転校生「貴方の体質を教えてください」男「…」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 01:48:54.76 ID:Wf/WO6WqO
学校 ウサギ小屋


男「うん」ガチャ

モシャモシャ

男「たんと食べるんだぞ。ヨウ、ウメ、お前たちは僕の希望なんだからな」


「あ! やっぱり中庭にいたんだね、も〜〜〜!」スタスタ


男「委員長おはよう。今日もいい天気だね」キィ パタン

委員長「おはようじゃないよ、もうこんにちわ、だよ!」プンスカ

男「あれ? あぁ、もう昼過ぎなのか」


チュン チュン


男「最近は時間が過ぎるのが早いなあ…」ボー

男「それで? 委員長はお昼ごはん食べてからの登校?」

委員長「いやいや、違う違う。…まあ、そういう子が最近多いけどさ」ハァ

男「みんな自由でいいじゃないか」

委員長「またそーいうこと言う。私達は学生なんだよ?」


委員長「──世間様が未だ大地震で騒がしくっても、この学園の生徒なんだから!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507826934
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 01:49:18.76 ID:Wf/WO6WqO
男「うん。そうだね」


【──今から一年前のこと、日本で大地震が起こった。】

【街をみっつ陥没させるほどの大規模な災害範囲。】

【周辺地域は壊滅状態。無論、この学園も被害を被った。】


委員長「ぎゃー! また地割れにこんな雑草が生えて! 掃除したのに!」ギニャー

男「どんどん生えてくるよ。餌に困らなくていいけどね」


【多くの人が死んだ。多くの建物が壊れた。多くの未来が潰えた。】

【──かに、思われた。】


委員長「あぁもう…ほとんど…」

委員長「生徒どころか教師だって、余震を怖がって学園から居なくなっちゃうし…」グスン

男「もう一年前の話なのにね。それに震源だった街から、この学園はだいぶ離れてるのに」

委員長「でも、最近もけっこう揺れたよ? 昨日の夜とか……」

男「気づかなかった」

委員長「…多分、震度四弱ぐらいあったと思うケド…」ぐぬぬ

男「知らなかった」

男(実際、そこまで興味がない。人は居なくなったけれど、居なくなっただけだ)


【そう、今も一年前も誰ひとりとして死にはしなかった。】

【世界で最大観測の震度を叩き出した、あの日。】

【災害に巻き込まれた命あるもの全てが死ななかった。】

【──我々は数百年という時を超え、やっと、神という存在を認識したのだろう。】
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 01:49:48.48 ID:Wf/WO6WqO
【これは大げさな表現ではなく、本当に人類はそう悟ったのだ。】

【──人は、次なるステージへと上る時代が訪れたのだと】


男「それで? 委員長はなぜ俺を探してたの?」

委員長「わっ、忘れてたァー! そうだよ、来るんだよ真っ昼間から! しかもこのご時世に!」

男「落ち着いて」セイセイ

委員長「落ち着いていられますかネ! ゴホン、ごめん落ち着くよ、うん」コホン

委員長「──実は、今日は珍しいことにホームルームがあります」

男「それは珍しいことだ」

委員長「全然そう思ってない顔してるね! でも聞いたら驚くぞお、なぜかって言うとォ───」



〜教室〜


男(…本当に珍しいことだった)


転校生「ハジメマシテ☆ 今日から皆様と半年間ほどだけ仲良くさせてもらおうかと思ってる私の名前は──」


男(転校生、って。ほんとに来たんだ、この先のない学園に)

転校生「ってなカンジでぇ〜ぐふふ! 頑張ってゆきますので、よろぴこお願いします!」


パチパチ… パチ…


男(おざなりの拍手。そりゃそうだ、半年後に学園は廃校になるんだから)ぱちぱち

転校生「んふふ〜」ニッコニコ

男(気にしてない様子…キャラが濃いな…)

転校生「じゃあじゃあ、私ぃに質問あるかたー? どなたかー? いますー?」シュピッ シュピッ

「それじゃ、はぁい」

転校生「ドウゾ! なんだって聞いちゃって下サイ! なんだって答えちゃいますから!」ニィー!

「転校生さんはぁ、どーしてこの学園に転校したんですかー?」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 01:51:25.14 ID:Wf/WO6WqO
男(いい質問。というか教室に居る全員が気にしてる、なぜ今更に転校していたのか)チラ

男(もしや地雷を抱えた少女なのかもしれない)

転校生「ワオ! まさかそんな質問がしょっぱなくるとは〜っ…」ドキドキ

男(どうやら俺の杞憂だったようだ…)

転校生「ええい迷うな私、頑張って答えなきゃ友達百人できません──ズバリ!」

転校生「この学園に転校してきた理由は、ただひとつです!」シュバッ

グッ バッ! シャキィーン!


転校生「──私が【仮設黄泉学校】定員漏れにて、ここに飛ばされたからですよ!」バァーーン


男「……!」ピク


シィーーン…


「…え…嘘…黄泉学校って…最近、あの震源地に建てられた…」

転校生「ご質問は一人ひとつ! 次の方! 次の方はいらっしゃいませんか!?」

「お、おい、あそこの学校に通えるということは…」

転校生「ハイ! なんでしょう!」


「アンタも……【超能力】……使えるって、コトか?」


転校生「…超能力…」

転校生「ふふっ、ははっ、くくく…」

男(笑ってる…)

転校生「超能力ですって? そんなコト…私、この私…」



転校生「──もちろん使えますよ! 当たり前じゃあないですか! 思いっ切り使えちゃいます!」キラキラキラ
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 01:52:06.23 ID:Wf/WO6WqO
男(この転校生が…)

男(──震源地である三都市、その中で一際に大被害を被った黄泉市の住人──?)

転校生「しかァし! 詳しく言うと、超能力ではありません! 正式名は未だ公表されてませんが、」フフノフ


「なぁ! ちょっと見せてくれよ、能力ってやつを!」

「見てみたい…ニュースでやってたけど、ナマでみたいよね〜?」


転校生「えぇっ? 私は構いませんが、でもぉ〜…」モジモジ

「いいじゃん別に! 咎めるような教師も大人もいねーよ、ここには!」


転校生「ムムム。それはアリ、実にアリですね、ならばご披露させていただきましょうか!」クル

転校生「──タイプホルダー、系統は個人、登録名は『ギャグ体質』です」パサリ


男(体質……?)

