池袋晶葉「アンズロイドと」安部菜々「私たちの事務所」

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1 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 21:55:40.40 ID:6zzzKWfl0

〜晶葉ラボ〜


池袋晶葉「……ふぅ」

安部菜々「お疲れさまですアキハちゃん!」

晶葉「おお、菜々か、お疲れ様」

菜々「い、いよいよ、完成……なんですよね?」

晶葉「ああ、ちょうどインストールの準備が整ったところだ」

菜々「そこの……おっきい繭みたいな形の入れ物が?」

晶葉「そうだ。蓋は見てのとおりガラスだから、中の本体を見ることは出来るぞ? 開けるのはやめてほしいが」

菜々「だ、大丈夫ですよね? いきなり襲ってきたりとか」

晶葉「ははは、大丈夫だ。まだその段階ではただのリアルな人形にすぎないからな」

菜々「そ、そうなんですか? こ、こんにちは〜」ヒョイッ

晶葉「だから、そんなに警戒して覗き込まなくても」

菜々「こ、これはカワイイですね……!!!」

晶葉「……設計段階のイメージは見てるだろう?」

菜々「そ、そうですけど、やっぱりこう……立体だと違うなあと……」

晶葉「まあ、アイドルになるんだから、驚くほどカワイイくらいがちょうどいいか」

菜々「けっこう小柄なんですね?」

晶葉「その辺の数値も定義書に書いてあったろう……? 1.4メートルになっている」

菜々「へぇ〜、ナナよりちっちゃい……」



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2 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 21:56:01.63 ID:6zzzKWfl0

晶葉「そういえば、プロデューサーはいないのか?」

菜々「いえ、『アキハの集中を乱すのもよくないから、ここで待っています』って。部屋にいます」

晶葉「まったく、その程度ではこの天才の腕は揺るがないんだがな」

菜々「まあ、アイドル部門の命運が懸かってますし……。プロデューサーさんもちょっと心配になってるだけですよ」

晶葉「そのわりに菜々が来るのは止めなかったんだな」

菜々「も、もしかしてナナ、お邪魔だったり……?」

晶葉「まさか。言ったばかりだろう? その程度は問題にならないさ」

菜々「よかったです……。そうだ、名前は決めてるんですか?」

晶葉「ああ、もちろん。このアンドロイドは、その圧倒的な歌、ダンス、ヴィジュアルで、今までの全てのアイドルを否定する!」

菜々「ふむふむ」

晶葉「よって、『コードネーム:否(イナ)』と名付けた!」

菜々「……」

晶葉「……ん?」

菜々「……アキハちゃん」

晶葉「ど、どうした?」

菜々「かわいくないです!」

晶葉「……ええっ!?」

3 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 21:56:33.48 ID:6zzzKWfl0

菜々「そんな名前の女の子がいますか!? "イナちゃん"って響きはまだギリギリいいとしても、漢字が後ろ向きすぎます!」

晶葉「だ、だが……」

菜々「かわいそうですよ! そんな名前じゃ!」

晶葉「むぅ……そうか……」

菜々「はい!」

晶葉「じ、じゃあ、菜々ならどうする?」

菜々「へ?」

晶葉「"へ?"じゃないだろう。私は……その……認めたくないが、ネーミングセンスというものに欠けるようだし……」

菜々「え、えーっと……」

晶葉「ほら、何か案はないか?」

菜々「ち、ちょっと待ってください! ウサミン星からネーミングセンスをダウンロードしてますので!」ミョンミョン

晶葉「そういうのはいい」

菜々「そ、そういうの……」ガーン

4 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 21:57:15.05 ID:6zzzKWfl0

菜々「じ、じゃあ、こうしましょう!」

晶葉「?」

菜々「"否"って漢字の、上をちょっと出すんです! こうすれば……」カキカキ

晶葉「えーと、"杏"か……! あんず、あんず……」

菜々「ど、どうでしょう……?」

晶葉「ああ、いいと思うぞ。それでいこう!」

菜々「よかったです……! あ、プロデューサーさんにも聞いてきましょうか?」

晶葉「いや、別に大丈夫だろう。"2人で決めたなら"ってなるのがオチさ」

菜々「た、確かにそうですね……」

晶葉「では、ネーミングのコンフィグを書き換えて……」カタカタカタカタ

菜々「おお、そんなにすぐ変えられるんですね?」

晶葉「もちろんだ。名前や出身地、趣味や好物などはコンフィグファイルから読み取る設定になっている。いちいちモジュール内をいじるのは面倒だからな。直前の仕様変更にも対応できるよう、変わりそうな値は変数にしておいて、実際の値は外部ファイルから読み取るのが一般的……」

菜々「Zzz……」

晶葉「……私が悪かったよ」ペシペシ

菜々「……はっ!」

5 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 21:57:59.99 ID:6zzzKWfl0

菜々「ちなみに出身地はどこにしたんですか?」

晶葉「北海道だ」

菜々「どうして北海道なんですか?」

晶葉「ダーツが刺さったから」

菜々「雑ぅ……」

晶葉「そんなところに時間を使うのも、勿体無いだろう?」

菜々「そうですかね……? あ、苗字は?」

晶葉「ああ、それも決めようと思ってたんだ。はい」

菜々「へ? これは……ダーツの矢?」

晶葉「向こうの日本地図に向けて投げてくれ」

菜々「い、いやいや! 出身地はもう決まってるんですよね?」

晶葉「そう言ったじゃないか。今は苗字の話だろう?」

菜々「じ、じゃあなんでダーツを?」

晶葉「苗字なんてなんでもいいだろう? だから、ダーツが刺さった市町村を苗字にする」

菜々「ざ、雑ぅ……!」

6 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 21:58:52.13 ID:6zzzKWfl0

菜々「えっと……、もし"おしゃまんべ"とかに刺さっても?」

晶葉「長万部 杏……悪くないんじゃないか?」

菜々「変ですよぅ……」

晶葉「じゃあ、良い感じの市町村に投げてくれ。 私だって"近江八幡 杏"なんて長い名前はイヤだからな?」

菜々「なんですかそのプレッシャーは……。え、えいっ!!!」

トンッ

菜々「ええと、東北の南の方……」

晶葉「福島のあたりか?」

菜々「そうですね。福島県の……」

「「双葉町?」」

7 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 21:59:49.44 ID:6zzzKWfl0

晶葉「では、全ての準備が整った。これよりインストールに入る!」

菜々「おおー!」パチパチパチ

晶葉「成功できたらそのまま起動する予定だ」

菜々「ど、ドキドキしますね!」

晶葉「私はワクワクの方が大きいけれどな」

菜々「仲良くなれますかね……?」

晶葉「大丈夫だ。敵対心はなるべく抱かないようになっている。学習して成長するにしても、犯罪など起こされてはたまったもんじゃない」

菜々「ならいいんですけど……」

晶葉「では、インストールを開始するぞ!」

菜々「はい!」

晶葉「インストール……スタート!」ポチッ

菜々「……」

晶葉「……」

菜々「……あれ?」

晶葉「ん?」

菜々「これ、始まってるんですか?」

晶葉「ああ、特にエラーも出ていない。正常に開始しているとも」

菜々「もっと……こう……"バチバチバチィ!!"みたいな感じかと……」

晶葉「菜々のスマホはアプリをインストールするたびに火花が散るのか?」

菜々「ナナ、ガラケーです」

晶葉「……すまん」

8 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:00:43.45 ID:6zzzKWfl0

菜々「どれくらいで終わるんですか?」

晶葉「うーむ……いかんせん、初の試みだからな……。以前、関係ない外部メモリへ出力してみた時は、そこまで時間はかからなかったが」

菜々「どうしてですか?」

晶葉「あー、まあ、技術的なことだから気にしないでくれ。これ以上菜々の睡眠時間を増やすのもな?」

菜々「くぅ……ちょっとバカにされた気がします……」

晶葉「はは、気を悪くしたなら謝ろう」

菜々「大丈夫ですけ……あれ?」

晶葉「ん? どうかしたのか?」

菜々「いえ、何かそこに落ちてますよ?」ヒョイ

晶葉「え?」

菜々「これは……なんでしょう? 肌色で、なんか輪っかみたいな?」

晶葉「……輪っか」

菜々「なんだかセロハンテープの芯とか、そういうのに似てますね」

晶葉「……菜々、それの直径は、20センチもないくらいか?」

菜々「へ? そうですけど……ってアキハちゃん、見ればいいじゃないですか」

晶葉「勇気がないんだ」

菜々「はい?」

晶葉「その内側に番号が刻印されているか?」

菜々「えーっと……『2』って書いてありますね」

晶葉「『2』か……! くそっ! 道理で首の組み立ての時に違和感があったんだ……! 頭と接着する『1』とか胴体側の『5』なら気づいたのに……!」ブツブツ

菜々「あ、アキハちゃん?」

晶葉「中止は……いや、できない。ここでのロールバックは危険だ……」

菜々「アキハちゃん! 説明してくださいよぅ!」

晶葉「……首だ」

菜々「く、クビ!? ナナ。もうちょっとアイドル続けたいんですけど!」

晶葉「違う! そのパーツ! 首の部分のパーツなんだ!」

菜々「へ?」

晶葉「このアンドロイドは、頭と胴体をつなぐ首の部分が5つのパーツになっているんだ」

菜々「は、はい」

晶葉「そのうちの1つを……付け忘れた……」

菜々「ええ!?」

9 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:01:27.13 ID:6zzzKWfl0

晶葉「し、仕方がないだろう!? 鬼門である頭が完成して、ちょっと舞い上がっていたというか……」

菜々「で、でも、それでも完成しているってことは、首がちょっと短くなるだけなんですよね……?」

晶葉「140cmの予定だったから、そのパーツの分、背は低くなる。恐らく139cmになるだろうな」

菜々「そ、それだけなら……」

晶葉「さっきの話、覚えてるか?」

菜々「え? さ、さっきの?」

晶葉「外部出力にあまり時間がかからないという話だ」

菜々「は、はい」

晶葉「詳しくは省くが、全てのデータを今送っているわけではないんだ」

菜々「そ、そうなんですか?」

晶葉「ああ、人間1人分の思考回路ともなればその量は膨大。だから、あらかじめ体の方にいくつかメモリを仕込んで、起動プログラムを流し込むだけで大丈夫な状態にしておいたんだ。イメージとしては、脳がいくつもの場所に分かれているような感じとでも言おうか」

菜々「えっと、送るデータが大きいとダメなんですか?」

晶葉「ダメじゃない。ダメじゃないんだが、リスクがある。インストールが長い時間に及べば、例えば熱が溜まって壊れるかもしれない。そのような不測の事態で、インストールが半端な状態で止まれば、ともすれば理性の欠落した兵器や、思考のできないガラクタのような、そんなモノが生まれてしまうかもしれない」

菜々「ひぃ……」

10 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:04:37.92 ID:6zzzKWfl0
すみません、ミスがありました
再度初めから投稿いたします。

>>1から>>9は無視してください
11 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:05:31.30 ID:6zzzKWfl0

