?この街でQBと名乗る存在はこの偽りの世界の均衡を保つためにあらゆる外的要素を排除した」

インキュベーター「君にとって、ともすれば彼にとっても重要な存在であるかもしれない円環の理をあろうことかただの魔法少女と認識して」

インキュベーター「無意識のうちに、君の記憶を作り替えた」

インキュベーター「そうまでしてこの世界の均衡を保ちたかったんだろうね」

インキュベーター「僕は何一つ約束を破ってはないないよ、彼女たちの誰にも手を出していないし」

インキュベーター「彼女たちの人生を終わらせるのは、君だ、QB」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:53:33.89 ID:CCmfhz1do
ほむら「私たちをここから出しなさい!」

インキュベーター「いいのかい?ここから君たちを出すということはこの魔女を野に放つということにほかならない」

インキュベーター「6年分の歳月を一瞬で過ごした君たちの精神的負担がどれほどのものかは知らないけれど、まともに立っていられることすら困難だろうね」

インキュベーター「今はまだ、皮肉らしいけどあの魔女のおかげで君たちは立っていられる」

ほむら「……!」

ほむら(どうして……!あの子は何も悪いことをしていないのに……!何で……!)

インキュベーター「かなりショックを受けているようだね」

インキュベーター「あまり落ち込まない方がいい、ここは円環の理の干渉すら届かない場所なんだから」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/03(火) 23:59:13.26 ID:CCmfhz1do
インキュベーター「さぁ、とは言ってもどうしようか」

インキュベーター「君も束の間とは言え、幸せな時間に浸ることが出来るんだ」

インキュベーター「ここは一つ、全てを諦めてこの世界に迎合するというのはどうかな?」

インキュベーター「この時間の早さだ、恐らく彼の寿命こそが魔女孵化へのトリガーになるだろうね」

インキュベーター「だから、君もそれまでこの世界で幸せに浸るといい」

インキュベーター「僕らはそれを、存分に観測させてもらうとしよう」

ほむら「……はっ……!」

エイミー「……ニャー……」

ほむら(……エイ……ミー……)

ほむら「……」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 00:01:29.87 ID:ZEkBLHeoo



マミ「……こんな事があるから隠しておいたのに!」

杏子「隠しておくってことは見つかったら食っていいってことだろ!」

マミ「もう……!」

バァン!!

マミ「……」

杏子「……」

ほむら「はぁっ……!はぁっ……!」

杏子「……ほむら……?どうしたんだよ……?スゲー汗だぞ……」

ほむら「……」

ほむら「……そうね、どうにか、なったのかもしれないわ……」

マミ「と、取り敢えず落ち着いて……?」

ほむら「……」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 00:05:14.09 ID:ZEkBLHeoo
ほむら「……私の話を、聞いてほしい」

杏子「……」

ほむら「……今からするのは……私の夢物語なんかじゃない……!」

ほむら(もう……どうしていいか分からない……!)

ほむら(確かにあの子は沢山の人を悲しませた、でも、これがその罰だとしたら余りにも……!)

ほむら(あなたは、言ったわね……エイミーは私に飼われて、幸せだったって!)

ほむら(そうよ……!あなただって、最後の最後には私たちに幸せをくれたじゃない!)

ほむら(そんなあなたが……!こんな終わり方をしていいはずがない……!だってそれじゃあ……あまりにも辛すぎる……!)

ほむら(……私は、無力だ……弱い……!)

ほむら「……弱いから、あなた達を頼るしかないのよ……!」

杏子「……」

マミ「……」

ほむら「……お願い……信じて……!」



────────

───
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 00:08:56.01 ID:ZEkBLHeoo
マミ「……」