転校生「大人たちは言うのです。貴女はいつか世界の常識を覆す、天使にも悪魔にもなると」

くる…

転校生「では、その一端を皆様にお見せいたしましょう!」ニコ

男(なぜか嫌な、予感が──)バッ

転校生「ひゅうう〜〜……」スゥウウウウウッッッッ


転校生「──今日からお世話になります私は転校生です宜しくお願いしまあああああああああああああああ!!!!」ビリビリビリ
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 01:53:12.57 ID:Wf/WO6WqO
ビリビリビリ! ビシッ! バキン!

男(なんっ)ビリビリ

ガタガタガタガタガタ!! ガガッ! パァリン! バギッ!


転校生「ああああああああああああああああああああああ!!! …ふぅ…」スッ


ガシャアンッ… パラパラ… キィイイ バタン!


男「─────………………」


…シィーン…


転校生「あは。【この声】如何だったでしょうか? 皆様の鼓膜を破らず、まるで冗談みたいに──」

転校生「教室の窓を割り、机を破壊し、髪の毛を逆立たせ、黒板を傾けさせた」


転校生「そう。いわゆるギャグ描写、漫画の一コマのように」ニッ

転校生「これが私の体質。『ギャグ体質』です! んじゃ、みんなよろしくゥ!」シュピッ☆


男「………」

転校生「どうでした? ねえどうでした?」キョロキョロ

男「………」

転校生「フフフ! どうやら私ってば強烈なインパクトを残せたご様子、ではでは私から質問です!」


転校生「──私とトモダチになりたい方!」バッッ


〜放課後・ウサギ小屋〜


男(あれで友達ができるワケがない…)ザッザッ

男「…けれど」スッ

委員長「すごかったね転校生の娘! なんていうか、うん、とにかくスゴイ!」パァアア
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 01:54:01.82 ID:Wf/WO6WqO
男「……」

委員長「あれが黄泉市の能力者なのか〜……うん? どうしたの?」ニコ

男「なんでここに居るの?」

委員長「今更ッ!? さっきからずぅーっと手伝ってたじゃない! ヒドイ!」ガーン

男「ごめん。全然気にしてなかった」ザッザッ

委員長「き、気にしてなかった…? どゆこと?」キョトン

男「……。委員長、俺は凄いともヤバイとも思わなかったよ、彼女のこと」

委員長「サラッと無視するよね……そう? だって超能力だよ、凄いことじゃない」

男「悪いことは、どんなに凄くても、凄いことじゃないよ」

委員長「……」

男「アレには関わらないほうが良い。興味本位で近づいたら危ない目に合う」

委員長「うん、そうかもね。けど私もこーやって地味にウサギさんの世話してる方が好きだよ?」

男「俺も」ザッザッ

委員長「うん! ……にしても薄情だよね。飼育係の生徒たち」ザッザッ

男「……」ザッザッ

委員長「それに教師も逃げていった生徒たちも。──みんな、段々と自分勝手になってる」

男「誰もが自分のことで必死だよ。自分本意なのは悪いことじゃない」


余震続く土地、何時訪れるか分からない二次被害、…そして、


男「誰だって【訳の分からない病気】に罹りたくないだろうしね」

委員長「病気……うん、確かに」コクコク

男「それに勝手なの俺もだし。…飼育係が居なくなったから、ウサギたちの世話ができる」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 01:55:06.14 ID:Wf/WO6WqO
委員長「…………」

委員長「男くんって、表情薄い割にけっこう可愛いこと言うよね」

男「もしかして馬鹿にしてる?」

委員長「褒めてる褒めてる」ニヨニヨ

男「………」サッサッ コロコロ

委員長「あっ! こっちにフン転がさないで! 私ここにいるよ!? 存在無視しないで!?」


「──あのー、すみません。質問があるのですが、」

転校生「そのウサギ、あとで食べるんですか?」キラキラキラ


男「──……」

委員長「──あ…」ビクッ


転校生「っ? ??」ブムュウウウ


男「顔を強く金網に押し付けてると、跡が残るよ」

委員長(普通に話しかけた!)ドキー!

転校生「ほほ! 失礼、醜い所をお見せしてしまい…」フキフキ

委員長(ワケのわからないノリで返してきた!)ヒィー!

転校生「それで? 食べるんですか? そのウサギ?」

委員長(どれだけ気になるの! 食べたいの? うさぎ食べたいの!?)

男「食べないよ。可食部位が少なすぎる」

委員長(淡々と凄いとことをッ!)

転校生「あはっ☆ なかなか想像通りの方のようで安心しました、わたし!」ニコ
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 01:57:20.36 ID:Wf/WO6WqO
男「それで要件は?」スタスタ

ガチャ パタン

転校生「ほほう? なぜそう思いに?」キラリン☆

男「わざわざここに来るぐらいだ、そう思うのも当然だろうに」

委員長「あ、あの〜…まだ私、小屋の中に居るんですけど〜…?」

転校生「これはまた。お話が早く済みそうで助かります、ええ、本当に助かります」

男「……」

転校生「と! 言っても! …要件は単純明快なのですよ、単なるやり残しってヤツです」

男「やり残し?」

転校生「私の自己紹介、──唯一あなただけ【聞いてませんでしたよね?】」ニコ

転校生「それが転校生さんてきに許されなくて〜今後の学校生活計画にとって由々しき問題なのですよ〜」

男「黄泉市の生き残り、入学漏れで半年後に廃校になるこの学園に転校してきた女の子」

転校生「それと【タイプホルダー】です」

男「……ギャグ体質」

転校生「あらまー? ちゃんとしっかり聞き遂げてました? てっきり私……」ツンツン

転校生「クラスメイトの中で一人だけ【唯一すぐさま耳を塞いでいたから】、知らないのかと。ムフフ」チラリ

男「………」

転校生「……何か間違ったこと言いましたカネ?」キョトン

委員長(──ヤダ! この空気から即刻離れたい、のに! 出口を封鎖されてる! それが狙いだったの!?)
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 02:14:50.64 ID:Wf/WO6WqO
男「いや、通りにかなってる。確かに君の自己紹介時に耳を塞いでいた」