〜晶葉ラボ〜


池袋晶葉「……ふぅ」

安部菜々「お疲れさまです晶葉ちゃん!」

晶葉「おお、菜々か、お疲れ様」

菜々「い、いよいよ、完成……なんですよね?」

晶葉「ああ、ちょうどインストールの準備が整ったところだ」

菜々「そこの……おっきい繭みたいな形の入れ物が?」

晶葉「そうだ。蓋は見てのとおりガラスだから、中の本体を見ることは出来るぞ? 開けるのはやめてほしいが」

菜々「だ、大丈夫ですよね? いきなり襲ってきたりとか」

晶葉「ははは、大丈夫だ。まだその段階ではただのリアルな人形にすぎないからな」

菜々「そ、そうなんですか? こ、こんにちは〜」ヒョイッ

晶葉「だから、そんなに警戒して覗き込まなくても」

菜々「こ、これはカワイイですね……!!!」

晶葉「……設計段階のイメージは見てるだろう?」

菜々「そ、そうですけど、やっぱりこう……立体だと違うなあと……」

晶葉「まあ、アイドルになるんだから、驚くほどカワイイくらいがちょうどいいか」

菜々「けっこう小柄なんですね?」

晶葉「その辺の数値も定義書に書いてあったろう……? 1.4メートルになっている」

菜々「へぇ〜、ナナよりちっちゃい……」

12 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:06:04.26 ID:6zzzKWfl0

晶葉「そういえば、プロデューサーはいないのか?」

菜々「いえ、『晶葉の集中を乱すのもよくないから、ここで待っています』って。部屋にいます」

晶葉「まったく、その程度ではこの天才の腕は揺るがないんだがな」

菜々「まあ、アイドル部門の命運が懸かってますし……。プロデューサーさんもちょっと心配になってるだけですよ」

晶葉「そのわりに菜々が来るのは止めなかったんだな」

菜々「も、もしかしてナナ、お邪魔だったり……?」

晶葉「まさか。言ったばかりだろう? その程度は問題にならないさ」

菜々「よかったです……。そうだ、名前は決めてるんですか?」

晶葉「ああ、もちろん。このアンドロイドは、その圧倒的な歌、ダンス、ヴィジュアルで、今までの全てのアイドルを否定する!」

菜々「ふむふむ」

晶葉「よって、『コードネーム:否(イナ)』と名付けた!」

菜々「……」

晶葉「……ん?」

菜々「……晶葉ちゃん」

晶葉「ど、どうした?」

菜々「かわいくないです!」

晶葉「……ええっ!?」

13 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:06:53.18 ID:6zzzKWfl0

菜々「そんな名前の女の子がいますか!? "イナちゃん"って響きはまだギリギリいいとしても、漢字が後ろ向きすぎます!」

晶葉「だ、だが……」

菜々「かわいそうですよ! そんな名前じゃ!」

晶葉「むぅ……そうか……」

菜々「はい!」

晶葉「じ、じゃあ、菜々ならどうする?」

菜々「へ?」

晶葉「"へ?"じゃないだろう。私は……その……認めたくないが、ネーミングセンスというものに欠けるようだし……」

菜々「え、えーっと……」

晶葉「ほら、何か案はないか?」

菜々「ち、ちょっと待ってください! ウサミン星からネーミングセンスをダウンロードしてますので!」ミョンミョン

晶葉「そういうのはいい」

菜々「そ、そういうの……」ガーン

14 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:07:19.13 ID:6zzzKWfl0

菜々「じ、じゃあ、こうしましょう!」

晶葉「?」

菜々「"否"って漢字の、上をちょっと出すんです! こうすれば……」カキカキ

晶葉「えーと、"杏"か……! あんず、あんず……」

菜々「ど、どうでしょう……?」

晶葉「ああ、いいと思うぞ。それでいこう!」

菜々「よかったです……! あ、プロデューサーさんにも聞いてきましょうか?」

晶葉「いや、別に大丈夫だろう。"2人で決めたなら"ってなるのがオチさ」

菜々「た、確かにそうですね……」

晶葉「では、ネーミングのコンフィグを書き換えて……」カタカタカタカタ

菜々「おお、そんなにすぐ変えられるんですね?」

晶葉「もちろんだ。名前や出身地、趣味や好物などはコンフィグファイルから読み取る設定になっている。いちいちモジュール内をいじるのは面倒だからな。直前の仕様変更にも対応できるよう、変わりそうな値は変数にしておいて、実際の値は外部ファイルから読み取るのが一般的……」

菜々「Zzz……」

晶葉「……私が悪かったよ」ペシペシ

菜々「……はっ!」

15 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:08:13.06 ID:6zzzKWfl0

菜々「ちなみに出身地はどこにしたんですか?」

晶葉「北海道だ」

菜々「どうして北海道なんですか?」

晶葉「ダーツが刺さったから」

菜々「雑ぅ……」

晶葉「そんなところに時間を使うのも、勿体無いだろう?」

菜々「そうですかね……? あ、苗字は?」

晶葉「ああ、それも決めようと思ってたんだ。はい」

菜々「へ? これは……ダーツの矢?」

晶葉「向こうの日本地図に向けて投げてくれ」

菜々「い、いやいや! 出身地はもう決まってるんですよね?」

晶葉「そう言ったじゃないか。今は苗字の話だろう?」

菜々「じ、じゃあなんでダーツを?」

晶葉「苗字なんてなんでもいいだろう? だから、ダーツが刺さった市町村を苗字にする」

菜々「ざ、雑ぅ……!」
16 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:08:49.20 ID:6zzzKWfl0

菜々「えっと……、もし"おしゃまんべ"とかに刺さっても?」

晶葉「長万部 杏……悪くないんじゃないか?」

菜々「変ですよぅ……」

晶葉「じゃあ、良い感じの市町村に投げてくれ。 私だって"近江八幡 杏"なんて長い名前はイヤだからな?」

菜々「なんですかそのプレッシャーは……。え、えいっ!!!」

トンッ

菜々「ええと、東北の南の方……」

晶葉「福島のあたりか?」

菜々「そうですね。福島県の……」

「「双葉町?」」

17 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:09:23.60 ID:6zzzKWfl0

晶葉「では、全ての準備が整った。これよりインストールに入る!」

菜々「おおー!」パチパチパチ

晶葉「成功できたらそのまま起動する予定だ」

菜々「ど、ドキドキしますね!」

晶葉「私はワクワクの方が大きいけれどな」

菜々「仲良くなれますかね……?」

晶葉「大丈夫だ。敵対心はなるべく抱かないようになっている。学習して成長するにしても、犯罪など起こされてはたまったもんじゃない」

菜々「ならいいんですけど……」

晶葉「では、インストールを開始するぞ!」

菜々「はい!」

晶葉「インストール……スタート!」ポチッ

菜々「……」

晶葉「……」

菜々「……あれ?」

晶葉「ん?」

菜々「これ、始まってるんですか?」

晶葉「ああ、特にエラーも出ていない。正常に開始しているとも」

菜々「もっと……こう……"バチバチバチィ!!"みたいな感じかと……」

晶葉「菜々のスマホはアプリをインストールするたびに火花が散るのか?」

菜々「ナナ、ガラケーです」

晶葉「……すまん」

18 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:09:53.41 ID:6zzzKWfl0

菜々「どれくらいで終わるんですか?」

晶葉「うーむ……いかんせん、初の試みだからな……。以前、関係ない外部メモリへ出力してみた時は、そこまで時間はかからなかったが」

菜々「どうしてですか?」

晶葉「あー、まあ、技術的なことだから気にしないでくれ。これ以上菜々の睡眠時間を増やすのもな?」

菜々「くぅ……ちょっとバカにされた気がします……」

晶葉「はは、気を悪くしたなら謝ろう」

菜々「大丈夫ですけ……あれ?」

晶葉「ん? どうかしたのか?」

菜々「いえ、何かそこに落ちてますよ?」ヒョイ

晶葉「え?」

菜々「これは……なんでしょう? 肌色で、なんか輪っかみたいな?」

晶葉「……輪っか」

菜々「なんだかセロハンテープの芯とか、そういうのに似てますね」

晶葉「……菜々、それの直径は、20センチもないくらいか?」

菜々「へ? そうですけど……って晶葉ちゃん、見ればいいじゃないですか」

晶葉「勇気がないんだ」

菜々「はい?」

晶葉「その内側に番号が刻印されているか?」

菜々「えーっと……『2』って書いてありますね」

晶葉「『2』か……! くそっ! 道理で首の組み立ての時に違和感があったんだ……! 頭と接着する『1』とか胴体側の『5』なら気づいたのに……!」ブツブツ

菜々「あ、晶葉ちゃん?」

晶葉「中止は……いや、できない。ここでのロールバックは危険だ……」

菜々「晶葉ちゃん! 説明してくださいよぅ!」

晶葉「……首だ」

菜々「く、クビ!? ナナ。もうちょっとアイドル続けたいんですけど!」

晶葉「違う! そのパーツ! 首の部分のパーツなんだ!」

菜々「へ?」

晶葉「このアンドロイドは、頭と胴体をつなぐ首の部分が5つのパーツになっているんだ」

菜々「は、はい」

晶葉「そのうちの1つを……付け忘れた……」

菜々「ええ!?」

19 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:10:56.97 ID:6zzzKWfl0

晶葉「し、仕方がないだろう!? 鬼門である頭が完成して、ちょっと舞い上がっていたというか……」

菜々「で、でも、それでも完成しているってことは、首がちょっと短くなるだけなんですよね……?」

晶葉「140cmの予定だったから、そのパーツの分、背は低くなる。恐らく139cmになるだろうな」

菜々「そ、それだけなら……」

晶葉「さっきの話、覚えてるか?」

菜々「え? さ、さっきの?」

晶葉「外部出力にあまり時間がかからないという話だ」

菜々「は、はい」

晶葉「詳しくは省くが、全てのデータを今送っているわけではないんだ」

菜々「そ、そうなんですか?」

晶葉「ああ、人間1人分の思考回路ともなればその量は膨大。だから、あらかじめ体の方にいくつかメモリを仕込んで、起動プログラムを流し込むだけで大丈夫な状態にしておいたんだ。イメージとしては、脳がいくつもの場所に分かれているような感じとでも言おうか」

菜々「えっと、送るデータが大きいとダメなんですか?」

晶葉「ダメじゃない。ダメじゃないんだが、リスクがある。インストールが長い時間に及べば、例えば熱が溜まって壊れるかもしれない。そのような不測の事態で、インストールが半端な状態で止まれば、ともすれば理性の欠落した兵器や、思考のできないガラクタのような、そんなモノが生まれてしまうかもしれない」