杏子「随分と、途方もねー話だな」

ほむら「……」

杏子「いいか?あたしはどう考えてもお前の頭がおかしくなっちまった可能性の方が高いと思ってる」

杏子「あたし達は魔女なんか聞いたこともねー、QBが契約できたなんて事実も信じられねー」

杏子「鹿目まどかとやらの話も信じられねーし、あたし達のこの6年が嘘だったってのも信じられねー!」

ほむら「……」

杏子「でも、お前は信じられる」

ほむら「……っ」

杏子「……どっかに、引っ掛かりがあるんだ」

杏子「もしかしてあたし、忘れちゃいけねーもんを忘れちまったんじゃないかって」

杏子「いつも口うるさくて、何かと文句をつけてきて……ほんと鬱陶しい奴だったけどさ」

杏子「……どんなに忘れても、あたしはあのバカを完全には忘れられねーんだよ」

マミ「……」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 00:12:47.86 ID:ZEkBLHeoo
杏子「誰だ?あたしにとって大切だったあいつは誰だ?」

杏子「あいつが守った世界を守ってやるって、誓ったんだ」

杏子「誰だよ、あいつは!?」

ほむら「……」

杏子「行こうぜ、ほむら、マミ」

杏子「ここが嘘の世界だって言うんなら、全部ぶっ壊して、あたし達から奪ったもんを返してもらおう」

ほむら「……杏子……」

マミ「……まぁ、後輩を見捨ててはおけないしね」

杏子「……QB!!!!出て来い!!」

杏子「もうこんな世界なんて要らねぇ!正々堂々、あたし達の前に姿を現して!」

杏子「そんで、あたし達を倒して叶えてみろよ!その願いとやらを!!」

ズズズズズズ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 00:18:40.31 ID:ZEkBLHeoo
ほむら「……」

杏子「……」

マミ「……」

QB「……とても、残念だよ」

QB「いつしか君が話してくれた話が、まさか僕に降り掛かってくるなんて」

ほむら「QB……!」

QB「近付かない方がいい、この姿も罠みたいなものだ、僕の本体は君達を覆っている結界そのもの」

QB「真実を持って僕に触れたら、君たちはまた記憶を奪われることにもなりかねない」

杏子「そんときゃまた思い出してやるさ、何度でも」

QB「……」

QB「そうか、君とは約束をしていたね」

杏子「あぁ、ぶっ殺せ、だったか」

QB「僕はとても、幸せだ」

QB「最後の最後で、君たちと同じ時間を共有できて、終わってしまった人生だったのに、嘘とはいえ、その続きまで見られて」

QB「僕は本当に幸せだ」

杏子「……」

QB「時期に僕は孵化する、君たちは僕を倒すといい、そうすれば彼らも遮断フィールドを解いて外に出られるだろうね」

QB「どす黒く、心が濁っていくのがわかる」

QB(じわじわと、粘り気のある濃い毒が体を這い回る、これが僕の絶望)

QB(……)

QB「ありがとう」

ほむら「Q……!」

ゴォォォォォォ!
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 00:26:33.58 ID:ZEkBLHeoo
魔女「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!」

ほむら「……QB……」ポロポロ

杏子「……あれが、魔女なんだな」

マミ「……何て、おぞましい……」

インキュベーター「変わらぬ平和を願った彼は、魔女になりながら、自身の中で完結しながらも、その願いを構築した」

インキュベーター「記録だけは膨大な量だからね、街一つ再現するなんて訳ないだろう」

インキュベーター「さぁ、君たちはどうやって彼の人生を終わらせるつもりだい?」

杏子「いつもの下らねー話術か、ここであたし達が絶望すりゃあんたは一気に三人分の魔女とやらを得ることになる」

杏子「あんまり調子に乗んなよ、こんくらいであたし達がへこたれるたまか」

インキュベーター「……」

魔女「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!!」

ほむら「……QB……」

ほむら(……ごめんなさい……こんな形で、あなたを失いたくなかった)

ほむら(……私はまだ、あなたに謝りもできていないのに……)

杏子「来るぞっ!!」

マミ「……はっ!!」ドォンドォン!!