男「──だからもう一度、と? 御免だね、君の病気には付き合ってられないんだ」

転校生「病気、ですか」

男「人様に迷惑のかかるモノに自制が効かない。…それは病気、正しい見解だと思うけれど」スタスタ

転校生「なるほど」フムフム

男「君、卒業まで静かにしといたほうが良いよ。まあ半年後には廃校だけど、ここで敵を作らないほうが良い」

転校生「唐突に物騒な指摘で驚く私なのですが!?」

男「この学園内は無法地帯だ」ザリッ…

男「例え日常的ないざこざでさえ、後の行動は全て暴力的な解決へ向かう【流れ】がある」

転校生「またまた〜っ! 何も知らない転校生さんを脅そうってたって何も出ませんよ〜?」ヒラヒラ


「……ううん、彼の言うとおりだよ」

委員長「──もうこの学園は普通じゃない、それは、本当のことだから」


転校生「ほほう? その根拠は?」チラ

委員長「……っ、それは…っ」

転校生「ここが暗黒スラム街のような殴って蹴ってとんでもバイオレンスフィールドだとか?」

委員長「………」ギュッ

転校生「マヂ?」

男「先日、一人の男子生徒が屋上から飛び降りたよ」ガチャ

転校生「なんですとッ!?」

男「かろうじて死にはしなかったけど、脊髄を痛めて腰から下が動けくなったってさ」キィ…
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 02:26:21.78 ID:Wf/WO6WqO
委員長「…なんで閉じ込めたの、男くん…」ジトー

男「逃げようとしたから。──転校生さん、実は飛び降りはそんなに問題じゃないんだ」

転校生「と、というと…?」

男「飛び降りの原因はイジメ、壮絶な暴力に耐えきれず自殺を選んだ。けれど死ななかった、…ギリギリだった」

男「救急車がこの学園に入れなかったから。…人が、この学園に入ることを恐れたから」

転校生「えーと、つまり? 救急隊員が? 車が、ってことです? つか、その理由は?」

男「そんなモノはないよ」

転校生「ワッツ?」

委員長「……無いんだよ、本当に。みんな【この学園に来たくない】と感じて嫌になるんだって」

転校生「HAHAHAHAHA! リアリー?」

男「つまり俺が言いたいのはね、転校生さん」


男「──この学園で事件に巻き込まれた時、法治国家でありながら、誰も助けてくれない」

男「【大人や国や警察や教師や正義や道徳や人権】なんて全て、一歩、遅れてやってくる」


男「だとすると、どうだろうか?」

転校生「フムフ。その一歩は大きな過ちを犯すに容易だと?」

男「イグザクトリー」ビシッ

委員長(意外とノリがいいよね男くん……)

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 02:41:00.84 ID:Wf/WO6WqO
男「だからアドバイス。君は静かに学校生活を終え、半年後まで──」

委員長「……」ぎゅっ

男「──? どうしたの委員長?」

委員長「…あれ、見て…」フルフル

男「………」チラ


転校生「──くっくっくっくっ…キャハハ! アーッハッハッハッハッ!」


男「なぜ笑う?」

転校生「くくっ…そのとおりですよ、ええ、私ってほら体質がアレでしょう? ギャグ、じゃないですか…」プルプル

転校生「まったく笑う通りなくってもね、まさか【本当にその通り】なら笑うしかないでしょう…?」プクク

委員長「ね、ねえ…もう行こうよ、この子やっぱりおかしいよ…」クイクイ

男「待って」

男「──君は今、本当にその通り、と言ったよね?」

転校生「はい。嘘はつきませんよ」ニコ

男「じゃあ…本当に…」

転校生「ありがとうございます。貴方、私に注意喚起するように情報提供してくれましたよね?」

委員長「…え…」

転校生「これは厄介な方ですよね〜〜、では私が何者かもお見通しで?」

男「さあ。どうだろうね」

転校生「んふふ。ますます厄介な方ですよ、さーーーてまるっと予想してた問題関係なくきちゃったかぁ〜〜〜」ノビー

転校生「───私が探してる【ホンマル】ってやつが、目の前に」スッ…
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 02:52:05.90 ID:Wf/WO6WqO
男(? なんだ、背中に凄い鳥肌が……)ザワァッ

転校生「まずは改めてゴアイサツから。二度目まして、私黄泉市の入学漏れでやってきた───」スタスタ

転校生「あふいっ!?」コケッ

委員長「あ…転け──」


男「横に跳べッ!! 委員長ッ!!」ドンッ!

委員長「──ええッ!!? どういうッ、うぎゃー!!?」バッ


転校生「おっとっとっと…」トットットッ…

男(!! こっちに千鳥足で来た──!! ぐっ…!!)ババッ

転校生「わわーっ!? あぶなーい!!」

男(逃げ──え、足が動かない、何故!?)


どしーんっ☆


委員長「……痛いッ!? ちょっと男くん!? なんで急に押すのよー!?」バッ

委員長「って……あれ、ウソ、なんで……!?」


男「ぐぅッ……!?」ギリギリギリ

転校生「もーう、無駄に動くから痛い目にあうんですよー?」ギチギチギチ


委員長(取り、押さえられてる…!? まるで刑事さんが犯人を抑えるみたいに…今の一瞬で何があったの…!?)

転校生「ですが見事。一瞬で私の【ギャグ】を見破った先見性、素晴らしい限りじゃあないですか」ニコニコ

男「ッ……転校生は、必ず男子生徒にぶつかる…的な…!?」ギリギリ
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 03:04:37.08 ID:Wf/WO6WqO
転校生「その通り! 転校生というポジはいかに大切なシチュなのか存分に理解されてて嬉しいです!」ニコー

委員長「んなバカなことある!?」ガーン

転校生「それが体質です、委員長さん。…曲がり角に食パン加えてたらほぼ自動発動です」

委員長「なにそれすごく生きづらそう!!」

男「うぐッ……あの、さッ…出来ればこうなった原因をお聞かせ願いたいんだが…ッ!」

転校生「それは後で宜しいのでは?」

転校生「──時間はたっぷりありますよ、貴方が早めてくれた分だけ、それはもう沢山ね」グイッ

男「うがァッ!?」

委員長「男くん!? ちょ、やめなさいよもぉー! 何を急にこんなことして!? 離しなさいってば!!」

転校生「ますます気になります、貴方。…彼女を残したのは止めることに期待して?」

男「…買いかぶり過ぎだよ、俺のことを…」グググ

転校生「何度でも買いますし何度でもかぶりますよ。貴方は重要度はマックスです、推測の余地さえあり得ません」ギリギリ

男「…………」

転校生「諦めました? いいご覚悟です、ええ、被害が他人に及ぶ前に───」


男「せーの、よっと」ガコォンッッ…


転校生「……!?」ずるりっ

どんっ!