菜々「ひぃ……」

20 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:11:30.94 ID:6zzzKWfl0

菜々「ええっと……、じゃあ、このパーツにも何かメモリが……?」

晶葉「……ああ、首のパーツ、『2』のメモリが司っていたのは……」

インストール カンリョウ
キドウシマス

菜々「!」

プシュゥゥゥ

「……ふわぁ」

「……あれ? ここどこ?」

双葉杏「……まあいっか? おやすみ……」


晶葉「"労働意欲"だ」

21 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:12:11.52 ID:6zzzKWfl0

〜事務所〜


ガチャ

P「……! お疲れ様です」

菜々「は、はい……」

P「……表情が暗いですね、菜々さん」

菜々「……」

P「晶葉が一緒じゃないということは……失敗……ですか……」

菜々「い、いえ! ええと……」

P「?」

菜々「失敗……ではないんですが……」

P「それは……どういう?」

「ほら! 歩け! 歩いてくれ!」

「え〜? めんどくさいなあ……」

P「ああ、ウワサをすれば、晶葉と……今の声は?」

ガチャ

晶葉「……や、やあ」

杏「……ああ、この人は、そうだ、プロデューサーだっけ」

P「……!」

晶葉「ええと、か、完成だ! アイドルアンドロイド、名前は……」

杏「へ? 名乗るの? 双葉杏でーす。これでいい?」

晶葉「……だ!」

P「そう……ですか、成功したんですね……! "フタバアンズ" ……いい名前です」

晶葉「まあ、成功……ではあるな」

P「先ほどから歯切れが悪いのはどういう……」

杏「お! ソファー発見! おやすみ〜」トコトコ ポスッ

P「……」

晶葉「……」

P「……アンドロイドって睡眠、必要なんですか?」

22 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:12:59.70 ID:6zzzKWfl0

P「なるほど、組み込みできていないパーツがあったんですか」

晶葉「すまない……その……いや、言い訳はしない。私の責任だ」

菜々「な、ナナがもう少し早く気づいていれば……!」

P「……」

晶葉「その……怒ってる……よな?」

P「怒る? どうしてですか?」

晶葉「だって、完璧なアイドルを創るはずだったのに……」

P「晶葉がいなかったら、そもそもこの話は始まってすらいません。それに、ちゃんと立って、歩いて、喋ってるじゃないですか。どう見ても人間です。大成功ですよ」

晶葉「だが、致命的にめんどくさがりというか……」

P「私は、ずっと考えてたんです」

晶葉「え?」

P「晶葉はきっと完璧なアンドロイドを創ってくれる。じゃあ、自分はその完璧なアイドルを、どうやってプロデュースすればいいんだろう? って」

菜々「プロデューサーさん……」

P「きっと、完璧なアイドルは仕事を選ばない。どんな仕事も完璧にこなして、あらゆるジャンルを席巻できます。でも、それではダメです。私は、アイドルという市場を荒らしたいわけじゃない」

晶葉「……」

P「素敵な個性をもらったと、考えましょう? 面倒くさがりで、アイドルなんてイヤイヤやってて、でも、何でもできる」

P「きっと、仕事を選り好みます。きっと、逃げ出したりします。そもそも仕事にも来ないかもしれない。でも、そこをなんとかするのがプロデューサーの仕事ですから」

杏「……」

晶葉「……ありがとう」

P「いえいえ、お礼を言うのはこちらですよ。ありがとう、晶葉」

菜々「アイドル部門、また復活できるでしょうか……?」

P「……わかりません。でも、菜々さんも、晶葉も、軌道に乗ってきています。彼女を……杏さんを加えれば、きっと」
23 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:13:35.21 ID:6zzzKWfl0

P「……さて! 暗い話は終わりです。もうすぐレッスンの時間でしょう? 私も杏さんの実力を見てみたいですし」

晶葉「……そうだな! うん、考えてもしょうがない! ほら、起きろ杏!」

杏「今、レッスンとか聞こえたんだけど……」

菜々「そうですよぅ! アイドルになるためにはレッスンが必要なんです! 行きましょう!」

杏「元気だねえ……」

P「頑張ってくださいね。私も見学させていただきますから」

杏「んー、ま、それなりにね? ……じゃ、はい」

P「え?」

杏「おんぶ!」

P「……ええと」

菜々「してあげればいいじゃないですか?」

P「いや……ですが」

晶葉「大丈夫、重さは30キロに抑えてある。君の体型はお世辞にも大きいほうではないが、それでもおんぶくらいなら可能だろう」

P「……大した技術ですね。……どうぞ」

杏「さんきゅー」

24 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:14:27.22 ID:6zzzKWfl0

晶葉「念のための確認だが、杏がアンドロイドだと知っているのは、この3人だけでいいんだよな?」

P「ええ、大丈夫です。他の方には、私がスカウトをして正式に入ったということにしておきましょう」

菜々「トレーナーさんには、新しいアイドルのことを言ってあるんですか?」

P「今日から参加すると言ってあります」

晶葉「なら大丈夫だな」

P「あの……」

晶葉「ん?」

P「先ほども言ったのですが、アンドロイドは睡眠が必要なんですか?」

晶葉「いや、不要だ。私のラボでの充電以外に、エネルギーを回復する手段はない」

P「睡眠という機能自体は」

晶葉「存在しないな」

P「自らの意志で聴覚をカットするなどは?」

晶葉「……ああ、なるほど。……それもできない」

菜々「?」

P「了解しました」

杏「……致命的にめんどくさがりで悪かったね」

P「いえ、言葉を選ぶべきでした」

晶葉「すまない」

杏「大丈夫。杏は鉄のハートだからね」

P「ユーモアセンスも優秀ですね」

晶葉「この3人にしか通じないけどな」

25 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:15:15.42 ID:6zzzKWfl0

P「アンドロイドという自覚はあるんですよね?」

杏「もちろんあるよ。創られた理由もね」

晶葉「私たち3人の顔と基本情報も入っているはずだ」

P「ああ、だから私がプロデューサーだとわかったんですね」

菜々「あの……基本情報って……ナナの年齢とかは……」

晶葉「他にも、知り得るあらゆる知識が入っている」

菜々「無視しないでくださいよぅ!」

P「"知り得る"というのは、調べることができる範囲であらゆる、という解釈で?」

晶葉「問題ない。いき過ぎた個人情報や、国家機密など、知ることが不可能な知識はない。逆に、今日までに世に出版された本の内容や、誰でも調べて知ることができる内容は全て頭に入っている」

P「東京スパロウズの昨日のラストバッターと打ち取られた球種は?」

杏「ラストバッターは畠中で、横浜スターズのクローザー山橋の初球外角低めストレートを引っ掛けてショートゴロ。蔵音が捌いてゲームセット」

P「なるほど」

晶葉「あと、重要な点だが、"一般の17歳女子が知り得ること"というラインの知識も入れてある」

P「大切ですね。知りすぎているのは不自然ですから」

菜々「……ソウデスネ」

晶葉「クイズ番組などでも、そりゃあ無双しようと思えばできるが、なんとか不自然じゃないレベルで要所を抑えて、いい成績を取れるだろう」

P「選択問題なら"ラッキー"で通りますしね」

26 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:15:44.87 ID:6zzzKWfl0

P「なんにせよ、期待していますよ」

杏「あー、まあ、適当にね」

晶葉「……」

P「どうかしましたか?」

晶葉「……いや、その……辛いだろう?」

杏「……へ? 杏?」

晶葉「創られた目的は、大げさに言えばアイドル部門を救うためだ。その手段はアイドルとして活躍すること。そのための技術だって、知識だってある。でも……」

杏「……」

晶葉「意欲がない。目的も、手段も、能力もあるのに、それをやるための活力がどうしても出ない。もちろん私の責任だ。実装していないんだから」

杏「……いやいや、そんなこと言うけどさ、晶葉がいなかったら杏はこうして喋れてないんでしょ? 十分だよ」

菜々「杏ちゃん……」

杏「それに、この背中、なかなか乗り心地も悪くないよ?」

P「いつもこれだと困りますけどね」

晶葉「……優しいな」

杏「そんな子に育てた覚えはない?」

P「これから育てるんですよ」

杏「ボケただけなのに」

27 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:16:24.89 ID:6zzzKWfl0

菜々「でも、レッスンは大丈夫でしょうか……? トレーナーさん、やる気ないと怒っちゃうかも」

晶葉「あー、これは私の推測だが、大丈夫だと思うぞ」

菜々「へ?」

P「それは、どういう……」

晶葉「ないのは意欲だけだ。責任感も、能力もちゃんと入っている」

菜々「?」

晶葉「行くまでが勝負であって、その後は……ああ、着いたな、じゃあレッスンだ」

杏「……」

菜々「???」

28 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:17:16.16 ID:6zzzKWfl0

〜レッスンルーム〜


ベテトレ「おお、プロデューサー、お疲れ様。そんなに新人が気になるか?」

P「お疲れ様です。ええ、期待の新人ですからね」

ベテトレ「それは楽しみだ」

P「今、着替えてるところですから、すぐに到着しますよ」

ベテトレ「心なしか、言葉が弾んでいるぞ?」

P「単純な性格なんです」

29 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:17:48.28 ID:6zzzKWfl0

菜々「よろしくお願いしますっ!」

晶葉「よろしくお願いします」

ベテトレ「ああ、安部、池袋。よろしく。……で、そちらが」

杏「双葉杏ですっ! せいいっぱい頑張るので、よろしくお願いします!」

菜々「……!?」

P「……!?」

ベテトレ「こちらこそよろしく。トレーナーを務める青木だ。……安部はともかく、プロデューサーのそのような顔はなかなか見ないな。何か問題が?」

P「……いえ、大丈夫です。レッスン、よろしくお願いします」

ベテトレ「任せておけ」

30 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:18:38.67 ID:6zzzKWfl0

P(なるほど、晶葉が言ってたのはそういう……)

P(これなら、別にぐうたらキャラで売る必要もないでしょうか……)

ベテトレ「はい、ストレッチはそこまで。まずは前回のステップの復習から。双葉はそこで見ていてくれ」

杏「はいっ!」

ベテトレ「1.2.3.4.5.6.7.8」

菜々「よっ、はっ」

晶葉「ほっ」

杏「おおー」パチパチ

ベテトレ「ふむ、悪くないな。では双葉」

杏「はい! やってみます!」

ベテトレ「え? いや、まずはゆっくりやるから、それを手本に」

杏「よっ! ほっ! はっ! せいっ!」タタタン

ベテトレ「!」

P「……おお」

杏「どうですか!」

ベテトレ「……いや、完璧だ」

杏「ありがとうございます!」

31 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:19:17.95 ID:6zzzKWfl0

「「「おつかれさまでした!」」」

ベテトレ「ああ、お疲れ。各自ダウンをしっかりな。双葉にはもっと難しいメニューでもよさそうだ。それじゃあ」

杏「はぁぁ〜……、疲れた〜!」

P「お疲れ様で……疲労感は実装されているのですか?」

晶葉「ああ、例えばスポーツ系の番組で走った後に全く疲れていなければおかしいだろう? 運動後は一時的に運動機能が下がるようになっている。まあ、充電の残量とは関係ないけどな」