ほむら「……たぁぁぁっ……!」バシュッ!
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 00:31:41.60 ID:ZEkBLHeoo
インキュベーター「そこまでして彼を倒したいのかい」

インキュベーター「人間は本当に、愚かすぎて理解し難いよ」

インキュベーター「彼に身を委ねてしまえば君たちは涙を流しながら戦うこともなかったのに」

杏子「……うらぁぁぁぁっ!!!」

マミ「はぁぁぁぁ!」

ほむら「……たぁっ!」

魔女「……ァァァアアアアアアアアアア!!」

ほむら「……!」

ほむら(……これは……!私たちの記憶……?)

インキュベーター(なるほど、ここは明晰夢のようなものか)

インキュベーター(当然といえば当然か、彼が作り上げたこの結界で彼に不可能なことなんてない)

インキュベーター(いつかの魔獣がやったように、心をへし折るつもりなんだね)

杏子「ぐぅぅぅううっ……!」

マミ「……!」

ほむら「うぅぅうううっ……!」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 00:35:50.65 ID:ZEkBLHeoo
ほむら(精神攻撃なんて……大したことない……!だってあなたの方が何倍も辛いもの……!)

ほむら「……邪魔しないで……これ以上……もう……苦しまないで……」

ほむら「……」

魔女「……」

ほむら(いつもいつも、憎まれ口を叩くあなたを、嫌いにはなれなかったわ)

ほむら(あなたは確かに罪を背負っていたけれど、それでも最後には改心した、だったらもうそれでいいんじゃないかって思う自分がいる)

ほむら(でも、まどかとは違うまた別の神が、それでもあなたを許さないというのなら、それを下すのは私の役目、そうよね?)

ほむら(QB、私はとっても幸せだった、あなたと過ごした日々は紛れもなく幸せだった)

ほむら「……」

ほむら「あなたは、どうだったかしら」

「……」

「……もちろん、僕も」

ほむら「……そうよね」





ドガァァァァァァアアン!!
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 05:38:38.30 ID:YGw9U2j9o
魔女「……ゥ、ァァァアア……」

インキュベーター「やれやれ、終わってしまったか」

ほむら「……はぁっ……はぁっ……」

杏子「……終わった、のか?」

ほむら「……もう、魔女が死ぬのも時間の問題、あとは……」

ほむら「……」

魔女「……」

ほむら「……否定なんてできない、私だってまどかを救うために契約したんだから」

ほむら「それが間違いだって言うんなら、私は何度だってその言葉を否定する」

ほむら「あなたは、正しく生きたわ」

ほむら「だから……もう……」

ほむら「……」

ほむら(……?……インキュベーターはどうして……あの装置を解いたの?)

ほむら(……私たちをこの世界に閉じ込めるため?……私たちが入り込んだ結界を観測するため?)

ほむら(……どうして、あいつは、長く観測できる機会を棒に振ってまで私たちをここに……)

ほむら「……違う……観測出来なかったんだわ」

ほむら「「干渉遮断フィールド」……だもの……!!」

ほむら「杏子っ!!マミっ!!」

ほむら「インキュベーターを……!!殺して!!」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 05:46:08.01 ID:YGw9U2j9o




インキュベーター「とても良い観測結果だった」タッタッタッ

インキュベーター「あとはこのフィールドを閉じておしまいだね」

インキュベーター「やはり、と言うべきか、やっぱり円環の理は現れることがなかったね」

インキュベーター「彼を魔法少女として認識していないが故の結果だったのか、それとも憎しみがそうさせたのか定かではないけれど」

インキュベーター「……それにしても、改良の余地があるようだ、せめて僕らの情報のやりとりだけでも出来るようにしないと」

インキュベーター「……」タッタッタッ






杏子「居ねぇぞ!」

マミ「こっちにも……!」

ほむら「……ぐぅ……!」

ほむら「どこ!?何処にいるのよ!こんな風に、あの子達の死を弄んで、お前はどこまで……!」

ほむら「……どこまで……!!」

ほむら(インキュベーターが結界に入ってきたのには訳がある……!それはきっと、このフィールドは外界からの全てを遮断する代わりに……)

ほむら(内から外への干渉もできない……!)