転校生「きゃっ!」どしんっ

男「──走れッ! 委員長、こっちだ!!」ダダッ

委員長「え、今、えっ、肩が──う、うん! わかった!!」ダダッ
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 03:10:33.81 ID:Wf/WO6WqO
たったったったっ…


転校生「………」ぽけー

転校生「あんまり無茶はしてほしくないんだけどなぁ…私、【個人系統】だし…」ウーン

転校生「よっと、まあ仕方ないですカネ」にまーっ

転校生(──私の【体質を逆手に取った行動】、ますます疑惑が晴れていく限りですよ、くくっ)


〜〜〜


委員長「はぁ…はぁっ…うっ…久しぶりに走ったからお腹が…」グッタリ

男「体育の授業がなくても、日頃から動くべきだよ」ドサリ

委員長「なにおぅ」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 03:16:27.24 ID:Wf/WO6WqO
たったったったっ…


転校生「………」ぽけー

転校生「あんまり無茶はしてほしくないんだけどなぁ…私、【個人系統】だし…」ウーン

転校生「よっと、まあ仕方ないですカネ」にまーっ

転校生(──私の【体質を逆手に取った行動】、ますます疑惑が晴れていく限りですよ、くくっ)


〜〜〜


委員長「はぁ…はぁっ…うっ…久しぶりに走ったからお腹が…」グッタリ

男「体育の授業がなくても、日頃から動くべきだよ」ドサリ

委員長「なにおぅ!? …って大丈夫なの肩は!? さっきガコンって鳴ってたけど!?」バッ

男「うん…外してみた…」ダラー

委員長「ぎゃーっ!? お見事なばかりにゆっらゆら!!」

男「そうしなきゃ逃げられなかったし…それに、肩の関節外すのは雰囲気壊しに必要で…」ハァハァ…

委員長「意味わからないこと言わないでよ…! 大丈夫なの、それ…!?」

男「…付け直せるけど、今はもうちょっとだけ外しておく」

委員長「一番君の頭がおかしいかも!?」

男「これは【センサー】だ…即興のね…随分と身体を張った…その説明は後でするから…」ググッ

委員長「ど、どこに行くの…?」

男「逃げるんだ、逃げなきゃ捕まる。転校生さんに捕まれば……希望が終わる」

委員長(希望…?)
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 03:34:25.21 ID:Wf/WO6WqO
男「ここじゃ他人は役に立たないし、元より関わらないし、最初から期待はしない」

男「委員長…君も早く俺から離れた方がいい、一秒でも早く…ここより遠くへ…」

委員長「……ッ」

委員長「駄目だよ、そんなこと。出来るわけがないでしょ、だって私は委員長だもの!」

男「…それは凄い」

委員長「もっと褒めていいよ! …最初から勘違いだって可能性もある! 何処かすれ違っただけの可能性だってある!」

男「あぁ…それはとても良いことを聞いたよ。そうか、勘違いか」

メキメキ…

男「──出来ればそうであってほしい、そう願うしか無いね」バッ

委員長「そうしかあり得ませ──きゃあっ!?」グイッ ゴロン!



転校生「なわけあるかーーーいっ!!」ビッシイイイイイイ!



転校生「───避けましたか、今?」バッ ストン

男「君が来るだろうとわかったからね…」

転校生「わお。すごすぎでしょ、アナタ」

委員長「!? えっ!? なにそれ!? 急に現れて、えっ!? どういうこと!? マジック的な!?」

転校生「ツッコミですよ。その場に居ないツッコミ役がボケ空間に唐突に現れるの、読んだことありません?」ニコニコ

委員長「は…?」

転校生「安易な言葉に言えば【テレポーテーション】ってやつっしょ! チィース! よろしくぅ!」シュッシュッ

委員長「なに、やめ、そのパンチなに…? やめてよ、も〜…!」ササッ
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/13(金) 03:49:17.86 ID:Wf/WO6WqO
男「…! 当たっちゃダメだ委員長! それから逃げろ!」グイッ

委員長「え? でも痛くも痒くも無いけど…」ペチンペチン


転校生「──ほほう、なるほどなるほど。つまり外された関節で私の登場を予知したと?」フムフム


委員長「………ワッツ?」

転校生「あ。心読みました、こういったヤカラ絡みってよく吹き出しで『コイツうぜーな』なのありますよね?」

転校生「その流れで彼との会話を聞き選んで──彼のセンサーとやらも見破り、いえ聴き破りました」

委員長「……もうギャグとか関係ないぐらいヤバイ人じゃないこの子ッッ!?」

男「俺もそう思うよ…!!」ダダッ

転校生「逃げないでくださいよ〜〜!」スタスタ

男「っ…!?」ダダダダダ

転校生「走って逃げられると思います? こちとら十秒を一秒にだって出来る【タイプホルダー】ですケド?」ニンマリ

スタスタスタ

転校生「…規格外なんですよね、私、【体質だって限度はあるし強弱もある】んです」

転校生「非常識な世界でも、その非常識な世界にとっての常識はある……」シュン

転校生「ですが──その世界で私の体質は【非常識】です。わかりますか、私は非常識の中の非常識だってことを」

男「なにが、言いたい…!」

転校生「どうやって私を常識にしました?」じぃー

転校生「分からないのですが、どうやら貴方にとって私の体質は常識っぽい感じで見破られてます、気になります教えてください」

転校生「……肩の関節、そう簡単に外れませんよ? でもギャグ調な掛け声で【私の体質に則って外しましたね?】」

転校生「外れた関節。ギャグ調子で外れたので、私が近くに来れば自動的に治ると、総判断したんですよね? そうですよね?」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 08:23:53.18 ID:1PasGAVSO
アンサートーカーかと思ったら違った
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 13:20:59.71 ID:1nIrRHhpo
ラッキースケベ体質の能力者モノに設定がものすごく似てる気がする
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/14(土) 09:21:06.45 ID:Fft2mlLAO
男「何度も言うが、どうやら君は俺のことを買いかぶりすぎてるようだ…っ!」ダダダダ

転校生「質問しているんです。質問に沿った答え以外は答えないで下さい」スタスタ

男「はぁっ…はぁっ…いや、これでも君の行動原理に則って話してるつもりだけどね…」

ダダダダ

転校生「偉い余裕ですね、貴方。歩いてる私より、走ってる貴方のほうが」

男「…そう見えるかい?」チラ

転校生「貴方、【体質】はなんですか?」

男「残念ながら…そんなモノは患ってない…!!」

転校生「ご冗談を。ギャグ体質にギャグで返すと取り返しの付かないことに成りますよ」ニコ

男「へぇ…例えば…?」ニコ

転校生「あはは。そうですね、例えば──」クス

転校生「──貴方がもし、この学園がどのような状態に陥ってるかを知れば…もしくは納得をして頂けるかと」

転校生「そう。あの大地震の震源地であった3都市から遠く離れた学園にて、」



転校生「【この学園内に居るほとんどすべての人間に『タイプホルダー』の疑いが───】」ニィーーー

転校生「───うばぁうッッッ!!!!?!!!!?!」


ばっこぉおおおおおおおおおおおおおおおんんっ!!!