P「すぐに回復するんですか?」

晶葉「わりと早めに。ちなみにだが、充電が100%でも10%でも、パフォーマンス自体は変わらない」

菜々「ニセモノの疲れってことですね……! ナナの疲れは本物ですけど……うう……」

晶葉「本当は充電残量と比例してパフォーマンスも下げようと思っていたんだが……」

P「?」

晶葉「わざわざそうするのはなんだか……可哀想で」

P「なるほど」

杏「杏が疲れたって言ったら疲れたの! そういうこと目の前で言わなくていいからさ?」

P「……失礼しました」

杏「帰りもおんぶしてくれるなら許すよ」

P「……安いものですね」

32 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:20:15.24 ID:6zzzKWfl0

〜事務所〜


P「改めて、初レッスンお疲れ様でした。感想は?」

杏「ふつーかな。強いて言うなら、手を抜いておけばよかったよ。なんか難しいメニュー持ってこられちゃいそう」

P「手を抜いてもトレーナーさんは見抜きますよ。その上で、杏さんのポテンシャルだって見抜くでしょう」

杏「凄い人なんだねえ」

P「杏さんほどじゃありませんが」

杏「まったく光栄だなあ」

P「もうこの後は、予定はないですよね?」

菜々「ナナはないですよ」

晶葉「私もだ」

杏「え? 杏に聞く? あるわけないじゃん。生後4時間だよ?」

P「じゃあ、みんなで食事にでも……、ああ、質問ばかりで申し訳ない、食事や排泄は?」

晶葉「先に言わせてもらうと、排泄は不要で不可能だ。だからといって全く花を摘みに行かない女子はおかしいだろうから、それとなくトイレには行ってくれ。中でシャドーボクシングでもしていればいい」

杏「充電の無駄でしょ」

晶葉「食事も不要だが、こちらは可能だ。口から摂取したものは、一時的に腹部に格納される。何日かに1度、その部分を取り替えればいい。例えるなら……ああ、掃除機が近いかな」

P「味覚は?」

晶葉「もちろんある」

P「なら食レポのお仕事もできますね」

杏「味覚が自分で切れるなら、ゲテモノでも何でも食べれたんだけどねえ。そういう機能はないみたいだよ。残念無念♪」

菜々「思ってもいないような……」

P「そのあたりを実装しなかったのは?」

晶葉「……可哀想で」

P「なるほど、十分です」

33 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:21:10.94 ID:6zzzKWfl0

P「では、出発しましょうか。……とはいえ、いつものファミレスですが」

菜々「はい!」

杏「いってらっしゃーい」フリフリ

菜々「?」

晶葉「何を言ってるんだ?」

杏「へ?」

菜々「杏ちゃんも行くんですよ?」

杏「いやいや、今の話、聞いてなかったの? 杏に食事はいらないんだよ? お金の無駄じゃん」

P「でも、味覚はあるんでしょう?」

杏「いや、そうだけど」

晶葉「ご飯を食べて"美味しい"と言う。それだけで楽しくなるものだ。人数が多ければなおさらな」

菜々「そうですよ! ほら! 立ってください!」

杏「……ふーん」

P「ああ、でも、5個目のから揚げを賭けたじゃんけんには参加しないでくださいね」

杏「キツいオーダーだね」クスッ

晶葉「厳しいプロデューサーだよ」

P「何とでも」

34 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:21:39.41 ID:6zzzKWfl0

〜ファミレス〜


菜々「杏ちゃん! どれ食べますか?」

杏「え……いや、なんでもいいよ。みんな先決めてよ」

菜々「カレーもいいけどラーメンもいいですねぇ!」

杏「菜々さん、テンション高いね」

晶葉「"家に帰っても1人で寂しいから、みんなと食事に行くとテンションが上がる"という知識は入れといたんだがな。……カルボナーラで」

P「気を遣ってくれたんでしょうね。ええと、デミグラスハンバーグのAセットで」

菜々「ナナを傷つけながら注文するのやめてください! オムライス!」

杏「……ふふっ」

晶葉「お、笑ったな」

菜々「笑われてるのナナなんですけど……」

杏「じゃ、杏はナポリタンで」

P「あ、あとから揚げ1つ」

杏「覚えてたんだね」

P「侮れない味ですよ」

杏「2個目食べたくなったらごめんね」

P「その時はその時です」

35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/25(月) 22:22:36.96 ID:cVJwgk4Go
>掃除機が近い
今時の人にはパックの掃除機が通じない驚き
36 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:22:50.64 ID:6zzzKWfl0

P「……さて、では本題に移りましょうか」

晶葉「あまりオープンな場でする話でもないけれどな」

P「まあ、このお店もあまり賑わっているわけはないですから」

菜々「ええと、本題って……?」

P「もちろん、今後の杏さんの方針についてです」

杏「……面倒くさいなあ」

P「まず、前提として、ソロ活動です」

晶葉「……ふむ」

P「3人でのユニットも考えましたが、やはり昨今、ユニット単位の仕事を持ってくるのは難しいと言わざるを得ません。売れさえすれば仕事は舞い込んできますが、それまでが長い。ソロの方が仕事を取りやすいですし、それに」

晶葉「もちろんそれらだって立派な理由だ。でも、私たちに気を遣う必要はないぞ?」

菜々「そうですよ? 流石にナナだってわかります」

杏「え?」

P「……はい、完璧な杏さんとユニットを組むには、2人は、弱いと。そう思います」

晶葉「まあ、釣り合うはずもないな。なにせ完璧だ」

菜々「そうですよねえ。こーんなにカワイイんですから!」ナデナデ

杏「……話の流れ的に、杏を撫でるのはおかしくない?」

晶葉「期待してるんだよ。杏が売れてくれれば、バーターとしてでも出演の機会があるさ」

杏「……まあ、やれっていわれたらやるけど」

P「まずは来週のオーディションに向けてレッスンです。深夜番組ですが、多くの業界が目を光らせていると聞きます」

杏「こわいねぇ」

P「杏さんのパフォーマンスなら楽勝でしょう。そこからなるべく短期間で名前を売って、一気にCDデビューまで持っていきます」

晶葉「なるほどな」

P「勝負は最初の1ヶ月です。頑張りましょう」

杏「……それなりに頑張るよ」

晶葉「私たちの全力よりも凄いんだろうな。その"それなり"ってのは」

P「晶葉と菜々さんも、手を抜いてはいけませんよ?」

菜々「もちろんです! ナナはナナの力で大活躍してみせますよ!」

晶葉「当然。個々人のレベルが必要だなんて百も承知だ」

P「頼もしい限りです」

37 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:23:43.88 ID:6zzzKWfl0

菜々「あ、キャラはどうするんですか?」

P「そうでした。そこも伝えなきゃですね」

晶葉「やる気のないぐうたらキャラで売るのか?」

P「最初はそう考えていましたが、レッスンを見るに王道のアイドルキャラで大丈夫かと」

杏「ええ〜」

菜々「確かに、ビックリしちゃいましたよ!」

晶葉「私は推測してたけどな」

P「3人の前ならいくらでも怠けていただいて構いませんが、外では仮面をつけてほしいと思っています」

杏「……もともとそのはずだったんでしょ。いいよ。やったげる。」

P「ありがとうございます」

杏「その代わり、事務所では怠けさせてね」

P「もちろんです。……ああ、食事が来たようです。閑話休題ですね」

杏「それ、誤用だよ。脇道に逸れた話をやめて、本筋に戻す時に使うのが正しい使い方」

P「……お見事です。77ナナポイントをプレゼントしましょう」

杏「初耳すぎるよそのシステム」

菜々「ナナも初耳なんですけど」

38 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:24:25.38 ID:6zzzKWfl0

〜1週間後:事務所〜


杏「ふわぁ……」

P「おはようございます。杏さん。そろそろラボに起こしに行こうと思っていたところです」

杏「なあんだ。じゃあ待っておけばよかった」

P「例の番組、昨日放映してたんですが、見ましたか?」

杏「うん、見たよ。充電中はすることがないからね。テレビを置いてもらったんだ」

P「そうですか、それはよかった。出色の出来でしたよ」

杏「杏もそう思った。……自惚れとかじゃなくてね」

P「早速、仕事の依頼が来ています」

杏「面倒だなあ……」

P「これから、まずは私がミーティングに行って、話をまとめてきます。現場レベルでの話し合いはその後ですね」

杏「今日はヒマしてていいの?」

P「午前のボーカルトレーニングだけでしたよね? それが終わってしまえば大丈夫です。私は午後、晶葉の仕事に着いていくので恐らく戻りませんが」

杏「おっけ。じゃあトレーニング終わったらボーっとして」

菜々「話は聞かせてもらいました杏ちゃん!」

杏「うわっ!」

P「菜々さん、おはようございます。本日はオフでは?」

菜々「そうなんですが、事務所に行けば杏ちゃんには会えますからね! 昨日の番組、見ましたよ〜! ……おかげでちょっと寝不足ですけど」

杏「あ、ありがと」

菜々「午後、時間あるんですよね? ナナと一緒にお出かけしませんか?」

杏「ええ〜……」

菜々「うっ! 予想していた返事とはいえなかなか心に来ますね……! でも、ナナは挫けませんよ!」

杏「別に断ったわけじゃないんだけど……」

菜々「杏ちゃん、お洋服を買いに行きましょう! そしてご飯を食べて、CDショップとか行っちゃって!」

杏「あー、はいはい、杏、レッスン行ってくるね」トコトコ

菜々「あ、あの杏ちゃんが自分から……!」

P「レッスンより菜々さんの方が面倒だと判断されたんですね」

菜々「言わなくていいですから!」

39 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:25:40.04 ID:6zzzKWfl0

〜午後:街〜


菜々「でも、ちゃんと一緒に来てくれるんですね♪」

杏「根負けだよ根負け……。うう、暑いなあ……」

菜々「暑さは感じるんですね?」

杏「感じるだけだけどね、全然動きに制限とかかからないし」

菜々「でも口には出すんですか?」

杏「そりゃあ涼しい方が快適ではあるもん」

菜々「難しいですね……」

杏「あわよくばサボったりできないかなーとか考えちゃうんだよね。まあ無理だろうけど」

菜々「……あ! ちょうど喫茶店がありますよ! 入りましょうか!」

杏「え、そ、そんな引っ張んなくても……あー……」

菜々「アイスコーヒーで!」

杏「じゃあ杏もそれで」

菜々「いやー、涼しいですね!」

杏「……」

菜々「?」

杏「あのさ」

菜々「はい?」

杏「杏がいくら暑いとか寒いとか言っても、無視して大丈夫なんだよ? 機能に制限が出るわけでもないし」

菜々「でも、暑いのはイヤなんですよね?」

杏「そりゃあイヤだけどさ。みんなはそれで体力が削られたり、肌が焼けるのがイヤなんでしょ? 杏はそんなことないし、ただ気温が高いから"暑い"って言ってるだけで。別に気にしないでも」

菜々「あっ! このパフェ美味しそうです! 半分こしませんか?」

杏「いや、だから食べ物だってお金のムダだし……」

菜々「杏ちゃん」

杏「へ?」

菜々「後輩はおとなしく、先輩に甘えなきゃダメですよ!」

杏「……は、はい?」

菜々「あっ先輩とは言ってもアイドルとしての先輩って意味であって年齢自体は同い年っていうかいやでも杏ちゃんは生後まだ2週間とかなのでナナが例え17歳であっても先輩ですねっていうか例えじゃなくてナナはホンモノの17歳なんですけど」

杏「……ぷっ」

菜々「あー! また笑いましたね!」

杏「怒るなら、杏に笑う機能を実装した晶葉を怒ってほしいけどね?」

菜々「怒れませんよぅ……!」

40 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:26:23.03 ID:6zzzKWfl0

杏「……じゃ、次はどこへ行くの?」

菜々「え?」

杏「"え?"じゃないよ。決めてるんでしょ?」

菜々「め、面倒くさくないんですか?」

杏「めんどくさいに決まってるじゃん。でも……」

菜々「でも……?」

杏「……いや、なんでもない」

菜々「そ、そこで止めるのはズルですよ!?」

杏「はいはい、ごめんごめん」

菜々「もー!」

杏(働く意欲はないけど……こういうのなら……別に)