ほむら「彼らの死を利用させるわけには行かないのに……!私は……!」

ほむら「私はどこまで無力なのっ!!!」ガァン!!
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 05:53:21.66 ID:YGw9U2j9o
ほむら(いっつもそうだったわ……!私が何かをするたびに全てから回る……!)

ほむら(何にも出来なくて、私はあの頃から何も変わっていない……!)

ほむら(まどかに守られる私のまんまだわ……!!)

ほむら「どうすればいいの……?どうすれば……!」

ほむら「……誰か、教えてよ……!」

ズッ

ほむら「……!」

ほむら「……これ……っ!」

杏子「盾……?」

マミ「……一体……何の……?」

ほむら「っ……」

ほむら(……違う……!私はこれを知っている……!これは、私の誓そのもの……!まどかを守ると誓った証……!)

ほむら「これは……これは……!!」

「この結界は僕の明晰夢のようなものだ、この結界内で僕に不可能はないよ」

「少し辛いことを思い出させるかもしれない、君にとってそれは守る誓であると同時に、彼女を守れなかった証明でもあるから」

「それでも、記憶を覗いて再現した、君の仲間で居たいから」

ほむら「Q……」

「行って、ほむら、彼の持っているここでの結果を持ち帰らせちゃいけない」

「お願いだよ」

ほむら「……っ!」ダッ!
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 05:59:44.25 ID:YGw9U2j9o
ほむら「……!」カチッ!!

ほむら(……本当に久しぶり、もう二度とこれを使うことはないと思っていたのに……)

ほむら(……何もかもが懐かしい……そうよ、私は……)

ほむら(……まどかを守れなかった……でも)

ほむら(……もう守れないなんて……)

ほむら「……そんなの、嫌よ」ガチャッ

ほむら(……銃まで再現してある、感情の生まれたあなたがここまで読むのは相当な辛さだっただろうに)

ほむら「……」

インキュベーター「……」

ほむら「……お前はきっと、いえ、絶対にこの事を覚えてはいない」

ほむら「この世界では私以外、何人たりとも動けない」

ほむら「だから、言わせてもらうわ」

ほむら「いつか必ずお前達の企みを暴いてやる……いつか必ずお前達をみんな殺しきってやる……!」

ほむら「お前達を終わらせるのは、私たちよ」

ほむら「とりあえず今回は……私の、私たちの、勝ちよ」

ほむら「ざまぁ……ないわね……!」



ドガァァァァァァアアン!!
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 06:06:47.57 ID:YGw9U2j9o
シュウウウウウウ

ほむら「……結界が……」

ほむら「……丁度、時間だったのね」

杏子「ほむらァ!」

マミ「……暁美さん……!」

ほむら「2人とも……」

杏子「……って、うおっ……!」ズダァン!

杏子「……動けねぇ……なんだこりゃ……」

ほむら「……六年分の時間を1度に味わったんだもの……疲労は当然……」

ほむら(……盾も無くなってる……)

ほむら(……そっか……終わったんだ……QBは、死んだんだ)

インキュベーター「何が起こったんだい?」

ほむら「……」ギリッ!

インキュベーター「全く無意味なことをしたね、あの個体を殺したところで何一つ得られるものなんて……」

杏子「そうは言っても、内心悔しいんじゃねーのか?え?」

杏子「あの中じゃ、お前達もやりとりが出来ねぇんだろ?何の思惑があってシラ切ってるのか知らねーが、ちゃんと口に出せよ」

杏子「お前はあの結界の中で何の成果も得られなかった!お前達の負けだ馬鹿野郎!!」

インキュベーター「……」

インキュベーター「うん、確かに今回は僕らの負け、とでも言うべきなのかな?」

インキュベーター「僕らが時間と労力をかけて作った装置も使い物にならなくなってしまった、君たちがあの個体を殺したことで結果は全て闇の中だ」

インキュベーター「対して君たちはQBを失い、あの黒猫も失ってしまった」

インキュベーター「……うん、いいや……痛み分けといったところじゃないかな?」

杏子「……てめぇ……!」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 06:12:46.93 ID:YGw9U2j9o
インキュベーター「それでも勝ちと言い張りたいなら言えばいい、僕らにとって勝ち負けなんてどうでもいい事だ」