男「はぁ…はぁ…!」タッタッタッ…

男「フゥー…【やっと引っかかった】か…随分と走らされたな…」グイ…
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/14(土) 09:32:56.47 ID:Fft2mlLAO
パラパラ… カコンッ ゴロゴロ…


転校生「きゅー……」バタリンコ

男(【おとぼけキャラが急にシリアス気味に打ち明けたら、不意の一撃が来るギャグ】)チラリ

男「見事、顔面から壁にぶつかってくれた…考えれば分かることだろうに…」


クル… スタスタ… スタ…


男「…この学園内に、体質持ちが居るってね…」スタスタ…

男(そんなコト…とっくに気づいているよ、誰もが…生徒たち全員が…なんとなく心の端で…)


委員長「──あ、居た! 二人共おしゃべりしながらどこまで行く気なのよ!!」タタッ


男「ふぅーーー…小言は後だ、今は逃げよう。彼女が伸びてるうちに…」

委員長「うわぁ…壁に人型の大穴が開いてる…どういう状況なのコレ…」

男「まるでギャグだね。それでいて彼女にはなんらダメージがないようにみえる…」

男「【本人にはギャグ】でも【対象には見た目通りの衝撃】…ってことだろうか…」

委員長「解説は後でいいから! 今はとにかく逃げようよ!」グイグイ


〜〜〜


委員長「…大丈夫なの?」

男「多分、平気。どこまで学園内の構造を把握してるか分からないけれど、時間稼ぎには有効だ」メキ

男「…離れれば関節もまた、外れた。センサーも健在だし、少し作戦会議といこう」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/14(土) 09:46:20.07 ID:Fft2mlLAO
委員長「作戦会議って…もしかして彼女をどうにかするつもりなの…!?」

男「警察も教師も生徒たちも、俺たちには無関心だ。助力を求めても無意味なのは君だって知ってるだろう」

委員長「でも…」

男「言うべきか迷ったけれど、一応、言っておく」チラ

男「──彼女はこの学園で【体質持ち】を探してる、それが目的で俺を狙ってるらしい」

委員長「…はあ!? じゃあやっぱり勘違いじゃない! 君が超能力もってるわけないもの!」

男「……それはわからない、きっと、誰も肯定も否定も出来ないよ」

委員長「ど、どうして!? 君自身が違うっていうのなら…!」


男「──君だって体質持ちかもしれない」


委員長「……え?」

男「気づいてるはずだ。この学園内に流れる雰囲気、ただ事じゃないのに皆気づかないふりをしてる」

男「いや【逃げないでいる】。ここにいる在校生は【敢えて学園に残ることを良しとした】人間たちだ」

男「それはおかしいことだよ、大変なことなんだよ。…でも君も俺も逃げなかった、ここに何故か居る」

委員長「わ、私は…違う、そんな能力なんて持ってないし…ちゃんと自分の意思でここに居る…!」

男「それですら誰かに操られていたら?」

委員長「操られて…!?」

男「憶測だよ、信じなくていい。けれど俺は……いいや僕は、今の感情すら疑うね」スク…

男「──【希望】は失わせない、例え、それが誰かの思惑でも」ジャリ


男「僕は抗うよ。だってそれが僕の【本質】だから」

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/14(土) 10:13:08.36 ID:Fft2mlLAO
〜〜〜

転校生(──個人…にしては場の流れが都合が良すぎる。では、『展開系統』?)

転校生(『強化系統』でないのは明らか。では展開系統の『タイプホルダー』とみて行動しましょうか)

転校生「まったく…一筋縄ではいかないと思ってましたが、タチの悪い展開系ですか…運の悪い限り…」ハフゥ

転校生(出来れば体質名まで分かると状況運びも楽なんですが…なんだろ、猛者に対し反抗心…)

転校生「ルサンチマン体質…痛みと他人への共感性欠如…サイコパス体質…なんでもありですね…」

ガチャ

転校生「まあ。あちらの研究所に連れてけば嫌でも名前は分かりますし、」


男「………!」


転校生「──出来れば大人しく捕まってくれれば有り難いのですが、ねえ…?」ニマー

男「…どうしてここが分かった」ジリ…

転校生「転校生との出会いは一日中。どんなに逃げても巡り合うのが【メタ】です」

転校生「私が転校生という立場である限り、どこまで逃げても私は現れます。どこにだって、貴方の側に居ます」

男「…それは怖い、まるでヤンデレみたいだ」

転校生「居ますよ? 会いたいです? ヤンデレ体質に好かれたら尻の毛一本まで愛憎まみれの対象になりますケド」

男「…そりゃすごい」

転校生「おしゃべりはここまでです。楽しいですけど【そちら側の思惑】に乗るのはいただけない」スッ

転校生「今から貴方をタイプホルダーと認識、対処します。どうかご覚悟を」スタスタ

男「僕は違うよ、体質なんて持ってない」ジャリ…

男「よく見て、よく聞いて、考えるんだ。ギャグ体質だと言っても…自ら罠に飛び込むのは、少しは躊躇うだろう…?」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/14(土) 10:25:07.03 ID:Fft2mlLAO
転校生「………!?」ピタリ

男「ああ、良かった。そこで止まってくれて安心したよ、本当に」ニコ

転校生「───なん、ですって!? 嘘だ、どうしてコレがここに……!?」

男「【やっぱり君はそれが大の苦手】なんだね。そうだろうよ、きっとそうじゃなきゃダメだ」スッ

男「──用意させてもらった、君の最大の弱点を」



【バナナの皮】ポツーン



転校生「貴方…ッ!! なんてモノを……!!」ギリリッ

男「おっと近づかないほうがいい。君はギャグ体質、いくら避けようとも絶対に踏んで壮大に転ぶだろう?」ニッ

転校生「……!!」バッ

男「そうだ。ここは『体育倉庫室』、君のような体質が転べば如何なるオチになるか理解できるだろう」

男「──一年前の地震で、倉庫自体の強度も脆弱、そして老朽化で今にも崩壊寸前だ……」ニヤリ

転校生「…随分と私のことを知って頂けたようで、嬉しい限りですよ…ッ!」ギリッ

男「僕の方こそありがたいね」

転校生「チッ…バナナが学園内で食べられないことは把握済みでしたのに…」

男「とある彼女のお昼ごはんだったんだ、偶然にも入手できたんだよ」

委員長(もうだや、この会話…)