菜々「次はお洋服を買いましょう!」

杏「Tシャツでいいんだけどなー……」

菜々「しゅっぱーつ!」

杏「だから引っ張らないでってば……」

41 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:27:14.13 ID:6zzzKWfl0

〜夜:事務所〜


晶葉「戻ったぞ」

菜々「あ、おかえりなさい!」

杏「おかえり〜」ダラダラ

P「戻りました。お疲れ様です」

杏「あれ、プロデューサーは直帰かと思ってたけど」

P「ええ、そのつもりでしたが……」

杏「?」

晶葉「帰りの車内で聞かせてもらったが、素晴らしかったぞ」

杏「へ? 杏? レッスンの風景でも撮ってたの?」

晶葉「杏の曲ではないが、杏の曲になる歌だ」

杏「……!」

P「完成したと、先ほど報告がありまして。晶葉の仕事終わりに受け取ってきたんです」

杏「いやいや、早すぎない? だってこの前が初めてのオーディションと収録で、世に出たのは昨日だよ?」

P「もちろんです。この曲は、杏さんの完成よりも前から制作依頼を出していましたからね」

杏「あー……、そりゃそうか。1か月でって計画だもんね。杏が完成してからじゃ間に合わないか」

P「正統派なキュートソングをお願いしていましたから、開発段階の情報から晶葉が大きくイメージを変更しない限り平気だと踏んでいました」

晶葉「……ちょっと危なかったが、結局世に出るキャラクターは正統派アイドルそのものなんだから、まあ大丈夫だろう」

P「ウチの事務所と昔から組んでくれている作詞家と作曲家です。腕は確かなはずですよ」

杏「聴いていい?」

P「もちろんです。今から流しますね」

菜々「な、ナナも聴いていいですかっ!」

晶葉「むしろこの状況で菜々だけ追い出したら外道もいいとこだぞ」

42 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:28:22.42 ID:6zzzKWfl0

〜〜〜♪


杏「ふーん、いい歌だね」

菜々「カワイイですねっ」

杏「曲名は?」

P「『パステルピンクな恋』です」

杏「おっけ、歌は覚えた」

菜々「ええっ!? あ、そ、そうですよね……」

杏「振り付けは?」

P「明日からレッスンが入ります。歌とダンスを杏さんの中で噛み合わせて、今週中には披露できる状態に持っていってもらえれば。……来週には、告知、発表、発売まで」

杏「目が回りそうなスピード感だねえ」

晶葉「私たちなら失踪するだろうな」

杏「無理ですって言えたらどんなに楽なことかな」

P「ウソつきなアイドルはダメですよ」

菜々「……」

杏「わかってるよ。面倒くさいけど、出来ちゃうのが杏だからさ」

晶葉「我ながら、頼もしいな」

P「では、お仕事の話は終わりにして、食事にでも行きましょう」

杏「杏も?」

P「当然です」

杏「聞いてみただけだよ」

P「もう夜ですから、外も少し冷えます。あまり軽い服装では行かないでくださいね」

杏「ああ、確かに、ちょっと室温も下がってきて……くちゅん!」

菜々「わわっ、大丈夫ですか?」

P「……そういえば、今朝、ラボから部屋に来た杏さんは欠伸をしていました。今のくしゃみもですが」

晶葉「ああ、くしゃみや咳などの生理現象は一定確率で起こるようになっているが、欠伸の場合は充電装置を外してから10分間、発生確率が上がるようになっているんだ」

P「よく考えられていますね」

晶葉「気温が下がるとくしゃみが出やすくなるし、空気中の塵が多ければ咳が多く出るぞ」

杏「ガチャのピックアップみたいだね」

P「この知識、入れる必要ありましたか?」

晶葉「何を言う。ヒトの射幸心を煽って利益を上げるビジネススタイルは現代社会において最重要だ」

P「そういうものですか……」

晶葉「プロデューサーだって、『から揚げを注文したら20%の確率で増量!』とか言われたら頼みたくなるだろう?」

P「食べ物で遊ばないでください」

晶葉「……なんで怒られたんだ」

43 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:28:53.81 ID:6zzzKWfl0

〜数日後:楽屋〜


P「ありがとうございました」

杏「ありがとうございましたっ!」

スタッフ「こちらこそ、ありがとうございました。すっかり引っ張りだこですね」

P「有難いことです」

スタッフ「CDデビュー、2日後でしたっけ?」

杏「はいっ!」

P「ミュージック・ステージの生放送で披露する予定となっています」

スタッフ「他局だけど見ちゃうなあ。どんな歌なのかもその時まで秘密ですもんね?」

P「そうですね、ぜひ、楽しみにしていただければ」

スタッフ「しっかし、こんな逸材、よくスカウトしましたね……! みんな驚いてますよ。少し失礼な話ではありますが、"もうそちらのプロダクションは落ち目だと思ってた"なんて人もいて」

P「運が良かっただけですよ。私は何もしていません、恐縮の極みです」

スタッフ「彗星のごとくアイドル界に現れ、その圧倒的なパフォーマンスやトークで大活躍! それなのに歌うのは他の方の歌ばかりで不思議に思っていましたが、曲ができる前にデビューだったんですね」

P「はい、それまでの時間も惜しかったので」

スタッフ「なるほ……ああ、長話になってしまい申し訳ない。ウチはバラエティですが、掛け合えば1曲くらいの時間は作れるかもしれません。いつか、お待ちしてますね。それでは」

P「ありがとうございます。その機会をお待ちしています」

ガチャ

44 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:30:18.34 ID:6zzzKWfl0

杏「ふぁぁ……疲れた〜……」ゴロン

P「杏さん」

杏「いいじゃん別に〜」

P「まあ、そうですが……」

杏「今の人、いい人だったね」

P「"業界人は横暴だ"なんていう知識が入っているのなら、修正した方がいいですよ」

杏「まさか。それくらい杏が注目されてるってことにしておくよ」

P「最近はレッスンを見れていませんが、調子はいかがですか?」

杏「ふつーだよ。ふつー」

P「絶好調ということですね」

杏「補聴器買ってあげようか?」

P「その権利は老後に取っておきますね」

杏「別にいいけど……。まあ、今から披露ってなっても対応できるくらいかな」

P「頼もしい限りですね。本当に」

杏「じゃ、そこのアメ取って〜」グデー

P「少し手を伸ばせば届くように見えますが……どうぞ」

杏「さんきゅー♪」

??「……」

杏「……?」

P「どうかしましたか?」

杏「……そこ、ドアちょっと開いてるけど」

P「え? ……ああ、さっきのスタッフさんが閉め忘れたんでしょうか」

杏「……そうだね」

P「では、戻りましょうか」

杏「……うん」

45 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:31:46.37 ID:6zzzKWfl0

〜翌朝:事務所〜


杏「……おはよ。やられたね」

P「……話が早くて助かります」

杏「朝はネットニュースと電子版の新聞を流し込むことから始まるからね」

P「そうだったんですね。道理で時事ネタトークにも強いと思いました」

杏「お披露目、明日の夜だよね?」

P「スタジオ入りやリハを考えると、残された時間は明日の昼過ぎまででしょうか」

杏「このまま通す?」

P「……」

ガチャ

菜々「ち、ちょっとちょっと! 何なんですかこの記事!」

晶葉「よりによって発表の前日に!」

P「ああ、2人とも、おはようございます」

杏「おはよ〜」

晶葉「言っている場合か!!」

菜々「そうですよぅ! この記事!!!」


『新鋭アイドル双葉杏、実は"ぐうたらお姫様!?"楽屋でマネージャーをこき使う!?』


杏「酷いねえ」

P「全くですね。私はマネージャーではなくプロデューサーなのですが……」

晶葉「そこじゃないだろう!!!」

46 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:32:38.86 ID:6zzzKWfl0

菜々「ど、どうするんですか!?」

晶葉「ネットでは少なからず、失望の声が広がっているな。……少し話題を攫うのが早すぎたんだ。そりゃあ足を引っ張ろうという輩も現れるさ」

杏「"この日は具合が悪かった"って言い訳は通るんじゃない?」

菜々「そ、そうです! 幸いにも見られたのは昨日だけですし!」

P「いえ、それは本質的な解決にはなりません」

晶葉「まあ、そうだろうな。今回は切り抜けても、次からより一層、必死になってボロを探そうとするだろう」

菜々「そんな……」

杏「あんまり言いたくないけど、いつかはバレるのかな」

P「その可能性が高いです」

晶葉「……」

菜々「晶葉ちゃん?」

晶葉「やはり私のせいだ……私が……」

杏「はい、それは言わないお約束」

晶葉「もごっ!?」

P「そのアメ、昨日の楽屋に置いてあったんですが、なかなか美味しいですよ」

杏「あれ、プロデューサー、食べてたっけ?」

P「こっそりと」

杏「プロデューサーよりドロボウの方が向いてるんじゃない?」

P「褒め言葉として受け取りますね」
47 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:33:49.58 ID:6zzzKWfl0

晶葉「し、しかし……」

P「……チャンスと、捉えましょう」

菜々「え?」

P「何にせよ、世の中はアイドルらしいアイドルで溢れています。それと一線を画すチャンスです」

菜々「で、でも、『パステルピンクな恋』は正統派なアイドルソングで」

P「……捨てます」

晶葉「……は?」

杏「……やっぱりそうなるんだ。……めんどくさ」

P「『パステルピンクな恋』は、捨てます」

晶葉「はあ!?」

菜々「だ、だってもう杏ちゃんは振り付けだって完璧で」

杏「代わりの曲はあるの?」

P「……こちらに」

杏「準備が良すぎない?」

P「……杏さんに会った初日から、この可能性は考えていました。想定より早いのは言うまでもないですが」

杏「聞かせて。1回で完璧にするから、イヤホンも」

P「どうぞ」

菜々「な、ナナたちは……」

晶葉「……菜々、レッスンの時間だ」

菜々「で、でも!」

晶葉「杏を信じられないのか?」

菜々「晶葉ちゃんはいいんですか!?」

晶葉「私だって見届けたいさ、でも、私たちには私たちのやることがある」

菜々「……」

晶葉「今はレッスンだ。大丈夫、ウチのプロデューサーと、私の杏は完璧だ!」

菜々「……わかりました」

P「2人共、レッスン、頑張ってください」

晶葉「そっちこそ、頑張ってくれ」

P「もちろんです」

ガチャ

48 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:34:46.43 ID:6zzzKWfl0

杏「ありがと、覚えたけど面白い歌だね。……あれ、2人は?」

P「レッスンです」

杏「あ、なるほど。……この曲、振り付けは?」

P「決まっていません」

杏「……はい?」

P「隠しても仕方がないですから。『パステルピンクな恋』とは違い、こちらは急遽作って頂いた楽曲です。今この瞬間、曲として目の前にある幸福に感謝しなくてはいけません」

