雪緒「私たちは極道、なんですよ」ロック「……何故だ?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/03(金) 02:21:50.87 ID:cB2LrU0go
日本 神社

レヴィ「ふーん、これが日本のカーニバルか。全員、アホ面下げて菓子を食うのはどこでも変わらねえな」

ロック「祭りのときぐらいは、疑念も怒りも持ちたくないだろ」

レヴィ「言えてるな。おっ。なあ、ロック。あれなんだ? 銃が置いてあるぞ」

ロック「射的だね。射的は向こうにだってあっただろ」

レヴィ「日本のそれは今初めてみたんだよ。んっ」

ロック「なんだい、その右手は」

レヴィ「300ドルとはどこにも書いてねえだろ、ボケ」

ロック「一回の射的で300ドルも取る夜店なら、見てみたい気もするよ。ほら、大切に使うように」

レヴィ「サンキュー!! おっしゃー!! 見てろよ、ロック!! どの景品が欲しいんだ? 言ってみろ」

ロック「なんでもいいよ」

レヴィ「なんでもいいが一番困るんだよ」

ロック「店丸ごと欲しいって言ったらどうするつもりだ」

レヴィ「あぁ? んなこと、いちいち聞くなよ。くれてやるにきまってんだろ」

ロック「……オーライ。たこ焼きでも食べながら、応援してるよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509643310
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/03(金) 02:28:30.51 ID:cB2LrU0go
レヴィ「ほらよ。釣りはいらねえぜ」

店番「5発だ」

レヴィ「けっ。シケてんな。これだけしかくれねえのかよ。ま、いいけど」キュッ

レヴィ「まずは一番高価そうな、上段の人形だな。へへっ。この店、あたしだけで大損させてやるからな」

ロック(レヴィ、すまないが日本の縁日は甘くないんだ)

レヴィ「バァン!」カチッ

ポスッ

レヴィ「あぁ!?」

店番「残念だったな、お嬢ちゃん」

レヴィ「ちっ……。当たり所が悪かったのか……」キュッ

レヴィ「次は眉間に風穴開けてやるぜ……」

レヴィ「ファイア!!」カチッ

ポスッ

レヴィ「あぁぁ!? どうなってんだよ!! 今のは確実に落ちるだろうが!!」

店番「残念。あと3発だよ、ガイジンのお嬢ちゃん。ククク……」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/03(金) 02:34:44.20 ID:cB2LrU0go
レヴィ「ちくしょう……!! あたしを本気にさせやがったな……」

レヴィ「――これで、ジ・エンドだ。ドール」チャカ

レヴィ「バイバイ」カチッ

ポスッ

レヴィ「……」

店番「残念っ。いやー、いいとこいってんだけどなぁ」

レヴィ「ざっけんなぁ!!! おらぁぁ!!!」カチッ

ポスッ

レヴィ「ぎぃ……!! おらぁ!! てめえ!! あの人形、どーなってんだよ!!! ケツの中に鉛でもこさえてんのかよ!!! えぇぇ!!!」

店番「なにいってるかわかんねえよ。ほら、それよりも残り1発だぞ、ガイジンのお嬢ちゃん」

レヴィ「ガイジン、ガイジン、うっせーなぁ!! ふんっ。一発ありゃあ、十分だ!! ファック!!!」カチッ

ポスッ

レヴィ「ヘイヘイ!! ロック!!!」

ロック「なんだい、レヴィ」

レヴィ「さっきの倍額よこせ!! はやくしろ!! オラ!!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/03(金) 02:41:26.56 ID:cB2LrU0go
ロック「倍額って、どうするつもりだ」

レヴィ「てめえは今まで、何を見てきたんだよ。あたしがいつも両手に握ってたのは、花束でも男のナニでもないぜ」

ロック「そういうことか。おじさん、600円ね」

店番「あいよ」

ロック「どうぞ、レヴィ」

レヴィ「今夜だけのスペシャル・ショーだ。特等席で堪能しやがれ。トゥーハンドをなぁ!!!」カチッカチッ

ポスッポスッ

レヴィ「……」

店番「おしい! もうちょっとで落ちたよー」

レヴィ「ヘイ、ロック。そこのヤポンスキーはなんだって?」

ロック「非常に惜しいってさ」

レヴィ「そうか……。だったら……」

レヴィ「全弾、ドールの胃袋に撃ち込んでやるぜ!!! オラオラ!!!」

ロック「レヴィ……」

レヴィ「おちやがれ!!! ファッキンドール!!!」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/03(金) 02:45:07.91 ID:cB2LrU0go
レヴィ「弾切れか。ロック。んっ」

ロック「その差し出された右手に、銀貨が乗ることはもうない」

レヴィ「なんでだよ」

ロック「無駄なんだよ、レヴィ。あの人形は取れない」

レヴィ「あと1発で取れる」

ロック「無理なんだよ、レヴィ」

レヴィ「なんでてめえにんなことがわかるんだよ」

ロック「いいかい、よく見ているんだ」チャカッ

レヴィ「おい、ホワイトカラーのお前がハンティングの真似事か? ハハッ。ジャムって笑われるのがオチ――」

ロック「……」カチッ

パーンッ

レヴィ「な……」

店番「大当たり。はい、ラムネ」

ロック「……これが、答えさ。レヴィ」

レヴィ「その菓子、くれるのか?」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/03(金) 02:53:39.81 ID:cB2LrU0go
ロック「高価な商品を落とすには、圧倒的に火力が足りないのさ」