転校生「………。それで私に何のお話でしょうか?」

男「まずは誤解をときたい。君はどうやら僕を【学園内を操る首謀者】だと思ってる、そうだね?」

転校生「ええ。勿論です、根拠は私自身が証明してます。……私という非常識に対抗しすぎているから」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 13:20:40.06 ID:/xwx7uSSO
マリオカートで1位になるとよく出るやつ
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 16:28:18.72 ID:Rj+/vdhSO
続きと言うか間の補完か
おつおつ
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/16(月) 23:14:15.89 ID:YEzeLOjmO
委員長(…!? たったそれだけで…!? そんなの言いがかりにも程がある───)



転校生「──私は、体質で人を殺せますよ」



委員長「……ぇ…」ビク

男「まあ、だろうね」

委員長(だろうねって貴方ねえ!?)エーッ

転校生「今回の私は『転校生』ポジですから、でたらめなギャグ発展などしないでしょう」チラ

委員長(うっ!? ヤバッ!? 隠れてる方みてる!? こっちみてる!?)ササッ

転校生「しかしそうであっても度が過ぎる。その落ち着きよう、手玉に取りよう、全てが怪しい」

男「………」

転校生「一般人は逃げます、怖がります、怯えます。…はて? それでは貴方は一体何者でしょうか?」コテン

男「一般人だよ」

転校生「ありゃ、そうですか」スッ


…スタン


男「……。なぜ歩を進めるんだ?」

転校生「ウサギ小屋に訪れた私を情報で煽ったのも貴方、所見の体質持ちを手玉に取ったのも貴方」スタ

スタ スタ スタ

転校生「最大弱点のバナナも用意し、一方的な主導権を握る場面を作り上げ、」

男「………」

転校生「【ギャグキャラの私を本気にさせた理由は一般人だから、とは説明は付きません】」

グリッ…
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/16(月) 23:27:33.21 ID:YEzeLOjmO
男「危ないよ、君は踏んでいるよ、そのバナナ……」スッ

転校生「何を隠してるんです? なぜ投降しないんです? なぜ諦めない?」ジッ

男「怪我をしたくなかったら、足をどかしたほうがいい。この倉庫は本当に危ないんだ、生徒全員が知っていることだよ」

転校生「【和解だってあったはずなのに】。貴方は私との戦闘を望んだ、──思うに私に見つかってほしくない秘密がある?」


グリリ…


男「…それ以上はやめといたほうがいい」

転校生「話してくれれば離しますよ」

男「…危ないんだ、本当に」

転校生「…危ないのはここにいる全員でしょう、それは」

委員長(──え…それって…)

男「……。俺は希望が潰えてほしくないんだ、この学園にとっての唯一残された、それを」

転校生「希望…?」

男「だから学園を牛耳るボスとやらでもないし、体質もちなんて一度も意識したことがない。君が望む答えは……」

男「……俺は持ってないんだ、本当だよ、これは事実なんだ」

転校生「………」ジッ

男「俺に出来ることは、【思いつく】ことと【準備】することだけ」

転校生「へえ、つまりは【画策する】ことと【手玉に取る】ということですか」クスクス

男「物は言いようだ、悪いように捉えないで欲しいよ」

転校生「捉えますよ。それが貴方にとって掛け替えのない本質なのであれば───」


トントントン…


転校生「──悪戯、そうですね【悪戯体質】……とでも呼びましょうか、なんともまあ可愛らしくも悪質なタイプホルダーですよ」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/16(月) 23:41:48.29 ID:YEzeLOjmO
男「イタズラ…体質…」

転校生「所感では個人系っぽいですが、すると【私と似た体質なのかもしれないですね】、なんともまあ数奇な運命だ」

転校生「さて、当初の目的通り体質持ちを発見。抵抗したため沈静化、そして確保に移ります」ビシッ

男「待て。話はまだ終わってない、勝手に締め切らないで欲しい」

転校生「いや待てません。動きます、この足首を捻ります! …勘違いされてるようですが、私、かなり不死身ですよ?」


──ズリュリュ…


転校生「たかがバナナで転んで崩壊した建物の下敷き程度で、死ぬと思います?」

男「待ってくれ! まだ話は終わってない…!」

転校生「貴方がこのオチを望んだんでしょう、では一緒にオチをつけましょうよ」



転校生「爆破オチ。そんなちんぷでオマヌケでギャグチック、素敵でしょう?」ニッ



───グリリリリイイイイイイイイイイ!!!!



転校生「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜れぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」シュパァッ!

男「──委員長! 柱を殴れ! 今すぐにだッッ!」バッ

委員長「えっ!? 今!? わ、わかった!!」グググ


委員長「てっ、てぇーいっ!! あ痛っ!?」バチコン


グラグラ…


転校生「───!」

男(建物崩壊オチ。それは得てしてその起点となるギャグから発展するとは限らない……!!)ババッ
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/16(月) 23:55:40.91 ID:YEzeLOjmO
グラグラ… ガタガタ…


委員長「うわあ!? 本当に揺れて───」

男(──登場人物、展開的、連鎖ギャグオチ! 傍から見ればモブでも展開最大集約であるオチではトリガーとなり!)チラ

転校生「──…」ニッ

男(たった1つの無関係な行動すら、君の体質に促されるだろう……!!)



転校生&男(──神の【イタズラ】なご都合主義の【悪役への天罰】!!!)ニヤッ

委員長(なんか二人していい感じに笑い合ってるーーーーー!!!)



転校生「──、まいりました、やりますね」ドテーン

男「──、させないよ、君の望んだエンドなんて」ドテーン


ガタガタガタ!! ガシャーン! パリィン!