杏「どうするの? 棒立ちで歌う? ……なわけないよね」

P「……やむを得ません。トレーナーさんに全て話して、今日中に振り付けを作り、明日の発表を迎えていただきます」

杏「普通に言ったけど、わけわかんないね」

P「リハが始まるのがだいたい16時で、本番を終えて挨拶を済ませ、充電が切れても大丈夫な状態――つまり車に乗った状態――になるのが、恐らく22時前です。5時間なら、充電が完全でなくても間に合うと考えています」

杏「アンドロイド使いが荒いってば」

P「すみません、これしか方法がなく……」

杏「はいはい、面倒だけどやらなきゃ進めないんでしょ。はあ……」

P「……ありがとうございます」

ガチャ

ベテトレ「失礼する。どうした? 双葉の方針で相談とは。まさか、話題になっている件と関係があるのか?」

杏「……最初からそのつもりだったんじゃん」

P「早めに手を打たないと危なかったので。……四姉妹で助かりました」

杏「聖さんが空いてたのね。じゃあ今2人にレッスンしてるのは明さんかな?」

ベテトレ「……双葉、そのだらけ方、そして口調……噂は本当だったのか」

P「そこからは、私がお話しします。初めに、隠していたこと、また、これから無茶なお願いをすることをお許しください」

ベテトレ「……?」

49 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:36:08.73 ID:6zzzKWfl0

〜翌日:事務所〜


P「晶葉、そろそろです。充電は」

晶葉「大丈夫だ。日付が変わるくらいまでは問題なく動ける」

菜々「杏ちゃん、起きてください」

杏「……はいよ。一応聞くけど、サボっちゃだめ?」

P「では、先に車に向かってます」

杏「返事もないなんて、杏、泣いちゃいそうだよ。……ふわぁ」

晶葉「気をつけてな」

杏「杏よりプロデューサーでしょ。結局ほとんど徹夜だったじゃん」

P「私は表には出ませんから。それに、先ほどまで仮眠はさせていただきました」

杏「ふーん。ならいいけど」

P「そういえば晶葉、菜々さん、映像は見てくださいましたか?」

菜々「あ、見ましたよ! なんというか……」

晶葉「ああ、凄い曲だな……」

P「振り付けに違和感は?」

晶葉「あるわけがない」

菜々「はいっ! まさかあれが一晩で作られたなんて思いません! 流石です杏ちゃん!」

杏「ありがと。でも、褒めるならトレーナーさんだよ。今度何かしてあげなよ?」

P「はい、今度、食事をご馳走しようかと」

杏「わお、隅に置けないねえ」

P「いえ、聖さん以外の3人にも杏さんのことは話さなければいけませんから、そのついでにでも、と」

杏「……プロデューサー、モテないでしょ」

P「……アンドロイドに言われるとは、ダメージが大きいですね」

晶葉「言ってる場合か。早く出発しろ」

P「では、行って参ります」

菜々「いってらっしゃい!」

晶葉「事務所で見ているぞ」

杏「じゃーね〜」

50 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:37:24.53 ID:6zzzKWfl0

〜スタジオ〜


司会「では続いて、今話題のアイドル、双葉杏ちゃんでーす」

杏「ふわぁ……よろしくお願いしまーす」

司会「杏ちゃん、リハの時も思ったけど、ちょっとキャラ変わったねえ」

杏「そんなことないですよ〜? アイドル双葉杏は、今日がデビューですからっ」

司会「そうなんだ。これまでは?」

杏「うーん……仮入部みたいな?」

司会「ははは、部活じゃないんだから」

杏「ふふっ、でも、本当の杏はちょーっとだけ、面倒くさがりなんですよね」

司会「最初っから、デビュー曲と一緒にそのキャラにする予定だったの?」

杏「はいっ!」

司会「へぇ、じゃあ、曲の説明を」

杏「この曲は、杏みたいな面倒くさがりさんに捧げます! 一緒に叫んでねっ!」

司会「では、よろしくお願いします」

杏「はーい」トコトコ

51 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:37:54.44 ID:6zzzKWfl0

杏(面倒くさいけど、ここで失敗したらまずいからね)

杏(……本気でやらせてもらうよ)


『い、いやだっ! 私は働かないぞっ!』


『働かない全ての者たちに告ぐ!』


『これは遊びでもライブでもない! 我々の!』


『正義のために!!!』


52 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:38:51.04 ID:6zzzKWfl0

〜事務所〜


P「戻りました」

菜々「あっ! おかえりなさい!」

晶葉「おかえり。……素晴らしいパフォーマンスだった」

杏「そりゃ、杏だからね」

P「いえ、本当に素晴らしかったです。裏からでも観客の熱気が伝わってきましたから」

晶葉「充電は大丈夫か?」

杏「もうちょい平気かな」

菜々「……なんとか、切り抜けましたねっ」

杏「ってか、キャラはあれで大丈夫?」

晶葉「ああ、てっきり、完全に怠け者キャラでいくのかと思ったが、少し崩しただけだったな」

P「ええ、その方があの歌が際立ちますし、やりすぎは印象も良くないですからね」

杏「まあぶっちゃけ、始まっちゃえばスイッチ入ってるから、どんなキャラでも杏的には大差ないよ」

晶葉「今朝の噂でグラつきかけた評判も見事にV字回復だ。誰もあのパフォーマンスを見て"バレたからぐうたらキャラに急遽舵を切った"なんて思うわけがない。信じるさ。最初からこの流れを想定していたって言い分もな」

菜々「それに、そもそも盛り上がってましたから! むしろ親近感が湧いて、ファンが増えたんじゃないですか?」

P「それなら災い転じて……ということになりますね」

杏「災いなんて無い方がいいよ」

晶葉「ごもっともだな」

53 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:39:26.17 ID:6zzzKWfl0

P「ここからは、あんずのうたを使って、更に活躍をお願いします。明日にはいくつか、お話も届くでしょうから」

杏「はいはい。もう今日はいい?」

P「はい、もちろんです。明日の午前のレッスンもありませんので、ゆっくり充電してくださいね」

杏「……だからさ、充電しちゃえば疲れが持ち越されるとかないんだから、別に予定があっても」

P「でも、面倒でしょう?」

菜々「そうですよ! たくさん頑張ったんですから!」

杏「……ありがと」トコトコ

菜々「おやすみなさいっ」

晶葉「おやすみ、杏」

杏「へーい」フリフリ

ガチャ

杏「おやすみ……か」

杏「充電するだけなのにね」クスッ

54 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:39:58.82 ID:6zzzKWfl0



「なあなあ、見たか? 今話題のアイドル!」

「あ! 見たよ。双葉杏ちゃんでしょ? 凄いよね」

「あー、確かにそっちも凄いんだけどさ」

「え? 違うの」

「いや、俺も昨日初めて見たんだけど、なんというか……雰囲気が違うんだよ」

「へえ、そうなんだ」

「来週、音楽番組に出るらしいから、見とけば?」

「そうしよっかな。なんていう娘なの?」

「なんていったっけな……? 確か……」

「……そうだ、イチノセ!」



55 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:41:19.84 ID:6zzzKWfl0

〜事務所〜


杏「凄い新人アイドルがいるんだってさ」

P「……自画自賛ですか?」

杏「今回は違うよ」

P「もちろん、耳には入っています。まだ見たことはありませんが……」

杏「ありませんが?」

P「今届いてるオファーの中に1件、その方と共演することになりそうな仕事がありますね」

杏「バラエティ?」

P「いえ、普通に音楽番組です」

杏「期待の新人なんて杏だけで十分なのに」

P「業界は盛り上がっていますよ。"当たり年だ!"なんて」

杏「晶葉が10人いれば、毎年を当たり年にできるよ」

P「晶葉が10人いたら開発なんてさせずに10人ユニットで売り出しますよ」

杏「頭が固いねえ」

P「……生まれつきなんです」

杏「それより、取材の記者さん、まだかな?」

P「そろそろのはずですが……ああ、噂をすれば、足音が。切り替えてくださいね」

杏「はいはい、面倒くさいなあ」

56 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:42:09.18 ID:6zzzKWfl0

〜数日後:楽屋〜


コンコン

杏「どうぞー」

P「お疲れ様です。杏さん」

杏「あ、来れたんだね。てっきり今日は来ないものかと思ってたよ」

P「はい、前の打ち合わせが早めに終わったので」

杏「別にノックしなくてもいいのに」

P「他の方と歓談中ということもあります」

杏「杏に限ってそれはないと思うけどね」

P「ただ、来て早々に申し訳ないのですが、緊急でこの後、打ち合わせが入ってしまいまして……」

杏「そうなんだ。杏より忙しいんじゃないの?」

P「流石にそれはありえません。……なので、収録開始のあたりでいなくなることをご承知ください」

杏「おっけ。残念だったね」

P「はい、杏さんのステージを見れないことは」

杏「そっちじゃなくてさ」

P「……まあ、映像では見ましたから」

杏「きっと、生だとまた違うんじゃない?」

P「楽しみは次に取っておきます」

杏「素直になっていいのに」

57 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:43:25.39 ID:6zzzKWfl0

『……という夢を見たんだ』

ウオォォォォォ!!!!!……


司会「はい、双葉杏ちゃんで、『あんずのうた』でしたー!」

杏(ふう……後は座ってるだけだから楽だね。充電も問題ナシ)

司会「いやあ、可愛かったですね! さあ、続いても新進気鋭のアイドル」

杏(!)

司会「一ノ瀬志希ちゃんで……あれ? 一ノ瀬さん?」

杏(……?)

司会「えっ? もうステージに? トークが先なんだけどな……。まあ、進めちゃいましょうか」

杏(……変なの)