インキュベーター「それに僕らは……?」

インキュベーター「……これは……」

ほむら「……っ……!!」

マミ「……エ……」

杏子「……エイミー……?」

エイミー「……ニャー」スリスリ

ほむら「……エイミー……!エイミー……!!」ギュッ

インキュベーター「……有り得ない……!あんな不完全な契約で願いが叶うなんて……!そんなはずが……!」

杏子「どうだよ!これでもまだ痛み分けだっていうか!?QBのバカは自分の命でエイミーを生き返らせた!」

インキュベーター「……契約は成立していた……?でもあの時は確かに……」

杏子「うだうだ考えてもてめーには何一つ分かんねぇんだよ!」

杏子「有り得ねぇ!?これがお前達が笑った奇跡だろ!!」

インキュベーター「……」

インキュベーター「……分かったよ、今回は確かに僕の負けだ」

ほむら「……エイミー……!エイミー……!!」

ほむら(……叶っていたわよ……!あなたは、確かにエイミーを生き返らせた!)

ほむら「QB……!!!」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 06:14:45.07 ID:YGw9U2j9o





ほむら「……」

杏子「……」

マミ「……」

ほむら「……まぁ、妥当なところといったとこかしら」

杏子「なーに言ってんだ、立派な墓だろ、あいつには勿体無いくらいだぜ」

ほむら「……ふふ、そうかしら」

ほむら「死体も残らなかったから、埋めるものがなかったけれどね……」

杏子「良いんだよ、こういうのはきっと、形だ」

マミ「……エイミー、元気だよ、QB」

ほむら「……」

ほむら「今回のことで、一つ分かったことがあるの」

杏子「……?」

マミ「……?」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 06:19:08.14 ID:YGw9U2j9o
ほむら「……QBの結界に取り込まれた時、あなた達の記憶も多少なり私の中に流れ込んできた」

ほむら「………だから……きっと私の記憶もあなた達に流れ込んできたと思う……」

ほむら「……その……ごめんなさい、まどかを守るためとはいえ……あなた達にはひどいことをしたわ」

ほむら「……あの時の私は、何にも信じられなくて、一人でまどかを救おうとしてた」

ほむら「……でも、漸く分かったの」

ほむら「……やっぱり私達は一人じゃ生きていけない……誰かと一緒に生きていくべきなんだって」

杏子「……」

マミ「……」

ほむら「……一人じゃなくて、良かった」

ほむら「……えぇ、あなた達と出会えて、私はとても嬉しい」

ほむら「幸せよ」ニコッ

杏子「……」

マミ「……」

杏子「ほむらの奴からこんな言葉が聞ける日が来るなんてなぁ、マミィ」

マミ「ええそうね、今日はきっと槍が降るわ」

杏子「現実に出来るぜ、それ」

ほむら「……もう……」

ほむら「……」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 06:22:29.05 ID:YGw9U2j9o
ほむら(……まどか、あなたを守ることは出来なかった)

ほむら(QBも、守ることは出来なかった、けれど)

ほむら(二人は守ることが出来た、これは紛れもなく、あなたと皆のおかげ)

ほむら(あなたに導かれる日まで、私は精一杯生きるから)

ほむら(争いばかりを繰り返す残酷な世界だけれど、それでも私は精一杯抗うから)

ほむら(だから、見守っていてちょうだい)

ほむら「大好きよ、まどかも、皆も」

ほむら「……行きましょう、見滝原に」

杏子「……おう」

マミ「……ええ」






「……」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 06:26:31.36 ID:YGw9U2j9o
QB「それで、どうして僕はここにいるのかな」