転校生「滑るまでが想定とは。おや、逃げないです? 展開の方向性はわかりやすいほどに私ですが?」

男「ギャグまで滑らせるつもりないよ。君とは決着を付けなければならない、とことん付き合うさ」

委員長「……ちょっとぉ!? 私が聞いた作戦と違うんですケド!?」ババッ

男「君は逃げていいよ。というかモブ扱いだろうし、そこにいても天井が抜けて助かると思うし」

転校生「待って下さい。モブはモブ、オチに関係ないなら生死も追求されないままエンドの可能性も?」コテン

男「やっぱ逃げて、委員長」

委員長「なんなの!? もうもうなんなの!? 私やっぱり見捨てて部屋に帰れば良かったーーー!!」ワーン

転校生「いやはや、イタズラ的ですね。ここまで踊らされたらむしろギャグですよ」

男「それ、やめてくれない? 悪戯ってことばあまり好きじゃあないんだ、これはれっきとした作戦だよ」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/17(火) 00:10:40.92 ID:sHc97NaZO
転校生「私のような不真面目でギャグ調子な体質を相手取る貴方の作戦は、れっきとした悪戯ですよ」

転校生「…胸を張って下さい。黄泉市で【黒風】とまで呼ばれ恐れられた私が褒めてるんです、光栄に思って下さい」ニコ

男「病気持ちに褒められても」

転校生「おや? なにやら先程から悪者ぶってませんか、貴方───貴方、もしや私に【勝負】する気ですか?」キャー

男「今の展開は【悪者が制裁を受ける場面】だ。一般生徒だと【言い切り続けた一般人】に暴力を働いた君が制裁を受ける」

転校生「…………」ニコ


ガシャーン!! ゴゴゴゴゴ!!!


男「だがしかし、けれどつまり、展開次第では僕も悪者。君を誤魔化し、委員長までを巻き込んだ。…これは悪いことだよ」

転校生「そうでしょうね、そうであればまさに実に【オモシロイ!!!】 それは笑えるギャグですよ!!!」ニコー

男「…ご期待に添えたようで」

委員長「ごめん! 本当に待って!? よくわかんないけど、とりあえず私必要かなあ!?」ギャーッ

転校生「ホホのホ! 面白いギャグほど第三者の目があってこそ!!」ジリジリ…

男「展開の統一化を狙うなら君の存在もまた重要だ。大丈夫、きっと死にはしないよ」ジリジリ…

委員長「お家かえりたぃいぃいぃぃ!!!」

転校生「勝負ですよ…男さん…場は最終局面でどちらも否を認めず、頑固に己を押し通した…!」

男「こうなるまでに時間稼ぎは大変だったよ…ジョーカー役への制裁は君の客観的思考よりだからね…!」


ガタガタガタガタガタガタ!!


転校生「さて、ここまでして貴方は何を望みます?」

男「──僕は知らない。君が望む答えは持ってない、以上」


転校生「お見事。では………【どちらがより悪者か、神の悪戯でギャグなオチにおまかせしましょうか……】」スッ…
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/18(水) 18:16:15.38 ID:+iBoeCHJO
メシメシメキメキメキィイイ…!! バキィン!!


委員長「わぁー!? 天井が……ッ!?」

男「──……」チラ

転校生「………」ジッ



男「……」ニコ

転校生「───!」



ズガゴォオオオオオオオオオオオオオンンン……



パラパラ… バキン ガララ…





「───そう、答えは【誰も傷つかないし誰も死なない】が正解だ」


委員長「…ぇ…」


「───崩壊寸前の体育倉庫。一年前の地震と老朽化なのは【生徒全員が知っている】」


転校生「……」


「つまり、この【上下左右学園】に在校する者は応じて【体育倉庫内で暴れたら危険】だから…」

「…阻止する、崩壊を。巻き込まれる実験人材を無闇矢鱈に【外来種に侵されること】を良しとしない…」


男「僕たちは助かる。謎の力によって死にはしない、…まるで茶番のようなエンディングだよね」ニコ
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/18(水) 18:30:34.30 ID:+iBoeCHJO
委員長「なにこれ…ウソ…こんなのあり得るのかって今更だけどさ…ッ!」

委員長「──天井が浮いてるじゃん! 柱ないのに、空中に!」ギャーッ

転校生「……【体質】……」

男「どうやら居るみたいだね、これを見るまで信じられなかったけど、どうやらキミの言うとおり…」


男「【ここで僕達が怪我、又は死ぬことを良しとしない連中が体質とやらを発動したらしい】」


転校生「端からこれを…私の目に見せるために…ウサギ小屋から、ずっと煽り続けた、と…?」

男「難しいよ、人間関係は。僕はどうやら委員長に言わさえれば唐変木質な所があるらしい」

男「……出来れば会話での和解が望ましかった、けれど、こうなってしまえば元の木阿弥」


パラパラ…


男「──終わり良ければ全て良し」

転校生「ククッ」

転校生「アーッハッハッハッハッ!! なんともまあ! 【知らなければ証明すればいいと!?】 手玉ッ! 取られ続けましたよ本当にっ!!」

委員長「……ッ…」

男「さて、黄泉市から入学漏れでやってきた謎の転校生さん」

男「遅ばせながら自己紹介といこう。──友達にはなれないかもだけど、君の希望は叶えられるかもしれない」


男「ハジメマシテ、こんばんわ、男と言います。宜しくね」スッ

転校生「初めまして私の初めてのお友達さん! 貴方ならきっと【この学園を悪戯に終わらせることが出来るでしょう!!】」ガシィッ


委員長「──悠長に握手してるところ申し訳ありませんがぁ!? 結構コレ危なめじゃないですかあ!?」


男「…行こうか」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/18(水) 18:42:33.51 ID:+iBoeCHJO
転校生「…ええ、行きましょうか」ニコ


ガッシャアアアアアアアアン……



〜〜〜


委員長「疲れた…今日一日超ハードだった…」ズーン

転校生「よっと。確かに人為的な後はありませんでしたし、ともかく体質が発動されたことは理解しました」パンパン

男「最後まで疑うんだね、君。体質と比べてえらく生真面目な性格だ」

転校生「体質と本質は相互関係では無いですよ、わかっているでしょう貴方なら」

男「…だからこその病気だろう」

転校生「ま! ときたまものすごーくマッチングする輩も居るには居るのですが、……特に貴方とか」ジトー

男「…………」フゥ

転校生「けれどまあ、人は本質に沿った生き方を曲げ続けるのが人生ですから」

転校生「───信用しましょう、貴方を。これを見せられたら嫌でも納得せざるを得ないですし」ニッ

男「有り難いお言葉、どうもありがとう」

転校生「…私が予想した状況より、数段ヤバそうですね、この上下左右学園」

転校生「私達の争いを傍から覗き見にしながら【オチに関しては茶々を入れてくる】とは」

男「………」

転校生「徒党をくんでる可能性がアリます。裏で四天王やら幹部やら支部長やら居る可能性が見えてきます」

男「あの、もしや君がそう言うとリアルでそうだったギャグ……的な流れになったりする?」

転校生「あはは。まさかそこまで万能じゃあありませんよ、私『個人系統』ですし、そこ、融通効かないんです」ニコ

男「…個人系統」

転校生「はてさて。貴方の目的は悪戯にはぐらかされましたが、…私の目的は無事に解消されました」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/18(水) 18:51:32.81 ID:+iBoeCHJO
男「…どうする?」