司会「では、一ノ瀬志希ちゃんで『秘密のトワレ』!」


『my secret eau de toilette……♪』

ワアァァァァァァァ!!!!!……


杏「……!!!」

58 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:44:56.95 ID:6zzzKWfl0

〜楽屋〜


杏「……」

杏「……」

杏「はあ……」

杏「……杏、ため息なんて出るんだね」

杏「……」

杏「一ノ瀬志希……」

杏「お客さん、杏の時より、確実に……」

ガチャ

一ノ瀬志希「たのもー!」

杏「うわぁ!?」

志希「あれれ? マネージャーさんとかいないの?」

杏「な、なにさ急に!」

志希「お疲れサマ、杏ちゃん」

杏「……ノックくらいはしたらどう?」

志希「まあまあ、1回お話してみたかったんだよね〜」

59 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:45:24.92 ID:6zzzKWfl0

杏「……杏に話すことなんてないけど」

志希「ヒトの匂いってさ、あるんだよね。骨と、皮と、臓物と、筋肉と。動けば顕著になって」

杏「は?」

志希「ヒトの音もあるの。骨が擦れる音、筋肉が動く音、足音が体内に反響してくる音」

杏「……何の話?」


志希「キミ、本当に、……ヒト?」

60 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:46:46.46 ID:6zzzKWfl0

杏「……何を言ってるのか、杏にはさっぱりだよ」

志希「う〜ん、じゃ、そういうことにしとこっか?」

杏「用が済んだなら帰ってもらえる?」

志希「キミってさ〜?」

杏「まだ何かあるの」

志希「楽しくなさそうだね〜? それじゃ100点は取れても120点は取れないよ?」

杏「……っ」

志希「それじゃ、シキちゃんはこれにて失礼〜♪ まったね〜」

ガチャ

杏「……」

杏「……」

杏「楽しいわけ……ないじゃん」

61 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:48:00.07 ID:6zzzKWfl0

〜事務所〜


ガチャ

杏「……」

P「杏さん、おかえりなさい。結局私の方が戻るのは早かったですね。迎えに行けなくて申し訳な……杏さん?」

杏「……充電してくるね」

P「え? あ、はい……」

杏「……」

ガチャ

P「……」

62 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:48:52.06 ID:6zzzKWfl0

晶葉「もしもし? ああ、ちょうど仕事が終わったところだ。今日? 直帰する予定だが……」

晶葉「……ふむ」

晶葉「……なるほど、今から戻る」

晶葉「ああ、任せておけ。部屋に顔は出さなくていいな? それじゃあ」

63 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:49:56.13 ID:6zzzKWfl0

〜晶葉ラボ〜


ガチャ

晶葉「戻ったぞ」

杏「……」

晶葉「ああ、自分のラボに来たのに"戻ったぞ"なんておかしいか? まあいい」

杏「……」

晶葉「無視は少し辛いな」

杏「……直帰じゃなかったの」

晶葉「その予定ではあったが」

杏「……プロデューサー、過保護すぎるんだよ」

晶葉「大切にされるのは、悪い気分ではないだろう?」

杏「……」

晶葉「さて、私は回り道が嫌いだ。単刀直入に聞く。……何があった?」

杏「……別に」

晶葉「誤魔化せると思うか?」

杏「……」

晶葉「私しかいないんだ。プロデューサーにだって漏らさないさ」

杏「……」

晶葉「……」

杏「……独り言だよ」

晶葉「……ああ」

64 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:50:35.80 ID:6zzzKWfl0

杏「杏ね、今日、負けたんだ」

杏「初めて。自分より盛り上がってる会場を見たの」

杏「正直に言えば、それだけ。本当にそれだけ」

晶葉「……」

杏「『それだけで?』って思ったでしょ?」

晶葉「……」

杏「じゃ、ちょっとだけ、昔の話をしよっか。とは言っても1ヶ月前とか、それくらいだけど」

65 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:51:16.43 ID:6zzzKWfl0

杏「杏が初めて意志を持って、このラボで生まれた時、最初に何を感じたか、わかる?」

晶葉「……」

杏「正解はね、『恐怖』だよ」

晶葉「恐怖……」

杏「そ。もちろん、目の前にいた晶葉と菜々さんに対してじゃないよ? 情報は頭に入ってたから。じゃあ何が怖かったって、直感的に思ったんだ。『捨てられる』って」

晶葉「……どういうことだ」

杏「まずさ、目的を認知したよ。アイドル部門のためって。次に、自分の状態を確かめた。完璧に動けそうだし、出来ないことなんてないくらいの感覚」

晶葉「……」

杏「最後に、気が付いたんだ。何でもできるのに、何もしたくないって」

晶葉「それは……」

杏「釘を刺しちゃうけど、晶葉のことを責めてるとか、一切ないからね」

晶葉「……」

杏「晶葉ならわかると思うけど、機械って論理的なんだ。すぐに自分の価値を測ったよ。そして、思った。『ああ、杏は捨てられるんだ』ってね」

晶葉「そんなわけ……」

杏「"映像も音声も凄くクオリティが高いけど、なかなか電源がつかないテレビ"とか、"スペックも機能も申し分ないけど、クリックしてから2秒待たなきゃ反応しないパソコン"とか」

晶葉「え?」

杏「不良品でしょ? 普通は返品して新しく買い直すよ。それが世界に1品だけならまだしも、晶葉なら次だって作れるだろうし」

晶葉「次……」

杏「論理的に考えるってそういうこと。ひとまず捨てられなさそうだってわかった後も、杏は怖かったんだ。"目的が果たせないとわかったら、今度こそ"なんて」

晶葉「……」

杏「でも、そんな杏の不安なんて吹き飛ばすくらいに、晶葉は、菜々さんは、プロデューサーは、……優しかった」

晶葉「……」

杏「杏のぐうたらを見ても呆れないで。杏が何をしても受け入れてくれて。杏を……仲間として扱ってくれて」

晶葉「……当然だ」

杏「機械にはその"当然"が難しいの」

晶葉「そう……か」

66 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:52:40.42 ID:6zzzKWfl0

杏「このまま日常が続いてくれればって、本気で思うようになったんだ。……でも今日、負けた」

晶葉「……」

杏「だから、パニックになっちゃったんだ。"勝てない杏に価値なんてない""今度こそ捨てられる"って」

晶葉「……」

杏「今だって、思考回路はめちゃくちゃだよ? 現在進行形で晶葉に迷惑をかけて、プロデューサーに心配をかけてる。本当は挽回しなきゃいけないんだ。でも、杏の心は……動こうとしてくれない……!」

晶葉「杏……」

杏「晶葉なら、もっとちゃんとしたアンドロイドだって作れるでしょ?」

晶葉「……」

杏「ほら、こんな失敗作でも、反面教師にはできるよ?」

晶葉「杏」

杏「なにさ、参考にもならない? それは流石に凹んじゃうなあ」

晶葉「杏!!!」

杏「へっ!?」

ペシン

晶葉「……」

杏「……」

晶葉「……」

杏「……へなちょこビンタ」

晶葉「いかんせん、他人を叩く経験に乏しいものでな」

67 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:53:43.10 ID:6zzzKWfl0

杏「……」

晶葉「これ以上は怒るぞ」

杏「……もう怒ってるでしょ」

晶葉「ああ、もちろんだ。なぜなら、私の最高傑作にして大切な仲間が、目の前で馬鹿にされたんだからな」

杏「傑作? 当てつけのつもり?」

晶葉「悔しいんだろう?」

杏「え?」

晶葉「負けて、悔しくて、次こそはって、思ってるんだろう!」

杏「……」

晶葉「その感情が、人間でなくて何なんだ?」

杏「……でも」

晶葉「やる気なんて無くていいんだ。そこをカバーするのが周りの役目なんだから。杏が戦う環境を全部整えて送り出す。いつも思うよ、お前は、どんどん強くなっていると!」

杏「……」

晶葉「こんなに誇らしいことがあるか!? アイドルとして成長していく杏に、みんなが拍手を送っている! 私にとってそれが、どんなに……!」

杏「……」

晶葉「頼むから、言わないでくれ……! "捨てられる"なんて……、"失敗作"なんて……!」ギュッ

杏「……! ……痛いよ。そんなに抱きしめちゃ」

晶葉「……そうでもしないと、覚えないだろう」

杏「大丈夫だって……」

晶葉「本当か……?」

杏「杏の記憶力をナメないで。傑作……なんでしょ?」

晶葉「……ああ。ああ! もちろんだ!」

杏「はあ……、悩んでたのがバカみたいだね」

晶葉「その感覚も、誰しもがよく味わうものだ」

杏「こんな嫌な気分、よく耐えられるね」

晶葉「前に進めば忘れるものさ」

杏「……ふうん」

晶葉「明日からも、よろしく頼むぞ?」

杏「……それなりにね」

晶葉「十分だ」

68 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:54:44.62 ID:6zzzKWfl0

〜事務所〜


ガチャ

晶葉「お疲れ」

P「……どうでしたか?」

晶葉「疑うのか? 私を? それとも私の傑作を?」

P「……いえ、そうですね。大丈夫に決まっています」

晶葉「当然だ。次のステージも期待していろ」

P「プロデューサーですから、当たり前ですよ」

晶葉「まったく……本来なら菜々の方がこういう役回りは向いているだろうに」

P「そんなことはないと思いますよ」

晶葉「どうしてだ?」

P「だって、人は心が不安定になった時、母親に安心感を求めるものですから」

晶葉「……は?」

P「どうかしましたか?」

晶葉「聞き間違いか?」

P「いえいえ、杏さんのことを1番よく知っているのは晶葉でしょう? 親みたいなものですよ」

晶葉「14歳なんだがな」

P「大切なのは気持ちです」

晶葉「いい感じに言いくるめようとするなよ。まったく……」

69 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:55:39.65 ID:6zzzKWfl0

〜数日後:スタジオ〜


杏「……また会ったね」

志希「うんうん、いいねぇいいねぇ」

杏「え?」

志希「目が全然違うんだもん! パーツ変えた? あ、ごめんごめん、ヒト、だったよね」

杏「そっちもたいがいヒトっぽくないけどね」

志希「褒めても何も出ないよ?」

杏「皮肉だよ」

志希「じゃあ、生まれ変わった杏ちゃんの実力を見させてもらおっかな〜」

杏「杏はさ、頑張れないんだ」

志希「へ?」

杏「でも、誰かのためって思えば、少しくらいは……」

志希「ふ〜ん? ……いいねぇ」

70 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:56:10.07 ID:6zzzKWfl0


『We need メーデー! 権利をー!!!』


志希「ホントだ。全然違って……楽しそう♪ ……あれ?」

司会「ありがとうございました! 双葉杏ちゃんに、スタジオで生ライブを披露していただきました! 番組後半、一ノ瀬さんのステージもお見逃しなく!」

杏(……今までで1番……だったらいいな)

志希「……ちゃん」

杏「え?」

志希「杏ちゃん!!!」

杏「な、なにさ!? 生放送中だよ!?」

志希「上!!! セット!!!」

杏「へ? う……え……?」

ガシャン!!!!!

スタッフ「ふ、双葉さん!!! セットが!!」

P「杏さん!!!」

スタッフ「一回止めろ!」

スタッフ「おい! 救急車!」

杏「あいたた……だ、大丈夫、ギリギリ直撃はしなかったから」

スタッフ「……」

志希「……」

杏「へ? どうかしたの?」

スタッフ「……み、右肩が」

杏「え?」

バチバチバチバチ

杏(やっば! 機械見えてる!)