レヴィ「ほーふうほっは?」モグモグ

ロック「景品が重すぎるんだ。この豆鉄砲じゃあ、どうにもならない。仕留められるのは、10円以下の駄菓子だけ」

レヴィ「……」

ロック「300円使って、儲けはたった10円。祭りもカジノも日本の夜店も、客は勝てない。世界共通さ」

レヴィ「ロック、お前は言ったよな。祭りのときぐらい疑念や怒りは持ちたくないって」

ロック「ああ」

レヴィ「だったら、今のあたしが腹に抱えてるのはなんだ? 答えてくれよ、ロック」

ロック「……」

レヴィ「トカレフでも、簡単だぜ? 事を済ます程度のことはよぉ」

ロック「やめるんだ、レヴィ。これが、日本なんだ」

レヴィ「腐ってやがるぜ……。ロアナプラとどっこいだな。だったら、別にいいよな。ロアナプラの流儀でもよぉ」

ロック「レヴィ!!」

レヴィ「あのドール、文字通りぶち抜いてやるぜ……」

ロック「やめるんだ!! レヴィ!! おさえろ!!」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/03(金) 03:05:06.81 ID:cB2LrU0go
レヴィ「抑えてたもんを向こうが勝手に引っ張り出しただけだろ」

ロック「レヴィ!!」

レヴィ「おい!! こらぁ!!! てめえ!!! あの景品よこせ!!! 全弾命中したんだから、いいだろ!!!」

店番「なにいってんだよ。日本語で喋れ」

レヴィ「あぁぁ!! ファッキンジャップが!!!! 表にでろ!!!」

ロック「レヴィ!!」

「お客さん、すまねぇが……」

レヴィ「あぁん? 誰だ、テメェ。関係ねえ奴はすっこんでろ」

銀次「松の内じゃあねぇですか。皆楽しくやりましょうや」

雪緒「銀次さん……」

銀次「どうか悋気をお治めなすってくださいよ」

レヴィ「おい、デカイの英語わかるか? アーユー、スピーク、イングリッシュ」

銀次「……お、おー、いえす、いえす」

雪緒「銀次さん、無理はしないで」

銀次「しかし、お嬢。相手はどうも日本人じゃねえようです。こちらの仁義が通じるかどうか……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/03(金) 03:18:55.92 ID:cB2LrU0go
ロック「あの風貌……。まさしくって感じだな」

レヴィ「どういう意味だ」

ロック「俺たちと同じ側にいる人間ってことだ。傍にいる女の子は違うかもしれないけど」

レヴィ「それなら話ははええな。ロック、通訳頼むぞ」

ロック「え!?」

レヴィ「ヘイ、デカブツ。てめえはこの店と繋がってるのか? それとも、そこの小娘とできてるだけか? だったら、こんな寒空でファックすることもねえだろ。とっととベッドでも探しにいけよ」

雪緒「……」

銀次「この娘さんはなんと?」

ロック「ええと。このお店の関係者ですかって」

銀次「ええ。正確には、この店も、ですがね」

ロック「この店も?」

銀次「ここらの高市は、あたしらの庭みてえなもんだ。顔は効くほうでさぁ」

ロック「……堅気じゃないってことですか」

銀次「そちらの娘さんも、犬のような眼をしてる。同類ってところじゃねえですかい、お客さん」

レヴィ「あ? 今、悪口いったか?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/03(金) 03:28:33.09 ID:cB2LrU0go
ロック「いや、犬みたいで可愛いって言ったんだよ」

レヴィ「誰が犬だよ!! ざっけんな!!!」

銀次「洋物の犬はよく吠えていけねえ」

レヴィ「てめえ!! また犬っつったろ!!!」

雪緒「銀次さん、そのあたりで」

銀次「すいやせん、お嬢。つい……」

雪緒「いけませんね。やはり、癖は中々直りませんか」

銀次「こればっかりは、あっしの血と肉に染み込みすぎちまってますから」

雪緒「ここは、私が」

銀次「いいんですかい」

雪緒「これも、総代としての務めです」

銀次「……頼みます」

ロック「総代……?」

雪緒「詳しいお話を聞かせていただきませんか。火種はどちらにあるのでしょうか」

レヴィ「何、しゃしゃりでてきてんだよ、ガキ。雪降る街でマッパになってみるか? 暖を取るには抱かれるしかねえぞ?」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/03(金) 03:43:29.40 ID:cB2LrU0go
雪緒「……」

ロック「ええと、彼女は、その、関係ないなら下がっていてほしいって……」

雪緒「取り繕う必要はありませんよ。その程度の英語ならわかりますから」

銀次「流石、お嬢。伊達に受験生していやせんね」

ロック「そうだったのか」

レヴィ「なにいってんだよ。あたしにもわかるように言えよ」

雪緒「私はこの縁日を取り仕切る鷲峰組総代、鷲峰雪緒と申します」

ロック「な、んだって……。だって、君、受験生って……」

雪緒「はい。高校三年生です。もうすぐ、センター試験もあるんです」

ロック「そんな君がどうして、こんな場所にいるんだ」

雪緒「受験生だって、息抜きぐらいしますよ」

ロック「そういうことじゃない。だって、君は普通の……」

雪緒「普通? 普通とはなんでしょう? 私の日常は、ここにありますよ」

ロック「……」

レヴィ「なぁ、ロック。あいつ、なんて言ってんだよ。教えろよ」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/03(金) 07:19:12.76 ID:ZbcWPs3T0
期待
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/03(金) 12:36:40.09 ID:FATj+yk8O
ブラクラSSいいぞ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/06(月) 10:00:28.43 ID:krS/c2UaO
日本編好き
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