転校生「どうするもなにも、解決させますよ。それに貴方にも活躍させてもらいます、その【体質】……」

転校生「正式な登録は出来ませんから、私がとってつけた体質名をつけておきます」


転校生「悪戯、悪戯体質。その【神が認めざるを得なかった人類史上初めて他界に干渉できるチカラ】」

転校生「──その覚醒者として、私の仕事を手伝ってもらいますよ?」ニマー


男「…ああ、よろしく頼むよ」

委員長「…断らないんだね、男くん…」

男「断ったら探られる、人間関係で面白おかしく押し通されるのは嫌いなんだ、僕は」

転校生「【貴方が隠し事しているのは知っています】。でも、貴方が手伝ってくれる限りは探りません」フフフノフ

委員長(なんなのこの人達……)

男「さて、探られる前にこの場から逃げよう。面倒事は苦手なんだ」クル

転校生「おや? 貴方ならそういった面倒事解消はお得意のようにお見受けされましたが?」

男「……それは勘違いだよ、転校生さん」


男「悪戯な詮索は、大の苦手なんだ。僕的にね」

転校生「これは失敬、ナハハ! ではでは逃げましょう!」


ダダッッ


委員長「なにをいい感じにセリフを──ちょっと!? 二人共逃げ足早くなーい!? 置いてかないでぇー!!」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/18(水) 18:56:30.62 ID:+iBoeCHJO
第一話 終


きまぐれに更新ノシ


過去作↓
女友「アンタの体質って何なの?」男「…」
https://hayabusa.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1376309335/


金髪「お前の話、超同人誌すぎだろww」男「そうですか?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486897051/
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/01(水) 21:23:04.55 ID:mXmmcjIrO
ウサギ小屋


男「………」ぼ〜〜〜


委員長「フムフム。つまり体質とは、大まかに3つの系統に分かれるんだね」

転校生「イグザクトリー! 『個人』『展開』『強化』───」ニパー


転校生「とある条件から引き起こされる【ジンクス】が現実を改変する『展開』!」

転校生「体質という【結果】で心身が強制的に凶悪に変貌してしまった『強化』!」

転校生「比較的に他の系統よりは割りかし取り扱いが楽な『個人』!」

ぴっぴっぴっ

転校生「例えどんなに体質種が多くても系統は3つ! コレだけは揺るぎない真実です!」

委員長「なるほど〜〜」

転校生「そこを押さえておけば、どんなに凶暴なタイプホルダーでも対処はできますし策は練れます」ニコ

委員長「凄い、まるで専門家みたいだね」

転校生「一応は私、黄泉市でけっこう偉いんですよ? だから上下左右学園の潜入にも選ばれました」

転校生「──私の系統は『個人』。まあ、これが一番の選考の理由なんですがね」

委員長「えーっと、その、転校生さんってアレだけ凄いこと出来るのに……個人? なの?」

転校生「ホホー! いいとこつきますネ! 委員長サン!」

転校生「体質とは言わば病気であり、自然現象であって──【災害】でもあります」

委員長「さ、災害……」

転校生「迷惑でしょう。災害が二本足で歩き回って会話して、その先、何十年と生きるんです」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/01(水) 21:38:38.42 ID:mXmmcjIrO
転校生「なんて迷惑か。そんな人間があってはならない。居てはならない、けれど居てしまうし生きています」

委員長「う、うん…そりゃそうだよ、どんなに駄目だ迷惑だって言われても…」

委員長「タイプホルダーって人たちも、ちゃんと一緒に生きてるんだから」

転校生「はい!」ニコ

転校生「つまり然るべき土地で、まずは迷惑度を図り、きちんとした研究機関で登録を行わなければならない」

転校生「【体質持ちを世界に放つのは時期尚早】」ビシッ

転校生「本当に、その通りなんです。未だ一年前の大地震から世界は立ち直っていない、だからこその黄泉市なんです」

委員長「……なのに、その体質持ちが上下左右学園に居る……」

転校生「探さなければ。見つけなければ。保護しなければ」



「──世界は、閉ざされるかもしれない」



転校生「………!」

男「この学園が、この学園だけに起こってる現実が世界中に広がってしまう」

男「例えばそう、君が属する機関によっての………体質のあら捜しが──かな?」

転校生「なんのことでしょう?」ニコ

男「誤魔化しきれてないよ」

転校生「単なる体質持ちの転校生さんですけど〜? そうまで担ぎ上げられますと、困っちゃうのです」

男「よく言うよ。個人系統で黄泉市でえらく、この学園に潜入する機会を獲てる時点で……」

委員長「ハイハイハーーイ! そういった邪険になる話じゃなくって、もっと楽しく話そうよ! ねっ!」

男「委員長。彼女、転校生さんは個人だから他人に迷惑かけないからココにいて大丈夫だよ、っていいたいらしいよ」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/01(水) 21:49:37.48 ID:mXmmcjIrO
委員長「そういうコトなの?」

転校生「そうですね。迷惑がかかりにくい個人系統だから、が選考理由です」

男「………」じぃー

転校生「まだなにか? 可能性だけでの論議を行うよりもっと、互いに現実に即した議題でも出しましょうか?」ニコニコ

男「いや、結構です」フィ

転校生「あら。逃げられちゃいました」テヘ☆

男「…………」

委員長「ハァ〜〜…なんだろ、二人だけだとほんっと怖い雰囲気で会話するよね〜〜…」

委員長「うん、まあ聞きたい話はだいぶ聞けたし、お返しに今度は私の番だね」

転校生「待ってましたー! 委員長サン、是非ともお聞かせ下さいな!」わくわく

委員長「…でも、本当に学園内の不思議な話程度でいいの?」

転校生「十分すぎますよ! こちらとしては全く情報なしのてんてこまいっちんぐなのです、超大変さんなのです」プクー

男「…つまり」

転校生「はいはい?」

男「黄泉市に居る何かしらのタイプホルダーであっても、この学園内を覗き見れなかったと?」

委員長「え、そんな人が居たりするの!?」

転校生「肯定しましょう」ニコ

男「だろうね。それでいて君だけが潜入してきた───いや【出来てしまった】が正しいかな」

転校生「………」ニコニコ

委員長「その、転校生さんは、なんでも良いから情報がほしいって話……で、済む話ですよね? なんで険悪なムードになるのー!」
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