QB「どう考えても導かれる存在ではないと思ったんだけど」

QB「え?契約をして魔女になったのならそれはもう導く対象だって?」

QB「いやぁ、どうだろう、厳密に言えば僕は魔女でもなく魔法少女でもないような気がするんだけど」

QB「あ、そうだ、そういえば君に一つ聞きたいことがあるんだった」

QB「もう誰も聞いていないし、言ってもいいよね」

QB「ほむらから聞いた話だと、君はこの世界を作り替えたらしいじゃないか」

QB「確かに彼女に聞いた通り、この世界は前よりは随分とマシになったようだけれど」

QB「それでもこの世界に呪いが蔓延っているのは紛れもない事実だよね」

QB「……まぁ、神様にまでなって作り替えた世界だ、きっとこれが最善なんだろうね」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 06:33:03.44 ID:YGw9U2j9o
QB「きっと君はそんなことないんだろうけど、わかり易く伝えるために敢えてこの言葉を使うよ」

QB「残酷すぎた世界がちょっぴりマシになった程度で彼女たちの人生が生きやすくなった訳では無い」

QB「特にほむらなんかは、君がいなくなってしまって、ともすれば前の世界よりも遥かに汚れを溜め込みやすくなってしまっている」

QB「それでいてどうして君は、そう平気な顔をしていられるんだい?」

QB「……わっ……!危ないなぁ……剣なんか投げないでよ」

QB「どうしてそんなことが聞きたいのか?って?」

QB「そうだね、僕に心が生まれてしまったからかな」

QB「だから、頭では理解していたはずの君たちの行動がより理不尽に感じられるようになってしまった」

QB「って、所かな」

QB「……」

QB「なるほど、「信じてるから」ね」

QB「ふぅん、全く、君たちには敵わない」

QB「君たちはきっと、僕が想像しているより遥かに強い絆で結ばれているんだね」

QB「今はそれが、とっても羨ましいよ」

QB「……」

QB「そうだね」

QB「ほむらもそう思っていてくれてるなら、嬉しいな」ニコッ
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 06:38:33.20 ID:YGw9U2j9o
QB「あ、彼岸花か」

QB「死体のない墓に花なんて添えても意味なんてないだろうに」

QB「彼女を止めてくれるかい?今にも僕に襲いかかってきそうじゃないか」

QB「「また会う日を楽しみに」か」

QB「うん、僕もその時を楽しみにしているよ」

QB(ねぇ、ほむら)

QB(いがみ合っていた僕達だけれど、僕に心が生まれただけでこんなに僕達は寄り添えるんだ)

QB(だからきっと、残酷な世界でも、救いも希望もない世界でも、奇跡はあるんじゃないかって、そう思うんだ)

QB(次に君に会う時は、きっと僕はもっと君たちのことを理解している)

QB(君とともに喜んで、悲しんで、笑いあって泣きあって)

QB(今よりももっと、君たちのそばまで歩み寄る)

QB(そうして、漸く君に出会った時、かける言葉は決まっている)

QB(今度はもう、嘘だなんて言わせない、掛け値なし、言うことなしの真実だ)





QB「ついに僕にも感情が芽生えたんだ」

QB「そう言える日を、僕も楽しみにしてるよ」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/04(水) 06:40:58.57 ID:YGw9U2j9o
終わり
見てくれてありがとう
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 06:42:38.96 ID:DY7iO5k80
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 06:54:16.68 ID:wtcipQ1VO
乙よかった
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 07:08:04.37 ID:/vDjMxPoo

大多数の糞の山の中にたまにこういうのがあるから辞められない
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 07:59:19.36 ID:t0F/1M7mo
すばらしい
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 10:10:12.15 ID:xyRU7Wpso

このほむほむなら叛逆の物語に至らないと思いたいな
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/05(木) 23:35:35.37 ID:z//ooA+P0

また改変後SSが読めるとは思わなかった
QB、お前は胸を張って円環に入っていい奴だよ

インキュベーター産の魔法少女って実は結構いたんじゃないかと思ってる
人間じゃなくてもココロがあるなら契約できるらしいから、猫の魔法少女とかもいそう
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/05(木) 23:46:48.00 ID:l6mHeKOvO
おつ
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/08(日) 17:23:11.28 ID:DAkUZ6r60
乙 いいもの読んだ
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