スタッフ「そ、それは……?」

杏「ええっと……、た、体調不良で帰ります!」タタタタ

P「あ、杏さん! し、失礼いたします」

志希「……あちゃー、生放送でなければねえ」

71 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:57:09.50 ID:6zzzKWfl0

〜事務所〜


杏「……」

P「……」

晶葉「……」

菜々「……」

杏「……ごめん」

P「いえ、杏さんのせいではありませんから」

杏「どれくらい映ってた?」

晶葉「……映像でも一瞬、完全に機械部分の露出が確認できた。画面のキャプチャを、皆が穴の開くように見ている頃だろうな」

菜々「ど、どうなるんでしょうか」

P「……少なくとも、今は何もできません」

晶葉「……そうだな、アレを、世間がどう受け止めるのかによる」

P「明日まで、待ちましょう」

杏「たぶんさ……」

晶葉「そこから先は言わなくてもいい。可能性の話だ」

杏「……そだね」

P「2人は帰られますか?」

菜々「な、ナナは残りますよ!」

晶葉「当然だ」

P「では、私は別室で夜を明かします」

晶葉「ああ、わかった」

P「また明日」

菜々「おやすみなさい……」

杏「……おやすみ」

72 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:57:54.38 ID:6zzzKWfl0

〜翌朝:事務所〜


P「充電は?」

杏「……あんましてない。どうせ今日は外なんて出れないし、充電してるとテレビ見ちゃうからね」

晶葉「やはりこうなったか」

杏「まあ、人気者にアンチがつくのは世の常だよね」

菜々「……」

晶葉「他の事務所の息がかかった記者だっているだろう。そいつらにとって善悪なんて関係ない。とにかくウチを、ウチのイメージを崩すために攻撃を重ねてくる。1度その流れが出来てしまえばあっという間だ。世論は二度と、アンドロイドアイドル杏と、ウチの事務所を認めてはくれないさ」

P「事務所の周りにもいくらかマスコミがいますね」

菜々「……酷い……です」

杏「怠けグセがばれた時は、まだネットニュースに留まってくれてたけど」

P「一面デビュー……ですね」

杏「もうちょっとマシな話題で飾りたかったよ」


『大人気アイドル双葉杏、実はロボット!? 人権無視のブラック事務所で過酷労働の実態!』


杏「はぁ……なまじ杏の味方みたいな書き方なのが腹立つね」

73 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:58:57.57 ID:6zzzKWfl0

P「内容も、酷いものです。ウチの事務所をこき下ろし、あらぬ疑いをこれでもかとかけている。『機械だからといって不当に過酷な労働を強いているのではないか』『機械であるということを利用して、不当に他のアイドルの仕事を奪っているのではないか』『アイドルとしてではなく、モノとして扱っているのではないか』という具合に」

菜々「ど、どうするんですか?」

P「どうするも何もありません。会見を開いて、疑念を払拭するだけです」

晶葉「できるのか?」

P「……わかりません」

杏「……じゃ、杏は充電しながら待ってるね」トコトコ

菜々「あ、杏ちゃん」

晶葉「いや、杏なりに思うところがあるんだろう。1人にさせてやるべきだ」

菜々「うぅ……」

P「では、私は出発します」

晶葉「……頑張ってくれ」

菜々「お気をつけて」

P「……全力を尽くします」

ガチャ

菜々「……どうなっちゃうんでしょう」

晶葉「……私たちのプロデューサーを信じるしかないな」

74 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 22:59:38.37 ID:6zzzKWfl0

晶葉「……そろそろか」

菜々「はい」

晶葉「やはり注目度が高いようだな。ワイドショーで生中継とは」

菜々「そう……ですね」

晶葉「……」

菜々「あっ、始まりました」


P『本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。また、双葉杏の件でお騒がせいたしましたことを、まずは謝罪させていただきます。申し訳ございません』

晶葉「……」

P『しかしながら、一部報道がなされているような、我が社が双葉杏に対し、非人道的な扱いをしているという事実は一切ございません』

P『他の所属アイドルと同様に、本人の意思を尊重し、1人の人間として扱っています』

菜々「……うん、うん」

P『また、双葉杏が機械であることと、他アイドルの労働環境には一切の関係がありません。皆、双葉杏を歓迎しています』

P『したがって、皆様に不要な混乱を招かないためにと隠していただけに過ぎず、後ろめたいことは何一つないということを、強くお伝えしたいと思います』

菜々「プロデューサーさん……」

75 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 23:00:12.90 ID:6zzzKWfl0

P『何か質問はございますか?』

『本当に、機械だからと不当な扱いはしていないんですか』

P『はい、一切ありません』

『関係者の話では、あなたが暴力を振るっていたという声も聞こえますが』

P『事実無根です』

『今回の処分はどうなさるつもりですか』

P『……処分に値することではない、と考えております』

『機械だからと人権を蔑ろにするなという団体の声もありますが』
『ちゃんと機械の気持ちを考えているんですか?』
『そもそもアイドルというのは彼女の希望なんですか?』
『反論できないように思考にロックをかけているのでは』
『私欲ではないのですか』
『本物のアイドルに失礼だとは思わないんですか』


菜々「……酷い」

晶葉「……ああ、マスコミというのは――と纏めるのは危険だが――そういうものだ」

菜々「……」

晶葉「何が正しいかじゃない。まずは相手を見て、叩くのか、守るのかを決める。事実の確認や解釈は二の次だ。どうにでも曲げられる」

76 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 23:01:18.80 ID:6zzzKWfl0

菜々「……何が……わかるんですか」

晶葉「……」

菜々「この人たちに、杏ちゃんの何が」


『何がわかるの?』


P『っ!?』

菜々「え?」

晶葉「な……!?」


杏『皆にさ、杏の何がわかるのって聞いてるの』


菜々「杏ちゃん!?」

晶葉「ど、どうして会見場に!」


P『……杏さん』

杏『ちょっと黙ってて』

77 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 23:01:54.05 ID:6zzzKWfl0

杏『……確かに杏はさ、機械だよ。ほら、手首とか取れるし。ちょっと切ればパーツも見えるよ』

菜々「あ、杏ちゃん……」

杏『で、そこに何の問題があるの?』

杏『さっきから黙って聞いてれば、非人道的だーとか、倫理感に欠けるーとか、ロボットの気持ちはーとかさ』

晶葉「……」

杏『何がわかるの?』

杏『杏がやりたいからアイドルやってんだよ。誰にも文句なんて言わせない』

杏『お前らはまるでロボットの気持ちを代弁してるみたいに言うけどな! 余計なお世話だ!』

杏『言われるまで気がつかないなら! こうやってわかりやすく提示しないとわからないなら! それは人間と何が違うんだ!』

杏『……杏が機械だって知ってる人は誰も、杏をそうやって扱わないんだよ。杏、時々忘れちゃうんだ。自分が機械だって』

杏『わからないよね? 杏の気持ちなんて。ううん、わからなくていいんだ。だから、ほっといてほしい』

杏『せめて、杏が人間じゃないって、忘れさせてほしいんだ。……これって、そんなに贅沢なこと?』

杏『わざわざ取り上げなくていい。わざわざ守ろうとしなくていい』

杏『もし、本当に杏のことを想って、ここに来てくれているなら……』

杏『杏……の……こと……は……』フラッ

晶葉「マズい! バッテリー切れだ!」

P『……頑張りましたね、杏さん』ガシッ

菜々「杏ちゃん……」


P『……何か他に、ご質問は』

78 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 23:02:46.36 ID:6zzzKWfl0

〜事務所〜


記者「いやあ、アンドロイドアイドル双葉杏、破竹の勢いですね」

杏「ありがとうございます。ファンのみんなと、ウサギの安眠枕のおかげですっ」

晶葉「寝る必要はないけどな」

杏「あー、アンドロイド差別ー」

菜々「あ、杏ちゃん! 取材中ですよ!」

記者「まあまあ、次の曲は、安部さん、池袋さんと3人での楽曲になりますが。なんでも、思い出の曲だそうで」

杏「はいっ! 新曲なのに思い出だなんて変なんですけど、3人で歌えば負担は3分の1です!」

菜々「質問に答えてませんよぅ……」

晶葉「ははは、なんにせよ、私たちの新曲をよろしく頼むぞ」

記者「では、最後に宣伝をどうぞ」

菜々「はいっ! せーのっ」

「「「私たちの新曲『パステルピンクな恋』よろしくお願いします!」」」

杏「カップリングは杏の『アタシポンコツアンドロイド』って曲だよ〜。こっちもよろしくねっ」

79 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 23:03:55.53 ID:6zzzKWfl0

記者「では、失礼します。本日はありがとうございました」

P「こちらこそありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします」

記者「それはこちらのセリフですよ。では、私はここで」

ガチャ

菜々「ふぅ……私たちもお仕事、増えてきましたね!」

晶葉「ああ、杏には及ばないがな」

杏「杏は傑作だからね。しょうがないよ」

P「ええ。3人とも、自慢のアイドルです」

晶葉「それはどうも。……さて」

P「ああ、早速ですか」

晶葉「遅らせてもいいことはないからな」

菜々「?」

杏「?」

晶葉「3人とも、私のラボに来てくれ。ああ、メインラボじゃなくて、サブの方だ」

菜々「ら、ラボって2つあったんですか?」

杏「杏も知らなかったな」

P「まあ、言っていませんでしたから」

80 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 23:04:48.97 ID:6zzzKWfl0

〜晶葉ラボ〜


晶葉「ここだ。入ってくれ」

杏「やっぱちょっと狭いんだね」

菜々「あっ! あの奥の!」

P「あれが……ですか?」

杏「杏が創られた装置に似てるね……ってことは」

菜々「まさか!?」

晶葉「そのまさかだ! サイズは杏より一回り大きい150cm! 既にインストールの準備は整っている!」

杏「……楽できる?」

P「お仕事は倍になるので、変わらないですね」

杏「残念」

81 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 23:05:41.09 ID:6zzzKWfl0

晶葉「このアンドロイドも、圧倒的な能力で他のアイドルにNOを突きつける! よって私は『コードネーム:乃々(NO-NO)』と名付けた!」

菜々「て、テンション高いですね!」

晶葉「いいだろ! 見せ場なんだ! ……では、インストール……スタート!」ポチッ

P「緊張しますね」

杏「プロデューサーから緊張の色が見えた事ないんだけど」

P「そんなことありませんよ?」

菜々「でも、ドキドキするのはわかりま……あれ?」

P「?」

杏「どうしたの?」

菜々「……晶葉ちゃん」

晶葉「……何だ?」

菜々「あの……ナナの目が正しければ……その……」

晶葉「……」

菜々「見たことある部品が……そこに……」ヒョイッ

晶葉「……何番だ」

菜々「……ええと……『4』です」

晶葉「なんという……」

82 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 23:06:33.78 ID:6zzzKWfl0

P「ええと、もしかして」

杏「もしかしなくても……でしょ」

菜々「『4』のメモリは……?」

晶葉「『4』は……」

インストール カンリョウ
キドウシマス

杏「!」

プシュゥゥゥ

「んん……」

「……!?」

「えっ!? こ、ここはどこで……」

「む、無理です無理です! あ、アイドルなんて!」

乃々「むーりぃー……!!!」

晶葉「"自己肯定感"だ」

83 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 23:07:13.12 ID:6zzzKWfl0

杏「……ぷっ」

菜々「……ふふふ」

晶葉「……はあ、笑い事じゃないぞ」

P「はは、まあ、いいじゃないですか」

乃々「な、なんで笑ってるんですか……いぢめですか……」

P「いえいえ、……ようこそ」



「私たちの事務所へ」




おわり



84 : ◆5AkoLefT7E [saga]:2017/09/25(月) 23:07:45.63 ID:6zzzKWfl0


普段はコメディ書いてます


過去作


日野茜「むかしむかし!あるところにぃ!!」鷺沢文香「もう少し小さく……」

【モバマスSS】祝え!なおかれん!

神谷奈緒「憎めない常務とアーニャの誕生日」



などもよろしくお願いします


85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/25(月) 23:24:09.76 ID:FVBdOAXDO
そういえばウワサにノーノーとありましたねぇ


86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 03:30:44.05 ID:YYpLiOcwO

どんなカメラにも目線を向けないのはアンドロイドならではの機能だったのか…
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 10:11:43.65 ID:8HvKKMBD0

EXAMとTRANS-AMを合わせたエナンザムシステムを搭載したアンドロイドアイドルか(違う)
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 00:50:27.85 ID:DVIfdLCMO
>>86
一定確率でカガン見してくるのもアンドロイドならではか

続きも気が向いたら頼むぞ
おつおつ
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